■ イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令

1 名前:あらすじ ◆Dusty/zBhw :2010/03/03(水) 00:03:18
宇宙暦799年。銀河帝国暦490年。

「敵艦隊、戦場を離脱しつつあります!」
「直ちにハイネセンへ転針せよ、とのヤン司令官からの命令です!」

――ランテマリオ星域会戦において、自由惑星同盟軍は銀河帝国軍に大敗を喫した。
しかし、未だヤン・ウェンリーの率いる艦隊は健在であった。

帝国軍はガンダルヴァ恒星系に軍事拠点の建設を開始し、
同盟軍は残存の宇宙艦隊の再編に追われた。
これは、上記の理由で戦いが交えられなかった日々の記録である。

この日々は、「バーミリオン会戦」と言う大きな嵐の前の、つかの間の静けさに過ぎなかった――

……そして宇宙暦799年2月から3月。ヤン元帥率いる艦隊は、帝国軍輸送艦隊および、
歴戦の提督達が率いる3個艦隊を相次いで撃破することに成功した。
この「正規軍によるゲリラ戦」とも言える一連の戦いは、同盟軍が逆転のトライを決めるたった一つのチャンス、
つまりラインハルトとヤンの正面決戦という状況を作り出すための布石であった。

4月。帝国軍は同盟各地へと艦隊を分散して進発する。ローエングラム公の本営は孤立したかに見えた。
ここまではヤンの予測の範囲内であった。
……決戦の時は、近い。


2 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/03(水) 00:05:21
失礼します。
自由惑星同盟軍イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令官、ダスティ・アッテンボローです。
現在、駐留艦隊司令官ヤン・ウェンリー元帥は多忙のため、小官が広報の代理を務めさせていただきます。
ご質問のある方は、「ホテル・シャングリラ」の会見室までお越し下さい。
イゼルローンの愉快な仲間達……ではない、幕僚たちがお待ちしております。

* * *

アッテンボロー中将のプロフィール

性別 :男
職業 :自由惑星同盟軍・中将 イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令官
出典 :銀河英雄伝説(小説版)
最近気になること :銀河帝国軍の動向。
得意技 :突進する敵の鋭鋒をかわして後退する技術。ゲリラ的戦術指揮。
将来の夢 :昔はジャーナリストになることだった。
一言:それがどうした。

            ,、-‐''"´ ̄ ̄``ー‐-、_
          , イ        ̄ ̄`丶、_``ヽ、
         /        (☆)         ヽ
           /                        |
        `,    _,,、、-r─-ry──r-、、,,_   ,!
         ゙ir''"´,イ ,// / /l ,!   `j;ゞ、ゞjkゝ'i
          l,ィ/,ィ',イ,/,rl/ ,l/    リ`i゙,ヽ,l il |
          |r‐、,j从イ/ ‐''"´`ヽ、、,_   ,!,l/゙i i/!   
          li{ (ゝ`"リ   , rtテ‐ン´  `'rャッ、イiソ    
          ゞ .ノヘ       . .    ヽ . . l′   
            `ゞ、`      : : : :  、_,,.ゝ : ,!
             リ ``´,            /
           |   ヽ     ` ー─‐-' /
          ,イl     \       ̄ ,/
         r,!l i\     `ヽ、    /、
           // 、  \     ` ーr‐'kゞ`ーrー==ー─-、
        / ,!  \  `ヽ,.、     ,レ'´ ゙l \ヽ、___,,、-‐-久
      , イ  ゙i   \  ゝ``ーr‐''´  ,! ,!ゝ\       ゙;、
    /_   i    `ゝ-、\  丶   ,イ'´ ゙ヽ ゝ       ,j i
   //  |   \   / ,イゝ‐゙ー─-'´     \      ,! ,}
 // rォ |     \_/‐'´ `ヾ、              ヽ     l/ l
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3 名前:名無し客:2010/03/03(水) 07:05:18
提督、同盟はもう終わりなんですか…?

4 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/03(水) 19:11:29
どうした、ラオ大佐。

「質問のある市民の方が、ロビーに来ているとのことです」

なに? ハイネセンの市民はほとんど山岳地帯や森林地帯に避難したんじゃなかったのか?

「はあ、どうやらほとんど以外の方もいらっしゃったようですね」

* * *

>>3


――分艦隊司令、アッテンボロー中将です。どうぞお掛けください。

市民の皆さんが不安を抱かれるのはもっともです。
しかし、イゼルローン駐留艦隊……ヤン艦隊と、私たち艦隊幕僚、
そしてなにより「奇蹟のヤン」ことヤン・ウェンリー元帥は健在です。
司令長官ビュコック元帥以下、我々宇宙艦隊は状況をできるだけ自由惑星同盟に有利になるように努力しております。

これまでのヤン元帥の実績。それに帝国軍から駆逐艦を奪って同盟に帰還したミンツ中尉の功績。
これらをご覧になって、少しでも皆さんの不安が軽減されれば幸いなのですが――


* * *

やれやれ、俺がこんな事を言ったのを知ったら、ヤン先輩とユリアンが苦笑いするだろう。
さんざん事を煽った自称ジャーナリストどもは、一体どこに行ったんだ?

5 名前:名無し客:2010/03/03(水) 20:28:49
自称ジャーナリスト
「無謀な出兵を繰り返していたずらに祖国を危機に陥れた無能な軍部の責任は大きい!」

6 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/03(水) 21:20:14
ラオ少佐、ちょっと「お客様」にお待ちいただいてくれ。
すぐに準備するから。


* * *

>>5

――これはどうも、雨の中お疲れ様です。
お体が冷えていらっしゃるでしょうから、お茶をどうぞ。

ご用件ですが――――でして。
紹介状をお書きしますので、こちらをお持ちになってください。
それから、こちらの文書も。

それでは、失礼いたします――

-----------------------------------------------------------------------------------------

Mr.Nanashi殿

ご意見を賜り誠にありがとうございました。

大変恐れ入りますが、本職はイゼルローン駐留艦隊の広報を担当しているものであり、
国防委員会、統合作戦本部に関する取材にはお答えいたしかねます。

取材につきましては、国防委員会広報局(TV電話ナンバーおよび住所)までお願いいたします。


                                    イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令官

                                            ダスティ・アッテンボロー

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7 名前:名無し客:2010/03/03(水) 21:37:17
もし、新城直衛や赤木しげるみたいな人間が自分の部下にいたら
胃薬が必需品になりますか?

8 名前:名無し客:2010/03/03(水) 21:38:46
艦にビームが直撃しても「それがどうした!」と叫べば沈まないって本当?

9 名前:名無し客:2010/03/04(木) 00:46:12
銀河の優しい掟を教えてください。

10 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/04(木) 06:36:15
「閣下、このようなメールが来ていますが……」

どうした。……だれだこれは。少佐は知ってるか?

「いえ。データベースの過去の人物にも、この場所に今いる人物にも該当はありません」

そうか、ならこう返信するか。

* * *

>>7

-----------------------------------------------------------------------------------------

Mr.Nanashi様

ご質問をいただきありがとうございました。

質問の中の人物につきましては、当方が不勉強のため、特定することができませんでした。
この件につきましては、お詫び申し上げます。
仮に「過去の物語中の架空人物」ということでございますと、お答えできない場合が多分にあることをご了承ください。



                                    イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令官

                                            ダスティ・アッテンボロー

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* * *

誰にしろ、イゼルローンの幕僚になったなら、朱に交わって赤くなるか、
それとも「やってられるか!」と出て行くかのどちらかだろうな。
どうだ、ラオ少佐?

「私は胃薬の代わりに、悲観的な思考法が頭から離れなくなりましたよ」

そうか。それは気苦労が絶えないことだろうな。

「誰の責任だと思ってるんですか」

11 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/04(木) 06:37:49
「それがどうした」ね。
あの台詞は人に対しては最強でも、ビームやミサイルには役に立たんだろうな。
ビームのエネルギーが、エネルギー中和磁場を貫けなければ、ビームは虹色の光になって拡散する。
反対にビームがエネルギー中和磁場を貫けば、艦の装甲にビームが直撃する。

「むしろ戦艦ユリシーズのような、『強力な守護天使』に護られていれば、沈みにくいでしょうね」

まったくだ、ラオ少佐。
あの艦は理論では説明できない力――幸運――に護られているようだしな。
激戦で被弾しても、被弾箇所は「不名誉ではあっても人命には関わらない場所」だったのが良い証明だ。


* * *

>>8

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Nanashi様

ご質問をいただきありがとうございます。

ヤン艦隊は、正確な情報に基づいた的確な作戦によって、これまでの戦果を挙げてまいりました。
その姿勢は今後も変わることはありません。

掛け声に頼るような精神論のみで、戦いに臨むような事は一切ありません。
その点につきましては、どうぞご安心くださいますようお願い申し上げます。



                                    イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令官

                                            ダスティ・アッテンボロー

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12 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/04(木) 06:43:35
銀河の「厳しい掟」の間違いじゃないのか?

「いえ、間違いありません」

プライベートならともかく、仮に軍の事としたら、「優しい掟」なんてものはありえないだろう。
ヤン艦隊なら、ムライのおっさん以外はそう堅苦しくないが、ヤン先輩……提督は、
上官が部下に私的制裁を加えることについては厳格だからな。

なら、自分なりに考えるとするか……。

* * *

>>9

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Nanashi様

ご質問をいただきありがとうございます。

「掟」とは破ってはならない決まり事を指す言葉です。
しかしながら人間の歴史上、不変の決まり事などと言うものは存在しませんでした。

同じように、銀河宇宙の法則も、少なくとも人間の見いだした法則については、
時代によって変化してきました。

「厳しい掟」とは、破れば厳しい罰が下るものです。

人類は過ちを繰り返しながら、新たな決まり事、法則を見いだしてきました。
そのことを、銀河宇宙が許容してくれていることを、小官は「銀河の優しい掟」であると愚考する次第です。



                                    イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令官

                                            ダスティ・アッテンボロー

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13 名前:名無し客:2010/03/04(木) 13:48:52
このダスティーって茶、蜂蜜入れても甘くならないんですけと。

14 名前:名無し客:2010/03/04(木) 13:54:53
自由惑星同盟の歴史に燦然と輝く英雄
クリスチアン大佐について何かどうぞ

15 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/04(木) 18:35:10
>>13

ああ、お茶か。ありがとう。
なに、蜂蜜を入れても甘くならない……?

「提督、この色は……濃く淹れすぎなのでは」

そうだな。銘柄は……ダスティー?

それは「ダスト」という等級の茶葉だ。銘柄じゃない。
オレンジペコーのような茶葉と違って、すぐお茶が濃くなるんだ。

「提督が紅茶に詳しいとは知りませんでした」

ユリアンに教えてもらったのさ。あいつはヤン艦隊の紅茶の権威だからな。


16 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/04(木) 18:38:07
ミス・エドワーズ……いや、エドワーズ議員のためにも、
燦然と……からのくだりをネガ反転してもらいたいな。

「白が黒に変わるだけですよ。文章の意味は変わらないでしょう」

そうなんだがな……。

* * *

昔、ヤン司令官に教えてもらった言葉なんだが、
クリスチアン大佐のたぐいは「権威主義的パーソナリティ」にあてはまるのかもしれないな。

「なんです、それは」

確か昔のメモに書いてあったはずだ……これだな。

「全ての人間関係や社会関係を、上下のピラミッド状関係と見なす傾向がある。
 物事について、単純な見方をする傾向がある。
 自分の持っている意見や関心が、社会全体でも常識になっていると誤解する傾向が高い」

つまり、権威には疑いもせず従い、自分より立場の弱い者にはでかい面をしたり暴力をふるい、
自分の意見に賛同しない人間は全て敵とみなす、あるいは確たる根拠もなく軽蔑する、というところか。

「提督、それは極端すぎるでしょう」

ああ。これはもう1500年以上前の説だからな。
それと、今他人事のように喋ったが、この傾向は少なからず俺たちにもあるってことだ。
そのことには十分に気をつけなければな。

「……この傾向が強い人間というのは、具体的にどういう問題があるんです?」

そうだな、救国だの憂国だの愛国だのと恥ずかしげもなく大声でわめき立てる煽動者に、
あっさりと利用されることかな。500年前にルドルフを支持した連中もそうだったろう。
ヤン提督によると、言葉に無意識に「べき」の語句が多くなる、根拠のない批判をする、
人の家で、自分の意見や趣味を一方的にまくし立てる……この辺の傾向が出てくると危ないらしいがね。

「イゼルローンの会議室は『人の家』ではないのですか?」

あれは「言葉のストリートファイト」の闘技場だろう。
何を言ったところで、シェーンコップやらポプランやらの反論や、
ムライのおっさんの叱言を覚悟しなきゃならんからな。

* * *

>>14

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Nanashi様

ご質問をいただきありがとうございます。

まず、一昨年の、わが軍の一部によるクーデターにおいて、
国民の皆様に多大な損害と苦痛を与えたことを、深くお詫びいたします。
ハイネセン解放に関わったヤン艦隊としても、二度とこのようなことの起こらぬよう、
戒めとしてまいります。

なお、クーデター勢力に関する調査は、国防委員会が行っております。
クーデター勢力についての見解については、大変恐れ入りますが、
国防委員会広報局(メールアドレス・TV電話ナンバーおよび所在地)へお願いいたします。



                                    イゼルローン駐留艦隊分艦隊司令官

                                            ダスティ・アッテンボロー

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17 名前:名無し客:2010/03/04(木) 22:08:38
真田とかと言う整備兵がイゼルローン要塞で「こんあこともあろうかと」といろんな珍兵器や資材
を生み出しているんですけど

18 名前:名無し客:2010/03/04(木) 22:54:30
閣下にこれを贈ります


        .,i´.,/` /`/`.,i´ ,/`  ../::;;;;;;;;;::::::::::::::::゙'i、゙l, `i、 ,!: ヽ
        │,i´  : `"..,i´ .,i´   ,l゙`゙゙゙゙゙゙゙゙''''―-、│ |  │ ゙l  ゙l
        ," |     .l゙  |:    /:        `''| l゙  .| .|  `),
       .l゙ | | : : : : .l゙: : :|: : : : l゙          l  |  .l゙ : l゙ |゙l
       |  | | : : : : │: ::|: : : |     /ニニ ,,l゙: ::,!: ../ │ :|: ゙l
       │ .l゙ | : : : : ": _,,―‐'゙\__/     l゙: :/: :/,i ..,l゙: ,/: :゙l
       .|  .| | : : _,,-'"`              ゙̄:i/: .,/: ./:: : l゙
      │: : |: ヽ  '゙l、               : `i、/ : : :/:::: :l゙
      '|``'-|: : ヽ  ゙i、''゙,,ニニニミ'    /  ,ニニニ、、  |: : :_,,/.:: :│
      │、: : \、:ゝ ゙l゙(、 ◎ ,)  | (  ◎  )'  ̄i'‐ : : : : :l゙
      l゙  │: : \、: :/   ̄ ̄"   : 、 ' ̄ ̄"   /: : : : : :l゙
     .| .":|: : : |゙l::` ̄'         l       ./: : ::: : : : :,!
     .|  l゙  │゙l::: : :       .、,,_ _,,i、     \::::::::::::: : :,|
     l゙: . |  : |;;│:         `"        : ::,l゙;:,、: : : |
     |: │ :: |;;;;;゙l,: :       ニニニニ=‐      : ./::::l゙: : : : |
     |、:" | : |;;;;::::ヽ、:      .,,,,,,,,,,,、     : ,,'":: |:  : : |
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     | : : :|` : |;;;;;;;;;;;;;;;;,/'-,_:        : ._,,/;;;;;;;;;;; |:   : : l
     |:: : : |: │;;;;;;;;;;;;/  : `''-,,_: .__,,,,,,,-‐'゙);;;;;;;;;;;;;;;;;;;│  : : :|



19 名前:名無し客:2010/03/05(金) 00:23:58
トリグラフって他の同盟艦に比べると面白い形してますね。

20 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/05(金) 05:03:36
>>17

珍兵器に資材? そんな奴がいたか?

「私の知る限りではおりません。奇人変人なら司令部にいくらでも心当たりがありますが……」

……否定はできないな。司令官も含めて。
ところで、この情報は提供元と時間が書かれていないようだが、もしかすると今のイゼルローン要塞のことか?

「可能性はあります。もしかすると、ロイエンタール提督率いる帝国軍が、
 珍兵器や資材を山ほど用意して攻め込んでくることも考えられます」

まあ、その時はその時さ。怠け者のヤン提督が努力はするだろうし、それでもだめなら俺たちに勝ち目はない。
人間の能力には限界があるんだからな。

「それで提督。私は少佐ではなく大佐なのですが……」

……!? 悪かった。訂正する。今晩レストランでポテトグラタンと酒をおごるから……帳消しにしてくれないか?

21 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/05(金) 05:05:13
>>18

なんだろうな、この像は。

「私にもわかりません。ただ、手に取ったとき、

 『おれ! 総勢一名参陣!!』

 という声が聞こえたような気がするのですが」

……激務なのはわかるが、ちゃんと寝ているのか、ラオ大佐。
とりあえず、ラウンジに置いておくことにするか。

http://charaneta.sakura.ne.jp/test/read.cgi/ikkoku/1171435202/149n
http://charaneta.sakura.ne.jp/ikkoku/kako/1137/11373/1137325166.html

22 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/05(金) 05:06:47
>>19

――どうぞお掛けください。

そうですね、戦艦トリグラフは艦首が3つに分かれているという、とても珍しい形状をしております。
火力に優れ、艦型も洗練されていて、艦隊旗艦にふさわしいという声も上がったのですが……
ヤン提督いわく、「自分が座乗すると、トリグラフの姿を鑑賞できない」とのことで、
分艦隊の旗艦に落ち着いている次第です。

もちろん、来るべき戦いで戦果をあげられるよう、乗員は訓練と整備に余念がありません。

(呼び出し音)

申し訳ありませんが、急な用件が入ったようで……このあたりで失礼させていただきます。
今日はお忙しい中、当広報室にお越しいただきましてありがとうございました。
ヤン提督には、ご用件は確実に伝えておきます――

23 名前:名無し客:2010/03/05(金) 20:10:46
鳥の世界に興味はありますか?

24 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/06(土) 13:54:35
「提督。どうもこの地域の通信トラフィックが増大している模様です」

なんだ? 憂国騎士団の連中が、愛国連隊に熱烈なラブコールでも送ってるのか?

「いえ、通信の中身は『あ』の羅列や『ヒロイン(笑)』という文字列が主のようですが」

その手のコンピュータウィルスは駆逐されたと思っていたが。

「手動かもしれませんね」

* * *

>>23

「ということで、その通信をかいくぐって届けられたのがこの文章なのですが。差出人は不明です」

ほお、鳥の世界ね。俺もとっとと軍籍を退いて、空を飛ぶ鳥のように自由に暮らしたいもんだ。
もっとも、飛べない鳥もいるし、飛べる鳥でも重力からは逃れられないが。

「アッテンボロー提督。ヤン提督の口癖がうつったのですか?」

俺はもともと、爺さんと親父の勝手な都合で軍人になったのさ。
辞めたいと思ったのは今に始まった事じゃない。それより……。

「それより、なんです?」

古代の地球(テラ)で作られた、植物や動物を追いかけたドキュメンタリーを見たことがあるんだが……
そのプロデューサーの姓が俺と同じだったな。俺と関係あるかどうかなんてのは調べようがないが。

「噂では、提督のご先祖は地球のカルパチア山脈を越えて冒険した方だそうですが」

いや、知らん。宇宙暦マイナス800年頃の作家には興味はないんでね。

「……???」

25 名前:名無し客:2010/03/07(日) 11:38:22
折角だからみんなで鍋つつくなんてありじゃないですか?

26 名前:名無し客:2010/03/07(日) 22:40:04
生まれるものと失われるもの、それは等価値ではない、か

27 名前:名無し客:2010/03/08(月) 09:00:27
モッコス様にヤン艦隊の戦勝祈願をしてきた。

28 名前:名無し客:2010/03/08(月) 09:50:33
某ポプラン氏と中将閣下は何となく性格が似ている
ような気がしませんか。
ラオ大佐殿。

29 名前:名無し客:2010/03/08(月) 19:14:38
チッ、軍人め!

30 名前:名無し客:2010/03/09(火) 14:34:24
ビッテン突破をかける

31 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/09(火) 16:49:01
どうも、メールの内容を見ていると、つぶやきの比率が上がってるんじゃないか?

「流行っているのではないでしょうか」

>>25

さあね、フォンデュやブイヤベースを食べようにも、周りが毒の強い連中ばかりだからな。
毒気に当てられてしまうぜ。

「提督も人のことはいえないのでは……」

なにか言ったか?

32 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/09(火) 16:49:49
>>26

そんなものを等価値なんて言うのは、「出産費用と葬儀費用が同じだから価値が等しい」なんてほざく、
いかれた経済官僚くらいだろうが。

「提督、酔ってるんですか?」

なんだ、俺はポプランのように、熱もないのにうわごとを言う特技は持っていないぞ。

33 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/09(火) 16:50:38
>>27

ほお。モッコスってのはなんだ、大佐?

「さあ。私も存じませんが」

そうか。まあ、神様とやらの御利益を当てにして戦うようじゃおしまいだからな。どうでもいい話だ。

34 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/09(火) 16:51:46
>>28

なかなか興味深い質問だな。
ラオ大佐、どう思う?

「似ていると言ったら全力で否定するんでしょう、提督?」

当たり前だ。あんなやつと俺がどう似てるって言うんだ?

「古代の地球にはこんな言葉があったそうですよ。
 Birds of a feather flock together.
 と。これが私の答えです」

35 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/09(火) 16:52:55
>>29

そりゃ、軍人は血とは切っても切れない関係だからな。
それがどうした?
ぶつぶつ独りでつぶやくならいいツールがあるだろう。たしかツィーテンとかいう。

「アッテンボロー提督……それは昔の帝国軍の提督の名前です」

36 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/09(火) 16:53:49
>>30

なんだ? ビッテン突破ってのは。

「帝国軍のビッテンフェルト提督の戦術のことではないでしょうか」

大佐もそう思うか。だがあの猪突猛進戦術は、あの提督と参謀、そして艦隊だからできる芸当だろう。
ほかの奴が真似しても、袋だたきに遭うのが落ちだろうな。

37 名前:名無し客:2010/03/09(火) 17:33:43
白兵戦でローゼンリッターや帝国のオフレッサー上級大将を相手にして
何分くらい生き残れる腕前をお持ちですか?

38 名前:名無し客:2010/03/09(火) 17:45:06
正直な所、ミンツ君の事をどう思ってますか。

39 名前:名無し客:2010/03/09(火) 23:10:35
世が世ならヤン提督より出世すると
言われている中将閣下。ご結婚は?

40 名前:名無し客:2010/03/10(水) 00:32:04
魔術師ヤンなら当然、最後の最後まで死なずに戦って同盟を支えてくれますよね?

41 名前:名無し客:2010/03/11(木) 20:16:30
我ら憂国騎士団は後方から貴方達の無事と戦果を全力で祈っております!

42 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/12(金) 01:19:44
「提督、ヤン司令官より出撃の準備をせよとの命令です」

聞いての通りだ。以降の回答は簡潔に済ますので、ご了承いただきたい。

43 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/12(金) 01:20:27
>>37
秒針が一回りするまで保てば儲けものだろう。かたや集団、かたや化け物だからな。
もっともオフレッサーの方は、もう墓の下だったはずだが。

44 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/12(金) 01:21:08
>>38
ヤン司令官の弟子であり、またほかの連中の弟子でもあるな。
ポプランやシェーンコップも公認しているようだし。

45 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/12(金) 01:21:48
>>39
俺はヤン司令官のおかげ、あるいはそのせいでここまで地位が上がったんだ。
時代が違えばこんな地位にはつけなかったろうな。
で、その件と結婚がどうつながるんだ? イエロージャーナリズムにでも売り込むつもりか?

46 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/12(金) 01:22:20
>>40
そんなことはヤン司令官に聞いてくれ。
それから同意を求めるな。

47 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/12(金) 01:23:06
>>41
ふん……そりゃあそうだろうな。国が存在しなければ憂いようもないだろうからな。
それから、大事なことを一つ教えてやろう。

今の同盟には後方というものはない。あるのは前線だ。
わかったらとっとと森林地帯か山岳地帯にでも逃げておけ。

48 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/03/12(金) 01:23:47
「提督、宇宙港への車が到着しました」

わかった。すぐに行く。

それでは、今から出撃準備にかかります。
運があれば、またお会いしましょう。

49 名前:名無し客:2010/03/13(土) 00:25:47
ヤンは自由と権利さえあれば国家の存亡は大したことはないと言っているが…
その国家がなければ自由と権利は保障されんというのに

50 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/04/09(金) 00:32:02
――同盟軍戦艦トリグラフ 艦橋

やれやれ、1日に2個艦隊と連戦するとは、まったく命がいくつあってもたりないな。
慌てて潰乱するふりをするのが得意な艦隊なんて、帝国軍にはいないだろう。

「だからこそ、帝国軍に対抗できるのではないでしょうか?」

そうだろうな。だが金髪の坊やが見ているのは俺たちじゃない。
……ヤン先輩、いや提督だけだろう。



51 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/04/09(金) 00:38:08
>>49
「それで、出撃前に入った通信の件ですが」

ああ、これか。
それを言うなら、国家は国民によって存在を保障されているんじゃないか。
国民の税金がなければ国は立ちゆかないし、民は他の国に移ってゆくだけだろう。
他に移る国がある場合は、だが。

「キャゼルヌ中将のようなことを言いますね、提督」

現実的に考えればそうなるだろうさ。経済のことをな。

52 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/09(金) 20:19:19
――3月中旬。某宙域を航行中の艦隊での会話。

『提督、ヤン司令官から連絡がありました』
「読んでみてくれ」
『はい。

「先日――補給基地にて調達した輸送コンテナを、艦隊の先頭に立てて前進せよ」

とのことです。その意図についてはこの文書を』
「……なるほど。相変わらず先輩も食えない手を考えるもんだ」

53 名前:名無し客:2010/04/09(金) 23:02:19
オッス、オラ大佐

54 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/10(土) 20:51:42
タッシリ星域付近――

『帝国軍艦隊を発見! ワーレン艦隊と思われます!』
「よし、本隊に合わせて前進。帝国軍の前を行進してやれ」

『敵艦隊、急速接近。凹型陣で殺到してきます!』
「輸送コンテナを切り離せ。動揺している振りをするんだ!」
『敵艦隊発砲!』
「急速後退! 敵の射程ぎりぎりの位置を保て!」

* * *

『ワーレン艦隊は、お土産入りの輸送コンテナを守りながら後退しています』
「……そろそろ時間だな」
『はい。コンテナから自動装置がビーム砲を発射……敵艦が輸送コンテナに向けて応射しました!
 輸送コンテナ群が誘爆を起こしています!』
「はじまったな。全艦隊、最大戦速。全砲門連射準備!」
『敵艦隊、射程距離に入りました!』
「撃て!」

* * *

『敵艦隊は混乱しています! 敵戦艦より通信!』
「なに? 降伏か?」
>>53
『読み上げます。「オッス、オラ大佐」』
「……大佐のほかは何語だ? ラオ大佐」
『さあ……私にはわかりかねます。暗号でしょうか』
「それだけ混乱していると言うことか。よし、攻勢を強めろ!」

* * *

ワーレン艦隊を壊滅一歩手前まで追い込んだヤン艦隊は、ロフォーテン星区方面へ艦首を向けた。
次の補給地点はどこなのか。それを知っているのはヤン・ウェンリーのみであった。


55 名前:名無し客:2010/04/12(月) 01:09:08
業務を上手くサボるコツを教えてください

56 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/12(月) 18:41:34
自由惑星同盟領、某星域――

『しかし……同盟領全体が舞台とは、随分とスケールの大きいかくれんぼですね』
「帝国軍にしてみれば『モグラ叩き』、といったところか。時間制限付きのな」
『物資不足で、帝国軍が撤退してくれれば良いのですが』
「そうはさせてくれないだろうな……ローエングラム公は」

>>55
『ところで、兵士の一人がこんな事を言っていたそうです。
 業務をうまくサボるコツはないか、と』
「冗談だろう?」
『本気かもしれませんよ』
「のんきなもんだ。サボってる隙に敵の攻撃が殺到したら、
 次の食事の前に宇宙塵になっているかもしれないのにな。
……ああ、だが、一つ方法がある」
『あるんですか? 士官学校の科目履修でもないのに』

「言うのは簡単、行うのは難しい方法だ。
 サボりたいのなら自分の業務に徹底的に習熟すればいい。
 周りを見ながら作業をすればなお良し。自分の業務で何が重要度が高く、
 何が重要度が低いかが見えてくる」
『重要度が低い作業は手を抜くのですか?』
「手を抜くと言うより、緊張を解く、くらいかな。そうすれば、あまり疲れなくてすむ」
『はあ……』

「ただし、この手はルーティンワークにしか使えない。
 状況が刻々と変わる仕事でこんな事をやってたら、
 あっというまに周りに取り残されて、博物館の遺物になっちまう」
『提督の大嫌いなドーソン元帥のようにですか?』
「今時戦艦のダストシュートでジャガイモ掘りなんぞしていたら、
 皮をむいて食べる前におだぶつだろう。全く運のいい奴……いや、お方だ」

57 名前:名無し客:2010/04/12(月) 23:18:12
あなたの艦船にはトイレ足りてますか?
いつでも増設にうかがいますよ

58 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/13(火) 04:19:51
自由惑星同盟領、某航路付近――

>>57
『電波を受信しました。モニターに出力します』
「ほう……やけに懐かしい映像だな。10年ぐらい前の衛生機器メーカーのコマーシャルか?」
『そうですね、民間の立体TV用の電波のようです』
「ということは、発信した惑星から約10光年ということか。
 艦隊のあちこちで受信しているだろうから、ユリシーズの乗員は気の毒なことだな」
『提督も随分と言いふらした口じゃないですか』
「さて、どうだったかな。まあ、軍艦にはトイレを増設するようなスペースは――」

Beep! Beep!

艦長! 排水処理システムに異常です! 緊急度B!
至急調査! 汚水処理システム専属工兵を派遣しろ!

Beep! Beep!

「艦長! 艦橋につながる隔壁を閉めろ! 大至急だ!」
『アッテンボロー提督……まだユリシーズのように汚水が逆流してくると決まったわけでは……』
「許せ……艦橋だけでも守らねば……」
『隔壁の向こうの兵士が、「ちくしょう、このまま死ねるか!」って叫ぶのが目に浮かびますよ……』

* * *

「なに? ただのセンサーの故障だった? 人騒がせな話だな」
『人騒がせなのは、過剰反応した提督の方ですよ、まったく……』

59 名前:名無し客:2010/04/13(火) 17:33:25
金属の壁の外は死の世界
どんなときにそんなことを意識しますか?

60 名前:名無し客:2010/04/13(火) 20:19:18
帝国の艦隊旗艦アースグリムの巨大ビーム砲や
サラマンダーの巨大クロー等の装備を同盟側も採用しておけばよかったのに

61 名前:イゼルローン駐留艦隊司令部での会議(一部) ◆YangjHgBKw :2010/04/14(水) 18:03:46
――ヤン艦隊旗艦、ヒューベリオン艦橋。

「ガンダルヴァの偵察部隊からの情報だ。帝国軍各艦隊は、同盟領各地に向けて進発したらしい」
「ということは、ガンダルヴァ付近で決戦を行うのですか?」
「いや……ローエングラム公の本隊もガンダルヴァを進発し、一路ハイネセンへ向かっている」
「つまり、ハイネセンの前で迎撃しなければならない……しかしその場合は他の帝国艦隊が戻ってくるのも早くなると」
「そういうことかな」

「時間的に、おそらく決戦場はバーミリオン星域付近になるだろう。途中にあるルドミラが、決戦前の寄港地になるな」
「今少し自由の利く場所を選びたいところですが」
「この際ぜいたくは言えんだろう。いっそ全て、敬愛するトリューニヒト閣下の責任にしたいところだが、
 割を食うのは奴じゃなくて同盟市民だからな」

62 名前:アッテンボロー中将とポプラン中佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/14(水) 18:06:24
「おや、ポプラン中佐。お前さんは会議の時もパイロットスーツなのか」
『当然でしょう。おれの肉体美を艦橋のレディたちに見せつける絶好の機会ですので。アッテンボロー提督もいかがです?』
「……つつしんで遠慮しておこう」
『おやおや、もしやそのお歳でもう下っ腹が出ておいでなので? 日々のトレーニングが足りませんな』
「…………中佐。この戦いが終わったら、ちょっとハイネセンの安酒場まで付き合ってもらおうか?
 なに、心配ない。お代は俺が全部持ってやるよ。ただ、酔っぱらいのけんかが絶えないのが、そこの店の唯一の欠点でね」

63 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/14(水) 18:09:14
――戦艦トリグラフ艦橋。

>>60
さて、バーミリオン星域の資料を……なんだ、これは。

「さあ……どこかの参謀のメモでしょうか。書きかけのようですが。
 引用されている帝国軍艦艇のデータは、同盟軍情報部からのもののようです」

巨大砲に強襲惑星降下装置……相変わらず見た目の派手なハードウェアに固執する連中が多いんだな。
……そんなハードウェアの性能に頼らないのが、ヤン先輩が『魔術師』と呼ばれる所以か。

「提督、まもなくルドミラ基地に入港します」
>>59
各艦に伝達しろ。『入港時、艦に穴を開けるな。空気と命と未来が、全て真空中に逃げ出すぞ』と。
……最近事故が多いからな。

64 名前:名無し客:2010/04/14(水) 21:09:38
良い上司に恵まれていますか?

65 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/15(木) 23:53:29
「おっと……操作を間違えて変な電子書籍を呼び出してしまったな」
>>64
『ハイネセンで出回っている自己啓発本のようですね』
「ほう。上司ね……まあ俺なら、司令官と、宇宙艦隊司令官まではいいが……その上が問題だな」
『統合作戦本部長と同盟軍最高司令官がですか?』
「本部長は引きこもり、最高司令官は敵前逃亡。これじゃどうにもならんだろう。
 今のアイランズ国防委員長が司令官を代行しているからまだましだがな。
 それはそうと、大佐はどうなんだ?」

『……………………』
「どうした?」
『お察しください、とどこかの言葉では言うそうですね』
「……?!」

66 名前:ナレーション ◆Dusty/zBhw :2010/04/16(金) 04:52:21
――宇宙暦799年4月12日。
ヤン艦隊は、ルドミラ基地を出発した。

この時、自由惑星同盟軍ヤン・ウェンリー元帥の指揮する艦隊は、
イゼルローン駐留艦隊、第14艦隊、第15艦隊を合わせて、
艦艇16,420隻、兵員1,907,600名であったと、後の記録には記されている。

果たしてヤン艦隊は、銀河帝国元帥ラインハルト・ローエングラム公爵の直属艦隊を
撃破することができるのか。
自由惑星同盟の命運は、その一点に懸かっていた。

67 名前:名無し客:2010/04/16(金) 17:41:34
高度な柔軟性を保ちつつ臨機応変に対処せよと命令されたら、どんな風に動きますか?

68 名前:名無し客:2010/04/16(金) 20:27:06
もし薬師寺涼子が閣下の

@上司

A部下

だったら、どう対応しますか?

69 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/04/16(金) 21:25:16
>>67
では、答える代わりに貴官に宿題を出そう。

* * *

次の2つの命令について、類似している点とそうでない点を分析して述べよ。

1.
「大軍をもって敵領土奥深くへ進攻せよ。
 その後は高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に状況に対処せよ」

2.
「全責任は宇宙艦隊司令部がとる。貴官の判断によって最善と信じる行動をとられたし」

* * *

期限は特に設けない。
お互いこの戦いで生き残っていれば、な。


70 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/16(金) 21:27:32
>>68
『提督、このような通信が入ってきましたが』
「……閣下宛の通信なら、シェーンコップの不良中年にでも送りつけておいてくれ。あっちも閣下だろう」
『了解しました』


『……先ほどの通信文ですが、シェーンコップ中将から送り返されてきました。
 「小官に権限なし。貴官が最善と考える返答をされたし」だそうです』
「ちっ。わかった。それでは(>>10)の文章を送っておいてくれ。まだ取ってあっただろう。
 それから、(>>24)の最後の2行もおまけでつけておいてくれ」
『かしこまりました。ところで今日の夕食は、ケバブを中心としたものだそうです。艦の総料理長が考えたものだとか』
「ほう」
『ただ……なんでも吸血鬼もよけて通る女性、だそうですが。総料理長は』
「……なぜそこで吸血鬼が出てくるんだ?」

71 名前:ナレーション ◆Dusty/zBhw :2010/04/20(火) 21:51:31
4月下旬。

ヤン艦隊は、同盟首都ハイネセンから3.6光年の距離にある、バーミリオン星系に到着した。
同盟軍は、バーミリオン星系の宇宙空間を1万の宙域に細かく分け、
2000隻の先遣偵察隊によってそれをカバーした。
この部隊を指揮運営したのは、ヤン艦隊参謀長のムライ中将であった。

帝国軍もこの星系に偵察隊を派遣していることは疑いなく、
敵本隊の位置を先に察知した陣営が、この戦いの主導権を握ることも、また明らかであった。

この偵察競争の間、忙しかったのは偵察部隊だけではなかった。
ヤン艦隊の本隊も、分艦隊も、艦の整備に余念がなかった。
勝率を少しでも上げるために。そして、自らが生還できる可能性をわずかでも高めるために。

72 名前:名無し客:2010/04/21(水) 07:13:09
独身主義とか言っても、彼女ぐらいいるでしょう?

73 名前:ダスティ・アッテンボロー ◆Dusty/zBhw :2010/04/21(水) 18:28:35
「今のところ、偵察部隊からの新しい連絡は入っていません」

分かった、ありがとう。
……決裁書か? 

>>72

さてね。
そういう貴官は、「結婚願望が強いが、彼女がいない」っていうクチか?
どちらにしろ、この戦いで生き残らなければ意味がない話だが。

……分かったらその決裁書を持って早く持ち場に戻れ。すぐに出動するかもしれないんだからな!

74 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/21(水) 21:53:58
PiPiPi...

『提督! FO2先遣偵察隊よりの通信です!
 「われ敵主力部隊を発見せり。……我が隊からの距離は40.6光秒(約1217万km)!」』
「おいでなすったか……ヤン司令官からはなんと?」
『全艦隊、休息せよとの事です。作戦の打ち合わせを行うので、分艦隊司令は旗艦ヒューベリオンに来られたし、と』
「わかった。すぐに支度する」

75 名前:名無し客:2010/04/22(木) 20:04:34
女性士官との情事に憧れるのは
兵士としては当然のことですよね

76 名前:オリビエ・ポプラン ◆Ace/22P7B2 :2010/04/23(金) 01:39:12
>>75
戦争の天才を相手する戦いの前に、なかなかいい度胸してるじゃないか。
まあでも、そんな話は基地を出発する前に言うもんだったろうな。
どうせあぶれたんだろう? お前さん。

男と女のことに、士官も兵士もないだろう?
それともなにか?
お前さんは相手がどんな性格の悪い上官でも、女で軍服を着てればその気になるのか?

付き合う相手は、男も女も、お互いよく選ぶもんだぜ。その付き合いが長かろうと短かろうとな。
……たとえ明日宇宙の塵になっても、相手がお前のことを憶えていてくれるかもしれないからな。

77 名前:分艦隊司令部の様子 ◆Dusty/zBhw :2010/04/23(金) 02:37:55
……休息が終わると、すぐに第一級臨戦態勢が発動された。
あらゆる索敵メディアが、前方に巨大な――艦数はこちらと同程度だが精神的プレッシャーが――
敵艦隊の存在を告げている。
将兵たちの緊張は、いやが上にも高まる。


【敵との距離、84光秒(約25,183km)】
旗艦のオペレーターの声が、全艦に響き渡る。


アッテンボロー提督はスクリーンから目を離さず、かたわらのラオ主任参謀に話しかけた。
「だんだん敵艦隊が大きくなってくるな」
『あたりまえです。小さくなってどうするんですか』
いつものようなやりとりだが、緊張した声でラオは答える。


【敵軍、イエローゾーンを突破しつつあり……】
事務的な、しかしその底に極度の緊張を感じさせる声が急に高さを増した。
【完全に射程距離に入りました!】


旗艦からヤン司令官の声が響いた。
――撃て!


アッテンボロー提督も叫ぶ。
「撃て!」

無数のビームの軌跡が、敵艦隊に向かって伸びる。
それが到達する前に、敵艦隊からもビームが応射された。


宇宙暦799年4月24日、14時20分。
後の世に言う「バーミリオン会戦」は、こうして開始された。

78 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/23(金) 04:30:06
「大佐、俺の記憶違いかもしれないが、84光秒は約2518万2567kmじゃないのか?」
『それが正解です。どうやら単位変換装置が故障していたようです』

* * *

『敵左翼部隊、前進してきます!』
「ポイントA、ポイントCに砲撃を集中させろ! 敵の艦列に突破口を開けてやれ!」

79 名前:名無し客:2010/04/23(金) 06:14:00
帝国に帰順すれば厚遇間違いなし
人生左団扇なのにどうしてやんないの?
思想とか理想なんてどうでもいいでしょ

80 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/23(金) 07:05:31
――戦闘開始数時間後。


『敵部隊、中央先頭集団に向けて突進してきます!』
「敵左翼に対する砲撃を強化! 牽制して攻撃を集中させるな!」

『敵部隊の第2陣が第1陣に――追突? 混乱しています!
 ヤン司令官より陣形変更の命令がありました。戦術コンピューターに投影します』
「凹型陣形か……各部隊、フォーメーションD!」
『……駆逐艦カルデア54より通信?!』

>>79

「――それがどうした! 俺にとってどうでもいいのはお前の考えだ!
 思想や理想がどうでもいいなんて言う奴が、何かを成し遂げることができるか!」
『カルデア54、通信途絶。撃沈された模様です。
 敵前方部隊、砲火の焦点……ポイントF2に向かって殺到してきます!』
「各戦艦主砲、連射準備! ポイントF2に一点集中砲火の照準を合わせろ!」

『敵前方部隊に照準ロック!』
「撃て!」


――――戦いは続く。



81 名前:名無し客:2010/04/23(金) 20:51:45
宇宙(そら)に煌く無数の光球を見つめて、
名無しの兵はそっと呟いた…。

「…死にたく…ねぇ…」

82 名前:名無し客:2010/04/24(土) 18:39:09
出征前に恋人や家族と喧嘩するもんじゃありませんね……

83 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/24(土) 21:36:40
『帝国軍は徐々に引き始めています』
「こちらも引くぞ。敵につけこまれるな」


――戦いは、同盟軍、帝国軍双方にとって不本意な消耗戦となりかけた。
これが破局に直結すると察知した双方の元帥は、戦局の収拾につとめた。
双方の努力と手腕により、無秩序な戦いは収束し、
両軍は艦列を再編成する時間を与えられることとなった――


「やれやれ、ひどい戦いだな……」
『相手はローエングラム公の直属部隊ですからね……功を焦った指揮官もいたようですが』
「問題は、この後帝国軍がどう出てくるかだが」
『想像もつきませんね……』
「意外に、平凡な作戦かもしれないが……いや、これはただの願望だな」

>>81
『ところで、艦橋のスクリーンの前で放心している兵士がいるようですが』
「そっとしておいてやれ。それと、今しばらくはにらみ合いになるだろうから、
 今のうちにタンクベットで休息を取るように、と艦隊に伝達してくれ」
『すぐに伝達します』

84 名前:駐留艦隊司令官と要塞防御指揮官の会話 ◆YangjHgBKw :2010/04/24(土) 22:33:34
我々は、民主主義国家を守るために戦っているわけだが……
これは遠くA.Dの頃の、民主主義軍人たちと変わらないのだろうか。
目に見える行為は変わらないだろうが、その中身は随分と異なるかもしれないね。

民主主義を捨てて『なにもかも決めてくれる指導者』とやらに全ての権限を与えて、
その後5世紀も、人類の多数が負債を払うはめになった事を考えれば。
そう、その5世紀の間に人口は激減し、科学技術や文化も停滞した。
人類が退化したといっても差し支えないだろう。


権利を失い、また取り戻す。その事がどれほど大変なことか。
歴史書をひもとけば、その例はそこら中にあるはずなんだが……。

「なんです、人間で言えば『健康は失った者にしか分からない』のたぐいですかな?」

ああ……そうだね。
人間も、集団も、国家も、失ってみてから「良い状態」を理解できるのかもしれない。

85 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/24(土) 23:01:30
――戦艦トリグラフ、艦橋。

「どうした、少佐?」

>>82
「それなら、仲直りするために生きて帰る理由があるってもんだろう。
 俺は親父とケンカするために、生きて帰っているがな」
『……提督、司令官より伝達です。円錐陣形をとり敵艦隊を突破せよ、と』
「わかった。各部隊、フォーメーションF! 前進!」

* * *

4月27日未明。再編成を済ませた同盟軍は、円錐陣形をもって帝国軍を攻撃した。
同盟軍は軽々と帝国軍の艦列を突破した。しかし、その前に第二陣がたちはだかった。
第二陣を突破すれば第三陣が現れ、第三陣を突破すれば第四陣が現れる。

4月29日。同盟軍は帝国軍の第八陣までを突破していた。
しかしその前方には、第九陣が数千の光点をつらねていた……。

86 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/24(土) 23:23:51
「遮音スクリーンをオンにしてくれ」
『スクリーンを展開しました、どうぞ』

「一体帝国軍の奴らはどれだけいるんだ? ここまで陣を破られれば動揺するのが普通だろう」
『……おそらく、破られるのを前提とした作戦、ということでしょう。問題はどこまで、ということですが』
「これでは小部隊を相手に、大部隊が何回も全力をもって戦っているのと同じだ。いずれ体力が持たなくなるな」
『帝国軍の狙いはそこでしょうね』

PiPiPi……

『スクリーンをオフにします。旗艦から通信です』
「……ほう、ユリアンが……よし、作戦を変更だ。本隊に従い、小惑星群まで後退する!
 後は……何? コーネフが……? そうか……」

* * *

4月30日。
帝国軍の第九陣を突破した同盟軍は前進を止め、戦場から80万kmを後退した小惑星群に姿を隠した。
この後、どのように作戦を展開するのかは、全てヤン・ウェンリーのシルクハットの中にあった。

87 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 01:40:27
『おとり部隊が出撃しました』
「全艦、出撃準備! 敵が罠にかかると同時に突撃する!」
『あとは敵の動き次第ですね……』


『敵主力部隊、おとり部隊に向けて急行しています!』
「よし、全艦最大戦速! 敵本営に向けて突撃せよ!」

同盟軍主力部隊は、帝国軍本営へと最大戦速で突撃する。
アッテンボロー提督は、床を踏みならしつつ叫んだ。

「このチャンスを逃せば後はないぞ!
 第一命令、突進せよ(Go Attack)! 第二命令、突進せよ(Go Attack)。
 第三命令、ただ突進せよ(Go Attack Only)!

150年以上昔の提督の言葉を叫び、提督は部下を叱咤した。

* * *

同盟軍の動きを見て、帝国軍主力部隊は、慌てて反転しようとした。
その際、同盟軍のおとり部隊から砲火と隕石――艦数をごまかすためのダミー――の直撃を受け、
少なからぬ損害を被った。

それでも帝国軍は同盟軍に向かって前進し、右側面に襲いかかった。

* * *

「作戦通りだ。凹型陣形を取れ! フォーメーションD!」
『艦隊、凹型陣形! フォーメーションD!』

同盟軍の艦列は左方向になだれを打って逃れた、ように見えた。
帝国軍は艦列を分断しようと突進を重ねた。

しかしそれはヤンの罠であった。
帝国軍の指揮官たちは、自分たちが包囲されたことを知って愕然となった。

「帝国軍は罠にかかった。袋だたきにしてやれ。斉射!」
『おとり部隊が帝国軍の背後を遮断しました!』

同盟軍の手のひらが、帝国軍を握りつぶそうとしていた。

88 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 02:12:27
――カレンダーが4月から5月に変わった頃。
戦局は、同盟軍の一方的有利であった。

『敵部隊の戦線、崩壊状態です!』
「組織的な抵抗をしている部隊に、一点集中砲火を浴びせろ!」


そして5月2日。

『敵総旗艦、ブリュンヒルトを射程内に捕捉しました!』
「砲火を集中しろ! 勝利は間近だぞ!」

同盟軍の艦隊は前進し、ローエングラム公の旗艦――ブリュンヒルトに迫った。
戦艦の集中砲火を浴び、ブリュンヒルトを護る戦艦が爆発する。
しかし。

『艦隊が現れました……帝国軍艦隊と思われます! その数約8,000から10,000!』
「なんだと!」
『艦隊編成からミュラー艦隊と思われます。第14艦隊に急速接近!』
「後退! 敵の新手に備えよ……くそっ、あともう少しだったというのに……」

戦いは、2度目の転機を迎えようとしていた。

89 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 03:04:33
――5月2日にバーミリオン星域に現れたナイトハルト・ミュラーの艦隊は、
主君ローエングラム公ラインハルトを救うべく、同盟軍に対して攻勢をかけた。
その攻勢を正面から受け止める事になったのは、
ライオネル・モートン提督率いる第14艦隊であった。

『あのままでは第14艦隊が壊滅してしまいます』
「わかっている……しかしこちらも目の前の敵で手一杯だ。くそっ!」

モートンの艦隊は、攻勢の前には3,690隻だったが、1時間後には1,560隻にまで撃ち減らされていた。
一時間の損失率57.7%という数字は、後世の戦史家の目をも疑わせるものであった。

『モートン提督……戦死』
「…………」

『提督……』
「……どうした? 一個艦隊の加勢がついたくらいで逃げ出すほど、
 うちの司令官の負けっぷりはよくないはずだがな。
 『奇蹟のヤン』のお手並みをまた拝見したいものだ」
『はい』

存亡の淵に立たされたのは、今度は同盟軍のように思われた。

90 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 03:34:10
――ミュラー艦隊は同盟軍の艦列に躍り込み、同盟軍を打ちのめし、引き裂いた。
しかし、包囲され続けていたローエングラム公の直属艦隊は、同盟軍の包囲を突破する力を残していなかった。

『敵艦隊、突撃の構えを見せています……カルナップ艦隊です!』
「包囲網突破か……!?」
『司令部からの通信です! 包囲網のC7ポイントを開くように。
 敵艦隊が密集したところを砲撃せよ……ただし、なるべく正確に、効率的に、と』
「C7ポイントを射撃できる全艦、照準を合わせろ。連射準備!」

『包囲網が開きました……内側から直属艦隊が、外側からミュラー艦隊が殺到しています!』
「撃て!」

この砲撃で、同盟軍の一点集中砲火は、1艦をねらって数艦を吹き飛ばした。核融合炉の爆発光の群れは、
さながら光り輝く虚空の墓場であった。

『敵、ミュラー艦隊の旗艦が爆発しました』
「……統率が乱れないのはどういうことだ?」
『脱出して旗艦をかえたものと思われます』

この戦いで、ナイトハルト・ミュラーは旗艦を4度にわたってかえた提督として、
その勇名を後世に伝えることとなる。

91 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 03:54:05
――宇宙暦799年5月5日。
同盟軍はミュラー艦隊の参戦という計算外の要素を排して、
ついに帝国軍総旗艦ブリュンヒルトを指呼の距離に望んだ。

「よし、前……」

PiPiPi...

『……ハイネセンよりFTLです……な……』
「どうした?」
「む、無条件停戦命令です……国防委員長命令ではありません。
 同盟最高評議会議長名での命令です!」





「トリューニヒトだと…………どの面下げて……」
『提督……』

「政府首脳部は気でも狂ったか! 吾々は勝ちつつある。いや、勝っている!
 なんだっていま戦闘を停止せねばならんのだ!?」


『…………ヤン司令官の判断を待つしかありませんね』



「そうだな……」

92 名前:ナレーション ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 04:08:13
――宇宙暦799年5月5日22時40分。
約12日間にわたった「バーミリオン星域会戦」は終結した。


この会戦の勝者は、同盟軍であったのか、帝国軍であったのか。
その点については、後世に至っても見解が統一していない。

「戦場では同盟軍の勝利、戦場以外では帝国軍の勝利」
「戦略的には帝国軍の勝利、戦術的には同盟軍の勝利」

様々な論が提出されたが、いずれの主張を唱えるにしても、
同じ程度に強力で説得力に富んだ反論の存在を覚悟しなければならなかった。
この会戦は後世、無数の著作を生み、多くの戦史家に日々の糧を与えることとなった。


当事者である双方の最高指揮官は、自分を勝利者とはみなしていなかった。
二人とも相手の成功した面を、誰よりも高く評価しており、
むしろコンプレックスの存在さえ自覚していたのである。

93 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 05:12:14
――5月6日17時。

ダスティ・アッテンボローが起き出した頃、戦場の周囲には帝国軍の艦隊が駆けつけていた。
彼は伸び放題だった髭を剃り、食事を取って艦橋に現れた。


「よく眠れたか、大佐」
『提督ほど神経が図太くできていませんので……』
「そうか、それはいかんな。ところで、周囲の帝国軍艦隊は……」
『概算4万隻です。さらに増えると思われます』
「今さらケンカを売る気にはなれんな。こっちは1万隻を割り込んでいることだし」

『23時より、ヤン司令官とローエングラム公の会見が行われるそうです』
「例の艦は離脱したか?」
『はい、メルカッツ提督の率いる60隻は、すでに帝国軍の索敵範囲外へ離脱しました』

「歴史を変え損ねたかな……」
『は?』
「いや、なんでもない。こっちの話だ」
『はあ……』


「さてと……起きて早々で悪いが、少々作文をしなきゃならんので、自室に戻っても良いかな?」
『作文? なんのです?』
「退職願、だ。表書きに『辞表』なんて書いたら恥さらしだからな」
『どうせ、表書きなんて誰も見てませんよ』
「……なかなか辛辣だな、ラオ大佐」
『朱に交わればなんとやら、ですよ。提督にも少しは責任をとってもらわなければ。
 それに、この戦いの事後処理を終わらせなければ、辞めさせてもらえないでしょう。幹部として』

94 名前:アッテンボロー中将とラオ大佐 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 05:58:52
『艦内の騒ぎは、ようやく沈静化しつつあります……』
「そうか、ご苦労だった」
『提督もベレーを投げつけて叫んだ割には、よく気持ちを切り替えて兵士達を説得できましたね』
「これも指揮官の責務だろう。責任を放り投げて他の人間をあおり立てるだけなら、トリューニヒトの野郎と変わらん」
『よほどトリューニヒト議長が嫌いなんですね』
「当たり前だ。奴の命令には従わねばならんが、奴と奴の政党に投票したことは一度もないんでね」


『会見が終わったようです』
「今度こそ、ヤン先輩も軍を辞められるだろうな……問題はその先だが」


95 名前:ナレーション ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 06:28:49
――宇宙暦799年5月25日。

銀河帝国と自由惑星同盟の間で、「バーラトの和約」が成立した。
これは、同盟が帝国の属領になったことを、双方の国家に確認させるものであった。

トリューニヒト議長は帝国軍兵士に守られながら署名と調印を果たし、
敗戦の責任を取ると称して辞任した。
帝国軍の侵攻に対して政治上の措置をとり、同盟の自壊を防ぎ続けたアイランズ国防委員長は、
心身の活力を使い果たし、半ば廃人となって病床についた。

そして――

96 名前:アッテンボロー中将とシェーンコップ中将 ◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 06:30:22
『おや、めずらしいところで会うな、アッテンボロー中将』
「これはこれはシェーンコップ中将。もしかして辞表を提出に見えたのかな?」
『貴官もそうだろう。でなければ、仮設の人事局に来る必要もあるまい』
「部下の世話も済んだのでね。ヤン退役元帥ではないが、俺も退役願望がひどくなりまして」
『ほう、そうか。俺はトリューニヒト派の能なし連中の命令を聞くのが嫌で、この紙切れを書いたんだがな』
「辞表を却下されたらどうする?」
『さあ……置いて出て行けば、突き返しようがないだろう』

「では、参りますか。中将殿」
『ヤー』


アッテンボロー中将とシェーンコップ中将は強引に辞表を提出し、軍を退いた。
これより先、イゼルローン駐留艦隊はその役割を終え、消滅している。

97 名前:◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 06:42:20
――この後、「ヤン艦隊」の幕僚達は「革命軍」として、再び帝国軍と戦うことになります。
その戦いの結末は……本編をご覧下さい。

このスレッドは、「銀河英雄伝説 第5巻 風雲篇」を基にしています。

98 名前:◆Dusty/zBhw :2010/04/25(日) 07:14:45
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
これ以下の書き込みは、ご遠慮いただきますようお願い申し上げます。


「教授、例の研究プロジェクトの中間報告ができました」
『ああ、「もし自由惑星同盟が無条件降伏をしなかったら」の件かね。今時ifをネタにするとは珍しいね』
「まあ、今だからできる研究とも言えますが……」
『で、どうなんだね』
「要点を挙げると、以下のようになります」

***

■自由惑星同盟側
・政治
同盟首脳陣が死亡した場合、一般にはヤン・ウェンリーが元首の座に着くと想定されていた。
しかしながら、帝国軍の脅威は依然存在し、それを排除するにはヤンの能力が必要不可欠である。
したがって、ヤンは軍の最高地位にとどまり、元首には他の者が着く可能性が高い。
元首の選定に当たっては、在野の政治家、星系首相などが考えられるが、
当時の状況では実績と能力を兼ね備えた政治家は見あたらず、難航が予想される。

・経済および流通
ローエングラム公爵を失った帝国軍が撤退するのは間違いないが、その前に同盟の流通網への攻撃、
物資の放射能汚染、惑星ハイネセンへの無差別攻撃を行う可能性は否定できない。

・軍事
宇宙軍は、バーミリオン星域会戦終了時において、損傷を受けたものも含めて9,000隻あまりである。
これは過去の1個艦隊にも満たず、10万隻近い帝国軍に対するには圧倒的に不足である。
帝国軍が分裂したと仮定しても、提督が2〜3人結束すれば、同盟軍に対して圧倒的に多い戦力を確保できる。


■銀河帝国側
・政治
ローエングラム公爵の後継者が決まっていないため、忠誠の対象を失った部下達が分裂する可能性は極めて高い。
最悪の場合、帝国領と同盟領の一部に、独立勢力が割拠する可能性もある。
フェザーンでは反帝国運動が起こり、フェザーン回廊を通過することができなくなる可能性が高い。
また、混乱に乗じて地球教が勢力を伸ばし、地球を中心とした宗政一致国家が成立する可能性もある。

・経済および流通
上述のようにフェザーンの反帝国運動、独立勢力の割拠が起こった場合、高額の通行税の徴収が行われたり、
場合によっては通行が停止される可能性がある。
また、星図を一元管理する機関がないため、航路図や星域図が利用できなくなる可能性がある。

・軍事
数では同盟に圧倒的に勝るが、統率する最高司令官がいない以上、場合によっては「烏合の衆」と化す可能性がある。
また、不満を持った将兵が艦をもって軍を離脱し、宇宙海賊となる可能性も否定できない。

***

『なにやら悲観的な観測ばかりだね』
「実際のところはこんなものなのではないでしょうか」
『時には専制政治も必要だ、ということかね?』
「ヤン・ウェンリーは、専制政治と民主政治の併存も考えていたようですね」
『皇帝ラインハルトが長生きした場合、一体どんな歴史になったかも、興味深い題材だな』
「次の課題としておきましょう」


99 名前:停止しました:停止
真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ


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