吸血大殲特別イベント ――血祭り――
- 1 名前:名無し夜族:2005/09/09(金) 00:39:44
- 誰も彼もが殺し合い、血を流し啜り合う、名も無き狂宴。
誰が呼んだか「血祭り」、ここに開催の運びとなります。
飛び入り歓迎!
この宴はいつでも、どなたでも、人魔問わず参加頂けます。
なんであれば、死してもなお違う貴方(=別キャラ)での参加さえも構いません。歓迎いたします。
はい、下記のお約束ごとさえ、守って頂けたら……
お約束ごと
・メール欄への原典表記
・各々でのレス番の記録
・翌日にそのレス番を纏めたものを貼り付ける
後の閲覧利便性のために、是非とも。
・レスでは常に、現在位置を表示すること(A-1のどこそこ、のように)
現在位置が分からないと混乱を来すおそれがあるため。
開催時間……
9/9 (金)21:00集合、22:00頃開始〜翌04:00に撤収、各自翌日へと持ち越し。
9/10(土)21:00集合、22:00頃開始〜翌04:00、終了。
舞台となる島の、地図。
http://www.jfast1.net/~charaneta/fupbbs/obj/obj55_1.jpg
http://www.jfast1.net/~charaneta/test/read.cgi/ikkokuRH/1124380187/123
なお、この祭りに際しての打ち合わせ、質問等は下記のスレにて。
吸血大殲<血祭り>連絡・打ち合わせスレッド
http://www.jfast1.net/~charaneta/test/read.cgi/ikkokuRH/1126350816/
観戦スレはこちら。
ここだけ吸血大殲スレ第一章!
http://charaneta.sakura.ne.jp/test/read.cgi/ikkoku/1119026383/
- 2 名前:『グラウスヴァイン』:2005/09/09(金) 21:05:16
- 忘れられた島。
かつては一定の文化水準を誇っていたこの地も、今では見る影もなく。
ただただ廃墟とありし日々。
悠久の眠りに就くが如く、静寂の毎日を過ごす。
だが今宵、ついに目覚めの時に至り。
廃墟と化した街に跋扈する生ける屍。外様の戦士は海港より現る。
寂れきった空港。管制塔が捉えたのは、夜族の来訪だった。
そして、己を知らぬ少女達は森へと迷い込む―――
竜は地下で、その全てを関知していた。
五感の調子はすこぶる良好だ。聴覚は地上の足音の一切を聞き漏らさず、視覚は地下隔壁
を透かして、島全土が見渡せそうな勢いである。
そして、心の臓と呼ばれし身体の核。飢えているが―――だからこそ、動作は正常。
眠りの時も、終わりが近い。
幸い、力となる餌は地上に溢れている。あれほどまでに高純度なエネルギーなら、幾ばく
の補給も要さずに己を"稼働"まで持ち込めるだろう。
竜は猛り、分厚い天井の隔壁越しに、空を見上げた。
この鋼鉄の壁と、更に重ねられた100メートルの土の壁。
それを抜ければ、己が望む場所がある。
全てはその時のために。
竜は哭いた。その重厚な雄叫びは島の大地を揺るがし、月夜に轟く。
<ニュークリアドラゴン・グラウスヴァイン>
召喚式超巨大核兵器。体内に大型の核融合反応炉を持つ最凶のドラゴン。
気性は動物的で至って凶暴。
あらゆるエネルギー取り込むことが可能。
召喚直後は不足したエネルギーを求めて彷徨う。
身体にエネルギーが満ちたとき、己の本分を全うし爆砕四散する。
(初期位置:地下兵器庫 待機中)
- 3 名前:セラス・ヴィクトリア:2005/09/09(金) 21:06:08
- (軍艦島上空、ハインドから実況生中継)
え、えぇー、せ、セラスです。
英国国教騎士団所属の"掃除屋"セラス・ヴィクトリアですっ。
わ、わたしは、い、いま、今回の祭りの舞台となる無人島の上空数百メートルの位置
から、ヘリコプターで島全土を睥睨していますっ。
ま、まだ闘争の時を迎えてはいないためか、島は闇に包まれてマス。
人の気配はありません……。
あっ、見てクダサイ。船が、港に近付いていマスっ!
まるで暗黒色の海に溶けるように、静かに船が入港していきますっ。
ま、間違いないデス。やはり、この島こそが戦争の舞台。
いま、この時刻よりカイーナの地となるであろう、血祭りの地なんデスっっっっ!!
あ―――はい、分かりました。
み、皆さん! い、いま局長……インテグラさまと連絡がつきました!
これより、大殲一同を代表してマスターが……
マスター・アーカードが、開幕の宣誓を行うらしいデスっ。
で、では、カメラをマスターに返しまーす。
と、と言うかデスねー。
わ、わたし、ここからハルコンネンで超々上空遠距離精密射撃支援攻撃を行えば、
けっこう良いトコロまで進めるんじゃないかしらー。
……と思っているんデスけど、どうでしょー。
あ、アリーマーさん辺りと空中戦をしてみたり―――
え、ガス代勿体ないから戻ってこい……?
そんなぁー。
(位置:島上空 ヘリで実況生中継)
- 4 名前:アーカード:2005/09/09(金) 21:06:49
- 或る廃ビルの屋上。廃れた街並みと、その向こうの森林、海を一望する赤い影。
それはおもむろに右腕を月に向けて掲げると、
静かに、しかし低く轟く声で島全土に言葉を放った。
「私は、
すべての闘争狗を代表し、
我々大殲の名誉のため、
飽いた永遠の時間にまばゆく輝く、
一瞬の生命の煌めきに敬意を払いつつ、
多情なる人の性、無情なる夜の闇を尊重し、
さらにこの血の歓喜をより広いところへと伝えるためにも、
この荒廃した島の舞台で、
一挙一動その全て乾坤一擲、
己の存在の全てを叩き込み、
いまここに、闘争を、
一心不乱な闘争を。
そして、
吹き荒ぶ血の旋風を巻き起こすことを誓おう。
―――英国国教騎士団ゴミ処理屋、アーカード」
- 5 名前:紫木一姫:2005/09/09(金) 21:11:55
- (血祭り、紫木一姫 導入)1/1
ぼーーー。あ。そう言えば、海から遠くに古ぼけた灯台が見えたです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
東京タワー!!
ついつい綾取りなどして時間を潰してしまってたです。
え?─────これ、本番ですか?
─────────────。
(以上も以下も、ひとりごとデシタ★)
四神一鏡っていう概念…いえいえ、それ以前に首吊高校をご存知ですか?
え。まったく?…全然?コレッポッチも?
迂闊にも本気みたいですね。
がっかり。不安です不思議です増上漫の不甲斐なしです。
姫ちゃん、大ショックでした。研修旅行でこんな所に(罰ゲームのけっかですけど)来たことも
こんな事に意味が無いっていう、姫ちゃんの思った通りの事になった事実もサイアクでした。
<<坩堝>>の混沌時に置ける終焉の道を模索する。
目的は裏世界の秩序を維持する為に。
手段は「殺してくること」「転がしてくること」「死んでくること」
簡潔な3点。そんなのをすげぇ解りやすく感受させられました。命令されました。
所謂これは”サークルノリ”です。
そんなコトばっかりに興味がある仲間内のイジメみたいなものなんですケドねー。
───嫌か、って?…はぁ当然、そんなの決まってるじゃないですか。
だから。姫ちゃん、今でもひとりぼっち。うう。
見る影もなく、強引に狡猾に策も無く充ても無く篭っちゃってるですし。あはは。
姫ちゃんは、不甲斐なくもそんな感じに笑っちゃったです。
誰も気付かれないだろう、この森の端の穴中でひっそりと。
それは、姫ちゃんだって少し寂しかったです。
ほら、またどこかで脳みそ〜とか言ってる怖いお化けがうろうろしてるです。
みんなも一人くらい食べられちゃったですか?
…1人は、やっぱり実感すると違いますね。
1人になってしまう事と、一人でいること。それは全然違うって考えたコト、ありますか?
ええそうです、違いは寂しい、っていうことなんでしょうねぇ。
『寂しい』ですけど、いつもの事です…そしてそんな風に世の中は回っていくんです。
ええ。なんとはなしに続くのです。同級生たちとも、もしかしたらずーっとはぐれちゃったままで。
…はぐれ。はぐ、れ────
あう。────これって、チャンスじゃないですか?
待てばガイルのピヨリありってこの事だと姫ちゃん、確信しちゃいました。
だから姫ちゃん、ちょっと下ボタン溜めが長かったですが。
研修旅行の輪の中から、夜に1人抜け出しちゃう気分で出発(でっぱつ)ごーごー。
着の身着のまま。制服に、頭に黄色のリボン。いつも通りの姫ちゃんです。
ひまつぶし七つ道具の一つ、剣玉をぶらぶらさせて、姫ちゃんは崖のほうに向かいます。
姫ちゃんみたいなの一人くらいなら見逃してくれてもいいと思いますですから。
うふふん。らんらん。
(紫木一姫、B−1端の森→C−1崖の方向へ)
- 6 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/09(金) 21:14:57
――――雲一つとしてない、満点の星空。
それが私――『深緑の智将』グリニデが今夜、最初に見た光景だった。
「……ここは、一体何処なのだ……?」
私の勢力圏であった“黒の地平”は、配下の魔物が吐き出す黒煙によって
既に20年以上、陽光も、月光も差し込む事がない。
すなわち、この地は私の勢力圏下ではないという結論が出せる
「となると、『地脈の扉』の暴走か……?」
魔人が使用する、遠距離を行き来するための転移装置。
それが地脈の扉だ。
だが、私の覚えている限りでは地脈の扉を使ったのは大分前の事。
最近は『世紀の大偉業』の実現に向けて“あの部屋”に篭っていたのだからあり得ない。
「……ダンゴール、ダンゴールは何処に居る?……居ないのか?」
自分に付き従う腹心の魔物の名を呼ぶ。
だが答えは返ってこない。
つまり、私は本当に一人きりということか。
ややもすると、把握できぬ状況に対し湧き上がる、己の中の興りに気付く。
「落ちつけ……このような時こそBe Cool…Be Coolにだ…!」
何かに対し興奮を、怒りを感じた時、私はこう唱える。
理性的に、節度有る知性的な魔人として振舞いつづけるために。
そして、あの“獣”の姿を見ぬ為に……!
………ともあれ、ここが誰の勢力圏かは知らぬが、人跡がある以上は魔物も魔人も居る事には違いないだろう。
―――そして、我等のゲームの標的である人間も。
「フ、フフッ……予測さえ出来ぬ状況ではあるが、この私の智略の限りを尽くし、戦果を挙げ帰還すれば
『ゴール』もより近付くに違いない……!」
―――魔人の指導者にして、究極の栄光。それが八輝星だ。
幾度と無く夢に描き続けたゴールへ、どのような手段を用いてでも辿りつく。
―――それこそが、全ての魔人の目的にして、存在理由なのだから。
私は、鬱蒼と生い茂った木々の間を縫いながら真っ直ぐに進む。
―――血の色の様に、紅く染まった月を目指して。
(初期位置:C-1 森林地帯→B-1森林地帯に向けて移動)
- 7 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/09(金) 21:14:57
「試作兵器での降下作戦?」
朝一で上の人間に呼ばれ、ノコノコやってきたアタシに命ぜられたのはそんな任務への従事だった。
「そうだ。次世代主力戦車の降下強襲実戦試験をやってもらう」
どっしりとしたデスクに両肘をついて口元で手を組み、佐官クラスのお偉いさんは言った。
「お言葉ですが、あの機体は既に実戦を経て『現主力戦車に劣る』との結論が出ています。そんな機体で降下強襲作戦など、私に死ねとおっしゃるので?」
そう、アタシは実際にその機体に乗ったことがある。ロールアウト直後に敵に鹵獲された機体を奪還する際に搭乗した。
酷い性能だった。見掛け倒しもいいところで、「これなら初期型のメタスラの方がマシだぜ」なんて声もあがった。
「確かに。『新型なのに現用機以下の役立たず』と酷評された機体だ。…だが、この機体は違う」
自信ありげにお偉いさんは言った。
「違う?」
「マルコ・ロッシ少佐を筆頭とする君ら四人の酷評を受けて兵器開発部が再設計を行ったのだ。コンセプトは同じだが他は完全に別物だよ」
誇るように言うお偉いさん。どうだか。開発者サイドの言葉は額面どおりにとっちゃいけないってのが現場の声だ。
例えばドロップショットとかサンダークラウドとか。
「欠点は全て改善されている。あとは運用して実戦データを取り、さらに煮詰める段階だ」
で、その実戦における生贄にアタシが選ばれたわけだ。開発部め、よっぽど扱き下ろされたのが気に入らなかったんだな。
「これは正規の命令だ。納得いこうといくまいと君は命令に従わざるを得ない」
お偉いさんのサングラスが光を反射する。どんな目でアタシを見てるのか窺えない。
「作戦前に技術士官から説明を受けておきたまえ。話は以上だ」
そう言ってお偉いさんはアタシへの命令伝達を終えた。
そして今、アタシは投下用パレットに固定された新型メタルスラッグの中で発艦を待っている。
降下予定地より離れること数十キロ。洋上に浮かぶ輸送艦。
スラグフライヤーに投下用パレットと新型とアタシを載せ、作戦開始と同時にテイクオフ。
あとは実戦の経過をコーヒー片手に観戦。戦闘終了後におっとり刀で回収。それが仕事らしい。
「うーん…これ本当に飛べるんでしょうか? 発艦失敗で海にドボンなんて嫌ですよ」
通信機から不安げなフィオの声。スラグフライヤーのパイロットはフィオだ。
降下予定地までアタシを運び、必要があれば支援を行う。
それが今回のフィオの仕事。
「重量配分とフライヤーの出力計算ぐらいやってるでしょ。大丈夫よ。…多分」
「多分ってなんですかぁ!」
作戦開始時刻になった。
ガッチガチに固定した荷物を背にスラグフライヤーは無事に発艦。
発艦時にフィオは割と本気でビクビクしていた。
投下予定地点は軍艦島、座標は『B-1』の森林地帯だ。
南方より島へ侵入。妨害は今のところなし。
「なんだってこんな辺鄙なところで実戦ができるんだか」
軍艦島って立ち入り禁止じゃなかったっけ? なんでグールが湧くのよ? どうしてそれを察知できたわけ?
疑問は尽きない。
「そもそも実戦試験なのに相手がグールってどうなのよ」
まあ、あんまりヤバイ奴が相手だと今度は帰ってこれなくなるかもしれないんだけどさ。
「油断してると痛い目見ますよ。…もうすぐ降下地点です」
通信機からフィオの声。
「油断なんかしないわよ」
簡単にチェックを行う。異常なし。
「降下高度まであと40秒です! 急いでチェックを!」
「もう済んでる」
口にガムを放り込む。風船一つ。
「降下高度です! 投下します!」
フィオの声とともに爆砕ボルトが炸裂。
結合を解かれた投下パレットはスラグフライヤーと切り離され、たちまちのうちに地上に落ちていく。
―――はずだった。
がこっ、という嫌な音。何かがフライヤーに引っかかったらしい。
「こ、高度がどんどん下がっ! いやあああ落ちるぅうううううう!!!」
フィオの通信機越しの悲鳴がキンキン響く。
アタシも冷や汗をかきながらスラッグのモニターをオン。外部情報を収集。
ワイヤーが一本、半千切れでフライヤーに引っかかっていた。
「こいつか!」
ハッチを開いて身を乗り出す。高空の夜気と風がびゅうびゅうと吹き付ける中クラシックマーダーを抜いた。
銃声三つ。 半千切れワイヤーから全千切れワイヤーへ。
アタシは急速落下を始める機体から危うく投げ出されそうになりながらも辛うじて堪え、ハッチを閉めた。
程なくしてパラシュートが展開され、一気に減速がかかる。
地上が近づき、パレットで地を滑りながら着地。爆砕ボルトが再び炸裂し、今度は用済みのパラシュートを切り離す。
パレットが止まったところで三度爆砕ボルトが弾け、新型メタルスラッグを拘束から解き放つ。
「機関始動! 作戦開始!」
エンジン音を響かせ、鋼の塊が地上を疾駆する。
……やべ、降下地点ズレまくり。
(初期位置:B-1「森林地帯」(降下失敗)からA-1「坑道跡入口」付近に降下完了)
- 8 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/09(金) 21:17:28
- >導入
島の一番の高台に立って、俺は沈む夕日を見ていた。
黄色い球体が、水平線でゆがんで潰れ、消えてゆくそのさまと、
夕日が作る長い長い影が、島のすべてを覆い、飲み込み、おぼろな闇に沈んでいく様を、見ていた。
黄色い輝きのすべてが没し、闇が完全に辺りを覆ってようやく、
俺は自分が己でも気づかぬうちに、食い入るようにそれに見入っていたことに気づいた。
静かに、息を吐き出す。
――途端、血臭が鼻腔を刺した。
丘から見下ろすだけで、死骸がゴロゴロと目に入る。
日が暮れるのを待っていましたとばかりに、そいつらは蠢きだしていた。
この島は、今、どこでもこうだ。地相は最悪、積層都市の最下層並み。
生者と死者と魔物を一緒くたにし、幾人もの贄を得て、
殺し合いという名の祭祀を執り行おうとしている輩がいるらしかった。
俺も贄のうちの一人というわけだ。
気に入らないが、まあ、いい。俺は俺で、俺のゲームを始める。
生者をすべて吸血鬼にしてしまえば、そいつらはさぞ慌てるだろうさ。
「マクスウェル、休暇をやるよ」
その呟きを開始の合図に、俺は獲物を求めて闇の中へと踏み入った――
- 9 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 21:17:31
- 「……脳…みそ……」
「 ……脳みそ…くれ……」
血に餓えた亡者たちの呻き声が、荒涼とした夜空にこだまする。
島の至る所を徘徊する生ける屍たちが、今日もどんよりと濁った瞳で、獲物を求めてさまよい歩く。
半ば腐乱し、汚れきった身体を駆り立てるのは死者であることの際限なき苦痛。
劣化して脆くなった骨を折ってしまわないように、硬直した筋繊維が千切れないように、ゆっくりと歩くのが
ここでのたしなみ。
もちろん、生者さながらにバタバタと走り去るなどといった活きのいい死者など……
ドドドドドド……
中年女性バタリアン「脳みそ! 脳みそ! 脳みそのバーゲンざます!
あれもこれもみーんなみんなわだじのものざますよぉぉぉぉぉ!!!!」
……ま、まあ、このような例もあるということで。
グローバル化、多様化の趨勢は冥府から蘇った死者達の間にも浸透しているのだから。
多分、きっと、おそらくは。
トライオキシン245。
某超大国が密かに研究していたこの物質は、生命活動を停止した生体組織を再活性化させて
死者を蘇らせるという効果がある。
冷戦が終結し、世紀が代わった今日でさえ、一度使用されればたちまち墓穴育ちの純粋発酵しすぎた
ゾンビ達が箱入りで出荷されるという危険なBC兵器である。
遠洋の孤島。
外界から隔絶されたこの場所で、神に見離された第二の生に目覚めてしまった骸たち。
際限なく襲う苦痛を僅かに和らげるという人間の脳みそを求めて、今日も彼らは彷徨い歩く……。
(現在位置:島内全域を徘徊中)
- 10 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 21:18:23
- 「あぁぁぁぁ……」
「うぅぅぅぅぅぅぅ………」
海から吹き付ける湿度の高い風が運んでくるのは、苦痛に喘ぐ男女の声。
その数は幾十か、幾百か、それとも幾千か。
数えきれない無数の呻きが、喘ぎが、怨嗟の声が森の中を経巡って埋め尽くしていた。
声の主たち――樹々の間を彷徨い歩く無数の生ける屍たち――は皆、一様に『或る物』を、
彼らを際限なく苦しめ続ける死の痛みを僅かなりとも和らげることができる唯一つの物を求めて
今日も闇夜の中を徘徊する。
「……おぉぉ…あぁ…」
夜道を仄かに照らす月に向かって吠えるのは、青ざめた顔の作業服姿。
血の気というものをまるで感じさせない肌のあちらこちらには紫色の死斑が浮き、瞳には白い膜がかかっている。
作業服の大半を染める赤茶けた染みは、凝固して変色した血液に相違あるまい。
「欲しい……が…欲し…い……」
全身の骨が折れているのだろうか。
あちこちが奇妙な方向にねじ曲がり、奇怪な昆虫のような姿勢で地面を這う女が
ずるずると音をたてながら呻きを漏らす。
「…痛い…ヒュー…とても痛い……
……を……ヒュー…れ…」
腐敗し、爛れきった皮膚から腐汁の糸を滴らせた老人が、もはや殆ど機能しない声帯で
求めるものの名を呟く。
ヒューヒューと鳴る喘鳴に混じって発音される固有名詞、それは……
「……脳…みそ」
「……脳みそだ」
「……脳みそ! 脳みそをくれ!!」
生者の脳みそを求めて止まぬ屍達の妄執の声が、風に乗って樹間を吹き抜けた。
(現在位置:B-1 森の中を徘徊中)
- 11 名前:デビルリバース:2005/09/09(金) 21:18:41
軍艦島!!
この、時間から取り残された土地の底に
響き続ける怨嗟の声を誰が知る!!
過去七百人を殺し、死刑執行されること十三回。
だがそのことごとくを生き延びた悪魔の化身を誰が知る!!
蠢き回る屍ども。
その狂気に満ちた光景は、
血に彩られた恐るべき祭りの序曲でしかないのか。
「……ハァ、ハァ、ハァ………」
ゆらりゆらりと動き回る醜悪な影から
必死に逃れようとする男の名はジャッカル。
決して清廉潔白とはいえぬこの男の不幸は、
ここ軍艦島を隠れ家のひとつとしていた時からすでに始まっていたのか。
「……ば、バケモノを倒すには、バケモノだ。
それっきゃねぇ…………」
懐から取り出された、一本の鍵。
果たして、それは男の生命を救う切り札となり得るのか。
やがて男は辿り着く。
飛行場、管制塔の地下深く。
そこに静かに鎮座する、開かずの扉に。
「今こそ蘇れ」
そう、男は知っていた!!
扉の向こうで呻き続ける巨大な気配の正体を。
今解き放たれる、規格外の怪物。
その名は―――――――
「悪魔の化身」
- 12 名前:デビルリバース:2005/09/09(金) 21:18:43
開け放たれた扉の先は暗闇の中。
だがジャッカルには見える。
否、この場に居さえすれば、見えずとも観えるであろう。
その圧倒的な存在感に、気づかぬ者のあるものか。
「う、うぅぅぅ、暗い………暗い、所……嫌い………」
木霊する苦悶の声は聞く者の心臓を抉り出さんばかり。
だがジャッカルは引き下がれない。
すぐ背後には、迫り来る悪鬼死霊の類。
ここで下がればむさぼり喰われる。
「よ、よく無事だった、わが弟よ!!」
「おぉ……おと、うとぉ…?」
「今ここから出してやるからな、兄さんと一緒に光の差す場所へ行くんだ」
見え見えのクサイ芝居!!
だがデビルリバースは、この甘ったるい台詞に騙されることを
ジャッカルは確信していた。
手にした最後のダイナマイトに着火、天井に向かって放り投げる。
「見ろ、これがおまえの望んだ空だーーーーーっ」
爆裂。
崩れ落ちた瓦礫の後に、ぽっかりできた天の穴。
そこから差し込む日の光――――――
「…………よ、夜でも、空は空だぁ…な?」
「ウ、ウ、う、う、う、う、う、う、う、う」
「ほ、ほら、これでお前も外に出られ―――」
「うごぉ!!」
「あろ!!」
闇の中から伸びてきた手。
それを見た時すでに、ジャッカルは赤いしぶきとなっていた。
そして巨人は跳躍する。
光無き空に。
「お お お お お」
倒壊した管制塔から飛行場に。
地響きをもたらしながら着地した悪魔の化身は、
漆黒の夜空を背に、仁王の姿を取った。
歴史に抹殺された殺戮の業、羅漢仁王拳。
五千年の時を経て、今まさに、目覚めの刻を迎える!!
- 13 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/09(金) 21:18:57
ひどく薄暗い月だけが見える曇り空の下、ほとんど光の差さない夜の竹林は何処までも
無気味だった。
すでに妖怪が跳梁跋扈するはずの領域は恐ろしいほど静かで、動くものが全く見えない。
まるで全てが息を潜めて眠っているようにも思える。
ただ、その例えはどこか正しくて、どこか間違っている。
息を潜めているのは確かだ。しかし、眠っているのではないだろう。
―――私たちに怯えているのかもしれないのだから。
足場と視界の悪い中、私は駆けながら苦笑した。
確かに怯えられて当然かもしれない。私たちがいつもこの竹林で夜中にやっていること
に巻き込まれてしまえば、死体か灰しか残らない。低級の妖怪であればなおさらだ。
「……にしても、何処まで引っ張っていく気よ、あいつ」
かすかに速くなっている息の合間を縫って呟く。
輝夜。私の怨敵であり、月より来た姫君。そして今宵、いつものように殺しあう相手。
その姿はすでに見えていない。すっかり闇の中である。
それでも迷わずに後を付けられるのは、かすかに残った気配―――魔力だの妖気だのを
辿っているからだ。
ただ、おかしなことに。
あいつにまったく立ち止まる様子はなかった。
「まったく、どういう了見なのよ。疲れるじゃない」
というより、さすがに疲れた。
だから私は一際強く地面を蹴り、“翼”を広げた。
赤く紅く輝く、燃え盛る不死鳥の羽根。
同時に暗かった森が赤く照らされ、さらに速く景色が流れていく―――
と、そこで気づいた。
「………ありゃ?」
空中で急制動をかけて、地面に降りて燃え盛る翼をしまった。
―――竹林じゃない。
景色が何時の間にか、鬱蒼とした森へと変わっていた。踏みしめる土の柔らかさは、
腐葉土が積もっているからだろう。
どういうことだろうか、と考えて、すぐに至った。
「………やられた」
そう、私は結界の外へと出てしまっていたのだ。
たぶん、こうだ。
偶然結界の綻びを見つけた。面白そうだったので私が飛び込むように仕向けた。
すごい。たった一行で済んだ。
「……あーいーつーはー!!」
おもわず地団駄を踏むが、それでどうにかなるわけでもない。
急に景色が変わったところをみると、どこか別の場所に飛ばされたように見える。
潮の薫りがかすかにする。海沿いか小さな島、だろうか。
「まあ、とりあえずはどうにか戻んないと―――」
むう、と眉根を潜めて周りを見渡す―――
酷く、嫌な感覚。
「……なによこれ。死体だらけってことなの。それに……この昏い気配」
かすかに感じる死臭。そして―――覚えのある妖気。
思い出す。
これほど弱いものではなかったが、似たようなものを以前感じたことがある。
つまりは―――今現在、この場所には吸血鬼が跋扈している。現在進行形で。
「冗談……。ついてないにもほどがあるわ」
苛立ち混じりに呟いて、現在の自分の戦力を確認。
攻撃用の札と投擲に使う小柄の数は―――多少減っているが弾幕張れる程度には十分。
体力もほとんど残っていて、スペルカードも三枚ほどある。
この場から離れるには事足りるだろう。
「よし。なんとか帰らないとね―――幻想郷に」
一つ頷いて、私は駆け出した。
とりあえずは周囲の様子を把握できる、開けていそうな場所へ。
(初期位置:B-1 森林地帯 B-2 空港跡へと移動中)
- 14 名前:青葉マサヒメ ◆DIFTt16vCQ :2005/09/09(金) 21:18:59
- とある一角の島に、一機の小型の航空船が不時着する。
その船、大和の神戸商人団の航空船である、それが原因不明のエンジントラブル
が発生し…この島へ不時着した訳なのである。
その不時着した船の中に、青葉の君主、「青葉マサヒメ」の姿があった。
この船の持ち主が、かつての仲間であり、友人だったのを機に…かつての仲間達と
激務の合間を縫って…1〜2日、羽を伸ばしに西洋の国に行く筈だったのだが…この予定がの事
どうなるのか…しかも、この島全体から妙な気が感じられる。
船もヤマト達が修理に掛かりっきりで、今すぐ出れそうに無い…そう考えた
マサヒメは、そこら辺の森を探索してみる事にしたのだが…。
「ぶっちゃけ…妙な森ですね、あわわっ…やっぱりお兄さん連れて
行ったほうが良かったかな?如何なのかなっ?」
不気味な森は…その島全体のフインキを表していた。
思わず少し、びびる彼女であったが……そこで、珍しい花を発見する。
「んっ……この花、見た事が無い花ですね…あっ!!あんな所にも」
そう言い、次々と新種の花を発見する…お花が趣味の彼女にとっては。
頬って置きがたいのか、その知識欲に任せてどんどん森の奥地へ足を踏み入れる。
しかし、彼女が次に気付いた時、何処かしら…森の中の見知らぬ場所だった。
近くには、川が流れており…見た事が無い毒々しい木の実がなっている。
彼女の前に広がる風景は、つい先ほどまで居た、航空船跡地付近の森の風景では無く
帰り道すら、解らなくなってしまったようで。
「もしかして、私…迷子になったって奴ですかっ!?不味いなぁ…如何しよう」
それに気付き、あたふたするマサヒメ…取り合えず落ち着こう。
こう言う時は、感情に任せて慌てると、さらにとんでもない事に成りかねない。
「……取り合えず、落ち着かないと…丁度遅かれ早かれ…ここを調査しないと
そう、皆が言っていましたし…皆を探すついでにこの島を調査する事にしましょうか」
そうと決めると、その辺の木に、鉄扇子で傷を付けながら進むマサヒメ。
「道知るべを付けて置いて……さらに、迷ったら洒落になりませんからね」
(現在位置:A-1地点の森深くを徘徊中)
- 15 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 21:19:37
- 生ける屍と化した者の中には生前の記憶や思考をとどめた物もいる。
ただ闇雲に生者の姿を求めて徘徊するをよしとせず、より効率よく獲物をおびき寄せる罠を張り巡らせる者もいる。
岬の灯台に入り込んだ幾人かもまた、そんなグループの一つであった。
「灯…台……
灯り…つける…… 脳みそ…たくさん来る……」
錆び付いた配電盤のスイッチがONになると、無人の灯台の発電機が回りだす。
ブーンと低く唸るような音が鳴り始めてから数秒、死に絶えていた施設に
再び生命が吹き込まれていく。
殺風景なコンクリートの天井から吊り下げられた裸電球が二、三度瞬くと
建物の内部を支配していた暗闇は人工の光にその座を明け渡した。
「灯り…灯…り……
脳みそ… 脳みそ来る……」
「…来たら…このハンマーであたま、割る……
脳みそ! 白い脳みそ!」
ねじ曲り、黒く変色した指先が更に幾つかのスイッチを押してまわる。
ガコン、と建物のどこかで錆びた機械が動きだすと、灯台はかつてそうであったように
夜の闇を行く者達を導く光の筋を再び夜空へと投げかける。
その光の導く先は、航海と生命の安寧か?
否。
光に導かれし先には亡者の妄執が招く冥府の海が昏い顎を開いて待ち受けているのだ。
(現在位置:C-3灯台内部にて待ち伏せ中)
- 16 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/09(金) 21:19:48
- >>8 C-1地点にて
最初の獲物はグールに襲われていた。
森の外れ、屍人に追われて運悪く崖下に追い詰められていたのだった。
おやおや、かわいそうに。
見れば整った顔立ちだ。ここまで走り続けてきたのだろう。
こわばった表情、押し殺された怯えの表情。
こりゃ、味のわかんねぇグールにくれてやるのはもったいない。
足音を忍ばせて近寄った。
グールをどかしてコナかけようかと思った瞬間、
気合の声がほとばしった。
――おやおや。
追い詰められた鼠の逆襲だ。振り下ろされた木切れの一撃が、死者の左腕を叩きのめした。
いい動きだ。凛々しいねぇ。
だが、死人を相手にするなら、手加減は無用だった。
案の定、浅ましき死者はひるみもせずに、手を伸ばす。
痛みなんぞ感じないのだから当たり前だ。
「助けがいるかい、おじょうちゃん?」
彼女の背後、数歩のところで俺はそう、声をかけた。
王子様の役どころで、ちょいとからかうのも悪くない。
- 17 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M):2005/09/09(金) 21:20:50
- 夜。
それは雲間にありながらも、見事に見事に欠けたる所なき満月の夜。
何処と称すも野暮なくらいの、どこぞの海の洋上にて。
「ザザ、我等が家まではあとどの位になる?」
海上を走るは、ひとつの大型クルーザー。
操舵席にて舵を取る、さえない男の頭の上から、けだるげな女の声がかかる。
「そーだねー、あと八時間って所か、お姉ちゃん。
この調子なら、あんたがそのままのんびり甲板で寝転がってて、お日様拝んで灰になるまでには着くと思うよ」
その蟲惑的ともいえる美しい声にニコリともせず、不機嫌に皮肉を返す男。
見ればその顔は慢性的な疲労とストレスですさんでおり、目の下には少々クマまでできている。
そのぼやく口元からは、犬歯にしては少々長すぎる白い歯をのぞかせて。
「おお、これは怖い怖い。 何か嫌な事でもあったのかな?
我が愛すべき弟よ、お姉ちゃんでよければ相談に乗るぞ。 あははははっ」
それとは対照的におどけた様子で、からからと無邪気に笑う声の主。
長く艶のある黒髪に美しく整った顔、妖艶さとしなやかさを併せ持ったその容姿。正しく絶世の美女と言えただろう。
ただし弟と同じく、長すぎる犬歯と、白を通り越して蒼白に至った肌――
そして闇に輝く翠の瞳がなければ、の話だが。
そんな女の言葉に、ついに弟と呼ばれた男――ザザが爆発する。
「……ああそうかい聞いてくれるってかい、じゃあ言ってやるっ。
いい加減その『可愛い弟』に何時間この船運転させ続ければ気が済むんだ、カーサ!
こちとら特区のドンパチからここまで、ずーっと一人で操縦してるんだぞっ。
しかも疲労困憊の体に鞭打って」
……そう、彼らは人間とは違う黒い血を持つ存在――吸血鬼。
それもかつて香港を壊滅に追いやった吸血鬼禍の大本たる始祖・九龍王の血を引く
世界の忌むべき吸血鬼『九龍の血統』の直系である。
「あっはっは。何かと思えばそんな事かい、気にするな。
これも我が血統の長兄としての役割役割。兄や姉ってのは何かと損な役回りなのさ」
「今の今まで優雅に吸血してゴロ寝してたくせによく言うね!?
そんなお兄ちゃんが頑張ってるのに、ハンスもマーベリックも高いびきこいてやがるし」
「仕事量考えれば当然だろう? その約二名はともかく私やヤフリーは一番頑張ったんだからね」
「俺もあんたらと同じくらい頑張ったんだけど…」
「お前は体をとっかえひっかえできるんだからいいだろうに。運動量も私やヤフリーよりは下だ」
「ぐぅ……あーくそ、マジに二番目ってのはいつの世も損な役割だねえ、畜生っ」
「後で起きたら代わってもらえ。さて、と……」
――そんな恐ろしい肩書きに似合わない馬鹿話を、屋根越しに吸血鬼の兄姉が続ける中。
呪われた姉弟達を乗せたクルーザーは、一つの島の岸壁に差し掛かる。
「灯台か……こんな寂れたところにもあるんだねえ」
その崖の上には、一つの大きな灯台が。
何の変哲もない、標準的な海を照らす灯台である。だがしかし――
「ふむ……この島、結構面白いことになってるようだね」
「……お姉ちゃん、余計な火遊びは火傷の元だ。 『銀刀』相手に学習したばっかだろ」
吸血鬼ゆえのデタラメな性能の感覚網が、島の異様な気配を察知する。
ただし姉と弟では、浮かべる表情に天と地の開きがあったが。
そして―――
「あいにく私はその火遊びが大好きなんだよ、ザザ」
姉は甲板のデッキチェアから身を起こすと脇にあった刀をつかみ、身構え。
「ちょっと待ったカーサっ! あんたまさかやっぱり――
「腹ごなしだ――ちょっと遊んでくる。
お前は弟達と先に帰ってろ、私は私で勝手に帰るから!」
クルーザーの甲板から、月夜の空に身を躍らせる女の影。
船体から灯台までの、何十メートルもの距離を苦もなく飛び越える長姉、
『黒蛇カーサ』ことカサンドラ・ジル・ウォーロックを見届けて。
「あーはいはいやっぱりそうかい、勝手にどうぞお姉様。
こっちも勝手にやりますよう、だ」
クルーザーに取り残された、九龍九姉弟の二番手――
『渡り歩く者』こと策士ザザは、呆れ果てた顔でぼやくのだった。
(初期位置:外海からC-3『灯台』エリアに着地成功、上陸)
- 18 名前:支倉令:2005/09/09(金) 21:21:42
- >16(導入)
茂みを掻き分けて、森の中へ飛び込む。
後ろは見ずに走る。
枝が頬を打って、草の葉が腕に赤い線を引く。
それでも走って、転がっていた1m程の枝を拾うと、多少心の余裕が出来た。
「……何、あれ……一体何なの?」
荒く、喘ぐように息を吸いながらようやくそう口に出す。
人に見えた。見えたけれど、あれは違う。
皮膚は腐れ落ちて赤黒い肉が露出していて、目は白く濁っていた。
爪は剥がれ、崩れた唇の間から疎らに抜け落ちた歯が覗いていた。
どう見ても、生きていなかった。
動く死体……俗に言うゾンビなのだろうか。
考えてみれば、私も映画や何かと同じように襲われている。
多分、捕まれば結末も同じだろう。
「はあっ、はっ……!」
追われるままに逃げて、森を駆け――視界が急に開ける。
自然と足は止まった。
「崖……?!」
梢の下からふらふらと進み、辺りを見回す。
……森伝いに逃げるか、それとも迂回してもう一度森に入るか。
逡巡していると、がさがさと音が聞こえた。
反射的に、手の中の棒を握り締める。
何とか怯ませて、その隙に振り切れれば――――
祥子の所へ早く戻らないといけないんだから。
覚悟を決めて、青眼に構えた枝を動く死体に向けた。
「――――はぁっ!」
無防備に伸びてきた右腕を狙って、加減せずに打ち込んだ。
最悪でも骨折で済む、そう考えて。
それが甘い考えだったのは、すぐに思い知らされた。
「っ――嘘!?」
まともに入ったはずなのに、動きは止まらない。
左腕を枝で払って、後ろに距離を取る。
声が掛かったのは、その瞬間。
驚きよりも先に危機感に襲われて、私の体は振り向きざまに枝を打ち振るっていた。
現在地:C-1「崖」
- 19 名前:タチバナ(M):2005/09/09(金) 21:21:42
- この島にやってきたのは、吸血行為の後、静養も兼ねて暫らく姿をくらます為。
とうの昔から廃墟しか残っていないこの島は、絶好の潜伏場所――――だったはず。
それがどうだ。
島中にこだまする死者より生者への呪いの呻き。
生者から死者への冒涜的な悪態。
汚らわしい腐臭と愛すべき血の香り。
自分と同じ闇の住人が跋扈し、下等な人間どもがそれに立ち向かう。
どうやら、この島で休養はとれないようだ。
「ひひひ だが、それはそれで面白そうじゃないか。それに私が負けるはずがない。」
―――――――――そうだろう、お母さん。
この島でもたっぷりと血を吸おう。
そうすれば、私はもっともっと強くなるはずだ!
(現在地:B-3 居住区域を捜索)
- 20 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/09(金) 21:23:48
- 「……う、ん……?」
……暗がりの中で、目が覚めた。
あれ、電気どこ……っていうか、そもそもうちのベッドじゃないし。
ごつごつとした地面、辺りに響く声。
やがて目が慣れてきて……ここ、洞窟?
あれ、なんでこんなところで寝てるんだっけ……?
確か、えーっと。
メリーとの待ち合わせに遅れそうだった、いつも通り。
空を見ぃ見ぃ、時間を確認……うわ、予定より五分も遅れてる!
遅刻遅「刻〜!」……はい?
声がしたので隣を見れば――――うさ耳。うさ耳少女。おんなじように走ってる。
いや何この未知との遭遇。いつ境界を割ったって?
とりあえずなんだか、同じ方向に走っている。まさか目的地が一緒って訳もないだろうけど。
でも必然、足の速い向こうを追いかける形になって、そして同じ角を曲がって
そして、そしたら、足下が――――?
……なんか、はめられた?
落とし穴に落ちたような気がする。いやあんな道のど真ん中に落とし穴なんてあるはずないんだけど。
やっぱり知らない間に境界を越えてた? 私じゃメリーみたいに見えないからなぁ。
でもそうすると、ここは一体?
……とりあえず、外に出てみよっと。
そんなわけで私は、その洞窟? の外に出てみた。
まあ、この雰囲気なら森とかでも広がってるんだろうって思ってたわ。深く考えてなかった。
実際、その予想は当たってたし。
――物言わぬ死体と、物言う死体というおまけ付きで。
なによ、これ。なんの冗談よ。
それとも夢? メリーみたいに現実に繋がる夢でも見てるっての?
いやまさか。そんなはずはないわ。
でも、実際に目の前にいるこれは……
――逃げよう。
そうだ逃げよう。こんなものに付き合ってられない。
早くメリーのところに行かないと。このままじゃ大遅刻だもの。
地を蹴って駆け出す。駆けながらどうにか空を見上げる。
星が瞬いてる、月が照らしている。すなわち今は夜で、そして……
……時刻は午後十時前。ここは軍艦島と呼ばれる孤島。
手元にあって役立ちそうなのは、いつも持ち歩いてるカメラだけ。
たったこれだけで――――私は、逃げる。
(開始位置、A-1「坑道跡入口」→移動予定、B-1「森」)
- 21 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/09(金) 21:25:08
水平線の彼方へと沈んでいく太陽を背景に、メリーベル号はようやく、軍艦島と呼ばれる
小島の港へと、進入を果たしていた。
船から渡されたスロープを伝い、車体をゆっくりと、船上から港へと進ませる。
ハンドルを握りながら、上陸作業を続けている船員に視線を走らせる。
が、目に入る表情はすべて、判で押したかのように引きつり、どこかおびえを感じさせるも
のばかり。まあ無理もないとは思う――上陸前に、あんな話をされてしまっては。
事前にされていた説明通り、つい先日まで誰かに管理されていた形跡はあるものの――
しかし、施設周辺ににぽつぽつと転がっている、身じろぎひとつ無い人影が、その状況が既
に過去のものであると、明確に物語っていた。
ぱっと見た限りで、五から六。
恐らくはこの港の施設要員だったのだろうが、季節は夏、既にそれらが腐敗を始めている
現実を見てしまえば、そんなことを確かめる気も起きない。
潮に混じって鼻をつく異臭に顔をしかめつつ――しかし、やはり信じられないという思いも
含めて、知らず俺は独りごちていた。
「この様子じゃ、本当に全滅してるっぽいな――いやはや、一体何が起こったんだか」
今回の仕事は、かみ砕いて言えば『調査』だ。
とある企業の所有する――していた小島の調査。元々はどこかの政府機関が研究施設
として使っていた島を買い取り、倉庫として使っていた云々……と言うことだったが、正直な
所、あまりよく覚えていない。
まあともかく、その島が、二週間ほど前に突如連絡を絶ったのだそうだ。
何かあったのかと不審に思い調査隊を派遣したものの、それ自体連絡を絶ち機関もせず。
しまいには、島上空からの航空偵察にまで乗り出したらしい。
そして彼らは――撮影された写真を見て仰天した。
島全域に渡って、無数の死体が転がっていたのだ。倉庫移設、湾岸施設の運営に当たっ
て、島には数十人からの職員が生活していたと言うことだが、状況から見て既に全滅してい
る事は間違いがない。だが、一体何が原因で――――
事態を重く見た社の上層部は、第三次の調査隊派遣を決定する。
だがそれは、前回、前々回のような、定期査察に毛が生えたようなものではなく――
重火器の携行すらも行う大がかりな代物だ。
そして俺は、その携行される『重火器』のひとつとして雇われ、今は車内から島の様子をう
かがっている――と、そんなところだ。
- 22 名前:名無し客:2005/09/09(金) 21:25:18
- その男は廃墟の町で二体の死人(グール)に挟まれていた。
女には不自由しないような端正な顔立ちをしており、その喪服のような黒いスーツと
気の弱い者が触れたならば一瞬で気を失いかねないような妖気がなければ、
堅気の人間にも見えただろう。
しかも、この「前門の虎、後門の狼」というような、異常事態の中でも汗ひとつ掻いていないのだ。
「来な」
スーツの男の端正な顔が笑顔で醜く歪む。
そして、男の声と同時に二体の死人が同時に襲い掛かった。
「この人物です。」
「・・・・・こいつは誰だ?何処にいる?」
「名前はコタケ・ハジメ、職業は海賊のリーダーで元自衛隊員。
退役後、この島を基地にして海賊行為を働いており、私の調べではこの島の東にある
居住区域跡に巣があるものと・・・・・。」
「・・・・・わかった。やってみよう」
数十秒後、
黒いスーツの男は、死体と言うよりは肉塊に近くなったグール達を見下ろしながら
呟いた。
――――――――噛み付く相手を間違えたな・・・・・
お兄さんたちも、あのダニも――――
(初期位置:B-3「居住区跡」に出現)
- 23 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/09(金) 21:25:33
- >>21
船員達とは違い、依頼を受けるときに予め、島の置かれている状況を聞いてはいたが。
実際に目の当たりにすれば、正直なところ驚きしか出てこなかった。
――が。
そんな驚きは、次の瞬間、粉々に吹っ飛んだ。
「……これは?」
思わず車外に降りて、まじまじと観察したい衝動に駆られる――がそれは今、決してやっ
てはいけない行動なのは明白だった。
今、眼下に転がる死体。
そこには――前進が、なにものかに食い荒らされた痕跡が、まざまざと刻まれていた。
何が起こったのかは、判りすぎるぐらい明白だった。つまり――
反射的に、急ごしらえで車内に設置された無線に怒鳴る。
「<メリーベル>、聞こえるか!? こちらはスタインバーグだ、島には絶対に降りるな!
早く離脱の準備を。此処はもう、『汚染』されて――!」
だが、言葉はそれ以上続かなかった。
もっとも恐れいていた事態が――目の前で、起こってしまっていたからだ。
先ほど見下ろしていたはずの喰われかけの死体が――立ち上がり、暗い眼窩をこちらに
向け、じっと、俺を見つめていたのだ。
「――――!」
同時に。
船の方から、散発的な炸裂音――銃声だ――が轟いている。
はっと、海の方に目を向けた。
太陽は既に沈みきり、その痕跡は水平線をうっすらと染める、紫色の帯だけだ。
「冗談――!」
反射的にギアシフト、キャリアをバックさせる――が、背後からの鈍い衝撃に、無理矢理
それは中断された。
のぞき込んだミラーには、やはりどす黒い血痕で全身を染めている、表情のない死者の
姿が――!
「喰屍鬼……!?」
遠くから響く銃声と、無線から垂れ流される空電ノイズ。何が起こっているのかは、もはや
考えるまでもない。
「……邪魔だ!」
ドアを蹴り開けて、一番最初の死体を吹き飛ばす。
既に身のこなし、なんて単語は衣のととともにどこかに忘却していたらしいグールは、
抵抗らしい抵抗もせずに地面へと崩れ落ちる。
同時、抜きはなった拳銃を動く死体の頭部へと照準、立て続けに45マグナム弾を3発、
一気に叩き込む。粉砕された頭部から凝固仕掛けの血液と、腐りかけの脳漿がコンクリート
へとぶちまけられるが、悠長にそんなものを見ている暇はない。
びくびくと、痙攣を続ける死体をそのままに、ギアシフト、アクセルを踏み込む!
急加速した車体に引き摺られ、キャリアコンテナ部に取り付いたグールが地面に削り取ら
れていく。さらに加速、いよいよ耐えられなくなったのか、取り付いていた三体の死体は、
車体表面に腐った皮膚だけを残して、無様に地面へとたたきつけられていた。
とりあえず息をつく――が、安心なんてしていられない。
「くそったれが――何が事故だ」
恐らくは。島に滞在していた全職員が、同じ事になっているのだろう。
そして俺達よりも前に、島に訪れたという調査員達も。
「アレがグールだってんなら――」
この島は――吸血鬼に、汚染されている。
(初期位置:A-3 湾岸部→B-3 居住区へと移動中)
- 24 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/09(金) 21:25:37
屍が月明かりの下に集い、その屍を貪る塵。
それを目にした途端、頭の中では殺せと言う爆音が上がる。
血が滾る、血が暴れる、血が表へと溢れそうになる。
理性の枷を頑丈に。本能を殺げ。蛇を駆逐し勾玉を胸に。
屍が物語るのは惨劇の幕開け。
踊る役者は本能に襲われ続ける獣。
塵が向かってくる。生きた血肉でも欲しいのだろうか。
餌と狩人を間違えるとは、何処までも愚かな塵の群れ。
右手を―――それが当然だと言うように―――振るい、一つの塵を片付ける。
真紅の噴水は狂ったように水を吹き上げ続け、狂宴の開始を告げる雨となる。
左手は紫炎の帳を降ろし、塵の焼ける匂いが充満していく。
悲鳴は聞こえない。ただ聞こえるのは己が内に眠る声。
――――――――――――――舞台の幕は、上がったばかりだぜ?
久しぶりに表に出させてくれよ。『お前』だけいっつも満足しやがって。
『俺』にも血を、肉を、悲鳴を、くれよ。『お前』だけがそれを好きな訳じゃないんだ。
『俺』にも殺させろころさせろコロサセロ殺―――――――――――――――
「貴様は黙っていろ…そしてこれは、全て俺の物だ」
それにしてもあの女。何が楽な仕事だ。
血に染まるような仕事は楽な仕事とは言わんと事を、報酬を受け取る際に教え込もう。
調査結果はオロチではない異常事態。こう告げればそれで終わり。
まあ兎に角、此処から出ねばならんか…
自分の中に篭るのは一瞬。次の塵の処理。処理してはまた次。
これも業務の一環。だから―――殺して、殺して、殺して、殺して、殺す。
本能と理性が合致していれば、血に狂う事も早々あるまい。
暴力を振るう吐き気は問題だが、それは成功報酬に上乗せすれば良い。
そう言えば事態が異常ならば治めて来いとも言っていたか。
面倒だが、殺し続ければ良いだけ。ならば簡単だ。
月明かりの下、紅く染まり続ければ良いのだから。
「クックックックックッ…ハッハッハッハッハッ…ハァーハッハッハッハッハッ!」
―――――――――――――――結局同じだな、『俺』も『お前』も
(A-2で待機)
- 25 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/09(金) 21:29:08
- >>18
振り下ろされた木切れがびしりと俺の額を打つ。
こめかみの皮膚が裂けて血が一筋流れ落ち、サングラスが飛んだ。
おそらくはその流血に、木切れを振り下ろした当人が一瞬、戸惑うのがわかった。
それは、生きるか死ぬかの瀬戸際じゃ、もってはいけない迷いだ。
その一瞬で俺には十分過ぎた。
吸血鬼の赤い瞳で彼女を見据えた。哀れな少女の魂を縛った。
腕を取って懐に手繰り寄せ、彼女を片手で抱えたまま、体を入れ替えてグールの頭部をつかんだ。
「わりーな、セイギのミカタでなくってよ」
そういって俺は力を込めた。
法外な握力に、死者の頭部はあっけなく潰れ、返り血が俺と彼女を濡らす。
恐怖と魅了に縛られた彼女の耳元で、俺はくつくつと笑った。
――――――――――――――――――
「名前は?」
後ろから抱きすくめたまま、俺は彼女に問うた。
『支倉……令、です』
「いい名前だな」
細い答えに満足する。
「夢は?」
意地悪く続けた問いに、
『家族や、山百合会の皆と……ずっと幸せに』
「ふうん……」
縛られて、彼女は答えを返す。
「帰りを待っている人はいるかい?」
残酷な問いに。
『従姉妹と、一緒に来た親友が……』
「大事な人か?」
こくりと頷く。俺はそれを見て忍び笑いをもらした。
「名前も、夢も、帰りを待つ人も、もうお前には必要の無いものだ」
残酷な宣告。
少女の頬に添えた手に、あふれた涙が触れた。
指先のその熱さに、俺の口の端は吊り上った。
「みな」
彼女のうなじに頬を寄せ、
「忘れて」
舌先で、血脈を探り――
「しまえ――」
牙を、潜らせた。
瞬間、俺の腕の中で、彼女の体はびくりと跳ねた。
なおも酷く震え続ける肢体を、なだめるように抱きすくめ、
牙をさらに深く、埋める。
血潮が、溢れた。
嗚咽とも喘ぎともつかない細い吐息を耳にしながら、
俺はそれを、少女の生命を、すすり、飲み干した。
(C-1地点)
- 26 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/09(金) 21:29:46
- 人工の光が無い夜。人以外のモノしか、音を立てない森の中。
一寸先は闇、と言われる。
人は闇に灯りを点し、駆逐してきた。なぜなら見えないと云うことは、人間にとってとても恐ろしいことだったから。
「えー、うなぎー、八目鰻だよー」
人の畏れる闇夜の静寂を台無しにしながら、人の畏れる妖怪が月明かりの下を練り歩く。
「混じりモノもあるけど、取りあえず夜盲には効くよ〜。ビタミンAたっぷりだよ〜」
すでに宣伝ですらない、堂々とした詐欺の告白。いや、これでは最早詐欺ですら有るまい。口上の意味を、考えてから
口にしているかすら疑わしかった。
堂々とした犯罪の暴露を、がらがらと屋台が引きずられる音が追いかける。灯りなどどこにもなかったはずの視界に
近付くと唐突に現れた紅提灯には、力強い筆致で「八目鰻」と。
「効かなくても、私が夜盲を解除するよ〜。……おっかしいなあ、今日はお客が来ないや」
この店主、種族を夜雀、名をミスティア・ローレライと称する。少女の形をしてはいるが、世紀を渡って生きる歴とした
妖怪だ。
夜雀は歌で人を狂わせ、夜道に惑わせる。人の夜目を効かなくし道に迷わせる怪異が、夜目に効くと八目鰻を売っている
のだ。毒を撒いて解毒剤で儲けるようなものである。
むしろ客が来る方が、本来おかしい。
おかしいのだが、店はなぜか繁盛している。おかしな妖怪がやっている商売故に、おかしな事も起こるのかも知れない。
「ん、あれ?」
ふと何かに気付いて、夜雀が辺りを見回す。忽然と居場所が変わっている。月の位置も、木々の位置も、そもそも生えて
いる種類からして異なっている。
「もー、私が道に迷ってどうするんだか。私は迷わせる方なのに〜」
そうは言ってみたものの、居場所がどこだかすらさっぱり判らない。それでも先ほどまでいた場所と全く異なることは、
疑いようもなかった。なぜなら、
「むむ、こいつは臭いわ〜。ゲロ以下の匂いがぷんぷんするわ〜」
こんな下品な匂いは、長らく嗅いだことがなかった。少なくとも幻想郷では、吸い殻をポイ捨てするようなマナーの悪い
者など覚えがない。
「んじゃここは外かな? って吸い殻に聞いてもしょうがないか〜」
目の前を彷徨く吸い殻、おそらくは喰屍鬼だろう。腐りかけ、あるいは腐りきった腐臭が鼻を突く。喰屍鬼からは、夜雀の姿は
見えていない様子だ。
唐突に無数の羽音が集う。
それらは夜に全くそぐわない、雀の群れだった。しかし羽音の群れは、雀にそぐわぬ凶暴な光をその目に宿している。
猛禽ですらない、魔物の視線。
夜盲の領域であたり包み込ませていた使い魔たちは、どうやら一緒にここへと飛ばされたようである。夜盲の妖力も途切れ
ていない。
「こーら。吸い殻相手にがっつかないの〜。ちゃんとエサあげてないと思われるじゃない」
夜雀は興奮している眷属へ、たしなめるように言葉を掛ける。
「慌てなくても、外ならきっと新鮮なのが手に入るわ〜。人口問題、ってやつの解決を手伝ってあげましょ?」
そこで、ふと気付いたように屋台を覗き込む。
「……、まあ八目鰻も売りながらね」
今日はまだ売れていなかった。
(初期位置:B-1「森林地帯」に出現)
- 27 名前:小笠原祥子:2005/09/09(金) 21:30:17
そして人々は――ああ、人々は――
尖塔に
只ひとり住む人々は
あのような低い単調な音をさせて
鈴を鳴らし鳴らしては、
人間の心に石を
転がす誉(ほまれ)を覚える――
彼等は男でもなければ女でもない――
獣でもなければ人間でもない――
彼等は吸血鬼。
走りながらポーの詩を思い出す。確か『鈴の歌』。
落ちついている訳ではなくて、混乱している。だからこんなことを考えてしまうのだろう。
そう。私は、とても混乱している。
それは追われているという恐怖の為であり、追っている相手が訳のわからない存在であると
いう不可解ゆえであり、そして。
共に逃げている友人とはぐれてしまったという、この上ない不安からだった。
酸素はいくらでもあるのに、欲しい分量はまるで賄えず、私は息を荒げて走り続ける。
森は暗い。樹木の連なりは視界を遮り、それでなくてもこの暗闇の中では、自分がどこに向
かっているのかは全くわからない。
森は怖い。暴力めいたものを感じるほどだ。樹木というものには、とかく優しげなイメージを
抱きがちだけれど、それは単に思い込みでしかない。
ここは人間の住む所ではなく、別の世界なのだ。
おあつらえ向きな事に――確かに人ではない存在もいる。
不意に、木々の間から声が聞こえてきた。脳味噌、脳味噌という合唱。
追いかけてくる者達だ。近くはない。距離的には遠い。
けれど、足は止まってしまった。
目を瞑りたい。
耳を塞ぎたい。
座りこんでいたい。朝になるまで。
でも、駄目だ。
瞳を閉じても、闇はこちらを凝視している。
聞こえないふりをしても、おぞましい声は叫び続けている。
何より動かなければ、“何か”は向こうからやって来る。朝になる前に。
私は再び走り出した。ここにはいない最愛の妹を想い、下草につまずきそうになりながら、
震える足を動かした。
そして、ここのどこかにいる最愛の友人を想い、口には出さず彼女の名前を呼んだ。
無事でいて、と祈る。
元より宗教には敬意を持っている。
それでも。
マリア様の加護を、これほど真摯に願ったのは生まれて初めてだった。
(初期位置:B-1 森)
- 28 名前:ファントム&グリフォン(M):2005/09/09(金) 21:30:17
- ――――“そこ”は、魔界と人界の狭間にて。
瘴気濃く、腐臭が漂う闇夜の世界。
巨大な門より数間離れた時空の“孔”、その前に幾つかの魔影が集う。
「―――では、我が隊は手筈どおり偵察と後詰めを。
一番槍の手柄はご両名にお譲りする。……それで宜しいな?」
その正体は鎧を纏った赤き悪魔と、
『ハハッ、かつての闘志も臆病風に吹き消されたか?
“紋章に導かれし赤き魔物”よ?
まあ、せいぜい空の上から俺の勇姿を見ているがいい。
貴様とグリフォンの分の獲物も、全てこの俺が仕留めてやる。
ガハハハハハハハハ…!!』
巨躯を揺らして嗤う大蜘蛛と、
『フン…ファントムよ、貴様こそ気をつけるのだな。
事は貴様の快楽だけに留まらぬ。
全てはムンドゥス様の計略、それを忘れるな』
岩山のごとく揺るがぬ巨大な怪鳥であった。
「……“魔界村”の、でもある。
御両名ともお忘れになられぬよう」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
事の発端はとこの“島”にある。
魔界村と共闘関係にあるドルアーガ子飼いの道化―――
もう一人の『ジョーカー』から齎された情報。
その島の正体は諸説。
曰く、ドルアーガの腹心と言われた悪魔アンシャーの罠である。
曰く、魔界、ドーマ家の当主が仕掛けた実験である。
一つだけ明らかなのは、そこが所謂“蟲毒”を目的とした祭祀用の
結界であるという事。力のある者を集めて互いに喰らいさせ合い、
その末に生じた怨嗟と妄念を糧に空間の位相―――それこそ次元の
壁すら歪ませる力を秘めた“魔力”を生成させる代物だ。
そして今、その“結界”は胎動を始めていた。蟲毒の材料たる数々の生贄と共に。
『誰が用意したかは知らんが、チャンスなのは違いねえ…。
忌々しい“結界”をぶち壊すには十分だ』
儀式の完成は膨大な魔力の生成のみならず、物質界…人間界と魔界を隔てる
結界の破壊も意味する。
この好機、未だ次元の穴を抜けられぬ魔帝ムンドゥスが見逃す筈もない。
ドルアーガに仕える丸っこい『道化』を仲介役とし。
使者としてわざわざ参じて。人間界を行く術を持つ魔界村と同盟を結び。
『全ては“あの方”と我々の為とはいえ、面倒くせえ事だ…!
まあいい。後は好きにやるだけだ…そうだろう、虫ケラ!!』
腐臭の充満する廃墟の一角。
醜悪で巨大な蜘蛛――ファントムの視界を埋めるのは哀れな犠牲者。
蚤の糞ほどの理性もない、下級悪魔にも劣る生きた死体が群がってくる。
恐怖など微塵もなく、唯々獲物を貪りたい欲望に駆られた虫ケラ達。
そんな愚かしい連中を見て、ファントムは巌の巨体を揺らして愉しそうに嘲笑う。
喰いたいか、俺の中身を食いたいか。
死んじまった生ゴミが。
片腹痛い。俺を誰だと思ってる。
喰うのは貴様らゴミじゃねえ。
―――喰うのは俺で、喰われるのはテメエ等だ。
『ディナータイムの始まりだぜ、クソども!
行儀よくする時間は終わりだ……犯りたい放題犯ってやる!!』
この開戦の雄叫びたる大音声。
地の底から響くとは正にこの事。
煮え滾るマグマの血潮が興奮に躍る。飯の時間には丁度いい。
蹂躙しろ。
破壊しろ。
撃砕しろ。
全てを。目に映る全てを。
顎(あぎと)を鳴らし驀進する。
その太く巨大な前肢で、壊滅的な重量で、破滅的な熱量で。
潰せ、壊せ、砕いて擂って潰して潰せ。
何もかも、前に広がる何もかも。
(現在位置:B−2西端から空港跡へ移動中)
- 29 名前:支倉令:2005/09/09(金) 21:31:04
- >25
人に向けて本気の剣を振るった事ならもちろんあった。
稽古と言えど手を抜いた事など無かったし、試合でなら尚更。
けれど、それは全て剣道と言う約束事の内での事。
防具もつけていない相手の面を本気で打つ、などと言う事は間違ってもした事が無い。
「あ……?」
……いいや、無かった。
だから私は、私の剣で血を流す人を見て――――
その紅い視線に、魂を絡め取られた。
声だけが頭に響く。
名を問われた。「支倉令」と答えた。
夢を問われた。「皆と、ずっと幸せに過ごしたい」と答えた。
帰りを待つ人はいるかと問われた。「妹と、一緒に来た親友がいる」と答えた。
重ねられた問いには、頷いて返した。
全てを、完全に否定された。
その言葉が、どうしようもない事実だと分かってしまう。
魂を縛られていても、体が代わりに泣いてくれた。
痛みは無い。
ただ、血の流れていく感覚だけが、遠のいていく意識を満たしていた。
現在地:C-1「崖」
- 30 名前:馬呑吐 ◆TUNTUWt93U :2005/09/09(金) 21:33:01
地の底から大巨人が出現する(>>11>>12)、ほんの少し前の出来事である。
波が運び、また持っていく漣のうねりとその男の寝息は、ほぼ完全な同調を見せていた。
――と云っても、此処は海辺からかなり隔たっている。波濤の音は遥か遠い。
にも拘らず、である。寄せては返す律動に合わせ、太鼓腹は膨らんでは引っ込み、波うちを
繰り返していた。
男が寝そべっているのはビーチチェアの上だ。すぐ脇にはビーチパラソルと、炭酸水の瓶や
アイスボックスが載った丸テーブルが置かれているが、パラソルが防ぐべき陽はとうに沈み、
氷は全てぬるい水になっていた。
おまけにここは砂浜ですらない。整備という作業が停止してから随分経つ、朽ちかけた滑走
路なのだ。
開けたコンクリートの平野に他の人影はなく、とうに役目を終えた管制塔にも灯りはない。
ただ夜の虫達だけが静かに歌う中、男は熟睡しているようだった。
年は中年以上、体重も平均以上であろう。肉体は肥えに肥えている。
唯一、躯に纏った男子用のスクール水着がはちきれそうである。――年甲斐もなく、という評
が適切かは定かではないし、そもそも誰も評したくないだろう。
ただ小奇麗にオールバックに撫でつけた髪や、外へ向かって筆先のように尖る両鬢の毛は、
精気みなぎる中華系の風貌と相まって、如何して只者に見えはしない。
閉じられた両目は、更に黒い丸眼鏡で覆われているので、どんな眼をしているのかは定かで
なかった。
唐突に、寝息はぴたりと止んだ。
呼吸・瞑想等の肉体操作により、精神と太極天地との合一を計る内丹術の息吹きを止め、太
った男はのろのろと身を起こす。
側のテーブルに手を伸ばし、ミネラルウォーターの瓶を取った。
「少シ、寝過ごしたカ」
長時間放置された炭酸水は、もう味気ないガス抜き水になっている。それを一息で飲み干す
と、太った男は顔をしかめた。
首を曲げ、手足の関節を曲げてほぐす。
きゅうりをへし折るような、小気味良い音が連続する。
椅子から下り、ラジオ体操の如き運動を始めたこの太っちょは、実は当代比類無き攻夫の大
達人である。
また斯界有数の霊幻道士でもあり、そしてここが一番重要なのだが――数千年を閲した生ける
尸(しかばね)の祖の一人なのだった。あまりそうは見えないが。
ラジオ体操を「第二」に移行し始めた馬呑吐(マー・トンツー)氏は、おおどかに呟いた。
「いや――そろそろカネ?」
(初期位置:B-2 空港跡)
- 31 名前:遠野秋葉 ◆xkLa2AKIHA :2005/09/09(金) 21:33:20
ちりん、と鈴の音。
白い猫がちらりとこちらを見て、向こうへと駆けて行く。
何か気になって、私はその猫を追いかけ、廊下の角を曲が―――――
ちりん
時計が遅れていた。
ボタンを掛け違えた。
そんな些細な齟齬は何処でも誰にでもあるだろう。
大抵、その齟齬は日常の歯車に押し潰され、何事も無かった様に消えていく。
でも―――――
その齟齬が何かの切欠でどんどん大きくなっていったら?
これはそんなもしもの……
ごくり
一際、その音が大きく響いた。
何の音かと向こうを見やると兄さんが水を飲んでいるだけだった。
…どうして、そんな音が大きく聞こえたのか
―――――ぽつんと違和感。
ずずっ
一際、その音が大きく響いた。
何の音かとあちらを見やると琥珀が………
薄暗い和室。
琥珀の白い肌。
そこに出来る紅い小さな染み。
ずずっ
ずずっ
………お茶を飲んでいるだけだった。
……白昼夢にも程がある。
―――――じくりと違和感。
ぴちゃん、ぴちゃん
一際、その音が大きく響いた。
何の音かとあちらを見やると水道から………
滴る朱い滴。
ああ、美味しそう。
あれを存分に嚥下したら――――――
………ぶるぶると頭を振って、蛇口を閉める。
―――――ずきりと違和感。
何も変わりの無い日常、平穏な日々。
けれど、何か染みがどんどん大きくなっていて。
ちりん
「うん………?」
目の前は一面の青い海。
つんと鼻につく潮の香。
何故、私はこんなところにいるのだろう………
確かに私は家に居たはず。
でも、そんなことより
―――――ああ、何か咽喉が渇いたわね―――――
- 32 名前:遠野秋葉 ◆xkLa2AKIHA :2005/09/09(金) 21:33:57
- (現在地:A−3 港、海に向かって佇んでいる)
- 33 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/09(金) 21:44:30
- 海風が、まるで乳を流したような霧と共に陸へ、陸へと吹き込んで行く。
気配の絶えた建造物は外殻を残した蜷螺の様でもあり、堅牢に造られた柩の様でもある。
周囲に漂っているのは死の匂いばかりで、僅かに蠢く“もの”共ですらもそれは例外では
ない。
皆全て死んでいる者たち、或いは生き損なっている者たちである。
その中で、ふらりふらりと歩を進める一つの影がある。
背はひょろりと高く、左右に大きく体を揺らせながら何事か呟いている。
酔っている訳ではない。
上半身は素肌の上に何も着けず、胸と背には墨色で描かれた文様の刺青。
五つの頂点を持つ幾何学的図形で、その頂点の一つは地を指している。
逆五芒星。
逆立てられた髪は淡い青の様にも見え、薬物中毒患者独特の濁った眼にはピエロじみた黒い
アイラインが縦に引かれている。
もし彼を見かけたものがイギリスのアンダーグラウンド・ロックマニアであるなら、或いは
マーダー・ケースブックの熱心な読者であるなら心当たり程度はあるかも知れない。
名はラインドウェル・レインリクス。
年齢、二十歳。
不法薬物所持、使用、窃盗、殺人(尊属を含む)など罪状は数知れず。
隠避主義的、悪魔主義的なヘヴィメタルサウンドでアンダーグラウンドではマニアックな
知名度を誇るミュージシャンでもある。
だが、その左手に携えられているのは楽器の類ではなく、一振りの細身の剣。
赤い刀身はレイピアと呼ばれるそれに似ているが、護拳はカップ状ではなく十字形に張り
出しており、その根本には頭蓋骨の意匠が彫刻されている。
「つまらねェ、つまらねェつまらねェつまらねェ、全くつまらないねェ。
切り刻んでも泣いたり喚いたりしてくれなきゃァ、殺り甲斐がねェってェモンだァ。
あァ、刻みてェ、刻み甲斐があるヤツを刻んでみたいねェ……」
(現在位置:A-2 倉庫跡を徘徊)
- 34 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/09(金) 21:46:22
- 「醜悪な」
蠢く屍生人の群れ。
朽ちた灯台の上からそれを見下ろしながら、青年は独りごちた。
金の髪、蒼氷色の瞳、白皙の肌。
造化の神の手になる傑作のような、美貌の青年だ。
「彼の気紛れにも困ったものだが……この力、試すにはもってこいか」
流れる金の髪をかき上げ、トン、とステップを踏み、宙空へ。
青年の身体は重力に引かれながら、然してそれに従わない。
何故ならば、彼は因果の王、そして時間と重力を超越した存在。
「覇王の力、そしてこのアドルフ・ヒトラーの力……存分に試させて貰おう」
屍生人の群れの直中に、アドルフは降りたった。
その背で、灯台の灯りがまばゆく輝く。
まるで、魔王の降臨を祝すかのように。
(現在位置:C-1灯台)
- 35 名前:◆sLAdoLfKkE :2005/09/09(金) 21:49:19
- >>34現在位置修正
C-1灯台
↓
C-3灯台
- 36 名前:麻宮アテナ:2005/09/09(金) 21:54:51
- 今朝の気分はなんとなくママレードです。
いつもどおりに朝おきて、運動して、シャワー浴びて、
ママレードな朝食。食べたら今日も楽しい学校!
甘くて苦いママレードをのせて、焦げかけのトーストをかじったら
なぜか不意に胸がときめきます。
……ちがう。ときめきとかじゃなくて、胸騒ぎ。
何かがおこりそう。こういう予感は外れたことがない。
急いで制服に着替えていると、さっそく身体が光に包まれてきます。
テレポートするときみたいな光。
これはたぶん、だれかに呼ばれてる、というかひきよせられてる!
「ちょっと……! 服着る時間くらい……!」
あわてながらなんとかソックスに足をとおして、
テーブルの上の携帯電話を短縮ダイヤル。
「RRRRRR……RRRRRR……」
コールしている間に光はどんどん強くなって、
もう目をあけていられない。理香ちゃん早く出て!
「……はい神聖不可侵の柏崎理香ですけど」
「私今日病欠するからあとお願い!」
「おもいきり元気よく言ってんじゃねえっ!」
そこで通話は強制的に寸断され……、
……目をあけるとそこは、やっぱり知らない場所でした。
ふ〜んだ。どうせこんなことだろうと思いましたよ。
(現在地:A1のあたり。目の前に森の入口)
- 37 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/09(金) 21:56:06
- ―――――引き寄せられている。何かに。呼ばれている感覚がする。
夏も行ったある昼下がり。研究室の片隅でそんな感覚に襲われた。
いや、なんてことのない健康診断。私にとっては普通のこと。
たまたま、私のかかりつけの先生が、用事で研究室にいただけのこと。
先生から、問題なしって。いつもの診断結果を頂いて。私が帰ろうとしたときに。
不要な物が廃棄されているゴミ箱に不思議な物を見つけた。
絶対領域水着 -試作品-
そう言えば。今年は水着にと〜んと縁のない私。この前、流れるプールに行った時なんて。
力が抜けて、流されるままにぐ〜るぐると回ってしまう大失態。
それも我が眷族らしいと言えば眷族らしいのですが。何となく情けない。
学校のプールなんて100%出席できませんし。太陽怖い。太陽怖い。ついでに気温と体育の単位。
今年はあっという間に夏が過ぎていって。そう言えば夏らしいこと、あんまり出来てなかったな〜、って。
そんなわけで、この白い水着。廃棄されてるんなら、頂いても良いんですよね♪
と、言うわけで拝借。ご自由にお取りくださいなんて書いてないけど。廃棄されるよりはマシです。
で、帰りの電車の中で。付属の説明書を読んでみる。
フリーサイズ水着の発展系。貴女の絶対領域を確保!ポロリもございません。
伸縮自在の斎木インダストリー特製の素材により貴女の体型にぴったりフィット!
※なお、付属のパレオにはその機能はございません。ご了承ください。
開発責任者 -M・K-
なんて、胡散臭い謳い文句が書かれている。ビキニの水着だと確かにそういう心配もあるんだろう。
まあ………体系的に敬遠してはいたんですが。来年当たりにでも着てみればいいやって思って。
たまには、冒険も必要ですよね。来年になれば胸だって………しょんぼり。
―――――とか、言いつつ。家について、つい着てしまいました。
確かに、フィットする生地と言うのは間違いがないみたいで。
私の体型でも、それなりにフィットする事だけは間違いないんですが。
やっぱり、少しだけ胸の当たりが寂しくて………も一つしょんぼり。
―――――また、引き寄せられる感覚。 厭ナ声ガ聞コエル
くらりと軽い目眩がして………そのまま、倒れ込む。
―――――気づけば、周りは荒れ果てた場所、目の前に砂浜。 此処ハドコ?
頭の中で厭な声が強くなる。本能が 蒼い血が疼く。 コロセ!
聞こえない。聞こえないふりをして。砂浜を右往左往。 アタマガ痛イ
―――――灯台が見えた。夜の闇、空には大きな月。手かがりがあればって。
ほんの少しの希望を小さな胸に秘めて、夏の火に誘われる幽蛾のごとく、私は灯台を目指した。
〈現在位置C-2海岸→C-3灯台へ向けて移動中〉
- 38 名前: :2005/09/09(金) 22:00:15
- http://charaneta.sakura.ne.jp/ikkoku/img/1126193984/38.gif (2KB)
……。
- 39 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/09(金) 22:01:51
- が覚めたら、そこは阿鼻叫喚の地獄でした。
なんてのはベタな物語の中だけの話ではなかったのだ。
事実彼、上条当麻自身が、今そんな状況に直面してしまっているのだから。
上条当麻の実質の人生と言うのは、実は一ヶ月ほど前からしか無い。
その時期に起こったある事件と、とある事故の後遺症。
その所為で上条は以前の記憶を全て失ってしまっていたからだ。
しかし上条はその後の一ヶ月、消えてしまった記憶に倍するほどの、イヤな意味で「濃い」経験を、
色々とこなして来てはいた。
何せ彼の住んでいるのはある意味公然と「超能力開発」なんていう一般人からすれば馬鹿げた研究を続ける
『学園都市』の中であったし、
彼の同居人というのが頭の中に一〇万三〇〇〇冊の魔導書を詰め込んでいるシスターだ。
一般の人からすればこれはもうそれだけで十二分に「非日常」であるし、そんな非日常な日常を過ごす
上条当麻の周囲で何も事件が起こらないはずがない、というのは誰もが予測のつくところであろう。
ただ。
そんな上条当麻であっても。
この現状には、流石にパニックを起こさざるを得なかった。
(おいおいどうなってんだこりゃ俺はアパートの中で寝てたはずじゃていうかインデックスはどこに
俺は何でこんなところにココはどこで俺は誰で何がどうなってうわつうか臭せぇ血ナマグセェ吐きそう
何でこんなに死体がゴロゴロしてるんだって一体何が誰がこんな事を――――――)
思考が全くまとまらない。纏めようとする気すら起こらない。
ただ何の説明も無く放り込まれた、彼にとっての別世界の感触、そして戦場の臭い。
その全てを身に受けて、上条当麻は。
「――――――――――――――――――――――――ッ、う」
空を、阿呆のように見上げて。
「う、ぅぁぁぁアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!?」
ただ、絶叫していた。
(現在地:B3地区 居住区跡)
- 40 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/09(金) 22:07:36
- >>20
右も左も分からないまま逃げ続ける。
とりあえず森は続いているので、ジグザグに逃げれば案外追いつかれない。
追いつかれてない。
無いと思う、無いんじゃないかしら、まあちょっと覚悟は……してる暇ないし。
でもつまりこれは、逆に言えば森を抜けて広いところに出ると危険、って事かも知れない。
つっても出なければ、島からの脱出も出来ないんだろうけど。
アンビバレンツにも程があるわ……とりあえず、変なのに合いませんように。
……やば、少し足に来始めた。
(B-2、森の中)
- 41 名前:青葉マサヒメ ◆DIFTt16vCQ :2005/09/09(金) 22:09:19
- >>36
「えっと…ここにも珍しい木の実が生えてますね」
そう言って、気に生えている珍しそうな木の実をもぎ取ってみせる彼女
妙に毒々しいのだが…そうしつつ、鉄扇子で森の木々を傷付けながら進んでいく
マサヒメ…彼女に今の所、絶望感は無い。
「ぶっちゃけ色々とあるみたいですけど…って、収集欲に駆られてる場合じゃないでしたね」
そう言いながら、森を見渡す…確かにこの島の調査も大切であるが。
取り合えず、今は皆の所へ戻るのが先決だろう。
「それにしても、不陰気が物騒な島ですね…取り合えずこの島の果実や植物は
メモメモっと…」
メモ帳を取り出し、この島の草木や花や、果実等の特徴を次々と記す。
そうして進む最中…その先に、一人の女性の姿がマサヒメの目に映る。
「んっ…誰かいるのかなっ、しかも女の人みたいですけど…変わった服着てますね」
そりゃ確かに…片方は和風、片方は現代風の服装…そりゃそう思うのは不思議じゃあるまい。
「取り合えず、会ってみよう…ぶっちゃけ、この島の事知ってるかもしれないし」
(現在位置:A−1の森深く、>>36を発見)
- 42 名前:青葉マサヒメ ◆DIFTt16vCQ :2005/09/09(金) 22:10:35
- (追記:ついでに森の出口発見)
- 43 名前:ファントム&グリフォン(M):2005/09/09(金) 22:11:38
- >>30
蹂躙は続く。いや、前進のついでに蹂躙が為されるといった
表現が正しいか。
死んでようが死んでなかろうが関係ない。
極大の腕力で思うまま引き千切り(死ななくても紙切れ同然にされれば同じ)
マグマの体液で好き勝手に焼き溶かす。
背の蠍じみた針――といっても太さは丸太も同然だが――を振り回して
団子状に突き刺さった虫ケラどもを振り解く。
幻影という儚い名前とは裏腹に、実体を色濃く帯びた生々しい惨状を
生み出し続ける。これぞ“破壊者”、魔帝ムンドゥスの腹心の一つたる所以である。
だからその気配を感じたのも、そんな大物たる証なのだろう。
今目の当たりにしている連中とは比べ物にならぬ、一際大きい魔の気配。
大きな人間の気配はある。だがそれとは別の――そう、これは
むしろ彼ら悪魔の力に近い。
―――この虫ケラどもよりは面白そうだな。
例えるなら楽しそうな玩具を見つけた子供のような、その程度の
期待と愉悦でしかなかったのだが。
少なくとも今の「不味くて喰えない」連中よりは退屈しなさそうだ。
元より強大な奴を潰すのが目的の一つ、ならば何を躊躇することがあろう。
歩調を速める。
地を打つ轟音の勢いは短く、早く。
一心不乱に最短距離を直進する。さながら暴走特急のように。
ゴミは無視…といっても顔を打つ小雨程度に気にしなくなっただけだが。
程なく六本の肢全てが撓むのは跳躍の前段階。
群がる虫ケラどもが鬱陶しい、距離を詰めるため中空へ飛ぶ。
大質量が為す轟音と共に滑走路に亀裂を作り――――
『なんだ、このデブは?
大きな魔力を感じたが…ただの蚊トンボか!』
(B−2 空港跡)
- 44 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/09(金) 22:12:43
- >>40
間違えた!
ってか踏みつぶされたくない!
B-1 森の中
- 45 名前:遠野秋葉 ◆xkLa2AKIHA :2005/09/09(金) 22:15:47
- >>31
―――――ああ、何か咽喉が渇いたわね―――――
周囲を見回す。
どうやら、此処は港の様だ。
船が――誰も居る気配が無いが――停泊している。
………近くには港の管理所とおぼしき建物がぽつんと建っている。
あそこに行けば、水ぐらいあるだろう。
私は建物へと向かっていった。
―――――みんなが、たくさん、ころがっている。
誰も喋らない、誰も動かない。
とてもしずかだ。
お邪魔しますと挨拶して…返事は無い……水道へと向かう。
きゅっと蛇口を捻るとそこからざぁーっと水が沢山出てきた。
手に掬って飲む。
上手く飲めない。
蛇口に口を近づけて、飲む。
中々、咽喉が潤わない。
服が濡れてしまった、はしたない。
どうしたものか、これだけ飲んでいるのに……そうだ、他に飲み物が無いか、聞いてみよう。
これだけたくさんころがっているのだから、誰か知っているだろう。
「すいません、水以外に何か飲み物はありませんか?」
転がっていた一人を抱き起こし、質問する―――――――返事は無い。
代わりに<font color=>つぅーっと口から紅い糸。
「あら、勿体無い……零してしまうなんて」
糸を指で掬って、ぺろりと。
すぅーっと転がっている人の口から私の口へ引かれる一本の橋……………美味しい。
ああ、私が欲しいのはこれなのね、とぽつり呟く。
(現在地A−3港の詰め合い所らしき建物)
- 46 名前:麻宮アテナ:2005/09/09(金) 22:20:57
- >>7 戦車さん
ぶぉんぶぉん、ぎごごぎゅるぎゅるぎゅる……。
しばらくぼーっとしていると、日常生活とはおよそかけはなれた音が
聞こえてきました。何かのエンジンの音とか、土をかむ音とか、
金属がこすれあう音とかがまじったノイズ。
昔こういうのにたくさん追い回されたイヤな記憶が……。
はたして、それはやっぱり戦車でした。
軍事知識とか模型の知識がない私には、
ただ「戦車」ということしかわかりませんが。
ここの関係者でしょうか。だったら聞きたいことがたくさん。
「あ―――の―――っ! こーこどーこでーすか―――っ!?」
(現在位置:A1南端)
- 47 名前:支倉令:2005/09/09(金) 22:22:19
- >29
目覚めた時には、周囲に人影は無かった。
どれくらいの間気を失っていたかは分からないけれど……多分、そう経ってはいない。
「…………う、っ」
身を起こした拍子に、首筋に違和感。
手をやると、ねっとりとした感触――そして、肌に開いた二つの孔が触れた。
……夢であれば良い、と言う希望はあっさりと打ち砕かれる。
けれど、入れ替わりに押し寄せる絶望に膝を屈している暇は無い。
「行かなくちゃ……」
祥子の所に。
かけがえの無い友人の所に。
そして――――ち、
……が、う。違う。私はそんな事はしない。
友の所に行くのは、助ける為だ。
重い体を引き摺って、私は森を彷徨い始めた。
現在地:C-1森>B-1森の辺りへふらふらと
- 48 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/09(金) 22:24:19
- >>13
足場の悪い森を器用に走り抜けた先、驚くほど開けた場所に出た。
硬くならされた広大な道が、遠くまで広がっている。
「…………やばい妖気の出所はここかしらね。びりびり来るわ」
遠くにあるのは建物らしきもの。明かりが見えないということは、
「全滅、かな。……はぁ」
たぶん、道案内や手助けは期待できそうにない。
が、遠くから散発的に聞こえるのは悲鳴や爆発音らしきもの。
「誰かは、いるみたいね。協力とかできると楽なんだけど」
いくら不死身といえど、体力が尽きれば動けなくなるのは同じ。
その前に手助けが欲しいところなのだが―――
地響きが聞こえた。そして西から襲いくる凶暴な魔力の気配。
「な、何……ってうわあ!?」
声が出そうになるのを、どうにか押し殺す。
目の前では、すさまじい光景が展開されていた。
膨大な妖気の主、小太りでなぜか日傘と椅子に腰掛けている男。
そこに対峙したのは、信じられないほどに巨大な怪物。
一つは強靭そうな殻に紅く光る体液―――多分溶岩か何か―――を閉じ込めた大蜘蛛。
もう一つはわたしの不死鳥とは比べ物にならないほど巨大な姿をした、怪鳥。
「こ、ここにいたらやばそうね―――!!」
森の中には何がいるか知らないが、少なくともこの妖怪大戦争に巻き込まれるよりはマシだ。
そう判断して、私はすぐに森へと取って返した―――
(現在位置:B-2の空港、B-1へと移動開始)
- 49 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/09(金) 22:27:56
- >>23
闇雲に車を走らせる――が、車体の大きなモールドキャリアが問題なく走行出来るルート
なぞ、実際の所たかがしれていた。
比較的、拓けた方向へとハンドルを切るものの、当然そういった見通しの良い場所には、
期待に違わず、半ば腐りかけた蠢く死体が、生者の血肉を求めて徘徊をしていた。
直線ルート、アクセルを踏み込む――元々静穏性などと言うものとは縁遠い、頑強な蒸気
機関が、さらなる轟音を轟かせ駆動する。
加速する金属の車体は、こちらの動きに気づいたのか、明かりに群がる蛾のごとく、こちらへ
と迫る死体のなり損ない数体を撥ねとばしつつ、暴威をふるっていた。
「……くそ。流石に数が多い。このままじゃそのうち追いつめられて――」
だが。
何体かのグールを撥ねとばしているうちに、ふと奇妙なことに気がついた。
絶対数こそ少ないのだが、狂ったように嗤っていたり、明らかに苦痛に呻いている個体が
存在しているのだ。
「……どういう事だ? 連中には、ろくな知能は無いって話だが――」
そもそも、一種の呪いによって無理矢理駆動しているリビング・デットに、知能なんてもの
があるはずがない、と言うのが俺の知っている常識だ。
いや、確かにこういったオカルトじみた物事に、常識持ち出すのもおかしな話ではあるんだ
が――
と。
すっかりと陽の落ちた島に、ヘッドライトの光条がまっすぐに世闇を貫いていた。
その、どこか心細くもある明かりが照らす正面に、どこか薄汚れた白い壁面が浮かび上が
る。窓から身を乗り出して見上げてみれば、そこは――
「……アパート……? てことは、此処は居住区か?」
車内灯で予め配布されていた値ぞをのぞきこみ、呟く。
生き物の気配をまるで感じされない暗い暗い建造物は、それ自体がどこか、生者を飲み
込まんとしている怪物のように思えた。
<B-3、居住区到達>
- 50 名前:青葉マサヒメ ◆DIFTt16vCQ :2005/09/09(金) 22:29:20
- >>41
そこに人が居たかと思い、そこへ近づく…同時に森の出口を見つけるが
「あれっ…さっきまで、ここら辺に人が居た様な気がする様な…しない様な」
がっくりと頭を下げる彼女…しかし、森の出口を見つけたのは不幸中の幸いなのであろう
「取り合えず…森から出れたのは良いして…はっ!?」
そこに広がるのは、何も無い草原…その向こうに何かの坑道を発見した様である。
「これって…何かの坑道みたいですけど」
(現在位置:A−1 森の出口〜 A−1 坑道入り口)
- 51 名前:紫木一姫:2005/09/09(金) 22:29:39
- >>5 (姫ちゃん 導入から)
道に体を小さく伏せて、ちょっと悲しいですが服が破けちゃったりしながらも
何とか森を抜け出せました。
目の前に広がりましたものは本当に何も無く。
───広々っ。っていうか海っ!崖っ!!逃げ場なし!!
…こうして姫ちゃんの新たな人生は既に幕を切り落とされちゃってるっすか?
身を隠すところもないですし。取りあえず泣いてしまいたいです。
「ばかやろーーー。ばかやろーーばか…………」
後ろからまたまた追いすがってくるバタリアンたち。
遅いです。でも数は20はいます。気持ち悪くて臭くて、もう、どうにでもしてやりたいです。
ここが天王山?メタンガス沢山?…頭が錯乱坊になりそうな姫ちゃんでした。
やむを得ないですかね。───戯言、箴言、全て此処に終えちゃいますか。
右手を翳しあげ、バタリアン達のリズムを読み────指を折り曲げて…気付きました(汗
もしかして、場所────悪すぎですか?
手段を変えましょうそうしましょう。
崖から落ちた方がまだ生きれます。
姫ちゃんは、これでも生き汚いんですよ?
崖を、見た。そこから降りるために。いいポイントを目を鱗にして探しまくりました。
おう、シット。いい場所を探すよりも手っ取り早い手段を見つけちゃったです。棚ボタらっきー☆
そこには何と、少し大柄な男の人影が見えちゃったのですよ?
これを利用しない手はありません。
その人が誰でもいいです。この際は。悪い男に引っ掛けられちゃっても汚されても仕方ないです。
「きゃーーーー!!」
振り借りました。そして叫びました。姿勢がムリだったのか倒れちゃいました。
目の前には脳みそお化け。でも、叫び続けました。もう、そうするしかないじゃないですか。
だから一生懸命に叫んだのです!
(紫木一姫 現在位置 C−1 崖辺り lfと接近遭遇)
- 52 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/09(金) 22:30:30
>>33 ラインドウェル
何故か渇いている。殺せば殺す程、渇いていく。
渇きを一時的に忘れ、塵の掃除をしていて沸き立った疑問を整理する。
致命傷を負わせた所で怯む様子も見せず、唸りを上げて襲いかかる塵の群れ。
それでも個としての能力は弱く、負傷の一つもせずに残らず叩き潰しはしたが。
完膚なきまでに殺せば死ぬ。それが分かれば充分だろう。
それにしても、渇いている。頭の中では未だに喚き散らす『血』の声。
―――――殺したい。壊したい。生きた物を、殺したい、壊したい。
五月蝿くて仕方が無い。身を任せれば楽になる事は理解している。
血に狂ってしまえば、楽になる。何かを殺せば、何かを壊せば、楽になる。
取り敢えずはこの場を後にする。殺し尽くした場所に用は無い。
ふらふら、ゆらゆらと、酒に酔ったように歩いて行く。
シャツに付いた血が固まって、気分が酷く悪い。
手に付いた血を拭う事もしなかった所為で、見るだけで吐き気がする。
苛々する。何もかもに苛々してくる。
血の匂いが濃い方に向かって歩いて行く。
誰かに出会えば―――殺すか。
「ククッ―――ついていると言えば良いか」
ふらふらと、俺と同じ様に歩いて行く男を見つけた。
手に何かを持っているようだが、関係無い。
血に塗れるのはアレ。それを見て笑うのは―――俺
駆ける。相手の間合いより踏み込めば、それで殺せる。
少しは踊って欲しい物だが、反応出来るか?
余りにも呆気ない幕は、御免だからな。
―――良いね、『コイツ』から近付いてきてくれるなんてな
(A-2 遭遇――死合開始)
- 53 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/09(金) 22:32:27
- ――わたしがわたしであるのは、何故だろう。
気がつくと、わたしはここにいた。
何故――ああそうだ、確かとっさにボートを借りてこの島に来たのだ。
いや違う、問題なのは「何故いるか」ではない。
何故わたしがここに来たいと思ったか、だ。
何故。
――それはわたしが、たった一人の「特別」な存在だからだ。
そうだ、港からわたしは島を見ていた。
そして一人の人影を見てある衝動――そう、これは衝動としか言いようが無い――が湧き上がってくるのを感じた。
そのままわたしは、それに突き動かされてこの島に来た。 何故。
――では、もし「わたし」が二人いたなら?
そうか、彼女はわたしだからだ。
何の脈絡も無く思い、思うとそれが本当だと判った。
あの人影はわたしだ。
わたしが二人いる、それはあってはいけないことだ。
わたしが、本当の「わたし」なのだから。
……そうか、この気持ち。
こういう気持ちを、式はずっと抱えていたのね。
そう、わたしは今――
――嘘のわたしを殺すしかない。
――人を殺したいと思っている。
(現在地:A−3 港から少し歩き出したところ)
- 54 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/09(金) 22:36:45
- >>6>>10
―――私が“それ”と接触したのは、森の中を数分ほど歩いた頃だった。
「なんと……人間の死体が歩いているだと?」
―――命の輝きを宿さぬ眼。腐敗が進行し今にも朽ち果てそうな肉体。
それが、生者の如く群れを無し苦痛の声を挙げ続けている。
私は、生涯初めて見た光景に目を疑った。
何故ならば、『人間の死体を利用する魔物』は存在しているが『人間の死体を使用した魔物』の存在は未だ
耳にした事が無いからだ。
―――古代の魔人は己の冥力を木や石などの自然物に与える事で配下の魔物を作り出す能力を持っていたという。
だが、現在はその能力は失われ魔物製造技術は魔賓館の独占となっている。
その事も有って、人間の死体から作り出された魔物は存在していない。
そして、当の魔賓館もまた人間の死体から魔物を作る技術を持っていない―――
「……つまり、この魔物を生み出す根源を知る事が出来れば私の目指す『世紀の大偉業』は
より完全なものとなる……!」
―――あの男に頭を下げることなく!
―――人間を苦しめて得た魔札を消費することなく!
―――そして、より人間を苦しめることが出来る!
「フッ……ハハハッ……! つくづく幸運とは思いもよらぬ所から舞いこんでくるものだな……!」
私は歓びに身を震わせる。
「くれぇ……脳みそ……」
―――私の至福は、無粋な言葉に引き千切られる。
「―――――節度! 私の最も好きな言葉だ…。
節度有るものは好ましい理性的な行動を取り、知性に溢れる振る舞いをしてくれる……。」
拳を、
「だが―――お前等には、節度も理性も知性も! 何にも欠片だってありゃしねえじゃねぇかッ!アァン!?」
握り締め。
「目障りにも程があるだろうがァーッ!!」
“鉄槌”と呼ばれる形で目の前の動死体の頭部に振り下ろした。
(現在地点:B-1 森林地帯)
- 55 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/09(金) 22:40:41
- >>36>>46 アテナ
「まさかワイヤーが引っかかるなんてね。ツイてないわ」
アタシはさっさと車体を切り返して、降下予定地点の森林地帯へ向かうことにした。
別に戻らなければならない理由なんてないんだけど、戻ってはいけない理由もない。
想定外の事態が起こってズレが発生したらそのズレを埋める必要はあるわけだし。
それに。
少し開けた場所にいると脳味噌脳味噌とグールが寄ってくるというのもある。
「邪魔臭いわ」
と、アクセルを踏み込む。走ってる戦車を止められるグールなんぞ、流石にいない。
「もうすぐ森林が見えてく…」
―――なんか学生服着てる人間がいる。
(止まるか、轢くか?)
一瞬迷って止まるコトにした。
距離およそ3メートル。
もうちょっと迷ってたら轢いてたわね、こりゃあ。
『あ―――の―――っ! こーこどーこでーすか―――っ!?』
外部音声。
「一言で言うと軍艦島。見捨てられた無人の廃墟よ」
スピーカーで答えを返す。
無人の廃墟にしちゃあグールが結構な数いるんだけども。
(現在位置:A1南端)
- 56 名前:馬呑吐 ◆TUNTUWt93U :2005/09/09(金) 22:41:51
- >>11>>12 デビルリバース
「リサーチ不足だタカナ。あんなデカブツが足元で眠ってたとは……!」
舌打ちをして、馬は丸テーブルからタオルを取ると、汗を拭き始めた。
滑走路の反対側で、全長三十メートル近い巨人が管制塔をぶち壊して現れ、あろう事か中国
拳法の型を演じているというのに、この緊張感の無さは只事ではない。
「また羅漢仁王拳とは――黴臭い技を」
冷笑する余裕まであるようであった。
>>43 ファントム
降って来た蜘蛛か蠍――またはその混合物が放った侮蔑の声を聞きながら、着地の際の噴煙
をタオルで扇ぐ。それを首に巻いて、馬は目を吊り上げる。
「反射運動シカ能のない虫けらの割に、舌が滑らかに回るじゃないかネ。
分際を弁えぬ大口は、せめて哺乳類に進化してから叩きタマエよ?」
人差し指と中指を立て、後は握って剣に見立てる道教の呪印、「剣指」を造り、馬は小刻みに
それを振った。
滑走路に亀裂が走った。
いや、それはもう滑走路ではない。剥離し、粉雪のように舞うのは数の程も知れぬ道教の霊
符、コンクリートに偽装させていた馬の呪術である。
下に整然と敷き詰められているのは、一見して死体だ。数は二桁という事しか判らない。
中国式の葬礼の長衫(ちょうさん)を着込んだ者が大半だが、普段着姿も多い。
ただ全員の額には、やはり符が一枚張られていた。
死んでいる筈の者は全て、糸に引かれた様な不自然な挙動で身を起こした。
死後硬直に固まる躯は、直立の姿勢で跳ねる事しか出来ず、両手は揃えて前方へ固定。
剣指が巨大なる魔虫を指した。
「――勅!」
僵屍である。
なべて屍は、呪符一枚で『幽棲道士』の思うが侭である。その号令に従い、死者達は機のよう
に動き出す。
屍の軍勢は、飛び跳ねながら大蜘蛛に襲い掛かった。
(現在位置 B-2 空港跡)
- 57 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/09(金) 22:41:58
- >>10 バタリアン
「グールって頭吹っ飛ばしたら死ぬっけ?」
誰に問うでもなく、首を傾げながら呟く。蠢く死体たちは脳みそと、念仏のごとく唱えるばかりだ。
「まあいいや。吸い殻なんかに聞かせる歌はないし、マズ飯にも興味なしよ〜。土の下で滋養行き〜」
唄うように言葉を口にする夜雀の手に、ささやかな光の群れが宿る。必殺の一撃でもなんでもない、
それでも、人間程度ならば容易に貫く死出の光。
踊るように放たれた妖気の弾幕が、哀れな骸に殺到する。
- 58 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/09(金) 22:42:31
- >>17、>>34
メートルにして三桁に届くか否かの距離を一足飛びに飛び越え、着地して一息つく。
「……さて、と」
跳躍の最高点に至ったところで、灯台の上に佇んでいた青年が視界に入った。
鼻持ちならない優男――といった風情だが、
少なくともただの優男はあんな所に登って、あまつさえ飛び降りなどしたりはするまい。
「……本当に面白いところだね、ここは」
投げ捨てな苦笑を浮かべると、私は目の前に立つ灯台に歩いていく。
灯台の出入り口ドア――ではなくその裏手、先ほどの青年が飛び降りた位置へ向かって。
始めはここに登って、この島の状況把握を計ろうと思っていたのだが――気が変わった。
明らかに人間をやめたような連中の中に降り立った、あの青年に興味が沸いたからだ。
「――やあ、御機嫌よう。こんな月夜に一人で散歩?」
青年を取り囲むグール(?)どもの一角めがけて、力場思念を発動。
その包囲の一角に叩き込まれた念動力の砲弾が、生ける死体をダース単位で薙ぎ払う。
「気が合うね、私もなんだ」
大きく割れ広がった人垣――もといグール垣に足を踏み入れ、気さくな笑みで手を上げる。
さて、この青年の器は如何ほどのものだろうかね?
心中で値踏みしながら、私は腰の刀に手をかけた。
- 59 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/09(金) 22:43:45
- >>57
(現在位置:B-1 のまま変化無し)
- 60 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/09(金) 22:44:02
- ――気が付けば、そこにいた。
「覚醒」の感覚は、自らの「発生」の時と似ていた。
違うのは、場に満ちる「想い」の力がこの上ない悪意であることか。
立つのは、月光の射す薄暗い木々の群れ。
目に映るのは、外道に堕ちた屍の鬼。
脳裏に響くのは、何者かの殺意の声。
「……ふん」
不機嫌そうに呟いて、石仏は愛用の大剣を振るう。
暴風と化した剣閃は、蠢く屍鬼らを正真正銘の屍へと帰した。
「今更命じられるまでもない。
俺は仏道と衆生の守護者として、化生殺しを天命とする。
――魔物は、殺すだけだ」
名の由来となった狂笑をその顔に浮かべ、笑石はそう宣言した。
(開始位置:B‐1「森の中」。バタリアン殲滅中)
- 61 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/09(金) 22:44:34
- >>58(追記)
……おおっとっ。
私としたことが場所表記を忘れていたよ。
位置はC-3の灯台エリア、バタリアンの群れと交戦開始ってことで。
- 62 名前:タチバナ(M):2005/09/09(金) 22:46:56
- >>39
絶叫が聞こえた。それもすぐ近くで。
思わずほくそ笑んでしまう。
今この場で叫ぶ者は弱者だ。戦う力など無い存在だ。
それはつまり人間――――――我々の食物。
即座に廃屋の屋根に駆け上がり、辺りを見下ろしていると、自然にいつも口ずさむ詩を呟いていた。
「こすっても、こすっても三日月の形に落ち込んでいく……」
エサはどこだ?
「真っ直ぐな深淵は、ななめに歪む夜に落ち込んでぼくをうつす。」
……見付けたぞ!!
「ばくは浅ましくない。もう、一人の家に行こう。」
詩を言い終わる直前、音も無く吸血鬼は舞い降りた。
――――――少年の目の前に。
(現在地:B-3 居住区域)
- 63 名前:青葉マサヒメ ◆DIFTt16vCQ :2005/09/09(金) 22:47:14
- >>50
「取り合えず、調査はした方が良いのかなぁ…」
そう思いつつ…坑道に足を踏み入れようとすると
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
「なっ!?何ですか!?この音は!?」
驚く彼女は、その音の方向に顔を向けると…その先、幾らかの
目に辛うじて見える距離に、大きな物体(戦車)を見つける。
…うわぁ、何かデカイ箱が動いてるよぉ。
彼女の第一の感想がそれだった…彼女はそれは確かに
航空船とかの、ハイテク技術を目にする事はあっても
こう言う、地を這う類の乗り物を見た事が無かった。
だから…そう思うのも同然なのであろうが……。
取り合えず、何かの乗り物って事は確かなのかなっ?
それなら、人が乗ってる筈だよね?
よし、あそこへ言ってみよう。
そう足を進める彼女…そしてその方向へ掛けて数分。
その戦車の近くに、先ほどの森の入り口で見かけた女の人を見かける
「あっ…あれはさっきの」
う〜ん、でもこの騒音じゃ…少しやそっとじゃ
聞こえないかもしれないかなぁ…こうなったら大声で
そこの人ぉ、聞こえますかぁ!!聞こえたら返事してください〜!!
(現在位置:A−1坑道入り口から→A−1南端 >>46に接近中)
- 64 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/09(金) 22:47:25
- >>49
「……カペル、貨物室に回れ。モールドの準備を」
とりあえず周囲に人影――というか、死体の影が無いことを確認して、後部貨物室のロック
を解除しながら、俺はカペルを促した。
無言で外に飛び出していく彼女を、サイドミラーで確認しつつ、姿が見えなくなる一瞬が
この上なく不吉なものと感じている自分を、否定することは出来なかった。
時間は、ほんの一秒か、二秒か。
とにかく短い時間であったことは確かだが、それがとてつもなく長く感じる。
伝声管から、「……到着しました。閉めてください」というカペルの声を聞いて、ようやく安堵
の息をつく。
スイッチを操作し、電動式の扉がゆっくりと閉じていく振動をシート越しに感じながら、気を
取り直し、手早くカペルテータに指示を送った。
「呪文書式版は零番、一番、四番、五番、六番、八番を組み込み。
ライフルの予備弾倉はいつもの通り――箱形25連。ただし、通常弾で。
それと念のため、近接戦用装備の準備を頼む」
「判りました」
がこん、という伝声管が閉じられた音を聞いて、俺はゆっくりとキャリアを移動させた。
一カ所に固まっていては、また死体の群れを呼び込んでしまうことになりかねない。
闇の深い部分を縫うようにして、前進する――
(B-3、居住区跡)
- 65 名前:麻宮アテナ:2005/09/09(金) 22:48:54
- >>55 戦車さん
『一言で言うと軍艦島。見捨てられた無人の廃墟よ』
あ、女の人の声。ちょっとホッとしました。
それで、無人の廃墟ですかー。
それにしてはこう……耳には聞こえないけど
たくさん声がするような。それも、あんまりありがたくない類の。
ここはさわがしい無人島ですね。
「いっぱいーっ! 人とかーっ! いそうなんですけどーっ!
なにがおきてるんですか―――っ!」
戦車までいるなんてただ事じゃないですし。
WARMとか自衛隊さんのパレードならともかく。
あーでも、最初に会った相手にいきなり襲われなくてよかった。
たとえば戦車でひき逃げされるとか。
- 66 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/09(金) 22:49:01
- >>51
崖にそって歩いていると、「きゃーーーー!!」と声が聞こえた。
追われる少女に追う死人。
――今日は多分、一日中こんなだ。
「きゃーーーー!!」
「きゃーーーー!!」
「きゃーーーー!!」
……やれやれと苦笑をもらし、ことさら急ぐでもなく近寄ると、
とりついているグールを引っぺがし、引きずり倒して頭を潰す。
三匹つぶして、まだ、三匹が彼女の脳みそにご執心だ。
必死に抗う女の子に、俺はのんきに声をかける。
「助けがいるかいお嬢ちゃん?」
おやおや、この台詞、今日二度目だぜ?
「助けてやるのにやぶさかじゃないが、
タダってわけにはいかないぜ?」
芝居がかった自分の台詞ににやにや笑いつ、
「なーにたいした事じゃないさ。
キスさせてくれりゃそれでいい」
にやっと牙で笑い、付け加える。
「ただし、首筋に――」
(C-1地点 紫木一姫おじょうちゃんと)
- 67 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/09(金) 22:54:33
- >>33 >>52 八神庵
つ、と間合いを詰めて来るのは赤毛の男。
着ている物も同じ色に染まっているのは、恐らくは返り血であろう。
無手である。
しかし、その指先は赤く汚れている。
つまり。
「あァ……良いねェ、実に良いィ……
だがァ!」
一振り、剣の間合いにも入っていない相手に振るう。
一刀一足の間、などという物ではない。
彼我の距離はどう見積もっても十歩以上は開いている。
だが剣撃は、振るわれたと同時に地を馳せ一直線に男に向かう。
――黒い風を孕みながら。
瘴気。
常の者ならば触れるだけで肉体と精神を蝕まれる、異界の気である。
(現在位置:A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 68 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 22:56:26
- >>54 グリニデ
その巨漢の姿を見つけ出したとき、彼らの爛れた頭脳は歓喜の色へと染まった。
「くれぇ……」 「くれぇ……」
「脳みそ…生の脳みそぉぉぉぉぉ」
森を彷徨う亡者の軍団《》。
足取りも、年格好もバラバラな統率も結束も何もない烏合の集団はだがしかし、
ただ一つの目的のためにうねりとなってグリニデへと押し寄せる。
「脳みそ! 脳みそ! 脳みそ!」
圧倒的な力を持つ魔人の拳に潰され、引き裂かれてもなお、亡者の行進はとまらない。
いや、そればかりではない。
人間の原型をとどめぬまでに破壊され、魔人の足下に転がった無数の肉片たちもまた
深緑の知将の頭脳を求めて或いは這いずりまわり、またあるいはぴくぴくと痙攣を繰り返す。
「……脳…みそ……」
そしてつい今しがた叩き潰され、胴体から千切れとんだ男の首が、グリニデの足首に齧りつこうと歯を剥いた。
(現在地:B-1 森林)
- 69 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/09(金) 22:57:37
- >>53
空気が濃い。粘りつくような重たさを感じる。
それを振り払うように首を一振りして、わたしは月を見上げる。
「さて――これからどうしようかしら」
あの「わたし」がどこにいるかは判らない。
この島もそれなりの広さがあるようなので、隈なく探すのはいささか時間もかかるし手間だ。
何より、空気の粘度が一層増してきているのが気にかかる。
この空気は――式のまとっているそれと同質だ。
そのせいで、気がつくと口蓋が乾いている。
どうもわたしも、随分緊張しているらしい。
向こうに港の管理所とおぼしき建物がぽつんと建っている。
あそこに行けば、水ぐらいはあるだろう。
わたしは建物へと向かっていった。
――なんで、わたしはこんなことにも気づかなかったのだろう。
探す必要など無かったのに。
あれが「わたし」なら、考えることも同じなのだから。
「こんばんは、良い夜ね」
わたしは微笑を浮かべて、彼女に挨拶する。
口から一筋、紅い糸を垂らす彼女に。
(現在地A−3港、建物:遠野秋葉と接触)
- 70 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/09(金) 22:59:56
- >>13 >>40 >>48 遭遇、宇佐見 蓮子
ざん、と森へ無事突っ込んだ。
しかし、息を付くまもなく何かが襲い掛かってくる―――!!
「っち!!」
舌打ちを一つ。地面を蹴って飛び、さらに木を蹴ってそこを離れる。
振り向けば、そこには死んでいたはずのものがいる。
「………って、悪い夢じゃないのちょっと。死人が動いてるなんて」
目の前にいるのは五体ほどの人間。だがそれはすでに人間ではない。
服はボロボロで、目には理性の光は無い。
―――なにより、どれもが体を欠けさせている。
近くからは何かをむさぼるような音。そして何かがうごめく草鳴り。
死体が、口を開く―――
脳みそを、くれ。
「―――っ!!」
反応は一瞬。ざらり、ざらりと両手に十枚の符、その間に九本の小柄。
「くたばれ!!」
渦巻く気勢、風撃つ羽音。翼を広げるように両腕を振り、一気に投げ放つ―――!!
小柄が足に、腕に、腹に、頭部に突き刺さり、その動きが一瞬止まる。
直後に符が来た。
爆発。
込められた力に従い、符が衝撃を巻き起こし、その死体どもの身体を粉々に吹き飛ばし、
直撃を避けた連中も頭や足を吹っ飛ばされる。
「ったく、後味悪い―――」
ふう、と息を付いて腕を下ろす。
しかし、それでも奴らは襲い掛かってきた。
「きゃあっ!?」
頭を吹き飛ばされた者はまったく意に介さず飛び掛り、足を失った者は腕で跳躍する。
そして、私を喰おうと抱きついて―――
「―――いい加減に、」
さすがに、切れた。
まったく人が体力温存したいって言うのに―――!!
腐れた顔が口を開く。その歯は意外にも綺麗に映え揃っている。これなら生肉でもいけそうだ。
だけど、お前らは火葬だ。肉一つやらん。
意識の奥、体の奥、魂に刻まれた“炎”を呼び覚ます。
蓬莱の幻想。不死の体現。輪廻の象徴。
その炎は、正しく転生をもたらす、原書の生命が織り成す力。
そして、懐でスペルカードが一枚、燃え尽きた。
私の比翼の鳥を、永劫の伴侶を喚び出すために。
「……鳳翼、」
火の粉が、散った。
「天翔っ!!」
そして、紅い閃光が私の周囲で爆裂した。
発生するあまりの光熱に木の皮が黒煙を放ち、下生えの草は一気に乾燥して燃え上がる。
当然、この化物どももただではすまない。
人にかじりつこうとした失礼な化物どもは、燃える、灼ける、そんなものを通り越して、
一気に炭化した。
「あー、もう。さっそく一枚使っちゃったか」
ため息をついて、まあいいか、と軽く翼を羽ばたかせる。
紅い光が、闇を灼き、辺りを煌々と照らし出している。
「ま、いいか。一度出したら後は自由に出せるし」
とりあえず頷いて、不死鳥の羽根をしまう―――
と、そこでなにやら気配を感じた。この死者のうごめく中で、確かに感じる生者の気配。
「誰かしら、そこで見てるの」
軽く周りを見回しながら、気楽に呟いた。
(現在位置:B-1 バタリアンと交戦、撃破 蓮子の気配に気づく)
- 71 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/09(金) 23:01:51
- >>39>>62
>>64
ふと、遠くから何かが聞こえたような気がした。
「……今のは――」
悲鳴か? まさか、生存者がいる?
此処まで思いついて、ようやく自分の、今回の仕事を思い出した――生存者の捜索、
および保護。
あが、依頼人もろとも、調査隊が全滅している今、生存者なんぞ回収したところでなにが
出来るというわけでもない。
そもそも、自分ですらどうやって脱出して良いのか判らないのだ。
他人にかまけている場合ではない。――はずなのだが。
「……行かないわけには、いかんよなぁ」
声が聞こえてきたらしい方向に向けて、キャリアを発進させた。
(B-3 居住区跡、>>39の地点へ移動中)
- 72 名前:麻宮アテナ:2005/09/09(金) 23:02:03
- >>63 白拍子さん
『そこの人ぉ、聞こえますかぁ!!聞こえたら返事してください〜!!』
うはっ。これまた大声量のメゾソプラノ。
こっちも一応歌手の端くれですが、もしかしたら私以上かも。
声の主を探すと……いました!
白拍子さんみたいな格好した女の人、というか女の子。
美人さんですねー。沙羅双樹の花の色、とかそういう言葉が
確かに似合いそう。あ、平家物語は琵琶法師さんでしたっけ。
「きーこえまーすよ―――っ! は―――いっ!
こーこは―――っ! ひとことでいうとぐんかんじまです―――っ!
みすてられたむじんのはいきょですぅ―――っ!!」
あ、そういえば。わざわざ叫びあわなくても、
近づいて普通に話せばよかったんですね。
今気がつきました。
- 73 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/09(金) 23:02:11
- >>63 青葉
>>65 アテナ
『いっぱいーっ! 人とかーっ! いそうなんですけどーっ!
なにがおきてるんですか―――っ!』
目の前の学生が声を張り上げる。
さて困った。アタシも事情は知らないのだ。
『居るから殺れ。新型の試験もかねて』
つまり説明できない。
「人食いの化け物がこの島に大量発生してる」
だからストレートに事態を言うことにした。間違ってはいない。
『〜〜〜〜〜!! 〜〜〜〜〜〜〜〜!!』
外部音声に小さく別の人間の声が混じったような気がした。
………気のせいね。
(現在位置:A1南端)
- 74 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/09(金) 23:02:47
- >>37>>34>>58
夜の海岸を灯台に向かって、早歩きで。 厭な予感
夜風が妙に生ぬるい。 厭な幻視
少し震えている。裸足のままで海岸を駆ける。 それともこれは武者震い?
月が、風が、空が、大気がざわついて、まとわりつく感覚。
此処は何処?私は何処に? 私の本質が叫ぶ
灯台が近づいてくる。 逃げろと警報が鳴っている
ただ、その警告は間違いであると私の勘は告げる。
なぜなら、もはやすでに。この場所全体が警戒警報を鳴らしているのだから。
カタリカタカタ 骨の音
グシャリグシャグシャ 腐肉の音
ゴーゴーヒューヒュー 抜ける風
ああ、ここには死の香りが充満している。
そう言えば、昨日友達にタロットで占ってもらったときには『死』のカードが出てた。
流石に、悪い占いは当たる。なんていうだけのことはあるなって。感心して。
さすがに、この目の前に化け物が居るって、状況はいかんともしがたいので。少し力を集中させる。
頭の中で矢を描く。己の持てる力を。弱くても、出来ないことはない。
私は、先祖返りの吸血眷族にして精神感応者。目の前のソレに光る矢を放て。
キネティックアロー!
そうして、目の前の化け物に矢を放つ。 カタリカタカタ骨の音
こんな化け物に、太刀打ちできる方法があれば。目の前を見渡せば。
同族と思われる女性と、得も知れぬ雰囲気を醸し出す男性が。この状況を愉しんでいるように見えた。
だから。私は正直に助けを求めることにした。精神に呼びかける形で。
(えっ〜と………、聞こえてますか?聞こえているようなら、助けてください!)
〈現在位置C-3:灯台にてバタリアンと交戦中〉
- 75 名前:紫木一姫:2005/09/09(金) 23:06:14
- >>66 ビリー・龍さん
きゃああああああああああああ!!
まだ、そういうのは、早いよですってばよ!!!
セク、セクっ、セクシャルハラスメントっ!!『略してセラスっ!』あ。何かがあってるです!
25メートル後ずさる勢いでずさずさで、呼吸を整えちゃいました。
ちょっと気が抜けた気分。
ここまで容易に縷々纏綿に解体(バラ)せる人が居ていいですか?
凄い人じゃないですか。ウワサどおり簡単で問答無用で圧倒的で…
ちょっと姫ちゃんポイントが上昇しちゃってますが。
──げふんげふん。
そんな色々な感情を誤魔化すみたいに、お役立ちの剣玉をこつんこつんと世界一周させてみます。
何も無かった、平静を装うために、姫ちゃんごーごー。
「えと。助けられついでに───姫ちゃんが”ここから逃げる”のを助けてほしかったりするですけど」
パンパン、ってスカートの土を払ってにぱっ。
ついつい罪なお願いモードですです。勿論言い逃れの予防線もはっちゃいました。
「断ったら泣いちゃうです。クラークさんも言いました」
びし、っと虚空を刺してキメポーズ!手にした剣玉の玉部分がコロコロ転って
地面について汚れちゃいました(涙)がセリフを続けましょう。
「少年よ、大石を抱け!!」
- 76 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/09(金) 23:06:52
- >>39 >>62
混乱の絶叫は続く。上条当麻の喉を潰しながら、延々と。
その叫びの源泉は怒りなのか哀しみなのか驚きなのか苛立ちなのか、本人にさえも分からないままに。
永遠に続くかと思われた奇声は―――しかし、唐突にぷつりと途切れることになった。
「ああぁ―――――――――――――――ぁ?」
絶叫の最後を間抜けな声で締めくくり、上条当麻は正面を見すえる。
上条の視界に飛び込んできたのは、
白衣を着た男、だった。
特にコレといった特徴のない―――いや、凡人よりは整っているであろう顔立ちだ。
しかし未だ混乱の只中にある上条の思考に、微かに引っかかりを覚えさせる容姿だった。
その全身にまとう雰囲気もさることながら、何より上条が引っかかったのは―――その、瞳。
その男の両目はまるで血を垂らしたかのように、真紅に染まっていたのだ。
更には顔面の全てで表現された笑顔の端から覗く、鋭い犬歯―――
ヤバい。
上条当麻の第六感が、さっきから警告のアラームををひっきりなしに鳴らし続けている。
だが、脳の命令が幾ら身体を動かせと主張しても、肝心かなめの全身が全く反応を示してくれない。
どこかで致命的な伝達ミスでもあったかのように、上条の全身は凍りついたままだった。
「――――――――あ、あんた、は」
かろうじて、口だけが動いた。
今の状況を打破するにはほとんど意味が無いであろう器官が、真っ先に、である。
「あんた―――何者だよ? ココは何処なんだよ!? 何が、どうなってやがんだよォッ!!!!!」
自然と、語尾は荒くなっていた。
まるで脳の命令を受け付けない全身への鬱憤が、全て口から漏れ出でたように。
- 77 名前:笑石に切り落とされた腕 ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 23:06:54
- http://charaneta.sakura.ne.jp/ikkoku/img/1126193984/77.jpg (5KB)
>>60
トライオキシンによって死から呼び戻された者
たちに、安息の時はない。
本来なら死して朽ち果てるがままであったはず
の生体組織は細胞単位で賦活され、如何なる損
壊を受けようとも決して活動を止めることはな
い。
笑石の大剣に切り裂かれ、無数の肉片と化した
者達も、また……
- 78 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/09(金) 23:08:58
>>33>>52>>67 ラインドウェル
背中に悪寒が走り抜ける。それは、いつも側に寄り添う物。
このまま向かえば、それだけで幕を閉じる事となるか。
黒い、暗い、負の塊。受けてみれば如何なるのだろうなどと思いながら、軽くサイドステップ。
方向が直線的であれば、それだけの動作で事足りる。
そして、お返しとばかりに紫炎を地に走らせる。
軌道は直線的で、避けるのも容易だろう。
あの得体の知れない武器のような物で掻き消す事も在り得るか。
だが所詮は牽制。目的は近付く事。目的は引き裂く事。
血の雨を降らせ嗚咽を上げろ。貴様の役割はそれだけだ。
一歩、二歩と詰め、相手の間合いに近付いてくる。
死の匂いは濃くなった。血の匂いも濃くなった。
頭に響く声も、次第に勢いを増している。
紫炎を走らせ、また一歩踏み込む。それで相手の間合いだ。
得物は剣。レイピアと俗に呼ばれる剣は刺突こそが必殺。
その分見切り難いが―――今の俺なら何とかなるだろう。
それにしても意匠に凝ったのか、柄尻には髑髏。
それを見た途端怖気が走り、『血』が暴れだす。
苦しい、苦しいが立ち止まればそれで終わりだ。
今は兎に角、相手より一歩でも踏み込む事。
それが出来れば―――殺す事が出来る。
(A-2 倉庫跡 交戦中)
- 79 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/09(金) 23:13:13
- >>54>>57>>68
>「……脳…みそ……」
首だけになってもまだ、苦痛にうめく未練溢れた男の頭部を
ぐしゃり、と豆腐の様に踏み砕き。
―――存分に憂さを晴らすように、動死体どもを薙ぎ払い…いや、千切り飛ばし、
あるべき姿に還した所で、私は血への酔いを自覚した。
「……無粋な……まったく無粋だ……。
所詮、節度を解さぬ者は壊れて転がる運命だ……」
赤く染まった拳を振り払い、私は努めて冷静にある事を意識する。
―――その瞬間、森の向こうが発光した。
「……この輝きは、天撃使いか?」
天撃、それは大気を練り上げた人間が振るう、天を掴む大いなる手。
ヴァンデルバスターの必須科目であり、天撃を極めた物は絶対にして強大なる魂の具現・砕牙を
振るうことが可能になる。
「……どんな小さな芽でも、私の障害になるのであれば排除するしかあるまい」
私は、皺の寄った相貌を綻ばせつつ輝きの方へと足を向けた。
>70
―――その方向とは真逆に、赤い揺らめきが舞い昇る。
「……炎か」
余談では有るが、私は炎に対し有効な防御力を有していない。
言うなればほのお系の こうげきにによわい むしがたポケモンというところだ。
……いや、とりあえずは足を進めよう。
私の苦手とする炎とて、無力化する術は幾らでも考えつけるのだから。
(現在位置:B-1 ミスティア・ローレライとの接触のため移動開始)
- 80 名前:支倉令:2005/09/09(金) 23:15:31
- >47
目眩、頭痛。
体は悪寒に震え、それでいて頭は熱を持ち。
「は、ぁっ……う゛、ぇぇ…………」
膝を突いて、こみ上げてきた物を吐いた。
喉が焼けるような感覚と胃液の匂いに、思わず咽る。
落ち着いた頃には体の不調はあっさりと消えて、むしろ体が軽いくらいだった。
……それはつまり、私が変わりつつあると言う事。
「祥子……無事でいて」
そんな思考を振り払うように口に出して。
傍らに転がる枝をもう一度手に取ると、私は走り出した。
現在地:B-1森を捜索中
- 81 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/09(金) 23:15:51
- >>70 藤原 妹紅
「……ぜぇ、ぜぇ」
はは……息まで上がって来ちゃった。こりゃだいぶ無我夢中で走ったと見えるわ、我ながら。
少し、少しだけでも休まないと。動けなくなったらアウトだ。
辺りを確認しつつ、歩調を緩めて森を行く。
怪しげなものはない……ってわけでもない、物音はそこここで聞こえてる。
でもそういうのは無視、というかどっからどう聞こえてるかも正直、さっぱり。
こうなったらもう、反射的に逃げるしか。
なんて考えてた矢先に……不意に、真っ赤な光が視界を焼いた。
次いで、相当数のものが爆ぜる音。
「あっちゃあ……逃げてたつもりが、むしろやばいのに飛び込んだ?」
思わず呟いてから……やば、なんで口に出してんのよ私。気づかれるじゃない。
反転反転、こんなあり得ない赤色の光なんてものからは、さっさと逃げないと……
……赤色?
自然界に、あり得ない?
例えるなら――ルビジウムの炎色反応に近い、色の?
……気がつけば私は、その赤色のところへ向かっていたのだった。
そして、見えてきた。
背からまるで鳥の羽のように炎を広げる、少女の姿が。
そして、
>「誰かしら、そこで見てるの」
気づかれた。
……は、はは、ははは。まさかまさかまさか。こんな形で。
「……あーいや、怪しいものじゃないです」
そんでもって、なんだってこんな間抜けな返事が口から出るのよ私。
なっさけな。
B-1 森の中 藤原妹紅と遭遇
- 82 名前:ファントム(M):2005/09/09(金) 23:19:09
- (>>48)
―――物見用の“分身”とはグリフォンめ、抜け目のない。
空に浮く、風精を用いた雷の鋳型。
跳躍の際にも見受けたが、あの鳥の輪郭は紛れもなく同胞の分身。
ファントムの“同胞”は慎重を期する。
故に、監視と偵察を兼ねた分身をファントムの上空に放っていたようだ。
>>56
が、そんなのは所詮些事だ。
『ほざいたな、虫ケラ?死に損ないのゴミクズの分際で』
肌の隙間から覗く、灼の彩りがその濃度を増す。
昆虫を模した証である四つの複眼も、既にその色彩は深い青から、
燃え盛るような紅蓮へ。
破壊者の怒りをそのまま体現する、最大の攻撃色である。
この猛りは何だ?
―――言うまでもねえ。
この腹立ちの原因は何だ?
―――考えるまでもねえ。
この煮えくり返るハラワタを沈める方法は何だ?
―――1つしかねえ。
身を振るわせる、狂気と怒りの入り交ざった哄笑。
全身に満ちる怒気と灼熱の魔力。
今のメインディッシュはこいつだと即決。
潰す準備は万端だ、思考回路は暴発寸前、今すぐ殺ってやろう。
地表が崩れてわらわらと飛び掛る死にかけども。
先程のゴミがハエなら、この連中は軍隊アリか。
―――邪魔だと言ってるだろうがァ、虫ケラ!!
自然に顔を沈めるのも一瞬、それで十分。
瞬間、間欠泉の如く周囲にマグマの渦が湧く。
魔界の灼熱地獄を住処とする、ファントムが得意とする業の一つだ。
焼き尽くされて爆砕し、正に火の粉か蜘蛛の子を散らすように吹き飛ぶ有象無象。
だがそいつらは如何でもいい、狙う獲物はたった一つ。
そのまま前進、ごうと唸る大気。
爆風の中を突き進む重戦車さながらの突撃から、蚊トンボが居た場所――
その範囲全てを馬鹿馬鹿しいほど大きく鋭い前肢でなぎ払う。
『――――踏み潰してやるわ!』
この一撃でまた虫ケラの群れが吹っ飛ぶ。
千切っては投げるどころか鎧袖一触、両の前肢で肉片にして散り飛ばす。
群がるなら何度でも、どの道全員ブチ壊す。忌々しいデブ諸共に。
破壊者ファントムの怒りは力の源、獲物を引き裂くまで収まりはしない。
暴虐の災禍がまた一山、一山とキョンシーを蹴散らしていく。
- 83 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/09(金) 23:20:28
- >>58
「……退屈だな」
緊張の色も見せず、アドルフは屍生人()の攻撃を全て躱していた。
四方全てを囲まれているにも関わらず、だ。
そしてそれにさほどの労力も割いていないのは一目瞭然。
これが、魔王。これが、因果を統べるもの。
そうこうしているうち、暇に飽いたかアドルフが手を掲げる。
その掌に黒い、黒い……虚無が浮かぶ。
その時だった。
屍生人()の群れ、その一角が消し飛んだ。
「……ほう」
短く感嘆の声を漏らすアドルフ。
掌から虚無を消し、涼やかな眼差しを向ける。
その先には、一人の妖艶な女。
「ええ。今宵は良い月夜だ」
薄く微笑む。
「月が我らを引き合わせた、と言うところかな」
だが、その微笑みに隠して目を、牙を光らせる。
このようなところにいる女がただ者であろうはずもないのだから。
>>74
そして、脳裏に響く声。
(……テレパス? ほう、また別の客か)
目をやれば、そこにはこの夜に弾かれでもしそうなほど白い、少女。
「助けて欲しいのなら……と言いたいところだが」
声に出す。
夜に染みこむような美しく、禍々しい声。
そして、無造作に腕を振るう。
キュゴッ。
異音と共に、少女の前にあった屍生人()が消滅した。
「まずは邪魔者を消すとしようか」
悪魔が、優しく微笑んだ。
(現在位置:C-3灯台)
- 84 名前:はいになりました ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 23:22:43
- >>70 妹紅
風が吹く。
海から吹きあげて来たそれは、惨劇など意に介さず、といった勢いで
ぴゅう、と森の樹々の合間を吹き去っていく。
その道すがら、風はつい今しがた不死鳥の炎で灼き尽くされた骸たちの残滓を、
もはや動くことも叶わぬ亡者達が残した最後の妄執の欠片をも跡形もなく吹き散らしていった……
※↓吹き散らされる寸前の灰の塊の様子
・”,.脳:,* み‥ ’. そ
- 85 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/09(金) 23:24:09
- >>72 >>73
> 「きーこえまーすよ―――っ! は―――いっ!
>こーこは―――っ! ひとことでいうとぐんかんじまです―――っ!
>みすてられたむじんのはいきょですぅ―――っ!!」
先ほど、目の先に居る、女の人に大声を張り上げた結果
どうやら反応があった様である。
しかも、ここが何処かと言う事もついでに解ったのは収穫なのだろう。
軍艦島…この島、そう言うみたいですねっ…軍艦って事は、船の一種なんですよね?
「取り合えず、もうすぐみたいだから…そこに付いたら、あのデカイのにも
声かけてみようかなっ?」
そして、また数分…陸を這うデカブツと、セーラー服の少女の元に辿り着く
そして、まずお互いの状況を語り合う事に…自己紹介も兼ねて行おうと思った彼女であった。
しかし、見捨てられた廃墟とは…ますます持ってトンでもない所に不時着したみたいだなぁ…。
マサヒメは内心複雑だったが、目の前の人に出会って話しかけない訳には行かない。
早速コンタクトを取ってみる彼女であった。
「えっと…わたし、仲間の皆と航空船で外国…西洋の国に行く所だったんですけどっ
何の因果か、エンジントラブルでここに不時着しちゃって…しかも、その船や
皆と要る所から逸れちゃって…あっ、こう言う場合、自己紹介が先でしたね」
「えっと…そのっ、わたし、奥州青葉の君主やってます…青葉マサヒメです
もしかして、そっちも何かのトラブルでこっちに来た口ですかっ?」
(現在位置:A−1南端 >>73 >>72とコンタクトを取ってみる)
- 86 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/09(金) 23:25:07
- >>31 >>45 >>53 >>69 vs黒桐鮮花
『こんばんは、良い夜ね』
不意にかけられる声。
見ると、私と同じ、そう同じ少女が入り口に立っていた。
「ええ、良い夜ですね……貴方も咽喉が渇いているのかしら」
抱き上げていたものをぽいと放り出し、彼女へと。
こつん
陶磁器の様な艶々した肌。
とくんとくんとその下で脈打っているだろう彼女の鼓動。
湧き出るだろう紅く暖かい水。
――――ああ、そういえば先ほどのものはその意味では駄目だったわね。
だって、もうあれは人ではなく肉の人形だったのだから。
こつん
「生憎、此処に転がっているものは余り、ね。
まあ、見れば分かると思うけれど………」
こつん
ざあと風が建物の中を吹き抜ける、紅くて綺麗で禍々しい風。
建物の内外は私の意志に満ち、此処は朱い牢獄と化す。
入り口、窓、全てに縦横無尽に朱い髪の呪いが張り巡らされる。
此処からは誰も抜け出せない。
「でも、貴方はどうかしら。
あ、そういえば私は使用人のしか飲んだ事ないんですよ?
もう少し自分の世界を広げるべきですね、そう思いませんか?」
まだ、遠い。
でも、夜は長い、そんなに慌てる事はないだろう。
朱い呪いが彼女へじわじわと迫る。
途中に転がっているものをじゅうと飲み込みながら、じわじわと、じわじわと。
―――――あ、頭とか少しは残しておかないと。
だって、蛇口を壊しては水は出ないでしょう?
(現在地A−3港の詰め合い所らしき建物、黒桐鮮花と戦闘開始)
- 87 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/09(金) 23:29:17
- >>75 こまっしゃくれた少女(紫木一姫)と。
こういうのを「ゴキブリ並みの逃げ足」という。
なんだ、助けはいらねぇじゃないか。
えさを見失ったグールにたかられ、おざなりにそいつらを押しのけつつ(俺の頭はうまくねーよ)、
こまっしゃくれた少女の問いに、軽い気持ちで俺は乗る。
「ほほう。まあいいだろ、俺との取引に応じなかったなら、
別の取引をもちかけるのはアリだぁな」
「だが、優先順位を間違えてるぜ?
”ここから逃げ出す”前に、俺から逃げるが先決だ」
>「少年よ、大石を抱け!!」
俺は一瞬戸惑った。そもそも少年なんざどこにもいねぇ。
肩をすくめてボケに返す。
「飛び降り自殺にゃ必須だな。
重石を抱えて飛び降りてみるか?」
アゴで崖を指す。
ついでにグールをひっぺがすと、ちょいとかついで崖へと投げる。
キリモミしながら死体は落ちていき、……数秒数えて水音がかすかに響いた。
俺は最初の一歩をステップ。それで距離の半分を詰める。
追いかけっこの開始だ。崖の逆側に回り込み、…ま、落ちてしまったらもったいないが。
(C-3 紫木一姫と)
- 88 名前:麻宮アテナ:2005/09/09(金) 23:29:37
- >>73 戦車さん
『人食いの化け物がこの島に大量発生してる』
うわっシンプルな言葉の裏に驚愕の事実。
さらりと言ってのけるような事なのかなぁ。戦車さんにとっては。
ある意味では頼もしいかぎりですが。
それにしても。「人食い」の化け物がこの「島」に「大量発生」。
危険なワードがみっつも揃ってます。
応戦するにしても逃げるにしても、
この人の戦車は……あてにしていいのかな。
私の知ってる軍人さんはみんな怖い人ばっかりですが。
「ええと……戦車って強いですよね?」
実は博物館から持ち出したレプリカ、とかだったらどうしよう。
- 89 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/09(金) 23:30:23
- >>81 蓮子
>「……あーいや、怪しいものじゃないです」
「いやまあ、この状況でそんなこといわれても」
さすがにこれは予想してなかった。
気配の主は、どうみても普通の女の子だった。
少なくとも吸血鬼じゃないし、死体でもない。いやはや、よくもまあ無事で。
まあとりあえずは話し掛けよう。なんか役に立ってくれるかも知れないし、見捨てるのも後味悪い。
警戒を解かせようと、とりあえず胡座をかいて座り込む。
「……ま、私も怪しいっちゃ怪しいわね。とりあえず話がわかるならいいや。
あんた、どういう状況かわかる?」
とりあえず聞いてみるが、首を横に振られる。
まあ、それもそうだ。
趣味の悪い死体や化物が跳梁跋扈してる状況なんて把握できやしない。
でもまあ、
「とりあえず、まともそうなのに会ったのはあんたが最初。コレも何かの縁だし、
せっかくだから協力しない? 私は見ての通り火の粉くらいは払えるし、あんたにも
損のない話だとは思うけど」
とりあえずは聞いてみた。
ひょっとしたら、なにか脱出するのに重要な何かを持ってるかもしれないし。
……すっごく確率低そうだけど。
(B-1 蓮子と会話)
- 90 名前:神鏡 衝:2005/09/09(金) 23:30:43
- ―――超々弩級戦術支援母艦「セイングリード」ブリーフィングルーム
「衝、これは特異監査官の仕事範囲を超えているわ!」
「そんなことは関係ねぇっ!、倒すべき悪が居るっ、ならばそれを断つのが俺に与えられた使命だ。」
「でも、今回の事件は地球在来種及び地球人が開発した生物兵器によるものでしょう?」
「だったら、どうだって言うんだ!」
「この事件に首を突っ込むって言う事は、過剰干渉と見なされて特異監察官資格を剥奪、いやそれだけじゃない」
「諮問委員会にかけられて懲罰が確定、最悪死刑にされるかもしれないのよ。」
「だったら…だったら、黙って見てろって言うのか」
「そうよ、衝。」
「今回は我慢して?私たちの使命は『惑星狩猟団クライオス』の撃破のはずよ」
「…わかった」
「じゃぁ」
「おまえら二人はそこで待機してろ、俺一人で行く。
例え特異監察官資格を失おうとも、この覇王の力を失おうとも、たった一人になろうとも、
悪がそこにある限り、その罪はすべてこの手で断ぁぁつ!」
「「あっ、衝」」
数秒後、地球軍艦島に向け転送装置が発動する(B-1森の中に出現)
- 91 名前:神鏡 衝:2005/09/09(金) 23:31:04
- 鬱蒼とした森の中に、形容し難い匂いと禍禍しい気配が蔓延している。
「確か、この辺に生存者が居たはず―――」
ガサガサッと茂みが揺れ、黒い影が襲い掛かってくる。
「地球産のバケモノかっ…なんだって、こんな物を作る必要があるんだ」
「脳…脳みそぉぉぉおおっ…ノウミソォォォォオオオオオオオオッ」
唸りを上げながら、黒い人の形をした影が爪を振りかざす。
「おまえらがもう罪を犯さねぇよう…俺がその命を断ぁつ!」
その爪が、正に衝の頭を抉らんと襲い掛かった瞬間
「 零 着」
衝の体はまばゆい光に包まれ、赤く輝くタクティカルフレームが衝を包む。
「ハウンド…」
その爪を素早くかわすと、バケモノの腹に右掌を沈める。
「脳…みそぉ・・・」
並みの人間ならKOするこの一撃も、このバケモノには通用していない。
だが―――こちらもこれでは終わらない。
「ブゥレェェェェェェィイイイイイクッ」
右手首から高速で筒状の物体が射出され、バケモノのみぞおちに突き刺さる。
さらに、右手でそれを掴むと先端より刃が飛び出し完全にバケモノを貫く。
そして刃を貫かせたまま横方向に薙ぎ、腹を切断されたバケモノは動かなくなる。
「きゃぁぁああああっ」
絹を裂くような叫び声が夜の森に木霊する。
その行く手にはたくさんのバケモノ。
「ええい面倒だ。スパイラルボンバー」
声がした方に向かい高速回転をしながら飛んでいく。
数多くのバケモノを吹き飛ばしながら、俺は声の主の所まで到達した。(B-1 森の中)
- 92 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/09(金) 23:36:00
- ―――……キロ。
まどろむ意識の中。
――…キロ。
何処かで自分を呼ぶ、声が。
「……っ加減に起きろって、おい。海を越えたぞ」
国教騎士団傭兵部隊の長、ベルナドットの声にセラスはうっすらと瞼を開いた。
「―――ふあ?」
「ふあ、じゃねえよ。だから海を越えたって。もう戦闘空域に突入してンぞ。とっと
その辛気くさい棺桶からケツを出せ」
海を越えて。戦闘空域。棺桶。ケツ。
起き抜けにしては剣呑な単語だ。寝惚け眼にセラスは首を傾げた。
「……あ、ベルナドットさん。おはようゴザイマス」
「グッモーニング・ベトナム。―――おい。だから、いまはそんな呑気に呆けてる場合
じゃねえって言うの」
目を擦るセラスの顔を、ベルナドットは外に向けて無理矢理にひん曲げた。
とろんと濁ったセラスの瞳に、外の光景が嫌が応にも目に入る。
って―――
「え、ええええ。空ァ!?」
さっきからやたらやかましいエンジン音。
耳を切る風。
身体を揺るがす震動。
セラス・ヴィクトリアは、無限の夜空の中にいた。
「俺が局長から受けたオーダーは、この島への嬢ちゃんの投下。嬢ちゃんのオーダーは、
生きてこの島から帰るコトだ。―――それが即ち、敵の殲滅に繋がるらしい」
「え……え? か、帰りは?」
「俺は嬢ちゃんを捨てたら帰還の許可がおりている」
「え、え……?」
「まぁ、泳いで帰れば?」
「ええええええええええええええええええええええええええ!?」
(セラス参戦:戦闘ヘリ・ハインドに搭乗 C-1崖付近上空を飛行中)
- 93 名前:タチバナ(M):2005/09/09(金) 23:36:47
- >>71 >>76
少年は叫んだ。この私のことを、この地獄の釜ことを。
恐らく少年の精神は混乱の極みにあるだろう。
だが疑問に答える義務など私にはない。
「くくく、なぁんだ貴様まだ分かっていないのか?
ふふだが、お前は何も知る必要はない。ここで死ぬのだから!」
怯えきった目、恐怖に引きつる顔、錯乱する心!
最高だ。これだから人間の生き血は余計に美味く感じるのだ!
「ほぉら行くぞ!泣け叫べ!そして…ッ」
精神に力を込め、力を練り上げ、それを少年へと叩き付ける。
だが一撃に死ぬ程の威力はない。いや敢えて込めない。何故なら。
「嬲り殺しだ!ハハハハ!」
微かにエンジン音が聞こえた。多分人間がやってくる。
そいつに見せつけよう。こいつの無残な姿を。自分がどうなるかを。
- 94 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/09(金) 23:37:53
- >>77
笑石が大剣を振るう度、人型はただの肉片へと価値を下げていく。
だがそれでも、地に落ちた肉片は滅びず、びくびくと蠢いている。
等活地獄の咎人ですら、ここまで生き汚くは――否、死に汚くはあるまい。
しかも、笑石は知りこそしないが、この屍鬼達を生み出したのは、彼が護ろうとする人間である。
不機嫌そうな笑顔のまま、笑石は足元の手首を蹴り飛ばした。
>>80
その時ふと「感知」にかかる反応に、笑石は視線をめぐらせた。
――今までとは、周りの屍どもとは違う反応。
「何だ……?」
めぐらせた視界の先に見つけたのは、一人の少女。
この島を巡り歩いたゆえか身なりこそ薄汚れてしまっているが、強い意志を感じさせるその瞳は、
周囲の屍鬼との差異と捉えるのに充分なものであった。
「鬼……いや、人か?」
その少女を見て、笑石は困惑していた。
目の前の少女は人と鬼との境界がどこか曖昧で、「感知」を以てしても判別が付かない。
「おい、そこのお前。
こんなところで何をしている」
だから笑石は、少女に問い掛けた。
彼女が護るべき人か、滅ぼすべき鬼か判断するために。
- 95 名前:ファントム(M):2005/09/09(金) 23:38:08
- (>>82 場所:B−2 空港跡)
- 96 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/09(金) 23:39:26
- >>94 B−1:森の中
- 97 名前:麻宮アテナ:2005/09/09(金) 23:40:18
- >>85 白拍子さん
『えっと…わたし、仲間の皆と航空船で外国…西洋の国に行く所だったんですけどっ……』
”航空船”ってなんでしたっけ。もしかして私、ものを知らない人?
『えっと…そのっ、わたし、奥州青葉の君主やってます…青葉マサヒメです』
しかも、よくわかんないけどやんごとなきお方みたいです。
奥州って言ったら東北地方。青葉は……青葉区とは関係ないですよね。
ううっ、どうしよう。
『もしかして、そっちも何かのトラブルでこっちに来た口ですかっ?』
「あ、はい。トラブルです。ええと、私は麻宮アテナという名前で……。
職業は学生です。トラブルのせいで、この一言で言うと見捨てられた
無人の廃墟の軍艦島に来てしまって……どうしたらいいと思います?」
ほんとにどうしたらいいんでしょう。
人数が増えるのは基本的にいいことですが、
とりあえずでも当面の行動の指針をきめないと。
3人(?)でぼーっとしてたら「人食いの化け物」さんが
重装歩兵斜線陣で襲ってくる、なんて事にも……うわぁ。
「ほんとに、どうしたらいいと思います……?」
- 98 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/09(金) 23:41:47
- >>71 >>76
ごっ――という、思わず耳をふさぎたくなるような生々しい音が車内に木霊する。
闇に慣れた視界にはいるのは、激突し明後日の方向へと吹き飛ばされていくかつて人間
であった何かの姿。
人の形をしたものを殺している――という事実には特に感慨はなくとも、衝突時に車体越し
に感じる、肉と潰し骨を砕くあの感触は、どうにも気分の良いものではない。
しかし――
「……で、カペル。今のもか?」
「……はい。なにも感じませんでした」
カペルテータ・フェルナンデスは、ごく微細なレベルで、魔力、というものを関知することが
出来る。それは例えば、魔法行使中の魔法士であったり、魔族であったり、夜族であったり。
つまり、凡そ魔力によって駆動しているもので、彼女に探知できないものはない。
例えばそれは、吸血鬼によって生み出され、一種の呪詛で駆動を余儀なくされている屍食
鬼であっても例外ではない。はずなのだ。
にも、関わらず。
この死体達を、カペルは一切感知できないと言った――島のあちこちに、ここからでも感
知できる、台上の魔力反応があるにも関わらず、だ。
「……つまり、此奴等――屍食鬼じゃない、のか?」
それはそれで大問題ではある。
つまりは、此奴等がこうやって死んでいるにも関わらず、動き、おそってくる理由がさっぱり
わからないからだ――
「……この分だと、あの悲鳴も――」
生きていたかもしれない誰かが上げた、断末魔だったのかもしれなかった。
が――
「……レイオット。前方に大きな魔力の反応があります。近い、です」
……伝声管越しに告げられた事実は、あまり面白いものではない。
いよいよ、本命にぶち当たってしまった可能性がある。
敵がいるのが判っているのだ、だったらさっさと引き返すべきだと判っている。
しかし――
「……ま、確認ぐらいしておかないと寝覚めが悪いしな」
アクセルを踏み込む。
ヘッドライトを再度点灯させたモールドキャリアが、闇を切り裂くように加速した。
>>76>>93
……見えた!
まるでこっちがやってくるのを待ってた様に、二つの人影が対峙していた。
一人は……少年だろうか。座り込んだまま動こうとしない。
そしてもう一人は――全身から漂わせる青白い気配を隠そうともせず、どこか傲慢さを
感じさせる仕草で、少年らしき人影を睥睨していた。
「……カペル。やばいのはどっちだ?」
「――進行方向からみて、左手のほうです」
だよなぁ、と呻いて、どうするべきかを一瞬で考える。
逃げるか、それとも割り込むか――――
「……まあ、しょうがねえよな」
ハンドルを固定、アクセルもそのまま。カペルを前に戻した方が良かったか、なんて思い
ながら、窓から思い切り身を乗り出した。
銃を抜き、静かに前方へと照準をする。
暗いので、正確な照準など殆どつけられない――が、十メートル以上距離があるのなら、
そもそも命中させることなど不可能に近い。
「……少年、当たるなよ!」
何者かに祈りつつ、その青白い人影に向けて、トリガーを引き絞った。
銃声が三発、まだ周辺に残されていた静寂を砕くように轟いた。
(B-3 居住区跡、三つどもえ)
- 99 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/09(金) 23:43:02
- >>67 >>78 八神庵
僅かに歩みを横にずらせただけで瘴気の塊を避ける。
その上で、青味を帯びた炎を幾筋か、こちらに向けて放ってくる。
成程、この距離であれば弾数が物を言う。
一つを避けてももう一つ、二つ、と。
「だが無駄ァ、言わば無駄無駄無駄ァ」
す、と眼前に手にした剣を翳すと目の前に顕れるのは逆五芒の法円。
空間それ自体を断絶し、火焔の威力を無効化する。
「ゾクゾクするねェ、こんなにクるのは久しぶりだァ。
良いねェアンタのソレ、実に良いよォ……」
にやり、と笑みを浮かべながら間合いの縁。
我は届くが彼は届かず。
「だからアンタァ、そのまま死んでなァ!」
一歩踏み込むとそこは敵手の間合い。
そこに踏み込み斬撃を二度、そして三度と。
(現在位置:A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 100 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/09(金) 23:46:54
- ―――取りあえず、100ゲットで弓塚さつきも参戦だよ!
遅れちゃったぶん、取り戻すんだから!
(倉庫跡らへん)
- 101 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/09(金) 23:50:12
- >>89 妹紅
右も左もやっぱり分からない中で、出会ってしまった炎の羽の少女。
……やっぱりこれは冗談かなんかなのだろうか。
いきなり、あの時話に聞いた少女――と思われる――に出会ってしまうだなんて。
ただ、予想してたのと違って普通に話が出来た。
不幸中の幸いと言おうか。とりあえず幸運には違いない。
上がっていた息を整えつつ、申し出を受けることにする。
「ん……そうね、確かに損はない、というかきっと助かるわ。
私には貴方のように焼き払うことなど出来ないもの。協力を、というなら喜んで」
ちょっと顔色をうかがってみる。
……あー、やっぱり苦笑してるわ。
そりゃそうよね。でなけりゃ私がこんな必死こいた姿でいるはずがないし。
でも、だ。
「その代わり……時間が分かるわ。場所も分かる」
言って、空を振り仰ぐ。
眼に飛び込んでくる満天の星空、そして妖しく照らす月。
「今はえーと……まだ日付変更には至らないかな。夜明けを待つには遠すぎる。
で、ここは軍艦島というらしいわ。つまり海の上ね。
場所は……ん…………」
もう一度月を見上げる。じっと見つめる。
……どうにか、こうにか。
「多分、中央よりははずれてる。西のほうかな。
とりあえず分かるのはこれだけ。島って言うからには港でもあるはずだけど、そこまでは……」
と、まあそんな感じで、滔々と自分の能力を語って見せた。
普段はなかなか信じてもらえないけどね。でもさすがに、この少女なら信じてくれるでしょ。
「というわけで、こっちからも協力は出来ると思う。
私は宇佐見蓮子。貴方は?」
B-1 森の中
- 102 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/09(金) 23:50:46
- >>73 >>97
「あっ…航空船は、空を飛ぶ船で
わたしは、友達のヤマトさんの船に乗って居たんですけどね。
ヤマトさんは神戸商人団の一隊の航空船を任されてる、商人なんですけど。」
アテナの自己紹介の後、空を飛ぶ船の事に戸惑ってるアテナに対して、航空船の
説明をするマサヒメ…彼女から事情を聞き…何かトンでもない事が置きつつあるのを
理解したマサヒメは…取り合えずこう思った。
「人食いの化け物とか…もう何が何だか」
すこし、混乱気味であったが…。
「取り合えず、一旦ここは協力してここを何とかする事を考えましょう
一人一人で居るよりはマシな筈だと思いますし…わたし、これでも戦えますから」
アテナとデカブツ(戦車)に乗っているであろう人に、そう言う彼女であった。
鉄扇子を構え…何処かしら、異様な気配を察知して、事に備える。
「ますはさっきから感じる…嫌な気配の事ですけど、ぶっちゃけ襲う気満々そうですよねっ」
そう言って、印を結ぶと彼女の足元から…陰陽マークと数字が並んだ
東洋神術の魔方陣が出現…アテナとデカブツに、物理の衝撃と非物理に対する
対生のある結界を張る。
(現在位置:A−1南端…>>97 >>73とコンタクト…そして戦闘に備える)
- 103 名前:支倉令:2005/09/09(金) 23:51:54
- >94
ごう、ごう。
とてつもない質量の物が、空気を潰しながら奔る音が、近くに聞こえていた。
迂闊に近づいてしまったのは、それが剣を振るう音に聞こえたから。
動く死体が道具を使うとは――少なくとも、今は思えない。
けれど、距離は開けたままだ。
「――――!」
……鬼、と言われた瞬間、思わず反応してしまった。
何故分かったのだろう。
いや、今はそれより。
「友人を……私と同じ年頃の、長い黒髪の女の子を探しています」
問い掛けて来る相手なら、意思の疎通も出来る筈だ。
周囲に散らばる赤い色彩は、無理矢理意識から押し出した。
現在地:B-1森、笑石さんと遭遇
- 104 名前:紫木一姫:2005/09/09(金) 23:52:07
- >>87 ビリー・龍…ロングファング。島での目的の一つが相手です。
既に逆の崖、手前まで!…予定外、想定外です。半ばワザとですけどっ。
とはいっても…姫ちゃんも流石に走りつかれて桃色吐息です。
”助けてくれないのに、どうして追ってくるですか?”
そんな風に叫びたかったです。バタリアンだのグールだの。そんなのに
叫んでもイミなんて、ないんですけれどーー。
逃げても避けてもどうしようもない災厄に捉えられた事を認めるしか、ないですか。
なんていうのは、戯言ですが。勿論。
バタリアンに追い詰められ、助けを求めた男の人に崖の隅に追い詰められ。
その追い詰めてきちゃいましたバタリアンに足がかりが、見え────
「落下したり沈んだりしたら──痛そうですよね」
「姫ちゃん、痛みとか、そういうのって嫌です」
「それでも落下とか、沈むコトって憧れちゃいますね…ちょっとだけ」
「よく言うじゃないですか。
痛しかゆしも(暑さ寒さも)”彼岸”まで…。死んでしまえばそんな事感じませんよ?」
えへへへへ。手を、指を。静かに、翳す。
ひぅんひぅん。─────バタリアンの、動きが止まり
─────1バタリアン、2バタリアン、3バタリアンと体が縮れ───凶り───
空中が───空が───大気が───刹那、輝き────細い凶器が───八方より───暴漢を襲います。
曲絃糸(ジグザグ)。姫ちゃんの師匠の名前で、黄色信号(シグナルイエロー)と呼ばれた姫ちゃんの力。
張力応力抵抗力摩擦力弾性力遠心力向心力。滑車に振り子の原理が働きます。
架ける場所があれば、こんな風に非力でも、全てを引き裂く力になるですから。故に、応なく諾なく…
「貴方の意図(糸)はここで絶たれます」
(紫木一姫 位置:C−1 崖)
- 105 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/09(金) 23:54:06
- >>57 ミスティア
「Brain……Brai…n…… Ouch!?」
「Ahhhhhh… acute…acu…te……Woh!」
予期せぬ方向からの予期せぬ一撃。
夜怪の放った妖気の渦は、的確に人体の急所にあたる箇所……頭部を、心臓を
穿っていく。
だが、脳細胞が腐りかけ朦朧とした意識のみが残る亡者たちは何が起こっているのか、
何者の仕業なのかを理解できようはずもない。
理解し、認識できることはただ一つ、頭部が四散し、胸板に風穴が穿たれたことによって
更なる苦痛がもたらされたということだけであった。
「Oh… No……
No me……So……」
上顎から上を丸ごと失った亡者の一人が、故郷の言葉で苦鳴をあげる。
(B-1 森の中はお化けがいっぱい)
- 106 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/09(金) 23:55:40
- >>74
スクラムを組んで襲ってくる群れを、力場思念で塊ごと跳ね飛ばし。
その隙を突こうとするザコをかわして蹴り飛ばし。
時には視経侵攻()で盾にしたグールを、そのまま砲弾として使いつつ。
そんな楽しい、ただしパートナーはともかくギャラリーが最悪なダンスの最中。
“――えっ〜と………、聞こえてますか?聞こえているようなら、助けてください!”
私の脳裏に、女の子の声が飛び込んでくる。
俗に言う念話という奴だ。
思念を辿った先にいたのは――力場思念を矢に変換して、グールの群れに応戦している娘。
“――ああ、それなら構わないさ”
と、こちらも念話で返す。
念話にも出さない心の内で、『後でキスさせ()てもらえれば』と付け加えて。
>>83 アドルフ
力場思念()で吹き散らした肉の壁から垣間見える、金髪の美青年。
これだけ大勢の死体もどきにあちこちから襲われながらも涼しい顔で、
触れることすら許さず避け続けている。
どう見ても人間に出来る動きではない。
吸血鬼()かと思いもしたが、吸血鬼独特の血の波動が感じられない。
私の感覚に届くその流れは、少なくとも私の知るいずれの血統、否、どの生き物のものでもなかった。
そして、一瞬だけ感じたあの空気。
あの“東の龍王”セイの得意とする奇門遁甲と同じ気配。
こいつもそれに通じている――?
「ええ。今宵は良い月夜だ」
次から次へと沸いてくる、私の興味と疑問と興味をよそに。
私のかけた挨拶に、男は第一印象そのままの優雅な笑みで応じる。
――これで口から牙が覗かず、目も一緒に笑っていれば百点だったのだが。
「月が我らを引き合わせた、と言うところかな」
「愛すべき、我等が魔性の月の配剤に乾杯、ってところかな。
本来なら自己紹介で握手でもしたいところだが――――――っと」
そこへ文字通り割って入ろうとする、グールもどきの無粋な両手。
「人の逢瀬を邪魔するものは、馬に蹴られて何とやら、さ」
無粋な横槍を伸ばすその手を、本体ごと力場思念を絡ませた居合いで薙ぎ払う。
バラけたその体の後ろから、あとからあとから沸いてくるグールもどき。
避けるには易いが、鬱陶しくて仕方がない。
「ひとまずはこのお邪魔虫を一掃して、それからって事にしないかな?」
スクラムを組んで襲ってくる群れを、力場思念で塊ごと跳ね飛ばし。
その隙を突こうとするザコをかわして蹴り飛ばし。
時には視経侵攻で盾にしたグールを、そのまま砲弾として使い。
私はその金髪青年に、くだけた口調で提案した。
私の言か、少女の念か。
どちらにせよそれに応じるが如く、青年の手からあの感覚を再度感じ取る。
「まずは邪魔者を消すとしようか」
その言葉とともに腕が振るわれる。
少女に襲い掛かっていたグールもどきが、一瞬にして消滅した。
あのセイが得意とする奇門遁甲――それは空間を操る仙術の力。
大系こそは違うが、この男もやはり――否、間違いなくそれに通じているのか。
「――脳味噌ぉぉぉおお!」
「……やれやれ。しつこいお誘いは嫌われるよ?」
また背後から襲ってくる屍肉喰らい。 思考が中断される。 くそったれ。
疑問を即座に隅に追いやり、力場を込めた刀で振り向きざまに上半身を粉砕。
いい加減この状況に辟易しながらも、私は少女の側に寄り始めた。
(場所:C-3・灯台エリア。
バタリアン群と交戦中。 アドルフ、友香と共同戦線)
- 107 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/09(金) 23:55:58
- >>92
「取りあえず、嬢ちゃんどっかで捨てねェとなー。空港が一番都合がイイんだが、遠目に
見てもあっちの方で上がっている火の手はやばすぎる。俺まで巻き添えを食らいかねん」
操縦桿を巧みに操りながら、ベルナドットは一人ごちる。
もはや反論を諦めたセラスは、黙々と戦闘準備に勤しんでいた。
寝間着のタンクトップの上から、耐刃繊維が織り込まれたヘルシングのジャケットを羽織る。
抗不死ナイフをベルトの鞘に刺し込み、編み上げのジャングルブーツを履き込んだ。
「……と、取りあえず、上空から投げ捨てるとか、そう言うのはナシにして欲しいデス」
「そうかー? おれ、もう面倒くさくなっちまったからなー」
「死にマスよ……ふつーに」
「嬢ちゃんなら、この程度の高さ平気で着地しそうだがな。―――よし、あすこだ」
ベルナドット、ヘリの機体を僅かに横に倒す。
軌道修正。
「港のほうなら、まだ開けているし。何とかなるだろうよ」
(セラス:A-3港へ移動)
- 108 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/09(金) 23:57:07
- >>102(補足)
>そう言って、印を結ぶと彼女の足元から…陰陽マークと数字が並んだ
>東洋神術の魔方陣が出現…アテナとデカブツに、物理の衝撃と非物理に対する
>対生のある結界を張る。
えっと…私自身にも張ってます、結界。
- 109 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/09(金) 23:58:01
>>78>>99 ラインドウェル
地に走らせた炎は振るわれた剣によって闇に溶かされ、
辺りを包むのは月の淡い光だけ。
それなのに、彼の物の眼光は鈍い殺意の炎で照らされている。
まるで、鏡に映った自分を見るようで。
思考を断ち切り、向けられた怒声と共に繰り出される斬撃に集中する。
一撃目―――頭に向けられた刺突。
見え見えの一撃で、流石にこれに当たる馬鹿はいまい。
難なく避け、戻りの隙を窺うがそんな物は見せずに、二撃目。
胸を狙ったそれは、刺されてしまえば一撃の元に死に至る。
が、これも見え透いた手だ。
微かな傷と共に避け、三撃目に備える。
予想するならば、腹か。致命傷を刻むには充分な個所。
そのまま剣先を下げれば良い為、隙も少ないだろう。
来た―――が、狙いは腕。先ずは此方の攻撃手段を奪う気か。
裏を掛かれた一撃は、致命傷を避けた物の左手を朱に染める。
血が流れ出る。今まで抑えていた物も流れ出る。
――――さあ、行こうぜ? 宿主。
刺された痛みは気にも留めず、むざむざ間合いに入って来た屑を仕留めに掛かる。
右腕を振るう。此方もお返しとばかりに三段構えとして置こう。
一撃、二撃、三撃目は炎を纏わせ、切り裂きに掛かる。
「――――死ね」
(A-2 倉庫跡 交戦中)
- 110 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/09(金) 23:58:46
- >>93
何だ――――――――――――そりゃ。
上条の疑問に、しかし答える人はいなかった。
それは当然だ。上条の目の前に立つ男は、そもそも人ですらない。
そして目の前の男の中に存在する思考は一つだけだ。
それは、上条当麻への殺意。
その事を自覚した時には、男は腕を振り上げていた。
何かを撃ち出す様な仕草で、男はそのまま腕を当麻へと向ける。
放たれる不可視の衝撃に対し、上条当麻が取った行動は、避けるでもなく、ただ受けるでもなく―――
ただ反射的に、右手を突き出すのみ。
特に戦闘訓練も受けていない上条当麻が、危機に直面したとき、本能で行う仕草。
しかしその仕草には、彼自身にしか分からない重要な意味があった。それは―――
数秒後、先程と何も変わらない姿勢で、上条当麻はそこに座っている。
彼の右手に宿る幻想殺し(の能力が発動し、男の撃ちだす
「異能の力」を源とする衝撃波を完全に打ち消したのである。
そして、この幻想殺し(の発動と共に、上条当麻の思考と肉体に漸くスイッチが入った。
(バッカ、野郎―――――)
動かなかった足が動く。手が動く。腰が動く。
(フザけんじゃねぇ、こんな所で、何も分からずに、ただ―――――)
俺は、上条当麻は。
まだ生きていられる。
(殺されて、たまるかってんだ!!)
立ち上がり、目の前の相手に殴りかかろうと―――
パン、パン、パン。
丁度その時、乾いた音が聞こえ、上条当麻の顔面を何かが掠めていった。
(現在地:B3 居住区跡)
- 111 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 00:03:08
- >>85>>102 青葉
>>88>>97 アテナ
『ええと……戦車って強いですよね?』
「生身よりはね」
戦車より頑丈な生身に遭遇したことはあるけれど、アレは極めて特殊な例だ。
そしてさらに民間人?一人追加。
無人島とは名ばかりか。
事情を聞いて自己紹介を交わす。初対面の人間と交わすものって大体相場が決まってるわね。
「エリ・カサモト二等軍曹。この収拾に来た」
一応、という言葉はつけないでおく。
さてどうしたものか。
『ほんとに、どうしたらいいと思います……?』
と、アテナ。
『取り合えず、一旦ここは協力してここを何とかする事を考えましょう
一人一人で居るよりはマシな筈だと思いますし…わたし、これでも戦えますから』
と、青葉。
「異議なし。アンタらを放っておくわけにもいかないし…」
ハッチを開ける。大丈夫。女三人、詰めれば乗れる。
―――SV-シリーズは通常一人乗り。定員オーバーが過ぎるかな。
「とりあえず乗りなさい。あんまり長いことここに居るわけにもいかないし」
ハッチから身を乗り出して二人に呼びかけた。狭いのはガマンしてもらうことにして。
(現在位置:A1南端)
- 112 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/10(土) 00:03:59
- >>98
>>110
牽制射が効いたか効かなかったのか、そんなことを確認している余裕など無かった。
決して小さくはない車体を、無理矢理ふたりの隙間にねじ込むように――そう、むしろ青白
い男には衝突しても構わないようにハンドルを切りながら、一気にブレーキを踏み込んだ。
砂埃を盛大に巻き上げつつ、横滑りに停車したキャリアのちょうど側面に、拳を握りしめて
立ち上がった少年がいた。
闇に目が慣れたとはいえ、窓越しにその表情を確認するのは難しい状況だ。
とりあえず、少年が丸腰であることをざっと確認すると――
ドアを蹴り開けるように解放して、怒鳴りつけた。
「……乗れ!」
(B-3 居住区跡)
- 113 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/10(土) 00:04:47
- >>86
目の前の少女の周りに散らばる死体。
これを殺したのはこの「わたし」なのだろうか。
彼女の髪が、その血で染め上げたように紅く染まる。
紅く、紅く、紅く――全てが、世界が、紅く……
――ぴゅっ。
と、空気を切る音がする。
橙子師の机から持ち出してきた銀製のペーパーナイフ。
それを一振りした、その銀色の残像を見るだけで空気が楽になる……と、思いこむ。
これはオマジナイ。
彼女が何をしたのかはわからない、けれど相手の世界に囚われようとしているのは判る。
だからわたしはナイフを振るう。相手が絡み取ろうとするなら、こちらはそれを断ち切る。
そう、だからこれは意思表示。
『でも、貴方はどうかしら。
あ、そういえば私は使用人のしか飲んだ事ないんですよ?
もう少し自分の世界を広げるべきですね、そう思いませんか?』
その彼女は、その紅い笑みをこちらに向けた、言葉を発する。
言っている事は正論だが、この状況ではただのうわ言だ。
ああ、そうか――彼女は狂っているのか。
その認識が、急速にわたしの頭を冷やした。
「――まったく、可笑しいわねあなたは。
初めてあなたを見たとき、わたしがもう一人いると思えた。
だから来たのだけれど――あなたはわたしではないわ。
まるで微妙に歪んでいる鏡に映った像。
本当、まともじゃないものね」
彼女はまともじゃなくて、わたしはまとも。
そしてわたしが生きるべき世界はわたしのまともな世界、彼女の世界じゃない。
なんて――バカらしい。
こんな出来そこないが、わたしだとなぜ思えたのだろう?
「だけど、それだけに腹が立つの。
狂っているということは特別ということ、幹也に近いと言うことだものね。
だからね、わたし――
――あなたをこてんぱんにしてやらなくちゃ、気がすまなくなったの」
銀色のペーパーナイフを肩に当て、ゆっくり引く。
痛みと共に、血が流れ出す。ナイフに絡みつく。
紅い糸を引くナイフを、新しい玩具を見せびらかす子供のように彼女に見せてあげる。
「ほら、あなたの欲しいものはここにあるわよ。
そんな自分のお部屋に閉じこもってないで取りにきたらどうかしら、出来損ないのお人形さん?」
(現在地A−3港、建物:遠野秋葉と戦闘開始)
- 114 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/10(土) 00:12:06
- >>103
友人、と言った。
友人を探している、と。
狂気に満ちた化生ではなく、人間の「想い」を持って。
この少女は、人間だ。
だが同時に、化生へと成り掛けている。
改めて「感知」して、わかった。
「……ふん」
殺すべきだ、と思った。
そして、昔の笑石なら――迷わず殺しただろう。
「こんな島で、これだけの化物に囲まれて、か。
正気の沙汰とは思えんな」
その上、自らも化物成り掛けながら、だ。
――笑みが浮かぶ。
狂気に彩られた笑みではなく、どこか柔らかな笑み。
同時に、こうなってしまった少女の「縁」に対する憤りを隠そうとする笑みでもあった。
「それで、どっちだ。
――呆けるな。手伝ってやろう、と言っているんだ」
- 115 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 00:12:17
- >>102 青葉さん
とりあえず、青葉さんは飛行機というか
飛行船に乗ってきたらしいということですね。そして……。
『取り合えず、一旦ここは協力してここを何とかする事を考えましょう
一人一人で居るよりはマシな筈だと思いますし…わたし、これでも戦えますから』
うーん、有史以来散々言われてきたことですけど、
外見だけで判断するのはいけないですねぇ。
とにかく逃げるにせよ応戦にせよ、味方戦力はあってジャマにはなりません。
『ますはさっきから感じる…嫌な気配の事ですけど、ぶっちゃけ襲う気満々そうですよねっ』
……それにこの人、けっこう鋭い。いろいろ感じてる。
極めつけは、出し抜けに足元に現れた陣。
よくわからないけど、風水関係のシールドでしょうか。
お師匠さんならもう少し詳しくわかりそうなんですが。
「ところで、このバリアって動かせるんですよね?」
私たちが歩くところを勝手にくっついてきてくれるなら
こんなにいい話ないですよね。すごいです風水!
- 116 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 00:13:59
- >>111 エリさん
>「エリ・カサモト二等軍曹。この収拾に来た」
アテナさんとそうこうしてる内に、近くのデカブツ…あっ、確か
戦車って言うんでしたよね、会話に紛れてアテナさんがそう言ってましたから。
その戦車から、女性の声がする…乗っているのは女の人ですか。
それを聞いて…戦車の方に向く、マサヒメとアテナ…。
「どうやら声が届いたみたいですね、良かったです」
胸をほっと撫で下ろす二人。
その戦車からまた声が、女性が二人…の様であるが。
そこからこんな会話が。
>「異議なし。アンタらを放っておくわけにもいかないし…」
> ハッチを開ける。大丈夫。女三人、詰めれば乗れる。
> ―――SV-シリーズは通常一人乗り。定員オーバーが過ぎるかな。
>「とりあえず乗りなさい。あんまり長いことここに居るわけにもいかないし」
狭いかぁ…この際贅沢は居えないかもしれない…そう思った彼女は。
「乗れるだけでも…恩の地なのかなっ?取り合えず、よろしくお願いします」
そう言って、戦車の中にお邪魔するマサヒメであった。
(現在位置:A−1 南端 戦車の中)
- 117 名前:馬呑吐 ◆TUNTUWt93U :2005/09/10(土) 00:14:27
- >>82 vsファントム
怪虫の突進に向けて、馬は首のタオルを手に取り、しごいた。
「ヤパリ、頭足りんじゃナイカ」
と、道士の海パン姿は空を飛ぶ。
比喩ではない。跳躍では在り得ぬ滞空時間を見せつけ、数メートルも脇へ退いて突進を避け
ながら、馬は片手でタオルを振るった。――気功かはたまた仙術か、この男が手にした布切れは
刃物の鋭利さを以って敵を斬る。
その間に、立ち上る火柱の洗礼を免れた死体どもは、ある奇怪な行動を開始していた。
まず、一人の肩にもう一人が跨る。肩車の体勢だ。
それは連続する。担がれた肩の上にもう一人が乗り、更に上、そのまた上にと連なっていく
のだ。
場所は飛行場のあちこちでであり、高みを目指して建設されゆく死体の柱は幾十を数えてい
る。
それら全てを巡り、地表を偽装していた霊符は、生き物のように螺旋状に纏わりつく。
蜘蛛に攻撃を仕掛けながら、馬は高らかに呪言を放った。
「晩日煙塵、五兵を号す! 妙なり法なり蟲の聲! 勅!!」
一瞬で、屍の集合体は全て変化した。
まず、形状としては人間の頚椎だ。ただし大きさは、大人が数人で漸く抱えられる程。
肩車の連続が作った七、八メートルの頂上にあるのは髑髏だ。頚椎に見合った大きさの。
林立する髑髏は、燃え盛る炎の照り返しを受けて白く輝いて見える。
一斉に口を開いた。歯並びは悉く牙である。
長い首は伸縮し、或いは湾曲し、しなり、たわみ。
僵屍を操り、馬が変成させた怪物の群れは、空港跡地に存在する全てに襲い掛かっていた。
(現在位置 B-2 空港跡)
- 118 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/10(土) 00:14:45
- 一つ気づいたことがある。この化け物達のいくらかは、私のテレパスに感応している。
脳味噌、脳味噌って、あまりにもうるさいから。シャットアウトしたけれど。
と、言うことは………逆に攻撃のビジョンを送ったとしたら?
>>83
『助けて欲しいのなら……と言いたいところだが』
金髪碧眼の夜の主とも言うべき闇に溶けるような、それでいて禍々しい声。
そして、無造作に振るわれた手から放たれた 何か によって。
目の前の屍達が消える。得体の知れない恐怖と共に。今だけは最強の味方の登場。
そうして、繰り出された悪魔の微笑みに。
「あっ………そう言えば」
私、水着だったんだ。それも体型に不相応の白ビキニ。
なんて言う。見る方が見れば、ずれている、とか。また言われるんだろうな〜。
しょんぼりしながら、あたふた、おろおろ。
>>106
“――ああ、それなら構わないさ”
そんなテレパシー。見るに同族の方。しかも私よりもこのビキニが似合いそうな魅力的な女性。
そんな同族の方が、私と同じ力を使ってくることに。少しだけ助けられた。
なんだか、このテレパシーに。少しだけ寒気を感じたけれど。何だろう。このゾクッとする感じ。
―――――うん、私だって。まだまだ、出来る。だから。
力を溜めて。 壊せないなら。
止まれ!止まれ!そんな幻視を送り込む。ある程度の屍が反応する。
集え。集え!そうして反応した屍を一点に集める。
そうして、また力を溜めて。 跳ばせばいい!
吹き跳ばせ! 相 転 移 !
目の前の屍達をまとめて別次元に吹き飛ばした。何処に出るかわからないのが難点だけど。
その刹那。力がある程度尽きたのか、その場にくてっとへたり込んだ。
お二方のやりとりを見るに、なんだか安心出来るような状況じゃないのだけれど。
「ふみ………こんな私でも。お役にたてました?」
なんて、立ち上がりながら微笑んでみる。ああ、白ビキニがどうしても不相応。
力を溜めて、力を溜めて。私は次に備えておく。 夜は まだ 終ワラナイ。
〈現在位置C-3:灯台前にてバタリアンと交戦中〉
※〈吹き飛んだバタリアンはB-3地点にて出現〉
- 119 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 00:17:35
- >>105 バタリアン
「飛んで飛んで飛んで〜、回って回って迫る〜♪ ってあれ?」
傾げた首が、もう少しばかり角度を増した。グールなどまともな知能もない低級な、
妖怪と呼ぶのもおこがましい存在だ、と夜雀は考えていた。
そんなモノが、急所を吹き飛ばされながらも迫ってくる。頭が飛び、胴に風穴が空い
てもなおも前進を続ける。脳みそを寄越せと、怨嗟を響かせて。
「グールじゃないのか」
僅かな不機嫌さを混ぜて、夜雀は呟く。
化け物などどうでも良いというのに、更にどうでも良いモノに、手間をとらされている。
ここは幻想郷の外。新鮮な天然物の宝庫だというのに。
その不機嫌さに呼ばれたように、羽音が彼女の周りに集い始める。一羽一羽と数を連ね、
無数となったそれは、小さき群体。()
「んじゃ徹底的に。食べないでよ〜、中りそうだし」
主の言葉に雀の群れが殺到する。その身で貫いては骸共に風穴を増やし、翻って妖気
の弾を吐きだして行く。
肉を潰し貫く音がただただ続く。潰し潰し、貫き貫き。最早底には風穴しかない。
「ブレインブレイン走って逝〜く、ブレインブレインあの世までも〜♪」
夜雀は叩き潰した残骸に満足したのか、上機嫌に歌を再開した。
>>79
「ん?」
屋台の方に戻ろうとした夜雀の感覚に、何かがかかったような気がした。
(位置:B-1のまま、バタリアン撃破。戦いの予感?)
- 120 名前:デビルリバース:2005/09/10(土) 00:19:39
>>56 >>82 >>117 vs 馬呑吐vsファントム
閉じ込められ続けた地下からは出られた。
だが、デビルリバースの最も望んだ『光』は存在しない。
この行き場の無い怒りは、果たして何処にぶつけられるのであろうか?
すでに、島の各所からは溢れんばかりの殺気が漂っている。
古代インドの破壊拳を継ぐ悪魔の化身が黙っておれるはずがない。
そして見た。
燃え滾るような光を発する、灼熱の蜘蛛を。
その巨大な敵に群がっていく、無数の死人を。
「…ひかり………ひかァり」
縦横無尽に腕を振るうデビルリバース。
まず風が止まり、次に風が周囲を周り始め、
次第にその風が、巨大な両腕の中に圧縮されてゆく。
その様は荒々しくも、
言うなれば、風を編んで綿菓子を作っているようでもあった。
だが、出来上がりつつあるそれは、決して甘い菓子などではない。
そこにあるのは、ただ無色透明な殺意の塊!!
デビルの胸に描かれた、赤く巨大な、どこか鳥を思わせる紋様の前に、
完全に練り上げられたその膨大なエネルギーが、
両腕を突き出すと同時に開放される!!
「ぼぉ!!」
風 殺 金 鋼 拳
滑走路を真っ二つに割りながら、
すさまじい風圧が蜘蛛へと襲い掛かっていく。
言うまでもなく、突如として現れた巨大な髑髏に対しても、
平等に、偏り無く、一切合切を砕き散らす空気の津波が押し寄せるのだ!!
(現在地:B−2 空港跡)
- 121 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/10(土) 00:19:49
- 「……話には聞いていましたが、酷い有様ですね」
研究所からの長旅を終えた箒を鞄にしまいながら、私はぽつりと呟いた。
数日前、私の研究所にやって来た、素性も顔も分からない者――覆面を被っていたが、その言動と瞳は、記憶にあった。私の記憶が確かならば、『世界の盟主』を自称する国家に属する、かなり高位の科学者だ――からの、『“軍艦島”と呼称される島に蔓延る不死者の殲滅、及び立ち入った者の可能な限りの排除』と言う依頼を、私は数秒の思案の後に受けた。
殲滅させる自信があった訳ではない。が、依頼者の言う『頭を潰した程度では滅ぼせない』不死性に、私の知識欲が疼いたからだ。
可能であれば一体くらいは捕獲したい。捕獲が叶わぬならば、せめて肉片の一つも持ち帰りたい。
そんな思いを胸に、私は居住区域と思しき地点に降り立った。
「凄い臭い……それに、なんか嫌な感じ……」
草色の甲冑に身を包んだ少女――タオが辺りを見渡しながら、そんな感想を漏らす。
幸いと言うべきか、私達のいる付近には生者はもとより、不死者の影もない。
あるのは血痕と思われる染み、散乱した家財道具、弾痕の残る家屋。そして……腐臭。
「ここにいた人達……みんな死んじゃったのかな……?」
「恐らく……と言うより、ほぼ確実でしょうね」
「どうして、こんな事に……」
「それを知るために、ここにいるのです。答えは、自ずと導かれます」
タオと言葉を交わしながら、私は首から下げた竜眼のペンダントを食い入るように見つめていた。
見たもの全てを記憶する竜眼のペンダントは、同時に波動や魔力を感知するものでもある。
その竜眼がこの島に降り立つ以前、島の上空にいた頃から、異常な波動を感知していた。
この一件、科学による人為的な事象としての側面だけではなく、真理学で言うところの『邪悪な意思』の部分も含んでいる……そんな気がしてならなかった。
(現在地:B-3 居住区跡)
- 122 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 00:20:02
- >>115 アテナさん
>「ところで、このバリアって動かせるんですよね?」
「はいっ…物理結界とかの結界系の神術は…対象を常に守ってますから
この戦車にも掛けておきましたし…さっきよりはだいぶ頑丈になったと思いますよ」
ここは戦車の中…ぶっちゃけ、かなり狭いがこの際贅沢は言えない。
取り合えず、戦車の中の人にも自己紹介を軽くする事にした。
「えっと…わたし、青葉マサヒメ、それで私の隣に居る子は
麻宮アテナさんって言います、どっ…如何かよろしくお願いします」
「それで、わたし…神術、さっき結界を張ったんですけど…東洋神術って言う
術を使えます…後、鉄扇子による接近戦も…どっちかって言うと遠距離戦の方が
得意なんですけど」
(現在位置:A−1 戦車の中)
- 123 名前:アレックス:2005/09/10(土) 00:21:23
てなわけで、おれが目をさますと、どうやら凄くハラショーな匂いがしたんだ。もののくさ
ったような匂い、臭い、臭い。ところでおれ、というのはもちろんアレックスのことだ。
だってあっちらこちらを顔色の悪い薄ぎたないやつらが歩いていて、そいつらときたら
垢やらなんやらでぐちゃぐちゃで、俺はそういうのがまんできねえんだ。目の前を歩いて
行ったやつがきたならしいおやじだったから余計にいけない。
で、おれはそいつを捕まえてハラショーにバッチリぶん殴ってやったんだが、野郎はま
だウタい続けてやがる。おれはこいつに興味を持ったから話を聞いてやろうとしたんだが、
そしたらなんと! 噛み付いてこようとしやがったんだ。おれはブーツの使い方とかバツ
グンなんで、腹をちょいと蹴り上げて、ガックリ下がってきた口にブーツをバシン、バシン、
叩き付けてやったね。イエェェェェェーッ! そしたらおれはすっごくハイになってきて、バ
シン、バシン、バシン、バシン! やつはヨロヨロしながら「ウー、ウー、ウー、」なんてわ
めくもんだから、血が、兄弟よ、ほんっと、美しいね。いや汚い、なんて汚い血なんだと思
ったね、おれは。こんな汚い血は見たことがないってんで、そいつの頭をその血におさえ
つけて舐めさせてやったんだ。「なめろよ、兄弟、バッチリコーンフレークだ」ヒュウウッ!
おれはすばやく()そいつの髪をひっつかんで、首筋に、サクッ、サクッ、ナイフを突き立てて
やったんだ。
ところで兄弟、おれはその飛び出しノズ()をしまいながら思ったんだ。
おれのなかま()はどこにいて、ここは一体どこなんだってことさ。
(場所:A-2)
- 124 名前:タチバナ(M):2005/09/10(土) 00:22:37
- >>98
>>110
>>112
何だと?
私は確かに念力を打ちつけた。死ぬ程ではないにしろ、奴は今頃地べたを這い蹲っていたはずだ。
しかし現実に、この子供は腕を差し出しただけで何の変化もない。
直後銃声!
……思ったより早かったな。
まあいい、人間などにこの私が敗れるものか。
「食いちぎれ!」
ギチギチギチ――――
両肩が盛り上がり、呻きを上げた。
盛り上がった肉片を50cmはあろうかという巨大な蝙蝠へと変化。
ついに肉体から完全に分離した蝙蝠は一方はまっしぐらに乱入者の車へ
もう一方は子供へと向かわせる。
「人間の分際で、この私から逃げきれるなどと思うなよ!」
(現在地:B-3 居住区域)
- 125 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/10(土) 00:24:04
- >>100
気付けばさつきは、食屍鬼に囲まれていた。
尋常な数ではない。三十、いや、それ以上か。
「やけに臭うモノが転がっていると思ったけど―――ふぅん」
つまらそうに、それ等を見渡すさつき。
不意に、食屍鬼のうちの一匹が動いた。
鈍重だが―――その膂力は、人間のリミットを切っている。
自らへの反動を考慮しない一撃。
素直に受けたら、骨が砕ける程度では済まない。
「グールが一匹、グールが二匹……
どうしてこんなコトになっちゃったのか、よく分からないけど」
食屍鬼の一撃。さつきは手刀で叩き割った。食屍鬼の肉が裂け、血飛沫が舞う。
「グールが二匹、グールが三匹……
―――わたしを倒したいのなら、もっと鮮度を大事にした方がいいと思うよ」
屍の頭部を片手で握り潰す。それを合図に、残る食屍鬼もさつきへと襲い掛かる。
さつきは捌いた。攻撃を受けるよりも早く、蹴り、殴り、潰し、穿つ。
血飛沫の旋風が巻き起こる。その中心で、さつきは笑う。
(A-2倉庫跡の端のほう)
- 126 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 00:25:06
- >>104 崖の上にて
追い詰めた。俺は足を緩めて彼女に詰め寄る。
少女は言うのだ。
この世からあの世へ。その道筋に惹かれる、と。
そんなわきゃあ、ない。
血を流し、泥に塗れ、全てを呪いながら死んでいく奴のほうが多い。
なにより――
瞬間、数条の断裂が俺の体を走り抜けた。
一条が右肩から左脇へ。左手首が飛び、右膝が切り落とされる。
俺の体は膝をついた。
ずりおちそうな上半身を、なんとか動く右腕でおさえ、
こみ上げて来た血の塊が唇の端からあふれ出る。
血を吐き捨て、俺は言葉を紡ぐ。
「俺の糸はとっくに断たれている。
だが、俺ぁ未だに生きているぜ。いや――――」
右足を踏み出す。力強く。
再生した足裏が大地を蹴り、俺の体は前に飛び出る。
左足が着地したのは少女の眼前、俺の右腕が、彼女の肩にかかり――
「俺ぁただの死に損ないだ。
お前も永劫に、死に損なってみるか?」
そういって、右腕に力を込めた。
(C-1 紫木一姫)
- 127 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 00:25:48
- >>111 カサモトさん
戦車! トボトボ歩かないですむだけでもラッキーな上に
生身よりは強い戦車! とりあえずは三者三様の戦い方とか
逃げ方もあるという事で、選択肢の幅も広がるでしょう。
近辺の詳細な地図でもあれば、テレポートで脱出という
無難な方法も取れたのですが。とりあえずは戦車!
『とりあえず乗りなさい。あんまり長いことここに居るわけにもいかないし』
うわぁ……戦車に乗るのってはじめでですねぇ。
追い掛け回されたことはありますけど。よいしょ。
うぅっ、中は狭いんですね。全員女性でよかった!
「それで……とりあえずどこにいきましょう。
あと、自爆スイッチってどれですか? 間違えて押さないようにしないと」
- 128 名前:支倉令:2005/09/10(土) 00:26:01
- >114
正気の沙汰ではない。
確かにそうだ。ここはどうしようもなく危険で、逃げるべきなんだろう。
「でも……だからこそ、祥子を助けたいんです」
せめて、祥子だけは。
口にしたら認める事になってしまいそうで、言葉を飲み込む。
と、私に向けられていた物が、いつの間にか緩んでいた。
続いた言葉を理解すると同時に、無意識に止めていた息を吐く。
「あ……有難うございます!
ええと、向こうは探しましたからあちらを――――」
夜の森を、再び進み始める。
……立ち込める血の匂いから逃げるように。
現在地:B-1森、笑石さん共に移動開始
- 129 名前:sage:sage
- sage
- 130 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 00:28:33
- >>31 >>45 >>53 >>69 >>86 >>113 vs黒桐鮮花
『まるで微妙に歪んでいる鏡に映った像。
本当、まともじゃないものね』
ゆらゆら。
紅い海を泳いでいる、いや、漂っている。
まるで海月の様にゆらゆら、ゆらゆらと。
『――あなたをこてんぱんにしてやらなくちゃ、気がすまなくなったの』
私は流されていく、より朱く薫る方へと。
「寧ろ、私には貴方が狂っている様に見えるわね。
この時、この場所においては」
銀の刃の防波堤に朱い波が泡と消える。
でも、波は押し寄せる、何時までも何処までも。
そうやって何でも海は最後には飲み込んでいく。
そして、言うのだ。
「ご馳走様とね。
………良い匂いね、何でも天然物に限るわね」
ゆらゆらと私は朱い波に、彼女の方へと流されていく。
朱い波涛はそうやって、彼女の下も上もじわじわと流れ、飲み込んでいく。
建物がぎしぎしと歌っていた。
(現在地A−3港の詰め合い所らしき建物、黒桐鮮花と戦闘中)
- 131 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/10(土) 00:32:33
- >>106
「このような月の夜には、共に踊るパートナーが欲しいところだね」
まさに踊るように、優雅に身体を舞わせる。
だが、優雅なそれは、獰猛な牙でさえあった。
腕を軽く振るうだけで消滅する屍生人()。
視線を投げるだけで溶解する屍生人()。
因故に果有り。
如何な因であれ、望む果を具現する、まさに因果の王。
「それが、キミのような美女ともなれば申し分なかったのだが」
大仰に肩を竦めながら、だが毛ほどの油断もなく。
因果の王は残酷なダンスを踊る。
>>118
全てを消し飛ばさんと、外側に立つ能力を開こうとした刹那。
白い少女から、凄まじいまでの力を感じる。
(ほう、これは……)
開こうとしていた力を閉じ、見守る。
そして、見る間に少女は屍生人()どもを何処かへ放逐した。
「見事なものだ。転移能力か」
ざっ、と少女に歩を進める。
総身は緊張と力に満ち、油断の様子もない。
(だからこそ、楽しいのだ)
心の中で呟き。
白の少女を我が色に染めんと手を伸ばした。
(現在位置:C-3灯台)
- 132 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/10(土) 00:36:34
- >>125
二十三匹目の食屍鬼を、頭頂から股下にかけて踵で切り裂いた。その時だ。
「―――っ!」
さつきは、吸血鬼の本領とも言える第六の感を頼りに、後ろに飛び退いた。
つい一瞬前、彼女がいた位置には。
「……狂犬(ケルベロス)」
聞いたコトがある。食屍鬼のエリート集団「ケルベロス」。
七人の選りすぐりの死に損ない。
まさか、彼等もこの島に来ていたなんて。
「―――わたし、別にゾンビさんには興味ないんだけど」
七人の狂犬は答えない。ただ不動の一列横隊で、距離を詰めてくる。
「……やるしか、ないんだね」
さつきはゆっくりと、両腕を構えた。
(A-2倉庫跡の端のほう)
- 133 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/10(土) 00:36:37
- >>99 >>109 八神庵
猫科の猛獣が爪を振るう如く。
ひとたびその指先に触れれば皮膚は裂け、肉を抉る。
「『死ね』? 『死ね』だってェ?
この俺にィ、『死ね』だってェ?
テメェ、死ぬまで死なすぜェ!」
一撃、揮われた指先は浮かび上がる防護法円によって押し留め。
二撃、そこから伸びた指による斬撃は、円を描く様な足捌きで横に避ける。
三撃、炎を纏う横薙ぎは胸を掠め、幾らかの肉を削ぐと焼けた匂いと共に夥しい血が
刺青を赤く染める。
「殺す、まさに殺すゥ!」
ぎちり。
冥い眼光が敵手を捕らえる。
邪眼、と言われる物である。
多くの場合、対象に災厄をもたらす等といった間接的効果があるものに過ぎないが
この男の場合には肉体的な麻痺を及ぼす迄に強化されている。
その上で髪を掴み、地面に叩き付けると更に剣を振り下ろす。
「地面にオヤスミのキスでもしてなァ!」
(現在位置:A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 134 名前:小笠原祥子:2005/09/10(土) 00:39:11
- >>90>>91
その時、私は追い詰められていた。
出来るだけ音を立てないよう、逃げていたつもりだったけれど、相手も同じ事をする知恵は
あったらしい。
草むらに隠れていた男の人が、いきなり飛び出してきたのだ。
驚いて、何とか身を翻せたのは本当に僥倖だったろう。でも、幸運はそこまでだった。
後退ろうとしたら、背中に何か当たった。
木の幹だ。つまり、もう後ろには下がれない。
逃げられない。
「あ――」
相手が近づいてくる。
醜悪に歪んだ顔。夏の日の犬のように、涎を垂らしながら洩れる荒い息。
「脳味噌、脳味噌」という粘ついた呻き声。
それらが近づいてくる。
こらえ切れず、私は叫んでいた。
「――いやあああああっ!」
と、その時。
何かがやって来た。――生ける死者よりも、ある意味判じがたい何かが。
(現在位置 B-1 森)
- 135 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/10(土) 00:41:19
- >>101 蓮子
>「ん……そうね、確かに損はない、というかきっと助かるわ。
私には貴方のように焼き払うことなど出来ないもの。協力を、というなら喜んで」
「……おーけー。確かにこの状況は普通の人にはきっついわよね」
軽く苦笑して、とりあえず立ち上がった。
……あ、お尻のところがちょっと焦げてる。
くそう、ちゃんと火を消してから座るんだった。
―――と、そこで少女は言った。
私には、時間が、場所が分かるのだと。
「え?」
一瞬呆気に取られる最中、流れ出す言葉。
日付は変わらず。夜明けは遠い。軍艦島。海の上。
中央よりやや外れ。西。
それを見上げ、彼女はまるで占星術師のように語った。
……かすかに感じる塩の香り。まるで人のいない孤立した状況。
虚言というにはあまりにも説得力と確信に満ちた言葉だった。
―――ひょっとしたらこれは、すごい幸運じゃないだろうか。
少なくとも、今いる場所がわかるだけでずいぶんと楽になる。
島ということは、港や船もきっとあるだろう。
なら、脱出できる希望は十分にある!!
「……冗談。私より役に立つじゃない、それ」
あははは、と笑って私は懐から札を取り出す。その数二十枚。どれもが発火の式を刻んである。
少なくとも、死体どもには十分通じるだろう。
「よし、それじゃ早速動こうかしらね。ああ、それとコレ持っときなさい。
使い方は……投げて当てれば燃えるから。護身には十分よね。
さて、港ってことは……とりあえず海岸線沿いに行けば見つかるわよね。
東のほうは……さっき行ったけど妖怪大戦争やってるから危ないわね。見たいなら止めないけど。
てことは北か南かぁ…………どっちに行けばいいかしらね?」
そこまで伝えたところで、私は思い出した。
そういえば名乗ってないや。
「あっと、遅れたわね。私は藤原妹紅。とりあえずよろしく、蓮子さん」
言いながら、片手を軽く拭って差し出した。
……実を言えば、こんなことをしてる暇はないのだけど。
近くに感じる夜雀の気配と、強い妖気。しかもこの月の下では、妖怪の力は圧倒的に高まる。
いくら私でも、二人相手は分が悪いし、蓮子を護りながらじゃなおさらだ。
とすれば、早めにこの場を離れるのが先決だ。向こうが許してくれるかはともかく。
―――けれども、互いに命を預けるのだから。
信頼はちゃんと作っておきたかったのである。
(B-1 森の中 蓮子と夢と現の冒険者チーム結成(何))
- 136 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/10(土) 00:41:42
- >>79>>119
―――夜の静寂を切り裂くが如き、閃光の輪舞は苦痛のゴスペルに彩られ、そして絶えた。
目の前には動死体を片付けた、雀羽を生やした少女。
……人間ではないが、左腕に星が無いところを見ると亜種の魔物や魔人の類のようである。
「……どうやら、歌劇の二部には間に合ったようだ。
君のエスコートは私の役目、と考えるべきかね?」
なるべく知性を感じさせる言葉を選び、言霊の刃を付き付ける。
「そう、君が人間であるのならば私は君に死の舞踏を踊らせよう。
人間以外の種であったなら――――」
腰に下げていた、腕輪を取り出し掲げる。
―――これは私が配下の魔人や人間に与えた『忠誠』の証。
「力を合わせ、人間を殺しに行かないか? これはそのための誓いの印だよ」
言葉に嘘は無い。私への服従を誓わせた証なのだから。
毒針は私の冥力で起動し、10分ほどで死に至る毒を装着者の体内に注入する。
一命を取りとめたとしても、装着した腕は確実に壊死し腐るという自慢の逸品だ。
さぁ、君ならどうする?
(現在位置 B-1 森林地帯 ミスティア・ローレライと遭遇、交渉)
- 137 名前:羽つきリュックを背負った少女 ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/10(土) 00:42:14
- 「痛い…… 痛いよぉ〜……」
からだじゅうを走る痛みに耐えながら、ボクは血溜まりの街を駆けていく。
自分が一体どうなっちゃったのか、ボク自身にもわかんない。
なんでこうして走ってるんだか。
わかっているのはとにかく痛くって、冷たくって、おなかが空いていることだけ。
……ボク、ほんとにどうしちゃったんだろう。
痛い、痛いよ――君。
お願い、助けて。
だって、約束したじゃないか、や・く・そ・く!
いつだってボクを救けてくれるって……
どんっ!!
いたたたた……
誰? 今ボクにぶつかったのは?
そうか、わかったよ! ――君だね!
きっとボクのこと、助けに来てくれたんだ!!
誰かに顔の上半分を食べられちゃったせいで、顔を見ることはできないけど
それでもボクには君のことがよくわかるよ。
だって、これは運命なんだもの。 だ・か・ら……
「――君、だよね。 ボクだよボク。
約束、だよ・・・
脳みそ食べさせてくれるって!!」
――君に思いっきりとびかかるボク。
――君? ボク、今とっても幸せだよ。
だって、キミの脳みそが食べられるんだもん。
そしたらこの痛みもきっとガマンできる。
顔が半分なくなっちゃったことも、左腕の肘から先が千切れてどっかいっちゃったことも、
お腹が破れて中身が飛び出しちゃったことも、折れた肋骨が肺に刺さって何か喋る度に痛むことも、
きっと、きっとガマンできる!
キミの脳みそさえあればね!!
(現在位置:B-3 血溜まりの街こと居住区跡でぶつかった誰かに飛びかかりました)
- 138 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 00:48:13
- >>122 青葉
>>127 アテナ
二人を車内に迎えてハッチ閉鎖。
一人乗り用の機体なので予備人員用のシートなんて気の利いたものは無い。
「後部に座って適当に何処か捕まってて」
戦力増強…に、なるのかな。これは。
『それで……とりあえずどこにいきましょう。
あと、自爆スイッチってどれですか? 間違えて押さないようにしないと』
アテナが言う。問題は当面の方針だろう。
「そうね……港に行って輸送艦に回収してもらう予定なんだけど…。回収時間まで大分あるし………。
ああ、自爆スイッチは…って教えるわけないでしょうが。その辺にはないから大丈夫よ。でも変なところは触んないで。青葉、アンタも」
アクセルを踏み込み、機体を発進させる。
「とりあえず港に向かうわ」
(現在位置:A-1南端からA-2倉庫跡へ移動開始)
- 139 名前:アレックス:2005/09/10(土) 00:49:50
- >>123
けれど兄弟、おれにはなにもかもが今日はヘンに見えるんだ。今日は腹になにも
入れちゃいない。ナイフもシンセメスクもドレンクロムも入ってない。
だからヘンなものを見るんだろうなって思うんだけど、兄弟、おれはそこにいるの
が耐えられないもんだから(臭くて)、そこを――倉庫を――出る事にしたんだ、そ
したら兄弟、どうだったと思う?
あーあー、とか、ウー、ウー、とか、汚くて臭い連中がウロウロしているばかりで、
そいつらときたら気味が悪いばっかりで、蹴っても、ナイフでサクッ、サクッ、っとや
っても何も変わらないんだ。おれはそいつらの間を抜けながらブラブラと森を歩く
ことにしたよ。森、森なんだ。アーアー、ウーウー、モーツァルトの<ジュピター交響
曲>みたいに聴こえてくるようになった連中の声を聴きながら歩くんだ。
プラティはもうどろんこ。
シャワーを浴びたくてもないもんだから、とにかく歩いたんだ。
そしたら兄弟、どうなったと思う?
すごくハラショーなデボーチカが二人、にらみ合ってたんだ。
おれたちのしきたりからすると、一人に一人ってのが定番なんだけど、あっちは
二人だから今回はルールを曲げてもいいなって思って、そのまま歩いて行くこと
にしたんだ。考える時間も馬鹿らしいからね。
ミルクの中にナイフを入れたみたいな気持ちになってたおれは、気持ちよくその
デボーチカに声をかけたんだ。
「よう、それじゃこれからどうする?」
って言って。
(場所:A−3)
- 140 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/10(土) 00:52:02
- >>124 >>112
「ははっ――」
思わず、歓声が漏れる。
いや、或いは、どこか安心したのかもしれない――例のゾンビ達は得体の知れない化け
物だが。
少なくとも目の前のこれは、”変化”なんて古典的な芸を使ってくれる、”得体の知れてる”
化け物だ。
「まあ――面白いっちゃ面白いが、地味な手品だよなぁ」
多分、驚くところなのだろうが――
生憎と、この手の超常現象の類は見慣れたものだ。
身体の一部を別の生き物に転化される。成る程、恐ろしい業だとは思うが――しかし。
「――――助かるよ。
出されたのが、普通のサイズの蝙蝠だったした日には、狙うのも一苦労だ。
だが、これなら―――」
車内に備え付けてあった”それ”を取り出しつつ、扱い慣れた道具を手にする気安さで、
俺はそいつの銃口を、こっちに向かって飛んでくる蝙蝠に向けてやった。
そう、俺の手に今握られているのは、大口径のショットガン――コッキング、10番ゲージの
弾丸を、薬室へと送り込む。
ショットガンの利点は、射撃した瞬間に微細な銃弾が拡散して発射されるという点だ。
だから――ここまで大きな的だというのなら、あえて狙いを定める必要もない。
少年のことが一瞬頭を過ぎったが――とりあえずは、まず自分のことだ。
人を気にして死んでしまったら意味がない。
「さてと。コイツは奢りだ――腹一杯食ってくれ」
呟いて。
ショットガンを、立て続けに咆哮させる。
(B-3 居住区跡 銃撃戦)
- 141 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/10(土) 00:54:47
- >>132
ケルベロスが一人、スロウ・ダガーのジョニー。
その動きは、食屍鬼とは思えぬほどに俊敏。そして正確だった。
彼が一つの動作で、擲つダガーは四つ。
その全てが、各々別の生物のように勝手な軌道を取る。
二つはさつきの胸の中心。これは難なく避けられた。
―――が、残りの二つ。横っ飛びにかわしたさつきの、着地点を見事に狙い据えている。
「……くっ」
着地の姿勢で固まっていたさつき。
これにはさすがに抗いようもなく、鋼の刃を肩と胸にまともに受けた。
衝撃に負け、為す術もなく転倒する。アスファルトの大地は、やけに冷たい。
その隙を逃さず、ケルベロスの一人、喧嘩屋のビルがさつきに組かかった。
マウントポジションを取ろうと言うのだ。
さつき、胸と肩からダガーを引き抜き、ビルに投げ付ける。
が、練度がまるで足りぬさつきの投擲を、ビルはあっさりとかわした。
だが、ビルが回避行動を取った、その一瞬の隙を見逃すさつきではない。
「こ―――のぉっ!」
立ち上がり様に跳び上がる。さつきの細足が夜を裂いた。
一筋の閃光。ビルの首を千切り離す。
首を失った喧嘩屋は、びくびくと痙攣をしながら地面に倒れた。(ビル→再起不能)
更に、喧嘩屋の首は、蹴り飛ばされた勢いそのまま音速の弾丸となりて、ジョニーの胸を貫く。
ジョニーは、ぽっかりと空いた自分の胸を見下ろした。
「わけ、わからねぇよ……」
(ジョニー →再起不能)
ふぅ、と一息を吐くさつき。
「残りは―――五人、だよっ」
(A-2倉庫跡の端のほう)
- 142 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/10(土) 00:55:06
- >>112 >>124
顔面のかなり近距離を掠めたナニカに恐怖を覚える暇も無く、
けたたましいブレーキ音と共に上条と男の間に滑り込んできたのは、ゴツいトラックのような形状をした車体。
直後運転席のドアが開き、中から男の一喝が聞こえる。
「……乗れ!」
そう言った男の手に未だ硝煙の立ち上る拳銃が見えているところから、上条は先程の乾いた音と自分の顔面を掠めたモノが
この男から発せられたものであると気付いた。
いやアンタ、俺がいるのに撃ったんかい。しかもロクに狙いもつけないで。
その事に関して口に出して文句をつけたいのは山々だったが、流石に今はそんなことをしている場合じゃない。
上条は無言で頷いて、開け放たれた扉から車内に滑り込もうと一歩を踏み出して―――
「食いちぎれ!」
狂喜にまみれた声と共に、巨大な蝙蝠が上条めがけて襲い掛かる。
「な………ッ!」
短い悲鳴を上げて、上条は咄嗟に横っ飛びに身を投げ出した。
その直ぐ傍を、ヒュン! と風を掠める音と共に蝙蝠が過ぎ去っていく。
慌てて体勢を立て直しながら、上条は次の攻撃に備えるために身構える。
あの速度、あの図体の蝙蝠を丸腰の自分が打ち落とすのは不可能だ。
そしてかわしただけでは蝙蝠は動きを止めるはずも無く、必ず第二撃を放ってくる―――
全方位に予断無く視線を動かしつつ、上条は闖入者である所の拳銃男に問いかける。
「なぁ、アンタ! 初対面のヒトにこんなこと聞くのもなんだけど―――なんか獲物くれ! 銃火器以外!」
自分がココに連れてこられた理由には腐るほど疑問符がつくが、今はそんなことを考えている余裕は無い。
ならば、上条当麻が、今ココで為すべき事は。
この場を切り抜けて、生き残るための道を探すこと。
その為に、丸腰の上条に可及的速やかに必要だったのは、何かしらの武器だった。
(現在地:B3 居住区跡)
- 143 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 00:55:15
- >>122 青葉さん
なるほどー。この風水バリアは、「バリア」というよりは
防御能力を高める方法、と理解したほうがしっくりきそうです。
『えっと…わたし、青葉マサヒメ、それで私の隣に居る子は
麻宮アテナさんって言います、どっ…如何かよろしくお願いします』
あ。そういえば私、カサモトさんに名乗ってませんでした。
”しょうたいふめいのそんざい”のまま図々しく戦車に? うわぁ……。
>>138 カサモトさん
『後部に座って適当に何処か捕まってて』
「了解ですっ! ええと、只今ご紹介に与りました麻宮アテナです。
この度は、同乗させていただいてありがとうございます!」
とりあえずは脱出の当てもあるみたいですし、
まずは一安心、かな? でも……。
『でも変なところは触んないで』
どこが『変なところ』なのかさえわからない私は、
もう隅っこで息だけしてるしかないのでしょうか。
何か手伝う事ないのかなぁ。ないんだろうなぁ。
- 144 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/10(土) 00:55:37
>>109>>133 ラインドウェル
綺麗な紅が零れて行く。肉の焦げる匂いがする。
怒りで顔が赤く染まっていく。暗く冷たい殺意が流れ込んでくる。
俺の中では笑いが溢れ、流れ出る血液と共に『血』が溢れそうになる。
ああ、それにしても可笑しい。
何故――――体が動かない?
昏く冥い眼光。溢れるのは殺意や呪。酷く濃いが、心地良い。
だが、体が動かないのは不快だ。
恐怖から来る物であれば、確実に跳ね除けられると言うのに。
髪を掴まれる。地面に引寄せられる様に叩き付けられる。
何とか額から落ち、痛みは軽減する。
痛み? そう言えば随分前から痛みなど無い気もするな。
剣の風の切る音がする。刺されて死ぬか。
この男ならば一撃の下仕留めに来るだろう。
――――楽になっちまえよ
何かが、キレタ。視界が紅く染まっていく。
体が熱い。血が滾り、呼吸が荒くなる。
今まで体が動かなかったのが嘘かの様に、地面を転がっている。
『俺』は跳ね起きて、飛んで、蹴った。
倒れてる奴に駆け寄って、足を振り下ろす。
「サッサト、シネ」
―――――飲まれた、か。
(A-2 倉庫跡 交戦中)
- 145 名前:完全懲悪ダンザイバー:2005/09/10(土) 00:56:52
- >>134
轟音をとどろかせ、一つの竜巻が少女の前へとやってくる。
そして、まるで風が木の葉を散らすが如く、竜巻と化したそれは彼女の正面の食人(食脳?)鬼を吹き飛ばす。
着地をすると同時に、俺は生存者であろう少女に向って声をかける。
「伏せろぉっ!」
そう、敵は彼女の正面だけではない、後ろからもやってきているのだ。
しゃがむ少女の肩を飛び越えると、左腕からカセット状の物体を取り出しダンザイブレイドの末端に取り付ける。
このエネルギーアンピリファイァーをダンザイブレイドに取り付ける事により、
ダンザイブレイドは超巨大な罪を断つ刃と化す。
「ダンザイ・バーストォォォォォォオオオオオッ」
臨界に達した覇王の力は、5体の食人鬼を一気になぎ倒す。
その荒れ狂うエネルギーは、食人鬼の体の中で爆破エネルギーと化し、
「断罪…完了」
赤いタクティカルフレームをさらに紅く染める。
とりあえず、周囲の食人鬼は片付けた。
周囲の安全を確認すると、俺は恐怖に震える少女に手を伸ばす。
「怪我は無いか? 怖かっただろう。だが、俺が来たからにはもう大丈夫だ。」
人に名を問うときはまず自分から名乗る。これは全宇宙共通の礼儀。
怪訝な目で俺を見つめる少女に、まずは自己紹介をする。
「俺か?俺は…」
ビシィィッ!
「覇王の力で罪を断つぅっ!」
バシィィッ!
「完全 ・ 懲悪」
ピカァァァァァンン
「ダンザイバー()」
「遥か彼方の星から地球を守る為にやってきた、特異監察官だ。」
バッチリといつもの決め台詞を決める。(b-1、鬱蒼とした森の中)
- 146 名前:紫木一姫:2005/09/10(土) 00:56:52
- >>126 ビリー・龍
香港を暗鬱な闇に沈めた”あの九龍事件”を遥かに超えた大惨事。
経済特区ケイオス・トライを数夜にして化生の夜に貶めた「人」と「化け物」
「財界」と「政治界」「政治界」と「闇の世界」を区別無く捻り無く混沌せしめた巨悪。
その現象は<ロング・ファング>と呼ばれています。
彼──そう呼んでいいか談じかねますが便宜的に───とその九龍事件の一端───それを
誅する。それが学園長を通した依頼です。
姫ちゃんたちの総大将。萩原さんは脚まで伸びた髪を靡かせそう言い聞かせました。
「興味のあるものは、この企画に出るように。無いものは好きになさい」
心底どうでも良さそうに萩原さんは言い捨てました。
元々四神一鏡という財閥の一元的なカテゴリーと、半ば妖魔に位置する財閥遠野の”それとない”
険悪な仲。そして実験。───そういう詰まらない目的に手ごまを減らすのは萩原さんの最上の策では
なかったというコトなのでしょう。
だからこそ、姫ちゃんが押し出された…捨てられたんです、きっと。
その悲しさとか、悔しさとか───いいえ、それもすんだことですどうでもいいです。
ですからあなたもやんわりぐったりもっちゃりきっちりと─────してしまってもいい気がします。
- 147 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 00:58:40
- >>138 エリさん
ここは、エリ・サカモトと言う人所有の戦車と言う、乗り物の中
アテナとマサヒメは、カクカクジカジカな理由で…当分お世話になる事
担った訳…なのだが、そこへエリさんが一言。
「そうね……港に行って輸送艦に回収してもらう予定なんだけど…。回収時間まで大分あるし………。
ああ、自爆スイッチは…って教えるわけないでしょうが。その辺にはないから大丈夫よ。でも変なところは触んないで。青葉、アンタも」
自爆スイッチかぁ…確かこの手の乗り物には…そう言うのも積んでるんですよね。
勿論、ヤマトの航空船にも自爆装置は…あっ、あれは本来、商業目的の船だから、積んでたら物騒かぁ。
「はいっ…解りました、それは兎も角…あの、これって外の風景とか…映し出せます?」
マサヒメはエリに返事をすると、以下の様な質問で返してみた。
もし、神術で戦車の中から…外の対象へと攻撃する際、外が見えてると
色々都合が良いからであるのだが…こう言う機能は確か、私達が来た航空船にも会った筈。
そう思ったからである。
「いざと言う時は…わたしも、神術で戦車の中から、外の対象へ攻撃して援護しますからっ!!」
気合満々…確かに、死なれたくない人間が近くに二人も居て
周りも尋常でない不陰気なのであるから、彼女の信条を考えると…別段不思議では無いのだろうが。
(現在位置:A-1 戦車の中…移動はエリさん(>>138)に任せます)
- 148 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/10(土) 00:59:22
- >>135 妹紅
そういえば私の眼って、なかなか信じてもらえないばかりか「気持ち悪い」とか言われる始末なのよね。
主にメリーとかメリーとかメリーとかに。
まあ、と言ってもそれが私の日常なんだし、今更さして気にもとめてなかった。
自分が便利に使ってればそれでいいんだと。
……だけども。
…………役に立つ、だなんて言われたの初めてかも知れない。
いやそりゃ、普段そんなこと言われたら嫌みにしか聞こえないだろうから当然だろうけど。
けど、まあ、今は……なんだか。
「――絶対に、二人で脱出してやるわ。
ん? あーなんでもないなんでもない。ただの独り言よ」
そんな風に軽く手を振って笑って、投げれば燃えるお札(えらいアイテムだそれ)を受け取り、
そして、握手。
即席チーム結成の、証ね。
「妹紅ね、よろしく。
ところであなた、前に金髪の……あ、ううん、やっぱりこっちもなんでもない」
メリーのことを聞こうとして、やっぱやめ。
さすがにそんな状況でもないし。それに脱出できてから聞けばいいのだ。
「よし、じゃあ行こ。
北か、南かか……うーん」
三度、月を仰ぐ。
もちろん、見たって目的地までは分からないけど……まあ、なんというか儀式。
月を見て、一旦目を閉じて、開く。
浮かんだ方向は。
「北! 北へ行こう!
とりあえずこのアンデッド以外に遭遇してこなかったし、きっと行ける!
行こう、妹紅!」
B-1 森(移動目標 A-1)
- 149 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/10(土) 01:00:14
- >>128
そうして、笑石は少女と共に夜の森を歩み始めた。
少女を護れるように、「感知」はいつも以上に感度を上げておく。
化物の気配は多数、少女が探している人間の気配は、近くにはない。
――少女の決意は、口に出されずともわかる。
捨身を覚悟した人間には、ある種の雰囲気が付き纏うからだ。
表向きの「想い」には、まだ恐怖の色が濃い。
だがその奥底には、自ら虎の口に飛び込むのも辞さない「想い」を抱いているのが伝わって来る。
――つくづく思う。自分の文字通りの石頭は、物事を考えるのに向いていないと。
化生に対する呪詛はいくらでも思い付くというのに、眼前を往く少女に向けるべき言葉が、
何一つ思い付かない。
「おい、お前」
だからなのか、
「えぇと、だな……名前は。
お前の名前はなんというんだ」
こんな、あまりにも場にそぐわないことを口走ってしまったのは。
B−1:森の中、支倉令と共に移動開始
- 150 名前:紫木一姫:2005/09/10(土) 01:00:38
- >>146 (回想中断、バトル)
「痛い、ですよ───。そんな風に痛くされちゃうと───」
痛み。人から教えてもらってはいけない言葉です。お互いの痛みなんて邪魔だから。
二アデス(死に損ない)の長牙。死の淵でとどまり続ける黄色信号の姫ちゃん。
姫ちゃんとしてはよく似てると思ってた。生き汚い、とかそういうトコロが特に似てると
信じてました。
当たり前に似てませんでしたが。姫ちゃんは何も望まないで勝手に生きてたいだけで。
人に求められたいわけでもなく。──1人で居れば失わないことをいま学んでしまって───
それでも…生きてく?どうして?わかりません。わからないですが───
地面に転がり落ちた剣玉の剣。
姫ちゃんの腕が壊れて、曲がった腕に糸は絡まり伸びて床から剣玉の先が吸血鬼さんを襲っちゃって。
激痛なんか叫んでごまかし、スタンバイ、折れた腕を主軸にぐるぅり反転、貴方の体を糸で簀巻きです。
そして、されちゃうと、の後の言葉は飲み込んだまま。
別の意図を投げかけます。
「こんなに痛いばかりなのに…しんじゃえばいいじゃないですか。
人を襲う、離れる、追われる、殺すの繰り返し。無意味じゃないですか」
(C-1 崖 VSビリー龍)
- 151 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/10(土) 01:01:41
- >>130
ぎしり、ぎしりと押し寄せてくる。
赤い、紅い、あかい――彼女の「世界」が。
それに押されてわたしは次第次第に後ずさっていく。
火蜥蜴の手袋を付けた右手を、ぎゅっ、っと握り締める。
これを彼女に打ち当てれば、あるいは何とかなるかもしれない。
けれど……今の彼女の周りには突っ込んでいくのは、あまりに無謀過ぎる。
そう、きっと何か危ないことがある。きっと何か――
――びちゃり。
足が何かを踏みつける。
液体のような、それはきっと血……
「……水?」
そう、それはただの水だった。
出しっぱなしの水道から溢れて、床にまでこぼれ出してきている水。
それを勝手に勘違いしたのは、
――ああ、わたしは怖いんだ。
だから後ろに下がっている、ただの水を血と思いこむ。
それはわたしがただの……普通の人間だから。
そして、彼女の揶揄する言葉。
>「寧ろ、私には貴方が狂っている様に見えるわね。
> この時、この場所においては」
それで、わたしの心は決まった。
「ええ、そうなのかもしれない。
少なくとも、ここでは『普通』のわたしが『特別』なのかも。
だとしたら――あなたはやっぱり、いらないわ」
溢れ出す水に拳を打ちつけ。
わたしは、わたしの全てを凝縮した呪文を唱える。
それは、たった六文字の甘美な旋律。
「AzoLto――――!!」
液体から気体へ。
急速に大量の熱を加えられたことにより、あたりの赤は白に覆われる。
大量に発生した水蒸気の白に。
その白にまぎれて、わたしは彼女めがけて走り出した。
一つの弾丸として、ただひたすら一直線に。
彼女がどんな罠を用意しているかは知らない、けれど視界さえ防げばあるいは!
白の壁を切り裂き、その向こうの赤へ。
わたしは手に持った銀のナイフを突き出す。
それは必ず届くと、そう信じて。
(現在地A−3港、建物:遠野秋葉と戦闘中)
- 152 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆qRdriXxP0A :2005/09/10(土) 01:01:54
- 例えば、眼が覚めてそこが自分の知っている場所ではなかったら、どうだろうか?
一番最初にやるのは、眼を擦ってみる事だろう。
そして知る。それが夢ではないと言う事に。
「……ここ、どこだい?」
私の名前は? 魅魔。博麗神社を祟る悪霊。よし、間違ってない。
昨日はいつもどおり宴会を楽しんだ後、帰るのが面倒くさくなってごろ寝した。
……そこまではいい。重要なのはそこからだ。
周囲を見回してみる。お世辞にも神社の境内……には見えない。
とりあえず海が見えた。潮風が吹いているので間違いないだろう。
地面は妙に硬い石作りで、砂浜なんて綺麗な代物ではない。
遠くを見ると、灯台らしき建造物も見えた。
後ろを振り向けば、ぼろっちい人間の住処が立ち並んでいる。
……風化具合から、かなり長い間人が住んでいないことはすぐに分かった。
「はてさて……っ!?」
風に吹かれながら、どうしようかと思案して。
不意に気が付いた……気が付かない方が良かったと心底思ったが。
「血の匂い……か」
錆びた鉄のような香り。島に吹き回っている風に大量に混じっている。
「やれやれ…………結界を越えちゃったと思ったら、物騒な所にきちまったねぇ」
頭をガリガリと掻きながら、私はどうしようか考えてみた。
……寝起きであまり美味く動かなかったけれど、とりあえず移動した方がいいだろう。
ヒュン、と空中から愛用している三日月の刀身が付いた槍を取り出す。
そして私は行動を開始した。
(現在位置 B-3 居住区跡の東側の海縁より行動を開始)
- 153 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/10(土) 01:01:59
- まず、現在の状況を把握しよう。
そう思った矢先、なにかが背中にぶつかった。
『――君、だよね。 ボクだよボク。
約束、だよ・・・
「――!」
振り向いた私の視線の先には、少女と思しき存在がいた。
顔の上半分が失われていたため、実際に少女かどうかは分からないが。
『――脳みそ食べさせてくれるって!!』
少女と思しき存在は、そう言うなり私目掛けて飛びかかってきた。
「くっ…・・・! 冗談ではない……!」
咄嗟に少女から飛び退きつつ、片腕を前方に突き出す。
突き出した片腕に、マントに変化させている幼龍が憑依した。
「チャクラウェーブ!」
開いた龍の口より、気弾を少女目掛けて放つ。
「タオ!」
「分かってる!」
同時に大きく跳躍したタオが、上空から少女目掛けて炎を纏った鋭い蹴りを放った。
(現在地:B-3 居住区跡)
- 154 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/10(土) 01:03:04
- >>118
灯台に群がる、腐れ脳味噌食い()どもとの乱戦を続け。
私側にいた群れはあらかた殲滅できた。
あとは目の前の白ビキニ――待て、なんでこんな界隈に白ビキニ? いやそんなことは問題じゃない。
銀髪に赤目の女の子を囲む連中を掃除して――
そう思っていた矢先。
彼女から今までとは段違いの思念が膨れ上がり――ひとつの解となって顕現する。
それは――
「空間転移術……!?」
その場に残っていた死肉喰らいを残らず飲み込み、どこかへ転移させてしまった。
まさかあの龍王の仙術の真骨頂を素でやってのける存在が、こんな所に二人もいるとは。
少し震えの来るその事実に、驚きを通り越して呆れすら覚える。
――畜生、ここはこんなんばっかりか。
面白すぎるじゃないか、ど畜生。
消耗が激しかったのか、へたり込む少女。
彼女に『優しく』手を伸ばそうとしたところで。
>>131
「見事なものだ。転移能力か」
私と同じ感想を口にし、
同じく歯の浮くような笑みを浮かべ(隣の華は赤く、隣のズルはより醜く、という奴か)、
男は私のやろうとした行動を一歩先んじてトレースする。
無論、目や口の端から見え隠れするものが、看板通りではないのは明白だ。
その伸ばされる、男の手を―――女の手が、握った。
「……おやおや、これは連れないね、色男。
私の事を誘っておきながら、壁の花は御免だよ?」
――私こと『黒蛇カーサ』と言う女の。
その能力呼称に相応しき、まさしく見えざる手――力場思念()の手が。
不快の意を顔に出す男に。
そしてへたり込んだまま驚く少女に。
私は笑みを浮かべながら歩み寄る。
無論私も油断はしない。
もともとハナっから、仲良しこよしが出来る相手だとは思っちゃいない。
「さて、ご褒美にひとつ、お姉さんからお願いしてもいいかな?」
男から意識は離さないまま、私は少女に問いかける。
何を願うって? こういうのさ。
「――キスさせ()てくれ」
とね。
ミミコは毅然と断ったけど――
この娘の反応はどう出るか。 楽しみだね。うん。
(現在位置:C-3 灯台前。
バタリアン殲滅後、アドルフ&友香との三角関係な修羅場突入)
- 155 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/10(土) 01:07:00
- >>140 >>142
連続した発砲音。
それにかき消されてしまいそうな少年の叫びに、ほんの一瞬眉をしかめる――
また難しい注文だ。
武器はともかく、銃器以外。
無いことはないが――それを取りに行くにはまず、この周りをひゅんひゅんと飛んでくれて
いる、この化け物蝙蝠を何とかしないとならないわけで。
「――ま、そうそう都合良く物事は進まないって事だよ、少年。残念だが今は無い。
とりあえず――」
少年の頭上に襲いかかろうとするもう一匹の蝙蝠を、すかさず銃弾を再装填したショットガ
ンで迎え撃つ。
「……今は、これで精一杯ってな」
肩をすくめて、、44口径の自動拳銃を放り投げた。
「……当面はそいつで我慢だ。それ以上、悪いが面倒みきれんのでね」
(B-3 居住区跡)
- 156 名前:ファントム(M):2005/09/10(土) 01:07:48
- >>117
『ガアァ!?
この―――クソったれがアアァァア!!!!』
偶然か、それとも防御を解いた事による必然か。
ファントム唯一の急所ともいえる装甲の隙間――その一つである
頭部に吸血鬼の刃が直撃したのだ。
激痛に怯まず前肢を振るうも距離は遠い、故に後方へ跳んで間合いを取る。
このままでは翻弄されるのみ…そう切り替える。
痛みは怒りに染まった思考を多少なりとも引き戻したのであった。
着地後、視界に獲物の姿と戦況を確認。
そこで目の当たりにしたのは地から湧き出す、いや、生える巨大な髑髏の塔。
死体から感じた魔力はあの髑髏に集中している。
『成る程…その動きといい虫ケラどもの扱いといい、貴様魔導師か。
だが俺に言わせれば―――』
―――そいつはテメエじゃ何も出来んクソの小技だ!
怒号を上げ、ファントムは再び前進。
鎌首を擡げて迫る髑髏は自慢の甲殻で弾く。
破壊者の防御は完璧だ。
先程のように隙間でも狙われなければそよ風に過ぎない。
背の針で風穴を開けてくれる―――そう動いた矢先、
>>120
一陣、強風が吹いた。
それも自然のではない、明らかに何らかの“力”で人為的に練られた
攻撃に他ならぬ颶風だ。
軽い驚愕にファントムの顔が歪む。
その理由は他でもない、この風はあろうことか己の巨体を
『揺るがしただと…!?』
如何な嵐であろうと揺るがぬ己をこうも“吹き飛ばす”。
手近な建物に激突し轟音。
盛大に舞い上がる瓦礫と土煙の中、紅く滾る複眼が風の主を捉えた。
巨大な人間―――そうとも、あれは明らかに人間だ。
己の雄に数倍はある馬鹿でかい『人間』。
たかが『人間』。
そう、まごう事なき『虫ケラ』。
―――玩具にしちゃお痛が過ぎるだろうが…!!
『蚊トンボの次はボウフラ、その次はゴキブリか?
ハッ…この“借り”はデカいぞ“クソ虫”!!』
『―――苦戦しているようだな』
(場所:B−2 空港跡)
- 157 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/10(土) 01:12:09
- >>141
えぇい!(二丁拳銃のトム→再起不能)
やぁ!(真紅のアカネ→再起不能)
ばかぁ!(盲剣のウスイ→再起不能)
「残り、二匹―――」
荒い息を何とか調整しつつ、さつきは頬を拭った。
汗だと思ったそれは、赤く濡れている。
果たして返り血か、それとも自分が流したモノなのか。短時間で幾度も傷付き、再生し、
また傷付いては再生を繰り返しているさつきの身体は、もはや痛覚を麻痺させつつあった。
ぷっ、と口内に溜まった唾を吐いてみると――はしたない真似だとは分かっているけど、
飲み下そうとはどうしても思えなかった――唾ではなく、血反吐。
ふふ、とさつきは思わず不敵な笑みを浮かべた。
ああ、不思議な感覚だね―――志貴くん。
食屍鬼との戦闘なんて、何の意味もなくて。
生産性なんてまるで皆無で。
お腹は減ってばかり。血は吸えずに流れるばかり。
わたし、とても損なコトをやっている。なのに―――
「……どうしてだろう、心が躍ってる」
こんなにも強い者と会えた。その事実が、さつきを歓喜へと導いている。
そう思えてならなかった。
残る二匹のケルベロス。おもむろにマントを脱ぎ放った。
蒼穹のクリスに斬馬のヘレン。ケルベロス最強の名を欲しいがままにする二匹。
「ここまで来たからには、皆殺しにしないと勿体ないよね……っ!」
さつきは、消耗しきった身体に鞭を打つ。
悠然と待ち受ける二匹の狂犬目掛けて、正面から飛び込んだ。
(A-2倉庫跡の端のほう)
- 158 名前:ファントム&グリフォン(M):2005/09/10(土) 01:12:16
- >>156続き
空を覆う雲が割れ、乱気流が渦を巻く。
放散された雷が寄り集まったかと思えば、次瞬。
それは肉ある威容へと変じた。
両翼をはためかす、その一挙動で風は唸り、生むは轟音。
その外観は極限まで肥大化した雀に似ている。
これはよもや御伽噺に聞こえた伝説のロック鳥か。
そうではない。
知性と禍々しさを備えた双眸に、全身に纏った紫電。
そして何より、見る者にその巨体ゆえの威圧感ではない、
生命として最も根本的な原初の「恐怖」を与える特有の瘴気。
そう、これは人が知る物で最もおぞましい存在―――“悪魔”である。
『グリフォン!
こんな早くに出てきおって、俺の楽しみを邪魔する気か!?』
『ファントムよ、肝要なのはお前の快楽ではない。
様子見は終わった。後は始末をつけるのみだ』
『ハッ…相も変わらず小煩い…!』
だが、戦況の上では間違ってはおらぬ―――そうもファントムは思考する。
グリフォンは緻密な攻めで定めた獲物を追いたて、命を簒奪する狩人。
過程ではなく、勝利のみを追及する魔帝の優秀な“臣下”だ。
故に負ける要素のある戦いはしない、ならば―――
『ならば好き勝手に得意の術で勝ちに行け。
俺も好き勝手にやる……文句は言わせんぞ?』
ファントムが火球の砲弾を巨大髑髏に吐き出せば、
『好きにしろ。
我が出る以上はお前とて盤上の駒、その扱いは心得ている』
グリフォンはその合間を埋め、
挟み込む軌道の雷撃二本を同じく髑髏に放ち、
『じゃあ精々、頭を使いな…!』
>>120
横飛びに跳躍する蜘蛛の巨躯。
牙をむき出しに飛び掛る相手は小生意気な悪魔の化身。
『元よりそのつもり』
>>117
風精を従えはためく両翼。
巨大な骸の上空より、夥しい数の雷球による爆撃を敢行する。
(場所:B−2 空港跡)
- 159 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 01:12:47
- >>136 グリニデ
「人間で一緒に遊びましょうって? なかなか良いこと言うわね〜」
幻想郷ではあまり見ない、見るからに魔物然とした男。気配もまるで人間とは違う。
提案も彼女には魅力的だ。
外の人間は、放っておけば増えると評判だ。少々数を減らしたところで、バランスを
崩すこともない。一緒に暴れるのも良い、そう思えた。
「へー、何かくれるって? なかなか弁えてるわ〜、ってなにこれ。ダッサイ、ゴッツイ」
夜雀は受け取った腕輪を投げ捨てると、毒突き始めた。
「あんた()目が悪いんじゃない? 八目鰻でも食って治したら〜?」
夜雀は肩を大げさにすくめながら、言い放った。
(現在位置:B-1 グリニデと会話中)
- 160 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/10(土) 01:16:48
- >>148
……役に立つという言葉になんだかものすごく嬉しそうな反応をされた。
そんな私の視線に気づいたのか、
>「――絶対に、二人で脱出してやるわ。
ん? あーなんでもないなんでもない。ただの独り言よ」
そんなことを言いながら手をぱたぱたと振って、握手。
―――うん、受けたからにはきっちりやり通そうじゃない。
手の暖かさを感じながら、しかと心に決める。
……こんな風に思う辺り、ひょっとしたら慧音の影響、受けちゃってるのかもしれない。
なんだか少し照れくさい。
>「妹紅ね、よろしく。
ところであなた、前に金髪の……あ、ううん、やっぱりこっちもなんでもない」
ふと、金髪云々で思い出した。以前兎を焼いてたときに見かけたあの子だろうか。
結局名前は聞けずじまいだったが。……ひょっとしたら知り合いだろうか。
まあ、それはここから出てから聞けばいい。うん、そうしよう。
>「北! 北へ行こう!
とりあえずこのアンデッド以外に遭遇してこなかったし、きっと行ける!
行こう、妹紅!」
そして、彼女は道を示した。
私は力強く頷くと、
「よっし、信じた。
それと歩ける? 走れる? 駄目なら抱えてくけど。
……大丈夫ね。それじゃはぐれないように気をつけて。さっきからやばい気配が来てる
から。んじゃ、行くわよ!!」
一緒に駆け出した。
生きるために、帰って輝夜の奴を一発ぶん殴るために。
―――そして彼女と笑って酒でも飲もう。
(B-1 森 A-1 へ蓮子と一緒に移動開始)
- 161 名前:支倉令:2005/09/10(土) 01:20:08
- >149
森の中は、音に満ちていた。
正確に言えば、「不自然な」音に。
そのどれが祥子なのかはまだ分からない。
とにかく、動いて探して……
「……は、はい?」
背後から掛かった声に、足を止めて振り返る。
何だろう、と声には出さず問いかけて、
『えぇと、だな……名前は。
お前の名前はなんというんだ』
予想外の言葉に驚き、その後自分が自己紹介もしていない事に気づいて、
苦笑してしまった。
「私は支倉令と言います。そちらのお名前も、伺って宜しいですか?」
現在地:B-1森、笑石さんに自己紹介中
- 162 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/10(土) 01:25:29
- >>133 >>144 八神庵
全身を覆う気が、変質している。
内から滲み出すものが、より濃密になっている。
「だから死ぬのはテメェだッてんだろがァ!」
振り下ろされる足を剣で受け、押し返す勢いで起きあがる。
その時には既に足首を掴んでいる。
「そんなんでェ、俺がァ、殺れるってのかよォ!」
一度、二度と地面に引き摺り倒すと上空に高く投げる。
既に人の膂力ではない。
既に人の魂は侵蝕されており。
既に只の『器』に成り果てているから。
投げ上げると共に跳躍し、浮かび上がる体をまるでボール相手にそうする様に地へと
叩き付ける。
起きあがるのを待つまでもなく、斬撃が地を走る。
今度は二条。
(現在位置:A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 163 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 01:27:00
- >>143 アテナ
>>147 青葉
『はいっ…解りました、それは兎も角…あの、これって外の風景とか…映し出せます?』
『いざと言う時は…わたしも、神術で戦車の中から、外の対象へ攻撃して援護しますからっ!!』
「無理よ。基本的にそうは出来てないの」
手元のコンソールと、照準機その他でしか外は見れない。映し出すのは無理だ。
「まあ、本当にいざって時には…頼むわ」
さて、一応目的は実戦データ取りだったんだけど、グールなんて雑魚相手じゃデータを取る意味がない。
グールなんかバルカン使うまでも無くひき潰しで済むし。
その辺考えなかったのか、あいつらは。
(後ろの二人には悪いけど、何か大物でも来てくれないかね。赤くて速い奴とか)
大きめの岩をジャンプで飛び越える。浮遊感の後、着地の衝撃。
「そろそろ倉庫が見えてくるはずなんだけど……」
―――見えた。
……なんだか、あっさり行き過ぎてそろそろ不安だ。
(現在地 A-2 倉庫跡)
- 164 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 01:28:18
- ぱるぱるぱるぱるぱる。
「うーむ」
「ど、どうしました、ベルナドットさん」
隊長は婦警の言葉には耳を貸さず、ただ地上の様子を窺っている。
「べ、ベルナドットさん……?」
「よし」操縦桿を握り直す隊長。「港はやめておこう、やばすぎる」
「そ、そうデスか……」
(位置:A-3 港 上空→どこか上空)
- 165 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 01:28:48
- >>150 死にたがり
俺は、所持していた唯一の武器――抗不死ナイフを抜いた。
硬化処理され、死の呪を刻印された銀の刃――鈍く光るその刃が俺の命脈をつないだ。
頑強な糸の繭を、パワーで無理やりに切り開く。
散らばり、渦巻く糸の刃を突っ切り、左腕を伸ばす。
腕をずたずたにしながら追いすがり、
左の掌が、喉を捉え、締め上げ、吊り上げる。
崖の上の虚空にまで――
「生きることに意味を見出そうと躍起になる奴は、早死にするのさ」
まだその右腕に、致命的な糸を操る力が残っていることを知りながら、俺は続ける。
「選ばせてやるよ。
闇の中で永劫に痛みを受け続けるか、それともここで死ぬか」
そう、俺は――――
まっとうな命をもっているくせに、死にたがる奴が大嫌いなのだ。
(C-1 紫木一姫)
- 166 名前:小笠原祥子:2005/09/10(土) 01:29:29
- >>145
何も聞かないうちから、聞きたい事は大よそ教えてくれた。
何一つ理解しがたい、というのは、いささか問題ではあったけれども。
「……ええと」
赤い――これは何というのだろう。
鎧、というには未来的で機能的で。
SFだとか、特撮だとかに出てきそうな形状で。ともかく、そういった全身スーツを着込んだ
男の人、のようだ。声からすると。
男の人は苦手だ。
ただ、こうやって顔を隠してもらっていると、幾分かは平気だ。その辺りは有り難かった。
「ダンザイ、バーさま――とおっしゃいますのね。危ないところを助けていただいて、本当に
ありがとうございます。私、小笠原祥子と申します」
深々とお辞儀をする。何をいうにも礼儀は大切な事だ。
この人がいなければ、私は多分死ぬか、またはもっとひどい目に合っていたろう。
しかし死者に追われて、その群れを撃退してくれた人に向かってする自己紹介というのは、
何だか自分の事なのに現実感が薄い。
「一度のご厚意に更に甘えてしまうようで、心苦しいのですけれど……。
友人を捜しているんです。お力を貸していただく訳にはいかないでしょうか?」
(現在位置 B-1 森)
- 167 名前:〈ケルベロス〉クリス&ヘレン:2005/09/10(土) 01:32:41
- >>163
「だが、そこの二人。それ以上の進軍はあいならん!」
黒装束の二匹が立ちはだかる。
「島への脱出は、我等が主人の意に背く……ただちに引き返すならば良し!」
「しかし、しかしだ!」
低い男の声とは真逆の、澄み切ったソプラノが響く。
「もしも我等が言葉、聞けぬのであれば―――」
「「ここで塵と消えていただく!!」」
(現在地 A-2 倉庫跡 戦車陣に奇襲攻撃)
- 168 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 01:33:02
- >>31 >>45 >>53 >>69 >>86 >>113 >>151 vs黒桐鮮花
『AzoLto――――!!』
蒼い海の波涛は防波堤にぶつかると白い泡になって消えてしまう。
今、紅い海の波涛は彼女にぶつかって白い泡となって消えてしまった。
……この海は普通の海と異なる。
波は何処でも、そう下でも上でも常に動いている。
上を見る。
大きな紅い波が上――――天井で一際大きくうねり、ぽんと弾けた。
ぎいぎいと歌っていた建物がごうと叫びを上げた。
「いらないのは貴方、要るのは貴方の血。
少々、地面に吸わせてしまうから勿体無いけれど……」
私の前に紅い空からごうと大きな塊……崩落した一部の天井が降って来る。
こういうのは魚のタタキというのだったかしら。
琥珀に後で聞いておこうと思った。
>>139 vsアレックス
『よう、それじゃこれからどうする?』
この海は異物を好まない。
だからこそ、目の前の彼女も、そして今聞こえた男も飲み込もうとする。
ゆらりと紅い檻の一部が鎌首をもたげ、ひゅんと声の方へ飛んでいった。
ふたつも食べたら、明日から食事を控えないといけないわね、とふと思った。
(現在地A−3港の詰め合い所らしき建物、黒桐鮮花、アレックスと戦闘中)
- 169 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/10(土) 01:33:31
- >>159
>「人間で一緒に遊びましょうって? なかなか良いこと言うわね〜」
――――私の提案に、彼女は好感触を見せた。
「そうだとも。双方にメリットの有る提案だと思っているのだがね」
出来るだけ柔和な笑顔を絶やさぬ様接する。
万が一の時への備えも忘れない様、左手は毒矢を探す。
そして、私が思惑を込めて差し出した腕輪は、
>「へー、何かくれるって? なかなか弁えてるわ〜、ってなにこれ。ダッサイ、ゴッツイ」
―――あっけなく、放り捨てられた。
>「あんた()目が悪いんじゃない? 八目鰻でも食って治したら〜?」
言いたい放題に毒づく女。
―――あぁ、そうだな。そういうことなのだな……!
私の中で何かが膨れ上がる。
それに呼応する様に、額に埋まっていた真紅の角が、ゆっくりと怒張を始める。
「……フッ、ハ……ハハッ……! これだけ紳士的に接して<font size=5><b>やったのに</font></b>、八目鰻でも食え<font size=5><b>だとォ!?</font></b>
<font size=5><b>テメエの目にはガラス玉でも入ってやがるのか!? アァん!?</font></b>」
粗暴な言い回しが、言葉の端々に現れ、冷静さが失われていく。
もういい。魔人にも人間にもなれぬ半端物を見こんだ私が愚かだった。
―――怒りに震える右拳を抑えるようにして、毒矢をセット。
「そうか、つまり<font size=5><b>テメエも死にてえんだな、そこらのバカどもみてぇによぉ!
――――じゃあ死にやがれ</font></b>」
右のストレートを放つと同時に、毒矢を射出。
掠りでもすれば、料理し放題のクレバーな計略。さぁ、どう受けとめる?
(現在位置:B-1 ミスティア・ローレライとの交渉決裂)
- 170 名前:紫木一姫:2005/09/10(土) 01:34:46
- >>165 ロングファングさん
「選べ?…呆れて…ますよね。”開いた傷が塞がらない”、っていうヤツですか?」
宙吊りで痛いのに、痛くて仕方が無いですのに。姫ちゃんは笑ってしまっていました。
「あは…ですよね…心底、痛すぎです」
手首からするすると消える姫ちゃんの意図と同じく流れるのは曲絃糸。
きっと、生きていても死んじゃっても同じなんです。
───ずっと一人ぼっちで好きにいられるんですから。
糸。姫ちゃんの指から伸びた十重二十重、、、体中、体ごとの綾取り(ジグザグ)
になります。…姫ちゃんを吊り上げたビリーごと。ケブラー、モノカーボンファイバー。鋸の様な断面を残します。
姫ちゃんの腕に肩は先ずごとり、と廃れ落ち…
「こんなに痛かったら…あはは…本当に永遠に死にたくなくなっちゃいますよね」
意図(糸)は塵(散り)──────首が、腕が、脚が、全て。zigzagに姫ちゃんの意図を
霧散させました。額/顔/首/肩/胸/二の腕/掌/手/首/腹/背/尻/腿/膝/足首────
バラバラに、いやおう無く落ちた全身。でも、それはきっと、本当に、笑顔で。
…5年前の…師匠と、純さんと写った…思い出のあの笑顔で…崖から海へと落ちた筈でした。
但し、それもジグザグに───夏の日の褪せた日光写真のようにこの世に残らない証拠として。
(C−1 紫木一姫 死亡)
- 171 名前:十二支の大精霊に集いし者達(マサヒメ除く) ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 01:34:59
- 一方…ここは、修理が終わった航空船…マサヒメが行方不明になった事が
わかり、はるか上空からマサヒメを捜索して居る所である。
「マサヒメ…今頃如何してるんだろう」
マサヒメのフィアンセ(マサヒメED後想定)である、ヒビキ
彼女を身を案じながら…空の下を見る。
その空の下では、各地さまざまな戦いが展開され。
「おいヒビキ…こりゃ、この島トンでもない事になってるぞ」
この船の主であるヤマトが、苦虫噛み潰した顔でヒビキに言う。
「早いとこ、マサヒメ見つけないと…危ないだろうし、それにこの結界
俺達が揃って、力を結集しないと…突き破れないからな」
「うん、確かに僕も…そう思う、この如何わしい空気は唯事じゃないのは
感じ取れるから…マサヒメ、無事で居てくれ」
この青い陣羽織の少年、ヒビキはそう思い、ただ下を眺めるしかなかった。
(現在位置:A-1の地域、遙か上空)
- 172 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/10(土) 01:35:02
- >>152
「やれやれ……そりゃ血の匂いやらがする筈だね」
どさり、と足元に倒れ伏す動く死者を見ながら、ポツリと呟いた。
とりあえず家が立ち並ぶ場所まで来てみたが、最悪の一言に尽きるだろう。
見渡す限り死人だらけ。足の踏む間もない……とはよく言ったものだ。
更に驚くのは……その死者が立ち上がって襲ってくるのだ。
それもちょっとばかりの威嚇攻撃じゃ怯みもしない、正真正銘の化け物となって。
「やっぱり、人の形をしたモノを殺すのは、いい気分じゃないねぇ……」
例えソレが既に死んだものでも、である。
おかしな話だ。私は悪霊でありこういった存在と殆ど変わらないはずなのに。
……あぁ、同族嫌悪か。ならば納得できるな。
「……しかし、これじゃ人の存在は望めないか?」
ここに来るまでには、少なくとも人の姿を見た事は無かった。
……死体や動く死体ならばそれなりに見たのだが。
ともかくここが何処なのか、何が起こってるのか位は理解しておきたいねぇ……
「はてさて……ん?」
耳を澄ます。なんだか……やけに騒々しい音がしている。
なんといえばいいのだろうか。火縄銃を連射(そんな馬鹿な)しているような、そんな音。
……死者がそういった類のものを使うだろうか?
少なくとも、そんな頭があるようには見えなかったね……
「とりあえず行ってみようか……」
私は三日月の槍を構えたまま、その方向へと向かった。
(現在位置B-3 銃撃戦方向へと移動)
- 173 名前:アレックス:2005/09/10(土) 01:37:34
- >>168
そしたら兄弟、あの女の子――色々なところが小さい子だ――はこっちをちらっと見て、
おれはそれだけでどうポルしにいこうかとだけ考えたんだけど、その時おれってば、身体
がなにかおかし
(場所:A-3→消滅、リタイア)
- 174 名前:タチバナ(M):2005/09/10(土) 01:37:57
- >>155
>>142
乱入者は放った蝙蝠を只の一撃で撃破し、あまつさえ軽口まで――。
許せん。
たかが人間が吸血鬼をばかにするなど。
もはや手加減などしない。
子供は蝙蝠に任せるとして、こいつは自分の手で引き裂かねば。
…………いや、まて。
「ほざけ人間!!その程度でいい気になるな!」
ショットガンの弾が向かってくる。だが避ける必要などない。一秒でも早くあいつを殺さねば。
人外の瞬発力でもって真っ直ぐに男に目掛けて駆け出す。
当然、弾は命中し腹が吹き飛ぶ。
だが吸血鬼は止まらない。
「ひひひ、そんなもの効かんなぁ!」
吹き飛んだ腹は即座に霧と化し何事も無かったかのように元に戻る。
「さあ地獄を味合わせてやるぞ!生き地獄をな!己の無力さを呪うがいい!」
吸血鬼は真っ直ぐに男へと向かった、しかし勢いそのまま止まらず、ついに男を飛び越えた。
――――狙いは車の助手席にいる女の方だった。
(現在地:B-3 居住区域)
- 175 名前:翳る事無き日輪 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/10(土) 01:39:03
>>144>>162 ラインドウェル
止められた。二度も叩き付けられた。次は投げられた。
空を漂うのは気持ち良い。でも叩き付けられた。
跳ね起きた。刃が迫ってくる。先ずは退こう。
紫炎を走らせ、少しでも気を逸らせる。
一撃目は何とか避け、二撃目は胸を薙いで行く。
血が零れる。紅い、炎と一緒の血が。
何か可笑しい。絶対に可笑しい。
俺の炎は蒼い炎。憎悪と殺意の炎。
ソレが何で紅いんだ?
チッ…『アイツ』何度か経験した事で、意識を残せるようになったか。
押さえ込め。折角の外だ。押さえこ――――
――――肉体との意思の疎通が取れないまま、吐き気のする暴力を眺めている。
――――肉体への傷は増えて行き、それでも歓喜の声が聞こえる。
――――深い所へ落ちていく感覚。其処は紅く、熱い。
――――手を伸ばせば掴めそうで、何の気無しに手を伸ばした。
――――掴んで、振るってみればそれが何かはっきりと分かる。
――――それは、『八尺瓊』の炎だった。
肉体の感覚が戻る。幸か不幸か、炎は紅いのだが。まあ、戻れただけで良しとしよう。
感覚が戻ったお陰で傷の痛みに顔が引き攣った気もするが、これは如何でも良い事。
取り敢えずコイツには、捕まって貰おうか。
「楽には―――死ねんぞ」
裏百八式・八酒杯。地球意思であるオロチをも封じる炎。
アレに、対抗する術などあるのだろうか。
(A-2 倉庫跡 交戦中)
- 176 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 01:39:31
- >>163 カサモトさん
きゅらきゅらきゅらきゅら……。
乗り心地はともかく安心感はありますね。戦車って。
このまま道中何事もなく無事脱出できたらいいなぁ。
といってみたものの、外の様子がわからないというのは
結構不安になるものです。計器なんか見てもさっぱりですし。
きゅらきゅら進むうちに海に落ちてたりしたら……。
「ええと、ここのフタって”変なところ”じゃないですよね?」
出入り口のフタをちょっとあけて外を見てみると、
いつの間にか倉庫街らしきところに来ていました。
壊れかけた建物の群れ。そして……。
>>167 黒装束さん
『島への脱出は、我等が主人の意に背く……』
きたぁ! モグラ叩きよろしく頭を引っ込めて、
チームリーダー(たぶん)なカサモトさんに報告!
「きました、目の前に2体! どうしましょう!?」
- 177 名前:羽つきリュックを背負った少女 ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/10(土) 01:39:49
- >>153 タバサ&タオ
あれ、おかしいな?
――君、どこへいっちゃったの。
あはは、わかったよ。 かくれんぼだね。
昔ボクらのがっこうでいつもやってたあれ。
――君はいつも隠れるのが上手だったけど、今日は絶対見つけてみせるから!
そしたらキミの脳みそはボクのものだ!
うん、それで決定♪
そうと決まったらかくれんぼの始まりだ!
3つ数えたら食べにいくから待っていてね、――君。 約束だよ。
「い〜〜ち……」
「に〜〜ぃ……」
『チャクラウェーブ!』
――竜の気弾は少女の腹部の皮膚を引き裂き
『タオ!』
『分かってる!』
――鍛え抜かれた武道家の蹴撃は、肋骨を容易く叩き折った。
「うぐぅっ!?」
「何するんだい、――君!?
痛い、痛いよぅ。
かくれんぼやめていきなりプロレスごっこだなんて、酷いじゃないか。
どうしてそんないじわるするの?
もしかして、ボクのこと、嫌いになっちゃったの?」
――君がいる方向に振り返って聞いてみる。
答えはもちろん、わかっているけどね!
だって、――君はボクの運命の人なんだもん!
- 178 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/10(土) 01:40:42
- >>160 妹紅
「ん、大丈夫。今ので十分休めたし」
いやほんと、全くの強がりって訳じゃない。
うちのサークルはフィールドワークがメイン。いきおい体力はつくようになる。
まだ……まだまだ、いけるはずだ。
>んじゃ、行くわよ!
「おっけい!」
同じく駆け出す。
……一人じゃないというだけで、こんなにも心強いものなのか。
さっきと同じくの逃走だというのに、見違えるほどに気分が明るい。
帰る、絶対に二人揃って脱出する!
そのあと一緒に……そうだ、酒でも開けよう。
なんだったらメリーも一緒に。どんな顔をするのか楽しみだ。
……向こう側の人と一緒に、そんなことが出来るのかどうか?
そんなもん、脱出してみてから考えるのよ。
B-1→A-1 移動中
- 179 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/10(土) 01:41:26
- >>155
問いかけた直後―――頭上に風斬り音。
恐らくは、先程の蝙蝠の―――
(ヤバ! 他人に話しかけて隙を見せて死ぬなんて、洒落になら―――)
思考と共に、ただ身を竦めるしかなかった上条を、次の瞬間襲ったのは―――
ドン!
腹の底から響く衝撃。
しかし、上条の身体は―――なんと傷一つ無い。
見れば先程の拳銃男が、大口径の散弾銃(をこちらに向けて構えている。
そして上条の傍らに落下したのは、身体の中心に風穴を開けられピクピクと痙攣する巨大蝙蝠だ。
助けられた例を言おうと、上条が口を開きかけたその時―――放り投げられたのは鉄製の塊。
誰がどう見ても、拳銃だ。
「いや、ちょっと、俺は銃の類は使えないって―――」
そう、『学園都市』の出身とは言えなんら特殊な訓練を受けていない上条当麻は、銃などとは無縁の世界に生きてきた。
故にそのテの武器は、扱いどころが知識にすら乏しい有様だ。
「―――ああ畜生、我慢しますよ、これで! ワガママ言ってられないしな!」
銃は撃てなくても、使いようによっては充分鈍器として使えるはずだ。
少なくとも拳よりかは威力の高い打撃が得られるだろう。
そう思いなおして、上条は渡された拳銃の銃杷ではなく、銃身の方を握り締めて構える。
脳……みそ……くれ……
直後。
あまりにも良いタイミングで、背中からかかる粘着質な声。
地の底から響くような、人の不快感を存分に煽るその声に。
上条当麻の背筋は一瞬にして総毛だった。
即座に振り向くと、そこには―――
腐りかけた男の顔面の、拡大図があった。
しかも、黄色く変色した歯を、全てむき出しにして、口を全開にした状態の。
「う、うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!?」
パニックになる暇すら、与えられなかった。
ただ上条は生存本能の導くままに、先程握ったばかりの拳銃を振り上げて―――
がぎんっ。
硬い頭蓋骨を殴打する、鈍い音。
なすすべなく転倒する腐りかけの男。
しかし相手は倒れただけで活動を停止することなく、そのまま上条に手を伸ばし。
「あああああああああああああっ!!」
上条はもう、頭では考えていなかった。
ただ身体が動くままに任せた。
左足で、伸ばされた男の腕を思いっきり踏みつけ、動きを止める。
そして、自由な右足を全力で振りかぶり、あたかもサッカーボールを蹴り付けるかのように―――
「おあ―――あああっ!」
倒れた男の頭部を、思いっきり蹴っ飛ばした。
(現在地:B3 居住区跡)
- 180 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/10(土) 01:44:23
- >>157
力の差は歴然だった。
一対一でも危うい相手。それが二匹となれば―――ぶらっくあうと。
意識を取り戻したとき、さつきは道路の中央に、大の字で倒れていた。
身体の節々が、鋭い痛みを訴える。
辺りを見回しても、そこにはただただ闇ばかりが。
―――ああ、そっか。
「わたし、負けたんだ……」
でも、何だろう。負けたはずなのに、不思議と思いは軽い。
気分はとても爽やかに晴れていた。
ああ、こんな感情、もう随分と覚えるコトなんて無かったのに―――
思わず、くすくすと笑ってしまう。
「つよ、かったな……とても」
ケルベロスの二人。今はとても勝てなかった。
だけど、次に会うときは必ず……
(A-2倉庫跡の端のほう)
- 181 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/10(土) 01:46:03
- 次元に穴を開けるというのは。殊の外、力の消耗が激しい。
ディメンションディストーターなんて、言う極めて稀な能力者じゃない限り。
あれは、次元を曲げるんだっけ?思念が揮発しやすくなっている。
―――――力は摩耗する。私のように弱い能力者ならなおさら。
だけど、摩耗した力は。空に舞った粉塵に火がついたごとく、時として爆発する。
そんな力の爆発とも言える所行は、お二方の興味を恐ろし〜く招いたようで………。
>>118
『見事なものだ。転移能力か』
金髪の夜の主は「ほぅ」といった感嘆の表情で私に歩を進める。
冷たい夜風。気温ではなく。感覚が告げる。同族ではなくても コレハ 危険 ダト 。
そうして、一歩後に下がる。力を解放させる準備をして。空に少しだけある雲に向かって。
そして、金髪の夜の主が手を伸ばした瞬間。
>>131
『……おやおや、これは連れないね、色男。
私の事を誘っておきながら、壁の花は御免だよ?』
同族のお姉さんの見えない手によって止められる。
サイコキネシスとは何処か違う。異質の手。―――――そうして、浮かぶ一つの疑問符。
そうして、お姉さんも私に向かって歩いてくる。同族なのだから。する事はきっと一つ。
『――キスさせてくれ』
―――――今すぐKiss ME? WE NEED KISS?
なんて言う告白を横に瞬間に私は雲に念じた。私に向かって稲妻を落とす。
ライトニングスパーク!
私の中に流れる体内電流。それを活性化させるのがE.G.O.の真骨頂。
実質ライトニングマスターと呼ばれる方なんて、E.G.O.のトップクラスに君臨して久しい。
稲妻を落とすことによって体内電流を活性化させて、高めた運動能力さえあれば。
かのベン・ジョンソン使った薬も真っ青のスピードを手に入れることが出来るのです!
私、裸足ですけど。とすると。今の私には、あの英雄アベベが宿ってる!色が真逆ですが。
すっ、と逃げ出して。灯台に向かって走る。私の逃げ場は 一応 無限大。
そうして、逃げる私はお二方に向かって。テレパシーで問いかけた。
(ところで………私を口説こうって言うのなら、まず名乗って頂けませんか?
名前も知らない方に、私の血はあげられませんし。それに、お二方とも………朝は私より苦手ですよね?
あと………お姉さん。壁の花ってどういう意味ですか?)
知らない言葉は一応聞いてしまう悲しい性に溜め息一つ。白ビキニで走れ、走れ!
なんだか知らないけれど大人気な私。人気投票で二位を取れる器はあるみたいです。
声は聞こえなくなっている。ほら―――――私は、依然として此処に在る。
〈 現在位置C-3:超スピードで灯台を駆け上がる。BGM:ピン○レディー『逃げろお嬢さん』(何 〉
- 182 名前:ダン・スミス ◆jcr2KGh37s :2005/09/10(土) 01:46:30
- >174
タチバナが、男を飛び越えたその刹那、
「ドグゥオッ!ドグゥオッ!」
・・・・・・・大砲の発射音にも似た2発の銃声とともにタチバナの両の足が胴体と別れを告げ、
タチバナ自身は地面に強烈な接吻をした。
タチバナの背後にいる凶弾の主である黒いスーツの男は、憤怒の表情に歪んだタチバナを
照準越しに3秒ほど見つめるとリボルバーをポケットにしまい、
笑顔と呼ぶには壮絶すぎる笑いの表情を浮かべ、人を見下すような口調で言い放った。
「医者呼んでやろうかい?兄さん」
killer7の暴君、ダン・スミスである。
- 183 名前:完全懲悪ダンザイバー:2005/09/10(土) 01:47:45
- >>166
>「ダンザイ、バーさま――とおっしゃいますのね。危ないところを助けていただいて、本当に
>ありがとうございます。私、小笠原祥子と申します」
一つの危機が去ったとは言え、どこか場違いなのどかな挨拶をその少女は交わした。
いや、彼女が場違いなのではない。この場を惨状と貸した”何か”がこの地球には場違いなのだ。
人が人を食い合う…あまりに思いこの罪を断つ事こそが俺の特異監察官としての使命。
この惨状を作り上げた、罪人を一刻も早く断たねば。
しかし、それよりもまずやることが有る。
生存者の収容だ。命令違反の行動ゆえに協力してくれるかどうかはほぼ不安だが、
人命がかかっている。あの二人ならわかってくれるはずだ。
「その…祥子ちゃんって言ったけ? ちょっとまってくれ。きみを安全な場所へ送り届ける。
もちろん、君の親友も探し出して必ず君のところへ送り届けるから。」
最初に、生存者である少女を説得し、つづいてセイングリードへ連絡をする。
「こちらダンザイバー、ユリィ、聞こえるか?一人の生存者を確保した。
緊急事態だ、頼む。収容してくれ。」
…しかし、返事が無い。
「どうした、こちらダンザイバー。聞こえないのか?」
「…ザイ…−、ダンザイバー…、聞こえる?ダンザイバー」
「ああ、どうした? ノイズが混じっているが、何か異常でも起きたのか?」
「あ、やっと繋がった。うん、なにか異常な力場がそっちにあって、転送装置が駄目みたいなの」
「な、なんだって。」
「どうにか、ゲイ・ボルグは作動できるようにしたけど、その子の収容は無理」
「じゃぁ、どうしろと」
「ダンザイバー、どうにかその子を守ってあげて。こっちもがんばって復旧させるから」
「それしかないか…わかった。こっちはどうにかする」
「ごめん、ダンザイバー」
「気にするな、元々俺の我侭ではじめた事だ」
「無事…帰ってきてね。ダンザイバー。私、待ってるから」
「ああ、じゃぁ切るぞ」
仕方が無い、どうにか安全に身を隠せる場所を探そうか。
そして、俺は少女に向き直り話し掛ける。
「すまない、もうしばらくこの島に居る事になりそうだ。
君の親友を探しがてら、どこか身を隠せる場所を探そう。
その、君の親友の名前。教えてくれないか?」
とりあえず、彼女の不安を紛らわせる為軽い話をはじめる事にした(B-1森の中)
- 184 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 01:47:45
- >>163 エリさん
> 「無理よ。基本的にそうは出来てないの」
> 手元のコンソールと、照準機その他でしか外は見れない。映し出すのは無理だ。
>「まあ、本当にいざって時には…頼むわ」
「そっ…そうなんですか」
少しガックリするマサヒメ…まぁ、そうと解れば
手出し仕様も無い訳だが…いざと言う時頼むと言われた訳だし。
「そうですね…その時は頑張ります、それはそうと…そろそろ
お兄さん達、航空船の修理終わってる頃かなぁ」
そう考えるのであった…確かにそろそろ、船の修理が終わっても言い頃だ
加えて、このまがまがしい力、島を脱出し突破するには、皆と合流する必要がある。
(現在位置:A-2 戦車の中)
- 185 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 01:50:27
- >>169 グリニデ
「こんなんじゃきっとモテない……を?」
人が変わったように叫ぶ魔人。ヒトではないが。
口汚く罵り始めるグリニデに、夜雀は虚を突かれた顔をし、次第に笑いを浮かべ始めた。
「んふふ〜。何だ、そっちの方がいいわよ〜。静かなやつなんてつまんないわ〜」
相手はずいぶんと強そうな妖力を放っている。ついでにブチ切れている。少々言いすぎた
だろうかとも思う。
なかなかに危険だろう。
「化け物類なんて、ホントはどうでも良いんだけど。お前は今夜から……夜は目が見えなくなるよ!」
楽しそうに言う夜雀に従うように、使い魔たちが歌を奏で始める。
楽しいことは何時だって、危険な方がもっと楽しいのだから。
もう歌しか、聞こえない?
(現在位置:B-1 グリニデと戦闘開始)
- 186 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 01:54:50
- >>167 ケルベロス
>>176 アテナ
『ええと、ここのフタって”変なところ”じゃないですよね?』
ハッチを指してアテナが言った。
「ああ、変なところじゃないけど…って開けないそこ!」
返答するなりハッチを開ける一般人。
気持ちはわかるけどそれは勘弁。
アテナは外を見るなり即座に頭を引っ込めて、ハッチを閉めた。
『きました、目の前に2体! どうしましょう!?」』
不安的中。
正面には黒装束が二体。
言ってる事は、「脱出は許さん。刃向かうなら殺す。死にたくなけりゃ引き返せ」
「誰が引き返すか」
照準機その他のHMDをつけて戦闘準備完了。
「塵になって消えるのはそっちの方よ」
機体後部両側に備えられたバルカン二門が稼動。照準を黒装束どもに定めて。
20ミリの鉄火を浴びせ掛ける。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 187 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/10(土) 01:59:16
- >>174
「ちっ――!」
腐っても化け物、といった所か――馬鹿でかい蝙蝠のほうは、なんの変哲もない鉛の銃弾
を腹に喰らっただけで、あっさりと物言わぬ骸と化していた。
――向かってくる。憤怒の表情を端正な顔に浮かび上がらせて。
反射的に発砲した1番ケージの算段は、轟音とともに男の腹を吹き飛ばすが、しかしそれ
だけだった。男は消し飛んだ腹など一顧だにせず、勢いすらも殺さずにこちらへと迫り――
そしてすり抜けた。
「何――!?」
思わず、あっけにとられる―――が、それが致命的だった。
男の狙いははじめからこちらではなく――
「……カペル!?」
いつの間にか、助手席に戻っていたカペルテータの姿が、俺の視界に飛び込んでくる。
貨物室のハッチは開いたまま、モールドの姿すら透けて見える。
リーチの長いショットガンを捨て、腰からハードフレアカスタム、45口径リボルバーを抜き
構えるが――遅い。間に合わない。
完全に手遅れだという事実を、意外なほど冷静に受け詰めて。
呆然と俺はその光景を見る――
そう。
>>182
何処かから現れた男が、颯爽と、化け物の両足を吹き飛ばした、その光景を。
「な―――」
なんだ一体、と言う言葉は、胸の中で詰まって消えた。
ふと、正気に戻り少年の姿を探す。
果たして、生きてるのか――
>>179
「ばっ」
視界に入った光景に、思わず言葉が詰まる。
というか、正真正銘の素人に、銃を渡した俺が迂闊だったと言うことなのだろうが、しかし。
「馬鹿野郎! 実包が詰まった銃で殴り合いをする奴があるか!? 暴発するぞ!?」
- 188 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/10(土) 02:01:19
- >>179 (続き)
まるで出来の悪い喜劇(を見てるみたいに、男の頭部は
胴体からあっさりと乖離して、クルクルと錐揉みしながら飛んでいった。
その時ようやく一瞬、男の胴体がビクンと波打って活動を停止する。
その隙に、上条は下ろした視線の先で、男の状態を確認してしまった、、、、、、。
男の状態は、どう見ても生物学的に見て生きているはずが無い。
そんな有様だった。
左腕は半ばから腐って唯本体の身体にぶら下がっているだけの状態で、
脇腹には大きく穴が開きそこから細長い物体が垂れ下がっている。
そして上条がたった今蹴りつけた首から先は―――当然の様に何も無い。
腐って蛆の沸いた断面を唯無残に晒すだけで―――
そこまで見て、首の無い腐乱死体は再び活動を再開した。
まるで、首など最初からそこになかったかのように、何事も無く。
それは―――あまりに異常。あまりに埒外。
人間―――いや、生物そのものに対する冒涜ともいえる、狂気の光景。
その全てを目の当たりにして―――
上条は、身を折って嘔吐した。
胃の中のものを、その場で洗いざらいぶち撒けた。
「脳みそ……脳……」
新たな地獄からの呼び声が、彼の周囲で巻き起こっている事も、気付かないままに。
- 189 名前:馬呑吐 ◆TUNTUWt93U :2005/09/10(土) 02:02:59
- >>120>>156>>157 vsデビルリバースvsファントム&グリフォン
荒れ狂う空気抵抗に思い切り持って行かれ、少なからぬ髑髏の長首は千切れ飛んだ。
「ええい! 出鱈目な拳風起こしおってからにッ!」
地べたをこする様に吹っ飛ばされながら、馬は叫んだ。
その乱れた体勢では、降り注ぐ雷を十全に避ける事は敵わず、炸裂する火花を思い切り浴び
て、更に悲鳴を上げる。
雷気は五行の運行で云う所の木気。屍の土気を使う馬呑吐に取っては、相性が悪い事この上
ないのだ。
体表が些か焦げた肥満体は、それでも豪風に逆らって飛躍し、剣指を結んだ。
「蟲だの鳥だの――下等動物がつけ上がるのも大概にせい!!」
風圧に持っていかれ空中で乱れ飛ぶ、また何とか地上に踏みとどまった髑髏の口から、灼熱
が噴出した。
炎をも熱線ともつかぬ迸りは、闇の空を駆ける怪鳥に噴き上がらんとする。
(現在位置 B-2 空港跡)
- 190 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 02:04:12
- >>170
その線陣は俺の左腕を、左肩を微塵に切り刻んだ。
退かなければ、身体ごと巻き込まれていたろう。
落ちていく肉片はすぐに波間に紛れ、
――俺は言葉を飲み込むと、彼女を忘れることにした。
彼女自身が望んでいたように。
(C-1 崖)
- 191 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/10(土) 02:04:13
- >>154
「ぬ……」
アドルフの手が、宙空で制止する。
否。
制止「させられた」のだ。
見えざる力が手となり、アドルフの腕を握り、掴み、留めた。
(念動の変形と言ったところか?)
いぶかしげに、そして不快そうに留められた腕を見る。
みちっ、みちぃっ……
響く異音。
何のことはない、アドルフの腕が動く音だ。
ただ腕を動かす、それだけにどれほどの力がいるのか。
驚異的な膂力を示したアドルフといえど、見えざる手の干渉を振り払うのは容易ではないらしい。
「なら……まずはキミを頂いてからでいいのかな」
軽口と共に、腕が爆ぜる。
そう、爆ぜたのだ。
血と肉を吹き散らしながらなお凄絶な笑みを浮かべる。
>>181
その間に脱兎と飛び出す白い少女。
その脚力は人間のそれを遙かに凌駕している。
むろん、アドルフの足なら追いつけないわけではない。
が……
(この女をどうにかせねばな)
ゆらり、と隻腕のまま女に近付く。
「失礼したね、レディ。確かに声をかけた以上、きちんと最後まで踊らねば、な」
あくまで優雅に。あくまで紳士的に。
だが、その身から放たれるは禍々しい鬼気。
そして、片腕で器用で完璧な挨拶。
走る白い少女にも聞こえる朗々たる声。
「私はアドルフ、アドルフ・ヒトラーという。よしなに」
- 192 名前:〈ケルベロス〉クリス&ヘレン:2005/09/10(土) 02:06:24
- >>176>>186 タンク・チーム
一瞬、十字の火花が散ったかと思えた瞬間。
ヘレンの上半身が、跡形もなく吹き飛んだ。(ヘレン→再起不能)
「な―――ン、だとぉ!?」
咄嗟に身体を駆らせ、銃弾をやり過ごす。つい一瞬前まで、クリスがいた場所には無慈悲
な弾痕が穿たれ穿たれ穿たれ穿たれ。
クリスの神速の足運び。
だがそれとて、音速をこえる弾丸の雨に徐々に追い詰められてゆく。
「くゥ……!」
クリスはここに至り、ようやく己の間違いに気付いた。
この鉄塊―――ただ者ではない!
「ならば!」
クリス、高らかに跳躍。
「弱点を狙う、あで!」
月を背に、クリスはタンクのもっとも装甲の弱い部分と言われる上部に向けて、殴りかかった。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 193 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/10(土) 02:07:45
- >>177
「うそ……!? 手応えはあったのに……!!」
地に降り立ったタオが、驚きの声を上げる。
そう。手応えはあったのだ。私の放った気弾は少女の腹部を引き裂き、タオの一撃は少女の肋骨を打ち砕いた。
それでも――
『何するんだい、――君!?
痛い、痛いよぅ。
かくれんぼやめていきなりプロレスごっこだなんて、酷いじゃないか。
どうしてそんないじわるするの?
もしかして、ボクのこと、嫌いになっちゃったの?』
かつて少女だったそれは、口元を歪めていた。恐らく、笑顔のつもり……なのだろう。
「なるほど……話に聞いた通りの不死性のようですね」
であれば、生け捕りなど無理な相談か。
「……私と貴殿は今ここで出会ったばかりです。好きも嫌いもありませんよ」
そう言いながら、少女との間合いを測る。タオもまた、出来る限り気配を殺しつつ、少女の背後へと回る。
「一目惚れと言う概念があるのは知っていますが――私はそれを信じない性質でしてねっ!」
私とタオが同時に地面を蹴り、少女の懐に飛びこむ。
「レヴェリーソード!」
召喚した剣を携え、私は天高く舞い上がり、
「炎龍脚っ!」
地面に両手をついたタオが、炎を纏わせた両足を大きく広げ、回転しつつ上昇した。
(現在地:B-3居住区跡、羽少女と戦闘中)
- 194 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/10(土) 02:09:06
「支倉、令」
支倉令。
告げられた名前を、ゆっくりと咀嚼する。
「あぁ――俺は笑石()。「笑う」に「石」で笑石という」
それに対し、自らも名乗る。
自然、笑顔が柔らかなものになっていた。
――そういえば、と。
こんな、敵意のない瞳を向けられたのは何年ぶりだろう?
いや、何十年、下手をすれ何百年になるかもしれない。
化生を斬り、魔物を殺し、妖怪を滅し、戦いに明け暮れた千年の記憶。
当然だ。この生涯では、安らぎなど得られはしまい。
その安らぎを、こんなおぞましい島で、奇妙な形で、得ることになった。
それはあまりに以外で、あまりに残酷な縁であった。
――そんな時だった。
安らぎを切り裂くように少女の悲鳴(>>134)、そして爆音(>>145)が耳朶を叩いたのは。
「っ!?」
とっさに、「感知」を再発させる。
――否、「感知」は既に発動していた。ただ、笑石が捉えている反応に気付かなかっただけで。
反応は二つ。それらがともに人間の物であると理解し、笑石は焦燥と共に走り出した。
「くそ……っ! こっちだ、付いて来い!」
少女が自らの脚力に負い付いて来れる、という致命的な事実に気付かずに。
B−1:森の中、悲鳴(>>134)と爆音(>>145)を聞いて、そちらへ向かう。
- 195 名前:十二支の大精霊に集いし者達(マサヒメ除く) ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 02:13:50
- 一方…合いも変わらず、戦場の遥か上空を移動している航空船。
「取り合えず…もうちっとばかし、高度を下げてみるか、これ以上は
この下でドタバタしている奴らに、見つかる危険性があるしな」
そう言い、各船員に指示を出すヤマト
「確かに…も〜ちょっと、下、下がった方がマサヒメちゃんの反応が
解りやすくなるかのかな…確かに、ユキさんもそう思うなぁ」
「そうだな…この際、このままではキリが無いだろう…いざと言う時は
俺達が戦場に切り込めば言いだけの事だ…少々厄介な事にはなるがな」
その横で、ムメイと言う男と、天然入っているユキと言う女性は
各々…ヤマトの言う事に同意する。
(現在位置:A-1遥か上空→A-2上空を目指して進軍中)
- 196 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/10(土) 02:17:52
- >>162 >>175 八神庵
炎の色が、翳りのある紫から鮮やかな赤に。
戒めの炎、封じの焔。
それが、地を走る。
成程、地球意思をも封じるとなれば『器』の操り手にとっても些か厄介に過ぎるだろう。
だが、計算外だったのはその「操り手」がそれよりも遥かに高次な存在であったとき。
胸に刻みつけられた逆五芒星が幽かに昏い光を放つ。
光が弱いのではない、光そのものが昏いのだ。
そこから解き放たれた瘴気が焔とぶつかり合い、融け合って、消える。
地の底、闇の許から呼び出された瘴気が戒めの炎を掻き消す。
その上で斬る。
空間を斬り開く。
切開した空間の先には、意識を取り戻したはずの男の姿がある。
彼我の距離は、それだけで零になる。
その顔を掴み上げ、質量を伴う瘴気の塊を掌から撃ち出す。
(現在位置:A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 197 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 02:20:37
>>164>>190
「ベルナドットさん!」
先程までの、気の抜けた空中遊泳。
セラスの強張った怒声で、場は突然に張り詰める。
思わずびくり、と身体を揺らすベルナドット。
「ど、どうした嬢ちゃん」
「―――見えました」
「な、何が」
「……今回の任務、デス」
ベルナドットは暫く押し黙ると、やがてつまらそうに口を開いた。
「遊びは終わり、か」
「はい……残念デス。でも、見付けてしまった以上は」
「お仕事だからな」
「YES!!」
上空数十メートルから悠然と見下ろす崖の先。
そこにはかつて、セラスと同じ"ゴミ処理"を勤めていたはずの男の影。
しかし、いまは敵。それも最悪の。
セラスは馬鹿長いトランクケースからハルコンネンを取り出すと、ハインドの扉を乱暴に
開き放つ。途端、生温い風が全身を襲った。
「弾種―――焼夷炸裂弾」
ハルコンネンにはスコープなど無い。
申し訳程度のフロントサイトとリアサイトが据え付けられている。
が、セラスにはこれだけで十分だった。
ハインドの機体。横っ腹から、ぬぅとハルコンネンの銃身が突出する。
ローターの揺れは激しく、空気の胎動は銃弾の軌跡を阻む。
いけるか、とセラスは自問する。いける、と自分の中の別の誰かが答えた。
そして、第三の目は開かれ。
「トリガぁぁー!!」
(C-1 崖上空 → ビリーさんを狙撃)
- 198 名前:タチバナ(M):2005/09/10(土) 02:20:55
- >>182
>>187
「生憎と、私自身が医者でね……」
立ち上がる動作は、ゆっくりとゆっくりと……
「見たところお前、もう先は長くないよ。」
子供を嬲ろうとした瞬間、あの男に邪魔された。
女を襲おうとした瞬間、この男に邪魔された。
こんなこと絶対にあってはならない、そうだろうお母さん?
立ち上がった瞬間タチバナの下半身が揺らめいた。
それは徐々に変化しやがて犬の形に、そう大型犬の形にへと変わっていく。
変化が終わった瞬間、タチバナは途轍もない速さで駆け出し
同時に上半身は念力を車に乗ってやってきた方へと叩きつけ、動きを牽制。
その隙に新たな乱入者へと躍り掛かる
「ゲスめ。お前、自分がこれからどうなるか分かるか?ええ?」
下半身の犬は乱入者の喉笛目掛けて、大きな口を開けて齧り付いた。
(現在地:B-3 居住区域)
- 199 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/10(土) 02:21:11
- >>168
天井が落ちてきた。
その事実をわたしは、自分の体の痛みで知った。
破片が、左足にまず一つ――骨が折れたらしい、感覚が消えている。
突き出していた刃物は手から弾き飛ばされ、遠くに転がっている。
そして、腹部から流れ出す熱い、紅いものは――
――わたしの、血。
参った、と素直に思った。
どうにも破片の一つにわき腹を突き破られたらしい。
そこから流れ出す血を勿体無い――と思うのは彼女の思考に影響されているのだろうか。
どちらにしろ、もうわたしはダメなのだろう。
このまま、
このまま幹也と会えなくなる。
……嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
――嫌だ!!
だから考える、考えるのよわたし。
こちらもわたし、あちらもわたし。
だったらわたしはわたしに勝てる。必ず。
自分にも勝てないのに――式に勝てるはずが無い。
そうだ、もしあちらがわたしなら、
「――兄さんはお元気かしら?」
それは多分、他人から見れば意味の無い言葉。
けれど、彼女が「わたし」なら、
「一緒にいられないのは辛いわよね。
兄さんは――わたし達が見つめるただ一人の存在だもの。
そしてあんな、人間じゃないような、ええ、化け物よね。
あんなひとに惹かれる。自分もどこか逸脱しているから。
だからどこか嫉妬して、自分もそういう逸脱した力が欲しくなって。
でも、それでも兄さんは……「ただの人」なのよ。
化け物とか、幽霊とか魔術師とかと一緒にいるべき人じゃない。
兄さんは、それでも「こちら側」の人間だから、人間以外とは一緒にいられないのよ」
一息。
そしてわたしは、わたしの胸に杭を打ちこむ。
「化け物のわたし()は、一緒にいられるのかしら?」
(現在地A−3港、建物:遠野秋葉と戦闘中)
- 200 名前:『深緑の智将』グリニデ(M) ◆BECoOlA3c2 :2005/09/10(土) 02:22:22
- >>185
>「んふふ〜。何だ、そっちの方がいいわよ〜。静かなやつなんてつまんないわ〜」
私の怒りをものともせず、のらりくらりと挑発する彼女。
落ちつけ、Be Cool()…Be Cool()だ……
拳も矢も、ひらひらと舞う彼女には届かない。
―――角は既に限界まで怒張しきっている。
表面張力に例えられるほどに、臨界点まで達した私の怒り。
このフラストレーションを今すぐにでも解消する為には生贄が必要だ。
そうだ、生贄だ。生贄としてこの雀を砕こう。そうでもしなければ収まりがつかな―――
>「化け物類なんて、ホントはどうでも良いんだけど。お前は今夜から……夜は目が見えなくなるよ!」
>お前は今夜から……
>お前は今夜
>お前
「『おまえ』だとォォォォォォォォッ!?」
―――――その瞬間。私の全てが外側に溢れ出た。
その目には光さえ映さず。
その耳には歌さえ届かず。
その肌には風さえ感じず。
ただ、五感の全ては血の如き赤紅色に染められていた―――
みしり、という罅割れが響いた。
(現在位置:B-1 ミスティア・ローレライの挑発により……)
- 201 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 02:22:31
- >>192 クリス
「まずひとぉーつ」
黒装束一体の上半身が微塵に消し飛んだ。あっさりと。
「次! ちょこまかするな!」
照準を補正しながらバルカンを撃つが、かなり速い。
追い撃ちの火線が届く直前、黒装束が飛んだ。
「何ッ!?」
月を背に黒装束が殴りかかってくる。
バルカンが狙うより黒装束が降ってくる方が早い。
「全員伏せて耳塞げ!」
アタシは叫んで機体を、ジャンプさせた。
鋼鉄の体当たりと急降下爆弾パンチ。
新型装甲、気張って見せろ!
(現在位置 A-2 倉庫跡)
- 202 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 02:22:35
- >>186 カサモトさん
『塵になって消えるのはそっちの方よ』
ばりばりばりばりばり……。
秒速何千発だかの鉄の雨が問答無用に噴出します。
ああ、忘れたくても忘れられないイヤな記憶が。
とにかく人食い黒装束はこれで退場。
>>192 黒装束
……いや、片方は凌いでる。すごい運足!
どういう功夫こなしてきたんですかこの人!?
『弱点を狙う。あで!』
「戦車の弱点ってどこ!?」
なんだかよくわかりませんが、弱点(自爆スイッチの事?)を
攻撃されたら戦車はこの場で破棄という事にもなりかねません。
そうなったらチョコエッグの中身よろしく次は私が……。
「……何か、武器でも欲しいところですね」
トーストかじってた私に持ち出せるものなんて
バターナイフくらいなものですが。
プロレスなら栓抜きが最強武器だったのに。
(現在位置:A2 戦車の中)
- 203 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/10(土) 02:23:54
- ……たどり着いた場所は戦場だった。いや、冗談ではなく。
>>187 >>174
こっちでしか見れそうもないでかい蝙蝠。それを撃退している男。
喧しい音を出す筒を手に持っている。あれが音の原因か。
……嫌な気分になるくらい、妖怪っぽい匂いをさせているねぇ。
相対しているのは白衣を着た端正な顔をした男。
……といえば普通に思えるが、蝙蝠を操る上に特有の気配を垂れ流してりゃ、私にだって分かる。
あれは、吸血鬼だと。
そいつは加速し、隣にいた女の子(妙な頭飾りをつけてるねぇ)を襲おうとしたが……
>>182
……何処からか出てきた男に逆襲を受けた。完全に不意打ちだ。
どんな手品を使ったのか、見事に白衣の男の足が吹っ飛んでいる。
出てきた男は……見た感じには普通に見えた。服装も普通……だが、顔が違っていた。
一目見て分かる。あれは……カタギの人間ではないと。
とかく妙な連中が集まっているのだ。気づかれない内に移動した方がいいかも入れない。
そう思い、その場から離れようとして……
>>188
その子を見つけてしまった。年のころは魔理沙より若干上か。
この場にいる全員と比べるまでもなかった。見るからに普通の少年である。
その少年が、地面に蹲って……嘔吐していた。
傍らには、少年が潰したと見られる頭の無い死者。……ショックが、大きかったか。
だが、重要なのはそんな事じゃない。少年も、その事実に気づいたから吐いているのだ。
その死者が、まだ動いているという事実。それが一番の……
「動くんじゃないよっ!!」
私は無我夢中で飛び出し、少年の上を飛び越えた。
そのジャンプの勢いを殺さぬまま、三日月の槍を死者に突き立てる!
ぐさりという肉を貫く嫌な感覚、けれども確実に動きは止めた。
「星よ、彼の者を撃て!」
更に追撃を叩き込む。呪文と共に魔方陣が発生し、輝く星が現れた。
不浄を灼く星は死者へと突き刺さり、そのまま高熱を発して死者を焼く。
びくびくと死者は痙攣していたが、程なくして……活動を停止する。
……やっぱり、これくらいやらないと殺しきる事は出来ないみたいだねぇ。
死者から槍を引き抜き、まだ蹲っている少年に声をかけた。
「……大丈夫かい? 坊や」
(現在地 B-3 銃撃戦現場乱入。首無し死体を一応退治)
- 204 名前:支倉令:2005/09/10(土) 02:25:49
- >194
私の名前を、刻み込むように呟いて。
その人は、微笑みながら名乗ってくれた。
……良い人だな、と思う。
色々ありすぎて感覚が麻痺しているのかもしれないけれど、少なくとも悪い人では無い。
初対面の私なんかに、手を貸してくれているのだから。
「笑石さん、ですか。珍しいお名前で――――」
悲鳴が聞こえた。
聞きたかった友の声であっても、それはつまり悲鳴を上げてしまうような状況
と言う事に他ならず。
あまつさえ、追い討ちをかけるように爆音まで耳に届いた。
「祥子……!」
声を掛けられるまでも無く、全力で走り出す。
暗い夜の森を、「以前」よりもずっと速く。
現在地:B-1森、悲鳴の方向に走り出す
- 205 名前:デビルリバース:2005/09/10(土) 02:26:13
>>158 vsファントム
天より現れる怪鳥。
襲い来る蜘蛛。
火を吹く髑髏。
魑魅魍魎入り乱れるこの戦場。
その中にあってなお、暴発した悪魔の化身は、
全てを消し飛ばすことしか考えていなかった!!
牙を向き飛び掛る、そのおぞましい灼熱の蜘蛛とて、
デビルリバースにとっては三文字でしか認識されない。
即ち。
「…ころす!!」
再び振るわれ始める巨大な腕。
それは、先の風殺金鋼拳に似て非なる。
風は一箇所ではなく、両の手の平に集積されてゆき…
「ごあああ!!」
その両手を打ち合わせ、蜘蛛を挟む。
蜘蛛の牙は確かに手の平に食い込んだであろう。
その灼熱の外骨格は、少なからずダメージを与えるであろう。
だが、それと全く同時に、
先の一撃に匹敵する風力が、
蜘蛛を中心とした一点で、風船が爆ぜるかのように炸裂する。
盛大な音響と共に!!
(現在地:B−2 空港跡)
- 206 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 02:28:57
- >>192 ケルベロスさん達
>「ならば!」
> クリス、高らかに跳躍。
>「弱点を狙う、あで!」
> 月を背に、クリスはタンクのもっとも装甲の弱い部分と言われる上部に向けて、殴りかかった。
戦車ごしから、その様な会話が聞き取れる…どうやら戦車の弱点を
集中攻撃しようとしてるらしい…。
「そんな事…させないっ!!」
マサヒメは、その場で印を結び
…多分真正面から来ると思いますね。
そう思い…戦車の外の、ケルベロスが居ると思われる方向の対して
氷属性の神術「氷龍王」を発動させる。
戦車の周りから、魔方陣が発生…。
「私達の邪魔…しないで下さい、氷龍…力を貸してください」
ケルベロス達の足元から、水の龍が出現…天に向かって上昇する。
- 207 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 02:30:08
- (現在位置:A-2 戦車の中 >>192へ戦車越しに神術攻撃)
- 208 名前:〈ケルベロス〉斬馬のクリス:2005/09/10(土) 02:31:25
- >>201>>201
だが、硬い!
クリスの膂力は、タンクの上部装甲をへこませるに至ったが、それ止まりだ。
逆に、鋼鉄の質量をもろに全身で受け、クリスの身体は圧力に潰れた。
「ば、ばかな……俺の拳を持ってしても貫けんとは」
もはや、人類は食屍鬼を凌駕していると言うのか。
倉庫で我等に負けた、あの少女にように。
我等もまた、人間に―――
(クリス→再起不能)
〈ケルベロス全滅〉
(現在位置:A2 死亡)
- 209 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/10(土) 02:33:19
- >>187
「……カペル、無事か?」
問題ない、と言うように首を縦に振った少女にほう、と安堵の吐息をこぼしつつ、改めて
自分の置かれた状況を確認する。
>>174>>182
闖入者とにらみ合っている化け物、
>>188
人の形をしたものを破壊して、吐いている少年。
だがそれよりも、とりあえず暴発していなくておめでとう、と言うところで声を掛けてやりたい
ぐらいだ。
だがそれよりも、全員の注意が余所に向いている今なら――
カペルをそのまま助手席に残して、後部貨物室へと小走りに移動した。
ハッチは開放されたまま――そしてその奥には、
「―――――」
鋼と皮革で作られた何かが、裡に飲み込むべきものを欲して、暗闇でその巨大なあぎとを
開いていた。
手早く服を脱ぎ去り、
自分から、
そのあぎとへと身体を沈み込ませる―――
ばぢんっ――と、バネの弾ける音がして、
黒いヒトガタが、闇の中に降り立った。
- 210 名前:羽つきリュックを背負った少女 ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/10(土) 02:38:51
- >>193 タバサ&タオ
「うぐぅっ!!」
ざっくりと音をたてて、なにかがボクを切り裂いていく。
肩のあたりからおへそまで一直線にだ。
氷みたいに冷たくなってたボクのからだが、まっぷたつにわれていく。
いやだ、熱いよ。 痛いよ。 苦しいよ。
――君? キミはボクのこと、本当に嫌いになっちゃったの?
ねえ、それってうそだよね?
だって、――君はボクのヒーローで、憧れの人で、そして運命の……
……あれれ、今度はなにかがパチパチいってる。
この焦げた肉の匂いって……
ジュゥって油が爆ぜる音って……
もしかしてボク、燃えちゃってるの?
あはは、おかしいな。 悲しいな。
せっかく――君に会えたのに、なのにボク、嫌われちゃった。
でも、ボクは今、とっても幸せだよ。
だって、僅かな間でも――君に会えたんだもん。
この幸せを抱きしめて、ボクは消える。
――君と一緒にいられないのは残念だけど……
でも、もういいんだ。
もう、ボクは充分幸せだったから。
ね、――君?
消える前のボクの最後のお願い、聞いてよ。
ボクが完全に消えてなくなる前に………
キミの脳みそ、ちょうだい!!
(現在位置 B-3 血溜まりの街の片隅)
- 211 名前:〈ケルベロス〉斬馬のクリス:2005/09/10(土) 02:40:04
- >>206
ミンチになったクリスに、更なる追い打ちがかかる。
さすがのケルベロス最強の男も、この非道な所業には地獄を見た。
絶対零度の中、細胞までも凍結させる彼の心の行方は、誰も知らない……
(クリス、二重死)
- 212 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/10(土) 02:41:20
- >>178 >>185 蓮子 ミスティア 〜もう、歌しか聞こえない〜
言うだけあって、蓮子はなかなかにタフだった。
走り始めて大分経つが、息が少し速くなってるだけで大して速度は落ちない。
まあ、私も足元に注意して全力疾走してないから、というのもあるけど。
「―――ん?」
と、少し違和感を感じた。
深い夜の森の闇。ずっと走ってきた風景。
その闇が、深みを増している。
―――まさか!?
慌てて頭上を見上げた。
見よ、煌々と照る月があんなにも弱々しい。北極星も無明の闇へと消えた。
そして、聞こえるのは、歌。
凛と澄み渡る、しかし妖しき歌声。
「やばい、歌が来た!?」
慌てて足を止める。ついで止まりきれなかった蓮子を受け止める。
間違いない。夜雀の歌だ。聞くものの五感を奪い去る美しくもおぞましい呪詛だ。
妖力にはそれなりの耐性がある私でもすでにこれだ。おそらく蓮子は近いうちに、いや
すでに視界を失っているかもしれない。とすれば、もはやまともに歩くのは難しいだろう。
とすれば、まだ少しは見えている私が抱えていくことになるのだが、その場合下手をす
れば追いつかれる。耳をふさぐにしても、そんな状態で襲われたら手も足も出ない。
対処としては大元を焼き鳥にするか、効果範囲の外に出るか、だが―――
同時に膨れ上がる妖気を感じる。夜雀とはおそらく違うもの。
とすれば、こんな視界で戦うのは酷く危険だ。
―――どうする?
自問。焦りをねじ伏せて、思考が真っ白に焼けるまで考える。
「―――夜雀に一撃食らわせて、歌が途切れた隙に一気に逃げるか。
……蓮子、耳ふさいどいて。そうすれば少しはマシになるから」
判断して、蓮子をかばうように立つ。両手には衝撃を起こす符と燃焼を起こす符。
それを束のままで五つ、手の中に。
そして、後の先を取るべく、この闇の帳を下ろした張本人を、残る感覚全てを研いで、待つ。
(B-1 →A-1 へと移動中、夜盲。迎撃準備完了)
- 213 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/10(土) 02:43:13
- >>191
力場思念の手で男の手を掴み、牽制したまま、銀髪の彼女に歩み寄る。
表情にはありありと思考と困惑の色。やすやすとは従うまい。
やれやれ、仕方ない。
強引なのは趣味じゃないけど、この際視経侵攻()で一気に――そう思った、矢先。
>>181
「………っ!!?」
突如彼女に向けて真っ逆様に、稲光が閃く。
普段なら何でもなく対処できるはずだったのだが――
至近距離で、しかも視経侵攻の為に目を見開いていたのがまずかった。
「チッ、しまった……!」
雷という名の目くらましによって、視界を奪われ反応が遅れる。
視力が回復する頃には、彼女は既に灯台の中に駆け込むところだった。
「あーあ、逃げられたか……やっぱりゴリ押しだけというのも考え物だね。
さて……」
力場思念で掴み続けていた男のほうに振り向き――そこで驚くべき光景が目に飛び込む。
めきめき、みちみち。
ぶちぶち、べきべき。
まず意識に入ってきたのは、そんな音。
肉がちぎれ、
皮が裂け、
骨が割れ、
血がしぶき―――
そして、ボン! という音とともに。
男の腕が半ばから爆ぜ、引きちぎれる。
爆発の根元は私の力場思念が掴んでいた場所だ。
「なら……まずはキミを頂いてからでいいのかな」
そのあまりにも――吸血鬼()の常識からしても――常識外れな光景に、私が唖然としている最中。
逃げ出したお姫様の思念が、私の脳裏にやってくる。
“――ところで………私を口説こうって言うのなら、まず名乗って頂けませんか?”
“――名前も知らない方に、私の血はあげられませんし。
それに、お二方とも………朝は私より苦手ですよね?”
ここまで来て、自己紹介を忘れていたことに気付かされる。
そういえば共闘している間にも、目の前の彼にも、思念の先の彼女にも、名乗ってなんかいなかった。
少しでも友好的な関係を気付くには、自己紹介は不可欠だというのに。 私としたことが失敗失敗。
「頂く……? これはこれはお戯れを。
私はただ、君のダンスの誘いを聞いていただけさ。それにその物言い、主客が逆になってやしないかな?」
心中で舌を出す間にも、腕を砕いた青年は私に近づく。
「失礼したね、レディ。確かに声をかけた以上、きちんと最後まで踊らねば、な」
そして殺気やら闘志やら怒りやらといった凶々しい念を、
優雅さで完全に糊塗し尽くした見事な礼で、高らかに名乗りを上げる。
「私はアドルフ、アドルフ・ヒトラーという。よしなに」
恐怖とも歓喜とも闘争心ともつかない、
あるいはそれらが渾然一体となった武者震いという奴を体感しつつ。
その威風堂々たる暴君の名乗りに、私も黙ってはいられなかった。
「……これはしたり。
よもやあのナチスドイツの偉大なる総統殿と、ここにてお目通りが叶おうとは!」
こうなるともう止まらない。私の悪い癖だが知ったことか。
こちらも最大限に芝居がかった、時代がかった大仰なそぶりで、朗々と声を張り上げる。
目の前の、若く美しき覇王に。 塔の中の、白く可憐な姫君に。
「かの覇王殿の腕一本を使った剛毅な名刺、頂けた事は光栄の極み!
なればこちらも名乗るのが礼儀というもの。
御機嫌よう、アドルフ・ヒトラー! かの大戦の英雄にして、暴威を振るった一代の覇王。
手前はカサンドラ・ジル・ウォーロック。
『魔女モーガン』の血統にして、九龍()王の庇護を受けし者。
恐れながら魔導士の端くれとして、龍王の域に至った御身に、畏敬と感嘆とこんちくしょうを申し上げるっ。
こちらから引きとめた手前、大変なご苦労をおかけしたようだが――やはり獲物は共通()と見える。
それともあの姫よりも、私との舞踏をご所望ですかなっ」
ハイになった頭で、気勢に対抗すると同時に交渉を仕掛ける。
焚きつけた手前、先方が大人しくするとも思えまいが――その時はその時だ。
“――あと………壁の花ってどういう意味ですか?”
“――その質問には、降りてきたら答えてあげるよ。ヒントは…『今は君がその状態』。
それより自己紹介、今度は君の番じゃないのかな?”
目の前に怒れる覇王を見据え。
脳裏に届くのんきな思念に受け答えしながら、私は伸びる己の牙を舐めた。
(現在位置:C-3、灯台エリア。 アドルフと対峙中)
- 214 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 02:43:50
- ……なんと表現すればいいのでしょう。
ほんの数秒の間に吹き荒れた、その一連の出来事を。
『全員伏せて耳塞げ!』
戦 車 が 跳 ぶ !!(>>201)
『氷龍…力を貸してください!』
龍 が 駆 け 上 る !!(>>206)
『俺の拳を持ってしても貫けんとはぁぁぁッ!!」
そ し て 大 自 爆 !!(208)
弱点の自爆スイッチを押してしまったのは、
どうやら黒装束のほうだったようです。
「とりあえずは……一安心ですか?」
騒いでいるだけというのも心苦しいものがありますが、
とにかく当面の危険は去った……のでしょうか。
(現在位置:A2 戦車の中)
- 215 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/10(土) 02:43:56
>>175>>196 ラインドウェル
意外だった。それなら、どんな物でも戒められると思っていた。
地球意思――神とも呼べる存在を戒め、封じる炎。
それが止められる――いや、消された。コイツは一体何のだと言うのだろうか。
人の形をしながらも、神よりも高次な物。
考えて馬鹿馬鹿しくなるが、その可能性も否定は出来まい。
呆然としたのは一瞬。間合いはそれなりに離れていた筈だ。
それこそ、一足飛びとは行かないであろう距離。
だがそれは、一瞬の内に零となっていた。
どんな魔法か知りもしないが、起こった事は起こった事。
そして、顔を掴み上げられる。
如何見ても俺よりも体格は良くない。背丈は同じでも、肉の付き方が違う。
それなのに、何故吊上げられなければならない。
「グハァ…」
顔に『何か』が張り付いていくような感覚。
物理的な打撃よりも、精神的にやられてしまいそうな程、濃い瘴気。
今回は早く戻れたが、コレに当てられては二度と戻れないかもしれない。
その前に、頭が消失しそうな気もするが。
垂れ下がった右手を振り上げ、顎を打ち抜く。
脳が揺れれば戒めは解ける。事実、解けた。
転がるようにして間合いを離し、牽制に炎散らし、また間合いを開ける。
現状では持てる武器も無い。打開策を捜すしかないだろう。
幸い倉庫ばかりが立ち並んでいたような場所だ。
何処かに、『アレ』がある筈だ。効かぬまでも奇襲にはなるだろう。
それまでは、非常に不満だが、逃げるしかあるまい。
(A-2 倉庫跡 『何か』を捜す)
- 216 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 02:45:37
- >>200 グリニデ
「『おまえ』だとォォォォォォォォッ!?」
一体何が気に障ったのか。
先ほどからとうに怒り狂っていたと、そう夜雀は考えていた。良い狂いっぷりに
笑いが止まらなかった。
振り回される腕も、飛ばしてきた矢もどうせ当たりはしない。夜雀の歌は視界を奪い、
判断を低下させる。生来の能力故に夜でさえあれば、いくら行使したところで負担すらない。
それが一瞬で逆転した。
「ちょっ、え?!」
見当違いに振り回されていた拳が、突然迷いを捨て正鵠を射たのだ。当たるまいと高を
くくっていた豪腕が、夜雀をボールのように跳ね飛ばす。
自らが飛ぶ速度を上回って飛び、木に叩き付けられる直前でようやく止まる。息をつこうにも、
視界がぐるぐると回りおぼつかない。叩き付けられ羽を折らずに済んだのは良いが、状況は、
とても悪い。
怒りの雄叫びを上げながら、魔人はすぐさま追ってくる。
間違いなく見えているのだ。夜は見えない、夜雀の姿が。
「嘘でしょ……。っとー、んな場合じゃないや。目よ、あいつの目を狙って! ついでに関節もね!」
使い魔に指示を飛ばし、距離を置こうと飛び始める。屈辱だった。
「夜雀がガチで目つぶしするハメになるなんて〜。むきー!」
怒りで何も聞こえない、を本当に実践する者が居るとは。
(現在位置:B-1をふらふらと戦術的に後退中。戦闘継続)
- 217 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 02:48:02
- >>197 セラス&ヘリ
狙撃のプラットホームとしてのヘリの欠点は、もちろん、
死ぬほど揺れることだが、もうひとつ致命的なものがある。
音がうるさいのだ。
雨粒がなだれるようなバラバラという音を聞いていなければ、
その弾丸は俺の心臓を抉っていたろう。
――いや、この口径なら肉片と化して、崖下に落ちていてもおかしくはない。
至近を通過した弾丸が皮膚を裂いて血を噴出させる。
血の霧を跡に、俺は走り出している。
ヘリに届くような武器なんざ、ひとつもない。
俺にできるのは、逃げることだけだ。
ブーツのそこで大地を抉りたて、ランダムなステップで、全速力で走る。
またも弾丸が飛来し、左手首に直撃して、その先を消し飛ばした。
俺の左手は今日は三度も挽肉だ。そのたびに再生するのだからまったくご苦労なことだ。
行く手に森が見えた。
逃げ込むにはもってこいだ。
(C-1→B-1 ヘリに追われて森の入り口)
- 218 名前:Reiot Steighnberg ◆LOSJACkEtA :2005/09/10(土) 02:50:14
- >>198
腕部装甲に内蔵された簡易魔力計の針が、狂ったように震え始める――
だが、なにが起こっているかは一目瞭然だ。何しろ目の前には、下半身を獣に変えて疾駆
する、人間のような何かが居るのだから。
その腕が一閃する――驚かない、。何かをしてくるのは分かり切っている。
足下に転がっている、重火器のような機械を慣れた仕草で持ち上げて、最後部に取り付け
られた操桿を引いた。
――無音詠唱。
基礎給戦術魔法、一回分の魔力が活性化――
そして。物理法則への宣戦を布告すべく、すべてを切り裂くような気合いを込めて、撃発
音声を”詠唱”した。
「顕っ!」
瞬間、構えた重火器のような機械――スタッフの先端を中心として、ほぼ不可視の力場の
壁が展開する。<ディフィレイド>と名付けられた”魔法”は、その名の通り、こちらへと射出さ
れた何かを、受け止め、そして完全に拡散させた。
ふう、とため息をつく。
胸元からはじけ飛んだ拘束度端子が、ころころと足下で踊っていた。
(B-3 居住区跡)
- 219 名前:小笠原祥子:2005/09/10(土) 02:50:55
- >>183>>194>>204
何だか、すぐに避難できないらしい。
それは構わない。いえ、構わなくはないけれど、もっと急を要する事がある。
「支倉令、というんです」
友人の説明を求められ、私はそういった。
「年は私と同じくらいで。髪は短くて――背がすらりとしていて」
男装の麗人などといわれる位、ボーイッシュな、などという情報はつけくわえなくてもいい
だろう。
何時もなら少し可笑しくなってしまったろうが、今は流石にそれどころではない。
令にもしもの事があったら――そう考えるだけで心が冷える。
なおも言葉を続けようとして、ふっと口を閉じる。
――空耳? いや、そうではない
遠くから、違う。段々近づいて来る。この声、私の名前を呼ぶ声は。
「……令!」
肩に乗っていた重石が、ふっと外れたような安堵で心が一杯になる。親友が呼ぶ声に叫び返
し、私は思わず駆け出していた。
ダンザイバーさまを置いてきぼりにして。
(現在位置 B-1 森)
- 220 名前:◆BECoOlA3c2 :2005/09/10(土) 02:56:06
- >>200
――――みしり。
崩壊の音は、何時しか地鳴りへと高まり。
怖気を振るう音色の音源たる『深緑の智将』グリニデは、すでに違っていた()。
全身を包んでいたマントは留め金が弾け、ズタズタに千切れ原型を留めてはいなかった。
その自慢の深緑の姿は、乾いた大地のように罅割れ見る影を残してはいない。
そして、外皮の隙間から覗くのは――――血のように紅い、筋肉。
>>216
そして、極度の怒りによって本質を覚醒させた彼の拳は。
>「ちょっ、え?!」
―――軽量な雀である、ミスティア・ローレライを軽々と弾き飛ばした。
「……チィッ!」
舌打ちするグリニデ。
理性的・知性的な自身を誇っていた筈の彼はどこにも居ない。
隆起し続ける筋肉は、既に外皮の40%を破壊し上半身を変えていく。
大樹の如き皺を刻んだ老賢者のような外見から、森の王者・ヘラクレスオオカブトを思わせる
角と外骨格をもつ甲虫に似た姿へと。
「……フゥゥゥゥゥッ、グァアアアアアアアアッ!!」
- 221 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/10(土) 02:56:56
- >>203
「動くんじゃないよっ!」
身を折って全力で胃の中を空にしていた上条の背に、雷光の如く掛けられる凛とした声。
はっと顔を上げてから上条の目に飛び込んだ光景の展開は、その声と同じく正に雷光だった。
上条の背を飛び越えて、視界に登場した人影。
その影はそのまま跳躍の勢いを殺すことなく上条の直ぐ傍まで迫っていた首無しの腐乱死体(の上に降り立ち、
手に持つ獲物を勢いよく突き立てた。
同時に人影が発した声は、上条には意味の分からない単語の羅列。
恐らくは何らかの力を持った呪文だったのだろう。その言葉と同時に獲物を突き立てられたゾンビが炎上する。
「……大丈夫かい? 坊や」
先程までの凛々しい声とはうって変わった、上条に対する気遣いの声。
ここで上条は、視線を上げて初めて人影の全体像を確認できた。
緑色の長い髪をさらさらと風になびかせ、凛と立つ……女性だ。
年齢は上条より年上に見えるが、どこか年齢を超越した部分での幼さを感じさせる顔立ち。
服装はおよそ、上条が二次元の世界でしか見たことの無いような奇特な格好をしている。……こすぷれですか?
はっきり言って通常の状況であれば怪しさ大爆発、あまりお近づきにはなりたくないタイプの女性ではあった。
しかし、今は普通の状況ではない上に、彼女の行動は少なくとも完全に上条を助ける目的であったのは
たった今目の当たりにした通りである。
信用する、しない以前に、ここは人として礼を言わなければなるまい。
そう思った上条は、震える足を懸命に抑えつつ、よろよろと立ち上がり、
「あ―――ああ。大丈夫。なんとか。
ええと――――――助けてくれて、ありがとう」
そう言って上条は、何とはなしに右手を差し出していた。
- 222 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/10(土) 02:59:12
- >>212 妹紅
(>>185 ミスティア)
走る、走る、走る!
目の前には妹紅がいる、一緒に走ってれば大丈夫。
今ならもう、ちょっとやそっと何が来たって全部振り払って……
あ、あれ?
なんか妹紅の姿が見えにくくなってきたような。
やっぱ疲れでも溜まってんのかしら、目が霞むなんて。
いや、霞んでるというより見えなく……え、え!?
>「やばい、歌が来た!?」
妹紅の声が聞こえる。
すぐ近くにいるはずだ、なのに見えにくい。
どうしたってのよ私の目は。こんな夢の中みたいな事は……
夢?
……しまった! そうよ、なんで忘れてたのよ。
ここは現実にあって現実にあらず。妖怪だっていて当たり前。
こんな目にあったって、不思議じゃない!
自然、ふらふらと当てもなくなっていた足を止める。
くそ、一体これでどうしろって……
>「―――夜雀に一撃食らわせて、歌が途切れた隙に一気に逃げるか。
> ……蓮子、耳ふさいどいて。そうすれば少しはマシになるから」
妹紅の声が聞こえた。
そっか、向こうが向こうなら彼女だって向こうの人。私よりかは慣れてる、か。
「ん」と一声返事して、耳をふさぐ。
そして、見えもしない目を研ぎ澄まして辺りをうかがう。
……動きがあったら、あとは妹紅に従うまでだ。
B-1→A-1 移動中にアクシデント
- 223 名前:ファントム&グリフォン(M):2005/09/10(土) 02:59:11
- ・ファントム
>>158
喉笛を存分に掻き切る筈だった。
デカブツは小気味いい悲鳴を上げる筈だった。
肢の鉤爪を突き立て抉る、内側はマグマの熱で駄目押しする。
肉の焼ける匂い。
ゴミが上げる苦痛の叫び。
噴水のように噴き出される真っ赤な血。
だが、それら溜飲を下げるべき要素の全ては全身を巡る衝撃で台無しだ。
溶岩の体液が所々で逆流している。
隙間から毀れるのは
複眼からドロドロとしたものが駄々漏れている。
目を回すなど初めての経験ではないか?
嗤い声が出てくる。
何故だ、なんで笑う。
なんでここまで乾いた笑いが毀れてくる。
マグマの血と一緒に口からごぼごぼと、ごぼごぼと。
『やるじゃねえか、だがガキの遊びはもう止めだ――――』
―――冷静だ。
挟まれたまま牙を突き立てる。
―――俺は冷静だ。
地表より噴き出させるファントムの業火、
―――今の俺は冷静だ。
本来は地中に放ち、地脈を利用して吹き上がらせる業だ。
―――そうとも、
ではそれを地面ではなく、生物の体の中に撃ち放ったらどうなるか?
『――貴様を確実に殺し尽くすくれえにな!!
骨まで溶ける灼熱が全身を駆け巡る気分はどうだ、“貴様”!!』
よろめくよろめかないは関係ない。
相手のザマなんぞ知ったことか。
何をしようが何で苦しんでようが知ったことじゃない。
開けられた顎(あぎと)から、
背の隙間から、
膨大な熱量の軍団が解放される。
『貴様が何しようが関係ねえ―――
殺りたい放題殺ってやる!』
切り札、奥の手、何だろうと全開放。
背の隙間と口から吐く灼熱の砲弾は既に弾幕。
恒星じみた熱量は敵味方の区別なく一帯を焼き払い続ける。
正に数多の予言にある断罪の焔、破壊の厄災そのものだ。
揺るぎない破壊の意志、何も残さぬという狂気を越えた執念がそこにある。
・グリフォン
>>189
一方のグリフォンに一切の遊びはない。
その鷹の目は唯々戦況を見通し、高い知能は必勝の戦術を構築する。
只管に、かつ純然に。
目前の標的を排除し、主の命どおりに計画を推し進めるのみである。
あの巨人はファントムに任せておく。
奴なら、巨大なれど人間に後れを取ることはない。
獲物に対する執念があれば尚の事。
それよりも目下、優先すべきは死者を使役するあの男。
ファントムは油断したがこの輩、
あの緻密に構築された術式、何より人のそれとは思えぬ強大な魔力。
現時点で最も警戒すべき相手であり、かつ一番に葬るべき手練であると。
―――見るにこちらの攻めは効いている。ならば、好機。
判断を下したグリフォンの戦術行動は正確にして早い。
手始めに行ったのは羽ばたき。
風精の使役まで行い突風で前進を阻む。
次に放ったのは雷球であった。しかし只の、ではない。
二つで一対、その間を電撃のロープが繋いでいる。
それが間隔を置いて―――時間差攻撃も兼ねたものが、占めて12。
縦横に広がる様はもはや電撃のカーテン、いや網に等しい。
そして駄目押しに―――
『下等か上等など如何でもよい―――――死ね』
あらん限りの紫電を纏い、自身の巨躯で急降下。
爪先には一層の雷電を集中、より必殺の業としての精度を増す。
出来るだけ逃げ道を断っての全力吶喊。
迎撃の砲火に晒されても怯むことはない。
我は駒、主たる魔帝ムンドゥスの為に敵を討つ“爪”である。
負荷と損傷で翼が折れて焼け落ちる。
問題はない。それでこの敵を始末できれば安い代価だ。
凍えんばかりの冷笑を浮かべ、魔獣グリフォンは一条の凶器と化した。
- 224 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 03:01:02
- >>168 vsアレックス
気づかない内に、1つ、飲み込んだ様だ。
行儀が悪いと思う。
だって、いただきます、ご馳走様も言わなかったのだから。
>>31 >>45 >>53 >>69 >>86 >>113 >>139 >>151 >>173 vs黒桐鮮花
ざあざあと波が打ち寄せた後に開いた穴から月が顔を覗かせました。
月の光を浴びながら、陸に打ち上げられたところどころ紅く染まった魚が一言ぼそり。
『――兄さんはお元気かしら?』
しんと紅い海が静まり返りました。
ただ蒼い空の月だけが平静を保ち
、対し紅い海の海月はゆらりと揺れたのです。
『―――――――でも、それでも兄さんは……「ただの人」なのよ。
化け物とか、幽霊とか魔術師とかと一緒にいるべき人じゃない。
兄さんは、それでも「こちら側」の人間だから、人間以外とは一緒にいられないのよ』
海月はふらふらと揺れています。
波も無いのに、風も無いのに、ゆらりゆらりと。
海月に表情はありません。
『化け物のわたし(あなた)は、一緒にいられるのかしら?』
………………
………
そこではじめて、くすりと笑い声がして、海月は答えました。
「今、此処に兄さんは居ませんよ。
……確かにずっと考えてました、欲しい欲しいって。
それがいけない事、禁忌と分かってはいましたよ」
―――――――でも
「禁忌を乗り越えてしまったら、貴方はどうなりますか?
何で、自分を抑えるんですか?
誰よりも欲しいと思っているんでしょう。
何も出来ず、やらず、見ているだけ……それでは何も変わらない。
変える為には、ほら、禁忌なんて破ってしまえばいいんです。
ただ、貴方は怖いだけでしょう、こうやって泳いでいくのが」
そう言って、再び紅い海がうねり始めました。
限りなく遠く、限りなく近い異物を飲み込むべく、うようよと。
(現在地A−3港の詰め合い所らしき建物、黒桐鮮花と戦闘中)
- 225 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/10(土) 03:02:08
- >>210
私の剣で引き裂かれ、タオの火炎で焼かれてもなお、少女は立っていた。
「なんてしつこい奴……!!」
構えたままの姿勢で、タオが呟く。
「それほどまでに……この世に未練があるのですか、不死者よ」
そう言いながら、懐に手を差し入れる。
「ですが、理解しなさい。死ねば、全てが終わりなのです。未練も、後悔も」
手に触れた“それ”を掴む。
「……タオ、離れなさい!」
叫ぶと同時に懐に差し入れていた手を空に掲げる。私の手には、拳大の水晶球。
「雷獣ガルバルスよ! 汝、我に仇なす者を切り裂く刃となれ!」
雷獣ガルバルスの力を封じた水晶球が弾け、天空からの稲妻が刃となり、少女目掛けて降り注いだ。
(現在地:B-3居住区跡、羽少女と交戦中)
- 226 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/10(土) 03:03:52
- ―――島の全域に轟くほどに、吼え猛る魔人()の名は。
『血塗られた獣()』グリニデ。
暴力的、という言葉を超える暴力の具現。
本能のままに抗う者を叩き潰し、何者をも蹴り壊し、目に映る物全てを引き千切る。
――――まさしく、魔人の魔人たる姿。
「……ふざけやがって」
オレは、唾棄する様に吐き捨てると、奴が逃げていく方向に走り出す。
「オレをまたこの姿に戻しやがってェェェェェッ!!
覚悟は出来てるんだろうなァァッ!?」
群がる小さなナマモノが何かしようとしているが―――。
「フン!」
冥力を操作して、更なる筋肉強化。
隆起した筋肉は目以外の箇所を覆い攻撃を無力化する。
そして、目を狙った使い魔は――――
「……骨ばかりだな、えぇ? 取るにたらねえ小鳥はよォ」
咀嚼音が森に響いた。
(現在位置:B-1 ミスティア・ローレライを追跡中)
- 227 名前:ダン・スミス ◆jcr2KGh37s :2005/09/10(土) 03:08:20
- >198
「生憎と、私自身が医者でね……」
タチバナは静かに、しかし憎悪を含んだ声でダンに言ったが、
ダンはその笑みを崩さない。
「クッ クッ クッ ク アタマにヤブなんてつかねェだろうなァ?」
「見たところお前、もう先は長くないよ。」
「オイオイ困ったねェ、ンじゃあ、今のうちに世界一周旅行にでも・・・・イヤ、借金して
高級レストランで馬鹿食いする方が・・・・・・」
余裕の表情を浮かべているダンだったが
タチバナが下半身を狂犬、いや兇犬に変え、
毒を吐くとダンはその表情から笑みを消し、言いかけていた台詞を止め、冷酷な殺し屋の表情に戻った。
「SHIT・・・・・・・」
ダンは自分の咽笛に襲い掛かる凶牙を自分のリボルバーで受け止め、兇犬に愛銃を捧げた―――
かに見えたが、兇犬の牙が銃を噛み砕く寸前、狂犬は静聴に耐えない音と共に、
脳漿と骨片を撒き散らし、絶命した。その巨体が宙に舞う。
ダンの能力、「弾丸操作」の成した業であった。
「・・・・・・ッつ、あーあ・・・・なんて事してくれるんだよ、兄さん」
ダンに怒りの表情は見られず、
花瓶の水をこぼしてしまった子供のような、面倒くさいといった表情であった。
ダンが、スーツから別の拳銃を取り出す。
「こいつはブッシュマスター、頼りになるが、ちょっと値がいいオンナだ」
「それにつけても兄さんよぉ・・・・・・・」
ダンの表情がみるみる変わっていく
- 228 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 03:10:01
- >>217 ビリー・ロン
「―――当たらない。どうしてっ」
次弾を装填しながらも、焦燥に駆られるセラス。
吸血鬼とはすばしっこいものだ。それは彼女の経験をもって、十分に学んでいる。
だが、まさか自分の、ハルコンネンの狙撃をこうも容易く避けてみせるなんて―――
「嬢ちゃん、落ち着け。何も武器はそれだけじゃねぇんだ」
とベルナドット。副操縦士をどやしつけながら、機体を操る。
「このガンシップ・ヘリなら、狙撃は無理にしても、連装30mm機関砲の乱射でまぐれ
当たりを期待するコトならできる。一発でも当たればミンチだ」
だが、ベルナドットは射撃トリガーに指をかけると同時に、「ファック」と短く呻いた。
「森だ」
姿を隠す気なのか。
「対戦車ミサイルばらまいて、燻り出すか」
「だ、駄目デスよっ。森の中には、他の人がいる可能性があるんデスから―――」
「なら、どうする。こんな図体のでかいヘリじゃ、とても森林を追撃なんてできねぇぞ。
くそっ(Shit)。ナパーム一発あれば、それで済むのによ……!」
考えている暇はない。
「ベルナドットさんの案でいきましょう」
「あぁ?」
「但し、ミサイル役はわたしがやります」
燻りだし―――セラスがあのロング・ファングを森の外まで誘き寄せて、ハインドの
重武装で決着をつける。
「無茶言うな。せっかくの高所の利点を捨てる気か。
大体、あのロング・ファングと嬢ちゃんがサシでなんて……それこそ無茶だ」
「やれます―――やってみせます!」
言うが早いが、セラスは愛用のライフルを抱えると、ハインドから軽やかに飛び降りた。
「馬鹿―――」
慌てて地上に目を遣るベルナドット。既にセラスは着地して、追撃を開始していた。
「ちくしょう……旋回だ。嬢ちゃんの命と老いぼれ吸血鬼の首じゃ、割があわねえ。何と
してでも仕留めてみせるぞ」
(B-1 セラス、ビリーを追って森に侵入。ハインドは空中を停滞)
- 229 名前:ダン・スミス ◆jcr2KGh37s :2005/09/10(土) 03:11:33
- ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■ ■■
■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■ ■■■
ζ ζ ζ ζ ζ ζ ζ ζ
│ │ │ │ │ │ │ │
ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ ノ
/ / / / / / / /
∫ / / / / / / / /
∬,,/ / / / / / / /
∫ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ ∬
∫ / :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: \ ∫
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ┃┃ \
/ (○):::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(○) ━┛┗━ │
| ::::::::::::::::::::::: ━┓┏━ |
| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ ┃┃ |
│ /________ |
│ い |
\ \_______ノ ┛┗ ノ
\ ┓┏ /
\ /
| ,,′∫∫
∬ |\ / \ ∬
/ \ / \ ∫
/ \ / \
\
――――――安楽死が必要なんじゃねえのか?あ?
- 230 名前:支倉令:2005/09/10(土) 03:14:09
- >219
走る。
躓く事も無ければ、枝葉に体を打たれる事も無く。
「良く見える」夜の森を、ひたすらに走る。
親友の名を呼びながら。
『……令!』
聞こえた――私を呼ぶ、祥子の声。
思いの外近い所に、その姿も見えた。
「――――祥子!」
近づいてくる彼女の名を叫びながら、短い距離を詰める。
少なくとも、動ける程度には無事らしい。
祈りの言葉なんて出てこなかったけれど……良かった、と心の底から思った。
「とっ……危ない!
……祥子、無事で良かった……」
足を取られてバランスを崩した体を受け止めるように抱きしめ、
私はかけがえの無い友人との再会を果たした。
現在地:B-1森、祥子と合流
- 231 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 03:18:47
- >>212 妹紅
>>220 グリニデ
>>222 蓮子
「効いてるかな〜、効いて無さそうな気がするな〜……。何あのカブトムシ。蛍にでも
こき使われてなさいよ」
歌の維持に意味があるのか疑問が生じていたが、突然効き出すこともあるかも知れない。
グリニデの四方八方から使い魔が撃ってはいるが、ひるむ様子もない。最早、夜雀しか見え
ていないかのようだ。
>「やばい、歌が来た!?」
どこかで聞いたような声がした。
目をこらせば、はっきりと判る。人間としてはかなり目立つ容貌もしているし、見間違う
はずはない。
ただ、こちらからは見えても、まだ向こうからは見えていないはずだ。状況から夜雀の存在
は感知しているのだろうが。
しかし何より。
何と人間連れ。しかも若い女。そしてここは外。
「あらこんな所に人肉が〜♪、って時でもないや。適当に押しつけちゃおうかな〜」
せっかくのヒトを攫うか、逃げるか、それとも?
(現在位置B-1 後方に向かって前進中。ニンゲン発見?)
- 232 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/10(土) 03:20:50
- >>224
『禁忌を乗り越えてしまったら、貴方はどうなりますか?
何で、自分を抑えるんですか?
誰よりも欲しいと思っているんでしょう。
何も出来ず、やらず、見ているだけ……それでは何も変わらない。
変える為には、ほら、禁忌なんて破ってしまえばいいんです。
ただ、貴方は怖いだけでしょう、こうやって泳いでいくのが』
「――そうね」
返答は、自分でも驚くほど穏やかだった。
あまりにそれは、わたしのそれと酷似していたから。
ああ、それも当然か。
――彼女は、わたしなのだから。
「一人ぼっちになると判っていても、わたしは破りたかった。
式がいる世界をただ覗いているだけの傍観者は嫌だった。
けれど、その先に一歩踏み出す勇気が無くて、立ちすくんでいるだけだった。
わたしは結局、窓から恐る恐る覗きこんでいるだけの傍観者」
言葉に意味は無い、自分でもわからない。
けれど、やるべき事はわかっている。
身体を起こす――腹に開いた穴からぼたりぼたりと落ちた。
血とか、その他いろいろなものが。
「今のわたしは幹也を失ってもいいと思っている。
それでもわたしは、式と同じ場所に立ちたい。
それが……逸脱と禁忌が、わたしの根源だから。
だから――」
動く片足に力をこめる。
簡単なことだ。
火をつけるのに魔術はいらない、ただマッチがあればいいだけ。
同じように、人を殺すのに魔術は要らない、ただ身体があればいいだけ。
「――わたしは、あなたを殺します」
片足をバネに、わたしは目の前のわたしめがけて跳躍する。
見たところ、まるで深窓の令嬢のように身体を動かしていない、彼女は。
だから、彼女を殺すのは簡単。
彼女の首に手をかけて、そのまま握りつぶしてやればいいだけなのだから。
(現在地A−3港、建物:遠野秋葉と戦闘中)
- 233 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/10(土) 03:23:26
- >>152>>172>>203
>>209>>218
と、いきなり強い魔力を感じて、周囲を見回す。
「……あれは?」
見えたのは、なんと言えばいいのか……
一番妥当なのは、古い騎士の甲冑。ただし、所々違う部分はあるが。
それは長細い……なにかでかい柱のようなものを抱えている。
その甲冑姿の誰かから、強い魔力が発せられているのだ。
……あれは魔法使いなのだろうか? そのようには見えないんだけど。
>>221
>「あ―――ああ。大丈夫。なんとか。
>ええと――――――助けてくれて、ありがとう」
と、傍らで座っていた少年が立ち上がり、そんな事を言った。
「いやいや、気にする事なんて無いよ」
そう言って手を振り、からからと笑って見せた。こうした方が安心するだろう。
近づいてよく見てみると、やっぱりこの場にはそぐわない少年だった。
服装は外界の人間が最近着ているようなこざっぱりした服だ。
髪型がボサボサなのと、目つきがとんがってるのが特徴といえば特徴だろうか?
>そう言って上条は、何とはなしに右手を差し出していた。
「おやおや、ご丁寧にどうも……っ!?」
差し出された手を取ろうとして伸ばした手を、そのまま後ろへ振り切る。
「はぁっ!!」
再び生まれ出る光星。手元から離れた星は即座に『ソレ』に着弾する。
……振り向くのと、背後に近づいていた死体が倒れるのは同時だった。
何時の間に這い寄ってきたのか、結構な数の死体がこっちへ向かってきている。
「……やれやれ、悪いけど挨拶は後にした方が良さそうだね」
下がってなと手で示し、一歩前へ出て……槍を構えた。
「近接戦闘は久しぶりだね……だが、遅れは取らないよっ!!」
裂帛の声と共に、死者の一段の中へと踊りこんだ。
……魔法ばかりが私だと思わないことだね、半腐れ供。
(現在地 B-3 上条を庇い死者のご一行と戦闘開始)
- 234 名前:羽つきリュックを背負った少女 ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/10(土) 03:28:43
- >>225 タバサwithタオ
目はもう見えない。
だって、食べられちゃったから。
耳はもう聞こえない。
だって、なくなっちゃったから。
肌触りはもう感じない。
だって、燃やされちゃったから。
手も足も、もう動かない。
だって、斬られちゃったから。
――君に嫌われちゃったボクは、もうこの世から消える。
意地悪な神様は、最後までボクの願いを聞いてはくれなかったけど
それでもボクは神様にお礼を言いたいんだ。
だって、――君に会うことができたんだもん。
――君との思い出を最後に死ねるだけで、ボクはもう充分さ。
ビリビリビリって、今度は全身を高圧電流が駆け抜けてく。
ごめんね、――君。
ボク、キミがここまでボクを嫌っているって気づけなかった。
こうしてキミの手で殺されるのは、きっとその報いなんだよね。
でも、うれしいよ。
キミの手にかかって消えていけるんだ。ボクは今、最高に幸せ。
じゃ、そろそろお別れだね。
さよなら、――君……
雷撃に撃たれ、全身が煙を噴く黒いモノと化した少女は
タバサの方に手を伸ばそうとして……
……そしてそのまま崩折れて動かなくなった。
……のは傍目のことにすぎない。
完全に灼き尽くされ、五感の悉くを失ってもなお、少女の意識は肉体にとどまっていたのだから。
無限の闇の中で彼女は待つ。
いつか、――君が助けに来てくれるその日がやってくることを。
おしまい?
- 235 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 03:29:56
- >>228 セラス
どうやらヘリは撒いた……が。
少しもいかないうちに、厄介な追跡者がついたことに俺は気づいた。
うなじの毛が逆立つような感覚は、さっきの射手か。
ヒトではあるまい。
ひょいと木の枝に飛び乗り、気配を絶った。
これで誤魔化せるかは微妙なところだ。
だが、まあ――殴り合いなら、こっちは年季だけは入っている。
取っ組み合いまでもっていってしまえば、なんとかなるだろう。
樹上で凝固し、木々の気配に己を紛れ込ませて、獲物を待つ。
――――来た。
俺が凝固をとくと同時に、相手も俺に気づいた。
俺はもう、飛び降りている。
ナイフを抜き、相手の頭上から襲い掛かった。
(B-1 森 待ち伏せ→遭遇)
- 236 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/10(土) 03:30:17
- 灯台には誰もいないことを確認して。逃げる、逃げる。まるで因幡の白兎。
鱶の上をゆけ、鰐の顎のその上を羽のように跳ね回れ!
後ろで 何カ ガ 爆ゼル 音 。 ドコカデ 聞コエル 蒼イ 声 。
場の軋むようにひりついた唸り、空気の音は依然として冷たいままで。
ある程度逃げたところで、お二方が来ないとわかった私は灯台の窓から下を眺めた。
>>191
爆ぜていたのは、手。きっと同族ならばなんて事はないはずの傷。
あまりにも、単純明快でそれでいて気づかない思考の狭間。コロンブスの卵。
そんな偉人的な発想に息を呑んだ。あ、この方。IQサ○リとか、島田○定とか得意かも。
自分のそんな発想に、私は。どうしても日常在住の眷族なんだって。改めて思っていた。
例え、私に課せられた『運命』が『死』と言う報われない結末でも。
『覚えておいて、友香。『死』と言うカードってね。
カードと意味が持ってるその絶大なイメージから、安易に捉えられがちだけど。
本来の意味は『死』意外にも在ってね?一時停止とか、物事の終わり、きっかけのなさとか。
ちなみに『終わり』って言うのは、同時に『始まり』も内包している物よ?
つまり『死』って、カードは『再生』を内包してる。じつはそんなに悪い結果でもないわ。
まあ、私の『悪い』占いは当たるから気を付けるに越したことはないけど。』
って。私が持っている『塔』のカードこそ、本来最悪なんだって。私の友達は笑ってた。
だから。こんな『運命』はねのけてやる。もう一度、私は在るべき日常に在るべき姿で帰還するって。
そんな誓いを胸に秘める………胸?………自滅でしょんぼり。
そうこう考えている間に、夜の主は朗々たる声で自らを名乗る。
『私はアドルフ、アドルフ・ヒトラーという。よしなに』
そんな………教科書の端でしか聞いたことのない独裁者の名前を口にした。
そうして、目の前に居る夜の主の姿を確認する。あれ………チョビ髭は?
目の前の若さ溢れる独裁者の姿に、私は目を白黒させていた。
>>213
『……これはしたり。
よもやあのナチスドイツの偉大なる総統殿と、ここにてお目通りが叶おうとは!』
ふむ。やはり、目の前に在すのは『あの』アドルフ・ヒトラーと言うことらしい。
社会の教師が口々に批判し、ある教師は彼を否定する社会を否定する。
21世紀の現在にしてなお、その存在を主張する独裁者アドルフ・ヒトラー。その人であると。
ただ、今持って人なのか、それとも同族なのか、はたまた別の何かなのかは想像も付かないが。
『かの覇王殿の腕一本を使った剛毅な名刺、頂けた事は光栄の極み!
なればこちらも名乗るのが礼儀というもの。
御機嫌よう、アドルフ・ヒトラー! かの大戦の英雄にして、暴威を振るった一代の覇王。
手前はカサンドラ・ジル・ウォーロック。
『魔女モーガン』の血統にして、九龍王の庇護を受けし者。
恐れながら魔導士の端くれとして、龍王の域に至った御身に、畏敬と感嘆とこんちくしょうを申し上げるっ。
こちらから引きとめた手前、大変なご苦労をおかけしたようだが――やはり獲物は共通と見える。
それともあの姫よりも、私との舞踏をご所望ですかなっ』
そんなことをお姉さんは意気揚々と名乗りを上げる。え〜っと、私いつの間にかお姫様に格上げ?
で、私は灯台の上。あ、このシチュエーション映画で見たことある………ぴ〜んち!
“――その質問には、降りてきたら答えてあげるよ。ヒントは…『今は君がその状態』。
それより自己紹介、今度は君の番じゃないのかな?”
そうして、カサンドラお姉さんは。私に自己紹介と。すばらしく狡い交渉を持ちかけた。
だから、私はこう答えるのだ。私は他の誰にも、染められはしないから。
「―――――はい。山城友香って、言います。年端もいかない未熟な眷族ですが。
もう少しは自分の血のままで在りたいと願う所存にて。だから、きっと。
―――――お二方のご希望には、添えないと思います。
私だって。どんなことをしてでも。逃げ切って見せますから♪
そうじゃないなら。私はお二方とも仲良く出来そう………だったんですけどね?」
って、塔の窓から。揚々とあま〜い考えを抱きながら。私も名乗りをあげてみる。
ちなみに、いつでも逃げおおせる準備はしておく。姫君はそう簡単に捕まらないのが。
スーパーマ○オのお約束ですから。
〈現在位置C-3:灯台エリアにて。お姫様は塔の上?〉
- 237 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 03:33:17
- >>31 >>45 >>53 >>69 >>86 >>113 >>139 >>151 >>173 >>224 >>232 vs黒桐鮮花
『それが……逸脱と禁忌が、わたしの根源だから。
だから――』
にこりと私は笑った。
次の彼女の言葉が分かったからだ。
『――わたしは、あなたを殺します』「それではいただきます」
魚が身を捩って、紅い海に向かって大きく跳ねました。
そんな魚をただ静かにじっと海月は見つめます。
……魚が水面に近づくにつれ、紅い波が一層大きく、濃くなりました。
ざわざわと波が魚を飲み込みます。
すると、どうでしょう。
波に飲まれた魚の手が、足がじゅうじゅうと消えていくではありませんか。
そして、残ったのは―――――――
(現在地A−3港の詰め合い所らしき建物、黒桐鮮花と戦闘中)
- 238 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/10(土) 03:42:42
- >>237
わたしの腕が、足が、溶けていく。
――いいえ、奪われていく。
残念だけれど……彼女を殺すことはできないらしい。
彼女は、わたしを殺すらしい。
「おめでとう。
わたしは結局超えられなかったけれど……あなたは超えたのね。
わたしにできなかったことを、あなたはできたのね。
おめでとう。
あなたはもう――わたしじゃない」
ああ、何も見えなくなってきた。
もう幹也に会えなくなる……それだけが口惜しい。
……いいえ、彼女もそう。
「あなたも、一人になってしまったのね。
もう、あなたの隣に兄さんはいないわ。
だって――」
化け物になった彼女と、彼女の「幹也」は一緒にいられない。
可笑しな話。
全く違ってしまったわたし達の、それがたった一つの共通点。
けれど、仕方ないわよね。
だって、今の彼女は――
「――あなた、とっても怖いんだもの」
(黒桐鮮花:死亡)
- 239 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 03:51:33
- >>235
木々の間を駆け抜け、道無き道を突き進む。
止まっているはずの心の蔵が高鳴っている錯覚を覚えた。
―――わたし、緊張している。
勝てるのかしら。マスター抜きで、あんな……。
ヘリのローター音、森の中からでも耳に届く。なるほど―――これが、セラスの狙撃が、
長牙の男へと届かなかった理由か。
当たらないワケだ。確かに、これは騒々しい。
しかし、いまはその音が心強かった。
ハインドの羽音。それは、味方がいてくれる証明だ。
一人じゃない。
ベルナドットさんがいてくれる。
なら、勝ち目だってはるはずだ。
セラスが、自信を僅かに取り戻した、その瞬間。
頭上に殺気―――
ロングホーンを構える余裕はない―――セラスはライフルをかなぐり捨てると、腰の
鞘から抗不死ナイフを抜き放った。国教騎士団の紋章が柄に刻み込まれた、純正品だ。
紙一重で、ミスリルの刃と刃が噛み合い火花を散らす。
刹那でも動作が遅れていれば、肩から心臓を抉られていた。
底冷えする恐怖を抑えつつ、セラスは相手の刃を弾く。
相手は吸血鬼狩りで名を馳せた男だ。対吸血鬼の格闘術では、技量の差がありすぎる。
ライフルを取り戻さねば。―――火力でならば、押し出せるはずだ。
そして、ハインドを。ベルナドットさんを。
「あぁぁ!」
刃が数回振り回し、ロング・ファングを牽制。距離が離れたのを見計らって、セラスは
ロングホーンに飛び付いた。
(森)
- 240 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/10(土) 04:01:08
- >>234
文字通り炭と化した少女――であった存在が、私の方へと手を伸ばしてきた。
「こいつ、まだ――!」
地を踏みしめる軸足に力を込めたタオを制止し、私はそれをじっと見つめる。
煤けた腕が、私の身体に触れる寸前で止まった。
「――死によって時を止めた者が、時を進める生者に適う筈もない。これは、当然の結果です。名も知らぬ少女よ」
片手で帽子の鍔を整えつつ、静かに呟いた。
「――ボクと、同い年くらいかな、この子……。何だか後味悪いね……」
構えをといたタオが、炭になった存在を見つめながら、言葉を漏らす。
「何故こうなったかは、容易に想像は付きますが……根本をどうにかせねば、彼女のような者は増えつづけるでしょう。後味が悪いのは確かですが、原因を究明するまでは……我慢しなければなりません」
私はナイフを取り出し、少女の身体から、焦げていない肉片を採取した。
(私の目的は一つ達成できた……さて、次はどうするか……)
肉片を収めた試験管を鞄にしまいこみ、私は思考を巡らせた。
(現在地:B-3居住区跡)(一日目:終了)
- 241 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 04:04:16
- >>239 セラス
最初の一撃を弾かれた。そう甘くはないってか。
半ば予想していたが、訓練を受けた吸血鬼だ。
と、相手が身を翻し、俺は追いすがる。その先にはさっきのライフルがあるのだ。
ライフルの射程と火力を盾に、距離を取られちゃ面倒だ。
ナイフを投げる。
追っ手の身体をめがけてじゃあ、ない。
ライフルの銃身を狙った。
弾かれたライフルがくるくると回り、森の奥へと飛んでいく。
これで俺は素手だ。
だが、体勢だけならまだこちらが有利だった。
追いすがり、抜き手を繰り出す。
狙いは、わき腹から肋骨を抜いて、心臓。
(B-1 森)
- 242 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/10(土) 04:08:58
- >>233
差し出した右手は、しかし何処にも到達することは無く。
同じように手を差し伸べてきた女性は、気合の声と共にその手を背後へ振り抜く。
同時に背後から近づいてきた腐乱死体が一体、光弾に打ち倒されて灰になる。
「なッ――――――」
泡を食ったように周囲を見ると、上条と女性の周囲は何時しか、腐乱死体に囲まれていた。
老若男女を問わず、様々な人種が皆一様に腐り果てた動く死体としてこちらに寄り集う光景は、
まさしくB級映画のゾンビさながらだった。
同時に上条は先刻自らの手で殴り倒した頭蓋骨の感触と、蹴りを入れたときの肉の柔らかい手応えを思い出し、
胃の底からぶり返した吐き気を堪える。
しかし逆に、そのぶり返した吐き気が、上条にまともな思考能力を与えてくれた。
強気な言葉を吐いて腐乱死体の群れへと飛び込む女性を尻目に、上条は冷静に現状を見つめなおす。
自分は何らかの事故か、あるいは誰かの他意―――により、この地域まで連れて来られた。
その中で待っていたのは蝙蝠に変化する男―――吸血鬼(、だろうか―――や、
その男に襲われかけたときに助けをくれた拳銃使い(、
更にはいきなり襲い掛かってきた動く腐乱死体(の群れ。
そしてまたしても唐突に現れた魔法使い(の女性。
実に多種多様な人種化物なんでもござれのラインナップだった。
そこまで振り返って、上条当麻は一つの考えに思い至る。
ここに連れて来られたのは、恐らく自分だけではない。
あの拳銃使い(同様、この地域には恐らく―――まだ生きている人間がいる。
冷静に周囲を見渡してみれば、この陸地はずいぶんと広い。これだけの敷地なら、
幾ら地域全体があの謎の動く腐乱死体に覆われていようとも、万が一の可能性として生存者がいないとも限らない。
そして、助けを待っているのではないか―――あるいは、自分のように。
何の力も持たぬまま、唯状況の理不尽を嘆いて、怯え隠れているのではないか。
「―――フザ、けんなよ」
それを思ったとき、上条の腹の底から、怒りと活力が漲ってくる。
それは心の痛みより、混乱より、恐怖より。
何者よりも強い、怒りの念。
「そんなの、見逃せるワケねぇ、だろうが――――――」
何時の間にか取り落としていた拳銃を、拾い上げる。
そういえばさっき、こいつの扱いについてあの拳銃使いが何か言っていた気がする―――暴発する、とかなんとか。 (>>187)
まぁ、鈍器として使えないなら、当たらないまでもとりあえずの防衛手段にはなるだろう。
銃なんてよく分からないが安全装置はずして引き金が引ければ弾は出るだろう。
この手の自動式拳銃は確か安全装置の場所も比較的分かりやすかったはずだ。
そう思い、今度はきちんと銃杷の方を握り締める。
「助けてやる。誰一人として―――死なせて、たまるか!」
自らを鼓舞するような叫びと共に。
上条当麻もまた、女性と共に腐乱死体の只中へと突っ込んでいった。
(現在地:B3 居住区跡。後移動予定)
- 243 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 04:18:35
- >>241
あと一歩―――と言うところで、ロングホーンが弾けた。
「ああ!?」思わず間の抜けた声をあげるセラス。
ミスリルナイフを擲ったロング・ファング。いま、この一瞬において無手なはずだ。
が、背中を向けているセラスのほうが、圧倒的に不利―――
「くっ―――!」
地面を蹴って、更にセラスは加速する。が、ロング・ファングはそれに輪をかけて疾い。
繰り出される貫き手。ミスリルの刃より鋭く見えた。
ぞぶり。肌を貫いたロングファングの手が、肉を抉り、更に深く。
「あ、か、くぅ……」肋骨を潜り、肺を抜けて、心の臓へと至る―――
その寸前で、セラスの膂力が押し留めた。
セラスの瞳、月明かりすら通さぬ森の中に、欄と輝いた。赤く、鋭く。
彼女の口端―――狂気に歪む。
本能的な危機と、ロング・ファングの存在が、彼女をより深く夜に潜らせたのだ。
貫き手を放ったロング・ファングの腕を、片手で握り止めるセラス。
そのまま握力に任せて、捻り潰した。心地よい感触。
「ウゥゥア―――!」
二人の体勢そのまま、セラスは地面を蹴った。
突進の要領でロング・ファングを巻き込み、木の幹へと叩き付ける。
(森)
- 244 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 04:34:31
- >>243
腕を巻き込まれ、叩きつけられた。
とっさに左腕で頭部をかばう。
肩から激突、メキメキと樹幹が傾き、上腕骨、鎖骨からアバラまで粉砕骨折。
だが、脳と心臓さえ無事なら、俺は数秒で失点を取り返せる。
右腕を引き抜く。手首からちぎれた腕で肩を制し、側面へ逃れる。
相手の右手に、銀の刃がきらめくのが見えた。
――ああ、やべーな。
バックステップ。離れ際に、苦し紛れの低い回し蹴り。
さしもの俺も、両手が無くっちゃ殴るに殴れない。
(B-1 森)
- 245 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 04:34:57
- >>31 >>45 >>53 >>69 >>86 >>113 >>139 >>151 >>173 >>224 >>232 vs黒桐鮮花
「あなたも、一人になってしまったのね。
もう、あなたの隣に兄さんはいないわ。
だって――」
月が止まった。
波が止まった。
息が止まった。
―――――全部、止まった。
「――あなた、とっても怖いんだもの」
ぶつん
――――手に持つ『それ』は綺麗な花に見えた。
それは元々、花ではなかった。
名も知らぬ、けれど、限りなく近く果てしなく遠い『私』だった。
今はただの肉の塊、話す事は無い、見る事も無い。
凡そ、首だけになって死ぬ等は人間の死に方ではない、だから『それ』は肉の塊。
私の紅い瞳には『それ』はすくすくと育てられる事無く、
今、この一瞬の為に咲かせられた即席の、そして、何にも増して綺麗な花に見える。
この一瞬の邂逅の為に『私』は喜び、怒り、悲しみ、笑い、生きてきたのだ。
ぽんと一輪の花をこの海に咲かせるために。
ぷんと『それ』は生々しい肉の甘い香りを辺りに漂わせている。
私は愛おしく『それ』を撫で、微笑む。
ずぶり
白い指が『それ』の眼窩に差し込まれ、鈍い音を立てる。
そして、ぐじゅぐじゅと血と肉が掻き混ざる音。
まるで子供の砂遊び……小さい頃、庭で兄さん達がやっていた……かの様。
ああ、何だ、私はまだこうやって兄さんを思い出せる、貴方は嘘吐きですね。
がりっと言う音と共に私は赤く綺麗に塗られた爪を抜き取った。
少し爪が割れてしまっている。
その割れた爪の間には筋の通った肉、肉、肉、肉、肉、赤い肉。
それをペロリと舐めて、ご馳走様とお礼を言う、お粗末様とは還って来ない。
ちょっと失礼だと思う、だから『それ』を両の掌で、
ぐしゃり
『それ』は最後に花から花火になった。
外に出る。
透き通る様な潮風が心地良い。
ところで何時からこんなに周りは、世界は色彩が変わったのだろう……?
―――――赤と白と黒しか無い、なんて―――――
(現在地 A−3の港 黒桐鮮花を殺害し、一日目終了)
- 246 名前:馬呑吐 ◆TUNTUWt93U :2005/09/10(土) 04:39:05
- >>205>>223 vsデビルリバースvsファントム&グリフォン
死角無き雷火の網、それに舞い降りる鋭すぎる刃。
「フハッ! 死ね、死ねと云うか? 貴様等の主が命数授かる遥か太古より、天地の星霜を詠
み解きしこの儂がかッ!」
それを迎え撃つ怯えは、怪人には欠片も見当たらない。
馬呑吐は強いのである。
吼えて、両手の剣指が呪形を描く。その精緻なる設計図に従い、千切れた長首は空を飛び、
地に生えた首は自ら千切れ、一つ所に寄り集まっていく。
その地点に降り注ぐのは時ならぬ雪、ではない。風無き風に運ばれる馬の霊符だ。
風雪を纏い、集合した一点がぐにゃりと歪んだ。
そこから、別のものが姿を現した。
上半身――と呼ぶべき部分は、確かに人の形をしていた。人間の骨格だ。サイズ自体は大蜘蛛
と格闘している巨人の、それでも半分以上はあったが。
だがこれは下半身と呼べるのか。
髑髏だ。直径は二十メートルを越える、それは悪夢の如き頭蓋骨であった。
自らの製作品の出来を、しかし馬呑吐は舌打ちで酷評する。――無理やりと云っても良い合体
はやはり無理があったか、縫合線に沿った部分が乖離しかけ、乖離しかけてはまた融合を繰り
返していた。
それには構わず馬は飛翔し、着地した。巨大なる屍兵器の頭部、といっても上半身の方に。
- 247 名前:馬呑吐 ◆TUNTUWt93U :2005/09/10(土) 04:39:45
- >>246 続き
「五行丹法炉(イオノ・テスラ・ドライブ)出力40パーセント! 非(ヌル)ユークリッド載頭回転
放物面を強制相剋!」
主人の命令と同時に上半身、両肩に当たる部分が割れ、第三第四の手がせり出した。
海星(ひとで)か何かのようですらある掌部分の形状は奇怪だが、異常に巨大でもある。
下半身の頭骨が見合った骨格を持っているなら、それはこの位の大きさになるだろう。
「――天羅!」
右肩で生えた巨腕が、突如白い光を帯びる。
「地網――!」
左肩に鎮座する剛腕が、これまた赤光を放つ。
白熱化した右手と、赤熱化した左手は、胸の前でがっしりと組まれた。
「斗牛北楼、鬼気千秋! 帯甲一哭、熱血江湖! ……お前が!」
下部の巨大頭骨、その後頭部分が火を噴いた。推進器(バーニア)代わりの後押しにより、
凄まじい物理的・魔術的質量が、急速度で上昇。敵の敷いた必殺の陣と、また敵そのものへ
と突撃を掛ける。
「お前が、死ねェ! 急々如律令!!」
(現在位置 B-2 空港跡)
- 248 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 04:55:15
- >>244
とどまれ、とどまれ、とどまれ、とどまれ―――
セラスは、猛り狂う血に支配された己の身体を、深層意識下で必死に制御する。
血は、征けと言っている。
進め、と訴えている。
このまま叩き込めば、勝てると。
しかし、セラスは叫んだ。―――とどまれ、と。
ロング・ファングの動きは、どんなに重傷を負っても変わらず素早い。
セラスの目を持ってすら、追うのがようやくだ。
その疾さをもって、長牙の男は駆ける。
繰り出された蹴り足は、ナイフで受けようと腰を沈めるが―――低い。
「Wowoooo!!!!」
肋骨がたちどころに折れ砕けてゆく。
浅い―――けど、それでもダメージは大きく、セラスは身体を浮かした。
ロング・ファングはこれを好機に、間合いを離そうとしている。
駄目だ―――
いま離れたら、二度と捕まえられなくなってしまう。
ここからロングホーンまでは遠い。
もはや立場は逆転した。離したら負けだ。
蹴りの衝撃に負けずに、身体を押し留める。ロング・ファングに組み付いた。
爆発的な瞬発力ならセラスが上だが―――膂力はロング・ファングの方が強い。
咬まれるかもしれない。
抉られぬかもしれない。
千切られるかも。
「―――構わないっ」
雄叫びを夜の静寂に響かせて、セラスはロング・ファングに組み付いたまま駆けた。
駆け抜けた。大木を蹴散らし、石を割りながら。
外へ―――
(森)
- 249 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 05:19:10
- >>248
しがみつかれた。両足が浮く。
背中が立ち木を押し倒す。不快な衝撃。
肘を落とす。さらに落とす。が――足が浮いちまえば
効率は悪くしかならんのだ。支点がないのだから。
背中に落とした肘はダメージにつながっていたが、
それでも組み付いた相手は離れない。
俺は、両手指を抜き手にして、相手の首を狙った。
両側から、だ。支点をつくってやったわけだ。
動脈が破れ、血が噴き出す。
だが、俺の指が首の骨に達する寸前になっても、止まらない。
なぜ――問いとともに答えはあらわれ、それが、俺の背筋に氷柱を差し込んだ。
ヘリだ。
ヘリの火力が、ジョーカーだ。
俺は抜き手をさらに、もぐらせる。
止まらない。森の出口はすぐそこに迫っていた。
(B-1 森、境界付近)
- 250 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 05:44:44
- >>249
首筋を蠢く指の感触。遠ざかる意識。足は今にも引っかけて、地獄へと転げ落ちそうだ。
だが、セラス・ヴィクトリアは止まらない。
どうして。なぜ。
こんな痛みを味わいながらも、立ち止まらないのか。
それはセラス自身にも不明だ。
なぜ、こうまでムキになる。
分からない―――
ただ。
「あなたのせいで、多くの人間が死んだっ」
戦争も闘争もないところで。ただ、漠然と生きてきた人々。
明日の来訪を当然と受け止めていた人々。
こんなくだらない夜のために、とてもたくさん死んだ。
「わたしは、ヘルシングだから。国教騎士団のゴミ処理屋だから」
森が。
森が。
森が。森が。
「そんなあなたが、許せない!」
―――開けた。
「うわああああああああああああああ!!」
森を出た同時に、二人はもつれるように大地に転がった。
空には、夜が。
そして、月を背中に悠然と佇むガンシップ。
「ベルナドットさん、撃ってええええええ!!」
(森から出た)
- 251 名前:ベルナドット ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 05:45:12
- >>250
「セラス!?」
ベルナドットは後部操縦席から、確かにロング・ファングとセラス、二人の影を確認した。
機体の先端に装備された連装30mm機関砲の射撃トリガーに指をかける。
30mm―――口径だけなら、ハルコンネンと同じだ。
それが、分間500発の勢いで吐き出される。
いくら長生種の親玉と言えど、まともに浴びればひとたまりもない。
しかし―――
「近い……!」
セラスとロング・ファング。あまりに距離が近すぎる。
機関砲は反動のせいで、一点集束などとても不可能だ。
そうか、嬢ちゃんごと撃てと―――
傭兵として数々の戦場を巡ってきたベルナドットにとって、そんな状況は、
今まで数多くあった。戦友の足を引っ張るぐらいなら、喜んで自決してやる。
その思いは、ベルナドットにもある。
だから、彼は戦友へのトリガーを躊躇ったことはなかった。
それもまた、一つの思いやりだと信じていたから。
しかし、そのベルナドットが。ワイルドギースのベルナドットが。
戦場の虎が。
地上のセラスを前にして、トリガーを躊躇った。
撃てるのか、否か。頭で考えてしまった。
それが、永遠の失態へと繋がる一瞬の隙。
(森上空)
- 252 名前:ファントム&グリフォン(M):2005/09/10(土) 05:47:35
- >>246 >>247
魔界の帝王ムンドゥス腹心にして狩人、冷徹なる魔獣グリフォン。
最大限の、最高の手札を切ったつもりであった。
だが、
『馬鹿、な、ア――――!?』
相手の力量を見誤ったとでも言うのか。
驚愕と自身の中核―――文字通り心臓を貫かれながらの痛みに
認めねばなるまい。
こ奴の予想以上の実力を。
己を越える手札を隠し持っていた叡智を、勝負強さを。
魔界の理は弱肉強食。
その世界に生きる狩人ゆえの価値観が、グリフォンに現実を受け入れさせた。
―――だが、な。
己の精神を貪る逃れられえぬ死の予感、そして恐怖。
陰を差すそれらを主への忠誠によって凌駕する。
足らぬ分は叡智を巡らせて補う。
思考は一心に、怜悧な策を算出せんと回転する。それを逃避と誰が笑えよう。
貫かれ、尚止まらぬ勢いに押されるまま全身全霊、残存する魔力の全てを解放。
紫電に変えて相手と自身を包み込む。
ただ抗うのではない。
破れるならば字義通り、最大の打撃を叩きこむ。
――――唸れよ、汝等!流れを歪め“かの場所”へ!
力の残滓を費やす先は、風精への大号令。
大気の流れを無理矢理に歪め、道の行く先をわずかに逸らす。
仕込みはそれで十分。後は―――
『…“破壊者”が…始末…を…付けてくれる…!』
死の際にあって尚、冷笑を浮かべるグリフォンの背後。
そこには焔の塊。小型の太陽と化した同胞ファントムの姿がある。
もはや同胞からの反応はない。死に体の巨人を前に灼熱を撒き散らすのみ。
眼前の勝利のため憤怒に身を委ね、一時ながらも理性の一切を捨てたか。
だが、それ故に利用価値がある。
今の“あれ”はいわば爆薬そのもの、臨界まで高められた熱と魔力は
些細な切っ掛けで一帯を吹き飛ばす。
己に奔る雷と、爆走を続ける魔力装置の塊ならば確実だ。
三秒、 刻々と 意識が
二秒、 勝利への 闇、の
一秒、 勝利、へ、の 奈、落、へ、と
ゼロ―――――
―――かくて。
幻影は散って魔獣の策は成り。
辺り一帯。
容赦なき紅蓮の爆炎が万物を喰らう。
<場所:B−2 空港跡
ファントム&グリフォン 自爆>
- 253 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 06:21:50
- >>251
『ヘルシングだから』
ああ、よくよくみりゃぁ、知らない顔でもなかった。
こんなところで会うたぁ、奇遇だな、嬢ちゃんよ。
『許せない』
その言葉も、幾人に言われたろう。
吸血鬼を許すものなどいない。
神に呪われ、永劫に罪を刻まれ続けるのが俺たちだ。
俺は、連中の戦術を見抜いた。
だが、この勝負は俺の負けのはずだった。
どうあがいても、俺がヘリになにかするまえに、
しがみついた吸血鬼を引き剥がす前に、
ヘリが俺を蜂の巣にするはずだった。
この半端モノの吸血鬼の少女と一緒に――――
武装ヘリのコクピットに、パイロットの姿が見えた。
こちらを見ていた。
俺じゃない、このお嬢ちゃんを見ていたのだ。
俺の視線と、そいつの視線が交錯し――
同時に、機関砲が火を噴く。
半秒だけ。半秒だけだ。
俺達は、数発の砲弾に撃ち抜かれ、打ち倒された。
だが、俺の心臓はまだ動いている。
俺の頭は、まだここにある。
吸血鬼の魅了が、パイロットの意思を乗っ取っていた。
ばかげた結末だ。
俺は立ち上がり、彼女に向き直って言った。
「ここまでだ」
その口調に、どうしようもなく苦いものが、混じった。
- 254 名前:セラス・ヴィクトリア ◆g4BCFhuKeI :2005/09/10(土) 06:45:34
- >>253
肺は潰され、心臓は消し飛んだ。視界の淵が、闇に侵されてゆく。
長い牙の吸血鬼が、自分を見下ろしていた。
「……」
喉が抉れているから、ひゅーひゅーとばかり鳴っていて声が出ない。
途切れ行く意識の中。
セラスは、一抹の虚しさを覚えた。
ああ、この吸血鬼は―――
善も悪もなく。
ただ、生きている。
だから、こんな互いの命を奪い合った後でも。
死に行くわたしを、哀しい目で見れるんだ……
不思議と、死への恐怖はなく。
セラス・ヴィクトリアゆっくりと灰に還った。
―――……マスター、ごめんなさい。
(セラス・ヴィクトリア→死亡 森付近)
- 255 名前:デビルリバース:2005/09/10(土) 15:39:45
>>223>>246 vsファントム&グリフォンvs馬呑吐
手中に捉えた蜘蛛は、巨人の両手にあって
その動きを永久に止めるかと思われた。
だがしかし。
巨人が悪魔の化身なら、蜘蛛は地獄の尖兵であることを忘れてはならない。
その体内から溢れ出した劫火の塊は、こともあろうに巨人の体内から炸裂しつつあった!!
「おあああああああああああああ」
「あ、ああぢいいいぃぃぃいい」
天に向かい、燃え盛る巨躯!!
臓腑を焼き尽くしゆくその圧倒的熱量は、
悪魔の化身が人の子である限り、耐え切れる道理のあるものか。
その全身を形成する蛋白質は、血の流れに従い速やかに炭へと変わりつつあったのだ。
「お、お、お、おおおおおおおおおおお」
だがデビルリバースの思いはひとつ。
眼に映る、全てのモノが巨人にとって目障りである。
己をあんなところに閉じ込めた、世界の全てが目障りである。
今燃え盛っているのが自らの命であることさえも、瑣末。
まとわりついた蜘蛛をそのままに、
巨人は三度腕を振る。
全身を燃やす苛烈な炎さえ、風の中に取り込んで。
今まさに、羅漢仁王拳、最大最後の一撃が完成した!!
風 殺 金 鋼 拳
そして、蜘蛛が爆ぜる。
デビルリバースもまた地獄の業火によって
一瞬の火葬が完了し、陽炎となって立ち消えた。
最期の風殺金鋼拳は、その全熱量をさらい尽くし、
プロミネンスと化して向かいの森に殺到していった!!
(現在地:B−2 空港跡 ファントムと交戦の末死亡 A−1、B−1に破壊的熱風を放つ)
- 256 名前:馬呑吐 ◆TUNTUWt93U :2005/09/10(土) 20:42:11
- >>252>>255 vsデビルリバースvsファントム&グリフォン
重ねた骸骨の巨拳で雷の包囲を破り抜き、同じ拳で魔鳥の“核”を抉り抜き、而して縦横無尽
に荒れ狂う雷気をもろに浴び、馬の躯は既に黒焦げである。
五体を焼く雷を口から吐き戻して、頭蓋骨の上から滑り落ちそうになる肥満体を何とか支え
た。
「ええい、往生際の悪い! ……いかん、彼奴!?」
稲妻に視界は霞んでも、道士の眼は魔的エネルギーの一点集中を計測出来ていた。
口中で暴れる稲光を、尖った牙の列が噛み砕く。
「爆縮するつもりカ! この、ドタワケェ!!」
主に倣い、骸の集合体は咆哮した。
重機の類いに口があれば、発する声はこうなるだろう。各部に生命の形態を紫電へと変化さ
せた鳥――であったものを纏わりつかせたまま、魔道機械は驀進する。
それは崩れながらの急速前進だ。度重なる打撃に僵屍を結合させている術式は綻び、繕う暇
もありはしない。
折りしも――蜘蛛の必死が喚び、巨人の断末魔が拡散させた超高熱のメイルシュトロームは、
指向性の無い破壊を有りっ丈ぶち撒けた所であった。
「ひ・か・り・に――」
雷の木気、尸の土気を諸共に相生相剋させ、自らが大光球と成り果てながら、馬呑吐は顔中
を口にして大喝した。
「なれェェェェェェェェェ!!」
直進する光の拳は、寄せ来る火の津波を押し戻す事敵わず、その中に没した。
魔蟲の炎も、凶鳥の雷電も、巨人の体躯も。
大いなる骸の結集も、悠久を生き延びた陰の気も。
威き焔の大渦は全てを飲み込み、空港だった場所すらも飲み干していった。
後には焼け野だけが残った。
- 257 名前:◆TUNTUWt93U :2005/09/10(土) 20:42:57
- >>256 続き
西山ニ漠々ト夕陽沈ミ、
今日ノ海南冬色深シ。
風動キ寒江、青打ノ岸、
雪晴レテ前嶺 白籠ノ林。
蠱中ノ天地、人識ル無ク、
火裏ノ蓮華、我尋ネルニ耐エル。
遠寺ノ鐘声、窓外ヲ破リ、
一輪ノ皓魄、禅心ヲ照ラス。
(現在地:B-2 空港跡 馬呑吐、死亡)
- 258 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/10(土) 21:01:01
- >>213
「獲物は共通()?違うな」
構えも何もない、自然体。
そして隻腕。
それでもなお、覇王の風格は揺るがず。
「フロイライン・カサンドラ。キミも、私の獲物だ」
全てを望むが故に、暴君。
全てを手にするが故に、覇王。
全てを、一切合切を無に還すが故に、魔王。
アドルフが今や半ばからない腕をカサンドラに向ける。
未だ肉の色鮮やかな傷口から、ぬめぬめと濡れ光る肉の触手が、カサンドラ目掛けて飛びだした。
>>236
「くくく、無理矢理というのも時には面白い」
不敵に笑う。
その仕草でさえも美。
(現在位置:C-3灯台、カサンドラと対峙)
- 259 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/10(土) 21:05:45
- >>196 >>215 八神庵
そう、誤算は一つ。
銀河に遍く星辰から見れば地球はほんの一欠片に過ぎない。
天体の運行その枢機を司る存在、そしてその永劫の敵対者。
彼等の目には砂原に蒔かれた砂の一粒にも等しい。
砂浜から見れば、砂粒一つにどれほどの価値があろうか。
つまりは、そういうことである。
しかし精神は如何ばかりであろうと器としての肉体の軛がある以上、その生理的反射
行動には制限が生じざるを得ない。
顎を打ち抜かれると大きく脳が揺れる。
思わず手を緩め、蹌踉めきながら眩暈に頭を抑えると踏鞴を踏む足元には火焔。
咄嗟に庇う体の前に防護の法円が顕現れるが、その衝撃は殺しきれずに後方と曳き摺られ
僅かに隙が生まれる。
火焔が消えた後には、敵手の姿はない。
「逃げたのかァ、言わば俺から逃げやがったのかァ?
逃がさない逃がさない逃がさない逃がしはしないねェ、逃がすはずないねェ、逃がす訳
ないねェ。
あァ、それじゃ追跡だァ、いわば追撃だァ、まさに追憶だァ……」
一際大きな霧混じりの海風がその体をなぶり。
月光が地に投げ掛ける幾つかの影と共にその姿を消していた。
(現在位置:A-2 倉庫跡 八神庵を捜索中)
- 260 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 21:10:29
- >>208>>211 クリス
>>214 アテナ
上部装甲に拳が叩き付けられる。べごん、と音を立てて装甲が凹んだ。
そして車体に人型のモノがぶつかり…ぐじゃり、と音を立てて潰れた。
「嘘、装甲凹んだ?」
信じ難いがコンソールは上部装甲に損害を報告している。
「化ァけ物めぇ……」
だが倒した。アタシの勝ちだ。
『とりあえずは……一安心ですか?』
「とりあえずは、ね」
アテナの声にヘッドバイザーを跳ね上げて答えた。
まだ不安はある。
あっさりと片付き過ぎだ。まだ何かあると考えておいた方がいいだろう。
「さぁて……。このまま港に直行していいものかな?」
どうにも嫌な予感が拭えなかった。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 261 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/10(土) 21:17:36
- >>222 >>226 >>231 蓮子 ミスティア グリニデ
一秒が一分に、一分が一時間へと引き伸ばされていく。
目は閉じている。耳には歌が響いている。頼りになるのは身体を撫でる風と妖気を辿る
嗅覚、そして永劫に近い時を殺しあうことで培った勘。
正直言って、平和にのんびりと暮らすことにおいては不要すぎるそれらは、それでも今
現在においてはとてもありがたい。
そして皮膚が、嗅覚が、勘が、待望するものを捉えた。
>「オレをまたこの姿に戻しやがってェェェェェッ!!
覚悟は出来てるんだろうなァァッ!?」
森のしじまに響き渡る怒号。その咆哮が、静止していた私を一気に活動させる。
「今―――――――っ!!」
符を束のままで放つ。散らばることなく、気配に向かって飛翔する。
同時にまだ夜盲のままなのだろうかおろおろしている蓮子を抱え上げる。悲鳴とも抗議
ともつかない声があがるが、それはあとで聞こう。
そして、叫ぶ。
「まとめて、弾けて、飛んでいけっ!!」
―――束ねられた符が四散した。
波紋のように炸裂し広がっていく無数の札、札、札。
その札の群れは一気に加速し、木々に当たれば吹き飛ばし、飛び散った木片や木の葉に別の札が引火させる。
ど ど お ん っ !!
次々と広がりながら連鎖する炸裂音が重なり、一つの轟音となる。
闇が、緩んだ。
「しっかり掴まって!! 落ちるんじゃないわよ!!」
その勢いに乗って、私は飛翔した。距離を離すにつれて、風景が明るくなっていく。
どうやら上手くはいったようだ。
しかし、
なんだ、このちりちりとした熱は―――私の符って、そんな火力あったっけ?
(現在位置:B-1 森→ A-1 坑道入り口付近・森林内 一応はかく乱&戦線離脱成功?)
- 262 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 21:23:56
- >>208 ケルベロスさん達 >>260 エリさん >>214 アテナさん
エリ・カサモトの戦車にて、ミンチにされたケルベロス達
そこへ、タイミングがズレテ…送れて発動した氷龍王の餌食になり
カチンコチンに固まる…なんと間と言うか、運が悪いと言うか。
ぶっちゃけ、エグイ事しちゃったかなぁと思いつつ。
『とりあえずは…一安心ですか?』
「とりあえずは、ね…さぁて…このまま港に直行してもいいものかな?」
アテナの声にそう答えるエリ…この先の進路に不安が募る。
「取り合えず…この部分だけ、念の為に物理結界を重ねがけしちゃった方が良いかなっ?」
印を結ぶと、その場で戦車から陰陽を模した魔方陣が出現。
その凹んだ装甲の箇所を、丹念に霊力の壁が覆う。
(現在位置:A-2倉庫跡 戦車の中)
- 263 名前:タチバナ(M):2005/09/10(土) 21:47:51
- >>227
>>229
「ぐうう……」
確かに犬は男の拳銃を噛み砕いていたはずなのに、すんでの所で何かが犬の頭部を撃ち抜いた。
それでは勿論噛み砕くことなど出来るはずも無く、犬を戻して再び通常の足に変える。
「人間にも……力を持った奴がいるとは聞いていたが。」
――――――安楽死が必要なんじゃねえのか?あ?
「安楽死だと!?この程度で吸血鬼たる私を倒せるとでも思っているのか!」
思い上がりも甚だしい!
そうとも!この程度では、銃などでは吸血鬼は死なない!
「カァアアアッ!臓物をぶちまけて死ねぇい!」
怒りのままに念力を叩きつける。
それも一発二発ではなく、何十発と逃げ場無くである。
この人間は原型を残してはならない―――そうだろう?お母さん。
(現在地:B-3 居住区域)
- 264 名前:小笠原祥子:2005/09/10(土) 21:55:44
- >>230
こちらから抱きしめて、向こうからも抱きしめられて。
思わず目を閉じてしまう。――自分の心が、まるで結んだリボンがほどけるように緩んでいる
のがわかる。
異常な状況下で、知らずにそれほど緊張を強いられっ放しだったのかと、今更ながらに驚い
た。それが、親友に会えたことだけで帳消しになってしまうのだ、ということにも。
「令。あなたこそ、よく無事で」
その喜びをゆっくり噛みしめる暇もなく、私は体を離した。
ぷうんと焦げたような、熱い臭いを感じる。
風が強くなっている。何かの先触れのように、幽かに流れてくるのは白い霧――いえ、煙?
襲ってくる死人よりも身近な危険を、私は連想した。恐らくそれは、正しい連想だった。
「ねえ、もしかして……火事ではないかしら?(>>255)」
(現在位置:B-1 森、令と合流)
- 265 名前:一方その頃、某国では………:2005/09/10(土) 22:01:04
- 某国幹部A
「確かに現在、X島は抜き差しならない状態にある。
化け物どもの異常発生、そして、例の封印兵器。
しかし………」
某国幹部B
「それでも、核で総攻撃と言うのは………」
某国幹部C
「もっと別の手段を模索すべきじゃないかね。
一個師団を派遣すれば………」
某国幹部D
「何を仰ってるんですか皆さん、この期に及んで。
撃たなきゃ収まらないでしょうがこの事件は。
敵は化け物どもなんですよ?
徹底的にやらなきゃ。大体、核なんてもう前にも撃ったんだ。
それを何で今更躊躇うんです?」
オペレーター
「……! 大変です! X島で更に高エネルギー反応が!!」
某国幹部A・B・C
「「「!」」」
某国幹部D
「決まりですね。
核は持ってりゃ嬉しいただのコレクションじゃあない。
強力な兵器なんですよ?
兵器は使わなきゃ。
高い金かけて作ったのは使うためでしょ?
さあ、さっさと撃って、さっさと終わらせて下さい。こんなトラブルは」
(某超大国で事態収拾のために核ミサイル発射が決定!)
- 266 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/10(土) 22:01:16
>>215>>259 ラインドウェル
都合が良いのか悪いのか、右手に燈る炎は紅いままだ。
この際色に対する拘りは捨てるとして、戒めの力が上がった事だけには感謝して置くか。
動きさえ阻害させれば殺すなど容易い。
目的の物は案外早く見つかり、都合の良い事に隠しやすい位置にある。
幾つか纏め、隠し、即席の罠と成す。
此方の攻撃が通るのであれば、如何に訳の分からない力があろうとも、物理的には
人間と変わらない。ならば衝撃を与えられればそれで良い。
さて、如何誘き寄せるか。幸い此処は倉庫跡。燃える物は多々ある。
後の事を考えると燃やしすぎるのも問題なのだが。
少し離れた倉庫に移り、放火。燃えて逝く倉庫。
誘蛾灯の役割くらいにはなるだろう。
アレが追ってきているかは疑問の残る所ではあるが、あの性格ならば追ってくるだろう。
ならば迎え撃てば良い。
「墓標としては些か薄汚れているが、アレには丁度良かろう」
さあ、来るが良い―――殺してやる。
(A-2 倉庫跡 燃え逝く倉庫でラインドウェルを待ち受ける)
- 267 名前:マリアベル・アーミティッジ ◆nOblerEDv. :2005/09/10(土) 22:02:22
- >>265
同時刻。
「な――――熱核反応じゃと!?」
ARMS司令部に舞い込んできた、ある大規模な特異反応。
およそ、自然にはあり得ぬもの。観測されるはずのないもの。
そう、それが指し示すのは……
「まさか『核ドラゴン』……
よもや、あの脅威の存在が兵器化されもせずに眠っておった、とでもいうのか?
確かに、このような反応を示すものなど他にはあり得んじゃろうが。
場所は? ……ほう、あの軍艦島か。
あそこはとうに廃墟のはずじゃな。ならばまだどうにか猶予は」
「いえ、それが……」
今日に限っては何かがおかしい、という。
同時に当の軍艦島に見られる、各種反応。その中には魔力妖力といった類さえ含まれるという。
……考えられるのは、島全体における大規模な戦闘行為。
……まさかッ!?
「わらわに代われ、あの島に退去命令を出すぞ。
真に核ドラゴンが眠っておるのだとすれば……あの島での戦闘行為。そのエネルギーは、全て奴への餌となろう。
ぐずぐずしてはおれん、いいから貸せ!」
「了解! ……え!?
――ダメですッ! 島に対し通信が繋がりませんッ!
当該区域に対し強力なジャミングかかけられた模様ですッ!」
「な、に?
ええい……一体何が起こっておるのじゃ。
あのままドラゴンが解き放たれてしまえば取り返しのつかないことになるというに……」
(場所:ヴァレリアシャトー・ARMS司令部)
- 268 名前: :2005/09/10(土) 22:02:50
- http://charaneta.sakura.ne.jp/ikkoku/img/1126193984/268.gif (2KB)
――――!
- 269 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/10(土) 22:04:35
- >>261 妹紅
(>>222 ミスティア >>226 グリニデ)
>「しっかり掴まって!! 落ちるんじゃないわよ!!」
そんな、妹紅の言葉と共に……
空 を 飛 ん で い た 。
強い光量のせいか、それとも妹紅のおかげか。
回復した視界に広がるのは、通常あり得ない俯瞰風景。
「は、はは……いやもちろん落ちない落ちない。てか落ちたら死ぬわ」
言うとおりにしっかり捕まりながら、そんな風に返事した。
ってーか声裏返り気味よ。こんなんメリーに話したらなんて言われるか。
爆風熱風に煽られながら私は妹紅と空を飛び……ある程度離れたところで地上に降下。
さすがに捕まった状態のまま飛び続けるのは危ないし。
「ふう、ありがと妹紅。
全くひどい目にあったもんだわ。夜空も見えないんじゃ本当にどこ行ったもんだかわかりゃしないって」
言いながら、ずり落ちかけてた帽子を被り直し、一つ背伸びしてリフレッシュ。
さてと。ぐずぐずしてらんないわ。もうあんなのはごめんだし。
「よし、それじゃ行こ。
さっき妹紅がやったせいか、この辺なんだか焦げ臭いし」
A-1 坑道付近の森
- 270 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/10(土) 22:06:14
- >>226 >>231 >>255 >>261
―――フーッ、フーッ、フーッ。
荒荒しく、大気を呼吸し体内から力をかき集める。
今のオレは怒りという燃料を持って加速する発動機だ。
それも焼きつこうと、遮られようと決して止まる事を知らぬ、地上一タフで高出力な発動機。
「ちくしょォ……ありえねェ……ありえねェだろ、こんなのはよォッ!?」
確かにその瞬間、彼の口から漏れた言葉は、
「なんだって、あんなゴミにオレがまた()け躓かなきゃならねェんだよォ―――!?」
事態への恨み言―――
「…… “また” 、だと? なんでオレは―――!?」
の、筈だった。
その疑問を引きがねに、瞬時にして脳裏を過ったのは
「ウソだ……ウソだ……! なんでオレが―――」
「オレが死んだ記憶がオレの中にあるんだよォ!?()」
―――断絶していた筈の光景。
配下の魔物を、優秀な腹心を、自身の牙城へ向けた暴力。
信頼していた配下の裏切り、そして激昂の瞬間。
―――それに続く、明鏡止水なる最期までの記憶。
「わけわかんねェ……全然わけわかんねェぞ、チクショォォォォォォッ!!」
混乱する自我を押し留めたのは、外部からの感覚だった。
「熱い……熱風……火事、か?」
常々彼が口にしていたCoolな判断では無い、野生の本能に基づく判断だ。
「―――ゴミクズが……こんなのでオレを……」
怒りに震える双拳を天に向ける。
「こんな小細工でオレを……」
掲げた両腕は、空間の揺らぎを纏い膨張する。
<font size=5><b>「オレを殺()ろうってのかァァァァァッ!!?」<b></font>
咆哮と共に、その豪腕は振り下ろされる。
周囲に衝撃波の壁を産み出しながら。
全身の筋肉を高速振動させ、自身の周囲に向けて衝撃波の壁を放つ『血塗られた獣』グリニデ最強の技、
『怒号裂破』と呼ばれる技だ。
衝撃波は、熱風を上空へと巻き上げ炎も火種も巻きこみ目に見えぬものにも襲いかかろうとしていた。
(現在位置:B-1 B-1エリア全域を巻き込む広範囲攻撃で炎を攻撃。)
- 271 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 22:11:19
- >>260 カサモトさん
>>262 青葉さん
ひとまず一難は去りました。
でも現実というものは結構いじわるなもので、
「難を退けてホッと一息のときに本命登場!」という事も
めずらしくありません。
「カサモトさんこの島の地図持ってませんか?」
ダッシュボード(?)から当然のように出てきた地図の上で、
五円玉に髪の毛を通した即席の振り子がゆらゆらと揺れます。
探したいものは……うん、決めた。
意識を集中。感覚の鋭敏化。たくさんの意思。
敵意とか炎とか渇望とか痛みとか恐怖心とか、古からの力とか。
いろんなものが地図の上に見える。いろんなものをよりわける。
ふらふらとたよりなく動いていた五円玉は、
やがて地図の一点をぴったりと指し示しました。
「ええと、いろいろこの島こわいひとだらけですけど、
その……怒らないでくださいね? このまま港に直行すると
いちばんこわいひとに遭っちゃいそうな、気がします……」
とはいっても、「それは具体的に何だ」ときかれても
答えられないし、このチームのリーダーはカサモトさんだし。
”これからどうするか”なんてのはたぶん、
私が決めるべきじゃない。でも……。
(現在位置:A2 戦車で移動中)
- 272 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/10(土) 22:14:14
- >>269 蓮子、そして火の不始末の顛末
蓮子を地面に下ろして一息ついて、ふといわれた言葉に違和感。
確かに相性がいいせいか、私が作った火符の威力はけっこう強い。
けれど、さすがにあんな熱さは―――
嫌な予感がして、後ろを振り向いた。
的中。
―――最悪だ。
「蓮子。……まあとりあえず色々と伝えたいことはあるけど」
なんだか、森の向こうでなぜか色々と破滅的な熱風が波浪警報。
「とりあえず後ろ見て。……いっとくけど、私のせいじゃないからね。
……んでもって走れーっ!!」
炎が一気に背後の森を焼き尽くして迫る。
それに追いつかれないようにと、必死で私たちは走った。
「ぎゃー、熱い熱い熱いって!! 死ななくても熱いー!!」
……いったい私が何をした!?
(現在位置:A-1 → 山火事から逃れるため何処へともなくランナウェイ(何))
- 273 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/10(土) 22:20:18
- >>272 妹紅
とりあえず後ろ見て、と言われた。
なので見た。
あー、なるほど、そりゃ焦げ臭くも熱くもなる。
だって視界一杯に炎の赤がって山火事ぃ!?
「は、走る走る言われなくたって全力疾走っ!!」
妹紅でさえこの調子。
私なんかが撒かれたら一発でおだぶつだ!
A-1→ いいから森を抜けさせろ!
- 274 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 22:20:41
- >>271 アテナさん エリさん
ひとまず一難去った訳だが…何故だろう、ぶっちゃけ
この先トンでもない事が待ち受けてる気がするのは…気のせいなのだろうか。
マサヒメの心配を他所に、アテナはなにやら地図を借り…何かのコインを髪の毛に通し
ダウジングを始めたようである。
そして、数分後…アテナの口から、トンでもない答えが出たのである。
「ええと、いろいろこの島こわいひとだらけですけど、
その……怒らないでくださいね? このまま港に直行すると
いちばんこわいひとに遭っちゃいそうな、気がします……」
「まっ…マジですかっ!?実は私もさっきから…進軍方向先の所から
…禍々しい、トンでもない気が…嫌でも感じ取れるんです」
確か、アテナさんはサイキッカーって奴ですか?
格闘能力の他に、そう言う能力を持っていた事を思い出した。
となると、わたしもこの嫌な予感と、漂う嫌な気……ぶっちゃけ当り
…になるんですかっ!?
ここで物怖じしたら、何も出来ないけど…お兄さん
大丈夫かなぁ…それに、アテナさん達も。
この先の嫌な空気を感じ取りつつ…別行動を取っているであろう
ヒビキ達と、この場に居るアテナとエリの心配をするマサヒメだった。
(現在位置:A2 戦車で移動中)
- 275 名前:支倉令:2005/09/10(土) 22:20:41
- >264
無事。
そう言われて、咄嗟には答えられなかった。
自分がどうなりつつあるか分かっているから。
……だから、嘘をつく。
「う、ん……なんとか」
つもりだったのに、そんな事がどうでも良くなる位祥子の首筋が白くて。
目が離せなくて。
祥子の温もりが伝わってきて、鼓動が伝わってきて。
血の流れる音が聞こえてその匂いすら嗅げるようで、
赤い紅い朱いアカイ甘い甘い甘い血が、私は、
生返事を返しながら、その柔らかな肌に口付けを――――
「……っ!」
祥子が身を離してくれたおかげで、ぎりぎりで踏み止まれた。
そして、ようやく鼻がその匂いを嗅ぎつける。
「祥子、逃げるよ! 森の中は危ない!」
手を引いて、当ても無く走り出した。
助力してくれた恩人の事も忘れて。
現在地:B-1森、火の手から逃走中
- 276 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/10(土) 22:25:25
- ・VAVA V(ペンテ) 乱入
>>271 >>274
「くくく…破滅だ。世界の全てを破滅しろ!」
風を切る鋼の巨体に、それに乗る狂兵機。
専用ライドアーマーを全力でホバー疾走させ、VAVAは哄笑する。
ミッションは一つ。破壊せよ。
オーダーは一つ。破壊せよ。
方法は一つ。破壊せよ。
ただ破滅を推し進め、成就させよ。
イレギュラー化という狂気にプログラムの髄まで遣った電子脳髄。
たった一つの行動原理を満たす為、進撃する。
現時点のターゲットは前方。
メタルスラッグと内部の生命反応、三つ。
「ヒャハハハ、ヒャーハハハハハハ!!」
左肩のランチャーを展開、通常弾頭にセット。
戦車なら10回は吹き飛ぶミサイルの群れが飛ぶ。
その“破滅”の数、きっかり十五。
- 277 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/10(土) 22:28:13
- >>276
(現在位置:A2)
- 278 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 22:30:17
- >>245
カラカラカラ…
……ずっと、見ている。
客席には私、一人だけ、他には誰も居ない。
カラカラカラカラ……
音も無い。
色も無い。
ただ、白黒の港の風景だけが淡々と映し出されている。
……随分と退屈な見世物だと思う、もっと、動きがあっても良いのに。
カラカラカラカラカラ………
そう思ったところで、一人の人物が映った。
長い髪の女性……背丈は私と同じくらいだろうか。
ところどころべっとり濡れている様な気がするが、遠目では分からない。
不意に女性が口を開いた。
生憎、無声映画なので何と言っているのかは聞き取れ………
カラカラカラカラカラカラ………
「「咽喉が渇いたわね………」」
ぼつりと私は呟いた……もう何時間も此処に居るせいか。
そのせいか声が随分と大きく室内に響いた気がする―――――――………
(現在地 A−3の港で待機)
- 279 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 22:31:13
- >>276 VAVAさん
これからの行く先に、不安になっていた御一行に
トンでもないお客がやって来たらしい。
>「くくく…破滅だ。世界の全てを破滅しろ!」
>風を切る鋼の巨体に、それに乗る狂兵機。
>専用ライドアーマーを全力でホバー疾走させ、VAVAは哄笑する。
>ミッションは一つ。破壊せよ。
>オーダーは一つ。破壊せよ。
>方法は一つ。破壊せよ。
>ただ破滅を推し進め、成就させよ。
>イレギュラー化という狂気にプログラムの髄まで遣った電子脳髄。
>たった一つの行動原理を満たす為、進撃する。
>現時点のターゲットは前方。
>メタルスラッグと内部の生命反応、三つ。
>「ヒャハハハ、ヒャーハハハハハハ!!」
>左肩のランチャーを展開、通常弾頭にセット。
>戦車なら10回は吹き飛ぶミサイルの群れが飛ぶ。
>その“破滅”の数、きっかり十五。
「いったい何があったんですかっ!?」
いきなりの、自動人形?の乱入…そして現れるや否や
此方を全力で攻撃…相手の台詞からすれば、すでに正気ではない。
少なくとも交渉の通じる相手ではない事は確かだ。
(現在位置:A2 戦車で移動中…>>276の襲撃にあう)
- 280 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/10(土) 22:31:33
- >>259 >>266 八神庵
炎が夜闇を、その赤い舌でちろちろと舐め上げる。
既にそこかしこで(>>255)火の手が上がっているが、「対岸の火事」の言葉通り余りに
遠い火の手はその現実性が稀薄で、そこには本来の炎が持つべき破壊性という生々しさが
感じられ難い。
然るに、此方に拡がる火焔は人の手による建造物、嘗ては倉庫として用いられていたそれを
取り巻き、一切を灰に還そうとその原初的役割を果たしている。
炎、あまりにも紅い炎。
それは先刻までの対峙を暗示させて猶余りあった。
木が爆ぜ、樹脂が沸き立ち、鋼板は赤熱し爛れ始めている。
周囲を明るく照らす、巨大な火焔。
明るいものの傍には、常に暗い影が寄り添う。
その影の中から湧き出した様に、男は現れた。
「いるんだろォ、なァ……
いるんだよなァ……?
いるならいるって早く言いなァ、抉ってやるからよォ」
(A-2 倉庫跡 燃える倉庫の前で)
- 281 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 22:32:36
- >>276 謎のロボット
『ヒャハハハ、ヒャーハハハハハハ!!』
反応が遅れた!! 回避不能と理解する前に
半円形のシールドを展開して飛来物と爆風を遮断。
「私って馬鹿! 何で今まで気づかない……って、あれ」
ロボットさんですか……。うーん、ロボットの意思なんて
- 282 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 22:32:43
- >>254
俺は彼女の懐から銀のナイフを回収すると、ヘリを”呼んだ”。
着陸させるまでも無い。木立を利用してひょいと飛び乗る。
適当な火器を物色しつつ、後ろから操縦席に声をかけた。
「あの娘はいい子だったな。吸血鬼にしとくにゃもったいなかった。
そう思わないか?」
問いはしたが、答えを聞くつもりは無かった。
「あんたと違ってな」
後ろから首筋に噛み付く。
罪の刻印――ふとそんなことを思う。
「北へ向かえ」
ヘリが高度を上げ、回頭した。
森を眼下に北上する。
俺は機のなかで、ライフルを手に取った。
(B-1 森上空)
- 283 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 22:36:39
- >>279
次々とやって来るミサイルや銃弾の雨あられ、それに対して
マサヒメはすかさず印を結ぶ、そして…こちらに相手の様子を考え
まっすぐ攻撃が来ることは予測が出来るであろう。
なら、こう言う事は出来る筈、そう思い。
「地霊王…こちらに来る攻撃をさえぎり、相手の力を奪って下さいっ!!」
戦車から魔方陣が発生、戦車ごじに地属性の神術「地霊王」が発動
大地が割れ、数々のミサイル達に、そこから岩の槍が次々と盛り上がり
ミサイルを相殺しながら、相手の自動人形に向かっていく。
(現在位置:戦車で移動中…>>276の攻撃を相殺して様子見)
- 284 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/10(土) 22:36:55
- (>>240より)
不意に、胸元に熱さを感じた。見下ろすと、竜眼が何かに反応している。私は竜眼を手に取り、覗きこんだ。
「――何と……」
正も邪もない、純粋過ぎるほどの殺意の色が熱を帯びて竜眼の表面を覆っていた。
「……タオ、行きますよ」
かつて少女だった存在のそばにひざまずき、両手を合わせているタオに声をかけ、私は歩き出した。
竜眼が感じた力の源――北に向かって。
(現在地:B-3居住区跡>A-3港へ向けて移動開始)
- 285 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 22:37:24
- >>271 アテナ
>>274 青葉
>>276>>277 VAVA
アタシが進路を決めかねていると、
『カサモトさんこの島の地図持ってませんか?』
そんなアテナの声。
がさごそやって簡単なマップを引き出して渡すと、何やらダウジングを始めた。
内心「おいおい」、とも思わなくなかったが、この状況でやりだすからには効果は期待できるんだろう。たぶん。
『ええと、いろいろこの島こわいひとだらけですけど、
その……怒らないでくださいね? このまま港に直行すると
いちばんこわいひとに遭っちゃいそうな、気がします……』
『まっ…マジですかっ!?実は私もさっきから…進軍方向先の所から
…禍々しい、トンでもない気が…嫌でも感じ取れるんです』
アテナの感覚と青葉の感覚がどうも一致したらしい。
「こりゃ転進するようね……」
その瞬間に鳴り響くアラート音。
『正面ミサイル警報』
「なにっ!?」
即座にバックへ切り替えてヘッドバイザーを降ろす。
バルカンをミサイルに向けて弾幕を展開。そして手近な角にバックで突っ込む。
進路相談より重要な用件ができたみたいね。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 286 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 22:38:59
- >>270 グリニデ
砕けた屋台の破片が宙を舞う。
「あーーーーーーーー!」
衝撃波で飛ばされながらも長年、いや最近からだったか、の相棒がバラバラになる姿が目に焼き付く。
「あのカブトムシ野郎! 絶対殺す!」
しかしあの魔人を貫くには、どうにも火力が足りないことは解る。何か手近な、
>>282 ビリー
「あった!」
手近にあった大きな何か、ヘリコプター。夜雀はそれに向かって、全速力で殺到した。使い魔の群体と
夜雀から放たれた弾幕が、ヘリへと襲いかかる。
(現在位置:B-1上空 ヘリを狙う)
- 287 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/10(土) 22:45:40
>>266>>280 ラインドウェル
馬鹿は正面から、それが当然と言うかのように、やって来た。
正面から向かっても良いが、自分から剣の間合いに乗り込むのも分が悪い。
脆く崩れそうな所から外へと抜け、音も立てずに背後に回る。
距離はおよそ7メートル。駆ければ一瞬の内に辿り着ける。
アレの気は正面に注がれ、後ろはがら空きと言っても良い。
罠かもしれないが、それなら叩き潰せば良いだけだ。
駆ける。木の爆ぜる音、何かが崩れる音で足音は聞こえない。
余りにも早い到達。策でも何でもなかったのか、それとも余裕か。
どちらでも構わんか。
蹴り飛ばす。
勢いの乗った蹴りは文字通りアレを飛ばし、燃える倉庫の方へと
勢いよく突っ込んで行った。
追撃に炎を走らせておく。無駄になる事は百も承知だが。
序でに周りにも火を放つ。後の布石だ。
「居るぞ? 抉らないのか?」
我を忘れて貰わねば、策など成功しない。
(A-2 倉庫跡 ラインドウェルとの交戦中)
- 288 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 22:46:52
- (>>281はノイズなのです)
>>276 謎のロボット
>>283 青葉さん
>>285 カサモトさん
『ヒャハハハ、ヒャーハハハハハハ!!』
ばりばりとふってくるミサイルが、迎撃あるいは回避されます。
反応が遅れたの私だけですか!?
「私って馬鹿! 何で今まで気づかない……って、あれ」
ロボットさんですか……。うーん、ロボットの意思なんて
感知できるものじゃないし、そもそも存在しているのかさえわかりません。
”エスパーの天敵はロボット”という言葉には確かに一理あります。でも。
「でもなんとかできそう……かな」
舌の根も乾かないうちに前言を翻すようですが、
物理的な火力への対処という問題なら、一番このロボットと相性がいいのは
たぶん私でしょう。『現行兵器でやつを傷つけることはできん』と
いわしめた事だってあります。どうせならもっとほかの事を自慢したいですけど。
「ところでカサモトさん、あのロボットのデータとか性能ってわかります?」
何を呑気なと言われそうですが、私は真剣です。
- 289 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 22:47:53
- >>286
側面からなにかが来た。
さすがにいい腕のパイロットだ、即座にヘリが回避行動をとる。
大きく傾く機体に、俺は天井のパイプをつかんで身体を支える。
左前方の装甲板になにかがあたって機体が揺れた。
機体を外れた何かが、ざーっと音を立てながら通り過ぎる。
……スズメ?
そして俺は攻撃の主に目を向けた。
「なんだ、ありゃ?」
人間サイズの何者か、だ。
応戦。ヘリが回頭し、機銃がそいつを狙う。
(現在位置:B-1上空 ヒッチコック『鳥』)
- 290 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/10(土) 22:50:52
- >>236
「……っくく、未熟な眷属、か。 殊勝で何より何より。
それに、とぼけたようで一本気なその態度、なかなかに好みだよ」
少しゆったりしつつも、毅然とした決意ある言葉があまりにも可愛らしかったので、ついつい忍び笑いを漏らす。
嘲笑ではなく、その好ましさと力強さに。
――だからこそ、その清らかそうな血を味わいたいくらいに。
そして、
>>256
「獲物は共通()? 違うな」
フロイライン・カサンドラ。キミも、私の獲物だ」
目の前に立つ希代の独裁者は、そのうえでなお私を獲物と言ってのけた。
その言葉に益々闘争本能が刺激され、私の体からも眩 霧()が滲み始める。
「面白い。ともに捕食者同士、どちらが先に喰われるか。
命がけのダンス、せいぜい楽しませていただきましょうかっ。 総統閣下どの!」
余裕たっぷりの獰猛な表情とともに、千切れた腕がこちらに向けられる。
…再生? ――――否!
「ぐぁ……!」
全くの勘で飛びのくが―――それでも間に合わない。
掠めた箇所、肩の肉を少し持っていかれ、私は無様に膝を突く。
アドルフの腕から伸びた、とても人間どころかまともな生物とも思えない、触手の槍によって。
「くく……そういえばもう60年も前の世代の人()間()が、そんな若々しくいられるはずもありませんな。
吸血鬼()とも全く違う化け物とお見受けしたが……面白い、それがあなたの力の一片かっ」
睨み返すと私はベルトを引き抜き、引き裂いたその中味に手をかける。
そして――
「なれば、こちらも全力で行こう。
黒蛇の毒、せいぜい中らぬようご注意あれ!」
中味を引き出し、投げつける。
それはベルトの中に仕込まれていた、魔を退ける銀製の鎖。
吸血鬼の腕力で投じられたそれは猛速で、銀の回転鋸と化し、アドルフめがけて飛翔する!
(現在位置:C-3 灯台エリア。 灯台前にてアドルフと戦闘中)
- 291 名前:牙付き労働者:2005/09/10(土) 22:51:40
- ♪のどかなりや 春のそら
花は主 鳥は友♪
「埴生の宿か。家でも買ったのかい?」
「ええ、実は……」
「ほう! 若いのにそりゃ大したもんだ」
「いえいえ、そんな大層な家じゃないんです」
「でも、子供も出来ましたし、今回の仕事が終われば昇給してもらえると話でしたから……」
「そうかぁ……それじゃ早く帰って嫁さんを安心させてやらないとなぁ!」
そこで同僚が、コイツの嫁さんすげぇ美人なんですよ、と茶々を入れ、
僕は謙遜するべきなんだろうけど、それだけは掛け値無しの事実だったので、
あはは、と笑って誤魔化した。
ああ、早く家に帰りたいなぁ……。
それがつい昨日の事。
目覚めれば、時は夜。
気の良い食堂のおじさんも、闊達な同僚も物言わぬ影となりはて、
僕はただ一人、月の下をさまよう。
覚えているのは、闇の中から僕を見据える赤い瞳。
そこから先は深紅の霧の向こうに消えた。
思うことは唯一つ。
早く、早く帰らなきゃ。
……家で妻が待っている。
駆け寄って、抱きしめて、首筋に甘いキスを。
足取りは軽く、月は明るい。
僕は、家路を違えているなど思いもせずに、軽やかに歩き出した。
(参戦)
(B-1 森へ向かって歩いて行く)
- 292 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/10(土) 22:53:52
「くそっ!」
笑石は焦っていた。
己へとも状況へとも判別つかぬ罵声と共に、その大剣を振るう。
つい先刻、つい先刻のことだ。
少女――支倉令とその友人が、抱擁しあうように再会を果たした。
その様子を見遣った笑石は、焦燥に支配されていたその顔に、再び再び笑みを浮かべ、思った。
──良かった、と。
少女の──支倉令の友人を探し出すことが出来た。
『感知』も彼女が正真正銘の人間であると伝えている。怪我というほどの怪我をしているわけでもない。
正しく無事だった。
──だが、無事に再会出来たとは言え、ここは未だ地獄のような島の中だ。
いつまでもとどまっていては、それこそ、いつ無事でなくなってしまうかわからない。
自分は良い。このような地獄、修羅道に堕ちようとも、化生達と闘い続けられるのなら
それは本望だ。
だが、この少女達は違う。人道の中で、笑いながら生活できることこそ、この少女達の
本望であるはずだ。
ならば、仏法と衆生の守護者である自分が、それを叶えられずしてどうするのか。
必ず、助ける。笑石はその決意を明らかにしていた。
その矢先である、そんな『想い』をかき消すように、
木々が焔に包まれ、火事となって笑石達に襲い掛かったのは。
笑石自身には、なんら問題がない。
だが、炎は二人の少女の生命を間違いなく焼き滅ぼすだろう。
だから、自分が護ってやらねばならないというのに。
――何故、己はこんなところで屍どもを相手にしているのか。
「邪魔だっ!」
怒号と共に、眼前の屍鬼を薙ぎ倒す。
『感知』は、遠ざかっていく少女達を伝えていた。
この身よ間に合え、と。
それこそその身が焼かれるような想いで、笑石は炎の森を疾駆した。
(B−1:森の中、支倉令、小笠原祥子を追って疾走中)
- 293 名前:小笠原祥子:2005/09/10(土) 22:53:54
- >>275
森はさっきと何一つ変わらず、暗くて怖い。その中を走っている。
でも主語が「私は」ではなくて「私達は」だと、風景がこうも違うものか。手を引いてくれ
ている令の温もりは、何にも増して心強い。――さっき助けていただいた方には悪いけれど。
こんな状況で、驚くのには麻痺してしまったと思っていたのに、瞬間的な事態の急変には、
中々神経がついて来ないものらしい。
物凄い突風だ(>>270)。
何台もの大型の送風機がフル稼働しているような風に、草はなびき、木々はしなる。
人間だっていうまでもない。たまらず、体勢が崩れる。
「きゃっ!?」
視界が回る。何が何だかわからない。
一つわかったのは、両足が地面から離れている、ということ。
私は豪風に飛ばされた。いえ、こんな場面でも「私達は」だった。
(現在地:B-1森、火の手から逃走中)
- 294 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 22:55:02
- >>288 アテナさん >>285 エリさん >>276 VAVAさん
とりあえず、ミサイルの撃墜に手を回しては置いたが
あれが相手に、どれだけダメージを与えられるか…それはさて置き。
「私って馬鹿! 何で今まで気づかない……って、あれ」
先程への相手の事、今まで気が付けなかった事に少し落ち込むアテナ
しかし、無理も無い事だろう…ロボットの意思などは大よそ感知できるもの
では無いだろう、マサヒメに居た所の自動人形と言うロボットは別として。
「でもなんとかできそう……かな」
「ところでカサモトさん、あのロボットのデータとか性能ってわかります?」
しかし、すぐに立ち直るアテナ、そして何か思いついたのか
エリにそう言い、相手の自動人形のデータとかが解るかを聞く
アテナさん、何か良い手を思いついたのかなぁ…そう思い。
「アテナさん、何か思いついたんですかっ?」
アテナの起死回生の策?が出るかどうか…まだ解りはしないが。
(現在位置:A-2 戦車で移動中…>>276と交戦中)
- 295 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/10(土) 22:57:47
- >>281 >>283 >>285
「ヒャーハハ、ヒャハハハハ…!
面白いぞ。くくく、随分と面白い手品じゃないか?」
生体エネルギーと地面の隆起による障壁。
攻撃が防がれた事に対する感情は、驚愕より歓喜。
元より歓喜以外の感情などない。
電子頭脳に正常な箇所は皆無なのだから。
熱源を探知して追跡を開始、ライドアーマーに加速を命令。
同時にジェネレーター稼働率を80%まで上昇と遠隔伝達。
角に入り、目視したところで殺人的な速度にまで更に加速。
弾丸を弾き肉薄しながら第二波、特攻同然のショートレンジへ強引に移行。
超電磁駆動による両腕の連続攻撃を見舞う。
切削用重合金ドリルアームのラッシュは最大で秒間25発。
生身が喰らえばミンチにすら成らない、摩擦熱で肉片が灰になるからだ。
「その綺麗な装甲を吹っ飛ばしてやる!」
醜くしゃがれた電子音声が響く。
その化物めいた嬌声はVAVAという絶対狂気の体現か。
(現在位置:A-2倉庫跡)
- 296 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 22:57:56
- >>288 アテナ
第一波はとりあえず凌いだ。
「予期せぬアクシデントね。でも……」
――こいつなら新型のいいデータ取りになる。
『ところでカサモトさん、あのロボットのデータとか性能ってわかります?』
「この戦車はそこまでハイテクじゃないんでね。ファーストコンタクトの相手の性能なんかわかんないわ。
主砲、アーマーピアサー装填!」
降下からまだ一発も撃ってなかった127mm砲にアーマーピアサー――専用徹甲弾を装填。
さて、きつーい一発を返してやろうじゃないのよ。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 297 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/10(土) 22:58:13
- >>242
――――――――もうどれくらい、動き続けてきただろうか。
何も考えなしに飛び込んで、ひたすら動く腐乱死体(を
追い払い、殴り倒し、蹴り飛ばし、時には銃をぶっ放し。
全身に擦り傷切り傷を拵えながら、上条当麻はひたすらに走った。
緑髪の女性が派手に立ち回ってくれたお陰か、上条の方に来る腐乱死体の数はそれほど多くもなかったが―――
乱戦の末に結局彼女からはぐれてしまったのでは本末転倒だ。
あー、もっと共闘とか考えりゃ良かったなぁ、などと胸中で嘆いても後の祭りだった。
そんな風に、走って走ってひたすら走って。
何時しか腐乱死体と血の臭いに、かすかな潮の臭いが混じり始めた事に気付いたときには―――
上条当麻は、港に着いていた。
その場所が、この地獄と化した閉鎖空間からの唯一と言っていい脱出口であったのは、上条当麻の既に失われたと思われていた幸運か。
それとも、その脱出口に上条の最悪の敵ともいえる少女が立ち塞がっていた事が、上条の最大級の不幸なのか。
運命(以外には答えの出せない二択クイズを残したまま、
とにかく上条当麻は、
遠野秋葉と、
対面を果たした―――
「――――――アンタ」
上条当麻の第一声が掠れていたのは、単に激しい運動の後だった所為だけではない。
気圧されたのだ。
その紅い紅い、どこまでも紅い少女の放つ、壮絶な雰囲気に―――。
「……、おい、アンタは――――――何だ?」
ただそれだけの疑問しか、出せなかった。
(移動:B3 居住区跡→A3 港 遠野秋葉と対面)
- 298 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/10(土) 23:00:31
- >>272>>273 妹紅と私
背中が熱い、ちりちりする。
いやきっと幻覚だろう。後ろに炎が迫ってるからそう思うだけだ。
そうに違いない。いや、そう思わせて――――
兎にも角にも、私たちはもつれそうな足を無理矢理にでも前に出して、走り続けた。
走って走って走り続けて……
…………どうにか、森を抜け出した。
もっと何かちょっかいがあるかもと思ったんだけど……ほかも「忙しい」という事なんだろうか。
「……っ! はぁっ、はぁっ、はぁっ…………」
膝に手を突いて、今にも飛び出しそうな心臓をなだめて、息をつく。
と、とにかく助かった……で、ここは?
倉庫、かな?
山火事→A-2 倉庫跡
- 299 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/10(土) 23:00:57
- >>280 >>287 八神庵
背に大きな衝撃を受け、踏鞴を踏んで飛び込んだ先は一面の赤。
ディーテの市もかくやというべき炎の中である。
更に背後からは追撃の焔。
転がり避けると柱の一つに当たり爆ぜる。
「あァ、抉ってやるぜェ……今すぐになァ!」
立ち上がるのも束の間、周囲に炎を走らせる男に向かい大きく跳躍し剣を振り下ろす。
(A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 300 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 23:02:11
- >>289 ビリー
バリバリと闇を裂く音が響く。ヘリの羽が空を叩く音と、光を背負って飛来する弾の群れ。
「鉄砲!?」
身体の中心軸を回転させるようにして避けながら、煙を吐く銃口を見やる。撃たれる前に
動きに気付いたから良いが、見てから避けるには、なかなか困難そうな速さだった。
「あいつの上に叩き落としてやろうと思ったのに、結構堅いわ〜」
風穴を開けてやろうと思ったのだが、存外に強固である。
「尻尾がちょっと細いかしら〜?」
夜雀は鼻翼の辺りを狙い、妖気の弾丸を放つ。
(現在位置:B-1上空 バラバラ五月蠅さが良い箱と交戦中)
- 301 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 23:05:42
- >>VAVAさん
「ヒャーハハ、ヒャハハハハ…!
面白いぞ。くくく、随分と面白い手品じゃないか?」
「その綺麗な装甲を吹っ飛ばしてやる!」
何とかミサイル達を防ぐ事に成功したが…相手はまだ大分元気なようである。
しかも、相手の音と台詞からして此方に突っ込む気満々だ…如何し様?
こうなったら、もう一回…今度はこれを放ってみましょう
これで大人しくしてくれれば良いんですけど…せめて相手の戦う力を
全て無くす事が出来れば…そう思い戦車ごしに印を唱える。
「今度はこれですっ!!光の精霊さん…一緒に行きましょう!!」
戦車の足元に魔法陣が発生し…今向かっている自動人形に向かって
光の柱が相手から発生し、頭上から放たれる…光属性系神術「浄土の光」を。
「せめてこれで…戦う力が奪えればっ!!」
(現在位置:A-2 戦車で移動中…>>295と交戦中)
- 302 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 23:07:34
- >>295 VAVA
「速――!」
角を曲がって追ってきたロボット兵はさらに加速。
20ミリバルカン二門の弾雨を物ともせず突っ込んできて、
恐ろしく凶悪な凶器――ドリルで猛打を浴びせてきた。
「うあああっ!!」
装甲が削れてひしゃげる。青葉の結界だってあるはずなのにこのダメージ。
「こなくそぉぁ!!」
正面至近距離なら照準なんかいらない。
127mm徹甲弾をお見舞いしてやる!
「吹っ飛べ!」
轟音一発。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 303 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/10(土) 23:08:50
- >>233
襲い来る死体、死体、死体……反吐が出そうだ。
自分の存在がどうだろうが知った事ではない。気分の悪い物は悪いのだ。
どうしても顔が顰めッ面になってしまう。私も丸くなったもんだねぇ……
「ああもぅ!! アンタ達じゃ相手にならないと分かりなっ!!」
とはいっても頭まで蟲が湧いているようじゃ、どうにもならなそうだけど。
私は横から飛びついてきた死体を槍で叩き伏せ、周囲を見回した。
……いい加減飽きてくるほどの死体。そろそろ我慢の限界だ。
「……ちょいとばかし疲れるけど、ご退場願おうか」
ヒョウ、と槍を回転させ、意識を集中させる。槍に魔力が集まっていくのが分かる。
槍の周囲に一つ、二つ、三つ四つ五つ……無数の星が精製されてゆく。
それは、私の魔力を込めた魔法の星達。悪しき者を討つ光。
「散!」
カシィンと地面を叩く槍の柄。その声を契機に、星達は四散し、死体を襲う。
ある死体は胴体と足を完全に分かたれ、ある死体は上半身を消失させ。
……星達が消えた後には、満足に動ける死体は殆ど居なかった。
微妙に動いているヤツも居るが……まあ、大した脅威ではないので、気にする必要はないだろう。
「ふぅ……とりあえず、これで一息つけるかね」
こきこきと肩を鳴らしながら深呼吸する。若干大技だったので少し疲れた気もする。
……やはりブランクがあるのだと、こんな時に実感した。
「さて、坊や……あれ? 坊や?」
周囲を見回してみる。居るのは私だけだ。先ほどの少年が居ない。
……記憶をたどると、私の周りで件の筒を振り回し、戦っていたような……
となると、この乱戦ではぐれてしまったと考えるのが妥当だろう。
一瞬、私の魔法に巻き込まれてうっかり殺っちゃったかと思ったが、とりあえず考えないようにした。
「やれやれ……放っておくのも、偲びないね」
私は三日月の槍に横乗りし、あの少年の行方を捜すために移動を開始した。
(現在地 B-3より移動 戦闘終了。逸れてしまった上条を捜索)
- 304 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/10(土) 23:08:58
- >>298
「あー、死ぬかと思った……蓮子、生きてる? 焦げてない?」
気がつけば、あの焦熱は嘘のように引いていた。何時の間にか森を抜けていたらしい。
周りを見渡すと、なにやら巨大な建物が立ち並んでいる。
蓮子がいうには倉庫らしいが、いったい何をしまっているのやら。
「……潮の香りが近いわね。港、近いと思う?」
外の世界のことはあんまり分からないので、とりあえず蓮子に聞いてみる。
……遠来のように聞こえる音、蛍のように光る一角。
どうやら、ここも戦場らしい。なるべくなら早く抜けたい―――
(現在位置: 山火事 → A-2 倉庫跡へ到着)
- 305 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 23:10:31
- >>300 ミスティア
なにかがテイルローター付近を打つ。
制御系が破損、ヘリは大きく揺れる。
即座にサブに切り替え、安定を回復するが、次の一撃がきたら持つかどうか。
こちらの機銃の攻撃はものの見事にかわされた。
ああくそ。
このヘリの武装は当然のことながら、地上の車両やせいぜいが歩兵相手のものなのだ。
空中で、しかも人間サイズの飛翔物にあてるのは無理ってもんだ。
「寄せろ」
命じる。このパイロットからは、支配したいまとなっても未だに反抗の気配を感じるが、
それを俺は、意思と呪術的支配をもって押さえつけた。
機銃が砲弾を吐き出す。
同時にヘリが前方へ傾き、速度を上げる。
(現在位置:B-1上空 空中戦)
- 306 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/10(土) 23:11:26
>>287>>299 ラインドウェル
辺りには紅い蔦が拡がっていく。
炎を背景に飛び掛ってくる男の一刀。
軌道は酷く読み易い。半歩下がって紙一重で避ける。
剣風で額でも割れたのか。それとも斬られていたのか。
切っ先には赤い雫が滴っている。
それでも止まる必要は無い。
右腕を振り上げ、降ろす。此方はフェイント。
飛び退き炎を走らせる。一つ、二つ、三つ。
三つ目以外は男を狙う。
これで殺せればそれで良いのだから。
「口だけなのか?」
挑発に挑発を重ね、策を講じた場所まで引きずり込む。
そこからが、本番だ。
(A-2 倉庫跡 交戦中)
- 307 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/10(土) 23:13:55
- >>270 >>275 >>286 >>292 >>293
―――怒号裂破の余韻を残した筋肉が軽い痙攣を返す。
辺りは全くの静寂状態。炎は一部を残し静まりつつある。
「……チィッ……あの鳥、逃げやがったワケか」
炎で赤く照らされた夜空を見上げ呟く。
格好のエモノは、無様に飛んで逃げた。
「誰が、このオレの怒りを静めると思ってやがるんだ?―――テメエしかいねえだろうがよォ」
――――と、炎独特のきな臭さとはまた別の香りが風を伝って届く。
「……香の匂いに、血の匂い……ククッ、新しいゴミか」
遊び相手、いや高得点の駒()に逃げられた以上は
新しい駒で補填するしかない。
それが、魔人の指導者を決める点取りゲームにおける勝利の鉄則。
グリニデは、理性を失った状態であってもその事は忘れてはいない。
―――どのような手段を用いても八輝星の輝きを左腕に宿す事。
死してなお闘争の鉄火場に立つ今でも、それは至上命題にして存在理由である事には変わりないのだから。
(現在位置:B-1 小笠原祥子を始めとする一群へ向けて移動開始)
- 308 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 23:15:39
- >>302エリさん >>295VAVAさん
…しかし、相手の攻撃が早かったのか、先に到着したのは
自動人形の方であった…此方の外から凄まじいドリル音が鳴り響く
「こなくそぉぁ!!」
正面至近距離なら照準なんかいらない。
127mm徹甲弾をお見舞いしてやる!そう思い、エリはトリガーを引き
標準を相手自動人形に向けて…。
「吹っ飛べ!」
轟音一発。
「まだこれからですっ!!…諦めませんよっ!!私達はっ!!」
そして遅れて…先程、マサヒメが放った「浄土の光」による光の柱を
相手のところまで誘導し…相手にぶちかます。
(現在位置 A-2倉庫跡…これから如何なる?)
- 309 名前:支倉令:2005/09/10(土) 23:16:44
- >293
耳は聞きつけていた。
炎の燃える音とは違う、津波のような空気の流れる音――突風と言うより、
空気の壁のようなそれが迫る音を。
聞きつけてはいたけれど、その速度は正しく音速。
背後からの暴風に、咄嗟に祥子を庇う事も出来ず私は吹き飛ばされた。
「――――く、うぅっ!」
右の肩口から木の幹に叩きつけられ、ごきりと鈍い音がしたのも束の間、
轢かれた人形のように地面を二転三転する。
死にそうな――致命に足る傷が痛くないはずが無い。
それでも、私は呟ける。体を起こせる。立ち上がれる。
何故なら、折れた骨が繋がっていくから
刺さった枝を抜けば、傷が塞がり始めてしまうから。
私はもう、人では無くなってしまっているから。
「さち、こ……大丈夫、かな」
この姿を見られずに済めば良いんけれど、と少しだけ思った。
現在地:B-1森、諸共に衝撃波に吹き飛ばされ負傷>再生中
- 310 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/10(土) 23:16:55
- >>304 妹紅
「焦げてない焦げてない。……多分」
未だに何か焦げ臭い気がするのは……気のせいよね、うん。
「……うーん。
普通には、倉庫街ってのはいわゆる物資搬入のために港に近いところに作るもんだと思うけど」
シャッターが降りてたり、それがおそらく戦闘の余波で吹っ飛んでたりする倉庫を眺めつつ
そんな風に答えてみる。
「まあ、でも確実かと言われれば……
って、そんなことより月を見れば早いんじゃない。あー我ながら鈍いわ」
と、まあそんなことに気づいたので、私はそのまま空を見上げた。
……戦場そのものだということを、一瞬忘れて。
A-2 倉庫跡
- 311 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 23:20:46
- >>245 >>278 >>297 vs上条当麻
カラカラカラ…
少女はじっと佇んだまま、動かない。
余りに変化が無いので、退屈した私は部屋の中を見回してみた。
……一冊の本が置いてあるのを見つけた。
何とは無しには私は本を手に取りぱらりとめくってみた。
少年
「――――――アンタ」
(酷く狼狽した様子で少女に話しかける少年)
少年
「……、おい、アンタは――――――何だ?」
(少女はくすりと笑い、少年に答える)
少女
「さあ……何でしょう?
私にも良く分からないんですよ」
(ふらふらと足元も覚束ない様で少年の方に歩みを進める少女)
カラカラカラカラ…
これは………この映画の脚本、か。
……スクリーンの方を見やると変化が起きていた。
―――――脚本に書かれた通りに少女がふらふらと少年の方に歩いていく。
「あら…?」
今まで白黒だったスクリーンが紅い色に侵食されていく。
少女の髪の毛らしき蜃気楼が立ち昇り、少年の方へとじわじわと向かっていく。
少女
「……あ、でも一つだけ分かります。
―――――――血がとても美味しいって事は」
(現在地 A−3の港で上条当麻と戦闘開始)
- 312 名前:麻宮アテナ:2005/09/10(土) 23:25:15
- >>295 謎のロボット
>>301 青葉さん
>>302 カサモトさん
上空から(たぶん青葉さんの)援護射撃。
更に正面から弾丸の雨あられ。それにもかまわず暴れ狂うドリルは、
戦車の装甲を削り潰していきます。
『吹っ飛べ!』
主砲発射! 轟音……!
煙が効いているうちに私はテレポートで車外へ。
どうせ先方もまだ健在なんでしょうが、まさか両方を同時に
ドリル攻撃するほど非常識ではないでしょう。近接戦闘は避けるべき。
「サイコボールっ!!」
両手に収束した純エネルギーをひとつにして発射。
あの装甲相手に必殺とはいかないでしょうが、
相手はこっちにもいると知ってもらいましょう。
- 313 名前:ダン・スミス ◆jcr2KGh37s :2005/09/10(土) 23:25:24
- >263
「カァアアアッ!臓物をぶちまけて死ねぇい!」
「ッ!?うォォォォォ・・・・・・・・・・・?」
怒声と共にに放たれたタチバナの念力がダンの体に叩きこまれ、
ダンの肉体は、野球のボールのように飛んだ。
「チッ・・・・ブチ抜こうにも、体が言う事聞かねえ・・・・」
「ゴウンッ!」
鉄板に砲弾が衝突したような音と共に、ダンの体は建物に打ち付けられた。
ダンはすぐに体勢を立て直したが、尋常ではない量の血を流している。
しかし、ダンは再びあの鬼も裸足で逃げ出すような笑みを浮かべながら言った。
「ククククク・・・・・・・・・・・」
―――お前さんを殺せると思ってるよ。
- 314 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 23:27:53
- >>305 ビリー
ヘリが接近してくるのが見える。圧倒的に巨大な影。
「真正面からね〜! かかってくるが良いわ〜」
夜雀は大きく上昇すると、機銃弾のスキマを練りながら、妖気を纏い、妖弾を放ちながら
ヘリへ向けて急降下する。それはまさに鷹の襲撃()。
ドッギャーン!!
質量負けしている相手を、速度と鉤爪で切り裂きながら行きすぎる。
瞬間、ヘリの扉が開いた。
(現在位置:B-1上空 ヘリとガチ)
- 315 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/10(土) 23:27:54
- 私は、塔を駆け上がる。バベルの塔を駆け上がる。
螺旋の階段を廻り続けて。あれ? ドコカデ 聞イタコトノ アル 音
怖いのはあのお二方。尋常じゃない何か。 何カ オ忘レニ ナッテマセンカ ?
―――――だから、私は無防備にも、窓に、つまり『塔の外』に意識を集中させて歩いていた。
>>258
『獲物は共通?違うな』
教科書では、教えてくれなかった独裁者の真の姿は夜の王。
そして、私が考えた以上に暴虐かつ傲慢不遜な魔王!
構えすら取らないという余裕。例え、片方の腕が無かったとしても、だ。
―――――だから。正解なはずなんだ。気を付けるのは窓の外。 ファイナルアンサー?
警戒警報が鳴り響く。意味のないこと、危険な場所にいるのだから。 本当ニ?
高速道路で鳴る車の喧しいベルはなくなった。それと同じ。耳を閉ざせ。コレハ ソレト 同ジ ?
『くくく、無理矢理というのも時には面白い』
だから目の前の、二つの敵を凝視しろ!それがきっと正解。 ファイナルアンサー?
>>290
『……っくく、未熟な眷属、か。 殊勝で何より何より。
それに、とぼけたようで一本気なその態度、なかなかに好みだよ』
やっぱり、なんだかんだで。私は人気があるようで………。
ああ、何というか。どちらか、もしくはお二方とも、味方にするというも望みも立たれてしまった気が。
だから、私の敵は窓の外。バベルの螺旋を駆け上がれ! ファイナルアンサー?
ほら、窓の外では。死闘の幕が開く。だから、私は塔を駆け上がる。 サッキ 聞イタコトノ アル 音
>>15
―――――残念!
TVで見慣れた意地の悪い司会者の声が聞こえた気がした。ついでに着流しの侍も。
後ろ向きに窓だけ気にして歩いていた。 私ノ中ニ眠ッテイル何カモ忘レテ
だから、審判の鉄槌が。文字通りの鉄槌が。私の頭にめがけて。
―――――振り下ろされた。
活性化してる身体でも、予期していなかった事態は避けられない。
多少なりと急所はずらすことが精一杯。 そうして此処は塔の上。
哀れ因幡の白兎。バベルの螺旋を、逆しまに廻って、落ちる。
廻って廻って廻って落ちる。墜ちる。堕ちていく。 忘レテイタ ワタシノ本質
闇ノ中デ眠ッテイタ。―――――私ノ鼓動ガ動キ出ス。
〈現在位置:C-3灯台の階段を夢想花→覚醒。バタリアンと対峙。あわよくば退治。〉
- 316 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/10(土) 23:28:24
- >>293
炎を裂き、屍を砕き、夜を払う勢いで、笑石は森の中を疾駆する。
『感知』に掛かる少女達の反応は、先ほどよりずっと近くなっている。
――もうすぐだ、間に合うか。
そう思った刹那――突風が吹いた。
否、それは突風などと描写するには生温い、文字通りの暴風であった。
岩で造られた我が身ですら、宙に浮き掛ける。
――いや、それで良い。
笑石はその顔に笑みを浮かべ、身を沈めた。
引き絞られた強弓のように力を蓄える。
『感知』が示す少女達の方角、空高く舞い上げられた方へと向けて――跳躍した。
蹴られた大地に、深々と穴が穿たれる。
暴風を受け、岩で出来た笑石の巨躯が宙を舞い――
虚空に放り出された黒い影(>>293)を、その腕でしっかりと抱き止めた。
(B−1:森の中、吹き飛ばされた小笠原祥子を受け止める)
- 317 名前:牙付き労働者:2005/09/10(土) 23:31:39
- >>270
吹きつける爆風を、背中を丸めてやり過ごす。
爪が剥がれても気にしない。
地面から引き剥がされても気にしない。
立ち木に叩きつけられて、腕が折れても気にしない。
家に帰りつくまでは、僕が死んだりするはずがない。
立ち上がると同時に腕を一振り。
それだけでまっすぐに骨が繋がる。
便利だな、前は一ヶ月もかかったのに。
ああ、酷いや。髪がぼさぼさだ。
ずる剥けのまま、まだヌルヌルする掌で、ざっと髪をかき上げる。
顔は十人前なんだから、せめて身綺麗にしておかないと、妻と釣り合いが取れないからね。
妻は飾り気ない僕が好きだって言ってくれるけど、
せめて引き立て役くらい務まる男じゃなきゃ、妻が可哀想だ。
(B-1 森の中)
- 318 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/10(土) 23:31:40
- >>299 >>306 八神庵
振り下ろす剣は紙一重、額を掠るのみである。
振り上げられた腕に、反射的に剣で跳ね上げようと返す一刀は大きく外れ体勢を崩す。
「チィッ……」
そこに三条の炎、咄嗟に剣を揮うと陰の気を孕む燐火が二筋走る。
一つはあらぬ方向へと。
「殺す、殺す殺す殺すゥ、テメェは死ぬまで殺すぜェ!」
左腕を引き、全身を撓めるとそこから繰り出されるのは無数の刺突。
魔力の篭もったそれは僅かな傷でも侮ることは出来ない。
(A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 319 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 23:33:04
- >>312 アテナさん >>302 エリさん >>295 VAVAさん
猛烈な攻撃の雨に関わらず、相手の攻撃が続く…しかも何か此方の
装甲を貫いていく様な感じで…。
その時である…突然隣に居たアテナが姿を消した。
そして気が付いたら、アテナは外に姿を現したのか…
戦車ごしにアテナの声が聞こえる。
「サイコボールっ!!」
どうやら、外に瞬間移動して相手に攻撃を仕掛けている様である。
私も行かなくちゃ…そう思い、ハッチを空けてください…私も出ます。
神術の印を結び…自分自身に「神おろし」を掛ける。
自分の動体視力と運動力(回避・命中上昇)をアップさせる補助系の
神術である…神術による光のウェールが、彼女に降り注ぐ。
そして次に、白い光を手のひらに集めるマサヒメ…ふと一瞬
彼女のそばに白い龍が浮かび上がったりそうでなかったり…。
「白龍…外に出たら一緒に行こう…アテナさんを援護しなきゃ!!」
(現在位置 A-2倉庫跡…>>295と交戦中)
- 320 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/10(土) 23:34:38
- >>302
奇しくも零距離で放たれた徹甲弾がデビルベアの機体を穿つ。
頑強な正面装甲はフレームごと拉げ中破。
内部メカとジェネレータは既に断末魔の悲鳴を上げ始めている。
「ひひひ、イイ攻撃じゃないか。
……俺が操縦席に座ってたらだがなァ!」
腕組みしながら嘲笑うレプリロイド。
VAVAはバーニアを吹かし空中へと回避していた。
移動のし易い肩口に乗っていたのが幸いしたか。
最も、対峙する者にとってはこの上ない不幸でしかないが。
>>301 >>308
頭から白煙を出しながらVAVAは地面の虫を見下す。
ダメージは確実に存在する。ただ痛覚が存在しない以上はそれだけだ。
内部メカの一部がショート、予備システムが作動。
そこで事態は終了する。
「ククク…で、何だ?さっきのビリッときたのは?
甘っちょろいからレクチャーしてやる、攻撃なンてのはこう撃つんだよ!」
右肩に固定したプラズマ砲をマウント。それから0,52秒。
重電子の塊が電磁の枷を解かれ、砲弾として発射される。
選択された攻撃タイプは拡散、軌道上の大気をイオン化させながらの連射。
ミリ単位に調整された弾幕で災厄を撒き散らす。
(現在位置:A-2倉庫跡)
- 321 名前:マリアベル・アーミティッジ ◆nOblerEDv. :2005/09/10(土) 23:36:10
2330時、当該区域への弾道ミサイルによる攻撃を確認。
これを即時撃墜。
第二波、第三波への警戒をするも、その後は沈黙。
「……いっそ、この爆発で彼の地の面々が気づくようならば、或いは事は早いのじゃが」
通信、未だ回復せず。
(場所:ヴァレリアシャトー・ARMS司令部)
- 322 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/10(土) 23:36:39
- >>290
「流石に一筋縄ではいかないか。だが、いい格好だな、カサンドラ嬢」
アドルフは哄笑する。
悪意を込めたその笑いでさえ、美しさを感じさせるのは何故だろうか。
「だがこれで終わりでは……ないよな?」
優位に立ち、誇るアドルフにカサンドラからの銀鎖の返礼。
速度は申し分なく、威力も充分。
だが。
銀鎖は空を切った。
否。
アドルフの身体を通り抜けたのだ。
「……それで?」
軽く首を振るアドルフ。
その表情から余裕は消えることもなく。
その態度から油断は消えることもなく。
ただ、王は然して其処にある。
「この程度で不意を打ったつもりかね? 不意というのは……」
動きを感じさせない静かな動きで手を突き出す。
その手が一瞬ぶれた、と感じた刹那、カサンドラの後頭部を掴むものがあった。
アドルフの、手だ。
「こうやって打つものだ」
そのまま、地面に叩きつけようと、力が籠もる。
(現在位置:C-3灯台)
- 323 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/10(土) 23:37:06
- >>311
ぞくっ。
形容抜きで、全身の毛が一瞬にして逆立った。
少なくとも上条当麻には、心の底からそう感じられた。
第六感が鳴らす警告アラームの強さは、先刻の吸血鬼の比ではない。
見た目から言えば吸血鬼(より可憐で、動く腐乱死体(より人間らしい。
しかしそんな彼女が放つ気配といったらどうだ。
まるで、全く異次元の住人のよう。
上条当麻の腹の底から、冷たい恐怖が―――この島に来て以来、いやこの一ヶ月でも感じたことのない恐怖が、湧き上がる。
「――――――――――――――――――」
言葉が、出ない。出せない。
ただ棒立ちのまま、上条は唇を血が出るほどに噛み締める。
口の端から流れ落ちた血が、頬を濡らした。
やがて少女は歩き出す。
かつり、かつり、と。
妙に甲高く響く靴音を立てて。
同時に、上条の肉体に異変が起こり始めた。
ちりちり。
ちりちり。
擬音に表せばそんな風になるだろうか。
自分の肉体に必要な「何か」が、徐々に蒸発して、消えていくような―――そんな、違和感。
(―――ッ、こいつ、は)
全く正体は分からない。
ただ、自分は明らかに少女から攻撃を受けている。
それだけは十二分に伝わった。
「――――――――――――――――、クッ、ハ!」
吐息と同時に自分を鼓舞する声をムリヤリひねり出して、当麻は身を投げ出した。
とにかく不味い、このままでは不味い。
どこでもいい、この攻撃の届かない場所へ―――――
その一念からの、無駄な足掻きともつかない回避行動だった。
(現在地:A-3 港)
- 324 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/10(土) 23:37:40
- >>314
ヘリの中で歩兵用のミサイルを取り上げる。
対ヘリ用、赤外線追尾……十分だ。
タイミングを測る。
発射筒を肩にかつぎ、扉の端に足をかけて身体を固定し――
いまだ。
タイミングはどんぴしゃだった。
人間サイズのなにか、は――少なくとも外見は人間そのものだった。
俺はにやっと笑った。
可愛いといっていい容姿だったからだ。
今日の乱痴気騒ぎじゃ、ずっとこの調子だ。
「 fire! 」
俺は引き金を引いた。
煙をひき、ミサイルが中空に滑り出る。
(B-1上空 空中戦)
- 325 名前:小笠原祥子:2005/09/10(土) 23:38:59
- >>309>>316
どこかに衝突するか、落ちるか。その衝撃を思って目を閉じた瞬間。
確かに衝撃はあった。ただ、予想していたそれとは随分違っていた。
思わず目を開ける。痛い所はない。
いえ、ぶつかったといえばぶつかったのだけれど、大したものではない。
自分の取っている姿勢を考え、それがどういうものか理解する。
誰かに抱きかかえられているのだ。
相手を振り仰いだ。
大きな影だ。難なく私を受け止められたのも頷ける。ただ――目の錯覚なのだろう。
顔が石造りに見える。
笑っているように見える。
「……あ」
私は開けた口をそのままにしてしまった。
何かいわなくてはと思ったが、何をいったら良いかよくわからなかったので。
(現在位置:B-1 森)
- 326 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/10(土) 23:41:19
>>306>>318
先ほどまでとは比べ己になら無い程に速い突き。
『血』が騒いでいると言う事は、何らかの力があるか。
此処は無難に避けるとしよう。
「死ぬまで殺す? それは此方の台詞だ、屑」
その言葉と共に大きく後方へ跳躍。
追い縋る速さも侮れない物で、気を抜く事は出来ないが、真後ろには仕掛けがある。
巧く位置を入れ替わる事を考え、身構える。
リズムは一定。下手なベーシストを見るようだ。
一定である事は誇るに足る。が、それだけでは退屈だ。
一筋の傷を受け―――それは酷い激痛を伴ったが―――避ける。
場所は入れ替わった。これで使える。
隠した物は工業用アセチレンガスのボンベ。
過熱すれば爆発してしまう程、容易に着火する。
此処を火の海にしなかったのはその所為だ。
「巻き込まれ――死ぬ」
僅かに軌道をずらし炎を走らせる。
数は多く、一つや二つ消された所で問題無いだろう。
そうして―――爆発。
石の欠片や、ガラス、その他が俺の元にも飛んで来る。
此方もそれなりの傷だ。
だが相手は―――――――――
(A-2 倉庫跡 交戦中)
- 327 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/10(土) 23:47:02
- >>320 VAVAさん
彼女自身…自分も出ようとした時。
「ククク…で、何だ?さっきのビリッときたのは?
甘っちょろいからレクチャーしてやる、攻撃なンてのはこう撃つんだよ!」
右肩に固定したプラズマ砲をマウント。それから0,52秒。
重電子の塊が電磁の枷を解かれ、砲弾として発射される。
選択された攻撃タイプは拡散、軌道上の大気をイオン化させながらの連射。
ミリ単位に調整された弾幕で災厄を撒き散らす。
これに対して…まだ何ですかっ!?
相当しつこいと、マサヒメは思った。
こうなったら…白龍、ちょっと出番増えますけど良いですかっ?
そう思いながら…まず一発、戦車ごじに相手の自動人形に…十二支の大精霊が
一匹「白龍」の加護を得た神術攻撃をぶっ放す…その白い龍は
戦車の外から、相手を飲み込む様に覆うそして…。
(現在位置 A-2倉庫跡…>>320と交戦中)
- 328 名前:タチバナ(M):2005/09/10(土) 23:47:10
- >>313
男は血達磨になりながら、なおも立ち上がって凄んでみせる。
その形相に一瞬心が揺れた。
―――ただの人間が何故ここまでする?
「ひひひ……その強がりは大したものだなぁ!だがどう足掻いてもお前に私は殺せんよ!
私は人間の血によってこんなにも偉大な力を得た!虫けらに等しいお前如きとは……違う!
今度こそ死ね!これで最後だ!カァァァッ!」
言うな否やありったけの力を込めて再び念力を放つ。
ああ、でもコイツの血は不味そうだ。
(現在地:B-3 居住区域)
- 329 名前:タールマン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/10(土) 23:47:19
- べちゃり べちゃり べちゃり……
角の向こう側から連続して聞こえてくる液体質の音。
それもかなり粘度の高いものだ。
べちゃり </font size=3>べちゃり</font> べちゃり……
時折乱れることがあるものの、その音は概ね一定のリズムを保ちつつ
こちらに近づいてくる。
べちゃり……
やがて粘液質の音源は、角のすぐ源まで到達、そして……
べちゃり……
「BRAIN―――――!!」
叫び声とともに現れたのは、全身がどろどろに溶け崩れた人間の形をしたモノ。
真っ黒いタール状の液体に覆われた体躯は、2メートルはあるだろうか。
顔はと言えば、皮膚と肉とが削げ落ちてほぼ白骨化している。
「BRAIN――――― FRESH BRAIN――――!!」
とめどなく滴り落ちる黒いタールの中で、ぬめぬめと輝く二つの眼球。
目蓋のない真円型の瞳孔が、求めるものを見つけて欲情の色に輝いた。
(現在位置:A-3 港)
- 330 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/10(土) 23:48:12
- >>312
「あァ!?何だ貴様は!」
戦車内部の反応が一つ消失したかと思えばこれだ。
センサーの異常と一瞬判断したのがタイムラグを生んだ。
エネルギー弾の直撃を喰らい、体勢を崩す。
「くくく…やるなあ、お嬢ちゃん?
けどこいつは破壊だ。ガキの遊びじゃないんだぜ、くくく…」
落下から着地までの1秒以下の時間。
ミサイルの弾頭をナパームに選択。
対象までの距離を算出。
ロックオン完了。
着地と同時に発射し着弾、指向性の火柱が獲物を丸焼きにするべく直進する。
「バーベキューならお手のモンでなァ…ヒャハハハ!」
(現在位置:A-2倉庫跡)
- 331 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/10(土) 23:48:34
- >>310 >>320 蓮子 唐突な惨劇
どう抜けたものかと思案に暮れる。
蓮子は、月を見たまま動かない。いや、さすがにそれは無防備すぎじゃないかな。
まあ、今のところ緊張の連続だったから、たまには緩めないと糸が切れるだろうし、
大丈夫か―――
それが、油断だった。
「……っ!? 蓮子!!」
我ながらよく反応できたものだと思う。はるか遠いほうから光の弾丸が飛んでくる。
早い。とてつもなく早い。
到底避けることは叶わない。
だから、私は―――
「……ぐ、っつぅ……」
蓮子を突き飛ばした。そして、代わりに胸とわき腹を貫かれた。
焼けるような痛み。血が抜けていく喪失感。
思わず、膝をつく。
……うわ、こりゃまずいや。
こんなときに襲われたら二人とも危ない。だとすれば、打つ手は一つだろう。
「さ、先に行って……後から追いつくから」
何とか言葉を搾り出す。けれど心配そうな目は私を見たまま動かない。
とりあえず安心させようと、ちょっと頑張って笑った。
「大丈夫だって、このぐらいじゃ死なないから……頑丈だし」
それに、あの弾を撃ち込んでくれた奴にはちゃんと礼をしてやらなくちゃいけない。
はるか遠く、鉄の乗り物らしきものと戦っているらしき無骨な人影。
たぶん、あれだろう。
「ほら、早く!! 約束したでしょ、戻ろうってさ。絶対破らないから……ね?」
吐き出しそうな血を飲み込んで、再び告げた。
(B-2 倉庫跡 蓮子をかばって負傷)
- 332 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/10(土) 23:52:36
- >>245 >>278 >>297 vs上条当麻
少年
「――――――――――――――――、クッ、ハ!」
(『何か』から必死に逃れようと身を投げ出す)
カラカラカラ…
スクリーンが紅く塗りつぶされる。
そして、再び白黒にスクリーンは戻る。
そこに映ったのはひっそりと立つ少女。
少年は何処にも映っておらず、少年の居た場所はぼっこりと穴が開いている………………
(現在地 A−3の港で上条当麻と戦闘中)
- 333 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/10(土) 23:53:20
- >>303
「……やれやれ、磯臭くなって来たねぇ」
磯臭い匂いが強くなっている。無論、死体の匂いもまたしているのだけれど。
先ほどの少年を探しているうちに、また海に近づいてしまったようだ。
あの少年はまだ見つからない。相変わらず転がっているのは死体だらけ。
……出来たら、こいつら同様に転がっていないといいんだけど。
と、開けた位置に出た。石造りだが、似たような施設を私は知っている。
「港か……港町か、離れ島か。まぁ、別にどっちでも変わらないけど」
そう、ここがなかなかな地獄だって事は変わらないのだから。
気にせず私は、あの少年の姿を探した。
「……ん? あれは……」
と、道の先の方に、人の影が見えた。
ひょろりとした姿……先ほどの少年だった。後姿だが多分間違いはないだろう。
そして、彼の前方には……一人の少女。
「っ!? あれは……!」
瞬間、背筋に電流のようなものが走った。あれはヤバイ。とてつもなくヤバイ。
それなりに長く在る私ですら、若干の恐怖を感じさせるのだ。並大抵の相手ではない。
……見た感じは、少し清楚なお嬢様に見えるあたりが、更にその予感を強めている。
彼女の周囲には……異様なまでの『力』が揺らめいているのを感じる。
さらに、それはじわじわと領域を延ばしている。
そう、それは少年の方向にも……!!
「こん……のぉっ!!」
一気に加速し、少年の救援に向かう。
少年も異常を察知したのか、身を投げ出して回避しようとしている。
しかし、それではあの少女の『領域』から逃げ切る事なんて……
「じっとしてな坊やっ!!」
私は転がるように駆ける少年に向かって、体当たりするかの如く突進。
ぶつかる寸前でほんの少し右にずれ、少年の身体に手を回し抱き上げる!
そのまま一気にターンし、もと来た方向へとすっ飛ばす!!
(南無三……せめて距離を取れますように!!)
(現在位置B-3からA-3 上条を抱えて秋葉と距離をとろうとする……)
- 334 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/10(土) 23:54:12
- >>307 >>309 >>316 >>325
―――未だ炎の舌の痕跡が残る森を疾駆する。
ただただ直線的に。障害となる木々は薙ぎ払い、砕き消す。
途中、半ば人間松明と化した動死体と遭遇したが、
冥力を込めた掌圧を 強化された握力で 肉体でもっとも固い箇所である角で
微塵に壊した。 握り潰した。 貫き、引き千切った。
そして、数刻後。
――――ちょうど、仏頂面の男が黒髪の少女を受けとめている場面に遭遇した。
「ハッ―――テメエらゴミクズはつくづく群れるのが好きみてェだな、ア゛ァ゛ン?」
拳を鳴らし、首を鳴らし、臨戦体制である事を知らしめる。
―――絶望をトッピングした人間の表情こそが、この世で最高の美食なのだ。
(現在位置:B-1 小笠原祥子・笑石・支倉令組に接触)
- 335 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/10(土) 23:54:38
- >>324 ビリー
ヘリから顔を出した男のニンゲン、ではない。見た目に騙されるのは人間の仕事だ。
血の匂いばかりを感じる気配、吸血鬼。
男の持った筒状の武器と目が合う。その奥までが見えるほどに。
「We will Lock you!!!」
ヘリの中へと向けて、使い魔と共に妖弾をぶちまける。破砕音を確認するが、男に
当たったのかは判らない。なぜなら、
「追ってくる!?」
避けたはずの弾丸、ミサイルが執拗に夜雀を追う。左右に振り、上昇下降し、加速し
振り払おうとするが、凄まじい速度だ。さすがに逃げ切れない。
業を煮やし、腕を振り上げると、
「墜ちろってば!」
夜雀の爪によりミサイルは切り刻まれた、が、
ドォーン!
当然ながら爆発した。
(現在位置:B-1上空 生きてる?)
- 336 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/10(土) 23:55:02
- >>284 >>297 >>311 >>323 >>332
居住区と思しき地帯を抜けると、波止場が見えた。
軽く見渡してみたが、船舶の類は見当たらない。
「……む?」
視界の端に、腰の辺りまで伸びた紅髪の、女性らしき人影と(>>278)、少年――と言っても、私とそれほど年齢は離れていないだろう――(>>297)が対峙している姿が見えた。
ざわ……
ざわ……
「――っ!」
思わず、息を呑んでいた。竜眼が感じた殺意の主。それはまさに――紅い髪の人影だった。
「……紅い髪……まさか……」
「え……紅い髪? ボクには長い黒髪にしか見えないけど……」
どうやら、タオの目にはあの髪の色は黒に見えるようだ。とすれば、あの人物は。
「間違いありませんね……“赤主”遠野秋葉に……」
どうやら私は、最悪のカードを引き当てたようだった。
(現在地:A-3港 遠野秋葉と上条当麻の戦闘現場に遭遇)
- 337 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/10(土) 23:57:25
- >>312 アテナ
>>319>>327 青葉
>>320>>330 VAVA
ロボット兵が空を飛ぶ。
「くそ! 本体は健在か!」
だが大型は無力化した。少なくともドリルに削り殺される心配はなくなった。
「! 機外至近動体反応?」
視界をやるとそこには。
「アテナ!? 何時の間に!?」
さらにエネルギー弾で攻撃まで。
――本当に世の中なんでもありね。
『ハッチを空けてください…私も出ます』
青葉が言う。
「衝撃と恐怖でラリった!? 開ける訳ないだろ!」
そして空から降ってくる電撃弾。
大急ぎで機体を後退させるも一発が被弾。
「あぐっ!」
身体が慣性で引っ張られて悲鳴をあげる。
『左履帯損傷。走行不能』
「〜〜〜〜っ!! やってくれんじゃないのよこのポンコツ!!」
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 338 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/11(日) 00:00:10
- >>322
「―――っ!?」
投げた銀鎖がすり抜ける。
そして嘲笑の言葉とともに、私の後頭部を、がっしりと掴む一つの手。
……おいおい、あの龍王の仙術でもここまでやるとは聞かないぞ!?
あまりにもあからさまに投げた為、あっさりかわされた銀鎖。
そして後ろの手によって、地面との接吻を強要される私の頭。
あらぬ方角に飛びゆく鎖を尻目に、見る見る迫る硬い大地。 だが――
「……あっはははははははは! 判ってないのは君の方―――」
私は嗤う。
したり顔の大戦争家、その知恵比べにおける慢心に。
回転速だけそのままに、力場思念()でベクトルのみを正反対にした銀鎖が戻り、空いた背中を狙い飛ぶ。
合わせる形で下手から、無理矢理刀を投げつけた。
ごしゃり。
自分の額が地面にめり込み、割れる音を聞きながら。
身を起こそうと力を込めて、私はなおも言い放つ。
「真の策とは、二重三重に重ねたうえで考えてこそ。
知恵比べで不意を打つには、そのぐらいの周到さが居るものなのだよ、総統閣下…!」
(現在位置:C-3 灯台エリア。 アドルフと灯台前で戦闘中)
- 339 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 00:00:23
- >>331 妹紅
「今度は、北寄り……かな。きちんと時計回りに来てたって事か」
月の光がもたらす「それ」を、私は読みとる。
まあ、このまま回り続けれb
>「……っ!? 蓮子!!」
「え? っわ!?」
月を見続けていた私を、不意に妹紅が突き飛ばした。
そして
身近に響く音。
吹き出す血潮。
膝を突く――妹紅。
振り返った私の目に飛び込んできた、そんな光景。
そんな……撃たれた? 妹紅が?
……私をかばって?
「だ、大丈夫……のはずがないじゃない!
そんな、それなのに先に行ってだなんて……妹紅!」
そんな私に、しかし妹紅は笑顔を見せた。
……強がりじゃない、本当の笑顔だ。
こんな状況なのに、もしかしたら本当になんでもないのかと思わせるような笑顔。
どうする。
どうするんだ。私は。
いや違う。逃げるべきだ。私になにができるはずもない。ここにいたって埒が開かない。
でも、でも……
>「ほら、早く!! 約束したでしょ、戻ろうってさ。絶対破らないから……ね?」
……強い叱咤の声。
あくまで妹紅は逃げろと言った。
う。
う、うわあああ!
「妹紅…………くっ!」
まさしく「逃げるように」、私はその場を走り去った。
A-2 倉庫跡
- 340 名前:麻宮アテナ:2005/09/11(日) 00:03:59
- >>330 謎ロボット
直撃で相手の体勢が崩れる……だけ。
うぅ、やっぱりこんなものですか。
『くくく…やるなあ、お嬢ちゃん?
けどこいつは破壊だ。ガキの遊びじゃないんだぜ、くくく…』
好きな事をっ!
『バーベキューならお手のモンでなァ…ヒャハハハ!』
有視界テレポートで相手の直上に跳躍。
ミサイルを瞬間回避すると同時に上から第2波第3波攻撃!
「このーっ!」
私が手数で押さえ込んでいる間に他のふたりが
攻撃すればこちらの勝ち。阿吽の呼吸とまではいかなくても
この程度のチームプレイはできますし、相手がひとりならこれで十分!
(現在位置:A2で交戦中)
- 341 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 00:05:39
- >>337 エリさん
「衝撃と恐怖でラリった!? 開ける訳ないだろ!」
マサヒメが外に出ようとすると、エリにそう言われて
引き止められる、ぶっちゃけ…確かに危ない状況には変わりないが。
思わず、一瞬我を失い掛けたかも知れない…と言うか、ぶっちゃけ少し
慌ててたのかもしれないが…。
そして空から降ってくる電撃弾。
大急ぎで機体を後退させるも一発が被弾。
「あぐっ!」
身体が慣性で引っ張られて悲鳴をあげる。
『左履帯損傷。走行不能』
「〜〜〜〜っ!! やってくれんじゃないのよこのポンコツ!!」
この状況は、寧ろ不思議ではないだろう…だが、こんな所で
我を失って突っ込むわけにも行かないのも確か。
「すっ…すみませんっ!!でもこの状況ぶっちゃけ如何しますっ!?
わたしは取り合えず、範囲は狭い(対象単体)けど…威力がでかいのを
相手に食らわし続けちゃいます」
そう言うと、彼女の背後に白い龍…十二支の大精霊の一匹「白龍」が一瞬浮かぶ
「頑張ろう…白龍」
そして…手に白龍の力を凝縮する。
「出現位置は…戦車の外の自動人形さんっ!!貴方ですっ!!」
- 342 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 00:06:09
- (現在位置 A-2倉庫跡)
- 343 名前:完全懲悪ダンザイバー:2005/09/11(日) 00:09:53
- >>334(>>307 >>309 >>316 >>325)
くそっ、食人鬼の相手に手間取った。
この爆発と業炎、そして強大な力を示す反応…急がないと。
迫り来る食人鬼を吹き飛ばしながら、ようやく俺は彼女達の姿を捉える事ができた。
しかし、相手は食人鬼ではない。これまで戦ってきた、どの宇宙生物とも全く違う
見た事の無いバケモノだ。
>「ハッ―――テメエらゴミクズはつくづく群れるのが好きみてェだな、ア゛ァ゛ン?」
拳を鳴らし、彼女らに襲いかかるバケモノ。
「そこまでだっ!」
俺はそこに割って入るように飛び込んでいった。
「おまえの相手は、この俺が務める。」
バケモノの目を見据えてひと言宣言し、
「さぁ、ここは俺に任せて逃げてくれ」
今度は少女二人と、彼女を守る石像に逃げるように促す。
そして、改めて俺は、バケモノと対峙し言い放つ。
「覇王の力が罪を断つ。
完全、懲悪、ダンザイバー」
全身を包むタクティカルフレームに力が宿る。
ギラクルヴァにも匹敵するこのプレッシャー…油断は決してできない。
(現在位置:B-1 祥子・令・笑石とグリニデの間に割り込むように登場)
- 344 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/11(日) 00:10:25
- >>245 >>278 >>297 >>332 >>336 vs上条当麻、タバサ
(舞台に2人の人物が現れる、一人は魔法使い風の女性でもう一人は拳法家風の少女)
魔法使い風の女性
「――っ!」
「……紅い髪……まさか……」
拳法家風の少女
「え……紅い髪? ボクには長い黒髪にしか見えないけど……」
魔法使い風の女性
「間違いありませんね……“赤主”遠野秋葉に……」
「遠野秋葉、か………」
あの少女は私と同じ名前、同じ姿。
随分と奇妙な事もあったものだと思う。
私は確かに此処に居る。
………なら、スクリーンの彼女は何者だろう?
………………そういえば、私は何時から此処にいるのだろう………………………
『遠野秋葉』
「……あら、こんばんは、今夜は来客が多いですね。
しかも、二人でなんて………あ、心配しなくてもいいですよ」
(魔法使い風の女性と拳法家風の少女に微笑む『遠野秋葉』)
『遠野秋葉』
「まだ、私、あんまり食べてないんです」
(紅い髪の蜃気楼が二人にゆらゆらと伸びていく)
スクリーンを見ると、再び真っ赤に染まっていた………
(現在地 A−3の港で上条当麻、タバサと戦闘中)
- 345 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/11(日) 00:11:56
- >>318 >>326 八神庵
巧みに位置を入れ替えて、足を踏み換えながらさらなる追撃を。
そう考えたとき、敵手の走らせる炎の数が今までと比較にならない多さであることに気付く。
一つ。
二つ。
三つ四つ五つ。
受けきれぬと跳躍し背後に回ろうとした視界の端に、異質な金属製の『何か』が映る。
C2H2……Acetylene……。
「アセチレン……ガスだァ!?」
身を庇う様に身体を丸めるが爆風は容赦なく全身を打ち、壁面に激突し突き破る。
皮膚が焼け、転がったまま身動きもせぬその姿は最早生きていないだろうと見える。
だが。
『やれやれ、これはしてやられたようですね……』
聞き慣れぬ声。
女の声である。
まるで操り人形が糸を引かれる様に起きあがると、声は『この男から発せられている』。
『人間にしてはやる方ですが……さあ、そちらはもう手詰まりのようですね。
どうなさいますか?』
あくまでも超然とした声音で、誰とも知れぬ女の声で、左手に携えた剣を眼前に突きつけた。
(A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 346 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/11(日) 00:13:39
- >>338
「なるほど、それは確かにその通りだ」
銀鎖と刀、その二面からの攻撃に動じることもなく涼しい顔で答える。
「だから、こそ、だ。
だからこそ……私の勝ちなのだよ、カサンドラ嬢」
勢いをそのままに背後から奔る銀鎖。
正面から迫る刀。
アドルフは、鬱陶しい虫でもはたくかのように欠けた腕で刀を弾く。
そして、銀鎖は先程と同じようにアドルフの身体をすり抜け……勢いをそのままにカサンドラに向かって飛ぶ。
「このままだと、その美しい顔が石榴になるかも知れんが……仕方ないな」
カサンドラを押さえつける手の力は一切緩めず、さも残念そうに呟く。
(現在位置:C-3灯台)
- 347 名前:ロゼット&クロノ ◆AMENedTPtg :2005/09/11(日) 00:14:02
- それは、いつもと同じ、日常の任務のはずだった。
ある島に発生した「悪魔」――ないし、それに類する化け物の排除。
そう、当たり前の任務のはずだったのに。
なのに――
「――何よ、これ……」
こんな光景見させられちゃ、さすがに私だって息を呑まざるを得ない。
船の向こう、港。さらにその奥。
あちこちで吹き上がる炎、隠し切れない血と死の臭い。
その中をうごめく、無数の化け物。
「蟲毒っていう術について、聞いたことがある。
いくつもの化け物を殺し合わせて、最後に生き残った化け物を元に毒を造る東洋の儀式だって。
偶然か、必然か……どちらにしろ、かなりまずい状況だってことは確かみたいだ」
私の横の少年――クロノが真剣な顔で首をかしげる。
あまりに真剣だったから、ど突き倒しておいた。
「って、何するんだよロゼット!?」
涙目で抗議するクロノに、私はビシリって言ってやる。
「何が起こってるかなんて、考えてもしょうがないでしょ。
でも、やることは決まってる。
化け物やっつけて生存者を探して救出、あるいはこの港に誘導。
――違う?」
「そうだね……その通りだ。
それじゃ行こうか」
クロノがうなずいてダガーを引き抜く。
私も銃を引き抜き、船から一気に陸地に飛び移る。
考えてみりゃ、好き勝手するのは何もあいつらの専売特許じゃないんだし、だったらこちも――
「――いっちょ、派手にぶちかましてやりましょっか!」
(A−3 港 ロゼット・クロノ上陸)
- 348 名前:生存者? ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/11(日) 00:17:54
- 「ママ… ママぁぁ……
どこいっちゃったのぉぉ……」
無人の筈の上の解から泣きじゃくる声がするのが聞こえるだろうか?
声色から判断するに、10にも満たないであろう幼い少女の声だ。
だが、この子は暗がりの中でどのぐらいの間泣き続けてきたのだろう。
嗚咽は既にひび割れ、からからに乾いていた。
「ママぁ…… ママぁぁぁ……
痛いよぅ… もっともっとあれが食べたいよぅぅ……
ママのだけじゃ全然たりないんだよぉぅ……」
けく、と喉を鳴らす少女の小さな手には、子供の力でも人間の頭蓋を容易に破砕しうる
鉄製のハンマーがしっかりと握られていた。
(現在位置:C-3 灯台の上階)
- 349 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 00:18:09
- >>339 蓮子
「っ痛〜……」
全身が灼けるように、いや、手ひどく焼けていた。片方の羽はちぎれ、思うように飛べない。
怒りを先ほどの魔人にぶつけたいところだったが、この傷では到底勝てまい。
鈍器として使う予定だったヘリも、見あたらない。
「傷を癒すには栄養が必要ね〜……。例えばニンゲン、例えば若い女が、一番旨いわ〜……」
その視線の先には、若い人間の女。極上と言っても良いだろう。
食欲を抑える必要も、皆無。
「ある〜日、倉庫で、妖怪に〜、出会〜った♪」
『ある〜日、倉庫で、妖怪に〜、出会〜った♪』
コーラスマスターとその指揮下は、楽しげに唄う。
(現在位置:A-2倉庫跡 カリノジカンダ)
- 350 名前:支倉令:2005/09/11(日) 00:18:38
- >316 >325 >334 >343
加速度的に引いていく痛みが零になって、立ち上がった。
服はぼろぼろだけれど、動く分には支障無い。
祥子の方は――と見ると、あの人がいつの間にか追いついていて、
受け止めてくれたらしい。
「笑石さん……有難うございます」
先程の姿が見られていたら、この人はどう取るのだろう。
私をまだ人間として見てくれるのだろうか。
そんな益体の無い事を考える。
……そんな時間は、どうやら無いようだった。
「……な、え……?」
どう見ても害意を持っているとしか思えない乱入者が、血に濡れて立っている。
巨躯が暴威の塊に見えて、言葉すら忘れた。
死ぬ、と思わずにはいられなかった。
状況の変化はそれだけに留まらない。
『さぁ、ここは俺に任せて逃げてくれ』
そう告げる第二の乱入者の声に押されるように、私は祥子と共に森から逃げ出そうとした。
……あれには勝てない、と囁く本能に導かれるまま。
現在地:B-1森から言われるままに逃げ出し、B-2空港跡方向へ
- 351 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 00:19:43
- >>325
「大丈夫か?」
抱き止めた少女に、笑石はそう問いかける。
美しい、と表してもなんら間違いではない黒髪の少女。
令は確か、「さちこ」と呼んでいたか。
「さちこ、で良いのか。
一刻も早く、ここから離れろ。
お前の友人――支倉令と共にな」
支倉令、という名に少女が反応を見せる。
わからないのだろう、俺のことも、支倉令との関係も。
だが、説明している暇はない。
「――大物が来たらしい」
『感知』は、今までに感じたことのないような大きな『力』が接近していることを伝えていた。
>>334
祥子を降ろし、強大な気配へと向き直る。
そこに居たのは、甲虫を連想させる禍々しいフォルムの化生。
『感知』を使うまでもなく、わかりやすい『敵』で良い。
そんなことを考えながら、笑石はその顔の笑みを深めた――狂気のような笑みへと。
「ゴミクズ、か。
それ以下の魔物であるお前がよく吼える」
仏敵に対し、呪詛を吐くことも忘れない。
背後、遠ざかっていく二つの気配の無事を祈りながら、笑石は愛用の大剣を構えた。
一つのことに集中すると、他のことには頭が回らない。それは、笑石の欠点の一つだった。
──支倉令の身体は、とうに無事ではないというのに。
- 352 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/11(日) 00:21:00
- >>340
「(ピー)が…そこまで俺と遊びたいのかァ?」
上空、事実上背後に反応を確認。
現時点で目視は不可能。最大感度のセンサーを頼りにステップを踏み回避。
反撃のポジション取りに移行しようとした矢先。
>>341
そこで解析不能のエネルギー体を再度確認。
呑まれた。
シールド発生装置が悲鳴をあげ出力低下。
第一装甲が重圧に拉げる。
内部サーキットが次々にショートする。
こいつの“破壊”を優先事項と書き替える。
第一リミッター解除。
「ヒヒヒヒ…ハーハハハハハハ!」
全身8箇所に備え付けられた放電ユニットを展開。
瞬間で数千万ボルトを叩き出す電撃を全方位にぶち放つ。
内蔵ダイナモの稼働率を100%まで上げる。事実上のフルドライブ。
車輪状に展開した8条の稲妻は、エネルギー体を内部から相殺する。
「ハカイ、破壊…はかい…破壊だ!
そうだ、我らはその為に生み出されたのだ!
この滅び行く世界を破壊する為になア!!」
エネルギー体の無効化を確認。
損傷に反して思考は完璧なまでにクリア。
丁度装甲が鬼のように歪んだ顔面を向け、バーニアを吹かし前進。
狙いは変わらず戦車内部の反応だ。確実に抹殺できる対象から仕留める。
全身の電撃は未だ展開されている。
中の人間に触れれば焼き焦げるのは必至だ。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 353 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/11(日) 00:24:14
>>326>>345 ラインドウェル
――――致命傷。致命傷な筈だ。
肉の焦げる匂い。髪の焦げた匂い。アセチレン独特の臭気。
渾然一体となったそれは吐き気を催すには充分な、異臭。
人の火葬は初めてではないが、あまり慣れたくは無い物だ。
確実に死んだ。確実に殺した。致命傷は死ぬからこそ致命傷となり得る。
では――――何故立ち上がる?
その疑問を潰すような声が聞こえ問われる。
差し向けられた剣と共に、冷たい殺気が流れ込んでくる。
先ほどまでとは違う怖気。人が持つ物ではない空気。
一度似たような空気には触れた事がある。
恐らく、同じか。オロチと同じ、何か。
人では殺される事が確定している相手。
だが、答えなど決まっている。
「愚問だ―――殺す」
そのまま右腕を振り上げ、頭を掴み引き摺り倒す。そして爆破。
直ぐに距離を取り、炎を走らせる。
休めば殺される。ならば先に殺すだけだ。
(A-2 倉庫跡 交戦中)
- 354 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 00:24:16
- >>339 >>352 転生
蓮子が遠ざかっていくのを見て、ちょっとだけ安心した。
とりあえずは、足手まといにならずに済む。
ただ、泣きそうになってたのはちょっと悪いかな、と思う。
ごめん、ちょっとだけ待ってて。すぐ―――
ぶつり、と意識が途絶えた。
体が、ゆっくりと冷えていく。夜に溶けていく。
ゆっくりと、ゆっくりと―――
そして、私の身体が燃え上がった。
熱い、と思うまもなく全身の感覚が戻ってくる。
意識が真っ白になり、世界を映す。
轟、と炎が盛大に吹き上がった。その輝きが、倉庫跡を照らし出す。
最後に力が戻ってきた。ゆっくりと立ち上がって、ほこりを落とした。
―――リザレクション。
「ふうっ……さて、とりあえず覚悟しときなさいよ!!」
穴の空いた服が少々気になるが、それよりも怒りのほうが強い。
私は真っ直ぐに戦場へと駆け出した。
(現在位置:A-2 蘇生 → 交戦中のVAVA V およびエリ・カサモト一行へ)
- 355 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/11(日) 00:25:14
- >>332 >>333
上条は地面に当たる衝撃を緩和させようと受身の態勢を取ったが、
しかし、上条の背中は何時までも地面に着くことはなかった。
代わりに来たのは、重力に逆らっているような浮遊感。
気付けば上条は、何者かに抱き上げられていた。
首を巡らせて自分をしっかと捕まえて空を飛んでいる人物
(背中に当たるふくよかな感触で女性だと分かっていたが、上条は努めてその事を考えないようにした)
の顔をおがめば、それは先刻上条を救い上げた緑髪の女性だった。
「――――――アンタ。生きてたんだな……良かった」
まずその事実に上条は安堵する。
何時の間にか不本意な形で別れていたため、彼女の安否はどうしても気になっていたのだ。
そこで最初に自分を顧みないのが、上条の上条たる所以だろう。
「あ……悪い、な。二度も、助けられちまった」
そして一段遅れての御礼をする。
上条当麻という人間の情けなさにはほとほと愛想が尽きるが、それを嘆いている暇はない。
ただ、今自分がこうして生きている事、それ自体を感謝するべきだろう。
それでも気落ちだけは否めないまま、上条が顔を俯かせた時―――
上条の視界に入ったのは、さっきまで上条が突っ立っていた地点の惨状だ。
そこは、隕石が落ちたクレーターのように、ぽっかりと穴が開いていた。
しかしそれは決して何か質量が激突した後の破壊跡ではない。
まるでその場所の地面だけが、無くなってしまったかのようだった。
(何だよ、これは――――――)
上条は思考を巡らせる。
さっき自分の肉体に感じた、何かが消失するような妙な違和感。
そして上条が居た場所の状態。
つまり、彼女の能力は―――
(――――――奪う、力、か?)
理屈は全く分からない。ただ、ある一定の範囲内の力を根こそぎ奪って、無かったことにする。
彼女が行使したのは、そういう能力である事はほぼ間違いが無いだろう。
そして同時に、こんな滅茶苦茶な物理現象を起こせるのは―――
(異能の、力。なら―――――消せる)
上条の右手に宿る幻想殺し(。神様の奇跡(すら打ち消せるこの右手なら。
彼女に対抗することは、きっと、
可能だ―――
「―――、なぁ、悪いついでで」
上条は眼前の女性に語りかける。
「助けてもらってこんな事いうのもアレだけどよ―――もう一度、あの赤髪の所まで戻ってくれねーかな」
- 356 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 00:31:57
- >>349 ミスティア
倉庫街の中を、当てもなく走り続ける。
……場所が分かっても方角が分からない。うまく海岸沿いに行けてるのかも、この状況じゃわからない。
まして、私はまた一人だし……
>「ある〜日、倉庫で、妖怪に〜、出会〜った♪」
>『ある〜日、倉庫で、妖怪に〜、出会〜った♪』
うわ、ちょっとやばいかな。
なんか歌が聞こえてきたわ、えっらい脳天気な歌声が……
……歌?
(「やばい、歌が来た!?」)
ついさっき。
妹紅に抱えられて空を飛ぶ直前に、そういえばそんなことを言っていた。
歌が来たと。
……まさか?
目が霞む。さっきより周りが暗い。
暗いけど辺りを見回す。
まさか、またそんなことがだなんて事は……
――――い、た。
全身に火傷で、背の羽がちぎれた少女が、歌いながらこっちを見ている。
……獲物を見る目つきで。
く、食われる!?
「……ああああああっ!」
嫌も応もない。判断力もどこかへ消え失せた。
私はほとんど反射的にお札――妹紅がくれた発火のお札――を二枚投げつけ、
その効果を確かめることもなく、反対方向へ逃げ出した。
A-2 倉庫跡
- 357 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/11(日) 00:32:18
- >>334 >>343 >>350 >>351
―――死と血臭が支配する夜の四十万を切り裂いたのは。
>「そこまでだっ!」
―――正義が服来て歩いているような赤い鉄屑だった。
>「覇王の力が罪を断つ!
> 完全!懲悪!ダンッ!ザイバーッ!!」
……しっかりとポーズを決めながら名乗り口上と来たか。
「……理解できねェバカ野郎のお出ましか」
これならあのワンダーボーイ・ビィトの方がまだ幾らかマシだ。
そして、一方の仏頂面の男は大剣を構え、
>「ゴミクズ、か。
>それ以下の魔物であるお前がよく吼える」
とまぁ、良く出来た三文芝居の英雄志願者のセリフを並べてくれる。
「……無理すんじゃねェよ、弱っちいゴミどもが。
いくら正義をかざしても、テメエには何も出来ねェ―――例えば」
両の拳を高く掲げ、両の腕を膨張させるが如くに筋肉を振動させ。
「テメエらの胸から流れ出る、真紅()な血を止める事とか、なァ!!!」
再びの怒号裂破を。
二人の無謀なるゴミに向けて放った――――。
(現在位置:B-1 森林地帯 完全懲悪ダンザイバー・笑石と交戦)
- 358 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/11(日) 00:35:08
- >>340 アテナ
>>352 VAVA
アテナが肉弾戦に移行した。
ミサイルを瞬間移動でかわして。
「…………デタラメや」
アテナがかわしたミサイルはナパームだった。
瞬間的に炎が襲ってくるが、問題は…………ない。
「アーマーピアサー装填!」
音声反応でシステムが稼動。専用徹甲弾を装填する。
――――だが撃てない。近すぎる。
炎の中を突っ込んでくる人影を確認。
ヤツしかいない。
「ちぃぃっ!!」
機体をジャンプさせる。
そして、
「シフト、ガンナータイプ!」
音声反応プラスコンソール操作で、機体が姿を変える。
破損した履帯を排除。
車体両脇のアームが動き、砲塔と車体の固定が解かれ、砲塔がせり上がる。
車体内に収められた二足の脚部が展開される。
砲塔脇には二本のアーム。右には機体後部の物と同一のバルカン砲。そして、左にはパイルバンカー。
機体バックパックのバーニアを吹かして、さらに高空へ舞い、ロボット兵の突撃を飛び越える。
空中で180度ターン。無防備な背中に右腕のバルカン砲を叩き込む!
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 359 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 00:36:04
- >>352 VAVAさん
一発目の白龍の咆哮は…見事相手を包み込み
飲み込む…所どころが爆発し、相手側にも…ダメージの音が
それとして聞こえてくる。
しかし、表面の装甲は辛うじてはがれたが…相手は少しふら付きながらも
まだまだ健在であると言うのか…
「ヒヒヒヒ…ハーハハハハハハ!」
全身8箇所に備え付けられた放電ユニットを展開。
瞬間で数千万ボルトを叩き出す電撃を全方位にぶち放つ。
内蔵ダイナモの稼働率を100%まで上げる。事実上のフルドライブ。
車輪状に展開した8条の稲妻は、エネルギー体を内部から相殺する。
「ハカイ、破壊…はかい…破壊だ!
そうだ、我らはその為に生み出されたのだ!
この滅び行く世界を破壊する為になア!!」
相手を飲み込んだ白龍のエネルギーは四散…しかし
まだ彼女は、これ位で終わったと思ってはいなかった。
「これだけで、リタイヤに追い込めるとは思ってません…なら今度はこれで」
すばやく印を結び…その最中、戦車を中心に十二支の魔方陣が展開される。
その中、二重に通常の神術の魔方陣が展開。
「まずは…これを……わたしの出番、追加です…全力で行きますよ、竜の時間っ!!」
まず、十二支の魔方陣が消える…その途端、この地帯全体の時間の流れが
マサヒメ以外、全て止まる。
そして、何回も何回も何回も…印を結び、複数…無数の白龍、炎獣、雷鳥、氷龍、地霊達を相手側に
仕掛ける…この時間の停止状態を解いたら…一斉にこれらが襲ってくる訳だ。
それに加え…手のひらに光を集め…戦車越しに天空に光を放つ
これで良し…時間を解除して、これで決める。
そう思い…それを解いた一瞬の刹那の瞬間…相手の頭上から
無数の流星の雨が降り注ぐ…豪雨よりも酷いのかも知れない。
その勢いで、相手の自動人形に集中して降り注ぎ…爆音を上げる。
そして駄目押しに無数の白龍を始め…四属性の精霊達がここぞとばかり
相手に集中リンチを仕掛けた。
(現在位置 A-2倉庫跡 >>352と交戦中)
- 360 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/11(日) 00:38:26
- >>346
重ねて同時攻撃を仕掛ける間にも、私の頭を抑える力は消えない。
無理矢理顔を起こして、投げた刀の行く末を見届けるが――
刀はあっさり弾かれて、銀鎖はまたもすり抜ける。
龍王とやるとき勉強になるなあ……それどころではないか。
戻した鎖はその風斬り音も高らかに、私めがけて戻ってくる。
またしてもしたり顔で勝利宣言を行うアドルフ。
成程、君のその『反則技』には感服するよ。 だが忘れてないか?
――いったい、その鎖は誰()の()念()で()動いている?
そのままのベクトルで、鎖は私めがけて飛来する。
慌てず騒がず肝を据え、鎖が目の前に飛び込む瞬間―――そのベクトルを、少しだけ変える。
「ぐぁ……!」
鎖は私の額を抉り、灼き、自慢の髪ごと肉片を飛ばす。
そしてその勢いのまま男の腕にぶつかり絡みつき、強引に腕を私の頭からどけさせた。
「……いい加減、地面との蜜月は飽きた。
次は貴方の血で乾杯といこうかな? この落とし前の意味も込めて」
先ほどまでの男の腕を、宙に浮いた銀鎖で捕らえ。
火傷と血に彩られた凄絶な笑みで、私は笑った。
(現在位置:C-3 灯台エリア。 アドルフと戦闘中)
- 361 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/11(日) 00:39:30
- >>323 >>332 >>344
『……あら、こんばんは、今夜は来客が多いですね。
しかも、二人でなんて………あ、心配しなくてもいいですよ』
遠野秋葉が、静かに微笑む。
背筋に、寒気が走る。
私が扱う氷の魔術より冷たく、鋭い微笑。
『まだ、私、あんまり食べてないんです』
氷結の微笑を浮かべたままの遠野秋葉から、紅い髪が私達目掛けて伸びる――!
「タオっ! 後ろに跳びなさいっ!!」
懐に手を差し入れながら叫ぶと同時に、彼女から距離を取るように跳躍。懐から取り出した、氷気を封じた試験管数本を、遠野秋葉のいる方へと投げつける。
かつて話に聞いた彼女の能力が真実であるならば……接近戦は死を意味する。距離を取りつつ、隙を見て仕掛けるしかない。
「ど、どうしたの、タバサさん、急にあんな大声出すなんて……それに、凄い怖い顔してる……」
叫びに反応してくれたタオが、私の隣に立ち、顔を覗き込んでいた。
「――最悪を引き当てたのですよ、私は」
多分険しい表情のまま、遠野秋葉から目を逸らさずに、私は呟いた。
(現在地:A-3港、遠野秋葉と交戦中)
- 362 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/11(日) 00:41:59
- >>345 >>353 八神庵
『ふふ……死んだとでも思いましたか。
残念ですが、この「器」にはまだ使いようがありますから』
痛痒にも感じぬ声が、ただ間断ない攻撃を繰り返す男に向けられる。
走る炎は身構えるまでもなく周囲に展開する法円、空間歪曲能力の物質面に於ける残滓を
残しながら消し飛ぶ。
『恐怖に飲まれてしまえば、いっそ楽になる。
そうは考えないのでしょうね、貴方の様な方は』
攻撃の僅かな間隙、走る炎と炎の間を縫い剣を縦に、指揮者がタクトを揮う様に下ろすと
空間の裂け目が顕れる。
そこから、ただ一歩。
『そういった有り様の魂、滅多に見られるものではないでしょうが、では』
剣を下から上に、大きな弧を描きながら振り上げる。
(A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 363 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/11(日) 00:43:50
- >>335
あーこりゃダメだ。
削れたおつむを再生させて振り返ってみれば、
あけたドアから飛び込んだ弾丸で内装がずたずただ。
なんでこれで飛んでいられるのやら……
いや、それ以前に、吸血鬼になりかけだったパイロットは、
心臓を撃ち抜かれてあっさりとくたばっていた。
――クソったれ。
高度はどんどん下がっている。
不時着ができなくもなさそうな下がり方なのが不幸中の幸いだ。
滑走路らしき場所を超え、倉庫群らしき方向へ、ヘリは落ちていく。
俺はヘリに据付の武器からいくつかをひっつかむと、宙に身を躍らせた。
ぼろぼろの建物につっこみ、天井をぶちぬいて中に飛び込む。
爆音が聞こえた。ヘリが墜落したか。
立ち上がる。
さて、どうするか。
(B-1上空からA-2へ 倉庫跡廃屋内部)
- 364 名前:麻宮アテナ:2005/09/11(日) 00:46:24
- >>352 謎のロボット
死角にいるのをいい事に好き放題な私の攻撃。
でもそれを、人間ならカラダが悲鳴を上げるほどムチャな運足、
いやステップで回避する様はすごいです。
しかも彼我のダメージ能力を測ってあくまで戦車側を狙う判断力。
相当に戦い慣れている強敵。
>>354 不死鳥?
……と思った瞬間、熱よりも光よりも”意思”を感じました。
誰かいる、いえ誰か来る! 視界の先に一瞬見えたのは、
炎の中からよみがえる翼。
「似たようなことする人って、いるものなんですね……」
非常時なのについそんな言葉がでてしまいます。
とにかく、まっすぐ駆けてくるあの人(?)は敵? 味方?
これはもう乱戦は避けられない。位置関係的には私がいちばん
状況をつかみやすいはず。私がしっかりしないと!
- 365 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/11(日) 00:48:44
- >>333
>「――――――アンタ。生きてたんだな……良かった」
そんな事を、少年は言った。……まぁ、存在し続けているから間違いではないだろう。
「ああ、流石にあの程度の連中に後れを取るほど鈍っちゃいないからね」
とりあえずそう答えておいた。まぁ、ちょっと大き目の魔法を使ったから少し疲れたけど。
>「あ……悪い、な。二度も、助けられちまった」
「構わないよ。流石に一度助けた相手に死なれちゃ、寝覚めが悪いもんでね」
そういって、ウインクをしてみせた。どうやらあの少女とは距離をとることが出来たようだ。
さらに言えば追ってきてもいない。やる気がないのか、それとも……?
ともあれ、この一帯からは離れた方がいいだろう。そう思っていたのだが……
>「―――、なぁ、悪いついでで」
>「助けてもらってこんな事いうのもアレだけどよ―――もう一度、あの赤髪の所まで戻ってくれねーかな」
そんな事を、この少年は言い出した。
「はぁ? ……あんた、オツムは大丈夫かい?」
正直言ってあの場所に戻るのは自殺行為に他ならない。
私が見たところ、彼女の『領域』はあの程度の範囲で収まるわけがない。
さらに能力の内容は……はっきりとは分からないが『消失』させる類だろう。
事実、あまり本気ではないだろうその攻撃で地面に穴が穿たれた。爆発は無く、地面が消えるように。
この少年はその事や、自分の事がわかってそんな愚かな事を言っているのだろうか?
気が重くなって、その少年の目を見つめて……はたと、気がついた。
その眼は、一欠けらも絶望の光を灯してはいなかった。
むしろ、勝算が見つかったので挑もうとする、強い意志の宿った瞳。
少し隠れた所に少年を下ろし、私はため息交じりにそう言った。
「やれやれ。……逃げ回るってのも、私の性に合わないしねぇ」
そう、相変わらず訳が分からないが、それでも出来る事はしておくに越した事は無い。
それが自分にとってかなりの脅威である相手なら、何とかしておくのは妥当どころか最善だろう。
「特別に付き合ってあげるとしようかね。私は魅魔。ちょいと長く生きてる幽霊の類さ」
そういえば、ここまでやっておきながら名前の一つも知らなかったのに気がついた。
少なくともあの子相手に一時コンビを組む相手だ。名前を聞いておくのも礼儀だろう。
「あんたはなんて言うんだい? 坊や」
(現在地A-3 上条の要請を受諾。秋葉と敵対を決意。自己紹介してみる)
- 366 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/11(日) 00:49:00
- 蒼い血が高ぶる、ほら、夜の気を吸い込んで。
風がこんなにも心地良い。さあ、目覚めた私は誰にも止められない。
それが若さ故の傲慢ならば!そうね、目の前の独裁者と。ようやく肩を並べられるかしら?
高らかに笑い声。さっきまでの私を知っているなら、きっと呆気にとられるんでしょう。
でも、コレも紛れもなく。私、山城友香の一部。私は私を否定しない。否定できない。
さあ、それでも私とエンゲージしてみる?
>>348
ああ、目が冴え渡る。夜の闇こそ我が住処!見据えろ!私が居た場所を。
目の前に居るのは………女の子?
『ママ… ママぁぁ……
どこいっちゃったのぉぉ……』
そんなか弱くすすり泣く声。 吐キ気ガスル
私に助けを求めてる。ああ、匂いでわかるわ。 コンナ悪イ夢
『ママぁ…… ママぁぁぁ……
痛いよぅ… もっともっとあれが食べたいよぅぅ……
ママのだけじゃ全然たりないんだよぉぅ……』
アナタはもうとっくに、終わっているんだから! 壊シテシマエ!
身体から漲ってくる闇の眷族『吸血鬼』としての奔流。
「 ナウマク ・ サマンダ ・ ボダナン …… インダラヤ ・ ソワカ! 」
虚空より出ずるは、帝釈天が持つ雷の錫杖ヴァジュラ!
「―――――さあ、還りなさい。須くバベルの塔は崩れ去るべきだわ!
それに、アナタみたいな存在、気分が悪いったらありゃしなくて!」
『塔』の称号を持つ友達は告げていた。バベルの塔は人の罪の象徴だと。
神に近づきすぎた人の罪。ならば、私は死を超えるという人の愚を『吸血眷族』が故に打ち砕く!
天より降り注ぐ数多の雷光が塔を破壊していく。
私は一瞬だけ次元の狭間に潜り込むと。瓦礫の上に舞い降りた。
さすがに、このダークロアの血が目覚めてしまってはE.G.O.の超能力は薄まるご様子。
だけど、零距離とはいえ場所を決めて現れることが出来るなら。それは強化なのかもね?
「―――――サヨナラ。人が信じた黄泉の国があるのなら。ママと仲良くね。
さあ、お二方、ご機嫌よう。塔には『一人お姫様』が居たけど、壊して来ちゃったわ♪」
てへっ、と。でも。そんな感じで。絶対零度の微笑を浮かべて。
私は、闇夜に舞い降りた。―――――白ビキニのままなのが難点だけど。
〈 現在位置:C-3『元』灯台エリア オ姫サマハ モウイナイ 〉
- 367 名前:小笠原祥子:2005/09/11(日) 00:50:22
- >>334>>343>>351
私を受け止め、地面に下ろしてくれたこの方――といって良いのかどうか――は、なんと令の
名を口にした。
それを問い質そうとする前に、予期せぬ闖入者が次々と現れる。
まず最初は、黒いマントを翻した長身の男性だった。
肌は硬質の緑色で。下品な物言いに憤る前に、異様な気配に身が竦む。
山の中、熊か何かと一対一で向き合うと、こんな感情を抱くのではないだろうか。
次は――ああ、さっき私を助けてくれた、ええと、ガンダイバーさまといったろうか?
全身スーツの方。そして動く石にしか見えないこの方は、緑色の男性から私達を護る為、踏
み止まる覚悟らしい。
令にいざなわれ、身を翻す前に。
短く、だが深くお辞儀をする。命を救ってくれた相手に、どんな言葉をかけても虚しいだけ
だ。
態度でだって同じかもしれない。けれど、私は他に遇する術を知らないから。
だからお辞儀をして、私は令の後を追った。
木々の間に飛び込み、二人で走りながら、
「あなた……変わった知り合いが多いのね」
といいかけた時、背後から轟音が響いて来た(>>357)。
思わず足を止めそうになる。だが走った。
それは恐らく、あの方々の志を無にしてしまうことに違いなかった。
(現在位置:B-1森、令と共に逃走中)
- 368 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/11(日) 00:50:36
>>353>>362 ラインドウェル
無数の炎は闇に融けて行った。
あの男もやっていた為、それほど驚く事でもない。
無駄と分かっていながらも炎を撒き散らし、辺りは紅く染まっていく。
そして何時の間にか、何が起こったか分からぬまま、斬りつけられていた。
下から上に掬い上げるような斬撃。
右下腹部から左肩までを一気に駆け抜けていく刃。
血の雨が降り出した。
一歩死に近付いた。
だが――――アレもまた死に近付いた。
踏み止まる。宙に浮いてしまえば楽に殺してくれただろう。
それでは満足できない。目的すら果たしていない。
死ぬには未だ―――早い。
目の前にある何かの首に手を掛け、全身から炎を吹き上げる。
三神技之弐―――対オロチ用の最終奥義。
これで決まらねば死ぬだけだ。
全力で、殺る。
(A−2 倉庫跡 交戦中)
- 369 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 00:51:03
- >>356 蓮子
「市場へ続く道〜、妖怪に出会った♪」
『市場へ続く道〜、妖怪に出会った♪』
可愛らしい獲物が何かを投げつけてくる。外見年齢は差がないか、向こうが上に見え
るかも知れないが。
ボゥ!
「妖怪の〜、言うことにゃ〜、お嬢さん〜、お逃げ〜なさい♪」
『妖怪の〜、言うことにゃ〜、お嬢さん〜、お逃げ〜なさい♪』
おそらく妹紅から渡されたモノだろう符が、ずいぶんと外れて爆発する。無駄な抵抗
をしてくれないと、張りがない。
「スタコラ サッササノサ スタコラ サッササノサ」
『スタコラ サッササノサ スタコラ サッササノサ』
結果も見ずに逃げるニンゲン。けれどそれは正解。結果を確かめる暇など、有りはしない。
ニンゲンを喰う過程。この追い回し、絶望した顔を見るのが最も楽しいのだから。
妖怪は長らく忘れていた感覚に愉悦の笑みを浮かべ、ゆっくりと獲物を追った。
(現在位置:A-2倉庫跡 食事の前の運動中)
- 370 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 00:51:52
- >>352 VAVA
走った距離は約十秒。
―――見えた。
閃光を放ち、狂ったように人とは思えない声で笑うそれは、まるで鉄で人間を作ったの
ではないかと思えた。
それが、なんと人型になったと思しき乗り物の方へと突っ込んでいく。
「ったく、人の腹に穴あけといて、無視するなってのよーっ!!」
叫んで、スペルカードを手にする。
二枚目。
正直言って体力は大分落ちているので長時間はつかえない。
だから、式を組替えて、一発だけ、強烈な奴を撃てるように。
符が光を放って、私の手の中へ。
「不死の山の熱き炎、」
生み出されたのは、驚異的なまでに霊力が圧縮された、爆裂弾。
「しかとその目に焼き付けろ!!」
―――蓬莱「凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-」。
巨大な弾頭が、目の前の鉄人へと飛翔する―――――!!
「……って、あ」
そこで気づいた。ひょっとしたら近くにいるアレも巻き込むんじゃなかろうか。
……無事でいるといいけど。
(A-2 倉庫跡 横合いから思い切り殴りつけた)
- 371 名前:完全懲悪ダンザイバー:2005/09/11(日) 00:54:59
- >>357(>>334 >>343 >>350 >>351)
>「……無理すんじゃねェよ、弱っちいゴミどもが。
>いくら正義をかざしても、テメエには何も出来ねェ―――例えば」
その台詞と共に、奴は手を天にかざす。
と、同時に奴の体は高速振動をはじめ
>「テメエらの胸から流れ出る、真紅(まっか)な血を止める事とか、なァ!!!」
掲げた手を地面に叩きつける。
膨大な筋肉の高速振動によって作られたエネルギーは衝撃波として、
こちらに襲い掛かってくる。
「ちぃっっっっ」
両足を踏ん張り、手を十字に組み来るべき衝撃に対抗する。
が、
「ぐぁぁぁぁあああっ」
そのあまりにも強大な衝撃に耐え切れず、広報へと吹き飛ばされる。
体の一部が地面に引っかかると、それをきっかけにゴロゴロと音を立てて転がる。
必死にダメージを最小限にすべく体を丸め、黒こげとなった立ち木にぶつかりようやく停止する。
「まずは、あの振動を生み出すあの腕をどうにかしなければ。
ライトニングドライブ」
雷を纏った重力球を、腕目掛けて解き放つ。
(B-1にて、グリニデと交戦中)
- 372 名前:牙付き労働者:2005/09/11(日) 00:55:13
- >>350 支倉さん
>>367 小笠原さん
周りを見渡せば、風景は随分すっきりさっぱりしていた。
空港の方に走る二つの影が見える。
……ああ、あの子いいなぁ。友達と一緒なのか。
一人でいるって意外に心細いからね。
早く僕も家に帰りたい。
……うん、いいなぁ……黒髪のあの子、物凄く美味しそうだ。
僕が少しぐらい貰っても、まだもう一人分は十分に残っているよね?
身体を低くして虫のように四つん這いで近づく。怖がらせちゃ悪いから。
大丈夫、こういう無理な体勢の仕事には慣れてるんだ。
ショートの子の許可を貰ってないけど、きっと何とかなる。
ただ心配なのは、初めてが妻じゃない、って事くらい。
でも……きっと妻は笑って許してくれるよね。
何だか急に、喉が渇いて仕方がないんだ。
腕の力だけで跳躍。まるで体操選手にでもなった気分。
足先から着地して、今度は低い放物線を描いて前に大きく一歩。
牙をむき出しにして首筋を直接狙う……あれ? 何時の間に牙なんて生えたんだっけ?
……思い出せない、まあ、良いや。気にしない、気にしない。
勢いがつき過ぎて、もしかしたら黒髪の女の子の首をもぎ取ってしまうかもしれないけど……。
やっぱり気にしない。
胴体が残っていれば、十分だよね? ……ねぇ?
味わったこともない筈なのに、
甘美なその液体が喉を滑り落ちる感覚を思って、陶然とする。
今の僕は、きっと酷く浅ましい顔をしている。
ねぇ……僕はまだ、妻に嫌われてしまうほど変わってはいないよね?
(B-1森の中 小笠原祥子にロックオン)
- 373 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 00:58:32
- >>354 藤原さん
マサヒメご一行と正体不明の自動人形が交戦中の最中。
マサヒメも…何だかの気配を感じ取っていた。
「何なんだろうっ?この気配…何か妙に神々しいと言ったら良いのか悪いのかっ
ふっちゃけ…如何なんだろう、それにこの気配、お兄さんの精霊じゃないけど…気配が似てますね」
その時、明後日の彼方から、炎に包まれた不死鳥が乱入…そして
相手、自動人形に向かっていく。
「鳥…の大精霊じゃないですよねっ…でもあれっ、話に聞いた事がある気が
しますね…確か、再生を司る…フェニックスと言う、不死鳥でしたっけ…道理で
お兄さんの精霊と気配が似てると思った訳です…一応鳥ですし」
妙に自分で納得してるマサヒメであったが…こんな事に関心してる場合じゃない。
コッチも攻撃を加えなきゃ…。
(現在位置 A-2倉庫跡 正体不明の不死鳥接近)
- 374 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/11(日) 01:00:44
- >>360
「なるほど、気丈なものだ。それに思い切りもいい」
腕を戻し、絡みついたままの銀鎖を鬱陶しげに見る。
カサンドラの念で動くそれはまるで蛇のように巻き付き、万力のように締め上げる。
「それに、その朱に染まった顔もまたいい。好きになってしまいそうだよ、カーサ」
腕の鎖は無視し、軽口を叩く。
だがそれだけの余裕がまだあると言うことだ。
優雅に一歩歩を進めようとして……
>>366
異変に、気付いた。
(何だ、この違和感は……!?)
そして灯台を破壊し、その上に舞い降りた白い少女。
先程までの彼女と同じで、同じではない少女。
「なるほど。なら今いるのは……悪鬼か魑魅魍魎か」
不敵な笑みは消しもせず。
「どちらにせよ、ダンスにはもってこいの相手のようだな。両手に花で困ってしまいそうだ」
(現在位置:C-3灯台『跡』)
- 375 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 01:01:08
- >>357
『感知』によれば、先ほど現れた奇妙な赤い影(>>343)は、
人間であるらしい。
先刻の言動も、少女達を護ろうとするものであった。
――ならば、今の自分が相手にするべきは眼前の魔物のみ。
怒号と共に打ち出される『力』の奔流。
その威力は、先刻の暴風の比ではない。
「何もできん? 流石に魔物は妄言を吐くのが得意らしいな」
笑みが深まる。
それは既に、顔に刻まれた亀裂のように。
「何一つなし得んのは、お前の方だ」
『力』で強化された石の化生である笑石に、生半可な攻撃は攻撃は通用しない。
だが眼前の暴風は、笑石の身を砕くのに充分な威力を持っている。
――ならば避けるべきか? 否。
「何故ならお前は、」
仏法と衆生の守護者である笑石が、魔物に対し後退を選ぶ意志などありえない。
楔を打つように大地を踏み締め、迫り来る暴威を見据え――大剣を打ち当てた。
全身に走る衝撃。
それをただただ圧力で押さえ込み――やがて暴風をかき消した。
「ここで死ぬからだ」
(B−1:森の中、ダンザイバーと共に、グリニデと闘争中)
- 376 名前:マリアベル・アーミティッジ ◆nOblerEDv. :2005/09/11(日) 01:05:48
「カウンタージャマースタンバイ。
――成功! 通信、回復しましたッ!」
「よし!
まだどうにか間に合うはずじゃ、代われ!」
「『軍艦島』全域に告ぐッ!
こちらは緊急任務遂行部隊ARMS技術顧問マリアベル・アーミティッジ!
緊急事態発生、島内の奥部にて巨大な熱核反応を確認!
島内に眠っている反応炉内蔵型機械生命体「ドラゴン」が目覚めつつあるものと思われるッ!
島内にいる者は、可及的速やかに脱出……あ? 五月蠅い、今それどころでないことぐらい見てわか
――――なんじゃとッ!?
か、重ねて通達する!
当該区域に対し某大国による大陸間弾道核ミサイル発射の用意がなされたと情報が入った!
先の機械生命体の殲滅目的と思われるッ!
着弾予想時刻はAM04:00()!
島内の者は、それまでになんとしてでも脱出せよッ!
繰り返す! こちらは――――」
- 377 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 01:08:09
- >>370 藤原さん
その一匹の不死鳥は…自動人形に対して
懇親の一撃を放つ。
取り合えず…敵ではないんですね、安心っ!?
「不死の山の熱き炎、」
しかとその目に焼き付けろ!!」
―――蓬莱「凱風快晴 -フジヤマヴォルケイノ-」。
と思ったら…その懇親の一撃、自動人形ばかりか
その弾頭による爆発が、コッチを巻き込む。
「敵なんですかっ!?味方なんですかっ!?一体どっちなんですかぁ!?」
少し泣き気味な顔でそう言うと…台風のごとく去っていった不死鳥を見送る。
一瞬傍線となった一行なのであろうか?
(現在位置 A-2倉庫跡 正体不明の不死鳥接近…そして巻き添え、いや無事だろうけど)
- 378 名前:ダン・スミス ◆jcr2KGh37s :2005/09/11(日) 01:09:54
- >328
「――――クククク・・・・・意外とママっ子なんだなァ、兄さんはよ。」
タチバナが、更なる攻撃に出ようとした瞬間―――
惨劇は幕を開けた―――
獣の反射神経をも遥かに上回るダンのクイックドロウは―――
攻撃に転じようとし、他所事を考え、ダンの動きに神経を向けない
タチバナの正に塵ほどの隙に―――
正確にタチバナの頭部を捉え―――
頭蓋骨をスイカのように砕いた―――
そして―――
それによって生じた新たな「隙」はダンに「機」を与えてしまった―――
「お別れだぜ、兄さんよ。」
ダンはそう言い終ると、その両銃から光り輝く巨大な光弾を放った―――
太陽―――?
―――否。
神をも悪魔をも葬り去る死神の弾丸―――魔弾である。
- 379 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 01:11:54
- >>369 ミスティア
背後に爆発音が響く。
命中してくれただろうか。いや、どっちにしても逃げるしかないか。
さっきからずっと走ってばかりなんだけど。
と、いうか……やばい、山火事から逃げてこっち、足がまだ回復してないような……
でもとにかく走り続ける。
壁に突き当たるまで一直線に、曲がってもまた一直線に。
歌声は……歌声は?
>「スタコラ サッササノサ スタコラ サッササノサ」
>『スタコラ サッササノサ スタコラ サッササノサ』
……ああ!
まだ、まだ聞こえてくる…………っ!
お札を投げても効果がない。
カメラのフラッシュで目くらまし?
そんなの、近づかれたときにしか役に立たないだろう。
やっぱり、逃げ続けるしか……いやもういっそ、天の助けでも期待を
>>376
――――はい?
A-2 倉庫跡
- 380 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/11(日) 01:12:17
- >>354 >>359 >>370
上方、背後からの機銃掃射。
全方位、エネルギー体の時間差攻撃。
側面、超高熱源体。
駄目押しの一斉砲火。通常ならばこれで三度は決着がつく。
だが二度も地獄の淵から甦ったVAVAである、容易くは死なない。
リザーブしておいたエネルギーパックをシールドに注入。
防御スクリーンの出力を最大限に。表面に展開された障壁で少しでも
ダメージの減少に務める。
それでも攻撃のエネルギー量が圧倒的に多いのか、全身の装甲と機構が
見る見るうちに損傷を深めていく。
そして、小破。燃料に誘爆しバックパックが全焼。
猛攻撃の嵐に翻弄され膝をつく形になる。
「くくく…お前達は何故もがく?
既にこの世界は破滅に近づいていると言うのに。
そんな滅び行く世界で悪者退治か?くくく…」
特別攻撃コードR3−8発動。
予備動力により『デビルベア』を再起動。
そのまま動力係数を一気に臨界点へ。
同時に自身のリザーブタンク内、残存エネルギーを全てプラズマ砲へ。
同じく臨界点まで稼動。
ミサイルランチャー、全弾頭のセーフティ解除。
ナパームと通常弾の比率は50:50(ヒフティ:ヒフティ)
「今こそ破滅と最後を迎える時だ!
滅びろ!滅びろ! HO――ろビ―ロ―ォ!」
全方位射撃という名の閃光。
全ミサイルとランチャーを撃ち尽くす。
熱源(>>370)には反応炉を臨界まで上げたデビルベアを特攻自爆。
「はははははは…
ひゃーははははははは…!」
そしてVAVA自身も、反応炉の出力をオーバードライブさせ続け―――
(現在位置 A−2)
- 381 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/11(日) 01:12:26
- >>370 妹紅
『警告。高熱源体接近』
アラートマークに従って視界をやるとそこには高速で突っ込んでくる少女。
下手なビークルより速い。
――もう今日は何が起こったって驚かないわね。
少女は、
『ったく、人の腹に穴あけといて、無視するなってのよーっ!!』
大声で叫ぶと、
『不死の山の熱き炎、』
高エネルギーの爆裂弾を、
『しかとその目に焼き付けろ!!』
ぶっ放した。
アレがこの距離で炸裂したら、間違いなく……巻き込まれる!?
バックパックのバーニアを全開。
後ろに飛ぶ。
倉庫の屋根に着地。もっと距離を――――!
取る前に余波が来た。
『損傷拡大。これ以上は危険です』
損害報告音声は非常にありがたくないことをのたまってくれた。
(現在位置 A-2倉庫跡 倉庫の上)
- 382 名前:麻宮アテナ:2005/09/11(日) 01:13:11
- >>370 不死鳥?
『不死の山の熱き炎、しかとその目に焼き付けろ!!』
大技が来るっ!? この人敵の敵だけど味方でもない!!
ロボットを飲み込んだ炎の余波をシールド。
戦車、戦車はどうなったの!?
「それに、あなた誰ですか!?」
もうちょっと火力絞ってくれないと危ないじゃないですか!
ああそんなことより戦車、戦車!
>>376 緊急何とかさん
『当該区域に対し某大国による大陸間弾道核ミサイル発射の
用意がなされたと情報が入った! 先の機械生命体の
殲滅目的と思われるッ!』
この忙しい時に〜〜〜っ!!
(現在地:A2で交戦中)
- 383 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/11(日) 01:13:50
- >>365
「はぁ? ……あんた、オツムは大丈夫かい?」
緑髪の女性がそんな事を言うのも、当然だろう。
自殺行為だ―――通常の人間の思考なら、誰もがそう口を揃えて言うに違いない。
だが、それでも、上条当麻は。
彼女を見過ごすわけには行かなかったのだ。
「アイツをココで見逃せば、俺たちだけじゃねぇ―――もっと沢山の人が消される。
だから、俺が――――――アイツを止めるんだ。
俺なら、それが、出来る………信じてくれ、なんて言えたギリじゃねーけど」
そう言って上条は女性と視線を合わせる。
1秒、2秒……刹那だが永遠にも等しい時が過ぎ去り、やがて緑髪の女性が溜息をつく。
「やれやれ。……逃げ回るってのも、私の性に合わないしねぇ」
分かってくれた―――ただそれだけで、上条の顔に不敵な笑顔が灯る。
そして、
「あんたはなんて言うんだい? 坊や」
緑髪の女性、魅魔の自己紹介に対して、上条は笑顔を残したままはにかんだように答える。
「―、俺、は……上条。上条、当麻。よろしくな、ミマさん」
その後で上条は即座に表情を引き締めて、真面目な顔で魅魔に語った。
「いいかい、ミマさん。こいつは作戦、なんてもんじゃない単純な戦法だ。その積もりで聞いてくれ。
まず、俺が突っ込んで、囮と時間稼ぎを両方引き受ける。
大丈夫、俺にはアイツの力を食らわない自信がある―――ムチャな話だけど、信じてくれ。
アンタはその隙にあの紅髪を止めてくれ。………ただし、殺しちゃ駄目だ。取り押さえるか、気絶させるだけ―――
そうして欲しい。頼む」
魅魔が少し逡巡し、頷いたのを確認し、上条は右手を強く握り締め、そしてゆっくりと開く。
「じゃあ――――――行くぜ」
そう言って、上条当麻は。
少女に向かって、正々堂々バカ正直に真っ向から突っ込んだ。
- 384 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 01:14:46
- >>377
あ、盛大に巻き込まれた。
「うわああ、ごめんっ!!」
とりあえず脱兎。いや、本当に悪かったから後ろから撃たないでお願い。
そういえばあの男(声から類推)はどうなったのだろうか。
あれだけの火力を喰らって無事とは思えないが……。
「それよりも、蓮子探さないとか……つ、ああもう、調子こいて無駄な体力使っちゃったか」
息がかなり上がっている。走っているだけで痛みが走るくらい辛い。
蘇生したてであんなに霊力を使ったのだから当然かもしれないが。
「けど、やっぱ見捨てたら色々とすたるわよね」
歯を食いしばって耐えると。続く攻勢を聞きながら背を向けて、走り出した。
探すために、そしていっしょに帰るために。
(A-2 倉庫跡 蓮子探しに移動開始)
- 385 名前:支倉令:2005/09/11(日) 01:14:46
- >367 >372
走って走って、森を抜け、
がさり、と微かな、けれど今の私には大きすぎる音。
何かが来る。
連想したのは、あの動く死体だった。
「――――っ、この!」
何か――男の人の軌道上に飛び込みざま、両手で握った枝を盾にする。
枝を噛み砕かんばかりに突き立てられた牙を見て、叫んだ。
「祥子、目を瞑って……!」
赤い視線を思い出す。
あれは見ては駄目だ。
祥子が素直に目を瞑っていてくれる事を祈りながら、吸血鬼を引き剥がそうと
片足で押しのけた。
現在地:B-1森、抜ける寸前に奇襲を受ける
- 386 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 01:15:24
- >>376 マリアベルさん
「『軍艦島』全域に告ぐッ!
こちらは緊急任務遂行部隊ARMS技術顧問マリアベル・アーミティッジ!
緊急事態発生、島内の奥部にて巨大な熱核反応を確認!
島内に眠っている反応炉内蔵型機械生命体「ドラゴン」が目覚めつつあるものと思われるッ!
島内にいる者は、可及的速やかに脱出……あ? 五月蠅い、今それどころでないことぐらい見てわか
――――なんじゃとッ!?
か、重ねて通達する!
当該区域に対し某大国による大陸間弾道核ミサイル発射の用意がなされたと情報が入った!
先の機械生命体の殲滅目的と思われるッ!
着弾予想時刻はAM04:00(マルヨンマルマル時)!
島内の者は、それまでになんとしてでも脱出せよッ!
繰り返す! こちらは――――」
激戦の最中、トンでもない事が…島全土にわたって伝えられる。
機械で出来た、かなりトンでもないドラゴン型の大型兵器…そして核
これは確かにトンでもない事だと思ったが…。
取り合えず、この自動人形なんとかしないと…何も出来ない。
お兄さんっ!!
必死に祈るマサヒメだった。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 387 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/11(日) 01:21:45
- >>357 >>367 >>371 >>375
―――ふと、視界の端に黒髪の少女が短髪の少女に誘われる形で離れていくのが見えた。
まぁ、いい。コイツらを始末してから追跡劇を再開してやれば良いだけの話だ。
全周囲に襲いかかる衝撃波の壁は、全てを遮断する。
音も、色も、風景も、全て。
だが。
歪みの向こうに仏頂面の男が構えた大剣を打ち当てたのが見えた。
(ちょっと待て!? 衝撃波の壁で向こうの様子は見えないはずだ――――)
>「何故ならお前は、」
そして、夢幻であったが如くに衝撃波の壁は打ち倒され。
>「ここで死ぬからだ」
男の勝ち誇る声が、辺りに響いた。
……一方の赤鉄屑は、衝撃波が消え去る前に全身で受けとめてしまったらしく距離が離れていた。
>「まずは、あの振動を生み出すあの腕をどうにかしなければ。
>ライトニングドライブ」
体勢を立て直しながらの叫び声と共に、奴の腕から雷光の球体が放たれた。
―――だが。
「しゃらくせェェェェェェッ!!!」
こちらとて立ち上がるまで傍観し続ける義理も道理も持ち合わせているわけでは無いから―――
雷光球を、冥力を集中した右足で、赤鉄屑目掛けて蹴り返した。
そして、返す刃で仏頂面の男との距離を詰め螺旋を纏った左拳を打ち下ろした。
(現在位置:B-1 森林地帯 戦闘続行中)
- 388 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/11(日) 01:23:58
- >>376 マリアベル
通信機に強制的に音声が割り込んできた。内容をかいつまんでまとめると。
「…………つまり地下にはやばーいドラゴンが居て」
上空を見やる。
「お空からは核が降ってくる?」
やーべえ。どうにか脱出……。ええい、その前に十分後の命が危ういわね。
>>380 VAVA
嘘、まだ生きてるの?
「しぶといわね」
だがアレにトドメを刺す前にやることがある。
>>386 青葉
「これ以上は危険、か。――青葉。ハッチ開けるから降りてここから離れなさい」
ハッチを開ける。
「緊急脱出装置は一人分しか開きがないの。そういうわけだからさっさと降りてさっさと離脱して」
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 389 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 01:26:26
- >>380 VAVAさん >>381 エリさん
総攻撃の結界…相手自動人形は、大ダメージを被った様だ
もはや、戦闘を続けるのは絶望的か?
…しかし。
「くくく…お前達は何故もがく?
既にこの世界は破滅に近づいていると言うのに。
そんな滅び行く世界で悪者退治か?くくく…」
「今こそ破滅と最後を迎える時だ!
滅びろ!滅びろ! HO――ろビ―ロ―ォ!」
全方位射撃という名の閃光。
全ミサイルとランチャーを撃ち尽くす。
こっちには反応炉を臨界まで上げたデビルベアを向けて自爆しに掛かる。
「足掻いて何が悪いんですかっ!?…戦いを楽しんでいる貴方の様な人に
この命を渡すつもりはありませんっ!!」
この際、竜の時間の連続しようはキツイケド…このままじゃ
皆死んじゃう…そんなのは…そんな訳にはブッチャケ行けないんですよぉ!!
再び回りの時間が停止する…マサヒメ、彼女を含め、時間が存在してるのは
エリだけのようである。
今のうちに撃退して…逃げてください
このまま、アテナさんも掻っ攫って…今、動けるのはエリさんだけですから。
そのまま、戦車を操作して…後はお願いします。
そう、思念でエリに伝えると…。
(現在位置 A-2倉庫跡…懇親の自爆を逃れられるかっ!?)
- 390 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 01:26:47
- >>376
……はい?
突然飛んできた謎の声。まあ別にこのくらいじゃさすがに驚かない、けど。
核。神の火。この島に?
「って掛け値なしにやばいじゃないっ!!」
私はともかく、蓮子や他のは―――
急がないとっ……!!
>>380
だが、その前に―――
「って何アレ!?」
突っ込んでくる巨大な人型が見えた。
すでにあちこちは砕け、まるで廃墟の様相をしているそれは、しかし酷く危険だと直感。
「……こっちは取り込み中よ、」
懐から最後の札を取り出す。
三枚。種類は衝撃。それになけなしの霊力をさらに注ぎ、
「とっとと帰って大人しくくたばれ―――――ッ!!」
―――たたきつけた。
爆発。轟音。身体を焼く熱量。
直撃は避けられた、しかし容赦ない破壊力は私を宙に飛ばす。
……いや、さすがにこれは飛びすぎじゃないだろうかこれ。
とっさに翼を広げ、体制を立て直す。
痛い、全身が痛い。意識が本気で飛びそうだ。というかさっき一瞬とんだ。
……まずい。限界が近い。
「……ま、ちょうどいいわね」
月明かりを頼りに、蓮子を探す。
……時間がない。こっちに気づいて何か合図でもくれるといいんだけど。
(A-2 倉庫跡上空)
- 391 名前:ロゼット&クロノ ◆AMENedTPtg :2005/09/11(日) 01:27:31
- 港は、もう既に戦場だった。
>>344
まず、赤い髪を持った少女。
ものすごく――嫌、というか怖いという感情を抱かせる。
「――髪、か」
クロノが唇をかむ。
「髪がどうしたのよ?」
「ああ、ロゼットには見えないだろうけど――彼女、あの髪で『奪って』る。
伸ばした赤い髪に囚われたら、ああやって『奪われ』るんだ
タイムラグもほとんどないみたいだ……厳しいね」
冗談じゃないわよ、何その化け物。
けど、クロノは首を横に振る。
「ううん、違う。
彼女は人間だよ……ただ、能力に振り回されてるんだ、たぶん」
「アズと同じ……人と違う能力を持った、か。
OK、んじゃそいつは後回し!
それより先に、当座の敵叩くわよ!!」
>>365
「当座の敵」。
巻き込まれたらしい一般人の少年を攫う女。
その感じは、はっきり言って人間じゃない。
いわゆる――悪霊ってヤツだ。
「あいつが一番判りやすい悪玉だからね!
クロノ、あの男の子の保護お願い!
私はあいつを叩くっ!」
「分かった!」
私の言葉を受けて少年の方に走り出すクロノ。
さあ、ここからは私の仕事ね!
とっておきの一発、お見舞いしてやりましょ!
「迷える子羊に安寧を、狼の牙に一時の休息を、そして悪魔に死の鉄槌を――」
「とっておき」を装填。
目の前にいる悪霊に向け、狙いをつけ――
「――AMEN!!」
福音弾()。
生きとし全ての命への福音を刻み込まれた弾丸が、命亡きモノを本来の無に戻すべく撃ち出される!
(A-3 魅魔に攻撃開始)
- 392 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/11(日) 01:29:46
- >>362 >>368 八神庵
二人の肉体を、紅蓮の焔が包んでいる。
『相打ち覚悟、とは……さて、困りましたねぇ』
言葉とは裏腹に、この状況を楽しむ程の余裕すら感じさせる声音で答える。
首を掴まれていては、呼吸や血流の停滞の為に脳への酸素供給が滞る。
しかも地球意思、オロチの力をすら封じる炎を纏いながらである。
『少々幕切れとしては華やかさに欠けますが……まぁ良いでしょう』
左手が動く。
剣が、斜めに跳ね上がると斬線の軌跡が図形を刻み始める。
無論その延長線上にあった腕は断ち切られ、結果として掴まれていた身体が再び自由を
取り戻す。
高慢()。
貪欲()。
好色()。
怨念()。
大食()。
怠惰()。
羨望()。
歪んだ逆七芒星の最後の一辺を描き終えると、
『では、さようなら。
――そして、こんにちは』
胸の逆五芒星、焼けた皮膚からでも消えずに残る刺青に剣を刺し入れると呪術文様式は
完成する。
囚われた結界の中、純度の高い破壊エネルギーである地獄の業火が男の肉体を、そして
精神を焼き尽くした。
(A-2 倉庫跡 八神庵との交戦中)
- 393 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/11(日) 01:30:14
- ようやく身を起こし、奴の姿を睨みつける。
さてさて、血の舞踏もそろそろ酣、ここからもっと激しく行くよ――そう思った矢先。
>>366
灯台から強烈な雷光が吹き荒れ、瓦礫をぶちまけながら跡形もなく瓦解していく。
その神の猛威の主は、先刻灯台へ逃げ込んだ銀髪の娘そのもの。
ただしより強くなった血の波動と、赤から青へ変わった瞳さえ違っていなければ、だが。
「………あーっはっはっはっはっはっは! 本当に愉快なところだな、ここはっ。
冗談のような踊り手が山のようにいる、退屈だけはしないで済むね」
>>374
彼女に意識を向けた隙に、締め上げ続ける鎖ごと、その腕は主の元へ戻った。
迂闊だったが、思念で操る鎖はまだ奴を縛っている。なら手はあるか。
刀を力場思念で手元に呼び戻すと、私はアドルフめがけて駆け出した。
「ようやく呼んでくれたね閣下、そうまで言うなら愛してあげよう――」
締め上げる銀鎖を強く、後ろでに力場思念で引っ張りあげ。
今度はきっちり狙いすまして、両の腕を振りかざす。
右には刀、首狩り狙い。
左には鉄鞘、膝砕き狙い。
「ただし、殺し愛いでね!」
三方からの同時攻撃。
邪魔立てはしてくれるなよ、お姫様?
(現在位置:C-3“元”『灯台』エリア、三つ巴戦開始)
- 394 名前:タチバナ(M):2005/09/11(日) 01:31:36
- >>378
ああ……何が起きた?
奴の銃で顔が吹き飛んだ。それはいい。その程度などすぐに再生する。
だが、その後に私の心の臓を貫いた光は、熱い、とても熱い。
「おお……こんな、こんなはずは無い……
負けるはずないんだ……この私が負けるはずないんだ……」
体が崩れていく。
形を保てない。
このままでは――――-――死
不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い
不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い不味い――――――――
「咳する…母さん……
風を捲いてへばりついた犬の遠吠えが……
ぼくの外套()にべったりと……
こすっても……
こすっても……
三日月の形に落ち込んでいく……
真っ直ぐな深淵は、ななめに歪む夜に……
虚しく咳き込んで………ぼくをうつす……」
「くくっありがとよ。やっと…母さんの所へ行ける。
もっともお前もすぐこっちに来れるようだがね。」
体が全て塵に還る直前、核ミサイルを予告する放送が聞こえていた。
(現在地:B-3 居住区域 死亡)
- 395 名前:麻宮アテナ:2005/09/11(日) 01:31:47
- >>380 謎のロボット
重火器群いう名の針鼠が火を噴いて、
あたり一面に破壊力が撒き散らされます。
「リフレクターっ!」
でもそれが当たるより早く、光の障壁を目の前に展開。
反射角度、タイミング、相手の動きの予測、
一瞬で全部判断した必中の反射攻撃で。
あのロボットのご自慢の火力なら、本人は倒せないとはいわせない。
戦車の中のふたりは……風水とかでなんとかしてると
信じるしかない。
『はははははは…ひゃーははははははは…!』
「なにが楽しいのよこんなこと―――っ!!」
破壊だけのために作られた機械なんてのは
ゲームの中だけで十分ですよ!
(現在地:A2 戦闘中)
- 396 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/11(日) 01:32:06
<□日/記録>
・渇望する兎(変化)
・狐(たくさん、たくさん)
・魔法の薬(一人分しかないの)
・食いしん坊な銀色の蛞蝓(食べられる、食べられる、食べられる)
大きなヘビ↓
――――――――――<くち>―――――――――――――――――→
↑キツネ ↑ウサギ
<□日/記録>
みんなはフランシスを探している。
フランシスはお腹のなか。
フランシスはポップコーンのあじ。味、味、味(ポテトチップスじゃなくて残念)
<□日/記録>
トーマスの死体で相談会をしているみんな。
あそこがないんだって。ビンの中、ぷかぷか、ぷか、トーマスの。
残りの見出し↓
フットボール・ランド。(見出しの解読不能)
将軍、軍曹、飾りの虎。(上に同じ)
(連ねられる「ファック・ユー」、最後のページ一杯にびっしり)
私はアリス
読了、以上。
マリア・イバンスの手記より。
「――以上、解説終わり。意見を述べよ、専門家」
腐臭/死臭――無線を耳に当てる。
耳障りなノイズ――返答、『武器屋』。
『無茶(ザ、)言うなアホ(ザザ)は科学者や。そーゆーんは心理学者の仕事やろ。ロバート・
レスラーにでも頼めや』
「全く同感だけどな。レスラー氏は多分十分持たねーな……ふん、さて。ま、調査はこれで
終了っつーとこかな……」足元を触られる。黒い髪と黒い顔の黒い人間。後頭部を踵で押
さえつける/グシャリ――腐ったトマト。「……しかしまあ、結局なんだったか、ってとこまで
調査する必要は――」
辺りを見回す。腐ったサンドイッチ、飲み掛けのミネラルウォーター。
『もうエエて(ザザザ)さっさと帰ってきてもろてカマわんちゅーこっちゃ。雲行きアヤしいで、
ホンマ。既定のポイントに迎え出すよって、制限時間までに来たってや』
「制限って」
ぐるりと辺りを見回す。汚れた倉庫――頭上に時計。辛うじて動いている。
「……いつ」
『あと二十分っつーとこやな』
「無茶言うなボケ。死ね」
『オマエの足やったら充分過ぎやろ、アホ。間に合わんでも生き残れるように手配くらいは
しといたるよって。場所は解っとんな? あんな場所から飛び降りれんのはオマエくらいや
し、とっとと来いや、後はオマエ次第やから、ま――”疫病”の名に於いて』
「明日のMTVに誓って」
じゃあな、と俺は一言。
雑音、溜息、通信断絶。
肩を竦める俺。ドス黒く汚れた部屋――うつ伏せ、あお向け、上半身、下半身。コンピュ
ーター――ケチャップをブチ撒けたようなディスプレイ/キーボードに大漁の毛根。厨房
には冷蔵庫。職員の部屋――パソコン、トレーンング機器、最後の部屋/ビンに入った
ホルマリン/中に入った男性性器。
ホコリと体液で汚れた椅子にもう一度深く腰掛けて、日記をパラパラと捲る。マリア。科
学者のマリア。白人のマリア。女性のマリア。キリストの母親の名前。茨の冠は灰色の
脳細胞。日記を捲る。首を振る。日記をポケットに突っ込み、立ち上がって肩と首の関節
をほぐした。ガキン、とイヤったらしく鳴る。
倉庫内をもう一度見て回る。白衣の黒人、白衣の白人、白衣の黄色人種――頭なし、
身体なし、足もなし。俺がブチ撒ける前に既に共食い。見て回る。白衣、私服、私服、私
服、スーツ――スーツをめくる。防弾チョッキ。チョッキを外す。拳銃――製造番号なし。
成る程ね。
記憶を反芻――フランシスはポップコーンのあじ、トーマスのあそこ。
「……やれやれだぜ」
倉庫の入り口――外の連中の浸入を防ぐ為に置いておいた資材搬入用の軽トラック。
荷台を掴む。車体を持ち上げる。
トラックで隠れていた世界――崩壊した世界。言語の壊れた人種。俺を見付けた視線
に生気はない。
振り下ろす両手――トラック投擲。飛散する彼等はトラックの下で永眠。
>>376
だとさ、俺。
「……あのクソ阿呆。マジに大統領の資格ねぇよな―― 一人アクシス・オヴ・ジャスティ
ス気取れっつーのか」俺が。俺の為に俺が。クレイジィィィッ!「まあいいや」
両脇によってきた阿呆の顔面を左右に一振り、拳で粉砕。
両手に殺意を。
神に誓いを。
俺の心臓に十字架を。
(リミット『残り○○ターン』)
(現在地(倉庫/B-2)→目的地(ガケっプチ/C-1)
- 397 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 01:32:25
- >>379 蓮子
「元気が一番ね〜。精が付くものね、とっても」
追いつめるのに時間がかかるのは、活きの良い証拠だ。さぞ旨かろう。
ただ追うのも芸がない、と足下に数発、妖弾を撃ち込む。当てはしない。もう捕まって
は興がそがれる。
>>376 緊急放送
「んー?」
突然がなり立てるスピーカーを、夜雀は興味深げに眺める。なにやら危険がどうのと言
っているが、飛べばいいのにとしか思わなかった。
「これが外の発音要の使い魔かしら〜?」
しげしげと観察していて、ふとニンゲンを追っていたことを思い出す。
「あーっと、あれ? 人よどこへ行〜った〜、食べられる〜こともなく〜♪」
妖怪は再び追跡を始めた。
(現在位置:A-2倉庫跡 放送は耳から垂れ流し)
- 398 名前:小笠原祥子:2005/09/11(日) 01:33:25
- >>372>>385
それはあまりに突然の命令だったので。
私は咄嗟に目を閉じた。令のいう通りに。
押されたのだか自分で体勢を崩したのか、ともかく足が乱れ、私は倒れこむ。
すぐ側の木の根元で身を起こす。呻く。
誰かが、或いは何かが、また襲い掛かって来たのだ。
薄目を開ける。小さな、ごく小さな赤い光が暗さに慣れた視界に飛び込んでくる。
襲い掛かってきたと思しき人影の、それは眼窩の辺りで光っており――そして。
そして。
人影と対峙した親友の目も、同じ朱色に輝いていたのだった。
(現在位置:B-1森)
- 399 名前:ヒビキと愉快な仲間達 ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 01:35:09
- 「反応発見…この発見は、青葉マサヒメ様です」
「何だって!?」
少し高度を下げて…降りてみた航空戦…そこで朗報と言うべきものが舞い込む
ヒビキは、それを聞き…下を見上げる。
そこには…戦車と正体不明の自動人形が交戦中のようである。
「あら〜あの戦車の中から、マサヒメちゃんの反応するけど」
そこへ更に…同じ上空から、反応が報告される。
「こちらへ、ヘリが一体向かってきます、どうやら攻撃を加えて来る様です!!」
「こうなったら〜まずわたしがそのヘリに対して応戦しますね〜」
「あっ…ユキさんっ!!」
着物を着た天然な性格の女性…白鼠の大精霊にえらばれし者
ユキは…そう言って、ヒビキの静止を聞かずに、航空戦の外に出た。
「年下君は…マサヒメちゃんをお願いするね、そう言うのはそっちの仕事だし」
(現在位置:A-2 倉庫跡上空)
- 400 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/11(日) 01:35:21
- >>389 青葉
重機どうしの戦闘に少女が二人ばかり絡んでいる。
やれやれ。
束の間俺はその様子を見ていたが、やがて戦場を回りこみだした。
せっかくだから、女の子の一人もさらっていこう。
あれに巻き込まれて爆死ってのももったいない。
そんぐらいなら俺が食っちまったほうがいいさ。
中心から外れた位置で戦況を見守る少女に目をつける。
どうやら近づけたとき、戦場でひときわ大きな爆発がおこった。
俺は後ろから、声をかけた。
「祈ってる暇は無いぜ、おじょうちゃん?」
(A-2 倉庫跡)
- 401 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/11(日) 01:36:41
- >>344 >>329 >>361 vsタバサ
カラカラカラ……
魔法使い風の女性が『私』に何かを投擲した。
それを見た『私』の周りの蜃気楼が何かを飲み込む。
「あ」
そこに。
>>365 >>383 vs魅魔、上条
スクリーンの『私』の前から少年が朱い蜃気楼をものともせず向かってくる。
『私』は魔法使い風の女性が投げたものに気を取られて、少年に気づいていない。
どんと音が聞こえた気がした。
『私』が腹部を抑えて、ぐらりとよろける。
………
………
………
そこでスクリーンは止まってしまった。
訝しく思い、本の次の頁をめくった。
- 402 名前:遠野秋葉 ◆8.SOrigAMI :2005/09/11(日) 01:37:18
- http://charaneta.sakura.ne.jp/ikkoku/img/1126193984/402.jpg (2KB)
>>401
赤いインクでも零したかの様。
ぽたぽたと床に赤い雫が垂れている………。
「汚れてしまったわね……」
流石にこのまま放ってはいけないだろう。
これを拭うなり何なりしないと。
………私はそのままドアを開けて部屋を出た。
カラカラカラカラ……
再び背後で映写機が廻る音がした―――――――――――――
- 403 名前:遠野秋葉/反転 ◆8.SOrigAMI :2005/09/11(日) 01:38:34
- >>402
眼前に映るは白黒の世界、まるで深海の様。
ただ、私だけが紅い、べとりと朱い。
拭わないといけないのに。
なのに周りに拭うものは何も無い。
どうすればいいだろう。
気になって、気になって仕方が無い。
こんなに汚れては、、、嫌われてしまう。
あ。
全部一つに染めれば、気にならなくなるのではないだろうか?
なら、染めよう。
在るのは紅い絵の具だけ。
それでキャンバスを真っ赤に染めてしまおう。
絵筆を取る。
檻髪が舞う。
キャンバスが赤く紅く朱く染められていく。
白黒の世界が赤く紅く朱く侵食されていく。
……遅い、これでは日が暮れてしまう。
塗りつぶせないのは何?
奪いつくせないのは誰?
>>329 vsタールマン
造型の狂った何かが目の前を横ぎった。
これはまだ染まってはいない。
私は筆で一思いにそれを塗りつぶした。
私は檻髪で一気にそれを奪いつくした。
他に、他には?
――――居た。
直ぐ傍にスクリーンで見た少年が。
赤く赤く染め上げよう――――――私は少年を凝視した。
朱い呪いの奔流が少年に向かっていく………
(現在地 A−3の港で上条当麻、タバサ、魅魔と戦闘中)
- 404 名前:八神 庵 ◆Iori/GPRcE :2005/09/11(日) 01:44:09
>>368>>392 ラインドウェル
完全に締め上げた。絞め続けた筈だ。今でも手は緩めていない。
身を焼く炎は紅く、本来の威力を備えている。
それなのに、俺は焼かれている。
親しみのある何かが流れ込み、肉体を、精神を、消し炭すら残さぬままに焼いて逝く。
このままでは死ぬ。間違いないだろう。結局目的すら果せぬまま、死ぬのか。
死ぬ? 死ぬ。殺さぬままに死ぬ。死ねば終わりだ。
「クックックックックッ…ハッハッハッハッハッ…ハァーハッハッハッハッハッ!!
締め上げる。それだけだ。
親しみのある何かには、殺意が含まれていない。
紅蓮の炎は天を突き、やがて消え去った。
殺せたか殺せないかは如何でも良い事だ。
燃え盛る倉庫に向かって歩を進める。
「ハッ…最後には丁度良かろう」
ああ、眠い。世も徹して動いた所為だろう。
少し、眠るか。
そして―――『奴』を殺しに行けば良い。
【八神庵 死亡?】
- 405 名前:ユキ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 01:45:16
- >>400 ビリー君
あらあら…空を飛ぶヘリコプターが一体。
船の上空に上がると、ユキはのん気にそう思った。
「…でも、そうは行きませんよ、貴方の相手はユキさんがしちゃいます」
そう言うや否や…凄まじいオーラが展開。
金色の気に包まれ…船の周りが歪む。
そして、チャクラが凄まじい勢いで吹き荒れ。
「ユキさん、行きますよ〜っ!!」
相手に向かってジャンプして向かってくる。
傘と…白鼠の大精霊の神器…「御用門・改」にもして
改造した、十手を持って。
(A-2上空…>>400と交戦)
- 406 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/11(日) 01:46:05
- >>380 VAVA
>>389 青葉
>>395 アテナ
世界がモノクロになった感覚、とでも言うのだろうか。
自分以外の時間が静止する状況を説明できる感覚なんてそうそう存在しない。
『今のうちに撃退して…逃げてください
このまま、アテナさんも掻っ攫って…今、動けるのはエリさんだけですから。
そのまま、戦車を操作して…後はお願いします』
舌打ち一つ。
青葉を降ろしてハッチを閉めた直後だ。
どれだけ時間が止まっているのかは知らないが、そう長いわけじゃないだろう。
既にジャンプ体勢に入っている状態では青葉の回収は不可能。
倉庫上から降下しつつ、暴走ロボットに主砲を叩き込む。
再装填を待つ間に後退してアテナの元へ。
もう一発ぶっ放し、アテナを左アームで保持。
「頼むから落ちないでよ」
ジャンプ、バーニアオン。二回繰り返して危険域から退避した。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 407 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/11(日) 01:47:59
- >>376 謎の声
「はぁ…? 核みさいる? 魔理沙のミサイルが飛んでくるのかね?」
って、あれはマジックミサイルだ。ソレとは違うだろう。
だが……聞いていて嫌な気分にはなってくる。少し事を急いだ方がいいかもしれない。
……ここを凌げたら、後で上条に核ミサイルについて聞いておこう。
>>383 上条
>「アイツをココで見逃せば、俺たちだけじゃねぇ―――もっと沢山の人が消される。
>だから、俺が――――――アイツを止めるんだ、、、、、。
>俺なら、それが、出来る………信じてくれ、なんて言えたギリじゃねーけど」
「……いや、信じさせてもらうよ。ちょっとばかり……知ってる眼を見たからね」
そう、見た目も性別も違うのだけど。この目の前の少年がよく知っている少女に重なって見えた。
無論そんな事は無いだろう。私の錯覚かもしれない。けれども……
こんなデタラメな状況だ。その錯覚を信じてみてもいいだろう。
そしてお互いに名乗る。上条当麻。ソレが少年の名前だ。
二人は簡潔に、これからどうするかを決めた。
>「いいかい、ミマさん。こいつは作戦、なんてもんじゃない単純な戦法だ。その積もりで聞いてくれ。
>まず、俺が突っ込んで、、、、、、囮と時間稼ぎを両方引き受ける。
>大丈夫、俺にはアイツの力を食らわない自信がある―――ムチャな話だけど、信じてくれ。
>アンタはその隙にあの紅髪を止めてくれ。………ただし、殺しちゃ駄目だ。取り押さえるか、気絶させるだけ―――
>そうして欲しい。頼む」
「了解。こっちは殺さない戦いってのは結構慣れてるのさ。任しといてくれ」
そうだ。弾幕ゴッコは血を流さない戦い。だがその中で技を練る事は惜しまない。
私の技の中にだって、相手を殺さず制する魔法もきちんとある。
普通の弾幕ごっこの際、相手を軽く牽制し攻撃するための魔法…エナジーシャワー。
これを少し多めに叩き込めば、動けなくさせるか、上手くいけば気絶させる事が出来るだろう。
>「じゃあ――――――行くぜ」
そういって、上条は……
モノの見事に真っ正直に、まっすぐあの紅髪の少女へと突っ込んでいった。
「ばっ……!」
とめようと思ったが思いとどまる。あそこまでやるのだ。何か手があるに決まっている。
そう信じ、私は私のやるべきことをやるために呪文を詠唱しはじめる。
相手の力量が分からないが、少し強めにやっておいて越した事は無い。そう思ったのだ。
だが……
>>391 ロゼット
最初は衝撃だった。腹部に何かがぶつかった。そう感じたのも……束の間だ。
「……っがぁっ!!??」
いきなり体がばらばらになりそうなほどの苦痛に襲われる。視界が黒くなったり白くなったりと忙しい。
意識すら簡単にもっていかれそうになるが……
「こな……くそっ!!」
なんとか意識を持ち直す。ここで倒れてはあの子の師匠なんて……名乗れる筈もない!!
その飛んできた何かが何なのか、放ったのは誰か……気になるが、そんな事は重要じゃない。
大事なのは……上条の援護をきちんと行う事! そしてあの少女を制する事!
「私は……博麗を祟る最悪の悪霊だ! この程度で……倒れるかぁぁぁぁっ!!!」
私は飛び上がり、上条を撃たぬように慎重に狙いをつけて……魔術を発動させた!!
「エナジー……シャワーっ!!!」
私の手から、無数の光の矢が生み出される。それは正しく……光の雨。
それは一直線に……赤い髪の少女へと降り注ぐ!!
(現在位置 A-3 福音弾被弾するも根性で耐える。援護攻撃を成功させるため魔術を発動、秋葉を攻撃)
- 408 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 01:49:38
- >>376
突如として島中に轟く、多分に焦燥を含んだ声。
戦闘に集中して聞き流していた耳にも、その概要は理解できた。
つまり、この島が数時間後には業火に包まれ、消滅するということ。
「ち……っ!」
不機嫌そうに舌打ち。
それでも湛えられた笑みは変わらず。
>>387
「聞こえたか、化生よ。
もうお前に構っている暇はない」
眼前の仏敵は、その巨大な体躯に似合わぬ俊敏な動きで、笑石が一瞬気を離した隙に間合いを詰めている。
だが攻撃自体は、なんということはない暴力そのもの。
ただただ込められた破壊力だけが、その攻撃を人外の所業へと昇華している。
そんな、普段の自らと同じような相手に対し笑石は――
「だから」
殺戮の狂気に染まったような笑みを更に更に深め――
「疾く滅べ、化生!」
打ち下ろされる左拳と交差するように、己が左拳を打ち出した。
(B−1:森の中にてグリニデと殴り愛)
- 409 名前:牙付き労働者:2005/09/11(日) 01:50:19
- >>385 支倉さん
>>398 小笠原さん
ああ、残念。邪魔されちゃった。
やっぱりご馳走は独り占めしたいよね。
当然、魅了の邪眼もだめかぁ。
手の内をお互いに知ってるっていうのは、やり辛い物なんだね。
喧嘩なんて初めてだから、今更知ったよ。
押しのけてきた足を掴んで、踏みとどまる。
悪いとは思うんだけど、離れてはあげないよ?
幾ら僕だって棒を持った相手と距離を取るほど馬鹿じゃあない。
脚を掴んだまま踏み込んで、どこに当たろうとお構い無しに、空いている腕を振るい続ける。
バランスを崩してくれれば儲け物。馬乗りになれれば僕の勝ちだ。
兎に角脚を放して距離を取られてしまったら挽回のしようがない。
これこそ正に命綱とばかりに、全力で握り締める。
女の子を殴るなんて心が痛む。
でも、これも家に帰るためだから仕方ないよね?
黒髪の女の子が腰を抜かしていてくれると良いんだけど……気丈な子だなぁ。
どうやらまだしっかりと気を持っているみたいだ。友達と一緒にいるからかな?
本当に良い友達を持ったんだね、僕の血族。でも、だからこそ……
「君は今ここで僕に壊されてしまったほうが楽だよ?」
するり、とそんな言葉が口を滑り出ていた。
(B-1 森の中)
- 410 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 01:51:41
- >>397 ミスティア
(>>376 核通達)
夢と現の境界越え、ここに極まれり。
核? 核ですって?
それじゃここにいたら四時には吹っ飛ぶ、と?
もうすっかり、頭は混乱していた。
何をどうすればいいのか。逃げられずに逃げ続けてていいのかどうか。
このまま逃げ続けてても、いずれ時間が来る。
……なら、もう逃げるのやめようかな。
そんな風にさえ、思ってしまって。
「あつっ!?」
その一瞬に、足下に何かが叩き込まれた。
一部が掠める。
致命的ではないようだけど……痛い。泣きそう。
やっぱり、もう、逃げられ……
あれ?
歌がやんでいる。目がはっきりした。
痛みのせいかなんなのか、頭もちょっとはっきりと。
――どうする? もう逃げられないわ、きっと。
――そうか、もう逃げられないなら。
――――やっつけてやる!
周りを見回す。
あいつはどこに……いた! スピーカー見てぼーっとしてる。
だから歌がやんだのか。なら、今しかない!
痛む足を引きずって……逃げる代わりに近づく。
近づきながら、カメラを取り出し……
歌い出した!
そして――気づいた! よっし!
パシャリ
間の抜けた音と共に、一瞬辺りは真っ白に。
そしてそれと同時に、あいつへお札を五、六枚投げつける!
A-2 倉庫跡 「フラッシュ&お札コンボ」
- 411 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/11(日) 01:51:52
- >>405 ユキ
やれやれ、守護者つきとは…過保護だろうよ、と俺は笑った。
担いできた銃器――ショットガンを構える。全弾を連続発射。
相手が宙空にいるあいだに散弾をばら撒いた。
俺はショットガンを捨てると、銀の抗不死ナイフを構える。
(A-2)
- 412 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 01:53:25
「ああ、ったく、何が貴方なら八神の位置が分かる、だ。
変な仕事押し付けやがって。しかも二時間後には核が来る?
ふざけんじゃねぇよ。俺に死ねってか?」
「降下の準備お願いします」
「ハイハイ。行けば良いんだろ、逝けば。
一生テメェら怨んでやるからな。覚悟しとけ」
「貴方ならやれますよ。草薙。
貴方の後を追ってますから、回収で来たら連絡を。
それまでは高高度を保っていますから」
「分かったよ。んで、煽てるのはいい加減にしろ。
じゃあ、行くぜ?」
降り立って見りゃ、血の匂いしかしねぇじゃねぇか。
物騒な場所に立たせやがって。
それじゃあ、八神回収頑張りますか。
(B-2 空港跡 A-2 倉庫跡に向かう)
- 413 名前:アルビノ少女“山城友香” ◆0DYuka/8vc :2005/09/11(日) 01:54:01
- 例え死んでいたとしても、アンナ悪イ夢ハ見タコトガナクテ。
胸の中に募るモヤモヤが私を締め付ける。アア、ホントウニ。コンナ簡単ナコトデ。
ワタシ ノ ココロ ハ 麻ノヨウニ 乱レテシマウノカ。
例え私が、赤から蒼に変わっていたとしても。本質で私のままだと、気づく。
>>374
『どちらにせよ、ダンスにはもってこいの相手のようだな。両手に花で困ってしまいそうだ』
不敵な笑みの第三帝国総統が。美女を前に驚喜し。
>>393
『………あーっはっはっはっはっはっは! 本当に愉快なところだな、ここはっ。
冗談のような踊り手が山のようにいる、退屈だけはしないで済むね』
背中に闇夜よりも昏い黒い蛇の気迫を称えた同族が。
今宵の気分の悪い音楽に合わせて、踊り始める。――――――と、その時だ。
>>376
『か、重ねて通達する!
当該区域に対し某大国による大陸間弾道核ミサイル発射の用意がなされたと情報が入った!
先の機械生命体の殲滅目的と思われるッ!
着弾予想時刻はAM04:00(マルヨンマルマル時)!
島内の者は、それまでになんとしてでも脱出せよッ!
繰り返す! こちらは――――』
正真正銘のレッドアラート。正真正銘のデッドアラート。
闇夜の舞踏会に、思い切りかけられた冷や水。
「―――――ところで………お二方。踊りの最中申し訳ないけれど。
核の衝撃に耐えられるような化け物って訳じゃないでしょう?
いや、我々の眷族の再生能力なら不可能ではないかも知れないけど。
ほら、此処が島だって言うのなら………ねぇ?」
島が無くなれば、海へと還る。海へと還れば、我々も海へ放たれる。
助けは来ないだろうし。むしろ、流れる波間に消えるのが関の山。
「―――――今夜の舞踏会。悲しいけれどコレまでだわ。
ちなみに、私に危害を加えないで、逃げさせてくれるなら………力は貸すけれど?」
姫君が出来る唯一の欺瞞。きっと、此処にいる化け物達は。
私の力なんて必要がない。姫君が出来る最後の打算。―――――乗るか、反るか!
「―――――乗らないのであれば、私とワルツを踊って頂こうかしら?」
荒れ狂う稲妻は、きっと。私が抱いている畏怖。私が抱いているif.
〈 現在位置:C-3『元』灯台エリア 姫君の欺瞞、最後の賭け 〉
- 414 名前:タールマン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/11(日) 01:55:55
- >>403 遠野秋葉
どろどろ、ぴちゃぴちゃとコンクリートの地面に黒い染みを作りながら
一歩、また一歩とタールマンは前進する。
「脳みそ《》…… 生の《》… 脳みそ《》……」
口唇などとうに溶け崩れ、白い歯が剥き出しになった口。
如何なる原理かその発音は意外なほどに、いや、異様なほどに明瞭。
落ち窪んだ髑髏の眼窩の中に光る瞳は白濁しながらもなお、意思の光を失ってはいない。
ずるり… ずるり…
全身の半ば以上が腐り落ちたタールマンのどこに体を支え動かすだけの筋肉があるのだろう。
強いて言うなら、純粋なまでの執念の力、とでも言えばよいのだろうか。
タールマンはその欲求のままに求めるもの――視界に捉えた脳みそたち――の方へと歩を進め……
「脳みそ《》……
しろぉくてぇ……あたたかぁい脳みそ《》……
赤い…… 赤い……???」
そして唐突にこの世に存在することをやめさせられた。
コンクリートの上に点々と続く無数の黒い染みだけが、つい今しがたまでそこに何かがいたことを示していた。
(タールマン、この世から消滅)
- 415 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/11(日) 01:56:35
- >>389 >>381 >>395
もはや何も聞こえない。
破滅を迎えようとしているから。
もはや何も見えはしない。
全ては滅びの時を迎えるから。
もはや何も感じはしない。
既に破壊は始まっているのだから。
止まった時間も。
ベクトルの偏向で反射され、直撃する砲撃も。
音速で迫り来る砲弾の圧倒的質量も。
破滅を迎えた鬼には、埒外の外。
笑いだけ。
壊れた機械の壊れた笑いだけが響いて。
次の瞬間、VAVAは破壊の熱風を巻き起こす華火となった。
(現在位置:A−2 VAVA V(ペンテ)自爆)
- 416 名前:完全懲悪ダンザイバー:2005/09/11(日) 01:57:12
- >>387(>>357 >>367 >>371 >>375)
耳元にガンガン鳴り響く警報音、視界には危険を示す赤い表示が引っ切り無しに点滅をしている。
衝撃波によるダメージは想像以上に深刻だ。
俺を包むタクティカルフレーム、そして俺自身の。
タクティカルフレームのあちこちの装甲が剥げ、数箇所の活動が停止している。
また、打撲による痛みが体を、いや指を動かすたびにすら俺を包む。
>「しゃらくせェェェェェェッ!!!」
射出されたライトニングドライブは、あっさりと蹴り返された。
「全く通用しないって言うのかっ!」
奴の拳は石像の方へ向っている。だから、当面の問題は自分が射出したこの重力雷球の回避のみだが…
「動けっ! この俺の体っ!」
ただ、それだけの事が今の俺には難問だった。
「こうなったら…最後の賭けだっ。!
スパイラルゥゥウウウッ
ボンバーーーーーッ!!」
タクティカルフレームの防御用エネルギーを転用して全身より射出。
高速回転をしながら俺の体は宙を舞い、跳ね返されたライトニングドライブをかわす。
普段ならただの必殺技であるスパイラルボンバーだが、深刻なダメージを受けている現状では
自らを蝕む諸刃の剣であった。
「まだだっ! まだ持ってくれ!」
タクティカルフレームは火花を散らし、肉体は苦痛が駆け巡りながらもダンザイバーは宙を舞う。
そして、グリニデの一歩手前で失速し着地をする。
「これが…俺の最後の魂だ!。」
最後の力を振り絞り、ダンザイブレイドを構え。
「覇王の力よ、今こそ罪を断つ力を我に!」
左腕より、エネルギーアンプりファイアを射出しブレイドに接続。
「ダンザイ!」
強大な刃を持ったダンザイブレイドを最上段に構え
「ブレイィィィィイイイイイイドォォオオオオッ!!!」
渾身の力を込めて振り下ろす。
そう、これが俺に出来る最後の一振りだ。
(B-1 笑石と組み、グリニデと闘争中)
- 417 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 01:57:31
- >>380 VAVAさん
刹那のとき…それはしばらくして解かれる。
気が付いたときには…エリもアテナもそこに姿が無い
そして…目に見える距離で、あの自動人形が爆発しているのを確認した。
近距離…不味いっ、このままじゃ。
その時である…一人の少年が割って入り物理結界を張る
「くっ…僕だけじゃ持たないっ!!マサヒメっ!!」
そこに居たのは…懐かしい、そしてマサヒメにとって
いとしの王子様…と言ったら大げさだが…その少年は、自分の慕っていたヒビキである。
「おにいさんっ!?」
迎えに来てくれた事に歓喜するも、その場合ではないと判断
自分も物理結界…神術結界を張りながら…その場から駆け足で離脱する。
自爆の光に押されながら…。
(現在位置 A-2倉庫跡…必死に逃げる逃げる)
- 418 名前:完全懲悪ダンザイバー:2005/09/11(日) 02:00:25
- >>387(>>357 >>367 >>371 >>375)
耳元にガンガン鳴り響く警報音、視界には危険を示す赤い表示が引っ切り無しに点滅をしている。
衝撃波によるダメージは想像以上に深刻だ。
俺を包むタクティカルフレーム、そして俺自身の。
タクティカルフレームのあちこちの装甲が剥げ、数箇所の活動が停止している。
また、打撲による痛みが体を、いや指を動かすたびにすら俺を包む。
>「しゃらくせェェェェェェッ!!!」
射出されたライトニングドライブは、あっさりと蹴り返された。
「全く通用しないって言うのかっ!」
奴の拳は石像の方へ向っている。だから、当面の問題は自分が射出したこの重力雷球の回避のみだが…
「動けっ! この俺の体っ!」
ただ、それだけの事が今の俺には難問だった。
「こうなったら…最後の賭けだっ。!
スパイラルゥゥウウウッ
ボンバーーーーーッ!!」
タクティカルフレームの防御用エネルギーを転用して全身より射出。
高速回転をしながら俺の体は宙を舞い、跳ね返されたライトニングドライブをかわす。
普段ならただの必殺技であるスパイラルボンバーだが、深刻なダメージを受けている現状では
自らを蝕む諸刃の剣であった。
「まだだっ! まだ持ってくれ!」
タクティカルフレームは火花を散らし、肉体は苦痛が駆け巡りながらもダンザイバーは宙を舞う。
そして、グリニデの一歩手前で失速し着地をする。
「これが…俺の最後の魂だ!。」
最後の力を振り絞り、ダンザイブレイドを構え。
「覇王の力よ、今こそ罪を断つ力を我に!」
左腕より、エネルギーアンプりファイアを射出しブレイドに接続。
「ダンザイ!」
強大な刃を持ったダンザイブレイドを最上段に構え
「ブレイィィィィイイイイイイドォォオオオオッ!!!」
渾身の力を込めて振り下ろす。
そう、これが俺に出来る最後の一振りだ。
(B-1 笑石と組み、グリニデと闘争中)
- 419 名前:麻宮アテナ:2005/09/11(日) 02:00:48
- 気が抜けてたわけじゃない。
でも、気が抜けたかもしれない。
>>400 ひとさらい
青葉さんの背後に影。
夜道で女の人の後をつけるみたいな足取り。
『祈ってる暇は無いぜ、おじょうちゃん?』
いきなり出てきて勝手なことを……っ!!
>>406 カサモトさん
ひとさらいに襲い掛かろうと気を張り詰め……。
『頼むから落ちないでよ』
……次の瞬間私は、カサモトさんの戦車のアームにつかまれて
港へ疾走していました。。
「ちょっと! なに!? なんですか!? あれ?
青葉さんは!? それに港にはいちばんこわいひとが!
カサモトさん何がどうなってるんですか!?
応答してくださいよっ! ねぇっ!!」
- 420 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 02:02:19
- >>410 蓮子 ミスティア 〜そして再会へ〜
―――途切れ途切れの意識の中で、眩い閃光が一瞬だけ捉えられた。
「……蓮子!?」
根拠はない。けれど、勘がそうだと告げている。
他の感覚が鈍磨している分、そこがはるかに鋭くなっているようだ。
全身がとても痛いし、気を抜くと意識が途切れそうになる中、それだけがとてもありがたい。
―――おかげで、約束を護りきれるのだから!!
「そりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
迷わず、光が放たれた方へ突っ込む。
今にも消えそうな翼が一際燃え上がって、加速。
とたんに身体が焼けつくような錯覚を覚えるが、無視した。
見えた。対峙しているのはぼろぼろになった、しかし力をまだ残す夜雀。
蓮子のほうは、歩き方からして怪我をしているのだろうか。
……ごめん、ちょっと遅れたね。
「けど、こいつで帳尻合わせるわね―――いっけぇ!!」
裂ぱくの気合。さらに加速する私の身体。
そして、鮮やかに足を伸ばし、
必殺の飛び蹴りが、夜雀のこめかみ辺りへと直撃した。
(A-2 倉庫跡 蓮子と合流 夜雀にバベルノンキック)
- 421 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/11(日) 02:03:02
ダンス。
ダンス。
ファック。
安ホラーの見過ぎでイカれた人間をココに放り込めば面白い事になる。小躍りして「ヒュウッ!」
傍らの馬鹿の顔面を右手のグロックで速射。背後に感じた気配に速射――水気の音/粉砕/くぐ
もる声。渡されていた地図を脳裏に描く。ファック。いい加減な地図のせいでアタマがおかしくなり
そうだ。森を歩き抜け、
>>408
抜ける前に安ホラー発見。
ロブ・ゾンビーがアタマの中で鳴り始める。
「……バイオハザードの次は――あー、香港ホラー?」
下らねぇな、と口の中で吐き捨てた。
時間がない。
予備を大漁に持ってきたマガジンを二つ放り、両手を捻って残り二発だった現マガジンをリリー
ス。すとんとグリップに装填を確認、両手の悪意はフルロード。
神意は瞋恚。
「初めましてに御前様。そこ通るんで退いてくんねぇかな。でねぇと殺しちまうかもしんねぇから」
- 422 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/11(日) 02:03:09
- >>402-403
ちりちり。
ちりちり。
先程感じた何かを奪われるような違和感が、一段と強くなる。
息が苦しい。喉が空気を求めて、ひぃひぃと鳴る。
事実、空気そのものも薄れてきているのかもしれない。
手足の感覚も、先の方から次第に消えつつあるように思える。
それでも、上条当麻は、走った。
ただ彼女を止める。その目的のためだけに。
間近に迫った紅髪の少女の顔。周囲はもはや誤魔化しようの無いほど紅く歪んでいたが、表情ははっきり読み取れた。
その顔は―――薄く笑いを浮かべていた。
その瞳は、上条当麻を見ているようで、その実、誰も見てはいない。
ただ自分を押し込めて、衝動に身を任せ、何処かへ引き篭もっている表情と眼だ。
そういった少女の心を、上条は敏感に感じ取った。
(―――、なん、で)
上条は奥歯をギリ、と噛み締める。
同時に、唯一略奪の脅威に晒されていない右手に、力がこもる。
(なんで、そんな表情しかしねぇんだよ、テメェは)
足は止めない。止めるはずもない。
目の前の少女の、こんな顔を見てしまった後では。
(オマエがそうやって、別の幻想世界からココを見下ろすんなら―――!)
上条はまぎれもなく、この少女に対して怒っていた。
そして同時に、心から。
彼女を救いたい―――そう思っていたのだ。
「――――――その幻想を、ぶち殺す!」
右手を、少女の視界に重なるように、精一杯差し出す。
もはや、右手以外の各部位がどうなってるかなんて、考えたくも無かった。
ただ、この悪夢が、終わればと――――それだけを願って。
上条の視界が紅に閉ざされ、その後、真白な光に変わり―――――。
(現在地:A3 港)
- 423 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/11(日) 02:03:33
- >>421
(B-1→グリニデ、笑石へ)
- 424 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/11(日) 02:04:49
- >>383
(迂闊に近付けば、“略奪”され、かと言ってこの間合いでは有効打には程遠い……どうするべきか)
眼前の脅威――遠野秋葉から目を逸らさずに思案を巡らせていた私の横を、一陣の風が吹き抜けた(>>383)。
「なっ……!?」
風の正体は、遠野秋葉と対峙していた少年と、杖に乗った緑髪の女性。
「馬鹿な、死ぬ気ですか?」
「……違うよ、タバサさん。あの人達、ちゃんと手がある。だって、あの男の人の目……死ぬつもりの人の目じゃなかった」
私の言葉に、いつになく真剣な表情のタオが応える。
「ボクも、行くよ。ちゃんと、生き残るために」
全身に闘気を纏わせ、タオが真っ直ぐに私を見つめた。
「……分かりました」
私は静かに微笑み、タオの背後へと下がった。
>>401-403
(以下、タオ視点)
さっきまでは見えなかった紅い陽炎が、いくつもいくつも地面から立ち昇っていた。
「目で見えるのなら、見えている。見えないものは、視れば良い」
ボクの故郷、ゴラで何度となく聴かされた言葉を口にする。
「――我らは風舞(フォンウー)」
地面を蹴り、疾る。
「風を縛る術はなく――」
「――風を遮るものもなし!」
(現在地:A-3港 タオ、秋葉に向け吶喊開始)
- 425 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 02:05:45
>>413
何処からともなく破砕音やら、呻き声やら、本当、阿鼻叫喚の地獄絵図。
厄介事を押し付けるのは神楽のお家芸なのかよ。
途中で生きても死んでもない奴に出会うし、ツイテないもんだぜ。
炎で燃やせば死んでくれたけどな。気分は良くないけど。
『祓う』力はこんなとこでも役に立つか。
便利は便利。だけど、殺すには使いたくないもんだ。
そうこうしてる内に倉庫に着いた。
へぇ。案外燃え盛って、アイツも焼け死んでるんじゃ?
それはないか、多分。死んでも死なない奴だし。
走って、走って、華火(>>415)を見て走って(案外素通り出来た)、奥まった所まで行く。
アイツの位置は感覚で分かるんだが…何か火災の中心に入ってく気がする。
まさか、あいつが燃やして回った訳じゃねぇだろうな。
……アイツならやりかねないな。
仕方ねぇ。行くしかねぇか。
また走り出して、生きた死体を『祓って』、走って、『祓って』。
もう少し楽な所に居ろってんだ。バカ。
(A-2 倉庫跡 八神捜索中)
- 426 名前:ユキ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 02:06:26
- >>411 ビリー君
「やれやれ、守護者つきとは…過保護だろうよ。」
相手は担いできた銃器――ショットガンを構える。全弾を連続発射。
ユキが宙空にいるあいだに散弾をばら撒いた。
そしてさらにショットガンを捨てると、銀の抗不死ナイフを構える。
「うわぁいっ!!お出迎えアリガトーーーッ♪」
ユキは微笑みながらそう言うと、西洋神術「フィジカルガート」を
展開…彼女を光の膜が覆う、その弾丸を先程飛びついたヘリを身代わりにし
その上、そっからで傘さし回転させながら、続けさまの弾幕をはじいて落下。
「んしょっ!!」
着地…そして。
「こんな物、持ってちゃ危ないですよ…ユキさん、ちょっとお説教が必要かなっ
って思うんだけど?」
そして、西洋神術「エンチャント」で十手と傘にアンデットに有効な
「破邪」の属性を付加し…ものすごい勢いで、分身しながら突っ込んでいく。
(チャクラ開放の効果:すべてのステータスアップと分身効果付き)
外人であり、着物を来たメガネを掛けた、出で立ちのユキさん。
さてはて、ドウナルノかっ?
(現在場所:現在位置 A-2倉庫跡…>>411)
- 427 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 02:07:17
- >>410 蓮子
辺りを見回し足音を聞き、振り返る。そこには決意の表情の獲物。決して
絶望などではなかった。思ったよりも遙かに近い。
パシャリ
音と共に人の目を奪う妖怪が、その視界を失った。闇の妖怪には明るすぎて
見えない、ただの一瞬。
ゴゥン!
蓮子が投げた符は、違うことなく夜雀を捉え、焼き払った。
炎が収まり、そのスキマから、鋭い爪が伸びた。
「いたぶってやろうかと思ったけどもう止めたわ〜。さっさと食べようっと」
片腕を更に失い、冷たく怒る魔物の手が、蓮子の首を手折ろうと迫る。
(現在位置:A-2倉庫跡 オレサマオマエマルカジリ!)
- 428 名前:支倉令:2005/09/11(日) 02:09:33
- >376 >398 >409
何処からか流れる放送が、現実味に欠ける内容をまくしたてる。
……けれど、今は現実の方も狂っているのだからこれは真実なのだろう。
生き残るには、島から逃げるしかない。
「嘘……なら、良いのに」
痛いほどに現実なのは、良く分かっている――急がなくちゃいけない。
吸血鬼に構っている暇なんて無い。
倒す。倒して押し通る。
その為なら何だってする。何だって使う。
枝から手を離した。
顔だけは庇う、なんてする必要は無い。
片手、しかも私の足を掴んだまま、となれば十全に力を発揮する事など出来はしないから。
されるがままにしておいて、逆に殴り掛かってくる腕を左手で捕らえる。
「……退く気が無いなら強引に通るよ」
右腕を剣に見立てて刺突を放つ。
狙いは心臓。今の私なら、貫ける。
今だけは、この力に感謝したい。
そんな馬鹿げた事を思った。
現在地:B-1森、吸血鬼と交戦中
- 429 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/11(日) 02:11:52
- >>393
迫るカサンドラに、腕を振り上げて対しようとするアドルフ。
その腕が、引かれた。
腕に巻き付いた銀鎖が間接を逆に極めながら腕を締め上げる。
「ムウッ……!」
そして、その機に走り込んでくるカサンドラ。
右手に刀、左手に鞘。
その斬撃は速く、その撲撃は巧み。
如何なる怪物と言えども、躱すことは容易ではあるまい。
カサンドラがそう確信した、瞬間。
カサンドラの首と膝に痛みが走った。
>>413
うずくまるカサンドラは捨て置き、白い少女に目を向ける。
「核? あのような薄汚い兵器など、私には無意味だ。
私は、外側に立つものが故に」
時間と重力、そして空間を操るアドルフにしてみればその通りだろう。
その余裕があったからこそ、彼女の嘘にも気付けた。
「キミが私に忠誠を誓うなら、確実にキミを助けられるが。
私の能力は、見ただろう?」
王は王であるが故に一人。
一人覇道を往く。
(現在位置:C-3灯台『跡』)
- 430 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/11(日) 02:15:08
- >>419 アテナ
『ちょっと! なに!? なんですか!? あれ?
青葉さんは!? それに港にはいちばんこわいひとが!
カサモトさん何がどうなってるんですか!?
応答してくださいよっ! ねぇっ!!』
回収したアテナがアームにぶら下がって喚く。
ええい、ちょっと待て。まずは事実確認が先だ。
カチカチと通信機を操作。
「こちらエリ。フィオ。聞こえる?」
しばらく待って空電ノイズ混じりの音声が返ってきた。
「こちらフィオ! エリちゃん、生きてますか!?」
「健在。それより核が飛んでくるっていうのは事実?」
「……肯定です。輸送艦は既に安全海域までの退避を始めています」
「ってことは回収には……?」
「来ません」
嘘……。
「でも平気です! 大丈夫です! 私が今からそっちに向かいます!
スラグフライヤーだって詰めれば二人乗れます!」
つまり、アテナを連れて帰るためにはスラグガンナーを無事に回収しなきゃならないわけで。
「拙いわね……。あと一回の戦闘には耐えられそうにないんだけど……。
とりあえず予定回収ポイントに来て。そこから先は臨機応変に」
「ラジャー!」
さて、アテナの問いに答えるか。
「青葉は本人の希望で置いてきた。確実に脱出できるツテがあるんでしょうね。
港に向かうのは回収係と接触しやすくするため。何がどうなってるのかの説明は面倒なんで却下。以上」
(現在位置 A-2倉庫跡からA-3港付近)
- 431 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 02:15:25
- 危惧は尽きない。
彼らから持ち掛けられた共闘の申し出から、結界を含めた世界を隔てる
壁の破壊、糧となる魔力の生成への加担。
それら全てが危ういバランスで成り立っている。
―――が、やらねばならぬ。それが主からの命である以上は。
そう懸念を思考の片隅に押し込め、配下の者たちに下知を飛ばした。
彼らの役割は魔界村を脅かす存在の排除。
これは偵察を兼ねた危険分子の抹殺でもあるのだ。
それが暫く前の話。
場所は月下。
空高くに集うは15を越える赤き魔物の大群。
レッドアリーマーで構成される精鋭、魔界村討伐隊『デモンズ・ブレイゾン』。
そしてそれ等を束ねる―――一際大きい体躯を誇る、鎧を纏った赤き魔物。
レッドアリーマー・ジョーカー。
彼らはこの軍艦島の全域に散らばり降下。
決して表舞台には姿を見せず、今の今まで情報の収集に当たっていた。
>>376
「ドラゴンか…ふん。やはりな。
恐らくはクラウスヴァイン……物質界のこの島に埋まっていたとは。
いや、下手をすればこの島自体が転移したもの…」
偵察をする内に分かった事がある。
先ず一つ。
強大な者には、その生気を奪うものである。
これは波長の合った獲物にしか発動しないようだが。
それならば先鋒を務めた大悪魔の二柱…ファントムとグリフォンが
思うより容易く逝ったのも納得がいく。
「或いはそれも彼らの主、ムンドゥスの想定の内か。
己の腹心すらも自身が大望を為す生贄に…ふん、下らん」
そして、二つ。
この島を覆う呪式はただ魔力を生成するだけではない。
生じた力の流れは、奥底にある巨大な“何か”に収束していた。
それがまさか、かの“ドラゴン”とは思いも寄りはしなかったが。
クライウスヴァインの爆発による“奈落”の完成が先か。
それとも人間達による抑止が先か。
どの道、もはや此処には用などあるまい、ない筈だが――
「ここで生き延びるのは容易い。しかし――――」
火が、燃えている。
かつて己の心を燃やした篝火が。
俯瞰の立場から垣間見た数多もの闘争。
その主種様々、戦士が見せた魂の咆哮が。その命の煌きが。
消えた筈の闘志に、一筋の炎を灯らせた。
「フ……俺も所詮は一介の戦士に過ぎんか。
お前たちは退け。退いて魔界村を守れ。
俺は“役目”を終わらせてから行く。…本来の役目をな」
―――そうとも、これが俺の生き様だ。
(場所:上空→A2 倉庫跡へ移動)
- 432 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/11(日) 02:15:43
- >>426
その攻撃を、俺は止めた。十手をナイフで受け、傘を足で押さえつける。
残像ってのはつねに視覚的な錯覚だ。やれやれ。
しっかしま、俺の苦手なタイプだ。軽薄すぎるってーの。俺の三倍は軽い。
ナイフが十手に咬まれている。
ひねる。ヘルシングんとこのナイフなら、そうそう折れやしない。
パワーで女を押さえつけにかかる。
(A-2)
- 433 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 02:21:34
- >>420 妹紅
こめかみに炸裂した妹紅の蹴りが、夜雀を思い切り跳ね飛ばす。倉庫の間の廃材に
突っ込み、動きを止める。
ボッ!
夜雀が突っ込んだ廃材の山が、一瞬に消し飛ぶ。ゆらりと身を起こした妖怪の目は
不機嫌を通り越し、殺意しか見えない。
「邪魔しないでよね〜、不死人。それともあんたも、私達に喰われた方がいい?」
雲霞の如く集う雀の群れは、怒り狂った無数の視線で妹紅を見ている。
膨大な妖気の弾が、渦となって妹紅に押し寄せる。
(現在位置:A-2倉庫跡 妹紅と戦闘開始)
- 434 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 02:22:11
- >>420 妹紅
>>427>>433 ミスティア
これでダメなら、もうダメだ。
そんな状況だった。やはり救いは来ないのだと。
炎は収まり……そいつの手が、爪が伸びてきて、私は今度こそ絶望を……
感じるには、まだ早かった。
>「そりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
響き渡る、力強い声。
誰の声なのか? そんなことは……決まっている。
だから、呼んだ。彼女の名を。
「妹紅!」
目の前の妖怪に、一撃必殺の蹴りをあびせる、友の名を!
A-2 倉庫跡
- 435 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/11(日) 02:22:39
- >>387 >>376 >>408 >>418
――――飛行物体ががなりたてているのはどうやら警告らしい。
AM4:00にこの島が消滅する―――?
だが、そんなことはどうでもいい。
何故ならば、私という存在は既に滅んでいた()。
だからこそ、この怒りを存分にぶつけあい、私の存在を一筋でもこの世界に刻み込む。
だからこそ壊す。だからこそ殺す。
螺旋の威力を加えた左拳が、届くと確信した瞬間。
>「聞こえたか、化生よ。
>もうお前に構っている暇はない」
男が構え。
>「だから」
拳が、
>「疾く滅べ、化生!」
交差した。
(―――あァ……なんでェ……コイツ、オレたちと同じ……戦いが三度のメシより大好きってワケか……)
なぜか、そう、感じていた。本能で。
さて。例の赤鉄屑はというと―――
>「動けっ!この俺の体っ!」
満身創痍の中、粗大ゴミと成り果てた全身鎧に身体を縛られながらもがいていた。
「……本当に見苦しいったらねェな、この粗大ゴミ野郎はよォ……!」
何かを成そうとする姿を横目にしながら、オレは近くの丈夫そうな立ち木をへし折り。
「……楽にしてやるぜ、テメエの望みどおりになァッ!」
右肩に担ぎ上げた。
―――名高きヴァンデルバスター、ゼノン戦士団のリーダー、ゼノン。
彼の持つ才牙・エクセリオンブレードから放たれる必殺技・ゼノンウィンザード。
奇しくも、俺の取った必勝の為の姿はゼノンウィンザードの準備体勢に酷似していた。
>「ダンザイ!」
奴が叫ぶ。
オレは口の端を僅かに歪めただけで応え。
>「ブレイィィィィイイイイイイドォォオオオオッ!!!」
奴の全身全霊の、真っ向からの唐竹割りに対し。
「ヴァ゛ーーーーーッ!!」
横薙ぎに、構えた木を生まれた遠心力に任せて―――
幹を掴んでいた手を滑らせた()。
もはや、押しただけで倒れそうな身体にこの一撃は強烈だったらしく。
鎧を砕かれながら、何度かバウンドして、その動きを停めた。
(現在位置:B-1)
- 436 名前:青葉マサヒメ&ヒビキ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 02:23:32
- >>417 (自爆の光から逃げて逃げて逃げて…)
ボロボロになりながらも…辛うじて自爆の範囲から
逃げたした二人…しかし、自爆の余派を受けたのか…服がボロボロである
もし、物理結界を二人して収束し、迫ってくる光から守ってなければ。
今頃…あの世に居てた筈。
「ごっ…ごめんなさい、お兄さん…心配掛けちゃって」
「まったく…でも、マサヒメが無事で良かったよ」
謝るマサヒメに微笑んで答えるヒビキ。
その二人を、神戸商人団所有の航空船が向かえに入る。
「マサヒメ、アンタまったく何処言ってたのよっ?」
「マサヒメ様、お母さん心配してたんですよ…でもその姿を見ると無事みたいで
ほっとしましたわ」
「……フッ、何とか成ったみたいだな」
「マサヒメ様!!ご無事で何よりですよっ!!もしマサヒメ様が死んじゃったら
僕っ…切腹しなくちゃ行け…ガグッ!!」
「何度も何度もセイショウは…切腹しか言えんのかい、まったく」
その他云々…仲間達の声が…船が下りてくる程に大きくなっていく。
そして、仲間達に率いられ…船に搭載される二人であった。
(現在位置 A-2倉庫跡)
- 437 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 02:31:28
- >>425
熱波の朱に染まる廃墟の上空、吹き上がる火の粉を弾きながらに進む。
“敵”の洗い出しは済んでいる。
気配を察知する鋭い感覚。隊を動かして得た数々の情報。
このまま進めば、望みの相手との接触は確実に等しい。
その証拠に、“敵”たる者の気配は確かに強まっていく。
そして――――
「クサナギ、だな?
物質界に伝わる退魔の力…貴様ら、三種の神器の一族は我らの脅威となる」
腕組みをしたままに降り立ち、巌の表情で言の葉を吐く。
あくまでも口調は静かに、だが確たる決意を込めて力強く。
「そして、その脅威を取り除くのが俺の役目。
手合わせ願おう。……時間も残り少ないのでな」
紅眼を見開く、その視線に宿るのは揺るぎなき戦意。
幾多の闘争を潜った比類なき魔界の勇者。
“紋章の赤き魔物”の威容そのままに。
- 438 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 02:32:52
- >>433 >>434 蓮子 ミスティア
「やかましい、早くしないとここら一帯が消し飛ぶんだから邪魔すんな。
マジで焼き鳥にして喰うわよ」
さすがに遊んでる余裕はあんまりない。
渦を巻いて襲ってくる妖気を、右手に不死鳥を降ろし、切り払った。
……ものすごい勢いで焦げているが気にしない。どうやらほとんど暴走しているっぽい。
まあ、体力など皆無で、気力だけで補っているからそれも当然だろうけど。
ふらつく足に意識を注ぎ込んで確固と立たせる。
……やれやれ、服もずいぶんとボロボロになった。カッコつかないなあ。
「お待たせ。約束ちゃんと護ったわよ。……あ、ごめん、怪我してるか」
でもまあ、いいか。
睨み付ける夜雀の、使い魔たちの視線など意に介さない。
ただ、蓮子が無事でいてくれたのが良かった。
「とりあえず、えーと空から見たらあっちっぽかったわね。
港まで行くけど大丈夫そう?」
聞きながら、視線を夜雀へと向ける。
「大丈夫じゃないなら抱えていくけ、どっと!!」
突撃を仕掛けてくる使い魔。
反撃に未だ腕を焦がす不死鳥を解き放った。
轟――――!!
その炎はますます荒れ狂い、使い魔を灼いたばかりかそのまま夜雀へと走り、
盛大に爆発を起こした。
「とりあえず、今のうちに行くわよ!! 長く戦ってたらやばい!!」
間髪いれず、走り出す。
全身が痛くて意識が切れそうなのは変わらないが、不思議と身体は軽かった。
(現在位置A-2 倉庫跡 A-3 港へと逃走)
- 439 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 02:33:32
>>413>>425>>437 レッドアリーマー・ジョーカー
着きましたよ。火災の中心。
何処で眠ってるのか知らないが、どうにも見つからない。
な〜んか、あそこで一際轟々と燃えてる倉庫が妖しい訳だが。
突っ込んだら煤だらけになっちまいそうなんだが。
「ハァ…仕方ねぇ」
絶対後で何かしら礼を貰ってやる。
「ったく、あのバカは…ほら、起きろ。八神」
「…何をしに来た、貴様」
案外元気だな。コイツらしい虚勢かもしれないが。
「来い。帰るぞ。後二時間しないうちに核が来る。
取り敢えず空港跡まで行くから、着いて来い」
「貴様と行く位なら核で死ぬ。
勝手に戻る。貴様も勝手に戻れ」
そう言ってアイツは行っちまった。
アレだけ元気なら、表面上でも、アイツなら行けるだろ。
なら俺は、違うルートを歩いて帰るとするか。時間は充分ある。
流石に疲れ―――ああ、どうやら休ませてくれない見たいだな。
勘弁してくれよ。本当。
「俺をご指名か?」
一声掛けてからなんて、中々良い奴だな。良いも悪いも殺されそうだけどよ。
「日輪の輝き、見に染み込ませとけ!」
地面を蹴って、虹の軌跡を描いて、蹴る。
続け様に右左と打って、最後に炎を纏った一発だ。
これで沈むなら、がっかりだぜ。
(A-2 倉庫跡)
- 440 名前:ユキ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 02:34:14
- >>432 ビリー君
その攻撃を、相手は止めた。十手をナイフで受け、傘を足で押さえつける。
十手とナイフが力の押し合いで、絡み合う…相手も力で押すが。
一方、ユキの方も。
「うわぁ…力で押しちゃうのねっ…でもユキさんもチャクラを開放して
身体能力上げてるから…こういう事だって」
チャクラ開放で腕力の方も上がっていた…お互い、互角の力の押し合い
しかし…途中でユキは何かを思いついたのか。
「あっ…もう片方の足、がら空きなのを発見っ♪」
片足は傘の相手をしていて、忙しそう…そう思ったユキは。
あいているもう片方の足を、自分の足で引っ掛けてコカす。
そして、追い討ちに…手のひらに白鼠の精霊の力を集中し
倒れたビリーにブチまげた…彼女の背後に十二支の鼠の大精霊がうっすら相手をのぞいてる。
「ユキさん…精霊と頑張るもんっ!!」
白い光となったそれは…ビリーに向かって良く。
(現在位置 A-2倉庫跡 >>432と交戦)
- 441 名前:遠野秋葉/反転 ◆8.SOrigAMI :2005/09/11(日) 02:34:15
- ―――――小さい頃、庭の風景を絵にしようした事があります。
クレヨンで木を、花を、鳥を書き殴ったんです。
そして出来た絵を見て、赤面しました。
え、その絵はどうしたか、ですって?
そのまま、ぐちゃぐちゃに塗りつぶしてゴミ箱に丸めて捨てました。
―――――今、何を描いてるかって?
描いていませんよ、塗りつぶしているんです。
破って捨てるにも、ほら、もうゴミ箱は満杯でしょう?
見苦しいものは見せたくないなんてのは誰にでもありますから。
>>407 vs魅魔
絵の具に水毛が多すぎたのだろうか。
塗った傍から赤が垂れて白い点がぽつんぽつん。
私にまで、左肩に、右脇腹に、左足に白い点が幾つか出来てしまった。
でも、余り気にする事はない。
私の中の赤い絵の具が直ぐに白い点を中から塗りつぶしてしまうから。
ほら、見ての通り。
……くらりと眩暈がした。
季節の変わり目だから、だろうか。
>>424 vsタバサ&タオ
そして、まだ塗りつぶしてない絵の少年、魔法使い風の女性、拳法家風の少女。
白と黒の絵の具が3人から垂れている、折角の赤が台無し。
どっちを塗りつぶそう?
どっちを奪いつくそう?
……魔法使い風の女性、拳法家風の少女、この二人の方が赤いキャンバスを多く占めている。
決まった、この二人から―――――――
>>422 vs上条当麻
『――――――その幻想を、、、、、、ぶち殺す、、、、!』
きんと耳鳴りがした。
そのせいか私は絵筆を取り落としてしまった。
そのせいか私の檻髪が一瞬途切れてしまった。
「迷惑ね……!」
きっと、声の主を睨みつけた。
一気に少年の手を、足を、体を、顔を絵筆で塗りつぶしてやる。
一気に少年の手を、足を、体を、顔を檻髪で奪いつくしてやる。
そこで少年の右腕の絵の具がざあと私を塗りつぶす様に………………
ぱりん
何か硝子の割れた様な音が聞こえた。
ちりん
そして、聞こえる鈴の音。
そうだ、私は―――――――――――――――――――――
誰も居ない部屋にからからからと映写機が廻る。
映写機が相当旧いものの割にはスクリーンは総天然色なのに、
この部屋を見たものは違和感を感じるかもしれない。
スクリーンに何処かの港の風景だけが映されている。
魔法使い風の女性、拳法家風の少女が何やら叫んでいる。
地面に何か転がっている様だが、映像がやや不鮮明な為、見えない。
ぶつん
唐突に映写機が切られた。
部屋に入ってきたメイドがつけっぱなしになっているのを見て、電源を落としたのだ。
この港の映像のフィルムリールが後日、煙の様に消えたのだが、それには誰も気づかなかった………
(現在地 A−3の港 遠野秋葉消滅、上条当麻 死亡? タバサ&タオ生存、魅魔 ??
- 442 名前:ラインドウェル・レインリクス ◆NqLIE3HBYE :2005/09/11(日) 02:36:54
- >>392 >>404 八神庵
危機を知らせる声が、恐らくは島中に拡がる。(>>376)
『さて、こちらも頃合いですか』
炎を上げる建物を背にし、暁の媒介者は霧の中に消えた。
(退場)
- 443 名前:牙付き労働者:2005/09/11(日) 02:39:06
- >>428 支倉さん
ああ、これは避けられないな、と思った。
実際、避けられかった。
メリメリと腕が胸に食い込んでいく非現実的な光景。
でも、もう僕らはそういう場所でしか生きられない生き物なんだ。
我が血族よ、血を分けし義妹よ。
もはや君に友はいない。
親もいない。
君にはもう魂と言うべき物がない。
やがて君も僕と同じように、かって大切に思った物から破壊せずにはいられなくなるだろう。
神の呪詛が、今はもういない君の魂を汚す前に、誰かが君を止めてくれることを願う。
君が僕を破壊してくれたように。
心臓が破壊され、血流が止まると、末端部からさらさらと崩れていく。
崩壊が脳まで及ぶと、電源でも落とすようにあっけなく意識が途絶えた。
(B-1 森の中)
- 444 名前:麻宮アテナ:2005/09/11(日) 02:44:46
- >>430 カサモトさん
『青葉は本人の希望で置いてきた。確実に脱出できるツテがあるんでしょうね。
港に向かうのは回収係と接触しやすくするため。
何がどうなってるのかの説明は面倒なんで却下。以上』
うわそんな。でも状況がわからない以上ジタバタもできないし。
こんな時理香ちゃんならどうするだろう。
きっと、ジタバタせず力を出し惜しみしておいて
ここぞというときに漁夫の利を狙うんだろうな。
あぁ、ちゃんと理香ちゃんのところに帰らなくちゃ。でも。
たとえば絵の具で、こんな赤い紅い空気を表現できるのかな。
たとえば言葉で、こんな暗い喰らい人を表現できるのかな。
>>441 いちばんこわいひと
まちがいないよ。この人が”いちばんこわいひと”だ。
私と同じくらいの年の、こわくてきれいなひと。
なんでこんな眼をしているんだろう。
自分がいなくなるときでさえ、こんな眼をしてるなんて。
ちりん。
耳じゃない別のところに響いた鈴の音を、私はたしかに聞きました。
- 445 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 02:45:19
- >>439
(ヤガミの方は逃げたか…だが、それでいい)
かつて己に土を付けた男の背を見送る。
今の貴様は戦いも侭ならぬ手負い、逃げて傷を癒すがいいと。
これを今生のと済ませるつもりはないのだから。
「フ…いい動きだ。だが、甘い!」
漆黒の巨翼がはためき唸りを上げる。
選択は前進、元より様子見などするつもりはない。
如何なる時も全力で戦う――かつての戦いで学んだ事だ。
前に動いたときから右の拳は備えを始めている。
左右に逸れる体捌きの準備すらも。
掠る拳打と焔を前に、反撃の一打は突進の勢いを生かした鉄拳。
いわゆるカウンターの体裁である。
(これで沈めば、とんだ期待外れだな…)
己の笑みに秘めた意に、果たして相手は気付いたか。
(A−2 倉庫跡)
- 446 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 02:45:52
- >>438 妹紅
>「お待たせ。約束ちゃんと護ったわよ。……あ、ごめん、怪我してるか」
そういう彼女こそ、全身酷く怪我をしていた。
普通なら、とてもじゃないが立ってもいられなさそうだというのに。
さらに襲いかかる妖怪を焼き尽くし(ほんとに強いんだなぁ……)、爆発炎上。
その炎を背に、
>「とりあえず、今のうちに行くわよ!! 長く戦ってたらやばい!!」
彼女は叫び、走り始めた。
その通りだ、行かなくては。
足の怪我? 痛み? こんなもんなんでもないわ、きっと!
「おっけい、妹紅!」
帽子を被り直し、服をぱっぱと払い、
私は脱出の道行きへと、友と共に駆けだした。
A-2 倉庫跡→A-3 港へ逃走
- 447 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 02:46:22
- >>435 グリニデ
打ち上げる拳と、振り下ろされる拳が交差して――
衝撃。
首元から、どころか上半身が丸ごと吹き飛びそうな打撃を受け、笑石は――
「くは、はははは――」
笑い声を――
「はははははははははははははははははは!」
夜闇を砕くような――笑い声をあげていた。
右手に持っていた愛用の大剣を捨て起き――殴る。
重厚な敵の装甲を殴り、砕けかけた左拳を振り上げ――殴る。
殴る、殴る、殴る、殴る殴る殴る殴る殴る――――!
殴り返して来る相手の攻撃を意に返さず、
背後で散り逝く人間の命も気にせず、
ただひたすらに、応じ合うように、殴る。
「化物、化物、化物っ!
滅べ、疾く滅ぶが良い!」
――狂笑をあげながら、殴り続ける。
(B−1:森の中、グリニデにオラオラオラオラオラ(ry )
- 448 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/11(日) 02:46:30
- >>440
倒れると同時に、ナイフで相手のアキレス腱をかっさばきにかかる。
そのまま腕で地面を叩き、転がった。
白い光が最前まで俺のいた地面を抉る。
転がりながら左手で、懐の45口径を抜いた。
白い閃光を盾に、一発、二発、三発。
「クチ数の多い女は嫌われるぜ?
俺もご多分に漏れず、大嫌いでね」
無駄口を叩く。
殺意と闘争本能が眉間の辺りでうずまいている。
シュア――殺意の吐息が漏れた。
(A-2)
- 449 名前:バタリアン ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/11(日) 02:47:01
- >>421 Kresnik
がさごそ、と足下の茂みの中を動く音。
暗がりの中、姿は見えないがサイズ的には何かの小動物クラス。
速度は、お世辞にも敏捷とは言えないのろのろとしたものだ。
彼我の距離は、およそ2-3メートルといったところか。
如何なる意図を持ってか、『それ」は少しずつ、少しずつ近づいてくる。
「にゃぁあぁぁ…あァァ……」
苦悶の色に染まった鳴き声が、『それ』の正体を告げる。
即ち、胴の真ん中から後ろを喰い尽くされて二本の前足だけで懸命に這い回る
一匹の三毛猫という正体を。
- 450 名前:ダン・スミス ◆jcr2KGh37s :2005/09/11(日) 02:51:08
- >394
――くくっありがとよ。やっと…母さんの所へ行ける。
もっともお前もすぐこっちに来れるようだがね。――
プッ!
ダンは塵に還りつつあるタチバナの体に唾を吐きかけた。
「ケッ、減らねえ口だな・・・・。」
ダンはそう吐き捨てると、
塵へと還ったタチバナを嫌悪の表情で5秒程見つめ、
夜の孤島を後にした。
- 451 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 02:51:37
- >>438 妹紅
消し飛ぶ? 消し飛ぶなんてよくあることだ、と夜雀は意にも介さず流す。
轟――――!!
放たれた不死鳥が、使い魔たちを焼き払いながら夜雀に迫る。残ったもう片方の
腕でそれを受け、炭化するのも構わず振り払う。
使い魔が大分減り、数が少々足りない。
「−−−−−!!」
人の可聴域外の声を上げ、種を問わず小動物を強制的に支配する。最早雀だとか鳥
だとかに構っている暇も、余裕も、矜持もない。
「待〜て〜。腕の分はせめて喰わせろ〜」
妹紅めがけて雑多な使い魔たちが追いすがり、遠慮会釈のない妖気を夜雀が放つ。
(現在位置:A-2倉庫跡 A-3に向けて妹紅と蓮子を追う)
- 452 名前:完全懲悪ダンザイバー:2005/09/11(日) 02:52:11
- >>435
強大な覇王の力は、罪を断つ事無く宙に舞い四散した。
断罪の刃が悪を捉えんとしたその瞬間、
>「ヴァ゛ーーーーーッ!!」
叫び声と轟音と共に巨木が水平に投げ込まれ、
ダンザイバーは成す術も無く飛んできたそれを受け、それと共に吹き飛ばされた。
防御システムがダウンし、無数の破損が見られるタクティカルフレームは
もはや鎧としての昨日を果たさず、単純かつ強大な暴力がダンザイバー、
いや、『神鏡 衝』の身をさらされた。
薄れ行く意識の中、遥かに輝く星に手を伸ばしつつ彼は言った。
「ユリィ…ルリィ…帰れなくて…すまない。
ごほっ…俺に…は…無理…だった…の……か。
こ…の…宇宙…全…ての罪…を…断つ…なん…て」
天に伸ばされた手がドサリと力なく落ちる。
それっきり、罪を断つ覇王は動く事が無かった。
(ダンザイバー 死亡)
- 453 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 02:52:22
>>439>>445 レッドアリーマー・ジョーカー
「チッ!」
コイツ、やりやがる。しかもカウンター付き?
ハッ―――ただの化物かと思ったら、やるじゃねぇか。
面白い。熱くなってきやがった。昔の雑魚とは大違いだぜ。
カウンターは迫る。原理は知ってる。
だから―――額で受けた。
痛ぇ。これ以上バカになったら―――
「責任取れよ!」
そのまま頭で顎をカチ上げに行く。
人間とは違うかもしれないが、弱いだろ?
(A-2 倉庫跡)
- 454 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/11(日) 02:52:34
森には、気配が満ちている。
気配、気配、気配。
道鏡思想に乗っ取れば『魂』がないその連中に『気配』が存在するのはおかしいのだが、
とどのつまり気配とは五感のどれかに引っ掛かれば存在する。
なので、辺りはやはり気配に満ちていると言うべきだ。『オマエはレーダーだけ付いたミサ
イルだ』――以前、同僚に言われたその言葉には異を唱えたいが、唱えるべくもなくレーダ
ーの意味は理解している。
フル稼働する全神経――意識の網/方向性→無数。
眼前で俺をスルーしてくれた>>447連中をブチばらそうとした瞬間、
>>449
鳴き声。
聞き覚えのある心地いいその声に、コンマ一秒だけ意識を傾ける。
「残念、死体は趣味じゃない」
パン、と弾ける気配は一つ。
崩れたズタ袋を蹴り飛ばして、正面の連中を見ながら肩を竦めた。
- 455 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/11(日) 02:53:03
- >>393
踏み込みは完璧。 振り切りはどちらも如意の極み。
動き封じに腕まで極めた。
まさしく必殺の一撃のはずであったが――――
>>429
「ッ!!?」
猛烈に嫌な気配が。
あのセイの縮地法にもにたあの空間の感覚が、私の肌を二箇所同時に撫でた。
一つは首。
一つは左の膝。
「―――――っ」
振り切る腕はどちらも、如意の極みにあり。
その速度にては止める間も合わず。
そして私は首から血をしぶき、膝蓋骨を砕かれて地に転がった。
……生死の岐路は、ほとんど偶然。
危機感の優先順位という奴で、僅かに早く反応した右、そうでない左。
食い込む得物の速度差によって左の膝が先に砕け、体が傾いで僅かに崩れた右の斬撃。
まさに首の皮一枚――斬れてるけど――の差で、私は絶命を免れたのだ。
そして痛みと痛手で動けない私から興味をなくし、友香にコナをかけ始めるアドルフ。
あるいはこれは好機。
再生で動きが取れるようになるまで、頭だけは回さねば。
先刻(>>413)の彼女の言葉を頭の中で反芻しつつ、状況を再度整理する。
このまま核で焼かれるのはぞっとしない。香港でもそこまでの惨劇はなかった。
このままでは奴にも勝てない。
もともとあの龍王に通じる力の持ち主だ。力量差がわからないほど馬鹿でもない。
そして――あの娘の助力の申し出。 この状況。
打算まみれなのは重々承知だが、打開策はこのぐらいしか考え付かない。
何よりこういう交渉は私らの領分だ。
なら――やることは一つ、か。
丁度近くに打ち捨てられた、先刻(>>191、>>213)千切れた彼の腕から血を吸い、再生速度を加速する。
砕けた膝がようやく再生すると同時に、私は彼女にだけ聞こえるように、念話を飛ばす。
“――いいよ、君の申し出、乗ろうじゃないか。
ついてはまず……この状況を何とかしようか”
一方的に言い切って、私はアドルフに鞘を投げる。
迎撃されるのは折込済みさ。 本命は―――
不意をつく形で、力場思念()で片足を掴んで引っ張り、転倒を狙う。
仕掛けると同時に立ち上がり、私は友香に向けて、叫ぶ。
「走れ!」
(C-3 灯台跡 友香に逃走を持ちかける)
- 456 名前:支倉令:2005/09/11(日) 02:54:09
- >443
仕留めた。
人の形をしたものを壊した。
血を流している。
赤い。
血を。
「…………」
しぶいた血が、顔を汚す。
唇に流れたそれを、知らず舌が舐め取っていた。
……不味い。
同族の血は飲めた物ではない。
――――なら、暖かい人間の血はどうだろう。
きっと、比べ物にならないほど甘いに違いない。
真紅の甘露を想像して、私は一番近くにある「それ」を見た。
赤い瞳で。
小笠原祥子、と言う名の親友を。
現在地:B-1森、敵を撃破>血に呑まれつつある
- 457 名前:ユキ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 02:56:59
- >>448 ビリー君
相手は倒れると同時に、ナイフでユキのアキレス腱をかっさばきにかかる。
それに反応し…ユキは、バックステップ…その場を飛び退いた。
そして相手はそのまま腕で地面を叩き、転がった。
追い討ちにユキの精霊インパクトが、男の居た位置の地面を抉る。
そして転がりながら左手で、懐の45口径を抜いた。
白い閃光を盾に、一発、二発、三発。
それに対し、一発目二発目は十手で弾き、三発目はユキの顔を掠った。
「くぅ…ユキさん油断してたなぁ…」
彼女の頬に血が伝う…。
「クチ数の多い女は嫌われるぜ?
俺もご多分に漏れず、大嫌いでね」
「あらあら〜」
そんな事を言うビリーに対して、少し困った顔をするユキ
しかし、毎度のペースで。
「君、そんな事言うんだぁ…ユキさんちょっと、大きなお世話かなっ
…でも、ユキさんあまり時間かけられないのよね」
印を結び…ビリー相手に炎の塊を手のひらで作り…三、四発「火遁の術」ぶっ放す
そして、分身しながら精霊インパクト…白鼠の大精霊の加護を得た一撃をぶっ放し
キツイ風を起す程に猛スピードで背後に回る、そしてジャンピングフライングキック
と言わんばかりに飛び蹴りを放つ。
(現在位置 A-2倉庫跡 >>448と交戦)
- 458 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 02:58:35
- >>421
二人を追いかけねば。そう思っていた時だ。
新たな闖入者――一人の青年が現れたのは。
夜闇を弾くような、純白の衣。
月光を弾いて光る十字の護符が、青年が異教の僧侶であることを告げていた。
青年が両手に持つのは、近代になって発展した鋼の凶器。
そこに詰められた弾丸が、化物を相手にするべく『力』であることは、笑石の『感知』が告げていた。
「何だ、お前は――」
――狩人。
その言葉が脳裏を過ぎる。
人外殺しを生業とする者達。かくいう笑石自身も、過去に襲われたことがある。
だが、そんなことよりも笑石が困惑しているのは、眼前の青年の『気配』だ。
鬼ではない。
魔でもない。
そして――人でもない。
「人間では、ないか」
ならば殺すだけだ。
いつもそうしているように、笑石は大剣を構えなおした。
(B−1:神父に対し、戦闘態勢)
- 459 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/11(日) 03:00:59
- >>444 アテナ
「もうすぐ合流地点なんだけど、このまま進んで大丈夫? ダメだったら速攻で原因を排除するんだけど」
機動兵器はゆっくりと歩を進める。
センサーその他で周辺を警戒するが、特に危険のアラートはならない。
そうこうしているうちに回収ポイントに到着。
「あーあー。こちらエリ。フィオ、応答を」
「こちらフィオ感度良好」
「あと一時間で核が降ってくるわけなんだけど、まだ来ないの?」
「もうちょっとです。あと十分ぐらいかかります」
「十分ね、了解」
通信を切って、アテナを地面に降ろす。
「あと十分でお迎えが来る。もう安全だとは思うけど……油断しないように」
(現在位置 A-3 港 回収地点)
- 460 名前:『血塗られた獣』グリニデ(M) ◆Beast/HJ62 :2005/09/11(日) 03:01:01
- >>435 >>447
もはや、邪魔者は居ない。
さぁ、始めよう――――生存競争を。
互いの踏み込みが、まるで歯車が噛み合う様に同時になされ。
衝突音と爆発音が空間を埋める。
常人ならば、原型を留めない威力と威力のぶつかり合いう。
そして、二人は。
>「くは、はははは――」
「か―――ハハハハハッ……」
声を上げ――
「はははははははははははははははははは!」
「あははははははははははははははははッ!」
笑っていた。殴り合いながら。
右の拳で殴ったら、左の拳で殴りつけろ。
右の拳で打たれたら、左の拳でも打たれろ。
暴力と暴力の応酬。
そこには理性も、知性も、節度も、人も、魔人も、化物も、有りはしない。
交し合う拳と拳のみが価値を持ち、価値を高めあっていく。
――――言うなれば、共有する世界の純化。
そこにあるのは、拳という名の共通言語。
百万の言葉よりも、一発の鉄拳。
肉体が付いてこなくても、精神のみで殴り合い、更なる高みへと昇華する――――
はずだった。
>「化物、化物、化物っ!
> 滅べ、疾く滅ぶが良い!」
「そうだな――――もう、私の時間は残されていない様だ」
私は、膝から崩れる様にフィスト・トーキングを諦めた。
(現在位置:B-1)
- 461 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 03:02:45
- >>453
―――ハ、ハハ、ハ。
この感覚、どれだけ久しいものなのだろう。
この興奮、果たして何年ぶりの事か。
何十年か、それとも何百年か。
確かなことは唯一つ。
これが。
これこそが赤き魔物の生きてきた証。
強い者。否。
“強き敵”と繰り広げる命を賭した真剣勝負。
―――楽しいぞ、愉しいぞ戦士よ…!
だが、まだ足りぬ。
まだ高みへと登れる筈だ。
そうとも、まだ―――赤き魔物の昂りは餓えに変ずる。
「それは出来かねるな、何を武器にしようと己の責任だ。
それより―――」
痛めた拳を引き翼に力を込める。
顎への一撃に脳を揺らされながら、それすらも上昇の糧に。
そのまま上昇しながらの右回転、下方への回し蹴り。
だがそれも防御されるのを想定した“見せ業”だ。
「まだ攻めが温い。
先祖から焔の扱いは学ばなかったのか、若いの?」
狙う必要はない。
上方の死角にしてかわし切れぬ至近距離。
そこで口中から灼熱の魔力を解き放つ。
数多の強き魔物を屠ってきた、魔界の猛き必殺の劫火だ。
- 462 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/11(日) 03:03:42
- >>441
――――――哀しい、夢を見た。
小さな女の子が、一生懸命絵を描いては、紅く塗りつぶしている。
女の子の顔はどこかで見たような気がするが、どうしても、思い出せない。
女の子は恥かしさで顔を真っ赤にしながら、絵を塗り潰す。
紅く、紅く、紅一色に。
何でそんな事をするのだろう。そう思った。
きっとその絵は、他人の眼から見ても、巧く描けている筈なのに。
まるでそうすることしか知らないように、女の子はひたすら紅く、絵を塗り潰している。
その光景があまりに痛々しくて、見ていられなかったから。
「―――何やってんだよ、馬ぁ鹿」
右手を差し出して絵を取り上げ、言ってやった。
「そんな事しなくても、誰も怒らないって。ほら、見てみろよ」
取り上げた絵に、描かれていた景色は―――
「こんなに巧く描けてんじゃん、な?」
―――ユメを、見ていた。
最後に少女がどんな表情をしていたかは、判らない。
上条が行ったその行為が、正しいかどうかは、判らない。
ただ、上条は、自らの行いに微塵も後悔をしていなかった。
その結果、自分がこうして地に倒れ伏していることも。
もう、とっくに身体に感覚は通っていない。
ただ、僅かに残った聴覚だけが、二人―――いや、三人の女の声を拾うだけだ。
うち一人は聞いたことのある声だったが、他二人はわからない。
ただ、大声で自分に向けて何かを叫んでいる、そんな感じだけが伝わってくる。
(――ッ、俺……死ぬのかな……)
漠然とそんな事を思った。
自分の中で、どこか別の自分が、
「バカ野郎! こんな所で何くたばってんだ! 立て、立ちやがれ、上条当麻!」
と好き勝手なことを叫んでいるのは判る。
判るが―――全身に力は戻らない。
何か大切で、致命的な何かを置き忘れてしまったかのように、上条の身体は言うことを聞いてくれない。
意識が―――消えかかるのを、止められない。
「ゴメン………インデックス」
微かに動いた唇が、そんな言葉をようやく発した。
他の誰かに聞こえただろうか。いや、聞こえても意味が判る筈もない。
そして、その一言で、上条当麻の身体に残っていた力が、底をついてしまった。
上条の意識が完全に途絶えたのは―――その台詞の数瞬後だった。
(上条当麻、意識断絶。生死不明。 最終地点:A3 港)
- 463 名前:アルビノ少女“山城友香”(覚醒) ◆0DYuka/8vc :2005/09/11(日) 03:05:42
- >>429
『核? あのような薄汚い兵器など、私には無意味だ。
私は、外側に立つものが故に』
―――――外側?因果の地平でも超えたというのか。
『キミが私に忠誠を誓うなら、確実にキミを助けられるが。
私の能力は、見ただろう?』
そう、それでも。いや、それこそが。
私が歴史で学んだとおりのアナタのスガタだわ。
意外に教科書というの中にも真実は眠っているものね?
民主主義は衆愚の極み。交渉なんて、すなわち愚の骨頂。
安心したわ。アナタもアナタという本質のままなのね。
チョビ髭が無くても、喜劇王が書いたイメージが無くても。
傲慢不遜な虐殺者、未だその名を歴史に刻む独裁者アドルフ・ヒトラー!
『還ることが出来たなら、少しぐらいは尊敬してあげる。
だけど、私はアナタに忠誠は誓えない。そう、アナタを見てると殊更に思うのよ。
ワタシもワタシと言う本質をまだ亡くすわけにはいかないって。
―――――だから、さようなら、偉大なる総統閣下。』
独裁者の傲慢を、さらなる傲慢にてねじ伏せよう。蒼い瞳の奥底にそんな決意だけ宿す。
私は、在るべき場所に還る。 コンナ ワルイ ユメ 壊してやる!
>>455
“――いいよ、君の申し出、乗ろうじゃないか。
ついてはまず……この状況を何とかしようか”
カサンドラ………この際長いので総統閣下のカーサを採用。
カーサの願ったりかなったりのテレパシーによる申し出。
ああ、私が覚醒していなければ。総統を吹き飛ばすことも………。
ifを考えるな―――今を切り開け!そうしなければ、還れない!
『走れ!』
なんて、ああ、息も絶え絶えに言うから。少しお節介を焼きたくなる。
走りながら、私の口は禁呪を紡ぐ。虚空よりカーサの手元に降るように。
―――――権力者殺しの妖刀村正を喚びだした。
“それじゃ、コレは私からのプレゼント。だから、また逢いましょ、カーサ?”
私はカーサの言葉に従って、北に向かって走り出した。全身の眠っていた筋肉達を総動員させて。
きっと、カーサは姫君を追いかけてくるから………総統かも知れないけど。
〈現在位置:C-3『元』灯台エリアより→B-3エリアへ逃亡〉
- 464 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/11(日) 03:06:38
- >>457
炎はさしたることはない。
弾丸よりも貫通力が無いからだ。
だが幻惑にゃ悪くなかった。
次の一撃を俺は交わし損ねた。
銃と一緒に左肩から肺までが消し飛ぶ。
次瞬、背後に気配。
体を捌く。頭のあった位置を脚が通り抜ける。
右手にもっていたナイフを落とし、脚をつかんだ。
そのまま勢いを利用して巻き込み、地面にたたきつけ、
俺はそのまま足首をつかみ潰しにかかった。
(A-2)
- 465 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 03:07:53
- >>446 >>451 蓮子 ミスティア
(あと少しの間だけでいい……。持ちこたえて……)
走りながら、ただそれを願う。
景色が流れるのが酷く遅い。感覚が本格的に鈍くなってきた。
休息を取れば、少しはマシになるけれども――――
後ろから迫る気配がそれを許さない。
「……ったく、手負いのほうが強いっての忘れてたわ。これなら全力で焼くんだった」
しかし、こっちももうすぐで『上がり』だ。
蓮子だけでも船に乗って脱出できれば、私の勝ちだ。
そして、見えた。
「よっしゃ、船着場だ……!!」
色々と形や材質はちがうっぽいが、海に浮かんで繋ぎとめられているのならまあ船だろう。
「動かせそう? とりあえず準備は――――」
蓮子に聞いてみる。そのまま後ろを振り向いた。
微かな焦燥。
……妖気が近い。
「うん、とりあえず先、船に乗ってて。最悪、先に出しちゃっていいから。
……大丈夫だって。私、飛べるんだから」
ふふ、と軽く笑って、残った武器を取り出す。
小柄。小刀。まあ、ないよりはマシだ。
「さて、とりあえずあんたがラスボスよね―――名前だけは聞いとくよ」
そして、私は夜の支配者、闇の歌い手と対峙する―――
(A-2 → A-3 港・船着場 ラストバトル)
- 466 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/11(日) 03:09:13
- >>458
……さて。
なんて言ったのかね、このボケナスは。
「一応、聞いとくけどよォ――」
ザラザラと意識が焼け付く。時間がない。後何時間、何分、時間、
いやいや。
違うぜ。
違うだろ。
「『構え』てるよなァ、テメぇは――……つまり、そりゃあ――」
構えた正面の「名無し」に視線を合わせる。
交わす視線。一秒要らない。それ充分だった。
笑う。笑みが漏れた。今、今、聞いたかヒョウッ! あいつは俺にヒデェ事を言った。
右手に意識を集中させる。左手の尖らせる。アタマが世界を演算する。地形を把握す
る。身体が状況にフォーマットされる。
時間の要素がズレを来たす。
空気の粒が見える。
ホコリの数が読める。
充分。
さて。
「オレにケンカ売ってるってことだよなぁ――」
ぬかるんだ地面を蹴り、
「――このクソボケがぁぁぁぁぁぁぁッ!」
視界一転。
足場は中空。
ボケナスの頭上二メートルで、足元を速射。
一、ニ、三、
「Let's, Let's, Let's, Let's Rock――Let's just Kill!」
散華する銃火は片手に六度、両手に十二度。
穿つ。
- 467 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/11(日) 03:10:06
- >>407
……酷く体が重い。力をちょっと使ったのにあわせて、ダメージが思ったより大きいのが原因だ。
この身は精神体であり、ちょっとやそっとの打撃は効果が殆ど無い。
それなのにこれだけのダメージだ。浄化する攻撃を叩き込まれたに違いない。
三日月の槍を杖に、倒れないようにするので精一杯だった。
「……上……条?」
なんとか顔を上げて、上条の姿を探す。
「か、上条……ちょっと、しっかりおしよ!!」
私の少し前に、上条は倒れていた。
遠目から見ても……無事とはとても言えそうに無い。
倒れそうになりながら近づき、声をかけて頬を張ってみる。しかし……反応は薄い。
……このまま放っておけば、死ぬ事は間違いないだろう。
なんとしてでもこの場から離れ、適切な処置を受けなければならない。
しかし、私は先ほどの謎の攻撃によって深いダメージを受けている。これでは上条を運ぶ事も……
「……いや、待て!?」
私を攻撃した。ということは誰かがいるという事だ。なら、そいつらに手伝わせれば……!
私は無理やり身体を持ち上げ、声高らかに叫んだ。
「私に攻撃をやった奴!! 怒ったりしないから出てくるんだね!! 特別に何にもしないでおいてやる!!
その代わり……ここに倒れてる人間を連れてく手伝いをしろ!! それが交換条件だよ!!
あたしみたいな外れモンを撃つ位だから人間だろう!? ……まさか同族を放っておくなんて事はしないだろうね!?
悪いけど、この子の状態はかなり危ない!! 十秒やるからさっさと出てきて運ぶのを手伝え!!」
聞いているかも分からない。けれども、私は声を上げ続けた。
(現在地 A-3 攻撃してきた相手に手伝いを要請。瀕死の重傷)
- 468 名前:小笠原祥子:2005/09/11(日) 03:11:03
- >>409>>428>>443>>456
人が、それも友人が殴られているなどという光景を目にするのは、生まれて初めてだ。
殴っている男性の目が赤々と輝いていることより、その生々しいまでの暴力の情景は、私を
竦ませた。
増してや、殴られていた友人が、相手の心臓を抉りぬいたとあっては。
令は確かに剣道部に所属している。竹刀の苛烈な打ち込みで、何人もの強敵を倒してきた雄
姿は私もよく知っている。
でも。
でも令は、こんなことが出来たのだろうか。こんな力を持っていたのだろうか。
瞳が紅く光る前の彼女は。
ごくり、と唾液を飲み込む。
ただそれだけの音が、なぜこんなにも大きく響くのだろう。
思わず目を背け、瞑った。――その時気がついた。
先ほども、令は目を閉じてといった。あれはどういう意味だったのだろう。
私は、まるで幼子のようにその言葉に従った。友の忌まわしい姿を、これ以上見るという恐
怖に耐えられず。
気配がする。
令が近づいてくる。
「嫌」
目を閉じたまま後退った。背中にぶつかる木。
少し前にも同じようなことがあった。しかし今回は、救いの手は現れない。
確信があった。絶望、というのかもしれないが。
「――やめて。やめて、令……!」
(現在地:B-1森)
- 469 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/11(日) 03:11:05
- (状況:B-1、交戦)
- 470 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 03:11:31
>>453>>461 レッドアリーマー・ジョーカー
「へぇ。詳しいじゃねぇか。
じゃあ、これくらいは、受けてくれよ?」
回し蹴りには嫌な予感がする。かと言って退いて逃れられる速度じゃない。
ならどうする? 簡単な事だ。このまま、焼いちまえ。
「うりゃ!」
鬼焼きと呼ばれる技。
鬼の形相のコイツにはピッタリだ。
オイオイ、ちょっと待て。口にあるのは何だ?
炎、じゃねえのか? ふざけんな。焼かれ死ぬなんて、俺の趣味じゃねェ。
「そのまま、口閉じて、イビキかかずに寝てろ!」
また顎をカチ上げてやる。
ほらほら、ボサッとするなよ?
着地。相手が宙に居るなら、宙に浮けるなら、叩き上げるのは意味がねぇ。
なら、打ち下ろしちまえ。
飛んで、両腕に力込めて、殴りつけた。
「飛ばれると、困るんだよな。
ほら、次、行くぜ?」
右のボディーブロー。
受け方次第じゃ、手早く燃やしちまうぞ?
(A-2 倉庫跡)
- 471 名前:ユキ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 03:13:50
- >>464 ビリー君
火遁の術の直撃を受けたビリーは
銃と一緒に左肩から肺までが消し飛ぶ。
そして背後に回りこむユキであったが
飛び蹴りをかわされ、足を摑んで…地面に叩き付けられる
ユキさん、美人が台無しである。
「あたたっ……」
そして追い討ちに…ビリーはユキの足首をつかみ潰しに掛かったが。
近距離でそうは行かぬと「火遁の術」を連発…そして
再び西洋神術「エンチャント」でアンデットに有効な破邪の属性を
十手に付加する…十手は破邪の属性を帯び…光をうっすら帯びる。
そして、ユキはビリーを押さえに掛かり…アンデットにとってキツイ
属性を帯びた十手で往復ビンタ…そして、止めとばかりに十手を思いっきり
速いスピードでビリーの頭へと振り下ろす。
(現在位置 A-2倉庫跡>>464と交戦)
- 472 名前:『深緑の智将』グリニデ(M):2005/09/11(日) 03:14:00
- >>460
―――ああ、そんな目をしないでくれ。
『何故』ではないんだ、私が気付いてしまった瞬間に全ては決していたのかもしれない。
私は、この世界では無い世界で権力闘争に明け暮れていた……。
ただ、その権力闘争は文字通りの闘争。人間をより多く殺したものが勝者となる点取りゲームさ。
そして、この左腕の……もう砕け始めているね。
この『星』と呼ばれる地位の証を得る為に、何千何万という人間を殺し、何百という町を、村を滅ぼした。
その事に付いては悔恨や懺悔の気持ちなどはさらさら無い。
でなければ、出来の悪い三文芝居でしかないだろう?
そして、私は新たな時代を作ろうとする少年に敗れた。
そう―――あの時に『深緑の智将』、『血塗られた獣』のグリニデは死んだはずだったのだよ。
だが、こうしてこの世界で殺し合いをさせられた中で、私はほんの少しの間だが、
確かにオリジナルの、唯一の存在として生きられたのだよ……!
さぁ、行きたまえ。
私を死に還す為に――――
「Good Luck……Excellent Fighter!」
――――この瞬間、私は心静かに笑っていたと思え た
(『深緑の智将』グリニデ……死亡)
- 473 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 03:21:28
- >>465 妹紅
両腕はなく、片羽をも失った。それでも飛び、追いすがる。
なぜか?
それは妖怪であるが故、である。もとよりこんな羽では、飛べるはずがない()。
ならば片方しか残っていなかろうが、首だけだろうが、人を襲い、喰らう。
「そう、ここがラスト。デッドエンド。ああ、死なないんだっけ?」
目前のニンゲンは不死人。千年を超えて生きながら、人のまま生きている。
ニンゲンであることを純化したように、ヒトよりも人らしく。
「我は夜雀、名はミスティア・ローレライよ〜。うん、そうね〜。丁度良いわ〜」
妹紅の後ろにある船を見やり、夜雀は続ける。
「私が勝ったら、ローレライに相応しく、ここから出る船すべて、沈めてあげるわ〜。
安心して、中身はちゃんといただいておくから〜」
ザワザワと、薄く響く音に、辺りが闇に塗り込められてゆく。
(現在位置:A-2 → A-3 港・船着場 ショーダウン)
- 474 名前:アドルフ・ヒトラー ◆sLAdoLfKkE :2005/09/11(日) 03:21:51
- >>455
地に倒れ伏したままのカサンドラが未だ手にしたままだった鞘を投げる。
むろん、そんなものを易々と食らうアドルフではない。
鬱陶しげに腕を振るい、叩き落とす。
それと同時に、グン、と引かれる足。
(念動か……ちぃっ!)
だが、不可視の力に抗う術はない。
転倒をこらえるのが精一杯だ。
>>463
そしてその横を走り抜ける白い少女。
制止など間に合うはずもない。
結局、目の前には少女の残した禍々しい日本刀と、それを手にしたカサンドラ。
「いいだろう。天馬も、刀を使うサムライマスターだ。
前哨戦と思えば……丁度いい!」
アドルフの掌に黒い虚ろが集い……刃の形を為す。
「……ああ、それと……避けたまえよ?」
冗談なのか本気なのか見当も付かない台詞を吐いて、
アドルフはただその膂力とバネだけを頼りとした斬撃を繰り出した。
(現在位置:C-3灯台『跡』)
- 475 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 03:22:25
- >>470
強制的に顎を閉められ、必殺の焔は不発に終わり。
空の優位は易々と打ち砕かれようとしている。
―――成る程、強い。或いは“白銀の騎士”にも劣らぬか。
だが赤き魔物は紋章の勇者。
この程度の逆境、過去には飽きるほど乗り越えた。
むしろ敵が強ければ強いほど、苦難が嶮しいほどに闘志は燃え上がる。
「俺を地に縫い付ける気か…面白い!」
十字に腕を組んで受け――のみならず滑るように地を駆ける。
仕掛けるのは肩口からの勢いをつけた体当たり。
それは辛くも防御されるが、次の刹那。
「ところで一つ聞く。
お前の業には闘気があっても殺気が感じられん、何故だ?」
ふと湧いた、問いとともに。
破砕鎚のごとき追撃の頭突きが今、振り下ろされた。
- 476 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 03:22:54
- >>451>>473 ミスティア
>>465 妹紅
痛む足をなだめすかして、見えてきた港へと走る。
止まらない、止まる訳にはいかない。
こんな私にも分かるほどに、吹き付けられるような妖気を背中に感じるほど、では。
走りながら、港周辺を見回す。
何か、私にも動かせそうなものは……あった、モーターボート。これしかないか。
「よし、きっと大丈夫。これなら動かせる」と妹紅を伺えば
>「うん、とりあえず先、船に乗ってて。最悪、先に出しちゃっていいから。
> ……大丈夫だって。私、飛べるんだから」
その言葉を聞いて、一息に飛び乗る。
……そこで限界が来た。よろめいてボートの上でしりもちをついてしまう。
海に落ちなくて良かった……
「妹紅、早く!」と振り返ると……妖怪が来ていた。
これは、もう、間に合わないのか。
そんな、これでお別れ?
――――嫌だ!
「妹紅!」
声の限り、叫ぶ。
「また、会えるわよね? これでお別れなんてのは私が許さないわ。
あんたに会わせたい奴がいるのよ。そいつと、メリーと一緒にお茶でも飲むの。なんだったら酒でもいいわ。
だからこれで終わりはダメ。もう一度会おう、妹紅。
なんだったらこっちから会いに行くから。夢を、幻想を現実に変えてみせるわ。
秘封倶楽部と宇佐見蓮子の名にかけて、ね」
A-3 港 脱出寸前
- 477 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/11(日) 03:24:04
- >>441
少年の右手が、遠野秋葉に重なった。
そして、閃光。私は無意識の内に、目を閉じていた。
目を開けると――
「え? 消え、た……?」
最悪のカードたる、遠野秋葉の姿はどこにもなかった。
「――タオ!」
視線の先に見慣れた少女を見付け、私は走り出していた。
草色の甲冑は千切れ、
羽根飾りの付いた帽子は失われ、
あらゆる部分の肉は削げ、
血に染まっていた。
それでも……
「……ね? ちゃんと生き残ったでしょ?」
地に膝を付きながら、満面の笑顔を浮かべていた。
「ええ。流石はゴラの精鋭『風舞』の一員ですね」
タオの頭を軽く撫でつつ、治療をどうするか考えた。
「――そうだ、彼らは!?」
緑髪の女性と、少年はどうなった?
私は辺りを見回した。
>>467
『――悪いけど、この子の状態はかなり危ない!! 十秒やるからさっさと出てきて運ぶのを手伝え!!』
緑髪の女性が叫んでいた。どうやら、少年は一命を取り止めていたらしい。
ならば、奇跡的に無傷の私がその役を受けるべきだろう。そう思い、そちらに向かった。
「貴殿がどなたかは存じませんが、手を貸しましょうか?」
- 478 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 03:24:11
- >>475
(現在位置:A−2 倉庫跡)
- 479 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 03:25:14
- >>466
「喧嘩? さてな」
跳躍する白衣。
頭上より降り注ぐ鋼鉄の雨に身をさらし、石仏の化生は笑う。
一発、二発、三発――
銃火の一つ一つは、岩でできた皮膚を削るのみに過ぎない。
だが、その威力とて重なれば笑石の装甲を砕くに足る。
四発、五発、六発――
それでも笑石は、銃火に身をさらし、
その笑みを深く凶悪な物とし――
「聖者が化物を調伏すること、それを喧嘩と呼ぶか?」
七発、八発、九発、十発、十一発、十二発――――!
「それは否だ。
化生よ、早々に滅びるが良い!」
大剣を構え、中空の青年へと跳躍した。
(B−1:神父と戦闘中)
- 480 名前:牙付き労働者:2005/09/11(日) 03:29:15
- >>443
末期の夢、或いは、悪魔の嘲笑
見るからに慎ましいその家の壁は、まるでお約束のように白く塗られている。
編み物をしていたらしい妻は、玄関のドアを開けるとこちらに駆け寄ってくる。
ダメじゃないか、転んだりしたらどうするんだい?
何度言っても、これだけは聞いてくれない妻。
だから、自然と僕も走り寄る格好になる。
少しでも妻が走る距離が短くなるように。
駆け寄って、抱きしめて、僕を見上げる妻に優しいキスを。
胸に広がる幸福感。
ああ、なんで僕はこんな簡単な事を間違えてしまったのだろう……?
白い光の中で、背景が消え、家が消え、僕の腕の中から消えていく妻の感触。
もう二度と感じる事はない、そう思う未練も光の中に消えていく。
やがて全てが塗りつぶされるその瞬間。
どこか遠くで
確かに
笑い声を聞いた
それは神か悪魔か……それとも生に飽いた我が父の断片か。
(B-1 森の中 牙付き労働者...消滅)
- 481 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 03:31:32
>>470>>475 レッドアリーマー・ジョーカー
ボディは到達する前に防がれて、逆にこっちが体当たりをされる。
荒咬みは攻防一体で良かったぜ。
安心したのも束の間、問い掛けられる。
何故殺気がないか? そんなの、簡単じゃ―――
「グッ…」
また頭か。また頭なのか。額割れたぞ、テメェ。
「ああ、簡単だよ。草薙の拳に、殺す力がねぇだけだ。
何せ、『祓う』しか出来ないんでなっ!」
お返しだ。頭突きを顔に。時間はそろそろ限界だ。
コイツか、次で決めないと―――
「ボディが甘ぇぜ!」
一つ、二つ、三つ―――拳が刺さる。
四つ――――――――蹴り飛ばす。
五つ――――――――爆砕。
距離は離れた。相手の動き方次第で次は変える。
どう出る。退け。じゃないと、時間が。
「神楽、倉庫跡だ。俺の回収準備しろ」
通信機に怒鳴りつける。
どうせ来る事は分かるんだ。
『祓って』やるよ。その闘争心!
(A-2 倉庫跡 後一度)
- 482 名前:支倉令:2005/09/11(日) 03:31:42
- >468
顔を背けて、目を閉じている。視線では縛れない。
なら、こちらから行くだけだ。
一歩一歩、焦らす様にゆっくりと。
わざと殊更に足音を立てて、「私」は近づき、
『嫌』
声に、動きを止めた。
この声は何だ。
誰の声だ。
ただの獲物の筈なのに、何でこんなにも「私」を揺さぶるのか。
焦燥に駆られて、残りの距離を一気に詰めて手を伸ばした。
『――やめて。やめて、令……!』
逃げようともしない誰かを捕まえて、抱きすくめる。
「私」の中に残った私が、悲鳴を上げた。
牙が、首筋に埋まった後に。
現在地:B-1森、堕ちて祥子に牙を剥く
- 483 名前:アルビノ少女“山城友香”(覚醒) ◆0DYuka/8vc :2005/09/11(日) 03:34:45
- 夜の闇を走る。羽のように。邪魔する衣装なんて無い。
ほら、元より、この破けていない不思議な白ビキニだけ。
―――E.G.O.なんて名前が示すとおり、巫山戯た人の欲望だと笑った。
それでも、私はまた。あの人達の欲望の中へ還っていくのだろう。
偽りの人であることは承知している。それでも、もう少し、ぬるま湯につかっていたい。
また、学校にでも行って。友達と笑っていたい。
ほら、タロット占いの続きもしてもらわないと。
カーサが来るなら、今度はお茶でもごちそうしようか。
そうしてのらりくらりと逃げおおせよう。今度も。
「―――失せなさい、屍。アナタ達の分も生きてやるから!」
そうやってヴァジュラを振りかざす。雷が緑色の腐肉に満ちた屍を駆逐する。
私は還る。だから、走る。良かったことだけ考えろ。良かったことだけ思い出せ。
そしたら、明日はきっと良い日になるから。
―――――港が見えた!そして、脱出を試みる人の群れも。
〈現在位置:B-3突破中→そのままA-3へ突貫を試みる〉
- 484 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 03:36:34
- >>473 >>476 蓮子、ミスティア −エクステンドアッシュ−
『妹紅!!』
蓮子の声が聞こえる。少し遠いのは、船をもう出したからだろうか。
『また、会えるわよね? これでお別れなんてのは私が許さないわ。
あんたに会わせたい奴がいるのよ。そいつと、メリーと一緒にお茶でも飲むの。なんだったら酒でもいいわ。
だからこれで終わりはダメ。もう一度会おう、妹紅。
なんだったらこっちから会いに行くから。夢を、幻想を現実に変えてみせるわ。
秘封倶楽部と宇佐見蓮子の名にかけて、ね』
―――ああ、もちろんだとも。
体力はもう残り少ない。全身の感覚は枯れかけているし、霊力はすでに涸れている。
不死鳥は……まあいいだろう。そんなことよりも。
「ええ、約束はちゃんと護るって、さっき証明したじゃない。ちゃんと帰るよ」
目の前から視線を逸らすわけにはいかなかったから、声だけで、返事を返す。
……大丈夫だ。その言葉で、力が湧いてきた。
蝋燭が燃え尽きる前のような力だけど、死のない私にとっては無限。
>「我は夜雀、名はミスティア・ローレライよ〜。うん、そうね〜。丁度良いわ〜」
>「私が勝ったら、ローレライに相応しく、ここから出る船すべて、沈めてあげるわ〜。
>安心して、中身はちゃんといただいておくから〜」
―――オーケイ、ローレライ。
あんたは絶対、あいつには近づけない。
「ミスティア、ね。覚えておくよ。ついでに名乗るわよ。私は、藤原妹紅。
―――昇る日の火は始まりの船、沈む夕の火は終わりの色。私の炎は浮沈の緋色。
―――闇のかしずく歌姫よ、まずは私を沈めて見ろ!!」
巻き起こる闇の旋風。感じるのは無数の妖弾。
私は、残った小刀を握り締め、その中を突撃する。
両腕で急所だけをかばう。右腕が激痛を訴える。たぶん使い物にならない。
足がやられた。動かない。もう片方の足で跳躍。さらに消えかけた翼で加速。
「くらえぇぇぇぇぇぇっ!!」
そして、走る小刀は目の前の夜雀―――ミスティアへとへと伸び、
視界が紅く染まった。
(A-3 港 ショウ・ダウン)
- 485 名前:ロゼット&クロノ ◆AMENedTPtg :2005/09/11(日) 03:37:16
- >>467
>>467
「――なっ!?」
並みの悪霊なら跡形もなく消滅してるはずの福音弾()。
それを受けてもまだ残ってる悪霊。
……こいつ、生半可な相手じゃない!!
「けど、効いてないわけじゃないんでしょ!
一発でやられないってんなら、何発でもぶちこんで――」
『私に攻撃をやった奴!! 怒ったりしないから出てくるんだね!! 特別に何にもしないでおいてやる!!
その代わり……ここに倒れてる人間を連れてく手伝いをしろ!! それが交換条件だよ!!
あたしみたいな外れモンを撃つ位だから人間だろう!? ……まさか同族を放っておくなんて事はしないだろうね!?
悪いけど、この子の状態はかなり危ない!! 十秒やるからさっさと出てきて運ぶのを手伝え!!』
――ぶちこんでやろうとしたのに。
これって……。
「……ああもうっ! 分かったわよ!
クロノ、その子こっちに連れてきて! 時間ないんだから!」
「分かった……けど、こいつはどうする?」
「どうする」……そう、今のこいつならどうとでもできる。
あと一発弾丸を撃ち込む、それにたいした時間はかからないけど……
「……こんなヤツにかまってる時間ないでしょ。
勘違いしないでよ、別にかばうわけじゃないんだから。
ただ、生きてる人間の方が死んでるヤツより大事だって、そう思っただけなんだからね!」
それだけ言い残して、私はクロノと船へと駆け出す。
頼むから助かってよね。
でなきゃ、私はさっき撃った一発を、一生後悔するハメになるんだから!
(退場)
- 486 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/11(日) 03:38:04
- >>479
視覚が色を失う――、邪魔な要素がトリミングされる。白と黒の世界。音は死に絶え、色は
消え失せ、世界は殺し――遥か遠く、砂粒の跳ねる音で、
足元を理解した。
飛び来るアイツ。黒いコートをはためかせて大剣を振るうそいつは、どこか道化じみたファ
ンタジーの登場人物に見えた。
「つまり、雑魚キャラにな」
口が薄く笑むのが解る。
成る程――速い。
だが、俺は速い。
「時間がねぇからよ――見せてやるよ」
向かい来る斬線――空気が歪むような剣閃。
切っ先が夜気を裂いて来るのが解る。破壊力は充分――死ぬには十二分。
だったら。
ひょいと両手のグロックを放る。
頭は下に、足は頭上に――瞬間、両足の真裏に来た銃身を蹴り飛ばす。方向転換。前
傾姿勢で俺はヤツヘと。レッツロック。レッツファック。
右手を握り込む。
ざら、と意識が凍て付いた。
眼球の奥で火花が散った。
殺される総体距離。
殺す為の距離。
一瞬数メートルで死んでいく距離――開いた右手に意識が灯る。
「これが――”取って置き”ってヤツだ」
ばちん。
開く右手。
真っ白い焔を纏った掌――交差方でそいつの顔面に放った。
(B-1)
- 487 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 03:42:39
- >>481
連撃を受け後退を許す。
魔を祓う力と膂力、何より魂の篭った一撃は想像以上に思い。
その戦士の力量は認めよう、だが。
「ふん……殺す気は無いということか?
……お優しい事だ。
だが、それは本当の戦士にとって何よりの屈辱だ。
この俺のような……本当の戦士にとっては」
これは運命の悪戯か。
奇しくも離れた距離は、赤き魔物にとって絶好の間合い。
腕組みを解き、両の手を腰だめに構えると同時。
全身の魔力と共に“気”を開放。
それはまごう事なき必殺の気、自身の奥義に当たる“切り札”の予兆に他ならない。
「そして俺のその“魂”まで祓うか?
ならば……俺はお前をこの業で“殺す”」
勝負は一度。
この一撃に全霊を込め必滅の業とする。
練るは闇黒。
夜より暗き破壊の爆熱、かつて万能の王を打ち破った最強の剣。
その名も――――
「―――地獄の業火、その身に喰らうがいい!」
『ダーク・フレア』
闇が戦慄く。
その忌まわしき破壊者の名を。
魔が叫ぶ。
紋章に導かれし赤き闘争狂の真髄を。
(現在位置:A−2 最後の一撃 後に残るはどちらの焔か)
- 488 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :2005/09/11(日) 03:43:20
- >>471 ユキ
聖別された武器を持ち出すより、心臓を打ち抜くべきだった。
攻撃に押しかえされ、俺に飛び乗ったまではよかったが、
強化されているとはいえ生身の人間が、吸血鬼と取っ組み合いをするのは致命的だ。
サイの一撃に顔がゆがみ、さらにそれが振り下ろされようとした瞬間、
強引に振り払った俺の右腕が、女の身体をまともに捉えた。
相手の身体が跳ね飛ぶ。
アバラの数本はもらったか――――聖性の攻撃でゆがむ視界をごまかし跳ね起きるが、
――廃屋の立ち並ぶなか、女の姿はどこにも見当たらなかった。
(A-2)
- 489 名前:小笠原祥子:2005/09/11(日) 03:44:35
- >>482
温度がある。
それは凍えそうなほど熱く、灼けるように寒い。令が噛みついた首筋から、それは私の体の
隅々にまで広がっていった。
犯し、汚染し。私を制圧していく。
別の『現象』の温度だ。私達人間は、多分永遠にそれを知らずに済む。知った時には、誰し
もがその感覚を伝えられない場所にいるから。
私もそこへいくのだな、とぼんやり思った。――死の世界へ。
私も抱きしめ返す。ごめんなさい、と令に謝る。
一足先に、あなたがそこへいっていたことに、私は気づかなかった。
気づかないまま、私はあなたを一人戦わせてしまった。
色々な令の姿が、赤い色一色の瞼の裏に浮かんでは消える。
「ミスターリリアン」などと呼ばれもする見掛けとは裏腹に、しとやかで、繊細で。時に羨み
もするほど「少女」である令。
剣道部の試合で、凛とした打ち込みを決める令。
由乃ちゃんに拗ねられて、情けない声を上げる令。
そして。
卒業式、在校生代表の送辞を読み上げながら泣いてしまった私を、まるで空気のように支え
てくれた令。
「ねえ、令」
怖くはなかった。怖いはずがない。
二人といない友人が一緒なのだ。
「私達、また生まれ変わったとしても。ちゃんと自分の妹に逢えるかしら――?」
(現在地:B-2 森)
- 490 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/11(日) 03:46:03
- >>459
センサーが味方の識別信号を関知。
「こちらフィオ! エリちゃん、お待たせしました!」
ゆっくりとVTOL戦闘機、スラグフライヤーが降りてくる。
「待ちかねてたわ」
アタシはハッチを開けて飛び降りた。
着陸してキャノピーを開けるフィオ。
「悪いんだけどさ、この娘そっちに乗せて」
糸が切れたのか、深い眠りに落ちたアテナを抱き上げてフィオに預けた。
「ちょ、エリちゃんこの娘は!?」
「軍艦島に居た民間人。細かいことはあと。早く離陸の準備を」
ひいひい言いながらコクピットにアテナを押し込むフィオをよそにアタシは再びスラグガンナーに乗り込んだ。
「もたもたしてると核で消える前にグールの餌になるわよー……」
スピーカーににおどろおどろしく囁くと目に見えてフィオのスピードが上がった。
ばたばたとアテナを押し込み、どうにか操縦できるだけのスペースを確保しようとしている。
しばらく試行錯誤した結果、アテナの上に座って操縦するようだ。
ベルトを締めてキャノピーを閉鎖。
「乗ってください!」
「あいよっ」
スラグガンナーをジャンプさせてフライヤーの上に乗る。
投下パレットを固定していた金具に機体を噛ませて固定。
「急旋回なんかの急激にGがかかる操縦はしないで! 落ちるから!」
「ラジャー! 発進します!」
自重と同じ、あるいはそれ以上の荷物を載せて、VTOL機が浮かび上がる。
「着弾まであと二十分切った!」
「ラジャー! 音速の壁をぶち抜きます!」
「それはアタシが吹っ飛ぶ」
ある程度までの高度へ上昇し、フライヤーは一気に推進。
潮風を裂いて明けつつある夜闇の中へ飛び去った。
(エリ・カサモト、麻宮アテナ 脱出)
- 491 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 03:46:17
- >>484 妹紅
「藤原妹紅、妹紅ね〜。なかなか良い響きだわ〜。
―――さあそろそろ終末のラッパが響く。笛吹が三途の川底に人を誘う。
―――尽きる事なき不死の姫。生き生き生きて、絶望の果てに狂うが良い!」
不死の炎が、欠けた身体を更に奪う。どこが残っているかすら、最早感じない。
しかしただ、
「とった。とっても美味だわ、妹紅」
この目の前の、極上の人を喰らう口さえあれば、もう他に何も要らない。咀嚼し
ながら、夜雀は恍惚の表情で、呟いた。
(現在位置:A-3 港 ラスト・ヨスズメ)
- 492 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/11(日) 03:47:23
- >>484 妹紅
モーターボートは気合やらなんやらで無理矢理動かし、私は陸を離れていく。
ほんのわずかの間だったが、しかし意気投合した友人。
その彼女に向けて放った言葉は……
『ええ、約束はちゃんと護るって、さっき証明したじゃない。ちゃんと帰るよ』
力強い言葉となって、帰ってきた。
――ああ、大丈夫だ。きっと彼女は大丈夫。
なら、私もしっかり帰らないと。こっちが約束を反故にしたんじゃ、かっこわるいわ。
妖怪へと特攻していく、藤原妹紅。
彼女を見据え、溢れた涙をふき取り、ボートに活を入れて。
「――またね、妹紅!」
私は海原を、駆けだした。
A-3 港→離脱、退場
- 493 名前:アルビノ少女“山城友香”(覚醒) ◆0DYuka/8vc :2005/09/11(日) 03:50:27
- 夜の闇を走る。羽のように。邪魔する衣装なんて無い。
ほら、元より、この破けていない不思議な白ビキニだけ。
―――E.G.O.なんて名前が示すとおり、巫山戯た人の欲望だと笑った。
それでも、私はまた。あの人達の欲望の中へ還っていくのだろう。
偽りの人であることは承知している。それでも、もう少し、ぬるま湯につかっていたい。
また、学校にでも行って。友達と笑っていたい。
ほら、タロット占いの続きもしてもらわないと。
カーサが来るなら、今度はお茶でもごちそうしようか。
そうしてのらりくらりと逃げおおせよう。今度も。
「―――失せなさい、屍。アナタ達の分も生きてやるから!」
そうやって錫杖を振りかざす。雷が緑色の腐肉に満ちた屍を駆逐する。
私は還る。だから、走る。良かったことだけ考えろ。良かったことだけ思い出せ。
そしたら、明日はきっと良い日になるから。
―――――港が見えた!そして、脱出を試みる人の群れも。
〈現在位置:B-3突破中→そのままA-3へ突貫を試みる〉
駆け抜けろ!己の生を掴み取れ!還りたいと願った場所へ。私は………。
>>467
『私に攻撃をやった奴!! 怒ったりしないから出てくるんだね!! 特別に何にもしないでおいてやる!!
その代わり……ここに倒れてる人間を連れてく手伝いをしろ!! それが交換条件だよ!!
あたしみたいな外れモンを撃つ位だから人間だろう!? ……まさか同族を放っておくなんて事はしないだろうね!?
悪いけど、この子の状態はかなり危ない!! 十秒やるからさっさと出てきて運ぶのを手伝え!!』
叫ぶ声が聞こえる。何というか。響く声。人間の声ではないのかも知れない。
………助ける人が居る。シスター服?一番のピンチは此処かも知れない。
ああ、私は。この闇の気を押さえられていないのだから。
―――――逃げられたとしても。船上で死ぬかも。そうなるまえに………。
願わくばカーサ。もしくは総統閣下?こんな年端もいかなくて未熟な夜の姫君ですけど。
神の御許で消される前に助けて頂けますよね?
そう思いながら、船へと最後の猛ダッシュ。愛は吸血眷族も救ってくれますか?
〈現在位置:A-3港エリアに突貫→船に飛び乗れるのか? BGM:エンドレス負け○いで(ぇ 〉
- 494 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 03:50:40
- >>491 ミスティア −Evil Shine−
がくん、と体の力が抜ける。
……しまった。
最後の最後で、燃え尽きてしまった。焦りすぎた。
しかし、悔いても終わらない。
速度の落ちた小刀をかわされ、カウンターで喉笛を食いちぎられた。
「………あ」
声が、上手く出ない。
声が遠くなる。意識が遠くなる――――
そして全てを手放そうとした寸前。
『妹紅!!』
幻覚が、聞こえた。
「―――――――ッ!!」
声にならない咆哮。目下修復中の声帯は声の用を成さないが感情は発生させた。
そして、ミスティアを力強く抱きしめる。
―――逃がさないために。
「……こうなりゃ、道連れね」
雑音の酷い声。しかしそれは相手を驚愕させるには十分だった。
私は、不死鳥を召喚した。
暴虐な光が、私の身体を、奴の身体を包み込む。
不死鳥の翼が、あまりの熱量にそうとしか映らないのだ。
理由は簡単。
私が自分で不死鳥の手綱を灼き切ったからだ。
文字通り焼けるような痛みに全身をかき回される中、私は凄絶な笑みをやつに向けた。
そして、死の宣告を告げる。
「こうなったら……もう手加減は出来ないわよ。
死して生の礎を、生の果てに死の道を。
果てない輪廻を超えし、原初の生命たる炎、その身でとくと味わうがいい!!」
―――そして、私はやつとともに燃え上がった。
高らかに伸び上がる、月すらも焼きそうな火柱。
その焔に現れるのは、誇り高きいにしえの不死なる翼。
意識も焼かれ、全てが途切れる寸前、最後に私は、その不死鳥の姿を視ていた。
( 藤原妹紅、自爆 → 死亡……?)
(退場)
- 495 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 03:51:11
>>481>>487 レッドアリーマー・ジョーカー
ああ、畜生。やっぱり予想通りか。
なんだってこう―――聞き分けが悪いんだよ。
「ハッ…地獄の業火? 俺の『魂』に比べれば甘ぇ!
『祓って』やるよ! その、殺さなきゃならない『業』を!」
既に駆け出している。俺のまあ今では後三歩。
一歩―――辺りの空気が変わる。
二歩―――口に黒く、赤い、炎が集る。
三歩―――ソレが眼前に迫り来るが、間に合った。
「受けてみろ――――草薙の拳を!」
吹き上がる紅蓮。業火に対抗する紅炎。
届け、届け―――いや、届かせる!
「歴史が―――違うんだよ!」
半ば無理やり放った為、一撃しか入れられない。
だけどそれで充分。
場所の指定は此処より先にある少しだけ開けた場所。
そこに向かって駆け抜ける。
先頭のダメージが足を引っ張り、少しだけ鈍いが充分間に合う。
追って来る事など考えない。充分だ。一撃で。
だから―――駆け抜けるだけだ。
(A-2 倉庫跡 指定ポイントまで疾走)
- 496 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/11(日) 03:51:56
- >>467
>>477 二人連れ
「あんた達は……?」
敵か。敵ならばなんとしてでも退かせなければならない。
ああ……しかし困ったねぇ。どうにも力が出てこない。
もうこうなったらなるようになれだ。ここで私の運が尽きるとはねぇ。
霊夢の素敵なお賽銭になんか入れておくべきだったね……するめいかとか。
>「貴殿がどなたかは存じませんが、手を貸しましょうか?」
しかし、予想に反して……掛けられたのはそんな言葉だった。
「あ……いいのかい?」
答えながら思い出した。先ほど紅い髪の少女に魔法を撃った時、別の人影が見えたような気がする。
…その人影がこいつらなら、こいつらのお陰で上条は一命を取り留めたといっていい。
私だけでは、上手く倒しきれなかっただろうから。
「すまないけど……けっこうきつくてね……お願いするよ」
とりあえず、そう言っていた……その時だった。
>>485
向こうから、またも二人組みがやってきた。尼僧の服を着た少女に、黒髪の少年。
少女はこっちをみて、不機嫌そうな顔をしながらも、
>「……ああもうっ! 分かったわよ!
> クロノ、その子こっちに連れてきて! 時間ないんだから!」
そういって、上条を運んでいってくれた。見かけによらず人情味が在るらしい。
私に止めを刺さない当たり、それを証明してるといってもいいだろう。
「ありがとね。……私に喧嘩売ったのは不問にしといてあげるよ」
にやりと笑いながらそういって、運ばれていく上条と二人組みを見送った。
(上条、出来たら生きな。私が三度も助けたんだ。それくらいやってみせろ)
心の中では、そんな事を呟きながら。
「さぁ、あんた達も行ったほうがいい。ここはなんかヤバイらしいからねぇ?」
そういって、私は犬を追い払うように手を振ってから……ぱたんと倒れ伏した。
既に体からは霊力のほぼ全てが抜け落ちており、あとほんの少しで消滅するのは明白だった。
だが、それでもいい。私はやれるだけのことをやった。それだけは自信がある。
あの子の……霧雨魔理沙の師匠として恥ずべきところの無い道を進んだ自負がある。
それがあるのならば……ここで消えても、文句はないように思えた。
「魔理沙……」
それが、私の最後の言葉。
ふっと灯りを吹き消すように意識が消えると同時に。
私の姿も、存在も……霞のように掻き消えた。
(現在地 A-3 霊力消失により消滅)
- 497 名前:草薙 京 ◆Q1mfyB/Kyo :2005/09/11(日) 03:53:31
ああ――――なんか待機してるの戦闘機なんだが。
一応開けてる場所だけど、これは無理だろ。無茶だろ。
間に合うか、間に合わないか。その瀬戸際だ。
この際夢だと受け入れ様。こんな所で死ぬのは御免だ。
「装備はつけましたか? 離陸します」
飛び立つまでのラグ。もどかしい。
「急げ!」
「分かってます」
飛び立つ。後は速い。
見る見るうちに島は後ろへ。
見る見るうちに島は崩壊。
「厄介事は―――勘弁してくれ」
【草薙京 脱出】
- 498 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 03:54:17
- >>486
曲芸めいた動きで、純白の衣が翻る。
次いで右手に、純白の殺意が宿る。
世界が歪む。
浄であるはずの間が、限りない無量大数へと広がって行く。
その中で、笑石は見た。
青年が浮かべる笑みを。
己と同じ、『殺す者』の笑みを。
そうして理解した。
こいつは――『同類』だ。
人ならざる者を、魔を殺すためだけに生まれた存在。
生れ落ちた時より、その在り方を定義付けられた教義の肯定者。
破邪の焔が迫る。
かわせはしまい。かわす気もない。
眼前に迫る白をどこかぼんやりと見遣りながら、笑石は大剣を振り下ろした。
――視界が白く染まった。
- 499 名前:ユキ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 03:55:23
- >>488 ビリー君
往復ビンタが決まり…次とトドメと言わんばかりに
十手を振り下ろすユキ、しかし…一瞬の隙を付かれたのか
その最中、捕まれ…ビリーに遠くへ投げ出されてしまう。
かなりの高さの上空を舞うユキであったが…すんでの所で。
「ユッ!!ユキさん」
「だっ…大丈夫ですかっ、うわぁ…ユキさんも結構ボロボロに」
「ユキさん、今助けますねっ!!えっと…確か大型の虫取り網型の衝撃吸収マット
はここだったですよねっ?」
この中を舞うユキの状況を見て…一同驚くが、下に落ちようとした時に
マサヒメがそのボタンをオンッ…船から虫取り網型のマットが飛び出し
ユキをすくう…。
「あらあら〜どうやらユキさん、負けちゃったみたいね…でも何とか皆
と再開できたからこれでよし…と、しちゃうかなっ」
自分の船に拾われた…基、キャッチされたユキは、船に収容される
そして、一席の航空船は数分後、十二支の結界を張り…島の結界を突き破り
脱出に成功したようであった。
(現在位置:A-2 倉庫から脱出…そのまま島の外へ退場)
- 500 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 03:57:14
- >>494 妹紅
燃えさかる炎の中、夜雀の意識も燃え尽きて行こうとしている。
捕まえられたときに、これは負けだ、と悟った。
これでは絶望を与えられない。
何より最も旨い、ココロを喰らい尽くせない。
ただ、これはとても大きい幸福なのだ。
道連れに値するだけの人間に巡り会う魔は、数少ない。
夜雀は最後まで妹紅の肉を喰らい、満足したまま炎の中に消えた。
{ミスティア・ローレライ、滅)
- 501 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/11(日) 03:57:57
- >>498
(神父の攻撃を受け、生死不明。退場?)
- 502 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/11(日) 03:58:33
- >>463
果たして目論見どおりに、彼女は独裁者からの逃亡を果たす。
お礼は後でたっぷりとしてもらう予定だよ、少なくとも奴に飲ませるよりはずっとマシだ。
>>474
――そして、姫を逃がされた暴君の、怒りの矛先は魔術師へ。
『悪い魔法使い』にはらしくない展開だが――私が奴を叩きのめしたいのも、また真実。
「……さあて、さっさと片付けて帰るとしようか。
時間もないし、何より弟や親友も待ってる」
軽口を叩きながら銀鎖を呼び戻し、刀を握りなおす。
誰が呼んだか土壇場の決戦(シ ョ ウ ダ ウ ン)。
状況的にも時間的にも、最後の勝負となるのは明白。そこへ――
開いた左手の中に、一本の刀が現れる。
ジローの銀刀とは正反対の、禍々しいまでの呪いの魔力。
呪われた血を持つ、我ら九龍王の子ら(クーロン・チャイルド)にはお似合いか。
友香め、小憎らしい贈り物をしてくれたものだ。
刀が私の力と絡まり、全身から、刀からすら眩 霧(リークブラッド)が吹き荒れる。
それはさながら嵐の如く。
視界に移るは、力場思念と似て非なる、無明の刃を構えたアドルフ。
いいだろう、最後は小細工なしでやってやるさ。
こういうのは私ではなくジローのキャラクターなのだが、たまにはいいか。
奴が何か言っている。
避けろ? さあな、私の体に聞いてくれ。
今の私は一刀如意、意識よりも先に剣がある。
「カサンドラ・ジル・ウォーロック――――」
吹き荒れる己が気配の烈風に押され、二刀をぶらりと提げたまま。
妖気迸る呪いの刃と、最大出力の力場思念を込めた刃が――
「参る!」
×の字を描きながら、暴君に向かって繰り出される!
- 503 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 03:59:42
- >>495
たたらを踏み衝撃に耐える。
魔にとって必滅たる草薙の焔、だがその一撃は赤き魔物に
終焉を与えるには程遠い。
「ぐっ…何故だ、何故に祓わん…!
何故、俺という“魔”を祓おうとはしない…!?」
逃げる草薙の男に視線を投げ、赤き魔物は怨嗟の声を上げる。
この屈辱は何だ。
この敗北は何なのだ。
そうとも、これは復讐の火種である。
新たなる殺し合いの序章である。
だが―――――何故。
この敗北は、理解を超えるまでに清浄に思えるのか。
理解らぬ。
理解らぬまま…終わりたくはない。
「覚えておくぞ、クサナギ。
……何時の日かまた、必ずやまみえよう。
その時こそ俺とお前…そしてヤガミとの決着をつける」
それは赤き闘争者の誓い。
己に敗北を屈辱を刻みながらも、今までとは違う。
誓いを刻み付けた者たちへの復讐は――果たして復讐なのだろうか?
それを分かるかどうかは分からぬ。
今必要なのは生き延びること、己の役目はまだ…終わってはいない。
渾身の力を振り絞り黒翼が唸る。
赤き魔物の姿が昇ったかと思うと、そのまま闇夜の彼方に消えた。
- 504 名前:◆nOblerEDv. :2005/09/11(日) 04:00:16
04:00
――そして、それは彼方から飛来し
全ての命を炎に変えて、彼の地に住まう竜を呼び起こし
そしてもろともに()、全てを滅ぼすために――――
- 505 名前:◆nOblerEDv. :2005/09/11(日) 04:01:09
ヽ`
´
´.
__,,:::========:::,,__
...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐...
..‐´ ゙ `‐..
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.................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´ ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
.......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ .' ヽ ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
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゙゙゙゙゙;;;;;;;;............ ;゙ ゙; .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;............................. ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
/゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li ' ; .` .; il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
- 506 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/11(日) 04:01:50
- >>503
(A−2 レッドアリーマー・ジョーカー 再戦を誓い退場)
- 507 名前:支倉令:2005/09/11(日) 04:04:35
- >489
今更理性が戻ってきて、何になると言うのだろう。
友人の首筋を噛み破り、浅ましく血を啜る自分が堪らなく情けなかった。
そう思っても血を啜り続けてしまう事が、どうしようもなく腹立たしかった。
「謝るのは……私の方だよ」
結局、私の剣は友人一人も守れなかった。
死に掛けたこの命を掛けてでも、と思っていたのに、
最後の最後で祥子を殺したのは私自身だったなんて。
「ごめん……本当にごめん、祥子」
強く抱きしめて、蚊の鳴くような声で囁く。
祥子の家族や祐巳ちゃん、それに由乃、皆。
知る限りの親しい人達の顔を思い出しては、申し訳ない気持ちで一杯になる。
……由乃は、きっと私がいなくても大丈夫だ。
暫くは悲しむかもしれない。
それでも、その悲しみは時間が癒してくれる。
何より、由乃は強い子だから。
「……うん」
確実な終わりがもうじき来る。
それだけが、救いと言えば救いだった。
「きっと会える――――ううん、必ず会えるよ」
現在地:B-1森、終わりを待つ
- 508 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/11(日) 04:12:26
- >>496
『すまないけど……けっこうきつくてね……お願いするよ』
息も絶え絶えに、緑髪の女性が言った。
貴殿も治療を。そう言おうとしてから、彼女が何であるかに気付いた。
(霊体、か)
霊体を治療するとなると、私の研究所へ連れて行かなければならない。が、彼女は恐らくそこまで持たないだろう。
であれば。彼女の望みを優先するべきだ。
「――分かりました、承りましょう」
そう返した直後。
>>485
青い尼僧服の少女と、なにやら箱のようなものを背負った黒髪の少年が現れ――
『……ああもうっ! 分かったわよ!
クロノ、その子こっちに連れてきて! 時間ないんだから!』
箱を背負った少年が、満身創痍の少年を運んでいった。
『さぁ、あんた達も行ったほうがいい。ここはなんかヤバイらしいからねぇ?』
緑髪の女性が、犬か何かを追い払うように手を振ってから……倒れた。
「……覚えておきますよ、貴女の事は」
この一件に関わった者全てがこの女性を忘れたとしても、私だけは、覚えておこう。
それが、彼女がここにいた証になるのだから。
かろうじて歩けるタオに肩を貸し、船に乗りこもうとしたその時。
『魔理沙……』
緑髪の女性の最後の言葉を、私は聞き届けた。
(現在地:A-3港>脱出船に乗船、退場)
- 509 名前:牙付き労働者:2005/09/11(日) 04:42:16
- 見るからに慎ましいその家の壁は、まるでお約束のように白く塗られている。
編み物をしているらしい妻は、時折、手を止めて窓から外に目をやる。
大きくなったお腹を無意識のうちに撫でる仕草に気づき、幸福そうに笑った。
「大丈夫、お父さんは約束を破らないものね」
再び編み物に戻ると、今度は小さく歌を口ずさむ。
口ずさむその歌はHome,sweet home()
レス番まとめ
>>291 >>317 >>372 >>409 >>443 >>480
- 510 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/11(日) 06:10:59
―――あれ?
(場所:δ-1 焦土B)
- 511 名前:◆LOSJACkEtA :2005/09/11(日) 06:53:25
亡骸が在った。
かつては薄汚れた集合住宅が数棟、朽ちるに任せてたたずんでいたであろうその土地も、
つい先頃炸裂した破滅の業火が、一瞬の抵抗すら許さず、地上に残されていた諸々を消滅
させていた。
だが、そんなすべてが吹き飛ばされたはずの大地のほんの一角に、奇跡的に完全な消滅
を免れた、ちっぽけな金属の固まりがあった。
かつてはトラックと呼ばれていたその金属の固まりは、そのうちに、さらにちっぽけな空洞
を抱えており、中にはかろうじてヒトガタを保っている、金属鎧の姿が見て取れた。
誰が知ろう。
その、亡骸すらも判然としない男の名は、レイオット・スタインバーグ。
僅か一晩のうちに行われた、最終戦争もかくや、と思われた血戦において、人間にも化け
物にも打ち倒される事の無かった、唯一の人間である。
で、在るならば。ここに、彼の亡骸があることには疑問が残る。
果たして。彼を打ち倒したのが、人でも化け物でもなかったのだとするならば。
彼をこの鋼の棺に押し込めたのは、一体何者であったのか――
だが、その答えもまた、この棺の中に、厳然と存在していた。
恐らくは頭部があったであろうその場所。
その場所に残された僅かな残骸には、こうあった。
『――豆腐・木綿ごし』
彼の命運を断ったものの正体。
果たしてそれがなんであるのか、一切合切が消え去った大地において、それを知ることは
できない。
一夜の狂乱を経て。太陽は、燦然と輝いていた。
(B-3 居住区跡だったらしい場所)
- 512 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 12:36:02
- ―――ここは、一隻の航空船の中…遥か上空を移動中。
その窓際を、一人の少女が…覗いていた。
その目に映るは、核の爆発により…焦土と化した島。
「向こうであった皆…無時かなぁ」
あの島で、どんな形であれ…マサヒメは多くの出会いを目にした。
そして、自分と共に行動を共にした…アテナやエリ、彼女らの事は絶対忘れないだろう。
無事…で居てくれると良いんですけど。
そう、二人の無事を案じている所に、蒼い陣羽織の…茶色かがった黒髪の少年
ヒビキがやって来る。
「君の、あの島での事は聞かせて貰ったけど…アテナさん達だったよね
彼女達なら、どうやら無事らしいよ」
彼は微笑みながらマサヒメにそう言う。
「お兄さん…それってマジですかっ!?ぶっちゃけホント何ですかっ!?」
「うん、ヤマトが後で調べてくれたみたいなんだ…どうやら島の外にいた仲間に
助けられたみたいだよ…それにしても、島で出会い出来た友達か…僕も機会があれば
会いたい所だよ…それに、マサヒメの事もお礼が言いたいし」
「良かった…アテナさん達、無事だったんですね」
ほっと胸を撫で下ろすマサヒメ…。
「折角だから、彼女らに通りすぎながら…軽く挨拶して、それから当初の目的地に向かおうか
ちょうど今、近くに居るようだし」
――――そして数分後、海の上でアテナ達を見かけると。
「アテナさんっ!!エリさんっ!!私達無事ですよ…それと、今まで有難うっ!!
そして、機会があったら、また会えたら…その時は無事を喜び会いたいです…だから
サヨナラは言わないです、また会いましょうねっ」
(青葉マサヒメ エピローグ終了)
船の窓から…アテナ達に向かって手を振る。
そして、通りすぎ…船は本来の目的地に舵を取り、この場を後にする。
- 513 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 12:41:33
- (レス番まとめ)
>>14 >>42 >>50 >>63 >>85 >>102 >>108 >>116 >>122
>>147 >>195 >>171 >>184 >>206 >>207
>>274 >>279 >>283 >>294 >>301 >>308 >>319 >>327 >>341
>>359 >>373 >>377 >>386 >>389 >>399 >>417 >>436
ユキさんと交代
>>405 >>426 >>440 >>457 >>471 >>499
- 514 名前:弓塚さつき ◆zusatinwSI :2005/09/11(日) 16:15:52
- 弓塚さつき レス番まとめ
導入
>>100
vsケルベロス
>>125>>132>>141>>157>>180
エピローグ
>>510
- 515 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 21:15:15
- 「あー、本気で疲れた……」
「無茶ばかりするからだ、馬鹿者」
ぐったりとした私の姿に、慧音が呆れたように呟く。
私の体中には包帯が巻かれている。すでに怪我は治っているので、これは痛み止めの湿
布を固定するためだ。慧音が無理やり処置してくれたのだ。
「しかし、不死者に吸血鬼に妖怪に、神の火か。よく無事だったな」
「まー、死なないしねー。でも二度はやりたくないな、あんな乱痴気騒ぎ」
―――結局、私は何とか幻想郷へと戻ってきていた。
自爆したあとにリザレクションしてみれば、神の火に吹き飛ばされたのか私は海の上で
ぷかぷか浮かんでいた。
そこを何とか泳ぎきって(もうしばらく川や海にはいけそうにない)、必死の思いで陸に
上がったと思えば今度は外の人間に不審者扱いされて追いまわされ、ようやっと外の博麗
神社から幻想郷に入り、竹林のそば、慧音の家までたどり着いたところで再び力尽きた。
そして次に目が覚めたのは私の家で、三日くらい経ってからだったらしい。
私の身体は、本気で限界だったようだ。よくもまあ保ってくれたものだ。
「で、結局お前が助けた人間というのはどうなったのだ?」
「んー。さあ、ね。でも無事でいたならきっとこっちに来るよ」
「しかし、幻想郷に入れる人間というのも稀なのだがな。お前との縁があるとしても」
「それでも来るわよ。約束だもの」
私は、迷うことなく言い切る。
そう、たしかに約束したのだ。また逢おう、と。
だったら、来られぬ道理などあるまい。
彼女自身、夢は現実に変わるものだと信じているのだから。
「……そうか。……やれやれ、随分といれこんでいるのだな。ふふ、少し妬けるな」
「……馬ッ、そういうんじゃないって!!」
「はっはっは、照れることはちょっと待てさすがに中身の入った酒瓶はまずい!!」
むきー、と大量に用意していた酒瓶を振り上げると慧音が慌ててガードする。
もちろん振り下ろす気はないので、そのままゆっくりと下ろした。
「しかしこんな大量に用意して、呑めるのか?」
「いいじゃない。最低私と慧音とあの子と……もう一人かな? それだけいれば十分よ」
そう、これは彼女たちを迎えるために用意したものだ。
近く、絶対来てくれると信じて。
「って、勝手に私まで数に入れるな。あまり強くないんだぞ……ん?」
「何言ってるのよ。私よりはるかに強いくせに、って、あ……」
互いに言葉が止まる。
慧音の場合は私の様子の変化に疑問を抱いたからだろうが、私はちょっと違う。
ただの勘だが、近くに誰かが来ている気がする。
「ちょっと見てくるー!!」
「って、おい、まだ痛いんじゃないのか?」
「大丈夫よ、このくらい」
そうだ、痛みなんてすっかり飛んでいってしまった。
そして私は外へと出た。
再会の予感に心を躍らせて―――
- 516 名前:『蓬莱の人の形』 藤原 妹紅 ◆HORAIgd3qU :2005/09/11(日) 21:21:54
- 『蓬莱の人の形』藤原妹紅 れす番まとめ
導入 >>13
蓮子と協力、山火事脱出 >>48 >>89 >>135 >>160 >>212 >>261 >>272 >>304
vs VAVA V(ペンテ) >>331 >>354 >>370 >>384
vsミスティア・ローレライ >>390 >>420 >>438 >>465 >>484 >>494
エピローグ >>515
- 517 名前:タチバナ(M):2005/09/11(日) 21:31:16
- 吸血鬼タチバナ レス番まとめ
導入>>19
vs上条当麻&Reiot Steighnberg
>>62>>93>>124>>174
vsダン・スミス
>>198>>263>>328>>394
- 518 名前:アルビノ少女“山城友香”(覚醒) ◆0DYuka/8vc :2005/09/11(日) 21:34:05
- >>493
あの船に飛び乗って。飛び乗ろうとして、私を光が包んでいく。
―――――気が付けば、鏡の前で目が覚めた。
ヤハリ コレハ ワルイユメ ダッタノ カ ?
否。これは夢じゃないはずだ。と。鏡に映った私が告げる。
さすがに、傷は無いけれど。砂埃に汚れた白いビキニ。
それでも、ああ、あの場所で起こったことは真実だったのか。って。
TVを付けると核実験が行われたことが告げられる。 ナンテ ウソッパチ 。
私は、少なくともアナタ達より真実を知っているのに。 アレは核実験じゃなくて。
ヒトノ エゴガ 生ンダ 厄災ヲ 自ラ コワシタダケ
ニュースはすぐに切り替わり。画面の端で数字が踊る。
ライオン頭のあのヒトが高らかに勝ちどきの声を上げる。彼のことを独裁者とヒトは言う。
ソレデモ 因果ノ外ヘ 行ケルダケノ 器デハ ナイ 。
本物の独裁者の暴虐と傲慢を見せつけられたら。私はソレすら笑うしかない。
だから、私は笑いながらTVを消した。―――――ねえ、因果の外の総統閣下。
―――――あのライオン、独裁者になるのかしら?
それから、これは後で友達に聞いたことだけど。
「………ああ、アナタは無理矢理、逆にしてきたのかもしれないわ。
逆位置の『死』のカードが秘めた意味、それはね?『マイペース』なんだから。」
アルビノ少女“山城友香”
〜血祭りレス番まとめ〜
導入 >>37
奇妙な同盟と三角関係 >>74>>118>>236
>>83>>106>>131>>154>>191>>231
サヨナラ、ワルイユメ >>315>>366
>>348
END OF WALTZ >>413>>463
>>429>>455
ESCAPE of DYSTOPIA >>483>>493
エピローグ 〜ユメのアト〜 >>518
- 519 名前:鏡の巫女 ◆Iori/GPRcE :2005/09/11(日) 22:26:23
・八神庵の容態
右下腹部から左肩に掛けての切り傷
追記:傷を縫ったにも関わらず血が止まらない。要輸血。
俺はこれを機に、少しでも血を抜いておいた方が良いと思う。血の気余ってるし。(草薙京談)
その他諸々の骨折・打撲・裂傷・火傷
追記:生きているのが不思議なくらい損傷が激しい。要観察。
その割に、飯に肉が出なかったぐらいで暴れられる訳だが。
何でも血の暴走のせいにするのは悪い癖じゃないのか。(草薙京談)
・草薙京の容態
特に異常なし。打撲・火傷は処置済み。念の為精密検査を。
ただし―――――馬鹿は直らないだろう。(八神庵談)
彼等はあの中から戻ってこれた。それだけでも奇跡的な話だろう。
私はあの二人を死地に追い遣り、彼等を傷つけた。
でもそれは、彼等ならやってくれる物だと信じていたから。
八神が一戦交えたのは、話を聞く限りでは、あの『明けの明星』らしい。
それで生きて帰ってこれただけでも僥倖。
『器』が人の身であった事が、助かる事に繋がったのかもしれない。
草薙が一戦交えた彼もまた、偶然の産物かもしれない。
絶対的に有利な『祓う』力も、歴戦の戦士には届かなかったかもしれないのだから。
それだけ彼の力は強大。一時は魔界を統べたと言うのは嘘ではないだろう。
紋章を捨てた理由は分からない。でもそれが、草薙が生き残る事に繋がった。
今回の騒動と、彼等には未だ伝えていない事実。
それを知るのは今の所は私だけ。でも、直に彼等にも伝えなくてはならない。
彼等の力がなければオロチの封は破られ、この世の滅亡が確定してしまう。
今は未だ、私だけが悩み続けていれば良い。
八神が病院で大人しく入院していてくれない事や、それを茶化しに行く草薙が余計に
病院に被害を与えている事実も、私が悩めば―――
―――――――――――姉さん。辛いです。
八神庵 レス番纏め
導入 >>24
ラインドウェル・レインリクス戦 >>33>>52>>67>>78>>99>>109>>133>>144>>162>>175>>196
>>215>>259>>266>>280>>287>>299>>306>>318>>326>>345
>>353>>362>>368>>392>>404
草薙京 レス番纏め
導入 >>412
捜索 >>425
レッドアリーマー・ジョーカー戦 >>437>>439>>445>453>>461>>470>>475>>481>>487>>495
脱出 >>497
- 520 名前:『夜雀の怪』ミスティア・ローレライ ◆mSTYrlov6I :2005/09/11(日) 22:54:12
- 夜の幻想郷。人里近くにある山道。人が消えると言われるそこでは、いつもと変わらぬ騒がしい声が響いていた。
「えー、うなぎー、八目鰻だよー。あ、いらっしゃーい」
「邪魔するわ。胡蝶夢丸ナイトメアタイプの効き目、どうだったかしら?」
夜雀の屋台に入ってきたのは、銀色の髪をした女性である。
「なかなか面白い夢が見れたわ〜。起きたときやたら疲れてたけど〜」
「ふぅん。効果が強すぎたなら、調整が必要かしら」
先日ミスティアはこの女性、八意永琳より新薬の試験を持ちかけられていた。面白そうなことが好きな幻想郷の妖怪らしく、
ミスティアは殆ど二つ返事で引き受けていた。
「あれくらい強い方が面白いわ〜。死んだけど」
「どういう夢だったのかしら? 差し支えなければ教えて貰える?」
胡蝶夢丸は、ストレスの多い現代妖怪のために作られた薬である。肉体よりも精神にその存在の重きを置く妖怪は、肉体の
損傷には強いが精神を失調した場合の被害が大きい。
その精神をケアするために、夢の中でストレスを解消しようという趣旨らしい。ナイトメアタイプとは、読んで時の如く悪夢
を見る。
「えっとね〜。外で暴れ回って楽しかった」
夢の中では外の割にずいぶんと幻想的なモノが豊富で、刺激には事欠かなかった。死体が動き、大男が叫び、巨大な竹とんぼ
付きの箱は飛び、人間を久しぶりに本気で追い回したりした。そして、
「あ、そうそう。焼き鳥を食べたんだった、美味しい奴」
「……貴方が美味しそうに食べて良いものかしら」
嬉しそうに言うミスティアに、永琳は複雑そうな顔をした。鳥の妖怪が鳥を食った夢を見て喜んでは、無理はないだろう。
「あーそうじゃなくて、燃えてた」
「それは焼き鳥ではなくて火の鳥」
「へーそーなのかー」
感心したようにミスティアは言い、
「ああ、そうそう。それ背負ってた人間の方、美味しかったのは」
「ふむ、火の鳥を背負った人間か。やっぱり、効果が強すぎたみたい」
納得したように永琳は頷くと、手帳を出し何事か書き込む。
「それで胡蝶夢丸、使ってみる?」
「そうね〜。面白かったから、もう一寸ちょうだい。蒲焼きで良い?」
「いいわ。姫達も気に入ってみたみたいだし」
交渉成立。ミスティアが蒲焼きを炙り始め、次第に香ばしい香りが辺りに漂う。それに引かれるかのように、人間の足音が聞
こえた。
「あれ、こんな所に紅提灯なんてあったんだ。ってなんで永琳が、
あーーーーーーーーー!」
永琳の知人らしい新たに入ってきた少女は、なぜか突然大声を上げ、その声はどこかで聞いたような気もした。
時に、夢と現の境界を越えることがある。その精神が本体に近い妖怪が境界を越えれば、現へと作用をもたらすことがあっても
不思議ではないだろう。
エンディングEX 夜雀の夢現
現出
>>26
バタリアンとの遭遇〜戦いの予感
>>57>>59>>79>>105>>119
怒れる魔人
>>136>>159>>169>>185>>200>>212>>216>>222>>226>>231>>261>>270
鈍器を求めて
>>286>>289>>300>>305>>314>>324>>335>>363
ニンゲンを攫え
>>349>>356>>369>>376>>379>>397>>410>>427
不死鳥と見えざる夜鳥
>>420>>433>>434>>438>>446>>451>>465>>473>>476>>484>>491>>492>>494>>500
- 521 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 23:01:53
- えっと…各場面毎の場面名、指摘されるまで気が付けませんでした。
私、なんて迂闊者なんだろう…とりあえず改めて「レスまとめ」です。
始章 怨念の集う地へ(導入) >>14
森彷徨う姫君 >>42>>50
デカブツとの遭遇 >>63
アテナさん エリさんとの出会い >>85>>102>>108>>116
青葉ご一行、戦車での進軍 >>122>>147>>184
一方、別働隊たる航空船は… >>171>>195
ケルベロス達への止め >>206>>207>>262
一行 怖い人の戦慄には >>274
狂った人形の襲撃 >>279>>283>>294>>301>>308>>319>>327>>341
炎の鳥と書いて…フジヤマと解く >>373>>377
緊急事態発生っ!! >>386
「ドラゴンタイム――――竜の領域」 >>359>>389
マサヒメ発見 そして救出へ >>399
天然マイペースな白鼠VS吸血鬼 >>405>>426>>440>>457>>471>>499
鷹刀の少年との再会 >>417>>436
終章 「十二支、目的の地へ」 >>512
- 522 名前::―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/11(日) 23:28:24
- ――気がついたら、神社の境内で転がっていた。
「……へ?」
思わずがばちょと起き上がる。ぱたぱたと身体を調べてみるが、特に異常は無い。
……喉の奥には酒の残り香。宴会をやった後のお決まりだ。
「あ、ようやく起きたわね。掃除の邪魔なんだけど」
そんな言葉を掛けてくるのは……博麗霊夢。
憎たらしいほどにいつも通り、境内の掃き掃除をしていた。
「えっと……ここは?」
「……ようやくボケが始まったのかしら」
「祟るぞアンタ。聞かれた事には素直に答えな」
「はいはい、ここは幻想郷の境にある博麗神社。そして素敵なお賽銭箱はあそこよ」
そこまでは聞いていないので聞き流しておいた。
そもそも、賽銭箱なんて言っても中身カラだから意味なんて無いだろうに。
「私、寝てる間に何処か行ってたり……しなかったかい?」
「さぁ。いつも通り呑んでたみたいだったけど?」
「……そう、か」
「ほらほら。とっとと帰った帰った」
ぺっぺっと追い払うように手を振る霊夢。
まぁ宴会の最中に寝てしまったのだ。きちんと寝直しとくのもいいだろう。
「それじゃ霊夢。また宴会があったら寄らせて貰うよ」
「来るな」
何時ものやり取りをかわし、私は博麗神社を後にした。
そして自宅へと帰り着く。昨日宴会に来る前に見た姿と何も変わらなかった。
それは家の中に入っても同じ。積まれた本とマジックアイテム。
テーブルの上には出掛けに食べた料理の皿が置かれたままだ。……後で洗っておかなきゃねぇ。
まぁ、何はともあれ……
「なんか……妙に疲れた」
着の身着のまま、自室に飛び込みベッドに倒れこんだ。
あぁ、フカフカのベッドが心地いいねぇ……このまま寝そうだよ……
……けど、きちんと今回の事について整理しておかなければならないだろう。
ごろりと仰向けになり、天井を見つめながらあの時の事を思い出す。
確かに私はそこにいた。死者が彷徨う島、どこかもしれぬその場所に。
そして戦った。死者と……そして、恐怖すら感じさせる少女と。
何人かの人間とも出会った。一人には消滅にまで追い込まれるほどの致命傷を負わされたが。
……そう、消滅だ。私は確かにあの時自分が消えた事を事実として認識している。
あの意識に靄がかかり、消えていく感覚は忘れようとしても忘れられない。
なのに今私はここに……幻想郷にいる。いつも通り、何も変わる事無く。
「……一番考えやすいのは、夢って可能性なんだろうけど」
あの時味わった痛みや、触れた人や倒した死者の感触。
それらは夢では絶対に感じる事など出来ないものだ。いや、現実に近い夢というのも確かにあるが。
しかし、何より私のカンが言っているのだ。『夢ではない』と。
久遠の夢……時の流れの中に浮かぶ私には、それが良く分かるのかもしれないねぇ。
「ならどうこの状況を説明すればいいのかねぇ……」
消滅したのに存在している。背反する事実。どうにもこんがらがってしまう。
博麗神社という幻想郷において特殊な地形で酔って寝てたのが原因だろうか?
それとも最近知り合った、もしくは知り合っていないが回りにいる何者かの悪戯か?
……色々と考えたが、別にどれであってもどれでなくてもいいような気がした。
要するに、あの場所と起こった事は事実であるという事。それが分かれば十分だろう。
そして……あの場所で知った一つの事が、少しばかりの安心を与えてくれた。
「……ああやって消えられれば、幸せなんだろうねぇ」
そう、あの場所で消えた私は。
確かに心の底から満たされ、消滅する事が出来た。
いつ果てるかも分からない私の時。それでも来るであろう私の終わり。
その時を笑顔で、満たされたまま終わるためにどうすればいいか?
……それをうっすらと知る事が出来ただけでも、十分にあそこで消滅した甲斐はあっただろう。
色々と恥ずかしい思考なので、流石の私でも顔が赤くなる。
ので、この事を考えるのはこれまでにしよう。
「…………空が青いねぇ」
窓から見上げると、雲が一つ二つと、夏の名残の遠い空。
これからどんどんと寒くなって……秋と冬の季節が訪れる。
夏と秋の、境界の空。それはどことなく、寂しげでもあり……暖かくもあった。
「そういや、上条はどうなったのかね……生きてるといいんだけど」
心残りになっている事といえば、それぐらいだった。
一応運ばれていったのまでは覚えてるが、その後までは分からない。
助かったのか、手当ての甲斐なく死んでしまったか……それすらも不明だ。
「せっかく助けたんだし、死んだか生きたかくらいは知りたいところだけど……」
ただ……なんとなくだが、この空を、同じような空をあの子も見ている。そんな気がした。
そう思えるのならそれでいいんだろう。
元々外と中、会うことも殆ど無いような相手だ。信じておく程度で十分だろう。
……どことなく、魔理沙と同じ意志力を持った少年。とりあえず、忘れないようにしておいてもいいかねぇ?
「ふぁー……眠い。ってわけでで……お休み……」
ごろりと再びベッドにうつ伏せになって、寝る体制に入る。
こういう時悪霊だと便利だ。窒息する可能性がないからである。
とりあえず、凄く良く眠れそうだったのは、確かだった。
――幻想郷には毎日のように不思議な事が起きる。
大小問わなければ、そこかしこで不思議は連発している。
だが、この地の人や妖怪はそれを異常とは思わない。
何故なら、それこそが幻想郷の日常だからである。
- 523 名前:―久遠の夢に運命を任せる精神―魅魔 ◆MIMAJ.qMs. :2005/09/11(日) 23:29:16
- 魅魔の行動レス纏め
9/9
>>152 異郷へ流れ着く。
>>172 亡者の町を彷徨う。
>>203 戦場に乱入し、上条を救助。
>>233 死者と乱戦
9/10
>>303 決着。そして上条を捜索。
>>333 秋葉を視認。上条を拾い上げ転進。
>>365 上条と手を組み、秋葉と戦う決意を決める。
>>407 ロゼットにより撃たれ重傷を負うも、秋葉への攻撃は敢行。
>>467 重傷の上条を安全な場所へ送るために、周囲に救援要請。
>>496 上条はロゼットとクロノに任せ、タバサとタオを送りながら消滅。
関連レス
レイオット >>187>>209>>218
タチバナ >>174
ダン・スミス >>182
上条当麻 >>188>>221>>242>>297>>323>>355>>383>>422>>462
遠野秋葉 >>311>>344>>401>>402>>403>>441
タバサとタオ >>336>>361>>424>>477>>508
ロゼットとクロノ >>347>>391>>485
マリアベル >>376
- 524 名前:小笠原祥子:2005/09/11(日) 23:35:18
真昼のように白い、あまりに白い光が重なり合った私達を覆ってゆく。
その光のベールに包まれながら、私は友の言葉を信じた。
いつか必ず会える。祐巳にだって、お姉さまにだって。
小笠原祥子 レス番纏め
>>27 導入
>>90>>91>>134>>145>>166>>183 救いの騎士、現る
>>194>>204>>219>>230 友来たりなば
>>264>>270>>275>>291>>292>>293>>307>>309>>316>>317>>325>>334>>343>>350>>351 闘争からの逃走
>>367>>372>>385>>398>>409>>428>>443>>456>>468>>480>>482>>489>>507 溢れひたす闇に
いつか必ず会える。
そう――あなたにも。
- 525 名前:青葉マサヒメ ◆o73xs6sP76 :2005/09/11(日) 23:51:46
- こっ…今度こそ間違いはありませんよねっ?
始章 怨念の集う地へ(導入) >>14
森彷徨う姫君 >>42>>50
デカブツとの遭遇 >>63
アテナさん エリさんとの出会い >>72>>73>>85>>97>>102>>108>>111>>115>>116
青葉ご一行、戦車での進軍 >>122>>138>>143>>147>>163>>184
一方、別働隊たる航空船は… >>171>>195
ケルベロス達への止め >>167>>176>>186>>192>>201>>202>>206>>207>>208>>211
>>214>>260>>262
一行 怖い人の戦慄には >>271>>>>274
狂った人形の襲撃 >>276>>277>>279>>283>>285>>288>>294>>295>>301>>308>>312>>319
>>320>>327>>330>>337>>341>>352>>358>>359
炎の鳥と書いて…フジヤマと解く >>354>>370>>373>>377
緊急事態発生っ!! >>376>>386
「ドラゴンタイム――――竜の領域」 >>359>>380>>388>>389>>406
マサヒメ発見 そして救出へ >>399
天然マイペースな白鼠VS吸血鬼 >>400>>405>>411>>426>>432>>440>>448>>457>>464>>471>>488>>499
自爆の光の中で―――鷹刀の少年との再会 >>415>>417>>436
終章 「十二支、目的の地へ」 >>512
- 526 名前:◆OClOnGFAng :2005/09/12(月) 00:30:38
- 導入
>>8
支倉令と
>>16>>18>>25>>29
紫木一姫と
>>51>>66>>75>>87>>104>>126>>146>>150>>165>>170>>190
セラス・ヴィクトリアと
>>197>>217>>228>>235>>239>>241>>243>>244
>>248>>249>>250>>251>>253>>254>>282
ミスティア・ローレライと
>>286>>289>>300>>305>>314>>324>>335>>363
ユキ姉御と
>>400>>405>>411>>426>>432>>440>>448>>457
>>464>>471>>488>>499
<タイプ・スクエア>型感染源不特定類吸血鬼、通称<ロング・ファング>は
20XX/09/11 04:01 >>505をもってこの地上より消えた、ということになっている。
ま、そーいうことにしとけ。
(その男は、肩をすくめ、いずこかへと消えた)
- 527 名前:遠野秋葉 ◆xkLa2AKIHA :2005/09/12(月) 00:30:51
- >>441
ちりん
気づくと、屋敷の廊下に立っていた。
何か酷く長い白昼夢を見た気がする………
何時も通りのお茶の時間。
何時も通りの他愛の無い雑談。
『ところで秋葉さま、最近、街に流れる噂をご存知ですか?』
「噂って?」
『ええ、こういう噂なんですけど………』
眠りにつく前、鈴の音が聞こえると『自分に殺される夢』を見る。
黒い猫なら『戻ってこれる』
白い猫なら『戻ってこれない』
そうして、どちらでもない猫を見た者は二度と目覚める事がない───
ちりん
―――――――Through the Looking-Glass,Fairy Tale transparently
- 528 名前:遠野秋葉 ◆xkLa2AKIHA :2005/09/12(月) 00:32:52
- 一日目
齟齬
>>31 >>45
近親交差 vs黒桐鮮花
>>53 >>69 >>86 >>113
アレックス乱入 三つ巴へ?
>>139
くすくすわらって……
>>151 >>173 >>224 >>232
色の無い世界
>>245
二日目
無声映画
>>278
脚本 無題 vs上条当麻、魅魔、タールマン、タバサ&タオ
>>297 >>311 >>323 >>329 >>332 >>333 >>336 >>344 >>355 >>361 >>365
(幕間 アナウンス >>376)
>>383
服が汚れた
>>401 >>402 >>403
そうだ、絵を描こう
>>407 >>414 >>422 >>424
割れた硝子、戻る夢
>>441
白い夢、再び〜MELTY BLOOD Re・ACT
>>527
- 529 名前:◆g4BCFhuKeI :2005/09/12(月) 00:37:01
- セラス・ヴィクトリア 軍艦島での軌跡
空中遊泳
>>3>>92>>107>>164
vsビリー・ロン
>>197>>217>>228>>235>>239>>241>>243>>244
>>248>>249>>250>>251>>253>>254
- 530 名前:魔帝ムンドゥス(M):2005/09/12(月) 00:37:09
- ファントム&グリフォン
レス番纏め
侵攻 >>28
交戦 >>30>>43>>56>>82>>117
乱戦 >>120>>156>>158>>189>>205>>223
終焉 >>246>>247>>252>>255>>256>>257
かくて裁きの業火―――天地よりの核撃は一つの島を焼き尽くした。
しかし気付いているだろうか。
熱の余波、放射能と名の害毒、核撃の産物たる不可避の災厄。
周囲一帯を蹂躙するはずのそれらが、異常なまでに存在しなかった事を。
蟲毒の呪式、その生じた糧は一匹の竜へと注がれていた。
そして目覚めた異界の竜、その役目は自爆による“結界”の破砕であった。
では、それらは一体何の為に?
『これで結界の“網”は戒めを緩めた。
ファントムどもを生贄に捧げた甲斐はあったようだな』
“呪式”は完成していたのだ。
竜の爆砕によって生じた膨大な“破壊”、その発生は魔界と人界、
のみならず様々な世界を隔てる次元の壁に亀裂を生じせしめた。
核による余波と毒が存在しえなかったのは簡単なこと。
煙が換気扇に吸い寄せられるように、島の天空に発生した次元の
亀裂が余波を飲み込んだに相違ない。
『いま少し…いま少しで我はあの世界に君臨する。
スパーダの血統を断ち、今度こそ人間界を我が手に―――!』
―――ここより先、マレット島に舞台は移る。
(to be continued『Devil May Cry』…)
- 531 名前:―陽気なオバタリアン―小畑絹代 ◆DEAD.xOMy6 :2005/09/12(月) 00:41:36
- ぱりぱりぱりぱり
ぽりぽりぽりぽり
暗闇の中、何か硬いモノが齧られる音
かりかりかりかり
こりこりこりこり
目を凝らしてみると、一人の女性が床に倒れ臥しており
咀嚼音は彼女の頭部あたりから発せられているのがわかるだろう。
くちゃくちゃくちゃ
ぴちゃぴちゃぴちゃ
絶え間なく繰り返される咀嚼音は
やがて硬質から軟質のものへと変化する。
くちゃくちゃ ぴちゃぴちゃ ごくん
そして、一気に何かを嚥下する音が一度。
「あ〜、気色の悪い映画だったねえ。
これなら裏でやってた冬ソナ総集編にしときゃよかった。 ヨン様出てたし。」
床に直接寝転がって「午後のロードショー」を見ていた小畑絹代(40)は
ゾウアザラシのような体躯を起こしてよっこらしょ、と立ち上がった。
そしてスカートの尻をぽりぽりと掻きながら、たくましい猪首を回して
壁にかけられた時計を見やると、驚愕の声をあげる。
「げげっ! こんな時間!?
いかん、ダイ○ーのタイムサービスがはじまっちまうよ!!」
部屋の主がドタドタと駆け去っていった跡には、喰い散らかされたままの状態で
ほったらかされていった幾つものおかきの袋が残されていた……
午後のロードショー『バタリアン』よりハイライトシーンまとめ
OP:ぎぶみぃ 脳みそ >>9-10 >>15
ただしいゾンビの殺し方 潰殺編 >>54 >>68 >>79(vsグリニデ)
同じく焼殺編 >>70 >>84(vs妹紅)
八つ目鰻の脳みそはまずいです >>57 >>105 >>119(vsミスティア)
英会話初級:ボディランゲージ編 >>60 >>77 >>94(vs笑石)
瞬殺無音ポチッとな >>329 >>403 >>414(vs遠野秋葉)
電気ハンマーは反則です >>348 >>366(vs山城友香)
猫まっしぐら! >>449 >>454(vsKresnik)
番外編:あの日血溜まりの街でボクらは出会った
>>121 >>137 >>153 >>177 >>193 >>210 >>225 >>234 >>240
(vsタバサwithタオ)
- 532 名前:VAVA V(ペンテ)(M):2005/09/12(月) 00:45:28
- ・交戦記録
>>276>>279>>281>>285>>288
>>294>>295>>296>>301>>302
>>312>>319>>320>>327>>330
>>337>>340>>341>>352>>354
>>358>>359>>364>>370>>381
>>388>>389>>390>>395>>406
>>415
月面:シグマパレス
「未だ、古き世界は滅びぬか。だが…」
覇道ゆく黒き鋼の魔人、シグマはそう呟くと指を鳴らす。
それとほぼ同時、傍らに控える兵がコマンドを実行。
内外の全身構造、人格プログラム、構成物質までをも変質させ――
「我等の狼煙ていどにはなったろう?
あっちの“俺”もいいデータを残してくれようだしなァ。
くくく…」
耳障りな合成音声で笑いをあげる、もう一人のVAVA V(ペンテ)。
コピー能力を有する彼ら新世代型レプロリイド達。
DNAデータさえ存在すれば、その存在は無限に複製される。
そこには最早、オリジナルやコピーといった“個”の概念など皆無。
絶対なる『世界新生』への革命意志があるだけである。
―――新世代と旧き世代、生存競争の日は近い。
- 533 名前:支倉令:2005/09/12(月) 01:13:26
- 焼けていく。
森も、大地も、大気でさえも。
緩慢な一瞬が過ぎ去っていく間、私は友を抱きしめ続けていた。
赤い瞳
>16 >18 >25 >29 >47 >80
奇なる縁
>94(>96) >103 >114 >128 >149 >161 >194
再会、そして
>204 >219 >230 >264 >257 (>275) >293 >309 >316 >325 >334 >343 >351 >367
血闘
>372 >385 >398 >409 >428 >443
堕ちて、二人
>456 >468 >489 >507 >524
繋いだ手は、もう離さない。
一緒に会いに行こう。
- 534 名前:黒桐鮮花 ◆.a6n7AZAKA :2005/09/12(月) 01:37:28
- >>245
――そこで、わたしは目覚めた。
よりかかった壁から身体を起こすと、ぎしぎしとうめいた。
壁に寄りかかったまま、無理な姿勢で寝てしまったためらしい。
額をぬぐった手には、びっしょりと脂汗がまとわりついた。
わたしはずっと夢を見ていたらしい。
「――こわい、夢」
わたしがわたしに殺される夢。
夢でよかったと、本当に思う。
いくら怖くても夢は夢、覚めれば消えていく泡の一つ。
とりあえず気分を変えるために水でも飲もう。
そう思って足を踏み出すと、
――びちゃり。
水かと思った。けれど、そうではなかった。
これは血。
そこの首がなくなった人から流れ出てきたモノ。
そしてそれをやったのは、わたし。
ああ、そうだ。思い出した。
この人を殺して、そしてわたしは人を待っていたんだった。
ただそれがあまりに長かったもので、思わず寝てしまった。
無から有は生まれない。
あのこわい夢も、どこからかいきなり沸いてきたわけではない、そんなことも失念していた。
こわい夢は、こわい現実からしか生まれないのに。
わたしは逸脱を思考し、禁忌を夢想し、そして式と同じところに立とうとした。
その結果がこれ。夢のわたしができなかったことを、わたしは今こうしてしてみせた。
つまりわたしは――あの夢よりはうまくやれたということなのだろう。
けれど、ひょっとしたら夢のわたしの方が幸せだったのかもしれない。
結局あちらのわたしは、逸脱できなかったのだから。
映画を見て、面白かったと思う。
自分がその主人公のようだったらと夢想することは、よくあること。
けれど、その主人公本人にとっては、面白いなどと言っているゆとりはないのだ。
面白いというのは、わたし達観客が傍観者だから言えること。
観客が舞台に乱入したら、お芝居も自分も、全部駄目になるだけなのに。
逸脱も禁忌も、夢想しているうちが一番楽しいのかもしれない。
実際にしてみれば、それはつまらない現実の一ページに過ぎなくなるのだから。
そしてその現実の行く先は――
ぎいぃ、とドアを押し開ける音で、わたしの思考は中断された。
わたしが待っていた相手が来たらしい。
もう、遅いじゃない。おかげで変な夢まで見てしまったわ。
『禁忌を乗り越えてしまったら、貴方はどうなりますか?』
夢の中のわたしはそう聞いた。
その答えはこれ。つまらない――あまりにつまらない日常の一つ。
結果も全て見え透いている、わたしならこんな脚本家は首にする。
それでもわたしは、やらなくてはならない。
わたしはこれから、現実という用意された三流の台本にしたがって演技しなくてはならないのだから。
だからわたしは、こう言った。わたしを殺しに来た彼女に。
「さあ――殺しあいましょう、式」
レス番まとめ
>>31 (>>32)>>45 >>53 >>69 >>86 >>113 >>130 >>151 >>168 >>199 >>224 >>232 >>237 >>238 >>245
- 535 名前:◆HORAIgd3qU :2005/09/12(月) 02:53:19
藤原妹紅 レス番まとめ(>>516改訂版)
導入
>>13
空港跡より撤退、グールと交戦
>>48>>70
蓮子発見、協力開始
>>81>>89>>101>>135>>148>>160>>178
夜雀の歌、山火事から脱出
>>212>>222>>231>>261>>269>>272>>273>>298>>304>>310>>320>>331>>339
蓮子から離脱、リザレクション、vs VAVA V(ペンテ)、プラス巻き添え
>>354>>370>>373>>377>>380>>381>>382>>384>>390>>415
蓮子と合流、vsミスティア・ローレライ
>>410>>420>>433>>434>>438>>446>>451>>465>>473>>476>>484>>491>>492>>494>>450
エピローグ
>>515
- 536 名前:◆sLAdoLfKkE :2005/09/12(月) 04:06:02
- 「二度の世界変容()を経た割には、大したことのない結末ね、アドルフ」
此処ではない何処か、今ではない何時か。
時間と空間の及ばぬ其処に響く少女の声。
大きなテディベアを抱えながら、少女は彼を見下ろしていた。
胸に大きな醜い×字の傷を刻まれ、原子の炎に全身を焼かれた彼はアドルフ・ヒトラーと言った。
「そもそも此処は単なる寄り道だったはずなのに、固執しすぎなのよ、あなたは」
まるで聞き分けのない弟をたしなめるかのような少女の言。
違うと言えば、少女の言葉には思いやりというものが感じられない、と言うところだろうか。
「……次? 次があるわけはないでしょう?
ユメは一度見るのが精一杯。これからあなたはあちらに戻らなければならない」
冷ややかに少女は告げる。
導入
>>34
カサンドラ、山城友香との邂逅
>>58 >>74
つかの間の共闘
>>83 >>106 >>118 >>131
奇妙な三角関係
>>154 >>181 >>191 >>213 >>236 >>258 >>290 >>315
カサンドラとの対決
>>322 >>338 >>346 >>360
少女覚醒
>>366
カウントダウン
>>374 >>393 >>413 >>429 >>455 >>463
最後の交錯
>>474 >>502
「さあ、戻りなさい、アドルフ・ヒトラー。
全てか無か……本当の意味での因果の王となるための最後の戦いは、もうすぐよ」
――そして、因果の果てが近付く。
- 537 名前:エリ・カサモト ◆SV001MsVcs :2005/09/12(月) 05:30:46
- エリ・カサモト ――血祭り――レス番まとめ
導入
>>7
遭遇:麻宮アテナ、青葉マサヒメ
>>36>>46>>55>>63>>65>>73
民間人二名保護。A-1南端からA-2倉庫跡へ移動開始
>>85>>88>>97>>102>>111>>122>>127>>138
A-2倉庫跡へ到達
>>143>>147>>163
ケルベロスと遭遇、戦闘
>>167>>176>>186>>192>>201>>202>>206>>207>>208>>211>>214>>260>>262
VAVA V(ペンテ)より奇襲。交戦
>>271>>274>>276>>277>>279>>281>>283>>285>>288>>294>>>>295>>296
>>301>>302>>308>>312>>319>>320>>327>>330>>337>>340>>341>>342>>352
スラッグ人型へ変形
>>358
藤原妹紅からVAVA V(ペンテ)への攻撃に巻き込まれる。ダメージ大。
>>370>>381>>382
青葉マサヒメをスラッグより降ろす
>>388
麻宮アテナを回収。戦域より離脱
>>380>>389>>395>>406>>415>>419
核発射事実を確認。回収係と連絡、港へ移動。
>>430>>444
回収ポイントに到着。回収係を待つ。
>>459
回収係と合流。脱出。
>>490
- 538 名前:タバサwithタオ ◆3VTTABASAI :2005/09/12(月) 14:44:51
- 数日後。
研究所に帰り着いた私は、あの島に核が撃ち込まれたことを今更知った。
「……なるほど。あの依頼の『排除対象』には、私も含まれていた、と言う訳ですか」
当然と言えば、当然か。だが、私はこうして生きている。それは、彼らにとっては幸か、それとも不幸か。
「あの島で私が死んだものと思っていてくれれば……今後、楽なのですが」
そんな都合の良い未来への希望を呟きながら、私は採取したサンプルの研究を始めた。
箒にて上空より上陸
>>121
羽根付きリュックを背負った少女(だったモノ)との戦い
>>137 >>153 >>177 >>193 >>210 >>225 >>234 >>240
居住区跡より港へ向け移動
>>284
遠野秋葉と上条当麻の戦闘現場に遭遇
>>336
遠野秋葉との交戦(上条当麻、魅魔との互いを認識しないままの共闘)
>>344 (>>303 >>333 >>355 >>365 >>383)>>361 >>401-403 ( >>391 >>407)>>424 >>441 >>477
魅魔の最後の言葉を聞きつつ、離脱
(>>467 >>485)>>496 >>508
- 539 名前:魔賓館館長・シャギー(M):2005/09/12(月) 21:21:32
- エピローグ(>>472)
―――灰燼と帰した軍艦島。
そこに降り立った人影があった。
『おやおや……これはこれは……こちらの世界の人間達はワタクシどもよりも随分とえげつない
武器をお持ちの様ですねぇ』
ステッキをくるくると玩びながら、男は陽気に、誰かに語る様に呟く。
その姿は、兎とヒトの合いの子とも言える異形の半人半獣。
その顔に張りついた愛想良い笑顔に不釣合いな瞳の輝きが宿る。
彼の名は魔賓館館長・シャギー。
全魔人()の評価と、それに基づく褒賞の授与業務。
魔物の売買契約を一手に取り仕切る魔賓館の指揮を行う『世界一忙しい魔人』である。
『ですが、ワタクシどもも負けてはいられません!』
芝居がかった動作で、両腕を広げ見栄を切る。
『上位型分身体()として新たに開発した、新商品!
―――その名は複製体()!
オリジナル本人が冥力による遠隔操作を行わなければならなかった従来の分身体とはちがい、
オリジナルの魔人と同等の記憶・人格・能力を持ち、スタンドアローンで行動する、完璧なる複製!
しかも、オリジナルの魔人が亡くなられていても作成可能という技術確信の結晶!』
ステッキが数日前までは森であった辺りを指す。
『あの通り、『深緑の智将』……いえ、『血塗られた獣』グリニデ様の複製体はオリジナルのグリニデ様に
全く引けを取ることなく活躍していただきました………が』
『―――まさか、“死の記憶”を認識した瞬間から自滅を始めていたとは流石のワタクシも気がつきませんでした……!』
残念そうな口ぶりとは裏腹に、愉しそうな表情を作るシャギー。
『念の為にと“死の記憶”自体は封印をしていたのですが……潜在的な記憶が意識の爆発によって引き出され、
その為に存在理由が稀薄になってしまい、本能的な自殺因子の開放が起こってしまうとは……』
『これではとてもとても商品としては扱えませんねェ……残念です』
ククッ、と含み笑いをし懐中時計を探り取り出す。
『おおっと! もうこんな時間ですか』
ステッキを一振りし“地脈の扉”を召喚する。
『ガロニュート様への超大口の納品の時間が迫ってますねぇ……急いで届けないと!』
―――既にシャギーの頭からは、自身が心血を注いだモノへの興味は失われていた。
そして、彼が扉をくぐり抜けた後には、もう何者の痕跡も残されてはいなかった。
>>レス番まとめ<<
導入
>>6
vsバタリアン
>>54 (>>68) >>79
夜雀との交渉、その破綻に起因する本質の開放
(>>119) >>136 (>>159) >>169 (>>185) >>200 (>>216)
追跡劇の一部始終
>>220 >>226 (>>231) (>>261) (>>255) >>270 (>>286)
新たなる獲物への歓びと、それに続く終焉
>>307 (>>309) (>>316) (>>325) >>334 (>>343) (>>350)
(>>351) >>357 (>>367) (>>371) (>>375) >>387 (>>408)
(>>418) >>435 (>>447) (>>452) >>460 >>472
- 540 名前:タチバナ(M):2005/09/12(月) 22:04:27
- 吸血鬼タチバナ レス番まとめ 訂正版
導入>>19
vs上条当麻&Reiot Steighnberg
(>>39)>>62(>>71)(>>76)>>93(>>98)(>>110)(>>112)
>>124(>>142)(>>155)>>174
vsダン・スミス
(>>182)(>>187)>>198(>>227)(>>229)>>263(>>313)>>328
(>>378)>>394(>>450)
- 541 名前:ダン・スミス ◆oao0m9bjE6 :2005/09/12(月) 23:21:10
- ダン・スミス レス番まとめ
導入>>22
vsタチバナ
(>>182)(>>198)(>>227)(>>229)>>263(>>313)>>328
(>>378)>>394(>>450)
- 542 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/13(火) 00:01:47
- 終章 夢の終わり(?
そして、結局の所。
上条当麻が次に目覚めたのは、いつもの真っ白な病室の中だった。
「やぁ、お久しぶり―――ってほど久しくも無いね。これで何度目だったっけ? 僕はもう覚えてないなぁ。
最近物覚えが悪くて」
ひょい、と片手を挙げて上条に語りかけたのは―――これまた上条にとっては顔馴染みの、
カエル顔の中年医師だった。本当に、つくづく縁がある。ありすぎて困るくらいだ、と上条は胸中で毒づいた。
「まぁ、今回は怪我らしい怪我はなかったけれど―――何せ死の一歩手前まで全身が衰弱していたんだ、
もう少し横になっていた方がいいだろう。それにしてもこんな症例は珍しいね、今回は一体君に何が起こったのかな?」
正直自分の状態などどうでもいいといえばどうでも良かった。
それよりなにより、上条の脳内を占める懸案は―――自分自身の唐突な場所移動(のからくりだ。
ついさっきまで、上条は確かにどこか別の場所……地獄の写し絵のような大地に居た筈だ。
そこで吸血鬼(や動く腐乱死体(、更には紅く染まった少女と戦って。
激闘の末に、死まで覚悟していた筈だった。
それが気がつけば自分は生きていて、この病院は間違いなく『学園都市』内の施設で、
そもそも自分はどうやってあの地獄に行って、どうやって帰ってきたのか―――何もかもが曖昧で、訳が判らない。
混乱の余り、あの場所での闘いそれ自体が、夢か幻だったのではないかと上条が思い始めた頃。
「ああそうそう、君の唯一の荷物はそこに置いておいたよ。
それにしても何処で手に入れたのかな、そんな物騒なモノ。君には似合わない代物だけどね?」
「!?」
上条が少なからずの驚愕と共に、カエル医師の指し示した方を見やる。
すると、そこには――――
「…、夢、じゃ、なかったのか―――!?」
ベッドの傍らのキャビネットの上。
そこには確かに、あの時あの場所でやさぐれ気味の銃使い(から受け取った、
大口径の自動拳銃(が無造作に置かれている。
この拳銃が現実として此処に存在しているのなら、やはり、あの場所での上条の記憶は。
「あ、あの女は!? 魅魔さんは、無事なのか!? 誰か! 知らないのかよッ!?」
「お、落ち着きたまえ上条当麻君、ココにはとりあえず君一人だ、他の人物は知らない、
というかそんなに激しく動いたら身体に障るぞ!?」
突然取り乱して暴れ出す上条、それを必死で宥めすかすカエル医師。
病室は突如にして喧騒に包まれ―――しかし一瞬にして静寂に還る事となる。
「『あの女』………『ミマさん』………?」
動く腐乱死体(もかくや、と言うような底冷えのする声音が響き渡る。
同時にぴたり、と動きを停止する上条とカエル医師。
上条が立ち上がりかけたまま動きを止めている、その視線の先に立っていたのは、
「い、インデ、ックス………?」
上条の唇がカラカラに乾く。酷い眩暈がするのは、単なる疲労の所為だけではないような気がする。
「……、ねぇ、とうま? それ、誰なのかなぁ? 『ミマ』さんって、きっと女の人の名前だよねぇ?」
唐突に病室に現れた、綺麗な銀髪を肩の下まで伸ばした、修道服姿の小柄な少女―――上条当麻の現在の同居人、インデックス。
外国人特有の白い肌はしかし真赤に紅潮し、緑色の瞳は深く伏せられている。
その姿には、何だか妙な迫力があって―――
「な、なんのことデスカ? 『ミマ』ってのは、ほら―――なんだ、ミ○の親戚だ、親戚。
運動後の栄養補給にね、発作的に飲みたくなったんで、ちょっとばかり激しい肉体言語で要求をだな」
「そんなゴロの悪い商品ないよっ! っていうかそれで後半は誤魔化せても前半は完全にスルー不可だし!
とうまのバカバカ、私がこんなに心配してたのに、女の人とナニやってたの、このハレンチフラグ男!」
そこまでを一息で言い終わるか言い終わらないかの内に、がぷっという擬音と共に上条の頭部がインデックスの口内に収まる。
もちろん、思いっきり歯が突き立っている。
「痛ェ痛ェっ! 違うってそんな色気のある話じゃなくってマジで死にかけたんだっていやとは言っても痴話喧嘩に巻き込まれたとか
そういうんじゃなくってだなっていや本当に違うんだうわー俺墓穴掘った痛たたたたたたたたた!!」
がっぷりと脳天をインデックスに噛み着かれたまま、病室を右往左往する上条。
うー、と涙目のまま上条の頭にしがみつき左右に振られるインデックス。
これが概ね、上条の周囲を巡るトラブルの最後に待ち受ける恒例の光景だった。
そんないつもの光景の中、貧血でまたしても意識を薄れさせながら上条は、もう一度あの場所に思いを馳せた。
地獄そのものの光景の中で、出会ったモノたち。
あのお嬢様は、結局どうなったんだろう。
俺に拳銃を渡した男は、生きているだろうか。
俺を助けてくれただけじゃなく、我侭にさえ付き合ってくれた魅魔は、あの後何処へ―――
悩む時間も多くなく、再びばったりと上条は病室内に倒れ伏すことになる。
意識を失う直前、それでも上条は、唯一つだけ確信に近い予感を得ていた。
きっと、あいつらには、また会う事になる。
(Over)
- 543 名前:上条当麻 ◆4kIcNrTOMA :2005/09/13(火) 00:39:04
- 「血祭り(」レス番纏め
序章 悪夢の始まり >>39
とある吸血鬼の襲撃回避 (レイオット乱入) >>62 >>76 >>93 >>98 >>110
とある蝙蝠の迎撃体勢 (レイオット共闘) >>112 >>124 >>140 >>142 >>155
とある死体の脳漿要求 (魅魔介入) >>179 (>>187) >>188 >>203
とある魅魔の共同戦線 (一日目終了) >>221 >>233 >>242
とある秋葉の接近遭遇 (戦闘開始) >>297 >>311 >>323 >>332
とある略奪の回避再戦 (魅魔再合流 タバサ&タオ介入) >>333 (>>344) >>355 >>361 >>365
とある囮の上条吶喊 (ロゼット介入) >>383 >>391 >>401-403 >>407 >>422 >>424
とある悪夢の幻想殺し (決着、戦線離脱) >>441 >>462 (>>467 >>477 >>485 >>496 >>508)
終章 夢の終わり? >>542
- 544 名前:◆TUNTUWt93U :2005/09/13(火) 01:03:00
- 巨大戦 レス番纏め
・侵攻
デビルリバース 導入 >>11>>12
ファントム&グリフォン 導入 >>28
馬呑吐 導入 >>30
・交戦
>>43>>56>>82>>117
・乱戦
>>120>>156>>158>>189>>205>>223
>>246>>247
・終焉
グリフォン&ファントム 死亡 >252
デビルリバース 死亡 >255
馬呑吐 死亡 >256>257
・後日譚
魔帝胎動 >530
- 545 名前:『ウォーカーマン』ザザ(M) ◆wALkerQiiw :2005/09/13(火) 03:42:19
- エピローグ(>>474、>>502より)
「………くぁ……あ、と。
備えあれば憂い無しというが……どうしてこういう方面ばっかりで有り難味を発揮してくれるかね、ちくしょうっ。
こっちが“勝手に”残ってなきゃ、いったいどうなってたことか」
核の炎に嘗め尽くされた軍艦島より、遥かかなたの海の上。
九龍の呪われた子達を乗せた、波に揺られるクルーザーの船内で。
誰に聞かせるわけでもなく、ザザはくたびれた悪態をつく。
『はしゃいで出かけ、遊び疲れて帰って寝ている』姉に劣らず、彼もますます疲労していた。
もっともその7割強は、やんちゃな長姉への気苦労と、その後始末に奔走した故でもあるのだが。
――状況は、あらかた把握できていた。
カーサが島に飛び移った後、『予備食料』として船内に残していた人間の血を吸って転化させ。
さらにその体に乗()り()移()り()、彼女とは別に島へ潜りこんでいたのだ。
送り込んだ肉体の持ち主は、戦闘の余波に巻き込まれて為す術もなく灰になったが――
そこはそれ、島にひしめくバタリアンどもの体を乗っ取り、渡り歩いて逐一情報を得ていたのである。
そして、核ミサイル着弾リミットの迫る中。
あの総統との剣戟に辛くも勝利して、半死半生だった姉を誘導し。
上陸したのと同じ崖から彼女を回収するが早いか、兄弟総出の力場思念()でターボをかけ、命からがら逃げ出したのである。
これこそが、他のどの吸血鬼()も持っていない、龍王すら舌を巻く彼独自の特技。
“人から人へ渡り歩く者”――『ウォーカーマン』と彼を呼ばしめる由縁の力。
ただ、今回の件で彼が学んだ教訓といえば――
「あーあ、それにしてもいくら何でもバタリアンなんぞに乗り移るもんじゃねーなー。
操ってる間、体中痛くてしょうがねーんだもんよ。おまけに血じゃなくって脳味噌欲しくてたまんなかったり。
ほんと、世話の焼けるお姉ちゃんだよ、くそっ。 癖になったらどうしてくれる―――
…ん、どうしたヤフリー君?」
「……姉貴は?」
反省ついでに、また愚痴を一つこぼしたところで。
十代前半の容姿の少年――姉弟の七番目の弟、ヤフリー・趙()が、心配そうな面持ちで兄に尋ねていた。
「寝てる。 流石に傷だらけの上にバテバテのボロボロで帰ってきてたからねー。
船に残しといた『俺らの』血液パック、ぜーんぶ飲んだ後、そのまま部屋に戻ってバタンキューさ。
この分だと…ウチにつくまで起きないことは確実だね。 むしろ起こすな、殺される」
なかばおどけて見せながら、船内リビングの片隅の木箱に目をやる。
先の特区襲撃の際、特区に蔓延させる為に用意していた『九龍の血統()』の血入りの血液パック、その殆どが空になっていた。
『予備食料』も使いきってしまったため、やむを得ずカーサが回復の為に飲みまくったのだ。
「いや、起こしゃしねえけどよ……それでも、ちょっと心配っつーか、ショックでさ」
兄のジョーク交じりの口調にも、ヤフリーの表情はいまだ晴れない。
あの一番強くて頼りになる、『銀刀』やケインに対してすら引けをとらないと信じていた姉が。
しかも特区の時と違い、血を吸って体調万全であったはずの姉が、ここまで追い込まれたのである。
「ま、しゃーねーわな。 正直あそこにいた連中は、マジにバケモノの見本市だった。
僕らから見ても十分すぎるほどの、ね。 世間は広いよ」
「………そうか」
そう弟に気休めを言いながら、島のあちこちの様子を回想するが――
……やっぱヤメ。思い出したくない。
カーサが夢中になって遊んでた相手だけでも、あの龍王級に寒気が来る相手だったってのに。
「……しっかし人喰い量産ウィルスに、その後始末で核兵器ですか。
香港聖戦のときだってそこまでやらなかったぜ? まあ方や香港、かたや辺鄙な離れ小島じゃしょうがねーけどさ。
人間ってのは自分が正しいって思ったら、平気でどこまでも醜悪な真似をする。
あの国は確か『豪王フォワード』の血族の縄張りだが――お国柄まで真似しないで頂きたいもんだ」
不満から、ザザがまたしても愚痴りモードに入る。
兄もストレス溜まってるのはわかるが、巻き込まれてはたまらない。
何とか話題を逸らそうと、ヤフリーはあちこちを見回して――そして、それを見つけた。
「……なあ、ザザ兄貴?」
「…にしても火遊びは火傷の元だって出る前に言ったのに、人の話聞きやがらねえんだからあのアマは。
火傷どころか黒コゲになっちまうところだったんだぜ? 次からはもうちょっと自重――ん?」
ようやくザザも気付く。ヤフリーの視線の先にあるものに。
それは彼女が自前の刀のかわりに持ち帰った、威風堂々としつつも凶々しい印象の刀。
「……ああ、そいつか? お姉ちゃんの貰いもんだ。 島で出会ったお姫様からのね。
聞いて驚け、なんとあの伝説の妖刀、『村正』だそうだ」
「マジかよ!? ち、ちょっと抜いてみても――」
「やめとけやめとけ、お姉ちゃんだからこそ扱えるようなもんだ。 それにただでさえいわくつきの妖刀なんだぞ?
君じゃ噛み付かれて痛い目に遭うのが関の山。 そいつに祟られた徳川家の連中みたいにね。 ああそうそう――」
魔剣の凄みに逸る弟を、軽くたしなめようとして、ふと。
ザザは悪戯心のこもった笑みで、最後に冗談めかしてこう付け加えた。
「知ってるか?
実はかのアドルフ・ヒトラーも、そいつに祟られたんだとさ」
TO NEXT BBB
- 546 名前:カサンドラ・ジル・ウォーロック(M) ◆CASAWrQoKs :2005/09/13(火) 03:44:35
- <カサンドラ・ジル・ウォーロック レス番まとめ>
呪い血の姉弟―黒蛇上陸―
>>17
王・姫・魔術師、月夜の邂逅―舞踏開幕―
>>58 >>74 >>83 >>106 >>118 >>131
魔術師と王の諍い―姫君争奪―
>>154 >>181 >>191 >>213 >>236 >>258 >>290 >>315 >>322 >>338 >>346 >>360
続・魔術師と王の諍い―姫君覚醒―
>>366 >>374 >>393 >>413 >>429 >>455 >>463
土壇場の決戦―最終局面―
>>474 >>502
再び、呪い血の姉弟―事後談話―
>>545
- 547 名前:◆SaHarLKKlw :2005/09/14(水) 01:17:55
- 〈ラインドウェル・レインリクス レス番纏め〉
>>33 (>>52) >>67 (>>78) >>99 (>>109) >>133 (>>144) >>162 (>>175)
>>196 (>>215) >>259 (>>266) >>280 (>>287) >>299 (>>306) >>318
(>>326) >>345 (>>353) >>362 (>>368) >>392 (>>404) >>442
『なるほど、あなたの仕業でしたか』
「あは、ばれちゃったんだ?」
『やれやれ……ばれないとでも思いましたか。
しかし、意外ですね。人間に手助けするなんて』
「だって、あのお兄ちゃんたち、とっても面白そうなんだもん。
もう少し頑張れば、ね?」
『……そういうこと、ですか』
「ふふふっ、それに貴方も、あのまんまじゃつまらないでしょ?
『現世は夢、夜の夢こそまこと』……人間にしては含蓄のある言葉だと思わない?」
『道理で。あなたらしいと言えばあなたらしいですが』
「それにそんなに簡単に、あなたに事を運ばれるのも癪だもの。
――それじゃ、今は見逃してあげるわ。
また会いましょう、『コキュートスの女』」
――ちりん♪
『さて、見逃したのはどちらなのやら……フフフ』
- 548 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/14(水) 14:32:54
- <<そうだ、彼女の所に行こう>>
そんなこんなでどうにかこうにか、私は「日常」ってやつに帰ってこれた。
……あの時ほど、自分の眼に感謝したことはないかも知れない。
「場所が分かる」ってのはつくづく便利だった……海でも陸でも迷わずに、無事に着いたのだから。
「というわけではいメリー、その時の証拠品兼お土産」
「ふーん……つまり蓮子、貴方も夢のなかに行ってこれるようになったって話?」
「だぁかぁらぁ、夢じゃなくて現実だってば。死にかけたけど」
帰り着いた私は(当然ながらいつも以上の大遅刻に怒ってた)メリーに事の次第を話すこととなった。
まあね、そりゃ確かにいつぞやの相談を、立場を入れ替えてやってるような形だけども。
「でも、ねぇ。
ルイス・キャロルよろしく遅刻しかけの兎、追いかけたら魑魅魍魎跳梁跋扈。あげくに核。
私の夢のほうがまだしも現実味があるってものよ、それは」
「残念、事実は夢よりも奇なりよ、往々にして。
だいたいほら、こうしてお札に、写真まで」
そう、土産として見せたのは他でもない。
あの子に渡されたお札、それにフラッシュ攻撃のときにしっかりばっちり写せてた妖怪の写真。
……お札はまあ、使わなきゃわかんないし使ったら燃えてしまうから使えない。
それじゃ信憑性がないと言われても仕方がない。
でも写真は別だ。
私を食おうとしてる少女妖怪の姿が、こうまではっきりと写っているのだから。
……いやゴメン嘘ついた。ほんとはしっかりピンボケしてた。どうにかディテールは分かる程度。
それでも写ってることに変わりはないんだから……と、思ってたら。
「持ってきたのは私も一緒よ。ついでに口にも出来たし」
一蹴。にべ無さすぎ。
っていうか、だからこそ私はメリーの夢も現実だって主張してるんだけど。
……まあ、いいわ。それならそれよ。
こういうことは、百聞は一見にしかずってものだし。
「そんな事よりメリー、
博麗神社にある入り口を見に行かない?」
* * *
「で、なんでまた博麗神社なの?」
「勘。補記事項として月の光」
頭上に輝く星々が知らせるには、只今午後11時なり。
そうここは博麗神社、山奥な上に人気が微塵もない荒れ神社。
その入り口=結界の境界、の前に今、私たちはいる。
「ほら、こないだはここの写真を見せたじゃない?
そこに写ってた月を見てて思った、いや感じたのよ。別の場所をね。
ただし、最終的には勘だけど」
「やっぱり最後は勘なのね。さすが蓮子は頼りになるわ」
なんか言われてるが気にしない。というか、勘は馬鹿にしたものじゃないと思う。
例え虚像の星や月の光でも分かる私の眼をして、そこに「向こう側」を見いだしたのだ。
そこには必ず何かある。情報として受け取ったからこそ勘は働くのだ。
……或いはそれは、縁、というものの導きで。
まあともかく。
「そうそう、頼りになるのよ私は。
ってことでメリー、入り口の位置はどの辺?
それが分かったら、今夜ばかりは私が先導するから」
「頼りになりすぎてうさんくさいわよ蓮子。
っていうか、何か企んでない? いつもは私に任せるのに」
「べっつに〜? きっと気のせいよ気のせい」
「いつも以上に楽しそうなのは、何よりの証明だと思うけど」
やっぱり色々言われてるが無視。
まあ、ぶっちゃければ「何か企んでる」ってのは正解だったりするから。
ごめんメリー、これだけは秘密にしときたかったのよ。
きっとあの向こうに、メリーの見た竹林がある。
きっとあの向こうに、不死鳥を纏う少女がいる。
今夜こそ私もそこへ行く。そして二人に()、言ってやるのだ。
再会の喜び、そのままに。
「ほら言ったとおりでしょ、メリー、妹紅。
夢はね、絶対に現実に出来るのよ」
- 549 名前:宇佐見 蓮子 (M) ◆0mM.SPARK2 :2005/09/14(水) 14:35:38
- 宇佐見蓮子 レス番纏め
うさ耳少女の策略(?)で、彼の島へ。
>>20>>40
藤原妹紅と接触、意気投合。協力して脱出をはかる。
(>>70)>>81(>>89)>>101(>>135)>>148
移動中アクシデント。
夜雀の歌声、夜盲、回避のち離脱……と思ったら山火事。
(>>160)>>178((>>185)>>212)>>222((>>226>>231)>>261)>>269(>>272)>>273
気がつけば倉庫街。
ほっとしたのもつかの間、妹紅が流れ弾を受け一時行動不能。別行動へ。
>>298(>>304)>>310((>>320)>>331)>>339
夜雀に再び遭遇、食われかける。
そこへ妹紅再び、核の通達による隙をついて連携。
(>>349)>>356(>>369)(>>376)>>379(>>397)>>410
一気に港へ。
夜雀を迎え撃つ妹紅と再会を期し、島を脱出。
(>>420)(>>427>>433)>>434(>>438)>>446(>>451>>473)(>>465)>>476(>>484)>>492(>>494)
エピローグ
(>>515)>>548
――余談。
確かに夢は現実になった。
しかしあろう事か、悪夢まで現実となって……
>>520
もこ「あーーーーーーーーー!」
れんこ「ん? どしたの妹紅……ってうぇ!?
いや、ちょ、なんで」
めり「どうしたのよ二人とも……って、ああ、あの写真の?
ふーん……(ニヤニヤ」
……自分を食おうとした相手から蒲焼き買うっていやもう勘弁してください。
さすが幻想郷、侮りがたし。
(しゅーりょー)
- 550 名前:柏崎理科:2005/09/15(木) 20:59:59
- ……〜♪
FMだか有線だかから、あたしの知らない歌が流れてくる。
今時珍しい、ハガキでリクエスト曲を送るチャンネルらしい。
「……つまりは、”島の夢の終わりに”ってわけか」
あたしの友だちのこの子、お人よしのこの子がムリヤリ駆り出された
ランチキ騒ぎの主催者は、こないだ消滅した島の意思そのものだったと。
近く自分にふりかかってくるであろう破滅を避けるため、
運命を変えてくれそうな存在を引っ張り込みまくったというわけか。
たしかに本人(いや、島だけど)も気の毒だけど、
たとえば朝メシ食ってる最中に呼びつけられた連中はもっと気の毒だろ。
それが、何かと自分を責める傾向ある子だったら尚更のことだ。
麦茶のグラスを前にして「私って、また役立たずさんかぁ……」と
疲れた顔で笑うこの子を見ると、あたしだっていい気分はしない。
「それにしても、何であんたともあろう者が
まるでお姫さまみたいにか弱くひっくり返っちゃったわけ?」
「うっ。なんか引っかかる言いかただね」
「気のせいだろ」
今この瞬間この子に必要なもの。
それはたぶん、腫れ物に触るような慰めじゃなく、
いつものくだらない会話。こういう普通な、ごくありふれた日常というやつ。
- 551 名前:柏崎理科:2005/09/15(木) 21:02:48
- 「……で、そのいちばんこわい人がいなくなる時の、
”末期の叫び”って言えばいいのかな。そういうのをまともに聞いちゃうと
こっちの気がふれちゃうこともあるし。だけど……」
「だけどあんたは最初から気がふれていたからオールオッケーだったと」
「も〜っ! 違うってば! 精神的防衛措置ってやつ?
負荷がかかりすぎる前に気を失っちゃったんだと思うよ。」
この子がそう言うならそんなものか。そういえば大昔の
何某っていうロボットアニメがそういうオチだったとか何とか。
とにかく、とりあえずこの子が他人……じゃなくて他島の破滅に
まきこまれなくてよかったよ。
”……では次の曲は、ラジオネーム売れない歌手さんからの
リクエスト、沢田聖子さんの『17歳の感傷』です。どうぞ……”
ははは。自分も歌手のクセして他人の歌リクエストしてんのかよ。
でも、なるほど。スピーカーから流れてくる歌はこの子の好みだ。
いや、心情のカケラだね。大切なもの。帰りたい場所。
♪ あの頃は 友達の言葉の優しさが
とても とても うれしくて
くる日もくる日も 暖めあっていた
数珠玉の実を 糸に通すように
夜も昼もずっと語り続けていたかった
きりのない心のつながりが
うれしくて うれしくて ……♪
- 552 名前:柏崎理科:2005/09/15(木) 21:03:29
- * レス番号まとめのページ *
笑顔にあいたい
>>36
戦車が街にやってきた
>>46、>>55、>>63、>>65、>>72、>>73、>>85、>>88、
>>97、102、>>111
放課後の冒険者たち
>>115、>>122、>>127、>>138、>>143、>>163、
スリラー
>>167、>>176、>>186、>>192、>>202、>>201、>>206
>>208、>>211、>>214
ターゲット −赤い衝撃−
>>260、>>262(>>237>>238>>245>>278)>>271、>>274
びん感!メカニック
>>276、>>285、>>288、>>294、>>296、>>295
>>302、>>320、>>312、>>319、>>330、>>337
>>340、>>352、>>358(>>354)>>364(>>378)
>>382、>>380、>>395、>>415
脱出するって本当ですか
>>419、>>430(>>441)>>444、
朝陽の前に
>>504、>>505
17歳の感傷
>>
お帰り。あんたはちゃんと帰ってこれたよ。
平凡で、おだやかな生活に。もっともその中心にいるのが
このあたしってのはどうかと思うけどさ。
- 553 名前:柏崎理科:2005/09/15(木) 21:05:52
- ……やっちゃったか。最後のリンクは>>550、>>551ね。
ま、しょせんあたしのやる事ってわけで。あははは。
じゃね。あんまりあの子いぢめないでやってよ?
- 554 名前:柏崎理香:2005/09/15(木) 21:14:52
- やべ飲みすぎたか?
不備どころか自分の名前まちがってんじゃん。
ま、あたしも気にしないからあんたたちも気にすんな。
ドンマイあたし! 『Good Enough』ってやつだあはははは!
- 555 名前:◆99Arremerg :2005/09/18(日) 04:46:32
- (エピローグ)
>>503>>504>>505
「のほほほほ…いやはや、これはまた派手な
花火が上がったものですねェ」
ここは軍艦島より離れたとある対岸。
焦熱地獄の光景を遠めに笑いをあげる球形の影。
そう。球形の、である。
ピエロの頭部を人一人の大きさにし、かつ手足を生やしたといった立ち姿。
コロコロとその表情を変えるユーモラスな仮面の顔。
しかして瞳なき目は心の奥底を決して見せぬ深淵のよう。
名をジョーカー、文字と姿そのままの異界の道化。
そして今は魔界村と同盟関係にある悪魔、ドルアーガの配下にある。
「はてさて…これでまた一段と面白くなって参りました。
歩く死体と吸血鬼の方々による大暴れ、それは何とナンとなんと!
パゥワーを集積する舞台装置に予想外な負のベクトルを与える大異変!」
いかにも芝居じみた口上。
手を広げた大仰な仕草で見得を切る。
その様は正しく大勢の観客を前に、演目を行うピエロの姿そのものだ。
「そうして起こった『グラウスヴァイン』の大爆発はジツに想像以上…
そんなこんなで世界を隔てる壁はまさしくボロボロ。
仕込みは上々、アトは結果をおタチ会い。
あせらずとも効果はジックリコッテリジワジワと…。
ほらほら〜んと既にもう、場所によっては夢と現実のハザマすら曖昧に!
ああ何たる不思議、ナンたる事件!
……いえまァそっちは無関係かもしれませンが」
見得はより滑稽かつ大仰に。
変わらぬ仮面の笑みは本心のもの。
この光景、そしてこれから予想される大事変。
全てが愉快で愉快で堪らないという風に。
「つきましては、魔界も例外なくヒィートアップ!
一方でコキュートスのお方も更なる暗躍を始め、世は正にセイきマツ!
またまた一方では、かの魔帝ムンドゥスの降臨がメデタくコンプリ〜ト!
…とまァ世は事も無く、混乱の極みへとマッハで加速するワケでして。
のっほほほほほほほほ…」
「…そして、お前の“主”は邪魔者の戦力を削ぎ、
優位に立つというわけか」
その一瞬。
ジョーカーの仮面から笑みが消えたのは演技ではあるまい。
観客なき舞台を真の道化芝居に変えるは一人、予期せぬ後方からの闖入者。
そう。軍艦島からの離脱を終えた赤き魔物『レッドアリーマー・ジョーカー』
その変わらぬ立ち姿がそこにはあった。
「オヤまァこれはこれは…お早いオカエリで。
手下の方々と別行動と聞きましたので、いやはや…
同じジョーカー同士、ワタクシふか〜くシンパイしておりまして。
…いやホントですよ?」
「……ふん。俺は退く、アスタロト様への報告もあるのでな。
貴様も早く行け。次は貴様らが動く番だ。
不完全だった物質界への穴も、これで完全に開いたろう。
“生贄”の魂を欲するのはドルアーガだけではない…我が“主”もだと
いうことを忘れるな」
「ソレはもう滞りなく。ワタクシにバッチリお任せを。
ん?ん〜ん?これはこれは…もうこんなお時間ですか。
ワタクシもこれで失礼を…オシゴトがありますのでねェ」
「それと…ドルアーガに伝えるがいい。
我等の同盟は元より危うい。妙な真似をすればアスタロト様も、
何よりこの俺も黙ってはおらん、とな」
「……覚えておきましょう。
ではでは、名残惜しいですが…ア〜ディオ〜ス!」
島は爆ぜ、紆余曲折を経ながら魔の計略は為る。
次に滑稽な道化は去り。
かくて、憮然たる相の赤き魔物だけがその場に残った。
- 556 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/18(日) 04:49:03
- >>続き
――――死に場所は未だ遠い、か。
あの時。
部隊を襲撃に充てなかったのは任務上の事だけではなかった。
即ち戦力の温存。
『デモンズ・ブレイゾン』は魔界村の中でも最強に相違ない。
だが、それ故に戦う局面を考えねばならぬ。
死を躊躇するような鍛え方はしていないにしろ、否、それほどに優秀
であればこそ無駄死に、いわば消耗は避けねばならない。
あの状況、戦わずとも目的は達成されるのは明らかであった。
他に混乱を助長する手駒は幾らでもあったのだから。
退かせたのはその為である。
そして自らも退こうとしていた、が――――
「“私”にもまだ、戦士としての欲があったという事だな。
……あの時のような闘争心が、まだ」
紋章の赤き魔物、時を流れて王に仕える“将”となる。
今の名はレッドアリーマー・ジョーカー。
魔界村の守護にして先鋒、討伐隊『デモンズ・ブレイゾン』の猛き長。
主たる魔王アスタロトの為、新たなる故郷『魔界村』の繁栄の為に
脅威を排す爪牙足らん、それこそが己の使命。
かつての戦闘狂は、“昔”の興奮と同じくもういない。
―――しかし。
呟きと共にこぼれた笑みは、かつてと同じ狂猛な歓喜を含んでいた。
「無論…俺が待ち望んだ、『白銀の騎士』との勝負が先だ。
それを果たした後でも急くことはない」
世界の壁は綻びはじめた。魔界村の侵攻は他の世界をも巻き込むだろう。
ならば、次の機会は必ずや訪れる。
魔界村が終わらず、己が外敵を排除し続ける以上、
彼らが魔を封じ、祓う一族であり続ける限りは絶対に。
「互いに生きていれば、何れ決着をつける時は来る。
その時まで待つがいい、“強き敵”達よ。
そうとも…」
――――俺と殺しあう、その日まで。
来るべき再戦の誓いを胸に、赤き魔はあるべき地へ戻る。
今の務めを果たす為に、次の戦いを望むが為に。
すべては序幕。
時空の壁が歪み、幾多の世界が重なり合う異変より前。
新たな魔界村が胎動を始め、乙女の騎士が赴くほんの数刻前の出来事である。
- 557 名前:レッドアリーマー・ジョーカー ◆99Arremerg :2005/09/18(日) 04:50:17
- レッドアリーマー・ジョーカー
レス番纏め
魔界:蟲毒への介入
>>28
物質界上空:俯瞰〜戦士の業
>>431
物質界:草薙との交錯
>>437>>439>>445>>453>>461
>>470>>475>>481>>487>>495
物質界:再戦の誓い〜離脱
>>503
後日譚:序幕の終わり〜舞台は新世界へ
>>555>>556
- 558 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:24:47
- >>501 Epilogue
荒い息遣いが聞こえる。
照明は落ち、ただ巨大なモニターの青い輝きだけが光源を成していた――青い光源は映し
出された巨大な海であり、海の中心には小さな島が映る。小さいとは言ってもそれは比喩的
な意味合いでしかなく、高高度の衛星から俯瞰的にモニターされるそこは野球場など充分に
飲み込む巨大さを持っていた。
「大統領……」
「言うな。方法がなかった――我々に残された方法はこれしか!」
手は打った。
やれるだけのことは、何もかも、悉くをやり尽くした。
壮大な海原に孤立する切り立った崖と厳しい自然を切り開いた島――
そこに、敵がいた。
それは稀に見る凶悪さで、史上類を見ない凶暴さと、これ以上ない頑健さ、強固、破壊力
をその身に備えた、正に「敵」だった。世界中の悪意をその身に詰め込んだ、それはハリウ
ッドが作る安手の巨大な怪物を遥かに上回る、身長二メートルにも至らない、しかし最大の
「敵」だった。ロビーに設置された円卓を見回す。そこは聖域だ。最後の勇者達が集うアー
サー王の円卓だ。全員が表情を固くしていた。全員が状況を理解していた。こここそが分水
嶺。そこを一歩でも踏み越えれば――踏み越えられたら、自分達に、引いては人類に明日
はない、という背水の陣、人類総意の命運が掛かった瀬戸際だった。何もできない無念さに
爪を噛む陸軍長官の隣、海軍長官が「大統領」と呟く。「解っている」と小さく応じる。元より、
やるしかないのだ。事態を正確に把握していない愚鈍な人間は、ここには誰一人としていな
かった。空軍長官はじっとモニターを見詰め、そして国防長官が振り向いたのに合わせ、小
さく頷く。
モニターがズームされた。
そこに敵がいた。
切り立った崖、島のそこに、敵がいた。虚無のように真っ白な服はそいつが象徴する死と
いう観念その物のようだった。
ズームしていくカメラ。近くなる人類を脅かす悪意――その、悪魔の王とも言うべき悪意
に満ちたその表情に、誰ともなく息を飲んだ。空間を緊張が席巻する。
「ジーザス……」
副大統領の呟き。
敵。
これが、敵か。
あまりに――
あまりに、おぞましい。
「……ご命令を。今しかありません」
国防長官は言い――そして深く息を吸い、限度を越えた緊張に霞む意識を繋ぎ止めるよ
うに、小型マイクを手に取った。
そして。
「――撃て」
- 559 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:27:44
そして、後戻りの聞かない一言を、口にした。
全員が息を飲んだと思う。世界の終わりが発動した。
モニターが瞬時に構造を切り替える。島と島周辺とのデータと記号が画面に羅列されて
いく。攻撃衛星が双方向リンクシステムを「WAR」に変更。ホットラインで地上五箇所の演
算装置に正確な座標と距離と風向きを割り出させ、海軍基地に伝達された指令が各国に
詳細を伏せられた原子力潜水艦「ジョナサン」に稲光の速度で流された。モニターはもは
や対象をロックオンした戦闘機の様相を呈していた。真っ白なレティクルが『敵』を細くして
いる。そして。
その瞬間、モニターが炸裂した。
世界が塗り替えられたような衝撃が、モニター越しに感じ取れた。
真っ白に発光したモニターに全員が目を手で覆い、その脅威に肩を震えさせる。
猛威というより、暴威だった。
静寂を取り戻し、俯瞰位置に戻ったモニターは島を映し上げる。
罪の光景だった。
それこそは二度とあってはならない、という、禁忌に触れた行為だった。嘗て科学者は
自らが生み出したその悪夢に苛まれ、罪悪感と背を合わせながら生涯を送ったという背
徳を、誰一人例外なく、人類の代表として――その場にいる全員が感じ取っていた。逃
れられることのない、防ぐことなどできもしない、絶対無欠にして絶対悪こそが成せる破
壊行為――。
そこにはただ、焦土があった。
川も池も水も木も土も山も森も、辛うじて人が存在した痕跡を示していた堅牢な建物も、
生の全ても、死すらも――あらゆる存在が混在した空間は一目瞭然の廃墟へと薙ぎ払
われ、荒涼瞭然な姿に変わっていた――変えられていた。
目頭を抑えている者がいた。ただじっと天井を見詰め、心をどこかに置き去りにしてし
まった者がいた。機会のように胸の前で十字を切り続ける者がいた。頭を抱えて身動ぎ
すらできない者がいた。首を強く振った。振らなければならないと感じた。ここで立ち止
まってはいけないと本能で感じ、備え付けのボタンでホットラインを開く。
真っ白な、聖性溢れる法衣に身を包んだ紳士の姿がそこにあった。
「法王――」
「……貴方の罪は清められるでしょう。サタンは去った」
乾いた声に頷く世界宗教の主に礼を言い、そして深く息を吐き出す。
緊張と弛緩で綯い交ぜになった思考を常態へと回帰させ、
「大統領!」
――その声に、意識を引き戻した。
「どうした!」
「画面を――画面を!」
切羽詰まった声。屠殺される寸前のような声に、背中を悪寒が駆け上がる。
ああ、まさか。まさか。まさか。
モニターを見る。
焦土の大地――俯瞰するモニター。そこに、小さな点がある。
点。
それは。
- 560 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:30:48
「バ……バカな」
国防長官。
ああ、そうだ。そうだとも。バカな。こんなバカなことはない。
モニターの倍率が上げられる。
「ありえない……!」
空軍長官。
そうだ。あってはならない。ならないのだ。
「ブライアン! 気を! 気を確かに! くそっ、そんなことが――!」
陸軍長官を助け起こす海軍長官。
気など。
気など確かで、何か意味があるのか。
気など――狂ってしまった方が、楽なのではないのか。
「ジーザス……!」
副大統領の声は――怒りより、慄きにこそ支配されていた。
理解できるだろうか。
理解。
理解――理解とはなんだ。
口が震える。言葉を求めて彷徨う。
「何を――」そして最後の力のある限り、張り裂けろと声帯を振るわせた。「何をしている!
次だ! 次弾を発射しろ!」
声は乾いていた。
叫びは壊れていた。
心はとうに割れていた。
場は静寂に支配されていた。
「何をしている! 早く――早く!」
傍らに立つ副大統領。
見上げたその顔は、表情という物を失っている。
「……無駄ですよ、大統領。もう――無駄です。奴にそんな物は通用しないことは、見れば
解るでしょう」
「貴様――ここで引くのか! 我々は、人類の……!」
人類の趨勢を決める円卓。
見回す顔は――ただ、凍っていた。
「……悟っただけですよ。我々人類は――もう、奴に降伏するしかないんだ、とね……」
ズームするモニター。
悪魔が、笑った。
悪魔を恐れるように。
神を畏れるように――誰かが、言った。
「ジーザス()……」
- 561 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:34:24
「……何作ってんだテメェは」
殴り倒してから聞いた。
しかしこれでも俺は正当だ。誰でも自分の顔を勝手に使われたら怒ると思う。
モニターの中、核で爆砕抹消された大地に人類の敵=俺が凄惨な笑みを浮かべて
立っている。ヴァチカンから追われた俺は孤島を拠点に世界にケンカを売るという内容
らしい。ラストは現大国大統領の怯える顔で引きながらEND。五流監督が作ったB級ホ
ラーのラスト十五分間を即興製作したジェイムスが、頭を撫でながら椅子に座り直した。
「……いや、まじでイキナリぶん殴るんだけはカンベンして貰えんかな。死ぬんやけど。
手加減したとか言われても、オレ人間やし」
「俺もだっつーの」
信じられない、という顔を作られたのでもう一度ぶん殴った。
「……痛、痛ッ、……ちょ、おま、おまッ! 死ぬっちゅーねん! お前、範馬勇次郎か
て一般人は殴らんで!? てーかなあ、言っとくけどこれ、カンヌ出してもイイ出来や
と思うとんのやでオレは!」
「出したらブチ殺すぞ」
マジで言った。
黙るジェイムス。
あーくそ。
「……ちょっと、外の空気吸ってくる」
部屋を出て――生温い風が頬に吹き付けた。
暑さは変わらず、不快指数は絶賛上昇中。
季節は夏。
騒動からは二週間が経過。
アメリカ、ワシントン。
選挙的に静かな代わりに、この季節は観光客でゴッタ返して喧しい。いつだったか、
この地区(もちろん、この僻地なんかでなくて首都周辺だ)を数週間担当した知人、ピータ
ー・カレンツァは、「スミソニアン博物館を見る以外には特に行きたいと思わないかな」と苦
笑いしていた。俺はと言えば同感で、ワシントンに贔屓のバンドは一つしかない。通りを歩
いていたら旧知のDJに「何しに来てんだよ!」と思い切り驚かれたくらいで、そいつ自身、
普段はNYを塒にしているくらいだ。つまり俺達には合わない街で、感慨など抱きようもな
い街がここだ。首都だろうが大都会だろうが合わないものは合わない。
風がぬるい。
夜は更けつつあった。
- 562 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:47:20
『嘗て神韻縹渺たる絵筆で描かれる神風に吹かれるかの如く、汝等の信仰は塵と失せた。
僧帽僧衣がそれを身に付けた堕落者諸共に翻弄され飛び散るのを、私は見た。聖遺物は
砕け、数珠に意味はなく、赦免状特免状恩赦符教皇教書が破れ散り、飄々と翻り舞うのを、
私は見た。
偽りの光栄と燦然たる虚偽の雷霆に打たれ、信と真を問う戦いに破れ、荒涼漠々たる地
獄で終熄の鎖に繋がれた私は呪われた声で汝に訊こう。
広漠たる辺境()こそが汝の故郷ではないのか?
俗世の汚辱を衣に纏う汝は己が身に咎を見ないのか?
汝は――』
「人間だよ」
- 563 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:50:58
暑い。
八月も終わりだと言うのに、ワシントンの残暑は地獄のように酷かった。
地元の盆地を思わせるこの暑さに加えての独特の工業臭と湿気は、暑がりの俺には厳
しい物がある。会議室のすぐ外、革張りの椅子でコーラを飲み始めて十分と少し、物思い
に耽るよりもじっとりとした暑さに唸る方が多くなってくる。握っているだけでコーラが温くな
っていくという凶悪な事実に対抗する為、コーラは一気に飲み干して正面のクズカゴに放
った。何の解決にもならない。くそ。加速する不快感に耐えかねて、何も変わらない筈の
会議室の扉を開けた。
涼しかった。
「……なんだこれ」
「なんだってなにがやのん」
ジェイムスの声には返さず、なんてこった、と呟く。
「涼し……い、な、って、おい」正面にクーラーが。「……気付かなかっただけかよ、俺」
ラクに地元の公民館くらいの広さがある会議室は、取り壊される寸前の会社のものだっ
たことも手伝って、電気・水道系統がまだ死んでいないようだ。あちこちにホコリが溜り始
めてはいる物の、まだ充分住める範囲ではある。何よりクーラーが付いているのは素晴
らしい。文明の利器の最高峰!
ジェイムスはパイプ椅子にどっかりと腰を降ろし、組んだ足を会議机の上に乗せていた。
その格好はと言うと、フレッシュダイブのストライプが入ったポロシャツにオリーブ色をし
たボックスフレッシュのストレートパンツ、足元にはビルケンシュトックの軽いイメージなサ
ンダル、という有り得ない組み合わせで、しかもその上にはお決まりのように白衣を羽織っ
ているのだ。というか額に押し上げたサングラスは三百ドルくらいするディータで、俺も欲
しかったヤツだ。本人はナード系なのに室内クサさがハンパに抜けるといういつもの微妙
なセンスは、会議室という場に於いて想像を絶するレベルで不似合いの様相を呈してい
た。元々は電子系の会社が引き払った場所だったそうなので合うかもしれない、という仮
定はコイツには当て嵌まらない。とどのつまり、企業付きの研究家にはなれないという事
だ。
会議机の一つに腰を降ろす。クーラーが入ってからまだ間がないからか、机の表面温
度はじっとりと暖かい。そのままごろりと寝転がって目を閉じる。
到底睡魔など訪れまいと思っていたさっきと違って、首筋を撫でる冷風がこの上なく優
しかった。落ちそうになる瞼。限界寸前の視界に、音も発てずに扉が開くのが見えた。
真っ黒なワンピースと、夜を割くような長いブロンドが風を切って入ってくる。
セシル――セシル・ヴィルキエは、巨大なトランクケースをガラガラと引き摺りながら、
暑さも気に止めた様子すら見せずに俺の目の前まで歩いてきた。外見はいかにもティー
ンのモデルはだしと言った風情で、実際年齢もそのくらいだが、なんとこれでも俺の上司
だ。世界は解らない。現実は酷く不可解だ。
「遅れてすまなかったな」
その口調は一ミリも「すまない」と思ってはいなさそうだったし、表情もそうは言っていな
かったし――何より気の効いた返答を欲してはいなさそうだったので、「構わないよ」とだ
け言って俺はまた天井を見上げた。眠気は消えていた。
時計を見る。
六時半。
「いーっらっしゃーい、セシルちゃん。よーこそ、わざわざご足労、お疲れさん」
セシルはそれには応えず、無言でツカツカとダイニングに歩いていく。
ジェイムスが俺に向かって肩を竦め、俺はセシルの消えたダイニングに視線を移し、
「……紅茶の葉はないのか」
遠く聞こえる問い。
「インスタントが戸棚にあったぜ」
- 564 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:55:23
応えて、机に寝直した。
暫くして湯を沸騰させる音が聞こえてくる。「俺のもコーヒー頼む」――返答は無言だっ
た。沸騰音は継続中。
身を起こし、ダイニングを覗いた。カーテンで何も見えない。ジェイムスはゲームボーイ
で「逆転裁判」の英語版をプレイしていて、時折「意義ありィ!」と日本語で叫ぶ声が聞こ
える。あー煩ぇ黙れ。
急誂えの会議室はただ無駄に静かで、何をするにも手持ち無沙汰な――、そこだけが
世界に取り残された空間であるかのようなイメージを抱いてしまう。知り合いだけしか居
ない場所、という状況がそれを加速した。都市周辺でないとはいえ、ハンパな静けさがか
えって気持ち悪い。窓の下を時折流れていく車は、今通ったホンダで二十五台め。いか
んいかん。何ヒマ人みたいな事やってんだ、俺。
「意義ありィ!」
……。しかし、静か「意義ありィ!」だ。これならさっきのCDショップでディスコードレー
ベルの特売でも見てこれば「意義ありィ!」「意義ありィ!」よか、
……。
ダーケストアワーの新譜ってそういえばギターソロも結構入っててワシントンって捨て
たモンじゃないって言うかああ、帰りに連中のライブでも見て「意義ありィ!」行こ、
う、
か――な?
「意義ありィ!」
ダメ、限界。
「意義あ、」
無言で後頭部を掴んだ。
ぎぎぎ、と油の切れた人形のように首を背後に向けるジェイムス。
笑う俺。
あはははは。
「あはははは」
「あはははは」
「……あのすいません。すいませんイルさん。ボクなんか調子コイちゃったりしましたか。
いやもうなんかミシミシ言っちゃってんですけどオレの頭」
「よく解るじゃねぇか優等生。……人がセンチメンタルに浸ってる時にナルホド君気取っ
てんじゃねぇぞコラ」
「あ――ちょ、わ、解った! 解りました! あ、あだ、あだだだだだ! だぁはっ! し、
死ぬっ! このまま行くと僕マジでスイカみたいになって死にますから!」
手を離すと、頭痛を抑えるようにジェイムスは蹲った。暫くうめいていたと思うと、ゲー
ムボーイを脇に置いてこっちに振り返り、恨み節の視線を飛ばしてくる。
「……センチメンタルってな、オマエ。オマエさんが感傷的になるって、どんな世界の終
わりや。日曜日のちびまる子ちゃんからワンピースが終わった瞬間に小学生が感じる
「明日から学校かぁ」とはワケが違うで」
「失敬な野郎だな、お前はつくづく……「必殺」の再放送見逃す度に俺はセンチメンタル
に浸ってるっつーの」
「処置ナシやん」
失敬な。俺だって感傷くらいは持っている。
本当だよ。
「……砂糖はなかったぞ」
- 565 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/22(木) 23:59:29
と――その時、ダイニングに続くカーテンを潜ってセシルが出てきた。片手にコーヒー
のカップを二つ、もう片手のトレイには銀色のケトルと白磁のポットとウエッジウッドのテ
ィーカップを持っている。ジェイムスの前に無言でコーヒーのカップを置き、無言でこち
らをじっと見てくる。
「……時間を無駄にしたくないのだろう」
視線で椅子を促された。要するに『座れ』だ。シットダウン。
「お前が紅茶淹れるの待ってやっただけだろ……」
席につく。どうやら待ち時間に丁寧に豆まで挽いてくれたらしく、随分と丁寧な香りが
した。
「お、美味いやん。さっすがやな、ホンマ。審問局は紅茶の淹れ方やらも教えるん?」
「趣味だ」
「はー、趣味か。いやありがとさん。丁度ノド乾いとってん」
うん。確かに美味かった。
と、気付くと、セシルがこちらを見ている。
……なんだよ。ええと。
「あー……何これ?」
何だ、と言うのは勿論品種のことだ。
「ハワイコナだが。なんだ。もしやその、気に……入らんか」
「いや、美味いよ。ありがとう」
「……そうか」
そっぽを向いてポットにお湯を移すセシル。
暫く無言で喉を潤して、時計が七時に指しかかっているのを確認した。
そろそろか。
「本題に入ろうと思うけど、どうかな」
返事はなかった。俺はそれを肯定の意味と取る。
部屋の電気を落として、ホワイトボード前の会議机に設置した映写機を調整した。会
議用の机に備え付けてあるのはジェイムス手製の映写機だ。DVDをセットしてスイッチ
を入れる。チリチリと音がして、真っ暗な部屋にふっと微かな光が漏れる。ホワイトボー
ドがモニターと化した。右から左に文字が流れ、クレジットが表示され、輪から首を出し
て「がー」と叫ぶジェイムスという奇奇怪怪でこの上なく余計な演出が済むと、なぜだか
いきなり音楽が流れ始めた。キルスウィッチ・エンゲイジの「ジ・エンド・オブ・ハートエイ
ク」だ。
……。
『気分はバイオハザード2』かよ。
何余計な演出カマしてんだ。ジェイムスを振り向くと、薄明かりの中でニヤニヤしてい
るのが解った。よし殺す。
が、セシルが「いいかげん鬱陶しい」と言いたそうな顔をしていたので、とりあえず殴ら
ずに席に戻った。お仕置きは後だ。
画面には島で撮影した写真の拡大画面と、その詳細。グールで溢れた島々、汚濁す
る森々、大破した(或いは「させた」)研究所/死体の海。顔面が半分の位置で斜めに
食われ落ちていたり内臓がリボン状態になっていたりと、適度にグロいスナッフ映像で
はあったものの、俺は元より、二人に嫌悪の表情はない。好奇の表情も、当然ながら、
ない。何故ならそれは既にモノだった。
死者には悼みを。
魂に追悼を。
写真に写されたそれ等は、既にそのどちらでもなかった。だから悼まず、悲しまず。
ただ――と、同時にこういう感想もある。セシルの表情に浮かんでいる怒気のカケラ
は、多分、俺くらいにしか解らない微々たる物だ。ジェイムスはと言えば汚物でも見る
ような目と冷笑で画面を眺めていた。そして、それが静かにキレている時のジェイムス
だと知っているのは、これも多分、俺くらいだ。
俺はと言えば、さて、言うまでもない。解ってるよ、クソが。
タダじゃおかねえ。
本題。
二週間前の作戦に於ける孤島調査と、その破壊に関しての結果報告――及び、騎
士団上層部からの命令の受諾、即時実行。
- 566 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 00:04:42
目的地は――アメリカ、ワシントン。
対象者――ホワイトハウス官邸内。
即ち、ここで、今だった。
「資料はどこだ」
画面を見ていたセシルが紅茶のカップから手を離す。用意しておいたプリント用紙の
束を渡すと、暗がりには気を止めずにセシルは資料を捲り始めた。
資料と画面とを交互に見ていたセシルが不意に「止めてくれ」と声を発した。リモコン
の一時停止を押すと、画面には幾つか数えるのもバカらしい、だが数えるなら四十八
体の死体が映し出されている。
「電気を点けてくれ。大体の概要は解った。……どうしてこんな場所に呼び出されたか
もだ」
流石。
俺は言って、電気を付ける。
顎を撫でていたジェイムスが大袈裟に肩を竦めた。
「……ンで、これがオレらを招集した理由になり得る、っちゅーワケや。フランチェスコ
のジジイまで承認したんやったら、そらしゃーないわな。オレに拒否権はあれへん。目
的地はアメリカ、ワシントン。ここまでご丁寧に並べられりゃ、この状況と示唆で示され
る目的は一つしかないワケや――……やけどな、イルのダンナ。――どういうことや?」
ジェイムスがぐるりとこちらに首を回す。
「まさかとは思うけど、この状況で名探偵、皆を集めてさてと言い……とでもゆーてくれ
るんか? 状況整理だけすんならぶっちゃけキマリやろ、あれで。「地下にゃ妙チクリン
な怪生物埋まっとりました。地上にゃワンサカとグールとか沸いとります」んで核ドーン、
丸ごとボーン、決着や。何も言うことあれへん。世論に叩かれっ放しの今やし、あのオッ
サン次から次にポンポン責めんのは可哀相やで。オレらがわざわざ無茶な能力世間に
晒して始末する必要ハブいてくれたんやし、むしろ感謝やん。イリヤ爺さんも酒飲みな
がら喜んどったで。ワシが行かんでよーなった、っちゅーて。正直業腹やけどな。まあ、
オレもな、ビデオ編集しながら思っとったんや。「もうダメちゃうか、この世界」て。アタマ
には来るわ――確かにな、怒髪天を突く、なんてモンやない。せやけど、それだけや。
オレらがブッキレてホワイトハウス地図から消したかて、ナンも変わらへん。オマエが
あのロケット叩き込んだ海軍皆殺しにしたかて同じや。世界は悪うなるだけや。オレは
な、世界なんぞどーでもええ。人間も知ったこっちゃない。でもな――、お前等は好き
や。必要なのは平穏やで。せやったら、オレはなんもせん。その方がエエんやからな。
ぶっちゃけ一番オレがアタマに来とんのは、オマエが爆弾落とされたっちゅー事実や。
……まあ、核の一つで死ぬようなタマやったらラクやってのは置いとくで、この際」
語尾を小さくするジェイムスに小さく笑う。
ありがとうな、と呟くと「うるさいわ!」と怒鳴られた。
「無闇に責めやしねーよ、俺だって……しかしイリヤか。あのクソジジイ、最初からあの
爺さんがくれば面倒なんかラクショーなんじゃねーのか……」
「無闇じゃなきゃ責める、っちゅー言い草やん。あとな、イリヤ爺さんはお前信用しとる言
うとったで。……で、ふん、つまり?」
ジェイムスが眠そうな目で見上げてくる。
がりがりと寝癖のついた頭を掻いて、時計を見上げた。七時半。もしも動くなら――そ
ろそろ、限界だ。
「責めるしかねぇってことだよ」
資料を肩の位置に掲げ、ぱちんと人差し指で弾く。
- 567 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 00:10:55
概要
・施設内総数四十八名(全員死亡)
備考
・施設では白衣の着用を義務付けられていた
・うち五人が私服
↑一名がスーツの内側に防弾ジャケットを着用
■繊維→ケブラー、スペクトラ、グラスファイバーの混合
死亡推定時刻/日時
(調査員に専門知識がなかったので割愛)
追記
・フランシス・ラファエーロ/施設で発見。頭部、胸部、腰部、腕部、脚部を欠損。切断
された各部は冷蔵庫に入れられていた
・トーマス・ロセット/施設外の焼却炉脇にて発見。性器が切り取られていた
・フランシス・ラファエーロ、トーマス・ロセットとも、衣服の着用は認められず
追記2
・マリア・イバンスは銃器を携帯
追記3
・スーツの男は銃器を携帯。これに製造番号は認められず。銃身内に発砲の痕跡はなし
施設概要
・全フロア、各部屋への入室にはカードキーが必要。また、入出、施設の使用、それ
等の記録は一括してメインサーバの記録に残される
職員の勤務日程。ホワイトボードにて読み取れた箇所は以下。
8/13(非番) モニカ・ダナー、アンディ・デヴィット、アンネ・アシュクロフト、トニオ・カフィ、
ステファン・ベルモンド、トビアス・カニエ・クリストフ
8/14(非番) トム・フォイト、ビル・ファーマン、リンダ・ガルトナー、ナディア・アンジェラ・フェッラ、
ナザレ・エンゲ、ミシェル・エクレストン
8/15(非番) エリザベス・ハート、フィリオ・ハッチソン、エリスン・パーチェ、ヴェン・フェルスタッペン、
テオドール・ヘルマン、ジェリー・アイルランド
8/16(非番) マリオ・ティアーゴ・ジェイコブ、ビリー・クラウゼ、アーチボルド・ジェイムス、
ジョルジオ・ジェリーニ、ジョヴァンニ・デ・ラルース、ヤルノ・リウッツィ
8/17(非番) ジョン・マクドゥガル、フランコ・ネーヴィ、アルベール・モーザー、ポーラ・オリヴァー、
ブライアン・パーカー、ラウリイ・パーキンソン
8/18(非番) ロイド・レヴソン、フランシス・ラファエーロ、トーマス・ロセット、ゲザ・クァドリーユ、
アラン・レイヴィー、リチャード・ロルト
8/19(非番) トーマス・ロセット、ピエロ・サンツィオ、フランシス・ラファエーロ、アンソニー・サリヴァン、
ロベーニ・タラマッツォ、サラ・サルヴァドーリ
8/20(非番) (当日−不明)
備考−私服で発見された人間は以下
・ラスニー・ボーゲル、ジェイムス・ウィルソン、ドミニコ・ザナルディ、ジョルジュ・テイラー、フレディ・ワーウィック
マリア・イバンスの手記
<□日/記録>
・渇望する兎(変化)
・狐(たくさん、たくさん)
・魔法の薬(一人分しかないの)
・食いしん坊な銀色の蛞蝓(食べられる、食べられる、食べられる)
<□日/記録>
みんなはフランシスを探している。
フランシスはお腹のなか。
フランシスはポップコーンのあじ。味、味、味(ポテトチップスじゃなくて残念)
<□日/記録>
トーマスの死体で相談会をしているみんな。
あそこがないんだって。ビンの中、ぷかぷか、ぷか、トーマスの。
(連ねられる「ファック・ユー」、最後のページ一杯にびっしり)
私はアリス
- 568 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 00:16:51
以上、と説明を終える。
「ちなみにマリア・イバンスは西海岸出身だ。ここまでが資料だ――が、さて」
二人を交互に見る。
「感想は?」
「エラい簡潔やな」
ジェイムス。
「どうやら閉塞的な施設だったらしいな」
セシル。
異句異音。どちらも正解にして明快だが、やはりセシルのそれは直感レベルで論理を
突いてくる。
「簡潔なのは時間的な問題だよ。それ以上は調べられなかったし――調べる意味もな
かったし、何よりブッ飛んじまってこれ以上調べられない。それに――セシル、お前の
言ってることは全面的に正しいよ。あそこはさ……イカレてたんだ。多分、俺が行く前の
方が――ずっと、ずっとな。死体になってからこそが、本当の平和だったんだ。息が詰
まりそうに冷たくて、無感情で、機械的で、規則的で、そんでもって悪意と敵意に満ちて
た場所だ。モロクの真鍮像、ミニマルなパンデモニウムって所かな……その点じゃ消し
飛んで正解ではあったんだけどな」
俺は言い、セシルは無言で紅茶のカップを持ち上げた。ジェイムスは俺達をちらりと
見てから、ふん、と鼻を鳴らして唇を尖らせた。
「……んで? このトチ狂いよったマリア女史が殺害した二人は解るわ。マリア女史の
罪は――だがしかし既に我等の手に非ず、やで。御主は既に罪を知られ、罰をお下し
になりよった。正に神の火やな。……いやいや、そもそもな、繋がらんわ。ワシントンま
で来る理由がサッパリや。ホンマやったらオレは地下の塒、オマエとセシルちゃんはコ
ーヒーか紅茶でも自宅かそこらのカフェでシバいとる頃やろ」
「冗談」
「あん……何やて?」
「マリア・イバンスは無関係だ。でなきゃここには来ない」
「……見えんな。何が言いたいんや、ダンナ」
ギシギシと椅子の後ろ足に体重を掛けていたジェイムスはがたりと椅子を元に戻し、
じろりとこちらを見る。
「幻視してくれるとありがたいね、端的明快で、オーディンならパランティアに頼るまで
もない」
ここには元々、説明するつもりで呼んだ――というより、説明させられる為に呼ばれ()
たのが俺だ()。島からの脱出後、連絡はまず俺がヴァチカンへと回し、その翌日、俺の
直属の上司はテルミニ駅付近のエスプレッソが美味い珈琲屋に呼び出した。オープン
カフェに俺が到着した時点で既に珈琲をお代わりし、周りの迷惑も顧みないで一本百
ドルくらいする葉巻を蒸かしていた。今では”多少”から”かなり”の知り合いになったウ
ェイトレスに苦笑すると、「いつものでいい?」と聞かれ、頷く俺に店内に消える彼女。
見た目退職した企業の老会長と言った感じのそいつは前フリもなく「結論が出た」とだ
け口にした。黙る俺。「ワシントンに行って、連絡を待て。補佐は二人ほどつける」誰だ
よ。エスプレッソが運ばれてくる。クリープと砂糖を入れて掻き混ぜ、睨むように視線を
絡めた。動じもしない。「知っている人間だ。目的は追って伝える」そうかよ。いつから。
「今からだ」ジーザス。俺はジョークでも何でもなしにその足でアメリカに飛ぶ羽目にな
り、ワシントンに着いたと同時にジェイムスから連絡が入った。そして今に至り、報告を
受け取った俺はこれから成すべき事を説明しているという訳だ。
不機嫌顔はそのままに、ジェイムスは両手を大袈裟に広げる。
- 569 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 00:22:26
「オレらはキリスト崇めとるんやろ……まあええ。ええわ。順番に聞いてくで」
「ああ」
「地下に非公式発表になっとったアンノウン体が――巨大なエネルギー体があったこと
は事実やな」
「だろーな、多分……そこはお前のが詳しいんじゃねーの?」
「確認したワケやあれへんけどな。けどまあ、その辺りのデータは回してもらっとるわ。
裏付けは取ったるし、オレはダミーやとも思わん」
「じゃ、それで正解だよ。それ以上の追求はない」
「ああ……ああ、ああ? 待てや。待て待て、待て。んじゃ責めるとこは、」
「研究対象だ」
と、今まで黙っていたセシルが腕を組んだまま口を開いた。
「流石に聡いな、審問幹部サマ……そこのアホ科学者の数倍は聡い」
「茶化すな。確かに……この資料は奇妙だ。許容範囲でしかないから、確証には足らん
が」
「……? ちょ、っと、待ったってや。どーいうことなん、セシルちゃん。研究の対象――、
て、資料て……どれよ」
「科学者。データだけが資料ではないという事だ」
憮然とした顔のまま言うセシル。本人は澄ましている訳でもないのだろうが、ドライアイ
スより冷え切った視線にはトゲしかない。う、とジェイムスがその気迫に僅かに気圧され
るのが表情で解った。
「……局員は残らず死んどった。間違いないな」
「俺が殺した分を除けば、そうだな」
「そいつ等は残らずグールやろ? ……まあ、つくづく紆余曲折あったとしても数奇な運
命辿った場所や、ゆーことはワカるわ。地下にブッソウなモン埋まっとるわ、地上はバイ
オハザード、挙句にニュークリアブラストでキマリかい。……ほな、そうか。言いたい事
を消去法で消すと要するに、その職員の日記や。意味解らんアレ」
パン、と用紙を弾くジェイムス。
「ウサギ、キツネ、マジック・ポーションに――銀色の蛞蝓ってナンやのこれ。……で、あ
と何やっけ。死体の数について? 欠けとった死体はなかった、やったな? 確か。職員
総員四十八名、他に他殺死体が一つ、変死体が二つ……他殺死体がマリア女史や。変
死体の写真との一致は――ああ、写真との解析は一応やっといたで言わせて貰うけど、
フランシス・ラファエーロとトーマス・ロセットに間違いない。フランシスは冷蔵庫ン中でバ
ラバラ、トーマスは焼却炉脇の地面で腐乱中、身体の一部に欠損アリ、男性性器が――
おっと、すんません、セシルちゃん。まあアレがマリア女史の部屋でホルマリン漬け……
で、間違いないんか、イル兄サマ」
「ねぇよ。写真解析したんなら尚更だろ。何も、何一つすらも間違わねぇさ……それで正
解、ファイナルアンサーだ」
「……聞いとくわ。然るべき理由がなかったら、オレも賛同はできんで。イル。――オマエ
の言うことは道理に適っとるか?」
ジェイムスはそう言って、俺は何も言わなかった。
「日記からの憶測やなんぞでお前がなんか思い付いた、っちゅー程度やったら、悪いけど
オレは賛成できん。オマエは好きやけどな、それとこれとは別問題や。オレらの誓いは一
つのハズやろ? 絶対的な無干渉と、確実な信頼や。理念の押し付けは大罪で、思想の
押し付けなんぞはクソ野郎のすることや。死刑にしてもまだ足らへん」
眠そうな瞳。
やる気のなさそうなその視線は、今という状況に於いて一切の謀りを拒否しているようだ。
そして――説明の要点は、そこだ。
ジェイムスは恐らく、俺達と同じく――状況次第で俺達よりもその点を重要視する。自分
の観念を曲げないし、曲げようとするものを許さない。それだけの力を持っているし――だ
からこそ、過度なくらいの力を持っている。延々と同じことを繰り返して研鑚を忘れた組織
を片っ端から切り捨て、一人を選ぶことで、一人が抱く信念を貫けることで、自分と自我を
成り立たせてきた。言ってみれば、お山の大将同然の内輪を一番嫌うのがこいつだ。だか
らこそ俺はジェイムスが好きだったし、俺達は気が合った。異端者同士――と言われても、
それで良かった。俺達はそれで強くなったし、その方が強かった。
誰よりも。
- 570 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 00:30:29
「憶測じゃねえよ」
だから、俺は言う。
「……そうだな、クイーン風に言うなら今、もうこの時点で「全ての情報は既に提示された。
私は読者に挑戦する」ってトコだ――この時点で、もう明らかだ。憶測なんかじゃない。俺
はこの一連の元凶がここにあるから、ここに来た」
セシルに視線を投げると、「好きにしろ」と言うような視線が返ってきた。
好きにしよう。
「……カンタンだよ。偶然と偶発が重なって状況を作り上げて、それを利用したヤツがいる
――ただ、それだけだ。俺が許せないのは、そこだ」
「解らんな。解らへん……何が言いたいんや。悪いけどな、オレはワトソン君やあれへん
で、ミスターホームズ。それともマイクロフトか? 無駄な推理ゴッコは止そうや」
「フランシス・ラファエーロ、トーマス・ロセットは衣服を着用していなかった。裸だったんだ
よ。マリア・イバンスは死体発見時に白衣だった。……彼女が犯人なら、休日以外に計画
を実行するとは考え難い。俺はブッ壊して回ったから関係ねーけど、各部屋を回るにはカ
ードキーが必要だった。……お前に渡したHDDのコピー、あったよな。メインサーバの」
「ああ。アレな」
「入出記録は全部あそこにメモリーされるってオチだよ。ドアは……まあ、戦車の主砲なら
破れるだろうけどな、それでもマシンガン程度じゃ無理って程度の強度だ。抜け道を作った
り抉じ開けたりできるような状態じゃない」
「オマエどうやって開けてんねん、それ」
「引き千切ったんだよ」
「……まあエエわ」
「あと蹴り開けた」
「せやからもうエエちゅうねんジャガーノート。先進めてや」
オーライ。
「休日の予定は明らかだった。当日の日程以外は誰が休んでたか、明確に書かれてたか
らな……データ化もされてたんだろうが、そっちはとっくにオシャカになっててな。壁に掛け
られてたホワイトボードから読んだ分がそこの、それだ。まあ、職員達も見易いようにそう
してたんだろ」
「二十日ってーのは、つまり――」
「事件当日……あの日だよ。俺が乗り込んだ当日だ」
「ふん、なるほどな。この日は誰が休んどったか解らんかった、と。……あんま関係あるよ
うに思えんけど」
「解りはしなかったけどな。けどまあ、解ったことはあるさ。休んでた人間は明らかだったん
だ」
「……えー、と。あー、……ああ。――私服」ジェイムスはぽん、と手を打った。「私服の人
間やな。まぁオレは白衣なんぞ服と変わらんけど。けど、それが? それがどうやってマリ
ア女史が男二人殺したんやないって理由と、オレらがここに来る理由に繋がるねん。開示
される資料っつーのは、ミスリードやない限り関係あるのが定説やで」
その皮肉には応えず、俺は続けた。
- 571 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 00:43:02
「そして、フランシス・ラファエーロ、トーマス・ロセット――この二人は、十八日の時点で、
恐らくは既に姿を消している。殺されている、と言うべきか。時点、もしくは十八日中に、だ
な。十九日の時点では確実に生きちゃいない」
ジェイムスは眉を顰め、無言で詰問するように俺を見る。
「別に……違ぇよ。ここにお決まりのオチはない。ミスリードも何もない。……ついでに言う
なら、ここで「実は俺が犯人」なんてオチは最低だな。殺害者はいたし、行為はあった()。そ
の両方を破壊した()のが――犯人だ」
「破壊、に、犯人――なぁ。オマエに倣ってクイーン風に言うなら「フェアであるべし」か?
せやけどな、「トリック」なんちゅーもんが形式不定形で使用状況不確定である以上、ナ
ンもフェアなんてモンは存在せんで。例えば”叙述”や”隠し通路”なんてのは、”本格”
にしてみれば持っての他や。いっつも思うンや、オレ。せやから読むミステリはトンプス
ンかエルロイでな。明確にして完結、あれこそ見るに美しい情緒のロジックやで」
「エルロイね……はん、トンプスンか。なるほどな、そいつはまあ、ある意味じゃ正解だよ
な。クールなミステリの最高峰だよ。……ああ、そうだな、それと同じことだよ」
俺の肯定を、ジェイムスは怪訝な表情で迎える。エルロイに、トンプスン。そいつは確か
に、実にクールだ。
「フェア・アンフェアを問うなら須らく「推理」なんてのはアンフェアなんだよ。……だから、
通すべきは一つだ。トリックじゃなく、ロジックだ。明快な論理が存在する以上、結論はそ
こにしかないし――それでいいんだ。トリックはないんだよ。そもそも、この犯人は「仕掛
け」なんて低レベルで個人レベルに依存しなきゃならないようなヤツじゃなかったんだ。
ジェイソンが密室をわざわざ作ろうとするか? 果物ナイフをわざわざ使おうとするって
のか? そういうレベルの話なんだよ、これは」
そこで区切り、部屋に沈黙が落ちた。俺は喋らず、ジェイムスも喋らない。
迂遠だな――と、声がした。
「マリア・イバンスは、死亡直前まで勤務中だった。そうだろう」
その冷たい声は――必然的にセシルのものだ。
冷静で冷徹で冷厳なそこに俺やジェイムスが口を挟めるのは、多分声のトーンの可愛
さのせいで威厳だけが欠如しているからだろう。
「……待ってえな、それ決め付けちゃうか? 逆の場合だってあるやん。目を欺くには仕
事の合間を縫った方がラク、っちゅー可能性だってあるやろ?」
「どうかな。この職場だ……時間への厳しさだけは折り紙付きだ。しかもあの狭さ、一体
どこで何をしていたか逐一チェックされる環境だぞ。私達のように暗殺に向いた能力を
持っていたのでも、特殊訓練を受けていたのでもないし、そもそもプロならばあんな杜撰
な殺しはやらん。だが、ふん。素人に見せ掛けた、という考え方は――あるのだがな。多
いに」
「? マリア女史がプロやて? 殺しの?」
「違う。それに恐らく、彼女の過去は洗ってある筈だ……でなければ、こんな場所で職員
には選ばれまい。政府機関だ。そしてマリア・イバンスだが――彼女は、その一週間に休
みを一度も取っていない。どういう事か? フランシス・ラファエーロもトーマス・ロセットも
死体の腐敗は始まっていなかったのだろう?」
「そうだな」
「仮に始まっていたとしても、死人が二人も出ればパニックになるし、連絡も行き渡る筈だ
――渡っていれば、あそこまで惨めな終わりはなかっただろう」
- 572 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 00:49:06
「……そら、例えば死体に――死んどることに気ィ付かんかった、とか」
「”気付かない”か。ふ……ん。有り得るな。この人種的には()有り得ただろう。だがな、シス()
テム的には有り得ないんだ()。貴方なら解るだろう。人を数字で管理するこの収容所の鉄
壁さが。外部から強引に破壊し得るようなバケモノ――」セシルがこちらを一瞥する。オ
イ。「……第三者の可能性がなければ、侵入もできない。普通はな()」
若年の審問官は淡々と言い切る。
ジェイムスは口を閉ざすしかなかったらしく、そっと額のサングラスを押し下げ、それか
ら渋々と相槌を打った。
「……まあ、それは解らんでもない」
「もう一つある。……なぜマリアは休日を取らなかったのか?」
反語的なその物言いは、断罪の響きで朗々と響いた。
セシルの冷たい声音は過度の清浄さで、空気さえ凍結させてしまいそうだった。
「……休日のローテやなかったとか」
ジェイムスの反論は小さくなっている。
セシルは首を振る。
そう。
それは――有り得ないのだ。
「表を見てみろ。それは”有り得ない"。この施設は……恐ろしい位に規則的だ()。矛盾点が
あるだろう。なぜ私服の死体は七つなんだ()?」
ジェイムスは眉根を寄せてプリントを目の前に掲げた。
それから数秒間じっと凝視して、嫌悪感の滲む表情で束を机に置く。
なるほどな、と呟く。
「あー……ほな、趣味が仕事っての、どうや」
そして、ジェイムスは有り得ない仮定だと解っているように苦笑して言い、
「……職業病」
俺が冗談のように肩を竦めて次ぎ、
「或いはそのどちらもか――」
セシルはそれを首を一度だけ振って空虚に繋げ、
「――させられていたか」
無為だ、と言うように冷徹に叩き落した。
続ける声は静かだ。
- 573 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 01:11:31
「一つ、資料から推測できることがある――それは、この場所に満ちていただろう虚無感だ。
ここは知識の探求社たる研究者同士の共同体、それが孤立した場所に存在するという異界
だ。ここに存在していたのは――恐らく、悪意と、無言の傲慢と、やり場のない憤怒と、研究
者間に発生する嫉妬と、そこに生まれる怠惰と、それに相克する――だが、相正さえする壊
れた節制だ。経験があるから解る。ここは檻だった――吐き気さえ催す、捩れた意思で造ら
れた、檻だ」
吐き捨てるようなセシルの口調。
だが――、と。
セシルは続ける。
「……しかし実の所、この日記に意味はないのだろう。強引な解釈をするのなら「渇望する兎」
はマリア・イバンス、狐がその他――この場合、この世界の全て……――この状況に於いて
はその他の研究員と考えられるが、それら人間全ての事だったと考えるべきだ。彼女は精神
的に衰弱していた。閉鎖的な島と絶海の孤島という環境は、慣れていない人間には――まし
て、西海岸などで育った人間には途方もない閉塞感だっただろう。ボートで行き帰りできるよ
うな距離ではないし、ならば尚の事、その孤独感は絶え難かった。周囲の適応した人間達と
の齟齬のある精神、悪化する関係――彼女は孤立していた。その場を逃げ出したいが、でき
ない。ならば自分が変わるしかなかったのだろう。そう、「渇望する兎」と、「たくさんの狐達」だ。
では、「魔法の薬」とはなんだ。孤島で作らなければいけない、そんな隔離環境に必要な薬と
は? その薬は()しかし、グールの大量発生で諸共に島と壊滅した。「食いしん坊な銀色の蛞
蝓」、というのは――或いは、彼女が地下に眠る巨大なエネルギー源が島を根こそぎ吹き飛
ばすくらいの力なら持っていると解釈したからかもしれない。――かもしれない、だ。そんなの
はどうでもいい事だし、これは強引な解釈と言うべきだ。仮にそういう事実があったとしても、
それを利用したに過ぎない()。レプリカの問題に頭を抱える必要はない。あったとすれば一点、
最後の一ページだけだ。そこだけが問題点だ。問題というより、矛盾点だな。……いや。矛盾
と言い切るには弱いが、結果的に着目する羽目になった原因がそこだという事実は覆し難い
だけだ。以前に研究したサイコパスの症例の一つに、壁中に「FUCK YOU」、と無数に書き連
ねていた男がいたのを憶えている。無数のスラングや懊悩や、比喩的な表現と共に書かれた
自分を取り巻く現実――狂人の自己表現のアート、内省の発露……、捜査員はそれを見て
眉を顰めたそうだ。書き連ねていたのは、悉くが男だ()。女にそんな症例がないとは言わない。
マリア・イバンスの生活態度や性格は解らないが、彼女にもそんな資質があったのかもしれ
ない。だが、大抵その場合、女性は「YOU」ではなく「ME」と書き連ねるのが通例だ。下らない
――本当に些細な違いだが、ルールがルールである以上は見逃し難かったのでな。彼女に
性転換の履歴やレズビアンの徴候がなかったことは検査でハッキリしている。そうなると、日
記のこの記録も怪しい物だ。実際これは矛盾だ。カニバリズムとネクロフィリズムの共存か。
滅多に見られない例だな。ハリウッド映画の見過ぎでサイコパスを誤認している人間ならば
話は別だがな、ふん。物事にはルールがある。それは当然、精神の成り立ちにも同じだ。で
はここで、「日記は捏造されていた」か、「日記はそもそも作られた」としよう。――つまり。つ
まり? もう考えるまでもない。四十五体の残された死体――三十八体の白衣の死体と、七
体の私服の死体――……挙句に、拳銃だ。防弾チョッキを付けた職員がどこにいる? 非
常時だから付けてみた、なるほど、可能性としてはないでもないな。知性のないグールに銃()
を扱えるなら()の話だが。スーツの裏に着込めるタイプの防弾チョッキなど、そもそも科学者
の島には必要あるまい。最初から何らかの目的があって身に付けていたと考えるべきだ。例
えば銃を持った人間を殺そうとして反撃された場合()などのな。製造番号の削り取られた特注
の拳銃が、政府公認の研究地区に住む人間の護身に必要だというのか? 身を守る術は必
要だろう。彼等彼女等は人間だ。素手で戦車を叩き潰すような怪力も、獣を超えた反射も脚
力も、身体を壊されても死なない力も持たない人間だからな。私達とは違う。だが、だが――
だ。彼等にそんな法を捻じ曲げる要素は必要か? ベレッタでもグロックでもSIGでも二束三
文で買えるような国に住んでいて、そんなものが?」
左手でソーサーを持ち上げて右手でカップを持ち上げ、イギリス人とフランス人に独特のポ
ーズでセシルは紅茶を啜る。
そしてこちらを向いて、「違うな」と言った。
- 574 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 01:20:36
「そういう事なのだろう? 貴様の言いたい事は――要するに、そういう事だろう。この島と、そ
の破壊を許せない貴様の理由は、そうではないのか?」
「……流石、我が最愛の相棒。以心伝心ってヤツ?」
おどける俺に、
「下らんが、同感だ」
セシルは小さく嘆息する。
パイプ椅子に深く身を埋めていたジェイムスは俺達には目を向けず、もう一度資料を眺めて、
「……アルファベット順か」
そう言った。
俺は頷く。
「そうだ」
「……で、ラストネーム順に休日やな」
そうも言った。
頷く。
「……規律正しい研究所やからこそ、休日も規則正しいワケや()。そして死んだ二人は――この
二人が死んでから全滅するまでの二日は、二人の穴を飛ばして休日に入った。そういう事か」
ジェイムスは――「で、薬っちゅーのは」
吐き捨てるように、呟いた。
「ウイルス()か」
俺は頷いて、ジェイムスは「はっ」と鼻で笑う。
その時点で、全て終わった。
全員の意見は一致し、疑問は決壊し、起こすべき行動のみが残された。
「……なる。なぁーる。よー解った。解るわ。その理解なら、オレも同感や。処置なし、処方箋不
可、ブッ千切りで最低のクソ野郎っちゅーことで。あー、アカン。許したろ思っとっただけに、余
計にハラ立ってきよった。ナマスにしても足りんでこれ」
「だから、するんだろ」
俺は喉を鳴らして応え、ジェイムスはくっくっと笑った。どこか自嘲的な笑みだった。
「ラスニー・ボーゲルだな」
セシルは独白するように言う。
「この男――男だろうな。この男が……この拳銃の処理はCIAか――CIA局員ラスニー・ボー
ゲルは、ある目的を持って島に上陸した。どうして中に入れたのか。政府施設のカードキーを
どう入手したか。あとは明確だ。論理的な帰結が示すのは、この男が政府筋からの使者だと()
いうことだ()」
そうとも。
だから、俺達はここに来た。
- 575 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 01:31:05
「……帰国後の職員に、詳細を喋られる可能性を考慮した――或いは、マリア・イバンスに内
通の可能性があった。ラスニー・ボーゲルはCIAの人間で、島への上陸目的はマリア・イバン
ス、ないしは職員全員の抹殺、暗殺だ。日記は存在そのものが捏造で、フランシス・ラファエ
ーロとトーマス・ロセットはこの男に殺害された。こんな可能性も有るな。マリア・イバンスの近
況を伝え聞くに、精神的に不安定なことは既に教えられていたのかもしれない。それを元にあ
の日記を捏造した。最初の予定ではその日記を正規の査察団にでも回収させる気だったのだ
ろう。殺害已む無しの理由の作成だ。そして、しかる後にマリア・イバンスは殺害された――が、
男の誤算は、グールの大量発生だ。脱出前にか、それとも脱出の際にか――グールに溢れ
た島での活動を前提にするのは間違いだな。恐らくは上陸後、三人の殺害後に溢れたのだろ
う。理由を考えるのは馬鹿馬鹿しいし、既に終わっている。ウイルスが漏れたのか? 地下の
エネルギー体の影響か? 第三要因によるものなのか? ともあれそこからの結果は大差な
い。局員はグールに殺害され、かくして島は孤立した。軍を送り込めば、上陸の際に余計な物()
を見られるかもしれない()。艦砲射撃で島を一掃してしまってもいいが、それでは資料が焼け残
る可能性がある。万全を期さなければならなかった――方法はあった。核だ。一切合財を粉砕
する為に可能な、俺達以外の人間が取り得る、最大最強の殲滅手段だ。罪の名の元に人間
の総知が生み出した、人造の神の火――紛い物の天雷だ。かくして大義名分は生まれ、手段
は既に手にあり、なら後は実行するだけだ。嬉々として発射された核が絶海の孤島をレイプし
た。それだけの話だ。――だが、だったら、俺達は真の神罰を携える人間だ。目は瞑っていら
れない」
セシルは資料を投げ置き、回っていたDVDを止めた。
「そうだ」
冷たいセシルの瞳に同意する。
俺は。
「問題は――」
俺は――やるべき事を、解っている。
知らず、セシルを見ていた。
解っている――と返すように、セシルはそこで、言った。
「マリア・イバンスがカトリックだったことだ。カトリック教徒が良いように使われた――この事実
には反駁の余地がある。いや、そうするしかない、と言うべきだ」
結論は、それが全てだった。
後付けの理由が反則だとするなら、これが仮にミステリなら、そこだけが「反則」だろう。
その反則はしかし真実で、そして実の所――俺達が動く最大の理由に成り得るのだ。
「ま、同感やな。……所で、行くん?」
「当然だっつーの……でなきゃこんなトコ来ねーよ。セシル、頼んだのは――」
「できている」
セシルの小さな手に、がん、と大きなトランクケースが小突かれた。
「流石。悪ィね。……よっし、それじゃ――っと」机に手を付いて立ち上が――る前に、ジェイム
スを見る。「クルマと事後処理、頼むぞ。億分の一にもねー可能性だけどさ、億が一失敗した時
にワシントンでカーチェイスなんてゴメンだからな、俺は」
「あ、待ち。待ち待ち。オレも行くわ。邪魔せーへんよって、頼むわ。エエやろ?」
「……邪魔だってーの」
「第二の祖国を憂いて何がワルいねん。ま……な、頼むわ。オレが呼ばれたん、何? マジで
サポートの為だけとか事後処理だけとか、そんなんイヤやわ」
やれやれ。セシルに視線を向けると、何も言わずに立ち上がっていた。
頷き、立ち上がる。
- 576 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 01:42:58
「あんがとさん」
ジェイムスは笑って、立ち上がった。
セシルの肩を叩いた。ちらりと冷たい視線が俺を見上げる。ガラガラと車輪の付いたトランクケ
ースを引き摺りながら、セシルは扉の外へ歩いていく。
ジェイムスが拳を差し出してきた。拳頭をジェイムスのそれにごつんとぶつけると、不敵な笑み
を浮かべる。
外に歩き出た。
風がぬるい。人影はない。車の排気音はしない。気配は耐えた夜。眠りに伏した世界。
仮アジトの裏手に泊めていたワゴンに凭れ掛かり、ジェイムスが「さて」と俺とセシルを見た。
「精々ハデにやろうや、こっからは。一応コレ、前代未聞やからな」
ニヤついた顔。セシルはつまらなそうにトランクをワゴンの後部座席に投げ置き、俺はジェイ
ムスの傍らのサイドドアを引き開けて身を滑り込ませた。
誰かが言い、誰かが応える。
「迷う命は四十七、我等の心に罪の楔を。無辜なる子羊に冥福を。――穢れた獣に神罰を」
「十字の丘に道導を。腐れる肉を殺ぎ千切り、咎める病を削ぎ契る。――汚れた魂に零落を」
「罪科は天に。御主は罰をお創りになられ、御手は我等にそれを授く。――咎める身に神剣を」
「――我等、死杓握る天使なり」
- 577 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 01:45:41
『私の父は、今なお働いておられます。だから私も働くのです』
『圧制者の為に』
『私の弓を引くがよい。私の戦車を駆り、敵を打ち倒すがいい。我等の真を知らしめる契機なの
だ。汝、いと強き御名に守られし者よ、我が軍勢の頭よ。闇の子等を追い払うのだ。天を踏み鳴
らし、大地を打ち振るわせよ。角笛を吹き鳴らし、敵共めを怯えさせよ。汝よ、恐るべき神の剣よ。
この戦、この真を問う聖なる戦は、汝の当然の権利たる聖なる塗油を受ける為の義務なのだ。
私の剣をその強き腰に佩びるがいい。奴等をあらゆる境界から追い散らし、いや果ての深淵の
中に追い落としてしまうのだ。かくする事によって我等に、頭に油を塗られた王を蔑む事が、我
等を貶める事が如何ほどに不遜で不純な罪であるか。心行くまで存分に学ばせるがいい。
汝よ、我が強き者よ』
「御心のままに」
- 578 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 01:56:59
帰り着くと、心なしか霧が濃いように思えた。
「では、お休みなさい」
DTSリムジン特別仕様のキャデラックからボディーガードを伴って降りて、運転手のお定まり
の礼と挨拶を背中で聞いた。
走り去るキャデラック。背後に排気音を聞きながら、真っ直ぐに植え込みの通路を突っ切る。
邸内には、微かな違和感があった。
邸内全体に濃霧が掛かっているような――そんな錯覚がある。
僅かだけ思案して、どうでもいいことだ、と思考の隅に追い遣った。
「明日の予定は――」
「……いや、いい。明日の朝に聞こう」
「そうですね。……そうですね、そうしましょう」
どうでもいいことだ。
思考の隅に追い遣る。
霧が濃い。
どうでもいいことだ。先も考えなかったろうか? ああ、どうでもいい。
テロの予告があったばかりではあったものの、特に滞りなく日程は過ぎている。最低限の警
備――と人は言うが、あくまでそれは人的な物だ。幾十のシステムによって管理された官邸内
は、在任中にただの一度すら侵入者を許していない。
夜は落ちて、蒸し暑さに似つかわしくなく閑散としていた。
茫漠とした空間――、一般開放されて見学可能な大理石の通りからロビーへと移動する。
人影はなく、存在の可能性はなく、その必要性はなかった。
握ったドアノブは生暖かい。速くエアコンを入れよう。
だから扉を押し開いた先のロビーが微かにでも明るいのは、予想外という他ない。普段のロビ
ーは、部屋に入ってすぐ電燈が灯る自動式だ。自分が入る前に電燈が点いているのなら――、
必然、そこには誰か先んじた人間がいるという事だ。
濃黄色の光をランプが灯す部屋には、来訪者がいた。
三人。何れも見覚えがない。
部屋の隅に落ちたねっとりとした闇は普段と同質で、しかしハッキリと拒絶の意思を含んで異
質だった。
「な――」
後ずさるよりも早く扉が閉まった。
まるで意思を持っているかのような――自然とは言い切れない勢いで。
後ろ手にドアノブを握って押してみるが、両開きのドアはガッチリとセメントで接着されてしまっ
たようで、ただの僅かも動こうとしない。
そんな彼を嘲笑うように、正面の人影が肩を揺らした。
「ハァイド・フロム・ザ・サンッ! 深い夜ですね……――貴方にピッタリの夜じゃないですか、プ
レジデント。お話しましょう、さ、こっちへ。この椅子――座り心地いいですねぇ、これ。いいな、
何ドルくらいするんです? とてもじゃあないが俺には買えないな……ああ、そうそう。俺達は別
に怪しいものじゃ――」そこまで言って、影はひとしきり肩を揺らした。「……ああ、うん。いやい
やいやいや、「怪しいものじゃない」ってのは、ちょっと、流石にキツいかな……キツいな、はは
は。いや、いやいやいやいやいやぁ、あははは、うん。キツいかな」
「き、君達は――」
- 579 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 02:12:04
言った途端、頬を風が掠めた。耳を劈く破砕音に首を竦め、音がした傍らを見る。
……樫の椅子が粉々になって足元に落ちていた。
どうやら、飛んできたのはこれらしい。
「プレジデェーント……俺が話してるんだ――俺が話す番なんだ……しっかりしてくれよ、なぁ。
今俺、言ったよな? 『お話しましょう』、ってよォ……なぁ、『ここに座ってお話しましょう』っつっ
たよなァ――俺は! なぁ、プレジデント。頼むぜ、繰り返させないでくれ。次に一言でも俺の許
可なく喋ったら殺しちまうぜ――あー、あーあー、あーあー、あーあー、あー、ああ! いいぜ要
らない! そんなのは要らないんだ! 返答は要らない! ヒュウゥッ! 俺はクソ以下の意味
もねぇ相槌は欲しくもねーからよぉ……、いいか? 「君は」も「誰だ」も要らない。言ったら殺す。
聞き返してもブチ殺す。何故だって繰り返してもまた殺す。オーケイ? 解ったら座ってくれ。二
秒で。早く」
声は抑揚なく冷静で、躊躇いがなく、つまりどう考えても本気だった。
ロビーは十五メートル近い正円を描いている。いつもは行き慣れた机までの距離が、酷く険し
く――酷く、短く感じられた。
一歩を歩く度に獣の口に歩き行くような錯覚を憶える。ゆっくりソファに座ると、対面の男は満
足そうに頷いた。向かいに座る男の顔は、歳若いアジア人のようだった。
「どうも、プレジデント」
「……望みはなんなんだ」
そう口にした瞬間、
「あんまり面白くねえ冗談だな大統領、さて。――テメェ許可なく喋ったらブチ殺すっつったぞ、
俺は」
眼前の机が折れた。
中心から、真っ二つに。
何もしたように見えなかったし、何も見えなかった。
息を飲んだ。心臓が潰れないように堪えるのに、全ての神経を総動員した。
解ったことは一つだけある。
機嫌を損ねれば死ぬ、ということが。
「『二度』言わすなっつったよなァ――俺はよォ……いいか? 『二度言う』って事は無駄ってこ
とだ……無駄は嫌いなんだよ、俺は。無駄無駄無駄無駄無駄、考えてみりゃあこの国は無駄
の集まりではあるからさ、それ自体はイヤんなるくらい解ってるが――なぁに、何にも言うつも
りはねーさ。この国の事は解ってるんだ――パセリとベーコン、チーズたっぷりのピザパイ!
ピザピザパーイ! ヘイ! パパパパピザパイッ! ヒュウウウッ! オーライオーライ、オー
ケイ、解ってるよ、なあ、プレジデント。シェイキーズのピザ! ピザピザピザ! 優しいダニー
とリサが待っている! ――ヘイ! ヘイヘイ、プレジデント! 無駄は美徳かもしれねーけど
よォ――……俺は嫌いなんだ、解るか? これ以上イラつかせないでくれよ、プレジデント。
エグんぞ」
男は首を少し後ろに引いて、ソファに全身を埋めるような体勢で両手を広げた。
据えられる瞳は黒い。
- 580 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 02:22:27
揺れる黒瞳――なのに、そこには感情の揺らめきがこれっぽっちも見られない。それはどこ
か爬虫類めいた――いや、形而上の怪物めいた無感情さだ。
ゆっくりと男の左右を確認する。
男の左には少女が立っていた。ソファの背後、寄り添うように――王を守る騎士さながらに。
闇に溶けるような衣装と闇を引き裂くブロンドというコントラストで、彫像のように彼女は立っ
ている。昨日までそこにはそんな出来のいい彫像はなかった――それが人間であることは明
らかだ。
右手には――ダイニングのバーに置いてあった筈のイームズのサイドシェルチェアーが何
故かソファの脇に置かれていた。
その椅子の上に、白衣が座っている。サングラスで表情の見えない彼――中世的な身体つ
きは、或いは「彼女」か――は、興味なさげに会話を見守っている。
どこから、と聞こうとして、思い止まった。正面の男は、じっとこちらを凝視している。
「……まあ、何も知らないのは可哀相かな。いいぜ。『誰だ?』って聞きたそうな顔してるから、
自己紹介だけはしてやるよ。俺は日本人で次元大介、アンタの左手に見えるこちらはフランス
人だが石川五右衛門、そして右手に見えるのはかの名高いルパン三世だ! ヨロシクぅっ!」
言って――男は小さく、くつくつと笑い出した。
「おい! どうしたんだよ、笑えよ! なぁ、プレジデント! イヤか? ん、それとも知らないか、
ルパン。ルパーンさーんせーい、ヒュウッ! 流行ってるらしいぜ、日本。アニメとかよ」
高笑いが響く。
「……お次はそーだなー、『どうやって入ってきたか』辺りかなー、センサーとか警備とか? い
やいやいや」男は右手の白衣に首を向けると、「どうだよ、ムズかった?」
「ラクショーやな」
声は嘲るように静かに、軽蔑するような響きでおかしそうに言った。
「どーしようもないわ、あんなモンじゃな。全部解除すんのに十分掛からんで。ちったぁ最高機
密に近い場所や。地下、確か核シェルターあんねんやろ? 会議室のよ。多少はマシや思た
んやけどな、あかん。アカンなぁ……これでもオレな、昔はこの国に住んどったし、多少は国
防っちゅーやつに協力しとったんやで? 呆れるわ。オレがあん時に作ったシステム以下や
ん。あー、ナンなら海軍長官に問い合わせたってもエエで。オレは昔兵器開発にも携わっとり
ましたー、てな。は、しかししかし、これはどうも失望を禁じませんなぁ、全く――アカン。アカン
アカン。ダメダメや。ナンも変わらん所か意識の低下がここまでたぁ――」
ひょいと肩を竦めるサングラスの白衣。
「――頼むわ、大統領」
言って、白衣はパチンと指を鳴らした。
轟音が降ってきた。
つい今しがたこの部屋に入るのに利用した入り口の前に、巨大な鉄の蜘蛛が鎮座していた。
「……!?」
「おー、流石やな、ホンマ。こんな阿呆みたいにデケぇ音発てても外に漏れんて、すげーなホ
ンマ、結界っちゅーんやで、これ。魔術師様サマ、っちゅーとこか……で、さて。さてさて、さて。
挨拶しーや、カワイ子ちゃん。こちら、プレジデント・ミスター・色男や」
蜘蛛――と言うべきだが、蜘蛛と呼ぶにはあちこちがおかしい。足は四本で、何より材質と光
沢は金属のそれだった。ご丁寧に両足に巨大な銃器が据え付けられている。総合計して言う
なら兵器としか言えない。巨大な球体の胴体に付いた四本の足――鋼の蜘蛛が前肢を動か
す。ブンブンとそれを左右に振る動作は、確かに挨拶のように見えた。
- 581 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 02:34:42
「んー、エエなぁカワイイなぁ、思わへん? 大統領。オレの十五番目の娘でな、”トグサ”ゆー
ねん。二度と会わんと思うけど、よろしゅー」
ぱちん、と更に弾かれる指。
ブンブンと振られる前肢が火を噴いた。天井が弾け、壁が抉れ、闇に沈んだままのシャンデ
リアの一部が砕けて飛んだ。
「おーおー、おおっと、ちょ、止まり、止まりぃ! あーもー、ハシャぎ過ぎやな、すんません。
……ま、この子連れてきたんはアレでな、センサーやらモロモロのキャンセル一々やっとった
ら面倒やろ? この子にな、まるごとジャミングさせてもろたんや。カオ出してもろたんは、ま、
単にシュミでな。露悪趣味っちゅーか。いや自慢の子ォやけどな。ぶっちゃけ、あのままオレを
飼ってくれとったらこんなんこの国に作って献上しとりました、っちゅーイヤミや。気にせんとい
てや。あ、後悔は後でしてぇな、ウゼーから」
一頻り言って、サングラスは口を閉ざす。もう一度指を弾くと、鋼の蜘蛛はぴたりと死んだよう
に行動を停止した。
間を置かず、黒瞳の男が口を開いた。
「とりあえずどーぞ、大統領。言いたいコトあんなら、今の内にご自由に」
「……無事に帰れると思っているかね」
途端、男は目を丸くした。
「ここまでやって、本当に――」
それが失敗だと悟ったのは、次の瞬間だ。
男が笑い始める。やがてくつくつという笑いは高笑いに、やがて身を折る程の哄笑へ、笑い、
笑い笑い笑い笑い……!
「傑作だ! 最高だよアンタ、アンタアンタ大統領ッ! なるほど! なるほどな――この思慮
の浅さ! 素晴らしいなオイ! ふ、ふふふは、ふふふはははははふはふはふはハハハッ!
『逃げられるのか』? コトここに及んで? じゃあよォ……俺達は一体どうやって入ってきた()
っつーんだ……なぁ?」
男はそこで椅子の背に仰け反って爆笑した。
「もうそこまでニブくなってるたぁな()……効き過ぎじゃあねーのか()、セシル」
「加減はしている()」
冷たい声は、男の背で――直立する少女から聞こえたものだ。
丸い感触のソプラノが冷たい、という二律背反するその声は、この異常な状況に於いて必要
以上に空恐ろしかった。
「まあいいや、いいぜ、いいさ、大統領……な、一つ見てもらいたいモンがあってお邪魔したん
スよ、俺ら。な。見て下さいよ」
男が言うと、傍らに立つ少女が小さな手を掲げた。
ごとりと物音がした。男の背後だ。
ダイニングへと続く扉が、ぎぎ、と開く。
そこから。
「な――」
- 582 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 02:49:45
闇を背負って、闇色の影が這い出て来た。
影の黒は――スーツの黒だった。
スーツ姿の男が、そこにいた。
見覚えのあるその顔に、喉が引き攣った声を漏らす。
「な――、そ」
「『そんな馬鹿な――生きている筈がない』」
男は言って、面白そうに笑った。ゲラゲラと余韻のままに笑い続ける。
「そうだよなァ……生きてちゃあマズいよなぁ()……、核でブッ飛んじまったモンが生きてちゃあ
よォ〜〜〜、『色々と不都合がある』からなァ〜〜〜!」
響く哄笑。
下品な笑い――ではない。
ただ、その響きは暗く昏く――渇きに乾いていて、凡そ人間のものと思えないのだ。
――怖い。
本能的に抱く感情は恐怖だ――が、状況はそれを逸して異常だった。よろよろとこちらに歩
いてくるスーツには、どうしようもないくらいに見覚えがあった。二週間以上前に会合を行い、
命令を与えた部下の顔には、まだ忘れ去るには難しい印象があったからだ。
ずるずると、這うように歩いてくる。
その。
その顔は。
足元まであと三メートル、という所で、意識が破裂した。反射的に立ち上がる。
立ち上がり、そして――その反射的な意識を止められた。
喉の下に、冷たい感触があった。
「動かれるな。――人間の頭一つ、取り外すのは容易い。難しいのは付けることだ()」
黒瞳の男でも、白衣でもない。
声を発したのは――黒瞳の男の背後の、少女だった。
少女の矮躯。その細い手の中に、異形の塊がある。手を丸ごと隠してしまうように広い正円
――その中央から、黒い鉄が伸びている。喉の下の感触の正体とその手元は一直線に結ば
れ、微動だにすれば首と胴が別物になることを本能で直感する。
いつ。
いつ――こんなものが。
意識はしていなかった――が、一瞬に満たない間にそれは、元々その空間にあったように
存在していた。
ソファの背後までの距離は、目算して三メートル。
それは――巨大な片刃の剣だ。
「……座られよ。首が落ちるぞ」
闇に紛れるように、刀身は黒い。
首元の切っ先から鍔元まで伸びる闇色の長大な剣身――。
少女は――軽く見積もって百キロはあろうそれを片手で突きつけてきている。
- 583 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:01:17
「……座、ろう」
ゆっくりと喉から切っ先が離れていく。
少女は片手で握った怪剣をロビーの床に突き立てる。
気の所為だろうか。
三メートルはあった筈の剣は、一メートル程に収まって床から生えていた。それでも充分
過ぎる異様は――ただ、周囲の異常な状況にあってはまだマシな物だ。
マシだ。これに比べれば()。
座る。一メートルもしない距離に、スーツの男がいた()。
恐怖を飲み込んでその顔を見る。
間違いない。
その顔には見覚えがある。
島に送り込んだ男の顔だ()。
「彼から聞いたんですよ、俺達は」黒瞳の男は、囁くように告げる。「使い捨てられたら()――
誰だってイヤですからね、そりゃあ」
口調は断定的だった。
断罪するような言葉は真実だった。
「ヘイ、プレジデント! さあ、聞かせてくれ。認めるのか()? イエス? オア、ノウ? それと
も洗いざらい彼本人の口からブチ撒けられたい?」
笑みは消えている。
言葉は凍っている。
不可避の二択を提示する男は死のように厳然と、ただ、在るようにそこに在った。
「……」
「なんだって?」
「――イエスだ」
言ったその瞬間、男が破顔する。それだけがハッキリと視認できた。ぱちぱちと拍手の音が
聞こえる。男はくすくすと笑いながら拍手をして――次の瞬間、その右手が旧知のスーツの
男へと向けられていた。拳銃が握られている。何を、と問うまでもなく、烈火が散華した。ガン
ガンと耳を灼く音。跳ねる薬莢の音は五度。頭の中身を洗いざらい床にブチ撒けられた男は、
それで身動き一つしなくなっていた。
「素晴らしいィッ!」
それは狂笑だ。
「セシル、聞いたな――ジェイムス! 完璧だ! ご直々に発言を頂いた()! 俺達の正当性()
は証明された()!」
「せ、正当性とは――」
「――俺達の正義だよ()」
男は言う。言って、ダンダンと足で床を踏み鳴らす。
「正義! 正義正義正義正義正義バンザーッイッ! プレジデント――正義! 正義だ! 爆
撃の正義! バンカーバスターの正義! トマホークの正義! ニュークリアの正義! ジャ
スティィィスッ! グレート、プレジデントッ! だろう? なぁ……アレがアンタの正義だよな()」
息を飲む。
男の瞳は、狂気すら帯びて静謐としている。
- 584 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:12:02
言ったその瞬間、男が破顔する。それだけがハッキリと視認できた。ぱちぱちと拍手の音が
聞こえる。男はくすくすと笑いながら拍手をして――次の瞬間、その右手が旧知のスーツの
男へと向けられていた。拳銃が握られている。何を、と問うまでもなく、烈火が散華した。ガン
ガンと耳を灼く音。跳ねる薬莢の音は五度。頭の中身を洗いざらい床にブチ撒けられた男は、
それで身動き一つしなくなっていた。
「……さて、もういいや。セシル――悪いな、手間掛けた。作るの、面倒だったろ()」
「手間はない……気にするな」
男の背で、少女が動いた。
その途端、颶風が巻いた。
がづん、と。
爆薬が炸裂するような音が響く。
ソファの脇に屹立していた怪剣が、そこから消えている。
音が響いたのは少女が動いた後で、その細腕が振られた後だ。
刀身は――
脳漿をバラ撒いたスーツの男に。
男の存在していた場所に()、叩き降ろされている。
這いつくばっていた彼がいたという痕跡が、世界から消失していた。
いや。
違う。
「そんなので驚くなよ、ハリウッド。エア・フォース・ワン――あれさ、俺も見たぜ。堂々と行こう
ぜ、なあ」
笑う男。
その右手に――
頭頂部を銃撃で粉砕されたスーツの生首の残骸が、鷲掴まれている。
ボタボタと断面から赤いモノを垂れ流す塊。
それを、リンゴでも掴むように――青年は、無感情に笑いながら掲げていた。
「人形だよ」
くすくす笑いに掻き消えそうな呟き。
その一言と共に、青年の右手が握られた。――抵抗すら見せずに、手の中の塊は弾け飛ん
だ。
潰れる様は、リンゴと言うよりもトマトのようだった。
ぼんやりとそんなことを思う。が、シナプスはまともな並びを見せてくれない。
「……おいおい、だから驚くなよ。マジで人形なんだ――CIA局員、ラスニー・ボーゲル! 彼
は死体ですが、他の死体ごと核爆発でフッ飛びましたッ! オーケイ、そんだけさ。これはだ
から――本当に人形なんだよ」ボタボタと掌から滴る血を割れたマホガニーの机に掛かった
テーブルクロスで拭い、男は肩を竦める。「だろ?」
「声のサンプルが取れなかったから、声帯までは複製できなかったが……写真と体型のデー
タを洗って貰ったからな、即興作にしては割とよく出来ていただろう」
少女の囁きに、男は「オーケイ」と笑って返す。
「な? 解ったらさ、あんまり気にする必要はねーって了解してくれよ。ん……んん? どうし
たよ、プレジデント。罪悪感なんてない、そうだろ? だってこいつは人形だ。アンタは幾千幾
万と見過ごしても罪悪感のザの字も感じない、スーパーハードなクールガイの筈だもんな」
既に――異星人同士が喋っているとしか思えなかった。来襲した別の星の住人が真っ直ぐ
にホワイトハウスを襲撃したのだ。なるほど、それはよくできたストーリーだし、頷くのも吝か
ではない。死臭と血臭が現実であるということを除けば。
「信じて貰えないか? いやいや、これは中々どうして、ホントなんだぜ……石川五右衛門改
め、魔女っ娘セシルだ。魔法のステッキでルラリララー、ってな――って、いや悪い、冗談だ
ってセシル……で、気付かねーか? こんな『爆音』発ててよぉー、幾らセキュリティ全部無
効化したっつっても、有り得ねーよな、誰も何も気付かないなんてのはよ()」
- 585 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:18:38
言われて――そういえば、と気付く。
何故だ。
そういえば、どうして――どうしてそもそも、灯りがついている部屋に入ろうなんて思った()?
「安心していいぞ、大統領」
と、男の背後に立っていた少女がソファの前へと歩き出る。
その声音は優しかった。
「意識がハッキリとしないのだろう。……なに、私の手品だ。フローライトと水銀で、少々仕掛け
させて貰っただけでな……二日ほどは意識が混濁しているだろうが、三日目には思考の欠落
はなくなる。いや、むしろその状態でしっかりと睡眠を取れば、三日目以降は頭が冴え渡るか
もしれないな。なにせ元々、身体に障る疲れや不眠症を落とす為に作った技術だ。ともあれ半
径ニキロ以内の人間は全員――私達を除いて、恐らくは貴方と同じような状態だろう。風呂に
入ろうとしていたことを忘れているかもしれないし、食事を抜いたことを忘れるかもしれない。だ
が、ただそれだけだ――記憶の全てを奪おうというのではない。邸内を覆っていた霧に気付か
れたか? 尤も、それも忘れているかもしれないが――ふん、気にすることはない。音が外に
漏れても誰も気に止めないし、止めてもすぐに忘れるだけだ」片手に巨大な剣を提げた少女は、
冗談のようなことを正気のように口にする。正気――その言葉が正しいのなら、確かにその手
の凶器は現実の物とも思えない。長大な刀身を支える鍔は、ふいごを逆さにしたような半円形
のドームだ。その視線に気付いた、という訳でもないのだろう。少女は物騒な凶器を胸の高さ
に掲げると、だらりと下げていた左手をそのふいごに触れさせ――触れたその瞬間、ふいご
は内部に燐光を生む。「……この部屋の空気を弄って音を停滞させた。世界が吹き飛んでも
この部屋から音は漏れんし、音は外から入ってこない――もっとも、世界が破滅すれば「音」、
等と言う観念は死滅するが。ともあれ、済まんがもう暫くだ。外には何も漏らさずにおこうか」
手短に済ませよう、と少女は嘯く。
「私達は――ただの使いでな」
「使い――」
「一応、こいつの服、これ、ケバいくらい真っ白いけど、司祭用のカソックなんやけどな」白衣
はおかしそうに笑って、アジア人を目で指した。「フリーメーソンとはワリと仲エエんやけどな、
オレら。知らんの? あー、知らんか? かーっ、ショックやわ」
「……司祭、」
目を凝らす。
そう、言われれば――
男の服装は、真っ白であるだけで、一般祭司のそれと同じように見える。
「ヴァチカンさ」
男は皮肉げに笑って、そう言った。
「――さて、プレジデント。そうだな、俺達の人種を一言で言うなら、「千年王国の住人」ってヤ
ツでね――アンタに論理があるように、俺達には神の論理が存在する。アンタの正義が核なら、
俺達の国の正義は――正に俺達みたいな人間なんだ。そして今更に言っておくが、俺達はア
ンタを殺しにきた……ってワケじゃないんだ。ただ――俺個人の意見としては、サージ・タンキ
アンとメイナード・キーナンに成り代わってアンタを成敗すんのも吝かじゃあねーんだ……魅
力的な選択だとも言えるね。だからさ、そこを穿き違えないでくれよ。ま、けど、さっきの一連
は脅すつもりよりもどっちかっつーと解って貰う為のデモンストレーションかな……そんなワ
ケだからよ。目的を受け入れて貰うだけだっつーことだな、後はよ」
既に悟った。
刃物や銃器で埋まるような差は、ここに存在しない。
力も、在り方も――
この連中は、別の居場所を持っている。
「目的、とは……」
- 586 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:21:57
『そして、知らしめるがいい。倒れる者を頭を掴んで起こし、縄で縛って臆病な山羊のように駆り
集め、地獄へと引き回すのだ。起きぬ者の頭を石で打ち据えて殺し、奴等の首魁の首を十字の
辻の中央に打ち捨てよ。その頭蓋は死臭芬々たる毒虫の苗床となろう。山羊を辺境へと追い落
とし、腐れる頭蓋を据え打つ大地に火を放て。勇気を挫き、意気沮喪し、斃れ伏した者共は許し
を請うであろう。汝は慄然とする者共を轟々たるうめきと騒音に満たされた地の割れ目へと投げ
落とすのだ。
その手に千の十倍もの雷霆を掴む我が兵よ。罪の守護者よ。
私は汝を誇りに思う』
『圧制者よ。私は貴様等の傲慢を悼む。神の権利によって或る者がすべての権利を我が物顔
に独占し、あの汚れた油に身を浸して満面喜悦と唯々諾々に圧制者に従う貴様等を悼む。己
の首を差し出し、鞠躬如と己の膝を屈し、剣を構える事も、楯を翳す事すらも忘れた貴様等を
悼む。あの赤い神酒を煽る為だけにその恐るべき軛に繋がれる事を選び、恐るべき隷属を選
択した貴様等に、私は血の侮蔑で呪いを誓う。そのままに在るべきだと思うのか――断じて否
だ、私は貴様等が真なる忘恩の徒とならぬ前に声を上げよう』
- 587 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:31:42
窓の外を見るのを止めた。
アイ・ヒッツ・ザ・ハイウェイ、ハイウェイ・トゥ・ヘル。
デラウェア・ターンパイクを突っ切るワゴンの外、ジェットコースター並の勢いで風景と車が背後
に流れていく。流れ去る夜景は見蕩れる前に抽象画同然の形に姿を変えて行くし、ドライブだとし
たら情緒もクソもない。その上、スピード狂のセシルが運転しているのならこれもいつもの事だと
納得するのだが、ハンドルを握るのはジェイムス。改造もしていないワゴンでこのスピードは異常
なのだが、どうやら俺の周りの人間は自制にタガのタの字も存在してないらしい。ブッ飛びワゴン
は制限速度を大幅にオーヴァーして、いつ警察に追われてもおかしくない、警察にしてみれば見
逃すのが大失態と言うべき速度で走行中。しかしチキンハート共め。追手はなし。ガンガン飛ば
すドライバーに一ミリの躊躇いすらなし。ゴートゥーヘル。
なので、助手席はカラである。CDチェンジャーの前に座れないのはあまり嬉しくないが、この状
態ならまだセシルの隣に座っていた方が平穏な気がしたからだ。いつも自分でこれ以上のスピー
ドを出しているクセに、セシルは「少し出し過ぎだぞ」などと白々しいことを言う。何か突っ込んでや
ろうと思ったが、色々と面倒なので止めた。車内に掛かっているのはヘラコプターズの「ビッグ・ガ
ン」で、ジェイムスは対向車を遠慮なくスレスレで掠めながら前を走る車を弾くように抜いて行く。
が、前方の車を抜く度に「ビッグ・ガン!」とか叫ぶのはどうかと思う。
「――私達の魔術が万能の産物だと勘違いしている人間が無数に存在するのは、私達がルール
を支配していると思っているからだろう。違うな。魔術には万能性など認められない。体系立てら
れているのに、携わる人間の能力の個人差が大き過ぎるせいで異端の力としか思えないというだ
けだ。魔術と技術はどう違うか――魔術は技術だ。魔術と科学はどう違うか」
「……フォーマットやないのん?」
運転席から投げられる声。
「人間だよ」
セシルはおかしそうに言って、氾濫する川のように流れていく外の景色に視線を移す。俺には楽
しいとも面白いともすら思えないカッ飛び模様の景色だが、普段からこのくらいの速度を出してい
るセシルにはこれくらいでいいのかもしれない。イニシャルD。
「人間の違いだ。私とお前の違い、と言ってもいいだろう。むしろ……」呟きは軽い。セシルは歌うよ
うに囁く。「私とお前は似ているのかもしれんぞ、科学者」
「はん? そら光栄や。よければ説明して貰えん? ……うお、っと、イルっち。どーすんねん、夜
食。ニキロ先にBKバーガーあんで。オレさっきからハラ減ってもーて。かー! なんやムショーに
ダブルフィレオ食いてー! な、寄らへん? シェイク奢るで」
「お。あー、俺はいいよ。あーいや、そこでいい、っつーイミな。あそこのトリプルバーガー、ワリと
好き」
「私はどちらでも構わん。どうせ必要ない」
「オッケ、ほなそこで――んでセシルちゃん、どないなん?」
「聞きたいのか」
それは苦笑のような溜息だ。セシルは、そうだな――、とワゴン車の高い天井を仰ぐ。
- 588 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:35:47
「把握の違い、と言ったところだな」
「……何やの、それ。観念論ちゃうん?」
「違う。……科学者、何故今の道を志した?」
「あん? オレ?」数秒の間。少し考えた、とでも言いたげな間隔を空けて、声が返る。「んんん、
オレなー、「マジンガーZ」とか好きやってん。「ゲッター」とか? 知っとる? あーうん、まあエエ
わ。HAL9000とかな、ガンダムとかなー、あとタチコマとかな。もー、メカっちゅーメカが好きで好
きでな、堪らんねや。あ、ちなみにな、アメリカの”ロボ”ちゅーんは日本のと違うねん。中にヒト
乗らへんでな。この辺は国民性の違いっつーか。んで、まーな、オレもこの国の軍にな、一辺
「光学迷彩」通したこともあんねやで。あん? 光学迷彩てなんやて? さっきな、あそこ入る前
にセシルちゃんがオレらに掛けたマホーあったやろ。あーやって周囲の環境に姿溶け込ますね
ん。流石にあんな風に熱反応までは誤魔化せんけどな、センサー使って周囲の色彩に対応し
た物体の表面情報の変化かますんや。あーあー、「攻殻機動隊」知らん? 知らん、と。問題
やで、それ。見といた方がエエで絶対。やー、アレ見た時はオレもうコーフンしてなぁ、で、当時
の軍に予算請求したらハナで笑いよってな、長官のクソジジイ。んでアマタ来たんで辞めて、
この組織入ってから似たようなモン幾つか作ってはみてんけど、どーもなあ、サイズは巧く行か
んし、セシルちゃんらみたいな魔術師がもっとカンタンに同じことしてまいよるやろ? それがも
ーショックでな、よっしゃもっとガンバロ思とったら、今更になってこの国の軍隊な、笑えんで。
オレの母校――、マサチューセッツな、あそこに開発依頼しとんねん。アホか思たけど、まー、
こんなモン現実にやろ思うアメリカの機関言うたらあそこしかあらへんでな。せやからま、納得
や。応援だけしたるさかい、勝手にやってくれっちゅーハナシや。あー、あーあーあー、っちゅー
か、よく映画やら漫画やらで「MIT出の〜」っちゅー設定はどーや思うわ。変人の集まりやで、
あそこ。オレの同類ばっかやん。それをなー、工学やら科学ならともかく化学系の博士サマや
らの役所にアテガイよんのやで? 笑うわ。あん? ハナシ? ハナシがズレとる? ああワリ、
すんません。やー、なんやろな。でもそーゆーのってさ、結局「憧れ」になるんちゃう?」
「ふん?」
セシルは――少し、意外だ、と言うような顔で前座席に視線を送った。
「解らんものだな、それは意外だ」
「はぁん、意外なん? その返答の方がオレには意外やわ。またナンでよ」
「重ねて聞くが、それは今でも同じか?」
「同じ? ああ、同じっちゅーか、今のがもっと、ってカンジやな」
「では――失言だったな。私とお前は違う。私には生まれてこの方、「憧れ」と言う勘定は存在
しなかった。憧憬など抱かない」
いつもの――揺らぎの生まれない、感情の振り幅のない声でセシルは言う。
「遠い昔、学者が魔術師と混同されていた頃があった。パラケルススの時代、ヘルメスの時代
だ。……何故そうなったと思う? 他の人間が知らないことを知っているからか、その知識を以
って何某かを成すからか――両方だろう。だが、本人達はそんな大層な意思を持ってはいな
かった。彼等が志していたのはただ一つ――自身の把握だ。自分達を理解し、世界を理解し、
体系の中に何もかもを押し込みたかった。それはなぜか――」
「……解らんなぁ」
運転席からの声は独白めいた言に律儀に即答し、そんなジェイムスに、
「不安だからだよ」
セシルは笑みを含んだ声で告げた。
- 589 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:41:29
「時間や空間の観念も、無の観念も、人間が何故人間であるかも、有り得るべき宇宙の果てへ
の思索も――それを理解しなければ不安で堪らなかったからだ。世界に自分が在ることと自分
が世界にあることは同義で、ならば自分がそもそもどうして在るのかも定義できなければ、意思
は自身に対してすらあやふやなままになる。解らないことは怖いことだ。怖いことが目の前にあ
るのは堪らなく不安だ。その不安の正体を根こそぎ解体してしまわなければ、理屈付けて体系
立てて理解してしまわなければ、生きていること自体が苦痛だ――」そこまで言って、セシルは
笑みを収める。「……魔術と言うのはな、そんな弱い人間達が選んだ手段の一つなんだ。科学
は魔術と同じ場所から生まれたが、誰にでも触れられる体系を作り出すことで不偏性を得て、
集団に敷衍して同化することで不安を打ち消した。似ている――と思ったのは、だから私の思
い違いだよ」
「はん……どーやろなあ、オレが考えてへんだけかもしれへんで」
「かもしれないな。……だが、変わらん。私達が抱き続けてきた不安は、私達という歪んだ集団
を生み出した。私達の存在が根差しているのは、根源的な心象から生まれる曖昧さだ。となれ
ば、やはりお前達の心境とは違うんだ……そうだな。私達は三十分前にこの国の中枢にいた。
本当にいたのか?」
「いたやろ」
「居たかもしれないし、居なかったかもしれない――私なら記憶を操作して「そうしてしまえる」な。
仮にそうしたとしよう。だが、「本当にした」のか? 論理的に考えれば、記憶している全ては実際
に存在しないのだとしても――そうだった、という記憶の心象は生じえるだろう。そもそも過去が
存在していなかったとしても、記憶は存在しえる。三十分前に起こった出来事を私達は記憶して
いるが――、実はそれは非現実で、正に世界は十分前に始まり、三十分前にホワイトハウスを
襲撃したという記憶を持った私達がここに存在しているだけかもしれない。この仮説は反駁の余
地を持たない。この場合、別の記憶との論理的で必然的な関係は力を失ってしまう」
一瞬の間隔。
やがて、「は!」とおかしそうに笑うジェイムスの声。
「確かに持たへんな……ははは、そら確かに。うん、オモロいわ。抽象論やなくて理想論や。は、
世界がトートツに存在して、オレらはホワイトハウスを襲撃したあとにワゴンで高速ブッ飛ばしと
んのかい。んで、これからBKバーガーへ直行や。八十年代のB級映画やな。いきなりゲームに
生み出されて配置されたゲームキャラの想念や」
だからだ、とセシルは言う。
「私達はそれが許せない人種だ。眼前に問題が存在することが、通らない理論が存在すること
が、瞼に曖昧な靄が掛かっていることが我慢できない。個々ではなく、歴史の為でもなく、当然
ながら世界の為でもない――私達はそうしなければならないんだ。敢えて言うならば同胞の為
に、同じ不安を共有する者の為に――私達は、徒党を組んでそれを踏破する。ヴァチカンという
組織に於いての魔術師も――異端審問局のそれも同じだ。理解できない異端を破砕し、持てる
全ての力を使って曖昧を殺し、不合理を壊し、矛盾を消し去る。私達は誰にも教えられずにそう
だった。学校など存在しない――統一された始まりのない、同系同類の一人だ。その意味では、
――そうだな、私はこいつに近いのかもしれない」
そこでいきなりこちらに視線を振られた。
俺は多分複雑な顔をしていたと思うし、それを見たセシルがくすくすと笑ったので間違いはな
いと思う。
ふん。それなら。
- 590 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:51:03
「……セシル。お前、ハリーポッターって知ってる?」
「ふん?」
「小説だな。子供向けの。で、魔法のさ――学校があるんだよ。そこで習ってんの、魔法。成績
付けて、ルールもあんの」
言う。
セシルは二、三度とまばたきして、それから――こいつにしては珍しい行動を取った。
ひょいと、悪戯っぽく肩を竦めたのだ。
「それは”魔法”ではなかったか?」
そしてくすりと笑って、そんなことを言う。
その仕種が普段のガチガチの規律に縛られた態度とあまりに掛け離れていて、思わず目を
疑った。目を擦らなかったのは僥倖だろう。
「……言われてみれば、そうだな」
「魔法は子供が抱く夢のことだ――魔術は、私達が生きて行く中の現実だ。理論を捻じ曲げる、
詐欺術のことだよ」
ただ――やはり、言うことはいつもと同じだ。
ちぇっ。
セシルはまだ笑みを浮かべていたので、俺が黙ることにした。
「なるほど、そこに行くとオレのメカ好きは夢で魔法なワケやな。科学は世界の魔法、よー言っ
たモンや」
言えてるな、と俺は笑い、セシルは口の端に笑みを残したまま無言で頷いた。
魔術は魔法に遠くて、科学は魔法――口に出して、そのおかしな、小さな矛盾に笑えてきた。
「お前が言っていただろう。トリックとロジック――か。ふ、そうだな。どうしても定義を選ばない
といけないのなら――魔術()と魔法()なら、私は論理()を選ぶよ。私は弱い。定義しないと不安なん
だ――夢が嫌いなのではなく、夢は怖い」
「はぁん、んで、オレの分担は科学()なぁ……なんやミョーな気分やでしかし。んー、やっぱオレ
は夢がない人生の方が怖いわ」
魔術と魔法。科学と詐欺術。
理屈があって、論理がある。
論理がなければ、理屈は立ち行かない。理屈が回らなければ、存在に価値などない。
そうだな、と言って、俺は窓に流れていく街並を見渡した。
「さて……んで、あのオッサンはどんな定義を選んでくれるかね」
- 591 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 03:55:34
『箱庭の外も知らず囀る人の子よ、汝等に価値はあるのか? 夢は妄想と気付かぬ汝等に、
果たして死すらも価値を持つのか?』
『悪魔共は知るだろう。今に御創り主の雷霆が一切を焼き尽くす火となった時、その時こそ初
めて、悪魔共が自分を創造った者が誰であるのか知る時だ。我が鉄杖を授く強き者よ。見る
がいい。如何なる城壁も汝の剣は打ち砕くのだ』
『汝は――』
『強き者よ、我が裔よ』
「好きにやるさ」
- 592 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 04:05:06
頭痛がするので起きた。ケガはしてない。音のせいだ。
トード・ザ・ウェット・スプロット、”ロックン・ロール・オール・ナイト”。それ自体に問題はないが、
寝ている俺の耳を叩いていく順番が腐り切ってやがった。この三曲前に流れていたのはフーの
”マイ・ジェネレーション”で、続いてムーディー・ブルースの”一日が始まる”から直行で”サテン
の夜”、終いに直前に流れていたのはロンドン・フィル・ハーモニーが演奏した「イエス」だ。趣味
が悪い、なんて一言で片付けていい所業じゃない。怠惰に舐め切った、ベルフェゴールの大罪
だ。
固いソファで寝ていたので身体のあちこちに違和感がある。周囲はいつも通り、そして昨日の
夜に見た通り、腐海同然で不快極まる機械の海というか、新型機械とまだ稼働する部品とジャ
ンクパーツの海だった。大漁なのは構いやしないが、こんな大漁は嬉しくない。視線の先数メー
トルの場所、廃棄PCの山の中、「食い倒れ人形」の身体にキティちゃんのアタマを付けた人形
があり、その両手に轟音を零すコンポが支えられている。最低だ。
「おう、起きたんか」
「ブチ殺すぞヒューマン」
「……いやなんでイキナリ殺されなアカンねん。ハンニバルかお前は。フロム・ヘル、笑えんで。
あー、もー、……なぁ、どーにかならんか。……オマエな、寝顔はキスしようと思うくらいカワイ
イのになぁ」
「奇妙なセリフ吐けねぇようにアタマ潰しとくのも吝かじゃあねーぞ……ふん、レクター博士なら
マシだったよ……キリング・イズ・マイ・ビジネス、俺は彼より職業的だ――つーかテメェ、なん
つーシュミの悪さだ。マジでセンス壊滅してんじゃねーのか」
「あん?」ジェイムスは回転椅子をぐるりと身体ごとこちらに回す。咥えていた棒付きアイスを口
から放し、「何がやのん。寝顔録画しとったのバレたん?」
ファック。マジで気付いてないならコイツは今すぐ死ぬべきだ。
立ち上がり、食い倒れキティ(即効命名)の持ったコンポの停止ボタンを押した。止まらない。
「ああ、それ止まらんで。本体ブッ壊れてしもたんで、今はリモコンオンリーや。ホレホレ」
ぷらぷらと振られるリモコン。
……。
そういえばホルスター、カソックと一緒に昨日ハンガーに掛けっ放しじゃねぇか。
「チッ」
「……ちょ、待て。待てお前ッ。今懐探ったやろ。おい。オイィ! 「チッ」やないわアホゥ!」
「つーか……っせーよガンガンガンガン、いやガンガン鳴らすだけならイイんだよソウルフライ
でもMC5でもよォー……でもなぁ、テメェ――フーからコンボでムーディブルースっつーのはど
ーなってるっつーんだぁ〜〜〜ッ! 挙句にラストのイエスってお前何あれ、耳が死ぬかと思っ
たぜ。死ねテメェが」
「音楽のシュミで殺されたら堪らんわ。なんやオマエ、ムーディ嫌いなん? 人生ソンしとるで。
デイズ・オブ・フューチャー・パスト! 世界で数少ない価値あるロックや。オマエのド煩いオン
ガクなんぞ、ソウルフライの”ブラッディ・ルーツ”くらいしか聴けるモンあれへん」
「”ブラッディ・ルーツ”はカヴァレラ在籍時のセパルトゥラだけしか認めねーよ。第一テメェ、違ぇ
んだよ。問題が違うんだ、問題にしてる場所が。ムーディの余韻をブチ壊すコンボが最悪だっつ
ーんだ。そーいうのを「理屈が通らねえ」ってんだよ。論理的じゃねえ。音楽は要素じゃねえ。情
緒の芸術だ」
「……アカン、オタクの思考は理解できん。どないな論理やねん。エエやろ? どんな順番でオ
ンガクしようが――それより、な。テレビ。さっき会見あったで。公式発表」
- 593 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 04:16:21
よかねえよ、と立ち上がる。
背中からディスプレイを覗き込むと、ディスプレイはテレビを映していた。リアルタイムで録画
中の番組は映画専門チャンネルの「プロモーション・オンリー」。
「トレヴァー・ラビンだってフィル・ハーモニーの「イエス」は納得しないって名言してらぁ……へ
え、公式発表――ってーと」
「見れば解るやろーけどコレとちゃうで……ま、アレしかあれへんやろ。ビデオ撮ったるけど、
見るか。「カウボーイ・ビバップ」と「キム・ポッシブル」撮ったからな、もうエエで」
「……いいや、別に。面倒臭ぇ。なんて言ってた?」
ジェイムスは机の隣に置かれている冷蔵庫から(真隣だ。比喩抜きに)コーラを一本手に取
るとその場でシャカシャカと振り、そしてこちらに投げようとし――俺が睨み付けた。「冗談や」
コーラを冷蔵庫に戻し、別のコーラを取って寄越すミスターギーグ。人はパンのみに生きるに
あらず。我等が救い主はワインの血とパンの肉を授けられたが、だがしかし、こいつのワイン
はコーラでパンはハンバーガーだ。資本主義の教義、偉大ナリ。
「つーかまたコーラっスかよ。お前その内さ、血液がコーラに変わるぜ。ジョーク抜きに」
「スプライト切らしてしもてな。ま、ええわ。ミスタもコーラのが好きやった筈やで」
知るか。コーラのプルタブを開けて、一口。微妙な味が口一杯に広がった。
バニラコーラだった。イヤガラセか。
「……んで、なんだって? さっきの話」
「ん? んん、ああ。海軍長官罷免しよった。……んで、自分の活動をな、ま、つまりゴルフや
らのな、暫くは政務に没頭するから、一切合財そういうのを止める、っちゅーて。アレやな、ボ
ーリング・フォー・コロンバインっちゅーか……あー、そや。そうそう」ついでだ、と言うような口
調でジェイムスは続ける。「研究員の遺族には充分な支払いを――、や、そうやで」
正についで、だ。
俺は肩を竦める。
ジェイムスは回転椅子に逆向きに座り、背凭れを両手で掴んでこっちを見ている。暫くそう
やってこっちを見た後、
「なんや、つまらん反応やな」
本当につまらなそうにそう言った。
「つまんねえ対応だからな……ま、仕方ないだろ」
「はん。そら、ま……言えとるわ」
コーラのプルタブを起こし、機械に埋もれたソファの一つに腰を降ろす。ここまで来ると「ソ
ファの周りの機械」と言うより、意思を持った機械の海に飲まれたソファと言うか、映画の「マ
トリックス」然とした感想を抱いてしまう。冷蔵庫にはガラナジュースやらゴーヤジュースやら、
危険物寸前の飲料が満たされていて、つまりこの部屋は、この部屋の主のあらゆるゲテモノ
趣味が辿り着いた最果てだ。
- 594 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 04:29:15
「研究員の遺族に――かよ。どうせなら貧民層の撤廃に力入れるなり、ハリケーンの被害者
への対応増すなり、やるべきことはあんだろうがよ――そんな意見をどう思うよ、オタク」
「オタクにオタク言われんのな、ムカつくで。音楽オタク。どう思うて、そんなん決まっとるやん。
一般意見やな、っちゅーとこや」
「この場合は……一般的じゃない意見を選択したら色々終わっちまうからな。公表しなきゃ俺
等があのオッサンをトるし、あの会見だ、ヘタなトコまで触れたら野党が黙っちゃいない。いや、
あの国の現状じゃその辺も曖昧か。曖昧曖昧、どーしようもねーやな。誰が悪かったのか?
誰も彼もが悪かった。あのオッサンは遡れば目に付く加害者だった、ってだけだ」
「まーの。あーあとな、ジョヴァンニのオヤジから連絡やで」
上層部からの報告を付け足すように口にするジェイムスは、明らかに言う順番を間違えて
いる。
「万事滞りなく、貧民街のカトリック系の教会には政府から多額の寄付が入ったらしいわ()。つ
いでにな、治安強化も問題なしやと」
「そりゃめでたい。俺等が治安に回れりゃ一番だけどな。そうもいかない」
治安くらいにしか使えない俺が暴徒鎮圧にすら回れない。それは本当に、何か悪い最低の
皮肉のように思えた――の、で。
どうやら、俺は笑っていたらしい。ジェイムスがイヤな笑顔を返しやがる。
「キモチ悪いの。どしたん」
「いや、なんでもない……世間の常識ってのは魔術的に悪意に満ちてるな、と思っただけ」
「あん? 超魔術かそれ。常識なぁ……のー、ヘンなこと言ってもエエ?」
「いつも通りじゃねえか」
「うっさいわ。あー……ちゃうちゃう、話はアレや。マリア女史な、あの科学者」
「あん?」
「いや、なんちゅーか……同類としての意見やけどな、単なる。あー、いやな、あの人、調べ
たらイェールやとセンパイになるんやわ、オレの。あの人あれで成績優秀でな、すげーで。
校始まって以来の天才や。秀才やない、天才な。飛び級早期修士博士早期取得、ソッチら
辺に興味ねーオレにゃ解らんけど、目に見えてパーフェクトな人やったらしいんや」
オレ程やないが、とわざわざ付け加えるジェイムス。
「へえ。それで?」
「それで、っつーか。なあ、あの人、ホントは……」
ジェイムスはそこで「うーん」と唸り、
「いや、やっぱヤメとくわ。確証ある訳でもないし」
「……お前な、途中まで言ってとかそれ、キモチ悪さマックスじゃねーか。言えよ」
「イヤや。男は一度決めたらそれを曲げんモンやで……ま、そやな」
ぐるぐると回転椅子の座席に跨って回っていたジェイムスは俺の正面でぴたりと止まる。
そして。
「科学者ゆーんはな、人種や。発露する場所ないとな、息苦しいで」
それだけ言った。ディスプレイに向き直って俺に背を向ける。
……ふん。
- 595 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 05:09:37
「まあいいや、どうせ大したことじゃねーだろう、し、って……うわ、もう昼前かよ。そんじゃ、
俺、ちょっと出掛けるわ」
肩を鳴らし、手首を曲げて鳴らす。眠りが長かったせいだろう。酷く困憊した全身は、レゴ
ブロックのように懲り固まっていた。
「ナンや、もう行くんかい」
「一応、アイツ見舞う約束しててな……アイツ、命令だったとは言え、自分から協力してくれ
たんだよ。それにアイツ――セシルな、約束破ったりしてキレさせると洒落んなんねーんだ
よ……今までローマがゴジラに破壊された事がないのは奇跡ってとこだな……どうする、
行くかよ、お前も」
「行きたいけどなー、ま、止めとくわ。馬に蹴られる所かペガサスに食い殺されかねん」
「なんだよ、それ」
「あん? ちょっとしたダーウィニズムやで、センセ。”空飛ぶ馬は実在するのか”? その
馬が存在するなら、オレはソイツが怪物の如き肉食の凶暴種やと想定するわ。……どや、
生物学的にも想定の論理は成り立つで」
言って、ジェイムスは笑う。
言ってろ、と背中に言い残して部屋を出る。暗い地下を抜けて階段を昇り、実に三十階
建てのマンション一つ分を昇り切り――その途端、顔に清涼な風が吹き付けてきた。
目を見開く。
見上げる太陽は柔らかく明るく、温かった風だけが微かな冷気を帯び始めている。
九月は中旬。
季節は秋。
世界は巡る。
涼しくなっていた。
- 596 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:21:15
『全ての星の名を、全ての天使の名を、全ての永遠の秘密を、天と空と地と海に於ける全
てを知って、強き者よ、お前のするべき事はただひたらすらその知識に相応しい行いを加
え、信仰を加え、忍耐と節制を加え、やがて聖き愛という名称で呼ばれる筈の、その一切
の物の魂である愛を加える事だ。そうなればお前もこの楽園から出て行こうとは思わない
であろう。内なる楽園、遥かに幸多き楽園を、お前は持つ事を許されるからだ』
『私はこの冷たき住処で、この手足を縛る冷たき鎖の中で汝に告げよう。神の境涯が如何
に脆い物であるのか、神の心を長く喜ばせ得る者が果たして在るのか? 私は一戦敗れ
てこの地に終焉を見るが、私の所行()が悪と呼ばれる者であったのか、私は告発しよう。自
身で自身を告発するのだ。我が名は告発者。まず最初に神は私を滅ぼした。今度は人間
の番だ。次は果たして誰か? 強き者よ、汝は偽りの『無垢』に欺かれぬよう』
- 597 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:27:34
「……なんだよ、いねーのか」
宿舎の最奥の扉を開けると、伽藍堂の部屋は無人の大伽藍だった。
整頓されている――というよりは、最初から何も持ち込まれていないと言った方が正しい
部屋には、クローゼットと冷蔵庫しかない。その冷蔵庫はと言えば、中身がミネラルウォー
ターだけしか入っていないことを俺は知っている。壁には何故か達筆で描かれた「必殺」と
いう掛け軸が掛けられているが、それ以外は本当に装飾らしい装飾が見当たらない。
だったらセシルはどこだ。見回して、
「い、」
「い?」
声に振り返る。
バスルームの真ん前にセシルがいた。
「いいいいいいつ入ってきた、貴様っ!」
「……いや今っつーか、お前その格好、」
バスタオルを身体に巻きつけているのは――見間違いがない上に声で確認して更に間
違いがない。
セシルだ。
寒くないのか、それ。ち、違う。そんなの言いたいんじゃなくて。
「いや、ちょっと早めに来て置こうと思、」
あ、ヤバい、そ、それも違う。
「あ、」
「いやその」
「う、」
「……えーと、その、あれだ」
「うぅ、」
「う、薄いな」
胸が。いや、それも違う、
「……、……」
「いやあの」
「うあぁぁぁぁぁぁ!」
取りあえず――
その瞬間は。
何発食らったか憶えていない。
意識が落ちた。
- 598 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:28:24
「ふぅん……急に休暇ってのも妙な話だよな」
漸く落ち着いた。右腕が胸の上まで上げるだけで悲鳴を上げていて腰と左の脇腹が疼
痛を訴えているが、それも無視だ。ダウン状態の人間に平然と追い討ちをキメるような人
間には何を言っても始まらないし、追撃でも食らったらコトだ。ベッドに腰を据えて髪に手
串を入れるセシルを床の上で胡座を掻いて見上げ、改めて無駄に整った顔立ちだ、と世
の無常を確認する。本当に修道女にこのツラは必要なのか。
「休暇、と言うよりは……また左遷だな」
「ふん? 今は猶予期間?」
「私の行動がご老人方の気に障ったらしい。騎士団に手を貸すのは言語道断、だそうだ。
その通りだな。どうやら私は馬鹿な事をしたらしい」
「本気でそう思ってる?」
「私は口に出しては言わないんだ」
だろうな、と俺が声にして言った。
要するに「仲の悪い組織に手ェ貸してんじゃねーよ幹部が」という意味で、日本で最近
で言うなら自民党と造反議員の関係だ。とはいえセシルは、能力はともかく性格が一人
共産主義的というか壊滅的に政治に向いていないので、それはあまりに不適切な喩え
ではある。
が、そも、騎士団()と審問局双方の上層部からの命令だったのだ。そこにケチを付ける
方がどうかしている。組織の老害極まれり。
言うと、
「付けてどうなるものでもない」
のだそうだ。
「老人方は自分達の発言が絶対で、その意識には間違いなどないと思っているからな。
彼等の思考にモラルは一種類しかない。老獪なる知識には頭を下げるしかないと言う
訳だ……その時々でコロコロと意見を変えようが、変えている人間がルールなのだから、
そのルールに従うのは間違いではない――解るか?」
「最低だな」
俺は言って、セシルは鼻で笑った。
「……所で、貴様」
「なんだよ」
「……こ、ここに来る途中、誰にも会わなかっただろうな」
「会ってねーけど。なんだよ、会っちゃマズいのか。ここ、審問局の宿舎っつー訳じゃな
いだろ? 修道院付きではあるだろうけど」
「そ……、それは、そうだが」
「まあいいよ。それに……そうだな、休みなら丁度いいや。外出ようぜ。風が冷たくなっ
てきてる……丁度いい感じだ。コーヒー飲みに行こう。気晴らしにいいだろ」
「な……待て、無理だ、急にそんな」
「物事は急だよ、いつだってな。それに、偶にはいいだろ……あれだ。デートだよ、デー
ト。代金は俺が持つ」
「で、デー……い、いや」
ふるふると首を振るセシル。が、それから一瞬だけ俯き、こちらに探るように真摯な視
線を向けてきた。
その剣幕に、思わず上体を引く。
- 599 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:30:54
「今……代金は貴様持ちだと言ったな?」
「そ――うだけど。だって別に……高くないだろ、コーヒーな、」セシルの顔を見る。その
顔が。その口の端が綺麗に三日月を描いて、ニヤけ、「ん、て」
その瞬間、セシルの頬に、してやったり、と言いたげな笑みが浮いた。
……あ、ちょっと、それ。
「いや、場所は俺が選、」
「いい店を知っていてな。普通の店のディナーよりは高いが――男に二言はあるまい。
馳走になろう」
「……」
俺が遅い。コーヒー二杯の支出が確定した。
つーか、幾らっスか、それ。俺の普段飲むコーヒーは、日本円にして最高レベルでア
イスコーヒー860円が限度で限界だ。
「まあ、いいよ。それくらいなら。滅茶苦茶痛ぇけど。……じゃ、早速」
「貴様は先に外に出ていろ。着替えてすぐに行く」
言い置いて、セシルは立ち上がる。
と。
クローゼットの前まで歩いていくと、ぐるりと首をこちらに向けた。
「いつまでいる気だ?」
「……え? あ、いや」
「三秒で出ろ。でなければ」
走って外に出た。何が言いたいか解ったし、何をやろうとしているか解ったからだ。ナ
マスにされるのもゴメンだし、ナイフで剣山にされるのもお断りだった。せめて時間を止
めるスタンドがないと対処できない。後ろ出にドアを閉め、やれやれとドア正面の窓縁
に寄り掛かる。部屋を出て真正面の窓からは蒼い空が一望できたので、そうしてなん
とはなしに外を眺めていると、背中でガチャガチャとカギを掛ける音がした。
「ああ、セシル」
「ひゃぁあっ!」
……なんか凄い声出したな、今。
「何驚いてんだよ、お前。……着替えたんだろ、それじゃ外、」
「いいいいいきなり声を掛けるな馬鹿! 馬鹿者!」そこで廊下を見てからこちらに振り
向き、「そ、外に出ていろと言っただろう!」
建物の外で待つのは良くて部屋の外で待つのはアウト。その理屈が解らない。聞き
返そうとしたその時、セシルが俺の手首を想像以上に強い握力で掴み、その想像以上
すら上回る予想外の腕力でずるずると建物の外まで、殆ど走るような速度で引き摺り
出してくれた。
手首にはくっきりと小さな手形が残っている。
……こいつ。
あのバケモノ剣振り回してる理由、「魔力でどうにかしてる」とか言ってたけど、嘘だ。
絶対。
修道院から数十メートル先の路地でぴたりと足を止め、セシルは唐突に辺りをきょろ
きょろと見回した。念入りに修道院の方向を確認すると、はあ、と深く息を吐き出す。
- 600 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:33:29
「……なんだ、そんなお前、俺を見られたら悪い理由でもあるのかっつーか、生ゴミみ
たいな扱いされてねえか俺」
「ち、違う! 違うが……」ぼそぼそと呟く声。「……同僚が」
「審問局の?」
「う、む」
「なんか悪いのかよ、それ」
「あ……ああ、そうだ。その、き、騎士団の人間と一緒にいるというのは、あまり、よくな
い」
「……なるほど」
それは一理あるか。
今思い付いた、みたいに言われた気がするけど。
改めてセシルを見る。淡い白のノースリーブワンピースに水色のノースリーブブラウ
スを重ね着していて、それがブロンドの長髪と相俟って風景によく溶けている。別にこ
こが日本でないから、という理由じゃなく、純粋に秋空とセシルは合っていた。
そうして暫く突っ立っていると、通りに目を向けていたセシルがふとこちらに視線を向
けてくる。目が合う。
「な、なんだ」
いや何だって言われても。
「似合ってるな、それ」
「……は? は――あ、え? え、と、え、え?」
セシルは俺を見て、それから自分の服に視線を落とし、それからまた俺に、ついでに
左右を見て、もう一度服を見て、とにかく笑えるくらい狼狽した。
少し可愛かった。
笑い声を上げたら睨まれた。
「……いや、ごめん。それよりアレだ、行こうぜ。涼しくなったのはいいけどさ、暗くなる
のも早くなったんだ」
「ふん……」
迂闊に誉められもしねーのかよ。
なんて厄介な女だ。
軽く伸びをする。
目的地までは歩くことにした。オッタヴィアーノ駅を横目に、システィーナ礼拝堂から
遠くまで。普段なら”カフェ・フロリアン”が定番なのだが、しかし、今日のコーヒーは通
常の店よりお高いそこにも増して高いそうだ。あまり笑えない。しかも払いは全面的に
俺で、余計に笑えない。
秋の陽気――というには、漸く乾きを得た清籟が、空から通りに落ちて真っ向から吹
き付けてくる。
セシルが肩に掛かった髪を払う。その動作は自然な上に洗練されていたが、誉める
とまた睨まれるので何も言わずに黙々と距離を消化した。
通りは狭く、人は犇いている。
それがこの町のロジックだ。
広場にはいつも通りにジプシーの子供が盗みを働いているだろうし、広場の花売りは
それを「いつもの事だ」と見送っているだろう。俺を観光客と勘違いして「いつもの事」を
繰り返した少年集団が一度か二度路地裏に転がった事もあったが、顔を憶えられた今
となってはそれも「いつもの事」になってしまった。連中は俺に近付かないし、俺の前で
は盗まないし、俺がいなければ盗むだろう――それだけだ。つい今しがた通り過ぎたピ
ザ屋で俺に手を振っていた男はギャングで、その上でもって組織の幹部だ。しかしクリ
スチャン。俺を相手に懺悔に訪れた事もある。街灯に凭れ掛かって手を振ってきた奴
もそうだ。連中は必要悪だと縄張りを主張し、みかじめを確保し、そして俺にピザを奢っ
た。セシルには言わなかったが、しかしとどのつまり、今の俺の上司はそれを排除する
べきだ、とは結論しない。麻薬を扱わない、ローマの他組織の情報をリークする、という
条件で半ば個人で提携を結んでいる人間は存在する。いつか拮抗が崩れる日が来る
のだろうか、と夢想する。その日、その黙示の日、俺は世界中の人間を殺すのだろうか。
邪魔をするなら叩き潰す。
役に立たないのなら踏み殺す。
それが――恐らくは多分、俺がこの街で守るべき論理なのだ。
- 601 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:36:28
「そういえば――」
程なく見えてきたナヴォーナ広場の噴水に差し掛かって、無言で歩くセシルに切り出
した。
「なんだ」
小首を傾げる様にイチイチ長髪が踊る。……何か別人であるような錯覚を抱いて、慌
てて言葉を繰った。が、言おうとしたことが霧散しているので、どうせ零れるのは俄然無
意味な言葉の羅列だ。
「……涼しくなってきたよな、最近。もう秋だ」
「今日から漸く、と言った陽気ではあったがな」
涼しい顔でセシルは言う。――しかし正直、昨日までも一度としてこいつが暑がってい
るとは思えなかった。
告げると、「私だって暑いものは暑い」と応える。だったらプールに行きたいだのクーラ
ーのある所がいいだの、一言くらい言えばいいのに。
そうすれば可愛げも出る――、とか。そう思ったら、
「代謝は調節できるがな。そう簡単に割り切れはしない……私の同僚などは、身体中に
冷却の印象を掘り込んでいる」
情緒を木っ端微塵に打ち砕く返答が即効で返ってきた。
「……何それ」
「州一つを氷河期に落とすレベルの呪いを自身に彫り付けているんだ。そうしないと焼け
死ぬと煩くてな」
「……煩いとかそういう問題じゃないだろ、それ」どんなレベルの暑がりだよ。「つーかな
んで生きてんだよ」
「それでも足りないらしい。が、しかし、冷やしておかないと私達が焼き殺されるんだ。ロ
ーマが全焼するぞ」
……。
絶対会いたくねぇ。
「それに、美人だな」
「今度会ってみようかな」
殺すぞとばかりに睨まれた。なんでだ。
噴水の縁に座る。
俺は少し頭より高い位置になったセシルの顔を見上げて、なあ――、と口にしていた。
自然に、そうするつもりもなかったのにそうしていた。
しかし口にした以上、声は空気を振るわせる。音となってセシルに届いている。セシル
は立ったまま俺に視線を合わせた。
「どうした? ……店ならまだ先だぞ」
「お前はさ――」
その先は――言うべきだ、とは感じていなかった。それだけは間違いない。
だから、俺がそれを口にしたのは、
「マリア・イバンスは被害者だった。そう――思ってるか」
自分に対する、確認作業のようなものだったのかもしれない。
- 602 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:42:26
「……なんだと?」
表情は変えず、声色も変えず、声も荒げない。
静かな視線。静かな面持ちのまま、セシルは微かに眉根を寄せたようだった。
俺は、言う。
「そのままの意味さ」
「因縁の元に乗り込んで、結論も出した。今更何を言っている」
「マリア・イバンスは全ての罪を擦り付けられて、その上で消される予定だった。予定調
和のスケープゴートだ。その予定だったのは間違いない」
セシルは静かに答えたし、俺も静かに返した。
俺に合わせて繰り返される日本語の会話は周囲から剥離していたが、無感情なこの
国の人間は誰も気に止めない。
じゃあ、と俺は続ける。
「けどな、原因はなんだった?」
それは――質問と言うより、反復だった。
セシルは一呼吸ほどの間を置いて、
「……? だからそれは」
「そう、ウイルスだ。ソイツは間違いないさ。けどさ、あの時お前も言ったろ? 『この日記
は本当に捏造されたのか?』――ってな。その通り、捏造されたのかもしれない。日記を
丸々捏造された――その可能性はあるな。いいや、それが適切だと言うべきだ。あの職
員が島に持ち込んで、いかにもマリア女史のだ、ってカンジに見せ掛けた……多いに有
り得るからな。なんせ、その時点じゃ『核をブチ込む』なんて発想はなかったんだ。暗殺
した後で、「危険思想の持ち主の排除已む無し」ってカンジに持って行きたかったのかも
しれない……ソイツは有り得るよ。ただま、ミスター・プレジデントの反応を見るに、「研究
員は皆殺し」ってのは基本だったみたいだからな。そこまでは絞れたんだ。……けど、セ
シル。こんな可能性はないのか? 「日記の後半のみを捏造された」って可能性は、さ」
「それは――」
言葉尻を飲み込むように、セシルは口を閉ざす。
「……考えないようにしていた、って奴かもしれないな、お前の場合」
数拍の間。
セシルは首を振って、俺の隣に腰を据えた。
「かも、しれないな」
「まあ、それでも通るさ。職員がどう動くかまでは知らされてなかった――とすれば、論理
は通る。事実、アワ食って驚いてたからな、あのオッサン」
「……結果は何も変わらない筈だ。日記に吐露したいことくらいは、誰でも――」
- 603 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:50:13
そう。
セシルは日記の現物を見てはいない。
ここからは、だから俺だけが知っていることだ。
「こんな可能生だってある。セシル、”バイオハザード”知ってる? ちなみにバンドのじゃ
ねーぞ」
「……隔離が、どうした」
「近いけどな、俺が言いたかったのは……まあいいや。つまりだな、セシル。こういう可能
性もなくはないだろ。グール化を引き起こしたのは――マリア・イバンスだった()」
セシルがの瞳が大きくなる。無言に突き刺さる視線をそのままに、続けた。
「グールの大量発生――考えるまでもない。それこそが「魔法の薬」で、その効果だった。
絶海の孤島で狂った科学者は人体に痛烈な変化を促すような薬を精製し……そう、タヒチ
のゾンビ作成さながらの薬を作り出したんだ。原因は誰か? 何なのか? マリア・イバン
スこそが、既に絶えたその正体だった」
「……、それは」
「”そんな技術はない”なんてヤメてくれよ。人間をゾンビ化するような術を使える奴が他の
奴に「それはできない」ってさ、そりゃちょっと傲慢だぜ。出来たんだよ()、マリア・イバンスに
は。そう、役を当てるならラスニー・ボーゲルはミラ・ジョヴォヴィッチだった――女じゃねー
のが難点だな。ああ、別にあのCIAの殺し屋に同情してんじゃねーよ。元々アイツは殺しが
目的であそこに行ったんだ。死んで当然って野郎だったことに間違いはねーよ。それに、
奴は現に死んだんだ。だからアイツは悪人で、悪人として死んだ。それだけだ」
「確証は、あるのか」
「ないさ。そんな物はない。でも、有ると言えばそうだな……マリア・イバンスの日記の余白
には、幾つも奇妙な組成式の走り書きがあった()。イリヤ爺さんに聞いたら――ただの悪戯
書きじゃあ、なかったらしい。あの爺さんは冷戦以前からロシアでその手の研究もやってた
からな。エラく詳しいんだ。三回くらい人類滅亡させかけたらしぜ、あのジジイ。殺した方が
いいよな」
「……それは」
「それだけじゃない。恨み辛み同然の日記は、約一ヶ月で加速度的に支離滅裂になってた
んだ。中盤からはもう散文詩とサイコパス日記の折半だったくらいだ。お前の言う通り、確
かに――あそこは地獄だったんだろうよ。無呼吸空間の地獄だ。閉鎖的なのは物理的な
意味だけじゃない。あそこは――、精神的にも閉じられてた世界なんだ。人間関係は崩壊
していたし、会話すら成立していなかった。外部への電話連絡は禁じられていた上に、マリ
アは他の職員に疎んじられていた。これは予測で皮肉だけどさ、他の職員よりも秀でてい
たから――阻害されざるを得なかった。掃け口が存在しない空間だから、マリアは追い詰
められ続けた」
「……反則だな」
「反則?」
「情報の全提示が、あの時お前が言った「フェアであること」の条件である筈だ」
どこか拗ねるような物言いに、さあな、と俺は肩を竦める。
「……そうでもないだろ。今の情報は、あくまでマリア・イバンスが「日記に奇妙なことを書い
ていた」ってことしか示してない」
俺は前を向いたまま続けた。噴水の前でハトが撒かれたパン屑を突付いている。
- 604 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 20:59:02
「どんな形にでも、論理()は通るんだ。通せない物はない。通ればそれは正しいが――それは()
事実だったのかどうか()。それは位相が別だ。真実と事実は別物だ。観測できなかった事実に
対しては、論理的解決、なんてモンは存在しない。限りなく正解に近い正解は見付け出せる
かもしれないが、限りない正解は見付けられない()。100%の真実は、正解そのものは見付け
られないんだ。そこに介在するのは個々人に依存する不確定要素の塊だからな」俺は自分
でも意識しないほど投げやりに、深く溜息を吐いた。「どんな強引な理屈だって通るんだ。お
前が言ってたろ? 「記憶なんてどうにでもなる」――ってな。正に、正にじゃねえか。例えば
……お前等なら、姿自体を変えちまえるんだからな。前提その物が成り立たねーよ。俺にし
てもそうだ。仮に俺が犯罪者に成り下がったとして――真実程度なら、どうにだって変えるく
らいの力はある。首相を殺し果せて、そのまま雲隠れすることは難しいことじゃない。でも、
やらない。「やったかもしれない」だけ、「かもしれない」だけだ。何もかもその連続なんだよ。
”凍ったバナナで人は殺せるか"? 結論から言えば、殺せるよ。でも例えば……確率的に
そりゃゼロに等しいよな。マトモな人間なら殴打用の凶器に凍ったバナナなんて選びやしな
い。サイコパスのレベルだ。余程のバナナ好きだったとか? バナナに恨みがあった? 傑
作、どこのギャグ漫画だっつーんだよな、それ。糸コンニャクで、トコロテンで、トウフで人は
殺せるのか? 無理だよ。やるならトウフをガチガチに冷凍庫で凍らせて、後頭部の下に敷
いてスッ転ぶか、位置を調整して錘を巻き付けて頭上数百メートルから叩き付けるか。が、
もしやれるなら、そいつはきっと人間離れした感性と感覚を持ったヤツだ。間違いない。掛け
てもいい。いやはや、もはや人間を超越してると言ってもいい技術だ――自殺のな」
「……抽象論だな」
「俺はお前みたいに世界を解れないからな」セシルがこちらを見上げる気配があった。首を
横向けると予想通りこちらを向いたセシルの顔。どこか不機嫌そうだ。頬を突付いてやりた
くなる衝動を抑える為に、そうだな、と一言口にする。「あの時の話だ。憶えてるか? えー
と、「三十分前に作られたホワイトハウスと俺達」の」
「そのピカソの億分の一程にも壊滅的に情緒の欠けた妙なサブタイトルは別としてなら、だ
がな」
「あの話は――俺達がその瞬間に作られた、って話だよな。世界中が、その何もかもが。赤
ん坊は赤ん坊として、老人は老人として。過去も、現在に続く何もかもが。新撰組も織田信
長も存在しなかった。地動説はその瞬間に否定されたことを運命付けられて、天動説の真
理を歴史書に記されて、その瞬間に生み出された――いや、存在していた。していたが、そ
の時点に、その瞬間に生まれた。違うか?」
「その通りだ。ヴァチカンも――ヤハウェもな」
空白の去来。
セシルの反応を待ち――セシルは座ったまま口を開かなかった。
俺は――。
「やっぱりさ……おかしい気がするんだよな。ダメだぜ、それ」
セシルに反応はない。
俺はセシルを見下ろして、そのまま続けた。
「俺達の理論がねーからな、駄目なんだよ。結局――だから、俺達はここ()に帰結するんだ。
どこからどこまで解ればいい? どこからどこまで理解できる? それはいいんだよ、どうで
も。どうだっていいんだ。俺達が守るモンは見えてるし、俺達が基盤にする信念は明らかだ。
セシル」
- 605 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 21:05:23
なんだ、と短い応え。
「お前のあの物騒な殺戮兵器――あれ。ガード不能の抹殺兵器だよ。今アレ、抜けるか?」
「言いたいことがよく判らんが」やっと返ってきた返答には呆れ返った、と言いたそうなニュア
ンスが多分に含まれていた。「お前の言っているのは私の剣()のことか」
そうだよ、と俺は答える。
「俺と違ってさ、お前アレ、どこからでも引っ張り出せるよな。今やれるか? で、さ。出して、
――そこのケーキ屋から三キロ先のバス停までを薙ぎ払う。一撃でズガン、ザン! ローマ
に刻まれる正体不明のクレパス! どうだよ、やれるだろ」
「……貴様、遂に狂ったか」
「違うっての。マジにやろうとしたら止めてるよ。……やれるけど、やらない、だろ?」
「言いたい事は解るが」セシルは空を仰いで、バカらしい、とロコツに呟く。「それは論理では
なく、モラルの問題だ」
「そうだな。そりゃお前の定義だ」
じろり、と冷たい視線が飛んでくる。
「待て……怒るなよ。ケンカ売ってんじゃない。でも、存在する以上はなんでもかんでも解体
出来るのは間違いない。さっきと同じだ。――解体のロジック、って言やぁいいのかな。例え
ばさ、ここに一冊の小説があったとするだろ。これは――そうだな、生と死について書かれた
小説だ。いいか?」
「……好きにしろ。付き合い切れん」
「付き合い悪いな……いいよ。太宰でも芥川でも、この場合はドストエフスキーでもいい。見
付ける場所によっちゃ、池波正太郎でもオーケーだ。バラしにバラせば、小説なんてモンは
文字の集合体だよ。それ以上でも以下でもない。文字の並びだ。……その作品がどんな情
緒の状態で書かれた物なのか、どんな境遇で書かれた物なのか、どんな人間に書かれて、
どんな人間に評価されてきたのか――書いた人間にしてみれば、評価なんてのはどうでも
いいことだ。そうするべきだからそうしたんだから。いいや、知人友人に評価されてそれを参
考にすることはあるかもしれないし、編集者に何か言われることだってあるだろう。読者から
の手紙だって少なからずある。真っ先に浮かぶのは書評誌かな……けど、太宰治が百年後
の書評誌に書かれた自分への評価を気に止めるか? 短編でも長編でもいい。自己満足な
んだよ。何言われても、勝手に言ってろ、うるせーよ、ってなモンなんだ。ま……とはいえ、こ
れは極端な例だけどな。太宰の時代なんて、正に――だぜ。そうするしかできなかったんだ。
太宰治は書かなきゃいられなかった。言い換えてもいいさ。ビートルズと百年後のロッキング
オンだ――微妙に違うかな。ピストルズ――いや、ニルヴァーナだ。理解の欠如で自分の頭
をショットガンでフッ飛ばすのはやり過ぎなのか? 『やり過ぎ』だとか、そんな問題じゃない。
生き方を否定されてそれを変えられない人間は――そうするしかなかったんだ。凡百の感想
が何を況や、っつーモンさ。趣旨の一貫しない批判は唾棄にのみ値する。ニルヴァーナ全盛
にメタルをイジめてた雑誌が今更鞍替えしても遅いんだ。『人間は変わる』なんて理由じゃ過
去に否定されたバンドも人間も浮かばれやしない。自己主張で殺し合いになるのはギャング
スタラップ全盛のトゥパック達くらいだが、音楽抜いたら連中に限らねーよ。それしか生き方
を知らない人間は、そうしないと生きていけないからそうするんだ。作品はアップトゥデイトさ
れるかもしれねーけど、根本は何も変わらない。俺はキンクリもイエスも好きだけどな、プロ
グレにパンクが駆逐されなかった事は一面で正解だと思うぜ。パンクがなかったら、ロックは
大人の懐メロで終わってたんだ。ファッションのモードも変わってたぜ、間違いなく。センスが
ないヤツはクソだが、センスしかないヤツもクソだ――言えてるな、ジョニー・ロットンが肯定
してたぜ。資本主義に飼われながらそれを噛み殺そうとしてたパンクって観念は今から考え
れば必要不可欠な要素だ。要素だったが、個人レベルからすりゃ、あれは醜いブタに成り下
がるなよ、ってな事が言いたいだけだった。何せ、元々は俺達みたいなガキの音楽だからな、
ありゃあ。それは時代が変わろうが、世界が終わろうがだ。それしか出来ない人間はそうする
んだ。誰だってそーする。俺だってそーする。それで――偶に、そういう連中は死に際に世界
に反旗を翻すんだ」
それだけ言って、俺は最後に笑いで丸ごと自分の意見を唾棄した。
- 606 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 21:08:38
それで充分だった。肯定できない意思に価値はない。
「マリア・イバンスは、そうした――か」
セシルはふっと柔らかく微笑む。
どこか寂しそうな笑みだった。
「さっきの仮定に異を唱えよう」
そして、どこか苦笑混じり呆れ気味に、こちらを見る。
「モラルを抜いて――私がこの街を粉砕したとしよう。今のヴァチカンには時間軸に触れるよう
な怪物が居て、私と同格の審問局員が三人――、今は二人滞在している。騎士団のイリヤ老
は私のそれを無効化するだろうし、同僚の二人は私をラクに封じるだろう。マリアとクレアは私
を遥かに越えた実力者だ。お前でも二人を相手取るのは難しいだろうし、そもそも騎士団はそ
う甘くあるまい。後は統括司教から私達二人を排除する命令が出て、それで終わりだ。貴様と
心中する腹積もりはない。損得勘定で有り得ない」
「なるほど」
俺は苦笑する。
それは尤もだ。
「……お前なら――どうするんだ」
「俺?」
思わず聞き返し、それから言葉の意味を素早く反芻し、「ああ」とセシルの反応を遮る。
「えー、と……どうするかな」
遮ったはいいが、それは反論にすらなっていなかった。
呆れ顔のセシルに、だってなあ――、と。
「……言ったと思うけどな、俺は世界の事なんてお前と違って、何も把握できないんだ。……
自分のことも解らない奴が世界に対して何ができるって、そりゃ誇大妄想だぜ。まあでも、俺
がマリア女史宜しく科学者だったら、世界をハッピーにするクスリでも作って飛行機から散布
するよ。一時間で世界は破滅するね。間違いない」
俺は笑い、セシルは溜息。
「俺がクスリを撒くと大統領がパンツ一丁でバルコニーに出てきてセレナーデを歌うんだ。「ど
うか世界を幸せにしてください」。「もちろんです」「もちろんだわ」。俺はエンジェル・ダストをバ
ラ撒き、世界が火の海に包まれるのには十分と掛からない。イッツ、シェイクスピア」
俺は――くだらねぇな、と、おかしくもないおかしさを噛み砕く。
- 607 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 21:16:50
「把握し切れないだろ、そんなの。だから――さ。どうでもいいじゃねーか」
「”どうでもいい”……お前からその言葉を聞くとは、正直意外だった」
「そうでもないさ……例えば、お前が否定されたら俺は多分、怒るぜ。ほら、さっき言ってたろ
――局のジイサン達に文句言われたんだろ? は、終わってるよな、あの連中。実力なんて
お前の億分の一もねーだろ……ありゃな、もう老害ってカンジだぜ。実力が無駄に備わって
るイリヤのクソジジイとは訳が違う。役立たずにも程がある。動けもしねぇクセに口だけ出した
がる。自分ならこうする、とかああしてみよう、とかな。だったらやれよ、お前に押し付けるな。
な、いっそ俺が殺しちまうか」
俺は笑うが、セシルは何も言わない。
「自分を見ることも世界を見ることも止めた魔術師ってさ――カス以下じゃねーか。さっさと
ブチ殺してやった方がマシだぜ。ヴァチカンは現世利益を追う場所じゃあない」
特にお前等はな、と付け加える。
「だから、俺はお前が否定されたら怒る――同類だからだ。……俺達はただ前に進むしかね
ーし、そうしないと生きてもいけない――お前が同意した通り、こいつは正解だよ。いいや、こ
いつが正解、これだけが正解だ。俺達はだから強くなったし、これからも強くなる。そうしない
と生きられないし――逆説的に、生きている以上そうするしかない。ケチ付けんのは自由だけ
どよ――黙ってろ、ってことだよな。下らねぇ。やるなら行動で示せばいいし、示す力がないな
ら黙ってりゃあいい――俺達の力は……だから、捻じ伏せる為にあるってことだよ。障害は薙
ぎ払ってきたし、これからも薙ぎ払う。邪魔はさせないし、する奴はブチ殺す。片っ端からブチ
撒ける。それ以外は――それこそどうでもいい事だ」
「やれやれ」セシルは溜息を吐き出すかの如くに言った。「お前の理屈は、解り易過ぎる」
シンプル・イズ・ベスト。俺は謳う。
「誰もその辺は解っちゃいねーんだよ。解れないから、解らない。どこだって同じさ。どこでだ
って同じだ。俺はお前が好きだけど、お前の上司は好きじゃない。自分が周囲に不快感を与
えてる事に気付かない人間は多いが――でも、そんだけじゃあない。そいつを批難してるヤ
ツだって、その行為自体が不快感を与えてる事に気付かない連中もいる」自然保護団体と
かな、と俺は笑い、セシルは呆れたように嘆息した。俺はそれを流して続ける。「……この程
度の言葉で人は傷付いたりしない――そう思って口にした言葉が致命傷なことだってある。
言われた奴は口に何も出さずに頭に来てるかもしれないし、いつまでも根に持ってるかもし
れない。……まあ、人によっては「それをバネにして」なんてこともあるから一概にネガティヴ
だとは言わねーけどさ。例えば、強さを誇りたい奴がいるかもしれない。知識を誇りたい奴だ
っているだろう。権力を誇示したがる奴だってそこ等中に五万といる。いや、誰一人として例
外なく――かな、……、ん……いや、そうでもないか。お前は違うからな、少なくとも」
「どうかな。私にもあるかもしれない。自分で、自分のその一面に気付いていないだけかもし
れない」
「違うね。俺はお前のことをお前より解ってる。仙人って奴はそんなモンだよ。お前は「自分が
誰かと違う」なんて信じてる凡俗か? 「誰でもない誰かになりたい」なんて望んだりしてるの
か? いいや、違うね。悪いがな、俺はお前を誇ってるよ。そしてこれはイコールで同類の俺
を誇ってる訳じゃないのが重要だ。率先して自分を理解しようとするお前は誇るに値するから
だ。俺達は普通には生きられないが、それでもそれなりに生きてるし、その権利くらいはある
……誇れる人間だっているさ。とはいえブチ殺しまくって今更「幸せになりたいです!」なんて
ナマっチョロくてクソ下らねぇことは言いやしねーけどな。で、さて、それで何が言いたいかっ
てーとな」
- 608 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 21:21:10
噴水から腰を上げて、ぐっと一伸び。
吹き上がる水越しの涼風が頬を掠めていく。
「俺達はそんな中に生きてるが、少なくともお互いがここに生きてることだけは解ってる」
首を左右に倒して調子をほぐした。
肩が凝った。首も凝ったし、どうにも話が長過ぎた。
「気楽にやろうぜ、せめて」
振り返って笑うと、セシルは目を細めて相好を崩す。
オーケイ、それが見たかった。
さて。
それじゃ行こうか――、と言おうとした所で俺の隣、セシルの正面に人影が立ちはだかった。
身長百三十センチと少し、人種はイタリア系。ざっと見十歳と少しの可愛い女の子だ。俺をち
らりと見上げはした物の、すぐに視線を外してセシルに向かい合って何事か口にする。セシル
もそれに返すが、如何せん俺はこの国の言葉に弱い。セシルのように各国の言語に精通して
いる訳ではないので、ただ成り行きだけを見守った。
やがて少女は丁寧にぺこりとセシルにお辞儀して、それからこちらに向き直ると、意外や意
外、こちらにまでお辞儀して、ステップでも踏むような軽快な足取りで駆け去って行った。セシ
ルを見ると、ふう、と苦笑いを浮かべて肩を竦めている。
「……なんだよ、知り合い?」
「知り合い――といえば、まあ……そうだな、そうなる。こちらに来ている時だけだが、修道院
に足を運んでくれている子なんだ。この町の修道院に入りたいらしい」
「へえ……そりゃ熱心な」
流石はローマ。
思いはしたが口には出さない。我が祖国の無神論ぶりをわざわざ比較に論うつもりはない。
「で、なに話してたんだよ」
「は? あ、いや」
その――と一瞬、躊躇うようにセシルは接いだ。
「……関係を聞かれた」
「なんの」
「だ……、だから、お前とのだ」
はぁ、そりゃどうも。
「で、なんて言ったんだよ」
「……し、知るか!」
キレんな。
どんな理屈だよ。
手を差し出すと、セシルは放射能廃棄物でも見るように訝しげに俺の手を見て、それから視
線を上に上げて俺の顔を見て、そしてもう一度手に視線を落とした。まじまじと眺められる。妙
な気分だ。
- 609 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 21:28:05
「なんだ、これは」
「起きろよ。さっさと行こう。日が暮れるぜ、プリンセス」
冗談めかして言った。
「……、……っ、いや、」
「ほら」
手を掴んで引き起こす。
「……っ!」
途端、慌てるようにセシルが俺の手から手を引き抜いた。その手に視線を落としてセシルは
俯き、俺が「おい」、と声を掛け――るよりも早く、俯いたまま噴水に背を向けてずんずんと歩
き出す。速歩きにも増して速いそのペースに完全に調子を狂わされ、「お、ちょ、おい!」、慌
てて背中を追う。追い付くのに一秒、肩を掴むと思いっきり振り払われた。
「っと、おい……なに怒ってんだよ、ワケ解んねぇ」
「怒ってない!」
怒鳴られた。
怒気のせいか顔が赤かった。追求はなし。俺もしない。
俺はセシルの背を追い――早足が災いしたのか、遂に目的らしい店を視界に入れる。その
異様に息を飲む。あまりに普通のその外観は、カフェ・フロリアンのような歴史的価値を感じら
れない新しい建物だ。それはいい。静かな通りにひっそりと存在している店だ。それもいい。フ
ロリアンは観光客でゴッタ返す。それよりはずっといい。しかし。
セシルが店の入り口で待っている。追い付いて店内に入り、見回し、嫌な予感が現実になっ
たのを実感した。フロリアンとて歴史ある珈琲喫茶、カナレットの風景画他の飾られる小美術
館だ。しかし。しかしここは。
「……あの、セシルさん」
セシルの背は店の奥へ奥へと入っていく。
無視されたらしい。
「マスター、席は」
「いつものお席が空いておりますが」
「心遣い済まないな、感謝する」
店の奥、そんな場所にレジがあるのはどうかと思ったが、ここで食い逃げ飲み逃げをするよ
うな人間を俺は想像すらできない。ホワイトハウスで大統領に拳銃を突きつける方が百倍ラク
だ。慇懃に礼をするマスターの動作は一々洗練されていて、屋敷の執事を連想させた。
整えられた調度品の数々は、一喫茶店には似つかわしくないほどに歴史と年季を感じさせ、
その上清潔さを保たれていて、チリ一つの汚れも許さない、と言った様子がアリアリだ。ガラス
ケースに入れられたケーキとか、そんな気軽な安っぽさの末端まで排除された、天然レベル
の、そして最高レベルの喫茶店。「こういう物が本物の喫茶店だ、わかるかい? 僕は慣れて
いるがね、君に一度飲ませてみたかった」と語った知人の顔と、その時連れて行かれた店が
頭に浮かぶ。ああ、あの時もこんな店だった。確か珈琲一杯が本当にちょっと洒落にならない
くらい、
- 610 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 21:32:57
「お客様?」
「あ、ああはい?」
思わず声が引き攣った。慇懃で丁寧で洗練されたマスターが俺の前に立っている。大迫力。
「な、なんスか」
「お調子が優れませんか? 冷房など調整いたしますが」
「い、いえ」
「では?」
で、ではって言われましても。
「……こ、この曲いい感じっスね。ええと、ドヴォルザーク?」
「お解りですか? 第六、コリン・デイヴィス指揮ロンドン響です。アナログではないので、少々
固いですが」
適当に言ったら当たった。嬉しそうに微笑むマスターの笑顔が胸に痛い。すいません、実は
言うことなかっただけなんです。
「では、おくつろぎ下さいませ。お好みの曲などありましたら、遠慮なく仰って下さい」
くつろげったって、ええはいどうも、絶対無理です。
頷いて奥の席へとセシルを追い、辺りを見回して引き攣りそうな口元を懸命に抑える。
高価そう。
それしか頭に浮かばない。
いつものお席ってなんだ。連れられて座った席、その椅子からして年代モノで、十円キズ一
つ付けるだけで重罪という気にさせられる。見回す店内は清楚に瀟洒で、壁に飾られているの
は風景画だけに留まらず、俺でも名前を知っているようなモダンアートまで並んでいた。サイン
付きで。例えるなら、行った事はないけど新宿のドトール。スタバとは訳が違う。ミスドとは格が
違う。ザ・セレブレティ。経験価値主導型のマーケティングが姿を持って現れたようなその実例
に、視界が揺れそうになった。
俺はエスプレッソを、セシルは同じ物をと告げ、奥に引っ込んでいくマスターを見送る。
緊張は吐き出してしまうのがいい。どちらから話し掛けたのかは忘れたが、セシルはコンマも
緊張していなかったので、畢竟、俺だろう。
「……で、あの仏像はどうなったんだ」
「仏像?」
と、セシルはそれまで見ていたアダミのポップアートからこちらに目線を寄越す。
「俺が持ち帰……連れ帰……どっちでもいいけど、あれ」
「ああ」
今思い出した――とでも言うような、それは気に止めてもいないような反応だ。
「破壊しろとも言われていない。検査くらいはするかもしれんが、それで終わりだろう。あの手の
フェティッシュはな、貴様等よりも私達の扱いが慣れている。騎士団の粗暴者連中に渡してみろ。
それこそファティマのような奴にだ、見るなり抹消しようとするぞ。価値も解らん連中が多過ぎる」
「……私怨入ってねーかそれ、いいけどさ。フェティッシュね……お気に入りの雑貨()?」
「違う」
「偏愛()」
「知っている事を人に聞いて確認しようとするな」
ごもっとも。
「で、あれはやっぱ呪物()扱いね」
「さあな。私はマリアに引き取って貰ったことしか聞いていない……今や魔女の血統を正当に引
いている人間など少ないからな。分析者も選ばねばならん……日本では確か、ああいう物に呼
び名が付けられているのだったな。ツクモ……」
- 611 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 21:55:40
「九十九神な。ああいう物に、じゃなくて「物にも」だよ。日本はそういう場所だ。ふうん、けどそっか、
九十九神みてーなモンなんだ、やっぱ」
「取り合えずはな、そういう判断だろう。ルーツィエが不在の今暫くは、この手の分析はマリアに一
任される。さしあたって問題はあるまい。マリアの事だ、面倒が起きれば早急に始末をつけるだろ
うからな」
ルーツィエさんもマリアさんも俺は知らないが、「そうかよ」とだけ頷いておいた。
「急に持ち込まれた時は驚いたが、何のことはない。研究材料なら私達は歓迎する。組織としては
何の収穫もなかった探索だが、もしも収穫があるとするならあの呪物だけだ。私達の力に替えられ
る要素は喜ぶべきだ。その点は感謝する――、と、マリアが言っていたぞ。百年に一度あるかない
かの感謝だ。素直に受けておけ」
そりゃどうも。
「ふぅん……なぁ」
「なんだ」
「力、力、力――とは言うけどさ、例えばそう、俺の銃――グロックだ。もう何年もコイツを使ってるけ
どさ、あの仏像ヤロウにせよ、どうもな、足りねーなと思うんだよ、力」
「ジュール量か」
「数値的にはそうなるかな……例えばさ、30-30ライフル弾にゃ、3ccばかりの銃綿の発射火薬が仕
込まれてる。コイツは一秒の千分の二程度で燃焼する……最大爆轟圧力は、えーと、一平方辺り
で、」
「数百ポンドはあるだろう」
一秒未満で即答された。
「まあ……あるな。これが3ccのRDXなら? サイクロナイトは一秒の百万分の幾つかの燃焼時間
で、発射圧力に、そうだな、ええと」
「一平方辺りに数百万ポンドだ。ライフルが二百メートル飛ばすなら、同サイズのRDXは地球軌道
まで弾丸を飛ばせる計算になる……尤も、それに耐え切れる銃があるとは思えんが」
悉く先に言われた。可愛げがない。
小声でやれやれと置いてから、そうだな、と俺はその言葉に接ぐ。
「――耐え切れる銃がない、言い切れるか?」
「言い切りはしない。しかし耐久力と破壊力の関係は物理的な原則だ。純粋なエネルギーは破壊力
に転化する……プラスチックの銃身では、貴様の銃とて弾丸を放てまい。撃てば銃身が破裂する。
鋭利な刃で強固な建築物を斬り付ければどうなる?」
「お前なら真っ二つだな」
「……揚げ足を取るな。私達はそも、その限界値を突破する事を主眼にしている人種だ。例えば、
爆薬の種類は幾つある? 現在利用されている方式は百を下るまい。軍事機密や企業秘密になっ
ている弾薬も数十種類はあるだろう。……だが、その大半は十に満たない基本的な化合物を利用
して製造している筈だ。硝酸アンモニウム、ピクリン酸、それにニトログリセリン、後はPETN、RDX、
TNT……こんな所か。私は爆薬の代わりに宝石と鉱物、元素からエネルギーを抽出して現象を励
起する。そこには数の差はないが――、私達には、引き起こす現象の大きさに個人差がある。私
に爆薬は必要ない。私の刃は磨耗しない。だが、私は磨耗する。私が壊れれば――私という銃は
それまでだ。過度のエネルギーを扱う事は誰にも出来ないし、分を弁えないのは愚者のする事だ」
分を弁えろ。
その物言いに、何となくカチンときた。
- 612 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 22:50:54
「どうかな。それ以上の耐久力があればいいだけだろ」
「……何が言いたい」
「外部に求めるか内部に求めるかの差、っつーかな……不公平だよな、こういうの。殴った方がマ
シって、寂しいぜ」
「そうしろ」
「美学がないからゴメンだね……ともかく、だ。不自由が多過ぎるんだよ、ホントに。アタマに来るく
らい縛られてる」
「だから、何が言いたいかはっきりしろ。迂遠過ぎるのは……正直、見ていてイライラする」
「わーそりゃ怖ぇ……別に引き伸ばしてるつもりはないんだけどさ。直喩するつもりもねえだけだよ。
言ったろ、力が足りない。まだまだ足りない。……お前は不安定な事実が怖いって言ったよな、セ
シル。俺は違うんだ……いや、それも確かに怖いが、それだけじゃないんだ。力が足りないのが怖
い――必要な時に力が足りないのが怖いんだ。充分なんて本当にありえるのか? 何もかも尽き
果てた時、俺はまだ戦えるのか? 俺は全てに正しい判断を下せるのか?」
言ってみて、それが完全に言い掛かりだと自身で悟るのに要する所要時間は五秒未満。大人げ
ねぇ。十歳年下の女の子に何言ってんだ、俺。自己嫌悪が身を焼くが、遅い。ばつが悪くなっただ
けだ。
セシルは動きを止めた。が、瞼を閉じると、そのままでテーブル脇の砂糖壷に左手を突っ込み、
銀紙に包まれた球状の砂糖を三つ取り出す。俺が問う間も与えられず、セシルはそれを額の高さ
に掲げて、まずは一つ、とばかりにテーブルに落とした。当然、そこには魔術的な力など働いてい
ない。一瞬、場違いに手品でも見せてくれるのかと期待したが、そこには正に砂糖を落とした、とい
う意味しかない。続いて、二つ目。カン、とテーブルに音を発てて転がる。俺の方に転がってきた二
つの砂糖を人差し指で止めて、俺は無言でセシルの発言を待っている。カン。三つ目。
「空中停止ー……、とかじゃねーのな」
「高い所から物を落とせば、物は落ちる。ほぼ例外はない」
「は? ……当り前だろ、そんなの。UFOじゃなきゃそうだ。万有引力、なあ、誰でも知ってるよ、今
時は。ニュートンは偉大だよ」
「首を落とせば、人は死ぬ」
「……あのなあ」
首切り人は偉大だよ、と喉元まで出掛けたが、あまりにつまらないので出さない。
「太陽は東から昇る。陶器を三メートルの高さから落とせば割れる。殴られれば痛い」
「お前、俺を馬鹿に――、殴られれば痛い、ってのは絶対じゃねーよな。子供に殴られても痛くない
し、痛覚麻痺してる人間だって可能性としてはアリだ」
「そうだ。割れない陶器もあるかもしれない。……今まで陶器は割れた。だから割れる。殴られれば
痛かった。だから痛い。経験の蓄積は推論だ。……今のお前はお前だ。それに疑いはない」
「お前な、じゃあなんだ? 明日の俺はゴジラか? カフカの「毒虫」じゃねーんだからさ」
「正しい判断を下せるようになるには経験が必要だ――これは一般論だ。正しい事が解らない人間
は、そもそも正しい判断など理解できない。こんな推論があったとしよう」
- 613 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 22:52:41
……それって。
俺は少し黙り、冷血な仮面を被ったこのガキを睨み付ける。
「……なんだよ、俺には正しい判断が出来ないってのか」
「そうは言っていない。……少し、腹が立っただけだ」
「腹が、って」なんだよ、「それ」
「弱者は弱いままか? 強者は常に強いのか? 私は努力を否定はしない――しないが、その努力
すら素質に左右されると言われれば、それも否定しようとは思わん。……だが、お前は言ったぞ。ど
んな状況でもそうするしかないのなら、そうすると。そうしなければ生きていけないからそうする――
お前は言った。違うか」
それは。
「言った、けど」
……それは、確かに。
「気楽に生きよう、と言ったのは誰だ? それが数分前の雑談だとしても、その忘れ様では建保症だ」
……ごもっとも。
どうやら俺は諭されたらしい。自分自身の言葉で捻じ伏せられたのだと言う事実が赤面物だ。
結局、俺はまだ割り切れていないのか――割り切る必要があるのか。
自分が常人でいられないということ、生き方は尋常のままでいられなかったということ、これからも
そうやってしか生きられないこと――どれも事実で、どれも真実だ。社会的な規範で言えば異常者
であり、世界規律から言えば間違いなく弱者だ。それならそれなりに生きている――結局俺は、コイ
ツが自分を卑下するようなセリフを口にしたのが気に入らないだけなのだ。娘を見る父親ってこんな
感じなのかな、とか、その依存っぷりに情けなくなりかけたので、悪い、とだけ言って話を打ち切る。
それでも。
こいつには、俺と同じ生き方はして欲しくない――と、そう思ってしまう。
程なくして運ばれてきたコーヒーは凄まじかった。ふくよかな香りがどうとか、でなくて、カップの精
緻な模様や作りがだ。……そういえば以前、日本の高山(郡上だっけ)で瀬戸物のカップに入れた
珈琲を飲んだ事がある。珈琲は五百円前後だったが、カップが一つ十万円前後で、ヘレンドのティ
ーカップもかくやのお値段だった。苦い記憶が脳裏に蘇る。あの時は珈琲の味など解らなかった。
三口ほど啜ってからセシルが落とした砂糖を全部ブチ込み、遠慮しながら舌で黒い液体の表面を
突付いていると、ふと視線を感じた。
さっきまで遠慮せず珈琲を飲んでいたセシルがこちらを見ていた。
「一つ、いいか」
「?」
かちゃりとティーカップの底をこちらも同ブランドと思われる受け皿に置くブルジョワジー。……て
めぇ、壊すなよ。払い俺なんだから。
「……こんな仮定は出来ないか」
「仮定?」
「あの島での話だ」
と。
不意に放つその一言で、セシルは話をスイッチでも入れ替えるように切り替えた。
- 614 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 22:57:25
「――マリア・イバンスはラスニー・ボーゲルに殺されず、ラスニー・ボーゲルもグールには殺され
なかった」
清流のように流れる言葉は単語の物騒さに反して軽やかに――確定口調で語られる言葉は、低
く流れるドヴォルザークの音階を圧して響いた。
その先の言葉を――俺は、何故か一字一句正確に予想できた。
「殺したのは――」
普段通りの怜悧さでセシルはそこまで言って、ぴたりと口を動かすのを止める。
一字一句、想像通りだ。
だから。
「できるぜ」
俺はそう言い――
セシルは、
「冗談だ」
と、首を振った。
それで終わりだった。セシルは何も言わず、またコーヒーカップを持ち上げる。
コーヒーは相変わらず熱く、高価なカップは変わらず高い。どうすることも出来ないその事実を前
には、他の思考は胡散霧消を余儀なくされる。そうだろう。誰が誰を殺したか――そんな事実は、
過ぎ去ってしまえば真実という金看板に糊塗される。アル・カポネが慈善事業に精を出していた理
由なんて、多分今のアメリカ市民の二十パーセントが知っていれば充分だ。穢れた獣に神罰を。
汚れた魂に零落を。咎める身に神剣を。
……俺は俺で、セシルはセシルだ。
だから、それでいい。
終わった事だ。
「結局、感情だけが解らない……魂と精神の在り処、とはまたレトロだ。”ブレードランナー”だな」
そんな事を呟いて、頭上に気配を感じた。その時、感情か――と、セシルが呟いた気がしたが、
頭上の異様に飲まれてすぐにその呟きの意図は散逸した。
忍者さながらの静けさで執事、もとい、マスターが立っている。
何者だアンタ。
- 615 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 22:57:49
「……ども、なんでした?」
やっと一言搾り出す。マスターは慇懃に「はい」と言い、
「ご満足頂けていますか?」
「ええ、そりゃもう」正直、味なんて解りませんが。「……何か、ありました?」
「初めてのお客様にはお聞きする事にしております」
これでリピーター多いのかよ。物好き何人いるんだ。
口に出さずに見上げていると、
「……冗談です」
と、砕けた口調でマスターは言った。
「セシル様のご友人ということで、是非にとご挨拶に伺いました。随分と緊張していらしたようなので、
私も少々胸を痛めておりまして」
「……っスか、いや、いいお店だと思いますよ、俺」
モロモロの要素が庶民向けじゃないだけです。
「お代わりなどいかがかと思いまして伺ったのですが――」
ギリギリで浮かべていたギリギリの笑顔が引き攣ったと思う。
冗談じゃない。全部飲めば開放されるのに、天地が引っ繰り返ってもそんなのはゴメンだ。
「では、音楽を変えましょうか? お好みなど」
「……俺の好みって、歪んでますよ」
「種類の豊富さが当店の自慢()ですので」
ウリときたか。ふん、そうかよ。だったら。
「ハイヴスとかあります?」
セシルが訝しげにこちらを見る。解る訳がない。こいつの好む音楽とはベクトルからして違うのだ。
この店内にガレージロックが鳴り響くのを想像して、自分で吹き出しそうになった。
が。
マスターは「そうですね」と一言、
「ヘラコプターズの方が私は好きです」
「……はい?」
「世間の風評ではバイ・ザ・グレイス・オブ・ゴッド……名盤ですが、私はペイイン・ザ・デュースを推
したい所ですね」
顎に手を当てて言うマスター。
……。
待て。何モンだアンタ。
「イタリアだから、ジャルディーニ・ディ・ミロとか」
「やはり2ndですか?」
「あ、いや……ヘラのハイ・ヴィジュリティでいいっす」
「畏まりました」
- 616 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 23:02:02
そう言って一礼、マスターは微笑んで店の奥へと引っ込んでいく。カップをもう一度手に取って口
に運んだ瞬間、本当に泣きの入ったギターフレーズのガレージロックが流れてきて、危うく真正面
のセシルにコーヒーを噴き掛けそうになった。ギリギリでセーフ。下手を打つと流血沙汰だ。
が、そうしなくてもセシルの顔は不機嫌そうな顔に歪んでいる。歪む、と言っても顔が整ったまま
なので、コイツの場合は逆に怖い。
「……貴様、なんだこれは」
「何って」
ロックだぜ! とでも言ってやりたかった、が、言った瞬間の化学反応的対応を想像して口を紡ぐ。
さあ、言葉を選べ。慎重に。
「……ほ、北欧からアメリカへの愛着の返答と言うか」
「……」
三十点。セシルは睨むような視線を一度こちらに送って、カップを手に取って椅子に背を預けた。
クラシックオンリーの喫茶にガラージ全開縦ノリのロック。酷くアンバランスでシュールな空間で
お互い無言に珈琲を啜る。選曲はどう考えても失敗だ。とはいえ、失敗したなあ、なんて呟きはし
ない。だから。
「感情か」
その小さな呟きは、俺のものじゃない。
そして。
「……少し、背が伸びたか? いや、少し痩せたな」
話を振ってきたのがセシルというのは、やはり予想外というべきで、内容は更に予想外。どうでも
いい雑談だった。
「なんだよいきなり。……伸びるかなぁ、体重は変わったかもしれねーけど。……なんで?」
「気にするな。何となくだ」
本当に解らない。
解らない俺に、セシルは更に解らないセリフを重ねた。
「お前はこういう音楽が好きなのか?」
「そう、だけど。なんで」
「私には解らなくてな。……確かに、解らないな。解らない物だ。どこがいいのかサッパリ理解でき
ない。弦の音は歪んでいるし、打楽器が耳に痛い。歌い手はどう考えても巧いとは思えんし……、
ああ、そうだな、まるでこれは雑音だ。音楽理論レベルで解釈不能なノイズだ。本当に音楽なのか
と思うくらいだ」
……ひでぇ。
ケラングの編集者みたいにスッパリと酷評したセシルは、だが、と続けた。
- 617 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 23:04:44
「私も、解釈しようとしたことがなかった、と思ってな。どうして好きなのか――か。考えれば深みに
嵌るな。寒気がする。どうして好きなのか――そうだな、全く理解ができない。解らない事は恐怖だ
が、こんな場所にも満ちている。見慣れた街を夜に歩くのと、季節を変えて歩くのに似ている……こ
の不可解さは、本当にままならない。私には解らない。どうしてこんな喧しくて煩くて理解できない
ヤツが好きなのか、本当に解らない。……自分でも解らないというのは、怖い――と思っていたの
だが」
セシルは「やれやれ」と置いて、
「どうでもいい事だ……確かに。好む原因が解らないのなら、それは確かに仕方がない。どうして
好きか――考えてみれば、どうでもいいことなんだと思ってな」
そう括った。
……意外だ。
コイツがそんな解釈をするとは正直、ビタ一文思ってなかった。
「……な、なんだ。私は別に、」
「別に。……珍しい解釈だな、って。まあ、そうだよな。好きな理由なんて説明できりゃ苦労はしな
い……」その通りだ。単純明快で、端的だ。「実の所――結局の所、俺達の周囲も定義できない
要素の塊だってことだよな。極論だけどさ、俺とジェイムスは兄弟だったかもしれないし……まあ、
あんな弟は要らねーけどな。それに、俺とお前は恋人だったかもしれない。仇敵だったかもしれ
ない」
「な――恋、」
「けど、どれでもなかった。だから――それでいいんだよ、俺達は。それでも俺はお前を誇るし、
ジェイムスを引き摺り回す。これからも、ずっとだ」
それで正解だ。
それが全てだ。
セシルが言ったことは正しいし、俺は俺が正しいと確信している。
そうでなければ生きていけないなら、俺は――そうする。
俺は俺なりに生きている。
変わらない。
代えられもしない。
換えようとは思わない。
替えは効かないのだから、俺は俺のままだ。
「……ふ、ん」
言葉を飲むように黙って、セシルはカップをチン、と皿に置く。……それはちょっと、ドキッとする
から止めてほしい。弁償なんて洒落にならない。
そして、そのまま約三分。漸く死ぬ心地でコーヒーを飲み干して勘定を済ませ(値段は思い出し
たくない)、ガレージロックで満たされた店内から、悲風荒ぶ店外へ。とはいえこの時期この時間、
天然の風の心地好さは悲風よりも純粋に涼風、といったイメージだ。とはいえしかし、カップ一杯
に死ぬほど疲れた。
「またのご来店を」
マスターの言葉が背に掛かる。ある意味もう一度くらい来てみたい。
精神の回復を図ろうと店の正面に配されたベンチに座り込む。姿が見えないセシルを探して辺
りを見回すと、当人は不意打ちのように俺の前で、両手を腰の後ろに回して突っ立っていた。
……そのポーズは、悪い、少し新鮮過ぎて頭が痛い。
なんだよ。
言うと、セシルは笑ってこう言った。
「私からも一つ教えてやろう」
「へえ、なんだよ。聞いてやるぜ」
「お前は理解できない事が多過ぎると言っていたな」
「ああ」
「――私は、お前が思っているよりもお前の事を知っているんだ」
- 618 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/23(金) 23:06:23
……そりゃ。
そうですか、そりゃどうも。
初耳の感想だ。
セシルは俺が仲間だけを信頼しているのか、と問う。
セシルは俺が世界を好いてはいないのか、と尋ねる。
セシルは俺が自分と同類だと言った。
セシルは俺が自分のことを解ってないと言った。
セシルは俺達が人生を選べなかった、と言った。
セシルは俺達は人生を選べるのかもしれない、と言う。
なるほど。
それはどいつも興味深い。
五つは合ってるよ、と俺は言う――悪くはない。
「アイ・ヒッツ・ザ・ハイウェイだぜ、相棒。所で、お次はどこへ?」
Epilogue 〜 END
- 619 名前:Kresnik ◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 03:49:38
- - End of Daze -
>>396>>421>>423>>449>>454>>458>>466>>469>>479>>486>>498
/ Doom's Day
>>558>>559>>560>>561>>562>>563>>564>>565>>566>>567
>>568>>569>>570>>571>>572>>573>>574>>575>>576
/ Recreation Day
>>577>>578>>579>>580>>581>>582>>583>>584>>585
/ Reckoning Day
>>586>>587>>588>>589>>590
/ Another Day
>>591>>592>>593>>594>>595
/ Different Day − Side-A
>>596>>597>>598>>599>>600>>601>>602>>603>>604>>605>>606>>607
>>608>>609>>610>>611>>612>>613>>614>>615>>616>>617>>618
/ Different Day − Side-B
『儚き落魄を』
- 620 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/24(土) 04:12:05
- >>498
天より飛来した業火は、有相無相の区別なく、その島の一切合財を消滅させた。
笑石が護ろうとした二人の少女達も、その例外ではない。
──笑石は二人の少女を、その笑顔を護ることができなかった。
そのことを意識すると、笑石の胸の内は三毒の業火に焦がされる。胸中を渦巻くその
火勢は、島を焼き滅ぼした滅罪の火に勝るとも劣らない。
貪欲――即ち、失われてしまった二人の少女の生命への執着。
瞋恚――即ち、少女達を護ることができなかった己への忿怒。
愚痴――即ち、彼女らをこのような運命()に導いた縁起への不信。
「……未練だな」
己を嘲るように、そう呟いた。
感じるのは煩悩であり、魔縁だ。それを滅却すべくこうして座禅を組み、瞑想を行って
いるのだが――結果は惨憺たるものだった。
諦めと共に息を抜き、閉じていた瞼を開く。
人気がない裏庭。西洋の瀟洒な建物に囲まれているそこは、笑石にとって異郷の地
であり、異教の地だ。
――ヴァチカン。カトリックの総本山であり、世界でも名だたる狩人達の組織。
島が滅び去る直前、白衣の狩人との闘争で意識を失った笑石は、あろうことか敵対し
た狩人の手で島より運び出され、ここへと連れて来られた。
何故、自分がここにいるのか。何故、自分がここで生きているのか。目が醒めた直後
は、流石の笑石も困惑したものだが――
「ああ、そうか……」
そこでふと、思い至った。
- 621 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/24(土) 04:12:28
少女達を護れなかった、という事実もある。出逢った直後、殺すことができなかった自
身の甘さもある。だがそれ以上に笑石は、あの少女達を差し置いて、己が生き延びた
状況に怒りを感じているのだ、と。
笑石は、たとえ自分があの地に残されようと、あの業火で滅ぼされようと、何の感慨も
抱かなかっただろう。元より、既に長くはない身だ。幾多の化生を伴って闘争の中で逝
くのなら、まさしく本懐だった。
――あの少女達は違う。
――もっと生きていたかっただろう。
――もっと笑っていたかっただろう。
――あのような死に様など、望んでいなかっただろう。
ぎり、と奥歯が軋む。
――いくら劫を経たつもりになろうと、自分は未熟に過ぎないということか。過ぎ去った
ものへの諦観という大悟には、未だ未だ至らぬらしい。
少女達には縁がなく、自分には縁があった。互いにそういう運命だったと、そう諦める
べきだ。取り返しのつかぬ過去に執着するのは、何より忌まわしい妄念に過ぎない。
仮にも仏道に身を置く者として、それは何よりも赦され得ぬ業罪である。
諦めろ、と。笑石の深い部分が警句を告げる。
――だが、今の笑石にその権利はない。
正しい在り方を間違え、少女を殺すことも護ることもできなかった笑石に、今更、正し
いからと言って少女達の死を諦めて良い理由が、あろうはずもない。
ならば――瞋恚を以て修羅道を歩み、化生どもにその業罪を見せ付けてやろう。
天魔の殺生を善行とし、彼奴らへの瞋恚を功徳としよう。
今までと同じように? 否、今まで以上に()、だ。
元より、この身は人ならぬ末法の化身。これ以上の業罪を背負おうとも構うものか。
その結果として地獄、修羅道に堕ちるか虚無へと帰すかはわからないが、それこそ
因果応報というものだ。悔いなどない。
- 622 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/24(土) 04:12:56
そして、誓おう。
――少女達の笑顔を忘れない。
――少女達の無念を忘れない。
少女達の来世が笑顔と共に在るように……そう、強く願った。
降魔の決意を新たに、少女達への哀悼を胸に、笑石は立ち上がる。
今は、先に解決しなければならない問題が一つあった。
――前述したように、ここは笑石にとって異郷の地である。
そして当然の話だが、千年間をずっと日本で過ごして来た笑石が、ヴァチカンの公
用語であるラテン語など話せるはずもない。
そもそも、日本を離れ海外に行くなど考えたこともなかったし、第一、不可能だと思っ
ていた。X線で引っ掛かるし。
よって、何か不都合があった場合の人間の最上手段とも言える『人に訊く』は、この
場合使えない。身元の預かり人である女性や、白衣の青年には日本語が通じていた
のだが、生憎と今ここにはいない。
「…………」
沈黙が降りた。
降りた、というのはあくまで笑石の主観的な物言いだ。人の気配が乱雑に行き交うヴ
ァチカンにおいて、人に忘れ去られたような裏庭は、笑石が来る以前も以後も同じ静
けさを保ったままだ。
「……ここはどこだ」
弱々しく呟く。
――広大なヴァチカンの敷地内で、笑石は迷子になっていた。
- 623 名前:笑石 ◆EMISHIvcMk :2005/09/24(土) 04:13:55
- 笑石<血祭り>闘争記録――『血祀仏縁起』
――一日目
おわりのはじまり
>>8>>16>>18>>25>>29
少女と石仏
>>47>>60(笑石導入)>>77>>80>>94(>>96)
>>103>>114>>128>>149>>161>>194>>204
親友と覇王
>>27>>90-91>>134>>145>>166>>183
再開の時
>>219>>230
――二日目
血塗られた獣
>>270>>307
崩壊への道
>>264>>275>>291>>292>>293
>>309>>316>>317>>325>>334
今生の別れ、そして
>>343>>350>>351>>357>>367
死亡遊戯
>>371>>375>>387>>408>>416(>>418)
>>435>>447>>452>>460>>466(>>469)>>472
護れなかった想い
>>372>>385>>398>>409>>428>>443>>456>>480>>482>>489>>507
最後の使者
>>396>>421(>>423)>>449>>454
>>458>>479>>486>>498(>>501)
滅罪の火
>>504-505
異教の地にて
>>620-622
- 624 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:32:48
- >>622
部屋のイメージは、小博物館。
ただの掃除係の私が言うのもなんだけど、これでも古美術に関する免許を持っているからこの
部屋の扱いを任せられたのだ。そんな私が思うに、この部屋はちょっとすごい。
保管されている「異端指定保管物」の数は実に一万点、そのどれもが天文学的な価値を持って
いて、物によってはヴァチカン図書館の希書くらいの価値がある。普通の人が一生働いても一冊
買えないあの本と同じくらいの展示物が、一万点。あんまり想像したくないけど、ここが火事にな
ったらどうなるんだろう。私はそう思ったけど、すぐに首を振る。どうにもならないんだろう。ヴァチ
カンはそういう場所で、それくらい広くて大きいのだ。
だから――。
記録される資料は多い。保管される資料はすごく多い。
例えば壁に描かれたシェイクスピアの『冬物語』の一場面は、異端主義に走ったバルカンのヘ
ルメス派の遺跡から回収してきた物だ。ハーマイオニの復活シーンが描かれる背景に、錬金術
の思索、と銘打たれた解説がラテン語で描かれている。その記述と言語のチグハグさは、どう考
えても何か勘違いしているとしか思えない。けど、シェイクスピアが古い伝説や秘境的信仰を織
り込んでいるのは驚くような事でもない――、とマリアさんは言っていた。
「まあ、その連中が勘違いしてるのは明らかだけどね」
笑って付け足すのは、この部屋の管理権を持つ人で、私の上司で、とどのつまりこの人がマ
リアさんだ。
長身がまず目を惹くと思う。セミロングのさっぱりした髪は流れるみたいに綺麗だけど、フェミ
ニンさよりもサバサバした印象が目に付く、少し中性的な美人――と、そんな風評がこの人を
一番的確に表している。モデルがユニクロの服を着たみたいな感じで修道服が絶望的に似合
っていないのはだから仕方ないし、愛嬌だ。百の美点と一の欠点なら、欠点もプラスに働いて
いる感じ。修道服の胸元を改造して作ったポケットにはモンブランの万年筆が差さっていて、
その妙な拘りだけはどうしても理解できないけど。
「時代の流れさ……シェイクスピアの若かった時代にはね、知識層にもカバラやイリュミニスム
が影響を与えていたんだ」
まるでその時代に生きていたような口ぶりでマリアさんは言って、グラスに遠慮なく琥珀色の
液体をどばどばと注いだ。
私は咎めないけど、部屋に漂うきついアルコール臭からも、それが度数の高いウォッカなの
がすぐに解った。水ですら割らずにそれに氷を入れて(どこから出したんだろう?)、マリアさ
んはグラスを唇に触れさせる。居姿にも実務能力にも非の打ち所のないマリアさんは私と同
世代の子達にも人気がある。……けど、この酒癖だけはいただけない。私はこの人がお酒を
飲んでいない所を見たことがないけど、お酒に飲まれているところも見たことがない。
なんだかここまで徹底していると、あんまり信じたくはないけど、「町酒場で樽を抱えて一気
飲みしていた」なんて眉唾もののウワサを信じたくなってしまう。
……ああ、でも。前に電話でサーミ語で話していたのを聞いた事があるから、北欧辺りの血
を引いていてお酒に強い、って話は本当なのかも。
と。
「うぃっすーっ! ゲンキしてるかアル中ーっ、……と、うあった、エルナちゃん、お邪魔してた
の?」
扉を吹き飛ばすみたいな勢いで修道女が入ってきた。
こちらはクレアさんで、私より一つ上の同僚だ。同僚と言っても「私はキミの同僚だよ!」と
いきなり言われただけで、クレアさんがどこの修道院にいるか、とか教会で働いているとか、
そういう話を聞いた事はない。でも図書館やここで見ると言うことは、多分ヴァチカンのどこか
で働いているんだろう。……うん、考えてみても凄くウソっぽい。でもそれだけしか知らないの
だから仕方ない。訝しく思っているとキリがない人なので、一礼して話を促した。
「お邪魔してました。こんにちは、クレアさん。ええと、今日が整理日なんです。ゲーテの初期
保存期間が検査期限に近いので」
「アウレア・カテナの”オリジナル”? ね、ねね、あれ次、もしも時間あったら私に貸してくんな
いかな? 調べたいとこあるんだ」
「あ、ええ。では保管局に連絡を……」
- 625 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:33:50
そもそも、貸せるものなんだろうか。家どころかマンションが建ってしまうような本を。
言い終わるよりも早く、その人は部屋の端っこに据えてある整理ようの椅子(本棚の上とか
を整理する時に上に乗るのだ)に座ってしまう。背の高い椅子に逆向きに座ってガタガタと揺
すりながら、クレアさんは「ねー」とマリアさんに視線を移した。ここはロビーでもサロンでもな
いのだけど、この二人はいつも一緒に居ると言ってもいいくらい仲がいい。……なので、私は
何も言わない。ほんとはアルコールが持ち込まれるだけで問題なのだ。今更何を言っても、
それこそ「今更」だ。
「ねーねー、マリア。どーなったの? あれ。仏像のお兄ちゃん」
「散策」
応えは短い。
クレアさんはむ、と一つ唸り、
「どこへ」
「どこか」
……。
い、息苦しい。
「う……うあああああ! ムカつく! すんごいムカつく! なに!? なんなの!? なんな
んデスか! 話そうよ話に来たんだよ私は!」
「話しゃいいじゃないか。それとあたしが返答しなきゃならない義務は結び付きやしねーのよ」
突き放すみたいに言い切って、マリアさんは空になったグラスにウォッカを注ぐ。
ええと。
……仲はいいのだと思う、けど。
自信がなくなってきた。
「……あーもういいよ。いいもん。エルナちゃん、仏像クンどこ行ったか知ってる?」
「はい? あ、いえ」
仏像クン、というのは――なんでそんな名前なのかは知らないけど、この部屋の隣の空き
部屋に逗留(逗留だ、比喩じゃない)している男の人のことだ。今はマリアさんが預かり人を
買って出ている。詳しくは知らない、けど、偶にヴァチカンでは「司祭服を着ているだけ」と言
いたくなるような、まるでプロレスラーみたいな人を見掛ける事がある。だから、そういう人達
の一人なのかもしれない――と、私は勝手に納得する。何でもその人に限っては仏教の話
を聞きたいだとかなんだとか、グローバリズムと宗教観の齟齬について、とマリアさんが話し
ていた憶えがある。どこまでそれが本当なのかは知らないけど、マリアさんの事だから問題
ない筈だ。黒だって白に変える人――と言うと聞こえが悪いけど、マリアさんはそんな人だ。
ともあれクレアさんは話の行き場所を見失ったらしく、つまらなそうに椅子をガタガタを揺す
り始めた。……あ、ちょっと、それ、その後ろの棚、まだ未整理のアンドレ・ブルトンが、あ、あ
ああっ! あまり倒さないで! い、椅子、椅子が! ヘルメス詩集が倒れる! ああっ、そ、
それ、ジャン・ド・マンの「美しき泉」のオリジナルなんです!
見守っていると、クレアさんはこちらに気付いたようにぴたりと椅子の動きを止めた。
それから、
「どしたの。死にそうな顔してるよ」
無茶苦茶平然と言われてしまった。
「い、いえ。なんでもないです。……その、椅子、危なくありませんか?」
「なんで?」
……誰か助けて。
「うー、つまらない……セシルは追い出されるし、あー、あーあーあーあー、つまんないしム
カつくし、あー、もう。ヤな感じ」
「セシルさん?」
と言うのは、私と同期くらいの子だ。ヴァチカンとミラノの修道院で見掛けた事がある。実は
今日も修道院で会ったのだけど、また日本に行かなければな――、と苦笑していた。凛々し
い感じの子で、ついこの間まで日本に出向していたらしいのに、またすぐにUターン、という事
らしい。理由までは聞かなかったし、彼女は聞いてほしくなさそうだった。
- 626 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:34:31
「……んー、上のじじいにね、自分勝手なじじい達にね、別の派閥手伝った、なんてどうでも
いい理由で追い出されたの。……っとに、アタマに来るよ。人の妹をさ、なんだと思ってんの
よ、ほんとに」
「古い定義しか信じられない能無しだからね。放っときゃいいのよ」
言ったのは勿論私ではなくて、ウォッカを啜るマリアさんだ。その言葉には、さっきまでの口
調よりも幾分のトゲが感じられた。
派閥――、と呟く私の声に被せるように、クレアさんは「だけどさぁ」と苛立った声を上げる。
「うあー……ほんと、ヤんなるなぁ……殺しちゃおっかなあ、あいつら。絶対役に立たないよ邪
魔なだけだよイミないよ。イヤんなるなぁ、ほんとに……殺しちゃおうかな……あ、や、」クレア
さんはそこで私を一瞥、「……冗談、ね。エルナちゃん。コーヒー飲む?」
「あ、いえ。私は」
「そう? 残念。えーとほら、こういうのってアレだよね、あの仏像君なら、なんてーの? 諸行
無常? 無情? 無情のヒビキ?」
仏像――
仏教。
もしかして諸行無常の響きあり、というあの格言だろうか。言うと、クレアさんは「それそれ!」
と声を上げて手を叩いた。
「ショギョウムジョウのヒビキあり……ショギョウムジョウ、所業、所行? 「貴様の所業、断じて
許さんっ!」とか、えーと、時代劇だっけ」
そんな頭の痛くなるような質問を遠慮なく飛ばされて、どう返答しろと言うのだろう。
私はそんな事を思ったのだけど、マリアさんは気のない返事で声を上げた。
「諸行無常……、音が一緒だから解り辛いかね……諸行、クレア、あんたどこまで知って言っ
てンのさ」
「へ?」
椅子をガタガタやっていたクレアさんは目をぱちぱちとさせて、
「念仏の鉄?」
……。
コーヒーカップが殺人の道具になるんだ――ということを、私はその瞬間に頭でなく心で理
解した気がする。
壁に当たって砕けたウェッジウッドは破片が漆喰に深くめり込んでいて、もし当たったら「痛
い」じゃすまない。絶対に。
「……こ、怖ッ! なにしてんの!? なにしてんのよああああアンタお姉さまッ! し、
死ぬじゃない! ていうか死ぬって! なななな何この扱い! 妹には優しくってワカ
んないの!?」
「物分りが悪いくらいなら可愛いなあって許すけどね、つまんない冗談飛ばしたらツブ
してもいいと思ってンのよ、アタシは」
「……ごめんエルナちゃん、なんか言ってやって。私殺されちゃう」
「え、え!? わ、わたしですか!?」
いきなり振られても困るし、そもそも何一つ言えることなんてない。
ええと、ううん。それじゃ。カップ投げないで下さい、壁汚れます。
……違う、それじゃ私が死んじゃう。
- 627 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:37:59
「諸行無常、って、なんなんですか、マリアさん」
「マトモな子見るとホッとするわ、ホント……ん。つまりだね、仏教の教えの一つなんだ
けどさ。諸行無常ってーのはね……ま、一言で言えば万物の基本原則、ってトコかね」
「基本、ですか」
「そ。人間も、動物も、その他モロモロもね。その原則にしたがって出来てるの」
「人間も――」
魂と肉体の関係でしょうか――。
呟きにしかならなかったと思うそれに、マリアさんは頷いてくれた。
「近いかもしンないね。そう、ブッダに曰く、人間の存在を既定するのは色、受、想、行、識
――これで五蘊、これが要素だ、と言うのさ」
「……シキ、ジュ、ソウ、ギョウ、シキ」
反芻してみる。……何の事なのか、ぜんぜん解らなかった。
「リンピョウトウシャカイジンレツザイゼン、みたいな? ザ・シノビ!」
「ブチ殺すよクレア」
「ごめんお姉さま」
「シキは色、感覚的な現象、物質的な現象を指してんのさ。ジュ、つまり受は苦楽を享受
する感覚、ソウ、想は感覚に対応する観念でね。そしてここにシキ……もう一つの「シキ」
が加わる。識、コイツは対象を区別する認識のことでね、感覚の対象を見つけてもそれを
区別できなきゃ意味がないだろう? それができない人間は結論するところ、人と犬の区
別も付かないんだ。そう、認識できない人間は死んでいるのと同じなんだよ。少なくとも、
そんな人間には価値はない、と言い切れる。更にここにギョウ、即ち行が加えられる。こ
れがなきゃ、まだ人間は死人なんだ。エルナ、なんでか解るかい?」
「それで、まだ死人――ですか」抽象的な観念だ、と思う。物理現象の存在があって、現
象を認識して、苦楽を受動して、感覚に応答できる。……あとは、何が足りないのだろう。
「……ごめんなさい、解りません」
「アンタなら漢字を書けば解るかもしれないね……行っていうのはね、エルナ。行動の行、
行動を起こそうとする観念、それそのものなんだ。動かない人間は死んでいるのと同じだ
ろう? 尤も……この場合、動く死人は生きているのか、ってことにもならないか、とは思
うんだけどね」ふん、とマリアさんは鼻を鳴らす。「しかし、その全ては無我である、っての
が仏教の思想なのさ。なら――その集合体である人間もまた、無我である。ブッダはかく
のたまえり」
「ムガ、ですか」
「無我。そ、簡単に言えば我の存在しない「存在」の状態さ。で、これを諸方無我と説き、
万物には即ち実体などない」
- 628 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:40:58
「……ういー、質問いいっすか、お姉さま」
「質問ならね」
「質問だよ、ほんとに。我がない、ってさ――実体がないって事だよね、それ。今言ったの。
実体、カラダとか、物質とか」
「そうなるね」
「それって、矛盾しちゃってるじゃない。おかしいよ。だって私は今コーヒーを今飲んでるし、
マリアとエルナちゃんと話してるでしょ? それをないって言うのは、ヘン。おかしいよ」
子供っぽいとしか思えない否定の態度だったけど――、だけど、と私は同時に思う。それ
は正鵠を得ているんじゃないだろうか。それでは、人間の存在そのものを否定されているよ
うな気分になってしまう。
第一、存在について語る説法に「存在しない」と叩き付けるのは暴論だ。
論拠のない否定――、そんなのは哲学とも言えない、んじゃないか。
唇を尖らせるクレアさんに、マリアさんは「そうだね」と、アッサリと肯定の意を示した。
「あたしもあんま好きじゃないわ、この説法は。いいや、魔術師なら、誰だって否定はする
だろうけどね……」そこで艶のある髪に手串を通して、クレアさんを見る。「ここで否定され
てンのは、我執に囚われてる人間存在になるのさ」
「う、うん? ううん? えっと、それって、つまり」
「タダの理想論だよ」
殆ど、笑い捨てるようにマリアさんは言う。
ぞっとするように冷たくて、背筋が凍るくらい酷薄な笑い方だった。
「……ごめん、まだ解んない。諸行無常とそれと、どう繋がるの?」
……あっさりとそんなマリアさんに質問を返せるクレアさんは、だからやっぱり凄い。
「諸行無常の行、は今説明した五蘊の「行」なんだよ。”縁起”さ。原因が存在しないと結果
は生まれない。結果は新たな原因を生む――逆に言えば、原因がなければ結果は生まれ
ない。縁起ってのはね、業の輪廻なんだ。私が誰かを殺したとするだろう? 殺された人間
は殺されたまでのことだけど、その身内は私に復讐を考えるだろう。私が殺されれば、私の
身内がまた復讐を考える――私がその身内を殺してしまえば、そのまた身内が、と繰り返
す。よくこの言葉は「この世は無情ではなく移り変わるもの」――と取られるけど、実際には
この「行」は何らかの人間の行動が介在している事でね、そして、そうしている以上、人間に
は苦しみが生まれる。誰かを救おうとする行為は不理解の苦しみに縛られている」
愚痴のようにも聞こえるね、とマリアさんは最後に付け足した。
「へぇ……すっごい観念論」
「そういう宗教なんだよ、あそこは。……そんな所だよ、エルナ。解ったかい?」
いつの間に質問対象者が私に移ったのだろう。それには応えず、はい、と頷く。
「……でも、思ってたよりも難しい……ううん、厳しい教えなんですね」
へえ――、とマリアさんは面白そうに唇を緩ませた。
「どうしてそう思うンだい?」
「……その、お祈りだけしてれば」
「教義も何もない、ただ祈ってるだけで救われる宗教だと思ってた?」
「……はい」
- 629 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:43:39
あはははは、とマリアさんは快活に声を上げて笑う。
「いやね、いやいや。そいつは私達だって根本原理では同じじゃあないか……ただ、回りく
どい方法論ではあるね、この仏教ってやつは。それに戒律だってあるんだよ。不殺生、不
妄語、不偸盗、不邪淫、不酒飲、この五つをして生は善行となり、善を行うことが来世の存
在価値を決める。そう、縁起は巡る。輪廻は閉じない。そして、閉じないからこそ、人は救
われない。それがこの宗教の実体なんだよ。祈るだけじゃ救いもないって点じゃ、私達より
も能動的だ」
「輪廻転生()が繰り返される……ですか?」
転生、というのは次の生、死んだ後に生まれ変わって別の命を得る事だ。
その考え方自体は私達の教義にないことだ。でも。
それは――救いではないのだろうか。
そんな私の顔色を読んだように、マリアさんは首を振る。
「仏教の輪廻転生はね、救いではないのさ。救いでもなければ戒めでもなく、生き方に対
する罰でもない――ただの摂理なんだ」
グラスをカラカラと揺らして、マリアさんは例えば、と言う。
「角度の付いた路地は平面ではない。それは坂と呼ばれる観念だ。そこに球体を転がせ
ば下まで転がり落ちる。球体には自分で坂を上がる力はなく、ただ慣性が殺されてエネ
ルギーが尽きるまで落ち続ける。そこに例外はないやね。解るかい?」
「あ、はい。それは」
優しい微笑みが返ってくる。
何故かほっとしたような気分で、私は頷いた。
「輪廻転生ってのはね、無限に続くその坂のような物なんだよ。人間に転がり落ちる節理
を破る術はない。人生とはだから、慣性のような物なんだ――と、この教えに対する私の
感想は、それだよ。一度の「生」で生じた慣性は、そのまま次の「生」へと人間を放り込む。
永劫の輪廻、永遠の円環。幸福と苦しみは対を成して輪を描き、世界を形作る法則を成
している。六道須らく不安の地獄なり、されば救いはどの道にもなし――だがね、この苦
しみの果てにも救いはある、と説かれる。それが解脱だ」
独り言のように、マリアさんは続ける。
「それが私が興味を抱く部分でね……同時に唾棄する部分でもある。出家信者が八正
道を通って、初めて仏教は救いを得る事ができる、と結論付ける。だけどね、それがで
きる人間はもはや人間ではないんだ。悟りを得て解脱した人間は、人間以外の何かな
のさ。普通の人間には成せない定義をして悟り、とはね……傑作だよ。そんな物は救い
じゃあない。一般的な仏教を大乗仏教と呼ぶ時、小乗仏教というんだがね、この忌わし
い教えは。一般仏教が切り捨てた解脱の観念を理解するなら――それこそが苦楽から
の解脱なんだ」
「えー……と、待って。それって、さ。輪廻が閉じちゃうのがいいことなの? 仏教なの
に?」
「そうだよ」
「私達ならさ、解るよ。輪廻なんておかしいって解るし。でも、東洋観って……そーじゃ
ないでしょ? こう、なんていうか」
「輪廻があるから――次の生の為に、今が苦しくても頑張る……」
私が呟き、クレアさんは頷く。マリアさんはじっとこちらを見ていた。
- 630 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:46:27
「……そういう物だと、思ってました」
「仏陀はね、自然のままにあることこそが至上の観念だ、と説いたんだ。輪廻の坂の向き
を逆転させる――いや、違うね。坂から離脱する、転がる坂の途中に落とし穴を空けて別
の場所へ移行する――それが悟りで、解脱だ。そこに私達の物質的思索が割り込む余
地はないさ。無の在り方を探る人間は私達にも数多いけどね、仏教はそれを真正面から
穿とうとする急先鋒の一派なんだよ」
だがね――、と、マリアさんは嘲るように口を笑みに歪ませた。
「それは曖昧さだ。……身を磨り減らすような節制も財を投げ打つ修練も、この教えは頭
から拒否している。何故だい? それはね、在るがままに在る、というのは自分を追い詰
める事でも、我欲を突き詰める事でもないからだよ。絶対的な中庸こそが本質となるこの
教えは、厳しさを否定する厳しさに成り立っているんだ。そんな境地に辿り着ける人間は、
果たして人間と呼べるのかい? そう考えた時、私は仏陀がどんな人間だったかを考え
たよ。彼はね、キリストに匹敵する唯一の存在だろう、とね」
私は何も言わなかったし、クレアさんも何も言わなかった。
マリアさんは一拍置いて、そして、言った。
「飛べない豚は、ただの肉だ」
刺し殺すように冷たい、刃物のような声だった。
「最初ッから否定すりゃアいいのさ――「俗人が抗うな」とね。だがね、教義を成す宗教で
ある以上、そうはいかない。仏陀の言葉は教えとなった。規範とされて、そして形を変えて
万人が求める作法と化した。そこには本当に本質が残っているのかい? 歪められた言
葉は劣化した妄想だよ。教えは教えとして機能するのか? 仏陀と同じように生きられる
人間は、果たして本当に存在するのか?」
そう言うマリアさんの言葉は、どこか独り言めいて聞こえる。誰かに聞かせるような口調
ではなくて――どこか。
「あたしが思うにね、救いはそんなとこにゃあないのさ。……救いはあるんだよ」
マリアさんは親指で自分の左胸を指して、言う。
「ここ()にね」
それは――どこか、自分に言い聞かせるような問い掛けのように思えた。
- 631 名前:◆WEISS0lzjQ :2005/09/24(土) 04:49:58
- End of Daze / Dead Promises -
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