■ 【BLOOD+】動物園4【総合】
- 1 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/03/18(火) 01:57:39
- はじまりの場所―――動物園。
全てはここから始まり…そして終りとなる。
しかし不幸にして運命は、この地にて終焉を迎える事を許さなかった。
ゆえに一夜の夢として我らはここに集う。我ら本来のあるべき場所を求めて。
だが物には順序というものがある。
おなじ志を持つ者同士解り合おうともせず、流した血の量で物事を決めるようでは、まるで
愚かな一部の人間のする事と同じではないか?…ゆえにこの地を荒らす行為は固く禁じる。
また客人をもてなす者は、純粋なる翼手の女王・そしてその眷属・あるいは人間であろうと
種族の区別なく、相応の正装(Trip)をして戴こう。「我々は何処から来て何処に行くのか」に
ついて問われる真実の探求者は、どうか下記の扉をひらいて貰いたいものだ。
【倉庫】
http://zoo-nari.tank.jp/zoo/blood/
http://zoo-nari.tank.jp/zoo/blood/i/ (携帯用)
- 2 名前:名無し客:2008/03/18(火) 02:19:03
- >>1
新スレ設立お疲れ様です。ムッシュ。
つ「超音波で200年分熟成させた泡盛」
ワインだと月並みなので。兄弟の皆さんとどうぞ。
- 3 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/03/21(金) 02:32:19
- ご機嫌よう、ご来客の皆さん。
僕らの新しい住処をお祝いするのに相応しい、
春先の風の気持ちいい夕べです。
おや、あなた>>2
早速、お祝いを持ってきて下さったんですね?ありがとう。そのボトルは、
僕らの為にいつものように素晴らしいご挨拶を下さった彼>>1に
開けて頂きましょう…それじゃあ僕からはいつも通り、
代わり映えがしなくて申し訳ないんですけれど…ここボルドーが原産のワインを。
皆さんで頂きましょう、ええ、落成のお祝いに
皆さんで乾杯しましょう。注いで差し上げます、グラスを持って…
ああ皆さん、御免なさい、グラスに口をつけるのはすこし待って。
お酒で好い気分になる前に、もう少しだけ。この場所では…
「越境が"可能"」です。
僕らとは違う所からおいでになった、名前をお持ちのかた
名前のないご来客と同じように、おもてなしするつもりです。それから、
「ご来客同士の雑談は非推奨」です。
僕らはいかにも毅然と立って、あるいは 優雅に振る舞っているように見えるでしょう?
けれど…ほんとうは、寂しがりなんです。ここは僕らが
あなたがたとお話をする場所だ、僕らの事を忘れないで下さいね?お約束、ですよ。
以前の動物園でも、ご案内させて頂いていましたから…改めて。
こうした煩雑な事はいつも、僕に任せて頂いていましたし、ね。
さあお待たせしました、これでお終いです。この場所でも
皆さんで仲良く、楽しんで過ごしましょう。
それでは僕は、いまはご挨拶までに…ご機嫌よう。
- 4 名前:名無し客:2008/03/21(金) 14:20:15
- はい!ソロモンに質問です!
いや答えてくれるシュヴァルツネッガー、じゃなくてシュヴァリエの皆さん宛
これまでのログを見てきて思ったんだけど。
名無しのお客さんは質問しかしちゃいけないって暗黙のルールでもあるの?
- 5 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/03/24(月) 18:32:53
- さあ、新しい動物園に引越しだ!
話しかけてくれる名無しさん、
もちろんこっそり僕達の話を聞いてくれている名無しさんに感謝を!
それから僕の楽しい仲間達、とりわけこの場所を作るために
労をとってくれたアンシェルとソロモンにも感謝!
ほんの少しだけね……と言いたいが、結構本気だ。たまにはね。
さて気持ちも新たにご挨拶に廻らせてもらうよ!
>前995
>その皮肉もまたグレゴリーに対する彼なりの『意識』だよ。
我が次兄がマルティンのことを話していたようだね。
マルティンはたしかに野心家で舌鋒鋭い皮肉屋だった。
僕も随分とからかわれたよ。
だが彼は僕がムキになって言い返すと、いつも笑ったんだ。
ひどく面白そうに。
やけに楽しそうに。
やんちゃな弟をかまう頼もしい兄のように。
子供にするみたいに僕の頭をわしわしと両手で撫でて、髪を乱したりね。
文句を言うと、また明るい笑い声をたてるんだ。
とことんまで僕の話を聞いてくれもしたな。
辛辣だったが、反対意見を頭ごなしに否定したりはしなかった。
野心を持っていても、飢えた虎狼のような男ではなかったよ。
そうでなければこの僕が親しくつきあえるはずがないんだ。
次兄とマルティンにもっと時間があって、
心ゆくまで忌憚なく言葉を交わせていたら良かったのにと僕は思うんだよ。
もう少しはわかりあえたかもしれない。
次兄も辛辣な言葉に隠された情味を知ることができたかもしれないし、
マルティンも次兄のあたたかみに触れることができただろう。
君が言うように「完全な理解」や「和解」は難しいとしてもね。
- 6 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/03/24(月) 18:33:53
- >前995
>今の俺は捕食したいかも興味の内だ。
僕個人としては……あまり。
ああ、誤解しないでおくれよ。君が気に入らないわけじゃないんだ。
ただできれば筋骨たくましい男性よりは、すんなりした手足の女性の方がね。
たとえるなら硬骨漢デヴィッドより、シルヴァスタイン女史だよ。
どちらも友人としては得がたい人なのだが。
(おっと、彼らを例に出したことは赤い盾の皆さんには内緒だ!)
あくまでも僕の個人的な嗜好なのだけどね。
でも君だって僕と同じ生物になったら、そう考えるかもしれないよ。
それにお客人として迎えるなら、そのう――味覚――は関係ない。
こうして向きあって話していて、愉快な気分になれるかどうかだ。
その点、君は申し分ないよ!こうして話せて僕は実に良い気分だ。
君が僕と話していて、同じように満足してくれているといいのだけどね。
それとも僕のおしゃべりは退屈かな。
それなら是非、ダンスでもご一緒に。
男同士で踊ってもかまうまいよ。
安心したまえ!
僕のダンスはソロモンが運転する車より、はるかに安全運転であると保障しよう!
>前1000
>それじゃ!動物園4へ行ってみよー!
明るい掛け声とともに来てくれてありがとう!
誰も席番を取りに来てくれなかったら、どうしようかとひそかに心配していたんだ。
だが君のおかげで素晴らしい幕とあいなった。
感謝するよ!
新しい動物園でも、アンシェルの案内文に続いて、ソロモンが細やかな
心添えを書いてくれているしね。「煩雑な仕事は僕に」とソロモンも
言っているが、こういうことはヤツの十八番だ。
任せておけば間違いがないから、つい誰もが頼みにしてしまうのだよ。
もっとも更に細かいことは僕の仕事になるのだけどね。
あとでワインとグラスの補充をして、その次に酔客のために水を用意しなくては。
今のところはワインはお客人に行き渡っているかな。
つまみは次兄とシルヴァスタイン女史が並べてくれていたはずだ。
君の手にもグラスとつまみがあるね?――結構!
では君も、そちらの皆さんもご一緒に。
――乾杯!
- 7 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/03/24(月) 18:40:19
- >>2
>つ「超音波で200年分熟成させた泡盛」
おや、早速こちらにも来てくれたのだね!ありがとう!
君が言っているのは、微弱な超音波をあてると
酒がまろやかになるってやつだね。
水の分子と菌がかもして作ってくれたアルコール分子が、
超音波でほぐれるのだったかな?
年月がもたらす神秘性と希少性はないが、科学の力でうまい酒を作ろうと
果敢に挑戦して生まれた酒なのだね。
しかもアルコール度数30%の南国の酒だ。
日頃、せいぜい15%のワインばかり飲んでいるアンシェルが
今度こそ酔態をさらすのではないかと僕は期待しているんだが――。
君も実はそれを楽しみにしてきたんじゃないのかい?どう?
では千鳥足で歩く長兄を期待しつつ(写真撮影をしたい人は今の内にカメラの準備を!)、
僕達はこっちで酒を酌み交わそう。そうそう、このチーズは日本の酒にも合うそうだよ。
さあ、どうぞ。
- 8 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/03/24(月) 19:14:55
- >>4
>名無しのお客さんは質問しかしちゃいけないって暗黙のルールでもあるの?
――おや、そんなルールはなかったはずだよ。
僕も動物園の末席を汚す者として、これまでたくさんの名無しさんの声を聞いてきた。
その全部を覚えているよ。
お客人の話を聞くのは、僕達にとって心躍るひとときなのだからね。
僕の愉快な記憶によれば、お客人達は質問だけじゃなく、さまざまなことを
話しかけてくれたはずだ。
…はずなのだが、君は疑問に思ったんだね。
それは質問が多めだったせいかな。
この場所で質問になりがちなのは無理もないのだけど。
考えてごらんよ。
初めて――あるいはほんの少し知り合っている者同士が一緒にいるんだ。
そんな時、話のきっかけとしてちょっとした質問をするのはよくあることだよ。
君にだって覚えがあるんじゃないかな?
だからね。
僕達に話しかけてくれるなら、どんな話題でもかまわないよ。
もちろん質問も大歓迎!
「どんな」などと、軽々しく言っていいのかって?
気取りかえった王侯貴族の礼儀作法のように、細かい取り決めを
したほうがいいと言いたいのかい?
いいや。
君達はマナーを心得ているようだから、そんな取り決めなんて必要なさそうだからね。
つまり――今のままで十分ってことだよ。
今日はここで失礼させていただくよ。
次に会うときはまた楽しい話をたくさんしよう。是非ともね。
- 9 名前:名無し客:2008/03/26(水) 01:44:59
- 小夜以外の翼手には休眠期はないの?
- 10 名前:名無し客:2008/03/26(水) 12:18:27
- メキシカンタコスに一番合う酒はなんだと思いますか?
- 11 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/03/26(水) 23:58:47
- >前1000
>それじゃ!動物園4へ行ってみよー!
―――フランスでの会合に続き、私はまたも遅れたようだ。
貴方がカールに続き、ふるき扉の錠を下ろしてくださったのですな。
さすがに手回しが良い。礼状もお出しせず…失礼いたしましたな。
ソロモンが皆に落成の祝い酒をふるまってくれたようだ。
こちらにおいでの皆様への挨拶も、どうやら彼とカールに先を越された。
シュヴァリエの身といえど若い者の活力には敵いませんな。
遅参の身にて、今更こう申し上げるのはなんとも面映ゆいが…。
それでは>>2の方より戴いた、沖縄の貴重な古酒のボトルをお開けいたしましょう。
どうか、この手に持つグラスの片方を。
乾杯していただけますな?では―――…乾杯。
>>2
>つ「超音波で200年分熟成させた泡盛」
………。
………。
…む……!
…失敬。戴いた物がこれほどつよい酒とは正直思わなかった。
日頃飲みなれたシャトー・デュエルと、つい同じように煽ってしまいましてな。
あやうく派手に咳込んで、あのカールを喜ばせるところだった。晴れの席とはいえ油断できんな。
これを水のように飲み干す事のできるのは、あのグレゴリーくらいのものだ。
旧ロシア圏の東欧では度数96%のウオツカまで存在する。これだから厳寒の国は恐ろしい。
では改めて―――戴いた品を心ゆくまで味わうとしよう。
…成程。伝統的酒造法と先進的科学の統合によって、つくられた品という訳ですな。
長い歳月を経たひどく上品でまろやかな風味だ。貴重な品の提供に心からお礼申し上げるとしよう。
しかしこの古酒がもし通常の方法で、おなじ年数を超えてきたのならば―――
おそらくその新酒の仕込みは、1811年に生を受けたあの初代のジョエル=ゴルトシュミットより
わずかに数年遡る、彼の両親の時代であった事でしたでしょうな。
刻まれた歴史のなかで、すでに紳士録にすら伝えられぬ彼らだ。ゴルトシュミットが謎の一族と
謳われるのも―――…成程そうした家風によるところなのかもしれませんね。
…ふふ。叶うならばぜひお会いしてみたかった。
……ところで私が先刻から一向に歩み出そうとしないのは、あくまで君との会話を
楽しんでいるからであり―――さりげなく君に語りかけながら、その実シュヴァリエの
肝機能が摂取した強すぎるアルコールを分解し終わる、その瞬間を待ち望んでいる訳ではない。
他の諸君もカメラを構えるのはやめたまえ。酒を歩き飲む行為はグラスを割りかねんので
ネイサンの屋敷以来、私は自粛しているのだよ。
- 12 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/03/27(木) 00:01:47
- >>4
>いや答えてくれるシュヴァルツネッガー、じゃなくてシュヴァリエの皆さん宛
―――空軍基地でのディーヴァの公演が行われたのと前後して、青少年の肥満防止を題目に
州立高校における炭酸飲料販売を禁止した…カリフォルニア州知事のあの男かね?
サンクフレシュは飲料をも取り扱っていた。君のその言葉で当時のCEO、ヴァン・
アルジャーノの渋い表情がふいに目に浮かんだ。それではサンクフレシュ・ゴールドが
効率よく売れないなどと呟く、その姿をだが。
>名無しのお客さんは質問しかしちゃいけないって暗黙のルールでもあるの?
…ふむ。
君がソロモンを名指しで問うたのは、「来客同士の雑談は非推奨」とおだやかに語る
彼の言葉を聞いた為ではないのかね?あの挨拶の言葉、…ソロモンはソロモンで、
我々の行く末を案じての発言だったのだろう。彼がそう語るには理由がある。
それは―――我々シュヴァリエと人間である来客の諸君とでは、流れる時間の長さが
異なるからに他ならないからだ。
来客の諸君はこの動物園にて、我らの語る言葉を耳にし…次の言葉をなにごとか発する。
それは我々とて変わらない。君たちが何を語るのかを興味ぶかく待ち望んでいるのだ。
しかし我らの場合、客人ひとりの言葉を耳にし、そのひとつの問いに答えるおのれの
言葉を紡ぐために…少なくとも数時間、ときには数日を費やす事も珍しくはない。
来客の諸君はおそらく、言葉を語る行為にそれほどまでには時を必要としないだろう。
『流れる時間が異なる』というのはつまりそうした意味においてだ。
人間ではあっても、ミズ・ジュリア・シルバースタインとてそれは変わらない。
真実の探求者である彼女ならば…やはり問いに対する言葉を答える為に、膨大な資料を
必要とするだろうからな。それはこの地にて客人をもてなす者が負う運命のようなものだ。
むろん諸君らの言葉を、質問のみに止める必要はない。
…私は知りたいのだ。君たちが何を考え、何を好み…我々に何を求めているのかを。
ただ―――おなじ急流に生きる人間の諸君が互いに語り合うことにより、やがてその言葉が
別の客人の意見を作りだし、我らがひとつの問いを熟考している間にも、客人同士の語らいが
瞬く間にさらなる言葉を宿し―――ついにはこの地は、客人の言葉で満ちる事になる。
…そのように、あまりに多くの客人の来訪を受けてしまうと、物理的に一人ひとりに対する
私のもてなしがその分粗雑になってしまうものでね。私がソロモンの「雑談は非推奨」
との言葉に頷くのはそうした理由があってのことだ。語りかけてくれる方はみな、出来うる限り
丁寧に歓待したいのでな。カールがさきに語ったとおり、話題の内容はあくまで自由。
ただ願わくば我らのそうした事情に、ごくわずかにのみ配慮していただければ有難い―――
…あくまでその程度の意味にすぎない。皆様にはどうか寛いで貰いたいものだ。
あたらしき門出にあたり、今日はひとまず祝杯を挙げるためにのみ駆けつけてしまった。
さきの地にて声をかけてくださった幾人かの皆様には、申し訳ないが次の機会にお答えしよう。
ひどくお待たせしているので…誠に心苦しいのだがね。
- 13 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/03/28(金) 03:16:33
- やあ、こんばんは!
磔刑に処されたイエス・キリストがよみがえった日、復活祭も終わってしまったね。
皆さんは存分に春の祭りを楽しんだかな?
おや、お客人方は復活祭のチョコレートを食べ損ねてしまったのか。
それはいけない。
では定番だが、卵形のチョコレートをどうぞ。
君たちにふさわしい、若々しい命が芽吹き、万物がよみがえる
聖なる季節を祝いたまえ。
…僕は卵を食べないのかって?
僕も一度死んでよみがえった男だからね。
他人様の復活までかまっていられないのだよ。
>>9
>小夜以外の翼手には休眠期はないの?
女王には休眠期があるよ。
つまり小夜以外ではディーヴァと奏と響だね。
僕達シュヴァリエに休眠は訪れない。
それも当然だ。
女王を守護するシュヴァリエが眠っていては、使命が果たせないからね。
僕達は眠りをあるじに捧げたのだよ。だから我々シュヴァリエは眠らない。
それにね――
シュヴァリエが繭を作って眠っても絵にならないだろう?
ほっそりした姿の愛しい少女が眠る繭だからこそ、命を懸けて守り抜く価値がある。
深い眠りについた心音に銀の鈴のような声を懐かしみ、
白い繭肌に絹のような皮膚を思い出しながら――。
これぞ浪漫だ!我々シュヴァリエにとってはね。
なのに眠っているのがむさくるしい男だったりしてごらんよ!
たとえばアンシェルだ。
繭の中から現れるのがヤツの髭面と、服も着ていないがっしりした体では
僕の使命感と保護欲は満たされないな。男として当然だと思うが。
ソーニャの姿をした次兄だと……眠りにつく可憐なロシア娘を想像すると
まんざらでもない気がしてきたぞ――いや、しっかりしろ僕!あれは次兄だ!
ソロモンやハジではどうだろう?休眠明けの退行期、寝起きのぼーっとした
顔に落書きする楽しみがあるくらいだな。名無しさんもやってみたいかい?
- 14 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/03/28(金) 03:17:50
- >>10
>メキシカンタコスに一番合う酒はなんだと思いますか?
ああ!メキシコの焼き春巻のことだね!
ベトナムの春巻きとは少々異なっているが、なかなか良い料理だ。
あれに合う酒か。
メキシコ料理にはメキシコの酒テキーラが合いそうだが、
ここはひとつ、ベトナムの酒ルアモイを紹介させていただこう。
このルアモイはベトナムでは一般的な、米から作られる酒だ。
アルコール度数は45度――この透明な液体の半分近くが酒精という
きつい酒だが、意外にも口当たりはいい。
さあ、グラスにそそいだよ。名無しさん、一緒に飲もう、さあ!
こうしてぐっと飲むんだよ。
先ほど言ったように口当たりがよく、ほのかに甘いだろう?
強い酒なので受けとめた胃はカッと熱くなるがね。
ただ口の中はすっきりして、舌がアルコールに焼けはしない。
だから「おや、案外自分はいける口だったんじゃないか」と早とちりしてしまい
二杯三杯と重ねてしまう。――こんな風に。
おや、飲みすぎじゃないかって?
僕なら平気さ。何故なら僕は無敵のシュヴァリエなのだからね―――ヒック!
今夜はここで失礼するよ。
僕は酒には酔っていないがね。だがそこかしこに咲き始めた
春の花にいささか酔ったようだ。
既に百回ほど見た季節だが、この情緒に飽きることはない。
それともまだ百回しか見ていないからと言うべきかな。
人間の名無しさん、
君はこれまで幾度この花を見た?
あと何回、この花は咲くのかな。
いつまで君は、こうしてここに留まってくれるのだろう。
僕の横をすり抜けていく、全ての生きとし生けるものに―――乾杯
ヒック!
- 15 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/03/29(土) 01:18:15
- お久しぶりね。
研究に没頭している間に建物が新しくなったのね。
手配してくれた皆さん、本当にありがとう。そしてお疲れ様。
赤い盾も引越しさせていただくわ。
では私も、お客様方と貴方たちの末長い幸福を願って乾杯するわね。。
>前888
>デートの相手にはどんな服で来てほしいですか?
ルイス「TPOに合っていれば、うるさく言うつもりはないね。似合ってればいいのさ」
ジュリア「私も気にしないわ。デヴィッドはなにを着ても似合うもの」
ルイス「アロハを着たデヴィッドを見たときゃ、目を疑ったがな」
ジュリア「わかるわ。アロハシャツまで似合うなんて驚いたでしょう?」
ルイス「いや、そういう驚きじゃなかったんだけどな………」
>前891
>続編ができるとしたらどんなのがいい?
ジョエル「次世代の行く末を撮った記録映画も悪くないね」
ジュリア「次世代というとディーヴァの娘達、奏と響ですか」
ジョエル「そうだ。そして赤い盾の次の世代も含まれている」
ジュリア「まだ当分、赤い盾は必要ですからね」
ジョエル「ああ。だがかつてのように過去の清算のみを目的とする組織じゃない。
これからの赤い盾は未来を守るためにある。あの子達を守りながらね」
ジュリア「ええ」
ジョエル「だが―――翼手との戦いで散った部下は、ディーヴァの子供を
保護する今の僕達を見て、納得してくれるだろうか。彼らは地上から翼手を
抹消するために命を失ったのに」
ジュリア「彼らが納得してくれるかどうかは、きっとこれからの私達次第です。
二つの種族が殺しあうだけでない、新しい未来を築くことができれば、彼らもきっと」
ジョエル「―――そうだな。そしてそれは戦うよりも難しい。でも僕は最後まであがくよ。
どれほどけわしい道になろうと」
ジュリア「私達も、ご一緒します。」
- 16 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/03/29(土) 01:18:57
- >前900
>新しく弟に加えるとしたら誰がいい?
岡村「ええ!? これ以上、ディーヴァのシュヴァリエが増えるってのか?」
真央「危険がないなら、あと一人くらい、いいんじゃない? あ、でもカイは絶対ダメだからね!
デヴィッドさんもダメ。奥さんと子供が可哀想だもん。あんたがなればいいんじゃない?」
岡村「俺かよ!?」
真央「不老不死だし、強くなるし、悪くないじゃん? どーせあんたがシュヴァリエに
なったって、泣いてくれる女の子一人いないんでしょ」
岡村「悪かったな! お袋以外、泣いてくれる女がいなくて!」
真央「どっちにしろ、あんたじゃ向こうからお断りだろうけどね〜」
岡村「やかましい!」
>前907
>チョコあげるつ■
ルイス「チョコレートバーか。こいつはありがたいな」
ジュリア「呆れた。どこに行ってもお菓子をもらうのね。
…また引き換えに、私を紹介するって約束したんじゃないでしょうね」
ルイス「今度は違うぜ。タダでもらった。俺の人徳だな」
ジュリア「そういえば、あちらでディーヴァのシュヴァリエたちもチョコレートバーを配っていたわ」
ルイス「…そいつは食えない話だな」
>前908
>好きな子ほど苛めたくなるっていうもんねー。
岡村「なかには違う奴もいるけどな。 好きでなくても苛める奴が」
真央「なんか言った?」
岡村「いーや、なんにも」
>前915
>どの媒体の自分が一番好きですか?
ナハビ「モニーク、バイタイってなに?」
ハヴィア「なぁにぃ?」
モニーク「ん…この場合はアニメと小説とマンガ…かな?
どれに出てる自分が好きか、尋ねられてるの。ナハビもハヴィアも、
アニメと小説に出ていたよ。どの自分がいい?」
ナハビ「モニークはどれが好きなんだ?」
モニーク「アニメかな…(私はアニメにしかいないのよー)」
ルイス「今日はひとまずここまでだ。それじゃあ、またな!」
- 17 名前:名無し客:2008/03/29(土) 02:15:18
- >>15
>翼手と人類が殺し合う以外の道
下手すると「殺し合い」以上の過酷な道を提示するかも知れない。
それはつまりどちらかが相手を殲滅して勝利することでなく―
負けないこと
ディーヴァが翼手で世界を満たそうとしたのは、自分の生きる世界がなくて寂しかったのがほとんどだろうが、後は「種の全滅」を可能な限り回避したかったのだろう。
あの双子の嬢ちゃんは、よっぽど絶望することがない限り大丈夫だ。
「親」も「生きる世界」もあるから。
- 18 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/03/29(土) 03:18:27
- >前978
>人間は、外部危機すら内部利益のために利用する変わった生き物らしい。
>ディーヴァや翼手より、シュヴァリエの方が厄介だと感じた理由がわかったよ。
―――その通り。たとえば『国家の維持』とやらの名目の為、外部に敵を必要とする…。
それがこの私の目にしてきた人間の姿だ。為政者が戦争を引き起こすのはいつの時代も変わらんな。
だが戦争はそれ自体がひとつの命のようなもので、もともと統御できるような物ではないのだ。
戦場で流れるものが何か、君は知っているかね?血と汗と涙……そして金だ。
一握りの人間によって産み落とされた戦争は、あらゆるものを際限なく食らい尽くす。
その地に住まう名もなき住民を。硝煙と汚泥にまみれて這いずる兵士を。
人命を。生活を。感情を。
弾薬を。燃料を。糧食を。
その消費量たるや、またたく間に枯れ野を焼きつくす業火の貪欲さを思わせるほどだ。
しかしその時点で、抜いた刃を鞘におさめる為政者など存在しない。
彼らはそのひとたび投じた損失に見合う戦果を手に入れる為に、さらなる増援を、
さらなる弾薬を、さらなる資金を止むことなく投入し続ける。
まるで破滅の坂を転がり落ちながら次第にふくれあがる雪つぶてのようにな。
…そのようにして、大なり小なり人間は愚かしい戦争を今もなお続けている。
みずからが引き起こしたそれが、滅びの道をあゆむ行為であるとも気づかずに。
皮肉な事にそうしたおろかな人間の業が、種としてのまぎれもない天敵たる我々に
『生きる場所』を与えてくれているのだ。私は戦争を仕掛ける人間に寄り添い、
彼らの求めるものを提供してきたにすぎん。
―――戦争自体になんら興味はない。戦争を起こしているのはあくまで人間だ。
だがディーヴァの、そして我々という一つの種族の生きる場所をこの世界に確保するため、
私は戦争を道具として利用する。なぜならこの私は人間ではなく…したがって立場も、
護るべきものも彼らとはまったく異なるからだ。………成程。
たしかに人間という種にとってこの私は、はなはだ厄介な存在であると言えるだろうな。
>前979=996
>相手の好意云々より、まず被我戦力を推して計る。
>要するに、相手が驚異となるとき、自分の戦力での抵抗が相手に通じるか?
>生死を分ける特技だよ。これは。
―――君の言葉は正しい。真実の探求者を食料にするつもりはないがね。
たがいに相容れぬ価値観を持つ者の対立において、必要とされるのはつねに情緒よりも力だ。
いつの世も正義が勝利を得るのではなく、生き残った者が正義として後の世に伝えられる。
だからこそ結果のみがすべてだ。途中の優勢、当事者の人柄―――それらに何ら意味などない。
かくして敗者はおのれを語るすべもなく……無言でただ失い、歴史のなかに埋もれるのみだ。
例えその男が、周囲の者にとってどれほど豊穣な存在であったとしても。
- 19 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/03/29(土) 03:21:14
- >前995
>仕方無いとは言わないが、その皮肉もまたグレゴリーに対する彼なりの『意識』だよ。
―――ある男について、弟たちが口々に語る声が私の耳にも届いてくる。
>ヴァイデンダム橋のすぐ側で…最後に振り返った彼の顔を、僕は忘れません
>彼と一緒に居た人間の医者には、気の毒な事をしました 45年の春のあの夜の事は
>記憶の中の彼は、辛辣で冷ややかな皮肉屋だ。彼のわたしを見やる瞳には、いつも
>冷笑のヴェールがかけられていたような気がする。特にあの日は――。
>野心を持っていても、飢えた虎狼のような男ではなかったよ。
>そうでなければこの僕が親しくつきあえるはずがないんだ。
―――すべてはディーヴァの為に。
シュヴァリエにとって目的は同じだとしても、その手段や選ぶ道はそれぞれに異なってくる。
『…その件ならば気にするな。お前はお前なりに我々の行く末を案じての行動だったのだろう』
その対立がささいなものであれば私はそう語り、通常ならば気に留める事すらしない。
だが………。
あの男は、あまりに彼女へと近づきすぎた。
…そのまま放置しておけば、この私にとって危険すぎるほどに。
むろん私が正義などと臆面もなく語るつもりもない。邪魔する者は排除する…ただそれだけだ。
かくして1972年12月、ヴァイデンダム橋付近の工事現場にて二体の人骨が人間によって発見される。
DNA検査により、一体は総統の主治医。残るもう一体は―――…。
かつて鉄十字の旗の元、秘書官としてナチス総統と、公私にわたり密接な関係を結んだ男の物と判明。
…人骨を発見、か。―――ソロモンは良い仕事をしてくれた。
いずれにせよ死者は黙して語らず、その望みが叶う事はない。
過程はどうあれ、おのれが歩んだ道を正当化できうるのは、いずれの時代もつねに勝者のみだ。
だからこそ認めよう。人間が…最後に生き残った赤い盾が正義なのだ、と。
この私が生き残っておれば、そのとき間違いなく翼手の論理がこの世界を覆っていたのだから。
それが傍目にはどれほど受け入れがたい、歪んだ論理と見えたにせよ…な。
- 20 名前:名無し客:2008/03/29(土) 03:22:26
- とある獣医学部がある大学の新入生と院生の会話。
新入生「たしかにオレは動物がきらいではない。
だって動物は外見で人を決めつけたりしないし」
院生「するわよ」
新入生「……裏切ったりしないし」
院生「裏切るわよ」
新入生「あんたオレを動物不信にしたいのか!?」
院生「だってホントだもん。
私が成人式でキモノを着たとき源三(飼い犬)は怖がって犬小屋からでてきませんでした。」
新入生「だからなんなんだ!」
院生「だから〜人間も動物も同じなわけ
都合のいいように期待してると心に傷を受けるって事」
- 21 名前:名無し客:2008/03/29(土) 03:38:34
- >>19
>それが傍目ではどれだけ歪に見えても
根っこは全く歪でも何でもないよ。
死人が出たから人間はびっくりしたろうけど。
アンタを含め、シュヴァリエは「ディーヴァとの関係を完成させるのにいそがしった」んだから。
小夜がカイやリク、学友との関係を完成させるのにいそがしったように。
それに横槍入れてくる奴に腹が立った。そういう事じゃないか?
- 22 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/03/29(土) 04:26:33
- ご機嫌よう。カールが、したたかに酔っておいでだったので>>14
「Bonne fête de pâque!!」イースターの挨拶をして、ハグを差し上げるついでに
彼の頭のてっぺんに、お花を一輪挿してあげましたよ。
前>>1000
>それじゃ!動物園4へ行ってみよー!
ええ、いらっしゃい―――僕らの新しい住処へようこそ。
旧いお屋敷の門を、相応しい言葉で飾って頂いて、どうもありがとう。
薔薇をどうぞ。どれでも、お好きな色を差し上げます。
乾杯は、もう済んでしまったのですか?
それは残念…いえ、一寸外に出ていたら雨に降られてしまって。
模様替えをしたばかりで、殺風景だったものですから
お屋敷の廊下に飾る為にと薔薇を摘んでいたら…この通り、遅くなってしまいました。
この時期の雨はとても冷たい…あなたがた、風邪を引いたりしていませんか?
もう、すっかり止んでしまったようですけれどね。おや、
もういちど乾杯をして下さる?ありがとう、
薔薇を抱えたままで御免なさい、それじゃあ
僕らの新しい住処に―――、乾杯!
グレゴリー兄さんがいらしたら、もういちどやりましょうね。
彼がおいでになるまでに、お屋敷にこの薔薇を飾ってしまいますから。
先ほど、シルヴァスタイン女史の姿も見えましたね?
研究にお忙しい彼女のお部屋にも、幾らか差し上げましょう。
…ああ、ほら、あれをご覧なさい。灰色の雲の切れ間から、金色の光が射して
とても綺麗です…ここはほんとうに、好い所ですね。
この場所でも、どうぞよろしく。
- 23 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/03/29(土) 04:27:28
- >>4
>はい!ソロモンに質問です!
やあ、ご機嫌よう。僕に訊きたいことですか?何なりと。
もうカールとアンシェル兄さんが説明を下さったから、と仰る?…おや、
僕は彼らに回答を任せてしまって…あなたにも、
遅くなって失礼をしてしまいましたね?御免なさい。
彼らがお答えしたのなら…きっともう、僕がお話しするべき事は
幾らもありませんね?けれど折角頂いた、この場所では初めてのご質問ですから…
ひとことだけ。それにあなたがもし、こうした場所に慣れないかたなら
きちんとご案内して差し上げるのが、僕らの務めですからね。
>名無しのお客さんは質問しかしちゃいけないって暗黙のルールでもあるの?
安心して下さい、ここにはあなたの仰ったような決まりごとはありませんよ。
何故って、>>2さんのようにお祝いの品を持ってきてくれるかたもおいでですし
以前の>>996さんのように、僕らに興味深い話題を持ってきてくれるかたもおいでです…
僕らは彼らの好意を、これまで有り難いと受けて、それに応えてきました。
ですからどうか遠慮なさらないで、あなたも楽しんでおいでになって下さい。
僕らがご来客に望む事といったらただ一つ、アンシェル兄さんが仰ったの>>12と同じで
あなたがたと僕らとで、より実のあるお話が出来るように
この場所の主人である僕らの事を忘れないで欲しい、という事なのですから、ね。
あなたも、薔薇はいかがですか?歓迎のしるしです。
さあ、この中から…どれでもお好きな色をどうぞ。
前>>891
>続編ができるとしたらどんなのがいい?
それは…どういう意味でしょう?ははあ、僕らがこれまで辿った道に続く未来が
どんなものになればいいと思うか、そういう事ですね?
それなら…残された眷族には、もう争うことなく生きて欲しい。
憎しみの連鎖は、誰かが絶たなければいけません。たとえ
僕らが過去に引き起こした本当の事を知っても、決してあの双子のご息女に
報復の道を採らせてはいけません。僕らの物語の続きに登場する、美しい彼女達は―――
報復の為の剣を振るって、血の滲んだ夜風に髪をなびかせながら
月明かりを避けて闇から闇へ、蝙蝠のように跳躍する姿であってはいけません。
そして彼女達には、彼女達が祝福されて生まれたのだと信じて欲しい。
いまそこに在るという事は、世界が彼女達を選んだという事に他ならないのです。
その真理を、自分で否と決めてしまう事がいかに無益で、ただ胸を潰すばかりである事を…
小夜は一番よくご存知の筈です。
彼女なら…あの双子が憎しみに駆られずに済むような、母の代わりになるでしょう
それから…永遠の時を生きる中で、僕らの事を忘れないで
この場所でそうしたように、僕らの夢を見て欲しい。
…あなた、いい事を訊いて下さいました。さあ薔薇をどうぞ、どれでもお好きな色を…おや
どれも綺麗で決められない?それじゃあまず、青い薔薇を。
ディーヴァのシュヴァリエが、世界に誇る青です。
次は赤い薔薇をどうぞ…彼女の双子のお姉さまを象徴する、血よりも美しく芳しい赤です。
仲良くひとつの花瓶に挿して、あなたのお部屋に飾って下さい。
寄り添ったその姿が…僕が彼女達に望む姿です。
- 24 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/03/29(土) 04:28:27
- 前>>996
―――ご機嫌よう。僕とお話がしたいのですか?ええ、何なりと。
花瓶にお花を飾りながらで、申し訳ないんですけれど…
>俺は目の前にいるのが、翼手だの人間だの興味がない。
>あるのは「ソロモンとかいう奴」に対してだ。 …怒ってもいいんだぜ?
おや、僕は怒ったりなどしませんよ?
僕にとっては…この場所で、こうして向き合っている僕とあなたの関係に
種族の別なんて然して重要ではありません。あなたは人間で、もともと僕らの
「捕食の対象」でしかありませんけれど…この場所の門をくぐった時から、あなたは「ご来客」です。
そのうえ僕と話す事に意義があると思って下さったからには、あなたは「大事なご来客」です。
大事なご来客に興味を持っていただけるなら、それは名誉な事だと思わなければ、ね?ですから
>お前にとって今の俺は捕食したいかも興味の内だ。
ですから…ええ、僕は…あなたのように
真摯な姿勢で物事を考える人間は、嫌いではありませんけれど―――だからといって、
すぐに獲って食べてしまおうなどとは思いませんよ。
貴重ですからね、そういった意識のもとで僕らに話しかけるかたは…
―――けれどあなた、どうします?もし僕がここで、
ええそれはもう、いますぐにでもと答えて歯を剥いたら。
それでもあなたは―――僕をいまのように、ただ興味深いと言って
理解しようと思う事が出来るでしょうか…?
…やはり、とても無防備です―――あなたに、僕が安全かどうか判らないと言わせたのは
意識で左右することの出来ない本能、という事になりませんか―――気をつけて、
たとえ相手が「大事なご来客」でも、僕らにも―――意識で左右出来ない…本能がある
僕らが何であるか、それを忘れるのはやはり…あなたにとってとても、危険です―――
―――おや、大丈夫ですよ。
僕はただ…あなたの項のすぐ後ろから、頸の横へ手を伸ばして
あなたの前の、テーブルの上の、白磁の一輪挿しに―――
あなたの為の青い薔薇をひと枝、飾ろうとしたのですから。さあ、どうぞ。いい香りでしょう?
…おや、もう月があんな所においでです。
お屋敷を回って、残ったお花を飾ってきましょう
それじゃあ、今夜はここで…ご機嫌よう。
- 25 名前:21:2008/03/29(土) 10:54:25
- いそがしった ×
忙しかった ○
うーむ…夜勤明けに書き込みは短慮だった。申し訳ない。
ちなみにムッシュ。
スラヴの地には「クワス」というアルコール度の低いどぶろくが存在しますよ。
つ「クワス(750ml)」
セレビシエといい、アワモリ菌といい、酵母は食の友ですな。
グレゴリーの旦那にも飲ませてやってくださいな。
- 26 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/03/31(月) 02:24:15
- こんばんは。
統計によると、フランスには100歳以上の高齢者が二万人以上いるらしいわ。
フランス人の平均寿命はここ数年で飛躍的に伸びているから、高齢化社会への備えが必要ね。
私もデヴィッドと自分達の老後について、いちど話し合ってみることにするわ。
ずっと先のことに感じるけど、子供の頃も大人になるのはずっと先だと思っていたもの。
でも、実際には大人になるのなんてすぐだった。
だから老人になるのも、私が望むより、きっと早いでしょう。
ここに暮らす翼種には、縁のない話なのでしょうね。
永遠を生きる彼等は、加齢が招く苦労をまぬがれているわ。
―――でも私は、年齢を重ねて生きる自分が好きよ。
>>2(超音波で熟成させた)
ルイス 「超音波は便利なもんだな。酒をうまくする以外にも、船舶が使うアクティブ・ソナーから、
年寄りが使う入れ歯洗浄機まで大活躍だ」
ジュリア「医療用のエコー検査もあるわね。妊娠してエコーでお腹の赤ちゃんを
確認した時は、改めて感動したものよ」
ルイス 「コウモリも超音波で物体との距離を測るっていうよな」
ジュリア「そうよ。エコロケーション(反響定位)ね」
ルイス 「翼手にしか聞こえないディーヴァの歌も超音波のたぐいなのか?」
ジュリア「可聴域外の周波数ではあるけれど、ただの超音波とは考えられないのよ」
ルイス 「というと?」
ジュリア「リクのように、ディーヴァの歌や翼手の声を聞ける少年少女もいるからよ。
子供の中には周波数特性に優れた耳を持っていて、大人より多少高い音を
聞きわける子もいるけど、それだけじゃ、この現象を説明できないの」
ルイス 「ディーヴァの歌も翼手の謎のひとつってことか」
ジュリア「そういうこと」
- 27 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/03/31(月) 02:25:32
- >>4(ソロモンに質問)
ジョエル「シュヴァリエが返答したようだね」
ジュリア「私たちも住人の端くれとして、どんな質問や話題でもOKだとひと言添えておきますか?」
ジョエル「ああ。ただ赤い盾では一般人(名無しの客人含む)への機密事項の開示・提供は原則禁止だ。
そのために我々の返事がコメント不可やはぐらかしになっても、
どうか気を悪くしないでほしいと付け足しておいてくれ」
>>9(休眠期はないの?)
ジュリア「小夜と同じ翼手の女王には、休眠期があると考えられているわ」
ルイス 「響と奏が休眠したら実証性は高くなるんだな」
ジュリア「それでもデータ総数はたった4つだけどね」
ルイス 「この場合は多いのも考えものだけどな。」
ジュリア「そうね」
ルイス 「しかし、どうして女王は30年間も眠らなきゃいけないんだろうな」
ジュリア「わからないわ。でも、女王が休眠せずに新しい女王となる娘やシュヴァリエを
頻繁に生み出していたら、彼らにとっても好ましくない状況になるかもしれないわね」
ルイス 「翼手にも人口過多問題が起きるってことか?」
ジュリア「ええ。翼手は不老不死の種族で、老衰による数の減少はありえない。だから不妊傾向など、
人口抑制本能のようなものがあるかもね。休眠と関係があるかどうかは不明だけど」
>>10(メキシカンタコスに合う酒)
真央「沖縄にはタコスのおいしい店がたくさんあるよね」
岡村「もとは米兵が好んで食っていたらしいな。それが沖縄人の味覚にも合ったのか、
あっという間にひろがった」
真央「タコスの具をご飯にのせたタコライスも沖縄名物だしね」
岡村「そんなタコス大好きな俺らが紹介するタコスに合う酒は!」
真央「日本大手5社の中では圧倒的最下位、されど沖縄県内だけなら断然首位のシェアを誇る!」
岡村「地元に愛されて創業50年、沖縄のオリオンビールだ!!」
真央「ありきたりなんて言わないでよね。あたし、未成年者だから酒に詳しいと変に思われるし」
岡村「いや、詳しくてもタコスにはやっぱビールだろ。沖縄じゃ普通に食うファーストフードだしな。
気取らずに飲めるのがいちばんってもんよ」
真央「安月給のあんたの財布にもやさしいしね」
岡村「そう!給料日前だと、同じオリオンでも発泡酒になるけどな!………ってなに言わせんだよ!」
真央「ごめん!今日はここまで!あたしたちってシュヴァリエと違って人間だから、
夜は寝なきゃいけないんだよね〜。でも明日絶対に来るから、よかったらお客さんもまた来てよ。
待ってるからさ。それじゃ、おやすみ!」
- 28 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/01(火) 04:39:52
- こんばんは。
>前994(ソーニャ)
>寄与できていたのだろうか
真央 「なんでシュヴァリエなのに料理ができるのよ」
ジュリア「どうしてかしらね。でも私より料理上手なのはたしかよ」
真央 「それになんで男なのに美少女なの?」
ジュリア「さあね。でも私より可愛らしいのもたしか」
真央 「ちょっと! オーブンから煙が出てるよ!」
ジュリア「ええっ。どうしよう、パンが黒焦げ寸前だわ!」
真央 「ど、どうすればいいのよ! 朝食がパン抜きになっちゃう!」
ジュリア「グレゴリーを呼んできて!」
真央 「その人なら何とかできるの?」
ジュリア「少なくとも、私たちより役に立つのもたしかなの!」
真央 「グレゴリー、ヘルプ!」
>>17(「親」も「生きる世界」もあるから)
ルイス 「カイは若いが、良い父親だぜ」
ジュリア「正直言って最初はどうなるかと思ったけど、彼は良くやっているわ」
ルイス 「双子は愛情深く育つだろうな」
ジュリア「でも、いつかは翼手や実の両親のことを話さなければ」
ルイス 「その時が正念場だな。血も運命も乗り越えて、未来を掴んでくれればいいんだが」
ジュリア「カイはきっと二人を強い子に育ててくれるわ。大丈夫よ」
ルイス 「じゃあ俺たちの仕事は、子供たちが生きられる世界を作ることだな」
ジュリア「地球全体が相手よね。大仕事だわ」
ルイス 「人類が宇宙に進出したら範囲がおそろしく広がるんだぜ。惑星ひとつで根を上げてられないぞ?」
- 29 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/01(火) 04:40:43
- >>19(アンシェル)
>最後に生き残った赤い盾が正義
ナハビ 「なあ、おじさん。それじゃあ、おじさんは悪者なのか?」
ハヴィア「わるものなの?」
ナハビ 「だって正義の味方にやられちゃったんだろ?」
ハヴィア「やられちゃったの?」
ナハビ 「正義の味方のパンチって痛かった?」
ハヴィア「おじさん、いじめられたの? ハヴィアのクマさん貸したげるー」
ナハビ 「キックはどうだった? おじさん、ふっとんだ?」
ハヴィア「おじさん、いたくても泣いちゃだめよ。あたまナデナデしてあげるねっ」
>>20(人間も動物も同じ)
ジョエル「犬が飼い主に忠実なのは、愛情と訓練と飼い主への信頼があるからだ」
ジュリア「長官も犬を飼ってらっしゃいましたね」
ジョエル「僕と僕の犬との間にも強い信頼関係がある。だから彼は僕を裏切らない。僕も彼を裏切らない」
ジュリア「ペットというより友人なんですね」
ジョエル「動物も人間と同じだよ。心が通じ合うかどうかだ。ただ動物は人間社会のしがらみから自由だから、
彼らの前ではゴルトシュミットの名も財産も関係ない、ただの僕でいられるんだ」
ジュリア「可愛い犬ですか」
ジョエル「ああ、とても可愛いミニチュアダックスフントだよ。名前はデヴィッド」
ジュリア「えっ」
- 30 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/01(火) 04:41:11
- >>21(死人が出たから人間はびっくりした)
ジョエル「現実にはびっくりどころじゃなかったのだけどね」
ジュリア「翼手に襲われたり、身近な人を殺された人間の恐怖と憎悪は激烈を極めますからね」
ジョエル「だから赤い盾は存続し続けた。歴史の影で消えることなく」
ジュリア「彼らが人間との共存を望んでくれていたら、赤い盾も必要なかった。翼手といえど、
いたずらに人間を害さず、正体を隠してひっそりと暮らすこともできたはずです。
彼らはなぜ、その道をとらなかったのでしょう」
ジョエル「さあ。被食者でしかない人間に、共存する価値などないと考えたのかな」
ジュリア「世界に満ちようなどと考えずに、姿を隠してくれていたら争わずに済んだのに。
もし私が研究者でなければそう考えるところです」
ジョエル「僕も同様に考えたことはあったよ。しかし人間も世界に満ちるために他の生物を
絶滅に追いやってきたんだ。翼手に自制を求めるのは虫のいい話だったろうね。残念だが」
ルイス 「今夜はここまでだ。おやすみ」
- 31 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/03(木) 23:49:53
- このところ財界では、アメリカ企業の経営権売却が軒並み紙面を賑わせているようだ。
株価の下落や景気の失墜などがそうさせるのだろう。いつの時代も栄華とは儚いものだな。
つい先日もアメリカの三大自動車メーカーと謳われたFord社が、かつては英国から
買い上げたジャガー・ランドローバー両部門を、Tata Motors へと売却したばかりだ。
…言うまでもなく、Tataはインドの名だたる財閥だ。
この一件でソロモンの愛車、大英帝国の誇りの象徴のひとつでもあったあの車は、経営に
かつての占領国の人間をあるじとして戴くという、何とも皮肉な結果に終わった訳だが…。
……ふ…面白い。
叶うならば帝国主義に酔う、あの時代の英国人に教えてやりたいものだ。
だが彼らはとても信じはしまいがね。栄光とは移りゆくものだな。
―――…などと経済紙を手に、しばらく考え事をしていたのだがね。
気がつくとこの肘掛椅子の両脇に、見慣れぬにぎやかな子供たちの姿がある。
左の内気そうな少女は大きな縫いぐるみを抱きしめ、右の少年はいかにも利かん気そうだ。
私がそのまま無言で新聞を眺めていると―――。
恐れ気もなく肘掛によじ登り、彼らは口々にこう言い放つのだ。
>>29
>ナハビ 「キックはどうだった? おじさん、ふっとんだ?」
>ハヴィア「おじさん、いたくても泣いちゃだめよ。あたまナデナデしてあげるねっ」
………。
………。
挙句の果てに…少女には髪をかきまわされ、なにかの番組の影響を多分に受けているらしい
興奮した少年からは―――拳法じみた構えとともに挑戦まで受けてしまった。
…困ったものだ。昨今の子供は恐れというものを知らん。このまま黙っていてはいずれ頭上に
花冠を乗せられかねないので(誰とは言わんが…シュヴァリエとして情けなくは思わんのか?)
「そのとおり、私は悪者だ。痛くて涙するどころか、諸君のような幼い子供をいじめて
泣かせる事が何より楽しい。その気になれば大きな竜の姿に変じて、今すぐ踏み潰す事も
造作ないのだ。…だから私が大人しくしている今のうちに、優しげな大人の元へ帰りたまえ」
などと凄んでみたのだが…むしろかえって子供の好奇心に火を付けてしまったようだ。
「おおきなドラゴン!」の歓声とともに……あとは火を吹けだの、空を飛べだの、
隠した財宝はどこにあるだのと―――…。
………。
…まあ良い。客人のお相手を務める事にしよう。
- 32 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/03(木) 23:51:45
- >前980
>翼手も動物でしょ
―――翼手が自然に進化を遂げた生物である以上、まさに我々も動物であると言えるだろう。
ところで白毛の親から、突然黒毛の子犬が産まれる事がある。おそらくその個体以前の世代に
そうした特性が秘められているのだろう。すべては生物が有する遺伝のなせる業だ。
「兄さんの言葉はぼくの意志でもあります」
そう従順に頷くソロモンもまた、本家にあのゴルトシュミットの血をごく遠いものにせよ
受けているのは困った事実だ。最近はあれも皮肉を利かせるようになって来た。…血は争えん。
>僕らと比べたのでは、彼の髪が少なく見えるのも仕方ないかも知れませんね?
>虐めているなんて、そんなつもりは―――ほんのひとつまみの毛ほども無い、んですけれど
…などとなごやかな言葉のうちに毒を含ませるようになってきたので、…おのれ、その都度
シャトー・デュエルの洗礼を浴びせてやりたい思いなのだが。客人の前と思って油断しておるな。
何事もなくこの場を去るつもりか。それにあれの愛車の話といえば、以前の地での彼の言葉だが―――
>いつもの白いスーツの胸に、青い薔薇を挿して…あの車のドアに手をかけて
>彼とあるじがおいでになるのを、待っていたことがあります。
>僕が後部座席のドアを開けると、兄さんは念を押すように仰いました「よいかねソロモン…
>あるじが鈴を転がすように笑って、彼が眉をしかめたのを、僕はよく憶えていますよ。
………。
………。
この物言いの皮肉などもまさにあの、ゴルトシュミットの蛇を思わせる。
…良いかね君?たしかに鏡面のように磨き上げた愛車の傍らで、青薔薇を胸に、あるじと
兄である私を待つソロモンの姿は…文字どおり誇り高きシュヴァリエのものだ。
だが君はそう語る、凛々しい彼の姿に惑わされてはならない。なぜなら…あのソロモンの愛車の
後部座席に案内された私の状況を……一度で良いから想像してみたまえ。
彼の愛車はいわゆる高級スポーツカーだ。
何より運転者の走らせる楽しみを優先した構造になっている。
当然、運転席と助手席のゆとりを確保するために―――後部座席はひどく狭い。
おまけにジャガーは伝統として、ひどく車高が低いのだ。路面との一体感を得る為だろう。
ソロモンは澄ました表情で『僕が後部座席のドアを開けると…』などと語っているがね。
間違いなくあれもまた、私に対する強烈な皮肉だ。
こともあろうに奴は運転席の扉をひらき、座席を前に倒して(なにせスポーツカーだからな)
「兄さんの為に、こうしてぼくが手ずから兄さん専用の『後部座席』のドアを開けましょう。
さあアンシェル兄さん、どうぞ上座へ!…ああもちろんディーヴァ、貴女はどうかぼくの隣に。
後ろはひどく狭くて―――そのうえ乗り心地が悪いものですから。済みません」
などと、しれっと言い放ったという意味なのだよ、あれは!
…証拠かね?私と違い、手作りの菓子を贈ってくれた客には助手席を案内しているではないか?
…ソロモン……あのときは良い仕事をしてくれた。ディーヴァがおいでで本当に良かったな。
さすがに彼女の前ではこの私も表向き、笑みを作らざるを得ないからな。
後部座席の感想については―――もはや語る必要はあるまい。
そのうちソロモンも 面 と 向 か っ て この私に
「踊ることを諦めたかわりに、耳にする喜びを得ました」
などと挑戦的に嘯くようになるのだろう。
それを思うと何とも忌々しいが…翼手も動物である以上、血は争えんのだ。
……どうもいかんな。少々頭を冷やしてくる事にしよう。それでは諸君、またいずれ。
- 33 名前:名無し客:2008/04/04(金) 10:43:09
- 小夜の母親は蝙蝠の化け物みたいなミイラだったけど、小夜やディーヴァも正体はあんななの?
- 34 名前:名無し客:2008/04/08(火) 13:05:08
- ねーもんもん。側使えたんがね、アンシェルお兄ちゃんの
頭はあでらんすじゃなくてりーぶなんだって。ほんと?
*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 35 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/09(水) 00:12:22
- >>33
>小夜の母親は蝙蝠の化け物みたいなミイラだったけど、小夜やディーヴァも正体はあんななの?
―――…ふむ。たしかに1833年4月8日、我々が動物園に迎え入れたSAYAはあきらかに
人間とは異なる特徴を有していた。腹部から大腿部へ伸びた皮膜の痕跡、
指のあいだの水かきに似た皮膜の状態……その形状は蝙蝠などの翼手目を思わせた。
私は今でも憶えている。翼手というまったく未知の生物を―――はじめて目にした時の喜びを。
翼手とは、みずからのあるべき姿を持たない。
そして人間に寄りそい生き続けようとする。だからこそあるいは君の言葉どおり、
彼女たちの姿そのものが人間に寄り添う為、あらかじめ擬態した姿である可能性は
充分に考えられるだろう。
その場合は具体的に例を挙げるならば、繭にしたたり落ちた私の血液から
遺伝情報を引き出し、最も相手の保護欲をかきおこすであろう姿―――…。
つまり生後二か月ほどの、人間の新生児の姿となって誕生するといった、
いわば種族保存の知恵を彼女たちは生まれながらに持っているという事になる。
未だ非力な、ある種のアザラシの幼生が、その毛皮を周囲の雪の色に似せているように。
牙をもたぬ蝶が、木の葉に擬態つつ身をひそめて敵の探索をやりすごすように。
……じつに興味ぶかい!
おや…ひどく冴えない表情をなさっておいでだ。仮に正体があの姿として、君は
何か不都合があるのかね?そうであるならむしろ一層私は彼女への愛が深まりこそすれ、
幻滅などは一向に感じないのだがね。おそらくあのハジですら、君に同じ答えを返すだろう。
「たとえ彼女が……別のなにかに変わっていたとしても…」と。
尤もあの男とこの私では、当然その意味合いは異なってくるのだろうが。
しかしSAYA同様の姿をされていては、実際不便ではあるだろうな。
なにより彼女の望むだけドレスを買い与え、着飾って喜ぶ姿を心ゆくまで眺める楽しみがない。
ことに丈高き従者たちを従えて、気に入ったドレスを誇らしげに見せに来るちいさな娘のように
「どう?」
と首をかしげるディーヴァの微笑は、また格別のものだ。
この私には皆も目にする彼女の姿で充分すぎる。…たしかに研究者としての興味は正直、尽きないがね。
鏡に向かい化粧を凝らす前の女性の姿を、あれこれと詮索するのは野暮に尽きる。
ここはただ、にこやかに『…すばらしい!』と、素直に今の美を褒め称えたいものだ。
- 36 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/09(水) 00:16:22
- >>9
>小夜以外の翼手には休眠期はないの?
―――ディーヴァにはある。
尤も…その娘たちもそうだと答える為には、また長い観察期間を必要とするのだろうがね。
翼手の女王たるディーヴァに、はじめてその眠りが訪れたのはいつの頃だっただろうか?
運命の扉がひらき、彼女が自由にあゆみはじめた…あのボルドーの血の日曜日が1883年。
30年の眠りから目覚めたばかりのディーヴァに、私の城の地下でソロモンを引き合わせたのが
あの最初の大戦のさなか―――…あれは確か、1917年前後ほどの頃だっただろう。
…ふむ。
すると日付を遡れば、ディーヴァに最初の眠りが訪れたのは1887年頃だ。
この動物園を去った約四年後に、突如として現れた生理現象であった―――という計算になる。
あの頃は欧州全体に軍靴の靴音がなりひびいていた。かく言うこの私もロシアに赴いては種をまき、
ドイツに南下してはその芽吹きを確認し……と彼女をお連れし、そこかしこに我々の未来に対する
保険のいくつかを忙しく構築していたものだから、そのあたりはあまり時間の実感が伴わないのだがね。
すると我々の前に、またひとつの新たなる問いが沸き起こってくるのだ。
すなわち―――動物園時代、半世紀に渡ってその兆候すら見せなかった休眠期が
いったい何をきっかけに、彼女たちの元へと突然訪れたのだろうか?―――と。
この命題を解き明かすには何より彼女たちの次の世代、そしてさらに先の世代の
詳細なデータが必要不可欠だ。その点、実証にまさる仮説はない。
あくまで根拠のない推論の一つとしては……小夜とディーヴァそれぞれが、人間を素材に
シュヴァリエという存在を作り出した行為が、色濃く影響を及ぼしたという仮説は立てられるが。
…蝶や蛾はみずから繭をつくり、さなぎの内部で、おのれの姿を作り変える。
形だけではない。彼らは羽化する前の幼生と成体では、その生命のありようすらも異なるのだ。
植物の葉を食らい、ひたすら盲目的にその質量を蓄えようとする幼生の時期。
その羽根を駆使しておおきく移動し……おのれの種をあらたなる世代に繋げる為に
ふさわしい相手を見出そうとする成体の時期。人間における第二次性徴の、更なる激烈な変化だ。
翼手とは不老、ほぼ不死という―――不思議な…我々の前に現れた、まったく未知の生物だ。
だからこそこの場で蝶と彼女たちの生態を、乱暴にも同一視するつもりは微塵もないがね。
しかし三十年にわたり眠り続ける繭の傍らにひとり佇み、そのかすかに熱を帯びた表面に
この指を置いていると―――ごくまれに蝶のさなぎを連想する事はある。
今頃なかの彼女は、次の時代のわずか数年を生きる為に―――
あるいは三十年の歳月をかけて、その度にその命をあらたに作り変えているのだろうか?
彼女が何であるのか。何を求め、何を探し…何処にたどり着こうとしているのか。
みずからがその血を分けられ、近しい者となった今も…求める問いは増えてゆく一方だ。
- 37 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/09(水) 00:21:06
- >>15
>あの双子の嬢ちゃんは、よっぽど絶望することがない限り大丈夫だ。「親」も「生きる世界」もあるから。
―――…成程。しかしディーヴァの娘たちは大丈夫としても…現時点で彼女たちを支えている
あの赤い盾はどうなのかね?
組織というものは日々進化しないと死んでしまう。
いまだ世界中に翼手が存在しているとはいえ、もう一方の女王とそのシュヴァリエ達を
倒す必要のなくなったあの組織とて……いずれ変質してゆく事だろう。
つまり戦時の体制から、平時の体制へ。
戦いの為に武器を取ることよりも、どのようにつつがなく管理してゆくかに今後は重点が
置かれる事になる。その場合兵士や歴戦の戦士などよりも、特に必要なのは研究者だ。
ミズ・ジュリア・シルバースタインなどは非常に重く扱われる事になるだろうな。
まあ、大きな声では言えないが―――何と言ったか、彼女のご夫君……。
ゴルトシュミットの蛇…いや、若き党首を護衛していた軍人。
あのいかにも融通の利かない朴念仁といった風体の……そう、あの「デヴィッド」と
やらの名を継いだ男だ。私と彼とのなんとも心温まる一族同士の歓談中、
最後まで苦虫を噛み潰したような表情をしていたあの男。
その瞳は始終、車椅子の党首に気遣わしく注がれ……。
あの場でこの私の姿を目にした時などは、咄嗟に懐の銃を手にしていたほどだ。
さすがに人間だ。あんな場所で殺し合いを選ぶとは。そもそもこの私は銃では死なんというのに。
まあ、そういういかにも戦いしか知らぬ風情のあの男と、未来の研究者たるミズ・
ジュリア・シルバースタインは、そうした訳で―――いずれ赤い盾における地位の
重要度がまったく逆転する事になるだろうよ。組織での居場所を失った男は案外もろいものだ。
あの手の不器用な男はアルコールの類にしばしば耽溺するので、周囲は非常に注意が必要だ。
それともあるいは………。
翼手化のメカニズム、その防止策を解析するため研究室に泊りこみ、咥え煙草で
懸命にデータを入力する獅子奮迅の奥方のそばにて―――
…乳児を背負い、純白のエプロンに身を包み、甲斐甲斐しく心をこめて奥方の為に
料理を作る新世代の「デヴィッド」という意外な姿を、君は近いうちに目撃することに
なるのかもしれないがね。
- 38 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/09(水) 00:24:08
- >>10
>メキシカンタコスに一番合う酒はなんだと思いますか?
―――それは無論、67年物のシャトー・デュエルだ。
君、私が注ごう。遠慮など無用だ。……さあ、一息に飲み干したまえ…!
…などと勧めると、例によってミズ・ジュリア・シルバースタインの視線が痛い。
まあカールも答えているが、順当に言ってメキシコ料理にはメキシコの酒だろう。
竜舌蘭から採れる発酵酒がプルケ、蒸留したものがメスカルとなる。
世界的に有名なテキーラは、このメスカルのうちに含まれる酒の一種だ。
私が今日、君に勧めるのはテキーラではない。
このGUSANO ROJO というメスカルだ。このとおり、透明のボトルに
褐色の蒸留酒が満たされている。愛らしい絵が描かれた黄色のラベルが、
君の目にもよく映るはずだ。
―――君。そのまま…ボトルの底に視線を移したまえ。
そうすればこの酒の名の由来が、君にも理解できるだろう。
……そう。
この酒には必ず、原料の竜舌蘭につく芋虫が封入される。
グラスをこちらに。私が注いでやろう。……ふ…あまり怯えるな。
グラスに虫が入った者は、幸運に恵まれるそうだから安心したまえ。
その昔、メスカルは非常に品質の安定しない酒であったらしい。だからこそ
アルコールの濃度などを虫の生死で測るため、このように封入したのだそうだ。
つまりこの虫は、研究者におけるリトマス紙のようなものだ。
味にはなんら影響しない。さあ君、右手の杯に満たされたシャトー・デュエル。
左手の杯に満たされたGUSANO ROJO、どちらでも好きな方を存分に楽しみたまえ。
…などと客人にあふれる親愛の情をこめて、心温まる嫌がらせを無理やり強要しつつ……。
それでは諸君。またいずれ。
- 39 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/09(水) 03:27:11
- ご機嫌よう、ご覧なさい…きれいですねえ。
もう、ひらひらと花びらが散っていますよ。
こうして夜更けにお屋敷を出て、春の匂いのする空気を吸う時に
ああ、いま…僕のすぐ隣りで、あのひとが一緒に
地面に落ちた花びらを踏まないようにしながら、歩いてくれたらと
ぼんやり思うのです。けれど…もし、彼女が僕のそばに居たとしても
彼女はきっとどこか、僕とは違う別の場所を眺めていて
その瞳にはいつも、僕とは違う誰かが映っていて―――決して
僕がそこへ映ることはないのだと、改めて思い知らされるだけなのでしょうね。
それは…暗闇に向かって、目を閉じるのによく似ています
彼女はいまどこにいて、どうしているだろうか…無事だろうか、
眠っているだろうか、それともまだ暗闇を怖がって震えているだろうか、
そんな彼女を、隣りで慰めて寝かしつけるのは誰だろうか…
ああいまここに彼女が居ればいいのに。
僕なら他の誰にも、…特に彼などには決して思いつかない言葉で慰めて、
幸せな夢のうちに眠らせて差し上げるのに。
…そんな事を考えながら、これまで
何度夜の暗闇に向かって目を閉じたでしょう
そんな事に意味はないのに、ね。
眠る事がない僕には、夜の暗闇に目を閉じる必要だってないのですから。
君はそんな思いをしたことがありますか?
そうですか。苦しいですね。
おかわいそうに…あんなにきれいに、花が咲く季節だというのに。
- 40 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/09(水) 03:31:02
- おや、ご機嫌よう。
先ほど、何だか妙な事を聞いたんですが、本当かな。
何か好奇心を掻き立てられる出来事があると、すぐに
あることないこと尾ひれをつけて、面白可笑しい噂にしてしまうのですから…
人間というのはほんとうに、都合のいい生き物ですね?
ああ、何を聞いたのかというと―――
僕がご来客にお話しした内容が、兄さんをひどく怒らせていたんですってね?>>32
…はは。まさか。ご来客の四倍も五倍も長く生きておいでの兄さんが、
弟の僕のお話ひとつで腹を立てるなんて。それに…
ほら、僕はこれまでこの場所で、色々と学んできましたから。
沈黙が金に等しい事、何事も言葉を選んで口にしなければいけない事
僕は学んだ教訓の、その通りにしただけなのですよ?
懐かしい思い出話を…それも本当の事を話すのに、
彼 の 為 に わ ざ わ ざ 言 葉 を 選 ん だ
のですから。思い当たる事が何もありません。
間違いを繰り返してなお、そこから何も学ばないなんて
自分達で繰り返してきた歴史から、一向に学ぼうとしない人間のする事と…
くす、…同じではないですか。そうでしょう?
それこそ誇り高いシュヴァリエとして、兄さんの機嫌を損ねる事だと
あなた思いませんか―――
>>34
>ねーもんもん。側使えたんがね、アンシェルお兄ちゃんの
>頭はあでらんすじゃなくてりーぶなんだって。ほんと?
――――――………!!!
しっ…!君、危ない…!!
僕が聞きたい、それは本当ですか?いや、ではなくて…
なんて事を―――あなた怪我はありませんか?
何かちくりとしませんでしたか?下まつげのようなものが飛んできませんでしたか?
…そうですか、ああ…、それは本当によかった…。いいですかあなた、
お側仕えをしている彼に、よく教えておあげなさい。
兄さんは…その…、あでらんすでもりーぶでもありませんよ。ただ少し、
額が広くておいでなだけで…ひ―――額の広いひとは、頭が好いのですよ―――いえ
あなたがお住まいの日本の、いま仰った企業が何を専門にしているのか…僕は
大きな薬品メーカーのもとCEOとして、あまりその…知っている事はありませんから
これは的外れな事かも知れませんけれど…
あなたのお側仕えの彼は、口を開く前に冷静に、言葉を選ばないといけません
何気なく言った事が―――それが例え本当の事であっても―――ご自分や、
大切な人をとんでもない危険に晒す可能性を、知らなければいけません―――
例えばこの場合なら…ええと、アンシェル兄さんは、
彼の頭髪に関して外見を重視した一時的な対処よりも
文字通り根本からの改善を主眼に置いておいでなのだ、…ですとか…。
おや、言葉が難しすぎますか…?こればかりは他に何と言って良いか。
困りましたねえ…。ええ、わかりました、一緒に考えましょうね。
- 41 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/09(水) 03:32:55
- >前967
>自分の翼で空飛ぶときはどんな気分ですか?
僕は―――実の所、あまり好きではありません。
確かに空を自由に飛ぶという事は、人間がずっと昔から夢見てきたことですね。
僕らは蝙蝠のような両腕で空を飛びます。両腕をばたつかせて舞い上がっては、
頭から風を切って滑空するのです。けれど僕の姿は―――
頭から、地面へ向かって滑空するには、その―――無防備に過ぎるのです
額から頭頂にかけて毛髪が無いというのは本当に―――
………いけませんね…、僕こそ、喋る前に頭を冷やさないといけないみたいだ。
- 42 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/09(水) 03:33:54
- >前972
>完全な平和を私は望む!
僕もですよ。
あるじに初めてお会いした時…剣を胸に突き立てて血を流しながら、
僕は信じていました。
あの無垢な、まっすぐな眼差しの青い瞳の向こうにある、
―――彼女とくちづけをして、次に目を開けたそこにある
心地よい秩序と調和を。心の平穏がもたらす、完全な平和を。あの時僕が抱いた理想を。
ただ…僕らの世界にも争いはあった。
慥かに、シュヴァリエになることを選んで…僕は、
矮小な人間の世界から解放された喜びに満たされていました。けれど…それでも、
僕らの世界もまた、平和とは程遠かったのです。
心の平穏など、いつまで経っても得られるものではありませんでした―――
以前の住処で、>978さんが
>ディーヴァや翼手より、シュヴァリエの方が厄介だと感じた理由がわかったよ。
そう仰ったとおりで、厄介なのです…僕らにはあなたがた人間と同じように、
ほかを利用するだけの知恵がある。それも、
人間の中でも選り抜かれた、なおかつ長い年月を経た知恵です。
そればかりか…ええ、以前の住処で>995さんが仰ったように
ほかを意識して自分の世界を作り上げるような、感情の動きがある。
女王にそれが無いわけではありません、けれど少なくとも…彼女達は無垢で、
ほかを疑う事をしません。生まれたてのひよこのような彼女達には…
人間にあるような罪はありません。
…僕は小夜と出会ってようやく、心の平穏を得るすべに考え至ったのだと思います。
けれどそれを叶えるまでには、僕は至りませんでした。
完全な平和は…、心から望む事はできても
現実のものにするには、あまりに大きすぎる理想なのですね。
けれど…、あなた>前972が諦めることはありませんよ。
この世界には、あなたがまだ見た事のない美しいものや
人間の目に不思議なものが、沢山あるのです―――
僕らのあるじが、僕らがここにいるように、ね?ですから…僕らの思い至らない、
あなたの望むものを手に入れる方法が、まだ残されているかも知れないのですから。
- 43 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/09(水) 03:36:49
- ところで…以前に、ご来客がグレゴリー兄さんに、
こんな事を仰っていましたね。
>前995
>その皮肉もまたグレゴリーに対する彼なりの『意識』だよ。
僕の目に彼は、オオカミのように映ったと言いました。
それは僕の意識です、ご来客の仰る…彼に対する、僕の理解です。
彼は僕の事を、どう意識したでしょうね?カールは、
彼によく揶われたと言っていましたけれど…僕も同じです。
今でもよく憶えているのは、彼の言葉のうちふたつで
「お前はディーヴァのシュヴァリエとアンシェルのしもべとどちらなのか?」
「お前とカールは双子と言うならまるでシャムの双子だ。」
…シャムの双子を知っていますか?
身体の一部分がお互いにくっついて生まれた双生児を、そう呼ぶのです。
彼がどうして僕らをシャムの双子に喩えたのかは、よく判りません。
彼の同僚に、幾らかおつむの螺子の緩んだ医官が居て…その医者が当時、
人工的に結合双生児を作る実験をしていたせいも、あったかもしれません。
シャムの双子は、しばしば生きるのに不可欠な臓器を共有していて
外科手術で分離しなければ、両方が長くは生きられないケースが多いのです。
いつまでも、どちらかがもう片方に依存した状態では居られないという事ですね。
けれど切り離すと、中身を欠いた片方は確実に死んでしまいます。
片方が居なければ、もう片方は完全では居られないのです。
最近の日本の戯曲に、シャムの双子を扱ったものがあるのですね?
お姉さんは酷く醜い姿だけれど、とても利発で賢い。
妹は天使のように美しいけれど、お姉さんより知恵が遅れています。
その二人も例に漏れず、切り離さないと両方が死んでしまうのですけれど
切り離せば、どちらか片方は死んでしまいます。
賢いけれど酷く醜い姉と、無垢で何も知らない美しい妹の、
どちらが生き残るべきだったのでしょう?
双子のうち、生き残った方は…片方を失った時
分離する前に自分がどちらだったのか、わからなくなってしまったのだと言います。
僕は…いつも、僕を揶う三番めの兄さんの言葉に
にこにこ笑って、はい、はい、と答えるだけでした。僕は慥かに、彼を
豪胆で有能な兄だと慕っていました。けれど
正直な所その傍らで、彼の皮肉に背すじを凍らされました
耳にする度に、心に真っ黒い澱を溜める思いでした
何故って彼の言葉は逐一が的を射て、反駁を一切許さないんですから。
…兄さんがもし、先ほどの戯曲を知っていたなら
彼は僕を、あのシャムの双子のうちのどちらだと仰るのでしょうね?
僕はそれを訊きたかった。彼が何と答えるか、聞きたかった―――
アンシェル兄さん。
マルティン兄さんは…残念でしたね。
- 44 名前:名無し客:2008/04/09(水) 14:54:02
- オオサカヲアンナイシテ
J( 'ー,`)し (`Д)イソガシンダヨ!
( ) ( )
ウエバカリミテチャイケナイヨ
J( 'ー,`)し (`Д)モットウエヲメザスンダヨ!
( ) ( )
ツマズイタラコワイヨ
J( 'ー,`)し (`Д)イッキニノボルンダヨ!
( ) ( )
サイバンッテ...マサカオマエ
J( 'ー,`)し (`Д) シンパイナインダヨ!
( ) ( )
__
財 |
前 |
墓 | ∴ J('ー,`)し ゴロウ.....
──┐ ∀ << )
- 45 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/10(木) 01:10:02
- やあ、こんばんは!
君達、聞いておくれ。
ソロモンの奴が>>22で、上機嫌で僕を引き寄せたと思ったら頭に花を刺したんだ。
それも頭のてっぺんに薔薇を一輪!
チョウチンアンコウのように花が頭上でブラブラとして、
まるで馬鹿者か道化師のようじゃないか。
僕はすぐにその薔薇を抜いて花瓶にいけなおしたよ。
ソロモンときたらまったく!酒も飲まずに酔っ払っているようだ。
……いや、ヤツこそ頭に花が咲いているにちがいない。
仕返しにソロモンのおめでたすぎる顔でも書いてやろう。
もちろん頭がお花畑の絵だ。
- 46 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/10(木) 01:14:19
- フフフ、これが頭に花が咲いてるソロモンだよ……
、 /」_^^\ /」_^^\ 、
/」_^^\ │/ 「_\ \ /」_^^\ │/ 「_\\ /」_^^\
│/ 「_ \\ {\\@││ }│/ 「_\\ {\\@││ }│/ 「_\.|
{\\@││ } \\」_// {\\@││} \\」_//| {│@/││
\\」_//) \__「 \\」_//) \__「 ( \ _」//
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.,も ." lll √..',,i´.,`ll ll |'| ',l゜.l " .'ト..l, 、ヽ l l゙ん,
l゙.:,rl 、_"、.,l゙ `,.|.| | .| |,l ,゙,il,,,,l l,,,,,,,,,,| l,||、. 、 .l .l,l゙"
l.'l" |il .| .li .l` 、,l,lノ''''ヽ|'' l″ ,,ll|゙~. |ノ,,,, lノ“lll .''i、,,i゙ l'!,l゙'',,-
l,,l゙ .川| .l゙l.l!, `ll,r‐'゙ "": . | ,,,/ ゙,,,,,,,,,,,,," ||.l" ゜ l |゙''~"
.ヽl 川 ,lJ|li,_ll.,,,,iiilllllllト,, |,,, / '゙゙ ̄~゚゙゙゙ lll ,l!,,,! .l,l゜
ll, l,l.'l,`!ll,ll゙ ,,,ill, ノ ,ll゙,l,l゙,'゙゙,!丶,,
,,,.イl,.゙l.`ll,ll゙lll, | ,,llll'゙‐'ll _ll゙‐'"
,,,,イ,,- l,..'ll,,_ i゙「,l,,|,,゙ll=@
l'゙l,゙゙l,i ,,,,, ,l|,ノ
┴'゙゙゚!i,li, /||ト
l~ヽ, - - ―・''` /"||Nl=@
l,i,||,ヽ.. - - /'ll| ||」
l l, ll,.||,r,、 /|,,ll,,l ,|
ll レl lレ| ゙丶、 / |ノ|ノ|ノ
| "' - " |
……しまった、似合ってる!!
- 47 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/10(木) 01:15:58
- >前422
>人が生きているかぎり世界中のけんかはなくならないのかな
僕も君のように、自分に何かできることはあるだろうかと真剣に考えたものだ。
当時は第一次世界大戦のさなかでね。
欧州の戦争だったが、僕の故国ベトナム――あの頃は仏領インドシナと言ったが――も、
無関係ではいられなかった。フランスの植民地からも徴兵されたんだ。
ベトナムからも約10万人の若者が戦場に送られた。
留学中のパリで、前線の同胞を思う時、僕は後ろめたさでいっぱいだった。
糞尿にまみれた塹壕の中で爆撃を受けて死んでいくベトナム人もいるというのに、
僕は戦時の緊張下にあったとはいえ、まだ平和なパリで好きな学問を学んでいたのだからね。
だから余計に早く医者になりたかった。少しでも人々の役に立てるように――。
未来という単語が、僕にとって漠とした恐れと希望の代名詞だった頃の話だ。
血の甘さを知り、蒼と紅の瞳に囚われてからは、道をそれて忘れてしまったけれど。
君はきっと大人になるまでに、世界との関わり方を見つけるだろう。
そして平和に貢献するのだろうね。――僕と違って。
どうか君が、僕らのような「人でなし」の牙にかかることなく、すこやかに育ちますように。
せめて、祈らせておくれ。
- 48 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/10(木) 01:19:54
- >前427
>嫌いな人は誰?苦手な人とは仲良くできるほう?
会えばとにかく邪魔な少年だった。ただの人間風情がいつも僕の前に立ちふさがる。
誰だかわかるかな?――そう!小夜の兄、宮城カイさ。
あのオレンジ色の髪をした少年は、僕と小夜との逢瀬を邪魔してばかり。
僕達がふたりきりで狂い、踊り、互いを血で染め上げようとしているのに、
カイが名を呼べば小夜は変わってしまう――ただの少女にね。
あれほど普通の少女とはほど遠く、貴重な存在はないというのに。
僕は彼を憎んだよ。…いや、彼だけじゃない。
小夜と僕とを引き離すものすべてに、不条理な憎しみを向けていた。
誰にも邪魔はさせてたくなかった。小夜と踊るのは僕だけだ、と――。
…………。
もっとも、既に戦いの帰結した現在では、カイは愛しい小夜の兄であり、僕の友人だ。
今の僕に彼を嫌う理由などあるはずがない。
ただしカイが再び僕を小夜のそばから排除しようとすることがなければ―――だけどね。
- 49 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/10(木) 01:22:03
- >前432
>あっ、動かないで!デッサンしてるんだから。
おや、こちらは本物の絵描きさんだ。
肖像画家君、君はさっきまでこの屋敷の人物のデッサンをしていたそうだね。
モデルは誰だったんだい?――おお、ソーニャ姿の我が次兄か!>前633
次兄は男の姿だとすがすがしく凛々しいが、少女の姿でいるときはヴィオネの白い花
(ロシア民謡のカリンカ)のように可憐だ。次兄は実に擬態能力に秀でている。
…弟としてさりげなく自慢してしまうがね。君もさぞ描き甲斐のあることだろう!
クロッキーブックを見せてくれるって?…ありがとう、拝見するよ。
さあ、次兄の絵は……。…………。
じ、次兄!ブラウスのボタンをそんなに外してはいけません!
……ああ、つい絵に向かって叫んでしまった――失敬。
しかしスカート姿で片膝をあげるのは問題だぞ。若い娘がなんたることだ!
少し絵を傾ければもうちょっとで見えてしまいそう――そんなわけあるかって?
……たしかにその通りだ。少し冗談を言ってみただけだよ。君、変な目で僕を見ないように。
ところで僕は次兄に淑女の心得を教えてあげるべきだろうか。
――ああ、だが次兄は男だった。
いや、この時は少女であるわけで。
とすると僕は姉と呼んだほうがいいのか?
いや、今の問題はそれではなく――
とにかく肖像画家君!このデッサンは没収させていただくよ!
以前のお客人へのご挨拶だけになってしまったが、今日はここで退散させていただこう。
君達はもう眠る時間だしね。
――それでは親愛なる人間の皆さん、おやすみなさい。
- 50 名前:名無し客:2008/04/10(木) 10:54:31
- ねーもんもん。この前側使えたんとお出かけしたときにね、
きれいなりぼん見つけたの。もんもんのお目めとおんなじ
ひすいいろ。もんもんのおひさまみたいな髪に結んだら
きっとすっごく似合うと思うの。ねーもんもんの髪に
結んでもいい?*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 51 名前:名無し客:2008/04/10(木) 21:54:40
- 振り向いてほしい人や、気を引きたい相手に
皆さんならどんな風にアプローチしますか?
- 52 名前:名無し客:2008/04/11(金) 19:45:45
- 好きな相手を振り向かせる方法
アンシェルお兄ちゃん…一つところに閉じ込めて
貢ぎまくってご機嫌をとり実験の名目で一緒のお布団で寝てもらう。
もんもん…相手の弱点をついて相手がひるんだところで
すかさず慰めてかいじゅうする。または相手のために
すべてを捨てたと言って同情を誘い、相手の家族を
養う甲斐性もあることを示したうえで相手が迷っている隙に
強引に迫る。
カールたん…奇抜なコスプレで個性をアピールし、
心中をはかる。
ディーヴァたん…おうまさんごっこで遊んで仲良くなる。
ジュリアたん…わざと彼の元を離れ敵対勢力にくみして彼に自分の
存在の大きさをきづかせ、彼の方から「帰ってきて」
と言ってもらう。
ってどうじんしに書いてあったの。
おっうっまのっおっやっこはなかよしこよし♪いつでもいっしょに
ぱっこりぱっこりあっるくっ♪
ねーもんもん。もんもんはディーヴァたんのお気に入りなんだよね。
もんもんもディーヴァたんとおうまさんごっこしたの?
おうまさんごっこって楽しい?
あとね、えっとね。側使えたんがアンシェルお兄ちゃんは
小さい女の子が好きだからあんまりお話しちゃいけないって…
なんでなのかなぁ?よくわかんないの。
もんもんだーいすき。
*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 53 名前:名無し客:2008/04/12(土) 18:43:57
- >>52
偽物は引っ込め
- 54 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/12(土) 19:17:25
- >>20
>とある獣医学部がある大学の新入生と院生の会話。
―――人間の最も崇高な惜しみなく与える愛、と謳われる母親の愛情すらも
おのれの遺伝子を確実に伝えたいという、生物の利己的本能のなせる業だと
語る研究者も存在する。
その行動が…はたしてみずからの心や信念から生まれ出でる現象であるのか。
それともただ単に、遺伝子が命じるプログラムのひとつにすぎないのか。
翼手とはいったい何であるのか。
翼手の存在も人間の存在も、何のために許されているのか。
我々はどこから来て、どこへ行くのか――――――。
この私も元々は動物学者だ。
医療や研究に携わる者が、そうした現実の思わぬ葛藤に悩まされる事は
じつによくある現象と言うべきだろう。
それで……その大学の新入生は、その一件でおのれの道をあきらめたのかね?
いや、違う。
医療の研究者としての血が騒いでいるはずだ。
たとえおのれの赤い頭髪を、飼い葉と誤認した馬に貪り食われたとしても
父親が経営する動物病院が、あらたな世代へと進むその瞬間を目撃できるのだ。
…その新入生もまたいずれ学部に馴染み、いずれは父を継いで獣医の職に就くのだろう。
なぜなら彼もまた私とおなじ―――真実の探求者なのだから。
この電卓…ではなく、シャトー・デュエルを賭けても構わんよ。
- 55 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/12(土) 19:18:13
- >>51
>振り向いてほしい人や、気を引きたい相手に皆さんならどんな風にアプローチしますか?
―――君は誰かを手に入れたいのかね?
私ならば…まずは相手を観察する事から始めるだろう。
焦ってはいけない。どこまでも冷徹に目を凝らし、そして見極めるのだ。
その相手の表情、仕草や言動……それらが示す、対象者の心の弱みを。
驚かさぬよう親しげに、ごくおだやかに忍び寄り…優しくその耳元に囁きかける。
遠まわしに………。ゆっくりとしか回らぬ遅行性の毒を盛るようにな。
おのれの意思を無理に強いては、相手の反発を招くばかりだ。
ただ慎重に、念入りに。時間をかけてひとつずつ―――
その退路を封じてゆく。
心の外堀を埋めてゆくのだ。
相手の心をひそやかな疑惑で、いちいち丁寧に折ってゆく………。
たとえば人間の家族の幸せのために戦うと語る少女。
何も気づかぬ無垢なる彼女に、私は次のように毒を盛る。
「それを得るために君は、いったい何人の人間を犠牲にしてゆくのかね?
君が翼手を倒す事で、そばにいる人間は必然的にその戦いに巻き込まれてゆく事に
なるのだろう。そしてその人間は必然的になにかを失う事になる……哀しい現実だ…」
―――哀しい現実?…我ながらよく言うものだ。
人間に同情心など、この私はひとかけらも持ち合わせてはおらんのだがね。
だが内容はどうであろうと構わない。相手の心が折れさえすればそれで良い。
あとは少しずつ彼女の周囲へ。「みんな」とやらの一人一人に、私は疑惑の種を蒔く。
そして待つのだ。その種がいずれ芽吹き、地中ふかくその根をはびこらせ………。
『不信』という名のいびつな果実が、やがておおきく実を結ぶそのときを…な。
探求心と倫理のはざまで苦しむ、若き研究者が相手ならば…。
私はその飽くなき情熱、『真理』に抗しがたい魅力を感じる、学究としての
生真面目な魂にそっと囁きかける。まるで知恵の実をそそのかす楽園の蛇のごとくに。
「………こわいのかね?
いや、違う。研究者としての血が騒いでいるはずだ。
それが人間に仇なそうとも、未知の生物があらたな世代へと進むその瞬間を
目撃できるのだ。―――私は今でも憶えている。
翼手というまったく未知の生物を、はじめて目にしたときの喜びを―――…」
真実の探求。
この道にあるのは―――絶えまない渇望、焦慮。ときに絶望。
そして何より…つかのま雲間からひらめく理知の歓喜。その喜びは雷光のように
私の脳髄をかつて幾度か灼き、そのたびにこの指を興奮にふるえさせる。
『渇望』と『歓喜』
この…私の心を始終どちらか両極に揺さぶる、熱く激しい感動に比べれば―――
日常などはもはや色褪せた、ただの生ぬるい付属品に過ぎない。それは日々、
生きながら死んでいるのと変わりがないのだ。…だからこそ私は若き彼女に囁く。
…翼手とは誠に不思議な生き物だ。
その謎を解くためには研究者の一生を費やしてすら、なおも足りない。
これが我々にとって、どれほど魅力に満ちた命題であるかは理解できるはずだ。
なぜなら君は私と同じ……真実の探求者なのだから。
たとえ人生のあらゆる穏やかな幸福を、すべて引き換えたとしても。
たとえ世界を、かけがえのない愛しい者を。そしてついにはおのれ自身をも
その為にのみ奈落の闇の底へ……突き落とし、その身を次々に焼き滅ぼそうとも。
それでも私は腕を広げ―――後続たりうる彼女にこう誘いかけるだろう。
「この道は甘美だ。こころざすならば……踏み越えよ!」―――…と。
- 56 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/12(土) 19:25:36
- >>21
>それが傍目ではどれだけ歪に見えても根っこは全く歪でも何でもないよ。
>アンタを含め、シュヴァリエは「ディーヴァとの関係を完成させるのにいそがしった」んだから。
―――お優しい方だ。
たしかに小夜は懸命に、宮城兄弟ら人間と寄り添おうとしているかに見えた。
だが……私とディーヴァの関係。それを彼らと一様に語って…君は構わんのかね?
彼女を母親の胎内から取りあげ、塔にてひとり世話をし…。
手の届くところで、その成長する姿を日夜眺めていたのはこの私だ。
私は彼女の崇拝者のひとりに過ぎん。だが余人は私とディーヴァの事を
まるで『父親』と『娘』のようだと評するだろう。
「父親」と「娘」
「母」なる「女王」と、「子」である「シュヴァリエ」
翼手という「まったく未知の生物」と―――「真実の探求者」
…互いに相反するそれらの要素すべてが『私とディーヴァの関係』だ。
私はディーヴァのしあわせの為に世界を動かす努力をしてきたのだ。
彼女は私の宝だ。私の最も大切なもの、生きている証のようなものだ。
だからこそ一方で私はこうも語り、そして他方では彼女に歌を禁じ
くれぐれもおとなしく、人形のようにとその時代の権力者の元へ侍らせ…
そしてなおも飽き足らず、私は彼女にこのように問いかける。
『翼手の女王は子を宿すのだろうか?』
ただ、問うだけには留まらない。
過去、そのテーマは幾度か試された事があったのだ。
人間が、そして子であるシュヴァリエが――――…。
………。
―――幾度か試したが…そう。子を、宿すことはなかった。
問いを試す者と…試される者。
互いの感情をすえおき、多くの虚飾を剥ぎとれば―――
私とディーヴァの関係は………ただ、そのようなものだ。
- 57 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/13(日) 00:24:06
- >>52
>おうまさんごっこって楽しい?
―――おや、君は……。
ああ失敬。声音が違う。どうやら弟の崇拝者と見間違えたようだ。
この年になると幼い女性は、一見どなたも同じように見えてしまうのが困ったものでしてな。
謹んで無礼をお詫びいたしましょう。―――では改めてご挨拶を。
ようこそ小さなお若き方、この動物園へ。
ところで―――
ディーヴァとシュヴァリエとの『ごっこ遊び』。
その陰惨な事実を……君は知りたいのかね?
君の側近は君をたしなめたようだが……だが禁忌は破る為にこそ存在する。
君を気遣う彼に聞こえぬよう、そのちいさな耳にひそやかに語りかけよう。
なぜならその件に関しては―――この私こそが最も深く踏み込んだ男なのだから。
我々ディーヴァのシュヴァリエがそれぞれに国籍、人種を違えている理由。
塔に暮らしていた頃、扉の外の世界を「わたし……こわい」とおびえていた彼女の変貌。
一人一人選び抜き『本当の家族』と私みずからが呼びかけた…シュヴァリエの人選。
それらは語る―――。ある一つの、どこか歪んだ…真実の物語を。
…私だけのディーヴァであって欲しかったのだ。
だが運命の扉がひらかれ、彼女は自由に世界をあゆみはじめた。
歩みはじめてもなお、失うまいと…私は彼女をがんじがらめに縛りつける。
深層の姫君にかしずくように私は彼女をうやうやしく扱い、その望みを片端から叶え…
そしてひそかに―――周囲の情報のいっさいを遮断する。
私の言葉しか彼女に届かぬように。
私の価値観をそのまま彼女に。
ゆがんだ器の水をそのゆがみのまま…すべて彼女へ注ぎこむように。
ディーヴァの常識……それは長年かけてこの私が作りあげたものだ。
外堀を埋めるように。優しく教え諭すように。
彼女の望むものはすべて彼女の手に。
欲しいものは奪えば良い。用さえ済めばただ排除して構わない。誰にも心を預けるな。
………どちらにせよ…この手のなかにもう、彼女が帰ることは有り得ないのだから。
かくしてディーヴァ本人はついに気づくことなく、この私の歪められた世界のなかで
彼女は呼吸をし、唇をつくままに歌い…そして気ままにふるまう。
どれほどそれが傍目に、何不自由なく映ったとしても―――彼女は私の元に。
彼女の心は、当の昔に扉をひらき、みずからのあるべき場所を求めて自由に歩み出した。
だがそれでもなお―――…
………。
彼女は私の元に。
そして私は、問わずにはいられない。
…私は知りたいのだ。ディーヴァのすべてを。
調べ尽くし、知り尽くすこと。彼女を粉々に打ち砕き、
物言わぬ無機質なデータの数字の羅列に、くだいた彼女の破片を並べ集め、
荒涼とした砂漠のなかから、たった一粒の砂金を捜しあぐねるように
ともすればこの指のあいだをすり抜ける、真実の答えを求めてなおも問いかけ続け―――
『翼手の女王は子を宿すのだろうか?』
過去、そのテーマは幾度か試された事があったのだ。
…花婿となりうる相手に、その都度焼けつくような憎悪と羨望と殺意を抱きながらも。
彼女の守護を任せるに足る…有能な人材。
研究者の観点から、未だこころみていない問いを試す為の…必要な人種。
私の最もたいせつなもの。生きている証のような彼女を『共有』できうる、
たとえ分かち合ったとしても―――反射的に湧きあがるこの憎悪と殺意を、
せめて押し殺せ得る、
………。
…他ならぬこの私自身が「家族」「愛しい弟」と微笑み…呼びかける事が可能な相手を。
それこそが私の…アンシェル=ゴールドスミスの『シュヴァリエ選定基準』だ。
だからこそ誰がいつ、といった疑問は意味を為さない。
誰であろうと私は強いる。それが必要と感じられた場合には。
たとえディーヴァ本人であろうとも…。
いっさい怯えさせず、疑問を抱かせず―――しかし決して…抗わせない。
尤も、彼女にだけは…悟らせるつもりもないがね。
彼女への醜い物思いも、シュヴァリエの人選も。彼らへの私の感情も。
彼らが問いを試すあいだ、そのたびにこの身を激しく灼き焦がす―――…
いずれ必ず堕ちる奈落の炎を、たえまなく響く亡者の苦しげな悲鳴を。
実証を命じる他ならぬこの私自身が、まさにありありと感じ続けている…その事実すらも。
それでもなお、研究者としての血が騒ぐ。呪わしくこの体を嫉妬に軋らせながら。
それこそが私の、このアンシェル=ゴールドスミスの……至高の愛。
君もそう…思わないかね?
- 58 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/13(日) 06:59:25
- 先月に、南極のウィルキンズ棚氷の崩壊が進んでいるとのニュースがあったわね。南極
の氷が解け、地球上の海面が著しく上昇する危険がある、とも。
地球の温暖化が警告されて久しいわ。
けれど、いまだ解決への具体的な見通しは立っていない。
一部で信憑性が疑われているけれど、温暖化の原因は「人為的な温室効果ガス」である
可能性が高いという研究結果が出ている。
それが正しければ、人間が快適に暮らそうとした結果、逆に人間の暮らしをおびやかし
はじめているのよ。皮肉なものだわ。
科学は万能ではないとつくづく思うわね。
少なくとも現在の人類が持つ科学は万能には程遠い。私たちは神ではない。
人間は科学技術の急激な進歩につきまとうリスクを忘れてはならないのよ。
翼手の研究に血道を上げている私も、しばしば怖れを抱くことがある。
この研究が、いつか人類に災厄をもたらし、滅びに導くのではないだろうか?
私は人間の手に余るものに、やみくもに手を伸ばしているのではないだろうか、と―――。
………私は無数の人間を翼手に作り変えようとした研究者を知っているわ。
その人は地球の生態系を作り変えようとさえしていた。
彼は恐ろしくなかったのかしら。
その研究と行為が、おのれとおのれの種族に多大な代償を課すのではないかと―――。
彼は、どこまで進むつもりだったのかしらね―――。
- 59 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/13(日) 07:00:16
- >>33(小夜の母親)
ジュリア「たしかにジョエルの日記には、ディーヴァとサヤの母親について の記述が
あったわ」
ルイス 「ああ、俺も見たぜ」
ジュリア「写真でも、母体は前頭部が欠損していたけれど、翼手目によく似た特徴を持
つことがうかがえた」
ルイス 「そうだったな」
ジュリア「現段階では、小夜とディーヴァが母親と同じ姿になるかどうかはわかってい
ないの。翼手の女王が定まった姿を持つかさえ判然としない」
ルイス 「基本の姿かたちがないってことか?ありうるのか?」
ジュリア「翼手を通常の生物の尺度で考えちゃだめよ。彼らのD塩基は自らの分子構造
を能動的に変えてしまうのよ。そんな生物は地球上に他に存在してないわ。
だから類似する生物の生態から推論することもできない。」
ルイス 「ジュリアの研究課題が尽きることはなさそうだな」
ジュリア「そうね………。答えのすぐそばに近づいたと思ったら、本当の答えは遥か遠
くにあるということがわかっただけ。そんな感じね」
- 60 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/13(日) 07:01:00
- >>34(あでらんすじゃなくてりーぶ)
岡村「おいこら、お嬢ちゃん。ここでその手の単語は禁句だぜ。シィーーーッ!!」
真央「いいじゃん。本人がいないところで言うくらい」
岡村「お前はなんつー危機意識の無さなんだ。そんなんじゃ記者はつとまらねーぞ!」
真央「いちいち師匠気取りでうっさいわね〜」
岡村「大体お前はだな、あいつらがちょいと前まで敵だったってことまで忘れてねーか?」
真央「あんた>>34、小学生? グレゴリーやジュリアさんが子供用のお菓子をくれるよ。
キッチンに行っといで。あ、場所がわからない? 一緒にいこっか?」
岡村「俺の話は無視かよ!」
>>50(きれいなりぼん)
真央 「ジュリアさん、この子連れてきたよ」
ジュリア「あら、ありがとう。子供のお客様にはクッキーをあげましょうね。大人の
お客様には、あとでお酒とおつまみを出ししましょう」
真央 「そのリボン、綺麗だね。なんに使うの?」
ジュリア「………。ソロモンの髪に結ぼうと思って持ってきたの?…男性だから、それ
はどうかしら」
真央 「男でもあのソロモンなら似合うんじゃない? ハジみたいに頭の後ろで結んでさ。
少し長さが足りないかもしれないけど」
ジュリア「そうね…。意外とデヴィッドにも似合うんじゃないかしら?」
真央 「ジュリアさんは旦那さんについてはセンスが独特だよね〜」
- 61 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/13(日) 07:01:27
- >>44(ゴロウ....)
岡村「か、母ちゃん…。切ない話だなー…」
真央「なに里心ついてんのよ」
岡村「お前だって妹の写真をしょっちゅう見せびらかしてるじゃねーか!日本が恋しい
んじゃないのかよ」
真央「18歳にしてできた妹なんだから可愛く思うのは当然でしょ!…なによあんた、日
本に帰りたいわけ?」
岡村「そんなんじゃねえよ! ただオレも赤い盾に関わって、やばいネタを追いかけて
ただろ? だから>>44のように、いつかどっかで死んじまったら親孝行もできね
えなーと、考えてたこともあるわけよ」
真央「あんたも殊勝なこと考えたりするんだ」
岡村「まーな。オレもお袋をどこにも連れてってやってねえしな」
真央「そのうち機会があるって! それにしてもいい息子じゃない、『あーくん』は」
岡村「あーくん言うな! てか、なんで知ってる!?」
>>51(アプローチ)
ルイス 「基本はやはり美味いもんを作って食わせることだよな! 小夜や宮城兄弟と
もそれですぐに打ち解けたぜ」
真央 「振り向いてほしい相手が音無とカイとリク〜? 間違ってはいないけどさ」
ジョエル「僕は演奏会やオペラの舞台に招待するよ。踊ることはあきらめた代わりに、
耳にする喜びを得たからね。おかげで音楽には少々、詳しくなった」
真央 「へえ、いいじゃん」
ジョエル「よろしければ今度ご一緒しますか?レディ?」
真央 「えっ? えええっとー………。ちょっとオッサン、あんたはどうなのよ!」
岡村 「オレ?オレはそうだな、一緒に近所の川で釣りでもしようと誘うかな。
あんま金がかからずめんどくさくないのが一番………」
真央 「なによそれ!せめて映画や食事に誘うとかないわけ?」
ジョエル「そういえばレディは先日、映画のチケットを二枚、購入していたようですが」
ルイス 「ほほぅ。誰と行くつもりだったのかなあ?」
真央 「………!!!」
- 62 名前:ジュリア ◆CrDOpAWpGE :2008/04/13(日) 07:01:59
- >>51(わざと彼の元を離れ)
ジュリア「あら、>>50さんに似てるけれど違うお客様なのね。あなたもクッキーをどうぞ」
ルイス 「俺も欲しいな。ところでわざと赤い盾を離れて、デヴィッドに帰って来いと
言わせたってのは本当か? …言いにくかったら言わなくていいんだぜ」
ジュリア「いいえ、大丈夫。…そうね、違うわ。私はもっと愚かな女だったわね」
ルイス 「コリンズ博士に騙されて赤い盾を離反することになったから?」
ジュリア「最初はほとんど騙しうちのようにして、アルジャーノのところに連れて行か
れたわ。………でも、帰ることもできたはずなのよ」
ルイス 「そうなのか?」
ジュリア「ええ。けれど私は、デヴィッドは私を必要としていないから帰っても仕方が
ないと思ってしまって………。馬鹿ね、私。自分のことしか考えてなかったわ」
ルイス 「だがジュリアがいなくなって、デヴィッドは初めて存在の大きさに気づいた。
だからやっこさんは帰って来いと言ったんだろう」
ジュリア「それもきっと違うわ。たしかにデヴィッドは、私が離反することで私の存在
を意識してくれたかもしれない。でも昔のままのデヴィッドだったら裏切り
者の私に帰って来いなどと言わなかったと思うの」
ルイス 「そうかもな。頭が堅いからなあ」
ジュリア「デヴィッドを変えたのは、苦しい時も彼を支えてくれたあなたやカイだわ。
だから私に帰参するようデヴィッドに言わせてくれたのも、あなた達の力ね」
>>53(偽物)
ジュリア「あらあら、大丈夫よ。あなたにもクッキーをあげましょうね。今日はたくさ
ん食べてもらえて嬉しいわ」
ルイス 「俺も食べてるしな」
岡村 「偽者っていえば、オレが目撃したアンシェル・ゴールドスミス暗殺事件!
あの映像をネットに流したから、あれは偽者で影武者だとか、動画自体が合
成だとか、ちょっとした話題になったもんだぜ」
ルイス 「インパクトがあったからな。憶測を呼んだだろう」
岡村 「あれは本物で撃たれたくらいじゃ死なないのだという憶測は、さすがになかったがな」
ルイス 「じゃあ、またな〜」
- 63 名前:グレゴリー@白衣 ◆gD.KishiHU :2008/04/14(月) 01:30:57
- 皆様、ご無沙汰しております。
ここひと月余り研究室に篭っておりました。睡眠も食事も必要としない
シュヴァリエの身ゆえ、つい日時を失念しておりまして。
新たな場所への引越しも全て兄弟たちに任せきりにしてしまいました。
ああ、もう春だな。久しぶりに空を見たような気がする……。
>前995
>人間は誰しも、自分の錯覚世界で生きている。
確かに。全ての人に愛され理解されるなど、不可能なことでしょう。
しかし彼は何故、あのような言葉を発しわたしの胸を切り裂いたのか……
その真意についてはもはや知りえないことです。
完全なる意思疎通の断絶、それが「死」なのですから。
>>25
>つ「クワス(750ml)」
これは恐縮です。まさか客人から我が故郷の酒を振舞っていただけるとは!
ひと月余り研究に集中しておりました、まるで頭の芯に石綿が詰まっている
かのようで――。ありがたく頂戴致します。
……旨い。酒は人類の友とは良く言ったものです。さあ客人も酒器を手に
お取り下さい、お注ぎしましょう。――多すぎる?なに、極弱い酒です。
問題ありませんよ。
>>49(カール)
>ブラウスのボタンをそんなに外してはいけません!
>しかしスカート姿で片膝をあげるのは問題だぞ。若い娘がなんたることだ!
何を手に持っている?――ああ、わたしの絵か。よく描けているだろう?
彼は才能豊かな画家だな。将来が楽しみだ。
実はこの後、もう一枚描いてもらったのだ。男物のシャツだけを羽織って
寝台にしどけなく横たわる姿を描きたい、と請われたのでな。
見るか?素晴らしい出来だったぞ!
――何を赤くなることがある。
- 64 名前:グレゴリー@白衣 ◆gD.KishiHU :2008/04/14(月) 01:38:46
- >>51
>振り向いてほしい人や、気を引きたい相手に
>皆さんならどんな風にアプローチしますか?
わたしなら――
いつもその人のそばにいる。
悲しいとき、手を握り、寂しいとき、一緒に空を眺める。
その人が荒野をあるくとき、風除けのマントになり、海で溺れたら、救命ボートで駆けつける。
眠るとき、毛布をかけ、目覚めのとき、歌をうたう。
血を流したらその血を舐め、泣いたらその涙を舐める。
そしていつかその人が死んだら、毎日花を供えて語りかける。
ただ、「愛している」とは、決して告げぬだろうがな。
>>44
> ゴロウ.....
野望に燃える或る天才外科医とその母か。彼の栄光と転落の物語はわたしも
図書室で読んだが、大変興味深い物語だった。日本では大人気だったらしいな。
その彼が親友たる内科医に、最期に遺した言葉がある。
『屍は生ける師なり』
この言葉を目にした時――翼手になり損ねた兵士達の遺体を解剖し続けたあの頃
のこと、ひんやりと湿った実験室に漂うホルマリン臭までが、まざまざと蘇って
くるようだった。「何故シュヴァリエは作れない?」答えを追い求めた日々だった……。
わたしが死んだらその時には、長兄に解剖をお願いするつもりだ。
死亡の原因やその経過、結果などを詳細に観察検討することで、「翼手とは何で
あるのか?」この謎の解明に挑んでいただきたい。
長兄ならば、わたしの屍を解剖の後、研究材料の一石として役立ててくださるだろう。
叶うならば、シルヴァスタイン女史にも立ち会っていただきたい。
彼女は長兄と同じく、真理探求の一翼を担える数少ない研究者であるだろうから。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務があるのですよ、マダム。
ああ――失敬。客人へのご挨拶の前に湯浴みを済ませてきたのですが、
まだホルマリンが臭いますか。体にも髪にも染み付いてしまったようだ……。
香を焚き染めてくるとしよう。
それでは。
- 65 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/16(水) 03:17:10
… Lacrimosa dies illa,
qua resurget ex favilla
judicandus homo reus: …
おや…ご機嫌よう。今日はいいお天気ですけれど、ここのところ
折角の高価いピアノに、退屈をさせてしまっていましたから
すこし遊んでやろうと思って。以前の住処では、
習いたてで嬉しかったものですから、よく弾いていたんですけれどね。
この曲を知っていますか?
モーツァルトの、レクイエムです。彼はラクリモサのくだりを、
ちょうど今の箇所で絶筆してしまったのですね。このあとは、
彼の教え子のジュスマイヤーが続けているのですけれど…
残念ですね。彼が書き遂げる事が出来ればよかったのに。
…「罪ある人が、裁きを受けるため
灰の中からよみがえる その日こそ、涙の日」
彼はある伯爵夫人を追悼する名目で筆を握りながら、その一方で
死の床についた自分が安息を得る事を、切望していたのかも知れません。
でなければ…これほど凄絶で美しい旋律はとても作り出せないでしょう。
- 66 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/16(水) 03:21:11
…おや、僕のこの格好ですか?兄さんとお揃いなのかと仰る?
ああ…いえ、これはフロックコートです。先ほどグレゴリー兄さんが、
白衣を着ておいででしたね?けれど僕のこれは…
医者や研究をする人というより、…そうそう、花婿さんですね。
はは、いいえ…それは勿論、ここに僕の花嫁になってくれるかたが
おいでならいいんですけれどね?
どうしてこんな格好を、と?それはね…
見て下さい、きれいな緑色でしょう。ご来客の少女>>50が、
僕の後ろ髪に結んでくれたのです。シルヴァスタイン女史とご一緒の
小夜のお友達の彼女が、こうしたらいいのでは>>60と教えて差し上げたようで…
ハジとお揃い、というのは…何ともいえない気分なんですがね。
慥かに、髪の長さは足りないのですけれど…何とかさまになりました。
可愛らしい小さな手で、器用なことだ…ありがとう似合いますかと訊ねると、
いつものスーツではいまひとつ、と仰るので
すこし古めかしい膝丈の上着に、リボンの色と揃いの
アッシュグリーンのスカーフを合わせました。
いつもはスカーフには、群青色を選ぶんですけれどね。いまは特別です。
これではいかがですか、ちゃんとお気に召しましたか?そう訊ねると
今度はいつものご様子でたいそうお喜びになって
お側仕えの彼のところへ、報告に行っておしまいでした。くす、
本当に無邪気で、おかわいらしい事だ…小さな彼女が戻って来るまで、
この格好でいることにします。
- 67 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/16(水) 03:25:50
- >>9
>小夜以外の翼手には休眠期はないの?
もうひとり、彼女の双子の片割れであるディーヴァも
同じように眠りますよ。
僕らシュヴァリエはそのあいだ、彼女達の繭の番をするのです。ええ、
僕らは眠りません…もちろん、彼女達と一緒に眠りについて
同じ夢を見る事ができたら…それは素晴らしい事ですけれどね?それに…
眠ることが出来れば、その間、余計な事を考えずに済みます。
長い間、眠ることもなく生きつづけるということは…
物音ひとつない凪いだ静かな夜に、ひとりで目を開けているということは
これから辿るべき前途について考え続け、またあるいは
過去の記憶に、おかした罪の記憶にとらわれるということです。
けれどその傍らで…僕らの血はいつも、女王の息遣いを感じている
すぐ傍に、確かに彼女がいると感じられる事で
眠らないシュヴァリエは安息を得るのです。
僕らがそうして待っているあいだ、彼女は
可愛らしい寝息をたてて眠り続けます。何も知らずに、無邪気な赤ん坊のように
…だから彼女達は、いつまでもあのように無垢でけがれなく
美しくあることが出来るのかも知れません。僕は―――
彼女達が、優しく互いの指を繋いで…額を寄せ合って眠る姿が見たかった。
それはきっと、この世界の何よりも美しい光景に違いありません
女王が生きてそこにおいでになりさえすれば、シュヴァリエは
眠らなくても、そういう夢を見る事が出来るのです。それこそ―――
眠りに落ちる以上の安息だと、あなた思いませんか。
- 68 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/16(水) 03:30:02
- >>33
>小夜の母親は蝙蝠の化け物みたいなミイラだったけど、小夜やディーヴァも正体はあんななの?
それは…判りませんね。
翼手の姿には、個体差があります。僕はニューヨークで、あの夜
右腕をべったり汚した血糊で、足元の石畳を濡らしながら…対峙するハジの姿に
目を瞠ったものです。彼は殆ど人間の姿をしたまま、背中に
大きく伸びた、真っ黒な翼を生やしていました。
足元に整列した石畳に落ちた彼の影は、まるで『ゲーティア』に登場する
蝙蝠の翼を生やして稲妻を操る、悪魔の伯爵のようでした。
―――あれが小夜の、最初のシュヴァリエの姿なのですね。
小夜とディーヴァのシュヴァリエの間で、これほど違うのですから
ふたりの女王がほんとうはどんな姿をしているのか、それは
考えるだけ詮無いことかも知れませんね?けれど…
それでもいいではありませんか、彼女達は僕らが見てきた、天使のようなあの姿で
―――もう充分、お美しいのですから。そうでしょう?
>>51
>振り向いてほしい人や、気を引きたい相手に
>皆さんならどんな風にアプローチしますか?
だれかの気を引きたければ、こちらから歩み寄る事です。
そして手を差し伸べる、「私と踊ってくださいませんか?」
それでもそのひとが、微笑んでこちらを振り向いて下さらなければ…
僕は何度でも、そのひとに囁きかけるでしょう
そしてそのひとの未来の為に、出来るだけの事をするでしょう
そのひとに夢があるなら、叶えてあげる為に出来るだけの事を。
希望に溢れた未来をそのひとの目の前に差し出して、それが僕にしか出来ない事だと
手を取って教えて差し上げるでしょう。
どうしてと訊かれたら…あなたを愛しているからと答える、
その答えこそが僕の心を占める、真実なのですから。僕はそれを知って貰いたくて、
彼女を強く抱きしめて何度でも囁きかける…愛しています、愛しています、―――おや
…お恥ずかしい、つい。けれど
あんなに必死になって何かを手に入れようとしたのは
あれほど心を揺さぶられたのは…彼女の、小夜の時が初めてでした。
…はは、ですから…やはり、上手には出来ませんでしたね?
それまで誰かに振り向いて貰うために、或いは誰かの気を引くために―――
歩み寄りながら親しげに微笑みかけて、手を差し伸べる以上の事を
ついぞした事が無かったものですから…ええ、仕方がなかったのかも知れませんね。
- 69 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/16(水) 03:35:57
- >>52
>おっうっまのっおっやっこはなかよしこよし♪
おや、お歌が上手ですねえ?
はじめまして、ようこそ。僕がお好きですか?それはありがとう。
ではあなたを歓迎するために、そのお歌に伴奏をつけましょう。
はい…何ですって?
彼女と…おうまさんごっこ、ですか?僕が?
はは…、お可愛らしいことを仰います。勿論、彼女がそれをお望みなら
僕は彼女のお馬さんになったでしょうね?
彼女を背中に乗せて、彼女がお好きな速さで…どこへでも
彼女がお好きなところへ、お連れしたでしょうね。
けれどどちらかといえば、それが得意なのはカールじゃなかったかな。
彼女も、思いついたいたずらを彼に囁きかけるとき…いつも
それは楽しそうにしておいででしたから。
彼女にとってカールが、気の合う弟のようなものなら…僕は彼女のお人形です。
僕は彼女と初めてお会いするときも…いまと同じような格好をしていました。
襟元を飾るのはいまと違って、群青色のスカーフでしたけれどね。
ええ、仰るとおり…僕は彼女に気に入って頂きました、
きれいでおいしそうなソロモン、わたしのかわいいお人形さん。
彼女はそう仰って、僕の頬をあの白い柔らかい両手の指で包んで
満足そうに微笑みかけて下さったのでした。僕は嬉しかった、
ああアンシェル兄さんの仰る通りだ、
無垢で美しい彼女は宝物と呼んで護るのに相応しい―――
生きる証と呼んで、彼女の為とグラスを掲げるのに相応しい。…おやおや、
アンシェル兄さんとお話ししていけないことなど、何もありませんよ?
彼は僕の恩人です。少なくとも僕にとっては、彼の言葉は…
彼女の意志がすなわち兄さんの言葉だと言うなら、彼の言葉は僕の意思です。
…彼女の身の周りを飾るお人形であることは、僕にとって誇りでした。
僕はそれ以上の事を、何も彼女に望みはしませんでした…、おや
退屈なお話でしたか?それは御免なさい。それじゃあ僕は、
先ほどの曲の続きを弾きましょう。あなた歌って下さいますか?…
♪罪ある人が、裁きを受けるため 灰の中からよみがえる、
その日こそ、涙の日―――
神よ、この者をお許しください。
慈悲深き主よ、彼に安息をお与えください。
- 70 名前:名無し客:2008/04/16(水) 18:53:04
- 旅行に出かけるとします
どんな準備をしますか?
- 71 名前:名無し客:2008/04/17(木) 19:33:06
- >>66
わぁもんもんかっこいい!あんぱんまんと同じくらい
かっこいいな。ねーもんもんの隣に座ってもいい?
えへへ*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
あのね、この間星の王子さまっていうご本読んだの。
このご本を書いたさん・てぐじゅぺりさんてヒトはね、
ヒコーキ乗りだったんだって。お空を飛ぶのが大好きだったんだって。
昔はお空で喧嘩するヒトはいなかったんだって。
でもね、みんながお空で喧嘩するようになって、
さん・てぐじゅぺりさんは悲しくなっちゃったんだって。
みんなで仲良く一緒にお空を飛べばいいのに。
なんでみんなけんかするのかなぁ。私も悲しくなってきちゃった。(´・ω・`)
- 72 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/04/17(木) 23:49:03
- 皆様、御機嫌よう。
再び更衣して参りましたが、今度は如何でしょうか。先ほどは石鹸の香りに混じって
ホルマリンの臭いがする、とお叱りをいただきましたので。
ホルマリン原液を3〜5%に希釈したものは、生物個体あるいは組織片の標本作製の
ための防腐、固定処理に欠かせないものなのですが、刺激臭があります。
長兄やシルヴァスタイン女史やソロモンなら兎も角、大方の客人には馴染みのない
愉快とはいえない臭いでしょう。
……今は壇香の匂いしかしませんか。ならばよい。
>>28
>真央 「なんでシュヴァリエなのに料理ができるのよ」
>真央 「グレゴリー、ヘルプ!」
一度体で覚えたことは、時を経ても忘れないものなのです。修道院は女人禁制、
炊事洗濯掃除全て修行の一環として行いましたから。
何とかしてくれと言われましたが……ペチカの中で哀れにも炭化したパンを
元に戻すことなど、出来るわけがない。しかし朝食がパン抜きとはあまりに
味気ないことだ。
ブリヌィを焼きましょう、少々お待ちを。丁度寝かせておいた生地がある――
これは小麦粉をミルク、卵、バターの中で溶き、イースト菌と若干の砂糖、塩を
加えたもの。後はフライパンで焼くだけだ。
……まるでクレープみたい?マドモアゼル・ジャハナ、貴女は鋭い。
これはまさしくロシア風クレープ、具は何でもよい。
イクラ、塩漬けニシン、スモークサーモン、チョウザメの燻製なら酒の肴になり
炒めたひき肉やきのこなら軽食になり
ジャムやクリーム、干し果物ならお茶うけになる。
勿論焼き立てをそのまま食べ、陶酔を誘うような香りと風味を味わってもよい。
さあ、どんどん焼きますから、どんどん食べてください!
- 73 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/04/17(木) 23:50:49
- >>71
ようこそ、お小さい方。
以前からたびたびソロモンを訪ねてくださっていますね。彼のあの衣装>>66は
お気に召されたか?……それは良かった。弟も喜びましょう。クッキーを
貰った?>>60ほう、シルヴァスタイン女史の手作りですか。どれどれ。
……。
彼女の料理製作者としての能力は、日々長足の進歩を遂げている。
努力と工夫がどうにか相応の結果をもたらす段階に達しえたようだ。
ですから(見た目は兎も角)大丈夫、心置きなく食されよ。
>この間星の王子さまっていうご本読んだの。
>みんなで仲良く一緒にお空を飛べばいいのに。
>なんでみんなけんかするのかなぁ。
どうすれば戦争をなくすことができるのか?
われらの父が遣わされた神の子キリストは、こう答えておられます。
『汝の敵を愛せよ』
右の頬を打たれたら、左の頬を差し出しなさい。
上着をとろうとする者には、下着もあたえなさい。
敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。
……難しいことです。この教えが説かれてから二千年以上の月日が経っても、
未だ実行出来ずにいるのですから。人間も、翼手も。
本がお好きですか。では、これを差し上げよう。
「100まんかい生きたねこ」絵本です。貴女はこの物語を御存知か?
ソロモンに読み聞かせをねだってみるといい――。
- 74 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/19(土) 21:29:21
- ソロモンが鍵盤を鳴らす、鎮魂の調べが辺りに響いている。
まるで山の端から漏れるひとすじの清浄なひかりが、闇に閉ざされた
教会の尖塔を…白く明るく染め上げるかのように。
とりわけ『涙の日』は―――死の前日、弟子らとともに執筆途中のこれを歌唱した
病床のW,A,モーツァルトが、こみあげる激情の涙をこらえきれずに楽譜を置いたという
逸話さえ残る…悲愴にして敬虔な祈りの調べだ。
煉獄の炎は、繋がれた者の罪を焼き尽くすために激しく燃えさかると云う。
罪と妄執のすべてが炎に焼かれ、燃えがらとなって滅び、いずれそのかたちを失い―――
やがて物言わぬ穏やかな灰の一掴みと変じたとき。
その時になりようやく鳴りわたる…鐘の音に似たかろやかな調べと共に
その灰をそっと掬いに来る、白い優しい指の存在が…
………。
…あるいは、あるのかもしれないがね。
いずれにせよ、レクイエムとは死者に手向ける祈りの曲だ。
ソロモンの奏でるこの美しい曲の調べが、まだ客人の耳に残るこのあいだに…
ご挨拶し遅れた客人に、順次この失礼を詫びてゆく事にしよう。
- 75 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/19(土) 21:31:56
- >>35
>うーむ…夜勤明けに書き込みは短慮だった。申し訳ない。
―――こちらこそ、ひどくお待たせしてしまい…誠に失礼いたしましたな。
そう。古来より酵母は食の友だ。
メソポタミアのシュメール人が製造した最古の麦酒は、生焼けのパンを
水に浸しておくことで発酵を促した―――とも耳にいたします。
>>28
ジュリア「ええっ。どうしよう、パンが黒焦げ寸前だわ!」
真央 「ど、どうすればいいのよ! 朝食がパン抜きになっちゃう!」
………。
菌類に造詣のふかい客人の貴方。
しかしその、赤い盾の女性らが用意したパンは―――残念ながら、酵母菌が
すべて死滅してしまったようだ。たとえ水に浸そうとも、最古の麦酒の
味わいを復元する事は…おそらく難しいかと思われますな。
脇に添えられたその『個性的で奔放、人類にとって最も危険な珈琲』とは、
あるいは味の釣り合いが取れるものかもしれませんが………。
………。
…いや、やはりここはおとなしく、ご用意くださったクワスの杯を共に掲げると
いたしましょう。食べる事を娯楽にするつもりはない。とくに危うい冒険などは以ての外だ。
>お取り下さい、お注ぎしましょう。――多すぎる?なに、極弱い酒です。問題ありませんよ。
先刻から我々の横で、グレゴリーがさかんに酒を進めておりますな。
一般的に申し上げてロシア人の飲酒は陽気だ。度数の低い酒など彼らには水と変わらない。
彼らは親しげに互いの肩をたたき合い、頬寄せ、たからかに歌い―――あとは際限なく飲む。
クワスの次には物足りないとばかりに麦酒、続いて果実酒、果てはウオツカ………。
ウオツカが切れれば車の不凍液(ロシアでは純度の高いアルコールを用いたりもする)まで
口にする豪の者も、中には存在するほどで……。
………。
…グレゴリー。私の杯まで継ぎ足すな。
客人に戴いた750mlのクワスは、当に底をついているはずだが…。
む……危険な瞳だ。毛布のなかで「じゃあサヤ、わたしと一緒に暮らさない?」などと
いきなり暴走気味の発言すら言い出しかねないような…グレゴリー、さては酔っているな?
むッ…!客人が倒れた。
これはクワスではない。喉を焼くこれは…Spirytus(アルコール度数96%)ではないか。
ブリヌィ片手に歌など口ずさんでいる場合か。このような刺激物を酒として楽しめるのは
さしずめお前 くらいのも、 の …今 は 、 引k …グレ、ゴ……
………。
(昏倒)
- 76 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/19(土) 21:34:20
- >>34
>ねーもんもん。側使えたんがね、アンシェルお兄ちゃんの
>頭はあでらんすじゃなくてりーぶなんだって。ほんと?
>*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
―――く……っ。頭が痛む。
…意識を取り戻してより最初の問いが、よもやその内容とは……。
おさない君の、その邪気のない笑顔が―――なぜだかこの目に沁みますな。複雑な気分だ。
ああ、君の側近が言わんとしている事は理解している。
以前なにかの楽曲につける映像の撮影で、我々ディーヴァのシュヴァリエが一堂に会した
事があった。おそらく…そのときの件ではないかね?
微笑するソロモン、背を向けたディーヴァ。
横並びになったネイサン、ジェイムズ。そして私―――。
あのときの私の頭髪の量について、その彼は何か言いたいのだろう。
シュヴァリエは擬態する。
我々は老いず、姿を自由に変じ―――つまり植毛などはなんら意味を為さない。
無論断わっておくが増毛も同じ事だ。シュヴァリエの再生能力の前では人間の技術など不要。
ただ―――…我々とて一時的にやつれる事はある。路地裏で出会ったソロモンが
ひどく疲れ果てた風体をしていたときのようにな。
あの撮影の際………。
行方を晦ましたカールには一向に連絡が取れず時間ばかりが長引き、我々とは別撮りであった
ディーヴァは、間断なく入る連絡によると、どうやら拗ねてむずがるばかりで
(ネイサンより君は耳にしたかね?彼女の寝起きがひどく悪かった…というその事実を)
撮影カメラの方向にはいっさいその顔を向けてはくれず―――…。
一方ではこの時代の小夜とハジが、ロシアに向かったとの情報も入る。
ならば確かめるために、この私も彼の地へ向かわねばなるまい。時間は迫る一方だ。
心労の為に…一時的に頭髪が抜けるのはやむを得ない現象だ。君もそう思わないかね?
ところで君は、そのように危険な質問をして…横で青ざめるソロモンの顔が見たくて
たまらないのではないかね?ジェイムズの言葉ではないが…その期待に応えよう。
>例えばこの場合なら…ええと、アンシェル兄さんは、
>彼の頭髪に関して外見を重視した一時的な対処よりも
>文字通り根本からの改善を主眼に置いておいでなのだ、…ですとか…。
などと適当な軽口を叩いている、この困った弟の腕を背後からひねりあげて差し上げる。
愛する小夜と同じ目に会うのならばソロモンもむしろ本望だろう。
彼の崇拝者の君。…なに、あくまで罪のない兄弟の戯れにすぎんよ。ただの遊びだ。
青ざめる彼の表情を存分に楽しみたまえ。
- 77 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/19(土) 21:37:25
- >>45-46 カール
>仕返しにソロモンのおめでたすぎる顔でも書いてやろう。もちろん頭がお花畑の絵だ。
>フフフ、これが頭に花が咲いてるソロモンだよ……
―――…ふむ。良く似ている。
たいしたものだ。カールにこうした才能が隠れていたとはな。
じつは私はカールの事をこれまで誤解しておったのだ。リセの女学院では幾人か
女生徒が行方不明になっているとも聞いた。おそらくは奴が小夜らしき少女を連れ去った
ものと思われるのだがね。しかしカールは小夜と…直接に会っている。そうではないのかね?
…なぜ間違えるのだ?
グレゴリーにせよ、私にせよ…小夜の姿など即座に判別できる。なぜ幾人も取り違えるのか?
『カールは近眼、もしくは鳥目なのではないか?』私が抱いた疑問とはそれだ。
それに以前この動物園にて…いつだったか、カールの奴が紙片を振り回し
「僕のディーヴァ、見てください!僕はアンシェルの顔を、こんなに上手に描きましたよ――!
などと語っていたことがある。その際の紙片の似顔絵というのが……。
| \〉`ヽ-―ー--< 〈\ |
7 , -- 、, --- 、 ヽ
/ / \、i, ,ノ ヽ ヽ
| (-=・=- -=・=- ) | ………これだ。
/ 彡 / ▼ ヽ ミミ 、
く彡彡 _/\_ ミミミ ヽ
`< ミミ彳ヘ
> ___/ \
/ 7 \
| /
| / \
ヽ / ヽ
ヽ / ヽ
; / ヽ
ゝ"~} ヽ
/ ノ,,_-ー-、___ノ ヽ
k乃ノγ |
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 ̄ー、__ _____,/⌒ヽ/
_____/::⌒;;ヽ,/
/::::::::`ヽ `ヽ:::`ヽ `ヽ::::/
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- 78 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/19(土) 21:41:04
- …まったく私に似てはおらんではないか。
しかし奴が描いたソロモンの絵を見ると…どうやら視力、画力共に
すこぶる良いらしい。ならば嫌がらせか。
洗い熊に比するなら比するで、せめてこの程度にとどめてもらいたいものだ。
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ヽ::::::... '''ヽ、 ~ _,.'
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~"''‐'';;;;,,::::.';;;;;;;;;,'''' ~~~~~~~~~
まだお待たせしているお方は多いが…とりあえず今夜はこれにて。
またいずれ、お詫び申し上げよう。
- 79 名前:名無し客:2008/04/23(水) 17:23:05
- アフリカに行ってみたいと思ったことありますか?
木の上でだらしなく眠る豹とか、顔の痒いインパラとか見に。
- 80 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/25(金) 01:12:43
- >>44
__
財 |
前 |
墓 | ∴ J('ー,`)し ゴロウ.....
──┐ ∀ << )
―――女王の血で命を落とした場合、我々翼手の体は結晶となって散る。
だからこそ墓標を立ててその場所に赴き、花を手向けるといった行為にはあまり縁がない。
破片を持ち歩く者は幾人か目にしたがね。小夜と赤い盾の連中がそうだ。
だが女王の眠る場所に日夜花を飾り、その思い出に心を馳せ―――…
その眠りの穏やかならん事と、きたるべき次の時代のすこやかな目覚めを
微笑しつつ、無言で祈りそうな男ならば………ひとり心当たりがある。
一人というより一匹の……そう、まるで子犬だ。
常に小夜の行くところについてゆく。あるじが嘆けば同じく哀しげにその尾を垂れ、
あるじに従い、ときには列車の屋根にまで忠実に駆け上がり―――
そしてひとたび危機とあらば、瞬時に駆けつけあるじを庇い、事もあろうに
短刀をこの私に向けて放つ…私にとっては実に可愛げのない『あの子犬』の話なのだがね。
(それも極貧の境遇から引き揚げてやったこの私に牙を向けるか。ハジめ…少しは恩を知れ!)
放っておけばそのまま背景に馴染んでしまう。
いつの間にやら頭上に花輪を乗せられ、雑用を言いつけられ…売られてゆく家畜のように
ひたすら運命に流されるまま、気がつけば似合いもせぬ南国の方言を使って
「 ナ ン ク ル ナ イ サ 」
…などと懸命に微笑んでいる。
そう呟くハジの内心にも、去来するさまざまな想いはあったかもしれん。
それにロマの民はその境遇から、すべての運命を甘受するものなのかもしれないが…。
しかしハジと沖縄の太陽。ハジと南国の民族衣装アロハシャツ。ハジと共に踊る沖縄舞踊。
体が結晶と化しながら薄れゆく最後の意識のなかで、うっかりそうした連想をしてしまった場合の
私の立場はどうなる?…どれも激しく似合わん。ああした場面でいきなり妙な文句を呟くなハジ。
―――ハジも買い入れた際にはもう少し、年相応に活力のある子供だったのだよ。
…可愛げはまったくなかったがね。それでもいつの頃からか、小夜と剣の稽古の真似事などを
始めたりしていたものだ。花を手向けるといえば、毎朝うすい桃色の薔薇を切るために
庭園に足を運んでいたようだった。
ジョエルも小夜もいまだ起きぬ早朝に庭先へと駆け出し、おのれに頬をすり寄せる
園内の山羊の群れに、あかるい笑い声をたてながら順次用意した飼い葉を与え―――…。
そうしてしばらく山羊と遊んだのちに咲き初めの薔薇を丁寧に選び、ひどく大切そうに
胸へそっと抱えながら、やがて小夜の自室へとまた駆け出してゆく……。
すれ違いざまにハジのそうした姿を、いつだったかこの目にしたような気がするのだがね。
尤もその頃からハジは、小夜の目の前でだけは決してみずから動物と戯れようとはしなかった。
獣たちは翼手たる小夜を恐れて近寄らない。小夜が起き出せば彼女のすぐ傍らに寄り
剣の稽古をしつつ手を振る小夜に、飲み物を備えつつ声をかけたりなどもしていたようだ。
- 81 名前:(リーザ)アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/25(金) 01:14:18
- >>53
>偽物は引っ込め
―――…あなたにはまだ話してはいなかったわね。
いい事を教えてあげる。でも本当はとっくに解っていたはずよ。私もまた…翼手なの。
こう見えても私は赤い盾のエリザベータなんかじゃないのよ。驚かせてしまったかしら?
急な話でにわかにはとても信じられないでしょうけれど…期待を裏切ってごめんなさいね。
―――そう?エリザベータにしか見えない?………だといいのに、ね…。
赤い盾の人間も、私の正体を知ると『シュヴァリエ…!』と眉をひそめたものよ。
みんなショックを受けていたの。もちろんリク君のお兄さんも、ね………。
とっても楽しかったわ。彼らの驚くその姿は。嫌悪にゆがむその表情―――。
だからぜーんぶ教えちゃった。それとなく…全員に私が「そう」であると解るように。
「これですか?代々伝わる物でして……片時も外したことがありません」
「君に会うのはシベリア以来、二度目だよ。カイ・宮城」
相手の目の前で、姿を変えて見せた事だってあるのよ。そのたびにみんな、
うっとりするほど解り易く嫌がってくれたわ…!人間はこういうとき、反応が新鮮ね。
その点弟たちは慣れてしまって…残念ね。屋上庭園でグラスを囲みながら、
あきらめたように生温かい微笑を浮かべて、黙ってワインを注ぐ金髪の弟や
事務的に『なぜその場でハジを捕えなかった?』なんてさっさと話題を逸らす軍人の弟や…
………。
………。
…何てことかしら。私の姿について、ついにだれも反応してくれなかった………!!orz
『相変わらず大胆ねぇ、アンシェルは……』
そのうえ苦笑まじりに、あの弟に…あの弟に!そんな風に言われてしまうだなんて……orz
あの………人(の常識)を超える衣装をまとっているあの…大胆の代名詞のような弟に。
胸の開いた紫のフリルつきシャツに、ピンクの革ボトムに―――白の長靴…。
………。
…非道い……なんという事かしら。
少なくとも、あのいでたちの彼よりは大胆ではないつもりだったのだけれど……哀しい現実だわ。
- 82 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/04/25(金) 01:26:38
- つい追憶に囚われてしまった。…あの時は残念だ弟たちよ。
思い出すたびボトルやグラスに亀裂が走る。未だお返ししていない挨拶が
中途だが……申し訳ない。今宵は出直すとしよう。それでは皆様、またいずれ。
- 83 名前:名無し客:2008/04/26(土) 00:10:27
- >>78
そっちの可愛い姿のほうが、ある意味よほど屈辱的にも取れる気が…。
カールが描いた絵のほうがアンシェルに似てるよ。ドンマイ☆
- 84 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:44:15
- やあ、こんばんは。
さっそくお客人方にご挨拶にまわるよ。
>前421
>「美しさ」「美しきもの」について
ソロモンの歌声が聞こえたね>前800
懐かしいな。ドイツ語の子守歌だ。
僕らの三番目の兄、マルティンとドイツにいた頃にディーヴァもよく歌っていたよ。
Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein, お眠り、わたしの可愛い王子様、お眠りなさい
僕はディーヴァに「わたしの可愛い」と言ってもらえる歌の中の王子様と、
歌うディーヴァとくすくす笑いあっているマルティンがひどくうらやましかったものだ。
だが僕はディーヴァの子守歌もマルティンのことも、とても好きだったんだ。
あの二人がいる光景は美しかった。
心安らぐものはいつも美しく見えるものなのだね。
1945年の春――
マルティンは永遠に僕らのもとに帰らぬことになった。
僕は何も知らされていなかった。知ったときにはすべてが終わっていた。
いつものように。
マルティンはどうしたと尋ねる僕に与えられた答えは、アンシェルの無言の背中と、
ソロモンの体からかすかに漂う兄の血臭と、耳の奥で遠く繰り返される子守歌の幻聴だけ―――。
Wer ist beglu"ckter als du ? 誰があなたのように幸福でいるかしら?
Nichts als Vergnu"gen und Ruh ! この上なく楽しくて安らかで
マルティンはもういない。
ディーヴァもあれから子守歌を歌っていない。
なのにその歌は、ずっと僕の耳から離れなかった。
マルティンと同じく、兄弟から死を望まれたあの日まで。
Was wird da ku"nftig erst sein ? あなたの未来はどうなるのかしら?
Schlafe, mein Prinzchen, schlaf ein お眠り、わたしの可愛い王子様、お眠りなさい
Schlaf ein, schlaf ein
Schlaf ein, schlaf……
- 85 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:46:03
- >前433
>近年はトマトジュースや輸血パックで我慢
たとえ輸血パックやトマトジュースを主食とする翼手が現れたとしても、
僕としてはつべこべ言うつもりはないね。個性は尊重されるべきだよ。
しかし輸血パックはともかく、トマトジュースでは血液の代用品にはならないだろう。
本当に代用できることになったら、画期的なことじゃないか?
――僕達にも、君達にもね。
僕達の食事がトマトの果汁で事足りるのなら、より美味なトマトを作ろうと
アンシェルが豊富な資金力をバックに品種改良に乗り出しそうだな。
次兄は庭のいたるところでジュース用のトマトを栽培し、科学者として
また台所を預かるものとして、新しい品種のできばえを確かめることだろう。
そして屋敷中に、眩しい日光を感じさせるような、トマトジュースの匂いが満ちるのだね。
実に健康的!
だがその代わりに、僕達シュヴァリエは女王に血を捧げる喜びを失ってしまう。
あの快感と至福がなくなってしまうのは、僕達にとって寂しすぎることだよ。
やはりあたたかく甘い血の方が、僕達には望ましいね。
君達にはありがたくない話だろうけれど。
>前434
>絆という見えない力を信じる?
僕も信じていたよ。僕とディーヴァとの血の絆を。
……僕は実験体だ。
シュヴァリエとは何であるか、それを知るために体は切り刻まれ、
接合を繰り返される。僕は実験台としてシュヴァリエにされたんだ。
そんな僕の希望はディーヴァだけだった。この体に流れるディーヴァの血だけが
シュヴァリエとしての絆の全てだった。
だがディーヴァは僕の元から去り、僕にはもう敵である小夜しかいないと、そう思ったんだ。
小夜と共に死ぬしか道はないのだと――。
絆には力があるが、それが失われたと感じたときの絶望もはかり知れないものがあるね。
- 86 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:46:33
- >前435
>昨今の環境破壊はどうおもう?
実に嘆かわしいことだと思っているよ。
ベトナムの実験農場の屋根裏部屋は僕のプライベートルーム、小さな隠れ家だった。
あの部屋の壁には美しい風景写真を何枚も額に入れて飾っていたんだけどね、
今ではあの景色も随分と損なわれている。30年前のベトナム戦争での影響も大きい。
戦争は最大の環境破壊だとよく言われるね。
森林を焼き尽くした焼夷弾、生物に多大な影響を及ぼした枯葉剤。
人間は非常に迅速に自然を破壊した。
もっとも――その戦争を利用して進められたデルタ計画の一端を担い、
破壊と殺戮をもたらす少女を女神と呼んだ僕に戦争の凶暴さを
嘆く資格などないかもしれないけれどね。
>前449
>あいつが死んだ時から・・・俺は世界に絶望した・・・
>たのむ!俺を翼手に!心の無い化物にしてくれ!
シュヴァリエである僕を見たまえ。心の無い化け物に見えるかい?
それとも君はD67の薬害によって翼手となりたいのか。
ああ、どうやらそうらしいね。
――だが考えてごらんよ。彼らに心がないとどうして言えるんだい?
たしかに彼らは姿が変わり、言葉を喋らず、人間を襲う。
それでもその奥底には、人間の時と変わらぬ精神が
閉じ込められているのかもしれないのだよ。
変わり果てた肉体の中で人間のままの魂が、
嘆き呻いているのかもしれないのだよ。
それでも君は――翼手となることを望むのかい?
- 87 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:46:55
- >前450
>「我思う、故に我あり」は真実だと思いますか?
僕が思うから僕がここにいると?――いいや、それは違う。
僕が思うから 世 界 が 存 在 す る のだよ!
あるいは 皆 が 僕 の こ と を 思 う から僕が存在し、そして世界もまた在るのだ。
君、間違えてはいけないよ。
僕はありとあらゆる必然性によって、この世界に存在するのだ。
わかるかな?
これこそが 『主役の論理』 なのだよ。
自分が物を考えているから、ちまちまと世界の片隅に
存在するのだろうとは、賢人の言葉とはいえ脇役の言い草だ。
僕が在るならば、世界もまた在る。
僕が狂えば、世界もまた。そしていとしい君も。
僕を愛さず、
僕を望まず、
僕を受け入れない世界があるというのなら、
僕は――破滅のダンスを踊るだけだ
君とともに 二人だけの世界で
- 88 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:47:22
- >前452
>愛する人がいなくなったらどうしますか?
君はバン・カン・チェを妻にしたヌ・ザオの話を聞いたことはないかな?
ベトナムの昔話だよ。
バン・カン・チェとは蝶が変身したという意味で、その名のとおり
蝶の化身である美しい女を妻にした男がヌ・ザオだ。
夫婦は仲むつまじかったが、ヌ・ザオの幸福は長くは続かなかった。
彼は村の金持ち達に妬まれ、愛するバン・カン・チェを殺されてしまうのだね。
バン・カン・チェの亡骸は彼女の兄によって天に運ばれる。
だが人間であるヌ・ザオは天には行けない。
彼は三ヶ月の間、天を見上げ続け、泣き続けた。
そしてそのまま死んでしまうんだ。
むごいことだ。
彼は人の身には過ぎるほどの伴侶と愛を得る喜びを知ったが、
それを失う悲しみも知らなければならなかった。
僕の心を焼き焦がす感情も、人間だった頃には知り得なかった激しいものだ。
女王を愛するために生まれたシュヴァリエが、愛を失って生きていけるだろうか。
少なくとも僕には無理だ。
空を見ながら息絶えたヌ・ザオのように。
涙の代わりにこの血を流し尽くし、死を望むあまりかぐわしく思えるほどの
毒杯を飲み干して、この身を滅ぼすことになるのだろう。
- 89 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:47:55
- >>20
>とある獣医学部がある大学の新入生と院生の会話。
キモノを着たばかりに愛犬に怯えられてしまった彼女は気の毒だったね。
源三君もキモノに怯えたのであって、彼女自身を怖がったのではないのだろうが。
源三君だけでなく、見慣れぬ服を着られると見違えてしまうことはあるね。
服装だけじゃなく、顔かたちは同じでも、表情や髪型、話し方や仕草が違うと
まったくの別人に見えることも。
逆に顔はそれほど似ていないのに髪型や肌の色など、ほんの一部が似ているだけで
他の誰かを思い出してしまうこともある。
たとえば僕が、黒髪で東洋的な顔立ちを持つ少女に、赤い瞳の女神の
面影を見てしまったように……。
アンシェルは僕がリセの女生徒を小夜と間違えて連れて行ったと話しているがね>>77
そうではないのだよ。小夜と女生徒を間違えたのではない。
ただ僕は、小夜に似た女生徒を僕のものにせずにはいられなかったんだよ。
抱きしめて、連れ去って、青い薔薇で飾り、うなじにくちづけて。
永遠に僕のそばにいてくれるようにと――。
- 90 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:48:32
- >>21=>>25
>根っこは全く歪でも何でもないよ。
君はアンシェルに対して、とても思いやり深いことを言ってくれるのだね。
弟として君の優しさには感謝するが――しかし騙されてはいけない。
奴は根っこから枝の先までねじくり曲がった精神を持つ男なのだよ!
公平に見て、非常に有能ではあるが。
君もシュヴァリエとなり、僕達と兄弟になればわかるだろう。
それともアルジャーノのようにアンシェルの部下となって、
手足のごとくこき使われれば理解するだろう。
僕はお勧めしないが、就職活動をしてみるかい?
企業の代表を退いたとはいえ、おそらくアンシェルはまだいくつかの
事業をもっているはずだ。そのクワスを長兄と次兄に渡す時に、
さりげなく自分を売り込んでみるかい?
さまざまな欠点を持つとはいえ、アンシェルは吝嗇ではない。
奴の下で働くなら給料は悪くはないだろうが――さあ、どうする?
- 91 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:48:53
- >>33
>小夜やディーヴァも正体はあんななの?
――ああ!もしかしたらそうかもしれないね。
だがそれがなんだと言うんだい?
彼女達の正体がたとえ蝙蝠の化け物だろうと、水牛であろうと、
アノマロカリスだろうと、よしんばミジンコであろうと、僕の想いに変わりはない。
だがミジンコだと迷子になった時に探しにくいかな。
――いや。僕ならば必ず青い瞳と赤い瞳のミジンコを探し出すだろう。
たゆまぬ愛の力で。
しかし……さっきの言葉は愛の告白として、ふさわしく思えるね。
次に彼女達に会うときに言えば、喜ばれること間違いないんじゃないかな?
『おお、僕の女王!僕の女神!
僕はたとえあなたが
コウモリでも
水牛でも
アノマロカリスでも
よしんばミジンコであろうとも!
心からあなたを愛しています。
さあ受け取って。
僕の愛を!』
…我ながらなんて詩的かつ劇的な台詞だろう!
早く直接言いたいものだ。いとしい僕のディーヴァ!僕の小夜!
――名無しさん、どうして首を横に振るの?そのため息はどういう意味なんだい?
- 92 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:49:47
- >>34
>あでらんすじゃなくてりーぶなんだって。ほんと?
フッフフ……。君の側仕えたんもなかなかいいことを言うね。
僕がよろしく言っていたと伝えておくれ。
だがアンシェルはカツラを使用していないんだ。
もしどこかのメーカーがアンシェルのカツラを作るよう受注されていたとしたら、
とっくにあの頭は人工の髪の毛で覆われているはずだろう?
でもアンシェルの頭部は今も照り返しはげしく、光り輝いている。
ゆえにアンシェルは100%自毛のままだ。
簡単な推理だよ。わかったかい?
- 93 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:50:14
- ところで今まで何人かのお客人達が長兄の頭髪について言及していてくれたね。
>前600さんも「アンシェルはヅラじゃないの?」と尋ねてくれている。
アンシェルはどうしてカツラや増毛技術を試そうとしないのだと思う?
皆さんも実は気になっていたんじゃないかな?
奴がカツラをかぶらず、風通しの良いヘアスタイルであり続けていることを。
よい機会だから、その理由を僕からお話ししよう。
長兄の髪が気になる全てのお客人に、僕から捧げるアンシェルの悲しい物語だ。
** L'Adieu aux perruque **
アンシェル・ゴールドスミスは伝統を重んじ古雅な風趣を好む男であったが、
一方では進取の気象に富み、新しい技術は――彼の役に立つのなら――常に歓迎した。
そして今また、目覚ましい進歩をとげたある技術が、彼に幸福な変化をもたらしていた。
アンシェルはこの日何度目かに鏡を見た。鏡に映る自分はいつもと少し違っていた。
髪の毛が増え、ひたいが狭くなっている。新品のカツラのおかげだ。
かつてカツラといえば、見るからに「作り物の頭髪」だった。
だが増毛技術が発達した現代は違う。本物にしか見えない人工の髪の毛が、
本来の毛髪の少なさを補ってごく自然に頭部を覆い、彼の顔に若々しさを添えている。
アンシェルは満足気に微笑んだ。
良いことは他にもあった。数日前にディーヴァの休眠期が終わったのだ。
彼の宝、生きている証が、長い眠りからようやく目覚め、この屋敷で暮らしている。
「……フッ。これならばディーヴァのお気に召すにちがいない」
アンシェルは期待を抱いて、ディーヴァの部屋に向かった。
彼女はこの豊かな頭髪を見て、楽しそうに笑い、喜び、そして歌ってくれるだろう。
――すべてはディーヴァのために。
だがアンシェルの期待通りには運ばなかった。
たぐいまれなる翼手の女王、ディーヴァ。
彼女の行動は、しばしばアンシェルの予測の斜め上をいくのであった。
「いやぁだ。こんなのわたしのアンシェルじゃない!
アンシェルがふさふさしたら駄目なの!」
見るなりそう言うと、ディーヴァは彼の髪をむしりだしたのだ。
カツラの部分だけでなく、ささやかに残っていたアンシェル自身の毛髪まで。
シュヴァリエたるアンシェルは、心中はどうあれ、ディーヴァが彼になすことに
文句は言わない。されるがままにじっとしていた。
「うふふっ、これでいいわ。アンシェルはこうでなくちゃ」
半分以上の髪の毛をむしりとったところで、ディーヴァは世にも愛らしく笑って手を止めた。
解放されたアンシェルは、前よりもひたいが広くなった頭を軽く撫でつけた。
そして床に散らばったカツラと毛髪を拾い集めた後、礼儀正しく部屋を辞した。
廊下の窓を開け放つと、アンシェルは手に持った毛のかたまりをためらいもなく投げ捨てた。
先ほどまで彼を喜ばせていたカツラは、今は何の価値もなかった。
アンシェル・ゴールドスミスは伝統を重んじ古雅な風趣を好む男であったが、
一方では進取の気象に富み、新しい技術は常に歓迎した。
しかしディーヴァが彼に余分な髪などいらぬと言ったのだ。
彼がカツラメーカーの差し出す技術に興味を持つことは二度とないだろう。
(残っている彼自身の毛髪を守るためにも、それが最善だろうと思われた)
風に飛ばされるカツラにアンシェルは呟いた。
「Adieu ma perruque カツラよさらば――」
アンシェルとカツラとの永遠の別れであった。
**Fin**
この話を真実と思うか嘘だと思うか、それは君のご自由に。
- 94 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:51:47
- >>44
>オオサカヲアンナイシテ
なにやら他人事に思えないよ。何故だろう?
〜よみがえる記憶〜
( ´ー`)カクシゴトシテマセンカ (`Д)シテナイナイ!
( ´ー`)カール…クレグレモ (`Д)ボクノブタイヲミテロ!
( ´ー`)ヤメナサイ、カール (`Д)ナンデトメルンダヨ!
(; ̄Д ̄)ヤメナサイッテバ (`Д)サヤハボクガコロスー!
…………。
これ以上はまずい!涙がでてしま……いや、僕は泣いたりしないがね!
でもこうしてみると、僕はソロモンに心配してもらっていたのかな?
あの頃は少しも気がつかなかったよ…。
どうしてなんだろう?
大切なことに気づくのは、いつだって取り返しがつかなくなってからなんだ――。
>>50
>髪に結んでもいい?
ソロモンの髪に結ぶのかい?
小さな女の子がするみたいに頭の上で結んでやっておくれ――と言おうとしたら、
――あいつめ。ちゃっかり後ろ髪に結んで、服まで合わせてきてる。
しかも似合ってるし――…。>>66
いや、それもこれも君の見立てが良かったからだろう!
君が持ってきてくれたリボンは実に色が綺麗だからね。
ところで知っているかい?
ソロモンは昔、あんな風にタイじゃなくスカーフを巻いていたんだ。
なんだか少し懐かしいよ。
- 95 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:52:27
- >>51
>皆さんならどんな風にアプローチしますか?
その質問をする君は、誰か好きな人がいて僕達の答えを参考にしたいのだろうか?
では君の恋を応援して、僕も精一杯お答えしよう。
まず礼儀正しく挨拶をし、自分の名前を名乗らなくてはいけないね。
服装も大切だ。第一印象は身だしなみからというだろう?
TPOをわきまえた、清潔であまり奇抜でない服が好ましいだろう。
個性を際立たせたいからと、舞台衣装のようななりをするのは考えものだ。
サングラスなどもできれば外した方がいい。
――仮面?そんなのは論外だよ。
そして過去に会ったことのある相手なら、自分のことを思い出してもらわなくては。
でもあまり押し付けがましいことをしてはいけない。
穏やかに「あの時、こんな風にお会いしましたね」と告げるんだ。
もし相手が忘れていても、けっして「なぜだ、なぜ覚えていない!」などと
怖い顔をしてなじってはいけないね。怯えさせてしまうだけだからね。
…………。
冷静な時はこんな風に言えるのに、肝心の相手を目にすると理性が吹き飛んで、
ことごとく反対の行動をとってしまうのは何故なんだろうね……?
- 96 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:53:32
- >>53
>偽物は引っ込め
偽者だと信じたいときもある。この絵を見てくれたまえ。
ここに描かれているのは擬態しているとはいえ、本物の僕の次兄なんだ。
ほら、我が次兄が>>63で僕に見せてくれた絵なのだが、これがなんと
「男物のシャツだけを羽織って寝台にしどけなく横たわる姿」なのだよ!!
美しいが刺激的だろう?よってこちらも没収させてもらったんだ。
次兄には申し訳ないが、不埒な男どもに見せるわけにはいかないからね。
少々麗しすぎるこれらの絵は大切に僕の部屋に飾って――いや、保管するつもりだ。
ただ次兄と次兄のファン(彼らは次兄を可愛らしい少女だと信じているようなのだ)の
皆さんに叱られてしまいそうなんだ。
それで、代わりにはならないかもしれないが、不肖この僕が次兄の似顔絵を書いてきたよ。
もちろん健全そのものの絵だ。少しは本物に見えるかな?
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- 97 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/04/26(土) 01:57:44
- >>79
>アフリカに行ってみたいと思ったことありますか?
行ってみたいな。
次のバカンスに一緒にどうだい?
水の中から目と鼻と耳だけを出しているカバや、飛び跳ねながら走るインパラを見に。
ただあいにく僕達は動物全般に嫌われる性質でね。
僕らと一緒では、野生動物は皆、逃げていってしまうかもしれないな。
それではかの大陸の雄大な景色を楽しむというのはどうだい?
サバンナの地平線に沈む、燃えるような巨大な太陽。
山頂に雪を戴く、輝く山キリマンジャロ。
エジプトにはピラミッドもある。
僕は長く生きてきて、さまざまな土地へ行った。
それでもまだ見ていない景色が残っている。
ありがたいよ。
世界に飽きずにすむからね。
今夜はここまでにさせていただこう。
いくつかの質問をとばしてしまったが、それは次回必ず。誰も待っていなくても必ず――!
(それより一度にご挨拶してしまったので、僕の声でうるさいかもしれないね。申し訳ない)
それでは人間の皆さん、おやすみなさい。
- 98 名前:名無し客:2008/04/26(土) 06:39:03
- あのね、もんもんと声がそっくりなやさしいおじちゃんに
会ったの。
おじちゃんからイチゴのアメもらったの。
二つあるからもんもんとカールたんにあげる。
おじちゃんは今日がお誕生日なんだって。
もんもんのお誕生日いつかわかんないから今日お祝いするね。
はぴばすでーつーゆー♪はぴばすでーつーゆー♪はぴばすでー
でぃあもんもんー♪はぴばーすでーつーゆー♪
*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*
- 99 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/30(水) 06:05:45
- ご機嫌よう、随分遅くなってしまいましたね。
>>21
>シュヴァリエは「ディーヴァとの関係を完成させるのに忙しかった」
あなたがたの目には…そう見えたのですね。けれどどうだったかな、
僕にとって彼女は命をかけて護る、彼女の為と慕い、尽くすべきあるじでした。
シュヴァリエは美しい彼女のしもべであり、子であり恋人でもある…僕は
この体と世界を貰った分だけ、いい子と褒めてもらった分だけのものを彼女に返すのです
かぐわしい匂いで心を晴れやかにしてくれる薔薇に、
水と手入れを欠かさないのと同じように。
僕と彼女の関係はそこで、完成してしまっています。
僕に残されていたのは…もう、彼女との関係を壊す事だけでした。
僕はそれに忙しくしていたのかも知れませんね?本当は…そんなつもりは無かったのに。
あなたは兄さんの事を、彼が思う程歪でないと仰いましたね。
あなたがそう仰るのなら、あなたから見て彼は歪んでなどいないのでしょうね。
けれど…選び取った道の、そこについた足跡の
その下にどんなに真っ直ぐな、一途な思いがあっても、どうしても
結果としてその道が、その足跡が とても歪な形になってしまう事は誰にもある…
それもまた、本当なのでしょうね。
- 100 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/30(水) 06:16:00
- >>71
おや、おかえりなさい。
ああ、僕は「あんぱんまん」と同じくらい格好良いですか―――それはありがとう、
僕の隣に?もちろん構いませんよ、もっと近くへおいでなさい。
ところでそのあんぱんまんというのは、どういう…おや、携帯電話に?
よほどお好きなのですねえ。どれ…ああ、これですか
………………!
はは…っ、彼は頭があんパンなのですね?これはいい…、ええ、格好良い。
僕が、君がおなかが空いているときに
頭をちぎって差し出してあげられないのが残念です。おや、何ですって?
>あのね、この間星の王子さまっていうご本読んだの。
そうですか…いい本を読みましたね。
彼の本はずっと前、出版されたばかりの頃も
いまと同じように、みんなが知っている有名な本でした。
当時は争いが続いたひどい時代で…彼は連合軍の士官だったのですけれど
彼の本を読んだドイツの軍人さんが、彼の航空隊とだけは戦いたくない、と
口々に言うほど、彼の本は有名でした。
僕は…彼がアメリカへ行く前に、いちどだけ彼とすれ違った事があります
君は随分身なりがいいしきれいな顔をしているが何の為に戦うんだい、彼は言いました
僕は答えました、大切なものをくれた人に何か返さなければいけないからです
彼が大事にしている薔薇のお花の為に、何か返さなければいけないのです
―――彼は僕を笑いました。
悲しいのは…彼にとっては僕もまた、彼が数えあげた
5億160万と少しの、彼を悲しませる人間の中のひとりに過ぎないという事です。
おや、でも君は悲しくならなくていいのですよ?…君はこれから、
君が大事に思うものを大切にして、幸せに生きればいいのです。
人が美しいのは、心に一途な思いや希望があるからだと彼は言うのですから…
“l'essentiel est invisible pour les yeux”
大切なものは、目に見えない―――この世界を統べることわりの一つです。
大切なものがある事に気がつかないのは、決して罪ではありません
目に見えないのですから…けれど大切なものを持っている人は美しい、それは真理です。
- 101 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/30(水) 06:24:03
- >>71
王子さまは飛行機乗りとお別れする時に言いましたね、
僕は僕の薔薇が待っているあの星に帰るのです、僕が居なくなっても
君は一輪の薔薇を、黄金の麦畑をよすがにして、僕を思い出す事が出来る
あの空に浮かぶ星を見て、僕を思い出す事ができる
あのお星さまのどれか一つに僕が居て、笑ってこの星を見ているのを思い浮かべる事が出来る
―――ですから悲しまないで、と
大切なものは、目に見えない…君、知っていますか―――サン=テグジュペリさんは
飛行機に乗って外国にお仕事に行ってそれきり、戻っておいでにならなかったのです。
彼はいま、あのお空のどこかで笑っているでしょうか?それとも…
いつか彼の願いが叶う日が、
みんな一緒に仲良くお空を飛べる日が…来るといいですのに、ね。
そうだ、そういえば君―――お側仕えの子に、あの事を言ってくれましたか?
兄さんの頭については言葉を選ぶより、いっそ触れない方がいいと…君?
どうかしましたか―――おや、>>76ご機嫌よう、アンシェル兄さ
>適当な軽口を叩いている、この困った弟の腕を背後からひねりあげて差し上げる。
痛いっ……………!!
急にどうなさったのです?おやおや―――何のお話ですか?
カールといい、僕といい、あまりに貴方を軽んじすぎると仰る…?とんでもない。
それが証拠に、何ですって…おや>>77
カールが描いたのですか?はは…、本当に器用ですねえ彼は。
アンシェル兄さん、大切なものは目に見えるものばかりではないのですよ…
この絵に込めたカールの愛を受け止めてあげなければ。ほら、
上手に描けているじゃありませんか、デフォルメでしょう?特にこの頬髭の辺り
特徴をよくとらえています。物憂そうに眉間に寄ったしわなどそっくりだ、
―――ああ、すみません…!もういいでしょう手を放して……
…兄さん、お酒の匂いが。
突然どうしたのかと思ったら、成る程、…酔っておいでなんですね…?
どなたですか、兄さんに―――アルコールを勧めたのは―――
>>25
>つ「クワス(750ml)」
あなたですか?―――何て事を!
こうした場所に遊びに来たら…必ず注意書きがあるでしょう
ええと、ああほら…例えばこんなものが。
「あらいぐまは見た目には可愛らしくても凶暴です」
「絶対にえさを与えないで下さ
――――――……!!申し訳ありまs
- 102 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/04/30(水) 06:28:00
ああ酷い目に遭いました、
折れるかと…折れてもすぐに元どおりになるのですけれど…彼もただの戯れだと仰るなら、
少しは加減して下さってもいいようなものを。それから、ああ…御免なさい、
あなた>>25はあの、キッチンで食事の支度を手伝って下さっている彼>>10が
彼の料理に合うお酒を探すために採ったアンケートに、答えて差し上げただけだと仰る…
兄さんを酔わせたのは君ではないのですね?失礼しました。
けれど…それじゃあ、誰だというのでしょう?
すみません、今夜はあまりお返事が出来ませんでしたね。
あれもこれも、お話ししたい事は沢山あるんですけれど…もう月があんな所に。
ごめん下さい、いまはここまで。またすぐに、ご挨拶に伺います。
- 103 名前:名無し客:2008/05/02(金) 18:04:04
- バナーに笑ったw
- 104 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/03(土) 00:17:12
- >>103
>バナーに笑ったw
―――さすがに耳が早い。
この場所の入口を飾る額に、あの『お気に入り』の姿に擬態したディーヴァの
肖像が描かれているのは貴方もお気づきでしたか。青い瞳と謎めいた微笑が実に
印象的ですな。あれはこちらの地に住む画家に依頼したもので…彼はよい仕事をしてくれた。
When in Roma, do as the Romans do.(郷に入らば郷に従え)とも申します。
この地の法則として『来客数が千人を超えた記念』に、肖像画を手配さえ出来れば
住人の絵を入口の門柱に管理の者が掲げてくれるようでしてな。実は管理の者が集う
専用の地にて我々宛のその通達が、三月頃掲示してあったのだが…あまり出歩かぬゆえに
気づくのが遅れたのだ。
あの絵は遅まきながらその通達を知った私が、この地の画家が集う専用のサロンに赴き
描いてもらった物でしてな。客人たる貴方の微笑を誘ったのであれば、それは何より。
この私も申し込んだ甲斐があるというものですな。
あの肖像はどうやらそのまま、この動物園と通じる運命の扉となっているようだ。
つまり叩きさえすればこの動物園へと繋がる。掲示されているあいだは近道として
利用する事も可能でしょうな。
>>83
>そっちの可愛い姿のほうが、ある意味よほど屈辱的にも取れる気が…。
>カールが描いた絵のほうがアンシェルに似てるよ。ドンマイ☆
―――。
………。
…なんとも温かい…慰めの言葉に感謝いたします。
カールにはどうやらああした隠れた才能があるようですな。じつにあらたな発見だ。
しかし兄として哀しむべき事に対私に関する限り、カールの観察眼は非常にしばしば
客観性を欠くところがございましてな。つい先ごろも私の髪に関し、奴は何やら
世迷言(>93)を口にしているようでした。
>長兄の髪が気になる全てのお客人に、僕から捧げるアンシェルの悲しい物語だ。
>髪の毛が増え、ひたいが狭くなっている。新品のカツラのおかげだ。
>…見るなりそう言うと、ディーヴァは彼の髪をむしりだしたのだ。
>彼がカツラメーカーの差し出す技術に興味を持つことは二度とないだろう。
>(残っている彼自身の毛髪を守るためにも、それが最善だろうと思われた)
……聞いている。あれは…そこまでの器だ。
カール、いとしい弟よ。お前に必要なのはしばしの休息だ。
お前はさきほどグレゴリーの肖像を見事に描き上げていたな。(>>96)
…すばらしい!あれほどの大作を仕上げる為にはずいぶん苦労も重ねた事だろう。
ところで糖分は疲れを癒すと聞く。―――飴でもどうかね?
ヴァン・アルジャーノが栄転時、我が社へ大量にもたらしたものだ。
在庫はいくらでもあるから遠慮は無用だ。>>96では良い仕事をしてくれた。
その慰労として、この私みずからその口一杯に飴をねじ込んでやr…食べさせてやるから
お前は何もする必要はない。兄の心ばかりの饗応だ。存分に楽しめ。
ところでイタリアンマフィアはおのれの組織にとって、非常に都合の悪い情報を漏らした
口の軽すぎる裏切り者を処刑するにあたり、見せしめに口一杯の小石を詰めるとも聞くが―――…
…なに、ふと思い出しただけだ。ただの独り言だから気にするな。
それより疲れは取れたかねカール?おお、顔色が緑色になるほど飴の味を楽しんでくれたか。
ならば兄として私も実に喜ばしい。ところで私の髪に関する話の事なら…気にするな。
お前はお前で疲れた揚句に、そうした根も葉もない妄言を口走ってしまう事もあるだろう。
そうではないかね?
……黙って頷け。この私の手にある、新たな飴の山が目に入るのならば。
私の言葉は我ら兄弟の意志、そしてディーヴァの言葉でもある。同じ言葉を二度言わせるな。
- 105 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/03(土) 00:19:40
- ……これは失礼いたしましたな。>>83の客人の君。
だからこそ君はカールの言葉を一切信用してはいけない。あれは私への罵詈雑言を
巧妙に諸君らへ植え付けようとしているのだよ。
………。
今もしや「植え付けるのは悪口ではなく…」と仰いましたかな?
人間は傷つけば血を流す―――…。
いや…失敬。どうやら聞き違いだったようだ。無論そうには違いない。
互いに和やかな笑顔で握手する為に、この手に盛られた飴は片付けておきましょう。
>>50
>ねーもんもん。この前側使えたんとお出かけしたときにね、きれいなりぼん見つけたの。
―――見れば、ソロモンがひどく古風な衣装を身につけている。(>>66)
あれは客人である君の贈り物に合わせた装いだったのですな。
白い上着、あかるい金色の髪に翡翠色がよく映えている。なかなかのお見立てだ。
選んだのは君かね?それとも―――側近の彼が?
…ふむ。時間をかけてご自身で選ばれたのですな。
おや、それに側仕えの方は彼ではなく……女性?これは失礼をいたしました。
ただひとりのあるじ、女王その人に仕えるお付きの者(シュヴァリエ)ならば…性別は男。
ついそのような思い込みがございましてな。失礼をお詫びいたしましょう。
>>98
>あのね、もんもんと声がそっくりなやさしいおじちゃんに会ったの。
>おじちゃんからイチゴのアメもらったの。二つあるからもんもんとカールたんにあげる。
―――…ほう。それはそれは。
成程…4月26日がそのソロモンの声に似た彼の誕生日だったのですな?
偶然の一致もあるものだ。それに先立つ4月22日、どうやら私の声に似た男が
誕生日を迎えたとどこかで耳にいたしましたが…。…ふ……面白い。
いずれも他人の話とはいえ、そうした部分でもわずかに『私が兄』であるようだ。
どちらにせよ、今まで兄である私もそうした誕生を祝う習慣がなかった。
なにせ古い話なのでSAYAを動物園に迎え入れた1833年4月8日と、ディーヴァが
生後2カ月ほどの新生児の姿で繭より孵った8月4日より他は記憶がない。
男所帯はこれだから困りますな。君の心からの祝いの言葉に、あのソロモンも
さぞ喜ぶことでしょう。
その苺の飴もソロモンは無論のこと、カールも…そう、カールも感動に泣きむせびながら
貴女の贈り物を味わう事でしょうな。
- 106 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/03(土) 00:25:14
- >>71
>なんでみんなけんかするのかなぁ。私も悲しくなってきちゃった。(´・ω・`)
―――お優しい方だ。
ちいさな星に住む、小さな王子の作者の話を聞き、心を痛められたのですな。
君の話に微笑み頷く当のソロモンも、同じ時代・同じ陣営を共有した彼を知っていたようだ。(>>100)
>君は随分身なりがいいしきれいな顔をしているが何の為に戦うんだい、彼は言いました
>僕は答えました、大切なものをくれた人に何か返さなければいけないからです
>彼が大事にしている薔薇のお花の為に、何か返さなければいけないのです
…そう。すべてはディーヴァの為に。
私の宝だ。私の最もたいせつなもの、生きている証のようなものだ。
我々はディーヴァの為に存在する。私はディーヴァの幸せの為に世界を動かす努力をして
きたのだ。そしてこれからもそれは変わらない。邪魔する者は排除する―――ただ、それだけだ。
………かくして世界は血に彩られる………。
愛が憎悪を、家族がそれぞれの孤独を。重ねられた努力が不幸を招いてしまうという
哀しい現実も…残念ながらこの世界にはあるのだ。いつの日も真実は目に見えることなく
手に入れたと思えば瞬く間にすり抜け、求めるものは増えてゆく―――。
話に登場するちいさな王子は、薔薇の世話に疲れ果てておのれの星を後にした。
遠ざかってみて初めて彼は薔薇への愛に気づくのだ。
日々我儘を口にしていた女王であり、また暴君である薔薇の孤独は……。
決して彼女自身から世話役である彼に、語られる事はなかったが為に。
―――大切なものは目に映らず、真実が語られる事はひどく少ない。
…クリスチーナ島でカールの死を聞かされたディーヴァは、ひどく機嫌が悪かったものだ。
薔薇を片手にシュヴァリエの誰とも口を利こうとせず、ただ窓の近くに腰掛けたまま
沈黙を保っている。我々は遠巻きに彼女を見つめるだけであった。
「カールが死んだそうだな」
「………その通りだ」
私は兄弟であろうと手の内をすべて晒す事はしない。彼らには簡略に話した。
『カールは小夜を求め、その血により命を落とした』と。……そう、その程度だったはずだ。
その内容はソロモンからではなく私独自の情報網で手に入れたものだ。
私がソロモンに与えた密命は、当然彼らにもディーヴァにも明かされる事はない。
…尤も明敏な彼らだ。さすがにその気配くらいは察するだろうがな。
- 107 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/03(土) 00:31:31
- それを受けるジェイムズは、心の弱みや動揺を悟られる事を嫌う男だ。
ディーヴァに態度が甘い事を指摘されるたび『勝手な行動を取られると計画に支障が出る』
などと精一杯虚勢を張ろうとする。尤もそうした嘘をつく時、彼は誰とも瞳を合わせようとは
しないのでいっそ解りやすいのだが。―――…そう。その時もまったく同じだった。
「カールはもはや戦力外であり、不確定要素でしかなかった。むしろ好都合だ」
表情を消し、そう語るジェイムズに、非常に明敏なネイサンがしつこく食い下がった。
「冷たいのねェ。でも、ママが死んでも同じでいられるのかしら?」
背後から覗きこみ、あるいは彼の宝物を奪い去ってまで、ネイサンがジェイムズの視線を
無理やり合わせようとする。図星を指され、ジェイムズはたちまち無表情の仮面を剥ぎ
取られてひどく苛立ち始める。…そしてそうした彼らのやりとりを眺めてようやく、
ディーヴァの顔にはじめてわずかな微笑みが浮かぶ。
「ジェイムズ。…ぼくを護ってくれるね?」
―――私は彼女と共に、あの暖炉の部屋でソロモンを待った。
小夜があの島に向かった事を、そしてその理由を私が『知っている』事を他ならぬ彼に
知らしめる為に。私の魂に刻まれた猜疑心は生来のもので、おまけにひどく根が深い。
杯に注がれたシャトー・デュエルを掲げ、鋭い視線を彼に据えたまま私は何度でも
問いただし―――そして見極めずにはいられないのだ。
「障害となりうる小夜を排除する。…だがソロモン、お前はどうなのだ?」―――と。
そう問う事で彼の本心を、やすりで削りだそうとするかの如くに。
かくして金色の髪をした王子は、薔薇の世話に疲れはてて住み慣れた星を後にする……。
一方ガラスの囲いに覆われていた薔薇は、ひとりぽつりと呟くのだ。
「…ねえ。あの子は……ジェイムズは大丈夫かな?」
「ネイサンを迎えにやりました。戻り次第ニューヨークに向かって下さい」
「―――お前は?」
「私は後から参ります」
「………。」
…女王たる薔薇が世話役の動向を気にかけるのは、きわめて稀な事と言っていい。
あのとき彼女は切実に、誰かに傍にいて欲しかったのだろう。だが私がそうした際に決まって
おのれのこなすべき職務を優先し、彼女を一人のままに留めておくのは…諸君らも知っての通りだ。
- 108 名前:名無し客:2008/05/07(水) 14:14:11
- やっぱベッドの上よりも棺桶の中の方がよく寝付けますか?
- 109 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/09(金) 23:13:38
- >>70
>旅行に出かけるとします どんな準備をしますか?
―――特に何もしない。私はつねに軽装だ。
旅路で必要なものといえば、せいぜい多少の演技力くらいのものだろう。
「曾孫が生まれて、その顔を見る為にはるばるモスクワまで向かっているのです」
などと旅先でにこやかに大嘘をつける程度の心臓の強さは、あらかじめ準備
しておいた方がいい。客人の諸君らの祖国である日本の故事にいわく、
………。
…はて…何と言ったかな。『旅のハジは切り捨て』であったかね?
とにかく旅先ではより大胆に振る舞った方が面白い。あらたな友人との交流、
あらたに貴重な経験と観察結果を充分に得ることが出来るだろう。
その為に偶然の出会いを演出する、小道具としてのおおきな旅行鞄などは―――…
旅先でその都度買い上げてしまえば済む話ではないか。君もそう思わないかね?
その為のクレジットカードや私名義の小切手帳などは、今更慌てて準備するほどの
物ではあるまい。
あとはせいぜい連絡手段としての携帯電話だが…。しかし君がもしこの私と同じ立場で
今後これから旅行を企画しているのならば、その際電源はぜひ切っておく事をお勧めする。
仕事先や身内から、現在の所在や今後の方針について、昼夜の区別なく連絡が入るからだ。
とくに旅先で出会う相手に、おのれの身分や正体を伏せておきたい場合……。
これは必須条件と言ってまずは間違いないだろう。君もそうしたささいな部分から
事を露見させたくはあるまい。狭いシベリア鉄道の車内で、赤い盾の密談に
そしらぬ顔で参加している際に
『お気に入りだったのよォ!あのラリック…。どうしても聞き分ける気、ないみたい!』
……などと弟の一人から周囲によく響き渡る黄色い声で、壊されたアール・デコ様式の
調度品を嘆かれでもした日には瞬く間に私がエリザベータでない事が皆に露見して
しまうだろう。それはいかにもまずい。携帯の電源は切っておくに限る。
尤も今の時代のディーヴァの『寝起き』の面倒を見たのは、どうやらジェイムズだったらしい。
彼は寡黙な男でほとんど愚痴や弱音を漏らす事はしないのだが、フランスでは開口一番に
『連絡まで断って、どこに行っていた?』
などとけわしく問い詰められた。私からの目覚めの血がなかった間、彼女に甘い
あのジェイムズと言えど、おそらく相当に手を焼いたのだろうな。
- 110 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/09(金) 23:17:46
- >>79
>アフリカに行ってみたいと思ったことありますか?
>木の上でだらしなく眠る豹とか、顔の痒いインパラとか見に。
―――時間さえ許せばな。遠い昔に動物園に住んでいた頃は、あのジョエルが
豊富な資金に飽かせて、世界中のめずらしい動物を敷地内に住まわせていたものだった。
お蔭で当時の動物園はなかなか興味ぶかい、擬似的な生態系をかたち作っていたものだ。
…だが現地にまさる環境はない。ボルドーの立地や気候ではおのずと限界があるのでな。
熱帯に生きる動物は、あくまで熱帯の地にて観察するのが最上と言えるだろう。
とはいえ、私もなにかと多忙の身だ。
たとえディーヴァ本人に直接
『帰ろ、アンシェル。…もういいよ…―――帰るよ、ネイサン』
…と声をかけられたとしても、その言葉どおり即座にお供することは色々と難しい。
愚かな人間の業が、我々に生きる場所を与えてくれているとはいえ、歩みはじめた子を
あやすように何者かが手を取らねば、彼ら人間はすぐに倒れてしまうのだから。
……自分たちのみで倒れるだけならばともかく、ときおり固い握手などを交えつつ
常にこちらが目を光らせておかねば、逆に咬みつかれかねん不愉快な手合いを
私は相手にしているのでな。あのときも私はグラントとの接見を優先したのだった。
のちほどネイサンの屋敷の寝室にて、彼女がお休みである事を確認しはしたのだったが。
出来るものなら、最古の人類の誕生の地とも言われるアフリカにて時間の許すかぎり
進化の歴史についておのれの研究を続けてみたいものだが………。
…その望みが叶う事はない。なんとも残念なことだ。
だから日頃目にする者といえば、長椅子の上で気だるげに眠るあるじや、顔が緑色の
弟があるばかりだ。だがこちらはこちらで、なかなかに見飽きない光景ではあるのだがね。
- 111 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/09(金) 23:21:49
- >>108
>やっぱベッドの上よりも棺桶の中の方がよく寝付けますか?
―――…ふ………吸血鬼伝説かね?
生憎私はどちらにせよ眠れないのだよ。シュヴァリエである限り、どうやら眠りとは
無縁のようだ。寝心地はベッドの方が良さそうだが…棺桶ならば蓋があり、周囲の
雑音に悩まされずに済むかもしれん。透明なガラスの再生ポッドの中にてしばらく過ごした
ジェイムズなどは、日々彼を覗きこむネイサンの姿にさぞ心中をかき乱された事だったろう。
『眠りが不要』とは、地球の裏側の株価の変動に、即座に対応するためには
非常に便利な体質とも言えるのだが…逆に時間の観念が曖昧になる。人間は眠りが
必要であるという基本的な事を、我々シュヴァリエはつい忘れてしまいがちだ。
たとえば…シベリア鉄道の狭い個室にて、あるいはアパートメントの屋根の上で、
深夜に至るまでチェロを弾いてしまう。
女王の為ならばあらゆる手段は惜しまないのが、我々シュヴァリエの行動様式と
言って良い。だがあまり度を超えると、人間によって警察に通報されてしまうのだ。
人間社会で生きるシュヴァリエは彼らの常識を踏み外さぬよう、よくよく注意が必要だ。
特にハジの場合。
…清貧を旨とするあの男ではそうした有事の際、国家権力に融通が効かんのではないのかね?
あの無防備さでは大丈夫なのかと、およそ他人事ながら心配になるほどだ。
尤も例えそうなろうとも、赤い盾がハジの身元引受人になるのだろうが………。
あのハジの顔を見ていると、たとえ深夜の騒音公害で人間の官警に拘禁されようと、
どこまでも逆らう事なくただ彼らに従い、ひっそりと留置場であるじたる小夜の迎えを
待っているような気がしてならん。たとえどれほどあるじが人間との争いを厭おうと、
おのれにふりかかる火の粉はおのれで払わんでどうするのだ。
平和主義も結構だが、それも時と場合に依る。なんとも困った男だ。君もそう思わないかね?
- 112 名前:名無し客:2008/05/11(日) 21:39:40
- >>94
…それがまさしく「対象との関係を完成させるのに忙しかった」だよ。ムッシュ…。
貴方が立ちはだかるカイはとにかく、助言するソロモンにまで「鬱陶しい!」と感じたのはそういうこと。
もっとも、君らの所業のために完成しかけていた周囲との関係をいいも悪いも破綻させられた小夜嬢も似た意味でかんかんになったわけだが。
- 113 名前:名無し客:2008/05/14(水) 11:50:14
- 何故、ハジの手は異形化したままなのでしょう
- 114 名前:名無し客:2008/05/15(木) 21:35:31
- 五月病でなんかヤル気がおきません…。
- 115 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/05/17(土) 03:11:12
- ご機嫌よう。
失礼しました…また、すっかりご挨拶が遅くなってしまいましたね。
少しのんびりしすぎました、何しろ外がとても暖かいものですから…
おや、今度は何の格好を、と仰る?
ああ―――袖を捲ったままで御免なさい、不格好で…
これですか?その辺に置いてあったので…誰のエプロンかな
よくわからないんですけれど、お借りしました。いい緑色でしょう?
髪のリボンもそのままです。今日のように暖かいと、スーツを着込んだりしないで
こういう涼しい格好でいるのも、いいものですね?
はは…、似合いますか?それはありがとう
少しキッチンの手伝いをしようと思ったものですから。
>>10
>メキシカンタコスに一番合う酒はなんだと思いますか?
アンケートを頂いてから随分、時間が経ってしまいましたけれど…
先ほど>>101濡れ衣を着せてしまったお詫びをしなくては、ね。
他の皆さんは、どんな回答を寄越したのですか?
>>27
>真央「日本大手5社の中では圧倒的最下位、されど沖縄県内だけなら断然首位のシェアを誇る!」
>岡村「地元に愛されて創業50年、沖縄のオリオンビールだ!!」
…成る程、オキナワには人気のご当地ビールがあるのですね。それでは…
こちらはフランス・パリの品評会で最高金賞を勝ち取ったメキシコの有名なビールを。
【SOL】
きれいな色ですね。Solは太陽、窓辺に差し込む陽の光の意味です。
シェフに頼んで取り寄せて貰いました…いつもただでもらってばかりですから、
今回はキッチンのお手伝いをして、頂きましたよ。
本当に役に立ったかどうかは、判らないんですけれどね…はは、ええ、
却って足を引っ張ったかもしれません。
…はい?
ああ、はは…いいえ、とんでもない。僕は別に怖い兄さんから逃げて、
もうひとりの優しい兄さんの所へ隠れたわけではないのですよ?
- 116 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/05/17(土) 03:12:41
- >>53
>偽物は引っ込め
おや。そう仰いますがあなた…偽物にも、価値が生まれる事はあります
例えば、その窓辺に座っているお人形。金色の髪に、真っ赤なドレスが
とてもよく似合っていますね…美しい人形です。それに、こうして抱き上げて
お呪いをかけるように頭をそっと撫でて、背中のぜんまいを巻いてやれば…
今にも小さな唇を動かしてお喋りを始めそうなほど、
生き生きとしています―――
人間の少女を真似て作ったものでも、そうして持ち主に夢を見せる事が出来る。
それがこの人形の価値だ…彼女も、それが誇らしいに違いありません。
…おや、僕ですか?いやだな、何の事です…
エプロンをかけて袖を捲ったこんな格好ですけれど、僕は本物ですよ?
いつもご挨拶を差し上げている、ソロモン・ゴールドスミスです。
僕には人形は作れませんけれど…
「お人形」の気持ちなら、少しは解りますから、ね。
- 117 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/05/17(土) 03:14:32
- >>83
>カールが描いた絵のほうがアンシェルに似てるよ。ドンマイ☆
おや、あなたもそう思いますか?カールは器用ですねえ、
あれは僕も、本当に上手に描けていると思いましたよ。
アンシェル兄さんは残酷なひとだ、僕は素直に感じたところをお伝えしただけですのに…
おや、まだあるのですか?彼が描いた絵が?どれ、見せて下さい。
ああ―――はは、これはいい。
>>46
>これが頭に花が咲いてるソロモンだよ……
こうして顔の横に並べると…ほら、そっくりですね?
僕の頭にお花が咲いていないのが、残念なくらいだ…僕はここでいつも
こんな風に、幸せそうに笑っているのですね―――良かった。
それからこちらは…
>>96
>不肖この僕が次兄の似顔絵を書いてきたよ。
ああ、グレゴリー兄さんだ。
凄いな…これこそ、上手に描けています。長いまつげに縁取られて、瞳はきらきらとして…
小さく微笑むつやつやした唇など、年頃の少女のそのままですよ。可愛らしい。
とてもこれが兄さんとは思えません、
…もしかしたら…これはスケッチと言うより
カールの理想を少なからず反映した、何と言うか
その―――いわゆる二次的な―――創作といったような―――
いいえ、もうやめましょう。それよりその、もう一枚持っておいでの>>78…
ああ、それは写真ですか。成る程、
>そっちの可愛い姿のほうが、ある意味よほど屈辱的にも取れる気が…。
それはこれのことを仰っているんですね?そうそう、
仰る通りですよ。あまり可愛らしいからといって…むやみに手を伸ばしたり
餌付けたりしようとすると、やはり危ない。ほら、
>>20さんが持って来て下さったあのお話と同じです。
>院生「だから〜人間も動物も同じなわけ
都合のいいように期待してると心に傷を受けるって事」
動物はいくら懐けたって、
いつでもこちらの思うようにしてくれるわけではないでしょう?けれど
彼らが悪いわけでは、決してないのです。ほら、
兄さんのその写真>>78にしても、そうに違いありません。…ご覧なさい、
毛がふさふさとして、いかにも柔らかそうです。瞳などつぶらで可愛らしい。
けれど―――よく見てごらんなさい、彼が手に持っている丸い…
鋭い爪が食い込んで、彼は今にも噛りつこうと牙を剥いている。
このつぶらな瞳だって…瞠目したまま獲物をしっかと見つめて、離そうとしません。
だからといって、そういった見た目とのギャップがいいのだとか
却っていじらしいとか、都合よく評価してしきりに可愛がっていると…
いつ爪や牙を立てられるか判りません。本当にかわいらしいあらいぐまにも、
彼なりのプライドがあるのかも…しれないじゃあないですか。
もし手のひらを引っかかれても、指に噛みつかれても
それはあらいぐまの彼にしてみれば、すべて
彼のプライドを傷つけた僕らの所為、なのですからね。あなたも気をつけて。
- 118 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/05/17(土) 03:16:12
- そうだ、そういえば…せっかく涼しい格好でいますから、先ほど
シャトーの入り口の辺りまで風に当たりに出たのです。そうしたらね、
いいものを見つけましたよ。
>>103
>バナーに笑ったw
きっとあなたの仰る、それの事ですね…やあ、お可愛らしいあるじの絵が
こちらを見て笑っているじゃあないですか。ついさっきまで眠っていたような、
腫れぼったい瞳で…本当に、よく描けています。
カールといい、あれを描いて下さったかたといい…ここには
器用なかたが沢山おいでなのですね?いいものを見せて貰ってばかりだ。
ああしてすてきな入り口を設えて下さったかたには、お礼を言わないといけません。
こんな所からで申し訳ないんですけれど…ぼくからもお礼を言います。
今回は勿体ないくらいのお気遣いを頂いて、本当にありがとうございました。
- 119 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/05/17(土) 03:17:02
- >>98
>あのね、もんもんと声がそっくりなやさしいおじちゃんに会ったの。
>もんもんのお誕生日いつかわかんないから今日お祝いするね。
そうですか…彼に会いましたか。…はは、いいえ、
その人がどこのどなたか、知っているわけではないのですけれどね?
イチゴの飴を?それは良かったですねえ…
おやおや、くれるのですか?僕のお誕生日のプレゼントに?
…ありがとう。カールも喜ぶでしょう。
ああ、御免なさい、本当に嬉しいのですよ?ただ、慣れないものですから―――
これまで出会ったかたには、「ねえあなたお誕生日はいつなの」そう聞かれる前に…
みんな、もう会えなくなってしまったものですから。
はは…、いいえ。僕は決してかわいそうではないのですよ?
そんな事ですから僕は、いつが自分のお誕生日なのか忘れてしまっただけなのです。
それじゃあ僕は…お歌や飴を貰ったお礼に、君に何をあげようかな。
僕はカールみたいに、上手に絵を描いたりは出来ませんから…そうだ、
ほら、先ほどグレゴリー兄さんが君に絵本を渡しましたね?
何の本だったのですか…
>>73
>「100まんかい生きたねこ」絵本です。
ああ。これですか―――懐かしい…ええ、いいお話です。読んだ事は?
そうですか。では僕がこの声で、読んで差し上げます…さあ、おいでなさい。
ええ、いいのですよ。ここへ。こうすれば、ちゃんと君にも挿絵が見えます。
「100万年も死なない、 ねこがいました。
100万人の人が、そのねこを可愛がり
100万人の 人が、そのねこが死んだとき、泣きました。
ねこは、1回も泣きませんでした。
ねこは誰よりも、自分が好きだったのです―――
―――くす、おやおや、この猫はまるで…
いいえ、何でもないのですよ。さあ、続きを読みましょうね。
- 120 名前:名無し客:2008/05/24(土) 13:47:20
- 蒸し暑い季節が近づいてますね
- 121 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/27(火) 22:10:16
- >>120
>蒸し暑い季節が近づいてますね
―――成程…高温多湿の東洋に生きる、君たちにはつらい季節だろう。
湿気のないフランスの初夏はひどく過ごしやすいものだ。
路地やメトロの雑踏をゆく人々の装いからは、徐々に暗色の外套が消えはじめる。
六月を迎えれば学生はバカロレア(高校卒業資格試験)に向けて勉学にいそしみ、
小売業は政府主導のもと、一斉に大規模なソルド(安売り)を始める。―――それは夏の到来だ。
そして本格的に暑い日々がやってくる頃には、地元の者はバカンスと称して長期に旅行へと
出ている事が多く、その閑散とした街並みを埋めるかのように今度は諸外国から
観光客が訪れる。
…かくいうボルドーも観光都市だ。
ときには一本のボトルを手に『にぎやかな少女と風采の上がらぬ事件記者』といった
奇妙な来客がシャトーを訪れる事も、この季節にはしばしばあるようだな。
>>112
>…破綻させられた小夜嬢も似た意味でかんかんになったわけだが。
―――小夜…美しい瞳だ。
あの怒りに満ちた、美しい瞳の光を奪うのはじつに残念…。
…などと嘯いたところで現実には邪魔が入った。追いかけても良かったが
ディーヴァがそれを望まなかった。
彼女は寂しく微笑し、ただこのように呟いたのみだ。
『もういいよ。ぼくには、この子たちがいるからね…』
日のあたる場所でまっすぐに育った苗は、怒るとき瞳を燃え上がらせ
揺らぐときに悲痛な声を洩らし、哀しみの際はそのままに涙を浮かべる。
陽光を与えられずに育った苗は、怒るとき背を向けて言葉を凍らせ
揺らぐときには声をたてずただ部屋を荒し、哀しみの際には口元に笑みを浮かべる。
………感情とは知らず知らずのうちに、周囲から学んでおのれの身につけるものだ。
薔薇の苗が降りそそぐ雨や陽光を、みずからの滋養として吸収するようにな。
得られなかった日陰の薔薇は…そうした『つねに変わらない、素直でまっすぐ』な
日向の薔薇を、愛しつつも同時に激しく憎む。―――そうした事もあるのだろう。
- 122 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/05/27(火) 22:14:46
- >>113
>何故、ハジの手は異形化したままなのでしょう
―――我々ディーヴァのシュヴァリエとは異なり、小夜のシュヴァリエである事は
想像以上に禁忌や制約が多いものとみえる。君もそう思わないかね?
たとえば血を飲む事に関する禁忌。
小夜の心は人間に寄り添い、生き続けようとする。
あろうことか帰るべき場所がそこにあるかのように、それを護ろうとまでしさえする。
小夜という『人間に固執する女王』のシュヴァリエの姿が、翼と腕以外は極力人間の
かたちをとどめている…という現象も、この私にはひどく興味深い事実だ。
「翼手の女王の意志は、すべてにおいて優先される」
という、ひとつの具体的な事例なのかもしれんな。
…ふむ。ハジの腕は、昔は違っていたはずだったな?
成程、ベトナム以来か。あの時代の小夜がどのようにして目覚めたのか、
その経緯についてはMr,コリンズがわが陣営に与した際に、もたらされた情報に
よってひととおりは聞き及んでいる。
一つに、おのれのあるじと相対した心理的衝撃がよほど大きかったと思われる事。
あるいは赤い盾の要請により小夜に血を与え、結果彼女を狂わせてしまった…という
自責の念が考えられる。
本来シュヴァリエの最優先すべき仕事は、あるじの穏やかな眠りを何事もなく護り切り
そのすこやかな目覚めを待つことだ。それを人間の都合によりシュヴァリエみずから破る。
それはシュヴァリエとして『道を外れる行為』に他ならぬのではないのかね?
だからこそ、それ以降は赤い盾とは訣別してひとり行方を晦まし、あるじたる小夜が
嫌悪する異形を、おのれの腕に贖罪として残し続ける―――まるで消せぬ刻印のようにな。
この私アンシェル=ゴールドスミスにとって、人間は駆り立てる獲物であると同時に
排除すべき敵だ。だからこそ私の目にハジの異形は、そうした意味に映るが……。
実際のところ、真実は本人しか知らんのだろう。機会があればぜひ耳にしたいものではあるが。
>>114
>五月病でなんかヤル気がおきません…。
―――それはいかんな。私が君に良い薬を処方してやろう。
おや…この私のひどく嬉しそうな微笑が気にかかるかね?安心したまえ、害はない。
害はないどころか、この注射を受けたときから君のからだは活力に満ちあふれ…
銃弾を受けても死なず、暑さ寒さに体調を壊す事もなく……すばらしい未来が待ち受けている。
この配合を実際に試すのはロシアのシベリア鉄道以来でな。じつに興味ぶかい。
五月病で意気消沈した人間に対し、このアンプルがどのような結果をもたらすかについて…
じつは私はいまだ具体的な症例を得てはおらんのだよ。君が協力してくれるのならば有難い!
真実の探求者の『心の友』にして、犠牲的精神の豊かな愛すべき君。
では……行こうか?
ふむ……逃げられたか。残念だ。
活力が生れぬときには、あえて生命の危機に相対してみるのも一興だ。
おのれでも思ってみなかったほどの気力が、次の瞬間沸き起こる事もある。
…無論これは後からつけた理由だがね。問いを試す機会を失って、私はじつに残念だよ。
医者を志したソロモンならばともかく…最初に出会ったのがこの私で、君も災難だったな。
ではまたいずれ。人間の諸君はおだやかに休みたまえ。
- 123 名前:名無し客:2008/05/28(水) 22:36:11
- >>119
ソロモンへ
「100万回生きたぬこ」 読んだ
。 。 + ヽヽ
゜ 。・ 。 +゜ 。・゚ (;゚`Дフ。ウワァァァン
ノ( /
/ >
- 124 名前:名無し客:2008/05/29(木) 07:52:41
- アンシェルはディーヴァに擬態できるけど、シュヴァリエ全員がディーヴァに擬態できるの?
誰かに擬態する事はその記憶も共有できるとか赤い盾本部でリクの塩基について触れてたけど、
本当は全員、ディーヴァが小夜と仲直りしたいって知ってたんじゃないの?
- 125 名前:名無し客:2008/05/29(木) 09:58:06
- なぜ、血を分けた姉妹同士で殺しあわねばならないんだ!
- 126 名前:名無し客:2008/05/29(木) 11:30:21
- 「君達は昔からの伝え通り、赤の他人より厄介な間柄だった!」―「オルフィ公爵婦人」より
ここではお互いが「天敵」だったのが発端だが。
- 127 名前:名無し客:2008/05/29(木) 20:01:38
- 「ディーヴァのケーキ美味しそう、そっちもいいな」
「あら、姉さまのもイチゴがとっても美味しそうよ?」
「……」
「……」
「半分こ?」
「半分こ♪」
姉妹喧嘩にもならないこんな微笑ましい展開も望めたのかアンシェル&ジョエル
- 128 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:31:56
- こんばんは!
「次回必ず」と言っておきながら遅くなってしまったね。申し訳ない。
早速ご挨拶に廻らせていただこう。
>前466
>世界で一番守りたいものは?
一番、というならば僕のディーヴァを。
僕は彼女の歌を、彼女の微笑を、彼女の眠りを守護するために存在しているのだから。
特にディーヴァが僕に微笑んでくれる、あのほんの一瞬を、世界の全てを
引き換えにしてでも守りたい。ディーヴァが僕を見つめてくれる時間が
わずかにでも長くなるのなら、どんなことでもするだろう。
たとえば
「――あの子が欲しいの」
と、ディーヴァが僕にねだってくれたとするだろう?
愛しいディーヴァがおねだりを言ってくれたんだ。
アンシェルや他の兄弟でも誰でもなく、この僕だけにね。
たとえ大地が裂け空が落ちてきたとしても、僕は命を懸けて
ディーヴァの望みを叶えずにはいられない。
僕はうきうきと彼女を背に乗せて、どこにでも行き、なんだってする。
たとえディーヴァに望まれているのが、僕ではなく「あの子」だったとしてもね。
- 129 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:32:23
- >前549
>アンシェルのまつげが後半突然なくなったのはなんで?
フッ……。お客人方が疑問に思うのももっともだ。僕がお答えしよう。
カツラ物語に続いて君達に贈る「アンシェルのまつげ物語」だ!
もうかなり昔のことになるが―――っとアンシェル、なんの用だ>>104
僕はこの通り、お客人と語らっている最中だ。邪魔をしないでもらおう。
僕の話が世迷言だと?馬鹿を言うな。
>カール、いとしい弟よ。お前に必要なのはしばしの休息だ。
いらん!!
こんなことをしていたら私の小夜がジェイムズに――じゃなくて、
大切なお客人が退屈してしまうじゃないか。
……おい、やめろ!離せ!
ひとの口の中に大量の飴をつっこもうとするな!――ムグッ!
アライグマのくせに何が慰労だ、何が糖分補給だ!――モガッ!
せ、せめて包み紙くらいとってく――モガガッ!
もうしませ……やめてくだウグ………ごめ……なさ……モゴゴゴゴゴ……。
(すまない、お客人。消えたまつげのほかにも、アンシェルにまつわる
数々の物語があるのだが、それらを語るのは無理なようだ。
暴虐な男のために真実はいつも飴の中、いやちがう、闇の中というわけだよ)
――モガゴッ
- 130 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:32:46
- >前553
>小夜とハジはいつから両思いになったの?
――は?!それは一体、何の話だい?
良想い。良い想いか。
なるほど、女王に対するシュヴァリエの忠誠心だね。
僕もハジと戦ったが、物静かそうに見えて、彼はあれで「なかなかやる」シュヴァリエだったよ。
良い心根の従者と言えるだろう。
それとも量重いなのかい?小夜の体重のことだろうか。
たしかに小夜は大量の食事を食べるらしい。しかしハジにとって小夜の体重は
重くはないだろう。なにしろハジは僕らと同じシュヴァリエなのだからね。
たとえ小夜の体がアフリカ象と同じほどに重くてもなんのことはない……っと、
なにやら今、やけに冷ややかな視線を感じたぞ。
女性に対してこの手の話題は失礼なのだったか。
――話をごまかしているって?いいや、ごまかしてなどいないさ。
小夜とハジは主従の間柄であってだね、双方にそれ以上の感情など――ない!絶対にない!
自分の心をごまかしているって?――ううう。
それ以上はつっこまないでくれたまえ。日本の諺で、騎士の情けと言うじゃないか。
>>52
>もんもんもディーヴァたんとおうまさんごっこしたの?
ソロモンが>>69で言っているように、お馬さんごっこや鬼ごっこの
お相手をするのは僕のほうが多かったんじゃないかな。
他の兄弟の役どころは、たいてい遊びまわるあるじのお目付け役だったと思う。
なかでもソロモンは心憎いほど気を配る奴で、ディーヴァが
お遊びに飽きたところを見計らって、さりげなく飲み物の用意をしていたりするんだ。
ときには奴自身があるじの飲み物になるという光栄にあずかっていたけどね。
僕はソロモンのように気が回る性質ではなかったので、ディーヴァの言葉全てに
従うことで愛と忠誠を示した。
ディーヴァの命に従うこと、彼女の興をそがぬように振舞うこと。
それが僕の全てだったんだよ。
ディーヴァさえ僕を必要としてくれれば、僕はシュヴァリエでいられたんだ。
――実験台として選ばれただけのこの身でも、ね。
- 131 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:33:02
- >>70
>旅行に出かけるとします。どんな準備をしますか?
君も知っての通り、シュヴァリエの体はおそろしく丈夫だし、擬態も可能だ。
だから旅をするなら、この身ひとつあればいい。
我が次兄も旅に出るときは軽装だったろう?
準備などしなくても、なんとかなるものなんだ。
着替えなどは現地で購入できるしね。
その土地の服を買って身につけるのも一興というものだ。
食料も現地調達して、土地ごとに微妙に異なる味に舌鼓を打ったりして……。
――ああっと、失言してしまったね。
どうかその食料がなにかということは、深く考えないでおくれ。
君の住む街に、行くかもしれないということも。
>>71
>ねーもんもんの隣に座ってもいい?
やあ、ソロモンの隣に座ったりして、狭くなかったかい?
あいつは君に窮屈な思いをさせたりしてないだろうね。
――ソロモンはちゃんと座りやすいよう席を空けてくれたって?それはよかった。
>なんでみんなけんかするのかなぁ。私も悲しくなってきちゃった。
君は戦争が嫌いなんだね。……本当にね。どうしてみんな喧嘩するんだろう。
僕は人のことなど言えないのだけど。
……きっと喧嘩する人たちは、それに何か意味があると思っているんだよ。
そして喧嘩に勝てば、いいことがあるに違いないと考えてるんだ。
小夜やハジと戦うことで、良いシュヴァリエだと誉めてもらえると思った僕みたいに。
- 132 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:34:17
- >>83
>カールが描いた絵のほうがアンシェルに似てるよ。
至言だ!君は絵心があるのだね。
だが>>77の絵は、小さくて肝心の部分が見えてないんだ。
それで、かえってわかりにくいかもしれないがその部分を拡大してご覧に入れよう。
──==・==── ──==・==──
′′` ′′`
目の下の点々が見えるかい?奴のトレードマークだよ。
ところで君は知っているだろうか。アンシェルはリーザに擬態している時でさえ、
あの下まつげを生やしているんだよ!
それほどまでにあの男は下まつげに愛着があるのだね。
きっと髪の毛の代わりに、毎日クシでといているに違いないよ!
奴の部屋にクシがあるからおかしいと思っていたんだ。必要なさそうな頭なのに。
- 133 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:34:34
- >>98
>二つあるからもんもんとカールたんにあげる。
御礼が遅くなってしまったね。イチゴのアメをありがとう!
>>104でアンシェルが僕の口に無理矢理に詰め込んだ飴と違って、なんて美味なことか!
不当な暴力の後では、君の優しさが一層、身に沁みるよ。
ところで君は可愛い声でソロモンに『Happy Birthday to You』を歌っていたね。
ソロモンがモーツァルトのレクイエムをピアノで弾いていたから>>65>>69、
それをかき消すくらいに大きな声で一緒に歌おう。
ソロモンの演奏を邪魔してはいけないって?
でもあれはラクリモサ、涙ぐんで歌う歌だとも聞く。綺麗な曲だが、
あいつには辛気臭すぎる。
ソロモンには能天気なほどに楽しい歌が似合うだろう?
――ああ、ほら、ソロモンのラクリモサがまた聞こえてきた。
♪……qua resurget ex favilla…… 罪ある人が裁きを受けるため
あいつに罪があっても、罰は僕に回せばいいさ。僕もはなから罪びとだ。
でもあいつは許されていい。
ここだけの話だが、僕は心配ばかりかけてきたからその侘びだ。
ソロモンには後で言いたいだけ文句を言って、恩に着せてやるけどね。
あいつのニヤニヤ笑いは癇にさわるが、沈んだ顔はもっと腹立たしいのだよ。
奴はいつだってキンキラして、ヘラリと笑っているがいいのさ。
さあ、君。
一緒に精一杯の大声で、誕生日の歌を歌ってやろう。ラクリモサを邪魔してやろう。
僕が来るのが遅れたので時期を外してしまったし、ソロモンの誕生日がいつだか
正直忘れてしまったのだが、かまわないさ。
毎日耳元で「ハッピーバースデイ!」と歌ってやればいい。
そのうち本当の誕生日に当たるだろうし、あいつもヘラリと苦笑しっぱなしだろうから。
- 134 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:34:53
- >>103
>バナーに笑ったw
ああ!実に可愛らしく洒落た絵を飾ってもらっていたね!
僕も見た時は驚愕したよ。長生きはするものだと思ったね。
麗しの彼女を見つめているとなんとなく「ゆっくりしておいきなさい」と
語りかけられているような気さえした。(君はそう思わなかったかい?)
画家とはたいしたものなのだね。実に見事なものだった。
お礼に素晴らしき画家殿をダンスにお誘いしたいものだ。
人間のパートナーでは到底不可能な躍動感溢れるワルツを是非ご一緒に。
そしてお客人方にも――。
あの絵はお客人方が遊びに来てくれて場所が埋まったから描いてもらえたのだそうだよ。
動物園の隅にいる僕からもお礼を言わせてもらうよ。画家殿、お客人の皆さん、ありがとう。
そして申し込んでくれたアンシェルと、この動物園の仲間の皆にもいつにも増して感謝を。
(たまのことだしね!)
>>108
>やっぱベッドの上よりも棺桶の中の方がよく寝付けますか?
アンシェルも言っているが、実は僕達シュヴァリエには眠りはないんだ。
だからどちらでも寝つけはしないのだけど、棺桶とは面白いね。
長く生きてきたが、棺桶で眠った経験はないな。
人間だった頃にベッドで眠ったことならあるのだけど。
僕は小夜の血によって死んだ身であるのだが――、その時も棺桶は
必要なかったよ。なぜなら結晶化して砕け散ってしまったからだ。
棺桶に入れる体がなくなってしまったのだね。
ベッドも棺桶も、君達人間のためのものだ。
僕らは使わないけれど、この屋敷にもお客人や人間の仲間のためにちゃんと用意してあるんだよ。
君が疲れた体を横たえて安らかな一夜を過ごすためのベッドと、
そのうなじに僕らの接吻を受けて永遠に目覚めぬ眠りについたときのための柩が。
- 135 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:35:08
- >>112
>周囲との関係をいいも悪いも破綻させられた小夜嬢
なるほど。君は小夜の事をよく知っているのだね。
しかし人間の中に彼女の真の居場所など作れるものだろうか。
小夜は翼手の女王なのだよ?
シュヴァリエよりも更にヒトから遠い存在である小夜が、
人間と交流しようとする方が誤りだと、君は考えないのかい?
小夜の家族であり、仲間であるのは人間じゃない、翼手なのだ。
その同属からも孤立し、人間の中にもいられるはずのない僕と小夜。
僕達は誰からも望まれぬもの同士、わかりあえるはずだったんだ。
だから僕は小夜と二人だけの世界へ行こうとしたのだが――小夜はそれを拒み、
僕はひとりで死んだ。
僕は、なにを、間違えたのだろうね。
- 136 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:36:03
- >>113
>何故、ハジの手は異形化したままなのでしょう
ところで僕は疑問なのだが、あのハジの右手は本物の彼の手なのかい?
翼種化した手によく似た義手を、偶然どこかで手に入れたなんてことはないのかい?
――ありえない?
そんなことはないさ。この世に翼手なんてものが存在しているんだ。
世の中はこれで意外と「なんだって有り」なのだよ。
彼の右手は、かつての僕が使っていたのと同じような、よく動くが
形を変えられない義手だったかもしれない。
だとしたら異形化したままなのも説明がつくだろう?
おや、まだ納得いかないという顔だね。――よろしい。どういう経緯ならそうなるか、
僕が想像してみようじゃないか。
30年前、ベトナムの小さな村でハジは小夜に右手を斬り落とされたそうだね。
そしてあるじを置いて、赤い盾とも連絡を絶ち、行方をくらましてしまった。
その時、彼は斬り落とされた右手も置いてきてしまったのさ。
無理もない。唯一無二のあるじから離れようとするハジの胸の内は、
右手どころじゃなかったろう。
(しかし長年の習慣で、チェロケースだけは持っていったのだな)
しかしすぐに、ハジは不自由することになった。右手がなければチェロも弾けないからだ。
言葉を話すよりもチェロの音色で話すような彼には辛いことだったろうね。
だからなんとかしようとしたはずだ。
どれほど平和的に生きていても、長く生きていれば薄暗い裏の世界のことにも
少しは通じるようになるものだ。混迷が続く猥雑なアジアの街の裏通りの、
いかがわしげな店を知っていたりね。ハジが義手を求めて扉を叩いたのも、
そういった店のひとつだったかもしれない。
暗く、狭く、かび臭く、ガラクタとしか思えない物体がひしめき合っている店内の、
カウンターの向こうにいるのは目だけを油断なく光らせている、一見、
風采の上がらない小男だ。そんな怪しげな店にえらく場違いな男が入って来る。
――ハジだ。
彼は黒ずくめの服の背中に棺桶のような奇妙な箱を背負い、
その月光を集めて形作ったごとくの白皙は、食わせ者の店主さえ、一瞬、見とれさせただろう。
金次第では聖骸布から核ミサイルまでそろえようという店主に、
ハジはひとこと「手が欲しい」とだけ呟く。きっと癒えることのない悲しみと
後悔に満ちた声だったろう。だが客の懐具合は気にしても、悲嘆などに
共感したことのない店主はさっさと言われたものをカウンターの上に並べてみせるのだね。
「これはどうだい?忙しいときにはレンタルしたい『猫の手』だ」
肉球をつつくと気持ちがいいんだぜ、と店主は言うがハジは首を横に振るんだ。
『犬の手』ならハジも興味を引かれたかもしれない。しかし猫と違って、犬は前足と
呼ばれるのが一般的なんだ。残念ながら。
遺憾を示してうつむくハジを無視して、店主は陽気な声で次に出した商品の
説明を始めただろう。(関係ないが彼の頭文字はK.Yだ)
「これなら気にいるだろう。気持ちいい上に役に立つ、お年寄りにも人気の『孫の手』だ!」
目の前に置かれた、平べったくなった先がゆるくカーブした棒をハジはじっと見つめる。
その目に宿りはじめた殺気に、さすがの店主も気がついて慌てて言っただろう。
「ああ、お客さん!そういえば珍しい手が入荷していたんだよ。これはどうだね?」
化け物か悪魔の手かはわからないがと言いながら、店主は『それ』を
カウンターの下から取り出してハジに見せる。
『それ』は形状は獣じみていたが、人間の手にもよく似ている。
だがどう見てもヒトのものではあり得ないんだ。
赤黒く硬い皮膚
奇怪に伸びた鋭い鉤爪
手首からスパリと斬り落とされた『右手』だ。
それを凝視するハジに店主が続けて言うんだ。
「ベトナムからの品だよ。村中の人間が虐殺された村で見つけたそうだ。
こいつがやったのかね」
――こうしてハジはその店で、思うままチェロを奏でられる右手を手に入れることができた。
店主も陰気で美しいがうろんな客を平和裡に追い払うことができて満足した。
得意先にまわすつもりだった珍品を思わぬ相手に売ってしまったが。
……おや?
ハジが義手を手に入れる話だったはずなのに、いつのまにか彼が右手を
取り戻す話に変わってしまったね。
まあいい。こんな話があってもいいだろう?――ご承知の通り、全くのでまかせだけど。
- 137 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/05/31(土) 23:36:49
- >>114
>五月病でなんかヤル気がおきません…。
それはいけないね。季節の移り変わりが人間の体に影響を及ぼすのだろうか。
次兄に滋養のつく食べ物か、栄養ドリンクでも用意してもらうかい?
体を動かすのも自律神経を整えるのに効果的だろう。
次兄がそろそろ畑仕事をはじめるかもしれない。
そうしたら君も一緒にやらせてもらうといいよ。
土いじりは君に活力と快適な睡眠を与えてくれるだろう。
成果が実った時は美味しい食べ物もね。
君は人間だから野外に出るときは紫外線に気をつけねばなるまいね。
次兄も北国出身で色素が薄いお人だからね。
シュヴァリエとはいえ、僕のような南国育ちとは違うだろう。
揃いのつば広の帽子を用意するよ。
もう五月は終わってしまうが、これからの陽射しの強い季節を君達が
すこしでも健やかに過ごせるように。
今夜はここまでで、一旦帰らせてもらうよ。
人間の皆さん、おやすみなさい。
- 138 名前:名無し客:2008/05/31(土) 23:48:09
- あ、カールが来てた!
- 139 名前:名無し客:2008/06/04(水) 21:52:24
- 理解など概ね願望に基づくものだ。
- 140 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/06/07(土) 23:05:04
- こんばんは!
>前554
>好きな人のことを思い浮かべながら惚気てください
惚気る?
そ、それは小夜のことを語ればいいのだろうか?
小夜――!
ああ、彼女こそは僕の女神!
ディーヴァと等しく、世に混沌と破壊をもたらす存在だよ。
人であろうと獣であろうとその境なく、殺し尽くすその姿は何よりも美しかった。
そして僕と彼女の燃え上がる恋心は……
……え?
僕が何をどうしようと、燃え上がるのは小夜とハジとの恋だって?
そうでなければソロモンのはず……って、君は何を言っているんだい?
ハジもソロモンもお呼びじゃないんだよ。
彼らは不燃物だからね。
燃え上がっていいのは僕と小夜だけ!
- 141 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/06/07(土) 23:05:36
- >>120
>蒸し暑い季節が近づいてますね
君が住んでいるところはそうなのかい?
ボルドーの6月はカラリと晴れる日が多い。気温も高くなっていくだろう。
ただ朝晩はまだまだ冷える。上着が必要だね。君達の体には。
6月のボルドーではぶどうの花が開花するんだよ。
この花は観賞には向かないが、香りが実に素晴らしい。
周囲をぶどう畑で囲まれたこの一帯も、じきに甘い香りに包まれることだろう。
そうしたら一緒に散歩に行こうか?
花の香りに酔っていれば、隣を歩く君の香りに誘惑されずに
すむかもしれないからね。
君の肌の下の、ワインよりも甘く芳醇なその香りに――。
>>123
>「100万回生きたぬこ」 読んだ
次兄がソロモンに読んでもらうと良いとお勧めした絵本のことだね。>>73
猫の話か。次兄は猫が好きだったのかな?
それともこの物語を気に入っているのだろうか。
ソロモンが朗読している声が聞こえるね。>>119
耳を済ませて一緒に聞いてみよう。
…………。
…………。
この物語はどうとらえればいいのだろう?
僕なりの答えが見えたように思うのだが、上手く言葉にできない。
ただ印象に残ったのは、
「この猫にとって最たる不幸は自分の死ではないらしい」ということかな。
それが何故なのか、なんとなく僕にもわかるんだ。
100万回も死んで100万回も生きた猫と、老いることもなく死も遠い僕達は
どこか似たところがあるのかもしれないね。
- 142 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/06/07(土) 23:05:56
- >>124
>シュヴァリエ全員がディーヴァに擬態できるの?
おそらく可能なはずだ。
アンシェルにできるのならば、この僕にできないはずはない!
しかしディーヴァの姿をとるような変態趣味の持ち主はアンシェルだけだ。
我があるじの愛らしいお姿は、この目で見ることこそが至上の悦楽なのだよ。
自分が彼女の姿になっても楽しくない。わかるだろう?
>ディーヴァが小夜と仲直りしたいって知ってたんじゃないの?
ディーヴァは小夜と共に楽しく暮らすことを望んでおられたかもしれない。
だがそれだからこそ、人間のために自分を殺そうとする小夜を許せなかったのではないかな。
あるじは誇り高い方だ。
本当の妹である自分を、血のつながりもない人間より下に扱われて
怒らぬはずがあるまいよ。
>>125
>なぜ、血を分けた姉妹同士で殺しあわねばならないんだ!
本当に何故なのだろう。
思うに一方は人間に近すぎ、もう一方は遠すぎたためじゃないだろうか。
君は彼女達の和解を望んでくれていたのだね。
僕も姉妹が仲良くじゃれあっている光景を見たかったよ。
赤い薔薇と青い薔薇が揃って咲く楽園はどんなに美しかっただろう!
ああ、でも僕自身に限っては――
小夜とは和解よりも血塗られた絆で結ばれていたかったのだけどね。
- 143 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/06/07(土) 23:06:16
- >>127
>姉妹喧嘩にもならないこんな微笑ましい展開
フフフ……。
僕がもっと微笑ましい展開をお見せしよう。
「ディーヴァのアンシェル美味しそう、そっちもいいな」
「あら、姉さまのハジもとっても美味しそうよ?」
「……」
「……」
「半分こ?」
「半分こ♪」
頑張れ、ファーストシュヴァリエず!
女王の食欲に負けるな、ファーストシュヴァリエず!
君達が干からびた後のディーヴァと小夜の世話は任せてくれ!
ほらね、名無しさん。心温まる状況だろう?
…ああっ、でもよく考えると血を吸われる方が役得に思えてきたぞ。
だいいち僕の方が、仏頂面の彼らより美味しそうだよね?
性格だってまともだし。
>>138
>あ、カールが来てた!
君が来てくれた!
こんばんは。初夏のボルドーはお気に召したかな?
しかし名前というのはまるで呪文だね。
好きな人が呼んでくれるだけで、こんなにも幸福な気分になれるんだ。
もっとも小夜は僕の名を最期まで覚えてくれなくて、
ずっと「ファントム」と呼んでいたが。
でもそれで良かったと思うのだよ。
いかなる時も小夜の前では僕はファントムでいられる。
仮面をつけ、マントを羽織り、夜空を駆ける。
自由で、強靭で、謎めいた怪人。
けっして哀れな実験体などではなく――。
だから小夜にはファントムとだけ呼ばれて良かったんだ。少し寂しくはあっても。
本当の僕、「カール」は君が知ってくれているしね。
- 144 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/06/07(土) 23:06:43
- >>139
>理解など概ね願望に基づくものだ。
そうなのかい?
科学者ならば、君に同意するだろうか。探求的精神の塊である彼らは、
一度興味を持つとそれを理解し終えるまで、つつきまわさずにいられない。
この動物園にも数人の科学者が暮らしているね。
ミス・シルヴァスタインと長兄アンシェル、そして次兄グレゴリー・E・ラスプーチンが――。
そう、次兄も翼手の謎を解明しようとする科学者だったね。
彼も僕の肉体で数々の実験をした奴らの同業者だったんだ。
僕も日頃はそんなことは忘れてしまっているのだが。
それでも何かの折りに思い出すことはある。
いつかの夕方に、書庫にこもっている次兄にお茶を持って行った日にも――。
書庫には棚に収まりきらない本がたくさんあってね。
床だけじゃ足りずに、テーブルや椅子の上にも書物が積み上げられている。
そのためか彼は書架のハシゴに腰掛けて、膝の上に分厚い本を広げていた。
読むのに熱中していたらしく、僕が書庫の扉を開けたのにも気づかなかったようだ。
窓に射す夕日が逆光となって、均整の取れた長身をシルエットにして浮かび上がらせていた。
部屋の中にひそやかに漂うのは、やけに懐かしい古い紙とインクの匂いと
次兄が焚き染めている壇香の香り。
聞こえるのはページをめくるかすかな音だけ。
書庫の中は静謐と理知が支配する、次兄の世界だった。
遠慮知らずの僕も、フェルメールが描いたような情景を壊す気にはなれなくてね。
声をかけることもできずに、茶を載せた盆を捧げ持ったまま、戸口でみとれていたんだ。
でもずっとそうしているわけにもいかなくて、テーブルの上にお茶を
置いて出ていこうとした。それで卓上を片してカップの置く場所を作ろうとして、
たまたま本の山に紛れこんだ紙片を見つけたんだ。
書かれていた文字はロシア語のキリル文字だったが、断片的にわかる単語から
何の資料であるか察しがついた。
――帝政ロシア末期に行われた禁忌の実験
化け物をより効率良く生産するための――
茶色く変色した紙の上に、ディーヴァの血からいかにして翼手を作り出すか、
その研究の推移の断片が記されていた。
その時、今更ながらに思い知ったんだ。
次兄が長兄と同じ道を志した科学者であり、彼の研究がのちの薬害翼手や
シフの誕生にもつながったことを。僕のこの右手――いや、僕自身の存在にも。
音を立てないよう、最大限に注意しながら湯気の立つカップを置いた。
次兄に声をかけることはできなかった。それどころか、彼の座るハシゴに
目を向けることすら無理だった。――あまりにも怖くて。
この動物園で初めて次兄と会ったとき、彼は僕が名乗る前から「弟」と呼んでくれた。
名乗られずともひと目でわかったのだと。僕は舞い上がって、その言葉にすがりついた。
二番目の兄に受け入れてもらえて、嬉しかったのだよ。
――けれど次兄、あなたが僕を見分けたのは、研究者の鋭い観察眼で僕を
「実験対象」だと悟っただけではないのか?しょせん僕など実験動物でしかないと――。
わきあがる疑念に息が詰まりそうになった。
次兄が僕を実験台と見ていても、なんら不思議はないように思えた。
研究者として、彼は長兄の雛形なのだから。
次兄に直接、僕をどう思っているか尋ねてみたい欲求にかられた。
でも聞いたところで、どうなるものでもないことはわかりきっていた。
違うと言われれば嘘をついているのではと疑ってしまいそうだし、
その通りだと言われたら――どうすればいい?
ふと気づくと、ページをめくる音がまだ静かに続いていた。
胸中を乱した僕とは関係なく、次兄は変わらぬ落ち着きで読書を続けているらしかった。
僕はそっと書庫の扉を開けて抜け出した。扉が閉まる瞬間、次兄の姿を盗み見たが、
やはり逆光に邪魔されて表情は読み取れなかった。
部屋に僕がいたことに、次兄が気づいていたかどうかもわからない。
……ごめんよ。
何のオチもない、つまらぬ話を長々と聞かせてしまったね。
僕が次兄に茶を持って行き、黙って置いて出ただけのことだ。
馬鹿な弟がひとりで悩んでいただけでね。
僕も次兄も相変わらずの暮らしぶりで何も変わっていない。
心配しないでおくれ。
無駄話に付きあわせたお詫びにお茶をご馳走しよう。
ボルドーの夜はまだ冷えるから、温かい蜂蜜茶を淹れるよ。
ロシアではズビーチェニというそうだよ。次兄が教えてくれたんだ。
……次兄にも持っていこうかな。
きっとまた書庫で本の山に埋もれているだろうから。
ねえ、君。
次兄は僕を実験台として見ているかもしれないが、それでも僕は――。
だって僕も初めて会ったときにひと目でわかったんだよ。
ああ、この人は僕の兄だと。
- 145 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/06/07(土) 23:09:29
- 今夜はこれで失礼させていただくよ。
人間の皆さん、どうか良い夢を。
おやすみなさい。
- 146 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/06/07(土) 23:30:26
- 皆さん、お久しぶり。わたしのことなど、もう忘れられてしまったかしら?
書斎に篭っての書きものにも、少々くたびれたわね…
ねえ、そこの貴方>>114これから菜園でジャガイモの植え付けをしようと思うのだけど
よかったら手伝っていただけないかしら?眩しいお日様とさわやかな甘い大気のなかで
体を動かせば、きっと気分も良くなると思うの。大丈夫、何をすればいいか全部教えるから。
わたしは長兄やソロモンやカールとは違ってロシアの百姓、大地の子。農作業はお手の物よ。
>>前837
>薄いって言うなら色素が薄いんだよ。ソーニャもね。女の子の色白はいいよ。
まあ……ありがとう。わたしの金髪と白い肌を好いてくださっているのね?
昔、憧れの方に「ばら色のほお、みずみずしい肌」とほめていただいたことがある
のだけれど、同じくらい嬉しいわ。その方は――すらりと引き締まった手足に
まろやかな肢体、真珠の肌に珊瑚の唇を持つとても美しいひとなの。
――えっ、誰なのかって?いいわ、紹介してあげる。わたしのリーザお姉さま>>81を。
>>96
>不肖この僕が次兄の似顔絵を書いてきたよ。
……まあ!なんて素晴らしい、なんて可愛らしいのかしら!!
カール、これをお前が?ありがとう、愛してるわ!
(抱擁&接吻の嵐)
わたしの部屋は殺風景で、飾ってあるものといったら、お前に貰った家族の写真だけなの。
こんなに素敵な贈り物を貰えるなんて、感激だわ。これは額に入れて飾ることにする。
……カール、どうしたの黙ってしまって?照れなくてもいいじゃない、可愛い子ね。
- 147 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/06/07(土) 23:32:47
- 申し訳ない。お客人へのご挨拶をひとつ抜かしてしまっていたようだ。
>>126
>「君達は昔からの伝え通り、赤の他人より厄介な間柄だった!」
その台詞は兄弟姉妹の関係を皮肉ったものかい?
真実だね。他人でないからより一層、厄介だ。
小夜とディーヴァの姉妹だけじゃない。僕達をご覧よ。
アンシェルにグレゴリー、マルティンにソロモンに僕、そしてジェイムズにネイサン。
ディーヴァの血によって結ばれた僕達だが、内情はけっして一枚岩ではなかった。
複雑な感情がわだかまってもいた。
だがもしもまったくの他人であれば、知り合っても互いに気にもかけないか、
優しいだけの関係で終わったかもしれないんだ。
難しいものだね。
いっそ兄弟にならなければ良かったと思うかって?
――それがそう単純なものでもないから、余計に厄介なのだよ。
それでは今度こそ、おやすみなさい。
- 148 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/06/07(土) 23:37:46
- >>70
>旅行に出かけるとします どんな準備をしますか?
わたし一人ならカールの言うように>>131準備などなくとも、何とかなるものなの。
去年巡礼に出かけた時も、彼に呼び止められなければ何も持たずに旅立つつもりだった。
でも、もしも人間の貴方をシベリア踏破旅行にお連れするならば、必要なものは――
第一にソリ、第二に衣服、第三に食物。
冬、遥か地平線まで雪と氷で白く覆われるシベリアでは河も凍って、船どころの話
ではないわ。ましてや冬のシベリアで馬車なんて、長兄ったら信じられない!
覆いもない青天井の乗り物にディーヴァを乗せるなど、長兄にとっては考慮の外
だったのでしょうけれど……あの後、大分苦労されたはずよ。
一番下に着けるのは毛織の厚い襦袢。背筋が冷えるとたまらないものね。
肩には毛織の襟巻き。肩から寒さの入るのは我慢できないもの。
毛皮の外套。値が高いからと渋っては駄目、寒さがある度を越すと綿はほとんど効き目がないから。
頭には毛皮頭巾を被って、脳が凍りつかないようにね!風から耳を覆うのも忘れないで。
指の凍えるほど苦しいものはないから、毛皮の厚い手袋を。
足の冷えるのは辛いものよ、靴には特に気を使わなくては。熊の革の長靴などおすすめね。
食料品は、途中にろくなホテルもないから気を付けなくては。凍らせたスープ、肉、パンなど
(凍らないのはハードビスケットのような、水分を全く含まないものだけよ)を駅で
馬を取り替える時に温めて食べる。胃腸に自信のない人には辛いかもしれないわね。
――尻込みしてるのね。そんな大変な思いをしてまで行きたくないかしら?
でもね。見渡す限りの氷の野原。岩根こごしく雪をかぶった松の木の森、渓谷、奇岩。
山々にかこまれて静かに眠る大湖。夜空に踊るオーロラ。
天白く、地白く、馬白く、人白し……あの場に存在するのは、未だ人間に穢されていない
力強く無垢なる自然。今もなおわたしを惹きつけてやまない、母なる故郷――
- 149 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/06/07(土) 23:41:53
- ごめんなさい。カールの話がまだ終わっていなかったのに、割り込んでしまったわ。
なるべく近いうちに戻ってこられるように、頑張るわね。
それでは。
- 150 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/06/09(月) 01:36:09
- おや、ご機嫌よう―――外が暑くなってくると、どうしても
こうして屋根のある所に籠もって居たくなるものですから、いけませんね。
ええ、ご覧のとおりで…ピアノの稽古をしていました。
ここは風通しが良くて、居心地がいいのです。
>>44
>オオサカヲアンナイシテ
そのお医者さんには…泣いてくれる人がおいでだったのですね?
どんなに手段を選ばない遣り方をしても、親しい友人に対して素直でなくても
最後に、望んだものが手に入らなくても
彼が確かに生きていたことはいつまでも、その人が覚えている。
僕らには、お墓の前で泣く人の代わりに…僕らのした事が本当は何であったか、
一族で姿を消した経緯が本当はどうであったか、囁き交わして喜ぶ人や
彼らが囁く声と想像とで書いた本を出版して、お金を稼ぐ人が居ます。
僕らは、翼手という優れた種族としてではなく
あくまで世界を騒がせた人間の一族として、彼らの記憶に残るのですね。
僕らのような生き物は存在を気取られれば、たちまち
あらゆる目的で人間に利用されるでしょう。
もちろん―――ここに居る僕らは違います。人間は僕らを利用するつもりでも、
いつのまにか僕らに利用されている。
ただ、無垢でけがれないあるじのご息女たちは別です―――
僕らは未来永劫、彼女達を護り続けなければいけません。
ですから僕らは、決して気高い翼手として彼らの記憶に残らなくていい。
翼手としての僕らは、塵ひとつの証拠も残さず人間の前から消える。
すべて―――残された眷族のためです。
おとぎ話のように闇の中に生き続ける、
小夜と、あるじのご息女たちと―――彼女達を護るシュヴァリエの為です。
- 151 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/06/09(月) 01:39:35
- >>112
>助言するソロモンにまで「鬱陶しい!」と感じたのはそういうこと。
くす、…彼は昔から、ずっとああなのですよ。
お母さんに褒められたり、お嫁さんの顔を見たりすると嬉しくて
もう他の事など見えなくなってしまうのですね。僕は…そういう彼を
いつも目で追っていました。僕の言葉など耳に入らないと判っていながら
やめなさい、くれぐれも無茶はしないでと逐一声をかけてね。
けれど兄の助言を素直に聞き入れる弟なんて、そう居ないでしょう?
兄の言う事なんていつも偉そうで鬱陶しい、そういうものです。
兄弟に対して従順過ぎるなんて、却って気持ちがわるい…彼ならそう言うでしょうね?
ただ彼にとって、僕の言葉は助言と言うより
無理強いだとか…時には脅しているように聞こえたかも知れません。実のところ、
彼に無茶をさせない為に脅かした事はあります
「アンシェル兄さんが知ったら、何て言うでしょうね」
自分でも、えげつない脅迫だと思います。無理強いだってした事がある、
ずっと昔、彼が僕らの兄弟になる時に―――こんな事ですから、彼は
余計に僕の言うことなど…聞かないのでしょうね。
あの時も、僕がやめなさいと言って済むものならそうしていました
ただ小夜を死なせる訳にはいかなかった、
あの時ばかりは…口よりも先に、手が出ました―――彼と彼女の両方を救ける手段なんて
あの状態を目にして、俄かには思いつかなかった―――ああ
カール、かわいそうなカール
彼はただ孤独だっただけなのに…僕はそれにすら気がつかなかった。
あの時、人間の兄弟がけんかするように
振り上げた僕の手がただ彼の頬を叩いて、その後
痛かったでしょう僕が悪かったと、彼を抱きしめて済むものなら…余程良かったのに。
それから…何ですって?
>君らの所業のために完成しかけていた周囲との関係を
>いいも悪いも破綻させられた小夜嬢
その直接の犯人が…彼女の耳もとに囁きかけた兄さんであり、僕なのですね。
けれど僕らは彼女に、真実はこうだと教えただけだったのですよ。
人間に懐けられてしまった彼女の病巣を、取り除いて差し上げるつもりだった。
だって…そうでしょう、彼女は翼手の女王なのですよ。
いくら人間でありたいと望んでも…彼女は人間にはなれないのですから。
彼女には、彼女と生き写しの美しい妹と誇り高いシュヴァリエが
永遠に近い時を共に生きるための家族が、居た筈なんですから。
小夜はいま彼女を知る人間が死に絶えたあとも、生き続けるのですよ。
冷たい月明かりの下を、あるいは音もない一面の雪原を
僅かに残された眷族と、過去を背負って歩き続けるのですよ。
…僕らは間違っていたのでしょうか?小夜、
僕にはいまも判りません。ただ貴女が心から大切だった。今でも愛しています。
愛しています…小夜。
- 152 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/06/09(月) 01:43:00
- …ああ、御免なさい―――こんなお話ばかり。
先ほどから、どこかからあんなに楽しそうな歌声が聞こえるのに。
誰が歌っているんでしょう?やあ、カールとご来客の少女かな>>133。
くす、元気のいいことです。…おやおや、この歌は僕のための歌のようだと仰る?
ああ、はは…参ったな。僕も、彼らを見習わなくてはいけませんね?
やっぱりお屋敷の中に居て、こんな曲ばかり弾いていたのでは…
何だか調子が出ないみたいだ。
>>120
>蒸し暑い季節が近づいてますね
ええ、もう随分日差しが強くなりました。
けれどあなたがた、大変ですねえ?毎日のように雨に降られていたのでは、
僕の頭は大変だ。なぜって…はは、ただでさえこの髪はあちこちに撥ねて
それは据わりが悪いのですから、ね?
ではここは、あなたがお住まいの所と比べて幾分居心地が好いでしょう。
せっかく居心地のいいところへおいでなのですから、そうだ
一緒に外へ出ましょうか。もうすぐ日も傾きます…
夜になれば、涼しい風だって吹きます。前庭を歩きながら、皆さんでお話をしましょう。
>>114
>五月病でなんかヤル気がおきません…。
おやおや、危ない―――君、どうしました…つい先ほどまでげんなりとしていたのに、
血相を変えて走ったりして。さあ、落ち着いて。
―――はは、アンシェル兄さんが怖い>>122なんて、いつもの事でしょう。けれど
良かったじゃあないですか、いまの君には
血相を変えて走るだけの元気があるんですから…ああ、そうだ
いい事を教えてあげましょう。
アンシェル兄さんが君に仕掛けた悪戯のほかにも、元気が出る遣り方はあるのですよ。
ですから君、ソーニャ兄さんの所へ行って
彼…いえ彼女の綺麗な髪なり肌なり、褒めて差し上げなさい。
「貴女はまるで幼いキリストの小さな足をもてあそびながら、しどけない姿で
天使が読み聞かせる本に目を遣る、コレッジョの描いたマグダラのマリアだ」
そう言って褒めて差し上げるといい。彼―――いや彼女はとても喜んで、
君を抱き締めるでしょう。君の頬にキスをするでしょう。
そうすればこの季節の憂鬱さなんて、消し飛んでしまいますよ。
おや、ほら―――あちらで彼が君を呼んでおいでだ。
>>146
>ねえ、そこの貴方これから菜園でジャガイモの植え付けをしようと思うのだけど
>よかったら手伝っていただけないかしら?
良かったですねえ、丁度いい。さあ、行っておいでなさい。
- 153 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/06/09(月) 01:44:49
- >>70
>旅行に出かけるとします どんな準備をしますか?
旅行へですか?いいですね、どこへ行きましょう。
>>79さんの仰るアフリカへ?
いいですよ、けれど兄弟たちは口を揃えて言うでしょう、僕らと行っても
面白くありませんよと…けれどあなたがそう望むのであれば、
アフリカ行きのチャーターフライトの手配をさせましょう。
それとも、ロサンゼルスの大きな遊園地へ?
では敷地内のホテルに、お部屋を用意させましょう。
兄弟やあるじとどこかへ行く時、こういう準備は殆どが僕の仕事でしたからお手のものです
あなたの行きたい所がどこでも、不自由はさせませんよ。
ひとりでどこかへ行く時は…そうだな、
これまでそういう機会にあまり恵まれませんでしたから、何とも。
遊びに出かけようと思っても、忙しくてね…ヴァンに言わせれば、僕の時間は貴重で
この身体は、僕ひとりの身体ではなかったんだそうですからね?
けれどここでは違う、ゆっくりと流れる時間は全て、訪れる人のものです。
どこかへ行きたいと思えば、僕はどこへでも行ける―――
都会で人間の真似事ばかりしていたのではあなた、得られないものですよ。
もしひとりでどこかへ行くなら、準備なんてしないで
思い立った時に、行きたいところへ…ふらふらと足を向けるんでしょうね。
>>108
>やっぱベッドの上よりも棺桶の中の方がよく寝付けますか?
はは、棺の中に横たわって眠れるものなら…僕もそうしますけれどね?
翼手の眷族の中で、眠るのは女王だけだ…彼女達は
眠たければどこででも、眠っておしまいです。
揺れる馬車の中でも冷たい石の床の上でも、風が吹きつける高層ビルのバルコニーでも。
それこそ棺の中ででも、すやすや眠ってしまうのでしょうね?
おとぎ話の、吸血鬼といういきものは…眠っているあいだに
うっかり陽の光を浴びると、火傷をしてしまいます。だから棺の中に横たわって、
しっかり蓋を閉めて眠るのですね。
けれど僕らは、あるじをそんな狭苦しい所で眠らせようとは思いませんよ。
彼女はその点、吸血鬼とはちがうのですからね。
休眠のあいだ、やむなく搬送用のコンテナで過ごして貰うときも
冷暖房と除加湿装置は完備する。彼女に、いい夢を見てもらうためです。
シャトーの地下室だって、夏は涼しいし冬は暖かい。
女王の繭を安置するのには、ちょうど好い環境なのですよ。
そんな事ですから…女王の寝床には、
もちろん堅い木材の棺より先に、柔らかいシルクのベッドを用意します。
だって考えてもご覧なさい、せっかくの清々しい朝に
彼女が真っ黒い棺の蓋を開けて這い出してくるより
ふかふかのベッドの上で気持ち良さそうに伸びをして、可愛らしくニッコリ笑うほうが
ああこの少女が目覚めるのを一晩待っていて良かった、と
僕らにはそう思えるのですよ。
…さあ、今日も女王の居ない夜が来ます。
今夜は何をして過ごそうかな―――そうは言っても、ここでは
いつもあの兄弟たちが一緒ですから…くす、あまり退屈はしないのですけれどね?
- 154 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/06/09(月) 01:46:34
- >>123
>ソロモンへ 「100万回生きたぬこ」 読んだ
いいお話だったでしょう―――おやおや、泣かないで…
あなたお優しいのですね?絵本を読んで涙を流すなんて。さあ、涙を拭いて。
僕もね、先ほどご来客の少女に読んで聞かせて差し上げたのです。…おや、
カールと一緒に僕の声を聞いた?>>141それはお恥ずかしい。
カールは変な顔をしていませんでしたか?…いえね、
僕は読むときに、何度も喉を詰まらせてしまって…その度に、ご来客の彼女が
僕の顔を不思議そうに見上げるものですから
何でもないのですよとにっこり笑うのに、一生懸命だったのです。
だってやるせないではありませんか―――
いつも自分が何であるか、それだけを誇ってきた主人公の猫さんが
やっと世界で一番大切なものが何か気がついたのに
幸せであることが、永遠である事とは違うと気がついたのに
その時にはもう、彼の愛するめす猫は彼の傍にいなかった。
いちど誰かを愛する事を覚えてしまうと、そのひと無しでは生きる意味など見いだせない。
猫さんはそのとき、生まれて初めて、自分よりほかのもののために涙を流すのです―――
けれど彼は許されていた、
傍にいてもいいか、そう訊ねた猫さんに
めす猫さんは、いいよと答えたのですね。
猫さんは永遠の命を手放しました。彼女と一緒に行ってしまった。
…とても、子供向けの絵本とは思えません―――僕は…はは、お恥ずかしい、僕は
あの猫さんが羨ましくなってしまって―――はは、おかしなお話です。
―――ああ、…おや、御免なさい。思い出させてしまいましたね?
そんな顔をしないで。あなたのお部屋まで、送っていって差し上げましょう。
さあ、おやすみなさい。折角のいい夜です、楽しい夢を。
- 155 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:23:38
- あかるい広間に、おだやかな声が、流れている。
あれは初夏の陽気に袖を上げ、緑の前掛けに身を包んだソロモンが
幼い客人の顔を覗き込むようにして、グレゴリーの蔵書を読み聞かせているのだろう。
『100万人の人が、そのねこを可愛がり
100万人の 人が、そのねこが死んだとき、泣きました。
ねこは、1回も泣きませんでした。
ねこは誰よりも、自分が好きだったのです―――』
>>148
>天白く、地白く、馬白く、人白し……あの場に存在するのは、未だ人間に穢されていない
>力強く無垢なる自然。今もなおわたしを惹きつけてやまない、母なる故郷――
―――ロシア正教を奉ずる信徒はイコンと聖母、そしてなにより聖書の『死と復活』を重んじる。
彼らは神秘に額ずき、その奇跡に胸を高鳴らせ…そして厳粛に信じて待つのだそうだ。
長く人を寄せつけぬ雪と氷の山野が、時をへて一斉に生命の息吹をみせる、その短きロシアの春を。
大地の厳しき死と、やがて凌駕する復活の日を、まるで待ち望むかのように。
世の万人を裁くため、眼前に光かがやく天上の王国が降りてくる、
来たるべきその―――裁きの日を。
- 156 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:24:49
- >>123
>「100万回生きたぬこ」 読んだ
―――物語に涙するとは、なんとも感受性の豊かなお方だ。
私はもう…忘れてしまったがね。本心を無防備にさらけ出すことも、嘆きに頬を濡らす術もだ。
しかし心優しき君、留意したまえ。なまじ不用意におのれの感情を見せてしまえば
それだけ敵に足元をすくわれる危険も増す。
言葉には深い霧を、唇に錠前を。そして心に堅固な鎧を。
相手が誰であろうと、私は常にそうやって生きてきた。
もしこの態度が気に障ったのならば、どうかご容赦いただきたいものですな。
…だが、ソロモンが読みあげるこの童話を耳にしたのは初めてだ。
大帝国の皇女宮に、あるいは台頭する独裁者のすぐ傍らに「生き」て「死に」ながら、
一切の情愛を知らなかった―――毛並みのうつくしい…ある猫の話ならば知っているがね。
「おれは、 100万回も 死んだんだぜ。 いまさら おっかしくて!」
その童話の猫の、傲慢な口癖に似た言葉を、かつて私もよく耳にしたものだ。
「………つまんない。」「もう、いい。」
―――その退屈と孤独がようやく癒えた時期もよく似ている。
世界中の富と権力。次々に与えられる新奇の遊び。それらをもたらす全ての守役…
そのいずれでもなかった。そう…二人の娘たちの誕生がそれだ。
彼女は不思議そうにおのれの子である繭を眺め、
どこへゆくにもその手から一向に放そうとはせず、
そのまなざしにはかつて一度も宿ることのなかった色合い、
どこかおだやかな、安らいだひかりが満ちあふれ…
だが――――――…
………。
死は一切の容赦なく、だれの上にも無慈悲に訪れる。
何故にこの時、この瞬間に?と問う地上の者の声など、初めから聞き入れられるはずもなく。
それは御使いの喇叭がたからかに響き渡るとき。
聖書に云う―――裁きの日の如く。
- 157 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:26:38
- >>124
>アンシェルはディーヴァに擬態できるけど、シュヴァリエ全員がディーヴァに擬態できるの?
>誰かに擬態する事はその記憶も共有できるとか赤い盾本部でリクの塩基について触れてたけど
―――さて…どうかな。能力に加えて、大胆にもあるじの姿を模すという『性格的な
頭の高さ』をそのシュヴァリエが有しているかどうか?それもまた問題ではあるが。
翼手の生態に関する仮説…なかなか興味ぶかい設問だった。
だが実証にまさる仮説はない。その答えが我々の目の前にある。
シュヴァリエを生み出すディーヴァの血こそないが、このD67のアンプルで構わなければな。
彼女の語るとおり、体を巡る血は、我々に幾多の言葉を囁きかける。
だがたとえ言葉を重ねようと…人間である君にその囁きは実感できはしまい。
まして語り手が常日頃から偽りの多い、この私とあっては尚の事だ。
私が「シュヴァリエ全員が擬態可能だ」と答え、あるいは「個人差があり不可能」と答えるとしよう。
対する君は一体どのようにして知り得るのかね?その言葉が…真実か虚偽であるかを?
ここにその、答えの一つがある。成程、翼手に変じてしまえば知能は激減するだろう。
しかし少なくとも君はそのとき、感じる事は出来るに違いない。知能は低くとも、彼ら
翼手は女王の―――目覚めが迫る時期を喜びと共に歌い、その死の際には声を限りに嘆く。
君。真実の探求者よ。女王の血に呼応する、我らの全身を逆巻くその感覚を…
『 知 り た い 』 の か ね ? 本 当 に?
ならばその身を惜しみなく薪にくべたまえ。知識は錬成される鋼のようなものだ。
しょせん言葉で語られる事象など浅くて脆い。真実とは純度が高ければ高いほど、
それはみずからを業火に晒す代価を払い、初めて得られる種のものだからだ。
君もそうは思わないかね?……さあ来たまえ!真理をその手に得たいと望むのならば!
>本当は全員、ディーヴァが小夜と仲直りしたいって知ってたんじゃないの?
―――私がじかに耳にした彼女の言葉は、以下の通りだ。
「ぼくは小夜姉さまと一緒に暮らしたいと思っている。
…でもね、それ以上に 殺したいとも思っているんだ」
他の者はいざ知らず、この私が彼女のその片言から「本当は何をお望みなのか」
私が彼女の何を気づき、何を知らず、何からあえて目を閉じてきたのか―――
…語る必要はあるまい。ただこの場合歴然とした事実は、
この私の生ある限り、私はこの身をディーヴァの横へと置き続けようとした事だろう。
私は彼女のしあわせの為に、世界を動かす努力をしてきたのだ。
そしてこれからもそれは変わらない。邪魔する者は排除する。ただそれだけだ。
彼女本人から幸福を邪魔する、不要な排除すべき者として…この私を名指しされぬ限りは。
「もういいよ。この子たちがいれば…あとは、もういいや。」
あるじの望みを叶え、同時にその命を護ることに死力を尽くすのが我々シュヴァリエだ。
だからこそその場合すらも、私は彼女の望みを叶えてその眼前からこの身を極力排除し
同時にその命をつけ狙う敵を、排除しつづけた事だろう。その際の手段は選ばない。
たとえ彼女に擬態し、我が身を以て囮にしようともだ。
―――すべては、ディーヴァの為に。
- 158 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:27:49
- >>127
>姉妹喧嘩にもならないこんな微笑ましい展開も望めたのかアンシェル&ジョエル
―――あるいはな。
成程、それはうっとりするほど美しい光景のようだ。ただ一点を除いてはな。
それは彼女たち二人を、同じく人間として育てたと仮定した場合の話かね?
だが……彼女たち二人はいずれも翼手の女王だ。
時満ちれば成長が止まり、一切老いず傷つかず、つねに血液を必要とし―――
そして互いにその血は、激烈な毒となる。
たとえ人間として養育されようと、表面のかたちのみをまるで芝居のように
『ゴルトシュミット家の仲良き姉妹』として取り繕おうと………。
彼女たち本来の、その宿命が変わる訳ではあるまい?
だがたしかにあのとき、繭から誕生したみどり児の一人をまずジョエルが抱き上げ
続いて診療台に残る彼女を、助手のこの私が抱き上げた。
すべての運命は、そこから分かたれたと語っても過言ではないだろう。
そして私が、私だけのディーヴァであって欲しいと望んだのも事実だ。
それが可能でありさえするのならば―――永遠に。
そう、君の憤りは正しい。
元凶はジョエルとこの私。1833年にSAYAを動物園に迎え入れた、この二人だ。
- 159 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:28:45
- >>125
>なぜ、血を分けた姉妹同士で殺しあわねばならないんだ!
―――おなじ種族同士解り合おうともせず、流した血の量で物事を決めるようでは
まるで人間のすることと同じではないか、かね?
そのとおり。その美しき自然の理を乱した者が存在する。―――赤い盾だ。
生き物は生きるために必要だからこそ食べてゆく…それは生物である翼手も
また同じ事だ。生きる為に、ヒトの生き血を、食べる―――。
それは独自に進化を遂げてきた『翼手』という生物の、生態の一つにすぎないのだ。
小夜がおそろしく多量に『人間の食事』を摂取する。
それは彼女の身体が真に求める栄養素ではないからだ。人間と同じ食事を
摂りながらも、小夜は定期的に輸血を必要とした。…そうではないのかね?
戦う意味も知らず、戦う相手の事もよくわからない。
戦わされているという事実にすら気づかない、同じ種族の姉娘に剣を取らせ
当人よりもはるかに様々の事実を知っていながら、卑怯にもみずからは口を拭い、
けっして真実を語らずにただ、翼手を殺せと囁きかける。
あの存在は恐るべき悪だ、だからこそお前の手で、すべてを滅ぼせと―――。
そのまぎれもなく同じ種族、世界に二人とはおらぬ、血を分けた妹に対して…な。
『来たるべき終末のその日』には神の子が再臨し、すべての死者を二通りに分けると云う。
いわく―――永遠の生命を与えられる者と…地獄へ墜ちる者とにだ。
君はダンテ・アリギエーリの『神曲』を読んだ事はあるかね?
地獄篇 第二十六歌。悪しきたくらみをもって他者を欺き、罪を犯した者が堕ちる奈落だ。
その奈落を見下ろせば、君の眼にも幾多のちいさな炎のかがやきが映る事だろう。
あたかもそれは夏至の頃の夕刻、葡萄畑の丘のうえで憩う農夫の眼下に映る
蒼ざめた蛍たちのひかりの如くに。険しい谷底をうごめく火焔。
それらすべては灼かれて苦悶する、謀略者の魂なのだそうだ。
血を分かちあった者が、互いに剣もて殺し合う悲劇。
おのれは手を汚さずにその肉親に剣を取らせ『殺せ、ただそれのみが正義なのだ』と
声ひくく囁きかける、蛇の如きすべての謀略者たちの堕ちる奈落。
呪わしきその身を永遠に灼き焦がす、高温のあおき断罪の炎―――…。
………見えるかね?
そう、私の身をつねに内から焦がし続ける…『この炎』の話だよ。
- 160 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:30:18
- >>138
>あ、カールが来てた!
―――などと、あかるく声を弾ませる客人の君。
君もまた、あの感情を隠そうとはしない弟を、愛する者の一人なのだろう。
カールは選ばれ、そしてデルタ計画は始まったのだ。
ロシアで種はまかれ、ドイツで芽吹き、ベトナムで実った。
シュヴァリエとはいったい『何』であるのか。
その問いを試す為のみに祭壇に捧げられた、贄机の上のちいさな羊。
与えられるはずのない愛を求めて足掻き、叫び、ゆき場のない激情の出口を捜して
決して相容れぬ血の女王である小夜にそれを見出し、やがて…。
>>135
>その同属からも孤立し、人間の中にもいられるはずのない僕と小夜。
>僕達は誰からも望まれぬもの同士、わかりあえるはずだったんだ。
>だから僕は小夜と二人だけの世界へ行こうとしたのだが――
カールが小夜にとって生きがいであるというならば尚の事、奴に小夜は殺せまい。
殺せぬからには、一度差し向ければそれで決して手元には戻らんのだろう。
嘴をひらけば血を吐くまで激しく啼き続けると伝えられる、あの山鳥のように。
あるいはみずから海へ、次々と破滅に身をゆだねるレミングの一群のように。
だからこそ私はその命をジェイムズに任じ、あれにはこう語りかけた。
『カール、お前に与えられた役は何だ?……今のお前に必要なのはしばしの休息だ』
だが奴にその言葉はすでに届かず、私は例の如くソロモンに連絡を取り
去るのは許さん。『そのかたち』での救いなど、一切与えはしないとばかりに
おなじ血を分けた、すぐ上のあれの兄を即座に差し向け、…
>>151
>あの時ばかりは…口よりも先に、手が出ました―――彼と彼女の両方を救ける手段なんて
………。
………。
…身内殺し。血塗られたその行為は手に掛けた者の身を、徐々に侵食してゆくのだろう。
あの、おだやかな微笑を絶やす事のなかったソロモンの歯車が、軋みをあげ
破滅に向かって次第に綻びてゆくのは―――それから間もなくの事だ。
- 161 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:31:48
- >>126
>「君達は昔からの伝え通り、赤の他人より厄介な間柄だった!」―「オルフィ公爵婦人」より
―――そのとおり。ふるき賢者の至言はつねに鋭く響くものだ。
おなじ血を分かち合うからこそ愛し、愛すればこそそれが憎悪に変わり、やがて手の
つけられぬ悲劇の連鎖を招く事もある。……ひどく皮肉な話ではあるがね。
シュヴァリエといえどもその精神は簡単に折れ、壊れてしまうものだ。
だからこそ心の直ぐな者はそれだけにひどく危うい。
……あるいはこの私の捻じくれた性根に、彼らの方が先に限界を迎えてしまうとの
表現もあるのだろうがね。
いずれにせよ…私が家族と呼んだ者らが、最後にみずから
この目へ見せる姿は―――つねに背中だ。
彼らはみな、一様に去ってゆく。
ある者は敵を滅ぼし、おのれの役目を完結させるために。
ある者はみずからの意思のまま、あるべき場所を求めて、自由に…歩みはじめるために。
- 162 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/06/12(木) 00:42:40
- >>139
>理解など概ね願望に基づくものだ。
―――…そのとおり。
互いに相手を理解し合える。ましてや愛を求める、分かち合うなどすべては幻想にすぎんよ。
つまるところそれは蜃気楼と同じだ。おのれの願望が相手に映る…虚像でしかないのだろう。
どれほど求めようと、所詮与えられるはずのないものだ。
はじめから求めなければ、絶望する事もない………。
小夜をみずからのものにしたくば、小夜を殺す事だ。
我らが小夜を殺す、その前に。
カールには固く禁じたその行為を、私はソロモンにそう語りかけた。
カールに小夜は殺せまい。それを許せば、カールは二度と戻らんのだろう。
だからこそ奴にその任は与えなかった。
カールの行動の成就を阻む為のみに、あの時ソロモンを向かわせたのだ。
だがソロモン、お前にならば可能なはずだ。たとえどれほど苦悩しようと、
その手を赤く血に染めようと―――ドイツで一度、お前は戻って来ているのだから。
だからこそ私はソロモンに告げる。カールには語らなかったその言葉を。
小夜をお前のものにしたくば、小夜を殺す事だ。
我らが小夜を殺す、その前に―――。
………。
…やがてジェイムズも背を向けて去った。
あの万事危なげない弟も、まるで堅固な鋼鉄の防御盾が、その外壁はそのままに
内側から腐食し………崩れ落ちるかのように。
あのとき私は路地裏に立ち、埃と喧騒に薄汚れた狭い道を、息も絶え絶えに
よろめき必死に体を支えながら、ひとり歩を進める弟を――――ただ、見ていた。
……哀れなり、ソロモン=ゴールドスミス。
なるほどお前はみずからの信じる道を行き、シュヴァリエの列から離れて
愛する小夜の為に生き…彼女にもまた、そうしたお前の心は伝わったものかもしれん。
お前が『すべての血を越えて、小夜のシュヴァリエとなる』事を、あるいは彼女も
彼女の周囲の者も、進んで認めようとする事もあるだろう。
だが――――その血は、お前を殺す。
厳然たる、それは変えられない事実だ。弟達よ求めるな。与えられるはずもないものをだ。
私はただ―――黙って見ていた。
誰よりも優雅にワルツを踊っていた同じその足はふるえ、みずからを支える事すら覚束なく、
宴の席にて、皆を魅了していたその華麗な微笑はむざんにもひび割れ、
かつては鋭く迫ったその斬撃も、いまやもう見る影もない。
懸命に毀れた刃を振るおうと…この身にわずかな傷をつける事すら出来はしない。
崩れ落ち、意識は遠のき―――すでにその目もほとんど見えてはおらんのだろう。
何故、私がこの場所にこうして立っていたのか。おそらくはその事にすら思い当たらず。
『…す みませ ん、………小夜………』
絞り出すようにして、かすかに呟くその言葉は―――
まだ、詫びている。………馬鹿者が。
- 163 名前:名無し客:2008/06/12(木) 08:15:27
- シュヴァリエは、基本的に皆すごく真剣なんだね
ただ考え方が違うだけで、そういうところすごいね?
- 164 名前:名無し客:2008/06/12(木) 09:34:12
- 小夜は俺の嫁
- 165 名前:名無し客:2008/06/16(月) 21:22:36
- ―今の自分を幸福と感じるか?
人は概ね自分で思うほど幸福でも不幸でもない。
肝心なのは、望んだり願ったりするのに飽きない事だそうだ。
- 166 名前:名無し客:2008/06/18(水) 06:22:47
- 翼手のほっぺたは柔らかいものかな?(ナデナデ
- 167 名前:名無し客:2008/06/18(水) 22:40:19
- フーッ!!
- 168 名前:名無し客:2008/06/19(木) 23:26:12
- この世界でもっとも目立たず生きる方法。
それは「人間」として生きること。
だが、赤い盾の連中も「元人間」とうそぶくあんたらシュバリエすら、小夜が女子高生やることも許さないんだな…
- 169 名前:名無し客:2008/06/20(金) 11:20:58
- まったく、まるでピエロだな貴方は……
- 170 名前:名無し客:2008/06/21(土) 10:11:28
- 道化をこなす役者は完全に道化者になれないものさ。
なんでかって?人類こそ多種多彩な真のピエロだからだよ。
翼手もまたピエロだ、人に近く人と異なる種類のタイプだね。
- 171 名前:名無し客:2008/06/22(日) 18:33:02
- つ【浴衣】
つ【帯】
つ【団扇】
つ【下駄】
- 172 名前:名無し客:2008/06/22(日) 22:56:28
- 長兄はどんな形にせよ、弟達を想っていたんだね。
- 173 名前:ソーニャ@浴衣 ◆gD.KishiHU :2008/06/23(月) 04:36:29
- 髪はさらりと結い上げて カタカタと鳴る桐の下駄。
白地に青藍、柳につばめ 帯と鼻緒は揃いの朱赤。
ああ、>>171さん、あなたのお国の御婦人方は
なんと美しい衣装を身にまとっているのでしょう!うらやましいわ。
>>120
>蒸し暑い季節が近づいてますね
ここボルドーはあなたのお国と違ってからりとしてはいるのだけれど、大分暑くなってきたわね。
そうだわ、今夜はユカタでガーデン・パーティにしましょうよ!
夕暮れのひと時をお庭でワインとお料理をいただきつつ、楽しみましょう。
あなたのためにソロモンが選んだワイン、お気に召しましたかしら?
――え、わたしも、ですか?では、お相伴させていただきますね。
お客様の健康と幸福のために、乾杯。
……ああおいしい。でも、翼手のわたしはこの程度のお酒で酔うことはないのだけれど。
そうそう、酔う、といえばこのあいだ――
>>75
>…グレゴリー。私の杯まで継ぎ足すな。
>むッ…!客人が倒れた。
>このような刺激物を酒として楽しめるのは
>さしずめお前 くらいのも、 の …今 は 、 引k …グレ、ゴ……
>(昏倒)
長兄ったら、珍しくお酒を過ごされて、正体をなくしてしまわれて。
ええわたし、あの後お部屋にお連れしたんですよ。ソロモンが>>102で
>けれど…それじゃあ、誰だというのでしょう?
とつぶやいていたけれど、長兄を酔い潰したのはわたしですもの。責任は取らなくてはね。
――それからどうしたのかって?
ああ、泥酔したシュヴァリエがどうなるか、知りたいのね?
……そうね、仕方ないわよね!お客様が望まれるのなら――
背広を脱いでいただきましたわ、だってそのまま横になったりしたら皺になります。
寝台に座らせて靴をお脱がせしても、お目覚めになる気配はなかった。
仕方ないわねこのまま休んでいただきましょう、朝までには酔いも醒めるわよね……
そう思って一度はお部屋から下がろうとしたんです、本当ですよ!
でもその時、あの方は首周りをくるしがるような仕草をなさったんです。
……長兄、あなたがそれを望まれるのなら。
わたしは寝台に上ってタイをするりとほどき、シャツのボタンを外し胸元をはだけ
ズボンに手をかけサスペンダーを外し、腰まわりをゆるめ――
――あら。これ以上は、言わぬが花。
ソロモンも以前、申しましたでしょう?これもあなたのお国のことわざ「雄弁は銀 沈黙は金」。
このお話は、これでおしまい。
普段、立ち居振る舞いに一分の隙も見せない殿方の寝乱れた姿というのは……
そそられるものね……
- 174 名前:名無し客:2008/06/23(月) 21:55:35
- あ、アンシェルとカールの飲み比べ用にこさえた泡盛が山積み・・・
- 175 名前:名無し客:2008/06/23(月) 22:05:40
- ソロモンはグレゴリーと違うタイプの着物どうかな
袴をつけて刀差せば武士の完成だよ〜
カールとアンシェルが着る場合は鎧兜か陣羽織がいいね
- 176 名前:名無し客:2008/06/23(月) 23:02:53
- 泡盛は水で割って飲んでください。
- 177 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/07/04(金) 23:10:12
- >>126
>「君達は昔からの伝え通り、赤の他人より厄介な間柄だった!」
――貴方の言は正しい。
いつかの夕方も、カールは書庫にこもっているわたしの様子を見に来てくれた>>144。
文献を読むのに熱中しており顔は向けなかったが、彼がわたしの集中を乱さない
ように気を配りつつ、そっと書庫の扉を開けたのに気がついた。カールは声を
かけることもせずに、茶を載せた盆を捧げ持ったまま、戸口で立ちつくしていた。
そんなところでじっとしていないで座ったらどうだ、と声を掛けようとしたとき
――不意に彼の息が乱れた。
どうした、と振り向いたときはもう遅かった。わたしが目にしたのは、戸口から
慌てたように出て行く弟の背中だった。
ここ「動物園」にてわたしは、思いがけずふたたびの生をゆるされた。
それは、研究者にとっての90年間の空白が、絶望的なまでに重いものであることを
思い知らされる日々でもあった。それでもこの遥かな道程を這い進むことを止めようと
しなかったのは、もはや研究者の本能としか呼びようのない執念なのだろう。
>>139
>理解など概ね願望に基づくものだ。
深山に咲く美しい花を摘むには、騎馬も馬車も役に立たない。山道を踏みしめながら
一歩一歩登り、鬱蒼とした林に分け入るしかない。
研究者を孤独で過酷な真理への旅へといざなう原動力、それは「知りたい」という
熱い願望。それなくして未知の征服、理解などありえない。
その結果、己の播いた種がどのような花を咲かせ実を結んだのかについて、わたしは
多くのことを知ることになった。
――知りたくないことや、知らなければよかったと思えることも含めて。
『ディーヴァの血がすべてを変える』
『個体差はあるにせよ、モンゴロイドがそれに適応しうる』
卓上に残されていたのは、紅茶と黒スグリのジャムを盛った小皿。
ジャムを一さじ口に含み、茶を飲んだ。熱くて甘かった。わたし好みの濃いめの茶。
カール自身は薄めの方が好きなのに。
かわいいカール……かわいそうなカール。
お前が「次兄」と慕っている相手の正体も知らずに。
いやそれとも――彼はもう知っているのではないか?
デルタ計画のはじまりは、彼が検体として選ばれた理由は……わたしの構築した理論にあったと云う事を。
彼に直接、わたしをどう思っているか尋ねてみたい欲求にかられた。恨んでいないのかと。
でも聞いたところで、どうなるものでもないことはわかりきっていた。
違うと言われれば嘘をついているのではと疑ってしまいそうだし、
その通りだと言われたら――どうすればいい?
我が次兄!僕だよ、僕。ハハハッ、お客人の姿をして庭を歩いていたんだ。
次兄にばれないってことは、僕の擬態もまんざらではないということだね。
カールにだけは云うまい。
たとえカールが既に悟っていたとしても、わたしの口からは絶対に告げてはならぬ。
それがほかならぬ、わたしのカールへの謝罪のしるしなのだ。
何もかも告げて詫びることが出来たら、どんなに楽だろう――。
だがそれだけはしてはならぬ。正直な告白!なんといかがわしい言葉。正直というのは
告白する人間の自己欺瞞であり虚飾に他ならない。自分だけが楽になって、辛いことは
すべて相手にあずけてしまう。そのために相手がどれだけ苦しみどれだけ辛い思いを
しようと、そんなことは知ったことではない。自分は正直に告白しただけである……。
こんな「正直」は断じて美徳ではない。相手の心を傷つけて平然としていられる浅薄さ
であり、破廉恥さであり、残酷さである。
だからわたしは――。
カール♪えいっ。
なにもびっくりしなくてもいいじゃない、お前の背中に飛び付いただけよ!
そんなにくっつくなって?
カールったらかたいこといわないの、きょうだいなんだからいいじゃない。
ソーニャお姉さまの言うこと聞かない子にはおしおき!ぎゅってしてやるー。
彼がわたしのこれまでしてきたことを知るまで、彼が実験体として選ばれた元凶があの
「理論」を構築したわたしにあることを知るまで、目が合うたびほほえみかけ、この腕に
抱き寄せよう。
彼がわたしに心を開いたことを後悔するまで、いつかわたしに向かってほほえまなくなる
まで、やがてわたしを憎むようになるまで、二度とこの世で会えなくなるまで、わたしは
この愛しい弟に何度でもくちづけをおくろう。
- 178 名前:名無し客:2008/07/05(土) 16:51:04
- グレゴリーはシュヴァリエになったアレクセイにも「弟」としてキスできるかい?
彼だけじゃないなぁ、ソロモンやカールにも聞いてみたいな。
アンシェルにとっては複雑?
- 179 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/05(土) 21:15:54
- こんばんは!
動物園を皆さんにお任せしてしまっていたね。主役失格だ。
さて、今宵はお客人方を動物園の色々な場所にご案内しよう。
時にはこの屋敷とは違う場所に行ってしまうかもしれないが、そのときはどうかご容赦を。
では最初は軽いおしゃべりができる談話室から。
――さあ、こちらへ。お手をどうぞ。
>前583
>もしこんなNGシーンがあったらというのを想像してみてください。
失敗があったら、ということだね。
では『落ちる』という失敗があったらどうかな?
たとえば赤い盾本部を襲う僕とディーヴァだ。
ばっさばっさとディーヴァを背に乗せて羽ばたくが、本部である豪華客船に
降りる前に海に墜落してしまう……一生の不覚だ。
受験に落ちたカイなんてどうだろう?
そのために彼は小夜と同じ高校に通えないのだ――気の毒に。
小夜ごと深い穴に落ちようとしたらしいジェイムズは?
小夜を連れて落ちる前に、ジェイムズは一人で足を踏み外して穴の底に落ちてしまうのだ。
ソロモンが小夜を助ける必要がなくなるね――ふっふっふ、ざまをミロ。
でも一番見たいと思うのは、アンシェルがやたらと決め台詞を吐いている時に、
ぱさっと何かが落ちることだね。たとえばどこかの毛とか、まつげとか、そのへんを色々だ。
君だってそうだろう?否定したって駄目だよ。
君達名無しさんは、よくアンシェルの毛髪関係を話題にするのだからね(僕達もだが)。
君達がアンシェルの毛やまつげや、あるいは彼自身に注目しているのだと伝わるのだよ。
これぞ「語るに落ちる」というやつさ。
- 180 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/05(土) 21:16:43
- >前15
>殺さない程度に私の血吸ってくださいw
血を吸ってほしいのかい?
――フフッ、大胆なご要望だな。君は若くて怖いもの知らずなのだね。
男がいつまでも、ただの人の良い友人でいてくれると信じていられるくらいには。
君はブラム・ストーカーが書いた小説のヒロイン気分を味わってみたいのだね。
僕もあの有名すぎる吸血鬼の物語は知っているよ。
君なら彼が恋したミナ・ハーカーにだってなれるさ。
さあ、この部屋にお入り。
君達のために用意された客室のひとつだから、遠慮しなくていいんだ。
見てごらん。19世紀の空気をそのまま残した部屋だよ。
まるで小説か映画の中みたいだろう?
でもこれは安っぽいセットじゃない。すべて本物だ。
華やかな天井も、優美な曲線で飾られた柱も、磨かれた家具も、
君がその肌につきたててくれと願う僕の牙も――。
さあ、いにしえの貴婦人のように鏡の前にお立ちよ。
僕は後ろから君をそっと抱きしめるよ。
君の胸元で両腕を交差させて、ゆっくりとうなじに顔をうずめよう。
――いい匂いだ。
体を強張らせているね。怖いのかい?少し痛むかもしれないが、我慢できるね?
…そう、いい子だ。力を抜いてじっとしているんだよ。
僕の牙が瑞々しい肌に触れる。……おや、びくりとしたね。
息も早くなってきた。君の可愛い様子に、僕は軽く笑って牙を沈める。
でも約束だから、穿つのはほんの少し――、ほんの少しだけだ。
わずかに血が染み出てきた。僕はたまらずに舌を這わせて君を味わう。
舌と唇、いいや、僕のすべてで君から湧き出る生命の輝きを舐めとっている。
…ほら、ごらんよ。
鏡の中で、君が咲いている。
頬を紅潮させ、ぐったりと僕に身を任せて、薔薇よりも匂やかに君が咲いている―――…
…――終わったよ。
やわらかな素肌から牙を引き抜いて、君に告げる。
まだぼうっとしているね。送っていかなくても大丈夫かい?
肩に手を置いて尋ねると、君はまた、びくりと身をすくませる。
それから口の中で、もごもごとお礼か何かを言うと、
逃れるように、おぼつかない足取りで部屋を出て行ってしまった。
ああ、君はわかってしまったのだね。
この先に知ってはならない、更なる恍惚が用意されていることに。
君を見送ってから、僕は頭を振って正気に戻ろうとする。
しかし理性は麻痺しかけていて、うごめく本能を止められない。
いけないとわかっている。まだ若い君が哀れだとも思う。
でも絡みつく残り香が、君を手に入れてしまえと僕にささやく。
舌先を離れない甘露が僕を狂わせて支配しようとする。
僕はいつまで、君を追わずにこの部屋に留まっていられるだろう――?
それとも君がここへ戻ってしまうだろうか。
首筋の刻印をより深く刻み付けて、惑乱する夢の彼方を見せてくれと懇願するために。
堕ちていく喜びに、魂をいざなわれて。
- 181 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/05(土) 21:18:33
- >>163
>基本的に皆すごく真剣なんだね >ただ考え方が違うだけで
【衣裳部屋】
真剣かつ真面目だとも。
君が言うとおり、物の考え方や感じ方、センスも違う。
服装においてもね。趣味はまったく違うだろう?
個性は尊重したいが、僕としては彼らの装いには苦言を呈したいね。
僕以外の兄弟はファッションセンスが皆無だ。
熟しすぎて地面に落ちた果実色の上着を着ているアンシェル。
どこに行っても修道服ばかり着ている次兄グレゴリー。
ソロモンのスーツなんて純白だ。オデット姫じゃあるまいし。
ジェイムズは何を着ても軍服に見える。
ネイサンは……よそう、彼はきっと違う星からやって来たんだ。
――ああ、周囲にはべるシュヴァリエがこんな身なりでは、
ディーヴァがあまりにお気の毒だよ。
やはりこの僕が彼ら専属のスタイリストとなるべきだろうか。
手始めにそろいのファントム装束を用意してやろうかな。
- 182 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/05(土) 21:19:46
- >前431
>あなたにとって死とはどんなもの?
【地下室】
やあ、地下室にようこそ。
シュヴァリエにとって、死は本来、遠いものだね。
だが僕は人間でなくなってから、何度も死に近い状態に置かれたことはある。
アンシェルが僕に施した実験によってね。
シュヴァリエになったばかりの頃は、今のような電子機器に囲まれた
実験室はなかったから、こういう陰気な地下室で体を切り刻まれたものだ。
その頃の記憶をお見せしようか?
しかし少々、心地よくない話になりそうだ。
もし君が血なまぐさい物語を好まない人であるなら、この場を去ることをお勧めするよ。
どうか他の部屋を見ていっておくれ。
平気だというんだね?では――…
もがいても、施術台につながれた体は動かない。
四肢を拘束する重い鎖を皮膚に食い込ませるだけだ。
僕は、また生きたまま解剖されている。
体を切り刻まれ、接合を繰り返されるのだ。
シュヴァリエとは何であるか、それを知るためだけに。
今夜が何度目か、数えるのはとうにやめていた。
繰り返される実験の中で、地下室のかび臭い空気や、
皮膚をそそけ立たせる手術器具の冷たさにも慣れてしまった。
しかし施術台のかたわらで、冷然とメスを検分している男には、
きっとこれからも慣れはしない。
アンシェル・ゴールドスミス、僕は永遠にお前に親しみはしない。
男が迷いのないメス捌きで、僕ののどを一気に切り裂く。
血しぶきが上がり、石の壁を濡らす。
全身が痙攣する。
いたい。
いたい。
からだが灼ける。
悲鳴を上げたくても、切られたのどは、ごぼりと何かを溢れさすだけ。
息も、できない――。
それでも翼手が持つ脅威の治癒力は、ただちに切開部を塞ぎにかかる。
傷の両端から体組織が癒合しはじめる。
だが、男の手がそれを阻止した。奴は切り口をこじ開け、のどの内部を覗いている。
おそろしく冷徹な視線。けれど執拗にねめまわす。
男が僕に尋ねる。
いとしい弟よ、気分はどうだね?
――気狂いめ。
僕は胸の中で吐き捨てる。
「いとしい弟」だと?
何を馬鹿なことを言っている。
知っているぞ。お前は誰も愛していない。
狂ったお前にできるのは、切り刻み、標本をとして愛でることと、
おぞましい研究で得られた結果を見てほくそ笑む――それだけだ。
アンシェル・ゴールドスミス、お前の中に愛などない。
ディーヴァを前にしても、謎と神秘のベールを剥ぎ取ろうとしか考えない下劣な覗き屋。
お前は彼女のことさえも、本当に愛することはできないのだ。
男は僕の分解に励んでいる。
内部を晒した僕の喉頭に術具を差し込み、がりがりと声帯を削り取った。
いましめられた手足が、新たな激痛に跳ね上がろうとして鎖に阻まれる。
残っていた空気が漏れたのか、裂かれたのどが「ひい」と笛のように鳴った。
くるしい。
くるしい。
酸素が欠乏する脳髄で、僕は懸命にあるじの姿を思い描く。
いとしい僕のディーヴァ。
ほかは誰もいらない。貴女さえいればいい。
僕だけが貴女を愛しているのです。
貴女のことすらも、解明すべき謎としか見ない男ではなく、
その男に忠誠を誓い、僕をこうして差し出した金髪の男でもなく、
僕だけが、貴女に愛を教えてあげられる――。
――そうだ。ディーヴァを愛し、愛されるのは、この男ではなく僕なのだ。
のどの切り口が、開いた形に器具で固定される。
男はえぐり取った声帯を、手にとってしげしげと眺めている。
これで終わるはずがない。
ほかの器官や内臓も切り取るつもりなのだろう。
そしてシュヴァリエの筋や神経、切断されたあらゆる組織が、
再び接合し機能を取り戻すさまを観察するのだ。
それは幾度も幾度も飽きることなく、苦痛と共に僕の体で繰り返される。
好きにするがいいさ。
愚かなアンシェル・ゴールドスミス。
僕を切り刻み、ディーヴァを数値によって解体すればするほどに、
お前は僕達から遠ざかっていく。
知り尽くし調べ尽くし、だがそこに彼女はいない。
お前の机に積み上げる研究記録がうず高くなるほどに、お前はディーヴァに
愛される資格を失うのだ。
愛されるのは僕だ、勝利者は僕だ――貴様ではなく!
僕は声なき嘲笑をする。
僕は声なき哄笑をする。
僕は声にはならぬが高らかに宣言する。
哀れなアンシェル・ゴールドスミスよ。
僕の、勝ちだ――!!
男はまだ僕の腑分けを続けていた。
腹部を切り開き、今度は内臓をえぐりはじめる。
ごぶりと血の塊が床に落ちる。
裂かれたままの僕ののどが、また小さく「ひい」と鳴った。
- 183 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/05(土) 21:25:48
- >>164
>小夜は俺の嫁
【チェス室】
小夜は僕の花嫁だ!
名無しさん、僕は君に決闘を申し込まねばなるまい。
…おや、翼手の僕と人間の君とで一対一で戦うなんて無理だって?
では頭脳勝負だ。チェスで戦うとしよう。
テーブルを陣取ってゲームを始めよう。
もっとも雌雄は既に決しているがね。
僕が黒で君が白。いいかい、はじめるよ?
まずポーンを歩かせて……次は右のナイトを……それから左のナイトをこっちへ……
……次は右のナイトで……。
なんだい、名無しさん?
ナイトばかり動かしてるって?
僕はナイトが一番好きなんだよ。
駒の中でナイトだけがほかの駒の頭上を飛び越えることができるんだ。
こいつの動きは見ていて気持ちがいいからね、動かすのはナイト中心だ。
面倒くさいのは苦手だからルークは適当にうっちゃらかして、
ビショップは妙に優しい感じのデザインだから大事に取っておこう。
頭に飾りをつけたカッコつけの鈍足キングも遊ばせておくわけにいかないから移動させて……
…………。
…………。
えっ?
名無しさん、チェックメイトだって?
何を言ってるんだい?キングが取られただけでゲームが終わるわけがないじゃないか!
僕の大切な黒のクイーンはまだ初期配置のまま健在だよ?
この勝負は花嫁の争奪戦だからね。
黒のクイーンこと僕の小夜が奪われない限り、勝負が終わることはないのだよ。
さあ、ゲームを続けよう!
おいおい、名無しさん、白のクイーンを勝手に動かさないでくれたまえ。
白のクイーンは名無しさんの駒だって?
冗談を言わないでおくれ。白のクイーンことディーヴァも僕のに決まっているじゃないか。
白のクイーンと黒のクイーンは僕のディーヴァと僕の小夜なのだよ!
それじゃ勝てないって?
当たり前さ。最初に言っただろう?
雌雄は既に決していると。(ずるいと言われても花嫁は渡せないのだよ!)
さて、今夜はここで失礼させていただくよ。
>>165さんからのご案内は、明晩、必ずさせていただこう。
よければ待っていておくれ。
今夜はこちらの寝室へどうぞ。
眠りを必要とする君、ゆっくりとおやすみなさい。
眠らぬものが住まうこの館で――。
- 184 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/06(日) 00:25:45
- ご機嫌よう。
もう日が翳って、山際が綺麗な橙色です…
空気を吸ってご覧なさい、もうすっかり夏の匂いがする。
やあ…、>>171さん。あなたが持っておいでになったユカタをほら、
グレゴリー兄さんが。何てお可愛らしいんだ。おや、
僕のこれですか?はは、似合ってるかな…ええ、キモノにハカマですよ。
あなたがたも、よく似合っています。
今日は皆さん、ユカタで夕涼みをするんですってね?>>173いい考えです。
こうしたものを着るのは、もう3度目くらいになるんですけれど
日本人はこういう、複雑な衣装をいとも簡単に着るのですねえ?
>>175さんが手伝ってくれたおかげで、格好良くできましたよ。ありがとう。
それにずうっと前に、ご来客に頂いた真剣が
部屋でねむっていたものですから…久しぶりに腰に差してみました。
はは、そう…あなたがいらした日本の、サムライ・スタイルですね?
>>175さん、あなたが持っておいでのそれは…はは、アンシェル兄さんと
カールの為のものですね?知っていますよ、その中の…それ、
そう、その山がたくさん並んだ模様の…何といいましたか。有名なサムライで…
ああ、そうそう、トシゾー・ヒジカタ?はは、よく知っているでしょう。
ああ、いいえ、僕はいいのです。僕は髪がこんな色ですから、彼らの制服は変でしょう?
それはアンシェル兄さんかカールが着たほうが似合いそうですね。
それにほら、トシゾーというのは…鬼のサブリーダー、と呼ばれて
怖がられていた人なんでしょう?きっと、アンシェル兄さんみたいに涼しげな目つきと
―――よく通るバリトンの声で、
部下を脅かしていたのに違いありませんよ。くす、きっとお似合いです。
- 185 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/06(日) 00:30:56
- >>174
>あ、アンシェルとカールの飲み比べ用にこさえた泡盛が山積み・・・
おやおや、あんな所にグラスタワーが。あれを積んだのはあなたですか?
器用ですねえ…、はは、あれだけあればまた、カールや兄さんが
面白いことになるのが見られるかも知れませんよ。
ああ、僕ですか?僕はいいのです、見ているだけで。
僕がお酒でふらふらしている様子なんて、別段面白くないでしょう?
兄さんやカールがやるから、面白いのですよ。…おや、
>>176
>泡盛は水で割って飲んでください。
それでも一杯、と仰る?
成る程、それがあなたの、おすすめの飲み方だというのですね?
はは…、そこから取るのですか?
気をつけて、ひっくり返してしまわないように…僕が支えていますから。
やあ、お上手です…ありがとう、喜んで頂きます。
そうだ、兄さんの姿が見えたら、渡したいものがあるのでした。
ソーニャ兄さん、ソーニャ兄さん…!
>>173
ご機嫌よう。
ユカタがお似合いです…日本からおいでのご来客も、
肌が白いから頸が細いから、それにきれいな撫で肩だからと
しきりに褒めておいででしたよ。
ほんとうに、擬態がお上手です―――そのソーニャという少女の姿は、
いまでも貴方の心に、時間が経っても変わらずあるのですね?
その少女にぴったりなものを差し上げます―――折角のユカタですし、ね?
さあ、これを。透き通ったガラスがきれいでしょう?
この―――そう、長く伸びた先を口に含んで、そっと吹いてみて下さい。
今度は軽く吸って離して。やあ、かわいらしい音がしました…
ビードロ、というものなんですって。やっぱり、よくお似合いだ。
…おやおや、兄さん。
>長兄を酔い潰したのはわたしですもの。
あのときアンシェル兄さんをしたたかに酔わせたのは、貴方でしたか。
はは、流石です―――悪戯まで仕掛けてきたのですか?
それはどんな悪戯です…ああ、はは…気がついたら吃驚なさるように
あられもない姿にしてやった、と仰る…!
面白い事をなさいましたね?僕にはとても…成る程そんな事ができるのは、
貴方くらいのものです。…おや、
くす、僕が面白がっていたことは、彼には内緒ですよ?
- 186 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/06(日) 00:34:27
- それにしても、随分と賑やかですねえ…天気が好くて、
夕涼みにはちょうどいいからかな?こんな風の気持ちいい日に
こうして美味しいお酒を飲みながらでないと、話せない事もあります。
せっかく沢山のご来客がおいでになっているのに、
ご挨拶が遅くなってしまいましたね…すみません。
>>125
>なぜ、血を分けた姉妹同士で殺しあわねばならないんだ!
僕もそう思いました。
同じ血を分けたもの同士、争う事は不毛だと…けれど彼女達の意思は強かった。
彼女達のあいだに出来た溝は、そう簡単に埋められるものではありませんでした。
けれどアンシェル兄さんや、ゴルトシュミットの過去を責めようとは思いません。
過去に起こった事は、もうどうしようもないのです。
それによって争いが始まってしまったことも、もう取り返しがつきません。
僕は、それからどうすれば彼女達が幸せかを考えた。
美しい彼女達が争わなくていい、奇跡のような光景を再現する方法を―――
どうしても、そこには至りませんでしたけれど。
あなた…『シンベリン』をご存知ですか?確かこんな事が書いてありました、
なんじ、この世のつとめを終えたもの、もはや太陽の灼熱を
怒り狂う冬の嵐を恐れるな―――家路につきその報いを受ける、
貴いもの、卑しいもの
…汚れた仕事に手をそめたもの みな最後には一様に、塵にかえる。
そうですね。
人間も僕らも、儚いのです。
対の女王の血の一滴で、女王も僕らも死ぬ。
粉々になって、文字どおり塵にかえる。
- 187 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/06(日) 00:38:10
- >>124
>シュヴァリエ全員がディーヴァに擬態できるの?
しようと思えば、それは出来るのでしょうけれど…
少なくとも僕はこれまで、別の誰かに姿を変える必要に迫られることが
ありませんでしたからね。僕はこの姿で、充分なのです。
>ディーヴァが小夜と仲直りしたいって知ってたんじゃないの?
―――知ってはいました。彼女は仰った、
小夜ねえさまと一緒に暮らしたいと思っている、でもそれ以上に
殺したいとも思っているんだ、と。僕は知っていました、
彼女が小夜を家族として愛していたのだと。けれど
彼女のあの言葉の、そのあとの彼女の、兄さんの胸に顔を埋めた仕種の意味が
僕には解からなかった。―――ええ、>>172さん
>>172
>長兄はどんな形にせよ、弟達を想っていたんだね。
血を分けた親が、子が、きょうだいが
最初から、心の底からただ憎いだけのひとなどありません―――
堪らなく歯痒いと思うのは…どんなかたちにしろ、愛おしく思うからです。
愛おしいからこそ、至らないところがあると許せないのです。
愛おしければ愛おしいほど、その憎しみは大きく、激しく、残酷を極める
小夜ねえさま、だいすきで、だいきらい。きっと、そういうことです。
僕は兄さんの遣りかたに限界を感じたのでも、
小夜を殺すと仰るあるじが心から憎かったのでもありません。
ただ小夜を争いから遠ざけること、小夜を護ること、小夜の夢を叶えること
彼女の、あの笑顔を取りもどすこと…それを、僕のものにすること
僕は自分の事で頭がいっぱいだったのです。
だから―――慕わしいあるじが抱えたそんな思いになど、気がつかなかった
あるじは口にしていたではないですか、それなのに解からなかった。
確かに母であるあるじのことも、血の繋がった兄弟のことすら解からないで
小夜の気持ちなど僕に解かるはずはありませんでした…、
けれど―――ちがうのです、>>168さん、僕の話を聞いて下さい―――
- 188 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/06(日) 00:40:25
- >>168
>この世界でもっとも目立たず生きる方法。それは「人間」として生きること。
>小夜が女子高生やることも許さないんだな…
翼手が、人間として生きる―――慥かに僕らは、やろうと思えば
名前を変え、顔すら変えて人間のあいだで生き続けることが出来ます。
けれどそれは…遣りかたを知っていてこその事です。
小夜の体は傷ついても、ほんの一瞬で治癒する。
彼女には老いも死もない。30年もの間、繭を作って眠りつづける。
…人間との違いに気がついてなお、彼らの世界で彼女は目立たずにいられますか…?
赤い盾がどうかは知りません。けれど僕らは、女王が幸せならいいのです。
女王の幸せが何であるか考えるのが、僕らシュヴァリエのつとめです。
人間に親しみ、別れの時が来るたびに胸を痛めながら手に入れる
ほんの短い間の幸せは…彼女にとって、確かにすばらしいものなのかも知れません。
けれど僕らと、血を分けたほんとうの家族と一緒に暮らしても、
それは手に入るかもしれないではありませんか。
そうだ、いま>>127さんが仰ったような
奇跡のような光景が、見られるかもしれないではありませんか―――
>>127
>「半分こ?」
>「半分こ♪」
―――何ておかわいらしい。
大切なものは、幸せは、おたがいに分ける。美しい家族の姿です。
たとえアンシェル兄さんが>>158仰るような、
僕らの手の届かないところにある決め事が―――例えば
彼女達を死に至らしめる毒が、他ならない互いの血だというような
厳しい自然のことわりが、それを阻むのだとしても
僕らはそんな、美しい家族の光景を夢見ずにはいられないのですね。
ええ、ですから仰るとおりなのです、>>139さん。
- 189 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/06(日) 00:41:40
- >>139
>理解など概ね願望に基づくものだ。
ひとは目の前にある現実を、こうあってほしいと望む姿で受け止める。
認知のなかに生じた不協和を、緩和しようとする心の動きと同じです。
人間は都合のいい、したたかで恵まれたいきものですね。
風に吹かれながら下界を見下ろして、眼下にひろがる夜景すべてが
まるで自分のものかのような錯覚をおぼえるように
厳然としてそこにある現実を忘れてしまうのです。
奇跡のように美しい光景を目にしたときなど、それは殊更です―――
身体の奥から溶け出しそうな、その光景に目を奪われて
心と体を苛む激痛を忘れる。容赦のない現実も、自然の摂理も、
―――もうどうだっていい。
そしてそんな光景を知っているひとは、きっと恵まれている。ですから―――
>>165
>―今の自分を幸福と感じるか?
もちろん、いまここに居る僕は幸せです。
どんなに自分が幸せだと思っていても、願いや望みは尽きないものです。
なにか手に入れれば、その先が欲しくなる。
叶わない、手に入らないと判ると却って欲しいと思う。
まだ人間だった頃から…僕の欲しいものは
すべてアンシェル兄さんが、そしてあるじが差し出して下さいました。
僕は彼らに何か返さなくてはと、何があっても彼らの後について行きました。
けれど小夜に出会って…彼女のおかわいらしい笑顔を目にして、
僕は初めて、この手で自分のものにしたいと思うものを見つけました。
僕が最後まで欲しがっていたそれは、決して手に入りませんでした。
これから先も、ずっとそうでしょう。
それでも僕は夢見てやまない。どんな痛みも忘れさせる、奇跡のような光景を。
決して手に入らない、身に余るほどのものを。
僕はそれを、いちどだけ見苦しいと窘められました。
兄さんにあんなふうに窘められたのは、あれが初めてでした―――
あの時僕は只管悔やんでいました、
すみません、すみません小夜
僕は貴女の夢をかなえることはおろか、貴女の幸せを考えることはおろか
貴女ひとり護ることさえ出来ない。
もう少し、もう少しだけ。最後の一秒まで、僕は貴女のものだというのに。
―――けれど最後に、彼女のかわいらしい笑顔を見たのです
自分の体が崩れる音なんて、もう聞こえなかった。感覚といえば、ただ
砕けて粉々になるのではなくて―――身体の奥から溶け出すような、あの
「ばかものが―――、」
ああ―――でも兄さん、
あなたにわかりますか あなたにはわかるでしょう 兄さん ぼくはきっと
―――何ておかわいらしい。貴女には笑顔こそ相応しい。
彼女が僕にそっと笑いかける あの体が溶け出すような光景を
あの奇跡を待っていたのです―――
―――みな一様に塵にかえるのなら、そんな光景を夢見てもいい
いちどでも目にする事が出来れば恵まれていると、あなた思いませんか。
- 190 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/06(日) 00:45:44
- …おやおや、>>166さん。僕はまだ酔っていませんよ。
ついつい、長々とお話ししてしまいましたけれど…お恥ずかしい、
けれど、ほら、頬を触ってもそんなに熱くないでしょう?
何ですって…そうではなくて、僕の頬がどれだけ柔らかいか知りたいのだと仰る?
はは、これはまた…変わった研究をしておいでなんですね?
ご覧のとおり、グレゴリー兄さんはいまあのお姿ですし
カールは少年のような顔つきです。アンシェル兄さんはほら、あの頬髭ですから
…くす、個体差は確認できると思いますよ?
ほら!あそこ、噂をすれば…カール>>179の姿がちらと見えましたよ。
追いかけて行って、頬をつねってご覧なさい―――それからこちらへ連れてきて、
あのグラスタワーを見せておやりなさい。きっと喜びますよ。
さあ、行っていらっしゃい。今夜はここで…ご機嫌よう。
- 191 名前:名無し客:2008/07/06(日) 01:17:45
- ソロモンの頬、やわらかいな
陛下たんだったっけ?あの子にほおずりしたら喜びそうだ!
ソーニャ姿のユカタとソロモンの武士が見れて満足満足
酔いつぶれたアンシェルが着流しで乱れた姿だったら笑え・・・(ry
いやいや、カール!ソロモンが許してくれたから頬さわっていい?研究のためだよ
レッツ・ハラダンス!
- 192 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/07/07(月) 00:26:19
- >>164
>小夜は俺の嫁
あら。貴方、サヤに求婚するつもりなの。
じゃあこんな話にも興味あるかしら?
わたしと彼女が一つ褥で休んだ、あの素晴らしい一夜について、よ。
くびれた腰、カモシカのように引き締まった脚、すべらかな肌。
魂を蕩かし痺れさせた、甘く芳しい彼女の匂い。
至近距離で見た、無防備な寝顔の食べちゃいたいくらいの可愛らしさ――
貴方、知りたい?
>>166
>翼手のほっぺたは柔らかいものかな?(ナデナデ
きゃっ!(ぶんっ)
なにも投げ飛ばすことはないだろう、って?
そうね……つい反射的に、ね。ほんのちょっと力を入れすぎたかも。
でも、殿方がいきなり淑女の顔に手を伸ばすだなんて、失礼だと思いません?
乙女の可憐な抗議よ。
- 193 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/07(月) 04:09:43
- やあ!
明晩とお約束したが、まだ晩のうちだとお許しいただけるかな?
まだ雄鶏は夜明けを告げていないようだ。こんばんはと挨拶させていただくよ!
>前453
>眠れないと言うけど横になって休む事もしないの?疲れちゃいません?
君は僕達を心配してくれるのかい?
ありがとう!でも大丈夫なのだよ!僕達シュヴァリエの体はいたって頑丈でね。
このとおり動きづめでも少しも困りはしないのだよ!!
……えっ、元気が有り余ってるなら、君の家の芝刈りをしてくれないかって?
よろしい、引き受けよう。君の家に出張するよ。
僕は勤勉で善意あふれるシュヴァリエだ。
客人のお役に立つのなら、単純労働だろうと身を粉にして働くのにやぶさかではないからね。
さあさあ、見てごらんよ!
芝刈り機を操るこの僕の華麗な動きを!
足は氷河の上を闊歩する南極ペンギンのごとく軽やかにステップを踏み、
手は川をさかのぼる鮭を捕獲するアメリカヒグマのように、
神秘的に舞って人の目を惹きつける!
……たとえがわかりにくいって?
でも君も、この見事な芝の刈り跡を見れば、すべてを理解するさ。
芝刈り機が描いた、複雑な紋様を描く芸術的な曲線の数々!
英国のミステリーサークルにも、これほど独創的な模様はないだろう!
規模では負けるが、美しさならばナスカの地上絵にも見劣りしない!
ご近所の皆さんに好きなだけ自慢してくれたまえっ!
さあ、名無しさん。
他にも仕事があったら、ついでに片付けるから言っておくれ。
なにしろ僕は疲れ知らずのシュヴァリエなのだからね!
……おや、どうしたんだい?君が疲れた顔をしているよ?
- 194 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/07(月) 04:10:19
- >>165
>肝心なのは、望んだり願ったりするのに飽きない事だそうだ。
つまり飽きずに望み続ければ、いつか叶うということだろうか?
では僕が、あの金髪の弟でなく兄になるという野望も、願い続ければいつか……
……いや、まさかね。ただの冗談だよ。
ああっ!
話しながら降りていたら階段を踏み外した!
シュヴァリエなのに何という失態!
落ちていく――。
着地に失敗して、体は床に激突寸前!
その時――夢を見るはずのないシュヴァリエに一瞬の白昼夢
僕の思考は過ぎし日のベトナムの女学院に跳ぶ――
久しぶりに、すぐ下の弟のソロモンに電話した。すると
「あなたから連絡だなんて、珍しいですね」
と苦笑混じりに言われてしまった。
もしかしてこいつに寂しい思いをさせてしまっていたかなと、僕は少々後悔する。
工場長と理事長の二足のわらじを履いて忙しい身とはいえ、
仕事にかまけすぎていただろうか。
もっとこの金髪の弟のことも考えてやらなくては、兄として失格かもしれない。
僕は脳をフル回転させて、威厳と優しさを兼ね備えた兄らしい台詞を考える。
小遣いは要るか――駄目だ、あいつは僕より金持ちだ(ううっ)
上司に叱られていないか――あいつは会社の最高責任者だ(しかも僕の上司。何故だー!)
上手い言葉が見つからず、結局、口をついてでた言葉は、簡潔で事務的な内容になる。
「コンテナを実験農場に移すことにした」
そう、コンテナを実験農場に――いや、そうじゃなくて!
元気だったかとか、仕事で苦労していないかとか、アンシェルに苛められても泣くなとか、
そう言えば良かったんじゃないのか?
いつも後になってから思いつく。
どうして僕はこんなに不器用なんだろう。
弟の「それは慌しいです」という返事を聞きながら、
僕はこっそりと自分自身に舌打ちした。
それでも黙っているわけにもいかないので、慌てて話のつぎ穂を探す。
「妙な連中が嗅ぎまわってる」
どうやら敵が接近しているんだ。お前も気をつけろよ。
お兄ちゃんはこっちでやることがあるけど、心配いらないからな。
言外に万の気持ちをこめて、それだけ口にする。弟に僕の気持ちは伝わったかな?
受話器の向こうで「へぇ〜」なんてのんきに言っているが。
「連絡は以上だ」
どうにもこうにも上手く話せないので、物足りなく思ったが切り上げることにした。
そうしたら今度はソロモンから話しかけてきた。
「ねえ、カール。
僕達シュヴァリエは、ひとつの意思を五つの体で分かち合う者たち、ですよね」
お兄さんと呼べ。
それだけが不満だが、我が弟ながら可愛いことを言うじゃないか。
お前の言うとおり、僕達は兄弟だ。うなずいて僕も答える。
「我々、血を分けた兄弟に隠し事はない」
うんうん、僕が兄でお前が弟。これからも素直でいろよ、可愛いやつめ。
頭の中で弟の金髪頭をグリグリと撫でながら、僕は電話を切っ―――…
…――やあ、名無しさん。一体何が起こったのかな?
…僕が階段から落ちたって?
体はなんともない、大丈夫だよ。妙な幻覚を見た気はするが――なんだったかな。
思い出せないが、まあいい。気にするようなことでもないからね。
おや、ソロモンの声がするね>>184
一緒に奴の様子を見に行こうか?
また僕の悪口を言っていないとも限らないから見張っていないとね。
本当に、可愛げのない奴なんだから。
- 195 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/07(月) 04:10:38
- >>166
>翼手のほっぺたは柔らかいものかな?(ナデナデ
君!
是非ともハジの頬を触ってやってくれたまえ!
彼の頬はいつもぴくりとも動かないんだよ。
気の毒に彼は顔面神経痛なんだ。
喋っている時でさえ、口だけ動いて頬など他の部分は固まっている始末でね。
でも君が触ってマッサージしてあげたら、少しは動くようになるかもしれないよ。
しかし筋金入りの顔面神経痛らしいから、そう簡単に治らないかもしれないなあ……。
いっそあの無表情を活かす道を考えてみたらどうだろう?
たとえば――そう、大道芸でみかける人間(翼手だが)銅像だよ!
生きた人間が体に鉛色のペンキを塗りたくって、銅像のフリをするあれだ。
一日中ほとんど動かず、表情も崩さない。
ハジの天職だと思わないかい?
全身を鉛色にしたハジを道端に立たせてだね。
手には空き箱を持たせておくんだ。
その箱に金を入れた人は、銅像となった彼をちょっと動かせる。
すると彼は、その動かされたままのポーズでじっとし続ける。
翼手だから、きっとどんなポーズも思いのままさ!
うーん、面白そうだなあ。お客人にも大受けだろう!
彼が帰ってきたら是非やってもらおうじゃないか。
……いや、もう旅先でやっているかもしれない。天職に目覚めてね。
お客人の皆さん、
どこかの街で翼手銅像となった鉛色のハジを見つけたら、どうぞよろしく!
僕の分まで、激しく動かしてやってくれ!
- 196 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/07(月) 04:10:58
- >>167
>フーッ!!
君はずいぶんと激しいため息をついているのだね。
……いや、いいんだ。
そのうち大事になるかもしれないが、自然現象は仕方がないからね。
何の話だって?
君は「ためいき効果」を知らないのかい?
カオス理論といってね。
些細なことが時間と共に甚大な現象に変わるという話なんだ。
いいかい?
君がため息をつくとする。
でもそれが実は君一人だとは限らない。
君が知らないだけで、このボルドーでも大勢の人間がため息を
ついている可能性がある。
何百人、何千人、いや何万人のため息。想像できるかい?
ひとりだと木の葉も揺らさないが、それだけ大勢だと大気を揺るがすだろう。
この大気の揺れは雲を動かしながら、やがて赤道付近にたどり着き、風の中にうねりを作る。
そのうねりが上層の高気圧を伴って台風となる。
これが台風の発生のメカニズムだよ。
そのうち日本あたりに、君のため息が台風となって訪れるだろうね。
気象情報に注意していたまえ。
- 197 名前:名無し客:2008/07/07(月) 08:46:33
- 乙女の純情な抗議!グレゴリーは姐さ、じゃないネイサンと気が合うね!
しかしネイサンと決定的に違うのは、グレゴリーが女の子に擬態できることだ
アンシェルも擬態できるがソロモンやカールは女の子に擬態はしない。
乙女の気持ちで振る舞える点、グレゴリーは得してるね♪
- 198 名前:名無し客:2008/07/11(金) 14:07:39
- ソーニャも可愛いけど、僕は大人の女の人のほうが好みなんです
リーザさんとかジュリアさんみたいな。来てくれないのかな
- 199 名前:名無し客:2008/07/11(金) 23:25:18
- リクが助けようとしたバアちゃんも忘れないでください
- 200 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/07/19(土) 23:53:21
- ………くッ…!
これは…いったいどうした事だ?
グレゴリーと共に、杯を酌み交わした所までは覚えている。
意識を取り戻した時、おのれの身が再生ポッドのガラスの中というならば
これはジェイムズの話なのだろうが…この私とした事が、こうして無様に寝台の上とは。
しかも私のこの…衣装の乱れようは……。
む…なんたる事だ!ここに至るまでの記憶が一切無い。
あの空軍基地の熱暑の夜においてさえ、襟一つゆるめぬ三つ揃えで通した
このアンシェル=ゴールドスミスに、まさにあるまじき醜態ではないか!
>>171
>つ【浴衣】
つ【帯】
つ【団扇】
つ【下駄】
―――これは…失礼いたしましたな。少々頭に血が昇っていたようだ。
貴方のご厚意に甘え、謹んで袖を通すことにいたしましょう。
濃灰色の単衣に黒の帯。
それに羽織に―――靴、靴かねこれは?…まあ良い。靴と扇。なんとも手回しの良いお方だ。
この単衣。これは東洋の…ナイトガウンのようなものですかな?
成程、仕立てはよく似ている。しかしソロモンの言葉に云う、(>>184)
>…はは、アンシェル兄さんとカールの為のものですね?知っていますよ、その中の…それ、
>そう、その山がたくさん並んだ模様の…何といいましたか。有名なサムライで…
………ソロモンの言葉ではないが…ご用意のこの衣装。単衣はともかくこの羽織……。
あかるい青地に、袖が白の三角模様染め抜きでは―――少々派手すぎはしないかね?
たしかに青はディーヴァの色だが、この私にはやや若すぎる色合いのようだ。
こうして身に付けていても周囲の人目を引くようで、何やら落ち着かんよ。
敬老のお気持ちは有難いが…羽織だけはいずれ暑気が抜けたとき、用いる事にさせて貰おう。
―――扇であおぎ、しばしのあいだ頭を冷やせ?…ご親切に感謝いたします。
仰るとおり、真実の探究者とはつねに冷静であるべきですな。
尤もこの特殊な靴では少々歩きづらいが…。
皆様へのご挨拶かたがた、おのれの身に何が起こったのかを検証する事にいたしましょう。
- 201 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/07/19(土) 23:56:33
- >>191
>酔いつぶれたアンシェルが着流しで乱れた姿だったら笑え・・・(ry
―――…ふむ。酔い潰れていたのかね?私は。
と言うより普段の衣裳があまりにも乱れていたので、客人の好意に甘えてこちらの衣装…
…着流し、とやらに改めさせてもらったのだがね。確かに笑うべき醜態である事はたしかだ。
…かすかに私が憶えているのは、グレゴリーがあの少女の姿でひどく楽しげに語る様子(>>173)
>背広を脱いでいただきましたわ、だってそのまま横になったりしたら皺になります。
>寝台に座らせて靴をお脱がせしても、お目覚めになる気配はなかった。
>仕方ないわねこのまま休んでいただきましょう、朝までには酔いも醒めるわよね……
………。
………。
…む…頭がひどく痛い。
真実の探求にあたって、これほど心沈むのは…私の人生において初めての経験だ。
>でもその時、あの方は首周りをくるしがるような仕草をなさったんです。
>わたしは寝台に上ってタイをするりとほどき、シャツのボタンを外し胸元をはだけ…
―――グ…グレゴリー。今は退け。私は眠りを欲している。
シュヴァリエである以上、眠りとは縁のないこの身だが…いっそ夢であれば幸いなのだが。
女性に擬態し、相手をさんざんに翻弄するのはじつに楽しい行為だが…翻弄されるのは敵わん。
しかし>>175の客人の助言ではないが
>>175
>カールとアンシェルが着る場合は鎧兜か陣羽織がいいね
―――出来うるならばいっそ鎧兜を着込みたいものだ。おなじ血を分けたディーヴァの
シュヴァリエとはいえ油断できん。今後はうかつに酒すら飲めんではないか。
何をされるか解ったものではない。
お言葉どおり具足に腕を通し、ずしりと重い胴丸を胸に当て―――……。
………。
………。
いや、やはりこのあたりで止めておこう。
鎧を着込み終わったその瞬間、弟のだれかに湖水へ突き落されそうな予感がする。
私の場合、身に覚えは―――ありすぎるほどあるのでな。用心に越した事はないのだ。
- 202 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/07/20(日) 00:00:39
- >>178
>グレゴリーはシュヴァリエになったアレクセイにも「弟」としてキスできるかい?
>アンシェルにとっては複雑?
―――複雑だ。
尤も、君の言う意味とは少々異なるかもしれないがね。
弟と云わず相手が誰であろうと、たとえそれが花婿たるリク・宮城で
あったとしても、必要とあらば私はためらわない。
……その相手が全力で嫌がり、必死に私から逃れてさえくれるのならば。
だが、グレゴリーはもともと神職を奉じる者であるだけに……。
ふむ。…何と説明したものかな。そうした際にあれは少々目が―――
何と言うか…そう。瞳の色がうっとりと天上の彼方に『飛んで』しまっているのだ。
あの弟はかつて寝台のなかで、ともに暮らそうと小夜に語ったそうだな。
おそらくはそのときと同じ表情だ。…信仰者とは純粋であるだけに恐ろしい。
歯止めが利かん。グ…グレゴリー、今は退けと言うのに。
時折話していてふと、不安に陥る事がある。
この男は一体どこまでが演技で、どこからが本気なのか…君もそう思わないかね?
だからこそ、
>>163
>シュヴァリエは、基本的に皆すごく真剣なんだね
>ただ考え方が違うだけで、そういうところすごいね?
―――…などと語るそこの君、冷静になりたまえ。そんなところで我々に感心してはいかん。
>>197
>乙女の純情な抗議!グレゴリーは姐さ、じゃないネイサンと気が合うね!
>乙女の気持ちで振る舞える点、グレゴリーは得してるね♪
―――などと声を弾ませる、そこの客人もすこし落ち着きたまえ。
この私がいちいち言うのも妙な話だが……男が乙女でどうする。あれの行く末がつくづく心配だ。
- 203 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/07/20(日) 00:01:43
- >>166
>翼手のほっぺたは柔らかいものかな?(ナデナデ
―――なんとも大胆な、子供のように探求心旺盛なおかただ。柔らかいかね?この頬髭は。
君が今そうしているように、時折ディーヴァもおのれのシュヴァリエ達に寄り添い、
その頬へと気まぐれに手を当てられることがある。
殊に私の場合は……決まってなにか、彼女が新たな望みの品をねだられる時だ。
彼女は毛並みの良い猫のように背後から忍び寄り―――その素足はまったく足音を立てない。
そうした際、うかつにも椅子に掛けたままで新聞の株価や、報告書などに目を通していると
ディーヴァはたちまち機嫌を損ねられて、この髭を思うさま背後に捻りあげられる。
なんとも光栄の至りだが、シュヴァリエとはいえひどく痛いのは確かだ。おまけにその上―――
………。
………。
…髭で済みさえすれば、まだこれは幸運と言えるのだが。
- 204 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/07/20(日) 00:13:01
- >>165
>―今の自分を幸福と感じるか?
>…肝心なのは、望んだり願ったりするのに飽きない事だそうだ。
―――そのとおり。
研究者たるこの私の至高の幸福、その喜びとは…飽かぬ事。
分厚く垂れこめた暗雲を割り、今しも一瞬の真実が差し込む、まさにその瞬間こそが
『それ』と言えるだろう。
ディーヴァが二人の女王を生み落とす。
そしてその娘たちがシュヴァリエを作りだし、さらなる女王を宿し
ついには世界は翼手で満ちる事になる。
あるいは―――翼手の不死性をじかに目の当たりにする。
その刻まれた肉体が接合を繰り返す。翼手とはまことに不思議な生き物だ。
この地上に存在した、あらゆる生物をさえたやすく凌駕する…この恐るべき強靭な生命力は!
それらをじかに目の当たりにするとき、この私は何を思うだろう?―――怖い?
恐怖かね?それとも恐るべきおのれの所業に…あるいは私は罪悪感を覚えるのだろうか?
いや、違う。
この全身を流れる研究者としての血がたえまなく騒ぎ…喜びにふるえるのだ。
たとえそのかたちが、傍目には目を覆うべき残虐さを有していたとしても
未知の生物があらたな世代へと進むその瞬間を、
あるいはその生命の持つ、謎めいた力そのものを
まさにそのとき―――目撃する事が出来るのだから。
たとえどれほど切り刻もうと、なおも復活しようとする翼手の再生能力!
ラマルクやダーヴィンを引き出さずとも、生物の進化の過程がおそるべき試行錯誤と
同種の累々たる屍のうえに成り立っている事は、客人たる諸君らもご存じの通りだ。
…海中に生きていた生物が、はじめて陸にあがるとき。
海生生物の呼吸器はたやすく陸上生活には適合しない。地上という新天地を求めるにあたり
おそらく何百、何千、何億…いやそれ以上に、彼らは次々と死んでゆく。
あたかも増えすぎたレミングの群れが突き進むように、同胞の屍を我先へと超えてゆくのだ。
その気の遠くなるような数の犠牲の果てに――…最初の一個体が肺呼吸を始めるのだ。
それはまさにひとつの進化、『原初の両生類』という、あらたな生物の誕生の瞬間と言えよう。
翼手の不死性をこの目にするとき―――
私が感じるのはまさにこの、生き抜こうとするしたたかな生命の強さだ!
まさに血が逆巻くような高揚を………君は覚えはしないかね?私は感じる。
翼手とはまるで、それまでのあらゆる地上の生物の歴史を、
その種族全体が持つ、可能性のちからのすべてを―――…
ただの一個体がそれぞれに備えているかのようではないか?!
……私は今でもよく憶えている。
翼手という、まったく未知の生物をはじめて目にしたときの喜びを。
もう随分と昔の話だがね。
- 205 名前:アンシェル ◆AmsheL3ZR6 :2008/07/20(日) 00:16:06
- >>169-170
>まったく、まるでピエロだな貴方は……
>人類こそ多種多彩な真のピエロだからだよ。翼手もまたピエロだ…
―――いかにもお二方の仰せのとおり。私は道化だ。
シェイクスピアの古き時代から、道化は老いたる王の傍らを離れぬものでしてな。
この地上の進化の歴史のなかで、これまで永く玉座を占めた老いたる王・
彼ら『ヒト』という種に、道化たるこの私はそっと寄りそい
その求める物を提供してきたにすぎんよ。歩みはじめた子をあやすように
何者かが手を取らねば、彼らはすぐに倒れてしまうのだ。
かくして狂王リアに道化は語る。「リア王」一幕四場の『道化の歌』だ。
おのれの国を 細切れに
与えた愚者は 道化の仲間
御身と手前は まさしく同業
互いに腕組む 阿呆が二人
両者の違いは ただひとつきり
こちらは職務で 道化の衣裳
そちらは帽なく 衣装もなしで
互いに腕組む 阿呆が二人
「王様お解りかね? なぜ人間の鼻は顔の真ん中にあるのか?
目をそれぞれ両脇に付けておく為だよ
鼻で嗅ぎそこねたとしても 両の目で見破れるようにさ」
「王様知っていなさるかね?かたつむりになぜ家があるのか?
頭を仕舞う為だよ。娘たちにすっかり遣ってしまって
角を吹きさらしに させない為にさ」
―――では老いたる王よ。こちらはご存じかね?
いまもなお続く、愚かしい「戦争」という刃をおさめる鞘のありかを?
人間はみずから引き起こした戦争によって滅びの道を歩んでいる。
血と汗と涙―――すべてはそこに、戦場に流れるものの為にだ。
…ふむ。問いの答え、『納めるべき鞘のありかとは何処か』かね?
残念ながら教えられない。この私はリアの道化ほど善良には成れんのでな。
王よ。せいぜい最後まで相争い、互いに殺し合う事だ。
諸君らのその業が我々に、生きる場所を与えてくれているのだから。
…あわてて皆様にお目通りしたが為に、幾人か客人のお相手を落としてしまったようだ。
お待たせしているお方には何とも申し訳ないが―――衣装を改め、またいずれ。
- 206 名前:名無し客:2008/07/20(日) 00:59:19
- あれ、陣羽織もう終わり? もったいないけど仕方ないな
そういえば《R&R》ディーヴァが擬態したアナスタシア皇女が出てくる。
小夜が潜入してアレクセイ皇太子がお姉さまと間違えちゃった場面があるんだけど、
その少し後の場面でディーヴァを恐れず大人しくしてた大型のケモノは何だったの?
動物達は本能的に恐れるんじゃなかったのか??
《ワンナイトキス》サンクフレシュができる以前に、その段階でアナスタシア皇女のペットってことで、
少し細工したとか?ははっ、謎だらけだ・・・そのうち蚊が巨大化するんじゃないか?
ハエが巨大化した翼手、カマキリ、クワガタ・・・昆虫系の翼手が観測できなくて残念だ。
まさに生命の突然変異を目の当たりにする瞬間、でもあったんだろうな。
- 207 名前:名無し客:2008/07/21(月) 16:26:48
- シュバリエの皆さんがもしも普通に結婚していたら、自分はどんな夫
(ソーニャは…つ、妻?)になっていたと思いますか?
- 208 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/22(火) 03:28:47
- ご機嫌よう。夜ともなると、随分と涼しいですね。
この曲を知っていますか?これはバッハが手がけて、教え子のゴルトベルクが
眠れない伯爵の為に弾いたと噂されている、長い変奏曲の一部です。
何しろこの曲はひどく難しくて、僕ではまだアリアを弾くので精一杯なのです。
…ご覧なさい、今夜は満月です。
こんな夜には血が騒いで、怖ろしいばけものが目を覚まさないように
―――あなたがたが安心して眠りにつけるように
僕はここでこうして、安らかな眠りの為の曲を弾きましょう。
眠るばけものにしか効果がないのが、残念なところなんですけれどね?
>>169
>まったく、まるでピエロだな貴方は……
>>170
>翼手もまたピエロだ、人に近く人と異なる種類のタイプだね。
誰の事ですか?おや、僕ですか…?はは、ご冗談を。
ピエロというのはあなた、食べていくために人を笑わせたり、
子供を喜ばせたりする人の事ですよ。
けれどそうですねえ、食べるために人を喜ばせる事はしますから、
そこは彼らと一緒かな。例えばほら、食べるために
パーティーに出席しては、そこにいる人に優しく囁きかける―――
「ご機嫌よう。お嬢さんいい夜ですね、
あんなにお月様がきれいです。グラスを持って外へ出ましょうか。
だってこんなパーティーはつまらないではありませんか、
貴女はお人形ではないのですよ…そうでしょう?」
「足もとに気をつけて。まだまだ、もっと奥へ―――おや、
お父様の言いつけがあるから?…忘れておしまいなさい、
こんな夜にはお父様だって、貴女を叱りはしないでしょう。
…怖い?どうして。誰も見ていやしません―――こんな所には、誰も来ません。
口うるさい召使いも、
厳しく叱りつける怖いお父様も、
心配して下さる優しいお母様も…ここには、誰も居ません。
しっ、落ち着いて…大丈夫、この手を」
「……離すものですか」
…お嬢さん、お気の毒に。
僕らをピエロと呼ぶなんて、あなたお優しすぎる。
僕らはただの道化ではありません、
―――そうそう、あなた>>170巧いことを言いました。騙されてはいけません、
道化を演じる役者は―――決してほんものではない、怖ろしい別の何かなんですよ。
- 209 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/22(火) 03:31:59
- >>178
>グレゴリーはシュヴァリエになったアレクセイにも「弟」としてキスできるかい?
>彼だけじゃないなぁ、ソロモンやカールにも聞いてみたいな。
皇太子だった彼がどんな少年だったのか、残念ながら僕は
詳しい事を知りません。会うこともありませんでした。
ただ…彼の写真は残っていますね。
どこか心許なそうな顔をして、こちらを向いている。
彼はきっと栗色の、つやつやとした髪の毛で…
ガラスのような瞳をして、それはお可愛らしかったことでしょう―――
それこそお人形のように。はは、そんなにかわいい弟が生きていたなら…
おや、そうか―――彼は僕の、すぐ上の兄さんにあたるのですね?
はは、どちらでも構いません…彼さえお嫌でなければ、僕は
彼の頬に、ご挨拶を差し上げたでしょう―――僕より小さな、僕と同じお人形の彼の
素焼きの磁器のように滑らかな左右の頬に。
>>191
>ソロモンの頬、やわらかいな
>陛下たんだったっけ?あの子にほおずりしたら喜びそうだ!
はは…、それはもちろん、あの少女が僕の頬を気に入ってくれたというなら
僕はありがとうと言って、あるじにするのと同じように
彼女の手のひらにそっと頬を擦るでしょう。
けれど…彼女はご存知ない。僕は彼女にとって、翼手であることを抜きにしても
忌避するべきばけものなんですよ。
よく意味が判らないと仰る?
それじゃあ、ひとつ解りやすい昔話をしましょう―――あなた、この話を聞いたら
きっと僕が人間でなくて良かったと、心からそう思いますよ。
そんな事はない?いいえ、これは僕らの現実なんです。
カールがシュヴァリエになって、まだ間もない頃の事です…
あなた続きを聞いてくださいますか?
もしどうしてもお厭なら、こうやって、耳を塞いで。
- 210 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/22(火) 03:35:04
- (>>209 続き)
あの時も、夜空に冷たい月がかかっていたような気がします
…いいえ、地下室でのことですから、月は見えなかった筈なんですけれど
あの光のように、空気が深々と冷えていた事は憶えています。
その―――冷たい空気を―――カールの喉から漏れる喘鳴が、
しきりに割いていました。必死に痛みを訴える、声にならない悲鳴でした。
アンシェル兄さんは鎖につながれた彼の前で、
メスと開創器を握っていました。
傍で見ていた僕はやっとの事で、乾いて張りついた喉から声を出しました。
「…すい…、」
「…んん?」
アンシェル兄さんが、ちらとだけこちらを見るのがわかりました
けれど僕は、カールのぱっくり開いたそこから目が離せなかった
兄さんも、すぐに手元へ目を戻したようでした。
「兄さん、ま―――麻酔を」
カールに麻酔を。僕が言い終わらないうちにいやな音がして、
兄さんの頬に赤い飛沫がかかりました。
カールの体が跳ねて、それからひくりとも動かなくなりました
―――急速な失血によるショック状態でした。
僕は思わず息を呑んだ、僕は
「うぐ」
嘔吐いてカエルが潰れたような声を出して
「…くッ」
―――兄さんが失笑しました。いいえ、失笑というより
「医者だろう」
「―――ですがこれは、兄さん、これはあまりに」
「いい。出て行きたまえ」
彼は楽しんで…いいえ、これも違う
ああ、多分―――悦んでおいででした。
彼はそれきり、僕を見もしなければ口も利かなかった…のだと思います。
ただ夢中な様子で、メスを入れるのでした―――彼はその度に、
これだ、と口元を綻ばせては―――すばらしい!とばかりに目を眇めるのでした。
…僕はとうとう術創から目を逸らしました
カールが滂沱と涙を流して宙を見つめていましたけれど、
そこからも目を逸らしました―――そして僕は
すべて終わった後で、何事もなかったようにカールの前へ現れて
体におかしな所はありませんか、どこか痛かったらすぐに言うのですよと
彼を気遣ってやるのでした―――
僕は何度か、それを繰り返しました。それからとうとう、
見て見ぬ振りができなくなりました。
僕はつぎにカールが施術室に入る時、彼の腕に
人間なら死に致る量のジアセチルモルヒネを射って…万にひとつ、
途中で作用が切れてしまっても厭なものを見ないように
光を通さない布きれで、目隠しをしてあげることにしました。
彼はモルヒネを打つのをいやがりました。
意識が失くなる寸前、彼は何度もあるじの名前を呼びました
きっと―――施術のあいだじゅう―――彼はあるじの姿を、歌声を
意識の中に思い描いていたんでしょう―――彼はしきりに唇を動かしていました、
―――僕はまた、彼から目を逸らしました。
背中を向けて地下室を出ようとしたところへ、兄さんの声がしました
「聞いてやらないのかね」
僕はそう訊かれても、なお彼を見ることが出来ませんでした。
怖かった、彼の唇が僕を罵るさまを見るのが―――
ディーヴァに罪など最初からありはしません。
彼女は誇り高い女王であり、僕らの母親です。
兄さんのなさる事には―――確固たる意志と目的がありました。
それは瞭然とした、いかにも判り易い目的です。
では…、僕は?
僕が彼にした事は、彼に何をもたらしたのでしょう?
―――強制的な眠りと、目が開いて激痛に襲われても何も視えない不安だけです。
あれは彼の為などではない、他ならない僕自身が
彼の見開いた眼を、彼の流す涙を見たくなかったからだ。
彼に安息をもたらすことが出来るのはあるじだけと知っていながら―――
都合のわるい現実から目を逸らしていたのは、いつだって僕です。
なんて重い罪なんだ。
いつか、あのお小さい少女が僕に
人間のことが、私のことが嫌いかとお訊ねでした
ほんとうは僕が彼女に、同じ事を訊かなければいけないのに。
- 211 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/22(火) 03:40:26
- >>206
>まさに生命の突然変異を目の当たりにする瞬間、でもあったんだろうな。
おや。よくご覧になっているのですね?
残念なことに僕は、その時そこへ居合わせませんでした―――ですから
そのご質問にはお答えできないのです。ほんとうのところが知りたいなら…
あなたご自身で調べて、答えをさがすしかありませんね。
それにあなた、とても面白い考え方をなさいます…
いかがですか、僕と一緒に?
その題材が意義のあるものなら、兄さん達もきっと歓迎なさいます。
僕が兄さんに、あなたを紹介します。
あなたはあなたの求める答えを得ることができるでしょう―――
心は決まりましたか?では青い薔薇を胸に差して。覚悟がお決まりですか?
それなら、さあ、このワインをおあがりなさい。―――遠慮なさらずに。
僕が視えますか?
怖がらないで、君は ―――… 。
おやおや、御免なさい、大丈夫。冗談ですよ?
今夜は満月です。ばけものがざわつくのは、仕方のない事なのです…さあ、
早く部屋へお戻りなさい。
僕の手が、鍵盤の上に落ち着いているうちに
さあ。早く―――、
- 212 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/07/22(火) 03:41:47
- >>163
>シュヴァリエは、基本的に皆すごく真剣なんだね
>ただ考え方が違うだけで、そういうところすごいね?
おや、あなたはそう仰って、褒めて下さるのですか?
お優しいな…、けれどほんとうに真剣なら、よりによってご来客に
いまのような悪い冗談は言わないものですよ…?悪い事をしました。
すみません、今夜はこんなお話ばかり。つぎにお目にかかるときは、
もっと楽しいお話をしましょうね?
…さあ、あなたも早く部屋へお戻りなさい。
月の光はあんなに冷たいですけれど…怖くありません、
僕はここで、ずうっとこうして起きていますから。
あなたがたが安心して眠りにつけるように、
兄弟たちが静かに夜明けを迎えられるように、
こうして、この曲を弾いていますから。…ご機嫌よう、おやすみなさい。
- 213 名前:名無し客:2008/07/22(火) 13:47:49
- ああ、ディーヴァの帝王切開の時もそんなふうに麻酔したんだね…
- 214 名前:名無し客:2008/07/26(土) 00:53:45
- 我々が何者か?どこから来たのか?
その事に意味があるのか?
人間同士の戦争がそうであるように
数多の進化を、否適応のための変化を遂げた中で
殺傷能力を特化させたイキモノのヒトが…
- 215 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/26(土) 01:10:44
- やあ、こんばんは。
>>168
>小夜が女子高生やることも許さないんだな…
僕は許さないなんてことはなかったよ!
彼女のリセ・ドゥ・サンクフレシュ女学校への編入も許可したのだからね。
……だがね。
僕はこうも思うんだよ。
どうして小夜が人間の少女の真似などしなければいけないんだい?
小夜がその身にまとって、最も似合うのは制服ではなく赤い血だ。
彼女は翼手の女王なのだよ?
刀を振るい、人であろうと獣であろうと境なく殺し、
この世の全てを破壊する女神なんだ。
その姿こそが真の小夜だ。この世界のなによりも美しい。
君だってそう思うだろう?
僕は小夜が女子高生をやりたいというなら、それを咎めはしないよ。
小夜が、自分が翼手の女王で血塗られた女神であることを忘れずにいてくれれば。
――この僕のこともね。
- 216 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/26(土) 01:11:03
- >>169 >>170
>まったく、まるでピエロだな貴方は……
>翼手もまたピエロだ、人に近く人と異なる種類のタイプだね
僕はピエロではなく、ファントムと呼ばれたのだが――。
ベトナムのとあるリセ(女学校)では、ファントムの名を神話のように
語り継いでいるのだよ。君にもその物語をお教えしようか?
それはリセがまだ修道院だった頃の話だ。
黒髪の美しい修道女ロゼに恋したファントムが彼女に求婚する。
するとロゼは結婚の条件として「一輪の青い薔薇」を望む。
ファントムは世界中を探してまわるが青い薔薇は見つからない。
そして探すうちに長い年月が経ち、ロゼも――おそらく寿命が尽きて――還らぬ人と
なってしまうのだね。悲しみにくれるファントムは初めて涙を流す。
ファントムの涙は枯れた大地を潤し、土地を豊かに変えた。
涙の最後の一滴から青い薔薇が咲き、ファントムは一輪の薔薇を
ロゼの墓に捧げた後、どこへともなく姿を消したのだという。
僕が思うに、ロゼは最初からこの世に青い薔薇など存在しないと知った上で、
ファントムに無理な注文をしたのだよ。
彼があるはずのない花を求めてずっと世界を飛び回っていたから、
ロゼは悪霊に邪魔されることなく、修道女として清らかで敬虔な人生を
まっとうできたんだ。
そして彼に涙を流させて人々に豊饒な大地を与えた。
そればかりか自分の死によって悪霊に愛と悲しみを教え、
その土地からうまいこと追い払ったんだ。
女は賢く、男は愚鈍だったという話さ。
――ああ、そういえばこれには後日談があってね。
ファントムはリセに黒髪の少女が来ると、土地に舞い戻り、
青い薔薇を捧げてどこかへ連れて行ってしまうのだそうだ。
実に愚かしく未練がましい男だね。……たしかにまるでピエロだ。
- 217 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/26(土) 01:11:15
- >>174
>つ【浴衣】【帯】【団扇】【下駄】
次兄も>>173で着ているね。実に似合っていて愛くるしい!…しかしなぜ女物。
まるで美しい少女のようだ……いや、実際に美しい少女であるのだが、
そうではないのだ。
このへんのややこしさが次兄が持つ魅力なのだろうね。
ところでありがとう!僕もすぐに着るから待っていておくれ。
まずは袖を通して、体に身ごろを巻きつけて……帯を結んで……。
とてもシンプルで着やすいね。涼しい生地だし、着心地もいいよ。
ええっと……あれ?肝心なものがないぞ。どこにあるのかな?
……何を探しているのかって?
ほら、このユカタの下に着るボトムと言うかズボンだよ。
探しても見つからないんだ。
――えっ!?
浴衣の下には何もはかないのかい?。アオザイだって下に着るよ。
このままだとスリットから足が出てしまいそうだ。
日本では男も太ももやふくらはぎを晒して歩くのかい?
……なんだい、名無しさん?足が気になるならこれをはけって?
へえ、日本伝統のメンズボトムか!ありがとう、使わせてもらうよ。
……うん、肌触りがいいし現代的なデザインだ!気に入ったよ!
さあ、着てみたよ。似合うかな?
ユカタにゲタにウチワに……それからこれはなんだっけ?
ああ、ステテコっていうのか!
日本の衣装は実にファンタスティックだね!
- 218 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/26(土) 01:13:02
- >>172
>長兄はどんな形にせよ、弟達を想っていたんだね。
僕が最後にアンシェルと交わした会話はね――、
「なぜ僕に小夜を殺させてくれないのか」
だった。
小夜を殺す任務はジェイムズに与えられ、僕は外されてしまったんだ。
アンシェルは「お前に必要なのはしばしの休息だ」と、
まるで気遣うかのように僕に休めと言った。
でも本当はね――、僕はあの男に見限られたんだよ。
だが彼の判断は正しかったと今は思うよ。
小夜に惹かれすぎるシュヴァリエなど、ディーヴァにとって危険因子でしかなかっただろう。
僕はディーヴァからも兄弟からも離れすぎてしまったんだ。
アンシェルがわざわざソロモンを寄越して僕を殺させようとしたのは、
最後の嫌がらせか、あの世へ行く僕への餞別のつもりか。
それともただの不用品の処理というだけで、何の感慨もなかったのだろうか?
それとも――。
わからないな。アンシェルの考えなど、わかったためしがないのだけどね。
でも僕も君が言うように、長兄は弟達を想ってくれていたと思うんだ。
今の僕はそれで十分だよ。たとえその想いが「どんな形」だったとしてもね。
- 219 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/07/26(土) 01:14:34
- >>174
>アンシェルとカールの飲み比べ用にこさえた泡盛
”こさえた”というと、この泡盛は名無しさんが作ったのかい?
そういえば聞いたことがあるよ。沖縄のアワモリという酒は、
昔は家庭で作ることもあり、甕の中で熟成させてから飲んでいたのだと。
稀少な一品を持ってきてくれたんだね。
それにしてもすごいグラスタワーだね。屋根を越えそうだよ。
しかも僕とアンシェルの飲み比べ用だって?
しかし彼はそんなに飲めないんじゃないかな。
気の毒だから勝負は僕の不戦勝でいいよ。
ほら、お年寄りはいたわってやらないとね。
……え、やっぱり勝負して欲しいのかい?
それなら仕方がないな。アンシェルが来るまで待機しているよ。
……おや、名無しさんが何か言っている?
>>176
>泡盛は水で割って飲んでください。
へえ、そういうものなのかい?
たしかにこれくらい味わいが深い酒ならば水で割っても美味なのだろうね。
では名無しさんが持ってきてくれた水を、タワーのグラスに注いでみようか。
…………。
下段のグラスには注いだが、上段には手が届かない。脚立が必要かな。
どうしよう……と、あっあああっ、手がグラスタワーを押してしま――っ!!
ぐらりと傾き、崩れかけるタワー。
頭上に倒れてくる無数のグラス。
このままでは酒をぶちまけつつグラスは全壊する!
でも名無しさんの好意を無碍にできない。
ゆえに僕はシュヴァリエの能力を振り絞り、高速移動で酒を飲みつつグラスも守る!
こちらのグラスの酒を飲み、次にそちらを飲み――もちろん名無しさんの
助言を忘れず水で割りながらだ――空になったグラスを床に積み上げる。
さらに次々と飲み干し続け、
空のグラスを積み上げ続け、
また水を足して酒を飲み………。
ああ目がまわる。クラクラする。もしや高速で酒を飲むと酔いまで高速でまわるのか。
いや、それよりもっと大きな問題が。
大量の酒を飲んだ僕の腹部が膨らんで、まるでアンシェルの腹のように――!
おい、アンシェル!
早く来ないから僕一人が飲みまくって、腹が出てきてしまったじゃないか!
あっ、まさかそれが作戦か――!!
ううっ、いささか酔ってしまったようだ。今夜はここまでにさせていただくよ。
おやすみなさい。良い夢を。
- 220 名前:名無し客:2008/08/02(土) 17:21:24
- >>182>>210
カール………!ああ………
そんな酷い目にあわされてたなら
逃げればよかったのに
逃げられなかったんだね
ディーヴァから離れられなかったんだね………
- 221 名前:名無し客:2008/08/04(月) 21:47:00
- 「小夜に人間社会で真の居場所が作れるはずがない」と言うね。
比較的似た者同士でコミュニティを作ってきた人類の中で、今の時代どれだけの人間が居場所を見付けられず、あるいはそこから追われて死んでいってる?
あってもなくてもどうとにもなってしまう。
つまり、そういうことさね。
- 222 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/06(水) 23:57:59
- ご機嫌よう―――やあ、ひどい夕立ですねえ?
あなたがた、雨に濡れていませんか?…そうですか、それはよかった。
しばらくこうして、ここでお話をして待ちましょう。
雨があがったら、お屋敷に帰りましょうね。
>>164
>小夜は俺の嫁
そうですか。あまりお勧めしませんね。
…おや、御免なさい。それはもちろん、小夜はおかわいらしいですよ。
彼女をお嫁さんにしたいと仰るあなたのお気持ちは、よくわかります。
ほんとうによくわかる。けれどね…よく考えてもご覧なさい、
小夜を花嫁にしようと思ったら、あなたまず
ディーヴァのシュヴァリエにならなくては。
…そう楽なものではありませんよ、アンシェル兄さんの弟は。
それに…小夜の周りをご覧なさい。
小夜を心から慕うシュヴァリエを、僕は沢山知っています。彼らをご覧なさい…
あるかたは、本来は立派な男性だというのに
彼女を安心させるために、自らかわいらしい少女になりきっておいでになる。
あるものは仮面にマントといういでたちで彼女の前に立ちふさがり、
強烈な印象でもってそれに対抗しようとなさる。…一番凄いのにいたっては、
彼女を護るためだと言って、姿を見せるたびに必ず串刺しになってみせる―――
文字通り、血が噴き出るような努力をしておいでだ。彼らは真剣なのですよ?
それを……。そうして彼らが得た評価はどうです?
まるで子犬だの、ストーカーだの、あまつさえ変態だのと―――度し難い。
すばらしいものを手に入れようと思うのなら、覚悟しなくては。
小夜を花嫁にしたいのなら、あなた彼らの上をいかないといけません。
例えばほら、彼女を無理やり連れ去って閉じ込めて、…あくまで例え話ですけれどね、
汚れていたからといって彼女の衣装を脱がせて、自分のベッドに寝かせてしまうとか―――
もちろんそんな事は僕が決して許しません…!それに、それこそ大ひんしゅくですよあなた。
ええそうです、それでは変態だなどと罵られてもしかたありません!同情の余地などない。
あなたそれでも、彼らの真似がしたいですか…?
ほら、嫌でしょう?ですからお勧めできないというのです。
おや。どうなさいました?はは、いやだな
どうしてそんな、かわいそうな人を見るような目で僕を見るのですか?
- 223 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/06(水) 23:59:52
- >113
>>何故、ハジの手は異形化したままなのでしょう
さあ―――あまり考えた事はありませんでしたけれど、
彼を知っている人はみんな言いますね?あれは彼自身の戒めなのだと
一度でも彼女を怖れて逃げた事への、罰なのだと。
彼をよくご存知のかたがそう言うのであれば、そうなのだと思います。
ハジは律儀ですねえ―――右手があのようになってしまったのでは、
小夜の好きなチェロだってそれ以前のようには弾けないでしょう。
あれを見た小夜はその姿を忌避するだけでなく、ご自分を責めもするでしょう。
一寸考えれば判りそうなことなのに、それでも彼は許せなかったのですね。
では今度は、彼がべつの、こんなシュヴァリエのことを知ったら…何と言うでしょうね?
それは本当に必要だと思えば、血を分けた兄弟でも―――それがたとえ
あるじの心から気に入った兄弟でも、平気で騙すシュヴァリエです。
兄弟を騙して、その後どうしたのか、あるじにはもちろん伏せたままです。
そして、それを平気で実行できる自分に嫌悪すら感じない。
悲しいと思いこそすれ、後悔したりなどしない。だからもちろん、
自分に罰を下すことなんて、思いつきもしません。
美しい姿のまま、それまでと何も変わりなく、お人形のように可愛がって貰う―――
彼はきっと同じシュヴァリエとして、度し難いと罵るでしょう。
―――ハジは律儀ですねえ。
…彼女は彼のそういう所をこそ、愛したのでしょうけれどね。
- 224 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/07(木) 00:02:08
- >>167
>フーッ!!
君、落ち着いて…空が騒ぐのが怖いのですね?
いらっしゃい。そう、ここへ…しーっ、静かに。
おかわいそうに…僕の心臓の音が、聞こえますか?
大丈夫、この雨ならすぐに止みます…雷の音だって、すぐに遠くなります。
ご覧なさい、西の空はもうすっかり晴れてしまいましたよ。
もう少し待てば雨が上がって―――
洗い流されたような、冷たい空気が流れるでしょう。
- 225 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/07(木) 00:32:56
- >>126
>「君達は昔からの伝え通り、赤の他人より厄介な間柄だった!」
そうですねえ、あなたの仰るとおりです。
あなたには―――何があっても心のよすがにして、慕ってやまない
そういうひとが居ますか?
僕には、いま僕がしているように
優しく抱きしめてくれる親や兄弟こそ居ませんでしたけれど
まったくの他人以上のひとは、昔から居ました。
彼は僕がまだ、ほんの小さな子供の頃から、それはよくして下さいました。
まだ人間だったころ、僕は望まない道を強いられて―――
希望を持って生きる純粋さを、泥まみれにされたような思いでした。
僕は実の父親の意志には、どうしても従えなかった。
ほかの兄弟と同じように妥協することが、許せなかったのです。
そこへ兄さんは手を差しのべて、違った道を示して下さいました。
あんなに―――手足に嵌った枷を外してくれたひとはいません。
小さい頃から、彼がただ耳を傾けてくれる事が、それは嬉しかった。
そんな事ですから…彼がほんとうは何であるのか、
彼のほんとうの兄弟になることが、どういう事なのか明かしたとき
―――突然降りだした夕立が、澱んだ空気を洗い流すようでした。
僕にはもう、如何でもよくなりました。
人間の父や母の事も、兄弟の事も―――僕が人間の一個体であることも。
アンシェル兄さんは、僕がそれまで会ったどんな人とも違いました
彼の瞳の冷たさは、言葉の重さは、人の命の長さでは決して持ち得ないものでした。
ただ彼と同じ場所に立って、同じ目線の高さで世界が見たい―――
それだけが僕の望みでした。
そして彼はそれを、いとも簡単に叶えて下さいました。
僕はただ目を瞑って、彼が僕の胸に短剣を突き立てるのを待てば良かった。
だから僕も返し続けたのです。
いつまで経っても決して返しきれない、貰ったものに相応しいだけのものを。
彼の命じる事が、たとえ嘔吐すべきいまわしいものでも
彼の見せてくれた世界が、たとえ人間の世界となんら変わりないものでも―――
彼が慕わしい兄であることは、いつまでも変わりませんでした。
ディーヴァのしもべであることと同じくらい、僕にとって
彼の弟として隣りにいつも立っていることが、誇らしかったのでしょう。
だから―――そうしてこれまで長い年月を過ごしてきた僕にとって
彼の意志に背くことは、それは堪えがたかった。
何て厄介なんだ、このうしろめたささえなければ僕はもっと―――
僕は月の下で、川面を眺めながら繰り返し、そう思ったものです。
そんな事があってなお、僕はいまもここに居て、彼の言葉にいつまでも耳を傾けている。
彼と争わずに済むことに安堵している。彼の弟である事に、誇りをいだき続けている―――
―――とても理解できないでしょう?
それほど複雑で、厄介なのですね。
- 226 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/07(木) 00:35:17
- …やあ、長々と話を聞かせてしまって、すみません。
こうしているうちに、すっかり雨もあがってしまいました。
>>167さん、もう大丈夫です…よかった、呼吸が落ち着いたみたいだ。
さあ、帰りましょう。
グレゴリー兄さんが、暖かい食事を用意して待っておいでですよ。
御免なさい、いまのあいだでは
皆さんの言葉の全部にお返事ができませんでしたね。
お屋敷に戻ってから、また改めて―――ご機嫌よう。
- 227 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/08/07(木) 01:28:15
- ――――暑い。
ボルドーとはこれほどまでに暑い土地であったのか。
去年の夏は巡礼の旅に出ていた。わたしにとっては初めて「動物園」で迎える夏だ。
見かねた弟達は「くうらあ」なるものを勧めてくれた。しかしあの箱から吹き付ける
冷たい風を、わたしの体はどうにも受け付けなかった。
客人方や兄弟は、今日は朝から湖へボート遊びに出かけたが……皆、何故平気な顔を
しているのだろう?厨房で真っ赤に燃える竈の前に立つ気にもなれず、炎天下で菜園の
手入れをする気力も無い。地下の実験室に篭りきりなのだが……
――――気が遠くなりそうだ。
>>213
>ああ、ディーヴァの帝王切開の時もそんなふうに麻酔したんだね…
――まさか。
ジアセチルモルヒネとは塩酸モルヒネを無水酢酸で処理し、生成する薬品。
その強烈な快感と苛烈な禁断症状からThe king of drug(薬物の王者)との代名詞を持つ
――そう、ヘロインのことだ。翼手にエーテル等普通の麻酔薬は無効なのは確かだが、
投与の対象はディーヴァと胎内の御子。そんな薬を使えるものか。彼女と胎内の御子たちに
手術中の安全な眠りを提供するため、長兄が様々に試行錯誤を繰り返されていたようだが……。
今、追試を行っていたところだ。記録された分量通りの薬剤を静脈注射で投与することで、
シュヴァリエの肉体に齎される効果が再現されるかを確認している。わたしが意識を失う
までのしばしの間ではあるが、お相手させていただこう。
何も驚かれるにはあたるまい。
知識は錬成される鋼のようなもの。真実とは純度が高ければ高いほど、それはみずからを
業火に晒す代価を払い、初めて得られる種のもの。真理をこの手に得るためならば、わが身を
薪にくべることを、己自身を検体とすることを、どうして惜しむだろうか。
- 228 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/08/07(木) 01:32:11
- >>178
>グレゴリーはシュヴァリエになったアレクセイにも「弟」としてキスできるかい?
無論。
あのお方は不知の病に苦しみながらも素直で純真で、我慢強くお優しい御子であられた。
拒む理由などあろう筈も無い。
右の頬でも左の頬でも、兄弟の親愛のしるしに接吻を差し上げただろう。
――それをディーヴァが望むなら。
>>125
>なぜ、血を分けた姉妹同士で殺しあわねばならないんだ!
なぜと問われるか。考えられる訳がないと仰られるか。人間であられる貴方が。
血を分けたきょうだいなればこそ、他人同士以上に激しくいがみあうといったことは
よくあることではないか――わが国の歴史を紐解いてみられるとよい。
雷帝イヴァン四世は皇太子を己が手で殺め、ピョートル大帝は異母姉兄を退け帝位に就いた。
エリザヴェータ女帝もピョートル大帝の実子でありながら、玉座を得るにはクーデターを
経なければならなかった。エカテリーナ二世は夫を追放し王冠を戴き、その子パーヴェル一世は
近衛将校たちに殺害されている。その後帝位に就いた長男アレクサンドルの暗黙の了解の下
だったそうだ。
貴方の国でも、似たようなものだろう。
権力の座を巡る骨肉の血生臭い争いこそ、人類の歴史の華麗なる一ページ――そうではないか?
- 229 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/08/07(木) 01:34:28
- >>185
>ユカタがお似合いです…日本からおいでのご来客も、
>肌が白いから頸が細いから、それにきれいな撫で肩だからと
>しきりに褒めておいででしたよ。
先日夕涼みをした時、ソロモンはわたしの――ソーニャのユカタ姿を本当に喜んでくれたな。
>>169氏の
>まったく、まるでピエロだな貴方は……
との呟きを耳にして、綺麗に着こなせているのかと不安だったが。
彼こそキモノとハカマを粋に着こなしていた。灰緑色の生地で作られていた下駄の鼻緒、彼の瞳に
実によく映えていた……。普段からわたしの衣装を、どこに行っても修道服ばかり着ている>>181
とからかうカールも、実に似合っていて愛くるしい>>217と褒めてくれた……。
>ほんとうに、擬態がお上手です―――そのソーニャという少女の姿は、
>いまでも貴方の心に、時間が経っても変わらずあるのですね?
そう、わたしの血の中にはソーニャがいる。今もわたしの中で生きている。望めば何時でも囁きかけてくれる。
あの娘の血も肉体も記憶も、永遠にわたしのもの、わたしだけのものだ。
もう別離にも喪失にも怯える必要はない。骨身を焼き尽くす嫉妬と絶望に身をゆだねずともよいのだ……
ああ――麻酔が効いてきたな。意識が 遠のく………
………。
………。
………。
- 230 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/08/07(木) 01:40:30
- >>178
>グレゴリーはシュヴァリエになったアレクセイにも「弟」としてキスできるかい?
…ここは……どこだ……?
どうして…わたしはここでねている……
「私 アレクセイをシュヴァリエにするわ」
……だ…れ…?
「だからあんたは要らない」
わたしは、もう……いらない?
どうしてそんなことをおっしゃるのですか…?
わたしにはいままで あなただけだったのに……
あなたのためなら なんでもしたのに……
なのに
「消えていいわよ」
どうして おみすてになるのですか?
わたしには もう あなたしかいないのに…
いらないなんていわないで
いいこにしますから うんといいこにしますから
おねがいだから
- 231 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/11(月) 02:40:24
- やあ、ご機嫌よう…ただいま。
皆さんどうしたのです?ああ、はは…陽に灼けるのがお嫌で、
お屋敷に残ったのですか。それは残念でした…けれど
こんなに暑いのでは仕方がありませんね、
涼しい季節になったらまた皆さんで一緒に、森へ遊びに行きましょう。
おや…!そういえばあれはどうしたのです?あのグラスタワー。
いつの間に、中身が空になったのですか?もしかしたら僕は
アンシェル兄さんとカールの呑み比べを見逃したのかな…、
やあ、違うのですか?
カール>>219が?うっかり崩しそうになって、グラスが倒れるそばから
キャッチしては中身を飲み干したのだと仰る―――
はは、いいえ、彼にはその…何ですか、加速装置ですか?そんなものはありませんよ。
彼は翼手ですから、そのくらいならやろうと思えば出来るのです。
彼がとてもすばしこい事は、僕もよく知っていますよ。
彼にはファルマシーの社長室の、革張りの椅子を台無しにされた事がある。
あの時はもう少しで、僕が三枚おろしになるところでした。
僕に新しい腕を自慢するためだけに…くす、無茶をするのですから。
カールはそれからどうなりました?だってあなた、
あれだけのアワモリを飲み干したら、カールでもただでは済みませんよ。
彼にはあとで、冷たい水のたっぷり入ったデカンタを持って行ってあげましょう。
ところで…、グレゴリー兄さんは?キッチンですか?
おや、今日もあそこにはいらっしゃらない…。
この頃姿を見ませんけれど、どなたかご存知ありませんか?
- 232 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/11(月) 02:48:04
- やあ、君は先ほど地下室で彼と話したのですか。
何か実験の最中のようだった、と仰る…
そうですか、丁度よかった。何しろ書庫と地下の薬品棚はグレゴリー兄さんの管轄で
欲しいもののありかは彼に訊くのが一番早いものですから。
ええ、先ほど夕立を怖がっていたご来客の為に、睡眠薬を。
あまり雷が酷いと眠れなくなるのだそうで…では夕立の多いここでは大変ですねえと
帰る道すがら話していたのです。
…おや、>>213さん
>ああ、ディーヴァの帝王切開の時もそんなふうに麻酔したんだね…
いいえ、とんでもない―――慥かに僕は、彼女の出産のときには
そこへ居合わせませんでした―――けれどアンシェル兄さんが、彼女に
僕がカールに使ったような劇薬を使ったとは、とても思えません。
グレゴリー兄さんもそう仰いましたか>>227。そうでしょうね、
当時はいまのように―――有効で、なお害を抑えた麻酔などそう無かった。
ジアセチルモルヒネ…、ヘロインの作用と、それに伴う強烈な依存性は
当時すでに問題視されていました。けれどそれが、薬品に対する耐性の強い
翼手の体にどう作用するか―――これは試した事のない命題でした。
それを承知で僕は、……酷い医者です。
けれどそれが、当時採りうる最も確実な方法でした。
―――いまは良い薬剤があります。ファルマシーでも、
デルモルフィンなどといった新しい麻酔薬の研究開発は、常時続けていました。
アンシェル兄さんはきっと、僕がカールに麻酔を使った様子も
実験の一環として記録しておいでだったのでしょうから
あるじには、より確実で影響のすくない薬を使ったのに違いありません。
ええ―――ですから大丈夫。必要なご来客にはもちろん、
安定した薬剤を処方しますから。
ここには何だって揃っている、安全で確実な鎮静剤も睡眠薬も…
ついでですから、薬の棚を見せて差し上げましょうか。
普段は施錠がしてあって、決まった人しか開けられないものですから―――
- 233 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/11(月) 02:51:21
- やあ、地下はやはり涼しいですねえ―――おや
君、どうしました?こんな所で…お顔の色がすぐれませんよ。
…何ですって?たった今、兄さんがこの扉の中で突っ伏して動かなくなったと仰る―――
それはまたどうして。グレゴリー兄さん、開けますよ?
兄さん?どうしました、グレゴリー兄さん―――お加減でも
―――う、わ
兄さん…、…兄さん!
>>197
>乙女の純情な抗議!グレゴリーは姐さ、じゃないネイサンと気が合うね!
>乙女の気持ちで振る舞える点、グレゴリーは得してるね♪
はは、そうかもしれませんねえ…
あなた、ご存知かもしれませんけれど―――僕ら翼手が、人間の生き血をすする時
その人間の血の情報も、記憶や感情の片鱗も、すべて僕らのものです。
ソーニャという少女は…きっと、彼が振る舞うのと同じくらい
無邪気でお可愛らしい少女だったのでしょうね?
彼があの少女の姿を取るとき、鼻先をかすめるのは
いつもの、教会の壇香の匂いではなくて―――洗い髪のいい匂いです。
彼はいまでも彼女の姿を忠実に再現して、ほんものの乙女のように振る舞う。
彼女にドレスやユカタを着せて、年頃の少女らしくお洒落をさせてやる。
皆がお可愛らしいと褒めれば、心から嬉しそうになさる―――
彼女は…人間でありながら彼にとって忘れ得ない、何か特別な
心のよすがのようなものだったのかもしれませんね。
- 234 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/11(月) 02:54:01
- >>198
>ソーニャも可愛いけど、僕は大人の女の人のほうが好みなんです
>リーザさんとかジュリアさんみたいな。来てくれないのかな
そうなのですか。それはそれは…
シルヴァスタイン女史は、もう随分姿を見ませんけれど―――
まだ小さなご子息かご息女かの世話をしにお帰りで、
忙しくしておいでなのかもしれませんね?
エリザベータ女史になら、あなたアンシェル兄さんにお願いすれば
すぐに会えるかもしれませんよ。彼なら…くす、間違いない
あなたがお好きな、大人の女性の姿を見せて下さいます。
いま彼は外しておいでですから…ここだけのお話ですけれど、
ほら、聞くところによればアンシェル兄さんは―――
小夜が粗相をしてこぼしたイクラをひと粒つまみ上げて、
指先でぷちりと潰して、それを舐めてみせたそうじゃありませんか―――、
ふっ…ええ、せ―――扇情的ですね?む…向かいの席で、
ハジがぽかんとする様子が、目に浮かぶようです―――
素で―――イクラを潰して舐める大人の女性なんて―――そうそう居ませんよ?
彼女とお会いになるときは、あなたイクラをお忘れなく―――おや、
やっぱり遠慮しておく、と仰る?どうして―――勿体ない。
イクラが高価いからですか?お待ちなさい、イクラは僕が手配しますから―――
遠慮しないで、社会勉強だと思って。勇気を出して、是非…
どうしてそんなに必死に、と仰る?それはあなた―――
彼がイクラを潰す姿が見たいから、では―――こ…、答えになりませんか?
>>199
>リクが助けようとしたバアちゃんも忘れないでください
おや…!このお話の流れからすると…その、アンシェル兄さんは
どこかでお婆さんのふりまでしておいでだったのですか?
ええ、そんなお話は聞いていませんよ…へえ、シベリア鉄道で?
列車に荷物を積むのを、リク君やハジに手伝わせたというのですか。
はは…、彼なら旅行鞄のひとつやふたつ、小指一本で済むでしょう。
彼は本当にお上手ですねえ、大人の女性の仕種から死んだふりまで―――
きっと兄さんは、退屈しておいでだったのですね?
僕らときたら、彼が何に擬態してもぽかんとして眺めるばかりで
からかいがいの無い弟なのですから。はは、僕らを驚かそうと思ったら
それこそあらいぐまにでも擬態しなければ―――
彼はお厭かもしれませんけれどね?
あくまであらいぐまの話ですけどね、ほら、今の時季、毛が抜けますからね、あらいぐまは。
- 235 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/08/11(月) 02:55:31
- やあ―――、グレゴリー兄さんの事ですか。
さきほどは吃驚なさったでしょう、けれど彼は、きっと大丈夫です。
肩をかるく揺すったら、たちまち椅子から崩れておしまいになって―――
まるで死んだようだったので、僕も吃驚したのですけれど…よかった、
深く眠っていらっしゃるだけでした。
彼はご自分の腕で、麻酔を試したのですね。
彼を抱えて寝室のベッドにお連れするあいだも、酷くうなされておいでで…
彼が―――ほんとうに記録を採るためにおやりになったのか
それとも…自分に眠りを強いて、逃げてしまいたい何かを思い出したのか
それは、彼自身にしかわからないのですけれど、ね。
「どうしてお見捨てに」「わたしにはもう、あなたしか」
彼のうわ言で、聞きとれたのはこのくらいだ…
悲しい、おつらい夢を、見ておいでだったのですね。
これまで家族に―――自分から背を向けたことしかない、この僕が
そんな言葉を漏らす彼を抱えて―――慰める言葉をかけることなど
とてもしてはいけない事のようですけれど、あのままでは
もう二度と彼の目は、開かないような気がしたものですから。
もう二度とあの無邪気な、金髪の美しいロシア少女に
会えなくなるような気が、したものですから―――
もう一度、彼のご様子を見てきます。また悪夢にうなされておいでなら、
彼はお厭かもしれませんけれど…僕が傍で、彼の手を握っていましょう。
- 236 名前:名無し客:2008/08/13(水) 10:12:20
- 夏に飲む酒は、やっぱビールが一番ですよね
ところで翼手はアルコールで酔えるんですか?
- 237 名前:名無し客:2008/08/18(月) 11:57:46
- 「ファースト」は英語で「シュヴァリエ」は仏語。
なんでくっつけたんだよ、おかしくね?
- 238 名前:名無し客:2008/08/28(木) 22:25:06
- 「ファーストシュヴァリエ」は造語なんだろう。
ゴールドスミスがアメリカを裏から操るという含みにも読めるが、
実際はアンシェルしか知らないだろうな。だけど意外だ、彼の研究に翼手の心理を
研究するなんて項目がなかったっていうんだからさ。
グレゴリーの事でソロモンが心配してるね、翼手も人の気持ちと同じかもしれないな。
大事なものを失う可能性、どうすればそれを回避できるか・・・必死に方法を探す。
ソーニャがもし・・・なんて考えたくないからお茶を貰おうかな。
- 239 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/08/30(土) 00:54:28
- ……うっ…く………。………っ!!
はあ……夜、か。ベッド、わたしはなぜベッドに
そう実験中、麻酔の実験中だった今何時何分だ記録、記録を付けなくては記録簿はどこだ
覚えていない思い出せない――
これはなんだ胸の奥を絞り上げ溢れるものは、体の震えが止まらない!
夜の森を歩く、身を前かがみに折り早くもっと早く。あてもなくどこまでもどこまでも歩く。
森よ樹よ大地よ風よ星よ月よ、おまえたちも悲しいか。
声が聞こえる、森の奥から空の彼方から。足裏に感じる、大地から。
わたしはただ一人だ、わたしは孤独だ。
――いつのまにやら、塔にまで来ていたのだな。ここは小高い丘の上。屋敷も厩舎も噴水も、
ばら園も湖も森も、そう遥か彼方地平線に霞む鉄扉まで「動物園」の敷地を一望できる。
ディーヴァの牢獄であり揺籃、長兄にとっての閉ざされた楽園。
われわれのすべては、ここから始まったのだ……。
昔、世界にわたしと主と長兄しかいなかった頃、わたしには彼女と彼が全てで他には何もいらなかった。
欲しいものといえば三人でいる「時間」だけだった。
>>172
>長兄はどんな形にせよ、弟達を想っていたんだね。
あの方はああいう方だから、己の心を語ることは滅多にないのだが――。
冬宮でディーヴァの御側近くに侍ることを、お許しくださった。
進言を受け入れ、あの方の専門であるデルタ計画の端緒を預けてくださった。
眠りを欲するディーヴァを守り、追手のサヤとハジを足止めするため、殿を委ねてくださった。
――わたしにとっては、それだけで充分なのだ。
今ここには、ディーヴァがいない。長兄もいない。
初めて得たわたしの本当の家族、何にも替えがたく狂おしいほどに愛しい、彼女と彼――。
あの二人がいなくとも朝は来る。世界は動いていく。ただわたしは、わたしの仕事をこなすだけ。
いつの日かお帰りになった時、彼らの前で胸が張れるよう、日々を大切に生きていくだけ。
ただそれだけのことが、こんなにも悲しい。
>>235
>また悪夢にうなされておいでなら
>僕が傍で、彼の手を握っていましょう。
――ソロモン、おまえの手だったのか、久しぶりに思い出したよ人の手のぬくもりを――
地下室から部屋に運び寝台に寝かせてくれたのも、悪夢の中で彷徨っていたわたしの手を
握ってくれたのも、おまえだったのか。わたしなどを惜しんでくれたのか……。
もうすぐ朝が来る。
空が青色を取り戻し、朝焼けの名残が雲を紫色に染め上げるまで、ここでじっと待っていよう。
「動物園」の目覚める姿を、目に焼き付けておこう。
- 240 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/08/30(土) 23:35:58
- >>207
>シュバリエの皆さんがもしも普通に結婚していたら、自分はどんな夫
>(ソーニャは…つ、妻?)になっていたと思いますか?
もしもわたしが、本当に好きな人と結ばれて、一緒に暮らせることになったとしたら。
故郷の森の奥深くに、家を一軒建てましょう。わたしたちのための、小さい可愛いお家をね。
土の匂い。樹々の匂い。風の匂い。名も知らぬ花々の匂い。
人間の誰一人いない森、誰もいない川。
誰もいない淵で、裸で泳ぐ夏の日。
ペチカにくべた薪のぬくもり、どさりと屋根の雪の落ちる音のする冬の日。
外に出ると、雪の上にさまざまな足跡が遺されている。
兎、狐、狸、狼、熊、猪。さまざまな生きものが、ぬくもりと灯をめがけて近よって来ている。
だけど人間の足跡はただの一つもない。
わたしたちだけの森、わたしたちだけの雪、わたしたちだけの風。
そんな中で、二人きりで寄りそい睦み合う。
春の霞むように柔らかな若芽、秋の燃え上がるような紅葉、いつもいっしょに眺めるの。
竈には火を絶やさず、黒パンを焼きボルシチを煮込む。
渓流の水でお茶を煎れましょう、山の果実を肴に酒を酌みましょう。
晴れた日には畑を耕し狩りに出かけ、雨の日には書をひもとき学問に励む――
そんな夢を見ていたころが、わたしにもあったのよ。
貴方もよく御存知のように、結局叶わなかったけれどね。
ううんいいの……夢は、叶わないからこそ夢なのよ。
それはあたかも、雨上がりの空に架かる虹を眺めるようで――
届かぬ想いこそ、美しい。
- 241 名前:名無し客:2008/08/31(日) 11:50:11
- ああ、ソーニャもグレゴリーも無事だったんだね。
そろそろ夏も終わる、そうしたら食欲の秋か。
ボルドーの星空には天の川があるのかな?
- 242 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/09/01(月) 00:03:21
- >>241
>ボルドーの星空には天の川があるのかな?
客人、こんな夜更けにこんなところまで、何をしに来られた。――暑くて眠れない?成程。
夜風を求めて月明かりの下、断崖にまでこられたか。今夜はわずかな風も熱を孕んで生温かい。
室内にいるには蒸し暑すぎる夜だ。
座ってもいいかという断りなら必要ない。草は夜露に湿っているが、お好きなところに腰を下ろされよ。
今夜は月の光の眩しさが過ぎるのか、あまり星が見えないようだ。
……こちらに来てから、星を眺めるのは嫌いになりました。
ロシアの夜空と同じ星座を見つければ、もう戻ること叶わぬ故郷を思い寂しくなり
見たこともない星ばかりだと、なんと遠いところまで来てしまったのかと怖しくなる……。
それ以上わたしに近づかれるな!
……この断崖は案外岩質が脆い。
ハジがサヤのシュヴァリエとなったのはここから転落した為だということ、貴方も御存知の筈。
シュヴァリエのわたしなら兎も角、人間である貴方が落ちればまず命はありますまい。
日本が、懐かしくてあられるのか……?
お連れしましょうか。姿を変え貴方を背に乗せ、この絶壁の端から跳んで、天の川の見える空の下まで。
距離?大事ありません。
お庭、と呼ばれる場所にいた頃、日本のオキナワという島まで、翼手姿で飛行したことがありますから。
色々と訳あって……意識不明の重傷を負われ……「赤い盾」の研究所にて療養の床に就かれ……
傷が癒え昏睡より目覚めた後も、窓ひとつ無い一室に軟禁されていた長兄を、お迎えに上がる為に。
……もう、ずっと昔のことです。
――躊躇われるか。
そうですね、突然このようなこと提案しても、貴方を困惑させるだけだ。お忘れください。
わたしは戻ります。貴方はここにおられるといい。では、失敬。
- 243 名前:名無し客:2008/09/01(月) 08:09:36
- 過去はやりなおせない。小夜とディーヴァがそうだったみたいに。
懐かしむ気持ちも一方通行だったら切ないね。
それでも最後にやっと手に入れた。翼手も意思疎通は難しいようだ。
自虐は自他よくないとハジが諭せばよかったんだけど……無理難題かな?
- 244 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/09/02(火) 09:12:34
- >>236
>夏に飲む酒は、やっぱビールが一番ですよね
>ところで翼手はアルコールで酔えるんですか?
その質問に関する答えは、>>14のカールや>>75の長兄の姿を御覧になれば一目瞭然で
あろう。最も人間よりはよほど酔いにくく覚めやすいようだがな。
客人は、ビール党であられるのだな。ビールも良い酒だが、わたしに言わせれば酒は
ウォッカに限る。ウォッカは正真正銘ロシア生まれロシア育ちの酒であり、ロシアの
歴史とともに歩んできた。ウォッカとは生活には欠かせない国民酒、ロシアの魂なのだ。
やたらと強い酒であるかのように思われているが、そんなことはない。普通のものは
ウイスキーやブランデー等と大体同じ度数、40度。のどごしの刺激はむしろ弱いくらいだ。
桁違いにきついという伝説は、その飲み方に由来するのだろう。ロシアにはちびちびと
いう飲み方がない。グラスの酒は、乾杯と同時にひと息に飲み干すものものなのだ。
これを乾杯のたびに繰り返す。それからここが肝心なのだが、乾杯は最初の一杯だけではない。
誰かが乾杯の辞を述べたら、必ず全員が付き合わねばならない。また、乾杯の時以外は、
勝手に飲んではならないのだ。酒豪ほど乾杯したがることになる。
――こんな飲み方をしていては、ウォッカでなくとも酔いが回るというものだろう。
「たまにはお前の国の流儀に倣うとしよう」と仰った長兄と客人>>35氏とわたし、
三人で盃を交わした結果――客人はおろか、普段はどれほど盃を重ねても滅多に
酔うことのない長兄を、酔い潰してしまったものだ>>200-202。その後お部屋に
お連れして、お体のお世話をしたのだが――ふふ。あれは大層、愉快な体験だった>>173。
- 245 名前:名無し客:2008/09/02(火) 13:49:08
- 嫌いじゃないよ、好きだけど
- 246 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/02(火) 23:37:47
- 秋の気配とともにこんばんは!
しばらくぶりになってしまったね。
お客人方にはお変わりなくお過ごしかな?
>>175
>カールとアンシェルが着る場合は鎧兜か陣羽織がいいね
こちらの名無しさんは和服を用意してくれたんだね。ありがとう!
へえ、サムライの鎧だ!こっちのジンバオリは鎧の上に着るコートだね。
ではさっそく着てみよう!
胴に手甲に脛当てに……すごいな。物々しい本物のプレートアーマーだ。
それに重い。全部のパーツを合わせると重量は20kgを超えそうだよ。
僕達シュヴァリエならともかく、人間がこんな重い物を着て戦ったのかい?
昔の人間は現代人より筋力が発達していたのかな。たいしたものだ。
しかし鎧というのは動くたびにガシャガシャと音がして楽しいね。
あとは派手な刺繍をしたジンバオリを羽織って(すごく気に入ったよ!)、
仮面の変わりに顔を覆い隠す面頬(マスク)もして…………
さあ、着たよ!
名無しさん、どうかな?僕としてはなかなか似合っていると思うんだが。
すごく似合ってるって?
はは、ありがとう。そんなに誉められると照れてしまうが嬉しいよ。
…うん?なになに?
――え。面頬と鎧のおかげでカールに見えないから格好いいって?
- 247 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/02(火) 23:40:00
- >>178
>シュヴァリエになったアレクセイにも「弟」としてキスできるかい?
キ……!
あのね、名無しさん。
僕はアレクセイ皇太子が弟になっても(彼の性格さえよろしければ)
弟としてそれは大切にしたろうさ。
しかしだね。
東洋人として生まれ育った僕に、西洋の悪習を真似るのは無理な話だよ。
だいたい男が男のほっぺたに唇をくっつけても楽しいことなぞ何もないだろう?
これがディーヴァや小夜や君のように可愛いお客人なら、僕はキスだろうと
なんだろうと、いくらでもしたいけどね!
だがたとえどんなに美しい少年だろうと、男の頬を舐めるのは、僕の中で
シュヴァリエとなっても残っているらしいアジア人種の遺伝子が拒絶するのだよ。
それでもやはり可愛い弟であれば大事にしたいね。
アレクセイ皇太子はまだ幼く、素直な少年だったと聞いたよ。
もし彼が「弟」として現れたら、僕も優しい弟思いの「兄」として接したことだろう。
――残念だよ、本当に。
もし彼が生きていてくれたら、可愛い弟と暮らせていたかもしれないのに。
ほら、ソロモンも同じことを言っているよ。>>209
>それこそお人形のように。はは、そんなにかわいい弟が生きていたなら…
うんうん、わかるぞ。僕以外にも素直で可愛くて賢い弟ができたかもしれないのにな。
>彼は僕の、すぐ上の兄さんにあたるのですね?
あにぃ!?
- 248 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/02(火) 23:41:32
- >>191
>ソロモンが許してくれたから頬さわっていい?
>レッツ・ハラダンス!
うわわ、名無しさん!
いきなり僕の頬を触ってどうしたんだい?
ソロモンのやつが許可してくれたって?
いや、お客人に頬をぷにぷにされようとつねられようと、
シュヴァリエたる僕にはなんてことはないのだけどね!
しかしだ、名無しさん。
頬ずりするならソロモンの方が、
ぷにぷにするなら次兄の頬の方が、
ヒゲを引っ張ってつねるならアンシェルの方が、僕よりずっと楽しいんじゃないかい?
だいいち触れるなら僕達より、君のすべすべの頬の方がよほど好ましい。
少なくとも僕にとってはね。
それと……ハラダンスだって?赤い盾のルイスを思い出すね。
しかしそれはお客人のためとはいえ、ぼ、僕はご遠慮したいものなのですが……。
どうしても踊らなきゃ駄目かい?
せっかく踊るならワルツにしないかい?
僕は君と三拍子で踊りた……ああっ、油性ペンで僕の腹に顔を書くのはストーップ!!
- 249 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/02(火) 23:42:34
- >>197
>乙女の気持ちで振る舞える点、グレゴリーは得してるね♪
乙女の気持ち?
次兄は少女の姿をしている時は中身も乙女だと言うのかい?
彼がソーニャの姿をして小鳥のように身軽に飛び回り、
さえずるように話す様子はまさに乙女そのものだね。
実に可愛らしいことだが、そのときの気持ちとなると実際にどうなんだろう…。
心の中まで乙女なのかい?
もしそうだとすればアンシェルが女性に擬態している時も、
女になりきっているのだろうか。
たとえばエリザベータの姿の時は妙齢の女性の艶っぽさが、
老婆の姿をしている時は、孫を大切に思う祖母の慈愛が奴の中に
芽生えていると?
ではディーヴァの姿をしている時は、一体なにを――?
…うっ!僕の想像を超えているよ!
それに知るのもなんだか恐ろしいな。
僕は研究者ではないから、次兄の乙女の気持ちも、アンシェルの女性である気持ちも、
解明できないままでかまわないよ。
- 250 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/02(火) 23:42:52
- >>198
>僕は大人の女の人のほうが好みなんです
それならどうにかして由緒ある夜会の招待状を手に入れるといいよ。
欧州では今もサロンの風習が残っているからね。
出席できれば、とても愉しい出会いが待っているだろう。
たとえばいたいけな美少女――君はもっと成長した女性の方がいいと
言うかもしれないが、少女もやがて大人になるのだよ。
つぼみの中にやがて咲く花の美を探したまえ。
もちろん今を盛りと咲く花もある。
成熟した肢体をなまめかしいドレスで包んだ貴婦人。君のお好みだろう?
彼女達に取り囲まれて、至福の時を過ごすといいよ。
美味なワインを味わいながらね。
しかし気をつけたまえよ。
君を魅了する彼女らが、見かけ通りの存在だとは限らないのだ。
何かほかの生物が美しい女の姿をしているだけかもしれない。
もしそうなら彼女達は君を取り囲んで、至福の時を過ごすだろう。
君という美味なワインを文字通り 「味わい」 ながら。
- 251 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/02(火) 23:43:33
- >>199
>リクが助けようとしたバアちゃんも忘れないでください
リクはいい子だね。
自分もまだ守られなければいけない年齢なのに、子供からお年寄りにまで誰にでも親切だ。
カイの教育のたまものかな。
しかしその老婆はアンシェルが擬態したものだったんだろう?
お婆さんにまで化けるとは、アンシェルの悪趣味もここにきわまれりだ。
僕には到底真似できないな。
相手の正体も知らず、助けようとしたリクが気の毒だよ。
それでも純真なリクの優しさは、あのアンシェルにも伝わったようだ。
彼はリクをからかいこそしても、危害を加えるようなことは
なにもしなかったらしいじゃないか。
……僕らの長兄に、またエスプレッソでも持って行ってやろうかな。
きっとまた部屋にこもって、あれこれ仕事に追われているだろうからね。
ああそうだ、君はアンシェルが擬態した老婆を覚えていてくれたんだね。
よかったら一緒においで。
- 252 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/02(火) 23:44:53
- >>206
>動物達は本能的に恐れるんじゃなかったのか??
うーむ。その獣は肉食の大型獣だったんだね?
その危険な獣が、ディーヴァを襲いもせず、足元で大人しくしていたと君は言う。
だとしたらね、それが「ディーヴァを本能的に恐れていた」と
いうことではないだろうか。
翼手に対して、恐れて逃げるもの、逃げることすらできずに震えて立ち尽くすもの、
本能的に怯えていても動物が示す反応は色々なんじゃないかな。
その獣の恐れたときの反応は恭順することだったのかもしれないよ。
もしくは実験的に翼手のそばで育てられたために慣れていたり、
脳のどこかに欠損があって恐怖を感じられなくなっていたのかもしれない。
なんにしろ僕達翼手に従順な獣は珍しいね。
僕も一度、見てみたかったよ。
途中までになってしまったが、一旦、ここで失礼させていただこう。
人間の皆さん、おやすみなさい。
- 253 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/09/03(水) 05:13:47
- 最近、新たな習慣が出来た。塔の上に東面して座り、夜明けを待つようになった。
「動物園」で最も高い位置にあるこの堅固な石造りの塔は、展望を得るのに
うってつけの構造物。――わたしの隠れ家のようなものだ。
今日も曙光が闇を祓う瞬間を、待つことにしよう。
>>220
>カール………!ああ………
>そんな酷い目にあわされてたなら
>逃げればよかったのに
>逃げられなかったんだね
>ディーヴァから離れられなかったんだね………
……カールの過去>>182について、お聞きになられたのか……。
我ら青薔薇騎士は、今でこそ「動物園」で和やかに笑いあい日々を過ごしている。
しかし暗鬱かつ凄惨な過去を共有した事実が消えることはない――これもまた事実。
カールは何故逃げようとしなかったのか?
わたしには彼の思いを代弁することなど出来ないが、一般論で言えば――
シュヴァリエは孤高不恭の生物。主以外には従わず、決して主以外の前で膝を
折らぬ。そしてシュヴァリエは主には逆らうことができぬ。髪一筋ほどの傷を
負わせることも出来ず、命令には絶対に服従する。たとえ死ねという命令でも、
真実命じられれば逆らえぬ。
つまり――シュヴァリエとはただもう、主たる女王のためにのみ存在している。
そんな我らが主と離れることは、とても不幸なこと……我らは、女王のお側で
なくては生きられない生物なのだ。たとえどれほど苦難の日々であったとしても、
女王健在である限り、希望を失うことはない。だから――
彼には最初から「ディーヴァから離れる」という選択肢など、存在しなかったのだろう。
ただ……。カールにとって「ディーヴァを連れて逃げる」という選択肢は、
あり得なかったのだろうか……?ディーヴァに御承知いただくのがまず至難の業であろうし、
実行すれば長兄に櫓櫂の及ぶ限り追われることになったであろうが――な。
- 254 名前:名無し客:2008/09/04(木) 00:33:11
- >>251
怖い話って聞けるのかな?
- 255 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/09/04(木) 09:14:56
- >>198
>リーザさんとかジュリアさんみたいな。来てくれないのかな
ジュリア女史?今はオキナワの御自宅よ。
仕方ないわ、御主人とまだ小さいお子さんが彼女を必要としているんですもの。
彼女は妻として母として、家庭をとても大事にしている――
研究に専念、というわけにはなかなかいかないようね。
あれほど優秀な研究者が研究一筋に打ち込めず、家庭の雑事にわずらわされるなんて――
本当にもったいない。けれど、他人のわたしが口出しすることでもないものね……。
彼女の不在は、残念だし寂しいわ。朝のオムレツと豆スープに、ようやく及第点を
あげられるようになったのに!……彼女にも色々と家庭の事情があるでしょうけれど、
なんとか都合をつけて戻ってきてくれれば嬉しいわね。
リーザお姉さまは……このところお姿を見ないのだけど、どちらなのかしら……
ああ、そんなにがっかりしたお顔を。ごめんなさいね。
代わりといってはなんだけど、いいものをお見せするわ。わたしの宝物よ。
ほら――わたしとリーザお姉さまよ。
昔、お姉さまに手づからお化粧していただいた時の写真。ね、口紅がおそろいでしょ?
肩を並べて、ほとんど頬擦りせんばかりに顔と顔をくっつけあって、カメラに向かって
笑いかけているわたしたちが、ここにはいる……。
ソロモンがせっかくですから記念に、と撮ってくれたの。
でも本当はね、真ん中にカールを挟んでかいぐりするはずだったのよ?なのにあの子ったら!
頼むからそれだけは止めてくれ気持ち悪い、って涙目になって逃げちゃって。
ごらんなさい、このお姉さまのお顔。
冬空に輝く星のような瞳、怖いくらい美しい真珠のようなお肌、珊瑚色のくちびる――
ああ、なんてお美しいのかしら。
- 256 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/09/05(金) 01:59:43
- >>199
>リクが助けようとしたバアちゃんも忘れないでください
長兄はその時、リク・宮城――婿殿の前で、おばあさんに擬態してらしたのね?
ということは、そのおばあさんから吸血なさったということだわ。
人間の血とはいいものよ――
都会の人間のそれは金銭の味がする。
畑を耕す人間のそれは土の味がする。実に飽きが来ないわ。
例外なく甘くかぐわしく、温かく……その味その香り、ひとつとして同じものはない。
シベリアでわたしの脳を鉈で叩き割ってくれたあのおばあさんでさえ、その血はなんともいえず
甘かったものよ。なのにカールといい長兄といい……
>>前869(カール)
>美味しい食材とは、なんでも健康で若くて生きが良いものと決まっている。
>そしてランチでもディナーでも美しい盛り付けられた方が食欲をそそる。
>僕はやはり女性がいいかな。
>うなじにくちづけるなら、男の硬い皮膚よりやわらかく香り高い肌のほうがいい。
>>前901(長兄)
>狩の獲物は、猛々しく強大な角を振りまわす男鹿よりも…。
>しなやかでかぼそく、恐怖にすくみやすい女鹿の方が―――よりいっそう楽しめる。
>この私に喉を預けたまま、涙で頬を濡らし、声にならぬ最後の吐息を洩らした彼女は…。
>やがてこの手のなかで力尽き、やわらかく萎れてゆくのだ。―――じつに綺麗なものだ。すばらしい。
ですって!御婦人、しかもうら若き御婦人の血しか飲みたくないなんて。なんともったいない。
>>前905(ソロモン)
>血色の好い青年。それも理想の高い、大志を抱く青年。
>その野心の大きさが…生命力の強さが、その血にまで滲んでいるようで
>命を別けて貰うには、最も効率のいい種類の人間です。
飲まず嫌いせずこだわりを捨てれば、世界が広がるのに。少しはソロモンを見習うべきだわ!
ずっとそう思っていたのだけれど……少なくとも長兄はもう既に御存知だったのね。
老いも若きも男も女も、人間の血とは個性豊かであり、それぞれの美味が存在するということを。
- 257 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/09/06(土) 10:02:25
- >>238
>グレゴリーの事でソロモンが心配してるね
>ソーニャがもし・・・なんて考えたくないからお茶を貰おうかな。
これは――客人、お探しいただいたのですか。わざわざこのわたしを?…それは申し訳ない。
随分貴方に御心配をお掛けしてしまったようだ。――ソロモンも?そうですか……。
庭で果樹園の手入れをしておりました。
庭師の仕事は、耳をすませて植物の声なき声を聞き取り、彼らが四季折々に求めるものを
正確に理解すること。晴天続きで喉が渇いているのか、堆肥を欲しがっているのか。
あるいは枝葉が茂り過ぎて、窮屈な思いをしているのか。
人のように無駄な言葉を持たず、時には人以上に感情豊かな草木たち。何をされても責める
ことをせず、与えられた環境でただ無心に生きる姿と向き合っていると、ひびわれた心に
何かが沁み込んでくるようで……彼らから、静かな慰撫を感じるのです。
お茶……ですか。喉が渇かれたか。今はこの通り、水筒に用意してきたレモン水しか
お出しできぬが、よろしければ。どうかそこにある木の長椅子でお寛ぎを。
これもお一つどうぞ。ちょうど実が熟したので、収穫したばかりのものです。
――何かと?ああ、無花果です。客人は召し上がられたことはないのか。
――果物なのにあまりおいしくない?
ジャムや果実酒にしますので、その時また改めて召し上がられるといい。
無花果。
アダムとイブが食べた、本当の禁断の実。
花を咲かせず、実をつける。
―――わたしとは真逆だな。
- 258 名前:名無し客:2008/09/06(土) 23:23:12
- 人類が絶滅の危機に瀕するとき、
真に残るのはナショナリズムではない。
「生き残ろう」という機械的意思だ。
- 259 名前:名無し客:2008/09/06(土) 23:56:50
- 生き物に毛の抜け代わりがある
だったら翼手も抜け変わる?
下睫とか下睫とか髪とか体毛とか
アンシェルがリーザを選んだ理由っていうのも
案外下睫かもしれない
無花果とレモン水ごちそうさま、美味しかった
- 260 名前:名無し客:2008/09/06(土) 23:59:02
- ジャムや果実酒が今から楽しみだよ
- 261 名前:名無し客:2008/09/07(日) 15:25:01
- エカテリンブルグの血の上の教会
歴史の一頁は重いね
- 262 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/09/08(月) 00:07:45
- >>259
無花果とレモン水ごちそうさま、美味しかった
>>260
ジャムや果実酒が今から楽しみだよ
――どういたしまして。お口に合ったのなら良かった。
去年は黒スグリのジャムをどっさり煮たのですが、今年は無花果の実が沢山生ったので。
ジャムは早速明日の朝食にお出ししましょう。焼きたてのパンに付けるもよし、
ヨーグルトに掛けられるもよし、どうぞお好みのままに。
ただ――果実酒は丸のままの実を、グラニュー糖と輪切りにしたレモンとウォッカに
漬け込んで熟成させねばなりません。完成は半年後、冬の終わり。
その頃貴方がまだここにいらっしゃったなら――喜んでお出ししましょう。
実は――>>259-260氏、貴方がたのみにお話しする内密に願いたい話なのですが……。
わたしが新しい料理を作るたびに、兄弟たちは集まって味見をしてくれているのです。
食事を「人間の中に溶け込んで生きる為の、人間の真似ごと」と滅多に口にしようとしないソロモンも
「食べることを娯楽にする行為についての興味は一切色あせてしまったよ」と仰っている長兄も
「食物がただの物体に見える。見た目も、匂いも、僕の食欲をそそらないんだ」と言うカールも。
そんな時わたしはさりげなさを装いながらも、彼らのひとくち食べた時の表情に神経を
集中して、彼らの顔が綻んでいくのをじっと見守っています。
彼らがおいしい、と笑うと、客人に出すことにしているのです。
――最も、彼らがわたしの料理に批評めいた言葉を口にしたことはまだ一度も無いのですが。
わたしは「動物園」を見守っています。悪いことの先触れはないか、足りないものはないか
見守っています。それが客人をもてなす者の役目だからです。そして、貴方がた客人は
見守っているわたしを見守って下さっている。わたしがきちんと役目を果たせているかを。
見守っていてくださる目があるからこそ、出来ることがあるのです。
そんな貴方がたに食事がおいしい楽しみだ、と喜んでいただけるのなら――
これからも畑を耕し、作物の世話をしましょう。森で獲物を狩り、湖で魚を釣りましょう。
精一杯心を込めて、おいしい料理を作りましょう。大切な客人である、貴方がたのために。
- 263 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/08(月) 04:10:41
- ご機嫌よう。やあ、やはり少し涼しくなりましたねえ?
ご来客の皆さん、風邪を引いたりしてはいませんか?…ああ、僕らなら大丈夫―――
例外はあるようですけれど、ね?グレゴリー兄さんは北方の出身でおいでですから
こちらの気候はいささか、お辛かったようです。>>227
あまりお辛そうだったので、エアコンを勧めたのですけれど…
彼の肌には合わなかったようですね。
ええ、僕らが人間だった頃には―――勿論、まだあんなものはありませんでしたから
僕らだってあれに慣れるのには、すこしかかりましたよ。
そんな事ですから、皆さんはなおのこと、お気をつけて。
夜はもう冷えますから…あなたがたが風邪を引いたりしたら
僕らの責任ですから、ね。それに、あなたがたには…
いつでも血色が好くて、健康そうなご様子でいて貰わないと。
ここにおいでの、僕の眷族は―――選びあぐねてしまいます。
- 264 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/08(月) 04:12:55
- >>207
>シュバリエの皆さんがもしも普通に結婚していたら、…
ははあ成る程、それは…あの時代に、あなたのように身なりのいいかたと縁組みして
跡継ぎを作って、人間と同じように歳を取って死ぬ、という事ですね。
けれどあなた、想像できますでしょう――― 僕が人間のままなら…きっと、
軍に仕官していたか、やはり家出をして医者をやっていたか…ああ、
間をとって軍医になっていたかもしれませんね。
ただの医者か、それとも士官の僕の奥さんは―――それはつまらないと思いますよ?
なぜって…言うじゃありませんか、美人は3日で飽きると―――それだけではない、
あなた飽きますよ、例えば僕が医者なら…毎晩のようにきれいなドレスを着て
パーティーかオペラに連れて行かれて、主席判事や将軍のご夫人を相手に
いつでも夫である僕の顔と嫁ぎ先の家の名を立てて、彼らの主治医にと斡旋して―――
―――飽きますよ。
そうして、毎日に飽きたご夫人がたを、僕は知っています。彼女達の中には、
…脈をとる僕の白衣の袖を、ご主人が彼女の屋敷へ戻って来るまで
いつまでも放して下さらないご夫人だって、何人もおいででした。
僕はそうしたご夫人がたを、とてもよく知っています―――
それより、もっといい方法がある―――ここにいる僕らには、
人間として生きて、あなたがたと結ばれるより
もっとあなたがたを幸せにする、いい方法があります―――
簡単な事です、あなたはただ黙って…うなじを差し出せばいい。
そうすればあなたが最後に目にするものは、大きな屋敷の冷たい天蓋ではなくて
憂いを湛える青い水の底の瞳に浮かべた、仄暗い笑みか
あるいは彫刻のように端正な、神の言葉を唱える唇か
あるいは食い入るようにあなたを見つめる、少年のような眼差しか
それとも、お人形のように柔らかい金髪か―――どれかおひとつ選んで、
人間の業がもたらす理不尽や、有耶無耶にごまかされた悪のことなどお忘れなさい。
その安息と、突き立てた針の先から裂かれるような心地よさと引きかえに、
あなたの持つ、世にもかぐわしいものを一滴残らず彼らに差し出して
彼らとひとつにおなりなさい。そうしてあなたは彼らの中で生き続ける、
その若い、美しい姿のままで…彼の中に居る、あの少女のように、ね。
いかがです―――あなたにとっては、どちらが幸せなのでしょうね?
- 265 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/08(月) 04:28:16
- >>220
>逃げればよかったのに 逃げられなかったんだね
>ディーヴァから離れられなかったんだね………
女王から逃げるだなんて―――あなた、あの
咲いたばかりの薔薇のようなかぐわしい香りを知ってしまったら…
とても出来ることではありませんよ。
それに、僕らのあるじのあの歌声。
あなたがた人間にとっては、足元を掬い海に引きずり込むローレライの歌声でも
僕らシュヴァリエにとっては…オルフェウスの母親のような、女神の歌声です。
それに…、あるじの居ない―――護るべきものの無いシュヴァリエなんて、
惨めなものです。
尤も彼は…そんな事は、考えてなどいなかったでしょうけれどね?
…彼はただ嬉しそうでした、ディーヴァが彼をいい子と褒めれば
母を慕う子供のように目をきらきらさせて喜んで―――
彼女が悪戯そうに、彼に遊びを持ちかければ
妹の可愛らしい誘いに乗る兄のように頷いて、彼女の望みを叶えました。
彼女に初めて会った時は、怯えて―――僕を縋るように見て、震えていたのに。
仰る通り―――彼を「酷い目に遭わせ」てディーヴァに縋らせたのは
口に出来ないその名前を、あの地下室の天井に向かって必死に呼ばせたのは
彼女から離れられなくしたのは―――間違いなく、僕らなのです。
―――あなたはカールの為に、そんな風に声を詰まらせて、涙ぐんで下さるのですね。
まだ栓を抜いていないこのワイン、あなたに差し上げます。
彼の部屋で、一緒に栓をお抜きなさい。
彼とふたりで、ゆっくりお話をしておいでなさい。さあ、…どうぞ。
- 266 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/08(月) 04:33:28
- >>236
>夏に飲む酒は、やっぱビールが一番ですよね
やあ、あなたもお好きですか。
慥かに夏の炎天下、冷たいビールの一杯はえも言われぬ美味しさなのだと、
皆さん口々に仰いますね?
…やあ、けれどすみません、僕はお酒はどちらかというと
ワインのように果物の味がする方が、舌に馴染むようで…ええ、
昔から、よく口にしていたものですから。
おや。僕がビールを美味しそうに飲み干す様子は…ある意味、見てみたいと仰る?
それはどういう、…はあ…、お風呂上がりに、タオル一枚の格好で?いいえ、そんな
ご来客の中には―――年端のいかない少女もおいでなのですよ?
僕にはちょっと理解が…、はい? …ハジ?
ハジは昔、ロシアで、年端のいかない少女の前でそれをやったのにと仰る?
グレゴリー兄さんならよく知っているだろうから、訊いてみればと仰る…?
やあ、ハジ、彼にそんな…その…性癖が…あったのですか。度し難い…、
>ところで翼手はアルコールで酔えるんですか?
ああ、御免なさい。…ええ、勿論。
僕らはアルコールにも、薬剤にも強いですけれど―――やはり限度はあります。
けれど…僕らにもっとよく効くものなら、まだ他にあるのですよ。
おや、わかりませんか?あなたよくご存知でしょう―――だってあなたも持っている。
人間なら誰でも、例外なく甘くかぐわしい―――アルコールも、煙草も
アヘンのような麻薬でさえ、その舌触りと味には遠く及びません…
そう、あなたの血だ。
あなたがた―――とても良いものをお持ちですね。
- 267 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/08(月) 04:38:01
- >>237
>「ファースト」は英語で「シュヴァリエ」は仏語。
やあ、確かに…最古参のシュヴァリエ、を指すとき
僕らの言葉ならもちろん、別の言い回しをします…ですからその言葉も、
あなたがおいでになった所の言葉なのでしょうね?それにほら、
シュヴァリエという単語は、英語に帰化した言葉ですから…。
しかし言葉というのは不思議ですねえ?
翼手の生態に、シュヴァリエ説という名前をつけて
血を分けた女王の子をシュヴァリエと呼び、種をつなぐ事が可能な相手を
互いに花嫁、花婿と呼ぶ―――アンシェル兄さんの言葉は、
観察の対象だった筈のディーヴァを…一切、実験動物に貶めません。
もちろん彼女は…僕らの母であり、恋人ですから
僕には彼の言葉より他の表現なんて、思いつきもしませんけれど―――
彼は生物学者であると同時に、誇り高いディーヴァの
最古参のシュヴァリエ、であるという事なのでしょうね?
彼は今もその誇りに賭けて、書きものに没頭しておいでなのかな。
あなたがた、彼を見ましたか?…そうですか。
どれ…じゃあ僕も、活字に飽きた彼の目を慰める青い薔薇を
彼の書斎の一輪挿しに、そっと飾りに行きましょう。
御免なさい、今夜はここまで―――ご機嫌よう。
- 268 名前:名無し客:2008/09/08(月) 08:04:10
- ハジも変態するんだよ、きっと
へん‐たい【変態】
「へんたい」を大辞林でも検索する
[名](スル)
1 形や状態を変えること。また、その形や状態。
2 普通の状態と違うこと。異常な、または病的な状態。
・ 「お品は身体に―を来したことを」〈長塚・土〉
以下略
- 269 名前:名無し客:2008/09/08(月) 08:11:32
- ハジの片手は変態している、何も間違ってないね。
ソロモンが触れてたけど極上の美酒はディーヴァの血なんだよね。
人の血からどんな栄養が取れるのか気になるけど、グレゴリーの
真心と手間を込めたもてなしの一品を味わう様子の方が興味深いよ。
- 270 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/09/09(火) 07:08:25
- >>261
>エカテリンブルグの血の上の教会
>歴史の一頁は重いね
Храм Спаса на Крови(スパース・ナ・クラヴィー教会)のことですか?
この名称はロシア皇帝アレクサンドル2世暗殺によるもので、教会が建つ場所は皇帝遭難の地。
1881年3月1日、行幸先から帰る皇帝の乗った御料車が運河に沿って通る中、手榴弾が或る
テロリストによって投げ込まれ――瀕死の重傷を負った皇帝は担ぎ込まれた冬宮で一時間後に
崩御したのです。
教会の建立は、跡を継いだアレクサンドル3世によって先帝を弔うために行われました。
完成を見たのは次のニコライ2世の治世13年目1907年、革命の丁度10年前のことです。
よく覚えていますよ――あの教会のことは。
内装は『聖書』の中から悲劇的な要素の強い主題が選ばれ、面積7500平方メートル以上の
モザイク画によって壁面が装飾されていた。外装は多数の窓、窓枠の装飾、聖画、紋章、
装飾用の柱で覆われており無数のトパーズ、青金石および他の半貴石で隙間無く飾られていた。
あの細部に至るまで凝りに凝った、形と色の饗宴といったら!
凄まじいばかりの威容、呆れんばかりの豪奢としかいいようがありません。
ペトログラードの主な観光名所のひとつとして、多くの人々が参観に訪れ――
――そうではない?
……。
……。
ロマノフ王朝、最期の地。イパチェフ館の跡地に教会が建てられたとか。
わたしは皇后に手紙を送り、未来を予言したのだが――
結局、悲劇を避けることは出来なかったようだ。
世界最大の領土に君臨し、世界の富の十分の一を保有していたというのに――…な。
「わたしがボイアーズ(貴族)の手で殺されるならば、貴族達の手は二十五年間自らの
血で汚れ、いかなる貴族もロシアには残らない。また、陛下とその御家族も、この先
二年と生き残れる方はありますまい……」
- 271 名前:名無し客:2008/09/09(火) 08:00:23
- 「逆に民の手で殺されるならばロシアは繁栄するでしょう……」ともあったような。
ウラジーミル・プーチンが血縁関係かと考えたけど、ラスプーチンという姓は、
西シベリアでよく見られていたんだって?
真実は迷宮の中にというやつかな。翼手の歴史というのも見てみたいね。
- 272 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/09/11(木) 00:11:53
- >>269
>グレゴリーの真心と手間を込めたもてなしの一品を味わう様子の方が興味深いよ。
――そう?サヤなら兎も角、私の兄弟の食事風景なんて面白くないと思うわよ?
だって食べてもらうのはどんな料理でも必ずひと口だけ、と決まっているんですもの。
それでもいいの?それなら。
ソロモンはね、ほめ上手よ。
わたしが特に工夫したところに、必ず目を留めてくれる。
彼の反応が嬉しくて、もっと驚かせたくなって……研究にも熱が入ったわね。
そして料理の味はもちろん、器の選択、盛り付けについても助言してくれたわ。
わたしの作るものは、ロシアの主婦なら誰でも作る、どちらかといえば垢抜けない
家庭料理が多いの。彼はそれを、実に手際よく小洒落た一品へと変身させてしまう。
何度見ても驚かされるわ、まるで魔法ね!
彼の美的センスには、これまで何度も助けられてきたわ。
カールは何を作ってもおいしい、と食べてくれるわ。でも――
何も言わないけれど、見ていれば分かるわ。彼にとって食事とは「味が全くわからない
物体を口に運び、咀嚼し飲みこむ」あまり楽しくない作業なのよね。
そんな彼に料理の味見をさせるなんて、無理をさせているようで、とても心苦しいの
だけれど……これまで嫌な顔ひとつしたことがないの。
きっと、万が一にもお客様の口に合わないものを食卓に並べてはいけない、という
責任感からなんでしょうね。優しい子……。
長兄にお出しするときは、一番緊張したわね……。
あの方は、欧州の政財界重鎮が主催する宴に招かれることも多い。口が肥えていらっしゃる。
通りいっぺんで作ったものなど、すぐに見抜かれてしまうわ。ごまかしが効かないの。
味についても「デミグラスソースではなくトマトソースを」「鶏肉ではなくハムを使え」
「タレに蜂蜜の隠し味を入れろ」等、短くも的確な意見を下さったものだわ。
仰るとおりに手直しすると、見違えるほど味が良くなったものよ。
滅多に無いことではあったけれど……あの方が口に含み、ゆっくりと咀嚼し味わい――
普段は憂いを湛える仄暗く青い瞳が、微かに柔らかく緩む瞬間。
――――本当に、嬉しかったわ……。
- 273 名前:名無し客:2008/09/11(木) 18:02:13
- 味見する兄弟と一瞬の幸せを噛みしめて料理の腕を磨くソーニャ
いいね、努力と精進を心掛けることほどカッコイイなものはない
- 274 名前:名無し客:2008/09/11(木) 22:47:16
- だから魅力的なんだろうな。
好きだよ、憧れるね。
- 275 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/09/12(金) 07:57:32
- >>271
>「逆に民の手で殺されるならばロシアは繁栄するでしょう……」ともあったような。
>ラスプーチンという姓は、西シベリアでよく見られていたんだって?
>翼手の歴史というのも見てみたいね。
まさかここ「動物園」に、例の予言について御存知の方がいらっしゃったとは!
客人。親愛のしるしに、このわたしの抱擁を受けていただけますか?
仰る通り予言いたしました。「わたし、グレゴリー・エフィーモヴィッチ・ラスプーチンは、
1917年1月1日までに死ぬでありましょう。そして、もしわたしが、ロシアの農民に殺される
ならば、この国はさらに数百年の間、君主国として繁栄し続けるでしょう…」と。
この予言の正誤、わが祖国の辿った運命……それは客人も御承知の筈。
ロシア史について広範な知識をお持ちの、貴方のような客人と言葉を交せる事は実に心愉しい。
わたしの姓をロシア語のキリル文字で書くと「РАСПУТИН(ラスプーチン)」。
ロシア人はこの名より「РАСПУТСТВО(ラスプーツボ『放蕩な暮らし』)」という
単語を連想し、軽侮の意を抱く者が多い。(あの老婆もそうでした)
しかし「ПУТЬ(プーチ)」は道の意であり「РАСПУТЬЕ(ラスプーチエ『交差路』)」
「РАСПУТИЦА(ラスプーチツア『泥濘のぬかるみ道』)」という道路の形状に関した
単語もあります。
シベリアの道はどこも舗装などされておらず、雪解けや大雨の季節には、ぬかるみになって
通行不能となります。故郷ポクロフスコエ村には、わたしの両親の他にラスプーチンの姓を
持つ家が五軒ありました。よってこの姓は、道路の形状から出たものと考えるべきでしょう。
そのプーチン氏――ロシアの首相であるとか――の姓も、語源は同じであるかと。
――――本当に、よく御存知であられる……。
『翼手の歴史』それは客人同様、わたしにとっても非常に興味深いテーマです。
しかし、ディーヴァ御誕生以前のことはよく解っていないのです――残念ながら。
文字にての記録が何処からか発見されるようなことがあれば、我らが種族の歩んだ道にも
真実の光が当てられることになるのでしょうが……
それはおそらく、後世の歴史家に委ねられる役目となるでしょう。
そうそう――先日、或る御方より耳打ちされたのですが。
社会の裏側で世界を股にかけ活躍する、超一流の狙撃手。
彼は歴史の影に隠されたロマノフ家五番目の皇女の子であり、最後の皇帝ニコライ二世の
孫である――しかも皇女は、このわたしラスプーチンと皇后の不義の子である――
日本ではそのような物語が書物として出版され、語り継がれているとか。
――――それは真実なのか、と仰る?
いやはやまったく……人間の想像力とは、凄いものです。
- 276 名前:名無し客:2008/09/12(金) 11:29:12
- 確か皇后はドイツ出身だったような気がする。
休眠期を迎えたディーヴァを連れてアンシェルは城の地下に移動したけど、
眠りについてすぐ繭ができる‥‥というわけではないのかな。
ドイツの城と勝手に推測してるけど、馬車から下ろした時はアナスタシアからいつもの姿に戻っていた?
- 277 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/09/15(月) 07:33:12
- >>243
>過去はやりなおせない。小夜とディーヴァがそうだったみたいに。
あら、どうしたの?取り戻せない過去を思って嘆いているの?
いっさいが御身をわたしのもとへみちびく――。それがどんなに苦しいこと悲しいことで
あったとしても、過去の出来事全てはあなたにとって必要なことだったのよ。過去がある
から、今のあなたがある。100年以上に渡る流血と闘争の歴史を経てここ「動物園」で再び
手を取り合ったあの姉妹のように、ね……。
貴方に、言葉を贈らせて頂戴。
「Mors certa, hora incerta(死は確実、時は不確実)」
―――死は、別れはいずれ必ず訪れるものと誰しも判っているけれど、
その時がいつであるかは誰にも判らない―――
別れにもいろいろあるわね。引き裂かれるような、断ち切られるような鋭利な形の別れもあれば
争うことも傷つけ合うこともなく、変わらずに互いの幸いを願いながら、結ばれていた手を
少しずつ離していくような、優しく残酷な別れもある。
どちらにせよ言えるのは――永遠など存在しないということ。時よ止まれと叫んでも、
この世の全ては移ろってゆくということ。
でもだからこそ、美しい今この時をいつくしみ、記憶の中にとどめおくのよ。
そうすればいつでも好きなときに、胸の奥からそっと取り出し懐かしむことが出来る。
あなたが生きることに疲れたとき、全てが空しいと感じたとき……再び立ち上がるための
勇気と希望を引き出すことができる。その記憶を奪うことは、誰にも出来ないのよ。
わたしでよければ、あなたの傍にいるわ。あなたの痛みが癒されるまで。だからそんなに
露草のようにふるえないで。だからそんなにシベリアの流氷みたいに蒼ざめないで……。
- 278 名前:名無し客:2008/09/15(月) 09:22:21
- 幸せを願う為に別れを望む、けどある意味でエゴかもしれないね
- 279 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/09/16(火) 07:29:31
- >>266(ソロモン)
>ハジは昔、ロシアで、年端のいかない少女の前でそれをやったのにと仰る?
>グレゴリー兄さんならよく知っているだろうから、訊いてみればと仰る…?
>>268
>ハジも変態するんだよ、きっと
わたしの家の手前には小川が流れていて、古い木製の橋が架けられていたの。あの時は渡る
最中に、腐った板を踏み抜いて川に落ちて、サヤとハジまで巻き添えにしてしまって。
ディーヴァが長兄と共にお忍びで我が家にいらしたときにも、似たようなことがあったのよ。
あの日のディーヴァは、本当にご機嫌うるわしくてあられた。「お人形のように」振舞わねば
ならない冬宮での暮らしに倦まれていたのか、久しぶりに擬態を解かれて伸び伸びされたのか……。
従者二人もろとも川に落ちてずぶ濡れになっても、子供のように笑ってはしゃいでおられた。
あの愛らしさといったら――
ごめんなさい、話が逸れたわね。その後体を暖めるために、サヤもハジもわたしも服を脱いで
ペチカの前で毛布にくるまったの。だけどハジったら、まさか己の主と年頃の乙女の前で、腰巻一枚の
格好でうろうろするなんて。そりゃあわたしは気にしないけれど、信じられないわよね!
ハジと長兄は義理の親子。わたしがあの方から生物学、語学、上流階級での立居振舞等を
学んだように、一通りの教育を長兄より受けたと聞くわ。完璧な物腰と流麗な話術をあわせ持つ、
立派なフランス紳士が完成するはずだと思うのだけど……ハジに>>268さんの言われるような
性癖があるのか、川に落ちて体の冷えたサヤに早く温かい飲み物を、との一念で諸々のことが
頭から飛んでしまっていたのか、はたまた別の理由か、そこまでは分からないのだけれどね。
- 280 名前:名無し客:2008/09/16(火) 21:35:56
- ブローニング二丁拳銃で翼手相手に善戦した上海哀儚版デヴィッドさんや
レミントン片手に聖句唱えながら翼手に立ち向かった、獣たちの夜の後藤田さんが好きです。
あ、でも組織が壊滅して飲んだくれになったBLOOD+のデヴィッドさんはもっと好きです。
- 281 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/09/19(金) 06:35:45
- >>273
>いいね、努力と精進を心掛けることほどカッコイイなものはない
カッコイイ?そうかしら?そう見えているなら光栄だわ。
わたし、勉強することが好きみたい。
だって、今まで解らなかったことが解るようになるって、素敵じゃない?
夜遅くまで文献を読んでいても、仕事が山積みでも、かえってそれが楽しいの。
お料理だって同じ。何回も失敗したわ、口惜しい思いもしたわ。
でも「よい仕事ができた」と思えた瞬間の喜び――。それは何物にも替えがたいものよ。
シュヴァリエとして新たな生を受けて、従順なる神の子羊であったロシアの田舎者は
フランス文化に洗練された無神論者の生物学者にさまざまなことを教えられたわ。
生物学、仏語、英語は勿論のことだけれど――努力とは精進とは、どういうことかをね。
どんな状況でも絶対に泣き言を言わず、黙って己に課した責任を果たそうとする姿……
あの方の背中から、シュヴァリエとはかくあるべし、との姿を学んだわ。
- 282 名前:名無し客:2008/09/19(金) 10:39:34
- ソーニャのそういうところも大好きだよ
- 283 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/09/20(土) 21:41:24
- >>274
>だから魅力的なんだろうな。
>好きだよ、憧れるね。
まあ――それって、わたしのこと?照れるわね、でも嬉しいわ。
好いてくださって、ありがとう。
あなた、本当に可愛いかたね。
赤い唇、染みひとつない白い膚、黒くふさふさした髪――、
生気が全身から放たれて輝いているわ。
しなやかな首すじ、腕のつけね、ひきしまった胴――、
見ているだけで気持ちいいわね。
こうして傍にいると、さあさあと血の流れる音まで聞こえてくるようだわ。
自分ではわからない?ふふ、そういうものかもしれないわね。
あなた、わたしのお部屋にこない?
なんにもないけれど、寝台だけは天蓋付きの立派なものなのよ。
大きいし広いし寝心地もいいし、きっとあなたも気に入ると思うの。
寝まきに着替えて寝ころがって、女の子同士お話しましょうよ。
今夜は、ひとりになりたくないの。わたし、さびしいの。
だから、ね、お願い。泊まっていって。だめ?
いいの?ありがとう!さ、こっちよ。あの窓がわたしのお部屋。
お部屋から帰せなくなるかもしれないけれど――許してね?
だってあなた――とってもやわらかくて、おいしそう……。
- 284 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/26(金) 17:33:29
- こんばんは!
>>207
>>自分はどんな夫になっていたと思いますか?
ふふふ、よろしい。お客人のためとあらば仕方がないね。
では僕の結婚式を全力で妄想 空想させていただこう。
題して、『僕の薔薇色の日々』だ!
祝福の鐘が鳴る。
祭壇へと続く赤いバージンロード。
花嫁姿の愛しいディーヴァと愛しい小夜が、新郎である僕の元へと歩いてくる。
僕の心に彼女達と出会ってからの思い出の数々が、よみがえっては去ってゆく。
辛い時もあった。苦しい日もあった。
見捨てられたと嘆いたことも、敵対して刃を向けたこともあった。
だがこれからは、僕達は手に手をとって歩むのだ。
ディーヴァ。そして小夜。
愛し合う僕達はいつも一緒だ。
病める時もすこやかなる時も、けっして離れることはない。
そして永遠に続くのだ――僕達の『薔薇色の日々』は!
しかし他人の幸せを妬む愚か者はここにもいたらしい。
美しい二人の花嫁を、それぞれにエスコートして歩く二人の男がそれだ。
ディーヴァと小夜のファーストシュヴァリエ。
今日から奴らは僕の舅になるのだろうか。それとも小姑か。
父親の代理として、花嫁を新郎に引き渡す役を受け持ってくれたのはありがたいが、
殺したそうな目で僕を睨みつけてくるのはいただけない。
さあ、花嫁をこちらに。
僕が両手を差し出す。
左手にディーヴァを、そして右手に小夜を受け取ろうとする。
だが僕の左手を取ったのはアンシェルだった。
「幸運な花婿に祝福を」と薄笑いを浮かべながら、握った手をブンと上に振る。
シェイクハンドと呼ぶには勢いが良すぎた。宙に跳ね上げられた僕の体は、
激しく天井に叩きつけられる!
体中の骨が砕ける痛みがあった。
このままでは次は地面に落下する――!僕は苦痛をこらえて受身を取ろうとした。
その時、高速移動で追いついたハジが「祭壇はあちらだ」とぼそりと呟き、
僕をチェロケースで思い切り殴りつけた。
着陸態勢を取ることもできぬまま、僕は祭壇に突っ込んだ。
大音響を立てて重々しい祭壇は壊れ、石の床まで割れてしまった。
僕は祭壇の残骸の中で、倒れたままピクピクと痙攣していた。
人間だったら即死だったろう。
※危険なので、翼手以外の人は真似しないでください※
かすむ視界の中で、僕のディーヴァと僕の小夜が、アンシェルとハジに
連れ去られようとしていた。
おい、ちょっと待て!新郎を置いて、新婦を連れて行く奴があるか!
必死に叫ぶが、声は出ない。体がまだ治癒していないのだ。
僕は悟った。
これは序章に過ぎない。
二人の花嫁との薔薇色の日々には、恐ろしい邪魔者がつきまとい続けるのだ。
だが僕は断じて負けはしない。
必ず奴らを打ち負かし、ウレシハズカシの新婚生活を謳歌してみせる!
そう決意して奥歯をかみ締めると、頭蓋骨がずれる音がした。
さっきの衝撃でやられたらしい。
脳も出血しているらしく、痛みで頭が割れそうだった。
きっと頭蓋が割れて、そこから血が染み出しているんだろう。
だからもし今、この頭蓋骨を取り出すことができたなら、
僕はとてもいまいましいものを目にしたと思う。
――つまり、僕の頭骨にできた、『薔薇色のヒビ』を。
- 285 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/26(金) 17:34:07
- >>214
>殺傷能力を特化させたイキモノのヒトが…
そうなのかい?
果たして人間は殺傷能力に優れているのだろうか。
たしかに人間は原始の時代から武器を作ることに長けていた。
でもそれだけじゃないだろう?
人間は武器も作り出すが、それだけじゃなく人間を助ける道具も
たくさん作り出しているじゃないか。
僕も二度の世界大戦やベトナム戦争を見て、人類の未来を暗く感じたことはあるよ。
それでもヒトには明るい未来を作り出す力が備わっていると思うんだよ。
ある学説によれば(こういうのはアンシェルや次兄やジュリア女史の方が
詳しいだろうが)、人類が発展したのは殺し合いによる淘汰ではなく、
助け合い補い合ってきたからだそうじゃないか。
君達人間には、殺傷能力だけではなく、前に進む力がきっとあるんだよ。
…ああ、君の意見を否定してしまったかな。ごめんよ。
僕もシュヴァリエだから、普段は人類社会を皮肉な目で見ているのだけどね。
それでも――君のような人間のお客人と話している時は、人間には
優しさや賢さがあって、平和な世界を築き上げられると信じてみたくなるんだよ。
- 286 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/26(金) 17:34:26
- >>220
>ディーヴァから離れられなかったんだね……
君は僕のディーヴァを知っているのかい?
深い海のように、時には謎を秘めて静かに、時には猛々しい光を宿す青い青い瞳を。
大気さえもが魅了されたように、やわらかく妖しくふるえてしまうあの歌を。
きっと君も彼女を忘れがたく思っているのだろうね。
よくわかるよ。
僕もディーヴァの白く細い指を握ったり、拗ねて可愛らしく尖らせた
ハート型の唇にくちづけたいといつも考えてるんだ。
君だって彼女の黒髪のすべらかさを、その手で触れて確かめてみたいと
思っているんだろう?――僕達は同じだね。
それに君は優しい人だ。僕の過去を嘆いてくれている。
……だから、ね。
君をディーヴァの部屋に連れて行ってあげよう。
仕方がないとはいえ、僕は人間がディーヴァの一部になるのは好きじゃないんだ。
それくらいなら僕の血を捧げて、ディーヴァを満たしてあげたいからね。
でも君ならいいよ。
君みたいな人が、あるじの白い骨やなめらかな皮膚になるのなら喜ばしい。
……何の事を言っているかわからないって?
おや、君はディーヴァの事を詳しくは知らなかったのだね?
大丈夫。心配いらないよ。
ただ君は僕のいとしいあるじの一部になって、僕達と一緒にいるってだけさ。
これから、ずっとね。
- 287 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/26(金) 17:34:51
- >>221
>どれだけの人間が居場所を見付けられず
コミュニティの中で居場所を見つけられない人は、難しい立場に立たされることになるね。
だから僕は、ベトナムのリセ(女学院)や工場で、責任者としてできるかぎり
円満な人間関係が築かれるよう、心を砕いてきたつもりだ。
たとえばリセでは、ファントムとなって伝説(校内七不思議のひとつとも言われた)となり、
女生徒たちに話題を提供した。彼女らは授業の合間や食事の途中、または
就寝前のおしゃべりの時間に、謎の男ファントムのことを噂しあったんだ。
そうして学園内共通の話題を話すうちに、生徒の間に仲間意識がはぐくまれていったんだよ。
もっともどういうわけか、生徒達はソロモンのことを
憧れのファントムだと信じたようだがね。本当は僕なのに。
工場でも僕は社員を導いていたつもりだよ。
時にはシュヴァリエの能力も使ってね。
たとえばあのダンスパーティの夜の、リセの地下室だ。
社員がトラックでコンテナを運ぼうとするのを赤い盾が妨害した時に、
僕はトラックに放たれた銃弾をこの手で防いだんだよ。知ってたかい?
ディーヴァのコンテナを守るためだったんだが、僕なりに社員の身の安全も
考えた上での行動だった――と、思う。
小夜を目の前にして興奮してたから、記憶は曖昧で、多分、だけど。
でも僕が工場長として、ベトナムのサンク・フレシュに君臨していられたのも、
あの夜までだった。
ヴァン・アルジャーノばかりか、CEOであるソロモンまで揃ってしまっては、
工場長なんてただの中間管理職だからね。社員たちの忠誠心はそちらに向いてしまったよ。
職場の環境改善に、直接貢献していたのは僕なのに。
……あらためて考えてみると、働きの割りに報われていないような気がしてきたぞ。
そんなはずはないんだが、もしや僕は存在感が薄いのか?(主役なのに!)
名無しさんはどう思う?
- 288 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/09/26(金) 17:36:10
- >>236
>ところで翼手はアルコールで酔えるんですか?
ほかの皆も言っているが、僕達も多少は酔っ払うよ。
シュヴァリエの体も酒の効能にあずかれるということだね。
兄弟の中で一番、酒に強いのは誰だろうか……やはり北国育ちの次兄かな?
――っとと、次兄!いきなりくっついてきてどうしたんだ?>>177
>カール♪えいっ。
>なにもびっくりしなくてもいいじゃない、お前の背中に飛び付いただけよ!
うわっ、次兄、酔ってるんだな?ここんとこ、ウォッカを飲みまくってるからだぞ!
しかもロシアの流儀だと言って一気飲みばかりだし、いくら酒に強いからって飲みすぎだ!
ほら、お客さんも笑ってるぞ?
>ソーニャお姉さまの言うこと聞かない子にはおしおき!ぎゅってしてやるー。
……次兄、やっぱり酔ってるだろう?
「ううん、全然酔ってないわよ」なんて言ってるが――我が次兄よ、擬態が解けて
男に戻ってます……。
…ぎゃあ、男の姿のままで力いっぱい、ぎゅってしないで!
嬉しくないこともないが骨が折れそうだ!
名無しさん、笑って見てないで、たすけ――…
今夜はここまでだ。
夢を見ないシュヴァリエから、夢を見る人間の皆さん、御機嫌よう。
- 289 名前:名無し客:2008/09/27(土) 11:16:22
- 想い人へ愛を囁くならどんな言葉を用いますか?
- 290 名前:名無し客:2008/09/27(土) 12:30:53
- >>284
ちょwwwwwwカール妄想GJwwwwww
- 291 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/29(月) 01:36:18
- ご機嫌よう、随分はだ寒くなりましたねえ…
あなたがた、快適に過ごせていますか?お部屋の空調は?食事は?
―――そうですか。それはよかった。兄弟たちの目配りが、
行き届いている証拠ですね―――僕も、鼻が高いです。ありがとう。
>>214
>我々が何者か?どこから来たのか? その事に意味があるのか?
―――ある。あなた、知りたいとは思いませんか?
あの美しい女王が、母が、恋人が、花嫁が…一体どこから来たのか。
そしてこれから…どこへ向かうのか。
彼女達が、どうすれば気持ち良さそうに歌い
おかわいらしい顔で笑い、安らかに眠り、お幸せそうになさるのか。
僕は知りたい。…もっと早くに、知りたかった。
>数多の進化を、否適応のための変化を遂げた中で
>殺傷能力を特化させたイキモノのヒトが…
その点に関しては、僕らもあなたがたも同じですね。
あなたも僕らも、食べなくてはいけない。人間の、あなたの仰るその能力は…
彼らが生きる為に他のいきものを殺す、本能で備わったものです。
人間が業深く怖ろしいのは…それを、自分と同じ種類の生き物に使う所です。
もちろん、その点で僕らにも、彼らのような業深さはある。僕は―――
ハジを串刺しにしたり、生き埋めにすると、スッキリする。
おや、ハジがお好きですか?やあ、それはそれは…。
けれど、こればかりはどうしようも…もしハジを目の前にしても、
僕は同じように言うでしょうね?―――やあ、ハジ
僕が君より、花嫁に対して翼手として優れているのがとても爽快でした、と。
御免なさいね。これも、手のつけられない本能なのかもしれません。
- 292 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/29(月) 01:39:57
- >>268
>ハジも変態するんだよ、きっと
>>269
>ハジの片手は変態している、何も間違ってないね。
ハジですか…。
ええ、ハジのあれはそう、変態で間違いありません。けれど…
随分悩まされましたよ、翼手の変態には―――はい?
いいえ―――どうしてそこで、アンシェル兄さんやグレゴリー兄さんが
出てくるのです?―――はは、大変だったねと同情して下さる?
いいえ、僕は大丈夫。実際に頭を抱えていたのは、僕ではなくて
ヴァンでしたし、ね。ですから…
…やあ、兄さんたちのあれも、変態には違いないのでしたか。
姿形が変わるわけですからね。…?そうじゃなくて…?いや、あなた、
そこから先は言わぬが花です。それに…彼らとハジとは少し違いますよ、
どちらかというとハジは―――、いいえ、そのお話はいいのです。
ハジや兄さんたちが変態なのかはさておいて…僕の言うのは、D-67の事です。
じつは、あの薬剤の開発において最優先だった懸案事項は―――ゾアントロピー、
はい、よくご存知で…仰るとおり、獣のように変態する事です。薬剤を投与しても、
すべての個体がそうはならない所まで、研究は進んでいました―――けれど
とにかくヴァンは、あの厄介な失敗作のマウスの処分に頭を抱えて
ー――おや。人間のあなたがたには、気分のわるいお話でしたね?すみません、
かんがえなしにこんな事を。…やあ、何ですって?先程から、僕がハジの悪口を
ー――それも、子供のような悪口を言っているように聞こえる?
まさか…あなた、気のせいですよ。今のお話の一体どこが…、…まあ
無理やり縦に読めば、そう見えるかもしれませんけれど。
…おや、先ほどからやたらハジに突っかかるじゃないかと仰る?
いいえ、まさか。ハジの人気に嫉妬、だなんてそんな。子供じゃあないんですから。
- 293 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/29(月) 01:43:10
- >>238
>だけど意外だ、彼の研究に翼手の心理を
>研究するなんて項目がなかったっていうんだからさ。
あなたが意外に思うのは、こういう訳なのです―――僕らにとって、
僕らはあくまで、ひとつの意志を複数の体で分かち合う兄弟。
あるじの意志は最も優先するべき、シュヴァリエの意思。
すべてはディーヴァの為に。
「翼手の心理」それは…その時点で既に、完結した命題なのです。
僕らはその完結した認識でもって兄弟と関わり…それ以上は干渉しません。
だから―――あんな事になった。ただ、研究のテーマに据えていたとしても
結果は何ら変わらなかったでしょうね?
>翼手も人の気持ちと同じかもしれないな。
仰る通り、思いもよらない方向に動くのが―――人間の心です。
それに…僕らの中身なんて、研究しようと思ったらそれは大変ですよ?
カールをご覧なさい。彼は目で追うだけで精一杯で、何を考えているかなんて
考えている余裕がないのです。それに…アンシェル兄さんをご覧なさい。
彼が何を考えているか、簡単に判ったら…はは、何も苦労はしません。
>お茶を貰おうかな。
グレゴリー兄さんは…、もうすっかり元気でおいでのご様子ですね。
僕も、安心しました。お茶は美味しかったですか?やあ、
彼はあなたに果物とレモン水を。それは良かった。
あなたも安心なさったでしょう。本当に、良かった。
- 294 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/09/29(月) 01:50:31
- >>269
>人の血からどんな栄養が取れるのか気になるけど、グレゴリーの
>真心と手間を込めたもてなしの一品を味わう様子の方が興味深いよ。
やあ、グレゴリー兄さんに聞いたのですね。ええ、僕は
彼の作ったものに合う器を探したりして、食事の支度を手伝う事があります。
食事は―――対象がより美しいほど、楽しめるものでしょう?
目で視て、匂いを嗅いで、最後に咀嚼して楽しむのが…食事のあるべき姿です。
ええ、僕は人間の食事の味を忘れたわけではないのですよ。
真似事だと思っていても…本当はどういう事だったか、思い出すことはあります。それに
誰かが自分の為にと拵えてくれたものが、美味しくないはずがありません。
この場所でいつか、小さな少女が、僕を労わって作ってくれたケーキの味から…
もうずっと昔、お屋敷のメイドさんが―――まだ幼い、
意地の悪い兄たちに悪戯ばかりされていた僕に、こっそり残しておいてくれた
彼女達の中休みのための、焼き菓子の味まで
―――よく憶えています。それは嬉しかったものですから。
ですが―――くす、兄さんの仰る事>>272は、間違っていませんよ。
>私の兄弟の食事風景なんて面白くないと思うわよ?
いま、僕が人間の食事を摂る姿を見ても…楽しくないでしょうねえ。
僕と一緒に食事をしてご覧なさい。きっと、あなたは僕の食事を楽しむ様子より
完璧すぎる作法のほうばかりを見てしまって―――緊張しますよ。
実のところ、僕も…食事に誘って下さるより、後ろを向いて、
うなじを見せてくれるほうが楽しいのです。
だってあなた、僕の本当の食事に…作法なんて関係ありません。
目の前の美味しそうなものに、手を触れて形を確かめて、匂いを嗅いで、
どこでも好きな所に歯を立てればいい―――
作法に縛られた食事より、よほど楽しいですよ―――
僕のあるじも、そう仰います。
あなたも、そうでしょう?
だから僕も、あなたがたが食べておいでの時は、見ているだけでいい
こうして、向かい合って座って、にっこり笑ってお話をしながら…
…グレゴリー兄さんの食事は、それはいい血になる筈です。
おやおや、…僕は以前ご挨拶をした時から、こんなお話ばかり。御免なさいね?
ひょっとしたら―――やあ、お腹が空いているのかもしれません。
グレゴリー兄さんはキッチンにおいででしたか?そうですか。
それじゃあまた、彼の作った料理の味見をさせて貰いましょう。
やあ、グレゴリー兄さんは、いちじくのジャムとお酒の仕込みをしておいでですか。
それはいい。―――ご機嫌よう。
- 295 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/10/01(水) 00:13:36
- >>289
>想い人へ愛を囁くならどんな言葉を用いますか?
そうねえ……
わたしの母語ロシア語、世界中で一番調和的といわれる
言葉のひとつひとつが音楽のようにひびくその諧音にのせて
愛を乞うでしょうね。
「ねえ、わたしと一緒に暮らさない?」――と。
あら、何がおかしいの?「いろいろ段階をすっとばしてる」ですって?
……じゃあ、今の人たちはどうするの?
長兄に言われたわ。わたしの常識は19世紀のままで停止していると。
カールに言われたわ。「でんしれんじ」も「がすこんろ」も知らないのかと。
見た目はこの通りうら若き乙女だけれど……普段は気にもしないのだけれど……
所詮わたしは過去の遺物。とうの昔90年前に、命を終えた存在なのよね……。
――いいえ。>>240でもお話したけれど、たとえ時代が変わろうとも
好きな人とずっと一緒にいたい、共に暮らしたい、家族になりたいと願うのは
ごく自然なことよ。おかしくなんてないはずだわ!
- 296 名前:名無し客:2008/10/01(水) 19:16:04
- 「面と向かってはとても言えない、でも正直迷惑です」
というあなたの内緒話をこっそり教えてください。
- 297 名前:名無し客:2008/10/01(水) 22:13:46
- ……ヅラ?
- 298 名前:名無し客:2008/10/03(金) 20:23:44
- 君>>296ひょっとしてお酒飲んだら絡むタイプ?
個性的ながら紳士揃いのシュヴァリエが面白おかしく教えてくれるかな
- 299 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/10/05(日) 08:23:48
- >>167
>フーッ!!
おや、――野良猫か。立派な虎縞だな。なんともふてぶてしい、堂々たる面構えだ。
おまえに良く似た猫を知っているよ。姫君のお気に入りだった絵本、ソロモンが幼い客人に
読み聞かせた絵本>>119の挿絵に描かれていた……
今朝のわたしは雨の日の釣り人だ。何か用か?おまえは翼手のわたしを恐れないのか?
……ああわかっている、用があるのはこの魚篭の中身だろう。
ここ「動物園」の湖では魚も釣れる。
たいしたものは釣れぬが、釣りの醍醐味は頭の中をからっぽにして雑念を追い払い、
瞑想的な時間と空間に浸れることだからな。朝、こうして釣り糸を垂れに来る。
深い木立の中の静謐。雨を含んだ落ち葉の匂い。鳥の囀り。雨粒が湖面につくりだす波紋。
先日、内緒話をこっそり教えて欲しいと>>296氏にせがまれた。
兄弟にさえ秘密にしていることを、人間相手に話す気には到底なれなかったが……
おまえにならいいだろう。
「動物園」の森の中に、家を建てている。こじんまりとした一軒家だ。
ペチカを備え付けた寝室兼居間、奥にもうひとつの寝室、そして台所。
家の手前に流れる小川には、木の橋を架けるつもりだ。
深さは人の足がつく程度だが、幅が広くて、歩いて渡るには骨が折れそうだからな。
ダーチャ(別荘)代わりだ。このところ、屋敷が少々広すぎて、静か過ぎて……
落ち着かないのでな。――ソーニャの家と寸分違わぬ造りにするつもりだ。
すっかり体が冷えてしまったな。そろそろ客人方が起きだす時間だ、帰るとするか。
魚篭は置いていこう。ヒメマスが数匹入っている。
雨の中話し相手になってくれた礼だ、持って帰るがいい。
- 300 名前:名無し客:2008/10/07(火) 08:06:08
- シュヴァリエも転職というものを考えるのかい?
- 301 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:08:54
- やあ、こんばんは!
>>237
>「ファースト」は英語で「シュヴァリエ」は仏語
たしかにそうだね。ファーストシュヴァリエとは少々奇妙な言葉だ。
だが考えてみれば、どの国の言葉にも外来語というやつがあるからね。
ファーストシュヴァリエが『最初に女王の血を受けた翼手』という、
限定された意味で定着することもあるんだろう。
もともと英語にも、フランス語由来の外来語がいくつかあるはずだからね。
たとえば英語で口紅を表すrougeは、元はフランス語で赤色をさす言葉だ。
長さの単位であるメートルmeterもフランス語から来ているんだ。
そうそう、薔薇を表す英語roseも元はフランス語のはずだよ。
フランスでroseが意味するものは薄紅色だ。
やさしくて綺麗な色だね。僕の小夜にもrougeの次に似合いそうだ。
この動物園の庭にもroseの秋薔薇が咲いているんだ。
ちょうど今が盛りで見事なものだよ。
君にも摘んで差し上げよう。さあ、こちらへどうぞ。
- 302 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:09:23
- >>238
>彼の研究に翼手の心理を研究するなんて項目がなかった
アンシェルはわずかな表情から他人の心理を読み取ってしまう、とても敏い男なんだ。
特に隠された後ろ暗い部分を見抜くのが上手でね。
だから特に系統立てて研究する必要を感じなかったのかもしれないね。
それにシュヴァリエは少なすぎて、心を分類するためのサンプルが
足りなかったせいもあるだろう。
抜かりのない男だから、翼手の精神状態がその肉体に及ぼす影響については、
研究していただろうけど。
もし彼が翼手における心理学を研究し完成させていたら、
事態は少しは変わっていたのかな。
ディーヴァや僕達の心が、彼のそばを離れることはなかっただろうか。
いや――やはり、そううまくはいかなかっただろう。
どんなに深く研究しても、それはただの知識に過ぎない。
多くのデータを集め、体を解剖しつくしたとしても、
相手を真に知ることは出来ないと、僕は思うんだよ。
- 303 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:09:47
- >>241
>ボルドーの星空には天の川があるのかな?
もちろんあるとも!
さあ、名無しさん、見てごらん。
澄み切った秋の空気の中で、夜空が一段と美しいよ!
こんな夜はきらめく星達を見上げて歩こうじゃないか。
少しの間だけでも、地上の憂いを忘れるために。
ほら、ごらんよ。
有名な古代エチオペア王家の四星座が昇っている。
美しいアンドロメダ王女とその両親のケフェウス王とカシオペア王妃、
そして王女を救わんとする勇者ペルセウスだ。
見えるだろう、名無しさん、あそこだよ。あのいっとう明るい星が――いてっ!
……すまない。上を見ながら後ずさっていたら、木の枝に頭をぶつけてしまった。
大丈夫、痛くはないよ。でももう後ろ向きに歩くのはやめるよ。危ないからね。
さあ、星の話に戻ろう。
知っているかい、名無しさん。あの星が集まっているところが――うわっ!
……ううっ、ここは階段だったのか。見事に転がり落ちてしまった。
名無しさん、心配そうな顔をしなくて大丈夫だよ。怪我はないからね。
それより僕は理解したよ。
星は地上の憂いを忘れさせても、危険は忘れさせてはくれないってことをね!
- 304 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:10:38
- >>213
>そんなふうに麻酔したんだね…
ディーヴァがどんな風に麻酔をうたれたのか、僕は知らないんだ。
だが彼女の苦痛が少しでも減ぜられたのなら幸いだ。
僕も昔、ソロモンにモルヒネを打たれて眠らされたよ。
奴が当時の話をしているね。
あいつ、僕に罵られるのが怖くて施術室から逃げ出していたのか。>>210
そうだな、たしかに罵ってはいたのだが……。
聞いてくれるかい、名無しさん。あの時の僕はね、こんな風だったんだよ。
いたましげな視線が癇にさわる。
どうせ見下ろされるのなら、いっそ嘲笑された方がましだ。
僕は施術台に仰向けにくくりつけられたまま、ソロモンを睨みつけた。
もうじき、僕を解剖するためにアンシェルがやって来る。
例によって切り刻まれた僕が気を失っても、あの男は気にも留めずにメスを振るうのだろう。
僕は顔を曇らせるソロモンに、皮肉っぽく口をゆがめて見せた。
今更なにを哀れむことがある。
お前は最初から知っていたはずだ。
僕がどうなるか、なにもかもわかっていてあの男に差し出したのだ――ただの実験台として。
こうなる前の僕は、ソロモンのことを得がたい友人として慕っていた。
ベトナムから来た物慣れぬ留学生は、勉学に疑問があれば彼に教えを請い、
入り組んだパリの道に迷えば行き方を尋ねた。
僕の手を引くようにして、袋小路から救い出してくれる金髪の友を信じていた。
そうして彼に手を引かれるまま案内され、最後にたどり着いた場所が、
この陰気な地下室であり、身動きできぬ施術台というわけだ。
僕は愚かだった。
あの暖かな友人は幻想だったのだ。
その幻もどこかに消えてしまい、今いるのは別の誰かだと思いたかった。
だから僕は冷淡にソロモンに言った。
――お前なんか知らない。
いましめられた腕がヒヤリとした。
見ればソロモンが、注射器の針を僕の腕に押し当てている。
不審がると奴は
「モルヒネです。せめて痛みがないように」
と物憂げに言った。
やめろと僕はもがいた。
注射器を押しやろうと、縛られた体であがいた。
痛みなんてどうでもいい。そんなものは、かまやしない。
だが精一杯の抵抗もむなしく、透明な液体は血管に注入されてしまった。
シュヴァリエの体にも効くよう、何本も何本も大量に。
麻酔にかけられると、人はうわ言を言うという。
僕はそれが怖かった。
朦朧とした意識が、僕に何を口走らせるかが、たまらなく怖かった。
ふと気づくと、悲しげな緑の目が僕を見下ろしていた。
まるで不運にすすり泣く女子供を見るような、同情を帯びた眼差しが僕には耐えがたい。
薬の効果で、しだいに頭に靄がかかり始めた。
耳に水が入ったように、自分の呼吸音だけがやけに響く。
天井がぐるぐると回りだし、目の前の白い姿がぼんやりと輪郭を失いはじめる。
やめてくれ。
意識を奪わないでくれ。
僕は正気を保つべく、ひたすらにディーヴァの名を呼んだ。
まぶたに焼きつく彼女の面影だけが、僕を覚醒させてくれそうだった。
しかし、やがて力尽き、あるじを呼ぶ声も途切れてしまう。
おぼろな影となったソロモンが、黒い布で僕に目隠しをした。
顔に触れる奴の手の、昔と変わらぬやわらかさが憎かった。
けれど目隠しが作る暗闇はありがたく受け取った。
これでもう、かすんだ目で白い姿を探さなくて済む。
あとは封じ込めた胸の内を、この唇がこぼさなければいい。
思い出の名残りにすがりつきそうになる、劣弱なこの心を。
麻酔に惑わされた口が閉ざせないのなら、心を閉ざす言葉を吐き出し続けよう。
たとえみじめに繋がれた身だとしても、
一個の男子たるために。強きシュヴァリエでいるために。
友と過ごした輝かしい日々を、忘れるために。忘れないために。
そして、
救いを求めて伸ばした手はもう握り返されはしないのだと、
再び思い知ることのないように、
脳裏に浮かぶ白い影に向けて、唇が繰り返す。
――お前なんて知らない。
- 305 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:11:10
- >>243
>過去はやりなおせない。
君は正しい。
でもわかっていても、あの時こうしていたら、とつい考えてしまうね。
さっきは昔のソロモンの話をしたんだが――今になって僕は思うんだ。
あの頃の僕の苦痛は、自分自身にも責任があったんじゃないかと。
僕はもっとソロモンや周囲の人々と、胸襟を開いて言葉を交わすべきだったんじゃないかな。
言葉で言わなければ、何も伝わらないし、理解も始まらないのだから。
話してみても、結局、事態は変わらなかったかもしれない。
それでも試してみる勇気さえ持たずに、他人を恨んで、傷つけて、
責めてばかりいた僕は間違っていたんだよ。僕は弱すぎたんだ。
今さら考えても、もう遅いのだけどね。
そう、過去はやり直せないが――……どうだろう、名無しさん。
一緒にソロモンの部屋に遊びに行かないかい?
あいつがまた、似合いもしない辛気臭い顔をしているといけないから、盛大にからかってやろうよ。
まあ、からかいに行ったつもりで、逆にからかわれてばかりいるんだけどね!
それもまた愉快だろう?
- 306 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:11:32
- >>245
>嫌いじゃないよ、好きだけど
好きだけど――途切れてしまった、その先はなんなんだい?
好きだけど、今は欲しくない
好きだけど、一番ってわけじゃない
うーん……考えてみても、その後に続く言葉は否定的なものしか思い浮かばないね。
つまり君は好んではいるが、否定もしくは拒絶してしまう複雑な心理を表現しているんだね。
そうでなければ、相手を気遣って「好きだけど」と前置きして話しているんだ。
人はよく、そういった曖昧な言葉を使うものさ。
僕もそうだよ。
だが僕の愛しいディーヴァは違っていたな。
奔放なあるじは、話す時に予防線を張るような真似はしないんだ。
己を偽らない彼女はいかなる時も直截でね。
好きなら好き。欲しいなら欲しい。嫌いなら嫌い。いらないならいらない。
その言葉に一喜一憂する者のことなど気にもせず――。
でもそんなところも、とても愛しかったんだよ。
- 307 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:11:54
- >>254
>怖い話って聞けるのかな?
やあ、名無しさん、いらっしゃい。
怖い話を御所望なのかい?
ならば、いいところに連れて行ってあげよう。
ごらんよ。
ここはゴールドスミス傘下の施設でね。
赤い盾に存在を知られなかったために、解体されずに済んだんだよ。
無機質なほどに新しい近代的な建物だろう?
現代では怪奇現象も棲家を変えたのさ。
古い屋敷や陰気な墓場から、一見開放されて清潔そうな研究所にね。
ほら、秘密のエレベーターで地下へ降りたよ。
太い鉄格子が嵌まった檻がたくさんあるのがわかるだろう?
中を覗いてごらん――暗いけど、ちゃんと見えたかい?
奇怪な爪と牙を持った、見たこともない姿をした生き物がいただろう?
彼らも元は人間だったんだよ。
人間が人間でないものに変わるんだ。精神も肉体も遺伝子も全てがね。
これぞ現代の怪談、いや、おとぎ話さ。実に神秘的だ。
ふふっ、君が来たから彼らが歓迎して牙をむいている。
大声で吼えているが、僕がひとこと言えばおとなしくなるよ。
とてもお行儀が良くて、可愛い子達なんだ。
シュヴァリエでこそないが、僕の仲間だ。
おや、名無しさん、どうしたの?もう帰りたいって?
……それが駄目なんだ。ここを見たからには、君をこのまま帰すわけには行かないのだよ。
でも何も心配しなくていい。もう始まっているんだ。
君の体の中で、必要な準備はとどこおりなくね。
さっき君に飲ませたコーヒーは、僕達が作った特殊な薬品入りでね、
だからじきに君は彼らと同じ、僕の親しい友人になるというわけさ。
もちろん君は大事なお客人だから、檻の中に入れたりしない。
頑丈な鍵付きだが、綺麗で広い部屋を用意しよう。
君のために、僕は毎日薔薇を飾るよ。
僕がなんだってしてあげる。
だから君は、ディーヴァや小夜のように、僕から去っていかないね?
そら、スピーカーからディーヴァの歌声が響いてきた。
君にも聞こえているね。君の体も女王の歌に反応しているんだろう?
ああ、完璧だ!
我ながらとても上出来だ!
もうすぐ君が僕と同じになる――!
――ああでも、しまったな。
怖い話をじかに体験させてあげようと思ったのに、これでは少しも怖くないね。
――おや?
ねえ、名無しさん。
そんなに涙を浮かべて、首を横に振って、どうしたんだい?
僕の仲間になるのは嫌なのかい?
そうだね。
君のすんなりした姿が変わってしまうのは惜しいかもしれない。
残念だが、君を翼手にはしないでおこう。
しかし、帰せないのは同じことだ。
だから僕が君を飲み干そう。
ここの始末屋なんかに任せたくないからね。
僕は君を大切にするよ。少しも痛くしないし、一滴も零さないと誓おう。
君は仲間にはならないが、僕の一部になるんだ。
あははははっ!なんて素晴らしいんだろう!
眠らない僕の中で、君は若く美しいまま永遠に眠り続けるんだ!
さあ、はじめよう、僕と君にふさわしいパーティーを。
頬を伝う涙をこの手でぬぐうよ。
そんなに身を堅くしないで。
ゆっくりとうなじに埋まる、牙の甘さだけ感じておいで。
――ああでも、ごめんよ。
やっぱり怖い話にはならなかったね。
- 308 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:12:16
- >>258
>「生き残ろう」という機械的意思だ。
僕が既に結晶となって砕け散った後の話だ。
メトロポリタン劇場で、ハジはアンシェルと刺し違えて、
小夜を気化爆弾から逃がしたそうだね。脇役に過ぎない彼にしてはお手柄だ。
そして爆発の中でハジも消滅したかと思いきや、カイによると、
小夜が眠っている墓所にバラの花を置いていったりしていたそうじゃないか。
まったく心憎いことをする。
大爆発の中、彼が生きながらえたのは、「機械的意志」または本能と呼ぶべきものと、
翼手の優れた自己再生能力のおかげだろう。
しかしそれ以外にも小夜の元へ帰ろうとする強い意思が、ハジを死なせなかったのだろう。
自分の意思で生を望むのなら、死ねない体も牢獄ではなくなる。
女王への本能的な感情ではなく、自らが選び取った愛なら、それは隷属ではない。
ハジはシュヴァリエとして彼の女王に縛り付けられていたが、同時に自由でもあったのだね。
少し、うらやましいよ。
- 309 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/11(土) 00:13:37
- >>259-260
>無花果とレモン水ごちそうさま、美味しかった
>ジャムや果実酒が今から楽しみだよ
さーて名無しさん、次兄が色々とこさえてくれるようだからね、
僕もせめてもの手伝いをと、取り合えず目に付いた瓶を持ってきたよ。
紅茶に入れるジャムや、果実酒なら僕もありがたくいただけるしね!
使える瓶があるかどうか、一緒に見てくれるかい?
こいつはジュリア女史の部屋から、ちょっと借りてきたものだよ。
底が平らになった、安定感抜群のガラス瓶だ。
……おや。底に小さなプレートと液体が入っているね。
ちょっと待っておくれ。横のラベルに何か書いてある。
『細胞培養用・カール』
なんだと!?これは細胞培養用の三角フラスコか!
しかもカールって何だ。いつの間にこんな研究を初めていたんだか。
研究者とはつくづく油断も隙もない連中なのだね。
だがおそらく好奇心に負けてしたことで、悪気はないに違いない。
ソロモン流に言うと、業が深いというやつだ。
名無しさん、この瓶は僕が処理しておくよ。次に行こう。
そっちの色鮮やかな花が浮き彫りしてある瓶はどうだい?
ため息が出るほど素晴らしいだろう?
マークを見ればわかるように、それはエミール・ガレの一品だよ。
昔は今ほど高価じゃなかった。
今はオークションでもかなりの値で落札されるそうだね。
骨董品というより、芸術品扱いなのだな。
次兄の力作を入れるにふさわしい美しさと貴重さだよ――え、それは花瓶だって?
今宵はこれにて。しばしのお別れを。
人間の皆さん、おやすみなさい。
- 310 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/10/14(火) 02:56:27
- >>241
>ボルドーの星空には天の川があるのかな?
ありますよ。あなたがお住まいの国ではそう呼ぶのですね…こちらでは、
“la voie lactée”と言います。夏は終わってしまいましたけれど
いまの時季、この時間なら―――やあ、あの辺りだ。
まるで雲のようです。けれどあのひとつひとつが、全部星なのですよ?
やあ、あの壮大さに比べれば―――やはり僕らは矮小です。…くす、
どれだけ争いあっても、どんぐりの背比べにしかならないのですよ。
パリの街中では、こんな風には見えません…あなた良かったですね、
もうすこし、ここでこうして眺めていましょうか。
- 311 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/10/14(火) 02:57:36
- >>258
>人類が絶滅の危機に瀕するとき、真に残るのはナショナリズムではない。
>「生き残ろう」という機械的意思だ。
やあ、ナショナリズム、というのは割かし最近の言葉で…
フランスの歴史から出た概念なのですね。ずっと昔、カールと二人で、
ナショナリズムと愛国心は混同されがちだけれど違うのですねと
話したことがあったような気がしますよ。僕はそうだな、ナショナリズムを
国家に対する帰属意識の一環とするなら、愛国心はそれに先立つ観念…やあ、
はは、こんな話をしていると、あの頃が懐かしくなります。御免なさいね。
…君に…その、愛国心というのはありますか?…僕はパリの街は好きですけれど、
国家のために戦おうなんて、ついぞ思わなかったな。あなたは?
…やあ、そうでしょう?そういうものですよ。君の言う通りで殆どの人間は、
死に直面した時にまでそんな難しい事を考えません。
もう自分は死ぬ、そう思ったとき咄嗟に瞼の裏に見えるのは…
兄弟や友人の姿であったり、愛する人の姿であったりする―――筈です。
そして―――その人を護って死ぬのならそれでいいとすら思う。
その傍らで、その人の為にもっと生きたいと思う―――
死に直面して、生きたいと願う人の意志を左右するものは
決して思想や本能だけではない筈です。そして
その時、心からもっと生きていたいと切望できる人は…幸せだと思いませんか。
- 312 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/10/14(火) 03:00:24
- >>243
>過去はやりなおせない。小夜とディーヴァがそうだったみたいに。
>懐かしむ気持ちも一方通行だったら切ないね。
そうですね。
小夜とディーヴァの諍いも、もう随分昔の事のようです―――
あなたはよくご存知のようですね?あのころ僕らは皆、行ったきりでした。
僕がどれだけ、誰かを目で追っても…そのひとはいつも僕ではない
ほかの誰かを求めて、その後ろ姿を追いかけている。
きっと同じでしょう、あなたの仰る、過去を懐かしく思う気持ちも。
小夜は仰いました、「私の所為で、私の所為で」…彼女は過去を懐かしく思うどころか、
ひどく憎んでおいででした。行ったきりの僕らが―――過去を懐かしく共有する事なんて
まるでぬるま湯に浸かったような、心を慰めるだけの夢のお話なのかも知れません。
それでも―――ああ、彼ないし彼女も同じように、あのとき過ごした時間を
懐かしく思い出してくれたら―――つい、そう思ってしまう事はあります。
先ほど僕は言いましたね、ずっと昔カールと話した事が懐かしい、と。
僕が彼にした事はきっと、その過去を彼にとって厭な思い出にしてしまいました。
それでも、僕はまだ忘れていません―――大学の図書館の、紙とインクの匂いを
紙面をペン先が忙しく走る音を、そこへ落ちる彼の気真面目そうな眼差しを
強い意志を持った声を横顔を―――僕は憶えています、そして酷く懐かしいと思う―――
彼も同じように思い出してくれていればと思うのは、僕の身勝手です。
…おや、
>自虐は自他よくないとハジが諭せばよかったんだけど……無理難題かな?
そう自分を責める必要はないのだと仰る…?あなた、お優しいのですね。
しかし―――どうしてそこにハジが?…また、ハジの話なのですか?
別に構いませんけれど…、
へえ、そうですか。彼はその…赤い盾のひとりを相手に、カウンセリングのような事まで?
何なのですか彼は?本当に何でもするのですねえ?
だから気に病んでいるなら彼に相談すれば、と?―――ええ、仰る通り無理難題ですね。
やあ、成る程僕は元気になるかも知れません。けれどハジの方が衰弱してしまいますよ、
僕はハジと喧嘩するのに必死になって、
悩み事なんてすっかり忘れてしまうのでしょうからね。
はは…、そう考えれば確かに彼は、僕にはよく効くカウンセラーです。
- 313 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/10/14(火) 03:02:06
- >>245
>嫌いじゃないよ、好きだけど
君、好きだけれど、嫌いではないだなんて…まるで謎かけですね?
それとも…やあ成る程、君は…何と言うのでしたか、恥ずかしそうにもじもじしながら
「え?何?あんたの事どう思うって?……好きだけど」
と言ってしまってから、もう恥ずかしくて顔を真っ赤にして
「な―――何よ!悪い?き、嫌いじゃないって事よ!べ、別に好きってわけじゃ―――」
などと必死になって訴える、お可愛らしいかたなんですね?わかります。
それじゃあ君は、カールによく似ていますね。彼もそうですよ、
ほら、あなたがたの言葉で何と言うのでしたか―――やあ、
ツン…デレ?そうそう、ツンデレ。
カールはツンデレですよ。
やあ、またあなたがたの言葉をひとつ覚えました。
はは、今度カールが僕を揶いに来たら、面と向かって言ってやる事にします。
彼は顔を真っ赤…緑色にして、怒るでしょうねえ?
「お、お前のことなんか―――もう、知らないんだからなッ!!」
やあ、楽しみだ。さあ…そろそろお屋敷へ帰りましょうか。
- 314 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/10/14(火) 03:04:42
- >>254
>怖い話って聞けるのかな?
やあ、怪談ですとか都市伝説がお好きなのですね?
もう夏は終わってしまいましたけれど…それじゃあ、ひとつお話ししましょう。
アメリカで―――人間の若者が、仲間とお酒を飲みながら
銃を撃って楽しんでいました。すると木の陰から、可愛らしいあらいぐまが
ひょっこり顔を出しているではありませんか。若者はすっかり喜んで、
あらいぐまに銃を向けました。しかしあらいぐまはすばしっこくて、
ひょいと弾を避けると走って逃げ出しました―――若者は躍起になって、彼を
35回に渡って銃撃しました―――あらいぐまは怯えて、近くにあった配水管に
逃げ込みました。すると若者は…やあ、アメリカ人は野蛮ですねえ、若者は
ガソリンを5ガロンも持ってきて、配水管に流しました。そして
そこへマッチの火を投げ入れて、かわいそうなあらいぐまを炙り出そうとしたのです。
しかし一向に、配水管から火が出る様子がありません―――若者は不審がって、
そこを覗き込みました―――…もう、どうなったかわかりますね?
若者は吹き飛びました。やあ、自業自得です―――彼は自分の家の屋根をも飛び越えて、
距離にして200フィートも飛んでいった。そのさまはもう怪奇現象と呼ぶしかなく―――
こうして、あらいぐまを執拗に何発も撃つと大変なしっぺ返しをくらうから
やめなさいという、教訓を語った都市伝説ができました。
やあ―――仰る通り、何が面白いのか分かりません。ジョークのつもりなのかな。
この話のどこが苛々すると言ったらあなた、あらいぐまに銃を向けるなんて。
それも35発も発砲して、それでもまだ飽き足りずに
怯えて逃げた可哀そうなあらいぐまを、ガソリンで炙り出そうとするなんて
―――流石、人間だ―――あらいぐま相手にも殺し合いを選ぶとは―――
あらいぐまに一体何の罪があったというのですか!!
ああ、…御免なさい、つい―――
- 315 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/10/14(火) 03:14:34
- >>259
>アンシェルがリーザを選んだ理由っていうのも 案外下睫かも
やあ、その―――エリザベータさんは、そんなに立派な下まつげを
備えていたのですか?やあ、そうですか。それは珍しい…やあ、はは、
それならそうかも知れませんねえ?けれどどうかな、
彼はその時に、擬態して一番都合よく動けるものを選ぶはずですよ。
もちろん、必要であれば彼は僕にだって擬態する筈です―――
彼が擬態する対象を選ぶのに、これといった拘りがないのなら―――くす、
やあ―――あなた僕がどっちだか、わかりますか?ここはとても暗くて、
今あなたに僕の顔は見えませんけれど…わかりますよねえ?
木々が星空を隠してしまって方角さえわからない、暗闇の夜の森で
あらいぐまを虐める人間に腹を立てながら、
こちらですよとあなたがたの手を引いて歩いているこの僕は、さあ
ど っ ち ?
…あなた方、怖がらずとも良いのです。
心配など要らない―――私は―――この、恐怖に震えるか細い指を
今更離すような無礼は致しません。さああなた方、往こうではないか―――そう
ロックリバーへ。
――――――ははは…!
御免なさい、怖かったですね?何しろこんな冗談は、こんな所でしか
言えないものですから。やあ、楽しかった。ありがとうございます。
おや…先ほどのあらいぐまのお話は、本当に噂されているのですよ?
書庫へ行って、「都市伝説 raccoon」で探してみるといい。すぐに見つかりますから。
けれどねえ、怖いお話がお好きなら…それよりもパリの街へ出てご覧なさい。
いま、パリで一番流行の都市伝説と言ったらあなた
莫大な資産を残して突然姿を消したゴールドスミスの噂をおいて、他にありませんよ…
さあ、話しているうちに、お屋敷の明かりが見えました。
冷えますから、早く帰りましょうね。
- 316 名前:名無し客:2008/10/14(火) 07:33:37
- 翼手にも肉球があればいいのに
- 317 名前:名無し客:2008/10/14(火) 10:22:59
- チュパカブラと翼手って親戚?
- 318 名前:名無し客:2008/10/22(水) 20:26:25
- いやいや秋といえば、芸術の秋だよね〜。
よっ、久しぶりだな。俺だよ俺。覚えてる?
またあんたたちを描きたくなってさ。
アンシェルはいるかい?去年スゲー世話になったんだよな。
- 319 名前:名無し客:2008/10/22(水) 21:07:23
- 秋というより冬に突入しますよ旦那
- 320 名前:名無し客:2008/10/27(月) 09:47:04
- 金融王、その名は飾りじゃないね
- 321 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:20:39
- やあ、こんばんは!それともおはよう、かな?
>>261 >>271 >>276
>エカテリンブルグの血の上の教会
>真実は迷宮の中にというやつかな。翼手の歴史というのも見てみたいね。
>確か皇后はドイツ出身だったような気がする。
そういえば次兄は歴史の大舞台、ロシア帝政末期と革命をその目で見た人だったね。
僕は当時、新聞の記事で読んでいただけだったが……。
君の言にもあるように、次兄ラスプーチンの後ろ盾になったという
アレクサンドラ皇后は、ドイツ中部のヘッセン大公国の公女だったね。
アレクサンドラ皇后の夫、ニコライ二世の祖母もヘッセン大公国の公女じゃなかったかな。
(ややこしいことに彼女は公女と名乗っていても大公家の血はひいていなかったそうだが)
欧州の各王家が血縁関係で蜜につながっていることは君も知ってるだろう?
僕の頭に残っている朧な知識によると、アレクサンドラ皇后は英国ヴィクトリア女王の
孫でもあってね。皇后の姉の一人は英国の侯爵(この侯爵家もヘッセン大公家の
傍系だよ)に嫁いだんだ。その姉の孫が現在の英国エリザベス女王の夫、エディンバラ公
フィリップ殿下だ。
つまりアレクサンドラ皇后は、英国チャールズ皇太子の実父エディンバラ公の
大叔母にあたるんだね。こう考えるとロシア革命で露と消えた悲劇の皇后の横顔が、
少しはっきり見えてこないかい?
こんな風に蜘蛛の巣のように張り巡らされた血縁関係によって、地上にはもう
存在しないヘッセン大公国やロシア帝国が、別の国の王家の中で歴史と血脈を
保っているのだね。
ごちゃごちゃした人間の王家に比べると、僕が知る翼手の血筋はいたってシンプルだ。
姉妹である女王二人と、シュヴァリエと、次代の女王となる娘達。
この三種類しかいないからね。
ディーヴァと小夜が生まれるまでの翼手の歴史は不明だが、
翼手の未来はディーヴァの娘達が築いてくれることだろう。
きっと小夜も彼女達を見守ってくれるに違いない。
君も幼い姉妹の未来を祈ってくれるかい?
- 322 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:21:01
- >>268-269
>ハジも変態するんだよ、きっと
>ハジの片手は変態している、何も間違ってないね。
そう!ハジの右手はいつも変態していたね!
そしてあの右手はけっこう厄介だったんだ。
僕が愛しい小夜に近づこうとするたびに邪魔をしてくれたんだよ。
しかしあの変身形態は納得いかない。
なぜ手だけなんだい?まるで出し惜しみしているようだ。
男なら、いや、シュヴァリエなら、顔の皮膚の色も変えればいいじゃないか!
僕を見習いたまえよ、ハジ!
そういえば聞いたところによると、全てを出し切った最終形態でも
彼は両手が変態し背中から羽を出すだけなんだって?
どこまで地味な男なんだ!いくら脇役だからってデザインが控えめに過ぎるだろう!
僕がハジの代わりに抗議してやりたいくらいだ。
――誰に抗議すればいいのかが、わからないが。
- 323 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:21:23
- >>273-274 >>282
>料理の腕を磨くソーニャ
>だから魅力的なんだろうな。
>ソーニャのそういうところも大好きだよ
我が次兄の料理の腕前は賞賛に値するよ。
君達も誉めてくれるんだね。弟として鼻が高いよ。
好きこそものの上手なれとよく言うが、驚くべきは次兄自身は
人間の食物を食べはしない翼手なのに料理が好きなところだね。
だからシュヴァリエにしては変わった趣味だと言える。
だが小夜やお客人のために心をこめて食事を作っている次兄を見るのは好きなんだ。
台所なんて僕達には縁もゆかりもない場所で、僕と同類である次兄が、
これまた僕達とは無縁の鍋やフライパンを使って、僕達の体には必要のない
オムレツだのシチューだのを作っている。
熱く焼かれたフライパンの上で、バターがジュッと溶けるときの甘い匂い。
鍋がぐつぐつと煮立って蓋を軽く揺らし、よく手入れされた包丁がリズミカルな音を立てる。
そんな様子を眺めていると、なんだか妙にやるせなくて、胸がざわめいて、
でもなぜか落ち着くんだ。台所で立ち働く次兄も、味見をするために
出来上がりを待っている僕も、まるで人間の日常の中に入り込んだみたいでね。
人間だった頃も料理なんてしなかった僕が、あたたかな台所の光景に
懐かしさを感じるなんて、おかしなことなんだけどね。
- 324 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:21:40
- >>278
>幸せを願う為に別れを望む、けどある意味でエゴかもしれないね
自分が幸せになるために別離を望むのならそれはエゴそのものだと思うが、
君が言っているのは相手の幸せのために別れようとする場合かな。
僕は誰かのために別れを望んだことはない。
兄弟から見捨てられ、ディーヴァの愛も失われたと感じた時、
僕にはもう小夜しかいないと思った。
そして小夜にこの胸の激情と絶望をぶつけ、共に死のうとしたんだ。
本当は彼女の幸せのためには、僕などいない方が良かったのだろうけど――。
愚かな僕はいつも自分のことばかりさ。
最後に誰かの幸福を真剣に願ったのはいつだったろう――もう思い出せもしない。
だから相手のために身を引こうとするのがたとえエゴであっても、
他者の幸せを願っている限り、その人は優しいエゴイストだと思うよ。
- 325 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:21:58
- >>280
>飲んだくれになったBLOOD+のデヴィッドさんはもっと好き
赤い盾のいかめしい顔をした軍人風の男だね。
組織が壊滅してから、彼は飲んだくれになってしまったのかい?
敗北した挙句、酒に溺れるなんて仕方がない男だ。
名無しさん、君も気をつけるんだよ。
ことわざにいう Good wine makes good blood
(良きワインは良き血を作る=酒は百薬の長)は、けっして正しくはない。
医学的に多少の効果は認められていてもね、どんな薬も過ぎれば毒だ。
酒の飲みすぎは危険だよ。
君が彼を好きだというのなら、ぜひとも節制するよう忠告してあげたまえ!
早目に肝臓その他の検査を受けるようにとも。
ああ、いけない――つい新米の医者みたいなことを言ってしまったな。
僕はもう医学生でも医者でもないのにね。
しかし「良きワインは良き血を作る」か。
アンシェルがサンクフレシュのワインを見つめて呟いていそうなことわざだね。
ここだけの話だが――僕は奴や他の兄弟と一緒に飲む酒は嫌いじゃなかった。
ここだけの話だけどね。
- 326 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:22:30
- >>288
>想い人へ愛を囁くならどんな言葉を用いますか?
囁く?
ささやくと君は今、言ったのかい?
そんな内気なことでどうする!
想い人に愛を伝えるのに、小さな声でぼそぼそ呟くだけだなんて!
夢に見たその姿を言葉を尽くして賛美するのだ。
誰に遠慮することなく堂々と叫びたまえ!
想い人に巡り合うまでの孤独と、出会ってからの喜びを語るのだ。
溢れる思いを声高らかに謳い上げたまえ!
愛する人に思いのたけを伝えるのだ。
それは断じて耳を澄まさねば聞こえないような、情けない小声ではいけない。
天に轟くような大音声を張り上げたまえ!
わかったかい、君。
謙虚さは美徳ではないのだよ。
愛は臆さず、照れくさがらずに、包み隠すことなく積極的に語るものだ。
――え? それでは愛を告げるのにどんな言葉を用いるのかって?
……それは恥ずかしいから秘密だ。
- 327 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:24:23
- >>290
>ちょwwwwwwカール妄想GJwwwwww
やあ、誉めてくれてありがとう!
しかしあの妄想――いや想像はあまり良い出来じゃないのだよ。
だって僕があまり幸福ではないからね。
だからひとつ、幸福な想像をしてみよう。
愛しい小夜が、今、僕の目の前にいる――パリの一流店から届けられた箱の山と共に。
ある日、ひょんなことから小夜の服をアンシェルが用意することになった。
だがディーヴァに仕える長兄のこと、小夜がいつも着ているような活動的な服ではなく、
裾が長く優雅な(つまり動きにくそうな)衣装ばかり取り揃えてしまったのだ。
さっきから小夜は裾が短い服を探して、次々と衣装が入れられた箱を開け、
中身を確かめている。そんな愛らしい彼女を見つめているのは僕だけだ。
ディーヴァとハジ、兄弟はめいめい用事があって、小夜の服選びに
付き合えなかったのだ。そこで時間に余裕のある――暇だとも言う――僕が、
狭い衣裳部屋の中で小夜と二人きりになれたのだった。
「カール、ごめんね。ちょっとこれ持っててくれる?」と小夜が赤いひだひだの
ドレスを僕に渡した。ハンガーが見つからないのだという。
僕はもちろんお安い御用だと受け取った。
しわを作ってはまずいと考え、そのままじっと突っ立っている。
「カール、これもお願い」
青いつるつるのドレスを持たされた。次に帽子。その次に幅広の帯にコート。
それからドレス、ドレス、またドレス……一体、何着買ったんだっけ?
たしかディーヴァがアンシェルに、クチュリエにあるだけ全部持ってこさせろと
命じていたような。
両手だけでは足りなくて、肩や頭にまで衣装が掛けられる。
僕はまるで色とりどりの雪をかぶったモミの木のようになった。
頭に掛けられた服のせいで僕の視界は塞がれ、愛する小夜の姿も隠されてしまう。
体中にぶら下がったドレスをいったんどこかに置きたかったが、一歩でも歩いたら
垂れ下がって床すれすれで揺れている裾のどれかを踏んづけて、
足跡で汚してしまいそうだった。
仕方がない。
僕はため息をついて、そのままの態勢をキープすることにした。
さながらシュヴァリエハンガーだ。
小夜はまだ好みの服を見つけられないようだった。
何も見えないが、あれこれと衣装を見定めている気配がしていた。
――と、ドアの向こうから小夜に呼びかける声がした。
「小夜、ただ今帰りました」
ハジの声は低いがよく通った。
帰宅したことを僕に気取らせもしないなんて、さすがは小夜のシュヴァリエ。
僕は少しばかり感心し、それからハジを哀れんだ。
気の毒なハジ。小夜は今、僕と一緒に服選びに夢中なのだ。
君にかまっている暇はないのだよ、脇役君。
「小夜、ケーキがありますから庭でお茶にしましょう」
続くハジの声に、小夜の手がぴたりと止まる気配があった。
そして小さな音がした。おそらく誰かの腹の音だ。
「庭だね?すぐ行く!」
衣裳部屋を走り出て行く、可愛い足音が響いた。
ハジの気配もなくなっていた。残されたのは大量の衣装と空箱と僕だけ。
も、もしかして僕は忘れられているのか?
僕は慌てて小夜の後を追おうとした。だが抱えたドレスの裾が危なくて歩けやしない。
やむをえず、僕は両足を揃えたジャンプで移動することにした。
いっせーのーで、ジャンプ!
シュヴァリエの身体能力の賜物で、僕は一気に窓まで跳躍した。
続いてもう一度、ジャンプ!
体に掛けられた服を落とさないように細心の注意を払って、窓から飛び出た。
地面に降り立ち、小夜を求めて再度ジャンプ!
小夜、僕は地を越えて、君のハンガーになる!
堅い決意を胸に、僕は両膝を折り曲げ、また跳躍した――はずだったが、つんのめった。
さっきの着地で、ついにドレスの裾を踏ん付けたらしい。
倒れながら僕は、両手で持っていた衣装を抱え込んだ。
結果、僕は顔から倒れこんでいった。
地面から数センチのところで、最初の跳躍で衣装を安全に置けるところに移動すれば
良かったんだと気がついた。たとえばテーブルやソファのそばとか。
気づくのはいつも手遅れになってからだ。
倒れながら両手で衣装を抱え込んでも、何の役にも立たないということも
後になって気づいた。
僕が地面にキッスした、その後で。
いやあ名無しさん、僕と小夜との二人きりの心あたたまる場面だったろう?……たぶん。
(ところでまたしても長話になってしまった。すまない)
- 328 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/10/30(木) 04:25:32
- >>296-298
>「面と向かってはとても言えない、でも正直迷惑です」
>……ヅラ?
>シュヴァリエが面白おかしく教えてくれるかな
つまり言えないことをここで言ってしまえというんだね?
カツラを誰かがつけていても僕は迷惑ではないし、
真面目な性格なので面白おかしくは話せないのだが、それでもかまわないね?
ではまあ、相手が目の前にいるつもりで言ってみよう。
ソロモンへ
前から言おう言おうと思っていたんだが、僕はもう貧乏留学生じゃないんだ。
なにかにつけて奢ろうとするのはやめろ。僕だって自分の飲み代くらいは払える。
ついつい習慣になってしまって、いつもお前に払わせてしまっているがな。
あまり僕のことを馬鹿にするなよ。
――だがお前がどうしても奢りたいというのなら、奢らせてやってもいい。
グレゴリー/ソーニャへ
僕をお小姓のようだと言ってくれるのは嬉しくないこともないのだが、、
僕は東洋人だから年若く見えるだけで子供ではないんだ。シュヴァリエだしね。
だから酒も飲めるんだよ。酒を飲む席になっても、慌てて僕のために蜂蜜茶を
用意しなくても大丈夫なんだ。……いや、次兄の蜂蜜茶はとても美味いのだけどね。
それと念のために前もって言っておきたいが、ハロウィンの菓子を
僕の分まで用意してくれなくていいからね。なんとなく我が次兄は
「trick or treat!」と僕がドアを叩くのを菓子を用意して待っている気がする……。
アンシェルへ
ディーヴァの手背にくちづけた後も、手を離さずにじっと顔を見上げる癖はやめろ。
彼女が迷惑するだろうが。
それからディーヴァが僕の名を呼ぶたびに、機嫌が悪くなる癖も直せ。
平静を装っていても目が笑っていないぞ。他の兄弟の名を呼んだならともかく。
ディーヴァが出かけた時、彼女が出て行ったドアをじっと見つめて
たたずむ癖もあらためろ。その時だけ妙に侘しく見えるんだ。
立場上、まずいだろう?
ところで名無しさん。今話したことはアンシェルの耳には入れないよね?
……心配になってきた。万一のために、奴が喜びそうなことも言っておこう。
アンシェルへ追加
カツラもいいと思うぞ。それに僕は誰かさんの髪の毛のことなぞ、少しも気にしてないぞ。
――よし、これでいいだろう!
今夜はここで失礼させていただくよ。
それでは人間の皆さん、良い1日を。
- 329 名前:名無し客:2008/10/30(木) 15:52:05
- あれ?シュヴァリエと女王の聴力の高さって半端ないんじゃなかった(?_?)
違ったっけ(σ・∀・)σ
- 330 名前:名無し客:2008/11/01(土) 00:53:21
- 少年時代のように悪戯心疼くのはどんな時?
- 331 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2008/11/03(月) 11:45:27
- こんにちは。お久しぶりね。
10月31日の夜にはハロウィン、というお祭りがあって
お菓子がどっさり必要だ!とお客様に聞いたの。
死者の魂が帰ってくる日で、皆で仮装してパーティをするのですって。
ハロウィンはアングロ・サクソン系諸国で主に行われる行事であって
東方教会の広まる地域ではあまり普及していない、わたしには馴染みのないお祭りだけどね。
そういえば去年、長兄はわたしが選んだ紬の着物をお召しになって
額に三角の白い布切れを付けておられたわね。
カールはあれがジャパニーズ・ゴーストの仮装だと言っていたっけ……
お菓子作りにはあまり自信がないのだけれど、出来る限りのものをこしらえたわ。
林檎の甘酸っぱさとシャリシャリした食感を残して、シナモンとブランデーを
たっぷりと使って風味豊かに焼き上げた、パイ生地はしっとりと厚めのアップルパイ。
茹でたかぼちゃを裏ごしして生クリームと練乳を練りこんで、甘くやさしく
クリーミーに仕上げたパンプキンパイ。
挽肉と玉葱ときのこのみじん切りをパイ生地にぎっしり詰め込んで焼いた、
肉汁がパイ生地に沁みてしっとりしているスパイシーなミートパイ。
幼い姫君がたがいつも、揚げあがるのを待ちかねて大喜びでほおばっておられた
シュガードーナツ。
パンプキンとココアのクッキー。ミルクキャンディー。プリン。
テープルに並べたら、はみだしそうだったわ!ちょっと作りすぎたかしら?
でも、パーティの途中で足りなくなったらいやですものね。これくらいでいいのよ。
――でも、朝になっても誰も来なかった。
え?お客さま、なんですって?
>>328
>僕は東洋人だから年若く見えるだけで子供ではないんだ。シュヴァリエだしね。
>ハロウィンの菓子を僕の分まで用意してくれなくていいからね。
――カールが、そんなことを言っていたの。
わたしがお菓子をこしらえて待っていたなんて、あの子には黙っていてね。
気にするでしょうから……。
いいのよ、お茶の時間やデザートにお出しすればいいんですもの。
と、いうわけで。
朝のお茶はアップルパイ、3時のお茶はパンプキンパイ、夜のデザートはミートパイね!
>>323
>驚くべきは次兄自身は
>人間の食物を食べはしない翼手なのに料理が好きなところだね。
>だからシュヴァリエにしては変わった趣味だと言える。
確かに可笑しいわよね――今から一世紀以上も前に死んだ存在が、ディーヴァの
ためだけに動き、この身に生者と同じ温度の血を廻らせている動く死体が、
まるで人間みたいに――
でも、料理は楽しいわよ。
心にあっても口にすることの出来ない思い、言葉にすることを禁じられた思いを
練りこむように卵を泡立て、クリームを練り、生地を力いっぱい叩いて、延ばして、
ちぎっては投げ、ちぎっては投げ!
――楽しいわよ。
- 332 名前:名無し客:2008/11/03(月) 13:31:52
- ソーニャ!そんな怖いこと笑顔で言ったらダメェェェッ!
楽しいじゃないか
- 333 名前:名無し客:2008/11/06(木) 12:28:14
- お腹が減りました……
何か食べ物を恵んでください……
- 334 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/11/06(木) 22:22:15
- >>300
シュヴァリエも転職というものを考えるのかい?
人よりも遥かに長い時を生きるなかで何度も体験している。
貴方は転職を考えておられるのだな。随分とお悩みのようだが……
何の仕事に就かれようと問題ありますまい。
己の役目さえ見失うことがなければ。
――仕事と役目の違い?
我々シュヴァリエにとって、仕事とは役目を果たす為の手段。
長兄は科学者であると同時に企業家でもある。
ソロモンは医師から企業家へと転身、一時期はなんと軍人でもあったとか。
カールは女学校の理事長兼工場長であり
このわたしも聖職者と科学者、二足のわらじを履いている。
仕事は兄弟それぞれだが、役目は皆同じ「女王を守護すること」
つまり、仕事は己で選ぶもの。役目は天に下されるもの。
――そう云ってよいのではないだろうか。
- 335 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/11/07(金) 00:52:57
- >>319
>秋というより冬に突入しますよ旦那
ご機嫌よう。やあ、仰るとおりだ…すっかり寒くなりましたねえ?
ほら、空があんなに高い。今年は特に涼しくなるのが早くて、プロヴァンスの蝉も
夏が終わった途端に、鳴くのを止めてしまったそうですよ。
…おや、今になって気がつきましたか?ええ、
ここでは蝉の声がしなかったでしょう…この辺りに蝉はいません、
蝉の声が聞こえなくて、あなたがたは物足りなかったでしょう?
日本人は蝉の声がお好きですからねえ。フランス語にもなっていますよ、日本の…
ほら、イギュラシ。あなた来年はプロヴァンスの辺りまで南下すれば―――
…何ですって?何の事だと仰る?イギュラシですよ…日本語でしょう?イギュラシ。
それよりあなた、冬が来る前に…この時季だからこその美味しいものがありますよ。
次にご挨拶をする時に、皆さんにそれをご馳走しましょうね?
あなたもどうかそれまで、ゆっくりしておいでになって下さい。
- 336 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/11/07(金) 00:56:06
- >>273
>いいね、努力と精進を心掛けることほどカッコイイなものはない
>>274
>だから魅力的なんだろうな。好きだよ、憧れるね。
>>282
>ソーニャのそういうところも大好きだよ
あなたがた、毎日ここへやってきては、ソーニャ兄さんの姿を目にする度に
そうして彼を褒めて…何度も何度も、飽きずに好きですと告白なさるのですね。
彼の弟の僕も、鼻が高いです。ありがとう。
僕はそういうあなたがたが、好きですよ。
けれど兄さんの魅力は…それだけではありません。
あなたがた、『L'Ecclesiaste』を知っていますか?おや、よくご存知ですねえ…そうそう
「エルサレムの王、ダビデの子、コヘレトの言葉。」その本にはこうある、
「生まれる時死ぬ時、憎む時愛する時、戦争の時平和の時
神はすべてを時期に適うようにつくり
天の下の出来事には、すべて定められた時がある。
人間が労苦してみた所で何になろう」
歴史を動かすには、何も誰かがわざわざ無理をして、
派手な行動を起こさなくてもいいのだそうです。
来るべき時の予兆は日常の中に、小さなひずみとなって現れ…人々は
そこに不安を感じはするものの、それが何の所為なのか判然としない―――
その時、まるで怖い夢を見て泣き出す子供をあやしつけるように
誰かがそっと背中を押してやればいいのです。ただその誰かは、誰の目にも
神の代行者として相応しいものでなくてはいけません。
歴史の境目を目の前にして…わけの判らない不安に陥った人々は、
縋る対象を―――神の救いを、加護を求めるようになります。
1900年代初めのロマノフ王朝にあっては、兄さんの周りを漂う檀香の匂いは
端正な顔に似合う銀髪は、すらりとした長身は
よく通る声で語られる神の教えは、未来を見通す預言は
―――或いは人の心を絡め取る、精巧な詭弁は
人々が―――ひいては王室の一族が信じ込み、心酔するのに充分でした。
そして人々は指を組み、彼の前に両膝をついて仰ぎ見る
「神は人間が畏れ敬うように定められた
いま神の御前に、我々は無力なり」―――神のご加護を。
兄さんは結果として、大量の信者―――被験体を得ると同時に、人々の背中を押したのです。
そして―――デルタ計画の種を蒔き、翼手の歴史を動かすと同時に
当時のロシアの、人間の歴史を動かしました。
彼にはそれに必要なだけの、人を惹きつける力があった。
そして100年近くの時が流れた今でも、彼の名前が忘れられる事はありません。
あなたがた、いまの彼の魅力を語るなら…それを知っていなければ、損ですよ。
- 337 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/11/07(金) 01:00:09
- >>296
>「面と向かってはとても言えない、でも正直迷惑です」
>というあなたの内緒話をこっそり教えてください。
迷惑…?そうですねえ、内緒にするようなお話ではないのですけれど…
先日、ハロウィンのために用意したお菓子の山を見ていて、ひとつ思い出しました。
毎年、ハロウィンよりほかに…皆さんが盛んに、
お菓子を遣り取りする日があるでしょう?そう、2月14日です。その日にはね、
ファルマシーの社員から…特に日本支社の社員から、チョコレートを沢山頂きました。
けれど沢山ありすぎてねえ、ほら、僕はもともと食べませんし、ね。
あるじが起きておいでの時は、そうしたものは彼女のものになります。
もちろん、きちんと出所を確認した安全なものに限って、ですよ。
けれど眠っておいでの時は、処分に困ってしまいます―――名店の品ですし、
社員の気持ちの入ったものですから、捨ててしまうのも悪い気がしますからね。
僕はまず、兄弟の誰かに押しつける事を考えました。しかし…、
ジェイムズはあまり甘いものが好きそうではありませんし、
僕はネイサンには、…その…勘違いされては困りますから…
そういう意味合いのあるものを渡したいとは思いませんし。
アンシェル兄さんは…そんなものを渡せば酷く厭な顔をして
すぐに包みごと暖炉にくべてしまいそうなご様子でしょう?
…彼がチョコレートを頬張る姿なんて、想像できませんよ。ですから彼もだめです。
カールにも、いらん!!と突っぱねられました…やあ、どうも彼は
僕が理由もなしに何か奢ったり、ものをあげたりするのがお厭な様子でねえ?>>328くす、
きっと目下に見られるのが堪らないのですね?けれどいかんせん、
彼は僕より少し年下なのです。年上が奢るのは当然の事でしょう?
でも彼は聞かないのですよ。困ったかただ…、
そんな事だから僕は…最後の手段として、ヴァンを選びました。
彼は甘党のようですし、いつも僕の割かし近くに居るのですから
悩まずに彼に押しつけてしまうのが、妥当といえばそうなのです。僕は彼に、
両腕に抱えても剰るほどのチョコレートの山を渡しました。
…考えてみれば可哀相な事をしました、彼は…彼のデスクの、
小ぶりなカフェオレボウルにささやかに盛られた飴の山とそれを見比べて
いたくプライドを傷つけられた様子でね…。
ああ、そういえば…彼は僕の後を引き取って
ファルマシーの最高経営責任者に就任したのでしたね?あなた、その時の彼を見ましたか?
はは…、彼のデスクの飴の山は、あの時より少しは大きくなっていましたか?
- 338 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/11/07(金) 01:03:23
- >>297
>……ヅラ?
――――――誰が?
ありません。そういった事実は一切。………あなたがた。ちょっとこちらへ。
いけません…そういう事を大きな声で。もっとご自身を大事になさい、
沈黙は金、云わぬが花と言うでしょう。
でないと飛んできて刺さりますよ、下まつげのようなものが。…いいですか、
アンシェル兄さんはここの所姿をお見せにならないでしょう…
いま彼は、屋敷の地下室で大事な研究を
―――はい?何の研究を、と仰る?
…仕方がありませんねえ―――あなた知らないのですか、好奇心は猫を殺すのですよ。
それでも知りたいですか?…わかりました。
アンシェル兄さんは…、
『どうやったら翼手の手のひらに肉球が形成されるか』
の研究をしておいでなのです。どうしてそんな研究を?それは―――
>>316さんがリクエストしたからだ。時々、カールの姿が見えなくなるのもその所為です。
彼はここへ来てまで、ご来客の要望のためによくやってくれています…
…わかりましたね?だから不用意な発言は危険です、
彼の耳に入ったらあなたもただでは済まない。悪くすれば研究室へ呼び出されて―――
あなたの両手が、恐ろしく可愛らしい事になりますよ。
- 339 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/11/07(金) 01:05:13
- >>332
>ソーニャ!そんな怖いこと笑顔で言ったらダメェェェッ!
おやおや、けれどあなた、お好きでしょう?
ほら―――あなたの日本人のお友達に聞きましたよ…ええ、先ほど>>教えて貰った、
「ツンデレ」という言葉について話していて…そうしたらお友達が、何でしたか…
日本にはもうひとつ面白い言葉があって、
ヤン…デレ?でしたか?カールにはその気もあるんじゃないかと仰るものですから。
ほら、>>290さんがとても喜んでおいでです。
>>284 ちょwwwwwwカール妄想GJwwwwww
慥かに―――ふっ、しゅ…秀逸な言葉遊びだと思いましたよ?けれど
彼のいい所は、それだけではないのだそうで…
ああいう妄想は「ヤンデレ」の特徴だと、あなたのお友達は仰いましたよ。
日本にはあるのでしょう?ええと、イギュラシの―――おや、違う?
やあ、日本ではこれはヒグラシと発音するのですか?お恥ずかしい、僕はずっと勘違いを…
そうそう、その、ヒグラシのなく…何とか、というのがあって…それは、
…イナミザワ?という村で、ヤンデレ、と呼ばれるお可愛らしい少女が
大きな鉈を手に提げて、怖い顔で
「嘘だッ!!」
と叫んだりする作品なのでしょう? ほら、ご存知だ。
ですからあなた、兄さんを止めるといいものを見逃しますよ?
- 340 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/11/07(金) 01:14:34
- しかしあなたがた、ハロウィンの夜は楽しかったですねえ。
ええ、もちろん。フランスではあまり歓迎されないお祭りですけれど、
僕は楽しかったですよ。ご来客の喜ぶ顔を見て、面白くない筈がありませんからね。
パリから取り寄せたお菓子が、口に合ったようで何よりでした…はは、
皆さんがどんな格好で部屋を訪ねてくれるのか、わくわくして待っていました。やあ、本当ですよ?
本当はアンシェル兄さんにも、吸血鬼の伯爵の格好をして貰いたかったんです…そうそう、
真っ赤な外套に二丁拳銃の、円い色眼鏡をかけた伯爵ですよ。お好きでしょう?
グレゴリー兄さんは、そうだな…もちろん少女の姿で、真っ黒いローブに
赤と金のストライプのネクタイの、あの有名な魔法使いの学校の制服を着て貰うのです。
カール?カールはほら、何もしなくてもハロウィンですから。
やあ、あなたがたグレゴリー兄さんのお部屋にも遊びに行ったけれど
彼は部屋に居なかったから、と仰る。それは残念でしたねえ…、
それより、先ほどから―――僕の後ろで、小さな女の子の声が
そうかお前だったのかお前だったのかと呟くのが聞こえるのですが―――
おや…、兄さんは、パーティーに来る筈のお客さんを僕に取られて>>331
酷く怒っておいでだと仰る…?まさか。それは誤解ですよ―――
――――――!?
グレゴリー兄さん!いつの間に後ろに…、
ち、違うのです―――そんなつもりは―――うわ、御免なさい、御免なさい…!
……そののし棒を放して下さい兄さん、嘘じゃない、
僕は兄さんがまさかそんな準備をしておいでだったなんて
「嘘だッ!!」
…>>332さん―――ほら…ね…とても…刺激的で…s………ガクッ。
- 341 名前:名無し客:2008/11/07(金) 05:34:08
- ソ、ソロモン!いっちゃだめーー!
・・・・起きなきゃほっぺにラクガキしちゃうよ?ハロウィンは終わったからダメ?
そんなの関係ねえ!ってカイなら言うさ、ノリだよノリ・・・・多分(カキカキ)
- 342 名前:名無し客:2008/11/07(金) 09:16:40
- ハロウィンの決めセリフはやっぱコレだね、言われたかな?
『お菓子をくれなきゃイタズラしてあげないぞ!』
ドSなシュヴァリエ達の反応が知りたい
- 343 名前:名無し客:2008/11/07(金) 10:25:52
- 最近あった、恥ずかしい出来事を語って下さい。
- 344 名前:名無し客:2008/11/08(土) 08:14:20
- 今年のクリスマスプレゼント、誰に何をあげるかはもう決めていますか?
- 345 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:30:21
- こんばんは!
>>300
>シュヴァリエも転職というものを考えるのかい?
次兄も紹介してくれているが >>334、
僕は少し前まで、ベトナムのリセ・ドゥ・サンクフレシュの理事長を務めるかたわら、
サンクフレシュ・ファルマシーのベトナム支社を担当もしていたんだ。
それはディーヴァが眠るコンテナを守護するという重要な任務でもあった。
だからあの時は転職など考えもしなかったな。
アンシェルの命令で動かされるのは業腹に感じたし、便宜上とはいえ
ソロモンの部下になるのも不満だったけどね。
それに例のアルジャーノに「たかが工場長に過ぎない君」と言われたのも
楽しくない出来事だった。
でも全てはディーヴァの為とあらば我慢もできたよ。
小夜にも再会できたし、それなりにやりがいのある仕事だったといえるだろうね。
ところで、もしや君は転職を考えているのかい?
それならばやりがいのある仕事が見つかると良いね。頑張りたまえ。
もしそうでなくて今の職に留まるのなら、これからも仕事や仲間に恵まれますように。
いずれにせよ幸運を祈る。
- 346 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:30:48
- >>301
>翼手にも肉球があればいいのに
ある日、ある朝、突然に―――僕の手の平にニクキュウができた。
正確には僕の両の手首から先が、柔らかい毛皮と爪とニクキュウを備えた猫の前足になったのだ。
「おい、ソロモン! 僕の手に異変が起きた!」
いきなりの出来事に驚愕した僕は、叫びながらソロモンがいる隣室に駆け込んだ。
猫の前足では丸いドアノブを掴めなかったので、扉を蹴倒して中に入ると、
「カール……、君も猫の手に……?」
ソロモンらしからぬ、ぽかんと間の抜けた顔と声が僕を出迎えた。
見れば奴の両手も、白いふわふわの毛に包まれた猫の前足に変わっている。
きっとチンチラとかアンゴラとかいう、血統書付きの猫のものなんだろう。
良く手入れされた純白の毛並みが、いかにもこいつらしい。
「君は暗色の縞模様ですね。毛が短いから、エジプシャンマウかアメリカン・ショートヘアかな」
と、妙に嬉しそうなソロモンが、博識ぶりを示して品種名を口にした。
僕の目にはアジアによくいる野良猫のシマシマに見えるのだが。
当初の驚きは去ったらしく、ソロモンの奴は能天気にも自分の猫手で遊び始めた。
「やあ、ちゃんと爪も出ますね。はは、ニクキュウを押すと気持ちいいですよ」
爪を出したり引っ込めたりしては、感心したように眺めている。
こいつの好奇心の強さはアンシェルに似てるよな……そうだ、アンシェルだ!
僕は張本人に違いない男のことを思い出し、そいつを問い質すことに決めた。
彼は昨夜から姿が見えない。どこかに出かけているらしい。
携帯電話でアンシェルを呼び出す。初めて知ったが、猫の指は携帯電話に向いていない。
苦労の末、ようやくプッシュボタンを押し終えると、何度目かのコールの後、
尊大で重量感のある声が聞こえてきた。
『……どうした、カール』
「アンシェル、僕とソロモンの手が勝手に変化した。
しかも今の形状はまるで猫の前足だ。どういうことなんだ」
『ほう、シュヴァリエの手が猫の前足になったか……。実に興味深い。
この目で確認したいが、残念ながら今はこの場を離れられん。後で見ることにしよう』
「アンシェル! 何を隠している! 僕達に何をした! いつになったらこの手は戻るんだ?!」
『私は”後で”と言ったのだ。私の言葉は我ら兄弟の意思、そしてディーヴァの言葉でもある。
同じことを二度言わせるな』
そのまま一方的に切られてしまった。薄情な長兄もあったものだ。
ツーツーと、虚しく不通音のみが鳴っている電話に向かって悪態をつくと、
ソロモンが僕の手を掴み、いつものように「やめなさい、カール」とたしなめてきた。
こんな馬鹿げた事態になっても、こいつはやっぱり落ち着いていて目が微笑んでいる。
お前こそ、話しながら僕のニクキュウをぷにぷにするのはやめろよな。
そんな憎まれ口を叩いてフンと横を向いたのは、別にこいつを見直したのを誤魔化すためじゃない。
いつ帰るかわからないアンシェルを、ただ待っていても時間を浪費するだけに思えた。
僕達はグレゴリーに会いに厨房に行った。次兄なら何か知っているかもしれない。
「我が次兄、調理中にすまないが話が……あっ!」
思わず叫んでしまう。少女に擬態した次兄の両手が、僕達と同じ、猫の前足になっていたからだ。
次兄は変化した両手を器用に使って、火にかけたフライパンを操っていた。
その上で香ばしく焼けているのはロシアのクレープ、ブリヌィだ。
「あら、あなた達も猫の手になったの? 包丁やレードルが使いにくくて困っちゃうのよね」
これじゃあ午前のお茶は遅れそうだわと言いながら、
次兄は手首をひねって軽々とブリヌィを真上に放り上げた。
そして天井近くで一回転して落ちてきたのを、なんなく受けとめる。
僕は奇妙な感動を覚えていた。
手が猫になっても、次兄はまったく動じていないのだった。
彼が気にしているのは料理の算段だけなのだ。
なんという偉大なる日常性! ロシアの大地のごとく、揺るぎなき精神よ!
感嘆のため息を漏らしていると、僕の背後からソロモンがひょいと顔を出した。
「そうなんですよ。グレゴリー兄さんはロシアンブルーみたいですね。暖かそうだ」
次兄の両手はふかふかの毛布のような、青灰色の毛並みだった。
上品でつやと深みのある色だが、光の加減で修道士が羽織るマントの鈍い灰色にも見える。
「長兄が翼手の手にニクキュウを形成させようとしているとは聞いていたけど。
まさか猫の手になるなんてね」
「ええ、驚きましたよ。
それもニクキュウ実験に付き合っていたカールだけでなく、僕達までこんな……」
そこまで言いかけて、ソロモンはハッと口を抑えてこっちを見た。
僕はギロリと睨み返す。
「……おい。誰がいつ、何の実験に付き合ったって?」
「ははは、顔が緑色になっていますよ、カール。
……えーと、君が薬で眠っている間、ニクキュウを作る実験に、です……」>>338
最初はとぼけようとしていたソロモンだが、襟首をつかんで締め上げるとようやく真実を吐いた。
……どうりで近頃、何度か記憶が飛んでいたわけだ。
(おかげで僕は女王のように休眠する体質になったのかと、人知れず不安に陥っていたのだ)
しかも話によると、僕に薬を盛ったのはソロモン自身だと言う。
やはりさっきこいつを見直したと思ったのは、ただの勘違いのようだ。
襟元をつかんだ手を離し、僕は再度、ソロモンを睨んだ。
「お前、知っていたならどうして黙っていた?! そもそもなんでそんな研究に協力したんだ?!」
いくらアンシェルの命令とはいえ――そう問い詰めると「ニクキュウができたら楽しいと思いまして」
とへらりと笑って言い訳する。……駄目だ、こいつ。悪趣味なところまでアンシェルに似てる。
うんざりして「ニクキュウのどこが楽しいんだ」とぼやくと、コンロの火を調節していた次兄が
猛然と僕に詰め寄った。
「翼手がニクキュウを作って、何がいけないのっ?」
――ど、どうしたんだ、次兄?
「翼手は肉体を変態させて生存に適したものにするわ。細胞も変形させて、
より強力な筋肉を、硬い皮膚を、ヒラヒラなびく尻尾を創りあげてきた。
猫の領域に踏み越み、踏み越えることを許されているのに!
翼手は翼手を超え、さらに猫を越えられるというのに!」
――何のために。(本気で訊きたいです)
疑問は膨れ上がるばかりだったが、僕とソロモンは「マズイ」と目配せを交し合った。
アンシェルもそうなのだが、学者という人種は、ことが自分の研究分野に関わると
おそろしく話が長くなるのだ。
現に次兄も翼手の手にニクキュウを作る意義を滔々と語りだしている。
仕方なく、ブリヌィが焦げてますよと言って、次兄の注意がそれたところで
僕とソロモンは厨房を抜け出した。
僕達はそのまま邸内を歩き回り、やがてアンシェルの書斎の前にたどり着いた。
翼手の鋭敏な感覚が、壁伝いのわずかな振動と、ドア向こうのかすかな音に気づく。
室内の空調が稼動しているようだ。
――誰かいる。
僕とソロモンは無言で言葉を交わした。
この書斎のドアは二重鍵になっていて、上下にひとつずつ鍵穴がある。
僕達は気配が漏れぬよう注意しながら、それぞれ鍵穴から中を覗き見た。
そこで僕達が見たものは―――世にも不思議な光景だった。
たしかに中には人がいた。それはアンシェルだった。しかし尋常な姿ではなかった。
ありのまま、今、見た事を話そう。
『アンシェルの手は猫の前足になっておらず、いつものままだった。
しかしあの男の頭には、猫の耳が生えていた』
ど…、どんな姿だか、想像できないと思うが、僕も何を見たのかわからなかった。
頭がどうにかなりそうだった…。
猫化とか変態とか、そんなチャチなものでは断じてない。
もっと恐ろしいものの片鱗を味わったよ…。
僕は上の鍵穴に貼り付いているソロモンが気になった。いや、心配したわけじゃないぞ。
ただソロモンは子供の頃からアンシェルを慕っていたのだ。
長兄のあんな姿を見てショックを受けないはずがなかった。
その証拠に、奴は僕の頭上でさっきから凍りついたように動かない。
しかしその時、うめき声が落ちてきた。
「に、兄さん…………………………………………かわいい………」
――こいつのマニアックな脳味噌はときどき度し難い。
しかし呆れている暇はなかった。そのひと言が聞こえたらしく、アンシェルが振り向いたのだ。
驚天動地の頭をした男と鍵穴越しに目が合う前に、僕達は脱兎のごとく逃げ出した。
高速移動まで使って、廊下の窓から中庭に転がり出た後、書斎から一番遠い屋根に
飛び上がってようやく息をついた。
屋根の上に座り込んだ僕は、さっき見たものを思い出して言った。
「アンシェルのあの耳……あれはスフィンクスってやつじゃないか?」
「アンシェル兄さんに言っては駄目ですよ。危険ですから」
スフィンクスとは猫の一品種で、毛が無いことで知られている。
その後、僕達は午前のお茶に遅刻してしまい、ブリヌィのほかに次兄からお小言をいただいてしまった。
アンシェルはその日一日現れなかった。
彼が書斎に引き篭もって姿を見せずにいてくれたのは、僕としては非常にありがたいことだったが。
翌日には、僕達の両手は元に戻った。
アンシェルも普段と変わらぬ姿で朝のお茶を飲み、僕達の手についても何も言及しなかった。
あれ以来、僕らの手が猫の前足に変化したことは一度もない。
なぜあんなことが起きたのか。
次兄とソロモンの話をつなぎ合わせると、363さんの呟きを聞いたディーヴァが、
面白がってアンシェルにせがんだのだと言う。
それであの男が翼手の手にニクキュウを形成する研究に取り組んだらしい。
実験を(僕の体で!)重ねた結果、出来たのがデルタ2828(ニャーニャー)という薬品で、
おそらく前夜に飲んだワインに仕込んであったのだろうということだった。
邸内のシュヴァリエ全員による実験は成功した。――ただ一人の例外を除いて。
そしてデルタ2828はアンシェルの手によって廃棄され、製造方法は永久に封印されたのだった。
しばらくの間、ニクキュウはまだかと尋ねるディーヴァの興味をそらすために、
アンシェルがあれこれ奮闘したのは言うまでもない。
ぷにゃっと☆ぷらす 完
〜おまけの話〜
同じ頃、小夜の元にひとつの小包が届けられた。
箱の中には、何かの液体が入ったガラスの小瓶。
同封された説明書には「デルタ111(ワンワンワン)」と書かれていた。
次の日、小夜は妹が味わえなかった感触を、彼女のシュヴァリエの手の平で楽しんだという。
- 347 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:31:27
- >>317
>チュパカブラと翼手って親戚?
チュパカブラ……?
なるほどこいつか。言われてみると、変態した時の僕達に似てるね。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Image:Chupacabras.JPG
うーむ、もしかするとこれは親戚じゃなくて、僕達のうちの誰かの姿が目撃されて、
それが吸血チュパカブラという伝説になったのじゃないかな。
だとすれば、一体誰なんだろう?
解説によると、こいつはヤギの血を吸うんだね。
シュヴァリエにしては変わった嗜好だ。ゲテモノ食いと言ってもいい。
その上、この怪物の姿はコウモリというより、爬虫類を連想させるね。
僕らの兄弟にも爬虫類に近いのが一人いたな。
ドラゴン形態になるやつじゃなく、紫色の方だよ。
それに出現場所は南米なんだろう?
僕達の中で、住んでいる場所が一番近いのも彼だ。
ジェイムズの住まいも合衆国だが、彼は空母勤務だから本土を離れている期間が長いんだ。
ほらね、ますますチュパカブラ=ネイサン説が信憑性を増してきたぞ。
あとは目撃証言をひとつひとつあたるしかないな。
目撃者の中にチュパカブラがオネエ言葉を喋るのを聞いたという人がいるなら、
その怪物は間違いなく僕達の末の弟に違いないからね。
- 348 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:31:49
- >>318
>よっ、久しぶりだな。俺だよ俺。覚えてる?
>またあんたたちを描きたくなってさ。
画家の卵君だろう?
もちろん覚えているとも!良く来てくれたね。元気そうじゃないか。
アンシェルは例によって研究か仕事に夢中になっているためか、
ここしばらく姿を見ていない。
だが君が再び訪れてくれたことを知ったら、きっと歓迎してくれるだろう。
それにしても君の感覚では久しぶりなのだね。
僕達シュヴァリエにとっては、1年前なんてついこの間のことなのだが。
ボルドーはこのとおり、晩秋の装いだよ。
朝晩は空気が冷え込むようになってきた。
夏はあれほど青く晴れ渡っていた空も、今は灰色の分厚い雲に覆われている。
雨が続く日もあって、鮮やかに色づいていた木の葉も、地に落ちて土に還るのを待っている。
淋しい風景かもしれないが、それでも過ぎ行く季節はいつもいとおしいよ。
君、僕達をまた描いてくれるのかい?それはありがたい。
ぜひ描いてくれたまえ。
僕達とこの美しい動物園を。
留めることは叶わぬ時間を、どれほど長く生きても見飽きることのないこの世界を。
この愛しい一瞬を、君の目と心で切り取って、キャンバスに映し出してくれ。
- 349 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:32:06
- >>319
>秋というより冬に突入しますよ
本当だね。
室内にいるよりも、こうして庭にいるとより一層、冬が近いことを感じるよ。
森の動物達も冬ごもりの準備でさぞ忙しいだろう。
僕の目は遠くの木々の間から鹿の姿を確認できるのだがね、
彼らも冬毛に変わったらしい。
食べ物が少なくなる前に、うんと食いだめもしたようだ。
夏よりもずっとふくよかに見えるよ。
南フランスの気候とはいえ、外にいると君の体も冷えるだろうね。
もう中に入ろうか?君が風邪を引かないように暖炉に火を入れよう。
熱いカフェ・オ・レをご馳走するよ。
オ・レよりもカフェ・ラッテがいいって?
いいよ、君がそれを望むなら。
――それじゃあ、行こうか。
- 350 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:32:50
- >>320
>金融王、その名は飾りじゃないね
アンシェルが金融王となり得たのは、金融商品を全く信用しないせいではないだろうか。
彼にとって証券も公債もただの紙くずでしかない。
他人にはいくらでも売りつけるけれどね。
それにアンシェルは札束も信用しないよ。
あの男が通貨と呼ぶのは、貴金属やダイヤなど価値を失わぬものだけだ。
君は第二次世界大戦中に極秘に行われた『6F4号作戦』を知っているかい?
『ベルンハルト作戦』の方が通りがいいかな。
ドイツがイギリス経済の混乱を狙って、ポンド紙幣を贋造したんだよ。
国家が偽札を作ったのだね。
歴史上は明らかにされていないが、
あの事件の陰にはエヴァ・ブラウンお気に入りの武器商人がいてね。
もちろんアンシェルのことだが――その男が親衛隊の少佐に耳打ちしたのがきっかけさ。
ドイツを救う手立てがある、とね。
作戦は開始され、アンシェルはまんまと贋造用の製紙機械から印刷機まで売りつけ、
ドイツは1億3460万ポンドもの偽札を製造した。
プロでも見分けられないような、非常に精巧な出来だったようだよ。
アンシェルはドイツがその偽札で購入した武器の輸送をも請け負っていたな。
当然、自分は偽札では武器を売らず、輸送費も本物の金で払わせていたよ。
抜け目のない男だろう?
彼のライバルは、軒並み大量の偽札を掴まされてしまったがね。
またアンシェルは老獪な死の商人の定石として、ドイツの敵であるイギリスとも取引があった。
むしろ敗色が濃厚になったドイツより、イギリスに彼の軸足は置かれていたと言ってもいい。
もしヒトラーが画策したように、偽札の流通によって英国経済が壊滅的な打撃を受けていたら、
アンシェルも無傷では済まなかったろう。
だが『きわめて幸運な偶然』で、危ないところでイングランド銀行の人間が、
偽ポンド紙幣の存在に気がついたんだ。
おかげで最悪の事態は回避された。
それもアンシェル・ゴールドスミスとって、最も都合の良いタイミングでね。
――ああ、ごめんよ。つまらない話を長々と。
まあ、そういうわけでアンシェルは紙幣をあてにしてないんじゃないかな。
だから今も彼は、ケイマン諸島あたりに隠し資産として金塊や宝石を蓄えているはずだよ。
- 351 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:33:08
- >>329
>シュヴァリエと女王の聴力の高さって
その通りだとも!
僕達翼手の耳はとっても優秀だよ。
人間の聴域を超えていて、とても小さな音や、いわゆる超音波の領域の音も聴こえる。
視力もいいから、コウモリみたいに音の反響で物との距離を測る必要はないけどね。
当然、僕達の可聴域にも限界はあって、聞こえない音もあるよ。
そうでなければよほど静謐な場所で暮らさない限り、
僕達は日常的に騒音に悩まされることになっていただろうね。
それはご遠慮願いたいな。
それから音源から距離があったり、間に障害物があれば、やはり音は聞き取りにくい。
だからこうして分厚い壁に囲まれた部屋の中で、君と内緒話ができるというわけさ。
兄弟への文句だって、遠慮なく言える!
…………。
本当に大丈夫かな。なんだか心配になってきた……。
- 352 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:33:30
- >>330
>少年時代のように悪戯心疼くのはどんな時?
君は子供の頃、どんな気持ちで悪戯をしたんだい?
相手を驚かせてみたいという気持ちと、こんなこともできたんだねと
誉めてもらいたい気持ちの両方で、胸をときめかせていなかったかい?
僕は幼い頃、そんな感じで母親にしょっちゅう悪戯な贈り物をしたよ。
それは古井戸のそばの腹をゆるやかに波打たせているトカゲや、
軒から糸を垂らして逆さにぶら下がった大きなクモなんかでね。
息を殺しながら、そぉっと近づいて小さな手で捕まえると、得意になって母の元に走ったっけ。
強く握りすぎて手の中の生き物を潰してしまわないように、
でも力を弱めすぎて逃げられないように気をつけながら、
丈高い夏草が揺れる庭を横切り、息を切らして一生懸命に。
しかし母は生きて動いている贈り物を見て驚きはしても、喜んではくれなかったな。
おおむね顔を険しくして「捨ててらっしゃい」とすげなく言うんだ。
――とても遠い昔で、彼女の顔すらも、もう思い出せないのだが。
そういえば僕はシュヴァリエになってからも、大切な人におかしな贈り物をしようとしたよ。
ディーヴァに不器用なだけの盲目的な愛を捧げ、小夜に身勝手な理屈で命を捧げようとした。
子供の頃と同じで、受け取ってはもらえなかったのだけどね。
- 353 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:34:33
- >>332
>ソーニャ!そんな怖いこと笑顔で言ったらダメェェェッ!
ああ、名無しさん!
さっきから建物が揺れているね。
最初は地震かと思ったが、このずしんずしんと規則正しい振動は自然のものじゃない。
きっと敵襲だよ! この動物園を攻撃するなんて、敵はよほど早死にしたい連中らしい。
名無しさんは安全な場所に隠れておいで。僕は次兄と合流するために厨房へ向かうよ。
……え? 厨房に行くのはやめておけ? これは敵襲じゃない?
君は何か知っているのかい?
ふむふむ。
ハロウィンの夜だからお化けに仮装して、ソロモンの部屋に行ったんだね。
そこでパリから取り寄せた菓子をごちそうになったと。>>340
へー、ソロモンの奴、ハロウィンに客を呼んでいたのか。
あいつも少しは接客というものがわかってきたらしいな。
僕を呼ばなかったのは気に入らないが。
べ、別にソロモンにのけ者にされても寂しくないけどね!
でもそれがどうしたんだい?
楽しかったのなら問題ないし、この揺れとは何の関係もないだろう?
うんうん。
君は夜が明けてから、ソロモンにもらった菓子を次兄にもあげようとしたんだね。
へえ、優しい人だね。……僕のことを忘れていたらしいのが気になるが。
いや、僕は菓子を欲しがるような子供ではないけどね!
そして厨房に行ったら、次兄が
「一晩中、待っていたのに!」とか「たくさん作ったのに!」
と叫びながら、パン生地を何度も壁に叩きつけていたと。>>331
…………。
すると建物を揺るがしている振動はそれ……?
次兄が力の限り叩きつけながら、パン生地を練っているせいかい?
そして原因は、ハロウィンの夜に誰も次兄の部屋に行かなかったため?
……ぼ、僕も次兄の部屋には行かなかったのだが……。
で、でもほら、次兄はロシアの出でハロウィンなんて行事は縁がないはずだよ!
一晩中、お菓子を用意してお化けが来るのを待ってたり、なんてことはありえないよ。
きっと夢中でパンを作っているだけさ!
だから心配することは何もないよね? 次兄は腹を立てていないよね?
次兄がソーニャの顔して怒ると、なまじ可愛いだけに怖いんだよ!
名無しさん、大丈夫だと言ってくれ!
そんな哀れむような、でも少し楽しそうな顔で僕を見るのはやめてくれ!
- 354 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:34:58
- >>333
>何か食べ物を恵んでください……
やあ! 腹ペコ人間のそこの君!
ちょうどいいところに来たね。これから朝のお茶の時間だよ。
次兄が美味しい御菓子も用意してくれるはずだ。
次兄といえばさっき332さんが、ハロウィンの夜に次兄がお菓子を用意して待っていたのに、
誰も部屋を訪れなかったと言っていたんだ。
僕ももしかして次兄は待ってるかなと思いながら、結局行かなかったんだが……。
いやいや、きっと332さんの思い違いさ!
次兄はロシア人だからハロウィンなんて興味ないよね、きっと。あはは……。
さあ、腹ペコくん!
次兄がパイを持ってきてくれたよ!>>331
直径50cmはある(でかいな)リンゴのパイだ。甘酸っぱい香りがするね。
パイ生地を重ねて絵が描いてあるよ。これは…………ほうきに乗った魔女だ……。
はははっ、いやあ、美味しそうだなあ!
我が次兄、僕はものを食べないシュヴァリエだけど、喜んでいただきます!
さあ、一緒に食べよう、腹ペコくん!
そんなに喜んでくれるなら昼の分も出しちゃおうと次兄が言って、またパイを持ってきたよ。
今度は直径60cmの…………かぼちゃのパイ。
パイ生地をくりぬいて、ジャック・オ・ランタンが笑っているね……。
あははははっ、本当に本当に次兄のパイは美味しそうだなあ!
これくらいのパイ、僕と腹ペコくんとで、ぺろっと食べてしまえるよ。
どんどん食べような、腹ペコくん!
じゃあ夜の分も、と言って次兄がまたまたパイを持ってきてくれたぞ!
これはミートパイだな。模様は羽を広げたコウモリだ。
アンシェルの指輪のデザインだね。
いや、それはいいけど、大きさが直径1メートル近くあるんですが……。
……ぅわはははっ!
大丈夫! 翼手の胃袋に限界はない!(多分)
さあ、張り切って食べよう、腹ペコくん!
君がいるから心強いよ……って、あれ? 腹ペコくん、どこ行ったんだい?
まだ10分の1も食べてないよ!!
- 355 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/10(月) 20:37:00
- >>341
>起きなきゃほっぺにラクガキしちゃうよ?
好きなだけやってくれ!
かまわないさ、こいつは本当に失礼な男なんだから!
聞いてくれたまえ、名無しさん!
ソロモンときたら、僕のことをツンデレと言ったんだよ!>>313
よりによってツンデレだよ、ツンデレ!
僕のどこがツンデレに見えるって言うんだ!
知性と理性と思いやりにあふれた好男子、それが僕なのに!
しかも言うにことかいて、奴はヤンデレとまで言ったんだ!>>339
失礼にも程があるだろう?
その上、次兄のことまでヤンデレ呼ばわりしたんだよ!
もう、情けなくて涙が出たよ……。
だからこれは復讐だ。
僕にもマジックを貸しておくれ。黒の極太がいいな。
白いスーツに大きく『ツンデレ』、背中に『ヤンデレ』と書いてやる。
ソロモンめ。
目を覚ました後で、己に返ってきた暴言にのた打ち回るがいい――!!
……ところで名無しさん、ツンデレ・ヤンデレって、どういう意味なんだい?
今夜はここまでだ。
それでは人間の皆さん、
眠らないシュヴァリエから眠りにつく君たちにご挨拶を――おやすみなさい。
- 356 名前:名無し客:2008/11/10(月) 21:04:28
- 肉球シュヴァリエ……萌え(パタ
- 357 名前:名無し客:2008/11/11(火) 08:03:13
- ツンデレ・ヤンデレに属さないシュヴァリエなんていないから
んっとにわかってないなぁ
デ
レ
- 358 名前:名無し客:2008/11/12(水) 20:50:11
- ラスカル達ってアダムスファミリーみたいだよね
- 359 名前:名無し客:2008/11/21(金) 08:11:15
- つ《招き猫》
- 360 名前:名無し客:2008/11/21(金) 12:09:30
- 吸血鬼のクセに陽光もニンニクも流れる水も平気だなんてズルイ
- 361 名前:名無し客:2008/11/22(土) 23:42:34
- 作中の誰かと立場をチェンジできるとしたら誰としたい?
- 362 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:39:53
- こんばんは!
>>346は>>316さんへのご挨拶だったが、お名前を間違えてしまったよ。
申し訳ないことをしたね。訂正させていただくよ。
>>342
>『お菓子をくれなきゃイタズラしてあげないぞ!』
うん?
君は、今、なんて言ったんだい?――『イタズラしてあげないぞ』だって?
ああっ、その無防備な台詞がリセの女生徒を思い出させる!
僕の奥底の眠れる教育者魂を呼び起こすよ!
いいかい、名無しさん。よく聞くんだ。
この世界はけっして安全ではないのだよ。
どんなに治安が良い場所でも、残念ながら悲惨な事件や事故は起こるものなのだ。
危険人物がそこかしこにいるからね。
たとえばね、
美少女を監禁した前科を持つ悪徳金融家とか、
あるいは美少女の姿を模すのがやめられない元修道士の研究者とか、
はたまた財産も地位も投げ出して美少女を誘拐してしまったどこぞのCEOとか、
こともあろうに瑞々しい美少女を自分の「ママ」と呼んだ見かけは強面の海軍中佐とか!
そして極めつけは、オカマ言葉で話すオペラハウスのプロデューサー……あれ?
彼は口調が変わっているだけで、美少女絡みでは何もないな。
ネイサンだけは、僕と同じくまともだったのか?
――と、ともかく、世の中にはこういう危険で奇矯な連中が跳梁跋扈しているんだ。
わかったかね、名無しさん。
挑発的な言葉をみだりに口にしてはいけないのだよ。
ではこれでカール元理事長の特別講義は終了だ。
君には修了生の証として、僕とおそろいのマントと仮面をあげよう!
常識と理性の証明だ!
さあ、遠慮なくどうぞ。レッツダンス!
- 363 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:40:19
- >>343
>最近あった、恥ずかしい出来事を語って下さい。
ある日のことだが、久しぶりにパリのメトロ(地下鉄)に乗ろうとしたんだ。
最新式の自動券売機を使うのは初めてだったが、僕は少しもまごつかずに切符を買えた。
ところが改札口の通り方がわからなかったんだよ!
昔は駅員が切符を切っていたのに、今では改札も自動改札機になっていたんだね。
後ろにいた女子高生に切符の入れ方と改札の通り方を教わったよ。
僕は彼女が生まれるずっと前からパリを知っているはずなのに、
完全なおのぼりさん状態で恥ずかしかったな。
また別の日には、横断歩道の前で信号を待っている時、横に来た男が突然
「いよう、ジャン。元気にしていたか」と話しかけてきた。
歩道には僕と男の二人きり。だからジャンとは僕のことらしい。
馴れ馴れしい口調だったが、人違いなら咎めるわけにもいかないと思い、
「僕はジャンじゃありません。人違いですよ」と言って男を見たんだ。
すると男も「お前は誰だ」と言いたげに僕を見返したよ。
彼は携帯電話を耳にあてて、友人のジャンと会話をしている途中だったんだ……。
信号が青になると、僕は赤くなった顔を隠すように足早に彼から遠ざかった。
ほんの40年前までは、道端で一人で会話してるのは、麻薬でトリップして
Love & Pieceと繰り返す連中だけだったのにと思いながら。
小さなことだが、技術の進歩は確実に世界を変えていると感じるよ。
人類が月に行くのが夢物語だった時代に生まれた僕だ。
自分なりにめまぐるしい世間に適応しているつもりだが、時々、
急激な進化に乗り遅れて失敗することがある。
そんな時は、この先の時代についていけるのかどうか、ほんの少し不安になるんだ。
- 364 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:40:43
- >>344
>今年のクリスマスプレゼント、誰に何をあげるかはもう決めていますか?
僕の故国であるベトナムはスタールビーの産地だと知っているかい?
僕はディーヴァに真っ赤なルビーを贈ろうと考えて、現地に飛んだんだ。
それで現地の業者に、研磨したままのコロンとしたルビーの裸石を
見せてもらったんだが、これがやわらかな色あいの石に見えてしまってね。
どうも想像と違っていたんだな。
僕は血のように赤く、鋭い光を放つ石が欲しかったのだが。
僕がそう言うと業者は「ルビーではないのですが」と別の石を持ってきてくれたんだ。
スピネルという宝石だそうで、挑戦的なまでに強い真紅の輝きを放っていてね。
とても気に入って、見せてもらった中でも特に赤色の濃い、大き目の石を
数十粒買って帰って来たところだよ。
せっかくだから袋から出してお見せしようか。――ほら、ザラザラと出て来た。こいつらだよ。
狂おしいほどに綺麗な赤だろう?
無粋な金枠なんかにはめ込まずに、粒のまま、ディーヴァに差し上げるつもりなんだ。
おはじき(jeu de puce)にでもしてもらおうと思ってね。
宝石だから宝飾品にしなければならない、なんて決まりはないだろう?
――おや?
君も魅入られたように見つめているね。この赤い石が気に入ったのかい?
しかし申し訳ないがそれは駄目だ。これは僕らの赤なんだ。
けっして手に入れられない彼女の形代。
僕達を魅了し、狂わせ、死に導く紅。――君はそんな美しさを知らないほうがいい。
さあ、この石はしまってしまおう。君ももうお帰り。
遅くまで、こんな魔物の住処にいてはいけないな。
クリスマスを無事に迎えたいならね。
- 365 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:41:03
- >>356
>肉球シュヴァリエ……萌え(パタ
ハッ!
美味しそうな人間が倒れて……じゃなく!
大切なお客人がこんなところに倒れているぞ。
大丈夫かい、名無しさん?気分でも悪いのかい?
しっかりするんだ。
こんな危険な場所で倒れていたら、誰かに美味しく食べられてしまわないとも限らないからね。
さあ、冷たい水を入れたグラスを持ってきたよ。
これを飲んで、頭をはっきりさせて……。
もう大丈夫かい?どこも苦しくはないんだね?
良かった。僕もひと安心だよ。
ところで名無しさん、
君は倒れている時に、日本語でニクキュウと呟いていたのだが……。
失礼とは思うが訂正させてもらうと、ニク(2×9)は18だよ。
キュウ(9)じゃないんだ。
……ああっ、また名無しさんがガックリと倒れてしまった!!
- 366 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:41:41
- >>357
>んっとにわかってないなぁ
ぼんやりとだが、君の言葉の意味がわかってきたよ。
くだいて言うなら、シュヴァリエは皆、態度は冷たいが心は愛に溢れていると言いたいんだね。
だって過去を振り返ると、僕の兄弟はいつも思いやりに満ち、細やかな愛情で結ばれていた。
けっして兄弟が不仲になることなどありはしなかった。
まあ、さまざまな小さな行き違いはあったけれどね。
ともかく僕の兄も弟も、素晴らしい連中であるのは間違いない。
もうこれ以上の幸福は、どれだけ長く生きたとしても、有り得ないんじゃないかな……。
だめだ、この会話は難しすぎて続けられない!しかも話しているうちにどんどん事実とかけ離れてしまう!
ねえ、名無しさん。僕の負けだ。潔く降参して白旗を揚げるよ。
- 367 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:42:25
- >>358
>ラスカル達ってアダムスファミリーみたいだよね
さあ、シュヴァリエのみんな!
劇の練習を始めるよ!
この動物園でのクリスマスパーティーの出し物だ。失敗は許されない。
誇り高いシュヴァリエとして、互いに力を尽くそうじゃないか。
劇の内容は『アダムスファミリー』だ。358さんのアイデアを拝借させてもらった。
我々は聞いていないって?
今決めたんだ。細かいことを気にするな。
劇をするとも聞いてなかっただと?
それも今決めた。
……なんだ、文句があるのか?いちいちうるさいぞ。皆、男らしく覚悟を決めろ。
ちなみに『アダムスファミリー』とはこういう人々が織り成す、
ブラックユーモアに満ちた物語だ。
ttp://www.cinemotions.net/data/films/0066/82/1/A0006682.jpg
では配役を発表する。
まずはラスカル……じゃなかった、アンシェル。
ファミリーの父親、ゴメス・アダムスを演じてもらう。
その時代遅れのヒゲが初めて役に立つな。広いおでこもちょうどいい。
それじゃアンシェル……じゃなかった、ラスカル。親父役に励んでくれたまえ。
――今、僕が名前を間違えたって? 何を言ってる。ちゃんと言い直したじゃないか。
次にUSAから駆けつけてきてくれた、末弟ネイサン。
君は母親のモーティシアだ。
どんな風に演じようか、だって?
プロデューサー根性は結構だが、この役にそれほど演出は必要ないだろう。
君はいつものようにオカマらしく、しなしなクネクネと動いてくれたら十分だ。
アンシェルのゴメスと並んで、さぞ不気味な夫婦になるだろう。
そして長女ウェンズデーに次兄グレゴリー。…と、見せかけて、ソロモン、お前だ!
グレゴリー兄さんじゃなくて僕ですかと、キョロキョロするのはやめろ。
次兄はいつも少女の姿だから、インパクトがないんだよ。
お前、子供の頃はよく女の子と間違われたと言っていただろうが。
いいな、ミツアミおさげのカツラをつけて、ワンピースを着るんだぞ。
心配するな。それだけで、出てきた途端に大受けするから。
長男バグズリーは、ネイサンと同じく合衆国から来てくれたジェイムズに。
どうして子供の役なのか、だと?
別に君がマザコンだから、息子役が似合うと考えたわけじゃないぞ。――少しは考えたがね。
ほら、ファミリーの衣装はほとんど黒一色だが、バグズリーはボーダーのTシャツなんだ。
アフリカ系の君が真っ黒の服を着たら、どこが顔でどこからが服なのかわからなくなってしまうからね。
だからバグズリー役にさせてもらった。我ながら賢明な判断だ、うん。
次兄グレゴリーにはフェスター伯父さんをやってもらおう。
ゴメスの兄役だから、劇中だけだが一族の長兄になることができるよ。
せいぜい威張って兄貴風を吹かせてやってくれ――ただし!
禿頭のフェスターをやるからには、頭を完全に剃ってもらわなくてはならないんだ。
次兄は元々が聖職者なのだから、髪の毛が無くても平気だろう。仏教の僧侶なんてツルツルが多いしね。
さあ、早いとこ、綺麗サッパリやってくれ!
そして赤組からの参加に感謝する! ハジとリク・ミヤグスク!
ハジには適役がある。台詞がほとんど無い、フランケン顔の執事のラーチだ。
自閉気味で目つきの悪い君にはぴったりだろう。
そしてリク、君はモーティシアの母親のグラニーだ。おばあさん役だがかまわないね?
なんせハジはラーチしかできそうにないから、消去法で君はグラニーになってしまうのだよ。
恨むならハジを恨んでくれ。それに身長が低いのもおばあさん役に最適だしね。
よーし、配役はパーフェクトだ!358さんも喜んでくれるかな?
『アダムスファミリー』は見かけも中身も悪趣味で異様な人々の話だから、皆、
ありのままの自分を舞台上で見せてくれれば大成功だよ!
――え?僕は何を演じるのかって?
僕は脚本家にして舞台監督さ。舞台の外から指示を出す者が必要だしね。
皆は僕の言うとおりに動いてくれればいいのさ。
おい、なぜ全員で変な目つきでこっちを見るんだ。おいこら、どうして僕を取り囲む。
「ハンド君の役が残っている」とはどういう意味だ?
あれは手しかないだろうが! おいやめろ、僕の腕を掴むな!
「後で切断面を合わせれば接合するだろう」って、なんのことだ、アンシェル!
※教訓
シュヴァリエのブラックユーモアは、洒落にならないため危険です
- 368 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:43:03
- >>359
>つ《招き猫》
やあ、贈り物をありがとう!これは猫の置物だね。縁起物なのかい?
お客や金運を呼び込むのかな?
それとは別に、願い事がこめられていそうな猫達だね。
.∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧
..∩( ´∀`) ∩(#`θ´) (`〜´ )∩
丶′笑 ⊂ 丶′堅 ⊂ Q . 釜 ` ノ
( r ) ( r ) ( r )
 ̄  ̄  ̄  ̄  ̄  ̄
左のソロモンのように、やたらとにこやかなのは、いつも笑顔でいられるようにということかな。
ジェイムズ風のはカチコチってことなのかな? 堅実な人生を、との願いなのかもしれないね。
右のは釜?ネイサンか?あーつまり、自分らしく生きて行けと言いたいのか?行き過ぎは考えものだが。
.∧ ∧ ∧ ∧ ∧ ∧
..∩( - _ - ) ∩(σ∀σ) (゚ ー ゚*)∩
丶′新 ⊂ 丶 家 つ⊂ 食 ` ノ
( r ) ( r ) .( r )
 ̄  ̄ . ̄  ̄  ̄  ̄
左の次兄みたいに沈思黙考してるのは、最新の知識を得られますように、だろうか。
ディーヴァに似てるのは、多分、家族に恵まれますように、だろう。
右の小夜風のは、美味しいものをいっぱい食べられますように、との願いのようだね。
.∧ ∧ . ∧ ∧
..∩(- _ -) ( ゚ 八 ゚ )∩
丶′音 ⊂ つ.毛 ` ノ
( r ) ( r )
 ̄  ̄  ̄  ̄
左のむっつりと押し黙ってるのはハジか?音楽の才を願ってるんだな。代わりに会話能力を奪われそうだが。
隣の髭が生えてるのは、アンシェルか。いや、これにコメントは必要ないだろう……。
ありがとう!大切にするよ。大広間に飾っておこう。
これだけたくさん並べておけば、きっと福が大挙して押し寄せてくるに違いない!
- 369 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:44:07
- >>360
>吸血鬼のクセに陽光もニンニクも流れる水も平気だなんてズルイ
(RPG ダンジョン風)
360は最初の扉を開けた!
カールが現れた!
360は陽光のカケラとニンニクと流れる水の小瓶を投げた!
でもカールは平然としている!
動物園に迷い込んだ哀れな勇者よ!
僕は吸血鬼じゃなくて翼手だ!
翼手である僕に、そんなものは効かないのだよ!
さあ、諦めて僕に倒されたまえ!レッツダンス!
「翼手なんてマイナーなモンスター、データにないよ!
でもアイテムが効かないなんて……。
なら、さっき武器屋で買ったばかりの聖剣で!えいっ!」
ははははは!なんて愚かな勇者だ!
僕の不死身の体に効果があるのは小夜の血だけだ!
玩具みたいな剣では何の役にも立たないよ。君の命はここで終わりだ!
素敵なオブジェにしてあげるよ。最強の翼手である、僕のこの手で!
「くっ……、もうヤケだ。残った効果不明のアイテムをぶつけてやる!
それっ、さっき拾った『女王の隠し撮り写真』!!」
うおおおおっ!?
カールは動揺した。
カールの攻撃力が1になった。
カールの防御力が1になった。
カールのHPは1になった。あと剣で1回切れば倒すか、仲間にできます。
倒しますか?
【はい】○ 【いいえ、仲間にします】×
よく考えてください。倒しますか?
【はい】○ 【いいえ、仲間にします】×
旅に仲間は不可欠です。倒しますか?
【はい】○ 【いいえ、仲間にします】×
後悔しないように再度確認します。倒しますか?
【はい】○ 【いいえ、仲間にします】×
かたくなな態度は感心しません。倒しますか?
【はい】○ 【いいえ、仲間にします】×
選択肢に誤りがありました。訂正します。倒しますか?
【はい、仲間にします】 【いいえ、仲間にします】
- 370 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/11/23(日) 23:46:06
- >前564
>自分の一番信頼する人とある日身体がいれかわってしまったら、どうする?
>>361
>作中の誰かと立場をチェンジできるとしたら誰としたい?
信頼できて、その立場がうらやましい人物……となると、誰だろう?
両方を兼ね備えるとなると、これは難しい質問だ。
翼手である小夜を妹と呼んで、大切にしていたカイ・ミヤグスクという少年はどうかな。
誠実な彼は小夜とも非常に親しく、その上ディーヴァにも望まれたんだ。
実にうらやましいよね。
彼と身体が入れ替わってしまったら……それは……彼に気の毒かな。
だが本音を言うと、彼なら僕よりも良いシュヴァリエになるかもしれないと思うよ。
ディーヴァも惜しいことをしたものだ。
もうすこしでカイを手に入れるところだったそうじゃないか
小夜のためには、その方が良かったのかもしれないがね。
立場を入れ替えるとするなら――それはつまり、僕が小夜の義理の兄になるということかい?
それは――!
是非一度、お願いしたいね!
君だってそう思うだろう?だって小夜の兄だよ!兄!
朝は「お兄ちゃん、起きて」と起こしてもらい(僕は眠らないが)、
「朝御飯作ったから食べて」と妹が一生懸命に作った手料理を食べるんだ(僕は食事しないが)。
そして「ダイエットしてるから、朝は食べないの」と言う妹に(ああ、小夜は可愛いな)、
「ちゃんと食べろよ。お前は太ってないだろ。いやむしろ、あちこち肉を補った方がいいぞ」
と、兄として妹の体を気遣ってあげるんだよ!(そして小夜が感謝の眼差しをくれる)
夢だよね!
カイ・ミヤグスク、君は毎日、こんなうらやましい生活をしてたのか―――!!!
さて、今宵はこれにて。
いつものように、眠らないシュヴァリエから、眠りが必要な人間の皆さんにごあいさつを。
_______
|.おやすみなさい|
.∧ ∧ ̄ll ̄ ̄ ̄
(,,゚Д゚ )∩
Q .愛 ` ノ
( r )
. ̄  ̄
- 371 名前:名無し客:2008/11/25(火) 04:36:51
- 翼手の不思議パワーを以ってしても育毛の壁は越えられない?
- 372 名前:名無し客:2008/11/30(日) 15:19:28
- ポインセチアと対になる植物探してるんだけど
いいの知ってる?
- 373 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/04(木) 20:47:50
- こんばんは!
残っている分へのご挨拶も再会させていただくよ。
もう時間が経ってしまっているし、自己満足でしかないとわかっているのだが、
どうも気になってしまうのでね。
>前565
>ダンスパーティでは、青いバラをソロモンがさしたのはどういう意図で?
そういえば青い薔薇の言い伝えはギリシア神話の頃からあったそうだよ。
ある日、花の女神のお気に入りの妖精が死んだんだ。
悲しみに沈んだ女神は亡くなった妖精を、けっして枯れない花にしたいと望んだ。
それで花の女神の切なる願いを受けた神々は、妖精を花に変えてやろうと
力を貸したんだ。
風の神が、雲を吹き払って陽の輝きを花びらにもたらし、
美の女神は美しさを、酒の神はかぐわしさを与えた。
――ずいぶんと恵まれた花だね。まるでどこかの金髪男のようだ。
こうして生まれたのが薔薇の花さ。
そして最後に花の女神自身が、様々な恩恵を許されたこの花に色を与えた。
東の夜明けの淡紅、西に夕映える橙、まばゆい陽射しの黄、
穢れなき雪の白、燃えさかる炎の赤。
幸福な花にふさわしい、この世界のあらゆる美しい色をね。
だが女神は天空の青色だけは薔薇に与えなかったんだ。
その色は死を意味するという理由で――。
神話の時代には、青は死の色でもあったのだね。
ソロモンも青い色を与えられなければ、死なずに済んだだろうか。
だが僕達を枯れぬ花にしたのは花の女神じゃない。
僕達の女神は愛しいディーヴァ。青い薔薇こそ彼女の象徴。
花の色の意味するところが死であろうと、ソロモンは臆さずに青い薔薇を
胸に挿しただろう。
あいつはどんな時でも誇り高い騎士だったから。
- 374 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/04(木) 20:48:14
- >前579
>自分には108の煩悩とかあるとおもう?
煩悩など―――!
そんな小市民的苦悩など、脇役連中ならばともかく、主人公である僕には存在しないっ!
そうさ、僕はいつだって崇高に生きてきたつもりだ。
――と、言いたいが。
少しは僕も己について知っているつもりだよ。
既に人間ではなくなり、長すぎる生を生きているというのに、
僕はまるで市井の人々のように煩雑でささいな悩みにとらわれていた。
人間であった頃を未練がましく思い出しながら、シュヴァリエとしての矜持を語り、
ディーヴァの愛を求めながら、小夜が僕と共に死んでくれることを願った。
僕は矛盾と執着だらけだったんだよ。
そして欲しいものは何ひとつ手に入れられなかった。
要するに僕は小物だったのさ。
ソロモンたちと違って、工場長の任しか任されなかったのもその為だろう。
だがそれも今は忘れよう。
名無しさん、君も煩悩をかかえているのかい?それなら全て忘れておしまいよ。
日本では煩悩を払うために除夜の鐘を鳴らすんだろう?
そこの寺院の鐘を鳴らさせてもらおう。
そうして君と僕の煩悩をすべて取り払ってしまおう。
今日は大晦日じゃないし、ここは仏教じゃなくカトリックの寺院だって?
かまやしないさ。
神様も道に迷った子羊たちを哀れんでくださるよ。
人間でない僕は数に入れてもらえないかもしれないけどね。
そら、君を抱えて鐘楼の上までひとっ飛びするよ。しっかりつかまって。
――さあ、いいかい?町中に響くよう、鐘を鳴らすよ!
君と僕の、そして全ての人々の懊悩が晴れるように――!
- 375 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/04(木) 20:48:35
- >前582
>外国に旅行に行きたいんだけどおすすめは?
アフリカ東部のマラウィ湖はどうだろう?
ちょうど今、南半球のあの地方は夏の雨季に入っているはずだ。
君が暑さと湿気に強いなら、一緒に行ってみようか?
マラウィ湖はベルギーと同じくらいの面積を持つ湖でね。
この湖は雨季の晴れ間になると、湖面にいくつもの煙が立ちのぼることがあるんだ。
湖面の煙は、よく見るとうっすらと淡いオレンジ色をして、高く細く湧き上がる。
その高さは数百メートルにもなる。
何もない青い湖から青い空に向かって、高く立ちのぼる煙の柱。とても神秘的な光景だよ。
だがこれは、実は煙じゃなくて、蚊の大群でね。
無数の蚊が群れを成して柱を作り、煙のように見えているんだよ。
おや、君は蚊と聞いて、ちょっと身を引いたね。
大丈夫、このフサカという蚊は血を吸わないそうだから――どこかの翼手とは違ってね。
この草食性の蚊の群れは、交尾のために集まるらしい。
そして柱の中で交尾を終えると、水面に卵を産んで、死んでしまうのだそうだ。
卵から孵って、たった一年しかない彼らの一生は、ここで終わるのだね。
――どうしてかな。
僕は儚く消える小さな生物を見るのが、ひどく好きなんだよ。
自分が簡単に死なない生物になってしまったせいだろうか……。
うん?どうしたんだい?
君は悲しそうな顔をしてしまっているね。湖面の柱なんて楽しくないかな。
それじゃあ君が行きたくなるように、もっと面白い話をしてあげるよ。
この蚊は草食性で血を吸わないと言っただろう?
だから人畜無害なんだが、人間にとっては良いものでもあるんだ。
なんと、たやすく大量に捕らえられる上に、食べられるんだって!
エビに似た味がするそうだよ。
現地に行ったら、僕がたくさん蚊を捕まえて、君にご馳走するよ!
名づけて『神秘的な蚊柱も見れる、蚊の食べ放題ツアー』さ!
いっぱい食べてくれていいからね。
ああっ、どうしたんだい?君が涙目になってしまったよ!
- 376 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/04(木) 20:49:00
- >前590
>一番好きな自分ベスト3とその理由を教えて下さい!
過去の思い出話なんて実に面倒くさいんだが、君は聞きたくてたまらないんだね。
そんなに僕のことに興味があるのか。しょうがないなあ……。
カールに興味なんてないし、面倒ならひとつだけでいいって?
何を言ってるんだ!
僕は律儀だから第三位から第一位まで、全部答えるよ!
別にそんな話をしたいわけではないのだがね。
素直な君がどうしてもと頼むから、仕方なく教えてあげよう。
第三位
【ベトナムの実験場で、小夜と戦っている僕】
僕は殺意に瞳を赤くした小夜と楽しくダンスを踊っていたんだ。
カイという少年が邪魔するまでね。
その後も僕は変身して小夜と戦ったが、残念なことに足を斬りつけられて
撤退するしかなかった。片足を自分で切断する羽目になったが、
それでも小夜の刃の切れ味は僕の心をふるわせたよ。
第二位
【リセ・ドゥ・サンクフレシュの鐘楼の上で小夜と逢引】
愛しい小夜が、わざわざ僕が理事長を勤める学園まで会いに
来てくれたんだよ!そして僕の誘いにもちゃんと気づいて、
夜中の鐘楼にやってきてくれた。この僕との逢瀬のためにだよ!
心躍るひとときだったよ――野暮なシュヴァリエが邪魔しに来るまではね。
僕は仮面越しに小夜に笑いかけ、彼女も僕だけを見ていた。
だが何より素晴らしかったのは、僕の小夜のネグリジェ姿が見れたことだよ!
――すまない。最後のひと言は忘れてくれ。
第一位
ディーヴァを背に乗せて赤い盾本部を襲撃。
おそろしく興奮した日だった。
背中にディーヴァを乗せ、前に小夜を見て平静でいられるわけがないのだが。
そして愛しいディーヴァが身ごもった日でもあった……。
今思い出しても実に複雑な心持ちになるが、けっして忘れられない一日だったよ。
――さてと。第一位まで話したよ。これでいいかな?
だが君はこれだけでは満足していないだろう?
もっと僕の話を聞きたいんだよね?
遠慮することはない。聞きたいはずだとも!
そんな君のために、たいへん面倒なのだが、僕の思い出をベスト500まで
話してあげようじゃないか。メモを片手によーく聞きたまえ!
- 377 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/04(木) 20:49:17
- >前606 >前621
>春夏秋冬でどれが一番好きな季節?
>雪が降ってきました
春が好きかな。
冬も嫌いじゃないが、なにしろ寒くて暗い。
国中が常夏と思われているベトナムだが、あの国にも冬があってね。
北部ではかなり気温も下がる。雪が降ることもあるよ。
たいていはどんより曇っているか、細かい雨がずっと降り続くんだ。
気温は低くても、湿度はとても高いんだよ。
ロシア生まれの次兄はもっと、寒くて雪深い冬を知っているのだろうね。
僕が思う冬は暗く湿った季節だが、次兄が思い浮かべるのは、あたり一面白銀の
世界なのだろうか。
ソロモンも語っているが>>336、
次兄はロシアの宮廷の奥深くで計略を巡らし、人身を操った。
さらには人々をモルモットにして、新たな翼手を作る実験を行っていたんだ。
そしえ結果的に大国を傾ける手伝いをした。
だが元々彼は、ロシア正教の敬虔な修道僧であったはずだ。
シュヴァリエとなって、いかにディーヴァを女神として崇めようとも、
それだけでずっと持ち続けた信仰心まで失われはしないはずだ。
一体何が、次兄を聖書から背かせ、神に挑戦までさせたのだろうか。
僕なんかにわかるわけもない。
それでも時々、次兄の言葉の端々に、神であった存在に対する絶望を感じるんだよ。
そんな時は、次兄の上にしんしんと白い雪が降り積もって、魂までもが無音の白い闇に埋もれているように見えるんだ。
- 378 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/04(木) 20:49:48
- >>371
>翼手の不思議パワーを以ってしても育毛の壁は越えられない?
アンシェルはあの中年姿がもう少しフレッシュになるように育毛か、
いっそ若返りの研究をすべきだったね。
……待てよ。
もし彼が育毛の研究をするとしたら、実験台になるのはやはりこの僕か?
〜〜ここからカールの毛想、じゃなくて妄想〜〜
今が朝なのか、夜なのか。それすらわからない。
陽も射さず、時計もない地下室では時間の感覚が失われてしまう。
僕はいつものように、地下室の施術台に寝かされた格好でくくり付けられている。
わずかに動く首から上をめぐらして、時刻を示す物はないかとあたりを見回すが、
ランプの灯りと僕を切り裂くための術具以外は何も見つからない。
だが考えてみれば、朝だろうが昼だろうが、どうでもいいのだった。
どうせ夜になっても、シュヴァリエには安らかな眠りなど訪れない。
やってくるのは僕を施術台に繋がせた長兄、アンシェル・ゴールドスミスだけだ。
アンシェルは僕を使って解剖実験を繰り返している。
翼手の生命の秘密を解明したいというあくなき欲求が、この男に憑り付いているのだ。
しかし今日の彼はいつもと違っていた。地下室に来るなり
「新しい研究を始めようと思う」
と言い出したのだ。
そして施術台から垂れている僕の長い黒髪を、分厚い掌でわっしと握る。
「今日から翼手の体毛に関する研究と実験を開始する。
もちろん協力してくれるだろうな?――いとしい弟よ」
要請するような言い方だが、こちらが返答するまでもなく、
ことはもう決定しているのだった。
僕には拒否権など最初から与えられていない。
それにしても体毛の研究だと?
今までにも増して、奇妙な研究を始めたものだ。
実験台である僕にとっては、どんな研究も不快なものには違いないが、
この男が何を考えてそんな事を始めるのか、疑問に感じた。
施術台につながれたまま、僕は彼に尋ねる。
「体毛に関する実験と言うが、具体的に何を調べたいんだ?」
アンシェルがまだ僕の髪の毛を掴んで離さないので、口を動かすたびに
頭皮が引っ張られて軽く痛む。
「まさかその頭のために、育毛実験をするんじゃあるまいな」
ただの軽口だったのだが、アンシェルの手がぴくりとし、
かすかに顔色が変わった――ように見えた。
この男がほんの少しでも動揺したところを見せるなんて滅多にないことだ。
まさか、本当に育毛実験なのか。
僕が言葉を失っているとアンシェルが口を開いた。
彼独特の峻厳で重々しい声が、地下室の冷たい壁に響く。
「私は知りたいのだ。翼手の全てを。調べつくし、知り尽くすこと。それこそが――」
なおもアンシェルの言葉は続いたが、最後まで聞かずとも、僕は男の意図を理解していた。
偉そうに言っているが、単に自分の頭に毛を生やしたいだけなのだ。
僕も伊達にこの男の身近にいるわけじゃない。それくらいはわかるのだ。
きっとディーヴァが戯れに「髪を生やしてみろ」とでもおっしゃったのを、
真に受けているのだろう。
だが馬鹿馬鹿しいと思う一方で、別の気持ちも湧き上がってくる。
上手い表現が見つからないが、生命の謎に迫ろうとするのではなく、
髪などにこだわるアンシェルが「けなげ」で「いじらしく」見えてきたのだ。
長兄にこれらの形容がまったく似合わないことは、僕も承知している。
しかしそう感じるのだ。
彼と違って髪に不自由していないから、いくらかは優越感もあったかもしれない。
ともかく僕は初めて強要されてではなく、自分から、
実験につきあってやってもいいとさえ思った。
アンシェルに反発してばかりの僕だが、協力的な気分になることもあるのだろう。
そう、100年に一度くらいは。
きっと今日が、その100年に一度なのだ。
僕の髪の量なら、少しくらいサンプルとして切られてもたいしたことはない。
そう思って施術台の上でおとなしく待つ。
縛られているから、元々動けはしないのだが。
いつもより従順な態度に気を良くしたのか、さっそくアンシェルが金属製の
術具を取り出した。この地下室では初めて見る器具だ。
銀色の山形の二枚の刃に、細長い二本の持ち手。
フランス語ではトンズーズ(tondeuse)、君たち日本人の言葉ではバリカンと
言っていただろうか。
おもむろにアンシェルが僕の頭を押さえつけた。
ランプの火に照らされて、彼の持つバリカンが光る。
僕の額に刃があてられて、嫌な予感に背中までもがひやりとする。
おい、根元から刈るつもりか!――未曾有の危機を感じて僕は叫んだ。
「や、やめろ!毛を調べたいなら、毛先だけ切ればいいじゃないか!」
「毛先を切っただけで何がわかる。研究対象には毛髪以外に頭皮も含まれるのだ。
まずは髪を全て剃り落とし、皮膚の状態と毛髪の再生速度を調べる」
やめてくれ!やるなら自分の頭でやれ!!
アンシェルに協力しようなどという、殊勝な気持ちはとうに消し飛んでいた。
僕は縛られている体で、できる限りの抵抗をする。
だがさっきも言ったように、僕には拒否権など与えられていないのだった――最初から。
この日から、僕の体を実験台にして、幾度となく育毛実験は行われた。
この頭から髪は剃り落とされ、発毛を繰り返す。
育毛の壁とは何か、それを知るためだけに―――…
――ストップ!!
アンシェルが本当に育毛なんて望むかどうかはともかくとして、名無しさん!
この展開はマズイよ。非常にマズイ。
育毛の壁を超えようとするのは危険だと、よくわかっただろう?
たとえ翼手の不思議パワーを以ってしてもね。
- 379 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/04(木) 20:51:00
- >>372
>ポインセチアと対になる植物探してるんだけどいいの知ってる?
僕の答えは………………クリスマスツリーだ!!
なんか違うって?
でも一番似合うのは、飾り立てたツリーだと思うんだ。
ツリーの周囲にポインセチアの鉢植えをぐるりと置くんだよ。
きっと華やかになるだろう。
ちょうど時期だから、君や皆に見てもらおうと思って持って来たよ!
外にあったのを運んできたのだが、少し形を変えて、鮮やかになるよう
化粧直しもしてみた。ぜーはー。
君の目に綺麗に見えているといいのだが。
(こういう時いつも思うのだが、君が見れない人だったらごめんよ)
. ★
/;;;;;;"
/;,"ゞ;;;ヾ
★、;:;":;ノ;;"★
,ノソ”''・*★.:*・“ヾ
★,.;;:。;:;;::、;ゞ:;ヾ,,★';
,:';;”*,:.。.:";`;:;"ノ,,:,*゚;:、
★;ヾ ,.;;゚・*:.★:*・゚ヽノ;;;;入★
,r゚・*:.:;ヾ :::ソゞ:;ヾ :::ソ:ソゞ;.*・゚:;ゝ
<ヾ;ヾ”`*★ ,.;;,.;;:。;:;;::★*・゚ ;:;;、;ゝ
ぐヾソゝ,.;;:。;:;;:゚゚・*:.。..。.:*・゚、;ヽノ;;;;ノ;;;;;ヾ);;;)
★:;ァノゞ:;ヾ,.;;:。;::;;:::、;:;":;";";;;ノ;;;;;ヾ);;;★
<*ノソゝヾ★”,.;i;';.,,,.;i;';.,,,.;i;';.★¨"';X ,*'
゚・*:,。*゚ Yji !|ijl シ/"' ゚*。,:*・゚
j|il:';:';ki j
.j!i:|..|:i;:i|
|j!i:|..|:i;:i|
. | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
. | Merry |
. | X'mas!|
. |______|
さあ、準備はできた。
あとはクリスマスが来るのを待つだけさ!
今宵はこれにて。
夢を見ないシュヴァリエから、夢を見る人間の皆さんへ。
―――おやすみなさい。
- 380 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/12/05(金) 01:09:57
- 皆様、久方ぶりです。
>>319氏の仰る通り、いよいよ冬本番。客人方には如何お過ごしですか。
風邪などひかれてはおられませんか――手足が冷えて辛い?そうですか。
>>343
>最近あった、恥ずかしい出来事を語って下さい。
――先程まで、書庫の掃除をしておりました。
今はこの一年の間に溜まった、ふるい反古の束を燃やしております。
焼いた書類の内容?……ごくごくつまらないものです。
論文としての体を為していない備忘録、書き損じの下書き、それからこの原稿の束――。
失敗と挫折を幾度となく味わいつつ、時には劣等感にまみれながら、昼夜を忘れ
没頭してきた題材だったが――もう、よいのです。今日、解りました。
この結果は、もう知られていることが。
シルヴァスタイン女史により、とうの昔に証明されていたことが……。
遂に証明出来た、と何も知らずに有頂天になっていた自分が恥ずかしい。
どのような苦闘の果てに証明しようが、二番煎じは無意味。紙屑と言ってよい。
――まあ、こうして暖炉にくべれば燃料代わりにはなるでしょう。
さあ客人、こちらへ。火勢が強くなった、お体を暖められよ。
- 381 名前:名無し客:2008/12/05(金) 20:42:29
- ネグリジェとナイティどう違うの?
- 382 名前:名無し客:2008/12/05(金) 20:44:05
- あったかいねー……むにゃ
Zzzzz
- 383 名前:名無し客:2008/12/05(金) 20:47:40
- グレゴリーは帝政ロシアのころにいたわけですよね?
じゃあブラック将軍にあったことはありますか?
- 384 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/12/08(月) 01:06:20
- >>344
>今年のクリスマスプレゼント、誰に何をあげるかはもう決めていますか?
――その件では、ずっと悩んでいる。深刻に悩んでいる。懊悩といっていい。
なぜならわたしは、贈ることの出来る物をなにひとつ持っていないからだ。
物を購うには金が必要だが、わたしは兄や弟たちと違ってこれまで金を稼いだ
ことがない。自分の金を持っていないのだ。
クリスマスだというのに、誰にも何の贈り物も出来ない。――わたしだけが。
これほど口惜しいことがあるだろうか。しかしどうすれば……
>>367
>さあ、シュヴァリエのみんな!
>劇の練習を始めるよ!
カールが>>358氏の要望を受けて、劇の脚本を書いたようだな。
クリスマスパーティの余興というわけか。
彼は客人のもてなしにいつも細やかな心配りをしてくれる、頼りになる弟だ。
どれどれわたしの役は――
>次兄グレゴリーにはフェスター伯父さんをやってもらおう。
>ゴメスの兄役だから、劇中だけだが一族の長兄になることができるよ。
>禿頭のフェスターをやるからには、頭を完全に剃ってもらわなくてはならないんだ。
………。
………。
――そうか。これで全てが解決する。
客人方、どなたかこの銀髪を買ってくれる商人を御存知ないだろうか。
夫への贈り物を買うために、自慢の髪を売った妻に倣おうと思ってな。
これで金が手に入る。わたしにも売れるものがあったのだ。
――そんな顔をせずともよかろう。剃れといったのはお前だぞ、カール。
髪を束ねて、小刀で元からぷっつりと切り、剃刀で鬢の毛を剃り上げた。
剃り残しなく綺麗な坊主頭になっただろう。長兄の兄役、これで勤まるだろうか。
- 385 名前:名無し客:2008/12/08(月) 07:53:42
- 髪を添っても一時間以内に生える気がするよ?
- 386 名前:名無し客:2008/12/09(火) 06:51:14
- グレゴリー、そのクールな優しさが輝いてるよ
いや、頭でもデコでもないから
- 387 名前:グレゴリー@坊主頭 ◆gD.KishiHU :2008/12/12(金) 01:16:14
- >>297
……ヅラ?
違います。青々と剃りあげたのだ、もそっと近寄って御覧になるといい。
しかし少々頭が寒い。ここはいつもつるりと丸裸だからな。
――客人、撫でていいとは申し上げておらぬ。
>>385
髪を添っても一時間以内に生える気がするよ?
可愛い?はは、この頭がお気に召されたか。
まめに剃刀をあてているので御心配なく。
クリスマスが終わるまでは、髪を伸ばすわけにはいかぬからな。
>>386
>グレゴリー、そのクールな優しさが輝いてるよ
つやが出てきましたか。それならよかった。
毎日香油を塗って、鹿革で頭皮を磨いている甲斐があるというもの。
舞台で禿頭の男を演じるためには、客席からでも分かるように
今から入念に手入れをして、誰よりも光らせねばならぬからな。
- 388 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 01:49:49
目が覚めたら、お約束の刻限にすっかり遅れているではありませんか―――
吃驚しましたよ、僕が寝坊するなんて。何しろ普段は眠らないのですから。
あまり吃驚したので、鏡も見ずに部屋を出てしまいました。
すぐにネゴシアンを迎えに出たのですけれど、彼らの様子はどうも変でね。
僕の顔に何かついていますかと訊くと、ばつが悪そうに目を逸らすのですよ。
いいえ、それは勿論―――スーツは着替えましたよ?
幾らなんでもあれは気がつきます、
>>355 カール
>白いスーツに大きく『ツンデレ』、背中に『ヤンデレ』と書いてやる。
…僕の着ているスーツはね、ろくな目に遭わないのですよ。この間は、
ファルマシーでアンシェル兄さんが割ったワインが飛び散りました。染みになりました。
その次の日には…ハジに穴をあけられました。酷い事をする、
血の染みまでべったりついて…気に入っていたのに。
ああなってはもう手の施しようがありませんから、
独りでじゃんけんでもして弔ってやりました。
それで、今回はこのありさまです。本当に、とんでもない悪戯をするのですから―――
僕はあれは褒め言葉だと思ったのですけれどね…違ったのかな?
- 389 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 01:54:52
- やあ、ご機嫌よう。
御免なさい、随分遅くなってしまいました。
あなたがた、11月の第三木曜日が何の日だったか知っていますか?…そうそう、
これの解禁日です。昨年は一つしか用意しなかったんですけれど
今回は幾つか揃えました。ボジョレーは四日も経つと、
もう味が変わってしまうのですけれど…仕方がありませんね。
それじゃあ皆さんに、注いで回りましょうね。
>>298
>君>>296ひょっとしてお酒飲んだら絡むタイプ?
>個性的ながら紳士揃いのシュヴァリエが面白おかしく教えてくれるかな
おや、そうなのですか?>>296さん。
先ほど、カールが好い事を>>325言いましたね?彼の言うとおりで、
ワインは飲み方によっては、良い薬になるのです。
例えばほら、これだ―――
【Château Lafite-Rothschild】
これは新酒ではありませんし、以前にもいちど
お持ちした事があるんですけれど…その時は、皆さんに振る舞う事は
しなかったものですから。
僕がまだ若かった頃、ボルドーの医者は皆、口を揃えて言いました。
ロートシルトは王家のワインであり、何にも勝る強壮剤なのだと。
今でも、それは変わっていない筈です。
さあ、どうぞ。好い香りでしょう?
これならあなたも悪酔いしないで、あすの朝はすっきり目を覚ます事ができますよ。
- 390 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 01:57:23
- >>300
>シュヴァリエも転職というものを考えるのかい?
考えますよ…さあ、あなたもワインをどうぞ。
僕はネイサンに、転職を提案した事があります。彼は少し興味があったようで…くす、
あと百年経ったら考える、と仰っていましたよ。
あなた転職をお考えなら、よくお考えになる事です。
興味のある事でないと、長続きしませんからね。
僕もね、これまで肩書きを何度か変えましたけれど…向かない仕事は続きませんでした。
特にフランス軍は息苦しくてね。仕官服は窮屈でした。
ですから本当に必要な間しか、籍を置かなかったな。その点僕は、
医者の白衣を着ている方がしっくりくるようでした。
その点ネイサンは、本当に彼らしい肩書きを持っていましたね?
あと百年は続けると仰るんですから、彼は余程気に入っていたのですね。
けれどあんな事があったのでは…
幾ら彼がまだ生きているといっても、あの仕事を続ける訳にはいかないでしょう。
彼はいま、どこで何をしているのでしょうね。
おや、あなた人混みの中で彼を見かけたと仰る?本当ですか?
あの口調は間違いないと仰る…、それで、彼は何をしていたのですか?
スーツを着込んで、報道陣の中に紛れていた…?
ネイサンが、スーツ?想像できませんね。それなりに似合っていた?そうですか。
そうでしょうね。あれで人並みよりは綺麗な顔をしていますから…はは、けれど彼は
肩書きや衣装を変えても、あの口調だけは決して変えないのですね?
- 391 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 01:58:30
- >>333
>お腹が減りました……何か食べ物を恵んでください……
あなた―――、何があったのです?
勿論ですよ、食べるものなら幾らでも差し上げます。
グレゴリー兄さんのお菓子は、いかがでしたか?…それは良かった。
ですがあなた、一寸こちらへいらっしゃい。横になって、手を出して。
顔をよく見せて下さい。じっとして…、…おや、いけない。
あなた、貧血をお持ちでしょう?ひと目で判りますよ、貧血の人間は―――
まぶたの裏に血の気がない。食事は、きちんと摂らなくてはいけませんよ。
脈だって弱くなっています…無茶をする。あなた、ここで少し休んでお行きなさい。
部屋に空きがなければ、僕のベッドをお使いなさい。…大丈夫、
僕は滅多に使いませんし、お屋敷のメイドさん達がいつも綺麗にしてくれています。
グレゴリー兄さんが、ワインの為に美味しいチーズケーキを用意して下さってね…
すこし休んで落ち着いたら、温かいワインと一緒に持ってきて貰いましょうね。
ええ、ヴァン・ショーにするのに丁度好いワインを仕入れたのです。
【Dr.Demuth blueberry gruhwein】
フランスワインではありませんし、ブルーベリーから作った変り種ですけれど
今年は寒さが厳くて、皆さん凍えておいででしょうから。
ええ、この時季にしか飲めない、新酒のヴァン・ショーですよ。
楽しみにしておいでになるといい。それじゃあ…ごゆっくり。
- 392 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:01:38
- >>261
>エカテリンブルグの血の上の教会 歴史の一頁は重いね
慥かに歴史は赤い血の上に、人々の死の上に成り立っている。
血の赤は憎悪の赤、嫉妬の赤、戦乱の赤。革命に掲げる旗はいつも赤です。
どうして、これほど烈しい赤は死を意味しないのでしょう?
そればかりか、赤は生まれたばかりの若い命を指すのです。
それに対して青は…、カールが言った事>>373は本当です。
青はこの世にないもの、永遠、死の青です。
けれどもしそうなら―――あなたがた、ここに居て怖くないのですか?
澄み渡った青い空に、地上に蔓を巡らせた青い薔薇。
ここには境界がありません。
夜にはほら、丁度、あの塔の上に青く光る一等星が。
お屋敷には…青い眼をしたあるじが眠っている。
そして、少し考えてみれば…僕らは、いわゆる「起き上がり」なのですよ。
しかも―――>>360さんの仰る通りで、十字架をかざしても聖水を振りかけても
あなたがたと一緒にニンニクを食べても、昼間に外を散歩しても
びくともしない吸血鬼です。
これがどういう事か判りますか?
この場所は、言ってみれば…死によって包囲されているのです。
…あなたがた、どちらへ?
ここを出るのですか?…さては、怖くなりましたね?
おや、違うと仰る?シャン・ゼリゼーの夜景を見に街へ出る…そうですか。
では帰っておいでになるのですね?それはいい―――行っておいでなさい、
あそこには美味しいものが沢山あります、帰ってくる頃にはあなたがた
とろりとした、濃い、好い血が流れているのでしょうから―――
…おやおや、冗談ですよ?はは、御免なさい。
それは慥かに、この場所は青色に囲まれているかもしれませんけれど
僕らシュヴァリエにしてみれば、青は死の象徴である以上に
この世界に決して欠いてはならない、海の青色です。
全ての生き物の母であり、遠大で深く畏ろしい海の、誇り高く穢れない青色です。
僕は、青色が好きですよ。あなたは?
くす…、さあ、こちらへ来てご覧なさい。ここにパリの地図があります、
どこから見る夜景が綺麗で、どのお店が評判がいいのか、教えて差し上げますよ。
楽しんでおいでになって、寒くなったら帰っておいでなさい。
あなたがたにも温かいヴァン・ショーを用意して、待っていますからね。
- 393 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:04:01
- ですが>>360さん、僕らは狡いですか…?
>吸血鬼のクセに陽光もニンニクも流れる水も平気だなんてズルイ
僕らは、大きく分類すれば吸血鬼には違いありません。
けれど、あなたがたの中にイメージとして根付いているそれ…
例えば、ブラム・ストーカーのドラキュラ伯爵のような吸血鬼とは
慥かに大きく違うのでしょうね。
あなたがもし十字架を差し出せば、僕なら迷わず手に取って
やあこれはどこの銀細工師の意匠ですかと眺めるでしょう
あなたがもし懐から聖水を取り出したら、おやそれが聖水ですか、
どこの教会で採ったのですかと興味を引かれて訊ねるでしょう…くす、
そういう意味では、僕らはそうしてあなたがたを揶う、狡い生き物です。
ヴァン・ヘルシング教授が僕らを見たら、頸を傾げるでしょうね?
何しろ彼が研究の結果から練ったどんな策も、僕らには効き目がないのですから。
慥かに、翼手でない吸血鬼の彼らは、昼日中は外に出ることが出来ません。
活動が日没後に限られる、夜行性のいきものです。
昼間、外に出られなければ、僕らの半分も自由には出来ません。
ただ彼らは昼の間、陽の光を通さない棺の中で眠っている。
―――そう、彼らは眠るのです。
微睡みの心地よさをすっかり忘れた僕らと、眠って夢を見る事のできる彼らと、
どちらが贅沢なのでしょうね。
- 394 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:05:35
- >>318
>いやいや秋といえば、芸術の秋だよね〜。
>よっ、久しぶりだな。俺だよ俺。覚えてる?またあんたたちを描きたくなってさ。
やあ、あなた去年の―――ええ、よく憶えていますよ。
アンシェル兄さんの絵を、描いておいででした。
>アンシェルはいるかい?去年スゲー世話になったんだよな。
兄さんは…御免なさい、僕もいま彼が何をしておいでなのか…
彼は忙しい方ですから。兄弟で、ファルマシーの最上階に集まった時にも
時間に遅れて、ジェイムズに詰られていましたよ。それに、
兄弟に何も言わずに何かしておいでの事は、よくある事でしたから。ほら、
小夜を見にロシアへ行ったり、小夜を動物園へ呼んでみたり―――
シフの事だってそうです。
僕はあのとき、彼らに危うく殺されかけたところで…おや、
自分こそ遠慮無しに彼らに手をあげていたじゃないかと仰る?
はは…、それは仰る通りなのですけれどね。お恥ずかしい。
僕は彼に質しました、僕に黙ってどうしてあんなものの研究を?けれど―――
彼は、そう、あの時もあなたの描いた絵のように、
ただ後ろ手を組んで背を向けて、顔を半分だけこちらへ向けておいででした。
決して口は開かずに、ね。
僕は苛々して、つい彼を詰ってしまいました。
兄さんも―――僕に会合の日程調整ですとかを押し付けるのなら
ご自身が何をしているのかくらい、教えてくださってもいいですのに。
だってそうでしょう?彼だって兄弟の一人なのですから―――しかも長兄なのですから、
まとめ役のような事をせよと弟に任すのなら、自覚を持って頂かなくては困ります。
あなたのように彼を訪ねておいでのかたも、こうして待たせてしまう事になるでしょう?
全く―――、お戻りになったら、どういう事なのか小一時間問い詰めておきます。
罪滅ぼしに、あるじのような美しい女性に擬態して
あなたの絵のモデルになるようにとも、言っておきますからね。
…やあ、すみません。愚痴を聞かせてしまいました―――
お詫びに、あなたには…そうだ、
あなたには去年、キュヴェ・シュヴァリエをご馳走したのでしたか。
あれは美味しかったでしょう?何しろ、あれは葡萄を育てた農家の小父さんが
手ずから醸造したワインでね…それも、日本にしか出荷していないのだというのですよ。
こちらのご来客は殆どが日本からおいでなのですよと伝えると、
気に入って頂けたようで…ええ今年も卸して貰いましたよ、
【Beaujolais Nouveau “Cuvee Chevalier 2008”】
2008年もののキュヴェ・シュヴァリエです。
さあ、ひと口飲んでご覧なさい…去年のものと、違う味がする筈ですよ。
- 395 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:06:49
- >>359
>つ《招き猫》
カールが嬉しそうに眺めている、あの猫の人形>>368は
あなたが下さったのですね?ありがとう、とても可愛らしい。
何ですって、左の前脚を挙げているネコは来客を
右の前脚を挙げたネコは、財を呼び込むのですね―――?
では、カールが僕に似ていると仰ったあのネコは
.∧ ∧
..∩( ´∀`)
丶′笑 ⊂ 丶
( r )
>左のソロモンのように、やたらとにこやかなのは、…
いつも笑顔でいて、周囲に笑いを振りまきながら
お金を呼び込むのだと言うのですね―――やあ、面白い。けれど僕には難しいですねえ…、
…おや。今の僕なら簡単に出来る、だってあのネコにそっくりだものと仰る?
どうして。慥かに―――良く出来ている。凄いな、
他のネコも、兄弟たちや双子の女王によく似ています。けれどあなた…、
それは僕は、にこにこしている所は似ているかもしれませんけれど
僕の頬にはあんなヒゲはありませんし…僕の目は、あんなに大きくありませんよ。
それよりも、お礼にワインをどうぞ。
温かいものでも高価な王家のワインでも、どれでもお好きなものを。
- 396 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:08:07
- >>342
>ハロウィンの決めセリフはやっぱコレだね、言われたかな?
おやおや、お可愛らしい事を仰います。何ですって?
そう言われて僕らがどんな反応をするのか、あなたは知りたいのですね?
けれどあなた、僕にどんな悪戯を仕掛けるというのです―――
そうだな、寝ている間に顔に落書きをするとか?…無理です、僕は眠りませんからね。
出来るのならしてもいいのか、と仰る…もちろん、どうぞ。くす、
何しろ僕は、君にお菓子を差し上げたのですから、ね。
やあ、それは何です?
…鏡?
どんな仕掛けがしてあるのかな、どれどr――――――
―――――――――!?
- 397 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:09:27
- >>343
>最近あった、恥ずかしい出来事を語って下さい。
恥ずかしかったこと、ですって…?
それは―――僕は、今が一番恥ずかしいですよ。何しろ―――この顔―――
ワインのネゴシアンの様子が怪訝しかったのが、
ご来客が揃って今にも笑い出しそうにしておいでだったのが何故だか、
やっと判りましたよ。
…両方の頬を覆った手を、外せと仰る?どうしても、…ですか?
……わかりました。
いかがですか?立派なヒゲでしょう…。
僕はね、これを描いたかたは、随分遠慮なさったのだと思うのです。
眉をつなげたりですとか、口ひげや下まつげをお描きでなかったのですからね。
本当に奥ゆかしいかただ。僕はもっと思うさまにされて当然だったのですよ、
ソーニャ兄さんにも叱られてしまいましたし、ね?
彼はこう仰るのですよ―――
「お前がわたしをあんなふうに呼んで、お客人が喜んだから
のし棒まで振り上げて“やん…でれ”?を演じてあげたのに―――そうよ、
わたしちっとも怒ってなんかいなかったわ!なのに、
お前ときたら本当にやられちゃうんだもの!びっくりしちゃったじゃない!」
それで僕が、御免なさい、でも楽しかったでしょう?
僕は楽しかったですよありがとう、と言うと、頬をピンク色にして
「それは、ちょっとは…で、でも!
べつにお前を喜ばすためにやったのじゃないのよ!大事なお客様の為なんだからっ」
「お前もいい歳したお爺ちゃんなのだから、すこしは反省なさいっ」
…ほら、ね?>>357さんの仰る通りです。
>ツンデレ・ヤンデレに属さないシュヴァリエなんていないから
カールも兄さんも、可愛らしい所をお持ちなのだという事なのです
―――言っておきますけれど、褒め言葉ですからね?
おや、あなたそれは兄弟すべてに言えることなのだと仰る…判りませんねえ、
それでは僕は、どちらのうちに入るのですか?
- 398 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:11:18
- しかしね、>>342さんのくれた鏡を覗いて、僕は吃驚しましたよ>>396―――
ニクキュウの次はヒゲなのか、
アンシェル兄さんはまだあの研究>>346を諦めておいででなかったのかと
本気でwktk―――いや、背すじが寒くなりました。
もちろん、悪戯としてはお見事です。僕はそれは吃驚したのですから…
けれど、もしこれが兄さんの研究なら―――これではいまひとつです。
何故って―――ニクキュウに成功したのですよ>>346?
あれほど素晴らしい成果をあげているのですから、今度はそう
全員に、きちんと毛でふさふさの耳がもれなく備わるようにして貰わないと。
それが順序というものでしょう?ねえ、>>356さん―――
あなたのお気持ちは、本当によくわかりますよ。
>>356
>肉球シュヴァリエ……萌え(パタ
立てますか?手を。さあ、僕と一緒に。
僕らのこの手がニクキュウで、頭に猫の耳があれば、あなたそれは楽しいですよ。
解かって下さいますね?ではあなたにも、これを―――
ああ、いいえ、違うのですよ。
これはきちんとしたワインです、耳の生える薬ではありませんから安心して…おや、
そんなに残念がらなくても。
- 399 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/12(金) 02:13:03
- やあ、もうこんな時間ですか。僕はカールに呼ばれているのです、
何でもクリスマスには、皆で出し物をするのだそうで…お芝居の稽古をするのだと、
彼は随分意気込んでいてね。それに―――
早く顔を洗ってしまいたいのです。
ヒゲを生やしたままでは居られませんから、ね。
やあ、顔の落書きがこれだけで済んで本当に良かった―――あとで、>>341さんには
手加減して下さったお礼を言っておかないと。
それでは、今夜は失礼します。ご機嫌よう、おやすみなさ
―――おや、何です…?それだけじゃない、ですって?
何がです―――前髪で隠れてよく見えなかったけれど、何ですって―――
Oh―――Oh,
Qu'est-ce que ――――――c'est?
どなたですか!
僕のまぶたの上に―――ネコみたいな目を描いたのhバタッ。
- 400 名前:名無し客:2008/12/12(金) 07:03:18
- ソロモンニャンコ、しっかりして!(ぺちぺち
アンシェルの髭でジョリジョリ攻撃…は無理だから、
ここは一つグレゴリーの坊主頭とカールのキューテクルな髪で
くすぐって起こしてみようか?
- 401 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/12/13(土) 10:56:06
- >>318
>よっ、久しぶりだな。俺だよ俺。覚えてる?
>アンシェルはいるかい?
わたしの肖像画を描いて下さった貴方を、どうして忘れましょうか。
よくぞ、おいで下された。
何処でもお好みの部屋に、キャンバスとイーゼルと絵の具を用意させましょう。
折角お訪ねいただいたのに、申し訳ありませんが……
ソロモンも>>394で申しました通り、長兄は今お留守なのです。
最近館を空けられることが多い。人間相手の仕事が多忙を極めておられる御様子。
>>320氏の仰る通り「金融王」の異名を持つあの方ならではのことであろうな。
わたしはこれからも、留守を守っていこう。
庭が館が、荒れ果てることのないように。
客人にいつも気持ちよく過ごしていただけるように。
長兄が何時お帰りになっても、恥ずかしくないように。
それが、次兄たるわたしの役目であろうから――な。
- 402 名前:名無し客:2008/12/14(日) 15:48:52
- 一人ぼっちのお留守番は寂しいけど、
今は大丈夫だね。
- 403 名前:名無し客:2008/12/15(月) 19:58:46
- ソロモン様、血に飢えていらっしゃいませんか?
私の血をどうぞ好きなだけ吸ってください。
あなたになら、私の血、捧げても構いません。
- 404 名前:名無し客:2008/12/15(月) 20:29:37
- ソロモンは男の血が好みなんだよね
熱意に溢れた味がたまらないとか言ってなかった?
- 405 名前:名無し客:2008/12/15(月) 21:36:29
- 初心そうな若い女の子も誘惑してたよ
男女両刀なんじゃね?
- 406 名前:グレゴリー ◆gD.KishiHU :2008/12/15(月) 23:40:14
- >>316
>>翼手にも肉球があればいいのに
>>356
>>肉球シュヴァリエ……萌え(パタ
肉球?ネコ目の動物の足裏部に見られる盛り上がった無毛の部分のこと、ですか。
地表の突起物による負傷や磨耗から足裏を保護する役割を持ってはいるが
翼手に必要な機能であるとは思われぬ。――見た目が愛らしい?まあ、否定はいたしませんが。
確かに長兄は、多忙の中寸暇を惜しんで、翼手の生態に関する研究を続けておられる。
しかしそのような題材を手がけようなど……まさか、あるはずがない。
>>338
>アンシェル兄さんは…、
>『どうやったら翼手の手のひらに肉球が形成されるか』
>の研究をしておいでなのです。
………。
………。
ソロモンが、そのようなことを。
研究とは、山の峰に咲く美しい花を得ようと、道なき道を一人登っていくようなものだ。
失敗と挫折を幾度となく味わいつつ、時には劣等感にまみれながら、
峰へのルートを執拗に探るという、孤独な苦行。
その間は昼夜を問わず考え続ける。無論激しい肉体的精神的消耗を伴う。
知力の限界に挑むということはそういうことであり、
そうでなければ真理はその全貌を現してはくれない。
長兄はわたしを選んで下さった。孤独で過酷な真理への道を、共に歩むパートナーとして。
『翼手とは何であるのか?』この謎を追い求める研究に寧日なかったあの頃――
実験室で書庫で、わたしたちは長い時を共にすごした。
お互いに同じ室内にいるのが、いつしか自然なことになっていた。
昼夜を問わず、翼手という生物の限界について、口角泡を飛ばしたものだった。
だが、終日一言も言葉をかわさないこともしばしばだった。
それでも充分だった。格別話などしなくともよかった。
あの方がそばに居るということだけで、心が満たされ、平安なのだった。
わたしたちは分かちあってきた。誉れも憂いも、学問から齎されるもの全てを。
それなのに―――
知らされていなかった、長兄がそんな実験をなさっていたとは。
これまでそのようなことは、決してなかったのに。
この事実から導かれる結論は一つ。………認めざるを得まい。
長兄はもう、わたしを必要としておられぬのだ。
―――わたしが至らぬからである。
- 407 名前:名無し客:2008/12/16(火) 07:05:46
- アンシェルのネコ耳は毛がないからグレゴリーに見せなかったんだよ!
必要されてないからじゃないよ、あ、でもハゲだって言ってないからね?
- 408 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/18(木) 01:51:31
- こんばんは!
>前637
>ねーもんもんは人間キライ?私のことも、キライ?(´・ω・`)ポシューン
大丈夫、あいつは君を嫌っていないさ。元気をおだしよ。
ああ、君は泣き出しそうだね。こんなありきたりな慰めじゃ駄目なのかい?
うーん、では卒爾ながらこの僕が、ソロモンを悩殺する方法を伝授しようじゃないか!
あいつとは長い付き合いだから、どうすれば気を引けるかくらいは知っているからね。
だからどうか笑っておくれ。
最初にソロモンの好みを熟知することだ。
あいつは自分が要領よすぎるせいか、ウブで世慣れていない相手を好むらしいんだ。
ベトナムでも小夜のいたいけな様子に心魅かれたらしいよ。
あいつ自身、何度も言っているね。生まれたてのひよこのように無垢で愛らしかったと。
(僕の前でぬけぬけと――いや、今はそんな場合ではなかったね)
だからね。
君はソロモンの前で、ひたすら愛くるしく、あどけなく、無垢な存在になればいい。
あいつはひと目で魅了されるだろう。
君のことが忘れられなくなるだろう。
さあ、いいかい?
まだ幼な子だった頃の純真な気持ちを思い出してごらん。
今から君はひよこになるんだ。
それもこの世で最もイノセンスなひよこに!
ほらっ、
折りよくソロモンがそこにいる。僕がお手本を見せてあげよう。
よく見ているんだよ。
……まずは心を空にする。無心になる。
なにげない足取りでソロモンに近づく。
静かに、そして少し頼りなげに。
ソロモンが僕に気づいて、ふと顔を上げる。
僕はすかさず小首をかしげ、じっと見つめて、トドメの殺し文句を放つ――!!!
・・・ぴよ。
(ほら、次は君の番だよ!)
- 409 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/18(木) 01:55:24
- >前620
自分の身長の利点と欠点を教えて?
僕の身長は兄弟の中で最も低い――悔しいことだが。
数少ない利点は――、ふはははっ!
僕が一番、愛しいディーヴァと身長が近いってことだよ!
これは意外と良いことなんだ。
僕とディーヴァは目の高さが近いからね、
彼女がふっと横を向くと、一番目が合いやすいのが僕なんだよ。
ディーヴァがしばしば僕を遊び相手に選んだのは、それもあるかもしれないね。
欠点というか背が低くて困るのは、若く見られてしまうことかな。
生まれた年も、シュヴァリエになったのも、わずかにしか違わない
ソロモンは兄貴ぶるし、弟であるはずのジェイムズやネイサンでさえ、
僕を年下のように扱うんだ。
あの背の高い弟達ははやたらと僕を見下ろすしね!
- 410 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/18(木) 01:55:47
- >前605
>翼手の宇宙空間、深海等での適応可能性について考慮してみて
やあ、親愛なる研究所員の名無しさん!
宇宙空間での適応性だが、翼手も真空の宇宙では宇宙服を必要とすると思うのだよ!
だがね、僕達シュヴァリエは変態するじゃないか。
伸縮性のない宇宙服を着て変態したら、とても危険な
ストリップになるはずだがどうだろう。
深海では――やはり適応は難しいかな。
しかし超深海層にだって、住んでいる魚はいるというじゃないか!
翼手は定型の姿を持つかどうかも定かでないんだ。
長い時間をかければ、深海に適応した姿に変化するかもしれないよ。
きっと光が届かぬ深海に住む魚のように、体の割りに目が小さくなって、
大きな口には鋭い牙が生えるんだろうね。
……えっ、今と変わらないじゃないかって?
- 411 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/18(木) 01:59:10
- >>381
>ネグリジェとナイティどう違うの?
ナイティというのは、寝室着全般を指す言葉のようだね。
パジャマもネグリジェもナイティというわけだ。
ネグリジェとパジャマの違いは、ものの本によると
ズボンがあるかないかの違いらしいよ。
それからパジャマは男女両方が、ネグリジェは女性が着るものだね。
そしてどの寝室着にも言えることは、どれも僕達シュヴァリエには
必要ないものだということさ。
ところで18世紀までは、男もネグリジェだったそうだ。
アンシェルは19世紀初期の生まれだそうだが、もし彼がもう少し早く
この世に誕生していたら、アンシェルもネグリジェ姿で眠っていたのだろうか。
……あまり想像したくはないが。
- 412 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2008/12/18(木) 02:01:46
- >>382
>あったかいねー……むにゃ Zzzzz
おや――、君がうたた寝をしている。
暖炉の火が心地よく部屋を暖めているから、気持ちよくなって眠ってしまったのか。
人間と違ってシュヴァリエは眠らない。
僕達は自らは眠らずに、女王の眠りを守るんだ。
君達、お客人のまどろみもね。
だから今は、ゆっくりとおやすみ。
君の体を冷やさぬために、僕はそっと毛布をかける。
火を絶やさぬために暖炉に薪を足す。
物音を立てぬよう、忍びやかに。
君の眠りを妨げないように。
しかし守護者であるシュヴァリエも夢の中には入れない。
もし君が悪夢に捕らわれても、僕達は助けに行くこともできない。
だから人間のお客人、君はどうか良い夢を。
目が覚めた後は幸福な気分で家路を辿れるように。
このわずかなひとときだけは安らかに――おやすみ。
今夜はここで失礼させていただくよ。
ご挨拶をしていないお客人を残したままで申し訳ない。
しかし必ずまた押し売りのようにやってきて、お返事すると誓おう!
それでは人間の皆さん、おやすみなさい。
- 413 名前:名無し客:2008/12/18(木) 08:17:03
- ニコライ皇帝夫妻はそれぞれにオルゴールを持っていたね
そして数十年後、そのオルゴールはどうなったんだっけ?
- 414 名前:名無し客:2008/12/20(土) 14:12:51
- ヴァンから貰った飴、食べた?
- 415 名前:名無し客:2008/12/22(月) 11:25:48
- 考えてみたら唯一カールだけが小夜の項に牙を立てられたんだね
- 416 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/23(火) 05:26:37
- >>400
>ソロモンニャンコ、しっかりして!(ぺちぺち
>アンシェルの髭でジョリジョリ攻撃…は …
はっ――――――いいえ!それには及びません!
…御免なさいね。急に倒れたりして、吃驚したでしょう?
けれどあなたの一言で、すっかり目が醒めました―――何て怖ろしい。
やあ、これで二度も気を失ってしまいました。
余程の事がないと、気絶したりなどしないのですけれどね…
ですがそれがどうしてだか、何となしに判りましたよ。
…ここの所、食事を疎かにしていましたからね。きっと貧血なのです。
そうそう…、僕はカールに呼ばれているのでした。
心配してくれて、ありがとう。顔を洗って来ます、それではまた後で。
- 417 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/23(火) 05:27:59
- >>344
>今年のクリスマスプレゼント、誰に何をあげるかはもう決めていますか?
やあ、カール。お芝居の準備でしょう?判っていますよ。
その前に、君に渡したいものがあるのですよ―――おやおや、
渡す前からそんな、あんまりですよ?
いいでしょう、クリスマスなんですから―――君にはこれをあげます。
何って…セーターですよ。
…おや。どうしてこんなものを気持ち悪い、と仰る?
まさか。心配しなくても手編みじゃありませんよ、既製品です。
パリの街でアオザイを着ていたのでは目立ちますから…ええ、
僕がね、行きたいところがあるのです。
だから君に、ついて来て貰おうと思って―――何です、
男が二人で、クリスマスで浮き足立ったパリの街をだなんて信じられない?
僕だって信じられません。
でも、好いじゃないですか―――学生の頃はよく、二人でぶらぶらしたでしょう?
こういうものを着るのは、慣れませんか?大丈夫、
僕も同じような格好で行きますから。それに、君には似合うと思うけどな…
ボーダー柄はトレンドなのですよ、合わせてみてご覧なさい。
…おや。袖が少し余るな。裾も一寸長いや。
ごめんごめん、でもやっぱり似合っていますよ。短いよりはいいでしょう?
街へ何をしに往くのか?…ほら、グレゴリー兄さん、
頭が寒いと仰っていたでしょう?>>387ですから彼の為に―――
あ、アンシェル兄さんも?そうでしたね。ではおふたかたの為に、
パリへ帽子を選びに行くのですよ。
兄さんたちに似合いそうな、暖かい帽子を探しに行きましょう。
それに、あるじの枕もとを飾るものも―――
おや。何です、その顔は…仕方がないからついて行ってやってもいい?
くす、ありがとう。
その代わり―――何です?…やあ、お芝居の事ですね?
- 418 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/23(火) 05:29:19
- >>358
>ラスカル達ってアダムスファミリーみたいだよね
ラス―――やあ、僕らのことですね?面白そうじゃありませんか、
それで…君が舞台監督をやるのですね、カール。僕は何の役をやればいいのかな。
これを着ればいいのですね…、頭にはこれを?やあ、本格的にやるのですね。
わかりました、一寸待っておいでなさい。着替えますからね。
しかし―――よく見ると、この衣装とかつらは―――
>>367
>長女ウェンズデーに次兄グレゴリー。…と、見せかけて、ソロモン、お前だ!
僕ですか?グレゴリー兄さんじゃなくて?
…四の五の言わずに着けてみろと仰る。はあ、慥かに小さいころは
女の子みたいだとよく揶われましたけれどね…お屋敷のメイドさんに、
寝ている間に女の子の格好を―――はい、はい、わかりました。
…これで、いいですか?
恥ずかしいな―――僕は一体、どんなふうになっているのです?
姿見を…、
やあ、これは、――――――
……………ふうん…。
- 419 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/23(火) 05:31:11
- 皆さんご機嫌よう。お稽古はどうだったって?それは愉しかったわ。
父さんに―――そうよ。アンシェル兄さんよ。あの人に怖い話をしてあげたの。
あの人、あんな役をやってはいるけど、お化けなんて心の底から信じちゃいないわ。
だから私言ってやった。覚悟しておかないと、こわいことになる。
お化けは言うのよ、どうしても私の存在を信じないなら力を証明してやる―――
そして次の朝、―――兄さんが起きたら、頭が増毛前に戻ってたのよ!!
兄さん、プルプル震えてたわ。額には青筋が浮いてた。可笑しいったらないわ…、…
……全く、私にアンシェル兄さんのような変な…女装の癖がついたら、
カールどうしてくれるつもりなのかしら。血で贖ってくれるのかしら。
大体…、ハジの方が役に適っていますよ。皆さんいいですか、
アダムスさんの家ではね、金髪の巻き毛で笑顔の可愛らしい子供は
縁起が悪いのですよ。そんな子供が産まれたら、それは凶兆なのです。
その子供が将来、医者や大手製薬会社のCEOにでもなってご覧なさい
―――不名誉ですよ。一家の恥です。だから僕には不向きなんだ。
その点ハジなら笑いませんし、血色が悪くて不気味だし、
髪だってかつらなんて着けずに、そのままお下げにすればいい―――おや、
すでに彼には役が振られているのですか?いいですよ、替えましょう。
やあ、彼はあの執事の役を?………じゃあ、このままで結構です。
…それにカール、あの子にだけ役がないなんてずるいのよ。
役者が演出を兼ねるのはよくある事だってネイサンも言ってるわ。
兼ねるのが大変だって言うんなら、手だけでもいいじゃない。
まだハンドが残ってるわ―――、
そうよ。血の宴よ。
- 420 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/23(火) 05:33:39
- やあ、グレゴリー兄さん…!
その頭―――本当に、何度見ても勿体ない。立派な銀髪が…けれど、やあ…
これは格好良いフェスター伯父さんだ―――すらりとして―――おや、
そういうお前こそ女装が板についてきたじゃないかと仰る?
はは、いや…。まさか。僕に限って…、そんな。
そんな事より兄さん、これを見て下さい。
ご来客に、お歳…暮?なのだといって、こんなものを頂きました―――
ええ、牡蠣です。殻がついたままの、新鮮な牡蠣です。
なんでも、火を通さずに食べられるのだそうで…おや、信じられない、と仰る?
ええ、マルセイユの辺りにも生牡蠣はありますけれど
僕もあまり口にした事がなくて。けれど兄さん、
日本人だって、エスカルゴを信じられないと言うのですよ。…丁度ね、
兄さんには白ワインを差し上げようと思っていたのです。調理にも使えますし、ね。
牡蠣には辛口の白ワインが、よく合うんでしょう?
ですから兄さん、試してみませんか―――万に一つの事を考えると、
ご来客には生のまま出せませんから…僕らで。
おや、僕が言い出すなんて意外だと仰る?だってご来客の誰もが、
貴方の作ったものをそれは喜んで召し上がるのですよ。それをいつも見ていれば、
偶には人間でいた頃のように、楽しんでみたくなります―――
白ワインは、2005年もののシャトー・オー・ブリオンを選びました。
【Chateau Haut Brion Blanc 2005】
2005年はグレートヴィンテージの年でね、中でもこれは
あのシャトー・ラフィットと並ぶ、第一特級ワインなのです。
まだ新しいヴィンテージものですから、すぐに飲んでも美味しいですし
暫くセラーに仕舞っておいても、良い味が出るんですって。
ええ、僕らの時間は長いのですから、色々な事を試さないと損です。
それじゃあ、ご来客が寝静まったら…約束ですよ。
- 421 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/23(火) 05:35:31
- >>404
>ソロモンは男の血が好みなんだよね
おや、よく憶えておいでですね―――ええ、好きですよ。
野心に満ちて、生命力に溢れた青年の血は…とろりと濃くて、
食事するのに効率が好いのですね―――けれど…、ここには
いま見渡してみても、なかなかおいでになりませんからね…そういうかたは。
けれど、喉が渇けば―――どんな人間でも、美味しそうに見えるものなのですよ。
そうそう、>>405あなたの仰る通りで…そういう時には、
胸元の開いたドレスのお嬢さんの首すじを、どうしても目で追ってしまいます。
僕が目を遣っているのに気がついてくれれば、あとは
彼女をダンスホールの外へ、人目につかない垣根の向こうへ誘い出すだけだ―――
あなた知っていますか―――人間の血は男と女とに関わらず、
その生まれ育ちや生きた年月の差によって、匂いや味が違ってくるのです。
例えば―――都会で働く人の血は金銭の匂いが、畑を耕す人の血は土の匂いがする
生まれたての赤ん坊の血なら、瑞々しい混じり気のない味がするでしょう
年寄りの血なら、知恵と家族を育てた古い家屋の匂いがするでしょう
旧家の旦那さまの血は高価な辛口のワインの味が
そのご夫人の血はとろけるように甘いプリテュール・ノブルの味が―――
…これを教えて下さったのは、グレゴリー兄さんです。
彼は、食事の楽しみかたをよく知っている。だから料理が巧いのでしょう…、
こんな話ばかりしていたのでは…やあ、困ったな―――。
- 422 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2008/12/23(火) 05:38:03
- >>403
>ソロモン様、
やあ。君、ご苦労さまです。
いまはクリスマスの準備で、忙しいでしょう…どうしました、こんな所に一人で。
先ほどは、皆さんで大きなツリーに飾りをつけていましたね?
あれはどうしたのです…やあ、カールが>>379?
凄いな、お屋敷の3階ほどもある、巨きな樅の木でしたよ―――
>血に飢えていらっしゃいませんか?
おやおや、どうしてそう思うのです?はは…、
僕はそんなに物欲しそうですか?
>私の血をどうぞ好きなだけ吸ってください。
あなたの血を?
簡単に仰いますけれど、…ほんとうは怖いのでしょう?
手が震えている―――小さな手です。それに冷たい。水仕事をしておいででしたか?
こんなに華奢なのでは、あなた…一寸啜っただけで、すぐに失くなってしまいますよ。
…それでも?困りましたねえ…、
では、こちらへいらっしゃい。
暖炉に火が入っていますから。どうぞ。
部屋に入ったら、鍵をかけて…そうです。君の手で。
もっと近くへおいでなさい。ここは暖炉の明かりしかなくて、姿がよく見えないのです。
さあ、―――こちらへ来て、項を見せてご覧なさい。おや…、
君、血を差し出すという事は、そういう事ですよ。判るでしょう。…さあ。
早く、その邪魔なリボンを解いて。…そう。よく、出来ました。
やあ…、白い項です。皮膚も薄い―――ここが脈打っているのが、わかりますか?
この下を温かい血が流れている…、でも―――ここに傷をつけるのは勿体ない、
痕になりますよ。君、本当に、いいのですね…?やあ、けれど
けれど、ああもし君が厭だと言っても―――喉が渇いて―――もう、我慢できない。
…おや。
いけませんよ、そんな小さな声では誰も気がつきません。それに…
そこへ鍵をかけたのは君じゃないか―――いいえ、放すものですか―――ええ、
そう、僕は君が思っていたような美しい生き物じゃないのです。
醜い化け物なのですよ…、やっと気がつきましたね―――でももう遅い、
動かないで。大丈夫、頸のつけ根をほんの少し刺すだけです―――
――――――ぷつり、
ああ、好い匂いだ―――
痛いですか?
御免なさいね、
でも、
あと…もう少し。
…やあ、美味しかった。君、
ありがとう、落ち着きました―――
君、君…、
ああ、だから言ったのに。お可哀そうに―――ご馳走さま。
- 423 名前:名無し客:2008/12/23(火) 12:02:17
- ソロモンよく似合うね、ハジも一緒にウェンズデーの格好をしたら面白そう。見れなくて残念だよ。
翼手は醜い化け物ではなく血を糧とするヒト科の一種。
ディーヴァの血を利用したD67、小夜の血を利用した翼手病の治療薬を
作り出す事もできたんだろうね。
コリンズ博士とヴァンがいなければまた変わっていたかもしれないね?
- 424 名前:名無し客:2008/12/24(水) 11:13:15
- ロシアのホワイトクリスマスは
激しいって聞くけど、髪も飛ばされる?
- 425 名前:名無し客:2009/01/04(日) 09:29:16
- マルティンがティーヴァの寵を得たのは、彼女の求めるものを理解したから?
- 426 名前:名無し客:2009/01/04(日) 13:14:39
- ベトナム、ロシア、フランス
時代によってお正月の過ごし方は違う?
- 427 名前:名無し客:2009/01/18(日) 10:52:07
- 美味しそう
- 428 名前:名無し客:2009/01/18(日) 22:20:16
- 皆いなくなっちゃったね…
- 429 名前:名無し客:2009/01/19(月) 06:18:19
- >>428の背後にいるよ?ほら
- 430 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/01/24(土) 03:06:07
- >>428
>皆いなくなっちゃったね…
>>429
>428の背後にいるよ?ほら
ご機嫌よう。
おや、すみません。驚かせるつもりはなかったのですよ?
>>428さん、心配をかけて御免なさい。>>429さん、あなたも。
この通りで、僕はここに居ますよ。
あなたがたがおいでになる限り、いつまでだってここに居ますよ―――ありがとう。
あなたがた、お久しぶりです。
ご挨拶がすっかり遅くなってしまいました―――年明けのお祭り騒ぎが終わって、
ここも随分静かになりましたけれど…何しろお屋敷の給仕の皆さんが
質の悪い風邪で寝込んでしまって、あまり忙しかったものですから。
あなたがたは、里帰りをしておいでだったのですね?
それじゃあ改めて、ご挨拶をしなくては。
Je vous souhaite une bonne et heureuse année ―――
今年も、好い年になりますように。
やあ、昨年はとてもいい時間が過ごせました。
みんな、あなたがたのお陰ですよ。本当にありがとう。
- 431 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/01/24(土) 03:08:53
- >>426
>ベトナム、ロシア、フランス
>時代によってお正月の過ごし方は違う?
あなたがたは、年の初めは何日か、仕事がお休みになったりするのでしょう?
僕らはそんな事はありません、あっさりしたものですよ。
ベトナムやロシアでは…そうだな、それはカールやグレゴリー兄さんに訊いた方が
面白い答えが返ってくるかも知れませんね?
こちらではどちらかというと、お正月よりもクリスマスの方が派手だなあ。
今も昔も、それは変わりませんよ。
お正月だから何か特別にするのかといえば、そうでもありませんし…ほら、
お屋敷の前に、今年もカドマツを据えたでしょう?ああいう事はこちらでは…
ああ、ひとつありました。
あなたがた、Galette des Roisを見たことがありますか?
ガレット・デ・ロワ、王冠の載った、かわいらしいケーキです。
フランスでは年が明けると、皆でそれを囲んでゲームをするのですよ…
おや、ご存知ない?―――それはいけませんね!
あなたがたフランスに居る以上は、それを食べないと一年が始まりませんよ。
…ちょっと待っておいでなさい、キッチンに話をつけてきますからね。
- 432 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/01/24(土) 03:10:06
- ではあなたがた、ケーキが焼きあがるまで、お話をして待ちましょう。
随分待たせてしまいましたけれど、折角頂いた質問に答えて差し上げなくてはね。
>>402
>一人ぼっちのお留守番は寂しいけど、今は大丈夫だね。
やあ、そうですね。僕らは、いつだって退屈をしません。
毎晩、人間が活動を始めるまで夜通し待つときも
眠っているあるじが目を覚まして、可愛らしいあくびをするのを待つときも
寂しく思った事なんて、ありませんでしたよ。
僕らには人間の仕事も、面白可笑しい兄弟もありますから、ね。
その点…ハジは、小夜のたった一人のシュヴァリエです。
これまでも、そして―――これからも。
彼はこれまで、小夜が眠っているあいだ
人間が寝静まった夜の間、何をして過ごしてきたのでしょう?
たった独りで、只管あの楽器を弾いていたのでしょうか?それとも、
街の石畳の上を、靴底を鳴らして夜通し歩いたのでしょうか―――
彼は、これから先もそれを繰り返すのでしょうか。
それが退屈ではないのでしょうか、寂しくならないのでしょうか?
もし、僕が小夜の傍に、まだハジと肩を並べて居られたなら…くす、
彼はきっと退屈しなかったでしょうね。
僕は彼が羨ましい―――小夜を待つあいだ、彼がどんな気持ちで居たのか知りたい。
一晩中、小夜の寝息をすぐ傍に感じて、小夜のことだけ考えて居たい。ですから…、
>>361
>作中の誰かと立場をチェンジできるとしたら誰としたい?
くす、僕はハジになりたいな。…おや、絶対にそうは言わないと思った?
そうでしょう。でもここにハジは居ないので、いいのです。何度でも言います、
僕はハジが羨ましい。
小夜が30年ぶりに目を覚ました時、どんなに嬉しいのか―――
目が覚めたばかりの、赤ん坊のような彼女に目覚めの血を差し上げるのが
彼女を寝かしつけるために、静かにチェロを弾いて差し上げるのが
どれほど心地好いことなのか―――僕は、知りたかった。それに、何より
この先ずっと、彼女と二人きりで静かに生きていける彼が―――
ディーヴァのご息女が成長するのを、見守っていける彼が
僕は、心から羨ましいのです。
それに…ハジには小夜に頬をぶたれるのがどんな気持ちか、知って貰いたいですから。
ああ―――けれど、彼は小夜に叩かれて喜ぶかも知れませんね?犬ですからねえ。
困ったな、どうしましょう。
- 433 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/01/24(土) 03:11:04
- >>414
>ヴァンから貰った飴、食べた?
食べましたよ。ええ、僕も貰いました、何度となくね。
おや、アンシェル兄さんは飴を握らされるなり、暖炉の火にくべてしまったのですか?
それは勿体ない―――彼はご存じなかったのですね?
ヴァンのキャンディーは、それは美味しいのですよ。口さみしい時には、丁度好い。
とりわけ彼が、オキナワへの出張の時に仕入れてきたものは…他とは違いましたね。
クロアメ、といいましたか。
彼も言っていました―――パリの名店のキャンディーでも
日本の菓子メーカーの商品には及ばない、とね。ファルマシーの製菓部門に
見習わせるのだと言って、わざわざサンプルを持って出かけていましたよ。
開発部は日本支社に据えるべきだとも、しつこく主張していたな…くす、
彼は、いつでもあのように美味しい飴が手に入る環境を作りたかったのですね?
本当によく働くかただ―――お陰で
アメリカの軍事拠点で配布した、あのキャンディーバーは好評を頂いて
それは沢山の人間が口にしたそうじゃないですか。―――はは、
彼は、アメリカ軍にもっと高く評価されても良かったんじゃないかな。
…おや、カールも彼に飴を握らされたのですか?
受け取らないので、アオザイの合わせに無理やり…?それはまた強引な。
初めて聞いたな、カールはそれをどうしたのでしょうね?
- 434 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/01/24(土) 03:14:51
- >>425
>マルティンがティーヴァの寵を得たのは、彼女の求めるものを理解したから?
さあ、どうだったのでしょうね…あの頃の事を考えると、
思い出すことが沢山あります―――マルティン兄さんは、確かに
あるじととても仲が好くておいででした。
僕では彼らの間に割って入る事は出来ないと、そう思っていました。
もちろん、それはアンシェル兄さんとディーヴァについても同じです。
僕が初めて見た、彼らが二人でいる光景は…
ご自分の手のひらを切って差し出す兄さんと、赤ん坊のようにそれを啜る彼女の姿は
印象が強過ぎました。その時…おや、今はそのお話ではありませんでしたね?
…そんな事ですから、僕にも確かな所はよく判らないのです。
ただ…、ひとつだけ、これはと判る事ならあります。
あなたがた、ケールシュタインハウスを知っていますか?
そう、よくご存知ですね…あれは絶壁の頂上に立てられた、ナチス総統の別邸です。
あれを建てさせたのは、マルティン兄さんなのですよ。
総統の50歳の誕生日に、あのティーハウスを差し上げたのです。かかった費用は、
およそ3,000万―――いや―――あなたがたのお金で、そうだな…
今なら200億円くらいかな。それも軍事費を含む国家予算からの、200億円です。
絶壁に高級建築をする技術はもちろんのこと、特に贅を尽くしているのは
邸へ上がる為の…黄金で意匠されたエレベーターです。
けれど総統は、あの別邸にあまり寄り付きませんでした。
あなた、どうしてだと思いますか?
…いいえ、違います。総統は兄さんに、それは大きな信頼を置いていました。
それでは、どうして?
あなた知っていますか…ヒトラーは、高い所が苦手だったのですよ。
彼の側近だった兄さんが、それを知らない筈がありません。兄さんはあの別邸を、
総統の高所恐怖症を知りながら絶壁の上に建てたのです。
どうして…、やあ、これは簡単です。何故って、総統の為ではなかったからですよ―――
もう判りましたね?
兄さんは、 総統ではなく彼の「愛人」の為に、あれを建てたのです。
絶壁の高みにあるじの為の寝床を作り、そこへ行く道を黄金で飾る
…シュヴァリエの考えそうな事でしょう?
その為に彼は、当時のドイツの国家予算を切り崩したのですよ―――どう思いますか?
くす、…素晴らしいじゃありませんか。
シュヴァリエの最優先の責務は何でしょう?
あるじの為に、いつでも最高の食事ができる環境を選ぶ事
あるじの為に、快適で安全に眠れる寝床を手配する事
ゴールドスミスの眷族にして、ディーヴァのシュヴァリエともあろうものが―――
そのくらいの事いとも簡単に出来なくて、どうするのです?
…彼女もきっと、彼のそういう豪胆な所が気に入ったのに違いありません。
- 435 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/01/24(土) 03:19:17
あなたがた、おいでなさい。ガレット・デ・ロワ>>431が焼けましたよ。
今回はほんの少ししか、お話が出来ませんでした…
残念ですけれど、またすぐにご挨拶にあがりますからね。
さあ、ケーキの上の王冠を取って。ナイフを入れて、ここに居る皆さんで分けましょう。
…ゲーム?やりますか?あなたがたが望むなら、構いませんよ。
ルールは簡単です。
このケーキの中にはね、小さな可愛い人形がひとつだけ入っているのです。
どこへ入っているかは、切り分けてから中を開けてみないと判りませんけれど…
分けたケーキからそのお人形が出てきたかたが、このゲームの王様になるのです。
…王様ゲーム?何ですかそれは―――、……ううん、少し違うようですね?
このゲームでは、王様の命令が決まっていて…ええ、
王様はそこにいる人をひとり選んで、自分のお妃にするのです。
それで選んだお妃に、キスをするように命じる―――はは、そう、これは
当たりくじを引いた人に、誰が好きなのか告白させるゲームなのですね。
あなたがた、本当にやるのですか?
…おや、嬉しそうですねえ。僕も?いいですよ。それじゃあ、切ってあげましょう。
こういったゲームに混ざるのは、本当に久しぶりです…ほんの子供の頃、
まだ人間の兄弟たちと一緒だった頃が最後かな。
やあ、お人形が出てきましたか?王様は、どなたですか?
あなたですか。くす、王様というより―――王女様ですね?
王女様、王冠を被って。おめでとう。君の王子様は、誰ですか?
やあ―――、…おやおや、はは…それは、困りましたね。
わかりました。ルールですから、仕方がありませんね?さあどうぞ、目を瞑って。
- 436 名前:名無し客:2009/02/03(火) 01:06:57
- 人生で最悪の瞬間! はどんな時?
- 437 名前:名無し客:2009/02/04(水) 23:59:45
- 権力は男の化粧品?
- 438 名前:名無し客:2009/02/05(木) 07:23:08
- ソロモンのkissで思うこと一つ
兄弟でハグしたりしないの?
- 439 名前:名無し客:2009/02/12(木) 17:16:26
- ある博物館にロシアのオルゴールがあるね
- 440 名前:名無し客:2009/02/27(金) 12:52:15
- 隠し芸やってみせてよ
- 441 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/03/01(日) 03:40:02
- ご機嫌よう―――御免なさいね?
また、月が変わってしまいました。早いですねえ。
けれどまだ風が冷たい、あなたがた、お屋敷へ入りましょう。
温かいものを用意するように、キッチンに言ってありますからね。
おや。僕のこの格好が…おかしいですか?
まるでバーテン…?いやだな、給仕の格好です。
白衣よりはましですけれど―――執事の制服なんて、僕も恥ずかしいのですよ?
けれどまだ、給仕の皆さんのあいだに流行り風邪があるようでね…
お手伝いで、少し忙しくしていたのです。
あなたがたも、やりますか?それはありがたい、
ではメイド長の小母さんに、頼んでご覧なさい。制服を貸して下さいますよ。
>>440
>隠し芸やってみせてよ
…隠し…芸…?この時季に、ですか?
それは具体的に…どういう事をすればいいのです?…ははあ、成る程。
けれど僕は―――それは、僕は人間ではありませんけれど
何か特別、変わった能力があるわけではありませんから…ええ、
そこにあるスプーンを曲げたり、そういった事は出来ませんから。
そんな事ではなくて?ではどういう―――ははあ、
そこのテーブルクロスを?何ですって、
燭台に火を入れて、それを倒さずに?
グラスにワインを注いで、それを溢さずに…?無茶です。
…は?………出来ないのか、…ですって…?
―――わかりました。
ディーヴァのシュヴァリエともあろうものがこれくらい―――
テーブルクロス抜きくらい出来なくて、どうします?
それ、un―――deux―――trois!!
……………ああ……。
だから、言いましたのに。
- 442 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/03/01(日) 03:41:51
- >>423
…おや?あなた、いま何と仰いましたか?
>翼手は醜い化け物ではなく血を糧とするヒト科の一種。
少しお待ちなさい―――僕らと、あなたがたを
同じ科目で括るのですか。それも―――僕らが、あなたがたの分類に、含まれる?
…僕はてっきり、あなたがたにとって僕らには
もっと相応しいカテゴリがあるものとばかり思っていました。
そう、人の血を吸う化け物―――吸血鬼のようなものかと。
けれど、あなたにとっては違うのですね?僕らは
あなたのように純粋でけがれのないかたと同じだと仰るのですね?
それは当然―――僕らのあるじは、決して醜くなどありません。
もちろん花嫁もです。彼女達は無垢で、人間の世界に蔓延する穢れなど知りません。
だから…たやすく利用されてしまったのでしょうね?
僕の、血を分けた兄弟も同じです。
アンシェル兄さんも、グレゴリー兄さんも、カールもジェイムズもネイサンも
ええ、仰るとおりハジだって―――一途です。
皆あるいはあるじへの愛に、或いはご自分の欲求に忠実に生きておいででした。
それを純粋と呼ぶのなら―――かれらは迚も純粋です。
彼らを醜い化け物とは、呼べませんね。
では…、僕は?
醜くなんてない?それはそうでしょうね、僕もこの姿は気に入っています―――
品の良い金色の巻き毛に、緑色の瞳。あなたのように、美しいと褒めてくれるかたが
人間の中にはそれはたくさんおいでだ…、便利です。けれど、
ここを開いてみたら、どうでしょう?
お腹を開けたら、真っ黒かもしれない―――ひょっとしたら、
黒なんて気高い色ではなくて…もっと酷い色かもしれません。はは、
人間の皆さんはそのあたり、なかなか鋭くて
僕らの物語をご存知のかたは、揃って僕のことを
どっちつかずのコウモリ男だとか、やあそうだ、
ふくらはぎに少女を載せて連れ去る変態だとか仰いましたね?懐かしい。
それに…成る程、
>コリンズ博士とヴァンがいなければまた変わっていたかもしれないね?
ヴァンやアイストン教授のような人間が居なければ?―――くす。
あのような人間なら残念ですけれど、掃いて捨てるほど居るのですよ。
彼らでなくても何も変わりはしません―――いつの時代も、どこに居ても、
そういうものです…人間なんてものは、ね。
…こんな僕でも、人間であるあなたにとって醜くないと仰るのなら
あなたは純粋なかたです。
あなたの血も、きっと佳い匂いがする―――僕は、あなたが好きですよ。
- 443 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/03/01(日) 03:43:28
- >>317
>チュパカブラと翼手って親戚?
それは…何の絵ですか?
やあ、これは。あちこちで発生して、まだ回収されていない個体の報告かな。
それなら僕の親せきですね?けれどあなた、そういうお話は
ゴルトシュミットの跡継ぎの彼に持って行って差し上げたら…、…おや、違うのですか?
D-67による翼手に、慥かによく似ていますけれどね。
そういえば先ほど、カールが面白い事を言いましたね。>>347
その発想はなかったな…ええと、割かし形がネイサンに近いので彼じゃないか、と。
はは―――慥かに、いま彼がどこでどうしているのか、全く判りませんから―――
もしそうであっても、別段おかしくないのですけれどね。
けれど…ははあ、その生き物は、家畜の血を吸って生きているのですか。
それじゃあ考えにくいかもしれませんねえ?
少なくとも僕は…けものの血なんて口に出来ません。どうも生臭くてね。
ほら、サシミやノリが食べられないかたが居るのと一緒です。
こう食事に事欠かない、恵まれた環境にあると、舌が肥えるのかもしれませんけれど
―――ええ、とても口に出来るものではありません。
D-67の個体が、犬の血を摂る様子なら
観察された事がある、と聞きましたけれどね。…やはり、あなたの仰るそれは
そのうちの一個体なんじゃないかな?
そうだ。あなた、一寸ジョエル・ゴルトシュミットの処へ行って
その絵を見せて、こう訊いてごらんなさい。
「赤い盾は、まだ翼手の回収に手こずっているのですか?」
―――くす。
怒られるのが怖ければ、ソロモン・ゴールドスミスの伝言だと言って構いませんよ。
ひょっとしたら、その生き物について…面白い答えが返ってくるかも知れません。
- 444 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/03/01(日) 03:44:31
- >>320
>金融王、その名は飾りじゃないね
それは兄さんの事ですね?
やあ…、そうですね。これは自慢話なのですけれどね、彼はそれより他にも
色々な肩書きを持っているのです―――例えば、彼がお住まいのイギリスでは
彼はサー・アンシェル・ゴールドスミスと呼ばれているのですよ。
彼は投資家としての業績を認められて、イギリス女王から士爵位を賜ったのですね。
はは、ええ、格好良いですね?あなたがた今度から、彼を卿と呼ばなくては。
けれど―――あなたの仰るような評価を受けるには、
肩書きだけではいけませんね。
まるで映画の悪役のように、全身が総毛立つような笑顔が出来なくては。
あなたがたの言葉に、言いくるめて唸らせるような回答を寄越せなくては。
僕はこんな見てくれですから、―――ほら、僕は
兄さんみたいに怖かったり、気味が悪かったり額が**ていませんから。
ですから彼には随分、面倒をかけてしまいました。
僕がひとりで居るよりも、彼が横に居た方が部下は思うように動くのです。
…おやおや。何を仰いますあなたがた―――これは悪口じゃありません、
僕は彼に恩があります、今だってこうして誉めているのです―――そうでなければ
あれほど残酷な人の後ろに、子供の時分からついて行ったりはしませんよ。そうでしょう?
- 445 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/03/01(日) 03:45:30
- >>437
>権力は男の化粧品?
もちろん。
貴女がたにとって、顔を綺麗に飾ることがマナーであるように
貴女だってこのさき、一生暮らしを共にする相手に
それがあるに越した事はないでしょう?
僕らには、尚更それは欠かせません。
誰とは言いませんが甲斐性がないのでは、立派な女王のシュヴァリエはつとまりません。
先ほども言いましたけれど、肩書きだけではいけないのですね。
僕はディーヴァのお人形ですけれど、ただ座っているだけの人形ではいけません。
彼女の子にも、しもべにも、兄弟にも、友人にも恋人にもなれなくては。
彼女に、不自由のない暮らしをさせることが出来なくては。
ですからどちらかというと、僕らにとっては…いいえ
アンシェル兄さんの目的にとっては―――
権限だの影響力だの、その程度のものは
絶対に必要でしたし、持っていて然るべきものでした。
女王のふたりともがそれを望んでいるものと、そう思っていたのですけれどね。
彼女が僕より…誰とは言いませんが、アレを選ぶとは―――まさか思いませんでした。
- 446 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/03/01(日) 03:46:27
- >>438
>兄弟でハグしたりしないの?
どうして、そんな事をお訊きになるのです?
―――もちろん、しますよ。必要であればキスだってします。
おや、そんなに変な顔をなさらなくても。
僕らの住んでいる処ではね…出会いがしらにこうして抱きしめるのは、ご挨拶なのです。
慥かに兄弟では、あまりする機会はありませんけれどね。
ほら、ジェイムズは馴れ合いを厭がりますし、ネイサンはジェイムズ以外には
あまりくっつこうとしませんし―――カールは、生まれた処にそういう習慣が
ないものですから、慣れないようなのです。
けれど、グレゴリー兄さんが相手のときは、違いますよ。
彼は時々、可愛らしい少女の姿をとっておいででしょう?
今度おいでになったら、よく見てごらんなさい―――
ソーニャの髪は品の良い金色で、瞳は玻璃のような緑色の筈です。
僕は彼を見ていると、まるで血の繋がった妹ができたようで―――
僕には弟はいますけれど、妹は居ませんから、ね?
ご挨拶代わりに抱きしめて、頬にキスを差し上げるくらいの事はしたくなります。
ほら、ね。貴方がただって、そうお思いでしょう?
おや。少女の正体が誰であるかを考えなければ、そう思う?
シーッ…いけません、ご本人の前でそれを言っては、駄目ですよ。
- 447 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/03/01(日) 03:49:00
やあ、温かい飲み物の用意が出来たようです。
>>427
>美味しそう
そうでしょう―――さあ、どうぞ。おかけなさい。
とろりと甘い、ショコラ・ショーです。好い香りでしょう?
パリの最高級ショコラティエ・ヴァローナ社のチョコレートで、作って頂きましたよ。
それはもちろん、ファルマシーの製菓部門のチョコレートでも
良かったのですけれど…くす、それではあなたがたが、ねえ…?
ヴァローナ社はもともと、クーベルチュールのメーカーですから
加工するのに丁度良いのですね。
…おや、これだけでは物足りませんか?
それではキッチンに頼んできましょう。丁度、上等のマカロンを―――ええと、
どこのブランドだったかな。ダロワイヨだったかな…、
兎に角、美味しいマカロンを仕入れたそうなのです。
それをあしらったチョコレートケーキを、焼いて貰いましょうね。
…ええ、マカロンの銘柄は、ケーキが焼けるまでに確かめておきます…。
―――はは、これではいけませんね?
いくら流行りだからといって、暇潰しに執事の真似ごとをするには
僕では心得が足りないようです。きっとこういう事は、ハジの方が向いていますね。
- 448 名前:名無し客:2009/03/01(日) 06:33:53
- あ、ソロモンだ!
隠し芸ありがと、他のみんなも帰ってくればいいのにね。
ホット・チョコレートにチョコレート・ケーキか。
実はかなり甘党?コーヒーにはいつも砂糖どっさり?
お礼にこれプレゼントするね
つ【雛人形】
- 449 名前:名無し客:2009/03/02(月) 06:54:01
- ねえ、とっても良い匂いがするわ
これは――なあに?
- 450 名前:名無し客:2009/03/14(土) 16:12:44
- >>445
>彼女が僕より…誰とは言いませんが、アレを選ぶとは―――
だよね〜〜。
自分に絶対惚れるようにインプットされてる相手と恋愛なんて
空しく味気ないと思うんだけど。
- 451 名前:名無し客:2009/03/21(土) 02:06:00
- 空しいも何もディーヴァのことで頭がいっぱいの彼女が
恋愛の「れ」の字も思い浮かべられる?
父性的なオジサマで迫れば依存心が出(ry
- 452 名前:名無し客:2009/03/21(土) 11:32:53
- やっぱWBCっておもしれーよな!
野球って燃えるよな!
なあ俺らも野球やろうぜ、野球!!
- 453 名前:ソーニャ ◆gD.KishiHU :2009/03/23(月) 01:13:46
- >>428
>皆いなくなっちゃったね…
>>428さん、>>429さんの言う通り、わたしはここにいるわよ!
>>440
>隠し芸やってみせてよ
,,,,,,,,,,,, ♪
♪ [,|,,★,|] Kalinka, kalinka,
ミ*‘ ∇‘彡 kalinka maja!
(( ⊂” :⊂”)
〜| _つ ))
し′
♪ ,,,,,,,,,,,,
[|,★,,|,] ♪ Kalinka, kalinka,
(( ∩ミ‘ ∇‘*彡 kalinka maja!
\” : ” ]つ ))
Y 人 〜
(__) 'J
,,,,,,,,,,,, ♪
♪ [,|,,★,|] Kalinka, kalinka,
ミ*‘ ∇‘彡 kalinka maja!
(( (”⊃⊂)
〜_) 、 ∩ ))
し-イ ̄
,,,,,,,,,,,,
[,|,,★,|]∩ ヘイ!
ミ*‘ ∇‘ミ ノ
| ” :”/
〜U 个 |
UU
ソロモン、この毛皮の帽子>>417ありがとう!もふもふしてとってもかわいいわ!
とっても気に入ったわ、似合うかしら?
でも、クリスマスプレゼントのお礼を今頃言うなんて、間が抜けているにも程があるわよね。
ごめんなさい。
修行のため山篭りしていたの。雪と氷の中でも凍えずに過ごせたわ、この帽子のお陰よ。
それから即興の伴奏もありがとう。お前って、本当に何でも出来るのねえ。
ソロモン、わたしのいとしい弟、お前にとても会いたかったわ――ただいま。
- 454 名前:名無し客:2009/03/24(火) 17:24:46
- ソーニャだ!おっかえり!
ソロモンもみんなも寂しかったんだよ(・ω・)
- 455 名前:名無し客:2009/04/08(水) 06:59:37
- アンシェルとカール、かくれんぼ?
さくらが咲いたよ、青い空の下で可愛いサクラがヒラヒラしてるね
- 456 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/04/28(火) 00:28:15
- ご機嫌よう。
御免なさいね、また随分遅くなりました。暖かい季節になるとどうしても、
気持ちがそぞろになるようで…けれどまだ、夜は空気が冷たいですねえ。
そういえばあなたがた、知っていますか?
日本で有名な飲料メーカーの花部門が、青い薔薇の開発に成功したのですよ。
もう暫くで、お花屋さんで手に入るようになるというのです。
あなたがた、見た事がありますか?―――僕はもう見ましたけれど
薄い紫のような色をしていましたよ…、
“une rose bleu”
これは人間が昔から、不可能な事を指して使ってきた言葉です。
僕がまだ少し若かった頃―――第二次世界大戦が終息して10年も経ったころ、
「青い薔薇」は、フランスにはメイアンのシャルル・ド・ゴールが
アメリカにはスターリング・シルバーがありました。けれどそのどちらも、
とても綺麗な青とは呼べませんでしたね。
ですが今度は、やあ、人間はよく頑張りましたねえ。
それでもやはり、不可能は不可能です。
ディーヴァが眠る場所に咲くよりも冷たい青色の薔薇は、まだ決して人間の
…あなたがたの世界には、存在しないのですね。
http://charaneta.just-size.net/bbs/fupbbs/obj/obj80_1.jpg
それに、これではいけません―――鋭い棘があるから、薔薇は美しいのです。
- 457 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/04/28(火) 00:29:30
- >>449
>ねえ、とっても良い匂いがするわ これは――なあに?
こんにちは。
貴女、ようこそおいでになりました。
チョコレートの好い匂いがするでしょう?キッチンでケーキを焼いて貰ったのです。
貴女も、おあがりなさい。さあ、ここへ座って。
甘いヴァローナチョコレートのケーキには、
フランス・エディアールのアッサムティーを。
チョコレートは、ミルクティーと一緒に口に含んで溶かすのが一番だと聞きました…、
いかがですか?
美味しい?…それは好かった。
おやおや、口許を汚してしまいましたね?動かないで…、
やあ、きれいになりました。御免なさいね?貴女のようなかたを見ると
つい、こうして世話を焼きたくなるのです。僕はシュヴァリエですから―――
紅茶をもう一杯?…わかりました、貴女がそれを望むのであれば。
- 458 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/04/28(火) 00:31:55
- >>448
>隠し芸ありがと
あんな事でよかったのですか?それならいいのですけれど…おや、
“血まみれシュヴァリエ”?何の事です…、
…ははあ、成る程。判りましたよ。
メイド長の小母さんに聞いたのでしょう?ですから…その、
テーブルクロス抜きに失敗した>>441のが…、僕は悔しくてね。
あれから練習したのですよ。人知れず、深夜のダイニングでね。
おや…夜中に時々、食器が割れる音がするので怖かった?それはすみません。
ええ、そんな事ですから…もちろん、僕のスーツは酷い事になりました。
アンシェル兄さんにワインを浴びせられた時より、余程ひどかった。
ワインの飛沫で駄目にしてしまったテーブルクロスを持っていったら、
彼女に詰られましたよ。
「あらまぁ大変、血まみれですわ!
昨晩はきちんとテーブルの上でお食事をなさったの?珍しくお行儀のよろしいこと!」
彼女こそ、皮肉がお上手なことです。あまり怖いので、御免なさい、と謝っておきました。
はは、メイド長さんが怖いなんて、僕は子供の頃から何も変わっていないのですね?
>他のみんなも帰ってくればいいのにね。
仰る通りです。何を忙しくしておいでなのか…、
カールが居たら僕は、あなたがたの為に彼にナイフを投げましたのに。
勿論、彼の両手足を縛って椅子に縛りつけてからです。
彼はそれは上手にナイフを止めるでしょうね…、
はい?ああ、いえいえ、歯でね。
やあ、僕には出来ませんよ。これ以上僕の手で彼に怪我をさせるなんて…、
ああ見えてカールは器用なのですよ。
ナイフを投げると、歯でかちりと挟んで受け止めるのです。
あなたがた見たかったでしょう?残念ですねえ。
- 459 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/04/28(火) 00:33:07
- (>>448)
>実はかなり甘党?コーヒーにはいつも砂糖どっさり?
>お礼にこれプレゼントするね
さあ、シュヴァリエになる前はどうだったかな…
はは、確かにまだ小さかった頃は…お屋敷の女中さんが焼いてくれるお菓子が
好きでしたよ。アンシェル兄さんの書斎に並んだ本の内容が、解るようになった頃には
夜更かしをする為にコーヒーを飲んで、遅くまで彼と話していました―――
いいえ、喋っていたのは殆ど、僕なのですけれどね。…あの頃は不思議だったものです、
兄さんが一体、いつ眠っているのか。
今ではそんな事は、不思議でも何でもないのですけれどね。
コーヒーで眠気を覚ます必要も、もうありません…
やあそうだ、あの頃はエスプレッソが流行でね。そのままではとても苦くて、
僕にとってはあまり美味しいものじゃなかったな。はは、ええ―――ですから
あんなコーヒーの量では溶けきらない程の砂糖を入れて飲んだものです。
仰る通りで少しくらい甘い方が、僕は好きなようですね。けれどあなた知っていますか、
エスプレッソコーヒーは本来、そうして飲むものだったのですよ?
そうそう―――あなたに頂いたプレゼント、とてもお洒落なので
エントランスに飾っておきました。ええ、随分まえにグレゴリー兄さんが捕った
シカの剥製の下にね。そうしたら先ほど、ご来客の少女に
早く片付けるようにと叱られましたよ。
あのお人形には何か、玄関に置いてはいけない曰わくでもあるのですか?
それともシカの下に配置したのがまずかったのかな…、
おや、違う?では何故でしょう―――
…ははあ、成る程。
あのお人形を長い間飾っていると、お嫁に行けなくなるというのですね。
それでは仕方がありません…、けれど困りましたねえ。
皆さんがお嫁に行って人間の数が減ると、僕らは寂しいのですよ。
いいえ、僕は少女でなくても構わないのですけれど―――
兄弟には、少女が好きなかたの方が多いものですから。
ですからあのお人形は、もう暫くあのまま、大切に飾っておきましょう。
お前が片付けたせいで女の子が減ったと詰られては、堪りません
それに、せっかく頂いた贈り物ですから、ね。本当にありがとう。
- 460 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/04/28(火) 00:35:45
- >>453
>わたしはここにいるわよ!
やあ!グレゴリー兄さん。おかえりなさい。
御免なさい、出迎えるのがこんなに遅くなってしまって…
先ほどのダンスを見ましたよ。
ロシアの軍人さんが歌唱隊を組んで歌う、カリンカでしょう?
やあ、衣装もよくお似合いで、とてもお可愛らしかった。
あれを見て伴奏をつけずにはいられません。本当に、いいものを見せて頂きました。
ご来客も、楽しそうにタンバリンを叩いておいででしたよ。皆さん嬉しいのでしょう、
久しぶりにかわいい少女の姿を見てね。
>お前って、本当に何でも出来るのねえ。
おやおや、そんな事はありませんよ―――見て下さい、このスーツ。
もう駄目ですから、これから焼却炉で弔ってやるのですけれどね。
何をしたらこんなに汚れるのか?
いえ…隠し芸をと言われて、配膳をしたテーブルから、テーブルクロスをね……、
…そんな事より兄さん!今まで一体どこへ―――山へ?
それはさぞ寒かったでしょう。僕とカールで選んだ帽子は役に立ちましたか?良かった。
さあ、こちらへいらして、ご来客と一緒にヴァン・ショーを頂きましょう。
今年のボジョレーがまだ余っているのです。
やあ―――本当に嬉しい。僕の方こそ、すぐにご挨拶ができずに、御免なさいね。
おかえりなさい兄さん。
ご来客の皆さん、すみません。
すぐにでもお返事をしたい話題ばかりなのですけれど…今夜はこれだけ。
今度こそ、またすぐにご挨拶にあがりますからね。
- 461 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/04/28(火) 01:04:03
- http://charaneta.sakura.ne.jp/ikkoku/img/1205773059/461.jpg (14KB)
おやおや…、御免なさいね?
僕は、皆さんに見えないものを持ってきてしまったのですね。>>456
僕がお見せしたかったのは、これです。
これは人間の、青い薔薇です。綺麗でしょう?
けれどここには、これよりももっと綺麗な薔薇が咲いています。
冬空の一等星のように、深い海の底のように
暮れかけた空の天辺のように、吸い込まれてしまいそうな青色の薔薇が。
それは、ここに居なくては見ることの出来ないものです
あなたがたもう暫く、この場所で薔薇を眺めて
僕らのお話に付き合って下さいね。それでは―――ご機嫌よう。
- 462 名前:名無し客:2009/04/28(火) 09:38:35
- 綺麗だね、とっても
- 463 名前:名無し客:2009/05/10(日) 14:30:47
- 青に近い薄い紫
赤と青の絶妙な中間色
- 464 名前:名無し客:2009/05/26(火) 17:49:40
- ウイルスに気をつけて
- 465 名前:名無し客:2009/05/28(木) 10:53:46
- ひとりぼっちで置き去りにされたソロモンがかわいそう。
- 466 名前:名無し客:2009/05/28(木) 17:47:06
- 唐突に血が飲みたくなることってあります?
あるなら、そういうときはどうするんですか?
- 467 名前:名無し客:2009/06/01(月) 09:05:07
- 置き去り?されたの?
- 468 名前:名無し客:2009/06/09(火) 09:10:14
- つ【白い薔薇の花束】
- 469 名前:名無し客:2009/06/13(土) 20:55:35
- もんもんもんもんもんもんもんもんもんもん。
大事なことなので五回言いましたぁ。ぇへへ。*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 470 名前:名無し客:2009/06/14(日) 23:38:14
- つ【オレンジの薔薇の花束】
- 471 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:25:34
- >>462
>綺麗だね、とっても
やあご機嫌よう、僕が手に入れてきた薔薇を褒めて頂いて、どうもありがとう。
けれど今度もまた、すぐにお礼を差し上げる事が出来ませんでした。
御免なさいね。
あの薔薇は、あなたがた人間が長い年月を費やした成果です。
慥かに、綺麗な薔薇です…>>463さん、そうですね、
その色こそが、僕がずっと求めてやまなかった
世界で一番美しい色なのかも知れません。けれどそうだとしたら、
やあ…皮肉なものです、それは僕らではなく人間が生み出した色なのですから。
人間はただひとつ、喜ぶ事悲しむ事、執着する事憎悪する事を
許された生き物です。そういう感情が、やがてこの世に無いものを作る…
この薔薇のように。
あなたがた、誇るべき事です。
人間は今回の成功で、青い薔薇に新しい花言葉をつけました―――
この薔薇は「奇跡」であり、「神の祝福」であると。
それは当然です。たとえこれまで世界に存在し得なかったものであっても
目の前にあるからには、世界がその存在を許し、祝福したのだと認めるほかありません。
- 472 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:26:35
- >>465
>ひとりぼっちで置き去りにされたソロモンがかわいそう。
あなたありがとう、いいえ、僕は決して可哀相ではありませんよ。
御免なさいね、長い事君たちを置き去りにしているのは僕の方なのですよ。
ですから僕なら、君たちが居る限り、大丈夫。
>>467さんも心配は要りません。ありがとう。
この場所は時間がゆっくりと流れて、気を急かされる事がない代わりに
これ以上…何ひとつ、大きな変化は望めません。
僕はいつでもここに居ましたけれど、
これからもずっと、あなたがたとの楽しい時間に区切りがつくまで
変わらずにここで、あるじと愛する人の為に薔薇の世話をしている事でしょう。
あなたがた、退屈しておいでではありませんか?
あなたがた…本当にありがとう。
>>468
>>470
>つ【白い薔薇の花束】
>つ【オレンジの薔薇の花束】
あなたがたも。こんなに沢山、どうしたのです…ありがとう。
やあ、綺麗ですねえ…良い香りです。色も、とても品が良い。
これを大きな花束にして飾りましょう―――
パリで贈り物といったら、まず色とりどりの100本の薔薇の花束なのですよ。
お庭の薔薇で一番綺麗に咲いたものを集めて、今度は僕があなたがたに贈りましょう。
薔薇を選ぶのを、手伝って下さいますか?
すっかり雨もあがった事ですから、皆さんでお庭に出て、お話をしましょう。
- 473 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:28:58
- >>469
>大事なことなので五回言いましたぁ。…
やあ、君、こんにちは。
何ですって…はは、判りますよ、先ほどから君が何度も呼んでいるのが
僕の名前だということくらい、ね?いつまで経っても、僕は忘れません。
御免なさいね、随分お待たせしました。
あなたの髪に、いま摘んだばかりの青い薔薇をあげましょう…ほら、よくお似合いです。
その薔薇が萎れてしまったら、またいつでもおいでなさい。
あなたさえ良ければ、また何でも訊いてご覧なさい。
好きな本の話でも、何でも構いません。僕はいつでも、ここで待っていますからね。
- 474 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:29:55
- >>452
>やっぱWBCっておもしれーよな!
>なあ俺らも野球やろうぜ、野球!!
もう随分と昔のお話になってしまいましたけれど…あなた日本人ですね?
あの時は本当におめでとう。
日本からおいでのご来客は、大変な盛り上がりでしたからね。よく憶えていますよ。
あなたも楽しんでおいででしたか?やあ、はは、それは良かった。
こちらでは、野球はそれ程盛んでなくてね…僕などは観戦する習慣もないものですから
そういう話題には疎くて、申し訳ないくらいなんですけれどね。
サッカーのお話になら、少しくらいはついていけますよ。
僕は翼手ですけれど…一応、フランス人ですからね?でもそれも、観るだけです。
はは…僕に出来ることといったらあなた、馬に乗るくらいですよ。
…おや、すごいじゃないかと仰る?まさか。こちらでは嗜みですよ。
パリを歩いているお嬢さんだって、半分くらいは出来るんじゃないかな。
吃驚しましたか?意外ですねえ、日本人こそ馬に乗るものだと思ったんだけどな。
だってサムライ・ジャパンなのでしょう?
- 475 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:31:06
そういえば…これは余談なのですけれど、
以前にカールと僕で、手のひらに肉球を形成する研究のお話をしましたね?
あの試薬はD-2828、とか言ったかな…>>338>>346
グレゴリー兄さんには些か、衝撃的だったようですけれど…致し方ありません。
それはさておき―――ご来客が、とても面白いお話をしていたのですよ…、
手のひらに肉球がある人間というのは、もう既にいるのだそうですね?
…それを信じるのか、と?何を仰る、あなたお忘れですか、僕らは翼手ですよ?
それを疑ったらあなた、僕は矛盾を抱えてしまいます。
いいから詳しく話せと仰る?いいでしょう、それが奇妙なお話でね…、
何でもその人間は、何かの果実を口にしたことによって
手のひらに肉球が形成されたそうなのです。彼は大変に強くて、
熊のように大きな体で…、名前はたしか、そう名前もくまと言うのです。
胸にはいつも聖書を携えていて…それは慈悲深いのだとか。
それなのに、彼は普段海賊をやっているのだそうなのですよ。
いまソマリア沖で大変な騒ぎでしょう?あの海賊ですよ。
そんな恐ろしい人間の手のひらにかわいらしい肉球があるなんて―――
おや…彼は普通の海賊ではないのだと仰る?
彼は政府に認められた海賊で―――世界中にあと六人、同じ役職の仲間がいる。へえ。
そうは言ってもやはり、海賊は海賊です。
ブラック・バーソロミュー、黒ひげティーチ、それにあのフック船長。
僕が知っている海賊だって、悪名高い乱暴者ばかりですよ。ろくなものじゃない。
どんなに仁義に篤くたって、所詮は罪もない人々を脅かす騒がせ者です―――おや、
お前だって人の事を言えない悪者じゃないかと仰る…やあ、はは、そうですねえ?
けれどあなた、僕はフック船長は、嫌いではないのですよ?
ワニを怖がるだなんて、彼には愛嬌があるじゃあないですか。それにね、
彼は慥かに狡猾な悪党ですけれど、その反面、合理主義の紳士でもあるのです。
あなた、彼の最後の言葉を覚えていますか?格好良いでしょう、
お忘れなら書庫に本があります、読んでご覧なさい。
いつの時代もどんな世界でも、何が正義なのかなんて曖昧なものですよ。
- 476 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:35:30
- >>450
>自分に絶対惚れるようにインプットされてる相手と恋愛なんて
>空しく味気ないと思うんだけど。
そうなのですか?
それを仰るのならあなた、僕ではもっといけないではありませんか。
小夜の本能にとっては、ディーヴァのシュヴァリエこそが
花婿でなくてはいけない筈なのですから―――
女王とそのシュヴァリエでは、種を残す事が出来ません。ですから
ハジと小夜では「残念ですが」生き物として健全な恋愛などできはしません。
それでも小夜は、生涯を共にする相手に彼を選んだというのですから―――そこには、
本能を上回る衝動があった筈です。
小夜はこの先、…生きる目的を果たしてから後も、ずっと生き続けなくてはいけない。
彼女の愛する人間の家族たちが、残らず死んでしまったその後も
彼女の目の前を、命の行列が過ぎていくのをただ眺めながら、ずっとです。
小夜は、一緒にその定めを背負う相手に、ハジを選んだのです。
ですから僕が口を挟む事なんて、何もありません。
僕が納得いかないというのはそういう事ではないのです…、
ハジの、シュヴァリエとしての在り方なのです。
母である女王が、どうすればより幸福な未来を生きることができるのか
それを考えるのが、シュヴァリエのつとめではないのですか。
血に塗れて、本当の家族に剣の切っ先を向けること
その為に日の当たらない、自由の利かない生活を選ぶこと
自分で自分にそれを強いておいてなお、葛藤して涙を流す事―――愛する恋人に、
いずれ自分の命を奪う約束をさせること
それが幸せ?―――まさか。そんな馬鹿な事があるものですか!
あろう事かハジはそれが―――それが小夜の望みだから叶えるのだと言いました、
それが本当の幸福だなんて、僕には信じられません。それに―――
それで彼自身はどうなのです?彼は、彼は小夜の、痛みを堪えて唇を噛む顔が
孤独に震えて涙を流す姿が見たかったとでもいうのですか?
そんな事は―――シュヴァリエにはあり得ません。僕は―――
僕は彼女には笑顔こそ相応しいと、そう思っていました。
それは彼だって変わらなかった筈です。
小夜の願いでは―――二人の約束では、小夜には悲しみしか残りません。
小夜も、ハジも、幸せになどなれはしません。僕は知っている、
自分を殺して服従する事だけが、必ずしも女王の幸福に繋がるとは限らない事
自分自身も―――それではいつまで経っても、心の安息など得られない事
―――だから僕は彼に言ったのです、君では小夜と未来を築く事はできない、と。
僕らは互いに傷つけ合う事を定められた存在では決してない、
僕は―――僕自身が花嫁と結ばれる事で、兄さんに
対の女王の眷族との、共存の可能性を問いたかった。
それこそが彼女達の幸せだと信じていました、けれど僕も―――、
けれど僕も…そう思うのなら、僕だけは決して
彼女に、ディーヴァに手を上げるべきではなかったのです。
それが最後まで解からなかったから、僕は小夜と添う事ができなかったのかも知れません。
あなた僕の言葉に頷いてくれてありがとう。けれど僕だって、
ハジの悪口を言える有り様じゃあないのです。
僕にはあの塔で咲き誇るあの薔薇の青が、今でも
焼き焦がすような冷ややかさで僕を見ているような気がするのです。
「馬鹿なシュヴァリエだ」
ネイサンが僕に言った事は正しい。
だから僕は、今もここでこうして、彼女の薔薇を大事に育てるのです。
- 477 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:37:30
- >>466
>唐突に血が飲みたくなることってあります?
それは…よくある事ですよ。特に酷いのは、そうだな…
アンシェル兄さんがお住まいのイギリスでは、午餐会などに出席すると必ず、
紅茶と一緒にジンジャービスケットが振る舞われるのです。
あれは拷問です―――ああいうお菓子は喉が乾く。
一度喉が渇くと、いくら紅茶を流し込んでも全く美味しく感じられません。
これこそが翼手の背負った業なのですね…、
そういう時どうするのか、と仰る?
いえ、それは―――あなたは人間ですから、あまり聞かないほうが…それでも知りたい?
構いませんけれど、皆さんの目の前で、大声でお話しできる事ではありませんからねえ。
あなた、ちょっと顔をよく見せてご覧なさい。
あなたお綺麗ですね…、いいえお世辞だなんてとんでもない、僕は本気ですよ。
血色が好くて、健康そうで…とてもお綺麗です。
あなた今夜、僕の部屋においでなさい。
- 478 名前:ソロモン ◆jkr.aC7Hew :2009/07/05(日) 03:38:26
- >>451
>父性的なオジサマで迫れば依存心が出(ry
何ですって?それはどういう―――
ははあ成る程…、小夜はこれまでの経験をかんがみて
僕のように軽薄そうな年下よりも、もっと落ち着いて貫禄のある紳士の方が好みだと
そう仰るのですね…?
冗談じゃない、そんなのは僕ら兄弟の中には一人しかいないじゃありませんか―――え?
僕も彼のようになればと仰る?いや、君、考えてもご覧なさい、
僕に髭は似合いませんよ。下まつげも。ほら、おかしいでしょう?
それにすぐに額があんなに**上がるのは無理で―――、おや
すみません。お屋敷の方で誰か僕を喚んでいるようです。
こんな時間に何だろう、新しいご来客かな。すぐに戻りますね、それでは…ご機嫌よう。
- 479 名前:名無し客:2009/07/05(日) 20:51:02
- ハゲよりお腹だよね、男の貫禄はお腹だよ、お腹、うん
- 480 名前:名無し客:2009/07/06(月) 06:34:42
- 腹減ったな…お好み焼き食いて―な
- 481 名前:名無し客:2009/07/10(金) 12:33:26
- 見破られてると知りながら嘘をつくのと
周りと自分を騙す嘘って、どう違うんだろう
ディーヴァはシュヴァリエに騙されてあげてたのかな?
- 482 名前:名無し客:2009/07/10(金) 13:05:08
- リクはともかく、ハジにも言えることだね
- 483 名前:名無し客:2009/07/19(日) 17:39:32
- かわいい女の子の手料理食べたいお…
- 484 名前:名無し客:2009/07/27(月) 08:27:27
- ネイサンの手料理が食べたいみたいだね
- 485 名前:名無し客:2009/07/28(火) 00:35:47
- 今日もいい天気だな〜。暑くなるな、夏だもんな
なあソロモン、釣りいかねーか?
- 486 名前:名無し客:2009/08/01(土) 02:32:10
- ぱくっ
- 487 名前:名無し客:2009/08/06(木) 10:43:36
- ねえ、幽霊って見たことある?
僕、見ちゃったんだ…。
女の子が歌って踊ってたんだ。
- 488 名前:名無し客:2009/08/17(月) 08:23:28
- そういうときはレッツダンス!と合わせなきゃ
ソロモンなら手とり足と(ry
いえなにも
- 489 名前:名無し客:2009/08/17(月) 11:52:48
- 薬物といえば幸せ草と言う違法薬物がすごいらしいですよ
- 490 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:00:28
やあ、ご機嫌よう…ええ、またご挨拶が遅くなってしまって。すみません。
今度は何をしていたのかと仰る?
―――ほら、近頃減ってきましたからね、このお屋敷の使用人の数が。
ええ―――皆さん、ご家族の都合でご実家へ帰ってしまって。それで、
パリへ出て手配していたのですよ―――こういった事は、昔から
僕の仕事と決まっていますからね…、おや、何ですって?
そうじゃない、頭数が減ったのはお前達が喰べたからだと仰る―――はは、まさか。
あなたがた―――恐いことを、いとも平気で仰る。流石、人間でいらっしゃいます。
- 491 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:32:36
おやおや、吃驚させて御免なさい。
僕の衣装がこれまでと違っていますけれど…どうも身分証明の形式が
少し変わったようでね。僕はいつも通りですから、ご心配は要りません。
それじゃあ、ご挨拶を続けましょう。
>>464
>ウイルスに気をつけて
仰る通りです。
随分暑くなりましたから、少し前ほど脅威ではありませんでしたけれど
あなたがたこれから、夏が終わったら特に、気をつけないといけませんね?
ええ、本当に怖いのですから。
あなたがた、スペインかぜというのを知っていますか?
あれは丁度、第一次世界大戦の頃でした。
変異した強力なインフルエンザウイルスが、世界中に蔓延したのですよ。
凡そ5000万人…一億人、と言う人も居ます…それ程沢山の人間が死にました。
そうですね、仰る通りで、戦時中の死者の殆どがこの流感で死んだのですよ。
当時の野戦病院には―――けが人よりも、流感の病人の方が多かった。
あの頃、僕は医者になりたてで―――それはもちろん、怖ろしかったですよ。
何しろ当時は、流感なんて全くの未知で…どうして年寄りや子供だけでなく、
若い兵隊がばたばたと死ぬのか、誰にもわからないのです。
ですから、皆が怖がりました。
当時より技術が優れている筈の今にあっても、それは変わりません。
いつの時代だって、未知のものは怖い。
仕組みを解明出来ないものは…つまり人間の手に負えないものは、畏ろしいのです。
人間にとって、僕らがそうであるように、ね。ですからあなたがた、
そういう怖いものが身近にある時は―――気をつけなくてはいけませんよ。
- 492 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:33:56
- >>436
>人生で最悪の瞬間! はどんな時?
そうですね…最悪だと頭を抱えたくなる時は、数え切れない程ありました。
例えば―――久しぶりに会った弟に、高価な革の椅子を三枚おろしにされた時。
愛する女性に、頬を引っぱたかれた時。その人に路上に置き去りにされた時。
その人の飼い犬に―――あの行儀の悪い、躾のなっていない聞き分けのない犬に、
あろう事か串刺しにされてしまった時。
くす、これだけ長い間生きていれば…厭な事なんて、沢山あるものです。
他にはそうだな、弟や兄に手を上げて―――
彼らの中に流れるあるじの血で、この腕を汚してしまった時。
そういう時は決まって、僕はあるじに嘘を吐かなくてはいけませんでした。
- 493 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:35:05
- >>481
>見破られてると知りながら嘘をつくのと
>周りと自分を騙す嘘って、どう違うんだろう
あなた、誰かにそのようにして騙された事がおありなのですか?
そういう嘘を受け入れるのは―――どういうお気持ちでしたか?
僕は昔、彼女の気に入ったシュヴァリエを、一人殺しました。
マルティン・ボルマン、ナチス総統の側近をつとめる傍らで、当時ディーヴァに
―――彼女は身を隠すために、エヴァ・ブラウンの姿をとっておいででした、
その彼女に一番近かった、有能なシュヴァリエです。
僕はすぐ上の兄にあたる彼を、この手にかけました。
彼女はその頃、あるドイツ語の子守歌がお気に入りで…機嫌の好い時には、
決まってそれを口ずさんでおいででした。
兄さんが居なくなってから、彼女がそれを歌うのを…少なくとも僕は、
これまで聞いたことがありません。
彼女は、マルティン兄さんが彼女の前から突然消えたのが誰の所為なのか、
きっと判っていたでしょう。ええ、彼女は賢くていらっしゃいます。
小夜の所為ではなくて僕の所為だと、きっと判っておいでだったでしょう。
けれどその後―――彼女は僕に、決して何も仰いませんでした。
>ディーヴァはシュヴァリエに騙されてあげてたのかな?
それは…僕には判りません。
僕は彼女が何も仰らないからといって、彼女が僕を赦したのだとは思いません。
寧ろ、何も言わない事が―――僕の罪に対する罰なのだとさえ思いました。
眷族を殺すように命じられて嫌悪さえ感じない、矛盾を抱えた僕には
…ディーヴァがどんなお気持ちで、ただ黙って僕を見ていたのか
彼女に酷い嘘を吐いて騙した僕を見ていたのか―――、判るはずがありません。
>>482
>リクはともかく、ハジにも言えることだね
そう―――でしょうか?
ハジは嘘をついていた、というよりも―――黙っていただけだったのだ、と
アンシェル兄さんの口ぶりからは、そういう印象を受けましたけれどね。
それは慥かに―――小夜に真実を告げないことで
彼の思いを圧し殺して、ただ口を噤んで彼女に従っている事で
>>481さんが仰ったように、彼は
彼自身に嘘を吐いて騙したと、そう言えるかもしれませんけれどね。
- 494 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:36:24
- >>480
>腹減ったな…お好み焼き食いて―な
聞いた事のない料理でしたから、シェフに訊いてみましたよ。
そうしたらあなた、その料理には二種類あるそうじゃないですか。
―――ええ、そうですよ。このお屋敷には
パリの、オペラ座近くにある日本料理店のシェフをお迎えしています。
毎日の食事が口に合わなかったのでは、台無しですからね?
あなたがたの楽しい時間も、その血もね。
その…お好み焼き、ですか?何でもカンサイ風、とヒロシマ風、というのが
あるのだそうで―――ええ、ヒロシマは知っていますよ。有名ですからね。
両者は材料が似ているだけで全くの別物なので、どちらがいいか教えて欲しいと
シェフは言うのですよ。あなた、どちらが好きなのですか?
…おや。どちらがいいと思う、と仰る?
僕は口にする機会がありませんから、何とも―――けれど、そうだ、
ヒロシマの人間は―――牡蠣を生で食べたりするのでしょう?
いちど試しましたけれど―――どうも、あれは苦手でね。ええ、
マルセイユ辺りにもあるのですよ、そういう習慣は。けれどねえ―――
だから、印象としてはそっちじゃない方かな。
あなた、どちらがいいか決まったら、キッチンに伝えてきて差し上げますよ。
- 495 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:37:04
- >>483
>かわいい女の子の手料理食べたいお…
判りますよ、あなたが誰を求めているのか…
残念ですけれど、僕は彼女ほど擬態や料理が巧くありません。
それでもいいと仰るなら―――、あるじにくらいなら擬態できますけれど
あなたがた僕の下手なディーヴァなんて、見たくないでしょう?
実の所、僕が先にお答えしたところで
ソーニャ兄さんより面白いお話は出来ないと思って、
後回しにしてしまったご質問が…いくつかあるのです。ええ、御免なさいね。
この質問をしてくれた方は、まだここにいらっしゃるかな―――
折角ですから、>>483さんが彼女を待つあいだを、僕が繋ぎましょう。
- 496 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:37:50
- >>383
>グレゴリーは帝政ロシアのころにいたわけですよね?
>じゃあブラック将軍にあったことはありますか?
ジェネラル・ブラック?
それは誰ですか?―――ええ、僕は知りません。
僕は第一次世界大戦の頃は、医者をやっていましたからね。
その人はどういう人なのか、ご存知ですか?
…はあ、成る程。ニコライ二世にとても忠実で
有能さは認められていたけれど如何せん残虐で、勇敢に戦う傍ら
捕虜をなぶり殺しにしたりもしていた。そうですか。
いつの時代でも戦時ともなると、そういう類の軍人は珍しくありませんね。
例えば僕が知っている医者は…第二次大戦中に活躍した、ドイツの軍医なんですけれど
これが、頭のねじが酷く緩んだ人でね。
子供が大好きで―――それも双子の子供に特別な執着があって
人工的にシャムの双子を作り、それがどれだけ生き延びるか実験をしていました。
彼はアウシュヴィッツで、収監される囚人を選別しては…そういう実験を繰り返した。
お気に入りのアリアを口ずさみながら、まるで「死の天使」のように―――ええ、
誰もが顔をしかめました、何の意味もない、不毛な実験だと。
ただその実験は、最終的に成功したのだという人も居ます―――なぜなら戦後、
……おや。話が脱線してしまいました。
これは失礼しました、ジェネラル・ブラックのお話の途中でしたね?
それで―――彼はどうなったのです?もちろん、それでは終わらないのでしょう…
…何ですって?
ゲル…ショッカー?大幹部?それは凄いのですか?
成る程、戦後彼はそれになって、世界制服を目論んだのですね。
やあ、彼は蛭とカメレオンが混じった特殊な身体で―――怒ると蛭を撒き散らしてくる?
うわあ、…無理だな。
…はい?彼はとても格好良いから、グレゴリー兄さんと気が合うんじゃないかと仰る…
さあ…それは…どうでしょうね?
- 497 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:39:28
- >>413
>ニコライ皇帝夫妻はそれぞれにオルゴールを持っていたね
>そして数十年後、そのオルゴールはどうなったんだっけ?
>>439
>ある博物館にロシアのオルゴールがあるね
やあ、それは僕も少し知っていますよ。
確か、ニコライ二世のオルゴールは…当時オルゴール造りで隆盛を極めた、
ええと…、ベイカー・アンド・トロール社、の逸品でしたね?皇后のものは、
やあそうだ…ディスク式のオルゴールでした。当時はまだ、発明されて間もなかった。
懐かしいな―――ずっと昔、パリで万国博覧会があったのは、皆さんご存知ですね?
僕はまだ、ほんの小さな子供でした―――けれど、よく憶えています。
あのディスク式オルゴールはその時に、ロシア皇帝が愛する皇后へ贈ったものなのです。
まさか、あの時は―――十数年後の革命で、その二人があんな最期を迎えるなんて
誰も思わなかったでしょうね。あんなに美しいオルゴールの持ち主が―――
…そうだ、オルゴールがその後どうなったか、でしたね?
それは時を経て日本に―――ええと、何と言ったかな…兎に角、
日本の博物館に納められているそうですね?あなた、見に行った事がありますか?
…おや。その博物館では、彼らのオルゴールが並んで展示されていて
時季によっては、音を聴くこともできるのですか?
それはすごいな…、僕はもう、あのオルゴールがどんなものだったか
文献に載ったままの事しか憶えていません―――凡そ100年もの昔に、
それがどんな音を鳴らしていたのかなんて―――思い出すすべもありません。
- 498 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:41:21
- >>484
>ネイサンの手料理が食べたいみたいだね
おや―――そうだったのですか?
その…>>483さんが仰る、かわいい女の子というのが―――ええ、
ネイサンの事だと仰るなら―――僕が彼に渡りをつけて差し上げましょう、
と言いたい所なんですけれど…、
彼は兎に角、掴みどころのないかたでね。
兄弟で久しぶりに集まるという時にも、連絡ひとつ寄越さないのですよ。
かといって、約束を反故にするわけでもなくて―――思いもしない所から、
突然現れるのです。神出鬼没なのですね。
そこまでなら、まだいいんですがね…
僕としては仕事の時くらい、その遣り方を改めてほしいと思うのですよ。
例えば…ある企業を、自分が主宰するオペラのメインスポンサーに据える時です。
たしかにその企業は、当時フランスに本社を構えていたので…こと芸術に関して
出資を惜しむわけにいきません。けれど、だからといって―――
責任者に話を通さないのは、どうかと思うのです。
ええ、CEOの僕に対しては、いつも事後報告なのですね。
僕はあまり、彼に良く思われていないのかな…いいえ、
彼が僕に全く興味をお持ちでないのは、判っているんですけれどね。
彼のおかげで、僕は取締役のお歴々に、いつでもお小言を言われていたものです。
…やあ御免なさい、また長々と愚痴を聞かせてしまいましたね。
けれど…果たして、彼は料理なんてするのかなあ?残念だけれど、見たことがなくてね。
彼がシュヴァリエになる前にどんなものを口にしていたのか、とか
そういう事は…僕には全然、想像もつきません。
- 499 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/08/21(金) 01:42:37
- >>485
>今日もいい天気だな〜。暑くなるな、夏だもんな
>なあソロモン、釣りいかねーか?
いいですよ。
こう見えて、釣りは苦手ではないのです…よく、ご一緒したものですから。
アンシェル兄さんと?やあ、まさか。得意先の偉い方とです。
フランスにお住まいのかたには、釣り好きが多くてね…彼らと行った所なら、
そうだな…渓流釣りならプロヴァンス地方がいいでしょうね。
マルセイユかル・ラヴァンドゥまで南下すれば、海水浴だって出来ますよ。
ご来客の中には、釣りをしないかたもおいででしょうから、ね?
…おや。
暑いから遠出はちょっと、いっそ敷地内でいいと仰る?
では―――お屋敷の向こうに湖がありますから、そこが好いでしょう。
行ったことがありますか?良い所なのですよ、ボートが浮いていて、好い眺めでね…
やあ、行ったことはないけれど知っている、と仰る。
あの小船はずっと昔から、あそこへ浮いていたのだと仰る。へえ、
僕が生まれるずっと前からねえ―――ドレスを着た小夜があの小船に乗って、
ハジがそれを漕いで―――立ち上がった拍子に小夜はバランスを崩して、
それをハジが―――そのまま二人は―――、と、こう仰る。
そうですか、成る程ね―――わかりました。
あなた。今からル・ラヴァンドゥへ行きましょう。
―――――― い い で す ね ?
ただ、出かける前に―――お屋敷を頼みます、と使用人の皆さんに言っておかないと。
>>479さん!あなたの言葉にも、今すぐ答えて差し上げたいのですけれど
いまアンシェル兄さんの機嫌を損ねて、
これ以上使用人の頭数を減らすわけにはいきませんからね―――
あとの皆さんも、もう少しだけ待っていて下さいね。それでは―――ご機嫌よう。
- 500 名前:名無し客:2009/08/24(月) 08:48:22
- あ、ソロモン!やほっい!
- 501 名前:名無し客:2009/08/24(月) 08:57:22
- シュヴァリエになった後、怖い話とか怪奇現象のお話するの?
ディーヴァなら不思議そうにキャッキャウフフして反応するかもしれないけど
いやその前にアダムスファ(ry
- 502 名前:名無し客:2009/08/24(月) 20:21:33
- ねえソロモン?
その後>>485さんはどうしちゃったの?
ひょっとして頚動脈に唇を寄せて食べちゃった?
- 503 名前:名無し客:2009/08/25(火) 21:47:03
- あなたがこれまで見た中で最も美しいと思った船は何?
- 504 名前:名無し客:2009/08/26(水) 22:24:41
- はじめまして。
今年になってソロモンファンになったのですが、
なり切りスレなるものがあって、感動しています。
ソロモンと会話が出来るなんて・・・・生きててよかった!
- 505 名前:名無し客:2009/09/02(水) 07:31:47
- 生きててよかったじゃなく、生きてるんだよ
語り継ぐこと、思い続けることで、この場所限定だけど
ソロモンは優しく笑って名無し客を迎えてくれる
それはとても幸せであったかいことだね
- 506 名前:名無し客:2009/09/02(水) 07:45:13
- というか・・・うん、今は本当に、特にそう思える
草木や海を包みこむ太陽を奪われて、刻まれて、追いやられた
どんな痛みにも涙を流さなかったけど、その時はすごく泣いてしまったから
ソロモンのことも、ソロモンを慕う皆も好きだよ
優しい場所があることは、とても愛しい
- 507 名前:名無し客:2009/09/02(水) 09:11:55
- ポエマー乙
- 508 名前:名無し客:2009/09/03(木) 09:24:49
- 感性を養うことも物事を多く見るのも大事なことさ
- 509 名前:名無し客:2009/09/03(木) 18:59:12
- ソロモンとカールに質問です。
カールをシュヴァリエにする時、どうして彼を選んだの?
どうやって彼をディーヴァの前につれて来たの?
シュヴァリエになる前のカールとソロモンの関係ってどんなだったんだろう?
何もわからないままシュヴァリエになって
ソロモンに対してどう思ったのかな?
- 510 名前:名無し客:2009/09/04(金) 23:39:04
- 娘が妊娠しました。
産むと言っています。
まだ子供なのに。
ひとりで育てられる訳が無いのに。
どこの馬の骨とも知れない男の子供を。
もうどうしていいか分かりません_| ̄|○
- 511 名前:名無し客:2009/09/07(月) 14:16:00
- >>506
一体何があったの?
随分つらい思いをしたみたいだけれど。
- 512 名前:名無し客:2009/09/07(月) 23:15:27
- >>511
守りたいものを太陽に、草木や海を環境や周りに例えたんだよ。
ソロモンや皆を見ていていつも思う。
主の望みに応える一方、どこかで一線を引いて見守ることに徹する強さ。
小さな心配り一つでも大切なことだって心掛ける姿勢の重さ。
うまく言えないけど、すごいね。涙を流せない分、きっと苦しいのに。
- 513 名前:名無し客:2009/09/16(水) 21:11:45
- まだかな、まだかなー
- 514 名前:名無し客:2009/09/22(火) 14:14:40
- きっともうすぐ始まるよ
- 515 名前:名無し客:2009/09/23(水) 07:47:17
- 待ってる間に飲みすぎて酔っ払ってきたよ。
- 516 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/09/24(木) 02:24:15
ご機嫌よう、随分涼しくなりましたね。
あなたがた、風邪を引いたりしていませんか?
季節の変わり目ですからねえ、それにここには沢山人が集まりますから。
これから、この動物園のあるボルドー地方は特に寒くなります。
皆さん、身体にはお気をつけて。
- 517 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/09/24(木) 02:25:35
- >>500
>あ、ソロモン!やほっい!
やあ!
あなたはお元気そうで、何よりです―――それに、あなた
キリの良い番号を貰いましたね?おめでとう。
この場所も、もう半分も消費してしまいました…あなたがた、
あともう半分だけ、よろしくお願いしますね。
それにあなたも。>>504
>はじめまして。
こちらこそ、初めまして。ようこそ、おいでになりました。
最近になって新しいご来客は、珍しい。歓迎しますよ。
それに、やあ、あなたは僕のことがお好きですか?それはありがとう―――
何ですって、僕と話せるなんて夢のようだと仰る…そこまで言われると、
やあ…何だかむず痒いですねえ。
けれど、あなたの仰る事もごもっともです。
今や巷では、ゴールドスミスの一族は殆ど伝説になってしまった。
暗殺しても暗殺しても本当に死ぬことなどなかったのに、
不審な爆発事故で―――その正体は米軍の爆撃なのですけれど―――
命を落としたと思われているアンシェル・ゴールドスミスも
巨大製薬会社のCEOの椅子を突然降ろされて、
企業の不首尾のあとしまつを一族以外の人間に押し付けたまま
消息を絶ってしまったきりのソロモン・ゴールドスミスも
いまとなってはもう、巷の人間の語り草でしかありません。
それはもちろん、人間にとっては…
都市伝説の主役である彼らと話すなんて、夢のような事に違いないでしょうね?
- 518 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/09/24(木) 02:27:30
しかしあなた、>>504さん、残念でしたねえ。
もう少し早くお着きになれば、皆さんで海へ遊びに行けましたのに。
おやおや、>>502さん。何て怖い事を仰るのです―――
>その後>>485さんはどうしちゃったの?
>ひょっとして頚動脈に唇を寄せて食べちゃった?
やあ、まさか。
彼にはル・ラヴァンドゥでの快適な釣り遊びをお約束しました>>499。
あれは楽しかった、ねえ皆さん?おや、その後―――ですか?
君…、知ってどうするのです。好奇心は猫を殺すとも言うじゃありませんか…、
はは―――冗談ですよ。
そういえば、もう暫くの間、食事を摂っていません―――
…やあ、ありがとう、けれどいいのですよ。今日はワインで我慢します。
- 519 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/09/24(木) 02:29:53
>>513-514
あなたがた、何を待っておいでなのです?
そんなに楽しみにしておいでになるという事は、余程素敵な事なのですね。
それは僕も一緒に心待ちに出来る事ですか?
あなたがたと一緒に、ここで待ってもいいですか―――ほら、
>待ってる間に飲みすぎて酔っ払ってきたよ。
こう仰る>>515さんのために、お酒に良く合うチーズを持ってきました。
ブルゴーニュ地方の、白かびチーズです。
つ【Brillat-Savarin Affine Lait Cru】
ブリアサヴァラン・アフィネ。
しっとりと口当たりが良く濃厚で、蜂蜜にもよく合うのです―――おや!
>>486
>ぱくっ
あなた、つまみ食いですか?くす、いけませんねえ…まるで小夜みたいだ。
口の中でとろけて、頬が落ちそう?それは良かった。まだ沢山ありますからね。
やあ…彼女の事を思い出しました。僕も少し、お酒を貰おうかな。
これと一番相性が良いのは、やはりシャルドネワインなのですけれどね…さあ、
お酒をお飲みでないあとのおふたかたも、どうぞ。美味しいですよ。
…おやおや、あなたがたが待っていたのは僕だと仰るのですか?
やあ、それは失礼―――今度も随分待たせてしまって、御免なさいね。
それでは、今から皆さんでゆっくりお話をしましょう。
- 520 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/09/24(木) 02:31:31
- >>479
>ハゲよりお腹だよね、男の貫禄はお腹だよ、お腹、うん
おや。ではアンシェル兄さんは、あなたの基準から外れてしまいますね…
だって**(僕の口からはとてもじゃないがはっきりとは申し上げられません)
よりお腹なのでしょう?出てるじゃないか、と仰る?いいえ、まさか。
インターネット上に、兄さんの全身が入った画像が転がっている筈ですよ。例えば、
http://www.blood.tv/
直接、画像にお繋ぎ出来ないのが残念なのですけれど…それに、
携帯端末では見るのが難しいでしょう。御免なさいね。
このページの、アンシェル兄さんの項目をご覧なさい。
よく見ると判るんですけれど、兄さんはあれで意外とお腹は出ていないのです。
むしろキュッとくびれていると言っても過言ではありません。
脚も、まあ長い。スタイルだけはそこそこ好いのですね。
ひょっとすると彼は…せめてどちらか一つだけでもと―――
つまり**が駄目ならお腹だけでもと、努力なさったのかも知れません。
- 521 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/09/24(木) 02:33:55
- >>501
>いやその前にアダムスファ(ry
あなた!あの時>>418-419の事はもう忘れて下さい。
確かにあの時、僕はやりましたよ。お下げのかつらを被って、
陰気な黒いスカートを穿いて、ウェンズデー・アダムスの役をね。
だって仕方ないでしょう、カールがどうしてもと言うのですから>>367―――
いえ、いいえ、僕はやむなくやったのです。
そんな―――大層乗り気だっただなんて、そんな事は決して―――
誤解も甚だしい、僕はアンシェル兄さんやグレゴリー兄さんとは―――
彼らと僕を一緒にして貰っては困るのですよ!
えー…ゴホン、
>シュヴァリエになった後、怖い話とか怪奇現象のお話するの?
それはもちろん、お話の流れによってはね。
僕ら翼手にだって、怖いものはあります。
例えば、シュヴァリエにとって一番こわいのは…そう、仰る通りで
あるじと対をなす女王の血です。その次は、あるじに必要とされなくなる事だ。
シュヴァリエ、と一括りにしなくても、それぞれ怖いものはあるでしょう。
例えば―――アンシェル兄さんは間違いなく、**毛を怖がりますね。ええ、
ディーヴァはそんな話を聞いたら当然、鈴を転がすように笑って喜ぶでしょう。
もしそこに小夜が居たなら―――ハジの袖を掴んで、はらはらするのでしょう…
おや、何ですって?
ひゃくものがたりをしてはどうか―――?何ですか、それは?
まず皆で輪になって座り、その真ん中に青いフィルムを張ったカンテラを置く。
それに100本の燈芯を入れて火を点け、他の明かりを消す―――成る程。
そうしたら、順繰りに怖い話をして、一つ話し終わったら一本、燈芯を抜く。
明け方までに100話が終わって、カンテラの灯がすっかり消えてしまった瞬間
―――何かが起こる、というのですね?
何かとは何です?とても怖ろしい事ですか。成る程、
それは例えば―――誰かの毛が根こそぎ、ごっそり
―――いえ、何でもありませんけれど―――
やあ、それはとても面白そうだ!検討しておきますね。
- 522 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/09/24(木) 02:35:40
- >>487
おや、今夜はあなたが怖い話をして下さるのですか?
>ねえ、幽霊って見たことある?
僕も長く生きてきましたけれど、ついぞ見たことがありませんねえ…
はは、ええ、鈍いのかもしれませんね?
>僕、見ちゃったんだ…。
>女の子が歌って踊ってたんだ。
それは…いつ、どこでですか?場所や時期によっては、その少女はひょっとして
―――いいえ、いいのです。
けれどあなた、それが例え幽霊やお化けの類だったとしても
歌を綺麗に歌えるものに、ほんとうに邪悪で怖ろしいものは居ません―――
おや、船乗りを遭難させるローレライが居るじゃないかと仰る?
いいえ…確かにそれは、あなたがた人間にとっては心を惑わせる魔女の歌声でも
僕らにとっては、母親のように優しい女神の歌声かも知れない。
そういう事もあるのです。
はは、けれど―――
>>488
>そういうときはレッツダンス!と合わせなきゃ
もしそれが、本当にあなたがたの忌むべきローレライだったとしたら
あなた彼女にそんな事をして、無防備に首すじを晒したのでは
本当に命が危なかったかもしれませんね?ええ、もちろん僕なら―――
>ソロモンなら手とり足と(ry
くす、アンシェル兄さんにも、よくダンスが巧いと褒められます。
僕なら間違いなく、無事に彼女のお相手をする事が出来るでしょうね?
- 523 名前:名無し客:2009/09/24(木) 06:39:45
- >>518
おおソロモン、あの時は楽しかったよな!
やっぱり海釣りは男のロマンだよな、燃えたぜ!
船まで持ってるなんて、あんたやっぱり金持ちだよな。
気まぐれでわがままな女どものご機嫌取りにうんざりしてたんだが
潮風に吹かれてスカッとしたぜ、サンキューな!!
- 524 名前:名無し客:2009/09/24(木) 12:39:12
- 無くしてから気づいた尊いものはありますか?
- 525 名前:名無し客:2009/09/25(金) 22:24:46
- 海水浴には行けなかったので、
どこか別の所に連れて行ってもらえませんか?
もし良かったら・・・・こっそり二人っきりで。
- 526 名前:名無し客:2009/09/28(月) 00:17:33
- ソロモンには愛人が星の数ほどいるとちょっと聞いたことがある。
>>525も愛人候補になるの?
ネイサンとジェイムズのように【ワンッ!ワンワンッ!】でも楽しいと思う。
- 527 名前:名無し客:2009/09/29(火) 21:26:22
- >>526
えーーーーーーーーーー!!!w
私がソロモンさんの愛人だなんて・・・・(ハート^^
そんな・・・私の様な者でもいいのでしたら・・・・(モジモジ
- 528 名前:名無し客:2009/09/30(水) 08:14:04
- 秋の実りですよ…
つ【じゃがいも】
つ【いちじく】
つ【ぶどう】
- 529 名前:名無し客:2009/10/03(土) 02:51:23
- 秋か、秋なんだ…
大好きな季節だよ、食欲、芸術の秋…
食べる事を娯楽にしたくないのってリーザアンシェルが言ってたけど
豪快に食べてくれる小夜に手料理をいくらでも作りたいな
そういえばソロモンってカールのように僕の小夜って言わなかったね
やっぱり面白い兄弟だねえ
- 530 名前:名無し客:2009/10/05(月) 11:45:41
- ソロモン、ごめんね
ハンカチ借りるね
- 531 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:40:30
- おや、あなた、どうしました。
変な話>>522をしていたら寒気がしてきた?
それはいけませんね…僕が診てあげます。さあ手を出して。
ふむ…、脈は確りしていますね。
皆さんも、何か身体におかしな所があったら
すぐに言うのですよ―――では口を開けて、声を出してみて―――ええ、
そうですよ、僕は医者をやっていましたから―――喉がすこし赤いな。そう、
それにここには、心得のあるものが沢山居ますからね。
アンシェル兄さんは少し畑が違いますけれど、グレゴリー兄さんは
正真正銘のお医者様です。それにカールも…、…おや。
あなた、ご存知ありませんでしたか?カールは立派な医学生だったのですよ。
僕は大学の頃、彼に出会いました。ええ、彼に流暢なフランス語や
社交界で必要な作法を教えたのは、僕です。
- 532 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:41:58
- >>509
>カールをシュヴァリエにする時、どうして彼を選んだの?
どうして僕がカールを選んだか、ですか。
ひとつは―――彼がアジア人だからです。
アンシェル兄さんが、僕にモンゴロイドを連れてくるように命じたのです。
それはグレゴリー兄さんの研究の成果に基づいての事です―――
けれど、僕がカールを選んだのは、それだけが理由ではありませんでした。
カールは医学生だったあの時、とても真剣に考えていたのです。
植民地となった彼の故郷の事や、この世界全部の事を。
彼が海外へ留学し、医療を学ぶ事で、当時の
第一次世界大戦で常態を失くした世界に、何の一石を投じる事が出来るのか
それをずっと、考えていました。
僕は、彼のその姿勢が好きでした。
本に俯く彼の真っ直ぐな眼差しも、横顔に垂れかかる長い黒髪も、
はきはきとして物怖じしない口調も、どれ一つ取っても
厭わしい所などありはしませんでした。
だから僕は思ったのです、彼に答えを見つけて欲しい、と。
もちろん、シュヴァリエになれば実験体として扱われる事を知っての上です。
利害が一致して、丁度好いじゃないか。そう―――思いました。だから、
僕は言いました。僕なら君が答えに至る手助けをしてあげられるかもしれない、
今度、僕の屋敷へおいでなさい、と。
しかし―――それで彼が得たものは、追い求めた答えでも心の安息でもなくて
偏向した愛と、凄まじい執着心でした。
それを腕に余るほど抱えた彼が、その重さに耐えかねて歪み、壊れていく音を
僕はいつもすぐ傍で耳にしていたのです。カールが―――
カールが人間として死ぬときも、生物として本当の意味で死を迎える時も
最後に口にしたのは、僕の名前でした。
一度目は、僕は彼に微笑んで応えました。けれど二度目は―――
僕は何も出来なかった。彼がまるで、
ソロモン、―――お前はまたそうやって僕を騙すのか。
そう言ったようで―――僕は初めて自覚しました、
あの時彼に未来を提示した事で、僕は彼に対して罪を犯したのだと―――しかも
それは計り知れない、とんでもなく重い罪だったかも知れない、と。
小夜の血で粉々に砕けた彼の欠片は
まるで逃げるように、この指の間をすり抜けていきました、―――
やあ…あなた、軽い風邪のようですね。
今日はもうお休みなさい。後でお部屋にワインを持って行って貰いましょう。
とっておきのシャトー・ラフィットがあります。あれは良い強壮剤なのですよ。
飲めば軽い風邪なんて、たちどころに治ってしまいます。
ええ、フランスの医者なら皆そう言うでしょう。遠慮しないで。
- 533 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:44:41
- >>510
おや―――随分、憔悴しておいでだ。
貴女の所にも、後で温かいワインを持って行きましょうね。
>娘が妊娠しました。
やあ、何ですって―――ご息女が?それはおめでとう。
>もうどうしていいか分かりません_| ̄|○
おやおや、さあ、顔を上げて…ここへお掛けになって。
けれど貴女…死ぬまで子供を持つことなんてなかった僕などが、貴女に
偉そうに返事をしていいのか判りませんし―――それに、これから僕が言う事は
決して貴女の求める答えにはなりませんよ。
貴女のご息女が幾つなのか、僕は知りませんけれど…貴女がそう仰るのなら、
余程の事情がおありなのですね。
ですが…もしご息女が貴女の考えに頷いたら、お腹の赤ん坊をどうするのですか?
その赤ん坊は、貴女の初めてのお孫さんじゃありませんか…本当にいいのですか?
実は―――僕の母親も、先ごろ懐妊しましてね。
ああ、いいえ、実の母ではないんですけれどね。
彼女はおよそ200年もかかって、やっと子供が出来たのですよ。それまで、
どうしたら彼女が赤ん坊を産む事ができるのか…誰にも判らなかったからです。
僕らも、彼女も、とても頑張って、やっと解答に辿りつきました。
妊娠したと判って、彼女はとても喜びました。けれど、
彼女の息子の一人であるはずの僕は、それを心から祝福できなかった。
僕は、頭が別のことで一杯だったのです―――
僕らのうち誰か一人でも、
彼女の事を心から、ただ祝福して差し上げる事が出来れば良かったのに
だから僕らはいつまで経っても、彼女が認める本当の家族になれなかった。
おや―――いけない。
これからご息女が赤ん坊を授かろうというのに、僕は何て話を。御免なさいね。
- 534 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:45:39
- >>503
>あなたがこれまで見た中で最も美しいと思った船は何?
やあ、船ですか。
もしジェイムズなら、彼が副艦長をやっていた航空母艦の名前を挙げるのかな。
僕は、残念ですけれど軍用の戦艦にはあまり明るくないのです…
ジェイムズの空母になら、乗せて貰った事はあるのですけれどね。ええ、
彼の艦はある時期、ディーヴァを運ぶ手段になっていましたから。
美しい船ですか、そうだな―――
君、長い夜のあいだ、僕らが眠らずに何をしていると思いますか?
仕事?研究?食事?やあ、全部正解です。
けれど、それだけする事があっても、どうしても退屈してしまうのですね。
だから僕は、どうしても暇な時に…小さな船を組み立てて遊んだ事があります。
大航海時代のガレオン船・ゴールデンハインドを知っていますか?
ゴールデンハインドは、あの有名な海賊、サー・フランシス・ドレークが
世界を一周するのに使った私掠船です。
それを復元したものが、イギリスにあるのです。
ゴールドスミス・ホールディングズはイギリスに本社を構えていてね、
そこへ用事で出向いた時に、偶々あの船の傍を通りかかりました。
立ち並ぶ建物の狭いすき間に納まっていましたけれど、それでも壮観でした…
船首にあしらわれた黄金の雌鹿が、すらりとしてとても美しかった。
しかし―――やあ、あの模型を作るのは本当に骨が折れますねえ?…やあ、
あれを海の上をちゃんと走れるように作るのですから、船大工は偉大です。
ああいう作業は、アンシェル兄さんかグレゴリー兄さんこそ
得意なんじゃないかな。一つずつ丁寧に削り出した部品を
組み立てたら組み立てただけ、完成に近づいた新しい姿が見えてくる。
まるで彼らの仕事と同じではありませんか。
カール?彼はいけません、きっと途中で顔が緑色になってしまいますからね。
…あなた、船がお好きなのですね?
ゴールデンハインドが見たいですか?そうですか…、では
僕の部屋で作りかけのまま眠っている模型の続きを、手伝ってくれませんか?
そうしたら君、ゴルトシュミットの豪華客船でもアメリカ軍の戦艦でも
お好きな船に乗せて差し上げますよ。
- 535 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:47:04
- >>507
>ポエマー乙
何ですって?それは僕の事ですか?
よく意味は判らないのですけれど―――言い回しが臭い、とか歯痒い、とか
僕の言葉を聞いて皆さんそう仰るのですよ。
あなた、どう思います?例えばね、ある少女の姿があまりにも美しくて、
彼女が背にした窓ガラスから、眼下に広がる
『摩天楼の輝きなんて、まるで彼女の美しさを彩る飾りにしか過ぎない』
と思うほどだったのですよ。だから僕は、彼女に思ったままを伝えたのです。
おや。どうしてです?普通の事じゃありませんか…、
…はい?それで彼女の反応はどうだったのかと仰る?やあ…、
彼女は聞いて喜ぶどころか、何だか厭な顔で後退りをするのですよ。
だから僕は追いかけました。するとね、彼女はテラスへ逃げ出してしまった…
ですからまた追いすがって、彼女を捕まえたのですよ。
離したくなくて、抱きしめて顔を近付けると彼女は、彼女は平手で僕の頬を
―――ああ頭が痛い。思い出したくない。
おや、>>508さんはそう言って下さるのですか。
>感性を養うことも物事を多く見るのも大事なことさ
どうもありがとう。
仰る通りで、綺麗な言葉遣いが出来て、困る事など何もありませんからね。
僕だって、無駄に長い年月を過ごしてきたわけではないのですよ?
あなたがたいいですか、仕事で偉い人の機嫌を取らないといけない時など―――
…そこのあなた、いま何と仰いましたか?
自分は―――自分は小夜に引っぱたかれて困ったじゃないかと仰る…?
君―――君という人はよくも―――
後でちょっと僕の部屋へおいでなさい。
- 536 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:48:39
- >>505-506
>それはとても幸せであったかいことだね
あなたがた、そう言って貰えて、ほんとうに良かった。
ご来客に居心地良く過ごして貰うことが、僕らの仕事なのですからね。
それに、あなたの仰る通りです。
この場所では、僕らは過去を懐かしく思い返すことも
犯した罪を悔いる事も…叶わなかった夢や理想を語る事だって許される。
ここでは小夜とディーヴァが、仲良く手をつないで眠ることができる。
彼女の二人のご息女が同じように幸せに暮らす姿を、思い描く事ができる…
それはもちろん、僕らの物語の中で
それが実現すれば良かったのにという人は居ます。その一方で、
多くの人は―――小夜とディーヴァとの共存は難しいとも言います。
慥かに…彼女たちの間には、二人の生物学者が作った100年の溝がある。
そしてそこには、彼女たちの違いを決定づける自然の摂理がある。
けれど―――実現が到底不可能な理想の話だとしても、
どうして僕らが…彼女たちが、それを望んではいけないというのでしょう?
僕らの役目は、もう終わりました。
僕らはその過程で沢山の犠牲を払いました、―――それを代価にして
次世代の僕らの眷族に幸福を、と願うことは
彼女たちが生きている限り、決して誰にも禁じられるものではありません。
- 537 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:50:05
- >>512
>主の望みに応える一方、どこかで一線を引いて見守ることに徹する強さ。
>小さな心配り一つでも大切なことだって心掛ける姿勢の重さ。
あなたも。
僕らの事をそんなふうに理解してくれて、どうもありがとう。
お優しいのですね。
あなたの仰るような事は、僕らシュヴァリエにとっては
―――もちろん、ハジにとってもです―――いつでも、当たり前の事でした。
それが出来るから、僕らは何百年も
彼女たちの気に入るシュヴァリエで居られた。ただ…、
>涙を流せない分、きっと苦しいのに。
涙を流す事は、いつだって出来ました。
小夜はよく泣く少女でした―――僕はいつだったか、彼女を泣かせてしまって
彼女の頬を拭って差し上げたものです。
ディーヴァは、決して涙を見せませんでしたけれど
彼女の心は、本当はいつも涙を流していたかも知れません。
それは僕らも同じです、けれど少なくとも僕は
選んだ道を後悔した事も、自分の運命を呪った事もありませんでした。ですから
自分のために涙を流す必要なんて、ありはしませんでした。
僕にとっては―――泣かないでいるよりも、眠らないでいる方が辛いな。
それはもちろん、あるじの目覚めを眠らないで待つことは苦痛ではありません。
けれど、もし眠ることが出来れば―――
きっともう会うこともない彼女の夢を見ることも、出来るのでしょうからね。
- 538 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:50:53
- >>524
>無くしてから気づいた尊いものはありますか?
僕がこれまで失った…というより、自分の手で棄ててしまったものは
それが尊いと知っていながら、手放したものばかりでした。
遠い昔にこの手にかけた兄さんも、道を別った兄弟達も…僕が裏切ったあるじも
僕にとっていつだって尊かった。初めて会った時から―――手放したその後も、
僕は彼らの事を、少しも変わらず、愛していました。
憎んだり疎ましく思った事なんて、一度だってなかった。
失うまで気がつかなかったものは、そうだな…例えば
眠りに落ちる瞬間の心地よさとか、そういった些細なものばかりです。
そう考えると、僕は随分と幸せだったのかも知れませんね。
- 539 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:52:22
- >>489
>薬物といえば幸せ草と言う違法薬物がすごいらしいですよ
幸せ草?―――やあ、聞いたことがありませんね。
違法薬物…?ははあ、しあわせ島という島の特産物で
摂取すると気分が好くなって、作業の能率が上がる…成る程、麻薬ですね。
それで、そのしあわせ島は―――何ですって、野球の試合に負けると
そこへ収容されて、兵器の工場や麻薬の畑で働かされる?滅茶苦茶だな。
そこで造られた兵器は、世界中のテロ組織に売りつけるというのですか…成る程、
一緒に薬も流していると見て間違いないですね。何て邪悪なんだ。
…おや。
幾らなんでも、ファルマシーでそういったものを扱った事はありませんよ。
僕らが扱っているのは、医療の為の薬品や機器であって
そういう、信用に関わる怪しげなものは―――、…何ですって?
怪しげな薬を使って色々やった口でそれを言うのか、と仰る?
やあ。…あれは、大義名分があっての事です―――
某大国の軍が、新しい試みのためとスポンサーになって下さいましてね。
開発に伴う費用には、事欠きませんでしたよ…こちらも、
一国を挙げての計画ですから、手を抜くわけにはいきません。
現地の子供たちに、実験に協力してもらって―――有意義な研究が出来ました。
あの時は、ヴァン・アルジャーノが本当によくやって下さいましたからね。
けれど…彼のような人間は、本当に怖いですねえ。
幾ら研究開発の為といっても、自分と同じ人間の子供に
あんな劇薬を投与するなんて、普通なら寒気がすると思うのですけれど。
まあ、何にせよ彼はとても有能な部下でした。
あとしまつを全部押しつけてしまって、気の毒なことをしたな。
彼がストレスに耐えかねて、仰るような薬に手を出さないといいんですが―――
アメなんかよりも、余程効果がありますからね。
- 540 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:54:38
- >>529
>秋か、秋なんだ…
ええ、そうですね。この季節はきっと、小夜も嬉しいでしょう。
彼女が、いまも美味しいものを食べているといいのですけれど…如何せん
一緒に居るのがあの甲斐性無しですからねえ。小夜がひもじい思いをしていたら
―――あの犬、ただではおきませんよ。
まあ、それは置いておいて…へえ、アンシェル兄さんがそんな事を?
>食べる事を娯楽にしたくないのってリーザアンシェルが言ってたけど
ふむ、成る程。
それは嘘ですよ。彼は小夜に皮肉を言ったのです。
だって兄さんはそう言ったその口で…赤い盾の、エリザベータ女史の血を
残らず飲み干してしまったのでしょう?彼はきっとこんな事を言ったはずです、
とっても美味しかったわ、彼女の血は。だから、ぜーんぶ飲んじゃった―――
しかも、唇の端を愉快そうに吊り上げてね。
これは紛れもなく、食を娯楽にする美食家の言う事です。
きっと彼は、翼手の女王でありながら本来の生きかたを忘れてしまった小夜が
余程お厭だったのでしょう。
きっと小夜が口にしていたのが「人間の食事でなければ」
彼も、あなたと同じように考えたかもしれませんね?
何しろ、彼女は翼手の女王なのです。小夜さえ本来の在り方を望めば―――
彼女は、僕らの花嫁なのですから。
>そういえばソロモンってカールのように僕の小夜って言わなかったね
はは…、ええ、それでも僕はカールのように大胆にはなれなかったな。
僕は、彼のように大きな声では言えません。もし言うなら、
彼女が本当に僕のものになってからです。ちゃんと二人でそれを確かめてから、
優しく抱きしめて、耳元でそっと、
僕の――――――
…やあ、いいですね。一度でもいいから、口にしてみたかったな。
- 541 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:56:04
- >>523
>おおソロモン、あの時は楽しかったよな!
ええ、そうですね。
あなたには好い気分転換になったようで、本当に良かった。君の釣った魚、
グレゴリー兄さんが随分はりきって、腕によりをかけておいででしたよ。
僕が用事を頼みに行った時も、
「何?いまオペの最中なの。急がないなら後にしてくれるかしら?」
と仰って、三枚おろしに夢中でした。
>船まで持ってるなんて、あんたやっぱり金持ちだよな。
はは、いいえ…そうは言っても、大したことはありません。
あの船だって、僕が買ったものじゃありませんし、ね。
社長の椅子に据わっていた頃には、例の計画に忙しくしていて
海に遊びに行く機会なんて、なかったものですから。
あなたが釣りへ行こうとでも仰らなければ、まるで宝の持ち腐れでした。
僕のほうこそ、ありがとう。
けれどあなた、贅沢な悩みですねえ?
>気まぐれでわがままな女どものご機嫌取りにうんざりしてたんだが
まあ―――ここだけの話、あなたのお気持ちは解りますよ。
気まぐれでわがままな女性は、とてもかわいいものですけれど
度を越えると、つい溜め息を吐きたくなる事もあるものです。
かといって、まるで強請るように上目遣いをされたら―――そのうえ、
「だめ…?」などと囁きかけでもされたらあなた、
やっぱり、つい彼女の気に入るようにしてしまうのですね。
はは、ええ―――ほんとうに狡いです、彼女たちは。
- 542 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:57:00
- >>528
>秋の実りですよ
おや…あなた、こんなに沢山。重そうだ、どうぞこちらへ。
葡萄が良い香りですねえ―――今年はヴィンテージになるかも知れません。
本当に、頂いていいのですか?やあ、ありがとう。
早速、キッチンへ持って行きましょう…グレゴリー兄さんが、
>>523さんの魚を捌いておいでですからね。一緒に料理して貰いましょう。
無花果はきっと、美味しいジャムになるでしょうね。
ジャガイモは…そうだ、先程、シェフにブイヤベースを頼んでおいたのです。
せっかく、南仏で採れた魚ですからね。
一緒に振る舞われるアイオリで和えれば、それは美味しいでしょう。
やあ、あなたがた、楽しみですねえ?
…おや。僕は、娯しんで食事をする人間に向かって
先ほどのアンシェル兄さんのような、失礼な事は言いませんよ…むしろ
そういう人間を眺めるのは、嫌いではありません。兄さんもそうじゃないかな。
ほら…人間だって同じでしょう、
鴨の肝臓を肥やすために、好い餌を沢山与えるじゃありませんか―――
…くす、いやだな。冗談ですよ。
- 543 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 02:58:22
- >>526
>ネイサンとジェイムズのように【ワンッ!ワンワンッ!】でも楽しいと思う。
―――あなた!今何と仰いました?
ま…、真っ青になっている?やあ、失礼…あまりびっくりしたものですから。
何を仰るのです―――面白いですって?いいですか、僕には
ジェイムズに対するネイサンのようなのは居ません。
それは確かに、仕事を円滑に進めるために同性と仲良くする事はあります。
ですが―――それは必要だからなのであって―――僕でなくても―――
やめて下さい。
僕はああいうのとは違います。
先ほど言ったように>>521、兄さんたちとも違いますけれど―――
だからといってあれと同じ趣味もありません。
確かにあの二人のことを、いつも可笑しいなと眺めてはいましたけれど
羨ましいなんて思ったことは―――ええ、一度もありません。
そういえば…初めて彼に会って間もない頃、本人にもそんな事を言われました。
僕は今と同じように答えたものです、
「あぁら!アナタとぉってもカワイイから、アタシとおんなじだと思「やめて下さい。」
あれ以来、ネイサンが僕に絡んでくる事はあまりなくなりました―――
きっとそのせいで、ジェイムズにお鉢が回ったのです。
あれでは、ジェイムズが僕をあんなに恨むのも仕方がありません…おおかた、
積年のストレスが、僕が彼の体を傷つけた事で爆発したのでしょう。可哀相に。
…おや。僕はネイサンが嫌いな訳ではありませんよ?
彼は一応、僕の恩人でもありますから―――ただちょっと個性的なだけです。
ええと、それより…君の話の本題はそこではない筈ですよ。どれどれ…、
- 544 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 03:02:59
- >>526
>ソロモンには愛人が星の数ほどいるとちょっと聞いたことがある。
> >525も愛人候補になるの?
>>527
>私がソロモンさんの愛人だなんて・・・・(ハート^^
成る程。
>525さん、ご家族は?…ふむ。難しいですね。
何故って?それはね、貴女と僕がそういう関係になるとすると…
貴女にご家族がいると後々面倒―――いいえ、ご家族が悲しむ事になるからです。
おや…そこのあなた、察しがいい。
要するに僕の「愛人」の彼女たちは、僕にとって都合の良い―――いえ、いいえ、
僕にとって非常に有益なのですけれど、いつでも危険な状況にあるという事です。
有益、というのは…彼女たちは皆、どこかの資産家や政治をする人
あるいは偉い軍人さんと、深いつながりを持っています。
つまり―――彼女たちは僕らが持ち得ない、とても良い情報を沢山持っている。
周りに判らないようにそれを教えてもらう事は、とても簡単です。
企業というのは、ある程度―――世界中に支社をもつほど成長すると、
悪い虫がつくものなのです。ほら、ファルマシーには
CIAのスパイまで入り込んでいたそうじゃないですか。怖いですね。
サンクフレシュ・ファルマシーは―――幾らかは、彼女たちのお陰で
順調に成長する事ができました。
だってあなたがた、僕が行く先々で女性を伴って食事に出かけたって
別に不思議じゃないでしょう?
折角、軽薄そうな姿に生まれついたのですから―――上手に利用しなければ。
おや、それのどこが危険なのか?…あなた、忘れてはいけません。
僕は翼手なのです。一緒に居るだけで人間は危ない。
スパイだとか、暗殺だとか、そういう物騒なことじゃないのです。
僕が言うのは―――有り体に言えば、
何かの拍子に、僕が彼女たちを殺してしまうかもしれないという事です。
おやおや。
ほらね。
僕らはそういう生き物です。もし、それでもいいと仰るのなら…
>>525
>どこか別の所に連れて行ってもらえませんか?
>もし良かったら・・・・こっそり二人っきりで。
僕がいやだと言う筈がないではありませんか―――もちろん構いませんよ、
一緒に行きましょう、貴女がそう望むのであれば。ええ、二人きりで―――
どこへでも、あなたのお好きな所へ。
- 545 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/10/11(日) 03:04:49
…やあ、また僕は、随分と沢山喋りましたねえ。
あなたがた、僕の話が退屈だったら、御免なさいね。
100年近くも生きていると、歳のせいで話が長くなってしまっていけない。
それに―――何だか勿体無くてね。
ついつい、たった一つのご質問にとんでもない時間を割いてしまいます。
それも全部、あなたがたと話すのがとても楽しいからですよ。
いつも僕の話に耳を傾けてくれて、どうもありがとう。
それではあなたがた、お休みなさい。どうぞ良い夢を。
さあ…>>525さん、一緒においでになりますか?
そうですか。それは良かった―――さあ、早くおいでなさい。
やあ…嬉しいな、
―――やっと食事が摂れる。
- 546 名前:名無し客:2009/10/12(月) 18:52:30
- 525:「はーい!今行きマースっwwwwww」
- 547 名前:名無し客:2009/10/13(火) 08:37:18
- ソロモンは軍に入れられそうになったのが嫌で、
家を出たところアンシェルに助けてもらったそうですね。
アンシェル叔父さんとの生活はどんな感じでしたか?
またシュバリエになるように勧められたきっかけは?
- 548 名前:名無し客:2009/10/14(水) 21:55:04
- ソロモン、シュヴァリエって体型が変わるものなの?
- 549 名前:名無し客:2009/10/15(木) 18:31:27
- ねーもんもん。
もんもんは人の血が好きなんだよね。
私の血も吸うの?(´・ω・`)
- 550 名前:名無し客:2009/10/19(月) 08:49:56
- ちっちゃいお嬢さんを襲うような翼手紳士じゃないですよ。
むしろ……モガモガモガ
- 551 名前:名無し客:2009/10/26(月) 20:21:12
- 愛があれば平和だと思いますか?
- 552 名前:名無し客:2009/10/26(月) 21:32:17
- ハジソロハジとソロハジソロ
ネイサンとジェイムズみたい
- 553 名前:名無し客:2009/10/26(月) 21:33:51
- 髪の色がね?
- 554 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:39:11
ご機嫌よう、皆さん。こんばんは。
先ごろ、ハロウィンが終わりましたけれど…あなたがた、
何か夜中に怖いものを見ませんでしたか?
こちらでは、ハロウィンの時季は聖人を讃えるお祭りをするのですけれど
アメリカやイギリスでは、死者がお墓の中から起き上がるイベントなのですね。
おや、あなた裏の森を、白いふわふわしたものが移動するのを見たと仰る?
ああ…成る程。はは、御免なさい。それはきっと僕です。
ご来客のお嬢さんを、ちょっと湖まで連れて行って差し上げたのですよ。
やあ、けれどよく考えると、僕らシュヴァリエは皆起き上がりですねえ。
あなたがたにしてみれば、僕らがお化けです。ここは一年中ハロウィンですね。
- 555 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:40:18
- >>548
>ソロモン、シュヴァリエって体型が変わるものなの?
おや、あなた、どうしてそんな事が気になったのですか?
やあ…兄さんの頭髪だのお腹だののお話なら、僕はもうこれ以上―――
そういうわけではない?それは失礼。
翼手というのは、代謝もいいし燃費もいいのです。ですから、余程の事では
急に太ったり痩せたりすることはありません。
ほら、そうでしょう?小夜だって、いくら食べても小さくて華奢なままです。
それに…なにより僕らは、好きなように姿を変える事ができますし、ね。
擬態したい人間の遺伝子の情報さえあれば、その姿をとる事ができる。
羨ましいですか?そうでしょう、とても便利ですからね。
けれどあなたがた、羨ましい事ばかりではありませんよ。
僕らには擬態とは違う、もうひとつ別の形があります―――
その姿はおよそ人間とはかけ離れた、まるで化け物です。
けれどその形をした僕らは、きっと他のどんな生き物よりも強いでしょう。
それがシュヴァリエの、女王を護るのに相応しい本来の姿なのかも知れません。
…おや。では僕のこの姿も、好きなように変えているのかと仰る?
やあ、まさか―――これは生まれつきです。
僕はシュヴァリエになる前から、ずっとこの姿ですよ。
兄さんなんかは、いとも簡単に擬態をやりますけれどね?
ああ見えて結構、消耗するものなのです…そうだ、気になるのなら
アンシェル兄さんに訊いてご覧なさい。
僕をシュヴァリエにしたのは、彼なんですからね。
ああ、でも彼はもしかしたら…
僕は昔はもっと小さかった、と仰るかも知れませんね?
- 556 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:41:32
- >>547
>ソロモンは軍に入れられそうになったのが嫌で、
>家を出たところアンシェルに助けてもらったそうですね。
あなた、よくご存知ですね。
仰る通りで、僕は若いころ家出をしました―――やあ、
このお話は長くなりますよ。構いませんか?
兄さんはその時、僕を拾って、医者になる為の勉強をさせて下さいました。
僕は彼のところへ転がり込む前から、彼になついていましたから―――
>アンシェル叔父さんとの生活はどんな感じでしたか?
―――そうだ、昔は僕は彼の事を、兄さんではなくて
叔父様と呼んでいたのですね。やあ…、僕が小さかった頃の事はきっと
僕よりアンシェル兄さんのほうが、よく憶えておいでですよ。
飼い犬に包帯を巻いて遊んでいた事なんて、僕は彼の口から聞くまで、
すっかり忘れていました。
ええ、そんな事でしたから―――僕が家出をして行く所なんて、
兄さんの所より他にありませんでした。
彼のお屋敷は、とてもいい所でね…勉強をしたり、考え事にふけるのには
最高の環境でした。何しろ、煩瑣い僕の家族がいない。特に父が。
とても静かで、心穏やかでした。
- 557 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:43:10
- >>547
>またシュバリエになるように勧められたきっかけは?
僕がシュヴァリエになりたいと望む理由は、その頃から幾らでもありました。
あなたがたにも、あったでしょう?
この世界や自分自身が、嫌で嫌で堪らなかった時代が。若者にはよくある事です。
もちろん、僕にもありました。
人間は嫉妬や憎悪に駆られて争いあう。一度の争いから何も学ばず、
同じ歴史を何度でも繰り返す―――ただ
僕はそんな人間を、愚かで醜いだけの生き物だと蔑んでいたわけではありません。
憎しみや嫉み、そういう感情を人間の世界から取り除く事は不可能です。
同時にそれは、彼らの原動力でもある。
それがあるからこそ、彼らの文化はここまで発展した。
人間の醜さは、決して無価値ではありません。
ただ…、
ただ僕は、そんな業深い人間の一個体である事に、とても疲れていたのでした。
兄さんは、そこを巧く利用したのでしょうね。でも僕は感謝しています、
彼に―――父親に反抗する少年のように刃向かった事はあっても
僕をシュヴァリエにしたことで彼を恨んだ事なんて、一度だってなかった。
アンシェル兄さんはいつも物憂げで、
僕とは違う目線でこの世界を見ているようでした。
彼がどんな世界を見ているのか、彼の深い水の底のような瞳からは―――
彼よりずっと幼い僕に計り知る事など、出来はしませんでした。
僕は彼にこぼしました。僕はこのまま、
業深い人間の世界に順応して、父のような人間になるべきなのでしょうか?
普通なら―――お前がもう少し大人になればいずれ判る事だ、つまり
諦めなさいと言って、悩める青年の肩に手を置くのでしょう。けれど―――
アンシェル兄さんが口にしたのは、想像もしなかった言葉でした。
彼の話が―――人間にとってどんなに常軌を逸した、恐怖しか齎さない内容でも
その時の僕は、全てためらいなく受け入れる事が出来た。
僕はそれ程兄さんを信頼していたし、兄として心から敬愛していました。だから
彼があの地下室で、僕に剣を突き立てた時も…僕は躊躇なく目を瞑った。
もし、貴方の仰る事が本当なら―――
次に目を開けたとき、人間の営みから解放されて
平穏な心のうちに、新しい、理想に近づいた世界を見ることが出来るのなら
僕は貴方の本当の家族になって
決して疑わず、何でも仰るとおりに従いましょう。
耳もとで聞こえるのは、彼の声だけでした。
心臓の直上に、刃物の切っ先が当たる感触があった―――
―――ずぶり。
死は、想像を絶する痛みでした。夥しい量の血が―――
そこへ崩折れた僕の両脚を伝って、冷たい石の床の窪みを伝って
美しい少女のそばへ流れていく。まるで吸い寄せられるように、
彼女のものになる為に。
やあ。懐かしいな。
その頃はまだ…彼があんなに残酷な人だなんて、知らずにいたものです。
- 558 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:44:40
- >>549
>ねーもんもん。
>もんもんは人の血が好きなんだよね。
やあ君、こんにちは。
よく知っていますね?もちろん、好きですよ。
僕らはそれがないと、生きていけないのです。
>私の血も吸うの?(´・ω・`)
おやおや、そんなにしょんぼりする事はないのですよ…、
僕はいま、お腹がいっぱいなのです。
君が怖がったり、心配したりする事なんてなにもないのですよ?
それに僕は、もっと君とお話がしたい。君はどうですか?
あのお姉さん>>546を連れて行ったのは、彼女がそれを望んだからです。
君がいやなら、僕はそんな事しませんよ―――おや、
御免なさいね?僕のことがきらいになったかな。
やあ、違う?それは良かった。
それなら、ちょっと待っておいでなさい。
今夜は冷えますから、美味しいショコラ・ショーをご馳走しましょうね。
- 559 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:45:24
- >>550
>ちっちゃいお嬢さんを襲うような翼手紳士じゃないですよ。
>むしろ……モガモガモガ
むしろ……何ですって?
まあいいです。やあ―――はは、仰る通りで心配は要りませんよ。
僕はまだ彼女に手を出すつもりはありません。
彼女はまだお小さい。
それはもちろん、彼女の肌はまるで卵のようにすべすべとしていて
温かく、柔らかいでしょう。彼女の血は、
まだ混じり気がなくて、それは瑞々しいでしょう。けれどその代わり、
まだお小さい彼女の血は…少し口をつけただけで、すぐに枯れてしまうでしょう。
先ほどのお嬢さん>>546は、すっかり女性らしく成長されて―――それに
あんなに喜んで、元気いっぱいに僕についておいでになって。
命を分けて貰うなら、血色が好くて健康的な人からのほうが…効率がいいのです。
それに、生命力に溢れた人間のそれは―――とろりとして、濃くて、温かくて
まるで寒い日に身体を温めてくれる、ショコラ・ショーです―――
先ほどのお嬢さんは、素晴らしかった。
あのお小さい少女だって、少し待てばすぐにそうなるのに…
勿体ないじゃありませんか。やあ、でも―――僕はそう思いますけれど
兄さん達やカールは、どうか判りませんね?以前にも、
食事なら若い女性が好みだと言っておいででした。…くす、
あなたの仰りたかった事は、僕がそっくり彼らに伝えておきますよ。
- 560 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:47:12
- >>551
>愛があれば平和だと思いますか?
さあ―――、どうなのでしょうね?
もちろん、その言葉に頷く人も居れば…同じだけ、疑う人も居るでしょうね。
僕は、出来る事なら頷きたいのですけれど―――
愛があるからといって、人の心から憎悪や嫉妬が消えるわけでは
ありませんから、ね。むしろ愛があるからこそ、それが生まれる事だってある。
愛を知らない人は、きっと多くの人を傷つけるでしょう。けれど
愛を知っている人が、誰ひとり傷つけないわけではありません。
愛することと、争うことは、また別なのです。
愛を知っている人は強いですけれど―――必ずしも、その心に
平穏があるとは限りません。
…僕の言い方では、まるで絶望的に聞こえるかも知れませんね?
いいえ、愛に価値がないと言うつもりは、決してないのです―――
苦しく、悲しい世界だからこそ、愛が尊いのです。
その愛が、例え与えられる筈のないものでも…例え報われないと判っていても、
誰もが求めてやまないのです。
愛さえあれば、僕らが争わずに済んだと言い切ることは出来ません。
それが証拠に、僕らは皆、愛を知っていた。
愛の形は、必ずしも一つではありません。人が愚かにも争うのは―――
それが無いからではなくて、
愛を知っているのに、愛の形の違いに気がつかず
互いに愛するものが何であるのか、理解しようとしないからじゃないのかな。
- 561 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:48:19
- >>552
>ハジソロハジとソロハジソロ
>ネイサンとジェイムズみたい
―――S'il vous plaît!
Je n'entends pas bien―――Penses-tu,
Qu'est-ce que vous avez dit?Qu'entendez-vous par là!?
Moi et lui―――spécialement Hagi―――“ressemblons” à ces gens?……
Il va bien si c'est frère Amschel,spécialement qu'il―――Hagi.
Hagi…!
Aagh!Je me sens pris de vertige―――L'urticaire paraît―――
C'est dur de vous sauver!!
Vous―――avez―――dit―――une―――chose―――inutile.
- 562 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/04(水) 02:49:45
- >>553
>髪の色がね?
やあ、…髪の色?成る程、髪の色!
あなた御免なさい、取り乱して―――あなたがたに解らない言葉で、
しかもご来客に向かって、度し難いなどと―――僕らしくもない。
それ程吃驚したのです。けれど…あなた、よりによってハジでなくても。
しかも―――その、彼らのようだなんて―――
僕はハジに、あんなに嬉しそうにキスしたりしません。やあ、じんましんが…
黒髪なら、他に居るでしょう?アンシェル兄さんとか、カールですとか。
彼らのほうが、僕はハジより余程仲が好いと思いますよ―――、…おや。
では僕は、…兄さんやカールの頬になら喜んでキスするのか、と仰る?
いえ、それは―――
………Je suis désolé―――Je ne peux pas le faire―――J'avais tort.
柄にもなく、少し疲れたようです。
やあ、もうこんな時間だ。ご来客の皆さん、良い夢を…ご機嫌よう。
- 563 名前:名無し客:2009/11/04(水) 14:14:04
- あなたの愛用する品を一つ教えてください
- 564 名前:名無し客:2009/11/04(水) 15:00:45
- もんもんショコラおいしいな。ありがとー。
さっき聞いたのはね、私お注射苦手だから…
もんもんに吸われるときお注射みたいにチクってしたらどうしようと思って。(´・ω・`)
でもやっぱり私ちょっぴり痛くても頑張るから…
ほうれん草やレバー食べておいしい血が作れるように頑張るから、
ソロモンがお腹すいたら私に言ってね。私の血ならたくさん吸っていいから
*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 565 名前:名無し客:2009/11/04(水) 19:10:20
- フランス語の日本語訳を希望!
- 566 名前:名無し客:2009/11/06(金) 00:56:28
- 反応が可愛いねそんなソロモンも大好きさ☆
- 567 名前:名無し客:2009/11/06(金) 01:05:25
- もし小夜が相手だったらどんなふうに接するの?
小夜に擬態したかもしれないシュヴァリエという
オチはないよ♪
- 568 名前:名無し客:2009/11/12(木) 21:43:06
- アンシェルやカールと暮らした100年以上の月日は寂しかったんじゃない?
同じく歳もとらず、死なない仲間がいても孤独じゃなかった?
ソロモンは小夜を好きになったのは子供が欲しかったからなのかな?
- 569 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 02:50:59
ご機嫌よう。
ほんとうに、寒くなりました―――早いですねえ、
今年も、もうこの季節がやってきました。
あなたがた、御免なさいね?寒かったでしょう。
少し取り込んでいて…やあ、やっと脱け出してくる事ができました。
さあ皆さん、大広間の暖炉に火が入りましたよ。どうぞこちらへ。
- 570 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 02:52:28
- >>563
>あなたの愛用する品を一つ教えてください
沢山ありますよ。やあ、一つですか…困ったな。
昔から身につけているものなら、護身用の小さなナイフですとか―――
仕立ての良いナイフでね、銀の柄に上品な細工が施してあるのです。
―――ああ、けれどあれは失くしてしまって、いまは持っていないのでした。
今でも使っているものなら、きれいな群青色のインクが出る万年筆があります。
ええ、仕事で署名をしたりする時は、いつもそのペンを使っているのです。
僕は昔から、あの色が好きでね。
ちょうど今のように暮れかかった空の、天辺のような青です…
襟元のタイやスカーフも、いつも決まってあの色で―――やあ、はは
そういえば兄弟で揃いの携帯電話も、似たような青でした。
ディーヴァも、僕によく似合っていると仰って、気に入っておいででしたよ。
彼女はこんな事を言うのです―――
わたし、その色が大好きよ。
おまえがすらすらと書くその文字の色も、アンシェルの瞳の色も同じね。
人間は、青い色を見て死を思い浮かべるのですって?
青い色のばらは、ありえないものだと思っているのですって?―――おばかさん!
わたしは生きてるわ。
ここに咲いているこの子達も、みんな生きていて、まちがいなくここにいるわ。
それを知らないだけなのに、そんな風に決めてしまうのよ―――かわいそう。
彼女はほんとうにお可愛らしい。それに、お強くて賢い。
彼女の薔薇は、何があっても枯れない。
いつでも真っ直ぐに顔を上げていた彼女は、美しく誇り高い女王でした。
僕などが容易く折り取ってしまえるほど、彼女の薔薇は弱くなかった―――
やあ…最初に言ったナイフは、彼女を狙って投げつけた時に失くしたのでした。
あの時はまだ、彼女を傷つけるつもりなんて無かった。ああすれば、
アンシェル兄さんが小夜から手を放してあるじを庇うと、判っていましたから。
僕はカールのように飛び道具を出したりできないので、仕方なく投げたのです。
あれが彼の掌を貫いたところまでは見ました―――
彼は怒って、あれを処分してしまったでしょうか?
まだ持っておいでのようならそのうち返して貰いに行きましょう、
もちろん、その時の事でお小言を貰うでしょうけれどね。そうなったら、
昔ディーヴァが青い色について仰った事を伝えて、ご機嫌をとる事にしましょう。
- 571 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 02:54:21
- >>564
>もんもんショコラおいしいな。ありがとー。
>さっき聞いたのはね、私お注射苦手だから…
>もんもんに吸われるときお注射みたいにチクってしたらどうしようと思って。(´・ω・`)
美味しかったですか、それは良かった。
近いうちに、もっと美味しいものをご馳走しましょうね。
おやおや、けれど君は…そんなに僕のことがお好きなのですね。嬉しいな、
でも大丈夫、君が思っているような事は、もっとずっと先のことですよ。
その時にはもう、君もすっかり注射なんて平気になっています―――ほら、
僕も先ほどソーニャ兄さんに射ってもらいましたけれど、何でもありませんでした。
くす、やあ、注射が痛いから苦手だなんて、お可愛らしい。
僕も、君くらいの頃は怖かったなあ。何しろ、当時は今より針が太くてね―――
けれど大きくなってからは、射って貰うより、射ってあげる事の方が
多くなりましたから、ね。
それに、
>でもやっぱり私ちょっぴり痛くても頑張るから…
君が仰るような事は、君が思っているほど苦しい事ではないのですよ?
ちくりとするのはほんの最初だけで…、そういうふうに出来ているのです。
ほら、君―――吸血コウモリを知っているでしょう?
眠っている動物にこっそり近づいて血を吸う、小さなコウモリです。
彼らに噛みつかれた動物が、そうと気がつかないのが何故か、知っていますか?
彼らはね、獲物に歯を立てる時に、麻酔をかけるのですよ。
だから血を吸われても、ちっとも痛くない…やあ、蚊も同じような事をしますね。
蚊に刺されても痛くないでしょう?痒くはなりますけれど。
僕らも、コウモリや蚊と似たようなものなのですよ。
コウモリに至っては翼手目ですから、ほとんど同じだな。
くす、ほら―――あまり怖くないでしょう?
>ほうれん草やレバー食べておいしい血が作れるように頑張るから、
偉いですねえ。
僕の為でなくても、成長期の少女にとってそれはとても大事なことなのですよ。
つつがなく健康でいるためには、血の気が好いに越したことはないのです。
>ソロモンがお腹すいたら私に言ってね。私の血ならたくさん吸っていいから
やあ、君、本当にありがとう。
いまは美味しいものをたくさん食べて、すてきな大人の女性におなりなさい。
その時に、まだ貴女がそれを望むのであれば、僕は仰るとおりにしましょうね。
- 572 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 02:55:50
- >>565
>フランス語の日本語訳を希望!
やあ…、先ほどのあれ>>561ですね?
随分と不躾なことを口走ってしまいましたから―――それに、あまりの事で
ついアンシェル兄さんの名前のスペルを間違っているし―――正直なところ、
あまり気が進まないのですけれど…、
いいえ、いけませんね。ご来客には、きちんと本当の事を言わなくては。
ですが―――日本語、ですか。日本語は、あまり得手ではないのです。
頑張ってみますけれど…、笑わないで下さいね?
>>561
>ハジソロハジとソロハジソロ
>ネイサンとジェイムズみたい
...彼/それがあなたを喜ばせるならば。
私は、よく聞きません...あなたは考えます。それは、
あなたがdit.queをあなた自身のそこで話を聞いてもらうものです。
私と彼...特にHagi...これらの人々に「似ていてください」。……
それが兄弟Amschel.spécialementであるように、彼/それはうまくいきます
その彼...萩。
萩…。Aagh.Je感じは、めまいをとりました...蕁麻疹は現れます...
あなたを救うのは難しいです。
あなた...持ってください...言います......正しいこと...役に立たない。
ああ―――やっぱり、上手くいきませんでしたね。
僕が言ったのは、つまりこういう事なのですよ…
―――あなた、ちょっと失礼して訊きますが
いま仰った事が、よく聞こえなかったのです。冗談じゃない、
どういう意味ですか?どういうつもりでそう仰いましたか?
僕と彼が―――よりによってハジが、あの人たち『のようだ』なんて
アンシェル兄さんならまだ判るようなものを、よりによってあのハジ!
やあ、寒気がする―――じんましんが―――度し難い、
あなた言ってはいけない事を言いましたね、
…と。
本当に失礼しました、>>552さん。
お尋ねになったあなた、これでいいですか?やあ、思い出したらまた―――痒い、
…おや…。判っているのですよ―――あなたが笑いを堪えているのは。
お恥ずかしい。一通り笑ったら、なるだけ早めに忘れて下さいね?
- 573 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 02:58:42
- >>566
>反応が可愛いね
あなた、何ですって―――僕の反応が、言うに事欠いて可愛いだなんて。
とんでもない…僕の体が示した反応といえば、可愛いものではありませんよ。
ほら、頸にじんましんが。
やあ、翼手にもじんましんは出るのですね―――僕も初めて見ました。
思った以上に強いストレスがかかっていたようで…なかなか引かないものですから
先ほど、アンシェル兄さんに相談に行ったのですよ。そうしたら―――
まあ、当然といえば当然なんですが…いたく興味を引かれたご様子でね。
すぐにグレゴリー兄さんを呼びつけて、僕を取り囲んで会議ですよ。
彼、いや―――ソーニャ兄さんは、嬉しそうに看護師の衣装でおいでになって
「何かいけないものを食べた?何をしたらこうなったのかしら?」
てきぱきと診療をなさって…気がついたら僕は、
怖ろしい手際の良さで腕にカテーテルを刺されて、採血をされていました。
行われたのはもちろん、僕をどんな実験にかけるかの会議です。
どんな薬剤を投与するか、翼手に抗ヒスタミン剤は有効なのか、
そもそも、このじんましんが本当に心因性のものなのかどうか…しまいには
実際にハジに会わせたらどうなるか、などと言うのですよ。
とんでもない!今ハジなんかに会ったらアナフィラキシーショックを起こします、
そう言って拒否したところ、
『一個体のシュヴァリエにとって、対の女王のシュヴァリエがアレルゲンになりうる』
という、突拍子もない新説まで飛び出すしまつで―――
ハジを捜索して、無理やりにでもここへ連れてくるとまで仰る。
まだ治療法も確立していないのに、患者にアレルギー物質を近づけるなんて
医者の僕からすれば、非常識きわまりない事ですよ。
―――兄さんたちのような研究者の、いけない所です。
そのうちカールまで駆けつけてきて、「早く解剖されろwww」などと
面白がって囃すのですから…困ったものです。
彼らが、打ち出した新説にどういう名称をつけるかで白熱しているあいだに
こっそり脱け出して来ました―――
>そんなソロモンも大好きさ☆
おや…。あなた、お優しいのですね?
じんましんの出た僕にも、あなたは好きだと言って下さる。
僕もあなたが好きです。ありがとう。
- 574 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 03:00:27
- >>567
>もし小夜が相手だったらどんなふうに接するの?
何のです―――ああ、
ネイサンとジェイムズのような…ええと、メオト・マンザイ?の相手が、ですか?
それはもちろん、僕が嫌がる理由なんてひとつもありませんよ―――
もし彼女が僕にかまってくれるなら、僕の方から彼女にキスを浴びせます。
それこそネイサンみたいに、彼女の顔を見る度にね。
>小夜に擬態したかもしれないシュヴァリエというオチはないよ♪
それに越した事はありません。
彼女に姿を変えたシュヴァリエに、騙されるなんて…僕の兄弟の中に、
本当にそれをやって、僕を試しそうなかたがいるから困ります―――、
いいや―――でも彼は、小夜には擬態できない筈です。姿を借りるには、
対象の遺伝子情報が必要なのですから。
兄さんが小夜の血を摂取したら、死んでしまいます。
だからそれが出来るのは―――ああ、―――痒い―――
例えばその小夜と一緒に、パリの映画館や巨大な遊園地へ遊びに行って
甘いキャラメルポップコーンなり、黒い大きなネズミの耳なり
彼女の好きなものを買って差し上げて、楽しく過ごしますよねえ。そして
お別れの時には―――幸せな恋人同士がするように―――
そんな時に、パッと正体を現されでもしてごらんなさい。
泡を吹いて倒れますよ…アナフィラキシー・ショックです。
やあ、でも、あなたはそんな事はないと言って下さるのですから
幸せな想像はそのまま、胸にしまっておくことにしますね。
- 575 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 03:01:38
- >>568
>アンシェルやカールと暮らした100年以上の月日は寂しかったんじゃない?
>同じく歳もとらず、死なない仲間がいても孤独じゃなかった?
いいえ―――あの変わり者の兄弟達や、美しいあるじに囲まれて
寂しいと思った事なんて、一度もありませんでしたよ。
ディーヴァが起きておいでの時は、僕らは彼女のお世話で…といっても、
こちらが一方的に彼女に構うのですけれどね、それで忙しくしています。
眠っておいでの間は、彼女が次に目覚める時まで
30年かけて、皆で準備をするのです―――
世界を動かし、彼女の巨大な揺りかごにするために。
僕らはいつでも忙しいのです。それに、
彼女の子である僕はいつでも、彼女の息遣いをこの身体に感じる事ができる。
それに、僕らシュヴァリエは―――ひとつの意志を五つの身体で分けあった、
兄弟なのです。僕にとっては彼らこそが本当の、誇らしい家族でした。
他の兄弟達にとっても、きっとそれは同じでしょう。
全てはディーヴァの為に―――この意志が確乎としてある限り、
僕らシュヴァリエが揺らぐ事はありませんでした。
けれど、僕がそうだったのは…小夜と出会うまでの事でした。
彼女に出会って、彼女の事がすっかり好きになってしまってからは
長い夜の時間を独りで過ごすのが、とても孤独で寂しかった。
あんなに独りが寂しいと思ったことなど、それまで一度もなかったのに。
>小夜を好きになったのは子供が欲しかったからなのかな?
僕の本能は、きっとそうだったでしょうね―――けれど、僕自身は
彼女との間に子供を持つことなんて、考えていなかったな。
あの時は、僕は彼女の純粋そうな、ひよこのような様子がただ愛おしかった。
彼女のお可愛らしい笑顔が、人間の、争いのために曇るのが心から厭だった―――
―――血を分けた同族を殺すのは、ほんとうに悲しくて辛い。
あなたの仰るように100年の歳月を同族だけで過ごす事より、よほど寂しい。
それを知っている僕には、彼女の事が解った。誰よりもよく解ったのです。
だから愛しい彼女には、もうそれ以上、そんな思いをして欲しくなかった。
純粋であるがために人間に利用される彼女が、あまりお可哀そうで…僕は
どうにかして彼女を争いから引き離し、
初めて会った時の彼女の笑顔を取り戻したかった―――それだけが望みでした。
それに…当時の小夜とハジが、ディーヴァや僕の兄弟達と討ち合っても
全く歯が立たないことは明白でした。
彼女が命の危険にあるのでは、子供が欲しいどころではありませんから、ね。
けれど…彼女が産んだ、双子の赤ん坊をこの腕に抱くことができれば
ほんとうに嬉しいのでしょうね。小夜と僕の子です、それはかわいいでしょう。
目がくりくりとして、肌が白くて、黒髪で―――
やあ―――ひょっとしたら僕と同じ巻き毛かもしれない―――ああ、
今日は、僕はとても幸せな想像をしてばかりです。
あなたがた、本当にありがとう。
- 576 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/11/19(木) 03:02:21
…おや、もうこんな時間ですか。
僕はまた、ネゴシアンを待たせてしまっているようです。あなたがた、
今日のお礼に、今年も美味しいワインをご馳走しますよ―――
それじゃあ、また後ほど。ご機嫌よう。
- 577 名前:名無し客:2009/11/20(金) 21:38:56
- お届けものですよ…
つ【柱時計】
- 578 名前:名無し客:2009/11/21(土) 10:42:27
- BGM、月姫より【月下】
- 579 名前:名無し客:2009/11/21(土) 20:48:52
- ねーもんもん。うさぎさんともんもんのおめめはなんで赤いの?
*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 580 名前:名無し客:2009/11/22(日) 20:44:55
- 貴腐ワインって美味しいね。
ソロモンにお土産に持ってきたんだ〜
どうぞー^_^
- 581 名前:名無し客:2009/11/23(月) 11:15:19
- 三本のバラの蕾と、一本の咲いたバラ。
それには花言葉があるんだって、ねえねえ、知ってる?
- 582 名前:名無し客:2009/11/25(水) 08:46:06
- 私、ジェームズがシフではない頭部から結晶化して死んでしまったのか不思議だったの。
あれはどうしてなの?
ルルウが言うように本当にモーゼス達のせいなら、呪いってこと?
- 583 名前:名無し客:2009/11/25(水) 18:50:40
- あなたにとって『カミサマ』とは?
- 584 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:51:54
- お久しぶりだ、諸君!
僕のことを首を長くして待ってくれていただろうね!
――なに?!お前なんて覚えていない、だと?!
……まあいい。君は照れ屋で天の邪鬼なのだな。
長らくご無沙汰してしまって申し訳ない。
愛しいディーヴァの御用があって、なかなか来られなかったのだ。
それでも――既に昨年のことになってしまったが――最後にまた来ると誓いを立てて、
それきりだったのが気になって仕方がなかった。
だからこのように用意できるだけ、お客人方へのご挨拶を抱えて参上した次第だ。
来れる時に来なくては、またいつあるじに呼ばれるかわからないのでね。
では―――行くよ!
>>415
>唯一カールだけが小夜の項に牙を立てられた
そう、僕だけが愛しい小夜の――!!
あの日の小夜は狂おしく、かぐわしく、ひたすらに美しかった。
僕にとっての女神!
彼女も僕も、互いに相手のことだけを考えていた。
小夜は僕のことを、僕は小夜のことを。
二人だけの素敵な時間。
誰にも邪魔されたくはなかった。
なのに――僕達の間に、またしてもカイという少年が立ちはだかった!
無粋な人間め!
そいつを撃退して、再び二人きりになったとき、僕は心から小夜を求めた。
小夜の血を、命を、魂を―――すべて。
飲み干し、喰らい尽くし、けして引き裂かれることのないようにと。
……ああ、何物にも代えがたい、小夜の血の甘さ!!
しかし二人だけの舞踏会に、新たな招かれざる客が訪れた。
瞳を翳らせた僕の兄弟、ソロモン。
ヤツと小夜の刃によって、この宿願は断ち切られ、僕は独りで死んだ。
馬鹿なことをしたと後悔したか、だって?
―――まさか。
僕は小夜のうなじに牙を埋め、血を啜ることができたのだよ。
こんな幸福なことがあるものか。
……もし後悔するとしたら、それは
小夜と共に逝けなかったことと、あのいけ好かない金髪に哀しげな顔をさせたことくらいだ。
- 585 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:52:46
- >>424
>ロシアのホワイトクリスマスは激しいって聞くけど、髪も飛ばされる?
僕としては「否である」とお答えしよう。
根拠は、ロシアにいた次兄グレゴリーの髪が飛ばされず、健在であることだ。
アンシェルの髪はどこかで飛ばされたようだが、しかし長兄はロシアに行く前からあの通りだ。
かの地の風の仕業ではあるまい。
ところで次兄の髪は長い。
ああ長いと強風の日には髪がばらけてしまうだろう。
そこでクリスマスプレゼントはコサック風の帽子にした。>>417
頭にすっぽりかぶれば暖かく、髪もまとまってくれる。
似合っていただろう?>>453……見立てたのはソロモンだが。
実は僕は次兄に櫛も購入したのだ。
長く美しい髪を梳くのに似つかわしい銀の櫛を。
しかし帰宅すると――
次兄の頭に髪がない!
まったくない!
ツルツルだった!
アンシェルよりも、さらにだ!!>>384
当人に理由を問うと、芝居のために髪を剃れと言われたというじゃないか。>>367
僕は腹が立って「横暴だ、誰が次兄にそんなことを!」と叫んだ。
次兄はまだ何か言っていたが、それもかき消すほどの大声で。
僕は次兄のために憤慨したのだ!
ところが何故か――それから次兄の僕を見る目が、ほんの少し冷たいのだ。
- 586 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:53:17
- >>426
>時代によってお正月の過ごし方は違う?
時代によって様子は変わっている。
ベトナムでは正月の期間を『テト』という。
太陰暦での正月で、ベトナムでは最大の年中行事だ。
植民地時代のベトナム人は貧民層が多く、金持ち以外はテトの祝いもささやかなものだった。
民衆が貧しかった理由のひとつは、フランスが定めた税率が過酷だったためだ。
フランスはベトナムを植民地にすると、人頭税を5倍、土地税を1.5倍に引き上げた。
ベトナム人は生まれるにしても死ぬにしても、高い税金を払わなければならなかったのだ。
やがてベトナム戦争が始まった。
しかしテトの期間は暗黙のうちに休戦期間となっていた。
ベトナム人は戦時下でも可能な限り新年を祝っていたようだ。
もっとも1968年のテトは、北軍とベトコンが南ベトナムに大攻勢をかけ、多くの血が流れたが。
現在のベトナムでもテトは最大の行事だ。
都市の道路はカウントダウンの人々で埋まり、花火が打ち上げられる。
子供は大人からお年玉をもらい、皆でテトのご馳走を食べる。
しかし変わらないものもある。
迷信深いベトナム人はテトを縁起の良い色で飾り立てる。
すなわち赤色と――北では桃色、南では黄色だ。
人々はテトに赤いスイカを食べ、家々や店先を、桃色や黄色の花と実で飾るのだ。
これは僕が子供の頃から――100年ほど昔のことだが――変わっていない。
- 587 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:53:50
- >>487
>ねえ、幽霊って見たことある?女の子が歌って踊って
――フフッ。
それは長い黒髪と青い瞳の、美しい少女じゃなかったかい?
可愛らしい靴に包まれた小さな足が、重力を感じさせない優雅な動きで
ステップを踏んでいなかったかな?
歌声も美しかっただろう?
忘れられない心地よい響きが、君の奥深い部分で、
今も絶え間なくやさしいさざなみを立てている――違うかな?
あの少女を知っているのかって?……もちろん知っているよ、知っているとも。
しかし彼女はさまよう幽霊などではない。
たおやかな身体の中に、高貴な魂と強靭な生命力を秘めている。
なぜ彼女を幽霊だと思ったのだね?
……なるほど。他の人には歌が聞こえなかったからか。
それで君ひとりが導かれて、彼女の姿を見たのだな。
君はディーヴァの歌を聴くことができるのだね。
君は運がいいよ。
時々いるんだ――君のような少年や少女が。
小夜が連れていた、日本人の男の子のようにね。
君ももう一度、彼女に会って歌を聴きたいだろう?
ならば会わせてあげようじゃないか。
僕についてくるといい。
彼女も君に会いたがっているはずだ。
前はおなかがすいていなかったようだが、今はきっと君をお望みだろう。
君は本当に幸運な子だ。
さあ、おいで。
- 588 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:54:12
- >>489
>薬物といえば幸せ草と言う違法薬物がすごいらしいですよ
薬物?
僕は医学はかじったが、薬学はそれほど学ばなかったのだ。
フランスに留学する前に、医者になるか薬剤師かと迷ったことはあるがね。
植民地時代のベトナムでは、薬剤師の社会への貢献度と地位と収入は、
現代よりもはるかに高かったのだよ。
だがせっかくここには専門書もあることだ。調べてみよう。
……幸せ草……しあわせそう……あった、これだ。
・原産地 しあわせ島
・特徴 (1)身体能力の強化 (2)強い中毒性
※(1)(2)の効果が現れるのは、日本人のみと言われている。
これは本当か?
……人間に高揚感を与える「幸せな気分になる薬」だと思っていたが、違ったようだ。
しかし奇妙だ。
日本人にしか効果が認められないとは。
もしや、これはニンジャが使う薬なのか?
アサシン(暗殺者)の語源となった暗殺者集団は、ハシッシと呼ばれる麻薬を使って
恐怖を忘れたそうじゃないか。
ニンジャもこの薬で恐怖を忘れ、身体能力を上げ、危険な任務を遂行した
……という推理をしたが、正解かな?
- 589 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:54:40
- >>501
>シュヴァリエになった後、怖い話とか怪奇現象のお話するの?
オカルティズムな噂はよく耳にするよ。
特に昔は科学とオカルトとの境界が曖昧だったから。
錬金術が最新科学だった中世の話じゃない。
僕がシュヴァリエになったばかりの1920年代も――。
あの頃、発明王トーマス・エジソンとライバルのニコラ・テスラは、
それぞれ真剣に霊界通信機を発明しようとしていた。
他方、パリ大学での僕の恩師、ノーベル賞受賞者シャルル・ロベール・リシェ教授は、
精神感応術の研究に興味を持ち始めていた。
その研究に没頭した教授は、エクトプラズムとやらも発見したそうだ。
90年前の科学はこんなものだ。
君は思っているだろうね、昔の人は迷信深かったと。
今では僕もそう思う。
しかし怪奇現象の全てを否定はしないよ。
科学的に証明されていないだけで本当にあるのかもしれない。
翼種という謎の生物もこうして存在するのだから。
- 590 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:55:09
- >>508
>感性を養うことも物事を多く見るのも大事なことさ
君の言いようは、名探偵シャーロック・ホームズのようだ。
彼も相棒ワトソンに見識を広げ、注意深くあれと何度も忠告しているのだよ。
おかしいだろうか、シュヴァリエが推理小説などと。
僕はフランスに来てホームズを知り、いたく感銘を受けたのだよ。
君も知っているだろうね。彼の騎士道精神と、科学に基づいた明快な捜査論理を!
つまり僕はホームズのファンになったのだ。
そして彼を実在の人物だと思い込んでしまい――小説を、ワタソン博士が記した
本物の事件簿だと信じていた――ホームズに会いにロンドンのベイカー街に
行こうとしたこともある。
あの時は着替えを詰めこんだ旅行鞄ばかりか、パリから乗るカレー特急の切符から、
ドーバー海峡を渡る船の手配に、港からロンドン行きのコンティネンタル特急の発車時刻まで、
すべて調べて用意してあった。
あとはただ、汽車に飛び乗るだけだったのだ!
虚構と現実との見分けがつなかった僕は、ホームズとは違い、見識も注意力も足りなかったのか。
この旅行は寸前で「あれは架空の人物ですよ」とソロモンに止められたが――僕と同じ考えの
人間は少なからずいるらしい。
現代でもベイカー街221Bには、ホームズ宛に依頼やファンレターが届いているそうだ。
- 591 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:55:48
- >>510
>娘が妊娠しました。産むと言っています。
父親としてはさぞかし悩ましいことだろう。
しかし返事が遅くなったから、すでに解決済みだろうか。
ならば返答代わりにエピソードを1つ披露しようじゃないか。
あるじの懐妊を知らされた従者達の話だ。
もちろんこの場のための座興、あり得ない作り話にすぎないよ。
僕とディーヴァが、赤い盾本部への強襲から帰還した、その翌朝のことだ。
サンク・ファルマシー本社の最上階に、4人のシュヴァリエが会していた。
僕とソロモン、そしてジェイムズとネイサンだ。
昨日割れたはずのガラスは既に取り換えられ、元通り美しくしつらえられた屋内庭園には、
清々しい陽光が降り注いでいた。
心地よい一日の始まりのはずだった。
だが円卓に着いた僕達の周囲に、兄弟らしい打ち解けた空気は皆無だった。
この時の僕は目につくもの全てを破壊したいほど苛立っていた。
必ず殺すと決めた愛しい小夜を、あと少しというところまで追い詰めながら逃がしてしまったのだ。
そしてもう一つ、僕に大きな衝撃をもたらした出来事があった。
ディーヴァの受胎――
昨夜、帰還したディーヴァの申し出によって簡易検査が行われ、明らかになったのだ。
我々の恋人であり、母でもあるディーヴァ。
シュヴァリエは彼女の愛し子であるはずだった。
しかし本当の子供を彼女がその身に宿したとき、僕達はいったい何と呼ばれるのだろう――?
僕達は次代の女王の誕生を待ち望んでいたのだった。
それゆえに幾度も交配実験が繰り返された。
新たな交配相手とするために、ハジの捕獲も計画されていた。
しかし受胎が現実となると――事実は喜びより焦燥感を伴って、僕にのしかかってきた。
僕の向いに座ったジェイムズは、軍服の肩の線を強張らせて腕を組み、険しい表情で周囲を睨みつけていた。
時折指先が神経質に銀のロケットをまさぐっていた。
ディーヴァを母と崇めていたジェイムズは、彼女の妊娠をどう受け止めていただろう。
今にして思えば、彼も僕と同様の不安に駆られていたのではないだろうか。
なぜならこの日のジェイムズは、冷静な軍人の顔ではなく、
僕達にも滅多に見せない激情家の素顔をのぞかせていたからだ。
僕の左に座ったネイサンは悠然としていた。
ディーヴァの受胎は驚きではあっても打撃ではなかったらしく、
彼は全てを興味深く――または面白がって――見守っているようだった。
もっとも僕は、この末弟が動揺したところを見た記憶がなかったが。
右隣のソロモンは幾分沈んだ表情で、なにやら考え込んでいるようだった。
かかる事態に、奴にしても心中穏やかではいられなかったというわけか。
せっかくの光り輝く金髪も、少々色褪せて見えた。
会合はいつもより剣呑な台詞で始まった。
いきなりジェイムズが強い語調で僕をなじったのだ。
「カール!貴様はディーヴァを危険に晒し、小夜も取り逃がした。
シュヴァリエとしてあるまじき醜態だ!わかっているのか!」
「兄に向って貴様とはなんだ!」
僕も負けじと怒鳴り返した。怒鳴らずにいられなかった。
全身が不穏にざわめいていた。
僕の皮膚が緑色に変化すると、ジェイムズの鉄面皮も憤怒の形相へと変わりかけていた。
会合は始まったばかりなのに、僕達はもう一触即発の状況だった。
「はぁい、そこまでよォ」
両の掌をパンッと打ちつけて、ネイサンが制止した。
殺気立った僕達二人に睨まれても、彼は気にした風もなくニヤリと笑った。
「いいじゃないの。赤い盾は海の藻屑と消えたんだから、計画をひとつ前倒ししただけでしょォ?
小夜との決着は、いずれ誰かがつければいいのだし」
「小夜は僕が……!」
「カール!貴様、反省しているのか!」
僕に最後まで言わせず、再びジェイムズが怒声をあびせた。
やれやれと肩をすくめたネイサンが「ちょっとォ、あなたも何か言いなさいよォ」とソロモンを見て身をくねらせた。
ソロモンは僕達が激高するといつも調停役に回るのだが、この時は議論に加わらず、思案にふけっているようだった。
促されてようやく口を開いた。
「そうですね……。処罰が必要かどうかは、アンシェル兄さんがお決めになることです。
それに小夜のことは、もう放っておけばいいじゃないですか」
最後の言葉が、ジェイムズの逆鱗に触れたらしい。
彼はソロモンに噛みついた。
「貴様は裏切るつもりか、ソロモン」
「そんなつもりはありませんよ」
「どうだかな。貴様は小夜に同情的だった」
断定するジェイムズに、ソロモンは「違いますよ」と言って、視線を外した。
ジェイムズはさらに詰め寄ろうとしたが、ネイサンの能天気な声が遮った。
「ほーんとカチコチねェ。ジェイムズってば、ママのところに行きたいんじゃないのォ?
無理してここにいなくてもいいのにィ。私は嬉しいけどォ」と黒い軍服にしなだれかかった。
「ふざけるな!」
一喝したジェイムズが、ネイサンを押しのけながら言った。
「指示があるまでここで待機するよう、アンシェルに言われているはずだ」
ソロモンが頷いた。
「アンシェル兄さんが、おひとりでディーヴァの検査をされるそうですから。終わったら呼んでくださるでしょう」
「アンシェルひとりで大丈夫なのか」
ジェイムズが尋ねた。
ディーヴァの安全に関するとき、ジェイムズはアンシェルに対してさえ懐疑的になることがあった。
彼はわずかに視線を落として言った。
「ディーヴァは通常の体ではないのだ」
「あなたが行ったって何もできやしないでしょォ?」
「誰が私が行くといった!研究所のスタッフも無しで良いのかと言っているのだ!」
この点については、僕もジェイムズに同感だった。
「そうだとも!ディーヴァのお体になにかあったら……」
「ただの検査です。アンシェル兄さんが一人でいいとおっしゃるのですから、お任せしましょう」
なだめるようにソロモンが言うと、ネイサンがせせら笑った。
「独り占めしたいんでしょ。あの人らしいワ」
「アンシェル兄さんにとって、それほど待ち焦がれた瞬間なのですよ」
「待ち焦がれた瞬間ね――それとも恐れていた瞬間かしら」
「どういう意味です?」
ソロモンの問いかけに、ネイサンはアルカイックな微笑を浮かべたまま答えなかった。
彼は突然、話題を変えた。
「それより、ねェソロモン。あなた、アンシェルとシリアスな顔でお話してたじゃなァい?
ほらァ、ディーヴァが夜会に出掛けた日よ。何の話だったのォ?」
「たいしたことではありません」
ソロモンは平静な声で答えたが、どこか歯切れが悪かった。
アンシェルとの間に何かあったのかもしれない。
緑の瞳が、奴には似合わない迷いと憂いを秘めているように見えた
―――が、
僕はそんなことに頓着しないっ!!
「ソロモン!まさか僕のいないところで、小夜の処遇を話し合っていたんじゃあるまいな!僕に黙って――」
「我々に黙って、独断専行したのはお前だろう!」
またしてもジェイムズが頭ごなしに怒鳴りつけてきた。皆を見まわして
「今回の件について、改めて責任の所在を明らかにしたい。
ディーヴァの受胎は別として、この度のカールの無思慮な行動には、相応の処分が不可欠だ」と言った。
退屈した猫のような顔つきでネイサンが答えた。「また蒸し返すのぉ?
ディーヴァがお供にカールを選んだから、八つ当たりしてるのかしらァ」
「私はシュヴァリエなら分別を持ち、義務を果たすべきだと言っているのだ!」
「あらン、それはあなたにも適用されるの?」
「無論だ」
「ならシュヴァリエの義務として、早く小夜の居場所くらい見つけなくっちゃねェ」
「言われるまでもない。既に軍を通して手配済みだ。発見後、この手で直ちに抹殺する」
「小夜は僕が!」
話の成り行きに僕が激した声を上げると、ジェイムズがあざけった。
「何度も取り逃がした男が言えることか」
「なんだと、貴様!」
「おやめなさい、ふたりとも。いがみ合ってもなんにもなりません」
僕達を落ち着かせようとするソロモンを、思わぬ方向からネイサンが援護した。
「そうよねェ、それより一番大切なことを決めなくては」
「なんです、大切なことって」
「私達の内で、ナニー(乳母)は誰がいいかってことよ」
「はぁ!?」
ネイサンを除く3人の声が重なった。
人間の女にディーヴァの子供を任せられないでしょ?
赤ちゃんが繭から生まれたら、当然私達の誰かがお世話係となっていろいろしなきゃね。
抱っこしてあやしたり、血を飲ませたり。
そうそう、小夜みたいに人間の食事を食べさせなきゃいけないかもしれないわァ。
双子なら一度に二人分ね、大変よォ。
おむつも換えなきゃいけないし、お風呂も入れなきゃいけないしィ。
とうとうとまくしたてるネイサンに、僕は慌てて疑問を差し挟んだ。
「おむつだと?つまり僕達が生まれたての女王のおしっこやウ……」
「カール、やめなさい」
あやういところで、ソロモンが言論の行き過ぎた自由を奪ってくれた。
ジェイムズが僕をひと睨みして言った。
「私は新生児の養育には不適任だ。他の者がいいだろう」
「僕も駄目だ!僕は小夜を追う!ぐずぐずしてはいられないんだ!」
はやる気持ちのままに叫ぶ僕を、ネイサンが面白そうに横眼で見た。
「小夜を追いたいなら、ディーヴァと子供のそばに居たほうがいいと思うわよォ。彼女の方から来てくれそうだもの」
「え……」
ネイサンの意外な言葉に、僕ははたと思考が止まった。――小夜が、彼女の方から?
反対側からソロモンも発言した。
「今は小夜の事はおいておきましょう。それより次代の女王のお世話をしたら、ディーヴァはお喜びになるでしょうね」
「そ、そうか?」
僕がきくと、ソロモンは大きくうなずいた。
奴はいつもの調子を取り戻したようだった。先程までの翳りは消え、口元に笑みがのぼっていた。
「ええ、子供の世話をしてもらって嬉しくない母親はいないと思いますよ」
「うらやましいわァ。きっとたぁっくさん褒めてもらえるわよォ」
ネイサンが声を張り上げると、ジェイムズの表情筋がぴくりと動いた。普段はほとんど動かないのに。
僕は考えた。
ジェイムズ、お前やりたいんだな?
ディーヴァに褒めてもらいたいんだな?
だが、そうはさせるものか!!
「承知した!シュヴァリエたる僕の義務だ。喜んでお子様方のお世話をしよう」
僕は立ち上がり、胸に手を当てて意志を表明した。
「母子は共にいた方がいいな。アンシェルにディーヴァの護衛も兼任したいと申し出よう。
僕の愛しいディーヴァ、ご安心ください。僕に万事おまかせを」
「カールはシュヴァリエの鏡ですね」
「ジェイムズは義務から逃げようとしたのにねェ」
ソロモンの讃辞に続いてネイサンが皮肉ると、ジェイムズが不満げに口をはさんだ。
「私は逃げてなど……」
「これではっきりしたようだな。僕こそがシュヴァリエの責務をわきまえているのだと!」
さっきのお返しとばかり、僕は大声を出してジェイムズの言を遮ってやった。
ジェイムズはムスッとして押し黙った。
ソロモンとネイサンが、そんな僕達を見て苦笑していた。
ふいにソロモンの胸ポケットで携帯電話が鳴った。
発信者を確認したソロモンが「アンシェル兄さんからです」と言って、通話ボタンを押した。
僕は奴の手から携帯電話をひったくった。
受話口からアンシェルの声が聞こえた。
「ソロモン、免疫反応測定装置だが――」
そう言いかける長兄を無視し、僕は勝ち誇るように宣言した。
「アンシェル、おむつ係は僕に決まった!」
ツーツーツ――…
電話は唐突に切られた。
僕が呆然としていると、含み笑いをしたネイサンが失礼なことを言った。
「あらヤダ、本気にしちゃったのォ?父親でもない男が女の子のおむつを替えたがるなんて、ホントに変態仮面ねェ。
ま、世話係についてはそのうち考えなきゃいけないけどォ」
ジェイムズまでが「確かに変態だな」と、普段は敬遠している末弟に、もっともらしく頷いている。
なんてことだ――よりによってこの二人に変態呼ばわりされるとは!
ソロモンは「すみません、からかいすぎましたね」とすまなさそうに言っていたが、目が笑っていた――こいつめ!
僕が文句を言うより早く、「忘れていましたね」と、ソロモンがテーブルに置かれたグラスに葡萄酒を注いだ。
腹立ちまぎれに一息にあおると、金髪頭は流れるような動作で空になったグラスに継ぎ足した。
ソロモンはジェイムズとネイサンにも勧めて、彼らが美酒を味わったことを確認すると、自分もゆっくりとグラスを傾けた。
一幕のファルス(笑劇)と立ちのぼる豊潤な香りに、僕の処分と次代の女王の話はいったんお流れとなったらしかった。
僕達の中の、押し殺した不安や解けぬ猜疑心、あるじの変化への恐れが消えたわけではなかった。
しかし長い時を共に過ごした者同士の慣れと親しみ、
血を分けた同胞だからできる子供のような言い合いが、僕達の気持ちをほぐしてくれていた。
この日のガラス越しの空は抜けるように青く、僕達はまだ兄弟だった。
- 592 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:56:44
- >>563
>あなたの愛用する品を一つ教えてください
青いマントだ。
もともとは仮面とセットになった品だ。
色とデザインは違うが、アイデアはガストン・ルルーの
『オペラ座の怪人』から拝借した。
君はこの題名を聞いたことがあるかね?
今はミュージカルとして知られているようだが、原作の『オペラ座の怪人』は
僕がフランスに来る以前に、新聞で連載されていた小説(フィユトン)だ。
ああ、そうだ。
君がこの物語の内容や結末をまだ知りたくないというなら、これ以上話すのはやめよう。
核心に触れてしまうかもしれないから。
――いいのだね?では……
この小説は、実際にオペラ座で起きた事件を作者が取材した形になっている。
【オペラ座の幽霊は実在していた】というのが、序文の出だしだ。
僕はディーヴァにこの物語を話してさしあげた。
話し始めは、歌と絢爛なオペラ座が絡んだロマンスを、いたく気に入ってくださっていた。
特に姿を見せない怪人が、素晴らしい歌声で登場人物を魅了するくだりを。
しかし物語が進むにつれ、次第にディーヴァは不機嫌になってしまわれた。
しまいに彼女は怒り出して、僕を狼狽させたのだ。
面白くありませんでしたかとお尋ねすると、ディーヴァはこの結末は不当だと僕に訴えた。
地底湖で孤独に暮らし、ヒロインに美しい歌を聞かせてあげた怪人が、愛してもらえないなんて間違っていると――。
それで僕はディーヴァにお約束したのだ。
僕が装束を身にまとって新たなファントムとなり、正しい結末をご覧にいれましょう、と。
僕が愛しい小夜との逢瀬に、必ずあのマントを身につけて行ったのはそういう理由だ。
僕は正しい結末を手に入れようとしたのだよ。
彼女の愛を――この哀れな怪人の手に。
- 593 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 02:57:47
- >>564
>>579
>ほうれん草やレバー食べておいしい血が作れるように頑張るから
そこの君!
かつて教育者として、女学生達を指導していた立場から言わせてもらおう!
食事はできるだけバランスよく食べることだ。
それから適度な運動を!是非!!
偏食や運動不足は成人病を引き起こしやすい。
高脂血症のようなドロドロの血液はよろしくないのだよ。
本人のみならず、その血の甘さを味わいたいと願う者にとっても。
そして血液の量も重要だ。
最初から貧血では話にならない!
レバーを食べるだと?――良い心掛けだ。これからもその決意を忘れずにいたまえ。
ただし先にも言ったように、偏食はせず、バランス良く摂ることだ。
そして緑のホウレンソウッ!
残念なことに、君が期待するほど鉄分は含まれていないのだ。
しかも多量に摂取し続ければ、腎臓や尿路に結石を引き起こす可能性もある。
なにも好んで石入りの体になることもあるまい。
だがビタミンAや葉酸は豊富な野菜だ。
適度な量を美味しく食すがいい。
貧血予防には他にも有効な食材がある。それは海藻ッ!
一緒にビタミンCを含む食物を摂ると効果的だ。
海藻は鉄分以外にも多くのミネラルを含有し、しかも低カロリー!
人間のお嬢さん、できるだけ海藻類を食べたまえ。
君のために――そして僕達のために。
フフッ、フハハッ!これは良い考えだ。
こんな風に幼い子の食育を啓蒙し続ければ、翼種好みの人間が世に増える一助となるだろう!
君がその手始めだよ、可愛いお嬢さん?
――あ?
いない?
お嬢さん、どこに行ったのだ?――――うっ、あんな離れたところに!
>ねーもんもん。うさぎさんともんもんのおめめはなんで赤いの?>>579
……まさか君は僕の長口舌を全然聞いていなかったのか……?(ガクッ)
ハッ!そうか、君はソロモン一筋か!!(立ち直った)
愛のためならば仕方がない。食育計画はまたの機会に。
ついでと言ってはなんだが、その質問に僕からもお答えしよう。
うさぎさんともんもんの目が赤いのはね、 もんもんがうさぎさんだからだよ。
服が真っ白なのがその証拠だ。
これをさしあげよう。――うさぎさんのお耳がついた髪飾りだ。
もんもんの頭に乗せてごらん。
きっととても良く似合って、本物のうさぎさんに見えるはずだ。
なぜ親切にしてくれるのかって?
フッフフフ…。
僕も見てみたいのだよ、うさぎさんのもんもんを!
写真に撮って兄弟に見せれば、百年はからかいの種にできるだろう!
――いや、なんでもないよ。こちらの話だ。
- 594 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 03:02:01
- >>566
>そんなソロモンも大好きさ☆
今、なんと言った?――君はソロモンのファンなのか?
チョイ オイ!(Troi oi=ベトナム語で「なんということだ!」の意)
ここにもあの男に惑わされた子羊がいようとはッ!
ソロモンはリセ・ドゥ・サンクフレシュの教員の間でも人気があった。
サンクフレシュ・ファルマシーは学院の後援企業だったから、
教員達はCEOであるヤツの顔と経歴くらいは知っていたのだ。
君のような崇拝者もいたよ。
皆、あの男の見かけにだまされてしまっていた。
しかしそれも無理もないのかもしれない。
もともとベトナム人は美女だけでなく、美男も好むのだ。
北でも南でも人が数人集まれば、男の容姿の品定めに花が咲く。
特に好まれるのは、色白の二重まぶたで鼻が整っていて、程よく男性的な体つきの男だ。
そういう男をベトナムでは「デップ・チャイ(đẹp trai=美男子)」と呼ぶ。
僕もソロモンと初めて会って、彼を「デップ チャイ」と――いや、忘れてくれたまえ。
それより君、ひとつ警告してあげよう。
ソロモンと話すのなら、身の安全に気を配ることだ。
僕の兄弟は皆、危険なところがあるのだ――ことに君のような「デップ ガイ(đẹp gái=美女)」には。
- 595 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2009/11/27(金) 03:04:04
- >>568
>同じく歳もとらず、死なない仲間がいても孤独じゃなかった?
フム、そうだな。
同じく歳もとらず、死なない仲間がいても、僕は時々
孤独になりたかったよ
僕の兄弟は口うるさい連中ばかりなのだ。
仕事だけでなく、私生活にまで注文をつけてくる!
アンシェルは人をこき使うのが好きで、僕にもあれをしろこれをしろと。
僕に命令できるのは愛しいディーヴァだけなのに、無理難題を平気で言いつけるのだ。
決まり文句は「私の言葉はディーヴァの言葉」「可愛い弟よ」。
これを言われると断りようがないのだ。ほとんど脅迫だ。
ソロモンの奴は、ちゃんとできましたか?、大丈夫ですか?といちいち細かくきいてくる。
お前は心配性の保育士か?
そして僕は幼稚園児か!
奴に「アンシェル兄さん」とお前のおかげで苦労させられ通しだとでも言えば、どんな顔をするだろう。
ジェイムズは顔を合わせると「勝手な真似はするな」「愚かなことはするな」と文句ばかりだ。
可愛げのない弟なのだ。
僕に因縁つけるよりも、愛想笑いのひとつも覚えたらどうなのだ。
ネイサンは意外と面倒な男で……。
こちらの都合も聞かずに、勝手に彼が手がけた公演のチケットを送ってくるのだ。
つかみどころのない弟で、ソロモンも何度か勝手に会社をスポンサーにされていたらしい。
それでその公演なのだが、無視して行かないでいると、例の口調でさんざん嫌みを言われるのだよ。
ほとほとうるさい連中なのだ。
僕にはかまわないでくれと言いたいのだが、
本当に何も言ってこなくなるのもつまらないので黙っているのだ。
今宵はここまでだ。
最近のご質問だけでもすべて返答したかったが、間に合わなかった。
お答えできなかった分はまたいずれ。
では―ーまたの再開を。
- 596 名前:名無し客:2009/11/27(金) 11:34:18
- 漫画版の自分や展開について何か一言。
ここの皆様方はどうもアニメ版のようでおらっしゃるようなので。
- 597 名前:名無し客:2009/11/27(金) 16:57:59
- あ、カール!久しぶりだよやっほい!
ねえねえソロモン、お願い、ウサギさんのお耳つけて見せて?
送るから☆
- 598 名前:名無し客:2009/11/29(日) 09:38:15
- カールだあ。
もうソロモンしかいないのかと思ってたよぉーw
嬉しいなあ。
- 599 名前:名無し客:2009/12/03(木) 18:04:02
- おお……若様。こちらにおいででしたか。
じいやでございますよ……。
如何なされました?
また御館様に叱られましたか?
- 600 名前:名無し客:2009/12/03(木) 19:07:28
- ソロモンとカールって本当によく似てる。
苦労症とか一方通行とか、犬属性と猫属性とか。
母であり恋人であるというディーヴァも
自由奔放だけど実は苦労症だった?
- 601 名前:名無し客:2009/12/07(月) 18:21:51
- カールはファントムの変装しかしないの?
他に仮装の趣味はないの?
- 602 名前:名無し客:2009/12/12(土) 19:07:59
- たまには、本気で人間に怒ってる姿も見たいなあ。
(と、いきなり拳銃を向けてBANG!BANG!)
- 603 名前:名無し客:2009/12/12(土) 22:24:50
- すっごーい、拳銃から花が咲いてる。
そういえばもうすぐ隠しゲイの頃合だね。隠しゲイ。
- 604 名前:名無し客:2009/12/17(木) 22:05:15
- もう師走だね。
また来年もよろしくね。
- 605 名前:名無し客:2009/12/19(土) 00:26:38
- カールが片腕を失くす事となったあの頃のことなんだけど、
ディーヴァと同じように小夜も休眠期についてたよね。
あれって、赤い盾にあらかじめディーヴァのコンテナ情報を流し、
小夜を強制的に覚醒させる事を見越してたの?
偶然にしては何だか準備が整ってたように思える不思議。
- 606 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/12/31(木) 04:41:37
ご機嫌よう、ただいま。やあ、寒いですねえ…
御免なさいね、またご挨拶が遅くなってしまって。いえねえ、
先ごろ、カールが使いから戻った>>584でしょう?結構大変でね…それに、
僕もちょっと、用事で街へ出ていたのです。
今年も、いつものようにボジョレー・ヌーヴォーを手配したんですけれど…
こんなに時間が経ってしまったのでは、あれはもうヌーヴォーとは呼べません。
ひと月も経てば、もうワインよりもビネガーに近いのじゃないですか?
やあ、でもご心配なく。きちんと代わりを用意しましたからね。
おや…勿体ない、と仰る?―――はは、その点も大丈夫です。
暖めて、果物と香辛料を加えれば美味しいヴァン・ショーになりますし―――
使い途は、いくらでもあるのですよ。
その昔、とんでもない不作のワインを大量に仕入れて使った事もあります。
何のことはない、シャトー・デュエルの事ですよ。
どうです、上手に使ったものでしょう?
- 607 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/12/31(木) 04:43:14
- >>580
>貴腐ワインって美味しいね。
プリテュール・ノブルですね。―――やあ!
あなた、その手に持っているのはシャトー・ディケムじゃありませんか。
ちょっと拝見―――何年ものですか?…1967年?
凄いな!どうやって手に入れたのですか。
>ソロモンにお土産に持ってきたんだ〜
>どうぞー^_^
これを僕に?本当にいいのですか―――?
やあ―――ご来客に、こんなにいいものを貰うなんて。勿体ない。
これを他の皆さんにお見せしても…?そうですか、ありがとう。
あなたがたこっちへ来て、ちょっと見てご覧なさい。
世界を代表する貴腐ワインですよ。
【Château d'Yquem 1967】
1967年ものはヴィンテージでね、なかなか手に入らないのですよ。
凄いのになると、1811年のオールド・ヴィンテージのように
およそ30万ドルもする―――ああなると流石に、手に入れるのを躊躇います。
やあ…あなたには、いいものをお返ししなくてはね。
あなた、貴腐ワインが気に入ったのですね?じゃあ、これをどうぞ。
シャトー・ディケムと並んで世界を代表する貴腐ワイン、
トロッケンベーレン・アウスレーゼ。おや、よくご存知ですね?
仰るとおり、ドイツで最上級の貴腐ワインです。
その中でも、これは藁貴腐ワインといって―――ご存知ですか?
普通のものとは作り方の違う、特別なものなのです。その製法も、
今のドイツでは法律で禁じられていて―――そう、これは幻の逸品なのですよ。
【Flonheimer DreiKoenige Strohwein Riesling Trockenbeerenauslese】
僕も―――ドイツ産の藁貴腐ワインは、
マルティン兄さんの所で口にして以来です。1949年ものが最後ですからね。
さあ、どうぞ。君、ほんとうにありがとう。
やあ―――あなたがたにもちゃんとお土産がありますよ。
ええ、ええ…本当にすみません。
屋敷の主人がクリスマスに外しているなんて、あってはいけない事です。
何しろ、オークションに夢中になってしまってねえ…ええ、実は
クリスマスのお祝いに、皆さんに振る舞うワインを探していたのですよ。
このシャトーのワインセラーには無い、珍しいものをね。
…それで遅れたのではまるで意味がないと仰る?―――ご尤もです。お恥ずかしい。
けれど、いいものを沢山仕入れることができました。
競り落としたものは、新年のお祝いに皆さんで開けましょう。
いまは、あなたがたにご挨拶を返さなくてはね。
- 608 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/12/31(木) 04:46:07
- >>579
>ねーもんもん。うさぎさんともんもんのおめめはなんで赤いの?
僕の目が真っ赤になるところを、君は見たのですか?
それはお恥ずかしい…、やあ、はは、本当だ―――うさぎさんも同じですね?
けれど、兎の中でも目が赤いのは―――白いうさぎさんだけですね。
なんで目が赤いかというと、それは彼らがアルビノといって
大多数の個体より色素が薄い短命―――ああ、いや―――御免なさい、
実はね、白いうさぎさんは…あまり長く生きられないのです。
それで、毎晩眠ってしまうのが勿体ないので、いつまでも起きて
お月様ばかり眺めているので、眠たくてあんなに目が赤いのですよ。
僕らは長生きだし、眠らなくても平気なので…うさぎさんとは、ちょっと違うかな。
僕の目が赤いのは―――小夜の目が赤いからですよ。
じゃあ小夜の目がどうして赤いのか?それは御免なさい、
僕も何故だか知らないのです。けれど…どんな時にそうなるのかは、判ります。
悲しくて、寂しくて辛いとき、彼女の目は真っ赤になるのです。
小夜は年をとらないし、死なない。
一人で生きるのは寂しいでしょう?―――彼女には、
ずっと一緒に居てあげる人が必要だった。彼女は悲しくて、寂しくて辛かったけれど
本当は決してそんな思いをしなくて良かった。
…そう教えてあげる誰かが、彼女には必要だったのです。
この目は、彼女がそういう誰かを見分ける為のものなのですよ。
僕の目が赤いのは、僕が彼女の家族だからです。
僕がシュヴァリエとは違う、彼女の特別な家族になれる証拠なのです。
やあ、でも…あまり役には立ちませんでしたね。
僕は彼女にとって、そういう存在にはなれなかった。だから―――
身体はそうはいかなくても、この心は小夜のシュヴァリエです。例え報われなくても、
それなら僕は、いつまでも彼女の傍に居られる。
…くす、僕らはうさぎさんのように、かわいい生き物ではありませんけれど
独りでは寂しくて生きていけないのは―――彼らと、そう変わりませんね。
- 609 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/12/31(木) 04:48:25
- >>581
>三本のバラの蕾と、一本の咲いたバラ。
>それには花言葉があるんだって、ねえねえ、知ってる?
やあ、もちろん。
薔薇には、花言葉が沢山ありますよねえ。
花弁の色一つに対して、一つ以上の花言葉がある。それだけではなくて、
棘や茎にまであるのですよ。おや、ご存知ありませんか?例えば―――
薔薇の棘なら、不幸中の幸い。
茎なら、確か―――あなたの持つ不快さが私の心を悩ませる。
部位によっても、全然違うのですね。
ですから―――誰かに、何らかの意味を持たせて薔薇を贈るとき
それを知らないと大変な失礼にあたる事もあるのです。
例えば、恋人には真っ赤な薔薇と決まっていますよねえ。
けれど真っ赤な薔薇も、その赤さによって持つ意味が違うのです。
真紅の薔薇は、一途な愛を表しますけれど―――同じ赤でも、
凝結した血のように赤い薔薇の花言葉は
あなたを死ぬまで恨みます。
凄いでしょう。奥が深い。昔から、薔薇の花が人々を魅了してきた証拠ですね。
けれど…三つの蕾にひとつの花、ですって?意味深長ですねえ―――君、
そんな謎かけをして―――一体、僕らの何を知りたいのですか?
ホールディングズと米軍の取引の事かな。それとも、デルタ計画の実験データかな。
何にしろそういう事なら、僕に訊くよりアメリカのゴシップ誌をご覧なさい。
ゴールドスミスとその関係者は、彼らにとって一時、金の成る木でした。
バックナンバーを探せば幾らでも、僕らの噂は載っていますよ。それはもちろん、
面白可笑しく脚色されてはいることでしょう―――
くす、でもねえ。
そちらの方が、僕が話す事よりもずっと信憑性がありますよ。何故ってあなた、
僕はあなたに、ありのままをお伝えする事しか出来ないものですから―――つまり、
あの事は、永久に秘密です。
- 610 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/12/31(木) 04:50:21
- >>582
>私、ジェームズがシフではない頭部から結晶化して死んでしまったのか不思議だったの。
>あれはどうしてなの?
>ルルウが言うように本当にモーゼス達のせいなら、呪いってこと?
それは確かに、気になるところですねえ。
あの時、僕は何も出来ませんでした―――ただ必死で、
ジェイムズが事切れた後も、時間が無くて―――そんな事、考える機会が無かったな。
ふむ…でも今なら、ゆっくりお話ができそうです。
その、ルルゥというのは…あの眼が飛び出した、痩せた少女のことですか?成る程。
それで…君、呪いを信じますか?
ええ、もちろん呪いは存在します。しかも、効く人にはちゃんと効きます。
では―――呪いがどういう時に効果を発揮するか、ご存知ですか?
呪いは、かけられた人が自覚して初めて、有効に作用するというのです。
ある人が、自分が恨まれている事を知ったとしますね。
そして…その人を恨んでいる誰かが呪術的な何かをしている所を、
例えば―――ソロモンの鍵の本を持って歩いていたとか―――そういう現場を
見かけるか、あるいは人づてに聞いたとする。
そして偶然、何か彼にとって悪いことが起きる。すると彼は、
それはもしかすると自分が呪われているからじゃないのかと思う。
悪いことは続くものです―――どんな些細なことでも良い。重なれば重なっただけ、
彼の疑念が確信に変わっていくのです―――自分は呪われているに違いない。
ストレスで、彼は食事が喉を通らなくなる。
彼にとってはそれも呪いのせいです。
いちど思い込むと、彼にとってはもう何があっても、悪いことにしかなり得ません。
とうとう彼は病みついて―――酷いと死ぬ。こうして呪いは成就するのです。
呪いというのは、そういう形で存在します。ただ…あなた、
あのジェイムズに、これが効くと思いますか?…やあ、そうでしょう?
彼は自分を強く持った人です。彼は自分のする事に疑いを持たない。
ああいう人には、呪いは効きません。
そうすると―――単純に、
彼の身体がシフと適合しなかったから、と考えるのが現実的かも知れませんね。
型の合わない臓器を移植しても、正常に機能しないのと同じです。
もし巧くいっても、そう長持ちはしません。
シフの身体は、もともと不完全でした。
肉体の維持に、限度があるという事です。
アンシェル兄さんは、そんなシフの身体でシュヴァリエの欠損を補う事を
カールでしか試していません。カールが長持ちしたのは―――多分、
シフとカールの相性が好かったからです。
僕はよく知りませんけれど、そもそも兄さんはシフを作るのに
ディーヴァの血だけでなく、カールの遺伝子情報を使ったのでしょうからね。
ですから―――ジェイムズが額から割れてしまったのが
突然押し入ってきたシフの血を拒絶した結果なのだとしても、
何も不思議はないのじゃないかと思うのですけれどねえ。
まあ―――全部、僕の憶測ですから…あなたやはりこういう事は
アンシェル兄さんに訊いた方が確実ですよ。…ああ、いや、ひょっとしたら―――
ジェイムズは、あの身体を酷く嫌っていたでしょう?
ひょっとしたら…移植自体は巧くいっていたものの
彼自身がシフの血を激しく拒んだので、ソーンといいましたか―――つまり
シフの身体の限界が、早まったのかも知れませんね?
ほら、ストレスで癌を発症するのと同じですよ。
すると―――呪いというのも、あながち間違ってはいない事になりますね?
あれは彼が、彼自身を呪った結果なのです。
事実、彼は呪ったでしょうね。ディーヴァにとって価値のなくなった彼自身を。
僕にも判りました、
地下室で鎖に繋がれた僕を、うす汚いと罵る彼は―――絶望していた。
- 611 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/12/31(木) 04:53:38
- >>598
>カールだあ。
>もうソロモンしかいないのかと思ってたよぉーw
>嬉しいなあ。
やあ、あなた良かったですねえ。
もう彼と話しましたか?…まだですか。それはいけません、
後でこちらへ呼んで差し上げますよ。
他のご来客が、隠し芸をねだっておいでですし―――彼にも何かやって貰いましょう。
おや、彼が話しているのは聞いた、と仰る?
何です―――彼はまた、僕の陰口を言っていましたか?くす、彼も相変わらずだな。
>奴に「アンシェル兄さん」とお前のおかげで苦労させられ通しだとでも言えば、どんな顔をするだろう。
…ほう?―――こんな顔です。
はっきり言って―――それは僕の台詞ですよ。
僕が彼らの所為で、どれだけ胃の痛い思いを…いえ、慥かに
シュヴァリエですから、胃が荒れる事なんてそうそうありはしませんが―――
それでも、アンシェル兄さんの横に立ったりカールを目で追っているだけで
この辺りがきりきりするような気がするのです。
胃が痛いというのが、どういう感覚か―――彼に教えてあげなくてはいけませんねえ。
- 612 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2009/12/31(木) 04:54:49
- >>604
>もう師走だね。
>また来年もよろしくね。
シ…ワ…ス?
日本では、12月をそう呼ぶのですか―――
先生も走るほど忙しないから?やあ、成る程。面白いですねえ。
はは…、僕はあなたがたの先生ではありませんけれど、慥かに忙しかった。
今だって話し込んでいたら、あなた、もう少しで年が明けてしまいますよ。
慌ただしい事です。ええ―――こちらこそ、来年もどうぞよろしく。
さあ、こちらへおいでなさい―――今年も皆さんで、
集まってカウントダウンをするのでしょう?
美味しいお酒もあります、一緒にお祝いをしましょう。
すみません―――いまお返事をしそこねた皆さんには、その後でご挨拶します。
それじゃあいまは、ご機嫌よう。
- 613 名前:名無し客:2009/12/31(木) 09:26:13
- ソロモンすごいね。珍しい花言葉を答えてくれた時、あれ?見透かされちゃった?!
って驚いたよ。怖い花言葉もあるようだけど、それはソロモン達にも無縁なものだね。
美味しいお酒の他にホットチョコもあれば嬉しいな。あるかな?
- 614 名前:名無し客:2010/01/01(金) 00:34:02
- 良い一年でありますように
シュヴァリエの一年の過ごし方って、決まってないの?
- 615 名前:名無し客:2010/01/02(土) 04:41:02
- 自分の理想の散り方を教えてください。
- 616 名前:名無し客:2010/01/04(月) 19:53:00
- この金色お星さまをもんもんにあげる。
きらきらしてもんもんの髪の毛みたいできれいでしょ。
ほんとはね、お空のお星さまをもんもんにあげたかったんだけど、私、背が低くて手が届かなかったから…侍従たんに折り紙でお星さまを作る方法を教わったんだ。カールたんには銀のお星さまをあげるね。
*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 617 名前:名無し客:2010/01/05(火) 15:16:54
- マウスの実験…
- 618 名前:名無し客:2010/01/09(土) 22:17:29
- 退屈だなあ
- 619 名前:名無し客:2010/01/11(月) 01:00:56
- ……おいしそう。
- 620 名前:名無し客:2010/01/22(金) 09:19:37
- カールは実験の為、シュバリエにされたって言ってたよね。
カールのの遺伝子を使ってシフの実験されていたのなら、
物語後半でカールそっくりのシフorコープスコーズが出てきて
ソロモンと戦って欲しかったなあ。
二人が戦ったらどっちが強いの?
- 621 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:30:24
- やあ、諸君、こんばんは。
遅くなってしまったが再びの登場だ。
ではお客人方にごあいさつを――。
>>577
>お届けものですよ…
>つ【柱時計】
ありがとう。ほう、立派な品じゃないか。
最近ではゼンマイ式の柱時計は珍しい。
贈り物だろうか。
それともここの誰かが注文したのだろうか。
昔はどこの家の居間にも柱時計があった。
こんなに立派な時計がある家は少数だっただろうがね。
子供はみんな振子の揺れるチクタクという音と、ボーンという時報を聞きながら大人になる。
あの頃のゼンマイ式時計は精度が低くて、毎日ネジを巻かないと針が狂ってしまったな。
たいていはその家の子供がネジを巻く仕事をいいつけられていて、僕もかつてそうだった。
朝起きるとまず、ネジを巻くために柱時計のガラス蓋を開けるのだ。
すると振子の下にネジ巻きが置かれている。
子供の手には少し大きなねじ巻きだ。
それを手にとって、文字盤に二つあるネジ穴の片方に突き刺すんだ。
そして巻いていく――ゆっくりと。
最初は軽い力で巻けるのだが、次第に重くなっていき、やがてネジ巻きが動かなくなる。
そうしたらもう片方のネジを巻く。
現代では柱時計のネジを巻いたことのある子供は少ないかもしれない。
ネジを巻き終わると、巻き上げられて勢いを得た時計が
心持ち慌て気味に時を刻みだす瞬間なんて知らないだろうな。
面倒だったが、自分が時間を動かしているようで風情があったのに。
昔話が過ぎると?――ああ、すまない。
だが人間相手に昔話ができるなど、滅多にないことなのでね。
つい古い話に興じてしまうのだよ。
- 622 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:30:53
- >>578
>BGM、月姫より【月下】
ほう、美しいタイトルだ。
この僕にふさわしいと思って、この曲を選んでくれたのだね。
では君のご厚意に感謝して、曲に合わせて踊ろうじゃないか。
さあ、僕の手をとりたまえ!
――ご遠慮しますだと?
気兼ねすることなどないというのに。
僕はダンスが下手ではないのだよ。
まるで空を飛ぶ鳥のように、軽やかに踊るのだ――夢中になりすぎて本当に空を飛んでしまうこともあるが。
それでもダンスが嫌だと言うならばやむをえまい。
代わりに曲に合わせて調べを口ずさもうじゃないか、君のために。
――そちらも遠慮したいだと?
一つ言っておこう。
僕は音痴ではない。
たんに独自の音階で歌いだすことがあるだけなのだ。
さあ、聞きたまえ!僕の歌を!
- 623 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:31:17
- >>580
>貴腐ワインって美味しいね。ソロモンにお土産に持ってきたんだ〜
入るぞ、ソロモン!!
お前、お客人に貴腐ワインをもらっただろう!
隠しても無駄だ。
一人では飲みきれないだろうと、僕みずから手伝いに来てやったのだ。
まさかグラスが足りないなどと言うんじゃあるまいな。
安心しろ。
足りなくても問題ない。
この通り、用意のいい僕はちゃんと自分のグラスを持参してきたんだ。
この抜かりの無さをありがたく思うがいい!
なにを硬直しているんだ?
もたもたしているとせっかくの甘いワインが酢になってしまうぞ。
>>580のお客人の心遣いが台無しじゃないか。
しかしこのワインを選ぶとは趣味の良いお客人だ――人間にしては。
お前に贈り物をするあたり、男を見る目は大丈夫かと少々心配になるけどな!
それはともかく、さあ早くワインを注げ。
そんなにこのワインを飲みたいのですか、だと?
当り前だろう!
貴腐ワインは高貴なる腐敗(pourriture noble)と言われるだけあって、極甘口の素晴らしい酒だ。
グラスに注ぐのが面倒なら、ボトルごと僕に寄越せ。
ほら、早く!
まさかボトル一本、飲み干そうというんじゃないでしょうね、だと?
飲むつもりに決まってるじゃないか!
酔っぱらってしまいますよ、などと心配そうに言わなくていい!
まったくもう、わかりの悪いやつだな。
僕は酔っ払いたいんだ――自分を失うほどに!
だってシラフじゃ言えないだろうが!
お前に面と向かって
何も言わずに姿を消して悪かったな、とか、
ここに留まっていてくれてありがとう、とか。
酒も飲まずにどうやって言えと言うんだ!!
おいこら!
笑ってないで、さっさとワインを寄越せというのに!!
- 624 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:31:56
- >>581
>三本のバラの蕾と、一本の咲いたバラ。
>それには花言葉があるんだって、ねえねえ、知ってる?
>>613
>怖い花言葉もあるようだけど、それはソロモン達にも無縁なものだね。
パリに留学していた当時、花屋に言われたよ。
花を贈るなら、花言葉の意味を考えて贈らなければならないと――。
間違った意味の花を贈ると、誤解の元になりかねないのだそうだ。
ソロモンも意味深な花言葉について言っているね。>>609
>凝結した血のように赤い薔薇の花言葉は あなたを死ぬまで恨みます。
聞いた時は、ひどい話だと思ったものだ。
花びらが暗い赤というだけで、美しく咲く薔薇が遺恨を意味してしまうとは。
そしてそんな恐ろしいメッセージを可憐な花に託す西洋の人々も――実に悪趣味だ。
だが僕はパリのブルジョアジーに教えられたのだ。
花言葉にこめる恋の情熱など、ただのまやかしに過ぎないということを。
君は知っているかな?
当時のフランスの上層階級は、宮廷文化の名残を留めていて、独特な貞操概念がはびこっていたのだ。
良家に生まれた女性は、結婚までは身持ちの堅さを要求される。
親が決めた婚約者以外の男との恋愛なんて、当然ご法度だ。
しかし一旦結婚してしまえば、夫も妻もそれぞれ愛人を持つのが普通だった。
後腐れなく、軽やかにアバンチュールを楽しむのが粋とされていた。
配偶者を独占し、その愛人に嫉妬するなど、無粋の極みだったのだ。
最新流行の服のように垢抜けた彼らの秘め事。
花に込める言葉に重みなど無く、託された愛の告白や恨みごとも、ひと時の恋を彩る儚い戯れでしかなかったのだ。
三本の薔薇の蕾と一本の咲いた薔薇が意味するひそやかな願い事も、おそらくは同様に。
それが欧米人の粋なのかもしれないが、理解しがたい話だ。
僕が花を捧げるときは、戯れの言葉ではなく、真剣な熱情を封じ込めて贈るのに。
- 625 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:32:17
- >>582
>ジェームズがシフではない頭部から結晶化して死んでしまったのか不思議
『シュヴァリエの体が女王の殺害を拒否したために、自動的に結晶化した』とは考えられないかな?
大した根拠もなくて、ただの思いつきでしかないのだが。
シュヴァリエと女王との関係について考えてみよう。
まずシュヴァリエと母親である女王との関係だ。
僕達兄弟にとってディーヴァのことだね。
僕達は母である女王によって、シュヴァリエとなる。
シュヴァリエは母である女王を休むことなく守り続け、その命に従う。
それがシュヴァリエの本能だ。
そしてシュヴァリエは母である女王を傷つけることはできない。
これはソロモンがディーヴァを襲った時に、奴がその身で証明した。
シュヴァリエは女王より戦闘能力が高いはずなのだが、奴の体は持ち主の意に反して、
ディーヴァを攻撃できなかったようなのだ。
つまりシュヴァリエは母である女王を殺せないのだ。たとえ強く願おうとも。
そしてそれは、シュヴァリエが母女王を守るだけじゃなく
「受胎可能な女王を守る=種の継続を守るための存在」である為、
とも考えられる。
あまり良いたとえではないが、蜂に例えるなら、母女王は女王蜂で
シュヴァリエはオス蜂と働き蜂の両方の役目を担っているわけだ。
次にもう一方、対となるべき女王について考えてみよう。
僕達兄弟にとっては小夜のことだね。
シュヴァリエは対である女王と、子供をなすことができる花婿花嫁の関係である。
シュヴァリエは対である女王の血で結晶化し、死亡する。
つまり僕達シュヴァリエは、女王の血で生み出され死に至る。
これは翼種として、シュヴァリエより女王の方が高位であり、貴重で必要な存在だということだ。
当然だな。
女王と違って、シュヴァリエは取り換えが利く。
始祖翼種である女王が後天的翼種であるシュヴァリエを作ればいいだけだからだ。
そして女王が一対そろってさえいれば、翼種という種は保たれるのだ。
――そう。言い方を変えれば、女王が子をなすには対の女王も必要不可欠ということになる。
対の女王が花婿を生み出すのだから。
ならば前述したように、もしもシュヴァリエが「種の保存を守る存在」としての本能を持っているのなら、
シュヴァリエは対となる女王を殺すことはできない、というのも筋が通っていないかな?
ただし対となる女王を攻撃することはできるのだ。
なぜならシュヴァリエは自分の母女王を守らなければならないのだからね。
対となる女王を退けるくらいの攻撃が可能なのは、理にかなっている。
だからこの推測が正しければ、
『ジェイムズが小夜を殺そうとしたまさにその時、彼のシュヴァリエの本能と体はこれを拒否し、
ジェイムズを止めるために自壊した』
そういうことになる。
もちろんシュヴァリエといえど、本能がすべてではないかもしれない。
しかし絶望していたジェイムズに、本能を上回る強さは残っていなかったのじゃないかな。
僕が小夜とともに死のうとした時も、彼女の刀に阻まれなかったとしても、
このシュヴァリエの体は勝手に結晶化したかもしれないね。
……フフッ。
根拠のない思いつきとはいえ、妙に信憑性があるように感じられるな
それはきっと僕がシュヴァリエだからだろう。
ディーヴァと小夜という、二人の女王の血によって生と死を与えられ、
彼女達の愛をひたすらに求め続けた僕だから、身をもって実感できるのだ。
シュヴァリエの身と心を支配する「何か」は、確かにあるのだ――とね。
- 626 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:32:40
- >>583
>あなたにとって『カミサマ』とは?
すなわち、ディーヴァと小夜。
この二人こそ、僕の女神。
愛しい僕のディーヴァ。
彼女が僕に新たな生命を与えてくれた。
この体に流れる彼女の血だけが、シュヴァリエとしての絆のすべて!
そして僕の愛しい小夜!
僕を分かってくれるのは彼女だけ!
望まれて生まれてきたものではない者同士、僕達は結ばれている!
人間だった頃は、神とは漠然とした、ただの概念でしかなかった。
シュヴァリエになって初めて、僕は感じることができたんだ。
あの感覚を君にも教えてあげたいよ。
美しい至高の存在を――。
- 627 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:33:04
- >>597
>あ、カール!久しぶりだよやっほい!
やあ、しばらく!
覚えていてくれたとは光栄の至り。
僕にはたいしたことのない時間、しかし君たち人間にとっては、存外に長い時間だったろう。
お客人も元気だったかい?
ところで君、そのやっほいという挨拶。
歌の「まつりだやっほいほい」からきているのではないのか?
僕はその歌を聞いたことはないが、題名だけは覚えていたのだ。
なぜなら歌だけでなく、踊りもあると知ったから。
「まつりだやっほいほい」――どんな踊りなのだろう。
月明かりの下で静かに踊るワルツなのか、
はたまた、雷鳴とどろく中で激しく体をくねらすタンゴなのか!
1920年代に、パリ市民を熱狂させた情熱のタンゴ!!
僕の勘によると、ラテン系ダンスなのは間違いなさそうだ。
題名に燃え上がるパトスを感じる。
褐色の女神、ジョセフィン・ベーカーがバナナをぶらさげて踊るにふさわしいほどの。
本当に、いったいどんな踊りなのだ。
君に挨拶されてから、ずっと気になって仕方がない――「まつりだやっほいほい」が。
- 628 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:33:44
- >>598
>嬉しいなあ。
僕こそ歓喜に振るえているとも!
君に会えた喜びの日だ!
君、冬の寒さにその身を病ませていないだろうね?
凍える日には、体をよくいたわりたまえ。
人間の肉体は脆いのだから。
だがもし君が望むなら――僕は君に永遠を与えてあげよう。
紳士らしく、きちんと段階を踏んで。
ある朝、目覚めた君は机の上に置かれた一輪の薔薇に気づく。
空の色をうつしたような蒼い薔薇の花だ。
それは先触れだ――やがて君に訪れる運命の。
だが何も知らない君は、いぶかしがりながらも手にとって香りを楽しむだろう。
華奢なガラスの瓶に花を飾るかもしれない。
花に罪などあろうはずがないからだ。
そして君はすこやかに一日を過ごし、夜はまた眠りにつく。
寝顔を見守る、月の光に青く輝く薔薇の花びら。
僕は音もなく、その窓辺に舞い降りる。
君はすべりこんだ夜風の冷たさに、ふいに目覚めてしまうだろう。
淡い月光の中に、黒々とした影のような僕を見つけて目を見張る。
わずかに開いた唇は、今にも叫び声をあげそうだ!
そんな君に、僕は笑いかけてこう言うのだ。
やあ、美しいお嬢さん。こんばんは。
いい夜だね。
怖がることはなにもないよ。
僕はこの素晴らしい夜を、永遠の中に閉じ込めたいだけだ――君ごとね。
さあ、徐々に緩慢になる鼓動に合わせてワルツを踊ろう。
力を失った君の細い体を、こわれもののように、そっと抱きしめて。
- 629 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:34:11
- >>599
>おお……若様。こちらにおいででしたか。じいやでございますよ……。
君は誰だ?じいや?
人違いではないかな?
僕にはじいやなんていないし、若様でもない。
そもそも君より僕の方が年上だ。
はァ?お年寄りを若様と間違えてしまって申し訳ありません、だとぉ!?
僕は年寄りじゃないぞ!
老眼のせいで僕が若者に見えてしまうとか、嘆くのはやめたまえ。
僕の年齢はたしかに100歳は越えている。しかし老人ではないのだ。
はいィ?お年寄りでないのならやっぱり若様なのでございますね、じゃない!!
僕は君の若様ではないのだと、何度言えばわかる!
いや、それ以前になぜその二択なんだ!
僕は君より年上だが、年寄りじゃないだけなのだ。
君もこの館に来た人なのだから、僕らの正体も承知のはず。
僕が若い姿のまま、長い年月を生きてきたことも知っているはずだ。
それとも本当に何も知らないのかい?――僕達が何者であるのか。
ご希望ならお教えしようか?
面白い話かもしれないよ?
今宵、悪夢を見て、飛び起きてしまうくらいには。
――フフッ。さあ、どうする?
悪夢を見たいと、願うかい?
……ああっ、もう!
若様がおかしなことを言っているとか、心配するのはやめたまえ!
だから僕は若様じゃないし、おかしなことも言っていない!
少々雰囲気を作ろうとしただけだ!
いや、君の耳がおかしくなったのでもないよ。まあ、少し遠くなってるようだけど。
仕方がない。
ご老人、僕も一緒に若様とやらを探してあげよう。
それで、その若様の年はいくつなんだ?
御館様に叱られてしまうような、まだ若い男なんだろう?
30代……いや、20代か?
ほう、16歳か。――そんな小僧と僕は間違われたのか。
君の老眼ゆえの間違いだと、気にしないでおくが。
じいやさんと若様はどこから来たんだい?
……へえ、パリから来たのか。
パリで前の皇帝陛下を見たこともあると――えっ皇帝?フランスの?それは芸人の名前か何かか?
もうじきパリからオスマン帝国行きの鉄道ができるって……まさか昔のオリエント急行のことか?
くだらない冗談はやめてくれ。
僕だって近代史くらいは知っている!
オスマン帝国はとうに滅んだし、オリエント急行が開通したのは1883年のことで――――おいっ、じいやさん!?
どこに行ったんだ?
じいやさん、いないのか!!
…………。
あの老人は突然いなくなってしまった。まるで消えたように。
シュヴァリエの目を逃れて身を隠すなんて、人間にできる芸当じゃない。
さっきまで僕のすぐそばで、ひっそりと立っていたのに。
いったい彼は何者だったんだ?
昔のことをまるで現代の出来事のように話して――待てよ、1883年?
1883年といえば、この「動物園」で
『ボ ル ド ー の 日 曜 日』 が
に
ん
げ
ん
が
お
お
ぜ
い
死
ん
で
まださまよっているとでもいうのか?
僕は幽霊と話していたと?
……ハハハ、まさかそんなことあるはずがない!……だろう?
まさか、ね。
- 630 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:35:26
- >>600
>ソロモンとカールって本当によく似てる。
っにいいいいいいいいいいい!!!!
誰と誰が似てるって!?
ソロモンと僕が!?
よりによって僕達が似てるなどと!
断言しよう。君は一度、眼科で診察を受けるべきだ。
――が、まあいい。この話題については、今宵はここまでにしておこう。
僕としてはソロモンはアンシェルによく似ているし、アンシェルはハジと似ていると思っている。
奴らは皆、「変人」もしくは「変態」という共通項でくくれるのだ。
ごくまともな僕と違って。
>ディーヴァも自由奔放だけど実は苦労症だった?
――僕の愛しいディーヴァ!彼女が苦労性だったって?
いいや!
シュヴァリエはあるじに苦労させぬためにいるのだ!
ディーヴァはただ幸福でいてくださればいい。
苦労なんてものはアンシェルが全て背負えばいいのだよ!
ファーストシュヴァリエなんてそのためにいるのだ。
僕も少しは苦労らしいものを長兄には負わせたかもしれないが、
甲斐性の見せどころを作ってやったようなもの。
感謝してほしいくらいだ。
たとえそのために、アンシェルの額がいっそう面積を広げようとも、だ。
むしろ彼は磨けば光る素材なのだ。
それはもう、ツルツルに。
長兄よ、苦労によって、さらにつややかになれ――!
弟として、これからもぜひ応援したい。
- 631 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:36:02
- >>601
>カールはファントムの変装しかしないの?
これはこれは。
親愛なるお客人、君はもう忘れてしまったというのか。
僕はかつて、理事長の仮装をしていたじゃないか。
――仮装に見えなかったって?
ハハハハハッ!
実はあれは仮装なのだ!
理事長、そして工場長として、ふさわしく見えるよう作った扮装だっ!
今時、ベトナムでも男はほとんどアオザイを着ない!
着るのは昔を懐かしむ老人のみ!
僕は若く見えてしまうから、せめて威厳を示そうとアオザイ姿でいたのだ。
着慣れていたのと、ディーヴァにも喜ばれたために、その後もアオザイを着ていたがね。
ベトナム支社でもアオザイだったから、スーツの社員の中でよく目立ったよ。
社外の人間にもすぐに覚えてもらえたものだ。
たまに後ろ姿を女性と間違われるのだけが難点だった。
僕には長兄アンシェルや次兄グレゴリーのような女装趣味はないというのに。
ところでもし君が望むのなら、お好みの変装をしようじゃないか!
あるいは僕のディーヴァや僕の小夜が望むなら。
世界は巨大な舞台。
我々は皆、舞台の上の役者に過ぎない。
すべては儚いひと時の夢。
その時はぜひ一曲、ダンスのお相手を。
- 632 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:36:39
- >>602
>いきなり拳銃を向けてBANG!BANG!
なにぃ!?
きさま、いきなり何をする!
ただの人間風情が、何故この僕を!!
……というのはもちろん冗談だ。
ハハハッ、驚いて腰を抜かしただろう?――そんなことはないって?それは失敬。
シュヴァリエは人間などに怒りなどしないのだよ。
君の銃弾も、当たったとしても、少々くすぐったい程度でね。
僕の感情を動かすには到らない。
もっともその銃口が僕の愛しい女王に向けられたのなら別だ。
あるいはどこかの人間の小僧のように、僕と女王との逢瀬を邪魔した場合も。
僕は激怒し、次の一瞬で、君をこの世から消し去ってしまうだろう。
命が惜しいなら、つまらぬ試みはやめることだ。
わずかな例外を除けば、僕達シュヴァリエは悠揚たるものだ。
人間の攻撃など、児戯に等しい。
長く生きてきて驚くことさえ、滅多になくなってしまった。
君には残念だが、僕を怒らせるのはあきらめたまえ。
…………ん?
なんだって?
下を見てみろ?
――あっ、あっ、あああっ!?
ベルトが切れて、ぼ、僕のズボンがっ、ズボンが脱げて―――!!
丁度ズボンが脱げ落ちるように撃っただと!?
貴様、なんてことを!
(やり方も古典的すぎるだろう!)
ただの人間風情が、僕によくもこんな辱めを―――!!
- 633 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:37:11
- >>603
>そういえばもうすぐ隠しゲイの頃合だね。隠しゲイ。
ゲイか。
ヨーロッパの大都市には昔からその手の人種が少なくないね。
言っておくが、僕は彼らを馬鹿にする気も差別するつもりもないのだよ。
しかしまじめな話、現代では彼らも大胆になっている。
若い男が小奇麗にしていたり、洒落者だったりすると、そういった志向がなくとも
仲間だと勘違いされて誘われてしまうのだ。
そういうトラブルを避けたいのなら、男は身なりに気をつけるべきかもしれない。
特にアジア人種は実年齢より若く見えるし、中性的に思われるらしい。
大人っぽく、かつ男性的に見せたいのなら、ヒゲを生やすのもいいだろう。
僕も、西洋人に侮られぬようにヒゲを生やしたいと考えたことがあるが、
周囲から止められてしまった。
僕にヒゲは似合わないというのだろうか。
自分ではアンシェルよりさまになると思うのだが。
- 634 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:38:18
- >>604
>もう師走だね。
そうだとも!
僕の背中に乗って、空を飛んでいる君。
ボルドーから飛び続け、僕達はついに到達した。
赤土ばかりが続く広大な大陸のただなかに、いきなり都市がぽつんと存在している。
空から見下ろすと、まるで赤茶けた海の中に浮かぶ小さな島。
見たまえ、あれがシワスの灯だ!
シワス(Sivas)――かつてはセバステイア(Sebasteia)とも呼ばれたトルコの都市。
都市といっても比較的こじんまりした町だが、ローマ帝国時代から交易の中継都市として栄えたのだ。
シルクロードとペルシアの『王の道』もこの地方(シワス県)を通っていたらしい。
この地の歴史は古代ヒッタイトにまでさかのぼれるという。
3000年以上昔の話だ。
悠久の時代を感じるじゃないか?
人間が積み上げてきた長い歴史を前にすると、感慨を覚えずにいられない。
僕はとうに、その流れから外れてしまった身の上だというのにね。
さあ、大地に降り立とう!
いささか遅くなってしまったが、君に新年のことほぎを。
この赤茶けて広大な地に住まう、バビロニアの神々に、君の幸運を祈ろう。
- 635 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:38:42
- >>605
>赤い盾にあらかじめディーヴァのコンテナ情報を流し、小夜を強制的に覚醒させる事を見越してたの?
>偶然にしては何だか準備が整ってたように思える不思議。
いいや!
少なくとも僕は情報を流してはいない!
愛しいディーヴァを囮にはできない!!
だがたしかに情報は漏れていたのだな。
だから赤い盾が小夜をつれて強襲したのだ。
考えられるのは――そうだな、研究所の関係者がリークした可能性だ。
彼らは所詮人間。
情報を漏らしもするだろう。
赤い盾の情報網もそれなりに優秀だったと褒めてやってもいいだろう。
情報漏れが他のシュヴァリエ――アンシェルとソロモンの意向であったかどうかは知らない。
どうせ僕には肝心なことは何も知らされない。
ただ一つ言えることは、あの夜、僕と小夜は出会った。
僕が策謀したものでも、ましてや偶然でもない。
あれは必然だ。
僕達は運命によって引き合わされたのだよ。
歌と、叫びと、銃声の夜に。
- 636 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:39:11
- >>614
>シュヴァリエの一年の過ごし方って、決まってないの?
やあ!
今年の君にも幸運の女神が微笑みますように。
一年の過ごし方を聞きたいのかい?
多少のバラエティーはあるが、大筋は決まっている。
ディーヴァが目覚めている時は、彼女のためだけに。
ディーヴァがねむっている時も、彼女のためだけに。
これが僕らのライフワーク。
シュヴァリエとはこうして一年を過ごすものなのだ。
――ところで。
フハハハハハッ、見てくれ、これを!
僕のディーヴァのために作った『カール君人形』の山!
僕に似せたデザインで、この僕が手ずから作成した人形達だ!
これも僕達シュヴァリエの過ごし方なのだよ。
およそ300体は用意した。
愛しいディーヴァが目覚めたら、この『カール君人形』の集団がお出迎えするのだ。
お行儀のいい子達だ。
あるじもきっと喜んでくださるに違いない。
朝はカール君におはようのキスをして、夜は一緒に眠ってくれるだろう。
そしてディーヴァはカール君をぎゅっと抱きしめ、
退屈したらいつものように……腕をもいで……首をちぎり……目玉をえぐって……ううう、スプラッタだな。
床一面にカール君の残骸がばら撒かれそうだが、なんの負けるか!
そのための300体だ!
しかしディーヴァが目覚めるまでに、あと数百追加しておいた方がいいかもしれない……。
――ん?なんだって?小夜には何もないのかって?
心配ご無用!
僕は抜かりがないのだ!
愛しい小夜にも、別に作った『カール君人形』300体を発送済みだ!
もう沖縄に届いているはずだ。
……ほう、君は沖縄のオモロにも行ってきたのか。
そこで『カール君人形』を見てきたって?
とすると、無事に受け取ってもらえたのだな。
それは良かった。
お客人、教えてくれてありがとう。
きっと今頃は僕の小夜の繭を、たくさんのカール君が取り巻いているだろう。
まるで彼女を守るように――。
――え、そうじゃないって?
カイ・ミヤグスクが大量のカール君を「燃えるゴミ」として出しているのを見て来ただとぉ!?
- 637 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:39:59
- >>616
>カールたんには銀のお星さまをあげるね。
ありがとう……ああっ、これは!
銀の星、謎を秘めて輝くAstron Argon!
実にきれいな出来栄えだ。
上手に折れたんだね。
作り方を教えてくれた侍従さんにもよろしく伝えてくれたまえ。
せっかくだから額に貼りつけてみたが……どうかな?
我ながらこの黒髪によく映えているじゃないか。
ソロモンにも用意したと?
奴には金の星か。
きっとあいつによく似合うだろう。
では星をくれた君に。
お返しに僕から月を差し上げよう。
つ☪
ただこの月は見る場所によって形を変えてしまうらしい。
君の目に、これが月の形に見えているといいのだが。
- 638 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:40:32
- >>617
>マウスの実験…
僕達もマウスで実験をしていた。
人の形をしたマウスで――。
なかでもベトナムにいた子供達は可愛かったよ!
小さな爪と牙で、次々に人間を襲っていた。
歌を歌って、お出迎えもできるんだよ!
もう完全に翼種化していたから、言葉は喋れなかったが。
知っていたかい?
人間を翼種にする実験はね、とても気持ちがいいんだ。
僕の決裁によって、実験が行われ、人間が姿を変えていく。
決定権は僕にあるんだ。
その時、僕はたしかにシュヴァリエでいられるんだよ!
手術台に縛り付けられて、解剖を繰り返される哀れな存在じゃない。
僕が、実験を行うシュヴァリエなのだ!
檻に入れられて、観察されるマウス達。
その前で僕は何度もつぶやく。
僕はシュヴァリエ。
君達は実験体。
僕はシュヴァリエ。
君達はマウス。
僕は違う。
僕は違う……。
- 639 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:41:22
- >>618
>退屈だなあ
退屈している君に、特別に『カール君人形』を1つ進呈しよう!
これはディーヴァと小夜のために僕が心をこめて作った人形だが、
いたしかたない、大切なお客人のためだ。
さあ、遠慮なく受け取りたまえ!
どうしたんだね、お客人?
君のお国の呪いの人形を思い出したって?
この人形に傷をつけると、同じところを誰かが怪我をする?
ハハッ!
まさかそんな非科学的なことが……たとえその人形を痛めつけたとしても、何の効果も……。
痛っ!
――い、今、何が……。痛いっ!
どういうことなんだ。お客人が人形の手に針を刺すと僕の手までが痛みだすとは……。
ああっ、お客人、人形の手をおかしな向きにひねらないで!!――――グキッ!
- 640 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:41:46
- >>619
>……おいしそう。
ディーヴァも僕に同じことを言ってくれた。
ああいう時、あるじは本当に無邪気で可愛らしいのだ。
僕の愛しいディーヴァはお好みがはっきりしていてね。
この子はおいしそう、でもこっちはまずそうと、ひとめで見分けるのだ。
そういえば以前に動物園で出会った日本人の兄弟は、どちらもおいしそうだったと言っておられた。
しかし赤い盾の大人二人は――金髪と太った男だったか――見るからにまずそうだったらしい。
彼らには幸いなことに。
ハジについてはどうだったろう?
小夜が連れていた脇役のシュヴァリエ。
ディーヴァはハジをどう思っていたのだろうね。
「きらいじゃない」とは言っておられたようだが――彼の血を望むほどではなかったらしい。
僕にとって幸いなことに。
――さて。無駄話はこれくらいにしておこうか。
君がいま、おいしそうだと言ったケーキを皿にとって……さあ、どうぞ召し上がれ。
熱いお茶も淹れよう。
もしよければ、こちらのパイも食べるといいよ。
君達人間は、美味しいものを食べるのが大好きだろうからね――僕達と同じで。
- 641 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:46:57
- >>620
>カールそっくりのシフorコープスコーズが出てきてソロモンと戦って欲しかったなあ。
カールそっくりのシフが12体出現した!
襲われるソロモン。
12人のシフは、カールと同じ声でソロモンを追い詰める!!
カール1「貴様、ディーヴァのシュヴァリエだな」
カール2「お前の血を頂く!」
カール3「男の血なんて本当は嫌だがな!」
カール4「いい〜よ、ソロモン!さあ、僕と踊ろう!」
カール5「僕達はシフ。呪いの棘から解き放たれるために!」
カール6「お前の血を飲めば、救われるかもしれないんだ!」
カール7「微妙なたれ目がうつる危険はあるが、下まつ毛がうつるよりマシ!」
カール8「次に君と踊るのはこの僕だ!」
カール9「僕達の気持など、貴様にはわかるまい」
カール10「見ろ、このソーンを!貴様らのせいだ!」
カール11「なぜ白い服から黒服に変わるんだ!青いスーツから赤いスーツじゃなければおかしいだろう!」
カール12「さあソロモン、レッツダンス!」
シフカール達の声はとどまるところを知らない。
果たしてソロモンはシフカールの集団に勝てるのか!?
以下、次回に続かない…………
今宵はこれにて。
眠る君達に眠ることのないシュヴァリエから――おやすみなさい。
- 642 名前:カール ◆DYXKMI3j/Q :2010/01/28(木) 01:51:12
- ……と、なるはずだったが、なぜだ!
なぜひとつご挨拶を抜かしてしまったんだ!この僕としたことがっ!
615のお客人、申し訳ない。
>>615
>自分の理想の散り方を教えてください
……くだらない男の話をしよう。
男にはあるじがいた。とても美しく、大切な――。
しかし彼はあるじの特別な存在にはなれなかった。
また、男には数人の兄弟がいた。とても強くて優秀な――。
男は兄弟に対して反発した態度をとりがちだった。
しかし内心では秀でた彼らに惹かれてもいたのだ。
薄っぺらな反抗は、しょせん憧れとコンプレックスの裏返しに過ぎなかった。
そんな情けない男ならば、あるじや兄弟に頼りにされ、必要とされることを夢想するのではないだろうか。
そして最期の時には、彼らを守って、その身を楯として砕け散るのだ。
皆に惜しまれ、嘆かれながら……。
もちろん、すべては夢想するだけだ。
願っても、男にはそんな力も価値もないのだから。
実にくだらない男だと君は思っているだろうね。
僕も、そう思うよ。
それでは今度こそ――おやすみなさい。
- 643 名前:名無し客:2010/01/29(金) 08:23:39
- わーん><;
ソロモンにプレゼントした貴腐ワイン、
全部カールに飲まれちゃったよぉー
くすんくすん。
- 644 名前:名無し客:2010/01/31(日) 01:25:51
- ディーヴァの子供達にとって、シュヴァリエはおじさんになるのかな?
小さい子って可愛いよね、女の子も男の子も頬ずりしてしまいたくなる
- 645 名前:名無し客:2010/02/13(土) 14:32:38
- あ、また雪だ。
- 646 名前:名無し客:2010/02/13(土) 20:38:11
- ボルドーの見渡す限り一面のブドウ畑にも
一面、雪が降り積もる事はあるのかな?
そんな時は何をして過ごすの?
シュバリエみんなで雪合戦とか、かまくら作って中で甘酒とか、そりで遊んだりするの?
- 647 名前:名無し客:2010/02/14(日) 00:57:38
- こんにちは。
ハッピーバレンタインです。
つ『手作りチョコクッキー』
中身は市販のチョコチップですがよろしければ…
- 648 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:36:45
- >>618
>退屈だなあ
―――やあ、ご来客であるあなたが、退屈してしまった―――
御免なさいね。
さあ、今日は僕と一緒においでなさい。
お手をどうぞ。面白いものを見せて差し上げますよ。
そしてそれを、あなたにもやって貰おうと思っています。それまで、
他のご来客に声をかけながらになりますけれど…さあ、どうぞこちらへ。
- 649 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:37:36
- >>613
>ソロモンすごいね。珍しい花言葉を答えてくれた時、あれ?見透かされちゃった?!
>って驚いたよ。
おやおや、ありがとう。
でも、そんなに凄い事じゃあないのですよ。
僕らのように長く生きていて、なおかつこういう世界に住んでいれば
知っていてしかるべき事なのです。それより、
見透かされた―――ということは、ははあ…あなた
やはり僕らについて、何か知りたかったのですね?
君…、最初に訊ねたのがこの僕で、良かったですねえ。…おや、
そんな事はない、誰に訊いても大丈夫?なぜって―――
>怖い花言葉もあるようだけど、それはソロモン達にも無縁なものだね。
―――だから、と仰る。
やあ、本当にありがとう。そうでしょう…、
あんなに美しいあるじがいて、あんなにお可愛らしい花嫁が居るこの僕らに
憎しみや悪意なんてものが、似つかわしい訳がありません。
そういうものに心を侵されることなく、遥か高みから心穏やかに
この世界を眺めていられるように
僕らは、翼手の生き方を選んだのですから―――。
>美味しいお酒の他にホットチョコもあれば嬉しいな。あるかな?
もちろん。
あなたが、それを望むのであれば―――ここに揃わないものはありません。
- 650 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:39:16
- >>614
>良い一年でありますように
やあ、ご機嫌よう。
早いですねえ、また、そういう挨拶をして貰う季節が過ぎたんですね。
ご挨拶を返すのが遅くなって、御免なさい。一年と言わず、これから先もずっと、
あなたがたに、好い事が沢山ありますように。
不思議なものです―――この場所に来るまでは、
一年が過ぎるのはもっと、ゆっくりしていたと思うのですがね。
ディーヴァが起きておいでの時も、同じ事を考えますよ。
彼女が居る時は…それまでの30年のどんな時よりも、
時間が経つのが早い気がする。きっと、彼女を心待ちにしているからですね。
それまでは、だいたい退屈して過ごします。
>シュヴァリエの一年の過ごし方って、決まってないの?
ええ、そんな事だから―――あるじが居ない時は、
あらかた過ごしかたが決まっていました。
兄弟がいるといっても、そう頻繁に会うわけじゃありません。
年に一、二度、兄弟が揃う時に集まりをするくらいで…住んでいる土地も、
それぞれ違いますしね。集まるときは、僕が兄弟に連絡します。
そういう時は、楽しいですよ。僕はね。
ただそれも、偶にですから―――あとは、いつもどおり人間として、
こつこつ仕事をするだけです。はは、ええ、意外と地味でしょう?
ディーヴァが起きておいでの時が、シュヴァリエは一番充実するのです。
だからそうでない時、それもいつもの仕事さえ落ち着いている時に
>>577-578のような贈り物を頂くと―――つい、暇つぶしに
色々とつまらない事を、想像してしまうのですよ。
- 651 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:40:13
- >>577
>お届けものですよ…
>つ【柱時計】
やあ、あなた!あの柱時計の贈り主は、あなただったのですね?
先ほどいきなり届いて、一体誰が取り寄せたのかと思っていたのです。
立派な振り子時計です―――やあ、時報に鐘を鳴らすのですね?
ヨーロッパでは、こういう時計を屋敷に持つことが
一種のステータスだったのですよ。ですから、このお屋敷に無かったのが
不思議なくらいなのですけれど…如何せん、
仕事でもない限り、僕らはあまり時間に頓着しないものですから。
僕なんかは、つい時間を忘れてご来客と話し込んでしまうので、丁度良い。
本当にありがとうございます。やあ、それに―――
こういう立派な鐘打ち時計があると、お屋敷に雰囲気が出て、いいですねえ。
どういう雰囲気か―――?そうですねえ…君、
探偵小説は読まれますか?そうそう、アガサ・クリスティとか、そういうのです。
ほら、ここは田舎の、豊かな緑に囲まれたシャトーで―――
世界有数の財閥の長と、その幹部かつ眷族が暮らしている。
シャトーの内部には、本が天井近くまで並べられた書斎や
珍しい動物の剥製が揃った部屋、そして―――地下には怪しげな研究室があって
そこには見たこともない薬剤でいっぱいの棚がある。
廊下の突当りに、来客が決して開けてはならない扉があって―――そこには
世にも美しい深窓の令嬢が眠っている。
そして極めつけが、あの、大広間に佇む柱時計です。
時間になると、厳かな鐘打ちの音が、城じゅうに響き渡る―――
素晴らしい舞台装置です。ネイサンが見たら喜びますよ。
…こんな処でもし、仮に…仮に、ですよ?
密室殺人、なんて事が起こったら、あなた、いかがです?…おや!
そんな事は日常茶飯事だと仰る?はは…、いいえ、今回に限っては
死ぬのはあなたがたではなくて、僕らの方です。
外の世界から隔絶されたこのシャトーでは、ちょっとした嵐や吹雪だけで
いとも簡単にクローズド・サークルが出来上がる。そこに閉じ込められるのは、
僕らとあなたがたと、それから…探偵役が必要ですね。
カイ君あたりがいいかな?ああいうキャラクターは探偵向きですよね。
最初は…そうだな、アンシェル兄さんに死んで貰いましょう。
彼は一族の筆頭です。殺される理由はごまんとある。
彼は髪の毛という髪の毛を全て毟られて―――いや、全身を鋭利な刃物で
めった刺しにされていた。それでも、ただでは死なないのが彼で―――
兄さんは、倒れた床にダイイング・メッセージを残しました。
そこには、数字の「5」と読める血文字が書かれていた …これを見て、
カイ君が最初に疑うのはネイサンです。
カイ君は、兄弟の5番目は彼だと思っていますからね。動機はあれです、
ディーヴァの親権争いです。でも―――ネイサンには完璧なアリバイがあった。
愛人のジェイムズと一緒に居るところを、何人ものご来客が見ていたのです。
推理は振り出しに戻った。
そこへ、書庫で調べ物をしていたグレゴリー兄さんが現れる―――
彼はアンシェル兄さんの死体を見、遺された血文字を見て言うのです。
「…あら?皆さん、これは5ではなくて、アルファベットのSではないかしら? 」
「な…何ですって!?」
もちろん、最初に反応したのはこの僕です。
「兄さん、それじゃあ僕がやったとでも―――」
「そんなこと言ってないわ。ただ、
見る方向によってはふた通り読める、ってだけで…それに、わたしだって『S』よ」
まあ、そうは言っても…疚しいところがないのなら、
過剰に反応する必要もないわけで―――当然、次に疑われるのは僕です。
そして僕は言う、
「じょ―――冗談じゃない。
疑われてまで、真犯人が紛れているかもしれないこんな所には居られませんっ!!」
そして広間を、ひとり後にする。
誰もが押し黙り、気まずい沈黙が広間を支配した時―――、
城じゅうに響き渡る、あの柱時計の鐘打ちの音。
時刻は十二時を回ろうとしていた。ですがその時に限ってその鐘は、
十三回目を打った。皆が怪訝しいと気付いたその瞬間、
僕が消えた方向から―――鐘の音の余韻をかき消すように―――
「たすけ… …………え?
もうやめてくれ、と仰る?
どうして―――これからが面白い所ですよ。
カイ君が、パートナーの小夜と一緒に目まぐるしく活躍して…物語の最後に、
犯人がこの呪われた屋敷の血塗られた秘密を、悲しくも切ない動機に絡めて語るときは
>>578さんの曲がBGMになるところでしたのに―――残念ですね。
何故って、おや…僕らのうちの誰も、そんな事になる理由が
ないじゃないか、と仰る?あなたも、お優しいのですねえ…>>613さんと同じだ。
先ほど、彼女は仰ったでしょう?
>怖い花言葉もあるようだけど、それはソロモン達にも無縁なものだね。
―――と。
そういう評価は、人間の世界に溶け込むためにはありがたい事ですけれど…
残念な事に、僕らはそんなにきれいなものじゃありません。
美しい薔薇でいるのは、あくまで人間の世界で上手に立ち回るため。
あなたがたを騙すための、擬態に過ぎないのです―――
そして、僕らを邪魔に思う人間は、いつの時代も、幾らもいました。彼らはきっと、
いつも僕らに、毒々しい色の薔薇の花束を贈りたがっていたことでしょう。
僕らの生きてきた記録は―――べったりと赤黒い、血で綴られているのです。
それで―――?
では先ほどの事件、犯人は一体誰なのか、と仰る?やあ、それは………
おや。
鐘が鳴っている―――、
想像通りの、厳かな良い音です。あなた、本当にありがとう。
- 652 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:43:02
- >>583
>あなたにとって『カミサマ』とは?
神様、ですか?
そうだなあ―――僕の名前を見れば、すぐに判ると思いますけれど
僕の生まれた家はユダヤ系です。ですから、神と言われてすぐに思いつくのは
そういう神様だな。…それを僕が、どう考えているのか、と仰るのですね?
こういう話は、僕の領分ではないのですけれど…
あなた―――神を信じますか?
どちらでもない?では…宗教の学問を専門にしているのですか?
違う?そうですか―――それなら言います、
あなた、ヨハネの黙示録を読んだ事がありますか?
この世界で起きる全ての事は、神の采配だと言うのですよ。
一人の人間の幸せも、不幸も、人間同士で信仰や資源を巡って争う事も
すべて神が計画なさって起こる事だというのです。
もし、それが本当なら―――神というのは、なんて残酷なのでしょう。
けれど、神はそれでいいのです。
残酷だからこそ、神はその機能を全うするともいえる…、
人間はいつでも、わが身に降りかかった不幸に何らかの理由を求めたがる。
何故こうなったのか、その理由のひとつが神なのです。
何が起こっても、それはすべて神の思し召しである。
そう思うことで、その出来事に決着をつけるのです。そして、
その後の人生に希望を見いだす…神は、そういう機能を持つ仕組みなのだと―――
そう考える人も居ます。
でも、僕はこれまで、神にその理由を求めた事はありません。
僕にとって神様は、おとぎ話の登場人物のようなものです…、おや
僕にとって、ディーヴァやアンシェル兄さんは
神と同列にならないのか、と仰る?―――なりません。
少なくとも、先ほどお話しした神という概念よりも…
彼らのほうが、僕にとっては確実なものでしたから。
僕の望むものを与えてくれたのは彼らです。そして彼らには、
手を伸ばせば触れる事が出来る―――彼らの存在は、信じるに値する。
神が実在するか、しないかよりも…彼らの存在の方が、僕には重要でした。
ですから僕は…彼らの為であれば何だってしましたよ。
それがたとえあなたがたの言う、神を冒涜する行いであったとしても
―――僕は、一向に構いませんでした。
- 653 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:44:52
- >>596
>漫画版の自分や展開について何か一言。
>ここの皆様方はどうもアニメ版のようでおらっしゃるようなので。
やあ…あなたの仰っている意味が、半分ほどはよく判らないのですけれど
あなたの仰るその作品なら、いちどご来客に勧められて読んだ事があります。
BLOOD+、でしたか?洒落たタイトルです。
流石は日本人の作家で、とてもよく出来ていました。
カールなんかは随分幼く描かれていて、まるで西洋人の子供でしたけれど…
それ以外は、そっくりでしたねえ。
ストーリーは、僕らのお話とは全然違っていましたけれど
やあ、あれも、僕らの噂を面白おかしく脚色して書きたてたゴシップ紙と
同じようなものでしょうね?それが証拠に―――、
…ああ、あの中のソロモン・ゴールドスミスについてですか?
これといった感想はありませんよ―――ただ、
ああ僕は世の中の人間の目に、こういう風に映っていたのだなと思うくらいです。
悲しくないのか、と仰る?…まさか。どうして。面白いじゃありませんか―――
ああいう物語では、
僕のように不必要に顔が綺麗な人物が、主人公の敵として登場すると
外見に反して中身がとんでもなく醜くなるのが、お決まりでしょう?
あのソロモンだって、そうですよ。
クライマックスになると、顔までめちゃくちゃでしたね。何でしたか、
「ははは、狂ってる!まるでお笑い種だ!」
―――似ていますか?そっくりだ?そうでしょうね。
唯一悔しいといったら、あの顔かな。度し難い。
アンシェル兄さんに、どうしてそこまで翼手の生殖に拘るのか、と
質された時の答えなんて―――はは、
いかにもおつむが弱そうで、僕は嫌いではありませんよ。けれど…あの結末では、
彼はその望みを果たすことのないまま、死んでしまうのでしょうね。
彼が僕と同じなのは、その点だけだな。
あるじをないがしろにするから、そういう事になるんだ。
道を外れるにも程があります。…念の為に言っておきますけれど、
僕はあんな風にあるじを扱ったことは、一度だってありませんよ?
いずれにしろ、あの作品は作り話です。
グレゴリー兄さんやマルティン兄さんが、歴史から姿を消した時も―――
人間は、自分の知っている事実に尾ひれをつけて騒ぎ立てたでしょう?
こういう扱いは僕らのような、人間の常識を外れた生き物の宿命です。
僕は厭な思いをするどころか―――それを誇らしく思うことだって、あるのですよ。
- 654 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:47:19
- >>597
>ねえねえソロモン、お願い、ウサギさんのお耳つけて見せて?
おや…、これは大きなウサギの耳ですね。
どなたへのプレゼントですか?…僕?―――やあ、まさか。だってこれは、
あれでしょう?賭博場でよく見る、若くてスタイルの良い娘さんがつける―――
…あなたがた、今度は僕に何をさせるおつもりですか…?
僕は時々、ここにいる人たちに弄ばれているような気がします。
ずっと以前、お庭と呼ばれた場所に居た頃は、誰かに似ているからと
訳の分からない被り物を渡された事もあるし…何でしたか、赤い彗星の―――
…こちらに来てからは、魚の切り身を盛り付けられそうになったり、…
……どうしても駄目なのか、と仰る?
いえ、それは―――あなたがたが、どうしてもと仰るなら…
着けましたよ…これで、いいですか?…え?目を―――目を赤く、ですって?
待って下さい、それは、言われて出来る事では―――はい?
そこの君―――もんもんはうさぎさんだからできるよね、と仰る?
誰が―――誰がそんな、根も葉もない嘘を君に吹き込んだのです―――?
カール?>>593
いたいけな少女に、何て事を―――破廉恥な!
…はい?誤魔化そうったってそうはいかない―――?
すみません…わかりました。いきますよ…、
……………………っっ!!!
赤くなっていますか?か…、かわいい?まさか―――、
はっ…!?
誰ですか―――今、フラッシュを焚いたのは?
何ですって、君―――カールが?
また、彼なのですか?彼が僕の恥ずかしい写真を取りたがっていた?
あっ、カール!やめなさい、お待ちなさい、そのカメラを寄越すんだ―――うわ、
あなたがた放して下さい、カールが逃げてしまうじゃありませんか―――
お願いですから、頭を撫でるのをやめて下さい…!
- 655 名前:ソロモン@巨大なウサギの耳 ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:51:01
- >>599
おや、ご老人、ご機嫌よう。
ああ参ったな、頭がクシャクシャだ―――御免なさい、
恥ずかしいところを見せてしまいましたね。
>おお……若様。こちらにおいででしたか。
>じいやでございますよ……。
何ですって…、若様?それは僕のことですか?
>如何なされました?
いやあ、ここのご来客にも、弟にも、困ったものです。
彼らが楽しそうなら、別に構わないのですけれどね―――
>また御館様に叱られましたか?
…おやかたさま?
どちらかと言うと、いまここでは、僕がそれに当たるんですがね。
グレゴリー兄さんか、アンシェル兄さんの事かな。それとも…ああ、
もしかしたらご老人はカールがベトナムに居た頃の、リセの関係者かな?
そうなら人違いですよ、ご老人―――カールはあっちです。
はは…けれどあなた、まるで僕が小さい頃、僕の父の屋敷に居た
執事の小父さんのようだ。ええ、慥かに僕は、いつも「御館様」である父に
顔を合わせれば必ず、お小言を貰うか叱られていたものです。
屋敷の使用人たちは幼い僕に、父の見ていない所で
それは優しくして下さったものです―――ご老人、あなたのお陰で、
懐かしい彼らの事を思い出しました。
―――やあ、はは、おかしな事を言うようですが、あなた
話し方も優しい声も、本当に小父さんにそっくりで、まるで―――…
…ご老人、貴方はどちらのご出身ですか?
はは、いいえ、試しに訊いてみるだけです―――パリからおいでに?そうですか。
あなたの若様は、どのようなかたなのですか?随分、大事にされているようだ。
若様は金髪の、ふわふわとした巻き毛で―――静脈が透けるほど肌が白くて、
まるで天使のような少年だったと仰る?それは美味しそうな子供ですねえ。
少年は外で遊ぶよりも、屋敷で本を読んでいるほうが好きな性質で
御館様の意志に反して、医者になりたがっていたので―――
―――父親とは、大変に仲が悪かったけれど
彼の伯父にあたる人が、それは彼に目をかけていて
「彼は随分、慰められておいでのご様子でございました」…
…待って下さい、それは僕じゃありませんか。
あなた、ご冗談は―――
「左様でございます、若様はあの頃から少しも変わっておられません」 、?
―――まさか。そんなのは人間じゃありません。
ご老人ひょっとしてあなた…、……おや?
ご老人、どちらへ行かれました―――?
…ねえ>618さん、
さっきまで僕は確かに、燕尾服のお爺さんと話していましたよねえ?
おや、あの人は先ほど、カールとも話していた>>629と仰る?カールの口ぶりでは、
まるでボルドーの日曜日の惨劇に、居合わせたようだった…?
ふむ…もしかするとあのお爺さんは、その現場から逃れて
僕の親の屋敷に世話になったのではないかと―――あなたはそう思うのですね?
成る程、その可能性は否定できませんね。けれどゼロに近い。
何故って、その時ここに居た人間は…一人残らず死んでしまったのですよ。
それに―――だからといって、彼が今ここに存在できる訳じゃありません。
あの日から、もう120年も経つのですから―――
彼は僕らの眷族なのではないか?それは…
もしそうなら、すぐに判ります。やあ、それでは…何ですって、
サン・ジェルマン伯爵? ―――君、今そう仰ったのですか?
しかし…彼が実在するとして、金持ちの家で使用人なんてするかなあ…、
ふむ?本人でなくても、その亜種のようなものではないかと仰る。
成る程確かに、僕とカールが聞いた話が食い違うのも、それで説明はつきます。
あなた、面白い事を仰いますねえ。もしそうなら、本当に素晴らしい。
けれど、どうでしょう―――
この土地は、決して祝福された土地ではありません。
ここには、サン・ジェルマン伯爵のロマンチックな伝説より
ひょっとすると日曜日の惨劇の、忌まわしい亡霊の方が
よほど似合いかもしれませんから…。
- 656 名前:ソロモン@巨大なウサギの耳 ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:54:21
- >>600
>ソロモンとカールって本当によく似てる。
>苦労症とか一方通行とか、犬属性と猫属性とか。
僕とカールが…、
苦労症、行ったきり―――そういう所で共通している事は、まあ、認めます。
けれどあなた、ひとつだけ、いいですか?
どのあたりが猫で、どのあたりが―――犬なのです?
犬といったらまずハジでしょう。僕じゃない。
カールだって、どちらかというと猫に似ているじゃありませんか。
やあ、成る程―――確かに顔は似ているけれど、彼は
ディーヴァや小夜にじゃれつく様子が、尻尾を振って喜ぶ犬のようだと仰る…
じゃあ…一応、訊いておくのですけれど…僕は?
ええ、自分では全く見当がつかないものですから。参考までに。
何ですって、家族に対する無条件な従順さに犬らしさを感じる?
ハジと一緒じゃないですか―――ふむ、猫についてはちょっと言い難い?
構いません、言ってご覧なさい。僕も気になります。怒りません。約束です。
…死期を悟ったらふらふらと姿を消し、人目につかない場所で息を引き取る所が
まるで猫だ―――と仰る。…ううん…。
>母であり恋人であるというディーヴァも
>自由奔放だけど実は苦労症だった?
確かにね…犬は従順だからと言って、屋内に閉じ込めておくだけではいけませんし
猫は気まぐれで―――主人を裏切って爪を立てる事もありますから、大変ですよ。
けれど僕らは、少なくともディーヴァにとって
「躾のなった」「聞き分けの良い」犬猫であると信じています。
僕は、命じられれば何だって、一声鳴いて従ってきましたし
カールだって、ディーヴァが待てと命じれば待ちます。
それくらいは、いかに僕らでも行儀良く出来る。
あるじが、苦労なんて何ひとつなく暮らせるように計らうのが
シュヴァリエの甲斐性というものですよ。僕らの誇りです。…くす、それがねえ…
誰とは言いませんが―――僕が出会った中には、主人が止せと命じているのに
気に入らない相手に吠えかかってくるような飼い犬もいましたからね。
主人の「待て」も聞けないなんて、聞き分けの無い犬です―――
本当に主人を苦労性にさせるのは、そういう犬の事ですよ。
―――ああいう犬には、躾が必要です。
それでも…、その犬の主人は僕より彼を選んだのですから不思議です。
僕ならきちんと彼女の望むようにするし、それに血統書だってついている。
もし彼女がそう望んだなら、僕は―――
彼女が嬉しい時には、一緒に喜んで尻尾を振るし…彼女が悲しいときには、
そっと寄り添って、優しく頬を舐めるような―――賢い犬になりましたのに。
- 657 名前:ソロモン@巨大なウサギの耳 ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:55:10
- >>601
>カールはファントムの変装しかしないの?
>他に仮装の趣味はないの?
カールが―――仮装、ですか?
ふむ…、君の仰る通りで、僕もそれ以外には見た事がありませんねえ。
確かに僕らは、時代によって肩書きが変わりますから
その度に違う格好をしていますけれど―――あなたがたからすれば、
僕が仕官服を着ていたのだって、変装や仮装のように見えたかな。
カールはあの時、スーツを着ていましたけれど…なかなか、様になっていましたよ。
アンシェル兄さんの横に立っていると、りっぱな秘書か通訳のように見えました。
そうだなあ―――彼はアオザイもあんなに似合うのですから、
もっと他の衣装も、きっと似合うと思いますけれどね。…あなたがた、
今度は僕ではなくて彼に 、何か面白いものを持ってきてあげるといい。
ええ、何でもいいのです―――ハルヒ?ケイオン?僕はよく知りませんけれど、
何でも良い。小夜の学校の制服…?…ああ、ええ、それでもいい。
日本の民族衣装です、よく似合うと思う、と言って唆せば
きっと上手に着こなして下さいますよ。そうしたら、僕が記念撮影をしてあげます。
それはもう―――思い切りフラッシュを焚いて、パシャパシャとね。
- 658 名前:ソロモン@巨大なウサギの耳 ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 05:56:43
- >>602
>たまには、本気で人間に怒ってる姿も見たいなあ。
>(と、いきなり拳銃を向けてBANG!BANG!)
―――やあ!
捕まえた―――君、ご機嫌よう。
シーッ…静かにして。動かないで―――厭だな、僕は怒りませんよ。
でも痛かったなあ。痛かった。君がそのピストルで、撃ったからですよ。
おや、…こんなところにまで武器を隠していたのですね?
まだ若い女性がいけません、こんなに脚を出しては。でも、
あなた―――いいですね。凄くいい…、
おや、顔が近すぎるから放せ?
御免なさい、こういう事は久しぶりなものですから―――つい興奮して。
近頃このお屋敷に、あなたのような血の気が多い人間は珍しくてね。
それで僕が、あまり物欲しそうな顔をしているものだから
終いには、まだ幼い少女までが僕に血をくれると仰る…、
―――何だか申し訳ないのですよ。
清らかな、愛らしい少女の血は…僕には少し甘すぎる。
あなたいかがです、ひとつ、小さな少女の命を救うと思って―――
嫌だ?そうでしょうねえ、
君はただ僕が怒った顔を見たかっただけなのですから。
でも…くす、残念でしたね。こんな事では僕は怒りません、
怒らせたいなら、この腕の一本でも持っていって下さらなくては。
それどころか、僕は君のことがとても気に入りました。
さあ、何か言い残す事は?…それでは聞こえませんよ、もっと大きな声で…
そうそう…、
いいから放せ××、そんなだから女に逃げられるんだこの落ち武sh―――
…何ですって?
僕が何だから、小夜が 何 で す っ て ?
あなた―――今の言葉を―――僕の目を見て―――もう一度言ってご覧なさい。
- 659 名前:ソロモン@巨大なウサギの耳 ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 06:00:12
- >>603
>すっごーい、拳銃から花が咲いてる。
はあ…、先ほどの彼女>>602が持っていた武器は、玩具だったのですよね。
僕は彼女を相手に、本気で怒ってしまいました―――やあ、
まんまと罠に嵌まったわけです。
彼女は何でも良いから、僕の怒った様子が見たかったのですからね。
面白がっておいででしたよ…人間にしては、なかなかやるものです。
君も見たかった?―――やめて下さい、お恥ずかしい。
>そういえばもうすぐ隠しゲイの頃合だね。隠しゲイ。
もう、そういう時季はすっかり過ぎてしまいましたねえ…御免なさいね?
今からでいいなら、やりますよ。
以前に隠し芸を強請られた時は…そう、テーブルクロス抜きをしたのでした。
結局あれは出来るようになったのか、と仰る?
……努力はしましたよ、僕は。
ええ、構いません。また、やってみせましょう。
でも―――今はせっかく、近くにカールが居るのですから
もっといいものをお見せする事だって、出来るのですよ?
ほら、以前にも言ったあれです。
カールを椅子に縛りつけて、彼の顔めがけてナイフを投げるのですよ。
心配する事はありません。彼は器用でね、投げられたナイフを歯で受け止めるのです。
ええ、大丈夫、決して仕損じません。シュヴァリエはすばしこいのですよ、
僕も彼に、三枚下ろしにされかけた事があります。
…ほら、見たいでしょう?
では…椅子は、これを使いましょう。ナイフは銀食器を。縄?ありますよ、ほら。
さあ>>618さん―――お待たせしました。君の出番です。
銀食器を持って。そう、そう握って―――こう投げる。やあ、お上手です。
退屈させてしまって、御免なさいね?思い切りやっていいのですよ。
それじゃああなたがた、ちょっとお待ちなさい…
カール!カール、こちらへおいでなさい。ご来客が隠し芸をご所望ですよ! …
―――おや。
僕がこの手に、握りつぶす勢いで掴んでいるのは何か、と仰る?
カール君人形ですよ。 >>636
さっき恥ずかしい写真を撮られた>>654事を根に持っているのか―――ですって?
それで隠し芸に乗じて復讐を…?まさか。 そこに落ちていたのを拾ったのです。
触り心地が良いので、ついね。
それで…そのカールをどう思うか、ですか?突然ですね。どうして。
いいから答えろと仰る―――、わかりました。
もちろん、彼は血を分けた兄弟ですから、それは大事に思っていますよ。
罪の意識?それはもちろんあります。大事だからこそ、そういうものを感じるのです。
くす、この人形も、よく見ればかわいらしいじゃありませんか…
特徴をよくとらえています。目を見開いて、食い入るようにこちらを見つめてくる。
彼の…一途で、何も隠しだてする事のない素直な所は、
出会った頃から少しも変わっていません。
僕は彼に、そう、罪の意識を感じるほど酷い事をしたというのに、ね。
彼はひたすら健気です。僕ではきっと、あのようにはなりません。
僕に無いものを、彼は沢山持っている―――僕は、
僕はもしかすると―――ずっと昔から、そういう彼の事を
心の底で―――弟として、というよりも―――
…おや、あなたどうしました?
モ…エ…?何だかよく判りませんが、随分と嬉しそうですねえ。
- 660 名前:ソロモン@巨大なウサギの耳 ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 06:01:47
- >>616
>この金色お星さまをもんもんにあげる。
>きらきらしてもんもんの髪の毛みたいできれいでしょ。
やあ、君―――また、僕にプレゼントをくれるのですね?
これはかわいいお星様だ―――君が作ったのですか?すごいな。
ええ、とてもきれいです。僕にとっては、君がくれたこのお星様も
お空に浮かんで瞬いているお星様も、同じだけ綺麗ですよ。
侍従さんに教わった、と仰る?へえ…、貴女は良い部下をお持ちなのですね。
それは貴女が、素晴らしいレディである証拠です。
でも―――ほんとうに、いいのですか?
僕は知っていますよ、お店に売っているオリガミの中に
金色と銀色は、一枚ずつしか入っていないんだ―――そんな大事なものを、
僕とカールに分けてくださるなんて。
…やあ、本当にありがとう。
僕は君に、お礼をしなくてはいけませんね―――
カールは、お月様をくれましたか。では…僕は、君に、あの太陽をあげましょう。
君は知っているかな…僕の名前の、最初の三文字は、お日さまを表わすのですよ。
そして―――あの太陽も、ずっと遠くから見れば
君のくれたお星様と同じに、きらきらと瞬くのですよ…さあ、手を出して。
とてもきれいな緑色でしょう。
これはペリドットといって、ずっと昔の人々が「太陽の宝石」と呼んだ石です。
こうして金の鎖につないで、身につけておけば…悪いものから、君を護ってくれる。
―――君、夜の暗闇は怖いですか?
この石は、悪いものが棲みついている暗闇を払ってくれるというのですよ。
まるで、あの太陽と同じではありませんか…素敵でしょう?
カールのお月様と一緒に、金の鎖に通して、君の喉元に飾るといい。
きっと、よく似合いますよ。
- 661 名前:ソロモン@巨大なウサギの耳 ◆Jbu22jQwgzXu :2010/02/14(日) 06:02:23
- >>643
>わーん><;
おやおや、君、何を泣いているのです?
>ソロモンにプレゼントした貴腐ワイン、全部カールに飲まれちゃったよぉー
やあ…、君、それは誤解ですよ。
君のワインは、とても美味しかった。ええ、本当です。心配しなくても、
僕とカールで、ちゃんと半分ずつ飲んだのです。あんまり美味しいので、
僕が彼にお裾分けしてあげたのですよ。
全く、彼という人は…あんなに大きな声で言うから、
ご来客が泣いてしまったじゃありませんか。
さあ、君…涙を拭いて。鼻をかんで…お可哀そうに、御免なさいね。
くす、でもねえ―――カールときたら、
「酒も入れずにこんな事が言えるものか!」というような意味の事を言っておきながら、
勢いで全部口に出してしまうのですから>>623。僕は思わず、笑ってしまいました―――
その内容というのも、別に口にするのが憚られるような事じゃないのですよ?
だから、僕は彼に言ってやったのですよ。
「ありがとうカール、君とこうしてまた向かい合って飲めるなんて
僕は本当に嬉しいのですよ」とね。―――はは、
「いきなりそういう事を言うな!」と怒られましたよ。
珍しく赤くなっているので、そう指摘すると、「酒の所為だ」と言い張るのですから。
彼はほんとうに愉快です―――、本当に、昔からちっとも変わりません。
―――おや。本当に愉しそうだ、と仰る?
全部、君があんなに美味しいワインを下さったからですよ。本当にありがとう。
今度は、君も一緒においでなさい。きっと楽しいですよ…、
…やあ。また、鐘が鳴った―――もう、こんな時間だ。
日が昇る―――人間の皆さんは、いい加減休まないといけませんね。
それじゃあ、皆さん、また後ほど。おやすみなさい、ご機嫌よう。
- 662 名前:名無し客:2010/02/14(日) 19:33:46
- バニーソロモンの写真、焼き増しでお願いしま(ry
本気で怒って疲れるより、笑って疲れる方が気持ち良いよね〜。
ねえ、カール?(w
- 663 名前:名無し客:2010/02/14(日) 23:15:55
- ソロモンは優しいな。
アンシェル、ハジ、ソーニャ…
まるで今もそこで楽しく暮らしているみたいだ。
彼らはもういなくなったのにね。
- 664 名前:名無し客:2010/02/15(月) 08:42:41
- 5年もたつのに
こうやってもてなしてくれるソロモン、カールに感謝感謝だよ。
アンシェルだってどこかでそっと見てるんじゃないかなあ?
個人的には色々質問してみたかったけれど。
ディーヴァとの関係とか・・・げふんげふん。
- 665 名前:名無し客:2010/02/15(月) 21:47:32
- 僕、思うんだ。
翼手って、南極で確認されたUMA「ニンゲン ヒトガタ」の親戚じゃないかって
だってよくよく考えたら、そっちの方が神秘的だ。
エロウパの氷で覆われた海洋からイルカと同じ音が聞こえるとNASAが
確認したくらいなんだから、人類ばかりが生き物の全てじゃないと思うんだな。
- 666 名前:名無し客:2010/02/15(月) 21:52:32
- あ、そういえば聞き忘れた、
リクに擬態したディーヴァってわざと貧乳にしてるの?
サラシでも巻いてるのかと思ったけどさ、
基本的に彼女は下着を着てないんじゃない?よく風邪引かないよね、さすが翼手w
- 667 名前:名無し客:2010/02/18(木) 20:54:46
- カール人形を一個下さい。
ついでにコープスコーズのカールを一体下さい。
- 668 名前:名無し客:2010/02/18(木) 22:51:45
- 人形はね、気がついたらグルッと持ち主を見るんだよ。
ベルヒデスガーデンのお人形も、
クルリと見てるんだよ。シュヴァリエをw
- 669 名前:名無し客:2010/02/20(土) 13:02:15
- シュヴァリエ犬の躾は楽しそうだよね。
百数十年のお預け、食べたくても食べられない生殺し、
……いいね、楽しそう。
- 670 名前:名無し客:2010/02/21(日) 18:11:51
- ハジは永遠の恋敵、その事実が悩ましい。
- 671 名前:名無し客:2010/02/22(月) 22:45:00
- そんなことよりカーリングやろうぜ!
- 672 名前:名無し客:2010/02/24(水) 09:08:23
- カールング?
- 673 名前:名無し客:2010/03/05(金) 20:43:55
- どちらかというとフィギュアが似合いそうだね。
- 674 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:19:48
- >>619
>……おいしそう。
やあ、そうでしょう?
何と言っても、パリはスイーツの本場ですからね。
>>647さんがすてきなプレゼントをくれたので、お礼に用意したのです。
僕は、お菓子を手作りするような器用な事は出来ませんから
喜んでもらえそうなものを手に入れてきました…
君の分もありますからね。皆さんで、お茶の時間にしましょう。
>>647
>ハッピーバレンタインです。
>つ『手作りチョコクッキー』
やあ、ご機嫌よう。
そうでしたね、あなたがたがお住まいの日本では、
バレンタインデーには親しい間柄の人に、
チョコレートやお菓子をプレゼントする習慣があるのでした。どうもありがとう、
>中身は市販のチョコチップですがよろしければ…
もちろん!良いに決まっていますよ。
名店の品が必ずしも良いとは決まっていませんけれど、
貴女のクッキーは手作りなのでしょう?良いものでない筈がありません。
それで確か…、一月後の3月14日は、ホワイトデーと呼んで
そのお返しをするのでしたね?少し遅くなってしまいました…
やあ、見返りは結構、と仰る?いいえ、解かっていますよ。遠慮しないで。
僕が用意したものだって、君に喜んで貰えるかどうか判らないのですから。
それじゃあ、まずこちらから。
【Dalloyau L'OPERA】
ダロワイヨは、フランスの王室御用達―――
英国で言うロイヤル・ワラントのショコラティエで、200年も前からあるのですよ。
アンシェル兄さんがまだ子供の頃から、パリにお店があった筈です。
僕が物心ついた頃にはもう、馴染み深い老舗として有名でした。
このメーカーはマカロンも美味しいのですけれど、今回は「オペラ」です。
オペラをご存知ですか?ご覧の通りのチョコレートケーキですけれど、
これを発明したのがこのお店なのですよ。以来、フランス発祥のケーキとして
親しまれてきました―――僕も昔は好きだったな。やあ、いい匂いだ。
これは皆さんでどうぞ。さあ>>619さん、一緒におあがりなさい。美味しいですよ。
>>647さん、あなたにはもう一つ。
【Piper Heidsick Rose Sauvage】
こちらはエドシック社のロゼ・シャンパン。
これも、世界各国の王室に認められていてね…ええ、綺麗なピンク色でしょう。
女の子らしくて、美味しいお菓子を器用に作る君にはぴったりです。
これでお礼になったかな…?
いま外が酷い天気ですから、美味しいケーキでごゆっくり、どうぞ。
- 675 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:21:35
- >>645
>あ、また雪だ。
ええ、そうですね…もう春だというのに。
それに風が吹き荒れて、遠くで雷まで鳴っています。あなたがた、寒くありませんか?
薔薇の垣根も心配です。だけどこれじゃあ、外には出られないなあ…
やあ!そうそう。先ほど話したような事>>651には、こういう条件が必要なのですよね。
あなたがた、何だかわくわくしませんか?
僕は嬉しくなるけどな…、何しろこんな時には、
皆さん外にばかり気を遣って―――内側に目を向けなくなるでしょう。
…おや、雷は怖いからそんな気分にはならない?どうして。大丈夫ですよ、
ここはもし落雷で停電しても、すぐに自家発電に切り替わります。
真っ暗になる事なんてありませんし、電話線だって地下に埋まっていて
余程の事では切れたりしません。外からの危険に対しては、頑丈に出来ているのですよ。
くす…だから先ほどの話のような剣呑な事なんて、起こりようがないのですよ。
あなたがたが―――屋敷の内側にこそ脅威がある事を思い出さない限りは、ね。
さあ。この春の嵐がおさまるまでは、お屋敷の外にも出られない事ですから
ここで僕らと、楽しいお話をして過ごしましょうね…
- 676 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:22:39
- >>646
>ボルドーの見渡す限り一面のブドウ畑にも
>一面、雪が降り積もる事はあるのかな?
ええ、もちろん。
雪が積もると、この城の周辺は一面の銀世界ですよ。
この辺りは小高い丘になっていて、山で周りを囲まれている。それは良い眺めです。
>そんな時は何をして過ごすの?
>シュバリエみんなで雪合戦とか、かまくら作って中で甘酒とか、そりで遊んだりするの?
君は、最近この場所にやって来たのですね?
昨年も、一昨年も、それは楽しかったのですよ。大きな雪だるまを作ったりね。
雪合戦は―――ああ、やりました。でもねえ、あれは兎に角殺伐としていて…
僕は終いには、あらいぐまと一緒に綺麗な川を渡る夢を見ましたよ。
まあシュヴァリエ同士なので、仕方のない事なんですけれどね。
それより…いま君が仰った、カマクラ?それは何ですか?教わった事がないな。
やあ、成る程。イヌイットの作るイグルーと同じような物ですね?
作った事がありませんから、信じられないのですけれど…中はとても暖かいのだとか。
その中に、へえ、コタツ?…を設置して、甘酒を頂く習慣なのですね?
ええ、甘酒は知っていますよ。とても身体にいいし、飲むと暖まるのでしょう。
質の好いワインと同じで、強壮剤のようなものですね。その原料を、砂糖の代わりに
甘味料として使うプロジェクトを、ファルマシーの一部門で進めていました。
ふむ、楽しそうですねえ。イグルーなんて、僕らならすぐに作れますよ。
やあ、この雪が積もらないかなあ―――
- 677 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:24:39
- >>605
>カールが片腕を失くす事となったあの頃のことなんだけど、…
>あれって、赤い盾にあらかじめディーヴァのコンテナ情報を流し、
>小夜を強制的に覚醒させる事を見越してたの?
成る程、僕らが赤い盾を罠にかけたのではないか、と仰るのですね?
カールは違う、知らない、と言っていた?>>635そうでしょうね。
事実、これまで赤い盾がディーヴァに肉迫した事は何度かあります。
…というより、彼らは毎回、惜しいところまで来ていたのですよ。
ロシアでも、ドイツでも、ベトナムでもね。けれど…いつも詰めが甘いので、
ディーヴァにまで手が届かなかった。あなたの仰る、ベトナムの時だって―――
僕らの情報を得た赤い盾は、ディーヴァの寝首を掻きたいが為に
まだ休眠中の小夜を、無理やりに起こしましたね。人間のその行為が、
結果としてハジの心に小夜に対する恐れを植えつけた―――のだそうですね?
つまりあの主従の間に、深い溝を作ってしまった訳でしょう?
…ふん。
いいえ、笑ってなどいません。小夜にとっては間違いなく、
決して思い出したくない厭な過去なのでしょうからね。
まさか、そこまでは…主従に亀裂が入る事までは、僕らにだって予測できません。
ただ、小夜とハジを退ける事が出来れば良かったのですから。
ですから当時、小夜を積極的に処分するなんて事は
計画のうちには無かった―――、筈です。そもそも、
休眠中の女王を不自然な形で起こせばどうなるかなんて、僕らは知りません。
当時の小夜の件で初めてそういうケースのデータが採れた、という所ですよ。
わざわざ繭を裂いて、赤ん坊と同じに無防備な姿の彼女を引っ張り出すなんて
信じられません―――度し難い!
ですから…。あの当時僕らには、赤い盾をわざわざ誘き寄せて
罠に嵌めるなんて意図は、無かった…んじゃないかな。
…おや、僕にもはっきりしないのか、と仰る?
ええ。アンシェル兄さんが僕に黙って何かしている、というのは決して
珍しい事じゃなかったでしょう?キルベドのシフが良い例です。ですからこの時も、
もしかしたら僕の知らない所で、何か動いていたかも知れませんからね。
…僕はあの時、片腕を失ったカールの容態を見ました。
彼は大量の血液を失って、全身に冷たい汗を浮かせて浅い息を吐いていた。
カールは―――あの状態の彼女と対峙した所為で、彼女に対してあのようになったのです。
あの時死に直面した事で、彼の心にあった小夜への畏怖は決定的なものになった。
深い痛手を負ったのはハジだけではありません。
そして彼はきっと無意識のうちに気がついたのです、小夜なら彼を安息のうちに―――
そして憧れた、ディーヴァと並んで絶対の存在である彼女に。
怖い―――美しい。
畏ろしい―――愛おしい。
…全く、
―――度し難い。度し難い…。
- 678 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:26:17
- >>615
>自分の理想の散り方を教えてください。
散り方?
どんな風に一生を終えるのが理想か、そういう事ですね?
やあ、そんな立派なものは…ありませんよ。僕は小夜を護ると決めた時点で
死を覚悟していましたけれど、決して死ぬつもりなんてありませんでしたから。
それに、まさかあんな掠り傷で―――
しかも、ジェイムズが斬りつけてついた傷じゃないのですよ。
文字通り、ここをほんの少し掠めただけなのです。
どうせなら―――彼女が少しでも戦わずに済むように、
彼と差し違えるくらいの事はしたかったな。そして…彼女に惜しんでもらうのです。
頼りにしていたのに、もっと一緒に居たかったのにと、何度も名前を呼んで
この命を惜しんでもらう。すると僕は、
僕は、涙を流す彼女に―――
貴女を愛しています、そう言ってそっと微笑む。出来れば、笑って下さいと頼む。
そして僕が最後に見るのは、死の間際に見る幻ではなくて
本物の彼女の笑顔です。彼女の涙に濡れたそれは、この世界の何よりも美しいでしょう。
…やあ、それがどうです―――どうして、僕にはそれが許されなかったのでしょう?
おや、それならどうしてあの場所から立ち去ったのか、と仰る?
…勿体ないじゃありませんか。僕は彼女の為に、何も出来なかったのに。
それに、あんな掠り傷で弱々しく死んでいく姿を―――見られたくなかった。
そんなつまらない事で、小夜を悲しませたくなかった。
そんな事ばかり考えていた僕には、アンシェル兄さんが何故そこに居たのか
思いつきもしませんでした。僕を哂いに来たのか、止めを刺しに来たのか…
僕は彼の姿を見て反射的に、ああ彼を殺さなければと思いました。
小夜の為に出来る事はいまそれしかない。折角、都合よく目の前に居るのだから。
そんな事、その時の僕に出来たはずがないのに―――
悲しかった。彼女に対する後ろめたさが、嘔吐のように込み上げてきました。
もう立っていられなくなった僕は、彼の肩に額を擦らせて地面に崩れました。
………まるであの時と同じでした。
彼の向こうに、ディーヴァが居なかっただけで。
彼の声を、彼の背広の匂いを、懐かしいと思いました。…皮肉なものです。
あの時僕は兄さんの手で、100年前のシャトーの地下室に引き戻されたのです。
―――きっと兄さんはそうして、僕を罰したのですね。
だって、僕は出来る事なら、小夜の傍に還りたかった。
この命の最後には…彼女が僕を呼ぶ声が聞きたかった。
…くす、贅沢だ、と怒られそうです。でも強いて言うなら、それが理想的だったかな。
やあ!御免なさいね、すっかりじめじめとしてしまって。
けれど、どうしてもまだ未練があるようで―――ええ、情けない事です。
- 679 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:28:05
- >>644
>ディーヴァの子供達にとって、シュヴァリエはおじさんになるのかな?
さあ…、どうなのでしょうね?
僕らがディーヴァの子だからといって、兄妹だというのも妙ですから…
それで良いんじゃないかな。僕らにとって、ディーヴァは母であり恋人であり、
あるじであり妹でもある。僕らは彼女のご息女たちにとって、
何にでもなりうるのです―――父親を除いてはね。
でも僕は…もし彼女達に慕ってもらえるのなら、しもべのままでいいのですよ。
使用人だって、りっぱな家族です。それはもちろん、叔父様と呼んでくれるのなら
お祝い事のある時には可愛らしいドレスを買ってあげるし、
ダンスやピアノを教えてあげたりもするでしょう―――
使用人として傍に置いて下さるのなら、眠れるまで枕元で本を読んで差し上げたり
靴の紐を結んで差し上げたりするでしょう。…ええ、もちろん
あまりに愛らしいので、思わず抱き上げて頬擦りしてしまう事もあるでしょう。
仰る通りで、子供は可愛い。それがあるじの子であれば、可愛さもひとしおです。
けれど、もし今言ったように…僕らが彼女達を育てるような事になっていたら、
あなたがたは彼女達に、迂闊にそんな事をすると危ないですよ。
何故って―――僕らなら間違いなく、彼女達に
「もし貴女がたを抱き上げて、可愛がってくれるような人間がいたら
甘えるふりをして、迷わず頸に噛みついてしまいなさい」 と教えるからです。
―――くす、冗談は抜きにしても…僕らが殖えると、あなたがた人間は
それまでより幾分か、命の危険が増すことになりますね。
ただ、今のお話は…全部、あくまで実現しなかった事ですから。安心していいのですよ。
そんな事が現実のものになれば―――ほんとうに、良かったですのにね。
- 680 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:28:50
- >>617
>マウスの実験…
それはもちろん、あんな実験をさせておいて
今のような理想を語る事を疑問に思う人間は…沢山いる事でしょうね。
それは人間として、当然の反応です。実の所僕だって、首を傾げますよ。
もしその実験場の「人間の」責任者が、「人間の」子供を攫って来て
殺しておきながら―――我が子は可愛いと、そう言うのならね。
その点、ヴァンは怖い人間です。僕は彼の事が嫌いではありませんけれど…
あの思い切りの良さには正直な所、ぞっとしますね。
でも彼と違って、僕らは人間じゃないのです。
だからあんなに冷酷な事が出来たのか?―――はは、いいえ、
つまり僕らは翼手なので、人間の子供よりディーヴァのご息女のほうが
かわいいのですよ。それだけです。
それにもう、時効ですよ…僕らは既に、充分すぎる「裁き」を受けたのですからね。
人間にとっては、僕らの末路はそういう事になるのでしょう?
- 681 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:29:35
- >>620
>物語後半でカールそっくりのシフorコープスコーズが出てきて
>ソロモンと戦って欲しかったなあ。
…もし…、アンシェル兄さんが僕らに黙って、そんなものを作っていたら
僕はもう、彼の言う事に頷いて従う事なんて、出来なかったかもしれないな。
―――ああ、いいえ、御免なさいね?君の言う事を責めたわけではないのです。
だって、ほら…終始無表情で無言のカールに取り囲まれたら、
まともに抵抗できるか、判りませんからね。幾らなんでも不気味ですよ。
ふむ?では、これならどうか>>641と仰る?…
………いつも通り喋るカールの姿をしたシフの集団、ですか!?
いや…、それも…どうかな。
今度は別の意味で、まともに抵抗できませんね。何故ってそうすると、僕は
12体いるカールに、それぞれ―――
>カール1「貴様、ディーヴァのシュヴァリエだな」
はい。
>カール2「お前の血を頂く!」
お断りします。
>カール3「男の血なんて本当は嫌だがな!」
僕も嫌です。
>カール4「いい〜よ、ソロモン!さあ、僕と踊ろう!」
お断りします。
>カール5「僕達はシフ。呪いの棘から解き放たれるために!」
>カール6「お前の血を飲めば、救われるかもしれないんだ!」
>カール7「微妙なたれ目がうつる危険はあるが、下まつ毛がうつるよりマシ!」
そうですか…大変ですね。
>カール8「次に君と踊るのはこの僕だ!」
やめなさい、カール。
>カール9「僕達の気持など、貴様にはわかるまい」
>カール10「見ろ、このソーンを!貴様らのせいだ!」
>カール11「なぜ白い服から黒服に変わるんだ!青いスーツから赤いスーツじゃなければおかしいだろう!」
はい、そうですね、御免なさい。
>カール12「さあソロモン、レッツダンス!」
くす、全く―――仕方の無いひとですねえ。
―――こう答えて、最後には苦笑しつつも彼の手を取って
踊らなくてはいけないわけでしょう?
>二人が戦ったらどっちが強いの?
はは…どっちにしろ、僕は彼には勝てませんよ。
- 682 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:32:07
- >>663
>ソロモンは優しいな。
>>664
>こうやってもてなしてくれるソロモン、カールに感謝感謝だよ。
やあ君たち、本当にありがとう―――
5年なんて、僕らにしてみればほんの少しの間です。けれど長かったな、
色々な事がありましたから…僕がこうして、この場所で穏やかに過ごして居られるのも
皆、その間ずっと、あなたがたが僕らを見ていてくれたお陰ですよ。
くす、僕らがもてなしている、というより―――あなたがたが、構って下さるのです。
感謝しなければいけないのは、こちらの方ですよ。本当にありがとう。
ところで>>663さん、
>彼らはもういなくなったのにね。
――――――……。…ははあ…成る程、
あなたは―――もしかして、僕に
物理学か、ひょっとすると哲学の問答を望んでおいでなのです…ね?
残念ですけれど、僕はあまりそちらには詳しくないのですよ―――
何でしたか、猫を箱に入れて密閉し、毒ガスを中へ充満させて
次に箱を開けたとき中の猫が果たしてどうなっているか、というあれでしょう?
確か、量子力学の学説の中に…ある物体がそこに存在する事や
存在するなら、その物体の形状や状態がどのようであるかは
観測者が観測した時点で決定する、とかしないとか―――突き詰めれば、その物体は、
観測した時点から「遡って形成される」…そういうお話があったような気がします。
参ったな…その謎かけ、僕の負けです。
その理屈を、僕らの次元にまで引き下げて考える事が
僕には少し難しいのですよ。つまり、ううん、あまり上手な例えは出来ませんけれど…
例えばアンシェル兄さんが、今、鍵のかかった書斎で書き物をしているとします。
書斎には窓が無く、扉を開かない限り中を覗くことは出来ません。密室ですね。
密室のアンシェル・ゴールドスミスが、果たしてどうなっているか―――
仕事をしているのか、本を読んでいるのか、
実験をしているのか記録をつけているのか、食事をしているのか
それとも陽気に歌っているのか、くねくねとベリーダンスを踊っているのか
痩せているのか太っているのか、**上がっているのか、あらいぐまなのか、
生きているのか死んでいるのか、本当に居るのか―――本当は、居ないのか。
それは観測者である君が扉を開けて初めて決定する。しかも、
アンシェル兄さんはもし居るなら、君が視た時点で「発生する」。そういう事です。
ううん…やっぱり、上手にはいきませんね。
ただひとつ言えることは―――
ここは不思議な場所で…例えば君が食べているその、ダロワイヨのケーキが
あなたがたや僕らがあると言えばある、無いといえば無い。そういう所なのです。
くす、観測するまでどちらか判らないのなら…あると言った方が楽しいでしょう?
だから僕はいつもこうして、ある事ない事嬉しそうに、ぺらぺらと喋るのですよ。
…おやおや、御免なさい。今度は哲学のようなお話になってきましたね。
やあ、書斎の中がどうなっているか気になってきた、と仰る?
では今から行って、扉を開けてご覧なさい。彼の書斎の鍵はここにあります。
ひょっとしたら、中であらいぐまが踊っているかも知れませんからね。
- 683 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:33:47
- それから…>>654さん、
>個人的には色々質問してみたかったけれど。
>ディーヴァとの関係とか・・・げふんげふん。
くす、ごまかさなくっても良いのですよ。
僕はこれまで、あなたがたに対してそれを隠したことは、一度もないのですからね?
君はそれを、アンシェル兄さん本人の口から聞きたいのでしょう?わかりますよ。
ただ―――、僕らのうちどのシュヴァリエも、ディーヴァとの関係は同じです。
ディーヴァは、あるじであり母であり、恋人でもある。…解かりますか?
普通なら、お母様を「恋人」とは呼ばないでしょう。つまり―――そういう事です。
とりわけアンシェル兄さんは、彼女をとりあげて育てた…少し違いますけれど、
養い親のようなもので、なおかつ彼女の初めての血分けの相手でもある訳ですから
僕らよりも少し、彼女との絆が深いというだけです。
実際のところ、僕にしてみれば…兄さんとディーヴァの間には
他のものが割り込む事を許さない何かが、ずっと昔からあるような気がしていました。
蝋燭ただ一本の光がゆらゆらと暗闇を照らす地下室で、僕はそれを見ました―――
あの時の彼らの姿が、
石の床に伏せて蠢く白い肌と、その上を這う長い、濡れたように黒い髪が
そこへ差し伸べられた、厚い筋張った掌から溢れる赤い鮮血が
縋るようにその手に絡みついた細いしなやかな指が
青く輝きながら無防備に甘える穢れない瞳が、
―――もう100年近く経った今でも克明に、瞼の裏に焼きついて離れないのです。
あの光景を見たなら僕でなくても、彼らの間に不用意に踏み込む事は出来ない、と
そう思うかも知れません。…確かに、
過去にそこへ割って入ろうとしたシュヴァリエは居ましたけれど…結果として、
それは実現しませんでしたからね。
いま、僕が言った事について―――アンシェル兄さんがどう仰るかは、
僕には判りません。ただ、ひとつだけ言える事は…
持ち主によって固く閉ざされた部屋の扉は
無理にこじ開けない方が良い事もある、という事です。その部屋はもしかしたら、
まるでヘンリー・ジェイムズが描いた「緑色の部屋」のような―――
許された者以外の侵入を拒む、禁断の部屋なのかも知れないのですから。
…「緑色の部屋」には、何があるのかと仰る?
持ち主以外の人間が踏み込んだ瞬間、その本質を変えてしまうような
繊細で壊れやすいものが、いっぱいに詰まっているのですよ。
兄さんはきっと―――彼の部屋に隠されたものはそんなに美しい物ではない、と
物憂げにそう仰るのでしょうけれどね。
- 684 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/03/24(水) 03:38:24
…おや。話しているうちに、天候が少しはましになったようです。
まだあなたがたの言葉の全部に、答えることが出来ていませんけれど
薔薇の様子が心配なので、外を見てくることにしましょう。
御免なさいね…戻ったらすぐに、続きをお話ししましょう。
それじゃあ、今はここまで。ご機嫌よう。
- 685 名前:名無し客:2010/03/24(水) 17:36:19
- ドイツ人、フランス人、ベトナム人、ロシア人、アフリカ人、アメリカ人
シュヴァリエをこうして並べるとディーヴァは一人一人異なるシュヴァリエの
知る異国情緒の話を聞いていそうだね。
- 686 名前:名無し客:2010/03/24(水) 17:45:22
- それぞれの地で生まれた人間がシュヴァリエとなった。
ディーヴァの血の元に別々の固体があるけども、
考えてみれば時代も違うんだよね。
だって時代の生き証人ってことになるんだから。
- 687 名前:名無し客:2010/03/30(火) 21:08:33
- ここに、過去へ通じる扉があります。
19世紀ごろの「動物園」、まだ子供だった頃の小夜やディーヴァに会うことが可能です。
あなたなら誰に、何と言って語りかけますか?
- 688 名前:名無し客:2010/04/02(金) 20:54:21
- 子供の頃だったらアンシェルもまだシュヴァリエになってないかな?
だったら初代ジョエルに摩り替わって小夜とディーヴァを育てることもできるね
……楽園ってこのことだと思うよ。
- 689 名前:名無し客:2010/04/03(土) 01:10:23
- カーチャンの七不思議
・夜には疲れた顔してたのに朝には早起きして弁当作っててくれる
・夜遅く帰っても他の家族は寝てるのにカーチャンだけ起きてる
・俺が疲れてるの何故か把握してて栄養剤出してくれる
・俺が逆切れしても困ったように笑ってる
・俺が自分で言ったのに忘れてた事をずっと覚えてる
・いまだに俺の誕生日祝ってくれる
・俺より長生きしてくれない
- 690 名前:名無し客:2010/04/03(土) 13:01:28
- 国も文化も風習も違うのに、母親の子への愛情は変わらないんだよ。
だから七不思議の内容も変化する。シュヴァリエには母が二人いるよね、
人間だった頃の母親と翼手に生まれ変わらせたディーヴァだ。
しかも母であり恋人、だと・・・?
リクやハジにとって小夜は母であり恋人なのかそうなのか。
- 691 名前:名無し客:2010/04/04(日) 01:15:51
- この女王は二人とも「母」というより「娘」だけどね
- 692 名前:名無し客:2010/04/04(日) 11:32:28
- アンシェルはいつ頃から「母」であり「恋人」であるという説を立てたんだろう
少なくとも次男グレゴリーがシュヴァリエになって小夜と対峙した時は
「シュヴァリエはディーヴァを狩る者から排除する、それがシュヴァリエの宿命でしょう」と
述べていても母であり恋人である、なんて言葉にもしてない。
三男らしき彼の登場以降からかな?
アンシェルがその仮説を経てた時期も気になるけど、グレゴリーの頃は
人やシュヴァリエとの生殖実験はまだしてなかったのかね。
- 693 名前:名無し客:2010/04/04(日) 12:15:13
- >>692は訂正
「偉大なる長兄、アンシェル
あなたを襲い、ディーヴァを狙う狩人サヤが目の前にいるの
あらゆる障害からディーヴァを守りぬくのが私達シュヴァリエの定めでしょう」
この言葉の印象だけだと文字通りのシュヴァリエだね
ゴルドシュミットの家督を継ぐ者を手に入れて、
サヤを利用して人やハジを相手に生殖実験もできただろう。
あえてディーヴァに幾つもの実験を試していた?
文字通りディーヴァの全てを知るために?
アンシェルの研究範囲はどれだけ幅広いのさと尋ねてみる
- 694 名前:名無し客:2010/04/11(日) 18:35:16
- ディーヴァとの間にソロモンやカール、他の兄弟と子供ができていたら、
その後どうなっただろう?
翼手って万能だから繁殖能力がものすごく低くて、別に対のシュヴァリエ
でなければ子供はできないって事でもないという話を聞くけども?
- 695 名前:名無し客:2010/04/13(火) 23:29:52
- ところで飴でもいかがです? う・め・あ・じ ♪
- 696 名前:名無し客:2010/04/15(木) 20:35:56
- 桜のハチミツの方が美味しいよ♪
- 697 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/05/03(月) 04:40:51
ご機嫌よう。
もう5月になるのだから、少しは暖かくなりましたね。
皆さん、身体は大丈夫ですか?…僕?はは、僕は大丈夫。翼手は風邪を引きません。
近頃は雨ばかり降るので、薔薇の世話が少し大変でしたけれど…この通り元気です。
ただ、ちょっと喉が渇いたかな。
あなた僕がなかなか顔を出さないので、心配していたと仰る?やあ、ありがとう。
待たせてしまって、御免なさいね。ご挨拶の続きを始めましょう。
…ところでそこのあなた、この封筒は何でしょうね?
>>662
カールから、これを君に渡すように言付かっているのです。
ラブレターかもしれない?やあ、はは、そうかも知れません。本当にそうなら、
僕が中を覗くわけにはいきませんけれど…分厚さが…尋常じゃありません。
流石に中身が気になってしまって―――おや!
きみ、引ったくらなくても…やあ、慌てるから何か落ちましたよ。
拾っちゃいけない?どうしてです―――
―――こ、これは………!!
>バニーソロモンの写真、焼き増しでお願いしま(ry
焼き増しは構いません。個人的に観賞して楽しむのが目的であれば。けれど…
その封筒には一体何枚入っているのですか―――?
きみ、ばら撒くのはいけません。それはもちろん、
ここに居て事情を知っているご来客に対してはいいのですよ。
兄さんたちについても、もう流出していると考えた方がいいでしょう―――でも
お願いですから外には―――はい、赤い盾とかそういう所には―――
どうしてもいやなのか、と仰る…。
当然です。事情を知らない人が見たら、あんな格好をした男はただの……
…はあ…、なるだけこういう事は避けたいのですけれど、仕方ありませんね。
あなた…幾ら欲しいのです?
…そうじゃなくて?
外部への流出を食い止めるのはもう、諦めたほうがいいのじゃないかと仰る?
何故です。……カールが?今月分のカール君人形と一緒に箱に詰めているのを見た、
きっと小夜に送りつけるのに違いないと仰る…
――――――カール!!
>本気で怒って疲れるより、笑って疲れる方が気持ち良いよね〜。
ああ、ええ…そうですね。はは…、
も―――もちろん、あれを見て小夜が、疲れるほど笑ってくれればいいのですよ。
カールを責めるつもりは、ちっともありません。彼も彼女に笑って欲しいのです。
ただハジに鼻で笑われると思うと―――ああ。
御免なさい、少し一人に―――はい?写真は置いていけ、ですって?わかりました…。
- 698 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/05/03(月) 04:44:03
- >>667
>カール人形を一個下さい。
>ついでにコープスコーズのカールを一体下さい。
一個でいいのですか?
アオザイを着たものと、ファントムの格好をしたものと、
スーツを着たものと小夜の学校の制服を着たものとハルヒと看護……
…ええと、兎に角いろいろありますけれど、どれにしますか?
ご来客からアンケートをとって、上位にランクインした衣装を着た人形を
カール本人の意思とは関係なく作らせたのですよ。おや、人形はひとつでいい、
衣装もあるから兎に角早くカール型のコープス・コーズを開発して欲しい?
既存のものではいけないのですか?あれも見た目は充分だと思いますけど…
はあ、どうしてもカールが良い。困りましたね。
でも君、喋らないカールを作って何に使うのです?あれは寿命も限られているし、
あれこそ等身大の動く人形では―――…確か君、先ほど、衣装はあるから、と…
あ…あなたまさか――――――
わかりました。僕からアンシェル兄さんに頼んでみます。
- 699 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/05/03(月) 04:45:50
- >>668
>人形はね、気がついたらグルッと持ち主を見るんだよ。
>ベルヒデスガーデンのお人形も、
>クルリと見てるんだよ。シュヴァリエをw
やあ、はは…それではまるで映画に出てくる
悪魔や霊がとり憑いたお人形のようですね?けれど君の仰る通りで、
彼女はいつだって僕らの事を見ています。そう、
およそ70年前、第二次世界大戦中のベルヒテスガーデンでもね。
あの時の彼女は、とてもお綺麗でしたよ。
殆どの時間を、人間の女性に擬態して過ごしてはいましたけれどね。
あなた…1945年の春、ベルリンの“総統地下壕”で何が起こったか知っていますか?
そこに彼女も居ました。ええ、エヴァ・ブラウンの姿を取ったディーヴァです。
彼女はそこで、「お人形のように大人しく」、あのヒトラーと結婚式を挙げました。
姿こそブロンドの、ドイツ美女でしたけれど…彼女の好きな、
青いシルクのドレスを着て…彼女の仕種は、いつもの彼女のままでした―――
確か彼女は署名をするとき、ついファミリーネームを書き損じてしまって
「あら、まあ」と笑って、唇に指を触れながら舌先を覗かせて
すぐにペンを走らせて、正しく書き直したのでした。
そうだ―――マルティン兄さんがその後、彼女をいつも通り
“Fräulein” ―――お嬢様、と呼んだのですよ。
ええ、当時は「フロイライン」はりっぱな敬称でした―――すると彼女は、
「わたしはもうお前のお嬢様じゃないわ!Fräu、御夫人と呼ぶのね」
悪戯そうに笑って、そう仰いました―――
ディーヴァはあの異常な状況を、彼女なりに楽しんでおいでのようでした。
そして彼女は、その場に居たナチスの高官や秘書の誰よりも冷静だった。
建築家のシュペーアが、彼の手記に同じ事を書いていますね。
ただ、彼女は冷静であったというより…
あるいは憔悴し、あるいは野心を燃やす彼らを冷ややかに見つめていた、と言う方が
正しいかも知れません。シュペーアの回顧録には大事な部分が欠けています、
彼が地下壕を脱けたあとで、ヒトラーは自殺を計りました―――エヴァも一緒にです。
ふたりの遺体を検分したのは総統の主治医で、
遺体を処分したのは―――マルティン・ボルマンでした。
総統の主治医は、その後地下壕を出るとき…マルティン兄さんと一緒でした。
あなたこれが何を意味するか、判りますか?
ヒトラーの喉をまず貫いたのは、彼の拳銃の弾丸ではなかったかも知れません。そして
彼に止めを刺したのは、彼の拳銃ではなくて彼の腹心のものだったかも知れません。
御免なさい、実は僕もこれ以上はよく知らないのです。
ええ、>>686さんの言う通りで、僕らは歴史の生き証人と呼んでいいでしょう―――
けれどこの当時、この瞬間の「生き証人」はもう居ません…残念ながら。
ただ、きっとディーヴァは―――あなたの仰る通り
いつだって僕らを見て、そしていつまでも忘れずにいたでしょう。
- 700 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/05/03(月) 04:48:25
- >>669
>シュヴァリエ犬の躾は楽しそうだよね。
>百数十年のお預け、食べたくても食べられない生殺し、
>……いいね、楽しそう。
同じように楽しむのなら…>>671さんのように楽しむほうが
健康的だとは、思いますけれどね。いいえ、
それがいけないと言うつもりはないのですよ?
だって面白そうじゃありませんか―――
そうだな…それを実現しようと思ったら、まず僕らを捕まえて
動けないようにしなくてはいけませんね。もし万に一つ、きみにそれが出来たとして
―――次はどうします?手錠をかけて、犬のように鎖に繋ぎますか?
それとも囚人のように手足に枷を嵌めて、猿轡を噛ませますか?
ううん…けれど僕らの自由を奪うためには、それでは不十分ですね。
何故ってシュヴァリエは鎖でも枷でも、飴細工のように壊してしまえるのですから…
ではきみ、どうしたらいいか判りますか?
―――あるじに頼むのですね。
僕らのうち誰かが苦しみに喘ぐ姿を見たいなら…君の計画をディーヴァに話して、
お願いしてみる事です。僕らは彼女に、お座りと命じられればすぐに膝をつき
待て、と命じられればいつまでも待ち続けるでしょう―――僕らは彼女の
…やあ。もしきみが想像するのが、ハジの事なら
僕たちの話ばかりして、御免なさいね?もしそうならきみ、彼は小夜には従順ですから
彼女に―――ああ、いや、小夜はまるでひよこですから
君の言う事が解らないかも知れないな。くす、きっと思いつきもしないでしょう。
でも、それでは困りましたねえ―――やあ!そうだ、
それじゃあ僕がやりましょうか?
僕がハジを捕獲して、死なない程度に痛めつけ…いえ、失礼…失血させてから
鎖に繋いで吊るします。人間には無理でも、僕になら出来るでしょう。
君、そうしましょう。良い仕事をしてみせますよ。やあ…、わくわくしますね。
- 701 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/05/03(月) 04:49:20
- >>670
>ハジは永遠の恋敵、その事実が悩ましい。
あなた、お優しいのですね。
僕がハジと対等だと、認めて下さるのですから。でも、いいのですよ。
彼女はハジを選んだのだから僕はもういい。彼女の幸せが僕の幸せです。
ただし―――あのハジが本当に、小夜を幸せに出来るのならね。
けれど実際のところ、僕に出来なかった事が彼には全部出来た。
僕が長い間守り続けたものを何もかも捨てても、どうしても出来なかった事が、です。
だから彼女を幸せにすることだって、きっと彼には出来るのでしょう。
僕はこれまで…この場所で何度も、
いま言ったような事を繰り返し口にしてきました。
…全部、自分に言い聞かせているようなものです。
それが証拠に、もし僕がいま彼女に出会ったとしたら―――僕はきっと、彼女に
お幸せそうで何よりです、なんて気の利いた挨拶が出来るほど、我慢がききません。
彼女は隣にハジを伴っているでしょう。でもそんな事はお構いなしに、
僕は彼女を捕まえて確り抱きしめ、彼の目の前で彼女に―――
やあ、もうやめましょう。
彼女の心からの笑顔も、彼女が遠い昔から抱き続けている夢も
皆ハジが実現するでしょう。仮にも彼は、僕のことを
誇り高いシュヴァリエだと、そう小夜に言って聞かせたというじゃありませんか…
僕も同じように、彼を信用してやらなくてはね。
- 702 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/05/03(月) 04:51:03
- >>671
>そんなことよりカーリングやろうぜ!
やあ、先ごろは随分な盛り上がりでしたからね。
いいですよ、近くのスケートリンクを借りて遊びに行きましょう。
>>673
>どちらかというとフィギュアが似合いそうだね。
おや、僕がですか?君、いくらワルツを上手に踊れるからといって
氷の上で同じことが出来るかといったら、それは判りませんよ。
そうだ、君も>671さんたちと一緒に行きますか?やってみましょう。
上手に滑れないから遠慮する、と仰る?
やあ、大丈夫。僕が手を引いて、一緒に滑ってあげます。すぐに巧くなりますよ。
ただ君、カールにはお気をつけなさい。何故ってもちろん、彼は君の手を取るなり
物凄いスピードを出すでしょう。そして君をくるくる回すでしょう。空中でね。
その様子ときたら、アイスダンスをやる人も吃驚です。
いや…アイスダンス、とかフィギュアスケート、とかそういう括りにはもう、
彼の滑りは収まりません。あれはあれで、独立したりっぱな競技です。…そうだ、
判りにくいので、その競技に名前を付けましょう。
―――やあ>>672さん、それがいい!それで決まりですね。カールング。
- 703 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/05/03(月) 04:52:50
- >>665
>僕、思うんだ。
>翼手って、南極で確認されたUMA「ニンゲン ヒトガタ」の親戚じゃないかって
おや、それは新しい考え方ですね。君との話は長くなりそうです。
兄さん達も、そこには考えが及ばなかったんじゃないかな…その、君の言う
ニンゲンだのヒトガタというのは、近頃急速に広まった「ネットロア」として
とても有名ですね?面白いな…
>だってよくよく考えたら、そっちの方が神秘的だ。
>エロウパの氷で覆われた海洋からイルカと同じ音が聞こえるとNASAが
>確認したくらいなんだから、人類ばかりが生き物の全てじゃないと思うんだな。
ふむ…成る程。君はつまり、こういう事を言いたいのでしょう?
「ニンゲン」の起源は宇宙―――つまり君の言う、
木星の衛星で観測された声の正体であり―――翼手はそこから派生したものだと。
もっと言えば翼手の発生は、人間からの進化とか突然変異とか、そういう
簡単な事ではなくて―――宇宙にまで遡れるかもしれない。
荒唐無稽なようですけれど、そういう説が出てもおかしくありませんね。
それだけ僕らの生態は、未だに謎に満ちている…面白いな、
結局のところ僕ら翼手の存在も、都市伝説と何ら変わらないという事です。
君、どうです。その説を論文にして、アンシェル兄さんに見せてみては?
君の考えについて議論する事は僕では少し難しいですけれど、兄さんに認められれば
ひょっとしたら、あのシルヴァスタイン女史と対等に渡り合えるかも―――
>>666
>あ、そういえば聞き忘れた、
はい、何でしょう?
>リクに擬態したディーヴァってわざと貧乳にしてるの?
はは…、君はよほど、僕らの生態に興味があるのですね。
翼手の発生の次は、擬態について知りたいと仰る。残念ですけど、これも僕では
巧く答えられませんね…確かに、腕が刃物のように変形するのは擬態に近いですが
あれは理屈ではなくて、感覚でやるものです―――彼女自身にしか判りません、
何より僕が答えていい事じゃありませんし…それに、君…
>サラシでも巻いてるのかと思ったけどさ、
>基本的に彼女は下着を着てないんじゃない?よく風邪引かないよね、さすが翼手w
もしかすると君は、>>602のお嬢さんと同じ事が望みなのかな―――?
それなら確かにあのお嬢さんのように銃撃するより、君のようにする方が効率的です。
もしそうなら、僕でも巧く応えられますよ。
さあ、君、知りたい事を教えてあげますから…もう少し近くへおいでなさい。
こういう事は、他のご来客に知られたくないのです。
おや、その手には乗らない?そうやって君を餌にするつもりだろうと仰る?
いやだな、違いますよ。君にその目で確かめて貰おうと言うのです。
今ここにディーヴァは居ないのにどうやって、と仰る…?
彼女に擬態できるのは、何もアンシェル兄さんだけではないのですよ―――
それに彼は頭が固いので、こんな事は絶対にしません。
さあ、僕はここへ座りますから、君はそこに膝をついて…耳をもっと近くへ。
目を閉じて…まだ駄目ですよ、僕がみっつ数えたらゆっくり目を開けるんです。
そうしたら、本当に翼手が風邪を引かないかどうか、僕と君とで確かめましょう…
いち―――、にい―――、
お行儀のわるい子には、お仕置きね!いただきまぁーす。
…ぴちゃ…、簡単ですね…。
御免なさいね、君、嘘です―――そんな事、シュヴァリエは死んでもしませんよ。
- 704 名前:名無し客:2010/05/03(月) 17:31:18
- いっ……たいなぁ、
翼手の甘噛みでも力が半端ないから血が流れるじゃにゃーかw
小夜の胸に飛び込んで小夜にこの血を舐めてもらってくるぜ!
オイラにゃ、リクに擬態したディーヴァは男の子のように見えたけどねえ。
いや、それとも中性的な天使とも言えるかな?
- 705 名前:名無し客:2010/05/03(月) 20:06:51
- 別に怒らせたいわけじゃないのに、不意打ち>703は頂けないなぁ?
ぷっくりとした唇を震わせて小夜に「ソロハジ…?」と呟いて貰おうかな。
意味がわからないだろうから、>>700の説明をしながらでねw
- 706 名前:名無し客:2010/05/09(日) 16:08:31
- カールに衣装を持ってきたよ。
ほら、素敵でしょう?
梅と鶴の模様で朱色の振袖だよ。帯も髪飾りもぞうりも揃ってるから。
日本では20歳の成人お祭りに着るんだ。
カールは医学部に通ってる時シュヴァリエになったから、
成人のお祝いしてないんじゃないかと思ってさ。
- 707 名前:名無し客:2010/05/11(火) 20:11:47
- ロリカール…いや、ショタカール?
- 708 名前:名無し客:2010/05/11(火) 20:13:54
- シュヴァリエが全員ショタだったらよかったのに…。
- 709 名前:名無し客:2010/05/17(月) 01:31:28
- これまで続けてきた交配実験で生まれることはなかった次世代の女王。
彼女達が生まれることで、血の効力が無効化することをアンシェル総帥が知れば、
彼は貴方達にどのような指示を出したでしょうか。
変わらず、小夜の明日を奪うよう命じたか気になるところです。
- 710 名前:名無し客:2010/05/29(土) 01:49:22
- リセ・ドゥ・サンクフレシュ
比較的新しいその学校で少女達が命を奪われた…
ディーヴァのシュヴァリエ、それがリセの理事長、カール・フェイオン
小夜が語ってくれたファントムは、青いバラを少女達に捧げた後に
あのコンテナの傍で生き血を啜ったかは定かではない、か。ふむ。
- 711 名前:名無し客:2010/06/01(火) 17:26:07
- オイディプス王は生々しいけれど、不倫や略奪愛も凄まじい。
それはとても怖くて、リストカットに通じる何かがある気もする。
でもその一方でエジプトの王家では珍しいものではなかった。
だから文化とは不思議。
SAYAから取り上げた双子に、どのような系譜を想像したのやら・・・。
- 712 名前:名無し客:2010/06/07(月) 09:43:03
- もうすぐ夏だね。
海だ!
花火だ!
お祭りだ!
みんなで楽しもうよーw
- 713 名前:名無し客:2010/06/07(月) 23:30:45
- フランス、ボルドーのお祭りかぁ
それともこの動物園独特のお祭りかな?
- 714 名前:名無し客:2010/06/09(水) 19:06:17
- 若い女性の血、男性、中年、老人、子供etc
味は違うもの?
- 715 名前:名無し客:2010/06/10(木) 20:45:29
- 病に冒された血にも味の善し悪しがある。
人の血とディーヴァの血以外で、おいしいと思う生き物の血は
どれだろう。猿やイルカ、いろんなものの体液があるけど?
- 716 名前:名無し客:2010/07/22(木) 21:26:03
- 肩の力を抜いて笑って見せてよ、
重荷が楽になんなきゃ無理しないでも良いと思うんだぞ?
- 717 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 02:51:49
やあ、お久しぶりです。ご機嫌よう。
また随分遅くなって、心配をかけてしまったかな。御免なさいね。
パリへ出て、すぐ帰るつもりだったんですけれど手が離せなかった…ええ、仕事が忙しくてね。
…おや、飽きたのかと思った?まさか。そんな勿体ない事はとても出来ませんよ。
それを心配しないといけないのは、こちらの方です。
話しかけてくれた方がまだここに居るのか…ご来客があと何人残っているのか…
やあ、ご来客の数が減るのは大概、僕らが食べてしまうからだと仰る?それは失礼。
では残ったあなたがたと、お話の続きを始めましょう。
- 718 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 02:53:51
- >>687
>ここに、過去へ通じる扉があります。
>19世紀ごろの「動物園」、まだ子供だった頃の小夜やディーヴァに会うことが可能です。
>あなたなら誰に、何と言って語りかけますか?
やあ、面白いですね。ゴルトシュミットの当主や兄さんにも会うことができる?
成る程…では、ひょっとしたら僕はそれで、争いが起こらないように未来を変えることが
できるかも知れません。そうだな―――じゃあ、初代ジョエルに会って言いましょう。
「好奇心も程々にしないと、後の代まで祟りますよ。
貴方が今の姿勢を貫き通すなら、例えば貴方の4代下の当主は自殺に追いやられ、
5代下の当主は不慮の事故で半身不随の重体となり、不自由な生活を余儀なくされるでしょう。
後代の為を想うなら、こんな下らない研究は今すぐおやめなさい。」
アンシェル兄さんには―――その頃なら僕の方が年上ですし、身分だって当時の彼は使用人、
僕は生まれついてのゴールドスミスの末弟です―――だから僕は偉そうに言います、
「やあ、まだ額が狭いね兄さん。…悪いことは言わないから、
塔の少女にばかりうつつを抜かしていないで、今のうちから頭髪の育成を促進する薬剤の
開発をお進めなさい。ええ、それが君の研究の大きな助けとなるでしょう。」
兄さんの額があと僅か狭ければ、この世界がもう少し美しく見えたかも知れませんからね。
まだ幼い小夜とディーヴァには―――難しいな…、
>>688
>子供の頃だったらアンシェルもまだシュヴァリエになってないかな?
>だったら初代ジョエルに摩り替わって小夜とディーヴァを育てることもできるね
ほう、そういう選択肢もあるのですね。成る程。
アンシェル兄さんはまだ人間か…なら僕はもっと偉そうにしていいわけだ。
「そこの使用人。そう、君だよアンシェル君。話があるからちょっと来たまえ」 …くす。
それはさておき―――もし僕がジョエルの代わりに小夜とディーヴァを育てるなら、
まずディーヴァを屋敷へ連れて帰って、二人を同じ部屋に住まわせましょう。
街を歩く可愛らしい人間の双子と同じように、お揃いのドレスを着せて―――そうだ、
僕の事はパパと呼んでもらいましょう。育ての親なのですから。すると…
「パパ、おかえりなさい!」
「パパ高い高いして〜」
「ディーヴァ、あたし、おっきくなったらパパとけっこんするわ!」
「さやねえさま、ずるーい!わたしもわたしも!」
うん…。すばらしい。
でも、それじゃあ―――流石に僕は、小夜を花嫁にする事はできませんね。
そんな事を言い出したら、助手のアンシェルにどんな目で見られるか分かりません。
…あの兄さんにそんな目で見られるのは絶対にいやです。
残念ですけど、少し無理があるようだ…上手く想像できませんね。
- 719 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 02:56:37
- >>685
>シュヴァリエをこうして並べるとディーヴァは一人一人異なるシュヴァリエの
>知る異国情緒の話を聞いていそうだね。
もちろん。
ディーヴァは、この世界の美しいものを沢山知っています。
フランスやドイツの、古いオペラ歌曲や子守歌の旋律も―――
パリの少女が愛するドレスや人形も―――アメリカの可愛らしい玩具も、何でも。
僕らはディーヴァが興味を持ちさえすれば、彼女に何だって教えて差し上げたし
彼女をどこへだってお連れしました。
…あなた、黄龍へ行ったことがありますか?タスマニア島のバサースト湾は?
やあ、それは残念。前者はまるで虹色の淵の連なりで、後者は真っ赤に染まった海なのですよ。
ふたつともそれは美しくて、目にすれば、自分達の存在がいかに小さいかを思い知らされる。
小夜にも、あの光景を見せて差し上げたかったんだけどな―――
頑なだった彼女の心も、そうすれば少しは変わったかも知れない。
けれど…彼女はきっとこの先、同じものを見るのでしょうね。
きっと僕と同じように、その光景に感じ入るでしょう―――それでいいのです。
彼女はやっと、彼女自身で嵌めた枷から解放されて、抱き続けた夢を叶える事ができる。
それこそが、僕が彼女に望んだ事でした。僕の望みも、それで叶いました。
払った犠牲はあまりに大きすぎました―――でも―――せめてただ一つ、それだけは良かった。
- 720 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 02:58:05
- >>704
>いっ……たいなぁ、
>翼手の甘噛みでも力が半端ないから血が流れるじゃにゃーかw
―――おや、君は。もう、身体はいいのですか?
甘噛み―――?とんでもない。僕は本気で君を餌にしようと―――ああ、いえ、いいのです。
頑丈な人間です―――運が良かったですね。…いいえ、御免なさいね?僕も喉が渇いて、
頭に血が昇ってしまって。情けない事です―――
>小夜の胸に飛び込んで小夜にこの血を舐めてもらってくるぜ!
それで、小夜には会えましたか?…ほう。
よしんば会っても、ガーゼを当ててポピドンヨードで消毒して、絆創膏を貼って貰うくらいが
関の山でしょう。…ほらね?やあ、噛み傷が残るのは仕方ありません。―――そうだ、君、
それに考えてもご覧なさい。僕が噛みついた後に小夜が口をつけたらそれは―――
……すみません。つまらない事を言う所でした。
>オイラにゃ、リクに擬態したディーヴァは男の子のように見えたけどねえ。
>いや、それとも中性的な天使とも言えるかな?
やあ。そう思うのなら、最初からそう仰ってくれれば良いものを…
それなら僕はいつも通り、君とお話をしましたのに。
僕らのディーヴァを褒めて下さって、ありがとう。
仰る通りで―――少年の姿をとった彼女はまるで、天使ガブリエルのようでした。
君は、アンシェル兄さんやグレゴリー兄さんが擬態するのを見た事があるでしょう?
ああいう風に、対象の遺伝子情報さえあれば、異性の姿を取る事は難しくないのですよ。
ディーヴァは、リク君の事がお気に入りでしたから―――。
でも、リク君そのものになったのでは、仕方がなかったんじゃないのかな。
ところで―――
- 721 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 02:59:28
- >>705
>別に怒らせたいわけじゃないのに、不意打ち>703は頂けないなぁ?
おやおや…御免なさいね、でも何がいけないのです?
獣が狩りをするのだって、殆どの場合で不意打ちでしょう。
僕らは翼手で、あなたがたは人間なのですから…これは自然界の決め事です。そんな事より、
>ぷっくりとした唇を震わせて小夜に「ソロハジ…?」と呟いて貰おうかな。
>意味がわからないだろうから、>>700の説明をしながらでねw
ま…、待って下さい。どうしてそこに小夜が?
>>700はほら、ご来客がそう望んだのでそのようにするのです、で解って貰えるでしょう…多分。
小夜は怒るでしょうけれどね。仕方ありません。
それより、説明してもらいたいのはこちらの方です―――
小夜が、その―――その言葉を口にする事で、僕に何か不利益があるのですか…?
ソロハジ…、慥かに、どことなく不吉な響きではあります―――
意味を知らないのか、と仰る?
そんなに意外そうになさらなくても。僕にも、知らない言葉の一つや二つはあります。
何かの専門用語でしょう?意味を教えて頂けませんか―――おや、
何ですって、言葉では伝えにくいのでグーグル先生に聞いてみろ…と仰る。
誰ですか、それは…その道の第一人者ですか?やあ、検索エンジンの事ですか。
わかりました、さっそく調べましょう。
…ふむ…。
沢山、ヒットしましたね。広く出回っているのですね?どれ、ひとつ開けてみましょう。
Hélas―――!
…Quel est ceci?
一体どうしたら僕がハジをest-ce que cela se passe?
ああ、いいえ、動揺してなんかいませんよ。
大体が、これは作り話じゃありませんか。それにこれは、僕が言ったような事とは…その、
意味合いが違う。長い間生きていて、こういう根も葉もない噂を立てられることは幾らもあります。
僕は社会的なステータスもそうですし、僕もハジも運の悪いことに生まれつきこういう顔です。
仕方ない。アンシェル兄さんのように厳つければこういう事の対象にはならない訳でしょう?
顔面を神に祝福されすぎて生まれた報いだと思えばいい。こんな事に動じていたのでは
精神が幾つあっても足りまs――――――うぐっ
すみません、君―――お水を下さい。
- 722 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 03:02:56
参ったな…また、じんましんが出そうです。君、隣に座っても?やあ、ありがとう。
どうしました、改まって。真面目なお話?ええ、いいですよ。気分が紛れそうです。
>>709
>これまで続けてきた交配実験で生まれることはなかった次世代の女王。
>彼女達が生まれることで、血の効力が無効化することをアンシェル総帥が知れば、
>彼は貴方達にどのような指示を出したでしょうか。
>変わらず、小夜の明日を奪うよう命じたか気になるところです。
ふむ…難しいですね。
ディーヴァの血の効力が失くなる、という事は…僕らにとって致命的です。
小夜だけが一方的に、ディーヴァとそのシュヴァリエの命を絶つ事ができる。
やっと得た次世代の翼手の女王の命も、です。
ディーヴァの血が抑止力にならないのでは、それは巨大すぎる脅威です。
そんな事を―――僕の知っているアンシェル兄さんが許す筈がありません。
彼は、同族の間で血を流したくないと言ったその口で
計画の障害である小夜を始末する、と表情ひとつ変えずに仰るような方です。
…ディーヴァの血の力が失われたからといって、小夜が彼女を殺そうとする理由の全てが
無くなるわけではありません。小夜があくまで、翼手を殲滅しようという意志を棄てない限り…
兄さんはあくまでディーヴァと、そのご息女たちの安全の為に―――
あらゆる手段を尽くして、小夜を除こうとするでしょう。彼にとってディーヴァは、
ただ研究の対象にするだけの存在じゃないのです。きっとその点で、彼は揺るぎませんよ。
僕がその事実を知っていたなら…その時こそ小夜を説き伏せて、
強引にでも花嫁にしてしまったでしょう。そうすれば―――兄さんだって、
もう小夜を気にも止めないでしょう?上手くいけば、共存する事だって出来たかもしれない。
…どうであれ、もし君の仰るようになれば、僕らの辿った運命は大きく変わったでしょうね―――
そちらも見てみたかったな。あなたも、そうでしょう?勿体ないですね。
- 723 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 03:03:51
- >>712
>もうすぐ夏だね。
御免なさい―――もうすっかり、夏になってしまいました。
ニューヨークは熱波に見舞われて、摂氏40度を超える日もあったようですね。
やあ、ここに居て良かった。そんな日に、あんな高層ビルの最上階で暮らしていたのでは
どんなに冷暖房の整ったペントハウスでも、いかに翼手でも、熱中症で倒れます。
ここは涼しいですから、あまりそういう実感がないでしょう?セミも鳴きませんし、ね。
おや、けれど君はそうでもないようです…
>海だ!
>花火だ!
>お祭りだ!
>みんなで楽しもうよーw
はは…、いいですねえ。そうだな、海ならやはり南仏ですね。
ポールクロール、コートダジュール、海水浴をするのにいい所は山ほどあります。
花火が見たいなら―――革命記念日はもう終わってしまいましたし―――ああ、そうだ、
カンヌ湾のコンペティションはいかがです?ええ、
世界の名だたる花火師が、作品を競い合うのですよ―――今なら、まだ競技中の筈です。
次の日程に間に合うように、皆さんで出かけましょうか。
おや、フランスにも花火大会はあるのかと仰る…ええ、もちろん。
こちらにも派手なお祭りは、たくさんあるのですよ。
君たちにも、楽しんで貰えるでしょう。皆でユカタでも着ていけば、注目の的です。
何よりカンヌには、ミシュランお墨付きのレストランが入った素晴らしいホテルがあってね…
…やあ、大丈夫。僕は仕事でも使っていましたから、今から部屋を押さえるなんて
造作もない事です。…そうですとも。つまらない会議の場所は、ああいう華やかなホテルに
設定するのが一番でね―――ファルマシーに籠もるだけではなくて、いろいろ工夫しましたよ。
少しでも、重役のお歴々の口が閉まるようにね―――
おや御免なさい、これでは仕事の愚痴ですね?
それじゃあ決まりです、今年の夏はカンヌへ。やあ、楽しみですね。
- 724 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 03:05:06
- >>713
>フランス、ボルドーのお祭りかぁ
この近辺のお祭りなら―――そうだ、収穫祭があります。
でも、これは秋祭りですから、もう少し先のお話ですね。時季が近付いたら、
また皆さんで考えましょう。収穫祭も、それは楽しいのですよ。
モンマルトレの大規模なものでは、パレードや試飲会があってね―――
>それともこの動物園独特のお祭りかな?
やあ、ここで、ですか?さあ、どうしましょう―――
ここで花火を上げるのも、悪くありませんね。お屋敷の真上に上がる花火を、
ちょっと離れた…前庭の噴水の辺りから見ればいい。くす、まるでどこかのテーマパークですね。
ふむ、それで、屋台を出して―――?やあ、いいじゃありませんか。やりましょう。
僕はあれがいいな、バーバパパ…おや、ご存知ありませんか?バーバパパ。
ええと…、砂糖を使って作る、白いふわふわしたお菓子です。
わた…アメ?日本ではそう呼ぶのですね。
僕がまだ子供だった頃、ちょうどアメリカで、そのバーバパパを作る機械が普及してね…
僕はあれを食べてみたくて仕方がなかったものですけれど、出店で買い食いなんて
絶対に許してもらえませんでしたから―――雲のように柔らかくて、甘いのでしょう?いいなあ、
今の僕にその美味しさが判るかどうかは、わかりませんけれど―――
それに、カールや兄さんに聞かれたら笑われそうです。ソーニャ兄さんなら解ってくれるかな…
でも一度くらい、試してみたっていいですよねえ。
- 725 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 03:06:42
- >>706
>カールに衣装を持ってきたよ。
>ほら、素敵でしょう?
>梅と鶴の模様で朱色の振袖だよ。帯も髪飾りもぞうりも揃ってるから。
>日本では20歳の成人お祭りに着るんだ。
成る程。そして写真を撮るわけですね。
やあ、今回はお祭りの話ばかりだな。こういう事も、たまには楽しいものですね。
これは素晴らしい着物です―――カールの為に御免なさいね。高価なものなのでしょう?
けれどそうですね、カールはほら、日本で言うなら歌舞伎の女形のような顔立ちですし
体格もそんなに立派なほうではないから、こういう衣装はしっくり来るはずです。
おや、髪飾りも?ではパリのスタイリストを呼んで―――ああ、ネイサンでいいか。
ネイサンを呼んで、確りメイクまでしてもらわないといけませんね。
やあ、楽しくなってきました。日本には良い風習があるのですね。
>カールは医学部に通ってる時シュヴァリエになったから、
>成人のお祝いしてないんじゃないかと思ってさ。
そうですねえ。そもそもフランスには、成人を祝うお祭りのようなものはありません―――
成人は18歳ですから、それぞれ18歳の誕生日にパーティーを開くくらいです。
家族や若い者同士で集まって―――美味しいものを食べて―――朝まで狂ったように踊る。
カールにぴったりですね。
さて…あの時、カールは幾つだったかな?もう随分と昔の事ですからね…
彼の誕生日も、お祝いにお酒を奢った事くらいは覚えてるんですが…いつだったかな。
ちょっとカールに確認してきます。
君、その「フリソデ」、カールに見せますからこちらへ―――おや、君も一緒に来る?
やあ、着付けをしてくれるのですね?それは助かります。スタイリストも、すぐに手配します。
それじゃあまた後ほど…、おや、
- 726 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/08/08(日) 03:08:57
- >>716
>肩の力を抜いて笑って見せてよ、
>重荷が楽になんなきゃ無理しないでも良いと思うんだぞ?
君は僕の心配をして下さっている…?
そんなに苦しそうに見えましたか?やあ、御免なさいね。
慌ただしくしていたせいで、そう見えるのかも知れません…ここを空けていた間、
ろくに食事もとっていませんし、ね。ええ、シュヴァリエも、お腹が空けば疲れるのです。
今回のお返事も、順序良く出来ませんでしたし、ね。
何しろ残したご質問のいくつかは、回答をするのに少し考えを纏めないと…。
僕にお話しできる事と、出来ないことがありますからね―――
そういう訳で、散々待たせておいて御免なさい―――続きはまた後ほど。
…そうだ、君、カールの用件が終わったら、僕の部屋に来ませんか?
気遣いをして下さった、お礼をしないと。冷えたお酒を用意しておきます。
…今晩は早く休みたい?そう言わずに。人間の君を、そんなに遅くまで引き止めませんよ。
心配しなくても―――すぐに眠れます…。
それじゃあ、待っていますからね。ご機嫌よう。
- 727 名前:名無し客:2010/08/13(金) 07:54:31
- 残暑お見舞い申し上げます。
ソロモンがお元気そうで良かったです。
- 728 名前:名無し客:2010/08/22(日) 16:21:42
- ソロモン、ごめんね
- 729 名前:名無し客:2010/08/31(火) 09:36:51
- ね〜もんもん。お月様ってかじったらどんな味がするのかなあ?
私はね、レモン味じゃないかなあっておもうの
もんもんはどうおもう?*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 730 名前:名無し客:2010/09/08(水) 19:29:38
- 小夜に見せたかった赤い海ってどこの海なの?
- 731 名前:名無し客:2010/09/16(木) 00:17:21
- 倉庫、消えたんだね。
- 732 名前:名無し客:2010/09/16(木) 23:11:04
- と、思ったら復活してたんだね。
ちょっとビックリしちゃった。でも、安心した。
- 733 名前:名無し客:2010/09/24(金) 23:02:09
- まだまだ残しておいて欲しいよね。
- 734 名前:名無し客:2010/10/12(火) 06:50:26
- それを決めるのは名無しじゃないよ。
無事とわかってよかった。
- 735 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 00:53:35
やあ、ご機嫌よう。
今回はなるだけ早くお返事に上がりたかったのですけど…御免なさい、
またすっかり遅くなってしまいました。
先ごろまでは大変な暑さで、あなたがた人間は過ごしにくかったでしょう。
急に涼しくなりましたが、風邪を引いたりしていませんか?
―――そうですか、それは良かった。では、今日もお話を始めましょう。
ああそうだ、その前に、あなたがたにお礼をいっておかないと。
>>731-734
やあ、あなたがた。心配をかけてしまって、本当に御免なさいね?
それに、ありがとう。僕もどうなることかと思いましたが、すっかり元通りです。
どうやら、一時的に倉庫に不具合があったようで…
少し前の悪天候のせいかな?それとも、先日までの酷い暑さのせいかもしれませんね。
何にしろ、>>731-732の君、報せてくれてありがとう。助かりました。
それに、>>733のあなた、大丈夫ですよ。この場所が続く限り、残すつもりでいますから。
確かにそれは>>734さんの言うとおりで、ぼくたちが決める事なのかもしれませんけれど…
あなたがたが居ないのでは、この動物園という場所も、ぼくの存在も意味がないのです。
だから、半分はあなたがたが決めるのと同じですよ。
この先も、よろしくお願いしますね?
また何かおかしな事があれば、遠慮なく仰ってください。
僕は、半分はそのために居るのですから。
- 736 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 00:55:33
- >>686
>ディーヴァの血の元に別々の固体があるけども、考えてみれば時代も違うんだよね。
>だって時代の生き証人ってことになるんだから。
そうですね。仰る通りで、僕らは歴史の生き証人です。
ですが、ただその時代に生きていたというだけではありません。
僕らは証人、とはいっても―――公に口を開くべきでない証人なのです。
おや、どういう意味かと仰る…つまりこうです、
歴史を動かすような大きな事件に―――例えば、国家間の戦争だとかクーデターに
僕らがどんな形で関わってきたか、あなたは知っているでしょう?そう、
僕らが口を開く事で、あなたたちは知らなくてもいい事を知ることになる。
僕らの知っている歴史は、あなたがたの持っている世界史の常識を覆すでしょう。
例えば、僕がこれからあなたがたのご質問の回答として話す事がそうです。
- 737 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 00:58:51
- >>692-693
>アンシェルはいつ頃から「母」であり「恋人」であるという説を立てたんだろう
御免なさい。僕の言い回しの所為で、深読みをさせてしまいましたね?
あなたの言う、「アンシェル兄さんの説」というのは―――その後に続くあなたの言葉からして、
翼手の女王の花婿は対の女王のシュヴァリエでなければならない、つまりその…有り体に言えば、
対のシュヴァリエでなければ生殖の相手になり得ない、という説のことかな。
その説が確立したのがいつか、という事ですね?
これに関しては、すこし話が長くなりそうです…僕の専門ではありませんしね。
>三男らしき彼の登場以降からかな?
成る程。あなたは鋭いのですね。
翼手の生殖に関する試みは、もう既に―――ハジがゴルトシュミットに拾われた頃から
始められていたはずです。ただ…
>アンシェルがその仮説を経てた時期も気になるけど、グレゴリーの頃は
>人やシュヴァリエとの生殖実験はまだしてなかったのかね。
ううん…、残念な事に、グレゴリー兄さんと僕はほとんど入れ違いですから
彼がどのような研究をして、どこまで翼手の生態に踏み込んでいたのか、
僕は引き継いだ資料でしか知らないのです。
ただ、あの頃グレゴリー兄さんはロマノフ王朝の侍医として宮中に入り込み、
彼を信奉する沢山の人間を得て、研究を進めていました。そして、その成果として彼が得たのは
「モンゴロイドがディーヴァの血に最も適合しうる」という理論でした。ですから、
その頃の彼の研究は、薬によってシュヴァリエを作る事に特化していたんじゃないのかな。
僕らにとっては、ディーヴァの安全な寝床を確保するのが最優先でなければいけません。
そのために、後にD-67と呼ばれる薬の開発は何をおいても先んじるべき事でした。
グレゴリー兄さんは、その研究に先鞭をつけたのです。
…マルティン兄さんが、ドイツ第三帝国で権勢をふるい始めた頃―――
すでにその土台が出来ていた事は確かです。
僕らはもう、人間の世界で磐石の地位を築いていた。
ディーヴァを脅かすものを寄せつけない隠れ家を、僕らは人間の中に作りました。
1945年、第二次世界大戦におけるドイツの敗北はすでに明らかでした。
それに僕らはひとつ所に長く居すぎた。小夜を擁する赤い盾が、ディーヴァに肉迫していました。
僕らは、すみやかに歴史の表舞台から姿を消さなくてはいけませんでした。
あの国での研究開発の痕跡を、あとかたも残さずに、です。
その手段は、僕が持っていました。
僕はナチスの、ある強制収容所の責任者である医官を抱き込んでいて―――開発の多くを、
その医官に任せていました。もっとも、彼の興味は不死の兵団となりうる翼手ではなくて
もっと別の所にあったようですが―――それでも使える人間だった事に、変わりありません。
僕は彼が無事に亡命できるよう手配するのを条件に、全ての後始末をつけてもらいました。
その時局にあって―――あのマルティン兄さんには、まだ野心がありました。
アンシェル兄さんはすでに次の拠点を定めていましたが、マルティン兄さんは肯わなかった。
彼に消えてもらわなければいけない理由はそれで充分でしたが…
きっと、それだけではなかったでしょう。
もともとアンシェル兄さんと彼は、そりが合わないようでした。これはあくまで憶測ですが、
僕は―――その一因が、あなたの仰る花婿説に至る研究にあった…と思っています。
随分と回りくどい言い方になってしまいましたが、僕が言いたいのはつまり
説が確立していたかどうかは別として―――マルティン兄さんがドイツに居た頃には、
研究はある程度まで進んでいたと考えていい―――という事です。
長くなりましたけど、僕に説明できるのはここまでかな。
仮説を確たるものにしたのは、アンシェル兄さんです。後は彼に訊いてみるしかありませんね。
>アンシェルの研究範囲はどれだけ幅広いのさと尋ねてみる
やあ、それは僕も同感です。
アイスランドの僻地にキルベドなんていう施設まで設けて、シュヴァリエにほぼ近い翼手を
完成させていたと知った時などは、それは驚きました。
僕はそれまで、彼の命令であれば何事でも引き受けてきたのですよ。
デルタ計画の為のビジネスから兄弟のまとめ役まで、何もかもです。ですから、あまりの事に
彼を詰りさえしました―――「僕に黙って何故あんなものを?」
ただ、それが「ディーヴァとシュヴァリエの未来の安寧の為」であると言われれば、
僕も納得して力を尽くすしかありません。
実際のところ、兄さんの独自の研究にシルヴァスタイン女史の研究結果を合わせることで
デルタ計画は成就したと言っていいのですから。
そんな兄さんが―――人間のあなたにどれだけ本当の事を話すか、興味深い所ではあります。
ただ、あなたは目の付け所が違うようです。すこしヴァンに似ている。
兄さんは、あなたを気に入るかもしれませんね。
- 738 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:00:39
- >>694
>ディーヴァとの間にソロモンやカール、他の兄弟と子供ができていたら、
>その後どうなっただろう?
さあ…、どうでしょうね?
僕らとディーヴァの関係も、兄弟同士の関係も、今とは少なからず違っていたでしょう。
>翼手って万能だから繁殖能力がものすごく低くて、別に対のシュヴァリエ
>でなければ子供はできないって事でもないという話を聞くけども?
Excusez-moi?
あなた、その話をどこで聞かれましたか?
いえ、すみません…これまで聞いた事がなかったものですから。ひょっとすると、
兄さんがまた秘密裏に別の説を打ち出していたとか―――?…ああ、そうではないのですか?
もしそれが正しいなら…アンシェル兄さんが間違っていた、という事になります。
僕は兄さんより深く、また長期間にわたって翼手の生態の謎に踏み込んだ研究者を知りません。
本来、翼手は万能、というか―――老いる事も、自然に死ぬ事もありません。
ですから急いで種をつなぐ必要もないのですね。だからこそ、殖える条件が絞られる。
兄さんはあらゆる条件について検証した筈です。
ただひとつ、対の女王のシュヴァリエを使った場合を除いては―――。
そして、全部が当てはまらなかった。
兄さんはその結果から、翼手が殖える条件を限定したのですね。
もしあなたの聞いた、その説が正しいなら…今度は、女王とその子であるシュヴァリエで
成功する条件は何か、ということになります。
これについては、兄さんが殆どの可能性を潰してしまったはずですが―――
もしそこに抜け穴があるとすれば、これは大きな発見です。
まあ…僕はあくまで、兄さんの説を信じる立場にありますがね。僕は彼の身内ですから。
…え?
必死だな、と仰る?
な、何を仰います―――僕は何も、小夜とハジが生物として結ばれる可能性を
否定したいわけじゃないのですよ?それは…少しは気になりますよ。でもね、
もしあなたの聞いた説が、実証によって兄さんの説を覆せばもちろん、僕だって認めます。
その説にだって、必ず根拠がある筈ですから。
それで―――あなた、それを誰から聞いたのですか?
もし兄さんやシルヴァスタイン女史以上に、翼手の生態を知るものがあるとするなら
それはこの世界を創った何者かに他ならないと、僕は思うのですがね。
- 739 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:05:01
- >>689
>カーチャンの七不思議
成る程…温かくて素晴らしい母親の姿ですね。
残念ながら時代が違うので、僕にはそういう記憶がないのです。僕が子供のころ、
食事の支度をしたり身の周りの世話を焼いてくれたのは、屋敷の使用人でした。
>>690さんの仰る通りで、僕にはもうひとり母がいますが―――やあ、
当然ながら彼女にも、決して世話を焼いてもらった記憶はありませんね。
僕らがあれやこれやと、ディーヴァの世話をする方なのですから。
彼女の食事と寝床を用意し、退屈そうにしておいでの時には遊び相手にもなる。
それはシュヴァリエにとって、当たり前のことではあるんですが…成る程、
>>691
>この女王は二人とも「母」というより「娘」だけどね
そんな事ですから、あなたがたの目にはそう見えるのですね。
それでもディーヴァには、女王に相応しい尊大さと、匂い立つような美しさがありました。
くす、それに引きかえ…女王の自覚なんて忘れ去ってしまった小夜は
どこから見ても普通の、人間の少女でした。もし僕が彼女のシュヴァリエだったなら、
母というより―――かわいい妹、くらいに思ったかもしれませんね。
- 740 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:06:23
- >>690
>国も文化も風習も違うのに、母親の子への愛情は変わらないんだよ。
>だから七不思議の内容も変化する。シュヴァリエには母が二人いるよね、
>人間だった頃の母親と翼手に生まれ変わらせたディーヴァだ。
>しかも母であり恋人、だと・・・?
ええ、そうです―――女王を母として敬い、恋人のように慈しみ
娘のように護り妹のように親しみ、姉のように慕い友のように信頼し、そして
あるじとして従う。それがシュヴァリエの持つべき気構えです。
僕の言うのは、つまりそういう事なのです―――ディーヴァには、父も母もありません。
唯一の姉妹である小夜は…もう100年も前から、ずっとあの調子です。
ですから僕らはディーヴァの、子であり恋人であり、父であり兄であり弟であり―――
あらゆる存在でなくてはならなかった。彼女が心を許せる家族として。
少なくとも、僕はそう思っていました。
例えばカールは、僕の目には彼女と一緒に悪戯をする弟のようでしたし
ジェイムズは彼女をママと呼んで慕う、真面目で頼れる息子でした。ネイサンは、
彼女と一緒に買い物をしたり、愚痴を聞いてあげる…母親か…姉?のようでした。
>リクやハジにとって小夜は母であり恋人なのかそうなのか。
その気構えが、小夜のシュヴァリエにも共通するかと言ったら―――
それは僕の知るところではありませんよ。
ただ、小夜はリク君を、人間だった頃から家族として大事に思っていたようでした。
ですからリク君は、シュヴァリエになった後も彼女の大事な弟だった事でしょう。
…は?ハジ?
何ですって?小夜とハジ?ああ、そうですね。知っていますよ。
何度も言われなくても分かります―――二人は恋人同士、でしょう?知っていますよ。
何でしたか、100年の恋人?いい殺し文句です。あ…あの二人にこそ相応しい。
え?声が裏返っているが大丈夫か、ですって?
だ…、大丈夫です。問題ありますん。
- 741 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:09:21
いたた…、心にもない事を言ったら、口の中を強かに噛んでしまいました。
ああ、大丈夫。すぐに治りますから。
>>707
>ロリカール…いや、ショタカール?
前回といい、皆さん僕の知らない言葉をよく使いますね…前者のロリ、に関してはまあ
何となく想像がつきますが…カールは性別が違いますからね。
後者の、ショタ、というのは…日本語ですか?どういう意味でしょう?
ははあ…、成る程。リク君のような愛らしい少年の事ですね。
確かにカールはあの顔つきですから、幼い頃は可愛らしかったでしょうね。
今でもまだ、利発そうな少年の面影が残っているでしょう。しかし、あなた…
>>708
>シュヴァリエが全員ショタだったらよかったのに…。
変わっていますねえ…。やあ、ここにおいでの方は個性が豊かで、本当に退屈しません。
おや。「自分達の事を棚に上げてそれは失礼だ」、ですって?それは確かに、
兄さんたちはどぎついですし、弟たちも変わり者ばかりですが―――僕は割かし普通ですよ。
ですから僕だけはこういう物言いをしても、許されるはずです。
そういう事は、僕以外の兄弟に言ってやるといい。
それはさておき…、
そうですねえ…。やはり計画の都合上、成人しているほうが動きやすいですから
僕らの中に小さな少年は居ないわけなんですが―――、一度だけ、ディーヴァの意志で
年端のいかない少年がシュヴァリエになりかけた事があった、と聞きます。
少年の名前はアレクセイと言って―――僕は写真を見た事がありますが、確かに
身分の貴さが伺われる、愛らしい少年でしたよ。
僕ら全員が彼やリク君のようだったら、とあなたは言うのですね?
まあ、大半は想像できます。僕もカールも、かわいいでしょうね。
ただ、一握りはどうしても想像できません。例えば
アンシェル兄さんとか―――アンシェル兄さんとか、アンシェル兄さんとか。
- 742 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:13:19
- >>710
>リセ・ドゥ・サンクフレシュ
>比較的新しいその学校で少女達が命を奪われた…
>ディーヴァのシュヴァリエ、それがリセの理事長、カール・フェイオン
おやおや、困りましたねえ…あの学校の噂を、君たちまでが知っているのですか?
カールに小言を言っておかないといけませんね。彼は仮にも理事長なのですから、
あまり目立つ事はしないようにとあれほど言ってあったのに。
…くす、彼の見てくれは「残念ながら」少年ではありませんが
その中身ときたら、まるでまだ悪戯な少年のままなのですから―――
>小夜が語ってくれたファントムは、青いバラを少女達に捧げた後に
>あのコンテナの傍で生き血を啜ったかは定かではない、か。ふむ。
その答えは、君にもわかっているのではないのですか?
それこそが、彼の食事の仕方なのですよ…少女たちに礼儀を尽くした遣り方は、
いかにも彼らしいじゃありませんか。つまり青い薔薇は、「頂きます」の挨拶と同じなのです。
君、「ファントム」に選ばれるのがどんな少女か、知っていますか?
そう、彼女達はみな黒髪で―――きっと、人並みはずれた美女と言えないまでも
純粋そうな瞳の持ち主のはずです。ええ、誰かに似ていますね?
ファントムはそんな彼女達を攫って、喰べてしまう。それは、彼と一つになる事と同じです。
それが彼の、とびきりの愛情表現なのですよ―――きっとね。
僕にも、その気持ちは判ります。兄弟ですからね。
…やあ。君も、きれいな黒髪じゃありませんか。
部屋に帰るときは、気をつけて。青い薔薇が飾ってあるかもしれません。
- 743 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:15:30
- >>711
>オイディプス王は生々しいけれど、不倫や略奪愛も凄まじい。
>それはとても怖くて、リストカットに通じる何かがある気もする。
>でもその一方でエジプトの王家では珍しいものではなかった。
>だから文化とは不思議。
>SAYAから取り上げた双子に、どのような系譜を想像したのやら・・・。
そうですねえ…小夜とディーヴァの親の世代も、僕らと同じように
人間の世界の、巨大な権力に寄り添って生きていたかもしれません。
そういえば―――ネイサンが、実はディーヴァのシュヴァリエではなくて
一世代古い女王、つまり小夜とディーヴァの母親のシュヴァリエではないかという
噂がありますね?ネイサンが、アンシェル兄さんにそう仄めかしたとか。
確かに、ネイサンには不可解な部分が多くありました。
兄弟の序列の中にあり、当事者であるにも拘わらず傍観に徹したり
何を考えているのかよく判らない、飄々として掴みどころのない人でした。
もし彼が本当に、一世代古いシュヴァリエであるとしたら…。
僕は…実は、シュヴァリエ・デオンの正体はネイサンなのではないかと思っています。
あなたがた、騎士のデオン・ド・ボーモンを知っていますか?
彼はルイ十五世の時代に、王直属のスパイ機関に属して活躍した―――紛らわしいですが、
ここではかつてのフランス王朝での階級を指す、シュヴァリエです。
デオン候には特殊な性癖があって―――幼いころから、好んで女装したといいます。
確かに彼は小柄で眉目秀麗、女装すれば美しい貴婦人そのものでした。
彼はその才能を買われて、スパイ機関で重用されたのですね。
彼は女装する事で任務を完璧にこなし、また彼自身も、女として立ち回る事を楽しんでいた。
ただしデオン候の晩年は、それまでの誇り高いシュヴァリエの彼とは、まるで別人です。
もし彼がネイサンなら―――何らかの理由で、ネイサンはデオンとしての生活に見切りをつけ
別の人間にデオンの「晩年」を演じさせた。そう考えると自然です。
もしそうだとしたら…、
ネイサンのあのくねくねした癖は、その頃についたものなのではないでしょうか?
どうでしょう。ネイサンの趣味とデオン候の性癖は、少し違うのかな?
そのあたりの細かい事は、僕にはよく判らないんですが…ありそうな話じゃありませんか。
ああ、ええ、もちろん突飛な想像である事はわかっているのですよ?でも、
もし僕の想像が的を射ていたら―――面白いと思いませんか?
ネイサンに会う機会があったら、それとなく訊いてみようかな。
- 744 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:18:56
- >>714
>若い女性の血、男性、中年、老人、子供etc
>味は違うもの?
もちろんです。けれど、人間の血の味を分けるのは年齢や性別だけではありません。
その人がどんな性向であるか、どんな人生を歩んできたか…それによって、血の味は変わります。
例えばそれが書斎で研究に没頭している学者なら、血の味に混じって紙とインクの匂いが
歴戦の軍人なら、硝煙の匂いがするに違いありません。
ワインで言うなら、貴婦人はとろけるようなプリテュール・ノブル、
穏やかな老人なら温かいヴァン・ショーです。君のように、好奇心に溢れて
物怖じせずに話しかけてくれる人の血は、ロゼワインのように無邪気な味がするでしょう…
あなたがたは、こんな話を聞いても不思議に思うでしょうね。人間にしてみれば、
普通は口に入れるものじゃありませんから。けれど、僕らは意外に食事を楽しんでいるのですよ。
それでもただひとつ、残念な事といったら…自分の血の味が判らない事です。
僕はよく、ディーヴァに血を褒められました。僕の血は、とても美味しいそうなのです。
まあ確かに鏡を見ると顔色はそこそこいいし、皮膚も薄く柔らかくて、美味しそうではあります。
でもね、紙片やナイフでうっかり指を切ってしまった時、ついでに舐めてみても
ああ美味しい、とはあまり思いません。そればかりか、どこか虚しい気分になります。
自分の血がどんなふうに甘くて、何の匂いが染みているのか、僕も知りたいのですけどね。
きっと、あるじの彼女にしか判らない事なのでしょう。
- 745 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:20:06
- >>715
>病に冒された血にも味の善し悪しがある。
昔話に登場する吸血鬼にとって、阿片に冒された血は禁忌なのだそうですね。
僕らも、人間にしてみれば吸血鬼に変わりありませんが―――僕らは別に、
噛みついた人間が阿片を吸っていても、病に冒されていても平気です。
僕らには阿片を吸っても何の効果もなく、病気を患う事もありませんからね。
ただ…やはり、そういう人間を進んで餌にしようなんて、僕はあまり思いませんけれどね?
どうせなら―――血色のいい、健康そうな人間がいいな。
>人の血とディーヴァの血以外で、おいしいと思う生き物の血は
>どれだろう。猿やイルカ、いろんなものの体液があるけど?
そうですねえ…食事を動物の血で代用しようと思った事がないものですから、何とも…
どうも、獣の血は生臭くてね。あの毛むくじゃらの体に噛みつく気には、なかなかなれないのです。
…ほら、日本食には海苔だとか納豆なんてものがあって、それが食べられない人もいるでしょう?
フランスにも、青かびや黒かびのチーズが苦手な人は幾らもいます。それと似たようなものですよ。
それに…あらゆる動物が、僕らの姿を見るなり一目散に逃げてしまいますからね。
僕なんかは、子供の頃はお屋敷で飼っている犬に懐かれたり、その辺りをうろつく猫に
餌をやって触ったりしていたものですが―――今はだめです。
僕らの外見に惑わされて近寄ってきてくれるのは、人間だけですよ…本当に助かります。
逃げる獣を追いかけて捕まえるよりも、人間を騙す方がよほど合理的で、何より楽です。
- 746 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:21:57
- >>727
>残暑お見舞い申し上げます。
>ソロモンがお元気そうで良かったです。
やあ、すっかりご挨拶が遅くなってしまって―――失礼をしてしまいました。御免なさいね。
気遣ってくれて、ありがとう。ご覧のとおり、僕は翼手ですから頑丈なのです。
今年のようなすごい猛暑でも、氷に閉ざされるような厳冬でも、たいがいは無事で過ごせます。
それに、いいものをくれるご来客も居ましたしね。
>>695のご来客は、飴をくれてね…まるでヴァンにそっくりの口調で、
>ところで飴でもいかがです? う・め・あ・じ ♪
などと言うものですから、僕は笑ってしまいました…ちょっと待って下さいね…、
ああ、これです。あなたにもあげましょう、気に入ったのでたくさん取り寄せたのですよ。
…あなた、これをどう思います?
まず、個包装のパッケージのデザインが素晴らしいと思いませんか?
「男」そして「梅」という意味の漢字が大きく書かれている。文字のフォントも絶妙です。
何と言うか、シュールで…やあ、ヴァンが見たらきっと“Très bien!!”と言って喜びますよ。
あれは生粋のフランス人ですからね。漢字にも弱いはずです。
彼がファルマシーの製菓部門の本部を日本に据えたい、としきりにこぼしていた理由も
日本人の、こういうセンスの良さにあるのでしょうね。
その後においでになった>>696ご来客は、珍しい桜の蜂蜜を振る舞ってくれてね。
どちらもいい具合に塩気がきいて…熱中症を防ぐためにも、暑い季節には欠かせない品でした。
翼手にも個体差があって、あまり暑いのは苦手な兄弟も居ますから、とても助かりましたよ。
あなたにもおすそ分けしましょう、日持ちもするようですし―――後で、キッチンにおいでなさい。
こんな事ですから、僕の事はいいんですが―――人間のあなたこそ、
つつがなく過ごせたようで何よりでした。ここのところ、急に涼しくなりましたから―――
ひどい暑さを乗り切った後にこそ、体は消耗しやすくなるものです。
これから風邪を引かないように、くれぐれもお気をつけて。今夜も温かくして休むのですよ。
- 747 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:23:09
- >>728
>ソロモン、ごめんね
おやおや、どうしました…
そこに座って。大丈夫。顔を上げて下さい。
何を謝ることがあるのです?むしろ、それは僕の方です―――
いつもあなたがたを長い間待たせて、退屈させているばかりか…今回も遅くなって、
あなたに気を揉ませてしまったでしょう。本当に、御免なさいね?
でも…僕には本当に、あなたに謝ってもらうような心当たりがないのです。
ええ、ですから大丈夫。だからこれまで通り、折りに触れて僕に声をかけて下さい。
お返事をするのが、また遅くなってしまうかもしれませんが―――
もし、それでもいいのでしたら。僕は必ず、何らかの形で応えますからね。
さあ元気を出して、顔を上げて…
やあ、そうだ。いま丁度、オリオン座の方角に流星群が来ているそうですよ?
空を見上げてご覧なさい―――ああ、でも、今夜は月が出ていますね。少し眩しいな。
それでも、綺麗な星空です。あと何時間か待てば、あの月も沈みますから…また後で、
流れ星を数えに出てきてみようかな。くす、僕は眠りませんから、いい暇潰しができます。
…おや、あなたも?いいえ、無理をしてはいけません。あなたはもうお休みなさい。
どうしても見たい?…僕はかまいませんけれど、
夜更けに僕と二人でこんな所に居たのでは危ないですよ。それでもいいと仰るなら、少しだけ。
ええ、そうですね。
ひとつでも流れ星を数える事ができれば、きっといい夢が見られます―――
- 748 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:24:29
- >>730
>小夜に見せたかった赤い海ってどこの海なの?
あなた、バサースト湾を知っていますか?
オーストラリアの、タスマニア島にある海です。
あそこは不思議な海でね、見渡す限り赤く、水底まで透き通っているのですよ。
あの辺りに生えている植物は、今、僕たちが飲んでいる紅茶の成分を多く含んでいて
それが溶け出して、海を真っ赤に染めるのです。一見すると気味が悪いかも知れませんが、
覗き込めば水面近くを泳ぐ魚の腹が、かわいいピンク色にきらきらと光るでしょう。
彼女に見せたら、それは喜ぶと思ったんだけどなあ…
彼女には他にも、見せたいものが沢山あったのですよ。
例えば、遠い水平線に一瞬だけ走る緑色の閃光。上空高くからしか見る事のできない円い虹。
雨のように降り注ぐ流星。冬の凍りついた湖を割る、神の足跡。
挙げればきりがありませんね。この世界には、数え切れないほど沢山の奇跡がある。
僕らには、永遠に近い時間があった。
その中でなら、そうした奇跡に遭遇する可能性は無限にあった筈でした。
僕は彼女に教えてあげたかったのです。彼女の存在は紛れもなく、その奇跡のひとつであり
彼女には、戦いに命を賭ける覚悟なんて決して必要ない事を。
いつか、愛する人とあの真っ赤な海を見るといい。そうすればあなたもきっと、
あなたと愛する人が、共にこの世界の奇跡の一部であることを知るでしょう。
- 749 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2010/10/26(火) 01:27:34
- >>729
>ね〜もんもん。お月様ってかじったらどんな味がするのかなあ?
やあ、いらっしゃい。月がとても綺麗ですねえ…やあ、あの月を齧ったら?
可愛らしいことを仰います。
>私はね、レモン味じゃないかなあっておもうの
>もんもんはどうおもう?*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
成る程、お月様の色はまるでレモンですね?
それに、あともうすこし欠ければ形もレモンそっくりです。
僕は、そうだな…表面をこんがり焼いた、チーズのタルトかな。
ほら、お月様の、鋏の大きなカニのようなあの影は、表面にできた焦げあとです。
君のレモンをひと垂らしして食べれば、もっと美味しいでしょうね?
懐かしいな、チーズで作ったケーキなんて、最後に食べたのはもう遠い昔で…
どんな味だったか、すっかり忘れてしまいました。おや、
想像したらお腹が空いてきた?くす…、そうですか。
そうだ、それなら今からキッチンへ行って、パティシエの小父さんに焼いて貰いましょう。
お月様のように、カニの模様の焦げあとをつけて貰って―――やあ、君の国では
あの影は兎なのですか?二頭の兎が、モチをついている…?ふむ…モチをつく、というのが
よく解りませんが、確かに兎にも見えます。はは…、僕はどちらでも構いませんよ。
それで、甘酸っぱいレモンのソースをかけて貰いましょう…ほら、そうすれば
レモンの味のお月様の出来上がりです。焼きたてを、一緒にかじりましょう。
―――ねえ君、日本ではあの月の影は、兎だと言うのですよね?
それはオキナワでも、同じですか?
…わからない?でも、同じ国なのですから、きっと同じですね。
あの人も、夜になればあの月を同じように眺めるでしょうか?
僕にはもう、あの月の影が―――二頭の兎にしか、見えなくなりましたよ。
- 750 名前:名無し客:2010/10/26(火) 22:52:18
- マルティンはドイツ軍、つまり枢軸になる。
ソロモンが属した国はフランス軍?だとしたら連合になるのかな。
- 751 名前:名無し客:2010/10/26(火) 22:59:41
- アンシェルが戻ってきたら聞きたい事がある。
アンシェルは小夜とディーヴァを和解させる気は毛頭ないんだよね。
だからアンシェルの毛頭はない、つまり毛が薄いんだよね。
アンシェル本人の返答ナシなら肯定と受け止めるんだぞ☆
- 752 名前:名無し客:2010/10/26(火) 23:37:08
- きのこ派ですか? たけのこ派ですか?
- 753 名前:名無し客:2010/11/04(木) 17:31:20
- ね〜もんもん。
私の将来の夢はね、うさぎさんになることなんだ。
でも側使えたんがね、私にはもっと大事な役割があるんだからだめだって(´・ω・`)ショボーン
ねえ、もんもんの将来の夢はなあに?*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 754 名前:名無し客:2010/11/09(火) 20:04:48
- ディーヴァに血を吸われている時、どんな感じがするの?
吸血鬼の犠牲者は快感で恍惚としている描写があるけれど、
シュヴァリエも同じように感じるのかな?
- 755 名前:名無し客:2010/11/10(水) 02:10:29
- でも、どんなに快感があってもサヤの血は飲めないね。飲めば死ぬから。
彼女の血の味は例えグルメなディーヴァであっても味わえない。
例えばそう、サヤの血を味わえるのはリクとハジくらいかな。
- 756 名前:名無し客:2010/11/10(水) 19:36:17
- 女王に子供が出来て血の効力が無くなったら
ソロモンたち対の女王のシュヴァリエでも
サヤの血を飲めるようになったのかしら?
だとしたら飲んでみたい?
- 757 名前:名無し客:2010/11/10(水) 23:39:01
- その前にサヤの子供の父親が誰であるかが問題。
ソロモン以外の誰かが父親ということでの>>756の仮説だったら、サヤの血を飲んでみたい?
まあでも、空気に触れて血の効力が急激に劣化しているだけで、
直接項に牙を立てて吸血行為に至れば、死ぬという可能性もあるけどね。
- 758 名前:名無し客:2010/11/11(木) 20:02:17
- カールは実際小夜の血を飲んでたよね。
感想を聞いてみたいな。
- 759 名前:名無し客:2010/11/11(木) 22:08:36
- 飲もうとした弟を、お兄ちゃんが阻止しちゃったんだよね。
- 760 名前:名無し客:2010/11/12(金) 19:56:58
- いや、ガブガブ飲んでたってば。
ホントのところはソロモンとカールに聞いてみいようよ。
- 761 名前:名無し客:2010/11/13(土) 04:15:00
- 小夜からガブガブ飲んだならソロモンの代わりに私がお仕置きしてあげるわ。
なんて う ら や ま し い !
ソロモン、カール、ホントのところはどうなのよ?
この変態兄弟が(褒め言葉)
- 762 名前:名無し客:2010/11/17(水) 08:14:51
- 反対言葉でハジに対する気持ちを真顔で、はっきりと言ってください。
ハジを愛してると言えば反対の意味になります。
- 763 名前:名無し客:2010/12/04(土) 20:48:59
- お久しぶり、また遊びに来た
ワインと煙草をいただいてるよ
今年もまたクリスマスの季節
みんなどうしているかなあ…
- 764 名前:名無し客:2010/12/06(月) 08:37:34
- クリスマス前の惨劇を思い出すね。
ところでさ、マルティンは本当に三男なの?
ソロモンがディーヴァに血分けを受けた年代は第二次大戦、
ソーニャが死んだ時期に第一次大戦が勃発したんだっけ。
世界史は明るくないけど、年代を調べて兄弟の生まれた時期を調べると、
アンシェルが目覚めたディーヴァを放置し、
マルティンを最初にシュヴァリエに、次にソロモンをディーヴァと引き合わせたと
そういう解釈になる。
マルティンとソロモンがどれだけの時間差でシュヴァリエになったかは
それはわからないけど、間違いなくマルティンが兄なら、
アンシェルは血分けをせずにシュヴァリエにする方法を得てたことになる。
まあ、それならディーヴァに会ったことがないと
言ってたネイサンにも理由がつくけどね。
実はソロモンが三男じゃないの?
でなければ目覚めてからずっと、ソロモンが現れるまでディーヴァは放置されていたことになる。
- 765 名前:名無し客:2010/12/10(金) 12:26:23
- 差し入れするよ
っ「銀河英雄伝説」
- 766 名前:名無し客:2010/12/11(土) 21:27:26
- すいませーん親とはぐれた赤ちゃん猫拾ったんですけど!
この子寒くて凍えてるんであったかい牛乳もらえませんか!
- 767 名前:名無し客:2010/12/12(日) 12:23:46
- 牛乳か…健全な場所でなんて事を言うのかと思ったよ。
ソロモン、人間用の牛乳はあげちゃダメだよ。
猫用のミルクじゃないとお腹壊すから。
お乳も血と同じ成分なんだよね、ディーヴァが血じゃなく牛乳好きだったら
ある意味で平和的だったかもしれないね。
- 768 名前:名無し客:2010/12/20(月) 08:45:48
- ソロモン、もう今年も終わりだね。
良いお年をお迎えください。
来年もよろしくね〜w
- 769 名前:名無し客:2010/12/21(火) 11:31:29
- ディーヴァに対してシュヴァリエは、特にアンシェルは
彼女のどんな我が儘も受け入れ何の責任も負わせない
これでは精神的纏足を施しているのと同じことですね
精神的に成熟して大人の女性になったディーヴァを見てみたかった
母になったことは彼女にとって絶好のきっかけだったのに
- 770 名前:名無し客:2010/12/22(水) 06:52:07
- 精神的に成熟したディーヴァだったら、
自ら小夜の傍に歩み寄る駆け引きもできただろうし、
シュヴァリエ全員に小夜と仲直りする為の策略も考えられたかな?
母になっても未熟なままの母っているよね。
あるいは、母であるより女を優先させるタイプもある。
でなければ児童虐待なんて世には存在しない。捨て子なんて存在しない。
- 771 名前:名無し客:2010/12/22(水) 20:49:21
- 12/26
小夜は暴走して罪もない人々を惨殺した。ハジは手を切られ、主と再び再会するまでの月日を罪悪感と孤独で過ごす。
カールは腕を失い、ディーヴァは赤い盾から隠れるように
リセの地で眠り続けていたのか。
忘れられない日だね。
クリスマスにまぎれても忘れられないだろう。
- 772 名前:名無し客:2010/12/24(金) 09:21:06
- クリスマスは中止になりました
- 773 名前:名無し客:2010/12/25(土) 09:37:46
- ディーヴァや小夜の前ではクリスマスなんて意味ないからね。
たった一言「仲直りしたい」が言えたなら良かったのに。
- 774 名前:名無し客:2010/12/25(土) 22:45:44
- メリークリスマス、ソロモン&カール!
どこか素敵なところにデートに連れて行ってよ〜
- 775 名前:名無し客:2010/12/26(日) 16:11:42
- たまにはアンシェルとグレゴリーも思い出して下さい。
- 776 名前:名無し客:2011/01/01(土) 10:13:43
- アンシェルのおでこ、アンシェルのおでこ……
あ、あった!
初日の出はこうでなくちゃね。
- 777 名前:名無し客:2011/01/17(月) 16:23:22
- あ、あの……すみません
わたし、こちらのお屋敷で
メイドの面接があると
聞いてきたんですけど……
- 778 名前:名無し客:2011/01/20(木) 23:22:03
- アンシェルはディーヴァの花婿になれるハジに嫉妬していたという。
逆に、ハジにとって青組シュヴァリエ全員が嫉妬の対象。
だけど小夜もハジもアンシェルの「花嫁」「花婿」なんか知らない。
女王を孕ませたら血の効果は無効となると知れば、どうなるか・・・
ネイサンだったら簡単に修羅場を予想できたかもしれないね。
- 779 名前:名無し客:2011/01/21(金) 07:38:37
- ああ、だからネイサンはディーヴァの傍にいながら、
その事実を沈黙していたのか。小夜が襲われないために。
- 780 名前:名無し客:2011/01/24(月) 13:24:55
- リーザ形態のアンシェルにハジは潰され、
リク形態のディーヴァにソロモンは潰された。
主従揃って同じ場所潰すなんて、仲良いね。
ハジソロも潰され仲間。仲良し仲良し。
- 781 名前:名無し客:2011/02/08(火) 20:13:32
- 皆、アヴァロンに行ったんだね
- 782 名前:名無し客:2011/02/16(水) 22:59:26
- もうみんないなくなっちゃったのかな?
週に一回はチェックしてるんだけれども。
- 783 名前:名無し客:2011/02/17(木) 12:53:41
- いなくなったんじゃなくて思い出の世界へ移動したんだよ。
- 784 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:30:51
- >>782
>もうみんないなくなっちゃったのかな?
>週に一回はチェックしてるんだけれども。
ああ、君。ちょっと待って…、いま帰りましたよ。僕です。
お土産があります、もう少しここに居て下さいますか?
ただいま―――ここは暖かいですね。外はすごい雪だった…、
やあ、すみません、いまコートを脱ぎますからね。
このままでは雪まみれで、あなたがたの衣装を汚してしまいます。
冷たい手で御免なさい。やあ、あなたも。ああそうか、明けましておめでとう。
またご挨拶が遅くなってしまいましたね。
買い出しに出たら、大雪で空港が凍りついてしまって…立ち往生です。
ご来客の皆さん、いつも待たせて御免なさいね。
いえ、もちろん飛んで帰っても良かったんですが…僕はね。
ただ今回は、執事長やメイドさんも一緒でしたから。
置いて帰るわけにもいきませんし、吹雪に煽られて海に落ちでもしたら、
翼手といえども只では済みません――― ええ。氷漬けになるのは金輪際、御免です。
そういう事で…皆さん、挨拶が遅くなりましたけれど
今年もゴールドスミス一族とこの動物園を、よろしくお願いします。
それにしても、今年の冬は本当に寒い。
ここもすっかり、雪に閉ざされてしまいました…車両で外に出るのは大変ですよ。
あなたがた、このお屋敷で退屈したでしょう…
僕も空港近くに足止めされて、退屈でしたからね。
皆さんと久しぶりにお話ができて嬉しい。ここは寒いから、暖炉の側へ行きましょう。
おや、あなたどうしました、そんなに慌てて…
- 785 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:32:04
- >>766
>すいませーん親とはぐれた赤ちゃん猫拾ったんですけど!
>この子寒くて凍えてるんであったかい牛乳もらえませんか!
子猫?それは大変だ。可哀想に…ミルクならキッチンにありますからそれを
>>767
>ソロモン、人間用の牛乳はあげちゃダメだよ。
>猫用のミルクじゃないとお腹壊すから。
おや、そうなのですか?今はそんなものがあるのですね。
知らなかったな、昔は食事に出たミルクをわざと残して猫に遣っていましたから。
でも困りましたね、この屋敷にペット用のミルクの備えなんてありましたか?
おや、ある?それは良かった。では君、それを少し温めてきて下さい。
あなた、よく連れてきましたね。
膝掛けにでもくるんで、暖炉で暖めてあげましょう。
触ってみないのか、と仰る?
やあ、触りたいのはやまやまなんですが…その仔猫が嫌がるでしょう。
今は元気がないから鳴きもしないし、震えているのは寒いからかもしれませんけれど
本当は僕のことが怖くて、声も出せないのかもしれませんよ。
ちょうど一年くらい前にも、猫を触ろうとして引っ掻かれた事があります。
もう、動物を撫でたりするのはだめなようです。小さい頃は犬と遊んだり、
屋敷に住みついた猫に餌をやって懐けたりしたんですけれどね。
ええ、だから僕は猫は好きですよ。もし親猫が見つからないようなら、
あなたたちで可愛がっておあげなさい。
>お乳も血と同じ成分なんだよね、ディーヴァが血じゃなく牛乳好きだったら
>ある意味で平和的だったかもしれないね。
やあ、はは、そうですね…君たち人間にとってはね。
- 786 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:33:38
- >>772
>クリスマスは中止になりました
おや、それはまたどうして。何だか元気がありませんね…大丈夫ですか?
…ああ、そういえば…ここの外で、どなたかがそう触れ回っていたような気がします。
確かに僕らは雪に閉じ込められて、クリスマスは中止でしたけどね。
帰る算段をつけるので手一杯でした―――でもそれならそれで、クリスマスは今やります。
でも実の所、あなたの気持ちはよく判ります。
もし仮に僕があのまま生き残って、
相変わらずニューヨークのペントハウスに住んでいたとしますよ。
小夜は行ってしまって、僕は一人きりで―――それでもクリスマスは、非情にも毎年巡ってくる。
窓から見える摩天楼の夜景は、その日が近付くにつれて賑やかになっていくでしょう。
僕は一人でツリーを飾り、ファーの付いた赤いサンタ帽を被ってシャンパンの栓を開ける。
そして組んだ指の上に額を伏せて、こう呟くでしょう。
「メリークリスマス、小夜…」
ああ嫌だ。そんなクリスマスは即刻中止です。
あなた、元気を出してください。ほら、ここに僕が居るじゃありませんか。
美味しいお酒があるんです。あなたも飲みましょう、メリークリスマス!
- 787 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:34:56
- >>763
>お久しぶり、また遊びに来た
>ワインと煙草をいただいてるよ
やあ、歓迎します。
何なりと召し上がって、寛いで下さい。
あなたのためのワインと煙草がまだあって、本当に良かった。
何しろこの冬は、大変な雪ですから。やあ、こういう時は温かい暖炉の側でのんびりするのが
一番賢い遣り方ですよ。どれ、僕もご一緒していいですか?
その煙草、良い香りです。黒煙草ですね?ゴロワーズかな…ああ、やっぱり。
すぐに判ります―――僕?やあ、僕はそれよりも水煙草くらいの方がいいな。
特に黒煙草は、癖が強いので何とも…フランスに住む人はよく嗜みますから、それで判るのです。
お酒と煙草がお好きなら、丁度いいものを手に入れてきました―――
- 788 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:35:59
- >>768
>ソロモン、もう今年も終わりだね。
>良いお年をお迎えください。
>来年もよろしくね〜w
やあ、あなたも…クリスマスや年明けはいかがでしたか?
ご挨拶がこんなに遅くなってしまって、御免なさいね。もう新年どころか、
バレンタインデーも過ぎてしまいました。お詫びにもなりませんけれど、お土産があります。
【Calvados Pomme d'Eve】
ポム・ド・イヴ。カルヴァドスというのは、林檎を使ったブランデーの事です。
いつもワインばかりですから、今回はブランデーにしました…ほらご覧なさい、
瓶の中に林檎が丸一個浮いています。珍しいでしょう?
これは甘い果物の味がして、チョコレートと相性が好いのです。
僕もね、ブランデーはあまり得意じゃないんですが、これは甘いので飲めるんですよ。
シェフに頼んで、グラス・ア・ラ・ショコラを作って貰いましょう。
アイスクリームにかけても、一緒に口に含んでも、きっと美味しいはずです。
それから>>763さん、カルヴァドスはシガーにもよく合うのです…
これでは甘いかもしれないな、でも試してみる価値はありますよ。黒煙草と一緒にどうぞ。
やあ、やっと落ち着きました。僕も一杯、頂いていいですか?
- 789 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:36:43
- >>774
>メリークリスマス、ソロモン&カール!
>どこか素敵なところにデートに連れて行ってよ〜
やあ、デートですか…いいですよ。
でもこの積雪では、当分は外に出るとひどい目に遭いそうですね。
そうだ、どこかへ出かける代わりに、あとで一緒にお酒を飲みませんか?
皆さんに出したのとは別に、おいしいロゼワインを仕入れてきました―――
【Château d'Esclans Côte de Provence Whispering Angel】
プロヴァンスのシャトー・デスクランのロゼはその来歴から、
世界最高値と名高いワインです。本来ならロゼは夏に飲むのが美味しいんですけれど、
何しろこれを売ってくれたお店の方が、熱心に勧めるものですから。
何でも、満月を眺めながらロゼワインを飲めば願いが叶うのだとか…ええ、
ここフランスにはそういう言い伝えがあるんだそうです。
僕もあまりよく知らないんですけれどね。聞いたことがあるような、ないような…
あまり古くからの言い伝えではないのかもしれません。
まあ何にしろあまり熱心なので、僕もあやかりたくなってしまいました。
確かグラスに注いだワインに満月を映して一息に飲み干せば、
特に恋の願いに利くんだそうですよ。それで願いが叶うなら、ロマンチックでしょう?
今夜は都合よく満月で、雲ひとつありません。
外は寒いですから、客間の窓辺にでも座り込んで乾杯しましょう。
決まりですね。ではまた、月が中天にさしかかった頃に。
- 790 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:38:10
- >>752
>きのこ派ですか? たけのこ派ですか?
僕は…、ええと、何ですって?それは何の派閥ですか?
成る程、キノコの山、とタケノコの里、というお菓子があるのですね。
そうだな、僕は食べた事がないので何とも…やあ、君が持っているそれが、そうなのですか。
食べ比べてみろと仰る?それじゃあひとつ…、
ううん…どちらも似たようなもので、派閥を問われてもなあ。
そもそも、どちらに属するかがそんなに重要なんですか? あ…そ、それはすみません。
日本はこの問題で、一触即発の緊張状態だというのですね?
一部ではもう武力衝突があって、その写真がある?どれ…、
http://charaneta.just-size.net/bbs/fupbbs/obj/obj111_1.bmp
な…!!
これはひどい…。
何故きのことたけのこは、そんなにいがみ合うのです…?
元を正せばどちらもチョコレートとビスケット、同じ種類ではありませんか。
形状が違うから、ビスケットの口当たりが少し違うからといって差別するなんて…度し難い。
え?それで僕はどちらにつくのか、と仰る?ううん…、
あまり争いごとには関わりたくないんですが…決めなければいけませんか?
そうですか。よくわかりませんが、強いて言うなら…たけのこかな。
おや、あなたもたけのこ派なのですか。それは安心しました。
僕の返答で自信がついた、と仰る?良かったですね、頑張って下さい。
やあ…、日本は平和な国ですね。
- 791 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:39:48
- >>753
>ね〜もんもん。
やあ!お久しぶりです。君も退屈したでしょう、御免なさいね。
>私の将来の夢はね、うさぎさんになることなんだ。
>でも側使えたんがね、私にはもっと大事な役割があるんだからだめだって(´・ω・`)ショボーン
>ねえ、もんもんの将来の夢はなあに?*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
おや、どうしてうさぎさんになりたいと思うのですか?
うさぎさんは確かに可愛いですけど、お側仕えさんの仰るとおりで、君の夢には勿体ないな。
しょんぼりする事はありません…彼女はそれほど、君の将来を楽しみにしているんですよ。
やあ、僕ですか?僕の夢はね、お医者さんになる事だったんですよ。小さい頃はね。
そうじゃなくて今は、と仰る…?
はは、小さな頃の夢も、若い頃の願いも、全部叶ってしまいましたし―――
今はもう夢を語るほど若くないものですから、困ったな…それに今の僕の願いといったら、
いつも口にしても叶わない事ばかりですから。それ以外には…思いつかないな。
…やあ、今夜は満月です。とても綺麗ですね。
二頭の兎の姿がくっきりと見える。灯りがなくても、あの月の光だけで充分です。
そうだ、君の夢をここで、僕が叶えてあげましょうか。難しい事じゃありません、
君はただ僕の手を取って踊ればいいのです。君、ダンスは出来るでしょう?やっぱり。
さあ灯りを消して、今だけ二人で、あの月で遊ぶ二頭のうさぎさんになりましょう。
- 792 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:40:24
- >>750
>マルティンはドイツ軍、つまり枢軸になる。
>ソロモンが属した国はフランス軍?だとしたら連合になるのかな。
そうですよ。
アンシェル兄さんは僕を連合軍に仕官させる事で、両方の陣営と繋がりました。
彼は人間が戦争をする度に、死の商人としてゴールドスミスの資本を増大させてきたのです。
ご存知の事と思いますが、当時のユダヤ資本は、ナチスによる搾取で
甚大な損失を被りました。僕の名前を見ればわかるように、ゴールドスミスはユダヤ系です。
もしマルティン兄さんがナチスの幹部でなかったなら、ゴールドスミスも例に漏れず
資本を守るために戦わなくてはならなかったでしょうね。
ただ、それだけではまだ充分ではありませんでした。
僕らは枢軸国が連合軍に敗北するとわかった上で、あの国を実験場にしたのです。
だから戦争が終結した後のために、連合軍とも繋がっておく事が必要だった。
あのマンハッタン計画にも、ゴールドスミスは資本を投じました。
そうしておいたお陰で、僕らは容易く次の実験場とスポンサーを得る事が出来ました。
兄さんはあの戦争で上手に立ち回る事で、デルタ計画が成就するまでのレールを敷いてしまった。
そして彼自身は、英国女王に認められて世界的に信頼された資本家になりました。
僕らは何をしたわけでもありません…、アンシェル兄さんは怖い人です。
- 793 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:41:24
- >>764
>クリスマス前の惨劇を思い出すね。
>ところでさ、マルティンは本当に三男なの?
あなたの疑問の答えから言うと、マルティン兄さんは間違いなく僕の兄ですよ。
>ソロモンがディーヴァに血分けを受けた年代は第二次大戦、
>ソーニャが死んだ時期に第一次大戦が勃発したんだっけ。
僕が初めてディーヴァに会い、シュヴァリエになったのは1917年、
ちょうど第一次世界大戦が終息しかかり、ロマノフ王朝が革命によって瓦解した頃でした。
マルティン兄さんがシュヴァリエになったいきさつは、実は僕もよく知りません。
ただ僕がシュヴァリエになった時、彼がすでに序列に加えられていた事は確かで
彼は早くから次の拠点であるドイツに入り込み、マルティン・ボルマンを名乗り始めました。
それからの彼の行動は早かった。
僕らも知らない間に、彼はナチスドイツの総統の片腕にまで登り詰めていました。
僕らは彼の作った環境の上に実験場を据え、ディーヴァを隠しました。
彼の働きは目ざましかった…時流を読んで、あの土地に拠点を定めたのは
アンシェル兄さんですが、土台を築いたのはマルティン兄さんです。ええ、アンシェル兄さんが
ああいう方法でしか彼を黙らせる事ができなかった理由が、解るでしょう?
…話が逸れてしまいましたが、
マルティン兄さんが兄弟の序列に加わったのは僕より前で、僕がディーヴァに会ったのは
彼女が目覚めた直後です。彼女はまだ、目覚めの血すら口にしていませんでした。
ですから彼の序列は、グレゴリー兄さんの直後です。
これで辻褄が合いますね。彼の血分けに、特別な技術なんて要らなかったんです。
納得してもらえたかな…
>まあ、それならディーヴァに会ったことがないと
>言ってたネイサンにも理由がつくけどね。
おや、ネイサンがそんな事を?僕は聞いたことがないな、本当ですか?
僕は気がつかなかったんですが…、アンシェル兄さんが、
ネイサンの様子が変わった、と思った事があったそうです。
彼に対する態度や物言いで、きっと彼にだけ気がつく事があったんでしょう。
もしネイサンが先代の女王のシュヴァリエだというなら、
正当な血分けを受けたネイサンが別に居て―――あなたがたが知っているネイサンは、
ある時期から彼に成り代わったネイサンなのじゃないかと僕は思います。
僕らシュヴァリエには、そういう事はよくあるのです。
例えば何らかの目的で、別の人間の姿を借りる。だから僕には、その方が自然だな。
- 794 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:43:12
- >>762
>反対言葉でハジに対する気持ちを真顔で、はっきりと言ってください。
>ハジを愛してると言えば反対の意味になります。
なん・・・ですって・・・
ちょっと意味がわかりません、つまり僕はハジに関して、
自分の気持ちと逆の事を喋ればいいのですね?何の為に…?
罰ゲーム?
はあ…、はい…、
ご挨拶が遅くなって、皆さんを退屈させたのは僕ですからね。わかりました。
あー…、あなたがたいいですか、
僕はあなたがたが思うほど、
その…ハジの事を心底愛してるわけじゃないのですよ。
で…ええと…、
確かにハジはいつも、ここぞという時に気が利いた事をしてくれるので…、
僕にとって心からヒッ! すみません、口の中を噛みました―――必要な存在ではあるのです…、
僕は彼のそういう、空気の読める所がたまらなく好きでね。
まるで物分かりのいい犬みたいでえlp;@:…ええ、ハジはhんjmkクンカクンカモフモフ。
…え?
よく聞き取れなかったのでもう一度、と仰る?わかりました。何度でも言います、
ハジはまるで物分りのいい犬みたいでとても可愛いです。
彼のような人はね、ツンツンしているようで実は甘えたいのですよ。見れば判ります。
もう堪りませんね。
胸がこうイライr…いや、何だ…、きゅんきゅんしますよね。
もう息が止まるほど抱きしめて、
頭といわず体といわず撫でまわしたい。
おっ…ゴホッ…おや?
ものすごく血が出ているが大丈夫か、と仰る?胃薬を下さい。
- 795 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/02/18(金) 03:46:08
やあ、見苦しい所を―――すみません―――まだ沢山、ご挨拶を返していない方がおいでですね。
けれど残っているご挨拶は例のごとく長くなりそうですから、
また改めてお応えする事にします。なに、今度はすぐに戻ります…
とりあえず何か口に入れないと、まともな返事もできそうにないものですから―――
>>777
>あ、あの……すみません わたし、こちらのお屋敷で
>メイドの面接があると 聞いてきたんですけど……
やあ、丁度いい所へ…ようこそ、おいでになりました。
この屋敷で、メイドとして働きたいと仰る?それは有り難い、歓迎しますよ。
僕も屋敷の主人のひとりですから、面接なら僕がお相手しますよ。
もう聞いていると思いますが…、ここに来れば衣・食・住は全て保証します。
何枚かの紙切れにサインさえして貰えば、あなたにとって悪いことは何もありません―――
―――ああ。
やあ、何ですって?
すみません、目眩が…。ちょっと肩を貸して貰えますか…、ありがとう…それで?
ああ、契約書の内容の意味がよく解らない、と仰る。大丈夫、すぐに解かります。
どれ…、そこの部屋へ入りましょう。説明します。
…顔色が悪い?そうでしょうね。いいえ、普段は丈夫なのですよ。
病気なんてした事がありません、ただ…今は兎に角、喉が渇いて。脱水症状かもしれない。
―――君、初仕事だと思って、僕に温かいものを頂けませんか。
ああ、いいのです、キッチンに行かなくても―――そこにありますから。
そこに。
- 796 名前:名無し客:2011/02/18(金) 14:15:13
- >>794
REC完了、小夜に動画と音声添付完了
もう手元に届いたころだね!ネットって便利だ♪
- 797 名前:名無し客:2011/03/01(火) 13:00:29
- よいしょ…っと。ソロモン、これを。
つ【大きな水仙の花束】
僕、森の小川のほとりで、今年はじめての花を見つけたんです。
外はまだ寒くてちょっと早いけど、春のお祝いです。
- 798 名前:名無し客:2011/03/01(火) 13:16:50
- シャトー・デュエルは何回くらい沖縄に輸出したの?
- 799 名前:名無し客:2011/03/16(水) 08:51:20
- 大震災があったけれど、ソロモンは無事?
- 800 名前:名無し客:2011/03/21(月) 06:59:26
- ソロモンも大丈夫だと思うけど、どうだろね。
カイみたいなタイプは永遠の子供と言うんだろうか?
- 801 名前:名無し客:2011/04/08(金) 09:53:15
- あと200でソロモンともお別れか
寂しいね
他の皆も最後くらい顔出してくれるといいのに
- 802 名前:名無し客:2011/04/10(日) 00:51:22
- というか昔の庭スレに戻った感じだね。
あの頃よりはずっと静かで荒れもなく落ち着いている。
他の皆が顔を出す事はないだろうな、ソロモンに締めを委ねてるっぽいし。
顔を出したら次スレを強請りたくなるから、別に顔出さなくていいよ、
妄想で色々楽しんでいるからね
- 803 名前:名無し客:2011/04/10(日) 22:04:24
- BLOOD-Cに青薔薇兄弟が出たら・・・ここも続けてほしいなあ。
- 804 名前:名無し客:2011/04/12(火) 22:35:02
- 出る可能性を信じてるなんて健気だね…
- 805 名前:名無し客:2011/04/29(金) 22:12:03
- ソロモン・・・もういないのかな?
- 806 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:40:50
- やあ>>799さん。あなた>>800も。
心配をおかけしてしまって。
それにすぐ戻ると言ったのに、嘘をついてしまいました。
少し忙しくしていたのです。毎回の事で、本当に御免なさいね。
でも、僕はこのとおり平気です。ここは遠く離れていますから…
それよりあなたがたは?ご家族やお友達は?大丈夫ですか?
日本は大変な災害の只中ですね。
もうひと月と半分も経ちますが、まだ不自由が多いでしょう。
遠く離れた場所に居るのでは、できる事は限られていますが
出来るだけの事をしなくてはね。日本は皆の故郷ですから。
あとはいつも通り落ち着いて、一つでも多く明るい報せが届くのを待つ事です。
「待て、しかして希望せよ」僕の好きな言葉です。
この場所で、この言葉を信じて出来るだけの事をしていたら
僕はそれで二度も願いが叶いました。
さあ、ではいつも通り、ここでお話をしましょう。
- 807 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:42:01
- >>751
>アンシェルが戻ってきたら聞きたい事がある。
おや、兄さんはまだ戻らないのですか?
そういえば、すっかり雪も解けて外出しやすくなったので
パリに用事を済ませに行くと仰って、それきりです。
あとで連絡を取ってみる事にします。それで君、兄さんに訊きたい事とは何ですか?
良かったら、序でに僕が伝えておきますよ。
>アンシェルは小夜とディーヴァを和解させる気は毛頭ないんだよね。
ああ成る程、そういう事ですか。これは僕の考えですが、
彼にそのつもりはもちろん無かったでしょうね。ディーヴァが、何も仰らなければね。
>だからアンシェルの毛頭はない、つまり毛が薄いんだよね。
え…?
…君ッ!!何て事を言うのですっ!!
>>776
>アンシェルのおでこ、アンシェルのおでこ……
>あ、あった!
>初日の出はこうでなくちゃね。
君まで!あ、危ない…!!
ああ、すみません…!ちょっと乱暴だったかな。
君、鼻から血が…さあ、これでお拭きなさい。やあ御免なさい、でも今、
君たちの命を守るためには、こうするしかありませんでした。
よく考えてもご覧なさい…アンシェル兄さんはああいう方ですよ?
どこで聞いているかもわからないじゃありませんか。それに、どんな些細な言葉が
彼の逆鱗に触れるか判らないのです。下手を打つと、彼の下まつげが飛んできますよ。
刺さると命に関ります。飛び道具に対しては、咄嗟に伏せて身を低くしないと。
あなたがた、シークレットサービスというのを知っていますか?
ああ日本ではSPと言うのですか。政府や大企業の要人を警護する人たちの事です。
僕も、社長をやっていた頃は何度かお世話になりました。いいえ、
僕自身は平気なのですよ?銃で撃たれても死にませんからね。
だからいつも要らないと言うのですが、大事な取引きの時は先方がつけたがるのです。
取り巻きを従えて歩くようで、いい気分がしないのですけれどね。
すると…ある時、僕は人垣から飛び出してきた暴漢に、銃を突きつけられました。
蹴り飛ばしてやろうと思って前に出ると、シークレットサービスの人が
僕の襟を掴んで凄い力で引き戻し、そのまま顔を地面に叩きつけました。
聞きましたか?顔をです。この僕の顔を、です。 度し難い。
銃口を向けられたのは僕なのに、どちらが悪者なのかわかりません―――
お陰で額を擦りむきましたよ。髪の生え際の辺りを。
それが原因で二度と髪の毛が生えなかったら、どう責任を取ってくれるつもりだったのでしょう。
兄弟そろって××ているなんて世間の笑い者です。 どうです?酷いと思いませんか?
―――まあ僕は翼手ですから、すぐに治りましたけれどね。
人間のあなたがた、すみません。いま氷嚢を用意しますからね。少し待っていて下さい。
- 808 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:45:11
- >>769
>ディーヴァに対してシュヴァリエは、特にアンシェルは
>彼女のどんな我が儘も受け入れ何の責任も負わせない
>これでは精神的纏足を施しているのと同じことですね
>精神的に成熟して大人の女性になったディーヴァを見てみたかった
>母になったことは彼女にとって絶好のきっかけだったのに
おやおや…。
纏足というのは―――子供の足を固定して成長を妨げる事で
纏足をすると骨格が変わって歩きにくくなり、大変不便です。
災害などの緊急時の事を考えても、悪習と言っていいでしょうね。
それが流行した時代には、女性たちはそれを、美人の象徴だからと
子供たちに対して進んで実行したでしょう。ですが纏足というのは、
成長期には特に大変な苦痛を伴うものなのです。少女たちは痛みに耐えながら、
何故こんな事を、こんな習慣は無ければ良いのにと嘆いたかも知れません。
あなたはディーヴァにそれを尋ねた事がありますか?
ディーヴァは何と仰いました?
シュヴァリエ達はわたしに何もさせてくれないわ、
わたし世の中の女の子達と同じように社会経験を積んで、立派なママになりたいのに
ああ辛い、苦しい、シュヴァリエなんていなければ良かったのに―――ディーヴァが
そう仰ったのですか?
…御免なさいね?僕はシュヴァリエですから、認めたくないのです。
確かに彼女にそう言われたのなら僕らも、そうなのか、と認めなくてはいけません。
僕らの存在は纏足と同じで害悪に他ならないのだと。
ただ人間に、人間の価値観で決められるのは…。
ディーヴァが幸せだったかどうかはあなたがたでも僕らでもなく、彼女自身が決める事です。
他の価値観で…例えば人間の常識で、彼女を測ってはいけません。
彼女の気持ちは彼女にしかわからないんです。
- 809 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:45:58
- >>770
>精神的に成熟したディーヴァだったら、
>自ら小夜の傍に歩み寄る駆け引きもできただろうし、
>シュヴァリエ全員に小夜と仲直りする為の策略も考えられたかな?
ああ…
ディーヴァが未熟だからそれを考える事ができない―――と、お思いなのですね。
そうですか…。残念です。
これは、あなたがたには理解できない事かもしれませんが―――
彼女には、全部わかっていた筈です。
ディーヴァが本気で小夜との歩み寄りを望めば、アンシェル兄さんだって
首を横には振れません。彼女はそれを知っていたはずです…、
小夜と彼女に許されたあらゆる可能性について、彼女は考えていたはずです。
ご自身の事なのですから。
身も蓋もない言い方になってしまいますが…いいですか、
あなたがたの希望と、彼女達の選択は別なのですよ。
ディーヴァは能力が無いからそう出来なかった訳ではありません、
彼女が、それを選ばなかったのです。
もっとも―――先にその選択肢を捨てたのは、小夜です。
小夜が100年もあの調子だから、ディーヴァもやむなく考えうる選択肢をすべて棄てたのです。
そしてディーヴァは、一人の少女である前に翼手の女王です。
こちらから小夜の思想に膝を折ることなんて―――
ディーヴァ自身の、そして彼女のシュヴァリエの尊厳を損なう事なんて
誇り高いディーヴァは絶対に選びません。
だからお二人の溝は、とうとう埋まらなかった。
そして、小夜に可能性を捨てさせたのは―――人間です。
はっきり言います。僕は人間の世界に希望など、ただのひと欠片も持っていません。
だから…小夜をつき動かした人間の意思が、僕には彼女に巣食った病巣としか思えなかった。
どうです?
僕らがディーヴァに「精神的な纏足」を施したと言うなら―――人間が小夜にしたのは
まるでナチスドイツがユダヤ人の子供にした事と、同じだと思いませんか?
皮肉なものです。
同じ人間であるあなたがたは、平和な結末を望んでいたというのですから。
- 810 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:46:52
- >>771
>小夜は暴走して罪もない人々を惨殺した。ハジは手を切られ、
>主と再び再会するまでの月日を罪悪感と孤独で過ごす。
>カールは腕を失い、ディーヴァは赤い盾から隠れるように
>リセの地で眠り続けていたのか。
>忘れられない日だね。
そうですね。
それは小夜にとっては思い出したくない、忌まわしい過去でしょうね。
カールやハジにも忘れがたい記憶でしょう。
目に見える所にも、そうでない所にも、大きな傷を負ったのですからね。
もちろん、僕も忘れていません。
今度はカールが彼女の手にかかってしまったのだと、僕はそう思った。
僕らはもう既に、怖ろしいサヤの手によって二番目の兄を亡くしていました。
そして僕はその時、
同じ種族で争い、殺し合う事がどれ程無益で、辛く悲しい事なのか
本当の家族をこの手で殺す事にどれだけの覚悟が必要なのかを知っていました。
だから―――ディーヴァと同じ、あどけない少女の姿をしている筈のサヤが
一層怖ろしかった。あの小さな身体にそれだけの覚悟を持って
しかも躊躇なく実行するサヤは、どれほど残酷で冷たいんだろう―――そう思いました。
ですから、同じベトナムの地で彼女と初めて出会った時には
まるで気がつきませんでした。あの生まれたてのひよこのような瞳をした少女が
怖ろしい敵のサヤだなんて―――でも
小夜のした事は全て、人間が彼女にさせた事なのです。
だってそうでしょう?人間が、自分達の脅威をこの世界から葬り去るために
小夜にディーヴァを狙わせた。彼女がベトナムで暴走したのだって、眠っている彼女を
愚かな人間が無理やりに起こそうとしたからです。
ふん。
成る程、記憶を失った彼女に怖ろしい翼手殺しの面影が無いはずです。
彼女は何も悪くありません。カールも、ハジもね。
- 811 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:47:41
- >>754
>ディーヴァに血を吸われている時、どんな感じがするの?
>吸血鬼の犠牲者は快感で恍惚としている描写があるけれど、
>シュヴァリエも同じように感じるのかな?
おとぎ話の中で、吸血鬼の犠牲者が快感をおぼえるのは
たいてい抵抗しないように、催眠をかけられたりしてそうなるのですね。
その点僕らはディーヴァに対して抵抗しませんから、それとは違うかな。
彼女に血を差し上げる事は、彼女に僕らの一部を返す事と同じです。
僕らの血が、彼女と一つになる。素晴らしい事です。
ですから痛いとか不快な事は、決してありません。一瞬の痛みのあとに感じるのは、
手足の指先から始まる痺れと心地好い目眩だけです。
それが極まると、もうこのまま意識を手離してしまおうかと思う。
人間のあなたにはこんな言い方をしても、よく解らないかも知れませんね?
そうだな、 もうそれがどんなだったか、よく覚えてはいないのですが―――
今日のような日差しの暖かい日に、うとうと微睡む時に似ているかも知れません。
意識が身体の外に溶け出して、自分の境界がどこなのかが判らなくなる。あの感覚です。
彼女が僕の身体を確り捕まえて歯を立てると、
もうどこまでが自分で、どこまでが彼女の肌なのかも判りません。
彼女は僕の血に満足すると優しく囁いてくれる―――
愛してるわ。
暖かい日差しの中で微睡むよりも、余程幸せでした。
- 812 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:49:32
- >>755
>でも、どんなに快感があってもサヤの血は飲めないね。飲めば死ぬから。
>彼女の血の味は例えグルメなディーヴァであっても味わえない。
>例えばそう、サヤの血を味わえるのはリクとハジくらいかな。
ディーヴァや僕らにとって、小夜の血が毒であるという以前に―――
女王が僕らと同じように感じるかどうかも判りませんし、ね。
例えば僕らがうっとりするような事でも、彼女たちには痛いだけかも知れません。
まあ確かに僕個人としては、彼ら小夜のシュヴァリエに出来て
僕に出来ない事があるのは、決して気持ちのいいものじゃありませんよ。
でも…それがもし本当に、彼女にとって苦痛にしかならない事なら
別段、羨ましいとは思いませんね。
だって僕にもあるのですから…彼らに出来なくて、僕に出来る事が。
ですから、もう贅沢は言いませんよ。
>>756
>女王に子供が出来て血の効力が無くなったら
>ソロモンたち対の女王のシュヴァリエでも
>サヤの血を飲めるようになったのかしら?
>だとしたら飲んでみたい?
それで血の効き目がなくなるのなら、そうでしょうね。
でも…どうかな、僕は小夜に噛みついて血を吸ってみようなんて、
考えた事もありませんから―――何とも。
それに小夜の項は、そうじゃなくて…
そっとキスしたり、優しく抱き寄せるためにあるんです。
彼女と生きるために、血の遣り取りは必要な事ではありません―――
僕にとって彼女と絆を結ぶために必要なのは、もっと別の事なのです。
それはどちらか片方でも決して痛いだけであってはいけない、
不毛であってはいけない、互いに意味のある事でなくてはいけませんでした。
- 813 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:50:06
- >>757
>その前にサヤの子供の父親が誰であるかが問題。
>ソロモン以外の誰かが父親ということでの>>756の仮説だったら、サヤの血を飲んでみたい?
さあ…、先ほども言いましたけれど、彼女の血が欲しいなんて考えた事がありませんし
もしそうでなくても、きっとそれは僕にとって、問題になりませんね。
何故って…有り体な言い方になってしまいますが―――
小夜が誰の子供を産もうが、僕が彼女を愛している事に変わりないからです。
どうしても彼女の愛が欲しいなら、僕は彼女が自然に心変わりするように
あらゆる手段を尽くすだけです。そんなのいけない?どうして…、
それが彼女にとって不幸でなければ、それでいいじゃありませんか。
ご自分が幸せかそうでないかは、彼女自身が決める事です。
彼女の子の父親に僕を選んだなら、それは彼女の自由です。
>まあでも、空気に触れて血の効力が急激に劣化しているだけで、
>直接項に牙を立てて吸血行為に至れば、死ぬという可能性もあるけどね。
どうでしょう…誰も試した事がありませんから、わかりませんね。
シュヴァリエは、長い間休眠する女王を、目覚めるまで護るための存在です。
ちょっとやそっとでは死なないし歳も取らないのは、身体がそういう風に出来ているのです。
ですから、わざわざ自分から、対の女王の血を求めたりしないのが自然です。
やあ、カールは例外です―――
彼は心が、そうする事を選ぶところまで「行って」しまったのです。
- 814 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:51:02
- >>758
>カールは実際小夜の血を飲んでたよね。
>感想を聞いてみたいな。
僕らにとって彼女の血は毒ですからね。あまり美味しいものではないでしょう。
おや、意外とドライだなと仰る?そうでしょうか?
小夜と一緒に生きるのが僕の望みだったのです。彼女の血は毒であると、割り切らなくては…
でも少し寂しいですよね。例えば彼女が間違って怪我をしてしまった時に
傷口に口をつける事も出来ないのですから。
僕が望んだのはそういう事でしたが、カールは違いました。
彼は小夜と死ぬ事を選んだ。ひょっとしたら彼女の血は、カールには余程魅力的で
彼の舌には何よりも甘かったのかもしれませんね。
彼が小夜と絆を結ぶために必要なものは、そこにあったのですから。
- 815 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:51:45
- >>759
>飲もうとした弟を、お兄ちゃんが阻止しちゃったんだよね。
やあ、そうなれば良かったんですが…
>>760
>いや、ガブガブ飲んでたってば。
>ホントのところはソロモンとカールに聞いてみいようよ。
そう、僕が見た時にはもう遅かったのです。
僕は出来る事なら、カールも小夜も両方助けたかった。
兄さんの命令はどうするのか、と仰る?それは…。
でも、あの時はどうにか出来るのではないかと、心の隅で思っていたのです―――いいえ、
そうできれば、と心から願っていた。
けれどもう遅かった…、カールは半ば彼の願いを叶えてしまっていました。
僕は、その願いを成就させる訳にはいきませんでした。僕にはもう、
小夜をカールと一緒に死なせるか、小夜をカールから引き剥がして彼だけを死なせるか
そのどちらかしか無かったのです―――
アンシェル兄さんが見ていたら、勿論こう仰ったでしょうね。
そのまま放っておけ、と。
そう思うと…僕は悔しくなって、小夜を叱ってしまいました。
敵と闘うために、自分の命を削るなんて。それは彼女の敵にとって好都合な事なのに。
- 816 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:52:28
- >>761
>小夜からガブガブ飲んだならソロモンの代わりに私がお仕置きしてあげるわ。
カールを懲らしめるのですか?いえ、大丈夫ですよ、
あなたにやらせるなら僕がやりますから。あなたが手を汚す事はありません。
>なんて う ら や ま し い !
うわあ…。
あなた、そんなに小夜の血を飲んでみたいのですか?
あなたが人間なら、出来ない事はないと思いますよ…
何なら適度に出血してから、彼女に血をねだってみては?ひょっとしたら、
彼女のシュヴァリエになれるかもしれません。あなたが女性なら難しいでしょうけど。
>ソロモン、カール、ホントのところはどうなのよ?
>この変態兄弟が(褒め言葉)
えっ…ああ…、ありがとうございます。
ですがその…変態、と仰るなら、あなたが褒めなくてはならない人は
もっと他にいるでしょう。僕の兄弟の中に。
その人たちの方が、僕やカールよりずっと刺激的な話をしてくれると思いますよ。
例えばそのうちひとりは、少女のふりをして小夜と同じベッドで一夜を明かしたと言うし
もうひとりは彼女を捕まえて痛めつけ、痛がる様子をじっと見つめていたし…。
…いや…。
どうみても変態です。本当にありがとうございました…。
ね?興味がわいてきたでしょう。僕からあなたを紹介して差し上げますよ。
きっと仲良くなれます。
- 817 名前:ソロモン ◆Jbu22jQwgzXu :2011/05/04(水) 03:53:37
- >>775
>たまにはアンシェルとグレゴリーも思い出して下さい。
もちろん、忘れてなんかいませんよ?
今も…ほら>>816、あるご来客>>761に紹介して差し上げる事になりました。
彼らが何と言って受け止めるかは、判りませんけれどね?
アンシェル兄さんやグレゴリー兄さんとなら、実りあるお話が出来るはずです。
え?いいえ、とんでもない。
面倒だから相手を押し付けるとか、そういう事じゃありませんよ。
変態呼ばわりされた事を、恨んでいるわけでもありません。
だって、そうじゃありませんか…兄弟がみな、ああなのですから。
僕は割かし―――いや、ずっとまともですが、 混同されても仕方がありません。
それじゃあ皆さん、僕は>>761さんをお連れする事にします。
今回は少し、喋りすぎました。すみません。ああしたお話はどうしても、冗長になってしまって。
人間のあなたがたには、つまらない話だったかもしれませんね?
取りこぼしてしまったお返事は、また改めて…ご機嫌よう。
- 818 名前:名無し客:2011/05/04(水) 17:04:07
- 変態っていうかナルシスト多いよね。ナルシーじゃない青組兄弟なんて青組兄弟じゃない。
正確に言えば不思議の国のアリス風って感じかな?
でも最近思うな、青組兄弟って比較すると編態度が低いよねって。
連れて行かれた先で小夜の項にキスして血を啜れるなら最高に嬉し(ry
お髭(アンシェル)×お髭(グレゴリー)の絡みが見れるなら楽しむけどねw
- 819 名前:名無し客:2011/05/06(金) 19:07:06
- あっソロモンが来てる!ぃやっほう!!
新作BLOOD−C放映について、ソロモンさんはどう思いますか?
メガネっ娘もいいけど、個人的には箸井地図キャラデザの小夜で続編してほしかったなあ・・・。
- 820 名前:名無し客:2011/05/08(日) 14:21:30
- >>791
あのね。うさぎさんってあったかくてふわふわで、
みんなを幸せにしてくれるでしょう。
だから私もうさぎさんになってみんなを幸せにしたいと思ったの。
そしたら侍従たんがね、私がたくさん勉強すれば
うさぎさんみたいにたくさんの人を
幸せに出来ますよって教えてくれたんだ。
だから私はいっぱい勉強して、立派なうさぎさんになるってきめたんだ。
それでね、私にとってのうさぎさんはもんもんなの。
いつももんもんの髪はふわふわで、
もんもんのお話はあったかくて、
もんもんとお話してるだけで私は幸せな気分になれるんだ。
きっともんもんは私だけじゃなくて、たくさんの人たちを
幸せにしてきたんだよね。私わかるもん。えへへ。*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 821 名前:名無し客:2011/05/17(火) 21:40:13
- あ
み
だ
そ
う
幸
だ
- 822 名前:名無し客:2011/05/17(火) 21:41:17
- あ
み
だ
そ
う
幸
だ
- 823 名前:名無し客:2011/05/22(日) 11:10:25
- うーん、連投になってたか。
反応しないと思うけど、ごめんね陛下たん、縦読みやりたかっただけなんだ。
あ、ソロモンが何かしてる。
- 824 名前:名無し客:2011/06/06(月) 06:38:44
- アンシェルは金融王なんだっけ
お金は歴史とも言うけどアンシェルはそれに関わってたんだなあ
- 825 名前:名無し客:2011/06/06(月) 12:12:03
- 青葉燃え風光る、気持のいい季節だね
ちょっと庭を借りてもいい?
僕、弓の稽古をしたいんだ
- 826 名前:名無し客:2011/07/05(火) 08:48:03
- 市場でおいしそうな羊買ってきたよ―
- 827 名前:名無し客:2011/07/15(金) 18:35:30
- あなた、美味しそう・・・・・・うふふふっ
- 828 名前:名無し客:2011/08/01(月) 14:01:33
- 僕と契約して、魔法少女になってよ!
- 829 名前:名無し客:2011/08/02(火) 18:09:41
- 翼手も魔法少女になれるのかな?
もしも出来るのなら
小夜はリクだってディーヴァだって生き返らせることが出来るね!
- 830 名前:名無し客:2011/08/14(日) 21:37:54
- 暑い日が続いているね。
翼手でも夏バテはするの?
- 831 名前:名無し客:2011/08/15(月) 21:09:36
- 魔法少女と言えば既に響と奏がプリキュ(ry
いえ、何も
とりあえず奏と響はカイの嫁
- 832 名前:名無し客:2011/08/25(木) 09:25:39
- サヤを助けて自宅に連れて帰った時、
服が汚れているからと言って、どうして全部脱がしちゃったんですか?
サヤが起きたら誤解されて、怒り出すとは思わなかったんですか?
- 833 名前:名無し客:2011/08/30(火) 10:01:01
- 怒るどころか恥らう様子もなく服はどこかと尋ねる小夜
ハジに脱がされ慣れてるからなのかは知らないけど
ソロモンに対しても動じない小夜を超愛してる
まあ外見こそロリコンと少女だけど、実際小夜の方が生きてる時間長いから
当たり前と言えば当たり前
- 834 名前:名無し客:2011/09/07(水) 08:44:21
- ソロモンがもう4ヶ月も帰ってこない。
どうしよう?
- 835 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/07(水) 21:22:49
やあ、あなたがた、ただいま。
…ああすみません、見た感じが少し変わっていますが、僕ですよ。
いつものソロモン・ゴールドスミスです。
鍵を紛失してしまって、新しいものを使っているのです。
あなたがたには、また長い間待たせてしまって…
>>834
>ソロモンがもう4ヶ月も帰ってこない。
>どうしよう?
ええ…?
もうそんなに時間が経ったというのですか!
やあ情けないな、すみません…。あなたがた、
そんなに長い間待っていて下さったのですね。本当にありがとう。正直な所、
僕はもうあなたがたに愛想を尽かされても、仕方がないと思っていました。
でも以前に言った通り、皆さんの言葉には必ず、何らかの形で応えます。
だからぼくの事は、どうか心配しないで。
あなたがたは、何もしなくていいのですよ。ただ、もし良かったら
あと少しの間、待っていて下さい。
どうして帰りがこんなに遅くなったか、ですか…?
それが、少し問題があって…
…本当は、こんな事告白したくないのですが―――いいえ、
言ったとしてもあなたがたには、何の事だか判らないとは思いますが
ぼくはあなたがたに会うために必要な、大事でしかも高価な道具に
事もあろうに水をかけて壊してしまって―――
皆さんに用意した返事の内容も、他にあった重要なものも
全部台無しにしてしまったのです。新しいものを用意するのにも、
駄目にしたものを復元するのにも、大変な時間がかかってしまいました。
やあ、いけない。すっかり言い訳になってしまいました。
御免なさいね。中の人なんて概念は無いのですからね。
僕はもう少し外せない用事がありますから、今はここに留まる事が出来ませんが
なるだけ早く片付けて、あと数日で戻ります。その時はまた、僕と遊んで下さい。
ひととおり眺めると、面白そうなご質問ばかりじゃありませんか…
それでは、今はこれだけ。少しの間、失礼します。
- 836 名前:名無し客:2011/09/09(金) 00:00:16
- おかえりなさい、ソロモン
素敵な秋物のスーツ、新調したのね?
あやまらなくてもいいのよ
わたしはあの約束をずっと信じていたから
- 837 名前:名無しの客:2011/09/09(金) 23:21:52
- ソロモン良かった〜
のんびり待ってるから、ゆっくり用事を済ませてね。
- 838 名前:名無し客:2011/09/12(月) 07:56:57
- ソロモンもうっかりだねえ、この場所にはいないアンシェルそっくりだ!
中の人なんて知らないけどまあそんなこともあるんだよ、なくるないさ!
- 839 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/14(水) 03:58:07
- >>823
>うーん、連投になってたか。
おや、あなた―――良かった。目が覚めたのですね。
>あ、ソロモンが何かしてる。
何って…、あなたの看病ですよ。
水を飲みますか?さあ…、どうぞ。ああ、無理しないで。
あなた、ここに来た後の事を覚えていますか?あなたはひどい熱で、
門をくぐった途端に倒れたのですよ。僕はちょうど用事から帰ってきたところで、
吃驚しました。疲労と熱中症のようですね。いまは大事ないようで、良かった。
ところで…あなたはひどくうなされて、うわ言を言っていたのですよ。
ええと…そう、>>821-822 あ…み…だ…そう、幸…だ。
あなたが無理をしてここにたどり着いた理由が、関係あるのじゃないかと思って―――
僕はあなたの力になりたかったのですが、意味が判らなくて。
日本語のようだったので、日本人のご来客に訊いてみたのです。
そうしたらある人は、これはもしかすると「あみだ/そう/幸だ」という具合に
文節が分かれるのではないか、と仰いました。つまりあなたは、
浄土教系の僧侶の幸田さんという方を探してここに来たのでは、と。
それで僕も、僧侶の幸田さんを探したのですが…ご来客の中には居ないようです。
あなた心当たりは?…ない?そうでしたか…。
やあそうだ、そういえば、もっと別の事を仰った方も居たな。でもこれは、
あなたの無意識のうちの事かも知れませんから―――何とも。聞いておきますか?
「あみだそう」という言葉は、英語では“think out”“device”に相当する言葉で
あなたはひょっとすると、幸せになる方法を模索しているのではないか、というのです。
文末が断定で終わっているので、よほどその思いが強いのでは、とも仰っていました。
あなた、もしそうなら…いや、これはお節介かも知れませんが―――
知らず知らずのうちに、ご自分を脅迫してはいませんか…?
…そうじゃなくて?ああ、それは失礼しました。
>反応しないと思うけど、ごめんね陛下たん、縦読みやりたかっただけなんだ。
成る程…、あなたの探し人はその、陛下…たん?という方なのですね。
陛下、というのは―――“Her Majesty”、ですって?大変な身分の方だな。
さて―――そんな名前のついた方が、この場所に居たかな…。
僕には覚えがありませんね。ちょっと、ご来客に当たってみます。
ああ、あなたはいいのですよ。熱は下がったようですが、まだ油断は出来ません。
ここでゆっくりしておいでなさい、点滴が切れる頃にまた来ますからね―――
- 840 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/14(水) 03:59:56
>>836-838
これは失礼、ご挨拶が遅くなってしまいましたね。
何しろ、帰ってくるなりご来客が倒れていたものですから―――ええ、
もう落ち着いたようです。大丈夫。
それよりあなたがた、どうもありがとう。
おかげで安心して、用事を済ませる事ができました。
>素敵な秋物のスーツ、新調したのね?
やあ、わかりますか?以前のものを水で台無しにしてしまったから、
ではあるんですが―――きちんとした格好になっているなら、何よりです。
>まあそんなこともあるんだよ、なくるないさ!
本当に、お恥ずかしい話です。あなた、慰めて下さってありがとう。
ですが今の発言、アンシェル兄さんが聞いたら怒りますよ。
いくら兄さんでも、まさかあんな事は―――ああ、今のも失礼に当たるのか。
まあ―――そんな事より、懐かしいな…その、「なんくるないさ」?でしたか。
小夜の好きな言葉だ。オキナワでよく使われるのでしたね。
僕の生まれた国の言葉で、“Ce qui sera, sera”に当たります。これも有名でしょう?
くす…、その言葉を聞いて、僕も何だか安心しました。
これで今回もいつも通り、皆さんに返事ができそうです。
ただひどく前後してしまっているのが、申し訳ないところなんですが…
抜けたものに関しては、改めて応えますからね。
- 841 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/14(水) 04:01:15
- >>778
>アンシェルはディーヴァの花婿になれるハジに嫉妬していたという。
そうだったのですか…。
ハジが同じ理由で僕らに嫉妬を覚えるかどうかは、判りませんけれどね。
彼にとっては、そんな事は問題にならないかも知れません。
>だけど小夜もハジもアンシェルの「花嫁」「花婿」なんか知らない。
>女王を孕ませたら血の効果は無効となると知れば、どうなるか・・・
>ネイサンだったら簡単に修羅場を予想できたかもしれないね。
>>779
>ああ、だからネイサンはディーヴァの傍にいながら、
>その事実を沈黙していたのか。小夜が襲われないために。
成る程、面白い考えです。けれど―――、
僕らは小夜を襲いましたよ。彼女が弱っているのを良いことに、
兄弟で代わる代わる何度も、執拗にね―――もちろん、殺すつもりで、です。
その方が、余程小夜にとって危険だと思うけどな…小夜を無力化するなら、
言うことを聞かせるより、殺してしまうほうが容易だったのですから。
それなのに、ネイサンはそれを止めようとしませんでした。そればかりか、
確か「小夜を排除する事に反対する理由がない」とまで言いました。
それに―――逆に考えてみるとどうでしょう?
もし仮にネイサンが、アンシェル兄さんにその事実を打ち明けたら…?
どうしてネイサンがそれを知っているのか―――そういう問題になりませんか?
これは少しの間、ネイサンと兄弟として過ごした僕の考えではありますが…
思い返してみると、彼はディーヴァと小夜の争いを見ていながら決して口を挟まず
傍観に徹しているようなそぶりでした。
もしネイサンが、前世代の女王のシュヴァリエだというのが本当なら
彼がディーヴァのシュヴァリエとして、僕らと共に過ごした目的は
彼の手で女王の運命を左右することではなく
ただ、この世代の翼手の眷属がどういう道を辿るのか、それを見届ける事(―――と、
ディーヴァをプロデュースする事―――)だったのでは?
だから彼は正体を明かさず、何の策も出さなかったんじゃないかな―――
彼は最後に、小夜にだけ真実を打ち明けたのでしたか。
それはもしかすると…何も解らずにひとり生き残っ「てしまった」小夜への、
彼の優しさだったのかも知れませんね。
- 842 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/14(水) 04:03:50
- >>780
>リーザ形態のアンシェルにハジは潰され、
>リク形態のディーヴァにソロモンは潰された。
>主従揃って同じ場所潰すなんて、仲良いね。
>ハジソロも潰され仲間。仲良し仲良し。
待ってください、何を―――ですか?な…、ナニを、では判りません。
もっとはっきり…
―――――――――!!
ぼ…僕は、ディーヴァにそんなものをどうこうされた事はありませんッ!
それはディーヴァに対する暴言ですよ。何かの間違いです。
というか、そんな事はどうでもいいんです。僕のことは。それより、
今のは本当ですか?ですから―――アンシェル兄さんが、ハジにそんな事を?
ああ…、
兄さんは本当にw残酷な人wwだwww
えw?いや、笑ってなどいませんよ。にやついているのは、生まれつきです。
それに僕は悲しい時ほど笑ってしまうのです。ハジ、可哀そうなハジ…
でもね、先ほども言いましたが、僕のほうは何かの間違いですから…
だってそんな事、幾ら何でもディーヴァは…。兄さんならやるでしょうけど。
ですから、僕と可哀そうなハジを一緒くたにしてはいけません。
したがって、仲良くする理由もありません。
もちろん僕はいいのですよ?ハジが僕と仲良くしたいと言うのならね。
今のその言葉、僕でなくてハジに言っておやりなさい。
たぶん、同じような反応をすると思いますけどね。…ああ、ただ…
兄さんにやられた過去を思い出して、真っ青になるかもしれませんwねww
え?いいえ、何度も言いますが、これは悲しいからです。
- 843 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/14(水) 04:09:03
- ええと…、ああ、今度は真面目なお話ですね?
悲しみが顔に出ていて、すみません。
>>798
>シャトー・デュエルは何回くらい沖縄に輸出したの?
あなたの仰るのは、67年のラベルの貼られたものの事ですね?
さあ、どうだったかな…
オキナワの研究施設は、あまり大きなものではありませんでしたから
それほど多くはなかったでしょうね。実のところ僕も、オキナワの事には
直接関わっていませんから…正確な数字までは判らないのです。ええ、
実験場の統括はヴァンに、現地の管理は殆どある国―――まあ
ジェイムズが属した軍の事ですから、ぼかしても意味はないんですが―――
ある国の軍に任せていました。
だから僕は大まかな指示を出して、上がった書類に署名するだけ。
直接、管理には関わっていません。
あそこはベトナムのような重要拠点でもありませんでしたし、ね。
それに、ベトナムでのD-67の采配はカールに一任してありましたから。
ある国の軍の物資とは別のルートで出荷するように指示はしましたが
そこから先の事ははっきりしないな…、
え?ええ、仰る通りで丸投げです。
それでも、カールは確りやってくれましたよ。
僕らはワインだけでなくて、眠るディーヴァの保護も彼に任せていたのですから。
いつもすぐ側に居られて、嬉しそうでしたよ。口には出しませんけれどね。
でも、彼はそれから暫く、ディーヴァには会えませんでしたね。
彼女をファルマシーの本社に移してからが、
彼の仕事の本番だったのに…正直な所、僕は死ぬかと思いました。でも、
起きてすぐ兄さんが傍に居ないのでは、それも仕方がありません。
カールはそれに立ち会えなくて残念だったでしょうけど、
小夜を相手に無茶をするからです。
あれほど、くれぐれも、と言い含めたのにね。
それで―――何の話でしたっけ?
そうだ、シャトー・デュエルの出荷量でしたね。
ところであなた、どうしてそんな事が知りたいのですか?
まあ…僕に訊いても判らないので、何でも構わないんですけどね。
- 844 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/14(水) 04:12:04
- >>801
>あと200でソロモンともお別れか
>寂しいね
ああ、そうか。
もう、この城の門の鍵を締める事を考えなくてはいけないのですね。
やあ…あっという間でした。
>他の皆も最後くらい顔出してくれるといいのに
僕も、彼らがあなたがたにご挨拶するのをもう一度くらい見たかったのですが…
この様子では、仕方ないのかも知れませんね。
ただ―――あと少しとは言っても、僕は皆さんを待たせてばかりですから
このままこの調子だと、もう暫く付き合ってもらう事になりそうです。
>>802
>というか昔の庭スレに戻った感じだね。
>あの頃よりはずっと静かで荒れもなく落ち着いている。
やあ、懐かしいな。
あなたはそんな昔から、僕らの事を見ていてくれたのですか。
それとも、倉庫>>1の記録をご覧になったのかな。
どちらにしろ、どうもありがとう。
おや。
丁度いまのように静かで、穏やかな時があったではありませんか―――
素晴らしいあるじの庭に、嵐の風が吹きつける隙も無かった。
あの頃のあの場所は…そう、まるで『閉ざされた庭』。
あなたがた、聖書を読んだことがありますか?
聖書の一編、雅歌の一節にこうあります。
「僕の妹、僕の花嫁、貴女は『閉ざされた庭』」
この『閉ざされた庭』は、よく絵画に描かれるのです。
その庭にはマリアが居て、彼女を囲むように赤と白の薔薇が咲いている。
その点あの場所―――あるじの庭には、血の赤でも純潔の白でもない
本来この世界に無いはずの、青い薔薇が咲いていました。
神の干渉を撥ねつけるように夥しく。
いま、この場所にマリアが居ないのなら
彼女の血を引くこの僕が、ここを最後の『閉ざされた庭』にしましょう―――
青い薔薇の咲き乱れる、神にさえ閉ざされた庭に。
- 845 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/17(土) 00:24:19
- 君、君…また長い間待たせてしまいましたね。
御免なさい…退屈だったでしょう。やあ、この籠は何か、と仰る?
それは―――もう少しだけ待ってください。
その前に、僕は君にお礼を言わなくてはいけません。
>>820
>あのね。うさぎさんってあったかくてふわふわで、
>みんなを幸せにしてくれるでしょう。
>だから私もうさぎさんになってみんなを幸せにしたいと思ったの。
そうでしたか…、それで君は、うさぎさんになりたいと仰ったのですね。
やあ、それは素敵な夢です。君には勿体ない―――だなんて、御免なさいね。
君の言う通りで、うさぎさんは小さくて、可愛らしくて、見ているだけで
優しい気持ちになれるものです。でも―――
うさぎさんは、自分がそうして愛されていることを、自覚する事が出来ません。
それと同じで、彼らには考えることが出来ません。だから…うさぎさんは
どんなに可愛くても、間違って君に噛みついてしまう事だってあるでしょう。
その点、君には考えることが出来ます。例えば大事なものを守るために、
何か傷つけていないか。自分の願いを叶える代わりに、誰かを泣かせていないか。
そう…、そういう優しい心を持っているのは、人間だけなのですよ。
それに君はもうすでに、優しい言葉をたくさん持っているではありませんか―――
僕はね、君が生まれるずっと前から、こうして生きていますけれど
その間、いろんな事がありました。僕は、僕の大事なものを守るために、
沢山の嘘を吐いてきました。ええ、僕の口から出た言葉は決して
優しいものばかりではなかったのです。それを君は…
ありがとう。その言葉で、僕は報われます。
君はきっと本物のうさぎさんよりも…、…くす、君にとっては僕がうさぎさんなのか。
それじゃあ君は間違いなく、僕よりもずっと素敵なうさぎさんになりますよ。
僕に出来ないことが、君には立派に出来るのですからね。
やあ、この籠でしたね。これは君のためのお土産です…、
僕はそれに触ることが出来ないのですが―――さあ、開けてみて。
…ほらね、かわいいでしょう?
【Jersey Wooly】
http://charaneta.just-size.net/bbs/fupbbs/obj/obj155_1.jpg
ごらんの通り、ほんもののうさぎさんです。
よく見るとふわふわした巻き毛で、僕にそっくりじゃありませんか?
君の言葉が嬉しくて、探してきました。君はこれで―――いつか僕がいなくなっても、
このうさぎさんを見るたびに、僕を思い出す事ができる。
こんな事を言うには、まだ随分早かったですね。御免なさい、でも…
このうさぎさんが、君が僕を思い出すよすがになると思うと嬉しくてね。
君と君のご家族―――そこにいる侍従さんやお側仕えさん、
それから…やあそうだ、機会があったらコイズミさんやアソウさんも一緒に、
どうぞ可愛がってあげて下さい。
- 846 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/17(土) 00:26:50
- >>781
>皆、アヴァロンに行ったんだね
アヴァロンというのは…アーサー王の伝説に見られる、英国の理想郷の事ですね。
確かそこには不老不死をもたらす黄金の林檎が成っていて、
どんな傷でもたちどころに癒やす事ができる。素晴らしい理想郷です。
そこへ行けばきっと争いもない。心に波風も立たず、穏やかに過ごせることでしょう。
でも―――僕はまだ、ここに居ますよ。
僕には、というか翼手には、不老不死の林檎も傷を癒やす湖の乙女も、
必要のないものですから。全部、自分で出来てしまうのですからね。
僕にとってのアヴァロンは…今はわざわざ行かなくても、まだここにあります。
>>783
>いなくなったんじゃなくて思い出の世界へ移動したんだよ
僕は本来あなたがたにとって、もうずっと前にそうなるべきでした。
あの薄暗い路地裏で、アンシェル兄さんの足元に崩れた時には、もう。
でも―――僕はいま、こうしてあなたがたの前に居る。
これは幸運なことです。僕はこの場所と、あなたがたのお蔭で、
いろいろな人に会えた。最後にもう一度会いたかった人、その心の奥を知らないまま
別れてしまった人―――僕は幸運でした。あなたがたに感謝しています。
あなたがたは、いかがでしたか?
僕は立派に、あなたがたの中の僕の延長でいられましたか?
…まあ、こういう話は後に取っておくことにしましょうか。それより…、
「思い出の世界」には、いつも美しいものの方が沢山あるものです。
それはずっと心の中にあって、目を閉じればいつでも行くことができる。
そこには美しい記憶があって、傷を負った心もたちどころに癒やされる。
まるで先ほどのお話にあった、アヴァロンのようですね。
あなたがたの仰るとおり、僕らは本当にそこへ行く時が来るでしょう。その時には―――
あなたがたの理想郷に、その中の美しい記憶の一つに、僕らの名前を加えて下さい。
- 847 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2011/09/17(土) 00:28:59
- >>796
>REC完了、小夜に動画と音声添付完了
>もう手元に届いたころだね!ネットって便利だ♪
ちょ…、きみ、まさかあれ>>794を録画して彼女に送りつけたというのですか…!
さては最初からそうするつもりで、僕にあんな事を言わせましたね?
やられた―――何て事を…!
痛ッ…また鳩尾のあたりに疼痛が…、
…い―――いや、ちょっと待って下さい……?よく考えてみたら、
小夜があの映像を見たからといって、それがどうなるというのです?
映っているのは僕が、血を吐きながらしきりにハジを褒め称えているだけの内容です。
小夜が怒るような事でもないし、むしろ喜ぶのでは―――ああ、まさか―――
あなた、具合の悪そうな僕を彼女が心配してくれると思って、こんな事を…?
それはそうです、僕が事もあろうにハジへのあぃ…ゴホッ…愛を語るなんて
体に変調をきたしたとしか思えません。あまつさえ、血を流しながら、です。
あなた…何てお優しい…。
…なんて、言うと思いましたか?この僕が?
ふふん…、御覧なさい。先ほど、鳩尾の疼痛を堪えていると見せかけて
ケーブルを引き抜きました。動画は重いですから、送信に時間がかかる筈―――
これでその端末からは、送信できませんね。
…?何ですって?そ、それはまさか―――スマートフォン…!?
ではこのパソコン端末は―――ブラフ…!!?
くっ…、いや…まだ、小夜が見て楽しむだけならいいのです。ただハジが―――
それを見て失笑すると思うと―――君、お願いですから、
そのメールに一言、ハジには見せないようにと書き添えて下さい―――
- 848 名前:名無し客:2011/09/29(木) 09:58:32
- ハジには見せないように?いや無理無理w
いやあ、ソロモンとハジの反応って超楽しいなあw
さすがスマートフォンw
- 849 名前:名無し客:2011/10/06(木) 17:20:04
- タップシューズあげるよ!
- 850 名前:名無し客:2011/10/06(木) 17:25:02
- ギモーブある?
ってかフランスでマシュマロを指すんだっけ?ギモーブ
- 851 名前:名無し客:2011/10/10(月) 11:16:01
- ブルーホールって知ってる?そこにまつわる怖いお話も
- 852 名前:名無し客:2011/10/15(土) 14:54:37
- 時を遡ってでも取り戻したいものはありますか?
- 853 名前:名無し客:2011/10/27(木) 19:58:10
- 小夜から預かった動物園の鍵、ソロモンのポケットに置いておくよ。
- 854 名前:名無し客:2011/10/27(木) 21:35:55
- バラのドライフラワーのさ、茎の部分っていうの?
そこになんか少し古びた指輪がくっついてて、いじったらドライフラワーが散って指輪が落ちちゃった
これも一緒にソロモンに渡しておくね、動物園の鍵に紐を通してくっつけてっと
まあまあ綺麗なオブジェになったかな?
- 855 名前:名無し客:2011/12/13(火) 12:09:13
- もうすぐクリスマスだね
手作りツリーとダンスパーティが懐かしいよ
- 856 名前:名無し客:2011/12/25(日) 00:07:21
- 今年こそクリスマスは中止になった!
- 857 名前:名無し客:2011/12/25(日) 16:36:52
- まあ、クリスマスってのは本来厳かな日だからねー。
良いサンタクロースと悪いサンタクロースがいれば面白そうなのになあ。
- 858 名前:名無し客:2012/01/10(火) 08:56:05
- ソロモーン
ソロモーン
あれ?誰もいないのかなあ?
- 859 名前:名無し客:2012/01/13(金) 21:49:17
- ねーもんもん。ちょっとだけ、もんもんのおててを握ってもいい?
なんだか、もんもんともう会えなくなっちゃうような気がして…
変だよね。もんもんはずっとここにいるのに*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 860 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:13:02
やあ皆さん、ご機嫌よう。
また長い間お屋敷を空けてしまって、すみません。
やっとここへ戻る時間ができましたが、すっかり年が明けてしまいました…
でも、折角ですから、皆さん明けましておめでとう。
>>855さんも、御免なさいね。昨年もクリスマスまでに戻れませんでした。
あなたの仰るような事も、本当に懐かしい。
その時から、ずっとここに居てくれたのですね。ありがとう。
クリスマスに間に合わなかったのは残念ですけど、またここでゆっくりお話をしましょう。
そうそう、クリスマスといえば―――少し、僕の話を聞いて下さいますか?
ここへ戻ってくる途中、奇妙な事があってね。
ちょうどクリスマスの頃でした。全身赤い服を着た、白い髭の老人に襲われました。
そう、まるでサンタクロースのような出で立ちのお爺さんに…
ああ、待って。変な顔をしないで、最後まで聞いて下さい。
彼は強くてね、手こずりました。何しろ僕の武器が通用しないのですから。
あなたがただから言いますが、僕の右腕は変質すると、高周波で振動しながら高熱を発するので
それはすごい切れ味になります。ですが彼の皮膚はジェイムズみたいに硬くて、
歯が立たなかった。この右腕が役に立たないとなると、僕には大変に分が悪いのです。
それに彼の身のこなしは常人離れしていて、その動きについていくので精一杯でした。
僕にもカールやアンシェル兄さんのように、中距離の相手に対して有効なスペックがあれば
敵う相手だったのかもしれませんが―――相性が悪かったようです。
それが判ったので、恥ずかしい話ですが、僕は彼を撒いて逃げてしまいました。
あれが本当にサンタクロースだったとするなら、その強靭さは納得できます。なぜって、
あんな遠い所から、空を飛ぶトナカイのそりという不安定な手段でやってくる訳でしょう?
また子どもに贈り物を届けるために、家屋の煙突から侵入しなくてはならない。
これはとても危険です。あらゆる事故に耐えられるよう、体を強化しなくてはいけません。
ただ…僕がぞっとしたのはその強さだけではなくて、彼の衣服はどうも
最初から赤いわけではないようだった事です―――
あの衣服の赤にはかなりムラがあって…まるで、返り血を浴びたようでした。
…そんな凶悪なお爺さんを野放しにしたのか、と仰る?
ごもっともですが―――僕は極力、争いはしたくないのです。今回は挑まれたので
多少は抵抗しましたが、もともと勝てない争いは避ける質ですから。
それに、人間の治安を守るのは僕の務めじゃありませんからね。そうでしょう?
でも、そうですねえ。
こんな危険人物が跋扈するクリスマスなら、中止になっても仕方がありません。
>>856さんの仰ったこと
>今年こそクリスマスは中止になった!
これは本当だったのかな…
- 861 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:15:01
―――そういうわけで…、こういうサンタクロースが居たら面白いのにと
>>857の君はそう仰るのですよね?
>良いサンタクロースと悪いサンタクロースがいれば面白そうなのになあ。
僕がいまお話ししたのは、悪いサンタの例です。やあ、もちろん今のは全部作り話です。
そんな危険な人間を見かけたら、幾らなんでも通報くらいはしますよ。
お巡りさんに対処できるかどうかは別にしてね。くす、やあ>>857さん、残念そうですね?
クリスマスの時季には、何故かインターネット上で凶暴なサンタの噂が流行りますよね。
ですから>>856さん、君も残念ですが、今年のクリスマスも通常どおりに執り行われました。
君は一昨年のクリスマスにもおいでになって、同じことを仰いましたね…。
わかりますよ、君の気持ちは。君には今年も僕が居ます。一緒にお酒を飲みましょう。
それから、善いサンタさんについては、そうだな…
あなたが観たことがあるかどうか判りませんが、『ナルニア国物語』という映画に登場する
サンタクロースなんかがそうですね。あのサンタさんは赤い服を着てはいませんが、
もともとヨーロッパでは、サンタの衣装の色は赤と決まっていないのですよ。
「彼の衣服が赤い」というのはいつだったか、あの有名なコーラを作る会社が
クリスマス商戦のためにつけたイメージなのです。
ですがそういえば、悪いサンタの話はあまり聞かないな…
怖いサンタの話なら、僕も幼い頃から聞いてきたんですけどね。この辺りでは、
サンタクロースというのはもともと、子供を喜ばせるものではなくて戒めるものでした。
悪いことをすると、一年の終わりに、サンタさんがお仕置きにやってくる。
昔のフランスの子供たちは、そう言い聞かされて育ちました。
日本にもそういうお話があるでしょう?確かトーホク地方に…ああ、なま…なまはげ?
フランスのサンタさんは、多分なまはげと同じです。なまはげ。語感が好いですね。
- 862 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:17:23
- >>797
>よいしょ…っと。ソロモン、これを。
>つ【大きな水仙の花束】
>僕、森の小川のほとりで、今年はじめての花を見つけたんです。
>外はまだ寒くてちょっと早いけど、春のお祝いです。
お礼を言うのがこんなに遅くなってしまって、本当に御免なさい。
あまり素晴らしい黄水仙だったものだから、お礼に何をして差し上げていいか
迷ってしまって。あの時は本当にありがとう。おかげで、屋敷中の廊下が華やかになりました。
あんなに大きな花束ですから、花を選んだり切ったりするのは大変だったでしょう。
怪我はありませんでしたか?…それは良かった、水仙の毒は危ないですから。
それで―――今更のようですが、あなたへのお礼にこれを持って来ました。
やあ、吃驚しましたか?これはリコリス・アルビフローラといって、ご覧の通り真っ白いリコリスです。
あなたは花がお好きなようでしたから、これを眺めながらお酒でもご馳走しようかと思って。
【LIQUORISTERIE de PROVENCE VERSINTHE La Blanche】
ヴェルサント・ラ・ブランシェ。アブサンの一種で、リコリスを使ったお酒です。
おや、あまり嬉しそうではありませんね?…はは、僕もアブサンは苦手です。
僕も初めて純正のアブサンを試した時は、散々でね。でも、この銘柄は違います。
リコリスの芳香がほんのり甘くて、薬草の匂いも程々に抑えられている。
さすがはプロヴァンスのお酒で、いい香りです。
アブサンの味を知っていれば、なおさら飲みやすいと思いますよ―――さあ、試してみて。
…いかがです?意外に美味しいでしょう。
それで、ああ、この花をどこで採ってきたのかと仰る?流石にお詳しいのですね。
仰る通りで、リコリスはこの時季にはもう咲いていません。普通はね。
あなたへのお礼はこれでは足りませんし、僕がどうやってこの花を咲かせたか、
お詫びも兼ねて教えて差し上げます。
ご存知の通り、この花は根にも毒を持っていて、同じ土に他の花が根付く事を許しません。
この動物園にはリコリスの群生地があって―――それが、とても綺麗な湖のほとりなんですが
リコリスの所為で、ほんの一時期しか花が咲かないのです。
だから少しお金をかけて、リコリスだけが年中咲くようにしてやりました。
…見たいですか?まだ、誰にも見せたことがないのです。兄弟にもね。
彼らに見られたら、詰られそうな気がするものですから。
他のご来客も、近くまでお連れするつもりなのです。後でご案内しますよ。
- 863 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:19:45
- >>850
ギモーブある?
ってかフランスでマシュマロを指すんだっけ?ギモーブ
ギモーヴ!
あなた、よくご存知ですね?もちろんありますよ。ここはフランスですからね。
使用人たちが彼らのおやつにするために作ったものを、分けて貰いました。
やあ、大丈夫。これは簡単なお菓子で、またすぐに作れますからね。
ギモーヴといえば、昔は細長いひものような形をしていたと思うのですが…
最近お店で出回っているものはこんなふうに、立方体に近いのですね。
やあ、ギモーヴなんて久しぶりだな。君、知っていますか?
ちょうど僕がほんの子供だったころ、いまのようなお菓子になったのですよ。
もともとはお菓子ではなくて、胃腸の症状に効く薬のようなものでした。
材料のアオイの一種をゼラチンで代用するようになって、薬効がなくなったのですね。
僕も、あのお菓子は好きでしたよ。口の中でとろけて、甘くてね。
君の言うように、マシュマロと同じものだと思われることが多いのですが、
口に入れると少し違います。マシュマロよりは柔らかくて、すぐに溶けてしまう。
暖かい場所に放置していると、べたべたになってしまいます。
そうだな…、生チョコレート、とか生キャラメル、というのがあるでしょう?
それと同じですから、生マシュマロ、というのがいいかな。
さあ、どうぞ。
- 864 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:22:11
- >>819
>あっソロモンが来てる!ぃやっほう!!
やあ!僕の姿を見て、そんなに喜んでくれるのですね?
君にもあげましょう。ギモーヴ。はい。
赤いのがブルーベリー、こちらのピンク色がフランボワーズ、これは苺だそうです。
さあ、べったりしないうちに早く食べて。
…おや、遠慮する?どうして、美味しいのに―――とはいっても、
僕には味の判別は難しいのですけれどね。
僕はどちらかというと、ギモーヴは冷たくて口当たりが良くて、食感が何かこう―――
…え?
やっぱり?何がですか?…ああ、待ってください、ギモーヴって…
>新作BLOOD−C放映について、ソロモンさんはどう思いますか?
>メガネっ娘もいいけど、個人的には箸井地図キャラデザの小夜で続編してほしかったなあ・・・。
やあ、それだ。BLOOD-C。
何だか最近、どこかで聞いたような気がしたのです。
確かにその中で、ギモーヴの口当たりについて、とんでもない無体な事を言う人がいました。
何でしたか、人の内臓がどうとか…。
彼には全てのフランス人とギモーヴに謝って欲しいですね!
それで…その作品についてどう思うか、そういう事ですね?
- 865 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:24:48
- >>803
>BLOOD-Cに青薔薇兄弟が出たら・・・ここも続けてほしいなあ。
>>804
>出る可能性を信じてるなんて健気だね…
成る程、先ほどから、そのお話をしているご来客が多いようです。
あなたがたにもご挨拶が遅くなってしまって、御免なさい。
ご覧の通り、僕はその話題にはすっかり乗り遅れてしまいました…道理で、
そのお話の中に僕らの出番はなかったようですね。
やあ、知っているには知っていますよ。
初めと終わりの、さわりだけはね。ほんの一部分ですから、どう思う、と言ってもなあ…。
あまり偉そうな事を言うわけにはいきませんけど、そうだな…
そうそう、確かそのお話の主人公の女の子も、確か小夜といって
ジャパニーズ・ミコの少女なのですよね。彼女は巫女さんの格好も、お洒落な眼鏡も
よく似合っていて、とてもかわいい。それに強いのですよね。嫌いじゃありませんけど、
僕はやっぱり彼女より、こっちの小夜のほうが素朴で好きです。そう思いましたよ。
彼女の敵はとても変わっていて…そうだ、彼女が日本の―――おジゾウさん?
そうそう、お地蔵さんと闘っているのを見たときは、わが目を疑いました。
ああそれから、ここから先は物語の核心に触れるかもしれないので
僕の話をお聞きになるなら、気をつけてもらいたいのですが―――
ネイサンに声がそっくりな人が居ましたね。小夜という少女のお父さんでしたか。
本当にネイサンなのじゃないかと思って、注意して見たのですが
違っていたようで…何でしたか、ダサき…いや、グロき…違う違う、大変失礼しました。
古きモノ、でしたか。僕らのお話とは全く別の世界の事で、つながりは無いようでしたね。
ですが正直な所、僕個人としては、それで安心しましたよ。
続編が見たい、というのは>>819の君と同じです。ただ、血なまぐさい争いさえ無ければね。
ですから、あのお話が僕らのお話の延長でなくて、ほっとしました。
かわいい小夜とディーヴァのご息女たちの物語に、グロテスクな闘いは必要ありませんよ。
それに、あのお話の主人公の小夜は、こっちの小夜とディーヴァの不幸せな所ばかりを
取り出して、組み合わせたような境遇で…孤独で、最後まで救いがなくて…
彼女がこれから何を支えに生きていくのか、気にはなりましたけれど
可哀そうで、とても見ていられませんでしたよ。
同じような設定の生き物として、いちど彼女に、自分の人生についてどう思うか
聞いてみたいくらいです。確かあのお話には、映画になるとかで続編があるのでしたね?
これは蛇足ですが、>>2にもあるように、ここ動物園は『クロスオーバー可能』ですから。
万に一つ彼女がここにふらっと現れても、僕はご来客と同じように歓迎しますよ。
- 866 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:28:47
- >>828
僕と契約して、魔法少女になってよ!
おや、君は…?
まあいいや、ご機嫌よう。何かの契約の斡旋にいらしたのかな。
さあ、こちらへ。
それで…魔法少女?
あなたは誰と契約を結ぶつもりで?…は?僕?
僕は少女じゃありませんし、何かの間違いでは…?
…僕は例外、と仰る。
僕の感情の遷移は思春期の少女並みで、
僕の願いが生じる熱量はエントロピーを凌駕する可能性がある、と仰る…。
…ちょっとよく意味が解りません。
デモ動画があるから見るといい?成る程。どれ…、
ああ、これは無理ですね。
確かにこの少女たちはとてもかわいいです。特に、この剣を持った青い髪の少女。
やあ、美樹さやか、という。とにかく声がかわいい。凄くかわいい。
でも幾ら何でも、僕はこの中には混ざれませんね。
こういう仕事はカールに頼んで貰えますか。
彼なら君の言う条件も多分揃っているし、何より快諾しそうですから…。
ああでも、その前にまず契約の内容を聞いておきます。
まず魔法少女の契約をすると、どんなメリットがありますか?
―――成る程。一番の願いを叶える事が出来る。凄いですね。
では、その対価は?それから、リスクです。
それだけのハイリターンなら、相応の対価とリスクが必要な筈ですね?
契約者とその相手が同等の利益を得なければ、契約は成り立ちませんからね。
対価は…魔女退治?
成る程、雇用契約ですか。それも、ただの人には出来ない事のようです。
報酬に見合うリスクと言えますね。ではもう一つ、この契約によって君が得る利益は何ですか?
マージンかな?では、そのマージンを君に払っている後方の機関は何ですか?
事業の内容からすると、ただの企業ではなさそうです。魔女が実在するなら、教会絡みでしょうか?
わけがわからないよ、ですって?
…いやいや、だってその契約は現実的でないじゃありませんか。
契約者の望みを何でも叶える、というのがね…特に>>829さんの仰るような願い事は、
人の手で叶えられるものでもないでしょうに。そんなの絶対おかしいですよ。
それでいて、自分がどこに雇われるかも判らないのではねえ…。
例えばヘルシングとかイスカリオテとか、名の通った機関であると保証して頂かないと。
…そんなに嫌なのなら、本物の少女に営業をかける?
小夜(少女…?)とか、何ですって>>831、ディーヴァのご息女たちでもいい…?
その、プリ…プリキュア、に対抗させると仰る。厳しい業界のようですね。
それならそれでいいのですが…>>829さんの仰るように、
実は僕も小夜も、カナデもヒビキも、普通の人間じゃないのですよ。それでも契約できるのかな。
次においでになる時までに、その辺りの事を確認しておいて貰えますか?
あと、やはり契約は書面でしないと。明文化した約款と、契約書を用意して下さい。
それが揃って、初めて考えましょう。
…おや。残念そうですね、>>831さん。
ですが今のは、雇用契約を交わす上で必要最低限の事ですから。
それを示されもしないで、おいそれと契約させるわけにはいきません。
でも、少し大人げなかったかな…先ほどの、キュウべえという猫のような生き物は
珍しかったし、何より時々顔を掻いたり、お腹を見せたりして、可愛かったですね。
それに聞いて下さい、この僕に体を触らせてくれたのですよ。
触った感触も…そうそう、ギモーヴのようで…あんな動物に触ったのはいつ以来かな?
今度ここに来たら、もう少し優しくしてあげる事にします。
彼は何を好んで食べるのかな?
- 867 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:35:15
- >>832
>サヤを助けて自宅に連れて帰った時、
>服が汚れているからと言って、どうして全部脱がしちゃったんですか?
よくあるご質問ですね。
はー…、そんな事もありましたか…。その事については、
あの夜のほかの思い出が強すぎて、あまりよく覚えてはいないのですが…
釈明しておかないと誤解を与えそうなので、言っておきます。
だってあなた―――小夜はあの時怪我をしていて、それも休眠が近いせいで
傷の治りが遅くなっているようでした。放っておけば自然に治るとはいえ、
手当てはしておかないと…例えば骨が折れているなら固定しておくとか―――
でないと、後遺症になってしまうかも知れないのですよ。
それはもちろん…彼女が負傷したのが腕だけなら、そんな事をする必要は
なかったわけですが―――他に何かあったら、大変ですから。
それを確かめるために、彼女の衣服を脱がしたのです。
どうしてって、それはあなた、病院でだって意識のない重症の急患が運ばれてきたら
そうして処置するでしょう。何もおかしな事はありません。
衛生面から考えても、そうするべきでした。仰る通りで、血と泥で汚れていましたから。
それで、彼女の体を隅々まで調べたわけですが―――結局、怪我は腕の骨折だけでした。
でも、それも酷いものでした。…アンシェル兄さんも、小夜の動きを止めたいだけなら
わざわざ折って痛がらせなくてもいいですのに―――だって、
少し時間がかかるとはいえ、どうせすぐに治ってしまうのですよ?
ただ痛い目にあわせたかっただけとしか思えません。酷いことをする…
何にしろ、ああして調べておいて良かったと思います。…知っていると思いますけど、
僕には医師の経験があるのですよ?少しは信用してもらいたいものです。
>サヤが起きたら誤解されて、怒り出すとは思わなかったんですか?
それはもちろん―――相手は女の子ですから。
あれでもし彼女が怒ったなら、僕はきちんと説明して解かってもらうつもりでした。
それでも彼女が僕を受け入れてくれる自身がありましたから。…あの時は、まだ。
でも、そうですよね。
正直な所、小夜がおかしな方向に誤解しなくて良かったと思います。
彼女はそれどころじゃなかったでしょうし―――
あの時、空軍基地に残してきたお友達よりも先に、自分の衣服の心配をしていた所は
女の子だからかな、と思いましたけどね。
それとも、純粋な彼女は思いつかなかったのかもしれない。
僕がよこしまな動機で彼女に何かするかも、なんて…やあ、小夜は本当にかわいいな…
…ええ?
>>833
>まあ外見こそロリコンと少女だけど、実際小夜の方が生きてる時間長いから
>当たり前と言えば当たり前
この外見が、ですか?
そうは言っても、小夜の見てくれは16歳かそのくらいでしょう?
もうりっぱな女性ですよ。僕の方はそうだな、20代後半くらいに見えますか?
そんなにおかしな事でしょうか…君の言う、その、ロリコン…っていうのは、
もっと小さな子どもを恋愛の対象にする人の事ではないのですか?
何ですって?よく考えてみてほしい、と仰る。はい。
彼女は16歳の高校生で、僕は立派な大人で、しかも大きな会社の社長で…
ううん…、成る程、スキャンダルです。
でもそれは―――。君の言う、その『ハジ』だって同じじゃありませんか。
君の言葉はあえて受け流しますが。…ああ。まあ、彼はいいですよね。
社会的に僕のような肩書きがあった訳じゃないのですから
別にスキャンダルにもなりはしません。ふふん…、
…別に優越感に浸るような事じゃない、と仰る?…ですよね。
- 868 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/01/15(日) 01:37:08
- >>825
>青葉燃え風光る、気持のいい季節だね
>ちょっと庭を借りてもいい?
>僕、弓の稽古をしたいんだ
やあ、君―――稽古は捗っていますか?
僕がいなくても、庭を使ってはいけないと言う人は居なかったでしょう。
でも、そろそろここでの稽古にも飽きてきたのではありませんか?
僕がもっと良い所を教えてあげましょう。
お屋敷の裏手の林を抜けて暫く歩くと、グレゴリー兄さんの狩場があるのです。
その辺りは、鹿や兎が沢山出るのだそうで…ええ、熊などの天敵が近くに居ないからです。
彼らは動く的になります。稽古場には丁度いいと思いますよ。
上手くすれば、新鮮な食材が手に入るかも知れませんし…行ってみますか?
僕が一緒にいると動物が寄ってきませんから、稽古の間は離れている事になりますが
後ろにはこのお城、前には大きな温室が見えるので、それが目印になります。
ほかのご来客>>797をその温室までお連れするつもりなので、君も一緒に行きましょう。
- 869 名前:名無し客:2012/01/16(月) 04:36:43
- ソロモンの親衛隊にあなたの爪の垢を煎じて飲ませてあげたいな。
そうすれば少しは紳士淑女的になるんだろう。
- 870 名前:名無し客:2012/01/19(木) 14:54:39
- 別の世界のサヤは、友達も好きな人も、誰一人護れなかったらしいね
- 871 名前:名無し客:2012/01/20(金) 12:39:57
- >彼は何を好んで食べるのかな?
少女の絶望とかじゃないっすかね
小夜さんなら良い供給源になりそうな
- 872 名前:名無し客:2012/01/31(火) 13:43:21
- 処女や童貞の血はそうじゃない人の血より美味しかったりするんですかね?
- 873 名前:名無し客:2012/02/09(木) 10:45:34
- 吸血鬼って狼男を配下に連れているもんだと聞いたけど、貴方は連れていないの?
- 874 名前:名無し客:2012/02/13(月) 11:54:23
- 元気な娘とおしとやかな娘、モノにするならどっちがいいですか?
- 875 名前:名無し客:2012/02/15(水) 01:52:13
- 誰かにチョコもらえましたか?
- 876 名前:名無し客:2012/02/20(月) 10:34:41
- ディーヴァさんて肉食系女子ですね
- 877 名前:名無し客:2012/03/01(木) 21:45:50
- 明日は今日より、良い日になるかな?
- 878 名前:名無し客:2012/03/03(土) 09:46:59
- ディーヴァの娘さんたちは、母親のことはどう聞かされているんでしょうねぇ
- 879 名前:名無し客:2012/03/06(火) 23:48:57
- 畑を耕していたら不発弾が出てきたんですけど、どうしたらいいですか?
- 880 名前:名無し客:2012/03/10(土) 05:44:29
- 酷い無茶振りをされた経験はありますか?
- 881 名前:名無し客:2012/03/31(土) 11:20:12
- 働かない大人って嫌よね
- 882 名前:名無し客:2012/04/01(日) 11:51:33
く / ヽ \ ヽ ヽ く ヽ
. で 私 ヽ ´ { ヽ ヽ;⌒Y ヽ > や く
し を > { ',ノ Y. . .} < め >
ょ 騙 く { ー',‐-一二´}ノ ノノ. . ノ ヽ て く
う す > { ノ ゝ彡゙´⌒)ヾ、ノノ.イイ/ ヽ < : >
? 気 < ', イ_ - ´ {zィrァ(} 〉 // ', ヽ <´
> \ /f`)', 弋赱ソ / ' Y⌒ヽ/
/ \ヽ_ハVrハ """/ } ',
⌒Y⌒ヽ / / ヽ弋ソ ′ ノ⌒ヽ/ ′ } ◯
Y o / / ハヘ" ( / __ / }
/ ̄ ̄\ / ハヘ r┐キキ ヽ_/ / `ヽ _ノ / o
/ ヽ { { Vヘ,┴,キキ`ー- 、{/ ヽ\ _ノ
み あ } { \ / /`)キキ / } ',ー‐'´ ̄ ゚
た の 1 \ 〈 ´ /,) キキノ/ i ハ
い 男 } ー‐ ヘ / ,) / ̄ ̄ ̄ ̄ } } ',
に } ∧ ノノ / j }
! / イ {` / / / }
- 883 名前:名無し客:2012/04/25(水) 08:35:41
- ねえ、ソロモン。ここが無くなってしまったら、みんなはどこに行ってしまうのかな?
寂しいなあ。
- 884 名前:名無し客:2012/05/04(金) 23:45:45
- 皆は居るべき場所へ戻るだけ
寂しいと思うのは、構って欲しいだけ
- 885 名前:名無し客:2012/05/12(土) 11:08:05
- 君にはまだ、帰れる場所があるのかい?
- 886 名前:名無し客:2012/05/12(土) 21:11:22
- えーん。えーん。
ソロモンがいないと悲しいよう。
もう会えないのかな。
- 887 名前:名無し客:2012/05/22(火) 05:19:16
- ソロモンも罪作りだね、構ってちゃん量産してさw
- 888 名前:名無し客:2012/05/22(火) 21:13:00
- 実は>>883>>886はリセの女生徒だと見た。
それともソロモンの世界各国にいる愛人候補か?
どっちでもいいけど、女を泣かせるなよ色男。
もうすぐ終わりが近づくのに雰囲気が暗くなるじゃん。
- 889 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 00:50:59
- >>858
>ソロモーン
>ソロモーン
>あれ?誰もいないのかなあ?
ああ、御免なさい。僕はここですよ。
いま戻りました―――ここのところ、ますますここへ戻る間隔が開いてしまって。
僕になにかご用ですか?何でも仰って下さい、この場所は
あなたがたご来客のものでもあるのですから。ご質問でもかまいません、
なにか仰ってくれれば、すぐにとはいきませんけど、必ず応えますからね。
- 890 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 00:52:32
- >>859
>ねーもんもん。ちょっとだけ、もんもんのおててを握ってもいい?
>なんだか、もんもんともう会えなくなっちゃうような気がして…
>変だよね。もんもんはずっとここにいるのに*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
手を?ええ、もちろん。さあ。
君も―――いつもいつも、御免なさいね。それでも僕に声をかけてくれて、
本当にありがとう。大丈夫、もう会えなくなる、なんて事はありません。
もしあったとしても、それは今すぐの事ではありません。
この場所が僕とあなたがたの言葉でいっぱいになるまで
僕はあなたがたと、ずっとお話をして過ごすつもりです。長い間、待たせてしまうのは
本当に申し訳ないと思ってるんですが―――どうにもならなくてね。
やあ、また言い訳になってしまいました。
…いいのですよ、ちょっとだけじゃなくて、いつまで繋いでいても。
君の手は小さいですけど、柔らかくて暖かい。僕は決して嫌じゃないのですからね。
- 891 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 00:54:00
- >>883
>ねえ、ソロモン。ここが無くなってしまったら、みんなはどこに行ってしまうのかな?
>寂しいなあ。
やあ、随分と気が早いのですね?
…そうか、僕が先に、この場所をお開きにする事を仄めかしたからですね?
参ったな―――御免なさい。僕はこの場所を必ず、最後までこの手で守って
そのときが来たらきちんと皆さんに挨拶をして、門の鍵を閉めますと
そういう意思を明らかにしたつもりだったのですが…
それがね…、申し訳ないんですけど、この調子ではそうなるまでに
また随分と時間がかかりそうなのです。何しろ、僕がいちどこの場所を出ると
どうしても戻りが遅くなってしまうもので―――
いまではもう、季節ごとにいちど、くらいの割合になってしまっています。
その点ではいつもご来客の皆さんを心配させてしまって、すみません。
でも、僕はまだここにいるつもりです。責任は全うしなくてはね。
ですから君も、いまから寂しがることはありませんよ。
>>884
>皆は居るべき場所へ戻るだけ
>寂しいと思うのは、構って欲しいだけ
そうですね―――、僕の戻るべき場所は、いまはもうここだけです。
ここに居ればあなたがたに会える。会えば昔の事を思い出します。それがまた、
ぼくをこの場所に引き戻してくれる。あなたがたには感謝しています。
それでもどこか張り合いがなくて、寂しいと感じるのは―――
きっと僕が、やはりまだ誰かに構ってほしいからなのでしょうね。
>>883の彼がもし、あなたの仰る通り構ってほしいだけなのだとしても
彼の気持ちは僕にもわかりますよ。
誰だって一人は寂しい。誰にだって、もういちど会いたい人はいます。
- 892 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 00:55:13
- >>886
>えーん。えーん。
>ソロモンがいないと悲しいよう。
>もう会えないのかな。
おやおや、泣かないで。いま戻りましたよ。
あなたも寂しかったのですね。御免なさい、よしよし…
もう会えないなんて、そんな事はありません。先ほども言った通り、この場所が
僕とあなたがたの言葉でいっぱいになるまで、ここにいるつもりです。
さあ、どうぞ。これで涙を拭いて。あ、ああ、鼻はかまないで―――!
…やあ、はは、ここにおいでの方は、皆さんお可愛らしいかたばかりです。
いいえ、ハンカチの事はいいのですよ。沢山持っていますから。
とにかく、どんなに時間がかかっても、僕は必ず戻ってきます。
ですからあなたがた、もう僕の事は心配しないで。
あなたがたも僕がいつも謝ってばかりでは、僕らしくなくて面白くないでしょう?
それはもちろん、あなたがたに退屈をさせてしまう事は僕の罪です。
>>887
>ソロモンも罪作りだね、構ってちゃん量産してさw
あなたもそう言いたいのでしょう?わかっていますよ―――僕はね、
本当に感謝しているのです。どんなに退屈を強いてしまっても、
あなたがたはここに来て声をかけてくれる。僕に構ってくれる。本当にありがとう。
ええ、そうですよ?
僕もその「構ってちゃん」のうちの一人なのですからね。
だからこうしてここへ帰ってくる。…おや、呆れた顔をして。いけませんでしたか?
- 893 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 00:56:32
- >>826
>市場でおいしそうな羊買ってきたよ―
やあ。あなたも、おかえりなさい。僕もいま戻ったところなんですよ。
りっぱな羊ですねえ。本当においしそうです。
出かけたついでにワインを沢山仕入れてきたんですが、丁度良かった。
羊には、独特の臭みを打ち消す重口の赤がよく合うのですよ。
さっそく調理させて、今晩皆さんに振舞いましょう。あなた、何が食べたいですか?
仕入れてきたのはあなたですからね、お望みに従いますよ。
…お勧めは、と仰る?そうだな、ここはフランスですからそれは沢山あります。
いまならnavarin printanierはどうかな。確か羊のもも肉をローストして、
岩塩で味をつけた春の野菜を添える料理…だったと思います―――まあ、一頭分ありますから
キッチンに頼んで、色々に作ってもらいましょう。
そうだ、夕食までのあいだ、僕とワインセラーへ行きませんか?
赤の中から、あなたの口に合うものを選んでほしいんです。何があったかな…、
重口なら例えばシャトー・レイソン、シャトー・グラン・ビロー、
メジャーなところではジュブレ・シャンベルタン、カヴェルネ・ソーヴィニヨン。
…聞いただけではわかりませんよね。ひとつずつ味を利いてみるといいでしょう。
赤でなくても気に入ったものがあれば、羊のお礼に差し上げますよ。
- 894 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 00:57:33
- >>827
>あなた、美味しそう・・・・・・うふふふっ
ええ、ほんとうに美味しそうな羊でした。…おや。美味しそうなのは羊ではなくて、
>>826の彼だと仰る?はは…、確かに彼は血色が良くて、健康的です。
羊を軽々と担ぐほど体格がいいし、若くて血が濃くて―――
ええ、美味しそうですね。ほんとうに。
やあ、でも彼は―――手加減しないと死んでしまいますからね。困ったな。
そうだ。貴女、僕はいかがですか?
僕は>>826さんのように若く頑健なほうではありませんが、
彼よりも皮膚が薄くて柔らかいと思いますよ。それに僕の血は甘いと、
あるじにもよく褒められました。何より僕は、いくら食べてもなくなりません。
きっと貴女も満足するでしょう―――気に入って頂けましたか?
じゃあ…そのかわり、あとで貴女の血を僕にすこし分けて下さいませんか?
ちょっと痛いかもしれませんけど…貴女が食べた分だけ、僕も疲れてしまいますから。
面白そう?―――やあ、さすがです。
人に見せるものではありませんから、あとでゆっくり。
遊びましょう、二人きりで。
- 895 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 00:58:54
- >>830
>暑い日が続いているね。
>翼手でも夏バテはするの?
やあ御免なさい。ご挨拶が前後して、すっかり季節外れになってしまいました。
それはもちろん―――翼手も生物ですから、得手不得手はあります。
それに僕らシュヴァリエはもともと人間ですから、生まれた場所の気候にも
左右されるでしょうね。実のところ僕も、暑いのはあまり得意ではありません。
同じ翼手でも、女王はどうかな―――どんな気候にも、ある程度の耐性は
あるのだと思いますが…何しろ僕らはディーヴァに、
なるだけ不快な思いをさせないように常に気を配ってきましたから。
彼女の休眠のあいだも、繭の保管場所には必ず冷暖房などを完備しました。
彼女は夏も冬も、楽しそうにしていましたよ。
気候が違うと、お洒落も違いますからね。夏や冬にはよく新しいドレスを
ねだられましたけど、僕も美しく着飾ったディーヴァを見ると嬉しかった。
彼女にねだられるとね、何でも聞いてしまうのです。
彼女は何を着ても似合うし―――ネイサンが彼女をプロデュースして
楽しそうにしていたのも、よくわかります。
きっともう二度とない事ですが、また彼女に何かをねだってほしい。
この口で言うと怒られる事なんでしょうけど、いまでも彼女が懐かしくなります。
ああ、…すみません。
まあ―――ばてるかどうかは、僕らに関しては気持ちの問題かもしれませんね。
- 896 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:00:07
- >>824
>アンシェルは金融王なんだっけ
>お金は歴史とも言うけどアンシェルはそれに関わってたんだなあ
そうですよ。
でもあなた、知っていましたか?それは兄さんの本業ではないのですよ。
確かに、兄さんが本来、優れた生物学者であると知っている人は少ないでしょうね。
ただ、彼があなたの言う通り、資本家として歴史を動かした事も確かです。
この事も、知っている人は僕たち兄弟とあなたがただけでしょう。
ええ、兄さんは本当にすごい人なんですよ。
今だから言いますけど、それが顕著だったのは第二次世界大戦の頃です―――
第一次大戦のときにも、彼はロシア革命の裏で糸を引いていたようですが…
その話は実のところ、僕も詳しく知りません。兄さんは自分の仕事について、
僕にもあまり話しませんからね。
第二次大戦のときは…兄弟間の問題を片づける傍らで例えば、
ナチス総統の暗殺未遂や―――これはカールが、前にこの場所で話したことが
あったかもしれませんが、ナチスのベルンハルト作戦―――ユダヤ人による通貨偽造です。
こういう幾つかの事件に、何らかの形で関わっていた…はずです。
やあ、これも確かでなくてね。何しろ、僕もあのときは忙しかったものですから。
とにかくお金と情報さえあれば人間は驚くほど簡単に、思い通りに動かせます。
それがひとつの国家であってもね。兄さんはそれを知っていて、
なおかつ遣り方が巧かった。戦争の影で立ち回るだけでなく、彼は
ホールディングス本社のあるイギリスで、金融業界での功績を女王に認められています。
彼が兄であることは僕の誇りですよ、もちろんいまでも。
彼は手段を選ばない分、残酷でもあるんですけどね―――
そうでもなければ、あんなふうに巧くは出来ません。
- 897 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:01:06
- >>851
>ブルーホールって知ってる?そこにまつわる怖いお話も
綺麗ですよね。澄んだ青い海の中に、底の知れない真っ黒な穴が
ぽっかり空いている―――あの光景に恐怖をおぼえる人もいるでしょう。
特に有名なエジプトのそれは、ダイバーのあいだでは聖地のようなものだそうですね?
君が仰る「怖い話」というのは、あの有名な映像の事ですか?
ネット上でも動画が出回っていて、都市伝説のようになっていますね。
確かあるダイバーが、探索目的でブルーホールに潜るのですが
浮上できなくなって、まるで引き込まれるように沈んでしまう様子を撮ったものです。
彼は窒素で酩酊状態になり、そのまま無理な潜水を続けた結果
水圧が高すぎて浮上できなくなったところを、下降流に捕まってしまったとか…
こわいですね。
人を酔わせて引きずり込むなんて―――まるで生きているみたいじゃありませんか。
沈んでしまったその底には、一体何があるのでしょうね。
ブルーホールはその形状から、地球の瞳と言われることもあるそうですけど
ああいう怖い瞳の持ち主は実際に居るものですから、それも解ります。
人を引きずり込むあの目は、まるでブルーホールと同じです。
目を合わせるだけで、まるで水に潜ったように息苦しくなる瞳。
あの青い水の底のような目に捕まったら、抵抗できませんよ。
- 898 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:01:49
- >>848
>ハジには見せないように?いや無理無理w
君。お久しぶりです。
小夜やハジからなにか返事はありましたか?ない?…そうでしょうね。
あんな動画を見せられても、反応のしようがないですからね。
ハジが見たかもしれない事も、僕はもう忘れる事にします。
>いやあ、ソロモンとハジの反応って超楽しいなあw
…楽しかったですか?それは何よりです。
でもお願いですから、これきりにして下さい―――何故って…、
僕はこれまでどんな難題を抱えても、ストレスで吐血したことなんてありません。
じんましんが出た事も。ハジは僕にとって、それほど強力なアレルゲンなのです。
僕だって、ハジがただ嫌いなわけではないのですよ?
彼はあれで小夜を護り通せるだけ強いし―――だってアンシェル兄さんでも、
彼に敵わなかったんでしょう?まるで信じられない事ですけどね。
それに彼は姿だってそこそこ良いし、チェロが巧いし、
よくわかりませんが、小夜が愛するほどなんですからまあ―――いい人なんでしょう。
ですから僕は、彼の事をそれなりに認めてはいるのです。
でもいくら頭で認めても、体が彼を拒否するのですからどうしようもありません。
そういう訳で僕も大変なのですから、あまり遊ばないで下さいね?
いいですか、絶対やめて下さいね、絶対にですよ。
- 899 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:06:23
- >>849
>タップシューズあげるよ!
やあ、ありがとう!
これはいい品物ですね?履いて跳ねれば、いい音がしそうです。
でも、僕はこれをどうすれば―――はっ、もしかすると…
また隠し芸をしてくれ、という事なのでは?
困りましたね、僕はワルツやフォックストロットなら踊れますが
タップダンスはやったことがありません。誰かに教えてもらわなくては。
君、どなたかいい先生をご存知ですか?…え…、カール?
カールがタップダンスをやるなんて、兄弟の僕でも聞いたことがありませんよ。
…彼ならやって出来ないことはないと思う?そうでしょうか。
確かに彼なら、靴を渡せばやってみせそうですけど。
ううん…、僕もそれは見てみたいな。ちょっとカールに言ってみます。…いいえ、
この際、兄弟全員集めて訊いてみます。兄さんやジェイムズは望み薄ですが
ネイサンあたり、ひょっとしたら踊れるかもしれません。
そしてもし可能であれば、教わって来ます。
…おや。君も一緒に行く?兄弟にもしできる人がいたら見てみたいから、と仰る。
気持ちは判らないではありませんが―――あの空気に耐えられますか?
何が起こっても責任は取れませんが、それでも構いませんか?
何が起こるって、例えば…アンシェル兄さんに変な絡まれ方をするとか、
ネイサンに気に入られるとか…。正直な所、面倒くさいですよ?
- 900 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:07:22
- >>869
>ソロモンの親衛隊にあなたの爪の垢を煎じて飲ませてあげたいな。
>そうすれば少しは紳士淑女的になるんだろう。
おや、そんなものがあるのですか?それが…僕には雇った覚えがないのですよ。
そもそも僕は、SPなんかはあまり好きではないのです。
ただ重要な会議や取引となると、先方が勝手に付けてくれる事があります。
でも、今回のことは初めて知りました―――いつの間に警護してくれたのかな?
僕が気付かないということは、その人たちがよほど有能だという事です。
きっと素晴らしいスキルを持った集団なのでしょう。
僕についていたのでは、その力を発揮する機会はありません。勿体ないな。
ですが―――その方たちが、あなたに何か失礼なことをしたのですね?
それは…知らなかったとはいえ、僕の不注意かもしれません。御免なさい。
庇い立てするわけじゃありませんが…そういう事を生業にしている人は
職務に忠実になるあまり、一般の方への気遣いがおろそかになることもあるのです。
あまり責めないであげて下さいませんか―――
なにより僕の爪の垢を煎じて飲ませても、効果はないと思います。
ですが僕にそれを付けた雇い主には、一言言っておかなければいけませんね。
まったく―――いつも困っているのです。僕は必要ないっていうのに…
でも大事な取引先の心遣いですから、無下にするわけにいかない事も現実です。
向こうもそれで安心するのでしょうし。人間というのは、面倒でいけませんね。
- 901 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:09:09
- >>870
>別の世界のサヤは、友達も好きな人も、誰一人護れなかったらしいね
あちらの小夜については―――ええと、サヤ・キサラギ、でしたか?
彼女については後日談がどのように語られるのか、気になるところですね。
BLOOD-Cでしたか。確かまもなく公開するんでしたっけ。6月2日?そうですか。
ああ、ここから先はまたサヤ・キサラギの話の核心に触れますから、
まだご覧になっていないかたは、お気をつけて。
聞いたところによれば、彼女が仲間や親だと思っていたものは全て
若い人間?の研究者?による、実験のための作り物だったそうですね。
つまり彼女が生まれ育ったと信じた町は巨大な実験場で、
彼女が「護ろうとした」人間は、こぞって彼女を騙していたという事です。
彼女が真実を思い出そうとする度に、その研究者は薬などで彼女の記憶を操作したとか…、
まあ、実験動物として扱うならそれは、有効な手段と言えなくもないですが―――
ああ…、それでも彼だけは駄目です。僕には理解できない。
何というか―――やり方が悪趣味で、不愉快です。
彼は物腰が柔らかくて、いつも優しげな笑みを浮かべていて、何となく
僕と話が合うんじゃないかと思っていましたが―――よくよく見ていたら
少女のかわいい顔にためらいなく銃弾を浴びせるし、何より
フランスの伝統的な菓子であるギモーヴに信じられない罵言を浴びせるし、
―――僕はもう彼を赦せそうにありません。
ぼく個人としては、大変に後味の悪い終わり方だったわけですが―――、
話の続きとしては、あのフミトとかいう人間に対する小夜の復讐として展開するのかな?
正直なところ、僕も彼女の復讐を手伝いたいくらいです。
- 902 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:17:32
- >>871
>彼は何を好んで食べるのかな?(>>866)
>少女の絶望とかじゃないっすかね
成る程、…ええ?
それはどういう―――キュゥべえという彼は、少女の絶望を食べて生きるというのですか?
とてもそんな残忍な生き物には見えませんでしたが…。
何というか、僕では彼にそれを振舞ってあげる事は出来ませんね。
そもそも、彼にそれをどうやって与えればいいのでしょうね?
…何ですって、自ら魔法少女になればいい?
今一つよく解りませんねえ。…ああ、成る程。その「少女の絶望」こそが
彼が魔法少女の契約をする事で得るマージンなのだ、と仰る。
「それは具体的には、魔女と闘うことで手に入る
『グリーフシード』という物質で、魔法少女の核とも言える『ソウルジェム』の穢れ、
つまり精神的疲労や悪感情を、一定量貯めることができる」
はあ…。難しい話になってきました。要はそれを与えれば、あの生き物は喜ぶのですね?
そうですか…、魔法少女の契約を結べば、餌が手に入るのですか…。
え?
まさか。契約しようなんて思ってません。誘惑されてなんか……、
…危ない!これが少し前に話題になったステルス・マーケティングですね!?
うまく乗せられるところでした。でも僕はもう、些細な事では絶望なんて感じません。
彼にとって良い餌は手に入らないでしょうね。
>小夜さんなら良い供給源になりそうな
小夜ですか。少し前の彼女なら、そうだったでしょうけどね。
でもそうだな、彼女は何事もひとりで背負ってしまう傾向があるようですから。
新しい戦場に身を投じれば、いずれそうなってしまうでしょうね。
…やはり契約はだめです。彼女をこれ以上絶望させるなんて僕には…。
今度あの「きゅうべえ」君が来たら、代わりにハジを斡旋しましょう。
小夜を護るのが彼の仕事です。彼も本望でしょう。
…ハジを餌にするつもりか、と仰る?ええ、まあ。
- 903 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:19:18
- >>872
>処女や童貞の血はそうじゃない人の血より美味しかったりするんですかね?
やあ、それは吸血鬼が登場するおとぎ話などで、よく見かける設定ですね。
彼ら吸血鬼が少年や少女を好んで食事の対象に選ぶのは、そのせいもあるでしょうね。
本当なのかな…、すこし興味はありますけど…
ううん…僕に関しては、意識した事がありませんね。
何故って…そういう事は、初めて会って少し話したくらいでは判りませんからね。
性別に関わらず、対象となる人とある程度親密にならなくては知り得ない情報です。
例えば、いま君にストレートにそんな事を訊いたら、君は僕を警戒するでしょう?
ああ、でも―――人間の血の味はその持ち主の性向や、
歩んできた人生の経験に左右されます―――と、僕は思っています。ですから、
あなたの仰るような要素も、すこしは影響しているのかも知れませんね?
でも…もしそうだとしても、それは同じ人間で比較してみなければ判らない事です。
比較のしようがありませんし…、残念ですけど、僕には答えられませんね。
>>873
>吸血鬼って狼男を配下に連れているもんだと聞いたけど、貴方は連れていないの?
おや、そういうものなのですか?
僕はそうだな、犬のような男には心当たりがあるのですけど。
狼は知らないな…、
君の言う「狼男を従えた吸血鬼」ですとか、「人狼と吸血鬼との対立」は
映画などでよく使われる言い伝えですね。
…やあ、今回のご来客はそういうお話が好きなようですね?
僕も、そういう話は嫌いではありませんよ。おとぎ話の吸血鬼のルーツが、
もしかしたら僕ら翼手にある可能性もありますから―――
本題ですが、そもそも君の考えている「吸血鬼」と僕では、たぶんすこし違います。
吸血鬼は招かれない限り、人間の住居に入る事はできませんが
僕には招待は必要ありません。君の部屋に押し入って無理やり―――という事もできる。
それに、僕は日光を浴びても、教会の水を振りかけられても平気です。
もちろん、トリネコの杭で心臓を刺しても、銀の銃弾を撃ちこんでも死にません。
あとはそうだな―――、いわゆる吸血鬼と比べると、
僕らの姿はあまりにも醜い事です。いまはそうでもないかもしれませんが
本性を現すと、いまとはかけ離れた姿になります。むしろ、姿だけなら吸血鬼よりも
狼男の方に近いかもしれないな…やあ、ハジは例外です。
ああ、それじゃあ―――君、こういうことです。
僕自身は狼男で、吸血鬼である僕のあるじがそれを従えている。
なんだか辻褄が合いましたね。
やっぱり吸血鬼のおとぎ話は、僕らの祖先のことを書いたものなのかもしれません。
- 904 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/05/24(木) 01:20:23
まだ取りこぼしがありますが…御免なさい、
ご来客との約束もありますから、今回はこれだけ。
次はなるだけ早く戻ります―――お約束が長引かなければ、ね。
それでは失礼します。皆さん、ご機嫌よう。
- 905 名前:名無し客:2012/05/27(日) 15:28:35
- おかえりなさい。ソロモン。
- 906 名前:名無し客:2012/05/29(火) 13:44:02
- ソロモンの年齢って何歳だっけ?
- 907 名前:名無し客:2012/05/29(火) 13:46:42
- ヴァンパイア・カフェを開けばいいのに。
- 908 名前:名無し客:2012/05/29(火) 15:09:36
- >>898
小夜が「そんなソロモンもハジと同じくらい好きだよ」って言ってた。
そしてこれを預かったから渡しておこう。
つ【攻殻機動隊の少佐に押し倒されてる小夜の写真】
- 909 名前:名無し客:2012/08/02(木) 16:30:22
- 歯の生え変わる年頃の、子供の頭蓋骨って見たことある?
- 910 名前:名無し客:2012/08/14(火) 15:24:18
- もんもん。あのね。えっとね。
言いたいことがありすぎてよくわからないの。
私なんかにもんもんはずっと優しくしてくれて、
それが嬉しくて。(´;ω;`)
いつももんもんがくれた言葉を思い出してお勉強とかもがんばれたの。
ありがともんもん。
わたし、もんもんのことこれからもすきでいていい?
ねえもんもん。だーいすき*・゜゜・*:.。.(*´▽`)パァァ.。.:*・゜゜・*:
- 911 名前:名無し客:2012/08/19(日) 15:44:24
- シュヴァリエになる前に、好きだった女性とか
励ましあってきた仲間はいなかったんですか?
- 912 名前:名無し客:2012/08/30(木) 21:09:38
- 小夜のダンスの素質に惚れ込んで、それがきっかけで気になったと見た。
- 913 名前:名無し客:2012/08/31(金) 20:18:16
- 私、ソロモンに会えて良かった〜
とっても楽しかったよ。
- 914 名前:名無し客:2012/09/19(水) 06:05:51
- ばいばい、ソロモン。
このスレと一緒に避難所も閉鎖だね。
- 915 名前:名無し客:2012/09/23(日) 21:11:14
- 避難所ってどこにあったの?
ソロモンだいぶ過ごしやすくなったね。
- 916 名前:名無し客:2012/10/07(日) 06:59:58
- >>1の倉庫が避難所と呼ばれた場所。
シュヴァリエに季節は関係ないからいいねw
- 917 名前:名無し客:2012/10/08(月) 09:32:55
- 小夜さんは色んな時代にいますけど、みんな同一人物なんですか?
- 918 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:05:20
- >>905
>おかえりなさい。ソロモン。
やあ、ただいま。
すぐ戻ると言っておきながら、また随分と間があいてしまいました。
思ったより手が空かなくて、ここでお話をするためのまとまった時間が取れなくてね。
まだご来客は残っているかな。もしお留守番をしてくれていた方がいるなら、
僕の話に付き合って下さいませんか。おいしい紅茶を淹れますよ。
【FORTNUM&MASON】
フォートナム・メイソン社のアッサムティー。
英国王室御用達のストロングティーです。ミルクを入れると美味しくてね。
ホールディングスに用事があるときは、必ず手に入れて帰りました。
飲むと頭が冴えますから、朝には丁度いい。まあ―――僕は眠らないので、
そういう気分になるだけなんですけどね。あなたがたには効果があるはずです。
カフェインが気にならない方は、是非どうぞ。
やあ―――いい香りだな。
こうして落ち着いて見てみると、もう最後の10分の一を切ってしまったのですね。
あなたがた、今のうちですよ。僕に訊きたいことがあったら、何でも言って下さい。
すこし時間はかかりますけれど―――あなたがたが見ていない時代の事でも、
僕が知っている事であれば…もうこの場所には僕ひとりですし、今なら何だって話せます。
…ほら、この紅茶は美味しいでしょう?
さあ、もう一杯淹れましょう。まだ時間はありますから、どうぞ遠慮なく。
- 919 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:06:53
- >>852
>時を遡ってでも取り戻したいものはありますか?
そうだな…、僕は過去に後悔した事はありませんし、あまり思いつきませんね…
悲しい思いをした事はいくらもありましたが、やり直したいと思ったことはありません。
ディーヴァや兄弟たちに会えて良かったし、小夜に会えて良かった。
人間であることを捨ててからは、良い事ばかりでした。
ああ、でも今なら、もう少し上手に小夜を誘えるかな。あの時は頭がいっぱいで、
まるで不器用なやり方しか出来ませんでした。正直なところ、恥ずかしいです。
人との付き合い方や駆け引きは、散々覚えてきた筈なのにね。
それから―――そうだな、あとは眠ることくらいかな。
シュヴァリエになる前は眠る時間が惜しいと思っていましたけれど、
眠ることがなくなった今は、眠りに落ちる瞬間の心地よさが懐かしいと思える。
もうほとんど、それがどういうものだったか忘れてしまいましたけどね。
でも、もし眠ることができたら…小夜と同じ夢が見られるかもしれない。
もしかしたら夢の中で、彼女が僕を呼ぶ声が聞けるかもしれない。
遠い昔に失った人に、もういちど会えるかもしれない。
夢の中だけなら許されることは、幾らもありますからね。
- 920 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:09:03
- >>853
>小夜から預かった動物園の鍵、ソロモンのポケットに置いておくよ。
僕の上着にこれを入れたのは君かな。わざわざありがとう。
…やあ、小夜がこれを?もうじき、このお屋敷も閉めてしまうからでしょうか。
小夜も鍵を返すのなら、僕に直接会いに来てくれればいいのに―――ああそうか、
僕は最近ではもう、たまにしかここに居ないからな…、残念です。
…おや、まだ何か預かったものがあるのですか?
>>854
>バラのドライフラワーのさ、茎の部分っていうの?
>そこになんか少し古びた指輪がくっついてて、いじったらドライフラワーが散って指輪が落ちちゃった
>これも一緒にソロモンに渡しておくね、動物園の鍵に紐を通してくっつけてっと
>まあまあ綺麗なオブジェになったかな?
君…!それは大変です、この指輪は―――
この指輪は預けたものじゃなくて、彼女の落としものです。
ごらんの通りで僕には、この指輪に見覚えがあります。
もう随分、昔のことですが―――何年か前に、この場所にいた人なら知っているはずです。
それは小夜の一番大事な人が、彼女に贈ったものなのです。
彼女はその花が枯れそうになっても、ドライフラワーにしてまで残したかったのです。
それがなぜここに?
小夜はそれを失くして泣いているでしょう。…お可哀そうに。
でも―――、僕は今すぐ小夜にこれを返しに行くわけにはいきませんね。
何しろこの場所がありますから。返すのは、このお屋敷の鍵を締めてからです。
ですがいずれ必ず、この指輪は彼女に渡さなくてはいけません。
これは小夜と「彼女の一番大事な人」を繋ぐ絆のよすがなのですから―――
それを僕が持っていると知ったら、…彼はどんな顔をするかなあ?…くす。
ああ、ふふ。君、すみません。僕は以前、ある人にこんな意味の事を言われました。
「欲しいものがあるなら無理やりにでも奪ってしまえ」
成る程、今になって少し解かりました。僕はちょっと優しすぎたのですね。
- 921 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:11:13
- >>874
>元気な娘とおしとやかな娘、モノにするならどっちがいいですか?
さあ、どうかなあ…どちらにも魅力がありますからね。
ただ大人しくて控えめな女性っていうのは、男性の理想ではありますよね。
それを判っていて控えめに振舞う女性よりは、
計算を知らない純粋な子の方が僕は好きですけどね。
ほら…あなたがたも見たでしょう?ベトナムで、
リセのバルに出ていたあの女の子たち。彼女たちは確かに女らしくて魅力的でしたが、
大勢にあんな目で見つめられたのでは、プレッシャーしか感じません。
相手にしたらしたで、またそのあとが面倒ですから。
あの時はどうしようかと思いましたけど、ちょうど小夜の姿が見えてね。
彼女は盛りのついた猫のような集団から孤立して、すっかり壁の花になっていましたが
僕には全く興味がないようで―――それで彼女を誘ったんです、厄介払いのつもりでね。
でも彼女は思った以上に可愛らしかった。まるで生まれたてのひよこのようでね。
小夜は素直で、自分を偽らないでしょう。その点はディーヴァも同じです。
性根が元気でも、おしとやかでも、嘘がないのが一番の魅力です。
>>875
>誰かにチョコもらえましたか?
今は季節じゃありませんけど、バレンタインデーの事ですね?
昔はよく貰いましたよ、ファルマシーの日本支社の社員からね。ええ、
本社のあったフランスには、バレンタインにチョコレートを贈る習慣はありません。
僕のことなんて、社内のデータベースに載っている写真でくらいしか知らないのに
日本ではなかなか手に入らないブランドのチョコレートをわざわざ取り寄せたりして、
熱心なことです。貰って悪い気はしませんから、お礼はしますけれどね。
それに僕はどちらかというと、貰うより贈る方が得意なものですから。
ここに来てからそういう機会は減ってしまいましたが、ディーヴァがいた頃は
彼女が目を醒ました時に何を贈るか、それを考えて嬉しくなったりしていました。
彼女の白い肌に似合うドレスは何色か、やっぱり彼女の好きな青か、
すると髪留めは銀かな。耳飾りは控えめな真珠で、靴は硝子のように光るエナメルがいい。
切った花に合う花瓶を選ぶのと同じです。花の美しさがより際立つように、例えば、
赤い薔薇には透き通ったガラスの花瓶を、青い薔薇には白磁のnを選ぶようにね。
ほかにも物を贈る相手は居ましたが、彼女に贈り物をする時が一番楽しかったな。
目に見える見返りはありませんが、彼女が喜ぶ顔を見るのが嬉しかった。
そういう価値のある女性が身近にいて、僕は幸せでした。
- 922 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:12:16
- >>879
>畑を耕していたら不発弾が出てきたんですけど、どうしたらいいですか?
…!いけません!誰もそれに触らないで。すぐにしかるべき所に通報を―――
いや、僕が連絡します。軍には知り合いがいますから。大げさにはしたくありません。
ですがどうしてこんな所に、そんなものが…?
オキナワや越南ならまだわかりますけど、こんなボルドーの田舎に…場違いです。
もしかしたらただの不発弾ではないかも―――そう、悪質ないたずらか、
ひょっとするとテロかも知れない。この場所を狙う意味も解りませんが、とにかく
専門家に任せて近づかないことです。でも…もしそうだとしたら、原因は
明らかに僕ですね。あなたがた、巻き込んでしまって御免なさい。
何でもここのところ、僕の知らないところで「親衛隊」なるものが
動いていたという話>>900もあったし―――何か物騒なことが起こっているのかも…、
確かに僕らゴールドスミスは有力なユダヤ系資本ですし、金融や政治だけでなく
宗教にも広く関係を持ってきました。フリーメイソンとかね。
おや、意外ですか?そうでもありませんよ、アメリカやヨーロッパでは
あの結社に属することが一種のステータスでもあるのです。
ある程度の社会的な地位や信用がないと、所属することは難しいですからね。
かといって、それほど閉じられた集団ではないことも本当です。
何しろ著名人の集まりですから―――所属していれば、いい事もあります。
話が逸れましたが―――ゴールドスミスが世間から姿を消して喜んだ人間は多いし、
僕がここにいると知って面白くない人間もいるでしょう…皆さん、もし僕が消えたら
全身に刺青を入れた男に攫われたと思って―――
ああ、ええ?小説の読みすぎだと仰る?ばれましたか。
あの有名な『ダ・ヴィンチ・コード』の作者の最新作です。いえね、
僕と同じ名前の登場人物が出てくるので、気になってしまって。
映画では誰が演じるのかなあ。なかなか面白いのですよ。お勧めです。
- 923 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:13:17
- >>880
>酷い無茶振りをされた経験はありますか?
それはもう。無茶振り以外ありえません―――ああ、御免なさい、
このまま話を続けると愚痴になってしまうかもしれません。構いませんか?
だって君…、兄弟で仲良く円卓を囲んでいて、
隣りに座っている人に何の前フリもなくワインをかけられたらどう思います?
僕はどんなリアクションをとれば良かったのでしょう?
割られたワインも、僕が着ていた服も、それなりに価値のあるものです。
もうぽかんとするしかないです。体は張りましたけど…。
その時隣に座っていた人は割にそういう事が多くて、
こちらがどう反応していいかわからないような事をしてくるんです。
彼と話をしていて、その時は自然に聞き流せるんですけど、後で考えてみると
「えっ?」と思うような凄い事を大真面目で言っていたりするんです。
僕は思うんですが、ああいう人を「天然」って言うんでしょうか?
あの時隣に座っていた…ああ、別に名前は伏せなくていいですよね?
アンシェル兄さんです。兄弟以外に対しても、そういう事が多かったそうじゃありませんか。
小夜の弟の…そうそう、リク君や、ジュリア・シルヴァースタイン女史にも
セクハラ紛いのフリをしたと聞きましたよ。ああいう乗りはよくないと思います。
わざとであっても「天然」であっても、兄弟として本当に申し訳ないです。
ああ、すみません…やっぱり愚痴になりましたね。
…え?もっと重いのがくると思った?ありますけど、そっちは洒落になりませんから。
また機会があったら、話すことにします。
- 924 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:14:49
- >>882
>やめて・・
>私を騙す気でしょう?
>あの男みたいに!
えっ―――僕ですか?
待ってください―――僕は君に何もしていません。あ―――もしかしてあなた、
アンシェル兄さん?ひょっとして突っ込み待ちなのですか?
ああっ…!泣かないで。本当に失礼な事を言いました。今のは謝ります。
君は兄さんじゃない。少し落ち着いて、ゆっくり話しましょう。…え?
触らないでけだもの!!、と仰る…。
……はー…。
仕方ないな…、それは確かに、僕は君を騙すかもしれませんね?
ああ、落ち着いて。「あの男」というのが君に何をしたのか、それは知りませんけど
僕はおそらく、その男とは別の方法で君を騙すでしょう。
何故って…、僕はね、君そのものにはさほど興味がないのです。
―――おや、なぜそんな顔をするのです?
ショックを受ける事はありません。君にとってはその方がいいのでは?
いいですか、僕の興味はただひとつ…君の血がどんな味なのか、それだけです。
僕は人間のように見えるでしょう。そうやって君を騙すのです。
さあ…、もたもたしていると噛みつきますよ。僕が噛みついたら君は死にます。
いいのですか?君にも守るものがあるのでしょう?ほら、
七色が丘中学校のみんなの事とか…
ええ、僕は君の正体も知っているのですよ。調べましたから。ええと…、
ピカピカぴかりん…じゃん けん ポン ♪だったかな…
…困るのではありませんか?
言っておきますが―――君ひとりでは、僕には敵いませんよ。それに、
君のような少女が「あの男みたいに」だなんて…折角のイメージに傷がつきますよ?
おや。流石に行ってしまいましたか。やあ、悪いことをしたな…
でも、あのまま食い下がられると本当に、何をしたかわかりませんから―――
そんなことをすれば、たくさんいる彼女のファンが怒ります。
ああいう手合いは、敵に回すと色々な意味でこわいですからね。危ない所でした。
- 925 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2012/10/09(火) 01:17:32
- >>888
>実は>>883>>886はリセの女生徒だと見た。
>それともソロモンの世界各国にいる愛人候補か?
>どっちでもいいけど、女を泣かせるなよ色男。
>もうすぐ終わりが近づくのに雰囲気が暗くなるじゃん。
おや―――先程から皆さん、人聞きの悪い。
今だから言いますけど、よく噂された僕の恋人たちは
きちんと役割を持っていたのですよ。各方面の偉い人のご令嬢、ご夫人、秘書まで
必要なら誰とでも関係を持ちましたが―――誰一人泣かせたことなんてありません。
僕は何でも、上手にやりますからね。
ああいう、偉い人たちの近親の女性はたいてい、どこかで退屈しているものです。
彼女たちを一晩、食事に誘って、彼女たちにしか知りえない事を訊く。
父の野心、上司の不正、夫の特殊な性癖…
弱みになるような事ですから、彼女たちもそう簡単には口を割りません。
だから僕も、何か秘密を打ち明けます。彼女たちに有益になるような秘密を、です。
つまり彼女たちとは、駆け引きをするのです。
彼女たちも僕も社会的に地位があるから、秘密を漏らすことには危険が伴います。
そのリスクをおかす事が、彼女たちにはいい刺激になる。
僕に付き合えば、まるでスパイ映画を演じるようなスリルが得られる。
僕はそんな彼女たちの願望を叶えてあげているに過ぎないのですよ。
でも、それを弁えずに勘違いする人もいます。年齢が若いと余計にね。
それは僕のせいじゃない、身分をわきまえずに泣き出すのは彼女たちの落ち度です。ただ、
勘違いして泣き出したのなら、殺せばいいのだから簡単です。スパイ映画ってそうでしょう?
おかげで、たまの食事には困りませんでしたよ…
やあ、ここにいる女性は、そんな人たちとは違いますからね。心配しなくていいのですよ。
僕のことが怖いと思ったときには、もう泣く暇なんてありませんから。
―――すみません。久しぶりに戻ったのに、また皆さんに追いつくことが
できませんでした。取りこぼしたご質問は、また次の機会に。
申し訳ないんですけど、もうすこしだけ待って下さいね。それでは、今晩はこれで。
- 926 名前:名無し客:2012/10/10(水) 07:56:05
- ソロモンこんにちは。
すっかり涼しくなったね。
- 927 名前:名無し客:2012/10/11(木) 03:05:23
- ねえソロモン、最後だから話してよ。
日記でもいいんだ、ドイツの頃の、ソロモン視点でもいい、
ドイツの記憶が聞きたいんだ。…ダメ?
- 928 名前:名無し客:2012/10/16(火) 21:23:39
- 私もマルティンと一緒の写真が気になってたんだ。
ソロモンはフランスの軍服だし、カールはスーツ着てるし。
一体どこで写真を撮ったの?
- 929 名前:名無し客:2012/10/17(水) 12:18:52
- >>922
親衛隊…もしやそれはわたしのことだろうか?
ち、違うんだよソロモン。みんなには嫌われちゃったけど、
私はただソロモンとソロモン小夜が好きで、
あのスレを保守してただけなんだ。
確かに同じような話題しか思い付かず書き込みできなかったのは認めるが、
決して他のキャラやそのファンに悪意を持っていたわけでも自分の
好みを押し付けようとしたわけじゃないんだ。
ただ、一日一回は書き込みしないとBLOOD+ファンのみんながよすがにしているスレが落ちてしまうんじゃないかと…
それが心配で。それだけだったんだ。
ソロモンにまで不快な思いをさせてしまったんだね。
ごめん。私のことで不快になったBLOOD+ファンの人たちにも謝るよ。
本当に反省してる。正直すまんかった(´;ω;`)
- 930 名前:名無し客:2012/10/18(木) 17:38:00
- >>929 シュヴァリエスレ2出来たから、おいでよ。
私は楽しかったよ。動物園だって大好きだし。
- 931 名前:名無し客:2012/10/24(水) 00:26:31
- >>929>>930
スレチ
- 932 名前:名無し客:2012/11/03(土) 15:23:15
- ソロモン、容量が足りなければ、倉庫の避難所を利用して記録してほしいな。
楽しみにしているよ!
- 933 名前:名無し客:2012/11/29(木) 17:56:35
- 図書室で見つけた。誰の忘れ物?
つ 編みかけのくつ下
- 934 名前:名無し客:2012/12/18(火) 21:40:33
- もうすぐクリスマスだね。
ソロモン、良かったら・・・・デートしてくれない???
- 935 名前:名無し客:2012/12/31(月) 19:14:36
- クリスマス無事に終わったねー。
仕事が忙しくてデートのお誘いをしてくれた子に応えられなかったからって、
何か紅茶かケーキでも準備しなくてもいいだろうに。
- 936 名前:名無し客:2013/01/16(水) 11:02:57
- 遅くなったけれどあけましておめでとうございます。
良い一年になりますように。
- 937 名前:名無し客:2013/01/17(木) 22:27:16
- ブルーホールに行ってみたいんだ。
連れて行ってくれない?
- 938 名前:名無し客:2013/03/31(日) 14:08:36
- ソロモンはもう戻ってこないのかな
- 939 名前:名無し客:2013/05/12(日) 19:51:02
- ソロモン、今まで有難う。
楽しかったよ。
- 940 名前:名無し客:2013/05/13(月) 17:44:54
- 元ちとせの語り継ぐことって良い曲だよな
- 941 名前:名無し客:2013/05/15(水) 23:52:00
- ジョジョのカーズ様とアンシェル、科学者としての姿勢が似ている気がする
二人の対談を聞いてみたかったな
- 942 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:20:56
やあ、本当にお久しぶりです―――御免なさいね、またご挨拶が遅くなってしまって。
それも、今度は今までにないほど長くかかってしまいました。やはり一度ここを出ると、
どうしてもなかなか戻るための時間がとれなくてね…
まだ残ってくれているご来客はいるかな―――
もしおいでになるなら、久しぶりに僕の相手をして頂けますか?
>>926
>ソロモンこんにちは。
>すっかり涼しくなったね。
やあ―――もう涼しくなったどころか、随分暑くなってしまいました。
何を言っているのかよくわかりませんね。遅くなってしまって、本当に御免なさい。
そういえば今年は、新年のご挨拶もしていないのですね…元気にしていましたか?
>>914
>ばいばい、ソロモン。
>このスレと一緒に避難所も閉鎖だね。
寂しい事を仰らないで下さい、まだ少し残っているじゃありませんか―――
確かに僕はなかなかご挨拶に来れなくなってしまいました。
ですがこの場所は、最後まで使いきるつもりです。
もう少しだけここに居て、僕がお屋敷の門に鍵をかけるのを見届けて下さいませんか?
それに、避難所ですか…懐かしいな。それは厩舎であったり、庭園であったりしたものです。
嵐もない、風さえ凪いでしまった今では、もう必要のないものになってしまいました。
穏やかなのは良いことですが、少し寂しいですね。
- 943 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:22:42
- >>915
>避難所ってどこにあったの?
>>916
>>>1の倉庫が避難所と呼ばれた場所。
やあ、きみ、>>915さんの質問に僕のかわりに答えてくれてありがとう。
ただ厳密に言うと―――「倉庫」の中にあるものの中で、標題に「避難所」とあるものがそうです。
ただ今はもう使う用事がないので、単なる過去の記録でしかありません。
過去にどんな人がいたのか、僕らがどこからどのようにしてここへやって来たのか、
それが知りたいかたは、どうぞ覗いてみて下さい。
>ソロモンだいぶ過ごしやすくなったね。
そうですね。
いまはこの場所も落ち着いて、避難所が必要だった頃とは比べ物になりません―――
ああ失礼、気候のお話でしたか?すみません、懐かしい話をしたものですから、つい。
あの頃を知らないご来客も沢山おいでだというのに、いけませんね。
>シュヴァリエに季節は関係ないからいいねw
ええ、仰る通りです。でもね、いかにシュヴァリエといえ得手不得手はあるのですよ。
もとは人間ですからね―――例えばグレゴリー兄さんは気温の低いロシアの出身ですから、
カールの故郷のベトナムのような気候は快適とはいえないでしょうね。
僕も比較的涼しい地方の生まれですから、あの時季のベトナムはあまり得意ではないな。
蒸し暑くて、日差しが強くてね…
ほら、リセでダンスパーティーがあったあの時です。僕はあまり機嫌が好いとは言えなかったので、
ヴァンの頼みも適当にかわしてしまったし、カールにも嫌がらせのような事をしてしまいました。
二人には悪いことをしたな。
その点、カールは凄いです。あんな気候の中でタキシードを着込んで、マントまで羽織って、
あんなに激しく動き回るのですから。僕なら、はぁはぁ言いながら汗だくです。
>932
>ソロモン、容量が足りなければ、倉庫の避難所を利用して記録してほしいな。
>楽しみにしているよ!
やあ、君もこの場所の心配をして下さるのですね?
でも大丈夫。この場所は、以前に間借りしていた所とは違って、充分広く作られています。
ほら…僕もほかの兄弟たちも、やたら話が長かったでしょう?皆歳をとっているので、
どうしてもそうなってしまうのです。ですからこの場所は都合がいい。
僕たちも安心して皆さんとお喋りができる。君たちも、羽を伸ばして寛いでいて下さいね。
そうそう、あなたがたにお土産があります。
【Échiré Maison du Beurre Caramel Salé/Guimauve au Beurre】
エシレはフランスのバターの老舗です。エシレバターはパリ万博で一等賞をおさめてから、
今でも世界中で親しまれていますね。トーキョーにもお店があった筈です。
ここのバターケーキは、僕も好きだったな。
連日暑いので、塩味の効いたキャラメルとギモーヴを用意しました。
キャラメルはよく聞きますけれど、バターを使ったギモーヴなんて珍しいでしょう?
懐かしくて、つい沢山買ってきてしまいました。皆さんでどうぞ。
- 944 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:24:07
- >>906
>ソロモンの年齢って何歳だっけ?
やあ。懐かしいだなんて言うから、こんなことを聞かれるのですね?
ううん―――幾つだったかな。正確な年齢は、もう判りませんね。
途中で数えるのをやめてしまいましたから。でも、君たちからすれば相当年寄りの筈です。
ちょっと思い出してみましょう…、僕が物心ついたころ、パリは万博の開催で浮き足立っていました。
あの頃、パリは華やかだった。アール・ヌーヴォーの興りは、パリ万博が切欠でした。
君たち、僕はいくつに見えますか?…20代後半くらい?成る程。
僕がシュヴァリエになったのは、確かロマノフ王朝が瓦解した直後の1918年の事です。
ですからそうだな、万博のときに10歳前後だったとして…生まれたのは1890年頃でしょうか。
すると今は2013年ですから、大体120歳過ぎくらいかな?
…ああ、享年の方が良かったですか?それなら多分115歳くらいだと思います。
ソロモン・ゴールドスミス(享年115歳)
人間なら長生きの末の大往生ですね。厭だなあ…、歳は取りたくないものです。
ちなみに―――カールは僕よりほんの少し若いくらいでしょう。
アンシェル兄さんやハジは僕らより随分年上ですね。概算ですけど、ハジはいま大体150歳くらい、
兄さんに至っては200歳くらいかな。彼らぐらい非現実的な年齢ならいいんですけれどね。
- 945 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:25:39
- >>934
>もうすぐクリスマスだね。
>ソロモン、良かったら・・・・デートしてくれない???
やあ、あなたも。御免なさいね。
もう少しすればまた次のクリスマスが来ますから、その時まだあなたに他の相手がいなければ、
ふたりでどこかへ出かけましょう。
その前に…、パリで素敵なシャンパンを手に入れてきました。
【H. Billiot Fils Cuvee Laetitia】
ドメーヌ・アンリ・ビリオ・キュヴェ・レティシア。冠された女性の名前がとてもお洒落ですね。
ヴィンテージではありませんが、これは20年前からのヴァン・ド・レゼルヴを5割も継ぎ足しているからです…
難しいことは置いておいて、さあ、どうぞ。
いかがです?甘いでしょう。果物はもちろん、蜂蜜やハーブまで、複雑な香りがする―――らしい。
僕の舌では、そのあたりの繊細な味を感じることができないのが残念です。
それで…、あなたは何処へ行きたいですか?
国内?海外でもいいのですよ。一年も待たせてしまったのですからね。
海外ならそうだな…、上海なんかはいかがです?長江の東側のハイアットからの眺めは幻想的です。
それに、君の生まれ故郷…日本かな?僕はね、日本の温泉に興味があります。
それから何年か前に、トーキョーにとても高い電波塔が出来ましたね?やあ、日本は凄いな。
ああそうだ、君の行きたい所に行かなくてはね?御免なさい。あまり楽しみで、つい。
どこへなりと、お好きな所へ行きましょう。まだ時間がありますから、考えておいて下さいね。
>935
>クリスマス無事に終わったねー。
>仕事が忙しくてデートのお誘いをしてくれた子に応えられなかったからって、
>何か紅茶かケーキでも準備しなくてもいいだろうに。
そうですね。クリスマスどころか、年明けも何もかも終わってしまいました。
クリスマスに出掛けられなかった彼女には、シャンパンをプレゼントしました。
本当にすまない事をしましたから、何か差し上げないとね。
僕のことを気遣ってくれてありがとう。仰る通りで、少し忙しくてね…優しい君には紅茶とケーキを。
【Hediard Assam】
【Gâteau Échiré Nature】
エディアールの紅茶と蜂蜜には、小さい頃からお世話になりました。
コクの強いアッサムに、ミルクをたっぷりと蜂蜜をひと垂らし。頬が落ちるような、最高のご馳走でした。
こちらはガトー・エシレ。まるでバターの塊でしょう?でも切ってみると、ちゃんと層になっているのですよ。
ナイフを入れるのが勿体無い?ええ、そうですね。でもこれは君のものです。
どこでもお好きな所から、ひと思いにどうぞ。
- 946 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:26:26
- >936
>遅くなったけれどあけましておめでとうございます。
>良い一年になりますように。
やあ、もうすぐ次の年明けがくる時季になってしまいましたね。
今年は良い一年になりそうですか?それは良かった。
今からじゃあ遅いですけど、せめて残りの数ヶ月がよりよいものになりますように。
これを開けましょう。
【Domaines Barons de Rothschild Private Reserve】
ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト。
プライベートリザーヴ、というのは「お気に入り」という意味です。
男爵のとっておきのワイン、ということですね。
名前の割にあまり値打ちのするものではありませんが、却って口当たりがいいはずです。
このラベルのマークを見て下さい。放射状に重なり合った五本の矢は、彼らロスチャイルドの所有する
醸造所にのみ許されるブランドロゴです。矢は創設者の五人兄弟を表していて―――あれ?
どこかで聞いたような話ですね?まあいいや…、ボルドーでも最高峰のしるしなのですよ。
赤と白がありますから、お好きな方をどうぞ。
>>913
>私、ソロモンに会えて良かった〜
>とっても楽しかったよ。
ありがとう。僕もあなたに会えて、本当に楽しかった。
あなたはきっとずっと前からここに居て、僕らに興味深い質問や優しい言葉をくれたのでしょう。
あなたのようなご来客が居たから、この場所はここまで続いた。僕らは今までここに居られた。
あなたがたが居なければ、僕らもここにいる意味がありませんからね。感謝しなくてはいけません。
さあ、あなたもどうぞ。赤がいいかな。白がいいかな。僕が注ぎます。
この分だと、次の年明けを迎えるまでにはこのお屋敷を閉める事になるかな。
あともう少しですけど、どうぞゆっくりして行って下さいね。
- 947 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:28:54
- >>907 名前
>ヴァンパイア・カフェを開けばいいのに。
やあ、新しい発想ですね?面白いかもしれません。
そういえば日本には、かわいいメイドさんや格好いい執事のお兄さんが給仕をしてくれる、
楽しそうなカフェがあると聞きました。それと同じようなものかな。
でも…、メイド喫茶や執事カフェは、スタッフがお客をまるで自分の主人のように扱うのが売りなのでしょう?
ヴァンパイア・カフェをやるとなると、何を売りにするかを考えなくてはいけませんね…だってほら、
僕らはふつうの人間と見た目は変わらないし―――吸血鬼だからといって、
お金を貰ってお客様の血を吸うわけにもいきませんからね。
このままカフェを開いたとしても、頭の××た髭の紳士と、金髪に白スーツの優男と、
躁気味のアオザイの青年と可愛いロシア少女が―――シュヴァリエを全員加えますか?
そうなると更に、軍人のように態度の頑なな黒人男性とくねくねしたアメリカ人と
青白い顔をした黒髪の美青年―――何だ、見てくれはハジが一番吸血鬼らしいな―――が
給仕をするというだけのお店になってしまいます…、
いや…それだけでも随分面白いかも知れませんけれどね?
- 948 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:31:26
- >>908
>>898
>小夜が「そんなソロモンもハジと同じくらい好きだよ」って言ってた。
ほ…、本当に?あんな僕でも彼女は愛してくれるというのですか?
いいえ…でも、あくまで「同じくらい」であって「同じように」ではないのですね、きっと。
それでも嬉しい。君はお優しいのですね。ありがとう。
>そしてこれを預かったから渡しておこう。
>つ【攻殻機動隊の少佐に押し倒されてる小夜の写真】
な…!
何ですかこれは?どうしてだろう、何だか胸がどきどきする…。
あ、ああ、いいえ…!それよりこの女性、知っています。
日本政府の、そう、確かモトコ・クサナギといって―――公安部のエージェントです。
美人だし、格好いいな。可愛い小夜とは正反対のタイプですね?
あの、ちょっと訊いてみるんですけど、これは一体どういう状況でこうなったのですか…?
どうも小夜は取り押さえられているように見える。…彼女はオキナワで何か、
公安にマークされるような問題でも…?例えばまた悪い人間に利用されそうになって、
国際問題に発展したとか…何だか心配になってきました。
そんなニュースは聞きませんし、大丈夫だと思いたいですけれど…ほら、
小夜は少し抜けているから。ハジも何だかぼんやりしていて頼りないですし。
でも―――、いいものを見せてもらいました。……ええ。嫌いじゃありませんよ、こういうの。
- 949 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:33:40
- >>910
>もんもん。あのね。えっとね。
>言いたいことがありすぎてよくわからないの。
やあ、君も、いつも待たせてしまって御免なさい。
ゆっくりでいいのですよ。君の言葉が出てくるまで、僕はいつまでも待ちましょう。
いつも僕が待ってもらっているのですからね。
>私なんかにもんもんはずっと優しくしてくれて、
>それが嬉しくて。(´;ω;`)
君が初めて僕に声をかけてくれたのは―――そう、僕が唇を噛んで、
嫌な事を聞くのを我慢していた時でした。あのときは僕に話しかけて、元気づけてくれたのですよね。
でも僕は少し苛々していて、あまり優しくしてあげられなかったな。御免なさいね。
それなのに君はこの場所が嵐でめちゃくちゃになった時も、兄弟が落ち込んでいた時も、
いつも僕に優しくしてくれた。僕が優しいと思ったなら、それは君が優しかったからですよ。
>いつももんもんがくれた言葉を思い出してお勉強とかもがんばれたの。
>ありがともんもん。
そうですか。よかった。それはぼくも同じです。苦しい時、君の言葉で堪えられた。
だから―――お礼を言うことなんて、何もないのですよ。こちらこそ、ありがとう。
ええ。もちろん。
これからも、ずっと、好きでいて下さい―――ぼくの方からお願いします。
ぼくも、ずっと君のことを忘れません。
木苺のタルト。林檎のお茶。算数のテスト。桜のシフォンケーキ。
翡翠色のリボン。苺の飴。金色のお星さま。レモンの味のお月さま。うさぎさん。
君のくれたもの、君が見せてくれたもの―――嬉しかった。忘れません。
- 950 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:35:23
- >>911
>シュヴァリエになる前に、好きだった女性とか
>励ましあってきた仲間はいなかったんですか?
もちろん―――居ましたよ。でも、もうあまり憶えていません。
でも好きだった女性は…難しいな。学生時代も、あまり女の子に興味がありませんでしたから。
やあ。変な意味じゃないのですよ?ただ、それより大事なことが多かったものですから。
医者の仕事を始めて、お金持ちの屋敷のご夫人やご令嬢に懐かれる事はあっても
さして心を動かされはしませんでした。何だか飽き飽きしてしまってね。
仲間については、大学時代の友人がそうかも知れません。カールはそのうちの一人だった。
当時は世の中が戦争で揺れていて―――誰もが、自分の生きるべき道を探していました。
彼らのお陰で勉強は捗ったし、彼らと議論する時間は意義のあるものでした。
もちろん、夜のモンマルトルに飲みに繰り出すのもね。
それに、まだパリに慣れない留学生のカールをあちこち連れ回すのも楽しかった。
僕はすっかり彼に情が移ってしまって、それで友人の中から彼を選んだのです。
生きるべき道を見つけた幸運を、彼にも分けてあげたかった―――僕はまだ若かったのです。
君の言うとおり、彼らとは励ましあいながら将来について考えました。
でも…彼らが話したどんな夢も、アンシェル兄さんが差し出したものの誘惑にはとても敵わなかった。
彼らはあれからどうしたのかな。立派な医者になって、家庭を持ち、幸せに人生を全うしたでしょうか。
僕にも―――カールにも、そんな未来があったかも知れませんね。
- 951 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:40:25
- >>927
>ねえソロモン、最後だから話してよ。
>日記でもいいんだ、ドイツの頃の、ソロモン視点でもいい、
>ドイツの記憶が聞きたいんだ。…ダメ?
よくおいでになりました。さあ座って。
やあ…、そのお話ですか。いつか、どなたかに訊かれるんじゃないかと
思っていましたから、駄目ということはありません。あなたがたには
これまでにも断片的にはお話ししてきた事ですが、この場所もあと少しですから
皆さんに会えるうちに、改めて話しておきます。
でも―――このお話は、随分長くなります。それでもいいですか?
話題が話題で、しかも話し手はこの僕なので、決して楽しい話にはなりません。
それに、僕は覚えている限りのことを話しますが、あくまで僕の目で見たのであって
僕が直接見聞きしていない事については、本当のところは判りません。
ですから、もしかしたらあなたがたの想像している事と違うかもしれないし
あなたがたの期待通りの話ではないかもしれません。
以上の事を理解してから、僕の話を聞いてください。
こういう内容がお嫌いな方はどうぞ>>957まで、耳を塞いでいてください。
では始めましょう。
- 952 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:41:26
僕らがドイツに拠点を移したのは、ご存じのとおり第二次世界対戦の頃です。
拠点を移した時期といっても、マルティン兄さんは戦争が始まる前からナチスにいましたから
厳密にはその頃なのかも知れません。
彼の役割は、あの国にディーヴァの安全な隠し場所をつくる事でした。
彼は適切なタイミングで、速やかにそれを実行した。
彼が利用したのはヒトラーの愛人であったエヴァ・ブラウンです。
切欠は普通じゃありませんでしたが、ディーヴァを彼女に成り代わらせて上手に隠した。
ディーヴァは彼の言うことをよく聞きましたから、それはすんなり成功しました。
彼女が大人しくして下さっていたおかげで、僕も仕事がしやすかった。
僕の仕事はあの国に、翼手に関する研究を進めるための実験場を確保することでした。
それも、あなたがたも知っていると思いますが、連合軍に所属しながら、です。
連合軍にいたのは、後々実験場のあとしまつが必要になった時に役立つからです。もちろん、
二重スパイのような事もやっていました。利用できるものは、全部利用しないとね。
アンシェル兄さんはいつものように裏で根回し、カールはアンシェル兄さんの補佐と
実験用サンプルの提供です。フランスのユダヤ系資本である、
ナチスにとっては悪の元締めの筈の僕らゴールドスミスがナチスと蜜月関係に―――とまでは言えませんが、
ある程度の信頼関係を築き資本を守る事が出来たのは、彼らのお陰です。
アンシェル兄さんはナチスにゴールドスミスの資本を差し出す代わりに、
特殊な技術の提供を約束すると提案しました。人間を翼手に変える薬品―――いまは
D-67と呼んでいますが―――に関する、それまでの研究の資料と生成のための技術です。
研究が更なる成果をあげれば、不死の兵団だって造れる。
マルティン兄さんの口添えもあって、ナチスはその申し入れを呑みました。
僕は研究の為の施設を確保するために、ナチスの将校達と仲良くなりました。
とりわけ親密になったのは、あの有名なアウシュビッツ強制収容所の主任医官、
ヨーゼフ・メンゲレ大尉です。彼は優れた軍医であり、また端正な容姿とカリスマの持ち主でした。
彼があの「死の門」に引き込まれた鉄道の終点に立って、アリアを歌いながら囚人を「選別」する姿は
まるで「死の天使」と呼ぶのに相応しかった。
そして彼はナチス軍人の例にもれず、強い選民意識の持ち主でもありました。
能力の高いユダヤの血をひきながら、外見に彼らナチスの理想であるアーリア人の特徴を持ち合わせた僕を
彼はとても気に入ってくれた。彼を篭絡するのは他の誰より簡単でした。
メンゲレ大尉は、彼の収容所を実験場として開放してくれました。
1943年の、5月の末の事でした。忘れもしない、それはディーヴァが目を醒ました頃です。
- 953 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:43:18
- >>928
>私もマルティンと一緒の写真が気になってたんだ。
>ソロモンはフランスの軍服だし、カールはスーツ着てるし。
>一体どこで写真を撮ったの?
あの写真をご覧になりましたか。お恥ずかしい。
僕の士官服は、可笑しかったでしょう?一人だけ笑っているし…。
カールなんかはスーツがよく似合って、格好いいですけれどね。ああしていると彼はまるで、
アンシェル兄さんの秘書か通訳のようでした。
日付が、1943年の6月4日になっていましたね。
少し話が逸れますが、そう、あれはディーヴァが目を醒まして、兄弟がドイツに集合した時です。
場所はケールシュタインハウス。絶壁の頂上のティーハウスです。
あの写真の3年ほど前、マルティン兄さんがヒトラー総統の誕生日に贈ったものです。
ヒトラーが重度の高所恐怖症と知っていながら、彼はなぜそんなものを贈ったのか?
やあ、答えは簡単です。
あれは総統への贈り物ではなかった。ディーヴァへの目覚めのプレゼントだったのです。
あのときディーヴァはまだ出歩ける状態ではなかったから、兄弟だけで写真を撮りました。
その時でした、あの事が起こったのは。僕らが屋敷へ戻ると、何だか中の様子が普通じゃなかった。
血の匂いが充満していた。まさか、と思ってディーヴァのベッドへ行くと、そこに金髪の若い女性が
喉から血を流して息絶えていました。その隣に、彼女が、添い寝をするように横たわって、
「この娘かわいかったわ。ひどく怖がっていたから、わたしのものにしてあげたの。
でも女の子はそうすると動かなくなっちゃうのが、いけないところね。」
女の子もシュヴァリエにできたらいいのに―――ディーヴァはそう言って笑いました。
マルティン兄さんが側に寄って遺骸の顔を確認しました。彼の顔から血の気が引くのが判りました。
エヴァ・ブラウン。
ディーヴァは憔悴した様子の彼の頬にキスして、耳元に血に濡れた唇を寄せて囁きました。
「あら慌てなくていいのよマルティン。わたしいつも思ってたの、金色の髪の毛ってお洒落よね。」
エヴァがなぜあのお屋敷にいたのか、彼女とディーヴァのあいだにどんな遣り取りがあったのか、
僕には判りません。あの時は、呑気に写真なんか撮っている場合じゃなかったのですね。
- 954 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:44:25
ええと、どこまで話しましたっけ…ああそう、メンゲレ大尉についてでした。
彼はヴァンのように有能で、よく働いてくれた。
僕は連合軍とのあいだをそう頻繁に行き来できなかったので、実験場のことは殆ど彼に任せきりでした。
ただ…彼には、常人の理解を超える「癖」がありました。
彼は双子に尋常でない興味を持っていて、子供たちを使って人工的に「シャムの双子」を作ろうとしていた。
それに彼は金髪碧眼の子供を偏愛していて、彼の側にはいつも天使のような双子が控えていました。
彼は子供たちに自分を「小父さま」と呼ばせ、それは可愛がりました。
彼の癖を笑顔で見守るのは、さすがに気持ちの良い事ではありませんでした。
でも、実験場を維持して貰うためには、目を瞑るほかありません。
僕はほんの愚痴を言うつもりで、マルティン兄さんにそれを打ち明けました。
こういう事は、アンシェル兄さんには言えませんから。
すると彼はこう言いました。お前はアンシェルの為なら何でも我慢するのだな、と。
僕は吃驚して彼の顔を見ました。彼は皮肉っぽい笑みを浮かべて、また言いました。
「お前はディーヴァのシュヴァリエか?それともアンシェルの下僕なのか?一体どっちなんだ」
と。僕は当然、アンシェル兄さんが仰る事はディーヴァの為になりますから、と弁明しました。
彼はそれを受けて鼻で笑った。本当にそう思うのか、と。
僕は、この人は何を言っているんだろう、そう思いました。
「それに、アンシェル兄さんには恩がありますから。ディーヴァにも。僕はそれを返さなくては」
そう言うと、筋金入りだな、と言って、また笑われました。
彼は僕が会いに行くと、いつも藁貴腐ワインを出してくれました。
僕はマルティン兄さんに何だって話しましたが―――ただ一つ、どうしても言えなかった。
アンシェル兄さんが、彼をかなり邪魔に思っている事です。
- 955 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:46:56
それから暫く、僕たちは赤い盾に嗅ぎつけられることもなくディーヴァを隠し、
順調に仕事を進めていました。ですがやはり長くは続かなかった。
1944年の夏、あの事件が起こりました。君たちも知っていると思います。
国防軍のクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐による、総統暗殺未遂事件です。
僕は現場に居合わせませんでしたから、詳しいことまではよく知らないのですが…あの事件で、赤い盾は
大佐の属する反ナチスの組織「黒いオーケストラ」に、小夜とハジを送って加担したようです。
それはナチスの作戦会議場であるウォルフスシャンツェ―――「狼の巣」に
最高幹部が集まった際、シュタウフェンベルク大佐が時限爆弾を持ち込んで爆破した事件です。
隻眼、隻腕の大佐はその傷のお陰で持ち物の検査を免れる事が出来ましたが、
起爆装置の仕掛けに手間取りました。そのせいで爆発はヒトラーの命を奪うまでには至らず、
命を落としたのは、爆弾のすぐそばにいた総統副官と空軍参謀長の二人に留まりました。
記録上はそうなっている筈です。でも―――
その二人の死因は爆発による外傷ではありません。彼らを殺したのは小夜の血です。
総統副官と空軍参謀長は、薬の投与によって獣化したのです。
それを、大佐に同行していた小夜とハジが駆逐した。
もちろん、ウォルフスシャンツェにはディーヴァも居たはずです。
人間が薬で翼手に変化するには、彼女の歌が必要です。小夜とハジはそこまでディーヴァに肉迫した。
会議の席にいたマルティン兄さんは小夜と接触しましたが、結局取り逃がしました。
小夜は危険です。その血の一滴で僕らは死ぬ。接触は極力避けるべきです。
あの事件でそんな小夜に、ディーヴァの居場所を知られてしまった。
彼女たちにとって憶測でしかなかったことが、確証に変わってしまいました。
僕らは速やかに拠点を放棄するべきでした。
- 956 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:48:12
アンシェル兄さんは僕に言いました。
「困るな」と。何がですか、と訊くと、「あの男が居ると困る、と言っている」
彼はどこか苛々した様子で言いました。意味が判らずにぼんやりしている僕に、
「…まだ判らんのか…?お前はもっと賢いと思っていたが」とも。彼は重ねて言いました、
「私に出来ないからお前に言っている」「お前ならあの男を出し抜ける」そして噛んで含めるように、
「小夜の血以外でどうすればシュヴァリエが死ぬか、あの男で試して来い。」
アンシェル兄さんにしては、随分直接的な言いかたでした。
拠点を棄てるのに、マルティン兄さんの存在が邪魔になっていた事は確かです。
彼はナチスで権力を振るいすぎた。
もうそれは僕らの目的の為と言うより、彼自身の為のように思える程でした。
ですがそれ以上に、別の理由で、彼がマルティン兄さんに苛ついていた事も確かです。
僕は内側に澱を溜め込んだような気分で、仕事を続けました。
実験場を手放し拠点を移す手続きを早急に進めるべきでしたが、少し時間がかかりそうでした。
実際にそれが出来るまで、一年近くかかった。けれどあの総統暗殺未遂事件からこのかた、
ナチスの防諜策が緊密になった事は赤い盾の目を塞ぐ結果になったようです。
それ以来ディーヴァの身が大きな危険に晒される事はありませんでした。
それから少しして―――ドイツの戦局はもう絶望的なものになりました。
マルティン兄さんから、ヒトラーが総統地下壕に移る可能性について聞かされました。
彼と時間をかけて話したのは、あれが最後だったかな―――
- 957 名前:ソロモン ◆DSYyjlTfvA9Z :2013/08/19(月) 04:49:35
―――おや。もうこんな時間だ…あなたがた御免なさい、もう休まないと。
シュヴァリエは眠らないから、人間の都合を忘れてしまっていけませんね。
今回はここまでにしましょう。実のところ、この続きは―――ぼく自身、きちんと順序立てて
巧く話せるかどうかわかりません。もう少しだけ考えさせて下さい。
それに、本当に御免なさい。これだけ待たせてしまったのに、まだいくつか取りこぼしてしまいました。
でも次は今回ほど長くはかからないでしょう。
それじゃあ、今はこれで。さあ、皆さんお部屋に戻って。
おやすみなさい。
- 958 名前:名無し客:2013/08/23(金) 03:06:38
- パパは言うの。
今度のおうちは
りっぱな学校も鉄道の駅も面白い本のあるお店も
近くにあるよ、楽しいよ。
街で暮らそう。
ママは言うの。
今度のおうちは
緑の木も菜園もばら園もあるひろーいお庭のある
美しいお屋敷なのよ、楽しいわ。
田舎で暮らしましょう。
ねえ、わたしどっちに付いていったらいいかなあ。
- 959 名前:名無し客:2013/08/26(月) 21:52:48
- 怪我してもすぐに治るのなら怪我しないように気をつけるのを忘れてしまいませんか
長生きしてると人生に飽きちゃったりしませんか
- 960 名前:名無し客:2014/02/25(火) 01:03:37
- ユリア・リプニツカヤ可愛かったね。
ソーニャを思い出した。
- 961 名前:名無し客:2014/03/09(日) 17:49:23
- >>948
イケナイ写真は無事渡ったようだwよかったよかったww
ああそれとね、小夜は言ってたよ。同じように好きの後で
「これが愛しているという気持ちか分からないけど、格別に大事な一人だよ」って
宮城ジョージとかカイとかリクに対する気持ちとは別みたいだね。
ハジと一緒でいいねwその分、ディーヴァに嫉妬されるだろうけど頑張ってねー♪
メルセデスとエドモンとフェルナンみたいだけど違うだろうなー。
いやなに、ドイツ時代のお話のお礼だよw
アンシェルとソーニャとカールによろしく伝えてね!
- 962 名前:名無し客:2014/12/05(金) 19:44:24
- 倉庫見れなくなっちゃったんだね。
いろんな出来事が詰まったログばかりだったから
保存すれば良かったな。
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