現在ヒモの元精神科医ですが何か質問は?
- 1 名前:降旗 弘 ◆MUuXXqUbQo :2006/02/03(金) 23:18:00
- やあ……こんばんは。
月明かりが綺麗でしょう? ここからはよく見える。
ふふふ、そんなに驚かないでくださいよ。私の方が驚いてるんですから。
まあ適当な所にでも座ってくださいよ。大した物も出せませんけどね。
え? 足の踏み場が無い?
それはそれは……。貴方もしかして、潔癖症か何かですか?
ああいえ、というのも私、こう見えても元は精神科医の端くれでしてね。
そう見えないでしょう? まあ、昔の話ですよ。
何せ今じゃ只の世間の屑です。徳田里美って言うんですがね、その女性に養ってもらってるんですよ。
駄目でしょう? 駄目なんだなあ、ふふふ。
まあ折角来ていただいたわけですし。少しお話でもいかがですか?
誰にも悩みというものはあるんですよ。意識しなければ消えてしまうようなものも数知れずね。
お時間があるなら、どうです? 私の趣味に付き合うとでも思って―――ひとつ、分析されてみませんか?
京極堂シリーズの方々なら歓迎いたしますよ。ただ……それ以外は一寸困る。
矢張り知っている方のほうが何かと、ね。
それから……そう、100くらいで終わらせようと思いますよ。
彼女が帰ってきてしまう。それに、あまりしつこく分析していると、また友人に怒られそうだ。
それでは―――皆様、ご自由に御質問をどうぞ。
- 2 名前:名無し客:2006/02/03(金) 23:21:12
- >>1
ダメ人間ですか?
- 3 名前:名無し客:2006/02/03(金) 23:29:28
- 治療と称して女性患者に麻酔をかけ、ここでは口に出来ないような無体を働いた御経験は?
- 4 名前:名無し客:2006/02/03(金) 23:33:29
- 髑髏が出てくる夢ってどういう意味なんでしょうか。
- 5 名前:名無し客:2006/02/03(金) 23:38:47
- ヒモで暮らしてる心境ってどんなものですか?
- 6 名前:名無し客:2006/02/03(金) 23:41:47
- 現在の自分を精神分析してみて下さい。
あの猶太人が喜ぶような結果が出るでしょうか?
- 7 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/02/04(土) 01:08:08
- >>2
> >>1
> ダメ人間ですか?
ふふ、そうですねえ。
私はこれで良いと思っている―――びくびく怯えていた昔より、今の方がずっと幸せなのも事実なのでね。
でも矢張り、世間の目には堕落に映るのでしょうね。
医者がヒモに成り下がったと、こう認識されるわけです。
それはある意味小気味良い話だ。成功者の衰退、失敗談というのは誰にとっても甘美な物ですから。
しかしね、必ずしも医者イクォール成功者というわけではない。私は実にそれを良く知った。
……いや、思い知ったというべきか。どちらにせよ、今の私は客観的に見れば駄目な人間でしょう。
屹度誰もがそう云う筈だ―――ふふ、個人の幸せなんて所詮当人にしか理解し得ないものなのですよ。
まあ、駄目と云えば……初っ端からトリップキーを紛失している時点でもう駄目でしょうがね?
- 8 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/02/04(土) 01:19:48
- >>3
> 治療と称して女性患者に麻酔をかけ、ここでは口に出来ないような無体を働いた御経験は?
おやおや……随分と底意地の悪い事を訊く方だ。
こんな事を私に尋ねるという事は、貴方はそういった類の欲望をお持ちだという事ですね?
生憎御期待に沿えるような答えは持ち合わせてはいないが―――まあ探せばそういった医者はそれこそ腐るほど居る。
探したいですか? そういった経験談を、気分が悪くなるまで延々と囁かれ続けたいですか?
私は御免だ。そういった話に乗るような気も起きませんね。
だから代わりにと言ってはなんですが―――貴方のその欲望を形にせずに終わらせる方法を入念に考えて差し上げましょう。
貴方は先ず、貴方の内側の性的衝動を自分で問い質さなくてはいけない。
それはそう、世間一般では可笑しいと云われている事だったりするかもしれない。
もしかしたら、それを自覚しているかもしれませんね。
でも貴方は、「患者」という自分を頼ってきている人間を、「治療」という善行の元で穢してしまいたいという願望を持っている。
貴方、頼られる事に慣れていないのではないですか? それとも上から見下ろす事が好きなのかな。
まあそれは、貴方自身が一番良くわかっている事だと思いますがね。
ああ、これは余談ですが、そういった経験をしたいからといって精神科医になるのだけは止した方がいい。
この、心理学という学問はね……取り込まれる事が多々あるのですよ。
木乃伊取りが木乃伊です。笑えるでしょう?
そういった妄想をやめろとは云わないが、まあ現実に夢を見ないほうが良いのじゃないかな。
- 9 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/02/04(土) 01:58:57
- >>4
> 髑髏が出てくる夢ってどういう意味なんでしょうか。
……それを私に尋ねますか。
あの、忌々しい事件を思い出せとでも?
良いんですよ。髑髏の事件はもう終わった。
その後私はまた一人の男の所為で事件に巻き込まれ―――てもいないか。あれは。
髑髏が出てくる夢。夢か現か……今となってはもう、思い出そうとも思いませんけどもね。
ああいったモノは、普通に生きているからこそ際立ってどす黒く見えるのです。
こんな風に少しばかりの生命線をとぼとぼと辿る様な生活をしていれば、気にもならなくなるというものです。
あれは夢なんかじゃないのです。本当にあった事だった。
それを夢にして繰り返していた、私が愚かだっただけの事ですよ。
あれを一言で説明するのは難しい。
ただ、私の自己嫌悪と穿った分析の所為で禍々しく変貌してしまっただけだ。
信仰というのは恐ろしいですよ。ああいった事も平気で出来てしまう。
そうする事が当然だという風に、燃え盛る炎の中で肌を重ねる。
狂っては居ないのです。それが彼らの軸です。私達とは違った場所に中心が据わっている。
貴方も夢を見るでしょう。日がな一日、その夢ばかり頭の中で反芻する様な事も屹度ある筈だ。
でもあまり気にしないほうが良い。それほど深い心的外傷を―――僕は貴方には感じない。
- 10 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/02/04(土) 02:05:13
- >>5
> ヒモで暮らしてる心境ってどんなものですか?
矢張り気になるのは其処ですか。
良い身分になったものだと思いますよ、自分でも。ええ。
何せ彼女におんぶに抱っこでしょう? 普通なら有り得ない事だ。
でもそれが罷り通ってしまうのですね。特に可笑しな事でもない。
だから此処は、そういった意味でも住み易い場所なのですよ。
まあ多少は申し訳なくもあるが―――彼女は私の理解者だ。
私のこういう小さな葛藤も呑み込んでくれる事でしょう。
しかし貴方にはお勧めしない。
もしや、こういう生活に憧れを持っているのですか?
それは少し問題だ。考えを改めた方が良いかもしれない。
自立。自活。出来るならするに越したことは無い。そうでしょう?
私はね。もう良いのです。医者の肩書きも捨てた。
それでも独りではなくなったのです。少なくとも今のところはね。
だからそう……金銭的にも精神的にも助けて貰っているのですよ。
羨ましいですか。良い身分だと思いますか。
私は―――そう思う。
- 11 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/02/04(土) 02:16:47
- >>6
> 現在の自分を精神分析してみて下さい。
> あの猶太人が喜ぶような結果が出るでしょうか?
―――何ですか。
猶太人。髭面―――精神分析。あのパラドックス。
彼が喜ぶかどうかなんて私は知らない。私はもう彼から離れた。
彼を追い、彼から逃げ、彼を疎ましく思い、彼を恐れた―――そんな生活はもう終わったのです。
私はもう救われた。そしてまた暗礁に乗り上げた。
底辺だと思っていましたよ。でもあの男は……私以上に虚ろだった。
窃視嗜好。あの男。私の最後の患者です。世間でも相当騒がれた「目潰し魔」の男ですよ。
彼の心理を探るうちに嫌になったのですよ。だから辞めた。
深層に迫る。こんなのは覗いているのと同じ事なんですよ。根はちっとも変わらない。
彼を覗き自分を知り、もう私は嫌になった。
向いていたのかいなかったのか―――それは私にはわからない。
例え向いていなくとも、それで良かったのです。嫌だとさえ思わなければそれでよかった。
けれどもう無理です。自分は自分の仕事を嫌った。愛想が尽きた。
そして他人に依存した。下らないでしょう? 治る見込みなんてありますか。
最初から可笑しかったといえば可笑しかったのです、私は。
常識の枠に疑問を抱き、その癖常に理詰めになっていたかった。
屈折、の一言で……全て終わる。そんな人間ですよ。
さて、あの髭面が喜ぶかどうかは知れませんが……貴方は満足いったでしょうか?
- 12 名前:名無し客:2006/02/04(土) 08:00:29
- 神ともっと積極的に付き合って、
どんどん馬鹿になっていけば色々吹っ切れますよ。
- 13 名前:名無し客:2006/02/04(土) 16:34:16
- 徳田里美さんですが、どう引っ掛けたんですか?
- 14 名前:名無し客:2006/02/04(土) 16:35:01
- 最近新聞や雑誌でも噂の探偵……ええと、何ていいましたっけ?
ほら、美食倶楽部乗っ取り事件や怪盗猫招き事件を見事解決したって評判の。
ともかくその名探偵とお知り合いなんですってね。どんな人ですか?
- 15 名前:名無し客:2006/02/04(土) 17:48:07
- フロイト様がみてる
- 16 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/02/05(日) 00:37:23
- >>12
> 神ともっと積極的に付き合って、
> どんどん馬鹿になっていけば色々吹っ切れますよ。
……神ですか?
それは―――積極的に信仰をして現実が見えなくなってしまえばいいと?
そういう解釈で良いですか? ふふ、それは御免だな。
何せこんな身分でしょう? これ以上勝手な事は出来ないじゃあないですか。
こう見えても、昔教会に居た事もあったんですがね。
まあ今はあの頃よりも健康的な生活をしていると思っていますよ。ええ。
とにかく信仰は御免です。信じていたからこそ起こった事件も多かったわけでしょう?
私は……特に基督教が好きな訳ではありませんから。今では教会とも無関係ですし。
亮さんは―――いや、あの人の事はいい……。
兎に角もう信じる事は嫌です。その所為で可笑しくなるのも私は嫌だ。
例えそれが本尊を作るためであろうと、骨を集めて―――それで、それで……。
別に私はこれ以上無い位吹っ切れているのです。もう良いのですよ。これでね。
もしや吹っ切りたいと思っているのは、貴方自身なのじゃあないですか?
……何ですかその不満そうな顔は。え? 違う?
違うとは―――何かな。私は恥ずかしながら神と云えば基督教の―――。
神みたいな人? ……貴方、何のことを云っているのです?
天皇ですか? もうあの時代は終わったのですよ。いい加減に目を覚ましてください。
- 17 名前:名無し客:2006/02/05(日) 00:56:26
- 夢を見てるのは君さ。何一つ終わっちゃいない。米国の軛に甘んじても大日本帝国は大日本帝国だ。
- 18 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/03/13(月) 02:00:30
- ……随分と間が空いてしまいましたね。
いやはや、何とも申し訳ない気持ちですよ。
別に一寸うとうとしていたとか、そういう事は無いですよ。必死で考えていたんですよ。
……本当ですよ?
>>13
> 徳田里美さんですが、どう引っ掛けたんですか?
ええ、随分お待たせしてしまったようだ。
まだ聞いてくださっているのなら―――お答えしましょう。
彼女は以前玉ノ井に居たんだそうですけどね。
それ以前の事は知らないが……彼女だってべらべら語りたくないことの一つや二つ、あるのでしょうからね。
私だって昔の事は覚えていない。
覚えておいて良かった事なんて、何一つ無いんですよ。私には。
別に、取り立てて此れと云った切っ掛けなんてありませんよ。
出会いが運命だとか、そんな事を思った事も無いですし。
ただ単に、まあ、こうなるべくしてなったと云うだけの事でしょう。
引っ掛けたも何も有りはしませんよ。
まあ―――実際、特別な事ではなかったんです、本当に。だから私も良くは覚えていない。
彼女について語れる事はまあ、此れ位ですかね。
若者の様な燃え上がる恋だなんてもう、私にはもうかけ離れた物でしかありませんからね。
- 19 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/03/13(月) 02:07:30
- >>14
> 最近新聞や雑誌でも噂の探偵……ええと、何ていいましたっけ?
> ほら、美食倶楽部乗っ取り事件や怪盗猫招き事件を見事解決したって評判の。
> ともかくその名探偵とお知り合いなんですってね。どんな人ですか?
新聞も雑誌も読んでいないので、その事件については知りませんが……。
そんな事を解決しそうな変人なんて、私の知りうる限り彼しかいないな。
どんな人も何も、面白い人ですよ。
私が例えどんなに努力しても、持って生まれたものというのは矢張りある訳です、ね。
鳶色の瞳が綺麗な人ですよ。貴方も一度会ってみると良い。
影響力がある人だとは思いますが……さて、どんな人と云うのは如何いう意味で仰っているのか。
まあ、知っていて敢えて云わないところは優しさだったり毒だったり、そういう意味でなら非常に気配りのできる人だ。
育ちが良いのを除いても、品はある。そのくせ可笑しな言動が目立つのは、屹度その育ちに対する反発でしょうね。
ちやほやされるのは心地よいものです。
でも毎日飴ばかり与えられていたって、人間は詰まらなくなってしまうのですよ。
笑顔ばかり並ぶなら、其れを壊してみたくもなる。だから彼は敢えて周りを困らせたがるんじゃないでしょうかね。
勿論私の勝手な見解だが―――どうでしょう。
強ち間違ってもいないのじゃないか、と思いますよ。
- 20 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/03/13(月) 02:30:01
- >>15
> フロイト様がみてる
……なんですか?
みてる? 何をです?
真逆……私を、ですか?
それとも貴方を?
厭だなあ。どちらにしてもそんなのは厭な話だ。
第一……様を付けて呼ぶ事自体が厭なんですよ。あれは其れ程良い者じゃない。
貴方が彼を崇拝している訳でもないようですし、それならそんな呼び方はするべきじゃあ無いですよ。
あんな髭面に見られていると考えてみて下さい。
いいですか? 24時間ですよ?
耐えられますか。私には耐えられないな。
例えばそうですね、貴方が若き学生だったとしましょう、其れで考えてみて下さい。
朝起きて歯を磨いて、顔を洗って、ふと目の前の鏡を見たら―――自分の肩口に髭面。
まず目を疑いますね。
そして元気良く学校に登校。校門の所で友達を見かけ、走り寄る途中に貴方は石に躓き転んでしまう。
情けなや自分、と憎き石を見ると―――石だと思っていた物が実は、小さな髭面の頭。
あまりの気持ち悪さに立ち上がれませんね。
次に教室で授業を受けている最中、窓の外に気配を感じ貴方は振り向きます。
また髭面ではないか、という怯えから、貴方は必要以上に慎重になっている事でしょう。
そしてはっと振り向いてみる―――しかし其処には、単に木登りをしている猫の姿。
なんだ猫か、と貴方は安堵し、前を向く―――その瞬間。
机の上のノートには、髭面の顔が在るのです―――。
一難去ってまた一難。私はとことんついていないのだと落ち込みますよ。
給食中も激しくおどおどしている貴方。気遣ってくれる友達にも愛想無い返事しかできない事でしょう。
しかし何事も無く、安心して給食を貪り食った貴方。待ちに待った昼休みですよ。
正直な所休み時間なんだから休ませて欲しいのに餓鬼大将に誘われて仕方なく校庭で球のぶつけ合いを始めた貴方。
もうおわかりでしょう、貴方は其れ程馬鹿じゃあない―――
顔面に向かって跳んで来た球―――目を瞑る一瞬前、貴方は見るのです。
あの髭面を。
気が狂いそうでしょう? 私はもう単なる空想だとわかっていても寒気がします。
窓を開けっぱなしていたのが良くなかったとか、そんな事は如何でもいい事です。
やっと家に帰ることが出来た貴方。
けれどその後も家族の顔が髭面に見えたり、浴槽の中で髭面の頭を蹴り飛ばしてしまったりと、何かと災難に見舞われます。
心休まる暇も無い貴方ですが、漸く布団に潜り込む事が出来たのです。
しかし寝付けずにふと目を開けると―――暗い部屋の片隅、宙に浮く光る髭面の頭が……。
もう好い加減にして欲しい貴方。私も精神科を離れて本当に良かったと実感していますよ、ええ。
耐えられず寝返りを打つ貴方。だが其処には―――
―――此方を見つめる髭面が。
……どうですか。
恐ろしいですか? ……何ですかその何か云いたげな表情は。
良いですよ、私も反省している。少し下らぬ事を喋り過ぎたようですね。
まあ、これを機に貴方も安易に厭な事を口にしない方が良いのだという事です。
……だから何だと云うのです、その表情は。
- 21 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/03/14(火) 01:02:35
- >>17
> 夢を見てるのは君さ。何一つ終わっちゃいない。米国の軛に甘んじても大日本帝国は大日本帝国だ。
……哀しいかな、まだそのような事を仰っているんですか。
大日本帝国などは元より終わっている国。
緩やかに終焉に近づいているだけです。それだけの事です。
貴方はまだ馴染めないだけでしょう、あの辛く苦しかった日々にこそ意味を求めているだけだ。
変わっていくものが怖い、斯く在るべしが崩れていくのが不安だ、それこそ理由など幾らでもあるのでしょうが―――
生憎と貴方はあまり現在に馴染めていないようだ。
其れはとても誇らしい事―――ですか。そう思うのですか。
米国の軛に甘んじている? 冗談ではない。
こうなる事はもうずっと昔から決まっていた事なんでしょう。私はそう思う。
あの戦争に利益など無かった。勝てるはずも無いのだと、良識ある人間は皆わかっていた。
只、口に出せなかっただけだ。死にに行く事がどれほど恐ろしい事か。
身の丈を超える大砲や、唸りを上げる爆音を連れて来る飛行機―――懐かしいですか? 愛しいですか?
私は何度思ったことでしょう。飛行機が爆弾を落としているのなら良いのに、とね。
其処に人など居なければ良かった。人がしている事だなどと、信じたくは無かった。
今もし、あの人間に成り下がった神が土下座してもう一度戦場に赴いてくれと懇願したとして、一体何人が首を縦に振るでしょうか。
私は絶対に厭だ。もうあれは、終わった事ですよ。
貴方の中ではまだ、あの戦争は続いているのですね。
何一つ変わらなければよかった、わからなければ良かった、と思っているのでしょう?
本当の罪人こそ裁かれぬものですから。
ただ―――此れだけは言わせて戴きたいのです。
夢を見ているのは、私であり貴方であり、そして今此処で生きている人間全てです。
二度と悲劇が無いようにと、夢に夢を重ねて生きているのです。
それを貴方に壊す権利は無いのですよ。決して、そんなものは。
貴方は自分の思う世界が唯一の絶対的な世界だと思っているのでしょうけれど。
生憎と―――そんな狭い世界に、一億人は入れない。
- 22 名前:名無し客:2006/03/14(火) 03:01:14
- 宅急便です、判子お願いします。
(何か中にびっちりつまった感じの「箱」が届きました)
- 23 名前:名無し客:2006/03/15(水) 01:29:23
- ご自身の、子供の頃に憧れた「夢」って何でしたか?
- 24 名前:名無し客:2006/03/15(水) 01:31:05
- これは心理テストです。
「檻」の中に何かが居ます。
さて、何でしょうか?
実はですね。
この「檻」の中にあるものは、あなたの――――――
- 25 名前:名無し客:2006/03/17(金) 21:33:41
- 幽霊とか宇宙人は実在すると思いますか?
- 26 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/03/18(土) 01:11:42
- そういえばこの間、久しぶりに刑事をやっている友人が訪ねてきたんですよ。
こんな所―――ああこういう云い方は彼女に失礼だけれど、まあそういう意味ではなくて。
ここまで来るくらいですからね、勿論穏やかな話ではなかったのですよ。
彼は友人としての土産ではなくて、代わりに警察手帳を僕に掲げて見せた、というか。
淋しいですよねえ。私は良い身分だなんて云ってますけど。
本当のところはどうなんだろう、とね。ふふ。思わなくもない。
その友人の来訪で思い出した事がありまして。
昔、小さかった頃―――別の友人に貰ったお菓子の事です。
彼は身分の良い、どうやら元華族の出らしくて。
あんな時代でもお金はある所にはあったと云いますか、兎に角私には無い物があった。
偶に持って来てくれた甘いお菓子……黒かったから屹度チョコレイトの類だったのでしょう。
あれは美味しかった。大人や、周りの子供達の目を何となく盗むようにして口にした。
私は何となくどきどきしていた事を今でも憶えている。
あの禁忌を犯すような感覚は、とても癖になるような、それ自体が甘かった。
当然、アダムとイブが口にした果実ほどの力はなかったでしょうが―――
それでも当時の私にとって、そのチョコレイトには確かに力があったのですよ。
あれから大人になって。
自分の金で買い、もう一度食べたチョコレイトはそれほど美味しくはなかった。
いえ、美味しかったのは美味しかったのです。
でも、私はあの時以上に美味しいチョコレイトはもう食べられないのだと思い知って―――
少しばかり、淋しくなったものです。
ああ、すみません。お待たせしてしまったようだ。
いや下らない話です。忘れてください。
>>22
> 宅急便です、判子お願いします。
……ああ、はい。
彼女宛の物だろうな、屹度。
今更僕に届け物がある人間などいないだろうから―――
しかし大きな箱だ……。まあ人の物は幾らなんでも見るわけにはいかないから……。
ええと、何の話をしていたんでしたっけ?
ああそうだ、チョコレイトでしたよね。
……ああ、もう!
中身の確認、確認、あくまでも確認ですよ。覗き見とは根本的に想いが違うのです、わかりますか。
……確認ですから。よって、開封します。
> (何か中にびっちりつまった感じの「箱」が届きました)
……黒い……。
もしかして、こんな話をしていたからチョコレイトでも送られてきたんでしょうかね。
ふふ、まさかそんな偶然は無いな。私もどうかして―――
―――は?
あ、いえ、なんだか動いたような気がしたものですから。本当にどうかしているようだ。
え? 矢張り動いている、ですって?
まあ、どう見ても動いて……しかしこの黒いものはなんなんでしょう、こんなにたくさん。
まさしくびっちりだとかみっしりだとか、そんな表現が似合いますね。
危険物ではなさそうですから、触ってみ……
―――わさ。
―――わさわさ、ごそ……、
―――かさかさかさかさかさかさかさ。
ひ……っ!
な、これ、え……っなんですかこれは……!
え? 蜘蛛? 蜘蛛なんですか? これ全部?
どうすれば……それ以前になぜ蜘蛛なんて!
え、なんですか?
え……、
―――『蜘蛛がチョコレイト味だから』?
- 27 名前:降旗 弘 ◆MUuXSwosGg :2006/03/18(土) 01:31:59
- ……蜘蛛の、ことは、もう……良いですから……。
何だかもう夢に出てきそうな勢いでしたからね。嫌な―――夢だ。
夢とは往々にして嫌なものですよ。私は良い夢など見た事がない。
眠りというのも色々と種類があるそうですよ。
大抵は、浅い眠りの頃に見た夢を憶えているのだそうです。
本当はもっと沢山見ているのでしょうね。長い夢も。
浅いまどろむような眠りの中で見る夢。
深い闇のような眠りの中で見る夢。
どちらも夢に違いは無いのですよ。
ただ、浅い眠りで見た夢の方を憶えているというだけです。
深い眠りで見た夢というのはなかなか憶えていないのだそうですよ。
まあ、私はもう心理学に携わる事もないし、精神分析も夢判断も知らない。
だからもう―――夢についても考えない。
碌な事がありませんから。
>>23
> ご自身の、子供の頃に憧れた「夢」って何でしたか?
夢ですか?
夢、夢、夢夢夢―――夢尽くしですね。
まあ構いませんが……将来の夢ですか?
どうしても子供の頃の夢と云うと―――ああ失敬、いえ何でもないのですよ。
ちょっと、厭な事を思い出しただけですから。
そうですねえ……まああの二人の友人たちのように何か夢があった訳ではなかった様な気がします。
これといって、特には。
あの夢の事もあったし、骨の事ばかり考えていた所為もあったのかもしれなかったし―――
もともと希望を持つようなタイプの人間ではなかった、という事も考えられます。
希望を崩されるのが怖いだけの臆病者かもしれませんし、そのくせ妙に自信があったのかもしれません。
昔の自分ですからね、果て何を考えていたのやら。
夢なんて無かったのかもしれませんよ。
それとも―――深い闇のような生活の中で見た夢だったから忘れてしまっただけかもしれません、ね。
- 28 名前:名無し客:2006/03/18(土) 21:50:18
- ツンデレという性格はどのような精神構造によって形成されるのでしょう?
- 29 名前:名無し客:2006/03/20(月) 02:57:46
- 助けてくれ。
蛇が肝臓に食らいついているというのに、そいつの姿が見つからないんだ。
なあ、助けてくれよ。
- 30 名前:名無し客:2006/04/04(火) 23:29:51
- 大悟致しました。
- 31 名前:名無し客:2006/09/28(木) 19:05:40
- 町田静夫という精神科医が出て来るドラマは痛いですか?
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