超クロスオーバー空想大戦

1 名前:スマ一トレディ ◆SMART/Vn8. :04/05/19 19:35

ハイハ〜イ♪「仮面ライダ一555」のスマ一トレディですよ〜!
ここは複数キャラ同時参加によるキャラネタなりきり&リレー小説方式で、
作品の枠を越えた夢の共同戦線や対決に重点を置き、
特撮」「アニメ」「ゲーム」「漫画」「ジュニア向けSF・ファンタジー小説」等など
いろんなヒーロー作品に登場するキャラクターの皆さんに集まってもらって、
熱い戦いと壮大な物語を繰り広げてもらうスレッドで〜す!
でも、残念なことに現在TVで放送中の作品は、原則として出られませ〜ん(シクシク)
他にもこんなルールがあるから、よいこのお友達はきちんと守ってくださいね〜!

●各ヒーロー作品キャラオールスターによるショートシナリオを皆で書こう!
 他の人の文章に物語を繋げてもいいし、自分独自のシナリオでもOK。
●連載や放映が終わった&シリーズが完結した作品に関しては、
 原則として最終回の後日談として超大戦スレに登場させよう!
●海外の作品は不許可!(ウルトラマングレート・パワードや
 パワーレンジャーのように日本の作品とつながりがあればOK)
●あまりに突飛だと思われる作品のキャラを入れる場合は、
 予め楽屋裏の方に許可を申請する書き込みをしておこう!
●書き込まれたストーリーはちゃんと全部読んでから続きを創作しよう!
●使用するキャラは基本的に早いもの勝ち。もしどうしても
 そのキャラを使いたかったら、そのシナリオが終わってから上手く話を繋げよう!
●公式サイトやファンサイトで原作をしっかり把握するのは大前提だ!
原典がいくつかのパラレルに分かれている作品については、
 特定のバージョン準拠にこだわらず、それぞれからいいトコ取りをして
 矛盾の無い程度につなげていくこと!
●SSを書き込む際は、E-mail欄に自分の名前(キャラハン名かコテハン名)を入れること!
●強さ議論は控えめにマターリと!
●勧善懲悪とハッピーエンドを心掛けよう!

●その他詳細事項やお問い合わせについては、楽屋裏へ。
参戦希望リクエストや感想等を受付中!(※ネタバレありにつき注意)

http://charaneta.sakura.ne.jp/test/read.cgi/ikkoku/1117189697/l50

あ、それからもうふたつ。お姉さんからのお願いで〜す!!

@SSを書き終わったら、例えば
<正義側の場合>「○MACの黒田隊員→ツルク星人を倒す」
<悪側の場合>「●スマートレディ→ガス人間に倒される」とかそんな感じで、
いい人(味方)の場合は文章の最初に○を、悪い人(敵)の場合は●をつけて、
最後にその時の展開をまとめてくれるとうれしいかな?

A新キャラ・新規参戦作品が登場した場合は、
【今回の新規登場】
○or●+キャラ名(作品名)
のように出典を記載してください。こちらの方も、
いい人なのか悪い人なのか一目で解かり易いように、
キャラ名の先に○か●(敵味方の立場が判別不能な時は△)をつけてくださ〜い!

じゃぁ、そろそろ始めましょ!

2 名前:スマ一トレディ ◆SMART/Vn8. :04/05/19 19:45

■超クロスオーバー空想大戦・公式OPテーマ
『燃えろ!ヒーロー軍団』
作詞:八手東肇
作曲:菊羽森宙亜岳之
歌:ななしいさお&すずむし'04&オマエモナゆりかご会

1.魔の手がせまる 平和な街に
  宇宙の闇から 海の底から
  吼える怪獣 荒ぶる怪人
  立ち向かえるのはただ一つ
  ニンゲンの勇気
  (今だ! 出動!)
  コミック アニメの勇者達
  特撮 ゲームの星達よ
  僕らの希望を背に受けて
  集え この場所へ 正義の旗へ
  あれは スーパーヒーロー軍団!!

2.恐怖が覆う 静かな空を
  次元の果てから 大地の底から
  うなる怪ロボ 牙むく妖怪
  打ち砕けるのはただ一つ
  ニンゲンの怒り
  (今だ! 出撃!)
  変身 装着 合体だ
  科学も 武術も 超力も
  みんなのために命かけ
  走れ あの基地へ 光の元へ
  行くぞ スーパーヒーロー軍団!!

3.何かがうごめく 君の近くで
  心の弱さを 優しい思いを
  狙う軍団 非情の犯罪
  ふり払えるのはただ一つ
  ニンゲンの絆
  (今だ! 出陣!)
  ビームだ 剣(つるぎ)だ 体当たり
  呪文だ 拳(こぶし)だ バズーカだ
  無敵の技を身につけて
  叫べ 声高く 勝利の歌を
  我ら スーパーヒーロー軍団!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━【関連スレ】━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<楽屋裏>
■超クロスオーバー空想大戦・作品考証談話室
http://www.jfast1.net/~charaneta/test/read.cgi/ikkokuRH/1080433232/l50

3 名前:ルール説明:04/05/19 19:47

■地球人類主体の政府・軍

○地球連邦【機動戦士ガンダムシリーズ】【スーパーロボット大戦シリーズ】
○地球連合【宇宙の騎士テッカマンブレード/U】【機甲戦記ドラグナー】【ラーゼフォン】
【機動戦艦ナデシコ/-The prince of darkness-】【機動戦士ガンダムSEED/-ASTRAY-】
○地球圏統一連合【新機動戦記ガンダムW】
○地球統合政府・軍【マクロスシリーズ】
○地球統合政府EFA【超重神グラヴィオン/ツヴァイ】
○地球統一政府、自由惑星同盟【銀河英雄伝説】
○人類統合体【星界の紋章/戦旗】
○惑星連合・惑星連合宇宙軍、汎銀河共和国【無責任艦長タイラー】
○地球平和守備隊【太陽戦隊サンバルカン】
○地球守備隊【電撃戦隊チェンジマン】
○国際空軍【超力戦隊オーレンジャー】
○地球防衛軍
○国際連合(国連)etc...
……等など、各作品における地球人類主体の政体
及び軍事組織の名称は全て「地球連邦」で統一し、
宇宙各地における連邦傘下の植民星も含んだ呼称を
「自由惑星同盟」とします。
地球連邦政府・大統領は、自由惑星同盟・最高評議会議長を兼任します。
地球連邦軍の中に、主に人外の侵略者と戦う
「地球守備隊」があって、イーグル【秘密戦隊ゴレンジャー】や
ネルフ【新世紀エヴァンゲリオン】、国際地球防衛会議【ミラーマン】や
KSS【スーパーロボット マッハバロン】はその一セクションとします。


■宇宙の警察組織

○星間警察(ユニバーサル・ガーディアン)【ロスト・ユニバース】
○宇宙警察カイザース【勇者エクスカイザー】
○宇宙警備隊【ウルトラマンシリーズ&太陽の勇者ファイバード】
○宇宙警察機構【勇者司令ダグオン】
○銀河連邦警察【宇宙刑事シリーズ】
○宇宙警察【特捜戦隊デカレンジャー】etc...
……等など、各作品における宇宙規模の各警察組織については、
宇宙全体では宇宙警察機構の銀河系支部として銀河連邦警察があり、
ウルトラの国を中心とした宇宙警備隊と協力関係にあるとします。
銀河連邦警察は内外銀河1200ブロックから成り立つ組織であり、
総本部は外銀河宇宙に存在する。地球は第87プロックに所属し、
内銀河第10惑星バード星【パーマン&宇宙刑事シリーズ】の管轄下にある。
バード星銀河連邦警察の最高司令官はコム長官であり、
地球圏では、第一太陽系地区宇宙刑事隊長である一条寺烈=宇宙刑事ギャバンと
宇宙警察・地球署のボスであるドギー・クルーガーの指揮のもと、
地球地区担当の宇宙警察官には、個人の判断で犯罪者をその場で処刑してよい権限まで
与えられているような、いわゆる郡保安官:County Sheriff(シェリフ)型の宇宙刑事や、
犯人の処刑には宇宙最高裁判所の許可が必要とされるSPDなどが
地球に派遣されて来て(あるいは現地採用されて)いる。

4 名前:ルール説明:04/05/19 19:48

■地球の警察組織

地球全体では、ICPOあるいはインターポールの呼称で知られる
国際刑事警察機構(International Criminal Police Organization)を頂点に、
そのICPOの中でも特殊能力を持つエキスパートばかりを集めたのが
国際警察機構=ユニコーン機関【ジャイアントロボ】であり、
科学特捜隊【ウルトラマン&ジャッカー電撃隊】やアメリカのFBI、
日本の警視庁もその一セクションである。
ICPO長官は、大人に成長した金田正太郎【超電動ロボ 鉄人28号FX】であり、
ユニコーン機関のトップである黄帝ライセは、同時にICPOの最高顧問を務める。
デストロンハンター出身の佐久間ケン【仮面ライダーV3/SPIRITS】が
本部長として現場にて指揮を執る。ICPOの本部所在地は、フランス(リヨン市)。


■日本の政府組織(警察関係)

(政府組織)
○SRI(半官半民の科学捜査機関。警察の嘱託)【怪奇大作戦】
○怪獣Gメン(元は環境省の1セクション=公害Gメンだったが、
 バイオテクノロジーを利用した怪獣と戦うために特務機関になる)【スペクトルマン】
○国家警備機構(日本の安全への脅威に対して隠密捜査を行う組織、
 アメリカで言うCIA?)【アイアンキング】
○治安維持局【未来戦隊タイムレンジャー】

(警察内組織)
○0課装甲警察部隊=ZAC【電脳警察サイバーコップ】
○特別科学捜査室【ロボット刑事】
○特別救急警察隊=ウインスペクター【特警ウインスペクター】
○特捜救急警察=ソルブレイン【特急指令ソルブレイン】
○特別救急捜査隊=エクシードラフト【特捜エクシードラフト】
○勇者警察=ブレイブポリス【勇者警察ジェイデッカー】
○未確認生命体対策班=MPD/SAUL【仮面ライダーアギト】

8マン=東八郎【エイトマン】、ジバン=田村直人【機動刑事ジバン】、
ジャンパーソン&ガンギブソン【特捜ロボジャンパーソン】は
特定のセクションに属さない遊軍的存在。

5 名前:ルール説明:04/05/19 19:49

■「黄泉がえり」について

死者が当時のままの姿で蘇る(黄泉がえる)という
原因不明の超常現象が世界規模で多発します。
彼らは、ゾンビや幽霊の姿ではなく、死んだ当時の姿のまま、
自分の事を想い続けてくれた人の前に、ある日突然現れます。
まるで何事もなかったかのように黄泉がえってきた、
最愛の夫、恋人、兄弟。彼らを目の前にして喜ぶ家族、そして戸惑う周囲の人々。
しかし、一度滅んだはずの数多くの悪の組織もまた、
再び地上へとその姿を現し、邪悪な活動を再開したのです。

○生き返るのは、善悪の立場は問わず
かって戦いに何らかの形で関わったことのある
有能な戦士や指揮官(科学者含む)限定です。
シリーズの初期段階で死んだ、もしくは
既に死んでいたキャラは生き返ることは出来ません。
(例:兜十蔵博士、南原博士、破乱創造博士、碇ユイ博士、
緑川博士、風見志郎の家族、神敬太郎、長老バゴー、高坂博士、
ヘンリー博士、秋月教授、星博士、飛鳥五郎、如月博士……)

○その人の死そのものが、原典作品の世界観や主人公の人生に
大きな影響を与えているキャラ復活もなるべく控えましょう。
(例:ララァ・スン【機動戦士ガンダム】、アルファートリン【TFシリーズ】、
デンジ姫【電子戦隊デンジマン】、クイーン・セレニティ【美少女戦士セーラームーン】、
星野鉄郎の母・加奈江【銀河鉄道999】宇宙刑事ボイサー【宇宙刑事ギャバン】)

○TVで現在放送中の番組での死亡キャラの復活も
矛盾防止のため最終回放映終了まで禁止とします。
戦いに関係なく病気や寿命で死亡したキャラの復活も
原則として禁止です。


■時空クレバスについて

黄泉がえり現象と時期を同じくして、
世界各地で「時空の穴(クレバス=crevasse)」と呼ばれる
時空・次元間の移動ゲートがあちこちに発生しました。
それを通じて異なる時代や次元へと行き来が可能になっています。

6 名前:ルール説明:04/05/19 19:50

■時間の流れについて

○本スレでは、異なる天体・異なる次元共通の暦として
 「超時空暦」という年号が採用されています。時空クレバスを通じて
 違う時代とお互いに自由に行き来できるようになった時点が元年=超時空暦0001であり、
 この年を「現代」として扱い、大半のヒーロー作品がこの時代に含まれることになります。

○【忍空】【NARUTO】【ONE PIECE】【鋼の錬金術師】etc...
……等など、その世界に特別な名称が無い場合で、且つ「電話」「艦船」
「自動車」が存在するなど、ある程度まで文明が進んでいる世界(時代)は、
「超時空暦X年」とします。超時空暦X年の地球は、現代における地球連邦政府とは
全く別の世界政府最高権力「五老星」が統治しており、海軍本部元帥(海軍総大将)である
”仏のセンゴク”が率いる海軍と、キング・ブラッドレイ大総統が君臨するセントラルで
多くの国家錬金術師を擁する陸軍が存在します。

○原始時代:【原始少年リュウ】【はじめ人間ギャートルズ】
○中国殷周時代:【仙界伝 封神演義】
○古代〜近世ヨーロッパ:【円卓の騎士物語 燃えろアーサー】【リボンの騎士】
 【小さなバイキングビッケ】【ラ・セーヌの星】
○戦国時代:【仮面の忍者 赤影】【快傑ライオン丸】【風雲ライオン丸】
 【忍たま乱太郎】【犬夜叉】
○江戸時代:【妖術武芸帳】【魔神ハンター・ミツルギ】【白獅子仮面】
 【変身忍者 嵐】【赤胴鈴之助】【サムライスピリッツ】
○幕末・明治初期:【幕末浪漫 月華の剣士】【PEACE MAKER 鐵】
 【るろうに剣心 明治剣客浪漫譚】
○大正時代:【サクラ大戦】【不思議の海のナディア】【天空の城ラピュタ】
○第二次大戦中・前後:【紅の豚】【機神兵団】【帝都大戦】
○未来(文明崩壊もしくは天変地異後):【風の谷のナウシカ】【戦闘メカ ザブングル】
 【∀ガンダム】【北斗の拳】【宇宙からのメッセージ 銀河大戦】etc...
……等など、これらの作品の時代へは、時空クレバスを通じて、
ほぼ自由な往来が可能です。時間旅行は「航時法」【ドラえもん】及び
「時間保護法」【未来戦隊タイムレンジャー】という超未来の法律により管理され、
時空管理局(タイムGメン)【恐龍戦隊コセイドン】が管轄しています。

○【光と水のダフネ】については、
劇中での「地球温暖化により世界の大半が水没」という設定は
矛盾がない程度に無視して、現代が舞台であるとします。

○【FINAL FANTASY Z ADVENT CHILDREN】は、
【FINAL FANTASY ]-2】の時代から約1000年経過した未来の、
スピラとは別の惑星での出来事です(同時代としても可)。

○ガンダムの長い黒歴史(宇宙世紀、G、W、X、SEED)については、
「スパロボ」や「Gジェネ」的に「同時代のこと」として処理します。

○【ゾイド】と【ゾイド新世紀/0】についても、同一の時代での出来事とします。
○地球の遙か6万光年彼方の星「惑星Zi」では、
ガイロス帝国とヘリック共和国の関係は良好を保ち、平和な状態が続いていたが、
帝国・共和国両サイドは、過去の戦争を反省し、
平和維持を目的とした特殊部隊「ガーディアンフォース」を結成。
さらに両国議会は「ゾイドバトル」を提案。それは、ゾイドによる戦闘を
スポーツに置き換えることで、職業軍人をゾイドウォーリアーへ転向させ、
さらに彼らを雇い、国家単独では対処しきれない問題や犯罪の抑止に
踏み切るというものだった……。

7 名前:ルール説明:04/05/19 19:51

■地球(地上)とは異なる世界について

○フォーセリア【ロードス島戦記】【ソードワールド】【クリスタニア】
○スピラ【FINAL FANTASY ]/]-2】
○インフェリア、セレスティア【テイルズオブエターニア】
○ペンタゴナ・ワールド【重戦機エルガイム】
○デジタルワールド【デジモンアドベンチャー/02/テイマーズ/フロンティア】
○アースティア【覇王大系リューナイト】
○セフィーロ、オートザム、チゼータ、ファーレン【魔法騎士レイアース】
○桃源郷【幻想魔伝 最遊記/RELOAD/RELOAD GUNLOCK】
○二次元世界【ミラーマン】
○メカ次元【黄金戦士ゴールド・ライタン】
○裏次元世界(ディメンシア・ベルセルクなど)【鳥人戦隊ジェットマン】
○魔法界・魔女界【東映魔女っ子シリーズ】
○中華魔界【魔法少女ちゅうかなぱいぱい!/いぱねま!】
○五次元世界【絶対無敵ライジンオー】
○ポドリムス【夢戦士ウイングマン】
○創界山【魔神英雄伝ワタルシリーズ】
○天聖界・天魔界・次界【ビックリマンシリーズ】
○魔空空間・幻魔界・死霊界・不思議時空【宇宙刑事シリーズ】etc...
……等など、その世界に固有名詞が付いている場合は、
地球とは同じ宇宙の別惑星、またはどこかの別の異次元の世界とします。
普通に宇宙船や次元転移装置、時空クレバスを利用して往来できます。

○ミラーワールド【仮面ライダー龍騎】へは、
歴代仮面ライダーのみ侵入が可能です。それは、
ショッカーから続くライダー技術の関係上、仮面ライダーの皮膚が
一番粒子化されにくいという理由によるものです。

○【スレイヤーズ】【魔術師オーフェン】【スクラップド・プリンセス】など、
その世界に特別な名称が無い場合で且つ「剣と魔法が中心の世界観」の作品は
「適当な銀河系の別惑星」または「異次元の地球」での出来事として処理します。
(※スレイヤーズTRY第26話にて、シーリウスが
リナたちの世界の事を「スィーフィード世界」と呼称)

○エターナリア【獣戦士ガルキーバ】
○惑星ガイア【天空のエスカフローネ】
○怪魔界【仮面ライダーBLACKRX】
○ダイノアース【爆竜戦隊アバレンジャー】etc...
……等など、これらの世界は、
地球とは双子星の関係にあります。

○バイストン・ウェル【聖戦士ダンバインシリーズ】は、
地球の海と陸の間に存在する異世界であり、
○ラ・ギアス【魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL】は、
地球の内部にある地底世界の一部です。
○他にも地底には、東京の地下深く、
忘れられ封じられた世界【東京アンダーグラウンド】も存在します。

8 名前:ルール説明:04/05/19 19:51

■トランスフォーマーシリーズの扱いについて

サイバトロンは初代コンボイ=スター(G2)コンボイを頂点に
各方面に歴代司令官たちがおり……デストロンは歴代大帝たちが
各勢力を率いて抗争している大分裂状態である…とします。


■ドラゴンクエスト(DQ)シリーズについて 考察ネタ(1/2)

・1〜7を繋げるとしたら
      6上
 3上→7→6下→4→5
  ↓
 3下→1→2→CH
     上
 3上→6下→4→5→7
  ↓
 3下→1→2→CH

・ロト→天空の繋がり
 ・SFC版3のメダルおじさんのところの兵士はおじさんが後に魔王にも恐れられる大物になることを予言
  →6でメダル王はジャミラスに封印されている
 ・SFC版3のゼニス1世は6のゼニス王の先祖?
 ・精霊ルビスが6ではムドーの島に渡るための笛を作ったこと、ムドーの島には代々悪魔が住んでいたと話す

・7の繋がり
 ・2→CHは2→CH→7?
 ・7の主人公たちはロトの子孫?
  →Vジャン1・2と7のパッケージの仄めかし
  →CH内で竜王がキーファ(キャラバン内の誰か?)にロトを感じ取る
 ・エスタード島=竜王の島?

・アレフガルド関連
 ・3アレフガルドはゾーマによって空間閉鎖
  →ゾーマ死後、上と下は物理的な移動不可(ルーラ含む、ルビス等の力は要検討)
 ・竜の女王の卵=竜王?

9 名前:ルール説明:04/05/19 19:52

■ドラゴンクエスト(DQ)シリーズについて 考察ネタ(2/2)

・天空関連
 ・ゼニス城=天空城(6EDでゼニス城が実体化、内部の構造が同じ)
 ・天馬の塔=天空の塔
 ・ラミアス系の装備→天空装備(昔のVジャンに天空装備は人間の手に鍛えられてきたとも)

・6→4→5の歴史
 ・大幅な地形変化
 ・6主人公達の活躍が4以降、伝説にすら残っていない
 ・世界樹消失
 ・マスドラとエスターク大戦のタイミング
 ・キラーマシンの性能ダウン(6の時代ではキラーマシン2があるが、4・5の時代はキラーマシンのみ)

・6の卵とマスタードラゴン関連
 ・卵→マスタードラゴン説
 ・ゼニス王→マスタードラゴン説
 ・バーバラ→マスタードラゴン説(この場合、プサン=バーバラになる)
 ・バーバラ=黄金竜(カルベローナのバーバラ様なら変身可能発言より)

・エスターク、ダークドレアム関連
 ・エスターク=マスタードラゴンと対極説
 ・ダークドレアム→エスターク説
 ・ダークドレアムは実体化していない
 ・ダークドレアム=とてつもなくおそろしいもの(パルプンテ)説

・テリー→エスターク関連
 ・6発売前「魔族が人気なので6の主人公はそろそろ魔王にしようかと思ってる」
  →6発売後「初期設定ではテリーが主人公だったが感情移入しにくいと思いやめた」(共に堀井の発言)
 ・6グレイス城が4コーミズ村(進化の秘法発見場所)と同じ位置
 ・グレイス城の老人が「ダークドレアム召喚が後に全ての世界に災いをもたらす」
 ・6EDでテリーがダークドレアムと対峙
 ・モンスターズでエスタークを倒したとき「長い夢の中でいつか見たような気がする」と言う

○各作品の主人公の名前は、
エニックス(当時)及びスクウェア・エニックス出版の小説その他書籍資料や
CDシアター等の公式設定に出来るだけ準拠しましょう。

10 名前:ルール説明:04/05/19 19:53

■世界観について

○地球人類は宇宙へと進出を果たし、銀河連邦にもオブザーバーとして加盟し、
他の惑星文明とも国交が開かれています。これまでも数々の悪の侵略を退けてきた地球は、
他の星々からも一目置かれているようです。

○遥か遠い異星へと移住した一部の地球人類は、
惑星タラーク【ヴァンドレッド】、惑星メジェール【ヴァンドレッド】、
惑星テラツー【セイバーマリオネットR/J】、惑星Zi【ゾイド】等のように
遠い昔に独立を果たしたところもあれば、惑星デロイア【太陽の牙ダグラム】のように
今だ地球連邦本国と独立闘争を展開している移民惑星もあるようです。

○一方の地球でも【円盤皇女ワるきゅーレ】や【特捜戦隊デカレンジャー】で描かれている通り、
異星人が普通に東京の街中を歩いていたりもしているのです。

○アメリカ合衆国は、ニューコンチネント合衆国【フロントミッション】や
大西洋連邦【機動戦士ガンダムSEED】と基本的に同一国家とします。
政府内には、滝和也を通して仮面ライダーを支援するFBIに代表される正義側勢力と、
GOD機関【仮面ライダーX】やニルバーナ機関、ブルーコスモス等と内通・結託する
悪側勢力が混在しているようです。一方のソビエト連邦は、西暦1991年に一度崩壊した後に
21世紀になってまた復活……その後地球連邦にアメリカ共々組み入れられる
までは核戦争の危機が再燃していました。ソ連は【蒼き流星 SPTレイズナー】や
【フルメタル・パニック!】で描かれている通り、今だ解体されることなく健在であり、
現在、米中ソ英仏の五大国が、地球連邦政府の常任理事国です。

○日本の首都・東京の治安は、
【勇者特急マイトガイン】や【爆裂天使】で描かれている通り、
残念ながら悪化の一途を辿っているようです。

○有名どころのパイロットやヒーロー(特にスパロボ、スパヒロ、
特撮大戦、ブレサガ、サンライズ英雄譚の参戦組)は、
初めからお互いに顔見知りであるということにしておきましょう。

11 名前:ルール説明:04/05/19 19:53

■クロスオーバー空想世界における『神』また『それに類する者』の順位・序列

@(日本の特撮・アニメ界の生みの親)
 (故人)
 ○手塚治虫御大 ○石ノ森章太郎御大 ○円谷英二翁 ○横山光輝御大
 ○藤子・F・不二雄先生 ○田河水泡御大 ○うしおそうじ御大
    ↓
 (今も現役の方)
 ○富野由悠季御大 ○赤塚不二夫先生 ○水木しげる御大
 ○永井豪御大 ○石川賢御大
    ↓
 (製作スタッフ・関係者の総称)
 ○八手三郎 ○矢立肇
    ↓
A(善悪を超越した存在)
 ○金色の魔王(ロード・オブ・ナイトメア)=L様【スレイヤーズ】
 ○天照大神【ファイブスター物語】
 ○ラ・グース【虚無戦記】
    ↓
 ○大神龍【五星戦隊ダイレンジャー】
    ↓
B(スーパーロボット大戦シリーズプロデューサー)
 ○寺田貴信氏=またの名を最高神テ・ラーダ
    ↓
C(各作品の聖なる光の神々、闇の邪神や魔王)
    ↓
D(この世で限りなく神か魔に近い人間)
 ○江田島平八【魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾】
 ○デューク東郷【ゴルゴ13】
 ○赤の竜神の騎士ルナ・インバース=郷里の姉ちゃん【スレイヤーズ】
    ↓
E(自称『神』を名乗る敵ボス)
 ○全能の神【太陽戦隊サンバルカン】 ○ガンエデン【第2次スーパーロボット大戦α】
 ○ミュートスサイボーグ【サイボーグ009】etc...
    ↓
F(原作者ではあるが、自分の創造した作品の登場人物にすらコケにされるタイプ)
 ○鳥山明氏 ○神坂一氏 ○あかほりさとる氏


■参戦作品に関する注意事項
必ずしもアクションや勧善懲悪だけがその作品のメインでなくても、
「パタリロ!」「Dr.スランプ アラレちゃん」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」etc...
……等など、主人公に最低限の戦闘能力あるいは問題解決能力があると認められば、
本スレへの出演は許容範囲内であるとします。

12 名前:ルール説明:04/05/19 19:54

■「人間」「人類」の定義について
それぞれの生活圏で文明を維持発展出来るだけのものを持ち、
且つ神族や魔族ほど霊的進化は遂げていない知的生命体の事を、
地球人でなくても基本的に「人間」または「人類」と呼称します。
クロスオーバー世界に登場する数々のヒーロー作品には
地球以外の惑星や次元で進化したにもかかわらず、
地球人類そっくりの種族もザラに存在する以上
(たまに角や翼や尻尾やネコ耳が生えてたりしても、
肌や血液の色が緑とかだったとしても)原則としてそれら宇宙人や異次元人も
広い意味での「人間」または「人類」であると定義されます。
狭義の人間=地球のホモ・サピエンスという意味とはまた違います。

例外としては、
○神族や魔族、妖怪や精霊等のように、通常の生物よりも霊的に進化している存在。
○自分たち以外は全て下等生物とみなす連中。
○ロボット生命体
……などが挙げられます。

尚、肉体に遺伝子操作や改造手術等の医学的・科学的処置も施されず、
突然変異の進化系亜種としても覚醒していない純粋な地球人類の総称を、
ここでは「ナチュラル」と呼称します。


■その他の正義側組織
○プリンセス・ユニオン(略称:PU)
全宇宙・次元の王女や令嬢たちによって結成された
ヒーロー支援組織。セイラ・マス【機動戦士ガンダム】、
シーラ・ラパーナ【聖戦士ダンバイン】、ラクス・クライン
【機動戦士ガンダムSEED】の3人が中心的役割を果たしている。
実動部隊として5人のエンジェルライダーズ(岬ユリ子、上村美也、
沢木雪菜、霧島美穂、長田結花)を擁し、神月財閥令嬢・神月かりんを
通じて多くの女性格闘家たちとも協力体制にある。旗艦はセイラが
艦長を務める「エトワール・ド・ラ・セーヌ(ラ・セーヌの星)」。

○スクランブルフォース
小学生〜高校生までの年齢の若いヒーロー・ヒロイン有志で作る同盟組織。
(アメコミの世界で言うところのアベンジャーズやジャスティスリーグの
ようなもの)一種の互助ネットワークの役割も果たす。

13 名前:ルール説明:04/05/19 19:55

■主な敵組織について

●邪神大軍団グランショッカー
組織の中心となる三軍団は、三柱の至高邪神の直轄──
邪帝大首領クライシス(声:納谷悟朗)率いるショッカー正規軍
(ショッカー、ゲルショッカー、デストロン、GOD秘密機関、ゲドン、
ガランダー帝国、ブラックサタン、デルザー軍団、ネオショッカー、
ドグマ王国、ジンドグマ、バダン、暗黒結社ゴルゴム、
クライシス帝国、財団、フォグ、グロンギ族、スマートブレイン)・
銀河大星王バズー(声:加藤精三)率いるゴズマ軍(大星団ゴズマ、地底帝国チューブ、
銀帝軍ゾーン、宇宙忍軍ジャカンジャ。他の組織の怪人も製造可能)、
暗黒大魔神サタンゴース(声:飯塚昭三)率いる巨獣軍(宇宙犯罪組織マクー、
犯罪エスパー組織マドー、不思議界フーマ、妖魔一族、犯罪組織バイオロン)
によって構成されている。

●地球至上主義勢力
極端な地球中心主義を掲げ、影の地球連邦政府(シャドー・ガバメント)とも呼ばれる。
地球教総大主教(グランド・ビショップ)と呼ばれる宗教指導者を頂点に戴き、
ジオン軍の残党狩りを名目にして設立されたいわゆるエリート部隊「ティターンズ」や
過激な反コーディネイター活動組織「ブルーコスモス」を裏から動かし、
日本にも三輪防人や南雅彦らを軍部や警察組織の要職に送り込み、
地球を祭政一致の宇宙の中心にする事を目論んでいる。デロイアなどの植民惑星で圧政を敷き、
神ファミリーを迫害したり、反ロボット主義者たちを煽動するなど、
テロと陰謀により、地球上のあらゆる政治・軍事・経済の各分野に絶大な影響力を持つ。
タラークとメジェールの2惑星に“刈り取り”を送り込んだのも彼らである。

●ジュピトリアン
主に木星への移民労働者の出身階層や、核融合に必要なヘリウム3を採取して
地球圏にまで運んでくる木星船団などで構成される軍事勢力。
自らを地球人類とは違う木星人(ジュピトリアン)と称する。
新西暦198年 5月〜 月臣元一朗の「熱血とは盲信にあらず」の檄文から始まり、
白鳥九十九少佐謀殺事件の真相を知った若手穏健派が中心となった
「熱血クーデター」により、地球と木星の間には和平が結ばれるが、
それでも地球との和平を快しとせぬ急進的主戦派が、
新たに木星帝国総統クラックス・ドゥガチを盟主として結集した。
ジュピトリアンの中心人物である木星帰りのニュータイプ、
パプティマス・シロッコはティターンズとも接触している。

●魔界について
大魔王ゾーマ【ドラゴンクエストV そして伝説へ】や大魔王バーン【ドラゴンクエスト
ダイの大冒険】の各魔王軍、大魔神サタン(堕天使ルシファー)【デビルマン他】
を崇めるデーモン族、大魔女グランディーヌの災魔一族【救急戦隊ゴーゴー
ファイブ】ジャアクキング率いるドツクゾーン【ふたりはプリキュア】、
超魔の司令官ルーシュ・デ・モン【超者ライディーン】など、
常に各勢力が主導権をめぐって争っており、さらに魔界の王の座をめざし、
世界中に送り込まれた百人の魔物が闘いを繰り広げるなど【金色のガッシュベル!!】
群雄割拠の様相を呈している。

14 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:01

山本アナウンサー「ニュースの時間です。死者が当時のままの姿で蘇るという事例が
 世界各地で報告されている問題について、厚生労働省が実態調査に乗り出しました。
 次のニュースです。時空クレバス理論を応用した時間旅行の実用化に備え、
 今日にも“航時法”案が閣議決定され、一両日中に衆議院へと送られる見通しです。
 ……たった今、新しいニュースが入ってきました。木場勇治前社長就任に基づく
 社内クーデター以来、行方不明になっていて死亡説も流れていた、
 スマートブレイン社・元社長、村上峡児氏が数ヶ月ぶりに元気な姿を現しました。
 それでは村上氏の緊急記者会見をご覧ください」

(テレビの画面が切り換わり、スマートブレイン本社内での
記者会見場の様子が映る……)

村上「……全国の皆様、ご心配をおかけし誠に申し訳ありません。
 私、村上峡児は健在であります。此の度、こうして私が
 再びスマートブレインの社長職に復帰した上は、花形前会長、
 木場前社長の意思を引き継ぎ、社会に貢献していく所存でございます。
 既にある極秘プロジェクトを進めており、まもなく皆様にもお知らせできるかと思います。
 どうか、これまで以上のご支援とご援助をお寄せくださいますよう、
 心からお願い申し上げます。思えば花形前会長、
 並びに木場前社長も公私共に我が社に偉大な業績を遺され――」


***スマートブレイン本社ビル・54階・社長室***

村上の社長復帰会見の録画放送の途中で、
リモコンからテレビのスイッチを切るスマートレディ。

レディ「本当はそんなこと露ほども思ってないんでしょ?」
村上「当たり前だ! 私はこの国の全ての人間から、
 花形や木場勇治の記憶など消し去ってやりたい!
 スマートブレインの社長の地位に最も相応しいのはこの私だ。
 下らない社交辞令という奴ですよ……」

スマートレディの問いかけに村上は
社長の椅子に踏ん反り返りながら、こう言い放った。
再びスマートブレインの社長の座へと返り咲いた村上は、
邪魔な旧花形派の役員達の粛清を密かに完了させ、
社内の権力基盤をより完璧に近い形に固めていたのである。

レディ「では社長さん、早速報告しておきますわ。
 ティターンズが復活しちゃったみたいです♪」
村上「……でしょうねえ。我々オルフェノクも
 “黄泉がえり”で再びこの世に舞い戻ってきた訳ですから。
 これまでの大戦で一度は滅んだ各勢力の復活により、
 否応なしに世界は再び混沌の時代を迎える事でしょう。
 地球連邦軍の極東支部もこれからはどうなることやら……」

15 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:03

***バルカンベース***

三輪防人「諸君、よく来てくれた。
 ワシが地球連邦軍極東支部長官の三輪防人准将だ」
一条総司令「同じく、極東支部の副長官として地球守備隊関東管区総司令と
 スカイキャンプ最高責任者を新たに任されることになった一条だ」
三輪防人「諸君らのこれまでの活躍はこのワシの耳にも届いている。
 まずはその労をねぎらおう」

鮫島欣也「よく言うぜ。グランショッカーを止められないのは
 俺達の責任だとわめいていたくせに」
飛羽高之「(小声で)…やめろ、鮫島。長官がこっちをにらんだぞ」

三輪防人「ゴホン。これより諸君らはワシの指揮下で、
 対グランショッカー殲滅作戦に参加してもらうことになる」

三浦参謀長(やはり、そう来たか…)

三輪防人「そして、これだけは忘れずにいてもらいたい」
一条総司令「諸君らの戦力は、あくまでも『地球』と『地球人』を
 防衛するためのものだ」
三輪防人「それら以外の者達のために戦う必要はない!」
久保田博士「長官、スペースノイドやコーディネーターは見捨てても
 構わないとおっしゃるのですか?」
三輪防人「久保田博士、君は地球人かね?」
久保田博士「は…?」
三輪防人「地球人か? それとも宇宙人かと聞いておるのだよ!」
久保田博士「………」
一条総司令「いいかね、久保田博士。地球人類の基盤は地球にあるのだよ。
 スペースノイドなど、それに寄生するダニのようなものだ」
三輪防人「ましてや、空の化け物が如きコーディネーターまで
 守ってやる必要などどこにある?」
三浦参謀長「地球さえ守れば、コロニーやプラントは
 どうでもいいということですか?」
一条総司令「当然だ。コロニーやプラントは破壊されれば
 作り直すことが可能だが…地球はそういうわけにはいかんのだ!」
三輪防人「それに、これまで宇宙人共は地球の恩恵にすがって生きてきたのだ。
 この有事に連中を構っている余裕はないわ!」

天堂竜(あの考え方…まるでティターンズと同じじゃないか…)
大空勇馬(なんで、あんな奴が極東支部の長官になれたんだよ…)
豹朝夫(よりにもよって三輪と一条の野郎が
 ティターンズの後押しで返り咲くだなんて…)
嵐山美佐(お父さんや倉間鉄山将軍、江戸川総司令が更迭されなければ…
 こんなことにはならなかったのに…)

16 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:05

三輪防人「では、早速だが諸君には
 グランショッカー殲滅作戦に参加してもらう」
星野吾郎「グランショッカー殲滅作戦?」
一条総司令「うむ。この地球上には依然として
 ショッカーの名を冠した悪の一大勢力が
 世界各地で活動を続けており…ここ数ヶ月、奴らは
 偵察と思われる部隊を地上に送り込んで来て
 次々と怪事件を引き起こしている」
三輪防人「今回の作戦は今までのように
 奴らが何か悪事を仕出かすまで待っているのではなく、
 こちらからグランショッカーの本拠地を探し出し、
 攻撃を仕掛けて殲滅するという画期的なものなのだ」

四日市昌平(何を威張ってんだ。攻守が逆になっただけだろうが)

三輪防人「すでにゲッターチームと
 グレートマジンガーが奴らの本拠地の
 探索任務についておる」
一条総司令「彼らからの報告が入り次第、
 諸君らには全力でグランショッカーの勢力を叩き潰してもらいたい!」
小田切綾「しかし、三輪長官…それに一条総司令、
 我々がグランショッカーの本拠地へ攻撃を仕掛ければ、
 日本の防衛が手薄になります」
三輪防人「戦力は諸君ら以外にも存在している。
 それに、グランショッカーを殲滅するためならば、少々の犠牲には目をつぶる」
伊吹長官「一般市民を犠牲にしても構わないとおっしゃるのですか?」
三輪防人「異星人は黙っていろ! 貴様に地球防衛を語る資格はない!」
伊吹長官「……!」
剣飛竜「三輪長官。伊吹長官や俺達は今まで
 命を懸けて大星団ゴズマと戦ってきました!
 今の発言は取り消してください!」
三輪防人「異星人の手先が何を言う!
 本来ならば、貴様ら電撃戦隊は敵対分子として
 捕えられてしかるべきなのだぞ!」
剣飛竜「敵…!?
 今まで地球と宇宙の平和のために戦って来た俺達が、
 敵だと言うんですか!?」
渚さやか「ひ…ひどいわ、そんな言い方…!」
タケル「三輪長官! 伊吹長官やチェンジマン達は
 今も地球のために戦っています!
 それが嘘でないことは俺達マスクマンが証明します!」
三輪防人「ほう、証明だと?
 チューブのスパイだった地底人の女王と不義密通していた貴様が
 一体何を証明するというのだ?」
タケル「な…!?」
一条総司令「いいか? 今の極東支部は
 前任の岡長官の時のように甘くはないぞ!」
三輪防人「貴様らスーパー戦隊には地球を守る兵士として
 ワシの指揮下で戦ってもらう! 覚悟しておけ!」

星野吾郎「………」
疾風翔「…やれやれ、これからはやりにくくなりそうだぜ…」

17 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:08

●村上峡児が復活し、スマートブレインの社長に復権。
●ティターンズ派である三輪防人と一条総司令が、連邦軍極東支部の
 それぞれ新任の長官と副長官として赴任。
○どうやらティターンズの差し金により、岡防衛長官は極東支部長官職を解任され、
 江戸川権八総司令、倉間鉄山将軍、嵐山大三郎長官の3人も、
 日本を離れて海外の部署に異動になったらしい。
○軍属のスーパー戦隊は三輪長官の指揮下に配属されてしまう。

【今回の新規登場】
◎山本アナウンサー(仮面ライダー)
○飛羽高之=バルイーグル(太陽戦隊サンバルカン)
○鮫島欣也=バルシャーク(太陽戦隊サンバルカン)
○豹朝夫=バルパンサー(太陽戦隊サンバルカン)
○嵐山美佐(太陽戦隊サンバルカン)
○剣飛竜=チェンジドラゴン(電撃戦隊チェンジマン)
○疾風翔=チェンジグリフォン(電撃戦隊チェンジマン)
○大空勇馬=チェンジペガサス(電撃戦隊チェンジマン)
○渚さやか=チェンジマーメイド(電撃戦隊チェンジマン)
○伊吹長官=ヒース星人ユイ・イブキ(電撃戦隊チェンジマン)
○タケル=レッドマスク(光戦隊マスクマン)
○天堂竜=レッドホーク(鳥人戦隊ジェットマン)
○小田切綾長官(鳥人戦隊ジェットマン)
○星野吾郎大尉=オーレッド(超力戦隊オーレンジャー)
○四日市昌平中尉=オーグリーン(超力戦隊オーレンジャー)
○三浦尚之大佐(超力戦隊オーレンジャー)
○久保田衛吉博士(電磁戦隊メガレンジャー)
●村上峡児=ローズオルフェノク(仮面ライダー555)
●スマートレディ(仮面ライダー555)
●一条総司令(鳥人戦隊ジェットマン)
●三輪防人准将(闘将ダイモス/階級は第4次スーパーロボット大戦Sより)

18 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:10

***ジャブロー・ティターンズ基地***

ジャマイカン「閣下、ジュピトリスのパプティマス・シロッコから通信が入っております」
ジャミトフ「シロッコめ。ようやく、こちらの呼び出しに応じたか…」

〔通信のコール音〕

シロッコ「映像通信でのご無礼をお許し下さい、ジャミトフ閣下」
ジャミトフ「シロッコよ。こちらにはザフト軍がジェネシスを
 再建したという情報が入っているが…これはどういうことだ?
 貴様を介して結んだジュピトリアンと結んだ密約では、
 ジェネシスに関する項目は含まれていなかったはずだ」
シロッコ(………)
ジャミトフ「ザフトがヤキン・ドゥーエとボアズを再建することまでは
 容認していたが、ジェネシスの件は聞いておらんぞ」
シロッコ「我々の調査によりますと、ザフト軍ザラ派によるジェネシス再建は
 彼らの情報かく乱であるようです」
ジャミトフ「情報かく乱? 戯言はよせ。
 ザフトはこのジャブローをジェネシスで撃つつもりなのだろう?」
シロッコ「パトリック・ザラがそのつもりなら、とっくにジャブローは壊滅しております」
ジャミトフ「…ならば、単なる脅しだと言うのか?」
シロッコ「おそらくは。こちらでもザフトの手によって再建されたジェネシスの存在を
 確認しておりません。それよりも…ザフト軍が宇宙で足場を固めている今が、
 三輪長官の後押しをして一気に極東地区を全面占拠する絶好の機会かと…」
ジャミトフ「貴様も知っていようが、地球にはグランショッカーの軍勢が現れておる。
 ティターンズ部隊はそれの対処で忙殺されているのだ」
シロッコ「ならば、早急に我々ジュピトリアンの部隊を地上へ降下させましょう」
ジャマイカン「…こちらには、ネオ・ジオンの降下部隊に
 木星帝国のモビルスーツらしき機体が混じっていたという情報があるが?」
シロッコ「…我々ジュピトリアンも一枚岩ではないのです。どうか、ご容赦頂きたい」
ジャマイカン(………)
シロッコ「それでは…」

〔通信を切る音〕

ジャマイカン「シロッコめ…涼しい顔をして、よくもぬけぬけと…」
バスク「閣下。自分はあのパプティマス・シロッコという男を信用することが出来ません。
 あの男…閣下への誓約書に血判を押すなど…やり方がいちいち気に入りませんな」
ジャミトフ「確かに、奴は危険だ。だが、これからのティターンズは
 ああいう男も使いこなさねばならん」
バスク「…はっ」

19 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:11

ジャミトフ「それに、我々はジャブローの制圧に成功したが、
 まだ連邦軍の全てを掌握したわけではない。極東支部に関しても、あの目障りな
 倉間鉄山や江戸川、それに嵐山の奴を日本から追い出し、代わりに三輪准将と一条総司令を
 送り込むところまでは上手くいったが……」
バスク「アイムザット諜報統括官の報告によれば、日本には国防省特命課長の御園木や
 警視総監の冴島をはじめ、他にも連邦政府直属の特務機関であるGGGやGEARなど、
 小癪にもティターンズの意向に逆らう輩はまだまだ多いですからな。それも全ては……」
ジャミトフ「うむ。やはりそやつらの後ろ盾となっている
 “夢見の姫”と“あの男”の存在が大きいな……」
ジャマイカン「東京の国会議事堂の地下にいながらにして、日本の未来を予見している
 とかいう、丁(ひのと)という名の少女ですな。東京は、地球を守る『結界』が
 幾つも張り巡らされている楔の土地であるとも聞いております」
バスク「そして日本の首領(ドン)、江田島平八ですか……。
 かっての第2次世界大戦の折に、当時の米国大統領をして“EDAZIMAがあと10人いたら、
 アメリカは日本に負けていた”とまで言わしめた……」
ジャマイカン「江田島は自らが創設した私塾“男塾”の卒業生達を
 政治、経済、文化の各分野に送り込み、今や男塾が日本そのものと言っても
 差し支えはないほどですからな……」
バスク「日本の内閣総理大臣である剣桃太郎も、確か江田島の教え子のはず。
 我々ティターンズが日本を支配するためには、男塾は最も厄介な連中です」
ジャマイカン「ですがロームフェラ財団やブルーコスモスを通じて、政財界への根回しは
 徐々に浸透しつつあり、I-NETの来島副長官も今や我々の言いなりです」
ジャミトフ「永田町で動いてくれている白河尚純氏の手腕にも期待しよう。
 我々の当面の問題は、連邦軍内部での残る敵対勢力をいかにして屈服させるか…だ」

20 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:12

***月軌道外宙域・サウザンスジュピター***

ドゥガチ「…貴君の意図は理解した。かねてからの約束通り、木星帝国は
     火星の後継者に対し全面的に協力しよう」
草壁「感謝致します、ドゥガチ総統。では我々は早速、政権樹立のための準備に入ります。
   地球圏各地で続発する黄泉がえり現象、そして時空クレバスの発生……
   今までの経験上、現在のような状況は…様々な勢力が一斉に動き出す
   前触れだとも考えられますので」
ドゥガチ「忠告として受け止めておこう」
草壁「…では、私はこれにて」

草壁と入れ替わりにシロッコが入ってくる。

ドゥガチ「地球圏偵察及び調査の任務、ご苦労だったな、シロッコよ」
シロッコ「はっ…。全ては総統クラックス・ドゥガチの御心のままに!」
ドゥガチ「お前のおかげで、現在の地球上での貴重なデータを得ることが出来た。
     フフフ…やはり人類の支配に地球など要らぬ……」
シロッコ(ドゥガチの真の目的は地球侵攻ではないのか……?)
カラス「ところでドゥガチ様、テテニス様の行方が今だ……」
ドゥガチ「テテニスか…ワシは娘など愛してもおらぬし、どこで何をして死のうと構いはせぬ…。
     大方あの海賊の小僧と行動を共にしておるのだろう。放っておけ……」


***地球連邦宇宙軍・月基地・作戦会議室***

地球圏各地で続発している“黄泉がえり”現象は、
突然の強硬派指導者の復活により各勢力において主戦派が力を盛り返し、
皮肉にも再び世界に騒乱と戦争の火種をばら撒く結果となった。
“小バーム”はオルバン派とエリカ派に、“プラント”はザラ派とクライン派に
それぞれ分裂して内戦状態へと突入し、それに加えて今回の
“木星帝国(ジュピター・エンパイア)”と“火星の後継者”が結託しての
ジュピトリアンの再蜂起である。
連邦軍の月基地では、そのことに対する事変報告がなされていた。

ジュン「草壁春樹、元木連(木星圏ガニメデ・カリスト・エウロパ及び
 他衛星国家間反地球共同連合体)の実質的1で、階級は中将。
 反草壁派の若手将校達による熱血クーデターの際に失脚し、行方不明。
 その後、第一次火星極冠事変で身柄を拘束され……」
ムネタケ「見事に脱獄しましたな」

ジュンの報告にムネタケはやっかいそうにつぶやく。

秋山「いや、元木連組としてまことにすまんことです。この通り」
コウイチロウ「君のせいじゃあるまい」

謝る秋山少将を押さえるミスマル総司令。
秋山は強硬姿勢をとり続けた草壁に危機感を抱いて先のクーデターを仕掛けた張本人だった。

コウイチロウ「秋山君。草壁という男、どういう人間かね。
 直属の部下だった君の目に彼はどう映った?」
秋山「正義に燃える熱血漢、理想のためなら死ねる男。ただ問題なのは、
 自分の理想が他人にとっても理想であるとする理不尽な思い込みを
 頑なに信じていることです」

21 名前:序章 ―プロローグ―:04/05/19 20:14

***同基地内・連邦宇宙軍総司令官執務室***

ルリ「ナデシコC?」
秋山「現在、ナデシコCはネルガル月ドックで最終チェック中だ」
コウイチロウ「君たちには独立ナデシコ部隊としてジュピトリアンの
 反乱鎮圧の極秘任務にあたってもらいたい」

“極秘任務”と言うのには訳がある。
現在、月に駐留している連邦宇宙軍は、地上の地球連邦軍本部を牛耳るティターンズから、
目の上のたんこぶとして盛んに槍玉に挙げられている厳しい状況が続いている。
ティターンズは邪魔なロンド・ベル隊を所管する宇宙軍を
はやく解体に追い込もうと躍起になっており、
やたらと高圧的な態度で圧力をかけ、今ではナデシコCはおろか、
ナデシコBもおちおち哨戒航海ですら出来ないでいる有様なのである。


○日本では、政界の黒幕である丁姫と江田島平八が、良識ある政府高官や
 まだ三輪長官一派の支配の手が及んでいないヒーローたちの後ろ盾となって支えている。
○ロンド・ベル隊の宇宙部隊は月基地の連邦宇宙軍本部の指揮下にある。
 ルリ、ハーリー、サブロウタはミスマル総司令と秋山少将から直々に作戦内容を伝えられる。
●各勢力の胎動は続く……。

【今回の新規登場】
●パプティマス・シロッコ(機動戦士Ζガンダム)
●ジャミトフ・ハイマン大将(機動戦士Ζガンダム)
●バスク・オム大佐(機動戦士Ζガンダム)
●ジャマイカン・ダニンガン少佐(機動戦士Ζガンダム)
●クラックス・ドゥガチ(機動戦士クロスボーンガンダム)
●カラス(機動戦士クロスボーンガンダム)
●草壁春樹中将(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
○アオイ・ジュン中佐(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
○ムネタケ・ヨシサダ中将(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
○秋山源八郎少将(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
○ミスマル・コウイチロウ大将(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
○ホシノ・ルリ少佐(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)

22 名前:地球教の影:04/05/19 20:16

***スマートブレイン本社ビル・54階・社長室***

日本最大の企業として国民の誰もが、その名前を知りながら、
一体、何をしているのか全く知られていないという謎多き企業
スマートブレイン社の社長である村上峡児は、オフィスで
経済戦略に関する事業担当者の説明を受けていた。

社員「ユニバース・ファイナンス社、これは自由惑星同盟傘下の
 植民惑星に進出している我が社の子会社ですが、バラトプール星系
 第7・第8両惑星の固体天然ガス採掘権を獲得しました。
 可採埋蔵量は合計4800万立方キロメートルに達し、
 2年後には採算ベースに乗る予定です」

村上が頷くのを見ながら、事業担当者の社員は報告を続けた。

社員「それに地球圏でも最大級の恒星間輸送企業サンタクルス・ライン社に関しては、
 株式取得率41.9%に達しました。ダミーを使って名義が20以上に分割しておりますので
 気付かれていませんが、筆頭株主である国営投資会社を既に上回っております」
村上「結構ですね。しかし今の段階ではまだ中の上です。
 過半数に達するまでは気を緩めてはいけません」
社員「勿論です。一方、第7辺境星域の農業開発計画に資本参加が決定しました。
 アイゼンヘルツ第2惑星の水20京トンを8つの乾燥惑星に運んで
 50億人分の食糧を増産しようという、例の計画です」
村上「資本参加の比率は?」
社員「我が社の子会社3社で合計して84%です。事実上の独占です。
 次にインゴルシュタットの金属ラジウム工場についてですが……」

23 名前:地球教の影:04/05/19 20:17

報告を聞き終えた村上は、一息つくと
社長室の窓から地上の風景を見下ろした。深呼吸した村上は、
ふと、本社ビル正面玄関のすぐ前の街路を行進する
100人ほどの不気味な集団に気付いた。
赤く縁取った白い長衣を身に着け、“聖地を死守せよ”と記したプラカードを掲げ
なにやら詠唱しつつ、ゆるやかに歩んでいく。

村上「あれは何です?」
社員「ああ、地球教の信者たちですよ」
村上「地球教?」
社員「なんですか、この頃すごい勢いで信者の数が増えている宗教です。
 ご神体というか、崇拝しているのは地球そのものだそうで」
村上「地球をね……」
社員「人類の故郷である地球は、いわば最高の聖地です。
 それが今、幾多の異星人や悪の組織によって侵略の危機に晒されている。
 地球を脅かす敵に対し百倍千倍の血の報復を与え、全人類の魂を導く
 大聖堂を建てようというのです。どんな犠牲を払っても、
 やがては地球を全宇宙の中心とするための聖戦に協力するとか……」

村上は、呆気に取られた。

村上「馬鹿馬鹿しい。下の下ですね。まさか本気ではないでしょう。
 銀河の片隅にあるような太陽系のちっぽけな一惑星にそんなこと、到底不可能ですよ。
 そういえば、警視庁の南雅彦氏も似たような思想の持ち主でしたね。
 案外バックも同じかもしれませんね……」

いつの時代にも狂信者の種は尽きない。
遠い遠い昔、“十字軍”というものが地球上に存在した。
聖地を奪回すると称し、神の名のもとに他国を侵略し、
都市を破壊し、財宝を奪い、住民を虐殺して、
その非道を恥じるどころか、異教徒を迫害した功績を誇示すらしたのだ。
無知と狂信と自己陶酔と非寛容によって生み出された、歴史上の汚点。
神と正義を信じて疑わない者こそが、最も残忍に、狂暴になりえるという事実の、
それは苦い証明だったはずである。
その愚行を、今度は地球教徒たちが宇宙的規模で再現しようというのだろうか……。

村上「ともかく、我が社の玄関前で宗教活動などされても迷惑です。
 警備員を呼んで、すぐにでもお引き取り願いなさい」

24 名前:地球教の影:04/05/19 20:19

***ジャブロー・ティターンズ基地***

ティターンズ総帥ジャミトフ・ハイマン大将は、基地内の一室に坐っていた。
窓のないその部屋は厚い鉛の壁にかこまれて密閉されており、空間そのものが極性化されている。

ジャミトフ「私です。お応えください」

極秘の定期通信を明確な言語の形で思考する。

???「私とはどの私だ?」

彼方から送られてきた返答は、この上なく尊大だった。

ジャミトフ「ティターンズ総指揮官、ジャミトフ・ハイマンにございます。
 総大主教(グランド・ビショップ)猊下には御機嫌麗しくあられましょうか?」

あのジャミトフとは思えないほどの腰の低さである。
ジャミトフを知る者が一人でもその場にいれば、この男でも冷たい汗を
肌ににじませることがあるのか、と目を見張ったであろう。

総大主教の声「機嫌のよい理由はあるまい……わが地球はいまだ正当な地位を回復してはおらぬ。
 地球が宇宙全ての知的生命に崇拝される日まで、わが心は晴れぬ。
 地球は長い年月に渡り、異星人どもの侵略を受け、不当に貶められてきた。
 だが、屈辱の晴れる日は近い。地球こそが人類のゆりかごであり、
 全宇宙を支配する中心なのだ、と、母星を捨て宇宙移民者となった亡恩の徒どもが
 思い知る季節が両三年中には来よう」
ジャミトフ「そのように早くでございますか?」
総大主教の声「疑うか、ティターンズの首領よ」

思考波が低く陰気な笑いの旋律を奏でた。総大主教(グランド・ビショップ)と称される
宗政一致の地球教統治者の笑いは、ジャミトフをぞっと総毛だたせる。

25 名前:地球教の影:04/05/19 20:20

総大主教の声「歴史の流れとは加速するもの。ことに“黄泉がえり”の奇跡も重なり、
 地球圏の各勢力間において権力と武力の収斂化が進んでおる。それに間もなく、
 新たな民衆のうねりが加わろう。全宇宙に潜んでいた地球回帰の精神運動が具体化して現れる。
 その組織化と資金調達はブルーコスモスの者どもに任せておったはずだが、
 手抜かりはあるまいな?」
ジャミトフ「ムルタ・アズラエルからの話では、順調に進んでいるとの事にございます」
総大主教の声「われらの偉大なる先達は、そのためにこそ各地に
 忠実なる者を送り込んで富を蓄積せしめた。地球至上主義者たちが
 その特殊な地位と権力を生かした政治力と経済力によって世俗面を支配し……
 戦火を交えずして全宇宙は地球の支配下に入る。実現に数世紀を要する遠大な計画であった。
 わが代にいたってようやく先達の叡智が実を結ぶか……」

そこで思考の調子が一変し、鋭く呼ぶ。

総大主教の声「ジャミトフ」
ジャミトフ「は……!?」
総大主教の声「裏切るなよ」
ジャミトフ「こ、これは思いもかけぬことをおっしゃいます」
総大主教の声「汝には才幹も覇気もある……故に悪い誘惑に駆られぬよう、忠告したまでのこと。
 かのナポレオン、それにヒトラーがなぜにあのような末路を辿ったのか、充分に承知しておろう」
ジャミトフ「ティターンズがここまで勢力を回復することができましたのは、
 猊下のご支持があってのこと。私は亡恩の徒ではございません」
総大主教の声「ならよい。その殊勝さが、汝自身を守るであろう」

定期通信を終え、部屋を出たジャミトフは、大理石のテラスにたたずんで星空を見上げた。
ティターンズがただジャミトフ個人の所有物であったなら、彼こそが地球圏を実質的に支配する
存在になり得たかもしれない。しかし残念ながら現実は違う。
地球を群星の首都たらしめようとする“地球教”という名の偏執狂どもによって、
今の彼は一介の下僕に過ぎなかったのである。だが、独語するジャミトフの口の端が、
狐のように吊り上がった。

ジャミトフ「さて、誰が勝ち残るかな。グランショッカーか、ジュピトリアンか、地球教か……
 それとも私か……」


●スマートブレイン→宇宙への進出を開始している。
●ティターンズを背後から操っているのは、地球教と呼ばれる宗教団体。

【今回の新規登場】
●地球教総大主教(銀河英雄伝説)

26 名前:名無し客:04/05/23 18:56

***スマートブレイン本社ビル地下・流星塾施設***

ロブスターオルフェノク「貴方は死なない……。きっと蘇る……。きっと……」
アークオルフェノク「…………」

戦いで傷ついたオルフェノクの王=アークオルフェノク。
影山冴子=ロブスターオルフェノクはアークオルフェノクの回復を信じ、
側に寄り添って静かに見守っていた。

ロブスターオルフェノク「……村上君?」
村上「お久しぶりです、冴子さん。その後、王の様子はいかがですか?」
ロブスターオルフェノク「王はまだ滅んではいない。近い日に必ず復活を果たされるわ。
 私達オルフェノクに不死を授けてくださる唯一の希望ですもの……」
村上「冴子さん……王のことは貴女にお任せします。
 くれぐれも頼みましたよ」

村上は眠りについている王を確認し、それだけ言い残して立ち去ろうとするが、
ロブスターオルフェノクに呼び止められた。

ロブスターオルフェノク「……あら? 随分と素っ気ない態度なのね。
 王の出現を誰よりも待ち望んでいたはずの貴方が……」
村上「私にもいろいろとこなさなければならない仕事が増えてきましてね。
 ただ単にそれだけですよ。ああ、そうそう。北崎さんが王と貴女への復讐を狙っています」
ロブスターオルフェノク「北崎君が?」
村上「くれぐれも気をつけてください。王は我々オルフェノクにとって
 この上なく大事な存在ですからね……」
ロブスターオルフェノク「…………」


***同本社ビル・54階・社長室***

北崎「ねぇ、知ってるんでしょ? 王様と冴子さんの居場所を。
 隠してないで教えてよ。ねぇってば……」
村上「ハハハ……残念ながら王はファイズによって倒されたのです。
 それに姿を消した冴子さんの居場所なんて、この私が知るわけがないじゃありませんか」

社長室を訪れて王と影山冴子の行方を問い詰める北崎を、
のらりくらりとかわす村上。

北崎「とぼけるのも上手だなぁ……」
村上「そんなことよりも北崎さん。是非とも貴方にお願いがあります。
 我が社の地下金庫に厳重に保管されていた二本の“帝王のベルト”のうちの一つ、
 オーガのベルトが何者かの手により盗み出されました。まあ、犯人の大体の見当は
 ついているのですが……。貴方にはなんとしてもそれを取り返して来て頂きたいのです」
北崎「へぇ、帝王のベルトって強そうだね、ちょっとは面白くなるかな?」

そこへ社員が入ってくる。

社員「社長、警視庁の南さんがお見えです」
村上「わかりました。すぐ行きます」

27 名前:名無し客:04/05/23 18:57

***同本社ビル内・応接間***

村上「南さん、此の度は警視長に昇進されたそうで、おめでとうございます」
南「ありがとうございます……」

南雅彦―――オルフェノクの存在に気付いた警視庁が、
極秘裏にオルフェノク研究を行なっていた秘密の地下研究所の
責任者だった男である。
南はオルフェノクたちの命をゴミのように考え、
利用できるものはとことん利用する卑劣な男であり、
警察内部に軍隊まがいの重武装警官隊まで組織していた。
復讐に燃える木場勇治=ホースオルフェノクによって
警視庁の対オルフェノク組織は壊滅させられたはずであったが……

村上「しかし知りませんでしたよ。貴方が地球教徒でいらっしゃったとは……」
南「……ほほう、さすがは村上さん、よくご存知だ。ですが私の記憶が確かならば、
 我が国の憲法では、全国民には信教の自由が保障されているはずだ。それは私のような
 警察官といえども例外ではない。その答えだけでは満足して頂けませんか?」
村上「いえ、別に。わかっていますよ。引き続き、貴方方への資金援助は惜しみません。
 我々“ナチュラル”を“オルフェノク”の脅威から守るためなら、安いものだ……」
南「助かります。スマートブレインがついていてくれれば、我々もこれまで以上に
 よりよい研究が続けられる。貴方もご存知の通り、我々ナチュラルの脅威は、
 もはやオルフェノクのみには留まりません。オルフェノクとはまた違った
 もう一つの人類の進化系である“アギト”、そして人工的な遺伝子操作によって生まれた
 新たな種“コーディネイター”、さらには我々の母なる地球に我が物顔で
 侵入してきている異星人ども……」
村上「…………」
南「それらを全て一掃した暁には、最大の貢献者として
 貴方の名前は歴史に刻まれることでしょう」
村上「フハハ…期待しないで待っていましょう。白河先生にもよろしくお伝えください」
南「…………」

ビルの正面玄関では、オルフェノクに対して異常なまでの復讐心を抱いていた、
あの草加雅人が、南の帰りを待っていた。

草加「どういうつもりだ? 村上の正体は以前にも話したはずだ。
 奴はオルフェノクの親玉なんだぞ!」
南「お前に言われなくても、スマートブレインの真の目的は
 とっくの昔から知っているさ」
草加「……なにっ?」
南「君は余計な事など考えずに、ただ私に言われた通りの事をしていればいい」
草加「…………」
南「私はこれから三輪長官に用があるので、バルカンベースの方へ向かう。
 留守の方は頼んだぞ。ナチュラルとオルフェノクの戦いはまだ再開されたばかりだからな……」
草加「フッ…そっちも武運を祈るぜ」
南「フフフ…“武運を祈る”か。言いえて妙だな。何せ相手はあの三輪防人だからな……」

28 名前:名無し客:04/05/23 18:59

***バルカンベース***

本来は太陽戦隊の要塞基地であった、ここはバルカンベースは、
今では嵐山長官を体よく追い出して地球連邦軍の極東支部の拠点を移していた
ティターンズ派の三輪防人准将とその一派によって牛耳られていた。

南「三輪長官、近々少将への昇格が決まったそうで何よりです。
 まずはおめでとうとでも言っておきましょうか」
三輪「世辞はいい。それよりも貴様、日本の警察機構の掌握に
 一体いつまで時間をかけるつもりなのだ?」
南「……何かと思えばそのことでしたか。ご心配はご無用です。
 いずれ冴島や正木のような偽善者は、わが国の警察からは
 永久に葬り去られる事になる」
三輪「もし手間取るようなら、ワシが極東支部の連邦軍を動員して
 力を貸してやらんこともないぞ?」

その瞬間、それまで不気味な作り笑いの表情を浮かべていた南の様子が一変し、
凄みを増す。

南「三輪長官、私が日本の警察機構で動いているのは全て、
 我々地球至上主義者たちが奉る盟主、地球教総大主教猊下のご意志によるものです。
 よもやそのことをお忘れではないでしょうね?」
三輪「うっ……! わ、わかっておるわい!」
一条「しかし南、貴様に質問してもムダなことだろうが、
 一体どうやって日本の警察組織全てを支配下に置くつもりだ?
 冴島十三や正木俊介は我々の想像以上に手強いぞ」
南「フフフ…一条総司令、貴方の言う通り、それはムダ〜な質問です」
三輪「き、貴様っ…! たかが警察官の分際で、地球防衛の要たる我々軍人に向かって!!」
一条「…………」

廊下では南の秘書が、心配そうな顔で
南と三輪長官の会談が終わるのを待っていたが……

秘書「お疲れ様でした。三輪長官、相変わらずでしたね……。
 怒鳴り声が廊下まで聞こえてきましたよ」
南「あの男は軍人がこの世で一番偉いと思い込んでいる……いわば旧世代の化石だ。
 ティターンズの後ろ盾をいい事に調子に乗っているのだろう。
 だが私にとってはそんなことはどうでもいい。
 利用できるものはなんでも利用する。それが私のやり方だ……」


●アークオルフェノク→ロブスターオルフェノクに見守られながら、
 今もスマートブレイン本社の地下で眠りについている。
●ロブスターオルフェノク→オルフェノクの王の力で人間の部分が消滅しているため、
 影山冴子の姿に戻る事はできない。
●北崎→村上社長の依頼で、オーガのベルト奪還に乗り出す。
●南雅彦→冴島総監と正木本部長の失脚を画策している。
◎草加雅人→南雅彦の用心棒をしている。

【今回の新規登場】
◎草加雅人=仮面ライダーカイザ(仮面ライダー555)
●オルフェノクの王・アークオルフェノク(仮面ライダー555)
●影山冴子=ロブスターオルフェノク(仮面ライダー555)
●北崎=ドラゴンオルフェノク(仮面ライダー555)
●南雅彦(仮面ライダー555)

29 名前:黄泉還る悪夢:04/05/25 00:20

***太平洋・某ポイント***

空と海中から手分けして調査中のグレートマジンガーとゲッターポセイドン、
それにゲッター3。

剣鉄也@グレートマジンガー(空中)「周辺の島々には何もないようだ。
そっちはどうだ!?」
車弁慶(ベンケイ)@ゲッターポセイドン(海中)「何も無いね。ドラゴノザウルス
一匹いやしねえ」
巴武蔵(ムサシ)@ゲッター3(同じく海中)「大体こんなだだっ広いところ、
俺たちだけで調査しろってのが無理な話なんだよな〜」
流竜馬(リョウ)@ドラゴン号コクピット「仕方ないさ。グレンダイザーチームと
宇宙科学研究所は当分の間活動停止、甲児くんもUFOの研究をしていただけで
連邦から睨まれてるからな」
早乙女渓(ケイ)@イーグル号コクピット「ビックファルコン
やキング・ビアルも差し押さえられたって……宇宙人の血を引いてるってだけで
酷い話だよね」
神隼人(ハヤト)@ライガー号コクピット「……おしゃべりはその辺にしといた
方がいいみたいだぜ……2時の方向からミサイルと魚雷だ!!」

鉄也「何者だ!? ネーブルミサイル!!」
ムサシ&ベンケイ「ゲッター!」「ストロング!」「ミサイル!!」

それぞれのミサイルに相殺され、爆発する奇襲弾──!!

???「フフフフ、久しぶりだな……マジンガー」
???「地獄の底から舞い戻って来たぜハヤト、そしてゲッター……」

鉄也「!? その声は……」
ハヤト「……てめえも黄泉還ってやがったのか……」
ムサシ&ベンケイ「オープン・ゲット!! 一旦海上に出るぞ!!」

グレート&ゲッターチームの前に姿を現わした2つの巨大な影こそ、死んだ
はずの……!

鉄也「獣魔将軍!!」
リョウ「魔王鬼……神竜二か!?」

そう、戦闘獣7種全ての能力を併せ持ったミケーネの猛将にして
暗黒大将軍の腹心──獣魔将軍と、
日本に革命政府を樹立するため百鬼帝国に身を投じた学生テロリスト
……神隼人の従兄弟である竜二=メカ魔王鬼が出現した!!

鉄也「フッ……ノコノコ出てきてくれて助かったぜ。
お前達にはグランショッカー本部の在り処を吐いてもらう!!」
リョウ「チェェェェェェ──ンジドラゴンッ! スイィッチ・オォン!!」
ハヤト「ケイ、ムサシ! ジャガー号が無人じゃあ、満足な戦闘は無理だ、
下がってろ!!」
ムサシ「おいおい水くせぇぜハヤト、これじゃ何のために黄泉還れたのか
わかんねーよ!!」
ケイ「そういうこと! いくよムサシさん……チェーンジゲッター1・
スイッチオンッ!!」
獣魔と魔王鬼を包囲するグレートとダブルゲッター。

獣魔将軍「ククク、どうやら自分達の置かれた状況が分かっていないらしい……」
魔王鬼「……ハヤトよ、お前もずいぶんとヤキが回ったな……」

ハヤト「何……っ!?」
鉄也「……!!」

晴天にわかに掻き曇り、上空に巨大なホールが……魔法陣が
出現する!!

リョウ「あれは……バダンの時空魔法陣……!! すると貴様らは
グランショッカーの……」

獣魔将軍「出でよ、超戦闘獣・超百鬼メカ軍団!!」

グレート&ゲッターチーム「!?」

○●太平洋を調査中のグレートマジンガー・ゲッターロボ・
ゲッターロボG、黄泉還った獣魔将軍&メカ魔王鬼率いる部隊と
戦闘状態に入る。
○宇宙科学研究所・ビックファルコン・キング=ビアルをはじめ、
メンバーに異星人もしくはその子孫のいる民間の研究所や基地は
次々と連邦軍=ティターンズにより活動停止を余儀なくされているらしい。

【今回の新規登場】
○剣鉄也&グレートマジンガー(グレートマジンガー)
○流竜馬&ドラゴン号=ゲッタードラゴン(ゲッターロボシリーズ)
○神隼人&ライガー号(同上)
○車弁慶&ポセイドン号=ゲッターポセイドン(同上)
○巴武蔵&ベアー号=ゲッター3(同上)
○早乙女渓&イーグル号=ゲッター1(真!ゲッターロボ〜地球最後の日/半オリジナル)
●獣魔将軍(マジンガーZ対暗黒大将軍)
●神竜二=メカ魔王鬼(ゲッターロボG(原作版)/姓は執筆者の判断でハヤトと同じ)

30 名前:地球教の影・2:04/05/25 01:25

***東京都内・繁華街***

背後から声をかけられ、一人の青年が振り向く。
数人の背広姿の男たちだ──見た目は普通のビジネスマンと変わりない。

男A「高山我夢くんだね? アルケミースターズメンバーで元XIG隊員の……」
我夢「ええ、そうですが……あなたがたは?」
男B「連邦政府の者だ。ご同行願いたい」
我夢「……。嫌だ、と言ったら?」

我夢の目は、男たちが手の中に隠し持っているペン状のものを捉えていた。
超小型のレーザーガンだ。

男C「君に拒否権は無い。抵抗すればこの周辺一帯を爆破する」
男A「グランショッカーやネオ・ジオンのテロに見せかければ
済む話だからねえ」
我夢「そんなことをすれば、あなたがたの命もありませんよ……!」
男B「我々はとっくの昔に、地球のために身を捧げている……キミ以上にね、
ウルトラマンガイア……」
我夢「……くっ……!!」
男C「ポケットの中のモノを渡すんだ……ナチュラルでありながら、異星人の
力と姿を真似た裏切り者め!!」
男B「キミには色々話して欲しいことがある……地球上にどれくらいの
ウルトラ人が潜伏しているのかを……キミのように、ナチュラルで
ウルトラの力を手に入れた者も含めてね……」

変身アイテム=エスプレンダーを奪われ、男たちに連行される我夢。

男A(通信機に向かって)「高山我夢の身柄を確保した。次は
プリンセスユニオンのリーダー……セイラ・マスの拘束に向かう」


***リヨン市・ICPO本部長官室***

金田正太郎長官、ユニコーン機関の“静かなる”中条静夫長官と
Gショッカーハンター(旧デストロンハンター)の佐久間ケン本部長の
報告を聞いている。

金田長官「フム……地球教の手は思った以上に連邦内に
食い込んでいるようだな……」
佐久間本部長「特に日本にいるヒーローたちへの締め付けが一段と
厳しいようです。このままでは……世界はグランショッカーと
地球教の陣地争いの場と化してしまいます」
中条長官「そうなれば、第三次世界大戦──いや、宇宙大戦の
引き金にもなりかねないでしょうな」

金田長官、椅子から立ち上がると窓から眼下を見下ろす。

金田「多くのヒーローたちが護り、築いて来た地球の……宇宙の平和を……
一部の連中のエゴで崩壊させるわけにはいかない。ましてや地球に、
宇宙の侵略者の汚名を着せることは阻止せねば……。政府や軍が頼りに
ならなければ、我々警察が人々を護る盾になるまでだよ」
佐久間「……。春麗捜査官はプリンセス・ユニオン、バーキン捜査官は
仮面ライダーたちと常時連絡をとってくれています。荒井捜査官も
日本にいる各科学者の方々に協力依頼を」
中条「ユニコーン機関のエキスパートたちもロンド=ベル隊と
合流して、地球教摘発の準備を進めております。これで
銭形幸一警部が協力してくれれば鬼に金棒なのですが……」
佐久間「難しいでしょうね。彼はアルセーヌ・ルパン三世一味の
逮捕に専心していますから」
金田「……場合によっては、彼らの力を借りることになるかも……な」
中条「金田長官……いくらマモーやカリオストロ伯爵、世界の影で暗躍していた
巨悪を倒した連中だからといって、今のご発言は少々不謹慎では……」
金田「フフフ、冗談だよ。引き続き、各捜査官にはヒーローたちとの
連絡を密にするよう言っておいてくれたまえ。それから、後で私から
剣首相にもお礼の電話を入れておこう」

中条と佐久間が退出した後、長官席に戻ってスイッチを押す金田長官。
机上の隠し扉が開き、中から一基のコントローラーが出てくる。

金田「……近いうちに、またお前の力を借りるかも知れないな、鉄人……!!」

○ICPO首脳部、地球教からヒーローたちをガードするため活動中。

【今回の新規登場】
○高山我夢=ウルトラマンガイア(ウルトラマンガイア)
○ICPO長官・金田正太郎(鉄人28号シリーズ)
○Gショッカーハンター本部長・佐久間ケン(仮面ライダーV3
/仮面ライダースピリッツ/部署名はオリジナル)
○ユニコーン機関長官・“静かなる”中条静夫(ジャイアントロボ〜地球が静止する日)

31 名前:内閣総理大臣 剣桃太郎!!:04/05/25 17:35

***東京・永田町・国会議事堂***

――――衆議院本会議である。

議長「では本法案に賛成される方、ご起立願います!」

一部野党議員を除く大半の議員が一斉に起立する……。

議長「賛成多数! よって麻薬及び覚醒剤取締強化法案は
 本国会を通過致しました!」

国会内で拍手が沸き起こり、内閣総理大臣・剣桃太郎が起立して
議員席に向かって一礼した……。


***議事堂・廊下***

本会議も無事に終わり、与党・民自党の長老議員たちが、
廊下を歩きながら談笑している……。

長老議員A「いやー、驚きましたな。あの若造…いや新総理。
 就任早々こんな大仕事をしおるとは」
長老議員B「まったく、まさに荒療治ですわ」
長老議員A「この強化法の成立により、麻薬・覚醒剤の罰則規定が
 現行法の10倍もの量刑になったのですからな」
長老議員B「覚醒剤の密売だけでほとんど終身刑ですわ」
長老議員A「フッフフ…しかし、その青い正義感がどこまで通用するやら。
 その筋が既に動いておるという噂ですし……」
長老議員B「ま…どの道、現政権も短命に終わりそうですな」

32 名前:内閣総理大臣 剣桃太郎!!:04/05/25 17:36

***国会・正面玄関***

秘書官「総理、これからのスケジュールは、
 官邸で駐仏大使との会食後……」
桃太郎「いや、俺はその前に西園寺老や警視庁の冴島総監とも話がある」
番記者「総理、一言お願いします!!」

国会の入り口で待ち構えていた番記者達が、桃太郎をどっと取り囲む。

番記者「今回の強化法はあまりにも過激で、先進民主主義国家の法とは
 そぐわないとも指摘もありますが、そこはどのように!?」
桃太郎「私に言わせれば麻薬は人類にとって核兵器より危険な存在だ。
 私は自分の持つ全戦闘力をもって、その全てを日本から消滅させる」
番記者「ではもう一つ……」

そこへ突然、番記者の一人に成り済まして近づいて来た不審者が、
短刀を振りかざして桃太郎に襲い掛かった!!

殺し屋「死ね――っ!!」
秘書官「そ、総理――っ!?」
桃太郎「フッ……」

桃太郎はラクラク指二本で刺客の短刀を受け止める。

殺し屋「うっ……!!」
桃太郎「そこいらの青ビョウタン政治家と一緒にするな。
 伊達に男塾の血の海を泳いできた訳じゃねえんだ」

次の瞬間、桃太郎は刺客に強烈な蹴りを浴びせた。

殺し屋「ぐはあああっ!!!」

刺客は気を失ってダウンし、すぐにSPに取り押さえられた。

秘書官「そ、総理! お怪我は――っ!?」
桃太郎「ああ、なんともない」
SP「とりあえずお車へ!」

33 名前:内閣総理大臣 剣桃太郎!!:04/05/25 17:37

***西園寺邸***

西園寺実――――民自党最大派閥“西園寺派”の領袖にして、
日本政財界の重鎮である。
機械の解放のため、すべての生物を滅ぼそうと
地球に襲来した機械帝国ガルファの侵略に対抗するため、
地球防衛組織GEARを設立したのも、この人物である。

西園寺「剣君、先ほどテレビのニュースで見ていたが、
 相変わらず無茶な事をしとるようだね」

西園寺老は、つい先刻に桃太郎が国会前で
暴漢に襲われた話をニュースを見て知っていた。

桃太郎「西園寺先生にも見られてしまいましたか。いや、お恥ずかしい限りです」
西園寺「くれぐれも身辺には気をつけてくれたまえよ。君こそは
 この日本には必要な男なのだ。ところで江田島先生はご壮健かね?」
桃太郎「達者でおります。いつでも男塾OBの総力を挙げて“シャドー・ガバメント”を
 壊滅させると申しております」
西園寺「それは心強い。しかし相手は、シャドー・ガバメント(shadow government)
 ……影の地球連邦政府か」
桃太郎「現在ダカールの地球連邦政府や軍を牛耳っているティターンズや
 ブルーコスモスはあくまでも表の顔に過ぎません。裏の顔は地球教を頂点とし、
 陰謀とテロリズムで地球上の政治・経済を操る巨大な暗黒組織なのです。
 俺の目的はそれを完膚なきまでに叩き潰す事です」
西園寺「それはあまりにも危険だ。これまでも地球教の闇に立ち向かった
 良識ある政治家が幾人も志し半ばで凶弾に倒れてきた。まず不可能と見ていいだろう」
桃太郎「その不可能を可能にする者たちが、この日本にはいます。その中には
 大変恐縮ながら、先生のお嬢様やお孫さんも含まれておりますが……」
西園寺「確かに……彼らヒーローたちなら、やってくれるかもしれんな……」

34 名前:内閣総理大臣 剣桃太郎!!:04/05/25 17:39

***警視庁・総監室***

桃太郎はその足で警視庁の冴島総監のところに寄った。

冴島「総理、麻薬及び覚醒剤取締強化法案の衆議院通過、まずは何よりです。
 これで地球教の主要な資金源の一つである麻薬を、日本から根こそぎ排除できます」
桃太郎「昨日金田長官とも電話で話したが、ICPOと協力しての
 地球教団の合同捜査はどこまで進んでいる?」
冴島「それがまだ日本支部の所在も、責任者の司教の名も判明しておりません」
桃太郎「………」
冴島「しかし世界各国に支部を持つ彼らのやり口は全て同じです。
 地球教はその国の権力者と手を組み、布教活動を展開します」
桃太郎「政治家か」
冴島「はい。宗教は何よりも金になります。そして政治に金はなくてはならぬもの。
 今回の衆院選においても莫大な金が動きました。中でも異常とも思える額の
 金をばら撒いたのが……」
桃太郎「民自党内きっての若手エース、白河尚純。派閥の若手全員を当選させ、
 返り咲かせた……」
冴島「内調のOBでもある白河は、今でも自衛隊や警察方面に絶大な影響力を保持し、
 昔から何かと黒い噂のある男です。」
桃太郎「これまでも大きな疑獄事件の裏には、必ず白河の存在があると言われてきたが、
 巧妙に立ち回り、その追及をかわしているからな………」
冴島「総理、余計な事かもしれませんが、身辺の警護にはくれぐれもご注意を。
 白河代議士はかっての“アギト対策法案”を成立寸前の所で総理の貴方に潰された事で、
 貴方に恨みを抱いているという噂を今でも耳にします……」
桃太郎「………」


○剣桃太郎→日本国の首相に就任早々、地球教やその他犯罪組織の資金源を断つため
 麻薬及び覚醒剤取締強化法を成立させる。

【今回の新規登場】
○日本国内閣総理大臣・剣桃太郎(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○西園寺老(GEAR戦士 電童)
○冴島十三警視総監(勇者警察ジェイデッカー)

35 名前:名無し客:04/05/27 19:43

***スマートブレイン本社ビル・54階・社長室***

琢磨「――い、痛いっ! 何をするんですか!!
 放せ! 放してくださいっ! ……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル」
レオ「………」

現場作業員姿の琢磨逸郎が、村上社長直属の用心棒・レオに耳を引っ張られて
村上の待つ社長室へと連れ込まれた。

村上「随分と探しましたよ、琢磨さん……」
琢磨「む、村上さん!?」
村上「一体なんですかその姿は? かっては栄誉あるラッキー・クローバーの
 一員であったはずの貴方が……」
琢磨「僕はもう残りの人生を人間として生きていく事を決めたんです!
 僕の事はもうほっといてください!」

バチンッ!!と琢磨の頬を平手で叩く村上……。

琢磨「い、いきなり何をするんですかぁ〜っ!?」
村上「下の下……以下ですね!!」
琢磨「……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
村上「琢磨さん、よく考え直してご覧なさい。愚かなナチュラルどもが、
 これまで我々オルフェノクに対して行なってきた数々の仕打ちを……。
 そもそもナチュラルはオルフェノクを人間としては認めていません。
 ナチュラルは閉鎖的で差別的な生き物なのです。それは歴史が証明するところでしょう……。
 オルフェノクがナチュラルと共存して暮らす事など、未来永劫絶対に不可能なのです」

話を言い終わった村上が指を鳴らして合図すると、
突然、素顔は覆面で隠し、骨の紋様をあしらった黒ずくめのコスチュームに身を包んだ、
数人の人影が「イーッ!イーッ!」という奇声を発しながら、社長室へとなだれ込み
怯える琢磨をたちまち取り囲んだ。

琢磨「な、何なんですか、この人達は!?」
村上「彼らは戦闘用の改造人間ですよ。我々オルフェノクとはまた違った形で、
 下等生物である人間とは決別した、我々と志を同じくする同志の皆さんです。
 琢磨さん、これからは貴方にも“グランショッカー”の一員として
 存分に働いてもらいます」
琢磨「……グ、グランショッカーですって!?
 村上さん、まさか貴方は……??」
村上「フフフフ……ハハハハハ!!」

村上の高笑いが木霊する……。


◎琢磨逸郎→SB社に強引に連れ戻される。

【今回の新規登場】
●琢磨逸郎=センチピードオルフェノク(仮面ライダー555)
●レオ=仮面ライダーサイガ(劇場版仮面ライダー555 パラダイス・ロスト)

36 名前:副総監、襲撃さる!:04/05/27 19:44

***東京都内の某料亭***

警視庁の東副総監は、警察学校時代の後輩である南雅彦と
二人きりで酒を酌み交わしていた。

南「――そうですか。冴島総監は相変わらずですか……」
東「うむ。常識にとらわれない自由な発想の持ち主…というよりは、
 単に常識知らんだけじゃないのか?……と思う事が時々あるのは確かだな」
南「あんな趣味にはしったような方が総監しているようでは、
 我が国の警察組織の未来は危ないですね」
東「まったく……野上前総監の時代が懐かしい……」

話は現警視総監・冴島十三に対する愚痴にまで及んでいた。

南「どうでしょうか、東さん。私に力を貸しては頂けませんか?」
東「力だと? どういう意味だ?」
南「単刀直入にお話しましょう。冴島さんには警視総監の座を退いて頂きます」
東「な、なんだと!?」
南「そうなれば警視庁は東さん、貴方の天下だ。
 実は政界のさる御方が我々同志の後ろ盾となって動いてくれております。
 日本の警察を真のあるべき姿に戻すため、決起なさるおつもりはありませんか?」
東「………」

しばらく無言で考え込む東副総監。だが……

東「南、今の話は聞かなかった事にさせてもらおう」
南「えっ……?」
東「確かに私は冴島総監に不満を抱いている。それは事実だ。
 あのブレイブポリスの連中を総監が甘やかしていることについても、
 私はいつも頭を悩ませているつもりだ」
南「ならば何故?」
東「現実的な考えを持つ我々が堂々と意見を持って諫言すれば、
 いくら冴島さんでも聞く耳はもっておられるだろう。
 それを力ずくで総監の座から引き摺り下ろすなど……南、まさか貴様が
 密かにそんなとんでもない企みを考えていたとはな。
 貴様は日本の警察の歴史を泥で汚すつもりか!?」
南「………」
東「先輩の誼で忠告させてもらうが、お前も余計な事は考えるな。
 なんだかんだ言ってもやはり冴島さんは傑物だ。お前如き青二才の
 敵う相手ではない。今日はここで帰らせてもらう……」

東副総監が退席し、座敷に一人残る南雅彦。

南「……腰抜けめ。やはり貴方も偽善者の一人に過ぎなかったようだな」

南は襖の向こうに控えていた人影に、目線で合図した。

南「須藤刑事、後はわかっているな……?」
須藤「承知しております」

37 名前:副総監、襲撃さる!:04/05/27 19:46

***首都高速***

高速道路で車を運転していた東副総監は、
帰路の途中で仮面ライダーシザースとボルキャンサーに襲われた!

東「な、なんだお前たちは!?」
シザース「貴方に恨みはありません。ですが死んでいただきます」
東「や、やめろ!! う…うわああああ〜〜っ!!」


***警視庁・総監室***

東副総監が何者かに襲撃され、病院へと運び込まれたという情報は、
直ちに警視庁特捜課の野上冴子から冴島総監へと報告された。

冴島「何だって! 東くんが!?」
冴子「はい。幸い命は取り止めましたが、
 1ヶ月は絶対安静だそうです」


◎東副総監→南の誘いを断ったため、仮面ライダーシザースとボルキャンサーに襲われ負傷。

【今回の新規登場】
◎東一門副総監(勇者警察ジェイデッカー)
●須藤雅史=仮面ライダーシザース(仮面ライダー龍騎)
○野上冴子警部(CITY HUNTER)

38 名前:秘密召集…:04/05/30 01:35

***警視庁・総監室奥の秘密会議室***

夜──病院に副総監を見舞った後、帰庁した冴島総監は、
直ちに(秘密裏に)信頼出来る各セクションの責任者たちを
集めた。

田中捜査一課長、特命刑事機関=ASの通称「暗闇指令」と
新田警部、0課装甲警察部隊=ZACの織田キャップ、
特別科学捜査室の「オヤジさん」こと芝室長、
未確認生命体対策班=SAULの小沢管理官(西ロンドン大学より再任)、
勇者警察=ブレイブポリス隊長(ボス)の友永警部、
対妖魔特殊警察=AMP(ATTACKED-MYSTIFICATION-POLICE-DEPARTMENT)の
ラリー・シャイアン署長、
そしてレスキューポリス3チームを統括する正木・桂木の両本部長と
東副総監に次ぐ存在の機動刑事セクション総責任者・柳田警視監……。

友永勇太「東副総監が襲われたって本当なんですか!?」
冴島「ああ……運転手は殺害され、副総監自身も
かなりの重症を負ったが、とどめを刺される前に
ヒーローの誰かが助けに入ってくれたらしい。犯人2名は現在も逃走中だ……
目撃者によると、副総監の車のウインドウに飛び込み、そのまま
消えたらしい……明らかに人間ではない姿をしていたそうだ」
織田「何らかのトリックでしょうか? あるいは次元侵略者……」
冴島「目撃者の一人が、携帯電話のカメラでその姿を写していた。これが
その映像だ」

照明を落とした部屋の壁に、画像が映し出される。ぶれていてハッキリとは
しないが、巨大なハサミを持った黄色い異形の姿が2つ……。

冴島「東副総監の意識が回復すれば、もっとハッキリしたことが分かるだろうが
……」
正木「総監、各方面に聞き込みをかけてみましょう。どこかの組織の怪人ならば
戦ったことのあるヒーローがいるかも知れません」
冴島「ああ……だが」
新田「……どうされました?」
冴島「捜査は秘密裏に行ってもらいたい……そのために諸君等の協力が
必要不可欠だ」
暗闇指令「……獅子心中の虫が庁内にいる、と?」

冴島、残念そうにうなずく。息を飲む一同。

ラリー「ここにいる私たち以外……」
芝「一体誰が……?」
冴島「野上警部や東条広域捜査官が既に動いてくれているが……
諸君はダッカーの総統D・神竜伸介のことを覚えているね?」
桂木「ICPOの捜査官でありながら、犯罪組織の黒幕でもあった
男……同じような人間が警視庁の中にもいると?」
冴島「私も、出来ることなら部下を信用したい……だが、ここ数ヶ月の
情報流出や一連の不祥事……何かがこの庁内で行われている気配を
感じるのだよ」
一同「……」

その場の誰もが口には出さないが、ある教団の名を思い出していた。

冴島「ICPOの金田長官も、全面協力を惜しまないとおっしゃって
下さっている。我々としても、このまま手をこまねいているわけにはいかん。
……諸君、この冴島に命を預けてくれるか!?」

出席者の全員、立ち上がる。その場に、言葉はいらなかった。

***捜査一課***

田中課長が戻ってくると、一人パソコンの前で作業をしている男がいた。
北條透警部補だ。

田中「おや、今夜の当直は君だったか?」
北條「ええ、佐々木さんは急用が出来たとかで、私が代わることに
なったんです。データの整理もありましたし。──課長はどちらへ?」
田中「ん? ああ、ちょっとな。ワシはこれで帰るから、後は
頼んだぞ」
北條「はい、お気をつけて……」

田中課長、一瞬鋭い視線を北條に送るが、そのまま出て行く。
パソコンから顔を上げ、見送りながらニヤリと笑う北條。

北條「また、あの探偵事務所へお寄りになるんですね、課長……」

○警視庁→冴島総監の元、各セクションが協力して事件解決を目指すことに。
●北條透→またぞろ何やら企んでいる様子……。

【今回の新規登場】
○田中捜査一課長(エイトマン)
○暗闇指令(スケバン刑事シリーズ)
○新田大五郎警部(電人ザボーガー)
○織田久義隊長(電脳警察サイバーコップ)
○芝大造室長(ロボット刑事)
○小沢澄子管理官(仮面ライダーアギト)
○友永勇太警部(勇者警察ジェイデッカー)
○ラリー・シャイアン署長(サイレントメビウス)
○正木俊介本部長(特警ウインスペクター/特救指令ソルブレイン/特捜
エクシードラフト)
○桂木重吉本部長(特捜エクシードラフト)
○柳田誠一警視監(機動刑事ジバン/階級はオリジナル)
●北條透警部補(仮面ライダーアギト)

39 名前:黄泉還る悪夢・2:04/05/30 02:27

東副総監の襲撃、高山我夢の拘束から少し時間はさかのぼる……。

***太平洋・某ポイント***

グレートマジンガーと2体のゲッターロボの活躍により、
出現した超戦闘獣・超百鬼メカ軍団は次々と倒されていく……。

ケイ@ゲッター1&リョウ@ゲッタードラゴン
「くらえ、ダブルゲッタービーム!!」
鉄也@グレートマジンガー「グレートタイフーン! バックスピンキック!!」

敵は強化されており、何とか獣魔将軍と魔王鬼以外の敵を粉砕した時点で
グレートもゲッターも傷だらけになっていた……。

獣魔将軍「フフフフ、どうした、息があがっておるぞ……剣鉄也」
鉄也「残るは貴様たちだけだ、グレートブーメランッ!!」
獣魔将軍「フンッ!!」
念力でグレートブーメランの動きをとめ、投げ返す獣魔将軍。
自身のブーメランでスクランブルダッシュと右腕が切断される!!

鉄也「うわあああっ!! グレートブースターを射出……くそっ!!」
獣魔将軍「パワーアップした我が前に、マジンガー怖るるに足らず!!」

海に墜落するグレート。

リョウ「鉄也くん!? おのれ……」
竜二の顔@魔王鬼の角「よそ見してるヒマは無いぜ、お前たちの相手は俺だ!」

魔王鬼の得意技──身体の部品1つ1つが竜二の部下を改造したサイボーグで
あり、分離した状態で無数の飛弾となって敵を蜂の巣にする──が
ダブルゲッターを襲う!!

リョウ&ケイ「オープン・ゲット!!」
ハヤト「ライガーなら少しの間の飛行も可能だ、行くぞ……チェンジ
ライガー・スイッチオン!!」
ムサシ「グレートは俺たちに任せろ、チェンジゲッター3・スイッチオン!!」

ライガーは魔王鬼とのスピード戦に入り、ゲッター3は海中に潜る。

ハヤト@ゲッターライガー「竜二……今度こそ本当に引導を渡してやる……
再合体する際、必ず頭部の角=お前が最後に合体することは経験済みだ……」

再合体を始める魔王鬼のパーツたち。そして……

ハヤト「今だ!!」
魔王鬼(……ニヤリ)

魔王鬼の角を捕まえようとしたゲッターライガー、しかし
次の瞬間強烈な電磁バリアに阻まれ、跳ね飛ばされる!!

リョウ・ハヤト・ベンケイ「うわあああ〜〜〜〜っ!!」
魔王鬼「ハハハ……俺も以前の俺とは違うぜ、ハヤト!!」

海面に向かってまっさかさま墜ちていくライガー。

リョウ「このままでは……オープンゲットだ!!」
ベンケイ「ダメだ、今の電撃で分離回路がいかれちまった!!」
ハヤト「クソッ……すまねえ……俺の判断ミスだ……」

大きな水柱を挙げて海中に突っ込むライガー。そこで
ゲッターチームが見た者は……。

サルードとブードの2大海底要塞、そして
巨大な泡に捕らえられたグレートとゲッター3!!

ブードの口から泡が発射され、ライガーも閉じ込められてしまった!!

あしゅら男爵@ブード「ハハハハ……どうだ剣鉄也、ゲッターチーム」
リョウ「その声は……! 貴様たちも黄泉還ったのか!?」
ピグマン子爵@サルード「ケケケ、これから盛大なナチュラル狩りの始まりだ。
貴様らはその第一号……次は誰かな……」
あしゅら男爵「フハハハハハ……」「オホホホホ……」
ピグマン子爵「ケケケケケ……」

○グレートマジンガーとゲッターロボ・ゲッターロボG、奮戦
虚しくグランショッカーに囚われる。
●グランショッカー、地球教サイドとは対称的に「ナチュラル狩り」を
開始した模様……。

【今回の新規登場】
●あしゅら男爵&海底要塞ブード(マジンガーZ)
●ピグマン子爵&海底要塞サルード(マジンガーZ)

40 名前:プリンセス・ユニオン:04/05/30 03:22

***東京郊外***

修道院風の建物──全次元・全宇宙の姫君や令嬢たちが
ヒーローたちの一助にならんと結成した組織、プリンセス・ユニオン
(PU)の日本支部である。現在では身分や出自を問わず、女性戦士や
ヒーローと関わりを持つ女性たちの連絡拠点兼サロン(笑)の機能も
果たしていた……。

(以下の会話はフランス語で行われているものとお思い下さい)
レミー島田「(写真を見ながら)……ふうん、銅像をねぇ」
マリア・ルイゼ「ええ、民衆のために戦った3人の女剣士──
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェ、シャルロット・クリスティーヌ・コルデ、
そして“ラ・セーヌの星”の像を建立することになりましたの」
フランソワーズ・アルヌール「……フランスの女の子たちなら、誰でも
一度は憧れたことのある人たちね。……でもいいのかしら、PUで
王制を打倒したフランス革命の話をしても」
イワン・ウイスキー「大丈夫だよ、フランソワーズ。PUメンバーの
お姫様たちは、みんな心の広い人たちだから……ボクが保証する……」
マリア・ルイゼ「ええ、私も貴族の血を引いていますけれど、自由と
平等の大切さを忘れないためにも必要なことだと思っていますわ」

レミー「……ところで、エリカさんからその後連絡は?」
マリア・ルイゼ「いいえ、何も……。グレース・マリア殿下は
デューク殿下と半ば軟禁状態に置かれていますし、シーラ殿下や
エレ殿下、アメリア殿下やレオナ殿下も連邦当局の監視が厳しくて、こちらには
なかなか来られないようですわ。ラクスさんやカガリさんも……」

突然扉が開き、数人の男たちがずかずかとサロンに入って来る……。

レミー「何なのよ、あんたたち!? ノックくらいしなさいよ!」
男A(礼状を見せつつ)「本日より、PUは連邦政府の監視下に置かれる
ことになった! 組織ぐるみのスパイ容疑だ」
マリア・ルイゼ「何ですって!?」
男A「既に連邦政府よりセイラ・マスことアルテイシア・ソム・ダイクン、
セシリー・フェアチャイルドことベラ・ロナへの逮捕状も出ている」
マリア・ルイゼ「何てことを……フランス元首である私の父や、
ドーリアン外務次官が黙ってはいませんわ! 即刻、剣総理に連絡を……」
男A「そのことですが……あなたのお父上はつい先刻、爆弾テロで
お亡くなりになられましたよ……シャトルごとね」
マリア・ルイゼ「…………う、ウソです、そんな……」
倒れかかるマリア・ルイゼを支えるフランソワーズ。
男B「その女から機械反応です、サイボーグと思われます!」
男A「よし、連行しろ!」
レミー「ちょっと待ちなさいよ、このあたしが相手に……きゃあ!?」

身構えたレミーにスタンガンが押し付けられ、電流が流される!

マリア・ルイゼ「レミーさん!? フランソワーズさん、逃げてください!」
フランソワーズ「で、でも……」
イワン「ここは引こう、003……!!」

001のテレポート能力で消えるイワンとフランソワーズ。

男A「ミュータントまでいたとはな……追え!」

気絶したレミーを支えるマリア・ルイゼを残し、部屋を出て行く
男たち。
マリア・ルイゼ「お父様……何とかしないと……レインさんとアレンビーさんに、
シャッフル同盟のみなさんに連絡を……!!」

○プリンセス・ユニオン、連邦政府=ティターンズの監視下に置かれてしまう。
○フランス元首、テロにより死亡……?
●ティターンズ、本格的な非ナチュラル狩りを始めた様子。

【今回の新規登場】
○マリア・ルイゼ【機動武闘伝Gガンダム】
○レミー島田【戦国魔神ゴーショーグン】
○サイボーグ003=フランソワーズ・アルヌール【サイボーグ009】
○サイボーグ001=イワン・ウイスキー【サイボーグ001】

41 名前:密会・・・:04/05/30 20:47

***宇宙要塞ヤキン・ドゥーエ***

小惑星を刳り抜いて建造されたザフト軍の宇宙要塞ヤキン・ドゥーエは、
プラント本国に最も近く、政権奪還の機を伺うザラ派の砦でもあった。
ここでプラント最高評議会前議長パトリック・ザラと、そこを極秘裏の内に訪れた
スマートブレイン社の社長である村上峡児との間で秘密会談が持たれていた。

パトリック「……フン。しかし驚いたものだな。まさか今をときめく
 スマートブレインの社長が、実はオルフェノクだったとはな」
村上「フフフ……それほど意外ですか?」
パトリック「当然だろう。スマートブレインといえば
 ナチュラルどもが牛耳る地球連邦政府とも昵懇な間柄の大企業だからな。
 我々コーディネイターと同様、オルフェノクにとってもナチュラルは敵のはず。
 そのナチュラルどもに便宜を図り、敵に塩を送るとは一体どういうつもりなのだ!?」
村上「知りたいんですよ、私は……。彼らナチュラルが非ナチュラルに対して
 何をするのか……何が出来るのか。それを知ることによって、
 ナチュラル対オルフェノクの戦いの未来を占うことが出来る……」
パトリック「…………」
村上「それよりも閣下、そろそろ本題へと入りたいのですが?」
パトリック「わかっている。我々ザフトはスマートブレイン社に対して、
 MS開発に必要な全データを提供する。その代わり……」
村上「ええ。我がスマートブレインは現在プラント本国で政権を握る
 アイリーン・カナーバらクライン派を排除するためにあらゆる協力を惜しみません」

村上がそう言い合図すると、応接間にライオトルーパー3体が入って来る。
ライオトルーパーの姿を見て思わず声を上げるパトリック・ザラ。

村上「この量産型ライダー騎兵・ライオトルーパーは既に数百体が製造されており、
 現在尚も生産稼動中です。我がスマートブレイン社は、この強化スーツを戦力として
 閣下のためにザフト軍に貸与するつもりでおります」
パトリック「よかろう。商談成立だな。いずれ地球圏からナチュラルどもを
 残らず滅ぼした暁には、お前たちオルフェノクにも自治権を付与する事を約束しよう」
村上「感謝致します、閣下」

パトリック・ザラが退室した後、村上は一人不気味に呟く。

村上「……フフフ、甘いですねパトリック・ザラ。私が欲しいのは自治権などではありません。
 地球の支配権そのものなのです……」


●村上峡児→ザフトのパトリック・ザラと裏取引をする。

【今回の新規登場】
●パトリック・ザラ(機動戦士ガンダムSEED)

42 名前:名無し客:04/05/30 20:49

***都内の警察病院***

東副総監が入院している病院を南雅彦が見舞いに訪れた。
副総監の病室の警備を担当している野上冴子が応対する。

南「野上警部、その後、東副総監の具合はどうかね?」
冴子「せっかくお越し頂いたのに恐縮ですが、今は面会謝絶の状態ですわ」
南「そうか。東さんは警察学校時代の私の先輩でね。あの時はよく世話になったものだ。
 犯人はなんとしてでも我々警察の手で逮捕するんだ!」
冴子「言われるまでもなく。ところで南警視長、昨夜警視長は副総監と都内の料亭にて
 会食されていますね?」
南「その通りだ。だからその帰りに今回の事件に遭われたと聞いて、私も驚いてね。
 とても心配していたんだよ。それがどうかしたかね?」
冴子「一体お二人でどんなお話をされてたんですか?」
南「なあに、よくある昔の思い出話だよ……」
冴子「本当にそれだけですか?」
南「君、失敬だな! いくら君が前総監でいらした野上さんのお嬢さんだからといって、
 あまりにも口が過ぎるぞ!」
冴子「あら、これは失礼しました」
南「……まあいい。ところで野上警部。これはあくまでも忠告だがね。
 現総監の冴島さんの時代も、そう長くはないだろう。くれぐれも“勝ち馬”には
 乗り遅れないようにするといい……」
冴子「ご心配なく。私は父よりも冴島現総監の方を評価しておりますの。
 だって今の総監に代変わりしてから、もう職場で度々見合いを強要されなくても
 済みますもの……」
南「………」


○野上冴子→事件当日に東副総監と南雅彦が某料亭で会食していたことを突き止め、
 白々しく警察病院へ見舞いに訪れた南に対して、それとなく探りを入れる。

43 名前:剣桃太郎VS三輪防人:04/05/30 20:51

***東京・首相官邸***

後援会から依頼され、色紙に一筆書いている日本国首相・剣桃太郎。

秘書官「総理、地球連邦軍極東支部の三輪長官がお見えになりました」
桃太郎「お通ししてくれ」

筆を置いた桃太郎は三輪長官を出迎えた。

秘書官「どうぞこちらへ」
三輪「うむ、失礼する」
桃太郎「お忙しいところをお呼び立てして申し訳ありません、三輪長官。
 どうぞお掛けください」
三輪「で、私に話とは?」
桃太郎「プリンセス・ユニオンの日本支部が地球連邦政府によって接収されたとか。
 それも日本政府に対して事前に何の相談もなしにです。長官は何か詳しいことは
 ご存知ありませんか?」
三輪「さあ、その件については、あいにく何も存じませんな」
桃太郎「そうですか。では地球教の噂ならご存知ですか?」
三輪「地球教………さーて、なんのことやら。
 一体、何ですかな、それは?」
桃太郎「地球教とは国際的なカルト宗教団体です。奴等はこの日本の支配を目指して、
 信者獲得のために違法すれすれの布教活動を展開しています。そしてその日本支部の
 関係者が、わが国の政府や警察内部にもいるという情報があるのです。
 それが誰と誰なのかまではわかりませんが」
三輪「ほぅ……しかしそれと私と何の関係が?」
桃太郎「あなたは軍部では地獄耳とも言われるお方だ。その情報網を使って
 その真偽を調査してほしいのです」
三輪「なるほど、そういうことですか。国家に仕える公僕たる者が
 インチキ宗教に手を出すとは信じられん話だが……わかりました。
 総理直々の頼みとあらば全力で調べてみましょう」
桃太郎「よろしくお願いします」

三輪長官は、ふとデスクの上の色紙へと目を見やった。

三輪「総理、この色紙は見事な達筆ですなあ!」
桃太郎「フッ、野暮用が多くて困っています」
三輪「総理、その代わりと言っては何ですが、私にも一筆お願いできませんかな?
 今日これからバルカンベースの方で閲兵式がありましてな。
 そこで部下たちに見せてやろうと思いまして」
桃太郎「お易い御用です。こんな悪筆でよければ」

三輪に乞われて、毛筆で色紙に何やら書き始める桃太郎。

三輪「しかし羨ましい限りですな。その若さで日本のトップに登り詰め、
 世論調査による支持率は歴代内閣最高ときている」
桃太郎「お待たせしました」
三輪「これはお手数をかけまして」

渡された色紙には、―沐猴にして冠す― と書かれてあった。

三輪「いやー、これは素晴らしい。これでワシも鼻が高いというものです。ワハハハハ!!
 (それにしても“沐猴にして冠す”とはどういう意味なのだ……???)」

44 名前:剣桃太郎VS三輪防人:04/05/30 20:53

***バルカンベース***

バルカンベースへと戻った三輪長官は、閲兵式での訓示を済ませた後、
日本に派遣されて来たアイムザット統括官と面会した。

三輪「フッフフ……今やPUもティターンズ派の監視下に置かれ、
 地球教による世界支配計画も順調のようだな」
アイムザット「三輪長官、これも貴方のお蔭です。貴方の軍内部での政治力と
 顔の広さで我々はこの国でも安心して勢力を伸ばす事が出来る。
 ジャブローにおられるジャミトフ閣下やブラッドマン卿も喜んでおられます」
三輪「うむ。日本に集中しているヒーローどもの戦力も、全て我々の完全な指揮下に
 組み込まれる日は近い。ジャミトフ閣下にはよろしくお伝えしてくれ」
アイムザット「ところで今日、剣総理と会われたとか……」
三輪「それが傑作な話でな。ワシに政府や軍・警察内部で
 地球教と関係している者を探れと言うのだ。このワシがその内の一人だとも知らずに。
 切れ者だと聞いておったが、所詮はまだまだ尻の青い若造だわい。
 おまけにあんな物までワシにくれてな……」

三輪は、先刻首相官邸にて桃太郎からもらった、
額縁に入れ壁に掛けて飾ってある“沐猴にして冠す”と書かれた色紙を指差した。

アイムザット「沐猴にして冠す……!?」
三輪「ほぅ、何だ、その言葉を知っておるのか。で、その意味は?
 どうせくだらん人生訓か何かだろうが……」
アイムザット「沐猴とは猿のこと……」
三輪「猿!?」
アイムザット「つまり猿にどんな立派な冠をかぶせても所詮、猿は猿。
 人の上に立つ器量ではないという意味です」
三輪「な、なんだとー!! ワシはついさっき閲兵式の席上で
 こいつを極東支部の全兵士たちに披露してしまったばかりなのだぞ!!
 ふざけやがって、あの若造がーっ!! こ、殺してやる!!
 こんなもんでワシに一生消えぬ大恥をかかせおってからにーっ!!! ヽ(`Д´)ノウワァァン!!」
アイムザット「落ち着きなさい、三輪長官。とにかく剣総理が貴方に疑惑を持っている
 ことだけは確かのようです。その色紙は貴方への挑戦状とみて間違いないでしょう」
三輪「だったら早くあの剣桃太郎を始末するのだ!!
 早目に手を打たなければ危険だぞ!!」
アイムザット「慌てることはありません。地球教の神聖不可侵たる総大主教猊下を中心に、
 我々軍上層部や政界の大物らが結束した“シャドー・ガバメント(shadow government)”の
 力をもってすればいくらでも打つ手はあります。フフフフフ……」


●三輪防人→剣桃太郎に大恥をかかされ激怒。

【今回の新規登場】
●アイムザット・カートラル諜報統括官(機動新世紀ガンダムX)

45 名前:もう1つの闇:04/05/31 02:15

***スマートブレイン本社ビル・54階・社長室***

スマートレディ「社長さん、お客様がおいでですわ。
──どうやら、お迎えに来られたみたいです……(ニコニコ)」

村上「……そうですか、すぐにお通ししてください。
くれぐれも失礼の無いように」

***同本社ビル内・応接間***

村上が入室すると、ソファから2人の男が立ち上がる。
1人は白いスーツに身を包んだ眼光鋭い若者、
もう1人は異様に青白い顔に口髭をたくわえた黒いスーツの男である。

村上「これはこれは……わざわざお出迎えに来ていただけるとは
光栄です、将軍に室長……」
白い服の男「当然のことです……早速ですが、ご出発の準備を」
黒い服の男「他の皆様も……もうお待ちです」
村上「承知いたしました。すぐに今日の予定を全てキャンセルの上、
ご同行いたしましょう……部下を1人連れてもよろしいですか?
呪博士やテラーマクロ帝王にとっての貴方がた同様、私の大切な
片腕ですので……アポロガイスト室長、メガール将軍」
黒い服の男「先刻すれ違った彼ですかな? フフフ、なかなかの使い手
のようですな……一度我がドグマ拳法と手合わせ願いたいものだ」
白い服の男「……いいでしょう。では……」

応接室を出てエレベーターに向かう3人。途中でレオも合流し、エレベーターに
乗り込む。

白い服の男「……本郷猛をはじめとする虫けら(ワーム)どもが
次々と帰国しているのはご存知か?」
村上「……!! いえ、初耳ですね。海外における我が社の拠点を
全て潰してくれた者たち……(冷静を装っているが、拳は堅く
握られている)」
黒い服の男「……どうやら、乾巧と接触するために戻って来ている模様……
フフ、ご心配なく……既に手は打ってありますぞ」
白い服の男「それに、本部へ行けば面白いものも見られますよ。
フフフフ……」

●村上峡児→グランショッカーの召喚に応じる。

【今回の新規登場】
●GOD秘密警察第一室長・アポロガイスト(仮面ライダーX)
●闇の王国ドグマ大幹部・メガール将軍(仮面ライダースーパー1)

46 名前:宇宙海賊クロスボーン・バンガード:04/06/01 17:30

***マザー・バンガード ブリッジ***

月を発進した“ナデシコC”は、かってのαナンバーズの一員でもあった
宇宙海賊クロスボーン・バンガードに接触していた。

ベルナデット「ようこそ、マザー・バンガードのブリッジへ」
ルリ「………」
サブロウタ「しっかし、アムロ大尉たちから話には聞いてたが、
 こんな女の子が海賊の親分かぁ…。ビックリしたぜ、まったく」
ハーリー「親分って…。それだと男の人じゃないですか、サブロウタさん」
サブロウタ「じゃ、女頭目か?」
トビア「ちょっと待ってください。ベラ艦長の時から海賊というのは偽装で…
 宝物とかを奪ってるわけじゃないんですよ」
サブロウタ「その割にはドクロ付きのガンダムとか海賊船とか…結構本格的だよな?」
ルリ「ま…何にしても、あなた達が無事で何よりです」
ベルナデット「ところで地球にいるベラ……いえ、セシリーさんに
 連邦政府から逮捕状が出たというのは本当なんですか?」
ルリ「安心してください。プリベンターが彼女をシーブックさんと一緒に
 無事にどこかに匿っているようですから」

ルリのその言葉に、ひとまず安堵の表情を浮かべるトビアとベルナデット。

トビア「感謝します、ホシノ少佐」
ルリ「では、ベルナデット艦長…ジュピトリアンの現在の状況について教えてもらいたいのですが」
ベルナデット「ええ。第一次火星極冠事変時、クラックス・ドゥガチ率いる木星帝国は
 表に出て来ていませんでしたが…火星の後継者があれだけの戦力を持っていたのは、
 ドゥガチの後ろ盾があったからこそだと言えます」
トビア「奴らはネオ・ジオンやザフトの影に隠れて巧妙にその存在をカムフラージュし、
 暗躍を始めていました」
ルリ「…でしょうね。情けない話ですが、連邦宇宙軍やプリベンターは
 ジュピトリアンの動きに気づかなかった…」
ハーリー「もっと早く連邦宇宙軍に申し出てくれれば、協力できたのに…」
ベルナデット「私達が行動を開始した時にはもう、地球連邦軍の極東支部は
 復活したティターンズによって差し押さえられていましたし……
 そして…元々、この戦いはドゥガチの娘でもある私個人の戦いなんです。
 それに他人を…あなた方を巻き込んでよいものかと…」
トビア「ベルナデット……」
サブロウタ「何言ってんの。俺達の戦いはいつだってそうさ」
ルリ「それぞれ事情は違えど、目的は同じ。だからこそ、力を合わせて
 一度は火星の後継者や木星帝国を倒すことが出来た」
ハーリー「今さら、そんな水くさいことは言いっこなしにしましょうよ!」
ベルナデット「…ありがとう、ルリさん」
ルリ「…で、あなた達は木星圏へ向かうつもりなんですか?」
ベルナデット「いえ。すでに木星帝国の主力艦隊はパプティマス・シロッコの導きで
 地球圏へ向かっています」
サブロウタ「何!?」
ハーリー「もう地球へ!?」
ベルナデット「ええ。私達は何としても木星帝国の侵攻を食い止めなければならないのです…!」

47 名前:宇宙海賊クロスボーン・バンガード:04/06/01 17:33

***ジュピトリス***

シロッコ(そろそろジャミトフはこちらの思惑に気づき始めたか…。
 だが、我々が提供したマスドライバーを使ってパトリック・ザラが
 プラント本国のクライン派政権に脅しをかけようとしていることまでは知るまい。
 そして、その事実はやがてグランショッカーとティターンズが全面衝突する原因となる…)
サラ「シロッコ様。ギリ少佐とローズマリー中尉がいらっしゃいました」

木星帝国でエリート教育を受けたニュータイプであるギリは、
かっての戦いでは“死の旋風隊(デス・ゲイルズ)”隊長としてトビア達を苦しめた。

ギリ「木星帝国地球降下部隊、たった今ジュピトリスへ帰還した」
シロッコ「うむ。ネオ・ジオン軍の指揮下に入ってかなり苦労したようだな、少佐」
ギリ「彼らの目をあざむくには仕方のないことさ」
シロッコ「では、死の旋風隊はサラ曹長を連れて木星圏へ帰還してくれたまえ」
ローズマリー「木星へ? 地球クリーン作戦はまだ第一段階すら終了してないじゃないか」
シロッコ「これはドゥガチ総統の命令だ。クロスゲート・ドライブを使用して木星圏に帰還すれば、
 時間的なロスはほとんどない」
サラ「パプティマス様はどうなさるのですか?」
シロッコ「私はこのままジュピトリスに残り、地球圏の情勢を見ることにする」
サラ「では、私もパプティマス様と一緒に…」
シロッコ「サラはまだ木星圏に行ったことがないだろう? この機会に体験しておくといい」
サラ(………)
シロッコ「案ずるな。我々が手を下さずとも地球圏の混乱は今まで通り維持されることになる…」


○ナデシコC→マザーバンガードと合流。
○ベルナデット→ベラ(セシリー)の跡を継ぎ、現在マザー・バンガードの
 二代目艦長に就任している。
○セシリー→プリベンターが一旦どこかへ匿った模様。
●死の旋風隊→木星圏へ一時帰還。
●シロッコ→当分の間は様子見を決め込む。

【今回の新規登場】
○高杉三郎太大尉(劇場版機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-)
○マキビ・ハリ少尉(劇場版機動戦艦ナデシコ-The prince of darkness-)
○ベルナデット・ブリエット=テテニス・ドゥガチ(機動戦士クロスボーンガンダム)
○トビア・アロナクス(機動戦士クロスボーンガンダム)
●ギリ少佐(機動戦士クロスボーンガンダム)
●ローズマリー(機動戦士クロスボーンガンダム)
●サラ・ザビアロフ曹長(機動戦士Zガンダム)

48 名前:動き出す勇士たち:04/06/03 02:41

***東京都・立花レーシングクラブ***

白いカウルが特徴的なバイクが一台、店の前で止まった。
マシンを降りた乗り手がヘルメットを取ると、精悍な男の顔が現れる。
IQ600の頭脳を持つ青年科学者にして世界有数のオートレーサー、
本郷猛その人であった。

立花藤兵衛「猛、お客さんだぞ」

本郷を待ち受けていたのは、背広姿の理知的な男──

本郷「……やあ、ハヤタさん、お久しぶり!」
ハヤタ「本郷さんも元気そうで何より……!」

笑顔で肩を叩き合い、握手する2人の男。
幾度となく人類の危機を救ってきた、歴戦の勇者同士の再会であった。

***同・2階***

本郷「高山くんが地球教に!?」
ハヤタ「ああ、まだ確証は持てないが……他にもティターンズや
警察の強硬派が動いているようだ」
本郷「……それで、彼の連れて行かれた先は?」
ハヤタ「つい先刻、ダンのところに連絡があった。何とか収容施設を
逃げ出せたらしい。郷とゲンが合流した後、安全な場所に
かくまう段取りになっているんだ」
本郷「……そうか(安堵)。俺の方にも滝から連絡があったよ。
北米でアムロ・レイ大尉と落ち合う予定とのことだ。消息不明の
鉄也くんやゲッターチームを捜索するために現地のみんなと連絡を
取り合うと……」

地球教とグランショッカー……人類の内と外から迫る脅威に対し、
ヒーローたちは秘密裏に連絡を取り合い、結束を固めていた。
地球教の差し金で、自らの職務に忠実なだけの人々と
戦わざるを得なくなるかも知れないことに苦悩しながら……。

ハヤタ「……今度は悪い知らせだ。……SB社に、早瀬五郎らしき人物が
入社したらしい」
本郷「……!! 早瀬が……」

早瀬五郎。滝と並んで、本郷猛の良きライバルだったレーサー。本郷への嫉妬と
勝利への渇望が、秘密結社ショッカーの門を叩くきっかけとなった男……。
怪人さそり男として本郷=仮面ライダー1号に敗れた後、強化再生改造を
受けて毒サソリ男にパワーアップ、地底怪獣ガドラスを操る二面作戦で
1号を窮地に陥れたものの、ハヤタ=ウルトラマンの協力により
(それが2人の出会いであった)再び塵と消えたはずだった。それが……。

本郷「……グランショッカーめ……!!」

49 名前:動き出す勇士たち:04/06/03 03:22

***北米某所***

荒野の中に、一台のヘリが停まっている。その前に佇む
2人の男──FBIの滝和也捜査官とロンド・ベル隊の
アムロ・レイ大尉だ。

土が小高く盛り上がっている場所があり、アムロはそこに
花束を静かにおいた。

アムロ「すまないね、滝さん。北米に来た以上、一度ここに寄って
おきたかったんだ」
滝「いや、そりゃ構わんが……なあ、聞いてもいいか?」
アムロ「……イセリナ・エッシェンバッハ。前のNY市長令嬢の
墓だよ。NYにある墓の下には、誰も眠っちゃいない」
滝「……! そんな娘の墓が、何でこんなところに……!?」

イセリナ・エッシェンバッハは一年戦争の混乱期に失踪し、
そのまま死亡認定を受けたはず……日系アメリカ人である滝も、
ジオン軍に占領されている頃のことはよく覚えていた。

アムロ「彼女の素性を知ったのは、一年戦争が終わった後さ。
恋人だったガルマ・ザビの仇を討とうとして……俺たちが
死なせてしまった……」
滝「……」
アムロ「復活したティターンズ……地球教が俺たちの前に差し向けて
来るのは、命令通りに動かざるを得ない兵士や警官たちかも知れない。
あるいは死んだ者の家族、純粋培養された無垢な暗殺者たち……」
滝「……だが、それでも俺たちは……やらなきゃならん。
『あいつら』だってそうさ。大首領の野郎が生み出した、そして
『あいつら』が倒した無数の改造人間にだって、家族や友人や恋人は
いただろうよ」
アムロ「……分かってるさ、滝さん。戦いを終わらせるために、俺たちは
全力を尽くすしかない……そうだろ?」
滝「……ああ」

アムロと滝、花束を置いた場所に対ししばし黙祷。

滝「……行くか。第七艦隊の司令官殿をそうそう待たせるわけにも
いくまい」
アムロ「セイラさんを無事宇宙に上げてくれたお礼も言わなくちゃな。
彼女に万が一のことがあったら、シャアに合わせる顔が無いし……
アクシズ落としほどじゃ済まないだろうから」

ヘリが去った後、荒涼とした大地には花束だけが残されていた……。

○ICPO傘下の科学特捜隊日本支部のハヤタ隊員、
本郷猛に接触。互いに情報交換する。
地球教から逃れた高山我夢には郷秀樹=ウルトラマンジャックと
おおとりゲン=ウルトラマンレオが救援に向かった模様。

○アムロ・レイ、北米にて滝和也と合流。グレートとゲッターを
救出するため第七艦隊に救援を非公式要請する予定らしい。

【今回の新規登場】
○本郷猛=仮面ライダー1号(仮面ライダー)
○ハヤタ・シン隊員=初代ウルトラマン(ウルトラマン)
○アムロ・レイ大尉(機動戦士ガンダム/同Zガンダム/同逆襲のシャア)
○FBI捜査官・滝和也(仮面ライダー/SPIRITS)

50 名前:もう1つの闇:04/06/03 04:08

***グランショッカー本部***

長い長い、そして薄暗い回廊を抜けると、そこは
円卓の置かれた大広間であった。各所に
不気味な銅像や石像が装飾され、黒覆面の男たち=ショッカー戦闘員が
槍を持って警護にあたっている。

鮮血のように赤い絨毯を踏んで、村上峡児……いや、禍々しき白薔薇・
ローズオルフェノクは円卓の内の1つに座る。

???「……ようこそ、偉大なるグランショッカー最高幹部会・
十二邪将の諸君!!」

円卓の中央が輝き、暗かった広間を照らす。ホログラフで浮かびあがったのは、
双頭の鷲(頭の1つは鷲、もう1つは烏のそれである)に両側から
薔薇と蛇が絡み付いているエンブレム=グランショッカーの紋章だ。
それが明滅するたび、あの声が……かつてショッカーを、ゲルショッカーを、
デストロンを、ブラックサタンを、デルザー軍団を、ネオショッカーを、
バダン帝国を、クライシス帝国を支配し──GOD機関、ゲドン、ガランダー帝国、
ゴルゴム、フォグを影から操り──望月博士のネオ生命体計画を支援、
グロンギ族のゲゲルを煽り、「財団」とスマートブレイン社を使って
日本の政治経済の闇に深く食い込んでいる──
「あの声」が響いた!!

ホログラフの声に応じ、一斉に立ち上がり礼の姿勢をとる円卓の面々。
その内の2人、地獄大使とダスマダー大佐が高らかに叫ぶ。

地獄大使「我らが支配者……邪帝大首領クライシス陛下!!」
ダスマダー大佐「十二邪将、揃いましてございます!!」
戦闘員たち「イーッ!!」

大首領の声「諸君、見るがいい!!」

壁面が開き、大型モニターが出現する。

銀河系内外の未開発惑星が、ゴズマードの大船団と宇宙獣士の大部隊、
巨獣の群れにより次々制圧されていく。共和制が定着しかけていた
ボアザン星はゴズマと結んだ旧貴族派により再び戦乱に逆戻りし、
復興の進んでいたイガ星やハザード星、フリード星もまた無法地帯と化し、
高い戦闘力と科学力を誇るフラッシュ星・エメラルド星も星都陥落寸前まで
追いつめられていた……。

大首領の声「今やグランショッカーの勢力は全宇宙にまで及んでいる……
この機に連邦軍、その背後にいる地球教を壊滅させ、
太陽系を我らの手中に収めるのだ……諸君の働きに期待する……!!」

***同・モニター監視室***

人間体に戻り、部屋に案内された村上が、地下牢の様子を映した
モニターに見入っている。

地獄大使「フフフ、どうですかな村上殿」
村上「……ほう、これはこれは……剣鉄也にゲッターチームの面々ですか……
何故すぐに改造してしまわれないのです? 彼らのような心身優れた
人材なら、改造人間やオルフェノクの素体にはもってこいでしょうに」
地獄大使「ワシもそうしたいのはヤマヤマなのだが、暗黒大将軍がなかなか
首を縦にふってくれんのだ……拷問して情報を全て吐かせるのが先だ、とな」
村上「……なるほど。機体の方は?」
地獄大使「無論、操縦席に自律型AIを組み込んで破壊兵器として
使わせてもらう。マジンガーZやグレンダイザーが身動き取れぬ以上、
ロンド・ベル隊の戦力は半減していますからな」
村上「フフフフ……大首領から鑑を2つもいただいた以上、我々オルフェノクも
全霊をもってご恩返しを……」
地獄大使「フフフフ、ハハハハ……そして我らが共通の憎き敵、
仮面ライダーも1人残らず……!!」

●グランショッカー邪帝大首領、地球圏制覇の号令を下す。
○グレート&ゲッターチーム、グランショッカー本部に囚われの身……。

【今回の新規登場】
●邪帝大首領クライシス(仮面ライダーシリーズ/半オリジナル)
●ショッカー大幹部・地獄大使(仮面ライダー)
●クライシス帝国査察官・ダスマダー大佐(仮面ライダーBLACK RX)

51 名前:地球教の影・3:04/06/05 17:11

***日本国内の某温泉郷・露天風呂***

江田島「フフッ…まさに極楽とはこのことだわい」

のんびりと湯に浸かっているのは、日本の現内閣総理大臣・剣桃太郎の恩師にして、
日本の首領(ドン)と呼ばれるその隠然たる勢力は今も衰えを知らない、
男塾塾長・江田島平八その人である。

???「同感です。自分が俗世の人間だということさえ忘れるような……」
江田島「……?」
白河「お初にお目にかかります。私、衆議院議員、白河尚純と申します」

突然現れた白河は、遠慮することなく湯に入り塾長に近づこうとするが……

富樫「出直してきてもらおう。塾長は約束の無い者とお会いにはならん」
江田島「フフフ、構わん富樫。白河尚純といえば今をときめく
 政界のニューリーダーよ。わしも折あらば一度会いたいと思っていたのだ」
白河「君、聞いてのとおりだ。その手を放したまえ」

自分を止めようとした富樫の手を振り払う白河。

江田島「このわしに何か用か?」
白河「ハイ、単刀直入に申し上げます。貴方の力を必要としています」
江田島「わしの力…?」
白河「平成維新実現のために働いてもらいたいのです。私の部下の一人として……!!」
江田島「………」
富樫「な、なにっ!?」
白河「貴方はあらゆる分野のトップと強力なコネを持っています。
 その多くは貴方が塾長をしていた男塾の卒業生たち。出来れば彼等も
 私の部下として使いたいのです。貴方の命令とあらば否応ないでしょうからね」

白河の頭部に銃口を向ける富樫。

富樫「正気か貴様……。もう一言抜かしたらこの頭吹き飛ばしてやるぜ!!」
白河「君に私が撃てるかね?」
富樫「なんだと…!!」
白河「さあ、引き金を引いてみたまえ……」

52 名前:地球教の影・3:04/06/05 17:12

富樫「こ、これは……!? ……うおっ!!」

白河の眼力に操られ、なんとその手に持っている銃を自分の頭部に向けてしまう富樫。

富樫「う、腕が勝手にーっ!!」
白河「君はもう動けん。しばらく大人しくしていてもらおう。
 いかがですかな、江田島先生」
江田島「フフフ…なかなか芸達者だわい。それは地球教の妖術か何かか?」
白河「さすがは江田島先生。いかにもこれは神が私に授けた奇跡の力です。
 神は私に天命を与えたのですよ。この日本を救済せよと」
江田島「大した自信だな。だがこの江田島、今まで星の数ほど男を見てきた。
 一度会えばその男の器がわかる。そしてその器の中身までもな」
白河「………」
江田島「貴様には一つ欠けておるのだ。人の上に立つ者にとって
 一番重要なものが……」
白河「ほほぅ……それは一体何ですか?」
江田島「男の愛嬌だ。政治家だろうがサラリーマンだろうが、
 これのない男は大成はせんよ」
白河「フッ…男の愛嬌ですと? もう少し詳しくお聞かせ願いたいですな」
江田島「言っても貴様には無駄だ。男二人の風呂に前を隠して入るような奴には
 わからん話なのだ」
白河「……つまりそれが貴方の答えという事ですね」
江田島「そうだ。わかったらさっきの芸をわしにも使ってみるがいい。
 貴様は今までそうして人を操り人形にして来たんだろうが?」
白河「仕方ありません……」
富樫「じ、塾長――っ!!」

白河「 ハ ア ア ア ア ――― ッ ! ! ! 」

53 名前:地球教の影・3:04/06/05 17:16

 
     __――――――          /\/\/\/\/\/\/\/\/\/
    /            \       /
   /               \     )
   /_         __     |    (
  / \  | /  /   \    |   /
/ _  \   /  /\|||||   |  \   わしが男塾塾長
|/  \_|| ||||_/       /\   )  江田島平八であるー!!!
< ̄o ̄>   < ̄o ̄>  |   |  (
  /  ̄ ̄/       ̄ ̄    | ∂ |  )
 (  /(_⌒)\     /   ) ) | (
 | === ====     | (  |  )
  ( || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ||     (_/  (
   || |  ̄ ̄ ̄⌒ ̄| ||    |      )
   || |         | ||    |    (
   || |         | ||     |    )
   ||  )  /⌒⌒|   | ||     |   (
   || /  /     |_ / ||     |   )
   || ヽ ̄⌒ ̄ ̄ /  ||     /   \/\/\/\/\/\/\/\/\/\
   ||  ヽ ̄ ̄ ̄ ̄/  ||    /
    \   ̄ ̄ ̄        /
      \________ /



白河「………!!」
江田島「フフフ…これが地球教の言う神とやらの力か?
 わしのオツムはピンピンしておるぞ」
白河「バカな! こんなことが! 私の念を上回る精神力で
 自我を防衛したと言うのか!!」
江田島「ワッハハハ!! 精神力だと!! そんな気の利いたものではない!!
 わしの気はアッチにあっただけの話だ」
白河「……!?」

塾長の指差す方向には、なんと女湯が……!!

江田島「いい眺めじゃ。煩悩に勝る精神力はあるまいて!」
白河「今回はどうやら私の負けのようですな。またお会いしましょう江田島先生。
 その時までに私は貴方の弟子達全てをこの日本から一掃しておくつもりです」


そして、数日後……

***江田島平八邸***

桃太郎「そうですか……。白河が塾長に直接仕掛けて来ましたか」
江田島「まあ、その場はしのいだがな。まったく喰えん奴よ。
 かってわしの見たどの器にも分類されん男だ」
富樫「信じられねえ能力を持ってやがる。奴にひと睨みされた途端、
 操り人形になっちまうんだ。俺はそれでひでえ目に遭わされたぜ」
江田島「どうするつもりだ、剣? 奴の一番の狙いは貴様だ。
 貴様を総理の座から引き摺り下ろす事にある」
富樫「奴は塾長の洗脳に失敗しても笑ってやがった。
 おまけに帰り際に捨て台詞まで置いて行きやがったんだ」
桃太郎「フッ…我々への宣戦布告か」

54 名前:地球教の影・3:04/06/05 17:17

一方、その頃……

***ゼーレの座***

かっての人類補完委員会――そして今は、
ティターンズやブルーコスモスなど、影の地球連邦政府の“表の部分”を
束ねる最高執行機関である秘密組織ゼーレには、ロームフェラ財団代行・デルマイユ侯爵や
旧政府再建委員会の典型的な権力者であるブラッドマン卿らをはじめ、
シャドー・ガバメントを構成する主な首脳陣が集まり合議していた。

アズラエル「しかし…NervとEVA、もう少し上手く使えなかったんですかねェ?
 ゼロ号機に引き続き、初陣で壊した初号機の修理費…国が一つ傾きますヨ」
キール「………」
アズラエル「碇ゲンドウに玩具を与えたのはいいが、肝心なことを忘れてもらっては困りますネ。
 みな命を掛けて戦っているんですから――“人類”の敵とね」
キール「アズラエル……我等はブルーコスモスではない」
ブラッドマン「そういう言い方はやめてもらえんかね?」
アズラエル「これは、失礼致しました……( ̄ー ̄)ニヤリ」

ゼーレの議長キール・ローレンツに
芝居かかった仕草で両手を広げ、わびて見せる
ブルーコスモスの盟主ムルタ・アズラエル。

キール「危険過ぎるヒーローたちの全戦力を我等の完全なるコントロール下に置くこと。
 そして人類補完計画の再始動…これこそが我々の急務だ。我々にとって…この計画こそが、
 これから始まるであろうグランショッカーとの戦いにおける唯一の希望なのだ」
アズラエル「ええ、わかっていますけどネ(まだゼーレは人類補完計画を
 諦めてはいなかったのか。ここまで来て、一体何を今更……)」
キール「いずれにせよ、これ以上のスケジュールの遅延は認められない。
 それに…情報操作の方はどうなている」
アズラエル「フフフ…ご安心を。その件についてはすでに対処済です」

そこへ、今はゼーレ直属の特務諜報機関に所属するフロスト兄弟が姿を現す。

オルバ「ヒマラヤの地球教総本山より、教団総書記代理ド・ヴィリエ大主教、
 ご来臨にございます」

55 名前:地球教の影・3:04/06/05 17:20

フロスト兄弟に案内されて、痩せた、鋭角的な印象の男が入って来た。
この男――ド・ヴィリエは地球教団の中でも官僚、陰謀家としてきわめて有能な男で、
これまでも自らの野望に従い、地球教の数々の陰謀を主導してきた。

デルマイユ「ド・ヴィリエ大主教にお尋ねしたい。これは総大主教猊下の
 ご使者としてのご臨席か?」
ド・ヴィリエ「いかにも。ゼーレの皆に、総大主教猊下のお言葉を伝える」
キール「………」
デルマイユ「………」
ブラッドマン「………」
アズラエル「………」
ド・ヴィリエ「猊下は出来得るだけ穏便に事を運べとのご意志である。
 来たるべき聖戦を控え、今はまだいたずらに戦力を浪費すべきではない」
ブラッドマン「しかしティターンズや極東支部を任せた三輪長官の手際は、
 ここ最近は必ずしも上手くいってないようだが……?」
ド・ヴィリエ「焦るでない。我々は800年待ち続けた。仮にあと2、3年待つとしても
 なんであろう。今しばらくはジャミトフや三輪防人に時を与えてやろう」
アズラエル「お言葉ですがね、ド・ヴィリエ大主教。
 なんでしたら、ボクの方で日本政府との交渉、お引き受けしましょうか?」
ド・ヴィリエ「なにっ?」
アズラエル「今はともかく、日本に集中しているヒーローたちの戦力が必要なんでしょ?
 それも早急に。もしかしたらアレのテストも改めて出来るかもしれませんしネ……」
ド・ヴィリエ「また生体CPUを使うつもりか?」
アズラエル「お役に立つと思いますヨ。少なくとも“カテゴリーF”などという
 出来損ないとは違ってネ」
シャギア「……!!」
アズラエル「まあそれは、向こうの出方次第ですケド……。
 その剣総理や警視総監の冴島さんとやらが、噂通りの頑固者なら……」

アズラエルの今の言葉に感じた憤りを、
テレパシーで兄シャギアに伝える弟オルバ。

オルバ(兄さん……アズラエルの奴は明らかに調子に乗っているよ……!!)
シャギア(焦るな、オルバよ。アズラエルも他の奴等も権力を握っている以上、
 まだ我々兄弟にとって利用価値がある。ここはじっと時を待つのだ……)
オルバ(………)


○江田島平八→白河尚純と初対峙。
●白河尚純→己の眼力で人の心を操る地球教の妖術を身につけている。
●アズラエル→ゼーレ委員会の席上で、日本政府との交渉を買って出る。
●フロスト兄弟→表向きは地球教サイドに服従しつつ、不穏な動きを……。

【今回の新規登場】
○江田島平八(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○富樫源次(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
●白河尚純(仮面ライダーアギト)
●キール・ローレンツ(新世紀エヴァンゲリオン)
●ムルタ・アズラエル(機動戦士ガンダムSEED)
●ド・ヴィリエ大主教(銀河英雄伝説)
●デルマイユ侯爵(新機動戦記ガンダムW)
●ブラッドマン総司令(機動新世紀ガンダムX)
●シャギア・フロスト(機動新世紀ガンダムX)
●オルバ・フロスト(機動新世紀ガンダムX)

56 名前:獣神官ゼロス:04/06/10 23:50

喫茶「花鶏」

戦いが終わり、全てが元どうりになった世界。時計の針は3時を指している。
午後の昼下がり、窓からは陽光が差し、室内を照らす。客はほとんどおらずがらんとしている。
中にいるのはこの喫茶店のマスターと二人の従業員だ。

カラァン・・・

ベルが鳴りドアが開くと、そこには紳士風の人物が立っていた。旧世紀の貴族のようなかっこをしていた。

信司「いらっしゃいませ。ささ、お好きな席へどうぞ」
???「君は城戸信司くんだね?それにそこの君は秋山連。」
信司「たしかにそうですけど・・・なんですか?」

突然の質問に戸惑う信司。騒ぎを聞きつけ連がつめよる。

連「なんだ?」
???「伝言を預かっている。君たちがよく知っている人物だ。」

そういうとその男は一枚の手鏡を取り出す。二人はそれに目を向けた瞬間・・・

連「!!!?」
信司「うわぁ!・・・」
???「・・・」

あたりを光が包み込み、連と信司の姿は鏡の中へ消えていた。

???「さてと・・・マスター、オレンジペコをもらえないか?」
沙奈子「はーいすこしおまちください。」

57 名前:獣神官ゼロス:04/06/11 00:12

連「っ・・・ここは?」
信司「なんだ・・・ミラーワールド?」

周りの景色は全て鏡に映したようになっている。そう「ミラーワールド」だ。

連「城戸、とりあえず変身だ。このままじゃやばい。」
信司「お、おう!」

二人は懐のデッキを取り出し、仮面ライダーに変身する。

騎士「・・・とにかく出るぞ。」
龍騎「あぁ、あの変なヤローがなにかしやがったんだ。あとで問いただしてやる。」

突然周りが暗転し、維持現に繋がる。そして一人の人影がこちらに向かってくる。
黄金色の体にステッキを持っている。そのシルエットはまさしく仮面ライダーである。

龍騎「・・・オーディン!?神崎か!」
騎士「なんのようだ?あの男はお前の差し金か?」
オーディン「新たな戦いが始まろうとしている。」
騎士「たしかに・・・地球教は前より一層力をつけおり、プラントや連邦は不安定な状況にある。
しかし、それが俺たちに関係あるのか?」
龍騎「そ、そうだ!俺たちは今はもう関係ないんだ!」
オーディン「・・・城戸信司。」
龍騎「な、なんだよ・・・」
オーディン「リュウガが動き出した。」
二人「!!?」
オーディン「・・・戦え」
龍騎「お、おい・・・ちょっとまて!!どういうことなんだ!!なんであいつがまた・・・くそぉっ」

オーディンは消えるように立ち去っていった。いつの間にか彼らも花鶏に戻っていた。

???「戻ったかね?」
信司「あんた・・・なんか知ってんだな?教えろ!」

オレンジペコを飲んでいる先ほどの男を問いただす。

トレーズ「・・・私の名はトレーズ・クシュリナーダ。君たちにはやってもらいたいことがある。
あとでこの場所まで来て欲しい。もちろん、ミス神崎もご一緒でね。」

そういうとトレーズは置手紙を置いて去っていった。

佐奈子「あのひと・・・いい男。」

○トレーズ、花鶏に出現する。
○●神崎、連と信司に新たな戦いを予言する。

【今回の新規登場】
○城戸信司(仮面ライダー龍騎/劇場版)
○秋山連(仮面ライダー龍騎/劇場版)
○神崎佐奈子(仮面ライダー龍騎/劇場版)
○神崎士郎(仮面ライダー龍騎/劇場版)
○トレーズ・クシュリナーダ(新機動戦記ガンダムW)



58 名前:動き出す勇士たち・2:04/06/11 02:47

***東京・九段下・OREジャーナル***

大久保大介編集長「ささ、狭いところですがどうぞどうぞ……めぐみ、お茶!」
一文字隼人「いや、おかまいなく。どうでした、この前の写真?」
大久保「いやもう、我が社始まっての大反響で……これもお2人のおかげ、この
大久保大介……心から感謝いたしております」

2人の来客に向かって深々と頭を下げる大久保編集長。

浅野めぐみ(お茶を出して応接室から戻って来る)
「あの人たち、そんなに有名なの?」
島田奈々子「……一文字隼人、瀬川耕司。それぞれ世界の紛争と
環境問題を得意とするフリーカメラマン。何故かどちらも年齢不詳……」

瀬川「……ところで、城戸くん……は?」
大久保「今はおりませんが……まさかお2人に何か粗相でも、あのバカ……!」
一文字「ああいえ、ちょっと取材に人手が足りなくて、お借り出来ないかと……」
瀬川「いいのが撮れたら、もちろん貴社に優先的に送らせていただきますから」
大久保「桃井も今は取材で関西に行ってますし……もう、あのバカで良かったら
いくらでもこき使ってやってください、ハハハ……」

***レストラン「AGITO」***

入口に下げられた「貸切中」の札。

津上翔一「はい、お待ちどう様です」

四人がけテーブルに座った一文字と瀬川の前に、入れたての
コーヒーが置かれる。

一文字「うん、うまい……立花のおやっさんも褒めてたよ、君の腕は」
翔一「おそれいります。……ところで、氷川さんから送られて来た
写真というのは?」
瀬川「ああ、俺たちも色々補整をかけてみたんだが……まだハッキリしないんだ」

東副総監襲撃時の写真を大きく引き伸ばしたものが、翔一に手渡される。

翔一「僕にも見覚えはないですね……少なくともアンノウンじゃないと思います」
一文字「そうか……となると残るは……」
翔一「城戸君たちですか……」
瀬川「俺たちと違って、変身しなければ生身の彼らをまた巻き込むのは
本意じゃないんだが、せめて手がかりだけでもな……」

ミラーワールドが閉じられ、13人のライダーたちも記憶を失う代わりに
復活……普通の暮らしに戻ったはずだった。ある事件でミラーワールドの
戦いを知った1号からアギトまでの歴代仮面ライダーも、彼らの幸せを
祈りつつ(浅倉や須藤、芝浦や東條の罪も無かったことになっているようだ)
世界各地でスマートブレイン海外支社のオルフェノクと戦い、
日本のファイズたちを影ながら支援していたのだ。

しかし……平穏な日々は長くは続かなかった!

一文字「驚いたよ……城戸君から連絡があった時は」
瀬川「何者かがカードデッキを送りつけて……受け取った
瞬間記憶が戻ったって言ってましたよね? 神埼の意思は浄化された
はずじゃなかったのか……」
翔一「グランショッカーが何か企んでいるのか、それとも……」

???「今帰ッタヨ〜〜」

窓から勢いよく飛び込んで来たのは、瀬川の相棒であるミュータントバッタ・
ベリー。

瀬川「ああ、おかえり。どうだった?」

ベリー「急イデファイズヲ、聖ナル海ノ洞窟ヘ!! アマゾンモ
RXモ、クウガモ向カッテクレテルヨ。アギトモ早ク!!」

59 名前:動き出す勇士たち・2:04/06/11 04:00

***新宿・海堂医院・診察室***

ベッドに寝かされている、乾巧。
横では院長である海堂博士がカルテを書いている。
巧、憔悴しきった様子で目を開ける。

巧「……先生」
海堂「何かね?」
巧「……俺はあと……どのくらい生きられそうなんだ?」

一瞬の沈黙。

海堂「私は隠し事がニガテでね……このままだと、あと一週間
もつかどうか……」
巧「……そうか」
海堂「……だが、今大事なのはデータじゃない。君自身が生き続けたいか
どうか、だよ。人間として」
巧「……」
海堂「今ここで君を死なせたら、甥の直也が迷惑をかけた分の
お詫びも出来ない……私も医者として、全力を尽くすつもりだ」

***同・待合室***

何人かの男女、診察が終わるのを待っている。
ナース服姿の一条ルミが、点滴の道具や薬ビンを抱えて入室。

園田真理「あの、巧は……」
一条ルミ「今は落ち着いてます。大丈夫ですよ」

オルフェノクとして覚醒した乾巧の肉体は、能力を使いすぎたこともあり
日毎に衰弱の度合いを深めていた。風谷真魚の治癒能力をもってしても
その進行を止めることは出来ず、たとえパーフェクトサイボーグに改造したと
しても脳細胞の死までは止められないという結論が出されていた……。

菊地啓太郎「きっと元気になるよ、あいつなら……」
がんがんじい「そや、希望を捨てたらあかん……ライダーのみんなも
巧はんを助ける方法を探して駆けずり回ってくれてるところやで」
真理「……でも、どうしてみんな、巧のために?
……巧も『仮面ライダー』だから? あたしと出会ったばっかりに、
死んだあたしを助けるために、あんなにボロボロになるまで……
この上まだ、元気になって戦わなくちゃいけないの? そんなの……」
啓太郎「真理ちゃん……!」

???「仲間、だから助けるんだ。その後は……彼自身が決めればいい」

ドアが開き、南光太郎と志度敬太郎博士が入って来る。

がんがんじい「光太郎はん、博士!」

光太郎「山本さんと五代くんが、アマゾンにある地空人の神殿から『生命石』を
採って来てくれたよ……地空人たちも、使用を快く承知してくれた」

光太郎、手にしたジェラルミンケースを開けてみせる。明るい緑色を湛えた
美しい水晶のような石が四つ、不思議な輝きを放っている。

光太郎「古代の地球にも、オルフェノクへと進化した人たちがいたそうだ。
……彼らが急激な肉体崩壊を抑えるために使っていたのがこの石らしい」

志度博士「地空人の話では、聖なる海の洞窟で四人の古代戦士が
エネルギーを与えつつ心臓に埋め込む手術……儀式と言った方がいいかも
知れんな……が必要とのことだ。現地に機材を持ち込んだ上、
執刀は私と海堂博士、それに本郷君と結城君を助手に行う」
啓太郎「……それじゃ、巧は助かるんですね!」
真理「……(安堵と不安の入り混じった表情)」
ルミ「でも、4つも埋め込まないと駄目なんですか?」
光太郎「いや、残り3つは別の、心優しきオルフェノクに与えて欲しい……
地空人たちがそう言ったそうだ」
啓太郎(……結花ちゃん……もし黄泉還ってくれていたら……)
光太郎「さあ、急ごう。巧君はライドロンで運ぶ!」
がんがんじい「善は急げや、行くで〜〜〜〜!!」

○相次ぐグランショッカーや地球教の陰謀に対し、歴代
仮面ライダーたちが動き出す……!!
○海堂直也=スネークオルフェノク、海堂博士の甥であることが判明。
○死期の近づいた乾巧を回復させる方法が、地空人によってもたらされる。

○一文字隼人=仮面ライダー2号【仮面ライダー】
○南光太郎=仮面ライダーBLACK RX【仮面ライダーBLACK/RX】
○瀬川耕司=仮面ライダーJ【仮面ライダーJ】
○津上翔一(沢木哲也)=仮面ライダーAGITO【仮面ライダーアギト】
○乾巧=ウルフオルフェノク=仮面ライダーファイズ【仮面ライダー555】

○志度敬太郎博士【仮面ライダー(新)(スカイライダー)】
○がんがんじい=矢田勘次【仮面ライダー(新)(スカイライダー)】
○海堂肇博士【仮面ライダーZX/SPIRITS/
10号誕生!仮面ライダー全員集合!!】
○一条ルミ【同上】
○ミュータントバッタ・ベリー【仮面ライダーJ】
○大久保大介編集長【仮面ライダー龍騎】
○島田奈々子【仮面ライダー龍騎】
○浅野めぐみ 【仮面ライダー龍騎】
○園田真理【仮面ライダー555】
○菊地啓太郎【仮面ライダー555】

60 名前:造られたスキャンダル:04/06/14 14:48

***都内の某高級ホテル***

三輪「白河代議士め、一体何のようじゃ。
 ワシをこんなところへ呼びつけおってからに」

地球連邦軍極東支部長官・三輪防人少将(准将より昇格)は、
民自党の大物政治家・白河尚純とその腹心・南雅彦警視長の二人に呼びだされ、
お忍びでここのホテルを訪れていた。

三輪「この部屋か……」

三輪長官が客室の中へ入ると、なんと内閣総理大臣・剣桃太郎が
女性とふたり、全裸でベットの上で如何わしいことをしていたのだ!

三輪「な、なにーっ!?」
カメラマンA「違う! 目線はそっちじゃない!!」
カメラマンB「もっとお互いなまめかしく見つめ合って!!」
監督「よーし、OK! じゃあ次バックから本番いってみよう!!」
三輪「こ、これは一体……!?」
白河「驚かれましたかな? 三輪長官」
三輪「せ、説明しろ白河先生。なぜ総理がこんなところで
 女と乳繰り合っておるのだ? あれは間違いなく総理自身だぞ!」
南「いえ、あれは役者です。整形手術と特殊メイクアップを施し、
 本物そっくりに似せてありますが」
三輪「役者…? つまりあれは偽者か?
 なんのためにそんなことを?」
白河「野暮ですよ三輪長官。もちろん目的は我々の目の上のたんこぶである
 内閣総理大臣・剣桃太郎…奴を失脚させるためです」
南「若さと行動力、そして清廉なイメージ。
 剣総理は今、国民から圧倒的な支持を受けています」
三輪「それはそうだろうが、不倫スキャンダルくらいで
 奴を総理の座から引き摺り下ろすことが出来るのか?
 元来、日本はマスコミも一般大衆も政治家の女性スキャンダルには
 呆れるほど寛容だぞ」

すると南雅彦が三輪長官に一枚の紙を差し出した。
指名手配犯の顔写真を示したポスターらしい、が……

61 名前:造られたスキャンダル:04/06/14 14:49

三輪「なんと!? 女の方は…!!」
南「その通り、ベットの女優の方はグランショッカーの諜報員として
 公安に指名手配されている女戦闘員の顔に似せてあります。
 つまり剣総理は一国を預かる首相の地位にいながら、グランショッカーの
 女性構成員と密かに一夜を共にしていたという筋書きです」
白河「国民の生命と財産を守るべき立場の総理大臣が、
 その国民の安全を脅かす侵略者の手先と同じベットの上で寝ていたのですから、
 これは国家の安全保障上重大問題です。これで奴は終わりです」
三輪「しかし、もし万一この女の本物が現れたらどうなるのだ?」
南「そのご心配ならご無用です。グランショッカーが
 面の割れたスパイをそのまま生かしておくと思われますか?」
白河「ましてや、万が一にも生きていて自分は無関係であると証言したとしても、
 ショッカーの戦闘員の言うことなど誰が信用しますかね」
三輪「す、すばらしいぞ白河先生!!」


***帰りの車中***

深夜の銀座の街中を走る黒塗りの公用車……

三輪「フフフ……あとはワシに任せるがよい。
 これを使うに打ってつけの舞台があるのだ。
 今週臨時国会が召集され、委員会に参考人として召致された
 ワシと奴との答弁が予定されておる。その席でこの爆弾を炸裂させてやる。
 その時の奴の顔が目に浮かぶわい」
白河「期待していますよ。近々ブルーコスモスのムルタ・アズラエル氏が
 訪日されるようですからね。総大主教猊下のご期待にお応えするためにも、
 そろそろまた新しい“目に見える実績”を上げていただかないことにはね」


●白河尚純→剣桃太郎の女性スキャンダルを捏造し、
 三輪防人と組んで総理失脚の陰謀を着々と進める。

62 名前:命を賭した傷こそ証す!!:04/06/14 14:51

それから数日後……

***成田空港***

サザーランド「お待ちしておりました、アズラエル様」

スーツ姿の優男――国防産業連合理事ムルタ・アズラエルを空港ロビーにて出迎える、
軍内部でのブルーコスモスの一員ウィリアム・サザーランド大佐。

アズラエル「出迎えご苦労さん、サザーランド大佐」
サザーランド「白河氏が邸宅にてお待ちです。何やら今日は
 面白い見世物があるのだとか……」

***衆議院・予算委員会***

委員長「――では来年度予算についての質疑はここまでと致しまして、
 次の質問に移りたいと思います。参考人、地球連邦軍極東支部長官、
 三輪防人君!」
三輪「ゴホン」

発言席へと立つ三輪長官。

三輪「総理、貴方は現在わが国における社会風紀の乱れをどうお考えですか?
 女子高生による売春・妊娠、乱立する性風俗営業店、子供でも買える
 ポルノ雑誌等など……とりわけ性に関する乱れは目にあまるものがあります。
 総理、貴方のご意見を伺いたい」
桃太郎「委員長」
委員長「内閣総理大臣、剣桃太郎君!」
桃太郎「この地上には男と女しかおりません。そして性は
 その形いかんに関わらず個人の問題であり、人間の本能的なものでしょう。
 法に触れぬ限り、私は国家として口を挟む問題ではないと考えます。
 尤も既に男の道具がお役に立たなくなった方にはご理解頂き辛いとは
 思いますが」

三輪長官を遠回しに皮肉った剣総理のジョークに
委員会の場は爆笑の渦に……。

三輪(フフフ……調子に乗りおって。吠え面かくだけではすまさんぞ)

63 名前:命を賭した傷こそ証す!!:04/06/14 14:53

三輪「では総理、貴方は今この地上には男と女しかおらぬとおっしゃいました。
 しかし私はここに興味深い写真を入手しました。これはある男と女の
 密会現場を隠し撮りしたものです。この写真に写っているこの人物は
 どなたですかな総理!!」

三輪は得意げに例の偽写真を出席の議員たちの前に見せびらかした。

桃太郎「………」
議員A「ば、ばかな…信じられん」
議員B「しかしあれは、まぎれもなく総理……!!」
三輪「ご覧ください議員のみなさん!! この写真の中で
 総理と抱き合っている女性は、なんとグランショッカーの諜報工作員として
 警視庁公安部が指名手配している人物なのであります!
 もし国のトップが握る安全保障上の国家機密が侵略者に流れていたとしたら、
 これはまさしく由々しき問題なのであります!
 さあ、どう説明なされます総理! まさか貴方が売国奴だったとは!!」

***白河尚純邸***

テレビの国会中継を眺めている白河尚純。

白河「終わったな剣。いかな貴様でもこの場を切り抜けることはできまい……」

64 名前:命を賭した傷こそ証す!!:04/06/14 14:54

***再び、国会内の予算委員会***

桃太郎「フッ…」
三輪「何がおかしいのか総理! これが笑って済まされる問題ですかな!!」
桃太郎「残念だがその写真、写っているのは私ではない」
三輪「ワハハハハ!! この期に及んでとんだ苦し紛れを!
 これはどこからどう見ても総理、貴方自身ではないか!」
桃太郎「………」
三輪「もしこれが違うというなら、私を殴り殺しても構いません」
桃太郎「その言葉、お忘れないよう」

自ら三輪長官の眼前に進み出る桃太郎。

桃太郎「私は男塾という私塾の出身です」
三輪「知ってますよ。その後東大を卒業し、ハーバード大に留学したことも。
 それがどうかしましたか?」
桃太郎「男塾……そこはまさに命をかけた男の戦場だった。
 私はそこを生き抜いて来たのです。これがその証だ!!」

上着を脱ぎネクタイを外した桃太郎は、
議員たちの前で上半身裸になって見せた。
その肌には戦いの跡である無数の傷がついていたのである。

三輪「……き、貴様!?」
桃太郎「おわかりいただけたかな?」
議員A「総理の体にはあんなに無数の傷跡が……」
議員B「しかし写真のほうの総理には傷ひとつない。ということは……」
議員C「その写真は偽物だ!!」
議員D「こんな茶番で国会を混乱させおって!
 一体この責任をどう取るつもりだ!!」
桃太郎「所詮は猿知恵。沐猴にして冠す……やはり貴様に相応しい言葉だったな。
 さあ、さっきの約束を果たしてもらおうか!!」

拳をポキポキと鳴らしながら、周囲から大顰蹙を買って
オロオロしている三輪長官に迫る桃太郎。

三輪「ま、待て! やめろー! あれはつまり言葉のあやで……!
 ヒイイ――ッ!!!」

繰り出したパンチを寸前のところで止める桃太郎。
だが三輪長官は恐怖と混乱のあまり腰を抜かして動けないでいる。

桃太郎「覚えておけ。俺は日本国初の武闘派内閣総理大臣、剣桃太郎だ!!」
三輪「……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
桃太郎「さあ、審議を再開しましょう」

65 名前:命を賭した傷こそ証す!!:04/06/14 14:57

***白河尚純邸***

アズラエル「あー、もうダメダメです」
南「馬鹿めが……とんだ醜態を晒しおって」

来日したムルタ・アズラエル、そして自身の懐刀でもある南雅彦と一緒に
自邸のテレビから国会中継で一部始終を見ていた白河たちであったが、
三輪長官の無様な失敗に失望を禁じえなかった。

白河「三輪長官も非を認め、おとなしく殴られれば
 まだ救いようがあったものを」
サザーランド「おそらくそれも計算した上でのパフォーマンスでしょう。
 残念ですがこれで三輪長官は、今の極東支部での地位も危うくなりましたな。
 これではいかにティターンズのジャミトフ・ハイマン大将といえども
 彼を庇いきれないでしょう。逆に剣総理は若年層を基盤に
 今後も一層支持率を得ることは確実ですな」
南「それと白河先生、どうやら先の東副総監を襲撃した件で、
 何やらあちこち嗅ぎ回っている連中がいるようです」
白河「報告にあった“仮面ライダー”と呼ばれる者たちのうちの二人、
 確か、一文字隼人に瀬川耕司か……。南君、君らしくない不手際だったね」
南「申し訳ありません……」
白河「余計なことに気づかれては面倒だ。監視を続け、
 その二人の始末も早急につけてくれたまえ。もはや猶予はない」

外の空気を吸うためバルコニーに立つ白河。

白河「消すしかない。剣桃太郎をこれ以上生かしてはおけん」
アズラエル「よろしければこちらの生体CPUをお貸ししますヨ」
白河「生体CPUの駆る3機のガンダムか。しかし戦闘力だけで
 奴を殺すことは難しい……」


●白河一派→剣総理の失脚計画が失敗し、暗殺に作戦変更。
 東副総監襲撃事件について独自に捜査を進める一文字と瀬川にも
 南雅彦の魔手が迫る……!?

【今回の新規登場】
●ウィリアム・サザーランド大佐(機動戦士ガンダムSEED)

66 名前:獣神官ゼロス:04/06/14 23:20

予算委員の会議が終わり、国会議事堂より続々と出てくる議員たち。
皆、三輪長官の話題で持ちきりだった。

議員A「しかし、三輪長官もよくやる。そんなに総理を失脚させたかったのか?」
議員B「まぁ長官は昔からあんな人だって聞いてますし。」
議員C「それより俺は剣さんに感動したな!あの鍛え抜かれた体!無数の傷!!」
議員A「あぁ。それにあのきめ台詞!!たしかに、あの人なら旨くやっていけそうだ。」

〜国会議事堂、控え室〜
桃太郎「ふぅ〜」

控え室では剣桃太郎総理が休んでいた。
熱い緑茶をすすりつつ。

桃太郎(しかし、長官には参った物だ。さて、どうするか・・・ん?)

ビィー
通信が入る。机のコンソールパネルにタッチすると、正面の画面に係員の顔が映る。

桃太郎「どうした?」
係員「総理!大変です!!ロボットです!見たこともない大型のロボットが東京湾に出現したと!!」
桃太郎「なんだと!?・・・わかった。私も行こう。」

〜東京湾〜

湾岸から少し離れた沖合いに超巨大な影が映る。大きさ的には連邦軍の戦艦よりも大きいぐらいだ。
そのシルエットは恐竜を連想させる。その「恐竜」の周りには既にMS隊が配備されている。

隊長「状況は?」
兵士A「はっ!動きはありません。」
隊長「よし、監視を続けろ」
兵士A「はっ!」

そこへ桃太郎ののった公用車が到着する。

桃太郎「!!?」
桃太郎(既にMS隊が配備されているだと?)
隊長「総理!わざわざお越しにならなくても・・・」
桃太郎「隊長、自衛隊の配備は誰の命令で?」
隊長「え・・・?私は総理からの命令と聞いてますが・・・」
桃太郎「それはだれから?」
隊長「私も詳しいことは・・・。ただ、自衛隊の上層部からとしか。」
桃太郎「・・・まぁいい。今はあれをどうにかする。外見からして地球外の物のようだが?」
隊長「現在調査中・・・」
ビィー!
隊長のトランシーバーに連絡が入る。

隊長「そうか・・・わかった。総理、あれは惑星Ziのゾイドと呼ばれる機械生命体であることが判明しました。
所属はへリック共和国で、ウルトラザウルスと言うようです。」
桃太郎「惑星Ziか。たしか地球教が地球を占領したとき、完全に国交を閉ざされたと聞いているが。
・・・私自身が呼びかけてみる。恐らく害は無いはずだ。MS隊を下げて欲しい。」



67 名前:獣神官ゼロス:04/06/14 23:51

〜ウルトラザウルス艦橋〜

ウルトラザウルス内では混乱がおきていた。

ハーマン「オペレーター!情報は集まったか?大尉!敵の動きは!?ムンベイ!!まだ動かせんのかぁ!!」
ムンベイ「ちょっと静かにしてよ。今やってんだからさ!」

兵士たちが忙しく動き回り、オペレーターはずっとモニターをにらんでいる。
大型スクリーンに映し出されている映像にはMS部隊が映っている。

ディ「ふむ、とりあえず情報を整理しようかの。我々はニューへリック郊外で演習をしていた。」
ムンベイ「そしたら突然の嵐!雷!この子意外と怖がりだから止まっちゃって。」
オコーネル「そしたら突然あたりが真っ白になって・・・」
フォード「気づいたらここにいた。」
ハーマン「ここが地球だと言うことはわかった。だが、今の地球がどういう状況なのかさっぱりわからん。
万が一のためにバン達兵士にはいつでも出れるようにさせてある。いつ攻撃されても何とかなる!!」
フィーネ「でもそれも無駄ですね。はい大佐、コーヒーです。」
ハーマン「はぁ!?・・・あぁ、貰おう。」

突然の横槍に拍子抜けするハーマン。正面の大型スクリーンをみると先ほどまで臨戦態勢だったMS部隊が撤収を始めている。
それと入れ替わりに一機のヘリが近づいてくる。

ハーマン「なんのつもりだ?・・・辛っ!」

フィーネの塩コーヒーを飲んでまいるハーマン。コーヒーには普通砂糖である!

オペレーター「あのヘリから通信です!」
ハーマン「うぅ・・・よしメインに映せ。」

スクリーンには剣桃太郎の顔が映しだされる。

桃太郎「私は日本国内閣総理大臣、剣 桃太郎だ。」
ハーマン「こちらはガーディアンフォース、ロブ・ハーマン大佐だ。」
桃太郎「早速だが、あなたがたの目的を教えていただきたい。あなたたちも知っているように、
現在の地球圏は少々乱れている。特に異星人に対しては特に冷遇されている。」
ハーマン「それが・・・わからないのです。」
桃太郎「わからない?」
ハーマン「はい。突然光に包まれ、気づいたらここに。乗ってきたウルトラザウルスも航行不能で立ち往生していました。」
桃太郎「・・・事情はよくわかりませんが、あなた方には害は無いようですし、しばらくの間日本政府が保護いたします。」
ハーマン「ありがとうございます。」
桃太郎「では、詳しい事情はこちらでお伺いいたします。」

68 名前:獣神官ゼロス:04/06/15 00:17

翌日、国会議事堂

昨日突然現れた異星人を二つ返事で受け入れた総理に対し、地球教の信者たちが国会議事堂を包囲している。

信者A「剣桃太郎は地球を異星人に売った悪魔だー!!」
信者B「地球から異星人を追い払えー!!」

信者達の運動の中、臨時国会が開かれた。

議員A「総理、あなたはどのようなお考えで彼らを保護したのでしょうか?
こういう事態に陥るのは目に見えていたはずだ。なのに何故?」
桃太郎「彼らには助けが必要だからと判断したからです。」
議員B「彼らが来たのは何か目的があったからでは?」
桃太郎「いや、彼らは望まれぬままここにきてしまったのです。
それに助けを求めている物を目の前にして無視するのは人道に反すると思われます。」

桃太郎の言葉にここぞと食い下がる人物がいた。

三輪「総理!奴らが何もしないと言う保障はあるのかね?聞いたところによると
かつて奴らは地球教の支配下にあったとはいえ、強制的に国交を断ち切られているはず。
それに怨みをもって何かしでかすのではないのか!?」
桃太郎「それはありえない。現に彼らは船の修復が終了すればすぐにでも母星に帰えるといっている。」
三輪「ふん、どうだか・・・。奴らの話なんぞ、これっぽっちも信用できんわ!!」

思いっきり桃太郎をにらみつける三輪。

議員A「三輪長官!信用できないのはあんただ!この間の偽写真の件、忘れたとは言わせないぞ!
あんなことをしでかした人間が信用できるか!!」

そうだそうだ!!とあちこちから罵詈が聞こえる。

三輪「ぐぬぬぬぅ〜」
桃太郎「安心していただきたい、三輪防人長官。彼らは嘘は言っていない。
私が保証する!」
三輪「〜〜〜〜!!」

言葉も出ない三輪長官。場内からは相変わらず罵詈が聞こえる。

三輪「くそぉっ!わしゃぁ帰る!!剣桃太郎!!覚えておれ!!」
そういうと三輪長官は場外へ消えていった。

剣(さて、あとは地球教信者達か・・・)

○東京湾にウルトラザウルス出現。日本政府はこれを一時的に保護すると発表。
●三輪長官、評判ガタ落ち。
地球教の運動が悪化。

新規参戦

○ロブ・ハーマン(ZOIDS)
○Dr・ディ(上に同じ以下略)
○フォード中佐
○オコーネル大尉
○フィーネ
○ムンベイ

69 名前:レストラン爆破! 怪人軍団の猛襲:04/06/17 00:36

***レストラン「AGITO」***

一文字「よし、我々も出発だ」
立ち上がる3人……が、にわかに照明が落ち、
昼間にもかかわらず暗闇に包まれる店内!

瀬川「!?」
翔一「感じます……何かが近くにいる!」
???「ボーマー……、貴様たちはここで死ぬのだ!!」
???「カガーッ!! 目的地には行かせん!」

窓を破って投げ込まれる物体──手榴弾だ!

閃光……そして爆発!! 木っ端微塵に吹き飛ぶレストラン「AGITO」!
もちろん、周囲にいた人や車も無事では済まず……。

***近くのビル・屋上***

地上に飛び交う悲鳴や怒号を見下ろしながら笑う2体の怪人。
片方は全身から手榴弾をぶら下げ、ピンを模した肩当を付けた
ムササビの化け物、もう片方は鋭い牙と輝くウロコ、胸に鉄の扉を
持つ半魚人だ。2体ともサソリを模したマークをベルトのバックルに
付けている。

「ボーマー!! この超デストロン怪人ムササビグレネードと」
「カガーッ!! 同じくカガミピラニアが仮面ライダーを討ち取ったぞ!」

???「ハハハ……それはどうかな?」
???「よくも店を壊し、みんなを傷つけたな!!」

「何っ!?」と振り返る2体の怪人。
一文字隼人、瀬川耕司、津上翔一の3人が無傷で立っている……!!

ムササビグレネード「き、貴様ら……」

一文字「あいにくだったな……そうやすやすとやられる俺たちではない!」
ベリー(飛来)「警察ニ通報シタカラ、スグニG3−Xヤレスキューポリスガ
来テクレルヨ」
瀬川「行くぞ、グランショッカー!」

タイフーンが、Jスピリットが、オルタリングが光を放ちながら回転する……。

「  変  身  !」

風の勇者が、大地の化身が、光の申し子が……怪人たちの前に立ちはだかった!

カガミピラニア「お、おのれ仮面ライダー!!」

2号「YES、仮面ライダーだ! 大自然の使者、正義の味方……
そして貴様たち歪んだ文明の悪魔『グランショッカー』の……破壊屋
(クラッシャー)だ!!」
J「アギト、君はベリーと聖なる海の洞窟へ急げ! 乾くんのことを頼むぞ……!」
アギト「わかりました、必ず! ハァッ!!」

ビルから飛び降り、マシントルネイダーにまたがって発進するアギトと
先導するベリー。

***聖なる海の洞窟***

NR@政宗一成
「かつて──南光太郎・仮面ライダーBLACKを死の淵からよみがえらせた
聖なる海……ここでまた、1人の若者を救うための儀式が始まろうとしていた」

停車したライドロンから降りる南光太郎。既に4人の男がそれぞれの
マシンと共に彼の到着を待っていた。

本郷猛、結城丈二、アマゾンこと山本大介、五代雄介。光太郎と
目を合わせ、うなずきあう。

***同・洞窟内***

手術台と器材、無菌テントが運び込まれ、その中に寝かされる巧。
周囲には白衣姿の志度・海堂両博士と本郷、結城の姿。
更にテントを囲むようにして立つ仮面ライダーアマゾン、
BLACK RX、クウガ。

RX「アギトの到着が遅れている……何かあったのか?」
クウガ「……来てくれたみたいですよ」

アギト「遅くなってすみません……グランショッカーの怪人が
出たんです。一文字さんと瀬川さんが戦ってくれてます」
本郷「やつらめ……移植を急ぎましょう博士、ここもいつ狙われても
おかしくない」
結城「翔一くんも早く持ち場に!」

アギト、うなずくと他の3ライダーと四方からテントを囲む。

巧「……」

執刀開始……!

70 名前:よみがえれ555! 恐怖カガミ三兄弟:04/06/17 01:52

***郊外・無人の工事現場***

街中に被害が広がらないよう、敵を誘導してきた
2号とJ。
群がるデストロン戦闘員たちを蹴散らしていく。

ムササビグレネード「ボマー!! 死ねえ!!」
カガミピラニア「カーガーッ!!」
上空からムササビグレネードの投げつける手榴弾の雨、爆発の嵐!!
カガミピラニアのウロコカッターをかいくぐり、ジャンプするJ。

J「トオッ!!」

空中でムササビグレネードを捕まえ、組み合いながら落ちてくる。

J「Jフライングボム!!」

大地のエネルギーを引き出し、重力を味方につけることの出来るライダーJの
高空パワーボムが決まった!!

ムササビグレネード「ボ……ボ〜マ〜……こうなったら自爆してやる〜〜」
2号「そうはいくか、ライダーきりもみシュ──ゥト!!」
ムササビグレネード「ボ〜〜〜〜マ〜〜〜〜!?」

2号を道連れにしようと組み付いたが、逆に上空高く投げ飛ばされ──
そのまま大爆発するムササビグレネード。

J「あとはお前だけだ、カガミピラニア!!」
カガミピラニア「カーガー!! 他のライダーたちも俺の兄弟たちが
始末しているころだ……貴様らも死ね〜〜〜!!」

カガミピラニアが胸の扉を開くと、出現する鏡面。

カガミピラニア「必殺・ミラー封印!!」

2号・J「うわあっ!?」

鏡が閃光を放ち、2号とJの姿を吸い込んでしまった!!

カガミピラニア「……そのまま粒子化して消えるがいい、
ミラーワールドの閉鎖空間でな!!」

***聖なる海の洞窟前***

どっかりとあぐらをかいて洞窟入口の前に座っているがんがんじい、
その横で(野球のプロテクターやら何やらで武装?した)不安そうな啓太郎。

がんがんじい「啓太郎はん、怖かったら少年ライダー隊本部に帰っても
ええんやで。ルミはんも真理はんもそこにいるはずや」
啓太郎「そんな……俺だってたっくんを守るよ」

???「……ここだな、乾巧の手術を行っているのは……」
がんがんじい「だ、誰や!?」
啓太郎「ひい、オ、オルフェノク!?((((;゚Д゚)))」
がんがんじい「ち、違うで、グランショッカーのか、怪人や!!((((;゚Д゚)))」

腰を抜かした2人の前に現れる異形の姿……エリマキトカゲの怪人と
姿見鏡に手足をつけたような怪人だ。

がんがんじい「お、お前は……確か洋はんがやっつけたはずの……!?」

「超ネオショッカー怪人・カガミトカゲJr.! 母カガミトカゲの
無念を晴らすために来た!」
「超ジンドグマ怪人・ビカミラー! 我ら三つ子のカガミ3兄弟、
仮面ライダーを倒す!!」

2大怪人の魔の手が、がんがんじいと啓太郎に迫る!!

???「待てぇ!!」
カガミトカゲJr.「な、何者だ!?」
がんがんじい「洋はん、一也はん! ゚(゚´Д`゚)゚」

岩場の上に立つ筑波洋と沖一也!

ビカミラー「貴様達はスカイライダー、スーパー1!! ちょうどいい、母の
仇を探す手間が省けたわい!!」

一也「手術の邪魔は俺たちがさせん!」
洋「いくぞグランショッカー! スカァイ!!」
一也「変身っ!!」

手術を成功させるため、スカイライダー&スーパー1と
カガミ兄弟の戦いがはじまった!!

***聖なる海の洞窟内***

酸素マスクを被せられ、目を閉じている巧。
オシログラフが規則正しく動いている。

ギギの腕輪、キングストーン、アマダム、ワイズマンモノリスの光が
常時生命石にエネルギーを送り込み続ける……。

71 名前:時空の「穴」:04/06/17 02:34

***東南大学・物理学研究所***

桃太郎「時空……クレバス!?」
一の谷博士「さよう……いわば我々の住む世界と、異世界とを
つなぐ『穴』じゃな」

科学省長官・お茶の水博士の紹介で日本有数の天才科学者・
一の谷博士を訪ねている剣桃太郎。

一の谷「ワープ航法やタイムトンネル自体は既に実用化されているが、
……この時空クレバスの厄介なところは時と場所を選ばず、
宇宙のどこにでも突如出現することでしょうな」
桃太郎「博士、一連の黄泉還り事件とも関係が……」
一の谷「そこまでは何とも言えんが、原理的にはヤプールやクライシス、
バイラムといった次元侵略者の移動手段……根源的破滅招来体のワームホール、
バダンの時空魔法陣、それに……神崎士郎という男のミラーワールド開閉手段と
同じものであることは間違いありますまい」
桃太郎「我々の友ではなく、敵も呼び寄せてしまう可能性もあると
いうわけですか……」
一の谷「ところで、惑星Ziの人たちは今どこに? ワシも今まで色んな
怪獣や宇宙生物を見てきたが、ゾイドだけは未見でしてな。
ぜひ拝見したいものです」
桃太郎「それなら、さる筋から連絡がありました。地球圏に残っている、最も
信頼出来るチームの一つに動いてくれるよう依頼しておいたと……」

桃太郎、窓の外から宇宙(そら)を見上げる。

桃太郎(ブライト艦長、恩に着るぜ……いつかは共に……)

桃太郎の心情を知ってか知らずか、お茶をすすり
つぶやく一の谷博士。

一の谷「あの忌まわしいグリプス戦役で旧ティターンズが地球圏を
支配したときは酷いものだった……友好的な惑星も次々一方的に断交され、
地球にいる異星移民たちも迫害を受けた。その時のわだかまりは今も銀河系に
残っている……」
桃太郎「復活したティターンズに同じことはさせませんよ、決して……
俺が……俺たちが……!!」

●乾巧の治療を阻止し、ライダーたちを抹殺するために
グランショッカーから怪人部隊が送り込まれる。
レストランAGITO、怪人の襲撃により爆破される。
○巧の手術を成功させるため、2号・J・スカイライダー・スーパー1が
二ヶ所で戦闘開始。
●ムササビグレネードは撃破されるが、2号とJがミラーワールドに
閉じ込められる?
○剣桃太郎、一の谷博士から時空クレバスについてレクチャーを受ける。
αナンバーズのリーダー、ブライト・ノア艦長からフリーデン隊に
ウルトラザウルス保護の依頼があった様子。
地球と惑星Ziの確執はグリプス戦役【機動戦士Zガンダム】にまで
さかのぼるらしい……。

【今回の新規参戦】
●超デストロン怪人・ムササビグレネード(仮面ライダーV3/オリジナル怪人)
●超デストロン怪人・カガミピラニア(仮面ライダーV3/オリジナル怪人)
●超ネオショッカー怪人・カガミトカゲJr.(仮面ライダー(新)/オリジナル怪人)
●超ジンドグマ怪人・ビカミラー(仮面ライダースーパー1/オリジナル怪人)
(カガミピラニア、カガミトカゲJr.、ビカミラーはネオショッカー怪人・
カガミトカゲの息子たち=カガミ3兄弟)

○結城丈二=仮面ライダー4号・ライダーマン(仮面ライダーV3)
○山本“アマゾン”大介=仮面ライダーアマゾン(仮面ライダーアマゾン)
○五代雄介=仮面ライダークウガ(仮面ライダークウガ)

○東南大学物理学研究所長・一の谷博士(ウルトラQ)

72 名前:名無し客:04/06/19 10:17

***どこかの渓谷***

人里から離れた山奥で死闘を繰り広げている、
ドラゴンオルフェノクと仮面ライダーオーガ。

オーガ「ぐわっ!」

圧倒的な力でオーガを吹き飛ばすドラゴンオルフェノク。

ドラゴンオルフェノク「フフ…手も足も出ないみたいだね…」
オーガ(くっ、こうなったらあれを…)

オーガはミッションメモリーを柄の部分に挿入すると、
冥界の剣オーガストランザーの刀身からエネルギーが伸びて、
必殺技“オーガ・ストラッシュ”を放つが、
龍人態に変化したドラゴンオルフェノクの俊敏な動きに
いとも簡単にかわされてしまう。

オーガ「くっ…!」
センチピードオルフェノク「どうやらまだ黄泉還ったばかりで、十分に
 帝王のベルトの力を発揮できないようですね」
オーガ「お前は…琢磨逸郎!? 噂では人間として生きていく道を
 選んだんじゃなかったのか!?」
センチピードオルフェノク「フッ…何を訳の解らないことを。
 さあ、正体を現してもらいましょうか」
オーガ「……グランショッカーに操られているのか!!」

センチピードオルフェノクが弱ったオーガを鞭で滅多打ちにし、
さらに背後からクロコダイルオルフェノクがオーガに突進する。

オーガ「ぐうっ!」

次々と迫るラッキー・クローバーの猛攻に耐えるオーガだったが、
魔人態に戻ったドラゴンオルフェノクの頭の2本角から
一万ボルトの雷が発せられオーガに直撃する。
その衝撃でベルトが外れ、変身が解けてしまうオーガ=木場勇治。

73 名前:名無し客:04/06/19 10:18

木場「くっ、くそっ…!」
センチピードオルフェノク「やはり貴方でしたか。さてはオーガのベルトを
 持ち出したのも花形さんの差し金ですか?」
クロコダイルオルフェノク「………」
ドラゴンオルフェノク「だから前にも言ったよね…。やっぱり君は
 僕に倒される運命なんだよ…さあ、そろそろ止めを刺させてもらうよ」

ドラゴンオルフェノクの腕先から強力破壊光弾が放たれ、
谷底へと転落する勇治。

勇治「うわああ――――!」

人間態へと戻る北崎、琢磨、ジェイの3人。
転がっていたオーガのベルトを拾う北崎。

琢磨「やりましたね北崎さん」
北崎「ねぇ…オーガのベルトを一番先に取り返した人が
 みんなにしっぺしていいっていう約束だったよね…?」
ジェイ「……!!」
琢磨「や、やめてくださいよお! 北崎さぁん!」
北崎「フフフ…琢磨君。あの時のこと、まさか忘れてなんかいないよねぇ…?」
琢磨「……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル」

74 名前:名無し客:04/06/19 10:20

***麓の洞窟の中***

焚き火をしながら、傷ついた勇治を介抱する花形。

木場「あ、貴方は…!?」
花形「気がついたか」
木場「申し訳ありません。せっかく盗み出した帝王のベルトを
 また奪い返されてしまいました……」
花形「焦るな。今またスマートブレインは再び、オルフェノクによる世界支配を
 目論む村上の一派によって牛耳られた。その村上の背後には
 グランショッカー三柱の至高邪神が控えている」
木場「僕がスマートブレインの社長になった時に、あんなことしていなければ…。
 僕は結果的に貴方の期待を裏切ってしまった……」

今更ながら、一度はナチュラルとの共存に絶望したスマートブレインの社長時代に
犯してしまったことを悔やむ勇治。

花形「気にすることはない。私は時が来れば必ず君が復讐を捨て
 人間としての心を取り戻してくれると信じていた。
 そして、事実そうなった」
木場「花形さん…」
花形「傷が癒えたら、すぐにでも聖なる海の洞窟へ向かいたまえ」
木場「聖なる海の…洞窟…?」
花形「古代の地球にも、オルフェノクへと進化した人類が存在した。
 オルフェノクの王の力に頼らずとも、急激な肉体崩壊を抑える方法がある」
木場「そんな方法があるんですか!?」
花形「志度博士にはすでに話を通してある。乾巧…彼もまたそこにいるはずだ」
木場「乾君が……」

だが、その場に忍び込んだ一匹の奇妙な青い蝶が、
その二人の話の様子を見ていることに花形も木場勇治も気づいていなかった。


***スマートブレイン本社・モニター室***

青い蝶=自身の使い魔から送信されてくる映像を眺めながら
ほくそ笑むスマートレディ。

スマートレディ「フフフ…おバカさんたち。貴方たちの考えそうなことなんか
 全部お見通しよ。すぐにグランショッカー本部に通報しなきゃ♪」


●琢磨逸郎→グランショッカーに洗脳され、ラッキー・クローバーの一員に戻り
 再び悪の道へ……。
●北崎→オーガのベルトを奪還。
○木場勇治→スマートブレインの本社からオーガのベルトを盗み出していたが、
 ラッキー・クローバーに敗れ、ベルトを奪い返される。
○花形→崖から転落した木場勇治を救出し、彼に聖なる海の洞窟へと
 向かうよう指示。志度博士とも面識があるらしい。
●スマートレディ→聖なる海の洞窟で乾巧の延命手術があることを嗅ぎ付けて、
 グランショッカー本部に妨害工作を要請したのは、どうやら彼女である。

【今回の新規登場】
●ジェイ=クロコダイルオルフェノク(仮面ライダー555)
○木場勇治=ホースオルフェノク(仮面ライダー555)
○花形=ゴートオルフェノク(仮面ライダー555)

75 名前:獣神官ゼロス:04/06/19 21:09

〜サイド3宙域〜
旅客用スペースシャトル内部

トレーズの手紙にあった場所、ジオン共和国首都ズム・シティへ向かうシャトルである。
手紙を受け取った本人、城戸真司、秋山蓮それに神崎優衣の3人が乗っている。

真司「・・・見えた!あれがコロニーか〜。俺はじめて見たよ!!」
蓮「・・・はしゃぐな。遊びに来たんじゃないんだぞ。」
優衣「でも、少しくらいならいいんじゃない?」
蓮「・・・」
北岡「そうそう。初めてなんだから彼みたいにはしゃいでもいいと思うけど。」
蓮「!!?」
真司「北岡先生!」

真司たちに突然声が降りかかってきた。
彼の名は北岡秀一。黒を白にするスーパー弁護士。そして、彼らと同じ仮面ライダーだ。

蓮「おまえもか・・・?」
北岡「そう睨まないでよ。まぁ、何があるのか知らないけど、そういうことだ。」

アナウンス「当機はまもなく、サイド3に入港します。シートベルトを締めてください。当機は・・・」

五郎「先生、席に戻ってください。」
北岡「ん、そうだな。あいにく僕は二階のスーパーシートだからね。行こう、ゴロちゃん」

そういって通路を出て行く二人。

蓮「相変わらずだな、あいつも。」
真司「あぁ。」

シャトルはサイド3港内にはいり、停止する。その後彼らは、入国手続きを終え、港を後にした。

真司「まったく、あっちから来いと言っておいて、出迎え無しかよ。」
蓮「しかたない。タクシーでも拾うか。」
優衣「あ・・・北岡さん?」

北岡は黒塗りのリムジンをレンタルし、目の前をとうり過ぎていった・・・

真司「・・・本当に、相変わらずだな・・・・」
蓮「あぁ・・・」
彼らはタクシーに乗り込み、目的地を目指す。

76 名前:獣神官ゼロス:04/06/19 21:43

〜ズム・シティ、国会議事堂前〜
真司たちはタクシーに乗り、ここまでたどり着いた。
門の前には見たことのある人物が立っていた。いつ見ても目立つ服である。

トレーズ「久しぶりだね諸君。さぁこっちだ。着いて来たまえ。」
神崎(あの服でずっと立ってたのかしら・・・)

トレーズに連れられて来た所は、会議室のようなところだった。
中には、軍服やスーツをまとった偉そうな人々が座っていた。
中に一段と目立つ真っ赤な軍服を着た人物がいた。三人がその異様さに見とれていると、その男がしゃべり始めた。

シャア「私はキャスバル・レム・ダイクン。ジオン共和国の大統領をしている。君達を呼んだのは私だ。
優衣「キャスバル・・・?」
真司「・・・!!シャア・アズナブル!?様々な戦争で活躍したあのシャア!?」
蓮「そんなことはどうでもいい。俺達を呼んだのは神崎ではないのか?」
シャア「正確には神崎士郎が呼んだ。だが、オモテには私が呼んだことにしてある。」
蓮「・・・わかった。それで、用は何だ?」
シャア「これを見て欲しい。」

シャアが見せたその写真は、巨大なハサミを持った黄色い異形の姿が2つ映っていた。

蓮「!!これは・・・」
真司「須藤さん!」
シャア「やはりそうか。先ほど北岡氏にも見せたが、同じ反応だったよ。」
高官「これで確信しましたね。」
シャア「このことは外部に漏らすな。金田長官に極秘裏に情報提供しろ。」
真司「そんな・・・須藤さんまで」
シャア「・・・もうひとつ、頼みがある。」

シャアが合図すると、部屋の明かりが消え、スクリーンに光が投影される。
スクリーンに映し出された映像は、勢力地図のようだった。

シャア「この地図はサイド3より少し離れた場所のものだ。青いのがジオンの国防隊とαナンバーズ。
赤が反ジオンやジュピトリアンの偵察部隊だ。」
蓮「・・・」
シャア「最近、この敵の数が減ってきている。おかしいと思わないか?」
真司「え?敵が減るのはいいことなんじゃないんですか?」
トレーズ「これが、わが軍の映した写真だ。敵艦内部を窓から映した物だが・・・」

その写真には、銃を乱射する兵士とそれに向かう黒い物体の物だった。

蓮「仮面ライダー・・・?」
優衣「これって・・・・」

真司の体が小刻みに震える。拳は硬く握られ、額には汗をかいている。
真司「あいつだ・・・あいつまで・・・ちくしょう!!」
シャア「君達への頼みごとだ。αナンバーズに参加して欲しい。無論、地上で異変があった場合はすぐさまそちらへ送ろう。
我々は奴に対抗する手段を持っていない。奴がいつ我々を襲うかわからない。それにこれは、神崎の望むことでもある。」
優衣「お兄ちゃんが?」
トレーズ「彼は、死してなお決着をつけようとしている「戦士」だ。彼の意思を我々は無駄にしたくない。」
真司「わかった・・・俺も、あいつに決着を着けないといけないみたいだ。」
蓮「俺もだ・・・。北岡は当然了解したんだろうな?」
シャア「ふっ、説明は要らないようだな。君達にはしばらくここに住んでもらおう。
もちろん、不都合ならいつ戻ってもらってもかまわんが。」


●リュウガ復活を確認。
○城戸真司、秋山蓮、北岡秀一、αナンバーズに加入する。
彼らはしばらくサイド3に居住。
○東副総監を襲った犯人を断定。その情報は極秘裏に金田長官へ。

今回の新規参戦

○シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)(機動戦士ガンダムシリーズ)
○北岡秀一(仮面ライダー龍騎)
○由良五郎(仮面ライダー龍騎)
○仮面ライダーリュウガ(仮面ライダー龍騎劇場版)

77 名前:よみがえれ555! 恐怖カガミ三兄弟:04/06/20 23:25

***聖なる海の洞窟前***
カガミトカゲJr.「これを見ろ、スカイライダー、スーパー1!!」
ビカミラー「ミラーオープンッ!」

ビカミラーが胸の扉を開く。そこに映し出されたものは──

スカイライダー「あれは!?」
スーパー1「一文字さん、瀬川くん!?」

鏡の中から脱出を試みるも跳ね返され、倒れる2号とJの姿!!

スカイライダー「貴様たち、2人に何をした!?」
カガミトカゲJr.「ミラーワールドに行ってもらった……」
スーパー1「俺たちの『第二の皮膚』が、ミラーワールドの空間にも
耐性があるのは先の戦いで実証済みのはず……」
ビカミラー「そう、だがミラーライダーたちがそうであるように、長時間の
活動までは不可能なはず……我々グランショッカーの技術は、ミラーワールド内に
入ったら出られぬ閉鎖空間を作り出したのだ!」
カガミトカゲJr.「ガミーッ、貴様らも同じ場所へ行け、必殺ミラー封印!!」

カガミトカゲJr.のエリマキが展開し、何枚もの鏡と化す。

スーパー1「いかん、チェーンジ・冷熱ハンド・冷凍ビーム!!」

緑の腕から噴出した冷凍光線が、トカゲの鏡面を曇らせる!

ビカミラー「ミーラ! 何の、こっちもミラー封印!!」

スカイライダー「うわっ、しまった……!」
スーパー1「スカイライダー……筑波さんっ!?」

ビカミラーの中に吸い込まれるスカイライダー。

カガミトカゲJr.「うう、寒かった……後は貴様を残すのみ、スーパー1!」
スーパー1「くっ……」

***ミラーワールド内・閉鎖空間***

放り出され、何とか着地するスカイライダー。
2号「大丈夫か、スカイライダー」
スカイライダー「すみません、俺まで……」
J「Dショッカーめ……神崎の目を盗んでこんな空間を
ミラーワールド内に作るとは……」
2号「何とか脱出しなければ……」

NR@中江真司「かつて、ミラーワールドの戦いに歴代仮面ライダーも一度だけ
介入し、龍騎の危機を救ったことがあった。その後の調べで、神崎士郎の
恩師である江島均教授が緑川博士と同門であり、神博士やヘンリー博士とも
技術交流があったことが明らかになっていた」

???「……ダー、スカイライダー、聞こえますか!?」
スカイライダー「!? 誰だ!? (女の……声? どこかで聞いた……)」
???「あたしたちが結界を破るから、その隙に脱出して!!」
2号「君たちは一体……いや、もう時間がない、頼むぞ!!」

***聖なる海の洞窟前***

2対1の対決に苦戦するスーパー1。
途中からカガミピラニアも参戦し、追いつめられていく……。

ビカミラー「とどめだ、貴様の首を妖怪王女様に捧げてやる〜」
スーパー1「く……っ! 洞窟にはこれ以上近づけさせん!!」

NR@政宗一成「その時、不思議なことが起こった!!」

カガミトカゲJr.「!? な、何が起こったのだ!?」
ビカミラー「か、鏡が割れる〜〜〜!!?」

怪人たちの鏡が大音響と共に割れて飛び散り、光と共に
2号・スカイ・Jの3ライダーが脱出した!!

カガミピラニア「な、何だと……!?」
2号「怪人ども、鏡が割れてはもう能力は使えまい! トウッ!」
ビカミラー「お、「おのれ、かかれっ!!」

デストロン戦闘員、アリコマンド、ジンファイターを次々蹴散らす
ライダーたち。

2号「とどめだ、トォーッ!! ライダァァァァキィィィィック!!」
J「J・キーック!!」
カガミピラニア「カ〜〜〜〜ガ〜〜〜〜〜〜〜!?(海面に落下して爆発)」

スカイライダー「スカイスクリュー……」
スーパー1「スーパーライダー稲妻閃光……」
「キ────ック!!」

ビカミラー「ミ〜〜〜〜ラ〜〜〜〜〜!?」
(ふっ飛ばされて地面に激突し、ヨロヨロと立ち上がる)
ビカミラー「……母上……ジンドグマ〜〜!!」(倒れ…爆発)

カガミトカゲJr.「お、おのれ、覚えておれ!!」
J「逃げる気か!!」

だが、逃げるトカゲの前に立ちはだかる1人の戦士……!

カガミ「き、貴様は乾……巧!?」
2号「おお、成功したのか!!」
巧「……」(無言でファイズフォンに入力)
『Standing by』
巧「変 身 !」
『Complete』
輝きながら伸びていくフォトンストリーム!!

カガミトカゲJr.「き、貴様……っ」

ファイズ「俺は……仮面ライダー555(ファイズ)!!」

(「よみがえれ555! 恐怖カガミ三兄弟」シナリオ終了・次シナリオに続く)

○仮面ライダーたち、カガミピラニアとビカミラーを撃破。
○謎の女性の声(2人)、ライダーたちの窮地を救う。正体は……?
○乾巧、手術の成功により完全復活(生命石の効果で一気に体力も回復、傷も
塞がったようだ)。名実ともに「仮面ライダー」となる!

78 名前:ライダーバトル、再び……?:04/06/21 00:12

***ズム=シティ・国会食堂***

レストランで食事中の真司、蓮、優衣。

蓮「……」
優衣「どうしたの?」
真司「恵里さんのこと、心配なんだろ?」
蓮「そうじゃない……色々解せないことがある」
真司「何だよ」
蓮「須藤──シザースや黒いあいつ……リュウガが神崎の意図とは
別に動いているならその黒幕は誰か、とかな」
優衣「……グランショッカーか、話に聞いた地球教?」
蓮「さあな……何よりわからんのは、アクシズ落としで地球を
滅ぼそうとまでした男が大統領に返り咲いたというのに、連邦政府が
何もせず──αナンバーズとの協力体制まで黙認してることだがな」
真司「政治の世界にも色々あんだろ? 難しいことは分かんねー」
蓮「……お前、ジャーナリスト志望だろ(;´Д`)」
優衣「ごめんね、私の記憶がもっとハッキリしていれば……」

神崎優衣が「花鶏」にフラリと戻って来たのは、真司たちの元に
カードデッキが送りつけられて来た次の日のことであった。
神崎沙奈子をはじめ、周囲の人々の優衣に関する記憶も
その日を境に戻っており、真司たちを驚かせていたのである。
ライダーバトル終結から戻って来るまでの記憶は優衣には無く、ただ一つ
言えることは、優衣が「黄泉還り」によって再び現世に還って
来たのでは無いこと(戦死者であることなど条件を満たしていない)だけで
あった……。

真司「ま、地球には手塚もいるし、浅倉や高見沢も大人しくしてるみたいだし、
先輩方にはICPO経由で情報が行くだろうし……俺たちはここで
出来ることやろうぜ」
蓮「ああ……それからな、さっき面白い話を聞いた」
優衣「何なの?」
蓮「襲われた副総監が気がついた時、周囲に白い羽が無数に落ちてたそうだ。
しばらくして消えちまったらしいがな」
真司「……!!(まさか…………美穂!)」

???「へー、あんたたちが『仮面ライダー』?」

真司たちが振り返ると、中学生くらいの少女が立っている。

真司「君は?」
少女「あたしはクェス・パラヤ。ネオ・ジオンのエースパイロットだよ」
優衣「それで、何か用なの?」
クェス「(優衣のことを無視して)見たところ、あんまり安心出来そうにないけどね」
真司「何だよ、それ!初対面の相手に向かって……」
ギュネイ「クェス、ここにいたのか、もう作戦会議の時間だぞ」
クェス「はぁーい。それじゃ、せいぜい大佐の足引っ張んないでね」
ギュネイ「失礼、自分はギュネイ・ガス准尉です。
なにぶんまだ子供なもので……失礼があったのなら自分からお詫びします」

去って行くクェスとギュネイ。

真司「何か、芝浦の女版みたいなガキだよな」
優衣「……」

○真司たち、食事をしながら状況を整理する。
◎クェス・パラヤとギュネイ・ガスも黄泉還っていた…。

【今回の新規登場】
◎クェス・パラヤ(階級不明)(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
◎ギュネイ・ガス准尉(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)

79 名前:獣神官ゼロス:04/06/24 17:17

ズム・シティ、作戦会議室

部屋ではナナイ・ミゲルを中心に円卓を囲み、会議が行われていた。

ナナイ「クラックス・ドゥガチ率いる木星帝国は日に日にその勢力を広げている。
木星にはあのパプティマス・シロッコや旧アクシズ急進派、ザビ家支持者が加わっているとの情報もある。
彼らは、親連邦派の我々に対し敵意を持っているのは皆知ってのとうりだ。」
副官「今までは偵察部隊や小規模な独立艦隊だけでしたが、最近になって大型艦、特にレウルーラ級やエンドラ級が目立っています。
また、MSの数も種類も前回の比ではないようで。・・・これからの戦いは一層厳しくなりますなぁ。」
ナナイ「そのための戦力増強策だ。」
ギュネイ「しかし、そのためとはいえ、リスクが大きすぎませんか?確かに彼女らが加われば、木星の主力艦隊でもない限り当分は安心できますが・・・」
クェス「そうだよ!何も大佐が行くことないじゃない!」
ナナイ「シャア大佐がここを離れるのは危険だというのだな?しかたあるまい。残った戦力でもある程度は対応できよう。それに、僅か数週間のことだ。心配はない。」
カイザス「では、シャア大佐には小惑星アクシズへ向かってもらいましょう。付き人はどうされますかな?」
シャア「私に一任させて欲しい。あとで呼び出させてもらう。」
カイザス「わかりました。では、次の議題ですが・・・」

カイザスは部下に合図し、後方のスクリーンに投影させた。映し出されたのは、ウルトラザウルスだ。

カイザス「ウルトラザウルス・・・現在地球にいる異星人、惑星Ziの陸上戦艦です。
地球教や政府の目を逃れ・・・まぁ、剣首相が協力してくれていますが・・・現在地球にて保護しております。」
ナナイ「その保護を申し出たジャミル・ニートは信頼できるのだな?」
シャア「私が選んだのだ。彼とは面識がある。大丈夫、十分信頼できるよ。」
カイザス「・・・彼らは母星への帰還を願っています。」
ギュネイ「しかし、今の地球圏の状況じゃ無理だろう。どうするので?」
シャア「少しは我慢してもらわんとな。こちらにも都合はある。」
ナナイ「・・・大佐、そろそろ・・・」
シャア「あぁ。私はこれよりアクシズへ向かう。クェス・パラヤ、ギュネイ・ガス准尉は軍港で待って置くように。
出発は3時間後だ。」
クェス「はい!!」
ギュネイ「了解しました!」



80 名前:獣神官ゼロス:04/06/24 17:40

シャア「ナナイ、私は行くところがある。クェスたちを船に乗せておいてくれ。時間前に戻ってくる。」
ナナイ「了解しました。」

シャアは車に乗り、ある場所を目指した。

〜サイド3郊外の住宅地〜

シャアは車を降り、住宅街を歩き始めた。

シャア「君、カミーユ・ビダンの家はここでいいのかな?」
少女「カミーユなら・・・!あなたは!?」
シャア「・・・ファ・ユイリンか。」
ファ「クワトロ大尉・・・わかりました。少しお待ちください。」

〜カミーユの部屋〜

シャアガ案内された部屋のベッドには一人の男が寝ていた。

シャア「元気そうだな。」
カミーユ「・・・」
シャア「・・・・君の気持ちもわかるが・・・・」
カミーユ「何しに来たんです、シャア・アズナブル。わざわざそれを言いに来たのではないのでしょう?」
シャア「君が必要だ。付いてきて欲しい。」
カミーユ「あなたは、いつもそうだ。一人違うところにいようとする。僕達をいつも見下して。」
シャア「・・・」
カミーユ「あの戦いでいろんな人が死んだ。あの人たちはもう戻らない。・・・シロッコが生きているのは知っています。でも、僕に何を求めるのです?あなたほどの人が。」
シャア「あの戦いは・・・仕方がなかった・・・」
カミーユ「仕方がない?じゃああのアクシズ落としもですか。あれで死に行く人々もその一言で済ませるのですか!!!」
シャア「ああしなければ宇宙にいるパトリック・ザラや木星のクラックス・ドゥガチは永遠にあのままだ!地上のナチュラル供も自身の身の保全しか考えない!!そのような心がブルーコスモスや地球教を生むのだ!」
カミーユ「だからといって地球潰しが許されるわけじゃない!!」
シャア「ならば今すぐ全ての人間に英知を授けてみろ!」
ファ「やめてください!あなたは言い争うために来たんじゃないんでしょ?カミーユも落ち着いて!」
シャア「・・・」
カミーユ「・・・」
シャア「・・・今からハマーン・カーンを迎えにいく。」
カミーユ「彼女まで・・・巻き込むつもりか・・・・」
シャア「ハマーンがいればある程度は状況が変わる。君にとっても良い事のはずだ。」
カミーユ「人類全てに英知を授ける・・・ハマーンにできるとは思いませんが」
シャア「どちらにしろ、今の争いを止めなくては、何もできない。彼女は戦力としても重要なのだ。」
カミーユ「・・・わかりました。しかし、これだけは覚えて置いてください。もしあなたがまた同じ過ちを繰り返すなら、死んでもあなたを止めます。アムロさんやジュドーも、そう言うでしょう」
シャア「・・・覚えておこう。」

○シャア、アクシズへ

新規参戦
ナナイ・ミゲル(逆襲のシャア)
カイザス・M・バイヤー(逆襲のシャア)
ファ・ユイリン(機動戦士Zガンダム)
カミーユ・ビダン(機動戦士Zガンダム)

81 名前:もう一つの再会…:04/06/28 00:13

戦列を離れていたカミーユ・ビダンがシャア・アズナブルと
再会を果たしている、その頃……。

***聖なる海の洞窟前***

カガミトカゲJr.と戦うファイズ。

 / /
  ((‖ ) )
  (日日 )つ Exeed Charge
  │[二|二]
  []_(__)

             //
           ((‖ ) )
          ⊂日日 )G
          / /,_)
         []___)
     ∵//∴
    ∴//∵ ビュィーッ
  ∵//∴
∴//∴
//∴
/∵





                 / /
             ∴/ ((‖ ) ) /∵
            ∴⊂日日 )G∵ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           ∴/ 彡彡彡 /∵<おりゃぁぁぁぁぁ!!!
      八   ∴/彡彡彡/∵   \_______
      /∂ヽ ∴/彡彡/∵
    (( 〈∬∫∵/彡/∴
   _(;゜∀ ∴//∵
   \ ∬∫∵  ズゴオオオオオオオン!!
   丿丿丿ゞゝゝ
 ((( 丿川川川 ゝゝ ))
  (( (___)__) ))

   ビシュイィーン
      //二二二
    ((‖ ) )二二
   ⊂日日 )G二
   / /,_) 二
  []___)二二二二
       八
       /∂ヽ___/
   /   〈∬∫〉  /ヽ
  / _(;゜∀゜)/   ヽ ビシュイィ・・・ィィィン
 │ \ ∬∫/     │
 │  丿 /丿ゞゝゝ/   ←カガミトカゲJr.
  ヽ 丿/川川川ゝ/
  ヽ/(___)_/)
 /

カガミトカゲJr.「ギャアア……グランショッカー……万歳〜〜っ!!」
(爆発──消滅)

82 名前:もう一つの再会…:04/06/28 00:34

変身を解くファイズ、他のライダーも人間体に戻って
駆け寄ってくる。

本郷「乾くん……」
巧「俺は……戦う、みんなの真っ白な幸せのために……」
一文字「君も我々の仲間……仮面ライダーの一員だ!」
光太郎「よろしく頼む、巧くん!」
アマゾン「タクミ、トモダチ!」
五代(微笑んでサムズアップ)

照れくさそうに笑う巧を捕らえる照準──岩場でアリコマンド狙撃兵が
銃を構えている!!

響く銃声! だが──

アリコマンド「ヒーッ!?」(背後から一刀両断され、銃弾は
空に向かって放たれる)

筑波「!?」
沖「新しい怪人か!?」
巧「!? ……いや、あいつは……」

アリコマンド狙撃兵を倒したホースオルエフェノク、
人間体に──木場勇治の姿に戻る。

巧「お前……!!」
木場「……やあ」

○ファイズ、クリムゾンスマッシュでカガミトカゲJr.を粉砕。
○木場=ホースオルフェノク、巧の危機を救う……そして再会!

83 名前:ヤン・ウェンリーの遺産:04/06/28 01:08

***首相官邸・応接室***

かつて「奇跡のヤン」と呼ばれた男──地球連邦軍提督、
故ヤン・ウェンリーの未亡人であるフレデリカ(イゼルローン
共和政府元主席)が剣桃太郎の元をお忍びで訪れていた。

桃太郎「ご主人とは、一度でいいからお会いしたかった……
地球教とグランショッカーの抗争にさえ巻き込まれなければ……」
フレデリカ「そのお気持ちだけで、主人もきっと喜んでいますわ、総理。
……今日はこれをお持ちしましたの」

ケースが開けられると、そこに入っているのは1枚のディスク。

桃太郎「……これは?」
フレデリカ「主人の遺品を整理している際に発見したものです。
──消息の分からないヒーローたちとの連絡方法、そして
主人が調べていた地球教に関するデータも……」
桃太郎「……!! ありがたい、これがあれば、必ず……」
フレデリカ「ジオン共和国のキャスバル・レム・ダイクン大統領も、
再建されたアクシズで密かにグランショッカー・地球教の双方と
戦う準備を進めてくれています。いつティターンズに攻撃されても
おかしくない状況で……私も、何もせずにはいられなくなったのです」
桃太郎「フレデリカ女史、ご協力感謝します。提督の御遺志はきっと……!」

***グランショッカー本部・ジンドグマ作戦室***

妖怪王女、スマートレディの報告書を読み終わると笑い出す。

妖怪王女「ウフフ……ウフフフ……オルフェノクも頑張ってる
みたいね……でも、私たちB52暗黒星雲人も負けてはいないわ」

妖怪王女の背後に控える4つの影。

妖怪王女「ダルマーグ、マネギャット、スケアグローム、カイボーダー、
いよいよジンドグマ精鋭部隊・ヘルドールズの出番よ! ホホホ……
悪魔元帥様を世紀王候補としてよみがえらせてみせるわ!」

妖怪王女、悪魔の生き人形=怪人サタンドールに姿を変える!

○フレデリカ、剣桃太郎に「ヤン提督の遺産」を手渡す。
●ジンドグマの妖怪王女、新たな策謀を……。

【今回の新規登場】
○フレデリカ・G・ヤン(銀河英雄伝説)
○ジンドグマ大幹部・妖怪王女=サタンドール(仮面ライダースーパー1)

84 名前:獣神官ゼロス:04/06/29 23:49

〜小惑星アクシズ〜

シャアのアクシズ落としにより壊滅したアクシズに変わり、ザフトの資源衛星として再建された。
その後現れたハマーン率いる旧アクシズ軍の侵攻でわずか2日でザフトの手から奪取された。
現在は親連邦派でジオン属の資源衛星と見られている。

会議室のようなところへ案内されたシャアとカミーユ。部屋にはハマーン・カーンが一人でいた。

ハマーン「ふん、今更何をしに来た?」
シャア「・・・お前の力が必要だ。来てもらおう。」
ハマーン「ほう・・・かつて私を振った男の科白とは思えんがな。どういう風の吹き回しだ?」
カミーユ「・・・」
ハマーン「久しいな、カミーユ・ビダン。おまえはシャアの元へいくのか?」
カミーユ「今はそういうつもりだ、ハマーン。地球圏の戦争を止める為だ。」
ハマーン「フフフ・・・『今は』・・・か。」

ビィービィー

シャア「何!?」
カミーユ「!?なんだ・・・?」
ハマーン「慌てなくとも良い。またザフトの連中だろう。キャラの部隊が出ている。心配無い、いつものことだ。
そう・・・ここはいつでもこうだ。カミーユ、戦争なんてのは、そうそう終わらせることなんてできやしないんだよ。これがその証拠さ。」
シャア「だからこそだ、ハマーン。お前が来ればそれだけで変わる。私の元へ来い」
ハマーン「ふっ、今更何を・・・地球には強力な戦力がそろっているそうじゃないか。私が行かなくてもどうにかなろう。」
シャア「シロッコやドゥガチが木星で動いている。おまえも立つ時が来たのではないか?」
ハマーン「そのときはシャア・・・お前を倒すときだ。私はもうお前の同士にはならん。」
シャア「そうか・・・」

突然、兵が部屋に入ってくる。

係官「ハマーン様!」
ハマーン「なんだ!?」
係官「先ほど接近した機ですが、どうやらザフトではないようです。」
ハマーン「どういうことだ!?」
係官「とにかく来ていただけないでしょうか」
ハマーン「・・・わかった。シャア、それにカミーユ。私は出る。来るなら来い。」

85 名前:獣神官ゼロス:04/06/30 00:16

すでに展開していたキャラ・スーンの部隊が見慣れない機体を取り囲んでいる。
外観はMSのようなロボットではなく、恐竜のようなフォルムをしている。
赤と青がそれぞれ一体。

〜MSデッキ〜

ハマーン「なるほど・・・見たこともない機だ。キャラ、敵はどうしている?」
キャラ『膠着しています。』
ハマーン「ならば生け捕りにする。マシュマーとイリアも出ろ!あれを捕獲する」
マシュマー「了解しました!!」
イリア「はっ!」

クェス「大佐!!あれなんですか!?」
シャア「わからん・・・クェス、ギュネイ!我々も出るぞ!」
カミーユ「シャア!・・・これはなんだ!?」

カミーユが格納庫のMSを指して叫んだ。カミーユの愛機、Zガンダムだ。

シャア「おまえのだ、カミーユ。用意させた」
カミーユ「そうですか・・・何もかも計算済みだったんですね」
シャア「・・・行くなら早くしろ。」

〜アクシズ宙域〜

ギュネイ「おい貴様、しばらく戦列を離れていたそうだな。大丈夫なのか?」
カミーユ「・・・あぁ。それよりこちらにプレッシャーをかけるのはやめろ。俺は味方だ」
ギュネイ「ちっ!」
カミーユ(強化人間か・・・シャアめ・・・)
クェス「見えた、あれね!」
シャア「ん・・・」
ハマーン「シャア・・・」
シャア「あぁ。あれは私が引き取る。どうやら向こうは宙域戦は初めてのようだ。クェス、ギュネイ、二機とも押さえ込んでレウルーラに乗せろ」
ギュネイ「了解!」
クェス「はい!大佐ぁ!」

クェス機とギュネイ機が近づき、捕縛した。相手はそれらしい抵抗もせず、レウルーラのデッキへと連れて行かれた。

〜アクシズ一室〜

シャア「彼らは我々が預かる。当てがあるのでな。」
ハマーン「そうか。」
カミーユ「それで、ハマーン。一緒に来ないのか?」
ハマーン「あぁ。」
カミーユ「そうか・・・」
シャア「ハマーン・・・我々はもう帰るとしよう。」
ハマーン「ジュドー。ジュドー・アーシタはどうしている?」
カミーユ「それは・・・」
シャア「木星で行方不明だ。」
ハマーン「やはりな・・・奴らがそう簡単にニュータイプを見逃すとは思えんからな。」
カミーユ「・・・」

〜レウルーラ〜

シャア達はアクシズを後にして帰路についていた。

クェス「なにさ!あのハマーンって女!大佐に食いかかっちゃってさ!」
ギュネイ「あの女はグリプス戦役で大佐と互角に戦った奴だ。一筋縄ではいかないのさ」
クェス「ふん、・・・それで、この二人はどうするの?」
ギュネイ「さぁな。大佐が当てがあるといっていたからな。それにしても、ノーマルスーツもつけずに何のつもりだ・・・」

○シャア、ハマーンと交渉するも決裂。ハマーン仲間にならず。
○謎の機体とパイロットを確保。
○ジュドーが行方不明というのが発覚。

新規参戦
○ハマーン・カーン(機動戦士Zガンダム)
○キャラ・スーン(機動戦士ガンダムZZ)
○イリア・パゾム(機動戦士ガンダムZZ)
○マシュマー・セロ(機動戦士ガンダムZZ)



86 名前:もう一つの再会…:04/07/04 17:42

>>82の続き

***聖なる海の洞窟前***

一文字「あの男は…!?」
啓太郎「木場さん…?」
筑波「木場…勇治!!」
沖「一度はスマートブレインの社長の座に就き、
 オルフェノクの王の復活を企てた男か!?」

木場の出現に他のライダーたちは皆一斉に警戒するが、
ただ一人、巧だけがそれを制した。

巧「待ってくれ。あいつはもう敵じゃない!」
沖「しかし……」
一文字「どうする、本郷?」
本郷「ここは乾君を信頼して任せてみよう」
志度博士「うむ、本郷君の言うとおりだ。彼の事は信用していい」
筑波「志度博士!?」

手術を終えた志度博士たちが奥から出てきた。

志度「君が木場勇治君だね? 花形さんからはお話は伺っている。
 確かに…今の君はもう人類に絶望などしてはいないようだ」
海堂「君にも甥の直也が大変世話になった。さあ、遠慮することはない。
 乾君とも積もる話がたくさんあるだろう」
木場「ありがとうございます。でも実はゆっくりしている暇などないんです」
本郷「どういうことだ?」
木場「先のプラントとの戦争でストライクガンダムのパイロットとして
 活躍した地球軍のエース、キラ・ヤマト少尉の事は皆さんご存知ですか?」
光太郎「キラ・ヤマト…??」
一文字「後にフリーダムガンダムに乗り換えてからは
 ナチュラルとコーディネイターによる争いを止めるため、
 三隻同盟軍へと参加した、あのキラ・ヤマト君のことか?」
巧「あいつになら俺も以前に何度か会ったことがある。
 キラがどうかしたのか?」
木場「スマートブレインがキラ・ヤマトの命を狙っている…!」

87 名前:もう一つの再会…:04/07/04 17:45

巧「なんだって!?」

木場から突然もたらされた予想外の情報に驚愕する一同。

沖「なぜ君がそんなことを知っているんだ?」
木場「僕がスマートブレインの社長だった時に、
 社内の極秘データベースを一通り覗いてみた事があるんです。
 スマートブレインの社長だった村上は、地球上からナチュラルを
 全て滅ぼした後に始まるであろう、オルフェノクを含む生き残った
 非ナチュラル各種族による世界の覇権争いの事まで先を見据えていたんです」
巧「……だからって、なんだってスマートブレインがあいつを!?」
海堂「いや、ありえない話ではない。……(やや躊躇って)こういう言い方も
 どうかとは思うが、キラ君はユーレン・ヒビキ博士が生み出した最高傑作である
 究極のコーディネイター……言ってみればコーディネイターの王とも
 言えるべき存在だ。世界支配を企むオルフェノクから見れば
 遅かれ早かれ邪魔な存在には違いない」
本郷「…確かに。それにこれは2〜3日前に電話で
 滝から聞いた情報なんだが、スマートブレインの社長の座へ
 返り咲いた村上がごく最近になって、極秘裏にヤキン・ドゥーエを
 訪れたらしい……」
がんがんじい「するとなんでっか? スマートブレインとザフトが
 手を組んだんでっか!?」
本郷「それはわからないが、村上峡児もパトリック・ザラも
 ナチュラルに対して抱く憎しみは凄まじいものがある。
 その共通点から2人が手を結んだとしても不思議ではないな」
木場「今ここでキラ君を失うわけにはいかない!
 乾君、力を貸してくれ!」

話を聞き、黙ってオートバジンに飛び乗る巧。

木場「乾君!!」
啓太郎「ちょっと、どうするのさ、たっくん!?」
巧「決まってるだろ。キラを助けに行く!
 あいつをむざむざと殺させてたまるか!」

歳は少し離れてこそいるものの、巧は自分と同じく
ナチュラルと非ナチュラルとの共存と平和を目指して
戦っていたキラに対し共感のようなものを覚えていたのだ。

一文字「慌てるな乾君」
本郷「助けに行く以前に、キラ君が今どこにいるのか知っているのか?」
巧「くっ…それは!」

???「まーちょっと、待ったってーや!」
???「私たちがご案内します…」

本郷「君たちは!?」

88 名前:もう一つの再会…:04/07/04 17:46

ライダーたちの前に現れた二人の人影…。
関西弁を話す高校生くらいの年頃の少年と、
セーラー服姿の長い黒髪の美少女が立っていた。

嵐「私は鬼咒 嵐(きしゅう あらし)…」
空汰「そしてわいがねーちゃんの将来のすいーとらばー♪
 有洙川 空汰(ありすがわ そらた)や!」
嵐「……ムッ!」
筑波「君たちは?」
嵐「“夢見・丁姫”が集める“天の龍”に属する者です」
本郷「天の龍? …すると君たちは“七つの封印”のうちの二人なのか?」
空汰「おっ、話が早ようて助かるわ! 天下の仮面ライダーの皆さんに
 お近づきになれて光栄やさかい!」
嵐「詳しい話は後です。キラ・ヤマト君は今戦線から離れ、
 太平洋上にあるマルキオ導師の小島でラクスさんや
 孤児たちと暮らしながら静かに静養しているはずです。
 お急ぎを…!」


一方、その頃…

***東京・国会議事堂・地下***

国会議事堂の地下に住む夢見の姫・丁(ひのと)は、
最高の力を持つ『夢見』の少女で、これまで政治家たちのために
日本の未来を予見していた。だが剣桃太郎が日本の総理となってからは、
以前に比べてその負担も減り、ここを訪れる者も少なくなっていたが……

蒼氷「丁姫様」
緋炎「来客でございます」
丁「剣総理ですね。すぐにお通ししてください」

丁を護衛する使命を帯びる
風使いの砕軌玳透(さいき・だいすけ)に案内されて
やって来たのは内閣総理大臣・剣桃太郎その人である。

砕軌「丁姫、剣総理をお連れいたしました」
丁「ご苦労でした砕軌殿。下がっていてください」

人払いを命じる丁。

89 名前:もう一つの再会…:04/07/04 17:48

丁「お久しぶりです、剣殿。その後江田島さまはご壮健で
 あられましょうか?」
桃太郎「はい。おかげさまにて塾長も達者でおります。
 ところで丁姫、見たところお顔の色が優れないようですが?」
丁「そうでしょうか。貴方がこの国の総理となられてからは、
 “夢見”としての妾の仕事も減り、ゆっくりと休ませて頂いている
 つもりですが……」
桃太郎「………(じっと見据える)」
丁「フフッ…やはり剣殿は欺けませんね。確かに妾は眠りの中で
 未来を垣間見る夢見…」
桃太郎「休まれても真の休息ではない…」
丁「………」
桃太郎「ここ最近の黄泉がえりの騒ぎ、
 そして世界、いや宇宙各地での時空クレバスの発生…。
 かっての戦いで最愛の夫、恋人、兄弟を亡くしていた者たちの立場、
 そして未知の異文明とのファーストコンタクトという観点から見れば、
 本来喜ぶべきことではあるが……」
丁「黄泉がえりの奇跡は一度は光の前に滅んだ邪悪な者たちまでも
 再び現世へと蘇らせてしまい、そして一の谷博士も仰っておられるように、
 時空クレバスは我々の友ではなく、敵も呼び寄せてしまう可能性もあります。
 これらは全ていずれ起こるであろう大きな戦乱の予兆であると思うのです」
桃太郎「丁姫、申し訳ありませんが、これからは貴女のお力も
 頻繁にお借りするときが来るかもしれません。どうかそのおつもりで…」
丁「喜んで。妾に出来る事であれば何なりと…」


○木場勇治からスマートブレインのキラ・ヤマト暗殺計画の情報がもたらされ、
 仮面ライダーたちはキラの救出に向かう。
○丁姫の命を受けた有洙川空汰と鬼咒嵐がライダーチームと合流して、
 彼らをキラのいるマルキオ導師の小島へと案内する。
○丁姫と剣桃太郎が会談し、日本という国家そのものが
 正義のヒーローたちを国を挙げて全面支援する体制が整う。

【今回の新規登場】
○有洙川空汰(] -エックス-)
○鬼咒嵐(] -エックス-)
○丁(] -エックス-)
○蒼氷(] -エックス-)
○緋炎(] -エックス-)
○砕軌玳透(] -エックス-)

90 名前:名無し客:04/07/04 18:12

***太平洋上・マルキオ導師の小島***

キラ「………」

戦いから遠ざかり、椅子に座って物思いにふけるキラ。
マルキオの家にいる子供たちは外でサッカーをして遊んでおり、
ラクスは夕御飯の支度を始めている。
子供が「ねぇ〜いいでしょ〜?ねぇってば〜」とラクスの腕を引っ張っている。

ラクス(料理中)「あらあら、いい子にしていないと
 おいしいものは作れませんよ?」

一見とても平和そうに見える光景だが、
実はこの時既に怪しい黒い人影がマルキオの家の様子を
虎視眈々と伺っていたのである!

レオ「…Let the game begin!(さあ、ゲームはじめようか)」


●レオ→キラの命を狙って、密かにマルキオ導師の島に上陸。
 今、キラ・ヤマトに危機が迫る!

【今回の新規登場】
○キラ・ヤマト少尉(機動戦士ガンダムSEED)
○ラクス・クライン(機動戦士ガンダムSEED)

91 名前:星のはざまで その後…:04/07/10 17:45

***太平洋上・マルキオ導師の小島***

外でサッカーで遊んでいる子供たち。
子供の蹴ったボールが、近くから様子を見ていた
不審な二人の青年の近くに着地する。

子供A「あれ〜?? 一体誰かなぁ…?」
子供B「お兄さぁん! そこのボール取ってぇ〜〜!!」

子供たちに頼まれて、自分のところに転がってきた
サッカーボールを手にした青年の一人は不気味な笑みを浮かべた。
元流星塾同窓生で、オルフェノクとして覚醒し、
あの同窓会の夜の日に同じ流星塾の仲間たちを
スマートブレインに売り渡した青沼だ!

青沼「……フッ」

突然子供たちの悲鳴が聞こえ驚いたキラとラクス、
そしてマルキオ導師は外へと飛び出した。
見ると、二人の若い男のうちの一人――小林義雄が
捕まえた子供の首を掴んで締め上げている!

子供A「く、苦しいよぉ…キラ兄ちゃん助けて……」
小林「フフフフフ…」
マルキオ「一体何事です!?」
キラ「なんなんですか! あなたたちは!?」
青沼「貴様がキラ・ヤマトだな!?」
小林「悪いが死んでもらう。お前の首を持ち帰って、
 俺はラッキー・クローバーの一員に出世するんだ!」

92 名前:星のはざまで その後…:04/07/10 17:46

ラクス「キラ!!」
キラ「ラクス! みんなを下がらせて!!」

ラクスとマルキオ導師に促して
他の子供たちを安全な後方まで下がらせるキラ。
青沼と小林の指図でどこからか湧いて出たショッカー戦闘員たちが
一斉にキラ目掛けて襲い掛かるが、キラは思い切りよく跳躍して
戦闘員たちを次々と地面に叩き伏せた。

キラ「哈ッ!!」
黒戦闘員A「があっ!?」
黒戦闘員B「ぐえっ!!」
小林「なるほど、子供だと思って甘く見ていたが……」
青沼「さすがはユーレン・ヒビキ博士の生み出した究極のコーディネイターだ。
 格闘に関して全くの素人というわけでもなさそうだな……」

青沼と小林の顔に紋様が浮かぶと、2人はそれぞれ
スロースオルフェノクとラビットオルフェノクへと変化した。

キラ「……オルフェノク!? どうしてオルフェノクが僕なんかを!!」
ラビットオルフェノク「動くな。抵抗すると子供の命はない」
スロースオルフェノク「子供たちを傷つけたくなかったら俺たちの側にくるんだ」

手甲の鉤爪を人質となった子供の頬に近づけるスロースオルフェノク。

子供A「放せ! このやろう!」
子供B「うえ〜ん! 怖いよぉぉ〜!!」
キラ「よ、よせ!!」
スロースオルフェノク「なら言うとおりにするんだな。
 ほら、早く来ないと……」
キラ「やめろ! その子たちには手を出すな!
 狙いはこの僕なんだろっ!!」
ラビットオルフェノク「よし、解ればいい。
 そのまま大人しくこっちへ来い」
ラクス「キラッ…!」
キラ「大丈夫だよラクス。心配しないで……」

93 名前:星のはざまで その後…:04/07/10 17:48

キラ「ぐはあっっ――!!」

外へと出た無抵抗のキラを執拗に痛めつける
ラビットオルフェノクとスーロスオルフェノク。

ラクス「やめてェッ! やめてくださいッ!!」
キラ「だめだ…ラクス。来ちゃ…い…けない……」

大ピンチのキラを救ったのは、上空から突然
照射されたフィンガービームであった。

スロースオルフェノク「…なにっ!?」
ラビットオルフェノク「ぐわああっ!!」
???「大丈夫ですか、キラさん!」
キラ「……君は、アトムくん!?」

キラを救うべく悪のオルフェノクの前に立ち塞がったのは、
世界最高の人工頭脳を持ち、人間同様の心を備えた奇跡のスーパーロボット。
純粋で心優しく、大きな正義感を持ち、
ロボットと人間が友達でいられる世界を目指して、
小さな身体で巨大な敵に立ち向かった鉄腕アトムだ!

アトム「よかった、間に合って!」
キラ「アトムくん、どうして君がここへ?」
アトム「日本の丁姫がキラさんの身に危険が迫っていることを予知して、
 スクランブルフォースに救援を要請したんです。
キラ「スクランブルフォース…??」
アトム「さあ、もうこれ以上キラさんには手出しはさせないぞ!」
スロースオルフェノク「…小癪な!」
ラビットオルフェノク「この鉄屑人形め! 叩きつぶしてやるっ!」

???「…stop!(待て!)」

94 名前:星のはざまで その後…:04/07/10 17:49

そこへ現れたのは、今まで様子を伺うだけだった
村上社長直属の用心棒・レオである。

スロースオルフェノク「レオ様…」
アトム「あの人は…!」

ラビットオルフェノクとスロースオルフェノクに下がるように
目線で合図したレオはゆっくりと、アトムと傷ついたキラを見下ろす。
そして不敵な面構えで、天の帝王のベルト=サイガドライバーに
サイガフォンをセットする。

レオ「Henshin!(変身)」


●レオ、青沼、小林義雄→村上社長の命によりキラ・ヤマトの命を狙って
 マルキオ導師の小島を急襲。
○アトム→丁姫の要請により、キラ救出のために
 一番乗りで現場へと駆けつける。
●レオ→サイガに変身し、アトムと対峙。

【今回の新規登場】
●青沼=スロースオルフェノク(仮面ライダー555)
●小林義雄=ラビットオルフェノク(仮面ライダー555)
○マルキオ導師(機動戦士ガンダムSEED)
○アトム(アストロボーイ・鉄腕アトム)

95 名前:星のはざまで その後…:04/07/15 03:51

***マルキオ導師の小島***

変身し、フライングアタッカーで飛び立つ仮面ライダーサイガと、
ジェット噴射で空中戦を繰り広げるアトム!

サイガ「……Go to hell……No,you can only go to a junk・yard……
(地獄へ行け……いや、お前が行けるのはゴミ捨て場だけか)」

サイガのブースターライフルがアトムを襲う。

アトム「うわああっ!!」
キラ&ラクス「アトムくん!」「アトムさんっ!!」

スロースオルフェノク「おっと、人の心配より自分を!」
キラ「くっ……」

サイガ「A finishing blow……(とどめだ)」
???「加速装置!!(カチッ)」

サイガが必殺のコバルトスマッシュを放とうとした瞬間、
超高速で動く何者かがアトムを救い出し、サイガにレーザーガンの一閃を
浴びせる!!

サイガ「What!?」

加速装置を解除し、赤い防護服に黄色いマフラーの若者が姿を現わす……。

アトム「ジョーさん!?」
キラ「あなたは確か……島村さん!?」
サイガ「Cyborg 009……」

???「ここにもいるぞ、クロスバーン!!」
???「グランショッカー、覚悟しなさい!」
スロースオルフェノク「ぎゃああああ!?(吹っ飛ばされる)」
ラビットオルフェノク「き、貴様たちは……」

オルフェノクたちからキラをかばうように立つ2つの姿──
黒いボディに純白の翼を持つ夢の戦士、
そして赤いリボンと仮面をまとい、白ネコを連れた少女……。

「悪・裂・ウイングマン!!」
「セーラー服美人戦士・セーラーV!!」

アトム「健太くん、美奈子さん!!」
ウイングマン「遅くなってごめん、俺が来たからにはもう大丈夫っ!!
近くに来てたジョーさんとも合流できたし、鬼に金棒だいっ!」
スロースオルフェノク「ポドリムスの帝王リメルとデストレスの帝王ライエルを
倒したウイングマン、そしてダーク・エージェンシーを1人で壊滅させた
セーラーVか……」
ラビットオルフェノク「子供だと思ってなめてかからない方がよさそうだ……」

セーラーV「ラクスさん、怪我はない?」
ラクス「美奈子さん、今日はセーラーヴィーナスじゃ……ありませんの?」
セーラーV「今日はスクランブルフォースの一員として来てるの♪
ピンで活動するならやっぱりこのカッコでしょ?」
アルテミス「ラクス、うさぎやセイラ艦長からの伝言だ。『プリンセス・
ユニオンは死なず!』」
ラクス「……!!(力強くうなずく)」

009「グランショッカー……人々の幸せを壊すお前達を、ブラックゴースト
同様許すことは出来ない……」
アトム「すみません、ジョーさん」
サイガ「……OK……」

戦いの第二幕が切って落とされた!!

96 名前:星のはざまで その後…:04/07/15 04:20

セーラーV「セーラーVキーック!!」
ウイングマン「コンティニパンチ!!」
009「加速装置・三段変速……!!」
アトム「えーいっ!!」

セーラーV「ヴィーナス・ラブミー・チェーン!!」
ラビットオルフェノク「ウグウウ、動けん〜〜〜!!」

すかさず変身コンパクトを突き出すセーラーV。

セーラーV「あなたみたいなの、ウサギの風上にも
おけないわ! クレッセント・ビーム!!」
ラビットオルフェノク「うぎゃああああ!!」(消滅)

ウイングマン、変身のタイムリミットが残り3分を切る。

ウイングマン「よし、ブラーンチ(分身)開始!」
スロースオルフェノク「な、なに、分身しただと!?」

青、黄、赤……三色のウイングマンが叫ぶ。

ウイングマン「デルタ・エンド!!」「フルパワー!」
「バリアーエッジ……デプスゾーン完成!!」

光の三角錐に閉じ込められるスロースオルフェノク。

ウイングマン「……ショック!!」

スロースオルフェノク「そ、そんな〜〜〜〜〜ッ!!!」(大爆発)

サイガ「……(チッと舌打ち)Neo-Copy Giant,come on!!」
009「何っ!?」

サイガの呼びかけに応じて、上空から飛来したロケットが
コピージャイアントの姿になる。

キラ「あれは……確か宇宙忍軍ジャカンジャの……!?」

ネオコピージャイアントは、空中に飛び散った
スロースオルフェノクとラビットオルフェノクの粒子をスキャンし、
2体を合体させてメカ化したような巨大ロボに変身した!!

97 名前:星のはざまで その後…:04/07/15 04:38

***太平洋上***

巧「それにしても……いつのまにこんなものを……」
立花藤兵衛「どうだ、驚いただろ? 俺と谷くんでコツコツ作ってたんだが、
ようやく完成してな」
谷源次郎「もう一つ…乾くん、格納庫を見てみな」
巧「……!!」

サイクロンやアクロバッター、スカイターボやJクロッサーの横に、
破壊されたはずのオートバジンが、元の姿で……!!

藤兵衛「仮面ライダーたるもの、マシンは大切にせんとな」

藤兵衛、舵をたくみに操る。
波を斬り、洋上をホバーで進む巨大バッタ型移動基地、ライダーキャリアの
姿がそこに!!

○キラの危機を救うべく、戦士達が次々と参戦。
●スロースオルフェノクとラビットオルフェノク、倒されるも
グランショッカー本部より送られたネオコピージャイアントが
彼らのデータを元に戦闘形態に…。
○キラの危機に駆けつけるべく、仮面ライダーの新兵器・
ライダーキャリアが出動する!

【今回の新規参戦】
○島村ジョー=サイボーグ009(サイボーグ009)
○愛野美奈子=セーラーV=セーラーヴィーナス(コードネームはセーラーV/
美少女戦士セーラームーンシリーズ)
○広野健太=ウイングマン(夢戦士ウイングマン)
●合体オルフェノクロボ=ネオコピージャイアント(忍風戦隊ハリケンジャー/
半オリジナル)

98 名前:星のはざまで その後…:04/07/18 15:00

アトム「うああー!」
009「くっ…!」

巨大オルフェノクに苦戦するアトムや009たち!
ラビットオルフェノクの能力をスキャンしているため、
その巨体にも関わらず素早い動きで攻撃を受け付けない。

サイガ「HAHAHA…!! there is already no back!!
 (さあ、もう後がないぞ)」
ウイングマン「こ……このままでは!!」
セーラーV「一体どうすればいいの!?」

『Complete!!』

サイガ「…What!?」

『Exeed Charge!!』

変身コード“555+ENTER”をファイズブラスターに入力し、
宇宙空間の人工衛星<イーグルサット>変身用シグナルを受信。
ブラスターフォームへと強化変身したファイズが
合体オルフェノクロボめがけてフォトンバスターモードを発射する!

合体オルフェノクロボ「グオオオオ……」

ライダー1号「いかん!! 近くに子供たちがいるぞ!!」
ライダー2号「子供たちを戦いに巻き込む訳には!!」
空汰「よっしゃ! わいに任しときっ!」

空汰は1km四方に立方体形の結界を張った。

空汰「これでここら近辺は完璧な別空間や!
 現実の空間には何の影響もなく暴れ放題っちゅう訳や!」
マルキオ導師「この結界……もしや、高野の方か?」
空汰「おっ、意外に詳しいんやな導師はんも」

99 名前:星のはざまで その後…:04/07/18 15:02

よろめく合体オルフェノクロボにすかさず
強化グリムゾンスマッシュを決めるファイズ。
30tにものぼる破壊力をもろに受け、灰化する合体オルフェノクロボ。

キラ「もしかして……乾さん!?」
アトム「仮面ライダーの皆さん、来てくれたんですね!」

ようやく到着した巨大バッタ型移動基地・ライダーキャリアから
降りてきた仮面ライダーたちがサイガを包囲する。

サイガ「The gentlemen of an worm(やあ、虫けらの諸君)
 It often comes and is a seed.(よく来たね)」
ファイズ「…やっぱりお前か。また会ったな」
サイガ「Taking care of all of you, It's part of my job.
 (君らを世話する(殺す)のも僕の仕事なんだ)
 However, a conclusion is made into a next opportunity.
 (だけど決着はまたの機会にしておくよ)」


多勢に囲まれて不利と察したのか……サイガはフライングアタッカーで
再び空中へと浮上しそのまま退却して行った。

○歴代仮面ライダーの来援により合体オルフェノクロボを撃破。
●サイガ→今日のところはひとまず退却する。

100 名前:星のはざまで その後…:04/07/19 02:50

***マルキオ導師の小島***

握手する巧とキラ。

キラ「助けに来てくださって、本当にありがとうございました」
巧「いや、みんな無事なら、それでいいんだ……それに……」
キラ「……分かっています。また、戦いが始まると……」
本郷「キラくん、我々と一緒に来るかどうかは君に任せる……平和な
暮らしを壊す権利は、我々にもないからね」
キラ「……いえ、行きます。ここにいれば、また島のみんなが危険にさらされる
かも知れない、それに……ナチュラルとそうでない者の争いが続けられるなら、
僕は……!」
009「キラくん……」
ラクス「私も……行きます!」
キラ「ラクス……!!」
ラクス「私もプリンセス・ユニオンの一員です……」

ラクス、ポケットから小型の通信機のようなものを取り出し、
スイッチを入れる。

海面が膨れ上がり、浮上する桜色の戦艦……!!
三隻同盟軍の一角を担う戦艦・エターナルだ!

ラクス「子供たちは、プリンセスユニオンが責任を持って保護しますわ。
これからクルーの皆さんを集めないと……」
美奈子(変身解除)「あたしたちは、日本のスクランブルフォース基地に
戻って今後の対策を立てます」
キラ「ところで、スクランブルフォースって、一体……?」
健太(変身解除)「学生のヒーローで構成された仲間なんだ。
ハニーさんやレイナちゃん、光くんもいる」
009「ボクはロンドンでグレートやハインリヒと落ち合うことに
なっています……英国政府内に不穏な動きがあると連絡がありました」
結城「キラくん、NYでアムロ大尉と……フリーダムが待っている。
……辛い戦いになるぞ」
キラ「……分かっています」
本郷「……死ぬんじゃないぞ、みんな!!」

ライダーキャリアと(キラ・ラクス・マルキオ導師と子供たちを収容した)
エターナルはNYに進路を向け、
ウイングマンとセーラーVを乗せたウイナアとアトムは
日本へ飛び立ち、009も小型潜水艇で海路ロンドンへ……。

101 名前:集結の序曲:04/07/19 03:58

***NY・国連ビル・FBI分室***

訪れた本郷と一文字、そして立花とキラを迎える滝和也。

一文字「相変わらず元気そうだな、滝」
滝「身体が資本なのはお互い様だろ? オヤッさんも、ご無沙汰してます」
立花「お前の活躍は聞いてるぞ……少年仮面ライダー隊の連中も
よろしくと言ってた」
滝「志度博士や谷さんたちは?」
立花「グランショッカー対策委員会のメンバーと先に接触をとるそうだ。
ラクス嬢もPUニューヨーク支部に直行した。
(小声で)……いよいよ、スマートブレインの背後にいるグランショッカー、
ティターンズを影で操る地球教との全面対決だからな」
???「その通り、我々の総力を結集しなければならんだろう……」
キラ「あ、あなたは……!」

応接室のドアが開き、入って来たのは誰あろう……
地球連邦軍北米方面総司令官・米海軍第7艦隊司令長官を兼務し、
世界最強のボクサーとしても知られる男塾OB……
ジャック・レディング(通称"J")将軍!!

アムロ「キラくん、遠くまで呼び出して済まなかったね」
チボデー「ヘイ、ボーイ、南国暮らしは楽しかったかい?」
キラ「アムロ大尉、チボデーさん!!」

最初に「ガンダム」の名を持つMSを動かした男と
シャッフル同盟の一角を担う闘士が、ガッチリと少年の──
最強のコーディネイターの手を握る……!!

***プリンセス・ユニオンNY支部***

ラクス「マリア・ルイゼさん……!!」
マリア・ルイゼ「ラクスさん、よくご無事で……!!」

抱き合い、旧友の無事を喜びあう2人。

ラクス「……お父様がご無事だという話、美奈子さんから
聞きましたわ……本当に良かった……」
マリア・ルイゼ「ええ……銀河連邦警察のアランさんがちょうど
シャトルに乗り合わせていてくれて、シャトルに仕掛けられていた
爆弾も解除されたと、ミミーさんから連絡をいただきました」
ラクス「ティターンズの監視が厳しくて、宇宙にいるミミーさんやエリカ殿下、
ヒカル殿下やワルキューレ殿下ともお会いできませんけれど……
PUの絆は不滅、ですわ」
マリア・ルイゼ「地球上でも、レインさんやアレンビーさん、それに
ちずるさんやミレーヌさんが動いて下さっていますわ。セイラ艦長と
セシリーさんの身動きが取れない分、私たちでがんばりましょう……」

○ヒーローたち、それぞれ世界各地に散って行動開始!
○滝とJ、キラとアムロを再会させる。
○ネオフランスコロニー元首であるマリア・ルイゼの父、
宇宙刑事アラン(宇宙刑事ギャバン)の活躍で無事であることが判明。
○スクランブルフォースにはアトム、ウイングマン、セーラーV以外に
如月ハニー=キューティーハニー(キューティーハニー)、
遥麗奈=レイナ・ストール(マシンロボ・クロノスの大逆襲/レイナ剣狼伝説)、
四方堂光=ヒカルオン(学園特捜ヒカルオン)がいることが判明。
残り1人は……?
○PUメンバーには、銀河連邦警察長官令嬢・ミミー(宇宙刑事ギャバン)、
月ひかる先生=アンドロ仮面=アンドロメダ星雲α星王女・ヒカル姫
(好き!すき!!魔女先生)、デルフィヌス座ヴァルハラ星皇女・
ワるきゅーレ=ワルキューレ(円盤皇女ワるきゅーレ)が参加していることも判明。

【新規参戦・前回執筆分補足】
○ジュニアライダー隊会長・谷源次郎(仮面ライダー(新)/仮面ライダースーパー1)
○白ネコ・アルテミス(コードネームはセーラーV/美少女戦士セーラームーンシリーズ)

【今回の新規参戦】
○ジャック"J"レディング将軍(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾/正式階級未設定)
○チボデー"クイーン・ザ・スペード"クロケット(機動武闘伝Gガンダム)

102 名前:獣神官ゼロス:04/07/19 11:06

***NY・国連ビル・FBI分室***

キラ達のいる部屋に来訪者が

ジャミル「失礼、アムロ大尉はいるか?」
アムロ「ここです。ジャミル艦長。彼らのことですか?」
ジャミル「あぁ。彼らも一緒に戦ってくれるとの事だ。紹介しよう、惑星Ziの人たちだ。」

そういうとジャミルの後ろから数人の人物が部屋に入ってきた。

ハーマン「ロブ・ハーマン大佐だ。戦艦ウルトラザウルスで最高指揮官をやっている。以後よろしく頼む。」
キラ「こちらこそ。ところで惑星Ziから来たってどういうことですか?」
ジャミル「話せば長くなる。移動しながら話そう。他のクルーの自己紹介も含めてな。」
キラ「ということは・・・僕達と一緒に戦うのですか?」
アムロ「そういうことだ。ウルトラザウルスは目立ちすぎる、今は海底に隠しているんだ。彼らと彼らの乗機はエターナルに乗せて欲しい。かまいませんか?ラクス艦長」
ラクス「えぇ。かまいません。それに戦力が増えてこちらが礼を言いたいくらいですわ。」
ジャミル「そうか、良かった。そういえばアムロ大尉はロンデニオンに戻るんでしたな?」
アムロ「あぁ。ウルトラのクルーも何人か連れて行く。シャアがゾイド人を拾ったようだからな。」
J「では、シャトルはこちらで用意させていただきます。」
アムロ「すまないな、たのむ。」

〜シャトル内部〜

Jの配慮でシャトルはすぐに手配され、宇宙へと旅立っていた。中にはアムロとバン、フィーネがいる。

フィーネ「見てバン、もうあんなに町が小さく見える」
バン「あぁ・・・俺達今、スッゲェ高いとこにいるんだなぁ!」
アムロ「大気圏離脱は初めてのようだね。ちゃんとベルトしとかないと体が浮くから。」
バン「へ?浮くってどんな風にってうわぁぁっ!」

バンの体が宙に浮く。

バン「ちょ、うわったすけてぇっ!」
フィーネ「ふふっ・・・ほらつかまって!」

シャトルは一路ロンデニオンを目指す。

103 名前:獣神官ゼロス:04/07/19 11:35

〜木星・衛星イオ〜

イオ基地ではシロッコがMS運用テストを行っていた。

シロッコ「ふむ、流石はガンダム。その名は伊達ではないようだな。」

シロッコの機にメッサーラが近づく

サラ「パプティマス様!」
シロッコ「サラか。とてもよい乗り心地だ。宇宙海賊め・・・このようなガンダムを持っているとは・・・なるほど苦戦を強いられるわけだ。」
サラ「ガンダムF97・・・宇宙海賊のガンダムの前身でしたね。」
シロッコ「サナリィもよくこんなMSを作ったものだ。データを開発部へ送ってくれ。私は用がある」
サラ「機体はどうしますか?」
シロッコ「好きにしろ。私はもう乗らんよ」

そういい残してシロッコは基地へ戻った。

〜イオ基地会議室〜

シロッコ「拘束しないのはせめてもの情けだ、・・・ジュドー・アーシタ。」
ジュドー「・・・」

シロッコの正面に座っている少年・・・ジュドーは話を聞こうとはしなかった。

シロッコ「我々は人類の革新を望んでいる。人類全てが地球を離れ、地球の美しさをわかれば今の戦いは終わる。我々はそのために戦っているのだよ。」
ジュドー「シャアもハマーンもミリアルドも・・・同じ事を言って同じくみんな失敗した。」
シロッコ「彼らは所詮重力に魂を縛られていたのだよ。我々は違う。」
ジュドー「じゃああんたはなんなんだ?なんなんだよぉ!!あんたたちは地球の優しさを忘れて、冷たい木星の引力に惹かれている、それがシャア達とどうちがうんだよ!!
結局みんな同じだ!俺は、あんた達の仲間にはならない!」
シロッコ「そうか。なら今の連邦の体制でネオ・ショッカーをつぶせるのか?
村上狭児は!?パトリック・ザラはどうだ!!彼らを根絶やしにしない限り地球の平穏は無いんだぞ!」
ジュドー「じゃあなんで平穏を望んでるあんたがグレミーと・・・ザビ家とつるんでいるんだ!?」
シロッコ「アレはただ利用しているだけだ。本意ではない!」

平行線をたどるジュドーとシロッコ。話がまとまらないようだ。

シロッコ「・・・ならば誰がやるのだ?誰が人類の革新を導くのだ。シャアか?それともハマーンか?」
ジュドー「そんなことわからない。ただ・・・あんたちのやり方じゃあこの世の中は変わらない。」
シロッコ「そうか。ではどうしろと?この世界は所詮金と欲望を欲しいままにする政治屋と戦うことしかできないお前のような戦士と、シャアのような独裁者でできている。
とてもじゃないが革新なんて望めない。シャアは危機感を持たせるために地球潰しをやった。だがそれでも無理だった。あとは我々が宇宙から地球を支配するしかないのだよ。」
ジュドー「あんたのような・・・あんたのような考え方の人間がいるから・・・人はいつまでも分かり合えないんだ。あんたの存在そのものがうっとおしいんだ!!何が人類の革新だ!そんなこと、あんたがやっちゃあいけないんだ!闇の世界へ帰れ!!シロッコ!」
シロッコ「!!?」

背筋がゾクッとした。なんだ・・・この感覚は・・・カミーユ?・・・私がおびえている・・・えぇい!!

シロッコは係官を呼んだ。

シロッコ「この少年を強化しろ。タイタニアのテストパイロットになってもらう。」
ジュドー「なんだと・・・シロッコ!キサマァ!」


○バン、フィーネ、アムロ、宇宙へ
○バン、フィーネ以外のウルトラザウルス隊、エターナルとともに行動することに。
●シロッコ、ジュドーを強化し尖兵として使う。

新規参戦
バン・フライハイト(ゾイド)
ジャミル・ニート(ガンダムX)

104 名前:シザースの最期!?:04/07/19 22:22

***都内の某高級レストラン***

警視庁特捜課の野上冴子が須藤雅史と食事をしている。

須藤「それにしても光栄だな。あの小沢澄子と並んで
 警視庁きっての才媛と言われた貴女に、私のような者が
 こうして食事に誘われるなんて…」
冴子「うふふ…以前から貴方にはいろいろと
 興味があったのよ」
須藤「奇遇だなあ。実は僕もなんですよ。フフフ……」

円形のテーブルを挟んで、お互いに腹の探りあいをしている二人。
そして冴子は適切なタイミングを見計らって、一枚の写真を
須藤の前に差し出した。その写真には、
巨大なハサミを持った黄色い異形の姿が2つ映っていた。

須藤「……何です、これは?」
冴子「さる筋からICPO経由で警視庁へと送られてきた証拠写真よ。
 この黄色い怪物が東副総監を襲った犯人ね」
須藤「ほぉー。このような写真が撮られていたとは……。
 しかしこれでは犯人らしき姿の詳しい素性まではわかりませんね」
冴子「それがね。この2体の怪物のうちの1体は、正体が貴方だって言う
 確かな証人がいるの」
須藤「……!!」
冴子「須藤刑事、貴方は東副総監が襲われた晩、
 どこで何をしていたのかしら?」

急に笑い出す須藤雅史。

須藤「フフフ…フハハハハ!!」
冴子「……!?」
須藤「さすがは野上警部。よくそこまで調べ上げましたね。
 その通り。東副総監を襲ったのはこの私です」
冴子「自白と受け取ってもよろしいのかしら?」
須藤「だが貴女に私を逮捕することはできない。
 …知ってるんですよ。貴女が裏であのシティーハンターと
 繋がっていることぐらい」

105 名前:シザースの最期!?:04/07/19 22:23

冴子「なんですって?」
須藤「言ったでしょう。僕も貴女のことには以前から興味があったと…。
 いろいろと調べさせてもらいましたよ。貴女は警察の手に負えない
 難事件を解決する際に、度々シティーハンターに協力を依頼していた
 ようですね。いけませんねぇ…。警察官ともあろう者が
 民間人の銃器不法所持を黙認するだなんて……」
冴子「………」

ところが、今度は冴子が笑い出す番だった。

冴子「うふふ…あはははは!!」
須藤「どうしたんですか!? 気でも触れましたか!?
 ……!!」
冴子「リョウ、今の会話、しっかり録れた?」
???「ああ、この通りしっかり録れたぜ!」
須藤「誰だお前は!?」
???「フッ…お前が今話してたシティーハンターさ」

二人のテーブルの前に、カセットレコーダーを片手に持った
若い男が現れた。裏の世界ではNo.1の凄腕のスィーパー。飄々と、それでいて鋭く、
法では裁けぬ悪を撃ち、その戦闘能力は、本気になれば「東京さえ壊滅できる」ほど
だが、そのハードな稼業とは裏腹に「恐怖のもっこり男」の異名を持つ
比類なきスケベでもある冴羽撩その人の登場である。

冴子「覚えておきなさい。事件解決のためなら多少の
 非合法捜査も辞さないのが私のやり方よ!」
須藤「くそぉーっ!! 罠だったのか!?」
撩「おっと…!」

逆上した須藤は懐から拳銃を抜こうとするが、
撩の早撃ちで阻止され、右手に被弾してその場から逃げ出した。

撩「待て!!」
冴子「待ちなさい須藤刑事! 往生際が悪いわよっ!」

106 名前:シザースの最期!?:04/07/19 22:24

***レストラン正面入口***

須藤「くそっ!! こんなところで捕まってたまるか!!」
???「乗れっ!」
須藤「……!?」

レストランの玄関に停めてあったサイドカーの男(ヘルメットで顔は見えない)は、
須藤を助手席に乗せると猛スピードでその場から走り去った。

撩「チッ、逃げられたか…」
冴子「あのサイドカーの男、一体何者……??」


***都内・郊外の某廃工場跡***

須藤「助かりましたよ、草加さん」
草加「………」

窮地の須藤を救ったのは、やはりあの草加雅人であった。

須藤「とにかく、これから私はティターンズを頼って海外に高飛びしますよ。
 南さんにはよろしくお伝えください」
草加「ククククッ……」
須藤「何がおかしいんですか?」
草加「悪いんだけど、もうこれ以上アンタにこの世でうろちょろ
 されても困るんだよなぁ……」
須藤「何っ!?」
草加「…変身!!」

Complete!!

須藤「何をするっ!? うわあああ〜!!」

カイザに変身した草加にいきなり吹っ飛ばされる須藤。
訳もわからぬまま、彼も慌ててシザースに変身して応戦する。
だが先ほど右手を負傷したため、思うように戦えない。

シザース「くっ…!! 貴様ああ〜っ! 何の真似だぁっ!?」
カイザ「ふんっ!!」

シザースの問いにも答えず、カイザはミッションメモリーを
カイザブレイガンに装填し、カイザフォンのENTERキーを押す。

Exeed Charge!!

ガンモードでシザースを捕縛状態にした後、ブレードモードで切り裂き、
哀れ最後には「Χ」の紋様が浮かび、一瞬でシザースは灰化してしまった。

シザース「そ…そんなっ、ぎゃああああ〜〜!!!」

107 名前:シザースの最期!?:04/07/19 22:27

ボルキャンサー「グオオオオ…!!」

遅ればせながら、主を失って咆哮するボルキャンサーが
カイザめがけて突進してくるが、すぐさまカイザはサイドバッシャーに乗り込み、
バトルモードに変形させてエグザップバスターを発射して
ボルキャンサーにミサイルの雨をお見舞いした。

轟音の後、暫し沈黙が流れる……。

カイザ「フン、くたばったか……」


***都内某所・オルフェノク地下研究所***

アジトに帰り、雇い主である南雅彦に事の次第を報告する草加。

南「ご苦労だった草加君。これで東副総監襲撃の件の真相は、
 永久に闇の中へと葬り去られるだろう。白河先生もお喜びだ」
草加「……ああ。それで、いずれは俺のことも須藤刑事のように
 冷徹に切り捨てるつもりなのかなぁ〜?」
南「フハハハハ…何を馬鹿な……」
草加「俺は他の連中とは違うぜ。くれぐれも俺に対してだけは
 妙な考えを起こすなよ」
南「………」


○野上冴子→ICPOを通じてシャアから送られてきた写真を証拠に
 須藤を追い詰めるが、逃げられてしまう。
●須藤雅史→草加雅人に助けられて脱出するが、直後に南雅彦の密命を受けていた
 その草加に口封じで殺されてしまう。ボルキャンサーも生死不明に。

【今回の新規登場】
○冴羽撩(CITY HUNTER)

108 名前:集結の序曲:04/07/19 22:58

***サイド1・ロンデニオンコロニー中央宇宙港***

停泊している白い宇宙艦……地球連邦宇宙軍の独立部隊・通称
「ロンド・ベル隊」の旗艦「ラー・カイラム」である。

ブライト・ノア大佐「……そうか、まだジュドーの行方はつかめないのか」
クリスチーナ・マッケンジー中尉「ええ、木星は完全にシロッコ一派の
勢力範囲に入っていて、現地のプリベンターも身動きが取れない様子です」
コウ・ウラキ中尉「シーブックとセシリー、それにセイラ艦長は今のところ安全
です。カミーユにもおととい会って来ましたが──まだ迷いがあるようですね」
クリス「ウッソやオデロたちを──呼び戻しますか?」
ブライト「いや、彼らはカサレリアで平和に暮らしているし、シャクティも
プリンセス・ユニオンのメンバーを辞めている。いつまでも
リガ・ミリティアの助力を当てにするわけにもいかんよ」
コウ「地球でキラやガロードたち、シャッフル同盟が立ち上がってくれたのは
大きいですね。ドーリアン外務次官とカトルくんも動いてくれていますが、
他の4人とはまだ連絡すら取れないようです」

報告を終え、司令室からデッキに戻るクリスとコウ。

コウ「……艦長は何も言わないが、心配だろうな、息子さんのこと」
クリス「ハサウェイ? ……そうね、第二次ネオジオン紛争の後、すぐ
行方不明ですもんね。ミライさんも八方手を尽くしてはいるみたいだけど」
コウ「チェーン准尉も黄泉還って、彼のことを赦す気でいるのに……
無事でいてくれればいいが……ん?」

格納庫の方で何か騒ぎが起こっているようだ。

コウ「……これは……!!」

首がもげ、片腕片足の状態でロンデニオンに流れ着き、ラー・カイラムに
収容されたのは濃紺にリペイントされ、流星のエンブレムをあしらわれた
Zガンダムの残骸……。

整備員A「おい、まだパイロットは生きてるぞ!」
整備員B「早く救護班を!!」

クリス「(開放されたコクピットを覗き込む)……!! ルー、ルー・ルカ
じゃない!!」
コウ「こんなひどい傷を負って……一体何があったんだ……!」

コウたちの呼びかけに、うっすらと意識を取り戻すルー。

ルー「マッケンジー中尉、ウラキ中尉……ジュドーが、ジュドーが……」

それだけ言うと、再び眼を閉じ、意識を失うルー。

クリス「ルー、しっかりして、ルーッ!!」

109 名前:集結の序曲:04/07/19 23:44

***グランショッカー・海底基地内地下牢***

ムサシ「くそう、奴らいつまで俺たちをこんな所に閉じ込めて
おくつもりだ」
ハヤト「死ぬまで、かもな……」

剣鉄也とゲッターチームの面々は、グランショッカーに捕らえられて
以降ずっと、虜囚状態が続いていた。改造手術の素体としてか、あるいは
重要な捕虜としてか、待遇は思ったほど悪くはなかったが……。

突然、石壁の一角が開き、三画面のモニターが出現する。

???「フハハハハ、久しぶりだなロンド・ベルの諸君」
???「お休みのところ失礼するよ」

リョウ「……!! 貴様たちは……!!
プリンス・シャーキン、ガルマ・ザビ、オルドナ・ポセイダル!!」
鉄也「黄泉還って邪神に魂を売ったのか……!」

ガルマ「フフ、君たちロンド・ベル隊……そしてシャアに
復讐を果たすまでは死ねんよ」
シャーキン「我らはミケーネ闇の帝王の元、結成された
新生7大将軍……改めてお見知りおき願おう」
鉄也「闇の帝王……すると貴様たちのバックにはあいつが……!」
ポセイダル「今日は面白い映像を友人が送ってくれたものでね。
君たちも退屈しているだろうから、お見せするとしよう」

画面が切り替わり、映し出されたのは……!

リョウ「ジュドー!?」
ケイ「な、なんてことするの!?」

そこには、無数のコードにつながれ、度重なるショックを与えられて悶え苦しむ
ジュドー・アーシタの姿が!

ガルマ「ジュドー・アーシタの強化が済んだら、次は君たちだ」
ベンケイ「……そうなる前に、俺たち全員自殺してやるさっ!!」
シャーキン「それでも構わんよ、出来たての死体を改造人間にするだけだからね」
「フフフフフ」「ハハハハ」「ハッハハハ……」

リョウ「くそう……っ!! ジュドー、耐えてくれ……!!」

○重傷を負ったルー・ルカ、ラー・カイラムに保護される。
○ハサウェイ・ノア、行方不明になっていることが判明。
●プリンス・シャーキン、ガルマ・ザビ、オルドナ・ポセイダル、
グランショッカーの幹部として復活。捕えたリョウたちにジュドーの
洗脳強化の様子を見せつけ、心理的にいたぶる。

【今回の新規登場】
○ラー・カイラム艦長=ブライト・ノア大佐(機動戦士ガンダムシリーズ)
○クリスチーナ・マッケンジー中尉(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
○コウ・ウラキ中尉(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
○ルー・ルカ少尉(機動戦士ガンダムZZ)

●元妖魔帝国大幹部=妖魔将軍プリンス・シャーキン(勇者ライディーン)
●元ジオン公国軍大佐=機甲将軍ガルマ・ザビ(機動戦士ガンダム)
●元ポセイダル軍首領=惑星将軍オルドナ・ポセイダル(アマンダラ・カマンダラ)
(重戦機エルガイム)
(グランショッカー内での役職名はオリジナル)

110 名前:名無し客:04/07/20 17:51

***グランショッカー本部***

十二邪将の集う円卓の間にて、村上峡児を他の邪将たちが詰問している。

ドクトルG「村上よ、我等に乾巧の抹殺を依頼しておきながら、
 一方で我々に何の断りもなく、キラ・ヤマトの小僧の命を狙うとは
 どういうことだ!?」
呪博士「挙句の果てにジャカンジャのネオコピージャイアントまで
 一体無駄にしおって!」
村上「フフフフフ……」
十面鬼「何がおかしい!?」
村上「あなた方は何も解ってはいない」
マシーン大元帥「なにぃ!?」
村上「偉大なる大首領の号令の下、より優れた種による地球支配の確立を
 目指す我々にとって、最も目障りなのは下等なナチュラルどもなどではなく、
 むしろナチュラルと非ナチュラル種族とを一つに纏め上げようとする存在
 なのですよ。それもくだらない理想を掲げて我々に刃向かってくる形でね……」
銀河王「………」

一方、その頃……

***東京・江田島平八邸***

桃太郎「塾長、私は次の国会で非ナチュラル種族への差別を禁じる
 公民権法案を提出します」
江田島「公民権法案……!?」
桃太郎「昨日電話で話をしたJの言葉がヒントになりました。
 今ナチュラルとそうでない者との無益な争いを止めようと立ち上がった
 ヒーローたちが続々と集結を果たしています。
 グランショッカーを始めとする多くの脅威から地球を守るためには
 この地球に生きる者は皆、種族の違いを乗り越えて手を携えなければなりません。
 私はこの法案を必ず成立させるつもりです!」
江田島「危険な賭けだな。白河尚純…それにあの男の背後にいる
 ティターンズや地球教もここぞとばかりに全力を持って潰そうとするだろう」
桃太郎「………」
江田島「失敗すれば貴様の政治生命は終わりだ。
 自らの墓穴を掘ることになるのだぞ」
桃太郎「しかし成功すればその墓穴に地球至上主義者たちが
 入ることになります」
江田島「フフフ……これ以上言うまい。心してかかるがよい!!」

桃太郎「押忍!!」

111 名前:名無し客:04/07/20 17:54

そして翌日……

***民自党本部前***

正面玄関から出てきた白河尚純を番記者たちが取り囲む。

記者A「白河議員!」
記者B「剣総理がブチ上げた公民権法案について一言お願いします!」
白河「わが国の議会政治が始まって以来の悪法だと断言します。
 ナチュラル以外の種族に同等の権利を認めるなど論外です。
 ザフト軍のコーディーネイターたちが地球でどれだけの
 破壊行為を繰り返したか……アンドロ軍団のロボットどもが
 人類にとっていかに危険な存在だったかを思い起こせば、
 それは子供でも解る事ですよ。もし成立すればその弊害は計り知れません。
 私は各方面とも一致団結して廃案に向け全力を尽くす覚悟です」

公用車に乗り込む白河。

白河「フフフ……剣め、これで貴様は己の手で墓穴を掘ったのだ。
 法案は俺の全霊を持って叩き潰してやる。そして貴様自身もなっ……!!」


***国会議事堂・地下***

丁「……!!」

突然眠りから目覚める夢見の姫・丁(ひのと)。

蒼氷「丁姫様!!」
緋炎「いかがなされました!?」
丁「………剣総理が……剣桃太郎殿が危ない………!!」


○剣桃太郎→ナチュラルと非ナチュラルとの平和共存に奔走する
 ヒーローたちを後押しすべく、公民権法案を国会に提出。
○丁→剣桃太郎の身に危険が迫っていることを予知。

【今回の新規登場】
●ドクトルG(仮面ライダーV3)
●呪博士(仮面ライダーX)
●十面鬼ゴルゴス(仮面ライダーアマゾン)
●マシーン大元帥(仮面ライダーストロンガー)
●銀河王(仮面ライダー(新)劇場版・8人ライダー対銀河王)

112 名前:名無し客:04/07/21 02:07

***グランショッカー本部・通路***

レオを従えた村上と、数人の将校を引き連れたガルマ、
バッタリと出会う。

村上「これはガルマ大……いや失礼、今は将軍でいらっしゃいましたね。
その後お変わりはありませんか?」
ガルマ「ええ、おかげ様で。新型MSの製造も順調に……。そういう貴殿は
いかがです? 過日は他の邪将の方々に、かなり詰問されておられたようですが」
村上「いえいえ、作戦を失敗してしまったにしては寛大な処置だったと
安堵しているところですよ。ところで……」
ガルマ「何でしょう? ミスター村上」
村上「その後──グレミー・トト中佐はいかがされていますか?
木星に行かれてからしばらく経つようですが」
ガルマ「……ええ、知り合いに久しぶりに会ったそうで、
喜んでいましたよ……フフフ、妾腹とはいえ我が甥ですが……子供のような
やつで困っていますよ」
村上「……フフフフ」
ガルマ「おっと、私はこれから暗黒大将軍にお目通りしなければ
なりません。また今度、ゆっくりワインでもいかがですか?」
村上「喜んで……いや、お呼び止めして申し訳ございませんでした」
ガルマ「いえいえ……もしよろしければ、ミスター南もご一緒に……!」
村上「……!!」

にこやかに挨拶し、反対方向へ分かれる村上とガルマ。

ガルマ(……そう、俺も昔の御曹司では無い……一番油断のならない相手は
身内であることを、この身に刻んでいるからな……)
村上(私と南、坂田と白河、そしてガルマとシロッコですか……面白い、
実に面白い……)

●ガルマと村上、お互いに腹を探り合う。
●ジュピトリアンと結んでいるネオ・ジオンザビ派には
ガルマ・ザビの息が……!!

113 名前:獣神官ゼロス:04/07/21 17:53

〜ロンデニオン〜

その頃、アムロ達を乗せたシャトルはロンデニオンに到着していた。

アムロ「ジュドーが!?」
ブライト「ルーの話ではそうらしい。シロッコに強化を受けて・・・」
アムロ「くっ・・・ジュドー、無事でいてくれよ・・・」
ブライト「ルーは今治療を受けている。傷は深いが命には別状は無いそうだ。」
アムロ「そうか・・・良かった。」

安堵の表情になるアムロ。その後ろから・・・

ジーク「キュイ?」
フィーネ「こら、ジーク!ダメでしょ!!」
ブライト「ほう、彼らがか?例の異星人は」
アムロ「あぁ。シャアはまだ戻らないんだろ?だったらロンデニオンを案内しようと思ってね。彼らの母星にはコロニーなんてないからな。じゃあ行こうか。」

アムロはバン達を連れて街へ繰り出した。

バン「おい見ろよフィーネ!上にも下にも町があるぜ!どうなってるんだ?」
フィーネ「すごい・・・こんなの初めて!」
ジーク「グゥゥ・・・」

二人が初めてのコロニーにはしゃいでいると警報が・・・

ジーク「キュイッ!?」
バン「アムロさん!」
アムロ「・・・二人とも、悪いが先に行っといてくれ。」

アムロはそういうと元来た道を走って戻っていった。

フィーネ「バン、嫌な予感がするの・・・」

114 名前:獣神官ゼロス:04/07/21 17:54

〜ロンデニオン宙域・戦艦アレキサンドリア〜

アレキサンドリアの一室では一人の少年が横になっていた。

???「うっ・・・ここは?」
サラ「お目覚めですか?」
???「おまえは?・・・何も思い出せない。」
サラ「私はサラ。あなたはジュドー。あなたは全ての記憶とともに最強の力を手に入れたの。」
ジュドー「何のために?」
サラ「スペースノイドの敵、聖なる地球を荒らす奴らを叩き潰すために。」
ジュドー「そうか、わかった。・・・この感じは?敵か?何機いるんだ!?サラ!俺の機体を用意しろ!!奴らを叩き潰す!」
サラ「既に用意してあります。タイタニア・・・あなた用に調整済みです。」
ジュドー「よし、今すぐにでも出る!」

洗脳され強化されたジュドーは格納庫へと急ぐ

シロッコ「ジュドー!ジュドー・アーシタ!!」
ジュドー「だれだ!」
シロッコ「君の上官、パプティマス・シロッコだ。君の働き、期待しているよ。」
ジュドー「はっ!有り難き幸せ!このジュドー・アーシタ、敵を一人残さず始末してまいります!!」
シロッコ「わかった。行くが良い」
ジュドー「ははぁっ!」

ジュドーは敬礼し、タイタニアニ乗り込んだ。そしてアレキサンドリアを後にした。

サラ「順調ですね。パプティマス様。」
シロッコ「あぁ・・・だが、強化しすぎた。アレはもう捨て駒にしか使えんよ。惜しいことをした。」


115 名前:獣神官ゼロス:04/07/21 18:13

〜ラー・カイラム艦橋〜

アムロ「ブライト!今の状況は?」
ブライト「敵はジュピトリアンだ。しかも今までとは違う大部隊だ。今、コウやクリスに出てもらっているが、すでにこちらの艦が3隻沈められている。前線の兵によればサイコミュを使うMSがいるようだ。」
アムロ「くっ・・・パプティマス・シロッコか!リ・ガズィでもいい、何か無いのか!?」

ブライトは無言で文字盤を操作し、格納庫に繋げる

ブライト「アストナージ!Hi−νは使えるのか?」
アストナージ『サイコミュの調整がまだなのでフィンファンネルは使えませんが・・・』
アムロ「それで十分だ!用意しろ!出るぞ!!」

アムロは格納庫へと向かっていった。

〜戦闘宙域〜

コウ「つ、強い!」
クリス「コウさん、大丈夫!?」
コウ「うっ、なんとか・・・」

コウとクリスは一体のMS相手に苦戦していた。強化人間専用MSタイタニアだ。
タイタニアはファンネルを射出した!

コウ「またか!オーキスを囮にして回避だ!!」

コウはオーキスを脱ぎ、タイタニアに向かっていく。だが・・・

クリス「!?コウさん、危ない!!」
コウ「え?な、なんだと・・・うわぁぁっっ!!」

先読みされていた。目の前に迫ったタイタニアのビームサーベルが一閃!コウのGP-03Sは真っ二つになった!

クリス「コウさん!?いやぁぁぁー!!!」

クリスのアレックスにもファンネルが迫る!!

クリス「うわ・・・」

クリスのアレックスにビームが命中する!アレックスの四肢は爆発四散し、コックピットだけが残った。


○アムロ等、ロンデニオンに到着。ブライトよりジュドーの事を聞く
●ジュドー、洗脳を受けシロッコの手に落ちる。
●木星軍、ロンデニオンに侵攻、コウとクリス、タイタニアとの戦闘で戦闘不能になる。
○アムロ、Hi−νにのって出撃


116 名前:剣桃太郎暗殺!?:04/07/21 19:47

***日本国内の太平洋側沿岸の某所***

人っ子一人いない沿岸を訪れた白河尚純とその一味。

白河「剣桃太郎――奴はこの週末を、近くの離島にある
 自分の別荘で過ごすことになっている。自らの手で軽飛行機を操縦し、
 今日にも羽田からこちらに向かって飛び立つはずだ」
南「はい」
白河「その飛行は一切の護衛もつかぬ約500キロの一人旅。
 それが奴の唯一の息抜きなのだ。奴を殺るにはこのチャンスしかない!
 内閣総理大臣・剣桃太郎は大空の藻屑となって消えるのだ!」

白河たちに同行してきたアズラエルが、無線でどこかへと連絡する。

アズラエル「あー、キミたち?」
オルガ<ああん?>
シャニ<なんだよ、アズラエルのおっさん>
アズラエル「いいですか? 手筈は解っていますね」
南「先ほど説明したとおりだ。
 ターゲットはまもなくこの海上沖をセスナで通過する。
 くれぐれもしくじるなよ」
シャニ<そのセスナ機を叩き落せばいいんだろ?>
クロト<かったりーなぁー!>

双眼鏡で海の向こう側を確認する南雅彦。

南「来ました。間違いなくあれは剣総理の乗ったセスナです」
アズラエル「ふふ…じゃあ始めちゃってください」

アズラエルの合図で、それまで近くのどこかに待機していた
3機のGは獲物――剣桃太郎の乗ったセスナに向かって
一気に襲い掛かった!

桃太郎「……!! あれは?」

レイダーが機関砲、フォビドゥンがエクツァーンを放ち、
カラミティは全ての砲を乱れ撃ちしてセスナを狙う。
もはやその攻撃から一介の軽飛行機が逃れる術は当然なかった。
一瞬にして木っ端微塵に爆発するセスナ機の様子を見ていた
白河尚純と南雅彦は勝利を確信してほくそ笑んだ。

南「やりました。剣桃太郎は死んだのです」
白河「私の時代だ。私の時代の幕が切って落とされたのだ!」

117 名前:剣桃太郎暗殺!?:04/07/21 19:49

それから3日後……

***東京・江田島平八邸***

セスナ墜落事故から三日!!
いまだ総理発見されず…
もはや絶望視される中で、深まる墜落原因の謎…

江田島「ぬううっ……!!」

このような見出しが一面に躍っている新聞を読みながら、
江田島平八は激しい怒りに打ち震えていた。

江田島「何をしとるのだ捜索隊は――っ!?
 気合いをいれんか気合いを――っ!!」
富樫「全力を尽くしております」
江田島「死んではおらん。奴は必ずどこかで生きている。
 死んではならん男なのだ! 剣桃太郎――奴こそはこの日本に
 必要な男なのだ!!」
富樫「三輪長官と白河代議士の一派の方はいかが致します?
 今回の事故、ティターンズか地球教あたりの意を受けた
 奴らの仕業なのは明白です」

江田島「潰せ……!! 男塾OBの全戦闘力を
 もってして叩き潰すのだ!!」

富樫「そのお言葉をお待ちしていました」

そう言うと富樫は、懐から塾生時代の古びた学生帽を取り出して、
自らの頭に被って見せた。

富樫「男塾の斬り込み隊長――富樫源次。
 久しぶりに大暴れして見せましょう……!!」

118 名前:剣桃太郎暗殺!?:04/07/21 19:51

***白河尚純邸***

剣桃太郎暗殺成功!?の報を受けて、大喜びの地球連邦軍極東支部長官・三輪防人。

三輪「ワッハハハ!! でかしたぞ白河先生!
 これでティターンズは名実共にいつでもこの日本を掌握できる!
 春じゃ――っ! わが世の春じゃぞ――っ!!」
白河「まだ浮かれるには早すぎます三輪長官。
 これからが本当の戦いなのです」
三輪「……???」
南「剣総理の後ろ盾にはあの江田島という怪物が控えております。
 自慢の教え子を殺された奴の怒りは凄まじいはず。おそらく全戦闘力を
 結集し報復行動に出るでしょう」
白河「それに勝たねば我等の真の勝利とは言えません」
三輪「……な、なにっ!? ちょっと待て!
 奴らの力を侮ってはいかん!」

急に顔面蒼白になる三輪防人。

白河「どうかしましたか三輪長官」
南「まさかこの期に及んで怖気づいたとでも?」
三輪「あの江田島が男塾を創設したとき、奴はここの卒業生たちが
 将来日本の舵を取るだろうと抜かしおった。その時はケンカに明け暮れる
 不良どもに何が日本の舵だと笑ったものだ」
白河「………」
三輪「しかし奴の言葉は現実となった…!
 今やあの剣桃太郎を筆頭に、男塾出身の者たちは
 この日本のありとあらゆる分野でリーダーシップをとる
 存在となっておる!」
南「だから何だと言うのです?」
三輪「奴らをこれ以上怒らせることはあまりにも危険だと言っておるのだ!
 奴らがその力を一つにした時、それは日本という国そのものを
 敵に回すことになるのだぞ!!」
南「フハハハハ……三輪長官、貴方らしくもありませんね。
 ご安心なさい。奴らは既に前世紀の遺物です。
 時代は常に前へと動いているのですよ」
白河「仮に日本という国家全体が我々の敵に回ったとしても、
 それに対抗するための手駒を地球教は既に揃えているということですよ」
三輪「日本に対抗するための……手駒だと?」
白河「その通りです。それも“英国”という名の手駒をね……」


○剣桃太郎→自家用のセスナ機で別荘へと向かっていたところを、
 刺客に襲撃され、自分が乗り込み操縦していたセスナが大破し、
 自らも行方不明の状態に……。
○江田島平八→烈火の如く怒り、白河一派を叩き潰すべく
 富樫源次に命じて男塾OBに総動員をかける。

【今回の新規登場】
●オルガ・サブナック少尉(機動戦士ガンダムSEED)
●シャニ・アンドラス少尉(機動戦士ガンダムSEED/階級は筆者推定)
●クロト・ブエル少尉(機動戦士ガンダムSEED/階級は筆者推定)

119 名前:日本侵攻!立ち上がるミケーネ!!:04/07/22 00:45

***グランショッカー海底基地***

海底基地の中に作られた座に、その巨大な姿は
腰を下ろし──部下達を見下ろしていた。
そう、かつてグレートマジンガーと死闘を演じ、
敗れ去ったミケーネ帝国軍総司令官・暗黒大将軍!!
無表情なメカの顔の代わりに、胸部にあるもう一つの顔面──
白髭の老人が口を開く。

暗黒大将軍「我が精鋭──新生七大将軍よ、時は来た!
今こそグランショッカーにミケーネ帝国有りと声を上げるのだ!!」

ショッカー正規軍の十二邪将に負けじと、闇の帝王が黄泉還った
他軍団の幹部をスカウトし、結成した新生七大軍団!!

機甲将軍ガルマ・ザビ率いるMS&獣型戦闘獣軍団、
妖魔将軍プリンス・シャーキン率いる化石獣&悪霊型戦闘獣軍団、
惑星将軍オルドナ・ポセイダル率いるHM&鳥型戦闘獣軍団、
鉄騎将軍バーン・バニングス率いるAB&昆虫型戦闘獣軍団、
恐竜将軍ジャテーゴ率いるメカザウルス&爬虫類型戦闘獣軍団、
諜報将軍コロス率いるメガノイド&人間型戦闘獣軍団、
そして謎の鬼面将軍率いる円盤獣&魚類型戦闘獣軍団!!

ガルマ「東京攻略は私にお任せください。地球教もαナンバーズも
まとめて全滅させてご覧にいれます……!!」

●暗黒大将軍が姿を現わす。新生七大軍団の全容も明らかに……!

【今回の新規登場】
●元ドレイク軍騎士団長=鉄騎将軍"黒騎士"バーン・バニングス(聖戦士ダンバイン)
●元恐竜帝国女帝=恐竜将軍ジャテーゴ(ゲッターロボ號/真・ゲッターロボ(原作版))
●元メガノイド族副首領=諜報将軍コロス(無敵鋼人ダイターン3)
●???=鬼面将軍(UFOロボグレンダイザー?)

●ミケーネ帝国軍総司令官・暗黒大将軍(マジンガーZ対暗黒大将軍/グレートマジンガー)

120 名前:男塾OB集結! 仁義なき大戦争の幕開け!!:04/07/23 18:21

***東京都内の某五つ星高級ホテル***

学ラン姿のガッシリとした体格の男たちが大勢
続々とホテル正面玄関から中へと入っていく……。

ホテルマンA「お、お客様、まことに申し訳ありませんが……」
ホテルマンB「当ホテルへのその御服装でのご入館は……」

???「構わん。私の客だ」

ホテルマンたち「……!!」

背後からした声に振り返ったホテルの従業員たちは
皆一様にびっくりした。
なんと自分たちが勤めるホテルの社長――松尾鯛雄も
同じ学ラン姿だったのである!

ホテルマンA「しゃ、社長――!!」
ホテルマンB「どうしたというんです!! 社長までそのお姿はっ!?」

松尾「男塾同窓会。俺たちの集いにはこの学ランしかないのだ」
田沢「フッフフ、大した出世だな松尾。今や日本の…いや世界の
 ホテル王ってか?」
松尾「何を言ってやがる田沢。お前こそゼネコン業界の
 ナンバーワン社長様じゃねえか!」
田沢「ワッハハハ、大したことないわい!」

ホテルマンA「お、男塾同窓会……??」

121 名前:男塾OB集結! 仁義なき大戦争の幕開け!!:04/07/23 18:22

***同ホテル内・大宴会場***

一人、壇上へと上がる富樫源次。

富樫「知っての通りだ。俺たちの大将……かっては男塾筆頭。
 現内閣総理大臣剣桃太郎が暗殺された。殺ったのは白河尚純。
 しかし本当の敵は奴や三輪防人のバックについている
 地球教団を中心とする影の地球連邦政府だ。
 奴らの目的は白河を傀儡とし、この日本を牛耳ることだ。
 敵の力は強大だ。これは生き死にを賭けた戦争になるだろう」
伊達「………」
藤堂「………」
富樫「だからあらかじめ言っておく。俺たちが男塾を卒業したのはとうに昔の話だ。
 血の気だけで生きてた時代は終わっている。今や皆、社会的な地位もあり、
 多くの部下や社員、そして愛する家族もいるだろう。
 その肩には大きな責任を持って生きている。ここから去りたい者は去ってくれ。
 恥じることはねえ。これから始まることは分別のある大人のすること
 じゃねえんだからな…!」
赤石「何つまらねえゴタク並べてやがる富樫!」

元男塾二号生筆頭・赤石剛次が前へと進み出る。

赤石「男は誰でも心に一本のドスを呑んでいる!
 要はそのドスの日頃の手入れの問題だ!
 そいつを錆び付かせているような野郎はここには居ねえぜ!!」
虎丸「地球教だかティターンズだか影の地球連邦政府だか知らねえが」
飛燕「思い知らせてやりましょう!」
松尾「男塾魂をなっ!!」
富樫「フッフフ…そうか。ちっとも変わってねえんだな、てめえらよ。
 嬉しくなるほど変わっちゃいねえぜ…!」

富樫はうっすらと瞳に涙を浮かべる。

富樫「だったら昔のように派手に
 オドってやろうじゃねえか――っ!!」
男塾OB全員「おおお――っ!!!」

日本を守るため、ついに集結を果たした男塾OBたち。
しかし、こうしている間にもグランショッカーの
機甲将軍ガルマ・ザビ率いるMS&獣型戦闘獣軍団による
侵攻の魔手が刻一刻と東京に迫っていたのである……!!


○男塾OBたち→影の地球連邦政府勢力と戦うために集結する。

【今回の新規登場】
○日本の(世界の?)ホテル王・松尾鯛雄(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○ゼネコン業界の1社長・田沢慎一郎(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○民族派系政治結社会長・赤石剛次(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○虎丸ファイナンス会長・虎丸龍次(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○藤堂財閥総帥・藤堂豪毅(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○全日本青年医師会理事長・三面拳飛燕(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
○関東極天漠連合会長・初代伊達組組長・伊達臣人(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)

122 名前:獣神官ゼロス:04/07/23 19:57

〜サイド1・ロンデニオン宙域〜
真っ二つになったGP-03S。その中からコアファイターが出てくる。パイロット、コウ・ウラキは無事だった!!コウの乗ったコアファイターはそのまま漂流しているパイロットの元へ行く。

コウ「クリス!・・・気絶してるのか?ちいっ・・・」

コウは気絶していると思われるクリスをコックピット内へ入れ、母艦ラーカイラムへと戻った。その入れ替わりに・・・

アムロ「アレックスにステイメン!・・・やったのはあいつか!!」

アムロのHI―νはタイタニア目掛けビーム攻撃を行うが・・・

ジュドー「この程度なら避けられる!・・・この感触アムロ・レイか!お前を倒せば全てが終わる!おちろぉ!!」
アムロ「何?ジュドーだと!?ジュドー・アーシタか!!シロッコめぇっ!!」
ジュドー「アムロ・レイ・・・アムロ・レイアムロ・レイアムロ・レイアムロ・レイアムロ・レイィィィ!!!お前さえいなければぁぁ!!」

タイタニアのファンネルが全方位射撃を行う!!

アムロ「ジュドー!目を覚ませ!!そんな憎しみをぶつけても自分が苦しむだけだぞ!!」
ジュドー「うるさぁい!!お前を倒せば全てが終わる!お前とあと、カミーユとシャアとハマーンを・・・!!!・・・・プル!?・・・なんだこの感覚わぁ!!」
アムロ(・・・なんだこの感じは?優しい感じがする・・・)
ジュドー「ぐわぁぁぁぁっ!!」

突然苦しみだすジュドー。ファンネルがジュドーの脳波コントロールから離れ次々と岩にぶつかっていく!

ジュドー「ハァハァハァ・・・っ・・・プル・・・お前は・・・くっそぉぉぉ!!!」

ジュドーはタイタニアを反転させ、彼方へと消えていった。

アムロ「ジュドー・・・お前は・・・」
〜ラーカイラム・艦橋〜

ブライト「大部隊にしてはこちらの被害は目立ってなかったな。」
アムロ「あぁ。クリスとコウは?」
ブライト「二人ともロンデニオンの病院で寝ているよ。・・・クリスは未だ意識が戻らないが、命に別状は無いそうだ。」
アムロ「そうか・・・」
アムロ(それにしてもあの声は一体・・・?)

〜木星・イオ基地〜

シロッコ「それでジュドーは!?」
サラ「未だ発見できません。1時間前に捜索隊が撃破されてからずっと音信不通です。」
シロッコ「ジュドーか・・・厄介だな。こうなっては犠牲にした艦隊が無駄になってしまう!捜索範囲を広げて探せ!必ず連れ戻すのだ!」
サラ「了解!」


○●戦闘終了。ロンド・ベルの被害は極めて少なく、コウ、クリスともに生存
●ジュドー、脱走。

123 名前:恐怖!ミケーネマジンガー&ゲッター襲来!!:04/07/25 02:33

***東京湾上・戦艦ネオムサイ艦橋***

副官「札幌、仙台、名古屋、大阪、博多、那覇への攻撃準備完了しました」
ガルマ「よし……東京では私も出る。……時空魔法陣発動、総員攻撃準備!!」

***南原コネクション・司令室***

葵豹馬「グラドスとペンタゴナが……!?」
浪花十三「ああ、惑星Ziから来た連中の中にそういう情報を持っとる
やつがおったみたいやな、どっちの星系も完全にグランショッカーの
支配下に入って、難民がぎょーさん出とるらしい」
豹馬「ちくしょう、グランショッカーめ……エイジやダバは一体何やってんだ!?」
四谷博士「ウム……どちらとも、ティターンズが連邦を牛耳った時点で連絡が
つかなくなってしもうたからな……無事でいてくれたらいいが……」
???「もう一つ、悪いニュースだ」
豹馬「万丈!? それに……」
十三「旋風寺財閥のボンボンも一緒かいな」

入室する破嵐万丈と旋風寺舞人。

舞人「おひさしぶりです、コン・バトラーチームのさん」
万丈「電話やら何やらだと盗まれると思ってね、直接お邪魔したよ」

南原ちずる「コウさんとクリスさん、ルーが!?」
西川大作「ジュドーどんも……」
豹馬「シロッコの野郎、許せねえ……」
北小介「セイラさんとシーブックさん、セシリーさんは追われる身、
神ファミリー、剛三兄弟、フリード兄妹の皆さん、それに
クラッシャー隊のタケルさんにダルタニアスチームの剣人さんは
は異星人であることを理由に監視状態……
ネルフは完全にティターンズの中に組み込まれてしまって
葛城三佐やシンジさんたちとの連絡は全く取れません。ショウさんと一矢さんは
それぞれバイストン・ウェルと小バームに行ったまま……獣戦機隊の皆さんも
アフリカで消息を断ってしまっています」

万丈「一条輝やグッドサンダーチーム、ダンガイオーチームにエルシャンクも
今ごろどこにいるのやら……か。
αナンバーズも今やバラバラってとこだね。だが、それでも僕たちは……」

突如、鳴り響く警報!!

ロペット「……防衛ライン突破、日本各地ニジオンタイプMS及ビ
戦闘獣部隊ガ襲来シマシタ!!」

豹馬「来やがったな!! 四谷のおっちゃん、出撃するぜ!!」
四谷「民間の戦闘用ロボットは全て、三輪長官の許可がなければ
出撃出来ないように連邦からのお達しが出ておる……」
十三「あんなトサカ頭が怖ーてコン・バトラーのパイロットが
つとまるかいな!」
ちずる「博士、出撃させて!」
四谷「……もとよりそのつもりだ、責任は全てワシがとる!」
万丈「よし、手分けして各地に飛ぼう……僕は名古屋を」
舞人「僕は北海道に行きます!」
豹馬「俺たちは大阪だ! 行くぜ!」
四谷「問題は東北と九州、そして東京じゃな……」
ロペット「タッタ今、通信ガ入リマシタ、ドラグナーチームト
コープランダー隊、超力戦隊ガソレゾレ現地ニ向カッテイルソウデス」
大作「洸どん、九州を頼みますたい……」

***南原コネクション・正門前***

ゲートが開き、出撃する5台のバトルマシン。
それを見送りつつ、マッハパトロールとマイトウイングに飛び乗る
万丈と舞人。マイトウイングの側には新幹線形態のガインも控えている。

万丈「チェンジアタッカー!! 健闘を祈る、舞人くん!」
舞人「万丈さんもお気をつけて! ……アニマル特急、
レスキュー特急、ドリル特急、弾丸特急……全員まとめて
発車だ!!」
ホーンボンバーの声@通信機「了解したぜ! 地球に来られない
エクスカイザーやファイバード、ゴルドランたちの分まで暴れてやるぜ!」
ファイヤーダイバーの声@通信機「怪我人や避難者の保護は我々にお任せを!」
マイトガンナーの声「ドリル特急は俺が持っていく、現地で会おうぜ!」

万丈「ダイターン・カム・ヒアァァァァ!!」
舞人「ロコモライザァァァァ!! レーッツ・マイトガイィィン!!」
豹馬「俺たちも行くぜ、レーッツ!!」
+他の4人「コォォーンバァイィーン!!」

それぞれ目的地に向かって飛んでいくダイファイター、マイトガイン、
そしてコン・バトラーV!

***ネオムサイ・MS発進口***

ガルマ「うまく日本各地のエサに食いついてくれたようだな、
αナンバーズ……守りが手薄な東京……攻めるのは今だ!!
MS部隊、戦闘獣部隊、出撃せよ!! 目標、国会及び連邦軍司令部、
警視庁!!」

ネオムサイの口が開き、次々と飛び出すMSや戦闘獣の群れ……!!

ガルマ「戦闘獣レオガロス、私に付いて来い!」
獣型戦闘獣・レオガロス(ライオン型)「承知……」
ガルマ「そして切り札よ……お前達も思う存分暴れろ!」
AI@謎の影「……」「……」「……」
ガルマ「ガルマ・ザビ、RFゲルググ改……出るぞ!!」

124 名前:恐怖!ミケーネマジンガー&ゲッター襲来!!:04/07/25 04:56

***富士山麓・光子力研究所***

自室でベッドに寝そべり、何事かを思いつめている兜甲児。

弓さやか「甲児くん、大変よ! すぐ司令室に来て!!」
甲児「分かった、すぐ行く」

***同・司令室***

弓弦之助教授「おお甲児くん、大変なことになった……!!」
甲児「……東京にジオンのMSとミケーネの戦闘獣軍団だと!?」
弓教授「おそらくはグランショッカーの軍勢だろう。剣総理暗殺を
チャンスとして攻撃して来たのだろう」
甲児「暗黒大将軍か地獄大元帥か知らねえが、ナメたマネを……!」
さやか「でもどうするの? マジンカイザーは三輪長官に持っていかれて
しまったし……」
兜シロー「ダブルスペイザーもグレンダイザーと一緒に防衛軍の倉庫の中だよね」
ボス「よーし、ここは俺たちに任せろ、三輪長官もボスボロットにまでは
気が回らなかったみたいだからな」
ムチャ「それって最初から相手にされてなかったんじゃありませんか?」
ヌケ「素通りされちゃったのねコレが」
ボス「うるっせえ、さっさと出動だぁ!」
さやか「待って、ダイアナンも行くわ。ジャパニウム採掘に必要だから
接収はされなかったの」

甲児「……グレート、あの影はグレートマジンガーじゃないか!?」
弓「何っ!?」

司令室の大型モニターに映し出される、燃える東京の街。
銃撃するMS、暴れる戦闘獣の中に剣を振り回す巨大な影が……!

甲児「グレートだけじゃない、ゲッター1とドラゴンまで!!」
さやか「そ……そんなことって!?」

マジンガーブレードが、ゲッタービームが霞ヶ関のビルを次々倒壊させていく。

所員A「東京タワー、戦闘獣の体当たりで倒壊しました!」
所員B「都庁、MS降下部隊により制圧された模様! 都知事の安否は不明です!」

甲児「……弓先生、俺は行く! ロボット博物館からオーバーホールの
名目で、Zを研究所の地下に移してるんでしょ!?」
弓「!! ……気づいていたのか、甲児くん。だがZでグレートやゲッターを
止められる保証はないぞ」
甲児「……それでも、お父さんの創ったグレートが……早乙女博士の
ゲッターがミケーネの手先になっているのを黙って見ちゃいられませんよ!」
弓「……分かった。みんな、出動してくれ。光子力研究所は現在より閉鎖、
全所員はこれより新拠点『α』に移動する!」
ボス「新拠点!?」
弓「Zや他の民間機関の戦力が動いたと知ったら、三輪長官の追及が
必ずあるだろう……早乙女博士や四谷博士、東山所長とも相談して
海底に基地を建造しておいたんだよ。このことは剣総理もご存知だった……」
甲児「そうと決まったら話は早いや、行くぜ!」
みさと「みんな、頑張ってね…!」

***光子力研究所・前庭***

(BGM:Zのテーマ)
飛来するジェットパイルダー。

甲児「マジーン・ゴー!!」

いつものプールではなく、地下シェルターの一角が開いてマジンガーZが
姿を現わす。

甲児「パイルダー・オーン!!」

マジンガーとパイルダーが一つになり、鉄の巨人に生命が宿る!

甲児「ジェットスクランダー!! スクランダー・クロース!!」
(BGM:空飛ぶマジンガーZ)

一路、東京を目指すマジンガーZ!!

***東京郊外・某所***

軟禁状態にあった館から、加持リョウジの手引きで
脱出するデュークとマリアのフリード兄妹。

加持「宇門博士と牧場さんご一家も安全な場所で保護されて
います……さあ、急ぎましょう」
デューク「申し訳ない、加持さん……しかし、どうして元ネルフの
あなたが?」
加持「……剣総理とは『知り合い』でね。何かあったらと頼まれて
いたんですよ」
デューク「……分かりました、詳しいことは聞かずにおきます」
加持「ここまで来れば大丈夫でしょう。黄泉還ったのはいいものの、
私もティターンズやブルーコスモスに命を狙われている身でしてね
……ご無事を、お祈りします」
マリア「加持さん、シンジやアスカに会えたら伝えておくことはない?」
加持「……何があっても、世界を信じろ。それだけお伝えください。それじゃ」

デューク「マリア、準備はいいか?」
マリア「もちろんよ、お兄様。フリード星の技術をなめてんじゃないわよ〜!」

手にした小型マイクに叫ぶデュークとマリア

デューク「ゲットアップ、グレンダイザー!!」
マリア「スペイザー発進!!」

***地球連邦軍厚木基地・格納庫***

見張り兵A「た、た、大変だ〜〜〜〜っ!!」
見張り兵B「グレンダイザーとスペイザーが勝手に動き出した〜〜〜っ!?」

壁を突き破り、離陸するスペイザー形態のグレンダイザー、それに続く
ダブル・マリン・ドリルの3スペイザー……!

***東京郊外・某所***

(BGM:宇宙の王者グレンダイザー)
飛来するグレンダイザーと3つのスペイザー。

マリン「マリンとドリルは海中と地下に隠れるようセットしたわ。
甲児、悪いけどダブルスペイザーを借りるわよ」

コクピットに乗り込み、パイロットスーツに変わる2人。

デューク「グレートとゲッターは必ず止めてみせる!
グレンダイザー・ゴーッ!!」
マリア「ダブルスペイザー・ゴーッ!!」

***東京都心***

ジオンとコスモ・バビロニアの技術が融合したRFゲルググ改を駆るガルマ。

ガルマ@RFゲルググ改「地球連邦・日本政府に告ぐ! 即刻降伏勧告を受け入れ、
全ての連邦軍は日本列島から撤退せよ! 要求を拒否した場合、
皇居を中心とした一帯をシャインスパークで破壊する!」

東京上空に静止したゲッタードラゴン、静かにエネルギーをチャージ
し始める……!

一方、グレートとゲッター1相手に苦戦するオーレンジャーロボ。

オーグリーン@オーレンジャーロボ「超力タウラスサンダー!!」
???@グレートマジンガー「……サンダーブレーク……」
オーブルー「これならどうだ、超力レオンビーム!」
???@ゲッター1「ゲッター……ビーム……」

技を次々と相殺され、スーパークラウンソードもマジンガーブレードの
剣技の前に手も足も出ない……!!

オーレッド「コクピットからは確かに鉄也くんやリョウくんの
声が聞こえた……それにこの強さ……洗脳されているのか!?」
オーイエロー「他のロボが、三輪長官に取られていなければ……!」
オーピンク「隊長、来ます……きゃあっ!?」

チェンジしたゲッター2のドリルが、深々とオーレンジャーロボの
腹に突き刺さる!

???「ブレスト……バーン」

オーレンジャー「うわああ!?」「あ……熱いっ!!」

グレートの熱線が、膝を折ったオーレンジャーロボを襲う!!

オーレッド「く、くそ……こんな所で……!!」

???「ブレストファイヤー!!」「反重力ストーム!!」

溶解寸前でオーレンジャーロボを救ったのは、黒鉄の城と宇宙の王者!!

甲児@マジンガーZ「待たせたな、オーレンジャーのみんな!」
デューク@スペイザー「後は我々に任せて、市民を守ってくれ!」
マリア@ダブルスペイザー「冷却弾を投下するわ、これで動けるはずよ!」
オーレッド「……す、すまない……」
甲児「鉄也さん、リョウくん、いるなら目を覚ましてくれ!!」
マリア「ケイ、しっかりしなさいよ!!」
デューク「ハヤトくん、ムサシくん、ベンケイくん、俺たちが分からないのか!?」

ガルマ「(Zとダイザーの機影を確認)フフフ、グレートやゲッターに
乗っているのがコピーダミーだとも知らず、手加減してやられるがいい……
アムロやシャアを地獄で迎える準備のためにな……」

●ガルマの軍勢、日本各地を奇襲攻撃。ヒーローたちの戦力を分散する
作戦に出る。ガルマ自身も戦闘獣を従えて出撃。
●グランショッカー、エルガイムとレイズナーが守るペンタゴナ・ワールドと
惑星グラドスをも制圧した模様。
○スーパーロボットのパイロットたち、グランショッカーを撃退するため
日本各地に散る。ティターンズの目をごまかすための基地『α』も
日本近海の海底に建造されている……!
○ピンチのオーレンジャーロボを救うマジンガーZとグレンダイザー……!
●グレートとゲッター、ゲッターGに搭乗しているのは
実はオリジナルの能力を忠実にコピーしたダミー人間。
○Zとダイザーは、果たしてグレートとダブルゲッターを取り戻すことが
出来るのか!? そしてシャインスパークに狙われた東京の運命は!?

【今回の新規登場】
●ミケーネ帝国戦艦・ネオムサイ(機動戦士ガンダム/半オリジナル)
●OMS−14SSRF・RFゲルググ改(ガルマ専用機)
(機動戦士ガンダムF90/半オリジナル)
●獣型戦闘獣・レオガロス(グレートマジンガー/オリジナル敵)

○葵豹馬&バトルジェット(超電磁ロボ コン・バトラーV)
○浪花十三&バトルクラッシャー(同上)
○西川大作&バトルタンク(同上)
○南原ちずる&バトルマリン(同上)
○北小介&バトルクラフト(同上)
○南原コネクション所長・四谷博士(同上)
○サポートロボ・ロペット(同上)

○破嵐財閥総帥・破嵐万丈&ダイファイター&マッハパトロール/マッハアタッカー
(無敵鋼人ダイターン3)

○旋風寺コンツェルン総帥・旋風寺舞人&マイトウイング(勇者特急マイトガイン)
○勇者特急リーダー・ガイン=マイトガイン(同上)
○アニマル特急メンバー・ホーンボンバー=バトルボンバー(同上)
○レスキュー特急リーダー・ファイヤーダイバー=ガードダイバー(同上)
○弾丸特急マイトガンナー=パーフェクトキャノン(同上)

○元ネルフ特殊監察部職員&元日本国内務省エージェント・加持リョウジ
(新世紀エヴァンゲリオン)

○兜甲児&マジンガーZ(マジンガーZ/マジンガーシリーズ)
○弓さやか&ダイアナンA(同上)
○棒田進=ボス&ボスボロット(同上)
○兜シロー(同上)
○ムチャ(同上)
○ヌケ(同上)
○光子力研究所所長・弓弦之助教授(同上)
○同研究所料理番兼諜報担当・みさと(同上)

○宇門大介=デューク・フリード&グレンダイザー(UFOロボ・グレンダイザー)
○グレース・マリア・フリード&ダブル・ドリル・マリンスペイザー(同上・
プリンセスユニオンメンバー)

○三田祐司中尉=オーブルー(超力戦隊オーレンジャー)
○二条樹里中尉=オーイエロー(同上)
○丸尾桃中尉=オーピンク(同上)
○オーレンジャーロボ(同上)

125 名前:恐怖!ミケーネマジンガー&ゲッター襲来!!:04/07/29 00:57

***東京都心***

東京上空でゲッターシャインの体勢に入ったゲッタードラゴン。
そのことを知った都民はパニックを起こし、逃げ惑い……そして
傷つき死んでいく……。

ガルマ「フハハハ……さあ、日本政府よ、今すぐ降伏して楽になれ!」

マリア「早くドラゴンを止めなくちゃ!」

だが、グレートとゲッター1が立ちはだかり、ドラゴンに近づけさせない……。

デューク「このままでは不利だ、シュート・イン! ブレイクアップ・
ダイザー・ゴー!!」
デューク&マリア「コンビネーション・クロース!!」

ダブルスペイザーとドッキングし、機動力をアップさせるダイザー。

デューク「甲児くん、確かグレートの弱点は背中のはず……!」
甲児「だめだ大介さん、その弱点は改良で克服されている!」

ニセ鉄也@グレート「グレートタイフーン……」
ニセムサシ@ゲッター3「大雪山おろし……」

甲児・デューク・マリア「うわああ!!」「ぐううう!!」「きゃあああ!」

空中高く舞い上げられ、地面に叩きつけられるZとダイザー。

甲児「……ち、ちきしょう、殺す気で戦わないと……勝てねえ……」
デューク「く……っ!!」

???@通信「甲児、大介くん……立ち上がるのだ!」
甲児「……そ、その声は!? お父さん……!?」
マリア「お父さん……って、亡くなった兜剣造博士!?」
???@通信「こちらは新要塞『α』……そのグレートに乗っているのは
鉄也くんではない……戦闘パターンこそ似ているが、彼を育てた私の目は
ごまかされん」
デューク「本当ですか……!?」
???@通信「私を信じるんだ。奴らはダミーだ!」

立ち上がり、グレートとゲッターを睨みつけるマジンガーZと
グレンダイザー。

甲児「……分かりました、お父さん。Zの力の全てを使ってでも
奴らを止めてみせます!」
デューク「もし本物の君たちなら……許してくれ!!」

ガルマ「……ふん、まあいい。どのみち東京は私の号令で終わるのだからな。
せいぜい戦いを楽しんでいるといい……」

その時、ガルマに通信が入った。

ジオン兵A@通信「た、大変です……強化洗脳するためにD−4ブロックに
連行中の捕虜6名、脱走しました!!」
ガルマ「な、何っ!? すぐ捕えろ、無理なら射殺しても構わん!」
ジオン兵A@通信「う、うわあ、来た……ぎゃあああ!!」

通信、途絶える。

ガルマ「……!! 日本政府の返事はまだか!?」
副官B@ネオムサイ「ま、まだです。どうも三輪めの強硬論が激しいらしく……」
ガルマ「かまわん、ゲッタードラゴンよ、シャインスパークで東京を
消滅させてしまえ!!」
ニセリョウ@ゲッタードラゴン「……了解……シャイン……スパ……」

その時、ゲッタードラゴンの身体が激しく揺れた!!
グレートを抱えたZが体当たりをかけたのだ!!
もつれあって地面に墜落する3体。

ニセムサシ「オープンゲット……」
デューク「……今だ!」

ゲッター3がオープンゲットする瞬間を見計らい、
セパレーションしたグレンダイザーがジャガー号を
ダイビングキャッチした! イーグル号とベアー号も
2機のスペイザーが追いつき、エンジン部に攻撃をしかける!
被弾し、墜落して瓦礫の山に突っ込むイーグルとベアー。

甲児「いくぜ、最後の手段だ……光子力エネルギー・全開ッ!!」

黄金色に輝くマジンガーZ。その光はグレートとドラゴンをも包み込み、
ほとばしるエネルギーが火花を散らす!

甲児「パイルダー・オフ!」

パイルダーで脱出する甲児……それを見た鉄也もブレーンコンドルを
グレートから離脱させる……!!

甲児「パイルダーミサイル!!」
鉄也「…………!!」

ブレーンコンドルのコクピットを直撃するパイルダーミサイル!!

ニセリョウ@ゲッタードラゴン「オープン……ゲ……」
ニセハヤト&ニセベンケイ「グガガ……ガ……」

一足遅く、Zのエネルギーに焼かれて消滅するニセゲッターチーム……。

126 名前:恐怖!ミケーネマジンガー&ゲッター襲来!!:04/07/29 01:59

……やがて、エンジンが負荷に耐えられなくなったのか、エネルギー
放出を止めるマジンガーZ。全身の各所から煙を吹いている。
主を失ったグレートとドラゴンも、今は大地にその身を横たえるのみ……。

甲児「よくがんばったな……マジンガーZ。パイルダー・オン!」

残ったエネルギーで、よろよろと立ち上がるZに歩み寄るグレンダイザー。

デューク「……こっちも片付いたよ。墜落したゲットマシンのコクピットに
いたケイちゃんとムサシくんの死体は……しばらくすると溶けてしまった。
やはりダミー人間だったようだ」
マリア(目に涙をためている。ダミーとはいえ、友人の姿をしたものを殺すのは
忍びなかったようだ)

ガルマの声「立派だと褒めてやろう……だが、ここまでだ!」
甲児&デューク「!?」

Zとダイザーの周囲を包囲し、飛び掛らんと身構える戦闘獣軍団と
ビームライフルの銃口を向けるMS部隊。

甲児「てめえ……その声は、ジオンのガルマ・ザビか!?」
ガルマ「その通りだ、兜甲児。偉大なるミケーネ闇の帝王、そして
暗黒大将軍の命により東京は我々が制圧する!」
デューク「そんなことは、我々がさせるものか!」
ガルマ「フフフ、その満身創痍の状態でか? よかろう、ならば死ぬがいい。
撃てーっ!!」
甲児「く、くそ……」
デューク「さっきやられた箇所が……動けない!」

???「必殺必中ライジングアロー・乱れ撃ち!!」
???「ローゼス・ハリケーン!!」

Zとダイザーを撃つ前に次々と破壊されていくMSと戦闘獣……!

デューク「き、君たちも……来てくれたのか!」
ガルマ「な、何者だ!」

RFゲルググ改の前に立ちはだかる、5体……いや、7体のモビルファイター!

<font size=3>「シャッフル同盟・見参!!」</font>

ジョルジュ・ド・サンド@ガンダムローズ「遅くなってすみません」
アレンビー・ビアズリー@ノーベルガンダム「さあ、今度はあたしたちが相手だよ!」
レイン・ミカムラ「みんな、怪我はない?」
マリア「アレンビー、レインさんまで……!」
サイ・サイシー@ドラゴンガンダム「本物の鉄也さんたちからさっき連絡があったぜ。
潜水艇を奪って無事に脱出成功、追跡できないように基地もほどよく
ぶっ壊して来たってさ」
ガルマ「……!!」
アルゴ・ガルスキー@ボルトガンダム「……さて、落とし前をつけてもらおうか」
チボデー@ガンダムマックスター「お前さんをKOするよう、Mr.Jに
言い付かってきたもんでね。悪く思うなよ」
甲児「待ってくれ、こいつだけは俺の手で……」

ガンダムたちを押しのけるように前に出るマジンガーZ。

レイン「無茶よ甲児くん、そのマジンガーじゃ……」
ドモン・カッシュ@ゴッドガンダム「よし、思いっきりやれ、甲児!」
レイン「ド、ドモン!?」
ドモン「ただし……俺にも手伝わせろ!!」
甲児「へへ、……いいぜ。やいやいグランショッカー、反撃はこれからだ!」

ガルマ「……おのれ……レオガロス、合体だ!!」
レオガロス「……承知……!」

戦闘獣レオガロスが変形し、RFゲルググを包み込むように巨大化する。
ガルマ「機動戦闘獣・レオゲルググ!! 私自身で貴様らに引導を渡してやる!」

●ニセパイロットたち、Zとダイザーにより倒される。
●東京占領に失敗したガルマ、戦闘獣と自機を合体させる!
○甲児とフリード兄妹の活躍により、グレートとダブルゲッター奪還に成功。
ただし、ブレーンコンドルと初代ゲッターは大破、Zとダイザーも深手を負う。
○甲児たちの危機にシャッフル同盟+2が駆けつける!
○本物の鉄也とゲッターチーム、無事にグランショッカー基地を脱出した模様。

【今回の新規参戦】
○ドモン"キング・オブ・ハート"カッシュ&GF13-017NJUゴッドガンダム
(機動武闘伝Gガンダム)
○ジョルジュ"ジャック・イン・ダイヤ"・ド・サンド&GF13-009NF
ガンダムローズ(同上)
○アルゴ"ブラック・ジョーカー"ガルスキー&GF13-013NRボルトガンダム(同上)
○サイ"クラブ・エース"サイシー&GF13-011NCドラゴンガンダム(同上)
○レイン・ミカムラ&JMF1336Rライジングガンダム(同上)
○アレンビー・ビアズリー&GF13-050NSWノーベルガンダム(2号機/同上)

○科学要塞研究所所長・兜剣造博士(グレートマジンガー)

127 名前:気迫に勝る武器はなし!!:04/08/02 17:42

レオゲルググに苦戦する甲児たちとシャッフル同盟。

ドモン「くそっ! なぜだ!?」
アルゴ「こちらの攻撃が全く当たらん!」
ガルマ「フハハハハ…すばしっこい奴らよ!
 だがいつまでも逃げ切れると思うな。何せこのレオゲルググには
 全方位CCDモノアイで、お前たちの動きは手に取るように
 解るのだからな!」
甲児「なんだとぉー!?」
ガルマ「ハハハハハ……ん??」
デューク「あの人は…!?」

???「何をその程度の相手に苦戦してやがる坊主ども!!」

ガルマ「なんだお前は?」

男塾OBであり、現在は関東極天漠連合会長にして初代伊達組組長・
伊達臣人が、ごく少人数の子分たちを引き連れ、
槍一本を片手に現場の戦場まで様子を見に来ていたのだった。

ジョルジュ「どなたかは知りませんが、ここは危険です!
 早く避難してください!」
伊達「男塾の辞書に逃げるって言葉はねえ。
 グランショッカーの外道よ、俺が相手をしてやるっ!」
ガルマ「フフフフフ…信じられんな。その槍一本で、
 この機動戦闘獣・レオゲルググと戦おうというのか?」
伊達「…………」
ガルマ「どうも私にはお前たち日本人が解らん。これだけ欧米並みに
 合理化された社会の中で、どこかそうした前近代的な精神主義を
 捨てきれずにいる」
伊達「言いてえことはそれだけか?」
ガルマ「よかろう。望みどおり相手になってやる」

レオゲルググに単身向かっていく伊達臣人。

伊達「いいか、何があっても絶対手を出すんじゃねえぞ」
レイン「そんな、危険すぎます!
 生身で戦闘獣に立ち向かうだなんて!」
ドモン「待てレイン。ここはあの人の言うとおり、黙って見ていよう」
レイン「ドモン!?」

128 名前:気迫に勝る武器はなし!!:04/08/02 17:44

突進してくるレオゲルググを素早い身のこなしで
機体上部へと飛び乗る伊達。

ガルマ「それがどうした。こうしてくれるーっ!」

機体に取り付いた伊達を振り落とそうと、
レオゲルググの110m速射砲が伊達を狙う。

伊達「ぐっ!!」
ガルマ「そうか読めたぞ、お前の腹の内が…。
 お前はこのレオゲルググの眼である全方位CCDモノアイを
 破壊しようとしているのだな? だがそれは絶対に不可能だ。
 何故ならモノアイのレンズはわずか1cm。それもどんな爆撃にも
 耐えられるように設計されている。そんな槍一本でどうにかなる
 ものではない!」
伊達「教えてやろう。なぜ日本人が古臭い精神主義を捨てきれずにいるか。
 ……ぬうううっ!!!」

伊達の渾身の一撃が、ついにモノアイのレンズにひびを入れた!

ガルマ「モニターが消えた!? そんな馬鹿なっ!!」
伊達「気迫だ! この世に気迫に勝る武器はねえ…!!」
伊達組の子分「親分、お怪我は!?」
伊達「安心しろ。この程度…怪我の内には入らん」

アレンビー「す、すごい……! 槍だけで機動戦闘獣に勝っちゃうなんて……」
デューク「攻撃が当たるようになればこちらのものだ! ゆくぞっ!!」


○男塾OB・伊達臣人の援護攻撃により、レオゲルググのCCDモノアイが破損。
 甲児たちとシャッフル同盟がこのまま一気にガルマを追い詰める!?

129 名前:炸裂!ZとGの合体技!!:04/08/02 23:45

ガルマ「おのれっ!!」

ツインビームナギナタを振り回し、胸の獅子面から炎を吹いて
暴れるレオゲルググ。

甲児「いくぜドモン!」
ドモン「応ッ!! 甲児!!」

ゴッドガンダムが翼を展開し、ハイパーモードに変わる!
Zもスクランダーのエンジン全開、飛翔するゴッドと魔神!!

ドモン「俺のこの手が真っ赤に燃えるッッ!」

甲児「勝利を掴めと轟き叫ぶゥゥ!!」

ガルマ「な、何だとッ!? こ、このプレッシャーは……うわあああ!!」

甲児&ドモン「爆熱大車輪ッ!! ゴッドファイヤァァァ!!」
レオガロス「ガ、ガルマ様……お逃げを、グギャアアアア!!」

Zが放つ渾身の大車輪ロケットパンチが、レオゲルググ胸部のレオガロスフェイスを
直撃粉砕──そのまま胸板をぶち破って貫通! 間髪入れずゴッドガンダムの
掌がスパークしながらレオゲルググの顔面を鷲掴みにし、ブレストファイヤーが
反対方向から浴びせられる!!!

ガルマ「くく……脱出……!!」

転送装置でコクピットから消えるガルマ。

レオゲルググの頭部を引きちぎり、離脱するゴッドガンダム、
Zの両腕にもロケットパンチが戻って来る。

ドモン・甲児「ヒィィィィト・エンドォ!!」

レオゲルググ・大爆発!!

130 名前:炸裂!ZとGの合体技!!:04/08/03 00:20

黒煙に覆われた空に響くガルマの声。

ガルマ「……これで勝ったと思うな、マジンガー軍団、シャッフル同盟……
いや、αナンバーズよ!! 全てのナチュラルを滅ぼすまで、我々の攻撃が
止むことはない……他の奴らにも伝えておくがいい!!」

甲児「ケッ、おととい来やがれってんだ!」
デューク「各地のみんなから通信だ。全ての敵部隊は
片付いた……」
アルゴ「(伊達を見て)……どこかで見たことがある顔だと思ったら、
あんたが今のジャパニーズ・マフィアの大立者、オミト・ダテか」
伊達「そういうお前は元宇宙海賊のアルゴ・ガルスキー……フフフ、
お互い暗黒街で噂だけは聞いていたようだな」
マリア「ジャパニーズ・マフィアって……ヤクザ屋さん!?」
伊達「安心しな……ダッカーやクライムなんていうクズ共とは違うからな」
甲児「ま、何はともあれ助かったぜ、キズのおっさん……うわっ!?」

急によろめき、倒れかかるマジンガーZ。慌ててグレンダイザーが支える。

甲児「ヘヘ……どうもさっきのでエネルギーを使い果たしちまったらしい」
マリア「何よもう、だらしないんだから……!!」
甲児「何を!!」 マリア「何よ!!」
デューク「おいおい、ケンカはよせ。……Zはグレンダイザーで運んでいくよ」
甲児「悪りい、大介さん。さあ、三輪のおっさんが来る前にずらかるとしようぜ」

○●ドモンと甲児の合体攻撃、レオゲルググを倒す。ガルマは脱出・逃亡したが
レオガロスは死亡。

(シナリオ終了・次シナリオに続く)

131 名前:名無し客:04/08/04 19:44

***南雅彦邸***

ガルマが撤退し、日本もしばらく平穏な日々が続いていたが、
地球連邦政府を牛耳る影の勢力に組する南雅彦のところに、
ある意外な人物が訪れていた。

南「まさかお前の方から顔を出してくるとはな。
 一体何の用だ? 南家の面汚しが!」
沢木(津上)「…………」

南雅彦と瓜二つの顔を持ち、今は沢木哲也と名乗っているこの男こそ、
かってアンノウンを操る闇の青年の使徒でありながら、
アギトに味方した真の津上翔一その人である。

沢木(津上)「兄さん…」
南「貴様に兄と呼ばれる覚えはない。
 双子であったお前が津上家へと養子に行った時点で、
 既に兄弟の縁は切れたはずだ」
沢木(津上)「兄さん、時間が惜しいので単刀直入にお話しましょう。
 どうかこれ以上愚かな真似はやめて頂きたい」
南「愚かな真似だと?」
沢木(津上)「兄さんが白河代議士や三輪長官ら闇の政治権力と手を結んで、
 非ナチュラルと呼ばれる者たち――超生命体を地球上から排除しようと
 企んでいることぐらいお見通しです」
南「フハハハハ…それのどこが悪い。全ては人類を危険な脅威から守るためだ」
沢木(津上)「いや違う。人はいずれ超生命体を受け入れるだろう。
 アギト、オルフェノク、コーディネイター、ロボット生命体、異星人……
 彼らは人間の可能性そのものだ。彼らを否定するようなら、
 人間にも未来はない……」
南「黙れ。そんなつまらん御託に興味はない」
沢木(津上)「先日の剣総理の飛行機事故……あれももしや兄さんが?」
南「何だと!……翔一、貴様どこまで知っている?」
沢木(津上)「いえ、少し気になっただけです。どうやらこれ以上話しても無駄なようだ。
 今日のところはこれで失礼しますよ、兄さん」
南「翔一! いずれ超生命体は全てナチュラルによって滅ぼされる時が来る。
 いや…滅ぼさねばならん! 貴様の言う通り人が超生命体を受け入れるか否か、
 しっかりと見届けてやる」
沢木(津上)「ええ。きっと私が…勝つさ」

そして沢木は去り際、最後に一言だけ言い残した。

沢木(津上)「それと兄さん……俺はもう昔の名前は捨てましたよ」

132 名前:名無し客:04/08/04 19:46

沢木が立ち去った後、隣の部屋から待機していた草加雅人が出てくる。

草加「驚いたなァ。まさかアンタに双子の弟がいたとは…」
南「………」

南は不機嫌なのか、憮然とした表情をしている。

草加「だが顔こそ瓜二つなのに、考え方はまるで赤の他人だ。
 あの男……今のうちに始末した方がいいんじゃないのか?」
南「あんな奴のことは放っておけ。どの道何も出来やしまい。昔からそういう男だ。
 それよりも今日は大事な事が控えている。白河先生が政権奪取に向けて
 いよいよ本格的に動き出されるのだ。地球連邦の首都ダカールの方でも
 ジャミトフ・ハイマン大将が大統領に就任する準備が、極秘裏に水面下で
 着々と進んでいる。君にもこれまで以上に警戒にあたってもらいたい。
 全ては我々人類の未来と勝利のために……」


***EP党本部***

実は相手がゴルゴムの人間メンバーであるということを
知ってか知らずか……坂田順三郎代議士が党首を務める
EP党の本部を極秘訪問する民自党の大物白河尚純。

坂田「それでは我がEP党が本国会へと提出する内閣不信任案に
 民自党白河派が賛成する代わりに、首班指名選挙で白河さんを推せと?」
白河「その通りです。今は西園寺老が副総理格で首相臨時代理を
 務めていますが、あなた方もあの剣桃太郎には相等の煮え湯を飲まされて
 きたはずだ。私が総理総裁となった暁にはEP党とも連立政権を
 組みましょう。決して悪い話ではないはずだ」
坂田「確かに悪い話ではない……が、果たして完全に民自党の党内を
 掌握できますか? 剣桃太郎が死んだとはいえ、まだ各界指導層には
 他の男塾OBたちが残っている」
白河「フフフフフ…その心配ならご無用。今日の夕方頃にTVのニュースを
 御覧なさい。きっと男塾の連中へのレクイエムが連続して流れますよ」

133 名前:名無し客:04/08/04 19:48

***虎丸ファイナンス本社ビル・会長室***

虎丸「(電話で)……わかった。金のことなら任しておいてくれ。
 戦争となりゃまず先立つモノは金だからな。このご時勢、銀行屋どもは
 アップアップだが、俺たち街金は絶好調だ。2〜3百億なら
 いつでも用意できる。……ああわかった富樫。お前も気をつけてな。
 また連絡する」

受話器を置く男塾OB・虎丸龍次。

女秘書「なんですの会長、戦争がどうのこうのって?」
虎丸「フッフフ…この日本を乗っ取ろうとしている悪い奴らがいてな。
 そいつらをやっつけるために昔の仲間が集まったんだよ」
女秘書「またご冗談を。それよりも小包が届いております」
虎丸「あー、誰から?」
女秘書「開けてみますわ。どうせまた通販でいやらしいオモチャでも
 お買いになったんじゃ……」

女秘書が差出人不明の小包を開けようとしたその時……!!

虎丸「…ま、待て! やめろっ!!」


                ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,
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              | γ ⌒ ⌒ `ヘl ll
              イ ""  ⌒ ) ヾ  ヾ
              / (  ミ ⌒ ,, ヽ )ヽ)
              (  イ  、;; ,ノ ヾ ) )
             ..ゞ (.  ミ  .  ノ. .ノ ノ...
              :::ゝ、、ゝ....'',,,,,|..., , ノソ:::::
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134 名前:名無し客:04/08/04 19:49

***毎朝新聞本社ビル・会議室***

藤堂「にわかには信じられんだろうが、今私が話したことは全て真実だ」

男塾OBの一人にして藤堂財閥総帥・藤堂豪毅が
重役たちを集めて事情を説明している。

藤堂「内閣総理大臣・剣桃太郎の暗殺も奴らの仕業。
 影の地球連邦政府の野望の手は、すでにこの日本に伸びている。
 新聞・テレビ・ラジオ・インターネット……我々の持つ企業体全ての
 メディアを使い、この事実を大衆に伝えねばならん。
 破嵐財閥総帥・破嵐万丈氏、旋風寺財閥総帥・旋風寺舞人氏、
 妹之山財閥総帥・妹之山残氏、それにドクーガグループの
 ヤッター・ラ・ケルナグール、スーグニ・カットナル両取締役も
 我々の動きに同意してくれている。全戦闘力をこれに結集するのだ。
 手遅れにならんうちにな!」
重役A「社長、お話の趣旨はわかりました。
 しかし地球教などという一介の宗教団体に果たして
 地球連邦政府をも動かす力が本当にあるのでしょうか?」
藤堂「奴らの力を侮ってはならん。地球教はティターンズやブルーコスモスをも
 その傘下に収めて異のままに操り、政治家や軍人を巧みに利用する。
 現に日本でも三輪長官や某大物国会議員と結託し、国家の中枢にまで
 入ろうとしている……」

ゴオオオオッッッ!!!!

藤堂「……!!」
重役B「なんだ…この音は?」

重役たちが一斉に音のする方向に振り返ると、
なんと窓の向こう側には武装ヘリコプターが!!

ズドドドドドッッッ!!!(銃声)

藤堂「な、なに――っ!?」
重役C「うわあああーっ!!」
重役D「助けてくれー! ぎゃあああーっ!!」

次々とヘリの機関銃で蜂の巣にされていく重役たち。
藤堂も負傷し額から血を流している。

藤堂「くっ…! ここだけではないはずだ!
 おそらく他の仲間たちも!!」

135 名前:名無し客:04/08/04 19:51

***都心某所***

富樫「江田島のオヤジのとこに戻る」
部下「行ってらっしゃいませ」

虎丸や藤堂が次々と敵の攻撃で負傷したとの急報を受け、
対策のため、急ぎ自分の車へと乗り込む富樫源次。

富樫「地球教の外道どもが!
 まさかこうも早く仕掛けてくるとは…!」

だが、富樫が車のエンジンキーを回した瞬間……


ドカアア――ンッッ!!!!


●○衝撃の事実! 南雅彦と沢木哲也(真の津上翔一)は双子の兄弟だった。
 二人はナチュラル種と超生命体種との戦いか共存かを巡り対立する。
●白河尚純→EP党の坂田代議士と接触し、政権掌握の準備を進める。
●ダカールでジャミトフが地球連邦大統領に就任する陰謀が進行している。
○西園寺老が桃太郎不在の首相臨時代理を務めている模様。
○男塾OBが次々と襲われ、瀕死の重傷を負う!?

【今回の新規登場】
○沢木哲也=真・津上翔一(仮面ライダーアギト)
最初のアギトを殺した男で、アンノウンを操る謎の青年の使徒。

136 名前:獣神官ゼロス:04/08/04 20:20

〜ロンデニオン〜

地上での戦闘があったころ、ロンデニオンにはシャアが来ていた。

バン「レイブン・・・お前も来ていたのか!」
レイブン「・・・」
リーゼ「・・・」
ジーク「キュゥ・・・」
シャドー「グゥゥゥ」
スペキュラー「グウゥゥ」
リーゼ「教えろ!バン!僕達は一体どうしたんだ?ここはどこだ?何がどうなっているんだ!」
レイブン「やめろ。吼えるな。」
リーゼ「だって・・・」

バンにつっかかるリーゼを抑えるレイブン。

シャア「私から話そう。」

シャアが説明する。この世界のこと、時空クレバスのこと、現在の地球圏のことを。

シャア「・・・というわけだ。」
アムロ「残念だが時空クレバスのことは俺達にも良く分からない。分かっていても行動に移せないんだ。」
リーゼ「・・・」
レイブン「・・・それで、どうすればいい?」
シャア「われわれの元へ来い。まずは今の混乱を収めることが先決だ。」
シャドー「キュー」
レイブン「わかった。それがいいようだ。」
リーゼ「レイブン!?何でこいつらなんかと・・・!」

リーゼの口を抑えるレイブン。そして睨みつける。

レイブン「・・・」
リーゼ「わ、わかったよ。レイブンの言うとうりにするよ・・・」
シャア「決まりだな。」
アムロ「よし、じゃあロンデニオンを案内しよう。クリスとコウの見舞いもかねてね。バン君やフィーネ君も来るといい。」
ジーク「グゥゥ・・・」
アムロ「あぁ、わかった。ジークもな。」

137 名前:木星圏からん:04/08/04 20:42

〜宇宙要塞アクシズ・上級士官室〜

???「・・・ここは」
ハマーン「目が覚めたか。ジュドー・アーシタ」
ジュドー「・・・!!貴様、ハマーン・カーン!!?おまえを、おまえおぉぉ!!」

吼えるジュドー。しかし、椅子に手錠で拘束されており思うように動けない。

ハマーン「ふん!シロッコめ。よくもやってくれた。まぁいい。」
ジュドー「殺すゥッ!おまえぉぉ!!ハマーン・カーン!!」
ハマーン「命の恩人に対して失礼な口の聞き方だな、ジュドー・アーシタ。お前は漂流しているところを拾われたんだよ。」
ジュドー「ぐぅぅっ、この手錠をはなせぇっ!」

ジュドーの叫び声を無視し、話を続ける。

ハマーン「何故ここまで流れ着いたか。何故だか分かるか!?・・・お前は惹かれたのだよ。この私にね。」
ジュドー「なん・・・だとぉ!?」
ハマーン「お前は強化されて心が敏感なんだ。普段は理性で制御できる。しかし、今は違う。無意識のうちに私に惹かれたのだ。」
ジュドー「そんなこと・・・うっ!!?」

ハマーンがジュドーに口付けをする。

ハマーン(感じろ・・・お前にならできるはずだ。私を受け入れるのだ。)
ジュドー(何だ・・・暖かい・・・?)
ハマーン(・・・)
ジュドー(違う・・・これは見せかけの暖かさだ。心に氷を持っている。冷たく暗く息苦しい感じがする・・・)
ハマーン「ふふふ・・・未だに自分を持っているのか。」
ジュドー「・・・」
ハマーン「私の元へ来い!ジュドー・アーシタ!!私を受け入れろ!」
ジュドー「あぁ。わかったよ。その氷を溶かしたらな。」
ハマーン「何!?」
ジュドー「あんたのそれは、まだあの人を引きずっている。決着をつけるべきだ。そうしなければあんたは誰にも受けいられない。誰もあんたを認めやしない。」
ハマーン「ふふふふふ・・・流石だジュドー・アーシタ。どうやら魂を縛られているのは私のようだな。それで、来るのか私の元へ。」
ジュドー「あぁ。今のままじゃロンデニオンには戻れない。しばらくここに居させてもらう。」


○シャア、レイブン、リーゼ、ラーカイラムと合流。レウルーラも暫くロンデニオンに駐留
●ジュドー、ハマーンの元へ。強化(洗脳)少し解除?

【今回の新規登場】
レイブン(ZOIDS)
リーゼ(ZOIDS)
ジーク(オーガノイド)(ZOIDS)
シャドー(オーガノイド)(ZOIDS)
スペキュラー(オーガノイド)(ZOIDS)

138 名前:名無し客:04/08/06 20:47

***都内の某総合病院***

手術中の灯りが消え、中から長時間の大手術を終えた
飛燕ら医師団がが汗をぬぐいながら出て来た。

田沢「どうなんだ富樫の奴は――!?」
松尾「手術は成功したのか――っ!?」
飛燕「相変わらず悪運の強い人です。奇跡的に命だけは取り留めました」

富樫の命に別状がないことが知らされると、
辺りはたちまち安堵と歓声に包まれた。

松尾「や…やった! 富樫は助かったんだ――っ!!」
田沢「な――に、当たりめえだぜ! 何しろ外科手術で世界的権威の
 飛燕がその手でオペしたんだからな!!」
飛燕「虎丸や藤堂も私のこの病院に運び込まれています。
 それに巻き添えを食った多くの人たちも多数……」
秀麻呂「くそーっ! 影の地球連邦政府のボケどもが――っ!!
 奴ら、目的のためには手段を選ばねえんだ!!」
田沢「しかし戦闘隊長の富樫がやられたのは大きいぜ」
松尾「ああ、当分動けやしねえだろうからな……」
???「だ、誰が……」

一同「……!?」

富樫「誰が動けねえってんだ……!!」
一同「と、富樫――っ!?」

無事に自身の手術を終えて、体中あちこちに
包帯を巻いている富樫が手術室の中から仁王立ちで現れた。

田沢「な、なに考えてんだ! お前、その体で!!」
松尾「10時間にも及ぶ大手術だったんだぞ!
 今無理をしたら本当に死んじまうんだぞ!
 飛燕! お前も黙ってねえで何とか言ってくれ!!」
飛燕「フッ…何を言っても無駄でしょう、その人に……。
 昔からそういう人でした」

富樫「殺せ――っ!! 外道どもを皆殺しに
 したるんじゃ――!!」

139 名前:名無し客:04/08/06 20:48

***中部横断高速道路・甲府方面***

ドライブしている小沢澄子の車の助手席に
なぜか同乗している津上翔一。

小沢「ごめんなさい。わざわざ日本に呼び戻したりして。
 まさか他の仮面ライダーたちと一緒にNYに行ってるだなんて
 思わなかったものだから」
翔一「あ、いえ、気にしないでください」
小沢「真魚ちゃん、もしかして妬いてなかった?
 あなたをデートに誘ったりしたもんだから」
翔一「えっ!? い、いや、そんなことはないですよ…(///)。
 ところで今日はどこに行くんですか?」
小沢「将を欲すれば馬を射よとの例えがあるわ」
翔一「……??」
小沢「白河尚純も南雅彦も用心深く、全くスキを見せない男よ。
 でもその馬までそうとは限らないわ」
翔一「馬…??」
小沢「津上君、あなたゴルフは出来る?」
翔一「えっ…ゴ、ゴルフですか?」


***山梨県内の某高級会員制ゴルフ場***

目的地に着いた翔一が、フロントの向こうで目にしたのは、
なんと北条透警部補その人だった!

翔一「あの人って……北条さんじゃないですか!?」
小沢「あなたはこれから北条君と二人でプレイするの。
 すでに第三者を介して段取りは済ませてあるわ」
翔一「ぼ、僕が北条さんとゴルフを??」
小沢「もちろん勝敗にこだわる必要はないわ。
 あの男の懐に入り込んで、白河一派に関する情報を
 引き出すことが目的よ」
翔一「でもなんで北条さんを…。そりゃあ確かに難しいところも
 ある人でしたけど、まさか北条さんまで地球教の……」
小沢「近頃、警視庁内での北条君の様子がおかしいのよ。
 聞いた話では白河代議士は催眠術か何かの使い手らしいの。
 もし北条君も白河に操られているとしたら……」
翔一「わかりました。そういうことならやってみましょう!」
小沢「よろしくお願いね。ウェアとゴルフバックはフロントに預けてあるわ」

140 名前:名無し客:04/08/06 20:49

言われたままにウェアに着替え、コース内へと入る翔一。
そこではすでに北条が先にプレイを始めていた。

翔一「お見事〜〜〜っ! 全く見事なホールインワンですね!」
北条「フフッ…久しぶりですね津上さん。
 ま、どうぞお手柔らかに。さあ次はあなたの番ですよ」
翔一「ではお言葉に甘えて…(なんだこれ? 一体どれを使うんだろ??)」

翔一がどのクラブを使おうか迷っていると、
キャディさんが一本のアイアンを差し出した。

???「(小声で)これを使うんですよ、津上さん」
翔一「……!? あ、あなたはひか……」
氷川「(小声で)シーッ!! 小声でしゃべってください。
 北条さんに気づかれないように」
翔一「驚きました。なんで氷川さんがこんなところに?」
氷川「小沢さんの指示です。さあ、早く行かないと怪しまれますよ」

北条(フフフフフ……津上さん、どうやらゴルフは全くの初心者のようですね。
 何が目的で私に近づいてきたのかは知りませんが、私の華麗なプレイで
 返り討ちにしてあげましょう。それに氷川さん、その変装バレバレですよ……)


○虎丸、藤堂、富樫らは、病院へと運び込まれ一命を取り留める。
○津上翔一、氷川誠は小沢澄子の指示で、ゴルフ場で
 白河の一派と思しき北条透に接触する。

【新規参戦・前回執筆分補足】
●坂田順三郎(仮面ライダーBLACK)
国会議員・EP党党首・暗黒結社ゴルゴムの人間メンバー

【今回の新規登場】
○極小路秀麻呂(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
株式会社日本ABMKコンピュータ社長・男塾OB
○氷川誠警部補=仮面ライダーG3-X(仮面ライダーアギト)
警視庁・未確認生命体対策班=MPD/SAUL・G3ユニットの装着者

141 名前:名無し客:04/08/09 20:34

一方、その頃…

***地球連邦宇宙軍・月基地・作戦会議室***

ジュン「大変です! ダカールで戒厳令が出されました!
 現在、議会はティターンズによって占拠されています」
コウイチロウ「クーデターか!?」
ジュン「あ、ジャミトフ大将の演説が始まるようです」
コウイチロウ「モニターに出してくれ」

モニターにジャミトフの演説が流れる。

ジャミトフ「みなさん、番組をお楽しみ中のところ、
 突然おじゃましてもうしわけない。私は、ジャミトフ・ハイマン。
 ティターンズの司令官です。現在、地球が大変な危機の中にある事は、
 皆さんもご存じだと思います。グランショッカー、そしてジュピトリアン、
 さらには非ナチュラル――各種超生命体の台頭。この危機に際して、
 これまでのような体制では敵を迎え撃つ事はおろか、
 戦力を整える事すらおぼつきません。まずは、外敵に対して
 有効的な手段をとれる体制を整えなければなりません。そのために、
 本日より無期限の戒厳令を公布させていただきます。
 何とぞ、地球全国民の皆さんのご協力とご理解を願いたい」

モニターを一旦切る秋山源八郎少将。

秋山「ティターンズめ、行動が早いな」
コウイチロウ「幸いまだ、クーデターにまでは、至っていないという事か」
ブレックス「いや、違いますな。おそらく近いうちに憲法改正の評議会が
 開かれるはず。おそらくジャミトフは、そこで権力を握ろうとしているのだ」
コウイチロウ「なるほど、そのために議員連中に、金をばらまいていたわけか。
 しかし、そううまく行くかな?」
ブレックス「自信があるからこそ、今の時期に戒厳令などを布いたのでしょう。
 おそらく、金で動かなかった議員に対する脅迫を兼ねて」
ジュン「形だけは民主的にやろうってわけだ」
ムネタケ「しかし、タイミング的には悪くない。うまく議決の直後に、
 ブレックス准将が演説できれば、ジャミトフの陰謀を白日の元にさらす事ができる」
秋山「それでブレックス准将、何か強力な証拠でも?」
ブレックス「ああ、それについてはだいじょうぶです。まちがいなく、
 ジャミトフを失脚させる事ができる」

142 名前:名無し客:04/08/09 20:35

***富士山麓・光子力研究所***

連邦宇宙軍の月基地のミスマル・コウイチロウ大将と
極秘通信を交わす弓教授と破嵐万丈。

万丈「ジャミトフの緊急演説ならこちらでも見ましたよ。ミスマル大将」
コウイチロウ「うむ。それでまもなくブレックス・フォーラ准将が地球に降下する。
 ダカールで演説を行うためだ」
弓「ダカールで? 今、ダカールは、事実上ティターンズの支配下ですぞ」
コウイチロウ「だからこそ、チャンスなのだ。世界中が注目している時こそ、
 ジャミトフと、その背後に潜む地球教の陰謀を暴くのに絶好の機会だ。
 それでお願いなのだが、ブレックス准将を、新拠点『α』に匿ってはくれまいか?
 今、ブレックス准将の身に何かあれば、地球連邦政府だけでなく、
 地球そのもの自体の存亡も危うくなる。頼む、ブレックス准将を護衛してくれ」
万丈「こりゃ、ことわるわけにはいかないな」
弓「ええ、喜んで協力しましょう、ミスマル大将。それで、
 ブレックス准将の降下ポイントは?」
コウイチロウ「キリマンジャロだ。出来ればこちらからも増援を差し向けたいが、
 ロンデニオンにあるロンド・ベル隊もナデシコチームも現在、木星勢力との
 対応に追われている。すまん……」

しかし、基地内に忍び込んだ妖しく美しい青い蝶が一匹、
その通信の様子を傍受していることに、誰も気づいていなかった……。


***スマートブレイン本社ビル・情報モニター室***

モニター画面を見つめながら、不気味にほくそ笑むスマートレディ。

スマートレディ「私たちにはあんまり関係ないけど、なんか面白いことを
 嗅ぎ付けちゃったわね。どうしちゃおうかしら〜。うふふー♪」


●ジャミトフ→ダカールに戒厳令を敷く。ちなみに東京にいる白河尚純も
 これに呼応して、いよいよ日本での政権掌握間近か!?
○ティターンズの陰謀を暴くため、証拠を掴んだ旧エゥーゴの
 ブレックス・フォーラ准将が地球へ向かう。准将が無事地球に到着した際、
 新拠点『α』に迎え入れる準備も進む。
●スマートレディ→ブレックス准将がキリマンジャロに降下するとの情報を入手。

【今回の新規登場】
○ブレックス・フォーラ准将(機動戦士Zガンダム)
エゥーゴ指導者

143 名前:名無し客:04/08/10 01:45

***浅間山麓・新早乙女研究所(通称:フォーダムG)***

研究所をこっそり訪れているGGGメンバー・獅子王凱と卯都木命。

凱「どうだい、その後身体の調子は?」
リョウ「ああ、おかげさまで全員すっかり回復したよ」
早乙女ミチル「そちらはどう? 他の勇者のみんなとは連絡とれた?」
命「公的機関として動けるのはブレイブポリスと私たちGGGだけ……
勇者特急隊はこの前の無断出撃で三輪長官にすっかりにらまれちゃったし、
エンくんたちダグオンのみんなも自由には出撃出来ない状態ね。ダ・ガーン
たちは眠ったままで、星史くんの呼びかけにも応じないそうなの」
リョウ「そうか……彼らの助力が得られない以上、俺たちだけで
ブレックス准将をガードするしかないな」
凱「及ばずながら、我々GGGも全力を尽くそう。今のままでは……地球は、
数多の侵略者と同じ運命を辿ってしまう!」

***地球連邦宇宙軍・月基地・フォーラ准将の自室***

壁にかけられた額入りの写真を見ているフォーラ准将。

ブレックス「……地球では、金田長官やライセ顧問とも会う予定です。
何としてでも、地球をティターンズから取り戻して見せますよ」
士官の声「准将、シャトルの準備は全て整いました」
ブレックス「ああ、今行く……」

部屋を出て行こうとして、もう一度振り向く准将。

ブレックス「……私に、力を……!!」

写真には、フォーラ准将と共に──在りし日の沖田十三艦長、
グローバル艦長、ヤン提督、そしてレビル将軍の姿が──!!

***グランショッカー基地***

円卓を囲んで、二人の人物と密談中の坂田党首。

坂田「……そう、白河は今のところ、我々の思惑通りに事を運んでくれて
います。敵もさるもので、なかなか尻尾を見せてはくれませんがね」
桐原剛造「……しかし、いずれは我々グランショッカーの軍門に下って
もらうことになります」
帯刀龍三郎「(ペロペロ)……そういえばさあ、村上くんって最近あちこちで
嫌われてるみたいだよねー」
坂田「ビルゲニア様も、彼のことは信用出来ないとおっしゃっていました。
桐原総帥、帯刀総帥、頼りにしていますよ。フフフ……何より、あなた方の背後に
おられる方々も、私がお仕えする創世王様と元は……」
桐原「それともうお一人、かつて私が日本陸軍の技術少佐であった時に
お世話になったあの方……藤堂翁も……」

○脱出した剣鉄也とゲッターチーム、すっかり回復し、准将のガードに
あたる模様。
○准将、今は亡き4人の名将の遺志を背負い、地球に向けて出発。
(写真中、グローバル艦長は最晩年の姿)
●坂田、スマートブレインの増長を牽制するために桐原・帯刀の両
コンツェルンと協力を密約。ゴルゴム創世王・帝王ゴッドネロス・
首領ガオームの間には何か関係が??

【今回の新規登場】
○獅子王凱(サイボーグ・ガイ)=ガイガー=(スター/ジェネシック)ガオガイガー
(勇者王ガオガイガー/FINAL)
GGG(ガッツィー・ギャラクシー・ガード)機動部隊長
○卯都木命(勇者王ガオガイガー/FINAL)
GGGオペレーター
○早乙女ミチル(ゲッターロボシリーズ)
早乙女研究所/フォーダムG・コマンドマシン&レディーコマンドパイロット・
早乙女博士の長女

○沖田十三艦長(写真のみ登場)(宇宙戦艦ヤマトシリーズ)
最終階級・地球連邦軍大将(階級はオリジナル)
○ブルーノ・J・グローバル艦長(写真のみ登場)(超時空要塞マクロス)
最終階級・地球連邦軍准将(原典では地球統合軍)
○ヤン・ウェンリー提督(写真のみ登場)(銀河英雄伝説)
最終階級・地球連邦軍大将(原典では自由惑星同盟)
○レビル将軍(写真のみ登場)(機動戦士ガンダム)
最終階級・地球連邦軍中将(階級はオリジナル)

●桐原剛造=帝王ゴッドネロス=村木・元大日本帝国陸軍技術少佐(超人機メタルダー)
ネロス帝国首領・桐原コンツェルン総帥
●帯刀龍三郎=魔王ビルゴルディ(特捜ロボ ジャンパーソン/重甲ビーファイター)
帯刀コンツェルン総帥

144 名前:名無し客:04/08/13 13:04

***警視庁・Gトレーラー内部***

小沢「すると…北条君はやはり白河の催眠術で操られていたのね」
氷川「津上さんときたら、ボールを打つつもりが、
 勢いのあまりクラブごとを放り投げてホールインワンしたり、
 バンカーに落ちたボールを砂掻き棒で外へ打ち出したり、
 メチャクチャなプレイばかりしてたんですよ。見ているこっちは
 冷や汗モノでしたよ……(汗」
小沢「フフッ…それこそ私の読み通りよ。津上君の奇想天外なプレイが、
 洗脳されていた北条君の思考回路をショートさせてしまったのよ」
北条「白河尚純……あの男こそこの世の悪魔です…」

氷川に一緒に連れてこられた北条が、
欝な表情で席に座っている。

小沢「どうやらショックで人格が元に戻ったようね」
北条「ええ…なんとか……悪い夢を見ていたような気がします。
 この私としたことが、白河尚純に心を奪われ操り人形になっていたとは……」
氷川「北条さん、白河代議士や南警視長のことについて
 何かご存知ありませんか? 今、世界各地で数多くのヒーローたちが
 ナチュラルとそうでない者との争いを止めようと必死にがんばっています。
 手がかりになることでしたら何でも言ってください!」
北条「いいでしょう。先の東副総監襲撃の件は、
 全て南さんの指示です。全ては影の地球連邦政府による
 日本乗っ取りの遠大なる陰謀なのです」
氷川「ありがとうございます、北条さん!
 小沢さん、北条さんから証言が取れた以上は、すぐに
 南警視長の逮捕状請求を!」

???「待ちな!」

Gトレーラーに入り込む一人の男――富樫源次。

氷川「誰だ!?」
小沢「……あなたは確か、江田島平八先生の?」
北条(……この男が、日本の各界に君臨する男塾OBたちを束ねる
 斬り込み隊長――富樫源次)
小沢「お怪我のほうはもうよろしいんですか?」
富樫「ああ、それならもう大したことはねえ。ほーれこの通り……イテテテ」
氷川「この期に及んでなぜ止めるんですか?
 北条さんの証言さえあれば!」
富樫「甘いな兄ちゃん。政治の世界の壁は厚い。
 南雅彦のバックに控える白河尚純は、もうじき日本国の実権を握る
 ところまで来ている。ここから先は俺たち男塾OBに任せてみちゃくれねえか?
 決して悪いようにはしねえからよ」

145 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/13 13:06

***キリマンジャロ・降下地点***

凱「あれは?」
ボルフォッグ「隊長、ブレックス准将のシャトルが到着したようです」

ブレックス(通信)「おお、GGGが護衛を引き受けてくれたのか。それは心強い」

凱「准将、新拠点『α』までは、我々が責任を持って護衛させていただきます」
ボルフォッグ「レーダーに反応!!」
凱「マラサイが2機……ティターンズだな」

指揮官仕様のマラサイ2機と、
それに率いられたハイザック数機が姿を現す。

ジェリド「あれか、匿名の情報があったシャトルってのは」
カクリコン「GGGがいるって事は、あれには間違いなく
 ブレックス・フォーラが乗っているとみた」
ジェリド「ああ、間違いない。でなきゃ、GGGまでいるわけないからな。
 ちょうどいい、やっちまおうぜ!」
カクリコン「待て、今、本部に救援を要請した。もう少し戦力が整うまで…」
ジェリド「はん、あのシャトルさえ落としちまえばいいんだよ。
 ちんたらしてても、しょうがねえぜ! 地表に降りるまでが勝負だ!」

氷竜「こんな所で、戦いをしかける気か!?」
炎竜「まずいな」
凱「何としても、シャトルを守り抜くんだ!」


◎北条透→洗脳解除。東副総監襲撃事件は南雅彦の指示であったことを証言。
●ジェリドとカクリコン→スマートレディが流した匿名情報をキャッチし、
 ブレックスの乗ったシャトルの降下ポイントを奇襲、GGGと交戦状態に。

【今回の新規登場】
○氷竜(勇者王ガオガイガー/FINAL)
GGG機動隊員
○炎竜(勇者王ガオガイガー/FINAL)
GGG機動隊員
○ボルフォッグ=ビッグボルフォッグ(勇者王ガオガイガー/FINAL)
GGG諜報部員
●ジェリド・メサ中尉(機動戦士Zガンダム)
ティターンズ要員
●カクリコン・カークラー中尉(機動戦士Zガンダム)
ティターンズ要員

146 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/13 20:10

超竜神「ダブルトンファー!!」
ビッグボルフォッグ「必殺! 大回転魔断!!」

次々とGGGの勇者たちによって蹴散らされていく
ティターンズのMS群。

ジェリド「ちっ、失敗か!」
カクリコン「くっ、さすがだな! 脱出する!」

あっさり撤退していくティターンズ。

ブレックス「ありがとう、GGGの諸君。おかげで助かった。
 すまないが君たちの新拠点『α』までよろしく頼む」
凱「まかせてください。俺たちが『α』まで無事にお連れします」
ビッグボルフォッグ「隊長、どうも様子が変です。
 先ほどのティターンズの部隊からは、殺気・闘気といったものが
 まるで感じられませんでした」
超竜神「それにこうもあっさり退却するとは……」
凱「超竜神、ビッグボルフォッグ、確かにお前たちの言うとおりだ。
 何かがおかしい。だが俺たちはどこかで誰かに見張られている。
 それは確かだ…!」


***バルカンベース***

衛星中継で現在のキリマンジャロでの様子を眺めている
三輪長官と白河尚純の二人。

三輪「ワッハハハ…まさに計画通りだな。
 仕組まれた罠とも知らずに」
白河「その一帯にはあらかじめ小型の原子爆弾が仕掛けてある。
 GGGめ、一瞬にしてブレックス・フォーラ諸共跡形もなく吹き飛ぶがいい」


***再び、キリマンジャロ・降下ポイント***

凱「……!! 准将、早く脱出を…うわっ!?」
ブレックス「何っ!? うおっ!」
                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
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147 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/13 20:11

***再び、バルカンベース***

白河「終わったな。これで我々の勝利は決定的なものとなった」
三輪「乾杯だな白河先生。これでもう誰も
 影の地球連邦政府に逆らおうとする者はいなくなるだろう」

突然基地全体にサイレンが鳴り響いた。

白河「なんだ、この騒ぎは?」
ティターンズ兵「大変です! 表にゲッターロボが!」
三輪「なんだと!?」

ゲッターロボだけではない。マジンガーZにグレンダイザー、
シャッフル同盟、さらにはバトルフィーバーロボやサンバルカンロボなど、
歴代軍属のスーパー戦隊巨大ロボットたちが外に居並んでいた。
まるで現在のバルカンベースを支配する三輪長官一派を威圧するかのように……

竜馬「出て来い! 三輪長官!!」
三輪「貴様ら! これは一体何の真似だ!?」
バルイーグル「三輪長官。俺たちスーパー戦隊は以後、連邦の軍籍を離れ、
 独自に行動します!」
三輪「何だと!? そんな事は許さん!!」
オーレッド「三輪長官、あのジャミトフの演説をお聞きになったでしょう。
 今の地球連邦政府はティターンズの……」
三輪「そんな事は関係ない! 軍人は命令には絶対服従しなければならないのだ!
 この三輪防人の目が黒いうちは、断じてそのような反逆行為は許さん!
 どうしてもというのであれば、この私を倒してからにしろ!」
三浦参謀長「…では、三輪長官にはバルカンベースから退去していただきます。
 後は長官のご自由に。それならよろしいですね?」
三輪「ふざけるなっ!!」

顔面を真っ赤にして怒り狂う三輪長官。

三輪「いったい誰だ! 奴らを扇動した反逆者は!?」
???「ワハハハハ…それはこのわしが許したのだ!!」
三輪「お、お前は!?」




     __――――――          /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
    /            \       /
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/ _  \   /  /\|||||   |  \
|/  \_|| ||||_/       /\   )
 < ̄o ̄>   < ̄o ̄>  |   |  (
  /  ̄ ̄/       ̄ ̄    | ∂ |  )  わしが男塾塾長江田島平八である!!
 (  /(_⌒)\     /   ) ) | (
 | === ====     | (  |  )
  ( || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ||     (_/  (
   || |  ̄ ̄ ̄⌒ ̄| ||    |      )
   || |         | ||    |    (
   || |         | ||     |    )
   ||  )  /⌒⌒|   | ||     |   (
   || /  /     |_ / ||     |   )
   || ヽ ̄⌒ ̄ ̄ /  ||     /   \/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
   ||  ヽ ̄ ̄ ̄ ̄/  ||    /
    \   ̄ ̄ ̄        /
      \________ /


148 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/13 20:12

こで鎧兜に身を固めた男塾塾長・江田島平八と、
学ラン姿の男塾OB軍が総登場する。

一同「男塾見参!!」

三輪「やはり貴様だったか、江田島平八!!」
江田島「三輪防人! 私的な判断による軍の運用、ならびに捕虜虐待、
 そして民間人への度重なる人権無視…。男塾の名において
 ここに貴様を成敗してくれよう!」
三輪「何をしておる!! 早く奴らを撃ち殺さんかああっ!!!」
伊達「見せてやるぜ!」
赤石「男塾の真骨頂をな!」

三輪長官配下のティターンズ兵と直ちに戦闘に入るが、
所詮並みの兵隊が百戦錬磨の男塾OBに勝てる訳がなかった。
傍にいるスーパーロボットのパイロットたちも、見ているだけで
ほとんど何もすることがない……。

三輪「……!!」
弁慶「つ、強ええ。なんて強さだよあの人たち」
甲児「素手や刀で鉄砲に勝っちまうなんて……!?」
富樫「えらく手こずっちまったぜ。こんな雑魚ども相手によ」
飛燕「フッフフ…仕方ないでしょう。気ばかり若くても、
 体はみんなもういい年なんですから」
松尾「ハハハハハ」
江田島「どうやら勝負あったようだな。
 残るは貴様と白河の二人だけ。さあどうするつもりだ?」
赤石「腹くくれや。俺たちを本気にさせた後悔は、地獄でするがいい」
三輪「く、くそっ!!」
白河「慌てることはないよ、三輪長官」

白河がバルカンベースの中から出てくる。

三輪「おおー、白河先生!!」
白河「江田島先生、私の勝ちです。たった今キリマンジャロに仕掛けられた
 原子爆弾の起爆スイッチを、この私が押しました」
竜馬「なんだって!?」
ミチル「そんな…GGGのみんなは!!」
白河「ブレックス・フォーラ准将の証言さえなければ、
 もはや我々に恐れるものは何もない。まもなくティターンズの
 機動部隊が日本を武力制圧すべく上陸を開始します。
 これで名実共に影の地球連邦政府が光の中に現れるのです」
江田島「そいつは無理じゃわい。いくら待っても応援は来やせんぞ」
白河「なんだと?」
江田島「我々も日本の海域を完全に封鎖する。世界最強、
 米国第7艦隊によってな!」
三輪「何をたわけたことを! 第7艦隊が貴様ら如きのために
 動くわけがなかろーがっ!」


***太平洋上・米国第7艦隊旗艦・ブルーリッジ***

日本列島を攻略するはずだったティターンズの機動部隊を圧倒し、
徐々に敵を殲滅しつつある米国第7艦隊。

海軍士官「これが議会にバレでもしたら、なんと説明なさるおつもりですか、
 司令官殿……」
J「男塾は俺にとって父であり母である。親孝行するのに説明など要らぬ!」


○ブレックス・フォーラ准将→無事に迎えに来たGGGと合流するも、
 あらかじめ罠として仕掛けられていた核爆弾の爆発に巻き込まれる。
 果たして、その生死は…!?
○日本国内のヒーローたちは、男塾OBの呼びかけに応じ、
 その全面支援を受けて、ついに三輪長官に反旗を翻し総決起。
○●米国第7艦隊とティターンズ日本侵攻部隊が
 太平洋上にて交戦状態に突入。

【今回の新規登場】
○超竜神(勇者王ガオガイガー/FINAL)
氷竜と炎竜がシンメトリカルドッキングして完成する合体ビークルロボ。

149 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/14 13:07

***再び、バルカンベース前***

ティターンズ兵A「三輪長官、何か未確認物体がここをめがけて飛んで来ます!」
ティターンズ兵B「今核爆発したキリマンジャロの方角からです!
 物凄いスピードです!」
白河「未確認物体……!?」
三輪「キリマンジャロの方角からだと!?」
チェンジドラゴン「なんだあれは?」
レッドホーク「空から落ちてくるぞ!」

ドオオオオオンン(着地の衝撃音)

凱@ガオガイガー「またせたな、みんな!」
甲児「GGGのみんな!!」
さやか「よかった…無事だったのね」
三輪「馬鹿な! どうして貴様らこの島に!?
 原爆は確かに爆発したはず……」
ビッグボルフォッグ「まさに神風でした」
凱「Gストーンに封印された高エネルギー集積体を爆発的に解放させる事で、
 間一髪…核爆発の爆風に乗って、ここまで吹き飛ばされて来たのさ」
超竜神「当然、ブレックス准将も一緒にご無事です!」

ババババババッ(ヘリの音)

そこへアメリカ海軍のヘリが一機、どこからか飛来して来た。
そのヘリが着陸すると、中から男塾OBと同じ学ラン姿の男が降り立った。

三輪「だ、誰だあいつは!?」
江田島「あれもわしの教え子じゃ。尤も今は地球連邦軍北部方面総監兼
 米海軍第7艦隊司令長官というたいそうな肩書きをぶら下げておるがな」
三輪「な、なんだと――っ!!」
J「押忍!! 報告します塾長。我 第7艦隊は日本の領海に迫りつつあった
 ティターンズ機動部隊を壊滅いたしました」
江田島「大儀であった。Jよ」
J「それともう一つ。先日、我 艦隊の哨戒機が洋上で漂流中の
 一人の男を救出しました。その男は自分を日本の総理と名乗っております」

その場にいた全員「……!!」

Jに続いて同じく男塾の学生服に身を固めた一人の男が
ヘリの中から出て来る。

150 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/14 13:08

桃太郎「押忍!!」

富樫「桃…!?」
虎丸「生きていたのかよ! おめえ!!」
松尾「これは夢じゃねえんだな!?」
田沢「おめえは本当にあの桃太郎なんだな!!」
桃太郎「心配をかけてすまん。そこのスーパー戦隊やスーパーロボットの
 パイロットたちにも礼を言う。皆の働きで白河一派をここまで
 追い詰めることができたのだ」

男塾OBたちが喜びの大歓声と共に、
どっと桃太郎の周囲を取り囲む。

三輪「おのれ! こうなれば戦略的撤退だ! 今のうちに
 バルカンベースを放棄し再起を期すのだ!」
白河「俺は逃げん。貴様一人でどこへでも逃げるがいい」
三輪「なんだと!?」
白河「完敗だ…。奴らの力は我々の予想をはるかに超えていた。
 だが……この戦いの幕はこの手で降ろす!」
三輪「……!!」

三輪長官から軍刀を取り上げ、抜く白河。

白河「勝負だ! 剣――っ!!」
桃太郎「上等…!!」


○GGGの勇者たち→核爆発の爆風に乗って無事に脱出成功。
 日本のバルカンベース近くまで吹き飛ばされてくる。
○J→日本に迫っていたティターンズ機動部隊を壊滅せしめる。
○桃太郎→あの事故の後、米海軍に救出されていた。
●白河→敗北を悟り、桃太郎と一対一の対決に臨む。

151 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/15 23:14

白河「もう誰の力も要らぬ。この手で貴様を倒す!」
桃太郎「そうだ、それでいい、白河。男は誰でも心に一本のドスを呑んでいる。
 そのドスを抜き放ったときが真の勝負だ」

周囲が見守る中、お互いに剣を抜き構える桃太郎と白河。

白河「俺は負けんぞ! 時代が俺を必要としている!
 負けてはならん人間なのだ! 貴様にわかるか――っ!!」

激しく剣を打ち合う桃太郎と白河。

白河「くっ!」
桃太郎「もらったぜ白河!」
白河「がはっ!!」

桃太郎の一撃と同時に白河は刀が折れ、その場に崩れ落ちた。

白河「き、貴様…!」
凱「か…刀をひっくりかえしたのか?」
飛燕「フッ、峰打ちとは桃らしい……」
白河「何故だ? どうして俺を殺さなかった!?」
桃太郎「それをお前に考えさせるためだとでも言っておく」
白河「なにっ!?」
桃太郎「白河よ……貴様が一人歩いても時代は変わらん。
 千人の人間が百歩歩いて時代が変わるのだ」
白河「………!!」

そこへまだいた三輪長官がしゃしゃり出て来る。

三輪「き、貴様ら…こんなことをしてタダで済むとでも思っているのか!?
 これは明らかに地球連邦政府に対する反逆だ! 全員逮捕だ!!」
虎丸「ほほう、もうてめえ一人しかいねえのに何言ってやがる」
赤石「やれるもんならやってもらおうか、あん?」
???「その通り! 三輪長官…いや、三輪防人。
 もはやここは君の居場所ではない!」
バルイーグル「あ…あなたは!?」

152 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/15 23:15

美佐「お父さん!」
嵐山「久しぶりだな、美佐」

嵐山長官だけではない。イーグルの江戸川権八総司令、
BF隊の倉間鉄山将軍、そして岡防衛長官ら、
ティターンズによって日本から遠ざけられていた指揮官たちが
今、戻ってきたのだ!

三輪「貴様ら…! いつ日本に戻って来たのだ!?」
岡「つい先ほどだ。三輪防人……君宛ての辞令を持ってな」
三輪「な…何だと!?」
鉄山「三輪防人! ここに極東支部の長官職を解任し、連邦軍本部に出頭を命じる!」
三輪「ば…馬鹿な……! ジャミトフ閣下がわしを見捨てるはずがない!!」
江戸川「さあな。詳しいことは向こうに帰ってからジャミトフに
 直接聞いたらどうかね」
岡「ジャミトフと地球教の総大主教とやらに伝えておけ。
 例え、連邦軍の主導権を握ろうともこの日本だけは好きにさせん、とな」
三輪「…フン、反逆者どもが…いいだろう、今は見逃してやるが、
 次に会った時は、わしのこの手で引導をわたしてやるから、そのつもりでいろ!」

でかい態度とは裏腹に三輪長官はそそくさと立ち去っていった。

チェンジグリフォン「ふう、うるさいのが、ようやくいなくなったぜ」
嵐山「しかし考えてみれば、三輪防人もかわいそうな男なのかもしれんな…」
チェンジフェニックス「あの三輪長官が!? ウソでしょ!?」
鉄山「三輪は軍人である事でしか、おのれの存在意義を認められない男なのだよ…」
小田切「彼も戦争の犠牲者ですね…常に、軍人であろうとするために、
 あのような行動をとってしまわれるのでしょう」
チェンジマーメイド「…そう考えれば、三輪長官もかわいそうな人
 なのかもしれませんね」

江田島「勝鬨じゃ――っ!!」
一同「おおお――っ!!」

その様子を遠くの車内から双眼鏡で眺めている
二人の人影があった……。

英国人風の紳士「ミスター白河も三輪長官も失敗しましたか。
 ま、ここまでは予定通りですね」
ウェンディ「ジョーカーさん、これからどうしますか?」
英国人風の紳士「その名では呼ぶなと言っておいたはずですよ」
ウェンディ「……申し訳ありません。Mr.カーペンター」
英国人風の紳士「世界を支配するに相応しい真の指導国となるべきは
 英国です。いずれ日本の皆さんにも思い知らせてあげる時が来るでしょう。
 ……それではそろそろ探しに行きますか。メガネを……」

153 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/15 23:17

***ビッグファルコン***

岡「…諸君、色々と心配をかけたようだな」
三浦「いえ、総理も長官たちもご無事で何よりでした」
小田切「スカイキャンプに君臨していた一条総司令も、
 つい先刻、三輪長官と共に日本国外へ退去したようです」
江戸川「そういえば、白河代議士の腹心だった警察幹部の
 南雅彦という男はどうした?」
三浦「正木本部長からの話では、特警隊やブレイブポリスが
 南の私邸や研究施設に踏み込んだところ、すでに蛻の殻だったとか」
桃太郎「取り逃がしたか……。
 ところで、長官方は今までどちらに?」
岡「軍情報部で工作員をしていました」
桃太郎「工作員? あなた方が?」
嵐山「うむ、経歴を買われましてな」
美佐「総理、お父さん…いえ、嵐山長官も岡長官も忍者の末裔なんです」
桃太郎「なるほど…それで…」
岡「ええ。任務で世界中を自由に飛び回れたおかげで、ティターンズ派の
 動きも掴みやすかった」
万丈「こうして長官たちが日本に戻られたのですから見通しは明るいですね」
鉄山「しかしティターンズが、戒厳令を布いたそうだね」
伝正夫「はい。現在、ダカール付近は、通信、交通が制限されています」
嵐山「ふむ…では、例のルートを使うか」
ブレックス「そうですね」
飛羽「例のルート?」
嵐山「情報部にいた時に、ティターンズの配備状況は調べておいた」
江戸川「ジャミトフのクセも知っているからね。ダカール南東の一角に、
 配備の手薄な死角がある。西の方で陽動作戦を行えば、
 さらに進入はたやすくなるはずだ」
ブレックス「それで鉄山将軍、ダカールでの手はずは?」
鉄山「整っている。TV放送の用意一式と、中継局をおさえる用意も、
 完了した。あとは准将を、ダカールまでお連れするだけだ」
ブレックス「そうですか、よろしく頼みます」

154 名前:キリマンジャロの嵐:04/08/15 23:18

●白河尚純→剣桃太郎との最後の対決に敗れ、脱落。
●三輪防人、一条総司令→日本国外へ退去。
●南雅彦→間一髪で逃亡。警察によって指名手配される。
 これにより日本国内のティターンズ派勢力はほぼ壊滅。
○岡防衛長官、江戸川司令、倉間鉄山将軍、嵐山長官らが帰国し、現場に復帰。
 しかし、これによって日本は地球連邦政府をも敵に回すことに……。
●時を同じくして、大英図書館特殊工作部の人間が日本に潜入。
 果たしてその目的は…!?

【今回の新規登場】
○岡防衛長官(超電磁マシーン ボルテスV)
岡めぐみの父・甲賀流十七代目の忍者
地球連邦軍極東支部長官/役職はスーパーロボット大戦シリーズより
○江戸川権八総司令(秘密戦隊ゴレンジャー)
国際秘密防衛機構イーグル日本ブロック総司令
○倉間鉄山将軍(バトルフィーバーJ)
国防省最高幹部・BF隊責任者
○嵐山大三郎長官(太陽戦隊サンバルカン)
地球平和守備隊長官・太陽戦隊最高司令官
○伝正夫少佐=バトルジャパン(バトルフィーバーJ)
元国防省特別科学分室将校
○翼麻衣=チェンジフェニックス(電撃戦隊チェンジマン)
地球守備隊・元諜報部隊将校
●ジョー・カーペンター(R.O.D -READ OR DIE-/-THE TV-)
大英図書館特殊工作部の責任者・大英図書館の2・通称:ジョーカー
●ウェンディ・イアハート(R.O.D -READ OR DIE-/-THE TV-)
ジョーカーの秘書で片腕的存在

(シナリオ終了・次シナリオに続く)

155 名前:名無し客:04/08/16 01:46

***ビッグファルコン***
江田島「よく戻って来てくれたな、倉間」
鉄山「ああ…日本を留守にしている間、お前には随分迷惑を
かけてしまった」

志田京介「あの2人、知り合い……友人だったのか?」
ドモン「ああ……聞くところによると、ライダースーパー1=一也の
師匠である玄海老師、そして俺の師匠──東方不敗マスター・アジアとは
若き日の友であり、ライバルだったらしい」
曙四郎「なるほど、お互い怪人やMSを素手で倒せる者同士の縁ってわけか」

鉄山「これからどうする?」
江田島「フフフ…ティターンズと事を構えるには、まだ戦力が足りん。
男塾の総力を挙げ、各地から強者どもを引っ張ってくるつもりよ」

***同・司令室***

岡「丁姫が私と嵐山長官をお呼びらしい。後のことは頼む、左近寺博士」
嵐山「急ぎましょう、山地・日向の両館長に戸隠白雲老師、帯庵和尚に
鶴姫家の義輝殿も既に向かわれている……」
左近寺博士「それでは、護衛はボルテスチームにさせましょう。
追って、ビッグファルコンも新拠点『α』に移動します!」

○江田島塾長・鉄山将軍・玄海老師・そしてマスターアジアの間には
若き日の交流が……。江田島塾長、何かを計画中。
○日本忍者界の重鎮たち、丁姫によって召集される。御前様=覚羅との
関係は……?

【今回の新規参戦】
○志田京介=バトルフランス(バトルフィーバーJ)
元国防省将校
○曙四郎=バトルケニア(バトルフィーバーJ)
元国防省将校
○左近寺洋三博士(超電磁マシーン ボルテスV)
大鳥島・ビッグファルコン所長

156 名前:名無し客:04/08/16 17:13

***都内の某出版社***

蒼軌「編集長、何か御用ですか?」
編集長「ああ蒼軌さん、忙しいところ呼び出したりしてごめんなさい。
 確か菫川ねねね先生はあなたの担当だったわよね?」
蒼軌「はい、そうですが…」
編集長「紹介するわ。こちらはイギリスから英国政府の用向きを
 預かっていらしたジャック・バンコランさんよ」
蒼軌「英国政府の…?」
バンコラン「どうも、バンコランです」
蒼軌「…あっ、どうもはじめまして。菫川先生の担当をさせて頂いております
 編集者の蒼軌といいます」

握手を交わす蒼軌とバンコラン。

編集長「それでなんだけれども、バンコランさんは
 菫川先生にどうしてもお会いしたいそうなの。悪いけれど
 この方を先生のお宅まで案内してもらえるかしら?」
蒼軌「それは構いませんが……今日いきなり押しかけたりして
 先生のご機嫌に触らなければいいんですが……」
バンコラン「あなた方の会社に迷惑はかけない。
 緊急の事態なので一刻も早く会わせてもらいたい」
蒼軌「あのー…失礼ですが菫川先生に一体
 どのようなご用件が?」
バンコラン「いや、実際に用があるのは彼女ではない。
 彼女の高校時代の元教師だ」
蒼軌「……???」

157 名前:名無し客:04/08/16 17:14

***菫川ねねねのマンション***

蒼軌「ここが先生の部屋です」

バンコランを伴ってマンションへとやって来た蒼軌は、
ドアの前でベルを鳴らす。

ねねね「あれ、蒼軌さん久しぶり」
蒼軌「いやぁー先生、ご無沙汰してます」
ねねね「今日どしたの? 原稿の締め切りなら、まだ大分先のはずでしょ」
蒼軌「はい、それが……」
バンコラン「失礼する」

ここでいきなりバンコランが間に割って入る。

ねねね「誰よアンタ」
バンコラン「私はバンコラン。英国情報部の者だ。
 読子・リードマンと話がしたい。彼女は今どこにいる?」

バタンッ!!

バンコランの言葉を聞いた途端、ねねねはいきなり鬼のような形相になり、
一方的に玄関のドアを閉めてしまった。

バンコラン「おい! 開けろ! 何を勘違いしている!?
 私はMI6の人間だ! 大英図書館などとは関係ない!
 彼女に…読子・リードマン=ザ・ペーパーにどうしても緊急の用事がある!
 こらっ、開けろと言っているのが聞こえないのかっ!!」
蒼軌「あの…バンコランさん。菫川先生は一度こうと決めたら
 絶対に曲げない方です。事情はよく分かりませんが、
 今日のところは一旦引き揚げられては?」
バンコラン「うーむ…やむを得んか……」


○バンコラン→英国で何か揉め事が起こっているらしく、緊急来日。
 読子・リードマンと接触するべく、菫川ねねねのマンションを訪れる。
○菫川ねねね→バンコランの身分と用件を聞くや、なぜか突然激怒し
 彼を追い返してしまう。

【今回の新規登場】
○蒼軌征一狼(Χ -エックス-)
某出版社勤務の編集者・代々伊勢付きの風使いの一族で
「天の龍・七つの封印」の一人
○ジャック・バルバロッサ・バンコラン少佐(パタリロ!)
英国・Secret Intelligence Service(=SIS).
通称MI6(Military Intelligence 6/軍事情報部6課)情報部員
○菫川ねねね(R.O.D -THE TV-)
小説家・読子リードマンの元教え子

158 名前:紙使い再び!!:04/08/19 20:06

***ジャブロー・ティターンズ基地***

三輪「お待ちください、閣下! 今は非常時ですぞ!
 なぜ私を極東支部長官から解任したのです!?
 ここで日本を押さえておかなければ、
 木星勢力やグランショッカーとの戦いが苦しくなるのは必定!
 どうかご再考を!」
ジャミトフ「三輪少将、君にもすでに新しい任務が用意してある。
 よけいな事をせず、本来の任務にもどりたまえ」
三輪「…は、はい」

落胆して退室していく三輪と入れ違いに
ジャマイカンが執務室に入ってくる。

ジャマイカン「閣下、そろそろダカールへ出発のお時間です。お支度を」
ジャミトフ「わかった。フフフフフ……いよいよだな。
 そう言えばジョーカーからの連絡はどうなっている」
ジャマイカン「未だ連絡はありません。閣下、あのジョーカーという男、
 果たして信用できるものでしょうか?」
ジャミトフ「あの男も、ジェントルメン亡き後の英国の復興には
 必死なはずだ。総大主教猊下もあの男には随分と目をかけておられる
 ご様子だ。まずはお手並み拝見といこうではないか」


一方、その頃……

***東京・靖国神社前***

その日…、表向きは某出版社勤務の編集者で、実は
代々伊勢付きの風使いの一族で「天の龍」の一人という
裏の顔も持つ蒼軌征一狼は、朝早くから待ち合わせをしていた。

譲刃「――あっ!? 蒼軌さぁ――ん!!」
蒼軌「やあ譲刃さん。おはようございます。
 わざわざ呼び出したりしてすみません」
譲刃「頂いた名刺に電話したら、部署変更になったって言われて
 びっくりしました――!」
蒼軌「少女まんが誌から小説連載部門のほうに異動になったんですよ。
 今度菫川ねねね先生にうちの出版社でも小説を書いて頂けることになって、
 その担当です」
譲刃「え――っ!? ひょっとして女子高生の時に文壇デビューした
 あの菫川ねねね先生ですか!?」
蒼軌「……はははは、ひょっとしなくてもそうですよ。
 ところで三峰のお婆さまや草薙さんはお元気ですか?」
譲刃「もちろん♪ 方向音痴の私が久しぶりの東京で迷ってないか、
 きっと今頃やきもきしてます」
蒼軌「でもちゃんと靖国神社まで来られましたね」
譲刃「それで、今日は私たち二人でどこに行くんですか?」
蒼軌「ちょっと、図書館まで……」
譲刃「……図書館?? わかりました。行こっ、犬鬼♪」

犬鬼「わんっ!!」

159 名前:紙使い再び!!:04/08/19 20:08

***国立国会図書館・一般書庫***

アニタ「相変わらず本の山だらけの広いところだよねー」
ねねね「さっ、急いでセンセを捜して! ここのどっかにいる筈だから」
マギー「……えっ? 私たち…三人だけでですか?」
ねねね「しょーがないでしょ! ミシェールは今センセの埼玉の実家の方で
 ジュニアと仲良くやってんだから。文句言う前にとっとと捜す!」
アニタ「(やや不服そうに)はぁ〜い」

露骨に不満そうな表情を浮かべながらも
ともかく言われたとおりに読子を捜し始めるアニタ。
他の二人も必死になって読子の姿を捜し求める。

ねねね「おーい! センセーどこだー! 居たら返事しろー!」
読子「は〜い、読子ちゃんで〜す」
ねねね「――居たかっ!!」

奥のほうから、可愛らしいがどこか緊張感に欠けている声が聞こえた。
その声は紛れもなく、よく聞き慣れた読子・リードマンの声である。
案の定、彼女は本の山に埋もれていた。読子の腕を三人で掴んで
引っ張り起こす。

アニタ「やれやれ、またか……」
読子「ふぅ〜助かりました。動けなくなっちゃって困ってたんです」
アニタ「困ってたんです、じゃないよ! ホントにもう!」
読子「す…すみません……」
ねねね「ほらっ、ボケッと突っ立ってないで早くここから逃げるわよ!」
読子「……逃げる?? あのー先生、何かあったんですか?」
ねねね「詳しい話は後でするが、アンタを追って昨日私のマンションに
 英国情報部を名乗る人間が来たのよ!」
読子「英国情報部?」
ねねね「なんかよく分かんないんだけど、大英図書館の時みたいに
 面倒なことになると厄介だから早く避難して!」

???「――いや、まだ全員その場に居てもらおう」

ねねね「……ア、アンタは!?」

160 名前:紙使い再び!!:04/08/19 20:10

“美少年キラー”の異名をとり、MI6きっての切れ者との評も高い、
ジャック・バンコラン少佐――先日、ねねねのマンションに
読子を訪ねてきた人物である。

読子「あ、あなたは確か……」
ねねね「アンタ、あたしたちをつけて来たの!?」
バンコラン「失敬だな。神保町のビルにも君のマンションにも居ないとすると、
 自然と消去法だけでここへとたどり着く。尾行などするまでもない話だ」

傍にいるアニタとマギーも、すかさず武器であるを取り出して身構える。

バンコラン「よせっ! お前たちと事を構えるつもりなど最初からない!
 私はICPOからの要請で彼女を保護しに来たんだ」
アニタ「本当か!?」
読子「アニタさん、マギーさん、ここは退いてください。
 この人は敵じゃないと思います……たぶんですけど……」
ねねね「たぶんって……センセ、この人のこと知ってるの?」
バンコラン「私が若い頃に、当時MI6の工作員であった彼女の父親には
 大変世話になったことがある」
アニタ「な〜んだ、そうだったんだ」
バンコラン「大英図書館の残党が君を狙っている。
 今すぐに私と一緒にここを出るんだ!」
読子「えっ! で…でも本が!!」
バンコラン「そんなものは全部置いていけ! 気の毒だが
 大好きな本に囲まれて過ごす日々もしばらくはお預けだ」

???「困りますねバンコラン少佐、彼女を勝手に連れて行かれては……」

読子「ジョーカーさん!?」

161 名前:紙使い再び!!:04/08/19 20:13

読子「今日は本当にお客さんの多い日ですね〜」
ねねね「――んなこと言ってる場合かっ!!」

ジョーカー「ええ、また会えて私も嬉しいですよ、読子」

ショー・カーペンター、またの呼び名を通称:ジョーカー。
元大英図書館特殊工作部の責任者であり、貧民層からのしあがり、
若くして英国の影の支配者ジェントルメン直属の部下として、
英国海軍やMI6の責任者と肩を並べるまでに上り詰めた男である。
ジェントルメン復活計画による英国の世界支配を企てたが
かっての仲間であった読子や、アニタら紙使い三姉妹の活躍によって阻止され、
それを最後に表舞台からは姿を消したはずであったが―――

ねねね「あんた、ジュニアにジェントルメンの人格の一部を注入されて、
 廃人になったんじゃなかったの!?」
ジョーカー「お久しぶりです菫川先生。それが不思議なものでしてね、
 こうして今も私はぴんぴんしているんですよ」
バンコラン「ジョーカー……ジェントルメンの寵愛をいいことに
 大英図書館を私物化し、女王陛下の名誉に泥を塗った野心家め!」
ジョーカー「これはこれは…言ってくれますね、バンコラン少佐。
 ですがその言葉、そっくりそのまま貴方にお返しします。
 この私こそが英国を最も心から愛しているのです。そうですね――
 貴方にはあのマリネラの豚まん国王の腰巾着のほうがお似合いですよ」

バンコラン「――言うな!!(汗」

ジョーカー「さあ読子、いや“ザ・ペーパー”、一緒に来てもらいましょうか」
ねねね「ちょっと、今更センセに何の用なのよ!?」
アニタ「相変わらずいけ好かない奴だね!!」
読子「ジョーカーさん、事情は分かりませんが、前にも言ったとおり
 もう二度とその名で呼ばれるつもりはありません。帰ってください」
ジョーカー「そう言うだろうと思ってました。まあ仕方ありませんね」

ジョーカーが指を鳴らして合図すると同時に、地球連邦軍の兵士らしき
大勢の男たちが銃を構えて踏み込んで来た。しかもその男たちは全員
ティターンズの制服を身に付けていたのである。

読子「……!! ジョーカーさん! ティターンズと手を組んだんですか!?」
ジョーカー「ええ、甚だ不本意でしたがね。これも全て貴女が悪いんですよ」
ねねね「何勝手なこと抜かしてんの!!」

その時……!!
突然国会図書館の屋根に衝撃と共に大穴が開き、
そこから強烈な突風が吹き荒れた。

ジョーカー「な、何事だ!?」

162 名前:紙使い再び!!:04/08/19 20:16

蒼軌「先生、それにバンコラン少佐もご無事でしたか!?」
バンコラン「君は…!!」
ねねね「蒼軌さんじゃないの! どうしてこんなところへ!?」
蒼軌「訳は後です! 早く今のうちに、あそこから脱出を!」
アニタ「なんかよくわかんないけど、行くよっ、マー姉!」
マギー「うん…!!」

アニタとマギーは特大の紙飛行機を瞬時に作り、
全員でそれに乗り込む。

ティターンズ兵A「待て貴様ら! 逃がさんぞ!」
アニタ「アイツら追ってくるよ!」
譲刃「行けっ、犬鬼!!」

譲刃の掛け声に反応した犬鬼が
ティターンズ兵たちに猛突進をかける。
犬鬼は一定の能力者以外にはその姿が見えないため、
敵を錯乱して脱出時間を稼ぐには充分だった。

ジョーカー「何をしている!!」
ティターンズ兵「わ、わかりません! 何がなんだか…!!
 う…うわあああっ!??」
ジョーカー「……逃げられましたか。仕方ありません。
 次の手を打つとしますか」

163 名前:紙使い再び!!:04/08/19 20:19

無事に逃げ延びた読子たちは……

***東京上空・紙飛行機の中***

譲刃「犬鬼、ごくろうさま!」
犬鬼「わんっ!」
アニタ「へぇー、立派でかわいい犬じゃん」
譲刃「……!!」
アニタ「…ど、どしたの??」
譲刃「あなた…犬鬼が見えるの!?」
アニタ「み、見えるって……見えるも何も普通にここにいるじゃん。
 ねえ、マー姉?」
マギー「うん、確かに目の前にいる……犬が一匹」

最初にびっくりした目つきでアニタとマギーを見つめたかと思ったら、
今度はいきなり涙目になる譲刃。

ねねね「コラッ、あんたたち女の子を何泣かしてるの!!」
アニタ「違うったら。この人がここにいる犬が見えるとか見えないとか
 変なこと言うからさあ」
ねねね「犬? 犬なんてどこにいるの?」
アニタ「――ええっ!?」

ねねねには犬鬼は見えないらしい……。

譲刃「ち、違うんです。ごめんなさい。わたし…犬鬼が見える人に
 また会えて嬉しかったから、つい――」
ねねね・アニタ・マギー「……???」

読子「危ないところを助けて頂いて、どうもありがとうございました」
バンコラン「しかし三輪長官が失脚した今でも、あれだけの数の
 ティターンズ兵がまだ日本に潜伏しているとは……正直油断がならんな」
蒼軌「困りましたねえ……」
バンコラン「ここはひとつ、剣総理を頼ってみるか」
ねねね「そ、総理大臣!?――」


●ジャミトフ→ジャブローの司令部を引き払って、
 ティターンズ主力部隊を率いて地球連邦首都ダカールへと向かう。
○読子・リードマン→国会図書館内書庫にて大好きな本に囲まれ
 悠々自適な生活を送っていたが、ティターンズと結託した大英図書館残党に
 襲われたところを、蒼軌たちに救われ脱出する。
○アニタとマギーには犬鬼の姿が見える。

【今回の新規登場】
○猫井譲刃(Χ -エックス-)
三峰神社の出身の女子中学生で「天の龍・七つの封印」の一人
○犬鬼(Χ -エックス-)
譲刃に憑き、彼女を守る眷族神の犬神
○アニタ・キング(R.O.D -THE TV-)
紙使い三姉妹の三女
○マギー・ムイ(R.O.D -THE TV-)
紙使い三姉妹の次女
○読子・リードマン(R.O.D -READ OR DIE-/-THE TV-)
元大英図書館特殊工作部員・産休代行教師(担当・世界史)
コードネーム:第16代ザ・ペーパー

164 名前:紙使い再び!!:04/08/19 20:20

(シナリオ終了・次シナリオに続く)

165 名前:名無し客:04/08/21 15:20

***東京・首相官邸***

桃太郎「全てを見通す眼の書の写本…?」
読子「はい。たぶんジョーカーさんたちは、それを狙ってきたんだと思います……」

MI6のバンコラン少佐に案内され、一時的に首相官邸へと
身を寄せることになった読子たち一行。

桃太郎「そんなものが存在していたとは……。
 しかし大英図書館の特殊工作部が画策した、ジェントルメンの復活計画は
 貴女方によって阻止されたと聞いている。それにジェントルメンの人格と
 英知を移植した書物は全部で7冊あったとも……」
バンコラン「しかし人類創世以来、数十万年以上の年月を生きていたと言われ、
 イギリスだけでなく、世界政治をもほぼ自分の手のひらの上で動かして来た
 ジェントルメンの膨大な知識は、影からの世界支配を目指す地球教にとっては、
 たとえ一冊の……それも原本ではなく写本であっても、喉から手が出るほどの
 欲しい代物のはずだ。おそらくジョーカーはそれを手土産に地球教に取り入り、
 まんまとティターンズが政権を掌握した後での地球連邦政府内における
 英国の発言権を強めるつもりなのでしょう」
桃太郎「なるほど、事情はよく分かりました。それで読子・リードマン、
 貴女はその写本の在り処を知っていらっしゃる?」
読子「………」
桃太郎「知っているのであればどうか正直に話してほしい。
 今私たちはナチュラルとそうでない種族との間に争いを起こそうとしている
 悪しき勢力と戦っています。ここでその写本が地球連邦政府を影で操ろうと
 する輩の手に渡れば、また戦争で多くの血が流されるかもしれない。
 我々はそれを何としても阻止したい!」
読子「わかりました。そういうことであればお話します。
 ただ…わたしも詳しい場所までは解らないんですが……」

166 名前:名無し客:04/08/21 15:21

***スマートブレイン本社ビル地下・流星塾施設***

アークオルフェノク「………」

眠りについているオルフェノクの王の傍らで
冴子の不気味な笑い声が暗闇に木霊する……

ロブスター 「…必ずアナタを甦らせて見せるわ…そう、
 例え仲間を犠牲にしてでも…フフフフ…」
北崎「ふ〜ん、あの時の僕みたいにかい?」
ロブスター「……!!」

オルフェノク最強のエリート集団ラッキー・クローバーの一人、
リーダー格の北崎である。しかし、冴子に動じる様子はない。

ロブスター「北崎君……それに琢磨君も。
 …フフ、会いたかったわ。今までどうしていたの?」
北崎「この禿がここの場所を教えてくれたんだよ……」
琢磨「……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル」
ロブスター「あら、琢磨君。また北崎君にいじめられたのね?
 貴方が悪いのよ。王が健在のうちに人の姿と心を捨てなかったから……」
北崎「王様なんていらないよ。だって、この世で一番強いのは僕なんだから。
 僕さえ居れば…王様が居なくても人間を充分殲滅できる……」

北崎はドラゴンオルフェノクに変化した。

ロブスター「…やるつもりね。いいわよ、相手をしてあげるわ。
 ちょうど私も王復活の糧となる、力強い命がほしかったところなの……」

龍人態となって一気にスピード勝負に出たドラゴンオルフェノクに対し、
ロブスターオルフェノクも1分間に300突きの眼にも止まらぬサーベルさばきで
応戦する。王の力で完全なオルフェノクへと進化を遂げているロブスター
オルフェノクは、もはやドラゴンオルフェノクとも単体で互角以上に
戦えるところまでパワーアップしていたのだ。

村上「――やめなさい!!」

騒ぎを察知して駆けつけてきた村上は浮遊してエネルギー球を放ち
二人を牽制、両者の乱闘を鎮めた。ドラゴンオルフェノクも北崎の姿に戻る。

ロブスター「村上君!?」
北崎「……ねぇ、やっぱり嘘をついていたんだね。冴子さんも王様も
 ちゃんとここにいるじゃない」
村上「その件については素直に謝りましょう。しかし北崎さん、
 実際に戦ってみて、今の冴子さんの力がお分かりになったでしょう?
 これこそがまさに王の力です。王が再び目覚めれば、貴方も今以上に
 もっと強くなることが出来る」
北崎「………」
村上「ここは私に預けて頂きます」

そこへ村上の部下がやって来る。

村上の部下A「社長、至急お耳に入れたいことが――」
村上「わかりました。すぐに戻ります」

167 名前:名無し客:04/08/21 15:24

***同本社ビル54階・社長室***

村上「全てを見通す眼の書の写本が、この日本に…?」
村上の部下A「はい、間違いありません」
村上の部下B「すでに旧大英図書館の人間が日本に潜伏しています。
 社長、この事をグランショッカー本部の他の邪将の方々には……?」
村上「無論、伏せておきなさい」
村上の部下A「しかし……」
村上「我々の敵は人間だけではありません。言うまでもなく、
 グランショッカー上層部の権力闘争は熾烈を極めています。
 わざわざ余計な情報を出して妨害工作を招くことはありません。
 あなた方は直ちに全てを見通す眼の書の写本の捜索を開始し、
 いかなる手段を用いても必ず写本をここに持ち帰ってきてください。
 あれは王の復活には絶対に必要なものです」
村上の部下A「かしこまりました」
村上の部下B「直ちに」

部下たちが社長室から退室して行った後、
村上は席を立ち、窓から外の景色を一人眺める。

村上「いずれ、遅かれ早かれナチュラルどもは全て滅びることになるでしょう。
 そしてその後に、今度は超生命体同士の生存競争――次期世紀王の座をめぐる
 新たな戦いが始まる。その戦いに勝利するのは我々オルフェノクだ。
 まもなくコーディネイターの故郷であるプラントも我々の手中に。フフフフフ……」


***再び、同本社ビル地下・流星塾施設***

ゴージャスな男「冴子さん、私をお呼びで…?」
ロブスター「話は聞いていたわね? 私はまだしばらくここを動くことは出来ないわ。
 あなたは私の代わりに村上君の部下と協力して、必ず全てを見通す眼の書
 写本を手に入れてくるのよ。私たちオルフェノクの王のために……」
ゴージャスな男「承知しました。冴子さんにご指名いただき身に余る光栄。
 必ずや首尾よくご期待に……」


●大英図書館の狙いは、全てを見通す眼の書の写本。
○読子・リードマン→首相官邸で全てを見通す眼の書の写本に関する
 情報を提供する。
●北崎→琢磨に口を割らせ、王と影山冴子の居場所を突き止めるが、
 村上の仲裁で一旦は矛を収める。
●村上峡児→部下たちに全てを見通す眼の書の写本の奪取を命じる。
 その本には王復活に必要なデータが記されているらしい。
 そしてプラントにもスマートブレインの魔の手が伸びつつある!?
●ロブスターオルフェノク→ソードフッシュオルフェノクに
 村上の部下たちと協力して写本の捜索に参加するよう指示。

【今回の新規登場】
●村上の部下A=ライノセラスビートルオルフェノク(仮面ライダー555)
●村上の部下B=スタッグビートルオルフェノク(仮面ライダー555)
●ゴージャスな中年の男=ソードフィッシュオルフェノク(仮面ライダー555)

168 名前:名無し客:04/08/22 12:24

***東京・神田神保町・トトブックス***

ここは読子が常連客でもある、会員制の秘密の古書店である。

バンコラン「このビルの地下にこんな本屋があったとは……」
読子「驚きましたか? 以前、大英図書館に追われているときも
 ここのご主人には大変お世話になったんです」
バンコラン「――で、ここの主人に写本を預けてあると」
読子「はい……。ジェントルメンさんの復活を阻止して
 大英図書館が崩壊するどさくさに紛れて偶然写本を見つけて、
 また何かに悪用されたりすると大変だから、日本に持ち帰って
 処分しようとしたんですが……思ったより頑丈に出来てて……」
バンコラン「焼却その他、いろいろ試したが無理だったと……」
読子「はい……。それで仕方がないので、ここのご主人にお願いして
 どこか他の場所に隠してもらったんです。二度と人目に触れないように……」

そして二人はカウンターへと着く。
店主は背を向けながら、飼い猫のマイケルを抱いている。

店主「おお、お前さんじゃったかい。元気そうだな」
読子「お久しぶりです」
店主「そちらのお方はイギリス人のようだが……?」
バンコラン「彼女が貴方に預けたという、全てを見通す眼の書の写本の
 隠し場所を至急教えてもらいたい。あれを狙っている悪い奴らがいる」
店主「それはここにはない。CLAMP学園に預けた」
バンコラン「CLAMP学園だと……?」


***CLAMP学園***

ここは将来の日本を支える優秀な人材を輩出すべく、
(真の目的は神威の神剣を安置・封印するために…)
日本有数の財閥・妹之山家によって創設された『CLAMP学園』。
神保町に流通する古書の情報に通じ、国会図書館の副館長はじめ
幅広い人脈を持っていたトトブックスの店主は、
独自のコネを通じてCLAMP学園大学文学部の研究所に
極秘に写本の保管を依頼していたのである。

バンコラン「なるほど、CLAMP学園とは考えたな。ここなら一番安全だ。
 ……で、なんでお前たちまでついてくる?」
アニタ「だってしょーがないじゃん! ねね姉からお手伝いするように
 言われてるんだから」
読子「どうもすみません……。ミシェールさんにまで
 わざわざ埼玉から来てもらって……」
ミシェール「いえいえ、どうかお気になさらないでください」
バンコラン「ついてくるのは構わんが、足手まといにだけはなるなよ」
アニタ「何だよ、その言い方! ムカつくなー!」
マギー「……でも、なんか…騒がしい」
読子「えっ…?」

それもそのはず。学園の敷地内には
なぜか大勢の警官やパトカーが出入りし、
いかにも物々しい雰囲気だったのである。

アニタ「何かあったのかも…」
バンコラン「理事長室へ急ごう」

169 名前:名無し客:04/08/22 12:26

***同学園・理事長室***

現在の理事長は、この学園の創設者でもある前理事長の血縁である
現 妹之山財閥総帥・妹之山残である。

残「ようこそいらっしゃいましたバンコラン少佐。
 剣総理から電話でお話は伺っています」
バンコラン「ところでこの騒ぎは?」
残「実は神風怪盗ジャンヌから予告状が届いたのです」
バンコラン「神風怪盗ジャンヌ!?」


――――予告状

 CLAMP学園大学文学部様

 今夜 全てを見通す眼の書の写本の美しさいただきます。

                     神風怪盗ジャンヌ――――


アニタ「……ねえ、カミカゼカイトウジャンヌって誰?」
読子「私もニュースとかで見た程度で、詳しいことは知らないんですが……
 以前、美術品を専門に盗みを働いていたドロボウさんです。知りませんか?」
アニタ「知らないよ。だってそれって、あたしたちが日本に来る前だもん」
バンコラン「しかし絵画を専門に荒らしまわっていた神風怪盗ジャンヌが
 なぜ蔵書の類……それも、全てを見通す眼の書の写本を……」
残「それはわかりません。ですがご安心を。
 当CLAMP学園のセキュリティには最新鋭のシステムが
 搭載されています。蟻の子一匹這い出る隙間もありません」

???「おおー、その声はバンコラァ〜ン!!」
バンコラン「――ま、まさかその声は!? (((((( ;゚Д゚))))))ガクガクブルブル」

バンコランがおそるおそる後ろを振り返ると……

♪ちゃんちゃんちゃちゃちゃ〜ん
 ちゃちゃちゃちゃちゃ〜ん
(ファンファーレが鳴り響く)

パタリロ「よお、バンコラン。会いたかったぞ」

_l ̄l○

アニタ「どしたの?」
バンコラン「神経性の胃炎が……」
パタリロ「体には気をつけたほうがいい」
バンコラン「誰のせいだと思っている!!」
パタリロ「怒ると血圧が上がるぞ」
バンコラン「年寄り扱いするな! 私はまだ27歳だ!!」
残「少佐、パタリロ殿下とはお知り合いだったんですか?」

たまらずバンコランは、残に事情を問いただすべく詰め寄る。

バンコラン「何でこんな奴がここにいるんですか!?」
残「まあまあ落ち着いてください」
パタリロ「ここの理事長とは世界科学者会議や世界名探偵友の会を通じて
 知り合いなのだ。今日はたまたま遊びに来ていたのだ」
バンコラン「あ、悪夢だ……」


○神風怪盗ジャンヌ→全てを見通す眼の書の写本を狙って、
 CLAMP学園へ予告状を送りつける。
○パタリロ→たまたま来日中であり、バンコランとバッタリ出会う。

【今回の新規登場】
○ミシェール・チャン(R.O.D -THE TV-)
紙使い三姉妹の長女
○妹之山残(CLAMP学園探偵団/Χ -エックス-)
CLAMP学園理事長・妹之山財閥総帥
○パタリロ・ド・マリネール八世(パタリロ!)
常春の国マリネラの国王

170 名前:獣神官ゼロス:04/08/23 11:45

〜サイド1ロンデニオン宙域 演習場〜

地球での騒動も蚊帳の外な宇宙。ロンド・ベルでは負傷したクリスとコウも何とか復帰していた。

クリス「きゃぁっ、・・・なんて加速なの!?」
コウ「くっ、なんで僕だけこんな・・・うわぁ!」

クリスの乗った新型機、Zガンダム3号機はとてつもない加速性能を示した。
たちまちコウのジム・カスタムはペイント弾で赤く染まっていく!!

クリス「悪いけど・・・これでっ!」
コウ「うわぁっ!メインカメラが!」
アムロ「すごいな・・・さすがはZガンダム。アナハイムはいつの間にあんな物を?」
二ナ「リ・ガズィ開発時に取っておいたデータを基に作っていました。他にもZシリーズは様々なエースパイロットの乗機として想定して作っています。アムロ大尉のもあるんですよ?」
アムロ「そうか・・・」

アムロ達がラーカイラムで話している間に決着は付いたようだ。

〜ラーカイラム 格納庫〜

アムロ「二人とも、お疲れ!」
クリス「ふふ・・・コウさん、昼飯おごりね。」
コウ「うぅ〜二ナ、僕の機体はまだなのかい?」
二ナ「もうすぐよ。それよりあれ、気にならない?」

二ナが指差した向こうにあるもの、それはバン達が持ってきたゾイドだった。

コウ「たしか・・・ブレードライガー、ジェノブレイカー、サイコジェノザウラーだったな」
二ナ「えぇ、アレで生きてるんですもの。興味を惹くわ」
クリス「二人とも、勢いあまってばらさないでね。あれ、生き物だから。」

苦笑いするクリス。その前には目を輝かせたコウとニナがいた。

〜サイド3・ズムシティシャアの執務室〜

シャア「それは本当か?」

シャアの罵声が響く

カイ「えぇ。月経由ですのでソースは信頼できます。」

シャアの前にいるのは、かつてのホワイトベースクルーでジャーナリストのカイ・シデンだ。

シャア「バカな、ハマーンは何を考えている!」
カイ「しかし、事実は事実です。明日にでも世界中に流れるでしょう」
シャア「木星とアクシズが手を結ぶ・・・地球にとって大きな脅威だ」
カイ「・・・確かにつたえました。それではこのへんで」
シャア「・・・あぁ。」


171 名前:獣神官ゼロス:04/08/23 12:04

アムロ「始まったか・・・」

テレビ『・・・ての人々よ、私はパプティマス・シロッコ。我々木星軍はアクシズのハマーン・カーンと和平を結ぶことにした。そし』

シロッコの演説が世界中に流れた。ロンド・ベル一行は皆ラーカイラムにてテレビを見ている。

バン「あれが・・・俺達の敵か。」
フィーネ「バン、あの人嫌な感じがする・・・」

テレビ『・・・も邪魔をする連邦の犬、偽善者ロンド・ベル隊及びスーパーロボット軍団に対し宣戦布告する!』

ブライト「ふっ、偽善者か。シロッコめ、よく言う」
アムロ「ブライト、シャアは艦隊を用意しているんだって?」
ブライト「あぁ、連絡があってな。我々もそれに加わるよう要請してきた。」
アムロ「そうか。」

テレビ『・・・皆、よく戦ってくれ!そして魂を開放するのだ!!!』
ブチッ

ブライトがテレビを切った。

ブライト「これより我々はサイド3に向かい、ネオ・ジオン艦隊に編成される。総員、第二種戦闘配置で待機!」

ラーカイラムはサイド3へと向かった。


〜木星・イオ基地〜

シロッコ「サラ、MSの降下準備は?」
サラ「万全です。先発の偵察小隊がすでに降下しています。」
シロッコ「よし。ハマーンに繋げ」

ハマーン『なんのようだ?』
シロッコ「そちらも艦隊を展開しているようだな。」
ハマーン『あぁ。ぬかりはない。』
シロッコ「そうか。作戦は伝えてあるな?ではオペレーションメテオと同時期にMS部隊をダカール、北米、日本に降下させる。」
ハマーン『・・・了解した。我々は貴様らの留守を預かろう。』
シロッコ「わかった。武運を祈る」

シロッコ「サラ、ドゥガチに連絡を入れろ。イオを離れるなとな。」
サラ「分かりました。」

ハマーン「どうだ?ジュドー。これがお前達がやってきた戦争の空気だ。」
ジュドー「・・・あぁ。」
ジュドー(何を考えている?ハマーン・カーン)

○クリス、コウ復帰。クリスに新型機、Z3号機が。
●木星・アクシズ軍宣戦布告。降下作戦開始。
○サイド3にロンドベル艦隊(名目上はネオ・ジオン艦隊)集結。

【新規参戦】
○カイ・シデン(機動戦士ガンダム)


172 名前:名無し客:04/08/24 00:18

***グランショッカー・GOD大神殿***

巨大な玉座に、数十メートルの体躯を持つ鋼の巨人が
座っている。その傍らに控えるアポロガイスト、
そして跪いて指令を受けているGOD悪人軍団・カブト虫ルパン、
カメレオンファントマ、クモナポレオン。

キングダーク・マグナ(声は呪博士)
「……全てを見通す眼の書の写本……ローズオルフェノクめ、
我々GODの情報網をあなどってもらっては困る。
悪人軍団よ、写本を奪取せよ。私はグランショッカー全科学者の
頂点に立ち、そして次期創世王候補に名乗りをあげる!!」
カブト虫ルパン「お任せくださいキングダーク様、必ずや
オルフェノクどもの裏をかき、写本を手に入れてみせましょう」
カメレオンファントマ「怪盗ジャンヌ……噂によれば、オルレアンの
聖女ジャンヌ・ダルクの生まれ変わりとか。怪盗を名乗っているものの、
セーラー戦士や愛天使の同類と思われます」
クモナポレオン「我々3名と同じくフランスに源流を持ち、転生体という点でも
我々悪人軍団とは光と影の関係……なおさら生かしてはおけませんな」
アポロガイスト「……失敗は許されんぞ。写本の奪取が最優先、オルフェノク
に感づかれたら奴らも口封じせよ」
クモナポレオン「そういうアポロガイスト室長、貴殿こそバンコラン少佐の
名を聞いて血がたぎっておられるのではないかな?」
アポロガイスト「……何?」
カメレオンファントマ「我々は悪人怪人だ、神話怪人ではない。余計な口は
はさまないでもらおう」
アポロガイスト「貴様ら……!!」
キングダーク・マグナ「よさぬか、馬鹿者ども! お前達は皆、GOD総司令に
忠誠を誓っていることに変わりはない……」
一同「ははぁ!!」

173 名前:名無し客:04/08/24 02:03

***グランショッカー第4基地***

シロッコの演説を聞いているミケーネ新生7大将軍の
ガルマ・ザビと、もう一人は……。

ガルマ「シロッコめ、やはりハマーンと組んだか。まあいい、グレミーが
ジュピトリアン内で工作を行うには思いのほか十分な時間があった」
ガトー「ハマーンが、このままグレミーを…かつて自分を裏切った
男を放っておくとは思えませんが?」
ガルマ「それも計算のうち……ジュピトリアン軍でハマーンとグレミーが
内紛を起こすもよし、ジュピトリアンと連邦の全面衝突で消耗し合うも
よし……それにグレミーは色々と知りすぎてしまった。そろそろ潮時かも
知れん……フフフ、ジャミトフ、ブレックス、シロッコの内誰か一人でも死んで
くれれば……その時が我々の収穫祭だ(邪笑)」
ガトー(変わられたな、ガルマ様──)

ガトーの表情が曇ったのを見たガルマ、笑いながらグラスにワインを注ぐ。
ガルマ「そう浮かぬ顔をするな、ガトー。貴官の宿敵──コウ・ウラキとの
決着はいずれつけさせてやる。私自身、シャアへの復讐を忘れたわけでは
ないさ、ハハハ……。さて、シロッコ版オペレーション・メテオの顛末、
しかと見届けさせてもらおう!」

***東京・国会議事堂・地下***

丁姫の前に集まった面々──岡長官、嵐山長官に加え、
戸隠流第三十四代宗家・山地哲山武神館々長、
疾風流総帥・日向無限斎忍風館々長、
隠流総帥・軍師白面郎こと鶴姫家当主・義輝、
風魔流の相談役である真言宗達心寺住職・帯庵和尚、
そして哲山や故・天堂無人の師である忍者界の最長老・戸隠白雲老師!

丁「……覚羅殿の意思を継ぎ、よくぞ集まってくれましたね。お礼を申します」
白雲「丁姫と御前様は長年の同志……何を遠慮なさることがありましょうや」
義輝「我ら、流派を超越し──全宇宙の平和のために尽力する所存」
哲山「有志の世界忍者たちも立ち上がってくれております」
帯庵和尚「……我が風魔流が烈風一派に乗っ取られた際は、他の流派の
方々には大変な苦しみを与えてしまった……」
岡長官「いや、それは甲賀流とて同じこと。暗闇忍堂の暴走を抑えきれなかった
のは我らの不徳……」
白雲「いやいや、我が戸隠流の祖・果心居士様の邪悪なる側面が陰忍軍を
伴い復活した時には、風魔流鬼組の活躍に助けられた。お互い様じゃよ」
丁「これからは異なる種族の者たちが手を取り合っていかねばならぬ世──
そのための影となって、力をお貸しください……」

●呪博士=キングダーク・マグナ、配下の悪人怪人に写本の奪取を
命じる。怪人たちは怪盗ジャンヌの抹殺にも意欲を示す…。
●ガルマをはじめグランショッカー幹部、ジュピトリアンとヒーロー連合、
ティターンズの三つ巴を静観、漁夫の利を狙う。
○丁、忍者界の重鎮たちにヒーローたちの支援を要請。
忍者界の指導者であった故・覚羅とは旧知の間柄だった様子。

【今回の新規参戦】
●キングダーク・マグナ(仮面ライダーX/半オリジナル)
GOD大幹部・呪博士のもう一つの姿、ミラーモンスターマグナギガの能力を
コピー。
●クモナポレオン(仮面ライダーX)
●カブト虫ルパン(仮面ライダーX)
●カメレオンファントマ(仮面ライダーX)
GOD悪人軍団所属・悪人怪人
●"ソロモンの悪夢"アナベル・ガトー少佐(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
元デラーズ・フリート士官、現在はガルマ・ザビの副官としてグランショッカーに参加
○戸隠白雲(忍者キャプター)
戸隠流忍軍長老、キャプターチーム指導者
○山地哲山(世界忍者戦ジライヤ)
戸隠流忍法第三十四代宗家、武神館々長、山地三兄弟の父
○日向無限斎=元ハムスター館長(忍風戦隊ハリケンジャー)
疾風流忍法総帥、忍風館々長、日向おぼろ博士の父
○軍師白面郎=義輝(姓不明)(忍者戦隊カクレンジャー)
隠流忍法宗家、ニンジャホワイト・鶴姫の父
○帯庵和尚(スケバン刑事V)
風魔忍軍長老、風間三姉妹の後見人

174 名前:獣神官ゼロス:04/08/24 20:54

〜地球近海・ジュピトリス〜

サラ「オペレーション・メテオ・・・ですか?」
シロッコ「そうだ。過去に反連邦過激派のコロニー郡が行った隕石に偽装してガンダムを降下させる作戦だ。」
サラ「確かに今回の作戦も隕石を落とす物ですが、・・・失礼ですがあまりにも量が・・・」

今回、シロッコが地球に降らせた隕石の数は数百を超える。中には大気圏で燃え尽きたりするほどの小さな物も含まれている。

シロッコ「無論、本命はわずか1割だよ。それもニューヨーク、東京にしか下ろさん。」
サラ「では、我々がダカールへ?」
シロッコ「あぁ。だが、私は行かん。行くべきところがあるのでな。指揮はグレミーに任せてある。そろそろ行け。」
サラ「しかし、グレミーは信頼できるのでしょうか?」
シロッコ「あの男のことだ。そぶりを見せたら・・・」
サラ「・・・わかりました。サラ・ザビアロフ、これよりグレミー指揮下に入り地球に降下します!」
シロッコ「武運を祈る。」

〜サイド3宙域〜

ロンド・ベル艦隊とネオ・ジオン艦隊は集結していた。

シャア「ブライト、シロッコが地球に下りるそうだな。」
ブライト「あぁ、だが連邦の動きは鈍い。地球のヒーロー達はあてにしたいが・・・」
アムロ「なに、彼らならやってくれるさ。俺達は今のうちに木星を叩く!」
シャア「そうだ。ブライトこれだけ集まれば十分だ。木星へ進路をとれ!」
ブライト「わかった。全艦に通達!これより我々ロンド・ベル及びネオ・ジオン艦隊は木星圏へ進路をとり、
木星、アクシズ両軍を攻略する作戦を展開する!作戦名、「ジュピター・プロジェクト」発動!全艦、ラーカイラムにつづけぇ!」

○木星軍、降下作戦開始。
●「ジュピター・プロジェクト」始動。ロンド・ベル、ネオ・ジオン艦隊木星へ

175 名前:怪盗は予告状とともに:04/08/28 11:29

***CLAMP学園大学文学部・貴賓室***

何やら話をしているパタリロとバンコランの二人。

バンコラン「さっきテレビのニュースを見ただろ。いよいよ木星軍が
 地球に降下して来るつもりだ。一部地域では既に連邦軍との戦闘も始まって
 いるらしい。お前も一国の王なら、こんなところで油を売ってないで、
 緊急の事態に備えてとっととマリネラに帰ったらどうだ?」
パタリロ「そういうな。ぼくもティターンズには恨みがあるんだ。
 奴らの邪魔ができるなら何でも協力するぞ!(ニコニコ)」
バンコラン「……もうじき真夜中の0時だな」


***同大学文学部・蔵書研究所棟***

CLAMP学園の敷地内は静かな闇に包まれていた。
学園の厳重な警備網を潜り抜け、屋根伝いを走る一人の少女――日下部まろん。
その肩には、小さな正天使フィン・フィッシュを乗せていた……。
フィンは、まろんを怪盗ジャンヌにした人物である。
いや、正確には神がまろんを怪盗ジャンヌにしたのだ。
まろんは人間界に逃げてきた悪魔たちを回収するために
神に選ばれた少女なのである。

まろん「あれの建物がそうね」
フィン「気をつけてまろん。あの写本からは禍々しい邪気が出てる。
 それに引き寄せられて、周囲に幾つかの邪悪な気配も感じるよ。早く終わらそう!」
まろん「そうね」

暗闇の中に大きな光が現れて、そこには『怪盗ジャンヌ』の衣装を身に包んだ
まろんがいた。

ジャンヌ「怪盗ジャンヌ! 神に遣われ、ただ今参上!」


○怪盗ジャンヌ→写本奪取のため、CLAMP学園に侵入。

【今回の新規登場】
○日下部まろん=怪盗ジャンヌ(神風怪盗ジャンヌ)
桃栗学園に通う16歳の女子高生・ジャンヌダルクの生まれ変わり
○正天使フィン・フィッシュ(神風怪盗ジャンヌ)
準(堕)天使より昇格・怪盗ジャンヌのパートナー

176 名前:怪盗は予告状とともに:04/08/31 02:56

***CLAMP学園大学文学部・蔵書研究所棟内***
ジャンヌ「ゲーム・スタート!」

セキュリティに関しては一国の要塞並みの堅固さを誇るCLAMP学園。
しかし、神の加護を受けたジャンヌの能力の前には児戯にも等しく、
次々と破られていくトラップ。

ジャンヌ「ううん、あたしじゃない……あたしたちの前に、誰か
来てる!」
フィン「それじゃ……セキュリティは奴らが……きゃっ!」

何かにぶつかり、墜落しそうになるフィン。
──屈強な警官が、ぬっと立っている!

フィン「で、出た……!」

慌ててジャンヌの背後に隠れるフィン、そっと警官の様子を伺う。

ジャンヌ「……死んでる……!」

警官の首が、胴体からはなれてゴロリと落ちた。

ジャンヌ&フィン「〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

必死で互いの口を塞ぎ、悲鳴を押さえ込む2人。
だが次の瞬間、暗闇に放たれた白い糸が、フィンの身体を
捕え、ジャンヌから引き離す!

フィン「きゃああ!?」
ジャンヌ「誰っ!?」

???「Bonsoir……お嬢さん」「ヒヒヒヒ……」「フッフッフ……」

暗闇の中から姿を現わす3つの異形の影。
1人は18世紀の仏軍将帽子を被った蜘蛛人間、
1人はシルクハットとマントを纏った甲虫人間、
そして今1人は全身を鱗で覆ったカメレオン人間!

「GOD悪人軍団・クモナポレオン!」「カブト虫ルパン!」
「カメレオンファントマ!」

ジャンヌ「ルパンにファントマ…怪盗世界の大先輩にお会い出来て光栄…
なんてことは言えないみたいね」
フィン(宙吊り)「ジャンヌ、気をつけて、こいつらが話に聞くグランショッカー
みたい!」
ジャンヌ「うん……フィン、今助けてあげるからね!」

リボンを構え、怪人たちに対峙するジャンヌ。

***同大学文学部・貴賓室***

携帯で会話中のバンコラン。

バンコラン「ああ……あんたか、バロン(男爵)……そうか、
分かった、ここは任せておけ……何だって? ……とりあえず、
援軍が来るんだな、分かった。ああ(切)」
パタリロ「……知り合いにポテトサラダか煮っ転がしでもいるのか?」
バンコラン「どこの世界に電話で話す男爵芋がいるか!!
……まあ、確かに変わった知り合いではあるが。今も、『ミカエルのお導き
により天使と白悪魔が手を組むことになった』と連絡をよこして来た……
ワケがわからん」
パタリロ(ふ〜〜〜ん、色々動いているようだな)

その様子を、部屋の隅でじっと見つめている──2つの赤い眼のついたバケツ!

***同大学文学部・蔵書研究所棟内***

ジャンヌ「チェェック・メイト!!」

魔なるものを封印する力を帯びたチェス駒が、怪人たちに向けて
放たれる! が……

クモナポレオンの投げたシルクハットが駒を切断し、向こう側にいたジャンヌの
肩をも切り裂く! 飛び散る赤い血。

ジャンヌ「あうっ!」

なおもクモナポレオンの糸が、カメレオンファントマの舌が、
カブト虫ルパンのギロチンハットが、執拗にジャンヌを追いつめる!

フィン「そ、そんな……神のバリヤーが破られるなんて!」
クモナポレオン「あいにくでしたな、小さなお嬢さん。我々は
悪魔ではない……我々もまた、『GOD』!」
フィン「あう……ち、力が……吸い取られる……!」

クモナポレオンのエネルギー吸収糸によって衰弱していくフィン。

ジャンヌ「フィン!!」
カメレオンファントマ「スキ有り!」

姿を消し、瞬間移動でジャンヌの背後に立ったカメレオンファントマ、
舌が伸びてジャンヌの首に幾重にも巻きつく!

ジャンヌ「……あぐ……っ……う……」

クモナポレオンの糸も容赦なく浴びせられ、がんじがらめにされるジャンヌ。

ニヤリと笑うカメレオンファントマ、苦しむジャンヌの髪からリボンを
引き抜く。変身がとけ、まろんの姿に──。

カブト虫ルパン「Au revoir……とどめだ!」
まろんの眉間めがけて投げられるギロチンハットは、しかし空中で
別方向から飛来したブーメランに弾かれた!

カブト虫ルパン「な……何者っ!?」

「怪盗シンドバッド、参上!」

ジャンヌ=まろんの危機を救ったのは、準天使アクセス・タイムを
引き連れた怪盗シンドバッド!

カメレオンファントマ「生意気な小僧め、動くな! 動くと小娘の命はない!」
まろん「くう……っ!」
カメレオンファントマ「おとなしく……グエ!?」

しかし…言ったそばから革のベルトで後頭部を打ち付けられ、悲鳴をあげて
まろんを離すカメレオンファントマ。続いて、

???「魔力・稲妻!!」

室内に突如発生した雷撃により、まろんのエネルギーを吸収していた
蜘蛛の糸も焼き切られる!

不動明「ヘヘ、可愛い子ちゃん相手に大の男が3人も、みっともないぜ」
メフィスト(弟)「フン、まあ…報酬のチョコレート分だけやらせてもらうぜ」

アクセス(フィンの糸を切りながら)「大丈夫か!? 遅くなって…ゴメン」
フィン「な、何とか(へろへろ〜)…そ、それよりあのヒトたちって
まさか…((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
アクセス「そう、元魔王ゼノン親衛隊のエースにして『アモン』の
称号を持つ勇者…そしてファウスト博士に仕えたメフィストフェレス兄弟の弟…」
フィン「何で大物悪魔がこんなところにいるのよ〜〜〜!」

カメレオンファントマ「く…こんな奴らに構っていられるか、俺は写本を
奪う!(消)」
クモナポレオン「こ、こら、抜けがけはゆるさん…お、おのれ!」

シンドバッドに助け起こされ、咳き込みながらも立ち上がるまろん。

まろん「ち、稚空……」
シンドバッド「まろん、ここは彼らに任せて先を急ごう…写本を狙う敵は
まだいる!」
まろん「うん……!」
シンドバッド(フクロウ男爵や南雲さんたちが間に合ってくれればいいが……)

メフィスト「全く、兄貴も甥っ子も、見えない学校の仕事が忙しいとか
言って面倒くさい仕事を押し付けやがる。まさか天使どもの手伝いとはな」
カブト虫ルパン「ええい、何をごちゃごちゃと……地獄大使に似ているからと
言って容赦はせんぞ!」
クモナポレオン「死ねっ!」

クモナポレオンの糸が、不動明に絡みつく。だが余裕の表情の明。

明「へー、お前の術はこんなものかい。じゃあ俺のも見せてやる、
デッビィィィィィル!!

(BGM:デビルマンのうた)
不動明の服が破け、一回り大きな悪魔人間──デビルマンの姿に変わる!

●GOD怪人、警備の警官たちを皆殺しにしてジャンヌを待ち伏せ。
○怪盗ジャンヌ、GODの怪人に襲われて危機に陥るも
駆けつけたシンドバッドたちによって救われる。
○デビルマンとメフィスト弟、シンドバッドに協力してクモナポレオン・
カブト虫ルパンと戦闘。
●カメレオンファントマ、1人戦線離脱し写本を奪いに行く、後を追う
まろん(一旦変身解除)とシンドバッド。
○今回の共闘には大天使ミカエル(と啓示を受けた王忍フクロウ男爵)と
ファウスト博士の意図が……?

【今回の新規参戦】
○名古屋稚空=怪盗シンドバッド(神風怪盗ジャンヌ)
まろんの同級生で両思い・船乗りシンドバッドの生まれ変わり?
○準天使アクセス・タイム(神風怪盗ジャンヌ)
黒天使より昇格・怪盗シンドバッドのパートナー
○デビルマン=勇者アモン=不動明(デビルマン)
元デーモン族親衛隊・名門学園に通う高校生
○シラーサルタン・モメット・メフィスト(悪魔くん(実写版))
悪魔メフィストフェレス兄弟の弟・2代目悪魔くん=山田真吾のパートナー
兄はメフィスト老・甥はメフィスト2世(悪魔くん(原作版/アニメ版))

177 名前:怪盗は予告状とともに:04/09/01 22:30

***蔵書研究所内・書庫***

全てを見通す眼の書に書き綴られた
かっての英国の影の支配者ジェントルメンの英知と人格の
一部をそっくりそのままコピーした写本は、
同研究所内の最重要機密専用区画の中心に
透明のケースに入れられ厳重に保管されていた。

アニタたち紙使い三姉妹は、ここで網を張って
写本を狙ってくる怪盗ジャンヌの到着を待ち構えていたが……

アニタ「さっきからずっと待ってるのに、全然来ないじゃん」
マギー「外の方が…何か…騒がしい……」
ミシェール「向こうで何かあったのかしら…?」

そこへ警官が一人やって来た。

警官「ご苦労様です」
ミシェール「あの、何かあったんですか?」
警官「予告どおり怪盗ジャンヌが現れました。
 念の為に写本を速やかに別の場所に移動するよう、
 CLAMP学園理事長より指示がありました」
マギー「本当ですか……?」
警官「急ぎますので失礼します」

警官はケースから写本を取り出すと
焦ったようにすぐさまその場から立ち去ろうとするが、
なんとそこへCLAMP学園理事長・妹之山残その人が
駆けつけて来た……!!

残「騙されてはいけません! その警官は偽者です!」
アニタ「え――っ!?」
ミシェール「何ですって!!」
残「警備に当たっていた警察の方は、残念ながら皆さん…
 侵入したグランショッカーの怪人と思しき賊の手にかかって……
 だからそいつは偽者です!!」

残に指摘された警官は正体を現した!

カメレオンファントマ「ば〜れ〜た〜か〜!!」
アニタ「ゲッ…!! 化け物!?」
ミシェール「賊は怪盗ジャンヌだけじゃなかったのね!?」
カメレオンファントマ「その通りだ! こうなれば小娘ども!
 そこのCLAMP学園の理事長と一緒に死んでもらうぞ!」
アニタ「やれるもんならやってごらん!!」

素早い動きで紙を投げつけ、カメレオンファントマの体を切り裂く攻撃の三女アニタ、
敵の攻撃を排除しつつ姉妹たちを守り、相手を撹乱する防御の次女マギー、
防御・攻撃をオールマイティにこなす司令塔の長女ミシェール。
マギーが両者の援護をし、次々紙の矢を番えるミシェールが敵を叩き、
アニタが床を落としてさらに敵にダメージを与えるという見事な連携プレーである。
衝撃で持っていた写本をうっかり落としてしまうカメレオンファントマ。
それを残がすかさずキャッチする。

残「写本は僕が安全なところに。あとは頼みます!」
カメレオンファントマ「うぬぬぅっっ…しまったぁっ!!」
ミシェール「わかりました! ここは私たちに任せて早く!」

178 名前:怪盗は予告状とともに:04/09/01 22:33

写本を持って研究所の建物の外へ出た残。
しかし何か様子がおかしい……??

残?「ククク……馬鹿なお嬢さんたちだ。
 二度も同じ手にひっかかるとは……」

妹之山残そっくりの姿をしていたその人物は、
光の屈折率を正常に戻して本来の姿へと戻る。
この男の名はミラーマン。大英図書館特殊工作部員である。
光の屈折率を変え、のどに音声を変えるシールを張ることによって、
他人に別の人物と思わせる能力を持っているのだ。

ミラーマン「あいにくと変幻自在に化けれる能力者は他にもいるんだよ。
 どうして怪盗ジャンヌやグランショッカーまでもがこの写本を狙っていた
 のかまでは知らないが、ともかくこれで目的は達した。Mr.カーペンターも
 お喜びになるだろう。早いところずらかるか……」


●カメレオンファントマ→警官に化けて写本を奪取しようとするが、
 正体を見破られて、紙使い三姉妹と戦闘に突入。
●ミラーマン→妹之山残に化けて、まんまと写本を横取り。
 果たしてこのまま逃げてしまうのか!?

【今回の新規登場】
●ミラーマン(R.O.D -THE TV-)
大英図書館特殊工作部員・ジョーカーの配下
※某二次元人の父と地球人の母との間に生まれたヒーローとは別人。

179 名前:怪盗は予告状と共に:04/09/06 01:19

***文学部・貴賓室***

バンコラン「何か起こったな…我々も書庫へ向かうぞ」
パタリロ「僕もか?」

その時、床に転がっていたバケツがフッと消えたのには、さすがの2人も
気づかなかった……。

***蔵書研究所前***

ミラーマンがその場から立ち去ろうとした、その時!
銃弾が彼の足元を掠めた!

ミラーマン「だ、誰だ!」

驚くミラーマンの前に立ちはだかる3つの──異形の影。

(BGM:勝利だ!アクマイザー3)
ザビタン「俺の名はザビタン!」
イビル「イビル!」
ガブラ「ガブラ!」

ミラーマン「貴様ら、人間ではないな……!」

それぞれ手にしたサーベルを掲げ、キィン!と合わせる3人。
ザビタン「うなれ、ジャンケル!」
「アクマイザー・3!!」

ミラーマン「……非ナチュラルの化け物か!」
イビル「あいにくと変幻自在に化けられる非ナチュラルは他にもいるでござるよ」
ガブラ「兄さん、大人しゅうそれ、渡してくれんか? 人間に危害は加えたぁ
ないからな」
ザビタン「写本を渡してくれれば、あなたの身の安全は保障する」
ミラーマン「く、なめたマネを……」

別方向から飛んで来た手裏剣が、ミラーマンの腕に刺さる!

ミラーマン「ぐわっ!?」

馬のひづめの音が響き、取り落とされた写本をすれ違いざまに回収する!

ミラーマン「き、貴様……王忍フクロウ男爵!」

そう、ガンダムファイターと並ぶ世界各国の護り手として
人々に語られる世界忍者の1人──英国忍者・王忍フクロウ男爵!

フクロウ男爵「アクマイザーの諸君、Thank you for 足止め。
これ以上我が王室の恥を世界に晒すわけにもいかないのでね、Mr.ミラーマン。
大天使ミカエル様の命により、写本は守り抜く!」

ミラーマン「……」

○逃げようとするミラーマン、アクマイザー3によって包囲され、
王忍フクロウ男爵によって写本も奪取される。
(ここで状況おさらい:バンコラン・パタリロ・紙使い三姉妹たちは
写本のガード、ジャンヌとシンドバッドは写本の封印が目的、
王忍フクロウ男爵やデビルマン・アクマイザー・メフィストらは
シンドバッドの依頼で写本封印に協力、大英図書館・GOD・SB社は写本
の奪還を目指す)

【今回の新規登場】
○南雲健ニ=ザビタン(アクマイザー3)
悪魔三銃士・アクマイザー3のリーダー・
アクマ族(悪魔を崇拝する地底国ダウンワールドの住人。多くは
サイボーグ化されている)の父と人間の母との間に生まれた半ナチュラル・
普段は東都タイムズ記者
○イビル=イビルッチョ(アクマイザー3)
純血のアクマ族・バケツやコップに変身
○ガブラ=ガブラッチョ(アクマイザー3)
純血のアクマ族・ダチョウ型に変身
○王忍フクロウ男爵&愛馬十字号(世界忍者戦ジライヤ)
イギリス忍者・十字軍騎士の末裔

180 名前:怪盗は予告状とともに:04/09/06 12:46

フクロウ男爵「……!?…こ、これは!!」
ザビタン「どうしたんだフクロウ男爵?」
フクロウ男爵「この写本…本物によく似せてはいるが、真っ赤な偽物だ」
ミラーマン「な、なんだとっ!?」
ザビタン「おそらくこの学園の理事長が、万一の場合に備えて
 誰にも内緒であらかじめ本物とすり替えておいたんだろう…」
イビル「そういえば、この写本からは蠅の魔王の禍々しい邪気が
 全く感じられないでござる」
カブラ「敵を欺くにはまず味方から…っちゅう奴やな」
ミラーマン「……チッ、偽物ならもはや用はない」

いきなり上空に所属不明のヘリコプターが現れ、
それから降ろされた縄梯子につかまり逃げていくミラーマン。

イビル「むむっ、逃げるでござるか!」
フクロウ男爵「深追いはするな。それより我々も急ごう。
 おそらく本物の写本はあそこに……」


***同学園・理事長室***

GOD悪人怪人の襲撃を辛くも逃れた、
再びジャンヌに変身したまろんとシンドバッドは、
写本から発する微かな邪気を頼りに理事長室へと辿り着いた。
しかし、それまでに特に妨害らしい妨害は何もなかった……。
中へと踏み込んだジャンヌとシンドバッドを
本物の妹之山残、そして彼の小学生時代からの腹心である
鷹村蘇芳と伊集院玲も一緒に迎え入れる。

残「お待ちしていましたよ。怪盗ジャンヌさんに怪盗シンドバッドさん」
ジャンヌ「貴方は…!?」
残「申し遅れました。僕はここの理事長を務めている妹之山残といいます」
玲「お目当ての写本はここに用意してあります」
ジンドバッド「どういうつもりだ? 何かの罠か!?」
蘇芳「よせ。こちらに抵抗の意思はない」
残「失礼かとは思いましたが、貴女――怪盗ジャンヌの以前の活躍については
 事前に調べさせてもらいました。ジャンヌによってターゲットにされた
 人々はいずれも人格に何らかの変調をきたしていて、ジャンヌに
 所有している美術品を盗まれた途端、皆、優しい心を取り戻している……」
ジャンヌ「………」
残「この写本は貴女にお預けします。それが一番よい方法だと思うのです。
 僕の勘なんですがね。それでよろしいですね、読子・リードマンさん」

残に同意を求められ、同じ理事長室内の
奥の席に待機していた読子が進み出る。

読子「はい、そうしてください。私もその方が一番いいような気がします」
フィン「な、なんだかよくわからないけど……」
アクセス「とりあえず上手くいったみたいだな。ラッキーだぜっ♪」
ジャンヌ「ありがとう理事長さん!」

魔なるものを封印する力を帯びたチェス駒が、
全てを見通す眼の書の写本に向けて放たれる!

ジャンヌ「チェェック・メイト!!」

181 名前:怪盗は予告状とともに:04/09/06 12:47

理事長室前の廊下に隠れて、その一部始終を
見聞きしていたゴージャスな中年の男……。

ゴージャスな男「チッ……写本奪取は失敗か。
 残念だが戻って冴子さんに報告しなくては……」

そして学園内の各場所で戦っていたGOD悪人怪人たちも、
直感的に事態の変化――すなわち写本奪取作戦が失敗に終わった事を
察知した。

カブト虫ルパン「くっ……!!」
クモナポレオン「おのれ、しくじったか! だがこれでどちらにしろ、
 もうスマートブレインの手に写本は渡らん。フフフ……」

カメレオンファントマ「オルフェノクどもの邪魔が出来た以上、
 目的は半ば達した。もはや長居は無用。さらばだ小娘ども!!」

姿を消し、撤退していくGOD悪人怪人たち。

アニタ「こら〜! 逃げるな〜!!」


一方、その頃……

***上空のヘリの中***

ミラーマン「よく来てくれたな。助かったぞ。……こ、これはっ――!?」

大英図書館が救援に差し向けたヘリの中に逃げ込んだミラーマンであったが、
なんと操縦席のパイロットは、衣服のみを残して灰化していた。
そして背後に怪しい人影が2つ……!!

ミラーマン「――だ、誰だお前たちは!?」
村上の部下A「命が惜しければ大人しくしろ」
村上の部下B「このままお前のボスのところまで案内してもらおうか」


***再び、CLAMP学園***

フィン「――!!」
ジャンヌ「どうしたの、フィン?」
フィン「……そんな…! おかしいよジャンヌ!
 写本は確かに封印したのに、蠅の魔王(ベルゼブブ)の邪気がまだ完全に消えてない!」
シンドバッド「蠅の魔王(ベルゼブブ)の遺伝子の記述は、
 今封印した写本に書かれていたんじゃなかったのか?」
フィン「ううん…確かに写本から蠅の魔王(ベルゼブブ)の気配は消えたよ。
 でも、どこか遠くの…別の場所からまだ感じるの!!」
ジャンヌ「なんですって!?」

残「蠅の魔王ベルゼブブ…??」
読子「――まさか、ジョーカーさん……!!」


○王忍フクロウ男爵によって取り返された写本だったが、
 それは元々学園側で用意していた偽物だった。
○怪盗ジャンヌ→理事長室で妹之山残から本物の写本を渡され、
 封印を完了する。これには読子も同意。写本の中の全記述は跡形もなく
 消え去り、全くの白紙となった。
●GOD悪人怪人、それと影からこっそり一部始終を見届けたゴージャスな男は
 写本奪取失敗を悟り撤退。
●村上の部下たち→大英図書館のミラーマンの逃走用ヘリをジャック。
 そのままジョーカーの居場所まで案内させる。
●写本が封印されたにも関わらず、蠅の魔王ベルゼブブの気配は
 まだ消えていない…??

【今回の新規登場】
○鷹村蘇芳(20面相にお願い!!/学園特警デュカリオン/CLAMP学園探偵団/Χ -エックス-)
妹之山残の側近・忍者の血統を受け継ぐ鷹村一族の長男
○伊集院玲=怪人20面相(20面相にお願い!!/学園特警デュカリオン/CLAMP学園探偵団/Χ -エックス-)
妹之山残の側近

(シナリオ終了・次シナリオに続く)

182 名前:名無し客:04/09/07 16:49

それから、翌朝……

***東京・首相官邸***

桃太郎「――では、怪盗ジャンヌとシンドバッドは
 その後すぐに姿を消したと…?」
残「はい、その通りです。蠅の魔王という謎めいた言葉を残して……」
桃太郎「蠅の魔王……<ベルゼブブ>か。バンコラン少佐、
 何か心当たりは?」
バンコラン「さあ……残念ながら私にも何のことなのかさっぱり……」
フクロウ男爵「それはMeから説明しよう」
一同「――!!」

官邸内の応接間に突然姿を現す王忍フクロウ男爵。
世界忍者の彼にとって、官邸の門も塀も、そして厳重なセキュリティも
最初から無いものに等しく、こうして易々と中まで入って来れたのだ。

バンコラン「なんだ、バロン(男爵)か…」
桃太郎「少佐のお知り合いで?」
バンコラン「……まあ、確かに知り合いではありますが」
フクロウ男爵「剣総理、そして妹之山会長。Meは王忍フクロウ男爵。
 お目にかかれて光栄だ」
桃太郎「その名前は戸隠流の山地哲山先生から聞いたことがある。
 君が王忍フクロウ男爵か」
フクロウ男爵「バンコラン、これからする話は、神も仏も宇宙人の存在も信じぬ
 筋金入りの現実主義者であるYouにはどうせ信じてもらえないだろうから、
 聞き流してもらって結構だ。実はあの写本には蠅の魔王<ベルゼブブ>に関わる
 恐るべき記述がなされてあったのだ」

フクロウ男爵は剣総理たちに事情を説明し始めた。
一方、その頃……


***飛騨高山・古びた山荘***

ここは人里離れた飛騨高山の奥地にある、
長い間ほとんど使われずに寂れた山荘である。
建物の中にはいろんなメカや装置が所狭しと設置されている。
大英図書館のジョーカーたちは、ここに潜伏していた。

ジョーカー「フフフ…全ては貴方のおかげですよ、ミスター高岡。
 貴方が私の頭脳をコンピューターと合体させてくれたおかげで、
 私はこうして廃人の淵から蘇ることが出来た」
高岡「喜んでいただけたのであれば、こちらも言うことはない」

ジュニアによってジェントルメンの膨大すぎる量の知識を自身の脳に注入され、
脳髄に破綻をきたし廃人同然となっていたジョーカーだったが、
特捜救急警察ソルブレインを憎む悲しき青年天才科学者・高岡隆一と出会い、
その高岡の手によりコンピューターとの合体改造手術を施された事で
常人の脳には収まりきらないジェントルメンの英知を許容し、
正常な状態を取り戻したのである。

高岡「私が英国留学中の際には、大英図書館にもいろいろお世話になりましたからな。
 それで、例の写本の奪取とやらは上手くいきますかね」
ジョーカー「CLAMP学園に派遣したエージェントには、
 奪取が困難な場合はせめて写本が敵対者の手に渡る前に
 破却・消去せよと命じてあります。なぁに、仮に写本が奪還できなくとも
 ティターンズとの取引に必要な知識は全てココにありますから……」

ジョーカーはそう言って、自分の頭を指差してみせる。

183 名前:名無し客:04/09/07 16:51

山荘入り口の扉が開いた……。

ジョーカー「……!」
ウェンディ「ミラーマン…?」

ミラーマン「……………」

玄関の外にはミラーマンが立っていた。

ジョーカー「戻りましたか。で、首尾は?」
ウェンディ「どうしたの? 黙っていては解らないじゃない」
ミラーマン「グ……グブッ………グオオ…………」
ジョーカー「――!!」

ミラーマンはジョーカーたちの目の前で、
たちまち一瞬のうちに灰化してしまった。
悲鳴を上げるウェンディ。

ウェンディ「キャアァァ――!!」
高岡「どういうことだ、これは!?」
ジョーカー「この手口は……」

驚く暇もなく、胸に黒薔薇のコサージュをつけた
屈強な黒服の男二人が土足で踏み込んで来た。
ウェンディはすぐに銃を構える。

ウェンディ「止まりなさい! 動くと撃つわよ!」
村上の部下A「どうぞご自由に、お嬢さん。
 そんなオモチャでは我々に傷一つつけることも出来ない」
ウェンディ「えっ…!?」
村上の部下B「――フンッ!!」

片方の黒服の男の指が触手のように自在に伸び、
ウェンディの体を強く弾き飛ばした。

ウェンディ「キャアァァ――!! くっ……」
ジョーカー「やはり……。およしなさいウェンディ君。どうやらここで
 悪あがきしても無駄な抵抗のようです」
ウェンディ「ジョーカーさん……!!」
村上の部下A「さすがは英国紳士は物分りがよろしいようだ」
ジョーカー「……それで、オルフェノクが一体我々に何の用です?
 私はオルフェノクの皆さんに別に恨みを買うような覚えは……いや、
 ティターンズと手を結んでいる以上、全くないとも言い切れませんが、
 少なくとも我々は彼らの掲げる非ナチュラル排斥主義などには
 最初から興味も関心もありませんよ」
村上の部下A「そんなことはこちらも最初からどうでもいい」
村上の部下B「大人しくご同行願いましょう。それから高岡隆一、
 貴様にはグランショッカー巨獣軍から捜索依頼が来ている。
 お前にも我々と一緒に来てもらうぞ」
高岡「なにっ…!?」

184 名前:名無し客:04/09/07 16:54

***再び、東京・首相官邸***

桃太郎「なるほど、あの写本にはそのような記載があったのか……」
フクロウ男爵「すでに写本にあった記述は怪盗ジャンヌによって
 封印・消去されたので、そちらの方は安心してほしい。
 人類創世以来、数十万年以上の年月を生きて来たジェントルメンの
 膨大な知識の中には、それこそ神と魔の世界に関わるものも含まれている。
 それがよからぬ者の手に渡ることだけは阻止しなければならなかったのだ」
桃太郎「大方の事情は了解した。それで、頼みとは?」
フクロウ男爵「怪盗ジャンヌと怪盗シンドバッドの二人には、
 当分の間、司直の手が伸びないようにお取り計らい願いたい」
バンコラン「馬鹿な。泥棒が盗みを働いているのを黙って見逃せと?」
フクロウ「怪盗ジャンヌと怪盗シンドバッドは決して私利私欲で
 盗みを働いているのではない。彼らが狙うのは、人々に不幸をもたらす
 魔性の力を帯びた品々だけだ!」
バンコラン「しかし……」

暫し無言で考え込んでいた桃太郎だったが……

桃太郎「わかりました。警視庁の冴島総監には私から話をして、
 無理なお願いを聞いてもらうことにしよう」
フクロウ男爵「I appreciate. Prime minister you.(感謝します。首相閣下)」
バンコラン「ところで総理、その後ジュピトリアンの動向の方は?」
桃太郎「連邦宇宙軍からの連絡によると、どうやら木星軍は
 ニューヨークとここ東京を狙っているらしい。住民の避難は既に
 完了しているが…」
バンコラン「まだグランショッカーによる攻撃の傷も癒えていない内に、
 シロッコの真の狙いは一体……」

185 名前:木星軍地球降下作戦!!:04/09/07 16:56

***地球連邦宇宙軍・月基地***

ムネタケ「いやはや……。今回の騒ぎで連邦軍も連邦内部も
 ガタガタですな」
秋山「ま、当然でしょう」
コウイチロウ「で、ジュピトリアンの動きは?」
ジュン「はい! 敵・木星軍は現在火星極冠遺跡を占拠。
 そこを拠点に地球そのものに大規模攻勢をかけて来ており、
 シロッコの演説に同調する者が続々と集結中です」
ムネタケ「地球連邦の非主流派の国々やコロニーも
 非公式ながら支持の動きがあります」
コウイチロウ「宇宙軍からは同調しようにも、今は出払っちゃってて
 人がいないからねえ……」
ムネタケ「よかったですナ」
ジュン「よくありません!」


***地球・大気圏防衛ライン***

地球連邦宇宙軍と木星軍との間には、既に戦端が開かれていた。
木星軍は大艦隊を持って攻略戦を展開しており、
圧倒的な火力の木星軍艦隊の前に地球側の防衛ラインは撃破され、
いよいよ東京とニューヨークめがけてバグの詰まった
隕石が多数投下されようとしていた。

グレミー「地球連邦宇宙軍と言えどもロンド・ベル隊がいなければ、こんなものか。
 ふふ、アムロ・レイがいなければ手こずることはない!」
ギリ「…でもナデシコCは健在か。ネオ・ジオンの強化人間も案外だらしないな」
グレミー「なにっ…!?」
ギリ「まあいいさ。丁度いい具合に連邦宇宙軍は宇宙海賊も出してきている…。
 ナデシコと一緒にマザー・バンガードも沈めてやるよ!」
グレミー「全軍、隕石の大気圏突入を援護しろ。愚かな人類に裁きを下してやれ!」


***ナデシコC・ブリッジ***

木星圏へと向かったロンド・ベル隊に代わって、
尚も木星軍艦隊をギリギリのラインで迎え撃つナデシコCとマザー・バンガード。
艦内に警報が鳴り響く。

ルリ「どうしました、ハーリーくん?」
ハーリー「2時の方向より新たに識別信号無しの機体群が接近中!
 機体の軌道パターンから、木星帝国のモビルスーツと思われます!」
ルリ「先にこちらを叩く気かも…。総員、第1種戦闘配置についてください」


***マザー・バンガード ブリッジ***

ベルナデット「あれは…!?」
トビア「間違いない。あの隕石には全てバグが詰まっている…!
 あれで東京とニューヨークの住民を皆殺しにする気か!?
 ベルナデット、僕もΧ3で出る…!」

186 名前:木星軍地球降下作戦!!:04/09/07 16:59

トビアが“クロスボーンガンダムΧ3”を、
サブロウタが“スーパーエステバリス”をそれぞれ駆り、
次々に敵機と投下されたバグ隕石を屠っていく。
激戦の中、トビアは、ギリの搭乗する“クァバーゼ”と対峙する。

ギリ「久しぶりだね、海賊少年。少しは腕を上げたかい!?」
トビア「――ギリ!!」
ギリ「ふふ…そういえば総統の娘は元気かな? あの艦に乗ってるんだろ。
 目ばかり大きくて、あまり僕の好みじゃないけど…
 もう2、3年もすれば色っぽくなるだろうから…クックック」
トビア「――!! お前だけは絶対に許さぁぁぁぁん!!!」

その時トビアは、ギリの指揮する死の旋風隊に庇われるような形で
別のバグ隕石が多数通過し、大気圏を突破していくのを確認した。

トビア「くそッ、しまった――!!」


***ナデシコC・ブリッジ***

ハーリー「艦長!!」
ルリ「ディストーションフィールド出力最大、ルート確認。
 これよりナデシコCはバグ隕石を追って地球に降下します。
 各員、最終チェックよろしく」

ルリは落ち着き払って指示を出す。

オペレーターA「通信回路閉鎖」
オペレーターB「生活ブロック準備完了」
オペレーターC「エネルギー系統OK」
オペレーターD「艦内警戒態勢、パターンB。フィールド出力も異常なし」
ハーリー「フェルミオン・ボゾン変換順調、艦内異常なし、
 レベル上昇、6、7、8、9……」

ルリ「じゃんぷ」


○フクロウ男爵→剣総理に蠅の魔王<ベルゼブブ>について説明する。
 そして、怪盗ジャンヌとシンドバッドに警察の手が伸びないように
 根回しを要請する。
●ミラーマン→村上峡児の部下であるオルフェノクたちに殺される。
●ジョーカー、ウェンディ→スマートブレインに誘拐される。
●高岡隆一→ジョーカーたちと一緒に連行され、
 グランショッカー巨獣軍に身柄を引き渡された模様。
○ナデシコC→奮戦むなしく地球へ投下されたバグの隕石を追って、
 東京へボソンジャンプする。

【今回の新規登場】
●高岡隆一(特救指令ソルブレイン)
ソルブレインを憎む天才科学者
●グレミー・トト(機動戦士ガンダムΖΖ)
ギレン・ザビの試験管ベビー ※デキン公王の落胤説もあり。

187 名前:平和の裏の戦争:04/09/07 22:48

〜サイド3・政権特区〜

ここはサイド3の政治家やゲスト達の居住区である。

真司「暇だぁぁ〜っ!」

大きな伸びをする真司

蓮「まったく・・・呼び出されてきた物の結局何も無しか。」

同じく暇そうに答える

優衣「しかたないでしょ、戦争が始まっちゃったんだから。それにボーっとしてるならリュウガの情報でも探して来たら?」
真司「ってもなぁ〜探せって言われても探しようが無いし」
蓮「ミラーワールドに安易に入るわけにも行かないしな・・・」
優衣「ふぅ〜暇ねぇ・・・」

優衣は一つあくびをしながらいった。


〜木星圏・イオ基地周辺〜

ロンド・ベル、ネオ・ジオン艦隊はジュピトリアンと交戦状態に入っていた

どうんっ!

オペレーター「敵砲撃、かすめましたぁ!」
ブライト「くっ、何をしている!対空砲火、もっと狙いを集中しろ!左舷、弾幕薄いぞ、なぁにやってんの!」

通信が入る。Hi−νで先行していたアムロだ

アムロ『ブライト!最終ラインを抜けた、これより基地内部に突入する!』
ブライト「了解した。大佐の部隊はどうした!?」
アムロ『シャアなら予定通りイオから離れた。コウも一緒だ』
ブライト「わかった。よーし総員に告ぐ、突入隊の支援をしつつ、シャア大佐と合流する!ここはアムロたちに任せればいい!」

ブライトの号令を合図に一艦、また一艦と進路をそらしていく。敵は総崩れ状態だ。

188 名前:恐るべき真実:04/09/07 23:07

イオ基地周辺はすでに決着が付いていた。ブライトは残った艦を集めシャアと合流しようとした。
イオ基地にはアムロたち少数部隊が残っている。

〜イオ基地・内部〜

中は広く、MSが歩けるほどだった

アムロ(おかしい・・・守りが薄すぎる・・・)
カミーユ「アムロさんどう思いますか?」
アムロ「わからないな・・・君はどう思う?」
クリス「あの・・・こういう場合って爆弾とかおいてませんか?ほら、わざと撤退して敵を基地ごと叩くってやつ」
カミーユ「ありえなくはないですね・・・」

アムロ、カミーユ、クリスの三人による一小隊はイオ内部を進んでいった。しかし、敵らしい敵とは遭遇しなかった。

アムロ「まて、生体反応だ・・・近いぞ」
クリス「あ、あれ!」

クリスの示す方・・・そこには大きなフラスコのような容器がある。その中に居るのは・・・

アムロ「バカな・・・クラックス・ドゥガチだと・・・?」
クリス「え?あれが・・・ジュピトリスの親玉?」
カミーユ「厳密には違うがそうだ。あれが、倒すべき敵だ。」
ドゥガチ「来たか。話すことは何もない。死ね」

突然、辺りが光に包まれる!

アムロ「くっ、二人とも、外へ出るんだ!」
カミーユ「自爆するとは・・・ウェブライダーで脱出します!アムロ大尉はZの上に!」
ドゥガチ「・・・教えてやろう。所詮私はドゥガチのうちの一人でしかないのだよ・・・」
クリス「何・・・?なんですって・・・」
                              ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
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                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
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○イオ基地、爆発。
○ネオ・ジオン隊、ロンド・ベル隊共に木星本国へ

189 名前:名無し客:04/09/08 01:20

***グランショッカー・GOD大神殿***

アポロガイスト「愚か者どもめ! まんまとスマートブレインに
出し抜かれおって!」
クモナポレオン「な、何だと!?」
カブト虫ルパン「確かに写本の奪取にこそ失敗したが、
奴らの妨害には成功したはず!」
アポロガイスト「……写本は確かに封印された。だが、原本が復元され、
おそらくそれはスマートブレインの手に……」
カメレオンファントマ「アポロガイスト、何故お前にそれが分かる!?」
アポロガイスト「……それをお前達が知る必要はない!」
カメレオンファントマ「何〜〜〜っ、貴様……!」
カブト虫ルパン(前から妙だと思っていたが、呪博士も総司令=大首領陛下も
何故アポロガイストを特別扱いするのだ……?)

キングダーク・マグナ「……今は争っている場合ではない……
聞けばローズオルフェノクは巨獣軍とも関係を深めている様子……
彼奴等の様子を探るのだ!」

***CLAMP学園・理事長室***

妹之山残たちと話をしているフクロウ男爵。

フクロウ男爵「……ジャンヌの話を聞く限り、いずこかでジョーカーが
Rebornしていることも……」
残「蠅の魔王<ベルゼブブ>……あの写本にそんなものが……」
フクロウ男爵「いや、それだけでは無い。古代、ソロモン王が封印した
魔王たちの遺伝子のうち、いくつかは復活してしまっている可能性がある」
玲「……それにしても、いいんですか? 話によると、怪盗ジャンヌは
聖女ジャンヌ・ダルクゆかりの女性で、あなたは十字軍騎士の末裔──
デビルマンやメフィスト、アクマイザーと共闘なんかして」
フクロウ男爵「アクマイザーの3人はダウンワールドを大魔王、いや、
邪神ガルバーの支配から解放している。デビルマンやメフィストにしても、
出自はどうあれ、人類のために戦う同志に変わりはない」
残「これからどうされるんです?」
フクロウ男爵「私は他のヒーローたちと連絡をとり、大英図書館の動きを
探ってみようと思う。デビルマンはマジンガー軍団と、アクマイザーは
仮面ライダー諸氏とつながりがあるからな」
蘇芳「そうか…闘破さんや鶴姫殿にもよろしくな」
フクロウ男爵「了解した……See You」

フクロウ男爵、退出する際に玲とすれ違う。そして玲にしか聞こえない声で──
おそらく忍法を使ったのだろうが、蘇芳にも気取られず──ささやく。

フクロウ男爵「……Mr.魔天郎やMr.ジゴマがよろしくと……」
玲「……!!」

190 名前:名無し客:04/09/08 01:48

***グランショッカー・巨獣軍本部***

高岡「……なるほど、錚々たる面々と言うわけか」

連行された高岡を出迎えたのは、暗黒大魔神サタンゴースの
一子・マッドギャラン。黒いサングラスを外し、にこやかに
高岡を迎える。
彼だけでは無い──『海坊主』、最強のバイボーグであるマッドガルボ、
相変わらずキャンディーを舐っている帯刀龍三郎、そして
科学者・甲斐拓也のクローンであるシャドー!

高岡「──桐原氏の姿が見えないようだが?」
マッドギャラン「……そこまでご存知なら話は早い。ミスター高岡、
あなたにはぜひ我々──新生サタンゴース軍団『ブラディ・メタリオン』
の専属科学者となっていただきたい。人間どもに対する復讐心は我等とて
同じ……」
高岡「……私に、死神博士やドクターマンと張り合えと?」
マッドガルボ「ええい、何を悠長な……我々に協力すればよし、さもなくば
死だ! 返答いかに?」
帯刀「やだなあ、ガルちゃん……そんな怖い顔したら高岡くんだって困るでしょ?」
海坊主&シャドー「……」

○フクロウ男爵、玲のもう一つの顔を知っている様子。
●アポロガイストにも何らかの秘密が……。
●グランショッカー巨獣軍の要、ブラディ・メタリオン
(歴代メタルヒーローのライバルで構成。かつての
マッドギャラン四天王に相当。帝王ゴッドネロス=桐原は顧問的存在らしい)
が姿を現わす。
高岡に巨獣軍の科学部門を引き受けるよう依頼。高岡の返事は……?

【今回の新規登場】
●狂戦士マッドギャラン(巨獣特捜ジャスピオン)
暗黒大魔神サタンゴースの息子・巨獣帝国の実動部隊=マッドギャラン軍団の
司令官
●海坊主=戦士サイコラー(宇宙刑事シャリバン)
犯罪エスパー組織マドー首領・魔王サイコの分身
●Jキラー・マッドガルボ(機動刑事ジバン)
犯罪組織バイオロン幹部・バイボーグ
●シャドー=ブラックビート(重甲ビーファイター)
異次元侵略軍団ジャマール幹部・甲斐拓也=ブルービートのクローン

191 名前:名無し客:04/09/09 21:14

***スマートブレイン本社ビル・地下シェルター***

スマートブレインの本社ビル地下にある
外界から厳重に隔絶された一室に、
ジョー・カーペンターとウェンディ・イアハートの二人は
監禁されていたが……

ジョーカー「……!」
村上「どうもお待たせしました」

社長の村上自らが現れる。

村上「はじめまして。当スマートブレイン社・社長の村上といいます」
ジョーカー「知ってますよ。わざわざご挨拶には及びません。
 噂には聞いていましたが、飛ぶ鳥落とす勢いのスマートブレイン社が
 実はオルフェノクの巣窟というのは本当だったようですね。フフッ…」

捕われの身ながら、余裕綽々のジョーカー。

ウェンディ「私たちを一体どうするつもり!?」
村上「……いえ、あなた方をここにご招待するのに
 手荒な真似をしたことは謝罪します。私はただ単に
 ここにいらっしゃるジョー・カーペンター氏と
 直接ビジネスがしたいのです」
ジョーカー「いいでしょう。それではそのビジネスのお話とやらを承りましょう」
村上「コンピューターと合体したあなたの頭脳に収められた
 ジェントルメンの貴重な知識を、我々に提供して頂きたい」
ジョーカー「ほぉー、それはそれは……」
村上「我が社の科学力を持ってすれば、あなたの頭脳の中から
 一度は失われた全てを見通す眼の書の原本を復元することも
 決して不可能ではありません。我々のほうからジェントルメン復活のための
 新たな器となる肉体をご用意しましょう」
ジョーカー「………」
ウェンディ「なんですって!?」
村上「Mr.カーペンター、英国主導による、より良い新しき世界秩序構築こそが
 あなた方大英図書館の目的のはずです。残念ながら、かっての七つの蔵書全ての
 復元までは困難ですが、そのうち一つでも復元できれば、あなた方の理想とする
 世界実現に限りなく近づけるものと思いますが……?」
ジョーカー「確かに私共にとっても魅力的な話ですね。一度失敗した
 ジェントルメン再生計画が今度こそ上手くいくかもしれない。
 しかしだからといって、我々大英図書館がティターンズと手を切ってまで
 スマートブレインと手を結んでやらなければならない理由がどこにありますか?」

ジョーカーがそう言うと、村上は「そう来るだろうと思っていた」とばかりに
こう切り出した。

村上「いい質問です、Mr.カーペンター。いかにコンピューターと合体している
 とはいえ、所詮偉人の肉体でもないあなたにはジェントルメンの英知と力は
 到底御しきれるものではない。おそらくあなたの肉体は限界に近づいている」
ジョーカー「………」
村上「あなたに残された時間は少ない。あなたにはもう
 ゆっくり選択している時間すらないのです」
ジョーカー「わかりました。私の負けのようですね。
 この際スマートブレインに賭けさせて頂きましょう」

192 名前:名無し客:04/09/09 21:16

村上はジョーカーと握手を交わした後、
部屋から出て行ったが……

ウェンディ「よろしいんですかジョーカーさん。
 あの男が信用できるとは思えませんが……」
ジョーカー「信用できないのは仮にティターンズでも同じですよ。
 私にはあの男――村上が何を考えているのか大体見当がつきます。
 (小声で)たとえ器がオルフェノクの肉体だったとしても、
 Mr.ジェントルメンの英知さえ再び目覚めることが出来れば……」


***同本社ビル・地下シェルター・廊下***

スマートレディ「いいんですかー? ジェントルメン復活に力を貸すだなんて
 勝手に約束なんかしちゃって」
村上「フフフ……ジェントルメンの器として用意する肉体と言ったのは、
 オルフェノクの王のことです。蠅の魔王の遺伝子に関わること以外の
 データもこの際ですから王のために注入させてもらいましょう。
 王さえ復活してしまえば、大英図書館の連中も用済みです。
 どちらにしろ彼らが崇拝してやまないジェントルメンの英知とやらが
 一部でも新しい世界秩序に反映されるのですから、きっと彼らも本望でしょう」
スマートレディ「ところで社長さん、報告いたしますわ♪
 木星軍によって落とされた奇妙な隕石が、東京とニューヨークに
 近づいてるらしいですぅ〜!」
村上「ミケーネのガルマ将軍から聞いた話では、その隕石はおそらく
 カモフラージュされた対人感応殺傷兵器、バグ。いかにもあのシロッコなら
 やりそうなことですね」

廊下を歩きながら、村上はスマートレディに指示を出す。

村上「我々はこれより、スマートブレインの東京本社を放棄します!」
スマートレディ「――!! うふふふ…では社長さん、いよいよ
 勝負に出られるのね?」
村上「ええ。貴女は直ちにグランショッカーを支配される
 三柱の至高邪神への拝謁のお許しを取ってきてください」
スマートレディ「ハァ〜イ! わかりましたっ。
 これから忙しくなりそうだわ。るんるん…♪」


●ジョーカー→ティターンズに見切りをつけ、手を組む相手を
 スマートブレインに鞍替えし、全てを見通す眼の書の復元に協力。
●村上峡児→木星軍地球侵攻のどさくさに紛れて
 スマートブレイン本社ビルを放棄。スマートレディに
 グランショッカー三柱の至高邪神に拝謁するための段取りを
 整えるように命ずる。

193 名前:希望の光、神の剣:04/09/12 19:22

〜木星圏〜
〜木星攻略作戦第二段階開始数分前〜

シャア率いるネオ・ジオン艦隊はロンド・ベル隊と別行動をとり、木星帝国本国攻略のため進軍していた。

オペレーター「大佐!接近してくるMAが一機。識別信号は味方です!」
シャア「ウラキ中尉だな。連絡によれば機体は艦に入らんそうだ。横につけさせろ」
オペレーター「ウラキ中尉から通信です。モニターに映します」

レウルーラのメインモニターにコウの顔が映る。

シャア「乗り心地はどうかね?」
コウ「はっ、上々です。これが今作戦の要となると思うと居てもたっても居られないであります!」
シャア「それでいい。だが焦りは禁物だ命取りになりかねん。」
コウ「はっ!それと大佐のMSをお持ちしました。」
シャア「後で見に行く。それと・・・少し肩の力を抜きたまえ。我々はロンド・ベル同様堅苦しいのは無しだ。」
コウ「えっ・・・あっはい!」

シャアは通信を切らせ、足早に格納庫に向かった。

〜レウルーラMSデッキ〜

デッキでは整備兵が忙しく動き回っている。
ハンガーにはブレードライガー、ジェノブレイカー、サイコジェノザウラーが掛けられており、宇宙用の改修を受けていた。

シャア「3機の改修は終わったか?」
整備兵「いえ、あと数分もあればいけます。ブレードライガーは完全ですがあの2体にてこずっていまして・・・」
シャア「わかった。・・・それで、これが私のMSか。」

今目の前で搬入が行われている。真紅の装甲に身を包んだMSだ。

シャア「ナイチンゲール・・・慣れておく必要があるな。バン君を呼べ。彼には宇宙になれてもらう必要がある。」


〜宇宙空間〜

シャア「ウラキ中尉!主砲のためし撃ちは済ませたのか?」
コウ「いえ、まだですが・・・」
シャア「ならやっておこう・・・来たか。宇宙空間はどうだね?」

レウルーラからブレードライガーが発進する。その後ろからジェノブレイカーが続く。

バン「あ、あんまりなれないっ・・・うわぁ!」
レイブン「くっ・・・」

2体ともぎこちない動きだ。

シャア「初めてなら仕方ないが戦いになればそうは行かない。・・・ウラキ中尉!あの岩石だ!!」
コウ「え?・・・あっはいっ!」

ウラキの機体・・・ディープストライカーから光が放たれる!たちまち目の前の岩石は消えてなくなった。

シャア「衛星ミサイルだ。我々がレウルーラの前に出てあれらを破壊する。いいな!」

コウ「了解!」
バン「わかったぜっ・・・ってうわぁ!」
レイブン「・・・ふっ」

バンは未だに姿勢制御がうまくいかず一回転していたが、レイブンはすぐに慣れていた。
ちょうど後ろから青いジェノザウラーが発進し、ひっくり返っているところだ。

194 名前:時の涙はとめどなく・・・:04/09/12 19:49

〜木星〜

バンたちも何とかなれてきたころ、ネオ・ジオン艦隊は本格的に戦闘に突入していた。

シャア「ナナイ!指揮は任せる。ギュネイ!クェスを連れて出撃しろ!バンたちは私について来い!ウラキ中尉!作戦どおりに事を運ぶぞ!!」

それぞれの機体が戦場に散っていく。シャアは近くのエレバドやバタラを次々になぎ倒していった

バン「よし・・・いけえっ!」

ブレードライガーが敵を切り裂く!

レイブン「・・・荷電粒子砲だぁ!!」

光が敵MSを包みたちまち蒸発していく!

リーゼ「終わりだよぅ!!」

こちらでも光が辺りを包む!

シャア(おかしい・・・アクシズ軍がいない・・・)


先頭も終局に近づき、ラーカイラムも合流していた。

シャア「これより木星本国へ突入する!内部ではアクシズ軍との戦闘が予想される、十分に警戒しろ!」

ナイチンゲールの後ろにMS隊が続く!しかし・・・

〜木星・木星帝国軍本拠地〜

リーゼ「しずかだ・・・なんにもいないんじゃないのか?」
レイブン「焦るなリーゼ。・・・感じる!」
バン「どうしたんだジーク!・・・いるのか?」
ジーク「グルゥゥゥ・・・」

木星基地の最深部。そこには真っ白なMSと真っ黒なMSがいた。

ハマーン「このプレッシャー・・・シャアか!!」
???「・・・・」
シャア「ハマーン、何故シロッコと手を結んだ・・・それはそこにいるジュドーのためか?」

ナイチンゲールがキュベレイの隣・・・タイタニアを指差した。

ハマーン「・・・貴様と決着を着けに来た。」
シャア「何だと?」
ハマーン「今一度言おう・・・私の元へ来いシャア。そうすれば手を引いてやる。」
シャア「断る」

一息ついてもう一度しゃべり始めるハマーン

ハマーン「今の地球圏がどれだけ荒れているか分かるだろう?ジャミトフはそのエゴで地球を潰そうとし、結果キール・ローレンツに付け入る隙を与えた。宇宙では草壁が好き勝手に行動しパトリック・ザラは未だに争いの種を撒いている。」
シャア「それにグランショッカーは地球支配をもくろみその夢で目を多い村上峡児の危険性を知らない。」
ハマーン「ふふっ・・・分かっているではないかシャア。ならば分かるか?私の元へ貴様が降りる。この意味が」
シャア「・・・正統なるジオンの後継者による地球圏の支配・・・か?」
ハマーン「流石だなシャア。だが貴様は私を拒んだ。ならば・・・」
シャア「ならばジュドーを立てて新生ネオ・ジオンを起こす。そのために木星帝国をのっとる必要があった・・・か?」
ハマーン「そのとおりだシャア。シロッコは分かっていたようだがな。」
シャア「真意ではないな・・・?」
ハマーン「・・・」

沈黙が流れる

バン「大佐!こいつやらなくていいのか!?敵なんだろう?」
シャア「・・・」

口を挟むもバンは無視される。

ハマーン「ジュドーは返す。自身もそれを望んでいる。」
シャア「・・・ドゥガチはどこだ?」
ハマーン「イオ基地だ。アレを地球に下ろそうとしている。しっているか?イオ基地は爆破された。しかし・・・」
シャア「星そのものは死んでいない・・・ナナイ!聞えるかナナイ!!進路をイオ基地に向けろ!!ドゥガチはそこだ!早くいけぇ!!」

195 名前:最大の恐怖、最凶のMA:04/09/12 20:04

〜レウルーラ〜

シャアたちはレウルーラに戻り進路をイオ基地にとっていた

シャア「作戦は変更だ。イオ基地のドゥガチを撃つ!」
クェス「だけど大佐、あのハマーンって言う女はどうなったのさ?」
シャア「ハマーンはもともと戦う気はなかった。ただ私と決着を着けに来た。それだけだ」
ギュネイ「それで、あのジュドーとかいう奴は使えるのですか?」
シャア「今回は無理だろう。だが、彼は私以上のセンスを持っている。」

ピー

ブライト『大佐!捜索はしましたがアムロ達は・・・』
シャア「そうか。仕方ない。今は作戦を実行するまでだ。アレを地球に下ろせば人類に逃げ場は無くなる。」

シャアが全総員に対し作戦説明をする。

ブライト『作戦・・・ですか?』
シャア「そうだ。超火力による一点集中砲火だ。ラーカイラム、レウルーラを含む全艦隊の主砲、福砲及びディープストライカー、2体のジェノザウラーによる攻撃だ。」
バン「作戦って・・・呼べるのか?」
クェス「あんた!大佐を疑ってるの!?」
バン「いや・・そんなつもりじゃぁ・・・」
レイブン「・・・共和国軍がジェノを倒そうとしたときもこの作戦だったなバン。」
バン「うっ・・・」

ブライト『了解した。イオごとドゥガチを破壊するのだな。しかしアムロたちは・・・』
シャア「アムロなら心配はいらんよ。それよりもアレだ。」
ブライト『私も資料でしか見たことは無かった。だがアレが出てくるとはな。」
シャア「MAディビニダド・・・止めなくてはな。なんとしてでも」

○木星攻略作戦成功
●ハマーン撤退。ジュドー帰還。
○第二次イオ基地攻略戦開始
○イオ基地先発隊行方不明

196 名前:名無し客:04/09/13 00:12

(時間はバグ降下、イオ攻略より少しさかのぼる…)

***東京・下町***

暗い表情で下校中の学生服少年、その前に
停車する一台の高級車。その車から降りたのは──

虎丸「よう、若社長」
竹尾ワッ太「ゲ、虎丸のおっさん!」

反射的に逃げようとして、慌てて立ち止まる。

竹尾「……そうだった、もうおっさんとこに返す金も無くて、
竹尾ゼネラルカンパニーは倒産、俺は前代未聞…自己破産申請中の
中学生だったんだ」

ガックリとうなだれるワッ太の肩を叩き、破顔一笑する虎丸。

虎丸「どうでぇ、もう一旗挙げてみる気はねえか?」
ワッ太「……え?」

虎丸「破嵐財閥と旋風寺財閥から無利子無担保で資金援助が受けられる
ことになったぜ。どうだ?」

あまりに突然の、降って沸いたような申し出に、目を白黒させるワッ太。

ワッ太「ちょ、ちょっと待ってくれよ。何がなんだか……大体、
トライダーはティターンズに無理やり持っていかれちまって……
俺もその時初めて、トライダー作った技師さんが亡命異星人だって
知ったんだけど……くそ〜、トライダーさえ取られなきゃ俺だって……」
虎丸「安心しろ若社長、トライダーならティターンズから
取り戻してある……三輪の野郎が忘れていったからな」
ワッ太「本当かよおっさん! トライダーさえ戻ってくるなら
またみんなを呼び戻して……で、業務内容は?」

ワッ太の眼に、一気に光が戻る。ニヤリと笑う虎丸。

虎丸「でかい公共事業だ……相手はグランショッカー、それに地球教!」

***中央アジア・ゴビ砂漠***

灼熱の大地の上を、一匹のドーベルマンを連れた人物が歩いている。
男の身体には一切の肌の露出が無く、頭部も目深にフードを
被っているため窺うことは出来ない。

と……一台のヘリが飛来、砂地に着陸することは避け、1人の大男が
身軽な動きで地面に飛び降りる。後からもう1人の小男も縄梯子を
伝って着地。

秀麻呂「……探したぜ、剣流星」

フードの男「……その名で呼ばれるのは何年ぶりだろう……?」

男が連れているロボット犬──スプリンガーが、眼をパチクリさせて話し出す。

スプリンガー「あんたたちは一体……?」

赤石「もう1人の『剣』に頼まれ……貴様たちを迎えに来た」

流星と呼ばれた男、ゆっくりとフードを下ろす。
銀と青と赤でカラーリングされた、無表情な鉄仮面──彼の素顔が
露わになる。かつてネロス帝国と戦い──人間体への変身能力と引き換えに
帝王ゴッドネロスを倒した超人機……メタルダー!!

秀麻呂「あんたの『父親』……古賀博士とウチの塾長は
太平…(赤石の顔を見て)もとい、大東亜戦争以来の友人だったそうでな」
メタルダー「塾長……男塾塾長・江田島平八氏のことか?」
秀麻呂「そうだ……これから俺達と一緒に日本まで来てくれねーか?
我が社の持てる技術の全部をつぎ込んで、あんたを剣流星の姿に戻してやる」
メタルダー「交換条件に……僕を兵器として利用するのか?」
赤石「……フン、機械のクセに言うことは一人前だな」
スプリンガー「何だとっ!」
秀麻呂「おいおい、まだ話は終わっちゃいないぜ。……帝王ゴッドネロスが
生きていると言ったらどうだい?」
メタルダー「……!!」

***日本の某地方都市***

うらぶれた酒場のカウンターで、1人酒を飲んでいる
黒いカウボーイハットの男。

伊達「……邪魔するぞ」

カウボーイハットの男、隣に座った伊達臣人をチラリと見る。

伊達「私立探偵…早川健だな」
早川「……いかにも? そちらこそ、天下の伊達組長さんが
こんな場末に何のご用です?」
伊達「フフ、俺のことを知っているとは…さすがだな」
早川「無論、存じてますよ。覇極流の継承者にして槍の達人……」
伊達「だが、日本じゃ二番目……とでも言う気か?」
早川「……! フフフ、これは一本取られましたね。用件は何です?」
伊達「仕事の依頼に来た……ダッカーを壊滅させた腕を見込んで、な」

早川、ピュイと口笛を吹くと、帽子を目深に被りなおす。

早川「残念ながら、探偵は廃業しちまったもんでね。他を当ってください」

ツケなのか、勘定も払わずカウンターから離れようとする早川の背中に、
伊達の視線が突き刺さる。

伊達「ダッカーの背後に、地球教かグランショッカーがいたとしてもか?」
早川「……!!」
伊達「地球教、それにグランショッカーを滅ぼさぬ限り、お前の
復讐も終わるまい……早川、いや、快傑ズバット!」

197 名前:名無し客:04/09/13 01:19

***房総半島・とある釣り場***

1人の男が、釣り糸を垂れている。

その背後に音も無く立つ飛燕。

飛燕「……釣れますか?」

声をかけられた男──木野薫、驚くそぶりも振り向く様子も無い。

木野「いや……坊主だ」
飛燕「そうですか……」
木野「……青年医師会理事長がモグリ医師に何の用だ?」
飛燕「別に手術の依頼ではありませんよ。今更あなたに、
医師免許をあげる気もない……ある意味では手術かも知れませんね。
それも大手術。この世に巣食うガン細胞を根こそぎ切除する……」
木野「……グランショッカー、地球教か。確かに面白い症例だな」

***惑星ヘビーメルダー***

酒場のテーブルに向かい合って座る2人の男──宇宙海賊船
アルカディア号の艦長にして、マゾーン艦隊や機械化帝国との戦いでは
義勇軍的に活躍したキャプテン・ハーロックと
元男塾三號生筆頭にして国防省内・防衛庁長官…大豪院邪鬼!

NR@柴田秀勝「その日その夜、二人の男たちの間でいかなる言葉が
交わされたのか、知る者はいない…ある者は『二人はただ黙って
終始酒を酌み交わすだけだった』」と言い、またある者は
『最後には二人とも満身創痍の状態でヘビーメルダーを後にした』
と語っている。……いずれにせよ、この日の会見以降、アルカディア号が
明確にグランショッカーや地球教に戦いを挑んだのは間違いない…」

198 名前:名無し客:04/09/13 02:15

***中国奥地***

うっすらと靄のかかっている深山の奥深く……
岩上にて座禅を組んでいる白髪の老人。

江田島「フフフ、探したぞ東方不敗」
王大人「マスターアジア……否、シュウジ・クロス!」

老人、ゆっくりと閉じていた眼を開く。

東方不敗「……江田島平八、そして王大人……!!」

江田島「フフフ……ワシが男塾塾長・江田島平八であるぅぅ!!

東方不敗「……。
流派・東方不敗は! 王者の風よぉぉ!!

(その瞬間、滝は逆流し、空はにわかに掻き曇って稲妻が走り、
大地は激しく揺れた……!!)

○男塾OBの面々、一線を退いたヒーローたちと
(ヤン提督の残した資料から居場所をつきとめ)接触を図る。

【今回の新規参戦】
○竹尾ワッ太(無敵ロボ トライダーG7)
竹尾ゼネラルカンパニーの社長・中学生
トライダーG7のパイロット
○剣流星=メタルダー(超人機メタルダー)
太平洋戦争末期に試作された旧日本軍の秘密兵器(の一つ)・
古賀竜夫海軍少尉の人格をコピー
○スプリンガー(超人機メタルダー)
ドーベルマン型ロボット犬・メタルダーのサポートロボ
○早川健=ズバット(快傑ズバット)
私立探偵
○木野薫=アナザーアギト(仮面ライダーアギト)
無免許の天才外科医
○キャプテン・ハーロック(宇宙海賊キャプテン・ハーロック/銀河鉄道999)
宇宙海賊船アルカディア号艦長
○大豪院邪鬼(魁!! 男塾/天より高く/暁!! 男塾)
防衛庁長官・元男塾三号生筆頭
※防衛庁は国防省内の筆頭機関。正式名称は「本土防衛庁」(オリジナル設定)
○王大人(魁!! 男塾/天下無双〜江田島平八伝)
男塾塾生の案内人兼救護担当・江田島塾長の盟友
○東方不敗・マスターアジア(シュウジ・クロス)
流派東方不敗伝承者・ドモン・カッシュの師匠・
元ネオホンコン代表・先代キング・オブ・ハート

199 名前:舞い降りた悪魔・1:04/09/18 03:54

***東京都内・某遊園地***

園内の広場で、一体のヒューマノイド・ロボットが
バイオリンを演奏するかたわら、風船を売っている。
元ネロス帝国烈闘士にして今は一介のバイオリニストロボット・
ラプソディだ。

ラプソディ「はい、どうぞ。おまけしておいたからね」
子供「わーい、ありがとう」

風船を持ってはしゃぐ子供を、微笑ましげに見送るラプソディ。

???『非ナチュラル反応あり…破壊・破壊』
ラプソディ「!? ……うわあっ!?」

背後から迫る異様なモーター音。とっさにかわしたものの、
ラプソディのバイオリンを持った右腕は切断され、宙を飛んだ!!
地面に落ち、ガシャーンと壊れるバイオリン。

ラプソディ「く……な、何が……これは!?」

4mほどもある紫色の円盤が、回転ノコギリのような刃を剥き出しにして
飛来してくる。通りかかった親子連れから悲鳴があがった。

ラプソディ「……い、いけない、ここから離れなければ……!」

***SB本社ビル***

数体のショッカー戦闘員が、無人の社内を捜索している。

戦闘員A「イー!! 何も見つからない…」
戦闘員B「もっとよく探すのだ!」

バグの声『反応あり……破壊・破壊!!』

戦闘員C「イーッ!?」
戦闘員D「な、何だこれは…ギャイーッ!!」

バグのカッターによって胴を真っ二つにされる戦闘員。

戦闘員C「に、逃げろ……イーッ!?」

バグ本体から飛び出した『子バグ』が戦闘員の背中に突き刺さる。

戦闘員A・B「じ、地獄大使……救援を……イーッ!!」
バグの声『周囲にナチュラル反応無し…安全装置解除』

バグ内部の起爆装置が作動──爆発!!

大音響と共に吹っ飛ぶ、SB社のフロア。

***東京都内***

情報を交換しあうために会っていた津上翔一と氷川刑事の前にも
バグが出現する!

津上「氷川さん、下がって……変身!!」

アギト・グランドフォームに変身して戦う翔一、分離合体を
繰り返すバグに翻弄される。

氷川「おかしい…奴らは津上くんだけを狙っている…どうして僕には
仕掛けてこない?」

???「ウォォォォ!!」

アギトめがけて飛ぶ子バグの一体をヒールクロウが貫く!
爆発する子バグから危うく逃れる──仮面ライダーギルス!

アギト&氷川「葦原さん!」「どうしてここへ?」
仮面ライダーギルス「話は後だ…どうもこいつら、普通の人間は
襲わないらしい──そっちからも来たぞ!」
氷川「確か…旧クロスボーン・バンガードがこの兵器を使用した際、
親機内部には多量の爆薬が仕掛けられていたはずです!」
ギルス「それじゃ…こっちも迂闊には…」
アギト「どうすれば……!!」

***東京郊外・ロボット居住区***

ウラン「いやー、こっちこないでよ!!」

ホウキを振り回してバグを追い払おうとするが、

バグの声『破壊…破壊…』
アトム「ウランに手を出すな、えーい!」

バグを抱えて空中に飛ぶアトム。
と、バグから触手が伸びてアトムを捕獲、そのまま爆発!

アトム「うわーっ!!」
ウラン「お兄ちゃん!!」

***東京・麻布十番***

飛来したバグの大群を相手に苦戦するチェンジマン。

チェンジグリフォン「通信が入った……あちこちでBF隊やサンバルカンも
襲われてるってよ!」
チェンジペガサス「俺たちのようにアースフォースやバードニックウェーブを
浴びてる人間はともかく、それ以外の先輩たちまで…どういうことだ!」
チェンジマーメイド「たぶん、強化服に反応するようにプログラムされて
いるのよ。地球教のブラックリストに載っているヒーローは全て襲うように……
ああっ!!」

バグにスーツを切り裂かれ、火花を散らしながら倒れこむマーメイド。

チェンジフェニックス「マーメイド!」
チェンジドラゴン「くっ…負けてたまるか!」

???「シャインアクア・イリュージョーン!!」
???「シュープリーム・サンダー!!」

放出された冷気と稲妻が、チェンジマンにとどめを刺そうとした
バグの群を包み込む!

フェニックス「な、何っ!?」
ドラゴン「おお、君達は!!」

並んで立つ五人の少女たち。

セーラームーン「せっかくの日曜日なのに、町をメチャクチャにした上に
正義のヒーローさんやロボットさんたちを襲うなんて許せない!
愛と正義のセーラー服美少女戦士・セーラームーンとセーラーチームが、
月に代わってぇ!」
セーラー戦士5人「おしおきよ!!」

バグの声『非ナチュラル反応…破壊!!』
セーラームーン「ひええ、こ、こっち来たぁ!」
セーラーヴィーナス「あたしたちも地球人とはみてもらえないみたいね」
セーラーマーズ「変身したらシルバーミレニアム人ってわけ」
セーラーマーキュリー「爆破せずにやつらの動きを止めるには、電流で
メカを狂わせるか凍らせるしかないわ!」
セーラージュピター「チェンジマン、一緒に戦って!」
チェンジドラゴン「よし、一気に制圧するぞ! ペガサス、マーメイド!」
ペガサス「オウ!」マーメイド「OK!」

ドラゴン「ドラゴン・サンダー!!」
ペガサス「ペガサス・稲妻スパーク!!」
マーメイド「マーメイド・タイフーンウェイブ!!」
マーキュリー「シャボンスプレー・フリージング!」
ジュピター「シュープリームサンダー・ドラゴーン!」

次々と機能停止、氷結して落ちていくバグの群。

***東京上空***

豹馬@コン・バトラーV「パクリ兵器なんぞに負けるかよ、超電磁ヨーヨー!!」

コン・バトラーVの必殺ヨーヨーがバグを次々粉砕していく。それでも
執拗にVの頭部を狙って襲ってくるバグたち。

十三「こいつら……豹馬の腕に反応してるんか!?」
豹馬「どうもそうらしいな……!」
???「危ない! ボルテス・バズゥゥカァァ!!」

Vの頭部コクピットを潰そうとしたバグはしかし、砲弾によって粉砕される!

剛健一@「遅くなってすまん、連邦軍からボルテスをようやく取り戻せた!」
ちずる「ボルテスチームのみんな!」
豹馬「気をつけろよ、こいつら…地球人以外の遺伝子をスキャンしてやがるぜ」
バグの声『非ナチュラル反応…異星人と認識…破壊・破壊!』
健一「くっ…種族に優劣などないことが、何故分からないんだ! 超電磁ゴマァァ!」

***東京湾上***

バグの大群を迎え撃つダブルマジンガー&グレンダイザー&デビルマン
甲児@マジンガーZ「冷凍ビーム! ルストハリケーン!」
鉄也@グレートマジンガー「グレートタイフーン!!」
デューク@グレンダイザー「すまない甲児くん鉄也くん、奴らの狙いは
俺たちだけだと言うのに……」
甲児「なーに水くせえこと言ってんだよ、地球人じゃなくたって、
人間じゃなくたって、仲間には違いねーだろ!?」
鉄也「そういうことだ…それに、同じ地球人が作ったものなら、なおさら俺たち
地球人の手で叩き潰す!」
デビルマン「ヘヘ…お前達みたいな人間を見るたび思うぜ、デーモンを
裏切って良かったってな…デビルカッター!!」

***再び、某遊園地***

バグに追いかけられるラプソディ。

ラプソディ「……さあ、私だけ壊せ、他のみんなには手を出すな……!」
???「ダメだ、『命』を無駄にしては……メタルトルネード!」
ラプソディ「……!! き、君は……帰って来てくれたのか!」

バグを空高く吹き飛ばし、爆発からラプソディをかばった勇姿こそ、
数年ぶりに日本に帰国したメタルダー!!

○東京各地でバグが起動、非ナチュラルの人や人工知能を襲いはじめる。
ヒーローたちとの交戦状態に突入。

【今回の新規参戦】
●対人感応殺傷兵器・バグ(改)(機動戦士ガンダムF91)
○ラプソディ(超人機メタルダー)
元ネロス帝国戦闘ロボット軍団烈闘士・音楽ロボット
○葦原涼=仮面ライダーギルス=仮面ライダーエクシードギルス
(仮面ライダーアギト)
○ウラン(アストロボーイ・鉄腕アトム)
アトムの妹ロボット
○月野うさぎ=セーラームーン=プリンセス・セレニティ(美少女戦士セーラームーン)
十番高校に通う女子高生・超古代文明の月王国=シルバーミレニアム王女の転生体
○火野レイ=セーラーマーズ(美少女戦士セーラームーン)
T・A女学院高等部に通う女子高生・火川神社の巫女
○水野亜美=セーラーマーキュリー(美少女戦士セーラームーン)
十番高校に通う女子高生
○木野まこと=セーラージュピター(美少女戦士セーラームーン)
十番高校に通う女子高生
○剛健一&ボルテスV(超電磁マシーン ボルテスV)
ビッグファルコン・ボルテスチームリーダー・ボルトクルーザーパイロット・
ボアザン星人の父と地球人の母を持つ半ナチュラル

※前回訂正:「国防省」は地球連邦軍の出先機関=地球連邦日本ブロックの
軍事部門、「防衛庁」及び自衛隊は日本政府独自の機関。

200 名前:舞い降りた悪魔・2:04/09/18 12:18

東京各地でバグが起動、非ナチュラルの人間たちを襲い始めている中、
バグを追い、ボソンジャンプで東京上空へと現れたナデシコC。

ルリ@ナデシコC「こちらは地球連邦宇宙軍第4艦隊所属、機動戦艦ナデシコC。
 ボルテス、コンバトラー、応答願います」
健一「ナデシコ、来てくれたのか!」
ハーリー@ナデシコC「すみません! 僕たちが木星軍を
 阻止できなかったばっかりに!」
豹馬「そんなことよりも聞いてくれ!
 こいつら…ナチュラル以外の遺伝子をスキャンして
 狙いを定めて襲ってやがるんだ!」

***ナデシコC・ブリッジ***

ハーリー「――それってもしかして、ここにいる艦長や僕も当然
 狙われるってことですか!?」
ルリ「ま、そういうことになりますね。私もハーリーくんも
 生まれる時に遺伝子操作を施されたコーディネイターですから…」
ハーリー「でもなんで木星軍が、そんな地球教みたいな真似を?」
ルリ「それはわかりません。今はまずそれよりも
 目の前の敵から片付けちゃいましょう」

瞬く間に無数のバグがナデシコCを取り囲む!

ハーリー「艦長!!」
ルリ「慌てることはありません。バグがこの艦に集中してくれるなら、
 かえってその方が好都合です」

ルリは表情一つ変えず、冷静に指示を続けた。

ルリ「地上のヒーローたちを援護しつつ、
 相転移砲、及びグラビティー・ブラスト発射の準備して下さい。
 一気にバグをまとめて殲滅します」


○ナデシコC→バグがコーディネイターであるルリやハーリーを
 感知して集中的に襲ってくるのを逆手にとって、グラビティー・ブラストで
 バグの大群をまとめて倒そうと試みる。

201 名前:舞い降りた悪魔・3:04/09/19 17:49

???「…そうはさせぬ!」

ハーリー「――あれはっ!?」
ルリ「やはり来ましたか。火星の後継者…」

跳躍(ボソンジャンプ)で現れる夜天光と六連(むづら)。
ジュピトリアンに組する旧木連強硬派・草壁率いる『火星の後継者』の実働部隊、
北辰とその部下、六人衆である。

健一「何者なんだあいつらは! いきなり現れるなんて!?」
豹馬「ナデシコを狙ってやがるのか! させるかよっ!」
北辰@夜天光「一夜にて天津国まで伸び行くは、瓢(ひさご)の如き宇宙の螺旋。
 我々は、火星の後継者の影。人にして人の道を外れたる外道。
 全ては新たなる秩序の為っ!」
健一「くっ…!!」
北辰「笑止なり」

巨体のボルテスやコンバトラーよりも
明らかに小振りで機動力に勝る夜天光は迎撃を軽く掻い潜り、
今だグラビティ・ブラストの充填を終えていない
ナデシコC正面の艦橋窓に肉薄する!

ルリ「――!」
北辰「滅!」

艦橋の空気が凍りついた。
――これで、終わりか……!?
突然一条の光が天から降り注ぎ、夜天光を捉える。
次の瞬間、上空から舞い降りて来た何かが
夜天光と六連のボディを次々と切り飛ばした!

北辰「な……に……!?」

ルリ「…あれは?」
小介「あれは…あの機体は…XM-X1クロスボーンガンダム
 1号機改Hです!」
一平「――という事は、中に乗ってるのはシーブックなのか!!」

シーブック@クロスボーンGΧ1「みんな、間に合ってよかったよ」
セシリー@ビギナ・ギナ「シーブックだけではないわ」

豹馬「セシリーさんもかよ!?」
ちずる「お二人とも宇宙軍に保護されてたんじゃなかったんですか!?」
シーブック「詳しい話は後だ!」
セシリー「まずはバグを倒すことが先決よ!」

北辰「おのれ…! 思わぬ邪魔が入ったか…!
 だがまあよい。跳躍!」

ボソンジャンプして離脱する夜天光と六連。

ハーリー「艦長、バグが一斜線上に全て並びました!!」
ルリ「絶対確実に一撃でしとめます」
ハーリー「了解です。グラビティ・ブラスト充填100%、いつでも撃てます」

照準をナデシコCめがけて群がり突進してくる
バグの大編隊をロックする。

ハーリー「味方全機、斜線上から退避して下さい!」
ルリ「グラビティ・ブラスト、発射!」

あくまで冷静なルリの声を合図にグラビティ・ブラストが放たれる。

電子の妖精と呼ばれたコーディネイターであるルリが、
自らがバグにスキャンされたことを利用して、群がってきたバグを一網打尽にする
作戦は功を奏し、ナデシコに突進してきた無数のバグたちは、
皆一斉にグラビティ・ブラストの光の中で塵に変わっていく……。

ハーリー「艦長、東京各地でバグと戦っていたヒーローたち、
 宇宙で戦っていたサブロウタさん、それにニューヨークから
 それぞれ通信が入っています。市街で暴れまわっていたバグは
 大方掃討が完了し、大気圏外の木星軍も撤退したとの事です」
ルリ「了解。それでは私たちは負傷者を救護しつつ、
 大鳥島のビッグファルコンへと進路を取ります」


○ナデシコC→東京上空のバグを粗方掃討。連邦軍極東支部のある
 ビックファルコンへと向かう。
○シーブックとセシリー→バグと戦うヒーローたちに加勢すべく、宇宙から来援。
●北辰→グレミーによって地球に投下されたバグの動きを、
 地上から(おそらくはシロッコか草壁の命令で)影で援護していたが、
 ナデシコを阻止できず、戦況不利を察し撤退。
●グレミー率いる木星艦隊→地上での戦闘が終息に向かうのと
 時を同じくして突然、大気圏外から撤退。その意図は…?
○●ニューヨークでの市街戦も、アメリカ在住のヒーローたちの
 活躍で戦闘は終息した模様。

【今回の新規登場】
○峰一平(超電磁マシーン ボルテスV)
ボルテスチームの一員で、2号機ボルト・ボンバーのパイロット
○シーブック・アノー=キンケドゥ・ナウ(機動戦士ガンダムF91/機動戦士クロスボーンガンダム)
ガンダムF91元パイロット・XM-X1(F-97)クロスボーンガンダム1号機改パイロット
○セシリー・フェアチャイルド=ベラ・ロナ(機動戦士ガンダムF91/機動戦士クロスボーンガンダム)
元コスモバビロニアの偶像・マザーバンガード初代艦長・PUメンバー
XM-07ビギナ・ギナのパイロット
●北辰(劇場版機動戦艦ナデシコ -the prince of darkness-)
火星の後継者・草壁直属の暗殺集団のリーダー
夜天光パイロット

(シナリオ終了・次シナリオに続く)

202 名前:名無し客:04/09/20 14:13

***東京・首相官邸***

首相執務室にて何やら綿密に打ち合わせをしている
剣桃太郎総理と冴島十三警視総監、そして西園寺老の三人。

桃太郎「東京とニューヨークを襲った木星軍のバグは、
 非ナチュラルしか襲わなかったと?」
西園寺「どういうことだ。木星軍と地球教には
 何か裏で繋がりでもあるのだろうか」
桃太郎「いや、それは考え難い…。木星軍と地球教には
 そもそも一致する利害関係は見当たらない。
 何か別に目的があると見た方がいいでしょう…」
冴島「……それで総理、連邦評議会での票読みの方は?」
桃太郎「マリネラのパタリロ国王、オーブのカガリ・ユラ・アスハ代表首長も
 わが国に同調してくれてはいるが、それでもまだティターンズ派の
 確定票数には遠く及ばん」
冴島「このままでは間違いなく、ジャミトフの大統領就任は
 可決されるでしょう。やはり旧大英図書館の影響力が
 今も色濃く残る英国がティターンズ側に回ったのは痛いですな」
桃太郎「バンコラン少佐やフクロウ男爵も
 英国政府内の反ティターンズ派の劣勢を挽回すべく
 駆け回ってくれてはいるがな…。Jや滝捜査官には悪いが、
 ブルーコスモスやGODの勢力が根強いアメリカにも
 表立った支援は期待できそうにない」
西園寺「となると、やはり勝利の鍵はブレックス准将の演説が
 成功するかどうかか……」
桃太郎「俺は今日中にダカールへ向けて発つ。明後日の地球連邦評議会で
 ジャミトフの大統領就任を阻止できなかった時は、腹を切る覚悟だ…!」
冴島「――総理!!」
西園寺「武運を祈る。剣君…」


***江田島平八邸***

江田島「そうか。剣は腹を切ると言い切りおったか」
富樫「し、しかしそうなっては塾長……。
 桃は言葉の重さを知っている男です。おそらく奴は
 本当に腹を切るでしょう」
江田島「男塾OB軍も明日、ダカールへと乗り込むぞ。
 富樫よ、準備は整っておろうな?」
富樫「仰せの通り、準備は万端です」
江田島「前代未聞の国会中継となることは間違いない。
 地球上の全市民がテレビの前に釘付けになるであろう。
 ならば、わしもその前に精をつけておかねばな!!」

江田島は池の鯉を掴んで、生のままガブリと食い付く!!

富樫「そ、それは一匹300万の……(汗」


***新宿・冴羽ビル***

新宿の街中にありながら、どこからでも狙撃されない場所に立つ
6階建ての通称「冴羽ビル」。シティーハンターの名で都会を守る
プロの始末屋(スィーパー)冴羽撩と、そのパートナー槇村香の住まいである。

香「つまりその…ブレックス准将とかいう人を、
 無事にダカールの連邦議会議事堂の演壇まで送り届ければいい訳?」
冴子「ようするにそーゆーこと。勿論お願いできるわよねぇ〜、撩?」
撩「その代わり、今までの貸し、利子も含めて10発っ!
 仕事が終わったら今度こそ必ず払ってもらうからな〜!!」
冴子「あ〜ら、なんのことかしら」

203 名前:名無し客:04/09/20 14:14

翌日……

***東京湾・某漁港***

朝早くから学ラン姿に身を纏った男塾OBたちが
集合していた。

富樫「全員そろったか――っ!?」
男塾OB一同「おおお―――っ!!」

富樫「ならば俺たち男塾OB軍は、これより地球連邦首都ダカールへと出陣する。
 地球教の後ろ盾を得たティターンズはますます勢力を拡大し、
 ナチュラルと非ナチュラルとの間に大戦争を起こそうと企ててやがる。
 この事態の進行は、やがて日本どころか地球全体の崩壊にも繋がりかねねえ。
 それを断固阻止・防衛するのが俺たちの義務なんだぜ!
 てめえ達フンドシは洗ってきただろうな――っ!!」
田沢「しかし富樫よ、お前こんなトコに集合かけたはいいが、
 俺たち何に乗ってダカールくんだりまで行くんだ?」
松尾「見たところ漁船やヨットばかりだぜ」
虎丸「桃は昨日のうちに一足先に飛行機に乗って行っちまったけどよ」
富樫「ふふっ…アレだ」
田沢「あれって…」
松尾「周りは海ばかりで、何も見えねえけど…」

ボコッ…ゴゴゴゴ…ザバアア――ンッッ!!

突如、海中から浮上する宇宙船アルカディア号!

男塾OB一同「な、なに―――っ!!」

飛燕「一体どこからあんなものを…」
秀麻呂「す、すげえ。本物だぜ」

???「――天下の非常事態、以前に大豪院がコレの船長に会って
 話をつけていたのだ」
松尾「ま、まさかあの声は!?」




     __――――――          /\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
    /            \       /
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   /_         __     |    (
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/ _  \   /  /\|||||   |  \
|/  \_|| ||||_/       /\   )
 < ̄o ̄>   < ̄o ̄>  |   |  (
  /  ̄ ̄/       ̄ ̄    | ∂ |  )  わしが男塾塾長江田島平八である!!
 (  /(_⌒)\     /   ) ) | (
 | === ====     | (  |  )
  ( || |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ||     (_/  (
   || |  ̄ ̄ ̄⌒ ̄| ||    |      )
   || |         | ||    |    (
   || |         | ||     |    )
   ||  )  /⌒⌒|   | ||     |   (
   || /  /     |_ / ||     |   )
   || ヽ ̄⌒ ̄ ̄ /  ||     /   \/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\
   ||  ヽ ̄ ̄ ̄ ̄/  ||    /
    \   ̄ ̄ ̄        /
      \________ /


富樫「いくら止めても無駄だった。あの御方に火がついたら
 誰も止められやしねえ……!!」


○野上冴子→冴羽撩にブレックス准将の護衛を依頼。
○男塾OBがいよいよダカールへ向けて進発。
 果たしてダカールで開かれる連邦議会で、
 ジャミトフの地球連邦大統領就任を阻止できるのか…!?

【今回の新規登場】
○槇村香(CITY HUNTER)
冴羽撩のパートナー

204 名前:「マフティー」:04/09/21 02:50

***ニューヨーク・FBI国連ビル分室***

(情景・バグの襲撃により、NYにいたコーディネーターや異星人移民に
かなりの死傷者が出ている。爆発の巻き添えで町自体にもかなりの
ダメージが…)

国連ビルの駐車場に立っているガンダムDXとフリーダムガンダム。
ビル内の一室で滝から話を聞いているガロード・ランとキラ・ヤマト。

ガロード「何だって? アムロさんたちが!?」
キラ「本当…なんですか?」
滝「ああ、シーブックたち経由でブライト艦長からの至急の情報だ…
捜索隊を出そうにも、まだ戦いは続いている…」
キラ「ハマーンがジュドーさんを返してくれたのは良かったけど…」
ガロード「いや…無事に決まってる、アムロさんもクリスさんもカミーユさんも…」
滝「(そうか…こいつらにとっちゃ、アムロやカミーユは本郷・一文字みたいな
もんだからな…)……これからどうする?」
キラ「……予定どおり、フリーデンとエターナル、それにウルトラザウルス
はα基地でアークエンジェル・クサナギ・大空魔竜・キング=ビアル・
ソーラーファルコンと合流し、ダカールへと出発します」
滝「そうか…それぞれコーディネーター、ミュータント、異星人移民の
代表としてフォーラ准将をサポートするんだな…サイボーグやアギト、
オルフェノクたちの分までがんばってくれよ…」

そこへ入室して来る本郷。

本郷「……こっち(NY)のバグが意外と早く片付いた理由が判ったぞ」
ガロード「東京と違って、こっちはナデシコの戦法は使えなかったからな。
あの時、何でバグどもの動きが鈍ったんだろ?」

(回想…襲来したバグを空中で迎え撃つDX&フリーダム&テキサスマック&
ガンダムマックスター、子バグはライダー1号と2号、スカイライダーが安全な場所まで
誘導して撃破していく…途中でニンジャブラックと雷忍ワイルド、
サイボーグ002&005も駆けつけ、最後は出現したウルトラマンパワードが
念力でバグを一箇所に集め、メガ・スペシウム光線で一網打尽に…)

本郷「宇宙空間にいくつかあったコントロール衛星を、何者かが破壊してくれた
らしい……いくら自律型兵器だと言っても、大元のコントロールが狂ったために
混乱をきたしたんだろう」
キラ「一体誰が……?」

その時、たまたま付いていたTVがニュースの時間になる。

アナウンサー「ニュースの時間です。NY時間で○時××分、地球軌道上の
数箇所でいくつかの爆発が確認されました。爆発したのは所属不明の人工衛星で、
その数分後に『マフティー・ナビーユ・エリン』を
名乗る組織から声明が…」

滝「マフティー・ナビーユ・エリン…確か、過激な環境保護活動をやる組織
だったな…」
ガロード「そんな連中が何で……?」
本郷「……」

205 名前:名無し客:04/09/21 03:55

***地球連邦首都ダカール・中央宇宙港***

ドックに停泊したオーブ連合首長国の旗艦である戦艦・クサナギから
降り立つ若き代表首長であるカガリ・ユラ・アスハと、クサナギ艦長にして
カガリの腹心であるレドニル・キサカ。
連邦の高官たちが出迎えるものの、カガリたちを見る目は一様に冷たいものが
あった。

キサカ(……ここはもはや敵地、というわけか……)
カガリ(油断は出来ないな……だけど、かつての悲劇を繰り返すわけには
いかない……フォーラ准将を二度も死なせは……)

表情をこわばらせるカガリだが、よく見知った顔を見つけ──ようやく
少女らしい笑顔を見せた。

マリア・ルイゼ「お久しぶりですわ、カガリ陛下」
カガリ「遅くなって申し訳ない」
クラリス・ド・カリオストロ「いいえ、私たちもつい昨日着いたばかりですの。
パタリロ殿下も、まだ到着はされていませんわ」
マイラ大使「(小声で)中東地域の意見調整はアブラーダのイスマエル王子と
私とで何とかうまくいきそう──イスマエル王子は、仮面ライダーの
内の1人とご親友なんです」
ササール王女「南欧も私とマリア・ルイゼ殿が……ただ、北部ヨーロッパは
英国の発言権が大きくて……」
クラリス「それから……(さらに小声で何事かをカガリにささやく)」
カガリ「……!!」

***太平洋海底・α基地***

太平洋内に密かに建造された超巨大な移動基地・α(アルファ)。
世界中の心ある科学者たちによって創られた、あらゆるヒーローたちの
サポートを目的とする超科学要塞である!
ナデシコを伴って帰還したスーパーロボット軍団を、意外な人物が2人
出迎えた…。

ルリ「セイラ艦長、リリーナ外務次官…いつ地球へ?」

そう、一年戦争においてはアムロやブライトと共にザビ家の野望と戦い、
グリプス戦役や第一次ネオ・ジオン戦争ではエウーゴの隠密活動に
協力した──ジオン・ズム・ダイクンのもう1人の忘れ形見にして
プリンセス・ユニオンのリーダー……セイラ・マスと
滅亡したサンクキングダム王家の王女にして現在は地球連邦の外務次官を勤める
リリーナ・ドーリアン!

セイラ「セシリーとシーブックと一緒にね」
リリーナ「私も、地球連邦の次官としてだけでなく、PUメンバーとしても
フォーラ准将のお手伝いがしたくて」
鉄也「ラクスとカガリが加われば、地球圏PUの主要メンバーがほぼ揃うって
わけか」
ルリ「ユリカさんとシャクティさんを除けば、ですけど…」
マリア「ちょっと、あたしのことも忘れないでよねっ! エリカ姫やロミナ姫の
分までがんばるんだから!」
セシリー「もちろん、セイラさんや私、ラクスさんは、ダカールでは表立っては
行動出来ないかもしれないけど…それでも、PUの総力を挙げて地球と対決
するつもりよ」
甲児「それにしても、エトワール・ド・ラ・セーヌまでこっそり地球に
来てるとはな。よくばれなかったもんだ」
セイラ「リリーナさんが、色々と便宜を図ってくれたのよ」
リリーナ「ヒイロたちと連絡が取れない分、私も出来る限りのことは…!」

○NYのバグ殲滅には、「マフティー・ナビーユ・エリン」と呼ばれる
組織が協力した様子。その正体は…?
○ダカールに各国首脳が次々集結。PUメンバーもフォーラ准将の演説を成功
させるために奔走している模様。非ナチュラルのヒーローたちもフォーラ准将を
陰ながらガードし、推移を見守るためにダカールへ…。
○セイラ・マスとリリーナ・ドーリアン、シーブックやセシリーと共に
極秘に地球入り。

206 名前:名無し客:04/09/21 04:38

【今回の新規登場】
○ガロード・ラン(機動新世紀ガンダムX)
元ジャンク屋・戦艦フリーデンクルー・
GX-9900ガンダムX/GX-9901-DXガンダムDXパイロット
○カガリ・ユラ・アスハ(機動戦士ガンダムSEED)
南太平洋・オーブ連合首長国代表首長・MBF-02ストライク・ルージュパイロット・
キラ・ヤマトの双子の妹・PUメンバー
○レドニル・キサカ(機動戦士ガンダムSEED)
戦艦クサナギ艦長・元オーブ陸軍第21特殊空挺部隊一佐
○クラリス・ド・カリオストロ(ルパン三世 カリオストロの城)
ヨーロッパ・カリオストロ公国公王(オリジナル設定)・PUメンバー
○マイラ大使(世界忍者戦ジライヤ)
中近東・アメール民主共和国特別平和大使(退位した元女王)・
世界忍者豪忍アブダダの姪・PUメンバー
○ササール王女(ジャイアントロボ(実写版))
ヨーロッパ・アラー共和国王女・PUメンバー
※原典に登場したのは幼い少女でしたが、オリジナル設定として
このクロスオーバー世界では中年女性として登場しています。
○セイラ・マス=アルテイシア・ソム・ダイクン(機動戦士ガンダムシリーズ/
半オリジナル)元地球連邦軍軍曹・Gファイター/コアブースターパイロット・
PU中枢メンバーの1人・旗艦エトワール・ド・ラ・セーヌ艦長
○リリーナ・ドーリアン=リリーナ・ピースクラフト(新機動戦記ガンダムW/
Endless Waltz/半オリジナル)地球連邦外務次官・先代ドーリアン外務次官の
養女・サンクキングダム元王女・PU中枢メンバーの1人・戦艦ゼフィルスの艦長

※中近東・アブダーラ王国の王子であるイスマエルは仮面ライダースーパー1=
沖一也の親友

207 名前:ダカールの日:04/09/22 23:10

***ダカール市上空・宇宙海賊船アルカディア号ブリッジ***

正「まもなくダカール市上空に到達します」

邪鬼「どうも様子が変です塾長」
江田島「………」
ハーロック「こうして宇宙海賊船が堂々と連邦首都の防空圏に
 侵入してきたというのに、闘気・殺気といったものがまるで感じられん」
邪鬼「それにこうも簡単にダカール上空に入り込めるとは……。
 上陸する兵を水際で攻撃するのは戦さの定法。それを知らぬ
 ティターンズではないでしょう」
江田島「邪鬼よ、貴様の言うとおりだ。ティターンズは何かを企んでいる。
 それは確かだ…!」


***地球連邦政府首都ダカール・連邦議会議事堂前・正面玄関***

日本国総理・剣桃太郎の乗った日本大使館の公用車が到着し、
正面玄関に横付けされる。
桃太郎が車から降りて姿を現した途端、
呆気に取られる出迎えの連邦政府事務官や
取材に来ていたマスコミの面々。

※ちなみに、周囲にいるマスコミの記者たちは言うまでもなく、
皆、ティターンズの息の掛かった御用マスメディアばかりである。

記者「一体、どういうことですか! 日本の剣首相!?
 そのガクランは卒業された男塾の制服ですよね!」
桃太郎「……そうだ。これから俺は命を懸けた戦場へ行く……!!
 このガクランはその心意気だ……!!」
記者「その背中に背負っている刀は何ですか?
 もちろん模造刀ですよね?」

すると桃太郎は、居合い抜きで記者の持つマイクを
スパッと半分に切り捨ててみせる。

記者「――ヒィッッ!!((((((((((((((((((( ;゚Д゚)))))))))))))))))))ガクガクブルブル」
桃太郎「それが答えだ……!!」

その様子を2階の窓から一部始終見ていたジャミトフたち。

ジャマイカン「なんという奴だ! 議会に真剣を持ち込むとは!!」
ジャミトフ「フフッ…その議会に銃を持ち込んでいる我々が
 文句を言っても始まるまい。あそこまでするからには何かあるのだろう。
 だが、どんな奇策を用いようと全ては悪あがき……」


***α基地・ダカールへ向けてインド洋を移動中***

大気圏外での木星軍との戦闘を終えた
マザーバンガードも合流していた。すでにその他にも
アークエンジェル、大空魔竜、キング=ビアル、ウルトラザウルス、
ソーラーファルコンも予定通りに無事合流している。

トビア「キンケ……じゃなかった、シーブックさん、お久しぶりです」
シーブック「元気そうだなトビア。そういえばウモンの爺さんは元気か?」
トビア「はい。ウモンさんには技師長兼機関長として
 今でも助けられていますよ」
ベルナデット「ベラ艦長……じゃなかった、セシリーさんもお元気そうで
 ホッとしました。ルリ少佐からは元々お二人は無事だと聞いてはいたんですが……」
セシリー「心配をかけてごめんなさい。でもこの通り大丈夫よ」

久々の再会を喜び合うトビア、ベルナデット、
シーブック、セシリーの4人。

ルリ「そろそろティターンズの防衛網に入る頃です。セイラ艦長、作戦の説明を」
セイラ「了解しました。今回の作戦の目的は、ブレックス・フォーラ准将を無事、
 ダカールの議事堂まで送り届ける事にあります」
シーブック「そのためには、陽動部隊を編成し、敵の目をひきつける必要がある。
 その隙に小数の部隊で議事堂に降下、議会を占拠する」
大文字博士「現地では、エゥーゴやPUの同志が地上部隊を率いて、
 議事堂の制圧、及び、中継局の確保を準備中だ」
ピート「ダカールからの連絡では、パタリロ国王と剣総理も議場に到着し、
 評議会に出る議員の面々は大方出席手続きを済ませたそうだ。
 ブレックス准将は、かねてからの手筈どおりに地下から議事堂へ接近する。
 残りのみんなは議事堂西部で陽動作戦を行ってくれ」
大文字博士「では、時計あわせ、17:00。5分後に作戦を開始する!」

208 名前:ダカールの日:04/09/22 23:14

***連邦議会議事堂・臨時評議会***

厳粛な空気の中で、すでに臨時評議会は始まっていた。
席に座るジャミトフに、後ろから傍に寄ってきたジャマイカンが
そっと報告を小耳に入れる。

ジャミトフ「……(小声で)何っ!? 大英図書館のジョーカーと
 急に連絡が取れなくなっただと?」
ジャマイカン「いかが致しましょう、閣下……」
ジャミトフ「……構わん。投票を始めさせろ。今更たかが
 英国一国の支持が消えた程度でどうと言うことはない」
ジャマイカン「承知いたしました……」

ジャマイカンが目線で議長に合図を送る。

議長「では、連邦憲章、第11項改正に関する投票を行います」


***ダカール市内・下水道***

密かに下水道を伝って、
議事堂へと急ぐブレックス・フォーラ准将、
そしてそれを護衛するシティーハンター=冴羽撩、
撩のパートナー槇村香の3人。

ティターンズ兵「誰だ!?」
撩「ちいっ!」
香「――うそっ!? こんなところにまで兵士が配備されていたなんて……」
ティターンズ兵「止まれ!! 止まらんと撃つぞ!!」
香「えーいっ!!」
ティターンズ兵「――うわっ!? な、なんだ!?」

ドカッ!!

ティターンズ兵「ぐ…」

香の振り回した100tハンマーの直撃を受け、
ダウンするティターンズの兵士。

撩「ナイスだ、香!」
香「えっへん!」
撩「さあ准将、急ぎましょう。あまり時間がない」
ブレックス「うむ」

209 名前:ダカールの日:04/09/22 23:16

***再び連邦議会議事堂・臨時評議会***

議長「では、投票の結果を発表いたします。賛成212。反対101。無効178。
 よって、連邦憲章11項改正法案を可決します」
議員A「異議あり!! これは陰謀だ!」
カガリ「その無効178ってのは何だ! 無茶苦茶だぞ!」
議員B「黙れ! もう決まったんだ!」
議員A「金に目がくらんで、独裁政権を誕生させると言うのか!?
 貴様は、それでも…うっ! な、何を!? は、離せ!」

ティターンズ派の議員席から野次や罵声が飛び交う中、
反対派の議員が次々と守衛(おそらくティターンズの秘密警察?)によって
強引に議場から外へ連れ出され連行されていく…。

クラリス「剣総理、これは…!?」
パタリロ「ティターンズめ、有無を言わせないつもりだな」
桃太郎「………」

議長「…静粛に。それでは、改正にともない、
 新たな評議会首席を決定する投票に移ります」


○アルカディア号、α基地→次々とダカールに到着。
○●地球連邦議会議員や連邦加盟国首脳を集めた臨時評議会が始まる。
 新たな評議会首席がジャミトフに決定されれば、それは自動的に
 地球連邦の次期大統領候補として選出されることを意味する……。
○ブレックス・フォーラ准将→護衛の冴羽撩と共に
 ダカール市地下から議事堂へと接近する。

【今回の新規登場】
○台羽正(宇宙海賊キャプテンハーロック)
アルカディア号クルー
○大文字洋三博士(大空魔竜ガイキング)
大空魔竜隊総司令・東西大学名誉教授・宇宙物理学専攻
○ピート・リチャードソン(大空魔竜ガイキング)
大空魔竜隊キャプテン

210 名前:ダカールの日:04/09/25 19:26

議長「投票の結果を発表します。ハイマン中将、212。無効278。
 よって、連邦評議会首席は、ジャミトフ・ハイマン大将に――」
桃太郎「――議長、緊急動議です!」

突然桃太郎が挙手して席から立ち上がる。

議長「……!!」
桃太郎「ジャミトフ・ハイマン氏を連邦評議会より除名することを
 提案いたします」
ジャマイカン「何だとっ!!」
桃太郎「――ですから!」
ジャミトフ「馬鹿なことを言うんじゃない、剣桃太郎君。
 たった今私は連邦政府の次期大統領として正式に選出された
 ばかりだ。引っ込んでいて頂こう」
桃太郎「いや、緊急動議は先決事項です。採決をお願いする」
カガリ「賛成!」
マイラ「わが国も賛成です!」

カガリやクラリスたち、
反ティターンズ派諸国の首脳が続々と起立する。

桃太郎「1名以上の賛成を持ちまして、緊急動議は成立したと見なし、
 これより議長の交代を要求します!」
議長「……なっ!?」
ジャマイカン「茶番はやめんか! 構わん! こやつらを全員逮捕しろ!
 国家に対する反逆の現行犯だ!」


***議場前・大廊下***

すでにベルトーチカら中継スタッフや
エゥーゴの潜入特殊部隊員らが辺りを制圧してスタンバイしている。

ベルトーチカ「お待ちしていました、さあ、准将、こちらへ」
ブレックス「うむ。ところでベルトーチカ君。君は、いつの間にエゥーゴに?」
ベルトーチカ「お忘れですか? 私の所属していたカラバは、エゥーゴの母体ですよ。
 それに、少しでも、アムロの助けになりかったし」
エゥーゴ兵A「準備完了です」
エゥーゴ兵B「よし、突入!」

合図と同時にエゥーゴ兵が、一斉に議場に殴り込みをかける。

エゥーゴ兵C「動くな!」
ジャマイカン「何っ!? いつの間に…ジャミトフ閣下、ここは危険です。こちらへ」
ジャミトフ「む…おのれ、今一歩の所で……。謀りおったな剣桃太郎…」
ティターンズ兵「閣下、お早く!」
ジャミトフ「…うむ」

211 名前:ダカールの日:04/09/25 19:28

議長「な、何だ、君達は!? ここをどこだと…うわっ!?」

――ドキューン!(銃声)

エゥーゴ兵「我々はエゥーゴの者だ。静かにしていただければ、危害は加えない」
議員B「い、一体何が目的だ!?」
撩「評議会の正常化さ。さあどいたどいた」
ベルトーチカ「カメラ、準備OKです。ブレックス准将、どうぞ」

演壇に登り、カメラに向かって演説を始めるブレックス・フォーラ。

ブレックス「私は、エゥーゴ代表、ブレックス・フォーラ准将ともうします。
 エゥーゴとは反地球連邦組織の事です。まず、突然、
 このような形でこの場をお借りした非礼をお詫びします。
 しかし、もはや事態は、一刻の猶予もないところまで来ていたのです。
 今の選挙は、明らかに違法です。正規の手続きの形をとっていますが、
 それが、ティターンズの買収と脅迫によるのは明らかです」
議員B「バカな、何を根拠に、そのようなでたらめを!」
ブレックス「ここに、ティターンズより裏金を送られた議員のリストがあります。
 これを連邦検察局に提示すれば、すべては明らかになります」
議員B「………」
ブレックス「ティターンズは独裁によって権力を握り、
 地球を我が物としようとしています。これは、許される事ではありません!
 これは、今までの連邦政府の在り方にも、問題があります。
 票を集め、権力を握る事しか頭にない議員、地盤だけで当選する議員…。
 こういった悪習を断ち、今こそ、政治を民衆の手にとりもどすのです!」

三輪「だまされるな!! あいつらは反逆者だ!」
桃太郎「三輪長官!?」
三輪「ジャミトフ閣下が、そのような事をされるはずがない!!
 すべて奴らのでっち上げだ! エゥーゴこそ異星人と手を組んでおるのだ!!
 ナチュラルに混じって汚らわしい異星人やミュータントがうようよ
 いるような国々など、地球のために叩き潰してしまえ!!」
香「言うに事欠いて、何てこと言うのよっ…!」
三輪「議事堂を占拠し、反逆者どもを捕まえろ!!」
ブレックス「いかん! 敵を議事堂に近づけるな!!
 今議事堂を占拠されては、すべては水の泡だ!」


○ブレックス・フォーラ准将→無事に議場に到着。ティターンズを糾弾する。
○●議事堂周辺で戦闘が発生。

【今回の新規登場】
○ベルトーチカ・イルマ(機動戦士Ζガンダム)
元カラバの工作員・TVリポーター

212 名前:ダカールの日:04/09/26 09:37

***ダカール市内・連邦軍技術開発本部・地下格納庫***

ジャマイカン「ベン・ウッダー大尉、何をしている!?
 早くサイコガンダムを出撃させろ!」
ベン「ちっ、MD(モビルドール)の同調システムの最終調整が、
 まだ終わっておらんというのに…!」
ジャマイカン「かまわん! 今は少しでも戦力が必要なのだ!」


***ダカール市上空・アルカディア号ブリッジ***

正「大型の熱量を感知。巨大MAクラスのものと思われます…!」
江田島「むっ…あれは?」

市街の地面から次々とカタパルトが開き、
地下からサイコガンダムが3体ほど浮上する。
ティターンズとロームフェラ財団が共同で開発していた、
無人のモビルドール型サイコガンダムである。

邪鬼「やはり我々をあっさり市内に入れたのは、
 アレを使って一気に集まってきた邪魔者を一掃するつもりだったのか」


●ティターンズ→汎用量産型MDサイコガンダムを3機出撃させる。

【今回の新規登場】
●ベン・ウッダー大尉(機動戦士Ζガンダム)

213 名前:ダカールの日:04/09/29 11:27

市街地での戦闘が始まった。

MDサイコガンダムA「#$%&*☆……」
MDサイコガンダムB「#$%&*☆……」
MDサイコガンダムC「#$%&*☆……」

MDサイコガンダムは、腹部に3基、額に2基、両腕の指に計10基のメガ粒子砲を備え、
絶大な攻撃力を発揮する。

ダカール沖のα基地から、アークエンジェル、ナデシコC、大空魔竜、
キング=ビアル、ソーラーファルコンがそれぞれ発進……!
宇宙港からもクサナギが出撃して、ダカール上空にてアルカディア号と合流する。


***クサナギ・MSカタパルト***

――ZGMF-X09A“ジャスティス”ガンダム

PSシステムがオンになり、機体が深紅に色づく。
第二次ヤキンドゥーエ攻防戦において大破した機体を
オーブのモルゲンレーテ社がこの時のために
プラントのクライン派政権から提供されたデータを元に
一から新しく造り直した物である。

アスラン「アスラン・ザラ、“ジャスティス”、出る!」

アスランは前方の敵を見据え、新たな機体を発進させる。
彼もまた、再び先へと進み始めたのだ。

アスラン「キラ、蹴散らすぞ!」
キラ「うんっ!」

先にアークエンジェルから出撃していたキラのフリーダムとも合流し、
両者は散開して、敵のメガ粒子砲をくるりと回って回避しつつ、
3機のMDサイコGに同時攻撃を仕掛ける。


***大空魔竜・ブリッジ***

大文字「ピート君、ミラクルドリルを使いたまえ」
ピート「了解、ミラクルドリル発射!」

大空魔竜がMDサイコGのメガ粒子砲を警戒しながら接近し、
まずミラクルドリルで敵一機を屠る。

MDサイコガンダムA「#$%&*☆……!!」


○アスラン→クサナギで待機していたが、新生ジャスティスを駆り出撃。
○大空魔竜→MDサイコGをまず一機撃破。

【今回の新規登場】
○アスラン・ザラ(機動戦士ガンダムSEED)
元ザフトのトップガン・オーブ代表首長補佐兼私的ボディーガード
ZGMF-X09Aジャスティスガンダムパイロット

214 名前:ダカールの日:04/09/30 15:10

ジャマイカン「――あれはアークエンジェル!?」
三輪「おのれっ。アズラエルから聞いてはいたが、あれがナチュラルでありながら
 汚らわしいコーディネイターに味方する裏切り者の艦か!」

***アークエンジェル・ブリッジ***

アルカディア号より通信が入る。

ハーロック『ラミアス艦長、聞こえるか!?』
マリュー「ハーロック船長!」
ハーロック『こちらは次元振動流体砲(パルサーカノン)で止めを刺す。
 そちらは陽電子破城砲(ローエングリン)は使えるか?』
マリュー「待ってください! 至近距離からの攻撃は、
 かえって敵機のメガ粒子砲の的になります!」
ハーロック『あのサイコガンダムは、それ自体が巨大なサイコミュ制御の
 機動要塞だ。それこそ戦艦の主砲クラスでなければ打撃力不足だ』

マザーバンガードとナデシコCからも通信が入る。

ベルナデッド『ではその囮役、こちらで引き受けます』
ルリ『アルカディア号とアークエンジェルはその間、
 主砲の充填よろしく』
マリュー「わかりました。こちらも何とかやってみます」
ハーロック『頼んだぞ!』

囮となったマザーバンガードとナデシコCが
MDサイコガンダムのメガ粒子砲の雨を惹きつけている間に
アルカディア号とアークエンジェルが
MDサイコガンダムを射程距離に捉える!

ハーロック「次元振動流体砲、発射!!   パ ル サ ー カ ノ ン
マリュー「陽電子破城砲、てェ――ッ! ロ ー エ ン グ リ ン

両艦長の号令と共に、両艦の主砲が火を噴く!


                               ヽ`
                              ´
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                           __,,:::========:::,,__
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  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
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                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´


三輪「バ…バカなっ! MDサイコGが…正義が敗れるとは…バカなァァァッ!」
ベン「何をしておられる三輪長官! 我々もすぐにダカールから脱出だ!」
ジャマイカン「おのれっ!! おぼえておれよ!」

215 名前:ダカールの日:04/09/30 15:12

***連邦議会議事堂・評議会議場***

ルクス「ウイリス様、アプロヴァール女史を
 ダカール市郊外の自宅より無事お連れしました」
ウイリス「アプロヴァール大統領、ご無事でしたか」
イスマエル「お待ちしていました」
ロゼ「ふふふ…あのエスタルドの甘ちゃん坊やが
 以前とは見違えるほどに成長したようだね」
ウイリス「お、恐れ入ります……(///)」
ロゼ「イスマエル王子、お前さんもご苦労さん」

エスタルド人民共和国の首席補佐官ルクスに案内され
議場へと到着したこの老女こそ、
地球連邦大統領ロゼ・アプロヴァールその人である。
彼女は長らくの間ティターンズの手によって
ダカール市郊外の自宅に軟禁されていたところを
アブダーラとエスタルドの合同特殊部隊によって
救出されたのであった。

ブレックス「アプロヴァール大統領がいらっしゃった以上、
 あとは万事予定通りですな」
ロゼ「ところで剣総理、今回の筋書きを書いたのは
 江田島のご老体かい? それとも宇宙軍のミスマル大将か、
 それともPUの可愛いお嬢ちゃんたち……」
桃太郎「ご想像にお任せします、大統領閣下。
 それよりも今回の最大の功労者なのは……」
ロゼ「わかってるよ。異なる種同士の平和と共存のために
 命がけで戦ってきた若者たちのために、私も人肌脱がせてもらうよ」

演壇に立ったロゼ・アプロヴァールは、
地球連邦内部より影の政府勢力を一掃すること、
コーディネイターもオルフェノクも知性を持ったロボット生命体も
人間(ナチュラル)の友人であり、種の違いに優劣など存在しないこと、
閉ざされかけた異星の人々との交流を再開すること等を
地球連邦大統領の名において宣言して締めくくった。


***議事堂・ロビー***

ウイリス「これで、ティターンズの息のかかった議員は一掃されるでしょうね」
セイラ「お疲れでしたでしょう、フォーラ准将」
ブレックス「ははは、少し走りまわったせいだな。さすがに年には勝てんよ」
桃太郎「さて、これからどうするか…。議会はしばらく検察の手入れで、
 おおわらわだろうが、ティターンズは権力を握りそこねたとはいえ、
 まだ力を持っている。このまま大人しく引っ込んでいるとは思えんな」
ミドリ「月面基地のアオイ中佐から、通信が入っています」
大文字「アオイ君から? つないでくれ」
ジュン『作戦は大成功でしたね。こちらも衛星を通じて、
 放送をキャッチしましたよ』
ブレックス「うむ、これでティターンズは、実質的に解散したのと同じだ。
 ただ、ジャミトフが行方をくらましてしまったのが気にかかるが…」
ジュン『ジャミトフが…では、まだそちらは大変でしょうね…』
ブレックス「どうかしたのかね?」
ジュン『ヤキン・ドゥーエに陣取るザフト軍ザラ派の動きが活発になっています。
 イオ基地に最初に向かった先発隊も、まだ行方不明のままですし……』
桃太郎「人手不足…というわけか」
ブレックス「では、私は急いで宇宙に戻ろう。後の事は君達にまかせる」
リリーナ「わかりました。准将、お気をつけて」

216 名前:ダカールの日:04/09/30 15:16

***ヒマラヤの地球教本部***

決して誰一人として足を踏み入れぬヒマラヤ山脈の奥地に、
老衰と疲労の皺を深くたたみこんだ地がある。
年老いた石造の建物の中を、黒衣に身を包んだ壮年の男が
正確だが緩慢な足取りで動いていた。
とある扉の前にたつと、侍衛の者が一礼してそれを開く。
広い室内は鈍い白濁した光に包まれていた。
男より遥かに長く時間との交際を続けてきたらしい老人が
玉座に鎮座しているのが見える。

ド・ヴィリエ「総大主教猊下……」

うやうやしく呼びかけた男は、反応を示さぬ相手に
さらに語りかけた。

ド・ヴィリエ「ティターンズが失敗し、地球連邦の首都ダカールから
 撤退いたしました」

それを聞くと、黒衣の老人は初めて顔を上げ、
干からびた皮膚に覆われた手でド・ヴィリエを差し招いた。

総大主教「それからその後どうなっておる?」
ド・ヴィリエ「異教徒どもは背教者ロゼ・アプロヴァールなる者を
 再び連邦の大統領の地位に据え、それぞれ自分の国へと帰還した由に
 ございます」
総大主教「……で、ゼーレの座の方はどうなっておる?」
ド・ヴィリエ「はい。ゼーレに関しましては、
 いささか不確定の要素が多すぎます」
総大主教「キール・ローレンツとの連絡は取れているのであろうな?」
ド・ヴィリエ「一応は。ですがあの男、どうにも心の底が知れませぬ。
 単に服従の精神が疑われるに留まりません。ジャミトフやアズラエル以上に
 恐ろしく不逞な野心を抱いておるやに思われます。ご用心のほどを……」
総大主教「そんなことは承知の上じゃ」

老人の声はこともなげであった。

総大主教「我らの掌の上で踊る限り、どんな形で舞おうとも
 意に介するには及ばぬ。フフフフフ……」

歴史の逆転を願って密やかに語らい続ける彼らの遥か頭上を、
繚乱たる星々の光が飾り始めていた。


○ヒーロー連合軍→ティターンズを追放し、ダカール市を制圧。
○ロゼ・アプロヴァール→地球連邦大統領職に復帰。
 ティターンズにより一度は閉ざされかけた異星との国交も再開される。
○ブレックス・フォーラ→ひとまず宇宙へ帰還する。
●ザフト軍ザラ派→いよいよ不穏な動きが表面化か……?
●地球教→ヒマラヤの総本山にも、ティターンズ敗退の報が届く。

【今回の新規登場】
○マリュー・ラミアス少佐(機動戦士ガンダムSEED)
三隻同盟軍・アークエンジェル艦長
○ウイリス・アラミス(機動新世紀ガンダムΧ)
南アジア・エスタルド人民共和国・国家主席
○ルクス・ハノアマク(機動新世紀ガンダムΧ)
エスタルド人民共和国首席補佐官
○イスマエル王子(仮面ライダースーパー1)
中近東・アブダーラ王国の王子・沖一也の親友
○ロゼ・アプロヴァール(勇者王ガオガイガーFINAL)
地球連邦大統領 ※原典では国連事務総長
○フジヤマ・ミドリ(大空魔竜ガイキング)
大空魔竜隊・通信担当

(シナリオ終了・次シナリオへと続く)

217 名前:名無し客:04/09/30 17:03

***日本・死の谷・改造実験基地ラボー***

死の谷と呼ばれる奥深い渓谷に姿を隠している、
怪しい赤光を放つ巨大な一つ目が印象的な、円盤形の超巨大要塞ラボー。
言わずと知れたグランショッカー・ゴズマ軍の一員、
改造実験帝国メスの移動型本拠地である。

メスの支配者である大博士リー・ケフレンが、今日も
調整をかねて遺伝子シンセサイザーの妖しき音色を奏でている。

村上「さすがはケフレン博士。遺伝子シンセサイザーの調べは
 今日もまた格段と美しい…」
ケフレン「…村上か?」
村上「例の物が用意できました」

そう言うと村上は胸のポケットから一枚のディスクを取り出し、
それをケフレンに渡した。

村上「ジョーカーの頭脳から抽出したジェントルメンの記憶を頼りに
 全てを見通す眼の書の原本を忠実に復元し、我が社の科学陣が設計した
 蠅の魔王の遺伝子の処方箋です」
ケフレン「ほぅ…これがな」
村上「ところで、肝心の蠅の魔王の遺伝子そのものの
 手配は進んでいるでしょうね? まさかここまで来て
 入手が出来ないなどと言う事は……」
ケフレン「案ずるな。すでにその件ではネフェルが動いている。
 じきに蠅の魔王の遺伝子も手元に届くだろう」
村上「何よりです。三柱の至高邪神もお喜びになられるでしょう」

そこへロブスターオルフェノクが急いで駆け込んでくる。
何やらひどく焦った様子だ。

村上「……どうしました、冴子さん?」
ロブスター「村上君…! 早く来て! 王が…我々の王が……!!」

オルフェノクの王=アークオルフェノクの体は
すでにラボー内部の実験施設へと移され安置されていた。
だが、眠り続けるアークオルフェノクの肉体は
むなしくも回復することなく徐々に傷口から腐食して灰化が進み
限界が近づいていたのである。

村上「こ…これはっ…!?」

さすがの村上も、これを見て動揺を隠せない。
ケフレンがアークオルフェノクの体を診察してみる。

ロブスター「このままでは王が……私たちの王が滅んでしまう!」
村上「落ち着きなさい! ここで慌ててはいけません!」
ケフレン「オルフェノクの王にはまだ、心の奥底のどこかに
 鈴木照夫という地球人の子供の心が残っている。それがオルフェノクの力に
 反発して拒絶反応を起こし、ファイズから受けた傷の回復を遅らせているのだ。
 このままでは、仮に蠅の魔王の遺伝子を注入する再生手術を行ったとしても、
 それに耐えられぬかもしれんな」
村上「馬鹿なっ…!」

ケフレンの診断に反発する村上。

村上「ケフレン博士、王を救う手立ては?」
ケフレン「一つだけある。蠅の魔王の遺伝子の他にもう一つ、
 王の新たな器となる肉体を用意することだ。それも世紀王候補に
 匹敵する生命体の肉体をな…」
村上「世紀王候補…? なるほど、わかりました。フフフ……」
ケフレン「心当たりでもあるようだな?」
村上「ええ、ありますとも。ちょうど手頃な少年が二人ほどね。
 フフフ…フハハハハ……!!」

218 名前:名無し客:04/09/30 17:05

宇宙連合=ウオフ・マナフは、宇宙の知的生命体による連合組織であり、
地球の殲滅を画策していたが、和平派のアケロン人ルビー、
そしてグランセイザーと和解したインパクター・ロギアらの尽力により
地球との全面戦争は回避された。

そして宇宙連合乗っ取りを企んでいたガルバ星人を中心とする
強硬派の勢力は、最高会議から尽く退けられたはずであったが……

***ウオフマナフ本星・最高会議科学院***

警報が鳴り響く中、周囲一面には
警備に当たっていた宇宙人たちの亡骸や
汎用兵士ギグファイターの残骸が転がっている。

ゴーギャン「ベルゼウス様、見つけました」
アルゴウル「これでございます」
ベルゼウス「ほう…これがリー・ケフレンが言っていた
 蠅の魔王の遺伝子か…」

元ウオフ・マナフの最高会議幹部ベルゼウスは、
部下から手渡された赤い結晶体のカプセルを手に取り、
それを満足げに見上げている。
混乱が続く中、ロギアが現場へと乗り込んでくる。

ロギア「――ベルゼウス!!」
ベルゼウス「…ふんっ、ロギアか」
ロギア「何の真似だ! こともあろうにウオフマナフの裁判所から
 脱獄するとは!!」
ベルゼウス「知れたことよ。私はこの蠅の魔王の遺伝子を手土産にして
 地球へと逃走する」
ロギア「なんだと! そんなことをこの私が許すと思うか!
 ホロスナイパーの威力を受けてみろ! 死ねっ!!」

ヴァシュッ!! ドシュッ!!(爆音)

ベルゼウスを狙ったロギアのホロスナイパーの一撃は、
別の方向から飛んできたビーム状のムチによって相殺された。

ロギア「――!? 誰だ貴様は?」
ネフェル「改造実験帝国メスの幹部、レーネフェル!」
ロギア「メスだと? なぜグランショッカーがこんなところに!?」
ネフェル「ベルゼウス! ここは私に任せて、早くそれを持って脱出を!」
ベルゼウス「頼んだぞネフェル! 聞け、ロギア!
 死に損ないのインパクター星人の分際で、よくも私に逆らい続けてくれたな!
 いずれウオフマナフ共々貴様にも復讐してやる!」
ロギア「――待て、逃がさん! くっ!!」
ベルゼウス「フハハハハ……!!」


●アークオルフェノク→スマートブレインの本社ビル地下から
 密かにラボーへと移されるが、鈴木照夫の心がオルフェノクに力に
 拒絶反応を起こし、灰化が進んでいる状態。
●ベルゼウス→レー・ネフェルの手助けでウオフマナフから脱走。
 宇宙連合の科学院に保管されていた蠅の魔王の遺伝子を持ち去る。

【今回の新規登場】
●大博士リー・ケフレン(超新星フラッシュマン)
改造実験帝国メス最高幹部
●レー・ネフェル(超新星フラッシュマン)
改造実験帝国メスの女幹部・ケフレンの部下
●ベルゼウス(超星神グランセイザー)
元ウオフマナフ地球攻撃軍総司令官・ガルバ星人
●ゴーギャン(超星神グランセイザー)
●アルゴウル(超星神グランセイザー)
共にベルゼウス配下のガルバ星人
○インパクター・ロギア=ロギアХ(超星神グランセイザー)
ウオフマナフの元インパクター地球派遣チームの指揮官・インパクター星人
ダイロギアンパイロット

219 名前:名無し客:04/10/02 17:55

***ザフト軍(クライン派)制宙圏・L5宙域***

シホ「……熱エネルギー砲、パワーライン、オン。
 冷却ユニット、ハイマウントセンサーへのNジャマーへの影響、
 誤差範囲内、オールクリア!」

ビーム砲を放ち、標的の廃艦を一撃で粉砕する
シグーディープアームズ。

管制官の声『OKだ。演習終了――。現状だとやはり
 冷却系に問題があるようだな』
シホ「…はい。YFX-200シグーディープアームズ、
 直ちにボアズへ帰還します」


***宇宙要塞ボアズ***

地球連邦、ザフトは多大な犠牲を双方に出した第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦の後、
ユニウスセブン跡において停戦条約を締結。その後、ザフト軍の宇宙要塞である
ボアズとヤキン・ドゥーエも再建されたが、現在はそのうちの一つ
ヤキン・ドゥーエが復活したザラ派の掌中にあり、ここボアズが
クライン派側の基地としてヤキン・ドゥーエを牽制しつつ、両派の睨み合いが続いていた。

シホ「ふーっ……」

ヘルメットを脱ぎ、一息つくシホ・ハーネンフース。

シホ「威力を残すためには、冷却装置にある程度のパワーが必要……
 現状でギリギリのラインだから……思い切ってエントロビー制御に……
 いや、あれは信頼性が……冷媒の配合を変えることで、もっと有効に
 冷却装置が働くはず……」
イザーク「そんな改良、実戦では役に立たん」
シホ「――ジュール隊長!?」

かってはザフトのエースパイロットの証である赤の軍服に身を包んでいた
イザークだったが、今は他の議員達と同じく青のロングジャケットを着用している。
先の戦争をした主導した責任を負って、評議委員の地位を追われた
母・エザリアの地盤を引き継ぎ、政界に転出していた。

シホ「隊長…いえ、ジュール議員。来ていらしたんですか?
 予定ではボアズ訪問は明日のはずでは…」
イザーク「一日予定を早く繰り上げてきた。俺も毎日評議会の年寄り共に
 付き合わされて、いいかげんうんざりしていたところだからな。
 …ついて来い。俺が問題点を教えてやる」

220 名前:名無し客:04/10/02 17:56

一方、その頃……

***改造実験基地ラボー***

ウオフマナフから脱出してきたベルゼウスを迎えるべく、
地球から飛び立ったラボーは、プラントのあるL5宙域付近を
航行していた。巨大ながらも高度なステルス機能を持つラボーは、
地球連邦軍は勿論、ザフト軍にもその位置を全く察知されていない。

ネフェル「ケフレン様、元ウオフマナフ最高会議幹部・ベルゼウスを
 仰せの通りお連れ致しました」
ケフレン「ご苦労だったな。ようこそ、ベルゼウス卿」
ベルゼウス「これが約束の蠅の魔王の遺伝子だ」

ベルゼウスはケフレンに遺伝子が収められた結晶体カプセルを渡す。

ケフレン「こんな凄い遺伝子があったとは……」
ワンダ「ケフレン様、まもなくコーディネイター共のいる
 プラントに到着致します」
ケフレン「…よし。ラボー戦闘機、発進!
 すでにプラント内部に潜入しているオルフェノクの
 工作部隊と連携の上、プラントを制圧せよ!」
ワンダ&ネフェル「ハッ!」
ガダル星人「ベルゼウス様、必要な分のギグファイターを
 ここにご用意しておきました」

ガダル星人は、ギグカプセルが納められたアタッシュケースを
ベルゼウスに渡す。

ベルゼウス「フフフ……それでは我々も
 久々にバトルを楽しむとしよう」

221 名前:名無し客:04/10/02 17:58

***プラント首都アプリリウス・ワン 管制センター***

管制官A「評議会に連絡しろ! 巨大な未確認物体が突入してくるぞ!」

レーダーにもかからず突如出現したラボーに
プラントの管制当局はパニックに見舞われた。

管制官A「――!?」

突然、背後から同僚に銃を突き付けらる管制官A。

管制官A「おいっ、ど、どういうことだ!?」
管制官B「フフフ…こういうことさ」

管制官Bの顔に奇妙な紋様が一瞬浮かぶと、
たちまちその姿は動植物の姿を模した
人類の進化系――オルフェノクへと変化する!

管制官A「――な、なにっ!?」

各プラントを無数のラボー戦闘機が襲い、
ネフェルやワンダに率いられたメスの兵士ゾロー、
そしてベルゼウス一派の放ったギグファイターたちが
続々プラントと上陸を果たす。そして、この時に備えて
あらかじめ仲間を増やしつつ潜伏していたのであろう
ライオトルーパー大隊と合流し、プラントを蹂躙していく。

あまりに突然の奇襲であったため、
プラント防備のMS部隊も充分に迎撃が
ままならない状況だ。


***プラント臨時評議会・作戦司令室***

――グランショッカーと思しき軍事勢力、各プラントに侵攻。
 中央宇宙港はすでに敵の占領下にあり――


モニターに映る、続々と上陸してくる異形の軍勢の姿に、
現プラント臨時評議会議長アイリーン・カナーバは唇を噛む。
そこへ事務官が血相を変えて飛び込んでくる。

事務官「ヤキン・ドゥーエのザラ前議長から通信が入っています!」
アイリーン「なに? パトリック・ザラから直接通信か?」
オペレーター「今、通信回路を開きます」

弱冠のノイズの後、モニターの画面が開く。

アイリーン「パトリック・ザラ…!」
パトリック『我々に残された時間は少ない。よって短刀直入に用件を述べよう。
 これから3時間以内にクライン派は武装を解除し、政権をザラ派に明け渡すのだ』

アイリーン・カナーバの悪い予感は不幸にして的中した。
まさか今回のグランショッカーのプラント侵攻に
ヤキン・ドゥーエのザラ派が裏で関わっていようとは…。

アイリーン「…その申し入れを断れば?」
パトリック『我が方のマス・ドライバーでアプリリウス・ワンを攻撃する』
アイリーン「マス・ドライバーだと!?」
パトリック『そうだ。射出する物体の質量次第でアプリリウス・ワン
 のみを破壊することが可能だ…』

この男――やはり黄泉還っても何も変わっていない。
いや……むしろナチュラルへと向けられた憎しみは
以前より悪化の一途をたどっている。
ナチュラルを殲滅するためならば、グランショッカーという名の
悪魔に故郷を売り渡し、同胞に刃を向けることすら躊躇しないとは……。
それにしても、正確な照準がつけられる高性能なマス・ドライバーを
一体どこで手に入れたのか……?

パトリック『それでは、双方にとって有益な返答を期待している…』

一方的に通信が切れる。

事務官「ど、どうなさいますか、カナーバ議長…」
アイリーン「これ以上、市民に犠牲は出せない。降伏しよう……」

222 名前:名無し客:04/10/02 18:00

***再び、宇宙要塞ボアズ***

イザークから指南を受けていたシホ。

シホ「――ありがとうございます、ジュール隊長」
イザーク「隊長はよせ。もう俺はお前の上官じゃない」
シホ「…あっ、す、すみません。ついうっかり……。
 でも実戦の経験ゆえでしょうか。自分には思いつきませんでした」
イザーク「開発側と実戦では、やはり勝手が違うからな。
 お前の演習は見た。四方へビームを散らす戦い方……。
 お前にしかできないことをやり抜くんだな」

その時、要塞内に緊急放送が――。

イザーク「ん…?」

放送の声『――緊急事態発生! 緊急事態発生!
 プラント本国に所属不明の軍隊が武力侵攻!
 現在、戦闘が行われている模様!』

イザーク「――何だと!?」
シホ「そ…そんなっ!!」


●リー・ケフレン→蠅の魔王の遺伝子が手元に届く。
●ガダル星人→ギグファイターを用意する。
●改造実験帝国メスとベルゼウス一派の連合軍→プラント本国を奇襲。
 あらかじめ潜伏していたスマートブレインの工作部隊とも連携。
●パトリック・ザラ→ナチュラル敵視の共通点から元々
 スマートブレインとも裏で繋がっており、さらにシロッコから
 手に入れていたマス・ドライバーを使ってクライン派政権を脅迫。
○プラント臨時評議会→為す術がないまま、やむなく降伏。
○イザーク→たまたま今日ボアズを視察に訪れていて、難を逃れる。

【今回の新規登場】
○シホ・ハーネンフース(機動戦士ガンダムSEED MSV)
ザフト軍・YFX-200シグーディープアームズパイロット・イザークの元部下
○イザーク・ジュール(機動戦士ガンダムSEED)
元ザフト軍パイロット・プラント臨時最高評議会議員
○アイリーン・カナーバ(機動戦士ガンダムSEED)
プラント臨時最高評議会議長・クライン派
●レー・ワンダ(超新星フラッシュマン)
改造実験帝国メス幹部
●ガダル星人(超星神グランセイザー)
ウオフマナフと契約していた宇宙の死の商人

223 名前:名無し客:04/10/06 02:32

***東京・立花レーシングクラブ***

本郷「蝿の魔王の遺伝子!?」
光太郎「ベルゼウスは、確かにそう言ったんですね!?」

本郷と光太郎の言葉に対し、うなずく防人光と獅子堂たかし。

光「俺たちが駆けつけたときには、もう奴らは撤退した後でした。
負傷したロギアから、確かにベルゼウスはそう言っていたと…」
たかし「宇宙連合と銀河連邦の和平プロセスの妨害も併せて、一石二鳥を
狙ったんでしょう。ウルトラの国やバード星がグランショッカー対策に
追われている隙を狙って…やられました」

本郷「蝿の魔王の遺伝子か……」
光太郎「地球以外にも遺伝子があったとは……グランショッカーは何を……」
本郷「……乾君が戦ったというオルフェノクの王は、確か蝿の怪人だったはず」
光太郎「まさか、それを使ってオルフェノクの王を復活させるつもりでは!?
……信彦──シャドームーンを、三神官が天海地の石を使って甦らせたように……」
本郷「α基地とロンド・ベル隊にもこのことを知らせなければ……」
光太郎「もし俺の推測が当っているなら、これ以上の悲劇を繰り返しては
いけない! 乾君の気持ちは、俺にはよく分かる……」
本郷「グランショッカーに制圧されたプラントには、風見と城が潜り込んでいる
──オルフェノクの部隊から、何か手がかりがつかめるといいが」
光「俺たちもこれから、グランセイザーやバンキッドチームの
みんなと連絡を取ります」

***グランショッカー本部***

レオを伴った村上社長を出迎えるサングラスの男──紳士タイタン。
握手する村上とタイタン。

村上「エーデル・クロイツ結成に続き、今回の謁見までお口添えいただいて、
本当に感謝していますよ、Mr.タイタン」
タイタン「いや、お役に立てて私も嬉しい。嫉妬深い他の邪将たちの横槍で、
至高邪神様にはあなたの策をお聞きいただく機会がありませんでしたからな」
村上「(小声で)このお礼はきっとさせていただきます。地球圏を制圧した
暁には、地底世界全域の支配をあなたに……」
タイタン「いや、その前にやることがある……憎んでも余りある仮面ライダー
どもへの復讐……そのためには、世紀王候補の地位も邪将の位も、私には
不要……」
村上「あなたはもう私たちの同志です……Mr.タイタン、いや、ブラックサタン
大首領の遺伝子を継ぐ者、サタンバグオルフェノク……!」

村上、そこでタイタンに付き従う1人の少女に気づく。

村上「ところで、彼女は……? 誰かに面影が……。!もしや……」
タイタン「フフフ、お気づきになられたか? そう、この娘は……」

やがて、謁見の間に続く巨大な扉がギイイイ……と開く。

タイタン「私たちはここでお待ちするとしましょう」
村上「では……」

***同・謁見の間***

無限に広がる暗闇──天井も壁も感じられない、歩いている床さえも
本当に存在するのか定かでない空間が、そこにあった。

村上「……スマートブレインの長にして薔薇邪将、村上峡児……
偉大なる三柱の至高邪神様に申し上げたき儀があり……
オルフェノクの王・アークオルフェノクの名代として参上いたしました」

闇の中に浮かび上がる、ビルほどもある大きさの鏡──コアミラーが3つ。
それぞれに2つずつ、合計6つの不気味な光る目が出現する。
目の持ち主である、黒い巨人のシルエットは形を定めず、鏡の中でうねりを
見せている……!

大首領の声「本来ならば世紀王候補のみ、我らへの直の謁見を許すところで
あるが──」
バズーの声「貴官の功績と、百目タイタンの進言により──」
サタンゴース「汝が進言を許可する。何なりと申して見よ──!」

○本郷たち仮面ライダー、宇宙人ヒーローたちからの情報で
宇宙連合で起こった異変を知る。
○プラントには仮面ライダーV3=風見志郎と仮面ライダーストロンガー=
城茂が潜入している模様。
●タイタン、仮面ライダー打倒のためにSB社の傘下に。連れている少女の
正体は……!?

【今回の新規登場】
○防人光=ゾーンファイター(流星人間ゾーン)
ピースランド星人・ゾーンファミリー3兄弟の長兄
○獅子堂たかし=メガロマン(炎の超人 メガロマン)
パーソナルアタックチームリーダー・
地球人の父とロゼッタ星人(たてがみ族)の母を持つ半ナチュラル・
八極拳&宇宙拳法の達人
●謎の紳士タイタン=一つ目タイタン=百目タイタン(仮面ライダーストロンガー)
ブラックサタン大幹部・改造マグマ人間・元地底王国国王

224 名前:名無し客:04/10/06 20:41

グランショッカーを支配する三柱の至高邪神と、
SB社社長・村上との謁見は続く……。

バズーの声「村上よ、メスを動かし、コーディネイターどものプラントを
 占領したようだな?」
村上「全てはオルフェノクの王を復活させるための、
 計画の一環にございます」
サタンゴースの声「ではその計画とやらを述べてみよ」
村上「ありがたき幸せ。プラントを制圧したのも、
 そこの住人であるコーディネイターたちを皆全てオルフェノクにし、
 来たるべき地球総攻撃の時に備え、オルフェノクの王のための
 直属の精鋭=コーディネイターオルフェノク軍を編成せんがため……」
バズーの声「なにっ、コーディネイターオルフェノクとな…?」
村上「人間に“使徒再生”を施しオルフェノクとする場合、
 遺伝子強化により生まれた新人類コーディネイターの方が、
 パワー及び各種能力面において、ナチュラルのそれよりも遥かに
 優秀な数字をはじき出す確かなデータが出ております」
サタンゴースの声「ナチュラルよりもコーディネイターから進化した
 オルフェノクの方が能力的に優秀という訳か…」
村上「御意」
バズーの声「…しかし肝心のアークオルフェノクの方はどうなっておる?
 リー・ケフレンからの報告では、ファイズから受けた傷が元で、
 その肉体も灰化が今も進んでおると聞くぞ」
サタンゴースの声「肉体を交換するための生贄とするべき者は、
 いかにして確保するつもりなのだ?」
村上「ご安心を。すでに手は打ってございます」

ここで、今まで沈黙していた大首領が
初めて口を開く…。

大首領の声「よかろう。全てを汝に任す。
 ゴズマ軍の大博士リー・ケフレンとも協力し、
 必ずやオルフェノクの王を再び世紀王候補として再生して見せよ!
 ただし……もし失敗したときは命はないぞ」

片膝をついていた村上はそっと立ち上がり、
ローズオルフェノクへと姿を変える。

ローズオルフェノク「ハハッ…このローズオルフェノク、
 我が命に代えましても必ずや!」


***同本部・大廊下***

謁見の間の扉が開く……。

タイタン「――おやっ? もう終わりましたか」
村上「Mr.タイタン、もしよろしければ貴方方もご一緒にプラントへ。
 これから起こるであろう歴史的場面をお見せしましょう」
タイタン「それは面白そうですな。フフフフフ……」

225 名前:名無し客:04/10/06 20:44

***プラント首都アプリリウス・ワン***

ブライトン「お待ちしておりました。プラントの正統なるザラ議長閣下」
パトリック「うむ」

ヤキン・ドゥーエからやって来たパトリック・ザラを出迎えたのは、
このブライトンと名乗る男だった。一応地球人類の姿をしているが、
明らかに地球人とは違う何かを感じる…胡散臭い男だ。
だがナチュラル殲滅の野望にとりつかれたパトリックにとって、
そんなことは大して気にもならなかった。

捕われたアイリーン・カナーバが、
ギグファイターに両腕を押さえられ牽き立てられてくる。

アイリーン「ザラ、貴様という奴は!」
パトリック「黙れ裏切り者! プラントは“私のもの”だ!
 私からそれを奪おうとするナチュラルも、そしてそれに媚を売る
 貴様らクライン派も、罰を受けて当然なのだ!」
アイリーン「くっ…!」
ブライトン「まあまあ落ち着いてください。カナーバ前議長
 我々は何もプラント市民の皆さんをどうこうしようというのでは
 ありません。どうか平和の使者である我々のことを信じていただきたい。
 決して悪いようにはしませんので…( ̄ー ̄)ニヤリッ」
アイリーン「………」
ライオトルーパー部隊長「報告します。たった今、村上社長が
 デッキに到着されました。ザラ議長殿、お支度を」
パトリック「やっと来おったか、どれ…ではナチュラルどもに
 一泡吹かせてやるとするか」


一方、その頃……

***地球・東京某所***

ウオフマナフの宇宙人と戦った12人の戦士グランセイザーの後見人であった、
堀口一郎博士の研究室へと急ぎパイクを走らせる南光太郎。
が、しかし……!!

光太郎「うわあああっっ!!」

突然何者かの攻撃を受け、転倒する光太郎。
目の前には非常に重厚な装甲に覆われた怪人が立っていた。

光太郎「誰だお前は!?」
ラディアХ「インパクター・ラディア!」
光太郎「インパクターだと? ならお前はロギアの仲間ではないのか!?」
ラディアХ「なんだと! 貴様はロギアを知っているのか!?」
光太郎「直接会ったことはない。だがお前たちインパクター星人は
 ベルゼウスの野望に利用されただけだったと聞いている」
ラディアХ「ふざけるなあっ! ロギアの事など俺が知るかっ!
 仮面ライダーBlackRX! ベルゼウス様の邪魔をする奴は
 俺が許さん!」

メガアックスを振り回し、光太郎に迫るラディアХ。

光太郎「くっ…! 変身っ!!」

RXへと変身する光太郎。

RX「――俺は太陽の子! 仮面ライダーBlackRX!!」

ラディアХ「ちっ…ギグファイター!!」

ラディアは天上高くギグカプセルを放り投げると、
中から放射状に飛び散った粒子が数体に実体化し、
ウオフマナフの戦闘兵士ギグファイターとなって襲い掛かる。

226 名前:名無し客:04/10/06 20:47

ギグファイターA「ギィギィギィギィ…!!」
ギグファイターB「ギィギィギィギィ…!!」

RXもすかさずリボルケインを抜いて応戦する。

ラディアХ「わはははははっ。 わははははっ…
 復活したこの俺の力で、今度こそグランセイザー共を蹴散らしてやるわ。
 そしてルシアは俺のものだ! さて、ギグファイターよ……
 今こそ、地球の人間共を抹殺するのだ!!」
???「――マタドール・バーストッ!!!」
ラディアХ「何っ!?」

ズドォォォォォォォォォン!!!!!

ブルキャノンから吹いた猛火が、
一撃でギグファイターの群れを粉砕する。

RX「君たちは!?」
タウロン「RX! 俺たちグランセイザーも力を貸すぜ!!」

豪「直人!」
蘭「直人さん!」
タウロン「来てくれたか!」
豪「何だこれは……何故またウオフマナフが地球に!?
 ……そうも言ってられないようだな。 装着! セイザートラゴス!!
蘭「装着! セイザーヴィジュエル!!

神谷豪と早乙女蘭も駆けつけて、大地のドライブが全員揃い、
RXと4人でラディアを包囲する。

ラディアХ「こしゃくなっ! だがすでに計画は始まっているのだ!
 オルフェノクの王とやらを生き返らせる計画がな!」
トラゴス「何っ!?」
ヴィジュエル「どういうこと?」
RX「やはりお前たちはグランショッカーと
 手を組んでいるのか!?」
ラディアХ「いずれ解るときが来る! そのときを楽しみにしていろ!」

ラディアはテレポートで脱出した。

トラゴス「逃がしたか…」
ヴィジュエル「もう少しだったのに。でもこの次こそは……」
RX「君たちがグランセイザーか」
タウロン「RX、話は国防省から聞いている。
 堀口博士のところまで案内しよう。天馬たちも待っている」

227 名前:名無し客:04/10/06 20:48

そして、先ほどの戦いの場からは遠く離れた、ある小高い丘……。
インパクター・ラディアは一人、沈む夕日に向かって絶叫する。

ラディア「ルシア、お前は今どこにいる…?
 お前も俺のように何処かで黄泉還っているのではないのか!
 今度こそロギアなどにお前は渡さん!! お前は永遠に俺のもの…。
 ―――ルシアアア――ッッ!!!


●村上峡児→三柱の至高邪神より計画遂行の勅許を得る。
●パトリック・ザラ→占領下のプラントに正統な議長として乗り込む。
●ラディア→ベルゼウスの手下として復活し、地球でRXらと交戦。
 まだ黄泉還っているかどうかも分からないルシアに対して勝手に横恋慕。
○南光太郎→大地のドライブの3人と接触。残りのグランセイザーと
 連絡を取るべく、堀口博士の研究室へと向かう。

【今回の新規登場】
●ライオトルーパー部隊長=ライオンオルフェノク(劇場版仮面ライダー555 パラダイス・ロスト)
スマートブレイン社SWAT部隊指揮官
●ブライトン(超星神グランセイザー)
ベルゼウス配下のガルバ星人・常に地球人の姿をしている
●インパクター・ラディア=ラディアХ(超星神グランセイザー)
剛力を有するインパクター星人・ロギアの元部下
○松坂直人=セイザータウロン(超星神グランセイザー)
格闘家・牡牛座の戦士・大地のドライブのリーダー
超星神ガンシーサーパイロット
○神谷豪=セイザートラゴス(超星神グランセイザー)
警察官・山羊座の戦士・大地のドライブ
○早乙女蘭=セイザーヴィジュエル(超星神グランセイザー)
ストリートダンサー・乙女座の戦士・大地のトライブの紅一点

228 名前:名無し客:04/10/07 12:43

***東和大学考古学部・堀口研究室***

光太郎「はじめまして堀口博士」
堀口「よく来てくれた、仮面ライダーBlackRX…いや、南光太郎君」

初対面でがっちりと握手を交わす光太郎と堀口。
宇宙考古学者であり、学会の異端児としても知られる堀口博士は、
これまでもセイザーミトラスとして覚醒した獅堂未加を助手として起用したり、
剣や天馬の面倒も見ていて、グランセイザーのよき相談相手である。

光太郎「それで博士、お尋ねしていた蠅の魔王の遺伝子について
 何か解りましたか?」
堀口「うむ。その昔ソロモン王が封印した魔王の遺伝子は
 全部で8つあることが解った」
光太郎「魔王の遺伝子と呼ばれる物が8つも!」
堀口「まずはこれを見てくれ」

そう言うと堀口はパソコンのモニターをクリックした。

――底無し淵の王(アポリオン)遺伝子
 邪眼の王(バロール)遺伝子
 蛇の王(サマエル)遺伝子
 飛蝗の王(パズス)遺伝子
 騎士の王(エリゴール)遺伝子
 炎の王(アミィ)遺伝子
 鳥の王(フェネクス)遺伝子
 蝿の王(ベルゼブブ)遺伝子――

堀口「超古代の時代にボスキートを倒すべく地球に飛来した
 ウオフマナフの大艦隊が、その時に蝿の王(ベルゼブブ)遺伝子を
 何らかの理由で入手し、そのまま宇宙に持ち帰って保管していた
 のかもしれんな」
光太郎「………」

そこへ、助手の獅堂未加が慌てて研究室に駆け込んでくる。

未加「博士!大変です!」
堀口「どうしたんだ未加? お前らしくもない」
未加「いいから急いでテレビをつけて!」

堀口がテレビの電源を入れてみると……

229 名前:宣戦布告の映像:04/10/07 12:45

スマートレディ「ハァ〜イ! 地球圏に住む全市民の皆さん、見てますか〜!
 ただ今からここプラントの首都アプリリウス・ワンより、
 この度めでたくザフト軍の最高司令官に復帰されたパトリック・ザラ氏と、
 わがスマートブレイン社の社長である村上峡児氏による臨時共同会見を
 緊急放送しちゃいます! お願いだからチャンネルは変えないでね♪
 お姉さんからの、お・ね・が・い♥」

場面が切り替わる。

村上「皆さん、ごきげんよう。私はスマートブレイン社
 代表取締役社長兼CEOの村上峡児です。今日は地球の皆さんに
 ある告白をするためにこの場に参りました。実は私は人間ではありません。
 人類の進化系――オルフェノクなのです。無論、私だけではありません。
 スマートブレインに所属する全社員がオルフェノクです。
 我々オルフェノクはこれまであなた方愚劣極まりないナチュラルから
 言われもない差別と迫害を受けてきました。我々オルフェノクの生存権を
 守るため、本日我々は志を同じくするザフト軍の勇士の皆さんと共に決起し、
 全てのナチュラル及びそれに組する者に対して宣戦を布告します」
パトリック「私はプラント最高評議会議長パトリック・ザラである。
 聞け! 愚かなナチュラルども! こうして優越種であるコーディネイターと
 オルフェノクが手を結んだ今、もはや貴様ら時代遅れの劣等種など敵ではない!
 “血のバレンタイン”のおり、核で報復しなかった我らの思いを貴様らは
 裏切り踏みにじったのだ! 今こそその報いを受けるがいい!」
村上「我々反ナチュラル同盟軍は、これより3日以内のジェネシスVによる
 地球攻撃を予告します。それまで地球連邦政府は潔く罪に服し
 降伏することを勧告します」

230 名前:名無し客:04/10/07 12:50

***堀口研究室***

堀口「なんということだ! このアンポンタンどもが!」
光太郎「せっかくティターンズを倒したというのに、
 あくまでもナチュラルと非ナチュラルの全面戦争を起こそうというのか!?」
未加「今は種族の違いで争ってる時なんかじゃないのに……」


***渋谷区・駅前繁華街***

高層ビルの壁に掲げられた巨大モニターの映像に注目しながら、
戦々恐々としている民衆。その中には、警察を追われて指名手配中の身でありながら、
今も尚まだ東京都内に潜伏していた南雅彦の姿も……。

南「……村上め、とうとう正体を現したな。
 だが最後に笑うのはこの私だ!」


***太平洋海底・α基地***

カガリ「ちょっと待て!」
アスラン「カガリ…?」

ジャスティスに乗り込もうとしたアスランは、
格納庫に飛び込んできたカガリに止められる。

カガリ「アスラン! なに、お前……どうして!
 なんでプラントなんかに戻るんだよ!」
アスラン「ごめん……」
カガリ「ごめんじゃないだろ!」
アスラン「でも俺は行かなくちゃ」
カガリ「アスランっ!」
アスラン「このままには出来ないんだ!」

――父を止める。
言葉を尽くしても無理ならば、どんな手段を使ってでも…。
脇からやって来たキラが、カガリの肩に優しく手をかけた。

キラ「カガリ、わかるだろ…」
カガリ「キラ……」

不安げに見送るカガリたちを残して、
フリーダムとジャスティスはα基地を離れた。
目的地はグランショッカーの手に落ちたプラント。
生きて戻れるかはわからない。

二人は通信で互いに話しかける。

アスラン「キラ、せめてお前だけでもカガリについてやってた方が
 よくないか?」
キラ「今君を放って帰ったら、泣いて怒るよ、彼女は」
アスラン「違いない…(少し笑う)」


***プラント首都アプリリウス・ワン スマートブレイン・プラント支社***

村上の部下A「社長、たった今我が社の偵察衛星が
 地球から飛び立った2機のモビルスーツを確認しました。
 ZGMF-X10AフリーダムとZGMF-X09Aジャスティスです」
村上「キラ・ヤマト……それにパトリック・ザラの息子ですね。
 まさに予定通りです。フフフ…フハハハハ!!!」


○南光太郎→堀口博士から魔王の遺伝子に関する調査結果について報告を受ける。
●村上峡児→ついに自らのオルフェノクの正体を世間に対して明らかにし、
 地球連邦政府に対して宣戦布告。
○アスラン→父・パトリックの愚行を止めるべく、キラと共にプラントへ向かう。

【今回の新規登場】
○堀口一郎博士(超星神グランセイザー)
宇宙考古学者・グランセイザーの後見人
○獅堂未加=セイザーミトラス(超星神グランセイザー)
女子大生で堀口博士の助手・牡羊座の戦士・炎のドライブ・獅堂剣の姉

231 名前:名無し客:04/10/17 13:15

***地球・東京某所***

高層マンションが立ち並ぶ某住宅街を、インパクター・ラディアと
配下のギグファイターの群れが暴れまわっている。

ラディアХ「ガハハハハ!! いいぞいいぞギグファイター!
 もっと人間どもを襲うんだ!!」

そこにベルゼウスの立体映像が現れる。

ラディアХ「これはベルゼウス様」
ベルゼウスの声『その調子だラディアよ。地球のヒーローどもの関心を、
 今はできるだけプラントより地球に引き付けておくのだ』
ラディアХ「ハハッ、お任せください」

ベルゼウスの立体映像が消える。

タリアス「待て! ラディア!」
ラディアХ「むむっ、現れたなグランセイザー!」
リオン「本当にラディアだ! こいつが黄泉還っていたなんて!?」
ラディアХ「このラディア、地獄の底から舞い戻って来た!
 お前たちグランセイザーを倒すためにな!!」
タリアス「この野郎! なら返り討ちにしてやるぜっ!
 ――ファルコンボウ!!」
リオン「――ダブル・クレッセント!!」

ラディアХと戦うセイザー・タリアスとセイザー・リオン。
そこに突如銃撃がラディアを襲う!

ラディアХ「――ぐおおっ!!」
タリアス「……お、お前は!?」

タリアスの目の先には、愛銃ホロスナイパーを構えた
ロギアХの姿が…!

リオン「ロギア!?」
ロギアХ「――今だタリアス!」
タリアス「…お、おう! バーニング・ファルコン!!!!
ラディアХ「うわああああっっ!!!!」

タリアスがファルコンボウから繰り出したバーニングファルコンによって
吹き飛ばされ変身も解除されるラディア。
タリアス、リオン、ロギアもそれぞれ装着を解除する。
倒れ伏しているかっての部下にラディアに
ホロスナイパーの銃口を向けるロギア。

ラディア「…こ、殺せ――!」
ロギア「愚かだなラディア。ベルゼウスの飼い犬に成り下がるとは」
ラディア「野良犬に成り下がったお前よりはマシだ!
 ルシアに相応しいのはこの俺の方だからな!」
ロギア「なに、ルシアだと? ルシアはもう死んだ!
 もうこの世にはいない」
ラディア「いや! ルシアもきっとどこかで黄泉還っているはずだ!
 俺には解るのだ! ルシアの心は永遠に俺のもの…」
ロギア「埒もないことを…! 黄泉還った時に頭がおかしくなったか!
 ならばせめて再び地獄へ送ってやる!」

だが、天馬に制止される。

天馬「よせロギア、こいつはインパクター星人。
 つまりはお前の仲間だろ!」
ロギア「甘いぞ天馬、命を助けることが必ずしも
 慈悲になるとは限らん。このまま同胞がベルゼウスの駒として
 使い捨てられるくらいなら、いっそ俺の手で一思いに――」
ラディア「だまれ!! ロギア、貴様如きに邪魔はさせん!!
 いずれ必ず貴様より俺の方が上である事を証明してやる!!」

ラディアは隙を見てテレポートで脱出する。

ロギア「逃げられたか……」
天馬「それにしてもロギア、お前も地球に来ていたのか?」
ロギア「ウオフ・マナフの意思から、グランショッカーへと降った
 ベルゼウスを追討せよとの命を受けた。奴の首を持ち帰れば
 俺のかっての罪も帳消しになるそうなんでな…」
剣「へぇ〜そうなんだ。でも今ラディアが言っていた
 ルシアも黄泉還っているかもしれないって……」
ロギア「そんな確証はどこにもない。奴の戯言だ。気にするな。
 それよりもベルゼウスの今現在の居場所を知りたい。
 もし何か知っているなら案内してもらおうか」

232 名前:名無し客:04/10/17 13:18

***プラント首都アプリリウス・ワン 改造実験基地ラボー***

ちょうどプラントの宇宙港部分に無理やりドッキングしているラボーに、
次々とゾローやライオトルーパー隊によって連行されてくる
ザフト軍の捕虜やプラントの市民たちが一列に並ばされている。

ネフェル「フフフ…心の準備は出来たか?」
ザフト兵「放せ、放してくれ! 一体何をするつもりだ!?」
ワンダ「ええい、うるさい! 貴様らコーディネイターは
 これからグランショッカーに死ぬまで仕える事になるのだ!」
スマートレディ「うふふー☆ そうじたばたしないのぉ!
 さあ、ケフレン博士…、早く始めちゃって♥」
ケフレン「うむ…」

遺伝子シンセサイザーを奏で始めるリー・ケフレン。

           
   
        
       
   
         
       
       

ザフト兵「うっ…うわあああ――っっっっ!!!!!」

青白い光に包まれた瞬間にオルフェノクへと変わっていくザフト兵…。
人間をオルフェノク化する“使徒再生”のメカニズムを解明することに
成功していた大博士リー・ケフレンは、人工的にオルフェノクを創り出す
改造の術式を編み出していたのだ。

ケフレン「フフフ…実験は成功した。コーディネイターオルフェノクの誕生だ」
スマートレディ「すっご〜い! さすがは遺伝子的に強化された新人類ね♥
 ナチュラルだと大半が灰になっちゃうのにぃ!」

驚いた素振りを見せつつも、充分な実験成果に
すっかりご満悦な笑みを浮かべるスマートレディ。

スマートレディ「それじゃあコーディネイターオルフェノク803号さん、
 この宇宙で最も偉大なる神はだ〜れ?」
オルフェノク「それは三柱の至高邪神様でございます」
スマートレディ「それじゃあ次の質問よ。貴方が生命を懸けて忠誠を誓う王様は?」
オルフェノク「それは我らがオルフェノクの王、アークオルフェノクでございます」
スマートレディ「うふふ……洗脳の方も完璧ね。地道に人間を襲ってるよりも、
 これなら効率よくオルフェノクを増やせそうだわ♪」


***同プラント 最高評議会ビル・統合作戦司令室***

パトリック「村上、貴様どういうつもりだ!?」
村上「これはザラ議長殿、どうかされましたか?」
パトリック「ふざけるな! 確かに我々はお前たちグランショッカーと手を組んだが、
 我がザフトの兵士やプラントの市民をオルフェノクに変えることまで
 許した覚えはないぞ!」
村上「別に貴方の許しなどは要りません。これはグランショッカーの
 作戦として作戦として行っていることです」
パトリック「謀ったな! 貴様最初からそのつもりで…!」
村上「今頃お分かりですか。もう貴方の役目は終わりました。
 まあ後のことはお心置きなく。貴方の憎いナチュラルは、
 我々オルフェノクがきっと滅ぼして差し上げます」

村上が指をバチンと鳴らすと、武装したスマートブレイン社の
SWAT兵士たちが部屋に押し入ってきて、パトリック・ザラを取り囲む。

パトリック「――待て! 私の身にもしもの事があってみろ!
 ジュピトリアンが黙ってはいないぞ!」
村上「フハハハハ……まだ解らないのですか?
 パプティマス・シロッコもすでに貴方のことは見捨てているという事に」
パトリック「な…なんだとっ!?」

233 名前:名無し客:04/10/17 13:23

***同評議会ビル・東口玄関***

すでにスマートブレイン社直属のSWATチームによって
厳重な警備の下にあるプラント評議会ビル。
そこへ、両手に手錠をかけられたキラとアスランが
一人のSWAT兵士によって連行されて来る。

SWAT兵A「どうしたんだ、そいつらは?」
SWAT兵B「そこらへんをうろちょろしていた怪しい奴を見つけたんで、
 これから取調室に連行する」
キラ「………」
アスラン「………」
SWAT兵A「よし解った。通れ!」
SWAT兵B「とっとと歩け!」

捕らえた二人に銃をつきつけ、
そのまま建物の中に入ろうとするSWAT兵。

SWAT兵A「…待て!」
SWAT兵B「――!!(ギクッ!!)」
SWAT兵A「取調室はそっちの方向じゃない。あっちだ」
SWAT兵B「……えっ! あーすまんすまん。つい忘れてたぜ(汗」


***同評議会ビル・1階廊下***

SWAT兵B「よし、ここまで来ればもう大丈夫だぜ」

SWAT兵は周囲に誰もいないことを確認すると、
キラとアスランの手錠を外した。

キラ「助かりました。海堂さん」
アスラン「でも驚いたな。君がまさかこんなところにいるなんて…」
SWAT兵B「驚いたのは俺様の方だ! いきなり俺を背後から
 羽交い絞めにして締め上げやがって!」

ブツブツと文句を言いながら、ゴーグルとメットを外すSWAT兵。
実は独自にスマートブレイン社に潜入していた海堂直也の変装だったのだ!

キラ「すみません。あの時は海堂さんだなんて知らなかったもので…」
アスラン「ここにいるのは、やはり照夫という少年を助けるためなのか?」
キラ「それなら乾さんに協力を求めればいいのに。
 海堂博士も心配していますよ」
海堂「うるせぇ! 照夫ちゃんを救い出すのは、あくまでこの俺様の役目だ!
 いちいち乾や叔父貴なんかに助太刀を頼めるか!」

そうやって意地を張っている海堂に一瞬苦笑するキラとアスラン。

アスラン「海堂さん。郊外の森の奥にフリーダムとジャスティスを隠してある。
 もし俺たちに万一のことがあったら、機体をよろしく頼む」
海堂「やだね。あんな物騒なモン、お前らが乗れよ」
キラ「………」
アスラン「………」
海堂「俺は必ず照夫の体からオルフェノクの王を追い出してやる。
 まあ、お前らもせいぜい頑張れよ」
アスラン「ああ」
キラ「お互いに健闘を」
海堂「おう!」


○ロギア→ベルゼウス追討のため地球を再訪。天馬たちと合流。
○●グランショッカーによって捕われたザフト兵やプラント市民たちが
 次々とコーディネイターオルフェノクに改造されていく…。
●パトリック・ザラ→村上に利用されていた事に気づき、愕然とする。
○海堂直也→スマートブレインから照夫を救出すべく
 自らライオトルーパー部隊に潜り込み、プラント内部に潜入していた。
○キラ、アスラン→偶然出会った海堂の協力を得て評議会ビルに潜入。
 そのままパトリックのいる議長室を目指す。

【今回の新規登場】
○弓道天馬=セイザータリアス(超星神グランセイザー)
バイク便ライダー・射手座の戦士・炎のドライブのリーダー
超星神ガルーダメインパイロット
○獅堂剣=セイザーリオン(超星神グランセイザー)
高校生・獅子座の戦士・炎のドライブ・獅堂未加の弟
○海堂直也=スネークオルフェノク(仮面ライダー555)
木場勇治の戦友・人類共存派のオルフェノク

234 名前:名無し客:04/10/20 12:57

海堂の手引きで、無事に評議会ビルへと潜入したキラとアスラン。
そのまま上層階の議長室を目指して奥深くへと突き進んでいくが……

アスラン「キラ…変だとは思わないか? ここまで来たのに
 さっきから警備の兵士が一人も見当たらない」
キラ「そういえば……」

もしかして、罠?――
そんな予感が二人の脳裏をよぎる。
そこへ暗闇の向こうからスマートレディが姿を現す。

スマートレディ「キラ・ヤマト君にアスラン・ザラ君ね?
 お待ちしてたわよ。でもいきなり来るもんだから
 お姉さんびっくりしちゃった。でも大歓迎です♪」
アスラン「――お前は!?」

いきなり現れたスマートレディに
アスランは驚いて銃口を向ける。

スマートレディ「きゃあー、こわ〜い!」
アスラン「父の居場所まで案内してもらおうか!」
スマートレディ「君のパパに会って説得するつもりなんでしょ?
 無駄だと思うけどなぁ〜。でもいいわよ。
 お姉さん可愛い子には甘いから案内してあげちゃう♥」
アスラン「………」


***評議会ビル・議長室***

スマートレディに案内され、議長室へと入るキラとアスラン。
部屋の奥の議長の椅子にはアスランの父パトリックが座っていた。

アスラン「――父上!!」
パトリック「……………」

駆け寄るアスラン。パトリックも席から立ち上がり、
ゆっくりと駆け寄ってきた息子に向かって歩み出すが……

パトリック「………ア…ス………ラ……ン…」

父子が触れ合う寸前、パトリックの体は
全身が灰となって崩れ落ちてしまった。
愕然とするアスラン。

アスラン「ち、父上ぇ――!!」
キラ「……これは一体!?」
村上「残念ながら君のお父上はオルフェノクとして適さなかったようだ。
 コーディネイターはナチュラルよりも使徒再生の成功率は高いとの
 データは出ていたのですがね…」
アスラン「――!!」
キラ「――!!」

キラとアスランが後ろを振り返ると、
そこにはスマートブレイン社の社長にして
グランショッカー薔薇邪将である村上峡児の姿があった。
蠅の魔王の遺伝子とプラント占領に絡む一連の事件の張本人である。

アスラン「お前が父を殺したのか!?」
村上「おや、あなた方父子は確か仲が悪かったはずでは?
 感謝されこそすれ、恨まれる筋合いはないと思いますがね」
アスラン「――貴様ああっ!!」

アスランは拳銃を村上に向けて数発発射するが、
ローズオルフェノクに変身した村上が手を振ると
無数の爆発するバラの花びらがキラとアスランを襲う!

アスラン「ぐっ、うあああっっ!!」
キラ「うわあああっっ!!!」

二人はそのまま気を失ってしまった。

235 名前:名無し客:04/10/20 12:58

***アプリリウスワン・市街地郊外***

スマートブレインのSWAT兵士として警備巡回中に
他の兵士たちが話していた「キラとアスランが捕まったらしい」との噂を耳にし、
途方にくれる海堂。

海堂「まいったぜ。キラとアスランのやつ、しくじりやがったな。
 とにかく早く誰かにこの事を知らせねーと」

――ゴンッ!!

海堂「――ぐえっ!!」

いきなり背後から頭部を殴られ、口を塞がれて
森の中へと連れ込まれる海堂。

風見「大人しくしろ!!」
城「その恰好はスマートブレイン社の者だな?
 お前にはいろいろと訊きたいことがある」
海堂「ふぐううっ!ふぐぐうううっ!!」
風見「……!?」
城「君は確か…?」

大声を出せないように口を塞いでいた手を
離してやる城茂。

海堂「……ぷはあああ! 全くヒドい目にあったぜ。
 後ろから殴られて羽交い絞めにされるのはこれで
 今日は二度目だ!」
風見「二度目…??」
城「(苦笑しながら)すまんすまん。しかしなんで君がこんなところにいる?
 それになんなんだその恰好は?」
海堂「そんなことよりも大変なんだ!
 キラとアスランの二人がやべえんだよ!!」
風見「――何っ!? あの二人の身に何かあったのか!」

236 名前:名無し客:04/10/20 13:00

***オルフェノクの王復活の神殿***

ようやく深い眠りから覚めるキラとアスラン。
まだ眠りから完全に覚めていないのか、頭の後ろがズキズキする。
そこに広がっていたのは、一面の薄暗い広大な空間…。

アスラン「………気がついたか、キラ?」
キラ「う、うん。ここはいったい…?」

まだ意識が朦朧としている中、身の周りの状況を把握しようするが、
二人は両腕を鎖に繋がれて上から吊るされ、奇妙な実験機械のような物体に
しっかりと体を固定・拘束されていた。

ケフレン「目が覚めたようだな?」
キラ「……!!」

二人の眼前にはケフレンとベルゼウス、
そして村上が立っていた。

アスラン「誰だお前たちは?」
村上「ご紹介しましょう。こちらは大博士リー・ケフレン殿に
 元ウオフ・マナフ最高会議幹部ベルゼウス卿。
 今回のプラント征服作戦で、このお二方には多大な貢献を賜りました」
アスラン「お前たちがプラントを襲ったのか!?」
ベルゼウス「フン…そういうことだ」
キラ「僕たちをどうするつもりだ?」
ケフレン「お前たちをこれから私の手で改造してやる。
 オルフェノクの王を復活させるためにな」
アスラン「なんだと」
キラ「なんで僕たちを」
村上「お教えしましょう。キラ・ヤマト君にアスラン・ザラ君。
 実は君たちも世紀王候補としてリストアップされていたのです」
キラ「――えっ!?」
アスラン「――!!」

村上の驚愕の告白に、信じられないといった表情をする
キラとアスランの二人。

村上「無論、あなた達だけではありません。
 一年戦争のニュータイプ、アムロ・レイとシャア・アズナブル、
 ギシン星の双子、明神タケル=マーズとその兄マーグ、
 セフィーロの柱の座を争った獅堂光とオートザムのイーグル、
 そしてテボネアに育てられた光の心の闇の少女ノヴァ、さらには
 地球の運命を握る少年司狼神威とその添え星であった桃生封真。
 彼らも次期創世王の候補だったのですよ。そして……
 究極のコーディネイターであるキラ・ヤマトと
 プラント悲運の貴公子アスラン・ザラ……」
キラ「………やめろ、やめてくれ」
ケフレン「オルフェノクの王の体の中には、
 完全に砕け散ったと思っていた鈴木照夫という小僧の心が
 まだ残っている。その僅かな人間の心がオルフェノクの肉体に
 拒絶反応を起こし、王の復活を阻んでいるという訳だ」
ベルゼウス「だからお前たち二人の体を代わりに王に捧げてもらうぞ!」
ケフレン「蠅と飛蝗…両方の特質を持つオルフェノクの王…。
 捨てきれぬ人間の心を飛蝗の性質の部分と共に葬り去り、
 お前たちの肉体を拠り代にして、完全に蠅の魔王として特化するのだ」
アスラン「くそっ…!」
キラ「………そんなこと、させるもんかぁっ!!」

キラとアスランは必死にもがくが、
二人の両手両足を拘束している鎖はびくともしない。

237 名前:名無し客:04/10/20 13:01

そこへ戦いで傷ついたラディアが入り込んでくる。

ラディア「……ぐっ、うううっ…!」
ベルゼウス「どうしたのだラディア?
 さてはその傷はロギアにやられおったな!
 不甲斐ない奴め」
ラディア「俺はもっと強くなりたい!
 頼むっ! 俺に! 俺にもっと力をおおおっ!!」

そう叫びながらケフレンに泣いて縋り付くラディア。

村上「何ですか貴方は? 事情はよく知りませんが見苦しいのは下の下ですね。
 邪魔です。今は大事なところですのでお引取りください」
ケフレン「まあ待て。せっかくだから蠅の魔王の遺伝子を
 使ってみるとしよう」
ベルゼウス「よいのか? 大事な遺伝子をそんなことに使って…?」
村上「困りますねケフレン博士。それは我らが
 オルフェノクの王の復活に必要な――」
ケフレン「安心しろ。王の手術に必要な遺伝子液はまだ余分にある。
 それに事前のテストも必要だ。……ラディアとやら、
 強くなりたいのなら己の身を捧げる覚悟はあるか?」
ラディア「する! ロギアを超えられるならなんでもするぞ!!」
ケフレン「よかろう。ではあの実験カプセルの中に入るがよい」

言われるがままに透明なカプセルの中へ入るラディア。

ベルゼウス「面白い。ブライトン!」
ブライトン「ハハッ」
ベルゼウス「お前もケフレン博士の生命改造実験に
 ついでに身を捧げるのだ!」
ブライトン「…えっΣ(゚д゚lll)!? な、何をっ!?」

ベルゼウスはブライトンの襟首をぐいっと掴むと、
ラディアと一緒の透明カプセルの中に放り込んでしまった。

ブライトン「ベルゼウス様! 何をなさいます!?」
ラディア「さあ、とっと早く始めてもらおうか!」
ブライトン「冗談じゃない!! 私は御免だぞ!!
 だ、出してくれー!!」

蠅の魔王の遺伝子液を器具の中に注入し、
神殿内に移設された遺伝子シンセサイザーを奏で始める
大博士リー・ケフレン。

ケフレン「キラ・ヤマト、それにアスラン・ザラ、
 お前たちも私の聖なる生命改造実験を、そこで見ているがいい!」
キラ「………」
アスラン「………」

238 名前:名無し客:04/10/20 13:03

        
       
            
         
  
 

キラ「あうっ…! うわあああっっ!!!!」
アスラン「くっ…ああっ…あああああっっ!!!!!」
ベルゼウス「――こ、これは、一体どうしたことだ!?
 体が…私の体が…ぬおおおおっっっ!!!!!」

遺伝子シンセサイザーのメロディが流れ始めると、
なぜかキラとアスラン、それにベルゼウスまでもが
突然苦しみだした。

村上「これは一体……?」
ゴーギャン「ベルゼウス様、いかがなされました!?
 どうかお気を確かに!」
ベルゼウス「体の中に激痛が走るようだ…! く、苦しい…!」

さらには今まで他の部屋にいた琢磨逸郎や
ロブスターオルフェノクまでもが苦痛を訴えて
実験室の中に駆け込んできた。

村上「どうしたのですか、皆さん?」
琢磨「そ、その音が…苦しめるのです…!」
ケフレン「――!!(…蠅の魔王の遺伝子を使ったからに違いない。
 ではなぜ、私や村上、それにベルゼウスの部下たちは平気なのだ…??
 ……そうか! 一度死んで黄泉還った者と、元から生きている者とでは
 生命構造に微妙な変化が起きているのだ。…するともしや、一度完全に消えたはずの
 鈴木照夫の心が再びアークオルフェノクの中に蘇ったのも……。地球圏のみならず、
 遥か銀河宇宙の各地でも起こっているという黄泉還り現象の原因、
 大博士リー・ケフレンの名にかけて必ずや突き止めねばなるまい…)」

                  
                
                
                     
          
             

ベルゼウス「何をしておるケフレン!! ぬ、ぬおおおおっっ…!!!」
ロブスター「村上君…早くやめさせて! く、苦しいわ!!」
琢磨「もう……やめてくださいっっっ!!!!」

やがて爆音と共に演奏が終わり、
煙の中から現れたのは……

ケフレン「……誕生、蠅の魔王の獣戦士、ザ・ブラディ!!!」
ザ・ブラディ「――グオオオオッッ!!!

蠅の魔王の遺伝子が原因による波長が出ていた
遺伝子シンセサイザーのメロディの苦痛からようやく解放され、
まだ吐き気を催しながら廊下へと出る琢磨。

琢磨「――ゲホッ!!ゲホッ!!…ゲホッ!!(咳き込む)」

だんだんと落ち着きを取り戻して来た琢磨は、
突然我に返りハッとする。

琢磨「…ぼ、僕はこんなところで、一体今まで何をしていたんだ??
 そうだ、思い出したぞ! 確かスマートブレインに無理やり連れ戻されて…!!」

239 名前:名無し客:04/10/20 13:06

○キラ、アスラン→アプリリウス・ワンの同プラント地下に秘密裏に築かれた
 復活の神殿(生命改造実験施設)に囚われる。
○海堂直也→風見志郎、城茂と合流。キラとアスランの危機を伝える。
●パトリック・ザラ→死亡。
●リー・ケフレン→黄泉還り現象の真相に迫り始める。
●ラディア、ブライトン→獣戦士に改造される。
○琢磨逸郎→蠅の魔王の遺伝子液を用いた遺伝子シンセサイザーの
 演奏を聴いたショックで、洗脳が解けて人間の心を取り戻す。

【今回の新規登場】
○風見志郎=仮面ライダーV3(仮面ライダーV3)
○城茂=仮面ライダーストロンガー(仮面ライダーV3)
●蠅の魔王の獣戦士ザ・ブラディ(超新星フラッシュマン×超星神グランセイザー/半オリジナル)

240 名前:名無し客:04/10/24 03:52

***アプリリウスワン・市街地郊外***

情報交換する風見と城・そして海堂。

風見「事態は一刻を争う…キラ君とアスラン君が何かされる前に…」
城「何としてでも助けなければ…直也君、心当たりはあるか?」
海堂「そう言えば……評議会ビルの地下に、メスの要塞から
機材が運び込まれてたな。どこかに通じてるのかも」

風見「本郷さんたちと合流しているヒマはないな…俺たちだけで何とかしよう」
海堂「……ライダー1号たちも来てるのか!?」
城「しっ、声が大きいぜ。俺たちは先発組でな…本郷さんに洋、それに
巧が後から来る手筈になってる」
海堂「……結局あいつも来るのかよ」

一路、評議会ビルを目指す3人。

***オルフェノクの王復活の神殿***

険しい表情で、数人のブラックサタン戦闘員、そして例の少女を
引き連れた紳士タイタンが入室して来る。

村上「Mr.タイタン、どうされました?」
タイタン「私には感じる──奴が、ストロンガーが近くに来ている!」

一同「!!」

キラ「(仮面ライダーが…プラントに…)」
アスラン「(まだ…勝機はある…)」

ケフレン「フフフ、面白い。仮面ライダーの力がどれほどのものか、
ザ・ブラディーに試させるとしよう……」
タイタン「手出しは無用! ストロンガーは私の獲物だ!」
ケフレン「フン、ストロンガーがブラディーに倒されて、ブラックサタン
よりも私の技術の方が優れているのを証明されるのが不満かな」
タイタン「ぬ……言わせておけば、貴様……ッ(ザワザワ…)」

にらみ合う2人の間に割って入る村上。

村上「議論している場合じゃありませんよ! 潜入している仮面ライダーは
1人ではないでしょう……ストロンガーはMr.タイタンにお任せするとして、
他の連中は獣戦士に始末していただきます。それでいいですね?
冴子さん、あなたも動けますか?」
タイタン「……(落ち着きを取り戻す)フフフ、私としたことが失礼……。
待っていろストロンガー、三度目はこのタイタンの……邪眼の王の遺伝子を
持つサタンバグオルフェノクが勝利する!」

タイタンの背後に伸びた影、ブラックサタン大首領の──サタン虫の王の
形となってうごめく!

241 名前:名無し客:04/10/24 04:34

***L5宙域***

プラント近くの宇宙空間にステルスフィールドを張って
待機している──フラッシュ星の要塞型宇宙船・ラウンドベース。

***ラウンドベース内***

司令室で作戦を練っている本郷猛、超新星チームリーダーのジン、
そして──行方不明になっていたアムロ・レイ!

自動ドアが開き、城戸真司が入って来る。

真司「本郷さん、プラント突入の準備、全部終わったそうです」
本郷「そうか…」
真司「それにしてもビックリしましたよ……サイド3に、アムロさんたちや
修理中のガンダムを乗せたこの基地が来た時には」
ジン「ちょうど木星近くを通りかかった際に、漂流中の3機に出会えたのは
良かったよ。おかげで今の地球の状況も大体教えてもらえたしな」

NR@小野田英一
「侵攻して来たグランショッカー・ゴズマ軍をフラッシュ星系から撃退したのも
つかの間、フラッシュマンたちが敵兵士から聞いた衝撃の事実──
改造実験帝国メスが活動を再開したという話は、彼らを再び故郷=地球へと
向かわせるのに十分な理由だった。途中、アムロ・クリス・カミーユの
3人を救助したラウンドベースは補給のためサイド3に立ち寄り、そこで
仮面ライダー龍騎=城戸真司と出会い、更にプラントへ向かう途中の
本郷猛たちとも合流したのだった」

ジン「サラが苦心の結果、開発した反フラッシュ反応抑制剤のおかげで、
他惑星での活動も可能になった以上──奴らの思い通りにはさせませんよ」

本郷「風見たちが調べてくれた結果、プラントには警備が手薄な場所が
2ヶ所あることが分かった。スターコンドルとフラッシュタイタンで
それぞれ突入し、宇宙港と評議会ビルを同時に押さえよう」
アムロ「俺たちがガンダムでおとりになっている間に、ジン君・ブン君・サラ君が
フラッシュキングで突入し、宇宙港のメス要塞から捕えられた人たちを救出する」
本郷「俺たち仮面ライダーは、ダイ君・ルー君と一緒にフラッシュタイタンで
評議会ビル──その中のグランショッカー本部を…!」

本郷、真司に向き直る。

本郷「城戸君…君にとっては慣れないミラーワールド外での戦いになるが、
構わないんだね?」

真司、一瞬不安そうな表情を浮かべるが、すぐに意を決したようにうなずく。

真司「俺も……仮面ライダーですから」

●タイタン、ストロンガーの気配を感じ取り、復讐に燃える。
他のグランショッカー・宇宙連合幹部達も臨戦体制に…。
○風見・城・海堂の3名、評議会ビルを先に目指す。
○生死不明になっていたアムロたち、フラッシュマンに救出されて無事。
Hi-νガンダムや2機のZも修理が完了した模様。
○本郷・筑波・津上の3ライダー、宇宙でフラッシュマンや真司と
合流し、プラント解放&ジェネシスV阻止のために行動開始。
(蓮と優衣はリュウガの動向を探るためサイド3に残留した模様)
フラッシュキング(レッド・ブルー・イエローが搭乗)とフラッシュタイタン
(グリーンとピンクが搭乗)による二面作戦は成功するか!?
○フラッシュマン、反フラッシュ反応を抑制する薬品の開発に成功した模様。

○ジン=レッドフラッシュ(超新星フラッシュマン)
超新星リーダー・タンクコマンド操縦者・フラッシュ星本星で育った地球人

242 名前:名無し客:04/10/30 11:37

一方、その頃…
ここはアプリリウス・ワンから少し離れた、
ヤキン・ドゥーエ近くの宙域である。

***ジェネシスV・発射基地***

ピ―ピ―ピ―ピ―ピ―ピ―!!
ピ―ピ―ピ―ピ―ピ―ピ―!!
ピ―ピ―ピ―ピ―ピ―ピ―!!

さっきから基地内に警報が鳴り止まない中、
あちこちに無残にも散らばっている、灰化したライオトルーパーの残骸…。
その中央に立つのは草加雅人――仮面ライダーカイザ!!

北崎「あーれー? 困るなあ…。これから大っきい花火が
 見られるところだったのに……」
カイザ「……心配するな。そんなに花火が見たいなら見せてやる。
 だが木っ端微塵に吹っ飛ぶのは地球じゃない。プラントだ」
北崎「王様をプラントごと吹き飛ばすつもりかい?
 いかにもブルーコスモス辺りの考えそうなことだけど、
 それも困っちゃうんだよなぁ…。王様を倒すのは僕なんだからさぁ…」

カイザと対峙した北崎は、ズボンのポケットから
ゆっくりと携帯電話型メカ=オーガフォンを取り出すと、
コードを入力して地の帝王のベルト「オーガドライバー」へと
セットした。

――000+ENTER!!
≪Standing by≫

北崎「…変身」

Complete!!

地の帝王のベルトの戦士オーガ(000)へと変身を遂げる北崎。

カイザ「――貴っ様あああっっ!!!」
オーガ(北崎)「フフフフフッ……じゃあ行くよ」

243 名前:名無し客:04/10/30 11:38

***オルフェノクの王復活の神殿***

一方こちらはプラントの最高評議会ビル地下に築かれた
オルフェノクの王の再生手術のための改造大神殿。
いよいよ蠅の魔王の遺伝子を用いた本手術が行われようとしていた。
実験装置に固定されたキラとアスランの前に
アークオルフェノクが水槽に浸かり横たわっている…。

ケフレン「――さあ、いよいよ儀式の時間だ。
 覚悟はできているだろうな?」
キラ「……う!」
アスラン「くっ…!」

ついに遺伝子シンセサイザーのその邪悪なるメロディを
ゆっくりと…そして勢いよく奏で出す大博士リー・ケフレン!

              
                      
                  
                       

キラ「あうっ…! うわあああっっ!!!!」
アスラン「くっ…ああっ…あああああっっ!!!!!」

生命改造実験の苦痛のあまり絶叫を上げるキラとアスラン。
そして、これから起こるであろう最高の結果を確信して
狂気の笑みを浮かべるスマートブレイン社社長・村上峡児!

村上「これで地球は我々オルフェノクのものです。
 フフフフフ…フハハハハハ!!!!!」

244 名前:名無し客:04/10/30 11:38

***アプリリウスワン・市街地裏道***

グランショッカーに捕われたキラとアスランの二人を救出すべく、
一路、評議会ビルを目指していた風見、城、海堂の3人。
その急ぐ彼らの前に一人の人物が……琢磨だ。

城「――お前は!?」
海堂「…チッ、見つかっちまったか!!」
琢磨「待ってください! 僕は貴方たちに危害を加えるつもりはありません!」
風見「なんだって?」

抵抗の意思のないことを示し、3人に近づく琢磨。

城「我々に手を貸すというのか?」
琢磨「僕は…人として生きていく事にしました。そして、それは人を守ると言う事」
海堂「ふざけんじゃねえ! そんな話が信用できるか!」
風見「まあ待て。ここは一つ、彼のことを信用してみようじゃないか」
海堂「まさか…冗談だろ!? 何かの罠だったらどうすんだよ!!」
風見「俺たちには手段を選んでいる時間は無い。
 それに虎穴にいらずんば虎児を得ずという諺もあるしな」
海堂「ちぇっ! 勝手にしろ…」
城「よし、これで話は決まった!」
琢磨「ありがとう。キラ君たちのところまで案内します。
 さあこっちです――」


◎草加雅人→南雅彦の密名を受け、ジェネシスV発射基地を急襲。
 ジェネシスVのコントロールを奪い、プラントごとオルフェノクの王を
 吹き飛ばすことが使命。
●北崎→ジェネシスV発射基地で指揮を執っていたが、
 以前、木場から奪ったオーガのベルトを村上から与えられ、
 それを使ってオーガに変身。草加カイザと宿命の対決へ。
●いよいよオルフェノクの王復活の儀式が開始。
○風見、城、海堂→改心した琢磨逸郎と合流。
 そのまま琢磨の案内で地下の大神殿へと急ぐ。

245 名前:ジェネシス基地での戦い:04/11/09 21:10

***ジェネシスV・発射基地***

ザフト軍宇宙要塞ヤキン・ドゥーエすぐ近くの
ジェネシスV・コントロールステーションでは、
草加カイザと帝王のベルトで変身した北崎オーガとの
激戦が繰り広げられていた。
カイザブレイガンのソルグラス製の刃と
冥界の剣オーガストランザーが切り結び、
激しく火花を散らす!

オーガ「くくくっ…やるね。でもこれならどうかな?」
カイザ「なにっ!?」

オーガは、ミッションメモリーが装填されているオーガフォンのENTERキーを押して、
オーガドライバーよりエネルギーを刀身に注入した。

Exceed Charge!!

刀身から相手目掛けて光の刃を伸ばして相手を真っ二つにする
必殺技オーガストラッシュに跳ね飛ばされるカイザ。

カイザ「ぐわあああっ!!!」

衝撃でベルトが外れ、草加は変身が解けてしまった。
倒れ伏す草加の前に立ち、その首筋に悪戯っぽく剣先を突きつけるオーガ。

オーガ「所詮君の力はここまでだね。ちょっとは腕を上げてるかと期待したのに。
 結局つまんなかったなぁ…」
草加「き、貴様ああっ!!」
オーガ「そろそろ止めを刺させてもらうよ」
草加「ぐっ…!」

もはやこれまでかと思われたその時、突然に基地内に強烈な共鳴振動波が
響き渡り、帝王のベルトの内臓コンピューターの磁気を狂わせた。

オーガ「…なんだこれは?? ぐっ…ぐわあっ!!」

そして突然現れた、残像を漂わせた幻影的なスピードを持つ
何者かが驚異的な強さと素早さでいとも簡単にオーガを吹っ飛ばす。
反撃の余地すら全く無かったオーガは、大ダメージを受けてベルトが外れ落ち、
北崎の姿へと戻る。

北崎「チッ…またお前かよ。一体何者……ぐっ…!!
 この借りは必ず……」

謎の敵に対し、不本意ながらも戦況不利を悟った北崎は、
よろよろになりながらもその場から逃げ去る。
何が起こったのか訳もわからず呆然としている草加の目の前には、
頭部に二本角が生えた怪人が立っていた。

草加「義父さん……!?」

246 名前:ジェネシス基地での戦い:04/11/09 21:11

そのオルフェノク=山羊の特性を持つゴートオルフェノクは、
北崎の手を離れて床に転がっていたオーガのベルトを拾い上げると
人間態=花形の姿へと戻り草加の方へと顔を振り向けた。

花形「久しぶりだな…雅人」
草加「くっ…!!」

敵意むき出しの表情の草加は、すぐにカイザのベルトをまた装着して
変身しようとする。…が、その手は背後から別の誰かに止められた。
仮面ライダーデルタだ。

デルタ「やめろ、草加! 義父さんと戦うつもりか?」
草加「三原か!? お前もここに来ていたのか…」
花形「命を粗末にするな。その傷では私と戦うだけの力は残ってはいない…」
草加「うるさい! オルフェノクは全て敵だ!
 義父さん! たとえアンタでもな!」
花形「………」
草加「俺は知ってるぞ義父さん! スマートブレイン本社の地下にあった
 流星塾に迷い込んだ工夫2人を、アンタが開発していたベルトの
 試験体にして殺したこともな!!」
デルタ「よせ草加! 俺もその事は後になってから聞いたよ…。
 頼むからそれ以上は言うな!」
花形「お前が南雅彦に何を吹き込まれたかは知らないが、
 確かに彼らを死に追いやったのは私だ。言い訳はすまい。
 いずれは私も罪の償いのためにしかるべき裁きを受けよう…」
草加「アンタは俺に言ったよな。オルフェノクは滅ぶべきだと…」
花形「確かに言った。だが乾巧、そして他にも、種族の壁を懸命に乗り越え、
 手を取り合い戦おうとする若者たちの姿を見て、少し考えが変わった」

花形の話を聞き、人を見下したような、
痛々しくも傲慢な笑みを浮かべる草加。

草加「フン…みんな乾に感化されやがって。
 そんな甘っちょろい理想は、いずれ必ず俺が叩き潰してやる。
 必ずなっ……!!」

草加は捨て台詞を残し、その場から立ち去っていった。

デルタ「いいんですか、義父さん…?」
花形「今は何を言っても無駄だろう。あの子をあんな風にしてしまったのは
 私にも責任がある」
デルタ「………」
花形「いずれ雅人にも解ってもらえる日が来る。必ずな…」


○花形→北崎を撃退して、苦戦していた草加の窮地を救う。
○三原修二→義父である花形と行動を共にしてしていた。
 再びデルタとして巧たちと一緒に戦う意思を固めている。
●北崎→圧倒的な力で草加カイザを追い詰めるも、
 突如乱入してきたゴートオルフェノクに敗れ、帝王のベルトも奪い返され離脱。
 北崎は花形とは面識はあるが、彼のオルフェノク態までは
 まだ見たことが無いらしく、ゴートオルフェノクが花形とは知らない模様。
◎草加雅人→花形、三原らと再会するが、口論の挙句別れる。

【今回の新規登場】
○三原修二=仮面ライダーカイザ(仮面ライダー555)
元流星塾生・養護施設「創才児童園」保父

247 名前:◆ROSE/l4266 :04/11/10 21:01

<訂正>
>>246

×
【今回の新規登場】
○三原修二=仮面ライダーカイザ(仮面ライダー555)
元流星塾生・養護施設「創才児童園」保父


【今回の新規登場】
○三原修二=仮面ライダーデルタ(仮面ライダー555)
元流星塾生・養護施設「創才児童園」保父

248 名前:名無し客:04/11/17 03:30

***ジェネシスV・発射基地***

変身を解いた三原と、花形に背後から声をかける者が──

???「そっちは済んだのか?」

花形「ああ、君の御協力に感謝するよ。トップガンダー君」

そう、花形たちに協力し、北崎と草加が戦っている
間にステーションを制圧していたのは…ネロス帝国との戦いで破壊され、
死んだはずのガンマンロボット・トップガンダー!!

トップガンダー「これで当分はジェネシスも使い物に
ならないはず。後は、プラントにいる連中次第…俺の仕事はここまでだ」

立ち去ろうとするトップガンダーに声をかける三原。

三原「待ってください、何故君は我々に協力を…?」
トップガンダー「……マフティーに頼まれた。それだけだ」
花形「マフティーという人物は、我々の味方なのか…?」
トップガンダー「今のところは……」

トップガンダーが去った後、花形と顔を見合わせる三原。

三原「本当に、彼らを信用していいんでしょうか?」
花形「……」

***評議会ビル・地下通路***

琢磨が知っていた脱出用の抜け穴から、
地下大神殿に通じる広い通路を急ぐ2人の改造人間と
2人のオルフェノク。

城「……!! 貴様は……!」
海堂「琢磨! てめえやっぱり騙しやがったな!」
琢磨「ち、違います!」

4人の行く手を遮って立つサングラスにスーツの紳士──タイタン!

タイタン「久しぶりだな、城茂……君がこの地に来ていることくらい、
先刻承知の上だ。そこにいる琢磨君の裏切りまでは予測出来なかったがね
……」
風見「……俺たちを通したくないところを見ると、キラ君たちは
その先にいるようだな」
タイタン「……その通りだよ、仮面ライダーV3。だが、もう
手遅れだろうね。今頃は……もう脳改造に入っているのではないかね?」

にらみ合う両者。
一方……タイタンの側に控え、自分たちを睨みつける少女に気づく海堂。

海堂(!? あの娘の顔……面影が似てるが……まさか……)

タイタンの両肩と脇腹が破れ、モシャモシャと四本の──虫の
腕が伸びる。

城「何っ!? サタン虫だと!?」
タイタン「そう、私も昔の私ではない……オルフェノクとして
進化を遂げた改造人間──サイボーグオルフェノク!!」

顔面にオルフェノクの紋様が浮かぶと同時に、サングラスが
割れ、タイタンは異形の怪物へと変貌を遂げた。
その体躯はサタン虫のもの、全身には無数の眼が見開かれた
状態でギョロギョロと動いている。そう、ブラックサタン大首領と
百目タイタンを合成したようなオルフェノクだ!

タイタン「我こそは邪眼(バロール)の魔王遺伝子を
受け継ぎし……サタンバグオルフェノク!」

タイタンの連れていた少女もフードを取り、顔に紋様を
浮かび上がらせ──翼を広げた瞬間、鳥のオルフェノクに
姿を変える。カモメ=シーガルオルフェノクだ。

海堂「……!!」

城「風見さん、先に行ってくれ。ここはどうにも、俺が
引き受けなくちゃならなくなったようだ」
海堂「俺も残るぜ。ただ、用があるのはそっちの子の方だけどな」

風見「分かった……!」

琢磨に目で合図する風見、不安げながらもうなずく琢磨。

「変……身……
ストロンガァァァァ──ッ!!」


暗い通路に電光と雷鳴が轟きわたり、城茂は改造電気人間へと
姿を変える!

ストロンガー「天が呼ぶ 地が呼ぶ 人が呼ぶ
悪を倒せと俺を呼ぶ! 聞け、グランショッカーども…俺は正義の戦士、
仮面ライダーストロンガー!!」


海堂「……そんじゃま、俺はさすらいのギター弾きとでも名乗っとくか」
(スネークオルフェノクへと変身)

249 名前:名無し客:04/11/17 03:56

***宇宙空間・小型シャトル内***

自動操縦中のコクピットで、ゆっくりと目を開ける
草加。
不思議なことに──先刻の戦いで負った傷も完全に癒えている。

草加「……脱出出来たのか……? しかし……」

格納庫前で気を失った自分を、一体誰がシャトルに乗せ、
傷まで治癒したのか……その部分の記憶は全くない。

草加「……?」

鳥の羽が一枚、服に付いているのに気づく草加。

草加「これは……フン、何者か知らんが、俺を助けて命乞いを
しようとしても……無駄だ……」

***ラウンドベース***

マグ「花形さんや三原さんから連絡があったよ〜! ジェネシスVは
押さえたって!」
本郷「……そうか……!」
アムロ「本郷さん、やるなら今だ……!」
ジン「必ず救ってみせる……プラントも、地球も、キラ君もアスラン君も!」

本郷「よし──作戦開始だ!」

○トップガンダー、マフティーの協力者としてプラントに
現われ、花形たちに力を貸す(本郷たちはこのことをまだ知らない様子)
●○タイタン、サタンバグオルフェノクの姿を現わし、
ストロンガーと戦闘開始。海堂も用心棒の少女=シーガルオルフェノクに
ある女性の面影を見、スネークオルフェノクに変身。
◎草加、何者かによって助けられ、シャトルで脱出。一体誰が──?
○花形たちがジェネシスVを使用不能にしたのを受け、
ライダー・ガンダム・フラッシュマンたちも行動開始!

【今回の新規登場】
○トップガンダー(超人機メタルダー/半オリジナル)
ガンマンロボット・元ネロス帝国戦闘ロボット軍団暴魂・
秘密結社マフティーのメンバー
●長田道子=シーガルオルフェノク(仮面ライダー555/半オリジナル)
長田結花の義妹・タイタンの用心棒
○マグ(超新星フラッシュマン)
フラッシュ星製サポートロボ

250 名前:名無し客:04/11/21 20:50

***オルフェノクの王復活の神殿***

評議会ビルの地下通路で城、海堂らと別れ、
オルフェノクの王が眠る広間へと突入した風見志郎=仮面ライダーV3と琢磨逸郎。
しかし、その目の前には、鎖に繋がれ繋がれたままぐったりとして
目を覚まさないキラとアスランの姿があった。

キラ「………」
アスラン「………」
V3「おいっ、しっかりしろ! 2人とも!!」
琢磨「…これは、まさかもう……間に合わなかったのか」

ケフレン「その通りだ! もはやその肉体に意識はない!
 キラ・ヤマトとアスラン・ザラの人格は完全に消滅した!」

V3「お前は…!!」
ケフレン「一足遅かったようだな。私は改造実験帝国メスの支配者にして、
 グランショッカー・ゴズマ軍最高の科学者、大博士リー・ケフレン」
V3「貴様が大博士リー・ケフレンか。2人に一体何をした!?」
ケフレン「教えてやろう、仮面ライダーV3。
 今はオルフェノクの王の新たな肉体を用意するための
 合体改造手術の最中だ。後はその2人の小僧の肉体を
 オルフェノクの王と融合させるだけだ」
V3「そうはさせん!! とおおっっっ!!!!」

???「――フンッ!!」

V3「――何っ!? うわあああっっ!!!」
琢磨「…む、村上さん!?」

V3がジャンプしようとした瞬間、逆方向から飛んできた
青白く光る巨大なエネルギー光球がV3を直撃した。
それを放ったのは勿論…スマートブレイン社社長・村上峡児!

V3「…くっ。お前スマートブレインの社長にして
 オルフェノクの総司令官である村上峡児か!?」
村上「始めてまして、仮面ライダーV3。お目にかかれて光栄です。
 そして琢磨さん、よくも裏切ってくれましたね。
 上の上たるオルフェノクであるラッキー・クローバーの一員であったことに
 敬意を表して、せっかく一度はチャンスを差し上げたのに…。
 もう貴方は終わりです…」
琢磨「……くっ!!」
村上「我らが王=アークオルフェノク復活の前祝です。皆さんまとめて
 私自らが、あなた方を血祭りに上げて差し上げましょう」

251 名前:名無し客:04/11/21 20:51

村上はローズオルフェノクへと変化した。
琢磨もセンチピードオルフェノクに変身してV3と共闘するが、
ローズオルフェノクの頭部から爆発して撒き散らされる薔薇の花びらが
V3たちを翻弄する。

V3「ぐっ…このままでは。V3反転――」
ローズ@村上の影「無駄です」
V3「うわあああっっ!!!」

V3反転キックで攻勢に転じようとしたV3だが、
ローズオルフェノクの腕の先から発せられた光輪に阻まれる。
センチピードオルフェノクもV3を援護すべく、鞭でローズオルフェノクを攻撃するが、
同じくローズオルフェノクの蔦状の鞭によって軽く遮られ、
逆にダメージまで受けてしまう。
ローズオルフェノクの圧倒的なパワーによって
次第に追い詰められていくV3とセンチピードオルフェノク。

ローズ@村上の影「おやおや…下の下ですね。
 貴方は歴代ライダーの中でも特に1号、2号などと並んで
 最も上の上たる部類に入ると聞いていたのですが…
 とんだ期待はずれといったところですか…」
V3「…何をおっ!!」
ケフレン「馬鹿め。この私もいることを忘れたか!
 お前たちにも聞かせてやるぞ。蠅の魔王の禍々しきメロディをな!!」
V3「何だと? どういうことだ!?」
センチピード@琢磨の影「――いけないっ!! あの曲を聴いては!!」
V3「あの曲?」

ケフレンは遺伝子シンセサイザーを奏で始めた。
神殿内に響き渡ってきたのは、あの音楽である。

                  
                
                
                     
          
             

V3「……な、なんだこの音は! 頭が割れそうだ!! くそっ!!」
センチピード「う…うわああああっっっ!!!!」

苦しみだすV3とセンチピードオルフェノク。
そしてローズオルフェノクの姿から人間態へと戻る村上。

村上「フフフフフ…いかがです?
 一度はあなた方に倒され、地獄から舞い戻ってきた我々から、
 この世でぬくぬくと生き延びてきたあなた方へと送るレクイエムです」
ケフレン「蠅の魔王の遺伝子を用いたシンセサイザーの演奏は、
 黄泉還りを経験した者以外には、何故か強烈な苦痛をもたらす作用があるのだ。
 苦しめ…もっと苦しめ!!」

252 名前:名無し客:04/11/21 20:52

***??????***

どこか暗い空間を、静に漂っているキラとアスランの2人。

アスラン「……ラッ!…キラッ! 聞こえるかキラッ!!」
キラ「……ア…スラン?」

アスランの呼びかけに意識が目覚めるキラ。

キラ「ここは…一体?」
アスラン「分からない。気がついたらここにいた。
 こうあたり一面が真っ暗では何も……」
キラ「僕たち…死んじゃったのかな……」
アスラン「………」

2人の脳裏にラクスやカガリ、イザークやディアッカ、
そしてサイやミリアリア、マリュー、バルトフェルドらの顔が
走馬灯のように浮かんでは消える。

アスラン「………!! いや、待て。あれは何だ!?」
キラ「アスラン?」

ふと、アスランがある方向に微かな光があることに気づいた。

アスラン「……もしかしたら向こうに何かあるかもしれない!
 行ってみよう!」
キラ「うん!」

光のある方向へと向かうキラとアスラン。
そして、その行き着いた先で横たわり眠る少年を見て
思わず顔を見合わせる2人。

キラ「ア、アスラン…!?」
アスラン「これは!!」

照夫「………」


○V3&琢磨→復活の神殿に突入するも、ローズオルフェノクに苦戦。
 ケフレンに蠅の魔王の遺伝子のシンセサイザー演奏を聴かされ、ピンチに陥る。
○キラ&アスラン→オルフェノクの王の意識の中で、
 まだ微かに生き残っている鈴木照夫少年の心を発見。

253 名前:名無し客:04/11/23 01:24

***オルフェノクの王復活の神殿***

体内メカの制御も不能になり、風見志郎の姿に戻るV3、
そして朦朧とした意識の中で人間態となるセンチピードオルフェノク。

風見「く……こ、このままでは……ああっ!!」
琢磨「も、もうダメだ……」

頭を抱え、がっくりとひざをつく風見。

──負けないで、お兄ちゃん──

風見「!? ……幻聴……いや、違う!」
村上「おやおや、哀れな……ブツブツ言い出して、とうとう発狂ですか?」

──お兄ちゃん……立ち上がって……──

風見、ゆっくりと立ち上がる。

風見「……」
ケフレン「おのれ、まだ聞きたりんらしいな……!!」

更に激しさを増すシンセサイザーの音色。だが……。

風見「ここで倒れたら……また新たな悲劇を生み出されるのを
止めることが出来ない……」
村上「……」
風見「ムンッ! ……変身……
Vッ3ァァ!!」

(BGM:戦え!仮面ライダーV3)

再びダブルタイフーンが旋風を起こし、V3の雄姿が出現する!

V3「V3サンダァァァァ!!」

NR@中江真司「V3・26の秘密のひとつV3サンダーは、
体内のエネルギーを100万ボルトの電流に変換し、敵めがけて
放つ秘密兵器である!」

V3の触角から放たれた電撃が、遺伝子シンセサイザーの
精密部分を焼き、爆発させる!

ケフレン「ぬおぉぉぉッ!?」
村上「くッ……!?」

V3「V3ィィィィ……遠心キィィィック!!」

両脚で二体の敵を同時に襲うV3のキックがケフレンと村上に炸裂!!

ケフレン「グォォォッ!!」
村上「グァァ!?」

自身を改造強化しているケフレンとオルフェノクである村上、
さすがに致命傷は負わなかったものの、かなりのダメージを受けて
床に叩きつけられ、ヨロヨロと立ち上がる。

ケフレン「ク……ククッ、下等……生物の分際で私に傷を……」
村上「どうやら……本気でお相手しないといけないようですね……」

その時!

254 名前:名無し客:04/11/23 03:03

ズ……ズゥゥゥゥンッッ!!!

突如、大きな揺れと大音響が、神殿全体を襲った!!

村上「な!? こ、これは……」
ケフレン「馬鹿な……コロニーで地震など……」
V3「フ……始まったな」

ケフレンの元に、ラボーを守っていたネフェルから通信が
入る。

ネフェルの声@通信「ケ……ケフレン様、奇襲を受けました!」
ケフレン「な……一体何者だ……仮面ライダーか!?」
ネフェルの声@通信「ガンダムタイプのモビルスーツが3機……
それに、タンクコマンド・ジェットデルタ・ジェットシーカーの
3機です!!」
ケフレン「……な、何ッ……奴らが、またしても……!!」

***宇宙港・改造実験基地ラボー***

Hi-νガンダム、そして紅青2機のZガンダムがラボーを急襲、
応戦するラボー戦闘機を次々と破壊していく!

サラ@ジェットデルタ「捕まってる人たちのいるブロックを発見したわ!」
ジン@タンクコマンド「よし、突入するぞ!」
ブン@ジェットシーカー「いっけぇー!!」

***評議会ビル・地下通路***

先刻からの揺れにより、今にも天井が崩れそうな通路で
戦うストロンガーとサタンバグオルフェノク、そして
シーガルオルフェノクを何とか捕まえようとするスネークオルフェノク。

ストロンガー「プラントは必ず取り戻す!」
サタンバグ@タイタンの影「ほざけぇぇ!」

口から火炎を吐いてストロンガーを追い詰めようとするサタンバグ……。

***再び、オルフェノクの王復活の神殿***

ケフレン「ネフェルよ、ザ・ブラディをそちらに向かわせた。ラボーを
死守するのだ!!」

その時、フラッシュタイタンがミサイルで空けた穴を通り、
本郷猛・筑波洋・城戸真司・乾巧の4人が地下神殿に突入してきた!

村上「乾…巧!!」
V3「みんな、よく来てくれた!」

本郷、キラとアスランの姿を見、そして怒りに満ちたまなざしで
村上とケフレンを見据える!

本郷「ライダァァァァ……」
筑波「スカァァァイ!!」
真司「……(カードデッキを遺伝子シンセサイザーの破片に写し、
Vバックルを召喚)」
巧(555をEnter…「Standing by」)

本郷・筑波・真司・巧「変身ッッ!!」

本郷「トォーッ!!
筑波「トウッ!!
真司「……ッしゃあ!!
巧(……Complete!!)

ケフレン「き、貴様ら……ッ!!」

仮面ライダー1号「……おまえたち
『グランショッカー』の宇宙征服という野望をうちくだき、
生きとし生けるものの平和をまもるため……
大自然がつかわした正義の戦士・仮面ライダー!」


○V3、妹の声に励まされ、神殿の遺伝子シンセを破壊することに成功。
○ヒーローたちによるプラント解放作戦開始。
ラボー要塞はガンダムとフラッシュマシン、神殿は
仮面ライダーとフラッシュタイタンに攻撃される。
○仮面ライダー1号、村上と対峙。巧も村上と因縁の再会を果たす。

【今回の新規参戦】
○サラ=イエローフラッシュ(超新星フラッシュマン)
フラッシュ星系イエロースターで育った地球人・時村博士の長女(=彼女と
サー・カウラーのみ知る事実)
○ブン=ブルーフラッシュ(超新星フラッシュマン)
フラッシュ星系ブルースターで育った地球人・ジェットシーカーパイロット

255 名前:名無し客:04/11/23 19:19

***引き続き、オルフェノクの王復活の神殿***

騒ぎに気づき駆けつけて来たロブスターオルフェノクも
その場に現れる…。

琢磨「冴子…さん」
ロブスター「――!! 琢磨君? …フフ、どういうつもり?
 仮面ライダーの味方をするなんて…」
琢磨「冴子さん…もう人を襲うのはやめて下さい。でないと僕は…
 …貴女と戦わなければならなくなる!」
ロブスター「………」
琢磨「冴子さん。僕は人間の姿と心を捨てられなかった…。
 人として生きる事を選んだのです。どうか……分かって下さい」
ロブスター「…そう、分かったわ。でも、そんな事、もうどうでもいいわ。
 私はあなた達の命が欲しいだけ。王復活の邪魔をする者は全てね!」
琢磨「くっ、どうしても戦わなくてはならないのですね…!」

ロブスターオルフェノクと対峙する琢磨。

琢磨「冴子さんは僕が…! 手を出さないでください」
ファイズ「いいのか…?」

巧=ファイズの問いに黙って頷く琢磨。
そして再びセンチピードオルフェノクへと変身。
かっての戦友ロブスターオルフェノクに戦いを挑む!

センチピード@琢磨の影「ぐわっ!」

圧倒的な力でセンチピードオルフェノクを吹き飛ばすロブスターオルフェノク。
センチピードオルフェノクが得意とする鞭で敵を打ち据え動きを封じる攻撃も、
ロブスターオルフェノクのサーベルさばきの前には全く効かない。

ロブスター「フフ…手も足も出ない様ね…そろそろ止めを刺させてもらうわ」
センチピード@琢磨の影(くっ、こうなったらあれを…)
ロブスター「まだ抗うつもりなの? 無駄だと言っているでしょう…。
 馬鹿な子ね…」

256 名前:名無し客:04/11/23 19:20

センチピード@琢磨の影「うおおおおおおっっっ!!!!」

センチピードオルフェノクは全力疾走でロブスターオルフェノクめがけて
突進し力一杯抱きついた。

ロブスター「――何を!?」

センチピードオルフェノクには、
全身から生えた体足は激痛を惹き起こす猛毒を分泌する
能力があるのだ。

ロブスター「ぐうっ! 味な真似を……」

なんとか攻撃に耐え切ったロブスターオルフェノク……しかし、

ロブスター「私は…死ね…ない!…死んでたまる…もの…」
センチピード「――!!」

凄まじいまでの、生に対する執着を見せる瀕死の冴子に、
怯む琢磨……

ファイズ「琢磨、もういい! お前はよくやったさ。
 あとは俺に任せろ!」
センチピード@琢磨の影「…乾君」

Exseed charge!!

ファイズ「たあぁ―――――!!」

躊躇する琢磨を見かねて、ロブスターにグリムゾンスマッシュを見舞うファイズ。

ロブスター「あああ―――!!!」

ファイズに倒されたロブスターオルフェノクは、
ギリシャ文字のφ(ファイ)をかたどった赤い紋章が現れると同時に、
青い炎に包まれて灰化し、断末魔の悲鳴と共に崩れ落ちる。

琢磨「さようなら…冴子さん……」

変身を解いた琢磨の目から、涙がこぼれる…。

257 名前:名無し客:04/11/23 19:22

村上「おのれぇ…!! よもや冴子さんが倒されるとは!!」

そこへ、ウオフ・マナフのベルゼウスから通信が入る。

ベルゼウスの声@通信「ケフレンよ、私の艦に乗り込むのだ!」
ケフレン「…わかった! 村上よ、私は急ぎラボーへと戻る。
 後は任せたぞ」

ケフレンは、先程のフラッシュタイタンがミサイルで空けた穴から
ベルゼウス艦に吸い込まれて、その場を離脱した。

龍騎「待て! 逃げる気か!?」
村上「おっと! 皆さんの相手はこの私ですよ」

ライダーたちの前に立ち塞がるように、
村上は高く空中浮揚すると、またも超特大サイズの
青白く光るエネルギー球を容赦なく投げつけてきた!

1号「――いかん! 伏せろ!」
スカイ「くっ…!!」


***宇宙港・改造実験基地ラボー***

その頃ラボーの戦闘機発進口デッキでは、
それぞれ3機のメカで突入に成功したジン、ブン、サラの3人が
メスの兵士ゾローの群れと交戦していた。
変身前の3人に次々と蹴散らされていくゾロー。

ワンダ「おのれフラッシュマン!」
ジン「久しぶりだったな…ワンダ! ネフェル!」
ネフェル「貴様ら、反フラッシュ反応で2度と地球には来れない
 体ではなかったのか!?」
ブン「お生憎様! サラが苦心の末に反フラッシュ反応抑制剤の
 開発に成功したんだ!」
ワンダ「な、なにぃぃ〜〜!!」
サラ「私達がこうしてまた地球圏に戻ってきた以上、
 忌まわしい生命改造実験を繰り返すあなた達メスの好きにはさせないわ!!」
ワンダ「こしゃくな! 大人しくフラッシュ星に引っ込んでいれば
 長生きできたものを!!」
ネフェル「死に損ないめ! 返り討ちにしてやるわ!!」
ワンダ「妖獣変化、妖獣士ワンダーラ!!」
ネフェル「妖獣変化、妖獣士ネフェルーラ!!」

それぞれ妖獣士形態へと変身を遂げる、ワンダとネフェル。

ネフェルーラ「おいで!! 獣戦士ザ・ブラディ!!」
ブラディ「グオオオオオオオッッ!!!!」

ガルバ星人の特質、そしてインパクター・ラディアの重圧な装甲を併せ持つ
蠅の魔王の獣戦士ザ・ブラディ。その右手には、
元々ラディアの武器であったメガアックスが握られている。

ジン「…あれが蠅の魔王の遺伝子で改造された者の
 変わり果てた姿か…!」
ネフェルーラ「フラッシュマン! ケフレン様が蠅の魔王の遺伝子を用いて
 直々に改造された最高最強の獣戦士ザ・ブラディに、
 たった3人で勝てると本気で思ってるのか!?」
ワンダーラ「――やれ! ザ・ブラディ!!
 フラッシュマンを倒せ〜っ!!」

ブラディ「グオオオオオオオッッッ!!!!」


●ロブスターオルフェノク→琢磨とファイズによって倒される。
●ケフレン→ベルゼウスの艦に乗って、オルフェノクの王復活の神殿から離脱。
 フラッシュマンが攻め込んできたラボーの方へと向かう。
●蠅の魔王の獣戦士ザ・ブラディがフラッシュマン(ジン、ブン、サラ)の前に出現。

258 名前:名無し客:04/12/01 01:09

***評議会ビル・地下通路***

サタンバグオルフェノク@タイタンの影「タイタン超破壊銃!!


背中からせり出した光線砲から放たれるビームが、ストロンガーを
襲う!

ストロンガー「むう……っ!」

必死で爆発を避けるストロンガーとスネークオルフェノクだが、
上空からのシーガルオルフェノクの攻撃にも翻弄され、徐々に
追い詰められていく……。

ストロンガー「エレクトロファイヤー!!
サタンバグ@タイタンの影「マグマパワー!!
ストロンガー「電気エネルギーが……相殺された!?」
スネークオルフェノク@海堂の影「……ちィッ!!」

伸縮自在の腕を伸ばして頭上のシーガルを捕らえようとしたスネーク
だったが、逆に鋭い爪でつかまれ、床に叩きつけられる!

サタンバグ@タイタンの影「フフフ…腕が落ちたな、ストロンガー!」
ストロンガー「……そこまで言うなら見せてやる、超電子の力を!
チャ────ジ・アァップ!!

ストロンガーの胸部Sマークが高速回転し、体内の超電子ダイナモが
起動する……触角が白銀に輝き、チャージアップストロンガーへの
二段変身が完了する!

サタンバグ@タイタンの影「(ニヤリ)……この時を待っていた!」

跳躍し、ストロンガーに六本の腕で組み付くサタンバグオルフェノク。

ストロンガー「!?」
サタンバグ@タイタンの影「かかったな! 貴様のその姿が活動限界
1分間なのは分かっている……1秒でも過ぎると負荷に耐え切れず、
超電子ダイナモが爆発することもな」
ストロンガー「──!」
サタンバグ@タイタンの影「一緒に死んでもらうぞ、ストロンガー…
超プラズマ反応炉、全開!」
ストロンガー「ぐわぁぁぁ!!?」

サタンバグオルフェノクの体内に埋め込まれた、対超電子ダイナモ用
秘密兵器・超プラズマ反応炉が高熱を発し、ストロンガーのボディを
焦がし始める! 周囲が赤い光に染まり、スネークオルフェノクも
近寄れない……。

サタンバグ@タイタンの影「フ・フ・フ……何なら超電子ウルトラサイクロンを
使っても構わんよ……弱った君に、私の部下たちがとどめを刺しに来るよう
合図してあるからね……おっと、30秒経過!」

サタンバグオルフェノクの腕力はすさまじく、ストロンガーの力を
もってしても振りほどくことが出来ない!

ストロンガー「く……直也……君だけでも……逃げるんだ……」
スネーク@海堂の影「あちっ…この状況でどーしろっつーんだよ!!」

容赦の無いシーガルの攻撃に足止めされ、こちらもなすすべのない
スネーク…。

サタンバグ@タイタンの影「貴様を倒せるのなら、私は喜んで3度目の
死を迎えよう……フフフフ……ハハハ……ぐお!?」

突然、サタンバグの力が緩んだ。頭を抱え、苦しみはじめる。

サタンバグ@タイタンの影「こ、これは……電波……エネルギーだと……!?」
ストロンガー「今だ! トォ!!」

サタンバグを振りほどき、飛び上がるストロンガー。

ストロンガー「超電・スクリューキィィーック!!
サタンバグ@タイタンの影「ぐぎゃあああっ!?」

ストロンガーの一撃を喰らい、スパークする火花に吹き飛ばされるサタンバグ。
よろよろと立ち上がるも、力尽きて倒れ──爆発した!

ストロンガー、着地と同時に通常の姿に戻り、がっくりと膝をつく。

スネーク@海堂の影「やった……のか!?」
タイタンの声「……おのれストロンガー……必ずや再生し、もっと
強化して貴様を、次こそは……」
ストロンガー&スネーク「!?」

爆発の中から巨大な眼球──おそらくはタイタンの本体──が飛び出す。
シーガルオルフェノクがすかさずそれをキャッチし、爆発で開いた穴から
飛び去って行った……。
エネルギーを使い果たして変身を解除する城と、人間体に戻る海堂。

海堂「ちきしょう……逃げられちまった……」
城「……俺を助けてくれたのは、一体……(タイタンの言葉を思い出し)
まさか……!」

259 名前:名無し客:04/12/01 02:31

***オルフェノクの王復活の神殿***

1号「ダイ君、ルー君、聞こえるか! ケフレンが自分の要塞に
戻った……ジン君たちの応援に行ってくれ!」
村上「おやおや、余裕ですね。それが命取りにならなければ
良いのですが……!」

再びローズオルフェノクの姿を取る村上……!

1号「トォーッ!!」

エネルギー球を放ってくる間隙を縫って、村上に組み付く1号。

1号「ライダァァァァきりもみシュ───ト!!

1号に天井近くまで投げ飛ばされ、受身を取れずに落下してくる
ローズオルフェノクを、今度はスカイライダーが空中で捕らえる!

スカイ「風神・地獄落としーッ!!

脳天を床に叩きつけられるローズオルフェノク!
だが……倒れたかと思えばまた、ムックリと起き上がった!

ローズ@村上の影「フフフ…効きませんね…思ったほどは…」
龍騎「くっ…ホントのバケモノか、こいつ…(「アドベント」)」

龍騎、ドラグレッダーを召還。

咆哮とともにドラグレッダーの吐いた炎・ドラグブレスが、
ローズを焼き尽くさんと浴びせられた!

***宇宙港・改造実験基地ラボー***

「プリズムフラッシュ・シャット・ゴーグル!!」

変身するジン、ブン、サラ。襲い掛かるザ・ブラディと2体の妖獣士、
ゾローやライオトルーパーの群れを迎え撃つ!

レッドフラッシュ「行くぞ、プリズムフォーメーション!」

レッド・ブルー・イエローの3人、同時にジャンプする。

レッドフラッシュ「プリズム聖剣・スーパーカッター!
ブルーフラッシュ「プリズムボール・スーパーサイクロン!
イエローフラッシュ「プリズムバトン・スーパーバージョン!

三方向から同時に、各人の必殺技でブラディたちに襲い掛かる!

ザ・ブラディ「グオォォ!!」

が──ブラディの張ったバリアにはじき返された!

フラッシュマン「うわあ!?」「きゃあっ!?」

床に倒れこんだレッド・ブルー・イエローの首に、ブラディの
口から伸びた舌が3本に分かれて絡みつく!

レッド「ぐ…うっ!」
ブルー「ち、力が…」
イエロー「エネルギーが…吸い取られ…くぅ…っ!」

ネフェルーラ「アハハハ…そのままミイラになって死ぬがいい!」

??「そうはさせるか…プリズムシューター!!」

ブラディ「グォォ!?」

奇襲を受けて3人を思わず放すブラディ。

ワンダーラ「な、何者!?」

宙を舞って、緑と桃色の戦士が姿を現した。グリーンフラッシュと
ピンクフラッシュだ!

グリーンフラッシュ「大丈夫か!?」
レッドフラッシュ「ああ、何とか…キラ君たちは?」
ピンクフラッシュ「ライダーたちが取り戻そうと戦ってるわ。
要塞に援軍が向かってると聞いて、私たちはこっちに」

ワンダーラ「おのれ…とうとう5人そろったな…まあいい、まとめて始末する
手間が省けたというもの!」
ネフェルーラ「ウルクとキルトの仇、今度こそ討たせてもらう!」

「レッドフラッシュ!」
「グリーンフラッシュ!」
「ブルーフラッシュ!」
「イエローフラッシュ!」
「ピンクフラッシュ!」

「超新星!!」「フラッシュマン!!」

○ストロンガー、サタンバグオルフェノクを撃破。タイタンの
生命コアらしき眼球はシーガルオルフェノクと共に逃亡。
電波攻撃でサタンバグの頭脳を乱し、ストロンガーの危機を救った
者の正体は……?
○仮面ライダーとローズオルフェノクの攻防は続く…。
○フラッシュマン、5人そろってメスに戦いを挑む。強敵ザ・ブラディ
相手に勝機は……?

【今回の新規登場】
○ダイ=グリーンフラッシュ(超新星フラッシュマン)
フラッシュ星系グリーンスターで育った地球人・超新星サブリーダー・
ジェットデルタパイロット
○ルー=ピンクフラッシュ(超新星フラッシュマン)
フラッシュ星系ピンクスターで育った地球人

260 名前:名無し客:04/12/09 20:43

***オルフェノクの王復活の神殿***

ローズ@村上の影「ふふふふふ…下の下である君達に私を倒せるとでも?」

不敵な笑みを浮かべる村上。薔薇の花びらが周囲を舞い、
ドラグブレスを容易くテレポートで回避する。

龍騎「何っ!?」
ローズ@村上の影「僅かな虚を付いたつもりでしょうが―――貴方達如きが私に触れられるわけがない。
 …ですが神崎士郎が生み出したミラーワールドのライダーの力、
 とくと見せてもらいましたよ」
龍騎「何だとっ!? 奴を知っているのか!?」
ローズ@村上の影「当然でしょう。あの男にかって莫大な研究資金を提供していたのは
 他ならぬ我が社ですからね。全ては我らが神――大首領の偉大なるご意思なのです」

佇むローズオルフェノクに、ひるまず続けて攻撃を仕掛ける
ライダーたち。


***宇宙港・改造実験基地ラボー***

レッドフラッシュ「ワンダ! ネフェル! 5人揃った俺たちフラッシュマンに
 もう恐いものはないぞ!!」

各自の武器であるバルを掲げるフラッシュマン5人。

「レッドバル!」
「グリーンバル!」
「ブルーバル!」
「イエローバル!」
「ピンクバル!」

バルの一斉連続発射を獣戦士に見舞う!
しかしブラディに効いている様子は全くない。

ブラディ「…グォォ!!」
レッドフラッシュ「ならばこれでどうだ! ローリングバルカン!!」

5つのバルを合体させ、必殺武器ローリングバルカンを完成させるフラッシュマン。
ザ・ブラディめがけて狙いを定める。

レッドフラッシュ「イエローフラッシュ! サーチ!!」
イエローフラッシュ「オッケー!!」
レッドフラッシュ「――ローリングバルカン!!」

5色のプリズムエネルギーが命中し、怯むザ・ブラディ。

ブラディ「グォォ…!」

グリーンフラッシュ「ローリングバルカンを食らってもまだ生きてやがる!?」
ブルーフラッシュ「なんて奴だ!!」
レッドフラッシュ「…恐るべし、蠅の魔王の遺伝子。
 よし、もう一度だ! ローリングバルカン!!」

ローリングバルカンの砲門より再度放たれた
5色のプリズムエネルギーが、今度こそ蠅の魔王の獣戦士を葬り去った!

ブラディ「グォォ――ッッ!!!!」

断末魔の絶叫と共に、
不気味奇怪な黒煙を上げて消滅するザ・ブラディ。

261 名前:名無し客:04/12/09 20:45

ワンダーラ「おのれぇ〜!!」
ネフェルーラ「まさかザ・ブラディが倒されるとは…!?」

そこへ突然、大きな揺れがラボーを襲う。
慌てた様子のライオトルーパー部隊長が、ワンダら2人のところへ
報告に駆けて来る。

ワンダーラ「何事だ!? いったいどうした!!」
部隊長「まずいことになった。捕獲したプラントの市民どもを幽閉していた
 Bブロックに別の侵入者だ!」
ワンダーラ「なんだと!!」

レッドフラッシュ「――そうか。彼らがうまくやってくれたようだな」

ネフェルーラ「どういうことだフラッシュマン…!?
 おのれ謀ったな! お前たちも囮だったのか!!」

グリーンフラッシュ「今更気づいても遅いぜネフェル!」
レッドフラッシュ「もはや長居は無用。俺たちもラボーから脱出だ!」

ネフェルーラ「おのれ逃がすものか!! ぐっ――」

ネフェルは5人を追おうとするも、崩れてきた天井や柱に阻まれる。


***戦艦エターナル・ブリッジ***

モニターで別働の救出部隊と話をしているラクス。

アトム@モニター画面「ラクスさん、メスに捕われていたプラントの市民の皆さんや
 ザフトの兵隊さんたちは、みんな無事に救出しました」
鬼太郎@モニター画面「これからそちらに向かいます」

ラクス「ありがとうございました。プラント市民に成り代わって
 お礼を申します」

ジャンパーソン@モニター画面「…気にすることはない、ラクス嬢。
 異なる種族同士が醜い争いをやめ、互いに手を取り合う平和な世の中を
 築くことは、乾君やキラ君たちだけの理想ではない。我々ロボットにとっても
 必ず実現させなければならない大きな夢だ」

先行したラウンドベースの後を追ってプラントに到着した
旧三隻同盟軍の戦艦エターナル。

人間(ナチュラル)との根深い対立を解消し、
平和共存を目指しているのは、何もオルフェノクの乾巧や
コーディネイターのキラやアスランばかりではない。
鬼太郎ら善なる妖怪たちや、アトムやジャンパーソンら知性や感情を持つ
ロボットたちも、今回の作戦に協力を申し出ていたのである。

ラクス「…それではバルトフェルド隊長、アムロ大尉やマグさんにも連絡を。
 それから全チャンネルで通信回線を開いてください」
バルトフェルド「ふふ、了解!」

静かに命じるラクスに応じ、艦長席のバルトフェルドは即座に通信機器を操作する。
そしてラクスの凛とした声が、プラント全域に響き渡る。

ラクス「私はラクス・クラインです。願う未来の違いから、
 私たちはスマートブレインに属するオルフェノクの皆さんと
 敵対することになってしまいました。ですが、私はあなた方との
 戦闘は望みません。どうか皆さん、もう一度、私たちが本当に
 戦わなければならぬのは何なのかを……よく考えてみてください」

262 名前:名無し客:04/12/09 20:46

***オルフェノクの王復活の神殿***

ラクスの演説と同時に、エターナルの電波ジャックによる映像ホログラフィが
プラントのあちこちに発生する。
その様子は、ここ復活の神殿にも届いていた。

ローズ@村上の影「――バカなっ! 何故だ!?
 なぜ妖怪や超AI搭載型ロボットまでもが、
 この戦いに介入する!?」
ファイズ「まだわかんねえのか!?」
ローズ@村上の影「なにっ!?」
ファイズ「この戦いは人間とオルフェノクの戦いなんかじゃない!
 ましてやナチュラル対コーディネイターの戦いでもねぇ!
 異なる種族が仲良く平和に暮らせる世界を築こうとする者と、
 てめえのような一種族による支配にこだわる石頭野郎との戦いなんだよ!!」
ローズ@村上の影「貴様、この私に対して、よくもそんな下品な口を!!」


***アプリリウスワン・宇宙港***

アトムたちの作戦成功を受けて、ラボーから退避したフラッシュマン。
だがそこに宿敵、大博士リー・ケフレンの声が響き渡る!!

ケフレンの声「フハハハハ、久しぶりだったなフラッシュマン!」

レッドフラッシュ「――!! その声は大博士リー・ケフレンか!?」
グリーンフラッシュ「どこにいる!? 姿を現せ!!」
レッドフラッシュ「見ろ、リー・ケフレン!
 俺たちはお前の遺伝子シンセサイザーの力など借りなくとも、
 こうして再び地球に帰って来れたんだ!!」

ケフレンの声「さすがだな。まずはフラッシュ星の科学も侮れぬなとでも
 言っておこう。だが、その反フラッシュ反応の疾患抑制剤とやらも
 必ずしも効能は完璧ではあるまい?」

ブルーフラッシュ「くっ…!」
イエローフラッシュ「そ、それは……」

ケフレンの声「おそらく効力は、長く見積もっても
 せいぜい1年か2年……どうだ、違うか!?」

レッドフラッシュ「黙れケフレン! 地球にもフラッシュ星同様
 優れた科学者はたくさんいる! 俺たちは決して希望を捨てはしない!」


***ベルゼウス艦・司令室***

アプリリウスワン内部の上空に浮かんでいるベルゼウス艦。
中にはベルゼウスと大博士リー・ケフレンがいる。

ケフレン「フン。地球の科学者と組んで抑制剤を完璧に仕上げるつもりか。
 ……だが全ては無駄なこと。どちらにしろここがお前たちの墓場となるのだからな。
 あの最後の決戦の時に私の誘いを拒んだことを、今こそ後悔するがいい!
 ―――クラーゲン!!


***アプリリウスワン・市街地***

ケフレンの呼びかけに応え、異空間より高速で飛来する
クラゲ型の巨大生命体クラーゲン。
地上めがけて巨大化エネルギーを照射する。

巨大ブラディ「グオオオオッッッ!!!!」

直ちに巨大化したザ・ブラディは、宇宙港を抜けて
プラント市街地で実体化し暴れだした。

グリーンフラッシュ「くっ…ケフレンめ!
 ブラディを巨大獣戦士にしてしまったぞ!!」

263 名前:名無し客:04/12/09 20:51

○エターナル→ラウンドベースに遅れて到着。
 ジャンパーソンら、異種族間の紛争回避と平和共存の願いに
 同調するヒーローたちも協力を申し出て同行。
 ラボーに捕われていた市民たちを救出・解放する。
○フラッシュマン→ザ・ブラディを倒し、プラント市民救出も確認のうえ、
 ラボーから外へ退避。
○サラが開発した反フラッシュ反応抑制剤は、
 まだ現段階では決して効果が永続するものではないらしい…。
●村上の口から、かって神崎士郎がスマートブレインと
 何らかの関わりを持っていたらしいことが語られる。
●リー・ケフレン→ベルゼウス艦より指揮を執る。
●ザ・ブラディ→フラッシュマンに倒されるも巨大化。
 アプリリウスワンの市街地で暴れ始める。

【今回の新規登場】
○墓場鬼太郎(ゲゲケの鬼太郎)
 妖怪と人間のハーフ・墓場から生まれた鬼のように強い子
○ジャンパーソン(特捜ロボ ジャンパーソン)
 元警視庁の武装ロボットMX−A1が生まれ変わった姿
○アンドリュー・バルトフェルド(機動戦士ガンダムSEED)
 元ザフト軍の名将・戦艦エターナル艦長
●クラーゲン(超新星フラッシュマン)
 ケフレンがクラゲの遺伝子から創り出したエネルギー生命体・
 メスの獣戦士を再生&巨大化させる能力を持つ。

264 名前:名無し客:04/12/11 03:31

***??????***

キラ「ダメだ…」
アスラン「呼びかけにも反応しない…この子はもう…」
???「イイエ、生キテイルヨ。深イ眠リニツイテイルダケ…」
キラ&アスラン「!?」

驚く2人の前に、赤ん坊──額に第三の目を持つ、明らかに
人ならざる存在が、その姿を現す。

キラ「……君は?」
赤ん坊「ミュータントベビー…アルイハ、ライダーベビート
呼ブ人モイル…」

異形の赤ん坊が、まるで胎内にいるような姿勢で浮遊している…
だが、そんな光景にもかかわらず…キラもアスランも、不思議と
その赤ん坊──ミュータントベビーに警戒心は生じなかった。

アスラン「……教えてくれないか? 俺たちが今いる場所のこと、
そして──何をすべきかを」

***アプリリウスワン・市街地***

再び──タンクコマンドにはレッドフラッシュ、ジェットシーカーには
ブルー、ジェットデルタにはイエローが乗り込む。
フラッシュタイタンにもグリーンとピンクが回収される。

レッド「一筋縄で行かないヤツは、2体のコンビネーションで叩く!
合体・フラッシュクロス!!
グリーン「フラッシュターン・タイタンボーイ!!

(BGM:輝け!フラッシュキング)

完成し、巨大ブラディの前に立ちはだかるフラッシュキングとタイタンボーイ。

○キラとアスランの前に、(おそらくは精神体の)ミュータントベビーが
出現…。
○フラッシュマン、強敵ブラディに対しフラッシュキングとタイタンボーイに
分乗して挑む。

【今回の新規登場】
○ミュータントベビー(ライダーベビー)(真・仮面ライダー)
風祭真と明日香愛の間に生まれた半ナチュラルの赤ん坊

265 名前:VS巨大ブラディ戦:04/12/16 09:45

巨大ブラディと対峙する、2体のフラッシュ星の超科学が生み出した巨大ロボ、
フラッシュキングとタイタンボーイ…。

グリーンフラッシュ「ラジアルカッター!!」

タイタンボーイが、タイヤに内蔵されている刃を展開して、
フリスビーのように投げつけるが、巨大ブラディのメガアックスが
それを軽くあしらう。

グリーンフラッシュ「くっ、効かない…!!」

今度は巨大ブラディの方から、強烈な破壊光線の反撃が来るが、
フラッシュキングがすぐさまキングシールドで防御に入る。
しかし光線を受け止めていたキングシールドは、すぐにボロボロになってしまった。

イエローフラッシュ「キングシールドが溶けたわ!?」
ブルーフラッシュ「なんて奴だ! このままだとやられるっ!!」
レッドフラッシュ「キングミサイル!!」

フラッシュキングの腹部のシャッターに内蔵されている2連装ミサイルを発射し、
巨大ブラディを牽制する。

レッドフラッシュ「こうなれば、スーパーコズモフラッシュの一撃必殺に賭けるしかない!」

レッドの合図でイエローがスターコンドルにコズモソード射出命令を送信する。
上空のスターコンドルからコズモソードが射出され、
フラッシュキングはタイミングをはかってジャンプし、
空中でコズモソードをキャッチする。
フラッシュキングの額のプリズムからフラッシュエネルギーが
コズモソードに照射され、エネルギーをチャージしたコズモソードの刀身が
レーザー状になる。
そして、チャージしたコズモソードを両手に握りしめ、
フラッシュキングはその場で機体を縦に回転させ、
そのまま機体を勢い良く降下、
振りかぶったコズモソードを勢いに任せて豪快に振り下ろすが……、

ブルーフラッシュ「受け止められた!?」
レッドフラッシュ「やはりグリーンとピンクもこちらに
 一緒に乗っていないとダメなのか!?」
巨大ブラディ「グオオッッ!!」

巨大ブラディはメガアックスで、コズモソードを易々と受け止め、
叩き折ってしまった!
剣を失いほとんど無抵抗のフラッシュキングを、
巨大ブラディのメガアックスがいたぶっていく。

ピンクフラッシュ「このままではフラッシュキングが!?」
グリーンフラッシュ「フラッシュキング! 今助けるぞっ!!」

グリーンの乗るタイタンボーイの放つ両肩のボーイキャノンも、
巨大ブラディの前には一切無効化されてしまう。
フラッシュキングの左腕がちぎれ、大地に落ちた。
そして、バランスを崩したフラッシュキングも轟音と共に、
大地に倒れ、左脚ももげてしまった。

イエローフラッシュ「そんなっ…!」
ブルーフラッシュ「くそおおっ! よくもっ!!」
レッドフラッシュ「みんな、急いでタイタンボーイに乗り移るんだ!」

266 名前:VS巨大ブラディ戦:04/12/16 09:48

大破したフラッシュキングから脱出し、
急いでタイタンボーイへと乗り移るレッドら3人。
操縦席でグリーン、ピンクと合流する。

レッドフラッシュ「フラッシュターン、グレートタイタン!!」

フラッシュタイタンのコンテナ部が直立した後、変形。
さらにタイタンボーイを内部に収納、合体する事で完成したグレートタイタン。

レッドフラッシュ「タイタン・ノヴァ!!」

フラッシュ星のエネルギーを集めて増幅し、
胸部の逆三角形型のプリズムから瞬時に
超弩級の必殺破壊光線を最大出力にて照射する。
しかし、巨大ブラディをそれを回避するでもなく、
堂々とそれを全身で受け取め吸収し始めた!?

イエローフラッシュ「信じられない…! タイタン・ノヴァのエネルギーを
 全部吸い取っているわ!」
ブルーフラッシュ「嘘だろ…!!」
レッドフラッシュ「あのザ・デーモスでも吸い切れなかったタイタン・ノヴァ!
 そう易々と体内に吸収しきれるものではないぞ!!」

巨大ブラディ「グオオオオッッ!!!!」


○フラッシュキング→巨大ブラディの前に敗れる。
○残ったグレートタイタンが、現在巨大ブラディと交戦中。
●巨大ブラディ→自分に向けて撃たれた、グレートタイタンのタイタン・ノヴァを吸収している。

267 名前:VS巨大ブラディ戦:04/12/20 13:30

巨大ブラディ「グオオオオッッッッ!!!!!!!」

なんと巨大ブラディはタイタン・ノヴァを全て吸い尽くしてしまった!!

グリーンフラッシュ「――そんなバカな!?」
レッドフラッシュ「もうエネルギーはないのか!?」
イエローフラッシュ「だめよ! もうグレートタイタンには
 エネルギーは全く残ってないわ!!」

動力源の全エネルギーを使い果たし、もはや全く動くこともできない
グレートタイタン。このまま巨大な的となってしまうのか!?
巨大ブラディが吸い取ったタイタン・ノヴァのエネルギーを
メガアックスに移し、巨大なレーザー状となった刃を
グレートタイタンめがけて振り下ろそうとしたその時、

巨大ブラディ「グオオオッッ!??」

突如、天空より巨大な龍型のメカが飛来した。
超星獣連クラウドドラゴンだ!


***ベルゼウス艦・司令室***

モニターから外の様子を見て驚く、ケフレンとベルゼウス。

ケフレン「なんだあれは一体!?」
ベルゼウス「……おのれ、現れおったかグランセイザーめ!」


***グレートタイタン・コクピット***

タリアスの声@通信「聞こえるか、フラッシュマン!」
レッドフラッシュ「君たちは…!?」
レムルズの声@通信「我々はグランセイザーだ!
 これより君たちを援護する」
ブルーフラッシュ「グランセイザーだって!?」
ピンクフラッシュ「噂には聞いていたけど、それじゃあ貴方たちが…?」
ゴルビオンの声@通信「フラッシュマン、後は安心して
 俺たちに任せてくれ!」

クラウドドラゴンから順次発進した超星神ガルーダドルクルス
ガンシーサーリヴァイアサン、そしてガントラスが合体、
超強力な合神獣王ダイセイザーが完成する。

「合神、ダイセイザー!!」

そしてダイセイザーと共に佇むもう一つの巨大な影、
インパクター・ロギアの操る最終兵器ダイロギアンだ。

ロギアΧ@ダイロギアン「その姿…もしやラディアか…?
 哀れな奴。獣戦士に改造されるとは……。かっての同士としての好だ。
 せめて俺自身の手であの世に送ってやる!!」

268 名前:VS巨大ブラディ戦:04/12/20 13:33

戦闘不能となったグレートタイタンに代わって、
今度はダイセイザーとダイロギアンの共同戦線で、
巨大ブラディと戦うが、それでも尚、戦いを自らに優勢に進める巨大ブラディ。
ダイセイザーが口部から吐き出した灼熱の火炎も、
巨大ブラディは体内に吸い取ってしまうのだ。

タリアス@ダイセイザー「なんて奴だ! ダイセイザーの攻撃すら効かないなんて!」
ロギアΧ@ダイロギアン「…いや、いかに蠅の魔王の力が強大でも
 奴の胃袋までは無限ではない。さっきのタイタン・ノヴァとやらと
 もう一度発射して、ダイセイザーと一緒に同時攻撃を繰り出すのだ!」
レッドフラッシュ@グレートタイタン「無理だ! さっきので
 グレートタイタンの動力エネルギーは全て使い果たしてしまった!」

万策尽きたかと思われたその時、
ラウンドベースからマグの通信が入る。

マグの声@通信「まだ打つ手はあるよ」
グリーンフラッシュ@グレートタイタン「マグ、どういうことなんだ!?」
マグの声@通信「キラ君たちが森の中に隠していたフリーダムと
 ジャスティスをさっき回収したんだ。2機をグレートタイタンに接続して
 その核エンジンの半永久的エネルギーを利用すれば、タイタン・ノヴァを
 また発射することができる」
レッドフラッシュ@グレートタイタン「よし、やってくれマグ!」

スターコンドルで発進したマグは、フリーダムとジャスティスに接続した
コードを投下して、その核エネルギーをグレートタイタンに送信する。

イエローフラッシュ@グレートタイタン「パワーが戻ったわ!」
ブルーフラッシュ@グレートタイタン「すごいエネルギーだ。俺たちがフラッシュ星に
 帰っている間に、地球の科学がここまで進歩していたなんて!!」
レッドフラッシュ@グレートタイタン「よし、いくぞ! タイタン・ノヴァ!!」

タリアス@ダイセイザー「俺たちもやるぜ! くたばれ、蠅の化け物野郎!!!」

                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙



復活したグレートタイタンのタイタン・ノヴァ、そして
ダイセイザーとダイロギアンの合わせて3体の巨大ロボによる
同時必殺攻撃が、ついに巨大ブラディを破裂させ完全に消し去った!!

ロギアΧ@ダイロギアン「さらばだ…ラディア……」

269 名前:VS巨大ブラディ戦:04/12/20 13:34

***オルフェノクの王復活の神殿***

地上での爆発の衝撃で、地下の神殿にも崩壊の余波が…!!

ローズ@村上の影「な、なんだこの揺れは??
 ――まさか!?」

1号「いかん! 神殿の天井が崩れるぞ!」
ファイズ「キラ!! アスラン!!」
V3「うわああっっ!!!」


***ベルゼウス艦・司令室***

ベルゼウス「どうやら退き時のようだな」
ケフレン「改造実験基地ラボー、発進せよ!!」

敗北を悟ったベルゼウス艦とラボーは、
アプリリウス・ワンから離れ、プラントのL5宙域から
急速に離脱していった。


***アプリリウス・ワンすぐ近くの宙域***

それと入れ替わりに現れた3機のザフト軍MS。
プラント本国での事件を知り、大急ぎで視察先のボアズから戻ってきた
イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、
そしてシホ・ハーネンフースの3人であるが……

イザーク@デュエル「なんだ、もう終わりか。つまらん…。
 どうやら慌てて戻ってくるほどの事でもなかったらしいな」
ディアッカ@バスター「なんだか肩透かしを食らったみたいだぜ…」
シホ@シグー「でもよかったじゃありませか。
 こうしてプラントも守られたようですし…」


○超星神、ダイロギアン→援軍としてプラントに到着。
 グレートタイタンと協力して巨大ブラディを撃破。
○イザーク、ディアッカ、シホ→今頃プラント本国に駆けつけてくる。
●巨大ブラディ→タイタン・ノヴァ、そしてダイセイザーとダイロギアンの
 3体同時必殺攻撃まではさすがに吸収&無効化しきれず、爆散し消滅。
●ラボー、ベルゼウス艦→ブラディ敗退により敗北を察し、撤退。
 ここにグランショッカーのプラント占領計画は潰えたかに見えたが…。
○●地上の大激戦(巨大ブラディ爆発)の余波で、地下神殿が崩壊。
 下敷きとなったライダーたちやキラとアスラン、そしてアークオルフェノクや
 村上の生死は…??

【今回の新規登場】
○伝通院洸=セイザーレムルズ(超星神グランセイザー)
 外科医・双子座の戦士・風のドライブのリーダー
 超星神ドルクルスメインパイロット
○反町誠=セイザーゴルビオン(超星神グランセイザー)
 フリーカメラマン・蠍座の戦士・水のドライブのリーダー
 超星神リヴァイアサンメインパイロット
○ディアッカ・エルスマン(機動戦士ガンダムSEED)
 ザフト軍・イザークの副官にして戦友・
 GAT-X103バスターガンダムパイロット

270 名前:〜蠅の魔王編 終章〜:04/12/29 13:36

あれから数日後……

***オーブ国内の軍病院***

病室の中で、ベットの上で寝ているキラとアスラン。
その横でカガリがりんごの皮を剥いている。

カガリ「……で、その時のことは結局何も覚えていないのか」
アスラン「ああ…。ただ夢の中で眠る照夫君を前に、
 別の不思議な子供が現れて、パッと一瞬温かい光に包まれたかと思ったら、
 気がついたら地上にいた」
キラ「一体、あの時何が起こったんだろう…。それにあの不思議な子は…??」

巨大ブラディが倒された爆発の衝撃で、
大崩壊する地下神殿の中を、突如大きな光のバリアに包まれた
キラとアスラン、アークオルフェノクの体、そして仮面ライダーたちは、
あの後無事に地上へと脱出することに成功していたのだった。
そして、蠅の魔王の遺伝子が滅んだことによるものか、
アークオルフェノクも元の鈴木照夫の姿に戻っていたのである…。
今ではプラントも昔どおりの平穏を取り戻しつつある。

カガリ「…で、その照夫って子は、その後どうなったんだ?」
キラ「啓太郎さんのクリーニング店に引き取られて、
 元気にしているよ」
アスラン「あいかわらず海堂さんには懐いてないらしいが…(苦笑」
カガリ「まあよかったじゃないか。お前たち2人も無事だったんだし。
 ほら、りんごだ!」

カガリから(かなり下手くそに皮が剥かれている)りんごを差し出されて、
ちょっと苦笑いするキラとアスラン。

271 名前:〜蠅の魔王編 終章〜:04/12/29 13:37

***英国・ロンドン***

道端の売店で買った新聞を読みながら佇む一人の紳士風の男。
元大英図書館特殊工作部の責任者にして大英図書館の2であった、
ジョー・カーペンター、通称"ジョーカー"である。
プラントで起こった事の顛末を回想し、感慨にふけっている。

ジョーカー「……!!」

ふと気がつくと、後ろに眼鏡をかけた女と長髪の男がいる。

ジョーカー「おやおや…、これはこれは。
 まさしくこれであなた方の思い通りの結末になりましたね。
 これで満足ですか…?」
読子「ジョーカーさん……」
ジョーカー「どうします? 私を逮捕しますか、バンコラン少佐?
 ジェントルメン復活の計画が今度こそ完全に瓦解した今、
 今更手向かえはしません」
バンコラン「いや、その必要はない。
 もはや旧大英図書館の組織は完全にその機能を失った。
 それにお前が利用しようとしたティターンズもスマートブレインも
 かっての勢力はない」
ジョーカー「………」
読子「ジョーカーさん、きっとジェントルメンさんは
 諦めて成仏しちゃったんですよ。蠅の魔王の遺伝子なんかに
 頼らなくても、ジェントルメンの意識は全世界に飛び散り
 色々なものに乗り移った…たとえば動物とか植物に。
 それらを少しずつ集めていく事もできるんじゃないですか?」
ジョーカー「気の遠くなるような話ですね。
 ……だが、それも悪くはない…」

後日、ジョーカーは忠実なる秘書ウェンディと共に
ロンドン市街から姿を消した。
おそらくは再び旅立っていったのであろう。
世界中に飛び散ったジェントルメンの意識を求めて……。

272 名前:〜蠅の魔王編 終章〜:04/12/29 13:38

***東京・スマートブレイン本社ビル54階・社長室***

村上峡児が行方不明となり、会長である花形の帰還により
人類との共存を目指す花形派が社内で勢力を盛り返したスマートブレイン。
今では木場勇治が再び社長の座に復帰し、社内の再建や、
覚醒したオルフェノクの保護に忙しく奔走している。
全ては人間とオルフェノク、そして他にも多くの種族が
平和に共存するという夢のために……。

木場「花形さん…!?」
花形「これは君のものだ…」

社長室で花形からオーガのベルトを託される木場。

花形「戦いはまだ終わってはいない。
 おそらくグランショッカーは新たな邪将を送り込み、
 さらに攻勢を強めてくるだろう」
木場「はい。でも俺たちは負けません。
 必ず異なる種族が手を取り合える世の中を作って見せます」
花形「蠅以外の魔王の遺伝子について、
 他に解ったことは?」
木場「城さん=仮面ライダーストロンガーの話では、
 蠅の魔王<ベルゼブブ>以外にも邪眼の王<バロール>の遺伝子が
 存在するようだと…」
花形「どちらにしろ魔王の遺伝子をそのまま放置しておくことはできない。
 他にも引き続き遺伝子探索にあたっている怪盗ジャンヌたちを
 陰ながらサポートしてやってくれ。警視庁の冴島総監では
 立場上表立って彼らと協力して動くことは難しいだろうからな」
木場「わかりました。任せてください」


一方、その頃……

***グランショッカー本部***

暗闇の向こうからやって来る一人の女。
薔薇のコサージュを身につけ、赤いドレスに身を包んでいる
その到着を待ちかねていたとばかりに、
スマートレディが無邪気に飛びつく。

スマートレディ「ああん! 待ってたわバルバちゃん!
 お姉さんもう待ちくたびれちゃった♪」
バルバ「オキザキタ(時は来た)…」
スマートレディ「…??。それだと何言ってるのか全然わっかんな〜い。
 お願い♪ 日本語…じゃなかった、リントの言葉で話してもらえるぅ〜?」
バルバ「フン……」

スマートレディの哀願にも冷淡な表情を見せるこの女、
かって人間たちから未確認生命体B1号=バラのタトゥーの女と呼ばれていた。
古代の殺戮集団グロンギ族でもズ、メ、ゴ組よりワンランク上の立場に位置する
ラ・バルバ・デである。

バルバ「究極の闇をもたらす者…万能の力を得るに相応しき者…
 次期創世王を決めるバトルロイヤルが…まもなく決行される」
スマートレディ「新たなカードも出揃いつつあるわよん♪
 その時こそいよいよ貴女と私、邪神様直属の影であるアタシたちの出番ね」
バルバ「………(無言で笑みを浮かべる)」


○●あれから数日が経つ…。
○キラとアスランはオーブの軍病院に入院中。
○プラントにも平和が戻る。
○なぜか元の体に戻った照夫は、西洋洗濯舗に引き取られる。
●ジョーカー、ウェンディ→脱落。
○スマートブレインはグランショッカーとの関係を絶ち、
 木場新社長の下で再出発。
●グランショッカー本部に、バラのタトゥーの女現る。

【今回の新規登場】
●バラのタトゥーの女=ラ・バルバ・デ(仮面ライダークウガ)
 未確認生命体B1号・グロンギ族のゲゲル進行役・
 グランショッカー邪神直属の影

(シナリオ終了・次シナリオに続く)

273 名前:各勢力の動き:04/12/30 00:20

***清明院大学・香川研究室***

剣桃太郎総理暗殺未遂への関与を疑われ、
警視庁を追われた南雅彦は、清明院大学教授・香川英行に匿われていた。

香川「残念ながら、情勢は貴方が望んだ方向とは
 逆に進んでいるようですね…」
南「…?? 何故そう思われます? 村上の企ては阻止され、
 当面の間は人間=ナチュラルによる地球の支配権は安泰だ。
 私は満足ですよ…」
香川「果たして本心からそのように言っているんですかね…貴方は。
 私には貴方が早く人間対オルフェノクの全面戦争に突入することを
 切望していたように見えましたが…」
南「ハハハ…これはまた人聞きの悪い冗談を」

南は香川の一言を一笑に付した。

香川「ところで、草加君からその後の連絡は?」
南「あの男もジェネシス占拠という作戦に失敗した今、もう用はありません。
 それにあの男はいろいろと知り過ぎました。そのうち始末します」
香川「待ってください。私は彼を消すのには反対です」
南「おや? 大事の前には多少の犠牲はやむを得ない。
 この世の正義を守るためには、身内でも切り捨てる英雄的行為が必要だ…
 日頃からそう仰っていたのは貴方では?」
香川「確かに。しかし彼にはまだ利用価値が残っている。
 よければ彼の身柄を私に預からせては頂けませんか?」
南「まあ香川先生がそう仰るのであれば…」

香川の申し出を承諾する南。

南「ところで、例の件の首尾の方は?」
香川「御安心ください。仲村君が上手くやってくれていますよ。
 白河代議士が脱落して姿を消した今、我々も目的にために
 新しい同士が必要ですからね」


***東京刑務所***

ここに、元科学省の研究員でありながら、反AIロボット主義に加担し、
破壊こそ最高の芸術だと思っている凶悪な爆弾魔カトウが収監されていた。
だが……。

カトウ「……ん? お前は?」

独房の鏡の中から、黒いグロテスクなライダー=オルタナティブが
突然実体化して姿を現す。

オルタナティブ「あんたがカトウさんだな? 迎えに来たぜ」

274 名前:各勢力の動き:04/12/30 00:21

***火星・小バーム***

新たなる女王エリカの下で平和への道を歩み出していたはずのバーム星人。
しかし、地球でティターンズと反ティターンズ派による内紛が起こっていた間、
火星極冠遺跡はジュピトリアンの手に落ち、さらには黄泉還ったオルバン大元帥一派との
挟み撃ちになる形で、その平和は脆くも崩れ去ってしまっていた…。

オルバン「聞け、バームの兵達よ。小バームを地球人どもに売り渡そうとした
 女王エリカは追放された! 私は身の程知らずにも自らを女王を僭称した
 あの小娘に代わって、バーム10億の民に安住の地をもたらすことを約束しよう!」
ゲロイヤー「いざ、バームの戦士達よ! 大元帥オルバンの命は下った!
 これより地球を攻撃する準備を開始する! 大元帥オルバンに続け!
 この手で地球を征服し、我らの新たなる故郷を手に入れるのだ!」

バーム兵が上座へと注進に進み出る。

バーム兵「オルバン大元帥、惑星フリーザから恒星間通信が届いております」
オルバン「わかった。今行く」


***小バーム内・オルバンの私室***

恒星間通信の回線が開き、モニターにフリーザの姿が映る。

オルバン「こ…これはフリーザ様!」
フリーザ@通信「オルバン大元帥、地球攻略はどのような状況になっていますか?」
オルバン「奪還した小バームを前線基地として、まずは火星を制圧した後に、
 地球防衛の拠点である極東地区への攻撃準備を進めております」
フリーザ@通信「おやおや…未だに準備ですか? 予定より遅れているようですね」
オルバン「も、申し訳ございません。地球人は前回の大戦を教訓にし、
 母星の防衛網をより強固にしていると思われます。さらに、
 地球内部にも先に入り込んでいる未知なる敵対勢力が複数存在し…、
 うかつに手を出せば、我々はそれらの勢力を同時に相手にせねばなりません」
フリーザ@通信「…まあいいでしょう。それよりあの猿は見つかりましたか?」
オルバン「…ハ?」
フリーザ@通信「孫悟空…わがフリーザ一族に楯突いた
 あの宇宙の田舎猿の超サイヤ人のことですよ」
オルバン「は、はい。地球に密かに送り込んだ斥候からの報告では、
 黄泉還っている様子はないとのことでございます」
フリーザ@通信「チッ…!」

いかにも不機嫌そうなフリーザに怯えるオルバン。

オルバン「フ…フリーザ様。何ゆえに下賎な猿の如き
 サイヤ人など気になされます? いかに宇宙最強といわれる超サイヤ人といえども
 黄泉還っていないのであれば幸運ではありませぬか」
フリーザ@通信「私に指図する気ですか? それは我が惑星フリーザと
 バーム、そしてゾヴォーグのゼゼーナン卿との友好関係にマイナスですよ」
オルバン「め、滅相もございません!!
 何卒ゾヴォーグのゼゼーナン卿には、よしなにお取り成しを」
フリーザ@通信「わかればいいんですよ。わかればね。
 今後の貴軍の働きに期待します」

275 名前:各勢力の動き:04/12/30 00:22

***惑星フリーザ***

ここは地球のある太陽系から遠く離れた、
凶暴な惑星戦士たちの基地でもあるフリーザの居城である。

セル「フリーザよ」
フリーザ「なんですか? セルさん」

レッドリボンのドクターゲロが生み出した最強の人造人間セル。
悟空に倒され地獄にいた時に知り合った縁で、
黄泉還った今では、こうしてフリーザ軍の用心棒格として遇されている。

セル「貴様らしくもないな。以前のお前であれば
 力ずくで片っ端から星々を侵略していっただろうに…。
 なぜオルバンやゼゼーナンのような小物などと手を組む?」
フリーザ「私たちが死んでいる間に情勢も変わったということですよ。
 オルバンの言っていたとおり、私たちは複数の勢力を同時に相手にしなければ
 ならなくなりましたからね」
セル「まあいいさ。俺はお前と違って征服などという俗なことに
 興味はないし、せいぜい好きにやらせてもらうさ」
フリーザ「期待していますよ、セルさん。
 いずれ我々も遠からず地球に攻め込みますからね。
 フフフフフ……」


***火星極冠遺跡「イワト」***

草壁「ではエリカ女王、貴女は我々の要求を拒むのだな?」
エリカ「何度も言ったとおりです。小バームのワープ技術を
 あなた方にお渡しするわけにはいきません」
シンジョウ「立場を弁えてもらおう。貴女の身柄は現在我々の保護下にある」

復活したオルバンに小バームを終われ、命からがら脱出した
エリカとマルガレーテであったが、その後に出くわしたジュピトリアンによって
捕らえられてしまっていた。

エリカ「ですが小バームは現在オルバン大元帥の一派に
 占領されています」
シンジョウ「だから技術供与のみを要求しているのだ。
 我々への協力を確約すれば、オルバン大元帥の打倒と
 小バームの奪還に手を貸してやってもよいのだぞ」
エリカ「お断りします。あなた方が私利私欲で我々バームのワープ技術を
 悪用するつもりである以上、バームの正統な代表者として
 あれを渡すわけにはいきません」
シンジョウ「私利私欲ではない。偉大なる総統クラックス・ドゥガチの名の下に、
 腐敗した地球連邦政府に鉄槌を下す。いわば正義のための戦いなのだ!」
エリカ「しかしジャミトフ・ハイマンは地球の議会から追放されたではありませんか。
 どのような理由があろうと、人の命を無下に奪うような人間たちに
 義などありません。今すぐ私たちを解放し、貴方たちは連邦軍に降伏すべきです」
シロッコ「…さすがはリオン大元帥の忘れ形見。
 そしてリヒテル提督の妹君だな」
エリカ「――あなたは!?」

ジュピトリアンの中心人物パプティマス・シロッコ。
実は地球に降下したと見せかけて、密かに火星へと訪れていた。

シロッコ「信じる正義のためならば、自分の身の安全をも省みぬ
 その姿はさすがだと言わせて頂こう。思えば貴女の兄リヒテル提督の最期は、
 真の武人であり、真の指導者の姿であった」
エリカ「兄の…リヒテルの死を美化するのはおやめください」
シロッコ「もし竜崎一矢の助けを待っているのであれば無駄なことだ。
 ダイモスは小バームがオルバンに奪われた時の激戦の中で行方知れずになった。
 おそらくもう生きてはいまい」
エリカ「いえ一矢はきっと生きています。そしてあなた達の野望を
 必ずや打ち砕くことでしょう」
シロッコ「まあいい。時間はゆっくりとある。
 女王にはじっくりと冷静になって考えていただこう。
 じっくりとな…!」
エリカ「………」
シロッコ「女王を部屋に監禁しろ。ただし丁重にな…」
マルガレーテ「お、おひいさまに無礼は許しませぬぞ!」
エリカ「くっ…!」

276 名前:各勢力の動き:04/12/30 00:24

●南雅彦→清明院大学教授・香川英行に匿われている。
●カトウ→仲村(オルタナティブ)の手引きで、刑務所から脱獄する。
●オルバン大元帥→エリカから小バームの支配権を奪う。
 その背後には宇宙の帝王フリーザの影が…。
○エリカ→オルバンの手に落ちた小バームから脱出するが、
 ジュピトリアンに捕らえられてしまう。

【今回の新規登場】
◎香川英行=オルタナティブ・ゼロ(仮面ライダー龍騎)
 清明院大学教授
◎仲村創=オルタナティブ(仮面ライダー龍騎)
 清明院大学・江島研究室の元メンバー
●カトウ(アストロボーイ・鉄腕アトム)
 破壊こそ最高の芸術だと思っている爆弾魔・元科学省研究員
●オルバン大元帥(闘将ダイモス)
 バーム星人の独裁者・リオン前大元帥暗殺の真犯人
●ゲロイヤー参謀(闘将ダイモス)
 バーム星人地球侵攻軍幹部・オルバンの側近
●フリーザ(DRAGON BALL Ζ/GT)
 宇宙最強の悪の帝王・不老不死を夢見る。
●セル(DRAGON BALL Ζ/GT)
 サイヤ人とナメック星人とフリーザ一族の細胞から生み出された人造人間
●シンジョウ・アリトモ中佐(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
 元地球連邦軍(原典では連合統合軍)中佐・草壁の右腕的存在
○エリカ(闘将ダイモス)
 バーム星人の現女王・竜崎一矢の恋人・
 リオン前大元帥の遺児・リヒテル提督の妹
○マルガレーテ(闘将ダイモス)
 エリカの乳母で侍従

277 名前:エーデルクロイツ出現:04/12/30 00:55

***グランショッカー本部・オルフェノクブロック***

ラッキー・クローバーである北崎やジェイも含む、
村上が率いていた旧スマートブレインのオルフェノクたちに
集合命令がかけられていた。

村上の部下A「お前たちがこれから我々の新しい指揮官になるだと?」
三影「その通りだ」

村上峡児が倒れた今も
グランショッカーに組する悪のオルフェノクたちを前に
堂々と宣言する三影英介。

北崎「ふ〜ん、オルフェノクでもない君たちが
 僕たちに指図するっていうの?」
早瀬「フフフ……」
ゴージャスな男「何がおかしい!?」
高木「我ら4人も既にオルフェノクなのだ!」
小針「見ろ!」

早瀬五郎=さそり男、高木祐介=ガルマジロン、小針正=ライオンサンダー、
そして三影英介=タイガーロイドの4人は、青白いストリームに身を包むと共に
オルフェノクの姿へと形を変える!

村上の部下B「ば、ばかなっ…!!」
ジェイ「It absorbed it very much(なんてこった)!!」
ニュータイガー@三影の影「これで納得していただけたかな?」
ニュースコーピオン@早瀬の影「もう単純な純正オルフェノクの時代は終わった!
 村上社長が敗北した今、これからは我々機械と融合した
 サイボーグオルフェノクの時代なのだ!」
ニューアルマジロ@高木の影「我ら闇のエリート部隊"エーデル・クロイツ"!」
ニューライオン@小針の影「諸君もこれからは我々の指示に従え」

新しい種サイボーグオルフェノクの出現に驚愕する
従来のオルフェノクたち。

ゴージャスな男「くっ…! 冴子さんさえ健在であれば、
 こんな奴らなどに!」


●オルフェノクの闇のエリート部隊4人衆"エーデルクロイツ"現る。
 そしてグランショッカーにおけるオルフェノクの指揮権を掌握する。

【今回の新規登場】
●早瀬五郎=さそり男=ニュースコーピオンオルフェノク(仮面ライダー/半オリジナル)
●高木祐介=ガルマジロン=ニューアルマジロオルフェノク(仮面ライダーV3/半オリジナル)
●小針正=ライオンサンダー=ニューライオンオルフェノク(仮面ライダースーパー1/半オリジナル)
●三影英介=タイガーロイド=ニュータイガーオルフェノク(10号誕生! 仮面ライダー全員集合!!/半オリジナル)

278 名前:殺し屋シルバ!:05/01/09 11:27

***グランショッカー銀河系前線基地・要塞ネオゴズマード***

宇宙連合から追われる身であるベルゼウスは、
ここ要塞ネオゴズマードにて、近衛兵団最高指揮官・女王アハメスに
謁見しようとしていた。

ゴールデン仮面大将軍「フフフ……我こそは黒十字軍最高幹部にして
 現在はグランショッカーゴズマ軍近衛兵団副将・ゴールデン仮面!
 以後、お見知りおき願おう」
ベルゼウス「よろしく、ゴールデン仮面殿」
ゴールデン仮面大将軍「女王アハメスは奥の間におられる。
 くれぐれも粗相のないようにな」

近衛兵(礼服を着用したヒドラー兵)によって最高司令室の硬い門扉が開けられ、
中へと入るベルゼウス。片膝をつき一礼して跪く。
その視線の奥には、リゲルオーラに包まれし銀の陣羽織に身を固めた
女王アハメスが司令官席に鎮座している。

ベルゼウス「元ウオフ・マナフ最高会議幹部ベルゼウス。
 畏き辺りの思し召しにて、栄誉あるグランショッカー軍団の
 一員にお加えいただき、光栄に存ずる」
アハメス「世辞などよい。それよりも単刀直入に
 貴殿の本心を述べてもらおうか」
ベルゼウス「…本心??」
アハメス「何が目的で我々グランショッカーに近づいた?」
ベルゼウス「フフ…これは思いもかけぬお言葉かな。
 脱走の手引きを条件に、先に私の方に接触して協力を請うて来たのは
 他ならぬ大博士リー・ケフレンですぞ」
アハメス「宇宙連合で今起こっていること…ゴズマ軍近衛兵団を率いる
 このアハメスが知らないとでも思ってか!」
ベルゼウス「………」
アハメス「今、宇宙連合内部ではゾヴォーグのゼゼーナンが決起し、
 その背後にはあのフリーザが暗躍しているというではないか…。
 答えろ、宇宙連合は今後どう動く!?」
ベルゼウス「知りませんな…。あいにく私は中央から失脚した身ですので…」
アハメス「……まあよかろう。今後も我々グランショッカーの一員として、
 銀河大星王バズー様のために、貴殿にはより一層の忠勤を期待する」
ベルゼウス「仰せのままに…」

279 名前:殺し屋シルバ!:05/01/09 11:43

ここはネオゴズマード要塞内に用意された、ベルゼウスの私室である。

ゴーギャン「ベルゼウス様、いかがでございました?」
ベルゼウス「女狐め、我らの策略に勘付いている節があるが、
 さすがに真の目的の核心にまではまだ気づいていまい」
ゴーギャン「では今のうちに我らも早速と動かねば」
ベルゼウス「うむ。ゼゼーナン卿との約束もあるからな。
 …出番だぞ、バイオハンター・シルバ!」

部屋の片隅にて丹念に愛銃バイバスターの手入れをしているアンドロイド、
バイオハンター・シルバ…。

ベルゼウス「これからはお前もこの私の指揮に従い、
 作戦行動に参加するのだ」
シルバ「断る…」
ゴーギャン「何っ!?」
シルバ「俺の使命は、バイオ粒子を持つものを、生物、非生物問わず、
 全てを破壊すること。お前たちガルバ星人の指図は受けん」
ゴーギャン「貴様! 反バイオ同盟が造った
 たかが暗殺用ロボットの分際で、ベルゼウス様に逆らうのか!」
ベルゼウス「シルバよ、お前を創り上げた反バイオ同盟も、
 元はウオフ・マナフやゾヴォーグとも起源を同じくする
 宇宙星間連合の一員ではないか?」
シルバ「関係ない。俺は俺で勝手にやらせてもらう」
ベルゼウス「フフフフッ…そう来ると思っていたぞ。
 まずはこれを見ろ」

ベルゼウスは一本のキーを懐から取り出した。

シルバ「そ、それはバルジオンのコントロール・キー!!
 いつの間に!? ――返せっ!!」
ベルゼウス「おっと、こいつは渡せんな。
 バルジオンは今、私の手中にある。このコントロール・キーが
 私の手元にある限り、お前は私の命令には逆らえんのだ」
シルバ「くっ…おのれ! バルジオンさえあればっ!!」

悔しがるシルバの横にもう一人、人間の姿をした美しい女性の姿が…。

ベルゼウス「カリンよ、お前にも私の仕事を手伝ってもらうぞ。
 そもそも貴様と同族のアケロン人であるルビーのせいで、
 私はウオフ・マナフ最高会議幹部の座から追われたのだ!
 この埋め合わせは高くつくと思え!」
カリン「私は地球人に擦り寄ったルビーなどとは違います。
 必ずやベルゼウス様の御為に…」


●ベルゼウス→グランショッカー・ゴズマ軍に正式に加わる。
 だが、どうやら隠された別の目的がある模様。
●シルバー→バルジオンを差し押さえられ、ベルゼウスに服従を強要される。
◎宇宙連合は現在、どうやら内部分裂の危機にあるらしい…。

【今回の新規登場】
●女王アハメス(電撃戦隊チェンジマン)
 大星団ゴズマ司令官・アマゾ星女王・近衛兵団統括者
●ゴールデン仮面大将軍(秘密戦隊ゴレンジャー)
 黒十字軍最高幹部・ゴズマ軍近衛兵団副将
●バイオハンター・シルバ(超電子バイオマン)
 反バイオ同盟の殺し屋ロボット・バルジオンパイロット
●佐伯カリン=アケロン人=アケロン大星獣(超星神グランセイザー)
 アケロン星より、宇宙連合の特命を受けて地球に降り立った宇宙人・
 黒水晶によって数々の破壊能力を発揮、格闘術にも長けた恐るべきエージェント・
 20年前に亡くなった女性化学者・佐伯カリンの姿を借りている。

280 名前:時空編始動:05/01/15 00:27

***改造実験基地ラボー***

ここはラボーの中にあって、
今だ誰も足を踏み入れたことのない暗黒の空間である。

ワンダ「――ラボーの中にこんな場所があったとは!
 ケフレン様、これは一体…?」
ケフレン「ここは歴代の大博士たちの墓場だ…」
ワンダ「なんとっ!?」

よく見れば、辺り一面に無数の墓標らしき石碑がある。

ケフレン「私以前にもメスには大博士と呼ばれる者たちが存在した。
 デウスは確かにそう言っていた。そして大博士に課せられた使命とは、
 デウス自身の体を改造することにあったともな…。だとしたら、
 自分の体の秘密を知った大博士を、あのデウスが生かしておくはずがない。
 おそらくは改造手術が終了した時点で、その代の大博士は用済み。
 口封じのために闇へと葬られたのであろう…」
ワンダ「…で、では、ラー・デウス様はいずれはケフレン様も
 始末するつもりだったので!?」
ケフレン「フッ……」

そこへネフェルがやってくる。

ネフェル「ケフレン様、遺伝子シンセサイザーの修理が完了しました」
ケフレン「よし…」


***同ラボー要塞内・生命改造実験室***

何かに取り付かれたかのように、一心不乱にシンセサイザーを
奏で続ける大博士リー・ケフレン。

        
       
            
         
  
 

ケフレン「………(あの時、黄泉還りにより復活した生命体は
 蠅の魔王の遺伝子が放つ強烈な生命反応に耐え抜いた。そこに黄泉還りの謎を
 解明する鍵が隠されているやもしれん)」

                  
                
                
                     
          
             

ケフレン「………(我が問いに応えよ…歴代の大博士たちよ! デウスにいいように
 利用された挙句捨てられたお前たちの無念、この私が晴らしてやらんこともないぞ!
 無から生命を蘇生させる黄泉還りの方程式をこの私に教えるのだ!!)」

281 名前:時空編始動:05/01/15 00:28

遺伝子シンセサイザーの妖しげな音色に導かれるかのように、
ウルク、キルト、そしてレー・ガルスの霊体が実体化していきつつある…。

ウルク@霊体「………」
キルト@霊体「………」
ガルス@霊体「………」

間近でそれを目撃して驚くワンダたち。

ワンダ「こ、これは一体!? どういうことだネフェル?」
ネフェル「ケフレン様は黄泉還りの謎を解こうとしておられるのよ!」
ケフレン「さあ私の手で黄泉還るのだ! ウルク、キルト、そしてレー・ガルス!!」

           
   
        
       
   
         
       
       

ウルク@霊体「………ケフ…レン…様………」
キルト@霊体「……………」
ガルス@霊体「……グオ…ォォ…ッ……」

ラ―――――――――――――――――――!!

突然美しい少女の歌声が、遺伝子シンセサイザーの音色を妨げる。

ケフレン「――!! 何事だ!?」
ネフェル「ケフレン様、あそこを!!」

ネフェルの指差す先には、黄色いワンピースに身を包んだ
美しい少女の姿が…。

ケフレン「…何者だ?」
玲香「………」
ワンダ「おのれー! 人間の小娘の分際で、
 ラボーの中に入り込むとは! この俺が刀の錆にしてやる!」

ラ―――――――――――――――――――!!

怒るワンダがその少女めがけてキラーセイバーを振り下ろすが、
少女は歌声と共に、まるで幽霊のように消えてしまう。

ワンダ「な、なにっ??」
ケフレン「一体何者だ。この私の遺伝子シンセサイザーの調べを邪魔するのは…」
ネフェル「――あっ! ケフレン様!!」

あと一歩のところで、ウルクたち3人の姿は、
完全に実体化する前に消えてしまった。

ワンダ「ああっ…消えてしまった」
ケフレン「チッ…! おのれ…今の妙な小娘さえ現れなければ…!」
ネフェル「ケフレン様、現在ラボーに残されているデウス遺伝子液だけでは、
 これ以上遺伝子シンセサイザーの出力を上げる事は不可能です」
ケフレン「デウス遺伝子は尽きることはない。だが黄泉還りの方程式を
 完成させるためには、他にも強力な遺伝子がもっと必要だ」
ワンダ「では、ショッカー正規軍にいるブラックサタンのタイタンに頼んで、
 魔王の遺伝子を分けて貰ってはどうでしょうか?
 確かあの男は邪眼の王<バロール>の遺伝子の持ち主だったはず」
ネフェル「…無理ね。あの男はケフレン様を嫌っているわ」
ケフレン「何も古代ソロモン王が封印した魔王の遺伝子に拘る必要はない。
 それに匹敵するだけの強力な遺伝子液が充分にあればな。フフフ……」

282 名前:時空編始動:05/01/15 00:29

***暗黒巨大城デストピア***

ここはグランショッカーのゴズマ軍に属する
暗黒科学帝国デスダークの擁する巨大メカランド、
移動要塞デストピアである。
なんとここに突然現れた改造実験基地ラボーが強引に接舷し、
ケフレンたちが総統タブーのいる大広間に押し入ってきた!

デスマルク「何の真似だケフレン!!」
デスギラー「ここはお前らのような改造生命体の出入りできる場所ではない!
 早々に帰れ!」

怒るデスマルク大元帥とデスギラー将軍を無視して
ガラス越しに異様な目を光らせる総統タブーと対峙する大博士リー・ケフレン。

タブー「………」
ケフレン「総統タブー、貴方のタブー遺伝子を全て頂く。
 一滴残らずな!」
デスマルク「Σ(゚Д゚;)!! な、なにーっ!?」
ケフレン「ワンダ、準備を始めろ」
ワンダ「ハハッ」

ワンダとゾローたちが、何やら大きなチューブのついた装置を
どこからか持ってきて、勝手に作業を始める。

デスマルク「ケフレン、貴様正気か!? 慮外者め!!
 構わんデスギラー、ケフレンを斬れっ!!」
デスギラー「ハハッ。大博士リー・ケフレン、覚悟っ!!」
ネフェル「お待ち! これが目に入らないの!」

腰のサーベルを抜くデスギラーの眼前に、いきなり鑑札らしき物を突きつけるネフェル。
その鑑札に記された紋章を見て驚愕するデスマルク大元帥たち。

デスギラー「――その紋章は十字星に単眼の脳髄…ま、まさかっ!?」
デスマルク「GVMN…ラボ……!!」

たじろぐデスマルク大元帥たち。

ケフレン「フフ…いかにも」
マズルカ「GVMN・ラボ……グランショッカー・ゴズマ軍において
 最高の科学者として選ばれた4名に与えられる究極の学位とは聞いてはいたが…」
ケフレン「この紋章に刻まれた十字星に単眼の脳髄は、
 ゴズマ軍において最高の頭脳を誇る四天の印…。グランショッカーにおける
 全ての研究設備と資材を優先的に独占使用する特権が認められ、
 たとえ近衛兵団といえども、我らGVMN・ラボに介入することはできん」
デスマルク「信じられん。銀河大星王バズー様は、
 GVMN・ラボに、このわしやジャシンカのカー将軍ではなく、
 お前をその一人に選んだというのか!?」
ケフレン「その通りだ。もはや文句はあるまい!
 暗黒科学究極の遺伝子は私が頂いていくぞ、フハハハハ!!」

総統タブーは身体中の遺伝子を全て抜き取られ、
眼球だけが残ってしまった。そして、
用を済ませたとばかりに、意気揚々と去っていくメスの面々。

イガアナ「サゾリヤ博士があまりにもだらしないから、
 メスの奴らなどに出し抜かれるのだぞ!」
サゾリヤ「何をっ! お前とて同じではないか!」
デスギラー「ええい! やめんか貴様ら!!」

床に転がっているタブーの眼球を、
大事そうに抱き抱えるデスマルク大元帥。

デスマルク「おいたわしや総統閣下……。
 おのれケフレン、このままではすまさんぞ!」

283 名前:時空編始動:05/01/15 00:30

***ベーダー魔城・メガスパドレオ***

ここは闇に属する悪の女王や貴婦人たちの集う宮廷として築かれた
新たなるベーダー魔城メガスパドレオである。
ここの城主でもあるヘドリアン女王が主宰する秘密結社「闇女王同盟」の
本拠地でもある。

ビルギス「ゼノビア様、お持ちいたしました」
ゼノビア「ご苦労ビルギス。これが私の手元に残っていた
 最後のレトロ遺伝子だ。何に用いるのかは知らぬが、
 貴重なサンプルだから大事に使え」

ゼノビアから遺伝子液の詰まった小瓶を渡される
大博士リー・ケフレン。

ケフレン「恩に着るぞゼノビア」
ゼノビア「私にはもう不要な代物だ。それよりも約束はわかっているな?」
ケフレン「わかっている。いずれ近いうちにお前が白骨化せずに済むよう、
 生きたまま十本尻尾に改造してやる。この私の生命改造実験に不可能などない。
 万事任せてもらおう…」
ヘドリアン「お話は終わったかえ」

闇女王同盟の盟主として黒い太陽神に仕える、ヘドリアン女王の来臨である。

ゼノビア「これはヘドリアン女王様。ごきげんよう」
ヘドリアン「ごきげんよう、女将軍ゼノビア」
ケフレン「此の度は感謝するぞ、ヘドリアン女王。…いや、
 本当のところ我らに肩入れしたのは、やはり近衛兵団を統括する立場にある
 女王アハメスへの牽制が狙いかな?」

現在の闇女王同盟の盟主の座はヘドリアン女王の手の中にあるが、
常にその地位は、野心を抱く他の有力な悪の女王・女帝たちから脅かされている
極めて不安定な状態にある。
銀河大星王バズーの寵愛を受け、ゴズマ軍の近衛兵団を率いる女王アハメスは、
まさに闇女王同盟内2の実力者として、隙あらば真っ先に盟主の座を伺う位置にあった。

ヘドリアン「フフフ…それよりもケフレン博士。
 いずれGVMN・ラボがグランショッカーの実権を握られた暁には、
 この私やゼノビア将軍にも今以上の栄耀の座をな…」
ケフレン「はて何のことかな…?」
ヘドリアン「フフフフフ…とぼけるでない…」
ケフレン「フフフ……」

284 名前:時空編始動:05/01/15 00:36

◎美嶋玲香→遺伝子シンセサイザーの演奏に反応するかのように、ラボーに出現。
 ケフレンの黄泉還り実験を妨害する。
●ウルク、キルト、レー・ガルス→人工による黄泉還りに失敗。復活し損ねる。
●大博士リー・ケフレン→ゴズマ軍謎の最高科学者集団GVMN・ラボの
 一員だったことが判明。デスダークからタブー遺伝子を奪い取り、
 闇女王同盟のルートからもレトロ遺伝子を入手。
●総統タブー→無言のまま身体中の遺伝子を全て吸い尽くされ、
 目玉だけになってしまう。
●女将軍ゼノビア→レトロ遺伝子を渡す代わりに、自分を十本尻尾に
 改造してもらえるよう、ケフレンと密約を結ぶ。
●ヘドリアン女王→近衛兵団を率いる実力を持つ女王アハメスが
 自分の地位を脅かすことを警戒し、ゼノビア共々GVMN・ラボに肩入れする。

【今回の新規登場】
●総統タブー(大戦隊ゴーグルファイブ)
 暗黒科学帝国デスダーク首領・暗黒科学究極の超遺伝子
●デスマルク大元帥(大戦隊ゴーグルファイブ)
 暗黒科学帝国デスダーク大幹部
●デスギラー将軍(大戦隊ゴーグルファイブ)
 暗黒科学帝国デスダーク戦闘指揮官
●マズルカ(大戦隊ゴーグルファイブ)
 暗黒科学帝国デスダーク・女スパイ隊長
●イガアナ博士(大戦隊ゴーグルファイブ)
 暗黒科学帝国デスダーク幹部
●サゾリヤ博士(大戦隊ゴーグルファイブ)
 暗黒科学帝国デスダーク幹部
●女将軍ゼノビア(科学戦隊ダイナマン)
 有尾人一族ジャシンカ帝国・7本尻尾の女大幹部・
 闇女王同盟ヘドリアン女王派メンバー
●ビルギス(科学戦隊ダイナマン)
 ゼノビアに仕えるシッポ兵の侍女
●ヘドリアン女王(電子戦隊デンジマン/太陽戦隊サンバルカン)
 闇女王同盟主宰・ベーダー一族首領・機械帝国ブラックマグマ大幹部待遇・
 黒い太陽神の巫女
◎美嶋玲香(ラーゼフォン)
 神秘的な美少女・その正体は、奏者オリンがヨルテオトル(神の心臓)に
 到るための道標として、ゼフォンから発せられた唄で、
 オリンが獲得する予定の“真実の心臓”から欲する人の形をとって
 顕現化した存在「イシュトリ」。

285 名前:時空編始動:05/01/15 00:38

***グランショッカー本部・大廊下***

邪神謁見の間へと続く大廊下で、
通行しようとする大博士リー・ケフレンを必死に押し留める
儀仗兵戦闘員たち。

儀仗兵A「イーッ! お待ちくださいケフレン様!!」
儀仗兵B「ここから先は、世紀王候補たる御方以外は何者といえども
 お通しできません! 何卒お退き返しを!!」
ケフレン「黙れ! 大博士リー・ケフレン!
 グランショッカー三柱の至高邪神に火急の用件にて
 至急お目通りを願いたく、まかり通る!」
儀仗兵A「しばらく! どうかしばらく!」

騒ぎを聞きつけた紳士タイタンがやって来る。
もうすっかり肉体も再生している。

タイタン「何事だ、この騒ぎだ!?」
儀仗兵B「イーッ! これはタイタン様!!」
儀仗兵C「イーッ! 報告します! 大博士リー・ケフレン様が、
 強引に邪神謁見の間へと押し通ろうとされておられます!!」
タイタン「なにっ…? 何のつもりだケフレン!!」
ケフレン「これはこれは、至高邪神のお側近くに仕えるタイタン殿か。
 見ての通り、これから三柱の至高邪神に拝謁を賜るのよ」
タイタン「ふざけるな! ここから先は次期創世王を決定する
 バトルファイトに参加する資格を持つ者のみが通行できるのだ!
 地球人風情が、怪我をせぬうちにとっとと帰れ!!」
???「お待ち願おう…」
タイタン「――!?」

タイタンとケフレンが言い争う最中、
長い白髪の――しかし圧倒的な威厳を周囲に放つ一人の老人が、
3体のメカ人間を引き連れ姿を現した。

タイタン「…貴様はドクターマン! 新帝国ギアの総統が
 ここに何しに来た!?」
ドクターマン「そこにいるケフレン博士と同じよ。
 私も彼と共に、三柱の至高邪神様に重大なお話があるのだ」
タイタン「な、なにっ!?」
ケフレン「お待ちしていたぞ、ドクターマン。
 随分と到着が遅かったではないか」
ドクターマン「ネオグラードの方もいろいろ立て込んでおってな。
 では参ろうか、リー・ケフレンよ」
タイタン「待て貴様ら! 2人とも元人間の分際で、
 そんな身勝手が通用すると思っているのか!」
ケフレン「それはおかしなことを聞くな。以前にお前が
 謁見を根回しした村上も、元は人間ではないか」
ドクターマン「ショッカー正規軍のメンバーも十二邪将含め、
 大半が元人間だと聞くぞ?」
タイタン「うっ…! そ、それは…!
 ともかく許さん! 絶対に許さんぞ!」

断固として道を塞ぐタイタンに、
ドクターマンの配下ビッグスリーの
メイスンとファラの2人が歩み寄る。

メイスン「まあまあタイタン殿。ドクターマン様もケフレン博士も、
 すでに人間だった過去は完全に捨てておられる。ショッカー正規軍に属する
 大半の同志たちと同じようにな」
タイタン「………」
ファラ「それでも御不満とあらば、まずはこれをご覧あれ」

ファラは懐から取り出した鑑札をタイタンに差し出す。
以前にネフェルが使った例の鑑札と同じものである。
それに刻まれた紋章を目の当たりにして驚くタイタン。

タイタン「……Σ(゚Д゚;)!! そ、それはGVMN・ラボの紋章ではないかっ!?」
ケフレン「その通りだ。これならば異存はあるまい?」
モンスター「そうだ!そうだ! だから邪魔だどけ!」
タイタン「ぐっ…うぬぬぬっ!!」

不本意ながらも道を開けるタイタン。
そして謁見の間へと続く門をくぐるドクターマンとケフレン。
ビッグスリーたちは門前の大廊下にて待機する。

タイタン「GVMN・ラボ……、てっきりデスダークのデスマルク大元帥や
 ジャシンカのカー将軍が選ばれるものだとばかり思っていたが…」

286 名前:時空編始動:05/01/15 00:42

***同・謁見の間***

無限に広がる暗闇──天井も壁も感じられない、歩いている床さえも
本当に存在するのか定かでない空間へと歩を進める、
ドクターマンとケフレンの2人。

ドクターマン「……新帝国ギアの総統にして、邪神に選ばれし四天の頭脳、
 GVMN・ラボ南の王、ドクターマン……」
ケフレン「…同じく改造実験帝国メスの長にして、
 GVMN・ラボ西の王、大博士リー・ケフレン……
 偉大なる三柱の至高邪神様に申し上げたき儀があり参上いたしました」
ドクターマン「どうか我らの前にお姿を現しください。
 ゴズマ軍を統べる偉大なる神、銀河大星王バズーよ!!」

すると闇の中に浮かび上がる、ビルほどもある大きさの鏡──コアミラーが3つ。
それぞれに2つずつ、合計6つの不気味な光る目が出現する。
目の持ち主である、黒い巨人のシルエットは形を定めず、鏡の中でうねりを
見せている……!
天空をゆっくりと周回するそのコアミラーの内の一つから、
巨大なホログラフィーが強烈な光と共に発せられる。
その姿のまさしく、あの宇宙のバーサーカー集団・大星団ゴズマを率いて、
全宇宙を恐怖政治で震撼させた星王バズーそのものであった。

バズーの声「本来ならば世紀王候補たる要件を満たす者のみ、
 我への直の謁見を許すところであるが……
 わがゴズマ軍四天の頭脳に認められた特権により……
 汝らGVMN・ラボの進言を許可する。何なりと申して見よ──!」


***同本部内・神官の間***

ドルドラ「――貴様らがGVMN・ラボだと!?」
ビアス「フフ…いかにも…」
ヒネラー「偉大なる銀河大星王バズーの決定により、
 GVMN・ラボの東の王には、邪電王国ネジレジアの支配者たる
 このDr.ヒネラーが…」
ビアス「そしてGVMN・ラボの北の王には、この武装頭脳軍ボルト首領を
 あい務めるこの大教授ビアスが、それぞれ拝命を賜ることになった。
 方々には以後よろしくご承知おき願おう…」
ミケラ「ふっ…ふざけちゃいけないんだなぁ〜!!」
リッチハイカー「あなた方二人にしろ、あとの2人の
 ドクターマンや大博士リー・ケフレンとかにしろ、みんな4人とも
 昔はチーキュの下等生物人間ではありませんか!!」

ドクターマン、大博士リー・ケフレン、大教授ビアス、Dr.ヒネラー……
この4名が、ゴズマ軍に属する数多くの悪の科学者たちの中から、
最も天才であると認められた者に贈られる最高学位「ラボ」の称号を
得たことに納得のいかないゾーンの銀河博士ドルドラや
ボーゾックのリッチハイカー教授といった面々。
それもそのはず。「GVMN・ラボ」には、グランショッカーにおける
全ての研究設備と資材を優先的に独占使用する特権が認められ、
非常時には三軍団の壁を越え、ショッカー正規軍や巨獣軍に属する
特定の怪人・戦闘員への指揮権すら発動できることさえあるのだ。

ドルドラ「ショッカー正規軍の死神博士や、
 巨獣軍のドクターポルダーも黙ってはいまい!!」
ヴォッファ「その通りだ! このままでは納得いかん!
 断固として再考を要求する!!」
ケフレン「――それはすなわち、銀河大星王バズー様のご意思に
 反逆することになるのだぞ!!」
ヴォッファ「――!!」

邪神への謁見を終えてきたドクターマンとリー・ケフレンが
神官の間へと入ってくる。

ビアス「…終わったようですな。して首尾は?」
ケフレン「銀河大星王バズーの裁可は下った。
 私は人工による黄泉還り実験をより完璧なものとするデータを収集するため、
 直ちにラボーと共に時と次元の異なる世界へと旅立つ」
ドクターマン「Dr.ヒネラー、そちらの準備の方は順調か?」
ヒネラー「フフ…私を誰だと思っている?
 万事抜かりはない。時空クレバスを我らの意のままに
 活用するシステムはすでに完了している」
ケフレン「ではラボーを時空魔法陣のエリアへと移動させよう。
 フフフ……時は近い」

287 名前:時空編始動:05/01/15 00:43

●GVMN・ラボ→ドクターマン、大博士リー・ケフレン、大教授ビアス、
 Dr.ヒネラーの4人全員がついに集結。
●ドルドラ、リッチハイカー、ミケラ、ヴォッファ→GVMN・ラボの人選に対し、
 露骨に不満を表明する。

【今回の新規登場】
●銀河大星王バズー(電撃戦隊チェンジマン/半オリジナル)
 グランショッカーを統治する邪神の一柱・ゴズマ軍の支配者・
 星王バズーの生まれ変わり
●ドクターマン=蔭山秀夫博士(超電子バイオマン)
 新帝国ギア総統・GVMNラボ南の王
●メイスン(超電子バイオマン)
 新帝国ギア幹部ビッグスリーのリーダー的存在
●ファラ(超電子バイオマン)
 新帝国ギア幹部ビッグスリーの女性幹部
●モンスター(超電子バイオマン)
 新帝国ギア幹部ビッグスリーの一人・パワーが自慢
●大教授ビアス(超獣戦隊ライブマン)
 武装頭脳軍ボルト首領・GVMNラボ北の王
●Dr.ヒネラー=鮫島博士(電磁戦隊メガレンジャー)
 邪電王国ネジレジア最高幹部・GVMNラボ東の王
●銀河博士ドルドラ (地球戦隊ファイブマン)
 銀帝軍ゾーンの女幹部
●リッチハイカー教授=リッチリッチハイカー教授(激走戦隊カーレンジャー)
 かって宇宙暴走族ボーゾックが雇っていた悪のコンサルタント
●創造の使徒ミケラ(爆竜戦隊アバレンジャー)
 侵略の園エヴォリアン幹部・杖状の筆の先端に絵の具をつけて空間に絵を描き、
 そこに司令室に生えている木の実状の核(命の実)を植え込むことで
 トリノイドを作り出す。
●無限の使徒ヴォッファ(爆竜戦隊アバレンジャー)
 侵略の園エヴォリアン幹部・キーボードで音楽を奏でて空間に楽譜を描き、
 そこに命の実を植え込むことでギガノイドを作り出す。

288 名前:時空編始動:05/01/15 00:43

***日本・地球連邦軍極東支部***

ここは伊豆にある地球連邦軍の極東基地である。
この基地の地下深くに新設されたジャンプ実験ドームでは、
地球連邦政府及び日本政府からも直々に依頼を受けた
一の谷博士陣頭指揮の下、時空クレバスの先の探査計画が
着々と進んでいた。
もし実用化されれば、ティターンズの台頭による地球上の混乱で
一時期途絶えていた惑星間の行き来が復活し、
また多次元間の往来や時間旅行すら可能となる。

岡「時空クレバス実用化の目処はどうですか?」
一の谷「ご覧の通り、急ピッチで作業を進めています。
 現在サイド3に滞在してもらっている、惑星Ziから来た
 ガーディアンフォースの皆さんを、早く彼らの故郷へと
 送り返してあげなければなりませんからな」
ジョーンズ「日本の剣総理が地球連邦政府のお偉方を説得して、
 時空管理局に保管してあった、航時理論が収められたファイルを
 出して来てくれたおかげですよ」
岡「そうですか。う〜む……」

何やら深く考え込む岡長官。

ジョーンズ「どうかされましたか?」
岡「いや、実は以前に会った浅見コンツェルンの会長から、
 時間保護局という組織の話を聞いたのだが」
一の谷「時間保護局?? 聞いたこともない組織ですな……」
岡「なんでも30世紀の地球に本部が存在し、
 時空の極端な乱れや、歴史の違法な改変等を防止するための
 タイムパトロール的な組織だとか…」
ジョーンズ「ほう、未来の世界にそんな組織があるのですか?」
岡「私も初めて聞いたときは半信半疑だったが…、
 もし時間保護局とやらが本当に存在するのなら、
 世界各地に時空の穴が開いている今の時代の地球に、
 なぜその時間保護局の人間が現れないのか…」
ジョーンズ「確かに妙な話ですな。下手をすると今の時代にいる我々が、
 時空クレバスを好き勝手に活用して時間旅行をもしかねないのに、
 それを取締りにすら現れない」
一の谷「あるいは30世紀の地球で何事かが起きているか……」
岡「………」
ジョーンズ「………」

そんな中、一人仕事を終え帰宅する準備をしている時村博士。
長年のタイムマシンの研究成果を学会に認められた彼もまた、
ここの研究スタッフの一員なのである。

時村「皆さんがお忙しいところ申し訳ありません。
 今日は実は大事な約束がありまして…」
一の谷「…おや、時村博士、もうお帰りかね?」
ジョーンズ「もしかして何年かぶりに地球に戻ってこられた
 お嬢さんのことですかな?」
時村「Σ(゚Д゚;)!! ジョーンズ博士、どうしてそのことを??」
ジョーンズ「ここで働いている研究者たちなら、
 みんなそのことを知っていますよ」
時村「いやあ…お恥ずかしい。これは参りましたな」
ジョーンズ「恥ずかしがっている場合ではありません。
 そうか…再会の日は今日だったんですか。ここなら私たちだけで
 大丈夫です。約束の時間に遅刻しては大変だ。是非お行きなさい。
 息子のキッカーに送らせましょう」
時村「いや、どうかそこまでお気遣いなく…」
ジョーンズ「遠慮なさらずに! さあさあ!」

289 名前:時空編始動:05/01/15 00:45

***東名高速道路・東京方面***

東名高速を走る一台の4WDに乗っている時村博士と、
ジョーンズ博士の息子キッカー。

時村「すまないねキッカー君。
 わざわざ東京まで送ってもらったりしてしまって…」
キッカー「気にすんなって。もう2度と会えないかもしれなかった
 娘さんとの再会なんだろ?」
時村「娘だけじゃない。彼ら5人全員が
 私と私の妻と私の娘たちの大切な家族なんだ」
キッカー「…??」
時村「ところでキッカー君、見たところ君が運転している訳ではなさそうだが、
 この車は自動操縦なのかね?」

その時、突然何の前触れもなく4WDが道路の真ん中で止まった。

キッカー「こらっ、ロードバスター!
 なんでいきなり高速のど真ん中で止まるんだ!!」
ロードバスターの声「キッカー、前に人がいるぞ!」
時村「――!!?」

いきなり車から声がしてびっくりする時村博士。

キッカー「……って、高速道路の上を人が歩いてる訳が……
 ………ん!?」

確かに4WDの前に、編み笠を深くかぶった
いかにも怪しげな男たちが立ち塞がっていた。
4WDから降りるキッカーと時村博士。

キッカー「おい、なんなんだアンタたちは!?」
北辰「小僧、時村をこちらに渡せ…」
キッカー「――!!」
時村「どうして私を?」
キッカー「聞いたか博士、どうやらこいつは
 アンタがお目当てらしいぜ。危ないから下がってな」
時村「しかし君は…」
キッカー「いいから下がって!!」

キッカーに言われたままに、ガードレールの物陰に隠れる時村博士。

北辰の部下A「この小僧は?」
北辰「あやつも捕らえよ。エネルゴンを感じる金色の力…
 …プライマスに力を与えられし者……汝は我が結社のラボにて
 栄光ある研究の礎になるがよい…」
キッカー「ゴチャゴチャ言ってんじゃねえ!
 行くぜ相棒!!」
ロードバスターの声「了解! トランスフォーム!!」

ロボット形態へと変形する4WD。
彼こそは少年キッカーのパートナーを務める
サイバトロンの若き戦士ロードバスターである。
そしてキッカーも腕時計のスイッチを入れ、
瞬時にして戦闘用スーツを身に纏う。

時村「あの車はトランスフォーマーだったのか…!」

ロードバスター「貴様らジュピトリアンだな!?」
北辰「いかにも。我々は火星の後継者の影……
 …人にして人の道をはずれたる外道。全ては新たなる秩序のため」

290 名前:時空編始動:05/01/15 00:50

時村「うわああっ!!」
キッカー&ロードバスター「――!!」

突然背後からした時村博士の悲鳴に驚き、
振り返るキッカーとロードバスター。
いつの間にか背後へと回っていた北辰の配下が、
時村博士を拘束している。

キッカー「しまった!!」
ロードバスター「いつの間に!?」
北辰の部下B「小僧、そしてそちらのトランスフォーマーも武器を捨てろ。
 さもなくば………」
時村「いかん! 私に構うな!」
北辰の部下B「言うか――!!」

時村博士の首をぐいっと締め上げる北辰の配下。
激しく苦しそうな表情を見せる時村博士。
これではいかにトランスフォーマーでも手も足も出ない。

時村「ぐっ…ううう…」
キッカー「や、やめろー!!」
北辰「さあ、どうする小僧?」
ロードバスター「くそっ、汚いぞ!!」

???「ハッハッハッハッハッ!!!」

北辰「何!?」
キッカー「――誰だ!?」

月臣「新たなる秩序、笑止なり!」

時村博士を…さらには事のついでに、たまたま一緒にいたキッカーをも拉致し、
火星極冠遺跡へと連行しようとする北辰たち。
だが、その野望を阻止すべく現れた男がいた。
先の大戦中は木連の将校として、親友白鳥九十九と共に戦い、
さらに草壁の命令でその白鳥を暗殺した後、失踪していた男、月臣元一朗である。

月臣「確かに破壊と混沌の果てにこそ、新たなる秩序は生まれる。
 それゆえに生みの苦しみを味わうは必然」
キッカー「………」
ロードバスター「………」
月臣「……しかし、クラックス・ドゥガチに邪気に満ちた私怨はあれど、徳なし!」
北辰「久しぶりだな、月臣元一朗。
 木星を地球連邦に売った裏切り者がよく言う……」
月臣「そうだ。友を裏切り、木星を裏切り、
 そして今はネルガルの犬!!」

月臣の合図と共に、一斉に待機していたネルガルのシークレット・サービスが
姿を現し、銃を向け北辰たちを取り囲む。

北辰の部下B「ぐっ……!」

いきなりマンホールの下から現れたゴート・ホーリーが
北辰配下を殴り倒して時村博士を救出する。

ゴート「怪我はないか?」
時村「…え? あ、いや…その…ありがとう。大丈夫だ」
月臣「義により助太刀するぞ、少年」
キッカー「あ、ああ…」
ロードバスター「おいキッカー、こりゃどうなってるんだ!?」
キッカー「なんかよくわかんねえけど、とりあえず形勢逆転みたいだな…」

北辰の部下A「隊長!」
北辰「慌てるな」
月臣「大人しく投降せよ」
北辰「しない場合は?」
月臣「地獄へ行く」
北辰「そうかな?」

291 名前:時空編始動:05/01/15 00:52

北辰「――烈風!!」
北辰の部下C「おう!! ちえぇぇぇ――ッ!!」

北辰の合図と共に、フォーメーションを組んだ北辰衆が、
短刀を片手に次々と月臣に襲い掛かるが、
月臣は敵を上回る素早い動きでそれを制する。

月臣「木連式抜刀術は暗殺剣にあらず」
北辰の部下C・D・E「――うわっ!!」

倒れる北辰衆。

ロードバスター「な、何が起こったんだ!?
 素早すぎて何も見えなかったぞ!」
ゴート「あれこそ木連式柔…」
キッカー「木連式柔…?」
月臣「邪なりし剣、我が柔には勝てぬ!
 北辰、投降しろ!!」

北辰「――跳躍!!」

月臣「何!?」
ゴート「ボソンジャンプ!?」
キッカー「まぶしいっ…何も見えねえ!!」

北辰「ハハハハハハ! 月臣元一朗、また会おう!!」

北辰は残って部下を引き連れ、瞬時にその場から撤退した。
路面に倒れていた残りの北辰衆は、皆舌を噛み切って自決していたのは
言うまでもない。

ゴート「A班は警戒態勢、残りは散開しつつ撤収!」
シークレットサービス一同「ハッ!」
ロードバスター「おいキッカー…」
キッカー「俺も初めて見るけど、あれが単独のボソンジャンプか……」
時村「しかしジュピトリアンがなぜ私を……。
 もしや木星軍が占領している火星極冠遺跡と関係があるのだろうか…?
 だとしたら時空クレバスの研究に当たっている他の研究者たちも危ない」
月臣「それなら心配ない。極東基地の警備は万全だ」
ゴート「それよりも時村博士、そろそろ東京へ急いだほうがいい。
 ホテルにてお嬢さんがお待ちかねだ」


○時空クレバス実用化による、惑星間、多次元間の自由往来や
 時間旅行の計画が進む。
○時村博士→娘サラの待つ東京都内のホテルへと向かう。
●北辰→時村博士を拉致に現れるが、ネルガルの放った月臣らの妨害で失敗する。

【今回の新規登場】
○時村博士(超新星フラッシュマン)
 タイムマシンの研究者で、フラッシュマンの協力者・
 イエローフラッシュ=サラの実父
○キッカー(トランスフォーマー・スーパーリンク)
 幼少期にトランスフォーマーの祖プライマスと出会い、
 エネルゴンの存在や危険を察知する潜在能力を授けられた少年
○ジョーンズ博士(トランスフォーマー・スーパーリンク)
 キッカーの父・MIT(マサチューセツ工科大学)物理工学教授・
 サイバトロンの協力者
○ロードバスター(トランスフォーマー・スーパーリンク)
 サイバトロンの若き戦士・キッカーのパートナー・4WDに変形
○月臣元一朗(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
 元木連将校・ネルガル重工シークレットサービスの一員
○ゴート・ホーリー(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
 旧ナデシコクルー・ネルガル重工シークレットサービスの一員

292 名前:時空編始動:05/01/15 10:58

***東京都内の某ホテル***

サラ「お父さん……」
時村「サラ……」
節子「あなた、サラです。私たちの大切な娘ですよ」
サラ「お父さん!!」
時村「サラ! よく…よく帰ってきてくれたね!!」
みどり「サラお姉ちゃん!!」
かおり「サラお姉ちゃん!!」

皆で抱き合い、感動の再会を喜び合う時村一家。

節子「正直、もう2度と会えないのではと思っていたけれど…
 サラはこうして戻ってきたくれた。今度はゆっくりできるんでしょ?
 ジン君たちも連れて、みんなで一緒にウチにいらっしゃい」
サラ「いえ、お母さんの気持ちは嬉しいけど、そうはいきません。
 改造実験帝国メスが復活した今、その野望は私たちが阻止しなければなりません」
節子「そんな……」
時村「また、戦いに行くのかい…?」
サラ「はい。でも安心して、お父さん、お母さん、
 それにみどりちゃんにかおりちゃんも。必ず地球に
 また平和を取り戻して帰ってきます。だからそれまで……」
時村「わかった。でもこれだけは覚えておいてくれ。
 私たちはいつでも我が家でお前の帰りを待っているよ」
サラ「ありがとう、お父さん…」


***同ホテル・1階ロビー***

ジン「それでは…?」
富樫「ああ、当時の日本国内の行方不明者リスト、及び当局に提出されている
 それらしい幼児の捜索願、さらには役所に登録されてある戸籍まで調べ尽くしたが、
 残念ながら尽く該当者なしだ」
ルー「そんな…」
富樫「念の為、中国政府や韓国政府、それにアメリカにも
 当時失踪して今も行方不明の該当する東洋系の子供はいないか
 問い合わせたが、こちらも該当者なし…。時村博士の話じゃ、
 エイリアンハンターって奴は、さらった子供の肉親の記憶まで
 きれいに消し去って証拠を隠滅するそうだからな。チッ…
 どっかの国の工作員よりも仕事に手が込んでやがる」
ダイ「くそっ、カウラーの奴め!」
ブン「もしかして、俺たちもう父さん母さんは見つからないのかな…」
ダイ「馬鹿なこと言うな!!」
富樫「まあ落ち着け。それよりお前たち、これからどうする?」
ジン「俺たちは改造実験帝国メス…そしてグランショッカーと戦います。
 それが俺たち5人に課せられた使命ですから!」
富樫「そうか…。まあ気を落とすな。政府の方でも
 引き続き調査は進めてみる」
飛燕「一応、あなたたち4人のDNAを採取させてください。
 もし肉親らしき人が見つかった場合、鑑定の際に必要ですので」
ジン「わかりました。お手数をおかけして、いろいろとありがとうございました。
 時村博士の方はよろしくお願いします」
富樫「安心しろ。警護の方は万全だ。
 決してジュピトリアンなんぞに手出しはさせねえ!」

NR@小野田英一「復活した改造実験帝国メスとの新たな戦いの
 決意に燃えるフラッシュマン。しかし彼らの宿敵である
 悪魔の大博士リー・ケフレンは、この時すでに
 改造実験基地ラボーと共にこの時代の地球を離れ、
 別の世界へと魔手を伸ばそうとしていたのである」

293 名前:時空編始動:05/01/15 11:00

***ゼーレの座***

ゼーレ議長キール・ローレンツ、地球教団総書記代理ド・ヴィリエ大主教以下、
俗に「影の地球連邦政府」と呼ばれる暗黒政府の重鎮たちが一堂に会する中、
一人の少年が話している。

カヲル「人は無から何も作れない。人は何かにすがらなければ何も出来ない。
 人は神ではありませんからね」
キール「だが、神に等しき力を手に入れようとしている男達がいる」
ド・ヴィリエ「小癪にも我らの他に、時と次元の狭間の穴を通り抜け、
 パンドラの箱を開けようとしている者達がおる…」
カヲル「………(それはジュピトリアンのパプティマス・シロッコ…
 …それに、グランショッカーの四天の頭脳)」
ゼーレ委員A「そこにある希望が現れる前に箱を閉じようとしている男もいる」
カヲル「希望? あれがリリンの希望ですか?」
ゼーレ委員A「希望の形は人の数ほど存在する…」
ゼーレ委員B「希望は人の心の中にしか存在しないからだ」
キール「だが、我らの希望は具象化されている…」
ゼーレ委員B「それは偽りの継承者である黒き月よりの我らの人類…その始祖たるリリス」
ゼーレ委員A「そして、正当な継承者たる失われた白き月よりの使徒…その始祖たるアダム」
ゼーレ委員B「そのサルベージされた魂は君の中にしかない」
キール「だが…再生されたアダムの肉体はすでに遠い時空の彼方にある。
 だからこそ、お前に託す…我らの願いを。偽りの継承者…青き血の民…
 機械仕掛けの神とその奏者が調律の音色を奏でる前に…」
ド・ヴィリエ「全ては人類補完計画…いや、『多元世界補完計画』を遂行するためにな」
キール「あまねく世界とそこに生きる者達を一つにし……死と新生の輪廻から逃れ、
 新たな未来を手にするために……」
カヲル「わかっていますよ。そのために僕は今、ここにいるわけですから。
 …(全てはリリンの流のままに…。あなた達の思惑とは別にね)」

そこに、いつしか中世風の出で立ちをした一人の男がいる。
人間のように見えるが、その気配は明らかに人間ではない。

ソコム「………」
カヲル「……彼は?」
ド・ヴィリエ「時を越えて現れた神の御使いだ。いずれ何かの役に立つだろう。
 連れて行け」

話を終え、ソコムを連れて廊下へと出る渚カヲル。
そこに音もなく現れた不思議な少女、美嶋玲香=イシュトリ。
そしてもう一人、以前スマートブレインにキラとアスランが捕われた時、
彼らの夢の中に現れ、アークオルフェノクの呪縛から照夫を救った
異形の赤ん坊――ミュータントベビーの幻(まぼろし)。

玲香「………」
カヲル「やあ…僕を止めに来たのかい?
 イシュトリ……それにライダーベビーも……」
ミュータントベビー「………」
カヲル「君達の音色を妨げるつもりはない…彼もそれを望んでいないからね」
玲香「…あなたは何を選ぶの?」
カヲル「それは…君達のオリンと僕達のオリン次第さ」
ミュータントベビー「でも、あなた達の願いをかなえる『槍』は…」
カヲル「あれは必要ない。神の心の臓を刺す槍は要らないんだ。
 無論…君達の神にもね。だから…神に捧げられし者を止めることは出来ない。
 そして…君も僕を止めることは出来ないのさ」
玲香「………」
カヲル「そう…。あまねく世界が進む道を決めるのは、
 僕じゃないんだよ、イシュトリ…。さあ、行くよ。
 アダムの分身…そして、リリンのしもべ」

294 名前:時空編始動:05/01/15 11:02

○時村一家とサラ→感動の再会を果たす。
●影の地球連邦政府→真の目的は多元世界補完計画。
◎渚カヲル→ゼーレの特命を受けて、時空クレバス現象と
 多元世界補完計画に関連し、いよいよ動き出す模様。

【今回の新規登場】
○時村節子(超新星フラッシュマン)
 時村博士の妻・サラの実母
○時村みどり(超新星フラッシュマン)
 時村博士の長女(サラを長女とした場合は次女)
○時村かおり(超新星フラッシュマン)
 時村博士の次女(サラを長女とした場合は三女)
◎渚カヲル(新世紀エヴァンゲリオン)
 フィフスチルドレン・その正体は17番目で最後の使徒「タブリス」
●ソコム(スクラップド・プリンセス)
 ダストンヴィン大陸を中心とする〈封棄世界〉の創造主・マウゼルから、
 世界の維持と管理を任された四柱の絶対者=秩序守護者ピースメーカーの一人。

(時空編始動シナリオ終了・次シナリオに続く)

295 名前:名無し客:05/01/15 11:12

<訂正>
>>293
下から8行目・ミュータントベビーの台詞

×
ミュータントベビー「でも、あなた達の願いをかなえる『槍』は…」


ミュータントベビー「デモ、アナタ達ノ願いヲカナエル『槍』ハ…」

296 名前:時空編(文明崩壊後、未来の地球):05/01/17 22:25


―――惑星ゾラといわれている地球。

 しかし人々はゾラと云う名を忘れて久しい…。―――


大総統キング・ブラッドレイの失踪により、
政権が軍部から議会へと移行しつつあるアメストリス国。そんな中、
自然が創り出す美しい光景の下で、一人の旅の少年がぽつりと街道で呟く。
夕陽は今まさに沈もうとしているところであり、
その美しい夕焼けに少年は目を細める。

エド「ああ、日が暮れる…いつになったら町に着くんだ〜〜〜っ!!」

いまいましそうに夕陽を睨みながら、少年――エドワード・エルリックは叫んだ。
その叫びを聞いて、少し先を歩いていた鎧の人物、アルフォンスが振り返る。

アル「今夜はもう野宿するしかないねえ。あそこに見える岩陰で休もうよ」
エド「疲れた…」
アル「丸一日、荒れ地を歩き続けたからね。仕方ないよ。
 ほら、あそこまで頑張って歩いて」

アルフォンスは、立ち尽くす兄を促した。
しかしエドワードは歩き出したものの、いかにもその足取りは重い。

エド「うう、足に力が入らない…」

足を引きずるようにして歩くエドワードは、三つ編みにした長い金髪と、
その髪に負けないくらいに輝く、黄金色の瞳を持った少年である。
強い眼差しとよく変わる表情には、その年頃特有の明るさが見えるが、
機械鎧(オートメイル)の右腕と左足はその年齢に不似合いな
厳しい人生を送ってきたことを物語っている。
そして、エドワードと一緒に行動している弟アルフォンスもまた、
同じようにつらい過去を背負って生きていた。
本来なら兄とそれほど変わらない身長を持つはずのアルフォンスだが、
今は見上げるほどの鎧を纏う異形の出で立ちとなり、その中身は空洞である。
アルフォンスの魂は鎧の内側にある血印が繋ぎ止めているにすぎない。

アル「さ、兄さん、岩陰に着いたよ。今日はここで休もう」
エド「くそ〜、それもこれも大佐のせいだ…!
 なんで、オレたちがどこの馬の骨とも知れないような
 お姫様の護衛なんかに行かなくちゃいけないんだよ」
アル「まあまあ。大佐たちは色々と忙しいんだし、
 ボクたちは普段ずいぶん勝手にさせてもらってるんだから、
 たまには協力してもいいじゃない」
エド「…協力? あれは脅しっていうんだよ!」

297 名前:時空編(文明崩壊後、未来の地球):05/01/17 22:26

…事の起こりは数日前。旅の途中で立ち寄った、
とある町の銀行での出来事である。

エド「すいません、口座からお金を下ろしてほしいんだけど!」

手続きを申し出、身分の証明として、国家錬金術師の銀時計を銀行の受付に提出する。
だが数分後、受付の女はニッコリと、だがきっぱりとこう言った。

銀行員「エドワード・エルリック様の口座はワケあって閉めさせて頂いております」
エド「…は?」
銀行員「お引き取りくださいませ」
エド「待て待て待てっ! まだ研究費は十分残ってるはずだ!」
銀行員「当方では確認できませんので…」

当然ながら不審に思い、銀行を出たエドワードはすぐに軍の会計に電話をかけ、
銀行のお金が下ろせなかった件について、怒鳴り散らそうとした。
しかし交換手は何の説明もなく、電話を別の場所に繋げてしまったのである。

エド「あ、あれ? おい、もしもーしっ! …ったく、なんなんだよ。
 どこに繋ぐってんだ?…あ」
マスタングの声「やあ、久しぶりだな」
エド「…もしかして、大佐?」

電話の相手はロイ・マスタングであった。
マスタングは、東方司令部で司令官として任務に就いている軍人である。
漆黒の髪と黒い瞳を持つマスタングは、若くして大佐の地位を手にし、
更に国家錬金術師の肩書も持つ男だ。軍部内の評判としては、
女たらしだの、仕事をよくさぼるなどと言われているが、
いざというときになれば冷静で的確な判断を下すので、部下からの信頼は厚い。
さらにエドワードから言わせれば、マスタングは常に上を狙う野心家でもあり、
それを達成できそうなほどの切れ者でもあった。

エド「なんで大佐に電話が繋がるんだ? オレは金のことで軍の会計課に
 用があったんだけど。繋ぎ直してくれない?」
マスタングの声「君から電話が来たら、私に繋ぐように頼んでおいたんだ。
 実は頼みたいことがあってね」
エド「ヤダね」

エドワードは話も聞かず即答したが、マスタングはマスタングで、
そんな反応は見越していたのか、勝手に話を進めだす。

マスタングの声「君たちは今どこにいる?」
エド「イーストシティから北上したあたりだけど…」
マスタングの声「いい位置だ」
エド「なんだよ…?」

298 名前:時空編(文明崩壊後、未来の地球):05/01/17 22:28

マスタングの声「我が国から海を隔てて遠く離れた大陸に、
 ラインヴァン王国と呼ばれる国家が発見されたのは知っているな?」
エド「ああ、新聞で読んだ。なんでも今の今まで音信不通で
 存在すら確認できなかったのに、つい最近になって、まるで結界でも崩れたように
 急に連絡が取れるようになった、文明レベルの全く違う大陸が幾つかある…って」
マスタングの声「今度、その国とめでたく修好条約が結ばれることになった。
 面倒な手続きは既に両国の事務レベルで済ませてあるが、正式な条約調印のために
 その国の王女殿下が我が国を訪問される」
エド「それで?」
マスタングの声「実は私がその王女殿下を護衛しなければいけないんだが、
 どうにも忙しくてな。代わりに行ってきてくれないか?」
エド「それをオレにやれってか? 大佐にしては、珍しいじゃないか。
 そんな仕事なんか真面目にやらなそうなのに」
マスタングの声「私はやらないぞ。めんどくさいから人に任せることにした。
 だが、近隣の町や村なら適当に報告書を書かせることができるが、
 国賓が相手ではそうもいかないだろう。今君たちがいる北部近くはさすがに遠い。
 というわけで、一ヶ月前ほど、君たちが北方まで行くと言ってたのを
 思いだしてな。だったらついでに頼もうかと――」
エド「い・や・だ。公式命令じゃないんだろ?
 お断り。とにかく会計課に回してくれよ。大体さあ、銀行、
 もとい会計課のヤツが、ちゃんと研究費の管理をしてくれてれば、
 大佐と電話するハメにもならなかったんだよ。
 つまり本来ならオレとの電話はありえなかったわけだから、諦めてくれ」
マスタングの声「それはな。私が頼んだんだ」
エド「は?」
マスタングの声「あちこちを旅している君にこちらから連絡は取れないだろう。
 だから、君から連絡してもらうようにしただけだ。
 口座が止まれば不審に思って軍に電話をよこすと思ってな」
エド「……!」

はじめは驚いて聞いていたエドワードだが、その手には徐々に力がこもり、
受話器がミシリと音を立てる。

エド「ふっざけんな!」
マスタングの声「いやなら別に構わんが、会計課には知人がいてね。
 このまま君たちのお金を下ろせないよう頼むことができるんだ。人徳だな」
エド「行けって言ってるようなもんじゃねえか!?」
マスタングの声「まあ、これも軍人としての勤めじゃないか。君も軍人だ。
 たまには世のため人のために働きたまえ」
エド「人のために働くのはともかく、大佐のために働くのはごめんだ!」
マスタングの声「………」

マスタングは黙る。それは困ったなぁ、という沈黙ではなく、
エドワードに対する「断るとお金が下ろせなくなるぞ!」という
痛烈な脅しだった。

マスタングの声「まあ、わざわざ遠い未知なる大陸からいらした
 美しい姫君を適当におもてなししながら、無事にセントラルまで
 お連れしてくれたまえ。ではよろしく頼む」
エド「あ、おい、ちょっと! なにがよろしく頼むだ! ふざけんなーっ!」

エドワードは受話器を壊さんばかりに怒鳴ったが、
そのときに電話はとうに切れていた。

299 名前:時空編(文明崩壊後、未来の地球):05/01/17 22:29

 ――あれから、二日。


エド「大佐め…。職務怠慢すぎるぜ…」

エドワードは、幾重にも重なる丘の上で何度となく
繰り返した恨み言を呟いた。

アル「ボクたちも次の行き先を決めてなかったんだし、ちょうどいいじゃない。
 たまにはセントラルまでゆっくり旅をしようよ。
 いつもどこへ行ってものんびりする余裕もないからね」

今、エドワードとアルフォンスが歩いている場所は列車も通らない、
岩と砂利と砂だらけの荒野である。
大きな動乱が終わり、新しい町が次々と出来る国内だが、混乱はまだ続いている。
人の流れが激しい世の中では、不便な場所はどんどんと廃てられていくのだ。

一方、その頃……

***イーストシティ・軍東方司令部***

電話の応対に出ているフュリー曹長。

フュリー「……ですからご老人。そのようなはっきりしない情報で
 軍隊を動かすわけにはいかないのですよ」
電話の声「うだうだ言ってねえで出動させるだ!!
 とんでもねえ怪物がこの村を襲おうとしてるだよ!!」
フュリー「いやあの怪物とか言われましても…」
電話の声「悠長にしてる暇はねえだよ!!」
フュリー「わかりました…わかりましたって…(汗)
 …その件はこちらで調査いたします。では」

フュリー曹長が村人から電話で相談を受けた事について、
廊下でその報告を受けるマスタング大佐。

マスタング「おかしな電話だと?」
リザ「なんでもボードワン村住民からの通報で、
 夜な夜な怪物が村の近くで暴れまわっているとか…。
 例の辺境地域で多発している連続失踪事件と
 関係があるのでしょうか…」
マスタング「ふむ……確かに巷では怪物の仕業だという
 噂が流れているらしいが……」
ハボック「フュリー曹長の話だと、電話はかなり
 切迫した様子だったとか。どうします?」
マスタング「そんな訳のわからん電話一本や二本で
 軍を動かす訳にもいかんだろう」
ハボック「んじゃ放っときますか」
マスタング「ハボック少尉、お前に二日ほど休暇をやろう」
ハボック「は?」
マスタング「確か、お前の田舎はあの辺だったな。
 里帰りのついでにボードワンによって調べてくるといい」
ハボック「ちょっ…二日じゃ俺の田舎まで行って帰ってくることしか
 できませんよ! ましてや調査する暇なんて!」
マスタング「何を言っている。さっきも言ったように
 怪しい電話の一本や二本で軍を動かしたとあっては
 私の能力が疑われるだろう?」
ハボック「……( ゚д゚)ポカーン」
マスタング「ここは仕事熱心で優秀な少尉が、
 休暇中にふと思い立って自主的に調査してくれると
 とても嬉しいのだがね。ハハハハハ」
リザ「頑張ってね」

ハボック少尉の肩をぽんと叩くリザ・ホークアイ中尉。

ハボック「………」il||l_| ̄|○il||l

300 名前:時空編(文明崩壊後、未来の地球):05/01/17 22:30

アメストリスのある大陸に向かう、とある一つの船…。
かなり大きく、船体のあちこちに豪華な装飾が施されてはいるが、
蒸気船ではなく(アメストリス国周辺では)今時珍しい帆船である。
その甲板の上に、仰向けに寝転んだまま、少女はぼんやりと
その碧眼で空を見上げていた。
年頃は10代半ば。典雅な顔立ちではあるが、
弱弱しい雰囲気はない。

パシフィカ「……うう……」

少女の名はパシフィカ・カスールという。
第五壱壱壱回の「聖グレンデルの託宣」において
“16歳になった時に世界を滅ぼす猛毒”と預言され、
「廃棄王女」などと呼ばれた時期もあったが、
それも今は昔の話…。

パシフィカ「にょおおー……」

舳先から艫へ。船縁に沿って十数度の往復をしながら、
パシフィカは飽きずに海を眺め続けていた。
何が面白いのか、遥かな水平線に視線を飛ばしてはため息をつき、
船体と海面が擦れ合っては生み出す細かな波濤を眺めては、
感心したように頷く。

シャノン「……檻の中の獣か、お前は?」
パシフィカ「あ、干物が何かしゃべってる」
シャノン「うるせー…」

長身痩躯。長く伸ばした黒髪をうなじの辺りで
適当にくくった髪型。きりっと整った顔立ちをしているのだが、
どことなく面倒くさそうに緩んだ表情のせいか、
中途半端に老成したような雰囲気の青年――シャノンは、
振り返ってくる妹――パシフィカに眠たげな声で返事をした。

パシフィカ「だってさ、なんかこう不思議じゃない?
 どこまで行っても海なんだもん」
シャノン「海ってのはそういうもんだろが…」
レオ「そうですよパシフィカさん。我々はこれから
 得体の知れない未知なる国へと乗り込むんですから、
 くれぐれも相手に侮られないよう、王族としての態度を――」
パシフィカ「何よレオ。大体なんでアンタまで
 ついてくる訳?」
レオ「…そ、そんなぁ〜。僕はフォルシス陛下から直々に
 パシフィカさんをお側近くでお守りするように言い付かってきたのにぃ〜…」

密かに恋するパシフィカのためにと
意気込んで使節団に加わったものの、当のパシフィカからは冷たくされ
思わず涙目になるレオポルド。

ラクウェル「そろそろ目的地の港に着く時間よ。支度をしたほうがいいわ」
パシフィカ「あ、ラクウェル姉ぇ」

ラクウェル・カスール。
シャノンの双子の姉である。
目鼻立ちの整った、かなり美しい娘であることは間違いないが、
成熟した女性の優美さと、童女のような可憐さが
同居したような女性である。

パシフィカ「…え〜っ! じゃあ、またあの動き難いドレスを
 着なくちゃなんないの〜?」
ラクウェル「仕方ないわ。船を降りたら、どうしても目立っちゃうもの。
 あなたは国を代表しての使節なんだし…」
パシフィカ「面倒くさ…」
レオ「パシフィカさん!!」
パシフィカ「あ〜わかったわかった。わかりましたよ。
 着ればいいんでしょ着れば」

一方で、同じ船の別の甲板の上から、
徐々に近づきつつある未知の大陸を静に見つめている、
髪は蒼、瞳は紫、外見は10歳くらいの少女がいる…。

ゼフィリス「嫌な予感がする……何事も…なければよいが……」

301 名前:時空編(文明崩壊後、未来の地球):05/01/17 22:33

○遥か未来の地球でも、<封棄世界>の封印が解かれ、
 未知なる大陸にある異文明同士のファーストコンタクトなど、
 いろいろと異変が起こっている様子。
○エルリック兄弟→マスタングの要請により、
 ラインヴァン王国の王女なる人物=パシフィカ一行を迎えに行く。
○ハボック少尉→マスタングから臨時休暇を与えられ、
 ボードワン村へ調査に赴く。
○パシフィカ→ラインヴァン王国特使として、
 ダストンヴィン大陸からの遥々長い航海を経て、
 アメストリスのある大陸にまもなく到着。

※アメストリス国は四方を陸に囲まれ、海に隣接しておらず、
 且つ南のアエルゴ、西のクレタとは国境付近で小競り合いが続いているため、
 パシフィカ一行は、アメストリスと不可侵条約を結んでいる
 北の大国ドラグマとの国境である北の天険・ブリッグズ山を経由する
 ルートにて入国する。

【今回の新規登場】
○エドワード・エルリック少佐待遇(鋼の錬金術師)
 史上最年少で国家錬金術師の称号を得た天才・アルフォンスの兄・
 ふたつ名である「鋼の錬金術師」は、彼の右手と左足が
 鋼の義肢「機械鎧(オートメイル)」であることに由来している。
 元の身体を取り戻すため、兄弟で「賢者の石」を求めて旅を続けている。
○アルフォンス・エルリック(鋼の錬金術師)
 エドワードの弟で最良の理解者・屈強な鎧姿の少年
○ロイ・マスタング大佐(鋼の錬金術師)
 アメストリス国軍の軍人・「焔の錬金術師」のふたつ名を持つ国家錬金術師
○リザ・ホークアイ中尉(鋼の錬金術師)
 マスタングの側近・銃火器類の扱いを得意とする。
○ジャン・ハボック少尉(鋼の錬金術師)
 マスタングの部下・のらりくらりとした性格ではあるが、
 部下からの信頼はとても厚い人物。くわえ煙草がトレードマーク。
○ケイン・フュリー曹長(鋼の錬金術師)
 マスタングの部下・無線機器の扱いを得意とする。
 素直でお人好しな性格のため、基地内の修理を頼まれることも多い。
○パシフィカ・カスール/ラインヴァン(スクラップド・プリンセス)
 ラインヴァン王国現国王フォルシスの実の妹・
 シャノンとラクウェルの義理の妹・かって<聖グレンデルの托宣>が
 ラインヴァン王国にもたらした不吉な預言により、秘密裏に抹殺され、
 存在自体が王室の禁忌として封印された<廃棄王女>・
 <律法を破る者>=プロヴィデンス・ブレイカー
○シャノン・カスール(スクラップド・プリンセス)
 パシフィカの義兄・ラクウェルの双子の弟・
 「若年性老人症」とまで言われるくらいの面倒臭がり屋・
 剣の名手・<竜機神>=ドラグーンの御者<竜騎士>Dナイト
○ラクウェル・カスール(スクラップド・プリンセス)
 パシフィカの義姉・シャノンの双子の姉・
 日なたで寝こけるネコのように、見る者を幸せな気持ちにさせる笑顔の持ち主。
 魔導士としての高い能力を身につけている。
○レオポルド・スコルプス(スクラップド・プリンセス)
 名門であるスコルプス男爵家の長男
○アーフィ・ゼフィリス=ARIFFI・M4〈ドラグーン〉シリアル26〈ゼフィリス〉(スクラップド・プリンセス)
 シャノンを主とする<竜機神>=ドラグーン

302 名前:時空編(現代):05/01/21 22:05

――現代に戻る。

***グランショッカー本部・時空魔法陣エリア***

ゴズマ軍近衛兵団総司令である女王アハメスは、
GVMN・ラボが勝手に時空魔法陣を起動させたとの報告を受け、
直ちに関係者を詰問すべく現場へと現れた。

アハメス「Dr.ヒネラー! これはどういうことだ!?」
ヒネラー「これは女王アハメス殿、何か血相を変えるような
 事態でも起こりましたかな?」
アハメス「ふざけるでない。暗黒科学帝国デスダークからタブー遺伝子を
 一滴残らず根こそぎ押収したのみならず、時空魔法陣まで勝手に
 作動させるとは、一体何の権限あってのことか?」
ヒネラー「我らGVMN・ラボにはグランショッカーの全基地における
 あらゆる設備を優先的に使用する特権が認められている。
 それは貴女とて御存知だろう」
アハメス「私は近衛兵団の総司令官として、ゴズマ軍の全権を
 銀河大星王バズー様に委ねられている! いかにGVMN・ラボと言えども、
 この私の了承なくして勝手な振る舞いは許さぬ!」
ヒネラー「この件は銀河大星王バズー様もご承知なされていること。
 私が開発した時空超越ネジレシステムにより、これからは時空クレバスを
 意のままに統制し、我がグランショッカーの進軍の版図を一気に
 拡大することが可能となった」

内心は腸が煮えくり返りつつも、
表面上は冷静を装い、Dr.ヒネラーの説明を黙って聞いていた
女王アハメスであったが、ふと、大博士リー・ケフレンの姿が
見当たらないことに気づく…。

アハメス「…ん? 大博士リー・ケフレンはどうした?」
ヒネラー「大博士リー・ケフレンは既に時空と次元の壁を越え、
 こことは異なる世界へと旅立った」
アハメス「何? 一体何のために…」
ヒネラー「黄泉還りの謎を解き明かすためだ」
アハメス「黄泉還りの謎だと?」
ヒネラー「オルフェノクの王への生命改造実験で、
 黄泉還りに関わる底知れぬ何かに気づいた大博士リー・ケフレンは、
 銀河大星王バズー様の勅命により、その正体を突き止めるための
 長い旅に出たのだ」
アハメス「教えろ。黄泉還りの正体とはどういうことか?」
ヒネラー「女王アハメスともあろう者がまだ気づかぬのか?
 宇宙各地で発生している黄泉還り現象は、決して偶然の産物などではない。
 何者かの大いなる意思によって人為的に引き起こされているという可能性に…!」
アハメス「――!!(そのような存在があるとは…)」

303 名前:時空編(未来世界):05/01/21 22:07

――再び未来世界。

***ブリッグズ山***

アメストリスのある大陸へと上陸したパシフィカ一行は、
東のシン、北のドラグマでの公的日程を一通り終え、
いよいよ最後の目的地アメストリスに入国した。
国境地帯でアメストリス軍側からの護衛部隊と合流し、
途中、山岳地帯の小さな集落にある教会へと
旅の無事を祈るために立ち寄る(←これも公的行事らしい)。
ラインヴァン王国では、小規模ながらも今だマウゼル教原理主義派の
過激な不穏分子が暗躍し、自国を離れられない実兄フォルシス国王の名代として
初の外遊をする羽目になったパシフィカであったが……
ハードスケジュールをこなし正直へとへとである。

アメストリス軍人「失礼。神父殿がお付きの方にお話があるそうです」
レオ「…え? あ、はい。わかりました」
アメストリス軍人「ではこちらへ」

レオポルドが礼拝堂から連れ出され、
一人きりになるパシフィカ。
お祈りを終えて立ち上がり、後ろの方向へ振り返ると、
なんとそこには…!!

パシフィカ「――!! あなた誰!?」
偽パシフィカ「フフ…私はアナタよ…」

一方、教会の外ではシャノンとラクウェル、ゼフィリスらが待っている。

ラクウェル「遅いわね、パシフィカ…」
シャノン「大方、中であくびでもしながら
 神父の説教でも聴かされてるんだろ」
ラクウェル「それにしても、この大陸に上陸してから驚くことばかりだわ…。
 鉄のレールの上を石炭を燃やして走る列車……山をくりぬいたトンネルという道…
 …遠くの人ともお話が出来る電話という機械……」

アメストリス政府の巧妙な情報統制と操作により、
パシフィカ一行は別の大陸の未知なる国から来たことになっているが、
実は遠く離れた全く別の惑星から来ていたのである。
5千年以上前に地球人類が移住した植民星の一つ『カギロイ』――
――別名『封棄世界』は、一度異種知性体により空間封鎖が敷かれ、
文化と文明が強制的にリセットされた結果、惑星カギロイの世界は
地球の中世に相当する文明レベルでしかなかったのである。

その彼女たちが、なぜこの地を親善大使として訪れたのか、
それは追い追い明らかになる。

ゼフィリス「だが、ブラウニン機関が維持している
 高度な科学力に比べれば、まだ『近代』のレベルだ…。
 さしたる脅威ではない…」
ラクウェル「でもこの世界には『錬金術』と呼ばれるものが
 あるんですって。魔法と違ってどんなものなのか楽しみだわ…」

ラクウェルは天然おっとりとして答える。
そして数分後、教会の中では……

レオ「――まったく!! なんなんだ!!
 神父様は僕に用なんかなかったじゃないか!!」
偽パシフィカ「………」
レオ「あ、パシフィカさん!?」
偽パシフィカ「終わったわ。そろそろ行くわよレオ」

ようやく教会の外へ出るパシフィカ。

シャノン「何やってたんだ!? 遅いぞ」
レオ「すいません」
偽パシフィカ「………」

公用車へと乗り込み、早々に出発する偽パシフィカ。
しかしゼフィリスは、教会の建物の裏口の方から、
いかにも怪しげな棺を抱えた一団が出て行くのを見逃さなかった。

ゼフィリス「……! あれは…?」

304 名前:時空編(未来世界):05/01/21 22:09

***同山岳地帯・裏街道***

アル「もう兄さんったら、ひょっとして道に迷った?」
エド「そんなはずはないんだけど……(汗。
 地図だとこの道で正しいはずだ!!」
アル「きっとお姫様も、もう国境を通り過ぎちゃったよ」

近道をしようと言い出したエドワードであったが、
どうやらすっかり道に迷ってしまったらしい…。
そこへ葬列の一団とすれ違う。

エド「おいアル、妙だと思わないか?」
アル「ごまかさないでよ兄さん!」
エド「そうじゃない。こんな人里離れた山奥に
 普通わざわざ埋葬なんかするか?」
アル「そういえば……行こう兄さん!」

全く人気のない断崖絶壁へと着いた
その葬列の一団は、棺を乱暴に地面に置いた。
ちなみに棺は厳重に錠が取り付けられ、
中からは開けられないようになっている。

ティンプ「フフフ……悪く思うなよ嬢ちゃん。
 嬢ちゃんに恨みはないが、俺の雇い主からの依頼でな。
 どうか迷わず成仏してくれ。ナンマイダブ…それ、やれ!」

男たちが棺を崖から突き落とそうとしたその時…!

エド「待ちなオッサン」
ティンプ「――!!」

棺を抱えた謎の男たちを後からつけて来た
エドワードとアルフォンスが間一髪その場に駆けつけた。

ティンプ「なんだこのチビは?」

          /,  / イ     l  /: : : : : : : : : : : :\  ト
         // l ノ'//     /l  /: : : : : : : : : : : : : : :l  l::ヽ
        // ,/ ./ /     ト,l  /: : : : : : : : : : : : : : : :l  l: :>
        /' ,ィ' / /     / l /: : : : : : : : : : : : ,: : : : :l  l´ `
       l /レ´       /|/ \: :\: : : : ::/ : : : /l l
       l / /   ,,;    / l/    \: : : :i::, :,:, : :/  l l
   _,,,,..-,,レ._/   ,;;;     /  '   ・   \',:|}li|,':/  ・ |ノ
..-'''       ̄''''-,;;;;:   l、       _,....::''::''::'ニ...,,,,___
,/'F-'`'^'-っ---...,,ノ};;; ,;  l `':':':':':':':':´: : : : : :i!: : : : : : : : : :  ̄
'''´    /    `'i'`'''-.....l r......;,;,;,: : : : : : : : : : : : : : : ;,;,;.:.:..-─'
    .::/         l    l´`'''-、  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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だ〜れが豆粒ドチビだああ〜〜っっ!!!!

305 名前:時空編(未来世界):05/01/21 22:10

ティンプ「……いや、誰もそこまで言ってねえが…(汗」
アル「あんまり兄さんを怒らせない方がいいですよ。
 身長のことに触れられると本当に手がつけられなくなるから…」
ティンプ「そ、そうなのか?」
アル「うん」
ティンプ「そんなことよりてめえら何の用だ?
 ここは子供の遊びに来る様なところじゃねえぞ」
エド「その棺の中を確かめさせてもらいたくてね」
ティンプ「やだと言ったら?」
アル「あまり乱暴なことはしたくないけど、腕ずくでも…」
ティンプ「面白れえ…。おい野郎ども、
 ちょいと可愛がってやりな!」

鉄パイプで武装した男たちが突進する。だが、エドワードはコートを脱ぎ、
右手の手袋を外しながら前に出た。走りながら、両手を勢いよく合わせる。
パン! と短い音がし、男たちがその行動に首を傾げる間もなく、
エドワードは己の左手を右手に当てた。
鋭い光が走り、辺りを眩しく照らした。
そして、光が収まったときには、エドワードの右手の甲からは鋭利な刃物が
飛び出していた。エドワードの腕が大きく振られる。

ティンプ「坊主、てめえ錬金術師か!?」

一味の頭らしき男――ティンプが叫び、男たちが振り向く。
その間を、エドワードがすり抜けた。
構えられたティンプの銃口を切り落とし、振り回される鉄パイプを右手首で受け流す。
一瞬、火花が散った。
体勢を崩した相手を突き飛ばし、そのまま拳を後ろに振る。

男A「ぐわっ」

エドワードの裏拳を胸部に受けた男が、息を詰まらせ崩れ落ちる。
その男の向こうから投げられた拳ほどの石を、エドワードは慌てもせず避けると、
岩影に隠れている数人にニヤリと笑ってみせる。

エド「まだやるかい?」
男B「テ、ティンプの旦那!?」
ティンプ「チッ…! ウォーカーマシンも持ってきてねえのに、
 敵が錬金術師じゃ相手が悪いや! 野郎ども、逃げろおおっ!!」

エドワードの身のこなしから強さを感じ取った男たちは、
突然目にした錬金術への驚きもあって戦意を喪失したらしい。
引き際は心得ているらしく、一目散に退散していく。

306 名前:時空編(未来世界):05/01/21 22:12

残された棺をこじ開けるアルフォンス。
中から鮮やかな黄金色をした長い髪の少女が
ぐっすりと眠っていた。
どうやら睡眠薬を嗅がされたらしい。

エド「おい、起きろ! 大丈夫か?」
パシフィカ「……うう……」
アル「あ、よかった。気がついたんだね」

ようやく目を覚ましたパシフィカが見たものは、
自分を見つめる三つ編みにした長い金髪の少年と
全身鎧姿の大男の姿であった。
しばらく茫然と互いの表情を眺めている…。

パシフィカ「えと…あの…あんた達が……助けてくれたの……?」
エド「あんたは危うく棺に閉じ込められたまま、
 この崖から突き落とされるところだったんだぜ」
パシフィカ「…げっ!!」

すぐ崖下の奈落の底を眺め、表情が青ざめるパシフィカ。

パシフィカ「ともかく助けてくれてありがとう。私は、パシフィカ」
アル「あ、ボクはアルフォンス。この人はボクの兄さんでエドワードというんだ」
エド「まあエルリック兄弟っていうと、この国ではちったあ名の知れた
 錬金術師なんだけど」
パシフィカ「れんきんじゅつ?? 何それ?」
エド「はあ?」
パシフィカ「ごめん。わたしこの国にまだ来たばっかだから…」
アル「外国の人かあ…」

ヽ;;;::::::::::::::::::::::::::::::::;、-/ / ./ ヽ ;./   ヽ. ヽヽ ヾ 、  \:::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;/
   \;;;;;:::::::::::::::::;r.ァ゙ /      .∧ ハ     ヽヽ  ヽヽ  ヽ::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;/
.    \;;;;;;;;;;;:::/ / /   i ,  ,l l レ'ハ   、   ',  ヽヽ  ヽ::::;;;;;;;;;;;;;;;;;/
      \;;;;/  ,     l l  i l,ヽl '/ィ! .  l ヽ     ', ヽ.  ';;;;;;;;;;、r '´
        ,'  l     l   l !-'、∠-| i  |  l!  i   !  ',  'r''"
       ,' / !   , l  |! l,  l     |/ /! i. li l  l i |  .|  |
       !.〃 |   | |ト、 |',.|'、 iヽ    |'l ./〃! |リ| || | ! ィ | l  !,_
       l l ! .i,   lリ‐ヽ|''`''ヽl''    ''l./゙/゙゙゙レ゙゙゙レ`|/!レl/.レ l  |::::`'‐.、  ・・・パシフィカ、
       l l l !',  ',ヽィ''T''''''i'‐      ''T´ ̄l`ゝノ/   i l  |::::::::::::::\ 無事か?
       `'.、',.| ヽ  ゙、` ‐`--'‐      ''`''''''"'' ,イ./   ! l   |::::::::::::::::::::\
 .      /:::::'/ lヽ ヽヽ、             ,,.ィ 'フ  ,. / │  l:::::::::::::::::::::::::\
      , '::::::::::/  !. ` ゝ`'ー    `        / ./ /   |   l;:::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     ,.'::::::::::::/  l、 , ヾ`=-    _     -='-‐7  ,.'    |i.  ';;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::ヽ
    ,.':::::::::::;;;'   .i''ヽ ヽ'、ヽ,      ̄      ,ィ  / /    |',   ',`'‐:、;;;;;;;;;::::::::::::::',
   ,.':::::;;;;;;;;;:,'   ,'  \ヽ`=`ー――――――‐/./ /l  l  l ',  ',   `''ー- 、:;;;;」
 /,;、 -‐''´,'   ,' ,.-''" ,ヽヾ'-‐―――――‐/'-イ、``l  l   |.ヽ   '、
 ´     / / i ヽ‐''":::::::``'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙7 ./ l   | ヽ  ヽ

パシフィカ「…ゼフィ!?」
アル「わあっ!?」
エド「誰だ!!」
パシフィカ「待って! こいつは味方よ」

空間を歪曲していきなり現れたゼフィリスに
思わず身構えて警戒するエドワードとアルフォンスを
制するパシフィカ。

パシフィカ「ゼフィリス、よくここが分かったね?」
ゼフィリス「あの教会から出発する時に、裏口の方から妙な一団が
 出て行くのを確認した。それで念の為に追跡していたのだ…」
アル「よかったね。連れの人が見つかって」
パシフィカ「あ、うん」
ゼフィリス「何者かは知らぬが、パシフィカの危機を救ってくれて礼を言う。
 事のついでに恐縮だが、しばらくパシフィカを預かってはもらえぬか?」
エド「なんでだよ?」
ゼフィリス「今、一行には汝と瓜二つの偽者がすり替わっている。
 ここで戻ってはかえって危険だ…」
パシフィカ「それって、敵の目を欺くってこと?」
ゼフィリス「…そうだ。我が主とラクウェルには私から話しておく。
 敵の正体と目的がはっきりするまで、窮屈な思いをさせることになるが……」
パシフィカ「うんうん、全然そんなことないよ。
 かえってその方が気楽でいいかも。ただそれよりも……」

パシフィカとゼフィリスの2人の視線が
自然とエドワードとアルフォンスの方へと向く。

アル「どうする兄さん?」
エド「まあ乗りかかった船だ。いいぜ、引き受けても。
 それでどこまで連れてってやればいいんだ?」
パシフィカ「セントラルってところ」
エド「セントラル!?」
アル「君ってもしかして…?」

307 名前:時空編(未来世界):05/01/21 22:13

***ショウ・タッカーの隠れ家***

ここはかって軍部が秘密裏に人体練成の研究に使っていた
某地下研究所の跡地である。
暗くて誰も立ち入らない地下の奥深くから、
不可思議なキーボードの演奏の音色が流れてくる。

♪♪♪ ♪    ♪♪♪ ♪  ♪♪♪ ♪    ♪♪♪ ♪
   ♪ ♪      ♪ ♪    ♪ ♪      ♪
      ♪♪♪      ♪      ♪
                       ♪♪

ティンプ「タッカー先生よお、今日もその遺伝子ナンタラカンタラ
 とかいう珍しい楽器の調子は絶好調かい?」
タッカー「………」
黒衣の男「戻ったかティンプよ。首尾は問題なかろうな?」
ティンプ「言われた通りにお姫様はちゃんと偽者とすり替えて来たぜ。
 そこのタッカー先生がその不思議な楽器でこしらえた本物そっくりの
 キメラ(合成生物)をな。ただ本物の方は……」
黒衣の男「取り逃がしたのか!?」

大きな漆黒のローブを着込んだその男は、
怒りに身を震わせ、圧倒的な威圧感を解き放つ。
ローブの裾から異様に長い爪を伸ばした、か細い両腕を出し、
頭に深くかぶったフードの奥からは、人形のような仮面をつけていることを
窺い知ることが出来る。

ティンプ「ま…まあ落ち着けって! いきなり現れた錬金術師のガキに
 邪魔されちまってな。そんなに怒るなよ。血圧上がるぜ…」
タッカー「錬金術師…?」
黒衣の男「まあいい。万一本物が名乗り出たとしても、
 乱心者として切り捨てればいいだけのことよ…」
ティンプ「わかってくれてホッとしたぜ。こう見えても旦那には
 感謝してるんだぜ。さすがのドマンジュウも、まさかここまでは
 追って来ねえだろうからな…」
黒衣の男「タッカーよ、遺伝子シンセサイザーで獣戦士を創り出すのだ!」
タッカー「わかりました……」

                 ♪
♪  ♪             ♪ ♪♪
 ♪♪♪ ♪♪        ♪♪    ♪ ♪♪♪ ♪
    ♪    ♪♪♪          ♪   ♪
        ♪ ♪ ♪♪
       ♪      ♪

ザ・ガメレオ「グウウゥゥゥ……」

分厚い甲羅と鋭利な棘に覆われ、
引き裂けた口からは長い舌を伸ばしている
デウス獣戦士ザ・ガメレオの誕生である。

タッカー「デウス獣戦士ザ・ガメレオ、誕生致しました…」
黒衣の男「お前にしては上出来だ。だがあのケフレンのレベルには
 まだまだ及ばんな…」
タッカー「………」
黒衣の男「行け、ザ・ガメレオ!
 私の大いなる目的を妨げる者は全て抹殺するのだ!」

ザ・ガメレオ「グウウオオオオオ!!!!!」

308 名前:時空編(未来世界):05/01/21 22:14

●ケフレン→既にワンダたち配下を引き連れ、
 ヒネラーが完成させた「時空超越ネジレシステム」で
 改造実験基地ラボーごと異世界へ旅立つ。
○パシフィカ→偽者(タッカーが練成したキメラ)とすり替えられ、
 危うく殺されかかるが、エルリック兄弟に救われる。
●タッカー→黒衣の男に遺伝子シンセサイザーを与えられ、
 キメラ練成の研究をしている。

【今回の新規登場】
●ティンプ・シャローン(戦闘メカ ザブングル)
 惑星ゾラの支配者「イノセント」に雇われていた仕掛け人
●ショウ・タッカー(鋼の錬金術師)
 かって『綴命の錬金術師』のふたつ名を持つ国家錬金術師だった男・
 ホムンクルスに雇われていた生体錬成の第一人者・自身の体もキメラ化している。
●黒衣の男(???)
 ティンプやタッカーに指示を下し、暗躍している謎の人物。
 怒ると両腕の指先からビームを発射する。
 遥かな過去から多くの生物を各惑星からさらい、
 大博士に仕立てたり、実験材料にしていたらしい……。
●デウス獣戦士ザ・ガメレオ(超新星フラッシュマン系・半オリジナル)
 タッカーが遺伝子シンセサイザーで練成したキメラ獣戦士。

309 名前:時空編(未来世界):05/01/25 20:59

ラクウェル「――パシフィカが偽者とすりかえられたですって!?」
ゼフィリス「………」

黙って頷くゼフィリス。

シャノン「で、本物のパシフィカは今どこにいるんだ!?」
ゼフィリス「錬金術を操る旅の二人連れに預けた」
シャノン「おいおい、そいつらは信用できるんだろうな…?」
ゼフィリス「私は信用に足る者たちと見た…」

すっかり周辺も日が暮れ、セントラルへ向かう途中の宿で、
ゼフィリスから報告を受けるシャノンとラクウェル。
事の仔細は2ヶ月前まで遡る…。

シャノン「ま、始めからヤな予感はしてたんだがな…」


――2ヶ月前、封棄世界にて。


<秩序守護者>ピースメーカーとの最後の戦いから
早数ヶ月が経過していた。王位継承を済ませたフォルシス王子の誘いを断り、
王宮での暮らしを返上して故郷マヌリーンで暮らしていたパシフィカ、
そしてシャノン、ラクウェルの3人であったが、
ある日突然、王宮からの緊急の呼び出しを受けたのである。

***ラインヴァン王国・王城ザウエル***

クリス「――お久しぶり」
パシフィカ「クリス……?」

クリストファ・バイラッハ。
元王国軍第5特殊部隊<オブスティネート・アロウ>の特務戦技兵であり、
現在は若き国王フォルシスが信頼する側近として、彼自身がその部隊の司令官である。

パシフィカ「いきなり城から使いの人が来て呼び出されたけど、
 フォルシスは一体何の用なの?」
クリス「いや、君たちに用があるのはフォルシス様じゃないんだ」
パシフィカ「…??」

城に着いた早々クリスに案内され、部屋へと通されるパシフィカ。
義妹について来たシャノンとラクウェル、そしてゼフィリスも同席する。
その部屋の中では、見るからに聡明にして気品があり、
金髪の美しい髪の女性が席に座っていた。

ディアナ「お初にお目にかかります。パシフィカ・カスール。
 わたくしは月の女王を務めるディアナ・ソレルと申します」
パシフィカ「…は、はあ」

310 名前:時空編(未来世界):05/01/25 21:00

ディアナ「いきなり訳も分からないことを言われてびっくりされたでしょう。
 封棄世界の外の宇宙については、そちらのゼフィリスさんや
 ブラウニン機関のヒタカ・ハーリントン大尉から伺っているかと思いますが…」
ゼフィリス「………」
パシフィカ「え、ええ…まあ大方のことは…」
クリス「ディアナ様は現在PUの代表も務められているんだ」
パシフィカ「ぴーゆー??」
ディアナ「旧世紀…まだキリスト暦と呼ばれる暦が世界で使われていた時代に、
 全宇宙・次元の王女や令嬢たちによって結成された平和支援組織のことです」
パシフィカ「全宇宙…?? 平和支援組織???」
ディアナ「私たち人類の母なる星である地球において、
 『火の七日間』戦争によって巨大産業文明が崩壊して以降、
 PUの組織も休眠状態にありましたが、それを私が復活させました」
パシフィカ「シャノン兄、わかる?」
シャノン「安心しろ。俺にもさっぱりわからん」
クリス「――コホン!!」

腕を組んだままのシャノンに対し、
咳払いしたクリスは視線で彼の方を見るが、
クリス自身も苦笑して肩を竦めただけだった。

ディアナ「ふふふ…最初は頭が混乱されるのも無理はありません。
 実はパシフィカさん、貴女にお願いがあるのです」
パシフィカ「お願い?」
ディアナ「あなた方の住む封棄世界――惑星カギロイと同様、
 私共人類の母星である地球もまた、長い間外部との接触を絶っていました。
 わたくしはディアナ・カウンターを連れ、月の民の地球帰還を実現すべく、
 地球にあるアメリア大陸の国々と国交を結びました」
パシフィカ「はぁ…それで…?」
ディアナ「その地球に今、不穏な動きがあるのです…」
パシフィカ「――!!」

ディアナの話によれば、アメストリスと呼ばれる地方の大陸から、
錬金術を応用して生み出された合成生物――軍事用キメラの生体練成技術が、
逆に月からもMSなどの軍事技術が、密かに隣国や他の各大陸に大量に流入し始め、
このままでは地球上各国の軍事バランスを大きく変動しかねず、
放置できない状況にまで陥っているらしい。

ディアナ「本来であれば、PU代表たるわたくし自らが
 赴かねばならぬところですが、月を国交を結ぶイングレッサなどの諸国が
 アメストリス周辺の紛争に巻き込まれることを恐れており、
 わたくしは表立って動けません」
ラクウェル「だからって…なぜパシフィカが…?」
クリス「ああ、セーネス・ルル・ギアットが推薦したんだよ、
 パシフィカのことを」
ディアナ「セーネスさまにも既にPUにご参加頂いております」
シャノン「あの獣姫がねぇ…」
ディアナ「もし万一、地球上の紛争が拡大し、
 それが宇宙にまで飛び火したら、わたしたちがこれまで行ってきた
 星と外部宇宙との和解の努力は無に帰すでしょう。
 これを阻止できるのは<律法破壊者>プロヴィデンス・ブレイカーとして
 封棄世界の長き空間封鎖を破った貴女だけなのです」
パシフィカ「………」
ラクウェル「どうするの…パシフィカ?」

心配そうにパシフィカの顔を覗き込むラクウェル。

パシフィカ「あんまり気は進まないけど……ま、考えさせて」

311 名前:時空編(未来世界):05/01/25 21:02

――そして、あれから2ヵ月後の今、地球へと訪れたパシフィカは
何者かの手により偽者とすりかえられ、こうなった以上
何らかの陰謀が進行していることは明らかとなった。

シャノン「…で、結局あの後引き受けちまったんだよなぁ…」
ラクウェル「この事をレオには?」
シャノン「勿論黙っておけ。このまま気づかないフリをしているにしろ、
 アイツはすぐ顔に出る」
ゼリフィス「私はひとまず本物のパシフィカのところへ戻る。
 そちらに何かあったらすぐに呼ぶのだ、我が主よ…」
シャノン「ああ、頼んだぞゼフィ」

ふらりと空間が揺れたかと思うと、
ゼフィリスは姿を消した。

ラクウェル「ディアナさまの話だと、確かセントラルについたら、
 事情を知っていてわたしたちを受け入れてくれる大佐さんがいるのよね?」
シャノン「ああ、だがこうなっちまった以上、未知の国で
 誰が敵で誰が味方だなんてわかったもんじゃないがな…」


一方、その頃……

ラインヴァン王国使節団の宿所から遠く離れた渓谷上空に、
不気味な姿の巨大要塞が人知れず姿を現した。

***改造実験基地ラボー***

ネフェル「ケフレン様、正暦2346年の地球、
 アメストリスと呼ばれる国の上空に到着致しました」
ワンダ「ラボー各部、損傷もなく良好です。
 時空超越実験は成功しました」
ケフレン「よし。直ちにラボー戦闘機を発進させ、
 全てを焼き払った上で、生物の収集を始め………いや、待て…!」
ネフェル「ケフレン様??」

突然何かに気づいたかのように、
静に耳を澄まし始める大博士リー・ケフレン。

ネフェル「いかがなされましたケフレン様」
ケフレン「…聞こえる…この世界のどこかに、
 遺伝子シンセサイザーを弾いている者がいる…!」
ワンダ「―まさかっ!? 遺伝子シンセサイザーはここにある一台のみのはず!
 この時代に他にも同じ物がある筈が!!」
ケフレン「…いや、間違いない。これはまさしく遺伝子シンセサイザーの音色だ。
 ネフェルよ、直ちに音波の発信源を特定し、この時代の地球で
 遺伝子シンセサイザーを弾いている者の正体を掴んでくるのだ!」
ネフェル「畏まりました。お任せください!」

312 名前:時空編(現代):05/01/25 21:03

――現代に戻る。

***グランショッカー本部・神官の間***

ゴズマ軍主要幹部たちの集う神官の間の上部スクリーンに、
従来の星王バズーの姿をした巨大なホログラフィが映る。

ヒネラー「ご覧ください。時空超越ネジレシステムを
 さらに超時空・次元間移動に特化した時空連結ネジレシステムにございます」
アハメス「………(ヒネラーめ、いつの間にそんなものまで…)」

銀河大星王バズーに自分の新たな発明を
自ら説明するDr.ヒネラー。

バズーの声「さすがは邪電王国ネジレジアのDr.ヒネラー。
 誉めて遣わすぞ」
ヒネラー「ハハーッ」
バズーの声「この宇宙全ての星は、この銀河大星王バズーの物だ。
 たとえ時空や次元が異なろうとも、それは例外ではない。
 これからは必要に応じて私自らがこの形にて、作戦遂行の場に姿を現す…」
アハメス「バズー様御自らがお出ましになられるとは…
 恐縮の極みにございます…」
バズーの声「時にアハメスよ、
 全銀河侵攻作戦はだいぶ手間取っておるようだな?
 やはりガミラスのデスラーやアーヴ星界軍の相手は、
 お前たち近衛兵団には荷が重すぎたか?」
アハメス「お詫びの申し上げようもございません。
 しかしながら、現在宇宙連合の内部にて強硬派と穏健派による
 対立が起こっている様子。必ずや近いうちに、銀河の列強の一角を崩し、
 バズー様に献上してご覧に入れます」
バズーの声「いざとなればGVMN・ラボの力も借りるがよい」
アハメス「ハハッ」

消えるバズーのホログラフィ。
後に2人だけ残ったヒネラーとアハメス。

ヒネラー「フフフ…アハメスよ。
 我らGVMN・ラボの力が必要であれば、
 いつでも申し出られよ」
アハメス「ほざくな。貴様ら科学者風情の力など借りぬ。
 征服とは力で行うもの。全銀河攻略は我ら近衛兵団だけで充分だ」
ヒネラー「ほぉー…大した自信だな…。
 それでは女王アハメス殿のお手並み拝見と行こう」

313 名前:時空編:05/01/25 21:05

○パシフィカたちがアメストリスを訪れたのは、
 実は月の女王ディアナ(キエル)からの依頼によるもの。
○ディアナ(キエル)→未来世界でPUを再興し、その代表に就任している。
●ケフレン→ついに未来世界に到着。
●銀河大星王バズー→これからは仮の姿=ホログラフィで必要に応じて姿を現す。

【今回の新規登場】
○クリストファ・アーマライト・バイラッハ(スクラップド・プリンセス)
 ラインヴァン王国軍第5特殊部隊<オブスティネート・アロウ>司令官・
 端正な顔立に似合わず巨大な斧の使い手。
○ディアナ・ソレル=キエル・ハイム(∀ガンダム)
 月の民ムーンレイスの女王だが、実は本物のディアナと瓜二つの容姿を持つ
 キエルが入れ替わっている影武者。

314 名前:時空編/未来世界:05/01/30 22:59

***ボードワン村近く***

あれから二時間近く歩き、列車を乗り継ぎ、
謎の刺客の目を逃れつつセントラルへと向かう
エドワード、アルフォンス、パシフィカの3人。

アル「――じゃあ君が例の別の大陸から
 やって来たお姫様だったなんて」
パシフィカ「じゃああなたたちもこの国の軍隊から
 護衛で来る予定だった人たち? 山ん中で道に迷ってたなんて
 あんたたちってホントに軍人?」
エド「悪かったな!」
アル「そろそろボードワン村だよ、兄さん。
 今日はもう遅いから、ここに泊まろうよ」

ところが、村の入り口へと辿り着いた一行を
待っていたものは、廃墟と化したボードワン村であった!

アル「兄さん、これって…!?」
パシフィカ「ちょっと…どーして誰も居ないの…?
 もしかして村ごと山賊にでも襲われたの!?」
エド「バカッ…んなわけあるかっ。
 どうやら…お客さんだぜ…!」

3人の目の前に現れた、
分厚い甲羅と鋭利な棘に覆われ、
引き裂けた口からは長い舌を伸ばしている怪物。
デウス獣戦士ザ・ガメレオである。

ザ・ガメレオ「グウウゥゥゥ……」

315 名前:時空編/未来世界:05/01/30 23:00

ザ・ガメレオは明らかにこちらを睨んでいた。
只ならぬ殺気を感じたエドワードが両手を勢いよく合わせたのが一瞬早く、
錬金術が発動して巨大な山が隆起し、ザ・ガメレオの鋭い舌の攻撃を遮る!

パシフィカ「――!!」
アル「兄さん!!」
エド「ああ…どうやらコイツの狙いは
 パシフィカらしい!」

さらにエドワードは、ザ・ガメレオに正面から殴りかかるが、
全くダメージを与えられず、逆に機械鎧の親指がぶっ飛んでしまう。

エド「さすがはうちの整備士だ。こんなんなってもまだ動く」
パシフィカ「ちょっとどうすんの!?」
アル「兄さん、危ない!!」
エド「――!!」

ガメレオの伸びた舌が、エドの首に絡まり締め始めた。

エド「――しまった!! ぐわぁ!!」
アル「兄さん!!」
ハボック「エド! アル! 伏せろ!!」
アル「ハボック少尉!?」

突然横から現れたハボックが、ガメレオめがけて狙撃する。
撃たれた方向へと興味を変えたガメレオは、エドを解放しハボックの方を向く。
ガメレオは痛くも痒くもないといった表情をしている。

エド「ゲホゲホゲホ…」
ハボック「大丈夫かエド?」
エド「…少尉、どうしてこんなところにいるんだよ?」
ハボック「話は後だ。それよりもコイツの硬い甲羅に覆われた外皮は
 どんな攻撃も通用しない。どうする!?」
エド「それなら――!!」

エドは一瞬の隙を突いてガメレオに最接近し、
勢いよく両手を当てる。するとどうしたことか、
今まで強固だったガメレオの甲羅が脆くも崩れだした。

ザ・ガメレオ「グウウゥゥゥ!?」
エド「少尉、今だ!」
ハボック「任せろ!」

ハボックが拳銃でガメレオの急所らしき箇所を連射で狙撃。
致命傷を受けたガメレオはその場に倒れ伏し、爆発炎上して散った。

316 名前:時空編/未来世界:05/01/30 23:01

ハボック「やったな。でも一体どうやったんだ?」
エド「その昔グリードと戦った時の事を思い出したのさ。
 あのキメラの甲羅は、炭素を結合の度合いを操って練成してるって事に
 気づいてね。だからこっちも錬金術で変性し直してやった」
アル「で、少尉はどうしてここに?」
ハボック「ああ、それなんだが、実は大佐から指示を受けて
 この村の様子を見に来たんだ。そしたらあの化け物が村を襲っててな。
 僅かに無事だった村人と一緒に地下に隠れてたんだが…」

パシフィカ「………」

さっきからパシフィカがきょとんとした表情でつっ立っている。

ハボック「…ん? そちらのお嬢ちゃんは?」
アル「ああ、彼女は――」

そんな彼らの会話の様子を、さっきから遠くの物陰に隠れ
密かに伺っている女がいた…。
この世界へとやって来た改造実験帝国メスの女幹部レー・ネフェルである。

ネフェル「……違う。あれはこの世界のキメラなどではない。
 間違いなく遺伝子シンセサイザーで生み出されたデウス獣戦士…!
 いったい誰が……」


***ショウ・タッカーの隠れ家***

黒衣の男「愚か者ォォ!!!」
タッカー「ひいぃぃぃぃっっ!!!!」

ザ・ガメレオが敗れたことに激怒した黒衣の男は、
怒りのあまりタッカーに罰を与えていた。

タッカー「……う……うう……」
黒衣の男「なんのために貴様に遺伝子シンセサイザーの造り方を教え、
 獣戦士を製造する方法を指南したと思っている!?
 全ては貴様を、私を改造するに相応しい大博士に
 育て上げるためではないか!!」
タッカー「私が…貴方様を…改造…」
黒衣の男「たわけっ!!」

黒衣の男はタッカーに再度罰を与える。

タッカー「くっ…」
黒衣の男「貴様にまだそんな力はない!
 せっかく我がデウス遺伝子を分け与えて創造した獣戦士も、
 エルリック兄弟とやらに負けてしまったではないか!」
ティンプ「旦那、もうそのくらいにしてやんな…」
黒衣の男「………まあよい。この世界に戦乱を起こし、
 賢者の石とやらを練成すれば、この宇宙は私のものだ!
 そのためにも何としてもパシフィカ・カスールの命を奪え!」

317 名前:時空編/未来世界:05/01/30 23:02

一方、その頃…
外の広野には旧世界からの新たな来訪者が
姿を現していた…。

カヲル「………」
ソコム「ステアもシーズもいない今…
 我だけで<律法破壊者>プロヴィデンス・ブレイカーと、
 その周囲にいる<守護者>ガーディアンに対抗するのは難しい…。
 第一級神罰執行形態の許可を……」
カヲル「今の状況で君たちが彼女たちと対立しても意味はないよ…。
 それに大気圏内での第一級の使用は禁じられているんだろ?
 今までどおり、第二級の神罰執行形態で頼むよ…」
ソコム「……了解した」


○エド→デウス獣戦士ザ・ガメレオを撃破。
○ハボック→ボードワン村でエルリック兄弟、パシフィカと合流。
●渚カヲル、ソコム→未来世界に到着。

318 名前:時空編/未来世界:05/02/01 13:26

***イーストシティ・軍東方司令部***

ボードワン村で合流したハボック少尉と共に、
いったんイーストシティへと立ち寄ったエドワードたちだったが……

エド「いったいどーゆーことだ!? 説明しろ、大佐!!」
マスタング「………」
エド「大体…どうしてお前がここにいるんだ…? ラスト!」
ラスト「あら…久方ぶりの再会なのに随分と御挨拶ね…
 鋼の坊や…」

ダンテによって生み出された色欲のホムンクルス――ラスト。
自分の主であったダンテの本性に気づいて、悪事に嫌気が差し、
最後はエドワードたちに味方してラースと戦い、散っていったはずだったが……

ラスト「あたしは黄泉還って来たのよ…」
アル「よみがえる…??」
マスタング「私も彼女やPUからの接触がなければ
 俄かには信じられないところだ」
アル「ぴーゆー?? 何ですかそれは?」
マスタング「その団体については、後でパシフィカ・カスール嬢に聞くといいだろう。
 尤も…彼女も最近加入したばかりで、詳しいことまでは知らないらしいがな…。
 まずはそこに突っ立ってないで、椅子にでも掛けろ、鋼の」
エド「…ったく。何企んでるか知らねーけど、
 つまんねえ事だったら承知しねーぞ!」

どかっと椅子に腰掛けるエドワード。

エド「…で、どういうことなんだ?」
ラスト「ダンテの遺志を継ぐ者がいる…」
エド「――!! そんなバカな! ダンテは死んだはずじゃ…」
マスタング「近頃、辺境地域で多発している連続失踪事件…
 そして第五研究所に関わる軍事機密の他国への流出…
 最初は推測――数ある可能性のうちの一つという域を出なかったが、
 今回PUからの使節が事件に巻き込まれたことや
 君たちがボードワン村で、今まで見たこともないような
 未確認のキメラに襲われたことで、確信した」
エド「確信したって…何を?」
マスタング「この世界で、賢者の石を再び練成しようと企む者がいる」
エド「――!!」
アル「――!!」

319 名前:時空編/未来世界:05/02/01 13:27

一方、別の部屋では…
東方司令部の軍人たちが興味津津に
パシフィカを見つめていた…。

ブレダ「あれが宇宙人のお姫様か?」
ファルマン「いや…その言い方は正確には正しくありません。
 祖先は同じ地球人ですから…生物学上は同種族のはず」
フュリー「何でも火の七日間で巨大産業文明が崩壊する以前に、
 地球から他の惑星に移住した人たちの子孫なんですよね…」
ハボック「あれなら他の大陸から来たことにしても
 バレやしないだろうな」
ブレダ「まあな…他の星から人が来たなんて公に発表したら
 国中パニックになっちまうって…」
ファルマン「しかし…遠くはなれたアメリア大陸のイングレッサでは
 すでに月の人類との交易が始まっているとか…」
ブレダ「噂だろ…そんなの」

フュリー曹長が恐る恐るパシフィカにお茶を差し出す。

フュリー「…あ、あの…粗茶です」
パシフィカ「ありがと。ああ、それと…」
フュリー「Σ(゚д゚lll)ハ…ハイッ!?」
パシフィカ「さっきからこっちの方じろじろ見てるけど…
 やめてもらえる? あたし見世物じゃないんだし」
フュリー「す、すみません! (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」

ヽ;;;::::::::::::::::::::::::::::::::;、-/ / ./ ヽ ;./   ヽ. ヽヽ ヾ 、  \:::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;/
   \;;;;;:::::::::::::::::;r.ァ゙ /      .∧ ハ     ヽヽ  ヽヽ  ヽ::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;/
.    \;;;;;;;;;;;:::/ / /   i ,  ,l l レ'ハ   、   ',  ヽヽ  ヽ::::;;;;;;;;;;;;;;;;;/
      \;;;;/  ,     l l  i l,ヽl '/ィ! .  l ヽ     ', ヽ.  ';;;;;;;;;;、r '´
        ,'  l     l   l !-'、∠-| i  |  l!  i   !  ',  'r''"
       ,' / !   , l  |! l,  l     |/ /! i. li l  l i |  .|  |
       !.〃 |   | |ト、 |',.|'、 iヽ    |'l ./〃! |リ| || | ! ィ | l  !,_
       l l ! .i,   lリ‐ヽ|''`''ヽl''    ''l./゙/゙゙゙レ゙゙゙レ`|/!レl/.レ l  |::::`'‐.、  ……パシフィカ。
       l l l !',  ',ヽィ''T''''''i'‐      ''T´ ̄l`ゝノ/   i l  |::::::::::::::\
       `'.、',.| ヽ  ゙、` ‐`--'‐      ''`''''''"'' ,イ./   ! l   |::::::::::::::::::::\
 .      /:::::'/ lヽ ヽヽ、             ,,.ィ 'フ  ,. / │  l:::::::::::::::::::::::::\
      , '::::::::::/  !. ` ゝ`'ー    `        / ./ /   |   l;:::::::::::::::::::::::::::::ヽ
     ,.'::::::::::::/  l、 , ヾ`=-    _     -='-‐7  ,.'    |i.  ';;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::ヽ
    ,.':::::::::::;;;'   .i''ヽ ヽ'、ヽ,      ̄      ,ィ  / /    |',   ',`'‐:、;;;;;;;;;::::::::::::::',
   ,.':::::;;;;;;;;;:,'   ,'  \ヽ`=`ー――――――‐/./ /l  l  l ',  ',   `''ー- 、:;;;;」
 /,;、 -‐''´,'   ,' ,.-''" ,ヽヾ'-‐―――――‐/'-イ、``l  l   |.ヽ   '、
 ´     / / i ヽ‐''":::::::``'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙7 ./ l   | ヽ  ヽ

不意にふらりとパシフィカの傍らの空間が揺れたかと思うと、
ゼフィリスが姿を現した…。

フュリー「うわっ!?」

びっくりしたフュリー曹長が、持ってきたお茶をひっくり返してしまう。
まあ初めてゼフィリスの出現の仕方を目の当たりにすれば、
誰でも驚くであろうし、無理もない。

バシフィカ「ゼフィリス、お願いだから一般人のいる前では
 どこかから歩いて入ってくるとかしてくれる?」
ゼフィリス「悪かった。しかしここには私の顔を見知っている者はいないから、
 こちらの方がスムーズだと思うぞ…」
パシフィカ「あ、言われてみればそっか…」
ゼフィリス「僚機から通信が入った」
パシフィカ「それって<竜機神>ドラグーンから?」
ゼフィリス「現在大気圏外で待機させている。
 …シリアス15<オウラン>だ」

320 名前:時空編/現代:05/02/01 13:29

――現代に戻る。

***グランショッカー日本支部***

ここ、東京地下のどこかに存在する
悪の組織グランショッカー秘密基地の研究室では、
エネルギー獣オケランパの強化改造実験が行われていた。

オケランパ「ケラケラケラケラ……」
アナグマス「よいかオケランパよ。お前はこれから
 地帝獣巨大化エネルギーを一度に連射可能な、
 もっと強力な巨大化専門要員として生まれ変わるのだ!」
白戦闘員A「イーッ! 実験の準備、完了しました」
アナグマス「よしっ、実験開始じゃ!」
白戦闘員B「了解! 実験開始!」

白戦闘員が実験装置のレバーを引くと、
接続されたチューブを通じてオケランパの肉体に
超エネルギーが注ぎ込まれていく。

オケランパ「ケラケラケラケラケラケラ!!」

ところが突然、基地内に警報が鳴り始めた。

アナグマス「な、何事だ!?」
白戦闘員A「イーッ! 報告します! 侵入者です!」
アナグマス「なんじゃと!?」

周囲が混乱する中、研究室に一人の男が乱入してきた。
漆黒の鎧に身を包み、二本の特殊なロッドで
瞬時にアングラー兵数匹を消し去った男…奴こそ、
かつてサー・カウラーの右腕と呼ばれた
宇宙の流れ者、ボー・ガルダンだった!

アナグマス「誰じゃお前は!?」
ガルダン「どけっ!!」

ガルダンは瞬く間にオケランパの身柄を捕獲する。

オケランパ「ケラケラケラケラケラケラ!?」
ガルダン「フフ…こいつはもらって行くぜ!」
アナグマス「――!! 思い出したぞ。
 貴様は確かエイリアンハンターの…!! 貴様らも黄泉還っておったか…!!
 ……おのれ、宇宙の流れ者如きに、そんなことを易々と許すと思うか!!
 食らえ! 妖魔球乱れ打ちっ!!」
ガルダン「――させんっ!!」

ガルドロッドを巧みに使い、アナグマスの妖魔球乱れ打ちを
見事に防いでみせるガルダン。
研究室内のあちこちから火花が散り、煙が充満する中、
そのままオケランパを連れ去っていくガルダン。

アナグマス「く、くそぅ…しまった。逃がすな! 追えー!」

予想もしなかった不意打ちに悔しがるアナグマスが声を荒げる中、
ガルダンの高笑いが木霊する…。

ガルダン「フハハハハ……本部に帰ってケフレンに伝えろ!
 我らエイリアンハンター! こうして再び黄泉還った以上、
 必ず恨みは晴らすとな!!」

321 名前:時空編:05/02/01 13:35

○エド、アル、パシフィカ→東方司令部に入る。
○ラスト→黄泉還りにより復活。
○マスタング→ダンテに代わる新たな悪の陰謀の存在を確信する。
●ガルダン→グランショッカー日本支部の秘密基地から、オケランパを拉致する。

【今回の新規登場】
○ラスト(鋼の錬金術師)
 かってのウロボロスの一味の一員。スカーの兄の恋人を元にして
 人体練成された色欲のホムンクルス。
○ハイマンス・ブレダ少尉(鋼の錬金術師)
 マスタングの部下。豪快な外見から武闘派と思われがちだが、
 実は戦略・策略をねるのが得意な頭脳派。犬が苦手という意外な一面もある。
○ヴァトー・ファルマン准尉(鋼の錬金術師)
 マスタングの部下。いつも冷静な発言をする知性派な軍人。
 辞書を丸暗記したかと思うくらいの知識を持っている。
●ボー・ガルダン(超新星フラッシュマン)
 エイリアンハンター副官。サー・カウラーの右腕。
●地奇地奇獣アナグマス(光戦隊マスクマン)
 地底帝国チューブの長老
●エネルギー獣オケランパ(光戦隊マスクマン)
 倒された地帝獣を再生・巨大化させる能力を持った地底生命体。

322 名前:外宇宙編:05/02/05 15:23

地球から遠く離れた漆黒の宇宙空間に、
青く輝く美しい宝石のような星が浮かんでいる。
女達の星"メジェール"である。
その惑星を二重に取り囲むようにアステロイドベルトが交差し、
更にその外側に浮かぶ小さな衛星が、男達の星"タラーク"である。

一応テラフォーミングに成功しているとはいえ、
タラークの地表は赤い岩だらけの大地である。
大気は薄く、荒涼とした地表が広がっていた…。

だが、渓谷の下にパイプと鉄骨材で無秩序に構築された
中心都市を警備していたのは、タラーク軍に正式採用されている
蛮型と呼ばれる(メジェールではヴァンガードと呼んでいる)人型の
パワードスーツではなく、なんとゾヴォーグの機動兵器群や、
共通の戦闘防護プロテクターに身を固めたエイリアンたちだったのである!

***メジェール第3衛星タラーク・総督府***

フリーザ配下の惑星戦士たちが制圧した総督府に、
司令官風の一人の男が入城して来た。

ザーボン「お待ちしていた。ようこそゼゼーナン卿」
ゼゼーナン「さすがは全宇宙から恐れられるフリーザの兵たちよ。
 軍事国家タラークも3日と持たなかったか…」
ドドリア「フッフッフ…俺達の手にかかれば、まあざっとこんなもんよ。
 都市部のある渓谷に沿って砲座が幾つも据え付けられていたが、
 あんなもんはまるで子供騙しだったぜ」
ザーボン「残念ながらタラーク総帥グラン・パ及び
 他の八聖翁と首相は逃亡した後だったが…」
ゼセーナン「まあいい。まもなく、
 もう一つの女どもの惑星"メジェール"攻略にかかっている
 暗黒ホラー軍団からも吉報が届く頃合だ。
 これであの身の程知らずの野蛮な地球の猿どもが住み着いた植民星が、
 この宇宙から二つ消える……フフフフフ」

地球人を軍事技術に偏った文明を持つ危険種族と見なし、
高性能な武器を持っただけの猿と見下すゼゼーナンは、
この宇宙から地球人類の植民星を駆逐し、再び宇宙連合に返り咲き
権力を奪取せんと企んでいた。

ゼゼーナン「地球からの報告では、ベルゼウスも上手く
 グランショッカーの中に潜り込んだらしい。このまま火星に
 待機しているバームのオルバンとも合流して、
 一気にあの猿どもを叩きたいところだが…」
ザーボン「その件だがゼゼーナン卿、一つ耳に入れておきたいことが…」
ゼゼーナン「何だ?」
ザーボン「この星の近くのアステロイドベルトの中に、
 どうやらレジスタンスどものアジトが形成されているらしい」

323 名前:外宇宙編:05/02/05 15:24

***マグノ一家のアジト***

ここはアステロイドベルト内に
小惑星をカモフラージュして建設された
宇宙ステーションである。
元々は尼僧マグノ・ビバンを首領とする女宇宙海賊集団の
アジトだったのだが、タラークとメジェール両惑星が
刈り取り艦隊の脅威から解放されたのを機に、
それは両国家公認の中継基地となっていた。

メイア「お頭、只今偵察任務より戻りました」
マグノ「ご苦労だったね」

アジトの作戦室にて報告を聞いているのは、
一家の頭目マグノ・ビバンその人である。
節くれだった杖を手に、フード状の法衣を纏ったマグノは
無言のままシートに凭れ、メイアの言葉に耳を傾けている。

メイア「ここの位置は、今のところまだ敵には
 察知されている気配はありません」
レベッカ「しかしまだまだ収容する難民は増えそうです。
 ここもだいぶ手狭になってきました…」
マグノ「それだけ居場所のない者が多いってことさね…。
 グランショッカーの他にも、宇宙連合にいた強硬派の狸どもが
 再び息を吹き返し始めたからね…。全く世も末だよ…」
レベッカ「そろそろ備蓄の物資も心細くなってきました。
 このままでは底をつくのも時間の問題です」
マグノ「となると、残る手段は…」

――それは銀河の列強と呼ばれる国々に
救援を求めることであった。
ガミラス・ガルマン帝国、アーヴによる人類帝国、
そしてローエングラム王朝銀河帝国。

グランショッカー・ゴズマ軍や宇宙連合好戦派、
フリーザ軍などの銀河を脅かす強大な武力に対抗しうるのは、
もはやこれらの巨大星間国家しかありえない。
しかしそれらの国々に救援を乞い、軍事同盟を結ぶことは
取りも直さずその大国の属国となることを意味した。
いかに名君による善政の統治で知られる
銀河帝国やアーヴ帝国といえども、一介の小さい惑星国家と、
ましてや元宇宙海賊の一味などと対等の関係を結んでくれるなど
考えられないことだったのである。

324 名前:外宇宙編:05/02/05 15:26

基地内のドッキングポートには、一隻の巨大宇宙船が停泊している。
かってメジェールの女海賊150人とタラークの男3人を乗せていた
融合戦艦"ニル・ヴァーナ"である。

ヒビキ「――で、一体どうすることに決めたんだよ?」
ブザム「銀河の大国に屈服して助けを乞うなどという
 お考えはお頭にはない。無論、我々にもな」
ジュラ「そうよ! ジュラたちは自由な海賊!
 大国の言うがままに戦争に駆り出されるなんてゴメンだわ!」

"マグノ一家"の幹部会議における決定事項を
ブザムから聞いていたヒビキたちニル・ヴァーナのクルー。

バーネット「でもそれで結局どうすんの?」
ブザム「…そうだな。再び海賊稼業を再開するにしても、
 グランショッカーやフリーザの侵略に苦しむ他の星々とも
 連携を取りつつ、地道に抵抗を続けていくしかない」

だがタラークが陥落した今、いずれ遅かれ早かれ
ここのアジトも敵に察知されるであろう事は明らかであった。

ヒビキ「ちくしょおぅっ!! 結局八方塞かよ!!」
ディータ「宇宙人さん…」
ブザム「銀河の大国と対等に同盟を結ぶ手段……ない訳ではない…」
ヒビキ「――!!」
ブザム「銀河辺境の一惑星でありながら、
 ガミラスやローエングラム王朝と対等の外交関係を
 結んでいる惑星が一つだけある…」
バート「…副長!?」
ヒビキ「どこなんだよ、そや!?」
ブザム「お前たちもよく知っている星――地球だ」
一同「――!!」

ブザムがその惑星の名「地球」を口にした時、
その場にいた一同が全員驚愕の表情を浮かべた。
それもそのはず…。
タラークとメジェールの両惑星は、
かってその「地球」から攻撃を受けたのであるから…。

325 名前:外宇宙編:05/02/05 15:27

かって地球は謎の異星人・ガミラス帝国による攻撃を受け、滅亡の危機に瀕していた。
ガミラスの遊星爆弾により大地は放射能に汚染され、地下へと逃げ延びた人類は、
緩やかな滅亡を待つばかりであった。
そんな中、14万8千光年の彼方にあるイスカンダル星より、
放射能除去装置・コスモクリーナーの情報がもたらされる。
同じくイスカンダルから伝えられた未知の駆動機関「波動エンジン」を搭載した
人類最後の切り札・宇宙戦艦ヤマトは、コスモクリーナーを受け取るため、
遙かイスカンダルへと旅立ち、無事に地球への帰還を果たしたのは
周知の通りである。

だが、実はそれとは全く別のプロジェクトが当時、
影の地球連邦政府サイドにより水面下で進められていたのである。
それは、放射能による生活環境の激変を強いられた地球人類を生き延びさせるため、
植民星に移住していた人類の臓器を刈り取り、使用するという
極めて非人道的且つ残忍な計画であった。
結果はニル・ヴァーナのクルーたちの活躍により
その企ては阻止されたのだが、今もタラークやメジェール等の
植民星の住民たちが持つ地球本星に対する不信感は根強いものがあった。

バート「正気ですか副長!?
 地球の連中が俺たちに何をしたか!!」
ブザム「もちろん忘れてはいない。ただ現状を打開するための
 一つの策を示しただけのことだ…」
ヒビキ「地球…か……」
ディータ「宇宙人さん…?」

なにやら深く考え込み始めるヒビキを見て、
不安げな表情になるディータであった。

326 名前:外宇宙編:05/02/05 15:29

●フリーザ軍→地球人類の植民星の一つ、メジェール第3衛星タラークを占領する。
●暗黒ホラー軍団→惑星メジェールを侵攻中。まもなく制圧完了か?
○マグノ一家、タラーク軍残党→アステロイドベルト内の小惑星基地で
 反攻の機会をうかがう。

【今回の新規登場】
●テイニクェット・ゼゼーナン(バンプレストオリジナル)
 宇宙連合好戦派の首魁。元ゲスト太陽系方面軍司令官。
 元ゾヴォーグ連合筆頭書記官。パラン・シュナイルのパイロット。
●ザーボン(DRAGON BALL Ζ)
 フリーザの側近。変身することができ、バケモノみたいな姿になる。
●ドドリア(DRAGON BALL Ζ)
 ザーボンと同じくフリーザの側近。何事も力で解決しようとする。
○ヒビキ・トカイ(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 人型パワードスーツ「蛮型」のパイロット。
 三等民として育てられたが、実は植民船に乗船していた第一世代であり、
 タラーク、メジェール両国の皇太子。
○ディータ・リーベライ(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 マグノ一家の戦闘機ドレッドのパイロット。熱烈なUFOマニア。
 ヒビキのことを"宇宙人さん"と呼ぶ。
○メイア・ギズボーン(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 マグノ一家のドレッドチームリーダー
○ジュラ・ベーシル・エルデン(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 プライドが高く、高飛車な態度で誤解されることも多い
 ドレッドのパイロット。
○バーネット・オランジェロ(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 ドレッドチームの2としてチームを引っ張る。銃器の収集が趣味。
○マグノ・ビバン(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 マグノ一家の頭。元尼僧で現在破戒僧。地球からの植民船団第一世代。
○ブザム・A・カレッサ=浦霞天明中佐(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 融合戦艦ニル・ヴァーナの副長。マグノにはBCと呼ばれる。
 実は男で、タラーク帝国特務諜報部のスパイ。
○バート・カルザス(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 ニル・ヴァーナの操舵士。タラークの財閥の御曹司。
○レベッカ(VANDREAD the second stage)
 マグノ海賊団第2班のリーダー。カルーアのオーマ(父)。

327 名前:時空編/現代:05/02/06 09:14

ここは地球から遠く離れた銀河ハイウェイ(高速道路)の途上である。
逃走中の宇宙海賊船を、シグナルマンの巨大パトカー・サイレンダーが
追跡している。

シグナルマン「そこの海賊船、止まりなさい!
 止まらんと撃つぞ!」

ギジル「しつこい宇宙警察め!!」
カタストラ「返り討ちにしてやる!!」

追い詰められた宇宙海賊船は反攻に転じ、
ミサイルを乱れ打ちしてくる海賊船。

シグナルマン「うおおおっっ!? 抵抗する気か!!
 許さん!! スタンドアップ!サイレンダー!!」

起き上がり巨大ロボットに変形するサイレンダー。
ワッパガンから巨大な手錠が発射され、
見事海賊船を捕らえる。

ギジル「し、しまったあ〜〜!!」
シグナルマン「宇宙海賊ギジル、これまで533件に及ぶ宇宙貨物船の襲撃・略奪、
 殺人行為及び宇宙船の安全な航行を妨げた罪で、ジャッジメント!!」

Judgment time!!

NR@古川登志夫「宇宙犯罪者=アリエナイザーに対しては、
 スペシャルポリスの要請により、遥か銀河の彼方にある宇宙最高裁判所から
 判決が下される!」

×

シグナルマン「デリート許可!!」
ギジル「も、もはやこれまでか……」
カタストラ「おのれっっ!!」

だが、デリート寸前のところへ突然正体不明のUFOが現れ、
強烈な光を発したかと思うと、サイレンダーのシグナルマンの目がくらんだうちに
ギジルの海賊船をどこかへ連れ去ってしまった。

シグナルマン「くっ、しまった。本官としたことが!
 だがあのUFOは確かエイリアンハンターの……」


***別の宙域・ギジルの海賊船のブリッジ***

ギジル「助かったぞサー・カウラー」
カタストラ「一時はどうなることかと思ったがな」

カウラー「フフ………」

ギジルの危ういところを救ったのは、
かって改造実験帝国メスに雇われ、そのメスのために
多数の宇宙生命体を略取してきたエイリアン・ハンターの総元締として、
銀河系の暗黒街にてその名を馳せたサー・カウラーでその人あった。

カウラー「それにしても、かっては宇宙警察を散々に手こずらせた
 ギジルともあろう者が、地獄から黄泉還った途端に随分と焼きが回ったようだな」
ギジル「フフフ……違いない。この借りは必ず返す」
カウラー「では今すぐ返してもらおう。実は一つ手を貸してもらいたい。
 俺はこれから暫くの間、旅に出たいんでな…」
カタストラ「旅だと? なぜまた今頃…一体どこへ…??」
カウラー「フフ……もうこの宇宙には飽きた。
 だから遠い異世界とやらにな…」


●サー・カウラー→ついに復活。「異世界に旅立つ」と発言。
 果たしてその真意は…?

【今回の新規登場】
○シグナルマン・ポリス・コバーン(激走戦隊カーレンジャー)
 ポリス星の宇宙警察官
●サー・カウラー(超新星フラッシュマン)
 エイリアンハンター総元締
●ギジル(光速電神アルベガス)
 銀河連邦警察すら恐れる宇宙海賊の頭目
●カタストラ指揮官(光速電神アルベガス)
 ギジルの義兄弟・元デリンジャー地球遠征軍幹部

328 名前:外宇宙編:05/02/09 18:09

***マグノ一家のアジト***

ヒビキが何やら一人、
いろいろと荷物を蛮型のコクピットに詰め込んでいる…。

ディータ「宇宙人さん…何してるの?」
ヒビキ「ちょっくら地球まで行って来る」
ディータ「えっ…!?」
メイア「どういうことだ?」
ヒビキ「俺には政治とかのことはよくわからねえ…。
 けどよ、地球に行けば宇宙のでっかい国とかとも
 対等に渡り合えるかもしれねえんだろ?
 なら俺が直接地球まで行って、話をつけて来てやる」
メイア「無茶だ! ミスティが冥王星からやって来ただけでも
 どれだけの歳月が費やされたと思っている!?
 辿り着ける訳がない」
ヒビキ「じゃあこのまま座してやられるのを待てって言うのかよ!?」
ディータ「なら、ディータも一緒に行く!」
ヒビキ「ダメだ! お前はここに残れ」
ディータ「やだやだやだやだ!!」
ヒビキ「少しでも戦力を温存しとかねーといけねーだろ。
 お前はここに残ってみんなを守るんだ!」

どうしても一緒について行くと言って聞かないディータに
頭を抱えるヒビキ。そこへ突然、基地内に
けたたましいアラートが鳴り響いた。

ヒビキ「――なんだ!? どうしたんだ?」
ピョロ「大変だピョロ〜!
 ついにここが見つかって、敵に包囲されたピョロ!!」

329 名前:外宇宙編:05/02/09 18:10

マグノ一家のアジトは、
暗黒ホラー軍団の戦艦グロテクターによって
包囲されていた。
基地内の作戦室でも緊張が走る。

エズラ「お頭、敵艦隊より通信です」
マグノ「いいさ。伺おう」

コンソールに反応を探知したエズラの報告に、
マグノは皮肉たっぷりに答えた。

デスモント「ワシはゼーラ星暗黒ホラー軍団…東の王、デスモント将軍だ」
ダンケル「同じく南の王、ダンケル博士」
アシモフ「西の王、アシモフ将軍だ」
キラー「北の王、キラー将軍…。我らこそが暗黒四天王よ」
デスモント「女海賊共に告ぐ。即時無条件降伏せよ」
ダンケル「すでにタラーク、メジェールの両惑星は
 我らの手に落ちた。これ以上の抵抗は無駄だ」

ブザム(…やはりメジェールも敵の手に落ちていたか。
 時間の問題とは思っていたが…)
マグノ「お断りだね。アタシらは昔から
 諦めが悪い方でね…」

デスモント「では、全軍攻撃開始だ!
 ゼーラ星の暗黒ホラー軍団の力、女海賊共に見せてやれ!」

330 名前:外宇宙編:05/02/09 18:11

メイア「全機、ヴァンドレッド・ディータを中心に、
 フォーメーション・ベータ-7!」

メイアの発令を受け、アジトの外の宇宙空間に
突撃態勢のドレッドチームが展開する。
ヒビキがヴァンドレッド・ディータのキャノン砲を起動させ、
敵グロテクターに向けてビームを放った。
他のドレッドチームも一斉にブーストを吹いて、
敵集団の中へ突入していく。

ダンケル「手持ちのデータ以上の力を発揮しているか…。
 これは少々時間がかかりそうだな…」
デスモント「よし…! デスクロス・フォーメーション!」

計4隻のグロテクターが引き起こしたデスクロス現象により、
ヴァンドレッド・ディータのシールドは瞬時に粉砕され、
全身に青緑色のペークシスの光が走り、
強制的に蛮型とディータ機に分離してしまった。

ヒビキ「うわあああ――ッ!?」
ディータ「きゃああああっ!」
メイア「クッ……!!」

メイア機、ジュラ機もキリモミしながら
空間に放り出される。

キラー「グハハハハハ! 見たか! デスクロス攻撃の威力を!」
ダンケル「止めを食らえ」

???「待ていっ!!」

デスモンド「!?」
ヒビキ「あいつは…!?」

ロム「悪しき星が天に満ちる時、大いなる流れ星が現れ…
 その真実の光の前に、悪しき星は光を失い、やがて墜ちる…
 人、それを裁きという…!」

アシモフ「な、何者だ!? 貴様…名を名乗れ!!」

ロム「お前達に名乗る名前はないっ!!」

331 名前:外宇宙編:05/02/09 18:13

漆黒の宇宙空間に突如として巻き起こる正義の嵐!
クロノス族の道士キライの息子である天空宙心拳の使い手、
ロム・ストールその人であった!

ロム「天よ地よ、火よ水よ!我に力を与えたまえ!!
 パァーイル・フォーウメイション!」

ロムが合身した次の瞬間、バイカンフーは
空へ跳び、稲妻のごとく急降下するキックを
敵艦グロテクター2隻に浴びせる!
サンダーボルトスクリューだ!

キラー「ぐ…デスクロス発生装置をやられた…」
アシモフ「こちらもだ…! 一度、後退するぞ!」
デスモント「ほう…なかなかやる。これはダリウス大帝様に報告せねばなるまい…」

撤退していく暗黒ホラー軍団。
それをただ茫然と見ているだけのヒビキたち。

ヒビキ「つ、強えぇ……」
ジュラ「誰なのあの人?」
メイア「どうやら味方らしいが…一体何者だ……?」


○マグノ一家→アジトを暗黒ホラー軍団に包囲され、窮地に陥るが、
 ロム・ストールの加勢を受けて、敵を撃退する。

【今回の新規登場】
●デスモント将軍(大空魔竜ガイキング)
 ゼーラ星暗黒ホラー軍団四天王の一人
●ダンケル博士(大空魔竜ガイキング)
 ゼーラ星暗黒ホラー軍団四天王の一人
●アシモフ将軍(大空魔竜ガイキング)
 ゼーラ星暗黒ホラー軍団四天王の一人
●キラー将軍(大空魔竜ガイキング)
 ゼーラ星暗黒ホラー軍団四天王の一人
○ピョロ(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 ペークシスの影響で妙に人間っぽくなったナビゲーションロボ
 ニル・ヴァーナのペークシスと同調して、その意思を伝える事もある。
○エズラ・ヴィエーユ(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 ニル・ヴァーナのブリッジオペレーター。カルーアの母。
○ロム・ストール(マシンロボ クロノスの大逆襲)
 クロノス族の道士キライの息子である天空宙心拳の使い手。

332 名前:外宇宙編:05/02/10 14:20

***メジェール第3衛星タラーク・八聖翁御座所***

惑星タラークの地下都市、首相の居た総督府をも見下ろす位置に
一際大きな建物――グラン・パの城塞があった。
吹き抜けのある高い天井の下、大理石を惜しげもなく敷き詰めた回廊の先に、
今や主を失った"八聖翁御座所"と呼ばれる場所がある。

デスモント「おおっ、ダリウス大帝様…」
アシモフ「ダリウス大帝様、今後、我らはいかなる行動を?」

円卓中央のホログラム映像モニターが開き、
暗黒ホラー軍団の支配者ダリウス大帝の巨大な姿が
映し出される…。

ダリウスの声「暗黒四天王よ…。お前達はこの地に残り、
 ザーボンたちやゼゼーナンを補佐するのだ」

キラー「何と…? 我らにフリーザやゼゼーナンの下につけとおっしゃられるか?」

ダリウスの声「…小バームのオルバンは我らに協力的な姿勢を見せておるが、
 その内心は不満に満ちているだろう。そして、ゼセーナンやベルゼウスめも
 宇宙連合の制圧に成功すれば、奴らはワシやフリーザに対して刃を向けるに違いない…」

アシモフ「わかりましたぞ。補佐の名目で奴らの動きを監視するのですな」

ダリウスの声「そのとおりだ」

ダンケル「では、仰せのままに」
デスモント「我らの母星ゼーラ星は既にブラックホールに飲み込まれて久しい…」
キラー「なんとしても地球を征服し、あの憎っくき大空魔竜に
 我らの恨みを思い知らせてやるのだ……!」

その様子を、隠れたところから逐一眺め続けている存在があった。
真珠を思わせる光沢のある白に、文字通り蟲のようなフォルムをそなえた、それは正しく機械であった。

「ギギ・・・・・・」

わずかに、それこそ蟲の鳴くような駆動音を立てつつ、それは逐一主の下に、ひたすら情報を送り続ける。

かって地球圏ではAGX-01・コードネーム「バグス」と呼ばれていた偵察機。
ゼ・バルマリィ帝国でメギロートと呼び習わされていたそれは、今日も飽くことなく、
この恒星系周辺のデータを収集し続けていた。


●暗黒ホラー軍団→惑星タラークでゼゼーナン一派と合流。
●エアロゲイター(バルマー帝国)→いよいよ暗躍開始。

【今回の新規登場】
●ダリウス大帝(大空魔竜ガイキング)
 ブラックホールにより滅亡の危機に瀕したゼーラ星人が造ったロボット神。

333 名前:時空編/グランショッカー、各異世界へ猛攻開始!:05/02/14 06:47

***デジタルワールド***

奇妙な生物、デジタルモンスター=デジモンたちが
平和に暮らしている異世界デジタルワールド。
遥か天空には、地球を示すリアルワールド球が浮かんで見える…。
今、この世界にもグランショッカーの魔の手が迫っていた!

ドンゴロス「グハハハハ! 逃がすんやないで!
 デジモンは一匹でも捕まえれば、暗黒宇宙のブラックマーケットで
 ごっつう高値に売れるさかいにな!!」

銀帝軍ゾーンのバルゴール戦闘機が激しい空爆を続ける中、
必死に逃げ惑うデジモンたち。
銀河商人ドンゴロスは、独自に雇い入れた銀河闘士やバツラー兵に命じて
次々と見つけたデジモンを捕獲させていく。

大輔「やめろー! お前ら!」
ドンゴロス「何や、このガキは!?
 何でデジタルワールドに人間のガキがおるんや?」
ブイモン「大輔! コイツらだよ!
 俺たちのデジタルワールドに攻めてきて
 たくさん仲間たちを捕まえていっているのは!」
ドンゴロス「おっ! そこにも珍しいデジモンが一匹
 おるやないか! 出番やでブタルギン!
 そのデジモンを捕まえるんや! ガキは始末したって構わへんで!」
ブタルギン「ブヒヒヒヒ! そんならここは
 ワイに任せてもらうで!!」

ドンゴロスが雇った銀河闘士ブタルギンが、
デジタルワールドの危機を察知し駆けつけて来た
大輔とブイモンに迫る!

ブイモン「…ブイモン進化ァァ――!!」

大輔はデジヴァイスを天高くかざす!
するとブイモンは幻竜型の成熟期デジモン、エクスブイモンへと進化した。

エクスブイモン「…エクスブイモン!!」

334 名前:時空編/グランショッカー、各異世界へ猛攻開始!:05/02/14 06:48

エクスブイモン「――エクスレイザー!!

胸のΧのもようから強力な光線を放つエクスブイモン。
だがブタルギンは専用の武器である鍬を両手に持ち構え、
力押しで耐え切って見せた。

ブタルギン「ブヒヒヒヒ…肉体戦のパワーファイトなら
 ワイは負けへんで〜!」
エクスブイモン「なんて奴だ!?」
ブタルギン「今度はこっちから行きまっせ!!」

ブタルギンに押され苦戦一方のエクスブイモン。
だがそこに、敵の背後からスティングモンが加勢に回る!

スティングモン「エクスブイモン、避けろ!!」
エクスブイモン「――!!」
スティングモン「――スパイキング・フィニッシュ!!
ブタルギン「ブヒヒィィィ――!?」

高速でふところに飛び込まれて必殺技を打ち込まれ、
怯むブタルギン。

賢「大丈夫だったか、大輔!」
大輔「賢、来てくれたのか!?」
ブタルギン「ううっ…不意打ちとは卑怯やで!」
ドンゴロス「おのれゴルリン40ごぉ……」
ブタルギン「待った!!」

負傷したブタルギンを巨大化させるべく、
ゴルリンを呼ぼうとしたドンゴロスに対し、
なぜかそれをいきなり止めるブタルギン。

ドンゴロス「な、なんやいきなり?」
ブタルギン「前にもろうた料金ではここまでや」
ドンゴロス「なんやて!?」
ブタルギン「コイツらをやっつけたかったら
 もっと金をよこすズラ」
ドンゴロス「ア、アホ抜かせ!
 そないなこと言うとる場合か!!」

戦闘の最中にいきなり戦闘続行の料金を巡って
言い争いをはじめるドンゴロスとブタルギンに
呆気に取られている大輔と賢。

大輔「な、なんだかよく分からないけど…」
賢「とにかくチャンスみたいだ。行くぞ大輔!」
エクスブイモン「――エクスブイモン!!」
スティングモン「――スティングモン!!」
エクスブイモン&スティングモン「ジョグレス進化ァァ――!!」

エクスブイモンとスティングモンは合身し、
圧倒的なパワーと破壊力を秘めた竜人型デジモン、
パイルドラモンへと進化した。

ドンゴロス「ゲッ…!?」
パイルドラモン「――デスペラードブラスター!!」

両脇の砲身からパイルドラモンが放った無数の光弾が、
思い切り油断していたドンゴロスとブタルギンに見事命中!
遥か空の彼方へとぶっ飛ばされていく…。

ブタルギン「や…やられてもうたがなぁぁ〜〜〜!!!!」
ドンゴロス「おんどりゃ――!! 覚えとれガキどもぉぉ〜〜〜!!!!!」

335 名前:時空編/グランショッカー、各異世界へ猛攻開始!:05/02/14 06:51

ドンゴロスがやられると同時に、
他のゾーンの部隊も相次いでデジタルワールドから
逃げるように撤退して行ったのを確認してから、
とりあえず元の姿へと戻り、それぞれのマスターである
大輔と賢に駆け寄るブイモンとワームモン。

ブイモン「大輔〜♪」
大輔「よくやったな、ブイモン!」

戦いを終え、大好きな大輔に思い切りなつくブイモン。
一方で、賢とワームモンは何やら深く考え込んでいた…。

賢「それにしてもグランショッカーの奴ら…
 近頃全く動きがないと思ってたら、
 まさかデジタルワールドに攻めてきたなんて…」
ワームモン「ねえ賢ちゃん、もしかしたらグランショッカーの
 奴らは他の異世界も攻撃しているんじゃないかな?」
賢「僕もその可能性は高いと思う…。
 グランショッカーは世界各地に無限に開いた時空クレバスを
 自由に操る技術を開発したのかもしれないぞ…」

336 名前:時空編/グランショッカー、各異世界へ猛攻開始!:05/02/14 06:53

一方、ここは
デジタルワールドとは全く別の世界である。
かってこの名もなき世界には一人の勇者がいた…。

黒のコアから世界を守るために自らの身を犠牲にして、
勇者はこの世界から姿を消した。

彼の仲間達は必死になって世界中を探し回ったが、
どうしても彼を見つける事ができなかった。
わかっているのは、彼の残した剣の宝玉の光が、
今も彼が生きている証だということだけである…。

その勇者の名は…ダイ。

それから時は流れ…1年が経とうとしていた。

***ロモス王国・王城***

ポー「いい加減…降伏文書署名の件を
 承知なされる気にはなりましたか、ロモス王?」
シナナ「……くっ!!」

齢六十に届こうとしているロモス国王シナナは、
縄をかけられ玉座の前に引き立てられている…。
それを見下ろすように上座に立っているのは、
不思議界フーマの大帝王クビライの孫娘・神官ポー、
そして戦闘指揮官ヘスラーの2人である。

シナナ「…誰が悪魔の手先になどと!!
 たとえわしの命運が潰えたとしても、
 この世界は…勇者ダイが守ってくれたこの世界は
 決して非道な侵略には屈せぬ!!」
ポー「そうですか…それは残念です…」
ヘスラー「それではこちらも、勇敢なるロモス王に
 敬意を示さねばなるまいな!」

ヘスラー指揮官がそういうと、
神官ポーは、無表情のまま片手に持つグラスの赤ワインを
床に一滴残らず垂らして見せた。
その光景を見て震えを隠さずにはいられないシナナ。

シナナ「(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル… 」
ポー「フッ…連れて行きなさい…」
シナナ「な、何をする!? 放せっ!!」

フーマの兵士ミラクラーたちによって
城の地下牢へと連行されるシナナ王。

ポー「我々の知る銀河以外にも、このような美しい星雲…
 美しき地上の世界が数限りなくあろうとは…」
ヘスラー「Dr.ヒネラーが開発した時空連結ネジレシステムとやらの
 おかげで、主に異次元への侵略を担当する我々巨獣軍も
 仕事がやり易くなったというものよ!」

そこに、物陰から人影が…。

???「フフフ…お話は終わりましたか?」

337 名前:時空編/グランショッカー、各異世界へ猛攻開始!:05/02/14 06:56

ポー「死神キルバーン…」
ヘスラー「それに妖魔司教のザボエラか」

かって大魔王バーンの配下・魔王軍の一味として
この世界の侵略に携わっていた死神キルバーンと、
妖魔司教ザボエラ。一度倒されたものの、
黄泉還りにより復活を遂げ、こうして今は
この世界に突如侵略して来たグランショッカーに加担していた。
ちなみにキルバーンの肩には、やはりあの一つ目ピエロの
ピロロが平然とした顔で乗っかっている…。

キルバーン「お取り込み中のところ失礼しますよ。
 グランショッカー・巨獣軍の皆さん♪」
ザボエラ「キヒヒヒヒ……」
ヘスラー「既にこの世界の大半は我らの手中にある。
 残るはカールとパプニカとかいう2カ国を残すのみ!」
キルバーン「そこに至るまでには、僕らの働きが
 あった事も忘れてもらっちゃ困りますよ?」
ポー「わかっています…。いずれこの世界の完全制圧に
 成功した暁には、貴方の真の主・冥竜王ヴェルザーの復活にも
 力添えを致しましょう…」
ザボエラ「このザボエラめもお忘れなきよう。
 この度は我が不肖の倅、ザムザを大教授ビアス殿に
 弟子入りさせた件につき、よしなにお取り計らい頂き
 恐縮に存じます」
ポー「あの程度の斡旋であれば容易いこと。
 しかし以前のように、決してこの世界を荒々しく奪ってはなりません。
 大魔王バーンが欲したという太陽の輝きが降り注ぐ世界…
 この地は、まさしく地球に匹敵する異世界のオパールです。
 私はこのオパールを、輝いたまま暗黒大魔神サタンゴースさまに
 捧げたいと考えているのです。ですからこの世界の
 人間の心を黒く塗りこめ、悪魔に変えてしまうのです。
 来たれ、戦いの嬰児よ!」

ポーの号令とともに、ギャル軍団と戦闘員ミラクラーが集い、
妖しげな舞いを披露する中、不思議獣誕生の儀式が始まった。
巨獣軍が邪神と崇める暗黒大魔神サタンゴースに
不思議獣の誕生を求めて祈るポー。

ポー「海よ、母なる不思議の海よ……不思議獣の生を育みたまえ……」

不思議獣の卵はみるみる巨大化し、不思議獣バリバリが誕生した!
その光景を横から不敵な笑みを浮かべて見つめている
キルバーンとザボエラ…。

キルバーン(フフフ…バカな奴らだね。
 ヴェルザー様さえ復活してしまえば、もう君らなんか
 用済みさ…♪)
ザボエラ(今度こそどんな手段を使ってでも
 生き残って権力をこの手に掴んでみせるわい…。
 キヒヒヒヒ……)

338 名前:時空編/グランショッカー、各異世界へ猛攻開始!:05/02/14 06:58

***ヅノーベース***

地球上空の宇宙空間に浮かぶ、
不気味な姿をした宇宙ステーション、
ヅノーベースのメインルーム。
父ザボエラの言うがままに次元を超え、留学の名目でこの基地を訪れた
妖魔学士ザムザは、マントをひるがえした眼前の人物に対しひざまずく。

ザムザ「あなたが…大教授ビアス」

グランショッカー・ゴズマ軍にあって
四天の頭脳GVMN・ラボの一角を占める大教授ビアスは、
異世界より入門を志願して来た魔族の青年に対し、
弟子入りを許す意味の口付けを与える…。

ビアス「…君の事は知っている。超魔生物の研究のために
 己の身体をも実験に捧げた高潔なる志。……それで良い。いや、
 そうでなくてはならぬ! 君は、我が武装頭脳軍ボルトの
 科学力をより一層高めるに相応しい人材だ…」
ザムザ「………」
ビアス「これからは武装頭脳軍ボルトの幹部…
 ドクターザムザと名乗りたまえ…」
ザムザ「ビアス…様……」

ビアスは、おもむろに両の手でザムザの頬を挟み
顔をじっと見つめて言った。

ビアス「千点頭脳を目指すのだ…。
 我が愛する弟子ドクターザムザよ」

339 名前:時空編:05/02/14 07:00

○パイルドラモン→デジタルワールドに侵攻して来た銀帝軍ゾーンを退ける。
●グランショッカー巨獣軍(不思議界フーマ)→「ダイの大冒険」の世界に侵攻。
 カール王国やパプニカ王国、デルムリン島を除く世界の大半を瞬く間に制圧。
●妖魔学士ザムザ→大教授ビアスに弟子入りする。

【今回の新規登場】
○本宮大輔(デジモンアドベンチャー02)
 お台場小学校に通う5年生。選ばれし子供の一人。
 スポーツが得意な元気印の少年。
○ブイモン=エクスブイモン(デジモンアドベンチャー02)
 大輔のパートナーの小竜型デジモン。通常進化の他にも
 フレイドラモン、ライドラモン、マグナモンにアーマー進化が可能。
○一乗寺賢=デジモンカイザー(デジモンアドベンチャー02)
 小学5年生。かってデジモンカイザーとして闇の力に利用されていたが、
 現在は本来の優しい自分を取り戻し、ワームモンと共にその手で
 デジタルワールドの平和をその手で取り戻すために戦い続けている。
○ワームモン=スティングモン(デジモンアドベンチャー02)
 賢のパートナーのイモムシのような姿のデジモン。
○シナナ王(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 ロモス王国の国王。
●銀河商人ドンゴロス(地球戦隊ファイブマン)
 銀帝軍ゾーンお抱えの宇宙商人。
●銀河闘士ブタルギン(地球戦隊ファイブマン)
 ドンゴロスに雇われている銀河闘士。筋金入りの守銭奴。
●神官ポー(宇宙刑事シャイダー)
 大帝王クビライの孫娘で、それに継ぐ地位を持つ不思議界フーマの神官。
 その真の素顔はクビライ同様醜悪で、500年に一度美しい娘から
 命を吸い取らなくては美しさを保つことができない。
 グランショッカー・巨獣軍の擁する世紀王候補の一人でもある。
●ヘスラー指揮官(宇宙刑事シャイダー)
 不思議界フーマの戦闘隊長。「征伐!」と戦場で叫ぶ。
●ギャル1(宇宙刑事シャイダー)
●ギャル2(宇宙刑事シャイダー)
●ギャル3(宇宙刑事シャイダー)
●ギャル4(宇宙刑事シャイダー)
●ギャル5(宇宙刑事シャイダー)
 フーマの実動部隊であるくの一五人衆=ギャル軍団のメンバー。
 ヘスラー指揮官の下で、スパイ活動と戦闘を行う。
●不思議獣バリバリ(宇宙刑事シャイダー)
 フーマの不思議獣第1号。
●妖魔司教ザボエラ(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 大魔王バーン配下の魔王軍妖魔士団長。自らの保身に余念がない。
●死神キルバーン(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 冥竜王ヴェルザーの部下。出向先で大魔王バーン直属の暗殺者を務めていた。
●ピロロ(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 いつも死神キルバーンの肩に乗っている使い魔。
 実はこちらの方がキルバーンの本体である。
●妖魔学士ザムザ(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 ザボエラの息子。火炎系、閃熱系、爆裂系呪文などを操る。

340 名前:「雪山の一夜?」:05/02/16 09:07

まあ、そんなこんなで古今東西のヒーローたちが世界の命運をかけて戦っている中。
真夜中のヒマラヤを往く二つの影があった訳なのである。

???1「はあ、はあ、はあ……」
???2「ZZZ……zzz……」
???1「寝るな!あ、暁ぁ。いつまで俺の背中におぶさってるんだ。
   そろそろまた、じゃんけんの時間じゃないのか?」

おんぶしている男に暁と呼ばれた男が起きた。
おんぶしている方は、速水という。

暁「お?もうそんな時間か。よぉーし、いくぞ速水ぃー」
暁&速水「じゃんけんぽん!」
速水「うあ!また負けた……」
暁「よッしゃー!またまたお前のおんぶだ!さっさと歩けぇ〜♪」
速水「なんで俺ばっかり……大体な、お前がヒマラヤに行きたいなんて言い出さなければ、遭難することもなかったんだ!しかもこんな夜中に……」

速水の愚痴に、暁は拳を振り回して力説する。

暁「えーいグダグダ言うな情けないやつ!いいか、今や世界中の借金取りが俺の後を追いまわし、
  安心して犬の散歩にも行けない状態なんだ!昔は銀行員A・Bだけだったのに、今じゃアルファベットで表記したらZまで行ってもぜんぜん足りーん!
  こうなったら、ヒマラヤの坊さんに混じって牛の乳でもしぼりながら、200歳ぐらいまで生きてやるのだー!どうだ分かったかー!!」
速水「いばるなーッ!!全部お前が悪いんだろうが!無責任に金を借りまくり、パッパパッパ使いまくって!あー、思い出しただけでもゾッとする……
   いや、本当にゾッとしてきた……背筋のあたりが……こう、ゾゾーッと……も、もう、駄目だぁ……」

どさっ。
あまりの寒さで、速水がぶっ倒れた。

暁「おわ!?しっかりしろ速水!!起きろ!!」
速水「お、俺はもう駄目だ……マジで。この三日間、ずっとお前をおんぶしっ放しだったからな……
   しかも何も食わずに……」
暁「何を言ってるんだ!?弱気になるな、立てー!」
速水「暁?お前、心配してくれるのか……?」
暁「当たり前だ。お前が死んだら誰が俺をおんぶして歩くんだ!」
速水「ふッ。自分の足で歩くんだな……ああ、なんて実りのない人生だったんだ……
   シャンゼリオンでありながら、やる気のないお前の尻を叩いて……お前が俺にしてくれたことなんて、何一つない――」
暁「そりゃ!そりゃ!そりゃー!!ふぅ、やっと土が見えたぜー」

速水が自分の人生を回想する中、暁はなぜか穴を掘っていた。

速水「お前、何してるんだ?」
暁「何って、墓穴掘ってんだよ。これで文句はねーだろ、さっさと死ね!!」

○暁と速水、ヒマラヤで遭難。

【今回の新規登場】
○涼村暁(すずむら・あきら)(超光戦士シャンゼリオン)
偶然にもクリスタルパワーを浴びてしまった、借金まみれの能天気な私立探偵。
超光戦士シャンゼリオンに燦然する。

○速水克彦(はやみ・かつひこ)(超光戦士シャンゼリオン)
S.A.I.D.O.C.(サイドック/内閣超常現象特捜部)所属。
本来ならば彼がシャンゼリオンになるべきはずだった。
後に、図らずも食べてしまった闇の種と梅干との食べあわせによって、ザ・ブレイダーに変身。


341 名前:「雪山の一夜?」:05/02/18 08:58

掘った穴に速水を入れるというか、詰め込む暁。
速水「あ、穴が小さすぎる……入れない……」
暁「ゼータク言うな!ほら、こうやって身体を小さく縮めれば……十分入るだろうが!!」
もうそれは無理やりと言うぐらいに速水を穴に押し込む暁。
速水「おぉ……本当だ……意外と……気持ちいいぞぉ……」
暁「ああ、『住めば都』って言うからな」
速水「暁ぁ、最後に……子守唄でも……歌ってくれ……」
暁「しょうがねーな。出血大サービスだぞ」
速水の末期の頼みに、暁は調子外れに歌いだした。

暁「ね〜んね〜ん〜、ころぉ〜り〜よぉ〜、おこ〜ろ〜り〜よぉ〜♪
  ね〜(カリッ)ん(ポリッ)ね〜ん♪」
歌の節々に何かをかじる音が。
速水「お前……何食べてるんだ?」
暁「ぉわ!びっくりした、まだ生きてたのか?」
あっけらかんとした暁の応答に速水の堪忍袋の緒が――
速水「何を食っているのかと……聞 い て る ん だ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ッ !!」
切れた。

暁「何って、チョコだよ、チョコ。しかもアーモンド入りのなー♪」
にこにこしながらチョコの最後の一口を頬張る暁であった。
速水「きききき貴様、そんなものを持っていたのか!俺にもよこせホラ!」
暁「だぁッ!今ので最後だ、いやしい奴め!!」
速水「どっちがだ!そういうものは二人で分けるのが普通だろう!!」
暁「あ、何だ。お前も食いたかったのか?何も言わないから腹でも痛いのかなーと思ったんだ、人に心配ばっかかけさせやがってー」
速水「もーいい。今度という今度は愛想が尽きた。俺は一人では死なん……お前も道連れにしてやるぅぅぅぅぅぅっ!!」
地獄の鬼もかくやという表情で、速水は暁の首を渾身の力で締め上げる。

暁「ぐえ!ぐ、ぐるじい……そ、その手を離せ!ほら、チ、チョコの包み紙をやるから……匂いでも、嗅げー」
速水「そんなモンいるかぁぁぁぁぁぁ!!」
今度は暁をぽかぽかと殴りつける速水。そんな中、暁はあるものを視界の端に捉えた。
暁「おわ!痛って、痛ってバカ!お、おい速水、何だあれは!」
速水「その手に乗るかコラ!!」
暁「バカタレー!マジだマジ!見ろ、灯りだぁ!!」
速水「何ぃッ!?」

暁が指差す先には、まぎれもない灯火があった!

速水「本当だ……こんな山奥に……」
暁「山小屋だぁー!!」
速水「たたたたた助かったぁーーーーーーーっ!!」
さっきまで本気で殺す殺されるの関係だった二人は、がっちりと抱き合って歓喜の雄たけびを上げた。

暁「よし、走るぞ速水!!」
速水「おぅ!!」

山小屋に向かって二人は走った。それはもう、燎原を焼き尽くす炎のような勢いで。

暁「どぅあーッ!!走れーーーーーーー!!」
速水「ぬあああああああああ!!」

○暁と速水、山小屋を発見。


342 名前:名無し客:05/02/20 18:16

宇宙警察本部に新設された特殊部隊ファイヤースクワットに
異動となったデカレッド=赤座"バン"伴番が、
地球署を去ってから数ヶ月……

近頃、東京で原因不明のビル連続爆破事件が相次いでいた。
その手口は、かって監獄衛星プリズロン爆破事件の主犯として
宇宙騒乱罪及び大量虐殺の罪でデリートされた筈の
ザムザ星人シェイクの手口に酷似していた。
そして今日も、四菱商事の本社ビルが何者かの手により爆破され、
デカレンジャーが出動した。

ホージー「これは――!?」
ウメコ「ちょっと、いったいどーゆーことよ、これ!」

いざ現場へと到着したホージー、センちゃん、
ジャスミン、ウメコ、それに地球署に正式に配属されたテツら
5人が見たものは、現場へと先回りしていた
サイボット機動部隊であった。
愕然としている5人の前に、サングラスをかけた
指揮官らしき一人の男が前に出た。
その男がサングラスを外した瞬間、さらに驚くホージーたち。
男の正体は、あの南雅彦だったからである。

南「…これはこれは、宇宙警察の諸君か。
 今日も呑気にご苦労なことだ」
ホージー「あなたは!?」
センちゃん「南雅彦警視正、あなたは剣総理の暗殺未遂に関わった容疑で
 警視庁から指名手配されていたはずでは!?」
南「さあ、知らないね。あれは私を陥れようとした何者かの陰謀だよ。
 案外…本当は君たち異星人の手先辺りの仕業じゃないのかね?」
ウメコ「何それどーゆー意味よ!!」
ジャスミン「よしなさいウメコ!」

南に食って掛かろうとするウメコを止めるジャスミン。

南「私は今、東京都のグレンフォード総知事の庇護下にある。
 警視庁は無論、君たち宇宙警察といえども、私に手出しをすることは
 できない」
テツ「ナンセンス! 今回の爆破事件はアリエナイザーが
 関わっている可能性があります。対アリエナイザーの犯罪捜査は
 我々宇宙警察の任務です。早くあのデカいサイボットたちを
 どかして引っ込んでいてください」
南「いや…引っ込むのは君たちの方だ」
ホージー「何ですって!? どういう意味だ!」
南「首都特別治安維持条例の施行により、
 東京の治安を守るのは我々新武装警察RAPTの仕事だ。
 そして、この私こそがそのRAPTの長官…」
ジャスミン「――!!」
南「ここの現場は我々RAPTが取り仕切る。
 君たちはとっとと帰りたまえ」
ホージー「そうはいきません! テツも言ったとおり、
 アリエナイザーの犯罪捜査は俺たちの仕事だ!」
南「ほう…。それでは聞くがね。
 最近のビル連続爆破事件の手口は、以前に君たちデカレンジャーが
 倒したザムザ星人とやらのやり口によく似ているそうじゃないか?」
ホージー「そ、それは……」
南「本当にそのザムザ星人とやらをデリートしたのか?
 もしかして討ち漏らしたんじゃないのか?」
ジャスミン「いえ、ザムザ星人シェイクは確かに
 私たちがデリートしました!」
南「問答無用だ! 君たちはせいぜい
 異星人の腰巾着でもやっていたまえ。フハハハハ!!」
テツ「なんだと!!」
ホージー「やめろテツ!」
センちゃん「落ち着くんだ!」

逆上して南に殴りかかろうとするテツを
必死で抑えるホージーとセンちゃん。

343 名前:名無し客:05/02/20 18:17

***デカベース***

結局、RAPTのサイボット部隊に行く手を阻まれ、
何の捜査も出来ないまま現場から引き揚げてきたホージーたち。

ウメコ「もーっ! なんなのよアイツ!
 チョームカつく!!」
ジャスミン「同感。…絶対に許すまじ」

南に罵詈雑言を浴びせられたことに、
今だ怒りが収まらないウメコとジャスミン。
そしてそれを署長席から宥める地球署のボス、ドギー・クルーガー。

ドギー「RAPTの件は警視庁の冴島総監に任せておけ」
ウメコ「でもボス〜!」
ドギー「それよりも、宇宙警察本部からの連絡で、
 エイリアンハンターの総元締であるサー・カウラーが、
 部下と共に地球に潜入したとの極秘情報が入っている」
ホージー「エイリアンハンター……あのサー・カウラーが……」
センちゃん「暗黒街の大物として全宇宙から
 恐れられている男か…」
ドギー「サー・カウラーには、無数の営利略取と資源強奪に人身売買、
 そして宇宙希少生物の密猟、さらには幾多の惑星間戦争において背後から
 暗躍した罪で、すでに宇宙最高裁判所からデリートの許可が出ている。
 なんとしてもカウラーを発見し、奴の企みを未然に阻止するんだ!」
5人一同「ロジャー!」

344 名前:名無し客:05/02/20 18:18

***東京都庁***

都知事の執務室にて密談している南雅彦と、
刑務所から脱獄した爆弾魔カトウ。

南「さすがだな。君の腕はランプ議員から聞いてはいたが、
 見事にアリエナイザーの仕業に見せかけることに成功した」
カトウ「満足していただけたのなら光栄だな」
南「これで地球に巣食う異星人共を排斥する口実を設けるのに
 弾みがつくというものだ」
カトウ「自分はアンタたちの非ナチュラル排斥思想などに興味はないが、
 破壊こそ最高の芸術だ…フハハハハ!!!」
南「………(フッ…爆弾魔め)」

そこへ、いかにも地位の高そうな一人の紳士が入ってくる。
地球連邦政府の国際協力特別法に基づき、
半ばゴリ押しの形で、この東京都庁の主となった
リッキー・グレンフォードである。
勿論、これには影の地球連邦政府の意向が見え隠れしていた…。

南「これはグレンフォード総知事」
カトウ「………」
グレンフォード「我々の組織の名はZERO。
 世界の始まりと終わりは、全て我々の手中にある…」
南「前東京都知事の黒岩省吾が遺した
 東京国独立プランが意外なところで役に立ちましたよ。
 計画は全て順調に進んでいます」
グレンフォード「フフフフフ……」

345 名前:名無し客:05/02/20 18:19

渋谷の繁華街では、
高層ビルの中央部壁面に掲げられた巨大モニターに
グレンフォード総知事の就任演説の模様が流れている…

グレンフォード「都民の皆さん、私は此の度、国際協力特別法に基づき
 東京総知事を任されることになりましたリッキー・グレンフォードです。
 現在、首都・東京は見えざる脅威に脅かされています。
 今、この状態では、正しい行政と安定した治安を維持することは
 不可能です。当局はこれを国際都市東京の非常事態と考え、
 選りすぐったメンバーによる、東京復興委員会を組織しました。
 私、グレンフォードがその代表として、都民の皆さんと共に、
 この街の光を…希望を取り戻すべく努力していく所存です。
 東京は生まれ変わるべき時が来たのです!
 今がその時なのです!」

往年の映画スターを思わせるグレンフォードの姿に、
道行く都民は皆、足を止め、すっかり魅入られている。

通行人(女子高生A)「ねえねえ! なんかカッコよくない?」
通行人(女子高生B)「まるで映画俳優みたいだよね〜!」

346 名前:名無し客:05/02/20 18:22

地下深くにある、広大で薄暗いドーム状の空間…。
その中央部には「獣」とよばれる巨大コンピューターが
聳え立っている。

庚「お楽しみ中、お邪魔だったかしら?」
颯姫「いいえ…今終了しました…」

「獣」の中央席で無数のケーブルとコードに接続されていた少女=
七人の御使いの内の一人、八頭司颯姫が、庚のいる下へと降りてくる。

庚「貴女が地球署のコンピューターにハッキングしてくれたおかげで
 必要なアリエナイザーのデータを入手し、上での仕事も上手くいったようよ。
 フフフ…これから楽しくなりそうね…」
颯姫「………」
庚「いつでもこの子(=コンピューター)たちは
 貴女に従順ね、颯姫」
颯姫「そろそろ総知事が帰ってくる時間です。
 秘書である貴女が都庁に戻らなくていいんですか? 庚」
庚「グレンフォード総知事は、都庁に戻ってすぐ宿舎へ帰られる。
 私はその時に顔を出せばいいだけのこと」
颯姫「………」
庚「それにここは都庁からすぐよ。だって…」

――ここは都庁の真下ですもの。


○地球署→サー・カウラーが地球に潜伏したとの情報がもたらされる。
●南雅彦→東京新武装警察RAPTの長官に就任。
●カトウ→颯姫がハッキングして収集したデータを元に、
 アリエナイザーの仕業に見せかけ、連続爆破事件を引き起こす。
●グレンフォード→総知事に就任後、ゆっくりと着実に
 じわじわと都民の支持を広げている。

【今回の新規登場】
○ドギー・クルーガー=デカマスター(特捜戦隊デカレンジャー)
 宇宙警察警視庁警視・第7方面銀河統括部長・地球署署長
 アヌビス星人・デカベースロボパイロット・通称“地獄の番犬”
○戸増宝児=デカブルー(特捜戦隊デカレンジャー)
 プライドの高いエリート刑事・通称"ホージー"
○江成仙一=デカグリーン(特捜戦隊デカレンジャー)
 推理とプロファイリングが得意な刑事・通称"センちゃん"
○礼紋茉莉花=デカイエロー(特捜戦隊デカレンジャー)
 美人エスパー捜査官・通称"ジャスミン"
○胡堂小梅=デカピンク(特捜戦隊デカレンジャー)
 現場に走る猪突猛進タイプの若手女性刑事・変装の名人・通称"ウメコ"
○姶良鉄幹=デカブレイク(特捜戦隊デカレンジャー)
 宇宙警察本部特別指定凶悪犯対策捜査官・通称"テツ"
●リッキー・グレンフォード(爆裂天使)
 国際協力特別法に基づき、東京総知事の座に就いた人物。
 実は闇の組織ZEROの一員。
●庚(Χ-エックス-)
 丁の妹で東京総知事の秘書。姉とは反対に自らのの願いをかなえるために
 「地の龍・七人の御使い」を集める。
●八頭司颯姫(Χ-エックス-)
 「地の龍・七人の御使い」の一人でコンピュータと意思の疎通が可能な少女。
 庚から与えられたコンピュータ「獣」とリンクし、全てのネットワークに介入することができ、
 データのハッキングなどはもちろん、ケーブルなどを操った物理的な攻撃も可能。

347 名前:「雪山の一夜?」:05/02/21 09:38

〜その頃のヒマラヤ山中〜

ばたん!
山小屋の扉を乱暴に開ける暁と速水。
暁&速水「へぇ……へぇ……ぅい〜〜〜……」
山小屋にはランプの明かりが灯り、暖炉には火が入っていた。どうも、誰かが生活しているらしい。
速水「おお、まさに命の炎だ……」
暁「あったけ〜〜〜〜〜〜♪」

暖炉の前に陣取って暖を取る二人。と、その二人に声をかける人影が。

???「あの、暖炉の前に立たないで下さい。部屋が暖まりませんから……」
暁「お、お前!?」
速水「キ、キラ・ヤマト君じゃないか!」
そう。二人に声をかけたのは誰あろう、大戦の英雄でコーディネーター、キラ・ヤマトだったのだ。
暁「お前が大戦の英雄なのは知ってるが、何でこんな所にいるんだ、え!?」
キラ「……僕だって、戦いが嫌になることぐらいあります。だから、誰も来ない場所、
   世界の屋根、神聖なこの場所で静かに暮らしてみようって――」
速水「そうだったのか……」
暁「くしッ!納得するな!!」

ばたん。唐突に扉が開き、誰かが入ってきた。
???「ごめんなさいませ……ちょっと買い物が多くて――」
暁「でぇッ!?ラ、ラクスちゃん!?」
今度は暁が素っ頓狂な声を上げた。山小屋に入ってきたのは、歌姫ラクス・クラインだったからだ。
しかもでっかい『ニコニコマート』とロゴの入ったビニール袋を抱えて。
暁「おいキラ。ひょっとしてお前ら……」
ラクス「ええ。現在私とキラはここで一緒に住んでおりますの」
暁「おいおい、いつの間にそういうことになったんだ?」
速水「男の子と女の子だ。何が起こっても不思議ではないさ暁」

こんこん。か細いノックの音。外からだ。
速水「ん?今ノックの音がしなかったか?誰か来たんじゃ」
キラ「そんなはず――」
キラがドアを開けると、息も絶え絶えの男が部屋の中に倒れこむ。その人は――
速水「チ、チーフ!」
暁「宗方のおっさん!?」
そう。速水の所属するS.A.I.D.O.C.のチーフ、宗方猛その人だった。
慌てて駆け寄って脈をとる速水達。

速水「まずい、息をしていない。凍死寸前だ、誰か人工呼吸を――」

………………。
何だか、すごい間があいた。


348 名前:「雪山の一夜?」:05/02/21 09:40

暁「で、誰がするんだ?」
キラ「僕はやりませんよ!関係ないですし!」
ラクス「でもキラ。困っている人を助けてあげるのも人としての勤めでは――」
暁「よ、よし。こうなったらじゃんけんだ!行くぞ!!」
一同「じゃんけんぽん!あいこでぽん! ぽん! ぽん! ぽん!」

キラ「ちょっと!長いですから二つに分けましょうよ!」
暁「いいんだよ面倒くさい!あいこでぽん!!」

キラ「……あ」
暁「よぉーし。早くやれキラぁー」
キラ「え!?でででででも!?」
情けないほどにうろたえるキラ。
ラクス「早くしないと、この方が本当に死んでしまいますわ」
キラ「し、しょうがないか……すぅッ……」

口移しで宗方に、新鮮な空気を送り込むキラ。何回かそれを繰り返すうち、
宗方の顔に血が通い――

宗方「ごほッ!ごほ!」
速水「大丈夫ですかチーフ?」
宗方「ああ速水……すまん、もう大丈夫だ……」
暁「しかし、何だっておっさんがこんなトコにいるんだよ?」
宗方「いや、キラ君とラクス君がヒマラヤにいるらしいと聞いてね。
   ちょこっと遊びにいって驚かせてやろうと思ったんだ」
暁「ちょこっとで遊びにこれる距離か!」
暁のツッコミもごもっとも。

宗方「ん?どうしたキラ君。顔色が悪いぞ?」
キラ「え、ええと、その――」
暁「世の中には知らないほうがいいこともあるんだよ、宗方のおっさん」
宗方の方に手を置いた暁が、優しくそう言った。

ラクス「では、そういう事でご飯にいたしましょう」
ぱん、と手を叩いてラクスが言った。

速水「おぉー、ありがたい。三日ぶりの食事だー!」
宗方「わ、私もだ……!」

○暁&速水、キラとラクスの隠棲する山小屋にご厄介。
ついでに遭難しかけて死にかけた宗方も保護。
○キラとラクス、迷い込んだ三人のために晩御飯を振舞うことに。

【今回の新規登場】
○宗形猛(むなかた・たけし)(超光戦士シャンゼリオン)
S.A.I.D.O.C.の隊長。ダークザイドの存在を予知するも、
妄想と一笑にされて内閣調査室を出奔。私財をなげうってシャンゼリオンをサポートしている。
○キラ・ヤマト(機動戦士ガンダムSEED)
大戦の英雄。戦いに疲れてヒマラヤで隠遁生活。
○ラクス・クライン(機動戦士ガンダムSEED)
プラントの歌姫。キラにくっついてヒマラヤで生活中。

349 名前:名無し客:05/02/21 19:14

<訂正>
>>348

×
【今回の新規登場】
○宗形猛(むなかた・たけし)(超光戦士シャンゼリオン)
S.A.I.D.O.C.の隊長。ダークザイドの存在を予知するも、
妄想と一笑にされて内閣調査室を出奔。私財をなげうってシャンゼリオンをサポートしている。
○キラ・ヤマト(機動戦士ガンダムSEED)
大戦の英雄。戦いに疲れてヒマラヤで隠遁生活。
○ラクス・クライン(機動戦士ガンダムSEED)
プラントの歌姫。キラにくっついてヒマラヤで生活中。


【今回の新規登場】
○宗形猛(超光戦士シャンゼリオン)
 S.A.I.D.O.C.の隊長。ダークザイドの存在を予知するも、
 妄想と一笑にされて内閣調査室を出奔。私財をなげうってシャンゼリオンをサポートしている。

※キラ・ヤマトとラクス・クラインの2人は、
>>90の時点で既に登場しています。

350 名前:時空編/神鳥レティス、世界を回る:05/02/21 19:15

***パプニカ城***

ここは時空連結ネジレシステムを手にした
グランショッカーの侵略を受けている異世界の一つ、
パプニカ王国の王宮である…。

エイミ「姫様、クロコダイン殿がお見えになりました!」
レオナ「クロコダインが!?」

衛兵に案内され、以前は魔王軍百獣魔団の軍団長で、
今は人間の味方である獣王クロコダインが、
王女レオナの待つ謁見の間へと通される。

クロコダイン「おお、レオナ姫か。
 デルムリン島から急いで飛んで来たのだが、
 とりあえずパプニカはまだ無事であったのを
 この目で確認出来て安心したぞ」
レオナ「クロコダイン、無事でよかった…。
 それで、デルムリン島に住むみんなは?」
クロコダイン「うむ。デルムリン島のことなら心配はいらん。
 島の守りはヒムやチウたちに任せてある」

大魔王バーンの脅威が去ったのも束の間、
グランショッカーを名乗る謎の侵略者の攻撃を受け、
すでにロモス、リンガイア、ベンガーナ等の国々は瞬く間に陥落。
パプニカ王国は迫り来る外敵の侵入に備え、
国境を事実上封鎖し、防備を強化していたところだった…。

レオナ「あの混乱で…ポップ君も、マァムも、
 それにヒュンケルまで行方知れずになってしまった…」
クロコダイン「あいつらがこの程度でくたばるものか。
 それにカール王国でもフローラ女王や大勇者アバン殿が
 まだ頑張っている。決して希望を捨ててはいかん!」

その通りです…。決して希望を捨ててはなりません…。

クロコダイン「――!?」
レオナ「…何? 今の声は…!」

温かくも不思議な声を聞き取ったレオナとクロコダインは、
その声のする後ろの方へ振り返ると、
なんと目の前には人間を数人は背に乗せられるほどの、
大きな美しい鳥が立っていたのである…。

クロコダイン「む、何奴っ!?」
レオナ「…あなたは…誰?」

私の名は神鳥レティス…そしてまた別の世界では……
不死鳥ラーミアと呼ぶ者もいます……

クロコダイン「なにっ、不死鳥ラーミアだと?」
レオナ「神鳥…レティス…」

私は無数の世界を自由に旅する者……
次元の調和と安定を司るのが…精霊神ルビスより与えられた…
私の使命なのです……

クロコダイン「その不死鳥やら神鳥やらが、一体ここに何用だ?」

今、あなた方の住む世界を含めて……
幾多の異世界で…時空の流れが歪み……
本来ならば招かれざる災厄が襲っています……
レオナ姫…貴女の力を私に貸してください……

レオナ「…私が?」

貴女であれば…全宇宙・次元の王女たちの組織PUに……
加わる資格があるでしょう……
まずは…私と一緒に異世界ハイラルに参りましょう……
そこにも…貴女と同じ資質を持つ…同志とも呼べる姫君がいます……

神鳥レティスの呼びかけに対し、即断即決を下すレオナ。

レオナ「わかったわ! 一緒に行きましょう!」
クロコダイン「――なんとΣ (゚Д゚;)!? 待つのだレオナ姫!
 そなたが留守の間、国の方はどうするつもりのだ!?」
レオナ「ごめんクロコダイン。
 大臣たちにはよろしく言っといて♪」

そして一瞬、とてつもなく眩しい光が
辺り一面を覆い尽くしたかと思うと、
レオナ姫と神鳥の姿は消えていた…。

クロコダイン「むむっ、これはえらいことになってしまった!!
 はてどうしたものか…。う〜む」

351 名前:時空編/現代:05/02/21 19:18

――現実世界へと戻る。

***ギガノス機動要塞***

月面民族運動の高まりに乗じて建国された
統一帝国ギガノスの残党軍拠点である無敵要塞では、
ジュピトリアン占領下にある火星極冠遺跡より、
総統ドルチェノフの下へ通信が入っていた。

草壁の声「…機は熟した。本日12:00、我々は『プラン甲』を実行に移す」
ドルチェノフ「いよいよ動くか。ではそちらでもボソンジャンプシステムを
 応用した時空クレバス制御が可能になったということだな?」
草壁の声「その通りだ」
ドルチェノフ「クックック……
 今までこの暗礁宙域で耐え忍んでいた甲斐があったわ。
 連邦の青瓢箪共の慌てふためく様が目に浮かぶ。
 …だが、草壁よ」
草壁の声「何だ?」
ドルチェノフ「ワシは貴様らが捨て駒としてオルフェノクどもに売った
 パトリック・ザラとは違うぞ。くれぐれも妙なことは考えないでもらおう。
 まさかとは思うがな……」
草壁の声「フッ…それはお互いにな…」

通信モニター画面が切れる。

ドルチェノフ「フフフ…後はいかにして火星に巣食う
 木星の亡霊共を始末するか、だな」


***火星極冠遺跡「イワト」***

マルガレーテ「何です…!?
 私とおひいさまをこのような所へ連れ出して、
 いったい何を…!?」
ヤマサキ「いえいえ、ようやく『プラン甲』の準備が整いましてね。
 是非、お二方に歴史的瞬間へ立ち会っていただこうかと思いまして」
エリカ「――!! まさかあなた達は
 小バームのワープ技術を解明したのですか!?」
シロッコ「それに答える必要はない。黙って見ていてもらおう」
ヤマサキ「さて…そろそろ時間です。
 これからの顛末、特等席にてじいっくりとご覧あれ」
シロッコ「次元跳躍装置のスイッチを入れろ!」
木星帝国兵「ハッ!」

シロッコの命令で、
極冠遺跡中心部に設置された次元跳躍装置に
スイッチが入れられる。

エリカ「いったい何をするつもりなのですか!?」
シロッコ「人類の歴史は常に戦争の歴史だ。
 ナチュラルと非ナチュラルの相互理解と共存など、
 現実的に考えれば、それは不可能に近い」
エリカ「そんなことはありません!」
シロッコ「その通り。混迷と争乱の時代には
 一刻も早く終止符を打たねばならない。そのためには
 人はよりよく導かれねばならん。指導すべき絶対者が必要だ」
エリカ「あなたは…何を考えているのですか…!?」
シロッコ「何事も変革期には膿が出されることは仕方のないことなのだよ、
 エリカ女王。ならば早く膿を傷口から出し切るためにも、
 少し荒療治になるが、さらなる大いなる災厄をこの地に招かねばならない!」
エリカ「あなたは戦争をさらに拡大するおつもりなのですか!?
 まさか…以前に地球にバグを放ったのも、ナチュラルと非ナチュラルの
 対立を必要以上に煽って漁夫の利を得るために…!?」
シロッコ「フフ…全ては君の理想とする、醜い争いのない、
 新たなる秩序を建設するためなのだがね…」

やがて巨大な闇のワームホールが完成し、
奥から禍々しい邪悪の声が現世へと届き響く…。

もっとよこせ……。
食ってやる……、わしのものだ……。

マルガレーテ「お、おひいさま…!? (((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル…」
エリカ「あれは…なんと恐ろしい…!」

もっと力をよこせええ……!!

シロッコ「フフフ……ようこそ、大魔王ガノン!」

352 名前:時空編:05/02/21 19:20

○神鳥レティス→パプニカ王国のレオナ姫に接触。
 レオナと一緒に異世界ハイラルのゼルダ姫のところへ向かう。
●シロッコ→『プラン甲』を実行に移し、次元跳躍装置により発生した
 人工時空クレバスの向こう側から大魔王ガノンを現世に召喚。

【今回の新規登場】
○レオナ姫(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 パプニカ王国の王女。
○エイミ(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 パプニカ王国に仕える3賢者の一人。
○獣王クロコダイン(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 元魔王軍の百獣魔団長で、今は正義の使徒。
○不死鳥ラーミア=神鳥レティス(DRAGON QUEST V そして伝説へ/[ 空と海と大地と呪われし姫君)
 七賢者と共に暗黒神を封印した神鳥・次元の調和を司る・
 精霊神ルビスに仕える。
●ドルチェノフ中佐(機甲戦記ドラグナー)
 ギガノス帝国新総統
●ヤマサキ・ヨシオ(劇場版機動戦艦ナデシコ-the prince of darkness-)
 火星の後継者の一員。元コロニー開発公団次官。
●大魔王ガノン(ゼルダの伝説 神々のトライフォース)
 トライフォースに触れた魔盗賊ガノンドロフが、
 欲望だけが増殖し続ける怪物と化した姿。

353 名前:「雪山の一夜?」:05/02/24 09:08

ラクス「さあ、たくさん召し上がってくださいませ♪」
卓を囲む四人の中央でくつくつと音を立て、食欲をそそるスパイシーな香りがする。
宗方「お!キムチ鍋かー、ありがたい!!」
暁「よぉーし食うぞ、いただきま――」
暁が歓声を上げて箸を振り上げた刹那――ぷつん。
突然小屋の明かりが消えてしまった!

暁「んー、何だぁ〜!?急に明かりが消えたぞー!?」
キラ「たぶん、ランプの油が切れたんですよ。少し待ってください、今補充します」

かちゃかちゃ。
暗闇の中、ランプをいじる音だけが聞こえて――ふつり。

速水「あ、点いた」

その時!!

ラクス「き、きゃ〜〜〜〜〜〜っ!」
山小屋を引き裂くラクスの絶叫!
暁「ど、どうした?」
ラクス「み、見てくださいませ!消えています、キムチ鍋が!!」
ラクスの指差す先には、空っぽになった土鍋が!
宗方「おッ!本当だ、一体誰が!?」
暁「ははーん。明かりが消えてる間に、誰かが食いやがったんだな」
ラクス「わたくしが精魂を込めて作ったせっかくのキムチ鍋が――誰ですの犯人は!」
怒るラクスを尻目に、暁は推理を開始。能天気な灰色の脳細胞がフル稼動する――はず。
さあ、へっぽこ探偵の面目躍如か!?

暁「速水。お前だな?」
速水「な、何で俺が!?」
うろたえる速水。
暁「お前はこの三日間、何も食ってはいない。
  あの短時間でキムチ鍋を平らげられるのは――お前しかいない!」
速水「違う!大体、腹が減っているというなら、チーフだって同じだろう!」
さりげなく、疑惑を宗方に押し付けようとする速水。
宗方「バッ、バカな!私ではない、断じて違うッ!!」
暁「じゃあ、キラ。お前か?」
キラ「へ!?」
いきなり話を振られて、キラが間抜けな声を出す。

暁「えーと、お前はコーディネーターである分、より多くの食料を必要としているはずだからな」
キラ「僕は、痩せても枯れてもスーパーコーディネーターですよ。
   そんな卑しいまねなんてしません!」
パニクったのか、何気にとんでもない事をいいだすキラ。ここで、宗方がはたと手を打つ。

宗方「待てよ……分かったぞ。この暖かい部屋で、あつあつのキムチ鍋を、一気に食べたんだ。
   犯人は汗をかいているに違いない!!」
宗方の推理に凍りついたのは――


354 名前:「雪山の一夜?」:05/02/24 09:09

暁「………………あ、汗……?」
速水「あぁーっ!暁!お前、汗だらだらじゃないか!!」
ラクス「キラ!あなたも汗まみれで!!」
二人が言う通り、暁とキラは真っ赤な顔で汗にまみれていた。
部屋が暖炉の火で暖められてはいるものの、それを差し引いても、二人の汗の量は異常だった。
速水「……お前ら二人で食ったってことか!?」

キラ「やめてよね。スーパーコーディネーターの僕が本気になれば、涼村さんがかなう訳ないだろ?」
暁「よ、よし上等だ、勝負してやる!」

何だか唐突に喧嘩ムード。というより、暁とキラが必死で口裏を合わせようとしているような気が。

速水「おい!お前ら戦ってごまかす気だろ!!」
暁「えーいガタガタ言うな!(コホン)燦然!!」

ポーズを取るや否や、光が暁の身体に凝集し、クリスタルな装甲を纏った姿に変身完了。
そう、これが暁のもう一つの姿。超光戦士シャンゼリオンなのだ!

NR@市山貴章「燦然。それは涼村暁がクリスタルパワーを発現させ、
       超光戦士シャンゼリオンとなる現象である」

そしてキラは小屋の地下に隠していた自由の翼、フリーダムガンダムに搭乗。
一足先に、寒風吹きすさぶ雪原に立っていた。

キラ「外に出るんだシャンゼリオン!」
シャンゼリオン「おう!」

シャンゼリオンも外に飛び出し、フリーダムと対峙。
シャンゼリオン「行くぞ、ガンダム!」
キラ「来いっ!」

丁々発止の戦いを繰り広げる二人。それを見つめる宗方、速水、ラクス。
宗方「止めなくて良いのか、ラクス君」
重々しい宗方の問いに、悲しそうに首を振るラクス。
ラクス「これはあの二人の宿命です……わたくしが口を出せるものではありません……」
速水「キムチ鍋はどうなったんだ!?」
取り残される速水。

しかしシャンゼリオンとフリーダムの戦いはお互い決め手に欠け、泥仕合の様相となりはじめていた。
そして、膠着を破ったのはシャンゼリオンだった。

シャンゼリオン「お、おいちょっと待て……何だあの音はぁ!?」
ごごごごご。はっきりと分かる轟音と振動。そう。言うまでもなく――
キラ「まずい。雪崩です」
速水「なんて滅茶苦茶な展開なんだぁ〜!!」
ラクス「に、逃げるのですみなさん!」

もう戦いなんてどっちらけ。キラもフリーダムのコックピットから飛び出してきた。
最大戦速で逃げ出すシャンゼリオン、速水、宗方、キラ、ラクス。

一同「わ〜〜〜〜〜〜!」

355 名前:「雪山の一夜?」:05/02/24 09:12

〜それから一時間後〜

速水「ぜへー……ぜへー……何とか危機は脱したが……
   こ、これじゃあ、体力がもたないぞ……」
宗方「私は……もう……駄目だ……」
どこをどう走ったか分からない。あたり一面の白、白、白。
シャンゼリオン「ぃよぉ〜し、こうなったら……じゃんけんだぁ……」
やる気なく、シャンゼリオンがそう切り出す。
ラクス「じゃんけん?」
シャンゼリオン「ああ……負けた奴がみんなをおんぶして走るんだぁ……」
速水「待て……ちょっと待――」
シャンゼリオン「行〜くぞぉ〜!!」

一同「じゃんけん、ぽん! あいこでぽん! あいこでぽん! あいこでぽん! あいこでぽん!
   ぽん! ぽん! ぽん! ぽん! ぽん! ぽ ぉ ぉ ぉ ぉ ん !!!!」

シャンゼリオン「………………あ――」
速水「勝った……初めて暁に勝ったぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
拳を振り上げ、男泣きに泣く速水であった。
シャンゼリオン「待ってくれ……いくらなんでも二人もおんぶして走れるかよぉ……」
キラ「四人です」
ヘコみかけるシャンゼリオンに、キラがとどめの一撃をくらわせた。

速水「走れぇ!暁!走れぇ!!シャンゼリオォォォォォォン!!」
ラクス「涼村様、しっかり〜」
シャンゼリオン「おわたたた!お、おい動くなキラ!!」

速水、宗方、キラ、ラクスを背負い、シャンゼリオンはヒマラヤの山中をあてども無く駆けだした。
そう。結局また遭難してしまったりしたのである―― orz

「雪山の一夜?」完


○シャンゼリオン(暁)、速水、宗方、キラ、ラクス、ヒマラヤを放浪中。
(二重遭難とも言う。ついでにフリーダムガンダムは雪崩に呑まれて雪の下)


<訂正>
>>348-349
×宗形猛→○宗方猛

356 名前:時空編/未来世界:05/02/26 10:44

***アメストリス首都セントラル***

他大陸からの使節を装い、再興PU代表ディアナ・ソレルの名代として
錬金術の盛んな地球の軍事国家アメストリスを訪れた、
元"廃棄王女"のパシフィカたち一行であったが……

レオ「――な、なんですってええ!!!
 パシフィカさんが偽者!!!???」
シャノン「どうやら旅の途中ですりかえられたらしいんだな、これが…」
レオ「どうして今まで僕にだけ黙ってたんですか!?」
ラクウェル「ごめんなさい…。あの…いつかは話そうかと思ってたんだけど…
 …その……レオは優しいでしょ」
レオ「つまり僕はお人よしだから、気づかない振りをしてても
 すぐに顔に出て敵に気取られると…そう言いたい訳ですね!?
 ヽ(`Д´)ノウワァァン!!」
シャノン「うるさい。わめくな」
ラクウェル「シャノン、そろそろ始まる頃よ…」
シャノン「ああ…」

***同政庁内・会見の間***

セントラルに着いた途端、案の定シャノンたちは
パシフィカ(偽者)の側近くから遠ざけられ、
政庁の建物の中の来賓控え室の一角に押し込められていた……。
出迎えに出たアームストロング少佐らに警護されながら、
貴賓室で議長の到着を待つ偽パシフィカ……。

アームストロング「………」
議長「お待たせしました。私がアメストリス国の臨時民政議会の議長です」
偽パシフィカ「フフフ…はじめまして議長さん」

握手を求める議長に近づいた瞬間、
偽パシフィカが突然右手の爪を鋭く伸ばし、
議長の胸を貫いた!!

議長「――!!」

音もなく崩れ落ちる議長。だが……

偽パシフィカ「こ、これは…!?」
アームストロング「フッフッフ……まんまと引っ掛かったな、この偽者め」
偽パシフィカ「なんだと…!?」
アームストロング「お前が今刺し貫いた議長は、錬金術を用い、
 即席で練成した人形に過ぎん! 本物の議長はすでに安全な場所に
 ご避難なされ、他の議員方と共に全員無事にあらせられる!」

そしてドアを威勢よく蹴破り、
隣の部屋からエドワード、アルフォンス、
そして本物のパシフィカが現れる。

パシフィカ「ちょっと、アンタがあたしの偽者ねえ…。
 なるほど…確かにそっくりだわ」
偽パシフィカ「――!! おのれええっ!
 すでに見透かされていたのか!!」
エド「そーゆーこと。さあ、とっとと観念して
 洗いざらい白状しな…」
アル「答えてください!
 貴女に命令していた黒幕は一体誰なんですか!?
 賢者の石を練成しようとしている人は一体――」

その時、偽パシフィカの目が赤く不気味に光ったと思われた瞬間……

偽パシフィカ「メス帝国ニ栄光アレ……

エド「やばい!! みんな伏せろ!!」

::::::::::::::::::::::::......   ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
           γ ⌒ ⌒ `ヘ
          イ ""  ⌒  ヾ ヾ    ドガァァァァァァァァン.....
        / (   ⌒    ヽ  )ヽ
        (      、 ,     ヾ )
 ................... .......ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ........... ........
 :::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....|  |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
  _ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''!  i;;;〜−ヽ_ii_i=n_ [l h__
  /==H=ロロ-.γ ,〜ー'''l ! |'''ーヾ  ヾ 「!=FH=ロロ
  ¶:::-幵-冂::( (    |l  |    )  )=HロΠ=_Π
  Π=_Π「Uヾ、 ⌒〜"""''''''⌒〜'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
 Д日lTl,,..:''''"   ""'''ー-┬ーr--〜''""   :::Д日lT::::
 FH=n.:::::'            |   |         :::FL日l」:::::
 ロΠ=:::::.:.        ノ 从 ゝ        .::田:/==Д::
 口=Π田:::.                   .::::Γ| ‡∩:::::
 Γ| ‡∩Π::....                ...:::Eヨ::日lTlロ::::
 Д日lTlロ_Π::::.......            ...::::::::田:凵Π_=H:::
 =Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl

357 名前:時空編/未来世界:05/02/26 10:45

***同政庁内・控え室***

シャノン「――なんだ!! 今の爆音は!?」
ラクウェル「会見場の方よ! 行ってみましょう!」

異変を察知し、部屋を出て
急いで会見の間の方角へ向かうシャノンとラクウェル。

レオ「ちょ、ちょっと待ってくださいよお〜〜!!」


***同政庁内・会見の間(があった区画)***

先程の偽パシフィカの突然の自爆により、
会見の間があった周囲一面は瓦礫の山と化していた……。
上に覆いかぶさる重い瓦礫を払いのけて
ようやく起き上がるエドワードたち……。

パシフィカ「ふぅぅぅ〜。死ぬかと思った…」
アル「大丈夫? パシフィカさん」
アームストロング「おお〜っ! 無事であったか!
 エドワード・エルリック!!」
エド「ああ、なんとかな少佐」
アル「あの人……自爆装置か何かを内蔵されたキメラだったとすると、
 もしかして…人体練成……!?」

……フフフフフ……フハハハハハ!!!!

エド「――!!」
パシフィカ「何…この声……?」

さすがだな…鋼の錬金術師エドワード・エルリック!!
そして…律法破壊者プロヴィデンス・ブレイカーパシフィカ・カスール!!
やはり一筋縄ではいかぬか……。

アームストロング「むむっ、何奴!?」
エド「隠れてないで出て来い!!」

よかろう…。
私の姿を、とくとその目に焼き付けるがいい…!

突然天空が曇りだし、辺り一面が闇に包まれる…。
激しい稲光と落雷と共に姿を現したのは、一人の黒い影。
それはタッカーに遺伝子シンセサイザーを与えて、
数々の獣戦士を生み出させていた
あの黒衣の男であった。

黒衣の男「フンッ――!!」

黒衣の男は、自分の着ていたローブを脱ぎ捨てた。
そして、4本の大きな角を頭部から生やし、
無数の触手を肩から伸ばした不気味な銀の甲冑を身に着け、
人形のような無表情な仮面で、その顔を隠している姿を露出したのである。

アル「い、いったい貴方は…!?」
エド「お前が黒幕かっ!!」

デウス「よく聞け、この時代の愚かな人間共!
 我が名は大帝ラー・デウス! 聖なる生命改造実験を司り、
 全宇宙の生命の頂点に立つ……すなわち神!!」

358 名前:時空編/未来世界:05/02/26 10:47

一方、その頃……

***ショウ・タッカーの隠れ家***

グリード「よぉ! 久しぶりだったよなぁ〜、タッカー」
タッカー「…グ、グリードさん!?」

かってダブリスの酒場デビルズネストを根城にしていた、
「強欲」の名を持つウロボロスのホムンクルスの一人であるグリードの姿を見て、
タッカーは慌てて逃げようとするが、その行く手を
グリードの部下マーテルが回り込んで遮る。

マーテル「逃がさないよタッカー!!」
タッカー「…あ、あんたたちは死んだはずじゃなかったのか!?」
グリード「それがよぉ…気がついたら俺もマーテルも
 生き返ちまってたんだなあ…これが……。フフフ…何せ俺は強欲だからな。
 まだまだこの世に未練があったってことじゃあねえのか?」
タッカー「……(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
グリード「それよりもタッカー、よくもあの時に、
 俺たちを軍に売りやがったな。まさか忘れちゃいねえだろうな!?」
タッカー「ま、待ってくれ! 私はあの時キンブリーに
 唆されただけなんだあああ!!!」
グリード「問答無用だ。往生しな……」

グリードがタッカーの胸倉を掴み、
その息の根をじわじわと止めようとしたその時…!!

???「――お待ち!!」

マーテル「――誰!?」
グリード「…ん?」

グリードとマーテルが声のした方を振り向くと、
そこには首から下の全身が豹のような姿をした奇妙な女が立っていた。

359 名前:時空編/未来世界:05/02/26 10:48

マーテル「……(この女、もしかして私と同じ合成獣??)」
グリード「なんだぁ、姉ちゃん?
 この辺じゃ見ない顔だな…」
ネフェル「その男には私にも用があるのよ!
 さあ、私の質問に答えてもらおうかしら…。
 お前にその遺伝子シンセサイザーを与えたのは一体何者だ!?」
タッカー「………」
グリード「姉ちゃんよぉ…。そっちにどういう事情があるのかは
 知らねえが、ちょっと今取り込み中なんだわ。
 用事なら後にしてくんねえか?」
ネフェル「おだまり! 私もその男に用があるのよ!
 お前こそ引っ込んでいなさい!」
グリード「怪我するぜ…姉ちゃん……」
ネフェル「面白い。どうしても邪魔をするなら相手になるわよ…」

グリードは全身の皮膚を超硬質物質に変換し、
ネフェルも妖獣士ネフェルーラへと変化し、
それぞれ戦闘モードに突入。まさに一触即発という状態となった
まさにその時、まともに立っていられないくらいの激しい旋風が
辺り一面に激しく巻き起こった!!

グリード「チッ…!! 何なんだこりゃ!?」
ネフェルーラ「あ、あれは…!?」

完全な飛行能力を備えた大型ウォーカーマシン・ドランが、
グリードとマーテル、そしてネフェルーラの頭上に突如姿を現す。

タッカー「ティンプか!?」
ティンプ「先生、とっとと乗りな!
 早いところ、こっからずらかるぜ!」

ティンプが操縦するドランは、
機体に装備している20mm機関砲やミサイルポッドで敵を牽制しつつ、
タッカーと彼の使っていた遺伝子シンセサイザーを
素早く機内に収容した。

グリード「野郎! アレで逃げる気か!!」

ティンプ「あばよ! 黒いメガネの兄ちゃんに
 豹の姉ちゃん! 縁があったらまた会おうぜぇ!
 尤も、こっちはもう2度と会いたかねえけどな!
 フハハハハ!!!!!」

ティンプの捨て台詞と共に、
ドランはアジトの建物の屋根を突き破り、
瞬く間に遥か彼方へと飛び去ってしまった……。

マーテル「ちきしょう! もう少しで仲間たちの
 恨みを晴らせるところだったのに!!」
グリード「…どうする姉ちゃん?
 まださっきのバトルの続きとしゃれこむかぁ?」
ネフェルーラ「フン。あの男に逃げられた以上、
 もうこんなところに用はないわ。勝負は次の機会まで
 預けておいてあげる!!」

360 名前:時空編/未来世界:05/02/26 10:50

そして暫くしてから、
立ち去ったネフェルと入れ替わりに、
待ち合わせていたラストがグリードたちの許へ現れる。

ラスト「どうやらタッカーには逃げられてしまったようね…」
グリード「チッ…。うるせえな」

タッカーの使っていたアジト跡地の内部を、
いろいろと調べている様子のラスト……。

ラスト「やはりタッカーの錬金術には、
 この世界のものとは違う、全く未知の技術が利用されている…。
 やはり月の女王ディアナ・ソレルが睨んだ通りか…。
 事は黒歴史に関わる……」
グリード「……おいラスト。今のお前がPUとかいう
 お姫様の団体に飼われてることについちゃ、こっちは知ったこっちゃねえが、
 俺は俺で好き勝手にやらせてもらう。くれぐれも俺に指図なんか
 するんじゃねえ……。行くぞマーテル」
マーテル「はい。グリードさん」
ラスト「お待ちなさい」

立ち去ろうとするグリードとマーテルを
ラストが引き止める。

ラスト「今、鋼の坊やとその弟くんが、
 タッカーを操っていた黒幕と戦っている頃合よ」
マーテル「何ですって!? アルが!!」
ラスト「フフ…敵は正体不明の得体の知れない相手…。
 かなり危ないんじゃないかしら?」
マーテル「………」

かってアルと仲がよかったマーテルは、
アルの身を案じる心情が思わず表情に出る…。
それを察したグリードは……

グリード「構わねえぜ。行って来な」
マーテル「グリードさん!?」
グリード「だがこれだけは忘れんじゃねえぞ。
 お前は俺の所有物だ。必ず俺のところに戻って来い!」
マーテル「はい! ありがとうございます!」

アルに加勢するため、グリードの許しを得て、
一人セントラルに急行する決意を急遽固めたマーテル。

マーテル「ラスト…」
ラスト「あら、何かしら?」
マーテル「教えてくれてありがとう…。一応、礼だけは言っとくわ…。
 でもアタシはまだ完全にアンタを信用した訳じゃない。
 もしまたグリードさんに牙を向いたら、アタシがアンタを殺す!」
ラスト「フフ…覚えておくわ……」

361 名前:時空編:05/02/26 10:53

●偽パシフィカ→正体を見破られ自爆。
 どうやら大帝ラー・デウスによって生み出された改造生命体であったようだ。
●黒衣の男→やはりその正体は改造実験帝国メスの首領、大帝ラー・デウス。
 黄泉還りにより復活し、この時代の地球に流れ着いていたらしい…。
○エド、アル、アームストロング少佐→大帝ラー・デウスと交戦状態に突入。
●タッカー→アジトをグリードに見つかり、ティンプと共にどこかへ逃亡。
○マーテル→エルリック兄弟が大帝ラー・デウスと交戦状態に突入した事を
 ラストから知らされ、アルに加勢すべくセントラルに急行する。

【今回の新規登場】
●大帝ラー・デウス(超新星フラッシュマン)
 大博士リー・ケフレンによって権力の座から追われた、
 改造実験帝国メスのかっての支配者。その正体は遺伝子の液体。
○アレックス・ルイ・アームストロング少佐(鋼の錬金術師)
 「豪腕の錬金術師」のふたつ名を持つ国家錬金術師。
 大柄な風貌で、むやみやたらに脱ぎ出す感動屋さん。
○グリード(鋼の錬金術師)
 「強欲」のホムンクルス。最強の盾と呼ばれる、
 全身の皮膚を超硬質物質に変換する能力の持ち主。
○マーテル(鋼の錬金術師)
 グリードの部下。元アメストリス国軍の特殊工作部隊員。
 人間と蛇との合成獣されている。

362 名前:名無し客:05/02/26 17:07

――現代に戻る。

***ヒマラヤの地球教本部***

ド・ヴィリエ「何…? 我が地球教の総本山の近くに、
 つい最近まで異教徒が暮らしていた形跡があるだと?」
地球教の主教「さようにございます。ド・ヴィリエ大主教」

ド・ヴィリエ大主教は30歳前後の若さである。
彼は地球教団に入り、12年のうちに教団2である総書記代理の地位を確保した。
異例の出世は、教理を究めたわけでも、信仰の深遠たるためでもなく、
生来の俗人としての能力ゆえであった。

地球教の主教「つい先日、すぐ近くの山中にて
 原因不明の不自然な雪崩が発生し、念の為に信徒を遣わして
 調べさせましたところ、大雪の中に埋もれていた山小屋跡を発見致しました」
ド・ヴィリエ「その山小屋の中で暮らしていた異教徒が、
 我々地球教徒の聖地たるこの本山を監視していたと申すか?」
地球教の主教「おそらくは…」

配下の主教から報告を受けた
ド・ヴィリエの顔を陰気な雲がよぎる。

地球教の主教「まことに…我らの聖地を邪悪な異教徒の手から
 守らねばなりませぬが…直ちにこの事を総大主教猊下に御報告を…」
ド・ヴィリエ「いや、それには及ばぬ。
 総大主教猊下には私から御報告申し上げておく」
地球教の主教「畏まりました…」

報告を終えた配下の主教が退室した後、
一人執務室に残ったド・ヴィリエは、唇を半月形に形作り、
その表情に不気味な笑みを浮かべながら呟いた。

ド・ヴィリエ「フフフ…。誰が総大主教に報告などするものか。
 本山の目と鼻の先に異教徒の侵入・潜伏を許したとなれば、
 それは教団総書記代理たる私の責任になるではないか」

363 名前:名無し客:05/02/26 17:08

***プリベンター本部***

ここは地球連邦大統領直属の情報部プリベンターの本部である。
応接間へと通されたキラ・ヤマトは、ここでプリベンターのリーダーを務める
レディ・アンと会っていた。

レディ・アン「待たせたな、キラ・ヤマト」
キラ「いえ、僕も今来たばかりですから」

あの後、涼村暁たちとヒマラヤの山中を彷徨う羽目になった
キラたちだったが、すぐにプリベンターの派遣した巡視艇に救助され、
愛機フリーダムも無事に雪の中から掘り返され回収されていた。

キラ「あの後、プリベンターの人たちが来てくれたんで助かりました」
レディ・アン「我々プリベンターにいるメンバーの大半は、
 私も含めて皆、昔OZに属していた者たちばかりで、影の地球連邦政府には
 面が割れている。代わりに厄介な仕事を引き受けてもらい、
 こちらこそ感謝しているところだ」
キラ「それで涼村さんたちは?」
レディ・アン「S.A.I.D.O.C.の面々ならノインに日本まで送らせた。
 やれやれ…お前とラクスがヒマラヤにいることを、
 どこから嗅ぎ付けたのやら…」
キラ「涼村さんと速水さんが来たのは、全くの偶然みたいでしたけどね…」

実はキラは、プリベンターから極秘の依頼を受け、
ラクスと共に、戦いから身を退いた世捨て人を装い、
ヒマラヤ山中のどこかにあるという地球教本部の動きを、
あの山小屋から監視しつつ調べていたのである。
尤も、あの雪崩騒ぎのせいで地球教側に気づかれ、
監視活動は中止を余儀なくされてしまったが……。

レディ・アン「S.A.I.D.O.C.の連中には、日本の剣総理から
 後でキツイお灸を据えてもらうとしよう」
キラ「……ハハハ(苦笑)」
レディ・アン「それで、期間は短かったが何か掴めたか?」
キラ「いえ、残念ながら地球教に関する手がかりは何も…。
 ただ……」
レディ・アン「ただ…何だ?」
キラ「たぶん地球教とは何の関係もないとは思うんですが、
 ヒマラヤ山脈とは地理的に近いチベットに関して妙な噂を、
 旅の巡礼者から聞いたんです」
レディ・アン「何の噂だ?」

キラの話によると、
かってチベットにはチェン・マオという名の修行僧がいたらしい。
チェン・マオはチベットに住む普通の牧童だったが、
ある日空から落ちてきた巨大な隕石に触れ、それ以来
人が変わったようになり、また異様な超能力を発揮し始めたと言う。

レディ・アン「その…チェン・マオなる人間が、
 いったいどうしたというのだ?」
キラ「チェン・マオはその後、ニカラグアの古代遺跡でさらなる修行を積み、
 多くの信者やナチスの残党を集めて、ある秘密結社の基礎を築いたそうです。
 その秘密結社の名が…ショッカー
レディ・アン「――!!」


●ド・ヴィリエ→ヒマラヤ山中の山小屋でキラが、地球教の本部の様子を
 見張っていたという部下からの報告を握りつぶす。
○キラ、ラクス、S.A.I.D.O.C.の面々→二重遭難中のところをプリベンターに救助される。
 暁、速水、宗方の3人は、即刻日本に送り返された模様。
○レディ・アン→キラから、初期ショッカー創設に関する情報の報告を受ける。

【今回の新規登場】
○レディ・アン(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 プリベンターの部長・コードネームは「ゴールド」

364 名前:時空編/現代:05/03/02 12:04

***火星極冠遺跡「イワト」***

小バームを占拠するオルバン大元帥の軍隊は、
一気に火星全土を制圧せんと、小バームごと移動して、
今は木星軍の勢力下にある火星極冠遺跡へと大攻勢を仕掛けてきた。

ゲロイヤー「各艦出撃せよ! 地球人共を叩き潰してやれ!」

オルバン自ら乗艦して指揮を執るガルンロールを中心に、
続々とバームの戦闘メカが出撃する。
だが、しかし……!!

ゲロイヤー「……ん? オルバン様、あれを」
オルバン「何だ、あの豚か猪みたいな化け物は?」

ガルンロール艦橋の正面モニターには、
極冠遺跡に迫るバーム艦隊の前に立ち塞がる、
一体の巨大で異様な姿を誇る猪のような怪物が
立ち塞がっていた…。

ガノン「貴様らも、トライフォースの力が目当てで来たのか…?

オルバン「何を訳のわからん事を言っておるのだ、あの化け物は?」
ゲロイヤー「大方、地球人共の生物兵器か何かでありましょう」
オルバン「小癪な奴らめ。構わん! 攻撃を開始せよ!
 ここで我らバームの真の力を見せ付けておけば、
 フリーザやゼゼーナンも少しはワシの実力を見直すことだろう。
 もうこれで奴らに跪く必要などないわ!」
ゲロイヤー「了解致しました。プラズマ放電装置作動!」

小バームの最終兵器であるプラズマ攻撃が、
醜い猪のような姿の巨大な魔物――大魔王ガノンに炸裂する。
だが……

オルバン「ハハハハハ! 地球人め、思い知ったか!」
ゲロイヤー「オ、オルバン様!? あれを!!」
オルバン「…ん? ……な、なにーっ!!?」

なんとガノンは、あれ程のプラズマ放電攻撃を受けたにも拘らず、
全くの無傷だったのだ。

ガノン「身の程知らずめ…
 トライフォースはワシ一人だけの力だ…
 誰にも渡さぬ…

オルバン「ええい、何をしておる! 攻撃を続けろ!
 あの化け物を小バームに近づけるな!」

オルバンの号令の下に、無数のバーム軍戦闘メカ群が、
目の前のガノンめがけて突撃して行った。
だがその大半が、ガノンに対して有効なダメージを与えられぬまま、
ガノンが全方位に向けて吐き出した地獄の猛火によって
虚しく撃墜されていく…。

オルバン「な…何だと!? 我がバーム艦隊が敗退しただと!」
ゲロイヤー「――オ、オルバン様! あの化け物が
 こちらに向かって来ます!!」
オルバン「――!!」

ガノン「死ね…!!

残像を残しながら、
見た目によらず素早いスピードで移動したガノンの手で、
鋭い三叉の槍をカルンロールの船体に突き立てられる。

ゲロイヤー「…オ、オルバン様アアァァァ――!!!!!」
オルバン「バ、バカな! ワシはバームの王…オルバンだ!
 ワシは…ワシはこんなところで…!」

オルバンとゲロイヤーを乗せたまま、
カルンロールはそのまま火星の地表に激突。
炎上して大爆発を遂げた…。

365 名前:時空編/現代:05/03/02 12:06

***ジュピトリス・艦橋***

ここはジュピトリス級・ヘリウム3輸送船の中、
実質的にシロッコ個人の根拠地である。
既に木星軍は火星極冠遺跡からの撤収を終えており、
バーム軍と大魔王ガノンの一戦の一部始終を、
ここから高みの見物に興じていたのである。

エリカ「…な、なんという……!!」
マルガレータ「おひいさま…あの怪物、最初に見た時よりも
 大きくなっているような……」

ガノンは明らかに以前より巨大化していた。

シロッコ「フフフ…どうやらガノンにとっては、
 元から居た異世界ハイラルより、戦乱の絶えぬこちら側の
 世界の方が居心地がいいらしいな……」
エリカ「ハイラル…??」
シロッコ「大魔王ガノン――あの怪物が住んでいた
 異世界のことだよ」
マルガレータ「お、おひいさま!!」
エリカ「――!!」

マルガレーテの悲鳴にも近い呼びかけに反応し、
再び正面のモニター画面へと視線を向けたエリカは愕然とする。
なんと、攻めてきたバーム軍を壊滅状態へと追い込んだガノンが、
次に、もはや戦意を喪失している小バームを攻撃し始めているではないか。

エリカ「シロッコ! すぐにやめさせなさい!
 もはや勝敗は決しています!」
シロッコ「私に言われても困るな。別に私はガノンに命令して
 やらせている訳でもなければ、ましてやガノンを制御しているのでもない。
 あれはガノンが勝手にやっているのだよ」
マルガレーテ「でも、あれは貴方がこの世界に
 召喚したのではないのですか!?」
エリカ「ああ…このままで小バームが…!!」

???「――三竜棍!!」

エリカ「…あの声は!!」

366 名前:時空編/現代:05/03/02 12:07

ガノン「ぐっ…ぐおおおおっっっっ!!!!

小バームを攻撃し続けるガノンに不意の一撃を食らわせたのは、
そう……和泉振一郎博士と竜崎勇博士によって、地下都市開発用に製作された
超大型トレーラー「トランザー」が改造されて完成した
巨大戦闘用ロボットにして眠れる闘将「ダイモス」だ!!
そして勿論、ダイモスの相棒とも言うべき存在、
防衛戦闘機「ガルバーFXU」の姿も!!

マルガレーテ「おひいさま…ダイモスです!
 ダイモスが来てくれました!」
エリカ「…ああ…一矢! 生きていたですね!」

モニター画面には、小バームの前に大魔王ガノンと対峙するダイモス、
そしてガノンの頭上を旋回しながら敵を牽制するガルバーFXUの姿が
しっかりと映っていた。

一矢@ダイモス「エリカ、遅くなってすまん!!」

ナナ@ガルバー「待っててエリカさん! 今すぐに助けてあげるから!」
京四郎@ガルバー「まずはこの豚の化け物野郎から退治せんとな!」

まずはガルバーFXUがバルカンやミサイルをお見舞いするが、
やはりガノンに対してはパンチ力が足りない。
逆にガノンが繰り出した無数の火の玉が火の鳥へと変化して襲い掛かり、
ガルバーFXUをピンチに追い込んでいく。

ナナ@ガルバー「きゃあっ!」
京四郎@ガルバー「ぐっ…野郎っ!」

一矢@ダイモス「ここは俺に任せてくれ!!
 ――ファイヤーブリザード!!
 ――フリーザーストーム!!
ガノン「ぐおおおおっっっっ!!!!

ダブルブリザードでガノンを空中に舞い上げ、
自由落下中に一撃必殺の空手技を繰り出すダイモス。

一矢@ダイモス「――必殺、烈風正拳突きぃぃっっ!!」

367 名前:時空編/現代:05/03/02 12:10

ガノン「もっと…もっと…食いたいのに……

闇のオーラに包まれつつ、崩れ落ちるガノン。
その様子を火星上空のジュピトリス内部のモニターから
見ていたエリカ、マルガレーテ、そしてシロッコ。

エリカ「死んだ…のでしょうか……?」
シロッコ「いや、まだだ。大魔王ガノンに完全な止めを刺すには
 銀の弓矢なる物が必要だ」
エリカ「銀の弓矢…?」
シロッコ「だが、そんな物はこの世界には存在しない!
 おそらくガノンは時空転移し、地球圏のどこかに潜伏したのだろう…」
マルガレーテ「…で、ではあの怪物は、
 またどこかで暴れだすと!?」

ガノンとの戦いを一先ず終えて、火星上空に飛び上がり、
ジュピトリスの前に立ちはだかるダイモス。

一矢@ダイモス「聞こえるか、ジュピトリアン!
 エリカは返してもらうぞ!!」
シロッコの声「生きていたか竜崎一矢。ここから見ていたが
 実に見事な戦いぶりだった」
一矢@ダイモス「ふざけるな!!」
シロッコの声「フフフ…まあそう、いきり立つな。
 君の勇姿に敬意を表し、エリカ女王とマルガレーテ殿の身柄は
 謹んでお返ししよう。どこへでも好きなところに連れて行きたまえ」
一矢@ダイモス「――何っ!?」

するとジュピトリスから一隻の小型艇が発進し、
その中にはエリカとマルガレーテの2人が無事に
乗っている姿が確認できた。

木星帝国兵「シロッコ大尉、これから我々はどこへ?」
シロッコ「もうここには用はない。直ちに例の地点に向けて進路を取れ。
 サウザンス・ジュピターと合流する」
木星帝国兵「了解しました…」
シロッコ「………(フフフ…そろそろバルマーの先遣隊も
 太陽系に到着する頃合だな…。これで宇宙連合のタカ派に
 先んじることが出来る)」

368 名前:時空編/現代:05/03/02 12:12

***小バーム***

ジュピトリスが火星から立ち去った後、
晴れて自由の身となり、小バームに帰還したエリカは、
女王として直ちに復興その他に関する指示を出す。

エリカ「一矢、生きているなら
 どうして私に無事を知らせてくれなかったのですか!!
 私は…私はあなたのことが…!!」
一矢「すまない…。小バームが突如オルバンの手に落ちてから、
 今までノマドWに身を寄せていたんだ…」
京四郎「無茶は言わんでくれ。これでも一矢は
 オルバン軍との混戦の中で瀕死の重傷を負っていたんだからな」
エリカ「…えっ?」
ナナ「半死半生の状態だったのに、
 意識が戻った途端、病室から抜け出して、
 周囲が止めるのも聞かずに、お兄ちゃんが強引に出撃したのを、
 私たちが慌てて追いかけて来たところだったのよ」
エリカ「一矢、それでは傷は!?」
一矢「なあに、大したこと……痛ててててっ!!」
エリカ「一矢…!!」
一矢「だ、大丈夫だ。心配要らないよ…」
エリカ「一矢…お願いですから、せめて無茶だけはしないでください…。
 あなたの身にもしものことがあったら…私は……」
一矢「エリカ……」

いいムードの雰囲気の一矢とエリカだが、
ここで京四郎が咳払いをする。

京四郎「…ゴホン!! それよりも火星の極冠遺跡の方は
 どうなっている?」
バーム兵「調査隊を派遣しましたが、既にもぬけの殻でして、
 演算ユニットの大半も遺跡から持ち去られた後でした…」
京四郎「まあ予想はしてたが、当然だろうな…」
エリカ「先程、地球連邦宇宙軍の月面基地本部にも連絡を入れました。
 大事な用件で長い間、小バームを留守にされているメルビ様が、
 早く帰って来てくださればよろしいのですが…」

369 名前:時空編/現代:05/03/02 12:13

一方、その頃……

***惑星フリーザ***

ザーボン「フリーザ様、小バームにいる
 オルバン大元帥からの連絡が突然途絶えました」

居城の一室で、ザーボンからの報告を受け、
顔を顰めるフリーザ

フリーザ「あのバカめ、さては死にましたか…。
 思ったより役に立ちませんでしたね。
 もう少しくらいは時間を稼げるかと思っていたのに…」
ザーボン「ゼゼーナン卿にはどのように報告を?」
フリーザ「適当に報告しておきなさい。
 あの男もオルバン如き小物に、まさか本気で
 始めから期待していた訳ではないでしょうから…」
ザーボン「畏まりました」

ザーボンが恭しく礼をして退室した後、フリーザは一人
居室の窓から漆黒の宇宙の景色を眺める…。

フリーザ「………不本意ではありますが、
 やはりあの存在の力を直接借りるべき時が近づいていると
 いったところでしょうかね……。多くの怪獣や宇宙人を配下に持ち、
 邪悪生命体ゴーデス、根源的破滅招来体、カオスヘッダーの
 黒幕という噂さえある…あの存在の……」

370 名前:時空編:05/03/02 12:14

●オルバン大元帥→火星極冠遺跡に自ら攻撃を仕掛けるも、
 大魔王ガノンにまさかの返り討ちに遭い、ゲロイヤー参謀共々死亡。
●大魔王ガノン→オルバン率いるバーム軍を壊滅に追い込むと、
 その後現れたダイモスと戦い、深手を負って姿を消す。
 どうやら地球圏のどこかに潜伏した模様…。
●シロッコ率いる木星軍→火星から撤退。
 どこかでサウザンス・ジュピターと落ち合う模様。
●惑星フリーザにも、オルバン大元帥戦死の報が届く。
○竜崎一矢、夕月京四郎、和泉ナナ→これまでの間、
 移動ステーション・ノマドWに密かに身を寄せていた。
 エリカと小バームの危機に対し、救援に駆けつける。
○エリカ→マルガレーテと共に解放され、再びバームの女王として復権。
○メルビ補佐官→何か大事な用件で、どこか遠くの星に出かけている模様。

【今回の新規登場】
○竜崎一矢(闘将ダイモス)
 竜崎勇博士の遺児であり、空手の達人。
 戦闘用変形ロボット「ダイモス」のパイロット。
 バーム星人の女王エリカの恋人。
○夕月京四郎(闘将ダイモス)
 防衛戦闘機ガルバーFXUのパイロット。
○和泉ナナ(闘将ダイモス)
 和泉振一郎博士の孫娘。ガルバーFXUのサブパイロット。

371 名前:時空編/現代 フラッシュマンVSデカレンジャー:05/03/04 00:36

***ラウンドベース***

地球のとある山岳地帯に着陸している、
フラッシュ星の英知を結集して造られた移動要塞ラウンドベース。
ここ最近、宿敵たる改造実験帝国メスの動きが全くないまま、
ジンたち5人は暇を持て余していた……。

ダイ「このところメスの奴らの動きが全くないよな…。
 なんか拍子抜けしちまうぜ…」
ブン「ひょっとして俺たちに恐れをなして
 ラボーの奥に引きこもってるとか…」
ジン「いや、あの大博士リー・ケフレンがあの程度で
 引き下がる筈がない。それにメスのみならず、
 なぜかグランショッカーに属する全ての悪の組織が、
 ここ最近地球圏全体で鳴りを潜めている。
 きっと何かあるに違いない…」
ルー「それって、嵐の前の静けさ…ってやつかしら……」

その時、基地内のコンピューターで
いろいろ調べていたマグが突然声を上げた。

マグ「こ、これは…!?」
サラ「どうしたの、マグ?」
マグ「みんな! サー・カウラーの居場所が分かったぞ!」
ジン「何だって!?」

サー・カウラーの名を聞いた途端に
マグの側に駆け寄る5人。

ダイ「カウラーめ、やはり黄泉還っていたのか!」
マグ「地球署にあるデータベースによると、
 カウラーは既に地球に潜伏して来ているらしいんだ」
サラ「地球署って……もしかしてマグ、宇宙警察のデータに
 ハッキングしたの!?」
マグ「あ、いや…その…エイリアンハンターの犯罪者データを
 調べていたらたまたま……(汗」
ジン「それよりもカウラーは今どこに!?」
マグ「東京都心から離れた郊外の廃工場だ。
 もう地球署の刑事たちも出動したみたいだ。
 ………ん?」
ジン「どうしたんだ?」
マグ「…大変だ!? カウラーには既にデリート許可が出ているぞ!!」
ダイ「何だって!? そりゃ本当か!!」
ブン「冗談じゃないぜ! 俺たちの肉親を探す手がかりを
 みすみす消されてたまるかっての!!」
ジン「急いで俺たちも出動だ! 何としてもカウラーが
 デリートされるのを止めるんだ!!」

372 名前:時空編/現代 フラッシュマンVSデカレンジャー:05/03/04 00:37

***東京都内の某廃工場***

もう何年も前に閉鎖され、今は使われておらず無人のはずの
廃工場の建物の中には、エイリアンハンターの総元締サー・カウラーと
その腹心ボー・ガルダン、大物宇宙海賊のギジルにその義兄弟カタストラ、
そして今では完全にカウラーに調教されてしまっているオケランパがいた。

何やら小型の機械を調整しているギジルたち……。

ギジル「フフフ……こいつを手に入れるには苦労したぞ。
 何しろグランショッカー・ゴズマ軍の最高機密だからな…」
カウラー「さすがはギジル、仕事が速いな…。
 GVMN・ラボの一人Dr.ヒネラーが開発した
 時空連結ネジレシステムの試作メカ…。
 これさえあれば、さっさとこの次元からおさらば出来る…。
 …それにしてもケフレンが未来に向かったという話は本当か?」
ギジル「ああ、間違いない。この試作メカをグランショッカーの基地内から
 こっそり失敬して来た際に仕入れた、確かな筋からの情報だ」
カウラー「そうか…奴には借りがある。
 我らエイリアンハンターが、ケフレンから受けた数々の仕打ちと屈辱…。
 百倍千倍にして返してやらねば俺の気が済まぬわ!」

その時、ボー・ガルダンが、
こちらに近づいてくるサイレンの音に気づいた。

ガルダン「――!! カウラー様、あれを!?」
カウラー「フフッ…来たか…」

宇宙警察地球署配備の高速パトカーであるドーベルマンとブル、
そしてデカブルーを乗せた白バイ・ハスキーと、
デカブレイク専用の特殊一輪バイク・マシンボクサーが、
サイレンを鳴らしながらアジトの中へと突入してきた!

デカブルー「エイリアンハンターの総元締、サー・カウラーだな!?」
カウラー「これはこれは宇宙警察の諸君、こんなところにまで
 わざわざお仕事とは、ご苦労なことだな…」
デカグリーン「いったい地球で何を企んでいる!?」
カウラー「そうだな…せっかくだから教えてやろう。
 俺はこれから時空クレバスを利用して旅に出るのさ。
 遥か遠い異世界とやらにな…」
デカイエロー「もしや他の次元に逃走するつもり!?」
デカピンク「そんなの絶対許さないんだから!!」
カウラー「フッ…だったらどうする?」
デカブレイク「ナンセンス! 勿論デリートします!」

カウラー「面白い。貴様ら青二才にこの俺がデリートできるか?」
ガルダン「カウラー様には指一本触れさせん!」

デカブルー「いくぞみんなっ!!」
他4人一同「おおっ!!」


○フラッシュマン→自分たちの肉親の手掛かりを知る唯一の存在、
 サー・カウラーにデリート許可が出ていると知り、先に出動した
 デカレンジャーを止めるべく、大慌てで現地に急行する。
○デカレンジャー→カウラー一味が地球に潜伏していたアジトを割り出し、
 現場に到着。そこでカウラーらと交戦状態に突入。
●サー・カウラー→ギジルたちにグランショッカー秘密基地から
 時空連結ネジレシステムの試作機を盗ませ、それを使って
 異次元か別の時代の世界に向かおうとしているらしい。

373 名前:時空編/現代 フラッシュマンVSデカレンジャー:05/03/04 08:31

事態は予想通りカウラー一味とデカレンジャーの激戦に発展した。
カウラーの電磁ムチや、カタストラの剣の太刀捌きに苦戦するデカレンジャー。

ギジル「フハハハハ! お前たち噂では
 あのヘルズ三兄弟を倒したらしいが、このギジルと
 サー・カウラーを同時に敵に回したのが運の尽きよ!」
デカブレイク「くそっ! ならこれならどうだ!
 ――光速拳ライトニングフィスト!!
ガルダン「――甘い!!」

ブレスロットルのスロットルで加速装置を起動した
デカブレイクの左腕を光速で繰り出す拳を、
ガルダンが2本を回転させながら巧みに操るガルドロッドが遮る。
しかしさすがに防ぎ切れずに、ギジルとカタストラの方にダメージが…。

ギジル「ぐわああっ!!」
カタストラ「ぬおおっっ!!」
ガルダン「ぬっ、しまった!?」
デカブルー「よし今だ! フォーメーションF3!」

デカイエローとデカピンクのディースティックによる打撃、
デカブルーとデカグリーンの飛び蹴り、そしてディースナイパー、
ディーブラスター、ディーショットの同時射撃という
連続攻撃を決める。

ガルダン「おのれぃっ!!」
デカグリーン「( ̄〜 ̄;b う〜ん…やっぱりバンがいないと、
 同時攻撃もちょっと調子が狂っちゃうんだよね〜…」
カウラー「ほほう…それにしてはなかなかやるな。
 だがこれならどうだ!!」

再びカウラーの電磁ムチが容赦なくデカレンジャーを襲う!!
しかしそれを銀河一刀流の剣捌きで瞬く間に阻む剣士の姿があった!!

カウラー「貴様は!?」
デカイエロー「ボス!?」

デカマスター「百鬼夜行をぶった切る! 地獄の番犬・デカマスター!」

374 名前:時空編/現代 フラッシュマンVSデカレンジャー:05/03/04 08:32

カウラー「フッ、貴様が地獄の番犬か…。
 一度手合わせ願いたいと思っていたところだ」
デカブルー「ボス!」
デカマスター「お前たちは下がっていろ。こいつは俺が倒す!」
ガルダン「カウラー様!?」
カウラー「ガルダン、お前たちは手を出すな」

両陣営が見守る中、対峙するカウラーとデカマスター。
互いに幾度となく切り結んだ後、
ようやくカウラーのムチ裁きを見切ったデカマスターが、
ディーソードベガでカウラーのムチを切断した。
しかしカウラーも然る者。切断されたムチを槍に変えて、
尚も戦いを続ける。

デカマスター「――やるな! さすがは銀河の暗黒街に
 その名を轟かせたエイリアンハンターの総元締だ!
 …だが、そろそろ決着をつける!」

ディーソードベガの刃が伸び、敵を一刀両断にする銀河一刀流の秘技、
『ベガインパルス』を繰り出すデカマスター。だが…!!

レッドフラッシュ「――危ない!!」
カウラー「むっ、お前は!?」
デカマスター「――!? いかん!!」
レッドフラッシュ「うわああああ――!!!」

どこからかいきなり間に割って入り、
カウラーを庇う形でベガインパルスの直撃を受けるレッドフラッシュ。
だが、デカマスターが直前で力を緩めたため、
致命傷にはならずに済んだ。

レッドフラッシュ「ぐっ…」

その場に倒れこむレッドフラッシュ。
そして他の4人のフラッシュマンも続けて乱入して来て、
ぐったりとしているレッドフラッシュを両肩から抱える。

375 名前:時空編/現代 フラッシュマンVSデカレンジャー:05/03/04 08:33

デカマスター「君たちは……!?」
デカブルー「何なんだお前たちは!?
 いったいどこから入って来た!!」
デカブレイク「邪魔をしないでください!!」
イエローフラッシュ「待ってデカレンジャー!
 カウラーをデリートするのはどうかやめて!」
デカピンク「どういうこと!?」
グリーンフラッシュ「カウラーは俺たちの肉親の居場所を知っている
 唯一の存在なんだ! 頼むからここで奴を倒さないでくれ!」

懐かしいものを見たような目で高笑いをあげるサー・カウラー。

カウラー「フフフ…フハハハハハ!!!!」
レッドフラッシュ「ぐっ…カウラー!!」
カウラー「久しぶりだなフラッシュマン。
 以前に比べてさらに成長したようだな…」
グリーンフラッシュ「カウラー、貴様!!」
イエローフラッシュ「お願いカウラー!!
 私以外の他のみんなの家族のことも教えて!!」
カウラー「あいにくだが、俺がエイリアンハンターとして
 捕獲してきた生命体は、お前たち5人だけではないんでな。
 メスに差し出してきた生命体の家族や血縁者の事など、
 いちいち全部覚えていられるか…」
ブルーフラッシュ「何だと!!」
イエローフラッシュ「…でも、私には教えてくれたじゃない!!」

そこに突然、空間が歪み、
空中に大きな時空の穴が開いた。

デカブルー「あれは!?」
カウラー「俺たちは未来の地球へと向かう」
レッドフラッシュ「未来の地球…!? どういうことだ…?」
カウラー「ケフレンもそこにいる」
グリーンフラッシュ「何だって!!」
ピンクフラッシュ「大博士リー・ケフレンが未来の時代に!?」
カウラー「そろそろ時間だ。フラッシュマン、
 肉親のことが知りたければ追ってくるがいい。待っているぞ!
 ハハハハハ!!!」

そのままサー・カウラーとボー・ガルダン、
そしてエネルギー獣オケランパは、発生した時空クレバスの中へと
消えてしまった……。そしてその時空クレバスも閉じてしまった……。

376 名前:時空編/現代 フラッシュマンVSデカレンジャー:05/03/04 08:36

デカピンク「あ〜あ、逃げられちゃった!」
デカマスター「とりあえずギジルとカタストラからデリートだ」
デカグリーン「了解! マーフィー!」

デカベース走ってやって来たロボット警察犬マーフィーK-9が、
デカグリーンが空中に放り投げたキーボーンを口にくわえ、
必殺武器ディーバズーカに変形する。

デカグリーン「ターゲット!」
デカイエロー「ロックオン!」
デカブルー「ファイヤー!!」

2人まとめて一撃でストライクアウトされるギジルとカタストラ。

ギジル「う、うぎゃあああ…!!!!!」
カタストラ「せっかく黄泉還って来たのにぃぃ…
 む、無念だアァァァ〜!!!!!」

デリート完了。

デカピンク「これにて一件コンプリート!
 メガロポリスは日本晴れ……じゃな〜い!!
 ちょっと、どーして邪魔してくれたのよ!?
 結局逃げられちゃったじゃない!!」
デカブレイク「公務執行妨害ですよ!!」

肝心のサー・カウラーに逃げられ、
フラッシュマンに対して怒り心頭のデカピンクとデカブレイク。
それをデカグリーンが宥める。

デカグリーン「よせよウメコ。これ以上責めちゃいけない。
 彼らにもどうやら事情があるようだし…」
レッドフラッシュ「すまない…。けど…他にこうするしかなかったんだ……」
デカブレイク「地球署であなた方の事情を聴取します」
デカブルー「彼のその傷の手当もある。一緒に来てくれるね?」
イエローフラッシュ「はい…」


●サー・カウラー、ボー・ガルダン、オケランパ→時空クレバスを利用して
 未来世界へと向かう。
●ギジル、カタストラ→デカレンジャーにデリートされる。
○フラッシュマン→デカレンジャーとサー・カウラーらの戦闘の現場に乱入。
 結局カウラーには逃げられてしまい、事情聴取のため(ジンがカウラーを
 庇って受けた傷の手当も兼ねて)地球署までの任意同行に応じる。
 また、大博士リー・ケフレンも既に未来世界に向かったことを知る。

【今回の新規登場】
○マーフィーK-9(特捜戦隊デカレンジャー)
 ウメコになついているロボット警察犬。
 キーボーンを口にくわえることで必殺武器ディーバズーカに変形する。

377 名前:時空編/現代:05/03/08 02:15

***東京・立花レーシングクラブ***

応接室で話している本郷猛とアスラン・ザラ、それに立花藤兵衛と木場勇治。

本郷「そうか…RAPTは早速SB社への圧力をかけて来たか」
木場「ええ…以前と違って、SB社がオルフェノクによる企業だと
いうことは今や周知の事実ですからね。花形社長も苦慮しておられます」
アスラン「連中がティターンズやブルーコスモスの系統なら、
このままにはしておけない。もちろん、グランショッカーや宇宙連合も」
本郷「ムゥ……不動君=デビルマンからの情報では、魔界の方でも
何か大きな動きがあるようだ。デーモンや妖魔族の活動にも注意しなければ…」
藤兵衛「四方に敵だらけというわけか…(小声で)キラ君がヒマラヤで集めて
来た大首領の情報が、何かの手がかりになってくれればいいが」
本郷「そのことなら、光太郎君と五代君が調べてくれていますよ。
……ところで、あれから身体の方は? アスラン君」
アスラン「おかげ様で…後遺症らしきものも出ていません」
木場「それにしても、あの崩落から皆さんを脱出させた光は…」

***回想・オルフェノクの王復活の神殿***

天井から落ちて来た大きな瓦礫の塊が、ローズオルフェノクの
頭上に──!! だが、通常なら余裕で避けられるものを、
一瞬の激痛がローズの動きを足止めした!
ライダーたちの攻撃は、少しずつでもローズオルフェノクに
ダメージを蓄積させていたのだ…!

ローズ@村上の影「う…う!?」

グシャッ!!

呆然としたまま、瓦礫の下敷きになる──潰されるローズオルフェノク。

龍騎「わわわ……!!」
1号「クッ……このままでは我々も……」
ファイズ「待ってくれ1号……奴は、まだ生きてやがる……!」

村上の声「……く……ククク……」

ファイズの言葉どおり、床の瓦礫がガラガラと盛り上がって崩れ──
頭部、腕、腹部──半ばグチャグチャに潰されたローズオルフェノクが
ヌウッと立ち上がる……正に幽鬼のごとく!

V3「化け物め……ッ!!」

非常用出口とライダーたちの間に立ちふさがるローズオルフェノク。

ローズ@村上の影「私は不死身だ……貴様たち下等な生物とは違うの
だよ……ククク……」

震動はますます激しくなり、キラやアスランの上にも瓦礫が……!

スカイ「キラ君…アスラン君ッ!!」
龍騎「もう……ダメなのかよッ!?」

ピ……カァッ……

一同「!?」

まばゆい、そして暖かい光が崩壊寸前の地下に広がり、包みこむ。

時間が止まったように──震動と崩壊はその動きを静める。
キラとアスランの鎖がゆっくり外れ、2人の目がそっと開く。

ローズ@村上の影「……い、一体何が……これが『SEED』の力だと
言うのかっ!? バカな、オルフェノク以上の力など……ぐわああ!!」
1号「──今だ!!」
1号&V3&スカイ「トオ──ッ!!」

飛び上がる1号に続き、V3とスカイも続いてジャンプ!

ファイナルベント
Exceed Charge

龍騎とファイズも必殺技を発動させる!

「ライダァァァァキィィィ────ック!!」

ライダーキックとスカイキック、V3火柱キックとドラゴンライダーキックが
それぞれダブルでローズオルフェノクに炸裂し、そして──

ファイズ「うおりゃあ────ッッ!!

最後にクリムゾンスマッシュが──決まった!!

ローズ「ギャアアア──ッッ!!」

ローズオルフェノクの千切れた首が宙を舞い──グシャリと堕ちた。
残った身体が青い炎に包まれて燃え上がった刹那──

龍騎「ま、まぶしい! 何も見えない…ッ!?」
一同「ウワァァァ!?」

──時間が再び動き出し、地下神殿が完全に崩れ落ちた時には
もう彼らの姿はそこには無かった……。

378 名前:時空編/現代:05/03/08 03:57

***回想終わり、再び立花レーシングクラブ***

本郷「……あの光が何だったのか、俺にも分からない。キラ君たちの
秘められた力なのか、それともミュータントベビーを名乗る謎の赤ん坊
の助力なのか……」
木場&アスラン「……」
藤兵衛「……(重い空気をそらすように)キラ君といえば、
凍傷の方はもういいのかい?」
アスラン「あ、ええ…一体どうしたのか、あいつらしくもない…」
本郷「ヒマラヤ・チベットと言えば、悪魔界の一台派閥であるデーモン族が
封印されていた場所、そしてバビル2世=浩一君の宿敵であるヨミの
故郷でもある……」
木場「何かが流れ出しているのかも知れませんね。人の心を狂わせる
何かが……」
本郷(烏丸さんの話とも……何か関係が……!?)

藤兵衛の気遣いも空しく、再び重い雰囲気に包まれる一同であった。

***日本・地球連邦軍極東支部***

ジャンプ実験ドームでは、引き続き時空クレバス実用化に向けた
研究が続けられていた。その様子を視察している剣桃太郎と案内の
一の谷博士。

桃太郎「……あそこにいるのは確か、時村博士と並び称される
タイムマシン研究家の……」
一の谷「さよう、木江田博士ですな。史上初のタイムマシン・
タイムボカンの開発者です」

忙しく働く研究班の中には、宇宙戦艦ヤマトの機関長である
徳川彦左衛門と同科学班班長・真田志郎、大空魔竜隊のサコン・ゲンや
科学センターの岩本博士の姿も見える。
正に、日本の誇る頭脳が総結集していた。

桃太郎「木江田博士のタイムマシンで、フラッシュマンの身元を
調べることは?」
一の谷「残念ながら、現在の技術では直近時間へのジャンプは
難しいのです。数十年単位がやっと…といったところですかな。
連邦の時空管理局…タイムGメンやタイムパトロール、
それにICPO傘下のタイムリース社の活動により、タイムパラドックス
を極力起こさずに歴史を修正するノウハウはほぼ出来上がっているのですが
…」
桃太郎「コセイドン隊にオタスケマン、それにイッパツマンの活躍なら
俺も聞き及んでいる──ゴドメス星人やコン・コルドー…宇宙連合と
呼ばれる異星人組織の尖兵どものこともな」
一の谷「彼らが培った時間移動技術に加え、イスカンダルより
もたらされた空間移動技術=ワープ航法、裏次元ディメンシアによって
もたらされた多次元突破技術、メモリー・ジーン博士が心血を注いだ
空間転送技術──これら全てを完全解析し、統合することで──
波動エンジン無しでのワープ、タイムマシン以外の人や物品を別の時空に
送り込む技術を完成させるのが今回の最終目的……」
桃太郎「……ある意味、神の領域に踏み込もうとしているのかも
知れんな、俺たちは……」
一の谷「危惧があるのは当然ですな……今も、SGMの御手洗博士、それに
PUを通じてある2人の人物の説得に当たっているところです。
彼らの協力が得られれば、計画の完成は更に早まるでしょう」

***???***

???「フフフ……どうかね、気分は? 村上君」

水槽の中で培養液に浸され、うっすらと目を開けている──村上の生首!
彼の返事が、マイクを通じてスピーカーから流れる。

村上の声@スピーカー「……下の中、くらいですね。出来れば
早急に新しい身体をお願いしたいところです」
???「安心されるが良い…貴殿の新しい身体は、完成までもうわずか…
まあ、ただ待つのも退屈であろう……例の物をこれへ」

控えていたBDN戦闘員──コンバットロイドが、うやうやしく
布に包まれた何かを捧げる。

村上の声@スピーカー「!! ……それは……!!」
???「さよう……貴殿が長きに渡り欲していた最後の……
『海』のベルト…シグマドライバー!!

水槽の中で、目を見開く村上。

???「貴殿の復活の折には、これを進呈したいと存ずる。
……そうそう、貴殿の片腕であったロブスターオルフェノクと
ミラーライダーの1人・仮面ライダーシザースも現在デストロン
ブロックで復活の儀を執り行っておる……」
村上の声@スピーカー「フフ……さすがはエーデル・クロイツの
真の主宰……」
???「……いずれGVMN・ラボは謀反を起こすであろう……
その時のための切り札は、いくら用意してもしすぎることはない……
ククク……」

379 名前:各地の状況…:05/03/08 05:34

***マグノ一家のアジト***

一応のボディチェック後、基地内に案内されるロム。
──いつの間にか、青年がもう2人、ロムに随行して
来ている。

ヒビキ「!? おいあんたたち、いつの間に…」
青年A「ああ、驚かせてごめん。僕らは連中の行き先を偵察して、
戻って来たところなんだ。ボディチェックは受けたから、安心して
くれていいよ」
青年B「我々は、宇宙連邦の使者として来たんだ」
一同「宇宙連邦!?」
ロム「……俺はロム・ストール。惑星クロノスのクロノス
族族長・キライが一子だ」

ロムに続いて、青年2人も自己紹介する。

高瀬健「僕はアイビー星人のニック──地球にいた頃は
高瀬健、それに"マシンマン"と呼ばれていた」
おおとりゲン「僕はL77星人レオ──地球での名前はおおとりゲン、
またの名を……ウルトラマンレオ」

その場にいたマグノ一家の面々の間にどよめきが走る。

ヒビキ「地球での…名前!?」
健「ああ、大学時代は地球で研究活動をしてたんだ」
ゲン「僕は……故郷の星を滅ぼされてね。今はM78星雲に
厄介になってるんだけど、以前は地球にいた」
ロム「俺の妹も、今は地球人に混じって生活している…」
ゲン「あなたがたが、地球人にいい感情を抱いていないのは知っている。
だからこそ逆に、包み隠さずお話した」

健=ニックのポケットから、小さなボール型ロボットが顔を出す。

ボールボーイ「出てけって言うなら出てくけど…出来れば信用して
欲しいなあ」
マグノ「……話を聞こうじゃないか、客人」

***PU日本支部***

恒星間通信機で小バームのエリカと通信中のベルナデット。

ベルナデット「エリカ陛下……この度は何とお詫びして良いか……」
エリカ@モニター「いいえ、あなたが謝られることはありませんわ。
木星の民が、悪しき心の持ち主ばかりでは無いことは十分承知しています」
ベルナデット「……ありがとうございます……」
エリカ@モニター「セイラ代表や、皆様にもよろしくお伝えください。
あなたも……トビアさんをお大事にね」
ベルナデット「……(赤面)そ、それではこれで失礼いたします……」

通信を終え、フゥと息をつくベルナデット。
と──ドアがバタンと開き、1人の女性が飛び込んで来た。
数ある異世界の1つ──ハラハラワールド・アララ国の王女で
現在は地球人の青年と結婚、一児の母となっているミルク姫だ。
夜食の最中だったらしく、食べかけの肉まんを手に持ったままだ。

ミルク「ベルナデットちゃん大変──東京郊外にオーラバトラーらしき
ものが墜落したって!」
ベルナデット「ええっ!? まさか、バイストン・ウェルで何か……」
ミルク「あたしたちも急いで行きましょ! これも急いで食べちゃお
(モグモグ…)」

いついかなる非常事態においても、食べることだけは忘れない
──ミルクとは、そういう女性であった。

***東京郊外***

墜落──と言うより不時着したオーラバトラー・ライネック。
爆発炎上こそしていないものの、周囲の木々をなぎ倒して
大破している。
現場には既に警官たちによって封鎖されており、安眠を妨害された
野次馬たちでごったがえしていた。
そこへ到着する一台の車。運転席からミルクが、助手席から
ベルナデットがそれぞれ出てくる。

ミルク(背伸びしながら)「……あ〜、この人だかりじゃ近寄れないよ〜」
ベルナデット「……乗っていた人たちは何処へ……」
???「姉さん方、姉さん方、PUのお姫さんたちちゃうか?」
2人「ひっ!?」
突然背中を叩かれ、飛び上がるミルクとベルナデット。
声の主を見て二度びっくり……そこにいたのは人間ではなく、
仮面のような顔の昆虫人間! 厚いフードつきコートで身を隠して
いるものの、夜道では出会いたくない風貌だった…。

ベルナデット「キャ……モg」
ミルク「(あわててベルナデットの口を押さえながら)あんたは
確か…老師グルの息子さん?」
カブト「そや、そういうあんたはハラハラワールドのミルク姫か!?
……そやったら話が早いわ。PUに連れて行って欲しい怪我人が
おるんや」

カブトに案内されて行くと、近くの繁みに1人の少女が寝かされていた。

ベルナデット「……リムルさん!?」
ミルク「PUバイストン・ウェル支部の……!?」
ベルナデット「これは一体……シーラ陛下やエレ陛下は!?」
カブト「いや、ワイもワープ中に偶然出くわしただけやからな…
とにかく、一旦あんたらの所に運んだってーな。アース…いや、
今はコスモアカデミアやったな、そっちへの連絡は後でええわ」
リムル「う……うう……」
ベルナデット「リムルさん、しっかりして!!」
ミルク「待っててよ、急いで車回すから!」

***デカベース***

ドギー「お久しぶりです、ユイ・イブキ…それにVRVマスター」

フラッシュマンが宇宙警察地球署に連行されたと聞き、身元引受人として
駆けつけた時村博士に付き添って来た2人──電撃戦隊の
伊吹長官と、惑星シドン復興委員であるダップパパ=VRVマスター!

伊吹「彼らの──フラッシュマンの取調べはまだ……?」
ドギー「申し訳ありませんが、終了するまでの面会は許可できません」
時村「……」
VRVマスター「やむをえんでしょう、時村博士。で……ジン君の容態は?」
ドギー「幸い、スーツのおかげで深手には至っていません……それにしても、
VRVマスターはいつ地球に?」
VRVマスター「チーキュには昨日着いたところです。伊吹長官やあなたに
現在の状況をお伝えしたいと思いましてね」

○本郷猛たち、情報を整理中。
○時空クレバスの研究、急ピッチで進められている。
鍵を握る2人とは…?
●エーデルクロイツの黒幕らしき謎の人物、首だけになった村上に
第3の帝王のベルト・シグマドライバーを譲る約束をする。
○マグノ一家に宇宙連邦の使者が接触。
○リムル・ルフト、傷を負った状態で地上に。PUに保護される。
○地球署に、時村博士と共に伊吹長官とVRVマスターが訪れる。

【今回の新規登場】
○高瀬健=ニック=マシンマン(星雲仮面マシンマン)
アイビー星人・大学卒業後は宇宙連邦事務局に勤務
○ボールボーイ(星雲仮面マシンマン)
マシンマンのサポートロボ・何故か地球の野球ボール型をしている・
攻撃形態ファイティングボールに変形
○おおとりゲン=ウルトラマンレオ(ウルトラマンレオ)
L77星人で元王子・元MAC(宇宙パトロール隊=Monster Attacking Crew)
隊員・宇宙警備隊支部長・ウルトラ兄弟の七男
○馬場ミルク=仮面の忍者桃風(NG騎士ラムネ&40シリーズ/VS騎士ラムネ&40炎)
異世界ハラハラワールドにあるアララ国の第3王女・馬場ラムネ=
2代目勇者ラムネスの妻で馬場ラムネード=3代目勇者ラムネスの母・
大食漢・PUメンバー
○リムル・ルフト(聖戦士ダンバイン)
バイストン・ウェル人・ドレイク軍首領ドレイク・ルフトの娘・
ゼラーナ乗組員としてオーラバトラーパイロットも務める・PUメンバー
○カブト(重甲ビーファイター)
老師グルの息子である昆虫の精・時空ワープ能力を持つ・何故か関西弁
○VRVマスター=ダップのパパ(激走戦隊カーレンジャー)
ハザード星人・VRVロボ&ビクトレーラーの開発者

380 名前:名無し客:05/03/08 05:44

>>379訂正

×ベルナデット「……乗っていた人たちは何処へ……」
○ベルナデット「……乗っていた人は何処へ……」



381 名前:時空編/神鳥レティス、世界を回る:05/03/10 06:05

時空クレバスを通り抜け、
多くの並行世界の中の1つ「ハイラル」へと飛来した
神鳥レティスと、その背に乗っているレオナ姫…。

レオナ「…ここは!?」

レオナ姫、ここがハイラルです…。
その昔…天上の神々によって黄金の聖三角――トライフォースが…
この地に残されたと聞いています……。

レオナ「なんて綺麗なところなのかしら……」

まずはこの世界を治めるゼルダ姫に会いましょう……。
彼女であれば、きっと力になってくれることでしょう……。

***異世界ハイラル***

伝説の剣を携えた勇者リンクの活躍により、
大魔王ガノンの脅威は消え、再び平和を取り戻したハイラル。
王女から女王に即位したゼルダ姫の統治で、
国には永く幸せが続いていたが……

……その夜、自宅で就寝していたリンクは、
夢、夢を見ていた。どこかで聞いた声、これは…トライフォース!?



―――リンクよ聞きなさい。ハイラルにまた邪悪な気が漂ってきています……。

中でもへブラ山の北東にひときわ大きなものがあります……。

そこであなたに調査に向かってほしいのです……。

もしかするとまたガノンのような者が現れようとしているのかもしれません……。

準備は怠らないように―――



リンク「――!!」

ベットから飛び起きるリンク。

リンク「………夢…か…。
 なんだろう、ひどく胸騒ぎがする……」

382 名前:時空編/神鳥レティス、世界を回る:05/03/10 06:06

翌日、出仕のため王城へと向かったリンクが城で見たものはなんと、
雄大な銀の翼を持ちし、一際大きな美しい鳥であった……。

リンク「ゼルダ姫、これは!?」

はじめまして。こんにちわ、リンク……。

リンク「鳥が喋った!?」
ゼルダ「驚かなくてもいいのですよリンク…。
 これは天界の生き物にして、異世界の精霊神に仕えるしもべ。
 この世界に住む私たちに迫る危機を知らせにきてくれた神鳥です」
リンク「神鳥……」
レオナ「あなたがリンク君ね? 私はレオナ。
 昨日ゼルダ姫からお話は伺ってたけど、よろしくね」
リンク「よ、よろしく……」

大魔王ガノンが復活しました……。

リンク「なんだって!? そんな馬鹿なっ!
 ガノンはあの時確かに僕が倒した! それに今だって、
 ハイラルは平和そのものじゃないか!」
ゼルダ「リンク、残念ながらガノンの復活は事実のようです。
 神鳥が嘘を言うとは思えません…」
リンク「いったい、どうして……」

今、幾つもの並行世界で時空の歪みが生じ……
次元を隔てる壁が崩れ始めています……。
それに乗じて、各地の世界に存在する数多くの悪しき者たちが……
縦横無尽に暴れ始めたのです……。

レオナ「私の住む世界も、グランショッカーとかいう奴らに攻められて、
 多くの仲間や罪のない人たちが傷ついてしまった……」
リンク「………」

ガノンは時空の歪みを飛び越え……
今は地球(テラ)と呼ばれる世界に潜伏しています……。

リンク「地球…?」          テ ラ

ガノンを倒せるのは貴方だけです……。
リンク、私と共に地球まで来てくれますね……?

リンク「僕は昨日、夢を見たんだ…。
 トライフォースが、僕に託宣を告げてきた…。
 へブラ山の北東を調べよ、と……」
ゼルダ「………」

では、まずはそこへ参りましょう……。
きっと何かてがかりがあるはず……。
一緒に来てくれますね? リンク……。

神鳥レティスの問いに、黙って頷くリンク。

ゼルダ「出かけるのですか、リンク……」
リンク「ゼルダ姫、行って来ます。
 たとえハイラルの事でなくても、またガノンによって苦しめられている
 人々がどこかにいるのだとしたら、僕は放っては置けない…。
 それにもしかしたら、このままだと再びハイラルにも災厄が及ぶかもしれません…」
ゼルダ「では、これを……」

ゼルダ姫は、一本の矢尻をリンクに渡した。

ゼルダ「これは、封印戦争を戦った騎士団――ガーディアンに伝わる、
 邪悪を打ち抜く銀の矢尻です…」
リンク「ゼルダ姫……」
ゼルダ「リンク、私はこの城から
 あなたのご武運を心から祈っています……」

383 名前:時空編/神鳥レティス、世界を回る:05/03/10 06:07

以前の冒険で手に入れた装備一式を整え、
外に出てオカリナを吹くリンク。
魔法の薬屋に寄り 赤、緑、青の薬を買い、妖精の泉で妖精を1匹捕まえ、
やって来たのは迷いの森…。

リンク「久しぶりだな、ここも」

神鳥レティス、レオナ姫と共にリンクがやって来たのは、
森の最奥にある退魔剣マスターソードの台座である。
片手で剣を持ち、もう片手で、力、勇気、知恵のペンダントを掲げる…。
すると剣が簡単に抜ける。2、3回素振りしてみる。
剣を鞘に収め、再びオカリナを吹いた……。

レオナ「これで準備は整ったのね?」

では参りましょう……。ヘブラ山へ……


○神鳥レティス、レオナ姫→ハイラルに飛来。ゼルダ姫とリンクに接触。
○リンク→ゼルダ姫から銀の弓の矢尻を受け取り、
 神鳥レティスとレオナ姫を伴って、ヘブラ山へ向かう。

【今回の新規登場】
○リンク(ゼルダの伝説シリーズ)
 これまで何度かハイラルの危機を救ってきた若き勇者。
○ゼルダ姫(ゼルダの伝説 神々のトライフォース)
 異世界ハイラルを治める若き女王。

384 名前:時空編/神鳥レティス、地球へ:05/03/14 17:49

***へブラ山***

リンクとレオナ姫をその背に乗せた神鳥レティスが、
ヘブラ山上空を東に向かって飛んでいる。
山の一番東の端には、ちょっとした高台があり、
以前そこには、裏世界のカメイワ迷宮に通じるゲートが存在した。
そして目的地へと到達した彼らが見たものは、
時空の揺らぎにより発現した、空間に開いた不思議な穴であった……。

レオナ「これは……」
リンク「見慣れないな。こんなゲートを見るのは初めてだ…」

これが、時空クレバスです……。

リンク「これが時空クレバスなのか。よしっ、この先にガノンがいるんだな!」

勇んで時空クレバスの中に突っ込もうとするリンクを、
神鳥レティスが慌てて引き止める。

お待ちなさい…!!
この中は大変不安定なのです……。
むやみやたらに突入しては……
どこに行き着くか分かりませんよ……。

リンク「じゃあ、一体どうやって?」

レオナ姫、貴女をお呼びしたのは、実はこのためなのです……。

レオナ「えっ…私が!?」

貴女が習得している大破邪呪文――ミナカトールで……
時空クレバスの中に充満し、乱れ飛び散っている邪気を払い……
善なる者たちを導く、次元、転移、時間の3つの座標軸を……
安定させるのに寄与してもらいたいのです……。

レオナ「でも…ミナカトールを唱えるには、アバンのしるしが5つ揃わないと…!!」

輝聖石の代わりは、私の力で何とかします……。
貴女はただ心静かに、ミナカトールを唱えてください……。

レオナ「わかったわ。やってみる」

リンクが見守る中、神鳥レティスの聖なる力による庇護の下、
レオナはゆっくりと呪文の詠唱を始めた……。

レオナ大破邪呪文!! ミ ナ カ ト ー ル

385 名前:時空編/神鳥レティス、地球へ:05/03/14 17:51

一方その頃、地球では……

***東京タワー***

タワーの展望台にて、窓の外を見ている3人の女子中学生。

風「……あれから、もう一年以上経ちますね」
海「私たち、もう二度も異世界に行った女子中学生ね」
光「うん♪」

いたずらっぽい笑顔の海。風も笑って、光も笑顔。
一年前、エメロード姫によって魔法騎士  マジックナイトとして召喚され、
異世界(実際は地球から遠く離れた惑星)セフィーロの危機を救った
獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風の3人は、それぞれ別々の学校へと通いつつも、
戦いとは程遠い平和な日々を暮らしていたが、セフィーロで過ごした日々の思い出は、
今でも彼女らの心の中に確実に存在していた…。

海「ねえねえ、2人とも新聞で見た?
 今、時空クレバスを使った時間旅行と次元渡航に関する実験が
 どこかの研究機関で進んでいるんですって」
風「そのニュースでしたら私も読みましたわ。紙面の片隅にある
 とても小さい記事でしたけど…」
光「じゃあ! もしかしたら私たち、またセフィーロに行けるのかな?」
風「さあ…それは分かりませんが…。
 何しろ連邦軍の報道管制で、私たち民間人には
 具体的なことは何も伝わってきませんから…」
光「…でも、もう一度、セフィーロに行きたい!
 『柱』がなくても、美しく平和な世界を創る事が出来た
 セフィーロの新しい物語を知るために」

――その時、展望台の窓のすぐ外に、
漆黒の不気味な闇が広がると同時に、突然怪物が姿を現した!
火星でダイモスと戦いを繰り広げた後、
その行方を暗ましていた大魔王ガノンだ。

光「海ちゃん! 風ちゃん!」
海「な、何なの!? あのブッサイクな化け物は!!」
風「逃げましょう!」

一瞬にして恐怖とパニックに覆われる展望台。
悲鳴を上げながら逃げ惑う他の観光客たち。
光たちも突然の光景に戸惑いながらも、その場から必死に逃げようとするが……

光「キャアァァ――!!」
ガノン「グフフフッ……

ガラス窓と屋根をも突き破って中へと侵入したガノンは、
その伸ばした腕の中に光を捕らえた!

海「光っ!!」
風「光さん!!」
海「このおぉぉ――!! 光を放しなさいよぉっ!!」
ガノン「邪魔だ……!!

光を救うべく、そこらへんに落ちていた鉄パイプを咄嗟に拾って
勇敢に挑みかかる海であったが、今の彼女たちには戦う力はない。
ガノンの放つ数匹の火の鳥が、海めがけて飛んでくる。

風「海さん、危ない!!」
海「くっ……!!」

光「逃げて……海ちゃん……風ちゃん………」

ガノンの巨大な腕の中にぎっちりと握り締められ、
とても苦しそうな光。

海「一体どうしたらいいの!?
 光を助けるには、一体どうしたら…!!」

386 名前:時空編/神鳥レティス、地球へ:05/03/14 17:53

***警視庁第八署***

時は近未来。社会の国際化、流通の拡大…
社会の変化に伴い、社会の暗部もまた変化を続けていた。
犯罪の巧妙化、組織の大規模化は更に進み、治安は悪化の一途をたどっていた。
事態を重く見た時の政府は、画期的なシステムの導入を決定した。
特殊犯罪対策としての超法規の警官隊を組織することである。
市民の要望に素早く応え、迅速に事件を解決する少数精鋭の警官隊。
それが対特殊犯罪チーム、ウォーリアーズである。

真弥「お呼びですか、鳴尾本部長」
鳴尾「うむ、実はつい先程、市民からの通報があってね。
 東京タワーに巨大な怪物が現れたそうなんだ」

以前のウォーリアーズ暴走事件を契機に再出発した
現在の新生ウォーリアーズは、警視庁第八署に籍を置くキャリア組の
若きエリート――鳴尾祐司を新たな隊長として迎えていた。

利緒「怪物〜!?」
リリカ「それってもしかして、火星でジュピトリアンに召喚されて、
 ダイモスと戦った後行方不明になってたという、あの怪物のことじゃないですか?」
鳴尾「うむ。その時の報告では、全長30〜40mはあろうかという
 巨大な化け物だ」
真弥「ちなみに東京タワーは、中央の大展望台までの高さが地上150m、
 さらにその上にある特別展望台までが250m、てっぺんまでの全長が333mです…」
利緒「もう東京タワーぶっ壊れてたりして…」
真弥「倒壊の可能性は充分に考えられますね…」
鳴尾「うむ。だからそうなる前に、
 君たちで何とかして来てくれたまえ。後は頼んだよ」
利緒「おいおい…それってマジですか?」

il||l_| ̄|○il||l

現在、東京タワーを襲っている怪物を退治しろとの
無茶苦茶な命令に思わず凹んでしまう利緒。

真弥「行きましょう利緒ちゃん。
 グズグズしてると、またRAPTが現場にしゃしゃり出て来て
 大きな顔をされるのも癪ですし…」
リリカ「そうですよ利緒先輩! さあ急ぎましょう!」
利緒「……しょうがないわね。それじゃあいっちょ行きますか!」

甘いマスクで白い歯を見せつつ、
ニッコリと笑いながら利緒たちを見送る鳴尾本部長。

鳴尾「ウォーリアーズ出動! 牙なき人のために」

387 名前:時空編:05/03/14 17:55

○レオナ姫→時空クレバスの邪気を払うため、
 神鳥レティスの力を借りて大破邪呪文ミナカトールを詠唱。
○獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風→東京タワーで大魔王ガノンに襲われ、大ピンチに。
●大魔王ガノン→突如、東京タワーを襲撃。光を捕らえる。
○ウォーリアーズ→市民からの通報を受け、東京タワーに向けて出動する。

【今回の新規登場】
○獅堂光(魔法騎士レイアース)
 女子中学生で道場の娘。異世界セフィーロの危機を救った魔法騎士の一人。
 炎の魔神レイアースの操縦者。
○龍咲海(魔法騎士レイアース)
 お嬢様学校に通う女子中学生で、魔法騎士の一人。
 水の魔神セレスの操縦者。
○鳳凰寺風(魔法騎士レイアース)
 有名進学校に通う女子中学生で、魔法騎士の一人。
 風の魔神ウィンダムの操縦者。
○鳴尾祐司本部長(BURN-UP SCRAMBLE)
 ウォーリアーズの新局長。利緒にベタ惚れしており、
 自分の地位を利用して、利緒にアタックしつづけているが、
 その都度いいようにあしらわれる。警察官としてはハッキリ言って無能。
○甲子園利緒巡査(BURN-UP SCRAMBLE)
 ウォーリアーズのリーダー。抜群の格闘センスを持つ。
○神宮真弥巡査(BURN-UP SCRAMBLE)
 銃器の扱いのプロフェッショナル
○リリカ・エベット巡査(BURN-UP SCRAMBLE)
 某国の極秘研究施設で密かに能力開発された複合超能力者

388 名前:時空編:05/03/16 04:43

***グランショッカー本部・デストロンブロック研究エリア***

デストロン戦闘員A「ギッ! 報告いたします!」
デストロン戦闘員B「ギッ! 第一陣に引き続き、ポドリムス・メカ次元・
ハイパーワールド・中華魔界・マーベルランド・エルハザード・
エターナリア・創界山・ハラハラワールド・四神天地界…」
ヨロイ元帥「……もうよい! キリがないわ」
ドクトルG「巨獣軍とミケーネ軍による異世界侵攻は拡大しているようだな」
デストロン戦闘員A「ギ、ギギッ、失礼しました!」

いくつもの大きなカプセルが立ち並ぶ、改造人間休眠室。
グランショッカー・ショッカー正規軍の鉄腕邪将であるデストロン
大幹部=ドクトルGと、今はその補佐を務めているヨロイ元帥が、
ある二つのカプセルの前に立っている。

ヨロイ元帥「いくら魔術やら法力やらを使う連中がいるとはいえ、
所詮は中世〜近世の文明レベルしかもたない世界がほとんど…
制圧も時間の問題でしょうな」
ドクトルG「……どこの世界にも、ハエやゴキブリ同様『ヒーロー』と
呼ばれる輩はいるようだが……いずれはカタのつく問題だろう」
ヨロイ元帥「フフフ、連中が異世界で必死にやっている間に、我らは
自らの足元をかためることが出来る……多少は苦戦してもらいませんとな」

カプセルの中では、一組の男女…らしき影がゴボ…ゴボ…と泡を吐く。
深い海の底のようなカプセル内で、確実に何かが育っていた。

ドクトルG「一握の灰からここまで再生するのは大変だったぞ…
須藤…いや、怪人ガザミスナイパー!!」
ヨロイ元帥「影山冴子…その冷酷さと美しさ、朽ちさせておくには
惜しい…オルフェノクサイボーグ・怪人ミスティロブスター
して復活し、グラ〜ンショッカーのために働くのだ!」
ドクトルG「そして憎き仮面ラ〜イダV3に…」
ヨロイ元帥「裏切り者ライダーマンに…」

ドクトルG&ヨロイ元帥「死を!!」

***ロモス王国・王城***

神官ポー「……何故貴公がここに? プリンス・シャーキン」

突然、化石獣と悪霊型戦闘獣の軍団を引き連れてこの世界に
進軍してきたプリンス・シャーキンに困惑と不審を隠せない
神官ポー。

プリンス・シャーキン「フフフ…サタンゴース様から闇の帝王陛下に
直々の援軍要請がありましてな…こうして参った次第」
ヘスラー「そのような…全土制圧は目前だというのに…」
???「……ホ、油断大敵とはこのことじゃな」
???「全く……おめでたいったらありゃしないわね」
ヘスラー「貴様ら…ッ!? 確か…」

シャーキンに付き従って現われたのは…妖魔界 ネメシス
の生んだ3大妖魔軍団の一つ・犯罪結社GILの長老である
ヴェーダと…ダークキングダム四天王の1人・ゾイサイト!

ゾイサイト「レオナとかいうお姫様が、時空クレバスを通って
異世界に救援を要請しようとしてるの、ご存知?」
ヘスラー「何と!?」
ポー「そ奴は今いずこに!?」
ヴェーダ「もう遅いですな、異世界に飛んでしもうた後じゃった」
シャーキン「……宇宙連邦のみならず、天界の者どもも水面下で
人間どもに肩入れを始めた様子……神官ポー、貴殿の計画も
少し軌道修正が必要なようだ」
ヘスラー「し、しかしこの世界へは我々が先に…!」
ポー「…いいでしょう。あなたがたのご助力、お受けいたしましょう」
シャーキン「フフフ……かつてあなたの尊祖父・大帝王クビライ様と
我が大魔妖帝バラオ様が協力してムー帝国を手中に収められたように……
此度もまた、不思議界と妖魔界の力を合わせましょうぞ…」
ヘスラー(クッ…シャーキンめ、恩着せがましい…)

その様子を離れた影から見ているキルバーン。

キルバーン(フン、イヤな奴らが来たね…でもま、面白くもなりそうだから
いいか)

389 名前:時空編:05/03/16 05:18

***東京***

現場──東京タワーに急行中のウォーリアーズ。

利緒「……でも、こういう仕事って本来はブレイブポリスか
AMPのお仕事じゃ? 敵はでっかいし、人外のバケモノだし」
真弥「どちらも…RAPTに抑えられている状態らしいです。
せめてK刑事かZACの皆さんだけでも応援に頼めれば良かったんですけど」
リリカ「ところで、もし今回破壊されたら、何度目でしょうか?」
真弥「えーっと…モスラにキングギドラにガメラにガラモンにメカニコング
に…」
利緒「ま、それだけのモノが出てきたら防衛軍も出動してくれるでしょ、
さすがに。こっちはこっちの仕事をするのみ!」

●ドクトルGとヨロイ元帥→死んだ冴子と須藤を怪人として復活させようと
している。
●グランショッカーによる異世界への侵攻は更に広がりを…。
●神官ポーの元に、増援としてプリンスシャーキン・ヴェーダ・
ゾイサイトが到着。シャーキンを通じて妖魔界とグランショッカー、
同盟を結んだ模様。フーマと妖魔帝国の間にもムー帝国滅亡にまつわる
因縁が…?
○人外の敵に対抗しうる警視庁内のセクション、人員に非ナチュラルが
いることが多いためほぼ活動停止を余儀なくされている様子。

【今回の新規参戦】
●ヨロイ元帥=ザリガーナ(仮面ライダーV3)⇒まだ未登場
 デストロン大幹部・ヨロイ一族族長・現在はドクトルGの補佐役
●ヴェーダ(超音戦士ボーグマン)
 犯罪結社GILの長老である妖魔人・実は妖魔王直属のエージェント
●ゾイサイト(美少女戦士セーラームーン)
 ダーク・キングダム四天王の1人でヨーロッパ地区担当・おネエキャラの
 美青年・同じ四天王のクンツァイトとは恋仲・元は超古代の地球人で、
 プリンス・エンディミオンの側近だった

390 名前:時空編・マシリト復活!?:05/03/16 18:56

さて、そのころ・・・。
日本本土から遠く離れたところにある小島。その名をゲンゴロウ島という。
その島にある村がペンギン村。はっきりいって相当の田舎である。
このような所にもグランショッカーの魔の手は伸びていた。
上空・・・。
マシリト「ふふふ・・・。私までもが黄泉還られるとはな・・・。
 今度こそ、このマシリト様がグランショッカーの名を借りて地球を支配してやるのだ!
  おっと、その前ににっくき則巻アラレを始末しないとな・・・。」
彼はDrマシリト。かつて地球征服を企ててたくさんのロボットを送り込んだが
そのすべてがアラレと相棒のガジラ(ガッちゃん)によってことごとく敗れ、
自分の体を完璧にメカにして挑んだ最終決戦でネジ2本を残して天国行きとなってしまった。
今のマシリトの体はその時の「キャラメルマン9号」を地獄にて大幅にパワーアップさせた
「キャラメルマン10号」である。

一方・・・
マイクブタ「ペンギン村は今日も平和だぞ〜い」
スズメ「チュンクチュクチュン、チュンクチュクチュン」

天才科学者、則巻千兵衛は自宅で暇を持て余していた。
「ふ〜ん、グランショッカーねぇ・・・。」
みどり「千兵衛さん、もしこんなのがペンギン村に来たらどうなっちゃうのかしら・・・。」
千兵衛「なぁに、こんな田舎を襲うはずないですよ。それにもし来てもアラレとガッちゃんがいますよ。」

みどり「そうですわね!あ、ところでアラレちゃんは?」
千兵衛「ん、確か怪獣たちとあかねとピースケと遊んでますけど?」
(則巻みどりさんは千兵衛の奥さんです。)



391 名前:時空編・マシリト復活!?:05/03/17 07:16

●Dr.マシリト→勝手にグランショッカーの名を騙って、ペンギン村に侵攻する。

【今回の新規登場】
●Dr.マシリト(Dr.スランプ アラレちゃん)
 ペンギン村の外れに住む自称悪の天才科学者で、則巻千兵衛のライバル。
 地球征服を画策しキャラメルマンシリーズを製作する。
○則巻千兵衛博士(Dr.スランプ アラレちゃん)
 ペンギン村在住の自称天才発明家。則巻アラレの製作者で戸籍上の兄。
○則巻"旧姓:山吹"みどり(Dr.スランプ アラレちゃん)
 ペンギン村立中・高学園の元教師で、則巻千兵衛の妻。

392 名前:時空編・マシリト復活!?:05/03/17 14:21

↑追加。
●Dr.マシリト
今回のキャラメルマンは10号(半オリジナル)。かつての9号(自分自身)を地獄で大幅にパワーアップ。
実はまたも名前(キャラメルマン10号)がダブっているのだが本人は気づいてない。


393 名前:時空編/現代:05/03/20 13:48

***東京タワー***

バトルスーツに身を包み、東京タワーに到着した
甲子園利緒、神宮真弥、リリカ・エベット――ウォーリアーズの面々。
しかし、やはり現場には事態を嗅ぎ付けていたRAPTの機動兵器サイボット部隊が
先回りし、タワーの周囲を包囲していた。

南「…ん? 貴様らは…確かウォーリアーズの……」

RAPT部隊の指揮を執る南の顔を初めて見るリリカは、
利緒に誰なのか尋ねる。

リリカ「…(小耳に)利緒先輩、誰なんですか、あの人?」
利緒「何よアンタ、知らないの?」
真弥「南雅彦……かって警視庁内部に極秘裏に設置された
 オルフェノク研究機関を率い、そこで非人道的な人体実験を行っていた黒幕……。
 そして今は東京都のグレンフォード総知事に拾われ、RAPTの新長官……」
南「何しに来た。ここはお前らが来るようなところではない。帰れ」
真弥「そうはいきません。私たちも仕事ですから」
南「何を戯けたことを…。相手は怪物だぞ。
 貴様らのような生身の人間が勝てる相手か!?」
利緒「何言ってんのよ! そもそもブレイブポリスやAMPが
 出動できないよう、本庁に圧力をかけた張本人はアンタでしょ!?」
南「フフ…何を言うかと思えば…。警視庁は本来東京都の管轄だ。
 それを冴島警視総監が東京都を飛び越えて、直接日本政府……
 ……いや、剣桃太郎総理個人と親密な関係を築いている事の方が、
 地方自治の観点から言っても、中央との癒着を生む不正常な状態であると、
 私は思うがね」
真弥「……行きましょう利緒ちゃん。
 これ以上この人と話しても無駄なようです…」

南の制止を無視して、構わず前へと進む利緒たち3人。
東京タワーの建物各所には、ガノンが同じ異世界から連れて来たと思しき
魔物たちが何匹か取り付いて徘徊している様子が見える。
そして、タワーの鉄筋に貼り付いていた一匹の巨大なムカデ――ラモネーラが、
いきなり地上に飛び落ちて来て、真弥の背後に襲い掛かって来た!

リリカ「――真弥先輩、危ない!!」
真弥「――!!」

真弥は素早く銃を抜き、数発をラモネーラめがけて発射。
するとラモネーラは奇怪な断末魔の悲鳴を上げつつ、
肉体が四方に飛び散って消滅した。

南「……なるほど、神経断裂弾か」
真弥「ええ。昔、科捜研で開発した対未確認生命体用の必殺武器の強化版です…。
 人外の敵が持つ驚異的な回復力の元となっている神経組織も、
 これなら連続的な爆発で破壊できますから、たとえ私たちでも怪物と戦える訳です」
利緒「これを装備していれば、RAPTにも文句はないでしょ?」
真弥「まずは現状の確認を…」
南「フン…よかろう。見れば解るだろうが、例の怪物は
 タワーの中央展望台に取り付き、壁と屋根を突き破って
 体の一部を侵入させている」

南の指差す方向には、全身が収まりきれずに
中央展望台の部分から体の一部がはみ出ている
大魔王ガノンの姿がハッキリと確認できる。

南「あそこには現在、見学に来ていた女子中学生3人が逃げ遅れ、
 現場に取り残されている。ま、あの状況では救出は絶望的だろうな…」
真弥「その取り残された女の子たちは、多少の犠牲と切り捨てるつもりですか…。
 いかにもあなた方RAPTらしいやり方ですね」
利緒「そうはさせない! 行くよ! 真弥! リリカ!」

それぞれ神経断裂弾が装填された銃を手に、
タワー内部へと強行突入していく利緒たち3人…。
そして、それを影から南と共に見送る謎の女がいた。

???「よろしいのですか? あの娘たちを行かせて」
南「構わんさ。いざとなれば責任はあの連中に全部かぶってもらう」
???「なるほど…さすがですわね……」
南「まるで今更彼女たちに対しては、何の感情も抱いていない……
 ……といった表情だな。フフ…冷たい女め。
 仮にも君のかつての部下たちだろう? 少しは心配したらどうだ」
???「関係ありませんわね。今の私のすべき事は、社会の秩序を維持するため、
 あなたと共にRAPTとして与えられた任務に集中することですもの…」
南「その冷徹なところが君の良いところだ。
 今まで上層部から下された命令のままに、長年忠勤を尽くして来た筈の私や君を、
 あの冴島が警視総監になった途端に無慈悲にも切り捨てた、
 『警視庁』という組織そのものに復讐する日も近い…。
 それまでは、あういう跳ね返り共は遊ばせておくに限る。
 フフフフフ……」
???「………」

南の片腕を務めるこの女こそ、
かってウォーリアーズ統率の任を任された警視庁キャリアであり、
利緒たち直属の上司でありながら、彼女たちと袂を分かった
ウォーリアーズ元隊長その人であった。

394 名前:時空編/現代:05/03/20 13:49

一方、その頃……

***グランショッカー本部***

誰もいないショッカー正規軍・十二邪将の集う円卓の間に、
鮮血の赤い絨毯を踏み進んで現れた、サングラスに漆黒のスーツを着込んだ男が一人。
そして、かって村上峡児が座っていた席の前へと立つ…。

大首領の声「……天王路博史よ!
 ようこそ、我らがグランショッカーに来てくれた!!」

広間一面に響き渡る大首領の声と共に、
円卓の中央に浮かび上がるグランショッカーの紋章のホログラフが明滅し、
新たなる邪将の一員となった元ボード理事長・天王路博史を迎え入れる。

天王路「我らが神、邪帝大首領クライシスよ、
 あなたは統制者として53体のアンデッドをお作りになられた。
 そして私は、やがて『SEEDを持つ者』よりも優れた存在に進化した
 新たなアンデッドの誕生を宣言するであろう…」
大首領の声「GVMN・ラボが開発した超時空ネットワークの完成により……
 ……今や門は開かれた……全次元を巻き込んだ究極のバトルファイトの開催も近い……!
 君の働きには期待している……!!」
天王路「生き残るのは最強の世紀王ただひとり……
 そして神よ、私はその時こそ、貴方の真の声を聞くのだ…」


○ウォーリアーズ⇒神経断裂弾を装備し、ガノン配下の魔物が蔓延る東京タワー内部に突入。
●天王路博史⇒失脚した村上峡児に代わり、一つ空席となっていた
 グランショッカー・ショッカー正規軍の十二邪将に就任。

【今回の新規登場】
●ウォーリアーズ元隊長(BURN-UP SCRAMBLE)
 かつて「ウォーリアーズ」統率の任を任されていた女性キャリア
●天王路博史=ケルベロスU(仮面ライダー剣)
 人類基盤史研究所ボードの元理事長・グランショッカー不死邪将

395 名前:時空編:05/03/22 03:55

***東京・PU日本支部・医務室***

負傷してPU日本支部に運び込まれたリムルだったが、
PUメンバーたちの献身的な看護や、密かに治療を依頼された
男塾OB・飛燕の適切な処置により意識を取り戻し、ベッド上に
半身を起こせるまでになっていた。

ラクス「そうですか……皆さんは散り散りに……」
リムル「はい…ハイパー化した黒騎士の軍勢がいきなり攻めてきて…
シーラ陛下やエレ陛下も……」
マリア「グランショッカーが異世界にまで侵攻を始めてたとは…
どうりで最近地球圏では大人しかったわけよね」
ラクス「ラ・ギアスやガイアとも、至急連絡を取ってみないと…」

ベルナデットが入室してくる。

ベルナデット「た、大変です! TVを…」

ベッドの横に置いてあるTVをつけると…。

マリア「な、何よコレ! ベガ獣!?」

上空からの中継…東京タワーを、巨大な怪物が襲っている!

ベルナデット「これは要塞αが独自に設置したカメラからの映像で、
一般のマスコミには報道規制がかけられているみたいです」
ラクス「もしかしたら、エリカ陛下がおっしゃていた…"ガノン"!?」
マリア「α基地への連絡は?」
ベルナデット「打電済みです。もう既に…何体か出撃したそうです」
ラクス「……」

***東京タワー***

ガノン「グフフ…お前の中から感じる炎の力…実に美味だ…
光「くっ……力が……吸い取られる……!?」
風「光さんっ!!」海「光っ!!」

光「風ちゃん、海ちゃん、逃げ…危ない…ッ」
風「え? ……はうぅッ!?」海「く……うっ!?」

いつの間にか風と海の背後に忍び寄っていた巨大イソギンチャクの
化け物──ローパーの触手が2人に絡みつく。激しく首を絞められ、
たまらず膝をつく風と海。

光「ふ、風ちゃん、海ちゃ…わぁぁぁっ!!」

東京タワーから腕を引っこ抜いたガノン、その手に光をつかんだまま
更に荒れ狂う──

???「待ってろ、今助ける…!」「ム…ンッ!!」
ガノン「……!? グ、グオオ、何をする……

突如頭を抱え、苦しみだすガノン。
たまらず、握っていた光を落としかける。

光「……っ!!」
???「今だ、行けっ、ベラリオス!!」

ビル街の間隙を縫って接近した巨大な獣の影が、
飛び掛りざまに……ガノンの開いた掌から光を奪い取った!
そのまま獣の口の中へ転がり込む光。

光「う……レイ……アース?」

獣の口内から、これまた巨大な手が光をそっと出し、
頭部にあるコクピットへと持っていく。
キャノピーが開き、光を抱き止めたのは赤いパイロットスーツを
身にまとった一人の少年だった。

少年「よっし、女の子は助け出したぜ!」

少年──盾剣人は光を背後の予備シートに座らせると、
コクピット──デルファイターのキャノピーを閉じ、再び
ロボット・アトラウスの操縦を開始する。
続いて飛来した青い戦闘機、ガンパーがミサイルを発射して
ガノンの動きを牽制、最初に現われた巨大な獣──メカライオン・
ベラリオスも果敢に挑む。

柊弾児@ガンパー「気をつけろ…どうもこいつはベムボーグや
ツインボーグとは違うようだぜ」
剣人「ヘッ、分かってらぁ…どんな奴だろうと、東京の平和を
乱す奴は許しちゃおけねえ!」

続いて飛来する大小2つの機影…。その内の1つから、さらに3つの
機体が射出される!

風「……ウ、ウィンダ…ム?」
海「セ…セレ…ス…?」

ひびき洸@ライディーン「ラァァァイディィィィン!!

ミドリ@大空魔竜「ガイキング、パート1、パート2、ゴーッ!
ツワブキサンシロー「ガイキング・合体完了ォッッ!!

ガノンを念動力で苦しめた張本人、ひびき洸とツワブキサンシローの駆る
巨大な鳥神・ライディーンと竜神・ガイキングだ!

剣人「よう、念力攻撃ご苦労さん! 大丈夫かい?」
洸「ああ、何のこれしき…!」サンシロー「さあ、締まって行こうぜ!」

剣人「ヘヘ、そうこなくっちゃ…俺たちも合体だ!
クロース・イン!! ダルタァァァニアァァス!!

アトラウスとガンパーが上下からベラリオスを挟む形で合体、
巨大ロボ・ダルタニアスが完成する!

396 名前:時空編:05/03/22 04:53

***東京タワー・地上***

南「……フン、αナンバーズめ、しゃしゃり出て来たか……
化け物エスパーや得体の知れん古代文明、亡命宇宙人のロボットめらが……」
ウォーリアーズ元隊長「もろともに攻撃しますか?」
南「いや、今は様子を見よう。上手くいけば春日兄弟や神ファミリーの
時同様、奴らにも泥をかぶせることが出来る…」

***東京タワー・上空***

洸「タワー内にはまだ人がいる…何とか俺たちで奴を引き離さなければ…」
サンシロー「その間にブルーガーとスカイラーで救助を…」

それぞれの得意武器でガノンを攻撃するが、逆に平然と受け流されて
しまう。いや、むしろそのエネルギーを吸収し、炎のような紅いオーラを
まとうガノン…!

サンシロー「こいつ…ダイモスと戦った時よりパワーアップしているだと!?」
サコン・ゲン@大空魔竜「解析の結果が出た…どうやら奴は、
半ば非実体の精神生命体らしい。実体をいくら破壊しても、本体である
精神体を叩かなければダメだ…デスパーサイトやゴッドアルファーで
消滅させても、またいずれ蘇って来る!」
弾児「チッ……幽霊に刃物は効かねぇってことか……」
洸「父さんから聞いたことがある……高位の魔族を倒すには、何かキーに
なるものが必要なことが多いと……逆に言えば、それがなければ……うわっ!」

ガノンの怒涛の火炎攻撃が、3体のロボットを襲う。

弾児「ダルタニアスの火炎も、ヤツにとっちゃエサってことかよ…」
サンシロー「しかし、このままでは…ぐわああ!?」

○リムルの情報から、グランショッカーがバイストン・ウェルに
侵攻したことが判明。
○東京の危機に駆けつけるダルタニアス、ライディーン、ガイキング。
しかし多量のエネルギーを蓄えてパワーアップしたガノンを攻めあぐね、
苦戦。
○光はダルタニアスに救助されるものの、風と海はモンスターに
襲われ、ピンチに…!

【今回の新規登場】
○盾剣人(未来ロボ ダルタニアス)
 滅亡したエリオス帝国の皇位継承者で盾隼人=ハーリン皇子と
 地球人の母との間に生まれた半ナチュラル・アトラウス/デルファイター
パイロット兼ダルタニアスメインパイロット
○柊弾児(未来ロボ ダルタニアス)
 剣人の孤児仲間・ガンパーパイロット兼ダルタニアスサブパイロット
○ベラリオス(未来ロボ ダルタニアス)
 AI搭載のライオン型ロボット(人語は話さない)・ダルタニアスの
 胸部・腹部・大腿部に変形合体
○ひびき洸(勇者ライディーン)
 未来工学研究所(通称・ムトロポリス)所員・私立臨海学園サッカー部
 キャプテン・ライディーンパイロット・ひびき一郎博士とムーの皇女
 レムリア(ひびき玲子)との間に生まれた半ナチュラル
○ツワブキ・サンシロー(大空魔竜ガイキング)
 大空魔竜隊(コンバットフォース)所属・ガイキングパイロット・
 元プロ野球チーム「レッドサン」の投手・念動力と予知能力を
 持つ超能力者

(前回執筆分訂正)

>>388
デストロン戦闘員B「ギッ! 第一陣に引き続き、ポドリムス・メカ次元・
ハイパーワールド・中華魔界・マーベルランド・エルハザード・ガイア・
エターナリア・創界山・ハラハラワールド・四神天地界・ダイノアース…」

ポー「ヘスラー将軍、お止めなさい。……よろしいでしょう、
貴殿らのご助力、喜んで…お受けいたしましょう」

(…に訂正いたします)

397 名前:時空編:05/03/22 05:54

>>396【今回の新規登場】追加
○サコン・ゲン(大空魔竜ガイキング)
 大空魔竜隊のブレーン・IQ340の超天才

※>>388で語られている妖魔3大組織とは、妖魔帝国(勇者ライディーン)・
犯罪結社GIL(超音戦士ボーグマン)・ダークキングダム(美少女戦士
セーラームーン)のこと。

398 名前:時空編/現代 神鳥レティス、地球へ:05/03/26 06:39

***東京タワー***

突如、東京タワーに出現した大魔王ガノンと交戦中のαナンバーズ。
光はダルタニアスに救出されたが、海と風は巨大イソギンチャクの
怪物ローパーの触手に絡まれ、ピンチに…!

そこに突然、非常階段出入り口の方向から
連続して銃撃音がした。すると一瞬の内にローパーの群れは尽く倒れ、
海と風もその触手から解放された。

海「……ゲホ…ゲホッ…!!(咳き込む)」
リリカ「大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」
風「…ありがとうございます。あの…貴女方は…?」
利緒「危ないから下がってて!!」

海と風の2人をモンスターの群れから無事保護し、
インカムで外の大空魔竜に通信を入れる真弥。

真弥「――こちら、警視庁第8区分署ウォーリアーズ所属、神宮真弥巡査です。
 大空魔竜、応答願います」
ピート@大空魔竜「…ウォーリアーズ? 警察の特殊部隊か!
 こちらピート・リチャードソン。大空魔竜のキャプテンだ」
真弥「展望台に取り残されていた民間人の女の子残り2人は、
 こちらで無事に保護しました」
サコン@大空魔竜「ありがたい! その女の子たちを連れて
 すぐにそこから脱出してくれ!」
利緒「そうは行きたいところなんだけど…!!」

神経断裂弾を何十発も連続射撃でお見舞いしても、
次から次へと湧いて出てくるモンスターたちによって
完全に道を塞がれ、退路を絶たれてしまう。

利緒「――ったく! これじゃキリがないわ!!」
リリカ「どうしましょう…利緒先輩」

ガノン「グハハハハ…逃げられると思っているのか…!?

399 名前:時空編/現代 神鳥レティス、地球へ:05/03/26 06:40

ミドリ@大空魔竜「……これは!? 東京タワー上空に高エネルギー反応!
 時空クレバスです!」
ピート@大空魔竜「こんな時に時空クレバスの発生だと!?」
剣人@ダルタニアス「またあの中から変なのが
 出て来るんじゃないだろな!?」

東京タワー上空に、著しい時空の歪みが生じ、
空間に開いた穴の向こうから現れたのは、
皆の警戒とは裏腹に、太陽の光を照り返して神々しいばかりに
輝いている巨大な鳥であった。

ガノン「…ぐうぅぅっ…き、貴様は!?
 ぐわあぁぁっ……!!

その巨大な鳥――神鳥レティスは、
自らの爪でガノンを鷲掴みにし、強引に東京タワーから
地上へと引き摺り下ろした!!

南「――いかん! 総員退避っっ!!」

地上で様子見を決め込みつつ待機していたサイボット部隊を押し潰す形で、
落下して転げ落ちるガノン。

ガノン「おのれぇぇ…おのれぇぇぇっっ!!!

ダルタニアスのコクピットから、その様子を一部始終見ていた光は、
不意にシートから立ち上がる…。

光「…なぜだろう。あの鳥さん…とてもなんだか温かい感じがする」
剣人「おい!? 席から勝手に立っちゃ危ないって!!」

そして展望台でも…。

風「海さん!」
海「ええ! 行くわよ!」

何かを感じ取ったかのように、
神鳥レティスのいる方向へと駆け寄る海と風。

利緒「ちょっと、どこ行くつもり!?」
真弥「今ここから離れては危険です! 戻りなさい!」

遥か彼方の異世界セフィーロを……
デボネアの邪悪な魔手から救った、伝説の魔法騎士  マジックナイトたちよ……
今こそ再び…その手に武器を取る時です……

ひびき洸@ライディーン「あの鳥が…!?」
サンシロー@ガイキング「しゃ、喋った!?」

400 名前:時空編/現代 神鳥レティス、地球へ:05/03/26 06:42

神鳥レティスがふわりとその大きな翼を広げると、
先程の時空クレバスの向こう側から、三本の剣が光に包まれて現れた。
それは懐かしい…以前に光たちが魔神召喚時に使っていた
フル成長状態の剣である。
そしてゆっくりと、光たち3人それぞれの手に渡った。

海「この剣は私たちの…」

そう……貴女たちがその心と共に成長させた……
貴女たちだけが扱える武器です……

レティスの言葉に反応するように、
光たちは防具(魔神に乗る際の最終形態)を身に纏った姿に変わる。

海「――水の竜!!
風「――戒めの風!!

地球でも戦う力を得た魔法騎士マジックナイトたちの放つ魔法が、
東京タワーのあちこちに巣食っていたガノン配下の魔物たちを一掃する!

リリカ「変身しちゃいました…!? す…すごいです…!!」
利緒「あの娘たちって、一体何モノ??」

さすがの利緒たちウォーリアーズの面々も、
このいきなりの展開には脱帽する。
ダルタニアスのコクピットでも、当然のことながら
剣人はこの状況に驚いていた。

剣人「…ちよっとおいっ! これってどうなってんだ!
 説明しろ!?」
光「お願い! あの怪物に出来る限り接近して!」
剣人「…え? お、おうっ!!」

地上で暴れまわるガノンに最接近するダルタニアス。

光「炎の……

精神集中しながら魔法を詠唱する光。
そして全身を聖なる炎に包まれていくダルタニアス。

光「―――矢!!

ダルタニアスから炎の魔法が放たれた!!

401 名前:時空編/現代 神鳥レティス、地球へ:05/03/26 06:43

ガノン「――効かぬ!! 効かぬわああっっ!!!

炎の魔法をいとも容易く弾き返すガノン。

光@ダルタニアス「――効かない!? くっ…やっぱりレイアースがいないと!」
サコン@大空魔竜「無理だ!
 相手は半ば精神生命体だ。実体をいくら攻撃したとしても、
 本体である精神体を叩かなければ、同じ事の繰り返しだ!」
海「なら…一体どうすればいいの!?」

そこへ神鳥レティスの背から降り立ったのは、
かつてガノンを一度は倒した異世界ハイラルの勇者リンクだ。
退魔剣マスターソードを片手に真っ向からガノンに立ち向かう!

ガノン「……貴様は!?…なぜ貴様がここにいるのだあぁぁ!!!
リンク「ガノン! この世界をお前の好きにさせやしない!!」

サンシロー「あの少年は一体…?」
剣人「よく分からんが、増援には違いねぇみたいだな」
弾児「俺たちもうかうかしちゃいられねえ…」
洸「ヤツは彼の出現で明らかに動揺している。反撃するなら今だ!」

ビルからビルへ飛び移りながらガノンを翻弄するリンクを、援護する
ロボットたち。

サンシロー「ザウルガイザァァァァ!!
洸「ジェェェェット・ブゥゥゥメラァン!!
剣人「超電磁イレーザァァァー!!

リンクよ……
今こそ…銀の矢を……

リンク「…わかった!」

戦いの最中、リンクは言われるがままに、
持っていた銀の矢尻を大空高く放り投げた!
するとレティスの不思議な光のオーラに包まれ、
矢尻は瞬く間に空中で巨大化し、
自然とライディーンのゴットゴーガンの矢の先に
装着された…。

ガノン「……なっ!…なにぃぃぃっ!?

洸@ライディーン「……これは!?
 もしやこれであの怪物を倒せるのか!?
 よぉぉしっ!!」
サンシロー「なら援護は任せろ!!
 ハイドロブレイザ――ッッ!!!!」

ガイキングの放つ水素火球がガノンを直撃する。
その衝撃でよろけるガノン。

洸@ライディーン「――今だ!!
 ゴォォッド・ゴォォ――ガン!!

ついにゴットゴーガンに装填された銀の矢が、
ガノンの体を貫いた!!

ガノン「……バ、バカなっ……!!……こんなところで……!!
 バカなああああっっっ!!!!!!!!!!

ガノンは無念の絶叫と共に、息絶え消滅した。
それと同時に、東京タワー一帯を覆っていた邪悪な空気も
晴れ渡った。

402 名前:時空編/現代 神鳥レティス、地球へ:05/03/26 06:45

ガノンが倒されたことにより、まだ東京タワー内部や周辺に
残っていた魔物たちも急速に力が弱まり、ウォーリアーズによって制圧されていった。

そして、ライディーンのコクピットから降りた洸は、
同じく大空魔竜から確認のために降りて来たサコン・ゲンと共に。
自分たちに協力してくれた、とがった耳の不思議な少年――リンクに
さっそく接触を試みた。

洸「力を貸してくれてありがとう。えぇーっと…君は?」
リンク「僕はリンクと言います。はじめまして、地球の皆さん」
サコン「見たところ、君は地球の人間ではないようだが?」
リンク「ええ、実は僕たちは、貴方たち地球の人からは
 異世界と呼ばれているところから……」

ところがそこへ、ガノンの最期を見届けた南雅彦は、
残存のサイボット部隊に指令を出す。

南「サイボット部隊、あの巨大な鳥の化け物を捕獲し、
 そこの不法侵入者らしき少年も拘束しろ」
リンク「――!!」

南の号令で一斉に機体の銃口を
リンクやレティスに向けるサイボット群。

サコン「待て! やめろ! 彼らは我々の味方だぞ!!」
南「フン…そんな事が分かるものか。
 奴らは友好的な態度を装ってはいるが、実は今倒した
 あの化け物と裏で繋がっていないと、どうして言い切れる?」
洸「そんなのは言い掛かりだ!」
南「黙れ。邪魔をするなら、お前たちも実力で排除する事になるぞ」

だがそこに、一台の高級公用車が乗り付けて来て、
その中から降りて来た一人の政府高官らしき人物が
間に入って来た。

御園木「そこまでだ、南雅彦!」
南「……貴方は!?
 これはこれは…国防省の特命課長殿が何の用かな?」
御園木「たった今、日本政府より地球連邦政府国防省へ
 この事態の収拾に関する特別要請があった」
南「何だと!?」
御園木「よって、これより当現場に関する指揮権限は、
 地球連邦政府国防省の管轄に移る。
 したがって日本国の一自治体の機関に過ぎないRAPTの
 治安執行は認められない!」
南「………(チッ…剣桃太郎め。先手を打ってきたか)」
ウォーリアーズ元隊長「…どうなさいますか?」
南「無念だが…ここは一旦退くしかあるまい…。
 今日のところは奴らに勝ちを譲るとしよう」

南雅彦はサイボット部隊と共に、現場から引き揚げていった。
そして神鳥レティスの背からもう一人、少女が降りて来た。

レオナ「あのー…お取り込み中申し訳ないんですけど、
 難しいお話はもう終わりました?」
御園木「君は?」
レオナ「私はレオナ。こことは別の次元にある
 異世界のパプニカ王国より参りました」
御園木「異世界!?」
サコン「間違いありません御園木さん。
 彼らは地球の人間ではない…」

サコンたちの話に、納得したように頷く御園木。

御園木「うむ。わかりました…異世界の方々。
 まずは伊豆の連邦軍極東基地へお連れしましょう。
 詳しい御用件はそこで…」


○獅堂光、龍咲海、鳳凰寺風⇒神鳥レティスが時空クレバスを通して、
 力の源をセフィーロと繋いだのか、なんと地球で魔法騎士(マジックナイト)の力に目覚める。
○αナンバーズ⇒神鳥レティスやリンクの援護と、銀の矢の力でガノンをどうにか撃破。
○神鳥レティス、リンク、レオナ姫⇒地球に到着早々、αナンバーズに協力。
 御園木課長を通して地球連邦政府に接触し、そのまま案内されて伊豆の連邦軍極東支部に向かう。
●南雅彦⇒日本政府からの要請で駆けつけて来た御園木課長の横槍で、
 渋々RAPT部隊と共に現場から引き揚げる。
●大魔王ガノン⇒死亡。

【今回の新規登場】
○御園木篤司(超星神グランセイザー)
 国防省特命課長

403 名前:時空編/現代:05/04/01 19:44

***グランショッカー本部・幽閉の間***

首から下の肉体を失いながらも、
培養液に浸された水槽型の生命維持装置に繋がれ、
今もこうして生き延びている、スマートブレイン社の元社長にして
ショッカー正規軍・薔薇邪将……であった村上峡児。

現在は、オルフェノクの王――アークオルフェノク復活失敗の責任を問われ、
全ての任を解かれて、地下深い監獄にて謹慎中の身であった。
密かに用意されているという、新しい肉体が完成する日を待ちながら……。
そこに、今は村上に代わって邪将の地位に就いている天王路が、
何故か村上のいる獄中へと現れた…。

村上の声@スピーカー「ほほう……これは…
 …めずらしいお客人だ……」
天王路「久しぶりだな…村上君。
 思ったより元気そうで何よりだよ……」
村上の声@スピーカー「今の私の姿を見て笑いに来たのですか?」
天王路「フフッ…まさか。ケルベロスを作れたのは
 スマートブレインの支援があったればこそだったからね。
 私は君に感謝すらしているよ…」

静かに会話を続ける村上と天王路。

村上の声@スピーカー「ヒューマンアンデットは適合者を作る際、
 犠牲者を生んでしまった。銀の時代の始まりですよ……。
 彼らは死に、異形の者として再び生を得ることから、
 冥界を見たオルフェウスと、永遠の命を持つエノクを合わせた、
 オルフェノクと名付けられた……。
 覚醒後の灰色の身体は、銀の時代といわれた所以です……」
天王路「そしてさらに、銅の時代が来る。
 ヒューマンの子とオルフェノクとの戦いの時代だ。
 オルフェノクは、永遠の命を断ち切る武器を生み出した。
 3本のベルトの誕生だ。ヒューマンの子は、
 全て命尽きる人間になった。鉄の時代が始まったのだ…」
村上の声@スピーカー「…そして今、到る所に時空の門が開かれた事をきっかけに、
 新たな時代が訪れようとしています……。そして新たなバトルファイトもね……。
 天王路さん、そのバトルファイトに最後まで勝ち抜いたただ一人の
 世紀王候補――次期創世王のみに与えられるという万能なる力……
 ……貴方は何にお使いになりますか?」
天王路「……フッ…君と同じだよ…村上君。
 私の願いは愚かな旧人類を全て滅ぼし、一から理想郷とも言える新世界を
 この手で創造し直すことだ……。無論、この私が支配者となってね…」

404 名前:時空編/現代:05/04/01 19:46

●天王路博史⇒グランショッカー本部・幽閉の間にて、蟄居謹慎中の村上峡児を訪問。

405 名前:外宇宙編:05/04/07 11:32

***惑星アセニア・サイバトロン基地***

ここは地球から遠く離れた惑星アセニア。
セイバートロン星と共にサイバトロン軍の本部が置かれていると同時に、
全宇宙の恒星間文明交流・平和維持を目的とした組織――宇宙連邦の
重要な数ある一大拠点の一つでもある。

ヒビキ・トカイの育ての親である"じっちゃん"ことジン・トカイは、
サイバトロン基地内の貴賓室で、街を一望する窓辺に立っていた。

ヒビキ「じっちゃん!」
ジン「ヒビキ! フフフ……少し背が伸びたか?」

久しぶりに見る懐かしいジンの顔に、緊張気味だったヒビキの顔が緩んだ。
振り返ったジンも満面の笑顔で彼を迎えた。

マグノ「ジン叔父さん、無事だったかい。
 まさかくたばっちゃいないかと正直心配してたけど…
 元気な姿を見れてアタシも一安心だよ」
ジン「ハハハ…バカを言うな、マグノ嬢ちゃん!
 わしはこの通りピンピンしとる!」

ジンの無事を確認して、ひとまず安堵の表情を浮かべた
ヒビキやマグノたちに対して、ジンは高齢ながらも鍛え上げられた
逞しい腕を誇示して見せた。
宇宙連合のゼゼーナン一派から襲撃を受けた
タラーク、メジェール両惑星の首脳陣や脱出民たちは、
それぞれの惑星から脱出後、宇宙連邦によって救助され、
ここ惑星アセニアに保護されていたのである。

ヒビキ「…ところで、ここには地球の奴らもいるのか?」
ジン「ああ、地球の軍隊の制服を着た人間も
 何人かいるようじゃな」
ヒビキ「………」

***同基地内・廊下***

タラーク首相と廊下を歩きながら、
今後のことに関して話をしているブザム。

首相「女海賊共……いや、君たちニル・ヴァーナのクルー諸君が
 無事に我々と合流してきてくれた事に関して、グラン・パ様も
 事のほか安堵されておられる」
ブザム「ありがとうございます。ところで我が国と
 メジェールの残存兵力は?」
首相「残念ながら両国共に、それぞれの惑星から脱出する際の
 被害が甚大すぎた。今後は宇宙連邦の協力が得られる見込とはいえ、
 今だ母国奪還の目処は全く立っていないのが現状だ」
ブザム「そうでしたか……」

そんな中、首相はブザムの揺れる胸をチラチラ見ながら、
小声で困惑気味に言った。

首相「ところで何とかならんのか……その胸……それに声も……」

それを聞いたブザムは少し苦笑しつつ、口許を微かに緩めて返した。

ブザム「任務完了のご命令がない限りは……。
 首相の御指示ゆえです。……まだお嫌いですか?」

今も一応はタラーク帝国軍特務諜報部に浦霞天明の名で
籍を置いているブザム・A・カレッサ。
しかし今の彼女(彼)は、紛れもない融合戦艦ニル・ヴァーナの副長にして、
マグノ一家の仲間であった。

406 名前:外宇宙編:05/04/07 11:34

***同基地・空港ブロック***

惑星間航行用の大型宇宙船発着スペースに、
惑星Ziの超巨大水棲ゾイドをベースに開発された艦艇ゾイドである
ホエールキング(宇宙航行用改装仕様)が入港した。
お付きの武官と共にタラップから降りて来た身分の高そうな少年を、
地球軍の制服を着た一人の青年士官が出迎える。

ユリアン「お待ちしておりました。
 ルドルフ・ゲアハルト・ツェッペリン陛下」
ルドルフ「宇宙を結ぶスペースブリッジが再び
 開通に漕ぎ着けたと聞き、急いで惑星Ziから駆けつけて来ました」
シュバルツ「行方不明になっていたガーディアンフォースが
 地球圏にいるというのは本当なのか? ミンツ中尉」
ユリアン「地球本国とようやく連絡が取れました。
 バン・フライハイト少佐以下、全員無事との事です」

ユリアンの言葉を聞き、ホッと胸を撫で下ろすも、
今すぐにでも地球に彼らを迎えに行きたいという表情のルドルフ。

シュバルツ「しかし君も大変だったな、ミンツ中尉。
 ここアセニアの弁務官事務所に駐在武官として飛ばされたと
 思ったら、その後しばらく君の本国とは音信不通同然の状態に
 陥るとは……」
ユリアン「僕もアッテンボロー提督も
 ティターンズには睨まれてましたからね。
 仕方ありませんよ」
ルドルフ「しかしそのティターンズとやらも、
 今は地球の中央政府から尽く勢力を退けられたと聞きます。
 これで他の自由惑星同盟の星々とも連絡が回復すればよいのですが…」
ユリアン「今、VRVマスターさんが特使として地球を訪れている筈です。
 地球連邦政府と宇宙連邦との国交も順調に再開されると思います。
 近々グランドコンボイ司令官が、セイバートロン星を経由して
 地球に戻る予定です。陛下もその時に御一緒に…」
ルドルフ「重ね重ねの配慮…痛み入ります」

ユリアン・ミンツ中尉―――かの地球連邦軍のかつての英雄、
魔術師<ミラクル>ヤンの名を欲しいままにした天才的軍人、
ヤン・ウェンリー元帥の養子にして直系の弟子である。
イゼルローン要塞軍を率いて銀河帝国の皇帝ラインハルトと
シヴァ星域にて一戦交え講和に持ち込み、銀河の列強から
地球人類の自主自立権を勝ち取ったが、その後はティターンズ(さらには
その背後に潜む地球教やゼーレ)から睨まれ、今は地球から遠く離れた
惑星アセニアに左遷されていたのである…。


○マグノ一家⇒ロム・ストールらの案内で、ひとまず惑星アセニアに避難。
○ルドルフ⇒サイド3にいるバンたちを迎えに行くため、
 経由地の惑星アセニアに到着。
○ユリアン⇒シヴァ星域の会戦の後、左遷されていた。
 現在の職は「駐アセニア宇宙連邦弁務官事務所駐在武官」という事実上の閑職らしい。

【今回の新規登場】
○ジン・トカイ(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 ヒビキ・トカイの育ての親。グラン・パやグラン・マと同じく第一世代で、
 八聖翁と同格の高い地位と身分を持つらしい老人。
 老齢に似つかわしくない逞しい体で、荒地を耕している。
◎白波玄宰(VANDREAD/VANDREAD the second stage)
 タラーク帝国第二世代首相。
○ルドルフ・ゲアハルト・ツェッペリン3世(ゾイド -ZOIDS-)
 若干10歳の幼き身で戴冠した少年皇帝。
○カール・リヒテン・シュバルツ大佐(ゾイド -ZOIDS-)
 ガイロス帝国陸軍将校。名門シュバルツ家の出身。
 アイアンコング・SSのパイロット。
○ユリアン・ミンツ中尉(銀河英雄伝説)
 ヤン・ウェンリーの養子。元イゼルローン要塞司令官代行。

407 名前:時空編/現代:05/04/07 11:35

その頃、地球では……

***伊豆・地球連邦軍極東支部***

時空クレバスの向こう側から、全く未知の異世界より
訪問者現る!

この第一報を受け、地球連邦政府の広報官であるアレクサは、
中央政府の意向を携えて、こうして伊豆の連邦軍基地を訪れたのであった。

サリー「アレクサー!」
アレクサ「サリー!」

ヘリのタラップから降りて来たアレクサを出迎えるや、
彼女に抱きつくサリー。

アレクサ「御園木課長から急遽連絡を受けて来たけど…
 それで、その異世界からの訪問者の方は?」
サリー「あ、そっか。アレクサは政府の広報官だもんね。
 今は基地の中の応接室でずっと待ってるよ。ただ……」
アレクサ「ただ…??」
サリー「あの人達と一緒にいたはずの、おっきな鳥が
 ここに来る途中、急にいなくなっちゃったの」
アレクサ「何ですって!?」

一方、その頃……

***デカベース***

ホージー「フラッシュ星国籍の地球人、超新星フラッシュマン!
 重要指名手配犯サー・カウラーの逮捕・死刑執行を妨害し、その逃亡を
 幇助した容疑で、ジャッジメント!!」

Judgment time!!

NR@古川登志夫「アリエナイザーに対しては、
 スペシャルポリスの要請により、遥か銀河の彼方にある宇宙最高裁判所から
 判決が下される!」

ジン「………」

ごくりと唾を飲みながら、緊張した面持ちで
判決の時を待つジンたち5人。



ホージー「ふぅ〜。デリート不許可」
センちゃん「まあこれで、同じスーパー戦隊の大先輩に当たる
 フラッシュマンの皆さんをデリートせずに済んだってとこかな」
ウメコ「うん!」

皆一様に安堵の表情が広がる…。

ホージー「これで皆さんは釈放です。ロビーで
 時村博士が待っています」
ダイ「時村博士が!?」
ジン「いろいろと迷惑をかけてすまなかった…。うっ…」

医務室のベットの上から無理に起き上がろうとするジンだが、
今だ癒えぬ傷が痛む。それを半ば呆れ顔でベットに押し留める白鳥スワン。

スワン「まだ無理をしてはいけないわ。
 ドギーの一太刀を浴びて生きていただけでも
 ハッキリ言って奇跡なのよ」
ジン「しかし……!!」

408 名前:時空編/現代:05/04/07 11:36

一方、同じデカベース内の
刑事たちの集うオフィス"デカルーム"では……

ドギー「どうした?」
地球署職員「署長、大変です!
 大型の未確認飛行物体がこちらに向かってきます!」
ドギー「何っ!?」

急いで窓から外の様子を確認してみるドギー、
そしてVRVマスターと伊吹長官。
すると遠くから巨大な翼を持つ美しい鳥が
確かにゆっくりと近づいてくる……。

ドギー「あの鳥は一体…??」
VRVマスター「あれは…もしや不死鳥!?」
ドギー「不死鳥?」
地球署職員「攻撃しますか?」
ドギー「いや、待て」
伊吹長官「とにかく外に出てみましょう!」

デカベース庁舎前へと降り立つ神鳥レティス。

出て来てください…フラッシュマン……。
私はあなたたちに伝えることがあります……。


○アレクサ⇒地球連邦軍極東支部に到着。
○フラッシュマン⇒デリート不許可により釈放。
○神鳥レティス⇒フラッシュマンに会うため、地球署に現れる。

【今回の新規登場】
○サリー(トランスフォーマー スーパーリンク)
 キッカーの妹。陽気でおしゃべり。
○アレクサ(トランスフォーマー マイクロン伝説/スーパーリンク)
 地球連邦政府広報官・サイバトロンとの連絡調整役担当・本名は"アレクサンドラ"
○白鳥スワン=デカスワン(特捜戦隊デカレンジャー)
 チーニョ星人・地球署メカニックチーフ

409 名前:時空編/現代:05/04/11 23:11

***デカベース***

地球署の庁舎デカベース正面前に、
突如として神鳥レティス降り立ち、周囲は大騒ぎになっている。

デカピンク「ええー、市民の皆さん!
 どうか静粛に落ち着いて行動してください!!」

ウメコが操縦するパトシグナーが基地から発進し、
マルチビジョンでアピールを出しながら、
野次馬を抑えつつ、近辺を交通整理に乗り出す。
フラッシュマンであるジンたち5人も、
神鳥の呼び出しに応じて、玄関前まで出て来た……。

ドギー「君たちは…!
 もう傷の方は大丈夫なのか!?」
ジン「なんのこれしき…。それよりも、あの巨大な鳥は?」

はじめまして…フラッシュマンの皆さん……

ブン「すっげー! ほんとに鳥が喋ったぜ!」
ジン「君はいったい…?」

私の名はレティス……
しかし別の世界では、不死鳥ラーミアと呼ぶ者もいます……。

ジン「不死鳥だって!?」

レティスの言葉に驚くジンたち。
それもそのはず。かってフラッシュマンは、
改造実験帝国メスに狙われ傷つき、地球に逃れてきた不死鳥を、
彼らの魔手から救ったことがあったのだ(※超新星フラッシュマン
第22話「SOS! 不死鳥!」を参照のこと…)。

この世界での同族が、あなたたちには大変お世話になりました……
私は是非、あなたたちにお礼がしたい……

サラ「そんな、お礼だなんて…」

あなたたちの宿敵…邪悪なる科学を操る一団が……
すでに別の時空へと渡ったことは知っていますね……?

ジン「もしや君は、時空を越える術を持っているのか?」

神鳥として私に与えられている力を持ってすれば……
その程度は造作もありません……
もしその気があるのならば、この世界で
連邦軍の極東支部と呼ばれている場所までいらっしゃい……。
私はそこで待っています……。

それだけ言い残すと、再びレティスは大きな翼を広げ、
いずこかの大空へと瞬く間に飛び去ってしまった……。

ダイ「すげーぜジン! これで俺たちもカウラーやケフレンを
 追うことが出来るんだな!」
ジン「ああ!」

思わぬ希望を見出し、喜びに沸くフラッシュマンたち5人。
そしてVRVマスターは……。

VRVマスター「ドギー・クルーガー、私もこれから地球連邦軍の
 極東支部に向かいたいと思います」
ドギー「先程の宇宙連邦本部からの件について?」
VRVマスター「その通り。どうやら事態は我々予想を超えて
 進行しているようだ。もしかすると、これは一刻を争うのかもしれない……」

410 名前:時空編/現代:05/04/11 23:13

***伊豆・地球連邦軍極東支部***

大空魔竜隊に先導され、
案内されるまま連邦軍の極東基地へ着いたリンクは、
施設の敷地内に並ぶMS等の機動兵器群に
ただただ驚き、目を見張るばかりであった。

リンク「すごい! 何なんですか!?
 あの動く巨人たちの群れは!!」
サコン「ハハハ…あれはロボットと言って、
 機械仕掛けの巨大な人形みたいなものさ。
 中に人が入って動かすのさ」
リンク「そんなことが…」

カルチャーショックで興奮が冷めないリンクに、
ふと気になったサンシローが声を掛ける。

サンシロー「…それで、君はこれからどうするんだ?」
リンク「僕はハイラルに帰ります。
 皆さんの協力もあってガノンを倒した以上、
 もうこの世界ではする事もありませんし」
サコン「とんでもない。むしろ世話になったのは
 こちらの方さ。君が来てくれなければ、我々はあのガノンを
 倒すことは出来なかったろう」
ミドリ「もう少しゆっくりしていってもいいのに…」
リンク「お気持ちは嬉しいですが…留守にして来たハイラルの事も
 心配ですし…僕は僕のいた世界を守ります」
サンシロー「わかった。もし何かあったら
 いつでも呼んでくれ。すぐに助けに行くからな」
リンク「ありがとう。ところで、
 僕と一緒に来たレオナさんは…?」
サコン「ああ、君の連れか。彼女なら…」

411 名前:時空編/現代:05/04/11 23:14

ほぼ同時刻……
同基地司令部内の応接間にて、レオナ姫と会見しているアレクサ。

アレクサ「―――お申し出の件はよく分かりました。
 しかしながら現在、我々地球人類も数多くの外敵による脅威に晒されており、
 残念ながら、貴女方の世界まで援軍を出せる余裕はありません」
レオナ「やっぱり……」

おそらくよい返事はあまり期待できないであろう事は、
半ば予想していたものの、がっくりと肩を落とすレオナに、
アレクサは心苦しく思いつつも、言葉を続ける。

アレクサ「地球連邦政府の決定をお伝えします。
 私共は貴女方の世界にて起こっている紛争に介入はできません
 どうかこの場は速やかに―――」
キッカー「待てよアレクサ!
 それってちょっと冷てえんじゃねえのか?」
アレクサ「キッカー!?」

いきなり威勢よくドアを開けて部屋へと入ってきたキッカーに
驚くアレクサとレオナ。

レオナ「君は…??」
アレクサ「キッカー、立ち聞きしてたの?」
キッカー「悪ぃかよ。そこの廊下を通ったら、
 たまたま中の話し声が聞こえて来たんだよ。それよりアレクサ!
 彼女の世界を襲っているのもグランショッカーなんだろ!?
 だったらどうして俺たちで助けてやらねえんだよ!」
アレクサ「待ってキッカー!
 まだこの話には続きがあるの!」
キッカー「…続き??」
アレクサ「お入りください」

凄い剣幕で熱くなっているキッカーを説き伏せ、
落ち着き払ったアレクサは誰かを呼んだ。
すると部屋に現れたのは、地球連邦政府の外務次官である
リリーナ・ドーリアンであった。

キッカー「この人は?」
アレクサ「地球連邦政府のドーリアン外務次官よ」
リリーナ「はじめまして、レオナ王女。
 私はリリーナ・ドーリアンと申します」
レオナ「はじめまして、レオナです」

握手をするリリーナとレオナ。

リリーナ「今日は地球連邦政府の外務次官ではなく、
 PU…すなわちプリンセス・ユニオンに属する者の一人として参りました」
レオナ「PU……神鳥レティスも確か同じ名を口に……」
リリーナ「先程、リンク少年より、
 ハイラルなる異世界のゼルダ王女殿下からの親書を
 拝見いたしました。どうかお申し出の件、私共PUに
 お任せ頂けないでしょうか? 決して悪いようには致しません…」

412 名前:時空編/竜の騎士の世界:05/04/11 23:15

ここは、グランショッカー・巨獣軍の大侵攻によって
地域の大半を制圧された竜の騎士の世界である…。

***マトリフの家***

ポップ「…うう…うっ…………こ、ここは!?……………」
マトリフ「よぉ、ようやく目が覚めたか、バカ弟子…」
ポップ「…師匠!? 俺は一体どうして…うっ……」

永い眠りから目が覚め…
よく現状を飲み込めないまま、ベットから起きようとするポップだが、
体を動かそうとすると全身に走る激痛がそれを阻む。

マトリフ「おっと、無理するんじゃねえ…。
 何しろお前は一月近くも寝たきりで意識も戻らぬまま、
 ぐっすり寝込んでやがったんだからな…」
ポップ「………」

ポップは冷静になって自らの記憶を辿ってみた。

ある日突然、
何の前触れもなしに自分達の世界を蹂躙し始めた、
魔物とも違う、今だ見た事もない異形の軍団…。
そして次々と未知なる外敵の刃にかかり、無残にも倒れていく仲間たち…。

ポップ「師匠…」
マトリフ「あん、何だ?」
ポップ「奴ら…いったい何者なんだ……?」
マトリフ「さあな。俺にもさっぱり分からん。
 明らかに魔族とも違う連中だ。ひょっとすると遠い次元から
 やって来た異文明の連中なのかもしれん…」
ポップ「マァムは…ヒュンケルは…
 みんなは無事なのか……?」
マトリフ「それも分からん。俺が駆けつけて来た時にゃあ、
 てめえ一人しかいなかった。パプニカとカールは
 まだどうにか持ちこたえてるらしいがな…」
ポップ「師匠…俺…情けねえよ……。
 ほとんど抵抗らしい抵抗も出来ないまま……
 訳のわかんねえ敵に…俺たちの世界を好き勝手されて……
 こんなんじゃ…アイツに…ダイに顔向けできねえ……」
マトリフ「ポップ……」

悔し涙を流すポップと、それをただ見守るしかないマトリフ。
その時……!!

マトリフ「――!!」
ポップ「師匠!」
マトリフ「…チッ。どうやら囲まれたな。
 ここも気づかれたか…」

413 名前:時空編/竜の騎士の世界:05/04/11 23:17

マトリフの小屋を取り囲む大勢のフーマ兵士ミラクラー。
そしてギャル1と妖魔学士ザムザ。

ギャル1「出て来い! 中にいるのは分かっているぞ!」

ギャル1の呼びかけに応じたのか、
小屋の中からマトリフが一人出てくる。

マトリフ「………」
ザムザ「…ん? アバンの使徒の魔法使いの小僧はどうした?
 奴がここにいるのは分かっているんだぞ」
マトリフ「ふん。うちのバカ弟子を
 随分と可愛がってくれたそうじゃねえか?」
ザムザ「ジジイ、命が惜しかったら
 そのバカ弟子とやらをここに連れ出せ。俺はそいつにも用があるんだ」
マトリフ「ふざけんじゃねえ。俺を一体誰だと思ってやがる。
 貴様ら三品の相手なんざ俺一人で充分って事よ」

戦闘魔法の構えを取り、臨戦態勢に入る様子のマトリフ。

ザムザ「ギャル1殿、案内ご苦労だった。
 あとは俺一人で充分だ」
ギャル1「よろしいので?
 あのジジイはこの世界最強の大魔道士なのでは…」
ザムザ「俺には大教授ビアスより授かった
 偉大な科学の力がある、あの程度の年寄りなど大したことはない。
 神官ポー様にくれぐれもよろしくな」
ギャル1「では、ご武運を…」

ザムザに促されたギャル1は、
配下のミラクラーたちを一人残らず引き連れ、
その場から引き揚げて行き、ザムザ一人のみが残る。

マトリフ「随分と自信たっぷりじゃねえか?」
ポップ「し、師匠……」
マトリフ「――!!」

マトリフが驚いて、声のした背後の玄関の方を振り返ると、
そこには傷の痛みに必死に耐えながらも、
やっとの状態で立っているポップの姿があった。

マトリフ「バカ野郎! 何考えてやがる!
 怪我人は大人しく寝てろと言ったはずだぞ!!」
ポップ「へっ…。師匠ばっかりに、いいカッコさせれるかよ!」
ザムザ「ようやく出て来たか。久しぶりだな、アバンの使徒。
 さすがに下等生物は生命力が強いな…」
ポップ「うるせぇ…! ザムザ…てめえがここにいるってことは…
 やっぱり黒幕は大魔王バーンなのか?」
ザムザ「バーンだと…? ( ´,_ゝ`)プッ」

ポップの問いに、思わず吹き出すザムザ。

ポップ「てめえ…何がおかしい!?」
ザムザ「大魔王バーンはお前たちに敗れた。
 今やバーン様の時代は終わった。そして俺が今、尊敬を捧げ、
 心より忠誠を誓う御方は、後にも先にも大教授ビアスただお一人!」
ポップ「…ビアス?? 誰だソイツは!?」

414 名前:時空編/竜の騎士の世界:05/04/11 23:19

ザムザ「お前たちにも見せてやろう!
 大教授ビアスの下で身につけた脅威の科学力を!
 ――ガードノイド・ガッシュ!!」

ザムザに呼び出され姿を現す、寡黙な漆黒のアンドロイド戦士、
ガードノイド・ガッシュ。

ガッシュ「………」
ザムザ「カオスファントム、放射!」

用意した頭脳核にカオスファントムエネルギーを放射し、
頭脳獣を誕生させる。

ザムザ「頭脳獣アストラルヅノー!!」
アストラルヅノー「グオォォォ……!!」

見た事もない怪物=頭脳獣の出現に動揺するポップ。

ポップ「な…何なんだ、あの化け物は?」
マトリフ「俺たちの知る魔物とは…少し…いや、かなり違うようだな」
ザムザ「当然だ。この世界には魔術やら法力やらの使い手が多いからな。
 その精神力が物質化し、原子にまで分解されカオスを作っている。
 そのカオスファントムエネルギーから新たな生命が生まれる。
 それが頭脳獣だ!」
ポップ「何言ってんだ…お前??」
ザムザ「ま、お前たち文明レベルの遅れた原始人に
 いくら講義したところで、わかるまいがな…」
ポップ「何だと!? てめえ!!」

ザムザ「戦闘兵ジンマー!!」

ザムザの号令と共に、武装頭脳軍ボルトの高性能アンドロイド兵士・ジンマーの大群と、
頭脳獣アストラルヅノーが襲い掛かる!!

415 名前:時空編:05/04/11 23:21

○神鳥レティス⇒フラッシュマンに協力を申し出る。
○VRVマスター⇒デカベースでの用件を済ませ、
 伊豆の地球連邦軍極東支部に向かう模様。
○リリーナ⇒伊豆の地球連邦軍極東支部にてレオナ姫と、
 PU関係者として極秘裏に会見。
○ポップ⇒重傷を負い、マトリフの家に匿われていた。
●ザムザ⇒マトリフの家を見つけ、襲撃する。

【今回の新規登場】
○ポップ(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 大勇者アバンの使徒の一人で、魔法使いの少年。
○大魔道士マトリフ(ドラゴンクエスト ダイの大冒険)
 かつての大勇者アバンの仲間の一人で、ポップの魔法の師匠。
●ガードノイド・ガッシュ(超獣戦隊ライブマン)
 大教授ビアスの側近ロボット。
 ギガファントムを照射し、敗れた頭脳獣を
 再生&巨大化させる能力を持つ。
●頭脳獣アストラルヅノー(超獣戦隊ライブマン/半オリジナル)
 ザムザが創らせたオリジナル頭脳獣。

416 名前:名無しクワガ夕:2005/04/16(土) 07:26:02

***豹の巣***

南米ジャブロー。ここは地球連邦軍の拠点の一つであると同時に、
第二次世界大戦中後を通じてナチスドイツの残党が潜伏した土地でもある。
彼らナチスドイツの優秀な軍人や科学者はさまざまな組織を作り出した。
オデッサ機関、スパイダー、ロックゲート、ブラザーフッド……
それらが世界各地に散らばって生まれたナチス党、新ナチス、
地下帝国、サタン帝国、etc…。
そして、数ある「ナチスの子ら」中でも特にその名を馳せたのが──
ショッカー、そしてバダン!
南米に現存している、あらゆるナチス関連組織は
グランショッカーの傘下にあり、その中でも最大勢力を誇る組織=
「ミレニアム」の秘密基地に一台のヘリが降り立っていた。

ショッカー戦闘員(赤)「イーッ!! 到着いたしました、ゾル大佐」
ゾル「…うむ、ご苦労」

ゾル大佐が降り立った先にはすでに多くの兵士たちが整然と並んでいる。
第三帝国が誇った武装親衛隊の面々だ。
その中から、小柄で太った、眼鏡の男が歩み出てきた。

ゾル「久しぶりだな──少佐」
少佐「はい、お互い年はとりたくありませんな、大佐」

頬を少し吊り上げ嗤った。いやな顔だとゾル大佐は思う。

ゾル「昔話はいい。私は忙しいのだ、くだらん用なら早々に
帰らせてもらうぞ」
少佐「わかっていますとも大佐殿。多忙で各地に飛んでいる
十二邪将殿達に代わり、本部の椅子を温めておくという重要な
任務に忙殺されていることは」
戦闘員「イーッ!! 大佐に向かって無礼な…ウオォォォ!!」

護衛戦闘員のユニフォームがビリビリと破れ、蒼い体毛を持つ
獣人へと姿を変える──量産型の怪人・狼男だ。

瞬間、場の空気が凍り付き、すぐにどす黒い殺気に包まれた。
周囲の兵士たちが発したものである。

今にも少佐に飛び掛らんとする狼男を、ゾル大佐のムチが
制した。

ゾル「よせ…!!」
少佐「ああ、諸君。大丈夫、大丈夫だ。さて冗談は
さておき…ここからが本題です、大佐」
ゾル「冗談?」

冷静を装っているものの、ゾル自身の──眼帯で
隠されていない方の瞳にも明らかな怒りの色が宿った。
意に介さず、話を進める少佐。

少佐「博士。説明を」

兵士たちにまじって、レンズが三重になった
奇妙な眼鏡を掛けた背の高い男が何やら装置をいじっている。
すると……拘束具に縛られた人影が迫り出してきた。

──なんと、捕縛されていた人物は浅倉威!!

ゾル「こやつ…たしか仮面ライダー王蛇になっていた男だな」
少佐「そう、極東の島国での捕獲作戦には骨が折れました。
おかげで武装グール隊の一個大隊がぱあ、になりましたとも」

そう言うと少佐は浅倉に近付き、顔面の拘束具を引き剥がした。
その中から出てきたのは異常なほど発達した二本の犬歯!!

ゾル「ま…まさか」
博士「はい、もともと彼は優れた素体でした。
人間であった頃の身体能力はさらに倍増し、吸血鬼特有の不死性、
吸血能力が追加されました。また優れた素体だったためか陽光による
肉体能力の制限も見当たりません」
少佐「ははは、それはまさしく間違いなくアレだな──化物だ」

少佐が笑うのを見て浅倉も笑い返した。

浅倉「フン、そういうお前らも改造人間なんていうバケモノじゃねえのか?
まあそんなことはどうでもいい…いつまでこんなところに縛りつけとくつもり
だ? 約束が違うぞ…」
少佐「約束は守るよ、アサクラ君。きみの戦場を決めるのは、
目の前の人物だ」
ゾル「!?」
浅倉「そうか…あんたか」

完全に浅倉を封じていたはずの拘束具が、いとも簡単に破壊された。

浅倉「あんまりイライラさせないでくれよ? 久しぶりの外だ、
おもっいっきり楽しまなきゃな」
少佐「いかがです? 彼を使って大佐の障害を思う存分潰していって
ください。大佐が邪将の地位に就かれる日を心よりお待ちしております。
そのためには我らミレニアムも協力を惜しみません」
ゾル「……お前達はいったい何を望んでいるのだ?
私に協力してお前達に何の得がある…帝国の再興か?」
少佐「フフ、私が望むのは唯一つ。戦争、永遠に続く戦争だけですよ…」
ゾル「……」

●ゾル大佐…ミレニアムによって吸血鬼化した浅倉威を味方につけ、
邪将の地位を獲得すべく暗躍開始…?
●浅倉威…吸血鬼となり、ミレニアムからゾル大佐の部下として派遣。

【今回の新規参入】
●ゾル大佐=(黄金)狼男(仮面ライダー)
 ショッカー大幹部の1人。中近東支部を担当していた元ナチス将校。
●少佐(HELLSING)
 半世紀前のナチスで吸血鬼部隊を指揮した人物で、ミレニアムの総統代行。
●博士(HELLSING)
 ミレニアム幹部の一人。ミレニアムの人造吸血鬼の製造担当責任者と思われる。
 血まみれの白衣と多重レンズ付の眼鏡がトレードマーク。
●浅倉威=仮面ライダー王蛇(仮面ライダー龍騎)
 常に戦いと暴力を求めるアウトロー。神崎兄妹によって
 再生し、過去の犯罪も「なかったこと」になったはずだったが…。

417 名前:時空編/現代:2005/04/17(日) 21:27:33

***移動基地『α』***

通信回線のモニターを介して、
月のミスマル総司令と連絡を取っている兜剣造博士。

剣造「それでは、伊豆の極東基地で研究開発が進められていた
 時空クレバスの制御システムがついに完成したのですか?」
ミスマル@モニター「うむ。先程こちらにも岡長官から連絡が入った」
剣造「………」

そもそも時空クレバス制御に関しては、
行きたい場所を3つの座標軸で示し、強力なビーム照射によって、
時空クレバスを抉じ開ける方法が考案されていた。

行きたい世界を表示する為の「次元軸」、
辿り着く場所を表示する為の「転移軸」、
何時の時代に着くかを示す為の「時間軸」。

この3つの座標軸を順番にコード入力して、
辿り着く先を確実に固定しておき、
強力なビーム照射で、移動用の時空クレバスを抉じ開けるシステムの開発が
急ピッチで進められていたのだが……。

剣造「しかし…時空クレバス内部に充満している
 マイナスエネルギーが障害となって、次元軸と時間軸を固定する作業が
 難航していたと聞いていますが…?」
ミスマル@モニター「それなんだがね…。いきなりなくなったんだよ。
 その充満していたマイナスエネルギーが」
剣造「…は?」
ミスマル@モニター「ほら、丁度、東京タワーに例の不思議な巨大鳥が、
 異世界からの来訪者を連れて現れた時期と前後してな…」
剣造「すると…確かレティスとか言いましたか。
 その異世界から来た巨大鳥が、時空クレバス内のマイナスエネルギー浄化に
 何らかの形で関与していると…?」
ミスマル@モニター「それは異世界からの訪問者から聞けば、
 いずれ分かるだろう。ただ問題なのは……」
剣造「解っています。グランショッカーが無数の時空クレバスを通じて
 未知の異世界への本格侵攻に乗り出したと…」
ミスマル@モニター「それだけではない。プリベンターが調査したところでは、
 どうやらジュピトリアンも時空クレバス制御技術を完成させたらしい」
剣造「例のガノンとかいう怪物が我々の次元に現れたのも、
 ジュピトリアンの仕業ですな」

波動エンジン無しでのワープ、タイムマシン以外の人や物品を別の時空に
送り込む技術の実用化を目指す地球側であったが、超時空ネットワークを完成させた
グランショッカーや、今や次元跳躍装置を意のままに操るジュピトリアンと比べ、
その技術開発は明らかに一歩出遅れていた。

ミスマル@モニター「地球圏の安全保障の上でも、大変憂慮されるべき問題だ。
 軍としてもこの状況を放置しておくことはできない。
 だが政治というものは難しいものでね。他の山積している懸案に
 忙殺されている連邦政府は、表立ってこの事態に対処できずにいる…」
剣造「そこで我々αナンバーズ、そしてPUの出番という訳ですな?」
ミスマル@モニター「その通りだ」

独立外部部隊として、独自の機動性を認められているαナンバース、
そして全宇宙・次元の王女やVIP令嬢たちによって結成されたPUであれば、
地球連邦政府とは別の政治的立場から、自由に動けるという訳である…。

ミスマル@モニター「既に軍はこの件を全てPUに一任した。
 ドーリアン外務次官もその方向で動いてくれている。ただ当然…
 時空クレバスを越えての旅は、非常に危険が待ち受けていると予想される。
 各セクションから実力者を借りねばならんだろう…」
剣造「わかりました。こちらでもPUと協議の上で、
 直ちに人選に着手します」


○レオナ姫が大破邪呪文を唱えて、時空クレバス内の邪気を払ったため、
 地球で進められていた時空クレバス制御システムの開発は
 その後順調に進み、紆余曲折を経てほぼ完成した模様。
○兜剣造⇒いよいよ時空クレバスを越えての旅に送り込む
 ヒーローたちの人選に乗り出す。

418 名前:名無し客:2005/04/21(木) 17:38:54

時間は少しさかのぼり、
グランショッカーによるプラント襲撃事件からおよそ10日後の出来事…。

***ロンデニオン基地内・ミーティングルーム***

今、ここには現在のロンド・ベル隊の主力ガンダムパイロットが集まっていた。
アムロ、クリス、コウ、カミーユ、ルー、の五名である。
シーブックとトビア、ガロードたち、キラとアスランはそれぞれの母艦と
共に各地に散っており、シャッフル同盟も独自に動いていた。
ウッソやヒイロたちとは連絡が取れない状態が続いている…。

アムロ「では、ミ−ティングを始める。始めに…新メンバーの紹介だ。
 入ってきてくれ。」

アムロにうながされ、ドアから1人の男が入って来た。
…何故か覆面をかぶっている。

「……!?」

顔を見合わせるクリスとコウ。カミーユが苦笑いして、

カミーユ「イタズラしようったって分かってるよ、ジュドー」

覆面の男は笑いをこらえきれず、

ジュドー「へへっ、みんなただいま! でいいのかな?」

以前と変わらぬ素顔を見せた…。屈託のない笑顔だ。

ルー「ジュドー!?驚いた…もう大丈夫なの?」
ジュドー「ああ、もうバッチリさ…心配かけてすまねっ」
コウ「カミーユ、ジュドーだってよく分かったな…知ってたのか?」
カミーユ「いいえ…何となくジュドーかなって」
クリス(NTの力なの…かしら?)
カミーユ「でも…俺も驚いたよ。回復には早過ぎないか?」
アムロ「そのことなんだが…ジュドー?」
ジュドー「ハマーンのおかげみたいなんだ。あいつのところにいた時、
 色々と治療してくれたのを何となくだけど覚えてる…。」
カミーユ「……」
コウ「それで…か」

アムロ「では、本題だ。これから先、おそらく敵のニュータイプと戦うことも
 増えてくると思う。そして、指揮官クラスの敵はファンネル装備の機体に
 乗っていることが多い。そこで今度の演習では、ファンネルによる攻撃に
 重点的に慣れてもらう。特にウラキ中尉とクリス…」

言いかけて言葉を選ぼうとしたアムロに、コウ自身が笑顔でフォローを
入れる。

コウ「分かってますよ大尉、僕たちはNTじゃない……対ファンネルは
 心してかからないとね」
クリス「──了解」
アムロ「なお、今回ジュドーはνガンダムHWSに、ウラキ中尉には
 ZZガンダムに乗ってもらう」
コウ「あの…自分のステイメンは?」
アムロ「先刻ニナ君がアナハイム本社に持って帰ったよ、さっき言った2機と引き換えに。
 一度ステイメンをオーバーホールするんだとか言ってたな」
コウ「なら、仕方ないですね…」
アムロ「じゃあ、みんなで夕食でも食べに行くか。
 ジュドー復帰祝いも兼ねて」
アムロ以外の全員「はい」

419 名前:名無し客:2005/04/21(木) 17:39:57

***地球・グランショッカーミケーネブロック・ガルマの私室***

ジュドーが復帰した同日。

ガトー「…失礼します」

ノックの後、アナベル・ガトーが入室する。

ガトー「お呼びでしょうか?」
ガルマ「うむ…現在我がグランショッカーは主に地球本星での工作に重点を
 置いており、異世界侵攻計画にも人員を取られている…というのは周知の
 通りだ」
ガトー「はい」
ガルマ「その分、太陽系における展開が手薄になっている傾向がある。
 ゴズマ軍は外宇宙がメインということもあり…我らMS部隊に太陽系内
 での情報収集の命令が下った。そこで、貴官に隊長として宇宙に上がって
 もらいたいのだが…」
ガトー「はっ…謹んでお受けいたします」
ガルマ「うむ、では早速準備にかかれ…諸君の健闘に期待する」
ガトー「…ガルマ様」
ガルマ「ん? 何だ?」
ガトー「機会があればで構いません…コウ・ウラキとの再戦を…お許しいただきたい」
ガルマ「……わかった。が、それに気を取られて本来の任務を忘れぬように…」
ガトー「はっ、ありがたき幸せ…! ジーク・ジオン!!」
ガルマ「ジーク・ジオン…!」


***宇宙空間・ロンドベル隊演習地***

アムロ@Hi-νガンダム「では演習を開始する。まず、カミーユとルーに
 ファンネル対処法の手本を見せてもらう。ジュドー、用意はいいな?」
ジュドー@νガンダムHWS「ああ、でもマジで当たったらやばいんじゃないの?」
アムロ「大丈夫さ。演習用に調整してるからほとんど殺傷力はない
 …じゃあ2人とも、いくぞ」
ルー@Zガンダム3号機「了解」
カミーユ@Zガンダム1号機「いつでもいいですよ」
アムロ、ジュドー「「いけ、フィンファンネル!!」」

2機のνガンダムからファンネルが射出され、ビームを放ちつつ2機のZに近づいていく。

カミーユ「そこ!」

迫り来るビームを回避しつつ、Zの演習用ビームライフルが連射された。
3つのファンネルが撃ち落とされる。
が、落とされなかった残りがZガンダムの周りを囲む。

ルー「あたしもいいとこ見せなきゃ」

そう言いつつビームサーベルでファンネルを潰していく、紫のZ。
残ったファンネルの放つビームもシールドで防いだり回避したりしていく。
そして攻撃終了…。

アムロ「よし、2機とも直撃弾無しだな」
コウ@ZZガンダム「す、すごい…」
クリス@Zガンダム2号機「あの全方位攻撃を避けきったなんて…」
カミーユ「いや、でも実際きつかったですよ。事前に数を減らしてなかったら
     2,3発は当たってたでしょう……」
アムロ「ああ、何もいきなり全部を相手にしようと思うから余計な被弾を生んでしまう…。
    それにファンネルだって動きを見切れば何とかなる。
    よし、次はコウたちだ!」
コウ「は、はい。よろしくお願いします。」

ファンネルが射出される。コウ機、クリス機は先の二人に習いビームを撃ってみるが
当たらない。それならばとビームサーベルで潰しにかかるが、逆にファンネルからの
ビームを受けてしまう。

コウ「うわ!?」
クリス「きゃあ!」

更にファンネルの攻撃は止まらない。2人は何発かは回避・防御しているが、
徐々に被弾数を増やしていく。そして…

コウ機とクリス機のコンピュータ「「判定撃破!機能停止」」

2機がほぼ同時に機能停止する。と同時に攻撃もぱったり止まった。

アムロ「お疲れ様…頑張った方だな」
カミーユ「お2人とも、伊達に一年戦争やデラーズ戦役を生き延びた
 わけじゃないですからね」
クリス「……でも、除隊してた間のブランクは否定できないわ……」
コウ「はぁはぁはぁ…大尉、もう一回お願いします」
アムロ「ああ、わかった。でも少しだけ休め」
                   ・
                   ・
                   ・

420 名前:名無し客:2005/04/21(木) 17:41:11

***宇宙空間***

同日同時間。ガトー率いる部隊が漆黒の空間を進んでいく…。

ガトー隊一般兵「ガトー少佐、主だったコロニーへの工作員潜入・完了しました」
ガトー@ドーベンウルフ改「ご苦労。近くを哨戒している部隊があるかもしれん。
 各機警戒を怠るな」
一般兵「はっ…、少佐。友軍ではない機体がこちらに向かってきます。数は3。
     機種認識…! MA(メタルアーマー)です」
ガトー「何!?」

程無く現れる3機のMA、ドラグナー1型C(カスタム)、2型C,3型C。

ケーン@D1型C「ライト、新ギガノス要塞の所在候補はここか?」
ライト@D3型C「ああ・・・って大ハズレだな、こりゃ…ジオンの戦艦だ」
タップ@D2型C「…ってあのパーソナルマークは!?」
ライト「ソロモンの悪夢、アナベル・ガトーか…グランショッカーの
 エンブレムまでつけてやがる」
ケーン「なんで今まで気づかなかったんだよ、ライト!?」
ライト「新型ステルスでも搭載してるんじゃない?
    ……お、近くで演習やってる。とりあえずそこまで逃げますか?」
タップ「賛成だ。このままじゃ多勢に無勢だからな」
ライト「んじゃ、SOSサインだしてっと…それ、逃げろ!」

一目散に逃げ出す3機。

ガトー「むっ、逃がすな、追え…見られたからには生かしてはおけん!」

後を追い始めるガトー隊。


***ロンドベル演習地***

訓練開始からおよそ一時間、さすがにコウもクリスも
だいぶコツをつかんできたようだ。

アムロ「よし、かなり対応できるようになってきたな。
 じゃあ、最後にもう1回…ん?」
ルー「アムロ大尉、大変です」
アムロ「どうした?」
ルー「友軍機からのSOSをキャッチしました。
 グランショッカー──アナベル・ガトー率いる部隊に追われている
 ようです…こちらに来ます」
コウ「ガトーが!? くっ…!!」

飛び出そうとするコウをアムロが止める。

アムロ「落ち着け。よし、各員戦闘準備、
 ライフルの弾を実戦用に切り替えろ。
 ルー、接触までには?」
ルー「…およそ2分です」
カミーユ「ウラキ中尉、クリス少尉、推進剤は大丈夫ですか?」
クリス「…ええ、私は大丈夫よ。極端に戦闘が長引かなければね」
コウ「右に同じ!」
アムロ「よし、そろそろ来るぞ…みんな、気をつけろ…コウさん」
コウ「何か? アムロさん」
アムロ「ガトーと決着をつけたい気持ちは分かる…だからって焦るなよ」
コウ「……了解」
ジュドー「来たよ。みんな。ん、あれは…ドラグナー!? ケーンたちか?」

合流するガンダム隊とドラグナー隊。

ライト「ひゅ〜、ツイてる。ロンド・ベル隊だ。お久しぶりです…アムロ大尉」
アムロ「ああ、しかし何故君達がここに?」
タップ「話は後で。それより今は連中を…」
アムロ「そうだな。君達もいけるか?」
ケーン「もちろん! 久々だから腕が鳴るぜ…」

421 名前:名無し客:2005/04/21(木) 17:42:30

一方、ガトー隊。

一般兵「ガトー少佐、奴らに追いつきました、が・・・。」
ガトー「わかっている。ロンド・ベル隊に合流されてしまったのだろう?」
一般兵「はい。」
ガトー「しかし、ここまできて手ぶらでは帰れん。仕掛けるぞ
(…コウ・ウラキもいるようだしな)」
一般兵「了解!」
ガトー「よし、各隊発進せよ、我が後に続け! 艦長、あれも出せ」
ムサカ@艦長「はっ。少々発進に時間がかかりますが……」
ガトー「多少は構わん。が、急げよ」
艦長「はっ。御武運を」

ガトーのドーベンウルフ改を先頭にRF(リファイン)ザク、ギラドーガ、
ザクV改等、そしてわずかだが量産型キュべレイが次々と出撃する。

アムロ「くっ、キュべレイか…各機へ、あのキュべレイは俺と
 ジュドーでなんとかする。
 みんなは他を頼む。ジュドー、行くぞ」
アムロ以外の全員「了解!」
コウ「……ガトォォー!!」

先陣を切り、コウがガトーに突っ込んでいく!

ガトー「やはりコウ、貴様か…各機へ! あのZZガンダムは私が相手をする、
 手を出すな! もうすぐあれも出てくる…とりあえずそれまで持ちこたえろ」
ガトー隊一般兵「了解!!」
ガトー「散開ッ!! さあ来い、コウ・ウラキ…あの時なし得なかった
 決着を着けてやる!」
コウ「望むところだッ!!」

ガトー機からメガ粒子砲が飛ぶ…コウはこれをうまくかわしつつ
ビームライフルで応戦。しばし膠着状態の後、動いたのはガトーだった。

ガトー「やるな…ならばこれでどうだ」

次の瞬間、ドーベンウルフの肩辺りから何かがコウ機めがけて
射出された!
非ニュータイプでも扱えるオールレンジ武器、インコムだ。
コウは突然のことだったがかろうじて回避した。

ガトー「腕をあげたな、しかし!」
コウ「!!」

とっさにシールドを構えるZZ。インコムの回避に精一杯だったコウに
再びメガ粒子砲が浴びせられたのだ。
ビームコーティングもあり何とか防ぎ切るも……。

コウ「ああっ、シールドが!?」
ガトー「それではもう使えまい!」

間髪いれずインコムが飛んでくる。しかし、今度のコウは冷静だった。

コウ「……そこだ!」

目星をつけて、ビームを連射する──そのうち1発がインコムを潰した。
さらにビームサーベルで別のインコムに繋がっているワイヤーを斬る!

コウ「おおおおおおーッ!!」

肩のビームキャノンで反撃開始するコウ機。

ガトー「何っ!?」

今度はガトーが反応しきれず、右肩部分と右足に掠めてしまう。

ガトー「むう、インコムがやられたか……小癪な真似を!」
艦長「ガトー少佐、準備整いました」
ガトー「よし、出せ」
艦長「了解、RFビグザム発進!!」

カミーユ「っ!あれは? みんな危ない」

RFビグザムから大型メガ粒子砲が撃ちだされた!
クリスやルー、Dチームと一緒にガトー隊の相手を
していたカミーユがいち早く気づき、皆に注意を呼びかけたため、
即座に回避運動に入る一同。
ちなみにその時点でガトー隊の半数程が戦闘不能状態になっていた。

アムロ「ちぃ、ビグザムだと…?やっかいなものを…っ」

アムロの脳裏に、スレッガーを失ったかつての死闘がよぎる。
やっとキュべレイ隊を全滅させたアムロ、他の援護に向かおうとして…
Dチームからの通信を受けた。

ケーン「アムロさん、俺達に任せてくれない?」
アムロ「策があるのか?」
ケーン「ああ、ただ途中で少し攻撃に時間がかかるかもしれないから、
 合図したら援護してくんない?」
アムロ「ああ、わかった。 ジュドー、君はカミーユ達と合流して敵の殲滅に
 あたってくれ」
ジュドー「了解。みんな気をつけろよ」
ケーン「よしタップ、ライト、準備はいいか?」
タップ「任せろ」
ライト「こっちもOKだ」
ケーン「よーしいくぜ。おらおら、騎兵隊のお通りだぁ」

3機のドラグナーがハンドレールガンを乱射しつつビグザムに向かっていく。

ガトー隊部隊長@RFザク「!各機あの3機を行かせるな。イエロー隊にも伝達し…ぐあぁ!?」

いい終わる前にカミーユ機から放たれたグレネードランチャーがRFザクの右腕を
破壊した。

カミーユ「まだ、抵抗するのか?なら……」

ハイメガランチャーをセットするとすかさず発射!
先ほどのRFザクと、その側にいたギラドーガもまとめて破壊された。
カミーユより少しビグザムに近いところでも
ルーとクリスがドラグナーの援護に回っている…。

ルー「このぉ、落ちなさいよ!」
クリス「負けない…!」

紅と紫、2機のZが次々と星の数を増やしていく…。

艦長「くっ、MSを援護するぞ。ミサイル用意、目標2機のZガンダム…発射!」

ルー「ええっ、ちょっとそんなのあり!?」
クリス「くっ!?」

慌ててミサイルに対処する2人。だが…。

ガトー隊一般兵「もらったぁ!」
クリス「えっ!?」

ビームサーベルを手にクリスのZに接近してくる敵MS、
これは駄目かと思ったその時、
何も無いところからビームが飛んできて敵機を撃墜した。
──フィンファンネルの仕業だ。

ジュドー「クリスさん、大丈夫?」
クリス「ええ、ありがとうジュドー」

一方Dチームは、カミーユ達の援護もありさほど苦も無くRFビグザムに接近。
タップ「ケーン、やっぱハンドレールガンじゃあんまり効き目ないよ!」
ケーン「わかってる。だから次はあれだ、ライト!」
ライト「はいよ、それ!」

D−3Cからミサイル発射!!

エリート兵@RFビグザム「ふん、こんなもの…!! 何だ、レーダーが!?」

そう、このミサイルにはレーダーを一時的に錯乱させる機能があったのだ!

ライト「アムロさん、お願いします!」
アムロ「よし、行けフィンファンネル!」

今度はアムロがビグザムを牽制し始めた。

ケーン「よし、光子バズーカ、チャージ・・・」
タップ「・・・こっちはOKだ」
ライト「・・・チャージ完了!」
ケーン「発射スタンバイ・・・・・・撃てぇぇー!!」

3機の光子バズーカがRFビグザムに迫るが、RFビグザムのIフィールドに阻まれてしまう。
が…それは囮、別方向の大出力ビームがRFビグザムにせまった。
ジュドーのνガンダムHWSのハイパービームキャノンだ。
これだけの高出力ビームを立て続けに受けてついにIフィールドは消滅し、
RFビグザムの装甲が溶けはじめる。

ケーン「よっしゃ、とどめはあれで行こうぜ!」
タップ、ライト「OK!!」

そう言ってD-2CとD-3Cがビグザムの巨体を両側からつかみ、持ち上げる。

エリート兵@RFビグザム「な、何をする!?」
タップ「よーし、恐怖のトリプル…」
ライト「アタァァック!!」

下に投げ落とされるビグザム、上昇してきたD-1Cが
ツインレーザーソードを回しながら接近…

ケーン「とどめのぉ、一撃ぃ!!」

すれ違いざまに装甲を斬り裂いた!

エリート兵@RFビグザム「うっ、損傷率60%を超えた!?
 こ、これ以上の戦闘は危険。撤退します!」

と、その巨体に似合わぬスピードで去っていく…。

艦長「ガトー少佐、駄目です。このままだとやられます!」
ガトー「何!? RFビグザムはどうした?」
艦長「中破状態で帰艦しました。味方も7割はすでに撃破されています」
ガトー「ちぃ、やむをえん。退却する。集結場所は……」
艦長「了解です。信号弾撃てぇい!」

戦艦から放たれた信号弾に応じ、即座に撤退を始めたガトー隊。

コウ「ガトー、逃げるのか!」
ガトー「こちらにも色々と事情があるのでな、今日のところは退く。
 ……だが、数々の屈辱は必ず返す!」
コウ「くっ…待てぇー!」
アムロ「中尉、深追いはするな!」
コウ「しかし!」
アムロ「隊長命令だ! 自分の機体の状態をよく確認しろ!」
コウ「!! ……はい。申し訳ありません……」

このときのコウのZZは推進剤が底を尽きかけ、誰が見ても全身損傷だらけ
の状態だった。そのことが、戦闘の激しさを雄弁に物語っていた。

アムロ「よし全機、ロンデニオンに帰還する…Dチームも来てくれるか?
 補給が必要だろう?」
ケーン「了解っ!」

422 名前:名無し客:2005/04/21(木) 17:44:13

***ロンデニオン・ミーティングルーム***

ライト「……というわけで、俺達はミスマル提督の依頼で、
 鷹の旦那達と二手に分かれてギガノス機動要塞の在り処を
 探しているんです」
ルー「で、今回は運悪くガトー達を見つけてしまったというか…
 出会っちゃったのね?」
ケーン「そういうこと」
アムロ「そうか…そちらも頑張ってくれ。余裕ができればこちらも出来る限りの
 ことはするよ……とんでもない演習になってしまったが今回はこれで解散だ。
 みんな、ご苦労だった」
アムロ以外全員「ありがとうございました!」

***宇宙空間・ガトー隊***

ガトー「くっ、ロンド・ベル隊め……今日の屈辱忘れはせぬぞ」
通信兵「……少佐、ガルマ様より通信です」

モニターにガルマの顔が出てくる。

ガトー「ガルマ様、今度はまことに…」
ガルマ「ガトー、すまぬが全員でこちらに帰って来てくれ」
ガトー「……どういうことです!?」
ガルマ「うむ、闇の帝王陛下よりの御下命だ。異世界侵攻計画に
 更なる人員を要すると…。
 しかし、潜入させた工作員はそのままにしておけ。
 宇宙の情報が欲しいのも事実だからな」
ガトー「では、アナベル・ガトー隊…ただちに帰還いたします!
 (覚えておくがいい、コウ・ウラキ!)」


○ジュドー、ハマーンの協力もあり無事に回復・復帰。
○ロンド・ベル隊、ファンネル及びそれに類する武器への対処法を習得。
○ミスマル提督の密命でDチームとマイヨ隊(マイヨ、プラクティーズとミン)、
 宇宙のどこかに潜むギガノス新機動要塞の位置を探査中。
●グランショッカー、コロニーや月都市に工作員を潜入させる(主に情報収集)。
●ガトー隊、宇宙に上がるも次の作戦準備の為、基地にとんぼ返り。

【今回の新規登場】
○ケーン・ワカバ准尉(機甲戦記ドラグナー)
D−1型、D-1型Cのパイロット、元民間人。
性格は熱血漢でお調子者。少林拳を習得している。
○タップ・オセアノ准尉(機甲戦記ドラグナー)
D−2型、D-2型Cのパイロット、元民間人でケーンとは悪友。
いつも明るい笑顔を振りまく、お気楽さがとりえの陽気な黒人。
○ライト・ニューマン准尉(機甲戦記ドラグナー)
D−3型、D-3型Cのパイロット、元民間人でケーンの悪友。
暴走するケーン達を止める役だが自身もかなりのお調子者。
電子機器に詳しい。白人。

423 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/04/23(土) 16:55:55

***ブリティス王国***

MS族と人間族が共存する世界スダ・ドアカワールド。
この世界にも異変は起きていた。
ザン・スカール帝国復活したのだ。加えて未知の機兵の出現。
古代神との戦いを戦い抜いた冥闘神デスサイズとその相棒・法術師デュオも
苦戦を強いられていた。

法術師デュオ「ふー、倒しても倒しても全然減らねえな」

二人は今、騎兵の無いブリティス城周辺にて未知の機兵と戦っていた。
デュオが囮となって敵をおびき出し、デスサイズが倒す。
未知の機兵がメタルビーストというものに似ていることなど知る由も無い。

法術師デュオ「また来たぞデスサイズ!!」
騎士デスサイズ「ソウルアップ!!」

騎士デスサイズが巨大な死神、冥闘神の姿へと変身する。
再び来襲する機兵。だが今回は未知の機兵ではなかった。魔龍機デビルドラグーン。
まだトゥルーユナイトに目覚める前のシャッフル騎士団ナイツの一員
キングオブハートを散々苦しめた実力者である。

魔龍機デビルドラグーン「今日がお前の最期だ、冥闘神デスサイズ」
冥闘神デスサイズ「あんな奴まで…黄泉還りを…!黙れ、大鎌使いの名を汚す者め!!」

デビルドラグーンのギロチンハルバートとデスサイズの大鎌が火花を散らす。
だが一騎打ちに割り込むものがいた。

ゼノンマンサ「くらえ魔雷球ギガ・プラズマ!」
デビルドラグーン「隙あり!デビルサンダーバリアント乱舞雷!!」

幽騎士ゼノンマンサが魔機兵ザマレド・マンサに搭乗して現れたのだ。
不意を衝かれたデスサイズはその攻撃を避けられない。
そして生じた隙にデビルドラグーンの技が決まる。

法術師デュオ「デスペリオルのデビルドラグーンに、ネオジオンのゼノンマンサ!!
 何でこいつ等がザンスカールに!!」
デスサイズ「……卑劣な……」
デビルドラグーン「止めだ。雷鳴斬サンダーバリアント双閃剣!!」

爪から雷のビームサーベルを発生させ迫り来るデビルドラグーンだが
雷光に阻まれる。

聖龍騎士ゼロガンダム「お前の相手はこのゼロガンダムだ!」
デスサイズ「……ゼロガンダム!? 何故ここに……!?」
ゼロガンダム「紛い物とはいえ聖なる技雷龍剣サンダーソードを悪に汚す者はおれが許さん!」

旧『クラブオンエース』聖龍騎士ゼロガンダムが聖龍機ロードドラグーンに乗って飛来した。
デビルドラグーンを睨みつけるロードドラグーン。

ゼロガンダム「汚れし者どもよ、無ゼロに還れ!」

超雷鳴斬ハイパーサンダーバリアントが炸裂する。
同時にデスサイズも魔機兵を両断した。

424 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/04/23(土) 16:57:10

一方、その頃……

***ザン・スカール帝国***

幻魔皇帝「貴殿らの協力のお陰でスダ・ドアカ全域の制圧も進みつつある。
 感謝するぞ…ギャラハン皇帝、ゴーゴン大公」

ザンスカール総帥幻魔皇帝=アサルトバスターだ。玉座の前には、
猛虎の背中に屈強な武将の上半身が融合した怪人──ゴーゴン大公も
控えている。

幻魔皇帝の眼前、空中にゆらめく影のような
立体映像が浮かび上がり、グランショッカー第四柱の邪神・
ミケーネ闇の帝王の声で応じた。

ギャラハン皇帝(闇の帝王)の声「礼には及ばぬ……我々のいる世界では
やりにくきことも多いのでな……」
ゴーゴン大公「私めにもお褒めの言葉を頂戴し、恐悦至極……
 当方こそ、実験とデータ収集を不自由なくさせていただき、
 感謝の言葉もございませんぞ(フフフ…此処で力を蓄え、
 兜剣造を捻じ伏せ…α-ナンバーズを葬り去ることこそ我らが目的よ。
 こんな異世界など、使い潰してくれるわ!)」

そこへ入るデスサイズ・ドラグーン出現の一報。

ギャラハンの声「あの者どもの…平行世界における同一人物か…
 "あれ"の実験には持って来いの相手だ……ゴーゴン大公!」
ゴーゴン「ははっ! 出でよ、我がミケーネ軍の新戦力!」

ゴーゴンの号令に応じて巨大な鉄扉が開き…
人型をしてはいるが全体に細長く、
肩幅が胴体の倍近い灰色の装飾が目立つ機体が出現する。

ギャラハンの声「遺伝子の99.89%までヒトと共通のエヴァンゲリオン。
 ならば人間と同じメカニズムで変異体を作り出すことができるのも当然だ…」
幻魔皇帝「……それは確か実験段階だったのではないか?」
ゴーゴン「実戦投入こそが最高の実験。エヴァンゲリオンオルフェノクの
 性能を今の内にぜひ見ておきたい…それが我が皇帝の御意でございます。
 操手よ…操縦方法はわかっておろうな」
兵士ゾロ@エヴァオルフェノク「…攻撃目標を設定すれば機体が攻撃行動を続けるんだな?」

エヴァオルフェノクのインターフェースはメタルビーストの
操縦システムを応用しており、これによりネックであった
建造コストを大幅に抑えることが可能となっていた。
攻撃パターンは暴走したエヴァに準じ、実用面でも申し分ない。

ギャラハンの声「行け…エヴァンゲリオンオルフェノクよ!」

425 名前:時空編:2005/04/23(土) 17:00:10

●スダ・ドアカワールドでジオン族、ネオジオン族、デスペリオル族など
 壊滅したはずの勢力が黄泉還り、それらを復活したザン・スカール帝国が抱え込む。
●ミケーネ闇の帝王⇒ゴーゴン大公を派遣し、ザン・スカール帝国に協力。
 この世界では「ギャラハン皇帝」と名乗っている様子…。

【今回の新規登場】
○法術師デュオ(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)
 漆黒の法衣と栗色の三編みが良く似合う少年。
 人間族では珍しい、法術士の称号を持つ。
 デュオ・マックスウェルとは互いに
 「パラレルワールドのもう1人の自分」の関係。
○騎士ガンダムデスサイズ=冥闘神デスサイズ(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)
 元は死神であったガンダム族騎士で、冥機兵デスサイザーの操手。
 法術士デュオのパートナーで養父でもあり、鎧闘神ウイングに次いで高い戦闘能力を誇る。
○聖龍騎士ゼロガンダム(新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語)
 魔龍騎士ゼロガンダムが聖なる心に目覚め、聖鎧(セイントメイル)を纏った姿。
●魔龍機デビルドラグーン(新SDガンダム外伝 黄金神話)
 暗黒卿(ダークロード)マスターガンダムが作り出した、
 聖龍機マルスドラグーンの偽物機兵。
●幽騎士ゼノンマンサ(新SDガンダム外伝 聖機兵物語)
 ジークジオンの側近、騎士ゼノンマンサの成れの果て。
 ガンダム族への恨みを持つ者として、
 ネオジオンの総帥・ジークカロッゾにより召喚され、
 魔機兵ザマレドマンサを操る。
●幻魔皇帝アサルトバスター(新SDガンダム外伝 ナイトガンダム物語)
 ザン・スカール帝国の皇帝。元は嵐虎剣(ストームソード)を極めようとした
 ガンダムの騎士だったらしいが、闇の心に染まり、魔王となってしまった。
 バイスタランチュラで人の心を操る。
●ギャラハン皇帝=ミケーネ闇の帝王(グレートマジンガー)
 グランショッカーの第四勢力・ミケーネ帝国の支配者である邪神。
 本当の姿を見た者は一人もおらず、通常見せている溶岩と炎の塊の
 ような姿から発する熱は5万度と言われている。
●ゴーゴン大公(マジンガーZ/グレートマジンガー)
 ミケーネ帝国諜報軍所属の武将。諜報軍戦闘獣及び妖機械獣を
 操る。ミケーネ幹部の中では唯一戦闘獣形態を持たない。

426 名前:時空編/現代:2005/04/23(土) 17:02:59

一方その頃、地球では……

***ICPO日本支部(旧 金田探偵事務所)***

正太郎「ここに帰って来るのも久しぶりだな…」
陽子「お帰りなさい、あなた」

ICPO本部のあるフランス・リヨンから
久々に日本に帰国した金田正太郎を、妻・陽子が出迎える。

正太郎「母さん、正人たちは来ているかい?」
陽子「もう先程から別室で待機していますわ」
正太郎「そうか。じゃあすぐに書斎に来るように伝えてくれ。
 客人も待たせてある。これから忙しくなるぞ」

正太郎が金田探偵事務所の所長時代の頃から
執務室として使っている書斎に呼ばれる金田正人、夏樹三郎、光瀬双葉の3人。
かつて鉄人と共にネオ・ブラック団の侵略から
地球の平和を守った勇者たちである。

三郎「お久しぶりです、長官」
正人「なんだよ父さん、急にフランスから帰ってきたかと思えば
 いきなり俺たちを現場から呼び出すだなんて。こっちは
 重要手配中の密輸団を追ってる最中だったんだぜ」
正太郎「実はお前たちに引き合わせたい人物がいる」
正人「引き合わせたい人?」

正太郎「お入りください!」

正太郎に呼ばれ、別室からドアを開けて
中に入ってきたその人物を見て、一瞬あっけに取られる正人たち。

正人「――!??」
双葉「……(小耳に)ねえねえ、ちょっとサブちゃん。
 あれって素顔なの?」
三郎「……(小声で)まさか。マスクだろ」

ハロ長官「ハ〜ハッハッハ!
 はじめまして。金田正人君に夏樹三郎君だね?
 君たちの活躍は私の耳にも届いているよ!」

それもそのはず……。
その人物――ハロ長官は、その名の通りハロ顔だったのである。
(しかも耳の部分がパタパタしている……)

427 名前:時空編/現代:2005/04/23(土) 17:04:32

正太郎「コホン!!…みんなに紹介しよう。
 こちらは、未来都市ネオトピアのS.D.G.最高責任者を務めて
 いらっしゃるハロ長官だ」
正人「未来都市ネオトピア?? S.D.G.??」
三郎「ああ、確か地球連邦議会のロボットパートナー宣言に基づいて
 建設された、人間とロボット生命体が共存する特別自治区の…」
ハロ長官「いかにも。そしてS.D.G.とは
 正式名称をSuper Dimensional Guardと言い、
 要するに次元を守る集団だ」
正人「次元を守る集団だって!?」
ハロ長官「2年前、次元を超えて翼の騎士ゼロがネオトピアに現れ、
 ダークアクシズの存在を示す警鐘となった事件がきっかけで
 発足に至った組織なのだ」
双葉「そのえすでぃーじーが、わざわざICPOに何の御用なんです??」
ハロ長官「うむ。では、その疑問にお答えしよう。
 …入りたまえ!」

ハロ長官に呼ばれ、中に入ってきたのは
一人のモビルディフェンダーと思しきロボット生命体??。
西洋風の甲冑を身につけたような姿をしている。
(ちなみにネオトピアでは、武器を持たない
一般ロボット市民の事をモビルシチズン、武装を許可された
ロボットの事をモビルディフェンダーと呼ぶ…)

騎士F90U「………」
ハロ長官「彼の名は騎士ガンダムF90U。
 異世界スダ・ドアカワールドに住むMS族と呼ばれる種族で、
 我々の世界に流れ着いて来たところを、当方で保護した」
双葉「ひょっとして、それも時空クレバスのせいなんですか?」
騎士F90U「…そうか。あの空間に開いた奇妙な歪みの穴は
 時空クレバスと言うのか……」

一人で納得している騎士F90U。

正太郎「そこでお前たちには、彼を元居た世界に
 送り届けて来てほしい」
正人「…って、何で俺たちが!?」
ハロ長官「いや〜それがだね、うちのS.D.G.の面々は
 皆、次元パトロールとして出払っていてしまっててねえ……」
正太郎「これは地球連邦軍のミスマル提督からの正式要請でもある。
 お前たちも聞いているはずだ。今、グランショッカーが
 時空クレバスの存在を悪用して、幾多の異世界に対して
 無法な侵攻を開始している事に…」
陽子「今、連邦軍から要請を受けた各セクションから
 実力のある者を募って、グランショッカーの侵略に晒されている
 異世界へ時空を越えて救援を送り込むプロジェクトが、
 PU主導で本格化しているの」
双葉「…そっか。正人は以前、タキオン粒子で
 過去に行ったりした事があったもんね」
三郎「きっとその経験が買われたんだな…」
正人「でも俺たちがいない間は、地球の方はどうするんだよ?」
正太郎「お前たちの留守中は、世界各国に配備されている鉄人や、
 ユニコーン機関のエキスパートたちでカバーする」
正人「わかったよ父さん。そのスダ・ドアなんとかっていう世界の様子を
 この目で確認してくればいいんだね」
正太郎「そうだ。そして三郎、お前もブラックオックスと共に
 正人に同行してくれ。向こうではどのような危険が待ち受けているか
 解らん。くれぐれも気をつけて行動してくれ」
三郎「了解しました、長官。任せてください」
双葉「あの〜それで私は?」
陽子「あなたは、私たちと一緒に留守番よ」
双葉「え〜っ! そんなぁ〜!
 せっかくまだ見た事もない異世界に行けるかと
 楽しみに思ってたのに〜」
三郎「こらこら、遊びに行くんじゃないんだぞ」

いじける双葉をたしなめる三郎の横で、
固く握手をする正人と騎士F90U。

正人「暫くの間だけだけどよろしくな、騎士F90Uさん」
騎士F90U「こちらこそよろしく頼む…」

428 名前:時空編/現代:2005/04/23(土) 17:06:12

***デカベース***

ドギー「すまんな。わざわざ君たちにまで来てもらって」
炎「いいっていいって! 気にすんなよドギーのおっさん!」

急遽地球署に招集されたのは、地球の高校生5人(+社会人1名)。
彼らはかつて宇宙監獄サルガッソに収監されていた
5000を超える血に飢えた凶悪宇宙人犯罪者たちの惑星狩りから
地球を守った勇者――ダグオンたちである。

海「それでクルーガー署長、我々に用件とは?」
ドギー「時空クレバスの発生により、サー・カウラーをはじめとする
 重要手配犯の多くが未知の異世界や別の時空に逃亡した。だが我々は
 これを追って簡単に地球を離れる訳には行かない」
激「そこで宮仕えのアンタらと違って、
 比較的自由に動けるワシらの出番ちゅう訳じゃな?」

ドギー・クルーガーの話では、現代の地球の治安を守る任務のあるデカレンジャーに代わり、
ダグオンにサー・カウラー追跡の任務を依頼したいとの事だった。

スワン「勿論これは強制ではないわ。
 あなた達は既に民間人だし、私たちにもあなた達に命令する権限はないもの」
竜「だが…他に頼める相手がいないのも事実だろう……?」
ドギー「痛いところを突かれたな…。
 恥ずかしながらその通りだ。PUからの要請も来てはいるのだが、
 黄泉還りにより復活したアリエナイザーへの対処に追われ、
 とてもではないが人員を割ける余裕などないのが実情だ」
炎「いいぜ、引き受けても。丁度退屈してたとこだしな!」
海「まあ…社会正義のためとあれば、お断りする理由は無いな」
翼「僕も行きます。未知の異世界なら、まだ未発見の動植物も
 多数収集できるかもしれませんし。シンはどうしますか?」
森「…しょうがねえなあ。腐れ縁だ。俺も付き合ってやるよ。
 ひょっとするとまだ見ぬピチピチの可愛い女の子もナンパできるかもしれねーし。
 ところで、旅行費用は全て宇宙警察持ちだよな?」
ドギー「必要な費用は全てPUが負担してくれる事になっている。
 …で、激君はどうする?」
激「………」

激は少々顔色を曇らせ、黙っている。

炎「何だよゲキ、お前は来ないのかよ?」
激「…すまんのう。この頃三河屋の仕事が忙しくて、
 とてもダグオンの任務にまで手を出しとる余裕がないんじゃわ…」
炎「…チッ! しょうがねえなあ」
ドギー「いや、激君にも激君の生活があるのだから、
 これは仕方がない。カウラーは炎君たちだけで追跡してくれ。
 フラッシュマンも一緒に同行することになっている。
 他にもメンバーが選考中だ」
翼「それで、そのサー・カウラーが逃げた先が
 どこなのかは解っているんですか?」
ドギー「現場に残された手がかりから、
 今、PU日本支部の施設でジャスミンが調べてくれている」

時空クレバスを越えて異世界や別時空へ向かうメンバーの選考は、
このように着々と進んでいた……。

429 名前:時空編/現代:2005/04/23(土) 17:10:00

***PU日本支部***

東京郊外にある修道院風の建物──全次元・全宇宙の姫君や令嬢たちが
ヒーローたちの一助にならんと結成した組織、プリンセス・ユニオン
(PU)の日本支部では、サー・カウラーが別時空に逃亡した現場に
残されていた僅かな証拠物件を持ち込み、PU全面協力の下にジャスミンが調べていた。

ラクス「何か解りましたか、茉莉花さん」
ジャスミン「待って…」

手袋を脱ぎ、幾つかの証拠物件に
直接触れてみるジャスミン。

NR@古川登志夫「ジャスミンはエスパーである。
 現場に犯人が残した証拠物件に触れることで、対象者の残留思念を
 読み取れるのだ!」

ジャスミン「……何かが見える。
 錬金術……月光蝶……………」
ラクス「茉莉花さん……?」


多数の巨神兵が光輪を帯び攻撃、たった七日間で破滅した旧世界

遺伝子工学によって創造された巨大な菌類(現存の菌類とは
まるで別種)の森――腐海と、それを守る役目を担った巨大な蟲

人体練成――錬金術最大の禁忌

様々な生物の遺伝子を融合させることによって誕生した新生命体「マトリクサー」と、
人類再生のカギを握ると言われる伝説の地「センター」

忍者よりも素早く、どんな格闘技より強い
凄い奴ら……忍空

月へと移り住んでいた人々の帰還

3日限りの掟

天かける黒い竜機神

火星の赭(あか)き荒野
退廃のドーム都市

胸に七つの傷を持つ男――北斗神拳の継承者


ジャスミンの脳裏には、次々と見た事もない光景が浮かび
サー・カウラーの正確な逃亡先の所在を読み取っていく……。

ジャスミン「うっ……」
ラクス「茉莉花さん!?」

その場に倒れこむジャスミンを、慌てて抱え起こすラクス。

ラクス「茉莉花さん、しっかり!」
ジャスミン「…見えたわ、カウラーの逃亡した先の世界が……。
 カウラーが逃げ込んだのは、やはり本人が言っていた通り……
 …未来の……地球……」
ラクス「では間違いなくカウラー一味は、
 本当に未来の時代に……」
ジャスミン「…(首を横に振り)ううん……。
 それもただの未来じゃないわ…。今の時代からは遥か遠い……
 …世界は核の炎に包まれ……巨大産業文明も崩壊している……」
ラクス「――!!」
ジャスミン「……………」

よほど衝撃的な映像が一挙に脳内へと流れ込んで来たのか…
ジャスミンはそのまま気を失い、医務室へと運ばれた。

430 名前:時空編:2005/04/23(土) 17:12:47

○騎士F90U⇒時空クレバスに巻き込まれてスダ・ドアカワールドから
 地球に流れ着き、S.D.G.に保護され、そのまま日本まで連れて来られる。
○ICPOからは鉄人チームが、時空クレバスを越えて
 異世界(スダ・ドアカワールド)に赴く事が決定。
○宇宙警察からは、黒岩激(と現在地球には不在の宇津美雷)を除くダグオンが
 フラッシュマンと共に時空を越えてカウラーを追うことに…。
○ジャスミン⇒サー・カウラーが別時空に逃げ込んだ行き先の座標を、
 エスパー能力で正確に特定することに成功。

【今回の新規登場】
○ハロ長官(SDガンダムフォース)
 秘密防衛組織S.D.G.の司令長官で、謎のマスクマン。
○騎士(ナイト)ガンダムF90U(新SDガンダム外伝 聖機兵物語)
 重甲騎士(ヘヴィーアーマーナイト)ガンダムF90の息子で、
 ネオジオン軍の傭兵・マルスガンダムの正体である。
 父と折り合いが悪く、家出をして名前と姿を偽って生きてきたらしい。
○金田陽子(超電動ロボ 鉄人28号FX)
 金田正太郎の妻で、正人の母。一連の鉄人シリーズを手掛けたロボット工学博士。
 日本有数の資産家・榊財団の令嬢で、マサチューセッツ工科大学を首席卒業。
○金田正人(超電動ロボ 鉄人28号FX)
 金田正太郎と陽子の間に生まれた一人息子。鉄人28号FXのパイロット。
○夏樹三郎(超電動ロボ 鉄人28号FX)
 プラックオックスのパイロット。
○光瀬双葉(超電動ロボ 鉄人28号FX)
 旧金田探偵事務所の最年少メンバーの少女。
○大道寺炎=ファイヤーエン(勇者指令ダグオン)
 山海高校に通う高校2年生。ファイヤーダグオンとパワーダグオンを経て、
 スーパーファイヤーダグオンに超火炎合体。
○広瀬海=ターボカイ(勇者指令ダグオン)
 山海高校3年生で、名誉風紀委員長。ライナーチームのリーダー。
 シン、ヨク、ゲキと共に超重連合体してスーパーライナーダグオンとなる。
○沢邑森=アーマーシン(勇者指令ダグオン)
 山海高校3年生で、柔道部前主将。
○風祭翼=ウィングヨク(勇者指令ダグオン)
 山海高校3年生で、学園一の秀才。あらゆる動植物に興味を寄せる生物マニア。
○黒岩激=ドリルゲキ(勇者指令ダグオン)
 元風雲高校の番長で、エンのライバル。現在は三河屋という酒屋に就職。
○刃柴竜=シャドーリュウ(勇者指令ダグオン)
 山海高校2年生。無口で単独行動を好み、動物には心を開く。
 ダグシャドーを経て、3体のシャドーガードと一緒にシャドーダグオンに機獣合体。

431 名前:怪彗星ツイフォン−2:2005/04/30(土) 09:39:14

***伊豆・地球連邦軍極東支部***

レオナ姫がリリーナによってPU日本支部へと連れ出されたのと入れ替わりに、
宇宙連邦の非公式特使として極東支部を訪れたVRVマスター。
御園木課長との会見の席にて、粗茶の変わりに出された
甘くてほろ苦いコーヒー牛乳を口にしている。
そこでは、彼の口から地球から遥か遠く離れた外宇宙での情勢が、
逐一詳しく語られていた。

堀口「では、やはり各星雲には
 我々地球人類の予想を超える戦乱の火種が燻っていたのか…」
御園木「これまでの地球圏の混乱が原因で
 長らく連絡も途絶えて久しかった一部の自由惑星同盟の諸惑星も、
 戦闘に巻き込まれ、銀河の帝国主義列強に飲み込まれるケースが増えてきている。
 そこで宇宙考古学者である君の参考意見も聞きたいと思ってね。
 こうして来てもらった」

ちなみにこの場には、堀口博士のお供で一緒について来た
弓道天馬も同席している。

VRVマスター「銀河の列強は、地球と和解しているガミラスやゼントラーディ、
 ローエングラム王朝のみではない。特にバルマーやアーヴは、
 これまで宇宙連邦が極力接触を控えてきた未開の惑星に対しても
 遠慮なしに植民地化を進めている──いずれその波は地球圏にも迫るだろう」
御園木「そうなる前に、地球連邦政府としても
 打てるべき手は事前に打っておきたい。既にセイバートロン星とも
 国交を結び、宇宙警察の地球署も設置され、多くの宇宙警察官や
 サイバトロンのトランスフォーマーたちが地球上で公に活動している以上、
 我々地球人類も宇宙連邦とは共同歩調を取るべきだろう」

???「フッ…果たしてそれだけで万全かな…?」

御園木「誰だ!?」
天馬「あっ、お前は!」
VRVマスター「――!!」

驚いて声のした方向に振り向く一同。
そこには何とロギアが立っていた。

VRVマスター「ロギア……宇宙連合に属するインパクター星の軍将校か…」
ロギア「そういうお前は、宇宙連邦の惑星シドン復興政府代表だな…」

宇宙連邦宇宙連合……
このよく似た名称である2つの異星連合は、
元々一つの組織であった。
前者がリベラル寄りで、全宇宙の恒星間文明交流・
平和維持を目的に掲げているのに対し、
後者は惑星最高会議――ウオフ・マナフの意思の絶対統治下におかれ、
連邦よりも連合の方が極めて政治色(もっと言ってしまえば
覇権主義的色彩)が濃い…。それは、滅亡した惑星の難民を保護し、再興を
手助けする前者と、自分たちにとって将来の脅威とみなした惑星に対して
制圧もしくは破壊という手段をもって当たる後者との違いが如実に示して
いた。
ゆえに両者は分裂状態となり、長きに渡って対立を続けてきた
のである…。

御園木「一体この厳重な警備の中を、どうやってここまで!?」
ロギア「フン。あの程度の警備システムなど、
 俺にとっては潜り抜けるくらい容易いことだ…」
天馬「ロギア、一体今までどこに行っていたんだ?
 プラントでの戦いの後、何も言わずに急に姿を消しちまったもんだから
 心配してたんだぞ」
ロギア「ベルゼウスの動きを追っていた。
 俺に課せられた任務は、奴の追討だからな…」
堀口「それで、何か分かったのか?」
ロギア「ベルゼウスめ…どうやらあのまま
 グランショッカーに取り入り、組織に入り込んだらしいな」
御園木「それは宇宙連合の強硬派とグランショッカーが
 手を組んだということか?」
ロギア「いや、おそらく違うな。奴はスパイとして潜り込んだんだ。
 全ては同じタカ派としてベルゼウスを背後から操っている
 ゼゼーナンの指図だろう…」
天馬「…ゼゼーナン??」
御園木「その名前ならばブライト大佐から聞いた事がある。
 確か、かって地球に侵攻した異星人"ゲスト"の司令官だ。
 あの男が宇宙連合内部の好戦的勢力の首魁だったか…」
ロギア「だが…ゼゼーナンにはどうやら
 もっと大物の黒幕がついているらしい…」
堀口「…黒幕? 何者だそれは?」
ロギア「いわゆるスポンサーという奴だ…。
 最初はフリーザか…ギシン星のズール皇帝、あるいはゼーラ星の
 ダリウス大帝あたりかと勝手に思い込んでいたが…どうやら違うらしいな」
VRVマスター「………」
御園木「VRVマスター、何か心当たりでも?」
VRVマスター「…いや…もしかすると…
 あの悪の権化が全ての裏で糸を引いているのかもしれん…。
 その力はグランショッカーの至高邪神に匹敵するとすら言われる…
 恐るべきあの存在が……」
御園木「そ……それは一体……」
VRVマスター「異次元人ヤプール、ブラックスター、ヘラー軍団、
 邪悪生命体ゴーデス、根源的破滅招来体、カオスヘッダー…」
堀口「確か、どいつも歴代ウルトラ戦士の尽力で撃退した相手ばかり
 だな……まさか!?」
天馬「か…仮面ライダーの皆さんが戦ってきた相手のほとんどが
 "大首領"に操られていたのと同様に…!?」
ロギア「……(まさか……アレはただの伝説のはずだ……)」

432 名前:怪彗星ツイフォン−2:2005/04/30(土) 09:40:27

それから数日後……

NR@浦野光「巨大な隕石が地球に接近していた。
 かつて地球を掠めた巨大彗星『ツイフォン』と全く同じ軌道で
 飛んで来たそれは、国際科学技術庁=ISOと世界科学連邦=I.N.E.T.の
 合同研究チームによって「ツイフォン−2」と命名された。
 妖星ゴラン、アクシズ落とし──いや、災魔一族による隕石落下作戦
 以来の危機であった!」

「ツイフォン−2」の地球衝突を避けるため、ロンド・ベル隊による
大気圏外での隕石爆破作戦が開始された。
作戦を担当するのは、マリュー・ラミアス少佐率いる戦艦アークエンジェル。
主砲「ローエングリン」が隕石を射程距離内に捉える。
マリュー艦長が発射を命令しようとした、その時であった。
隕石の上から何かが飛び立った。

マリュー「怪…獣……?」

それは確かに巨大な宇宙生物だった。驚くべき事に二枚の羽で
真空の宇宙を滑空しながら、猛然とこちらへ向かって突っ込んで来る!

マリュー「くっ……ローエングリン、撃てぇぇぇっ!」

砲撃命令。アークエンジェルの主砲が火を吹き、怪獣を直撃した!
強烈な衝撃を正面から喰らって怪獣は後方へ吹き飛ばされ、
「ツイフォン−2」に激突した。
衝撃で真っ二つに割れる「ツイフォン−2」。その破片の片方は地球の重力圏を
外れたが、もう片方は怪獣を乗せたまま、地球の重力に引かれて落下して行って
しまった。

マリュー「死んだか……? いや、生きているわね。面倒な事になったわ……。
 隕石の質量は半減させたから、海に落ちさえすれば大事に至らないと
 思うけど……。 いずれにせよ、後は地上の防衛軍の仕事ね。
 急いで連絡しなければ」

「ツイフォン−2」は太平洋上に落下した。
落下地点が海だったのが幸いして、地上の人的・物的被害は皆無であった。
しかし地球連邦軍のレーダーは、海底のクレーター内に巨大生物の影を捉えていた。
マリューからの連絡の通りだ。日本の伊豆・下田沖の人工島に設置されている
地球連邦軍極東支部は厳戒態勢を発動した。

433 名前:怪彗星ツイフォン−2:2005/04/30(土) 09:41:47

さらに二日後……。

***地球・環太平洋エリア***

フルハシ「フルハシより本部へ。海底の巨大生物が動き出しました。
 進路は北、速度マッハ2。……日本へ向かっているぞ!」

特殊戦闘機ウルトラホーク1号で上空から警備していた
地球連邦軍・対怪獣用防衛組織「Mフォース」ウルトラ警備隊所属、
フルハシ・シゲル隊員が本部に異変を告げた。

アンヌ「了解。東京湾一帯に防衛態勢を固めます。引き続き、
 上空から監視を続けて下さい」

オペレーター担当の友里アンヌ隊員が応答する。

フルハシ「了解。怪獣を追跡する。 ? ……うわぁぁぁっ!」
アンヌ「フルハシ隊員!?」

無線から、フルハシの絶叫と酷いノイズが聞こえて来た。
突如、海中から巨大生物――彗星怪獣ドラコが浮上、
ロケットのような垂直飛行で真下からウルトラホークに
襲いかかって来たのだ!
だが間一髪、フルハシはドラコの突撃を回避した。

フルハシ「怪獣出現! これより攻撃を開始する!」

急旋回でドラコの背後を取り、後方からミサイル攻撃を浴びせる。
だがドラコはビクともしない。こちらも急旋回し、
ウルトラホークに再度体当たりを仕掛ける。
フルハシのウルトラホークはそれを僅差でかわし、
再びドラコの背後に回って射撃する。
両者は壮絶なドッグファイトを繰り広げた。


NR@名古屋章「その頃、富士山麓でも異変が起こっていた」

地鳴りと共に岩山が崩れ落ち、中から古代怪獣ゴモラが姿を現したのだ!

ゴモラ「ビシャァァァオッ!!

ドラコの日本侵攻に備え、伊豆・小田原方面に待機していたMフォースと
自衛隊の戦車・戦闘機部隊が富士山麓へ急行、市街地へ入る前にゴモラを
撃滅しようと攻撃を開始した。
(BGM:MATのテーマ ワンダバダバ……)
しかし──ゴモラは恐ろしく頑丈な怪獣だった。
メーサー戦車の殺獣光線砲撃にも、マットアローのミサイル攻撃にも
平気で耐えてしまう。

伊吹「何て奴だ……!」

攻撃を指揮するMフォース・MATの伊吹竜隊長は舌を巻いていた。

岸田「このままでは防衛線を突破されます!」

マットアローに伊吹と共に搭乗する岸田文夫隊員がそう言って唇を噛む。

伊吹「かつて出現したどの個体よりも強力なヤツのようだ。
 何とかならないものか……」

焦燥の念に駆られて、伊吹が呟いた。

434 名前:怪彗星ツイフォン−2:2005/04/30(土) 09:42:48

一方、太平洋上では……。
フルハシ隊員のウルトラホーク1号と熾烈な空中戦を展開していた
ドラコだったが──突然、戦いを中断し、猛然と日本を目指し
飛んで行ってしまった。

フルハシ「畜生、逃がすもんか!」

そうは言ったものの、飛行速度に差があり過ぎて追撃が及ばない。

フルハシ「フルハシより本部へ。怪獣は日本本土へ向かった。
 至急、迎撃用意を頼む」

アンヌ「……怪獣は東京よりはやや西、静岡方面へ向かっていますね」
 地球防衛軍基地のレーダーを見ながらアンヌ隊員が言った。
アマギ「もしかすると、もう一匹の怪獣の所へ……」
ソガ「あり得るな。野獣の闘争本能に引かれて、戦いに行ったのかも知れない」
アマギ「だったら、その二匹で潰し合わせてはどうだろう? 確か、以前
 出現したドラコはレッドキングに倒されたはずだ」

隊員達のそんな会話を聞いて、キリヤマ隊長が言った。

キリヤマ「漁夫の利、か……。こいつは賭けだな。だが他に有効な策も無い。
 よし、各地の防衛部隊に連絡しよう。怪獣二匹を戦わせるため、
 都市部に侵入しない限りドラコへの攻撃を一時控えるように、と。
 ゴモラと交戦中のMATにもその旨を伝えてくれ」

果たして、事はキリヤマ隊長達の思惑通りに進んだ。
ドラコは富士山麓に飛来、闘争本能に引かれるまま
ゴモラに戦いを挑んだのだ。
飛行体勢からの体当たりでゴモラを弾き飛ばすドラコ。
ゴモラもすぐに立ち直り、頭の角をドラコに向けて猛牛の如く突進する。
だが、身軽なドラコは飛翔してそれをかわす。
空を飛べる分、戦況はドラコに有利だった。ヒット&アウェイ戦法にゴモラは翻弄された。
だが、戦艦アークエンジェルの砲撃で既に負傷していたドラコにとって、
こうした体当たり攻撃は自身に与えるダメージも少なくはなかった。
戦闘が長引くにつれて、傷を負ったドラコの動きは徐々に俊敏さを失って行く。
対するゴモラは重量級の怪獣。ドラコのスピードに翻弄されながらも、
ダメージ自体はそれほど受けておらず、体力が尽きる気配も見せていない。
そして遂に、ゴモラの尻尾の一振りがドラコの突撃を叩き落とした。
地上に撃墜されたドラコを、ゴモラは容赦無く踏みつけた。

伊吹「勝負あったな……。さすがキリヤマ君だ。だが残ったゴモラをどうする……」

ドラコは動かなくなった。勝ち誇るゴモラ。大きく咆哮し、再び都市部へ向けて
進撃を開始した。攻撃を再開するMATだが、ゴモラはハエでも
叩き落とそうとするかのようにMATアローを襲う!

岸田「!!」
伊吹「やられるっ!?」

その時……、
空に白い光が輝き、光の巨人――新ウルトラマンこと
ウルトラマンジャックが現れた!

伊吹「……ウルトラマン!」
新マン「ヘヤァッ!!

(BGM:戦え!ウルトラマン)
MATアローに気をとられたゴモラに背後から飛び蹴りを喰らわせる新マン。
両者はそのままもつれ合い、激しい肉弾戦へと突入して行った。
ゴモラの尻尾攻撃は新マンに対しても有効だった。
地面に倒れ伏す新マン。だが──

新マン「デアァァッ!!(ウルトラブレスレットスパーク!!)」

新マンのウルトラブレスレットが光の刃となって
ゴモラの尻尾を切断すると、勝敗はほぼ決した。
尻尾を失って戸惑うゴモラに、更にスペシウム光線が放たれた!
光線を浴びて倒れたゴモラは、息も絶え絶えに地中へ潜って逃げようとする。
新マンが止めの追撃を加えようとシネラマショットの構えを
見せた、その時だった。

突如、ゴモラの身体が青い光に包まれ、そのまま空気に溶けるかの如く
消滅してしまった!

岸田「? 何が起こったんだ!?」

その場にいる誰もが、この怪現象に驚きの声を上げた。

ピコーン…ピコーン…

新マンのカラータイマーが赤く点滅する。戦いの終焉と共に、
青空が夕焼けに染まり始めた。

新マン「……シュワッ!」

新マンは沈み行く太陽に向かって飛び立った。

伊吹「ウルトラマンが勝った……だが奴は死んではいない……」

突然の怪獣出現、そしてゴモラの謎の消失。
伊吹は不吉な胸騒ぎがしていた。

435 名前:怪彗星ツイフォン−2:2005/04/30(土) 09:46:29

○VRVマスターやロギアによって、現在の外宇宙での様子が
 情報として詳しく地球側にもたらされる。
○ウルトラマンジャック(新マン)→ゴモラと対戦、勝利。
●彗星怪獣ドラコ→地球に飛来しゴモラと対戦するが、敗死。
●古代怪獣ゴモラ→新マンと対戦。敗れて重傷を負った後、謎の光に包まれ姿を消す。

【今回の新規登場】
○キリヤマ・カオル(ウルトラセブン)
 ウルトラ警備隊の隊長。頭脳明晰な作戦家だが、同時に人情家でもある。
○フルハシ・シゲル(ウルトラセブン)
 ウルトラ警備隊員。極東基地きっての怪力の持ち主で、
 空手・柔道ともに五段の腕前。
 実戦歴も輝かしい勇士だが、饅頭となめくじが苦手。
○ソガ(ウルトラセブン)
 ウルトラ警備隊員。射撃と手裏剣の名手だが、いささかおっちょこちょい。
 フルハシと並ぶ猪突猛進型で、愛すべき三枚目。ダンと仲がいい。
○アマギ(ウルトラセブン)
 ウルトラ警備隊員。メカと計算、通信に強い名プランナー。
○友里アンヌ(ウルトラセブン)
 ウルトラ警備隊員。宇宙航空学の権威、友里源三郎博士の孫娘。
 ウルトラセブン=モロボシ・ダンとは種族を超えた相思の仲。
○伊吹竜(帰ってきたウルトラマン)
 怪獣攻撃隊MAT2代目隊長。美奈子という一人娘がいる。
○岸田文夫(帰ってきたウルトラマン)
 MAT隊員ナンバー3。亡き父は旧日本軍に所属、
 叔父は防衛庁長官経験者という代々軍人家系の生まれ。
○郷秀樹=ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)
 ウルトラ兄弟の四男で宇宙警備隊の支部長クラス。
 郷は元レーサーで、怪獣タッコング襲撃時にビルに取り残された
 子供と犬をかばい、一度は命を落とすが、彼の勇気ある行動に
 感動した新マンと一体化し、不死鳥のごとく蘇った青年。
 公式にはバット星人との戦いで殉職したことになっている…。
●彗星怪獣ドラコ(ウルトラマン)
 怪彗星ツイフォンが地球に接近した際飛来した宇宙怪獣。
 右手はムチ、左手はカマになっている。
●古代怪獣ゴモラ(ウルトラマン)
 古代恐竜「ゴモラザウルス」の生き残り。長い尻尾が最大の武器。
 過去にジョンスン島、タイ、日本、チリで四個体が出現している。

436 名前:ゴモラの逆襲:2005/05/02(月) 08:17:13

***富士山麓・山中湖***

山中湖の朝。
朝風に吹かれながら湖畔を歩く二人の青年は、
ただのリゾート客ではなかった。
郷秀樹と高山我夢。
この地域をかねてから偵察していた、ウルトラの戦士達である。
片方は地球人と融合したM78星雲人であり、もう片方は「光」と
出会ったことで地球人から進化を遂げた新世代のウルトラマン…。

地球教の勢力に捕縛されてしまった高山我夢=ウルトラマンガイアは、
既に郷秀樹=ウルトラマンジャックと
おおとりゲン=ウルトラマンレオの二人によって
救出され、それ以来、彼らと行動を共にしていた。
今はゲンがロム・ストールらと合流し、マグノ一家の元を訪れているので、
残る二人が旅行者に偽装して山中湖近辺に張り込んでいる状態だ。
ここに、只ならぬ邪悪なエネルギーを感知したから……。

山中湖の湖底には、巨大な宇宙船が潜伏していた。
中にいたのは、メトロン星人、ボーグ星人、ツルク星人。
宇宙連合の好戦派が偵察のため地球へ派遣したスパイ達である。
彼らは彗星「ツイフォン−2」に偽装した宇宙船で地球へ侵入し、
太平洋に落下してからは海底を掘り進んでここ山中湖へ到達していた。
ゴモラの謎の消失の真相も、実は彼らの物質転移光線による回収であり、
ドラコも注意をそらすための囮に過ぎなかったのだ。

ボーグ星人「回収したゴモラの改造手術が完了した。いつでも発進出来るぞ」
メトロン星人「御苦労だった、ボーグ星人。これでウルトラ戦士も
 恐れるに足りん……」
ツルク星人「……」

ウルトラマンジャックに敗れて重傷を負ったゴモラは、ボーグ星人の
改造手術を受けて、彼らの操縦するサイボーグ怪獣として蘇生していた。
切断された尻尾は機械化され、武器にはミサイルや光線技をも装備して…。
手術を終えたゴモラは縮小された状態で溶液の中、静かに呼吸をしていた。

メトロン星人「さて、ゴモラを出撃させる前に、
 この星に巣食うあの軍団に挨拶しておこうか。
 丁度奴らも、この宇宙船の存在に気付いた頃だろうからな…」

メトロン星人はそう言うと、光に包まれて姿を消した。

***富士山麓・グランショッカー地下基地***

ここは、富士山麓の地下にあるグランショッカーのミサイル基地。
この基地の管理・警備はジンドグマ四天王の一人・鬼火司令が
担当していた。
しかし昨日のゴモラとウルトラマンジャックの戦闘で、
この基地も相当の衝撃を受け、地下施設の一部が崩落して
土砂に埋まってしまったのだ。
現在、戦闘員ジンファイターを総動員して土砂の掘り出しと
復旧作業を急いでいるところである。

思わぬ事故発生に苛立っている鬼火司令の元へ、
GOD秘密警察第一室長・アポロガイストが唐突に訪れた。

アポロガイスト「しばらくだな、鬼火司令よ」
鬼火司令「何をしに来たアポロガイスト!
 この基地は我々ジンドグマの管轄だ。貴様らGODが口出しするのは
 許されんぞ!」

突然姿を見せたアポロガイストに、鬼火司令は目を怒らせて食いかかる。

アポロガイスト「そうイライラするな。私は君を支援しに来たまでだ」
鬼火司令「支援、だと?」
アポロガイスト「そうだ。この付近に、謎の宇宙人どもが
 潜伏しているようなのだ──敵か味方かは今のところ判然とせん。
 この基地に万一の事がないよう、しばらくは私が駐留して指揮権を握る」

アポロガイストがそう言うと、基地にはGODの神話怪人達が
ぞろぞろと入って来た。

鬼火司令「何が支援だ…おのれ、ジンドグマだけでは不足だとでも言うのか!
 B26暗黒星雲の力をなめるな…ッ!!」
アポロガイスト「控えろ鬼火司令。これは十二邪将による決定事項だ。
 無論、貴殿らジンドグマの妖怪王女殿も、私の出向を承諾してくれたよ…
 渋々ながら、な」

アポロガイストはそう言って嘲笑い、颯爽とマントを翻して去って行った。
鬼火司令としては、彼にこの基地を横取りされたような気分で面白くない。

鬼火司令「ええい、何もかも気に食わん。この椅子も気に食わん!」

怒った鬼火司令は、そう言って自分の椅子を力任せに蹴っ飛ばした。

***基地の出入り口***

洞窟に模したグランショッカー地下基地の出入り口に、
見張りのジンファイターが立っている。
ジンドグマ怪人・ツリボットが、三人の若者を連れてそこに現れた。

ジンファイター「ヒィ! お帰りなさいませ、ツリボット様」
ツリボット「基地付近でうろついていた人間どもを釣り上げて来た。
 基地の復旧工事に、奴隷として使ってしまえ!」

そう言ってツリボットは、手を縛られた三人の若者
(男二人・女一人)を基地内へ連行した。
基地の司令室では、鬼火司令が待っていた。
相変わらず機嫌は悪そうだ。

ツリボット「鬼火司令、基地の近くにいた鼠どもを捕らえて参りました」
鬼火司令「わざわざ司令室まで連れて来る馬鹿があるか!
 さっさと洗脳して土砂の掘り出しでもやらせておけ…
 今はとにかく人手が足りんのだ!」

鬼火司令は乱暴に怒鳴り散らした。
しかしツリボットは、沈黙したまま何も反応しようとしない。

鬼火司令「何をしているツリボット! 早くそいつらを連れて行け!」
その時、ツリボットの眼光の色が変わった。
鬼火司令「……!?」
ツリボット「フフフフフ…。B26暗黒星雲人・鬼火司令、命をもらうぞ!」

アポロガイスト「鬼火司令、そいつはスパイだ!」

司令室のドアが開き、姿を現したアポロガイストはそう叫ぶと、
腕のアポロマグナムでツリボットを撃ち倒した。

ツリボット「ぐわぁぁぁぁっ!」
鬼火司令「アポロガイスト、どういう事だ!?」
アポロガイスト「こういう時のために十二邪将は私を遣わしたのだ!
 鬼火司令、そいつは宇宙人に憑依された斥候だぞ。
 そのくらい同じ宇宙人の貴様が気付かんでどうする!」
鬼火司令「何だと!」

倒されたツリボットの体から青い光が抜け出し、
メトロン星人に姿を変えた!

メトロン星人「フフフ…。さすがは太陽神の化身…よく見破ったな」
アポロガイスト「メトロン星人め、なかなか上手く潜りこんだものだな。
 だが、私には通用せん…!」
鬼火司令「おのれ…宇宙連合のスパイか!? 覚悟しろ!」

鬼火司令は得意の火炎でメトロン星人を攻撃するが、
瞬間移動でかわされてしまう。

メトロン星人「聞きたまえ…グランショッカー幹部の諸君。
 お察しの通り、我々は宇宙連合から派遣された偵察部隊だ。
 間もなく、我々はこの星へ侵攻するだろう。
 その時に君達と戦う事になるか、手を組む事になるかは
 君達の態度次第だ。来たるべき日まで、よく考えておくといい…」

鬼火司令「ふざけた事を…」

???「成る程、話は聞かせてもらったぜ宇宙人!」

司令室に連行されていた三人の若者が、
突然縄を振りほどくと、三色の光に包まれた!

忍風・シノビチェンジ!

アポロガイスト「くっ…捕虜も別口のスパイか!」

風が鳴き、空が怒る! 空忍ハリケンレッド!
水が舞い、波が踊る! 水忍ハリケンブルー!
大地が震え、花が詠う! 陸忍ハリケンイエロー!

ハリケンレッド「人も知らず!
ハリケンブルー「世も知らず!
ハリケンイエロー「影となりて悪を討つ!
忍風戦隊! ハリケンジャー!
ハリケンレッド「アッ、参上ォッ!

メトロン星人「ほう、ただの捕虜ではなかったのか。
 これは意外だったな…ゴズマやゾーンを滅ぼしたというスーパー戦隊の一種か」
鬼火司令「貴様らもここを探りに来たのか!?」
ハリケンレッド「隠密パトロールしてたら、グランショッカーの
 基地があるのを偶然嗅ぎ付けたもんでね」
ハリケンイエロー「わざと捕まって基地へ案内してもらったんだ!」
ハリケンブルー「私達が騙した怪人が宇宙人にインヴェードされてたのは、
 ちょっと予想外だったけどね」
ハリケンイエロー「でもお陰で、宇宙連合とやらの貴重な情報も聞かせて
 もらったぜ!」
ハリケンレッド「宇宙連合だろうがグランショッカーだろうが、悪は許さん! 行くぞ!」
アポロガイスト「おのれ…者ども、かかれ!」

アポロガイストが叫ぶと、GOD神話怪人達が部屋へ雪崩れ込んで来た。
メドウサ、イカルス、ケルベロスの三体だ。
メトロン星人はこの混乱に乗じて、瞬間移動で部屋から姿を消した。

アポロガイスト「鬼火司令、貴様は怪人を指揮してハリケンジャーを倒せ!
 私はあの宇宙人を追う!」
鬼火司令「よし、任せたぞ!」

ハリケンジャーの三人は、怪人と格闘しながら司令室を逃れて行った。
アポロガイストも急ぎ、基地の外に出てメトロンを追う!

437 名前:ゴモラの逆襲:2005/05/02(月) 08:18:35

***富士山麓・山中湖***

湖底の宇宙船が遂に浮上した。
宇宙船から放たれた光が徐々に収束し、
改造ゴモラとなって実体化する!

改造ゴモラ「キシャァァァオ!!

手からのミサイル攻撃、一瞬で湖畔の町が炎に包まれる。

我夢「あれは……この前郷さんが戦ったゴモラでは!?」
郷「やはり生きていたか……我夢君、行こう!」

サッと片手を挙げる郷、そしてエスプレンダーを掲げる我夢。
まばゆい光に包まれ、2人は光の巨人――ウルトラマンジャックと
ウルトラマンガイア(スプリームヴァージョン)に変身した!

ボーグ星人「現れたなウルトラマン! 待っていたぞ」
ツルク星人「ウフフフ……殺すッ!」

ゴモラを援護するように、二人の宇宙人も円盤から出て巨大化する。

ジャック「ガイア、君は宇宙人との戦いには不慣れだ。ゴモラを頼む」
ガイア「わかりました…!」

ガイアVSゴモラ、ジャックVSボーグ星人&ツルク星人の
戦闘が開始された。
ボーグ星人によって半身を機械化されたゴモラは、
もはや肉弾戦だけの怪獣ではなかった。
手の甲からミサイル、角からは光線を発射してガイアを苦しめる。
怯んだガイアを、ゴモラの猛牛の如き突進が襲った。
倒れ伏すガイア。胸のライフゲージが点滅する。危ない!

その時、空の彼方からMフォースの戦闘機が飛んで来た。
ZATの荒垣修平副隊長、北島哲也隊員を乗せたスカイホエールだ。

荒垣「ウルトラマンを援護する。攻撃開始!」
北島「了解!」

スカイホエールのミサイルが火を噴いた。

***グランショッカー基地周辺***

メトロン星人とアポロガイストは、岩山の上で睨み合いを続けていた。

アポロガイスト「いま一度聞こう…何もわざわざ鬼火司令ごときを
 暗殺するためだけに来たのではあるまい」
メトロン星人「我々はこの星の状況を偵察しに来たのだ……
 後の侵攻開始に備えてな。しかし複雑な気分だ……
 我々が何かをするまでもなく、この星の人間達は互いに敵視し
 傷付け合い、やがて自滅していく……地球も今や銀河全域に植民星を
 持つにいたったが、どこでも同じことの繰り返し……そうだろう、
 アポロガイスト?」

メトロン星人は岩山の麓を見遣った。
そこでは、ハリケンジャーと神話怪人の戦闘が展開されている。

アポロガイスト「人間どもが愚かな生き物であることには同意だが……
 では貴様らのしていることは何なのだ……まあいい、貴様らが
 来る頃には、地球圏はグランショッカーが制圧しているだろう。
 それを貴様らが奇麗事を言って武力で奪い取ろうと言うのなら、
 受けて立つまでだ……暗黒星雲やベガ星連合軍、ポセイダル軍も
 未だ健在であることを忘れるな」
メトロン星人「宇宙連合の使者が来たと、君達の頂点に立つ存在にも
 伝えてくれ。恐らく、その一言で話は分かる筈だよ……
 では、さらばだアポロガイスト……縁があればまた会おう」

メトロン星人はそう言い残して姿を消した。

ハリケンジャーの戦いは続いていた…。

ハリケンイエローVSケルベロス。

ケルベロス「俺の力を思い知れ!」

5万ボルトの電撃で、ハリケンイエローを痺れさせるケルベロス。

ハリケンイエロー「ううっ…! 負けてたまるか! 超忍法・地雷震!」

ハヤテ丸を地面に突き刺し、地を這う衝撃波を発してケルベロスに反撃する。

ハリケンイエロー「まだまだ! クエイクハンマー!」

ハリケンガジェットを地面に叩き付け、再び衝撃波を発生させて攻撃。
これが止めとなった。

ケルベロス「ワオォーン!?

断末魔とともにケルベロスは爆散した。

ハリケンブルーVSメドウサ。

メドウサ「……石になるがいい!」

石化光線をハリケンブルーに浴びせるメドウサ。

ハリケンブルー「超忍法・水流破!」

ブルーは手から強烈な勢いで水を噴出し、
メドウサの石化光線を押し返す。

メドウサ「ア、ア、アァァァァッ!?」

石化光線を押し返されて全身に浴び、メドウサは
自分自身が石の柱となってしまった。

ハリケンブルー「止めよ! 疾風流剣技・激流斬!」

ハヤテ丸にエネルギーを込めての斬撃。
石化したメドウサは粉々に砕かれた!

ハリケンレッドVSイカルス。
忍風館の空忍科で忍術を学んだハリケンレッドと、
翼で飛行するイカルス。
両者は壮絶な空中戦を繰り広げた。

イカルス「喰らえ、デススモーク!」

着地したハリケンレッドに、必殺の毒ガスを浴びせるイカルス。

イカルス「フフフ…。思い知ったか!」

しかし、ガスが晴れた後には誰もいなかった。

イカルス「!?」
ハリケンレッド「上だ!」

イカルスの真上に飛翔していたレッドが、
イカルスにハヤテ丸の一撃を見舞う!

ハリケンレッド「行くぞ! 疾風流奥義・大空斬!」

イカルス「ぐわぁぁぁぁっ!!」

撃墜され、大爆発を起こすイカルス。GOD神話怪人も
疾風流忍術を極め、ジャカンジャとの戦いで
成長したハリケンジャーには
かなわず敗れ去ったのである。

しかし――。

鬼火司令「隙ありィッ!」
ハリケンレッド「うわあっ!?」

イカルスを倒したハリケンレッドに、鬼火司令が火炎攻撃を浴びせた。
奇襲を受けて吹き飛ばされるレッド。

鬼火司令「フフフ…。勝負だハリケンジャー!
 ジンドグマ四天王・鬼火司令の実力を見せてくれる…」

身構えるハリケンジャーの3忍。

ハリケンイエロー「気をつけろ、沖さんの話だと…奴も怪人に変身
 するらしい…」

だがその時、地面が大きく揺れた。
ウルトラマンガイアとゴモラが、格闘しながらこちらへ移動して来たのだ。
激しい地響きが続く。これでは戦闘どころではない。

鬼火司令「おのれ…勝負は預けたぞ! スーパー1ともども
 首を洗って待っておれ〜〜〜〜ッ!!」

そう言って、鬼火司令はどこへともなく退散した。

ZATの援護射撃でいくらか形勢を挽回したガイア。
しかし、必殺のフォトンエッジがゴモラには通用しない!
ゴモラの指先から出された金縛り光線が、ガイアの動きを封じた。

ガイア「グワァァッ!!

一方の新マンも、ボーグ星人とツルク星人の挟み撃ちを受けて苦戦している。

ハリケンブルー「あれはウルトラマンジャックとガイア…郷さんと
 我夢君だわ!」
ハリケンレッド「よし、俺達も戦うぞ! おぼろさん、シノビマシンを!」

シノビマシン…ハリケンホーク・レオン・ドルフィンを召喚し、
乗り込む3人。
三方からゴモラに攻撃を仕掛け、ガイアを光線から解放した!

忍風合体──旋風神、推参ッ!!

シノビマシンが合体、ハリケンロボ・旋風神が出現する!
これで3対3。数的には互角の巨大格闘戦だ。

荒垣「よし、我々は敵の宇宙船を叩こう。怪獣はあそこで
 コントロールされている筈だ」
北島「了解──ミサイル発射!」

山中湖に浮かぶ巨大宇宙船に、スカイホエールの砲火が注がれた。

旋風神VSツルク星人。
旋風神のソードスラッシャーと、ツルク星人の両腕の手刀が火花を散らす。
そして何度目かの剣の激突で、とうとうツルク星人は旋風神の剣を破り、
胸に斬り付けた。

ハリケンイエロー「うわぁぁぁっ! 何て奴だ…!」
ハリケンレッド「このままじゃやられてしまう!」
ハリケンブルー「諦めちゃ駄目よ! トータスハンマーで反撃!」

ブルーが『甲』と書かれたシノビメダルをセットすると、
巨大な分銅・トータスハンマーが現れた。
力任せにこれをぶつけてツルク星人を弾き飛ばす。

ハリケンレッド「よし、今だ!」
究極奥義・分身幻斬り!!

再びソードスラッシャーに持ち替えた旋風神は三体に分身。
反撃に出ようとしたツルク星人が戸惑う隙に、必殺の剣撃を叩き込んだ。
ツルク星人は大爆発を起こした。

ウルトラマンジャックVSボーグ星人。
ボーグ星人は頑丈なボディを活かしてジャックに肉弾戦を挑む。
だがジャックは負けない。パンチとキックのラッシュで反撃する!

ジャック「デアァァ!!(流星キック!!)」

顔面に飛翔蹴りを叩き込まれ、ふらつくボーグ星人。

ジャック「ダッ…デアァァ!!(とどめだ、ウルトラランス!!)」

ウルトラブレスレットを変形させた銀色の槍がボーグ星人を刺し貫く!
ボーグ星人は胸の傷口から泡を吹き出して溶解していった。

ウルトラマンガイアVS改造ゴモラ。
有利に戦いを進めていたゴモラだったが、突如、頭に電撃が
走って苦しみ始めた。
湖上の宇宙船が、ZATの攻撃を受けて爆破されたのだ。
宇宙船内のコントロール装置を破壊されて混乱したゴモラに、
ガイアの反撃が開始された。
力を込めた拳の一撃でゴモラを殴り飛ばすガイア。
間合いが開いたところに、クァンタムストリームを撃ち込んで追撃。
更に、機械化されたゴモラの尻尾を掴み、
グランショッカー地下基地の上に投げ飛ばした。
ここには、大量の大型ミサイルが保管されているのだ…。

ハリケンレッド「ガイア、ゴモラの足元を狙うんだ!」
ガイア「ジャッ!(了解!)」

ガイアのシャイニングブレードが、ゴモラの足元の土を抉って爆発する。
地下のミサイル群がこの光線技で誘爆を起こし、
巨大な火柱がゴモラの全身を包んだ。
爆炎に身を焼かれ、ゴモラは今度こそ完全に消滅した。

アポロガイスト「秘密基地は壊滅した…。小癪な宇宙人どもめ!
 だが、あのメトロン星人とやらは恐らく逃げおおせたな。
 ……十二邪将に、いや邪神の方々に報告を急がねばならん……」

岩山にたたずんでいたアポロガイストは、そう言い残すと姿を消した。

438 名前:ゴモラの逆襲:2005/05/02(月) 08:20:18

○ウルトラマンジャック&ガイア→宇宙連合の宇宙人軍団+改造ゴモラと交戦、勝利。
○忍風戦隊ハリケンジャー→グランショッカー基地に潜入、
GOD怪人軍団を撃破。更に旋風神でツルク星人も倒す。
●宇宙連合の偵察部隊が地球へ侵入。ボーグ星人とツルク星人は倒されたが、
 メトロン星人はグランショッカーと接触した上で無事に帰還した模様…。
●富士山麓のグランショッカー地下基地、壊滅。
 メドウサ、イカルス、ケルベロス、ツリボットが戦死。

【今回の新規参戦】
○椎名鷹介=ハリケンレッド(忍風戦隊ハリケンジャー)
 疾風流忍者養成学校「忍風館」の空忍科で忍術を学んだ、空の忍者。
 普段は世を忍ぶ仮の姿として、人材派遣会社で働いている。
○野乃七海=ハリケンブルー(忍風戦隊ハリケンジャー)
 疾風流忍者養成学校「忍風館」の水忍科で忍術を学んだ、水の忍者。
 普段は世を忍ぶ仮の姿として、演歌歌手をしていたが後にアイドルへ転向。
○尾藤吼太=ハリケンイエロー(忍風戦隊ハリケンジャー)
 疾風流忍者養成学校「忍風館」の陸忍科で忍術を学んだ、陸の忍者。
 普段は世を忍ぶ仮の姿として、介護士をしている。
○荒垣修平(ウルトラマンタロウ)
 ZAT初代副隊長(現在は復帰、二谷副隊長と交代で指揮をとる)。
 陽気な性格で隊員からの信頼も厚い。
○北島哲也(ウルトラマンタロウ)
 ZAT隊員。情報分析が得意な理論家。釣りが一番の趣味。
●メトロン星人(ウルトラセブン)
 人間社会を内部崩壊させてから侵略しようとした幻覚宇宙人。
 人間を発狂させる種子をタバコに仕込み、人間同士を争わせて
 自滅させようとした。若い一族(メトロン星人Jr.)が妖星ゴランを
 地球に衝突させようとしたことも。
●ボーグ星人(ウルトラセブン)
 全身が銀色の鎧で包まれた甲冑宇宙人。額からは光線を放つ。
 プレート弾を仕掛けて地球防衛軍基地を内部から爆破しようと企んだ。
●ツルク星人(ウルトラマンレオ)
 両手の刀で通り魔殺人を繰り返した怪奇宇宙人。
 巨大化すると怪獣のような姿になる。
 一度はレオを倒した強敵だが、レオが特訓で体得した
 三段攻撃を受けて敗れた。
●改造ゴモラ(ウルトラマン/ウルトラマン80/半オリジナル)
 古代怪獣ゴモラをボーグ星人が改造した半オリジナル設定の怪獣。
 能力は『ウルトラマン80』登場のゴモラUに準拠、
 光線やミサイルを放つ。
●メドウサ(仮面ライダーX)
 GOD神話怪人。石化光線や殺人レーザーを目から発射する女性怪人。
●イカルス(仮面ライダーX)
 GOD神話怪人。飛行能力を有し、口からはイカルス・デススモークを噴射する。
●ケルベロス(仮面ライダーX)
 GOD神話怪人。双頭での噛み付きと放電攻撃を得意とする“地獄の番犬”。
 同名のアンデッドとは無関係。
●鬼火司令=オニビビンバ(仮面ライダースーパー1)
 ジンドグマ四天王の一人でB26暗黒星雲人。
 暗黒拳法の使い手で、杖からは火炎を放つ。
 非常に好戦的な性格。正体はジンドグマ超A級怪人(骸骨と
 火炎放射器の合体)。
●ツリボット(仮面ライダースーパー1)
 ジンドグマ怪人。長い釣り竿で人間を釣り上げる。

439 名前:名無し客:2005/05/02(月) 16:33:01

***ベルゼウス艦・内部***

メトロン星人「フフフ…久しぶりであるな、ベルゼウス殿…」
ベルゼウス「これはどういうことだ!?
 宇宙連合における対地球圏の工作活動は全てゼゼーナン卿より、
 この私に委ねられているはずだが?」
ゴーギャン「その我らに何の連絡もなく、このベルゼウス艦へ何用で来た?」

元ウオフマナフ地球攻撃軍総司令官・ガルバ星人ベルゼウスは、
宇宙連合タカ派勢力による対地球圏工作活動の一環として、
グランショッカー・ゴズマ軍の組織内部に入り込んでいたが、
母艦へのメトロン星人の突然の訪問を受け、驚きを隠せない…。

メトロン星人「これはまた随分な台詞だ。
 私はあの御方の命令を受け、加勢しに来たのだぞ」
ベルゼウス「何…!? あの御方が!?」
メトロン星人「そのとおり。今後予定される本格侵攻を控え、
 その前に遅々として進まぬ地球攻略作戦のテコ入れだ。
 いかにゼゼーナン卿といえども、あの御方の御意向は無視できぬ
 お立場のはず。ベルゼウス殿、無論、貴方も…」

現在の宇宙連合は、
インスペクター軍四天王のリーダー・メキボスや
アケロン人ルビーなどのハト派が枢密院の主流を占めている。
そのためゼゼーナンやベルゼウスらタカ派は、
事実上今も失脚している立場に変わりなく、
その彼らタカ派がこうして堂々と宇宙で活動できるのも、
メトロン星人の言うあの御方と呼ばれる
黒幕の後ろ盾があったればこそであった。

ベルゼウス「しかし信じられぬな。
 まさかあの御方が動き出されるとは……」
メトロン星人「さあ、私も詳しい事情は知らないが、
 何でも、バームのオルバン大元帥の失態に痺れを切らしたフリーザ様が、
 直々にあの御方に御出馬を要請されたのだとか…」
ベルゼウス「………(フリーザめ、余計な真似を!!)
 …そうか、ショッカー正規軍の上層部が何やら騒がしい様子だったが、
 富士山麓での怪獣騒ぎは、やはりお前達が関わっていたのか…」
ゴーギャン「とにかく、我々が真の目的を隠しつつ
 グランショッカーの連中から充分な信用を得るには、これでも一苦労なのだぞ。
 お前達が余計な騒ぎを起こしたおかげで、それも全て水の泡と消えたら
 どう責任を取るつもりなのだ?」
ベルゼウス「よすのだゴーギャン。あの御方の御意向とあれば
 致し方あるまい」
ゴーギャン「ベ、ベルゼウス様…」
メトロン星人「フフフ…賢明な御判断だ。
 今日のところはこれにて失礼。また連絡を入れさせて頂く…」

メトロン星人はそう言い残して姿を消した。

ゴーギャン「メトロン星人め!
 今もってなお、枢密院を牛耳るルビーら軟弱な融和派連中の
 排除に手間取っているくせに生意気な!」
ベルゼウス「まあよい。私の目的は、
 この私を権力の座から追放した全てのものに対する復讐…。
 そのためには奴らも…そしてグランショッカーをも利用するだけ利用する。
 だから今は奴らの好きにやらせておくだけの事よ。そう、今はな……」
ゴーギャン「…御意。来るべきその時のためにGVMN・ラボに対して、
 我らも水面下で肩入れをしている訳ですからな。フフフフフ……」


●メトロン星人⇒ベルゼウスに接触。
●ベルゼウス一派⇒GVMN・ラボとの間に、何らかの密約が存在する模様。

440 名前:外宇宙編/地球にて:2005/05/03(火) 20:55:22

***東京・獅堂家***

獅堂光の家は、古くからの日本家屋であり、
剣道の道場が隣接している。
今朝からその門前には、なんと一台のパトカーが!?

利緒「ごめんくださーい!! 誰かいませんかー!?」
真弥「かなり古い建物ですけど、歴史のありそうな建物ですね…」

敷地の中へと入る利緒と真弥、
そしてサングラスにコート姿の一人の男。
突然の警察の訪問に戸惑いながらも、
獅堂家兄三人 長男・覚、次男・優、三男・翔が応対に出る。

覚「ここの師範代をしている、獅堂覚です」
真弥「朝早くからお騒がせして申し訳ありません。
 警視庁第8区分署・ウォーリアーズの神宮真弥巡査です」
利緒「同じく、甲子園利緒巡査です」

警察手帳を示す利緒と真弥。

覚「そちらの方も警察の方で?」
サングラスの男「………」
真弥「いえ、こちらの方はいろいろ訳がありまして…」
覚「…で、警視庁の方が、うちに何の御用でしょうか?」
真弥「実はお宅のお嬢様でいらっしゃる光さんに
 少々お話がありまして…」

真弥の口から光の名前が出た途端、
いきなりパニックに陥る次男・優と三男・翔。

優「う、うちの光が一体何をしたんだああ〜〜!!
翔「まさか光が万引き!? 嘘だ!!
 光はそんな悪いことをする娘じゃないぞ!!
優「それとも、光があんまり可愛いから
 ストーカーにつきまとわれて、それで警察が動き出したのか!?
翔「どちらにしろ、光は誰にも指一本触れさせないぞ!!
優「あたりまえだ! どうしても光に会いたければ、
 俺達獅堂家三兄弟を倒してからにしてもらおう!!

ドドドドドドドドドドドドドド!!(銃撃音)

威嚇のために無表情のまま
空に向けてマシンガンをぶっ放す真弥。

優&翔「――!!(汗」
真弥「そこ、道を開けてください。(*^ー゚)ニコッ」

その笑顔が怖いw。

優&翔「……は、はい。(汗」
覚「わかりました。御案内しましょう」

ビビって腰を抜かしている次男・優と三男・翔に対して、
一方の長男・覚は、全く動じる様子はなく平然と、
利緒と真弥、そしてサングラスの男の3人を、
光のいる道場へと通した。

441 名前:外宇宙編/地球にて:2005/05/03(火) 20:57:29

光は剣道道場にて、朝から静かに正座していた。
剣道着だが、防具や面、小手はなく、白い袴姿である。
瞑想しているような様子だが、やはり元気がない。

光「…どうしてセフィーロでもないこの世界で
 魔法騎士の力に目覚めたんだろう…?? あの不思議な鳥さんの
 力なのかな……。もしかして、またセフィーロで何かが…」

東京タワーで大魔王ガノンに襲われた一件以来、
言いようのない不安に駆られている光であった。

光「あの後…誰にも何も言わずに
 こっそり帰って来ちゃったけど…あれでよかったのかな」
利緒「よくない!」
光「――えっ!?」

びっくりして、自分の何気ない独り言に反応した声の方向に
顔を向けてみると、そこには2人の婦人警官の姿が。

光「…あの、どなたですか?」
真弥「あら、もう私達の顔を忘れてしまったんですか?」
利緒「数日前に東京タワーで会ったばっかじゃない」
光「え…? ……ああああ!???」

ようやく思い出した光は、
思わず反射的に逃げようとするが、
利緒に後ろから剣道着の襟首をちょいと摘ままれる。
(光、一瞬だけミニキャラ状態にw)

利緒「こら! なぜ逃げる!」
光「ご、こめんなさ〜い!!」
利緒「だからなぜ謝る!?」


数分後、光は落ち着きを取り戻した…。


光「本当にごめんなさい。あの時はいろいろありすぎて…
 頭の方も混乱してて…」
真弥「まあ、警察の事情聴取にも応じず、
 無断で現場から立ち去った件については、
 今更とやかくは言いません。もう過ぎた事ですし…」
利緒「でも現場に来ていたαナンバーズの人たちも
 みんなあなた達のこと心配してたみたいよ。
 急に現場からいなくなるんだもん」
光「………」

真弥は、差し出された粗茶を啜りながら続ける。

真弥「獅堂光さん、失礼ですが
 貴女と貴女のお友達御二人の事は調べさせてもらいました」
光「海ちゃんと風ちゃんの事も!?」
真弥「はい。魔法騎士(マジックナイト)として
 セフィーロと呼ばれる世界を破滅から救ったことまでね」
光「ど、どうしてそんなことまで!?」

光は驚いた。
それもそのはず。そんな事を他人に話しても
まずは信じてもらえない…。
なのに、この目の前の婦警は「セフィーロ」の事を知っている!?

真弥「フフ、それはこの人から聞いたんです」
光「えっ…?」
サングラスの男「………」
真弥「今日はこの人を貴女に引き合わせるために
 ここに来たんです」

真弥がそう言うと、今まで一言も発さなかった
サングラスの男が、かけていたサングラスを外し
光に気さくに声を掛けたのであった。

ジェオ「よお、久しぶりだったな、魔法騎士のお嬢ちゃん♪」
光「ジェ…ジェオ!?」


○ジェオ⇒オートザムにいるはずの彼が、
 なぜか地球の東京にいる光の前に現れる。

【今回の新規登場】
○獅堂覚(魔法騎士レイアース)
 獅堂家三兄弟の長男。
○獅堂優(魔法騎士レイアース)
 獅堂家三兄弟の次男。
○獅堂翔(魔法騎士レイアース)
 獅堂家三兄弟の三男。
○ジェオ・メトロ(魔法騎士レイアース)
 惑星オートザムの戦艦NSXのサブコマンダー。
 優秀なファイターで、ファイターメカGTOパイロット。

442 名前:時空編/現代の地球:2005/05/09(月) 17:31:15

※変更(↑【外宇宙編】ではなく【時空編】に編入)

>>441より引き続き……

***東京・獅堂家***

オートザムのジェオとまさかの再会を果たし、
少々興奮気味の光。

光「また会えて嬉しいよジェオ!
 ザズは元気? …あ、でもどうやってここに??」
ジェオ「まあ話せば長くなるんだがな…。
 一応オードザムは宇宙連邦の一員なんだわ」
光「宇宙…連邦?」

ここで真弥が光に説明を入れる。

真弥「貴女が異世界と呼んでいた、
 セフィーロ、オートザム、チゼータ、ファーレンは、
 実は地球から何万光年も遠く離れた惑星だったんです」
ジェオ「地球と宇宙連邦との国交再開で、
 恒星間を繋ぐスペースブリッジが再び開通したのさ。
 そうして俺も…まあ平たく言えば視察訪問団の一員として
 遥々この星に来たって訳だ」
光「そうだったんだ」
ジェオ「それにしても"トウキョウ"の名は以前にも
 ヒカルから聞いてはいたが、それがこの地球という惑星の
 一都市の名前だったとはな…」

そこへ、光の兄達が入ってくる。

覚「お取り込み中、失礼…」
光「あ、覚兄様」
覚「光、お前が俺達兄弟にも言えない秘密があることは
 前々から察していた。今まではあえて問い詰めはしなかったが、
 こうなった以上は、そろそろ俺達にも話してくれないか?」
優「そもそもこちらの方とはどういうご関係なんだ?」
光「優兄様…」
真弥「それについては私から御説明します。
 …と言っても、私も当事者ではないので詳しい事情までは
 よく知らないのですが……」

真弥は、光が魔法騎士 マジックナイトとして異世界セフィーロに渡り、
そのセフィーロを狙う邪悪な敵と戦っていた事を簡単に説明した。
驚いて言葉も無い獅堂兄弟。

と…道場前に更に一台の車が止まる。
車から降りてくる一群の男女。

獅堂未加「良かった…家にいてくれて」
獅堂剣「光ちゃんに会わせたい人たちがいるんだ…って、先客?
 あなたがたは、確か警視庁の…」

利緒「そういうあんたたちは、グランセイザーチームの…どうしてここへ?」
優「グラン…何??? ウチの親戚なんだけど…?」

未加と剣に続いて入ってきた3人の男性を見て、更に驚く光たち。

光「あ…、流道場の竜馬さん!?」
翔「弾さん、弾北斗さんじゃないですか!?」
覚「……お久しぶりです、飛羽さん」
流竜馬「やあ」
弾北斗「お久しぶり…全国大会以来だね」

皆、獅堂兄妹とは道場同士のつきあいや大会を通じての面識が
ある面々ばかりだった。

優「……それにしても、竜馬さんがゲッターロボのパイロットだって
 いう噂は聞いていたけど、弾さんや飛羽さんが"スーパー戦隊"の
 隊長クラスで、未加ちゃんや剣ちゃんまで変身して侵略者と
 戦ってたなんて……」
飛羽「まあ、大っぴらに話すことでもないからね。本当なら
 身内にも正体を明かしてはいけないことだし」
剣「獅子堂家のたかし兄さんも来るはずだったんだけどね。
 今はマリーおばさんと宇宙に行ってるから」
翔「……ちょっと待ってよ……まさか、たかし兄さんまで!?」
未加「…知らなかったの? マリーおばさんがロゼッタ星人で、
 たかし兄さんがメガロマンだってこと……」
優&翔&光「ええ〜〜〜〜〜っ!?

ひとしきり驚愕と混乱が収まった時点で、竜馬が本題に入る。

竜馬「PUの記録映像に光ちゃんの姿があったのをたまたま
 目にしてね…急いでみんなと連絡を取り合い、
 駆けつけたんだ。剣道仲間としてだけではなく、
 地球連邦軍独立外郭組織"α-ナンバーズ"のメンバーとして」
飛羽「僕は、地球平和守備隊の将校として」
剣「僕たち姉弟は、宇宙連邦の地球における窓口として」
弾「そして僕は、世界科学連邦"I.N.E.T."の使者として」
未加「本当はね…光ちゃんをまた戦いに巻き込みたくないのよ。
 でも、今は一人でも多くの戦士が必要なの」

利緒「ちょ、ちょっと待ってください…皆さん、もしかしてここへ
 来た目的はあたしたちと同じですか?」
竜馬「そうだ…各セクションが一致団結して進めてきた"あの計画"が
 ついに完成した…」
真弥「あのシステムが……!!」
弾「君たちとは行き違いになったようだけど……警視庁にも連絡が
 行っているはずだ。光ちゃんの友達2人にも、顔見知りの戦士たちが
 今頃は接触を…」
光「……」

ここでジェオが光に告げる。

ジェオ「ヒカル、導師クレフからの伝言だ」
光「クレフの…?」
ジェオ「たとえこの地がセフィーロでなくとも、
 もし必要とあらば、お前の信じる心に魔神は必ず応えてくれると…」
光「……」

***東京・山の手***

休日の朝、龍咲家内のトレーニングルームでフェンシングの朝練を
している海。

執事「お嬢様、鹿鳴館財閥総帥・天堂香様が至急の御用ということで
 おいでになっておられます」
海「……香さんが? こんな朝早くから?」

胸騒ぎを覚えながら着替え、応接室に向かう海。案の定、訪問者は
一人だけでは無かった…。

海「立花さん…それにジョルジュ先生…!?」

香「お久しぶりですわ、海さん」

フェンシングを通じて面識のあった立花レイ、
そしてジョルジュ・ド・サンドも香に同行していた。

レイ「ごめんね、いきなり大勢で押しかけたりして」
香「……今日はPUメンバーとしてお話をしに参りましたの」
ジョルジュ「私はマリア・ルイゼ様の代理として、そして
 シャッフル同盟の一員として」
海「……この前の、ことですか……?」

***東京某所・弓道場***

道着姿で、弓を射ている鳳凰寺風。
だが、心の迷いか…なかなか的中させるには至っていない。

???「どう…調子は?」

背後から声をかけられ、振り向く風。

風「めぐみさん…! それにあなたは確か…全コロニー選抜弓道大会
 優勝者の…ミカムラさん?」
レイン・ミカムラ「知っていてくれたのね、光栄だわ」
岬めぐみ「ちょっと時間…いいかしら? 今日は国際科学技術庁の
 お使いで来たのよ」
風「え……?」


○ジェオ⇒獅堂光に導師クレフの伝言を伝える。
○セフィーロ、オートザム、チゼータ、ファーレンは、
 実は地球から何万光年も遠く離れた宇宙にある惑星である事が判明。
○時空クレバス制御システムの完成により、各セクションのヒーローたちも
 本格的に動き始める。その一環として、魔法騎士たちと個人的に面識の
 あるヒーローたちが彼女たちと接触を図る…。
○獅堂未加と剣の姉弟、光たちとは親戚同士であることが判明。
 獅子堂たかし=メガロマンも父方の遠縁らしい…。

【今回の新規参戦】
○弾北斗=ダイナレッド(科学戦隊ダイナマン)
 夢野発明センター所員で、剣道とボクシングの達人。
 無公害エンジンを専攻する若き科学者でもある科学戦隊リーダー。
 ダイナマッハパイロット兼ダイナロボのメインパイロット。
○立花レイ=ダイナピンク(科学戦隊ダイナマン)
 夢野発明センター所員で、フェンシングの達人。
 動物との会話技術を専攻する科学戦隊の紅一点。
 ダイナギャリーパイロット兼ダイナロボのサブパイロット。
○岬めぐみ=ブルードルフィン(超獣戦隊ライブマン)
 科学アカデミア卒業生で、弓術の名手。
 アクアドルフィンパイロット兼(スーパー)ライブロボパイロット、
 サイファイヤー/ライブボクサーサブパイロット。
○天堂(旧姓・鹿鳴館)香=ホワイトスワン(鳥人戦隊ジェットマン)
 鹿鳴館財閥の現総帥(TVシリーズ最終回後に就任)で、天堂竜=
 レッドホークの妻。国際空軍(旧スカイフォース)の嘱託隊員。
 PUメンバーでもあり、S.U.P.への大口出資者も兼ねている。
 ジェットスワンパイロット兼ジェットイカロス/イカロスハーケン/
 ジェットガルーダ/ハイパーハーケン/グレートイカロスサブパイロット。

443 名前:時空編/神鳥の世界:2005/05/09(月) 17:38:12

一方こちらは、現代の地球とは全く別のある異世界である。
神鳥レティスゆかりの世界であるため、ここでは便宜上「神鳥の世界」と呼称する。

この世界では、神鳥レティスを名乗る不死鳥ラーミアによって
選ばれた勇者達の手で、ついに暗黒神ラプソーンが倒され、
ドルマゲスによって茨の呪いがかけられていたトロデーン城が復活してから、
既に数ヶ月が経過していた……。

***オークニス近辺の山林***

一年中を雪に閉ざされた地――オークニス地方。
一瞬たりとも止まずに吹き続ける過酷な猛吹雪の中を、
ただ突き進む一人の青年がいた。

青い法皇衣に身を包んでいるが、手に入れるはずだった法皇の栄冠は目前で奪われ、
やつれた表情からは、もはやその瞳に生きる活力すら感じられない……。

彼の名はマルチェロ。

神と同等の力を得る寸前まで己の野望の駒を進めながら、
聖地ゴルドの崩壊と共に全てを失い、行方不明となっていた男であった。

マルチェロ「………!!」

ふとマルチェロは目の前の空間に
不思議な黒い歪みの穴が開いているのを見つけた。

人の眼を離れられる場所を求め、そのうちに人里を離れ、
魔物の放浪する山奥へと流れ着き、雪に埋もれて
行き倒れるのも時間の問題であったであろうマルチェロは、
眼前の時空の穴を見つけた途端、その瞳からは絶望が消え、
急に乾いた心が満たされていく感触を覚えた。

そう……再び邪悪な野心に突き動かされ始めたかのように……!!


マルチェロ「フッ…どうやら私にも、また運が向いてきたらしいな……」


まだ勝負は終わってはいない……。

私の勝ちだな……ククール……。


444 名前:時空編/神鳥の世界:2005/05/09(月) 17:40:02

***リーザス村・アルバート邸***

ククール「頼むゼシカ! 俺を匿ってくれ!」

隠居した母に代わって村の全てを取り仕切り、
忙しい日々を送っていたゼシカの前に、ククールは突然現れてそう言った。

ゼシカは最初、何が起こったのか理解できなかった…。
ククールの話によると、ザヴェッラ大聖堂からの使者が
連日連夜ククールの元を訪れ、法皇の館へと出向くようにと
しきりに催促しているらしい。
どうやら、新しく就任したニノ新法皇がククールの実力を高く買い、
彼を新任の聖堂騎士団長に推挙したがっているようだった。
断っても断っても毎日しつこく訪れる法皇様直々の使者とやらに、
ククールは正直うんざりしているのだった……。

ゼシカ「素直に受ければいいじゃない。
 滅多にもない出世のチャンスじゃないの」
ククール「冗談じゃねえ!
 俺はこれからも好き放題に酒もギャンブルもヤりてぇの!
 堅っ苦しい宮仕えなんざ、もう真っ平ご免なんだね!!」
ゼシカ「まるで子供みたい…」

ククールが駄々をこねているように見え、呆れるゼシカ。

ククール「わっかんねえかな…。
 もし聖堂騎士団長にでもなった日にゃあ、
 愛しのゼシカちゃんにもう簡単には会えなくなっちまうだろ」
ゼシカ「はいはい…」

ククールの言葉を軽く受け流すものの、結局拝み倒されたゼシカは、
暫くの間だけ彼の屋敷での滞在を認めた。

ゼシカ「ただし、勿論無条件じゃないわよ。
 働かざる者食うべからず! ウチの果樹園で収穫の時期が近いから、
 その取り込み作業を手伝ってもらうわ」
ククール「いいぜOK! 力仕事なら任せな」
ゼシカ「ちょうど男手が足りなくて困ってたのよ。
 ルシアさん、こいつにいろいろ仕事の事を教えてやって」

ルシア「わかりました…」

ゼシカに呼ばれて屋敷の奥から出てきたその女を見て、
見ない顔だな……と、ククールは思った。
ゼシカの話によると、この若い女性――ルシアは、
リーザス村前の街道で行き倒れていたところを救われ、
以来、アルバート家の下働きとして住み込みで働いているという…。
「ルシア」という自分の名前以外、何も思い出せないらしい…。

445 名前:時空編/神鳥の世界:2005/05/09(月) 17:42:41

最初は無愛想だなと思っていた…このルシアという女性は、
アルバート邸の裏庭に新しく切り開かれた広い果樹園で、
意外と親切に、手取り足取り仕事をククールに教えてくれた。

ルシア「収穫時期には既に大半の果樹は花芽を持っている。
 この花芽を折らないように注意して収穫して…」
ククール「しっかし…やってみると結構難しいもんだな」
ルシア「無理もない。アルバートさんに教えてもらうまでは、
 私も最初はそうだったわ…」

一瞬、作業中に微かに笑みを浮かべたようにも見えたルシア。
ククールも額に汗しながら作業を続ける。
そのククールには、実はどうしても頭から離れない事が一つだけあった。
聖地ゴルドで別れて以来、消息の知れない兄マルチェロの行方だ…。


 くっ…おまえの助けなど借りん

      これからどうするんだ?

 さあな。生かしておいた事を後悔するかも知れんぞ

      何度でも止めてやるさ。力ずくでな

 …勝手にしろ。


あの時の出来事が、今もククールの脳裏をよぎる。
そもそもザヴェッラ大聖堂からの使者など来なければ、
彼は当てもない兄探しの旅を続けている筈であった。
だがそのマルチェロが時空の穴に飛び込み
異世界へと渡った事を、まだククールは知らない……。


●マルチェロ⇒聖地ゴルドで失脚以来、各地を放浪。
 流れ着いたオークニス地方の雪山にて遭難寸前のところを
 偶然にも発生した時空クレバスに遭遇し、迷わずその中に飛び込む。
 (行き先は現代の地球か…?)
○ククール⇒ゼシカの家に転がり込む。
○ルシア⇒黄泉還っていたものの、記憶を失い
 何故かDQ[世界でアルバート家に保護されていた。

【今回の新規登場】
●マルチェロ(DRAGON QUEST [ 空と海と大地と呪われし姫君)
 ククールの異母兄。法皇の座を狙った野望の男。
○ククール(DRAGON QUEST [ 空と海と大地と呪われし姫君)
 マルチェロの異母弟。元マイエラ修道院の聖堂騎士。
 暗黒神ラプソーンを滅ぼした戦士の一人。
○ゼシカ・アルバート(DRAGON QUEST [ 空と海と大地と呪われし姫君)
 リーザス村の名士アルバート家の令嬢。
 暗黒神ラプソーンを滅ぼした戦士の一人。
◎インパクター・ルシア(超星神グランセイザー)
 諜報活動に長けた女性型のインパクター星人。
 アルカニスで戦闘体に変身、軽量性に富んだ装甲を身に纏う。
 戦闘体ではVソードと呼ばれるブーメラン状の武器を使用する。

446 名前:番外編・マシリト復活!?:2005/05/15(日) 17:31:50

>>390-392の続き

***ペンギン村の外れ・Dr.マシリトの研究所***

かつてのキャラメルマン9号(自分自身)を地獄で大幅にパワーアップし、
キャラメルマン10号として黄泉還ったDr.マシリトだったが、
案の定、アラレたちに完敗してほうほうの体でアジトに逃げ帰った。
全く懲りないんだから・・・・・・。

マシリト「――うるさい! それにしても則巻アラレめ!
 私の自慢の最新作キャラメルマン10号を破った挙句の果てに、
 しかも私の華々しい戦闘シーンが省略されてしまうとは!」

ありったけの不満を撒き散らすマシリト。
その時、どこかから声がした。

???「ムフフフフ・・・苦戦のようだモォ?」
マシリト「き、貴様は!?」

マシリトの研究所に勝手に上がり込んで来たのは、
鼻のところに妙な牛の鼻輪をつけている、科学者風の黒衣の中年男であった。
そしてサングラスで顔を隠し、いかにも不気味な黒い手術着の数人の男――
――BCGの黒いドクター達が、自分達のボスらしき
その男の周囲をがっちりと固めていた。

モオ「久しぶりだモォ、Dr.マシリト!」
マシリト「ドクター・モオ!? 貴様も来ていたのか!」
モオ「我々と手を組まないかモ?
 お前の科学力と我がBCGの組織力とを合わせれば、
 あのグランショッカーをも差し置いて世界制服・・・じゃなかった・・・
 ・・・世界征服も夢じゃないモ!」
マシリト「ふふふ・・・確かに面白そうだな・・・・」


●Dr.マシリト⇒ドクター・モオと手を結ぶ。

【今回の新規登場】
●ドクター・モオ (おぼっちゃまくん)
 世界征服を狙う悪の組織BCG=ブラック・チューシャ・グンダンの総統。

447 名前:外宇宙編:2005/05/15(日) 19:32:20

***アプティック星系***

ありふれた黄色の恒星「アプティック」。
12個の惑星を従えたこの星の周辺宙域を舞台に、
今まさに灼熱の舞踏が繰り広げられていた。

「時空泡発生を確認」
「反陽子砲、発射準備」
「安全装置を解除します」
「右舷装甲鈑損傷、第4、第11、第15区画に破孔!」
「敵、グランショッカー・ゴズマ軍艦隊旗艦、
有効射程距離突入30秒前! 全艦、密集隊形で第2区画を集中攻撃!」
「全艦密集隊形完了。第2区画を……」

かつての銀河戦艦バルガイヤーの元司令官であったガロア艦長率いる
グランショッカー・ゴズマ軍ゾーン艦隊は、
銀河列強の一つ、アーヴによる人類帝国の勢力下にある
ここアプティック星系に攻め入ったが、
圧倒的な火力を誇るアーヴ星界軍<幻炎>第一艦隊側の
電磁投射砲、反陽子砲、凝集光砲等による反撃を無数に受け、
あっけなく敗退したのであった……。

***カウ級巡察艦<ラーシュカウ>***

スポール「……はぁ……退屈……」

アーヴ側の艦隊旗艦ブリッジでは、例によって"帝国一の不良上司"の口から
場違いな呟きが聞こえた。

スポール「こんなにあっさりお負けになるなら、
 最初から尻尾を巻いて逃げておしまいになればよろしいのに……」
クファディウス「敵が我が艦隊の勢力を見誤ったためでしょう」
スポール「わかりきった話はやめてくださらない……?」

スポール提督はいつもの調子で、憂鬱を湛えた紅瞳を向ける。

スポール「それよりも状況の変化はあった?」
クファディウス「惑星第3アプティックの空間領域は、
 完全に制圧しました。推進剤採取基地の原状回復が遅れそうですが、
 218時間ほどで……」
スポール「つまり……」

味方艦隊の行程状況を細かく報告するクファディウス千翔長を、
スポールは遮った。

スポール「…予定通りに進んでいる訳ね。
 そういう時はねぇ…"変化なし"って報告してくださればいいのよ。
 物事をもっと簡潔に済ませる事を学んだ方がおよろしいんじゃなくって?」

真面目なクファディウスを芸術的に婉曲された言葉で罵倒するスポール。

クファディウス「……わかりました。以後気をつけます」
スポール「……つまらないわね、参謀長」

そう言うとスポールは、偵察分艦隊司令ロセーシュ提督を通信回線に呼び出し、
簡潔な報告の例をクファディウスに示して見せた。

スポール「司令官、出発の準備はいかがかしら?」
ロセーシュ@モニター「完璧です、司令長官!」
スポール「おわかり? 参謀長、これが簡潔な報告というものよ」
クファディウス「………」

「俺は何を期待されてここにいるんだろう……?」と、
思わず哲学的な心境に陥ってしまうクファディウスであった。
そしてスポール提督は再び呟いた。

スポール「はぁ……ほんとに退屈だわ……」

448 名前:外宇宙編:2005/05/15(日) 19:33:36

***グランショッカー銀河系前線基地・要塞ネオゴズマード***

一方、銀河列強の一角を陥して見せると
自ら意気込んで艦隊を率い攻めて行ったものの、
結果、無様に命からがら逃げ帰ってきたガロア艦長を待っていたのは、
長年来の政敵であるバルガイヤー初代艦長シュバリエの嫌味であった。

シュバリエ「なんて様だガロア。
 バラクティカ級、ネジクラッシャー級の最新鋭艦まで渡されながら、
 それらを全て失って、のこのこ貴様一人だけ逃げ帰ってくるとはな!
 我らが麗しきアハメス司令官殿に、なんと詫びを入れるつもりだ?」
ガロア「黙れシュバリエ!
 貴様は邪神の御寵愛をよいことに近頃つけあがっているらしいが、
 お前如きの指図は受けん! 俺には俺の考えがあるのだ!」
シュバリエ「ほほう…ならその考えとやらを
 聞かせてもらおうじゃないか?」
ガロア「フン! いいか!
 宇宙連合では現在、穏健派の連中が枢密院で実権を握っている。
 このままだと奴ら連合は宇宙連邦との融和・統合を進めていくのは目に見えている。
 もし宇宙連合と宇宙連邦、それに地球人共が手を組んだら
 厄介なことになるのだぞ!
 だからこそ、このガロアがその前に銀河の列強の一角――
 ――アーヴによる人類帝国をこの手で制圧してやろうと言うのだ!」
シュバリエ「ハァ……」

シュバリエをため息をつき、呆れるような仕草をすると、
ガロアに対してこう言い放った。

シュバリエ「…だからお前はアホなのさ」
ガロア「何だと!!」
シュバリエ「いいか、アーヴの持つ空識覚やその個艦性能は侮れん。
 いくら我々グランショッカーでも、正面から戦って易々と勝てる相手ではないわ」
ガロア「………」
シュバリエ「しょうがない……。
 ここは一つ、情報不足なお前のために教えてやろう」

そう言うとシュバリエは、
妖しく微笑みながらガロアに近づき、そっと小耳に囁いた…。

シュバリエ「……まもなく宇宙連合でクーデターが起きる」
ガロア「(大声で)何っ!! それは本当かっ!?」
シュバリエ「しっ! 声が大きい。諜報部からの報告では、
 宇宙連合のタカ派連中に、このところ水面下で怪しげな動きがある。
 先日、地球でも…確かメトロン星人とか言ったか…
 …連合強硬派と思しき工作員の潜入が確認されている」
ガロア「宇宙連合にそんな動きがあったとは……」
シュバリエ「だから今は様子を見るのさ…。
 もし都合よく…再び覇権主義的政策に転じた宇宙連合が、
 宇宙連邦や地球人共、それに他の銀河の列強諸国とも潰し合ってくれたら、
 これほど手間の省けるラッキーな事は、他にないのだからな…」

449 名前:外宇宙編:2005/05/15(日) 19:35:33

○アーヴ星界軍⇒自軍勢力範囲のアプティック星系に攻め込んで来た
 グランショッカー・ゴズマ軍ゾーン艦隊に対し勝利。
●シュバリエの口から、宇宙連合にクーデター発生の可能性ありとの情報。
 果たして、その真偽は……?

【今回の新規登場】
○スポール・アロン=セクパト・レトパーニュ大侯爵・ペネージュ提督(星界の紋章/星界の戦旗/星界の戦旗U)
 アーヴ星界軍・ラルブリューヴ鎮守府副司令長官で、
 『幻炎』作戦先攻偵察部隊の第一艦隊司令長官。
 クファディス曰く、「わがままで気まぐれ。なにより悪いことに、
 ひどく有能な指揮官でもある」人物。
○クファディス・ウェフ=エスピール・セスピー千翔長(星界の紋章/星界の戦旗/星界の戦旗U)
 アーヴ星界軍・『幻炎』作戦においてスポール提督が司令長官を務める
 先攻偵察部隊の第一艦隊の参謀長。上官であるスポールを理解できず、
 彼女にふりまわされる苦労人。
○ロセーシュ准提督(星界の戦旗)
 アーヴ星界軍・幻炎第一艦隊・偵察分艦隊<デクスファ>の司令官。スポールの部下。
●ガロア艦長(地球戦隊ファイブマン)
 銀帝軍ゾーン・銀河戦艦バルガイヤー元(2代目)艦長。
●初代艦長シュバリエ(地球戦隊ファイブマン)
 銀帝軍ゾーン・銀河戦艦バルガイヤーの初代艦長。歌が得意。
 「戦いで一度も負けたことがない」という伝説の男。

450 名前:時空編/現代:2005/05/15(日) 19:40:39

***グランショッカー本部・幽閉の間***

村上の首@スピーカー「…冴子さん。再び貴女の
 その姿を拝見できるとは思いませんでしたよ……」
冴子「私もよ、村上君…」

プラントでの大攻防戦の果てに戦死したはずの影山冴子は、
彼女はデストロン科学陣の手で再び蘇り、村上の元を訪れていた……。
一度は王の力により、人間を捨て不死となったが、
今…彼女は人の姿をしている……。

冴子「正直に言って、屈辱だわ…。
 またこうして醜い人間の姿に戻らなければならないだなんて……。
 頼んだ訳でもないのに、ドクトルGも余計な真似を…!!」
村上の首@スピーカー「そう捨てたものでもありませんよ…。
 私もまた、バー・クローバーで貴女の振舞う最高級のシャンパンが
 飲みたいですからね……」
冴子「…なら村上君、いつまであのエーデル・クロイツとかいう連中に
 我々オルフェノクの指揮を任せておくつもりなの?
 オルフェノクには私達ラッキー・クローバーがいれば、それで充分のはず……」
村上の首@スピーカー「そのラッキー・クローバーも、琢磨さんの裏切りによって
 再び欠員が生じ、今はまた3人となってしまった……」
冴子「………」
村上の首@スピーカー「それにエーデル・クロイツの諸君は
 私の予想以上によくやってくれていますよ……。
 今は雌伏の時です、冴子さん……いや、
 デストロンのオルフェノクサイボーグ怪人ミスティロブスター…!
 いろいろ御不満もおありでしょうが、
 これからもデストロンの皆さんに黙って協力を続けてください……。
 …お約束しましょう。きっと我々オルフェノクが邪神に認められ、
 グランショッカーにおいて絶対的優位に立つ日が必ず来ると……!!」

冴子をたしなめる村上だが、
その時、どこからか無邪気且つ不気味な声が聞こえてきた……。

……ドル…ロ、今………ヲシテ…ボウ……。
楽シ…ナ……。

冴子「…何なの、この声は? それとも幻聴かしら……」
村上の首@スピーカー「ああ、この声ですか……。
 どうやらここの隣の牢獄に先客がいるようでしてね……。
 尤も、誰が閉じ込められているのかまでは…私は知りませんが……」


村上の言う、その隣の厳重に鍵が閉められた独房では……
暗闇の室内で、まるで幼い子供のようにシャボン玉で遊んでいる
金色の機械人間の姿があった……。


ギエン「ドルネロ、何ヲシテ遊ボウカ…。
 今日ハネ、オ金ガ数エラレルヨウニナッタンダヨ、エヘヘヘ……」


●影山冴子⇒ついにオルフェノクサイボーグとして復活。
 基本形態は再び人間体の姿に戻る。
●ギエン⇒何者かの手により、グランショッカー本部の地下牢獄に
 人知れず幽閉されている。

【今回の新規登場】
●ギエン(未来戦隊タイムレンジャー)
 ロンダーズファミリーのロボット型科学者幹部。
 左腕に武器を内蔵しており、破壊と殺戮に悦びを見出している。
 体内に高密度のλ2000が備わっている。

451 名前:名無し客:2005/05/16(月) 03:12:18

***ギンガの森***

各ヒーロー有志によって集められた光、風、海の3人は、
飛羽高之、立花レイ、岬めぐみに連れられ…未だ開発の手を
拒む美しい自然の中に来ていた。

海「こんな綺麗な場所があったなんて…」
風「あの、何かあるんですか? …この場所に」
めぐみ「とりあえず、あなたたちに会わせたい人たちがいるのよ」
飛羽「……ここから先は、ギンガの森の聖域だな。道案内が来てくれている
 はずだが……」

と、一人の青年が、ターザンよろしくツタをロープ代わりに木々を渡り、
一行の前に降り立った。133代目星獣剣継承者の一人──ヒカルだ。

ヒカル「お久しぶり、皆さんっ!」
飛羽「元気そうだな、ヒカル君──ギンガイエロー」
光「あ、私と同じ名前…」
ヒカル「へー、君もヒカルちゃんって言うんだ。よろしくっ!」
レイ「彼は22番目のスーパー戦隊・星獣戦隊ギンガマンの1人なの」

ヒカルの肩から、ひょっこりと顔を出す木の実のような妖精。

ボック「ひどいボック、ボックのことも紹介して欲しいボック〜!」
風「あ、可愛い…こんにちは(微笑)」
めぐみ「あら、ボックのこと見ても驚かないの?」
海「まー…何というか、あたしたちも似たようなのと旅してましたから(苦笑)」

ヒカルとボックの案内で、ギンガの森の広場へと案内される一行。
長老のオーギ、森の戦士たちの頭目であるヒュウガをはじめ、
リョウマたちギンガマンの面々も顔を揃えている。

ヒカル「ほら、星獣たちも歓迎してくれてるよ」
光・風・海「!?」

見上げると、身の丈数十メートルの動物たちが光たちのことを見下ろして
いた。その内の3体はメカのような外見を持っているが…。

レイ「ギガライノスとギガフェニックス!? あの子たちって確か、
 グレゴリ一味との戦いで…」
ヒュウガ「彼らも黄泉還ったようで、ある日ひょっこり戻って来てくれた
 んですよ」
リョウマ「で…この子たちですか? アースを使えるというのは…」
光「アース?」
レイ「話せば長くなるんだけど…まあ、地球自体が持つ一種の
 防衛本能みたいなものね。『アースフォース』とか
 『ウルトラの光』とか呼び方は色々あるけれど…」
飛羽「光ちゃんたちの使った術を見て、チェンジマンやギンガマンの
 技に似ていることに思い当たってね。レティスと名乗る鳥の力で時空
 クレバスが開いたことに呼応して、セフィーロの力の代わりに
 アースフォースが働いたと推測されるんだ」
光「地球の…力…」
めぐみ「地球はよほど強い戦士の心を持った者にしか、その力を
 貸し与えてはくれないみたいなの。つまりね、あなたたちは
 セフィーロからも地球からも、戦士として認められたのよ──
 それがいいことなのかどうかは、分からないけれど」

そこへまた、もう一つの再会が…!

レオナ「もう…どうしていなくなっちゃうのよ、リンク君と
 一緒に戦ってくれたお礼も言いたかったのに!」
光「あなたはあの時の…!」

一旦PU施設に案内されたレオナ姫だったが、やはり元いた世界と
似た環境の方が良いだろうと言うことで…ここギンガの森に数日前から
滞在していたのである。それまでに、この世界に存在する
数多くのヒーローや悪の組織のあらましについてはレクチャーを
受けており、(元々頭が良く、魔法修得の一環で天文学をかじっていた
こともあるが)惑星間文明や宇宙人の概念についても他のPUメンバーが
驚くほどの柔軟さで理解していたのだった…。

レオナ「でも嬉しかったわ、この世界にもあなたたちみたいな
 勇者がいたなんて…」
光「……ごめんなさい(^^;)。改めて、よろしくお願いしますね」

ガッチリと握手する、魔法騎士とアバンの使徒…。
その様子を離れたところで見ている、老人たちと1人の妖精少女がいた。

妖精シーロン「闇の力に対抗して数多くの戦士たちが、
 次々と名乗りを上げてくれていますね」
長老オーギ「あの3人の娘たちには、同じアースを持つリョウマ・ハヤテ・
 ゴウキが道を示してくれるじゃろう…」
不思議仙人バーザ「時空クレバスの最終調整もα基地で進んでいるとか」
老師グル「名だたる博士や教授たちが不眠不休でがんばってくれておる
 ようじゃ…我々もすべきことをせねば…のう、エジン殿?」
宇宙仙人エジン「うむ……一刻も早く、未解読の"超宇宙黙示録"を明らかに
 ……邪神どもの企みを阻止せねば……!」

○魔法騎士の3人、ギンガの森を訪問。滞在中のレオナ姫と再会する。
 地球上ではセフィーロの力の代わりにアース(フォース)で魔法を
 使用できるようになったらしい…。彼女たちの参戦意思は未だ聞かれず。
○ギンガの森には各ヒーローの後見人である老師たちが集結、科学者たちの
 時空クレバスの解明と並行して"超宇宙黙示録"の解読に務めている様子。

【今回の新規参戦】
○リョウマ=ギンガレッド(星獣戦隊ギンガマン)
 星獣戦隊リーダー、炎のアースを操る。
 元は正式な星獣剣継承者ではなかったが、兄のヒュウガが
 戦線離脱したことを受けてギンガマンになる。
 星獣/銀星獣ギンガレオンのパートナー兼ギンガイオーパイロット。
○ヒカル=ギンガイエロー(星獣戦隊ギンガマン)
 133代目星獣剣継承者、雷のアースを操る。
 食いしん坊のやんちゃ坊主で、ハヤテ=ギンガグリーンからは
 何時も怒られている。星獣/銀星獣ギンガベリックのパートナー兼
 ギンガイオーパイロット。
○ヒュウガ=黒騎士/重騎士ヒュウガ=合身獣士ブルタウラス
 (星獣戦隊ギンガマン)
 リョウマと同じく炎のアースを操る、133代目星獣剣の本来の継承者。
 タウラス星人ブルブラック=初代黒騎士の魂を受け継ぎ2代目黒騎士
 を襲名。重星獣ゴウタウラスをパートナーとし、合身してブルタウラスに
 なる。
○宇宙仙人エジン(巨獣特捜ジャスピオン)
 惑星エジンに住む賢者にしてジャスピオンの育ての親。
 ダイレオン他、ジャスピオンの使用する全てのメカを開発した。
 暗黒大魔神サタンゴースとは宿敵同士。
○不思議仙人バーザ(恐竜戦隊ジュウレンジャー)
 白魔導士で、1億7千万年前の超古代文明の頃から生きている。
 ジュウレンジャーの後見人で、普段は集合住宅の管理人をしている。
○老師グル(重甲ビーファイター/BFカブト)
 カブト虫のような姿をした、昆虫界の長老。向井・小山内博士と並ぶ
 ビーファイターの後見人で、カブトの父親。
○妖精シーロン(高速戦隊ターボレンジャー)
 幼い少女の姿をした小妖精で、ターボレンジャーの協力者。
 非実体のため、霊力のある人間としかコンタクト出来ない。
○妖精ボック(星獣戦隊ギンガマン)
 木の実を擬人化したような小妖精。普通の人間にも目視・会話
 出来る種族。ギンガの森のマスコット的存在。語尾に「〜ボック」
 と付ける。

452 名前:名無し客:2005/06/01(水) 01:31:49

>>451追記
【今回の新規参戦】
○オーギ(星獣戦隊ギンガマン)
 古来より独自の文化を築いてきたギンガの森の長老で、
 ギンガマンの後見人。

453 名前:名無し客:2005/06/01(水) 05:06:13

***伊豆・地球連邦軍極東基地***

ついに──時空クレバス制御システム"ディオドス"が完成した…!
要塞αで調整されていた超空間解析プログラムがインストールされ、
ゆっくりと──起動音と言う名の産声を挙げる。

その様子を見守っていた科学者や技術者たちから、一斉に歓喜の声と
拍手が沸き起こった。
ガッチリと握手する南部孝三郎・本郷秀樹両博士。官と民、ISOとI.N.E.T.の
合同プロジェクトチームによる研究の成果が、ついに実を結ぶ時が
来たのだ。

南部博士「…これで、各世界・各時代にヒーローたちを
 派遣することが出来る…!」
本郷博士「これも時空理論に詳しいあなたがたが協力を申し出て
 下さったおかげです、ラーク博士、せつな君」

時空クレバス制御システム開発における最大の関門──異次元への安全な
転移。それを可能にした最大の功労者こそ…異次元世界ポドリムスから
地球へと亡命して来た科学者・Dr.ラークと、外部太陽系セーラー戦士の
一角を担うセーラープルートこと冥王せつなであった!

向井健三博士「しかし、よくぞ協力してくださった…セーラー戦士としての
せつな君は、聞けば時空の守護者でもあるというのに…」
冥王せつな「(クスリと笑って)うさぎちゃんに泣き落とされたんです。
 あの子の涙には、勝てません…」
Dr.ラーク「それもありましたが、鏡京太郎君はじめ、異世界異次元に
 縁のあるヒーロー諸君がこぞって今回の計画に賛成してくれましたからね」
時村博士「本当に、関係者諸氏には感謝の気持ちでいっぱいです…」
兜博士「…各ヒーローの母艦や愛機・愛車への転移・追跡装置の取り付けも
 終わったようですな」
一の谷博士「宇宙の各惑星やそれぞれの異世界、過去や未来の時代にも、
 必ず──悪と戦う正義の意思を持った若者たちがいるはず…」
志度博士「彼らと協力し、グランショッカー他の侵略勢力を叩く!」
御手洗健一博士「……それにしても、はるか未来の話とはいえ、また
 世界大戦が起こってしまうことになるとは……」
アイザック・ギルモア博士「さよう……現にワシや00ナンバーたちは、
 NBC兵器汚染の特にひどい地域からタイムトラベルしてきた"移民"たちに
 出会っておりますからな…彼らが超古代へとジャンプしてくれなければ、
 現代人との間で戦いになるところじゃった…」
四谷博士「いずれ世界が滅びてしまうのなら、ワシらの現在の戦いは
 何のためにあるんじゃ…」
お茶の水博士「四谷博士、人類はそう捨てたものではない。ワシらだけでも
 そう信じようじゃありませんか……」
東山大三郎博士「……今回の戦いで、それに対する答えが出てくれれば
 いいのだが……」
早乙女博士「我々は、すばらしい若者たちのバックアップにひたすら全力を
 注ぎましょう。それしか道は無い!」
弓教授「……"現在"を、悪の魔の手から守るために!!」
久保田衛吉博士「(マイクを手に)ヒーロー有志諸君、よくぞ集まってくれた。
 君たちがこれから赴く宇宙の彼方・異世界・他の時代は、何があるか
 分からない未知の世界だ……健闘を祈る! そして……死なずに帰還
 してくれ
!!」

地球圏各地に、秘密裏に設置された時空クレバス人工発生スポットが
一斉に光を放つ。

ヒーローたちの戦場は今、全次元へとその領域を……!!

○時空クレバス制御装置"ディオドス(ギリシャ語で「通路」「花道」)"が
 ついに完成。地球圏のヒーローたちが未知の領域へと旅立つ…!

【今回の新規参戦】
○南部孝三郎博士(科学忍者隊ガッチャマンシリーズ)
 国際科学技術庁(ISO=International Science Organization)長官。
 科学忍者隊/レッドインパルス隊司令官も兼任しており、ガッチャマン
 たちの父親的存在。
○本郷秀樹博士(大戦隊ゴーグルV)
 未来科学研究所所長で、世界科学連邦I.N.E.T.
 (International Network of Excel-science and Technology)現長官兼
 Gショッカー対策委員会最高顧問。大戦隊及びコンピューター
 ボーイズ&ガールズ(コンボイ)の後見人。
○向井健三博士=ムカイダーK3(重甲ビーファイター)
 国際科学技術庁副長官で、元コスモ(アース)アカデミア日本支部長。
 ビーファイターの後見人。
○Dr.ラーク=夢のおじさん(夢戦士ウイングマン)
 異次元世界ポドリムスの科学者で、夢あおいの父。ドリムノートの
 開発者でもある。スクランブルフォース主宰。
○冥王せつな=セーラープルート(美少女戦士セーラームーンシリーズ)
 無限学園大学理学部に籍を置く女子大生で、セーラー戦士の最年長者。
 外部太陽系戦士の1人で、転生前はタイムトンネル内にある門番を
 護っていた。現在はDr.ラークの助手を務める。
○御手洗健一博士(ミラーマン)
 国際地球防衛会議日本代表で、元SGM(Science Guard Members)司令官。
 鏡京太郎=ミラーマンの後見人で、SGM隊員御手洗朝子の父。
○アイザック・ギルモア博士(サイボーグ009)
 ユダヤ系ロシア人。かつては黒い幽霊団の科学者で、島村ジョー=009
 たちを改造した張本人であると同時に00ナンバーサイボーグたちの
 父親的存在。
○お茶の水博士(アストロボーイ・鉄腕アトム)
 日本の科学省長官で、AI搭載型ロボットの庇護者。アトム一家の後見人。
○東山大三郎博士(勇者ライディーン)
 未来工学研究所(通称・ムトロポリス)所長で、桜野マリの養父。
 コープランダー隊の司令官も兼任。
○早乙女博士(ゲッターロボシリーズ)
 早乙女研究所所長にしてゲッター線研究の第一人者。早乙女ミチル・
 ケイ・元気の父親で、恐竜王女ゴーラ=早乙女ミユキの養父。
○久保田衛吉博士(電磁戦隊メガレンジャー)
 I.N.E.T.所属、メガプロジェクト主任、電磁戦隊の司令官。
 Dr.ヒネラーとはライバルの関係。

454 名前:時空編/現代:2005/06/01(水) 16:16:17

引き続き……

***時空クレバス人工発生スポット前***

鉄也「それでは勇介さん、俺達二人はこっちに残れば
 いいんですね?」
勇介「ああ。グランショッカーに属する
 悪の科学者達が不気味な動きを見せている。
 グランショッカー側の時空クレバス制御システムの開発には、
 十中八九…ネジレジアのDr.ヒネラーが絡んでいるだろうし、
 メスの大博士リー・ケフレンも未来の地球で何事かを
 企んでいるとなると……」
めぐみ「きっとあの男も、密かに動き出しているに違いないわ…!」

めぐみの言うあの男とは言うまでもなく、
彼ら超獣戦隊ライブマンの宿敵にして、
科学アカデミアを滅ぼし、多くの希望に満ちた若者達の命を奪い、
その夢を踏みにじった憎むべき元凶…
武装頭脳軍ボルト首領・大教授ビアスの事である。

純一「分かりました。こっちの事は安心して
 俺達に任せてください!」
鉄也「仮にボルトの奴らがまた動き出したとしても、
 何かある前に必ず俺達が叩き潰してやりますよ!」
丈「頼んだぜ、お前ら」

キサカ「そろそろ出発の時間だ。みんな乗り込め!」

同乗したレオナ姫の案内でクサナギとバビロスが……
そして騎士(ナイト)ガンダムF90Uの導きでエアロトレッカーが……
順次目的地に向けて発進して行く!


***伊豆・地球連邦軍極東基地***

そしてここ、伊豆の連邦軍極東支部では、
いつでも出発できるように戦艦エターナルが待機していたのだが……

ラクス「困りましたわ…。
 茉莉花さんの透視のおかげで、私達が赴かねばならぬ時代の
 正確な時間軸は定められたのですけれど……」
バルトフェルド「他の世界に向かった連中と違って、
 こちらにはその世界から来た水先案内人がいないからな。
 残りの正確な座標がいまいち掴めん…」
ダコスタ「隊長、例の鳥が接近してきます」
バルトフェルド「レティスか!?」

以前の約束どおり、
神鳥レティスは再びヒーローたち、
そしてフラッシュマンの前に姿を現し、
ゆっくりと降り立った。

ジン「不死鳥、約束どおり来てくれたのか」
ダイ「助かるぜ!」
翼「あれが不死鳥ですか!? 僕、初めて見ますけど
 やっぱりすごいですね〜」
森「神鳥じゃなかったか?」
海「どっちでもよかろう。我々の任務は
 未来世界に逃亡したサー・カウラーの捕縛だからな」
ジン「ああ、何としてもカウラーから両親の事を聞きだす!
 そしてケフレンの野望も止めてみせる!」

皆さん、準備は整ったようですね?

バルトフェルド「ああ、こっちはいつでも発進できるぞ!」

では、これより皆さんを
遠い未来の地球へとご案内します……

リンク「神鳥レティス……」

リンクよ、この基地の裏山の目立たぬ場所に
別の時空クレバスを用意しておきました……。
そこから貴方はハイラルへと帰れるでしょう……

リンク「ありがとう。あなたのおかげで
 僕はこの世界に蘇ったガノンを倒すことが出来た…」

お礼を申し述べるのは、私の方です……

竜馬「そうか、もう君も自分の世界に帰ってしまうんだな…」
リンク「はい。皆さんをはじめ、この世界の人々には
 いろいろお世話になりました。向こうの時代での
 皆さんの御健闘をお祈りしています」
隼人「ハイラルとやらに帰っても元気でな」
リンク「ええ、皆さんもお元気で…」

では参りましょう……。
私の光の導きについて来てください……。

バルトフェルド「了解!」
ラクス「エターナル、発進してください!」

こうしてエターナルは強い加速と共に
神鳥レティスに導かれ、目の前の人工時空クレバスめがけて突っ込んだ。
果たして、彼らの行く手には何が待ち構えているのか…!?

455 名前:時空編/現代:2005/06/01(水) 16:17:05

○リンク⇒ハイラルに帰る。
○文明崩壊後の未来の地球へ向かった面々は以下の通り。
案内役:神鳥レティス
・ラクス・クライン&戦艦エターナル
・ゲッターチーム(リョウ・ハヤト・ベンケイ)&ゲッターロボG
・破嵐万丈&ダイターン3
・キラ・ヤマト&フリーダムガンダム
・超新星フラッシュマン&フラッシュキング&フラッシュタイタン
・勇者司令ダグオン(黒岩激と宇津美雷を除く)
・東八郎=エイトマン
・如月ハニー=キューティーハニー
・結城丈二=ライダーマン
・神敬介=仮面ライダーX
・早川健=快傑ズバット
○竜の騎士(ダイの大冒険)世界へ向かった面々は以下の通り。
案内役:レオナ姫
・カガリ・ユラ・アスハ&戦艦クサナギ&ストライク・ルージュ
・ジュドー・アーシタ&ZZガンダム
・トビア・アロナクス&クロスボーンガンダム"スカルハート"
・アスラン・ザラ&ジャスティスガンダム
・ひびき洸&ライディーン&コープランダー隊
・グッドサンダーチーム&ゴーショーグン
・超獣戦隊ライブマン&ライブロボ(矢野鉄也と相川純一は、現代に残留)
・沖一也=仮面ライダースーパー1
・乾巧=仮面ライダーファイズ
・ジロー=キカイダー
・イチロー=キカイダー01
・シャイダー&アニー&バビロス
○スダ・ドアカワールドへ向かった面々は以下の通り。
案内役:騎士(ナイト)ガンダムF90U
・金田正人&鉄人28号FX
・夏樹三郎&ブラックオックス

【今回の新規登場】
○天宮勇介=レッドファルコン(超獣戦隊ライブマン)
 科学アカデミア卒業生で、超獣戦隊リーダー。
○大原丈=イエローライオン(超獣戦隊ライブマン)
 科学アカデミア卒業生で、スケボーが得意。
○矢野鉄也=ブラックバイソン(超獣戦隊ライブマン)
 ボルトに殺された矢野卓二の弟で、矢野武志の兄。
 ボクシングが得意。相川純一の兄貴分。
○相川純一=グリーンサイ(超獣戦隊ライブマン)
 ボルトに殺された相川麻里の弟。ライブマンの中では最年少の17歳。
 高校生でラグビー部に所属しているが、現在は休学中。矢野鉄也の弟分。
○マーチン・ダコスタ(機動戦士ガンダムSEED)
 バルトフェルドの副官。

456 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/06/01(水) 16:23:41

***ブリティス王国***

スダ・ドアカワールド最大の面積を誇る王国、そしてこの世界で
唯一"神と同じ姿をした者"であるMS族が治める国――ブリティスへと
進軍を開始したエヴァオルフェノク。

デスサイズ「……モンスターか!?」

エヴァオルフェノクのパワーに圧倒されるデスサイズとゼロガンダム。
いや、パワーに、と言うのは不正確かもしれない。最大の要因は、

ゼロガンダム「雷鳴斬サンダーバリアント!!」

絶対領域ATフィールドに阻まれどの技も届かないことにある。
その時エヴァオルフェノクの両腕が光の輪で抑えられた。

薔薇騎士ローズナイト「月の光のパワーリング。きさまには引きちぎれまい」

気がつけばいつの間にか満月が浮かんでいる。

ゼロガンダム「ネオガンダムの兄! お前も黄泉還っていたのか!
 あの月を呼んだのはお前なのか?」

薔薇騎士ローズナイト「そうだな、今更正体を隠すこともないか」

仮面を取った顔はやはり月影騎士クレストナイトルナガンダムだった!

ルナガンダム「いや、月を呼んだのはその少年だ」

指差す先にいる少年が呪文を唱えると

騎士エックス「月光聖矢ルナラセイア!!」

月の光が無数の矢となってエヴァオルフェノクに襲いかかる!!
だがATフィールドを貫くことはできない。その時上空から新たなる影。

月光騎士セレネスナイトネオガンダム「スダ・ドアカの精霊のエネルギーとエルガイヤーの
 全エネルギーを赤燐光剣ロットフルーレに終結だ!!」

旧『クイーンザスペード』ネオガンダムだ。
ゼフィランサス・サイサリス・ステイメンの運命の三騎士操る装甲戦車
スーパーオーキスに乗った機甲神ロードエルガイヤーがバビロンフェニックスで迫る!
エヴァオルフェノクの前方に赤い同心8角形が展開され……

ネオガンダム「うわあっ!バ、バビロンフェニックスが跳ね返されたーっ!!」
エックス「あのシールドは破れない…だったら!」

エックスの姿が消え、壁の内側へ現れる。

デスサイズ「超能力か!?」
エックス「騎士気功爆裂拳!!」

掌から気を放出し、爆発させる。しかし壁の内側に再び壁が出現し、
ダメージを与えられない。打つ手はないのか?
だがそこへ天使が舞い降りる。古代神と戦った騎士ウイング=天使ヒイロだ。

ウイング「スペリオルドラゴンからのお告げ…だ
 そのシールドは一定以上のエネルギーはそのまま通り抜ける!!」
ゼロガンダム「だがあんなもの一斉攻撃でも破れるかどうか…!」

そんな彼らの前に青と黒のロボットが姿を現す。

金田正人「オレ達も加勢するぜ!!」

鉄人28号『FX』と鉄人29号『ブラックオックス』。
操縦者はICPOの金田正人と夏樹三郎。
…だが、外伝ワールドの住人は知る由も無い。

ネオガンダム「な、何だ?君達は!?」
騎士F90U「安心しろこいつらはユニオン族の味方だ!!」

高台に現れた人物。運命の三騎士はその姿に覚えがあった。

サイサリス「お前は傭兵騎士マルスガンダム!!生きていたのか!!」
騎士F90U「ふん、お前も死に損なったかGP02」

サイサリスは以前ジークジオンに憑依され重騎士アトミックガンダムとして敵に回ったことがある。
その際F90Uはアトミックガンダム操る重機兵ザマレド・キメラと共に次元断層に飛び込んだはずなのだが…
ジークジオンの魔力を持っていたアトミックならともかくF90Uが戻って来れるとは信じ難い。
だが、今はそれどころではない。

ウイング「ソウルアップ!!」

神スペリオルドラゴンの最終兵器、鎧闘神へと変身するウイング。

ゼロガンダム「 超雷鳴斬!ハイパーサンダーバリアント 真雷龍撃トゥルードラグブレイク!!
エックス「円月殺法だ!!
三郎「ジェノサイド・バスター!!
ネオガンダム「バビロンフェニックス!!
正人「超電動パーンチ!!
冥闘真デスサイズ「闇雷光斬ダークサンダーライト!!
鎧闘神ウイング「バスターソード・ファイナルパワーズ!!

雷の龍が、月の光の大砲が、分子破壊砲が、エネルギーの鳳凰が、渾身のストレートが
大鎌の一閃が、恐ろしい程のエネルギーを放出する剣が襲いかかる。

ルナガンダム「これで駄目なら…!」

さしものエヴァオルフェノクのATフィールドもこれを防ぎきることは出来ず
十字の爆炎を上げて灰化消滅した。

457 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/06/01(水) 16:25:52

***ブリティス城***

騎士F90U「時空クレバスとか言うものが発生しているらしくてな、
 異次元の地球という星のネオトピアとか言う都市に流れ着いた。
 あのモンスターも、そこを通ってこいつらの次元から来たらしい。
 おれが着く前にマークスリーとか言うスペリオルドラゴンの使いから
 ここの窮状も知らされていた。救援ついでと言うことで連れて来てもらったわけだ」

戦いが一段落した騎士達は、ブリティス城へと集まっていた。
事情が事情のためF90Uは親や弟達との喜びの再会もそこそこに説明していた。

騎士ウイング「そうか、スペリオルドラゴンが呼んだ助けと言うのは、
 彼らのことか。」
正人「オレ達だけじゃないぜ、グランショッカーとは
 沢山の人たちが戦っているんだ」
エックス「オイラもリオン・カージから呼ばれたんだ」
騎士デスサイズ「そう言えば天使であるお前が来るということは、
 まさか古代神(バロックガン)が蘇ったのか?」
ウイング「ああ、古代神(バロックガン)ではないが
 確かに邪悪な神々が動いているようだ」
法術師デュオ「それにしてもいったい何でザン・スカール帝国が
 こんな急速に勢力を拡大したんだ」
聖龍騎士ゼロガンダム「恐らくバイスタランチュラだ。
 あれは人に取り憑き心を操る。黄泉還った心の汚れし者共も
 取り憑かれたのだろう」


***ザン・スカール帝国の実験場***

ギャラハンの声「零号機の回収は不可能だ。壱号機と弐号機は?」
ゴーゴン大公「はい…既にほぼ完成しております」

ゴーゴン大公が指す先には、先程倒されたはずのエヴァオルフェノクと
同型の機体が並んでいる……。

幻魔皇帝「礼と言っては何だがお前達の世界の活動には協力させてもらおう。
 (異世界とはいえ人間。バイスタランチュラが取り憑けぬはずはあるまい…)」


●幻魔皇帝アサルトバスター⇒現実世界への侵攻も計画し、ミケーネに協力を申し出る。
○スダ・ドアカワールドの危機に正人と三郎、そして騎士エックスが駆けつける!
○スペリオルドラゴンは影の黒幕の何かを知っている模様。

【今回の新規参戦】
○守護天使ヒイロ=騎士ウイング=鎧闘神ウイング(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)
 天使族王室守護騎士隊(ロイヤルガードナイツ)に所属する戦闘タイプの天使。
 巫女姫リリーナの守護をその任務とする。XXXG-01W ウイングガンダムに相当。
○月光騎士ネオガンダム(新SDガンダム外伝 機甲神伝説)
 神秘騎士(ミステリーナイト)ネオガンダムと同一人物で、月の王国セレネスの王子。
 RX-99ネオガンダムに相当。
○精霊騎士サイサリス(新SDガンダム外伝 機甲神伝説)
 ジークジオンの呪縛から解放され、ダバード王国騎士団に復帰した
 重騎士ガンダムGP02の本来の姿と名。大精霊の力を宿している。RX-78 GP02に相当。
○精霊騎士ステイメン(新SDガンダム外伝 機甲神伝説)
 騎士ガンダムGP03の本来の姿と名。大精霊の力を宿している。RX-78 GP03Sに相当。
○精霊騎士ゼフィランサス(新SDガンダム外伝 機甲神伝説)
 バーサル騎士ガンダムGP01の本来の姿と名。大精霊の力を宿している。RX-78 GP01に相当。
○騎士ガンダムエックス(騎士ガンダム聖伝)
 魔界の天敵と言われるサテライト族の生き残り剣士エックスが
 転職を繰り返し、闘士と魔術師の力を得て騎士となった姿。
 リオン・カージ界を魔王ザイダリアの侵攻から守った。

458 名前:時空編/未来世界:2005/06/02(木) 08:19:16

>>357の続き

***アメストリス首都セントラル***

突如としてエルリック兄弟の前に現れた
大帝ラー・デウスと名乗る怪物との戦いは続いていた。
その圧倒的なパワーの前に、
既にエドの機械鎧もボロボロだ…。

エド「くっ…これじゃあ錬金術が…!!」
アル「兄さん!!」
デウス「フフフ……その機械鎧の腕が自由に動かねば、
 ご自慢の錬金術も使えまい?」
エド「――!! へぇ〜随分と詳しいじゃんか…」
デウス「お前達の事はティンプを使って調べ尽くしているぞ。
 いずれ私がこの世界を支配する暁には、邪魔者となりそうな芽は
 早めに摘み取っておかねばならぬからな」
アル「この世界を支配!?」
デウス「そうだ! 気がついた時、
 私はこの見知らぬ世界に流れ着いていたが、
 この地に今度こそ我が改造実験帝国を築き上げてやる!」

傷ついたエドとアルに手を伸ばそうとするデウス。
だがデウスの腕に、背後の方向から蛇の様に
伸縮自在に伸びた腕が絡みついた!

デウス「…ん? 何だお前は?」
マーテル「これ以上アルに手出しはさせないよ!」
アル「マーテルさん!?」
デウス「小賢しい!!」

デウスはマーテルの腕を難なく振りほどき、
エドたちの方向へと突き飛ばす。

マーテル「くっ……!!」
エド「お前、生きてたのか。いや、そんなはずは……」
マーテル「その話は後よ! それよりもまずは目の前の敵を!」
アームストロング「我輩に任せてもらおう!
 めおおおおおおお!!!!!!

アームストロングは渾身の力を込めて
巨大で分厚い壁を練成するが、デウスにあっさり突破されてしまった。

デウス「こんな子供騙しで私の攻撃を防げると思うのか!
 私の真のパワーを見るがいい!!」

デウスは獣戦士デウスーラの形態へと変化し、
自力でみるみる巨大化していく。

エド「Σ(゚д゚lll)げっ、嘘だろ!?」
アームストロング「ぬううっ…何という奴!」

459 名前:時空編/未来世界:2005/06/02(木) 08:21:13

巨大デウスーラ「見たか!!
 たとえ獣戦士の姿となっても己の自我と知能を維持できる!
 これぞ我が生命改造実験の成果だ!」

パシフィカ「さっきから何言ってんのアイツ!?」
アル「さ、さあ……」

巨大デウスーラ「出来ることなら月のディアナ・ソレルから
 真っ先に始末したかったところだが、この際お前達でもよい。
 くたばれ!!」

デウスーラの角からビーム光線が、地上のエドたちめがけて放たれる!

ラクウェル「――壁よ、阻め!!

駆けつけたラクウェルのとっさに唱えた防性魔法<寒壁ミズガルズ>が、
デウスーラの攻撃を阻んだ。

パシフィカ「ラクウェル姉!?」
ラクウェル「パシフィカ、大丈夫だった!?」
アル「この人が君のお姉さん?」
ラクウェル「あ、どうも。パシフィカの姉のラクウェルです。
 この度はどうも妹がお世話になりまして…」
アル「あ、いえ、こちらこそ…」

そうしている間にも巨大デウスーラが
轟音を立てながらじわじわと迫る!

パシフィカ「もうーっ! 呑気に自己紹介なんかしてる
 場合じゃないっつーの!!」
ラクウェル「あら、もう大丈夫よ。だってお空を御覧なさい」

ラクウェルの指差す方向には、
巨大で鋭角的な翼を羽ばたかせている黒い影が、
デウスーラと対峙していた。

エド「な、なんなんだ〜! あのでっかい黒い竜は!?」
パシフィカ「あれは竜機神ドラグーン…。
 てことはゼフィリスとシャノン兄!?」

すでに竜機神ドラグーンの御者席(コクピット)に乗り込んでいるシャノン。
今の彼はその身に<終わりの魔獣>の加護を受ける<竜騎士Dナイト>である。

ゼフィリスの声「行くぞ、我が主よ…!

シャノン「――行けい!!」

シャノンは刀を抜き、眼下の敵デウスーラに向かって
高々と跳躍した。


●ラー・デウス⇒自我を維持したまま、デウス獣戦士ザ・デウスーラの姿となり巨大化。
 これもこちらの未来世界でタッカーにやらせていた、生命改造実験の研究の成果らしい。
○エルリック兄弟⇒マーテルと再会を果たす。
○シャノン⇒竜機神ドラグーン(=ゼフィリス)に搭乗し、巨大デウスーラと交戦状態に。

460 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/06/02(木) 10:50:16

***ラクロア辺境***

ガンダム騎士達はラクロアに向かっていた。
機兵の谷の蘇生復活のエネルギーが
黄泉還りに関係あるのではないかと調査していたグループが、
気になるものを発見した…とシャッフル騎士団『キングオブハート』
騎士ドモンと騎士シャインガンダムから連絡があったのだ。

正人「じゃあその邪悪な神々って言うのが……
 グランショッカーの首領連中のことか?」
ウイング「恐らくはな。我々神の使いも動かなければならない。
 それに…」

その時轟音が響く。

デュオ「またあいつらかよ!」

ブリティスで何度も戦ったことのある異形の機兵だった。

三郎「あれは…ランドウのメタルビーストじゃないか!?」

新生恐竜帝国と手を結んで世界制服を企み、ゲッターロボ號に倒された
プロフェッサー・ランドウのことは国際警察においても詳しく記録されている。

デスサイズ「妙な攻撃をしてくるのもいるが、強さは
 従機兵(デ・ドール)と同じくらいだ。蹴散らすぞ!」

ネオガンダム「エルガイヤーっ!!」
ゼロガンダム「我を召喚せよ、ドラグーン!」

自らの機兵を召喚するネオガンダムとゼロガンダム。

デスサイズ&ウイング「巨大変身(ソウルアップ)!!」

この四人だけでも十分過ぎるほどなのだが、さらにFXと
ブラックオックスも控えている。
……案の定、戦いはすぐに終わった。

デュオ「ふー、それにしてもこんな所にまで機兵を出してくるなんてな。」
ゼロガンダム「そうか、陸上船リシテア……!」

デュオの呟きを聞いたゼロが何か思い当たることがあるように言った。

ゼロガンダム「急ごう、ザン・スカールは機兵工房を備えた移動要塞を
 持っていたんだ。ラクロア城が危ないかも知れん」

ラクロア城に着くとメタルビーストの残骸が散乱していた。
騎士ドモン操る戦神機キングシャッフルには、心配無用だったようである。

ドモン「機兵の谷で工場のようなものが見つかったんだ。
 シャインが先に向かっている」
正人「(本当に…ドモンさんにそっくりだな…)
 それがこの世界での……黄泉還りの原因なのか?」
ドモン「それはまだ解らん。だが何か嫌な力を感じる」
ウイング「暗黒力か?」
ドモン「! まさか暗黒卿(ダークロード)が」
ウイング「ああ、スペリオルドラゴンによると奴も黄泉還っているらしい」
三郎「だが…もし黄泉還りが邪悪な意思によるものなら、どうして
 俺たちの世界では味方まで黄泉還ったんだ…?」
正人「それは…これから暴けばいいさ!」

461 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/06/02(木) 10:51:14

***ラクロア・機兵の谷***

???「幻魔皇帝め…奴が何をしようと俺の掌中の事と思っていたが、
 バイスタランチュラを甘く見ていたようだ。
 それによもや…異世界よりの介入があるとは…」

工場の中、何者かが忌々しげに呟く。

???「このままでは俺の支配どころか、奴と奴が手を結んだ異世界の者に
 スダ・ドアカを奪われてしまう…そうはさせんぞ!」

そんな中、モニターが騎士シャイン率いるラクロア騎士団の姿を映し出す。

???「ふん、もう現れたか。まだここに俺がいることには気付いていない
 ようだな…早速出番だ。行け!」

工場に立ち並ぶ不気味な機械の内の一つに指示を出すと、
その中から一人の騎士が飛び出して行った。

???「今の所おれの部下はあいつ一人、黄泉還ったとはいえ今の俺には
 全盛期の力は無い……。
 だがきさまにこいつは倒せん。何故なら…クックックッ…」

突如出現した敵騎士。味方の騎士団員が次々斬り倒されていく。

シャイン「誰だ貴様は!? なっ……何ー!!」

剣を受け止め叫ぶシャインだったが、相手の顔を見た瞬間驚愕する。
そこにいたのは―色合いこそ青の濃淡だけであったものの―スペリオル
ドラゴンだった。

謎の騎士「俺の名はスペリオルクローン!」
シャイン「くっ…うわあ!!」

一瞬の隙を衝かれ負傷するシャイン。

???「選ばれし者の黄金魂はスペリオルドラゴンより受け継いだもの。
 ゴッドガンダムならいざ知らず…貴様にスペリオルの複製は倒せん!」
スペリオルクローン「スペリオルドラゴンをデビルスペリオルとして
 復活させたとき……取り出したその一部が俺さ」

シャインはその説明に聞き覚えがあった。
前騎士団長のネロスもクローンを作られたとドモンから聞いていたのだ。

シャイン「そうか、これは暗黒卿の…ならば!」

一閃し、バトルシャインに変身する。

シャイン「シャイニングスパーク!」

シャインの電撃を伴うアイアンクローを、スペリオルクローンは
右手から放出される魔力で捌く。
他ならぬスペリオルドラゴンの姿をとった闇の者を生み出したのは──
スペリオルドラゴンと選ばれし者、それ自体への復讐なのだろう。

そこへ後発隊も合流する。

バトルシャイン「やつだ、暗黒卿だ!」
ウイング「やはり…! これでもくらえ!」

ウイングはバスターソードから(ソウルアップ時には
ソードに注がれる)エネルギーをレーザーの
ように放出し、スペリオルクローンに撃ち込む。

スペリオルクローン「おれも所詮は複製か…無念!」

直撃を受け、消えるスペリオルクローン。

マスターガンダム「おのれ〜っ、やはり神の最終兵器が
 相手ではあいつも太刀打ちできんか!」

工場を破壊し、飛び去ろうとするマスター。

正人「逃がすかぁっ!鉄人!」
三郎「話してもらおうか、おまえとザン・スカールの関係を」

鉄人がマスターを捕獲する。そこへブラックオックス、ネオ、ゼロ、
ドモンも駆けつけ──取り囲んだ。

マスターガンダム「フフ、いいだろう…せいぜい我が敵同士で
 潰しあうがいい。ちょうど幻魔皇帝が勝手をして目障りだったところだ!」
三郎「何だと?」
マスターガンダム「幻魔皇帝め、たかが一国の帝の分際で……神にも迫る
 このわしの配下を奪った上、異世界からの邪魔者まで呼び込みおったからな」
正人「グランショッカーの…ミケーネ帝国部隊か。……それで、
 幻魔皇帝はどこにいるんだ!?」

マスターガンダム「さあな、そこまではわしも知らん。
 ただあの細身の機体は機兵ではない……
 リシテアでは作れないのではないかと思うが?」
ネオ「そ、それでは!」
ゼロ「ブリティスに奴はいるというのか!!」
マスターガンダム「くくく…どうだろうな」
デスサイズ「ブリティスには円卓の騎士もデュオの冥獣機、
 それにルナや運命の三騎士もいる。しばらくは大丈夫だろうが…」

三郎「そこで作られているものについて、弱点は?」
マスターガンダム「わしが知るか。気になるのなら
 貴様達の世界の専門家にでも聞いたらどうだ?
 ……さて、そろそろ話は終わりだ。おれはいずれ完全復活し、
 全てを手に入れているだろう……その時にはまた逢おうぞ!!」

マスターは造作もなく鉄人の指を砕き、上空へ逃れる。

正人「鉄人!!」
ドモン「きさまの好きにさせるか!レディ・ユナイト!
 シンフォニアナックル!!
三郎「ジェノサイド・バスターッッ!!

ドモンが戦神機キングシャッフルを出現させると同時にマスターを狙撃する。
三郎もジェノサイドバスターで狙い撃つ。

マスターガンダム「グワアアアッ!!」

爆炎が晴れた時、暗黒卿の姿はそこには無かった。
シャインはシャッフルの仲間に連絡を入れ、ブリティスの騎士達にも近くに
ザン・スカールの基地があるかも知れないと連絡した。

ウイング「正人、三郎、あの灰色の怪物に関する専門家に心当たりはないか?
 そちらの世界にいるスペリオルドラゴンの使いに知らせて、
 弱点を聞いて来させたいんだ」
三郎「多分あれは…『エヴァンゲリオン』、
 詳しいのは『特務機関ネルフ』だ」
正人「ただ、今はティターンズに押さえられている。
 だからその使いが話を聞けるかどうかは解らないぞ」

462 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/06/02(木) 10:52:54

***???***

???「ようこそ、魔界へ……ワシの名は魔星(マスター)大将軍」

暗黒卿は不気味な世界で目が覚めた。

マスター「お前がわしを助けたのか?」
魔星「そうだ、撃墜される寸前魔界に引きずり込んだ。
 おまえが天界をも滅ぼそうとしていたことは知っている。
 それは我ら魔界の者にとっても都合が良い」
マスター「勘違いするな…天界とスダ・ドアカを滅ぼした後はわしが
 支配する世界になるのだぞ」
魔星「勘違いなどしておらん。スダ・ドアカと天界などくれてやろう。
(我らはさらに多くの領土を手に入れられるのだからな…!)
 我らの目的は武者世界「天宮」と、今スダ・ドアカに接触
 してきたという異世界だ!」


○SD騎士団⇒偶然暗黒卿の計画を打ち砕く。
 その際建造プラントの大まかな位置を把握。
○ウイング⇒ネルフの存在を知り、別の使いに連絡。
●暗黒卿マスターガンダム⇒魔界と共同戦線を張る。

【今回の新規登場】
○騎士シャインガンダム(新SDガンダム外伝 黄金神話)
 騎士ドモンの相棒。戦闘時は、黄金魂(ゴールドスピリッツ)が実体化した
 太陽鎧サンアーマーを纏い、超光騎士ハイパーナイトバトルシャインへと変貌する。
 暴龍とユナイトして暴龍神ともなる。三度のメシよりケンカが好きな性格。
○騎士ドモン(新SDガンダム外伝 黄金神話)
 元ラクロア騎士団団員で、新生シャッフル騎士団の長。
 熱血一直線の性格。
●暗黒卿マスターガンダム(新SDガンダム外伝 黄金神話)
 黄金神スペリオルカイザーのライバルだったがかつて敗れ、封印される。
●魔星大将軍(新SD戦国伝 超機動大将軍)
 天宮(アーク)を治めていた轟天頑駄無の弟だが、その歪んだ心ゆえ
 後継者に選ばれず、闇に魂を売る。

463 名前:時空編/魔界:2005/06/02(木) 10:54:54

***魔界・某所***

暗黒卿マスターガンダムは一人の頑駄無の下を訪れていた。

マスター「思い切ったことをしたものだな、自分自身のクローンを作るとは。
 反乱の危険性は大丈夫か…?」
魔刃頑駄無「その心配はない。こいつらに意思は殆ど無く、
 オレの精神波のままに動くからな」

自らのクローン『魔刃四天王』を作り上げた
魔刃頑駄無の話を聞いて興味を持ったマスターは、
意見交換のための会見に臨んでいたのだ。

魔刃頑駄無「そう言えばお前の世界に来た怪物というのは?」
マスター「例の異世界の──『ネルフ』とか言う場所にいる生物に
 いくらかの改良を加えた物らしい」
魔刃頑駄無「例の異世界…魔界各勢力がそろそろ本腰を
 挙げて侵攻しようとしている場所だな…」
マスター「そう…ガルバーやラゴーンはおろか、バラオの一族すら
 ことごとく撃退してきた世界だ」
魔刃頑駄無「『ネルフ』か…」

464 名前:時空編/現代:2005/06/02(木) 10:56:14

***東京都内の某高級ホテル***

都内にある某ホテルの宴会場では、
男塾同窓会が催されていた。

桃太郎「皆も知っての通りだ。
 東京総知事リッキー・グレンフォードと、その背後に潜む闇の組織ZEROは、
 影の地球連邦政府と手を結び、この国を私物にせんと画策している。
 当然奴らにとって俺達男塾の卒業生は目の上のたんこぶ。
 今後あらゆる方面から俺達を潰しにかかって来るだろう」
虎丸「それでどうすんだよ、桃。
 そのグレンフォードとか言うアメリカ人に
 好きにやらせておくつもりか?」
桃太郎「暫くはまだ様子を見るさ。敵の実態を見極めぬ前に、
 こちらから仕掛けるのは危険だからな」

そこへ伊達臣人が進み出て発言する。

伊達「何をかったるい事をぬかしてやがる!
 ダンビラ振り回してた頃の貴様は何処へ行った!?」
桃太郎「………」
伊達「グレンフォードのタマを取る!
 それが一番の方法だろうが!」

伊達のその言葉に、一同騒然となる。

田沢「ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!! グレンフォードを……」
松尾「こ、殺すのか〜〜〜〜っ!? (((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル」

桃太郎「フフフ…相変わらずだな、伊達よ。
 確かに今の俺はダンビラは持たん」
伊達「………」
桃太郎「だが心の刃は錆び付かせてはいない。
 いつでも抜く覚悟は出来てるぜ!!」
伊達「そうか…それを聞いて安心した……!!」

必要な話も一通り終わったところで、
スーツの上着を脱ぎリラックスする桃太郎。

桃太郎「さーて、今日は飲むぞ。
 こうして皆が集まるのも久しぶりだしな」

465 名前:時空編/現代:2005/06/02(木) 11:00:53

***東京都庁・総知事執務室***

"よっしゃあ――っ!!"

"気合入れて飲みまくるぜ――っ!!"

"ワッハハハ 何がグレンフォードじゃ!!"

"ケツの穴に男塾魂をブチ込んでやるぜ!!"

東京総知事のオフィスに備え付けられたスピーカーから、
男塾同窓会での音声が止め処もなく流れてくる。
それを聞いているのは、この都庁の主であるグレンフォード、
武装警察RAPT長官の南雅彦、そして総知事秘書官を務める庚の3人である。

グレンフォード「フフフ、男塾同窓会の実況生中継だ」
南「会場のホテルに盗聴マイクでもお仕掛けに?」
グレンフォード「いや、そうではない」
庚「これは今地下で颯姫がやってくれているのですわ」
南「…何っ? という事は、あの<獣>とかいう名前の
 化け物じみたコンピューターの事か…」
庚「仰る通りよ。現代の世の中において、
 コンピューターの恩恵を受けていない場所など皆無に近いわ。
 何者といえども、如何なる場所でも<獣>の監視の目から逃れる事は不可能。
 これくらいの盗聴など、颯姫にとっては朝飯前ね…」

庚の説明に、知事の席に座りながら
満足そうな笑みを浮かべるグレンフォード。

グレンフォード「そういえば、第三新東京市のNERV本部には、
 まだティターンズの一部部隊が立て篭もっていた筈だね」
南「奴らにもそろそろこちらから決起を促してみますか?
 日本政府を揺さぶるには持って来いかと…」
グレンフォード「α基地でも攻撃させてみるか…」

466 名前:時空編/現代:2005/06/02(木) 11:02:23

***現代・第三新東京市−NERV本部***

シンジ「嫌です! 僕は彼らとは戦えません!」

ジャブローに撤退せず、ジオフロントを制圧した
ティターンズ徹底抗戦派の中に完全に組み込まれてしまったネルフ。
エヴァチームは立てこもるティターンズの指揮下で
要塞『α』の制圧に投入されることがほぼ(無理やり)決定していたが、
エヴァ初號機の専属パイロット、碇シンジはその指令を拒否。
命令違反で独房入りしていた。
無論、エヴァ零號機パイロットの綾波レイ、エヴァ弐號機パイロットの
惣流・アスカ・ラングレーもαナンバーズと戦うつもりなどなかった。
独房の前まで来るとシンジに声をかける。

アスカ「…見直したわ、あんたが自分の言いたいことを通すなんて」
シンジ「何だよ、いつもは『戦え、逃げるな』って言うくせに」

言ってシンジは苦笑した。褒められるべき事ではないと思った。
信念や正義感からの行動ではなかった。
ただ尊敬する──仲間達を傷つけるのが耐えられなかったのだ。

アスカ「でもそこでずっと黙ってるつもり?
 私達がいなくてもダミーで起動するわよ、きっと」

シンジ「そうだね、エヴァに乗り込んでから
 反抗すればよかった…独房からじゃ何も出来ないし、
 それ以前にここから出られるわけじゃない……」

言いかけてシンジは気付く。何故アスカは独房の前に来れたのだろう?
確かティターンズの兵士が見張りをしていたはずなのだが。
尋ねるとアスカは見張りなどいなかったと言う。
疑問に首を捻っていると声が響いた。

???「下がっていろ、その扉を斬る」

振り返って声の主をみたアスカは絶句した。
あまりに異常なものがそこにいた。
身長は160cm程だろうか。
とにかく派手だった。ベースとなる色は白。そこに金の模様が施され、
不釣合いなほど大きな鍬型を始めとして鳳凰の顔や翼など
様々な装飾が付いた鎧を着用していた。
異常な点はその体型! 三頭身以下ではないか!

鳳凰のナックルガードのついた日本刀を抜き、扉を両断する武者。

???「まずいな、先刻倒した兵士が通信を絶ったことで、
 異常を察知されたようだ」
アスカ「ちょちょっと、アンタ一体……(言いかけて感づく)……
 噂をすれば影ってヤツね」

現れるティターンズ兵士達。各々手には機関銃が握られている。
指揮官らしき男が叫んだ。

指揮官「侵入者発見…! 撃て───ィ!!」

レイやアスカがいるのにも構わず、一斉射撃が開始される。

シンジ「……っ!!(思わず目を閉じる。しばらくして)……??」

煙が晴れると──機関銃の弾丸が直撃したというのに、ハチの巣になる
どころか機械武者の鎧には傷一つ付いていない!

???「飛び道具など……無駄なことはやめろっ!」

日本刀で機関銃を持った兵士に挑みかかる武者。

兵士「う、うわ〜〜〜〜っ!?」

1分足らずで戦闘は終わった。倒された兵士達から
思わず目を背けるシンジ。

???「安心しろ……峰打ちだ」

ただ一人、あまり驚いてもいない様子のレイが、
皆が気になっていたことを尋ねる。

レイ「あなた、一体何? ……『SDガンダム』と呼ばれる
 ヒトたち……?」

どうやら、レイは何かの資料で「ネオトピア」に関する
知識を得たらしかった。

真駆参(マークスリー)大将軍「そう呼ぶ者もいるようだな──
 わたしは真駆参(マークスリー)大将軍。
 先日ここにある『エヴァ』の機密が盗まれ、それを元に我らが世界──
 君たちからすれば異世界で大変なものが作られてしまった。
 ……それの弱点を探るため、わたしは来た」

アスカ「はあ? 何言ってんの?」

とても信じられる話ではない。だが、

シンジ「盗まれたって、ティターンズにですか?」

信じる奴がここにいた。まあここまで得体の知れぬ者が実際に
目の前に現れば、もう何でも信じられるものかもしれない。
ましてや、シンジは様々なヒーローやパイロットたちとの出会いを
通じて、数多くの「信じられないもの」に出会って来ているのだ。

真駆参大将軍「いや、ギャラハンという怨念のエネルギー体、
 『ミケーネ文明』の帝の手の者と聞いている。
 いずれにせよ…見た限り『エヴァ』をティターンズなる輩の
 自由にさせるのは危険すぎる…君達の手に取り戻すのだ」
アスカ「言われるまでもないわよ!!」
レイ「ミケーネ闇の帝王……グランショッカー……」
シンジ「……」

467 名前:時空編/現代:2005/06/02(木) 11:03:51

***第三新東京市―地上***

グワオォォォ──ッ!!!

第三新東京市のビルを踏み潰し、進撃する怪物。
その甲殻は蟹のようでもあるし、殻に身を包んだ貝のようでもある。
前部の甲殻は展開してハサミとなり、そのため前端部のみ内部が見えている。奥に巨大な一つ目が無気味に光る。

ウイッチガーベラ「食い尽くすがいい、パトゥーリアよ」

***NERV本部***

本部の中にも上から地響きが聞こえる。

真駆参「地上で何か起こったな……急ごう」

増援に駆けつけるが、銃を向ける間もなく倒されるティターンズ兵士。

兵士「おのれ、汚らわしい機械生命体め…!」

シンジ、レイ、アスカの3人は真駆参に守られながら
EVAの格納庫を目指していた。
NERVはエヴァを保有すると言う意味での戦力は強大なものがあるが、
元々いる職員の武力は無いに等しい。
そもそも人間との戦いを想定した組織ではないのだ。
自然内部からの反乱を警戒した警備は手薄であり、
突如出現した頑駄無には駐留しているティターンズ兵士では
太刀打ちできなかった。

格納庫の方から整備員がやって来ると、シンジとレイに
ヘッドセットを投げ渡す。
アスカがヘッドセットを常時着用しているのはいつも通りだ。

整備員「プラグスーツはプラグ内に用意しておいた。
 ダミーも使えないはずだ…急がないと敵が来るぞ」

その声には聞き覚えがあった。整備員の制服を着たその男の
顔を見ると、忘れもしない特徴的な前髪。

シンジ「と、トロワ・バートンさん?」
アスカ「な、何してんのこんなトコで!?」
整備員=トロワ「オレは昔MSの整備員をしていたことがある。
 ネルフがティターンズの手に落ちたと聞いた時、
 オレはエヴァが影の連邦サイドに回る事を恐れた。
 ――お前達が命令に従うとは思わないが、ダミーシステムの存在も
 知っていたからな――ならば必ずお前達が乗らざるを得ないように……」

その間にシンジとレイはヘッドセットを着け、話の長くなりそうな
トロワを残して3人はEVAに向かった。

468 名前:時空編/現代:2005/06/02(木) 11:05:49

コンピュータシステムの修理が続く作戦司令室。
先日何者かが司令室に侵入し、メインコンピュータの情報が盗まれる
事件があった…その際かなりのダメージを受けたのだ。
碇・冬月両司令が(半ば人質として)ジャブローに移送された直後に
発生した出来事であった。

その『何者か』が闇の帝王配下の諜報軍であり、
EVA建造に関する機密をがすでに悪用されていることは
まだ一部の者しか知らない。

青葉シゲルがコンピュータ技師に声をかける。

シゲル「君達のお陰で随分楽になったよ」
コンピュータ技師A「なーに、このくらいお安い御用さ。それより…」
シゲル「ああ、もめてるみたいだな…(小声で)君達も災難だったね。
 たまたまここに仕事しに来てて、ティターンズの乗っ取りに運悪く
 出会っちまうなんて。家にも帰れないしな」
コンピュータ技師A「……(ニヤニヤ)」

ティターンズ指揮官「EVAが非ナチュラル勢力の手に
 落ちた。なんとしても取り返せ!」
ミサト「(何が『取返せ!』よ…あんた達が勝手に
 差し押さえたんじゃない)乗っているのは正規のチルドレンです。
 問題ありません」
兵士A「搭乗者が非ナチュラルに扇動され反逆したのだ!
 大体…貴様等は非ナチュラルを多く抱えるαナンバーズやPUと交流が
 あったらしいな。そのような者達に任せては…」

最後まで言うことは出来なかった。端末を操作していた
コンピュータ技師が立ち上がると、兵士に(何の前触れもなく)
ボディブローを食らわす。

兵士A「ぐふ…っ(ドサッ)」

崩れ落ちる兵士。

兵士B「き、貴様っ!?」

もう一人の兵士が銃を構える。だが技師はそれより早く
拳銃を抜くと──ためらいもなく兵士の手を打ち抜いた。

兵士B「ぐああぁ!?」

ひるむ兵士の背後から、シゲルと話していた方の技師が忍び寄っていた。
首筋に手刀を入れられ昏倒する兵士。
2人の屈強な兵士が、殆ど素手で片付けられてしまった。
変装を解く2人の技師。

技師A=デュオ「ダメだねぇ、本家が解散したならさっさと手を引いて
 もらわないと。不法占拠って言うんだぜ、これは」
指揮官「こ…こんなことをしてただで済むと思っているのか!」
デュオ「あー、ここまで来たら何か気付かねェかなあ」
技師B=ヒイロ「……降伏しろ、既に情報操作して
 他の残党とは切り離した──此処の異変が気取られることは無い。
 また、今ここで救援要請しても……間に合わない」
指揮官「き、貴様!! スペースノイドかコーディネイターか…
 死ねっ!」

ドガァッ!!

銃を抜く指揮官だったが、ミサトに蹴り倒され気を失う。

ミサト「ヒイロ君にデュオ君、操縦やハッキングだけ
 じゃなくそんなことも出来たのね…あたし一人じゃどうにも
 ならなかったけど、助かったわ」

意識を失った兵士達の武装を解除し、手際よく
縛り上げながらミサトが言う。

デュオ「まあね、これでもエージェントだからな」
ヒイロ「邪魔はなくなった。エヴァを出撃させるなら今のうちだ」
日向マコト「でも良く……ここが大変だって判ったね? 君たちは
 戦列から離れていたはず……」
デュオ「プリベンターとPUに、あちこちの異世界から
 使いってやつが来たのさ。それでさんざん探し回られた挙句、
 オレにはプリベンターから、ヒイロにはこいつの彼女から連絡が……」
アスカ「それってリリーナ?」

ヒイロが殺気を放ち始めたので、慌てて話を戻すデュオ。

デュオ「ま、まあそんな訳でその異世界の内一つが、
 この間NERVから奪われた技術のせいで大変だって…
 (トロワと繋ぎをつけて、あのサムライガンダムをここに案内したのは
 スイカ畑のおっさんだってことは…まだ言わない方がいいか)」

ミサト「3人とも、準備はいい?目標のデータは送ったとおり…
 ATフィールドは持っていないから難しい相手じゃないわ」
シンジ&レイ&アスカ「了解」
ミサト「エヴァンゲリオン、リフトオフ!!

地上に飛び出すEVA輸送台。弐號機はパトゥーリアの正面、初號機は背後、
そして零號機は弐號機の後方に現れ、同時に兵装ビルから
ポジトロンライフルが射出される。
──今まで地上で戦ったどの相手より巨大なパトゥーリア。
だが動きは速くない。

シンジ「……っ!!」

初號機は肩からプログナイフを取り出し背後から突き刺す。

アスカ「どりゃあああああ!!」

弐號機が長柄戦斧の如きスマッシュ・ホークを振りかぶり、
ジャンプ一閃パトゥーリアに飛びかかる!

零號機が放った援護のポジトロンライフルも一瞬早く命中した。

レイ「……殻に攻撃しても、ダメージは与えられないようね」
アスカ「あの貝殻の口みたいなとこに攻撃しないといけないわね。
 シンジもこっちに来なさい!」

パトゥーリアは内部から怪光線を放つ。が、
ATフィールドを持つエヴァンゲリオンには効かない。

ウイッチガーベラ「おのれ……こしゃくな人形ども!」
シンジ「行ける! これなら!」

改めて相手がATフィールドを持たないことを
実感し勝利を確信するシンジ。

???「ホォ〜ム……

その時ビルの屋上で一人の男が呪文を唱え始める。
あたりの雰囲気が次第に闇に沈んでいく。

???「呪法 闇結界!!」

空には不気味な雲が張り出し、同時にエヴァの動きが鈍る。
パトゥーリアは変わらない。

アスカ「な、何よこれ…!?」
レイ「デスクロス現象……違う……!」

ウイッチガーベラ「おお、お前は闇魔人吏偶遮光 リグシャッコー 
 お前が援護してくれたら百人力だ!!」

その時、シンジが重大なことに気付いた。

シンジ「ATフィールドが・…張れない!?」

伊吹マヤ「こ、これは…!? EVAの出力が50%を下回っています!!」
赤木リツコ「そんな!(あの雲が影響しているというの…?
 としたらあれは雲ではなく…)位相空間を調べて!」

その時本部を抜け出す影がいたことに注意を払う者はいなかった。

シンジ「うわああああっ!」

動きの鈍った初號機では怪光線をかわすことは出来ず、
装甲が弾け飛ぶ。
動かなくなる初號機。

ミサト「アスカ、レイ、シンジ君! 一時退却して!」

ヒイロ@ウイングガンダムゼロカスタム「そうだ、下がっていろ。
 結界を破るまでな」
シゲル「ヒイロ君? あ……いつの間に?」

危機に陥った3機のエヴァの前に舞い降りた、白き翼。
ヒイロは本部を抜け出し、いつの間にかウイングゼロカスタムに
乗り込み戦場に飛んで来たのだ!

アスカ「な、何言ってんのよ。あんたのガンダムも
 この空間じゃまともに動かないんじゃないの!?」
ヒイロ「十分だ──システムは生きている」

既にゼロシステムは闇結界の分析結果をヒイロの脳に送りつけている。
上空の雲は同心円状に広がっている……その中央に目を向けるヒイロ。
次に、ビルの屋上の吏偶遮光を見る。

遮光「フン、この世界の頑駄無か…そんな木偶人形で
 何が出来ると言うのだ!」

推力は低下しているが問題はない。ゼロは無言でビルに寄る。
宙を飛んで逃れる遮光の姿が見えた。そちらに手を伸ばすと遮光は
自らウイングゼロの手の中に飛び込む形となっている!

遮光「何っ!? は、離せ!!」

驚く遮光。ヒイロの目には、次にパトゥーリアの怪光線に撃たれる
自分の姿も見えている。

ウイッチガーベラ「撃てパトゥーリア!」

すでにそこにウイングゼロはおらず──道路を吹き飛ばしただけだった。
光線をかわしたウイングゼロは、雲の同心円中央目掛けて遮光をブン投げる!

遮光「ぐわあぁぁぁ…!?」

続いてツインバスターライフルをスタンバイ。
「出力の50%も出ない」とシステムが伝えてくる。
そして、それでも物体ごと中心に撃ち込めば結界は破れるということも。

ヒイロ「ターゲット・ロックオン……」

ライフルの引金を──引いた!
通常より大分細いものの、エネルギーの奔流が遮光を
飲み込み雲の中央へ押し流す!

遮光「バ、バカな、この私がこんなことで──(消滅)」

結界が晴れていく。

469 名前:時空編/現代:2005/06/02(木) 11:07:00

***NERV本部***

戦況を見守りながら話しているNERV職員と真駆参。
トロワも合流している。

真駆参「今申した通り、別の世界で新しい兵器が
 猛威を振るっているのです。
 この世界の方々の意見を聞くに、エヴァンゲリオンの技術が
 転用されているのでは、と……」
トロワ「それだけじゃない…独特の体色や、『鎧のような装飾が在った』
 『死ぬと灰化した』という情報もある」
リツコ「まさか……オルフェノク? グランショッカーは、エヴァを
 オルフェノク化したと言うの!?」

***第三新東京市***

ウイングゼロは向き直るとパトゥーリアとその上の
ガーベラをツインバスターライフルで撃ち抜く。

ウイッチガーベラ「く、くく…こうなれば、わしの全魔術力を……
 パトゥーリアの力に変える……全てを食い尽くせ、パトゥーリアァァ!!」

消えていくウイッチガーベラ。パトゥーリアの内部の空間が歪み、
強風が全てを吸い込んでいく。一種のワームホールのようだ。

ヒイロ「……!」

ゼロカスタムの羽が風をはらみ、自由が奪われる。
結界の影響がまだ残っているらしく…推力はまだ本調子ではなく、
ゼロシステムの想定外なのかパトゥーリアの行動は予測できない。
弐號機が腕を振るうとATフィールドを飛ばし、風を切断する。
パトゥーリアから離れるゼロカスタム。

アスカ「これで貸し借りなしよ!」
ヒイロ「フン……」

再び吸い込みを始めんとするパトゥーリア。しかし、
背後から何者かに引き戻される。

暴走初號機「ウォオオオ…! オオオオオオ!!!

破壊不可能と思われた甲殻を後ろから素手で割り始める初號機!

ミサト「全ての火力を目標の内部に集中!」

兵装ビルからN2爆雷が出てくる。
アスカはそれらをパトゥーリア内部に次々と投げ込んだ!

アスカ「全く…運動会の玉入れじゃないっての!!」

レイはポジトロンライフルを、その作戦に賭けるしかないヒイロも
バスターライフルを撃ちこむ。
ついに吹き飛ぶ巨獣パトゥーリア!

***NERV内部***

その頃──顔から小さな手足が生えたような者達がサンプル
保管室の中に侵入していた。

雑魚(ザク目)「おい、魔刃様の言ってた
 ナントカゲリオンの細胞ってこれか?」
雑魚(旧ザク目)「これじゃないの?」
雑魚(ドム目)「まあ、両方持って帰ればいいさ。外の連中が
 暴れてくれているおかげで、楽な仕事だったぜ…」

手にしている容器にはそれぞれ"sample cell:4th Angel Shamsiel"、
"sample cell:14th Angel Zeruel"と書かれているのだが、
残念なことに雑魚は英語が読めなかった。そのまま引き返していく…!

470 名前:時空編:2005/06/02(木) 11:08:07

●魔刃頑駄無、マスターの話を聞きエヴァに興味を持つ。
○スペリオルドラゴンの使いとして真駆参大将軍がネルフに。
○シンジ&アスカ&レイ、真駆参大将軍の手引きで
 エヴァをティターンズから取り戻す。
●ウイッチガーベラ、尖兵として巨獣パトゥーリアを連れて侵攻、
 闇魔人吏偶遮光も闇結界を張りパトゥーリアを援護。
○ウィングチーム、ネルフにおけるティターンズの残党を排除。
 時を同じくして現われた悪のSDMSたちを撃退。
 第三新東京市、解放される。
●ガーベラや遮光は実は囮で、その隙に雑魚たちが使徒のサンプルを
 盗み出してしまう。

【今回の新規参戦】
○真駆参(マークスリー)大将軍(SDガンダム戦国伝 伝説の大将軍編)
 MSA-007ガンダムMk-Vに相当。
○碇シンジ(新世紀エヴァンゲリオン)
 エヴァンゲリオン初號機パイロットであるサードチルドレン。
 NERV司令官=碇ゲンドウとユイ博士の息子。
○綾波レイ(新世紀エヴァンゲリオン)
 エヴァンゲリオン零號機パイロットであるファーストチルドレン。
 碇ユイ博士のクローン体に第弐使徒リリスの魂を融合した存在?
○惣流・アスカ・ラングレー(新世紀エヴァンゲリオン)
 エヴァンゲリオン弐號機パイロットであるセカンドチルドレン。
 日本人とドイツ人のクォーターなアメリカ人で、大卒の学歴を持つ。
○葛城ミサト一佐(地球連邦軍属としては三佐)(新世紀エヴァンゲリオン)
 NERV本部戦術作戦部作戦局第1課の作戦指令部長で、チルドレンたちの
 保護者的存在。29歳独身。
○赤木リツコ博士(新世紀エヴァンゲリオン)
 NERV本部技術開発部技術局第1課所属の科学者。実は碇ゲンドウの愛人。
○伊吹マヤ(新世紀エヴァンゲリオン)
 NERV本部技術開発部技術局第1課職員。データ解析担当の潔癖症娘。
○青葉シゲル(新世紀エヴァンゲリオン)
 NERV本部中央作戦部職員で情報処理担当。ギターが趣味。
○日向マコト(新世紀エヴァンゲリオン)
 NERV本部中央作戦司令部作戦局第1課職員。作戦・戦況分析担当。ミサトに惚れている。
○ヒイロ・ユイ(新機動戦記ガンダムW/Endless waltz)
 L1コロニーのエージェントで、XXXG-01Wウイングガンダム/
 XXXG-00W0ウイングガンダムゼロ(カスタム)パイロット。
 亡きコロニー指導者の名前を受け継いでいる。
○デュオ・マックスウェル(新機動戦記ガンダムW/Endless waltz)
 L2コロニーのエージェントで、XXXG-01Dガンダムデスサイズ/
 XXXG-01D2ガンダムデスサイズヘル(カスタム)パイロット。
 普段の職業はジャンク屋で、その陽気な性格とは裏腹に
 "死神"の異名を持つ。
○トロワ・バートン(新機動戦記ガンダムW/Endless waltz)
 L3コロニーのエージェントで、XXXG-01Hガンダムヘビーアームズ/
 XXXG-01H2ガンダムヘビーアームズ改(カスタム)パイロット。
 普段の職業はサーカスのピエロ。
●魔刃頑駄無(超SDガンダム戦国伝 刀覇大将軍編)
 SDオリジナル。
●闇魔人吏偶遮光(リグシャッコー)(新SDガンダム戦国伝 七人の超将軍編)
 ZM-S22Sリグ・シャッコーに相当。
●ウイッチガーベラ&巨獣パトゥーリア(SDガンダム聖伝)
 AGX-04ガーベラ・テトラ&MAN-003パトゥーリアに相当。
●雑魚(SDガンダム戦国伝)
 半オリジナル、MS-05ザクTやMS-06ザクUに相当。

471 名前:外宇宙編:2005/06/06(月) 20:33:51

NR@小野田英一「広大なる銀河を往く、特殊な形状をした一隻の宇宙船。
それは、地球戦隊ファイブマンの母艦、マグマベース。
マグマベースは今、惑星シドンへの帰路の途中であった…。」

***マグマベースの操縦室***

学「んん〜〜〜フゥ〜(背伸びして)。…ようやく、シドンへと戻れるな。」
健「今度は、約二ヶ月振りかぁ…。みんな、元気にしてると良いんだが…。」
数美「大丈夫よ健兄さん。シドンには、お父さんもお母さんも居るんだから。」
レミ「でも、まだVRVマスターは帰って来てないらしいね。」
文矢「仕方が無いさ、近頃は地球も色々と大変みたいだしな。」

銀河超獣バルガイヤーとの決戦において、P16惑星の両親からの通信を受け、
バルガイヤーの弱点を知ったファイブマンは、バルガイヤー内に突入。
弱点=シドンの花を用いて、辛うじてバルガイヤー打倒に成功。
マックスマグマは大破するも、地球にて銀帝軍ゾーンは滅び去った…。

数美「…不思議ね、地球でゾーンと戦っていた頃が、まるで昨日の様だわ。」
健「…それにしても、バルガイヤーは実に恐ろしい怪物だったな。」
レミ「あの時、お父さんとお母さんからの通信が無かったら、私達は負けていたわ。」
学「そして、俺達はP16惑星へと旅立った。それすら、もう『昔の話』か…。」
文矢「そして今は、惑星を巡っちゃあ、支援と復興に力を注ぐ毎日、か。
 本当に俺達、目まぐるしい日々を送っているよな。」

銀帝軍ゾーンを滅ぼしたファイブマンが、生き別れた両親と再会する為、
P16惑星に旅立ってから、既に長い年月が過ぎ去っていた・・・。
その後星川五兄弟とアーサーG6は、無事にP16惑星で両親と再会。
そこから再び、星川一家の惑星復興への挑戦が始まったのだ。

学(俺はシドンへの帰りには何時も思い出す、惑星復興再開後の事を。)

今でこそ、惑星シドンは惑星復興活動の成功例として注目され、
それを成し遂げた星川一家の功績は、地球人に警戒心を抱く者達からも認められているが、
復興活動は必ずしも順風満帆だった訳ではない。
支えてくれる者達が居たからこそ、彼らの活動は日の目を見たのだ。

Pi-Pi!!!!! (操縦室の内部映像用モニターから、内部連絡のコール)

学「ん?どうした、アーサー!?」
アーサーG6(以後、アーサー)「学、軍艦がこっちに近づいてくる!」
健「何だって! 軍艦が!?」
学「アーサー、その軍艦の所属は判るか?」
アーサー「この認識コードは、アーヴの星界軍のものだ」

ここの宙域は、勢力を伸ばしているアーヴ帝国との
境界線のグレーゾーンである。特に最近はアーヴ星界軍の軍艦が
頻繁に出没していた。

アーサー「停船せよ。従わざる時は攻撃するって言ってきてるよ」
数美「どうするの、兄さん」
学「おそらくアーヴの軍船がパトロールで巡回中のところを
 引っ掛かったんだな。仕方ない。アーサー、停船に応じてくれ」
数美「大丈夫かしら」

一抹の不安を除かせる数美。
それはアーヴと地球連邦が長年敵対関係にある事に起因していた。

学「心配はいらないさ。アーヴ星界軍は
 非道なことは一切しないことで知られているからな。
 文矢、アーヴ語の通訳は出来るな?」
文矢「OK、任せとけって」

472 名前:外宇宙編:2005/06/06(月) 20:34:41

停船したマグマベースに接舷する、
アーヴ星界軍の小型戦闘艦バースロイル。
船内臨検のためにアーヴの軍人達が乗り込んでくる。

文矢「KTEMBARIT(はじめまして)」
ジント「あ、いえ、地球の言語で結構ですよ」

数人のアーヴ兵士を引き連れた将校らしき少年に
アーヴ語で話しかけた文矢だが、あっさりよく知る地球の言葉で返される。
その少年の髪は、アーヴ人特有の青色をしていなかった。

ジント「申し遅れました。僕はアーヴによる人類帝国・星界軍主計列翼翔士、
 リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵ジントです」
サムソン「同じく、アーヴによる人類帝国・星界軍軍匠列翼翔士、
 サムソン・ボルジュ=ティルサル・ティルースだ」
レミ「地球の言葉が通じるのね?」
サムソン「ご覧の通り、俺達は本来アーヴ人じゃなくて
 地上世界の出身者だからな」

学は宇宙連邦から発行されている身分証を提示した。
ちなみに地上世界ナヘーヌとは、アーヴによる人類帝国が支配する惑星をさす言葉であり、
その中には自由惑星同盟から脱退してアーヴ側に降った地球人類の植民星も
多数含まれる。帝国と地上世界の関係は、単純な政治支配の形をとらず、
帝国によって発見された星系には、まず、貴族(スィーフ)が封じられ、
その星系が有人惑星を有する場合、この貴族を領主(ファピュート)
惑星住人を領民(ソス)を呼ぶ。領主には、その惑星に対して、
徴税等の政治的権限はない。領民は、領主や帝国の干渉を受けずに
独自の選出方法によって惑星政府を選ぶことができる。
帝国の支配に反対することすら合法であり、かなり寛容な統治が行われているが、
その代わり、惑星住民には他の星系との交易は禁止され、
その権利は領主が独占することになる。見方を変えれば、
アーヴによる人類帝国は独占的な星間貿易公社を持っていると言える。

アーサー「どうもお役目ご苦労様です」
学「俺達は惑星シドンに向けて航行している途中です。
 何かご不審な点があればお答えします」
サムソン「いや、この提示された身分証も確かなものだし、
 船内にも今のところ別段怪しい点はないようだ。まあ、こっちも仕事でね。
 臨検なんてすぐに終わるから、ちょっとの間だけ勘弁してくれ」
学「わかりました」

軍人ながら民間人に対しても誠実に応対してくるジントや
陽気で気さくに話しかけてくるサムソンを見て
ホッと胸を撫で下ろす星川兄弟。

473 名前:外宇宙編:2005/06/06(月) 20:36:32

やがて、無事に臨検が終了したらしく、
マグマベースからアーヴ兵が引き揚げる際に、
ふとジントとサムソンが振り返った。

学「どうかしましたか?」
ジント「いや、民間人に私情を語る事は、
 本来なら禁止されているんですが…。」
星川五兄弟&アーサー「?」

何やら照れ臭そうにしているジントに、
六人が不思議そうに見つめていると、
突如としてジントの手が差し出された。

ジント「あなた方の噂は色々と耳にしています。
 ファイブマンとしての地球での活躍も、
 惑星シドンにおける復興活動も。
 僕にはこうして応援する事しか出来ませんが、
 これからも皆さん頑張ってください!」

ジントはそう言うと、5人&アーサーと熱い握手を交わした。

学「ああ、ありがとう!」

そして学も、5人&アーサーを代表して感謝の意を込め、
もう一度ジントに握手を返した。

ジント「……(チラリとサムソンを見る)。」
サムソン「いや、俺は何も見なかったし、
 何も聞いちゃいないぞ、なぁ?」

ジントの視線を受けて、サムソンがとぼけて答える。
ジントとサムソン、共にお互いを知っているようだ。
そんな二人の様子に、5人も思わず微笑んでしまう。
だが、不意にサムソンが真顔になった。

サムソン「それと、これは忠告なんだが、
 少し前にこの宙域を航行中だった商船が、
 襲撃されて消息を絶ったと言う話だ。
 その為に、少々警戒態勢が敷かれてるのさ。」
数美「…そんな事があったんですか。」
健「一体、何者の仕業なんだろうか?」
サムソン「詳しい話までは聞いていないが、
 宇宙海賊を名乗る連中だったらしい。
 何でも、バルバンとか…。」
レミ「なっ!?」
文矢「にぃっ?!」

「宇宙海賊バルバン」の名前が出た事で、
星川五兄弟の顔付きも緊張し、
表情が戦士のそれへと変わる。

サムソン「…んん!ともかく、
 そう言う話だから、充分に気を付けてくれ。
 手間を取らせちまって悪かったな。」

サムソンは、バルバンの名前に対して、
星川五兄弟が示した戦士の気配に気付くも、
その事を口には出さなかった…。

ジント「では、僕達はこれで失礼します。
 銀河サーカスの方々にも、よろしくお伝え下さい。」
サムソン「じゃあ、充分に気を付けてな。
 惑星シドンに着くまで、気を抜くなよ。」

去り際に一言を残しジントとサムソンは、
バースロイルでマグマベースの元から離脱していった…。

レミ「アーヴその性、傲慢にして無謀……なんて言われてるけど
 あの人たちは全然そんな事なかったわね。尤も、あの人たちも
 正確にはアーヴ人じゃないみたいだけど…」
数美「何言ってるの。アーヴについて悪い噂やデマを流しているのは、
 みんなブルーコスモスの仕業よ。私も宇宙に出て、それがよく解ったわ!」
健「ブルーコスモスの奴らは、アーヴやコーディネイターのような
 遺伝子改造を施した種族を嫌っているからな」

だが、悲しい事に現実は、
そのアーヴによる人類帝国と地球連邦との敵対関係が、
散発的な戦闘も交えながら
今だ清算される事なく現在も続いているのである。

学「だけど…いずれ彼らとも手を取り合える日が
 来るかもしれない」


○マグマベース⇒惑星シドンへの帰路の途中、ちょうど宙域巡回中だった
 アーヴの突撃艦バースロイルの臨検を受ける。
●宇宙海賊バルバン⇒アーヴの勢力圏近くで活動を再開した模様。

【今回の新規登場】
○星川学=ファイブレッド(地球戦隊ファイブマン)
 星川兄弟の長男で、地球戦隊リーダー。
 みんなの父親代わり。理科の先生。
○星川健=ファイブブルー(地球戦隊ファイブマン)
 星川兄弟の次男で、地球戦隊のサブリーダー。
 体育の先生であり、スポーツ万能。
○星川数美=ファイブピンク(地球戦隊ファイブマン)
 星川兄弟の長女。算数の先生で、とても頭がよく、
 冷静な判断力と分析力で、リーダーの学をサポートする。
○星川文矢=ファイブブラック(地球戦隊ファイブマン)
 星川兄弟の三男で、国語の先生。何ヶ国語でもしゃべれる特技を持ち、
 さらには宇宙中の言葉にも通じている言語学の天才。レミとは双子。
○星川レミ=ファイブイエロー(地球戦隊ファイブマン)
 星川兄弟の次女で、三男の文矢と双子の兄妹。
 音楽の先生でリズム感が優れ、カンフーが得意。
○アーサーG6(地球戦隊ファイブマン)
 星川博士が作ったサポートロボット。必殺武器アースカノンに変形する。
○リン・スューヌ=ロク・ハイド伯爵ジント(星界の紋章/星界の戦旗/星界の戦旗U)
 アーヴ星界軍・主計列翼翔士。突撃艦バースロイル書記。
○サムソン・ボルジュ=ティルサル・ティルース(星界の戦旗/星界の戦旗U)
 アーヴ星界軍・軍匠列翼翔士。突撃艦バースロイル監督=メカニック責任者。

474 名前:時空編/未来世界:2005/06/08(水) 10:13:34

>>459の続き

巨大デウスーラと<竜機神ドラグーン>の激戦は続く。
デウスーラの蛇髪に混じった無数の触手が、休みなく<竜機神>に襲い掛かる。
だがデウスーラの放つそれは、<竜機神>の持つ防御力場によって
攻撃の侵入を阻まれる。

巨大デウスーラ「おのれ!
 触れさえすれば、ありとあらゆる生命体のあり方を瞬時に侵し、
 私自らの中に融合同化して取り込んでしまえるものを!
 ならば――!!」

デウスーラは間髪入れずに頭部の2本の角から
強大な熱衝撃波を放つ。
シャノンを包み込む<竜機神>の防御力場は激しく振動した。

シャノン@竜機神「――くっ!」

<竜機神>はデウスーラの攻撃を形相干渉能力でやり過ごし、
辛くも態勢を立て直す。
そんな時に、シャノンの脳裏でゼフィリスが囁く。

ゼフィリスの声「気をつけろ、我が主よ。
 あれは秩序守護者ピースメーカーとは明らかに違うぞ…
シャノン@竜機神「そんなのは見れば分かるが、
 あのお面をつけたみたいな化け物野郎に心当たりがあるのか!?」

融合状態のシャノンとゼフィリスは、
双方の人格が交じり合った意識が表層にあり、
その裏側には個々の人格的独立を保った二人の意識が触れ合っているのだ。

ゼフィリスの声「確かではない。だが……
 封印された過去の記録――黒歴史の資料で確認したことがある
シャノン@竜機神「黒歴史…?」
ゼフィリスの声「まだ封棄世界に人が住むよりも
 遥か遠い昔の話だ。100年以上もの長き間、宇宙の惑星間を渡り歩いて
 生命改造実験を繰り返してきた邪悪な集団がいたという…。
 その名は……メス
シャノン@竜機神「それと、あの目の前の敵に何かの関係があるって言うのか?」
ゼフィリスの声「それは、あの敵を倒してみれば分かる
シャノン@竜機神「よしっ!」

シャノンの――<竜機神>の放った斬撃がそのまま白光となって飛び、
デウスーラの放った熱線とぶつかり、大地を激しく揺るがす!

その時――

          ,,-'  _,,-''"      "''- ,,_   ̄"''-,,__  ''--,,__
           ,,-''"  ,, --''"ニ_―- _  ''-,,_    ゞ    "-
          て   / ,,-",-''i|   ̄|i''-、  ヾ   {
         ("  ./   i {;;;;;;;i|    .|i;;;;;;) ,ノ    ii
     ,,       (    l, `'-i|    |i;;-'     ,,-'"   _,,-"
     "'-,,     `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '"  _,,--''"
         ̄"''-- _-'':::::" ̄::::::::::::::::;;;;----;;;;;;;;::::`::"''::---,,_  __,,-''"
        ._,,-'ニ-''ニ--''" ̄.i| ̄   |i-----,, ̄`"''-;;::''-`-,,
      ,,-''::::二-''"     .--i|     .|i          "- ;;:::`、
    ._,-"::::/    ̄"''---  i|     |i            ヽ::::i
    .(:::::{:(i(____         i|     .|i          _,,-':/:::}
     `''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i|      .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
       "--;;;;;;;;;;;;;;;;;""''--;;i|      .|i二;;;;;::---;;;;;;;::--''"~
               ̄ ̄"..i|       .|i
                 .i|        |i
                 i|        |i
                 .i|          .|i
                .i|           |i
               .i|      ,,-、 、  |i
               i|      ノ::::i:::トiヽ、_.|i
           _,,  i|/"ヽ/:iヽ!::::::::ノ:::::Λ::::ヽ|i__n、ト、
     ,,/^ヽ,-''":::i/::::::::/:::::|i/;;;;;;/::::;;;;ノ⌒ヽノ::::::::::::ヽ,_Λ
     ;;;;;;:::::;;;;;;;;;;:::::;;;;;;;;:::/;;;;;;:::::::::;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::;;:;;;;:::ヽ

突如として発生する空間歪曲。

ゼフィリスの声「――来る

<竜機神>の超常知覚能力が、空間を歪めて、
高速で近づいて来る膨大な熱量と質量を感知する。

シャノン@竜機神「こんな芸当が出来るのは、まさか秩序守護者ピースメーカーか!?」
ゼフィリスの声「いや、違う。これは……

デウスーラも異変を察知し、おのずと上空を見上げる。

巨大デウスーラ「…ん? 何だあれは?」

475 名前:時空編/未来世界:2005/06/08(水) 10:14:59

その様子を一部始終、地上から見ている
エドワードとアルフォンス。
彼らもまた、何かを感じていた……。

アル「兄さん…これって……」
エド「門だ」
アル「えっ…?」
エド「あの門が…開こうとしている……!」

人間が禁忌を侵した時に現れると言われる――真理の門
人体練成を経験した錬金術師であれば、一度は見たことがあるという…。
エドとアルの師でもあるイズミをして「地獄に見えた」とまで言わしめた、
あのが開こうとしているように見えた。

やがて上空にゆっくりと時空の穴が開く。
その奥から、雄大な銀の翼を持ちし一匹の巨大な鳥と、
すらりとした淡紅色のボディに
両側から優美な白い翼が広がる戦艦が姿を現した。

着きました…。
正暦2346年の地球です…。

***エターナル・ブリッジ***

未来世界に着いた早々、地上で起こっていた状況に驚いた
エターナルのクルーたち。特にその中でもフラッシュマンたちは
驚愕の表情を隠しきれない。
以前に倒したはずの大帝ラー・デウスが
この未来世界で謎の竜型メカと戦っていたのであるから…。

ジン「――間違いない!
 ケフレンに獣戦士に改造された時の姿をしているが、
 あれは紛れもなく、メスの大帝ラー・デウス!」
サラ「ラー・デウス……まさか未来の世界で
 黄泉還っていたなんて!?」
ジン「ラクスさん、直ちにフラッシュキングの出撃許可を!」
ラクス「わかりました。発進を許可します」
キラ「僕も行きます!」
炎「俺達も行くぜ!」
ジン「ありがとう。よし、みんな行くぞ!」


○エターナル、神鳥レティス⇒未来世界に到着。着いた早々、
 巨大デウスーラVS竜機神の戦闘現場に出くわす。

476 名前:時空編/魔界:2005/06/11(土) 12:32:30

***魔界***

液体の満たされた2つのポッドの中に巨大な生き物が浮かんでいる。
一体は髑髏のような顔と板状の腕を持ち、もう一体は目のような紋様と
甲殻類をイメージさせる外見を持っている。

魔刃「暗黒卿から大きさを聞いたときは何かの冗談かと思ったが本当にこんな生物がいるとはな」
暗黒卿「…おい」

聞こえていない振りをする魔刃頑駄無。
魔刃「特大の培養装置を作って良かったわ」
暗黒卿「答えろ。なぜわしの知っている怪物とは全く違う姿なのだ?」

振り返る魔刃頑駄無。その顔には『やはりそうか』という色が伺える
魔刃「おまえの話と全く一致しなかったので気になってはいたのだが…やはり違うか。」
暗黒卿「ああ、あれが強化されたものだということを割り引いて考えてもな」
魔刃「細胞の持ち主とは同じ姿になるはずなのだがな…」
暗黒卿「今にして思えば2つのラベルの表記が違っていたな。違う細胞を持ってきたのではないのか?」
魔刃「そうだろうな…最初からやり直しか」

魔刃が言いかけたその時、片方のポッドから上空へ向けて壁も天井も貫通し強力な光線が放たれる。
暗黒卿「な、なんだー!」
魔刃「胎動か…!?これほどのパワーとは」
暗黒卿「ふ、ふはははは!これはいい!!魔刃、こいつらも精神波で操れるのだろう?」
魔刃「ああ、天界攻略の切り札と成りそうだな。ククク…」

477 名前:時空編/スダ・ドアカワールド:2005/06/11(土) 12:33:20

***機兵の谷***

ラクロア国内にメタルビーストをばら撒いた陸上船リシテアは機兵の谷へやってきていた。
古代神の復活は当分ないと思われ、古代機兵の核を埋め込んでも支配される恐れが無いため、
古代機兵の残骸を回収に来たのだ。
機兵「おい、ここでスペリオルドラゴンの複製が作られてすぐ倒されたんだってな」
回収しながら噂をする機兵達。その脚が何かに掴まれる。実体は無く幽霊もしくは影と言う感じである。
???「だれがたおされただとーっ!」

脚をつかんだまま徐々に実体化していく影。その現れ方は神機の出現に酷似している。
スペリオルクローン「スペリオルクローン、蘇生復活のエネルギーを得ここに復活!」
機兵「じ、神機だと?」
スペリオルクローン「神機?そうか、闇の黄金力にこんな効果があったとはな。

右手に出現した剣で一体の機兵を刺し貫く。と同時に解体するスペリオルクローンの神機。
スペリオルクローン「まだ不安定なのか…?」
「捕らえろ!」
リシテアから機兵がわらわらと飛び出してくる。
スペリオルクローン「そうは行くか!現れよおれの神機!レディユナイト!」

またも闇の黄金力が膨れ上がっていく。
三魔卿の精神とスペリオルクローンの闇の黄金力が融合し神機となって行く。
機兵「な、なんだとー!」

全滅する機兵。撤退するリシテア。
「おのれ、本国に連絡を…」
???「待て!エプコット製作所もザン・スカールと戦うぞ!!」

移動要塞が立ちふさがる。
「エプコット・ギルド!?スダ・ドアカ最大の機兵工房がなぜここに!?
いや、なぜバイスタランチュラに侵されない!?」
???「あんな蜘蛛に取り付かれる程未熟ではない」

移動要塞の上部から「腕」が伸び、長大な鉤爪がリシテアを捕らえる。
技師「協力感謝する、飛閃殿に豪剣殿。あなた達の協力無くしては戦えなかったでしょう」
神造武者豪剣「こちらこそ、次元の壁を越えて飛ばされてきた我々の修理や整備、感謝する」

鉄機将飛閃「超機動闇将軍あらため…超機動超将軍、起動!」
右腕でリシテアを捕まえたまま要塞前部が脚となり立ち上がる。その姿は巨大な武者(リアル形態)。
「う、撃てー!」
砲撃を始めようとするリシテアだったが、超機動超将軍の左ストレートが決まり思い切り転倒する。
砲撃は明後日の方角へ飛んでいった。
飛閃「話してもらおう。『本国』とは何処のことだ!幻魔皇帝は何処にいる!?」
豪剣「そして、貴様たちの背後にいるのは何処の誰だ!」

478 名前:時空編/現代(地球):2005/06/11(土) 12:34:23

***第三新東京市−NERV本部***

暴走が収まった初号機が回収され、シンジが病室に運ばれたた後パイロット達は改めて話を聞いていた。

アスカ「つまりアンタ達の世界にグランショッカーのエヴァが現れたってことね!」
真駆参「正確にはMS族と人間が共存する世界だが、その通りだ」
ヒイロ「それより赤木博士、オルフェノク化したエヴァについて、何か思い当たる弱点は無いか?」

リツコ「現時点では何とも言えないわね。オルフェノクについてはデータが少なすぎるわ」
デュオ「そう言うと思ってね。海堂医院からウルフオルフェノクの巧の経過を貰って来たんだ」
トロワ「警視庁からオルフェノク対策データも盗み出した。役に立つだろうか」
ディスクを渡す二人。
リツコ「…分析してみるわ」

病室で眠るシンジ。彼は意識の中でもう一人のシンジと向かいあっていた。
???「使徒は人間の別の可能性だってことは、知ってるよね。その使徒を
君は殺した。津上さんや乾さん、それにキラさん達が聞いたらどう言うだろうね
シンジ「違う、僕は・・彼らは・・!」
???「それに、気を失っていたとは言え君も見ていたはずだよ
吹き飛ばされる吏偶遮光やウィッチガーベラの映像がフラッシュバックする。

???「彼らもまた、知的生命体―「人間」だよ。使徒と違って紛れも無くね
シンジ「だ、だから何なんだよ…!」
???「気付かない?はっきり言ってやろうか。君は――人殺しだ


シンジ「確かに…カヲル君達やあの人達には申し訳ないことをしたと思ってる。
だけど、そうしないと生き残れなかったんだ。守れなかったんだ」
???「言い訳だね。同じ様に親友と戦わなきゃならなくなった剣崎さんはどうしたか知ってる?
シンジ「……」
???「君はそうしなかった。本当は君は何も守りたくは無いんだ。誰も君を認めていないんだからね
シンジ「やめろ」
???「エヴァの力を好き勝手に振るうのが好きなんだ。だからそれを咎められると辞めたくなるんだ。
そう…逃げ出したあの時も…本部を壊そうとしたあの時も
シンジ「違う!違う…う、うわああああーーー……!!!」

カトル「シンジ君!?しっかりして!」
揺り起こされるシンジ。
シンジ「あ、カ、カトル君…」
カトル「危ない所だったね。精神攻撃を受けていたんだよ」
ナイフで突き刺した蜘蛛を見せる。まるで機械部品を寄せ集めた様な異様な姿をしていた。
シンジ「そ、それは…?」
カトル「バイスタランチュラ。真駆参さんの言う別世界の敵が洗脳に使うモンスターだよ」

シンジ「カトル君達はどうしてここに?」
カトル「トロワ達と合流する途中で五飛が『悪の気配がする』って言って言い出したのと宇宙の心が」
シンジ「そう…カトル君、僕は…まだ悪人なんかじゃないよね。君達の仲間だよね。
エヴァを動かせるからって、身勝手になんかなってないよね…」
カトル「ええ」
シンジ「僕は、力を振るうことを楽しんでなんかいないんだよ…」
カトル「ああ、もちろんだよ」

479 名前:時空編:2005/06/11(土) 12:36:05

●暗黒卿と魔刃、(当初の目的とは違うのだが)使徒の培養に成功。天界へ送り込むつもりの模様。
●スペリオルクローン、三魔卿の魂を取り込み復活。
●第三新東京市にバイスタランチュラ出現。
○飛閃と豪剣はスダ・ドアカに飛ばされた模様。
 エプコット・ギルドと共にザン・スカールに立ち向かう。
○カトルと五飛、バイスタランチュラに襲われたシンジを救う。

【今回の新規登場】
○鉄機将 飛閃(超SD戦国伝 覇大将軍)
 飛駆鳥ヴィクトリー大将軍のデータを元に生み出された最強の鉄機武者。
 嘗て魔刃に操られ反乱を起こしたが、豪剣によって正気を取り戻し魔界へ続く
 時限の裂け目を塞いだ。その際時空の彼方に飛ばされた。
○神造武者 豪剣頑駄無(超SD戦国伝 覇大将軍)
 「覇大将軍の大戦」で重傷を負い、天界の技術によって身体の半分を
 機械にして蘇った飛閃の戦友。烈風から授かった盾で光の結界を張ろうとした
 飛閃を手伝い、共に時空の彼方に飛ばされた。
○カトル・ラバーバ・ウイナー(新機動戦記ガンダムW/Endless waltz)
 L4 コロニーの富豪ウィナー家の御曹司。
 XXXG-01SR2ガンダムサンドロックカスタムのパイロット。
○張五飛(新機動戦記ガンダムW/Endless waltz)
 XXXG-01S2アルトロンガンダムナタクのパイロット。L5コロニー出身。

480 名前:無題:2005/06/12(日) 19:57:14

***伊豆・地球連邦軍極東基地***

今までサイド3に滞在していたGFのバン・フライハイトたちは、
急遽地球に呼び出され、遥か惑星Ziからバンたちを迎えに来ていた、
ガイロス帝国の少年皇帝ルドルフと再会した。

バン「ルドルフ!」
ルドルフ「バン、それにみんなも無事で何よりでした」
ハーマン「わざわざルドルフ陛下にお迎えに来て頂けるとは
 光栄の至りです。…しかし、まさか我々の留守の間に
 惑星Ziに何かが…!?」
ルドルフ「いえ、その心配はしないでください。
 宇宙連邦からの支援もありますし、今のところ大きな問題は
 ありません」

地球本国とは長らく音信不通(実態は放置に近い)状態であった、
自由惑星同盟の一部植民惑星群は、宇宙連邦から支援の手が
必要に応じて差し伸べられていたのだった。
ちなみにメジェール、タラーク両惑星からの避難民の収容・保護や、
ファイブマンたち星川一家の惑星復興運動への協力も、
その一環であるようだ。

ハーマン「そうでしたか。それは安心しました」
ルドルフ「ですが、やはり貴方方GFの主力が長期間抜けた穴は
 正直大きいですよ…。ですからすぐに僕と一緒に惑星Ziに
 帰って頂かないと」
バン「すまなかったな、ルドルフ。
 でも惑星Ziに帰ったら、今まで迷惑かけた分
 2倍にも3倍にもして穴埋めするからさ!」
ルドルフ「相変わらず頼もしいですね、バン。
 期待していますよ」


***西の都・カプセルコーポレーション本社***

バンたちとルドルフ皇帝が日本で再会している頃、
ここ西の都に本社を置くカプセルコーポレーションは、
ホイポイカプセルなどの発明で急成長し、
現在ではアナハイム・エレクトロニクスやマオ・インダストリーなどと並ぶ
地球有数の大企業である。

この会社のオーナーであるブルマ会長宅に、
なぜかハザード星人のVRVマスター、
そしてオートザムのジェオ・メトロら
宇宙連邦の関係者が訪れていた。

ベジータ「……で、いったい宇宙連邦の偉いさんが、
 俺如きに何の用だ?」
VRVマスター「是非、君の力を借りたいのだ。
 元サイヤ人の王子、ベジータ」

当初は冷酷な侵略者として地球に襲来したが、
フリーザ戦の後に地球に移住しブルマと結婚、
二人の子供を授かっていたベジータ。
孫悟空を越えることを生きがいとしつつも、
悟空の最大のライバルにして一番の理解者でもあった。

VRVマスター「今、宇宙は危険な騒乱の渦に
 巻き込まれようとしている。いや、まだ小競り合いの段階ではあるが、
 すでに戦乱の時代に突入していると言っても過言ではないだろう。
 再び宇宙に平和を取り戻すには、宇宙でも最強の戦闘力を持つといわれる
 君達サイヤ人たちの協力が不可欠なのだ」
ベジータ「…フッ、正気で言っているのか?
 俺達サイヤ人はかつてはフリーザの手足となって
 その宇宙の平和を乱していた元凶なんだぞ」
ジェオ「だが、そのサイヤ人も故郷の惑星を破壊されて、
 結局はフリーザの野望の被害者であった事には
 変わりはないんじゃねえのか?」
ベジータ「………とにかく興味はない。
 他を当たってもらおう。カカロットの息子達なら
 喜んで協力してくれるだろう」

数少ないサイヤ人の生き残りであるベジータに
協力要請を持ちかけたVRVマスターであったが、
けんもほろろに断られた。

481 名前:無題:2005/06/12(日) 19:58:31

???「フッ……誇り高いサイヤ人の王子も、
 随分と腑抜けになったものだな」

どこからともなく声がする…。

VRVマスター「――!!」
ベジータ「誰だ? さっきから隠れているのは分かっているぞ。
 いい加減出てきたらどうだ」

天井裏から現れた声の主――インパクター・ロギア。

ジェオ「あんたは…!?」
VRVマスター「また会ったな、ロギア。
 ベルゼウス追跡の任務の方はいいのか?」
ロギア「俺の任務には、貴様らのような宇宙連邦側の異星人の
 地球圏での活動に対する監視・報告も含まれている事も忘れるなよ。
 それに……」
ベジータ「…俺達のように地球に住むサイヤ人の監視もか。
 フン、ご苦労なこったな」
ロギア「当然だろう。お前達超サイヤ人の戦闘能力は、
 一瞬にして宇宙のミリタリーにおけるパワーバランスを崩しかねん。
 むしろ銀河の列強が無関心でいる方が不自然だ」
ベジータ「………」
ロギア「それにお前はまだ知らんだろうが、
 フリーザが黄泉還り、我が宇宙連合内部のタカ派とつるんで
 何やらいろいろ画策をしているらしくてな…」
ベジータ「ほう…あのフリーザも黄泉還っていたとはな。
 だったら何故すぐに地球に攻めて来ない?
 まさかグランショッカーが怖いわけでもないだろうに…」
ロギア「確か孫悟空とか言ったか…。
 あの宇宙最強と呼ばれた超サイヤ人に、何かの関わりがあるのだと
 俺は睨んでいる…」
ベジータ「カカロットが?」

孫悟空――サイヤ人としての名はカカロット。
フリーザに最後まで立ち向かった
サイヤ人の下級戦士バーダックの次男として生まれ、
地球を滅ぼす為に送り込まれたが、小さい時に谷に落ちて頭を強打してから
本能的な思考回路がストップしてしまい、明るく穏やかな性格になり、
その後、地球…そして宇宙を襲った数々の危機を退けてきた
伝説の超サイヤ人である。
邪悪竜との戦いを最後に、その行方は知れぬところとなり、
今では生死すらも定かではない…。

ベジータ「カカロットが、フリーザがすぐに地球侵攻に乗り出さない理由と
 どう関わりがあるというんだ?」
ロギア「さあな、そこから先はそっちで考えろ」
VRVマスター「ベジータ、君も昔は自分の為だけにしか生きられない男だった
 かもしれんが、我が子が産まれてから、大切な人の為に生きることを学び、
 心の成長も遂げたはずだ」
ベジータ「………」
VRVマスター「もし気が変わったのであれば、
 宇宙警察の地球署か、日本にある東亜大学の堀口研究室を尋ねるがいい。
 そこが我々宇宙連邦の窓口になってくれる」


○バンたちGFの面々⇒迎えに来たルドルフ皇帝と地球で再会。
○VRVマスター、ジェオ、ロギア⇒ベジータに接触。

【今回の新規登場】
○ベジータ(DRAGON BALL Ζ/GT)
 元サイヤ人の王子で、カプセルコーポレーションの会長ブルマの夫。
 トランクスとブラの父親。

482 名前:誤文訂正:2005/06/12(日) 21:19:57

>>481

×
VRVマスター「もし気が変わったのであれば、
 宇宙警察の地球署か、日本にある東亜大学の堀口研究室を尋ねるがいい。
 そこが我々宇宙連邦の窓口になってくれる」


VRVマスター「もし気が変わったのであれば、
 宇宙警察の地球署か、ニッポンポンにある東亜大学の堀口研究室を尋ねるがいい。
 そこが我々宇宙連邦の窓口になってくれる」

483 名前:時空編/未来世界:2005/06/19(日) 10:44:49

>>475の続き

***セントラル郊外の小高い丘***

カウラー「フン、どうやら着いたようだな…」
オケランパ「フゥ〜ヤレヤレ……」

グランショッカー基地から時空連結ネジレシステムの試作メカを盗み出し、
科学産業文明が崩壊した未来の地球へとやって来た
サー・カウラー、ボー・ガルダンの2人。そしてエネルギー獣オケランパ。
この時代に到着した衝撃で、カウラーの足元に転がっている
時空連結メカは煙を上げている。それをガルダンが拾い上げてみる。

ガルダン「カウラー様、どうやら故障してしまったようです。
 このままでは元の世界には帰れませんが…」
カウラー「そんな事よりもガルダン、あっちの方向を見てみろ。
 着いた早々、何やら面白いものが見れそうだぞ」


***セントラル中心市街地***

キラ「キラ・ヤマト、フリーダム、行きます!!

他の機体に先んじて、キラが愛機フリーダムを駆り、
カタパルトから飛び出していく。数条の光が迸った瞬間、
フリーダムは巨大デウスーラをビームサーベルで切り刻んだ。

巨大デウスーラ「ぬおおおぅぅ!!
 な、何者だあああっっっ!!」

続けて発進するダグオンチーム。
ダグファイヤーファイヤージャンボ
ファイヤーラダーファイヤーレスキュー以下、
4体のダグビークルが火炎合体の態勢に入る!
炎に遅れをとるまいと、ライナーチームも直ちに出撃。
既に融合合体済みのダグターボダグアーマーダグウィングが、
重連合体のフォーメーションに入った!

炎「火炎合体、ファイヤーダグオン!!
海、森、翼「重連合体、ライナーダグオン!!

"この時代"には存在しないはずのものを目の当たりにし、
たじろぐ巨大デウスーラ。地球軍のMSに、宇宙警察の戦闘メカ……。
なぜこんなものが、この荒廃した時代に現れるのか……。
しかしもっとデウスを驚かせるものが現れた!

巨大デウスーラ「バ、バカなっ! そんなはずはっ!!」

それは、淡紅色の戦艦から出撃してきたメカの中に、
フラッシュ星より舞い降りた蒼き超守護神がいたからである。

巨大デウスーラ「フラッシュ…キング…!?」
レッドフラッシュ@フラッシュキング「大帝ラー・デウス! 久しぶりだったな!!」
巨大デウスーラ「フラッシュマン、何故だ!?
 何故、貴様らまでもがこの時代にいるのだ!?」
グリーンフラッシュ@フラッシュキング「それはこっちの台詞だ!」
レッドフラッシュ@フラッシュキング「俺達もお前を見つけた時は驚いたぜ。
 一体リー・ケフレンと組んで何を企んでいる!?」
巨大デウスーラ「何、ケフレンだと? 何の事だ…!?」
レッドフラッシュ@フラッシュキング「とぼけるな!
 大博士リー・ケフレンが密かにこの未来世界を訪れている事は
 わかっているんだ!!」
巨大デウスーラ「何を戯けたことを。私は今更ケフレンの力など借りぬわ!」

そう言い残すと、デウスーラとその巨体と共に、
突然大気に溶け込むようにその姿を消した。

レッドフラッシュ@フラッシュキング「――!?」
キラ@「き…消えた??」
ファイヤーダグオン「ちょ、ちょっとおい!?
 もう逃げんのかよ!! 待てこの野郎!!」

デウスの声「計算外のイレギュラーが現れたようだ。
 今日のところは引き上げてやる。だが次はないぞ!
 フハハハハハ!!!!!!!!!!!!!

その様子を、警戒しながらじっと見つめている<竜機神ドラグーン>。

ゼフィリスの声「とりあえずは終わったな。我が主よ…
シャノン@竜機神「一体やつらは何者なんだ…? 俺にはもう訳が解らん…」
ゼフィリスの声「それは今に解る…。
 だった今、僚機から連絡があったからな…

484 名前:時空編/未来世界:2005/06/19(日) 10:46:22

***ソレイユ・艦橋***

一部始終の戦闘を高空から見下ろしながら、
ディアナ・ソレルの移動王宮ソレイユはじっと待機していた。
まるで、今の戦闘がちょうどこの時間に終わるのを
知っていたかのように……。

一見脆弱に見えるが、実際は協力なIフィールドバリアが張られている
艦橋では、月の女王ディアナ(実は影武者のキエル)が指揮を執っている。

ヒタカ「ディアナ様、どうやら戦闘は終了したようです。
 たった今ARFFI・M4改良型シリアル26、固有機体名"ゼフィリス"にも
 連絡を入れました」
ディアナ「終わりましたか。それではハーリントン大尉、
 あの艦…エターナルに、こちらから通信は入れる事は出来ますか?」
ヒタカ「少々古い通信回線になりますが、それを用いれば
 不可能ではないと思います」
ディアナ「よしなに。事は急を要します。
 これから起こるであろう、時空を巻き込んだ大きな争いに
 備えるための…」


***エターナル・艦橋***

――通信音が入る。

オペレーター「ラクス様、所属不明艦より通信が入っております」
ラクス「所属不明艦から? まあ、いったいどなた様でしょう……」

485 名前:時空編/未来世界:2005/06/19(日) 10:47:27

一方、その頃……

引き上げたラー・デウスは、某山中の渓谷にて
ティンプ、タッカーらと合流していた。
ちなみに、等身大では元の大帝としての姿に戻っている。

デウス「何ッ!? 豹のような姿をした女だと!!」
タッカー「はい。貴方様から拝領した遺伝子シンセサイザーについて
 しつこく聞いておりました」
ティンプ「なんでぇ旦那、あの豹の偉くべっぴんな姉ちゃんと
 知り合いだったのかい?」

先程の戦場でのレッドフラッシュの言葉といい、
全てを悟ったデウスは、仮面の奥に潜む瞳にうっすらと
不気味な笑みを浮かべた。

デウス「なるほどな。そういう事だったのか…。
 フフフ…フハハハハ!!!!!」


○ソレイユ⇒まるでエターナルが来るのを事前に知っていたかのように、
 現地に現れる。
●サー・カウラー、ボー・ガルダン、オケランパ⇒未来世界に到着。
 しかし時空連結マシンは壊れてしまう。
●ラー・デウス⇒タッカーからネフェルに会ったと聞かされ、
 ケフレン達が未来世界に来ている事に気づく。

【今回の新規登場】
○ヒタカ・ハーリントン大尉(スクラップド・プリンセス サプリメント)
 ブラウニン機関所属。汎環境遊撃戦用自由塑型兵器M4タイプ・
 シリアル<桜嵐オウラン>の竜騎士Dナイト

486 名前:時空編/神鳥の世界(DQ[):2005/06/19(日) 10:51:26

>>445の続き

***リーザス村***

あれから数日が過ぎた。
旅装束に身を固めたククールが、出発の支度を整えている。

ゼシカ「もう…行っちゃうんだ」
ククール「ああ。教会の連中も上手く撒いたみたいだし、
 畑仕事のおかげで大分手間賃も貯まったしな」
ゼシカ「………」
ククール「何だいハニー? …もしかしてオレと別れるのが寂しいんだって
 理解してもいいのかな?」
ゼシカ「…まったく。あんたこそ、いつもに増してケーハクね…」

そう言うとゼシカは、旅装束のククールをじっと見つめた。

ゼシカ「――やっぱり、これからマルチェロを…探しに行くの?」
ククール「ああ」

ククールは真顔になると、いささかばつが悪そうに頷いた。

ククール「ニノのおっさんが新法皇になったとは言え、
 教会の混乱はまだ収まっちゃいない。みんなが隙あらば
 次期法皇の座を巡って、聖職者同士が血で血を洗う戦いを始めてやがる。
 だからアイツに責任を取ってもらうのさ。今の大聖堂のありさまを見せつけて、
 アンタが勝手に無茶苦茶やったからこのざまだ。きっちり立て直してくれよ
 ……ってね」
ゼシカ「(小声で)本当はそれだけじゃないくせに……」
ククール「何か言ったかい?」
ゼシカ「ううん、別に…」

ゼシカはわずかに頬を赤くして続けた。

ゼシカ「…ねえ」
ククール「何だよ?」
ゼシカ「私ね、最近はけっこう暇なんだけど」
ククール「ああ」
ゼシカ「かなり時間に融通が利くんだけど」
ククール「そうなのか。わりぃな、そろそろ行かないと
 ポルトリンクの船の出港時間に間に合わなくなる」
ゼシカ「あっ……」
ククール「またな、ゼシカ」

ゼシカが「待って!」と言いかけたその時、
ククールは荷物を抱えて早々にその場から立ち去り、
旅立ってしまった…。

ゼシカ「なんで『オレについて来い』って言えないのよ。
 あのバカ……!!」

487 名前:時空編/神鳥の世界(DQ[):2005/06/19(日) 10:52:42

アルバート邸の1階の隅にある使用人用の個室で
物思いにふけっている謎の女性――ルシア。
ククールが来てからのここ数日、ルシアは不思議な胸騒ぎのような
感覚に襲われていた。

ルシア「何故かしら…。何か…戦いの時期が…近づいているような……。
 戦い? …いったいそれは何……?」

部屋の入り口のドアの方からノック音がした。

ゼシカ「ルシアさん、いる?」
ルシア「鍵なら開いているわ、ゼシカお嬢さん」

ルシアの部屋の中にゼシカが入ってくる。

ルシア「確かククールとか言ったかしら…。彼は?」
ゼシカ「もう、行っちゃった…」
ルシア「そう…」

今、ルシアの手には一枚のカードが握られている。
そのカードをまざまざと見つめているルシア。

ゼシカ「それって…?」
ルシア「ええ、私が行き倒れてここの邸に助けられた時、
 一緒に持っていた物だ…」

本来それはインパクター星人が、有事行動時の戦闘体への
変身に用いるアルカニスというカード状の装置である事は、
黄泉還りの際に記憶の失われた今の彼女には知る由もなかった…。

488 名前:時空編/神鳥の世界(DQ[):2005/06/19(日) 10:53:35

ククール「すまないな、ゼシカ…。
 これは俺とマルチェロの……兄貴との問題なんだ。
 今回の事にお前を巻き込むわけにはいかねえよ…」

リーザス村からボルトリンクの港に向かう途中、
道を急ぐククールは、さっきから自分をつけている
何者かの気配に気づいた。

ククール「そろそろ出て来な」
???「さすがはククール殿、我らの尾行、既に承知であったか」

姿を現す数人の黒装束の男達。
見た事もない出で立ちだが、ククールには心当たりがあった。
かつて法皇の座を狙い、かなりの汚い仕事にも手を染めていたマルチェロは、
聖堂騎士団の他にも隠密の任務を帯びた闇の部隊を組織していたという。

ククール「やれやれ、聖堂騎士団長の口を何度も断るもんだから、
 法皇様の逆鱗に触れて、とうとう俺を消しにかかって来た…ってか」
黒装束A「まさか、滅相もない!」
黒装束B「ボルトリンクの宿場にて、さる御方がお待ちにございます。
 決してお手間は取らせませぬゆえ、何卒暫し我らとご同道を…」

***ボルトリンクの宿屋***

ボルトリンクの宿場でククールの到着を待っていたのは、
まさかの意外な人物だった。

ククール「ニノのおっさん?」
ニノ「おお、元気にしておったか、ククール」

ニノ大司教は、かつてククールたちがマルチェロの策謀によって
煉獄島に収監された際、自らを犠牲にして逃がしてくれた人物である。
その後の混乱に紛れて運よく煉獄島から救出され、
現在は新法皇としてザヴェッラ大聖堂をまとめている。
まさか法皇様が直々にお忍びで、ボルトリンクくんだりまで
出向いてくるとは…!!

ククール「…で、この黒装束の連中は?」
黒装束A「………」

ここまでククールを案内してきた黒装束たちは、
さっきからずっと黙っている。

ニノ「フフフ…察しの通りじゃ。
 こやつらはマルチェロめが組織していた忍びの者たちじゃが、
 あやつがいなくなった後は、わしの手足となって
 働いてもらっておる。ところで……」
ククール「――おっと、新任の聖堂騎士団長の話なら
 何度も断ったはずだぜ」
ニノ「何をたわけた事を。教会代表として、マイエラのオディロ前院長の
 仇だけでなく、前の法皇様の仇…全世界を破滅に追い込まんとした
 憎き暗黒神を討ったそなたを団長にしないで誰を団長にするのだ?」

ちなみに一部の人々を除き
世界中の人々のほとんどが、今も暗黒神ラプソーンの存在すら知らない。
ただ聖地ゴルドの崩壊後に突然空が紅くなり、いつのまにか元に戻った…。
それだけの認識らしい。

ククール「俺がアイツらと一緒に暗黒神をやっつけたのは、
 教会とは何も関係ないね!」
ニノ「その話はもうよい。おぬしのような美形が
 わしの傍らで大人しくニッコリ微笑んでおってくれれば、
 布施の額もたっぷり上がったであろうにな…。残念じゃ」
ククール「やっぱりそれが狙いかよ!」
ニノ「だからもうその話はよいと申しておる。
 実はそなたに別の仕事を頼みたい」
ククール「別の仕事…?」

489 名前:時空編/神鳥の世界(DQ[):2005/06/19(日) 10:55:32

ニノに目線で合図された黒装束が口を開き、
ククールに説明する。

黒装束A「言わば法皇様の大権を委任された巡察審問官。
 隠し目付とでも申しましょうか。普段は今までどおり
 自由気ままに旅を続けられ、いざ事件が起こった際には
 諸国の王といえども御検断くださりませ」
ククール「つまり、一介の生臭坊主である俺に
 たとえその時限りとはいえ、諸国の王族すら裁く権利を
 授与するって事なのか?」
ニノ「うむ…」

ニノからの話を訝るククール。

ククール「それ程の大権をくれるって言うからには、
 当然タダじゃあないはずだ。何かしら目当てがあるはずだぜ」
ニノ「いかにも、目当てはお主の兄、マルチェロじゃ」
ククール「何だって!?」

その名を聞いたとき、ククールは愕然とした。
やはり兄――マルチェロは生きていたのか…。

ニノ「フフ…やはりその名を聞いた途端に
 目の色を変えおったな」
ククール「どういう事だ!? 説明しろ!!」
ニノ「おぬしも知っておろう。ここ最近、時空が歪んだような
 奇妙な空間の穴が、世界のあちこちに開いておる事に…」
ククール「――!!」

その事はククールも知っていた。
以前に魔犬レオパルドを追う方法を探すため
闇のレティシアに向かった時にも潜った、あの時空の穴…。
あれと全く似たような穴が、いくつか世界の各所に生じ始めていた。
その原因は不明である…。
つい先日もサザンビーク付近の森で、その穴の中から
未知の魔物が現れ、城の兵士が総掛かりでようやく退治できた
という話を聞いたばかりだった。

ニノ「どうやらあの穴は未知の異世界と繋がっておるらしい。
 民衆の間でも不吉の象徴…災いの前触れではないかと
 騒ぎになり始めておる。教会としても事態を看過することは出来ん」
ククール「それと…アイツと一体どう関わりがあるんだよ!?」
ニノ「オークニス付近で、マルチェロがその時空の穴の中に
 入っていったところを見た者がおる」
ククール「何だって!? そりゃ本当か!!」
ニノ「嘘をついてどうする。ちなみにその穴は
 今でもまだオークニス付近にて開いておる。
 最悪の場合、片道切符になるかもしれんが、
 それでも追ってみるか? あやつ…マルチェロを……」
ククール「…俺にマルチェロを……兄貴を斬らせるつもりか…?」
ニノ「いや、要はもしマルチェロが何かよからぬ事を
 今も企てているのだとしたら、それを阻止して、
 2度と厄介な野望を抱かぬようにしてもらいたい。
 教会の代表として、公にあの男を処断するもよし。
 隠密の隠し目付として穏便に事を収めるもよし。全て任せる」
ククール「………」

490 名前:時空編/神鳥の世界(DQ[):2005/06/19(日) 10:57:17

数週間後……

***オークニス近辺の山林***

ククールは、雪に閉ざされたオークニスの地にいた。
目の前には空間に浮かんだ、不思議な黒い歪みの穴がある。
あれから今もずっと開いたままになっている、
マルチェロが飛び込んだ時空の穴だ…。

ククール「ここまで道案内、悪かったな」
黒装束A「いえ、私の務めですので…。
 ところでかつての仲間の方々にはお伝えしなくても
 よろしいので?」
ククール「ああ、これは俺個人の問題だからな。
 あいつらを巻き込みたくない。それより一つ聞いていいか?」
黒装束A「…何でしょうか?」
ククール「アンタも昔はマルチェロの部下だったんだろ?
 どんな男だった……兄貴は?」
黒装束A「…一言で言えば、目的のためなら手段を選ばぬ
 冷酷な御方でした」
ククール「………」
黒装束A「ですが御自身の夢を語られる時は
 大いに人を惹きつけるものがありました。生まれ持った身分の違いなどに
 関わりなく、有能な者なら誰でもしかるべき地位につける
 世の中にしてみせると、いつも我らにも仰っておられました」
ククール「そっか、いろいろ聞かせてくれてありがとな…」
黒装束A「ククール殿、どうかマルチェロ様を止めてください。
 マルチェロ様が向こう側の未知なる異世界にて、大それた何事かを
 企んでいるのは、ほぼ間違いなく…。
 あの方が邪悪な野望に己の身を蝕んでいくのは、
 我らとしても忍びないのです」
ククール「わかってる。あのバカ兄貴をぶん殴ってでも
 止めて見せるよ」
黒装束A「最後に一つ、法皇様よりのご伝言です」
ククール「ニノのおっさんから!?」
黒装束A「必ず生還なさるようにと…。
 もし貴方の身に万一のことがあらば、法皇様ご自身が
 貴方のお仲間からリンチにされるからと…」

ククールは苦笑した。
こうした危険な任務を押し付けてしまった手前、
ニノもニノなりにククールの事を心配しているのだろう。

ククール「ニノのおっさん…いや、新法皇様にも
 よろしく伝えてくれ。俺が礼を言ってたってな」
黒装束A「承知しました。ではククール殿、ご武運を…」

491 名前:時空編/神鳥の世界(DQ[):2005/06/19(日) 10:58:51

***ザヴェッラ大聖堂***

ここはマイエラ修道院、聖地ゴルドと並ぶ世界三大聖地の一つにして、
教会を統べる法皇の膝元でもあるザヴェッラ大聖堂である。
戻ってきた黒装束の者から、無事ククールはオークニスの時空の穴に飛び込み、
マルチェロを追って消えたとの報告を受けたニノ新法皇は、
ある"豊かな髭を蓄えた小柄な老人"と会話をしていた。

ニノ「そうか、無事にあやつは行ったか。
 しかしこれで本当によかったのかのう…。
 やはりあやつの仲間にくらいは事前に知らせて
 おいた方がよかったのでは…」
???「心配ですかな、法皇殿」
ニノ「マルチェロめが何事かを企んでいる事は事実。
 出来ることなら教会からも、もう少し人を出してやりたかったが、
 このわしも新法皇になったとは言え、孤立無援。
 常に身辺にも身の危険を感じる有様じゃ。とてもそんな余裕はない。
 やはりご老人の方が、わしなんぞよりも新法皇に相応しかったのでは?」
???「わしはそんな器ではない。教会の"裏の事情"も知り尽くしておられる
 ニノ殿の方が、教会の改革のために大鉈を振るう術を心得ておられよう」
ニノ「それは皮肉ですかな…?」

老人の言葉に、ニノは困ったような顔をした。

???「いやいや、これは失礼した。
 しかしわしは一応、一度は"神の下に召された"という事に
 なっておりますからな…。死んだ人間が蘇った事を
 表舞台にて公にするのは、無用な混乱を避けるためにも
 まだまだ時期尚早と存ずる。わしはこのままずっと世捨て人でよい」
ニノ「う〜む……」
???「わしとてククールも、そしてマルチェロも、
 神よりお預かりして育てたわが子も同然。その行く末には
 身も張り裂けんがばかりに案じており申す。
 しかしながら全ては神の御心次第。神の御心に反しないならば、
 ククールにも、マルチェロにも、必ずや神のご加護があるはず…」
ニノ「解り申した。わしもククールを信じて、
 今はただ待つとしよう」

ニノ新法皇と親しげに話しているこの高齢の老人こそ、
七賢者の一人、神の子エジェウスの末裔にして、
身寄りのない子供たちを修道院に引き取って育てていた、
ククールやマルチェロの育ての親。
暗黒神ラプソーンに操られた道化師ドルマゲスに殺されたはずの
オディロ修道院長その人であった。


○ククール⇒マルチェロを追って、時空クレバスに単身飛び込み、
 現代の地球へ向かう。
◎ルシア⇒記憶が戻りかけている兆候あり?
○オディロ⇒黄泉還っていたが、その事実は公表しておらず、
 ニノ新法皇の影の相談役を務めている。

【今回の新規登場】
○ニノ新法皇(ドラゴンクエスト[ 空と海と大地と呪われし姫君)
 ザヴェッラ大聖堂の現法皇。昔は悪徳大司教だったが、現在は改心。
○オディロ修道院長(ドラゴンクエスト[ 空と海と大地と呪われし姫君)
 元マイエラ修道院の院長。ククールやマルチェロの育ての親。
 暗黒神ラプソーンを封印した七賢者の一人の子孫。

492 名前:時空編/現代(地球) :2005/06/23(木) 11:47:31

(>>476-479の直後)
***現実世界:ネルフ本部***

カトル「バイスタランチュラがこの現代にも現れました。どの位広がっているかは判りませんが…」
意識の戻ったシンジを連れてカトル達は仲間と合流していた。

ミサト「まずいわね。自販機があることからもわかると思うけど本部へのルートは意外と広く知られてるわ。
第三新東京市に洗脳が広がっているとしたら…ここも持ちこたえられないかもしれないわね」
アスカ「さすがに洗脳されてるだけの民間人をベークライトで固めたりエヴァで攻撃したりはできないしね」
さりげなく恐いことを言うアスカ。

五飛「火消しの"金"(プリベンター"ゴールド")に連絡を入れろ、エアロトレッカーを追う」
トロワ「何をするつもりだ」
五飛「知れたこと!アサルトバスターを倒す!!奴を倒せば洗脳も解ける!」
デュオ「おいおいそんな短絡的な…」

???「話は聞かせてもらいました」
振り返ればNERV一般職員達が集まっている。

職員A「行って下さい。しばらくは私達だけでも持ちこたえられます」
職員B「ここは私達に任せて早く敵を倒してください」

レイ「…別次元へ行く方法はあるの?」
ヒイロ「αの科学者達が時空クレバスの制御に成功した。問題の世界にも既にICPOが向かっている」

アスカ「あるなら決まってるじゃないの!そのアサルトバスターって奴を倒しにいくわよ!」
デュオ「あのなあ、向こうで起こってるのも戦争なんだ。怪物退治とは訳が違うんだぜ。
アスカ「あ、アンタ、バカにしてんの!?」
デュオ「こんな役はドブ臭い奴等がやればいいんだ。平和に生きてる連中を巻き込んじゃいけないんだよ」

シンジの脳裏をよぎる先ほどの悪夢。突き刺さる人殺しという言葉。罪悪感。
そして…傷つけたくなかったために戦えず、その結果失ってしまった友。
シンジは、覚悟を決めた。

シンジ「・…でも、僕達が行かなきゃその分エヴァを倒すのが難しくなるんでしょう」
カトル「シンジ君?」
シンジ「それが僕達にしか出来ないことなら…やります」
カトル「確かに向こうの世界に行ったICPOはあくまでも漂流者の返還が目的で、戦力的には不安なんだけど…だけど、」

レイ「碇君…ガンダム02パイロットの言ったことを聞いていたの?」
シンジ「上手く言えないけど…戦っても相手を傷つけるけど
戦わなかったら味方が…傷ついて欲しくない人達が傷つくってわかったから…。
僕がやらなきゃ代わりに誰かが人を傷つけて悲しむから…。
傷つけるのも傷つけられるのも、他人に押し付ける位なら、僕が…やるよ」

アスカ「決まったわね。さあアンタ達、私達を連れて行きなさい!」

カトル「わかりました。皆さん戦艦ゼフィルスへ」

ミサト「戦艦ゼフィルス?」
トロワ「プリベンター所有の戦艦だ。カトルと五飛もそれに乗って来たはずだ」
ヒイロがモニターを操作し始めると、戦艦の姿が映し出される。
オペレーター達から驚きの声が挙がる。レーダーには何の反応もないのだから。
カトル「レーダー波を吸収し、目視と質量反応以外での検出は困難。隠密活動に長けた戦艦です」
トロワ「加えて、万が一NERV奪回に失敗してもダミーシステム―
即ちエヴァさえ押さえればティターンズに投降を迫れるだけの火力も有している」

エヴァのパイロット3人、ミサト、リツコ、オペレーター3人はプリベンターとともに戦艦ゼフィルスに移り、
残りの職員はNERVを守ることとなった。

リリーナ「大丈夫です。プリベンターからも本部の防衛に人員を出します」
ミサト「それは良いんだけど…大丈夫?あなた達プリベンターが地球を離れて」
ヒイロ「問題ない。オレも正確に把握しているわけではないが…プリベンターの総数はかなりの数だ。
コードネーム”自由(フリーダム)”などがガンダムも数機保有している」

リリーナ「ヒイロ、それより気になることが…ケフレンはスダ・ドアカではなく未来の地球へいるらしいのです」
アスカ「それがどうしたのよ」

ヒイロ「プラントの戦いを見る限り、グランショッカーで人為的に使徒再生を起こせるのはケフレンだけだ。
だが今回はミケーネがその技術を使っている。初めはこの両者が手を結んだのかと考えたがケフレンが向こうにいないとなると…」
トロワ「研究成果がグランショッカー内で共有されているのか、それともミケーネ帝国がここと同様に盗み出したか…」
ミサト「後者だったらこっちにも付け入る隙がありそうね」

***資源衛星MO-V***
レディ・アン「こちらはプリベンター”ゴールド”…「翼」「死神」「道化師」「王子」「龍」が地球を離れた…
双子座の兄(カストル)と双子座の弟(ポルックス)は彼らが戻るまでいつでもガンダムを動かせるようにして待機」
オデル「了解」
アディン「まかせとけ!」

***魔界***
闇帝王「超呪導武者クラヤミに闇凶車(タンク)の機能を付加した。これで時空を超えられるはずだ」
魔星(マスター)大将軍「安心して待っていろ、吏偶遮光の仇は必ず討ってやる。真闇元帥よ、本当に天界に號斗(ゴッド)丸がいるのだな?」
真闇元帥「疑うのか?わしは獅龍凰と名乗る新號斗丸と戦ったのだぞ」
暗黒卿(ダークロード)マスターガンダム「さて、天界へ向かうぞ」
魔刃「ククク、天界武者どもめ目に物見せてくれるわ」

魔星は三羅将を、魔刃はクローン使徒を引き連れ暗黒卿に続く…。

493 名前:時空編/スダ・ドアカワールド :2005/06/23(木) 11:52:40

http://charaneta.sakura.ne.jp/ikkoku/img/1084962936/493.png (299KB)
***ブリティス辺境***
散乱するメタルビーストの残骸。
旧式のネイルシザーでザマレド・キメラと相打ちに持ち込んだ騎士F90IIと、
ムアルジでアトミックガンダム相手に健闘したネオの兄、ルナガンダムは
量産機兵でメタルビーストと互角以上の戦いを繰り広げていた。

運命の三騎士操るスーパーオーキスの砲撃が次々に敵を吹き飛ばしていく。
キングガンダムII世のロードヴァトラスは敵機を切り倒し、
そして、超機動超将軍の長い右腕に捕まった機兵は振り回され破壊される。
ザン・スカールの機兵では全く相手にならず、
ミケーネの繰り出すメタルビーストやメカザウルスの実験機も次々と倒されていく。
ブリティスに残った騎士達は基地の場所を聞き出したエプコット・ギルドとともに、ザン・スカール基地へ迫っていた。

ギャラハン皇帝の声「奴らもやりおるな…幻魔皇帝よ」
幻魔皇帝「ああ、さすがに英雄どもだ、雑魚では埒があかん。四天王を呼べ!」
ザン・スカール四天王を呼ぼうとする幻魔皇帝。
ギャラハン皇帝の声「まあ待て、その前に実験をもう少し続けたい」
エヴァオルフェノク壱号機と弐号機を指すゴーゴン大公。外見は二機とも零号機と全く変わらない。
ギャラハンの声「零号機は相手が攻撃している間黙って攻撃を受けすぎたと言う反省を踏まえ、
壱号機と弐号機は攻撃性と運動能力を向上させた…」

F90II「あ、あの時の…まだいたのか!?」
ルナガンダム「まずいな、今の戦力では奴のシールドは破れん…一時撤退だ!」
エヴァオルフェノクを見たことがある二人は瞬時にその恐ろしさを悟った。
だが機兵の後退を凌駕する速度で突進したエヴァオルフェノクに超機動超将軍が破壊される。
ルナガンダム「前回のものより遥かに攻撃的だ…」
F90II「……!!」
ルナとF90IIも逃げ切れない。木っ端微塵にされる機体から辛うじて脱出する。
エヴァオルフェノクはどこからともなく魔剣を出現させると少し離れたところのスーパーオーキスに投げつける。
スーパーオーキスは破壊はされないものの吹き飛ばされ、運命の三騎士も気を失ってしまう…。

エヴァオルフェノクは操縦席の兵士ゾロが設定した最後のターゲット、ロードヴァトラスへ向き直る。
その時、全く別の方向からATフィールドを侵食されていることにはゾロは気付いていなかった。

アスカ&シンジ「はああああ!」
上空から突然の飛び蹴り!エヴァオルフェノクの強力なATフィールドも、初号機と弐号機に侵食されては
高速で飛来する大質量を受け止めきれず、顔面に蹴りを食らってしまう。そのまま後方へ倒れる。

そこへ零号機も現れる。エヴァオルフェノクの鎧のごとき外皮の隙間に、手にした針をねじ込む。
苦しみはじめ、やがて制御用の機械部分を残し灰化消滅するエヴァオルフェノク…。

ゴーゴン大公「や、奴らは!NERVのエヴァンゲリオン!!」

戦艦ゼフィルス内部では、Wチームが置いていかれた形になっていた。
デュオ「あいつら、あの変なエヴァを見るなり飛び出して行って…」
ヒイロ「成功のようだな、赤木博士…」
リツコ「ええ、人間ベースより代謝の激しいエヴァベースのオルフェノクの細胞崩壊を促進させる薬剤よ。
通常のエヴァにも、増して人間ベースのオルフェノクにも効かないけど、エヴァベースのオルフェノクには効果絶大のはずよ」

ユニオン軍が進軍していた方角――恐らくザン・スカールの本拠地がある方向へ向けて見栄を切るアスカ。
アスカ「私はエヴァンゲリオン弐号機のパイロット…セカンドチルドレン!惣流・アスカ・ラングレー!!
私が来たからにはもう好き勝手させないわよグランショッカー!」

シンジ「今のは不意打ちで倒せたけど、もう一体はどうする?」
遅れて現れたもう一体のエヴァオルフェノク――エヴァオルフェノク弐号機を指すシンジ。
レイ「……!!」
アスカ「バカシンジ!知ってたなら教えなさいよ!」
シンジ「え゛…気付いて…なかったの?」

ミサト「ア、アスカ…」
無論ミサトは気付いていた。どうやって倒すか作戦を練っている間に頭に血が上ったアスカが
シンジとレイを連れて飛び出していってしまったのだ。

兵士ゾロはエヴァ3機をエヴァオルフェノクの攻撃目標に追加する。その途端フル出力で稼動する
エヴァオルフェノク。経験が浅く反射神経の鈍いシンジはなす術もなく叩き伏せられる。
レイとアスカは倒されはしないもののかなりのダメージを負わされる。

アスカ「こんちくしょー!」
雄叫びとともにATフィールドを全開にするとマゴロクEソードで斬りかかる。
それを振り下ろす前に肉薄するエヴァオルフェノク。
レイは弐号機を突き飛ばし、自らは大ダメージを負ってしまう。
マヤ「零号機の神経接続を遮断します!」

劣勢の弐号機と零号機に迫るエヴァオルフェノク。そこに横から襲いかかる初号機。
初号機「ウオオオオオオ…!」
初号機はエヴァオルフェノクに両足で跳び蹴りをする。
エヴァオルフェノクはその蹴りを掴み、地面へ叩きつける。
転がりながら移動し、体勢を立て直す初号機。
そこへエヴァオルフェノクの体当たりが決まり初号機を弾き飛ばす。
再び弾き飛ばそうとするエヴァオルフェノクを初号機が滅茶苦茶に殴りつける。
気にも留めずエヴァオルフェノクが大ジャンプ。
前宙で初号機の頭頂部に膝を落とす。倒れる初号機の胸に何度も飛び乗る。
弐号機と零号機が注意を逸らすが、今度は自分が標的になってしまう始末。

強敵との戦いに激しさを増していくエヴァオルフェノクの動き。
兵士ゾロ@エヴァオルフェノク弐号機「ぐええええ…これはどうやって止めるんだ…助けてくれ、
動きが激しすぎるおれの方が死んでしまう…」
その頃操縦席の中では兵士ゾロが完全にグロッキーになっていた。

暴走初号機でさえ押され気味のエヴァオルフェノクの力に声を失う戦艦ゼフィルスの一同。
リリーナ「ここで主砲を撃てば味方にも被害が…皆さん…!」
ヒイロ「ああ…任務了解」
ガンダムパイロット達も出撃する。

突然現れた3体のEVAに戸惑いつつも味方と判断し援護に向かうキングガンダムII世。
だが既に零号機と初号機、弐号機を沈黙させたエヴァオルフェノクはロードヴァトラスに狙いを定める。
キングシャッフルをかばうようにに冥獣機デスロッドと冥闘神デスサイズが立ちはだかる。
法術師デュオ@冥獣機デスロッド「王様、あんた一人で勝てる相手じゃないぜ」
冥闘神デスサイズ「なぜおれ達が戻るのを待たずに出陣した」

操る兵士ゾロが意識を失い目標を追加できないため、デスサイズとデスロッドには積極的に攻撃を仕掛けてこない。
だがATフィールドを破ることは出来ず、苦境には変わりない。そこへ駆けつけるWチーム。

カトル@サンドロックカスタム「シンジ君達からは十分離れている…デュオ、あのガンダム達を安全な場所に送って。
残りはゼロのバスターライフルにエネルギーを集めて撃つんだ」

最も動きの速いヘルカスタムがキングガンダム達を安全な場所へ押し出す。ほぼ同時に
ツインバスターライフルに4体のガンダムのエネルギーを集め、エヴァオルフェノクの真上から撃つ。
ATフィールドを破り、エヴァオルフェノクの立っていた地面にクレーターを作る。

冥闘神デスサイズ「その羽…おまえ、ヒイロと同じ守護天使か?」
ヒイロ@ゼロカスタム「どうやらオレ以外に『ヒイロ』がいるらしい」
法術師デュオ@冥獣機デスロッド「おまえ随分デスサイズに似ているなあ。死神だったのか?」
デュオ@ヘルカスタム「よう、おまえがこの世界のオレか。オレはデュオ・マックスウェル。『死神』だ」

同一人物と初めて言葉を交わすデュオ達だったが、ヒイロのゼロシステムが危険を伝えてくる。
ヒイロ@ゼロカスタム「散れ!」
大音響と共にクレーターの中から姿を現すエヴァオルフェノク。
背中をごっそり持って行かれているもののバスターライフルはかわしていたようだ。
ATフィールドを足元に展開すると4体のガンダムのいる高さまで大ジャンプしてくる。
コントロール部分が破壊され、設定された目標に関係なく近くのものに攻撃を仕掛けてくる。
人並み外れた反射神経と判断力を持つガンダム乗りの四人は何とかやり過ごしエヴァの二の舞を避けた。

エヴァオルフェノクは魔剣を出現させると着地と同時にロードヴァトラスらに飛び掛る。

鎧闘神ウイング「バスターソード…パワーズ!!!」
だがキングシャッフル達が切り裂かれることはなかった。強力なエネルギー波が足元を崩す。
デスサイズ「遅かったな、ウイング」
鎧闘神ウイング「ああ、他の六人も呼んできたがまさかもう出陣していたとはな」

ウイングの後ろには闘士トロワ操る轟獣機マグナスに乗った機闘神ヘビーアームズ、
騎士カトル操る斬獣機サンドハープに乗った魔闘神サンドロック、
そして剣士ウーフェイ操る咬獣機ガードナタックに乗った龍闘神シェンロンの姿があった。

さらに上空には、ドモン率いるシャッフル騎士団の姿、
機甲神ロードエルガイヤーと聖龍機ロードドラグーンの姿もある。
フェニックスと合体したFXと飛行形態のブラックオックスも現れる。

ゼロガンダム@ロードドラグーン「しっかりしろ、ゼフィランサス!サイサリス!ステイメン!」
ネオガンダム@ロードエルガイヤー「兄さん!無事か!?」
三郎「プリベンターのガンダム!応援に来てくれたのか!」
正人「ネルフのエヴァンゲリオンも!…ってシンジ達は大丈夫なのか!?」

良く見れば四闘神は蒼い機兵を運んでいる。
騎士カトル@斬獣機サンドハープ「ルナさん、アルガスの博士達がこれを復元しました」
ルナガンダム「これは!影機甲神カオスガイヤー!!」

F90IIはと言えば、飛閃や豪剣と共に操縦者を倒し
メカザウルス・ギガの発展系と見られる敵の機体を奪っている。

494 名前:時空編:2005/06/23(木) 12:03:35

●魔界の勢力、天界へ出陣。
○エヴァチームとWチーム、スダ・ドアカへ。エヴァオルフェノク1体撃破。
○ユニオン連合軍、ザン・スカールの本拠地に攻め込む。

【今回の新規登場】
○闘士トロワ(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)
 錬金術師ヒスリーの息子として生まれ幼い頃さらわれサーカスで働いていた。
 自爆ショー前にヘビーアームズと出会い脱走する。
○騎士ヘビーアームズ=機闘神ヘビーアームズ(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)(XXXG-01H ガンダムヘビーアームズに相当)
 元はさらわれた息子の代わりに錬金術師ヒスリーに造られた人造人間であった。
 強い哀れみの心により機闘神に変身(ソウルアップ)できる。
○騎士カトル(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)
 元は砂漠の小国ウィナーの王子。ガンダム一族ゆかりの「導きの竪琴」の持ち主に選ばれた。
○騎士サンドロック=魔闘神サンドロック(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)(XXXG-01SR ガンダムサンドロックに相当)
元はウィナー王家の守護獣グリフォン。忠誠心によって魔闘神に変身(ソウルアップ)できる。
○剣士ウーフェイ(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)<br> 人間族の剣士の少年。剣士Zより「龍の盾」を受け継ぐ。
○騎士シェンロン=龍闘神シェンロン(新SDガンダム外伝 鎧闘神戦記)(XXXG-01S2 アルトロンガンダムに相当)
 元はウーフェイの奥義「召龍剣」で召喚される龍。正義の心を仲間と共有することで龍闘神に変身(ソウルアップ)できる。
●闇帝王(新SD戦国伝 伝説の大将軍)(AMX-002ノイエ・ジールに相当)
新生闇軍団の黒幕。闇魔神吏偶遮光はその分身。
●真闇元帥(超SD戦国伝 武神輝羅鋼)(SDオリジナル)
「闇魔神の魂を持つ頑駄無」頑駄無闇元帥(OZ-13MS ガンダムエピオンに相当)
武羅星(ブラスター)頑駄無と分離させられた姿。

495 名前:時空編/未来世界:2005/06/28(火) 08:42:43

>>485の続き

***アメストリス首都・セントラル***

突如として未来の世界に現れ、
巨大獣戦士ザ・デウスーラを撃退した戦艦エターナル。
地上ではロイ・マスタング大佐が指揮する軍用の車列の一体が
到着していた。

エド「大佐!?」
マスタング「その様子だとひどくやられたな、鋼の」
エド「いい加減説明しろ。あの空に開いた歪みの穴みたいなのから出て来た
 あの連中についても何か知ってんだろ?」

そんなエドの問いかけを上手くかわすかのように、
上空を見上げるマスタング。

マスタング「予定の時間通りだな…」


***エターナル・発着デッキ***

ソレイユから近づいてきた一隻の小型シャトルを
迎え入れるエターナル側。
警戒してシャトルに銃を向けるクルーを諌めるラクス。
そして中から一人の高貴な立場にいるらしき女性が
配下の侍従を伴って現れた。

ディアナ「わたくしは月の代表を務めるディアナ・ソレルと申します。
 ようこそ、過去の時代よりいらした皆さん」
ラクス「わたくしたちの事をご存知なのですか?」
ディアナ「無論です。貴女のお名前もよく存じ上げておりますわ。
 ラクス・クラインさま」
ラクス「まあ…」

驚くエターナル側一同。

バルトフェルド「どうやら我々の事は何もかもお見通しのようだな。
 しっかし何故……」
ディアナ「戸惑われるのは理解いたします。
 できればすぐにでも詳しく事情をご説明したいのですが、
 この場ではそれも叶いません。そのためラクスさまには
 このまま月までご同道願いたいのですが…」
ダコスタ「そんな、いきなり…。
 我々にはケフレンやカウラー、そして先程逃げた
 ラー・デウスの捜索任務が…」
ラクス「わかりました。参りましょう」
ダコスタ「ラクス様!?」
ラクス「この方達は信用できると思います。
 それにわたくしたちは、まだこの時代の状況を
 右も左もよく解りません」
バルトフェルド「了解。ではダコスタ、お前もラクスについて行け。
 キラとフリーダムも同行させよう」
ダコスタ「わかりました隊長」
ラクス「バルトフェルド隊長、後の事はお願いします」
ディアナ「地上でのことはロイ・マスタングなる御方に
 お話を通してあります」

エターナルの周囲を大きく旋回して飛ぶ神鳥レティス。
その様子に気づいたラクスたちは甲板へと出る。

ラクス「レティスさん…?」

申し訳ありません…。
私は元の時代にすぐに戻らねばなりません…。

バルトフェルド「何があった?」

どうやら邪悪なる意思を持った者が、
再び時空の壁を越えたようです……。
私はそれを阻止しなければなりません……。

ラクス「わかりました。ここまで案内してくださりありがとうございました。
 心からお礼を申し上げますわ。神鳥さん…」

私は神ではありません……。
違う世界では、人からは別の名で呼ばれていました……。
そう…確か、ラーミアと……

それだけ言い残すと、神鳥レティスは翼を大きく羽ばたかせ
時空クレバスの向こうへと消えていった。

ヒタカ「ではディアナ様、私は残り、地上と連絡を取って参ります」
ディアナ「よしなに」

496 名前:時空編/未来世界:2005/06/28(火) 08:45:19

一方、その頃…

***改造実験基地ラボー***

帰還したレー・ネフェルから報告を受ける
大博士リー・ケフレン。

ケフレン「ではやはり遺伝子シンセサイザーが
 この世界にもあったのだな?」
ネフェル「はっ。残念ながら邪魔が入り、
 詳しい事情は聞き出せませんでしたが…」
ケフレン「一体誰が、この時代で遺伝子シンセサイザーを
 造ったのだ…」

首をかしげるケフレン。
その時、ラボー大帝の間の床一面に
妖しげな――まるで鮮血のような赤い液体が
広がり始めた。

ネフェル「ケ、ケフレン様!?」
ケフレン「――こ、これは…まさか!!」

デウスの声「そのまさかだ、ケフレン!!」

ケフレン「――!!」

大帝の間に轟く、かつての主の声…。

赤い液体は瞬く間に人型に集まり実体化。
四本の角に、人形のような不気味な仮面と、か細い腕。
そして両肩からは無数の触手をはやした甲冑。

ケフレン「…おお、デ、デウスだ!!」
ワンダ「ラ、ラー・デウス様!?」
ネフェル「――!!」

その姿は紛れもなく、改造実験帝国メスの大帝ラー・デウスであった。

デウス「ケフレン、妙なところで会ったな…」
ケフレン「ラー・デウス、よもや未来世界で黄泉還って
 いたとは…!! そうか…やはり貴様が、
 この時代の遺伝子シンセサイザーを操っていたのか!?」
ネフェル「ラー・デウス! とっくにお前の時代は終わった!
 死ねいっ!!」

父とも慕うケフレンを守るべく、
デウスに果敢に挑みかかるネフェルだが、
簡単にねじ伏せられる。

ネフェル「くっ…!!」
デウス「愚かなネフェルよ、貴様如きが
 この私に勝てるとでも思っていたのか?」
ネフェル「黙れ! 今のメスはケフレン様の物よ!」

デウスはダメージを与えたネフェルの腕を掴んで
ケフレンのいる方向へと放り投げる。

ネフェル「ああああ〜〜!!」
ケフレン「ネフェル!!」
ネフェル「ケフレン様、お逃げください!
 ここは私が!」
デウス「フハハハ…冥土の土産だ。
 お前達によいものを見せてやる!!」

デウスはメタモルフォーゼし、
デウス獣戦士ザ・デウスーラへと姿を変えた。

ケフレン「その姿は…!!」
デウスーラ「フフフ…どうだケフレン!」
ネフェル「獣戦士が…喋った!?」
デウスーラ「今の私は獣戦士形態でも、己の自我を保っていられるのだ!
 もはや貴様如きに操られる私ではない!」
ケフレン「フフフ…フフフフフ……!!」

最初は動揺していたかのようだったケフレンだが、
徐々にその顔には不気味に自信に満ちた笑みが漏れ始めた。

ケフレン「…フハハハハ!!」
デウスーラ「貴様何がおかしい? 恐怖で気でも狂ったか!」
ケフレン「黙れデウス! この私を誰だと思っているのだ!
 我が名は大博士リー・ケフレン! 私は宇宙一の天才だ!!!」

ケフレンは笑い声を上げながら
遺伝子シンセサイザーの安置されている
改造実験室の方へと走り去った。

デウスーラ「待て、逃がさんぞケフレン!」

追うデウスーラ。
傷つき横に倒れたまま動けないでいるネフェルは
ただそれを見ていることしかできない。

ネフェル「くっ…このままではケフレン様が危ない。
 何をしているのワンダ!? 早くケフレン様をお守りするのよ!」
ワンダ「俺は…俺は一体どうしたらいいんだ!?
 (((( ;゚Д゚)))アワワワ…」

ネフェルの叱咤にも、
ただ茫然と立ち尽くしているのみのワンダであった。

497 名前:時空編/未来世界:2005/06/28(火) 08:46:35

***同ラボー要塞内・改造実験室***

ここは大博士リー・ケフレン専用の生命改造実験室である。
多くの種類の遺伝子液が詰まった試験管やチューブに囲まれた中央に、
恐ろしい生命改造のためのスーパーメカ=遺伝子シンセサイザーが
設置されている。

デウスーラ「どこだケフレン! 隠れてないで出てくるのだ!」
ケフレン「私はここだ、デウス!」

追ってきたデウスーラを、
遺伝子シンセサイザーのすぐ側で待ち構えていたケフレン。

ケフレン「私は逃げも隠れもせん」
デウスーラ「フフフ…いい覚悟だ。
 その度胸に免じてお前にもう一度だけチャンスをやる。
 再び私に忠誠を誓うなら、過去の反逆の罪は帳消しにしてやってもよいぞ」
ケフレン「そうして私も用済みになれば使い捨てるつもりか?
 かつての歴代の大博士たちのように…」
デウスーラ「なにっ!?」
ケフレン「私は知っているのだぞ!
 貴様が生命改造という手段で宇宙最強を目指した理由がな!」
デウスーラ「――!!」

ケフレンは自信満々にゆっくりと語り始める。

ケフレン「デウス! 貴様は今より数千年も前に一度、
 伝説の超サイヤ人と戦い、そして敗れたのだ!」
デウスーラ「…き、貴様ぁぁ!!
 先代の大博士達の秘密の墓場を覗き見おったなああ〜〜!!」
ケフレン「超サイヤ人に敗れたお前は、
 宇宙最強の座を手に入れるために、歴代の大博士達に
 自らを改造強化させていたのだ!」
デウスーラ「…その通りだ。真に宇宙最強たる資格を持つ筈のこの私が、
 あの野蛮な猿如きサイヤ人に敗れたのだ! その屈辱が貴様に解るかケフレン!!」
ケフレン「………」
デウスーラ「だからこそ私は、修行や特訓を繰り返すことにより
 強くなっていくサイヤ人に対し、生命改造という手段を用いて
 宇宙最強の座を目指したのだ!
 …だが、それを知られた以上、やはり貴様は生かしておけん!」

ケフレンに手を伸ばすデウスーラ。
しかしケフレンは遺伝子シンセサイザーを奏で始めた。

デウスーラ「フン…無駄なことを!
 今の私にそんなものが通用すると………こ、これは…この音色は!?」
ケフレン「フフフ…どうやら気づいたようだな」
デウスーラ「お、おのれケフレン!
 タブー遺伝子にレトロ遺伝子まで手に入れていたとは!
 ぬっ…ぬおおおっっっっ〜〜〜!!!!」

                    
                    
                     
                      
                
                            
                   

遺伝子シンセサイザーの演奏を聴き、苦しみもがきだすデウスーラ。
のた打ち回っている内に、元の大帝ラー・デウスの姿に戻ってしまう。

ケフレン「こんな事もあろうかと、あらかじめ用意しておいた物が
 こんなに早く役に立つとは思わなかったぞ。さすがの大帝ラー・デウスも
 タブー遺伝子、レトロ遺伝子、そして自分のデウス遺伝子、
 …この三つの究極の遺伝子をMixした生命改造波には耐えられまい!」
デウス「おのれぇええ…ケフレン!!」
ケフレン「私を甘く見たなデウス。
 もう一度この私の手で改造してやる。
 今度こそ私の意のままに動く手駒としてな!」
デウス「黙れえっ!! 貴様如き地球人に
 またしても操られてたまるかぁっ!!」
ケフレン「――!!」

デウスは力を振り絞って生命改造波を振り払うと、
一瞬の内にテレポートで姿を消した。
去り際に一言だけ、謎の言葉を残して……。



覚えておれ、ケフレン…!!

この借りは必ず返すぞ…!!

この世界で練成できる賢者の石さえ手に入れれば、

私は名実共に宇宙最強となるのだ…!!

フハハハハ…!!!!!



ケフレン「デウスめ、逃げたか…。
 しかし最後に言い残していた賢者の石とは一体…?」

そこに先程のダメージでよろよろになりながらも
ネフェルがなんとかケフレンの許まで駆けつけて来た。

ネフェル「ケフレン様、ご無事で…。
 ラー・デウスは?」
ケフレン「奴ならもうここにはおらん。
 どうやら一度、現代と連絡を取ってみる必要がありそうだな」

498 名前:時空編:2005/06/28(火) 08:50:50

○マスタング⇒事件直後の現場に到着。
○ディアナ(キエル)⇒エターナルに接触。
 未来での状況説明のため、ラクスを月まで案内する。
○ヒタカ⇒現地に残る。
○ラクス⇒ディアナに伴われて、一時エターナルを離れて
 そのままソレイユに乗り月へ。
○ダコスタ、キラ⇒警護として、一緒に月までラクスに同行する。
○バルトフェルド⇒エターナルと共に地上に残留。
 引き続きフラッシュマンやダグオンらと共に
 現場の後始末やケフレン、カウラーの捜索を行う。
 ディアナ(キエル)からは、話は通してあるので
 マスタングに合流するように言われる。
○神鳥レティス⇒現代に戻る。
●大帝ラー・デウス⇒ケフレンのいるラボーを急襲。
 そして衝撃の事実発覚! 過去に超サイヤ人と戦い、負けたことがあった。
●レー・ワンダ⇒大帝ラー・デウスの復活に動揺する。
●大博士リー・ケフレン⇒襲って来たデウスを撃退。賢者の石の存在を知る。

【今回の新規登場】
○マーチン・ダコスタ(機動戦士ガンダムSEED)
 バルトフェルド隊副官。

499 名前:時空編/現代(地球):2005/07/02(土) 22:28:13

***伊豆・地球連邦軍極東基地***

宇宙港ブロックには、宇宙連邦に所属する
オートザムの戦艦NSXが停泊していて、発進間近い状態である。
宇宙連邦の使者として一通りの要件を済ませたVRVマスターたちは、
そろそろ宇宙へと帰るのである。

グランドコンボイ「では、宇宙連邦本部に一旦戻られるので?」
VRVマスター「うむ。これまで宇宙連邦が積み重ねてきた
 草の根の外交活動が功を奏しつつあるが、宇宙連合の一部強硬派や
 ボラー連邦、旧ゴールデンバウム王朝の残党などにまだ不穏な動きがある。
 それにグランショッカーのゴズマ軍も今だ健在だからな。
 油断はできんさ」
グランドコンボイ「なるほど…」
VRVマスター「GFの諸君は、我々がついでに惑星Ziまで
 送って行くから安心したまえ」
ホットショット「よろしくお願いします」
VRVマスター「あー、そうそう…。
 忘れるところだった」
グランドコンボイ「何か?」
VRVマスター「実は気になることがあってな。
 実は宇宙の各惑星で最近、優秀な科学者や賢者と呼ばれる人々が
 謎の失踪を遂げているのだ」
ホットショット「それは本当ですか!?
 もし誘拐事件だとすれば、一体誰が…何のために……」
VRVマスター「地球署にもこの事は話してあるが、
 もしかしたら地球でも同じ事件が起こるかもしれん…」
グランドコンボイ「わかりました。我々サイバトロン地球軍の方でも
 警戒しておきましょう」

一方、こちらは
オートザムのジェオとザズが
光たちと暫しの別れを惜しんでいた。

海「もう少しゆっくりしていったらよかったのに…」
ザズ「そうだよ! 俺なんかチーフメカニックとして忙しくて、
 地球にいる間はずっとNSXの中に缶詰状態だったんだぜ!
 おかげで艦から降りて、ヒカルとゆっくり話する暇もなかったじゃんか!」
ジェオ「ぼやくな! 俺達は観光旅行で来てた訳じゃないんだからな」
ザズ「ちぇっ…」

愚痴を言ってジェオにたしなめられ、
ふてくされたような表情をするザズと、
それを見てにこやかに笑う光たち。

風「また機会がありましたら、是非地球にお越しくださいませ。
 今度はお茶をご一緒したいですわ」
光「もしセフィーロやオートザムにもしもの事があった
 遠慮なく私たちを呼んで。すぐに駆けつけるから!」
ジェオ「その気持ちはありがたいがな。
 これは導師クレフも言っていた事なんだが、
 お前達のその力、自分達の星を守るために使ったとしても
 バチは当たらないと思うぜ」
光「ジェオ…」
ジェオ「セフィーロやオートザムの事なら心配するな。
 仮にグランショッカーやらが攻めてきたとしても、
 そう簡単にやられはしねえ!」
光「…うん。わかった」

そろそろ出発の時刻に差し掛かった。

VRVマスター「ではチーキュの事は任せたぞ。グランドコンボイ司令官」
グランドコンボイ「ご子息によろしく」

地球のサイバトロン戦士達や獅堂光たちに見送られ、
戦艦NSXは地球から飛び立って行った。

500 名前:時空編/現代(地球):2005/07/02(土) 22:29:20

***デスネジロ***

ここはネジレ空間に浮かぶ邪電王国ネジレジアの
移動要塞"デスネジロ"の司令室兼Dr.ヒネラーの研究室である。

ここでヒネラーは、報告に戻ったユガンデから
地球側の時空クレバス制御システム"ディオドス"が完成した事を
知らされていた。

ヒネラー「久保田め…! 貴様らI.N.E.T.と
 国際科学技術庁による時空クレバスの研究が
 もうそこまで進んでいたとはな!」
ユガンデ「いかがなされますか? Dr.ヒネラー」
ヒネラー「放っておけ。奴ら人間の時空理論と私の異次元科学。
 どちらが優れているかを証明するにはよい機会だ」

そこにシボレナが現れる。

シボレナ「Dr.ヒネラー、未来世界の大博士リー・ケフレンから
 通信が入っております」
ヒネラー「わかった。今行く」

司令室からすぐ側のモニタールームへと移動したヒネラーは、
未来のタイムスリップ先から連絡を寄越してきたケフレンと
モニター越しに会話を始めた。

ヒネラー「……ほう、まさか大帝ラー・デウスが
 超未来の地球で黄泉還っていたとは…」
ケフレン@モニター「フフ…貴殿も気をつけた方がいいぞ。Dr.ヒネラー」
ヒネラー「何をだ?」
ケフレン@モニター「いやなに…デウスが未来世界に現れたという事は、
 あの邪電王ジャビウスT世まで、いつ復活して来るか解ったものではない…
 …そう思ったまでの事よ。いや、もしかすると既にどこかで……」
ヒネラー「フン! 余計な心配だ。
 今更死に損ない共が何人黄泉還って来たところで何が出来る?
 ジャビウスなど今の私の敵ではないわ!」

まるで人をからかうかのようなケフレンの忠告に、
反発するヒネラー。

ヒネラー「…で、まさか用件はそれだけか?」
ケフレン@モニター「フフフ…まさか。
 先程のそちらからの連絡にあった通り、あのサー・カウラーの一味、
 それにフラッシュマンをはじめとするヒーローの何人かが
 我々を追って未来世界まで来たとなると、正直人手が足りん」
ヒネラー「わかった。ユガンデとシボレナを
 至急そちらに向かわせよう」

501 名前:時空編:2005/07/02(土) 22:31:18

○VRVマスター、ジェオ、ザズ、GFの面々⇒宇宙に帰る。
●宇宙各地で謎の科学者連続失踪事件が発生。地球にも飛び火か?
●大博士リー・ケフレン⇒現代と連絡を取り、
 カウラーやフラッシュマンたちも未来に来ている事を知る。
●Dr.ヒネラー⇒大博士リー・ケフレンからの要請を受け、
 ユガンデとシボレナを増援として未来世界に派遣する。

【今回の新規登場】
○グランドコンボイ(トランスフォーマー スーパーリンク)
 サイバトロン地球軍"チーム・コンボイ"総司令官。
 どんな危険にもひるまず、勇敢に敵に立ち向かうパワフルなリーダー。
○ホットショット(トランスフォーマー スーパーリンク)
 サイバトロン所属のトランスフォーマーで、
 若くして多くの戦いをくぐり抜けてきた戦闘のスペシャリスト。
○ザズ・トルク(魔法騎士レイアース)
 オートザムの戦艦NSXのチーフメカニック。
●ユガンデ(電磁戦隊メガレンジャー)
 邪電王国ネジレジア幹部。
●シボレナ(電磁戦隊メガレンジャー)
 邪電王国ネジレジアの女幹部。Dr.ヒネラー(鮫島博士)が実験で死なせてしまった
 自分の娘をコピーして作り出した人工生命体アンドロイド。

502 名前:時空編/未来世界/月:2005/07/04(月) 14:36:08

***月の都ゲンガナム***

エターナルを地上に残し、ソレイユに乗って月に上がったラクスたち。
着いた早々、ムーン・レイスの女王ディアナ・ソレル(実はキエル)により、
黒歴史のデータ室がある"冬の宮殿"へと案内された。

ラクス「わたくしたちの時代の戦いの記録が、
 こうしてこの時代にも、このような形で残っていたのですね…」
ディアナ「その通りです、ラクス・クライン。
 これは"火の七日間"と呼ばれる戦いが起こる前、
 まだ巨大産業文明が崩壊する前の出来事を、
 わたくしたちは"黒歴史"と呼んでいます」

天井のスクリーンに投影された黒歴史の映像を見せられながら、
ディアナから丁寧に説明を受けるラクス。

ディアナ「……ところが、つい数ヶ月前の事です。
 この黒歴史のデータが何者かの手により大幅に書き加えられた
 形跡が出てきたのです」
ラクス「まあ…それは……」
ディアナ「しかしこの冬の宮殿のデータベースに
 不審者が侵入した形跡は全くありませんでした。
 …だとすると、何か超自然の意図が働き、
 自動的に黒歴史の記録データが増えたとしか考えられません」
ラクス「そのような事が現実に起こりえるのでしょうか?」
ディアナ「そこでわたくしは調査班を組織し、
 改めて黒歴史の解読作業を命じました。貴女方が過去の時代より
 いらっしゃる事を事前に知っていたのも、この解読作業のおかげだったのですよ」
ラクス「そうだったのですか……」
ディアナ「そしてもう一つ解ったことがあります。
 今、時空を越えた大いなる災いが迫りつつあるという事を…」
ダコスタ「それが、時を越えてこの世界で復活したあの大帝ラー・デウスや、
 我々の時代から未来…いや、この時代にやって来た
 ケフレンやカウラーの一味だと?」
ディアナ「そこまではまだ解りません。まだ漠然とした段階で
 詳しいところまで解読作業が進んでいないのです」
ラクス「………」
ディアナ「そこで私はブラウニン機関とも協力し、
 地上や他の惑星で僅かながらも生き延びている地球人類の中でも、
 特に信用に足る有力者の皆様と連絡を取り合い、
 今だ見えざる脅威に備えるため、新たにPUを興したのです」
ラクス「この時代にもPUがあったのですね…」

ディアナの話によると地球上では、
アメストリス国軍のロイ・マスタング大佐ら若手の有志たち、
EDO幕府に君臨する若き将軍アレク、天都を治める天子らとのコネクションを築き、
また宇宙でも、<竜騎士>を束ねるブラウニン機関を介して、
火星のドーム都市群や、惑星カギロイ(別名:封棄世界)の
ライウヴァン王国やギアット帝国とも連絡を取り合っているらしい。

ラクス「わかりました。わたくしたちがこの時代に参りましたのも何かの縁。
 出来うる限りの力添えをお約束致しましょう。元よりそのつもりでしたし…」
ディアナ「感謝いたします、ラクス・クライン。
 そちらからも何かお困りのことがあれば、何なりとご遠慮なく
 仰ってくださいまし」

503 名前:時空編/未来世界/地球:2005/07/04(月) 14:37:04

***エターナル・ブリッジ***

ラクウェル「それにしても驚きました。
 PUという組織にはブラウニン機関も一枚噛んでいたんですね」
ヒタカ「いやぁ…噛んでいたと言いますか…何と言うか……」

ヒタカ・ハーリントン。
ブラウニン機関が派遣した<竜騎士Dナイト>の一人である。
その体躯は制服に包まれていても、大柄で筋肉質と分かる。
だが、その実直そうな表情は草食動物を思わせる穏やかさがあった。

ソレイユから降りてきてパシフィカ一行と再会したヒタカは、
彼女らをエターナルへと案内し、艦橋へと連れて行く。

ゼフィリス「ギアットにあった自由機動要塞MFT02V――<ヴァンガード>シリーズとも
 違う技術体系のようだな…」
パシフィカ「ふうん…」
ヒタカ「ここです。…と言っても
 中の人たちと直接話すのは初めてなんですが」

エレベーターのドアが開いた途端、艦橋の副長席に座っている、
顔に傷跡が刻まれた男から陽気な声がかかって来た。

バルトフェルド「いよう、初めまして。ようこそ歌姫の艦へ。
 それじゃあ全員揃ったところで自己紹介といこうか。
 俺はこの艦の艦長を務めるアンドリュー・バルトフェルドだ」
ヒタカ「あ、改めまして……<竜騎士>のヒタカ・ハーリントン大尉です。
 ええ、こ、今回は皆さんに無理にお集まり頂き、申し訳ないというか、
 慙愧の念に耐えませんというか……いや、その」
マスタング「ハーリントン大尉、我々は別に
 君に強要されてここに集結したわけではない」
ヒタカ「は、はい。すみません…」
マスタング「私はアメストリス国陸軍東方司令部所属、
 ロイ・マスタング大佐だ。パシフィカ・カスール嬢、
 此の度は結果的に貴女を危ない目に遭わせた事は謝罪したい」
レオ「結果的に!? 本当はパシフィカさんを囮にして
 あの怪物たちをおびき出したんじゃないんですか!!」
マスタング「その件については後ほどゆっくりと説明しよう」

レオはマスタングの態度に食って掛かるが、
彼はさらりと受け流して強引に先に進める。

マスタング「さて、自己紹介も終わったところで、事実関係を整理しておきたい。
 元から今の時代にいる者と、過去の時代から来た者、そして余所の星から
 いらっしゃった方々もおられる事だし、話が混乱しないようにな…」
バルトフェルド「OK。では我々の事情から説明しようか…」

504 名前:時空編/未来世界/地球:2005/07/04(月) 14:38:54

***アメストリス首都セントラル***

エド「…で、つまりあんた方はあの怪物の一味を追って
 過去の時代からわざわざ退治しに来たと?」
海「コホン。正確には少々違うのだが、
 簡単に言えばそういうことになるな」
アル「信じられない…。何千年もの時を越えて来るだなんて…
 …そんな事が現実に……」
エド「師匠から"キリスト暦"と呼ばれた時代の話は
 聞いた事はあるけど…」
翼「信じられないのも仕方がありませんが、
 これは事実なんです」

セントラルの軍庁舎の一室で、
過去の時代からやって来たエターナル・チームと
初顔合わせをするエルリック兄弟であったが、
やはり兄弟にとって彼らから聞く話は
ちんぷんかんぷんで理解し難いものばかりだった。

海「まあ、この時代の文明レベルは我々の時代よりも遅れているようだから、
 今一君達に理解できないのも無理はないが」
翼「(小声で)海、失礼ですよ…」
ジン「大帝ラー・デウスは俺達にとっても許すべからざる敵だ。
 これから共に戦おう! エドワード君! アルフォンス君!」
エド「ちょい待ち! そーゆー事はあんたたちだけでやってくれ。
 こっちはこっちで忙しいんだ。わりぃな」

ジンの握手を求める手を振り払って
部屋から出て行こうとするエド。

炎「おいちょっと待てよ! お前らこの時代で
 悪党と戦ってる奴らじゃなかったのかよ!?」
エド「俺は国家錬金術師なの! まあ今までも
 結果的に寄り道して人助けや悪人成敗をしてきた事も
 何度かあったけどな…」
アル「でも兄さん、この人たち困っているみたいだよ。
 またいつもみたいに手を貸してあげたら?」
エド「ダメだ! 俺達にはもっと大事な目的があるはずだろ!」
海「待て、何処へ行く?」
エド「機械鎧オートメイルも壊れちまったし、ある場所に修理してもらいにな」
海「…機械鎧オートメイル?? その義手の事か。
 なら我々の艦にも専門家が同乗している」
翼「そうか。結城さんにお話すれば…」
エド「お気持ちだけは有難く頂いとくけど結構だ!
 コイツだけはピナコばっちゃんとウィンリィにしか直せねえ」
海「そうか。では我々もそこまで同行させて頂く」
エド「はぁ〜?」
海「当然だろう。君はどうやら大帝ラー・デウスに狙われている。
 我々には君達兄弟を保護する義務がある!」

               ,-‐-、
                 ,..、ヽ ,-―-、
               ,. '  ヽヽ.i、   ヽ 、
              , '    iヽヽ!i     ヽ
             /    /!i ̄ ´ヽ i     ヽ
            /,   , i i    ヽ.iヽ i  : ::ヽ
      ,...、 ,-、 i'  ./! i  !     ! ヽ!、  :: ::i: !
      ヽ、Y /  ! .i  !_!iー--‐  'ー=,-ヽ :::::ヽ!
       ヽi ,...!.-'"ヾ! .:i !~ト'`i    .!ヾ"丿i': :::::/
        i ! r‐―'-!.::!.i ヽ..ー'    ー`‐ 'i:::::::::i
        ヾ ! i― '!:::ト|     i      i::::/!:!-、
        i  ヾヽ ヽ:!ヽ  ,...,,,__,,,.....、 !::/、!':::/
       /!  ヽ ヽj、!、!ヽ._!、,'____,,..ヽ/!/ ヽ'""i
      /  iヽ  i  !  、ヽ=,ヽ--‐''i r‐−i  i_,/..、
.    /    iヽ 丿ノヽ  ! ヽ i i  i i  /   !―'、
  /      i ヽ_,i´!  ヽ、   ヽ.i !.,.//  i - /  ,..-―、
./´        ヽ' /   i.  ー 、 i iーi '  /    /    ヽ
i          ヽ ヽ  j  i  iヽ`!  !  / _____,,,.... -‐'' ヾ
!       ,,..-‐'" ヽ ,!  ,  iー!iiニ!! i i_ノ  i'       i
ヽ、    _,,.   _,, ,   i   ! ヾi`!´ i ,i   !        !
   ヽ ,,_,,.-―''" i '   /  ,!  i! !  i !   i        i
           !    /   ,   i i  ! i   i        i

おいおい、マジかよ……。


○ラクス→月でディアナ(キエル)から黒歴史について説明を受ける。
○バルトフェルド、マスタング、ヒタカ→それぞれの立場から情報交換。
○エド→機械鎧オートメイルの修理のためリゼンブールに行くが、
 ダグオン、フラッシュマンも無理に同行を申し出る。

505 名前:時空編/未来世界/地球:2005/07/18(月) 10:58:44

セントラルから遠く人里離れた渓谷を、
愛娘"ニーナ"を大事に抱きかかえながら
一人当てもなく彷徨っているショウ・タッカー。

タッカー「行こう、ニーナ…。
 パパが必ずお前の精神を呼び戻してあげるからね…」
ニーナ(抜け殻)「………」

だがタッカーが何度も優しく語り掛けても、返事が返ってくることはない。
そこに突然、背後から何者かの手が伸びる!
瞬く間に剣先を喉元に突きつけられて捻じ伏せられるタッカー。

タッカー「……Σ(゚д゚lll)!!」
ネフェル「改造実験帝国メスにご招待するわ!
 命が惜しかったら大人しくすることね!」


***改造実験基地ラボー***

ラボーへと連行されたタッカーは、
ネフェルの手でケフレンの前に引き出された。

ネフェル「ケフレン様、只今戻りました」
タッカー「…(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
ケフレン「この男か…?」

ケフレンは自分の前に引き出された、
このいかにも哀れな合成獣<キメラ>の男を、
まじまじと冷たい目で見つめる。

ケフレン「デウスからどんな口車に乗せられたのかは知らんが、
 この私を差し置いて"大博士"を名乗ろうとは…覚悟は出来ているだろうな!?」
タッカー「私はただ…ニーナの……ニーナのために……!!」
ケフレン「…ニーナ??」
ネフェル「もしかしてそれは、この可愛らしいお人形さんの事かしら?」

そう言うとネフェルは"ニーナ"の首根っこを乱暴に掴み、
尚も大事そうに抱えていたタッカーから強引に取り上げた。

タッカー「や、やめろぉ…。ニーナに何をする気だ?
 頼む…やめろ……やめてくれえええ!!!!!


506 名前:時空編/未来世界/地球:2005/07/18(月) 11:00:22

一方、その頃……

***ラー・デウスの隠れ家***

ここは某渓谷の滝壺に隠れた洞窟の奥深くである…。

デウス「ティンプよ、タッカーはどこに行った!?
 早くこの私に新たな生命改造実験を施すのだ!」
ティンプ「先生なら旦那が出かけているうちに
 どっか行っちまったぜ。少し外の空気を吸いたいとか
 言ってたけどな…」
デウス「チッ、あの役立たずめ。逃げたか」

???「苦戦のようですな…」

デウス「コウチンか…」
ティンプ「……(チッ、また現れやがったか。
 相変わらず胡散臭い坊主だぜ…)」

相次ぐ予想外のイレギュラー発生で、
地団駄を踏んでいる大帝ラー・デウスの許に
いかにも奇怪な僧官風の男が現れた。

コウチン「お気をお静めなされませ。
 大願成就の前に多少のアクシデントは付き物…」
デウス「だが一刻の猶予もならん!
 我が野望と聖なる生命改造実験を阻む者は、
 何者といえども潰えるのだ!」
コウチン「勿論ですとも。ところでラー・デウス殿、
 生命改造実験とは違いますが、私はある気孔の術を心得ております。
 それを用いて貴方様の肉体を多少なりとも今より強化する事は可能かと…」
デウス「何っ!? それは本当か!」
コウチン「はい。今すぐにでもお試しになられますかな?」
デウス「よし! すぐにやってもらおう。
 だがコウチンよ、"賢者の石"とやらを手に入れれば、
 この私が宇宙最強になれるという話に偽りはないだろうな?」
コウチン「何を申される。この世界に流れ着いた貴方様を保護し、
 こうして今も協力している私が信じられませぬか?」
デウス「いや…。だが万一にも私を裏切ったら
 貴様といえどもタダではすまさんぞ」
コウチン「フフフ…疑い深い御方だ。
 ですが今は"賢者の石"を練成する事こそが最優先事項」
デウス「わかっている。PU要人の暗殺にこそ失敗したが、
 まだ打つ手はいくらでもある。特にあのアメストリスという国には
 ホムンクルス共が残した戦争の火種が今も燻っているからな。
 フフフフフ……」


●ショウ・タッカー⇒デウスの所から抜け出したところを、
 ネフェルによってラボーに拉致される。
●コウチン大僧正⇒未来世界の地球に流れ着いた大帝ラー・デウスに
 "賢者の石"の事を吹き込んだ張本人である事が判明。
 しかしコウチン自身が"賢者の石"の存在を知った経緯や、
 デウスに協力するその真意は不明。

【今回の新規登場】
●コウチン大僧正(NINKU −忍空−)
 帝国府軍事政権の事実上のトップで、実はダイオン将軍(幼いアレク)を
 傀儡にして操っていた悪の黒幕。

507 名前:無題:2005/10/09(日) 00:02:46

***グランショッカー本部***

富士山麓での激闘から数日後…。
グランショッカー本部へ帰還したアポロガイストは、
十二邪将が集う円卓の間にて、今回の事件の報告をしていた。

マシーン大元帥「宇宙連合からのスパイか…これは厄介な事になったものだな…」
アポロガイスト「彼らは身の程知らずにも、我々に対し通告を突きつけて参りました。
 曰く、宇宙連合は間もなく地球圏に対して侵攻を始める。
 その時に敵となるか味方となるかは、我々グランショッカーの態度次第。
 よく考えておけ、と…」
十面鬼「おのれ、生意気な!」
呪博士「しかし、今の宇宙連合は平和主義の穏健派が勢力を強めているはずだ。
 ガイゾックやギシン星の時のように、地球圏に対してすぐに戦争を仕掛けて
 来るとは考えにくいが…」
地獄大使「ムム…他軍団の司令官にも報告を急ぐとともに、
 事の真相についてご見解を伺わねばなるまい」
アポロガイスト「ともかく、迅速な対応が必要と考えます。
 特に地球へ侵入したスパイは、このまま放置しておく訳には参りますまい」
呪博士「どうすると言うのだ? アポロガイスト」
アポロガイスト「…私にお任せを。
 必ずやメトロン星人を捕らえ、宇宙連合内部の動きについて吐かせて見せます」
マシーン大元帥「大した自信だな。さすがはGOD秘密警察の第一室長よ」
アポロガイスト「つきましては、メトロン星人追討部隊を編成するため、
 ショッカー正規軍の各怪人に対する指揮権を、私に委ねて頂きたく存じます。
 私の判断により、必要となった戦力はいつでも自由に投入する権限を…」

十二邪将はさすがに顔をしかめた。
抜け目の無いアポロガイストにそのような大権を与えてしまっては、
やがて自分達の地位まで彼に脅かされる結果にもなりかねない。
果てはこの男に邪将の座を奪われる恐れも――。

地獄大使「それは出来んな、アポロガイスト」
アポロガイスト「…何故?」
地獄大使「貴様も知っておろう。今のグランショッカーは数多くの
 異世界へ同時に侵攻し、非常に広範囲に戦線を拡大しておるのだ。
 征服地を広げ、そして支配していくためには当然ながら沢山の怪人・
 怪ロボットを必要とする」
ビルゲニア「メトロン星人の追討に、貴様の要望通りに
 戦力を投入している余裕は今は無いわ!」
アポロガイスト「しかし、今度の事は一刻を争います!」
呪博士「だがなアポロガイスト――」

その時、円卓の間に一人の女性が入って来た。
闇女王同盟の盟主にしてベーダー一族の首領・ヘドリアン女王である。
その傍らには腹心のアマゾンキラーも控えている。

ヘドリアン女王「これはこれは、邪将の皆さんご機嫌よう」
マシーン大元帥「ヘドリアン女王殿! 何ゆえここへ…」
ヘドリアン女王「宇宙連合の工作員の件、聞き及びましたのじゃ」
アマゾンキラー「メトロン星人の追討、もしショッカー正規軍の戦力が足りなければ、
 我々ゴズマ軍のベーダー一族がお助けしても宜しい」
アポロガイスト「おお、それはありがたい…」
ヘドリアン女王「ただし勿論、その際の指揮権は全てこの私に…」( ̄ー ̄)ニヤリッ
アポロガイスト「…くっ」( ̄∩ ̄#
地獄大使「おお、それはいい。ここは是非、ヘドリアン女王殿に
 メトロン星人の事は全て一任しようではないか」
ブラック将軍「うむ…かつてデンジ星はじめ、数々の惑星を滅ぼして
 来られたご実績もある…ヘドリアン女王殿、宜しくお頼みする」
ヘドリアン女王「お任せあれ。メトロン星人は我々ベーダーが必ず縛り上げて
 ご覧に入れようぞ」
アポロガイスト(おのれ…、さては何か企んでいるなヘドリアン女王!)

こうして、メトロン星人の追討はアポロガイストではなく、
ヘドリアン女王率いるベーダー一族が担当する事となった。
十二邪将の面々は取り敢えず肩を撫で下ろした。
下克上に戦々恐々としていた邪将達は、自らの保身に神経を尖らせる余り、
ヘドリアン女王の申し出の裏に秘められた陰謀を読み取れなかったのである…。

だが、その邪将の中でも──互いにめくばせをしている者たちがいた。
銀河王、テラーマクロ、妖怪王女、そしてダスマダー大佐である…。

妖怪王女「……とりあえず、宇宙連合が何か仕掛けて来ても
 対処出来るように、ミケーネ軍の円盤獣部隊には警戒をお願いしておくわ」
テラーマクロ「それでは、此度の合議はこれにて…」

退出の際、立ち尽くすアポロガイストの横をニヤリと笑って通り過ぎる
ビルゲニア。

ビルゲニア「フッ、残念だったな……」
アポロガイスト「……」

●ヘドリアン女王⇒メトロン星人追跡の任務を引き受ける。

【今回の新規登場】
●ブラック将軍=ヒルカメレオン(仮面ライダー)
 秘密結社ゲルショッカー大幹部、元帝政ロシアの軍人。
 グランショッカー合身邪将。
●帝王テラーマクロ=カイザーグロウ(仮面ライダースーパー1)
 闇の王国ドグマ首領であり、守護神カイザーグロウ(=大首領)を
 信仰する暗黒星雲人。グランショッカー魔拳邪将。
●剣聖ビルゲニア(仮面ライダーBLACK)
 暗黒結社ゴルゴムの世紀王候補で、三万年間封印されていた。
 シャドームーンの失墜により返り咲いたグランショッカー古代邪将。
●アマゾンキラー(太陽戦隊サンバルカン)
 銀河魔境から来たベーダー一族の女行動隊長。ヘドリアン女王の腹心。

508 名前:時空編/現代:2005/10/09(日) 02:05:44

>>415 >>455の続き

***ヅノーベース***

ザムザ「申し訳ございません、ビアス様…!」
ビアス「………」

傷ついた体で必死に許しを請う弟子=ザムザと、
それを冷たく静かに見下ろす師=ビアス。

――事の顛末はこうである。

大魔道士マトリフとポップをあと一歩のところまで
追い詰めたザムザとアストラルヅノーであったが、
そこに突如飛来したのは、戦艦クサナギとバビロスであった。
現実世界からの思わぬ敵の来襲に、
頭脳獣アストラルヅノーは敗退を喫したのであった。

ビアス「全ての魔力を吸い尽くし、
 魔法文明世界を完全麻痺に追い込もうとした
 その着眼点はよかったが、詰めが甘かったようだな…。
 Dr.ヒネラーから人間共の"ディオドス"完成に関する
 報は受けてはいたが…」
ザムザ「純粋な科学文明の利器には
 アストラルヅノーの特殊能力も無力! 無念です!
 特にあの隼と獅子と海豚の姿をした奴らめ!!」
ガッシュ「そやつらはライブマン。
 大教授ビアス様長年の怨敵だ」
ザムザ「ライブマン…あいつらが!!
 ビアス様に申し上げます! 何卒今一度の機会を!」

???「見苦しいわよ、ドクターザムザ。
 巨獣軍のテリトリーで失態を犯し、ビアス様の御名を汚した挙句、
 さらに恥の上塗りを重ねるつもりかしら?」

ザムザ「貴様は!?」
ビアス「戻ったか、ドクターエルデよ」

ヅノーベースのメインルームに
一人の妖しげな女が現れた。

エルデ「偉大なる大教授ビアス様、
 貴方様の忠実なる弟子ドクターエルデ、
 只今ここに戻りましたわ」
ビアス「ご苦労であった。して状況は?」
エルデ「"囁かれし者"の側には"騎士"が常に付き従っておりますわ」
ビアス「"ミスリル"か?」
エルデ「恐らくは。ですが私と"AI-1"にお任せくだされば、
 捕獲作戦はすぐにでも…」
ビアス「それは後回しでよい。それよりも君に別の任務を与える。
 世界中から優秀な学者と呼ばれる者たちを集めてくるのだ。
 そのための手段は問わん」
エルデ「優秀な学者を…?(ではまたあの"死のテスト"の志願者が…。
 いったい今度は誰かしらね…)畏まりましたわ。お任せを…」
ビアス「ガッシュよ、お前も行け。
 Dr.ヒネラーから時空魔法陣を借りるがよい」
ガッシュ「ははっ」

一礼するとエルデとガッシュは直ちにメインルームを後にした。
そして二人残されたビアスとザムザ。

ザムザ「ビアス様、あの女は信用がなりません!
 いずれ必ずやビアス様に牙を向くでしょう!
 今の内に排除すべきです!」
ビアス「ドクターエルデは、ゼーレの研究機関から支援を打ち切られたところを
 この私が拾ってやったのだ。少なくとも今は裏切る事はない」
ザムザ「しかし!」
ビアス「君はまだ若いな…ドクターザムザ」
ザムザ「…は?」
ビアス「その若さゆえの怒り、苛立ち、憎しみ…。
 次の機会までとっておきたまえ。それまでは別命あるまで
 自室にて研究に励む事だ」
ザムザ「…ははっ。仰せのままに…」

509 名前:時空編/竜の騎士の世界:2005/10/09(日) 02:06:45

***パプニカ王宮***

マトリフとポップを救出した戦艦クサナギは、
そのままレオナ姫の案内で、パプニカ城へと招待された。

クロコダイン「異世界からいらした方々よ。
 まずは我らの仲間を危機から救って頂いた事には礼を言う」
カガリ「………(お、大きいなあ…)」
クロコダイン「何か?」
カガリ「あ、い、いや…失礼(汗」

初めて見るリザードマンのでかい図体に、
思わず取り乱してしまうカガリ。

レオナ姫「とりあえず重傷だったポップ君も
 命に別状はなかったみたいだし、よかったわ」
クロコダイン「やれやれ、姫がいきなり
 神鳥と共に姿を消した時は、かなり案じたのだぞ」
レオナ姫「ごめんなさい」
アポロ「まもなく我々はグランショッカーなる軍勢に対して
 反転攻勢に出ます。異世界からの援軍の方々もいらっしゃることで、
 断然心強くなりました。味方の士気も上がる事でしょう」
クロコダイン「しかしな、姫よ…」
レオナ「なあにクロコダイン?」
クロコダイン「俺は余所者云々などと狭量な事を言うつもりはない。
 しかしいきなり未知なる世界から来た見ず知らずの者共が、
 いきなり何の見返りもなしに手を貸してくれるというのが…どうもな…」

アスラン(やはり疑われていたか…)
真吾(ま、無理もない話しだけどね…)

クロコダインの呈する疑念に対し、食って掛かるカガリ達。

カガリ「ちょっと待て!」
ジュドー「別に俺達はそこのお姫さんに
 助けを求められたから来た訳じゃないぜ!」
クロコダイン「何っ!?」
トビア「グランショッカーを放っておけば、
 いずれ僕たちの住む世界も危機に晒されます!」
洸「たとえ住む場所や種族が違っても、
 この世の生きとし生けるもの全てが力を合わせ、
 戦う事こそが平和に繋がるんだ!」
クロコダイン「…それがお前達の信じる正義か?」
カガリ「そうだ!」

少し考え込んだクロコダインは、
いきなり天をも轟かんばかりの大声で笑い出した。

クロコダイン「ガハハハハハハ〜!!!
一同「――!!」
クロコダイン「ハハハハ…いや、驚かしてすまんすまん。
 お前達の事は気に入った。どうやらおぬし達は共に戦う同志として
 信じるに足る者たちのようだ」
一也「では?」
クロコダイン「うむ。疑って悪かった。こちらからもよろしく頼むぞ!
 地球なる星から来た戦士達よ!」

510 名前:時空編/竜の神の世界/DQX時代:2005/10/09(日) 02:07:49

***ラインハット王宮***

涼しげな風が静かに流れ、城の周りの木々の葉が揺れている
この世界の大国ラインハットの王城では、
今日も今日とて大臣が忙しく城中を駆け回っていた。

デール「どうしたのだ、大臣?」
大臣「コ、コリンズ様がまた行方不明です!」
デール「そのようだな。だがいつもの事ではないか」

国王デールは微笑みながら、余裕でそう答えた。
この国の世継ぎであるコリンズ王子が城をこっそり
抜け出すなど日常茶飯事の事だったからである。

大臣「今回ばかりはいつもの事では済みませぬぞ!
 我が国に滞在中のグランバニアの王子王女両殿下も
 揃っていらっしゃらないのです!」
デール「そうか…。ティムアル王子にポピレア王女もご一緒か。
 ならかえって安心だ。何しろお二人は世界を救った勇者なのだから」
大臣「し、しかしながら…!!」
デール「ところで大臣。今日の授業は何の予定だった?」
大臣「古代史でございます」
デール「…なるほどね」

ちなみに『古代史』は、コリンズが最も苦手とする科目である。


***ラインハット城下町・郊外***

ティミー「待ってよぉ〜! コリンズくーん!」
コリンズ「バカッ! 何モタモタしてるんだ!
 早くしないと城の追っ手に見つかっちゃうじゃないか!
 そんなことだと子分にしてやらないぞ!」

グランバニアの王である父・リュカ、
そして天空人の血を引く美しき母・ビアンカ、
そして多くの仲間や魔物たちと共に
大魔王ミルドラースを討ち倒し、世界を危機から救った幼き兄妹、
ティムアル(ティミー)とポピレア(ポピー)。

大叔父である先王オジロンのたっての意向で、
ラインハット城の賢者である大学者デズモンの許へ
勉強に来ていた二人であったが、
その滞在期間中のほとんどを、コリンズの悪戯や脱走劇に
付き合わされる結果となっていた。

コリンズ「よぉ〜し! ここまで来ればもう大丈夫だ!」
ポピー「ふぅ〜…長く走ったから、あたし疲れちゃった」
ティミー「ぼくも…」
コリンズ「なんだ。だらしのない奴らだなあ。
 ほんとにそれで世界を救った勇者さまなのか?」
ポピー「い―――ッだ!」
ティミー「…で、今日はこれからどうするの?」
コリンズ「そうだなあ。今日はもっと奥の森まで探検だ!」

???「…なりませぬぞ、コリンズ様」

コリンズ「げっ!! その声は!?」
ティミー「デズモン先生!!」

実はコリンズたちの行く先を読み、
あらかじめ森の中で待ち構えていた
大学者デズモンが立ちはだかったのである。

コリンズ「…ど、どうしてここが!?」
デズモン「大学者を甘く見てもらっては困りますな。
 コリンズ様の逃走パターンなど、行く通りにも分析して
 もはや全てお見通しじゃ」
コリンズ「く、くそ〜〜〜」
ティミー「ちぇっ、残念だったなあ…。
 もう捕まっちゃった」
デズモン「さ、観念してティムアル様にポピレア様も
 一緒に城に帰りますぞ」

――その時である!
突然、目の前の空間が裂け、
時空の穴が出現した!

ティミー「――!!」
ポピー「――!!」
デズモン「な、なんじゃ! わしもこのようなものは
 見た事がないぞ!」
ポピー「みんな下がって!」
ティミー「来るぞ!!」

時空の穴――時空クレバスの向こう側から近づく
邪悪な気配を咄嗟に感じ取ったティミーとポピーは、
すぐさまに身構えた。
現れたのは漆黒の出で立ちをした甲冑の人物――
――いや、相手からは人の息吹が感じられない!?
では甲冑を模った、命のない傀儡くぐつなのか??

ガッシュ「大学者デズモンとは貴様か?」
デズモン「いかにも。誰じゃお主は!?」
ガッシュ「一緒に来てもらおう…」
ティミー「待てよ! デズモン先生をどうするつもりだ!」
ガッシュ「邪魔をするな!」

容赦なくガッシュガンの銃口が火を吹く!

コリンズ「うわあっ!!」
ティミー「くっ!」
ポピー「氷系呪文!!ヒャダルコ

呪文で築いた氷山の壁が、咄嗟に弾丸を防ぐ!
…が、しかし!!

ガッシュ「…来い!」
デズモン「た、助けてくれ〜〜!!!」

その隙にデズモン老師は、
ガッシュの手で時空クレバスの中に連れ込まれ
消えてしまった。

ティミー「しまった!!」
ポピー「たいへん!! デズモン先生がさらわれちゃった!!」
コリンズ「行くぞ、ティミー! ポピー!
 デズモン先生を助けるんだ!!」
ポピー「待ってコリンズくん。あの穴の中に飛び込む気!?」
ティミー「いったん戻って誰か呼んできた方がいいよ!」
コリンズ「そんな暇ないじゃないか!
 あの穴が閉じちゃったらどうするんだよ!!
 それとも恐いのか?」

事実、時空クレバスは今にも閉じかけていた…。

ティミー「仕方がない。覚悟はいいかいポピー!?」
ポピー「うん! お兄ちゃん!」
ティミー「じゃあ…行くよ!!」
コリンズ「おう!!」


●アストラルヅノー⇒敗退。
●ビアス⇒エルデとガッシュに"死のテスト"の準備を命じる。
○クサナギ組⇒マトリフとポップを救出し、パプニカ城に到着。
○ティミー、ポピー、コリンズ⇒ガッシュに誘拐された大学者デズモンを救うため、
 時空クレバスを通り現代世界へ向かう。

【今回の新規登場】
●エルデ・ミッテ(バンプレストオリジナル)
 "Model-X"開発スタッフの一人で、新型機動兵器"メディウス・ロクス"の核となる
 人工知能"AI-1"の生みの親でもある狂科学者。
○アポロ(DRAGON QUEST ダイの大冒険)
 パプニカ三大賢者の長兄。
○北条真吾(戦国魔神ゴーショーグン)
 元国連破壊工作員。ゴーショーグンのリーダー。
 語学は万能で、34ヶ国語をマスターしている。
○ティムアル・エル・ケル・グランバニア(DRAGON QUESTX 天空の花嫁/名前は小説版より)
 グランバニア王リュカと王妃ビアンカの子。天空の血を引く勇者。
 愛称"ティミー"。
○ポピレア・エル・シ・グランバニア(DRAGON QUESTX 天空の花嫁/名前は小説版より)
 グランバニア王リュカと王妃ビアンカの子で、ティミーの双子の妹。
 愛称"ポピー"。
○コリンズ王子(DRAGON QUESTX 天空の花嫁)
 ラインハット王兄ヘンリーとその妃マリアの息子。
 性格は少年時代のヘンリーそのまま。
○デール王(DRAGON QUESTX 天空の花嫁)
 ラインハット国王で、ヘンリー王子の異母弟。
○デズモン(DRAGON QUESTX 天空の花嫁)
 ラインハット城の賢者で大学者。

511 名前:時空編/未来世界/地球 :2005/10/09(日) 19:04:48

>>503の続き


***エターナル・通路***

クルーA「ん……おい、ブリッジは今立ち入り禁止だぞ。」

ブリッジへと向かおうとしている一人の男を見つけ、一人のクルーがとっさに呼び止めた。
見てみると、そのなりは決して同じクルーなどではない。
ボロボロのコートを身に纏い、眼帯をかけた金髪の男。
見るからに怪しい……とっさにその男が何者なのか、そのクルーは問おうとした。
だがその瞬間に……男は、姿を完全に消した。

クルーA「なっ……消えた!?」

突然目の前で、男が一人いなくなった。
何が起こったのかと、そのクルーは呆然としていた……が。
次の瞬間には、信じられないものを眼にする結果となる。

不動「この程度じゃ……オードブルにもなりやしねぇな。」
クルーA「えっ……うわぁぁぁぁぁぁ!?」

男……不動琢磨の声が背後から聞こえてきた。
そしてそれと共に襲い掛かる、強烈な激痛……クルーは己が目を疑った。
自分の右腕が……本来あるべき場所にない。
かわりにそれは、不動の手の中にあった……もぎ取られていたのだ。
不動は一瞬の内に男の背後へと回り込み……そして、その右腕を奪い去っていた。
絶叫を上げ、クルーは急いで逃げ出そうとする……だが。

不動「ワン・セコンド!!」

次の瞬間には、既にその命は無かった。
逃げ出そうとして、クルーが後ろを振り返った瞬間だった。
不動の拳によって……頭部の骨を砕かれていたのだ。

不動「さて……獲物はこの奥だな。
こんな世界にまでわざわざ来てやったぐらいだ……楽しませろよ。」

不動はブリッジへと、ゆっくりと進んでいった。
自分の受けた依頼……未来世界へとやって来た来訪者の命を奪う事。
それを果たす為……そして何より、自分自身の渇きを満たす為に。

●不動琢磨⇒何者かの手によって、ラクス達の命を奪う為に現代世界から送り込まれる。
      (そのラクスが今はエターナルにいないという事は知らない)

【今回の新規登場】
●不動琢磨(GET BACKERS 奪還屋)
「サトリの不動」の異名を持つ奪い屋。
相手の動きの数秒先を見る事の出来る「サトリ」の能力を持っている。
(ワン・セコンドで一秒先、ツー・セコンドで二秒先が見える。
アニメではエイト・セコンドまで可能だった)
同業者曰く「欲だけで動く、人間の汚い部分を全部詰め込んだ男」

512 名前:無題:2005/10/10(月) 09:07:55

***太陽系・暗礁宙域***

ここ地球から遠く離れた暗礁宙域では、
最近鳴りを潜めていた木星勢力が、
異星からの訪問者と接触していた。

シロッコ「遥々ようこそ、ゼ・バルマリィ帝国
 シヴァー・ゴッツォ宰相閣下。…いや、今は元宰相殿でしたかな…?」
シヴァー「………」

シヴァー・ゴッツォ。
ゼ・バルマリィ帝国最高評議会「シケム」の議長であり、
霊帝近衛軍の総司令官を務めた男。
帝国の支配階級・十二支族の一つゴッツォ家の長でもある。

キャリコ「口を慎め!地球人!」
スペクトラ「本来であれば、お前達如き野蛮な劣等民族が
 直に口を聞く事など許されぬ御方なのだぞ!」
ザビーネ「そちらこそ口を慎んでもらおう」
キャリコ「何っ!?」
カラス「フォッフォッフォッ…バルマーが銀河の帝国列強に
 名を連ねていたのは昔の話。アポカリュプシスによる隕石雨で
 本星が崩壊してからというもの、宇宙連合との争いにも敗れ、
 全ての植民星も失い、今では宇宙連邦の保護を受ける
 一介の弱小国の地位に転落したと聞き及んでおりましたがな…」
キャリコ「…だから、今は自分達の方が立場が上だとでも
 言うつもりか?」
カラス「解釈はどのようにでも」
キャリコ「貴様ッ!!」
シヴァー「よさぬか、ギメル!」

激高するキャリコを制するシヴァー。

キャリコ「はっ…」
シヴァー「太陽系などという銀河の最果ての地にいながら、
 随分と銀河宇宙の情勢に詳しいようだな、シロッコとやら…」
シロッコ「フフフ…シヴァー閣下。"蛇の道は蛇"とよく申します」
シヴァー「…なるほど。卿と私は同類か…」
シロッコ「………」
シヴァー「…ところで、汝らの首領、
 クラックス・ドゥガチと会見を申し出たい。
 ドゥガチは今どこにおる?」
シロッコ「ドゥガチ総統は現在病に臥せっておられ、
 現在のところ対面は叶いません」
シヴァー「………まあよい。これから暫く世話になるぞ。
 "今後の事"もあるからな」
シロッコ「………」( ̄ー ̄)ニヤリッ

ザビーネ(シロッコめ。ドゥガチ総統の行方不明をよいことに、
 バルマー残党の後ろ盾を得て、木星勢力の実権を握るつもりか…!
 そうはさせんぞ…!)


●ジュピトリアン⇒太陽系に来た帝国監察軍(シヴァー派)と接触、合流。

【今回の新規登場】
●ザビーネ・シャル大尉(機動戦士ガンダムF91/機動戦士クロスボーンガンダム)
 元CVの最強部隊ブラック・バンガードの指揮官。急進派の貴族主義者。
 XM-X2クロスボーンガンダム2号機改パイロット。
●シヴァー・ゴッツォ(バンプレストオリジナル)
 霊帝に反旗を翻した帝国宰相。霊帝近衛軍総司令官。十二支族ゴッツォ家の長。
●キャリコ・マクレディ戦爵(バンプレストオリジナル)
 シヴァーの手足となって動く特殊部隊ゴラー・ゴレムの隊長。
 イングラム・プリスケンのクローン。
●スペクトラ・マクレディ戦爵(バンプレストオリジナル)
 ゴラー・ゴレム隊の副隊長であり、ヴィレッタ・バディムのクローン。

513 名前:時空編/未来世界/地球:2005/10/11(火) 20:36:20

***エターナル・ブリッジ***

バルトフェルド「……これで、大体の事は把握できたな。」
マスタング「俄かには信じがたい事ばかりだがな……だが、全て事実か。」

丁度その頃だった。
バルトフェルド達は、互いの情報交換を終え、大体の状況を理解した。
簡単に信じられる事ばかりではなく、未だに困惑の色を隠せない者も中には居る。

シャノン「そんなとんでもない事が、過去の世界で起こっているのか……」
バルトフェルド「ああ……だから、我々はそれを防ぐ為にこうしてこの世界にやってきた。
こちらの世界もそちらの世界も、大きな異変が起こりつつある。
このままではどんな事態になるか分からんな。」

最早、自分達の成すべき事は一つしかない。
異変の元凶を突き止め、そしてそれを完全に止める。
お互いに協力しあわなければ、この未曾有の危機を終わらせる事は出来ない。
唐突過ぎる出来事に、パシフィカ達も戸惑っているが……それでもやるしか道は無いのだ。
しばしの間、沈黙がブリッジ内に流れる。
そしてその数秒後……パシフィカが沈黙を破った。

パシフィカ「私、や……」

しかし、その時だった。
突然、彼女達の目の前を一枚の『ドア』が横切った。
凄まじいスピードで、ブリッジと通路を繋ぐドアが吹っ飛んできたのだ。
幸いな事に、誰にも命中はしなかったが……ブリッジに戦慄が走った。
とっさに皆が視線を通路へと向ける。
その先に居たのは……奪い屋、不動琢磨。

レオ「な、何だお前は!?」
不動「……ちっ。
何だよ、おい……ラクス=クラインがいねぇじゃねぇか。」

ブリッジを見回し、不動は舌打ちした。
自分の標的であるラクスの姿が、何処にも見られないからである。
不動は見ても分かるように、不機嫌な状態だった。
ラクスも含めてその場にいる者達を、纏めて殺すつもりだったが……その予定が崩れた。
これでは、手間が余計にかかってしまうではないか。
不動はその怒りの矛先を、目の前にいる者達へと向けた。

不動「仕方ねぇ……てめぇらだけでも殺しておくか。
楽しませてくれよな……おい?」
ゼフィリス「貴様……一体、何のつもりだ?」
不動「そんなの、俺の知ったこっちゃねぇな……俺はただ、依頼を受けただけだ。
ラクス=クラインの命を奪えってよぉ……俺は楽しめさえすりゃそれでいいんだよ!!」

不動が腕を振りかぶり、凄まじいスピードで間合いを詰めてきた。
一体この男が、いや、この男の上にいる者が、何を考えてラクスの命を狙ってきたのかは分からない。
訳も分からぬまま殺されるなど、死んでも御免である。
戦闘の出来る者達は、各々とっさに臨戦態勢をとる。
その中でも真っ先に動いたのは、マスタングだった。
彼は発火布製の手袋を右手に着けると、その手を不動へと向けた。

マスタング「残念だが、相手が悪かったな。
この焔の錬金術師を敵に回したことを、後悔するがいい!!」
不動「後悔すんのはてめぇの方だ……ワン・セコンド!!」

マスタングが右手の指を、パチンと鳴らす。
その瞬間……不動の目の前で、強烈な爆発が起こったのだ。
これがマスタングの得意とする錬金術。
彼が身に着けている発火布製の手袋は、強く摩擦すると火花を発する。
後は空気中の酸素濃度を可燃物の周りで調整すれば……爆発を起こせる。
その破壊力は、余りにも凄まじすぎるものだった。
ブリッジの床には黒い焦げ跡がはっきりと残っている。

ヒタカ「大佐、これはちょっとやりすぎでは……」
マスタング「ああ……久々だから、上手く加減が出来なかった。
だが、流石に殺してまではいない筈だ。
生きてさえすれば、誰から雇われたのかを吐かせて……」
不動「後悔させんじゃなかったのかよ、おい?」
マスタング「っ!?」

今の一撃で仕留めたと、誰もが思い込んでいた。
だが……不動はその予想を大きく裏切っていたのだ。
今……彼は全くの無傷で、マスタングの背後に立っていた。
その声を聞き、とっさにマスタングは振り返るが……直後。
不動の拳を右肩に受け、勢いよく床へと倒れ伏せた。
肩は裂け、夥しい量の出血が腕を伝い流れ落ちていく。

マスタング「うっ!?」
不動「おい、まさかこれで終いじゃねぇだろな……?」
シャノン「貴様ぁ!!」

マスタングへ追撃をかけようとする不動へと、シャノンが仕掛けた。
勢いよく、手に持った剣で薙ぎ払いにかかる……だが。

不動「ツー・セコンド!!」

不動はその一撃をいとも容易く回避した。
そして拳を突き出し、シャノンの胴体へと強烈な一打を見舞う。

バキッ

シャノン「がはぁっ!?」

嫌な音が響く。
間違いなく……肋骨を叩き折られた。
その光景に、パシフィカ達は信じられないでいた。
シャノンは自分達が知る限り、随一とも言える剣術の使い手。
そんな彼が今……まるで赤子を扱うかのようにあしらわれているのだ。
不動の姿には、恐怖すらも感じさせられた。
誰もが驚きを隠せないでいた……そんな中。
バルトフェルドは、ある別の事を考えていた。
確かこの男……直接出会った事は無いが、自分の記憶が正しければ。

バルトフェルド「……まさか、サトリの不動か?」
レオ「え?」
不動「……どうやら、俺の事を知ってる奴もいたみたいだな。
その通りだ……俺は奪い屋、サトリの不動琢磨だ。」
ラクウェル「バルトフェルドさん、この人の事を知っているんですか?」
バルトフェルド「……我々の世界では、それなりに名前の通っている裏家業の人間だ。
他人の物を奪う事を仕事にしている、凄腕の奪い屋……サトリの不動。
そうか、だからさっきも二人の攻撃を簡単に回避できたのか……」
マスタング「サトリ……?」
バルトフェルド「奴の能力の名前だ。
相手の動きを先読みする能力……ワン・セコンドで相手の一秒先を、ツー・セコンドで相手の二秒先を見る事が出来る。」
シャノン「先読み……じゃあ、俺達の攻撃は……」

バルトフェルドから不動の能力を説明され、自分達の攻撃を尽く回避された理由を誰もが理解した。
不動は攻撃を受ける寸前に、その行動を全て先読みしていたのだ。
そうすれば、後はスピードさえあれば回避は簡単である。
こんな相手と戦うのは、誰にとっても初めてだった。
勝つ事が出来るのか……全ての者の脳裏に、その不安が過ぎった。

バルトフェルド(だが……この男がここにいるという事は、間違いなく上にいる人間は俺達の時代の人間だ。
一体、誰が何の狙いで……)

○ロイ・マスタング⇒不動の一撃を受けて右肩を負傷
○シャノン・カスール⇒不動の一撃を受けて肋骨を三本ほど持っていかれる
●不動琢磨⇒ラクスがいない事を知り、代わりにエターナルのブリッジにいる者全てを皆殺しにしようと襲い掛かる

514 名前:時空編(現代):2005/10/12(水) 17:17:57

――現代に戻る。

***エジプト・屋敷***

エジプトの首都カイロの一角。
そこにはある大きな館があった。
かつてこの館には、ある一人の男が住んでいた。
その名はDIO=ブランドー……人の身を捨て、吸血鬼となった狂気の男。
彼はスタンドと呼ばれる特殊な能力を使い、この世界を己の物にしようと企んでいた。
だが、それを拒んだ者達がいた。
DIOとは長きに渡る因縁を持つ、誇り高き血統を持つ者……ジョースターの血統の者達だった。
数多くの犠牲を払うことになってしまった。
だが、最後にDIOは敗れ去ったのだ。
ジョースター家のスタンド使い……空条承太郎によって。
それ以来、この館に住む者はいない。
空き家となっている……その筈だった。
だが……今、この館には再び主が舞い戻ってきたのだ。
館の奥にある玉座で、一人の男が座っていた。
黄泉がえりにより復活した、暗黒の救世主……DIO。
圧倒的な威圧感を持つ悪のカリスマ。
そんな彼の元へと、一人の男性がやってきた。

DIO「ダルトンか……その様子なら、上手くいったようだな。」
ダルトン「はい……無事に起動は成功し、不動琢磨は未来へと送り込まれました。」
DIO「分かった……もういい、下がれ。」
ダルトン「分かりました。」

DIOへと報告を終えると、ダルトンはあっさりと下がった。
その首筋には、何か肉筋のような者が見えた。
DIOの体から放たれる肉の芽。
それがダルトンに寄生し、彼をDIOの意のままに操っているのだ。

DIO「こうして再びこの世界へと舞い戻った今。
今度こそ、このDIOが世界を支配して見せてくれる……その為には、邪魔な存在は一人残さず抹殺しなければな。
次に仕留めなければならないのは、ジョースターの血統どもだな。
特にあの男……承太郎。
我が止まった時の中に入門することの出来た、あの男だけは……何があろうと確実に殺さなければならない。
このDIOにとって、奴は間違いなく最大の敵となりえるからな……ヴァニラ・アイス。」
ヴァニラ「はい……ここに。」

何も無い空間から、一人の大男が現れた。
DIOに絶対的な忠誠を誓うスタンド使い……ヴァニラ・アイス。
彼はDIOに跪き、その言葉を待った。

DIO「日本の伊豆に、呪いのデーボを寄越せ。
奴等の移動の要である、時空クレバスの制御装置を破壊して使い物にならないようにするぞ。
恐らくあれの開発には、スピードワゴン財団も関与している。
最悪の場合、ジョースター家の者どもまでもが時空を越えてしまいかねない。
その装置さえ破壊できれば、時空を超える力を持つのは我々を含めてごく少数しかいなくなる。」
ヴァニラ「分かりました……すぐにデーボへと伝えておきます。」

DIOの命令を聞くと、ヴァニラは自分のスタンドを呼び出した。
亜空間へと通じる口を持ち、飲み込んだ物を消滅させるスタンド、クリーム。
その口内へとヴァニラは入り込むと、そのまま完全に姿を消した。
そして、誰にも悟られぬままに移動を開始する。

DIO「ふふ……今度こそ。
今度こそ、この手で世界を手に入れて見せるぞ……ハハハハハハァ!!」

●DIO=ブランドー⇒不動琢磨を未来世界へ送り込んだ張本人。
時空クレバス制御装置を破壊するべく、暗躍を始める。
●ダルトン⇒DIOの肉の芽によって完全に操られ、彼の命令に従い、タイムマシンのシルバードを操っている。
●ヴァニラ=アイス⇒時空クレバス制御装置破壊の任を仲間の呪いのデーボに伝えにいく

=今回の新規登場=
●DIO=ブランドー(ジョジョの奇妙な冒険)
絶対的なカリスマを持つ吸血鬼にして、ジョースター家の宿敵。
最強のスタンド「ザ・ワールド」を操る。
朝日と紫外線に弱く、浴びると体がひび割れ砕けていく。
●ダルトン(クロノトリガー)
分不相応な野心を秘めた策士。
特殊な魔道生物「ダルトンゴーレム」を生み出す事が出来、更に彼自身にもそこそこの戦闘能力はある。
しかし、人の上に立てる器とはお世辞にもいえない。
●ヴァニラ=アイス(ジョジョの奇妙な冒険)
DIOに忠実な、屈指の実力を持つスタンド使い。
「亜空の瘴気」の異名を持ち、彼のスタンド「クリーム」の破壊力は、全スタンド中でも最大級。
DIOの血を与えられた為、彼同様の吸血鬼となっている。

515 名前:G細胞編/動乱と陰謀の鼓動:2005/10/16(日) 01:21:39

>>437の続き

***忍風館***

富士山麓での激闘から数日後。

ツルク星人らを倒したハリケンジャーの三人は忍風館に帰還し、
知らせを受けて急遽駆けつけたゴウライジャーの二人とともに、
疾風流忍術研究室室長・日向おぼろから、今回の事件に関する情報を聞かされていた。

鷹介「…宇宙連合が内部分裂してるって!?」
おぼろ「そうや。今の宇宙連合は平和主義の穏健派が主導権を握っとる。
 でもそれを快く思わないタカ派の侵略主義者達がいて、対立が燻っとる状態や。
 タカ派の連中は、密かにクーデターの準備を進めとるらしい。
 これは地球署のデカレンジャー達からの情報やから、かなり信憑性は高いで。
 今回のそのメトロン星人いうのも、その一派と見て間違い無いやろ」
吼太「メトロン星人は、近い内に地球に攻め込むって言ってました…!」
おぼろ「宇宙連合タカ派のほとんどは、過去に地球侵略を企んでウルトラ戦士に阻止された連中や。
 だから奴らが政権を取ったら真っ先に地球を狙ういうのも、まぁありそうな事やな」
七海「じゃあ、もうすぐ地球連邦と宇宙連合で戦争になるって言うんですか!?」
おぼろ「いや、あくまで奴らのクーデターが成功したらの話や。
 宇宙では今、物凄い情報戦と政治的な駆け引きがされとる。
 だからこれから先の事は、もうしばらく様子を見ん事には何とも言えへんな」
吼太「メトロン星人は一体、何の目的で地球に来たんだろう…」
鷹介「そりゃやっぱり、攻撃の前の下調べだろ?
 あいつ、自分でも宇宙連合の偵察部隊だって名乗ってたし」
おぼろ「まぁ、それもあるけどな…。もう一つ、奴には重要な目的があるみたいなんや。
 …それについては、彼女達から説明してもらった方が早いやろ。
 二人とも、入ってええで」

おぼろがそう言って手で合図すると、
かつてのハリケンジャー達の宿敵――ジャカンジャ暗黒七本槍の二人、
フラビージョとウェンディーヌが部屋へ入って来た。

鷹介「わっ、お、お前達は…!」
吼太「ジャカンジャ!」
七海「な、何でここに…?」
ウェンディーヌ「うふ〜ん。お久し振りね、ハリケンジャーにゴウライジャーの皆さん…」
フラビージョ「いぇーい! みんな元気だった〜?」

予期せぬ来客に驚き身構えるハリケンジャーとゴウライジャーの五人。
だが、おぼろは色めき立つ五人をなだめる。

おぼろ「まぁ落ち着きや。この二人は、今は仲間なんやから」
鷹介「仲間…?」
ウェンディーヌ「そうよ。私達はもうジャカンジャの一員じゃないわ。
 今日は、あなた達に大事な事をお知らせしにここへ来たの」

おぼろとウェンディーヌの口から飛び出した思わぬ言葉に、
一同は息を呑んで沈黙した。

フラビージョ「七海ちゃん、あの時はホントにごめんね。
 でも今度は私達、嘘じゃなくて本気でジャカンジャを辞めたの」
ウェンディーヌ「私達、あの後エヴォリアンでも散々利用されて嫌な思いをしたし、
 もう今からグランショッカーみたいな悪の組織に戻る気なんて無いわ」
七海「本当…なの?」
一甲「そう簡単に信用は出来ないな」
鷹介「そうだ! もう二度と同じ手は食わないぞ!」

かつてフラビージョはジャカンジャを裏切ったと偽り、
ハリケンジャー達を罠に嵌めようとした事があった。
それだけに、おぼろの言葉にも彼らはそう簡単には警戒を解かない。
特に、フラビージョとの友情を信じたために気持ちを踏みにじられた七海は…。

七海「う〜ん、信じて、いいのか、な…。でも…」
おぼろ「いや実は、この二人はもうかなり前に悪の道から足を洗っとってな、
 今まで何年かの間、ある人物に匿われてずっと地球で暮らしとったんや。
 本当はあんたらにも前々から会いたがってたんやけど、
 ジャカンジャの抜け忍という都合上、なかなかそうも行かへんでな。
 ただ、どうしても皆に伝えなきゃいかへん情報があって、
 宇宙連合の連中が地球で本格的に動き始めた今、一刻の猶予も無いから言うて、
 命を賭して今日ここまで来てくれたんや」

事の次第を詳しく説明するおぼろだったが、
五人と二人の間に、どうしても不穏な空気が拭えない。

おぼろ「まぁ、事情が事情やし、急に信じろいうのも無理な話や。
 今も言うたけど、二人は貴重な情報を持って来てくれたそうやから、
 まずはその話だけでも聞いてやってや。な?」

五人をなだめ、取りあえず皆を椅子に座らせるおぼろ。

ウェンディーヌ「私達はエヴォリアンを追われた後、
 偶然巻き込まれた宇宙クレバスでダイノアースからこの世界に戻って…。
 でも戻れた先は、同じこの宇宙でも、私達の知らない遠くの銀河にある星だった。
 そこは宇宙連合っていう勢力が束ねている星域だったみたいなんだけど…。
 その星で私達は、凄く危険な極秘情報をたまたま入手したのよ」
鷹介「危険な極秘情報?」
フラビージョ「うん。地球が危ない、っていう話なんだけどね」

自分達が宇宙から持ち帰った情報を淡々と話し出す二人。
ハリケンジャーとゴウライジャーも、今は黙って二人の話に耳を傾ける。

ウェンディーヌ「宇宙連合では今、エンペラ星人が束ねる強硬派の勢力が、
 地球圏の侵略を狙って着々と戦闘準備を進めているわ。
 彼らは密かに、宇宙の色々な勢力に働きかけて仲間を増やしてるらしいの。
 地球人植民星のメジェールやタラークが
 フリーザ軍や暗黒ホラー軍団に攻撃されたのは知ってると思うけど、
 彼らもエンペラ星人とは裏で秘密同盟を結んでいるらしいのよ」
フラビージョ「それにグランショッカーにも、何人か仲間がいるみたいだしね」
ウェンディーヌ「そう。グランショッカー内部にも内通者がいて、
 宇宙連合の地球侵攻とタイミングを合わせて彼らもクーデターを起こすって話よ。
 具体的に誰と誰と誰がその内通したメンバーなのかまでは、
 私達もさすがに掴めてないけど…」
フラビージョ「結構、意外な人みたいだよ。あのヘドロのオバサンとか…」
ウェンディーヌ「え〜っ? 私はあの怖い顔した白髪のお爺さんって聞いたわ〜」
鷹介「う〜ん、分かるような、分からないような…」
一甲「ともかく、今、我らはそうした事態に備えて何をすればいいと言うんだ?」
ウェンディーヌ「そうそう、それを言わなきゃ意味無いわよね〜。
 彼らは、恐るべき計画を実行に移すために地球に偵察部隊を送り込んだのよ」
鷹介「恐るべき計画?」
フラビージョ「ハイ。このファイルを見れば分かるよ」

フラビージョはそう言って、一枚のCDファイルを取り出した。
おぼろはそれを受け取ってコンピュータに入れ、情報を画面に表示させる。

ゴジラ細胞」

画面上に現れたその大きな文字に、五人の視線は釘付けになった。

G細胞――それは、かつて日本で暴れ回った巨大怪獣ゴジラの細胞である。
驚異的な生命力と自己再生能力とを持ったこの細胞は、
全世界、いや、今や全宇宙の生物学会から注目される存在だった。
このG細胞と他の生命の細胞との交配は既に何度か行われ、
荒地でも育つ強靭な作物を生み出して世界の食糧不足を解消した事もあれば、
恐るべき植物怪獣ビオランテを誕生させて人類の脅威となった事もあり、
更には、ブラックホール内の結晶生命体と融合して宇宙怪獣スペースゴジラに変異した事や、
G細胞を再生させている物質オルガナイザーG1を自らの細胞に取り込んだ
宇宙生命体ミレニアンを怪獣化させたという事もあった。
現在、ゴジラは南太平洋の深海底で休眠状態にあるが、
以前の日本上陸の際に採取されたG細胞は、僅かではあるが今も人類の手元に残っている…。

おぼろ「このG細胞が今、宇宙連合タカ派の連中から狙われとるんやな?」
ウェンディーヌ「そう。全ては私達が入手したそのファイルに書かれてあったわ。
 エンペラ星人達は今、これからの戦いに備えて、
 最強の宇宙怪獣を作り出そうとしているの。
 その怪獣の生成に、地球最強の怪獣であるゴジラの細胞を利用したがってるみたい」
おぼろ「連中の科学力で他の怪獣とG細胞を融合させたりなんかしたら、
 かつてのビオランテやスペースゴジラとは比較にならん化け物が出来上がるやろな」
フラビージョ「きっとすっごい怪獣になるよ。
 それが地球に来たら、ウルトラマンも旋風神もあっと言う間にやられちゃうかも〜」

あどけない口調で絶望的な事を言ってのけるフラビージョ。
彼女の明るい声が、場の空気を一気に重くする。

一甲「それが、メトロン星人の本当の目的か…」
鷹介「でもまぁ、要するに、そのG細胞って奴をメトロン星人に渡さなきゃいいんだろ?」
ウェンディーヌ「そういう事ね…。
 そうすればその宇宙怪獣の誕生は防げるか、誕生したとしても不完全な状態…。
 私達はその事を伝えに、今日ここへ来たのよ。
 地球で今、G細胞がどこに保管されてるかは、あなた達地球忍者の方が詳しいでしょ?」
おぼろ「ああ、それは任しといて。
 G細胞は大阪の世界科学連邦研究所に保管されとる事が確認済みや。
 カクレンジャー達が一足先に大阪へ向かっとるでな。あんた達も応援に行ってくれ」
鷹介「分かりました、おぼろさん!」
七海「私達に、任せて下さい!」
吼太「絶対にメトロン星人の企みを食い止めてみせます!」

威勢のいい言葉を残し、五人は外へ飛び出して行った。

七海「でもさ〜、こうして五人集まるのも久し振りだよね!」
吼太「ホント、みんな元気そうで良かったよ」
一鍬「またお前達と一緒に戦えるのは、正直に言って嬉しいな」
一甲「しかし、ジャカンジャを倒して平和が戻ったのも束の間、
 また我らの力が必要となる日が来ようとはな…」
鷹介「それにしてもあの二人…。本当に信用していいのかな?」
七海「信じてあげたいけど…。でも、前はそれで騙されちゃったし…」
一鍬「これが何かの罠でないとは、断言出来ないな」
吼太「おぼろさんがああやって信用してるからには、取りあえず大丈夫な気もするけど…」
一甲「とにかく、今我らに出来るのはG細胞をメトロン星人から守る事だ。
 それだけは間違いないだろう」
鷹介「今度の敵はジャカンジャよりもずっと大きくて手強い奴らだ。
 みんな、気を引き締めて行こうぜ!」

忍風館の前で揃って変身する五人。
ハリケンジャーはハリケンウインガーで空から、
ゴウライジャーはバリサンダーで陸から、それぞれ大阪を目指し出発した。


【今回の新規登場】
○日向おぼろ(忍風戦隊ハリケンジャー)
 忍風館のOGで疾風流忍術研究室室長。ハリケンジャー達の戦いをサポートする。
○霞一甲=カブトライジャー(忍風戦隊ハリケンジャー)
 迅雷義塾の角忍科で忍術を学んだ、迅雷流の忍者。
 ゴウライジャー・霞兄弟の兄で、性格は冷静沈着。
○霞一鍬=クワガライジャー(忍風戦隊ハリケンジャー)
 迅雷義塾の牙忍科で忍術を学んだ、迅雷流の忍者。
 ゴウライジャー・霞兄弟の弟で、性格は兄に比べて直情径行。
◎フラビージョ(忍風戦隊ハリケンジャー)
 ジャカンジャ暗黒七本槍・一の槍。
 宇宙忍者達の監査と採点を担当していた元宇宙コギャル。
 現在は改心し、ジャカンジャを脱退して放浪の身に(?)
◎ウェンディーヌ(忍風戦隊ハリケンジャー)
 ジャカンジャ暗黒七本槍・四の槍。
 中忍の巨大化を担当していたジャカンジャきっての錬金術者。
 現在は改心し、ジャカンジャを脱退して放浪の身に(?)

516 名前:G細胞編/争奪戦開始!:2005/10/16(日) 01:24:24

***大阪・世界科学連邦研究所***

ニンジャレッド「…しまった! 遅かったか!」

深夜。
大阪市郊外の世界科学連邦研究所へ駆けつけた忍者戦隊カクレンジャーの五人は、
予想もしなかった光景に目を覆った。
五人が着いた時、研究所は既に何者かによって無惨に破壊されていたのだ。
屋内で爆弾が使われたらしく、壁も床も黒焦げ、窓ガラスも爆風で多数が割られていた。

ニンジャホワイト「やられたわね。G細胞はもう盗まれているはずよ」
ニンジャブルー「研究所の職員の人達も、全員殺されてるみたいだ…」
ニンジャイエロー「G細胞を奪った上に、こんな酷い事をするなんて…」
ニンジャブラック「メトロン星人、何て奴ナンダ…」

凄惨な現場を目にして呆然とただずむカクレンジャー。
その時、研究所の二階の窓ガラスを突き破って、
二匹の怪人がカクレンジャー達の前に飛び降りて来た!

プラノドン「遅かったなカクレンジャー! G細胞は我々グランショッカーが頂いた!」
ギルガラス「偉大なるグランショッカー首領に栄光あれ!」

プラノドンの手には、G細胞が入っているらしき黒いアタッシュケースが握られている。

ニンジャブルー「何っ!? グランショッカーの仕業だったのか!」
ニンジャホワイト「あなた達もG細胞を狙っていたのね…。
 どういう目的かは知らないけど、勝手な真似は許さないわ!」
ニンジャレッド「行くぞ!」

秘剣・カクレマルを抜いて二匹の怪人に立ち向かうカクレンジャー!

ギルガラス「喰らえ、デッドマンガス!」
ニンジャレッド「くっ、負けるか!」

ギルガラスの吐く毒ガスの中を素早く抜け出し、カクレマルの一撃を打ち込むレッド。
怯んだギルガラスに、左右からブルーとイエローがカクレイザーで射撃した!
ダメージを負って体勢を崩し、地面に膝を突いてしまうギルガラス。

ギルガラス「分が悪い…。G細胞を持って逃げろ、プラノドン!」
プラノドン「うむ、そうさせてもらうぞ!」

G細胞の入ったアタッシュケースを片手に、プラノドンは空高く飛び上がった。

ニンジャレッド「ああ、待て…!」

だが、プラノドンの体は空中で稲妻のような怪光線に撃たれ、突然爆発した。
落下するアタッシュケースを地上で受け止めたのは――メトロン星人!

メトロン星人「フフフ…。G細胞は頂いておくぞ」

勝ち誇るように言葉を残し、テレポーテーションで姿を消すメトロン星人。

ニンジャレッド「しまった…!」
ニンジャホワイト「とにかく、もう一匹の止めを刺しましょう!
 カクレンジャーボール、Ready Go!」

五人が次々とカクレンジャーボールのパスを繋ぎ、その度にエネルギーを球に込める。
そして最後は、ニンジャレッドが渾身の右足シュート!

ギルガラス「ぐわぁぁぁっ!!」

必殺・カクレンジャーボールを受けて、ギルガラスは木っ端微塵に吹き飛んだ。

ニンジャイエロー「やった!」
ニンジャブルー「でも結局、G細胞はメトロン星人に奪われてしまった…」
ニンジャレッド「研究所の人達の命も、守れなかった…」
ニンジャブラック「最悪、ダナ…」

がっくりとうなだれるカクレンジャーの五人。
だがその時、壊滅した研究所の中から、一人の男が颯爽と現れた。

フクロウ男爵「Hey! カクレンジャーの諸君」
ニンジャホワイト「あなたは…!」
ニンジャブラック「Oh! フクロウ男爵!」
フクロウ男爵「心配は要らない、カクレンジャー。G細胞はここにある。
 奴が持って行ったケースには、代わりに小型の発信機を入れさせてもらった」

そう言って、G細胞の入ったビーカーを見せるフクロウ男爵。
そして、メトロン星人の位置を青い光点として示している小型レーダーも。
カクレンジャー達は安堵の溜め息をついた。

ニンジャレッド「奴は東へ向かっている。
 上手く行けば、忍風館から来るハリケンジャー達と挟み撃ちに出来るかも知れない」
フクロウ男爵「IamはG細胞を伊豆の地球連邦軍基地へ届ける。
 あそこが今は一番安全だろう。メトロン星人の追跡は、You達に任せた!」

フクロウ男爵からレーダーを受け取り、
カクレンジャー達はメトロン星人を追って東へ向かった。
大阪へ急行中のハリケンジャー達にも、メトロン星人の所在地の連絡が入る。
東からはハリケンジャー。西からはカクレンジャー。
二大忍者戦隊による包囲網が、徐々にメトロン星人を追い詰めて行く…。


【今回の新規登場】
○サスケ=ニンジャレッド(忍者戦隊カクレンジャー)
 忍者・猿飛佐助の子孫。身軽な動きと冷静な判断力を持つ。
○鶴姫=ニンジャホワイト(忍者戦隊カクレンジャー)
 妖怪退治の天命を授かった鶴姫家24代目。カクレンジャーのリーダーを務める女性。
○サイゾウ=ニンジャブルー(忍者戦隊カクレンジャー)
 忍者・霧隠才蔵の子孫。スピードが持ち味の俊足戦士。
○セイカイ=ニンジャイエロー(忍者戦隊カクレンジャー)
 忍者・三好青海入道の子孫。怪力の持ち主。
○ジライヤ=ニンジャブラック(忍者戦隊カクレンジャー)
 忍者・児雷也の子孫。大昔に渡米した忍者一族の末裔であるアメリカン忍者。
●プラノドン(仮面ライダー)
 ショッカー怪人。翼による突風と口からのミサイルを武器とするプテラノドンの改造人間。
●ギルガラス(仮面ライダー)
 ショッカー怪人。口から吐くデッドマンガスを武器とするカラスの改造人間。

517 名前:G細胞編/忍風戦隊VS暗殺宇宙人:2005/10/16(日) 01:27:21

***三重県・鈴鹿山脈***

朝日を浴びて輝く伊勢湾を、メトロン星人は山の頂から静かに眺めていた。
足元には、昨夜グランショッカーから奪った黒いアタッシュケースが置かれている。
背後に人の気配を感じて、メトロン星人は振り返った。

ハリケンレッド「久し振りだな、メトロン星人!」
ハリケンイエロー「地球署でデカレンジャー達が待ってるぜ!」
ハリケンブルー「そのケースの中身は、もう確かめた?」
ハリケンレッド「G細胞を手に入れて一安心って所だろうが、残念だったな!
 そいつの中身はフクロウ男爵がすり替えたんだ!」

颯爽と現れて見栄を切るハリケンジャーだったが、
メトロン星人はうろたえるどころか、不敵な表情を浮かべて三人を嘲笑う。

メトロン星人「…愚か者め。そんな手にかかるメトロン星人ではない!
 本物のG細胞がフクロウ男爵の元にある事は分かっていたのだ。
 巨大戦闘ロボットを保有しているお前達さえこうして引き離してしまえば、
 フクロウ男爵など我々の宇宙怪獣の敵ではないわ!」
ハリケンレッド「何だと…!?」
メトロン星人「お前達をここに誘き出すためにわざわざ発信機を掠め取ったのだ。
 こうしている間に、フクロウ男爵は怪獣の餌食になり、
 G細胞も今度こそ我々の手に落ちる…!」
ハリケンレッド「ちぇっ、嵌められたって事かよ…」
ハリケンイエロー「カクレンジャーに連絡して、フクロウ男爵とすぐに合流してもらおう!」
メトロン星人「もう遅い! お前達の通信機はこの一帯では使用不能だ!」

ハリケンジャー達の通信機を使えなくする妨害電波が、どこからか発生していた。

メトロン星人「それでは、お前達を地獄へ案内する宇宙の殺し屋を紹介しよう。
 カーリー星人! ケットル星人! 来い!!」

メトロン星人の叫びとともに、ハリケンジャーの眼前に青い稲妻が落ちた。
そして爆発の煙の中から、かつてウルトラマンレオに倒された宇宙の殺し屋、
カーリー星人とケットル星人が姿を現した!

カーリー星人「ククク…。忍風戦隊ハリケンジャー! ツルク星人の仇…!」
ケットル星人「この星に宿る若き人間の魂…、殺す…!」

手の指をポキポキ鳴らしながら、ハリケンジャーに迫るケットル星人。
カーリー星人も血に飢えた表情を浮かべながら、ゆっくりと前進して来る。

メトロン星人「どうだね。この両名は宇宙連合が誇る無敵の殺し屋だ。
 果たしてお前達の疾風流忍術とやらで、勝てる相手かな?」
ハリケンレッド「ジャカンジャを倒した俺達の力、舐めるなよ!」
ケットル星人「フン。若造が、広言を吐きおって」
カーリー星人「すぐに死の恐怖で黙らせてやるぞ…」
ハリケンレッド「…来い!」

ハヤテ丸を構え直したハリケンレッドに、物凄いスピードで襲いかかるケットル星人。
ハリケンレッドはその体当たりをジャンプでかわし、背後を取る。

ハリケンレッド「超忍法・雷撃斬!」

後ろから、ケットル星人の肩に必殺の一撃を叩き込むハリケンレッド。
だが、ケットル星人はビクともしない。

ハリケンレッド「な、何っ…!」
ケットル星人「ククク…。どうした、それで終わりか?」

振り向きざまにパンチを繰り出すケットル星人。
ハリケンレッドは数mも殴り飛ばされ、森の大木に激突した!

ハリケンレッド「うわあっ!」

カーリー星人「貴様ら二人は、俺が相手してやろう。
 ククク…。青い方は、さては女だな? それはますます殺し甲斐がある…」

かつて地球で、女性ばかりを狙って通り魔殺人を繰り返した過去のあるカーリー星人。
ハリケンブルーが女性だと分かると、一層血に飢えた様子で興奮に身を震わせた。

ブルー&イエロー「ガンモード!」

ブルーとイエローが、銃に変形させたハヤテ丸でカーリー星人を同時に射撃!
しかしカーリー星人は全くノーダメージだ。
二人はハヤテ丸を再び剣タイプに戻して同時に斬りかかるが、
カーリー星人の両肩に生えた長剣で受け止められ、振り払われてしまう。
そしてその剣による反撃の一撃が、ハリケンブルーの左腕を裂く…!

ハリケンブルー「きゃあっ!」
ハリケンイエロー「七海! くっ、こうなれば…! 疾風流奥義・大地斬!」

地面を滑るように駆け抜けてカーリー星人に接近し、ハヤテ丸で斬り付けるイエロー。
だが、この必殺の一撃すらも、カーリー星人の斬り返しを受けて破られてしまう。
大ダメージを受けて地上に転がり落ちるハリケンイエロー。

ハリケンイエロー「ううっ、何て奴らだ…!」
ハリケンブルー「強過ぎる…。私達の技が、通じない…!」
ハリケンレッド「一体、どうやって倒せばいいんだ…!」

怯む三人に迫る、カーリー星人とケットル星人。

カーリー星人「そろそろ止めを刺してやろう」
ケットル星人「俺に任せろ。…アトミックランス!」

ケットル星人が叫ぶと、長槍状の武器・アトミックランスが現れた。
これこそ、ケットル星の科学が生み出した究極の破壊兵器なのだ。

ケットル星人「死ね、ハリケンジャー!」

アトミックランスの先から一発のミサイルが放たれ、三人を襲う!
着弾と同時に大爆発が起こり、真っ赤な炎が三人を呑み込んだ…。

ケットル星人「フハハハハ! 見たか! アトミックランスの威力を!」
カーリー星人「…む? あれを見ろ」

燃え盛る炎の中を、カーリー星人が指差す。
そこには、脱ぎ捨てられたハリケンジャー達のスーツが…。

ケットル星人「う〜む、逃がしたか!」
カーリー星人「だが奴らは一人残らず傷を負っている。そう遠くへは逃れられまい…」
メトロン星人「止むを得ん…。カーリー星人はハリケンジャーを探し出して止めを刺せ。
 ケットル星人はカクレンジャーとゴウライジャーを倒すのだ。
 奴らも、もう近くまで来ているようなのでな…。
 私はその間に、本物のG細胞をフクロウ男爵から頂戴して来るとしよう」

そう言葉を交わし合って、三人の宇宙人は散った。


【今回の新規登場】
●暗闇宇宙人カーリー星人(ウルトラマンレオ)
 両肩に生えた長剣を武器とする宇宙人。
 女性を狙って通り魔殺人を行った。巨大化すると怪獣のような形態になる。
●怪異宇宙人ケットル星人(ウルトラマンレオ)
 怪力とアトミックランスを武器とする宇宙人。
 高齢化によって絶滅寸前となった種族で、繁栄している他の星の種族を無差別殺戮する。

518 名前:G細胞編/死神と秘密警察:2005/10/16(日) 01:29:53

***グランショッカー基地***

G細胞を奪取するため、大阪の世界科学連邦研究所へ差し向けられた
ショッカー怪人・プラノドンとギルガラスが倒された事は、
この二匹を送り込んだ死神博士を大いに歯ぎしりさせていた。

死神博士「おのれ、忌々しい忍者どもめ…。
 それにメトロン星人までがG細胞を狙っていようとは…」

ワイングラスを持った手をガタガタと震わせ、動揺と怒りを露にする死神博士。
G細胞を改造人間の体内に移植する事で、
グランショッカー怪人にゴジラの生命力と自己再生能力を付与しようという、
戦力強化のための一大プロジェクトを彼は任されていた。
しかし、計画が動き出した途端に思わぬ妨害に遭い、
G細胞を手に入れるという最初の段階で、このプロジェクトは早くもつまずいてしまったのだ。

死神博士「異世界への侵攻、宇宙連合からの攻撃…。
 これからの様々な事態に備え、この強化プロジェクトを失敗させる訳には行かんのだ…!」
???「ならばG細胞は私が奪って来よう」

声とともに、研究室のドアが突然開く。
部屋に入って来たのはGOD秘密警察第一室長・アポロガイストであった。

アポロガイスト「G細胞をメトロン星人などに渡せば絶対に後悔する事になるぞ!
 死神博士、ここは我々GODにお任せ頂きたい。
 必ずや邪魔者どもを討ち倒し、G細胞を我々グランショッカーの手に入れて見せる…!」
死神博士「おお、アポロガイストか…。
 先日はハリケンジャーとメトロン星人に一杯食わされたそうではないか。
 その復讐にでも燃えておるのか?」
アポロガイスト「フッ、これは聞き捨てならぬお言葉…。
 G細胞プロジェクトは我々グランショッカーの勝利には不可欠の重要作戦だと、
 先日の会議で熱弁を振るっていたのは死神博士、あなたですぞ?
 メトロン星人を捕えるのも、私怨ではなくグランショッカーの事を思えばこそ」
死神博士「まあ良い。では頼むぞアポロガイスト。
 会議でも述べた通り、この計画にはグランショッカーの命運がかかっておる」
アポロガイスト「承知した。博士はここで、大船に乗った気持ちで果報を待たれよ」

自信を漲らせる台詞とともに研究室を出て行くアポロガイスト。
死神博士はそれを、死神の名に相応しい不気味な笑みで見送る。

死神博士「…頼むぞアポロガイスト。
 わしとしても、GVMN・ラボのビアスやケフレンらに負ける訳には行かんのでな…」

519 名前:G細胞編/友情と反撃:2005/10/16(日) 01:33:06

***森の奥の洞窟***

ケットル星人とカーリー星人に敗れて撤退したハリケンジャーの三人は、
変身を解除した状態で山奥の洞窟に一時避難していた。
だが、ここにも追手のカーリー星人が迫る…。

カーリー星人「…間違い無い。この洞窟だ。
 この中に、微弱だが三つのエネルギー反応がある。
 フフフ、さすがフリーザ軍の小型生体センサーは優秀だ…」

宇宙連合タカ派と秘密同盟を結んでいるフリーザ軍から提供された、
ゴーグル型の小型生体センサー・スカウター。
カーリー星人はこれを使って、三人のエネルギー反応を探し当てていた。
ゆっくりと洞窟へ入って行くカーリー星人。
足音が洞窟の中に響く。

吼太「まずいぞ。奴がこっちへ来る…!」
七海「もう逃げ場は無いみたいね…」
鷹介「こうなったら…」

目を合わせる三人。
相手が凄まじい強敵なのは知っているが、恐れている場合ではない。
覚悟を決めた三人が、ハリケンジャイロに手をかけたその時…。

カーリー星人「な、何だ貴様は!? ぐっ、ぐわああっ!」

洞窟に突然響いたカーリー星人の悲鳴。そして爆音。
ハリケンジャー達は思わず変身を止めて、洞窟の入口を見た。
そこに立っていたのは…。

ウェンディーヌ「ハァ〜イ! 三人とも無事かしら?」
フラビージョ「間に合ってホントに良かった〜!」

七海「フラビージョ! ウェンディーヌ!」
吼太「どうしてここへ…」
ウェンディーヌ「どうしてって、嫌ね〜。助けに来たに決まってるじゃない。
 気持ちは分かるけど、もうそろそろ信じてくれてもいい頃よ」
フラビージョ「あの宇宙人は私達が片付けてあげるからね!」

そう言い残し、洞窟の入口の方へ振り返るフラビージョ。
ダメージを負ってよろめきながら、カーリー星人がまたこちらへ迫って来ていた。

カーリー星人「おのれ…。邪魔者は許さん…。
 ほう、二人とも女か…。ならばこのカーリー星人様の格好の獲物じゃないか…」

女性への執念は何故か並大抵ではないカーリー星人。
怒りの表情が、流血に飢えた猟奇殺人者のそれに変わる。しかし…。

フラビージョ「ドッカン!」

フラビージョの爆発攻撃を頭に受けて、
カーリー星人は洞窟の外へ大きく弾き飛ばされた。

カーリー星人「おっ、おのれぇ…!」
フラビージョ「まだまだ行っくよ〜!
 ドカン! ドカン! ドカン!」

洞窟から出て来たフラビージョの連続攻撃。
ドカンという掛け声とともに、カーリー星人の頭が何度も爆発する。
頭から煙を噴き上げながら、のた打ち回るカーリー星人。

カーリー星人「ぐ、うあああっ!」
七海「す、凄い…」
鷹介「な、何でこんなに強いんだ…?」

ハリケンジャーはフラビージョとは対戦して何度も勝っている。
そのハリケンジャーが完敗した強敵を、フラビージョが一人で圧倒しているというのは、
確かに目を疑う光景ではあった。

ウェンディーヌ「びっくりした〜?
 私達、物凄〜くパワーアップして帰って来たのよ!
 …と言いたい所だけど、それは冗談。
 何て事はないわ。要は、私達があの宇宙人の弱点を知ってるだけ」
鷹介「弱点?」
ウェンディーヌ「そう。カーリー星人は眉間が急所なの。
 フラビージョはそこをあの攻撃でピンポイントで狙い続けてるって訳」
吼太「そうか、成る程…」
ウェンディーヌ「G細胞を守るために私達も戦うわ…。ここは任せて。
 それが今の私達に出来る、地球への、そしてあなた達への…
 最大限の罪滅ぼしだと思うから」

そう言い残し、フラビージョの方へ駆けて行くウェンディーヌ。
ハリケンジャーの三人は、しばし唖然としてそれを見送っていた。

ウェンディーヌ「あらあら、随分と可愛がってあげたみたいね、フラビージョ」
フラビージョ「えへへ…。女の子の恨みは怖いんだからね。
 昔、地球でたっくさん女の子を殺した罰みたいな感じ?」
ウェンディーヌ「そうね〜。じゃ、そろそろ二人で止め刺しちゃう?」
フラビージョ「OK。じゃ、せ〜の! で行くよ」
ウェンディーヌ「いいわ。せ〜の!」

フラビージョとウェンディーヌの止めの合体攻撃が、
カーリー星人に炸裂しようとしたその瞬間…。

フラビ&ウェンディ「きゃあっ!!」

爆発は、二人の足元で起こった。
悲鳴を上げて倒れる二人。
そして大きな岩の陰から、アポロガイストが姿を現した。

カーリー星人「む? 貴様は…?」
アポロガイスト「観念しろ、宇宙連合の工作員よ!
 GOD秘密警察第一室長・アポロガイストが貴様の身柄を拘束する!
 貴様らが何を企んでいるのか、我々の基地でたっぷり白状してもらうぞ」
ウェンディーヌ「ア…アポロガイス…ト」
アポロガイスト「ジャカンジャの抜け忍どもよ。貴様らも覚悟しろ!
 栄光あるグランショッカーの地位を捨ててハリケンジャーなどに加担した罪は
 万死に値するぞ!」

そう言って、フラビージョの頬にアポロマグナムの銃口を押し付けるアポロガイスト。
先程の攻撃で負傷したフラビージョとウェンディーヌは動けない。

ウェンディーヌ「う…、撃ったら許さないわよアポロガイスト…!」
アポロガイスト「黙れ! こいつはジャカンジャで宇宙忍者どもの監察官をしていた女だ。
 ならば裏切り者がどんな処罰を受けるべきなのか、
 GOD秘密警察のこの俺からわざわざ教わるまでもあるまい」
フラビージョ「うえ〜ん! やだよ、死にたくないよ〜」
アポロガイスト「うるさい! グランショッカーに逆らう者は死あるのみだ!」

右手を突き出して射撃体勢に入るアポロガイスト。
アポロマグナムの弾丸が、フラビージョを処刑しようとしたその時…。

ハリケンジャー「トリプルガジェット!!」

洞窟の中から巨大なエネルギー弾が飛んで来て、アポロガイストを直撃!
大爆発がアポロガイストを数mも吹き飛ばした。

フラビ&ウェンディ「…ハリケンジャー!」
ハリケンレッド「よう。疑ったりして悪かったな、二人とも」
ハリケンイエロー「お前達が本当に仲間だって事は、もう十分分かったからさ」
ハリケンブルー「後は、私達に任せて!」

変身して洞窟から出て来たハリケンジャーの三人が、
フラビージョとウェンディーヌをかばうように囲みながらそう言った。

アポロガイスト「おのれハリケンジャー! 邪魔をするな!」
ハリケンレッド「アポロガイスト、俺達の仲間をよくも酷い目に遭わせてくれたな!」
ハリケンブルー「絶対に許さないんだから!」
ハリケンイエロー「覚悟しろ!」
アポロガイスト「生意気な忍者どもめ…。
 いいだろう、いつぞやの基地を破壊された時の報いだ。
 GOD最強の破壊マシーン・アポロガイストの強さを思い知らせてやる!」
ハリケンレッド「行くぜ!」

レッドとイエローがハヤテ丸を抜き、アポロガイストに挑みかかった。
一人残ったハリケンブルーを見て、フラビージョが涙ぐむ。

フラビージョ「七海ちゃん、ホントに信じてくれるの…?
 あの時の事、許してくれるの…?」
ハリケンブルー「うん、もういいよ。
 信じた人に裏切られ…、それでも信じる人の道、ってね!」

明るい声で親指を立てて見せるハリケンブルー。
フラビージョとウェンディーヌも微笑み、そして立ち上がった。

アポロガイスト「アポロマグナム!」

右腕に装着した必殺銃・アポロマグナムを発射するアポロガイスト。
だが、レッドとイエローはそれをジャンプでかわし、ハヤテ丸で斬りかかる!
アポロガイストはそれを左手に持った盾で受け止め、
アポロマグナムの先端を剣のように使って逆に斬り合いを仕掛けた。
ハリケンブルーも横から加勢し、三対一の形勢になったが、
それでもアポロガイストは怯まず戦い続ける。

ハリケンレッド「くっ…、強い!」
アポロガイスト「どうしたハリケンジャー! さっきの威勢の良さはどこへ行った?」

だがハリケンジャーは負けない。
フラビージョとウェンディーヌ――二人との間に生まれた新たな友情が、
三人を支えているのだ!
激しく斬り立て、徐々にアポロガイストを押し込むハリケンジャー。
そして、アポロガイストが思わず後ろに引いて間合いを開けた所に、
フラビージョとウェンディーヌが横から援護射撃を撃ち込み、爆発が起きる。

ハリケンレッド「あいつら…。無理しやがって」
アポロガイスト「ええい! 小賢しい忍者どもめ!」

そんな激戦の横で、ダメージを受け倒れていたカーリー星人が、
今がチャンスとばかりに猛然とダッシュで逃走を始めた。

アポロガイスト「おのれ、そうはさせるか…!
 残念だが勝負は預ける。また会おうハリケンジャー!」

ハリケンジャーよりもカーリー星人の方が今の優先順位は上と判断して、
アポロガイストは戦闘を打ち切りカーリー星人を追った。

ハリケンレッド「ちぇっ、逃がしたか…」
ハリケンブルー「アポロガイスト…。凄い強さだったね…」
ハリケンイエロー「これが、グランショッカー幹部の実力か…」
ウェンディーヌ「グランショッカーには恐ろしい敵がまだまだ沢山いるわ。
 宇宙連合の宇宙人の中にも勿論ね」
フラビージョ「そんな事より! カクレンジャーとゴウライジャーを助けに行かなきゃ!
 きっとケットル星人と戦ってるんだから〜!」
ハリケンレッド「そうだった! 宇宙人はもう一人いたんだ」
ウェンディーヌ「ハリケンジャー、ケットル星人の弱点は着地の瞬間よ。
 あいつは凄い防御力だけど、着地の時に一瞬だけ隙が出来るの。
 そこを狙って打ち込めば、きっと…」
ハリケンレッド「よし…。みんな行くぞ!」

ハリケンジャーとフラビージョ&ウェンディーヌは、
急いでカクレンジャー達の救援に向かった。

520 名前:G細胞編/流派超越・共同戦線!:2005/10/16(日) 01:35:48

***鈴鹿山脈の山中***

宇宙連合のもう一人の刺客・ケットル星人は、
カクレンジャーとゴウライジャーの合計七人を一度に相手にして、
それでも圧倒的な強さで暴れ回っていた。

ニンジャイエロー「行くぞ! 隠流・三段斬り!」
ニンジャブラック「ア〜ンド、隠流・流れ星!」

イエローとブラックが、カクレマルの剣技で同時攻撃!
だが、恐るべき防御力を誇るケットル星人は、それをまともに受けてビクともしない。

ニンジャブラック「ナ、何ィ…!」
ケットル星人「ふん、隠流忍術とやらもそんな程度か?
 喰らえ、アトミックランス!」

アトミックランスを振り回し、カクレンジャーを次々と薙ぎ倒して行くケットル星人。

クワガライジャー「兄者、こうなったらダブルガジェットだ!」
カブトライジャー「よし、カクレンジャーを援護するぞ!」
カブト&クワガ「ダブルガジェット!!」

ゴウライジャーの必殺砲が火を噴いた!
ダブルガジェットを背後から喰らって、ケットル星人が爆煙に包まれる。

クワガライジャー「やったか…?」

だが、濛々と立ち昇る煙の中から、ケットル星人は無傷の状態で出て来た。

ケットル星人「そう死に急ぐな若造ども…。
 あの五人を片付けたら、貴様らもじっくり可愛がってやるから」
カブトライジャー「くっ、何て奴だ…」
ケットル星人「さて、後がつかえているようなのでな。
 貴様らカクレンジャーには、そろそろ止めを刺してやらねばならん」

倒れているカクレンジャー達にアトミックランスを向け、
必殺のミサイルを放とうと構えるケットル星人。
だが、振り上げたアトミックランスに三枚の手裏剣が突き刺さった!

ケットル星人「…何者だ!?」

山の上を見上げると、そこにはハリケンジャーの三人が立っていた。
ケットル星人の近くまで飛び降りて来るハリケンジャー。

ハリケンレッド「よう、また会ったな、ケットル星人!」
ハリケンブルー「今度はさっきみたいには行かないわよ!」
ハリケンイエロー「カーリー星人も倒させてもらったぞ!」
ケットル星人「何っ? 馬鹿な、カーリー星人がやられただと…」

慌ててスカウターでカーリー星人の反応をサーチするケットル星人。
辛うじて生存してはいるものの、エネルギー値が極端に低下しているのが分かった。
しかも、もう一つの巨大なエネルギーがそれを猛然と追っている…。

ハリケンレッド「さあ覚悟しろ! これだけの忍者に囲まれれば逃げ場はないぜ!」
ケットル星人「笑わせるな! 地球忍者が何人集まろうと、この俺の敵ではないわ!」

逆上してアトミックランスで殴りかかるケットル星人。
突進をジャンプでかわしたハリケンレッドは、
ニンジャレッドの元に着地して作戦を説明した。

ハリケンレッド「サスケさん、奴の弱点は着地の瞬間に防御力が落ちる事です。
 俺とサスケさんのコンビネーションでそこを狙えば、きっと勝てます!」
ニンジャレッド「そうか…! よし、だったら二人で行くぞ!」
ハリケンレッド「はい!」
ニンジャレッド「よ〜し、忍法・分け身の術!」

アトミックランスでハリケンブルー&イエローを払い倒したケットル星人を、
無数に分身したニンジャレッドが取り囲んだ。

ケットル星人「ど、どれが本物だ…?」

戸惑うケットル星人。
分身していたニンジャレッドはケットル星人の背後で一つにまとまり、
隙を突くようにして空高く飛び上がった!

ケットル星人「…ふん、甘いわ!」

素早く見切って反応し、真上にジャンプするケットル星人。
ニンジャレッドはアトミックランスで叩き落とされ、地面に着地する。
だが、ニンジャレッドの本当の狙いはそんなありきたりな奇襲ではなかった。
空中戦を制したケットル星人が降下して来た、その時――。

ハリケンレッド「疾風流奥義・大空斬!」

いつの間に飛び上がっていたのか、
ワンテンポ遅れて落下して来たハリケンレッドが真上から必殺の一撃を見舞う!
受け止めたアトミックランスが真っ二つに折れ、体勢を崩したまま着地するケットル星人。
そして、待ち構えていた地上のニンジャレッドが雷鳴剣・ヒカリマルを抜いた!

ニンジャレッド「隠流・雷鳴斬!」
ケットル星人「ぐ、うおぁぁぁっ!」

カクレマルとヒカリマルの二刀流によって繰り出されるニンジャレッドの必殺剣技!
ただでさえ体勢を崩した着地の瞬間にこの一撃を受けて、
ケットル星人は遂に大爆発を起こした。
恐るべき宇宙の殺し屋達は、地球を守る忍者のスーパー戦隊らによって倒されたのである。

ニンジャレッド「やったぜ!」
ハリケンレッド「俺とサスケさんが力を合わせれば、恐いものなんかないんだ!」
ハリケンブルー「もう、調子いいんだから。
 勝てたのは、この二人が弱点を教えてくれたお陰でしょ」
フラビージョ「え〜っ、そんな、照れちゃうよ〜」
ウェンディーヌ「うふ〜ん。お役に立てて嬉しいわ」
カブトライジャー「しかしケットル星人、相当の強敵だったな」
ニンジャブルー「あんな奴らが大挙して地球へ攻めて来たら、大変だな」
ニンジャホワイト「その日はそう遠くはないわね…。
 決戦に備えて、これからもお互い忍者の修行を頑張りましょう」
ハリケンイエロー「そう言えば、フクロウ男爵の方は大丈夫かな?」
ハリケンレッド「そうだ。確か、宇宙怪獣に襲撃させるとかって…」
ウェンディーヌ「大丈夫よ。あなた達も良く知ってる、
 あの人が護衛のために向かったわ…。
 天空神とリボルバーマンモスがあれば、きっと何とかなるはずよ」
クワガライジャー「天空神…? まさか…」
ハリケンレッド「あいつ…。無理はするなよ…!」

521 名前:G細胞編/帰って来た天空忍者:2005/10/16(日) 01:38:45

***滋賀県・琵琶湖***

愛馬・十字号に跨り、G細胞の入ったアタッシュケースを脇に抱えながら、
颯爽と琵琶湖の湖畔を駆けるフクロウ男爵。
大阪から伊豆の地球連邦軍基地を目指す彼は、
やや遠回りな琵琶湖経由のルートを取る事で、
メトロン星人やグランショッカーらの裏をかいたつもりだったが…。

フクロウ男爵「What? あれは何だ…?」

湖の中心が、噴水のように勢い良く湧き上がっていた。
そして湖面に白い閃光がほどばしり、
水中から宇宙怪獣ベムラーが姿を現した!

ベムラー「キシャァオォォッ!!」

湖畔のフクロウ男爵を睨み付けるベムラー。
口から青い熱線を発射し、フクロウ男爵を攻撃した!
大爆発が起こり、砂浜が一瞬の内に炎に包まれる。

フクロウ男爵「Oh! My God! あんなBigなモンスターは初めてだ…!」

黒煙に巻かれながら天を仰ぐフクロウ男爵。
ベムラーが再び彼を見据え、熱線の狙いを定める。今度は直撃させる気だ。
だが…。

――キィィィィィィン――!

突如として空から聞こえて来た、空気を激しく震撼させるジェット音。
異変を察知して振り返るベムラー。
見ると、緑色をした一機の巨大なヘリコプターが、
猛然と上空からベムラーの方へ向かっていた!

???「カラクリ忍法・天空裂破!」

大空に響く何者かの声。
ヘリは水面ギリギリを低空飛行しながら横倒しの体勢になると、
プロペラで湖を切り裂きながら猛然とベムラーに体当たりした!

ベムラー「キシャァオォォッ!!」

悲鳴を上げて水中へ姿を消すベムラー。
ヘリのプロペラが跳ね上げた水が湖畔に降りかかり、火災を鎮火する。
やがてそのヘリ――天空神・飛行形態は、
唖然としながら湖畔で様子を見守っていたフクロウ男爵の近くに着陸した。
いつの間に駆け付けたのか、リボルバーマンモスも遠くの湖畔に立っている。

フクロウ男爵「Oh! シュリケンジャー!」
シュリケンジャー「Hey! フクロウ男爵。G細胞搬送の任務、ご苦労様。
 こんな事もあろうかと、おぼろさんがこの忍者of忍者、
 シュリケンジャー様をあんたの護衛に遣わしたのさ」
フクロウ男爵「それはThanks!
 だが、Youはジャカンジャとの戦いで重傷を負ったと聞いていたが…?」
シュリケンジャー「ヘッ! こんな傷、どうって事無いさ」

二人の会話をかき消すかのように、再び轟音とともに湖水が噴き上がる。
ベムラーがまた顔を出したのだ。
傷を負わされたベムラーは明らかに怒り狂っていた。
リボルバーマンモスに向けて熱線を乱射する。

シュリケンジャー「行け! リボルバーマンモス!」

ニンジャミセンからの指令を受けて、
リボルバーマンモスもマンモスビームを撃ち返す。
空中でぶつかり合う両者の光線。
マンモスビームはベムラーの熱線を徐々に押し返し、とうとうベムラーの口の中まで到達!
湖を引っ繰り返すかのような大爆発とともに、ベムラーは上半身を粉砕された。

フクロウ男爵「素晴らしい…。Very Goodだシュリケンジャー」

湖に立ち昇る炎を見ながら、フクロウ男爵は感嘆の台詞を洩らした。

だがその時、メトロン星人の怪光線が二人を襲った!
アタッシュケースがフクロウ男爵の手を離れ、砂浜に転がり落ちる。

メトロン星人「余計な邪魔立てをしてくれたなシュリケンジャー。
 貴様が生きているというのは完全にこちらの想定外だったぞ。
 だが、この私の敵ではない…!」
シュリケンジャー「おっと、いきなりやる気かい?
 G細胞は渡さないぜ、メトロン星人!」

シュリケンズバットを抜いて構えるシュリケンジャー。
瞬間移動で一気に距離を詰めて来たメトロン星人と、激しい格闘戦を開始した!


【今回の新規登場】
○シュリケンジャー(忍風戦隊ハリケンジャー)
 元は忍風館の空忍科で忍術を学んでいた、宇宙統一忍者流の忍者。
 怒りが頂点に達するとファイヤーモードに強化変身する。
●宇宙怪獣ベムラー(ウルトラマン)
 青色の熱線を武器とする凶悪な宇宙怪獣。球体となっての飛行も出来る。
 ウルトラマンに怪獣墓場へ護送される途中に脱走し、地球へ逃げ込んだ。

522 名前:G細胞編/勝利の行方は?:2005/10/16(日) 01:43:16

***鈴鹿山脈の山中***

凄まじい速度で森の中を駆け抜け、宇宙船を目指すカーリー星人。
だが、その行く手をガイストカッターが遮った。
動きの止まったカーリー星人を、GOD戦闘員達が特殊金属のリングで拘束する。

GOD戦闘員「ギィ! カーリー星人を捕らえました」
アポロガイスト「フフフ…。よくやった。そのまま押さえておけ。
 さあカーリー星人、この場で尋問に応じてもらおうか。
 貴様ら宇宙連合の目的は何だ? なぜG細胞を狙っている!?」

カーリー星人の弱点である眉間にアポロマグナムを向けながら、アポロガイストが訊ねた。
先程の戦いで息も絶え絶えのカーリー星人は、巨大化して脱出しようとするものの、
リングに身体を押さえつけられて果たせない。

カーリー星人「…ううっ、アポロガイスト、殺すなら殺せ…。
 フフフ、お前達はもう終わりだ…。
 我々はG細胞を最強の宇宙怪獣の体内に移植し、元からある無敵の戦闘能力に…、
 この星で最強の怪獣ゴジラの生命力と自己再生能力をプラスさせ…、
 地球へ送り込むのだ…!
 そしてその怪獣は、我々に歯向かう者全てを滅ぼし尽くす…!
 貴様らグランショッカーがどうあがいたところで、所詮は無駄な抵抗というものだ…」
アポロガイスト「何だと…!」
カーリー星人「今頃はメトロン星人がG細胞を手に入れているだろう…。
 我々の任務は終わった。後は、星へ帰ってソヴォーグの枢密院に…、
 そして、あの御方に報告をするだけだ…」
アポロガイスト「メトロン星人か…。フッ、ならば俺にも考えがあるぞ。
 こいつが貴様らの通信機だな? よこせ!」

カーリー星人が装着していたスカウターを乱暴に掴み取り、
アポロガイストはメトロン星人に向けて通信を発した。

その頃――。


***滋賀県・琵琶湖***

メトロン星人との激しい格闘戦に突入したシュリケンジャー!
だが、シュリケンジャーの動きにはどこか精彩が欠けていた。
メトロン星人のパンチに押され気味になり、一旦後ろにジャンプして間合いを取り直す。

メトロン星人「どうしたシュリケンジャー? そんな程度ではないだろう。
 フッ、さてはジャカンジャとの戦いで負った古傷が、未だ完治していないと見えるな…」
シュリケンジャー「…ヘッ、今までのは軽い小手調べって奴さ!
 行くぞ、ファイヤーモード!」

ヘルメットを回転させ、ファイヤーモードに強化変身するシュリケンジャー。
怒りのエネルギーが全身にみなぎる。だが…。

シュリケンジャー「超忍法・分身魔球!」

無数に分裂するエネルギーボールをメトロン星人に向けて投球!
しかし、その全てはメトロン星人の怪光線によって、敢えなく相殺されてしまった。

シュリケンジャー「な、何ィッ!?」
メトロン星人「やはり、まだまだ本調子ではないようだなシュリケンジャー。
 球のエネルギーが弱まっているぞ。
 そして貴様の体が、いつまでその強化変身に耐えられるかも興味深いところだ」
シュリケンジャー「う、ぐっ…!」

言われると同時に、全身に痛みを覚えて崩れるシュリケンジャー。
かつてジャカンジャとの戦いで瀕死の重傷を負った彼にとっては、
まだファイヤーモードに変身しての戦闘の負担は重すぎるものがあったのだ…。
嘲笑いながらシュリケンジャーに迫るメトロン星人。
だが、その足を不意にフクロウ男爵のムチが払い倒した。

フクロウ男爵「Hey You! メトロン星人、城忍フクロウ男爵が相手だ!」

そう言いながら、フクロウ男爵が立ちはだかる。

フクロウ男爵「シュリケンジャー、ここはIamに任せて逃げろ!」
シュリケンジャー「な、何を言うんでぃ…。
 あんたこそここは俺に任せて、G細胞を持って早く…。うあっ!」
メトロン星人「フクロウ男爵、小癪な真似を…。
 望みとあらば二人まとめて消してやろう。
 言っておくが、今ここで他の地球人より先に死ねるのは幸運だぞ。
 これからこの星に訪れる、地獄のような光景を見なくて済むのだからな…」

止めの攻撃をしようと構えるメトロン星人。
だがその時、通信機にカーリー星人のスカウターからの連絡が…。

メトロン星人「…どうした、カーリー星人」
カーリー星人「メトロン星人…。う、ぐあっ!」
メトロン星人「何だと…? 一体何があったのだ? 応答せよ!」

通信にノイズが入り、カーリー星人の声が聞こえなくなる。
耳障りなノイズが収まった時、聞こえて来たのはアポロガイストの声だった。

アポロガイスト「フフフ…。久し振りだなメトロン星人」
メトロン星人「…貴様、アポロガイストか!」
アポロガイスト「その通りだ。カーリー星人はGOD秘密警察が拘束した。
 今、貴様らの宇宙船の場所まで案内してもらっているところだ」
メトロン星人「う〜む、あやつめ、さては不覚を取ったな…」
アポロガイスト「メトロン星人、我々と取引をしようではないか。
 こいつを殺されたくなければ、と言っても貴様らが応じるとは思えんが、
 宇宙船を爆破されたくなければ、と言えば話は別だろう。
 G細胞を今すぐグランショッカーに引き渡せ!」
メトロン星人「おのれ、あの宇宙船を失えば帰る手段が無くなってしまう…。
 止むを得ん。宇宙船の前で待っていろ。G細胞を持って行ってやる」
アポロガイスト「賢明な判断だ。では、宇宙船に爆弾を仕掛けながら待たせてもらおう」

その言葉を最後に通信は切れた。

メトロン星人「残念だが、貴様らを相手にしている暇は無くなった。
 さらばだ! G細胞は頂いて行くぞ!」

そう言って、念動力でアタッシュケースを手元に引き寄せたメトロン星人は、
高笑いとともに姿を消してしまった。

シュリケンジャー「ううっ…! ま、待てぃ…!」

追おうとしたシュリケンジャーだったが、力尽きてどさりとその場に倒れ伏す。
フクロウ男爵はそんなシュリケンジャーを優しく介抱しながら、小耳に囁いた。

フクロウ男爵「大丈夫。No Problemだシュリケンジャー。
 G細胞はほら、ここにある」

そう言って、胸元から小さなカプセルを出して見せるフクロウ男爵。

シュリケンジャー「おいおい、何てこった…。さすがはフクロウ男爵だ。
 じゃあ、あのアタッシュケースの中身は空っぽかい?」
フクロウ男爵「いいや、それはNoだシュリケンジャー。
 取っておきのあいつを、中に忍ばせておいた…」

ベムラーの残骸から立ち昇る白い水蒸気の柱を眺めながら、フクロウ男爵は笑った。
大気を揺らす爆音に気付いて空を見上げると、
旋風神、轟雷神、そしてスーパー隠大将軍の三体が、二人を助けに飛んで来るのが見えた。

523 名前:G細胞編/奥の手は暴れん坊忍者:2005/10/16(日) 01:47:21

***山奥の秘密基地***

鈴鹿山脈の奥深くに築かれていた、メトロン星人らの秘密基地。
巨大な宇宙船を収納した格納庫の前で、
縛り上げたカーリー星人の姿を満足そうに眺めながら、アポロガイストは待っていた。
手には宇宙船に仕掛けた爆弾を起動させる爆破装置を持っている。

メトロン星人「…アポロガイスト。今回はどうやら私の負けのようだ。
 G細胞は君に引き渡す。さあ、その爆破装置と交換してくれ。
 カーリー星人の身柄も解放してもらおう」

そう言ってアタッシュケースを差し出すメトロン星人。
GOD戦闘員が中身を確認しようと、アタッシュケースを受け取って開いた。

GOD戦闘員「間違いありません。G細胞です……ん?」

ビーカーの中に入っていたのは、人の形をした小さな物体。
明らかにG細胞ではなかった。
その戦闘員がおかしいと思って目を近付け、よく凝視してみると…。

ニンジャマン「――火遁の術!」

突如、ビーカーの中から噴き上がる真っ赤な炎!
盛大な音とともにビーカーが砕け散る。
縮小して中に潜んでいたニンジャマンが、
忍法で炎を噴き出しながら等身大に戻ったのだ。

アポロガイスト「な、何者だ!」
ニンジャマン「宇宙人、グランショッカー、覚悟しろ!
 世界最強の暴れん坊忍者・ニンジャマン参上!」
メトロン星人「おのれ、謀られたか…!」
アポロガイスト「ふざけた真似を…。者ども、かかれ!」

アポロガイストの号令で、次々とニンジャマンに襲いかかるGOD戦闘員。
だが、ニンジャマンはそれをニンジャソードで片っ端から薙ぎ倒す。
メトロン星人が横から怪光線を放ち、GOD戦闘員ごとニンジャマンを吹き飛ばした。

ニンジャマン「うおおっ! 不意打ちとは卑怯な奴だな〜」
メトロン星人「隙があるから撃ち込んだまでよ。
 そのくらいで怯むとは、口ほどにも無い青二才…。
 この私を愚弄してくれたからには、ただで済むとは思うなよ」
ニンジャマン「何ィ!? 青二才……青二才だと?
 うぅぅ……、怒ったぞー!」

何気ない挑発の台詞を吐いたつもりのメトロン星人。
地球の戦士達のデータは事前に下調べしてあったものの、
ニンジャマンに『青二才』の一言が禁句である事までは、さすがに彼の調査の範囲外だった。
怒りとともにニンジャマンがその姿を変貌させて行く…。

メトロン星人「……?」
アポロガイスト「まずい、脱出しろ!」

本能的に危険を察したアポロガイストがそう叫んだ次の瞬間、
秘密基地は大爆発を起こした。

サムライマン「怒り爆発! サムライマン見参!」

変身と同時に巨大化し、メトロン星人の基地を内部から突き破るサムライマン!
火山噴火のように炎を昇らせる山の頂上を地下から割って、その雄姿を地上に現した。

カーリー星人「ウォォォォ…!」

少し遅れて、巨大化して怪獣のような姿になったカーリー星人も山の中から姿を現した。
今の爆発で拘束具が壊れ、ようやく巨大化が可能になったのだ。

サムライマン「これが俺の本当の姿、サムライマンだ!
 行くぜ〜! この醜いエイリアン野郎!」
カーリー星人「グォォォォ…!」

空高く飛び上がり、両肩の剣から破壊光線を発射するカーリー星人。
素早くそれをかわし、サムライジャベリンを構えて突進するサムライマン。
剣とジャベリンが何度も激突し、火花を散らす。

サムライマン「く〜っ! こいつは結構やるなあ」

さすがのサムライマンも相手の手強さに舌を巻く。
しかし、やはりそれまでの連戦でカーリー星人は消耗していた。
動きが鈍った隙を突いて飛び上がるサムライマン。
頭上から振り下ろしたサムライジャベリンがカーリー星人の眉間を一刺し!
そして倒れたカーリー星人に、必殺のサムライ激怒ボンバーを叩き込んだ!

カーリー星人「グワァァァァッ!」

遂に大爆発を起こすカーリー星人。

サムライマン「やったぜ!」

こうして、夕暮れとともに戦いは終わった。


【今回の新規登場】
○ニンジャマン(忍者戦隊カクレンジャー)
 妖怪大魔王に騙されて罪無き人々を傷付けてしまったため壷に封印されていた、三神将の弟子。
 身体の大きさを自在に伸縮させる事が出来る。
 「青二才」と言われると怒りが爆発し、サムライマンに変身する。

524 名前:G細胞編/それぞれの決着:2005/10/16(日) 01:51:37

***伊豆・地球連邦軍基地***

激闘を終えたフクロウ男爵とハリケンジャー達は、
旋風神などのマシンに乗って伊豆の地球連邦軍基地へ飛び、
G細胞を地球連邦軍のMフォースへと届ける事に成功した。
この恐るべき力を生み出す可能性を持った怪獣王の欠片は、
当面はMフォースの厳重な管理下に置かれる事になったのである。

基地の前で一行を迎えたMフォース・MATの伊吹竜隊長に、
フクロウ男爵がG細胞を手渡す。

フクロウ男爵「Mr,伊吹、これがG細胞だ」
伊吹「うむ。確かに受け取った。
 フクロウ男爵、そして地球忍者の諸君。今回の任務、本当にご苦労だった。
 G細胞は、我々Mフォースが責任を持って預かっておく」
ウェンディーヌ「伊吹隊長、宇宙連合は間もなく、本格的に地球を狙って動き出すわ。
 地球防衛の任務、どうか頑張って下さいね」
伊吹「よく分かった。宇宙忍者のお二人も、くれぐれも気を付けて過ごしてくれ。
 これから地球が宇宙戦争の戦場になる事を考えると、何が起こるか分からんからな」
ウェンディーヌ「そうね…。抜け忍の身は辛いわ。
 もしかしたらジャカンジャも、私達を追ってまた地球へ来るかも知れないし」
鷹介「何言ってんだよ。もしそうなったら、また俺達が守ってやるって!」
七海「そうよ。これからは仲間なんだもん、何も怖くなんかないよ!」
ウェンディーヌ「ありがとう、ハリケンジャー」


***宇宙空間に浮かぶ宇宙船***

青い地球を見下ろす漆黒の宇宙空間に、一機の円盤が浮かんでいる。
機内では二人の宇宙人が、地球の人間には理解出来ない言語を使って会話をしていた。

メトロン星人「わざわざ救援の船を出してくれて礼を言うぞ、ザラブ星人。
 予備の宇宙船まで失い、このままではソヴォーグへ帰還出来なくなる所だった」
ザラブ星人「これは命令によるものだ。礼には及ばん。
 しかし随分と失態を重ねたようだな、メトロン星人。
 地球人やウルトラ戦士を相手に、仲間の宇宙人を四人も失い、
 肝心のG細胞も手に入れられずに終わるとは」
メトロン星人「うむ…。上層部には、悪い報告をせねばならなくなった。
 究極の怪獣を作り出すプロジェクトは、当分ストップせざるを得ないか」
ザラブ星人「いや、その件なら心配は要らん。
 実は別の惑星で、思わぬ経路からG細胞が入手出来たのだ」
メトロン星人「…何っ?」

迷彩機能で地球連邦宇宙軍のレーダー網をかい潜りながら、
銀色の宇宙船は光速を超える速さで地球圏を離れて行った…。


***グランショッカー基地***

突然の爆音とともにアポロガイストからの通信が途絶えて、もう数時間が経つ。
死神博士は作戦の失敗を悟り、蒼ざめた顔を手で覆った。

死神博士「アポロガイスト…。さては死んだか。
 おのれ、G細胞プロジェクトは凍結せざるを得ないというのか」

同じ悪の科学者としての誇りをかけて、GVMN・ラボに挑戦するという野心も、
今は諦めざるを得ないのだろうか――。
死神博士はがっくりとうなだれた。


***三重県・鈴鹿山脈***

戦いが終わり、静寂を取り戻した伊勢の山並み。
メトロン星人の秘密基地があった一帯は地形がズタズタになっていた。
山が一つ、内部から爆裂して崩れ落ちたのだから無理もない。
そんな光景を岩山の上から見下ろしている、二つの人影があった。

アポロガイスト「デルザー魔人のお前が俺を助けるとは、どういう風の吹き回しだ?
 言っておくが、俺はこんな恩を売られたからと言って、
 お前達の権力争いに首を突っ込む気はないぞ、荒ワシ師団長」
荒ワシ師団長「フフフ…。安心しろアポロガイスト。
 俺個人の下心など何も無いさ。
 マシーン大元帥殿が、デルザーのため、ひいてはグランショッカーのために
 お前を必要としているとの事なのでな…。
 この俺がデルザーを代表する使者として、お前を誘いに来たという訳だ」
アポロガイスト「ほう、マシーン大元帥殿が?
 となるとますます妙な話だ。
 デルザーを束ねる邪将の大元帥殿が、GOD秘密警察に何の用があると言うのだ」
荒ワシ師団長「会ってみれば分かる事だ。
 正直、俺は気が進まんがな…。
 どうやら、そんな悠長な事を言っている場合でもなくなったらしい」
アポロガイスト「フン、いいだろう。ともかく会って話を聞いてやる」

二つの人影――アポロガイストと荒ワシ師団長は、
そう言い残して姿を消した。


【今回の新規登場】
●凶悪宇宙人ザラブ星人(ウルトラマン)
 地球人の兄弟と名乗って友好を装いながら侵略工作を進めた宇宙人。
 ウルトラマンの偽者に変身し、地球人のウルトラマンへの信頼を失墜させようとした。
●荒ワシ師団長(仮面ライダーストロンガー)
 デルザー軍団の改造魔人で、アラビアンナイトに登場する怪鳥・ロック鳥の子孫。
 空を飛び、トマホークを武器として戦う卑怯な謀略家。

525 名前:無題:2005/10/17(月) 06:38:37

***日本某所――錬金戦団極東支部***

錬金術という学問がある。
近代よりも古い時代、ヨーロッパの地で脈々と研究されてきた秘儀の数々である。
その研究の大部分は失敗に終わり、わずかな成功例だけが残された。
それが、錬金術の粋を集めて創造された超常の合金、核金。
そしてもう一つが人造生命の研究成果、人を喰らう化物―――ホムンクルスである。
それらが表の世界に流出することを恐れた錬金術師たちは、そのすべてを秘匿することに決めた。
錬金術は歴史の闇に消え、誰もがそれらを忘れ去った。
だが、錬金術は確かに存在し、また人の天敵たるホムンクルスも依然として生き残っていた。
錬金術師たちはホムンクルスを狩ることに特化した人間を選び出した。
それが錬金の戦士である。
彼らは錬金術の成果の一つである核金を使い、裏の世界でホムンクルスとの暗闘を繰り広げてきた。
長い時が経ち、いつしか錬金の戦士をまとめあげ、さらに現代の錬金術を管理する一大組織が生まれた。
その名を錬金戦団と言い、今回の事件で手痛い被害をこうむることになった組織の一つである。



夜。腕を拘束された集団が列をなしている。
全員が白衣に身を包んでおり、科学者といった出で立ちだ。
錬金戦団に所属する、主に研究に従事する錬金術師である。
彼らには沈黙がおりていた。
正体不明の武装集団の襲撃を受けたのが今から一時間前。
本来ならば、錬金の戦士がこの支部に数人程度常駐しているのだが、
今日に限ってその全員が不在であった。
戦闘の経験のない研究者たちは敵を撃退できず、白旗を挙げるしかなかった。
そうして捕虜になった錬金術師の列は、軍が使用する輸送用車両のなかへ向かっている。

錬金術師「くそっ、ふざけやがって!俺たちをいったいどこへ連れていくつもりだ!?」

手を拘束された一人の錬金術師が威勢のいい声をあげた。
幾分か恐れが混じっていたらしく、その声音は震えていた。
彼は恐怖に負けようとする自分を鼓舞するために、その声を吐いたのだろう。
だがその行為は、彼の状況を鑑みるに、滑稽以外に他ならない。

???「うるせぇな、少しはおとなしくしてろよこのグズ」

錬金術師「な……ぐふぉ!?」

瞬間、名もない錬金術師は自分の体になにが起こったか、わからなかったに違いない。
横から誰かの声したと思った直後、体に激痛が奔った。
そして疑問を持った。
なぜ今、自分は宙に浮いている?
解答を見いだせないまま、彼は無様に地に激突した。

錬金術師「が……がはっ、ごほっ」

突然の不明瞭な出来事を理解できないまま、落下の衝撃に錬金術師は呻いていた。
痛みは体中から感じられたが、一番ひどかったのは脇腹のところだった。
ハンマーで打ちつけられたような痛みが、脳髄を浸透していく。

錬金術師「が………」

???「ちったぁ静かにしてろっての。そうしねぇと、グールの餌にするぞ」

黒を基調とした、一つ目のプリントが印象的なニットキャップをかぶった男が不機嫌そうに見下ろしていた。
そのまま足を振り上げて錬金術師を蹴飛ばす。

錬金術師「ぐぁ………!」

真っ白になろうとする意識を、錬金術師は転がりながら必死でつなぎとめようとしていた。
視界は赤と白に点滅していて、その先になにがあるのか不明であった。

錬金術師「がっ!……っあ」

何かに激突し、錬金術師は止まった。
激痛に立つこともできず、蠢くことしかできなかった。
痛みに耐えながら悶えていると、手に何かがあたった。
感触から、それは人の足であることがわかった。
錬金術師は頭上を見上げた。
小銃を手に持った軍人がそこにいた。
今ぶつかったのは、この軍人だった。
段々と痛みが引いてきて、眼前の様子が判別できるようになってきた。
それは確かに人のカタチをしていた。だが、

錬金術師「な………?」

人間ではなかった。
―――腐っている。軍服から露出した顔は爛れて崩れており、体中から腐臭が漂っていた。
死体である。だが、死体であるのに、立っている。
それは食屍鬼(グール)と呼ばれ、死肉を食らう「生きた死体」であり、吸血鬼のなりそこないである。
そのグールがゆっくりと首を動かした。
だらしなく開いた口は、明確な意志を持っていないことを示していた。
ただ、その瞳には一つの衝動が見えた。
飢餓という言葉が脳裏を掠めた。
錬金術師は戦慄した。
この死体は、自分のことを食いたがっている。

錬金術師「う、うああああああ!」

上から掴もうと伸びてくる手を必死になって払うと、たった今転がってきた道を、這って逆走し始めた。
彼はもう正常な判断ができなかった。
この先に戻れば、恐ろしい怪物とまた出会うというのに気づきもしなかった。

???「まったく……。ヤン、こいつらを傷つけるなと何度も言っただろうが」

錬金術師「ごっ………」

恐慌状態の錬金術師は、首筋に鋭い痛みを感じたあと、自分の意識を手放した。
気絶した錬金術師を、後ろからあらわれた白いスーツの青年は
片手で自分と同じくらいの背丈の体をひょいと持ち上げた。
その光景は、まるで人間が猫の首筋を掴んで引き上げるのにそっくりであった。
異なるのは掴まれる側が人間であり、掴む側が化物だという事実だけ。

ヤン「だってよーそいつめちゃめちゃうっさかったんだぜ、人間の癖にさ。
 ちょびっとカチンときただけだからさー許してくれよ。ルーク兄ちゃん」

にやにやと歯を見せながら笑う。
反対に白スーツの青年は大きく溜息をついた。
その時、雲間から月が見え、月光が二人を照らした。
口元に妖しく光るのは、異常発達した二本の犬歯。
―――彼らは吸血鬼の兄弟だったのである。

ルーク「ふん。お前は少し我慢が足りない。まあ、いいか」
ルークと呼ばれた青年は、気絶した錬金術師をトラックの中へ軽々と放り投げた。
人外の膂力を垣間見た他の錬金術師たちは怯えた表情を浮かべるだけであった。
やがて全員が荷台に乗り込み、グールに撤退の命令を出してここを去ろうと、
二人の吸血鬼は軍用トラックのドアを開けた。

ヤン「やぁっと終わったぜ。ったく疲れちまったよ」

ルーク「まあな。たがこれで、トゥーレ協会の残したシャンバラへ至る『扉』が開くのに
 一歩近づいたに違いない。少佐殿も喜んでくれるさ」

そう言って、ルークは車のなかに設置された無線をつけた。
警戒のために周囲に配置しておいた友軍に、任務の成功を知らせるためである。
だがどこの回線を開いても、聞こえてくるのはノイズのみ。

ヤン「はあ? ったくどーしたんですかー? ちゃんと応答してくださーい」

ルーク「おかしいな、どの班も反応がない。まさか……」

敵襲か?仲間の危機を察した錬金の戦士が帰還し、
敵を蹴散らしながらここへむかっているのかもしれない。

ルーク「不味いな……ヤン! 速く車をだしてここから離脱するぞ!」

いかに自分たちが吸血鬼であり人外の力を持つとはいえ、錬金の戦士の相手は避けたかった。
彼らは核金を使い、その担い手の唯一無二の兵器――武装錬金を創造し、戦う。
その力は絶大だ。吸血鬼と同じく不老不死を誇るホムンクルスを打ち倒し、
叩きのめすことができるのだから。
苦戦するのは目に見えていた。
それどころか、このトラックの中の錬金術師たちを輸送しながらの戦闘になれば、
勝つことは不可能だろう。
だから、一刻も速くここから離れたかった。
だが、悲しいかなその願いは叶えられることはない。

???「何処へ行く」

地の底から響くような声だった。
ルークとヤンは弾かれたように声が聞こえた方角を見た。
熊のような巨漢がそこにいた。
髪は後ろで束ねられており、その表情には傲岸の二文字が張りついている。
右手には穂先が十字の形になっている槍を持っていた。

ヤン「てめぇ、錬金の戦士か!?」

???「いかにも。名は戦部という」

ヤンが激昂し、戦部と名乗った男はニヤリと笑った。

戦部「さて、救難信号を辿ってきてみれば、支部を襲っていたのはホムンクルスではなく、
 まさかミレニアム、吸血鬼とは」

心底嬉しそうに顔をほころばせ、槍を振るう。

戦部「まあいい。最近はホムンクルスばかりで少々飽きが来ていたからな。
 ここらで別腹を満足させるのもいいか」

そう言って、戦部は槍型の武装錬金『激戦』をルークとヤンに突きつけた。闘争の構えである。

戦部「吸血鬼の肉はどんな味がするのか楽しみだ。―――さあ、来い」



●ルーク、ヤン⇒錬金戦団支部に襲撃をかけ、錬金術師たちを拉致しようとする。その目的とは……?
○戦部⇒仲間からの救難信号を受け取り、ルークとヤンに遭遇する。そのまま戦闘に移る。

=今回の新規登場=
●ルーク・ヴァレンタイン(HELLSING)
 ミレニアム所属の吸血鬼。知的な印象をあたえる青年。
 ヤン・ヴァレンタインとは兄弟である。
●ヤン・ヴァレンタイン(HELLSING)
 ミレニアム所属の吸血鬼。兄とは正反対の情緒不安定で暴力的な印象を与える青年。
 ルーク・ヴァレンタインとは兄弟である。
○戦部巌至(武装錬金)
 高速自動修復の特性をもつ武装錬金『激戦』を所持する。
 戦いを好み、闘争本能を高めるためにホムンクルスの残骸を食する。
 現役の錬金の戦士の中でホムンクルス最多撃破数を誇る記録保持者。
 再殺部隊三号戦士。

526 名前:無題:2005/10/27(木) 06:48:42

***銀河系・辺境***

バッフ・クラン兵A「…馬鹿な!?
 我がバッフ・クランの大艦隊がこうもあっさり!!」
バッフ・クラン兵B「そ、そんな…!!
 う、うわあああああああ!!!!!!!!!」

無限に広がる大宇宙を埋め尽くさんほどに
我々の銀河へと迫るバッフ・クランの大艦隊。
しかし今、銀河系側から放たれた一筋の閃光と共に、
艦隊は一瞬で壊滅した…。
そう…まるで美しい花火のように…。

セル「…ふん。つまらん」

僅かに生き残ったバッフ・クランの敗残艦隊が
元から来た方向へと逃げ帰っていく光景を、
一人、冷たい視線で眺めているセル。
そして後ろには、いつの間にかフリーザがいる。

フリーザ「さすがですねセルさん」
セル「フリーザか…」
フリーザ「あのバッフ・クランの軍勢は、
 その膨大な物量に物を言わせて、私の部下達でも制圧には手こずる
 厄介な相手でしたのでね…。でもおかげで助かりましたよ。
 今、バッフ・クランなどに表舞台にしゃしゃり出て来られては
 いささか面倒な事になるところでしたからね…」
セル「………」
フリーザ「ま、これで連中も暫くは
 外銀河で大人しくしている事でしょう」
セル「この宇宙では最強の軍事力を持つ勢力だか
 何だか知らんが、所詮は数頼みの連中に過ぎん。
 あの孫悟空と比べれば物の数にもならんわ。
 しかしフリーザよ、一体いつまで俺に
 こんな雑魚退治ばかりさせるつもりだ?
 いい加減飽き飽きしたぞ!」

不満を表明するセルに、
フリーザはニヤリと笑って答える。

フリーザ「大変長らくお待たせしました。
 ようやく先方のお膳立てが整ったようです」
セル「何っ! するといよいよか!?」
フリーザ「ええ。我々の待ち望んだ宇宙大戦争スターウォーズの始まりですよ…」

527 名前:外宇宙編/宇宙連合クーデター発生!:2005/10/27(木) 06:50:19

***ゾヴォーグ本星・枢密院***

惑星全土に雷雨の轟くゾヴォーグ本星…。

ゼーラ星やキャンベル星、
さらにはギシン星等の機動メカ大部隊が包囲する
物々しい雰囲気の中、ここ宇宙連合・惑星最高会議本部では、
ついに異常事態が発生していた。

ジャネラ「ではここに惑星最高会議の名において、
 テイニクェット・ゼゼーナン卿の復権を承認し、
 首班に指名する事を宣言する!」

無法に議長席を占拠し、檀上にて高らかに宣言する
キャンベル星人(宇宙連合派)の女帝ジャネラ。
そして拍手喝采に沸く議場。

すでに宇宙連合の最高議決機関たる枢密院は、
タカ派による巧妙且つ猛烈な政治工作とその攻勢により、
従来の健全な機能は失われていたに等しかった。
そんな中でも残る融和派のアケロン星人・ルビーは
孤軍奮闘ながら懸命に抵抗する。

ルビー「異議申す! ゼゼーナン卿は
 かつて枢密院の決定に背き処断された反逆者!
 そのような者の復権を、そんな容易に認めてよいのですか!?」
ジャネラ「おだまり! これはすでに決定事項じゃ!」
ルビー「"ウオフ・マナフの意思"は、この件についてはご存知か!?
 あの御方の承認なくしては、枢密院のいかなる議決も無効!」
デスモント「寝言はそこまでにしておくのだな。アケロン人!」
アシモフ「もはやあの得体の知れない"ウオフ・マナフの意思"を
 崇め奉る時代は終わったのだ!」

暗黒ホラー軍団のアシモフ将軍の言い放った
その言葉に愕然とするルビー。
今までは宇宙連合内部で"ウオフ・マナフの意思"を公然と否定するなど、
まさしく禁忌であったとさえ言うのに…。

ルビー「…まさか! お前達は"ウオフ・マナフの意思"を幽閉したのか!?」
ワルキメデス「その通りだ。察しがいいな」
ルビー「一体どうやって、そのような大それた真似を!?
 そのような事をしてタダで済むと――」

???「黙れ!!」

議場を一喝する禍々しい声の主は、
元ギシン星の独裁者ズール皇帝。
宇宙連合内部での地球脅威論者の中心的存在である。

ズール「見苦しいぞルビー!
 貴様には地球人に内通したスパイ容疑がかかっておる!」
ルビー「なっ…!?」
アシモフ「とぼけても無駄だ。貴様はシドンとかいう惑星で
 ファイブマンとかいう地球人共と頻繁に接触していたであろうが?」
ルビー(…くっ。私が枢密院特使として惑星シドン復興計画に対する
 物資補給の任に当たっていた事へ言い掛かりをつけて来たか…!)
ダンケル「貴様がかつて"ウオフマナフの意思"に讒訴し、
 ボスキート絶滅の為に地球に出撃したガルバ星人ベルゼウスに
 無実の罪を着せた件についても、きっと追及してくれよう!」
ルビー「やはりベルゼウスもお前達の一味か!?」
ジャネラ「お黙りっ!!
 アケロン人ルビーよ、汝の枢密院特使の職務も既に解任された!
 お主の身柄を拘束する! 他の融和派も残らずひっ捕らえるのじゃ!」
ワルキメデス「ギグファイター!!」

ワルキメデスが空高く放り投げたギグカプセルから
湧いて出た戦闘兵士ギグファイターに取り囲まれるルビー。

ギグファイターA「ギィギィギィ…!!」
ギグファイターB「ギィギィギィ…!!」
ルビー「…ここで捕まるわけには!」

だがそこに大轟音と共に議事堂の壁を突き破って現れたのは、
鋭角的なデザインの人型重機動マシン、
そしてロボット馬アオに乗った青騎士であった。

ジャネラ「な、何事じゃ!?」
ルビー「あのマシンは…グレイターキンU!
 メキボス殿か!? それに青騎士も!?」
青騎士「間に合ってよかった!」
メキボス「話は後だ! 今はとにかく乗れ!」

愛馬に跨った青騎士が剣に電撃を集めビームを発射しつつ
周囲を牽制しているうちに、
グレイターキンUのコクピットから差し伸べられた
メキボスの手につかまり、間一髪で難を逃れるルビー。

メキボス「青騎士! ルビーは無事に回収した!」
青騎士「衛星軌道上にロボタニアが待機してある!
 直ちに急速離脱するぞ!」
メキボス「了解!」

グレイターキンUと青騎士は、
すぐさま急発進でその場から立ち去った。

ワルキメデス「おのれメキボス!
 それに地球から来たロボットめが!」
ジャネラ「ルビーは逃したか。まあ良い。
 宇宙連合は既に我らの手中にある。それもこれも
 全てはあの御方の後ろ盾があったればこそじゃ
 フフフフフ…」

528 名前:外宇宙編/宇宙連合クーデター発生!:2005/10/27(木) 06:51:07

ジャガー「上手くいったようだニャ…。
 さすがはキャンベル星の女帝ジャネラ殿。
 見事なお手並みだニャ…」
ジャネラ「…おや、ジャガーかい?」

今や完全に主戦強硬派の手に落ちた、
惑星最高会議に姿を現したのは、
一体の黒い豹型のトランスフォーマーである。

ジャガー「いかにも。
 デストロンのカセットロン諜報破壊兵ジャガー。
 トリプティコン評議会より託された親書を携え、
 この場に参上したニャ」
ジャネラ「ムフフフ…。あのデストロンの三馬鹿長老も、
 ついに覚悟を決めたようだね?」
ジャガー「当然ニャ。我々デストロンは
 これまでサイバトロンの連中に煮え湯を飲まされ続けてきたが、
 その屈辱をついに晴らす時が来たのニャ!
 今こそ"宇宙連邦"を僭称する分裂主義者どもと、
 それに組するサイバトロンを叩き潰すのニャ!
 フフフフフ…」
ジャネラ「ゼゼーナン卿をお迎え次第、
 直ちに"宇宙連邦"を名乗る反乱勢力に対し
 宣戦を布告するのじゃ!」
ワルキメデス「ハハーッ!!」


***unknown(場所・所在地不明)***

何処とも知れぬ広大な暗黒の空間。
その中心点らしき場所で、メフィラス星人は恭しく跪いて、
何者かに報告する。

メフィラス「キャンベルの女帝ジャネラから報告でございます。
 お喜び下さいエンペラ星人陛下、クーデターは成功致しました…!
 まもなく陛下に忠誠を誓うテイニクェット・ゼゼーナンなる者が
 正式に宇宙連合の指導者の地位に就任する運びとのこと」

そのメフィラス星人の声に反応するかのように、
巨大なシルエットが天空に浮かび上がった。

エンペラの声「フフフ…。よい知らせだメフィラスよ」
メフィラス「陛下にお力にて、かの"ウオフ・マナフの意思"も
 その母艦ごとクラインスペースに監禁してございます」
エンペラの声「クラインスペースは強力なレプリションフィールドにより、
 目標物の周囲の空間を湾曲、アレスティングフィールドにより
 空間を縮小湾曲させ、対象を封印するもの。
 いかに"ウオフ・マナフの意思"といえども脱出は不可能であろう…」
メフィラス「御意。そしてゼゼーナンも所詮は我らの傀儡…。
 あのフリーザでさえも、我らの目的のために利用しているに過ぎません…」
エンペラの声「その通りだ。ではゼゼーナンなる者に次なる命令を伝えよ!」
メフィラス「ハハッ」

529 名前:外宇宙編/宇宙連合クーデター発生!:2005/10/27(木) 06:51:56

一方、その頃…

***亜空間(フォールド中)***

ボアザン系のルートから、
この宇宙連合のクーデター騒ぎを察知した
女王アハメス率いるゴズマ軍大艦隊は、
今だ混乱の最中にあるはずのゾヴォーグ本星を奇襲すべく
進軍を開始していた。

アハメス「案内ご苦労であった。ド・ベルガン殿」
ベルガン「はっ。お言葉痛み入ります」

旗艦ネオゴズマードの艦橋で、
グランショッカー・ゴズマ軍と同盟関係にある
ボアザン星貴族派の重鎮の一人、ド・ベルガンを労う女王アハメス。

シュバリエ「貴殿の主君ズ・ザンバジル殿からの
 内々の通報を受け、我らは宇宙連合の隙を突くことが出来る」
ガロア(……シュバリエめ。宇宙連合に内紛が起こるという
 情報をどこから仕入れて来たのかと思っていたが、
 ボアザンの貴族派共との間に、独自のルートを築いていたのか…!)
ベルガン「お役に立てたのであれば何より。今の内乱騒ぎの
 どさくさの内に攻め込めば、ゾヴォーグの本星を攻め落とすなど
 赤子でも容易なことでありましょう」
アハメス「うむ!」

艦橋上座の司令官席より立ち上がり、
マイクを手に味方の全艦隊を鼓舞するアハメス。

アハメス「よいか皆の者!
 我らはこれより敵・宇宙連合の本星に攻め入る!
 この戦いに勝利すれば、宇宙における我がグランショッカーの
 勢力範囲は大きく広がり、今だ苦戦の続く地球侵攻作戦も
 好転させうる好機ともなろう! 今こそ死力を尽くして戦うのだ!
 我らが銀河大星王バズー陛下の御為に!!」
一同「おおーっ!!!!!!!」

一斉に湧き上がる宇宙獣士や銀河闘士たちの歓声。
そしてヒドラー兵たちのおぞましき叫び声。

アハメス「ベルゼウス、お前にとっても
 我がグランショッカーへの忠誠を示すまたとない機会!
 獅子の奮迅ぶりの働きをして見せい!」
ベルゼウス「言われるまでもなく。ではアハメス様、
 私は部隊の指揮を執るため自艦に戻ります」
ベルガン「では、私もスカールークに戻ります」
アハメス「よかろう。ボアザン軍の働きにも期待しておる」

それぞれ自分の乗艦へと戻っていくベルゼウスとド・ベルガン。
だが、その二人が去り際に密かに目線を合わせ、
ほくそ笑んでいた事に気づいていた者はいなかった…。

ガロア「フン! ベルゼウスめ。
 もし少しでもおかしな真似をしたら
 後ろから撃ってやる」
ゴールデン仮面「アハメス様、まもなくフォールドより抜けます」
アハメス「いよいよか…!
 これが終わったら次はアーヴの帝都ラクファカール、
 さらには宇宙連邦のエドン星と惑星アセニアをも滅ぼして見せよう!」

530 名前:外宇宙編/宇宙連合クーデター発生!:2005/10/27(木) 06:52:43

ようやくフォールドから抜け出たゴズマ軍艦隊であったが、
なんと目の前にあるのはゾヴォーグの本星ではなかった…!?

ゴールデン仮面「――な、なんだこれは!?
 ゾヴォーグの本星など何処にもないではないか!!」
アハメス「シュバリエよ、これはどういうことか!?」
シュバリエ「わ、私にもさっぱり…何がどうなっているのか…!?」

そこへ伝令のバツラー兵が
艦橋に大慌てで駆け込んでくる。

バツラー兵「…も、申し上げます!!」
シュバリエ「何事だ!!」
バツラー兵「我が軍に所属する全艦において、
 フォールド発生装置に細工が施されていたようです!」
アハメス「何ッ!?」
シュバリエ「一体誰がそんな事を!!
 …そう言えばド・ベルガン殿はどうした?」
バツラー兵「ド・ベルガン殿のスカールークは姿を消しております!
 ベルゼウス艦も見当たりません!」
シュバリエ「…なっ!?」

ここで初めて一同は、
自分達が謀られたことに気づいたのである。

ガロア「策士策に溺れるとはこの事だな?」
シュバリエ「何ッ!?」
ガロア「貴様は見事嵌められたんだシュバリエ。
 宇宙連合を制圧して見せるなどと大口を叩いて
 このザマとはな。ハハハハハ!」
シュバリエ「…ぬぅぅっ! 貴様ッ!!」
アハメス「やめいっ!!」

険悪な雰囲気のガロアとシュバリエを制するアハメスは、
改めて司令官席より指示を出す。

アハメス「それよりも、ここがゾヴォーグ星系でないとすると、
 一体どこであるのか?」
ゴールデン仮面「計測の結果が出ましたぞ。
 どうやらここは銀河帝国の勢力圏、イゼルローン回廊のようです」
アハメス「…イゼルローン回廊?
 …ああ思い出した。確か"自由惑星同盟"と呼ばれる
 地球連邦傘下の植民星群と、銀河帝国の旧本土を結ぶ回廊の事か…。
 尤も、銀河帝国が今のフェザーンに遷都してからは、
 その戦略的価値は著しく薄れたがな……」
バツラー兵「申し上げます! 我が艦隊前方に
 銀河帝国軍のものと思しき要塞が!!」
アハメス「何ッ! もしや敵要塞の主砲からロックされたか!?
 急速回避!!」
ゴールデン仮面「だめだ! もう間に合わん!!」

531 名前:外宇宙編/宇宙連合クーデター発生!:2005/10/27(木) 06:53:43

***イゼルローン要塞***

イゼルローンは、銀河帝国と自由惑星同盟との境界に位置する
人工惑星で、かつては帝国に抵抗する"イゼルローン共和政府"を名乗る
民主共和主義者たちの砦であったが、和平交渉の後に銀河帝国側に引き渡され、
現在は帝国軍の管理下にある。

要塞司令官代行として赴任している
アウグスト・ザムエル・ワーレン提督は、
獅子の泉ルーヴェンブルンの七元帥に数えられる、
左手が義手の勇将である。
数日前から"グランショッカーが攻撃を仕掛けてくる"との
匿名の密告があり、事前に敵の侵攻に備えていたワーレンであったが…。

帝国兵「敵艦隊、"雷神の槌トール・ハンマー"の完全な射程内です」
ワーレン「それにしても妙だな…」
帝国兵「何か?」
ワーレン「敵の布陣だ。あれでは攻城部隊というよりも
 惑星への降下・占領を目的としているかのようだ…。
 それに先日の密告。敵艦隊の正確な出現位置や時間までも
 ここまで正確に予知できるとは…」
帝国兵「………」
ワーレン「案外、通報者は敵の内部にいたのか。
 …いや、今そのような事を気にしても仕方がないか。
 充填は完了しているな?」
帝国兵「はっ! いつでも発射可能です」
ワーレン「よし、撃てファイエル!!

532 名前:外宇宙編/宇宙連合クーデター発生!:2005/10/27(木) 06:54:56

そして……。

***地球・南極・ネオグラード***

ドクターマン「そうか。アハメスは死んだか…」
ベルゼウス@モニター「ああ。さすがのネオゴズマードも、
 イゼルローン要塞の主砲の直撃を食らっては今頃、
 旗下の艦隊共々宇宙の塵となっていよう」
ドクターマン「ご苦労だったなベルゼウス…」

司令室で惑星間超光速通信を介し、
遥か宇宙の遠い彼方にいるベルゼウスと会話している
ドクターマンとヘドリアン女王。

ベルゼウス@モニター「メトロン星人もザラブ星人に拾われ、
 無事に地球圏から離脱したそうだ」
ヘドリアン「それは何よりじゃ。あのアポロガイストが
 独自にメトロン星人の捜索を続行していたと聞いた時は
 正直私も慌てたぞ」
ドクターマン「フフフ…。それはそうだな。
 何しろ邪将たちの目の前で"メトロン星人の追跡を引き受ける"などと
 大見得を切っておいて、実はわざと何もしていなかったのだからな…。
 それがバレたらまずいところだ」
ヘドリアン「オホホホ…。それはドクターマン殿、
 全てお主の指図ではないか」
ドクターマン「フフフ…。だがその騒ぎのおかげで、
 目の上のたんこぶだったアポロガイストは死んだようだ。
 我らの遠大なる目的の為の障害となる者は、徐々に取り除かれつつある」

不気味に笑みを浮かべあう
ドクターマンとヘドリアン女王の二人。

ドクターマン「さてベルゼウスよ、傍受される危険があるので
 そろそろ通信を切るぞ。貴殿も表向きは戦死扱いだからな…」
ベルゼウス@モニター「わかった。この次に地球圏に来る時は
 宇宙連合の本隊を引き連れて来る。楽しみに待っていてもらおう!」

通信が切れる。

ヘドリアン「さてドクターマン殿、そろそろ我等の方も
 計画を急がねばなりませぬのう〜」
ドクターマン「近衛兵団が壊滅した今、ゴズマ軍は我らGVMN・ラボと
 ヘドリアン女王の配下の者たちだけでほぼ掌握できよう。
 あとはケフレンとビアスの動きの進み具合にかかっているが…」

実は新帝国ギア総統ドクターマンを中心とする
狂気の科学者集団GVMN・ラボは、密かにヘドリアン女王の一派や
宇宙連合と手を結び、グランショッカーの転覆を企てていた。
その目的の為に今、時空の旅へと出ている大博士リー・ケフレンと
ヅノーベースにいる大教授ビアスらがそれぞれ
極秘の計画を進めているのである…。

533 名前:外宇宙編/宇宙連合クーデター発生!:2005/10/27(木) 06:56:12

●セル⇒銀河系に攻めてきたバッフ・クラン軍を撃退。
●エンペラ星人⇒"ウオフ・マナフの意思"をクラインスペースに幽閉。
●宇宙連合はタカ派が実権を掌握。まもなく宇宙連邦に対し宣戦布告の模様。
●ジャガー⇒宇宙連合側につくデストロンの総意を伝えるため、
 使者としてゾヴォーグに馳せ参じる。
○ルビー、メキボス⇒宇宙連合から追われる。
●ベルゼウス⇒ボアザン軍のド・ベルガンと謀って、
 ゴズマ軍近衛兵団を罠に嵌め、ゾヴォーグ星系と偽り
 銀河帝国のイゼルローン要塞主砲射程内まで誘導し、壊滅に追い込む。
●ボアザン帝国⇒グランショッカーから宇宙連合に寝返っていた。
●女王アハメス、ゴールデン仮面大将軍、ガロア艦長、初代艦長シュバリエ
 ⇒その行方、生死、共に不明。
●ドクターマン、ヘドリアン女王⇒G細胞編の時にアポロガイストが死んだと思い込んでいる。
○ワーレン⇒イゼルローンの要塞司令官代行として赴任している。

【今回の新規登場】
○メキボス(バンプレストオリジナル)
 元インスペクター四天王の一人で、枢密院特使。
 グレイターキンUのパイロット。
○ルビー(超星神グランセイザー)
 宇宙連合和平派のアケロン人。
○青騎士(アストロボーイ 鉄腕アトム)
 シャドウによって改造されたロボット。
 人間に虐待されるAIロボット解放軍の指導者。
 元は闇ロボットクラッシュの選手ロボットを修理するロボットであった。
 愛馬アオ(ロボット)に乗って行動をする。
●女帝ジャネラ(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 キャンベル星の女帝。普段は美しいが、怒ると蛇女に変身。
●総統ワルキメデス(超電磁ロボ コン・バトラーV)
 ジャネラ側近で、キャンベル軍作戦立案担当幹部。
●ズール皇帝(六神合体ゴッドマーズ)
 元ギシン星の独裁者で邪神の一柱。地球脅威論者の中心的存在。
 その声はショッカー大首領(邪帝大首領クライシス)に酷似…?
 六体のゲシュタルト・オーガニズムに分離可能。
●ジャガー(戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー/
 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010/
 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー ザ・ヘッドマスターズ/
 ビーストウォーズ メタルス 超生命体トランスフォーマー)
 初代メガトロンに仕えたカセットロン諜報破壊兵。
 トリプティコン評議会直属のエージェント。
●メフィラス星人(ウルトラマン)
 悪質宇宙人。人間の純真な心につけ入り、
 反重力現象を起こす。
●エンペラ星人(ウルトラマンタロウ)
 多くの怪獣や宇宙人を配下に持つ、謎の宇宙帝王で悪の権化。
 邪悪生命体ゴーデス、根源的破滅招来体、カオスヘッダーの
 黒幕という噂も…グランショッカーの至高邪神に匹敵する存在。
 3万年前に怪獣軍団を指揮してウルトラの国を襲撃したが、
 ウルトラの父を中心とするウルトラ戦士たちに敗れた。
●ド・ベルガン(超電磁マシーン ボルテスV)
 ボアザン帝国の将軍。
○アウグスト・ザムエル・ワーレン元帥(銀河英雄伝説)
 ローエングラム王朝銀河帝国建国の功臣の一人。
 勇気と用兵術の均衡が取れた良将。

534 名前:時空編 恐怖 死のテスト!!/現代/地球:2005/11/14(月) 00:29:26

***太平洋・ハワイ沖上空***

正人たちが漂流者送還のためスダ・ドアカ・ワールドへと
旅立った後、金田陽子はニューヨークで開かれる学会に出席するため、
旅客機に乗っていた。

エルデ「隣の席、よろしいかしら?」
陽子「…えっ? え、ええ…」

ふと、見知らぬ女が話しかけてきた。
困惑する陽子を余所に、隣に座ったその女は構わず続ける。

エルデ「フフフ…お会いしたかったわ。金田陽子博士…」
陽子「――!!」


***東京・スーベルトキオシティ・旋風寺邸***

舞人「ウォルフガング博士がさらわれたって!?」

びっくりする舞人たち。
勇者特急隊の許に泣きながら駆け込んで来た
イッヒ、リーベ、ディッヒの3人の話によると、
数日前、謎の黒い巨大ロボットが突然現れ、
ウォルフガング博士を連れ去っていったという。

イッヒ「頼むよ! もう俺達にはアンタたちしか
 頼る相手がいないんだ!」
リーベ「も、もしウォルフガング様に万一のことがあったら…!!」
ディッヒ「。・゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン!!!!!!!!」

浜田「わかったから落ち着いて!
 どうする舞人?」
舞人「うん。彼らが嘘をついているとは思えない…」

モニターの声「その通りだ、舞人君」

突然メインルームのモニターから緊急通信が入った。

舞人「――ICPOの金田長官!?」
正太郎@モニター「イッヒ君、リーベ君、それにディッヒ君と言ったね?
 君達に見てもらいたい写真がある」

正太郎はモニターを介して、
イッヒたちに一枚の写真を見せた。
それには、真夜中の上空で旅客機が謎の黒いロボットに
捕獲されている様子が映されていた。

イッヒ「コ、コイツだ!!
 コイツがウォルフガング様をさらって行ったんだ!!
 (((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
舞人「長官、この写真は?」
正太郎@モニター「昨日、ハワイ沖上空で消息を絶った旅客機だ。
 そしてこの中には家内も乗っていた」
浜田「何ですって!! 陽子博士が!?」
正太郎@モニター「それだけではない。世界各地で
 高名な学者達が次々と行方不明になっている。
 おそらく何者かの手によって誘拐されているものと見て
 間違いないだろう」
舞人「それで、この黒いロボットの正体は?」
正太郎@モニター「月の宇宙軍のミスマル提督を通して
 連邦軍に問い合わせたところ、一機だけデータに該当する機体があった」

モニターに例の機動兵器のデータが転送されてくる。

舞人「これは…!」
正太郎@モニター「YЦP−05メディウス・ロクス。かつて地球連邦軍が、
 度重なる戦争による量産型人型機動兵器の損耗率の高さを懸念し、
 十年先を見据え立案した"ツェントル・プロジェクト"の過程で
 開発された新機軸の機体だ」
浜田「それって例の"AI1事件"の!?」
正太郎@モニター「よく知っているね。今回の事件はどうも臭う。
 それでICPOとしては、勇者特急隊にも出動を要請する事にした」
舞人「任せてください金田長官!
 必ず陽子さんもウォルフガング博士も、
 他の学者たちも救い出して見せます!」
正太郎@モニター「頼む…」


***ICPO東京支部(旧金田探偵事務所)***

通信を終えた正太郎は、険しい表情で窓の方に視線を向けた。

正太郎「よりにもよって正人たちの留守中に
 母さんの救出任務が舞い込むとは…」
双葉「大丈夫ですよ長官。勇者特急隊だけでなく、
 ライブマンの矢野さんと相川さんたちも動いてくれていますし、
 陽子さんだってきっと無事ですよ!」

535 名前:時空編 恐怖 死のテスト!!/現代/地球:2005/11/14(月) 00:30:18

***地球署・取調室***

ククール「わっかんねえかな?
 だからさっきから何度も言ってるだろ。
 俺は別に怪しい奴じゃないって」
ホージー「嘘をつけ! なら何で地球署の周囲を
 いろいろ嗅ぎ回っていた!?」

地球での宇宙人移民者でも見慣れない服装をした
不審者を連行して取り調べているデカレンジャー。
ククールと名乗ったその青年は、先程からのらりくらりと
ホージーたちの追及をかわしていた。

ククール「だからそれは、俺がこの世界に来たばっかりで
 何も詳しく知らないからでさ」
ジャスミン「ちょっと失礼」
ククール「…ん?」

右手に嵌めた手袋を脱ぎ、
ククールの左手の甲に静かに触れるジャスミン。

NR@古川登志夫「ジャスミンはエスパーである!
 相手に触れる事で、心が読み取れるのだ!」

ジャスミン「どうやらホントみたい」
ホージー「では彼も時空クレバスを通って来た
 異世界からの漂流者か…」
ククール「何だよ。綺麗なお嬢さんが期待させといて、
 結局は俺の心を覗き込んだって訳か。…で、どんな魔法を使ったんだ?」
ジャスミン「ちょっと違うけどね。それにしてもアナタ、
 やはり只者ではないみたいね。向こうでは随分と苦労された
 みたいだけど…」
ククール「そりゃどーも。でも大したことじゃないさ…」

その時、デカベース内に緊急の警報音が鳴り響いた。
取調室にもテツが慌てた様子で駆け込んで来る。

テツ「大変ですホージー先輩! 例の神鳥がまた現れました!
 ゆっくりとこちらに向かっています!」
ククール「…神鳥?」
ホージー「神鳥はエターナルと一緒に未来に行ったんじゃ
 なかったのか!?」
ジャスミン「何で現代に戻ってきたのかしら??」
ホージー「あの神鳥が何らかの危害を起こすとは思えないが、
 念の為にパトロール中のセンとウメコにも連絡を取れ」
テツ「もうボスが取りました!」
ホージー「テツ、コイツを任せたぞ!」

取調室から急いで出て行くホージーとジャスミン。
ククールも一緒に出て行こうとするが……。

テツ「おいコラ待て。お前はまだ取調べが終わっていないんだぞ!」
ククール「悪りぃな。ちょいと眠っててくれ」
テツ「――!!」

ククールはテツに向けて"魅惑の眼差し"を放った。

テツ「…くっ!! き、キサマっ………」

536 名前:時空編 恐怖 死のテスト!!/現代/地球:2005/11/14(月) 00:32:05

テツを気絶させ、上手く地球署の建物から抜け出したククールは、
近くの広い公園まで来ると、大空高く叫んで呼びかけてみた。

ククール「お〜〜い!! 神鳥!!
 ここだここだ〜〜!!」

大いなる銀の翼を羽ばたかせながら、
ゆっくりと地表へと降り立つ巨大な鳥――神鳥レティス。

お久しぶりです、ククール…。
暗黒神との戦い以来でしたね…。

ククール「しかし驚いたぜ。神鳥と聞いてまさかとは思ったけど、
 こんなところでアンタと会うとはな…」

サイレンの音が近づいてくる。

ククール「どうやらゆっくり感動の再会を
 味わっている暇はなさそうだぜ。どうする?」

私の背にお乗りなさい、ククール…。
マルチェロのいるところまで案内します…。

ククール「兄貴のいる場所を知ってるのか!?」

さ、早く…。

537 名前:時空編 恐怖 死のテスト!!/現代/地球:2005/11/14(月) 00:33:53

***東京郊外・某採石場の洞窟***

ここに誘拐されてきた多くの学者達が監禁されていた。
戦闘兵ジンマーたちが厳重に見張っている中、
ウォルフガング博士が叫ぶ。

ウォルフガング「一体ワシらをどうするつもりじゃ!?」
デズモン「ワシ達をこんなところに連れ込んで、
 一体何を企んでおるのじゃ!?」
ジンマーA「………」

ジンマーたちが黙して何も語らないまま、
暗い空間の中で虚しく時間が過ぎていく中、
突如はるか宇宙のヅノーベースから大教授ビアスの声が届く。

ビアスの声「これより最終テストを始める!
 敗れた者はその場で処刑される、文字通りの命を掛けた"死のテスト"だ!」
陽子「死のテストですって!?」
ビアスの声「頭脳獣テストヅノー!!」

空間がライトアップされ、ボルトの"死のテスト"の審判を司る
頭脳獣テストヅノーが現れる。
それと同時に、学者達の中から一人がジンマーによって連れ出され、
強引に2つある解答者席の片方に座らされる。

ウォルフガング「あれはスギムラ・タイゾー博士!?」
陽子「確か世界最年少の高名な数学者ですわね…」
ウォルフガング「若干26歳の若さで博士号を取得。
 確か自分の事を"ヒラリーマン博士"などと調子よく抜かしている、
 口だけは雄弁な奴じゃ(※ちなみに某国会議員とは
 何の関係もありません)
陽子「そしてもう一人は…」

もう一つある解答者席には、
中世の十字軍騎士を思わせるような風貌の
青年が座っていた。

マルチェロ「………」

他の学者達が皆、恐怖で震え上がっているというのに、
何故かこの男だけは平然と構えている。
その冷たい瞳からは自信満々な余裕すら伺える。

テストヅノー「円周率の暗証問題から始める。
 3.1415926535……この続きは?」
マルチェロ「3.1415926535 8979323846 2643383279 5028841971 6939937510
 5820974944 5923078164 0628620899 8628034825 3421170679…… 」
スギムラ「3.1415926535 897932……あ、ああ…!!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル 」

テストヅノーからの問題に対し、
マルチェロはすらすらと円周率の値を答えていくが、
スギムラ博士は恐怖でパニックとなり、
途中で頭が真っ白になって何も答えられない。

テストヅノー「死刑!!
スギムラ「ぎゃああああ!!!!」

哀れ、スギムラ博士はテストヅノーの処刑光線によって
処刑されてしまった。死体を片付けるジンマーたち。

陽子「何て惨い事を!!」
マルチェロ「この地球とか言う世界のトップクラスの数学者とやらも
 大したことはないな…」

冷酷無比な"死のテスト"に憤慨する陽子を余所に、
マルチェロは一人冷たく呟いた。
そして、その様子を洞窟の部屋の入り口の
物陰から密かに窺っている3人の可愛いらしい人影が…!?
閉じかけた時空クレバスを通って、
ガッシュにさらわれた城の大学者デズモンを追ってきた、
ティミー、ポピー、コリンズの3人だ。

ティミー「大変だ! このままだと
 みんな殺されちゃう!」
コリンズ「…ど、どうすんだよ!!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル」
ポピー「もう、決まってるでしょ! 早くみんなを助けなきゃ!!」
ティミー「行くよ!!」

538 名前:時空編:2005/11/14(月) 00:35:22

○金田陽子、ウォルフガング⇒武装頭脳軍ボルトによって誘拐される。
○金田正太郎⇒正人たちと鉄人が不在の穴を埋めるため、
 勇者特急隊に出動と捜査を要請。
○ジャスミン⇒ククールの記憶を読み取り、DQ[世界での出来事を知る。
○神鳥レティス⇒現代の地球に戻ってくる。
○ククール⇒地球署で不審尋問を受けるが、そこで神鳥レティスと再会。
○ティミー、ポピー、コリンズ⇒ボルトの"死のテスト"会場に潜り込む。
●マルチェロ⇒"死のテスト"に出場し、まずは第1問突破。

【今回の新規登場】
○浜田満彦(勇者特急マイトガイン)
 旋風寺舞人の親友で。頭脳明晰で、勇者特急隊のサポートを担当。
○イッヒ(勇者特急マイトガイン)
○リーベ(勇者特急マイトガイン)
○ディッヒ(勇者特急マイトガイン)
 3人ともウォルフガングの部下。
 部下よりメカを愛する上司に一度は愛想をつかすが、
 結局ウォルフガングの元に戻る。根っからのウォルフガング好き。
 現在は靴磨きとして真っ当に生きている?
○ウォルフガング博士(勇者特急マイトガイン)
 部下思いのマッドサイエンティスト。
 以前は勇者特急隊と敵対していたが、現在は改心。
●頭脳獣テストヅノー(超獣戦隊ライブマン)
 武装頭脳軍ボルトの"死のテスト"の審判役。

539 名前:時空編/SDV世界:2005/12/26(月) 12:12:28

(>>492-494の続き)
【前回の新規登場に追加】
○アディン・バーネット(新機動戦記 ガンダムW DUAL STORY G-UNIT)
資源衛星MO-VのMSパイロット。PXシステムに適応できる数少ない人間。
超大戦では双子座の弟(ポルックス)のコードネームでOZ-19MASX ガンダムグリープともにプリベンターに所属。

○オデル・バーネット(同上)
アディンの兄で、同じくPXシステムに適応できるMSパイロット。
超大戦では双子座の兄(カストル)のコードネームでOZ-10VMSX ガンダムアスクレプオスともにプリベンターに所属。

***スダ・ドアカワールド***
四闘神「四闘神ユニゾン…!」
シャッフル騎士団「エンブレムシンフォニア…!」

エヴァオルフェノクの手から伸びた触手が必殺技の体勢に入っていた四闘神とシャッフル騎士団を襲う。
四闘神・シャッフル騎士団「うわあー!」

正人「超伝導コークスク…!」
三郎「正人、後ろだ!」

隊列の乱れたユニオン軍に襲いかかるザン・スカール軍。その際エヴァオルフェノクに接近した機体が
エヴァオルフェノクから攻撃を受け破壊される。

ヒイロ「見たか、葛城一佐…」
ミサト「ええ…お願いできるかしら?」
ヒイロ「そのつもりだ。そちらはその間に雑兵を片付け怪我人を収容するんだ」
アスカ「ううっ…あんなの、私一人で…!」
怪我人と呼ばれ反発するアスカだったが、うめき声を上げながらでは説得力が無い。
ヒイロ「認識が足りないな、天才児。その機体では死ぬだけだ」
アスカ「……!!」

ヒイロが作戦を立てるとすぐにゼロシステムは敵密集地の場所をヒイロの脳に伝えてくる。
エヴァオルフェノクに攻撃を仕掛ける。ATフィールドは破れないが注意はウイングゼロに向く。
ヒイロ「ついてこい、泥人形…」
エヴァオルフェノクを敵密集地に誘い出すヒイロ。やはりエヴァオルフェノクに敵味方の区別はついていない。
ヒイロは機兵の攻撃をゼロシステムが予測するため安全にかわすことが出来る。
一方的にザン・スカールの戦力がつぶれる事となった。
混乱に乗じ、指揮官を倒すとその指揮官を装ってメタルビーストの通信回線に介入するヒイロ。
ヒイロ「総員退避!」
逃げ惑うザン・スカール軍。それを追いエヴァオルフェノクもザン・スカール本拠へと向かう。

***ザン・スカール帝国***
ゴーゴン大公「おおお、何と言うこと……」
幻魔皇帝「何をしている、早く止めぬか!」

スペリオルクローン「墓穴を掘ったようだな、幻魔皇帝」
幻魔皇帝「何だ、貴様は!?」

スペリオルクローン「異世界と手を結びいい気になっていたようだが、ここまでだ。
まずはこいつらを返してもらうぞ、デスペリオルにな」
スペリオルクローンが手を上げると戦士ともモンスターともつかない異形の集団=異能戦士が進み出る。
スペリオルクローン「そしてきさまの命とスダ・ドアカも貰い受ける!行け、異能戦士ども!」

巨岩の体を持つストライクギラドーガが飛び掛り、RFグフの腕から網が飛び出す。
???「この不届き者めー!!」
???「ご無事ですか、幻魔皇帝様!」
ストライクギラドーガは棍棒で打ち落とされ、RFグフの網は大剣で切り裂かれた。

幻魔皇帝「銀嵐騎士に蒼嵐騎士…デスペリオルの者よ、異能戦士程度ではわしの首は取れんぞ」
スペリオルクローン「おれも異能戦士できさまとその横の異世界の者を倒せるとは思っていない。
きさまらの相手はこれだ!!」
床を破り飛び出してくる巨大な”首”そしてその先についている顔はジークジオンマブーゼ、邪神機兵ルーンカロッゾ、
邪獣王ギガサラマンダーそして…
ゴーゴン大公「げ、幻魔皇帝?」

スペリオルクローン「スペリオルドラゴンの体には強敵の記憶が残っていた。その一部であったおれも
それを利用しさらには実体化させることが出来たというわけだ。四天王の足止めは任せるぞ異能戦士。
おれは他にやることがある」
笑い声を残し消えていくスペリオルクローン。

***天界***
その頃魔界からの侵略者達は天界に到着していた。
羽荒斗頑駄無「何だ、あれは」
烈龍頑駄無「魔界武者の魔刃頑駄無じゃねえか!」

魔刃頑駄無「行けい、者共!」
クローン使徒をけしかける魔刃!
暗黒卿マスターガンダム「”天使”の名を持つものが天界を滅ぼすのだ、愉快だろう」

???「そうはいかんぞ!暗黒卿マスターガンダム!!」
紅い鎧のガンダム騎士が姿を現す。驚愕する暗黒卿。
暗黒卿「な、何故ここにきさまが…!」

騎士エピオン「ソウルアップ!守護天使ミリアル、天使の郷ピースクラフトより推参!」
騎士エピオンが鎧闘神エピオンへと巨大変身する。

暗黒卿「ふん…『天使の名を汚すものは許さん』か?無駄なことだ!行けクラヤミ!」

魔星大将軍は恨み重なる號斗丸の姿を見つけ出し、一騎打ちを挑んでいた。
魔星「貴様のおやじに天宮を奪われた怨み、今度こそ晴らしてくれるわ!」
新號斗丸「それは違う!おまえが天宮の君主になれなかったのは、おまえ自身の精神の問題だ!!」
魔星「黙れ!邪黒覇道爆滅波!!!」
魔星の持つ天剣絶刀から黒い光線が放たれる。

クローンゼルエル、クローンシャムシエルが天界武者達に迫る!
烈龍頑駄無「魔界の魔物か?随分ひでぇツラしてやがる。」
烈風頑駄無「油断してはならんぞ烈龍」
烈龍「わかってるって。そりゃっ!」

ATFを貫き烈龍が殴りかかる。ゼルエルは懐に入り込まれると弱い。
烈龍「天界神技!竜巻怒龍斬!!!」
竜神の鉞と四閃爪の槍を組み合わせた『怒龍大天斬』を全身ごと大回転させる。
コアは外れたもののクローンゼルエルを叩き斬る。

烈風もクローンシャムシエルの光の鞭をかわすと背負った巨大な風手裏剣を投げる。
ATFを切り裂きクローンシャムシエルに深手を負わせる。

鎧闘神エピオン「ブラックストリームバースト!!」
エピオンの周囲に黒い風が吹き荒れクラヤミを破壊する。

烈龍「さあ、年貢の納め時だぜ。覚悟しやがれ!」
魔刃「ぐ…奴等こうもあっさりと…」

そこへ何者かが次元を切り裂いて出現する。
スペリオルクローン「苦戦しているようですな、暗黒卿さま」
暗黒卿「お、おまえは…!生きていたのか…?」
スペリオルクローンが神機とともに現れたのだ。

スペリオルクローン「丁度良い肉体もあるようだな、行って暗黒卿を助けろ三魔卿よ…」
スペリオルクローンの神機から三魔卿の魂が抜け出し残骸に宿る。
超呪導武者クラヤミ改であった物が叫ぶ。
「絶刀卿ヘブンズソード!」
第14使徒ゼルエルのクローンであった物が叫ぶ。
「争覇卿グランドガンダム!」
第4使徒シャムシエルのクローンであった物が叫ぶ。
「江湖卿ウォルターガンダム!」

***スダ・ドアカワールド***
F90IIらが奪ったメカザウルスが腕をワイヤーで伸ばし敵機に巻きつけるとハンマー投げのように振り回し
真上に投げ上げる。同時にワイヤーを巻き取り独楽のように回転させる。
大技の隙を突こうというのか飛び込んでくる機械獣。
豪剣「甘い!!」
飛閃「はあっ!!」
続いて両肩から飛び出した手斧で接近してきた敵機を殴り倒し、両腕をドリルとマジックハンドに切り替えて貫く。
F90II等の操縦によってまるで別物のような動きを見せるメカザウルス。

ルナガンダム「ダークエネルギー球よ爆裂せよ!」
カオスガイヤーのダークフルーレにエネルギーが集まっていく…
ルナガンダム「カオスガイヤー秘技バックパトスグランジ!!」
大爆発に多数のメタルビーストが吹き飛ばされる。

龍神機クラブオンエースの東式拳法が唸る。
鳥神機ジャックインダイヤの電磁シールドが動きを封じ
獣神機クイーンザスペードがスペードアーチで敵を撃つ。
龍闘神シェンロンの炎が、機闘神ヘビーアームズの砲撃が敵を吹き飛ばし
鉄神機ブラックジョーカーの鉄球が砕く。
魔闘神サンドロックと冥闘神デスサイズが切り裂いていく。
四獣機がまさに猛獣の如き動きで破壊していく。
戦いは一方的なものとなった。瞬く間にザン・スカール軍は全滅した。

***戦艦ゼフィルス***
リリーナ「ヒイロを追いましょう。彼を信頼していますが一人では心配です」
戦闘終了後、シャッフル騎士団と闘神達はEVA、W両チームと共に戦艦ゼフィルス内に集まっていた。

天使ヒイロ「そちらの世界に行った使者は来ていないのか?」
ミサト「彼ならバイスタランチュラが片付くまでNERVの防衛に参加してくれているはずよ」
トロワ「その後機会を見てマジンガー隊の元へ向かうだろう。
こちらの世界にミケーネと因縁の深い者たちがいると伝えておいた。」

レイ「…!この世界ではゼクス特佐が01パイロットの兄なの…!?」
騎士カトル「そうだけど、もしかしてそちらでは違うの?」
カトル「こちらのゼクスはリリーナさんの兄なんです」

デュオ「なあシンジ。どっちが好みなんだ?」
シンジ「え?」
デュオ「レイとアスカだよ」
アスカ「この大変な時に何の話をしてんのよ!あんた達は!!」
ドサクサに紛れて暢気な話をしているデュオ達にアスカがキレたりしながら、ゼフィルスとエアロトレッカーは進む…。

***ザン・スカール帝国***
幻魔皇帝「城門を閉じよ!やつを近寄らせてはならぬ!」
兵士「うわあー!!お、お助け下さい幻魔皇帝さまーっ!!」
外からはエヴァオルフェノクに追い詰められながら閉め出された兵士達の悲痛な叫びが響く。

幻魔皇帝「さて、まずはこやつらを片付けねば」
皇帝機兵アジバルドを召喚し、デビルヘッドと対峙する幻魔皇帝。デビルヘッドが口から怪光弾を連射する。
幻魔皇帝「やつめ大きなことを言っておったが攻撃はそれだけか!目障りだ!幻魔嵐電破ストームエレクトロン!!」
剣状になった右腕より十字のエネルギーを放射し叩きつける。

異能戦士ノビルシャッコーの伸縮自在の身体を黒嵐騎士リグコンティオのブーメランが切り裂く。
異能戦士ゴッゾーラの両腕の刃物を赤嵐騎士ゴトラタンは刃のついたトンファーで受け止める。
異能戦士RFグフも掌から網を飛ばすが、蒼嵐騎士ザンネックは大剣で切り裂き捕まらない。
異能戦士ワイルドゴッグが両手首に結んだ鎖つき鉄球を振り回せば銀嵐騎士ゲンガオゾは先端にトゲつき鉄球のついた棍棒で応戦する。
リグコンティオ「これじゃ大した手柄にもなりそうにねえな。おまえら幻魔皇帝にいい所見せられて運が…なにっ!?」

リグコンティオがザンネックとゲンガオゾに軽口を叩いていると突然凍気が四天王を襲った。鋭い氷に囲まれる四天王。
RFグフ「アイスボマーきさま!おれたちまで巻き込まれるところだったぞ!」
異能戦士アイスボマー「油断したな!さあ凍りつくがいい」
さらに凍気を発するアイスボマー。

ゲンガオゾ「こんな氷で閉じ込めたつもりか!打ち砕いて…」
黒い光が絡みつき四天王の自由を奪う。
異能戦士オプトゾリディア「けけっ!おれのダークビームは破れまい!」
異能戦士アイスボマー「もう逃げられんぞ、観念して凍れ!」
ストライクギラドーガ「凍りついたところでおれが打ち砕いてやるぜ!」

ザンネック「させるか!嵐電破ーっ!!」
ゴトラタン「異能戦士どももなかなかやるが勝つのはおれだ」
異能戦士オプトゾリディア「な、何だと…」
異能戦士アイスボマー「邪悪の者にはダークビームの効果が薄いと言うのか…」

内部が乱戦模様となっていたその時、ザン・スカール兵を追って城門付近に身を潜めていたヒイロは、
エヴァオルフェノクを本拠に乗り込ませて混乱に陥らせようとしていた。
ヒイロ@ウイングゼロ「ターゲット・ロック・オン…」
バスターライフルで城門を打ち抜くヒイロ。城内になだれ込むザン・スカール兵と追うエヴァオルフェノク。
ツインバスターライフルはここまでの無理がたたって爆発する。
ヒイロ「くっ…!ここまでか…」

540 名前:時空編 幻魔皇帝編/ザン・スカール帝国:2005/12/26(月) 12:17:20

デビルヘッドと戦う皇帝機兵の前にエヴァオルフェノクが乱入する。
ゴーゴン大公「も、もはやこれまで!」
ギャラハン皇帝の声「已むを得んゴーゴン大公よ、データを持って脱出しろ…」

虫の息の異能戦士をゴトラタンが切り刻んでいる。その間にリグコンティオは自らの機兵に走る。
ゲンガオゾ「待て!抜け駆けは許さんぞ!」
ザンネック「幻魔皇帝の援護に向かわねば…」
『グフラスペ!』
超空間移動の魔術でエックスがその場に出現し四天王の前に立ちはだかる。
騎士エックス「お前達の好きにはさせない!」
リグコンティオ「へっ、おまえのようなガキにやられるかよ!」
エックスは手にした剣で飛んでくるリグコンティオのブーメランを叩き落とす。そこへゴトラタンが外側が刃になったトンファーで襲いかかる。
騎士エックス「氷剣撃射アグアタク!」
剣を持っていない左手より鋭い氷を打ち出して応戦する。エックスの氷魔術だ。
リグコンティオ「おっと、もう氷はごめんだぜ。それより幻魔皇帝の前で点数を稼いどかないとな」
エックスがゴトラタンに気を引かれた隙に黒嵐機兵ゴクブラックへと向かうリグコンティオ。
エックス「逃がさないぞ!幽体出現エレメンアペア!」
エックスの体から炎・氷・雷の属性を持つ三体のエックスの幽体エレメント―『ビットエックス』が現れた。
ビットエックス・雷「雷光撃射サビアタク!」
雷のビットエックスの掌からリグコンティオに向けて稲妻が発射される。
ゴクブラックに飛び込むも、かなりの重傷を負ったリグコンティオ。
リグコンティオ「ガキめ…よくもやってくれたな!」
ゴクブラックがエックス目掛けて鞭を振るう。

幻魔皇帝@アジバルド「まとめて吹き飛ばしてくれるわ!出でよ嵐虎剣ストームソードの最終奥義!」
皇帝機兵が剣状となった右手をかざすと、高空に黒い太陽が出現し姿を変えながら地上へと降下する。
幻魔皇帝@アジバルド「ストームサンよ!皇帝機兵を収納しろ!」
その様子は外にいたヒイロからも見ることが出来た。
ヒイロ@ウイングゼロ「何だ…あれは…」
巨大極まる機兵がそこにはあった。
幻魔皇帝「ストームサンは機兵を超えた機兵、”機神”だ!この嵐暴機神ストームサンこそ嵐虎剣の最終兵器!」
ゼロシステムが機体の損傷・敵解析データ・そしてその分析結果をヒイロの脳に送りつけてくる。
その結果は―――『破壊不可能』―――。ストームサンはデビルヘッドを容易く破壊していく…。

***天界***
魔星「軽装形態でわしに勝てるとでも思っていたのか!」
號斗丸「お前も元は天宮アークの武者…魔界に与するとはそこまで堕ちたか!」
新號斗丸は劣勢となっていた。そこへ上空より飛来する三つの光。
赤流火隠アルビオンの象徴―獅天鎧。
影舞乱夢エイブラムの象徴―龍天鎧。
そして天宮アークの象徴―凰天鎧。
羽荒斗バード「何を躊躇している號斗丸。三国の力を集めたお前の鎧は確かに軽々しくまとうものではない…
だがこれはお前の私闘ではない。魔界の者の企みを止めるため戦うのだ獅龍凰よ!」
魔星「これでとどめだ!邪黒覇道爆滅波!!!」
魔星の天剣絶刀から黒いエネルギー波が放出される。
烈風「いかん!號斗丸!!」

爆煙が晴れると、そこには眩い光を放つ武者の姿があった。
獅龍凰「輝神大将軍獅龍凰見参!!」

使徒の力を取り込んだ三魔卿のATFは先程よりも強力なものとなり、天界武者の力でも破ることは出来ない。
烈龍「なかなかやりやがるな。それならこれだ、超機動大将軍召喚!」
右手を突き上げた烈龍を光が覆い同じ姿勢に天界の秘宝超機動大将軍が現れる。
烈龍@超機動大将軍「天聖邪滅光波!!」
超機動大将軍の額から閃光が広がる。光を浴びた三魔卿の体はぼろぼろになっていく。たまらず逃げ出す三魔卿。

烈風「魔刃!貴様の相手は私だ!」
魔刃「よかろう、俺も貴様には天宮で邪魔された恨みがある!」
魔刃大鎌<ファントムハーケン>を構え突進する魔刃。

スペリオルクローンは神機を形成していたエネルギーを暗黒卿に注ぎ込む。巨大化する暗黒卿。
暗黒卿「復活!機兵形態暗黒卿マスターガンダム!!」
鎧闘神エピオン「その姿きさまはまさか……わたしが相手だ!」
スペリオルクローン「よかろう…、だがそちらにそんな余裕はあるのか?」
鎧闘神エピオン「何?」

エピオンが訝しんだその時、空間に亀裂が走る。
エピオン「これは…大気が、いや空間そのものが軋んでいる!?」
スペリオルクローン「やはりな…ただでさえ時空が不安定になっている今、人為的に”裂け目”を作り、
加えて光と闇がそれぞれ原理を異にする方法で頻繁に別世界と行き来すれば次元の壁は脆くなり…
異次元に封印された私の本体を呼び出すことも可能となる!!!
スペリオルクローンの下半身は異形の物へと変化している。
その姿を見たエピオンが叫ぶ。
エピオン「闇の…デビル…ガンダム!?偽のスペリオルドラゴン!それが貴様の正体か!」

スペリオルクローン「ふん!闇の力は『ガンダム』を超えておる!」
スペリオルクローンの上半身が下半身の中に引っ込み、背後から起きあがった巨大な上半身が組み合わさる。
「我が名は暗黒神デビルスペリオル
エピオン「デ…デビルスペリオル…!!」

***スダ・ドアカワ−ルド***
デビルスペリオルの復活と共にスダ・ドアカの地には無数の闇の塊が発生していた。
長く伸びた首の先には五本の角を持つ頭。人を一呑みにするほど大きく裂けた口、顔の中心には一つの目が光る。
それが幾本も広がっていくのだ。襲いかかって来た闇の首をヒイロはビームサーベルで一刀の下切断した。
だが地上に落下した闇の首の頭は不定形の闇となり地面を侵食する…。
ヒイロ「……!」
騎士ウイング「光だ!闇を消し去るのは…光!」
ヒイロがビームサーベルを突きつけると闇は消えた。しかし無数の闇の首がこちらに―到着したゼフィルスにも―向かってくる。

ネオガンダムがゼフィルスから飛び出してくるとロードエルガイヤーを出現させる。
ネオガンダム「機甲神!輝光合身だ!」
エルガイヤーの周りに5体の機甲神が現れる。
炎の機甲神マーキュリアスが左脚に、水のアクアリウスが右足に、水晶のオルフェリスが右腕、雷のジュピトリアスが左腕、
そして大地のギガンティスが胴体となり、展開した胸部にエルガイヤーが収納され、両肩にはスーパーオーキスが合体し超機甲神G(グレート)ガンジェネシスが完成する。
ネオガンダム「輝光波イリスエクスタンシオン!!
ガンジェネシスの体から光が放たれ、ゼフィルス周囲の闇の首を一掃する…。
騎士ウイング「大丈夫か?」
ヒイロ「感謝する。だがこのゼロの状態ではあれとは戦えん…オレは混乱に乗じて潜入し製造プラントを叩く。」
ストームサンとエヴァオルフェノクを指して言うヒイロ。
正人「俺達も行くぜ。ウイングゼロを置いて行くなら鉄人やオックスが要るかも知れないだろ?」

アスカ「な、何よあれ!?いくらなんでも非常識よ!」
ゼロガンダム「嵐暴機神ストームサン…嵐虎剣の最終兵器だが、今は幻魔皇帝の手にある」
デュオ「でかいな!どうやって倒すんだ?」
ゼロガンダム「嵐虎剣に嵐暴機神があれば、雷龍剣(サンダーソード)には聖龍巨神がある。やつを(ゼロ)に還す!」
ゼロガンダムは外に出ると雷龍剣をかかげ聖龍機ロードドラグーンを召還する。
ゼロガンダム「サンダーリアライズ!!」
ドラグーンの背後に聖龍城ドラグーンパレスが現れ、聖龍巨神パレスドラグーンに変形しドラグーンを収納する。
強力なATフィールドを備え、敏捷に動くエヴァオルフェノクを倒すのに苦戦していたストームサンがパレスドラグーンに標的を変える。
幻魔皇帝「現れおったか、ゼロめ!食らえ風雲爆旋断!!」
ストームサンの掌から多数の旋風がパレスドラグーンに襲いかかる。
ゼロガンダム「聖龍城雷哮砲!」
パレスドラグーンは両肩からの砲撃で撃ち落す。

飛閃「ヒイロ、正人、潜り込むなら今のうちだ」
ストームサンとパレスドラグーンが戦っている下をヒイロ達は城内に潜入する…。

ミサト「それで、あの闇もそのストームサンの仕業なの?」
サンドロック「いや、あれは恐らくエレナ・ルウムに現れたのと同じ…暗黒神の闇だ」
シャイン「おれ達光の騎士なら消し去ることができるがザンスカールの城を中心に広がっているようだな…一体何が」
それはまさにスペリオルクローンが次元を移動した跡から現れているのだが、シャイン達は知る由もなかった。
ミサト「ひとまずストームサンはゼロガンダムに任せて光の騎士達は闇が広がるのを食い止めて。残りはエヴァオルフェノクを倒した後ゼロガンダムを援護!」
一同「了解!」

アスカ「ちょっと!なんで私が出られないのよ!あいつらじゃ勝てないわよ!」
ミサトに食ってかかるアスカ。
リツコ「弐号機は戦える状態じゃないのよ」
シンジはホッとしていたが心配でもあった。それはいつものように役に立たなければ見捨てられるといったものではなかった。
レイ「後方でATフィールドを中和するだけなら、今の状態でも可能だわ」
シンジ(僕は何のために来たんだ…?戦いに来た。誰かを傷つけに来た。そう命令されたから?
違う…命令されたから、他の誰かが戦うと決めたから来たんじゃない…。僕が決めた。僕がやらなきゃ誰かが傷つくから。
ほら、今もカトル君達が無茶な相手に向かって行ってる。綾波の言うとおりATフィールドを中和するだけなら出来るのに、
気付かない振りして黙っているから…もう嫌だ。動くのも動かないのも他人に言われるままで仲間を失うのは…)

シャッフルと五闘神は散開し、闇の首を次々と打ち払っていく。
カオスガイヤーとウイングゼロを除くガンダムチームがエヴァオルフェノクを取り囲み攻撃を加えるが、大出力武器のない4体ではATフィールドを破るほどのダメージを与えることができない。
五飛「段々こいつの動きが見切れるようになってきたぞ!確かに迅いがこいつは只の獣だ…戦士ではない!」
デュオ「だからって同時攻撃を当てられる程見えるわけじゃねェ…それじゃたおせねェんだよ!」
トロワ「ツインバスターライフルなしで単独でこいつのATフィールドを破る破壊力を出すのは限りなく不可能に近いな」
カトル「どうすれば…どうすればいいんだ!」

そのときゼフィルスから3つの影が飛び降りてくる。
シンジ「…ぐうっ!」
先の戦闘でのダメージの残るエヴァはそのダメージをパイロットに痛みとして与えている。
特に人間で言えば全身打撲、骨折も多数というダメージを受けている初号機では動くのも辛いようだ。
零号機も弐号機も本来ならば戦える状態ではない。
レイ「私達が…ATフィールドを中和するわ」
アスカ「見せ場を譲ってあげるんだから感謝しなさいよ!」
ミサト「レイ、アスカ、シンジ君ごめんなさい…皆頑張って…」

エヴァ三体がかりでエヴァオルフェノクのATフィールドを中和する。ヘビーアームズの全火器が火を噴き、
アルトロンのドラゴンハングがエヴァオルフェノクを捕らえ、デスサイズのビームサイズとサンドロックのヒートショーテルが切り裂く。
ルナガンダム「カオスガイヤー秘技!バックパトスグランジ!」
だがまだ倒せず、触手を伸ばしてくる。ガンダム達はかわすがエヴァ3体は満足に動ける状態ではない。
カトル「しまった!シンジ君達が!」
その時飛来したロードガンレックスの槍がエヴァオルフェノクを貫く。エヴァオルフェノクは体勢を崩し、攻撃は外れる。
ネオガンダム「超輝光ノヴァ!!!」
Gガンジェネシスのジェネシスブレードが閃光を放ちエヴァオルフェノクに止めを刺す。

541 名前:時空編/VS幻魔皇帝、決着!:2005/12/26(月) 12:23:48

***ザン・スカール帝国***
製造プラントを探すヒイロたちは巨大な糸の塊を発見した。
正人「何だこりゃ?エヴァに関係するものじゃないようだが…」
近寄ってよく見る正人。だが中で蠢く何かに気付いた正人が驚き飛び退く。
三郎「バイスタランチュラ!こんなに大量の!」
ヒイロ「これが孵化すれば、万単位の人間が支配下に置かれるな…」
豪剣「何ということを…。どいていろお前達」
豪剣が背負った七本の刀のうち二本を構える。
豪剣「七星剣・壱番刀"雷"・参番刀"炎"…炎雷双撃斬!」
二振りの刀が発する炎と雷がバイスタランチュラを焼き払う。
正人「凄いな…」
三郎「ん?何か聞こえないか?」
ヒイロ「エックスとかいう少年の声だな。こっちだ…」

物音のする方へ進むと、騎士エックスが四天王機兵を相手に戦っていた。
飛閃「いかん、あのままではやられる!天動奥義・破空貫通撃!」
破空貫通撃形態に変形した飛閃が錐揉み回転しながら突進し名槍・斬馬でゴクブラックの右腕を貫いた。
エックスを狙っていた鞭は手からすっぽ抜け、反対側にいた銀嵐機兵の顔を直撃する。
ゲンガオゾ@ザンシルバー「おのれ、またしても邪魔が入ったか!!」
正人「危ない!来い、鉄人!」
剣で飛閃に突きかかってくるザンシルバーを突き飛ばし、FXが登場する。だが遠くから赤嵐機兵がボーガンで狙っている。
三郎「アームバルカン!」
ザンレッドのボーガンより早くブラックオックスのアームバルカンが炸裂する。

流れ弾で開いた穴の先には培養槽の様なものが見え、血の匂い―LCLの匂い―が漂ってくる。
ヒイロ「あれは…」
穴の方へ忍び寄るヒイロ。だがザンネックがその動きに気付く。
ザンネック@ゴクブルー「待て!プラントへは入らせんぞ!」
蒼嵐機兵が右腕を振るうと激風が起こる。
豪剣「いかん!」
豪剣頑駄無が巨大武者”豪鉄剣臣”形態に変形して飛び出し、盾となる。
ヒイロ「豪剣無事か?」
豪剣「早く行け!あの怪物をこれ以上生み出せないように破壊するのだ!」
ラボの中へ飛び込むヒイロ。中に人の気配はないが培養器は未だ稼動していた。
ヒイロ「ミケーネ帝国の者は…いないが…逃げたのか?まあいい、ここを使えなくするのが先決だ」
培養槽の壁面や部屋の柱、プラントの機材に爆薬を仕掛けるヒイロ。

正人「超電動ー…キィー――ック!!」
FXが蒼嵐機兵ゴクブルーの土手っ腹を打ち抜く。
三郎「ジェノサイドバスター!!」
黒嵐機兵ゴクブラックが消し飛ぶ。
豪剣は背中の七星剣の合体した巨大剣輝羅星刃(キラセイバー)を、
飛閃は双斬馬剣を振るって赤嵐機兵ザンレッドと銀嵐機兵ザンシルバーを牽制する。隙を突いてF90IIが鋼線で足を縛る。
赤嵐機兵と銀嵐機兵が転ぶ。エックスが念じると辺りが暗転し上空に月が現れ―――
エックス「月光聖矢(ルナラセイア)!!」
月の光が無数の矢となって赤嵐機兵と銀嵐機兵を射ち貫く。

***天界***
獅龍凰「日輪天照波!」
両肩の獅子と龍が刻まれた輝羅鋼の翼から聖なる光を発し魔星を追い詰めていく獅龍凰。
魔星「ぐわあっ!」
暗黒卿「ば、ばかなー!」
光の軸線上にいた巨大化を遂げた暗黒卿も巻き込まれ、ダメージを受ける。そこへ三魔卿も逃げてくる。
暗黒卿「三魔卿よ!暗黒卿(おれさま)と合体せよ!暗黒力に永久機関のエネルギーを注ぎ込め!」
三魔卿の体が分解し、暗黒卿の鎧となる。最終形態となって獅龍凰に迫る暗黒卿。
気合音とともに獅龍凰が太刀を抜く。鳳凰と獅子と龍の首を持つ輝獣獅龍凰に変形し突進する。
「究極天動奥義!閃光輝獣撃!!」
魔星と暗黒卿は光の中に消滅する。

魔刃頑駄無の左手から放たれた妖気が烈風頑駄無を捕える。そのまま手元に引き寄せ、
魔刃「狂鎌地獄葬(カオスインフェルノ)!」
魔刃大鎌を振り下ろす。烈風が応戦する。風手裏剣の刃で魔刃大鎌を防ぐ。
両者衝撃で弾け飛ぶ。烈風が風覇戦陣形態へ変形する。
烈風「天界神技!風覇激嵐弾!!」
烈風最大の必殺技に魔刃が爆発四散する。

鎧闘神エピオン「ブラックストリームバースト!」
エピオンの周囲に黒い風が吹き荒れ、暗黒神に襲いかかる。
肩の上に生えた腕からエネルギー弾を発して相殺する暗黒神。
暗黒神「闇に消えろ!」
暗黒神から広がる闇が勢いを増し、何者をも飲み込む勢いで吸い込みを始める。

獅龍凰「暗黒の神よ、消えるのはお前だ!」
烈風「確かに一人ならばお前の闇に飲み込まれるかも知れん、だが!」
烈龍@超機動大将軍「俺たち皆でかかればお前なんかにゃ負けないぜ!輝光飛翔斬!」
超機動大将軍の輝羅鋼の翼が舞う。烈風が風手裏剣に乗って空を飛ぶ。
獅龍凰が全身に光を纏って突撃する。エピオンが全身から天使光を放つ。
暗黒神の体が切断され、中の本体が光の中で消えていく…
暗黒神「ば、ばかな…暗黒の神が負けるとは…」(消滅)

***スダ・ドアカワ−ルド***
幻魔皇帝@ストームサン「幻魔嵐爆斬!」
ストームサンが光線を発し、パレスドラグーンを攻撃する。
ゼロ@パレスドラグーン「幻魔皇帝よ再び無に還るがいい!雷神哮砲!!」
嵐爆斬に耐え抜いたパレスドラグーンが胸の龍の口から雷撃!だがストームサンは飛び退きかわす。
幻魔皇帝@ストームサン「以前戦った時と同じ手を食うか!今回無に帰るのはきさまだ!幻魔炎嵐弾丸!」
全身を火の玉と化し、旋風を身に纏って飛ぶストームサン。
ゼロ@パレスドラグーン「それはこちらも同じこと!その技はすでに一度食らっている!」
ストームサンの直撃を避けようと跳躍するパレスドラグーン。
幻魔皇帝@ストームサン「かかった!避けると思っていたぞ!」
跳躍したパレスドラグーンの下で回転の角度を変え、その場で目にも止まらぬ速度で回転する。ストームサンを中心に竜巻が巻き起こる。
ガオージャの風雲竜巻断(ゲイルトルネード)と同じ形だが、ストームサンの巨体のため桁外れのパワーとなる。
幻魔皇帝「幻魔風雲竜巻断だーっ!!竜巻に巻き込まれ、寸断されるがいい!」
パレスドラグーンが吹き飛ばされ、台風と見紛うばかりに巨大な竜巻に巻き込まれていく。

四闘神「四闘神フォーメーションプラズマ!」
鎧闘神ウイング「分身バスターソードパワーズ!」
光弾と無数のエネルギー波がストームサンを撃つ。闇の首が消え、闘神とシャッフルが援護に駆けつけたのだ。
四獣機が光の獣と化しストームサンを貫く。
シャイン・マックス・ローズ・ドラゴン・ボルト「ゴッド…ユナイトーっ!」
シャッフルのガンダム騎士が神のガンダム―ゴッドガンダムへと一体化する。
シャッフルの五神機は黄金魂を集結させ、一つの巨大なエネルギー弾を作っている。
ゴッドガンダム「太陽撃コロナシャイニング!!」
五神機「エンブレムシンフォニアアターック!!」

幻魔皇帝@パレスドラグーン「ぐぎゃぎゃああ!!」
光の中燃え尽きる嵐暴機神…


ヒイロ達もプラントを爆破し、ゼフィルスに帰還していた。
ふと気がつくと、シンジが嵐暴機神の残骸に黙祷している。
ヒイロ「やはりおまえたちは下がっていろ。敵を殺すことを恐れ、狂うことを拒む者は戦場には合わない」
ドロシー・カタロニアならば「間違ってる人」と言っただろう。
アスカ「例えば…間違って殺した相手の遺族に拳銃を渡して廻るような奴とか?」
カトル「ぷっ」
思わず吹き出すカトル。デュオなどは完全に目が笑っている。
作戦が終了したゼフィルス内に笑い声が響く…(シナリオ終了)

【今回の新規登場】
○羽荒斗頑駄無(超機動大将軍)
烈空頑駄無の息子。天界武者。XXXG-01Wウイングガンダムに相当。
○烈龍頑駄無(覇大将軍)
天界一の暴れん坊。島を一つ沈めたかどで刀に封じられていたが紅零斗丸と共に戦う内に成長し、
天帝の許しを得て天界へ帰る。RX-78GP01Fbに相当。
○烈風頑駄無(覇大将軍)
天界武者のリーダー。RX-78GP02に相当。
GF13-013NR ボルトガンダムに相当。
GF13-011NC ドラゴンガンダムに相当。
GF13-009NF ガンダムローズに相当。
GF13-006NA ガンダムマックスターに相当。
新號斗(ネオゴッド)丸(超機動大将軍/武神輝羅鋼)
飛駆鳥大将軍の弟。天宮を乗っ取った魔星と戦い相打ちとなり行方不明。
弟子であり自分をかばって命を落とした天零に命を移し死亡。
彼の記憶が戻った後天界へ行く。GF13-017NJ II ゴッドガンダムに相当。
○太陽騎士ゴッドガンダム(黄金神話)
シャッフル騎士団のガンダム騎士五人が合体して誕生した。GF13-017NJ II ゴッドガンダムに相当。
○守護天使ミリアル=騎士エピオン=鎧闘神エピオン(鎧闘神戦記)
OZ-13MS ガンダムエピオンに相当。
●銀嵐騎士ゲンガオゾ(新SDガンダム外伝)
ザンスカール四天王の一人。豪快な性格。手柄を上げて幻魔皇帝の後釜に納まろうとしている。ZMT-S28Sゲンガオゾに相当。
●蒼嵐騎士ザンネック(新SDガンダム外伝)
ザンスカール四天王の一人。ニヒル。手柄を上げて幻魔皇帝の後釜に納まろうとしている。ZMT-S29 ザンネックに相当。
●赤嵐騎士ゴトラタン(新SDガンダム外伝)
ザンスカール四天王の一人。残忍な性格。手柄を上げて幻魔皇帝の後釜に納まろうとしている。ZMT-S33S ゴトラタンに相当。
●黒嵐騎士リグコンティオ(新SDガンダム外伝)
ザンスカール四天王の一人。陽気だが、やはり他の三人を出し抜き幻魔皇帝の後釜に納まろうとしている。ZMT-S34S リグ・コンティオに相当。
●異能戦士ワイルドゴッグ(黄金神話)
怪力を誇る異能戦士。MSM-07ゴッグに相当。
●異能戦士アイスボマー(黄金神話)
氷を操る異能戦士。MS-08Tイフリートに相当?
●異能戦士ストライクギラドーガ(黄金神話)
岩の体を持つ異能戦士。AMS-119 ギラ・ドーガに相当。
●異能戦士オプトゾリディア(黄金神話)
目からユニオン族をデスペリオルに変えてしまう闇の光を発する。ZM-S06G ゾリディアに相当。
●異能戦士RFグフ(黄金神話)
手から網を発する異能戦士。OMS-07RF RFグフに相当。
●異能戦士ゴッゾーラ(黄金神話)
両腕から刃の生えた異能戦士。ZMT-S13G ゴッゾーラに相当。
●異能戦士ノビルシャッコー(黄金神話)
伸縮自在の異能戦士。ZMT-S12G シャッコーに相当。

542 名前:時空編/未来世界/地球:2006/02/05(日) 04:32:17

>>513-514の続き

***エターナル・通路***

敬介「こ、これはっ…!?」

フラッシュマンやダグオンたちと共に
エターナル隊に同行していた神敬介=仮面ライダーХ。
艦内での騒ぎに気づき、駆けつけて来てみると、
頭部を砕かれた状態のクルーの死体に愕然とする。

敬介「艦内に侵入者が!? 一体誰がこんな事を…」

そこへ息を切らしながら
ブリッジの方向から必死に走ってきたメイリンが、
駆け寄ってきた。

メイリン「敬介さん〜〜〜!!!」
敬介「メイリンじゃないか!?
 一体どうしたんだ!!」
メイリン「た、大変なんです! ブ…ブリッジが!!
 ブリッジが!!」
敬介「落ち着くんだ! 何があった!?」


***エターナル・ブリッジ***

不動「貴様らの相手も飽きてきた。そろそろ全員消えてもらうぜ」
マスタング「くっ…我々の攻撃を全て先読みされては
 手の打ちようが…!!」

ラクウェルの魔法攻撃も破られ、
もはや万策尽きたかに見えたが…その時、
間一髪でブリッジに敬介が乗り込んできた。

敬介「待てい!!

不動「誰だ、てめえは!?」

バルトフェルド「敬介君か!? いいところに来てくれたな!」
敬介「バルトフェルド隊長、こいつは!?」
バルトフェルド「奴はサトリの不動!
 他人の物を奪う事を仕事にしている、凄腕の奪い屋だ!」
敬介「…とすると、こいつも我々と同じ現代人?」
バルトフェルド「奴の相手の動きを先読みする能力に気をつけろ!」

不動「ゴチャゴチャ言ってねえで、やるんならさっさと始めようぜ。
 兄ちゃんよぉ!」
敬介「是非にとあらばお相手しよう! 大・変・身!

V3・風見志郎の手で体内にマーキュリー回路をセットされ、
パワーアップしている神敬介は、腕を真っ直ぐ上に伸ばし、
掛け声とともに腕を横方向に下ろして体全体で「大」の字を象る態勢を取り、
その後、垂直ジャンプすることで一瞬にして変身を完了させるのだ!

Хライダー「俺は大海原の勇者! 仮面ライダーХ!!
不動「お前が噂に聞くMASKED RIDERの一人か…。
 今度はちゃんと楽しませてくれるんだろうな?」
Хライダー「さっきそこの通路でクルーを殺したのは貴様か!?」
不動「だったらどうした?」
Хライダー「――許さん!!」

マスタング「バルトフェルド隊長、彼は?」
バルトフェルド「アイツはХライダー。俺達の仲間だ!」

Хライダー「ライドルスティック!」
不動「ワン・セコンド!」

武器ライドルの「S」ボタンを押してできる警棒形態にし、
ライドル脳天割りを繰り出すХライダー。
しかしやはり、例によって不動に先読みされてしまう。

Хライダー「――むっ!? かわされた!!
 ならばこれならどうだ!! Хキィィーック!!!!!
不動「ツー・セコンド!」

またしても不発に終わるХライダーの必殺技。
そしてХライダーの攻撃を尽くかわしながら迫って来る不動琢磨!

Хライダー「なんて奴だ!?」
不動「無駄無駄無駄無駄…無駄なんだよ!!!!」
Хライダー「…らしいな。どうやら貴様とは"本気"で相手をしなければ
 ならないようだ。お見せしよう! Хライダーの真の力を!」

マーキュリー回路のエネルギーを全開にするХライダー。

不動「無駄だって言ってんだろう! ツー・セコンド!!
 ……な、なにっ!?」
Хライダー「――真空地獄車!!

超スピードで不動に飛び掛かったХライダーは、
スクラムを組んで一つの円になって転がっていき、
不動の頭を何度も地面に激突させていく。そしてそのまま空中に飛び上がり
急降下、さらに頭を地面に激突させる。さらに不動を投げ上げた上で、
とどめのキックを決める!

不動「…い、今のは…さすがに、効いたぜ……!」
Хライダー「真空地獄車を食らってもまだ生きているとは!?
 貴様、本当に生身の人間か!?」

Хライダーの知る限り、
戦闘で改造人間等と互角以上に渡り合える生身の地球人は、
江田島平八や玄海老師、それに浦飯幽助ら霊界探偵達など、
ごくわずかの人物だけだ。しかしそのような人間は
まだまだ他にも想像以上にいるようだ。

不動「そんな事よりも…今のがてめえの"本気"か? Хライダー…」
Хライダー「その通り! 如何に先を読むサトリの能力といえども、
 "本気"を出したХライダーの前には通用しないのだ!」
不動「フフフ……」
Хライダー「何がおかしい?」
不動「…なんとなく美堂の奴を思い出すぜ。
 この際ファイブ・セコンドまで使おうかとも思ったが…
 まあいい。楽しみはこの次までにとっておくか!」
Хライダー「何っ!?」

ゆっくりと立ち上がる不動。

不動「覚えときな! ラクス・クラインの命は必ず頂くぜ!
 勿論Хライダー、てめえの命もな!」
Хライダー「――!?」

一瞬の隙を突いて、艦橋のフロント窓を突き破り、
不動琢磨は外へと脱出した。

Хライダー「しまった! 逃げられたか!」
バルトフェルド「待て! 深追いはするな!
 それよりも怪我人の手当てが先だ」
Хライダー「不動琢磨…恐ろしい相手だ…」

543 名前:時空編/未来世界/地球:2006/02/05(日) 04:33:19

***地上***

不動「チッ…あの野郎。
 予想以上にやってくれたぜ…」

深いダメージで傷ついた身体を引きずるように
エターナルから離れた不動だが、そこに2人の人影が近づく。

不動「……ん?」
カウラー「サトリの不動も、随分と派手にやられたものだな…」
不動「てめえは確か…サー・カウラーとか言ったな」

漆黒の甲冑に身を固めた暗黒のハンター、サー・カウラー。
そしてその片腕ボー・ガルダンだ。

ガルダン「不動、その様子だと、我らの救難信号をキャッチして
 迎えに来てくれた訳でもなさそうだが?」
不動「…たりめぇだ。俺はラクス・クラインの命を狙って
 この時代に送り込まれたんだからなぁ…」
カウラー「それがDIO・ブランドーからの指令か…」
ガルダン「カウラー様、やはりあのDIO・ブランドーという男は
 信用できません! カウラー様に手を貸すなどと言いながら、
 この同じ未来世界で俺達の与り知らぬ別の事を
 企んでいるのでは…!?」
カウラー「そんな事は元より百も承知。相手を利用しているのは
 こちらも同じだからな。それよりも不動、俺達に手を貸せ」
不動「何っ?」
カウラー「無論、俺達の方もそのラクス・クライン暗殺とやらに
 手を貸してやる。エターナルに乗っている奴らはお前の予想以上の強敵だぞ。
 悪い話ではないと思うが?」
不動「………」


○Хライダー⇒エターナルから不動を撃退する。
●サー・カウラー⇒実はDIO・ブランドーの一味と繋がっていた?
●不動琢磨⇒Хライダーに敗退。その後、サー・カウラーと接触。

【今回の新規登場】
○神敬介=仮面ライダーХ(仮面ライダーХ)
 沖縄の水産大学に通っていた青年で、空手や剣道の有段者。
 父・神啓太郎教授の手で、深海開発用改造人間「カイゾーグ」に改造された。
 謎のGOD機関と戦う仮面ライダー5号。
○メイリン・ホーク(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 元ザフト戦艦ミネルバのクルーで、現在はエターナルの通信士。
 ルナマリア・ホークの妹。

544 名前:『G細胞編』後日談:2006/04/01(土) 13:46:45

>>515-524 の続き

こうして、G(ゴジラ)細胞を巡る戦いは終わった。
無事G細胞を守りきった地球忍者達は、
全員が忍風館へと帰還し、互いに労をねぎらい合った。
そして、任務達成の満足感を胸に、一夜が明けた。

おぼろ「やぁやぁやぁやぁ、みんなご苦労やったなぁ。
 カクレンジャーもフクロウ男爵はんもニンジャマンも、
 みぃ〜んな、よう頑張ってくれはったなぁ…。
 それにシュリケンジャーも、サポートご苦労さん!」
無限斎「…うむ、こうして皆で力を合わせる事により、
 無事にG細胞を守りきる事が出来たのじゃ。
 それも、フラビージョとウェンディーヌの二人が、
 我らに情報をもたらせてくれたらばこそじゃ。
 フラビージョ、そしてウェンディーヌ、
 この日向無限斎、地球忍者を代表して礼を申す。」
フラビージョ「…エヘヘヘ、改めて言われるとテレちゃうねw」
ウェンディーヌ「…そう言って貰えると有難いわね。
 こうする事が私達にとって、ジャカンジャとして犯した罪への、
 せめてもの罪滅ぼしになると思うから…。」
吼太「その言葉は、あの時にも聞かせて貰ったよ。
 大丈夫だって、みんなもう信じてるんだからさ。」
鷹介「そうだぜ、もう俺達は仲間なんだ。
 だから、そんな暗い顔なんかすんなって!」
七海「これからは、一緒に力を合わせて頑張りましょ!」
シュリケンジャー「…で、ゴウライジャーの二人はどうなんだい?」
一甲「…こうして再び手を組む日が来るとはな。
 尤も、あの時とは状況が逆な訳だが…。
 これからも手を貸してくれるなら、こちらも有難い。」
一鍬「…いや、何だ、兄者が納得されているのなら、
 俺からは特に言う事は無い(何故か少し照れ気味)。」
サスケ「…あぁ、頼もしい仲間が増えたな。」
鶴姫「コラァ、何デレデレしちゃってるのよサスケ!
 全く昔っからアンタって人は、相手がちょっと可愛いともぉ〜、
 すぐにコレなんだからぁ〜(サスケの耳を強く引っ張る)!」
サスケ「イデッ、イ、イデデ、痛いって鶴姫っ…!」
サスケ・鶴姫以外「アハハハハハハ!」

サスケと鶴姫のやり取りに皆が笑う。
ウェンディーヌとフラビージョへの不信感は、
既に彼らの間には微塵も残ってはいなかった。

おぼろ「まぁまぁ鶴姫ちゃん、その辺にしときぃな。
 …あぁ、そうや、みんなこの後時間あるかいな?
 大丈夫なんやったら…。」
サイゾウ「え、何、何?何なの一体!?」
セイカイ「俺達に、メシでも奢ってくれんの!?」
おぼろ「あぁもぅ、そないに慌てんでもええやろ?
 なぁフクロウ男爵はん、さっきから黙っとるようやけど、
 しばらくゆっくりしていけるんやろ?」
フクロウ男爵「いや、そう言う訳にもいかないんだ。
 IamはなるべくTodayの内にイギリスにReturnして、
 今回の件について報告しなければならないんだ。
 無論、そこの二人のLadyの事についてもね。
 それに…(ジライヤの方を見ながら)。」
ジライヤ「What's?」
フクロウ男爵「イギリスへReturnする前に、
 もう一人のジライヤに会っておきたくてね。
(口調は僅かながら、嬉しさで弾みを帯びていた)」
おぼろ「もう一人のジライヤ?
 …せや!戸隠流35代目の山地闘破ちゃんやね!」
シュリケンジャー「Hey!確か戸隠流と言えば、カクレンジャー達の流派、
 隠流から派生したと言う話を聞いた事があったな。」
ニンジャマン「山地闘破…えぇと、誰だったっけ?」
ジライヤ「ペシッ(ニンジャマンの頭を軽く叩いて)!
 何ヲ言ッテルンダニンジャマン。
 以前武神館ヘ挨拶シニ出掛ケタ時、オ前モ一緒ニ居タジャナイカ!?」
ニンジャマン「ウ〜ン、武神館って言うと…確かあそこだったから…。
 あぁ、アイツかアイツ!やっと思い出したぜ!」

ジライヤとニンジャマンのそんなやり取りを見て、
おぼろ・フラビージョ・ウェンディーヌの三人は、
集まって何やらヒソヒソと相談をし始めた。

ウェンディーヌ「(…ねぇ、ちょっとおぼろさん?
 私、フクロウ男爵にも何かお礼をしたいんだけど、
 何か良い方法ないかしらね?)」
おぼろ「(せやなぁ…イギリスに帰ってまうんやから、
 無理に引き止める訳にもイカンからねぇ…。)」
フラビージョ「(でも、イギリスに帰っちゃう前に、
 武神館って所に寄っていくんだよね?
 …だったらさ、その武神館にお弁当を配達して貰える様に、
 電話してみれば良いんじゃないかな、どう?)」
ウェンディーヌ「(あら、どうしたのフラビー!?
 何だか今日は変に冴えてるじゃない?)」
フラビージョ「(『今日は変に』は余計だよぅ…。
 でも、エッヘン!私、頭良い〜!)」
おぼろ「(じゃあ、それで決まりやね。
 けど、フクロウ男爵だけにちゅう訳にもいかんやろ?
 ここは武神館のみんなの分もちゃ〜んと、
 注文しとかなあかんやろな?)」
ウェンディーヌ「(この事を考えたのはあなたなんだから、
 注文のお金はあなたが支払うのよ、フラビー?)」
フラビージョ「ええ〜〜っ!!…ムグ(慌てて口を閉じる)。
 (ちょっと、それは無いでしょウェンディー!?
 今、私、2万位しかお金持ってないんだからさぁ!?)」
ウェンディーヌ「(ゴメンゴメン、ちゃんとワリカンにするわよ。
 でも、あんまり大声は出さないでよね?)」
おぼろ「(…いざって時には、コッチでも幾らか持つから、
 二人ともそないに心配せぇへんでもえぇよ?)」」
フラビージョ「(さっすがおぼろさん、話が分かるぅ〜!)」
おぼろ「(じゃあ、早いトコ注文しとかなあかんな。
 ウェンちゃん、電話番号教えてくれへんか?)」
ウェンディーヌ「(分かったわ、えぇと…。
 あ、お弁当の注文なんだから「バイキング」じゃなくて、
 「キッチン」の方じゃないと駄目よね?
 だから…(メモに何処かの電話番号を書き込む)。
 ハイ、お願いするわね、おぼろさん。)」
おぼろ「(よっしゃ、任しとき!)
 (電話を掛ける為に奥へと引っ込む)」
ウェンディーヌ「(とりあえずはこれで良し、と。)」
フラビージョ「(うん、そうだねウェンディー。)」
鷹介「なぁ、さっきからずっと、おぼろさんと一緒になって、
 何をコソコソ話してたんだ?」
フラビージョ「…え〜と、ま〜、ちょっとした事、なんだけど、ね…。」
ウェンディーヌ「…そ、そうそう、大した事じゃないのよ。
 …それで、フクロウ男爵はどうしたのかしら?」

話に一区切り付いて、ホッとしていた二人は、
いきなり鷹介に声を掛けられ、しどろもどろになり掛けたものの、
何とか気を落ち着かせて、フクロウ男爵の事を尋ねた。

鷹介「どうしたもこうしたも、今出て行く所だよ。
 イギリスへ帰る都合上、ニンジャマンも一緒だってさ。」
フラビージョ「へぇ、そうなんだ。
 (ニンジャマンって確か、食事必要なかったよねぇ…?)」
ウェンディーヌ「それじゃあ、お見送りしないと駄目よね?
 ちょっと待って、今、おぼろさんを呼んでくるから。
 (一応、確認しておいた方が良いわよね?)」
鷹介「さっきから二人とも、何か変だよなぁ?
 まぁいいや、早くしてくれよウェンディーヌ。」
フラビージョ「私達は一足先に、お見送りに出てるからね〜。」
ウェンディーヌ「わかったわ、先に行ってて。」
鷹介「じゃあ行ってるか、フラビージョ。」
フラビージョ「うん!」

忍風館の玄関では、フクロウ男爵を見送る為に、
みんなが集まってきていた。

吼太「…鷹介の奴が呼びに行ったけど、
 まだ来ないよ、一体どうしたんだ?」
一甲「そう言うな吼太。
 そう焦る事でもないだろう?」
吼太「そりゃそうだけどさぁ。」
七海「…あ、来た来た!」
鷹介「ゴメン、お待たせ!」
一鍬「遅いぞ、鷹介、フラビージョ!」
七海「…あれ、おぼろさんとウェンディーヌは?」
フラビージョ「大丈夫、そのうち来るからさ〜。」
シュリケンジャー「Look up!噂をすればって奴だ。」
ウェンディーヌ「ふぅ、よっこいしょ…っと!
(おぼろさんを抱えてジャンプしてきた)」
おぼろ「あぁみんな、遅れてしもうてゴメンな。」
無限斎「やれやれ、ようやく全員集合したか。」

フクロウ男爵は既に身支度を整え、
愛馬・十字号に跨って、出立の準備を済ませていた。

フクロウ男爵「すまないな、みんな。
 一晩の宿を借りた上に、見送りまでして貰って…。」
サスケ「まぁ、一晩の宿を借りたって言う事なら、
 俺達カクレンジャーだって同じだからな。」
鶴姫「それに、地球忍者同士、助け合うのはお互い様でしょ。」
ジライヤ「ソレヨリモ、問題ナノハ…。」
セイカイ「フクロウ男爵をイギリスへ送っていくのが…。」
サイゾウ「…よりによってニンジャマンだって事なのよねぇ!?
 本当に、アンタに任せておいて大丈夫なの!?」
シュリケンジャー「何ならYouの代わりにMeが、
 フクロウ男爵を送り届けても構わないが?」
ニンジャマン「なな…何だよ、その言い方は!?
 この俺様を誰だと思っているんだ!?
 三神将の一番弟子、ニンジャマン様だぞ!?
 ドーンと、大船に乗ったつもりで任せとけって!」
鶴姫「…あのねぇ、そんな風に調子に乗り易い性格だからこそ、
 みんな心配しているんでしょうがぁ!」
サスケ「くれぐれも、フクロウ男爵に迷惑を掛けるなよ?」
ジライヤ「ソレ以前ニ、武神館ガ見ツカラナカッタ、
 ナンテ事ガ無イ様ニシテクレヨ?」
セイカイ「フクロウ男爵や十字号を海に落っことしたりも、な?」
ニンジャマン「だぁ〜もぅ、大丈夫、大丈夫だって!」
フクロウ男爵「Hahaha、こんなにも心配してくれてるんだ。
 良い仲間達じゃないか、ニンジャマン?」
ニンジャマン「ドイツもコイツも、みんな心配性だけどな。」
サイゾウ「…良く言うよ、誰のせいだと思ってるんだか!?」

カクレンジャー達は、口ではニンジャマンに対し辛辣だったが、
表情は皆、どこかしら誇らしげに微笑んでいた。

フクロウ男爵「…さて、別れの挨拶が済んだ所で、
 そろそろ出発するとしようか?」
おぼろ「あっ、ちょっと待ってやフクロウ男爵はん?」
フラビージョ「私達、今回の事でみんなにお礼がしたいの。」
ウェンディーヌ「だから、フクロウ男爵にはささやかながら、
 武神館へお弁当を配達させてもらう事にしたわ。」
フラビージョ「武神館にいる戸隠流の人達の分も、
 お弁当が届く様に注文しておいたから、楽しみにしててね♪」
フクロウ男爵「…ほぅ、そこまで気遣ってもらうとは。
 重ね重ね感謝させてもらうよ。」
ニンジャマン「何だよ何だよ、俺の分は無しかよ!?」
フラビージョ「あ…いやぁ、その…。」
ウェンディーヌ「あなたは食事を必要としないって、聞いてたから…。」
ニンジャマン「う…ほ、本気にすんなって、冗談だよ冗談!
 俺には確かに、メシは必要無ぇんだしさ。」
鶴姫「…全く、二人を苛めちゃ駄目でしょ!
 ちょっとニンジャマン、反省しなさい、反省を!」
ニンジャマン「ハイ、反省(かの有名なポーズを取る)。」
フクロウ男爵「じゃあ、今度こそ行くとしようか。
 ニンジャマン、武神館で落ち合うとしよう。」
鷹介「フクロウ男爵、イギリスに帰っても頑張ってくれ!」
一鍬「任務を受けて七海と共に、再びイギリスへ向かう事も、
 或いはあるかもしれないが…。」
七海「…その時には、又よろしくお願いするわ。」
一甲「それと、ニンジャマンもしっかりな。」
吼太「むしろ、お前の方が心配なんだからな、ニンジャマン。」
ニンジャマン「っったく、お前達までそれを言うのかよ!?
 …分かったよ、気を付けて行ってくるぜ。」
フクロウ男爵「それではみんな、Good Luck…。
 いや…、See You Again!!」
シュリケンジャー「あぁ…、See you again!!」
ニンジャマン「そぉれ、飛ばすぜぇ〜〜っっ!!」
フクロウ男爵「Let's Go、十字号!ハァッ!!」

そして、ニンジャマンは雲に飛び乗って、
フクロウ男爵は愛馬・十字号を駆って、
それぞれ別々に武神館へと向かっていった。


545 名前:『G細胞編』後日談:2006/04/01(土) 13:49:28

サイゾウ「…そう言えば、何か引っ掛かってる事があるんだけど?」
セイカイ「…そうだ、確かあの時おぼろさんが、
 みんなに時間があるかどうかを聞いたんだよな?
 途中で話が中断しちゃったけどさ…。」
ジライヤ「話ガ中断シタノハ、サイゾウトセイカイガ、
 話ノ途中デ割リ込ンダ所為ジャナイカ!」
おぼろ「…あぁ、言われてみればそうやったねぇ。
 それに関しては、フラビちゃんとウェンちゃんに聞いてや?」
鷹介「え!?それって、一体どう言う事なんだ?」
フラビージョ「だからぁ〜、フクロウ男爵にも言ったけれど、
今回の件に関して、みんなにお礼をしようと思って、ねぇウェンディー?」
ウェンディーヌ「えぇ…、私達の事を仲間として認めてくれたお礼と、
 ゴジラ細胞を守り抜いてくれた事へのお礼を兼ねて、
 みんなに食事を奢ろうと思っていたのよ。」
セイカイ「ええっ、本当にメシを奢ってくれんの!?
 マジ、マジ、マジで何を奢ってくれんの!?」
鷹介「うんうん、俺もすっごく気になる!!」
サスケ「まぁまぁ、少し落ち着けよセイカイ。」
一鍬「それと鷹介、お前もな!」
一甲「…話を続けてくれ、フラビージョ、ウェンディーヌ。」
ウェンディーヌ「…うん、そこは焼肉バイキングのお店なんだけど…。」
フラビージョ「私達が地球で、お世話になっているお店なんだよ〜。」
シュリケンジャー「ハッハァ!なるほど、あの店に行こうって事か。
 すると、世話になった恩返しも兼ねているのかな?」
七海「えっ、何でそんなに詳しいのシュリケンジャー!?」
シュリケンジャー「つまり、二人の匿い先としてその店を紹介したのは、
 他ならぬ、このMeだったって事さ!」
吼太「ふぅん、そんな事があったのか…。」
ウェンディーヌ「じゃあ出かける前に、一応聞いておくわね。」
フラビージョ「これから私達と一緒に、食べに行く人〜!」

フラビージョの声にみんなが手を挙げたが、
当のフラビージョとウェンディーヌは両手を挙げていたので、
思わず全員が吹き出した。

フラビージョ「アハハハハ、うん、コレで決まりだね♪」
ウェンディーヌ「ウフフフ…、これから予約の電話を掛けるから、
 もう少し待っててね。」

そう言うとウェンディーヌはみんなから少し離れて、
携帯を取り出して掛け始めた。

ウェンディーヌ「…もしもし、バイキングガ…あら!?
 …驚いたわね、あなたが電話応対をしていたの?
 誰って、私よ私、ウェ・ン・ディー・ヌ、ウフフ!
 …えぇそうなのよ、何とか片が付いたのよ。
 だからね、これからみんなと食べに行こうと思って。
 …ええとね、私も含めて全部で13人って所ね。
 …そうね、みんな凄く楽しみにしているわ。
 …そりゃあそうよ、だってお客様として行くのって、
 これが初めてなんですもの。
 …これからお店に向かうから、期待しているわよガイナモ!」
鷹介「…どうやら、無事に予約出来たみたいだな。
 さぁ、それじゃ早いとこ行こうぜ!」
フラビージョ「あ!その前に、もう少しだけ待ってね〜。」
鷹介「あららら…(勢いよくズッこける)。」
ウェンディーヌ「…そう言えば、そうだったわよね。
 この姿のままだと、ちょっとマズイわよね。」
フラビージョ「せぇ〜の、そぉ〜〜れぇっっ!!」

フラビージョの掛け声に合わせ、
フラビージョとウェンディーヌは勢い良く回転すると、
地球人と変わらない格好へと姿を変えた。

フラビージョ「ジャ〜〜ン、どうかなぁこの格好?」
ウェンディーヌ「私としては、この格好も似合ってると思うんだけど?」
吼太「うわっ、二人ともその格好は何だよ!?」
七海「フラビージョの地球人姿なら、以前見た事があるけれど…。」
一鍬「ウェンディーヌのその姿は、初めて見るな…。」
フラビージョ「…あのさぁみんな、私達が地球で暮らす為に、
 あの姿のままでいる訳には、いかないじゃない!?」
ウェンディーヌ「…ましてや、これから行く店で働いて生活費を稼いでいたり、
 怪しまれない様に大学に通ったりもしたんだから、
 尚更こういった格好が必要になるじゃない?
 …私達はもう侵略者じゃ無いから、匿ってくれたみんなや、
 平和に暮らしている普通の地球人に、迷惑を掛けられないもの。」
鷹介「…そっか、言われてみれば、確かにそうだよな。」
一甲「確かにその姿なら、怪しまれる事は無いだろうな。」
シュリケンジャー「ふ〜む…、It's very nice!」
ジライヤ「本当ニ、見事ナ変装ダナ。
 サスケガ「サルトンボ」ニ成リ済マシタ時ヤ、
 サイゾウガ俺ニ化ケタ時ヨリモ、凄イ変装ダ!!」
サイゾウ「そうかなぁ、結構良い勝負だと思うけど?」
サスケ「…さ、サルトンボって、あんなの持ち出すなよ!?
 思い出すだけでも恥ずかしいからさ、アレは?
 でも、この格好なら二人とも充分、美人女子大生として通じるな!」
鶴姫「…何よ、それって私が若くないって事かしら!?」
サスケ「…いや、決してそんな事は言ってないさ。
 鶴姫には、鶴姫の魅力がちゃんとあるんだからさ。」
鶴姫「…本当?今の言葉、本当に本当でしょうね!?」
サスケ「…あ、あぁ、勿論さ!」
おぼろ「ウォホン!…二人とも、お惚気はホドホドにしときぃや?
 みぃ〜んな、リアクションに困っとるで?」
サスケ・鶴姫「あ…アハハハ、ハハハハ…。」

サスケの一言に鶴姫が突っ掛かった事からお惚気が始まりそうになり、
見かねたおぼろが割って入り、周りの様子に気付いた二人は、
気まずそうに乾いた笑いを浮かべた。

セイカイ「…何でも良いけどさ、いい加減食いに行こうぜ!
 もうさっきから腹減っちゃって、腹減っちゃって〜!」
フラビージョ「そうだよ〜、みんなそろそろ行こうよ〜!」
ウェンディーヌ「…そうね、あんまりガイナモを待たせちゃ悪いわね。」
一甲「…所で、移動手段はどうするつもりなんだ?」
一鍬「…そうだな、兄者。」
サスケ「それなら、ネコマルに乗っていけば大丈夫だ。
 幸い、商売用の備品は、整備の為に取り外してあるから、
 全員が問題無く乗れるはずさ。」
ジライヤ「サイゾウ、今日ノ運転ハオ前ニ任セタ。」
ウェンディーヌ「じゃあ、道案内は私が行うから、運転はお任せするわね。」
サイゾウ「あ〜、俺が運転する訳ね、分かったわよ。
 人数が多いから、しっかり頼むわよネコマル!」
ネコマル「ウミャ〜オ!!」
鷹介「それじゃあ、おぼろさん、館長、行ってきます!
 …よぉし、腹いっぱい食いまくるぞ〜!」
吼太「…鷹介〜、お前は少し位遠慮しろって!」
七海「二人とも留守番、よろしくお願いしますね!」
おぼろ「うちらの事は心配いらへんから、楽しんできぃや?」
無限斎「…うむ、フラビージョとウェンディーヌも加わった今、
 我らの団結を深める、又と無い良い機会じゃ!
 …シュリケンジャー、皆の事、よろしく頼んだぞ!」
シュリケンジャー「OK!みんなの護衛は、このMeが引き受けた!」
鶴姫「それじゃあみんな、ネコマルに乗り込んでね。」
フラビージョ「え〜っと、最終確認…うん、OKだよ。」
参加者全員「行って来ま〜〜す!!」

ウェンディーヌによる道案内を受けながら、
サイゾウの運転で街を疾走するネコマル。
やがてネコマルは、一軒の店の前で停車した。

フラビージョ「ハ〜イ、到着だよ!」
鷹介「よっしゃ、着いたか!」
セイカイ「いっぱい食うぞ〜!」
ウェンディーヌ「ちょっと遅くなったけど、大丈夫よね?」
サスケ「何々…『焼肉食べ放題!バイキングガイナモ』…。」
一甲「とりあえず、まずは店の中に入らないとな。」
一鍬「そうだな、兄者。」

そして一行は、バイキングガイナモへと入店した。

フラビージョ「ガイナモ〜、お待たせ〜!」
ウェンディーヌ「…遅くなっちゃったかしらね?」
ガイナモ「オォ〜、フラビちゃん、ウェンちゃん、良く来たねぇ〜!
 それに皆さんも、この度はご予約頂き、ありがとうございます!」
シュリケンジャー「Hey!久し振りだなガイナモ、元気そうで何よりだ。」
ガイナモ「…誰かと思えば、シュリケンジャーじゃないですか。
 確かにどうも、お久し振りですねぇ。」
七海「…えぇと、あなたがガイナモさん?」
ガイナモ「こんなカワイコちゃんに、さん付けで呼んで貰えるなんて、
 実に嬉しいね、デヘヘヘ…あ〜、ウォホン!!
 ワタクシ、このバイキングガイナモを経営させて頂いております、
 ガァ〜〜〜イナモです、どうぞよろしく。」
シュリケンジャー「ガイナモは、元は宇宙暴走族ボーゾックの総長だったけれど、
 ボーゾックを解散して、このバイキングガイナモを経営するようになったんだ。
 今ではここの他にも、弁当屋のキッチンガイナモも経営しているのさ。」
一甲「…なるほど、悪から足を洗って、経営者として成功した訳か。
 そこで、この二人も同じく足を洗った者として、ここを頼った。
 そう言う事か、フラビージョ、ウェンディーヌ?」
ウェンディーヌ「…えぇ、そう言う事になるわね。」
フラビージョ「ピンポ〜ン、大正解〜!」
??「ふぅん、そこの二人がそうだったんだ。」
全員「えっ!?」

会話に割り込んだ声に、とっさに全員が振り向くと、
そこにはひょうきんな顔の一人の男が…。

サイゾウ「あれ?どっかで見た事がある顔よね?」
ジライヤ「ソウダ、テレビデ良ク見掛ケル顔ダ。」
吼太「確か、カリスマ三味線プレイヤーの…。」
鷹介「…あぁ、滑川数馬だ!!」

すると、滑川数馬と呼ばれた男は思い切りずっこけて、
更には地団太を踏み始めた。

??「違う違う違〜う、全く違〜〜う!!
 俺は、自動車会社ペガサスでテストドライバーを務める、
 只のチーキュの一般市民だ!」
全員「…………プ、ププ、…アハハハハ!!」
??「な、何だよ、みんなして笑い出して…!?」
シュリケンジャー「Oh,sorry!It's joke!」
サスケ「アッハハ…いや、済まない恭介。
 お前が余りに滑川数馬に顔が似てるんで、つい…。」
一鍬「しかし本当に、お前って奴は変わってないな、恭介。」
鶴姫「少し調子に乗り過ぎたのなら謝るわ、御免なさい…。」
恭介「ま、良いって事よ、別に怒ってなんかいないしさ。」
セイカイ「…所で、今日はペガサスの…、と言うか、
 他のカーレンジャーは一緒じゃないのか?」
恭介「…あぁ、まぁね、今日は俺一人なんだ。
 丁度食事時だったし、ガイナモの様子でも…ってね。
 …それと、フラビージョとウェンディーヌって言ったっけ、
 どっちがどっちな訳?」
フラビージョ「ハ〜イ、私、フラビージョ!」
ウェンディーヌ「そして、私がウェンディーヌよ、ウフフ!」
恭介「…そっか、ガイナモから色々と聞かされたよ。
 ガイナモの奴、二人に大分目を掛けてるみたいだぜ?」
ウェンディーヌ「あら、そうだったの?」
フラビージョ「ふ〜ん、そうだったんだぁ〜!」
ガイナモ「ちょちょ、ちょっと恭ちゃん!
 余計な事、言わないで頂戴よぅ!」
恭介「ま、ガイナモはだらしない所もあるけど、
 それでも充分頑張ってると思うからさ。
 二人とも、ガイナモを助けてやって欲しいんだ。
 いざって時には、俺達も力になるからさ、頼むわ。」
ウェンディーヌ「ええ、分かったわ。」
フラビージョ「OK〜、任せてよ!」
恭介「よ〜し、それじゃあ任せた!
 …そういやみんなは、これからなんだよな。
 精々、腹一杯食いまくっとけよ〜!
 じゃあなガイナモ、ごちそうさ〜ん!」

恭介は、ガイナモの手助けをフラビージョとウェンディーヌに頼み、
軽く手を振りながら、バイキングガイナモを出て行った。

ウェンディーヌ「…私達の方でも、恭介達の事に関しては、
 ガイナモから色々と聞かされているんだけど…。」
フラビージョ「…別にわざわざ話すような事じゃ無いからね〜。」
ガイナモ「…え〜、ウォホン!皆さん、このまま立ち話も何ですし、
 お席の準備が整いましたので、こちらのテーブルへどうぞ…。
 それから、本店では、料金は前払いとなっております。
 予め、料金の精算を済ませて頂きますので、ご了承下さいませ…。」
フラビージョ「じゃあみんな、席に着いて先に食べ始めちゃっていいから。」
ウェンディーヌ「私とフラビーで、会計を済ませておくわ。」
鷹介「分かった、それじゃ、遠慮無く御馳走になるぜ!」
セイカイ「右に同じ、食って食って、食いまくるぞ〜!」
一鍬「…いや、やっぱりお前達二人は、少し遠慮した方がいいぞ…。」

そして彼らは、焼肉に舌鼓を打ちつつ、存分に談話に花を咲かせ、
シュリケンジャーの食事の仕方に、カクレンジャーが驚いたりしつつ、
お互いの歩んできた道や、乗り越えてきた戦いについて語り合った。
ガイナモも、生憎客の来店が少なかった事も相まって、談話に参加し、
理解と交流を更に深めていった。
そして、フラビージョとウェンディーヌが語る番になった。

【今回の新規登場】
○ガイナモ(激走戦隊カーレンジャー)
元宇宙暴走族ボーゾックの総長だが、現在は改心して、
焼肉店と弁当屋の経営者を勤めている。

○陣内恭介=レッドレーサー(激走戦隊カーレンジャー)
自動車会社ペガサスのテストドライバーで、激走戦隊のリーダー。
サル顔のひょうきん者だが、決めるときはちゃんと決める。

546 名前:『G細胞編』後日談:2006/04/01(土) 13:51:13


七海「…ねぇ、こんな言い方をするのは失礼かもしれないけど、
 何故、私達に味方してくれる気になったの?」
フラビージョ「えっ!?」
ウェンディーヌ「それって、どういう意味なの?」
七海「だって、二人がエヴォリアンと手を組んで、
 旋風神と轟雷神を奪っていった時は、まだ敵同士だったでしょ?
 でも、ダイノアースからこっちの世界に戻ってきた時には、
 私達の為に情報を手に入れて、ジャカンジャやグランショッカーから、
 裏切り者として追われる羽目になったんでしょ!?
 …立場が今までと逆になるからには、理由がある筈よ?
 私達はもう仲間だから、だからこそ知っておきたいの。
 お願い教えて、フラビージョ、ウェンディーヌ!
 あなた達二人に、一体何が起こったのかを…。」
シュリケンジャー「…いや、七海、気持ちは分かるが、強制はいけない…。
 あの時、S.P.D.からの連絡を受けて、Meとおぼろさんが出向いて、
 ジャスミンが二人をサイコメトリーする場に立ち会ったんだが、
 しばらくすると、ジャスミンが気を失ってしまってね。
 後でスワンさんから聞いた話だと、彼女の精神に悪影響は無かったが、
 サイコメトリーして読み取った内容が、全てLostしていたそうだ…。」

シュリケンジャーの言葉に、思わず息を呑む一同。
七海の顔に気まずさが、他のメンバーには驚愕の表情が浮かぶ。
その様子を見て、フラビージョとウェンディーヌは頷き合った。

シュリケンジャー「…だから、二人から無理に聞き出す様な事は…。」
フラビージョ「…私だったら、構わないよ…。」
七海「…えっ!?」
ウェンディーヌ「…私も、フラビーと同じ意見よ。」
シュリケンジャー「し、しかし!?」
フラビージョ「大丈夫大丈夫、でも、心配してくれてありがと!」
ウェンディーヌ「おかげで私達も、語る決心が付いたわ。」
フラビージョ「あ…、でも私達自身も、ハッキリとは覚えてないの。」
ウェンディーヌ「だから、表現が曖昧な部分は、勘弁して頂戴ね?」

そして、フラビージョとウェンディーヌは語り始めた。
自分達が体験した出来事を…。

ウェンディーヌ「あの時、宇宙クレバスに巻き込まれてこの世界に戻れた、
 確かそう説明したと思うけど、実は説明を端折っておいたのよ。」
フラビージョ「…本当の事を言うと、すんなり戻れた訳じゃないのよ。」
ウェンディーヌ「…只、S.P.D.に身柄を預けられていた時は、記憶を失っていたから、
 喋ろうにも喋り様が無かったのよ…思い出した今だからこそ、話せるの。」

二人は語り続けた、宇宙クレバスに巻き込まれた影響からか、
4、5回ほど見知らぬ世界に転移させられた後、謎の空間に飛ばされた事を。

ウェンディーヌ「そこは実に奇妙な場所だったわ。
 ある時には宇宙空間のように見えるし、ある時には生物の体内みたくなって…。
 兎に角、見た目が刻一刻と変化し続ける、そんな空間だったわ。」
フラビージョ「その場所に着いてから、ずっと気配を、感じてたんだよね。
 あちこちから監視、し続けられている、ような、そんな視線みたい、のを、さ。
 あれは、思い出す、だけでも…本当に…気持ち…悪く…て…。」

話を聞いていた全員の動きが、固まっていた。
いつも陽気さを絶やさないフラビージョが、語り続ける内に、
顔から血の気が引き、震えながら自らの肩を抱く様子に、
二人の体験が只事では無いと皆が気付いたからだ。
全員が焼肉を焼く事すら忘れ、固唾を呑んで二人の話に聞き入っていた。
緊張による幻聴なのか、鳥の泣き喚く声が何処からか響いてきた…。

鷹介「お、おい、大丈夫かフラビージョ!?
 顔が真っ青だぜ、無理すんなよ!?」
吼太「そうだぞ、少し休んだ方が良いって!」
フラビージョ「だ、大丈夫だよ、平気、平気…。」
鶴姫「…ハイ、スープを持ってきたから、
 これを飲んで、身体を温めると良いわ。」

何とか鷹介と吼太が正気に立ち返り、
鶴姫はフラビージョの様子を気遣い、
スープを取ってきて差し出した。

フラビージョ「…ゴメンネ、心配掛けちゃって。」

そう言ってフラビージョがスープを飲み干すと、
青ざめた顔に血の気が戻り、身体の震えも収まったようだ。

フラビージョ「プッハァ〜!フラビージョ復活〜!」
ウェンディーヌ「…どうやら大丈夫みたいね、フラビー?」
フラビージョ「…アハハハ、ハァ…、情けないよね、私。
 …でも、今度こそ大丈夫だよ、話を続けるね?」
七海「…お願い、やめて!もう話さないで!」
ウェンディーヌ「えっ?」
フラビージョ「七海ちゃん?」
七海「だって、いつも陽気なフラビージョが、
 こんなになるほど、恐ろしい目にあったのよ!?
 それも私が、あんな風に聞こうとしたから…。
 だからもう、喋らなくていいから…。」
ウェンディーヌ「それって、私達を気遣っているのかしら?
 …だとしたら、その申し出は拒否させて貰うわよ。」
七海「…どうして、どうしてなの!?」
フラビージョ「…確かにさ、きっかけは七海ちゃんの一言だけど、
 でもね…、語る事を決めたのは、私達自身なんだよ?
 だから最後まで、私達の意志で語らせてくれないかな?」
七海「でも……!」

フラビージョの言葉に隠された強い意志に押されながら、
なおも何か言い返そうとしていた七海は、
突如肩に置かれた手に驚き、後ろを振り向くと、
一鍬が首を横に振っていた。

一鍬「…七海、お前が二人を気遣う気持ちは分かる。
 だからこそ、二人の意志を汲んでやって欲しい…。」
一甲「…二人の顔を見て気付かなかったのか?
 今の二人の顔は、出会った恐怖と向き合い、
 逃げずに立ち向かおうとしている、戦士の顔だ。
 二人は俺達に語る事で、恐怖に打ち勝とうとしている。
 …七海、お前も戦士であるならば、分かってやれ。」
七海「…………。」
フラビージョ「…我が儘言ってゴメンネ、七海ちゃん。
 お願いだから、もう少し我が儘に付き合ってくれる?」
ウェンディーヌ「私達だって、少しは良いカッコしたいのよ?」

二人は言い回しこそ軽かったが、顔付きは真剣そのものだった。
それは、かつて敵対していたハリケンジャー・ゴウライジャー、
それにシュリケンジャーですら未だ見た事が無かった、
フラビージョとウェンディーヌの「戦士」としての顔だった。

七海「…分かったわ、二人がそこまで決意してるなら、もう止めない。
 その代わり、二人の戦いを最後まで見届けてあげる!」
フラビージョ「…七海ちゃん、ありがとね!」
ウェンディーヌ「ねぇシュリケンジャー、S.P.D.への報告の件、
 一つあなたにお任せしていいかしらね?」
シュリケンジャー「OK!Meでよければ、引き受けよう。」
ウェンディーヌ「…それじゃあ、話を再開させてもらうわね。」
フラビージョ「…でも、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。
 私達が出会ったのは、恐怖だけじゃなかったからさ。」

そして、一呼吸置いて、二人は再び話し始めた。

ウェンディーヌ「…その空間では、距離も時間も曖昧だったの。
 私達は、纏わり付いてくる気配から少しでも逃げようと、
 何処へ向かっているのか、どれだけ時間が過ぎたか、
 分からないまま必死になって延々と彷徨ったわ…。」
フラビージョ「…どれだけ時間が過ぎたのかな、
 二人とも走りっぱなしで疲れちゃったからさ、
 へたり込んで休んでいた時に、異変が起こったんだよね。」
ウェンディーヌ「…何だか辺りから、ゴゴゴゴ…ゴゴゴゴ…って、
 不気味な振動と音が響いてきたのよ。
 最初は、地鳴りや地震かと思ったけど、そうじゃなかった。
 私達が居る空間そのものが、揺れ動き始めていたの…。」
フラビージョ「…その内に、空間が激しく伸びたり縮んだりして、
 私達は、身体が引っ張られて千切れそうになったり、
 逆に思いっきり押し潰されそうになるのに、必死に耐えたの。
 そして、何とか耐え抜いたんだけど、流石に限界で、
 二人とも大の字になって伸びちゃったんだけど…。」

ここでフラビージョは一旦言葉を切り、ゆっくり深呼吸をした。
続いて、ウェンディーヌもゆっくりと深呼吸をした。
二人以外の全員は、身じろぎもせずに話に集中している…。

フラビージョ「…そんな時に、遂に現れたんだよね。」
ウェンディーヌ「…ええ、私達がその空間に着いた時から、
 ずっと私達を監視し続けていた、その張本人が、ね…。」
フラビージョ「…うん、今度は伸びてる地面から振動が響いてきてさ、
 地面を突き破って、物凄く眩しい泡がいっぱい湧いてきたのよ。」
ウェンディーヌ「…その泡の塊が膨れ上がりながら光り輝く度に、
 物凄い気配が発せられて、私達はパニックになりそうだった。
 そして、ずっと感じていた視線の正体を知ったの…。」
フラビージョ「…只でさえ、身体が疲れきっていた時に、
 更にそんな、気持ちの悪い物を目にしちゃったからさ。
 何とか、少しでも逃げようと、必死で後ずさろうとしたけど…。」
ウェンディーヌ「…でも、既に視線の主が目の前に居るから、
 それも、泡の一つ一つが視線の一つ一つだから強烈過ぎて、
 身体がすっかり竦んでしまって、指一本動かせなかったわ…。
 そして、まだ輝きながら膨れ続ける泡の塊を見ながら、不意に悟ったわ。
 私達の目の前に居る物は、『アレ』…宇宙の邪悪なる意思すら凌ぐ、
 私達には想像する事も出来ない程、強大で邪悪な化け物なんだ…って。」
フラビージョ「…どれ位の間、泡が吹き出し続けてたのか覚えてないけど、
 見上げる位に膨れ上がった、泡の塊の間から触手が生えてきて、
 少しずつ、私達に向かって這い出してきて…。」

ここで又一旦、フラビージョは言葉を切って深呼吸した。
その横で、ウェンディーヌも又同じ様に深呼吸をしている。
語りながら、その時の状況を思い出したのだろう、
二人とも、顔面蒼白になっていた…。
慌てて、七海と鶴姫がスープを取ってきて、二人の前に置く。
二人とも同じタイミングでスープを飲み干し、
全く同じタイミングでカップを置くと、思わず笑いが起こり、
話の重さから来る緊張感が解れ、場が和んだ…。
そして、二人は話を再開した…。

ウェンディーヌ「…泡の塊から生えてきた触手は、ゆっくりと、
 本当に動いているのか疑いそうになる位にゆっくりと、迫ってきていたの。
 …そして浴びせかけられる視線にも、明らかに弄ぶ意図が感じられたわ。
 …そう、私達は、その化け物にとって、格好のオモチャだったのよ…。」
フラビージョ「…ゆっくりと迫ってくる触手に、何とか逃げようとして、
 何度も身体を動かそうとするんだけどさ、すっかり強張って動けなくて…。
 …そうしたら、二人で必死になって泣き喚いてたの、まるで子供みたいに。
 …可笑しいよね、ジャカンジャにスカウトされて、幾つも幾つも星を滅ぼして。
 その時だって必死になって逃げ惑う人達とか、沢山居たのに全然平気だった…。
 寧ろ、そういった人達を面白がって殺してきたのに、いざ自分が同じ立場になったら、
 駄々っ子みたいに泣き喚いて助けを求めるなんて、さ…。」
七海「フラビージョ、あなた…。」
ウェンディーヌ「…そんな時、触手が私達に届いたら、一体どうなっちゃうのって思ったら、
 泡の塊が物凄く眩しく光って、私達がどうされるのかが脳裏に浮かんできたの…。
 …それは、どう言う事が起きるのかが頭では理解できても、
 絶対に受け入れたくない、自分の身に起きて欲しくない様な事…。
 …命の保障はされたとしても、絶対に受け入れ難い事だったのよ。
 …そんな私達の様子に、泡の塊の化け物が、楽しそうに笑うのが感じられたわ。
 …恐らく、私達を絶望に陥れて楽しもうとして、イメージを送り込んで来たんだわ。
 そして、化け物の思惑通りに絶望して、正気を失いそうになった時、
 …私達に、救いの手が差し伸べられたのよ。」

ここで又一旦、フラビージョとウェンディーヌは一息ついて、気分を落ち着けた。

ウェンディーヌ「…触手が迫りつつある中、何処からか何かの音が聞こえてきたの。
 …最初は幻聴かと思ったけど、次第にその音が大きくなってきて、
 それがブーメランの様な物が風を切る音だと気付いた時、
 上空から物凄い勢いで、何かが泡の化け物目掛けて降ってきて…。
 その泡の化け物が私達の前から退いた直後、その降ってきた何かが、
 私達と化け物との間に開いた空間をすり抜けていったわ…。」
フラビージョ「その様子に驚いた私達が、呆然としながら上空に目を向けたら、
 風を切りながら再び上空に飛んだ何かを、巨大ロボットが掴む所だったの。
 …その黒い巨大ロボットは、掴み取った変わった形の黒い剣を持ったまま、
 じ〜っと私達の方を見つめてきたんだよね。
 …なんで私達の方も、そのロボットが何なのか分からないまま見つめ返したけど、
 見ていて少しも嫌な気分にならなくてさ、何だか凄く温かいんだよ。
 …まるで、私達を守ってやるって言われてるみたいでさ、また涙が出ちゃったよ。」
ウェンディーヌ「…そうね、どういう風に言ったら良いのかよく分からないけれど、
 見ていると凄い存在感があって圧倒されるの、でも、同時に温かくて優しいのよ。
 …あなた達のカラクリ巨人に失礼なのは承知しているけど、あえてこう言うわ。
 …あの巨大ロボットに見つめられた時、私達はあのロボットを、「神」だと思った…。
 …そして、その機械の神はゆっくりと大地へと降り立つと、雄叫びを上げて、
 まるで私達を庇うかのように、泡の化け物に向かって立ちはだかったのよ。
 その様子を見て、『私も同じ様な存在になりたい』って、しみじみ思ったわ…。」
フラビージョ「…うん、あのロボットが戦ってる姿は、とても眩しくてカッコ良かった!
 だから、その姿に見とれてたら、『本当に、何処までもお人好しなんだから…。』って、
 突然近くで声がして、何時の間にか女の子が目の前に立ってて、本当にビックリしたよ。」
サスケ「…何だって、女の子が!?」
セイカイ「ねぇねぇ、その女の子って美人だったの、ねぇ!?」
鶴姫「…ちょっとぉ、あんた達は黙ってなさい!」
サスケ・セイカイ「…はい、ごめんなさい。」
フラビージョ「…えぇとね、その子は、外見的には地球人で言うと10歳位に見えたよ?
 でもね…発してる気配がさ、とても普通じゃなかったんだよ。
 その子が薄く笑いながら、『何もこんなのまで、わざわざ助けなくても良いのに…。』って、
 静かに言い放った時に、私達は恐ろしさで背筋が凍りそうになっちゃったんだ…。」
ウェンディーヌ「…そしたらその女の子から邪悪さが消えて、外見相応の笑顔になって、
 『…大丈夫、別にエンネアは、君達二人に危害を加えるつもりは無いから、安心するにゃ!』って、
 にこやかに言われたのが何だか場違いな感じがして、思わず気が抜けちゃったわよ。」
フラビージョ「…まぁ、ずっとそのままで居るのも何だったからさ、色々とその子に聞いてみたけど、
 何だか話を誤魔化されちゃって、詳しく教えて貰えなかったんだよねぇ。
 ただ、「エンネア」って名前だって事だけは自己紹介してくれたけど、それ以外は駄目だった…。
 …確か、舞台の背景設定を、劇中の人物に語る事は許されない…とか何とか言われたかな?
 結局、そのエンネアって子のその言葉は、私達にはチンプンカンプンだったけどね…。」
ウェンディーヌ「そんな話を続けている間も、機械の神と泡の化け物は戦いを続けていたの…。
 その戦いの様子をじっと観察していたエンネアが、不意にこんな事を言ってきたのよ…。
 『…今回、君達二人がここに飛ばされてきたのは、本来なら起こり得る筈の無い事故だったしね。
 それにもう、君達二人からは邪気がもう殆ど感じられないから、元の世界に返してあげるよ。』…って。」
フラビージョ「…エンネアにいきなりそんな事を言われちゃって、びっくりしてたら、
 『…その為に必死になって戦っている、お人好しな神様が目の前に居たりするからね…。』って、
 まるで独り言みたいにボソッと付け加えられて、ますますびっくりしちゃった。」
ウェンディーヌ「…その言葉の意味を聞こうとしたら、『…駄目駄目、お喋りの時間はもう終わり。』って、
 右手で印を結びながら言ってきて、その途端に意識が朦朧としてきちゃったのよ。」
フラビージョ「…目の前の景色が歪みながら、少しずつ意識が遠くなっていったんだけど、
 そんな中でエンネアの言葉だけが、変にハッキリと聞こえてたんだよね。
 今にして思うと、アレはテレパシーってやつだったのかもね?
 …えぇと、何て言ってたんだっけかなぁ?…あぁ、そうそう。
 『…君達自身は気付いていないみたいだけど、二人ともかなり魂が傷付いているね。
 このまま元の世界に返したら、精神が耐えられなくて、気が狂っちゃうかもしれない…。
 だから、君達の魂がここでの出来事に耐えられるようになるまで、一時的に記憶を消させてもらうね。
 …大丈夫、今の君達なら、きっと何時かは思い出せるようになるから…。』…だったかな?
 そんな言葉を聞きながら、私達の目の前は真っ暗になっていったけど、最後に暖かい光を浴びた気がするの…。」
ウェンディーヌ「…そして、私達が再び目覚めた時、謎の空間で体験した記憶は失われていたの。
 …けれど、それでも頭の中に残っていたものがあったのよ。
 それは、今まで出会った事の無かった邪悪への恐怖心と、その邪悪に立ちはだかった存在の暖かい眼差し…。
 …その記憶が残っているだけで、その時の私達には充分だったの。
 …それを知った私達はもう、悪の道に戻るつもりは無くなっていたわ。
 それから手近な惑星に降りて、そこが宇宙連合傘下の星域である事を知ったのよ。」
フラビージョ「…ジャカンジャは今まで、宇宙連合の諜報活動にこっそり手を貸したりしてたから、
 私達も特に怪しまれずに、情報を集める事が出来たんだよね。
 そうして色々調べている内に、たまたま情報入手したのが、あのG細胞を奪う計画だったんだよね〜。」
ウェンディーヌ「…その情報が収められたCDファイルを手に入れて、これを地球に知らせなきゃって、
 思ったのは良かったんだけど、宇宙船に乗り込んだ所で裏切りがバレちゃったのよね…。」
七海「…そっか、二人とも大変だったんだね。」
フラビージョ「うん…、それでね、発進を防がれそうになったんだけど、
 何とか無理矢理発進させて、攻撃も振り切って、その星からは逃げ出せたんだけど…。」
ウェンディーヌ「私達が裏切った所為で、通信が色々飛び交っていたみたいだったから、
 折角なんでその通信も傍受させて貰ったんだけど、私達が裏切ったって事は、
 宇宙連合だけじゃなくって、グランショッカーにもしっかり通報されちゃってたみたいなのよ。」
フラビージョ「ま〜、そんな訳で、悪の組織に私達の居場所は、完全に無くなったのよね〜。
 別にもう、ジャカンジャに戻るつもりは無かったから、気にしなかったけどね〜。」
ウェンディーヌ「…けど、通信を傍受したお陰で、向こうにも位置を知られちゃったの。
 攻撃艇の大群に追われながら、必死に逃げ回ったけど、エンジンに攻撃を受けちゃったのよね…。
 仕方が無いから、近くの小惑星群に身を隠して、やり過ごす事にしたんだけど…。」

その時、バイキングガイナモに向かって真っ直ぐ歩いてくる黒い人影の存在に、
バイキングガイナモの中に居る者達は、誰も気付いてはいなかった…。

フラビージョ「…何とかそのまま、追っ手を撒ければ良いなぁって思ってたんだけど、
 連中もそんなに甘くなかったんだよねぇ。
 連中は数が多かったからさ、その数を頼みに虱潰しに捜し出し始めたんだよね。」
ウェンディーヌ「…そのままじゃ何時かは発見されちゃうから、もう駄目かなって思ったけど、
 その時に思いがけない人物が小惑星群を通り掛ったお陰で、何とか助かったの…。」

そして丁度その時、黒い人影はバイキングガイナモの店内へと入ってきた。
だが、フラビージョとウェンディーヌは話に夢中で、それにも気付かなかった。

??「…まだみんなここにいたようだな、すれ違いにならなくて良かった。
 久し振りだが、どうやらみんな元気そうだな。」
フラビージョ「ネェ…それが一体、誰だったと思う?実は…。」
フラビージョ・ウェンディーヌ以外「ブ…VRVマスター!?」
ウェンディーヌ「そうそう、そうなのよ、VRVマスター…って、ええぇっ!?」
フラビージョ「…嘘!?本当にVRVマスターが来るなんて…!」
VRVマスター「…うむ、君達二人も、元気そうで何よりだ。」

突然のVRVマスターの来訪に、心底驚くフラビージョとウェンディーヌ。
その様子を確認したVRVマスターは、少し口調を和らげながら頷いた。

547 名前:『G細胞編』後日談:2006/04/01(土) 14:00:00


サスケ「…それにしても、どうしてVRVマスターはココに?」
VRVマスター「…うむ、先程、自動車会社ペガサスに寄ってきたのだが、
 丁度帰ってきた所だった恭介から、君達の事を聞いたのでね。
 私もそろそろ、惑星シドンへと戻らなければならなくなったので、
 チーキュを離れる前に、最後の仕事を済ませようと思ってね。」
鷹介「最後の仕事…それって、一体どんな?」
VRVマスター「それは…これに関しての事だ。」

そう言うとVRVマスターは、何かのチラシとチケットを取り出した。

吼太「えっと、このチケットは…何かの招待状かな?」
サイゾウ「それと、このチラシは…何かの開催のお知らせみたいだけど?」
一甲「しかし、地球の言語以外の文字でも書いてあるな…すると、これは!?」
一鍬「…地球人に対して配られる為の物、ではない様だな、兄者。」
VRVマスター「…ふむ、流石は忍者と言うべきかな、見事な観察眼だ。
 これは、ガイナモ、それにフラビージョとウェンディーヌにとって、
 実に重要な事柄の詳細を知らせる広告なのだ。」
フラビージョ「…それじゃあ、遂に日時と場所が決まったって事なの?」
ウェンディーヌ「…そうなんだ、やっと決まったのねぇ。」
ガイナモ「何ヶ月も前から、話には聞いていたけど、ようやくなんですねぇ…。」
VRVマスター「…行われるのが、チーキュだけでは無かったからな。
 日程の調整に、時間を費やしてしまったのだ…済まない。」
七海「ねぇねぇ、私達にも何の事なのか教えてもらえない?」

七海の言葉に促されたのか、VRVマスターは席に腰掛けると、
おもむろに事情を説明し始めた…。

VRVマスター「…みんなも、近頃の宇宙情勢は聞いているだろう。
 現在、宇宙連合内部では分裂が起こり、穏健派とタカ派が対立している。
 タカ派が実権を握った場合、大規模な宇宙戦争が勃発する事は避けられん…。
 そのような事態が起こる事に備える為、どう対処するべきか議論すべく、
 チーキュを含め様々な惑星で、大規模な対策会議が開かれる事になったのだ。」
鶴姫「…そんな話が進められていたなんて、全く気付いていなかったわ。」
VRVマスター「…我々だけで、極秘に進めていた事だったからな。
 宇宙連合タカ派も、我々の動向に対して実に敏感になっている。
 情報を嗅ぎ付けられない様にする為にも、秘密裏にするしかなかったのだ。」
鷹介「…なぁ、VRVマスター?具体的にはさ、
 地球以外のどんな惑星で行われたり、どんなメンツで行われたりするの?」
VRVマスター「…そうだな、とりあえず私が担当を任されているのは、
 私が派遣されている惑星シドン、宇宙刑事シャリバンが再興に挑んでいるイガ星、
 そしてこのチーキュ、合わせて三つの惑星だ。
 参加者として募るのは、平和に生活する事を望むエイリアン達と、
 ここの三人の様に、侵略目的で訪れたが、改心して共存の道を選んだ者達だな。
 事にこのチーキュには改心した元侵略者が多い為に、詳しい裏事情が得られるのではと、
 対策会議の開催地の中でも特に、最重要視されているのだ!」
ジライヤ「ナルホド…ダカラ一度帰ッタVRVマスターガ、又地球ニ来タノカ。」
VRVマスター「うむ…だがようやく、チーキュでの開催日と開催地の詳細が決定したので、
 チーキュに住むエイリアン達や、改心した者達を訪ねて、この広告と招待状を、
 こうして配って回っていてね、ここが最後の配達先だった訳なのだ。」
セイカイ「…でもさぁ、どっちみちここに届けるだけだったなら、
 別にフラビージョとウェンディーヌが居なくても、問題なかったんじゃないの?
 …それともさ、用があったのって、ひょっとして俺達の方、だとか?」
VRVマスター「…ふむ、実に鋭いなセイカイ、その通りだ。
 私は、君達チーキュの忍者に依頼を申し込むべく、ここを訪れたのだ。」
サスケ「依頼…俺達カクレンジャーに出来る事なら…。」
鷹介「俺達ハリケンジャーも、当然引き受けるぜ!」
一甲「俺達の考えは、言わずとも最初から決まっている…。」
一鍬「…そうだな、兄者!」
シュリケンジャー「…OK!そのRequestが何なのか、詳しい話を伺いましょう。」
VRVマスター「…みんな、ありがとう!
 …依頼と言うのは、他でもない、対策会議の警護だ。
 先程も言ったとおり、このチーキュでの対策会議は、最重要視されている。
 …となれば、宇宙連合タカ派も、当然この対策会議を放ってはおかないだろう。
正規の警護はS.P.D.が担当してくれる事が、既に決定しているのだが、
 連中もどのような手段を用いて裏を掻いてくるか分からない…。
 そこで、みんなにも隠密裏に、対策会議を守り抜いて欲しいのだ。
 どうだろう、引き受けてもらえるだろうか?」

そう言って、地球忍者全員の顔を、順番にゆっくりと眺めるVRVマスター。
対して、顔を見渡された地球忍者達も、お互いの顔を眺め合い、やがて大きく頷いた。

一甲「先程も言った様に、俺達ゴウライジャーの考えは、既に決まっている…。」
サスケ「俺達カクレンジャーも、忍者戦隊の名に掛けて…。」
鷹介「勿論、俺達ハリケンジャーも、忘れないでくれよな!」
シュリケンジャー「チッチッチッ…、それはこの、Meが言う台詞だぜ、鷹介?」
VRVマスター「…ふむ、すると返答は…。」
地球忍者全員「…地球忍者の名に掛けて、その依頼、確かに引き受けた!」
VRVマスター「…みんな、よくぞ言ってくれた、…よろしく頼む!」
フラビージョ「みんなも警護してくれるんだ…アリガトー!」
ウェンディーヌ「…そうね、それなら私達も安心だわ。」
VRVマスター「…良かった、これで心置きなく、惑星シドンへと帰還出来る。
 S.P.D.への連絡は私が行っておくから、デカレンジャーと協力して、
 対策会議を無事に守り抜いて欲しい…。」

その時、一端席を外していたガイナモが、
肉が盛られた大皿を手にしながら戻ってきた。

ガイナモ「…どうですVRVマスター、もしお時間があるのでしたら、
 是非ともウチの焼肉を沢山食べて、精を付けていっては?」
VRVマスター「…いや、私は今、公務中であるし、それに…。」
ガイナモ「大丈夫、心配しなくても、このお肉は奢りですから、ね!」
VRVマスター「…ならば、、尚更に甘んじる訳には…。」
フラビージョ「まぁまぁまぁ、そんな固い事は言いっこ無し無し!」
ウェンディーヌ「そうそう、人の好意は、素直に受けとく物よ。」
鷹介「そうだぜ!それにVRVマスターには、惑星シドンでの、
 宇宙連合への対策会議に出席するって言う、重大な仕事があるんだろ!
 だから、帰る前に、地球でちゃんと栄養を取っておかなきゃ!」
サスケ「…それに、この二人をどのようにして助け出したのか、
 そのときの話をVRVマスターの口から、直接聞いてみたいからな。」
VRVマスター「…そうか、私がここに入ってきた時、丁度私の名を挙げていたのは、
 あの時の話の最中だったからなのか、なるほど。」
一甲「…そう言う事だな、まぁ、時間が無いと言うなら仕方が無いが。」
VRVマスター「…そこまで言うのであれば、無碍に断るのも悪いな。
 …ふむ、一通り公務はこなした事だし、今は私的な時間と言う事で、
 私を一般客として扱ってくれるのなら、応じる事にしよう。」

VRVマスターはそう言うと、胸に付いている赤いスイッチを押した。
すると、「ピッ」という機械音と共に黒づくめのスーツが消滅し、
その場には一人のハザード星人が立っていた。

シュリケンジャー「Wao!それが、VRVマスターの本当の姿なんですね。
 ハザード星人だとは聞いていましたが、本当にダップに似ていますね。」
吼太「…って言うかさ、初めて見るよな、VRVマスターの素顔って。」
VRVマスター「カーレンジャー達にも、ファイブマン達に対しても、
 余り素顔を見せた事が無いものでね。
 本来ならあのスーツを着込んだ状態でも、食事を行う事は可能なんだが、
 今は私的な時間と言う事で、こうして久し振りにスーツを脱いだ訳だ。
 …ではガイナモ、まずは勘定を頼む。」
サイゾウ「…あれ、奢ってくれるって言ってるのに、お金払うの?」
VRVマスター「うむ、私は元々、宇宙の一匹狼だからな。
 宇宙連邦の一員になっているとは言え、権威を笠に着るのは好まないのだ。」
ガイナモ「…分かりました、ではお代を頂戴致します。」

そして、勘定を済ませたVRVマスターは、用意されていた肉を焼きながら、
フラビージョとウェンディーヌを救い出した時の事を、話し始めた。

VRVマスター「…そうだな、あれは確か、私が惑星シドン復興委員長に任じられ、
 息子のダップと共に惑星シドンへと赴いてから、地球時間で半年を過ぎた頃だったろうか。
 シドンの環境再生の為の研究は遅々として進まず、復興活動も成果が上がらず、
 星川一家も我々も、打つ手が見出せずに苦悩の日々を送っていた頃だった…。
 アケロン人ルビーを使者として、宇宙連合穏健派から物資援助の申し出があったのだ。」
ウェンディーヌ「…そうそう、言われてみれば、そんな事も言ってたわよねぇ。」
フラビージョ「ホントホント、ルビーのお陰で私達、命拾いし…って、ああっ!!」
ウェンディーヌ「ちょっ…フラビー!そのことに関しては、固く口止めされてたのにっ!!」
フラビージョ「え〜〜ん、ごめんなさぁ〜〜〜〜〜い!!」
七海「え?え??一体、どう言う事なの!?」
VRVマスター「…実はな、この二人を助けたのは、正確には私ではなく、ルビーだったのだ。
 …彼女からは口止めをされていたのでな、表向きは私が助けた事にしておいたのだが…。
 しかし、丁度良い機会だ、彼女の名誉の為にも、真相を語ることにしよう…。
 …但し、この事は他言無用にしておいてもらいたい。」

そしてVRVマスターは、焼肉を味わいながら、真相を語り始めた…。

VRVマスター「宇宙連合穏健派から通信が送られてきた際に、
 我々は応じるべきかを慎重に議論した。
 例え平和を望む穏健派であろうと、宇宙連合である以上、
 何らかの陰謀を巡らせている可能性は、否定できなかったからだ。
 だが、私は以前からルビーとは面識があった為、その人柄は知っていた。
 例え穏健派が陰謀を企んでいても、ルビーは我々を陥れはしないだろうと…。
 それに…恥ずかしい話だが、既に惑星シドンでは、物資が切れていたのだ。
 何しろ当時は、他の惑星への移動手段がスターキャリアのみだった為に、
 物資調達に赴ける惑星は、P16惑星位が関の山だったのだよ。
 そこで私は、星川一家を説得して、穏健派に承諾の返答を送り、
 スターキャリアを借りて、待ち合わせの場所へと向かったのだ。」
鶴姫「…ちょっと待って、えぇと…、それじゃあ待ち合わせ場所って、まさか!?」
VRVマスター「良い所に気が付いたな、鶴姫。
 正にその通り、この二人が逃げ込んだ小惑星群だ。」
一鍬「それでは、この二人が救出されたのは、それこそ偶然だった訳か…。」
鷹介「…それで、具体的には、どうやって二人を助け出したの?」
VRVマスター「…うむ、その待ち合わせの小惑星群に近付くにつれ、
 通信回線が激しく混線し始めてな、内容に耳を傾けている内に、
 フラビージョとウェンディーヌの裏切りと、向かおうとしている小惑星群に、
 その二人が逃げ込んだ事を知ったと言う訳だ。
 そこで私は傍受されない様に、ルビーの宇宙船との専用回線を最小限の出力で開き、
 ルビーと相談して、一計を案じる事にしたのだ。
 …尤も、計略と呼べる程の事はしていないがね。
 私は只、わざと目立つ様にスターキャリアで二人の追手の前に姿を現し、
 追手の注意を引き付けておいただけだ…早い話が囮だな。」
サスケ「…なっ!ぶ、VRVマスター!?
 涼しい顔をしていながら、随分無茶な事をしたもんだな…。」
VRVマスター「残念だが私は、戦術家では無いのでね。
 …それに、細かく作戦を練っている時間も無かった。
 …ともかく、この案は上手くいった。
 スターファイブに連中の注意が向き、捜索の手が緩んでいる隙を突いて、
 無事にルビーが、二人を自らの宇宙船に収容してくれたのだ。
 後はルビーが、二人が乗っていた宇宙船を破壊して、連中の注意を向けさせ、
 連中も私に構っていられなくなったので、無事に解放された、と言う訳だ。
 まぁ、今、君達にだけコッソリと言うが、あれは運が良かったのだな。」
一甲「…全くだ、それで、その後は一体どうなったのだ?」
VRVマスター「…その後は、連中に通信を傍受されない場所まで行って、
 改めて連絡を取り、P16惑星で落ち合う事に決めたのだ。
 そしてP16惑星で、物資援助についての詳細を詰めると共に、
 二人の身柄を私が預かったのだ。
 私としては、二人を実際に救出したのはルビーなのだから、
 その事実を正確に宇宙連邦に報告するべきと思ったのだが、
 彼女は自らの名が表舞台に出るのを望まなかったのだ。
 『穏健派とは言え宇宙連合に属する者が、宇宙連邦の者と共同で、
 裏切り者を救出した事がタカ派に知られれば、
 穏健派を潰す為の格好の口実をタカ派に与える事になる』、と言ってな。
 そう言われてしまっては、私としても、返す言葉が無かったのだ…。」
フラビージョ「ルビーって、一見取っ付きにくいのかと思ったけど、
 打ち解けてみると、結構話にも乗ってくるし、優しかったんだ。」
ウェンディーヌ「私達の身の上を話したら、『タカ派の活動をくじく為だ』って言って、
 穏健派が調べ上げたタカ派の侵略計画に関して教えてくれたのよ。
 ルビーはあくまで任務として行った様に見せていたけど、
 でも、どこかしら照れていたのを、私は見逃さなかったわよ。」
VRVマスター「P16惑星での会合を終えた後、私は惑星シドンへと連絡を取り、
 星川一家の了解を得た上で、二人を惑星シドンへと連れて行った。
 そして、二人の改心が本当である事を時間を掛けて確認し、
 二人を交えた相談の結果、地球のS.P.D.に身柄を預ける事になったのだ。
 それから先については、シュリケンジャー、君の知っての通りだ。」
シュリケンジャー「なるほど…、二人がS.P.D.に身柄を預けられるまでの間に、
 その様な出来事があったとは…。」

548 名前:『G細胞編』後日談:2006/04/01(土) 14:03:25

シュリケンジャーがしみじみと呟いた時、
不意にフラビージョが、おずおずと手を掲げた。

フラビージョ「ねぇねぇ、VRVマスター?
 前から気になっていた事があるんだけど、一つ質問しても良いかな?」
ウェンディーヌ「私達をS.P.D.に預けて惑星シドンに帰る時に、
 修理が完了したマグマベースに乗っていったみたいだったけど、
 あの時、一緒にマグマベースに乗っていたカップル?が居たわよね。
 あの二人は、一体何者だったのよ?」
VRVマスター「…う〜む、まさか見られていたとはな、二人の存在は秘密だったのだが…。
 知られてしまっていたのでは仕方が無い、ここは素直に白状しよう。
 あの二人はどちらも、かつて戦闘船団国家ナガーの一員だった者だ。」
フラビージョ「えぇ〜っ、ナガーって、本当にあのナガーなの!?」
ウェンディーヌ「でも、ナガーは既に壊滅している筈だから…。
 じゃあ、あの二人は、ナガーの生き残りだったのかしら?」
VRVマスター「…いや、生き残りと言う表現には語弊があるかな。
 あの二人は、ナガーの呪縛を逃れ、過去の贖罪の為に、
 地球のヒーロー達と共に、ナガーと死闘を繰り広げた者達だ。」

ここでVRVマスターは、残り最後の焼肉を味わった後、
胸に手をかざすと、再び黒づくめのスーツに身を包み、
ゆっくりと言葉を紡ぎ出し始めた。

VRVマスター「男の名は迫水タクマ、白兵戦用の融機鋼の着用者で、
 かつては【黒騎士ルシファード】と呼ばれ、恐れられていた…。
 また、女性の方はサキと言う名で、ルシファードのサポート役の、
 有機アンドロイドで、【ファディータ】と呼ばれる戦闘形態を持っていた。」
フラビージョ「えええぇ〜〜〜っっ、く、黒騎士ルシファードぉ!?」
ウェンディーヌ「…ふぅ、驚いたわね。
 まさかあの二人が、ルシファードとファディータだったなんて…。」
フラビージョ「…で、でもさ、なんでその二人が、マグマベースに乗ってたの?
 刑罰を受ける為には…、ちょっと見えなかったんだけど?」
VRVマスター「それはだな…、先ほども言った通りにあの二人は、
 ナガーの呪縛を逃れ、過去の贖罪の為に、ナガーと死闘を繰り広げた。
 その結果として、戦闘船団国家ナガーは滅びたが、しかし…。
 …ファディータはナガーとの決戦において戦死し、
 ルシファードも又、消息を絶ち、生死不明になってしまった…。
 …だが、ファディータは黄泉還り現象によって復活し、
 ルシファードを懸命に治療し続けた結果、彼は一命を取り留めたのだ。
 そして、二人は地球で治療を受け、傷が完治するのを待って、
 過去の罪状に対して、裁判が行われる事になった…。
 確かに二人は、過去に幾多の惑星を滅ぼした罪を、
 ナガーと戦い、打ち倒す事によって贖罪した…。
 …そう、ルシファード…迫水タクマにとって、
 家族であった者達を自らの手に掛ける事によって…。」
フラビージョ「え?自分の家族を、手に掛けて…!?」
ウェンディーヌ「知らなかったわ…、あのルシファードがねぇ…。」
VRVマスター「…それでも、彼ら二人の罪が消えた訳では無い。
 如何に哀しく辛い贖罪を果たそうとも、罪は裁かれねばならない。
 …けれど私には、二人を見て見ぬ振りが出来なかった。
 償い切れぬ罪を背負っているのなら、生き続けて、
 平和の為に戦い抜いてこそ、償えるのではないかと、そう思えた。
 だから私は、宇宙連邦の上層部に対して交渉を行った。
 …そして、二人に対する処罰は、太陽系からの追放に決定したのだ。」
フラビージョ「…でもそれだけじゃ、乗せる船はマグマベースじゃ無くても良いじゃん!」
ウェンディーヌ「もったいぶってないで、詳しく教えてくれても良いんじゃないの?」
VRVマスター「うむ、二人の処罰は、表面上は太陽系からの追放だったが、
 その実態は、私が二人の身柄を、惑星シドン担当宇宙刑事として引き取ったのだ。」
フラビージョ「へぇ〜、かつて宇宙刑事ギャバンと死闘を繰り広げた事もあったって聞いたけど…。」
ウェンディーヌ「…それが、新しい宇宙刑事になるなんて、運命って不思議よねぇ。」
VRVマスター「…ふむ、つい無駄話をしてしまったようだが、納得して貰えただろうか?」
フラビージョ「うん、詳しく教えてくれてアリガト、VRVマスター!」
ウェンディーヌ「惑星シドンに戻ったら、その二人にも、よろしく言っておいてね。」
VRVマスター「うむ…必ず伝えておこう。
 …さて、流石に長話が過ぎたようだ、そろそろ帰らねばならない。
 みんなも、これからも辛い戦いが待っているだろうが、決して挫けぬようにな…グッバイ!」
ガイナモ「どうも御来店、ありがとうございました!」

VRVマスターはそう言うと、バイキングガイナモを退出した。
その背中に、ガイナモの声が掛かる。
そしてVRVマスターの後を追って、地球忍者達も次々と外に出た。

シュリケンジャー「VRVマスター、Planetシドンへは、
 どの様な手段でReturnするつもりなんですか?」
VRVマスター「…それに関しては心配無い。
 このニッポンポンに、ビクトレーラーを待機させている。」
一甲「VRVマスター、惑星シドンでの対策会議、
 是非とも成功する事を、心から祈っている!」
VRVマスター「私も地球の対策会議は、君達とS.P.D.に託す!」
サスケ「あぁ、俺達、忍者戦隊カクレンジャーと…。」
鷹介「俺達、忍風戦隊ハリケンジャーに!」
一鍬「我ら、電光石火ゴウライジャー!」
シュリケンジャー「それにこのMe、天空忍者シュリケンジャーの手で、必ず…。」
VRVマスター「…うむ!では、しばらくお別れだ…ムン!」

気合いを込めてポーズを取ると、光の粒子となって空へ消えていくVRVマスター。
地球忍者達は、その光が遠く消え去って行くのを眺めながら、
宇宙の平和の行く末について、何時までも思いを馳せるのだった…。
(『G細胞編』後日談・完)


○フクロウ男爵・ニンジャマン→戸隠流の道場・武神館で落ち合った後、
 共にイギリスに向かう予定。
○地球忍者達→VRVマスターの依頼を受け、地球で開催される、
 宇宙連合タカ派に対する対策会議の護衛を引き受ける。
○VRVマスター→地球での公務を全て終え、惑星シドンへと帰還。

549 名前:動き始めた闇:2006/04/01(土) 15:47:02

***伊豆・地球連邦軍極東基地 トイレ***

デーボ「へへっ……こんなに簡単に潜入できるようじゃ、ここの連中もたかが知れてるぜ。」

裏世界ではそれなりに名が通ったスタンド使い……呪いのデーボは今、極東基地への潜入に成功していた。
その目的は、ディオドスの破壊……依頼主は他でもないDIOである。
この基地内において唯一といってもいい、他者の介入がありえないであろう場所……トイレの個室で、今は身を潜めている。
こんな所で身を潜めていては、何も出来ないのではないだろうか。
そう普通は考えるだろうが……デーボには打つ手があるのだ。
彼は自分の自慢のスタンドを既に出現させていた。
悪魔の名を持つ、遠隔操作型スタンド。

デーボ「やれっ……エボニーデビル!!」


***伊豆・地球連邦軍極東基地 通路***

兵士1「あれっ……何だこりゃ?」
兵士2「人形だな……何でこんな所に、こんなのがおいてあるんだ?」

二人の兵士が通路を歩いていると、彼等は廊下の隅に置かれているある人形を見つけた。
40cm程度の、何の変哲もない人形……兵士達は不思議に思いながら、その人形を手に取った。
念を入れて調べてみるが、やはりただの人形……特にこれといった問題はない。
もしかして、誰かが置いていったのだろうか。
とりあえず二人は、この人形を持って行く事にしたが……その瞬間だった。

エボニーデビル「キシャァァァァァァッ!!!」
兵士2「なっ……ウワァァァァァッ!!??」
兵士1「に、人形が!?」

突然、人形が叫び声を上げ……自分を持っていた兵士へと、噛み付いてきた。
鋭い牙が首筋に突き立てられ、兵士は悲鳴を上げる。
すぐに振り払おうとするが、人形……エボニーデビルは、想像以上に恐ろしい力でかぶりついてきていた。
牙は離れるどころか、より深く喰い込む……そして数秒後、兵士は絶命した。

エボニーデビル「次は……てめぇだぁ!!」
兵士1「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」

とっさに兵士は拳銃を抜き、エボニーデビルへと乱射した。
しかし……相手の小回りは相当なもので、全然銃弾が当たらない。
そして、マガジンの弾丸が全て尽きたその瞬間だった。
エボニーデビルは兵士へと飛び掛ると、凄まじい力で首を絞めてきた。
悶え苦しみ、やがて兵士は地に倒れこむ。
一瞬の内に、二人の命が奪われてしまった。

エボニーデビル「このトンチキが……さて。
それじゃあ、さっさと仕事を終わらせるとするか……」

デーボは己の役目を果たす為……エボニーデビルを操り、ディオドスの元へと向かわせていった。


●呪いのデーボ⇒ディオドス破壊の為、トイレの個室からエボニーデビルを差し向ける。

【今回の新規参戦】
●呪いのデーボ(ジョジョの奇妙な冒険)
裏世界ではそれなりに名が知れているスタンド使い。
DIOに高い報酬で雇われている。
遠隔操作型スタンド「エボニーデビル」のスタンド使い。
●エボニーデビル
デーボが操る遠隔操作型スタンド。
その能力は「人形に乗り移る」という物。
また、相手に対するデーボの恨みが深ければ深いほどに、その能力が増す。

550 名前:動き始めた闇:2006/04/01(土) 15:47:34

エボニーデビル「しかし……場所が分からないんじゃ、どうしようもねぇな。」

丁度その頃であった。
エボニーデビルは伊豆基地内を徘徊し、ディオドスの捜索を行っていた。
侵入に成功したはいいが、場所が分からないのではどうにもならない。
こんな事ならば、先程兵士を殺害せずに人質にでもすればよかった。
まあ……別の者を見つけ次第、口を割らせればいいのだが。
ちなみにエボニーデビルの射程距離はまだ、十分にもつ。

エボニーデビル「っと……愚痴ってる間にきやがったじゃねぇか。」

廊下の向こうから、誰かが向かってくるのが見えた。
エボニーデビルは高く跳躍し、天井にへばりつく。
向かってくるのは……数人の兵士に、それと弓教授だった。
幸いな事に、此方の事は何も気づいてはいない。

エボニーデビル(こりゃラッキーだな……ありゃ確か、マジンガーの教授じゃねぇか。
奴なら確実に、装置の場所を知っている……いくか!!)

丁度、彼等が真下にきた……その瞬間だった。
エボニーデビルは先程の兵士から奪い取ったナイフを構え、真っ直ぐに落ちてきた。
振り下ろされた刃は兵士の首を綺麗に切り落とし、一瞬にして絶命させる。

兵士1「なっ!?」
兵士2「何だ、こいつは!?」
エボニーデビル「ケケケケェッ!!」

兵士の一人が拳銃を抜き、発砲する。
しかし……エボニーデビルは自分が殺した兵士を抱え起こし、それを盾にしたのだ。
銃弾の嵐を防ぎ……その上、その兵士を全力で投げ飛ばした。
死体は兵士に直撃し、地面に突っ伏し倒させる。
その、ほんの一瞬だった。
エボニーデビルは弓教授に襲い掛かり、その首元へとナイフの腹を押し当てた。
すこし力を込めれば、簡単に顔面を切り落とせる。
それを見て、兵士達も動けなくなってしまった。
下手な真似をすれば、人質は殺す……これはそういう意味である。

エボニーデビル「よ〜し……動くなよ、てめぇら。」
弓教授「っ……一体、何者だね?」
エボニーデビル「どうも、教授……俺は呪いのデーボってもんだ。
といっても、この人形の名前じゃねぇぜ……こいつはエボニーデビルっていう、俺の能力だ。
今はこいつを使って、お前と会話しているぜ。」
弓教授「呪いのデーボだと!?」

その名を聞き、誰もが絶句する。
それは当然である……呪いのデーボといえば、裏世界ではかなり名の知れた殺し屋なのだ。
目的達成の為ならば手段を選ばない、冷酷非道な男。
狙われて生き延びた者は……皆無と聞く。

エボニーデビル「俺をディオドスとか言う装置の所に案内しろ。
あれはうちの雇い主からすれば、邪魔な代物らしいんでな……ぶっ壊させてもらうぜ。
断れば、お前は勿論だが……この基地内にいる人間を、片っ端からぶち殺してもいいんだぜ?」
弓教授「……」

●デーボ→弓教授を人質の取る事に成功し、ディオドスの元へ案内するよう要求する。


551 名前:動き始めた闇:2006/04/01(土) 15:48:49

エボニーデビル「これがディオドスか……これだけ大層な装置じゃ、流石に自力で破壊は無理だな。
よし、教授さんよ……ミサイルでもレーザーでも何でもいい。
兎に角、破壊力の在る物を用意しな……こいつを破壊するぜ。」
弓教授「……少し、待っていてくれ。
そうすぐに準備が出来る代物でもないのでな。」

エボニーデビルに刃物を突きつけられ、弓教授はディオドスの元へと案内させられていた。
早速破壊に取り掛かるべく、エボニーデビルは弓教授に次の命令を与える。
今、二人の周囲には、大量の鮮血とそして変死体が散乱していた。
ここの警備兵に加え弓教授を助けようとした者達の、変わり果てた姿である。
呪いのデーボはこのエボニーデビルで、様々な死線を潜り抜けてきた。
間違っても、一般兵が勝てる相手ではなかった。
弓教授は今……自分はこれからどうすればいいのかを、必死になって考えていた。
今ここで、ディオドスを破壊してしまえば……時空を超えた戦士達は、恐らく二度と此処に戻れなくなる。
デーボの雇い主の目的は、間違いなくそれである。
仮にその者の目的が、この世界の支配とするならば……敵対勢力は大幅に減少し、目的の達成が極めて容易となるだろう。
それは避けなければいけない事態なのだが……今のままでは、どうしようもない。
弓教授は最初、命を捨てる覚悟もしていた。
しかし、その決断をするのは少々遅すぎた……ディオドスまで案内してしまったからだ。
破壊の手段を調達する為にと、まだ生かされてはいるが……

弓教授(駄目だ……私が死んだとしても、こいつは自力で武器を調達する筈だ。
今はその手間を省きたいが為に、私を生かしているに過ぎん……時間を稼ぐしかない。
兎に角、長引かせるんだ……今はそれしか……)


***裏新宿・喫茶店「HONKYTONK」***

銀次「んあ〜……腹減った〜……」
蛮「ここ一週間、全然仕事がねぇからな……くそっ。」

東京、裏新宿。
その一角にある、やや大きめの喫茶店「HONKYTONK」では今、二人の男が空腹に苦しんでいた。
天野銀次に美堂蛮……奪還屋「ゲットバッカーズ」の二人である。
奪還屋の仕事は、その名の通り……取られた物を取り返す事。
その腕前は相当な物で、奪還率はほぼ100%……しかし肝心の仕事がこなければ、そんな事に意味は無い。

波児「けどお前等、この前の報酬がまだ残ってたんじゃなかったのか?」
蛮「んなもん……駐車違反の罰金と、ここのツケを返すのに全部使っちまった。
つーか、分かってて聞くなよ?」
銀次「仕事欲しい……波児さん、何か無いの?」
波児「俺の聞かれてもな……」

その時だった。
喫茶店のドアを開き、一人の女性が急ぎ足で入り込んできた。
息も荒々しく、此処まで来るのに相当走ってきたのが分かる。
ヘヴン「ハァ、ハァ……二人とも、いるわね?」
銀次「ヘヴンさん……そんなに息を切らせて、どうしたんですか?」
蛮「……何があった?」

ヘヴンの様子を見て、銀次と蛮が表情を変える。
仲介屋の彼女が、急いで自分たちを尋ねてきた理由といえば……一つしかない。
どうやらとんでもない仕事が舞い込んできたらしい。
すぐに二人は席を立つと、彼女から話を聞いた。

ヘヴン「とんでもない仕事よ。
さっき、知り合いから聞いたんだけど……伊豆の地球連邦軍極東基地は知ってるわよね?」
銀次「それって、時空を越える装置を作ったとか言うあの……まさか!?」
ヘヴン「……そうよ。
相手は呪いのデーボ……貴方達も聞いたことがあるでしょう?」
蛮「……噂だけならな。
目的の為ならば手段を選ばねぇ、最悪のスタンド使いか……分かった。
様はそいつが基地を選挙したから、俺達で奪還しろって事だろ?」
ヘヴン「ええ、そうよ。
スタンド使いを相手にするのは、初めてだと思うけど……」
蛮「へっ……誰が相手だろうが負ける気はしねぇよ。」
銀次「それじゃあ行こう、蛮ちゃん。」
蛮「おう!!」

二人は店を飛び出すと、前に着けていた自分達の車に乗り込んだ。
自分達が引き請けた仕事……伊豆基地の奪還を果たす為に。
しかしこの時、二人は思っても見なかっただろう。
この伊豆基地の奪還が……世界にとって、どれだけ大きな意味を成すかが。

○天野銀次⇒伊豆基地奪還の依頼を引き受け、蛮と共に向かう。
○美堂蛮⇒伊豆基地奪還の依頼を引き受け、銀次と共に向かう。
●エボニーデビル⇒ディオドスに到達。

【今回の新規参戦】
○天野銀次(GET BACKERS 奪還屋)
凄腕の奪還屋「ゲットバッカーズ」の三代目。
常人の数倍以上に発電細胞が発達していて、まるで電気ウナギの様に体から電流を放つ事が出来る。
かつては裏新宿の無限城にて、VOLTSというグループのリーダーをしていた。
当時は「無限城の雷帝」と呼ばれていて、今でもその名は健在。
○美堂蛮(GET BACKERS 奪還屋)
凄腕の奪還屋「ゲットバッカーズ」の三代目。
常人を遥かに超えた、握力200kgという怪力を持っている。
また、相手に一分間の幻を見せる事の出来る「邪眼」という特殊能力を持っている。
彼の祖母はウィッチクィーンと呼ばれる魔女で、彼は魔女の正当な血統を受け継いでいる数少ない人間の一人。
通称は「邪眼の男」で、VOLTS時代の銀次に勝つことが出来た唯一の人物。
銀次と出会うまでは、奪い屋として各地を点々としていた。
○王波児(GET BACKERS 奪還屋)
喫茶店「Honky Tonk」のマスター。
ゲットバッカーズとは初代の頃からのつきあいで、「奪い屋」時代の蛮やVOLTS時代の銀次もよく知っている。
人間がよくできており、めったなことでは怒らないがツケの計算はキッチリしている。
○ヘヴン
「仲介屋」を営む女性。
高い仲介量を取るがその腕前は一流で、彼女を通じて多くの者が様々な仕事を引き受けている。


552 名前:動き始めた闇:2006/04/01(土) 15:49:53

***カイロ・DIOの館***

DIO「不動琢磨が敗れたか……まあ、予想の範囲内だな。
流石に、平和のシンボルである彼女の抹殺は……容易ではないというわけか。」
ヴァニラ「奴はカウラーと接触したようですが……しばらくは、奴に預けておくと?」
DIO「ああ……こちらにとって、奴等の行動がマイナスになるという事はないだろう。
それより、デーボから報告はあったのか?」
ヴァニラ「つい先程、ディオドスを発見したとの事です。
破壊は時間の問題だそうですが……」
DIO「……何かあったのだな。」
ヴァニラ「奪還屋が……ゲットバッカーズが動き出したと、それらしき話を聞きました。」
DIO「ゲットバッカーズ……つまり、美堂蛮がいるという事か。
分かっているとは思うが……」
ヴァニラ「ええ……不動琢磨の耳には入れません。
奴が美堂蛮の事を知れば、全てを放棄して現代へと向かうでしょう。」

部下からの報告を受け、DIOは一通りの事情を整理していた。
まず、不動琢磨が失敗したとの報告は受けたが……琢磨がカウラーと接触できた以上、さして問題は無い。
恐らくカウラーとしても、ラクス=クラインの抹殺は望んでいる。
ならば当面の間は、カウラーの自由にさせておいても、DIOにマイナスとなる面はないのだ。
問題は……デーボの方だった。
どうやら順調に、仕事をこなしつつはあるようだが……ゲットバッカーズが動いているとなれば、厄介な事になる。
デーボでは恐らく……二人に歯が立たないだろうからだ。
こうなれば、ゲットバッカーズの到着前に、デーボがディオドスを破壊してくれる事を祈るしかないが……

DIO(まあ……失敗したとしても、問題は無い。
奴には既に、手を打っている……何も情報を漏らさないようにな。)
ヴァニラ「このまま、放っておくと?」
DIO「そういう事だ。
今は下手に部下を送り込んでは、此方の身元が割れるだけ……」

言葉を引っ込め、DIOは椅子から立ち上がる。
どうやらヴァニラも同様に、察したようである。
つい先ほど、この部屋に訪れた……不穏な気配を。
二人は同時に、己のスタンドを発現させる。
全てを無に帰す、最強の攻撃力を持ったヴァニラのスタンド……クリーム。
世界の時を止めることが出来る、文字通りに世界を支配するDIOのスタンド……ザ・ワールド。
正面からまともに相手をしてしまえば……そう簡単に、勝てる相手ではないだろう。
そう察したのか、気配の主もまた……姿を現した。

クリザリット「完全に気配を消したつもりでいたが……流石は、悪の救世主と呼ばれるだけの事はあるな。」
ヴァニラ「貴様……何者だ!!」
クリザリット「ネスツ幹部が一人、クリザリット。
ここには、戦いに来たわけではない。」
DIO「ネスツ……世界を手にしようとする、裏世界に生きる組織か。
噂には聞いていたが……何の用だ?
まあ、態々聞かずとも……大体見当がつくのだがな。」
クリザリット「理解が早くて助かるな……その通りだ。
我々ネスツと、そちらと……協力体制をとりたい。」
ヴァニラ「協力だと……?」
クリザリット「ネスツもそちらも、目的は同じ……世界の支配だ。
目的が一致する者同士、協力するのは当然だろう?」
DIO「そして、世界を手にした時……我等とネスツのどちらが、頂点に相応しいか。
それを決める為に、最後の戦いを臨むと?」
クリザリット「その通りだ。」
DIO「ふふっ……このDIOを利用しようというわけか。
だが、それも悪くは無いな……いいだろう。
お前達のリーダーに伝えておけ……我々はネスツと手を組むとな。」
クリザリット「分かった……ネスツを代表して礼を言おう。」
DIO(ネスツか……貴様等が私達を利用しようとしているのは、先程も言ったとおり分かっている。
しかし……こちらは、お前達を下僕にすることがいつでも可能だ。
頂点に立つのは、このDIOただ一人……それが絶対の真実だ。)

●DIO⇒ネスツと手を組む事を承諾する。
●クリザリット⇒DIOの元にあわられ、ネスツの意思を伝える。

【今回の新規参戦】
●クリザリット(THE KING OF FIGHTERS 1999/2001)
世界の支配を目論む大組織「ネスツ」の幹部。
強靭な肉体を持つ戦士で、様々な格闘家のデータを自らの中に取り込んでいる。
草薙京の能力を移植されており、己の肉体から炎を出す事が可能。


553 名前:動き始めた闇:2006/04/01(土) 15:51:07

***伊豆・地球連邦軍極東基地***

エボニーデビル「おい、まだかよテメェ!!」
弓教授「焦るな……時間がかかると言っただろう。」

何とかして時間を稼ごうと、弓教授は必死になって事態の先送りをしていた。
ディオドスの破壊……それは、何があろうとも避けなければならない事態である。
自分がこうして時間を稼いでいる今……他の者達が、解決策を練っていてくれている。
そうしてくれている筈だと、一縷の望みをかけていた。
だが……もはや、時間稼ぎも限界である。
デーボとて、弓教授の狙いに気付かないほど愚かではないのだ。

エボニーデビル「……もういい。」
弓教授「え……」
エボニーデビル「ちょっとやそっとの時間稼ぎなら、多めに見てやるつもりでいたが……かかりすぎだ。
もうてめぇは用済みだ……死ねやぁっ!!」

エボニーデビルはナイフを抜き、弓教授に飛び掛ってきた。
いよいよ、殺害に移ったのだ。
ここまでか……弓教授は瞳を閉じ、覚悟を決めた。
だが……その瞬間だった。

蛮「蛇咬(スネークバイト)!!」
エボニーデビル「なっ……げふぅ!?」
弓教授「!?」

弓教授の希望は、見事叶えられた。
救世主……ゲットバッカーズの登場である。
握力200kgという驚異的な怪力から繰り出される握撃、蛇咬。
その直撃をもろに受け、エボニーデビルは壁へと叩きつけられた。

弓教授「助かった……君達は?」
銀次「俺達はゲットバッカーズ。
この基地の奪還を引き受けた、奪還屋だよ。」
エボニーデビル「奪還屋……ゲットバッカーズだと?
じゃあてめぇらが、あの無限城の雷帝に、邪眼の男だってのかよ……」
蛮「ああ……呪いのデーボ。
敵はてめぇだけみてぇだな……なら、ここでお前を潰せば奪還終了って訳だ。
遠慮無しに……いかせてもらうとするぜ。」
エボニーデビル「っ……ほざきやがれぇ!!」

エボニーデビルは大口を開き、牙を向けて飛び掛ってきた。
その瞬間だった。
銀次の掌から、電撃が迸る。
それはエボニーデビルの全身を駆け巡り、その身を焼く!!

エボニーデビル「ぐぅぅっ!?」
蛮「気をつけた方がいいぜ?
銀次は、電気鰻の様に全身から自由に電撃を出せるからよ。
幾らお前が凄くても、そう何度も直撃には耐えきれねぇだろ?」
エボニーデビル「ふざけんな……マジできたぜ。
てめぇら二人とも、滅多刺しにして皮引ん剥いて、無様な死に様を晒させてやるぜぇ!!」

一体何処に隠し持っていたのだろうか、エボニーデビルは巨大な牛刀を取り出した。
先程、ディオドスを捜索していた際に、台所から拝借していたのだ。
3m近く跳躍すると、そのままエボニーデビルは蛮目掛けて牛刀を振り下ろしてきた。
エボニーデビルのパワーを考えれば、直撃すれば即死。
これだけ大きな動作をしては、簡単に回避できると大抵の者は思いがちである。
しかし、エボニーデビルはスピードと身軽さに関しても、高い性能を誇るスタンド。
そう簡単に回避できるわけがない……筈なのだが。

蛮「んな大振り、当たる奴がいるわけねぇだろ?」
エボニーデビル「へっ!?」

全く動きが見えなかった。
何時の間にか、蛮はエボニーデビルの背後に回りこんでいたのだ。
ウィッチクィーンの血を受け継ぐ、バトルの天才。
噂には聞いていたが……まさかこれほどの実力者とは、思ってもみなかった。
すぐさまエボニーデビルは、背後へと振り向き様に牛刀で薙ぎ払いにかかるのだが……

蛮「遅ぇ!!」
エボニーデビル「ぐぅっ!?」

強烈な一撃を腕に叩きつけられ、牛刀を弾き落とされる。
ならばと、今度は噛み付きにかかろうとする。
だが……それもまた、呆気なく敗れ去る事となった。
蛮に牙が迫ろうとしたその瞬間、何かがエボニーデビルの身を縛り付けたのだ。
それは、銀次の身に付けていたベルトだった。
まさか……そう感じた瞬間には、もはや手遅れである。

銀次「これで、終わりだぁぁぁ!!」
エボニーデビル「ギャァァァァァァァァ!!??」

ベルトを通じ、強烈な電撃がエボニーデビルを襲った。
受けたダメージは大きく、エボニーデビルはもはやフラフラである。
そして……蛮はその隙を逃さなかった。
即座に蛇咬が叩き込まれ、数メートル先までエボニーデビルを吹っ飛ばしたのだ。

エボニーデビル「がはっ……い、痛ぇ……てめぇら、よくもこんな……」
蛮「安心しろ、殺しまではしねぇよ。
ただ、お前がこれ以上やるってんなら、力ずくで眠らせてやるからな?
大人しく、負けを認めるか?」
エボニーデビル「ふざけんな……こうなりゃ!!」

追い詰められたエボニーデビルは、最後の手段に出た。
何と、弓教授に飛び掛り、そして組み付いたのだ。
ナイフを首筋に押し当てて、人質にする。
流石にこうなると、二人とも動けなくならざるをえない。

銀次「卑怯だぞ、お前!!」
エボニーデビル「黙れ……勝てば官軍って言葉があるだろ!!
お前等、動くなよ……動けばどうなるか分かってるだろうな?」
蛮「……で、お前はこのままどうするつもりなんだ?
基地を無事に脱出するまで、人質にするってか?」
エボニーデビル「そうするしかねぇな……こっちにはもう、勝ち目がねぇんだ。
ここは大人しく退散……!?」

その時だった。
エボニーデビルは、己の眼を疑った。
自分がとった人質……それが何と、弓教授から蛮に入れ替わっているのだ。
まさか、そんなとんでもないスピードがあるのか。
すぐさまエボニーデビルは、蛮が先ほどまでいた場所に視線を移す。
すると……そこにも蛮はいたのだ。

蛮「どうした……逃げるんじゃなかったのかよ?」
エボニーデビル「な、何で……何でてめぇ、二人いるんだよ!?」
蛮「二人……?
何、馬鹿なことを言ってやがる……よく自分の人質を見てみろよ。」
エボニーデビル「え……?」

再び、人質に視線を移す。
すると……そこにいたのは、確かに蛮ではなかった。
だが、さらに恐ろしい人物がいたのだ。
それは、己が先程確かに殺害した筈の……この基地の兵士だった。
その瞳に精気はなく、肌は土気色……極めつけは、全身の腐敗だった。
気がつけば、周囲は既に多くの者達に取り囲まれていた。
倒れていた筈の兵士が皆……ゾンビと化して起き上がり、エボニーデビルを包囲しているのだ。

蛮「自分がどんだけそいつらを苦しめてきたか……よく味わうんだな。」
エボニーデビル「ま、待て……来るな……来るなぁぁぁぁぁ!!」

そして、ゾンビ達がエボニーデビルに齧り付こうとした……その瞬間だった。
突然、視界が真っ白に染まり……直後、ガラスが割れるかのようにそれは砕けた。
ようやく、視界は元通りとなったが……その時、エボニーデビルは全身を縄で縛られ拘束されていた。

エボニーデビル「い、今のは……」
蛮「ジャスト一分だ……悪夢は見れたかよ?」

ウィッチクイーンの血を引く者のみが使える、邪眼の力。
相手に一分間の間……感覚は現実と全く変わらない、極めてリアルな幻を見せる能力。
弓教授が人質に取られた瞬間……蛮は、とっさにデーボにかけていたのだ。
結果、今に至る。
邪眼は、この世に存在するどんな幻を見せる術よりも、はるかに強力なものである。
だが……同時に、弱点も存在する。
二十四時間に三回……それが使用限度である。
また、一度かけた相手にはそれから二十四時間が経過するまでは、幻を見せる事はできないのだ。
ここぞという時にしか使えない……まさに切り札なのである。
スタンドの受けたダメージは、スタンド使いにフィードバックされる。
エボニーデビルを拘束した今、そのスタンド使いである呪いのデーボも、身動きは取れない筈である。

蛮「奪還終了、依頼完了だ。」


○天野銀次→蛮と共にエボニーデビルを倒し、伊豆基地の奪還を遂げる。
○美堂蛮→銀次と共にエボニーデビルを倒し、伊豆基地の奪還を遂げる。
 エボニーデビル相手に邪眼を一度使用。
●呪いのデーボ→銀次と蛮に倒され、大きなダメージを負う。
 さらにエボニーデビルを拘束されてしまい、身動きが取れなくなる。

554 名前:動き始めた闇:2006/04/01(土) 15:52:40

銀次「えっ……それじゃあもしかして、依頼したのが誰かは分からないんですか?」
弓教授「すまんが、その通りだ。
私はずっと、奴に人質として捕らえられていたから……この基地の誰かがしてくれたとは思うんだが……」
蛮「まあ、早い所そいつが出てきてくれねぇと……こっちも色々と、後が面倒なんだよな。」

銀次と蛮は弓教授を解放した後、依頼主が一体誰なのかを考えていた。
この基地の異変を知っているという事は、基地内の人間……少なくとも、ここの関係者であることは確か。
しかし、その正体が全く掴めない……二人は溜息をつく。
無事に奪回をできたからよかったものの、このままではどうにもすっきりしない。
ちなみに現在、大勢の兵士達が総力を挙げて、呪いのデーボの捜索に当たっている。
最も、最大の問題として……デーボが基地内にいるかどうかが分からないというものがある。
自分達の知っている限り、スタンド使いの射程距離とパワーは反比例していると聞く。
強力な能力を持つスタンドほど、本体のスタンド使いから離れられる距離はわずかでしかない。
その逆に、本体からかなり離れた距離で活動できるスタンドは、パワーが弱い。
少なくとも、エボニーデビルは遠距離操作型の筈である。
この基地内の散策という、広い範囲での活動をしているからだ。

弓教授「一体、どうしたものか……ん?」
兵士「お取り込み中、失礼します。
ゲットバッカーズのお二人に、お客様が見られておりますが……」
銀次「俺達に……もしかして!!」

依頼主が現れたのかもしれない。
そう思い、二人はドアの向こうに待つ人物を向かい入れた。
すると……部屋に入ってきたのは、2mはあるであろう大柄な男性と、同じくそれ位の身長があるであろう老人だった。
当然ながら、ゲットバッカーズの二人には見覚えが無い。
しかし……弓教授は、彼等と面識があった。

弓教授「ジョセフさん、それに承太郎君……そうか、貴方達だったんですか。」
ジョセフ「久しぶりじゃの、弓教授。」
銀次「教授さん、この人達は?」
弓教授「うむ、紹介しよう。
空条承太郎君に、ジョセフ=ジョースターさんだ。
そうだな……スピードワゴン財団の協力者といえば、分かるかな?」
蛮「スピードワゴン……成る程な。
確かに、あそこにはスタンド使いの協力者が多いって聞くし……今回の事件も、察知できたって訳か。」
銀次「え?蛮ちゃん、どういうこと……話が分からないんだけど。」
蛮「お前なぁ……スピードワゴン財団って言えば、有名な財団だぜ?
少し長いから、通称でSPW財団って言われてるけどな。
1910年に、ロバート・E・O・スピードワゴンによって設立された、医療や自然保護・考古学等の研究に寄与することを目的にしてる財団だ。
おまけに、主であるスピードワゴンが死亡した後も、世界に貢献し続けてるって話だから、大したもんだぜ。
前にもニュースで、被災地に多額の金額を寄付してたるのをやってただろ……?」
銀次「え……そうだったっけ……?」
弓教授「実を言うとディオドスの開発資金は、殆どSPW財団が出してくれていたんだ。
資金面の問題以外にも、人材派遣までしてもらえた……彼等は私達を、裏で支えてくれる陰役者といった所だよ。」
ジョセフ「いやいや、世界の危機とあらば当然じゃよ。
これからも必要な時は、色々と手を貸させてもらおう。」
弓教授「ありがたい限りです。」
蛮「……って、話が少し脱線しちまったな。
結局の所、あんた等が依頼主で間違いないんだな?」
承太郎「ああ……ジジイのスタンド能力で、デーボが現れる事を察知できたからな。
俺は奴と直接やりあったわけじゃないんだが、仲間からは相当の使い手だって聞かされていた。
俺達もすぐに急行しようとしたんだが、場所が離れすぎていたんでな……」
銀次「間に合わない可能性があったから、俺達に依頼したって事?」
ジョセフ「そういう事じゃな。」
蛮「……なあ、じいさん。
あんたのスタンド能力で察知できたって言ってたが……一体、どんな能力なんだ?」
ジョセフ「聞かれると思った……承太郎、アレを出してくれ。」
承太郎「やれやれ……予想通りの展開って訳か。」

承太郎は机の上に、一台のポラロイドカメラを置いた。
それと同時に……ジョセフの腕から、茨が出現したのだ。
最も、その茨は本人と承太郎……スタンド使いにしか見えないわけだが。
これがジョセフのスタンド、隠者の紫(ハーミット・パープル)。
この茨を鞭の様に扱い、今まで彼は戦いぬいてきた。
しかし、それ以外にも一つ……このスタンドには、強力な能力があるのだ。

ジョセフ「これがワシのスタンド、隠者の紫じゃ。
最も、スタンド使いにしか見えないがの。」
銀次「え?でも、さっきのデーボのスタンドは見えたけど……」
承太郎「奴のスタンドは、人形に憑依して戦闘を行う。
スタンド自体は確かに見えないが、人形はどんな奴にでも見れるだろ?」
銀次「あ、成る程。」
蛮「カメラを取り出したって事は、その隠者の紫ってスタンドは……」
ジョセフ「その通り……こいつの能力は、ずばり念写じゃ。
便利ではあるが……欠点として、一台十何万という値段をするポラロイドカメラを、一々ぶち壊さなきゃいけないんじゃよ!!」

その直後だった。
ジョセフは何と、隠者の紫が絡み付いている腕を振り下ろし、ポラロイドカメラを叩き壊したのだ。
常人からすればこの行為は、異常としか言いようが無い。
承太郎を除くそれを見ていた者達は、呆然としてジョセフの奇行を見ていた。
しかし……すぐ後に、この行動の意味を知る事になる。
カメラが粉砕されたのとほぼ同時に、カメラから一枚の写真が出てきていたのだ。
これが、ジョセフの言う念写の正体である。
隠者の紫でカメラをこの様に扱うと、写真が出てくるという仕組みだった。

銀次「そ、そんな……一台でも結構な値段になるのに……」
蛮「……とてもじゃねぇが、俺達には考えられねぇ贅沢だな。」
承太郎「俺達はさっき、この念写でデーボの写真を撮った。
だから、知っていたというわけだ。」
蛮「ついさっきって……カメラ二台で、二十万を越えるんだろ?
信じられねぇ……そうだ。
今撮った写真には、一体何が写ってるんだ?」
承太郎「……こいつの写真は、三日前にも既に撮れている。
これで確定したとみていいな……デーボに依頼を出した男だ。」
弓教授「何だって……それは本当かね!?」
承太郎「ああ、九割方間違いない。
前に、デーボが俺達を襲おうとした時……その時に奴の背景にいたのが、こいつだったんだからな。」

承太郎は、全員に見えるよう写真を置いた。
そこに写し出されているのは……首元に星の形をした痣が見られる、金髪の男性の後姿。
ジョースター家にとって、忌むべき最大の宿敵……DIO=ブランドーだった。
彼こそが、デーボの裏にいる黒幕……承太郎達は、そう睨んでいた。

蛮「……こいつの居場所は掴んでいるのか?」
ジョセフ「いや……以前、エジプトのとある館に奴はいた。
念のため、同じ館を捜索してみたんじゃが……同じ所にいるほど、奴も馬鹿ではない。
すっかりもぬけの殻じゃったよ。」
承太郎「DIOは既に、様々な組織と繋がっている可能性がある。
奴は目的の為ならば、手段を選ばないからな。」
銀次「なんか、とんでもない話になってきてるような……んあ!?」
蛮「ん、どうした?」

突然、銀次が何かに驚き声を上げた。
彼が見てしまったのは……承太郎とジョセフの首元だった。
そこには、信じがたい物があったのだ。
DIO=ブランドーが持つのと同じ……星型の痣が。
蛮もすぐにそれに気付き、そして同時に二人に警戒の色を表した。
無理も無い……彼等が敵である可能性も出てきたのだから。

承太郎「やれやれ……痣に気付いちまったか。」
蛮「……どういうことだ?」
ジョセフ「まあそんなに警戒するな……ワシらは決して、DIOに着いてる訳じゃない。
この星型の痣は、ワシや承太郎……ジョースター家の者にのみ表れる、紋章みたいなもんじゃよ。」
銀次「え……じゃあもしかして、このDIOって人は……親戚か何か?」
承太郎「いや……奴はジョースターの人間じゃねぇ。
だが、ジョースターの血が奴の体に流れている事は本当だ。」
蛮「ジョースター家じゃないのに、血が流れている……訳がわからねぇな。」
ジョセフ「……その写真を良く見れば、意味は分かる。
あるじゃろ、そいつの首に……傷が連なってついているのを。」
蛮「傷……!?
待て、じゃあまさかお前達の言う意味は……」

俄かには信じがたい、とんでもない事態が浮かび上がってきた。
しかし、彼等の言う意味と照合すれば……確実だろう。
首元に傷……体に流れる血……全てが繋がった。
この肉体は、DIOの肉体ではないのだ。

ジョセフ「察しの通りじゃ。
こいつの、DIOの首から下は……ワシの祖父。
ジョナサン=ジョースターの体を乗っ取った物なんじゃよ!!」
銀次「……でも、ちょっと待って。
体がおじいさんのおじいさんって事は……この人、一体何時の時代の人なの?」
蛮「それ以前に、人間であるかどうかってのが怪しいな。
そうじゃなきゃ……肉体を乗っ取るなんて真似、出来るわけがねぇ。」
承太郎「その通りだ……DIOは人間じゃねぇ。
石仮面の力を使って、人間を捨てた怪物……吸血鬼だ。」
銀次「吸血鬼!?」
承太郎「ああ……奴は太陽の下に出れないって弱点がある。
だが、それを除けば……あらゆる点で人間を超えた、とんでもない化け物だ。
俺達は何があっても、奴を止めなければならない。
今は色々とあって、世界中が混乱している……奴はこの混乱に乗じて、間違いなく動き出す。
そうなっちまえば……洒落にならねぇ事になるからな。」
蛮「……全く、スケールが大きすぎる話だな。
まあそのDIOって男の事は、呪いのデーボから吐かせちまえば何とか……」
兵士「た、大変です!!」

その時だった。
血相を変え、一人の兵士が部屋へと飛び込んできた。
その尋常ではない姿に、承太郎達はある嫌な予感を覚えた。
まさか……最悪の事態が、頭に過ぎってしまった。
兎に角、確認するしかない。
すぐさま彼等は、兵士に何があったかを聞きだした。
すると……帰って来た答えは、危惧していたとおりのものだった。


兵士「の、呪いのデーボは無事発見できたんですが……既に、死亡していたんです。
首から下を、切り落とされて……」


○空条承太郎→呪いのデーボ確保の為、ジョセフと共に基地に訪れる。
○ジョセフ=ジョースター→念写によってデーボの危機を察知し、承太郎と共に基地を訪れる。
●呪いのデーボ→口封じの為に、何者かによって斬殺される。


【今回の新規登場】
○空条承太郎(ジョジョの奇妙な冒険)
世界的に有名な海洋学者で、星の白金(スタープラチナ)のスタンド使い。
悪の救世主DIO=ブランドーを打ち倒し、世界の危機を救った。
ジョセフの孫だが、彼と違って波紋は扱えない。

○ジョセフ=ジョースター(ジョジョの奇妙な冒険)
今は亡きスピードワゴンの友人であり、隠者の紫(ハーミット・パープル)のスタンド使い。
承太郎と共に、DIOとの激戦を戦いぬいた一人。
若かりし頃は、究極の生命体と化す事であらゆる生物の頂点に立とうとした古代人「柱の男」を打ち倒し世界を救った。
その頭のキレは、老いてなお健在。
吸血鬼やゾンビの類に対して絶対的な威力を持つ、波紋と呼ばれる特殊な力を扱える。

555 名前:新章:2006/04/16(日) 20:57:52

人類が宇宙へ進出し、すでに5世紀近くが過ぎているにもかかわらず、
まだ第二次世界大戦の終結から50数年しか経過していないという現代――
――新西暦189年。

地球連邦政府銀河連邦にオブザーバーとして加盟し、
他の幾多の惑星文明とも国交を樹立。
地球にも多くの異星人移民や観光客が訪れ、
街中で異星人を見かける事も珍しくはなくなった。

そんな中、死者が当時のままの姿で蘇る(黄泉がえる)という
原因不明の超常現象が世界規模で多発する。
彼らは、ゾンビや幽霊の姿ではなく、死んだ当時の姿のまま、
自分の事を想い続けてくれた人の前に、ある日突然現れた。
まるで何事もなかったかのように黄泉がえってきた、
最愛の夫、恋人、兄弟。彼らを目の前にして喜ぶ家族、そして戸惑う周囲の人々。
しかし、一度滅んだはずの数多くの悪の組織もまた、
再び地上へとその姿を現し、邪悪な活動を再開したのである。

そして黄泉がえり現象と時期を同じくして、
世界各地で「時空の穴(クレバス=crevasse)」と呼ばれる
時空・次元間の移動ゲートがあちこちに発生。
それを通じて異なる時代や次元へと行き来が可能になったが、
それは同時に時空クレバスの向こう側から
未知なる脅威が襲来する可能性をも示していた。

木星勢力ジュピトリアンを筆頭とする反地球連邦勢力が台頭する中、
三柱の至高邪神に率いられた邪神大軍団グランショッカー(Gショッカー)が
全ての人類に対し宣戦布告、世界征服に乗り出した。
さらには地球至上主義者たちを背後から束ねる地球教を頂点とし、
テロと陰謀により、地球上のあらゆる政治・軍事・経済の各分野に絶大な影響力を持つ
影の地球連邦政府ロゴスの暗躍も加わり、地球圏の状況は混乱を極めた。

その頃、遥か宇宙の彼方では……
宇宙有数の列強の一つである宇宙連合にて
クーデターが発生。
宇宙帝王エンペラ星人によって操られたタカ派によって
今や完全に牛耳られた宇宙連合は、全宇宙征服に乗り出し
地球圏に対しても本格的に侵攻を開始した。

この機に乗じたGショッカー狂気の天才科学者集団
GVMN・ラボ――ドクターマン、大博士リー・ケフレン、
大教授ビアス、Dr.ヒネラーの4人は、
次期創世王として究極生命体ジーク・ゾアードを創造。
地球に侵攻して来た宇宙連合と密かに結託し、
三柱の至高邪神を弑逆。Gショッカーを乗っ取る事に成功する。

それらの事態に対し、時空クレバス制御装置"ディオドス(ギリシャ語で
「通路」「花道」)"の完成を見た、地球を守る歴戦の勇士達は
独立遊撃隊αナンバーズを再結成。数々の戦いを乗り越え、
強敵ジーク・ゾアードを撃破し、GVMN・ラボの野望を粉砕。
宇宙連合の地球侵略軍も太陽系の外へと撃退するのであった。

地球圏の争乱はひとまずの終結を迎えたかに見えたが、
死んだと思われていたGショッカーの支配者・三柱の至高邪神が突如復活。
表裏六柱の本性を現し、旧組織Gショッカーの放棄及び、
新組織・無限帝国ディバイン・ショッカー(Dショッカー)の結成を宣言した。

地球圏――そして宇宙の争乱はまだ続く……。

556 名前:新章:2006/04/16(日) 20:58:57

***グランショッカー本部***

ここは全宇宙制服を目論み、
且つ異次元にも非道な侵略の手を伸ばす
悪の邪神大軍団グランショッカー(以下、Gショッカー)の
地球総本部である。

大首領の声「我は完全なる力を取り戻し、ここに帰還した!」
総司令の声「地球を我が物とし、全宇宙を支配するのだ!」

暗闇大使「今こそ我らの待ち望んだ邪神の世紀が始まる!
 表裏六柱の至高邪神を讃えるのだー!!」

死んだと思われていたGショッカーの至高邪神が復帰した。
魑魅魍魎共による狂喜の大歓声の轟音が広大な基地内全てを満たす。

バズーの声「静まれ!」
創世王の声「その前に我らに立ちはだかる最大の敵、
 αナンバーズを始末せねばならぬ!」

ここ邪神謁見の間にて老人の顔が三つ…正確には表裏一人ずつで計6人の顔が
映し出されたポリゴン映像がゆっくりと広間の天空を回る中心部に
進み出るのは闇女王同盟の盟主・ヘドリアン女王である。

ヘドリアン「おお〜っ! Gショッカーの偉大なる至高邪神よ!
 私はこの日が来るのを待っておりましたぞ!」
暗闇大使「おや、ヘドリアン女王殿はてっきりGVMN・ラボ寄りだと
 思っておったがな?」
ヘドリアン「オホホホ…何を言うか!
 確かに逆賊GVMN・ラボに一時的にとはいえ
 不本意にも肩入れはしたが、全ては無用な内部分裂を避け、
 一致団結して偉大なるGショッカーを勝利に導くためじゃ!」
暗闇大使「………」
ヘドリアン「それにあれは闇女王同盟の盟主として、年寄どもの評定での
 議決に従ったまでの事。私個人の意思ではないわ!」
暗闇大使「………(フン、よく言うわ!
 その年寄衆にGVMN・ラボにつくよう必死に説いて根回ししたのは
 他ならぬお前のくせに…!)」

557 名前:新章:2006/04/16(日) 20:59:53

いかにも見え透いたおべっかを使い、
至高邪神へと擦り寄るヘドリアン女王。
そんな女王を、さっきから邪神たちは一言も話さず
黙ったまま醒めた目でじっと見ている…。
構わず続けるヘドリアン女王。

アマゾンキラー「暗闇大使殿、邪神の御前です。
 無用な疑いはお控え願わしゅう存じます」
ヘドリアン「それに私は密かに女王アハメス戦死の一件の真相も
 探らせておったのじゃ」

ヘドリアン女王がそこまで喋ると、突然後ろの方から声がした。

???「…それでどのような結果が解ったのか、
 是非お教え頂けませんか? ヘドリアン女王様」

その聞き慣れた声に驚き、後ろを振り返るヘドリアン女王。
なんとそこには死んだはずの女王アハメスの姿が!

ヘドリアン「……( ゚д゚)ポカーン」
アハメス「どうなさいました? まるで幽霊でも見たかのような
 お顔をなさって。この通りちゃんと足はついております」
ヘドリアン「おぬし…生きておったのか!?」
アハメス「全てはこの者の機転で窮地を脱する事が出来ました」

アハメスの側に控えるのは、宇宙忍者風の甲冑に身を包んだ男である。

ヘドリアン「この者は…?」
ウルーガ「軍師ウルーガと申します。以後お見知りおきを…」
アハメス「それよりも私共ゴズマ軍近衛兵団の主力艦隊を
 罠に嵌めた者たちの正体は?」
ヘドリアン「も、勿論GVMN・ラボによる陰謀に
 決まっておろうが!」
ウルーガ「………」

アポロガイスト「往生際が悪いぞヘドリアン女王!
 お前達ベーダー一族は、最初からGVMN・ラボと結託して
 Gショッカーの転覆に加担していたのだ!」

558 名前:新章:2006/04/16(日) 21:00:41

GOD秘密警察の第一室長に復帰したアポロガイストが
ヘドリアン女王一派のこれまでの策謀を糾弾する。

ヘドラー「黙れアポロガイスト! そのような証拠がどこにある!」
アポロガイスト「お前達の配下であったサッカラーが全てを白状したわ!」
ヘドリアン「Σ (゚Д゚;)なっ!? し、知らぬ! 私は何も知らぬ!
 これは何かの陰謀じゃ!!」

あくまでも白を切り、見苦しく喚き立てるヘドリアン女王。
そこで表裏六柱の内の二柱――サタンゴースとミケーネ闇の帝王が口を開く。

サタンゴース「静まれヘドリアン女王!
 それにベーダーの者たちよ!」
闇の帝王の声「うぬら、我が声に聞き覚えがあろう!」

ヘドリアン「――!!」
アマゾンキラー「――!!」

サタンゴースと闇の帝王の声を発する老人の顔の目から、それぞれ光線が照射され、
浮かび上がったのは機械帝国ブラックマグマのヘルサターン総統、
そしてその真の支配者であった全能なる神の姿であった!

ヘドリアン「――へ、ヘルサターン!?」
アマゾンキラー「――全能の神!? そんな馬鹿な!!」
ヘルサターン「フフフ…久しいなヘドリアン。それにアマゾンキラー。
 邪神は最初から全てを見通しているのだ」
全能の神「Gショッカーに属する悪の首領どもの大半は邪神の分身…!
 邪神の支配は永久に絶える事はない…! もはや弁解は無用だ。潔く縛に就け」

アポロガイストの指示で、GOD秘密警察要員たちが
一斉にヘドリアン女王らを取り囲む。

GP要員「アポロガイスト殿、我らGOD秘密警察一同は
 あくまでもアポロガイスト殿の部下であります。
 もはやヒトデヒットラーなどの命令には従いません!」
アポロガイスト「うむ」
アマゾンキラー「おのれアポロガイスト! もはやこれまでか!」
ヘドラー「待てアマゾンキラー! ここはわしに任せろ!」

勢いよく剣を抜くヘドラー将軍。
そのままバトルに突入かと思われたが――。

559 名前:新章:2006/04/16(日) 21:01:24

なんと将軍は剣を皆の面前にて
剣を自らの腹に突き立てたのである!

ヘドラー「グボアッ!!
アポロガイスト「――!!」
ヘドリアン「――ヘドラー将軍!?」

腹部より血を流して崩れ落ちるヘドラー将軍。
そして慌てるかのように彼を抱きかかえるヘドリアン女王。

ヘドラー「ア…アポロガイスト殿…。そして邪神もお聞きあれ!
 この度の一件…女王様は何も知らん…!
 全てはヘドラーの一存にて相謀った事。
 女王様は…女王様は……最初から何も知らなかったのだ……ぐぶっ!!」

抱きかかえる女王の腕の中で、
ヘドラー将軍は全ての罪を一身に背負って
息絶えたのである。

アマゾンキラー「じょ…女王様…」
ヘドリアン「………」

アハメス「ヘドラー将軍…惜しい男であった」
アポロガイスト「…(皮肉たっぷりに)ヘドリアン女王、よい家臣をお持ちになられましたな!」

アポロガイストは包囲を解かせると、
一瞥して去っていった。
そしてアハメスたちも退室する中、
ヘドリアン女王とアマゾンキラーは放心状態のまま
がっくりとその場に崩れ落ちたのであった。

数日後、ヘドリアン女王は隠居へと追い込まれた。

560 名前:新章/地球:2006/04/16(日) 21:02:15

***日本・某所キャンプ場***

ある晴れた、気候の良い日──女子大生らしきグループが
高原のキャンプ場でテントを張り、楽しく食事の準備中。

娘A「いいお天気で良かったわあ……」
娘B「のんびりするのも久しぶりね」

ガサガサ……。突然、近くの雑木林で何者かが動いた。

娘C「な、何あれ!?」
娘A「ま……まさか、熊……((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル 」

よろめきながら彼女たちの前に姿を現わしたのは、
ボロボロに痛めつけられ、血ダルマと化した
ミケーネ帝国兵士……ミケーネス!!

娘たち「キャ────ッッ!?」

ミケーネス「た、頼む……科学要塞研究所……少年ライダー隊
 本部……科特隊基地……どこでもいいから連絡を……ガク(死)」

娘B「あ……ああ……((((;゚Д゚)))」

何と言うことだろう……岩場の影に、木々の間に、小川の中に、
ミケーネスだけでなく、黒い幽霊団員、ゾルダー、
そしてショッカー戦闘員たちの死屍が累々と……!!

娘たち「い、いや────っ!!」

キャンプに来ていた娘たち、全員気絶。

そこへ悲鳴を聞きつけて来たのは現地の少年仮面ライダー隊員……。

隊員の少年「さっきの悲鳴はこのお姉ちゃんたちだな……あっ!」

隊員の少年、慌てて通信機を取り出す……。

561 名前:新章:2006/04/16(日) 21:03:19

●女王アハメス→生存確認。Gショッカー本部に帰還を果たす。
●ヘドラー将軍→GVMN・ラボと通じていた事が発覚しそうになった
 ヘドリアン女王を庇って切腹し果てる。
●ヘドリアン女王→闇女王同盟の盟主を辞任。表舞台から退く。
●Gショッカーで、力のない一部戦闘員達が次々と粛清され始める……。
 果たして至高邪神の帰って来たGショッカー内部で何が起こっているのか!?

【今回の新規登場】
●ショッカー大首領(仮面ライダーシリーズ)
 悪の秘密結社ショッカーの創設者にして支配者。暗黒星雲及び怪魔界の帝王。
 邪帝大首領クライシスの「表」。
●真のGOD総司令=真のゼロ大帝(支配者)(仮面ライダーΧ/アマゾン)
 GOD秘密機関及びゲドンの黒幕にして、ガランダー帝国の王者。
 邪帝大首領クライシスの「裏」。
●星王バズー=ゴズマスター(電撃戦隊チェンジマン)
 大星団ゴズマの支配者。計り知れぬ力を持つ惑星型生命体。
 銀河大星王バズーの「表」。
●ゴルゴム創世王(仮面ライダーBLACK)
 暗黒結社ゴルゴムの支配者。巨大な心臓の姿をした邪神。
 銀河大星王バズーの「裏」。
●大魔神サタンゴース(巨獣特捜ジャスピオン)
 巨獣帝国の王。マッドギャランの父。究極の巨獣である大サタンゴースに脱皮。
 暗黒大魔神サタンゴースの「表」。
●ミケーネ闇の帝王(グレートマジンガー)
 地下勢力ミケーネ帝国の支配者。通常見せている溶岩と炎の塊のような姿から
 発する熱は5万度といわれている。
 暗黒大魔神サタンゴースの「裏」。
●暗闇大使=サザングロス(仮面ライダーΖΧ/10号誕生!仮面ライダー全員集合!!)
 バダン大幹部。地獄大使の従弟であり、本名はガモン。
 ショッカー正規軍十二邪将・十三番目の影として暗躍。
●女王アハメス=宇宙獣士メーズ(電撃戦隊チェンジマン)
 大星団ゴズマ大幹部。アマゾ星の女王。
 主に外宇宙侵略を担当するゴズマ軍近衛兵団統括者。
●軍師ウルーガ(忍風戦隊ハリケンジャー/半オリジナル)
 宇宙忍軍ジャカンジャ暗黒七本槍=第八の槍。アハメスの用心棒的存在。
 手にした愛刀の銘は「鬼雷丸」…!
●アポロガイスト(仮面ライダーΧ)
 GOD秘密警察第一室長。普段は人間体となって怪人達を一喝。
 「アポロ・チェンジ」の叫びと共に変身し、GODの殺人マシーンと恐れられる。
●ヘドリアン女王(電子戦隊デンジマン/太陽戦隊サンバルカン)
 ベーダー一族首領。機械帝国ブラックマグマ大幹部待遇。黒い太陽神の巫女。
●ヘドラー将軍(電子戦隊デンジマン)
 ベーダー一族大幹部。ヘドリアン女王の忠臣。
●アマゾンキラー(太陽戦隊サンバルカン)
 ベーダー一族女幹部。機械帝国ブラックマグマ行動隊長。
 銀河無宿の異名を持つ。
●ヘルサターン総統(太陽戦隊サンバルカン)
 機械帝国ブラックマグマ首領。その正体は全能の神の傀儡で機械人間。
●全能の神(太陽戦隊サンバルカン)
 機械帝国ブラックマグマの真の支配者。脳髄型コンピューターの姿をしている。

562 名前:新章:2006/04/16(日) 21:04:33

***オーブ連合首長国・行政府***

アスラン「ザフト軍の一部部隊が姿を消した!?」

それはプラントにいるイザーク・ジュールから
突如もたらされた衝撃の情報であった。
ここ数日、ザフト軍から一部の部隊が謎の離脱を遂げ
行方不明になる事態が相次いでいるという。

イザーク@モニター「仮にもラクス・クラインが
 新議長に就任したばかりだ。あまり動揺を広げぬために
 まだこの事件のことはマスコミには伏せてあるがな…」
アスラン「しかし一体何故…」
イザーク@モニター「思い当たる事とすればただ一つだ」
アスラン「まさか……」

アスランとイザーク双方の頭に浮かんだ一人の男の名。
それはプラント前最高評議会議長ギルバート・デュランダルであった。

イザーク@モニター「充分考えられる事だろう。
 今のプラントの軍や政権内部にはデュランダル派のシンパが
 予想以上に潜伏している。もしあの人物が例の黄泉還りとやらで
 この世に復活していたとしたら…」
アスラン「しかしイザーク、君達は…」
イザーク@モニター「フン、余計な心配などするな!
 確かにデュランダル前議長には恩義はあるが、それとこれとは話は別だ。
 プラントの平和を脅かす者は誰であろうと俺は許さん。
 詳しい事が解り次第、追ってそちらにも伝える」
アスラン「よろしく頼む」


***暗礁宙域・木星軍集結エリア***

ここサウザンス・ジュピター内の
シロッコのオフィスにある応接間へと通されたのは
あのプラント前最高評議会議長ギルバート・デュランダルである。
先程よりデュランダルはシロッコから何やら説得されていた。

デュランダル「シロッコ殿、我々同志一同を迎え入れてくださった件は
 感謝するが、私はあなた方の指導者になろうという気はない」
シロッコ「しかしドゥガチ総統が身罷られた今となっては、
 我々ジュピトリアンは新たな指導者を必要としているのだ」
デュランダル「…身罷られた??
 私はドゥガチ総統は病で療養中だと伺ったが?」
シロッコ「身罷られたも同然だろう。何しろ衛星イオ基地の爆発と同時に
 それ以来行方不明なのだから。いつまでもいない者の帰りなど
 待ってはおれんよ」
デュランダル「………」

構わずシロッコは話を続ける。

シロッコ「デュランダル議長、貴方には神聖にして高貴なる義務がある。
 世の中の人間を統制し、よりよく導く指導者としての義務がね」
デュランダル「その役割ならばバルマーのシヴァー・ゴッツォ宰相も
 いらっしゃる…」
シロッコ「いやいや…シヴァー宰相も是非貴方をと推しておられる」
デュランダル「シヴァー宰相が…私を…?」
シロッコ「シヴァー宰相は貴方のデスティニー・プランに関する
 論文をご覧になり、深く感銘を受けられたのだ。
 そして何より、地上の人々をロゴスの圧政から救った
 解放者としての貴方の人望と名声は、プラントにおける
 ラクス・クラインのそれを上回る!」
デュランダル「しかしいきなり外様の私が新総統になっては、
 木星帝国古参の連中も黙ってはいないだろう…」
シロッコ「その点は私が何とかしよう。
 まあ時間はたっぷりとある。その間に是非御熟考願いたい」
デュランダル「………」
シロッコ「よきご返事を期待している」


●ギルバート・デュランダル→自分の息の掛かったザフト軍部隊を率いて
 密かに木星軍に合流。
●パプティマス・シロッコ→デュランダルに木星軍新総統就任を要請。

【今回の新規登場】
○アスラン・ザラ一佐(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
 元ザフト軍のトップガン。現在はオーブ連合首長国代表首長カガリの
 秘書兼私的ボディーガード。愛機はZGMF-X19Aインフィニットジャスティスガンダム。
○イザークジュール(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
 ジュール隊隊長。搭乗機は近接戦闘装備をした
 ZGMF-1000/Kスラッシュザクファントムである。
●ギルバート・デュランダル(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 プラント前最高評議会議長。デスティニープランの主唱者。
●パプティマス・シロッコ大尉(機動戦士Ζガンダム)
 木星船団の指揮官。ジュピトリアンの実質的な中心人物。
 PMX-003ジ・オ (THE-O)パイロット。

563 名前:新章:2006/04/16(日) 21:05:53

復活した表裏六柱の至高邪神の号令の下、
力のない怪人や戦闘員、科学者達は粛清され、
邪神大軍団グランショッカーは崩壊した!
新たなる敵――その名は無限帝国ディバイン・ショッカー!
そしてその指導者として、至高邪神により
総司令官として迎えられたのは……?

***ブレインルーム***

大首領の声「目覚めよ、巨人頭脳ブレイン!」

邪神たちの呼びかけに応えるかのように、
巨大の球体がいくつも繋ぎあっている謎の物体が
静かに起動する…。

バズーの声「ブレイン、再び現世に黄泉還った気分はいかがかな…?」

ブレイン「Dショッカーの至高邪神よ。
 いかにDショッカーの頂点に立つあなた方といえども、
 私への呼び捨ては許さない。"ミスター"をつけたまえ…」

サタンゴースの声「フフフ…こやつ」
総司令の声「いかにも世界最高の超コンピューターらしいな…」

ブレイン「当然だ。ブレインは正しい、ブレインは偉大なる善、
 そしてブレインは地上の神…!」

創世王の声「よかろう。ではミスターブレイン、
 君をDショッカーを統治する表裏六柱の至高邪神の名において、
 GVMN・ラボに代わる全科学部門の総指揮官に任命しよう」
闇の帝王の声「それと同時に君の地上…いや、宇宙最高の頭脳を持って
 Dショッカーの統帥権を輔弼せよ!」

ブレイン「了解した。すでに私の超計算能力は、
 Dショッカーが最速で地球を征服せしめるに
 最も有効なプランをはじき出している…」

邪神たちの声「GVMN・ラボと結んだ宇宙連合軍は、
 派遣した地球遠征軍がαナンバーズと復活した超サイヤ人の前に敗北し、
 今やその力は大きく削がれた。今こそ我ら長年の悲願…地球征服の好機だ!
 期待しているぞ、ミスターブレイン!」

ブレイン「GVMN・ラボは人間の心を捨て切れなかったから敗れたのだ。
 だが私は違う…!」

564 名前:新章/地球:2006/04/16(日) 21:06:59

***猿島***

無限帝国ディバイン・ショッカー(Dショッカー)の結成式である。
軍楽隊の伴奏と共に高らかと掲げられるDショッカーの軍旗。
Dショッカー傘下の各組織の主だったメンバーが会場に集まる中、
巨人頭脳ブレインの声が響く!

ブレインの声「おめでとう諸君!
 本日ここに、無限帝国ディバイン・ショッカーは
 神聖なる地球征服の作戦を開始する事となる!
 私はDショッカーの全科学陣を束ねると共に、
 邪神にお仕えする軍師として、諸君らの戦略及び
 作戦遂行にも助言と承認を与える立場となる」

静粛したままブレインの訓辞を聞いている各組織の戦闘員達。

ブレインの声「旧Gショッカーの組織は大きく改編される。
 まずはミケーネ帝国軍地下帝国軍とその名を改める。
 これまではゴズマ軍の一部であったジャシンカ、チューブ、
 それにインフェルシアの冥獣及び冥獣人達を加え、
 竜魔帝王、絶対神ン・マの両巨頭を次期創世王候補に戴くと共に、
 その音頭は暗黒大将軍と冥府神ダゴンが取りたまえ」

暗黒大将軍「心得た!」
ダゴン「必ずや地上の人間共に目に物見せてくれよう!」

ブレインの声「次に、ヘドリアン女王が退いた事に伴い
 空席となっている闇女王同盟の主宰の地位についてだが…」
アハメス「ミスターブレイン、その儀は重ねて固くお断りしたい…」
ブレインの声「欲のない人物だ。闇女王同盟は数々の悪の女王方の
 共通の居所として、邪神の世継ぎたる世紀王を生み繋ぐ聖なる場所。
 その盟主と言えば、ショッカー正規軍の邪将ですら
 遥かに超える権勢を我が物にできるというのに…」
アハメス「私はそのようなものに元から興味はない。
 そもそもヘドリアン女王に権力欲を疑われたのも迷惑千万な話。
 私が戦場にて剣を振るうのは、全て銀河大星王バズー様の御為のみ!」
ブレインの声「解った。ではこの話は改めて他のしかるべき御仁に…」

ここでダゴンが口を挟む。

ダゴン「ところでヘドリアン女王と言えば、
 グルになっていた女将軍ゼノビア共々隠居謹慎の処遇に
 留められているとか…。一度邪神に弓を引いたGVMN・ラボに加担していた
 という割には、ちと処分が甘すぎるのではないのか?」
ブレインの声「その罪はヘドラー将軍が一身に背負って自害して果てた。
 それに彼女らにはまだ利用価値が充分にある」
ダゴン「……フ、まあいいだろう。全ては邪神の御心のままに」
ブレインの声「諸君の今後の獅子奮迅の働きに期待する」

偉大なる至高邪神の名の下に、
改めて人類に宣戦を布告したDショッカー!
地球に新たなる危機が訪れたのである!

565 名前:新章/地球:2006/04/16(日) 21:08:35

一方、その頃…
ここヒマラヤ山脈の山中においても……。

***ヒマラヤの地球教本部***

ド・ヴィリエ「よく戻ったなジブリール」
ジブリール「貴方こそ御健勝で何よりです。ド・ヴィリエ大主教」

黒いペルシャ猫を抱いているこの男の名はロード・ジブリール。
ブルーコスモスの二代目盟主だった男。
そして軍産複合体"ロゴス"の主要メンバーだった人物である。
だが……。

ド・ヴィリエ「フフフ…デュランダルも馬鹿な男よ。
 奴はロゴスの事を、単なる死の商人共の寄合か何かだと
 思い込んでいたようだが、あのジジイ共は総大主教猊下の
 存在を世間からカモフラージュするための影武者に過ぎんのだ」
ジブリール「その通りです。真のロゴスの姿とは、
 地球教を頂点とする闇の元老院……すなわち影の地球連邦政府
 そのものなのですからね」
ド・ヴィリエ「しかしその闇の元老院も
 光の中に現れる日は近い」
ジブリール「私もそのために微力を尽くさせてもらいますとも。
 変に馴れ合う連中にはもう一度はっきりと教えてやりませんと。
 我らナチュラルと非ナチュラルは違うのだということを。
 それを裏切るような真似ををすれば、地獄に落ちるのだ、ということをね…」
ド・ヴィリエ「だがブルーコスモスの実権は今、
 再びムルタ・アズラエルの手に戻っているぞ。
 奴の背後にいるゼーレの後押しでな。どうするつもりだ?」
ジブリール「チッ…!」

ここでド・ヴィリエがを手を差し伸べてきた。

ド・ヴィリエ「フフフ…お前のための手駒は用意してある。
 少なくともコープランドなどよりは余程役に立つ男だ」
ジブリール「ほお、それはありがたいですな…」

そこへド・ヴィリエ側近の地球教司教が現れ、
そっとに耳打ちする。

ド・ヴィリエ「何? 廃棄予定のエクステンデット3体が
 ジャブローから脱走しただと?」
司教「ハッ。現在フロスト兄弟が追跡しております…」

566 名前:新章/地球:2006/04/16(日) 21:09:47

***オーブ連合首長国近海・上空***

追ってのガンダムヴァサーゴ&アシュタロンから
必死に逃げる3機のダガーL。
中に乗っているのは、あのスティング・オークレー、
アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェの3人だ。

シャギア「鬼ごっこはそろそろ終わりだ」

スティング「くそっ!」

オルバ「たかがダガーLで僕達から逃げ切れると思うのかい?」
シャギア「聞かせろ。なぜ脱走を企てた?
 部品に過ぎない貴様らが…」
オルバ「まさか愛と正義に目覚めました…とか
 悪い冗談は言わないよね?」

スティング「ふざけるな! 俺達を"刈り取り母艦"とかいう
 物騒な代物に乗せて宇宙に飛ばして始末しようとしてんのは
 先刻承知なんだよ!」
アウル「アレ、見た目キモいから乗るの嫌なんだよね!」
ステラ「ステラも…イヤだ!」

シャギア「黄泉還りで余計な記憶まで取り戻したらしいな。
 だがそれがお前達の不幸だ。不要になった部品は部品らしく
 スクラップになればいいものを」

アウル「へん! カテゴリーFのアンタたちになんか
 言われたくねーっての!」

シャギア「――!!」
オルバ「…兄さん、どうやらこの糞ガキ共には
 お仕置きが必要だね!」
シャギア「そのようだな。じわじわとなぶり殺しにしてくれる!!」

案の定、フロスト兄弟の操るヴァサーゴ&アシュタロンの両機に
いいようになぶられる3機のダガーL。

スティング「ちくしょう! おいアウル!ステラ!
 ここは俺が食い止める! お前らだけでも逃げろ!」
アウル「ハァ? 何一人でカッコつけてんだよ!」
ステラ「ステラ…戦う!」
スティング「馬鹿かお前ら!!」

シャギア「馬鹿は3人仲良く死ね!!

ステラ「――!!」

567 名前:新章/地球:2006/04/16(日) 21:11:09

シャギアの「死ね」の一言で
ステラのブロックワードが発動した。

ステラ「し……ぬ……?
 死ぬの?

 あ……ああ……
 だめ……死ぬのはダメ……!!

 嫌ぁぁぁあああああああああ!
      ヽ\   \ ̄ ̄`丶、              !//
        '、 ヽ   丶   /`丶  、   O     /'´ ゚
         ト、 ',、  '、 /,.ィ≡ミヽ  ', 。     _,/ //  _,.
      、  ', ヽ',\. l/〃___ `ヾ ', l!|    /∠-― 、 /
       ヽ | ',l  〉!〃{´゙}‐、ヽ rっ ll l  ,.y´  __,.ァ''´,.-―''´
        ト, l  ヾ /ハ!'、ヽ_}-'::ノ/ノ| ハl  /,.-‐''´ ` ̄ ̄)-――
        ',ヽ !_  ノ´    `ブ´  l / l  Y   _,.-ァ‐''´
        ', ',! ー''          〃 l  l  /´,. ‐--― 、 _,.   /
  、       ! ≧ __         /  ! ,' r''"´    _,.ァ''´   /
   l        l ノ〃 r-,、 、::::::::   ノ  | l' /   _,.r''ブ´    /
   ト,    ○ ト≧ミ`ゞり l!:::::::    ,.イ ! Y  /_,,..-''"ヽ   /
   ',ヽ     ',  `''ー 、' !:::::   〃ノ  ! l, ノ    _ノ   /
  、 '、'、      ',     `ヾ‐''´ ´/-'' ノ| lj、   r‐''´   /  /
   ヽ ',ヽ       '、  ゚     ` ー ''"¨¨'、 ハ  !,     / /
    ', ヽ○ 、   \      ,,..-''" ̄`ヾヽ! ヽ / ヽ   〃
.  ヽ `ヾ'、  `''‐..,,_ \/´ ̄ ゙´ヽ、{__r    !-!  `r、 ヽ /´
    ',  ` ヽ  ハ ` -,-ヽ、_           {ハ   | \y'´
    !     l |lY            |  ヽ  l /
    l     /  ヽ! l            l  / ヽ l ヽ

感情的な混乱で操縦もままならないまま、
海中へと堕ちていくステラ機。

スティング「――ステラァァッ!!」

オルバ「余所見をしちゃいけないな!」

スティング「――!!」

アシュタロンのシザースビーム砲の照準に捕まり、
撃墜と死を覚悟したスティング。
だが間一髪のところで一筋の鋭い閃光に救われた。
オーブ軍のORB-01アカツキの放った72D5式ビームライフル"ヒャクライ"である。

ムウ「こちらはオーブ連合首長国海軍だ!
 所属不明機に告げる! 貴機は我が国の領空を侵犯している!
 直ちに引き返せ! さもないと撃墜する!」

スティング「その声…まさかネオか!?」
アウル「嘘だろ…なんでネオがこんなところにいるんだよ!」
スティング「俺が知るか!」
ステラ「ネオ…!!」

シャギア「所属不明機とはよく言ってくれたものだ。
 ネオ・ロアノーク!! この裏切り者め!」

ムウ「やはりフロスト兄弟か。お前らとはヘブンズベースで
 一度会ったきりだったが、その不敵な面構えは一度見れば
 2度と忘れん!」

オルバ「丁度いい。元ファントムペインの役立たず共!
 まとめて片付けてやる!」
シャギア「待て! オルバよ!」
オルバ「何故だい兄さん!?」
シャギア「あれをよく見ろ」

アカツキの背後の海上には、大勢のオーブ海軍の艦艇が!

オルバ「しかし、ここで奴らを見逃せば、
 エクステンデットの機密がαナンバーズに漏れるよ!」
シャギア「今ここで騒ぎを大きくする訳にはいかん。
 ネオ・ロアノーク…いや、ムウ・ラ・フラガ!
 この勝負いずれつけるぞ!」

フロスト兄弟は引き上げて行った。
そしてオーブ艦艇に引き上げられ収容された
スティングたち3人。
しかしスティングはムウに再会するや
いきなり銃口を向けた。

ムウ「スティング…」
スティング「黄泉還ったおかげで全て思い出したぜ。
 よくも俺達の頭の中をいろいろ掻き回してくれたよな
 ネオさんよ!」

しかしステラは身を挺してムウを庇うのであった。

ステラ「だめ!」
スティング「そこをどけステラ!」
ステラ「だめ! ネオとスティング…ケンカしたら…ヤだ!!」
スティング「チッ…!」

普段から妹のように可愛がっていたステラの説得で
ひとまず銃を収めるスティングであった。

ムウ「俺自身も操られていたとはいえ、
 お前達に犯した罪は償っても償いきれん。
 撃ちたければいつでも撃て」
スティング「………」
アウル「………」
ムウ「…で、お前達これからどうするつもりだ?
 よかったら一緒に来い! どうせ行くところもないんだろ?」
アウル「僕、ハラ減ったな」
ステラ「ステラも…お腹すいた」
スティング「アウル!! ステラ!!」
ムウ「よし! それじゃあとびっきり美味い飯を食わしてやるか!
 食堂までついて来い」
スティング「チッ…わかったよ。だがなネオ!
 俺はまだ心を許した訳じゃねえからな!
 もし俺たちを罠に嵌めたら、そん時はアンタを殺す!」
ムウ「ああ、好きにしろ」

568 名前:新章:2006/04/16(日) 21:12:50

●邪神大軍団グランショッカー壊滅。新たに無限帝国ディバイン・ショッカー成立。
 猿島で結成式を行い、旧組織は大きく再編される。
●巨人頭脳ブレイン→GVMN・ラボに代わりDショッカーの科学部門総責任者に就任。
 同時に軍師的な立場も兼ねる。
●ロード・ジブリール→ヒマラヤの地球教本部に現れる。
●ド・ヴィリエ→果たしてジブリールのために用意した手駒とは…?
○スティング・オークレー、アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェ
 →ジャブローを脱走し、オーブ海軍に救助される。

【今回の新規登場】
●巨人頭脳ブレイン(大鉄人17)
 ブレイン党首領。人類に反旗を翻した超コンピューター。
●暗黒大将軍(マジンガーΖ対暗黒大将軍/グレートマジンガー)
 ミケーネ帝国軍総司令官。
●冥府神ダゴン(魔法戦隊マジレンジャー)
 地底冥府インフェルシアの冥府神・三賢神の一人。
 厳格な性格で、知勇を兼ね備えた冥府十神の実質的リーダー格
●ド・ヴィリエ大主教(銀河英雄伝説)
 地球教団総書記代理。ロゴス中枢の実権を握る教団2。
●ロード・ジブリール(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 ブルーコスモス二代目盟主。
●シャギア・フロスト(機動新世紀ガンダムХ)
 新連邦のエージェント。オルバの兄。カテゴリーF。
 乗機はNRX-0013-CBガンダムヴァサーゴ・チェストブレイク。
●オルバ・フロスト(機動新世紀ガンダムХ)
 新連邦のエージェント。シャギアの弟。カテゴリーF。
 乗機はNRX-0015-HCガンダムアシュタロン・ハーミットクラブ。
○ムウ・ラ・フラガ一佐=ネオ・ロアノーク大佐(機動戦士ガンダムSEED/SEED DESTINY)
 元地球連邦軍第81独立機動群ファントムペインの指揮官。
 今はムウ・ラ・フラガとしての記憶を取り戻し、オーブ国軍の一佐を拝命。
○スティング・オークレー(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 ネオ(ムウ)の元部下で、ファントムペイン所属のエクステンデット。
 ZGMF-X24Sカオスガンダムのパイロット。
○アウル・ニーダ(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 ネオ(ムウ)の元部下で、ファントムペイン所属のエクステンデット。
 ZGMF-X31Sアビスガンダムのパイロット。
○ステラ・ルーシェ(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 ネオ(ムウ)の元部下で、ファントムペイン所属のエクステンデット。
 ZGMF-X88Sガイアガンダムのパイロット。

569 名前:新章/地球:2006/04/22(土) 21:00:26

***デカベース***

オーブ軍によって保護されたスティング、アウル、ステラの3人は、
ムウ・ラ・フラガと、それに成田で合流した神敬介と共に、
治療の為に日本にある地球署を訪れていた。
メディカルルームの診察室で、いろいろとレントゲン写真やカルテと
真剣ににらめっこしている白鳥スワンに、
ムウが心配そうに尋ねる。

ムウ「治りますか?」
スワン「後でハクタクさんにも詳しく診てもらうけど、大丈夫。
 かなり時間はかかりそうだけれど、根気よく入院治療を続けてれば、
 いずれ彼らの身体は元通りになると思うわ」
敬介「それでフラガ一佐、彼らの身元は…?」
ムウ「それが恥ずかしい話なんだが、
 俺にもよく知らされてはいなかったんだ。
 ファントムペインに配属されてきた時には、
 既にこいつらの経歴は全て抹消されていた…」
スワン「それにしてもひどい事するわねブルーコスモスも。
 あの子達も無事に立ち直ってくれるといいんだけれど…」

スティング「下手な同情ならよしてくれよ!」

集中治療室の中からスティングたちが出て来た。

ムウ「お前達、もう大丈夫なのか?」
スティング「ちょっと外の空気を吸ってくるぜ…」
アウル「僕も。ここ、なんかつまんねーし」
ステラ「ステラも…一緒…」
ムウ「おいコラお前ら!」

そこで怒るムウを敬介が
軽く冗談を交えながら制する。

敬介「(笑いながら)一佐、過保護は行けませんよ。
 彼らも独り立ちの時が来たんですよ」
ムウ「過保護ォ〜?? おいおい俺はそんなつもりは…」
スワン「いいわ。外出を許可します。
 気晴らしも必要だものね♪」

スティング「………」
アウル「………」
ステラ「………」

まだ雰囲気に慣れていないのか、
無言で外へと出て行くスティングたち。

ムウ「あんまり遠くまで行くんじゃないぞ!!」
敬介「一佐、彼らが帰ってくるまで時間があります。
 よければパトロールでもご一緒しませんか?」
ムウ「おっ、ツーリングか。いいねえ」

570 名前:新章/地球:2006/04/22(土) 21:01:33

***Dショッカー秘密警察・東京分署***

カコンシス王「こ、こら! 何をするか無礼者!
 放せ! 放さんか!!」

何やら中東の王侯貴族風の太った中年男が、
GOD戦闘工作員達によって部屋へと連れ込まれ、
拷問用の椅子へと拘束された。
その男がわめいているところへ人間体の姿のアポロガイスト、
そしてGODの新しい神話怪人・木精ドリアードが入ってくる。

白いスーツの男「( ̄ー ̄)ニヤニヤ………」
カコンシス王「おお〜! アポロガイスト!
 よいところに来た! こやつらを早く止めろ!
 お前達Dショッカーとやらは、ワシの王位を回復させるために
 協力すると誓ったはずだぞ!」
白いスーツの男「フフフ……」
カコンシス王「何をボーッとしておる!
 黙ってないで早くなんとかせいっ!」
ドリアード「フフフ…馬鹿な奴だ!
 まだそんな話を信じていたか!」

実はこの男――カコンシス王は、
かつて光輝の末裔エルウィンが闇の王子ボーゼル及び
混沌の王カオスと壮絶な戦いを繰り広げた、
ある異世界の小国の王だったが、
ひょんな事から時空クレバスを通って地球に漂着し、
Dショッカーに自分の元いた世界の情報を売り渡していたのだった。

白いスーツの男「カコンシス王、貴方のいた世界……
 すなわち聖剣ラングリッサーと魔剣アルハザードの存在するという
 光輝世界の情報を入手した今、もうDショッカーは
 貴方を必要とはしなくなったのだ。だから処刑する!」
カコンシス王「ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン!!
 するとワシは騙されたのか!? き、貴様という奴は!!
 やめろ〜!! 金ならいくらでも欲しいだけやる!!」
ドリアード「ええい!うるさい!
 自然発生した時空クレバスの向こうから
 着の身着のまま一人っきりで地球に流れ着いた
 貴様がどこにそんな金を持っているのだ!?」
カコンシス王「やだ〜! せっかく生き返ったのにワシはまだ死にたくない〜っ!
 たーすけてくれ〜っ!!」

もはや王族のプライドなど微塵も感じさせずに
見苦しく叫びもがくカコンシス王。

白いスーツの男「やかましい男だ! 貴様はそれでも一国の王か?
 ドリアード、そろそろ楽にしてやれ!」
ドリアード「よ〜し任せろ!」

571 名前:新章/地球:2006/04/22(土) 21:04:43

ドリアードは自分の体の中から
一体の拳くらいの大きさの天道虫に似た
不気味な生き物を取り出した。

NR@中江真司「これこそが、以前にGODが現代に蘇らせた、
 2000年前に絶滅したはずの古代ギリシャの伝説のくるい虫である。
 これに刺された人間は、狂った殺人鬼と化してしまうのだ!
 そしてドリアードは自分の体そのものが全身、
 くるい虫の巣と化しているのである!」

カコンシス王「ギャー! 助けてー!」
ドリアード「ギャーギャーうるさい奴だ! せっかく遥々地球まで来たのだ!
 冥土の土産にくるい虫の威力を自分の身体で試していけ!」

カコンシス王の首筋に毒針を差し込むくるい虫。
その瞬間、カコンシス王の顔の形相がみるみる変わっていく。

カコンシス王「…俺は不死身の戦士だ! 無敵の戦士だ!
 殺す! 見つけた人間は殺して殺して殺しまくる!」
白いスーツの男「人間は全てお前の敵だ!
 行け! 古代ギリシャの勇敢なる戦士よ!」

拷問椅子から解放されたカコンシス王は、
戦闘工作員達にって施設の外へと連れ出されていく。
そしてスピーカーから声が鳴った。

ブレインの声「アポロガイストくん…」
白いスーツの男「ミスターブレインか…。
 青田博士の研究所に残されていたサンプルから、
 くるい虫は再び現世に蘇ったぞ」
ブレインの声「古代ギリシャの戦士は、恐怖心を打ち消すために、
 自らくるい虫に刺されて戦場へと赴いたという…。
 Dショッカーにとっては素晴らしい虫といえよう!」
白いスーツの男「その通りだ! しかもくるい虫は増殖力が強く、
 瞬く間に何百匹も何千匹も増えていくのだ!」
ブレインの声「アポロガイストくん、君の事だ。
 言うまでもあるまいが…」
白いスーツの男「わかっている。第2次日本キチガイ作戦と
 同時並行で進める例の作戦の事もな…」

再びスピーカーから、今度は通信班より連絡が入る。

連絡員の声「カコンシス王はタクシーの運転手を絞め殺し、
 車を奪って品川方面へと逃走中…」

そこに黒十字軍の幹部、火の山仮面マグマン将軍が
ゾルダーたちを引き連れ入って来た。

火の山仮面「フッフッフッ…作戦は順調のようだな?」
白いスーツの男「火の山仮面マグマン将軍か」
火の山仮面「今回の作戦、我ら黒十字軍も全面的に
 後方よりサポートさせて頂く」
ドリアード「ほぉ〜! それはありがたい!」
白いスーツの男「では行け、ドリアード!」
ドリアード「おう! 任せておけ!」

572 名前:新章:2006/04/22(土) 21:08:18

○スティング・オークレー、アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェ
 →地球署に治療に訪れる。白鳥スワンによる診察の後、街へ外出する。
○ムウ・ラ・フラガ、神敬介→スティングたちが外出している間、
 ツーリングがてらパトロールに出かける。
●アポロガイスト→第2次日本キチガイ作戦に着手。
 それと同時にブレインから命じられた別任務を実行しようとしている。

【今回の新規登場】
○神敬介=仮面ライダーХ(仮面ライダーХ)
 沖縄の水産大学に通っていた青年で、空手や剣道の有段者。
 父・神啓太郎教授の手で、深海開発用改造人間「カイゾーグ」に改造された。
 謎のGOD機関と戦う仮面ライダー5号。
○白鳥スワン=デカスワン(特捜戦隊デカレンジャー)
 チーニョ星人。宇宙警察地球署メカニック担当。
●カコンシス王(ラングリッサーW)
 カコンシス王国の前国王で、シェルファニール&アンジェリナ姉妹の実父。
 傲慢で欲深且つ無能な王。
●木精ドリアード(仮面ライダーΧ系半オリジナル)
 GODの新生神話怪人。同じGODの怪人アルセイデスと同種属と思われる。
●火の山仮面マグマン将軍(秘密戦隊ゴレンジャー)
 黒十字軍幹部。アイスランドのエクラ火山から噴火軍団を率いる。

573 名前:新章/地球:2006/04/23(日) 09:50:59

***品川付近の住宅街***

公道の横断歩道が青信号になったところで、
緑のおばちゃんが渡る子供達を誘導している。
だがそこにカコンシス王の運転するタクシーが突っ込んできた!

緑のおばちゃん「キャー!?」
ムウ「――危ない!!」

たまたま赤信号で止まっていたムウと敬介の咄嗟の機転で
事なきを得る緑のおばちゃんと子供達。
タクシーはそのまま猛スピードで走り去っていった。

敬介「お怪我はありませんか!?」
緑のおばちゃん「…は、はい。どうもありがとうございます」
敬介「暴走タクシーめ! 一佐、ここは頼みます!」
ムウ「わかった!」

この場をムウに託すと、敬介はすぐにバイクに跨り
先程の暴走タクシーを追いかけていった。

敬介「おい! 止まれ! 止まれと言ってるのが解らないのか!!」

ようやく停車した暴走タクシーから
運転していた男を腕ずくで引きずり出す敬介。

敬介「――その格好!? 貴様、日本人…いや、地球人でもないな!?
 もしや時空クレバスを通って異世界からやって来た漂流者か!
 なぜあんな事をした!!」
カコンシス王「ぐへへへ…殺す! 殺してやるぅ〜!」
敬介「くっ…やむを得ん!」

ボカッ!!

カコンシス王「ぐえっ!!」

敬介は、尚も自分の首を絞めにかかったカコンシス王を
逆に当て身で気絶させた。
その様子を遠くの丘の影から密かに窺っていたドリアード。

ドリアード「いよいよ俺の本領発揮の時が来たようだな。
 神敬介! あの男共々人間トレントにしてやる〜!」

…が、ドリアードが敬介めがけてトレント化ガスを噴射しようとした寸前、
アポロガイストがいきなり後ろから蹴りを入れた。

白いスーツの男「出過ぎた真似をするな!」
ドリアード「何をするアポロガイスト! このまま奴を
 放っておくつもりか! 第2次日本キチガイ作戦に気づかれるぞ!」
白いスーツの男「馬鹿っ!! 今ここでそんな真似をしてみろ!
 それこそ神敬介にDショッカーの策略だと気づかれる!
 カコンシス王はごく自然に殺すのだ。対象の捕獲が完了するまで
 滅多な行動は慎め! わかったな!」
ドリアード「チッ…!」

そしてしばらく数分が経過した後、
現場に救急車が到着した。

救急隊員A「緑のおばちゃんからの通報で駆けつけてきました」
敬介「この人です。どうやら少し頭がおかしいようで」
救急隊員B「病院に運んだ後で、警察に連絡します」
敬介「ご苦労様です」

カコンシス王を担架に載せて運び入れると、
救急車はすぐにその場から走り去って行った。

574 名前:新章/地球:2006/04/23(日) 09:53:45

救急隊員A「くっくっくっ…神敬介め。
 まんまと騙されたようだな」

移動する救急車の車中で、正体を現すGODの戦闘工作員たち。
さっそく用済みとなったカコンシス王を始末するべく
注射針を取り出す。

GOD戦闘工作員A「待て。まさか尾行されてはいないと思うが、
 念の為に後ろを確認してみろ」
GOD戦闘工作員B「よしわかった」

だが後ろのドアを開けた瞬間、
いつの間に救急車の屋根にへばり付いていた
敬介が中に乗り込んできた!

GOD戦闘工作員A「ジーッ! おのれ神敬介!」
敬介「あまりにもタイミングがよすぎると、
 逆に疑ってみたくなる!」
GOD戦闘工作員B「く、くそ〜っ! ぐわあぁぁっ!!」

車の中の戦闘工作員達を片付けて救急車を止める敬介。
しかしそこへ聞き覚えのある声が!
敬介が振り返ると、目の前には
いつの間にか小高い丘の上に立っている
アポロガイストの姿が!!

白いスーツの男「さすがだな神敬介! よく見破ったな!」
敬介「GODの…特にお前との付き合いを始めたおかげだ!
 そう簡単に他人が信用できなくなったんでな!」
白いスーツの男「それで…その男をどうするつもりかね?」
敬介「勿論連れて行く」
白いスーツの男「言っておくが、その男はDショッカーにとって、
 もう何の価値もないのだ! それでも連れて行くかね?」
敬介「Gショッカーになくとも俺にはある!」
白いスーツの男「――なら始めるか!」
敬介「是非にとあらばお相手しよう」
白いスーツの男「神敬介、いやΧライダー!
 アポロガイストはDショッカー秘密警察長官であると同時に
 GODの殺人マシーンとも呼ばれているのだ! 死んでもらうか!」
敬介「…ところでさっきから言っているそのDショッカーとは何だ!?
 お前達はGショッカーではないのか!?」
白いスーツの男「フッ…」

敬介の問いにアポロガイストは答えない。
そのまま両者は変身する。

白いスーツの男「アポロ・チェーンジッ!!

敬介「大・変・身!!

575 名前:新章/地球:2006/04/23(日) 09:56:24

戦闘を開始するΧライダーとアポロガイストの両雄。

アポロガイスト「食らえ! マグナムショォーット!!」

アポロガイストは戦闘中の隙を見て、
救急車を百発百中の弾丸で木っ端微塵に吹き飛ばした。
カコンシス王を乗せたまま炎上する救急車。

Χライダー「しまった! 大事な生き証人が!!
 おのれアポロガイスト!」
アポロガイスト「フフフ…甘いぞΧライダー!」

そこにドリアードも加勢する。

ドリアード「Χライダー! 人間トレントになれー!」
Χライダー「くっ! そのガスは!?」
ドリアード「どうだ俺様のガスの味は!?
 これはアルセイデスの人体樹木化ガスにくるい虫の毒を配合し、
 人間を戦闘用トレント兵士へと変える、俺様自慢の毒物なのだ!」
Χライダー「このままではいかん! クルーザー!!」

Χライダーの愛車・白い弾丸クルーザーが
ドリアードに体当たりを仕掛けた!

ドリアード「ぐわああっ!!」
Χライダー「ドリアード! アポロガイスト!
 この勝負は預けるぞ!!」

クルーザーに乗り戦場を離脱するΧライダー。

ドリアード「Χライダーめ! 逃げたか!」
アポロガイスト「馬鹿っ! このまま引き下がるようなΧライダーではない!
 奴はまた我々に仕掛けてくるぞ! その前に作戦を急ぐのだ!!」

いったん退却した敬介は、イヤな予感にかられながら
バイクを走らせムウのもとへと急いだ。

敬介「…おかしい。GODのくるい虫作戦は、
 昔一度やって失敗している。あのアポロガイストが
 同じ作戦を意味もなく何度も繰り返すものだろうか…?
 それにDショッカー秘密警察とは一体……」

576 名前:新章/地球:2006/04/23(日) 09:57:40

一方こちらは気晴らしに街中へと出た
スティング、アウル、ステラたち3人である。

アウル「…あっ! おいスティング!
 あれ見ろよ!!」
スティング「…ん?」

見ると屋外のバスケットコートで
楽しそうにプレイしている数人のバスケ少年達の姿があった。

アウル「面白そうじゃん! 一緒にやろうぜ!」
スティング「よせよ。いきなり行ったって
 見ず知らずの俺たちを仲間に加えてくれる訳が……
 ……って、おいアウル!?」

スティングが止めるのも聞かず
プレイ中に突然割り込むアウル。
最初は唖然としていたバスケ少年たちだったが、
アウルのなかなか筋のいいプレイに
いつしか打ち解けていった。

アウル「お〜い! スティング! ステラ!
 一緒にやろうよ!!」
スティング「…しょーがねーな。
 ステラ、お前も一緒にやるか?」
ステラ「うん♪」

アウルは右へフェイントをかけ、
ディフェンスを右にひきつけ、素早く左方向へスタートし、
ディフェンスの前を通ってゴールへ走り込む。
そしてスティングからパスをもらい見事なショットを決める。
ステラもまだ相変わらずぎこちない動きながら
ボールと心から慣れ親しんでいた。
一汗かいたので休憩を入れるバスケ少年とスティングたちの間で
会話が弾む。

バスケ少年A「やるじゃん。どこの学校のバスケ部だよ?」
スティング「俺たちはクラブ活動なんてやった事はないさ」
バスケ少年B「うそ!? じゃあマジで初心者!?」
バスケ少年C「信じらんねー!」
アウル「へへへ…♪」
バスケ少年A「今度ウチの学校のバスケ部に来いよ。
 みんなに紹介するぜ」
ステラ「いいの…?」
バスケ少年B「いいっていいって! 遠慮すんなよ!
 ステラちゃんにも基本からみっちし教えてやるからさ」
ステラ「うん!」
バスケ少年C「よぉーし、じゃあそろそろゲーム再開だ。
 今度は点は渡さないからな!」
スティング「いいぜ。その勝負、受けてたってやる」
一同「ハハハハハ!!」

楽しそうに再びプレイを再開する少年達。
思えば幼少のころからブルーコスモスのために
過酷な戦闘訓練ばかりしかさせられて来なかった
スティング、アウル、ステラの3人にとって、
この日初めて出来た外部との同年代の友達だったのかもしれない。
だが運命は無常にも、この育まれつある
ささやかな友情の時間をも切り裂いた。

ドリアード「フフフ…ようやく見つけたぞ小僧共!」

577 名前:新章/地球:2006/04/23(日) 09:59:06

それから数分後、ムウと合流した敬介は
二人でスティングたちを探していたが、
何やら人だかりが集まっている場所を見つけた。

ムウ「…これは!?」
敬介「すみません。いったいここで何があったんですか!?」

事情を知るために、
群集の一人の婦人に質問する敬介。

婦人「何でも乱闘騒ぎの上、殺人事件があったんですって!」
敬介「殺人…?」
婦人「ここのバスケットコートで遊んでいた子供達が
 いきなり暴れだして互いを傷つけあった挙句に亡くなったとか…」
ムウ「まさかスティングたちも!?」
婦人「一緒にいた外国人の子供達なら
 重要参考人だからって警察に連れて行かれましたよ」
敬介「警察に…?」


***デカベース***

慌ててデカベースへと戻ったムウと敬介は、
宇宙警察から警視庁に至急問い合わせてもらったのだが…。

ドギー「警視庁からの回答だが、警視庁管内において
 そのような事件も、またスティング君たちによく似た未成年者が
 連行されたとの報告も全くないそうだ」
ムウ「そんな馬鹿な!?」
敬介「すると彼らは今、一体何処に…」


***Dショッカー秘密警察・東京分署***

事件に巻き込まれ、警察に連行されたはずのスティングたちは、
なぜかDショッカー秘密警察の拘置所内に拘留されていた。

スティング「おい! 証拠もなしに俺たちを犯人扱いするのか!」
アウル「これが日本の警察のやり方なのかよ!」
スティング「宇宙警察を呼んでくれ! そうすれば俺たちの無実は証明できる!」

鉄格子越しに力いっぱい叫んで抗議するスティングとアウル。
だが警官の服装をした看守は全く反応を示さず、微動だにしない。
そこにアポロガイストとドリアードがやって来た。
驚くスティングたち。

ステラ「――!!」
スティング「なんでGショッカーの怪人がこんなところに!?」
ドリアード「グハハハ…お前らエクステンデットは
 薬の副作用で頭の回転まで鈍くなったか?」
スティング「何だと!?」
白いスーツの男「ここは警察は警察でも、
 Dショッカー秘密警察・東京分署だ!」
スティング「…Dショッカー??」

そのアポロガイストの言葉と同時に、
それまで人間の看守に化けていたGODの戦闘工作員も
ネタばらしにと元の姿に戻る。

GOD戦闘工作員「ジーッ!」
アウル「チェッ…もしかして僕達まんまと騙されたってやつ?」
スティング「俺たちをどうするつもりだ!?」
白いスーツの男「お前達の望みどおり、宇宙警察を呼んでやるつもりだがね。
 だがその前に、昔ファントムペインに配属されていたお前達に
 2〜3質問したい事がある」
スティング「Dショッカーの秘密警察とやらにも、
 黙秘権はあるんだろうな?」
白いスーツの男「フフフ…認めてやってもいいが、
 果たしていつまで耐えられるかな?」

拷問を示唆するアポロガイスト。

アウル「結局は拷問かよ。趣味悪りぃの!」
スティング「拷問したって無駄だ! 俺たちを誰だと思っている?
 ファントムペインにいた頃に、万一敵の捕虜になった際の対処の
 訓練くらい受けている!」
白いスーツの男「フフフ…いざという時は機密保持のために自決か…。
 だが今のお前達にそれができるかな? 娑婆の空気と、
 それに自由を満喫する味を知った甘ったれた今の貴様らにな!!」
スティング「くっ…!!」

白いスーツの男「小僧共を痛めつけろ!!

578 名前:新章:2006/04/23(日) 10:00:21

●カコンシス王→死亡。
○スティング達と友達になったバスケ少年達は、
 全員巻き添えを食って、くるい虫の犠牲となった模様。
○スティング・オークレー、アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェ
 →Dショッカー秘密警察東京分署に拉致される。

【今回の新規登場】
○ドギー・クルーガー=デカマスター(特捜戦隊デカレンジャー)
 宇宙警察警視庁警視兼第7銀河統括部長兼地球署署長。
 アヌビス星人。デカベースロボパイロット。通称“地獄の番犬”。

579 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 09:28:53

一方、先程の事件現場の屋外バスケットコートでは、
背広を着たサラリーマン風の怪しげな男が
何かを必死に探していた。

男「くそぅ…何処だ! 何処にいるんだくるい虫!
 早く持ち帰らないとアポロガイストから罰を受ける!
 下手をすれば死刑だ!」

いきなり男の目の前に、
その探していたくるい虫が放り投げられた。

ホージー「探しているのはそれか!?」
男「――!!」

男は慌てて逃げようとするが、
すぐにあっさりとホージーたちに取り押さえられた。

ウメコ「現場百回! 犯人は必ず現場に戻る習性があるってね♪」
セン「敬介さんから聞いたけど、2000年前に絶滅したはずの
 古代ギリシャに伝わる伝説のくるい虫らしいね。
 これであの暴走タクシーも、このバスケットコートで起こった
 殺人の謎も解ける。さ、話してもらおうか。スティング君たちの居所を」
男「フン、誰が喋るか!」
セン「そっか。じゃあ仕方ないな。
 ホントはあんまりこーゆー手段は使いたくなかったんだけど…」

センちゃんは男の足元のくるい虫を拾うと、
それを男にゆっくりと近づけた。

男「や、やめろ〜〜〜! (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
 宇宙警察は被疑者に対して拷問するのかぁ!?」
ジャスミン「今はスティング君たちの救出の方が最優先よ!」
ホージー「さっさと吐け!」
男「…わ、わかった。Dショッカー秘密警察…東京分署!」
ホージー「その東京分署とは何処だ!?」

580 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 09:32:30

***Dショッカー秘密警察・東京分署***

GODの戦闘工作員達に散々痛めつけられた後、
スティングたち3人は拷問部屋へと移され、
まずはステラが拷問椅子へと掛けられる。

ステラ「ステラ…何も話す事ない!」
白いスーツの男「ごくごく簡単な質問なのだがねえ…」

アポロガイストはドリアードから一匹のくるい虫を受け取り、
それを縛られて動けないステラの肌にじわじわと近づけた。

ステラ「――!!」
白いスーツの男「コイツの威力はもう知っているな?
 くるい虫の解毒剤は、この地上ではまだ開発されていないのだ。
 一度くるい虫に刺されたら最後、もう2度と正常な人間には戻れん。
 大好きなネオ・ロアノークにも…そしてシン・アスカにも会えなくなる!」
スティング「てめえ! ステラに何かしてみろ! ぶっ殺すぞ!!」
アウル「くそうっ!!」

戦闘工作員達に押さえつけられているスティングの叫びも
全く意に介す様子もなく、アポロガイストは尋問を続ける。

ステラ「イヤだ!……ステラ何も言わない! 言うものか!」
白いスーツの男「ならば望みどおりにしてやる!
 狂って死ね! ステラ・ルーシェ!
ステラ「し……ぬ……?
 死ぬの?

 あ……ああ……
 だめ……死ぬのはダメ……!!

 嫌ぁぁぁあああああああああ!


.     /             \
     /                \
.   ,イ          | ト,ヽ      ト、
.  //         ∠l l_lハ |     |ト \
 / .|         / l/二ミ‐|./    /リ |  !
/  |          / ア′O `イ   / ヽ|  |
|   |        |   `ー--| ,ィ'┴┐ /  リ
|    \      ヽ\.     |/    ∧  /
ヽ    lヽ\    \`-     __ |   |
 |   | |\\     ヽ     '‐─┘|  |
 |   ヾミ--ヽ\  ヽヽ       /   |
./    ヽ,``T^ト、\  | |      /\ト、 ヽ
|      \ |   ̄ヽ |丁  ァ--‐'   | \|
|        \.    | |   /     \|  ||
.\  ト、ヽ   \   レ'   | ≧ー‐-、 |  リ
 ̄``ーミ、 ̄ ̄ ̄ヽ|``ヽ、  | ̄ ̄    ヽ|

アポロガイストの一言でブロックワードが作動し、
錯乱状態に陥るステラ。まだ地球署での治療は始まったばかりで
完全に治っている訳ではないのだ。

白いスーツの男「フン…すぐにネオ・ロアノーク…
 いや、ムウ・ラ・フラガも後を追わせてやる!」
ドリアード「待てアポロガイスト。この小娘をこのまま死なすには
 もったいない! 俺様に任せろ!」
白いスーツの男「…ん?」
ドリアード「この小娘を今度こそ俺様の人体トレント化ガスの
 栄えある実験台第1号にしてやるのだ!
 我が傍に置き、可愛がってやる!」
白いスーツの男「面白そうだな。やってみろ!」
スティング「やめろ――っっ!!
ステラ「…………あ…ああ(助けて…シン!!)」

581 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 09:36:13

ドリアードが人体トレント化ガスを吹きつけようとしたその時――!
背後から飛んできた頑丈なロープが、
鞭のようにドリアードの首に巻きつき締め付けた!

ドリアード「ぐえっ!!
白いスーツの男「――ライドルロープ!?」

Χライダー「その通り!」

スティングたちを救出すべく、
Dショッカー秘密警察・東京分署へと乗り込んできたΧライダー。

白いスーツの男「なぜこの場所がわかった!?」
Χライダー「お前の部下がくるい虫怖さに白状したのだ!」
白いスーツの男「チッ…あの馬鹿めが!
 Χライダー! Dショッカー秘密警察・東京分署へと入ったからには、
 生きてはここから出さん!」

デカブルー「その東京分署は、俺たちデカレンジャーが破壊する!」

白いスーツの男「――!?」

Χライダーとは別の裏口から侵入していたデカレンジャーは、
それぞれディーロッドとディースティックで
GOD戦闘工作員たちを殴り倒し、スティング、アウル、ステラを解放。

デカブルー、グリーン、イエロー、ピンク「スワットモード、オン

スワットアーマーを装着し、スワットモードへと二段変身した
デカレンジャーたちは辺り一面めがけて
ディーリボルバーを撃ちまくった!

白いスーツの男「…東京分署が!?
 ぬぅぅ…おのれデカレンジャー!!」
ドリアード「だ、脱出だ!!」

::::::::::::::::::::::::......   ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
           γ ⌒ ⌒ `ヘ
          イ ""  ⌒  ヾ ヾ    ドガァァァァァァァァン.....
        / (   ⌒    ヽ  )ヽ
        (      、 ,     ヾ )
 ................... .......ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ........... ........
 :::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....|  |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
  _ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''!  i;;;〜−ヽ_ii_i=n_ [l h__
  /==H=ロロ-.γ ,〜ー'''l ! |'''ーヾ  ヾ 「!=FH=ロロ
  ¶:::-幵-冂::( (    |l  |    )  )=HロΠ=_Π
  Π=_Π「Uヾ、 ⌒〜"""''''''⌒〜'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
 Д日lTl,,..:''''"   ""'''ー-┬ーr--〜''""   :::Д日lT::::
 FH=n.:::::'            |   |         :::FL日l」:::::
 ロΠ=:::::.:.        ノ 从 ゝ        .::田:/==Д::
 口=Π田:::.                   .::::Γ| ‡∩:::::
 Γ| ‡∩Π::....                ...:::Eヨ::日lTlロ::::
 Д日lTlロ_Π::::.......            ...::::::::田:凵Π_=H:::
 =Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl

582 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 09:37:44

Χライダー「いいか! ここを動くんじゃないぞ!」
スティング「………」

弱ったスティングたちを近くの草むらへと避難させ、
戦いの場は屋外へと移る。

白いスーツの男「アポロ・チェーンジッ!!

再び怪人体へと変身したアポロガイストは、
宿敵Χライダーと対峙する。
一方ドリアードもデカレンジャーと交戦を開始!

ドリアード「デカレンジャー! 人間トレントになれ〜〜!」

慌てて避けるデカレンジャー。

デカブルー「なんだそれは!?」
ドリアード「俺様の人体トレント化ガスには、
 アルセイデスの樹木化ガスにくるい虫の毒を混入してあ〜る!
 お前達はDショッカーの栄えある殺人兵士に生まれ変わるのだぁ!」
デカピンク「やだやだやだやだぁ〜!
 木のお化けなんかになりたくないよぉ〜!」
デカグリーン「気をつけろ! あれを浴びたら最後だ!」

ドリアードのガス攻撃を身軽く避け続けるデカレンジャー。
だが容赦のないガス放射の連続に、
いつの間にかスティングたちのいる近くに
追い込まれてしまっていた!

デカブルー「しまった!」
デカイエロー「ここで避けたら、あの子達にガスが!?」
ドリアード「グハハハ…食らえ〜〜!!」

ドリアードのガスから身を挺して
スティングたちを庇うデカレンジャー!

デカブルー「うわあああ!!!」
デカイエロー「ぐっ…ううう!!!!」
ドリアード「ええい、しぶとい奴らめ!
 さすがは宇宙警察自慢のスワットモードとやらだな。
 だがその防御力もいつまで持つかな!!」

スティング「……どうしてそこまでして…俺たちを助ける…?」

デカグリーン「…ま、それが俺たちの…仕事だからね…!」
デカピンク「はやく逃げて!! ああっ…!!」

アウル「………」
ステラ「…………ッ」
アウル「……ステラ?」


                 i!
                 ll
                   jl
                ,1!   r;'''"~ ̄`ヽ、
                   {`', ,r<ニ_ヽ.     }、
                ゙`7´  }  ヽ',    ', `}       ,-rz
               /ト,   |  ヽ. '、__ .   } ,l       / /
               〈. 「 ヽ |  丶   {  // }    , -ィy'´
               } ',  l/ !   l / ヽノ /  .ノ`<´
               ノ ノ  r1、', ,-;ニ;、 へ r' /   7
              {`ー―ヘl ヽ''´、  ヽ、ノ _フ´   /
               ヽ   /ハ_ 、トハr、_,/ }}´‐r 、_/
                `゙7/7/r''::::::...  ヽll _ノ‐'
                ///ll ヽ:::    ''7´
               /7ィ !  .{ゝ、::.......::r'
               /7/     '、__Zニ-'´
              lソ'′


ステラ「ウェェーーーーーイ!!」


          /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::...            ',
           /:::::::::::::::                    ',
         _」;;::-‐―                     '、
      ,.-;ニ,____:::::                     ''‐-、
    /´ ∠;;;;:-‐'"´                         \
   `ヽ、   /::  ........:::::::::::::::::::::::::::.........                  ヽ
      ヽ /......::::::::::::::::::::;;;-‐;;‐r―‐-;;、_::::::::::.....               ',
        /:::::::::::::::/:;イl/  ii`ミyニ´ ̄......             :.. :.  i゙
      {::::::::::::;ィ/∠_ハl  ヽヒミ;、`ー‐-;:‐:::::::::::::::        .:::.:::.   |
      |::::::::;イ l1:::::/     `ヾ‐1,,.‐''´:::::::::::....    ...  ...::  .::::::::::   ,'
.       |:::::/ '、 ヽ:::!     ,.-;ニ-'´::::::::::::::....;::::::::::::::..:::::: ...:::::::::::::: ノ
        |::/l  ヽ__ゝl     /;;::-――;=‐''´;;-‐ァ::::::::::::::::::::::::::::::: ,'
       |/| / l/ !    '"´ ,   ̄,〒ぅ>''´_::::::::::::: .::::ハ: /
       リ '、 |  | ',.  ,.− 、,.      `゙ミ‐'_ケ/::::::::   :::::l ',/
           ヽ ! .|  ',  {  ノ}        /::::     .:::::! .′
          ゙、 '、  '、ヾ''''''´    __,.-‐''´    ........::::::::j       /
           ',. ',   ̄ ̄_フr‐‐zニ;;'´ ̄ .....::::::::::;ィ:::::;イ   __,,..‐''"´
            ',. ',   ,.イ´ /-;;‐_''´::::::::::::::::::::;:-‐'''ノ/ .{ _∠    /
        __,,.. -┴‐''"´ ̄ ∠__  ̄ ̄「 ̄「_,.-‐'"´   ノ /   /

残った力を振り絞っての跳躍……
正面よりは可能性が高いと見て、上方からしかけるべく、
ステラ・ルーシェは跳んだ。
先程逃げる際にGODの戦闘工作員から奪った得物を手に、
甘い太刀筋ながらもドリアードにダメージを刻み込む!
それと同時にガス攻撃も止まる。

583 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 09:40:57

ドリアード「よ、よくも俺様の幹に傷をつけたな〜〜!!」
ステラ「そんなの…知らない!
 もうステラ、きのうをもらった!
 お前たちの命令なんか聞かない!
 今のステラが戦うのは…戦うのは――」

そこまで言うと、ステラはぐったりと崩れ落ちた。
すぐに駆け寄りステラを抱き起こすスティングたち。

スティング「…ステラ!!」
アウル「しっかりしろよ! おい!」
デカグリーン「大丈夫。気を失っているだけだ」
デカイエロー「GOD秘密機関・神話怪人ドリアード!
 未成年者誘拐! 並びにくるい虫による大量殺人の罪で
 ジャッジメント!!」

Judgment time!!

×

デカブルー、グリーン、イエロー、ピンク「デリート許可!!

ドリアード「ま、待て!!
 俺はアリエナイザーではないぞ!
 その俺を貴様らに裁く権利があるのか!」
デカグリーン「宇宙刑事訴訟法が改正されて、
 宇宙各地で無法な侵略行為を繰り返す悪の組織も
 宇宙最高裁判所が裁けるようになったんだ!」
ドリアード「な、なに〜〜〜!?
 そんなのありか!!
デカピンク「ありなのよ!!

それぞれディーリボルバーにSPライセンスをセットに
ドリアードに照準をセット!
しかし発射直前――!?

アポロガイスト「マグナムショット!!

22口径3連発の強力な弾丸が、
デカレンジャー5人のディーリボルバーを弾き飛ばし、
寸前のところでデリートを阻止した。

デカブルー「――ディーリボルバーを!?
 なんて奴だ!!」
ドリアード「た、助かったぞアポロガイスト!」

だがアポロガイストはアポロマグナムの銃口を
無言のままドリアードに向けた。

アポロガイスト「………」
ドリアード「な、何の真似だ、アポロガイスト!!…仲間を殺す気か!?」
アポロガイスト「聞けドリアード!
 栄光あるDショッカーの改造人間を、
 宇宙警察のスペシャルポリスなどに処刑させる訳にはいかんのだ!
 ならばせめて奴らの手にかかる前に、俺が処刑してやる!」
ドリアード「やめてくれっ、助けてくれ!!」

              i、
              | ヽ、                             ,ri
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              |t,、   ~'ー、,                   ,, 、ー''"  ,r,'
              i, `'ヽ     ヽ,                ,r'"    ,,r"ノ|
              .|、、        ヽ,  ,,,、-,r'"'ー、,,,     r"    ,r',r'",ノ
              .i ヽゝ        '' "  /   't, ~'ー、,,r"      ",,r"ノi
              t,       r"    .,/ ,,    .t   `t      r',r'",ノ
               ヽ、    r"     " .|  ::|~''     t       ,r"
\               ~'ー、  i'        |  ::|      t    ,,、ー"
  \                ヽ,i        .|  ::|     :::::i  ,r''"
   \   ,,、-ー''''''''''''''''ーー、,    t   ,ーーー--,i  :::i,,,,,,,,,,,,,,,,, :::::i::r"
     \'"   ●ヽ     ~' 、  .i    ~''ー-、/|  :::|;;;;;;;、ー'"::::::r"
    ,r" \  :i、;;;;ノ     ::::::::ヽ,,|  i~''''''ー-,  .|  ::| rーーーュ:::i'
   ,"    \:,r、ー、:::::  :::::::::::::::::t,t |:::|;;;;;;;;;|  .| ::::i i;;;;;;;;;;リi::リ
   .i   ;;:::::::tヽ) );;):::::::::::::::::::::::::::::tヽ,i:::t;;;;;;;;|  | ::::i .i';;;;;;;;;リ:i:::i
   .i  :●'ー、::ヽーー'::::::●);;):::::::::::::::i::ヽー'--、| .i  :::i .i;;;;;;;;/-ー'
   t:::::::t'":ノ:::::::::::::::::::::'ーー'"::::::::::::::ソ::::::t;、  ヽ,i,,,,,,,,i ,iー''''''~'''ーュ
    t;:::::::~~::::::::::::::::::::::::::~~~::::::::::::;r":::::::リ;;ヽ   ~~''ー-、,,,,,,,,""""i
    ヽ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;r"::::::::::ソ;;;;;i:'i''ー--''、;;;;ー--- ,,,,r'~''''ー、-、,,,,,,,,,,,,,,,
      ~'ー、;:::::::::::::::::::::::::;;;、ー'"::::::::::;;;r";;;;;リ::|     ~~~~~~      ~'ー、''''''ー'--ュ
        ',ゝ、~~''''''''''"":::::::::::;;;;;r '";;;;;;;;;;ソ::)',,"'"          ヽ"'ヽ, t;;;;;;;;;;;;;;;ii
      ,r'":::::::~'t''ーー---ー'''''";;;;;;;;;;;;;;;;r";;リ''"    ,、,,,        ヽ;;;t, i;;;;;;;;;;;;;r"
     ,r":::::::::  r"~'ー、、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、ー''";;r'"ーーーー'''";;r'"        t、i;;;t::i;;;;;;;;;;;;||         ,rー
   ,,r'"::::::::::  r":::::::::::::ヽ;::::~'''''''''"::::::::r'";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r"    ,      t;;;;;;|::|;;;;;;;;;;;ii       ,r'":(
 ,r'":::::::::::  ,r"::::::::::::::::::::::~'ー、;;:::::::::::;r";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r'    /|   ::|;t,  i;;;;;;ヽi'ヽ;;;;;;t      r'i:::::::i`'ー-
"::::::::::   ,r'"::::::::::::::/:::::::   t''~''''''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r"   ,,r'";r'  :::::リ;;;;'i .|;;r'~,,,,,ノ;;;;;;;t ,r,    i t:::::ヽ、 ,,,
:::::::::::   /:::::::::::::::::::::/::::    t;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/  ,,r''";;;;;;;;;i    i';;;;;;;|、|;;;`";;r''~'ヽ;;リ/::'ー、,,,,,/  .t;;r '''"
::::::::  /:::::::::::::::::::::::::::     t;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i r''";;;;;;;;;;;;;;;;;;t   ,i;;;;;;;;;;;i|、;r'~ ヽ,,,ノ;;i(t;::::ヽ、  ,,r''"  ,r ''"
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  "::::::::::::::::::;r''":::::::::::      t;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;) ゝ"  ,r"ヽ,
  ,r''":::::::::::::"::::::::::::::::       t;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r'ー、;;;;tヽ--ー''" ,r" ,r",,,,/ ヽ;;r'"

アポロガイスト「俺の手にかかって死ねぃ!
ドリアード「ぎゃあああーっっ!!!!!

ドリアードは容赦なく処刑された。

Χライダー「アポロガイスト…相変わらず恐ろしい奴だ!」
デカブルー「あれがGOD秘密警察第一室長……
 アポロガイストか…!」

時刻を確認するアポロガイスト。

アポロガイスト「フフフ…そろそろ頃合だな」
Χライダー「どうした? 来い! アポロガイスト!」
アポロガイスト「慌てるなΧライダー! あれを見ろ!」
Χライダー「――ん!?」

アポロガイストがある方向を指差したのと同時に、
激しい地割れと地響きが起こった!

デカピンク「な、なんなの〜〜!?」


***ナバローン要塞・司令室***

火の山仮面「ナバローン浮上せよ!」

地上に巨大な姿を現す、
黒十字軍の移動要塞ナバローン。

584 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 09:43:48

火の山仮面「コンドラー爆撃隊発進!」

火の山仮面マグマン将軍の号令の下、
黒十字軍の軽戦闘機コンドラーの編隊が
ナバローンから次々と発進して来る!

            l
        ――◎――

           l_..._l
       ――◎=◎――

           l   l
       ――◎=◎――

         \ ... /
       ――◎◎――


      \  /
        ◎
          \

      \ /
       ◎ヽ /
         ◎
           \


Χライダー「ゴズマ軍の一部が地球に残っていたか!」
デカイエロー「スワンさん! デカマシーンを!」

???「いや、それには及ばん!」

Χライダー「その声はフラガ一佐!」

ムウの駆るアカツキが上空に飛来。
襲い来るコンドラーの編隊を片っ端から
華麗に撃墜していく!
そのままアカツキはナバローンめがけて突進していくが…。

ムウ「くっ…バリアか!
 これでは手出しが出来ん!」

火の山仮面「フハハハ…見たか!
 ナバローンの実力を! そのままみんなまとめて
 吹き飛ばしてくれる!!」

絶え間なく火を吹き続けるナバローンの主砲。
砲弾の一つがアカツキの横をかすめ、
地上のステラめがけて飛ぶ!

ムウ「しまった! ステラ!!」

デカイエロー「危ない!?」
スティング「ステラ――ッ!!」

ステラ「――!!」

――これで、終わり?…。
迫り来る砲弾に死を覚悟したステラ。
次の瞬間、天から舞い降りてきた何かが
砲弾を斬り飛ばす!!

ステラ「な…に…?」

一同が唖然とする中、ゆっくりとステラを庇うように
彼女の側に降り立ったそれは、
薄いグレイの四肢に、ボディは青と赤のツートンカラー、
そしてその頭部はというと……。

Χライダー「ガンダム!?」

ムウ「あれは…まさか、デスティニー、
 デスティニーガンダムか!?」

くるりとナバローンの方へと向き直ったガンダム――
――ZGMF-X42Sデスティニーは、ナバローンめがけて突進していった!

火の山仮面「馬鹿な奴め。何者かは知らぬが、このナバローンが誇る
 鉄壁のバリアを突破できるものか!」

バリアに体当たりするデスティニー。
長大なアロンダイトビームソードを渾身の力でぶつける。
すると徐々にバリアにヒビが入り始めた!

火の山仮面「そ、そんな馬鹿な!?」
ゾルダー「ホイッ!! このままでは要塞のエネルギーが
 限界点に入ります! これ以上は危険です!」
火の山仮面「やむを得ん! 退却だ!」

たまらず地下へと潜行するナバローン。
Dショッカーの軍勢は総員退却した。

ステラ「シン…シンなの…!?」
ムウ「やはりアレを操縦しているのはシン・アスカなのか!?」

しかしデスティニーガンダムは、
近寄ってきたステラの呼びかけにも一切答えることなく、
無言のまま黙って飛び去っていった。

ステラ「待って…待って!! シン〜〜!!!

585 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 09:51:00

スティング「ネオ、あいつらはどうなった?」
ムウ「………」

先程スティングたちと楽しくプレイしていたバスケ少年達は、
全員くるい虫の犠牲となっていたのだった。

スティング「あいつらは俺たちの巻き添えを食ったんだな!?」
ムウ「違う! お前達のせいなんかじゃない!!」
アウル「ちきしょう…あいつら…!!」
スティング「Dショッカーとか言ってたな…。
 奴ら、この落とし前は必ずつけてやるぜ!!」
ステラ「ステラも…戦う!!」

ムウ「いいのか?…せっかく戦いから遠ざかる事が出来たというのに…」

スティング「今更何言ってやがる。俺たちはガキの頃から仕込まれてきた
 戦闘のプロだぜ。なあお前ら!」

アウル、ステラも強く頷く。
もはやその表情に迷いはない!

ムウ「お前ら…」

3人の事を案じつつも、これまで生体兵器として
戦いに明け暮れていた彼らが、初めて人の痛みと悲しみを知り、
また人の為に戦おうという気持ちが芽生えてきた事に
微かな嬉しさも感じているムウであった。


***日本近海海底・移動基地『α』***

剣造「それでは元はファントムペインだった彼らも
 我々と共に戦う決意を固めてくれた訳ですな」

α基地にて事の顛末の報告を受けていた兜剣造博士。
この場にはレッドマフラー隊の司令官である佐原博士、
そしてモニターには司馬遷次郎博士ことマシンファーザー、
神啓太郎教授こと神ステーションの姿もある。

マシンファーザーの声「しかし気になりますな。
 GODの秘密警察は彼らから何を聞きだそうとしていたのか…」
剣造「Gショッカー…いやDショッカーなる新組織が
 ロゴスに対して何か仕掛けるつもりなのか…」
佐原「いや、もしかするともっと厄介な事が
 我々の知らないところで進んでいるのかもしれない」
剣造「厄介な事とは…? まさかDショッカーとロゴスが手を組むとでも!?」
神ステーションの声「いや、ありえない話ではない。
 そもそもDショッカーとロゴスは共に地球上の政治・経済の
 かなり奥深くにまで根を張っている」
佐原「それだけではない。Dショッカーとロゴス双方にとって、
 ナチュラルと非ナチュラル間の融和を進める我々は、
 紛れもなく共通の敵といえる!」

ナチュラルを下等生物とみなすDショッカー。
妖怪、異星人、心を持ったロボットなどを人類の脅威と決め付け、
コーディネイターや改造人間も自分達と同じ人間(ナチュラル)とは
認めないロゴス。
本来なら水と油と言える両勢力のまさかの共闘という事態…。
予測されうる最悪のシナリオである。

マシンファーザーの声「その可能性は著しく低いとは思うが、
 もし万一にも現実となれば、我々は一気に窮地に立たされるでしょうな」
佐原「宇宙連合から送り込まれて来た侵略軍をやっとの思いで退けてから、
 まだαナンバーズも受けたダメージをそれほど回復している訳ではない。
 ましてや我々はまだ、そのDショッカーなる組織について
 ほとんど何も掴んでいない」
剣造「先頃、Gショッカー傘下の戦闘員達の
 大量の惨殺死体が発見された事と何か関係があるのだろうか」
神ステーションの声「そういえば、戦場に現れた例のザフトのガンダムは、
 やはり乗っていたのはシン・アスカ君だったのかね?」
佐原「それはわかりません。シン・アスカ君は
 キラ・ヤマト君と共に戦うと誓いを立てたと聞くが、
 結局その後の彼の消息は不明…。果たして今はどこでどうしているものか…」

ひとまずはその場を解散する博士達。
佐原博士は一人格納庫へと向かう。そこには
胸に大きく1718と書かれた巨大ロボットが
二体待機していた。だがその二体のロボットは、
今はまだ眠ったように動かない。

ワンセブン「………」
ワンエイト「………」

佐原「ワンセブン、ワンエイト、再び君たち兄弟の力が
 必要になるときが来るかもしれない…」

586 名前:新章:2006/04/28(金) 09:53:33

●ドリアード→アポロガイストに処刑され、死亡。
●火の山仮面マグマン将軍→移動要塞ナバローンで
 アポロガイストを援護するも、デスティニーガンダムの前に敗れ、撤退。
○スティング・オークレー、アウル・ニーダ、ステラ・ルーシェ
 →無事に救出される。ついに正義に目覚めてαナンバーズと共に戦う決意を固める。
○?デスティニーガンダム→ステラ達の危機に突如飛来。
 無事に彼女達を守り通した後、無言のまま去っていく。
 果たして中にはシンが乗っていたのか!?
○ワンセブン、ワンエイト→今はα基地の格納庫で
 静かに目覚めの時を待つ。

【今回の新規登場】
○戸増宝児=デカブルー(特捜戦隊デカレンジャー)
 地球署署長代行。プライドの高いエリート刑事。通称"ホージー"
○江成仙一=デカグリーン(特捜戦隊デカレンジャー)
 推理とプロファイリングが得意な地球署刑事。通称"センちゃん"
○礼紋茉莉花=デカイエロー(特捜戦隊デカレンジャー)
 地球署の美人エスパー捜査官。通称"ジャスミン"
○胡堂小梅=デカピンク(特捜戦隊デカレンジャー)
 現場に走る猪突猛進タイプの地球署若手女性刑事。変装の名人。通称"ウメコ"
○兜剣蔵博士(グレートマジンガー)
 科学要塞研究所所長。兜甲児&シロー兄弟の父。
 移動基地「α」総責任者。
○司馬遷次郎博士=マシンファーザー(鋼鉄ジーグ)
 司馬宙の父。自身の意識と記憶を
 コンピューター「マシン・ファーザー」に移し替えている。
○神啓太郎教授=神ステーション(仮面ライダーΧ)
 神敬介の父で城北大学教授。自分の全人格、全知能を
 海底基地「神ステーション」に移植した。
○佐原正光博士(大鉄人17)
 国際平和機構レッドマフラー隊司令官。
○ワンセブン(大鉄人17)
 巨人頭脳ブレインが17番目に作った巨大ロボット。
 しかし独自の良心を持ち、人類を守るべきだと判断。
 南三郎少年と共にブレインとの戦いに身を投じる。
○ワンエイト(大鉄人17)
 ワンセブンの弟ロボット。サターン回路によってブレインに服従していたが、
 ワンセブンにその回路をはずされてからは兄の味方となった。

587 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 10:07:02

***東京・サカタインダストリィ本社ビル***

サカタインダストリィは、元々は日本国内の製薬会社であったが、
海外のハイネマンインダストリィ社を買収し、
モビルスーツ等と並ぶ人型機動兵器ヴァンツァー(WAP)開発を開始。
すべてのパーツ製造を行い、特にコンピューターの性能に定評がある
大手兵器メーカーである。
現在はイグチ社の傘下にあるこの大企業の社長室で、
最近、社長の座へと復帰した坂田浩一は
今日も何事もなかった退屈な日々であったかのように
坦々とデスクワークをこなしていた。

女秘書「社長、社長宛にこのような郵便物が…」
坂田「郵便物? 誰からだ?」
女秘書「それが差出人が不明でして…。
 不審ですから念の為に警察を呼びましょうか?」
坂田「いや構わない。その小包は私が預かっておく。
 さがっていいよ」
女秘書「わかりました」

秘書から小包を受け取った坂田は、
一人になった社長室のブラインドを閉めると、
小包の中から不気味な像を取り出し、
それを机の上に置いた。
すると人形の目が不気味に光り点滅しだした。

人形の声「サカタインダストリィの坂田浩一社長に命令を伝える…」
坂田「ハッ! GOD総司令!」
人形の声「総司令の名において、
 君をDショッカー地球侵攻軍本部・無幻城へとご案内する。
 明日の午後2時、向島地下駐車場C−5までおいで願おう。
 念の為、時間に遅れないように…」

メッセージが終わると、人形は跡形もなく砕け散り消滅した。

坂田「Dショッカー地球侵攻軍本部・無幻城か…。
 いよいよ俺にも運が向いてきたな」

588 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 10:09:55

***首都高速道***

首都高を走る車中。
後部座席に座っている古びたモーニングコートを着込んだ
灰色の顔の老人が、トランシーバーで何やら連絡を取っている。

老人「アポロン宮殿通信室へ。坂田社長に総司令の命令は伝達。
 指令人形は完全に消滅しました」
トランシーバーの声「アポロン宮殿通信室より連絡。
 残る一体の人形は電子工学の宮本博士に渡せ」
老人「了解」

老人は車を運転しているGOD戦闘工作員に
次の目的地の指示を出す。

老人「城北大学へ行くんだ」
GOD戦闘工作員「ジーッ!」


***城北大学***

廊下の向こう側から、大き目の段ボール箱を抱えた
女子高生らしき二人の女の子が歩いてくる。

ほのか「ごめんねなぎさ。
 いつも科学部でお世話になってる大学の先生から借りる
 研究器具を運ぶのに付き合ってもらっちゃって…」
なぎさ「いいっい!いいって!
 気にしない気にしない」

そこを例の古びたモーニングコートを着込んだ
灰色の顔の老人が通りかかり、すれ違いざまにぶつかった。
その時の衝撃で互いに持っていた段ボール箱を落としてしまう。

なぎさ「あ!? ごめんなさい!」
ほのか「おじいさん、大丈夫ですか?」
老人「き、気をつけろ!!」

老人はなぎさとほのかを怒鳴りつけると、
すぐに床に落ちた段ボール箱を持って立ち去った。

なぎさ「何よ! そっちからぶつかってきたくせに!
 行こう、ほのか」
ほのか「う、うん…」

しかしこの時、互いの持っていた段ボール箱の外見が
よく似ていたため、拾う際に取り違えてしまった事に
誰も気づいていなかった…。

589 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 10:13:15

***同大学・宮本研究室***

老人「さ、ここらへんでよいじゃろ」

セッティングを済ませるべく
持ってきた箱から人形を取り出そうとするが、
なんと中からはフラスコやらビーカーやら
よく学校での理科の授業や実験等で使うような
器具ばかりが出てきた!

老人「こ、これは!?」


***同大学敷地内・東屋***

重い荷物を降ろし、一休みしている美墨なぎさと雪城ほのか。

なぎさ「ふ〜っ、疲れた。ねぇ、高校の科学部まで
 運び終わったらタコカフェに行こっ! わたしお腹すいちゃった」
ほのか「………」
なぎさ「どしたの?」
ほのか「そ、それが…」

ほのかも荷物の中身を点検している際に
段ボール箱の中身がおかしい事に気づいたのだった。
箱の中から何やら人形らしきものを取り出すほのか。

なぎさ「何なのこの人形?
 こんなの科学部の実験に使うの?」
ほのか「まさか」

しかしなぎさが拍子にポンッと人形の頭を叩いた瞬間、
まだ昼間なのに突然周囲が暗くなり、
人形がその目を光らせながら喋りだした。

人形の声「GOD総司令の命令を伝える…」

  ,r'' ̄//-    / i        ==ミ、_
    /''/,, -/''_ / /! i  |、 ヽ  、 ,、`ヾ`
   ノ-'-''//''_/l / l li l  l ヽヽ\ ヽl ヽlヽ\
 -ニ' ,,-イ/ / ,r''Tlミ l lヽ l  \V l`ヽ!l l`ヽlヽヽー、
 /'' /// '" u ll lヽliヽ l   ヽ_il l ヽl l ヽl  ヽ
 ,,..-//l 、 ,..! --、 | l l_ノ、 ヽ//V`i、ノヽl  ll lヽ   l
 ''7/,r/ 、i /    ヽ `" `ヽヽ'"_ノ_ l/i ヽ! ll l    l_
 / /i/ヘ i i   o   l   , ' `ヽ  ノv ノl l、!イ  ,,r'' ̄ _,,,`_''''ー、_
 i /!( (ソ ヽ,,.. _  ノ;;;;:: /   。   i-//!/lノi ///,,-=ー'' ヽ、 ヽヽ
 レ-l ヽ/u rー-、 ` " 、 ;;_、..._   ノ/'''レレl /'/ /,,,,_ 、、,r'ニヘllヾ 、l )
=ニ-オッ ヽ/ ,, -ー ` ー ----、ー-、`、'"lイクi ノ///ii//`'''ー` ` ̄_..ノ,, l  l
 /'''7//'"     :::;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、 l  )-''"/''l li {i) 、,,= 、   ',_、ヽ'l /ヽ、
 ,r=ニ ̄l         ::;;;;;;;;;;;;;;;ヽl ,,.ィ'l ノ" llヽ l =i iu! ,;;;;:::.、"_,, ノ'、1)l \
/   \ヽ   ,,-ー、r-、      ノ~iリ il  _,,--ヽ}ヽ` - '  `  ,.--、 ノヾ' l  ヽ
 /  \`ー/  / ヽ`ー,    /-'-、     /ヽミi、r−-- '"   ソ ヽ`ヽ  l
/  ヽ ーヽ l  '  / ̄i`''iー='ー'⌒i ヽ _,,.../ / / `!、__,,,.. --,,/   ヽ \
    \ )i、      l`ヽ'  \''" ヽl / /''/_,,,.., _,,、!''''T-、__ ヽ ヽ \
      \-,ヽ,;;;;;;;,,,  /! ヽ_ノ、-''''ヽ'' /////_ノi_-ヽ`'"-ヘi  ` 、ヽ  ヽ l
      / `'、ヽ、 /ヽ lゝ、  iー''''ノ / _/~ /'' _,,ニゝ/{}// /、   \ l  l
     /    ヽ、i、  ノ`ヽヽ `ソ'"  /   //、 //lヽ、ノヽl  、  \l /
   /       /ヽ/  `ヽ''"   /    ̄  ̄\/oヽ/、 lヽ  ヽ  \

ほのか「しゃ…喋った!?」
なぎさ「あ、ありえない!!」
人形の声「宮本博士をDショッカー地球総本部・無幻城へとご案内する。
 明日の午後2時、向島地下駐車場C−5。時間厳守のこと…」

それだけ言うと人形は木っ端微塵に爆発して消滅した。

590 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 10:17:49

ほのか「い、一体何の事かしら!?」

訳も解らずただ困惑してばかりのなぎさとほのか。
するといきなり背後から人の気配が!
それは明らかに殺意を発していた!

ほのか「――あなたはさっきのおじいさん!?」
老人「聞いたな! かわいそうだがお前達二人を殺す!」
なぎさ「このォ!」

なぎさは掴みかかろうとする老人の足を
思いっきり踏んづけた!

老人「痛ーっ!!」
なぎさ「ほのか! 今の内に!」
ほのか「うん!!」
老人「ま、待てえ〜〜!!!」

一目散に逃げ出す二人。
すると向こうから少年の乗った一台のバイクが近づいてきた。

ほのか「た、助けて! 助けてください!」
なぎさ「ひ、人殺し〜!!」
少年「――!! どうしたんだ!?」
ほのか「殺されるの! 助けて!」
少年「落ち着けよ! 一体誰が君達を殺すって言うんだ?」
なぎさ「そこに灰色の顔をした人が!!」

しかしなぎさの指差した方向には
誰もいなかった。

              /二ニ=‐、
        _,.ニ二ヽ〃二 二ニ‐- 、    _,.-‐''"´ ̄ ̄ ̄`゛'ヽ、
      //   `´      -‐-、ヽ、 /      _,. -‐ァヘ、⌒ヽ、
     ,.イ/    / ,         ヾ、∨    _,,.-''"_,.-'"  l ト、  ヽ
     /      ! l 、       ヽ  ハヽ _,.-'"_,.-'"´     |ヽ、 丶
    ,' /    l | l ヽ \  ヽ  、 ヽ / (`')-‐-、    ,.--‐‐-ヾ! ヽ `
    l/    /l ハヽ!ヽ ヽヽ_,.l=l-トl、ヽ! /レ´ ̄ `    ´  ̄ ヽiヽ  |l
    / /  /´ ̄ ̄`\\! \_,.H、lヽl l l 、,.ニ=‐、    ' ,.二ヾz | /l イ !
   / /  / _/二ニヽ    '"ニ‐-ヾノハハ ゝ'i ーヘ     { 'ーヘ | レ'-、 | i
  〃イ  ハ コ/ ,' -ヘ      i'ーヘ 「レフヽ! ゞニン     ゞニン | l/ l | | |
  l l/ イ-ヘ  ゞニン      ゞニン_ ト火ヘ ´ ̄` <   ´ ̄` l レノ l l
    l /ヽヽ_ハ ´ ̄   ヽ    ̄` レノ'-ヘ            l l l  | !
    |'  | トハ             /ハl l l `、     o       ,イ l l   ! !
      ノ ノ  ヽ、    o     / /l l l   `ト、         //  l l  l l
       ハ∧  ト 、 _ _ ,.イ /レ'´ ! l l   ! i` ー r‐' ´ /  /| |  | |
        ー'  { r‐'二ニ=‐‐‐ァ‐-、l/     l l l   l l  _l/´⌒ヽ く | |  | |
         //     /   ヽフ   l l l  r┴┴、l/   ヽ、 ヽ、l  l |
       /     /      丶   l l | ヽ  /__     ヽ  ヽ!   l !
      /      /     __   L_  ヽl |  _「 ̄´ `゙'    l   l  l l
     /       l      `゙'ヽl_/   l l/          l   〉  | l
    __!_____     l         ヽ、  /           l / ̄ユ l l
   ヽ__ ,. - `ヽ、__ ヽ 、         ` く          /ヽヽ    `)l
   _(_       //`゙'ーー`ヽ、        ヽ、   _,,. -''"´   ヽ !   ノリ
  (__      //       `ヽ、     ー-一''"´        o l_L_ /〃
   (_    _ノL| o        `ヽ、             o _,.┴' |`ハ/
    ( r' ̄´  └-- 、o        `ヽ、        _,. -‐''"´   レ'
    `!        ` ̄ ̄`゙''ー┬-----`゙'ト、_,. -‐''"´         l
     l               l`゙'ー----|               l

なぎさ「あれ…??」
少年「誰もいないじゃないか?」
なぎさ「ホ、ホントに居たんだってば!!」
ほのか「本当なんです! 信じてください!」
なぎさ「奇妙な人形が喋りだして、
 そしたら秘密を聞いたから殺すって…」
少年「奇妙な人形?」
ほのか「確か…GOD総司令の命令とか…」
少年「………君達、そこへ案内してくれないか?」
なぎさ「うん、いいよ」

しかし戻ってきた東屋には、爆発の痕跡も
人形の破片らしきものも一切残っていなかった。

少年「何もないじゃないか?」
なぎさ「そんな! 確かにここに散らばってたのに…」

その様子を遠くから密かに窺う先程の老人。

老人「あの小娘二人は念の為、口を塞いでおくか…」

591 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 10:20:06

それからしばらくして……

***TAKO CAFE前***

なぎさ「あ〜あ、やっとたこ焼きにありつけるね」
ほのか「もうっ、なぎさったら!
 あんな怖い目に遭ったのに、よく食欲がわくわね?」
ひかり「あの…何かあったんですか?」

ひかりが心配そうに見つめている。

なぎさ「あ、何でもないから! 別に気にしないで。
 それよりもたこ焼き二つお願いね♪」
ひかり「はい♪」

安心したひかりが注文を伝えに、屋台の車の中へと戻っていく。
それと入れ替わりに今度はなぎさのポケットの中から声がした。

メップル「感じる…感じるメポ!」
なぎさ「突然どうしたのよメップル!?」
メップル「邪悪な気配を感じるメポ!」
ミップル「ミップルも感じるミポ!」
ほのか「そんな! ジャアクキングは滅んだはずなのに!」
なぎさ「――!! ああ〜っ!!! あなたは!?」
ほのか「えっ!?」

なぎさとほのかの目の前には、
いつの間にあの老人が!

老人「お前達二人を殺す!」

老人は両手を前方にクロスさせると、
不気味な骸骨の怪人へと変身した。

クロノス「死神クロノス〜!!
 大人しく俺様の手にかかれ〜!!」

両手に握る死神の鎌をテーブルめがけて
大きく振り下ろす死神クロノス!

なぎさ「あ、ありえな〜〜い!!!

592 名前:新章/地球:2006/04/28(金) 10:29:41

アカネ「お待たせ! たこ焼き出来上がったよ!
 ……あれ??」

数分後、屋台の車から出てきたアカネとひかりの目の前には、
真っ二つに割れたテーブルを残し、他には誰もいなかった…。

アカネ「なぎさたちは…?」
ひかり「さ、さあ…(汗」

一方必死に逃げるなぎさとほのかではあったが、
あっという間に死神クロノスに追いつかれてしまった。

クロノス「キヒヒ…もう後がないぞ。観念しろ!
 GODの通信の秘密を知った以上、誰であろうと生かしてはおけんのだ!」

じわじわと追い詰められるなぎさとほのか。

メップル「なぎさ! ほのか!
 変身するメポ!」
なぎさ「どうやらやるしかないみたいね!」
ほのか「ええ!」

クロノス「何をするつもりだ!?
 悪あがきはよせ!」

なぎさ&ほのか「デュアルオーロラウェーブ!!

なぎさとほのか。
二人の体がまばゆい虹色の光に包まれ、
コーティングされていく。

キュアブラック「光の使者、キュアブラック!!
キュアホワイト「光の使者、キュアホワイト!!

ブラック&ホワイト「ふたりはプリキュア!!

キュアホワイト「闇の力のしもべたちよ!
キュアブラック「とっととおうちに帰りなさい!

クロノス「くそぉ〜! 只者ではないとは思っていたが、
 貴様らが噂に聞いていた光の戦士プリキュアか!
 このGODの死神クロノス様が、お前達二人の首を
 無幻城に捧げてやるぅ〜!」
キュアブラック「あなたこそGショッカーの怪人ね!?」
クロノス「黙れぃ!! もはや我らはGショッカーではない!
 我が組織は偉大なる表裏六柱の至高邪神の下、新たな組織へと生まれ変わったのだ!
 その名も無限帝国ディバイン・ショッカー!!
キュアホワイト「ディバイン・ショッカー…!?」
キュアブラック「何よ! 要は名前が変わっただけじゃない!
 それにそのムゲンジョウってのは一体何よ!?」
クロノス「お前達が知る必要はない!
 食らえ! クロノス地獄鎌ァ〜!!」

クロノスの鎌の刃が灼熱の炎に包まれる。

キュアホワイト「ブラック!」
キュアブラック「OK! トリャアァァ――!!!!」

プリキュアの連携肉弾攻撃で遠くに吹っ飛ばされる死神クロノス。

クロノス「おのれ〜! 今一歩のところで!!」

その戦いの様子の一部始終を
丘の上から窺っている人影があった。
先程城北大学の敷地内でなぎさとほのかに会った
バイクに乗っていたあの少年である。

少年「………」

              ´ ̄`゙`ヾ;.、
       、------==ニ‐:;;----.、'、:、
        `,.ニ-'''" ̄:::::::::::` ̄:::::::`::ヽ
      ,..:':::::::::::::::::::::::::::::;、:::::::::::::::::::::::`ヽ、
      /;:':::::::::::::::::::::::::::::;';;;i:::::;::::::::::::::::::::::ヾヽ.
    /'/;::::::::::::::::::::::;::::::/'"'i::::;::::;::;:::::::::::::::::ヽ`ヽ
   / '/:::::::::::::::::::::;ィ:::/  |:::;!:/:ノ|::;i::::::::::::ヽ'.、
 _,ィ'-'´/::::::::::::::::::::::/;|::/,,,_ ,!::|rイ,,''!:i,,!:l::::;::::::;'i``
''"´ ,.イ::::::::;:::::::::::;:::|,ィ!:トiミ  l:ノ ヘィソ〉;::ノ:::::::ト;i
  //:::;i:::::':;::::::::ト;:l-`|‐'  /' 、  ' ノィ:::::::::;::| '!
   ,',!::|'!:;:::::ヽ:::::ヾヽ.`    l  '"/:::;ィ:/i'i::|
   l|';:| |:,!ヽ::::`r:、ヽ,ヽ、  ,. -'‐- ///'ィ' |/
    `ソ/ )::ト;:|、ゝ`ヽ    '"  r='-'-;
     ノ´ ノ::-(ヽi、`:^ヽ.- .、 ...... ‐'!|,イ `|
      '´   ヾ,-ヽi:ヽ      !k〈  !
           ヾ、 `ヽ     i| ソ,.-'─‐'''  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
            ヾ、  ,〉 r─‐〃'´    r‐--- 、.     /  ヽ
           ,. -ヽ/ 'l |         ノ     ヽ.  /   ヽ
         ,. ‐´  ハ | | /'i    /        ヽ  l     l


NR@中江真司「諸君はこの少年に見覚えはあるだろうか?
 かつてザフト軍戦艦ミネルバのZGMF-X56Sインパルスガンダム、
 及びZGMF-X42Sデスティニーガンダムのパイロットとして活躍し、
 敵対したキラやアスランと激闘を繰り広げた、あのシン・アスカである」

シン「あの二人が聞いたのはDショッカーの秘密命令だ…。
 場所は向島地下駐車場C−5。時間は明日の午後2時か…」

戦いを見届けると、シンそのままどこかに向かって
走り去っていった。

593 名前:新章:2006/04/28(金) 10:31:51

●坂田浩一→GODの秘密命令を受諾。
●死神クロノス→坂田浩一にGOD総司令の命令を伝達した後、
 宮本博士にも指令人形を渡すため城北大学に向かうが、
 その人形は誤ってプリキュアの手に渡ってしまう。
○美墨なぎさ、雪城ほのか→偶然GODの秘密命令を聞いてしまい、
 死神クロノスに命を狙われるが、変身して撃退。
○シン・アスカ→なぎさとほのかに偶然出会い、
 GODの秘密命令の内容を知る。

【今回の新規登場】
●坂田浩一(フロントミッション)
 サカタインダストリィ社長。サカタグループの全権力を
 手に入れようとしている野心家。
●死神クロノス(仮面ライダーΧ)
 GOD神話怪人。GOD日本秘密基地アポロン宮殿の案内人。
○美墨なぎさ=キュアブラック(ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMaxHeart)
 ベローネ学院女子高等部1年。元同学園中等部ラクロス部キャプテン。
 選ばれ士光の戦士プリキュアの一人。
○雪城ほのか=キュアホワイト(ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMaxHeart)
 ベローネ学院女子高等部1年。元同学園中等部科学部部長。
 選ばれ士光の戦士プリキュアの一人。
○九条ひかり=シャイニールミナス(ふたりはプリキュア MaxHeart)
 ベローネ学院女子中等部2年。光の園のクィーンの命の化身。
○メップル(ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMaxHeart)
 光の園の選ばれし勇者。キュアブラックのパートナー。
○ミップル(ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMaxHeart)
 光の園の希望の姫君。キュアホワイトのパートナー。
○藤田アカネ(ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMaxHeart)
 ベローネ学院の卒業生で、ラクロス部の先輩。
 ワゴンのたこ焼き屋「TAKOCAFE」を経営している。
 なぎさとほのかがプリキュアである事は知らない。
○シン・アスカ(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 ザフト軍戦艦ミネルバのクルーで、ZGMF-X42Sデスティニーガンダムの
 パイロット。オーブの出身。

594 名前:新章/地球:2006/04/29(土) 17:22:19

翌日の昼過ぎ……

***向島・某地下駐車場***

迎えの車を一人待っているのは、GODの科学者である宮本博士である。
しかし身につけている腕時計の針はすでに午後2時を回っているが、
今だそれらしい車は現れない。

宮本「遅い。もしかすると計画変更の可能性もある…」

するとようやく迎えの車が到着。
助手席の窓から老人(死神クロノス)が顔を出して手招きする。
黙って頷き、車に乗り込む宮本博士。

そして車は再び走り出した。
中に乗っている人物達は互いに自己紹介を始める。

老人「こちらはサカタインダストリィの坂田社長。そして…」
宮本「城北大の宮本です」
坂田「よろしく」
老人「さて自己紹介も終わったところで、
 これからお前達をDショッカーの地球基地・無幻城に案内する訳じゃが、
 その場所はいかにDショッカー同志のVIPといえども秘密じゃ。
 すまんが目的地に着くまでの間、コイツをつけてもらおうか」

老人は二人にアイマスクを手渡した。

宮本「しかし…我々は…」
老人「Dショッカーの掟じゃ…!」
坂田「守った方が安全らしいね」

二人は素直に従い、目隠しを装着する。
その間も車はどんどん走っていった。

宮本(出発してからかれこれ5時間は経つ。
 いったい何処を走っているんだ…!)
老人「さあ着いたぞ。目隠しを取ってもいい!」

アイマスクを外す坂田と宮本。
しかし車の窓の外は霧ばかりで
周囲の様子はよく解らない。

宮本「どこにも城らしきものは…」
老人「人工霧で外からは見えない仕組みになっておるんじゃ」
宮本「大したものだ」
坂田「さすがはDショッカーだ」

老人が自慢げに基地のカモフラージュ機能を説明し、
それを聞きながら宮本博士達が感心している中、
ようやく車は停車した。
車から降りた坂田社長と宮本博士の眼前には、
無限とも思われる荒野と、人工霧のせいか
不気味なほどの漆黒の空が広がっている。
その果てに、超巨大な基地……通常の空間であれば
自重により崩壊するであろう奇怪な形状の要塞がそびえ立っていた。

宮本「もはやここは通常の空間ではないのか!?」
老人「さあ、こちらへ」

595 名前:新章/ポイントゼロ:2006/04/29(土) 17:25:04

***無幻城***

城の入り口にはガスマスクらしきものを装着した
見慣れない戦闘員達が警備についている。
黒尽くめに骨の模様をあしらったそのコスチュームからして、
どうやらショッカーの戦闘員のようであるが、
最近になって配備された新型の戦闘員であろうか…。

ショッカー戦員「イーッ!」

老人に案内され、地下へと繋がる
エレベーターへと乗り込む坂田と宮本。

老人「このエレベーターは秒速10メートルじゃ」
坂田「ほぉ…とすると、今我々は地下数十メートルまで
 降りたって訳か」
老人「フフフ…原水爆の直撃を食らってもビクともせんわい!」

目的地のフロアへと到着する一行。
エレベーターから出た途端、
今度は邪神の声とスマートレディが出迎える。

総司令の声「よく来た。坂田社長に宮本博士。
 私はGOD総司令だ!」
坂田「お招きに預かり光栄です。GOD総司令」
総司令の声「お二人に無幻城の中を
 ご案内して差し上げろ」
スマートレディ「ハ〜イ、わかりましたわ♪」

坂田と宮本を案内して連れるスマートレディ。

スマートレディ「うふふん♪ 総司令のご命令だから〜、
 お姉さんがこれからお二人に城の中をご案内しちゃいま〜す!
 無幻城の中はと〜っても広いから、くれぐれも
 迷子にならないように私にしっかりついて来てね♪
 え〜と、まずは第1区、Dショッカーの警備課・体育館よ♪」

見せられた小窓の向こうには、屈強な男達が鍛錬に励んでいる。

スマートレディ「警備課員の人達はみんな、世界中のあらゆるスポーツ、武術、
 そして格闘技のチャンピオンクラスの腕前なのー♪」
坂田「ほほう〜」

次に見せられた小窓からは、通信課の様子が見て取れた。

スマートレディ「第2区、Dショッカーの通信課よ♪
 宇宙各地のDショッカー通信衛星を介して、
 銀河全体何処にでも瞬時にして連絡が取れるように
 なってま〜す!」

その後、第3区技術課、第4区人事課、第5区車両課、
第6区秘密警察庁、第7区作戦課、第8区医務局等を
順番に転々と見学させられる…。

596 名前:新章/ポイントゼロ:2006/04/29(土) 17:25:57

ようやく最後に大きな門の前に連れて来られた。

宮本「此処は?」
スマートレディ「ウフフ…邪神謁見の間」
宮本「――す、すると、Dショッカーの至高邪神はこの中に!?」
スマートレディ「誰も入った人はいないし入れもしないわ♪
 この中に入ることが出来るのは、ミスターブレインだけなのー♪」
宮本「ミスターブレイン?」
スマートレディ「世界最高の人工頭脳、巨人頭脳ブレインさまのことよん♪
 ミスターブレインはと〜っても頭がよくって、
 Dショッカーにいる博士たちの中で一番偉いの♪
 さらにミスターブレインは、Dショッカー地球侵攻軍の戦略顧問も
 務めていらっしゃいま〜す! すごいでしょ?」

門に刻まれた顔のレリーフから邪神の声がする。

総司令の声「どうかね坂田社長に宮本博士。
 気に入って頂けたかな?」
坂田「いやー驚きました。まさにこれだけでも
 地下の大要塞ですね!」
宮本「全くです」
総司令の声「後ろの小窓を見てみたまえ。もっと面白いものが見られる。
 特に…宮本博士にとってな…!」
宮本「…私にとって??」

総司令の言葉の意味も解らぬまま、
宮本博士は小窓を開け、言われたとおりに中を覗いて見る。
手術室らしきその中では、防顔マスクを装着しており
顔は見えないが、一人の白衣の男が何やら作業をしていた。

宮本「一体、何者です?」
総司令の声「名前を宮本博士に教えて差し上げろ」

総司令に促された白衣の男は防顔マスクを外してこちらを向いた。
するとなんとその顔は宮本博士そのものであった!

宮本(本物)「城北大電子物理学教授、及びGOD日本特務員、宮本大悟。
 コードナンバー606」

宮本「――!!」

慌てて小窓を閉める宮本博士(偽者)。

宮本「う、嘘だ! GODの総司令から招待を受けたのは
 この私だ! 私が宮本だ!」
総司令の声「フハハハハ…もう下手な芝居は
 やめるのだなシン・アスカ!」
宮本「見破っていたのか!?」

宮本博士の顔に偽装した覆面を剥ぎ取り、
正体を見せるシン・アスカ。
彼は宮本博士に変装して、単身無幻城に潜入していたのである!

597 名前:新章/ポイントゼロ:2006/04/29(土) 17:27:10

スマートレディ「キャ〜〜〜!!!」
シン「待て!!」

わざとらしく悲鳴を上げながら逃げようとするスマートレディを
シンは持っていた拳銃で後ろから撃つ!
被弾したスマートレディは身体中から火花が飛び散り、
さらには首が無残にもげて床へと落ちる。

シン「こいつ…動作からして怪しいとは思ってたけど、
 やっぱりロボットだったのか!」

シンの足元に転がるスマートレディの頭部からは
メカや配線の類がむき出しになっていた。

シン「――!!」

すぐさま基地の対侵入者セキュリティが作動し、
壁のブロックが降りてきて閉じ込められるシン。

シン「やい! Dショッカーの至高邪神!
 俺の変装を見破っていながら、なぜ秘密基地・無幻城の中に入らせ、
 内部まで見せた!?」

大首領の声「偉大なDショッカーは無幻城クラスの基地を
 宇宙各地に持っている!」
総司令の声「シン・アスカ! 君一人手向かってどうなると思う?」

シン「うるさい! お前らみたいな悪党はみんな
 俺一人の手で叩き潰してやる!!」

バズーの声「気に入った!」
創世王の声「Dショッカーは君のような勇気ある若者を
 望んでいる!」

シン「……え??」( ゚д゚)ポカーン

サタンゴースの声「Dショッカー最高の地位に君を就ける!」
闇の帝王の声「Dショッカーの一員になれ!」

シン「…ハハハ、馬鹿じゃねーの!」

大首領の声「何がおかしい?」

シン「Dショッカーの至高邪神も大したことないんだな!
 たった一人の人間の心も読み取れないのか。
 俺がそんな事をする人間に見えるのかよ!!」

総司令の声「…わかった。ならば我らDショッカー、
 表裏六柱の至高邪神への生贄となれ!!」

シン「くっ…!」

意を決したシンは何やらにポケットに手を忍ばせる。
一方、壁の向こう側では銃を装備したGP要員らがスタンバイする。

GP隊員A「壁が上がるぞ。撃ち殺せ!」
GP隊員B「ジーッ!」

だが突然壁が轟音と共に崩れだし、
モビルスーツらしき巨大な腕が突き出して来た!

GP隊員たち「ジーッ!?」

598 名前:新章/ポイントゼロ:2006/04/29(土) 17:28:23

***無幻城内・ブレインルーム***

GP隊員「ジーッ! 申し上げます!
 どうやらシン・アスカめはホイポイカプセルを隠し持っていたようで、
 ガンダムに乗って城内を暴れております!」

警備隊員の報告に動揺するハスラー教授。

ハスラー「OH〜ミスターブレインどうする!
 このままではDショッカー地球総本部・無幻城は壊滅ダ!」
ブレイン「慌てる事はないハスラーくん」

緊急事態に慌てまくるハスラー教授に対して、
ブレインはいたって冷静である。

ガルマ「ミスターブレイン、ここは我々MS&獣型戦闘獣軍団にお任せを。
 ザフトのデスティニーガンダム如き、たちどころに蹴散らして
 ご覧に入れましょう」
ブレイン「いや、ここはアポロガイストくんに任せるとしよう。
 至急アポロガイストくんを呼び出してくれたまえ」
ハスラー「あのいけ好かないアポロガイストの奴ヲ?
 ――あ、そうか! むっふふふふっ…ではいよいよアイツのテストを
 始めるのダナ?」
ブレイン「その通りだハスラーくん。量産型キングダーク部隊を始動させる!」


***同城内・大廊下***

モビルスーツすらも自由に動き回れるほどの広い城内で
思うが侭に闊歩するデスティニーガンダムと、
相手がモビルスーツではほとんど抵抗する術もないまま
逃げ惑うDショッカー側の戦闘員達。

シン「邪神謁見の間を調べてやる!」

謁見の間へと続く門を蹴破って、そのまま中へと乱入する。
しかしそこは謁見の間などではなかった。
そこは一見、闘技場のような造りになっていて、
目指す邪神の姿など何処にも見当たらなかったのである。

シン「コロシアム…!?」
ブレインの声「その通りだ!」
シン「誰だ!?」
ブレインの声「私は巨人頭脳ブレイン!
 Dショッカーの全ての科学研究部門を束ねると同時に、
 この無幻城をも預かる者だ!」
シン「お前がブレインか! 至高邪神はどこだ!?」
ブレインの声「表裏六柱の至高邪神は、
 地球から遥か遠く離れた暗黒星雲より命令を発している。
 この無幻城には最初から邪神謁見の間など存在しない!」
シン「――騙したな!!」

その時、通常のモビルスーツなど優に超える全長を誇る
漆黒の巨体が数体、シンの乗るデスティニーを取り囲んだ。

シン「こいつらは!?」
ブレインの声「GODの最終武装体、闇の王キングダーク!
 君もその名前くらいは聞いた事があるだろう。
 私の持つ超生産能力により量産化したものだ。
 シン・アスカくん、君の駆るそのデスティニーガンダムで、
 Dショッカーの誇る破滅の巨神兵団とこのコロシアムで戦ってみるか!?」

――危うし、シン・アスカ!
 そしてデスティニーガンダム!!

599 名前:新章:2006/04/29(土) 17:30:33

●Dショッカー地球総本部・無幻城には今まで誰も見た事もない
 新種のショッカー戦闘員(戦斗員)が配備されている。
●スマートレディ→シンに射殺される…??
 その正体はやはりアンドロイドだったのか!?
●巨人頭脳ブレイン→自らの超生産能力により生み出した
 量産型キングダーク部隊を出動させる。
○シン・アスカ→GODの宮本博士に変装して、無幻城に潜入するも
 変装を見破られ、愛機デスティニーで大暴れ。

【今回の新規登場】
●スマートレディ(仮面ライダー555)
 スマートブレイン社の社長秘書兼イメージガール兼スポークスウーマン。
●宮本大悟博士(仮面ライダーΧ)
 城北大学電子物理学教授。実はGOD日本特務員であり、
 コードナンバーは606。
●ハスラー教授(大鉄人17)
 ブレイン党大幹部。巨人頭脳ブレインを盗み出し、
 自らの世界征服の野望に利用せんとするも、逆にブレインに
 服従を強制される。
●ガルマ・ザビ大佐(機動戦士ガンダム)
 ジオン公国公王デギン・ザビの四男。Dショッカー地下帝国機甲将軍。
 MS&獣型戦闘獣軍団長。戦艦ネオムサイ艦長。

600 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/09(火) 20:25:07


  〜一週間ほど前〜

  ━日本 東京 とある高層ビル 22階━

 東京の中心地に立つ、一際大きく、一際立派な商社ビル。
 その22階は、フロアのほぼ全体が、一つの応接室として存在している。

 だが、通常のビルの応接室との違いは、その広さだけではなかった。
 シャンデリア、ソファー、机や椅子の一つ一つに至るまで、
そのどれもが一流のアンティークや、高級品で固められている。
 それはもはや、ビルの応接室というよりは、王侯貴族の住まう
宮殿の一室を切り取って持ってきたかのような、実に大袈裟な場所だった。

 その奥にいる、三人の人物。
 一人は、様々な一流アンティークにも負けぬ高貴さを静かに放ちつつ
優雅に椅子に座り、机に腕を置いているは、OZ元総帥。
 トレーズ・クシュリナーダ。

 その隣に黙して立つは、彼を常に補佐する者。
 レディ・アン。

 そして・・・

パタリロ「おーい。砂糖はどこだ?」

 ソファに座り、紅茶を飲んでいる、
マリネラ国王。パタリロ・ド・マリネール8世。

レディ・アン「・・・・・・どうしてあなたがここにいるのですか」

 まるでこの場の主人のような堂々且つ横柄な態度のパタリロに対して、
レディ・アンは精一杯の皮肉的なアクセントを込め、疑問をぶつけた。

パタリロ「ん? 駅から歩いてだが?」
 それに対するパタリロの返事は、僅か0.1秒で帰って来た。

レディ・アン「・・・・・・・・・っ!」
 レディ・アンのこれまでの人生でおよそ経験の無い、
あまりにもアホくさい答えに、思わず彼女は絶句する。

レディ・アン「わ、私が言っているのはこういう事では・・・」
パタリロ「ワダチが切っているのはショーユとコッポラ?」

 真面目に話を進めようとするレディ・アンに対し、
パタリロはわざとらしく片手を耳に当て、変な聞き返しをする。

 パタリロの事を良く知っている玄人なら、この時点で
これがパタリロの罠である事がわかったろう。
 しかし、レディ・アンは当然パタリロに関しては素人である。

レディ・アン「あなたはどういう耳をしているんですか!」

 そして、遂にレディはパタリロの術中にはまってしまった。
 レディ・アンの言葉に対し、パタリロはニンマリと笑い

パタリロ「こーゆー耳」
 自分の方耳を指差し
 黄金のお決まりワンパターンのフレーズで返す。

レディ・アン「こ・・・ こ・・・っ!!」
 怒りで震えながら、腰の拳銃に手を伸ばすレディ・アン。

トレーズ「よしたまえ、レディ」

 そこでようやく口を挟んできたのは、
 それまで二人のやり取りを静かに見守っていたトレーズだった。

レディ・アン「しかし、閣下・・・  いえ、申し訳ありません」
トレーズ「うむ」
 収まりが付かないかと思えば、自分からそれを諌めるレディ・アン。
 ここに、トレーズに対する彼女の忠誠心が伺える

トレーズ「パタリロ君も、そう彼女をからかわないでやってくれ。
 何分真面目なだけに、君みたいなタイプは苦手なのだよ」

  レディ・アンと比べ。トレーズは終始自分のペースを崩さない。

パタリロ「ふむ。しかしレディ(おまえ)ほどおちょくりやすい奴もいないな。
 マライヒといい勝負だ」
  紅茶を飲みつつ、レディ・アンを自分なりに評価するパタリロ。

レディ・アン「・・・・・・・・・」
トレーズ「それでパタリロ君。君がこの場に単身やってきた理由を
お聞かせ願いたいと思うのだが・・・」
 柔和な表情ながら、トレーズの言葉には有無を言わさぬ力があった。

パタリロ「とぼけおって。お前が“あの男”と密にコンタクトを
取った事ぐらい、わからない僕じゃないぞ」

 パタリロも、表情をいつものおとぼけモードから、
シリアスな国王の表情に変えた。

トレーズ「・・・そして、君は単身その様子を見に来たというわけか。
 前科がある私の意図を探るため。
 そして、君の正確から考えておそらくは・・・
 伝説の“あの男”を一度その目に見る為・・・ かな?」

パタリロ「少し違う。お前が“あの男”と結託するなんて情報が
地球連邦にでも漏れたら、只でさえ大変な時期だ。
 何か企んでいて、敵が一つ増えたと勘違いするアホはいくらでも出て来る。
 例えば、三輪防人とかは絶対そういう部類だ」

トレーズ「それでは、私の意図を探りに来たのではない、と」

パタリロ「ジュピトリアンや赤い彗星、ハマーンといった連中ならともかく、
お前はそんな大変な時期にそんなアホをかます奴じゃない。
 二度も悪人顔をするのはリスクが大きいし、必要もないしな。
 しかし、それがちゃんとわかる奴らだけじゃない。
 特に自分の椅子を守る事に必死な奴らは疑心暗鬼に駆られるだろうし」

レディ・アン「・・・・・・・・・」
 レディ・アンは驚いていた。

 目の前で的確な地球の現状と、起こる可能性があるであろう問題、
更にはほぼ初対面である筈のトレーズの内面に対する深い洞察力。
 これが先程までのちゃらけた子供と同一人物だということが、
まるで信じられなくなる。

パタリロ「まあそういう風に考えてだな。
 僕らが一生懸命やってる時に、後々アホ共が下らん事を言い出して
面倒臭い事にならんように、僕がわざわざ監督しに来たというわけだ」

トレーズ「それは嬉しい限り。君の義理堅さに感謝するよ」
 笑顔で感謝を述べるトレーズ。

パタリロ「・・・僕は少しでも早く、このクソ忙しい上に
何の儲けにもならんわ支出は多いわという現状を何とかしたいだけだ。
 それもお前がいるいないで、僕にかかってくる負担が大分違う。
 ・・・まったく、碌に冗談をやる時間も無いなんて冗談じゃない」

  ブチブチと、パタリロは愚痴り始めた。
 おそらくはだいたいが本音で、照れ隠しも混ざっているのだろう。
 まったくもって、【偽悪者】という種類の人間は素直ではない。


トレーズ「ちなみに、他には?」
パタリロ「・・・ああ。もう一つ、大事な事がある。
 そう、とても大事な、な」
  パタリロの顔が、これまでにない真剣なものへと変わる。

トレーズ「・・・ほう、何かな?」
 トレーズとパタリロの間に生まれる沈黙。

レディ・アン「・・・・・・っ!?」
 レディ・アンには、二人を中心とする空間に、ただならぬ
緊張の重力が掛かったように感じた。

パタリロ「僕の目的は・・・」

パタリロ「そいつが来たら是非サインを貰おうと思ってな。
 後々値打ちが上がるかも知れん」

  パタリロは手持ちのバッグから、いかにもな色紙を取り出した。

         (ガッシャン!!☆)

トレーズ「なるほど。君らしいね」

 レディ・アンが壮大にずっこける傍らで、
トレーズはやはり自分のペースであった。


601 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/09(火) 21:03:00


○トレーズ・クシュリナーダ→“あの男”と密かにコンタクトを取り、
待ち合わせ。パタリロに対して対等以上に話す。
○レディ・アン→トレーズの側は自分の定位置とばかりに付き添い。
パタリロに早速おちょくられる。
○パタリロ・ド・マリネール8世→トレーズの動向を察知し、乱入。
“あの男”のサイン入手を目論む。

【今回の新規登場】
○トレーズ・クシュリナーダ上級特佐(新機動戦記ガンダムW)
軍事結社OZの元総帥。
○レディ・アン(新機動戦記ガンダムW/新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
地球連邦情報部プリペンダーの部長。コードネームは『ゴールド』。
トレーズの元部下で、現在はリリーナの腹心。
○パタリロ・ド・マリネール8世(パタリロ!)
マリネラ王国国王。守銭奴で発明の天才。
本能的にギャグが身に付いており、駄洒落を発しては周りに迷惑をかける。

602 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/10(水) 03:39:25


  それから数分後

レディ・アン「閣下」
 レディ・アンは、その日初めてトレーズに対し
自分から話しかけた。

トレーズ「何かな?」
レディ・アン「閣下が指定した待ち合わせの時間まで、あと一分を切りました。
 ・・・しかし、受付から“例の人物”らしき者がやってきたという報告は
未だありません。
 やはり、これは・・・」

  難色を示すレディ・アンだったが

トレーズ「それは違うよレディ。“まだ一分もある”んだ。
 早計は、禁物だよ」

レディ・アン「・・・はっ。それでも閣下。せめて拳銃の携帯ぐらいは・・・」
 そこでレディ・アンは、トレーズの自分を真っ直ぐに捉える瞳に気付く。

レディ・アン「・・・申し訳ありません」
 トレーズが一言も発する事無く、レディ・アンは折れた。

トレーズ「構わないよ。君には常に感謝している。
 私のような死人に対して、こうして付き添ってくれるのだから」

レディ・アン「閣下・・・」

 レディ・アンは、トレーズが黄泉還ってからというもの、
リリーナの腹心としてその任を勤めながら、常に彼の動向を気にかけていた。
 そして、今回の事を知ると、いてもたってもいられず、
無理を言って、昔の定位置へと一時的に戻ったのである。

パタリロ「どうせ拳銃なぞ持っていようといまいと一緒だろう。
 “ストライダー”を相手にするなら、それこそトールギスに乗っていないとな」

  空気を読まないパタリロは、あっさりと二人の空気の中に入ってきた。

レディ・アン「・・・・・・」

パタリロ「しかしお前も心配性だな。
 まあ、僕の近くにも同じ様な奴が居るからわからんでもないが」

  まったくマライヒに良く似ていると、パタリロは思った。
 そして、自分でも脳内でマライヒをほぼ女と認識してしまっている
自分に気付き、どうにも複雑な気分になる。

パタリロ「しかしそれでも、お前もいい度胸をしてるな。
 あの男相手に丸腰とは」

  そう言うパタリロはというと、なにぶん急にやってきたので、
 常備武器であるスネークロープや、小型爆弾といった装備を
特に外してはいない。

 勿論、これからやって来る人物を相手にするには、不足もいい所である。
 それはパタリロも勿論分かっており、特に対抗しようとは思っていない。
 ただ単純に、一々外すのも面倒臭く、それに、自分はマリネラ国王だ。
 極端な話、このビルを降りた途端に襲われる可能性もある。

 まあ、それは目の前で余裕な顔をしているトレーズにも、
当然当て嵌まるわけだが。


トレーズ「取引や契約に必要なのは、“誠意”だよ」
 そこで、トレーズは自分の腕時計を一回だけ見て

トレーズ「そうは思わないかな? 飛竜君」

 その一言に、パタリロとレディ・アンは同時に振り向いた。
 そこには

飛竜「・・・・・・」

 3人から少しだけ離れた場所に立つ、一人の男。
 袖の部分をなくした薄紫色の胴衣と、両肩にあるベルトのような素材。
 首全体を包むマフラー状の真紅の布に、同じ色の布がピッタリと口と鼻の
下半分を覆い、完全な素顔をうかがわせない。
 両腕には、包帯のような布が巻かれ、履いている物は・・・ 草鞋(わらじ)。

 それだけを見ると、どんな人間にも“忍者”という単語が浮かぶ。
 しかしそれに見合わないのは、男が持っている武器。
 忍者と思わせる様相には不似合いな、西洋型の、それでいて機械的な剣。
 そして更に腰の位置には、一見して何の用途に使うのかも分からない、
金属製の、フープとベルトの中間のような物が巻かれていた。

 顔を見てみると、壮健な青年らしく、ツンと少し伸びた髪。
 一飯男性の平均よりも少し長い程度の前髪の奥には、彼の鋭い眼光が伺える。
 面構えは、世間からすれば、美形・・・ いや、“男前”という部類に入るであろう。
 しかしその瞳は、まるで猛禽類を思わせる鋭さを持ち、時限の違う畏怖を感じさせた。


トレーズ「時間に正確だね、飛竜君。
 私の時計の秒針がゼロの位置に来たのと、殆ど同時だ」

飛竜「・・・・・・」
 飛竜と思わしき男は、腕を組んで黙ったままだ。

パタリロ「しかしトレーズ。良く気付いたな」
トレーズ「別に気配を察知できたわけじゃない。
 ただの当てずっぽうの勘だよ」

  そう、トレーズはただ、時計を見ながら見切り発車の独り言を喋っただけに過ぎない。
 しかしそれが実際に、飛竜への問いかけとして成功してしまう辺りが、
実にトレーズらしいと言える。

トレーズ「君が、あの“ストライダー飛竜”君か」
飛竜「そうだ」
 その短い返事が、飛竜の第一声だった。

トレーズ「目の前に伝説のストライダーがいるとなると感慨深いね。
 C級であっても一部隊に匹敵し、最大の特A級の力は、一国と同等。
 更には、核兵器にすら匹敵すると言われ・・・」

飛竜「長話に興味は無い。・・・用件は何だ」
 トレーズの話を、飛竜は礼節など知らんとばかりに断ち切った。
 レディ・アンは一瞬飛竜に怒気を向けたが、すぐに自分でそれを諌める。

トレーズ「ああ、すまないね。では、単刀直入に言うが・・・」
レディ・アン「閣下」
 トレーズの話の途中で、レディ・アンがトレーズの耳に顔を近づけ

レディ・アン「彼が本物と決まったわけでは・・・
 耳打ちという形で、疑念を現わすレディ・アン。

 しかし

パタリロ「そんなものいらんだろう。
 何せ、根来流忍術皆伝の僕に、全く気配を感じさせなかったんだ。
 本物以外に出来る芸当じゃない」

  トレーズの代わりに答えたのは、超人的・・・ を通り越して、
化け物並みの聴力を持ったパタリロだった。

パタリロ「それにしても、お前があの“ストライダー飛竜”か。
 思ったよりずっと若いな」

  確かに、外見から見る飛竜の顔立ちは、見たところ二十前後。
 伝説のストライダーとしては、何とも若い。
 しかし、10歳の国王に若いと言われれば、気分としては微妙だろう。
 尤も、飛竜自身は全く感情を表に出さないが。

パタリロ「それにしてもお前、随分と場違いな恰好で来たなぁ。
 お前、いつもその服なのか?」

飛竜「仕事時以外に、仕事服を着る馬鹿はいない」
 つまり、飛竜にとっては、この契約取引の時点で“仕事”なのだと
いうことか。

パタリロ「それに、トレーズに対して全く驚かなかったな。
 連絡をよこしたのがトレーズだと最初から分かっていたのか?」

飛竜「この会社がOZのダミー会社という事ぐらい、
調べればすぐに分かる。
 それに、日本国首相剣桃太郎。オーブ主席カガリ・ユラ・アスハは
精神的に潔癖。他の国家主席や財団には、そもそも雇おうとする
度胸すら無い」

パタリロ「じゃあ、僕はどうだ?」

飛竜「マリネラ国王の守銭奴ぶりは有名だ。頭数に入れるまでも無い」
パタリロ「なるほど。そうか」

 ハッハッハ と笑うパタリロだが

パタリロ「どういう意味やねん。おー?」
 すぐさまヤクザコスチュームになり、梯子に登って同じ目線で眼を飛ばす。

飛竜「残っている奴の中で、特A級ストライダーを雇おうという奴といえば・・・」
トレーズ「なるほど。私だけか」

 飛竜は完全にパタリロを無視した。

飛竜「それで、用件は何だ」
 言い方を少しだけ変え、最初と同じ質問をする。

トレーズ「もう既に分かっているとは思うが・・・ 君を雇いたい。
 任務内容は、主に暗殺と破壊活動だ」

  物騒な内容の話を、眉一つ動かさずに話すトレーズ。

飛竜「主に・・・? 他にもあるということか」

トレーズ「時と場合によるがね。私の目的は簡単に言うと・・・
 そうだな、“世界平和”か。その為に、
 【世界中に湧き出た物騒な連中には、ご退場願いたい】という訳だよ」

飛竜「・・・・・・・・・」

トレーズ「そうなると、君には暗殺、破壊、諜報だけに限らず、
オールマイティーに動いて貰わざるを得なくなる。
 例えば、潜入した場所の内部で、民間人などを含む要救助者がいた場合、
他に適任者がいなければ、君に救出して貰わねばいけなくなるかも知れない。
 ・・・間違っても、【口封じ】などといったエレガントさに反する行為は
控えてくれるとありがたい。 不満はあるかな?」

飛竜「・・・かまわん。
 救出任務や護衛も、少数ケースではあるが任務対象だ」

パタリロ「じゃあ、子守りや買出しはダメか」
飛竜「当たり前だ」
 横から口を挟むパタリロに対し、飛竜は冷たく一蹴する。

飛竜「暗殺、破壊対象は?」
トレーズ「最初の標的は、君にとっても、かかわりの深い人物だ」
 トレーズの意味深な言葉に、飛竜はほんの一瞬だけ、ピクリと眉を動かした。

飛竜「あの男・・・ 冥王グランドマスターか」

トレーズ「そう。君が森羅のエージェント、そして格世界の英雄、戦士達
と共に、一度は倒したはずの男の名だ。
 それが、我々の捜査線上に浮上してきた。
 Dショッカーや、【企業体】の延長線上にね。
 ・・・尤も、私のように黄泉還ったというよりは・・・」

  トレーズは、敢えて言い切らないでいた。

飛竜「俺が倒した冥王は贋。そして、本物が動き出した・・・」
 飛竜は、思ったほどの動揺は一切見せない。

パタリロ「冥王が偽者だとわかっていたのか」
飛竜「本物の冥王があんなにあっけなければ、もっと早く倒している」

トレーズ「それを当時の同行者達に話さなかったのは、
自分の手で決着を付けるため・・・ という事かな?」

飛竜「ストライダーの問題は、ストライダーが付ける」
 飛竜の短い言葉には、例えトレーズからの依頼が無かろうとも、
必ず単身で冥王を抹殺するという事が示されていた。

トレーズ「私としても冥王は最も早く消えて欲しい存在だ。
 何せ、魂を操る能力者など、物騒が過ぎるからね」

飛竜「・・・もし今の黄泉還り現象が冥王の仕業だとすれば、
貴様も消えるかもしれんぞ」
レディ・アン「・・・・・・!!」
 その一言に、レディ・アンは青ざめた。

トレーズ「・・・・・・かまわんよ。
 私達は元々死人だ。場違いな役者は、早いカーテンコールこそが望ましい」

  トレーズの顔には、かつてのOZ総帥の時と変わらぬ覚悟があった。
 そんなトレーズの、信念の目が、どこが死者だというのか。

レディ・アン「閣下・・・」

 その覚悟に、今更ながらレディ・アンは身震いした。
 この方の信念は、ほんの少したりとて、陰りを見せてなどいない。
 それに、レディ・アンは少しだけ嬉しさを感じていた。

トレーズ「確かに冥王の可能性も少なくは無い。
 だが・・・ 私はおそらく彼ではないと考えてる。
 君もそうだろう?」

  飛竜に問う。

飛竜「・・・奴が望んでいるのは、【古き神の子】の抹殺、抹消だ。
 今回の現象は、それに矛盾する」

パタリロ「古き神の子・・・ 今現在の地球人類全体の事か」
トレーズ「その通り。そして・・・ それを実行させるわけにはいかない。
 だから飛竜君。君に対する援助は惜しまない。
 任務内で発生する必要資金。物資があれば、必要なだけ手配しよう。
 勿論。人材も・・・」

飛竜「要らん」
 人材、と言いかけた所で、飛竜は強い口調で拒否した。

トレーズ「そうか・・・ まあ、記憶には留めておいてくれたまえ。
 それと・・・ これを渡しておこう。必要なものだ」

  トレーズが、机の引き出しを開けると・・・

通信ハロ「ハロッ!」
 たちまち、林檎サイズのハロが飛び出し、電子的な声で飛竜に挨拶をする。

飛竜「・・・・・・・・・・・・・・・・」
通信ハロ「ハロッ! ハロッ!」
 何ともいえない空気が、応接室を支配する。

飛竜「・・・・・・何だこれは」
 さすがの飛竜も、眉間に皺を寄せ、冗談のような物質の意図を聞いた。

トレーズ「見た目こそ冗談だがね、そこが狙いだ。
 AIと自走機能を搭載した最新型の通信機。映像や文章の転送も可能。
 通信妨害や傍受の危険性も殆ど無い、優れものだよ。
 何より、これを見て10人中9人はただのハロだと疑わない」

パタリロ「なるほど。タマネギ部隊にも通じる戦法だな」

トレーズ「私は戦闘においては素人。そして机の上から離れにくい。
 よって、君の潜入先ではコレを使って細かい連絡や指示を出すつもりだ」

飛竜「・・・・・・・・・・・・」
 口と表情にこそ出さなかったが、【何の冗談だ?】と、
飛竜は心の底で呟いた。




603 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/10(水) 03:52:31

△ストライダー飛竜→1秒の狂いもなく、待ち合わせの時間に登場。
歴戦のプロの実力の片鱗と、観察眼を早速見せ付ける。
・・・が、通信ハロに対してさすがに面食らう。
○通信ハロ→主となる飛竜に元気良く挨拶。

【今回の新規登場】
△ストライダー飛竜(ストライダー飛竜/ストライダー飛竜2)
特A級ストライダーで、暗殺と破壊活動のプロフェッショナル。
超人的な体術を会得している。現役のストライダーであるため、
国籍、年齢、経歴、本名その他のデータは全て不明。
○通信ハロ(ガンダムシリーズ:半オリジナル)
製作者不明。様々な便利機能が搭載された最新鋭の通信用ハロ。
歴代のハロ同様、AIと自走機能はあるが、戦闘能力はゼロ。


604 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/10(水) 17:35:10

その後も、飛竜とトレーズの間で、
契約金額や期間など、細かな調整が行われた。

トレーズ「私から提示する条件は以上だ。君からはあるかな?」
飛竜「無い」

 最初の登場から、飛竜の返事は総じて簡潔で、短い。
 それが、飛竜という男に常に迷いが無いことを、その場の一同に印象付けた。

トレーズ「では・・・」
飛竜「契約は成立だ」

通信ハロ「ハロッ!」

飛竜「・・・通信機は気に入らんが、早速任務に入らせてもらう」
 そう言って、素っ気なく踵を返す飛竜。
 だが

パタリロ「おーい。ちょっと待て。僕からも用が二つあるんだ」
 それを、パタリロが呼び止めた。

飛竜「何だ」
 依頼主でも何でもない第三者からの呼びかけに、当然飛竜の語気は冷たい。

パタリロ「ストライダーはほぼ壊滅したと聞いてるが、
お前以外に残ってる奴はいないのか?
 いるならいるで、僕が保護してやってもいいぞ。もちろん有料だが」

  台帳と筆を取り出しながら、実に分かりやすい善意を提示する。

飛竜「・・・・・・・・・」
 それに対し、飛竜の答えは沈黙。
 【どちらだとしても、貴様に教える理由は無い】ということだろう。

飛竜「もう一つは」
パタリロ「サインくれ」

       (ガチャンッ!!☆)

 空気を読まないパタリロの行為に、レディ・アンはまたコケた。

 先程のサイン色紙数枚とペンを、飛竜にやや強引に渡すパタリロ。
 パタリロのちゃっかりセコさぶり、ここにありといったところか。

飛竜「・・・・・・」
 飛竜は不機嫌そうに色紙とペンを受け取る。

パタリロ「ああ、宛名は付けないでくれ。価値が落ちる」

 サインなどというものには不慣れに見えた飛竜だったが、
以外にもスラスラとペンを滑らせ、あっという間にサインを書き上げた。
 そして無言で、色紙とペンをパタリロにのしつけて返す。

パタリロ「どれどれ・・・」
 色紙には、胴衣の胸の部分と同じ様に、稲妻のようなカッコイイ字で、
“飛竜”と大きく描かれている。

パタリロ「うんうん。実にいいサインだ。お前なかなかいい奴だな」
 パタリロは実に満足そうに、いつものパタリロスマイルで、
色紙を慎重に且つ厳重に仕舞う。

パタリロ「それにしても、意外とサイン慣れしてるんだな。どこで覚えたんだ?」
飛竜「・・・これでサインをせがまれたのは二度目だ」
 パタイロの質問に対し、飛竜は意外な答えを出した。

トレーズ「そういえば・・・ 五界混沌事件の時に、パタリロ君に負けず劣らずの
商魂と商才の持ち主がいたと聞いた事がある。確か・・・
 ロストワールドシルフィー・・・だったかな?」

飛竜「名前を出すな。あいつは噂をすると出て来る」
 飛竜は、さも神出鬼没の腫れ物を触るかのような言い方で、
シルフィーという人物を嫌がっていた。

 感情を見せようとしない男がそうまで言うのだから、おそらくは
パタリロに負けず劣らずノ厄介な人物なのだろう。
 そして、サインに慣れているのは、今回と同じ様にそのシルフィーと
いう人物に半ば強引に頼まれ、いくつか描いたのかもしれない。

 まあ尤も、見たところ飛竜の性格を考えれば、描かせる事が出来ても、
今回のように数枚程度だろうが。

飛竜「用は終わりか?」
パタリロ「ああ、ご苦労」

 飛竜は、内心やれやれと思っていた。
 これまで経験した中で、一番面倒な契約だったからだ。
 ・・・ともかく、これで任務に移ることが出来る。

 そう思ったところで

???「おい、おい! だからよせって!!」
??「邪魔するな! 今度こそ奴の意図を確かめる!!」

 と、階段の方から聞こえてくる喧騒が、段々と近づいてくる。
 そして

          (バァァンッ!!!)


五飛「トレーズッ!!」
 勢い良く扉を開けて入ってきた、張五飛と

デュオ「ちょっ・・・! あ〜〜あ・・・」
 どうやら巻き込まれてしまったらしい、デュオ・マックスウェル。

飛竜「・・・(やれやれ、またか)」



605 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/10(水) 18:54:42

○ストライダー飛竜→トレーズと正式に契約終了。
パタリロのサインにも渋々答え、帰ろうとしていたが・・・
○トレーズ・クシュリナーダ→飛竜と正式に契約完了。
○パタリロ・ド・マリネール8世→いくつかの質問は無視されたものの、
当初の狙いであったサイン(宛名無し)を入手し、上機嫌。
△張五飛→どうやらトレーズにまた文句があるらしく、
制止に入ったデュオごと引きずる形で乱入。
○デュオ・マックスウェル→五飛を止めようとしたらしいが、
結局今回も例によって貧乏くじを引いた模様。

【今回の新規登場】
△張五飛(新機動戦記ガンダムW/新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
アルトロンガンダムカスタムのパイロット。
現在はプリペンダーとして活動中。

○デュオ・マックスウェル(新機動戦記ガンダムW/新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
ガンダムデスサイズヘルカスタムのパイロット。
現在はヒルデと共にジャンク屋を経営。


606 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/13(土) 02:35:56


トレーズ「君か・・・ 相変わらずエレガントではないね。
 こういった場所に来る時はちゃんとアポイントメントを」

  突然やって来た五飛に対し、紳士的に嗜めるトレーズであったが

五飛「そんな事はどうでもいい!
 トレーズ! 生き返ったかと思ったらもうこれか!!」

  対する五飛はというと、相も変わらず取り付くシマもない。

デュオ「トレーズ悪(わり)ぃ。口滑らしちまった」
 と、デュオは五飛の後ろで両手を合わせ、“ゴメン”のポーズをしている。

 実は、デュオはトレーズと飛竜が会う事を知っていた。
 それも当然。トレーズに言われ飛竜への連絡を取ったのは、
デュオなのだから。

 五飛はこんな風だし、カトルはそもそも適役ではない。
 かといってヒイロでは、リリーナ嬢に話が漏れる心配がある。

 残りの二人の中で、誰が一番簡単に請け負ってくれるかとなると、
最終的にデュオに決まるのは自然な流れだった。


パタリロ「ほお、いい体してるな」
五飛「っ!!?」

 突如後ろから聞こえる声に振り向くと・・・
マジックハンドでパタリロが五飛の尻をなでていた。

五飛「何だ貴様はっ!!」
 すぐさまマジックハンドを乱暴に払い、パタリロ相手にも啖呵を飛ばす。

デュオ「(おいおい・・・)」
 五飛の誰彼選ばない啖呵に、デュオは心の中でそう呟いたが、
敢えて口にする気は起きなかった。

シバイタロカ博士「シュバイツァー博士のまたいとこの、
そしてアインシュタインの父方のはとこのシバイタロカ博士です」

 またしても一瞬で、今度はシバイタロカ博士に変装するパタリロ。

シバイタロカ博士「まあ落ち着きなさい。
 どうやら君、私の見た所随分な短気のようですね。
 カルシウムとビタミンが不足しているかもしれません。
 そこで、私が開発したカルシウム&ビタミンの理想的な配合サプリメント!」

  そう言ってシバイタロカ博士が取り出したのは、
鶏の卵を一回りだけ小さくしたような形と色の物質だった。

五飛「・・・何だそれは」
シバイタロカ博士「ですから、サプリメント」

五飛「ふざけるな。そんなでかいもの飲み込めるか!」
シバイタロカ博士「何を言ってるんです、誰が口からと言いました?」

五飛「何? 口から以外でどうやって・・・」
シバイタロカ博士「これは私が独自に開発した座薬タイプのサプリでして。
 さあ! 私が直々に入れて差し上げますからお尻を出して!!」

     (ガッシャ───ン!!!)

 五飛の尻めがけて突進したシバイタロカ博士は、
 五飛のカウンターにより22階の窓を突き破り、摩天楼へと落ちていった。


607 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/14(日) 03:44:34


五飛「まったく、下らん邪魔を・・・!」
 両手をパンパンとはたきつつ、ふぅとため息をつく五飛。

デュオ「(あ〜あ・・・ 熱湯じゃなきゃ殺しても死なないとは聞いてる
けど、一国の王蹴り飛ばすか? 普通・・・)]

 もしくはマリネラ国王だと知らないまま蹴り飛ばしたという可能性も
頭に浮かんだが、それを考えると怖くなってきたのでやめた。

トレーズ「それで、何の用かな?」
 トレーズは視線だけを五飛に向け、意図を聞いた。

五飛「・・・デュオから聞き出した。ストライダーを雇うそうだな」
トレーズ「そうだよ」
 涼しい顔のまま、トレーズはあっさりと認めた。

五飛「どういうつもりだ」
トレーズ「聞きたいか? ・・・秘密だ」
五飛「・・・っ」

 トレーズの僅かな微笑みに、五飛は眉を顰める。

トレーズ「君なりの解答は既にあるんだろう? それは、何かな」
 まるで教師が生徒に問うかのような、その口調。
 それは五飛にとっては何よりトレーズという存在の証明でもあったが、
同時にトレーズの何より気に入らない部分の一つでもある。

五飛「現在の世界の混乱を、自分なりに解決しようと考えたお前は、
昔と同じ様に目的を第一とし手段を選ばず、中立的存在を引き抜き、
戦力を増強する事を考えた・・・ そうだろう」

 曇りなき強固な意志が宿った刃のような瞳でトレーズを直視する五飛。
 それは見えない刃物を突き立てられる感覚に近く、常人なら数秒と
絶えられない空気だが

トレーズ「そうだとすると、君はどうするのかな?」
 それをトレーズは全く平気そうな顔をしている。

五飛「断じて認めん!!」

      (ダァァンッ!!)

                 (ガタタタッ──)

 五飛は両手を机に叩き付けると共に、トレーズの紅茶のカップが踊った。

トレーズ「やれやれ、机に罪は無いだろうに。
 すぐ物に当たるのは君の悪い癖だ」

  それでもトレーズは物怖じせず、こぼれた紅茶を拭こうとしたのか
雑巾にしては真っ白すぎる布を取り出したが

レディ・アン「・・・・・・・・・」(ヒョイ)
トレーズ「・・・おや」
それをレディ・アンは無言で強奪し、メイド以上の手際で
テキパキと片付け始めた。

五飛「・・・・・・・・・」
 いつの間にやら無視されている現状に気付いた五飛。

デュオ「シカトされてやんの」
 ププッ、と笑うデュオに対し

五飛「・・・・・・」(ギロリッ!!)
 振り向き様に鬼の形相で殺気を向ける。

デュオ「おっとと・・・」
 その視線の一撃に、デュオはそそくさと物陰へと逃げた。


五飛「トレーズっ!」
 五飛は改めてトレーズに向き直った。

トレーズ「普通の声で話してくれたまえ。こんなに近いというのに」

五飛「そんな事はどうでもいいっ!!
 確かに今世界は混乱している。一人でも戦力が必要というのも
分からないわけではない! しかしっ!!」

五飛「だからといって、よりによって“ストライダー”を雇うなど、
俺は絶対に認めんぞ!!」

トレーズ「・・・・・・」

五飛「ストライダーといえば、任務達成の為ならば無関係の人間だろうが
女子供であろうが躊躇なく犠牲にする非道の集団!
 貴様がそれを知らないはずが無いだろう!!」

  そう言い放ちながら、五飛は斜め向こうに立つ飛竜を睨む。

飛竜「・・・・・」
 対して飛竜は、視線には気付いているだろうに、
静かに眼を閉じ腕を組んだ状態のまま、何の動きも見せなかった。

五飛「世界を救う為にならまた悪役を買おうとでも言うのか!
 そうやって手段を選ばず、人の尊厳や誇りを捨て去ってまで得た平和
に、何の意味がある!!
 そんな奴にまで助力を請わねば助からんというなら、俺は戦士としての
誇りの中に死す事を選ぶ!!」

トレーズ「・・・・・・」

 五飛の魂の主張は、間違いなく一つの誇り高き正義だった。

トレーズ「五飛君。私は・・・」
 そう、トレーズが語りかけたところで


飛竜「フッ・・・」
 それまで沈黙を守っていた飛竜が、
明らかに嘲笑を織り交ぜたアクセントで、五飛を哂った。

五飛「貴様っ・・・ 何がおかしい!!」
 当然五飛は、そんな飛竜の長髪に黙ってはいられない。

 それに対し飛竜は、初めて五飛を正面に見据え

飛竜「だから貴様は負け犬なのさ


608 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/14(日) 13:01:25

○パタリロ・ド・マリネール8世→五飛のカウンターにより窓ガラスを
破って22階の高さから落下。まあパタリロなので大丈夫だろう
○ストライダー飛竜→沈黙を守っていたと思ったら、五飛に挑発。
△張五飛→パタリロを蹴り飛ばし、トレーズに真正面から自分の論と
信念をぶつけるが、飛竜に哂われる。

609 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/14(日) 19:14:28


五飛「俺が・・・ 負け犬だと!?」
 誇り高き五飛としては、到底聞き流せない言葉だ。

飛竜「正義だの、誇りだの・・・
 そんなものは自分の中で決めておくものだ。
 強すぎる我や迷いを戦場に持ち込むから、貴様は勝てないのさ。
 ・・・トレーズにも、ヒイロ・ユイにも」

  どこまでも辛辣な飛竜の言葉に、
 トレーズも、レディ・アンも、やっとビルをよじ登ってこれたパタリロも
皆が軽く驚いていた。

 最初の登場から、飛竜がそこまで長い言葉を喋ったのは初めてだったからだ。

五飛「そこまで言うからには、当然覚悟は出来ているんだろうな・・・!?」
 怒りの面相を飛竜に向けながら、青龍刀に手をかける五飛。

飛竜「・・・・・・」
 飛竜は、横目でトレーズを見た。

トレーズ「まあ、止めはしないが・・・
 ここのインテリアには歴史がある。なるべく壊さないように」

  視線の意図をすぐに理解したトレーズは、一応の許可を言い渡す。
 金額面については欠片も言わない辺り、トレーズらしい。

飛竜「了解だ」
 その一言と共に

        (バッ───!)

 飛竜はその場で跳び、応接室内で一番の広いスペースへと移動する。

飛竜「・・・・・・」
 五飛を正面に捉えている飛竜の目は、【来たいなら、来い】
 そう言っていた。

 しかし、五飛には、そのまま飛び込む事ができない理由が一つある。

五飛「・・・何故、抜かない」
 飛竜の前にまで歩み寄りながら、
未だ武器を握ろうとしない飛竜に問うた。

飛竜「何故か、だと? 一々尋ねるな、素人(しろうと)」
 飛竜の返しは、一つ一つが刺々しい。

五飛「・・・・・・」
 つまりは、玄人なら尋ねる前に自分で考えろということ。

 獲物を抜かないのは、即ち、その必要が無いということだ。
 ・・・素手でも充分な相手だと、つまりは・・・

五飛「嘗めるなっ!!!
 青龍刀を抜き、五飛は一直線に飛竜へと突進した。


   (ビュンッ!)

(ビュンッ!!)

(ヒュッ──!!)


 広々とした応接室の中、全力を込めた五飛の青龍刀による
斬撃の連続が飛竜を襲う。

 しかし、常人はおろか腕に覚えのある人間でも細切れにされ兼ねない
その洗練された鋼の曲線は、飛竜の髪の毛一本すら掠っていなかった。
 達人は相手の攻撃をセンチで避けるというが、飛竜は正に紙一重、
最低限の動き、ミリ単位で五飛の攻撃を次々と避わしていく。

 横薙ぎの一撃は上体を逸らし、五飛がそのまま攻撃を床スレスレの
下段へと変化させると、今度はトロワ以上の身軽さで空中を舞う。
 それも、その間々には飛竜の攻撃のチャンスがあるはずなのに、
飛竜は敢えて一切の反撃を行っていない。

五飛「このっ・・・! ちょこまかとっ!!」
 強気な発言とは裏腹に、五飛は焦っていた。

 五飛は最初から、己が学び、習得してきた全てを込め、一切の加減なく
刀を振るっている。
 だがそれを避わす飛竜はといえば、未だに腕を組んだまま、
しかも部屋の中の調度品を壊さぬように、さりげなく自分の位置を調整し
五飛を誘導すらしているほどの余裕を見せていた。

五飛「(こんな馬鹿な・・・ これが、人間の反射神経だというのかっ!?)」
 否応なく感じる、自分と特A級ストライダーの壁。
 いや、まるでそれは、天空聳え立つ大壁の様な差。

 例えるなら、少年が虫取り網で捕まえようとする蝶が蜃気楼で
あるかのように。何の手応えも、光明も見つからない。
 そもそも、【戦い】においてここまで嘗められた覚えは五飛には無かった

 五飛のプライドは、既にズタズタだった


飛竜「そろそろ、終わらせてもらう」
 そんな繰り返しの中、飛竜の一言が合図となった。

飛竜「貴様と遊んでいる暇は無い」

    (ヒュ──)

              (ガッ───!!)


 その次の瞬間には、
飛竜は五飛が冗談に振りかぶった刀の動きに合わせ、
なんとそのまま流れに沿ってミネの部分に踵を乗せると、
超人的な筋力と瞬発力で、持つ手ごと青龍刀を床に沈ませた。

五飛「なっ・・・!?」
 五飛は、驚かざるを得なかった。

 自分の上段の斬撃を予測し、完璧にタイミングを合わせ、
更にはそのまま流れに乗り、武器を封じる・・・

 よほど実力の差が開ききっていなければ、到底出来ようが無い芸当。
 しかも、五飛を相手にそれが出来るというのは、もはや人間の範疇を
超えている。

 ・・・まるで、次元が違う・・・

 この男は、ヒイロやトレーズとは比べられようもない。

五飛「・・・・・・(俺の、負け、か・・・)」
 いや、最初から、勝負になどならなかった。
 さしもの五飛も、戦意を喪失し、負けを認めざるを得なかった・・・

飛竜「・・・・・・」

     (ス・・・)

 その時、飛竜は背後に、気配を消した何かが近づくのを感知する。

       (ブンッ!!)
(ガチャッ!!)

 その何者かの拳銃が飛竜に付き付けられるのと、
飛竜がサイファーを抜き、その何者かの喉元に突き付けたのは
全くの同時だった。

デュオ「うっわ・・・」
 何者か、の正体はデュオだった。

 何とか飛竜に拳銃を突き付けることには成功したものの、
自分も喉からほんの数ミリ程度の位置にある光剣サイファーに、
冷や汗を流した。

飛竜「・・・何のつもりだ」
 目の前、額から10か20センチ程度の所に拳銃がある状態で、
飛竜は欠片ほどの動揺も見せない。

デュオ「いや、五飛とはこれでも一応チームメイトだし?
 ここは一応助太刀の一つや二つぐらいしとこーかな、ってさ」

飛竜「・・・・・・」

デュオ「まっ、勢いで乱入しちまったにしちゃ上出来だよな。
 漁夫の利とはいえ、伝説のストライダー相手に引き分けなんだから」

  ハハ、と余裕の無いヒキ笑いをするデュオ。


飛竜「・・・フッ」
 しかし、飛竜はまたしても嘲笑的に哂う。

デュオ「? ・・・何だよ、その笑い」

飛竜「一つ教えておいてやる。
 C級以上のストライダーの訓練にはな、教官が拳銃の引き金を引き、
それを至近距離で避わす訓練がある。
 それがクリアできなければ、Cより上には行けない」

デュオ「・・・つまり、俺がこのまま撃っちまっても、避わせるって?」
飛竜「・・・・・・」

デュオ「まっさかぁ。いくらなんでも、人間じゃねえだろそれ?」
 しかし、飛竜の目には、一切のブラフが感じられない。
 それに、さっきの戦闘を見ていると、全くの絵空事でも・・・

飛竜「信じられんのなら試してみるといい。だが、その代わり・・・」
 飛竜がサイファーを握り直すと、チャキ、と小気味の良い音が鳴った。

飛竜「貴様の首は飛ぶ。どちらを選ぶかは好きにしろ」
 飛竜の目は、確認するまでもなく完全に本気である。

デュオ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・あ〜〜〜・・・  降参」

  負けを認めるか命を捨てるか、デュオにとっては
分かりきった二択であった。

 そして自分から拳銃の安全装置をロックし、手の先で拳銃を回転
させ、引き金を軸に人差し指にぶら下げる形で、降参を表明した。

五飛「・・・貴様、何しにちょっかいを出したんだ」
 五飛もすっかり呆れた様子で叱責する。

デュオ「るせーよ」
 デュオ自身も、それぐらいしか言い返せない。

飛竜「随分と無駄な時間をかけた。俺は早速任務に入らせてもらう」
 ようやく飛竜も、サイファーを鞘に仕舞い、五飛の青龍刀から
足をどけた。

 そして

       (バサッ・・・・・・!!)

 飛竜が赤いマフラーをたなびかせたと思ったら、次の瞬間には
跡形もなく、飛竜は消えていた。

610 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/14(日) 19:57:22

○ストライダー飛竜→余裕で五飛とデュオを直接攻撃一切無しで撃退し、
任務へ。
△張五飛→飛竜に完全敗北。
○デュオ・マックスウェル→勢いで五飛に加勢するものの、すぐに降参。

611 名前:現代:2006/05/15(月) 01:24:26

***伊豆・地球連邦軍極東基地 会議室***

兵士「失礼します。
ハイデルン傭兵部隊の皆さんが、到着いたしました。」
岡「うむ……通してくれ。」

デーボが何者かの手によって殺害され、それから数時間が経過した時。
その裏にいるであろうDIOに対してどう動くべきかと、岡長官を初めとする多くの者達が、会議室に集まっていた。
重要参考人として、銀次と蛮、承太郎とジョセフもこの場にいた。
会議室のドアが開き、数名の軍人がその中へと招かれる。
その姿を見て、蛮は驚きを隠せなかった。

蛮「まさか……あんたら、あの怒チームか?」
ラルフ「お、知っててくれたか。
こいつは嬉しいな……いかにもその通りだ。」
クラーク「KOFの御蔭で、俺達も大分有名になりましたね。」
銀次「怒チーム、KOF?」
承太郎「KOFってのは、これまでに何回か開かれた、世界規模の格闘大会だ。
怒チームはその参加チームの一つだ……まあ、後は本人達から自己紹介をしてもらった方が早いだろう。」
ハイデルン「久しぶりだな、岡長官。」
岡「そちらこそ、元気そうで何よりだ。
遠路はるばる、ご苦労だったな。」

ハイデルンと岡長官が、握手を交し合う。
二人は、これまで多くの危機を共に切り抜けてきた、戦友同士だった。
ハイデルン傭兵部隊の者達に続いて、三人の男女が入ってくる。
彼等もハイデルン達と同じ、KOFの参加者だった。

承太郎「K´、マキシマ、クーラ・ダイアモンド……優勝チームが二人に、準優勝チームが一人か。
やれやれ……随分と、豪華な顔ぶれだな。」
岡「ハイデルン、彼等が?」
ハイデルン「ああ……我々の協力者だ。」
マキシマ「まあ、よろしく頼むぜ。」
クーラ「よろしくね、皆♪」
K´「……」
マキシマ「……お前なぁ。
ちゃんと、挨拶ぐらいしろよ……愛想悪いぞ?」
K´「めんどくせぇ。」

挨拶を済ませた後、K´達は席に座りこむ。
どうやらこれで、必要なメンツは揃ったらしい。
早速、岡長官は話を始めた。

岡「さて……まずはこの基地の長官として、奪還屋の二人並びに、スピードワゴン財団の二人に礼を言わせてもらいたい。
呪いのデーボからこの基地を奪還してくれた、本当に助かった……ありがとう。」
蛮「まあ、困った時はお互い様だしそう気にすんなよ。」
銀次「それに、奪還は俺達の仕事だしね。」
岡「そう言ってもらえると、こちらとしても助かる。
さて……今回の襲撃から、この世界にまた一つ、新たな脅威が現れた事が分かった。
呪いのデーボの背後にいたのは、DIO=ブランドーと呼ばれる吸血鬼だ。
奴等に関しては、此方にいる承太郎君とジョセフさんから話してもらいたい。」

岡長官の紹介を受け、承太郎が立ち上がる。
かつての戦いでDIOにトドメを刺したのは、他ならぬ彼である。
ジョセフは自分よりも彼の方が説明に向いていると判断し、立ち上がりはしなかった。
承太郎はDIOについて、自分が知っている限りの事を話し始める。

承太郎「DIOの目的は至って単純……世界征服ってやつだ。
奴の下には、今回襲ってきたデーボを初めに、相当数のスタンド使いが集まっている。
少し失礼な言い方にはなっちまうが……この基地の兵士は、デーボに歯が立たなかった。
DIOのスタンド使い達は、全員がこのデーボ以上の実力を持っていると考えていい。
つまりだ……まともにやりあって勝てる相手とは、思わない方がいいって事だ。」
レオナ「敵の戦力数は?」
承太郎「今回倒されたデーボを含めても、少なくとも27はいる。」
マキシマ「そんなに……」
承太郎「ああ……だが、奴の戦力は決してこれだけじゃない。
恐らくDIOは、更なる部下を増やしている筈だ。」
早乙女博士「ふむ……吸血鬼が部下を増やすというと、やはり……」
承太郎「察しの通りだ。
奴は死んだ人間に自分の血を与える事で、屍生人……つまりはゾンビとして蘇らせる事が出来る。
その血の度合いによっては、屍生人ではなく、奴と同じ吸血鬼になる事も可能だ。
吸血鬼も屍生人も、人間を越えた不死身の存在だ。
DIOの元には、大量の吸血鬼と屍生人がいるに違いない。」
ラルフ「不死身って……じゃあ、どうすりゃいいんだよ?」
承太郎「勿論、奴等には弱点がある。
吸血鬼と屍生人は、紫外線を浴びる事が出来ないんだ。
奴等の肉体は、紫外線を浴びれば粉々に砕けちまう……日光の下には出られねぇ。」
ジョセフ「それともう一つある。
吸血鬼も屍生人も、優れた再生能力をもっていて、受けた傷を回復させる事が出来るんじゃ。
最もそれには、大量の血が必要になるんじゃがな。
しかし、じゃ……」
K´「再生が出来ねぇぐらいに、ぶっ潰しちまえばいい話だろ?」
ジョセフ「うむ……それも正解じゃ。
じゃが、何も全身を破壊しなくてもいい……頭部を破壊してしまえばいいんじゃよ。
脳が無ければ、流石の奴等も活動は不可能じゃからな。」
クラーク「成る程……」
承太郎「だが……DIOにはこれ以上に厄介な能力がある。
俺達はそれを、肉の芽と呼んでいる。
肉の芽は、DIOの細胞から作られた一種の寄生体だ。」
本郷博士「寄生体……もしや、DIOは生きた人間をそれで操れるのか?」
承太郎「その通りだ。
肉の芽は人間の脳に寄生して、精神を支配することが出来る……DIOの思うがままにな。
これを既に使われていると見て、まず間違いないだろう。」
ハイデルン「肉の芽を除去さえすれば、寄生された人間を助けられるのか?」
承太郎「それは不可能じゃないが、相当困難だ。
肉の芽には、防衛本能がある。
以前に、SPW財団の外科医がオペで摘出しようとしたが……その医師は、肉の芽に逆に寄生されかけた。」
蛮「寄生される前に、力ずくで引っこ抜く……いや、駄目だな。
その肉の芽が脳に寄生してるってんなら、下手に引っ張り出そうとしたら、脳が傷ついちまうな。」
ウィップ「打つ手なし……ですか?」
承太郎「いや、俺のスタンドなら肉の芽を除去できる。
それに俺以外にも一人、知り合いにそれが可能な奴がいる。
だから肉の芽に寄生した奴を見つけたら、殺しはしないでくれ。
何とか確保できさえしたら、SPW財団に連絡を頼む……そこから後は、俺達で何とかできる。」
ハイデルン「分かった……DIOに関しては、以上でいいんだな?」
承太郎「構わねぇぜ。」
ハイデルン「それでは……次は、我々の報告といこうか。
実はつい先程、ディオドスを使って異なる時空へと飛んだエターナルから、連絡があった。
その内容だが……ラクス=クラインの命を狙う、不動琢磨という奪い屋が現れたとの事だ。
無事に、撃退は出来たようだが……不動には逃げられたそうだ。」
銀次「ええっ!?」
蛮「不動……ふざけんな、何であの野郎がそんな所にいやがんだよ!?」

不動琢磨の名前を聞くと同時に、ゲットバッカーズの二人は声を上げた。
それもその筈……二人は、彼の事を知っているのだから。
特に蛮は……不動の恨みを大いに買っていた。
かつて、蛮が銀次と組む以前……奪い屋をやっていた頃の話だった。
蛮は仕事の途中で、不動と衝突する事になり……蛇咬で、彼の右腕を捥ぎ取ったのだ。
不動はその後、義手を仕込み再起したわけなのだが……同時に蛮に対して、とてつもない恨みを抱いた。
もしも今、不動が蛮の事を知れば……仕事も何もかも放り出して、ここに襲撃を仕掛けかけない程である。

ハイデルン「奪還屋の二人が驚くのも、当然の事だろう。
不動琢磨本人には、時空を越える術など何も無いのだからな。
だが、その雇い主にそれがあるなら話は別だ。
そして……この襲撃事件は面白い事に、実はデーボの襲撃とタイミングが重なっている。」
承太郎「まさか……その不動琢磨の事件も、DIOの仕業だってのか?」
ハイデルン「その可能性は極めて高い。
つまりだ……この推測が正しいならば、DIOは時空を越える術を持っているという事になる。
それならば、ディオドスを破壊しようとしたことにも説明をつけられる。」
岡「敵対する者達の術は無く、そして自分達は自由に時空を越えられる……」
承太郎「……やれやれ。
本当に……俺達が予想している以上に、やばい事になり始めてるな。」
ハイデルン「そして……実は我等がこの基地へと向かっている最中、新事実が発覚した。
マキシマのハッキングで分かった事なんだが……我々の捜索しているある組織と、DIOとは繋がっているかもしれない。」
承太郎「……ネスツか。」
ハイデルン「……そうだ。」

612 名前:現代:2006/05/15(月) 01:26:04

岡長官「ネスツとDIO=ブランドーか……厄介な奴等が、手を組んだものだな。」
ハイデルン「ああ……こちらも、早急に手を打つつもりだ。」
銀次「ネスツ……それも、ショッカーとかみたいな悪の組織なの?」
蛮「一時期、KOFの裏で暗躍していた秘密結社どもだよ……成る程な。
だから、この会議にK´達が呼ばれたわけか。」
クラーク「そうだ。
彼等は、ネスツ撃破の最大の功労者だからな。」

丁度その頃であった。
DIO=ブランドーとネスツには、繋がりがある。
この衝撃の事実を前に、伊豆基地の会議室では、誰もが息を呑んでいた。
それはただ単に、強力な二つの組織が手を結んだからというわけではない。
この二者が手を結んだこと……それが厄介だったのだ。

早乙女博士「ハイデルン隊長。
我々はネスツに関しては、報告書でしかその実態を知らないのだが……どれほどの相手なのだね?」
ハイデルン「まず、ネスツに属する者はその大半が、優れた身体能力を持っている。
幹部クラスにもなれば……一人で一個師団を全滅させることも、不可能ではない。」
蛮「呪いのデーボなんかとは、てんで比べ物にならねぇってわけか。」
マキシマ「確かに、奴等の戦闘能力は厄介だ。
そいつは、直接やりあった俺達が保障するが……ネスツの本当に厄介な所は、まだ別にある。」
本郷博士「別に……?」
マキシマ「ネスツの一番恐ろしいのは、奴等の戦闘能力より寧ろ、その強大な科学力の方だ。
こんだけ科学者だの博士だのがいる中で言うのもなんだが……多分、誰も適わないだろうな。」
岡長官「何だって……?」
マキシマ「まあ、いきなり言われてもピンとこないだろうし……とりあえず、二つほど例を挙げてみるぞ。
まず一つ目だが……奴等は、人間の持つあらゆる一切の能力を、全てデータ化させる事が出来るんだ。
例えば、あるスタンド使いがネスツに捕らわれたとしよう。
そいつがネスツの科学者どもにいじられ、自分の力をデータ化されたとしたら……結果は分かるだろ?」
承太郎「……そのデータを別の人物に移し変えれば、そいつがスタンド使いになるって訳か。」
マキシマ「御名答……もしも奴等が、仮面ライダーとかサイヤ人とかの力を手に入れてみろ。
どんな怪物が生まれるか、分かったもんじゃねぇぜ?」

あらゆる能力のデータ化。
かつてネスツはその技術を扱い、草薙京の炎をデータ化し、そしてK´とクリザリットに移植した。
その成果は上々……二人はオリジナルである京と、互角以上の力を手にする事になったのだ。
この技術はマキシマの言うとおり、相手次第では余りにも恐ろしい結果を生む。
どれだけの怪物が生まれるか、全く見当がつかない。

御手洗健一博士「……とてつもない技術だな。
使い方によっては、どれだけ恐ろしい戦力を生むか分かったものじゃないぞ。
となると、もう一つの方も……?」
マキシマ「ああ……かなり厄介だ。
奴等のもう一つの技術は……クローン技術だ。」
ジョセフ「クローン……細胞等から同じ人間を作り出す、あの?」
マキシマ「そうだ。
こいつはデータ化に比べると、少し小さいように思えるだろうが……とんでもない。
俺達からしたら、こっちの方がずっと厄介だな。」
蛮「……単なるクローンって訳じゃないって事か。」
ウィップ「ネスツのクローン技術は、世間一般に知られているそれとは比べ物にならないわ。
まず、大きな違いとして……奴等のクローンは通常の人間と全く同じだけのテロメアを持っているのよ。」
久保田衛吉博士「何だって……それでは、寿命は全く普通の人間と同じだというのか?」

クローンの大きな特徴の一つとして、染色体にあるテロメアが、通常の生物よりも短い事が上げられる。
テロメアは今現在、生物の細胞分裂に制限をかける組織だと考えられている。
その長さが通常の生物よりも短い……それはつまり、寿命が短いという事。
老化の速度が、通常の生物よりも早いという事なのだ。
ラウ・ル・クルーゼ、レイ・ザ・バレル。
かつて生み出され、そして散っていった彼等クローン達は、その宿命に抗えなかった。
しかし……ネスツはそれを克服した。
完璧な、何ら通常と変わらないクローンを、ネスツは生み出せるのだ。

クラーク「寿命だけですめば、まだ御の字です。
クローンの元になった人間が持つ能力は、100%とまでは言わなくても……八割方は受け継いでいます。」
ラルフ「さっき言ったデータ化とこのクローンとを合わせれば、まさしく最悪の人間兵器を作り出せるぜ。
っていうか……もう、作られちまってるかな。」
岡長官「報告書にあった、草薙京のクローンか。」
ハイデルン「ああ……恐らくネスツは今、戦力として相当なクローンを保持している。
これだけでも、かなり厄介だが……クローンの目的は何も、戦いが全てじゃない。
もしも、世界各国の要人のクローンを生み出されたりすれば……」
蛮「……ちょっと待ってくれ。
そういえば……DIOの奴も、他人を操る事が出来るんだよな?
相手に肉の芽を植えつけて……だったら……」
ハイデルン「……ああ、その通りだ。
ネスツとDIO=ブランドーが手を組んだのに、我々が一番の脅威を感じているのはそこだ。
奴等はその気になれば……この世界を裏から操れる。」

まさしく最悪の図式だった。
DIOは肉の芽を使い、人間を忠実な僕へと変えられる。
もしもこの能力を、政府の要人にでも使われたらどうなるか。
ネスツはクローン技術によって、全く相違ないもう一人の人間を作り出せる。
もしもこの技術で、上記の様な者達を作り出したらどうなるか。
その答えは、至ってシンプルである。

承太郎「やれやれ……こいつは、本格的に恐ろしい事になりそうだぜ。」



613 名前:現代:2006/05/15(月) 01:28:23

○ハイデルン→部下とK´達を連れ、連邦基地に訪れる。
○承太郎→DIOについて、新たな情報を得る。
○ジョセフ→DIOについて、新たな情報を得る。
○銀次→不動がエターナルの元に現れた事を知る。
○蛮→不動がエターナルの元に現れた事を知る。


【今回の新規登場】
○K´(THE KING OF FIGHTERS 1999〜)
ネスツによって草薙京の炎を移植された、凄腕の格闘家。
マキシマやウィップ達と共にKOFを戦いぬき、ネスツの野望を阻止した。
己の記憶を取り戻す為に、旅を続けている。

○マキシマ(THE KING OF FIGHTERS 1999〜)
ネスツによって肉体を改造されたサイボーグ。
友人の仇を討つため、K´達と共にネスツに戦いを挑み、その野望を阻止した。
常人を遥かに超えた戦闘能力を持ち、それを武器にKOFを勝ち上がってきた。

○ハイデルン(THE KING OF FIGHTERS 1994〜)
ハイデルン傭兵部隊の隊長で、暗殺術の達人。
怒チームの司令塔として、KOFの裏に潜む巨悪と立ち向かってきた。

○ラルフ・ジョーンズ(THE KING OF FIGHTERS 1994〜)
ハイデルン傭兵部隊の一員で、階級は大佐。
打撃技の達人で、殴り合いに関しては右に出る者はいない。
怒チームの一員として、KOFの裏に潜む巨悪と立ち向かってきた。

○クラーク・スティル(THE KING OF FIGHTERS 1994〜)
ハイデルン傭兵部隊の一員で、階級は中尉。
プロレス技の達人で、その技術は一流。
怒チームの一員として、KOFの裏に潜む巨悪と立ち向かってきた。

○レオナ・ハイデルン(THE KING OF FIGHTERS 1996〜)
ハイデルン傭兵部隊の一員で、ハイデルンの養女。
そして、オロチ八傑集の一人であるガイデルの娘。
ハイデルン直伝の暗殺術を使う。
幼い頃に、オロチによる血の暴走を引き起こしてしまい、ガイデルを自らの手で殺害。
それからは感情を失ってしまい、まるで機会の様に振舞っていた。
しかしラルフやクラーク達との出会いから、徐々に感情を取り戻しつつある。
怒チームの一員として、KOFの裏に潜む巨悪と立ち向かってきた。

○ウィップ(THE KING OF FIGHTERS 1999〜)
ハイデルン傭兵部隊の一員で、鞭の達人。
また、デザートイーグルを片手で発砲できるという、とんでもない腕の持ち主。
その正体は、ネスツによって生み出された、K´の姉「セーラ」のクローン。
K´達と共にネスツへ戦いを挑み、その野望を阻止した。


614 名前:竜の騎士の世界・敵襲:2006/05/15(月) 01:29:31

***竜の騎士の世界 パプニカ城下町***

ジュドー「お、結構いけるぜこれ。」
トビア「異世界の食事も、結構美味しいですね……すみません、おかわりお願いしまーす。」
カガリ「あ、私も頼む。」

伊豆基地で会議が行われていた、丁度その頃であった。
竜の騎士の世界へと飛んだクサナギ組は今……腹ごしらえの最中だった。
食事時という事で、各自休憩時間を貰い、城下町に繰り出していたのだ。
誰もが、初めて見た異世界の料理に驚き、そしてその味に関心を覚えている。
もしも適う事ならば、世界の危機とかそういう事は関係無しに、ゆっくりと観光してみたかった。
そう思っている者達も、少なくは無かった。
一時の休息を、誰もが楽しんでいたのだが……しかし。
休息の時は……今、終わりを迎えようとしていた。
しばらくした後、一人の男がレストランへと入ってきた。
最初にその姿を見たアスランは、ふとある違和感を覚えた。
それは、男の服装……中々見事に決まっている、スーツ姿。
一見、何も変なところは無い……しかし。
悪魔でそれは……彼等がいた世界の話である。

アスラン(あの服装……この世界の服装じゃない?)

男の姿はまさに、自分達の世界でよく見かけるそれである。
それが何故、異世界であるここで見られたのか……何となくではあるが、嫌な予感がしていた。
男はカガリ達のすぐ隣のテーブルへと座ると、メニューを広げる。
単なる思い過ごしだろうか……そう思い、男から視線を逸らした……その時だった。

男「あの、すみません……ちょっといいでしょうか?」
真吾「ん?」
洸「俺達に何か?」
男「私、つい昨日ここに来たばかりの旅行者なんですが……この店のお勧めって分かりますか?
折角の観光ですから、食事もその土地の美味しい物を食べたいと思っていまして……」

男は自らを観光客だと名乗ると、お勧めの料理を尋ねてきたのだ。
それに対して、ポップが進んで男に説明する。
その後、男はウェイトレスに注文をすると、深々と頭を下げ、礼をしてきた。

男「すみません……どうも、ありがとうございます。」
ポップ「気にすんなって、困った時はお互い様だろ?」
男「そういってもらえれば助かりますね……そうだ。
ついでで、少しあつかましいお願いかもしれませんが……料理がくるまでの間。
よかったら、退屈しのぎに付き合ってくれませんか?」
キリー「退屈しのぎ?」
男「ええ……実は私、結構ギャンブルには自信があるんですよ。
今まで、何百と言う場数をこなしてきましたが……負けたのは、指で数えられるほどですね。」
カガリ「へぇ……凄いじゃないか。
そういうのを聞くと、何だか勝負を挑みたくなるな……よし、私がやろう!!」
アスラン「カガリ!?」
カガリ「いいじゃないか、アスラン。
こういう時ぐらい、好きにやらせてくれたって。」
男「どうも、ありがとうございます……まあ、まずは小手調べですね。
最もシンプルなギャンブルですが……これで勝負しませんか?」

男はポケットから、一枚のコインを取り出した。
勝負の内容は極めて単純……表か裏かを当てるだけである。
カガリはそれを了承し、乗り気で勝負に臨もうとしている。
他の者達も、勝負の行方を見守ろうと、男とカガリに視線を集中させる。
しかし……アスランを含む一部の者達は、男に対して何か不穏な気配を感じていた。
だが、ただのコインギャンブル……何かが起こるとも思えない。
兎に角今は、勝負の行方を見守るしかなかった。

カガリ「あ、そうだ……ギャンブルという事は、何か賭ける物がいるんじゃないか?」
男「そうですねぇ……たとえば、魂とか?」
カガリ「……え?」
男「おっと、変な意味じゃないですよ。
勝負士としての魂……御互いのプライドって意味です。」
カガリ「ああ、そういう事か……よし、分かった。
それなら……魂を賭けよう。」
男「Good!!」

魂を賭ける。
カガリは最初こそ驚きはしたものの、すぐさまそれを冗談として受け流し、そして勝負を受けた。
確かにこの状況下ならば、冗談としか受け取りようは無いだろう。
しかし……それは間違えた解釈だった。
この男の言う、魂を賭けるとは……文字通りの意味なのだから。
コインが男の手を離れ、宙を舞う。
そしてそれを手で受け止めると、男はカガリへと尋ねた。
表か、それとも裏か……カガリは裏を選択した。
誰もが固唾を呑み、勝負の結果を待ち望む。
そして、男の手が開かれた……その中には。

男「残念、私の勝ちだ……出たのは表だ。」
カガリ「くそっ……」
ジュドー「あっちゃ〜、負けちまったな……」
カガリ「だが、まだ最初の勝負だ……もう一度だ!!」
男「……残念ですが、それは不可能な願いだ。」
ポップ「え……?」
男「あなたは私の前で『魂を賭ける』と断言した。
そして、私に負けた……負けた代償は支払ってもらおうか!!」
カガリ「えっ!?」

その、次の瞬間だった。
突然……カガリが意識を失い、その場に突っ伏したのだ。
すぐさまアスランは彼女へ駆け寄り、その体を起こす。
この時のカガリの表情を見て、アスラン達は驚きを隠せなかった。
顔に精気が無い……死人のそれと、全く同じなのだ。

一也「なっ……お前、一体何をした!?」
男「賭けの代償を……魂を払ってもらったまでだ。
さて、自己紹介が遅れたな……私はダニエル・J・ダービー。
DIO様から貴様等の抹殺を命じられた刺客だ。
ちなみに今投げたコインは、表も裏も全く同じ絵柄の特注品だ。」

男……ダービーは自らの名前を名乗ると、一枚のコインをアスラン達に見せた。
そのコインには何と……カガリの顔が描かれていたのだ。
それを見て、すぐに彼等は状況を理解した。
この男は……カガリの魂を抜き取り、一枚のコインに変えたのだ。
その推測は見事に的中していた。
もしも今、この場にスタンド使いが一人でもいたならば……見えていただろう。
カガリが賭けに負けた瞬間……ダービーのスタンド「オシリス神」が出現して、彼女から魂を抜き取ったのを。
そして、その魂をコインへと変化させたのを。
アスランは勢いよく飛び出し、ダービーの胸倉を掴みかかった。
しかしダービーは、怒りの形相をしたアスランとは対照的に、涼しい顔をしたままである。

アスラン「ふざけるな……カガリを元に戻せ!!」
ダービー「残念ながら、それは聞けない頼みだな。
おっと、先に言っておくが……私を殺そうとは考えない方が良い。
そんな事をしたら……もう二度と彼女の魂は、肉体には戻らないのだからな。」
トビア「ふざけるな!!
じゃあこのまま、カガリさんを放っておけっていうのか!?」
ダービー「そうは言ってない……単純な話だ。
私は賭けに勝って、彼女の魂を手に入れた……ならば、君達がどうすればいいか……分かるだろう?」
真吾「……俺達にも、魂を賭けたギャンブルをしてもらおうっていうのか?」
ダービー「その通り……私に勝てば、彼女は解放しよう。
しかし、私に負ければ……私が相手の魂をもらうことになる。
もはや君達は、仲間を見捨てるわけにはいかないというならば、勝負に臨むしかないわけだ。」
ポップ「ちょっと待てよ!!
今の勝負は、完全なイカサマだ……こんなのは無効だ!!」
ダービー「それは誤解だ……ギャンブルの世界では、イカサマを見抜けない方の負けなのだよ。
私がコインを投げる前に、それに気付けなかった君達の負けだよ。
さて……誤解も解けたところで、私は何時始めても構わないぞ?
準備が整ったならば、言ってくれたまえ……魂を賭けようとね。」

不敵な笑みを浮かべ、ダービーは挑発を仕掛ける。
オシリス神は戦闘能力こそ皆無だが、恐ろしい能力を秘めたスタンドである。
『魂を賭けると宣言した相手に勝負で勝った時、その者の魂を抜き取り、コインに変える』
まともに戦い合えば、ダービーはまず戦闘のプロである彼等には勝てないだろう。
しかし、自らの土俵……ギャンブルでの勝負ならば、形成は逆転する。
プロのギャンブラーである自分にとって……相手はアマチュアなのだから。
激戦を切り抜いてきたアスラン達と言えど……このような勝負を経験するのは、初めてであった。


○カガリ→ダービーとの勝負に負けてしまい、魂を抜き取られる。
●ダービー→DIOの命令により、クサナギ組の抹殺に現れる。
カガリとの勝負に勝ち、その魂のコインを手に入れ、さらに勝負を挑む。

【今回の新規登場】
●ダニエル・J・ダービー(ジョジョの奇妙な冒険)
DIOの配下であるエジプト八栄神の一人、オシリス神のスタンド使い。
凄腕のギャンブラーで、イカサマの技術は一流である。
『魂を賭けると宣言した相手に勝負で勝った時、その者の魂を抜き取り、コインに変える』
この能力で、数多くの者達の魂を奪い取ってきた。
たった一人にも関わらず、承太郎達を後一歩まで追い詰める事が出来た猛者。

615 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/16(火) 21:12:35


 飛竜が消え、後に残る五飛とデュオは、
それぞれに苦々しい表情をしていた。

五飛「・・・くそっ!!」
 床を叩き、憤慨する形で悔しがる五飛と

デュオ「は〜〜・・・ ありゃマジで化け物だな。
 あんな怖えぇ目、昔のヒイロでもしてないぜ」
  もうコリゴリだとばかりに、後ろ髪を掻く仕草をするデュオ。

五飛「あんな義も信もないような奴にっ・・・!!
 俺の正義は・・・ くっそぉぉっ!!!」

  五飛の、自身に対する激昂と叱責は止まらない。
 血が出そうなほどに、何度も何度も床を叩く。

デュオ「オイオイ。相手は伝説のストライダーだぜ?
 ライダーとかとタイマン張れるような奴らの一番強いのが相手だった
んだから、そりゃ採点としちゃ厳しすぎだろ!?
 それにさぁ、俺たちあくまでMS乗りなんだし・・・」

  五飛をなんとかフォローしようとするデュオだったが

五飛「・・・・・・・・・」
 五飛は、納得していないようだった。

デュオ「・・・なぁ、トレーズ。
 五飛にも飛竜と契約しようと思った意図をさ、
話した方がいいんじゃねーの?」

 首の向きを変え、トレーズを見るデュオ。

パタリロ「ああ。それは僕も聞きたかった。
 トレーズと飛竜じゃ接点が無さ過ぎるからな。・・・誰のアドバイスだ?」

  すっかり元の服装に戻っていたパタリロは、
ソファに座りながら紅茶を飲んでいた。

トレーズ「ふむ・・・」
 それまで沈黙を守り、皆のやり取りを見ていたトレーズだったが

トレーズ「“森羅”という組織を知っているかな?」
 何の躊躇いも無く、今回の真意を語り出した。

五飛「森羅・・・?」
 名も聞いた事が無いという風の五飛。

パタリロ「先の【五界混沌事件】を解決した、妖狐小牢(シャオムウ)と、
退魔士の青年有栖零児(ありすれいじ)。その二名が所属する、
闇に潜み、人に仇成す魑魅魍魎の退治を専門とする特殊機関。だったか?」

 完璧に答えてみせたのは、変な知識では負けなしと言われる
パタリロだった。

トレーズ「そう。しかし実際に【五界混沌事件】を解決したのは
その二名だけではない。五つの世界の英雄、戦士達が集まり、それが
最終的に40人を超える数となり、その戦士達の力で世界の危機は救われた。
 そして、その内の一人が・・・」

デュオ「“ストライダー飛竜”だった。って事だったよな」

トレーズ「彼の活躍は、その中でも実に目覚しいものだった。
 冥王を名乗る者達を倒し、“九十九”と呼ばれる滅びの災厄の殲滅にも
その力を振るい、また、窮地に陥った多くの仲間達を救ったと。
 本人は否定しているが、当時の仲間達からの評判はすこぶる良いしね。
 もし彼が噂通りの非道残虐なストライダーなら、そうはいかないだろう」

五飛「・・・・・・」

トレーズ「そして今現在、この世界はかつての五界混沌事件を遥かに超える
混沌に見舞われている。
 当時に活躍した戦士達の多くは、それぞれの世界、場所でそれを究明、
鎮圧などに赴いている現状だ」

パタリロ「・・・ああ、僕にもだんだんと読めてきたぞ。
 お前・・・ 森羅のトップと繋がってるな?」

トレーズ「ご名答」
 お互いにニヤリとする、パタリロとトレーズ。

五飛「・・・どういうことだ?」

デュオ「冥王が生きてた、ってのが判明した時、
飛竜ならすっ飛んで行くだろうって小牢達が判断した。
 けど、今回はなにぶん各地でいろんな事が起こりすぎてっから、
前みたいな大所帯での行動は非効率。
 【飛竜は強いが、一匹狼なヤツだから心配だ】ってのが、前のメンバーの
総意で、誰か飛竜をアシストしてくれる奴はいないかって話になったんだ」

トレーズ「それで選ばれたのが、私だ。
 【疑われずに飛竜と取引契約が可能な人物】としてね。
 契約という形を取れば、彼に無理をさせる事無く、救援や命令が可能。
 場合によっては、他の人間と組ませることも出来るだろう」

パタリロ「要するに、素直じゃない奴を型に嵌めたわけか。
 ・・・なんだか、好き嫌いのある奴にバレないように嫌いな食べ物を
入れるのと変わらんな」

トレーズ「・・・それを言っては元も子もないよ、パタリロ君」

デュオ「・・・・・・・・・」
 デュオは、飛竜のあのしかめっ面を幼稚園児に合成して、
ニンジンの入ったカレーを黙々と知らずに食べる怖い顔の幼稚園児を
妄想して・・・

デュオ「ぷっ・・・ プックククク・・・」
 ツボに入ったのか、口を押さえて笑いだす。

五飛「トレーズ・・・・・・」
 一人だけ何も知らなかった五飛は、
トレーズに対し大分腹を立てているらしい。
 額に青筋を立てながら、トレーズを睨みつけている。

トレーズ「何かな?」
 やはり、涼しい顔のままのトレーズ

五飛「・・・貴様の事だから、最終的には自分の目でストライダーを
判断するつもりだったのだろうな」
 静かな怒りを内に秘め、尋ねる。

トレーズ「その通り。・・・まあ、実際心配は要らなかったがね」
レディ・アン「閣下のお眼鏡に叶う人物だったのですか?」
 レディ・アンの質問に、トレーズは無言で頷いた。

五飛「そういえば、デュオ」
デュオ「ん?」

五飛「貴様・・・ 俺にわざと喋ったな?」
デュオ「は? ・・・い、いや〜? 俺には何の事だか・・・」
 五飛の指摘に、目を背けるデュオ。

五飛「とぼけるな」

     (チャキ・・・)

 今度は、五飛の青龍刀がデュオの喉元に突きつけられる。

デュオ「げっ・・・(おいおい、今度は喉元刃物デーか何かか!?)」
五飛「さあ、吐け」

デュオ「・・・ははは、トレーズにそれとなく喋るように言われてました♪」
 冷や汗ダラダラの状態で、遂に白状する。

トレーズ「おやおや、バレてしまったか」
 トレーズもまた、犯行を自白した。

五飛「き〜さ〜ま〜ら〜・・・・・・!!」
 ついに、五飛の怒りは頂点に達した。
 そのあまりの怒りのオーラに、五飛の背後には、燃え盛る炎と
不動明王像の映像すら見え始めるほど。

デュオ「うわ・・・ お、おいおい。落ち着けって。な?」
 そのあまりの迫力に、後ずさりするデュオ。

 そこで

     (バッシャ───!!!!)

 突如、五飛の背後から、大量の放水。
 それにより、五飛の全身が水でビシャビシャになる。

五飛「・・・・・・」
 一瞬思考がフリーズする五飛。

パタリロ「火災ポイント消火に成功! 要救助者、一名確保────!!」
 消防士コスチュームのパタリロが、してやったりという顔で
要救助者に見立てたバンザイぬいぐるみを抱き抱える。

五飛「・・・また、お前か・・・」
 怒りが溜まりに溜まり、五飛は爆発寸前だ。

パタリロ「第二放水、始め!!」

      (ブシュ────ッッ!!!!)

 しかし、おちょくりのプロであるパタリロは怯まず、
今度はすごい勢いのホースの水が、五飛の顔面を直撃する。

五飛「ぶっ!!? ゲホ、ゲホゲホっ!!!!」
 水が鼻に入ったのか、咳き込む五飛。

パタリロ「ぶーんっ」

    (シャカシャカシャカシャカ────!!!)

 消防士の恰好を脱ぎ捨てると、
パタリロは懐かしのゴキブリ走法でその場を逃げ出した。

五飛「待て貴様ぁ──────っ!!!!」
 青龍刀片手に、五飛は逃げるパタリロを追いかけていった。


 後に残っているのは、トレーズ、レディ・アン。そしてデュオ。

デュオ「あー、助かった・・・」
 と、思ったところで、デュオはふと思いつく。

デュオ「(まさか・・・ トレーズの奴、マリネラ国王までわざと情報流して
五飛の怒りの矛先から逸らす役にしたんじゃ・・・)」

 そんな愚にもつかない、しかしトレーズなら在り得そうな可能性を
考えながら、チラとトレーズの顔を伺うデュオ。

トレーズ「(ニヤリ)」
 上品なその笑顔は、その答えを何となくデュオに悟らせる事が出来た。

デュオ「(うっわー・・・ こいつにはもう未来永劫勝てる気がしねー・・・)」
 と、心の中で呟きながら

デュオ「・・・じゃ、俺も帰るわ。ヒルデへの土産考えねーと」
 早々に退散する事にした。

トレーズ「ご苦労だったね。彼女にもよろしく言っておいてくれたまえ。
 ・・・あと、また機会があればよろしく頼むよ」

デュオ「今回受けたのはジャンク屋の改装資金が欲しかっただけ。
 二度とやんねーよ」
 と、言いながら後ろ手でバイバイと手を振り、
デュオも階段を降りていった。


 デュオがいなくなった後の応接室は、実に静かなもの。

トレーズ「レディ。君も似ていると思わないか? 飛竜君は」
 二人きりとなった室内で、トレーズはふとそう呟いた。

レディ・アン「?? ・・・ああ、彼、ですか。確かに」
 レディ・アンも、すぐにトレーズの意図を把握し、同意する。

トレーズ「そう、そっくりだ。昔のヒイロ・ユイにね」
 そう言うと、トレーズは初めて椅子から立ち上がる。

トレーズ「さて・・・ 次の約束に向かうとするか。
 レディも、そろそろリリーナ君の所に戻った方がいい」

  時計を見ながら、トレーズは外套を羽織る。

レディ「は・・・ 閣下。お聞きしてもいいでしょうか?」
 レディ・アンは、トレーズの【次の約束】というものが気になった。

トレーズ「ああ。別に飛竜君のような玄人や、パタリロ君のような元首と会う
用事ではないから、安心してくれたまえ」

レディ・アン「・・・・・・? では・・・」

トレーズ「今の私は墓の下から這い出た亡者に過ぎない。
 だが、そんな私でも、出切る事。そしてやらなければならない事はある。
 一つは、私と同じ様に出て来た物騒な亡者達の鎮圧。
 そして、もう一つは・・・」

レディ・アン「・・・・・・」
 レディ・アンは、トレーズのもう一つの隠された【義務】とは何なのか、
その疑問に動悸を早めた。

トレーズ「家族サービスだ」

レディ・アン「・・・・・・は?」
 しかし、出て来た答えは、実に意外なものだった。

トレーズ「マリーメイアと二人で遊園地に行く予定になっていてね。
 生前は無かった機会だ。充分に活かそうと思っている」

レディ・アン「・・・・・・・・・」
 真面目な顔でそんな事を言うトレーズの姿は、レディ・アンはこれまで
見たことがなかった。

 そして、マリーメイアに手を引かれ遊園地を歩くトレーズ閣下の姿と
いうのも、いくら頭を捻ってもまるで想像できない。
 レディ・アンに今できる事は、急に沸き起こった笑いの衝動を抑え、
顔に出さない事に専念することだった。

トレーズ「おかしいかな?」
レディ・アン「いえ・・・ 素晴らしい事だと、思います」
 それは、レディ・アンの本心である。

 マリーメイア様にとっては、それは、とても嬉しい奇跡だろうから。

トレーズ「ああ、そうだ。レディ」
レディ・アン「はい」

トレーズ「マリーメイアぐらいの年頃だと、どんなプレゼントが喜ぶかな?」
 

616 名前:新章/飛竜契約篇:2006/05/16(火) 21:25:27

○トレーズ・クシュリナーダ→森羅と繋がっていた事、そして
五飛、飛竜、パタリロ含め全て掌の上だった事が判明。
飛竜とヒイロが似たもの同士だと判断する。
マリーメイアとの家族サービスの為に遊園地へ向かう
○レディ・アン→トレーズの隠された目的(家族サービス)を聞かされ
驚く。そして、娘へのプレゼントについて聞かれる。
○パタリロ・ド・マリネール8世→五飛をおちょくり、懐かしの
ゴキブリ走法で逃走。対等と思われていたトレーズには実は踊らされていた。
△張五飛→トレーズには掌の上で踊らされ、パタリロにおちょくられる
といういいとこなしの退場。
○デュオ・マックスウェル→実はジャンク屋の改装資金の為、ほぼ
トレーズの依頼で動いていた事が判明。今回はそれほど貧乏くじを引かずに
退場。


617 名前:新章/ポイントゼロ:2006/05/21(日) 09:15:19

>>598の続き。

大剣アロンダイトビームソードで
襲い掛かるキングダークの群を一体一体切り伏せていく
デスティニーガンダムだが、
その迫る巨体の数は一向に減る気配がない。

シン「チッ…これじゃあキリがないじゃないか!!」

両肩のビームブーメランで敵を牽制しつつ、
追っ手を振り切って闘技場から城の中庭へと出た
デスティニーは、丘の上に立つ全身エメラルド色の、
さらに通常のキングダークよりも巨大な鋭い二本の角を持つ
鋼鉄の巨人を前方に確認した。

シン「とうとうボスキャラのお出ましか!」

向こうの敵機――キングダークマグナより声が届く。

アポロガイスト「お前がデスティニーガンダムか!」

シン「誰だ!?」

アポロガイスト「Dショッカー秘密警察長官! アポロガイスト!
 そしてこれはキングダークマグナだ!」

シン「…Dショッカー秘密警察?
 そうか! お前が以前にステラたちを!?」

アポロガイスト「小僧! この前はよくも邪魔してくれたな!
 このキングダークマグナがお前を殺す!」

そう言い放つや否や、キングダークマグナの両眼から
破壊光線の雨が容赦なく降り注ぐ!
しかしデスティニーは両手甲クリスタル部に内蔵された
ビームシールドで辛うじてそれを防ぎきる。

シン「――!! なんてパワーなんだ!」

アポロガイスト「なかなかやるな!
 だが全身が武器庫となっているキングダークマグナの全砲門は、
 小惑星ですら軽くぶち抜くのだ!!」

シン「やらせるかぁ――!!」

デスティニーは最大出力で、背部ウイングバインダーより放出された
ミラージュコロイド粒子によって構成されるビームウイング――「光の翼」を発生させ、
キングダークマグナめがけて突進を試みる。
そして「掌の槍」――パルマ フィオキーナを相手にあてがおうとする。
しかし次の瞬間、全砲門を展開したキングダークマグナは、
加圧砲、キャノン砲、メガ粒子砲、そして胸のハッチから
無数のミサイルを発射した。
それらをもろに浴びてしまうデスティニー!

シン「うわあああっっっ!!!!

アポロガイストの勝利の高笑いが響く。

アポロガイスト「ハーッハッハッハ!!!!

618 名前:新章/ポイントゼロ:2006/05/21(日) 09:16:29

***無幻城・牢獄***

シン「ぐわあっ!! うっ…うわあああ!!!!」

ここは無幻城の第6ブロック・秘密警察庁にある
捕虜収容施設である。
被弾してボロボロになったガンダムから引き摺り下ろされ、
捕らえられたシンは拷問を受けていた。

ハスラー「ええい! しぶといガキだ!
 いい加減素直に洗いざらい白状したらドウダ!?」
シン「………」

ハスラー教授の尋問にも一切答えず、
さっきからずっと黙秘を貫くシン。
そこへアポロガイスト、そしてスマートレディ!?が入ってくる。

シン「…あ、あんたは!?」
スマートレディ「ウフフフ…おバカさん♪
 わたしはそー簡単には死なないわよ♪」
シン「………」

スマートレディが生きていた事に一瞬驚くも、
無言のまま睨み返すシン。

白いスーツの男「吐いたか?」
ハスラー「ダメだ。この小僧、さっきからダンマリを決め込みオッテ、
 一向にこっちの言う事に答えりゃせんワイ!!」
白いスーツの男「シン・アスカ! そろそろ我々の尋ねる事に
 答えてもらおうか! その方が楽になるぞ」
シン「…フン! 誰がお前らなんかに…!」
白いスーツの男「ほほう…それだけ痛めつけられても
 まだ減らず口を叩くだけの元気はあるようだな。
 では尋ねよう。お前にこのDショッカー地球総本部・無幻城へと
 潜入調査するよう命じた者は誰だ? お前一人だけの行動ではあるまい!
 プラントのラクス・クライン、あるいはオーブのキラ・ヤマトか?」
シン「…知らないね! 殺すならさっさと殺せ…!!」
白いスーツの男「フフフ…言っておくが、俺は人を殺さずに
 じわじわと痛めつける方法を何通りも知っているのだ!」

自分のネクタイを外したアポロガイストは、
それをシンの首に巻きつけてぐいぐいと締め上げる!
苦しさで悲鳴を上げるシン!

シン「う!…うわああああ!!!!!」
白いスーツの男「さあ言え! お前の背後にいる者は誰だ! 言うのだ――!!」

619 名前:新章/ポイントゼロ:2006/05/21(日) 09:17:29

***同城内・医務局手術室***

一方その頃、宮本博士(本物)と坂田社長の二人は
医務局の手術室へと入り、そこで培養液に浸された水槽型の生命維持装置の
中に浮かぶ一人の男の生首を目撃していた。

宮本「――こ、これは!?」

その生首はじっと両目を閉じたまま
眠ったように動かない。

坂田「一体誰の首なんだこれは!?」

その時、突然後ろから声がした。

天王路「スマートブレイン社の前社長・村上峡児氏。
 またの名をオルフェノクの王・アークオルフェノクに仕える
 一の臣・薔薇邪将ローズオルフェノク!」
宮本「あ、あなたは?」
天王路「驚かせて失礼した。私はショッカー正規軍・十二邪将が一人、
 不死邪将ケルベロスUという者だ」
坂田「…で、ではあなたが、
 人類基盤史研究所――通称 BOARDの総帥であった
 あの天王路博史理事長!?」
宮本「お噂には聞いておりましたが、
 こうして直にお会いできて光栄です。
 …で、我々がここに呼ばれた訳とは?」
天王路「坂田社長、例の約束の物は持参していただけたかね?」
坂田「ええ、ここに」

坂田は天王路に一枚のディスクを手渡した。

天王路「フフフ…ご苦労。では宮本博士、
 これを使ってシグマドライバーを完成させると同時に、
 村上君の肉体再生手術を行ってもらいたい」
宮本「村上社長の再生手術を!?」
天王路「一度はファイズとの戦いに敗れた彼ではあるが、
 まもなく表裏六柱の至高邪神が主催される、
 世継ぎたる次期創世王を決定するための、
 全次元を巻き込んだ真のバトルファイトが開始される。
 そのためには本来オルフェノクの総司令官でもある
 ローズオルフェノクは、Dショッカーにとってまだ必要な存在なのだ!」
宮本「わかりました。シグマドライバーの未完成部分を
 強力なメカニックにチェンジしましょう!」
天王路「博士の持つ最高峰の技術に期待している」

620 名前:新章/ポイントゼロ:2006/05/21(日) 09:20:09

***同城内・牢獄***

先程のシンの繋がれている牢獄である。

GOD戦闘工作員A「おい、交替の時間だ!」

重々しい音と共に分厚い鋼鉄の扉が開かれ、
交替要員の拷問担当士官が入ってくる。

GOD戦闘工作員B「…ん? まだ交替の時間には早いはずだぞ。
 ――待て! その声、貴様女だな!! 何者だ!?
 正式な所属とコードナンバーを―――!!」

ビュン! バシィッ!!

スタンビュートの唸り音が牢獄内に響き渡る!
戦闘工作員Bは頚動脈を激しく打ち込まれて一瞬で失神した。

シン「遅いですよセレーナさん!!」
GOD戦闘工作員A「文句言わないの! これでも
 ここまで探すの大変だったんだからね!」

戦闘工作員Aが覆面とゴーグルを脱ぎ捨てると、
そこからは薄紫の長髪を伸ばした美しい女の顔が!
そして手にしたスタンビュートの一閃が、
シンの両腕を拘束していた鎖を引きちぎる。

セレーナ「随分と痛めつけられたみたいね。動ける?」
シン「なんのこれしき! どうってことないですよ」

セレーナは胸元から通信機を手に取り
誰かに連絡を取っている。

セレーナ「聞こえるエルマ!」
通信機の声(エルマ)「良好ですセレーナさん。
 無幻城からの脱出ルートは確保しました。
 シンさんのデスティニーが回収された先の位置も
 きっちり確認済みです」
セレーナ「OK! それじゃあデスティニーを拾ったら
 こんな場所からは早々におさらばしなきゃね!
 ナビよろしくぅ!」
通信機の声(エルマ)「ラジャ!」

621 名前:新章/ポイントゼロ:2006/05/21(日) 09:22:44

数分後、異変を嗅ぎ付けて牢獄に来た
アポロガイストとハスラー教授であったが、
すでにそこにはシンとセレーナの姿はなかった。

アポロガイスト「起きろこのマヌケ!」
GOD戦闘工作員B「――!? ジ、ジーッ!」

アポロガイストに蹴り起こされる戦闘工作員B。

アポロガイスト「Dショッカーに失敗は許されん!
 貴様は即刻死刑だ!」

アポロマグナムの銃剣で戦闘工作員Bを一突きにするアポロガイスト。

ハスラー「OH〜NO〜!!何たることだ!
 我がDショッカーにはありえない失態だ……!ガッデム!ガッデーム!!
 こうなった以上、おまえらDショッカー秘密警察の責任は必ず追及するゾイ!」
アポロガイスト「やかましい! 直ちに非常警備だ!
 城内の全出入り口を封鎖しろ!」


***同城内・医務局手術室***

宮本「何やら城の中が騒がしいようですな?」
天王路「心配ない。この無幻城の中は全通路が迷路の如く
 網の目のように張り巡らされている。逃げ出した侵入者が
 再び捕まるのも時間の問題だ。さあ、手術を続けたまえ」

そして肉体再生作業の続く中、水槽の中の村上の目が緩やかに見開いた!?

村上「………」( ̄ー ̄)ニヤリ

622 名前:新章:2006/05/21(日) 09:24:46

●スマートレディ→やはり生きていた。その正体は依然謎のまま。
●村上峡児→首だけの状態から、いよいよ肉体再生手術が始まる。
○シン・アスカ→アポロガイストのキングダークマグナと対決するも敗れ、
 捕らえられて拷問を受けるが、セレーナに救出される。
○セレーナ・レシタール→シンの後を追って無幻城内に潜入していた模様。

【今回の新規登場】
●村上峡児=ローズオルフェノク(仮面ライダー555)
 スマートブレイン社前社長。Dショッカー薔薇邪将。
●天王寺博史=ケルベロスU(仮面ライダー剣)
 人類基盤史研究所BOARDの元理事長。Dショッカー不死邪将。
○セレーナ・レシタール少尉(バンプレストオリジナル)
 地球連邦軍特殊部隊「チーム・シェルバ」の生き残り。
 AS-04R ASアレグリアスのパイロット。
○エルマ(バンプレストオリジナル)
 セレーナのパートナーを務める自律型の小型ロボット。

623 名前:新章/ポイントゼロ:2006/05/27(土) 08:46:40

***無幻城・格納庫***

エルマと合流後、デスティニーが運び込まれたブロックに突入し、
警備についていた黒尽くめのスーツにガスマスク姿の
ショッカー戦斗員たちを片っ端から蹴散らしていくセレーナとシン。
機能が停止した戦斗員たちは皆、泡となって消える…。

エルマ「何者なんでしょう、こいつら…」
セレーナ「今までのショッカー戦闘員は人間臭い奴らが多かったけど、
 こいつらはさらに戦闘のみに特化された存在みたいね。
 余計な知能や感情は一切持ち合わせていない…」
シン「………」

格納庫エリアの奥の方にデスティニーを発見したシンは
直ちに機体に飛び乗る!

セレーナ「あら〜綺麗に修理してあるじゃな〜い!
 どう、動かせる?」
シン「各部、異常なし! 問題ありません!」
セレーナ「エルマ!」
エルマ「ラジャ!」

持っていたホイポイカプセルを放り投げて
愛機であるASアレグリアスを出すセレーナ。
そのまま壁をぶち破って、デスティニーとアレグリアスの二機は
無幻城の外へと飛び出る!

セレーナ「シン! わかってるだろうけど、
 ここは地球であって地球じゃない! 地球上の地点と繋がった
 全く別の空間よ!」
シン「だとすれば一体ここはどこなんですか!?
 連れて来られる時、車内で目隠しをされてたからさっぱり――!!」
エルマ「魔空空間と幻夢界、そして不思議時空。
 三つの異空間が唯一交わる場――ポイントゼロ。
 それがこの空間の正体です!」

後方より飛行能力まで身につけたキングダーク部隊が追ってくる。

エルマ「セレーナさん! 追っ手です!」
セレーナ「チッ…時間がないってのに!
 早くここから脱出しないと、私たちは永久にこの空間に閉じ込められる!
 まとめて片付けるよ!!」
シン「…(ちょっとムッとしたように)わかってますよ!!」

追ってくるキングダーク部隊を残らず切り払うと、
光の差す出口らしき空間の穴へと突っ込むアレグリアスとデスティニー!

624 名前:新章/ポイントゼロ:2006/05/27(土) 08:48:54

***同城内・ブレインルーム***

GP隊員「ローズオルフェノク様の再生手術、完了いたしました!」

広間全体に鮮血のように広がる
赤い絨毯を踏み進む、禍々しき白薔薇――ローズオルフェノク!
不死なる魔犬――ケルベロスUに変身した天王路が出迎える。

ケルベロスU「おめでとう村上君。さあ、大首領がお待ちかねだ!」
ローズオルフェノク「………」

すると突如、ブレインルームの天空中央が輝き、
暗かった広間を照らす。ホログラフで浮かびあがったのは、
双頭の鷲(頭の1つは鷲、もう1つは烏のそれである)に両側から
薔薇と蛇が絡み付いているエンブレム=ディバイン・ショッカーの紋章だ。
それが明滅するたび、大首領の声が響く!!

大首領の声「再びこの世に蘇ってきた気分はどうかな?
 ローズオルフェノクよ!」

ローズ@村上の影「上の上たる気分です! 大首領、感謝いたします」
ケルベロスU「村上君、この度君に復帰してもらったのは他でもない」
ローズ@村上の影「いよいよDショッカーの真の次期創世王を決するための
 バトルファイトが開催されるのですね?」
ケルベロスU「その通りだ。GVMN・ラボの反乱という横槍のために
 一度は頓挫したが、今度こそは何としても成功させなければならない!」
ローズ@村上の影「GVMN・ラボの他にもまだ、バトルファイト決行にとって
 何かよからぬ不安要因があると…?」

ここでブレインが言葉を発する。

ブレイン「その通りだ! 私の超計算能力が算出した
 バトルファイト遂行プラン……これを滞りなく進めるためには、
 地球至上主義者たちに独自の接触ルートをもつ君の存在が不可欠なのだ!」
ローズ@村上の影「わかりました。バトルファイト完全遂行の露払いの役目、
 お引き受けしましょう。ところで私の手術中に侵入者はどうなりました?」
ブレイン「残念ながら取り逃がしたようだ。
 シン・アスカの他にもネズミが二匹ほど入り込み、
 何やら基地内のメインコンピューターにアクセスしていたようだがな…」
ローズ@村上の影「それでは我々の今後の作戦計画が
 外部に漏れてしまったのではありませか?」

懸念を示すローズオルフェノクにブレインが呟く。

ブレイン「いや、かえってその方が都合がいいかもしれん…」


***同城内・キングダークマグナ専用格納庫***

アポロガイスト「………」

シンたちが無事に逃げ出した後の無幻城。
戦闘を終えた自分の機体をまじまじと見つめている。
その視線の先には、微かな掠り傷が…。

アポロガイスト「あの激戦の中でいつの間に…!?
 フフフ…どうやらXライダーの他にも、
 殺しがいのある奴が出てきたようだな…!」

625 名前:新章/小惑星帯:2006/05/27(土) 08:52:09

火星と木星の間にある小惑星の軌道が集中している領域――
――アステロイドベルトは、木星軍を中心とする
反地球連邦勢力が密かに集結しているエリアでもある。

***サウザンスジュピター・艦内***

ヘリウム3を運ぶ超大型惑星間輸送艦にして
木星帝国軍の旗艦でもあるサウザンスジュピター。
その艦内にある高級幹部専用の書斎へと通される
シン・アスカとセレーナ・レシタールの二名。
出迎えたのはプラント前最高評議会議長ギルバート・デュランダルである。

デュランダル「ご苦労だったシン。危険な任務を
 よくぞこなしてくれたね」

無事に帰還したシンを労うデュランダル。

シン「いえ、結局正体を途中で見破られて
 潜入任務は失敗してしまいました…」
デュランダル「そんな事はない。君たちのおかげで
 少なからずDショッカーの地球圏での動きを掴む事ができた。
 君が敵の基地内で遭遇したという闇の巨人の大兵団。
 近々Dショッカーが大攻勢に出るのは間違いないだろう」
セレーナ「…それで、ご自分の腹は決まったのかしら? 議長さん」
デュランダル「……さあて…どうかな。フフ」

セレーナの問いをさりげなくかわすデュランダル。
そこへ木星軍の連絡士官が入ってくる。

木星帝国士官「シヴァー閣下がお見えです」
デュランダル「通してくれたまえ」

書斎へと入ってくるゼ・バルマリィ帝国前宰相シヴァー・ゴッツォ。
配下のゴラーゴレム副隊長スペクトラも一緒である。
スペクトラはセレーナを一目見るなり、
案の定すごい形相で睨む。

スペクトラ「………」
セレーナ「あらら、わたしたちは早々に
 ここからお暇した方がよさそうね」
デュランダル「いや構わん。ここに居てくれたまえ」

626 名前:新章/小惑星帯:2006/05/27(土) 08:54:11

早速スペクトラがセレーナに食って掛かる。

スペクトラ「貴様、なぜこのような場所にいる!?
 一体何が目的だ!!」
セレーナ「あらあら…アタシの今の稼業は傭兵よ。
 此処だと地球軍より待遇がいいから、たまたま木星軍に雇われてるだけ♪
 その答えだけじゃ不服かしらん?」
スペクトラ「ふざけるな! この雌犬が!
 ここで今すぐ本性を暴いてやる!!」
セレーナ「……どうしてもって言うなら相手になるよ!!」

武器を構える両者。
だが一触即発の状態をシヴァーが制する。

シヴァー「よさぬか」
スペクトラ「しかし閣下! こやつは間違いなく地球軍のスパイ!
 今ここで始末しておかねば後々面倒な事に!!」
シヴァー「よせと申しておる!!」
スペクトラ「……くっ、覚えておいで。
 必ずお前の尻尾を掴んでやるから!!」

捨て台詞を残し退室するスペクトラ。

シヴァー「許せよ、セレーナ・セシタール。
 部下の非礼は私が代わって詫びよう」
セレーナ「(皮肉っぽく)別に…」
シヴァー「…それで、汝がシン・アスカか?
 なかなかいい目をしているな」

今度はシンの方へと近寄るシヴァー。
しかしシンは睨み返すばかりで、
ちっともシヴァーの問いに答えようとしない。

シン「………」
シヴァー「どうしたのだ?」
デュランダル「シン、シヴァー閣下に失礼があってはならない。
 ご挨拶を…」
シン「地球にある一人の女の子がいたんだ…」
シヴァー「…??」
シン「その女の子はどこにでもいる普通の娘だったんだ。
 でも悪い奴らに利用されて、戦争に駆り出されて……。
 だから俺はその女の子が兄のように慕ってる人に頼んだ!
 もう二度とその女の子を戦争に巻き込まないでくれって!
 でもそいつは約束を破った!!」
シヴァー「………」
シン「そいつもアンタみたいに仮面を着けていた。
 だから俺は仮面を着けて顔を隠してる奴なんか信じない!!」
シヴァー「そうか。それは済まなかったな…」
シン「――!?」

シヴァーはあっさりと仮面を脱ぐ。
そこからは白髪を長く伸ばした老人の顔が現れた。
セレーナもバルマー星で一度は見た事のある
シヴァー・ゴツツォの素顔である。

シン「あ、あんた……」
シヴァー「これで気をよくしてもらえたかな?」

呆気にとられるシン。

627 名前:新章:2006/05/27(土) 08:55:49

○セレーナ・レシタール、エルマ、シン・アスカ→無幻城から脱出。
 彼らは現在ジュピトリアンに所属している模様。
 一度はキラと共に戦うと誓ったはずのシンがなぜ木星軍にいるのか?
 そしてセレーナたちの真の目的とは?
●無幻城の所在地は、魔空空間と幻夢界、そして不思議時空。
 これら三つの異空間が唯一交わる場――ポイントゼロ。
●村上峡児→再生手術を無事に終え、ついに復活し邪将の地位に復帰。
 何らかの目的のためにロゴスと接触するよう密命を申し渡される。

【今回の新規登場】
●シヴァー・ゴッツォ(バンプレストオリジナル)
 ゼ・バルマリィ帝国最高評議会「シケム」の議長であり、
 霊帝近衛軍総司令官。十二支族ゴッツォ家の家長。
●スペクトラ・マクレディ戦爵(バンプレストオリジナル)
 ゼ・バルマリィ帝国監察軍特殊部隊「ゴラー・ゴレム隊」の副隊長であり、
 ヴィレッタ・バディムのクローン。セレーナとは因縁のライバルである。

628 名前:新章/月:2006/06/19(月) 08:10:50

***月面都市 フォンブラウン***

ここはフォンブラウン市内にある軽犯罪者専用の留置場である。
ここの守衛室で、守衛とサングラスをかけた男が会話をしている。

男「これが証明書だ、そして保釈金…」

守衛が渡された紙と金額を確かめる。

守衛1「…確かに。あんた、あの男を引き取ってどうしようっていうんだ?」
男「さぁ。うちのリーダーの命令でな…詳しいことは知らん。
 まぁ悪いことにはならんさ」

会話している間に別の守衛がその男を連れてくる。

守衛2「お待たせした。保釈するのは"デトローフ・コッセル"。
 こいつで間違いないな?」
男「ああ、では行こうか、コッセル殿。付いてきてくれ」
コッセル「あ、ああ。(こいつ誰だ?)」

外に止めてある車に乗る二人。すぐに車を発信させるサングラスの男、
その名をマフティーの一員、ガウマン・ノビルという。

ガウマン「あんた、なんだってあんなとこに?」
コッセル「黄泉がえったのが信じられずに暴れていたら警察に捕まった。」

ガウマンはため息をついた。

ガウマン「…そんな事してくれるから探すのに時間かかっちまったじゃないか。
 まぁいい。あんた、自分が黄泉がえったことは分かってる。
 じゃあ、あんたが1度死んでから今までに起こった出来事、
 どの位知ってる?」
コッセル「留置所では暇を持て余していたからな、
 そういうことがまとめられた本とか新聞を読んで大体は分かるつもりだ」
ガウマン「なら、話は早い。俺の名はガウマン・ノビル。
 マフティーってグループの一員だ。…おっと言いたい事は
 色々あると思うが、とりあえずうちのリーダーに会って貰えないか?
 決して悪いようにはしない」
コッセル「…分かった。」

その答えを聞くとガウマンは車を操作し、近くのホテルに入った。

629 名前:新章/月:2006/06/19(月) 08:11:49

***同市内・某ホテル***

車から降りてある1室にコッセルを連れて行くガウマン。

ガウマン「(ノックした後)俺だ、ガウマンだ。連れて来たぜ」
???「(変声期を使った声)開いている、入ってくれ」

入っていく2人。部屋の中は薄暗く、
部屋の真ん中をカーテンのようなもので仕切られ
その向こう側に1人いることが分かる。

???「ご苦労様、ガウマン。
 コッセルさん、私がマフティーのリーダー、マフティー・ナビーユ・エリンだ。
 この様な会見の仕方だが勘弁していただきたい」
コッセル「俺をこんなとこに連れてきた理由は何なんだ?」
マフティー「その理由を説明する前に
 貴方の左側にあるドアを開けていただきたい。
 よろしいかな?」
コッセル「………」

コッセルは怪しみながらドアの前まで行き、そしてドアを開けた。

コッセル「――お、お前達は!?」

ジオン海兵隊「「「コッセル艦長!!」」」

なんとドアを開けるとそこには、
かつての自分の部下達がいたのだった!
さらに後ろからもよく聞き慣れた声が聞こえる。

???「コッセル、随分遅いお出ましだねぇ。何処ほっつき歩いてたんだい?」

コッセルはびっくりして振り返る。

コッセル「その声は…シーマ様!?」
シーマ「それで私達に何させようっていうんだい、マフティー?
 つまらない事ならただじゃ済まさないよ!」
マフティー「それは貴方達で考えてください。
 それぞれ違う道を進むもよし。皆で商売をするもよし。
 何なら兵士としての再就職でも構いません。
 その場合、マフティーかエゥーゴというか今はロンド・ベルですね、
 もしくはネオジオンに今だとなります…」
シーマ「勝手に選択肢を狭めないでもらいたいねえ。
 Dショッカーやジュピトリアンっていう選択肢もあるんじゃないのかい?」
マフティー「いずれにしろ皆さんで相談してください。
 2日後答えを聞きに伺います」
シーマ達「………」

覆面を着け素顔を隠したままのマフティーと
ガウマンが部屋から出て行く。

シーマ「…お前達、どうしたい?」


***同ホテル・客室前廊下***

部屋から出て来たガウマンを待っていたのは、
歳は15〜6頃のガンマン風の少女、
そして小学生高学年くらいの女の子であった。

メグ「ガウマンさん、いーの?
 アイツって確かシーマ・ガラハウでしょ!」

ガンマン風の少女――メグが、
マフティーの行動に疑問を呈する傍らで、
もう一人の手持ちのノートパソコンを自在に操る
小さい年頃の少女――エイミーもメグを援護する。

エイミー「――シーマ・ガラハウ。元ジオン公国軍突撃機動軍所属。
 階級は中佐。性格は非常に好戦的。かつてのザンスカール帝国軍の
 カテジナ・ルースと併せて、通称・宇宙の二大毒婦!
 コレ、ぜったい敵に回りそうな気がするな〜」
メグ「もしDショッカーにでも行かれたらどうすんのよ!」
ガウマン「これはリーダーの決定した事だ。
 俺たちはそれに従うまでさ。それよりもお前ら、
 大至急地球に向かってもらうぞ」
メグ「なんでまた急に…?」
ガウマン「そこのハッカーのお嬢ちゃんが収集してくれた情報によると、
 地球でまた厄介な事が起こりそうなんでな。向こうでトップガンダーと
 合流してくれ。詳しい指示は追って伝える」

630 名前:新章/小惑星帯:2006/06/19(月) 08:13:05

***サウザンス・ジュピター艦内***

任務の全報告を終えて、
デュランダルの書斎より退室するシンたち。
廊下で待っていたエルマと合流する。

シン「………」

艦内の廊下を歩きながら深く考え込むシンに、
セレーナが横からそっと耳打ちする。

セレーナ「アンタ、一瞬シヴァーに気を許したでしょ?」
シン「…な!?」
セレーナ「でなきゃ圧倒されてた?」
シン「………」
セレーナ「あーやるのが人を誑し込むあのじーさんのやり口よ。
 くれぐれも簡単に信用しちゃダメだからね」

シンはムッとなって反論する。

シン「――そんな! わかってますよ!
 俺を誰でも信用するようなお人好しみたいに言わないでください!」
セレーナ「そ、ならいいけど…。
 それと他にも――」
シン「――まだ何かあるんですか!」
セレーナ「君、地球に降りてから単独行動中に
 Dショッカーに捕まってたあのステラって娘を助けたでしょ?」
シン「そ、それは……」
セレーナ「そういう勝手な行動も控えなさい。
 ま、アタシもあんまり人のことは言えないけどね…」
エルマ「セ、セレーナさん…(汗」


***同艦内・デュランダルの書斎***

一人になったデュランダルは、
机の上にチェスの駒を並べながら回想にふけっている。
それは一ヶ月ほど前のことであった。

―――(回想シーン)

サウザンス・ジュピターにあるシロッコの私室である。
作戦に必要な書類をまとめていたシロッコの元に、
腹心の1人サラ・ザビアロフから通信が入る。

サラ「パプテマス様、ギルバート・デュランダル前プラント最高評議会議長が
 目を覚まされました」
シロッコ「わかった、すぐそちらに向かおう」

返事をしたシロッコは、端末を操りどこかに繋ぐ。

シロッコ「私だ。ザフト軍のデュランダル派の兵士に
 デュランダルが黄泉がえったことを流せ」
シロッコ私兵@モニター「はっ」

部屋を出てデュランダルがいる医務室に向かう途中、
もう1人の腹心、レコア・ロンドと合流する。

レコア「シロッコ、搭載機全機の整備が終わったわ」
シロッコ「ご苦労、となるとアレも出せるな?」
レコア「ええ。ところで何処へ行くの?」
シロッコ「ふふ、ついて来ればわかる」

631 名前:新章/小惑星帯:2006/06/19(月) 08:13:48

***同艦内・医務室***

デュランダルがベットから上半身を起こして、ボーっとしている。
自分が黄泉がえったという事に対しまだ実感がもてないようだ…。
そこにシロッコとレコアが入ってくる。

シロッコ「お目覚めかな?ギルバート・デュランダル殿」
デュランダル「君は…パプテマス・シロッコ!?」
シロッコ「いかにも。さて、簡単なことはサラ…
 …貴公が目覚めた時にここにいた少女に聞いたと思うが?」
デュランダル「ああ、しかし信じられんよ」
シロッコ「まあ無理もあるまい。我が木星軍の中にも
 そのような者が少なからずいたからな」

その時サラが書類を片手に入室してくる。

サラ「パプテマス様、頼まれていた書類をお持ちしました」
シロッコ「ご苦労。ではデュランダル殿、この資料をお読みいただきたい。
 貴公が亡くなられた第二次連邦・ザフト戦役終戦時から
 昨日までに起こった大まかな出来事を我々が集められる範囲で纏め上げた物だ。
 …これを読んだ上で我々の同士、やがては我々の指導者になって頂きたい!」

シロッコ以外全員「「「!!??」」」

シロッコ「まぁ、すぐにとは言わない。資料の量も膨大だ。
 そうだな、とりあえず1週間後に答えを聞きましょう。
 それまでは客室でゆっくりして頂きたい」
デュランダル「………」

                   (回想シーン終了)―――

シロッコ「お邪魔するぞ、新総統閣下」

シロッコが書斎へと入ってきた。

デュランダル「シロッコ大尉か?」
シロッコ「シン・アスカが無事に帰還したそうだな?」
デュランダル「ああ。しかしその呼び方はやめてくれないかね?
 私はまだ総統代行の就任については受諾してはいない」
シロッコ「フフフ…いずれ貴方は総統就任を正式に受け入れるさ。
 今の地球圏の現状を見れば必ずね」
デュランダル「………」
シロッコ「だが今日はその話をしに来たのではない。
 貴公に是非聞きたいことがあったのだ」

シロッコはポケットからメモを取り出し、それをデュランダルに渡す。

シロッコ「以前貴公が攻めたラクス・クラインの私設MS工場、
 通称ファクトリーがあるのはこの座標でいいのかな?」
デュランダル「…(渡されたメモを確認し)ああ、間違いないが…
 …あそこを潰す気か?」
シロッコ「ああ、あれを放置しておくとストライクフリーダムや
 インフィニットジャスティス以上の機体がまた開発されるやもしれんからな」
デュランダル「………」

さっさと用事を済ませて書斎を出たシロッコは、
書斎前の廊下で待機していたサラ、レコアに指示を出す。

シロッコ「サラ、レコア、出撃するぞ! 今日の内に出れば3日後には
 ファクトリーに着くはずだ。」
サラ、レコア「はい」

632 名前:新章/地球:2006/06/19(月) 08:16:09

一方、その頃…

***東京・スマートブレイン本社ビル・54階・社長室***

琢磨「スマートブレインの株が買い占められているですって!?」
海堂「どうなってんだいこりゃ!!」
木場「やられた…。午前8時過ぎのわずか30分の間に、
 東京証券取引所の時間外取引で発行済み株式の29.5%を
 700億円かけて追加取得されてる!」

村上派を追放し、会長の花形、そして
また改めて新社長に再任された木場勇治を中心とする、
人類とオルフェノク間の融和を目指す新経営陣が
主導権を握っていたスマートブレイン社。
しかしここに乗っ取りの危機に直面していた。

海堂「一体どこのどいつの仕業だ!!」
琢磨「桐原コンツェルンや帯刀コンツェルンといった
 連中の動きには充分警戒していたはずですが…!」
木場「IT業界の女王の仕業だ…」
琢磨「…IT業界の女王??」
海堂「誰なんだそいつは!?」
木場「今からちょうど一年前に彗星の如く出現。
 それから瞬く間に全世界の情報関連産業の頂点に上り詰めた。
 しかしその経歴はおろか、名前まで全く知られていない謎の人物。
 すでに女王は既得持ち株分を加え35%を占める
 スマートブレインの事実上の筆頭株主となっている!」
海堂「こんな時に花形のオッサンはどこ行きやがったんだ!!」

会長の花形は、ただ一言「チベットに言ってくる」と言い残して
数ヶ月前から姿を消しており、連絡も取れない状態である。

???「一つ訂正しておきましょう。持ち株比率は35%ではありません。
 すでに現時刻の段階で全株式の過半数を越え、60%まで取得済みなのです」
海堂「て、てめえは!?」
木場「村上…峡児…!!」

いつの間にか社長室に一人入り込んでいた、
スマートブレイン社前社長・村上峡児。

琢磨「む、村上さん…!?」
海堂「てめえいつの間に!!」
木場「やっぱり貴方の仕業だったのか!
 何を企んでいる!?」
村上「もうすでにあなた方に経営権はない。
 返してもらいますよ。私のスマートブレインを」

それだけ言うと村上は、腰に装着している変身ベルト――
――シグマドライバーに手をやる。

Standing by!!

村上「変身!!」

Complete!!

633 名前:新章/地球:2006/06/19(月) 08:17:24

それはまさに一瞬の出来事であった。

海堂「――ど、どーなってんだあああ!!?」
木場「うわああああ!!!!」
琢磨「ああああっっっ!!!!!」

木場、海堂、琢磨の三人は、
ほとんど抵抗する間もないまま、54階の窓をぶち破る形で
ビルの外へと放り出された!

村上「フン…」

いつの間にか変身する前の姿へと戻っていた村上は、
何事もなかったように社長席へと着くと、
すぐに机の上の端末を開く。
パソコンのモニターには、チャイナドレスに身を包む
一人の妖しき美女が映っている。

謎の女@モニター「スマートブレインは無事に正統な経営者の手に
 戻ったようね…」
村上「これも貴女のご協力のおかげですよ。感謝します。
 死神博士にもよろしくお伝えください」
謎の女@モニター「それでは村上さん、そろそろ行動を開始してもらおうかしら?
 全ては偉大なるDショッカーのために」
村上「わかっていますとも」

余裕満面の笑みを浮かべる村上の前に、
二人の部下が現れる。

村上の部下A「社長」
村上の部下B「ご復帰、お待ちしておりました」
村上「では行きましょうか。東京都庁へ」

634 名前:新章:2006/06/19(月) 08:18:03

△シーマ・ガラハウ→他の部下達と共に、現在マフティーの保護下に
 置かれている模様。
○メグ、エイミー→ガウマンの指示で、月から地球へ向かう。
○木場勇治→会長である花形の留守中に、
 Dショッカーの策略によってスマートブレイン社を買収され、
 社長の座を追われる。
●パプティマス・シロッコ、レコア・ロンド、サラ・ザビアロフ
 →ファクトリー襲撃のために出撃する。
●村上峡児→謎のショッカー女幹部の協力を得て、
 花形不在のスマートブレイン社を乗っ取り返す。

【今回の新規登場】
△ガウマン・ノビル(機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ)
 マフティーの幹部でハサウェイとは友人関係でもあると思われる人物。
 Me02Rメッサー のパイロット。
△マフティー・ナビーユ・エリン=ハサウェイ・ノア(機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ)
 スーダン語、アラブ語、古いアイルランド語の合成による造語で、
 『正当なる預言者の王』とでもいうような意味を持つ人物。
 その正体はロンド・ベル隊総司令官ブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアである。
 偽名と同名の組織を立ち上げ、リーダーとして活躍中らしい…。
 ネオジオン軍所属のクェス・パラヤに好意を抱いている。
 RX-105 Ξガンダムのパイロット。なお、中堅クラスのNTである。
△シーマ・ガラハウ中佐(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 ジオン海兵隊を指揮してきた女隊長。性格は男勝りで姉御肌。
 一年戦争初期ジオン軍最大の汚点、コロニーへの毒ガス攻撃を知らずに行う。
 ガーベラテトラのパイロット。
△デトローフ・コッセル大尉(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 ジオン海兵隊の旗艦リリー・マルレーンの艦長で、シーマの副官的存在。
○メグ(爆裂天使)
 かつて凄腕の少女ガンマン・ジョウの押しかけ助手だった少女。
 ジョウから引き継いだと思われるサイボット・赤ジャンゴのパイロット。
 よく敵に捕まる。
○エイミー(爆裂天使)
 コンピューターの天才で情報収集のエキスパート。
 偵察衛星や軍事ネットワーク、警察情報の操作を
 コンピニに行くくらいの気軽さで行う。見掛けの可愛さと裏腹に
 かなりの毒舌家。
○木場勇治=ホースオルフェノク=仮面ライダーオーガ(仮面ライダー555)
 乾巧の親友にして、対人類和平派のオルフェノク。
○海堂直也=スネークオルフェノク(仮面ライダー555)
 木場の仲間の対人類和平派オルフェノクの一人。
○琢磨逸郎=センチピードオルフェノク(仮面ライダー555)
 かつてはスマートブレインのラッキー・クローバーの一員だったが、
 現在は改心しており人類の味方である。
●レコア・ロンド少尉(機動戦士Ζガンダム)
 元エゥーゴのパイロットだったがシロッコに魅せられティターンズに寝返る。
 現在ではシロッコの腹心の1人。PMX-001パラス・アテネのパイロット。
●サラ・ザビアロフ少尉(機動戦士Ζガンダム)
 シロッコを敬愛する女性パイロット。PMX-002ボリノーク・サマーンのパイロット。
●謎のショッカー女幹部(仮面ライダー THE FIRST)
 死神博士と同格の存在と思われる、新生ショッカーの女性幹部。
 IT企業の女王として君臨している妖艶な美女。
●村上の部下A=ライノセラスビートルオルフェノク(仮面ライダー555)
 村上直属の部下で、長髪の男。
●村上の部下B=スタッグビートルオルフェノク(仮面ライダー555)
 村上直属の部下で、口髭の男。

635 名前:新章/地球:2006/06/19(月) 08:21:05

***東京都庁***

日本の首都・東京の全行政機能を司ると共に、
現内閣総理大臣・剣桃太郎に対する反対勢力の頭目と目される
東京都総知事リッキー・グレンフォードの居城でもある都庁庁舎。

その正面玄関に堂々とリムジンで乗り付けた村上峡児を、
実態はグレンフォードの私兵というべき東京新武装警察(Recent-
Armd-Police-of-Tokyo)RAPTの警備隊員らが取り囲む。

RAPT隊員A「止まれ! 止まらんと撃つぞ!」
RAPT隊員B「何者といえども、ここから先に進む事は許さん!」

それでも村上は言いようのない圧倒的な威圧感を放ちながら、
隊員達の警告を無視して、都庁の中に入ろうとする。

RAPT隊員C「構わん! 撃てー!」

???「待て!

突然、隊員達の後ろの方から声がした。
RAPTの新長官を務める南雅彦。
かつて村上とも独自のルートを通して繋がりを持っていた男である。
南は隊員達に武器を下ろすよう命じた。

村上「フフ…お久しぶりです。南さん」
南「村上さん、ここは日本の首都の全機能の中枢であると同時に、
 その治安の一切を取り仕切るRAPTの本部でもある。
 そこにたったお一人でいらっしゃるとは…フフ、いい度胸です!」
村上「まあ、そう怖い顔をなさらずに。
 今日は我が主の名代として大事なお話があって参りました。
 ロゴスのしかるべき方にお取次ぎを願いたい」
南「いいでしょう。Gショッカー…いや、
 今はDショッカーでしたな。そこの大幹部でもある
 貴方のお顔に免じて、その話とやらをお聞きしましょう」

636 名前:新章/サイド3宙域:2006/06/19(月) 08:22:07

地球で再びスマートブレイン社に君臨した村上が、
謎の動きを見せている頃……。

***サイド3 ネオジオン軍(シャア派)軍施設1室***

ここに11人のパイロットが集まっていた。
ほとんど皆顔見知りらしく誰かと雑談をしている。
そこへシャア・アズナブルが入ってくる。皆、彼の方を注目した。

シャア「皆よく来てくれた。まずはそのことに礼を言おう。
 さて、ここに来てくれているということは、
 事前に送った手紙の内容に同意した…と取って構わないかな?」

手紙の内容は、ここにいるメンバーで新たな部隊を作るので参加しないか
という内容の物だった。実はシャアはαナンバーズのような独立機動部隊を
もう一つ設立する構想を独自に練っていたのである。
そのとき1人が口を挟んだ。

ジョニー・ライデン「確かに俺たちはここにいる。
 だが少なくともオレは自分の誇りの為に戦うのであって、
 前のアクシズ落としみたいな、あんたの野望なんかの為の命令には
 一切従わないからな。赤い彗星!」
シャア「…(まぁ無理も無いか)」

他のメンバーも口には出さないが
雰囲気がライデンと同じような返答を返してきている。
しかし、シャアとしてはある程度は予想していたことなので
別段気にせず話を進める。

シャア「では余り時間がないので各人の階級と搭乗機体を発表していく。
 名前の後に言われた階級がその人の階級になる。注意して聞いてくれたまえ。
 また今までの階級とは違う者も出てくるだろうが、
 ここにいる時は今から言う階級になる」

シャアが隊の構成を発表する。まず、
真紅の稲妻の二つ名を持つジョニー・ライデン少佐、
ソロモンの白狼の二つ名を持つシン・マツナガ少佐、
この二人には事前に聞いていた要望にあわせてカスタマイズした
ギラドーガ改が与えられた。

次に、元地球連邦軍東南アジア第08MS小隊隊長であり、
今は片足は義足となっているシロー・アマダ大尉にはリガズィカスタム、
そのパートナーにして愛妻、元ジオン軍アイナ・サハリン少尉には
ジェガンカスタムにそれぞれ搭乗する事が決まる。

元ジオン軍ブラート隊、その後エウーゴで活躍したシグ・ウェドナー中尉には、
本人のリクエスト通り愛機シスクードを、
シグ中尉のパートナー、ミアン・ファーレン少尉には
EWACジェガンに乗ってもらう事に。

現在地球連邦軍大尉でこちらに出向してきたユウ・カジマ少佐には、
最近エース級パイロットに量産が始まったばかりのS(スペリオル)ガンダムに、
そのパートナー、マリオン・ウェルチ中尉は量産型F91(NT仕様)に乗る事になる。

637 名前:新章/サイド3宙域:2006/06/19(月) 08:24:46

シャア「さて、次だが…。本当にいいのかね、君たち? 何も無理に…」
ゼロ・ムラサメ「いいんだ、大佐。それに隠れて暮らしていても
 他の組織に見つかって強制的に戦わされるくらいであれば
 自分達の意思で自分達の望む戦いができる場所にいたい。
 それにフォウも戦っているんだ。僕も負けられない。
 でもライデンさんが言ったように貴方が悪になるなら軍を抜ける!」

彼、ゼロ・ムラサメは名前でもわかる通り、
ティターンズ時代フォウがいた強化人間研究所のムラサメ研究所の
一番最初の被験者である。
その後戦争マシーンとして使われることが嫌になり脱走。
地球ではデラーズ戦役が起こっている頃のアクシズに保護され
ジオンの強化人間、レイラ・レイモンドと出会い、
2人でひっそり暮らしたいと思うようになる。
その後シャア達がグリプス戦役前に地球圏に戻るのに同行し、
シャア達の協力もあり今までフォンブラウンでひっそり暮らしていた。が、
強化人間を戦闘マシーンとして使うティターンズ等の地球至上主義者たちが
"黄泉還り"で復活し再び暗躍を開始した事により
それを逃れる形で、シャアの元に半ば亡命状態で保護されていたのだ。

レイラ・レイモンド「一時は私達強化人間でも幸せに暮らせる時代が来ていたんだもの。
 あたし達はそんな世界を取り戻す為に戦います!」

シャア「うむ、わかった。そこまでの決意があるなら止めはしない。
 ではゼロ・ムラサメ少尉、レイラ・レイモンド少尉には
 ヤクト・ドーガで頑張ってもらおう。
 次は元サイクロプス隊に所属していたバーナード・ワイズマン曹長。
 彼はロンド・ベル隊所属なのだが、このサイド3で
 彼特注のザクを作っていたら案外時間がかかってな…。
 しばらくそのザクのテストをかねて一時入隊だ」

前の大戦後は戦線を退き、私立探偵を営んでいたバーナード・ワイズマンだが、
彼もまた今回のシャアの呼びかけに応え馳せ参じていた。
そのザクマニアぶりは相変わらずである。

バーニィ「よ、よろしくお願いします。
 それと自分のことはバーニィと呼んでください。」

638 名前:新章/サイド3宙域:2006/06/19(月) 08:25:31

シャア「さて、実はあと1人いるんだが…」
カムナ「申し訳ない、遅くなった」

一人が遅れて入ってきたが、
シャアは特に怒る様子もない。

シャア「引継ぎは終わったかね?」
カムナ「はい」
シャア「では紹介しよう。彼はカムナ・タチバナ少佐、
 今までこのサイド3とその周囲の防衛部隊の総隊長をしていた男だ」
ユウ「カムナ・タチバナ、聞いたことがある。
 1年戦争時から今までずっとジオン軍に所属、
 自分の小隊から戦死者を全く出さずに
 ここまで生き残ったベテランエースパイロットだと…」
シャア「そうだ、防衛部隊から余り人数を割けないので
 今回は彼1人の参加となった。彼には防衛隊長時代からの愛機、
 私のお下がりなのだが、サザビーに乗ってもらう。」
カムナ「みんな、よろしく」

全員揃ったところでシャアが説明を始める。

シャア「さて、君たちの最初の仕事は3日後に行われる
 ザフト軍精鋭部隊との演習になる。これはただの戦闘演習ではなく、
 来るべきジャブロー奪回作戦時に宇宙からの部隊を降下させる作戦に
 君たちにも参加してもらうことになると思う。
 現状では君達が降下部隊に回るのか、
 降下を阻止に来るであろうティターンズ艦隊から
 降下部隊を防衛する部隊に回るかは決まっていない。
 そこで我がネオジオンとザフトのうち片方を降下、
 もう片方を降下阻止の部隊とし、擬似降下演習をする。
 各員明日、明後日の間に自分の機体のチェック等を怠らないように。
 なお、ライデン殿、マツナガ殿をこの隊の隊長、
 副隊長としタチバナ少佐およびカジマ少佐に補佐をお願いする。
 何か質問は?…無いようなら2日後2230までに
 レウルーラに搭乗しておくように」

そしてシャアが立ち去った後…

ライデン「ところでアマダ大尉、サハリン少尉、
 君たち夫婦には確か小さな子供がいると聞いていたが?」
シロー「地球にいる知り合いに預けてあります」
ライデン「そうか。それは大変だな…。
 ところでみんな、俺達の部隊名でも考えようぜ」
マツナガ「単純に第二αナンバーズでもいいのでは?」
シロー「それだと少し味気ないのでは…?」
アイナ「もう少しひねった方がいいと思います」

一同賛成し思考…。

シグ「キマイラ隊というのは?」
マリオン「獅子と牡山羊と竜の頭を持ち、尾は蛇という伝説の魔獣…」
ミアン「なかなかシャレてるわね。他に候補がなけりゃ、それでいいんじゃない?」
ライデン「いかにも一見して寄せ集めの俺たちには相応しい名だ。
 じゃあ新生キマイラ隊で決まりだ!」

639 名前:新章:2006/06/19(月) 08:26:26

●村上峡児→東京都庁を訪問。南雅彦と接触する。
△シャア・アズナブル→散り散りになっていた旧ジオンエース部隊を招集、
 αナンバーズと並ぶ強力な部隊を作る。その部隊名は新生キマイラ隊に決定。

【今回の新規搭乗】
●南雅彦(仮面ライダー555)
 警視庁の元オルフェノク対策セクションの責任者。
 東京新武装警察RAPTの現長官である。
△シャア・アズナブル大佐(機動戦士ガンダムシリーズ)
 ネオジオン(シャア派)総帥。アムロ・レイのライバルでもある。
 MSN-04-2 (MSN-04II) ナイチンゲールのパイロット。通称・赤い彗星。
○ジョニー・ライデン少佐(機動戦士ガンダムMSV)
 ジオン軍のエースパイロット。「真紅の稲妻」の異名を持つ。
 パーソナルカラーは真紅。AMSC-119 ギラ・ドーガ改(ライデン専用)に乗る。
 口癖は「俺は俺の誇りのために戦う」
○シン・マツナガ少佐(機動戦士ガンダムMSV)
 ジオン軍のエースパイロット。「ソロモンの白狼」の異名を持つ。
 パーソナルカラーは白。AMSC-119 ギラ・ドーガ改(マツナガ専用)に乗る。
○ゼロ・ムラサメ少尉(ギレンの野望)
 ムラサメ研究所で生み出された人類史上初の強化人間。
 後にレイラと出会い彼女ににかけられた強化人間処理を解除する方法を求め、
 彼女と共に流浪する道を選ぶ。 NT素養は中堅クラス。
 現在はシャアの元でレイラと共に保護されている。
 MSN-03 ヤクト・ドーガのパイロット
○レイラ・レイモンド少尉(ギレンの野望)
 フラナガン機関で生み出されたジオン公国軍初の強化人間。
 後にゼロと出会い脱走。2人で生きる道を探す。NT素養は中堅クラス。
 現在はシャアの元でゼロと共に保護されている。
 MSN-03 ヤクト・ドーガのパイロット
○シグ・ウェドナー中尉(SDガンダム GGENERATION モノアイガンダムズ)
 元ジオン軍ブラード隊のMS隊隊長だったが、仲間のアイン・レヴィにより
 仲間をほぼ全て失う。その後復讐に駆られつつエゥーゴに入り
 アインを追い回す。途中でミアン達に諭され元の仲間思いの性格に戻る。
 LRX-077シスクードのパイロット。
○ミアン・ファーレン少尉(SDガンダム GGENERATION モノアイガンダムズ)
 ブラード隊の総隊長ブラード・ファーレンの娘。
 昔からシグのことが気になっていた。その後シグを追いエゥーゴに入り、
 彼とアインを追っていく。RGMC-89 EWACジェガンのパイロット
○バーナード・ワイズマン曹長(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
 元ジオン特殊部隊、サイクロプス隊所属のパイロット。通称バーニィ。
 無類のザクマニアでもある。MS-06FZBSPC(後ろ4文字はバーニィスペシャル
 カスタムの略)ザク(バーニィスペシャルカスタム)のパイロット
○ユウ・カジマ少佐(機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY)
 無口だが腕は一流のパイロット。1年戦争当時EXAMと呼ばれる装置を
 積んだMSで敵のEXAM装置搭載MSと死闘を繰り広げ勝利。その後連邦軍に所属。
 逆襲のシャアのラスト、アクシズをMSで押し返すのにも参加していたらしい。
 MSA-0011 Sガンダムのパイロット。
○マリオン・ウェルチ中尉(機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY)
 EXAMシステムを完成させるに当たって、それに協力したニュータイプ少女。
 EXAM搭載機が全て破壊されると同時に意識を回復し、
 その後ユウと出会い彼のパートナーになり共に戦場を駆ける。
 NT素養は中堅クラス。量産型F91(NT仕様)のパイロット
○カムナ・タチバナ少佐(クライマックスUC)
 クライマックスUC育成モードの前半主人公(後半は彼の子供)。
 性格はクールでどちらかといえば射撃が得意。
 1年戦争開戦からずっとジオンで戦い続けたベテランエースパイロット。
 NT素養は中の上という所。MSN-04サザビーのパイロット。

640 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 21:58:20

それから3日目……。

***月・フォンブラウン市内の某ホテル***

マフティー、ガウマンがシーマ達の部屋に入ってくる。

マフティー「答えは出ましたか?」
シーマ「ああ、私達は――」
マフティー「…分かりました。ではそのように手配しましょう」


一方こちらは、月から遠く離れた宇宙である。

***ティターンズ戦艦 アレキサンドリア艦橋***

ヤザン「くそ、ジャマイカンのやつ!(怒)」

ティターンズのエースパイロット、ヤザン・ゲーブルが悪態をついていた。
…彼はティターンズの幹部ジャマイカン・ダニンガン一派に
半ば左遷状態で宇宙行きを命じられたのだ。
それもそのはず、ジャマイカンはグリプス時代にヤザンの手によって殺されているのだから。
彼らとしてはそんな危険な人物は遠くにやってしまおうと思ったのだ。

ダンケル「ヤザン隊長、例の人物からメールが来ました。」
ヤザン「何だと?…ちっ、簡単に言ってくれるぜ。」

メールの内容は「ファクトリーに何かしらの損害を与えてくれたら
補給をしてやる」というものだった。

ラムサス「ヤ、ヤザン隊長木星帝国軍の戦艦がこちらに向かってきます。」
ヤザン「木星帝国?…おい、木星帝国軍の旗艦に俺宛で通信をしろ。」
ラムサス「はっ、はい。」


***同宙域・ジュピトリス 艦橋***

あと半日ほどでファクトリーに着こうかという頃、
ティターンズ艦を発見し、どうしようかと困ったシロッコに
そのティターンズ艦から通信が入った。

シロッコ「ヤザンから、だと?」
オペレーター「はい、いかがいたしますか?」
シロッコ「…メインモニターに出せ。」

艦橋正面のモニターにヤザンの顔が映る。

ヤザン@モニター「よう、シロッコ。久しぶりだな。」
シロッコ「ああ、そちらもな。ところで何故こんなところに?」

ヤザンは少しムッとしたような顔をする。

ヤザン「…ジャマイカンの奴のせいで飛ばされたのさ! で、そっちは?」
シロッコ「少し、攻めるところがあってな。そうだ、貴公も行くか?
 ファクトリーに行くのだが。」
ヤザン「奇遇だな、俺もそこを攻めるように言われてたところなんだ。
 いいぜ、あの頃のように派手に暴れてやるぜ」

グリプス戦役終盤以来の個人的な繋がりもあり、
こうして一時的に同盟関係を結んだ両軍はファクトリーに向け進んでいった。

641 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 21:59:25

***ファクトリー近くの宙域***

シャア「ではこれよりネオジオン、ザフト両軍による演習を開始する。」
イザ−ク「両軍持てる力を最大限に発揮しろ」
シャア「ではこれより演習を開始する!」

ザフト軍の艦隊も予定通り合流し、
まずはネオジオン軍が降下し、ザフト軍が妨害に回る設定で演習が開始された。
シャアがレウルーラの艦橋から指揮を執る中、
ライデン達、新生キマイラ隊は降下部隊の援護に回ることになった。
最初の機体が降下し始めて1分、敵であるザフト軍がMSを展開、
こちらに攻撃を開始した。

ライデン「来るぞ、各機散開!!んでもあんまり孤立すんなよ」
新生キマイラ隊一同「了解」

イザーク@グフイグナイテッド(以下グフIg)「よし、やるからには
 徹底的にやるぞ。降下部隊をすべて打ち落とせ!」
ザフト軍兵士達「了解!」

ザフト軍は、まず射撃重視のガナーザクウォーリア(以下GザクW)による
遠距離射撃で降下援護部隊に穴を開ける。
その中で少し色の違う凄腕のGザクWがいた。ディアッカのザクである。

ディアッカ「ヒュ〜(口笛)♪ もう一つ!」

GザクWの援護を受けつつ高機動型のブレイズザクファントム(以下BザクF)が
敵をかく乱し、中・近距離用機体であるスラッシュザクファントム(以下SザクF)、
グフIgが接近戦で敵を攻撃するという陣形を取っていた
その中で1機だけシグーディープアームス(以下シグーDA)が混じっている。
イザークの副官、シホ・ハーネンフースだ。

イザーク「どけどけぇ。うおぉ、もらったー!!」

イザークのグフIgがネオジオン機を撃墜し降下部隊に近づいていく。

シホ「隊長、前に出すぎです。孤立しますよ。」
イザーク「うるさい、早く前に出ないと時間切れになるだろうが!!」

そう言った直後、イザークのグフIgにビームのシャワーが浴びせられる。
これを避けるイザーク。
撃ったのはゼロとレイラのヤクトドーガとそのファンネルだ。
新生キマイラ隊は部隊を2つに分け、サイコミュ兵器を持つNT、
強化人間(レイラ、ゼロ、カムナ、マリオン)及び
擬似サイコミュ兵器インコムを持つユウ・カジマのSガンダム、
また見た目は1年戦争時代の骨董品、中身はガンダムヘビーアームズ等の
多彩な武装を持つ機体にも負けない火力を持たせたザクバーニィカスタムを駆る
バーニィが最終防衛ラインでの迎撃を、
その他のメンバー(ライデン、マツナガ、シロー、アイナ、シグ、ミアン)で
ザフト軍に殴りこみをかけるという戦法を取っていた。

イザーク「ちっ、NT(ニュータイプ)か…厄介だな。」
シホ「イザーク隊長!」

シホが少数の部下を伴ってイザ−クに合流する。

イザーク「俺とシホでこの2人を抑える。お前らは降下部隊を叩いて来い。
 シホ、行くぞ」
シホ達「「「了解!!」」」

基本的にコーディネイターはナチュラルより体が丈夫――
――すなわちより強いGにも耐えれる。つまりは突撃力が強くなる。
レイラとゼロのヤクトドーガに凄いスピードで突っ込んでいく
イザークのグフIgとシホのシグーDA。
レイラ達はイザークの部下達が防衛ラインを突破するのを阻止しようと
ファンネルを飛ばすが……。

イザーク「うおぉぉ!!させるかぁ」
ゼロ、レイラ「「!!??」」

イザークの心の底から震え上げられそうな雄たけびにびっくりしてしまい、
飛ばしかけたファンネルを止めて回避行動を取る。
仕方なくイザークとシホを迎え撃つ・・・。

                      ・
                      ・
                      ・


シャア「そこまで!」
イザーク「何だと!? もう終わりか」

結果、ネオジオン軍・・降下軍損失2割弱、防衛軍損失3割
    ザフト軍・・損失6割強

イザーク「くっそぅ、次はこうはいかん!」


次はザフト軍が降下側、ネオジオン軍が妨害側になって戦いが開始された。

642 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:00:07

一方シロッコ達とヤザン達の艦隊は、ファクトリーのすぐ近くまで来た。

シロッコ「作戦はまずこちらから半分出す。
 抵抗が激しいようならサラとレコアそして……殿に出てもらう。」
???「………」
シロッコ「ヤザンには私達が仕掛ける前から大きく迂回して
 反対側に行ってもらいサラ達と同タイミングで出てもらう。」
一同「了解」
シロッコ「では、攻撃開始!」

ファクトリーの防衛ラインでも、
侵入してくる反応をキャッチしていた。

ファクトリー防衛軍「木星帝国の艦隊!? 大変だ!!
 すぐプラント本国へ救援を!」


***再び演習宙域***

シグ「シスクードオフェンスモード2、始動!!」

シグの乗るシスクードが今までに無いくらい速く動き始める。

ザフト兵達「「「うわぁぁ!!」」」

高機動で動きながら両手のビームサーベルでザフト軍防衛部隊を蹂躙していく。

シグ「これで決まりだ」

ザフト軍の最終防衛ラインを突破し降下部隊に
シスクードのもつ最強武装メガカノン砲を浴びせ降下中の機体を数機撃墜した。
一方的になってしまっている理由は、イザーク、ディアッカ、シホや
その他第一次連邦・ザフト戦役の頃からのベテラン兵達が
ライデンやユウ、カムナ達に抑えられシスクードを抑えることができる兵が
いない状態になっているからである。

                     ・
                     ・
                     ・
シャア「そこまで。」
イザーク「くっそぅまたいい様にやられてしまったではないか」
ディアッカ「ああ、悔しいがこいつらマジで強いぜ!」


結果  ザフト軍・・降下軍損失5割、防衛軍損失7割
     ネオジオン軍・・損失3割強


演習も無事終了したところで、イザークの元に緊急連絡が入る。

ザフト艦艦長「隊長、ファクトリーからのSOSです。」
イザーク「何!? どこのどいつだ。ファクトリーを襲おうなんて奴は?」
艦長「それが、ジュピトリアンのようなのです。」
イザーク「!!?シャア総帥」
シャア「ああ、奴等の好きにする訳にはいかん。
 補給が必要でないものはスペースジャバを貸すので現場に急行してくれたまえ。
 飛ばせば20分と掛かるまい。補給が必要なMSは直ちに各艦に戻れ。
 ネオジオン艦隊、ファクトリーに向け全速先進
 整備班、私のナイチンゲールも用意しておけ。場合によっては私も出る!」
イザーク「ザフトも同じだ。ディアッカ、シホ行くぞ!」
ディアッカ、シホ「了解!」

こうしてネオジオン、ザフト連合軍は
襲撃を受け始めたファクトリーに急行する。
彼らは間に合うのか?
そしてマフティーとシーマ達はどう動くのか?
次回に続く!

643 名前:新章:2006/06/24(土) 22:00:56

○シャア派ネオジオン、ザフト軍→来るべきジャブロー奪還に向け、
 降下演習を実施する。
●ヤザン・ゲーブル→ティターンズ一部将校から怖がられ、
 左遷同然で宇宙に出る。謎のスポンサーからファクトリー襲撃を依頼される。
 道中、目的が同じなシロッコと共同作戦を展開する。

【今回の新規登場】
○ディアッカ・エルスマン(機動戦士ガンダムSEED/機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 ジュール隊のパイロットでイザークの親友。実質的ジュール隊の副官。
 口癖は「グゥレイト!」。ZGMF-1000/A1ガナーザクウォーリアのパイロット
○シホ・ハーネンフース(機動戦士ガンダムSEED MSV)
 鳳仙花の異名を持つ、ジュール隊の女性パイロット。
 YFX-200シグー・ディープアームズのパイロット
●ヤザン・ゲーブル大尉(機動戦士Ζガンダム)
 ティターンズのエースパイロット。非常に好戦的。
 気に入らなければ上官でも手を出す。部下の面倒見はいい。
 RX-139ハンブラビ のパイロット。
●ダンケル・クーパー少尉(機動戦士Ζガンダム)
 ヤザンの部下。ヤザン、ラムサスと3人でチームを組む。
 RX-139ハンブラビのパイロット。
●ラムサス・ハサ少尉(機動戦士Ζガンダム)
 ヤザンの部下。ヤザン、ダンケルと3人でチームを組む。
 RX-139ハンブラビのパイロット。

644 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:01:48

***ジュピトリス・艦橋***

シロッコ「先発隊、出撃せよ! 戦艦は現在位置に固定。相手の出方を見る。」
木星軍兵士達「「「「了解!!」」」」

木星軍の4つの戦艦から20機ほどのMSが出撃、ファクトリーに向かっていく。
半分以上はバタラ、エレバドなど木星帝国の量産型MSだが、
一部にシロッコが作ったメッサーラ、パラスアテネ、
更には2機だけだがジ・Oがいる。


***ファクトリー内・司令部***

警備隊指揮官「こちらもMS発進!! 1機たりともファクトリーに通すな。」

警備隊員達「「「「了解!!」」」」

???「私も出ようか?」
指揮官「これは……殿。貴官は今まで多くの新米相手に演習をしていたところ。
 少しはお休みください。なに、そう簡単に防衛網を抜かれはしませんよ。」

こちらは30機近くのMSが出撃、
内わけは過半数が各種装備のザクウォーリア、
10機程度のグフイグナイテッド、
3機のドムトルーパーである。

ザフト兵A「くそ、ヒルダ隊長たちがいない時に攻められるなんて…。」
ザフト兵B「ぼやくな、それにもうすぐ援軍が来るらしい。」
ザフト兵C「よし、まずそれまで耐えるんだ。おそらくまだ出していない戦力が
 あるはずだ、総員油断するな!」

初めは数に勝るファクトリー防衛軍が優勢であった、
しかし、向かってくるのはバタラ、エレバドばかりであった。
そんな中、防衛軍の機体に複数のミサイルが飛来した。
防衛軍のMSの射程外から撃ち込まれる
いまだ戦艦近くにいたメッサーラのミサイルポッドと
パラスアテネの対艦大型ミサイルの混合ミサイル豪雨だった。
実はバタラ、エレバドはおとりであったのだ。

ザフト兵「各機、打ち落とせ。避けることは簡単だが
 我等の後ろにはファクトリーがある!!
 特に大型ミサイルは通すんじゃないぞ。」
防衛隊員「了かぐぁぁ…(通信途切れる)」

645 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:02:24

必死にミサイルを落としていく防衛軍をあざ笑うかのように
ジ・O、残ったバタラ、エレバド、更にミサイルを撃ちつくしたメッサーラ、
パラスアテネからも防衛軍にビームが撃ち込まれる。
しかもメッサーラ、パラスアテネはミサイルを撃っていた場所から撃つ
スナイプモード(この2機の射撃ビームの有効距離ギリギリ)で
撃ってきているため、こちらからはガナーザクの長距離ランチャーでしか
反撃したくてもできない。
この圧倒的不利な状況に陥った防衛軍は
ミサイルを撃墜し終わった頃には、半数以上が戦闘不能状態になっていた。
ようやく反撃に移った防衛軍。バタラ、エレバドは比較的簡単に撃墜できたが、
先に説明したシロッコ製MSはなかなか撃墜できずにいた。
しかも何機かはいまだスナイプモードで一方的に撃ってきている。

(スナイプ部隊を何とかしようと何機か向かっていったが、
これの防衛に回ったジ・Oやスナイプ部隊が、
複数で1機を集中狙いするなどされ、全て撃墜されてしまっている。)

実はシロッコ製MSに乗っているのは皆、ただ腕がいいというだけでなく、
NTなのだ。木星軍には一般兵にもNTが割といるのだ。
もっともアムロやカミーユ、シロッコ達には遠く及ばないが
(彼らを10とすると1〜3程度のNT素養)
故に必殺のタイミングで放たれた1撃をたまに回避され、
防衛軍のパイロットたちが相手にNTがいるということが分かり、
士気が落ちてしまった。

シロッコ「…(戦況を見つめつつ)ふふ、これなら楽にファクトリーが
 制圧できるな。ヤザンや……殿から文句を言われるかもしれないな。」

もし本当にこのまま制圧できてしまったら、
それはそれでつまらないなと思っていたシロッコ。
その時シロッコのNTとしての勘が何かを感じ取り、
少しだけ険しい顔になり矢継ぎ早に指示を出し始めた。

シロッコ「機関最大!! 艦首回頭右へ25度、下に15度。急げ。」

数瞬後、数本のビームがさっきまでシロッコのジュピトリスが
あった辺りを通過していった。

シロッコ「各艦に告ぐ、我々の西側より敵の増援部隊が接近中だ。
 以後の判断は各艦艦長に任せる。後発予定だったメンバーは
 今すぐ出撃しこの増援部隊を叩け。先発部隊はそのまま防衛軍を叩き潰せ。
 ヤザンにはタイミングはそちらに任せるから襲い掛かってくれと
 通信を送っておけ。」

更に何かを感じ取ったシロッコは次の指示を出す。

シロッコ「サラ、レコア、我々も出るぞ。久々に骨のある奴らが来そうだ。
 貴公にも出てもらうぞ。」
???「了解した。私の新たな夢の結晶の力、見せてやる。」

程なくやってくるネオジオン、ザフトの連合軍の先行部隊。
その中にはシロー・アマダ、アイナ・サハリン、ゼロ・ムラサメ、
レイラ・レイモンド、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、
シホ・ハーネンフースの乗ったMSも見られた。

シロー「見えた、ファクトリーだ。まだ無事のようだな。
 イザーク隊長、先ほど打ち合わせたフォーメーションで。」
イザーク「了解した。ディアッカ、シホ、行くぞ。」
シロー「皆、行くぞ。」

一同「「「「了解!!」」」」

2手に分かれるネオジオン、ザフト連合軍。
木星帝国戦艦の方にザフト軍全部とネオジオン軍が3割程。
防衛軍援護にシロー、アイナ、ゼロ、レイラを含む
ネオジオン軍の残り全てが向かっていった。

646 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:03:17

急いでファクトリー司令部に通信を入れるシロー。

***ファクトリー内・司令部***

シロー@モニター画面「大丈夫ですか?」

???「…(――!! あの男!?…ということは
 その側にいるMSはもしや……)」
警備隊指揮官「ああ、こちらにはまだ殆ど被害はでていないが、気をつけろ。
 奴等は大半がNTのようだ。一筋縄ではいかんぞ。」
シロー「わかりました。我々も全力を尽くします。みんな行くぞ。」

ネオジオン軍「「「「了解!!」」」」

警備隊指揮官の隣にいた男は、今モニターに映ったのシローの声に
聞き覚えがあるらしい…。

???「私も出る。私の機体の発進準備を。」
警備隊指揮官「あ、ノリス殿!?」

この男、ノリス・パッカード…アイナの腹心であり、
アイナからは父親代わりとして慕われていたベテラン兵。
彼は黄泉がえった場所がファクトリー内だったのだ。
プラントの管轄している地域で黄泉がえった者は、
以前は敵陣営に所属していた人物でもなるべく保護するようにとの通達が
プラント最高評議会より(おそらくラクスの意向で)出されており、
彼もそのような経緯で、ファクトリーに食客兼新米パイロットの教官扱いで
在籍していたのだ。尤も、彼の場合、世界の情勢を教え、少し説得しただけで
暫くファクトリーに籍を置くことに快く応じてくれたのだが…。


***ファクトリー内・格納庫***

ヨウラン「援軍が来てくれた。ん、あの機体は…!?」
(パソコンを操り調べる)やっぱりジュール隊のTop3!」
ヴィーノ「え、じゃああれを渡すのか?」
ヨウラン「場合によってはな。まぁ戦闘終了後でもいいだろう。」

ヴィーノ・デュプレ、ヨウラン・ケント、
彼らは元ミネルバのメカニック達だったが
現在はファクトリーに技術修行に来ている最中である。
その時ノリスがやって来る。

ヴィーノ「あ、ノリス大尉。できればで構いません。
 イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、シホ・ハーネンフースの3人に
 通信できれば伝言をお願いします。新しいMSを用意しているから
 ファクトリーに入ってきてくれ…と。」
ノリス「了解した(・・・すばやく機体を立ち上げ)ノリス・パッカード、
 グフイグナイテッドNC(ナチュラル仕様カスタム)出る!!」

あっという間に見えなくなるノリスのグフIgNC。

647 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:03:54

***ファクトリー周辺宙域***

レイラ、ゼロ他サイコミュ装備機体に乗った者達が
ファンネルを巧みに操り木星軍を追い詰め、
そこに残った全軍でビームライフルやバズーカ、
ビームサーベルなどで仕留めていく。
だが木星軍も黙ってやられるはずもなく、
反撃でネオジオン軍、ファクトリー防衛軍に損害を出している。
中でも強力なのはジ・Oで、この機体ビームライフルとビームサーベルだけと
いうMSの武装としてはごく基本的な物しか持っていないのだが、
耐久力、機動力、攻撃力、どれをとっても今出撃している
木星軍MSの中では一番、加えて隊長クラスかつ木星軍先発隊の中では
最強クラスのNTが乗っているので、ゼロやレイラでも梃子摺っていた。
そんな中、アイナが1体のメッサーラと接近戦を繰り広げていた。
しかし、これはメッサーラの方から仕掛けられたらしい。
というのは彼女は接近戦は苦手なのだ…。
もとより接近戦が得意なのか、アイナが接近戦に弱いと見抜いたのか
どんどん攻めるメッサーラのパイロット。

シロー「くっ、アイナァ!!」
木星軍兵士@敵MS「お前の相手はこっちだ」
シロー「くっ、邪魔をするなぁ」

相手をしている敵MSに邪魔され、
なかなかアイナの援護に回れないシロー。
アイナの方も決着がつこうとしていた。
メッサーラ側が斬ると見せかけ体当りを食らわせたのだ。

アイナ「きゃぁ…!!」
木星軍兵士@メッサーラ「これで堕ちろぉ」

バランスを崩したジェガンカスタムに
ビームサーベルを持って接近するメッサーラ。
だが、このパイロットは射撃で止めを刺すべきだったのだ。
接近したメッサーラにビームマシンガンが叩きつけられ、
これを宇宙の塵にしてしまった。
撃ったのは…通常のグフIgより濃い青色をした
ノリスのグフIgである。

ノリス「アイナ様、お怪我はございませんか?」
アイナ「え、ノリス? 貴方も黄泉がえっていたんですね!!」
ノリス「アイナ様、喜ぶのは後にしましょう。まずはこやつ等を」
アイナ「そうですね。あ、シロー!」

やっと自分と対決していたMSを撃破し
アイナに接近するシローのリガズィカスタム。
が、その横にいるグフIgを見て誰か分かってしまう。

ノリス「まだまだ青いな」
シロー「――!?…確かに。俺が不甲斐無いせいで
 アイナを危険な目にあわせてしまった。」
ノリス「そうだな、だが貴様はまだまだ伸びそうだ。
 貴様もアイナ様も死なれては困るのでな。この戦いが終わったら特訓だ。
 覚悟しておけよ。」
シロー「は、はい…。ん?散開!!」

3機も固まっていたのでまとめて落とす気だったのか
連続でビームが撃ち込まれたがシローのおかげで事なきを得る。

ノリス「ほう、いい判断だ。…シローと言ったな、残りを片付けるぞ。
 私について来れるか?」
シロー「はい。」
アイナ「シロー、ノリス。援護します。でも無茶はしないように。」

こうしてノリスを加えた防衛軍サイドは
これから少しの間圧倒的有利な状況で敵を撃破していく。
少し後、ヤザン隊と巨大な悪魔が現れるまでは…。

648 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:05:09

***木星軍戦艦周辺***

ここでは主にザフトのジュール隊が木星軍と激しい戦闘を繰り広げていた。
戦場にいるのは、やはりバタラ、エレバド、メッサーラ、パラスアテネばかりだった。
出撃に手間取っているのか、それとも余裕からなのかシロッコ達はまだ出てきていない。

ここではやはりイザーク、シホ、ディアッカが中心になり木星軍を撃破していた。
イザーク達はまずディアッカが遠距離から牽制し、
イザークがすばやく接近し撃破、シホはイザークのフォローに入るという
フォーメーションで戦っていた。

イザーク「こんなやつらに、好きにさせるかぁ!!」
ディアッカ「いい加減におちろ」
シホ「くっ、そこです。」

少しずつではあるが確実に蹴散らしていくザフト・ネオジオン合同軍。だが…

シロッコ@タイタニア「ふっ、遊びは終わりだ。落ちろぉカトンボ」

遂にシロッコ自らが出撃してきた。
タイタニアに搭載されているファンネルをフル稼働させて……。

ザフト兵達「「「た、隊長ぉぉ…!!(通信途切れる)」」」
イザーク「――な、何だ!? 一体何が?」

タイタニアの周りにいたザフト軍を数機一気に落とされてしまい、
それが分かっていても声に出してしまうイザーク。
これが超一流NTが扱うファンネルなのかと
ザフト・ネオジオン合同軍に戦慄が走った。
シロッコの登場によりまた戦況が木星軍側に有利になってしまった。
だが、サラとレコアが出てきていなかった。これは何をあらわすのか?

――その時。

シロッコ「…ん? 何だ、この感覚は? 私の知らないNTの感じがする。」

数瞬後、この空域にいる誰にもレーダーに1機の所属不明機が反応していた。
後に分かることだが、マフティー本人が駆るΞ(クスィ)ガンダムだ。
そのΞガンダムが最大戦速で突っ込んできた。

その場にいた全員が咄嗟に「速い!?」と感じる。

そしてΞガンダムは最も近くにいたバタラ1機だけを
ビ−ムサーベルで戦闘不能にしながら、
背部から何かを大量に発射し戦場を通り抜け、
そのままどこかにいってしまった。
Ξガンダムから発射されたのは少し形の変なミサイルだった。
これは特に何も無く回避できるはずだった。
シロッコから木星軍に通信があるまでは…。

シロッコ「――(何かを感じ取り)!!? 総員、回避行動をとれ!!」

そのミサイル群が軌道と速度を変え、木星軍MSに襲い掛かり始めた。
とっさに指示に従った者やシロッコと同じように
なにかを感じ取った者の大半は回避できたが、
ザフト・ネオジオン合同軍と交戦中だった機体や
一瞬戸惑った者達は容赦なくミサイルの洗礼をくらい、破壊されていった。

イザーク「あのMS、こちらを助けてくれたのか?」
ディアッカ「誰だか知らんが敵が減ってラッキーじゃん。」
イザーク「そうだな、よしザフト・ネオジオン合同軍、行くぞ!!」

ザフト・ネオジオン合同軍「「「「了解!!」」」」

シロッコ「くっ、各自、体勢を立て直せ!!」

一方、マフティーは、自分の撃ったファンネルミサイルが一定の成果を挙げて、
再びザフト・ネオジオン合同軍有利になったのを確認する。

マフティー「…これでいい。僕はまだ堂々と表に出れないからな。
 後は彼らとあの人達に任せよう。」

戦闘空域からだいぶ離れた場所で隠してあった輸送機に乗り込み、
そのまま彼の活動拠点に帰っていった。


再び木星軍戦艦周辺の戦闘に話は戻る。

木星軍艦長「シ、シロッコ大尉大変です。複数の艦隊がこちらに接近中です。
 あと5分もかからずこちらと接触します。」
シロッコ「ち、こいつらの本隊か…。サラ、レコア敵戦艦が目視でき次第発進、
 先制攻撃をかけろ!!」

サラ、レコア「「了解!!」」

シロッコ「さて、メインデッシュが来る前に、
 煩い凡人どもを掃除しておかなかればなぁ!」

再びシロッコの猛攻が始まる。次々落とされるザフト・ネオジオン合同軍。

ディアッカ「(ファンネルに狙いをさだめ)ええぃ、ウザイんだよぉ」
イザーク「パプテマス・シロッコ、覚悟ぉ!!」
シホ「この、当たれ」

だがシロッコのタイタニアは、イザーク、シホの攻撃を余裕でかわす。

シロッコ「かのヤキン・ドゥーエ攻防戦を生き延びた
 噂に高いジュール隊のTop3と言えどこんなものか。」
イザーク「うるさい、落ちろぉ!」
シロッコ「ふっ、凡人がこの私を倒そうなどと、愚かな!!
イザーク、ディアッカ、シホ「「「うわぁぁ!!」」」

本気で攻めてきたシロッコの攻撃に次々損傷が拡大していく3人。
ネオジオン旗艦レウルーラが到着した頃には、
3人とも戦闘不能寸前にまで追いやられていた。

649 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:05:49

シャア「ナナイ、艦の指揮は任せるぞ」
ナナイ「大佐、お気をつけて」
シャア「シャア・アズナブル、ナイチンゲール出るぞ!」

シャアのナイチンゲールを筆頭に
カムナ、ユウ、マリオン、シグ、ミアンを含むネオジオンの部隊が、
前線に到着したレウルーラ・MSデッキから随時出撃する。

シャア「ジュール隊、よく持ちこたえてくれた。
 ここは我々に任せて下がりたまえ。」
イザーク「シャア大佐、すいません。お任せします。」
ナナイ「イザーク殿、あなた達3人に
 ファクトリーに来るようにと伝言を承っています。
 護衛を貸すので行きなさい」
イザーク「ご助力感謝します。」

護衛を伴いファクトリー方面へ撤退するイザーク達。
そして対峙するシャアとシロッコ。

シロッコ「ふっ、出てきたかシャア。」
シャア「ファクトリーをやらせるわけにはいかん。」
シロッコ「一度はアクシズ落としという大罪を犯した貴様が
 正義の味方気取りで我々の邪魔をするのか?」
シャア「外宇宙からの脅威からコロニーに住む人類を守る為には
 一致団結しなければいけないということに気づいたからだ。
 貴様や、ハマーン、ロゴスなどを放っておけば
 そんな準備をすることもままならないということが何故分からん!!」

シャア、シロッコ「「ファンネル!!」」

相手の機体に向け、色々な方向に散らばっていくファンネル。
互いにファンネルのビームをかわし、ファンネルを潰し、
MS本隊から放たれる攻撃をかわし・・・

シロッコ「もらったな」
シャア「なんの…そこか!」

ネオジオン軍、木星軍のどちらも
この超一流NTの2人の戦いに入りこめないでいた。
下手に介入しても邪魔になるか落とされてしまうからだ

シロッコ「うっ、やるな!(…ええい、サラとレコアは何をやっている)」

その時、サラとレコアから通信が入る。

サラ「サラ・ザビアロフ、Gレイヤー出ます!」
レコア「同じくレコア・ロンド、こちらもGレイヤー出ます!」
シロッコ「何をやっていた?」
サラ「パプテマス様、申し訳ありません。
 スタンバイに思いのほか時間がかかってしまいまして…。」

ジュピトリスから出てくる巨大MA(モビルアーマー)。
その姿は細部は違うが、コウの乗るGP03D(デンドロビウム)によく似ている。

???「私も出よう。」
木星軍艦長@通信モニター「お気をつけて」
???「ギニアス・サハリン、グロムリン出る!!」

ほぼ同時に見慣れない巨大MAも出てくる。
ギニアス・サハリン。アイナの兄でジオンの技術士官。
暴走したところをシローとアイナの捨て身の一撃により戦死していたのだが、
黄泉がえり、木星軍のMA開発主任兼パイロットとしてスカウトされていたようだ。

650 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:06:50

シャア「何!何だあのMAは。
 片方はウラキ少尉のデンドロビウムに似ているが…。」
シロッコ「あれはGレイヤー、早い話が量産型GP03Dだ。
 もう片方がギニアス殿が作ったグロムリン。」
シャア「ギニアス!? ギニアス・サハリンか」
シロッコ「その通り。だが、どちらもただのMAだと思うなよ」

そういう会話をしている間にもGレイヤーはネオジオン艦隊を、
グロムリンは同時に出撃してきた少数のメッサーラやパラスアテネ
そして1機だけだがアプサラスV改を伴い、ファクトリーの方へ行ってしまった。

シャア「いかん、各員シロッコは私が抑える。
 皆で何としてもGレイヤーを止めてくれ。
 グロムリンとやらはあちらのメンバーに任せるしかあるまい。」

ネオジオン軍「「「「了解!!」」」」

開始される対Gレイヤー戦。
MAというのは基本的にサイズが大きいので
攻撃を命中させることはたやすい。
ネオジオン一般兵が操るギラドーガが
Gレイヤーに向けビ−ムマシンガンを撃ちまくる。
だが、やはりIフィールドが張り巡らされており
全て弾かれてしまう。
ならばと…ミサイルやバズーカなどの実弾兵器を撃つが……。

レコア「ふっ、その程度、効きはしない。」

ギラドーガ程度の実弾兵器では、
装甲が分厚いGレイヤーにはほとんどダメージを与えられない。
そして反撃と言わんばかりに発射される大きな6角柱状の物。
何割かの兵達はそれが何なのか即座に理解し、回避行動を取る。
しかし、全てのものが理解できず……。

カムナ「各機、あの物体から距離をとりつつ回避行動」

この6角柱状の物から大量の小型ミサイルが全方位に向け発射された。
カムナの判断が早かったおかげでミサイルによる被害はあまりなかったのだが…。

サラ「ファンネル、いって!」

まだ回避行動を取っている最中にGレイヤーから射出されるファンネル。
このGレイヤーは特別製でサラとレコアの2人乗りなのである。
メインの操縦をレコアが行い、火気管制、
特にファンネル制御をサラが行うという形を取っている。
この二人、パイロットとしての腕はレコアが、NT素養ではサラが勝っているのだ。
ファンネルまで加わるとさすがに被弾していく機体が増えていく。
足止めに成功したサラ達は更にネオジオン戦艦群に接近。

ナナイ「各艦、ミサイル一斉掃射。」

レウルーラをはじめとするネオジオン戦艦から
ミサイルの雨がGレイヤーに降り注ぐ。だが……

レコア「デフェンスファンネル、展開。」

8個のファンネルが射出されGレイヤー前方で
8角形を作りその内側に幕が形成される。
その幕に当たったミサイルは爆発してしまった。

ナナイ「なっ、回避行動」
レコア「遅い、まずは1つ。」
ネオジオン艦長「か、回避ぃぃ!!」

ミサイルをやり過ごしたGレイヤーが近くにいた戦艦に向け
大型ビーム砲を打ち込み宇宙の塵に変えてしまった。

ユウ「このままでは…カムナ少佐、マリオン頼む。」
カムナ「了解した。マリオン中尉、いくぞ」
マリオン「了解」
サラ「っ…これは」
レコア「な、何なのこれは!?」

カムナとマリオンがサラとレコアに仕掛けたのは
NTどうしの戦いに有効なプレッシャーをかける(精神)攻撃。
かける側とかけられる側のNT素養の差が大きく且つお互いに
それなり以上のNT素養があれば相手を行動不能にすることも可能だという。
しかしかける側の集中力、精神力もかなりのものが必要で、
実例は無いに等しいが、やりすぎるとグリプス戦役終戦直前にカミーユが
起こした精神崩壊のような副作用があるかもしれないと囁かれている。

サラ「敵の意思が私の中に…(少し恐慌状態)」
レコア「サラ、しっかり…くっこれはキツイわね」
シグ「よし、畳み掛けるぞ!」

動きが緩慢になったGレイヤーにまずユウがインコムを飛ばし
さらにかく乱させ、シグがオフェンスモード2で
すばやくGレイヤーの背後に回りこみほぼ0距離でメガカノン砲を発射。

レコア「そんな、Iフィールド出力が30%に低下!?」
ミアン「みんな、撃ちまくれー」

ミアンの号令と共に一斉射撃を開始するネオジオン一般兵達とユウ、シグ。
依然プレッシャーをかけつつもカムナ、マリオンも攻撃に参加する。
ビーム、実弾が混合でGレイヤーに突き刺さる。
Iフィールドが弱まったこともあり、ビームも装甲に届くようになっている。

サラ「あああぁ…(依然プレッシャーによる恐慌状態)」
レコア「このままでは…はっ(何かに気づく)。くっ、撤退する!」

あっという間に撤退してしまった。レコアが何に気づいたのかというと、
体勢を立て直した戦艦群がこちらに向いていたのを察知したのだ。
MSの攻撃に耐えるのに精一杯なのに、この上戦艦の攻撃までくらうと
まず落とされるであろうという見立てのもとであった。
彼女としてはシロッコにいいところを見せておきたいというのもあり、
非常に悔しいものがあった。

シロッコ「ちぃ、仕方が無い。ジ・O部隊、発進だ。
 (…まさかこいつらを出すことになるとは)」
ジ・O部隊「「「了解!!」」」

最後の抵抗といわんばかりに10機のジ・Oが出てきてカムナ達と戦闘に入った。
シロッコは守りに徹していた。ヤザンやギニアスがファクトリーを落としてくれると信じて。

651 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:08:27

***ファクトリー周辺宙域***

シロッコ達の方にマフティーが乱入してきた頃、
ザフト、ネオジオン合同軍は何とか木星軍先発隊を全て片付けていた。
途中参加したノリスの働きも大きかった。

シロー「はぁ、はぁ。終わった、のか?」
ノリス「まだ分からん。向こうのリーダーはあのパプテマス・シロッコらしい。
 奴がこの程度で終わるとは思えん。各機警戒を。」

ザフト、ネオジオン合同軍「「「「了解!!」」」」

しかし、少しの間シーンとしている。

アイナ「何も出てきませんね…。」
シロー「ファクトリーの司令部に連絡を入れてみる。」
ノリス「そうだな、向こうは何かつかんで・・」

ネオジオン兵「うあぁぁぁ。」

その場にいた全員「「「「!!??」」」」

シロー「各機回避行動を!!」
ノリス「狙撃兵に狙われているぞ。(ファクトリー司令部に繋ぎ)
 どこかに敵影は?」
司令部通信兵「わかりません…。あ、ノリス殿達の位置から
 北西方向にかすかに熱源が!?」
ノリス「了解した。よし、腕におぼえのあるものだけついて来い。突っ込むぞ。
 シロー、アイナ様、貴方達は部隊の半数を伴いここにお残り下さい。
 別働隊がいた場合ここを守っていただかないといけません。」
アイナ「分かりました。ノリス、気をつけて」
ノリス「よし、行くぞ。」

ザフト、ネオジオン合同軍「「「「了解!!」」」」

こうしてノリス、ゼロ、レイラを含むザフト、
ネオジオン合同軍の半数が狙撃ポイントへ突撃していった。

少しするとシロー達めがけては狙撃は行われなくなった。
これは敵の殲滅を意味するのか、それともノリス達に狙いを絞ったのか、
ミノフスキー粒子が濃く通信できないため確認がとれない。

そしてレーダーに今の自分達の2倍程の所属不明機が現れた。

司令部@通信「これは…ハンブラビにバーザム、ゼクアイン、ゼクツヴァイ。
 おそらくティターンズです。」
シロー「各機フォーメーションを組み迎撃。…絶対に死ぬな、
 最後の最後まであきらめるんじゃないぞ!!」

残留部隊「「「了解!!」」」

程なくやってくるヤザン達ティターンズ部隊。

ヤザン「よーし、各機思う存分暴れてやれ。」
ティターンズ部隊「「「了解!!」」」

戦えればいいというヤザンらしく、
ファクトリー破壊はとりあえず眼中に無いらしい。

ヤザン「(1機だけいるリガズィカスタムをみて)ふん、
 落としがいのありそうな奴がいるじゃないか…。」
シロー「こいつら隊長クラスの奴らだな、ハンブラビ…まさか、
 ヤザン・ゲーブルか!? アイナ、おそらくこいつ等はヤザン隊だ。」
アイナ「分かりました。援護します。」
ヤザン「ダンケル、ラムサス、あれにクモの巣を仕掛けるぞ!」
ダンケル、ラムサス「了解です、ヤザン隊長。」

リガズィカスタムの周りを飛び回る3機のハンブラビ、
シローは必死に迎撃しようとするが、当たらない。
その時―!!

ヤザン「もらったぁ」
ラムサス「くらえ」
ダンケル「落ちな」

3機のハンブラビから電磁ムチ海ヘビが射出される。
しかし、1つを盾で防ぎ、1つを避けた。最後の1つに捕まったが、
電流が流れてくるか来ないか位のときにアイナがその機体、
ダンケル機にビームライフルを撃ち、ダンケルは海ヘビを回収し、
回避行動を取らざるを得ない状況を作った。

シロー「よし、うまくいった。ありがとうアイナ。」
アイナ「シローが無事でよかった。」

シローとアイナは自分達が新生キマイラ隊の他のパイロットに
一歩劣ると感じていたので、密かに2人で特訓していたのだ。
中でもこういうクモの巣のような複数人連携攻撃を仕掛けられた時、
いかに被害を少なくするかという訓練をそのパイロットが
生きていた当時の映像を元にして行っていたのだ。

ヤザン「何だと、ほぼ無傷でクモの巣を切り抜けやがっただと!?
 ちぃ、もう一回だ!」
シロー「くっ、また来るのか。」

もう一度仕掛けてくるヤザン達。シローも同じように回避していき、
最後の1機、今度はヤザン機の海ヘビに捕まる。
しかし、今度はアイナの援護がこない。
さすがにヤザン達も同じミスは2度せず、
友軍をアイナに差し向けて足止めしていたのだ。

シロー「(電流を流され)ぐあぁぁ」
ヤザン「ふははは、落ちろぉ」

シローが電流で意識が飛びそうになってきたその時…
…ビームが飛んできてヤザン機をかすめた。

ヤザン「くっ、どこからだ?」

飛んできたほうを見るとそこにはRFゲルググの姿が。
その後ろに1隻の戦艦にギリギリ収まりそうな位のMSが展開している。
しかし、そのMSには統一性が無く、ギラドーガがいると思えば、
ジェガンがいたり、果てはトーラスがいたり、
とにかくバラバラだった。

コッセル@ムサカ級戦艦「シーマ様、ファクトリーと話がつきましたぜ」
シーマ@RFゲルググ「よくやった、コッセル。
 いくよお前達。損得は抜きだ。今こそ、人の為に戦うんだ」
旧ジオン海兵隊「「「了解!!」」」

シローはファクトリー司令部から電送されてきたテキストを確認し驚く。

シロー「シーマ・ガラハウだって、あいつが…。
 しかもネオジオンに入りたい!?」

なぜ、シーマがネオジオンに入るに到ったのか?

652 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:09:02

―――(回想シーン)

3日目、シーマ達とマフティーの会話の続き

シーマ「ああ、私達は…とその前に」
マフティー「…?」
シーマ「マフティー、あんたカゲロウ…ってのを知ってるかい?
マフティー「カゲロウ?…確か虫の名前だったと思いますが…」
シーマ「なんでもカゲロウってのは成虫になって
 数日で死んでしまうんだそうだよ」
マフティー「で、それが…?」
シーマ「ジオン軍の頃、デラーズ戦役の頃アタシらを
 「カゲロウのような」って言ったやつがいてね。
 はかなく消えちまうカゲロウとアタシらシーマ艦隊をひき比べてたのさ。
 一年戦争からコッチ、たいがいの悪事に手を染め、悪名高めながら
 意地汚く生きてきたアタシらとね…。お笑いだろ?
 こんなアタシらがカゲロウとはさ…」
マフティー「…そうでもないんじゃないですか?」
シーマ「…え?」
マフティー「カゲロウっていうのは幼虫のまま何年も過ごして
 ようやく成虫になります。」
シーマ「ふふ…黄泉がえってもあがき続けようと考えるアタシらそのものだね。
 幼虫のまま見苦しく時だけ過ごしていずれ、はかなく消えちまう…」
マフティー「そうではありません。ほんの数日でも成虫になれるから
 カゲロウは待ち続けられるのです。本人にしてみれば
 どう思われようと関係ありません。いつか必ず空に羽ばたいてやるって
 覚悟で何年も過ごしているんじゃないでしょうか?」
シーマ「マフティー…アンタ、さすがこういう組織の長ってところか…
 …なかなか物知りだねぇ」
マフティー「ええ、まぁ表の顔は植物監さ…いえ、以前本で読んだんです。」
シーマ「…ま、なんにせよありがたい話だったよ、マフティー。
 決心がついたよ。」
マフティー「そうですか、では改めて答えを聞かせていただけますか?」
シーマ「ああ、私達はネオジオンで軍人としてやり直したい。」
マフティー「よろしければ理由を聞かせてもらえますか?」
シーマ「まず、軍人以外の職だが、素性がバレれば
 殆どの人が距離をおいてしまうだろう…。」
マフティー「……。」

マフティーはそれは違うとは言い返せない。

シーマ「で、ロンド・ベルは大半が連邦の軍人だからね。
 連邦というとデラーズ戦役の最後に裏取引した連邦の高官達に裏切られてる
 からね。まぁ大半は今のティターンズ上層部だったみたいだが…。
 とにかく抵抗があるのさ。それにDショッカーには、あのガトーの奴が
 ガルマの坊やと一緒にいるそうじゃないか? その時点で論外だね!」
マフティー「………」
シーマ「…で、もしかしたら知り合いがいるかも知れないし、
 ネオジオンに決めたのさ」
マフティー「うちの組織で働くことは?」
シーマ「アンタを信用してないわけじゃない。
 けどTopはよく知っている人物のほうがいいって言うのが
 私たちの考えだからね。シャアのことはよく知ってるからね…。
 いい話も悪い話も。」
マフティー「わかりました。そこまでいうなら止めません。
 しかし、もしネオジオンにいるのがイヤになったら
 私たちは貴方達をいつでも歓迎します。」
シーマ「そうならないことを願うよ。」
マフティー「では、ガウマンについていって下さい。」

皆ガウマンについて行ってしまい一人部屋に残るマフティー。

マフティー「…(彼女らなら我々の同士になってくれるかと思いましたが…。
 まあいいでしょう。Dショッカーに入らなかっただけましとしますか…)」

653 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:09:45

アイマスクの着用を指示され、ガウマンの用意していたバスに揺られ、
マフティーの秘密格納庫らしき所に連れて行かれたシーマ達。
そこには多種多様なMSがあった。ザクがあれば、ジンやリーオー、
量産型であろうガンダムタイプのMSも見られる。

ガウマン「とりあえず、好きなのを選んで機体のチェックと試運転してくれ。
 場合によってはあんたらをネオジオンに行かせる前にひと悶着あるかもしれん。」
シーマ「試運転?」
ガウマン「ここにあるMSの大半はジャンク屋が修理したものを買い取ったものだ。
 …そんな顔されても困る。こっちにも予算の都合というものがあるからな。」
シーマ「…チッ。わかったよ。ところで戦艦は?」
ガウマン「ああ、奥にある。こいつは今ネオジオンが一般的に使っている
 ムサカ級戦艦だ。」
シーマ「コッセル」
コッセル「へい。」
シーマ「私たちの戦艦(ふね)は形が変わろうとも
 名前はリリー・マルレーンだ。わかってるね!」
コッセル「もちろんでさぁ!」
シーマ「そして、今ここでシーマ海兵隊という名前をやめる。」

一同どよめく。

シーマ「そして、新たな部隊名は…カゲロウ部隊だ。」
ガウマン「へぇ、さっきの話からかい?」

今まで黙っていたガウマンが言う。

シーマ「ああ、今まで私たちを蔑んだり、
 バカにしたりしてきたやつらに見せてやるのさ、カゲロウの意地ってやつをね。
 何か異議のある奴は…いないね。それじゃあお前達――」
カゲロウ部隊「「「「カゲロウの意地、見せてやる!!」」」」


          (回想シーン終了)―――

654 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:10:21

そして今日の昼、木星軍の目的を察知し、
ネオジオンもこれを阻止しに来るであろう、というマフティーの
予想のもと、大急ぎで準備し駆けつけたというわけだ。
突然の増援で意表をつかれたティターンズは混乱し、
それまでティターンズ有利だった戦況がザフト、ネオジオン合同軍が
若干有利に変わった。
そんな中、ボロボロのグフIg、シグーDA、GザクWが
護衛に付き添われファクトリーに入っていく。
イザーク達だ。

***ファクトリー内部***

何とか無事にファクトリーにたどり着き、
MSから降りた所を迎えたのはヨウランとヴィーノだった。

イザーク「お前達はミネルバの…!?」
ヨウラン「すいません、時間が惜しいのでついて来てもらえますか?」
イザーク「ふん、俺達に用があるっていうから来たが、
 くだらない用事だったらタダじゃすまさんぞ」
ディアッカ「あー、こいつなりに速くしろって言ってるだけだから…
 …あんまり畏縮すんなよ」
ヴィーノ「じゃ、じゃあついてきて下さい。(汗」

早足で歩き出すヨウランとヴィーノ。ついていく3人。
廊下に出、関係者以外立ち入り禁止のドアを開けるヨウラン。
ドアをくぐったイザーク達が見たものとは……

イザーク「こ、これは…」
ディアッカ「フリーダムとジャスティスが…」
シホ「3機ずつ!!?」

イザークはいきなりヨウランの胸座を掴む。

イザーク「おい、なんでフリーダムとジャスティスがこんなにある!?」
ヨウラン「こ、これはラクス様直々の要望で作られた
 量産型フリーダムとジャスティスです。」
ディアッカ「量産型ぁ!?」
ヴィーノ「はい。と言っても基本スペックは第一次連邦・ザフト戦役の頃の
 本家本元と何も変わりません。」
シホ「(本家本元って…)」

「そんな話は聞いてないぞ」と言いつつも、
イザークは掴んでいたヨウランの胸座を解放する。

ヨウラン「変更点はミーティアとのドッキングができなくなったことと
 シールドをビームシールドに変えたことぐらいですね。」
ディアッカ「まぁミーティア1つ作るのにこいつら2機位作れそうだからなぁ」
イザーク「――で、パイロットは?」
ヴィーノ「フリーダムは、1号機から順に、
 キラさんの予備機体、ディアッカさん、今失踪中のルナマリアというのが
 現予定パイロットです。」
ヨウラン「ジャスティスは、1号機から順にアスランさんと
 失踪中のシン・アスカの予備機体、そしてイザーク隊長です。」
ディアッカ「シン・アスカにルナマリア…あのミネルバの二人か」
ヴィーノ「ホントあいつら今頃どこで何してるんだろ…」
イザーク「………」
シホ「あれ、私のは?」
ヨウラン「シホさんのはこれです」

奥のスポットライトが点灯する。

イザーク「あれは、ストライク!?」
ディアッカ「あれ、でも見たこと無い装備がついてるな」
ヴィーノ「はい。あれはIWSPというストライカーパックです。」
シホ「IWSP?」
ヨウラン「IWSPとは統合兵装ストライカーパック(Integrated
 Weapons Striker Pack)の略称です。
 早い話、エール、ソード、ランチャーの各ストライカーパックの
 いいとこ取り装備です。もちろん最新の部品や設備使ってますし、
 コーディネーター用にしてますんで第一次連邦・ザフト戦役の頃に
 キラさんが使っていたものとは比べ物にならない位性能アップしてます。」
ディアッカ「あれ、もう一機あるけどあれは誰が使うの?」
ヴィーノ「予定ではオーブにいるムウさんの予備機ですね…。」
ディアッカ「ああ、おっさんの分か…」
イザーク「っと無駄話している場合じゃない。いくぞ二人とも!」
シホ、ディアッカ「了解!」

ここでヨウランがそっとディアッカの小耳に囁く。

ヨウラン「ディアッカさん、ディアッカさん。ちとお耳を…」
ディアッカ「…ん? なんだ…ふんふん…すぐできるか?」
ヨウラン「ええ直ぐにでも」
ディアッカ「グレイトォ!! んじゃ用意してくれ。」

そういって自分のフリーダムに乗り込むディアッカ。

イザーク@量産型ジャスティス「イザーク・ジュール、ジャスティス、発進する!」
シホ@ストライクIWSP「シホ・ハーネンフース、ストライク、いきます!」

何かを手に取るディアッカの量産型フリーダム。

ディアッカ@量産型フリーダム「ディアッカ・エルスマン、フリーダム出るぜ!」

655 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:11:14

ディアッカが戦場に戻ると、先に出たイザークとシホが大暴れしていた。
量産型ジャスティスが背中に背負っているリフター、
ファートム00に乗りラケルタビームサーベルを振り回し、
ティターンズMSを切り裂き、
ファートゥムについているフォルティスビーム砲で次々撃墜していく。
シホはシールドガトリング砲や115mmレールガンでイザークの援護、
自分に向かってくるMSには9.1m対艦刀や
シールドガトリング砲で対処している。
それを見たディアッカはティターンズの戦艦を探しだし、
両手に持っていた2本の砲を連結させた。
これこそ彼にとって懐かしのバスター時代に使っていた
350mmガンランチャーと94mm高エネルギー収束火線ライフル
(以下ビームライフル)である。
超高インパルス長射程狙撃ライフル状態にし、戦艦の1つめがけて発射する。
やはりこれもバスターの武装として使用していた頃より
出力が上がっているらしく、1撃で撃沈してしまった。
これに脅威を覚えたティターンズMSが集まってきている。
ディアッカは慌てずにマルチロックオン機能をスタンバイさせた。

ディアッカ「キラみたいに5機とか6機は一度に無理だが、
 2機位なら俺でも…!!」

そしてロックオン完了したディアッカは、
ビームライフルと腰のクスフィアスレールガンで1機狙い、
肩部のバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲で別の1機を狙って発射、撃墜していく。
それを無休憩で4回ほど繰り返すことで向かってくるMSを一掃してしまった。

ディアッカ「グゥレイトォ!!」

この3人が出てきてわずか1分で戦況は大きく変わってしまった。
そこにレーダーが新手が現れた事を知らせた。

グロムリン、アプサラスV改を含む、木星軍戦艦からの増援である。

シロー「アプサラス!?あんなものまで生産されているのか?」

その時全周波数に向けギニアスの声が聞こえてくる。

ギニアス「ザフト・ネオジオン合同軍の諸君、そしてファクトリーよ、
 私の新たな夢の礎になるがいい!!」
アイナ「な、お兄様!?」

シロー達は即座にギニアスを止めに行きたかった。
だが、今だヤザン達と交戦中だった。
最もシーマが加わったことで3対3になり何とか互角の勝負ができていた。
そこに敵を殲滅しながらここまでやってきた
量産型ジャスティス、ストライクIWSP、量産型フリーダムが現れる。

イザーク「ここは俺達に任せて行け!」
シロー「すまない、アイナ行こう。君の兄さんの凶行を止めないと!」
アイナ「はい」
ヤザン「逃がすかぁ…ぐぅ」
ディアッカ「何処見てんだよ、おっさん」
ヤザン「ちぃ、邪魔だぁどけぇ」

この後ヤザン達はあっという間に撃墜ギリギリまで
追い込まれ命からがら撤退している。

656 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:11:54

一方アプサラスV改を連れ余裕からか
ゆっくりファクトリーに接近するギニアス。

アイナ「お兄様!」
ギニアス「アイナか?」
アイナ「もうやめてください! なぜ木星軍などに!?」
ギニアス「黙れ! 肉親を捨て、男に走ったお前は母と同じだ!」
アイナ「貴方の考え、やり方が私を変えたのです!」
ギニアス「煩い、(アプサラスV改に通信をいれ)おい、お前
 こいつらを足止めしろ。私はファクトリーを潰し、
 このグロムリンの偉大さを知らしめねばならんのだ!!」
アプサラスV改パイロット「はっ!」
シロー「くっ行かせる訳にはいかないのに…!」

仕方なくアイナや友軍を伴いアプサラスV改と戦闘に入る。

そこから更に進んでいくグロムリン。
途中自分に向かってきたMSを有線ヘッドビームや対空メガ粒子砲で
たやすく撃墜し、ついにファクトリーの目の前まで来た。
そして並みの戦艦の主砲の出力をはるかに上回る威力を持つ
ヴァリアブルメガ粒子砲のチャージを始めた。
……チャージ完了した。

ギニアス「これで私の新たな夢が世界に広く認められるのだ。
 はははは…はっs」

その時ビームのシャワーが降り注ぎ、
その後、ビームバズーカ並みの高出力ビームが浴びせられた。
撃ったのは、ティターンズ狙撃部隊を殲滅しに行っていたノリス達と
その途中合流したジョニー・ライデン、シン・マツナガ、
バーニィを含むザフト・ネオジオン本隊の半分だった。
ギニアスは仕方なく発射を中断した。

ライデン「やれやれ、ギリギリ間に合ったか。」
ギニアス「貴様らも私の邪魔をするのか!!」
ノリス「ギニアス様、おやめください。」
ギニアス「ノォリスゥ!! 貴様もか!?」
ノリス「私はアイナ様に父親代わりだと言っていただきました。
 アイナ様の父親代わりならあなた様の父親代わりも同然。
 父親代わりとして、部下としてあなた様の愚行を止めさせていただきます。」
ギニアス「どいつもこいつも…ならば貴様も我が夢の欠片となれ!!」
ノリス「…仕方ありません。何がなんでもコックピットから出ていただきます。」
マツナガ「ノリス殿…いいのか?」
ノリス「ああ、野放しにすればギニアス様は罪無き人々を殺す。
 それでは先代のサハリン当主にあの世で顔向けできん。」

ギニアスもファクトリーより先に邪魔者を叩き潰すことにしたらしく
グロムリンをMSの方に向ける。そして、始まるグロムリン撃墜戦。

657 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:12:25

ライデン「戦場を駆ける真紅の稲妻、それがこの俺、ジョニー・ライデンだ。」

ビームマシンガンを撃ちまくるライデン機に、

マツナガ「白狼に会ったら逃げろ、それが最良の選択だ」

バズーカ砲を撃ちまくるマツナガ機、更に

バーニィ「…(照準を合わせ)よーし、いいこだ」

サナリィに特注で作らせたバーニィ専用ザクの専用装備、
簡易ヴェスバーが火を噴く。周りの味方機も射撃による攻撃をかける!

ノリス「ギニアス様、お覚悟を!!」

グフIgの大型ビームソード――テンペストを持ち
グロムリンに接近するノリス機、しかし…

ギニアス「私の夢を結晶を甘く見られては困るな」

ビーム、実弾問わずに作動するバリアをはっていたらしく、
それらの猛攻に耐え、全方位にビームで反撃しだした。
堪らず殆どの機体が攻撃を中断し、回避行動に入る。
接近していたノリスはグロムリン本体から発射されるビーム以外に
有線ヘッドビームのビームも加わり、苦戦していた。

ノリス「このままでは…。」
ギニアス「どうした、ノリス。私を止めるのではなかったのか?
 …とどめ!!」

それは本当のとどめとはならなかったが、
ノリス機の右腕をテンペストごと破壊した
しかし、ヨロケて動きが止まってしまうノリス機。

ギニアス「しぶとい奴、今度こそとどめぇ!!」

2つの有線ヘッドビームからビームが発射される。
今度こそやられる、そう思ったノリスだったが…

シロー「あきらめてはいけない!」

シローの乗るリガズィカスタムがノリスのグフIgの前に割り込み、
シールドでビームを打ち消す。
アプサラスV改を撃破し、足が速い彼だけ先に駆けつけたらしい。

シロー、ノリス「(もう片方は…?)」
シーマ「……」

シーマの乗るRFゲルググのシールドがビームを受け止めていた。

ノリス「すまんな、2人とも、助かった。
 すまんが後は頼めるか?この機体では足手まといになりかねん。」
シロー「わかりました。アイナの兄さんは俺が…」
シーマ「ボサッとしてないでさっさと下がりな」

下がっていくノリス機。

シロー「このままでは俺達も的になる…一端離脱する。乗ってくれ」

すばやくMA形態に変形するシロー機。

シーマ「わかった」

ビームを掻い潜りグロムリンから距離をとる2機。
そこにヤザン達を撃退したイザーク達がやってくる。

イザーク「こちらはあらかた片付いた。」
ディアッカ「でも、あいつは中々しぶとそうだな。
 イザーク、シホ、それから皆、俺がでかいの1発叩き込むから
 怯んだとこよろしくぅ!」
シホ「わかりました!」
イザーク「了解!」
バーニィ「俺も君と一緒に撃つほうに回るよ!」

ディアッカはマルチロックオンシステムを立ち上げ、1点集中モードにする。
特機(スーパーロボット)や戦艦、バリア持ちの機体を確実に落とすには
MSの武装では火力不足なことが多い。
そこでファクトリー開発部がマルチロックオンシステムに手を加え、
フリーダムの全武装をロックオンした1機に
全て叩き込むように改良していた。
バーニィーも火器のスタンバイと照準合わせに入る。

ディアッカ、バーニィ「「おちろぉ!!」」

2機のビームライフルが、バラエーナが、クスフィアスが、
簡易ヴェスバーが、ミサイルが一斉に発射される。
これにはバリアも装甲も持たなかったらしく…

ギニアス「くっ、耐久力を半分近くもっていかれた、だと!!
 しかも出力ダウン!?」

それ以前の攻撃も全く効いていないわけではなかったのだが、
今の2機の全力攻撃はギニアスから見ても予想外の威力を誇っていた。
不利を悟ったギニアスが取った行動とは…。

ギニアス「ふはははは…まとめて吹き飛ばしてやる。」

何と、ヴァリアブル・メガ粒子砲をイザーク達に向けチャージを開始した。
例え100%チャージ状態ではなくても食らえば一瞬で宇宙の塵とかすだろう…。
しかし……

イザーク「チャージする暇など与えるかぁ!!」
ライデン「真紅の稲妻のスピード、なめてもらっちゃ困るな」

イザークの駆る量産型ジャスティスがファートゥムOOを分離、
ヴァリアブル・メガ粒子砲の発射口付近に突撃させ、
ライデン等スピード自慢の猛者達がグロムリンに素早く接近、
各自の最強武装をお見舞し離れていく典型的なヒット&アウェイを行い、
発射前に撃墜しようと奮闘する。

ギニアス「ふははは、無駄だ無駄d…うっ、ごふ(少し吐血する)
     …チャージ中止、オートパイロット作動、撤退目標、木星軍戦艦」
シロー「退いた? 勝ったのか?」

ギニアスの持病が悪化したらしく撤退していった。
リーダー格のいなくなった部隊を片付けるのは容易く、
結果的にザフト・ネオジオン本隊の勝利に終わっている。

658 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:12:59

***木星軍戦艦周辺***

一進一退の攻防を続けていたシャアとシロッコだったが…。

シロッコ「ちぃ、私一人ではどうにもならん。撤退だ。
 この勝負預けるぞ、シャア!!(少し遊びが過ぎたか…)」

ヤザン、ギニアスが相次いで戦線を離脱してしまったので
やむを得ず撤退を決めた木星軍。

カムナ「総帥、追いますか?」
シャア「いや、いい。それより生存者の救助を。」
カムナ「はっ」

戦死者は結構な数になったが、ファクトリーへの被害は
殆どなかったのは不幸中の幸いだった。

さて、各軍の各々の拠点への帰り道での会話を見てみよう…。
まずは本拠地への帰路の途中である木星軍の艦隊である。

***ジュピトリス・艦橋***

サラ「パプテマス様、申し訳ありません」
シロッコ「いや、殆ど起動テストもせずに実践投入した私にも非がある。
 なんにせよ2人が無事でよかった。…で、ギニアス殿とヤザンは?」
サラ「ギニアス様は持病が悪化したのでメディカルルームでお休み中です。
 また、彼の乗っていたグロムリンも大破に近い状態です。」
レコア「ヤザンは『何時までも一緒に行動してると上の連中が
 煩いから』と言って去っていきました。」
シロッコ「…(やはり様子見などせず一気に戦力を投入しきるべきだったな…。
 それかシヴァー殿に戦力を貸してもらうべきだったか)…とりあえず
 サウザンスジュピターに帰還する。艦長あとはまかせるぞ」
艦長「は、はっ」

サラ、レコアを伴い艦橋を出て行くシロッコ。


***同艦内・メディカルルーム***

ギニアスが一人ベットから上半身を起こして資料を読んでいる。

ギニアス「いくらあれだけのMSとはいえ、
 私のグロムリンがあれほどまでになるとは。」

着艦し、悪化した持病でフラフラになりながらグロムリンの外に出ると、
グロムリンは彼の予想以上に酷い状態でそれを見た瞬間
倒れてしまい、先ほど目が覚めたところだった。

ギニアス「やはりもっとグロムリンを強化せねばなるまい…」

これまでに戦闘用ロボットに使われてきた特殊技術を纏めた資料を読みつつ、
彼は更なるグロムリンの強化、改造を頭の中に思い描いていった…。


一方、こちらはヤザン隊。

***アレキサンドリア・艦橋***

ヤザン「くそっ、くそっ」
ダンケル「…(荒れてるなぁ、隊長)」
ラムサス「…(ああ、触らぬ神に何とやら…だ)」
ヤザン「おい、お前ら奴に連絡を取れ、約束通りに動いたんだ。
 最低でも修理用パーツとか食料は送れってな!!」
ダンケル、ラムサス「は、はっ!」

殆どのMSが大破または喪失となったティターンズ、
中でも隊長のヤザンは上官であるジャマイカン辺りに
どんな嫌味を言われるかを想像し、イライラしていた。
…そしてあまり成果が上がっていないということで
謎のスポンサーから余り補給を受けられず更にイライラしたのは別の話。

659 名前:新章/太陽系宇宙:2006/06/24(土) 22:13:35

***ファクトリー内***

ヨウランとヴィーノがさっきまで戦っていたMS達の一部を点検、修理している。

ヨウラン「ほい、こっちは終わり。」
ヴィーノ「コッチの機体も終わった。」
ヨウラン「あとは…。」

見上げる2人。そこには量産型とはいえ、
ジャスティス、フリーダム、そしてストライクがあった。
以下各部を点検しながらの会話。

ヴィーノ「大活躍だったな、この3機」
ヨウラン「ああ、ところでイザーク隊長達は?」
ヴィーノ「少し仮眠をとってから
 3人でシミュレーター使って訓練するんだと…。」
ヨウラン「熱心だねぇ」
ヴィーノ「ディアッカさんの話では『こっちに来る前にやってた演習で
 不甲斐無い結果だったってのが主な理由だろう』って言ってたけどな…」
ヨウラン「負けず嫌いらしいからねぇ、イザーク隊長…。」
ヴィーノ「ま、俺達は俺達の仕事をこなそうぜ。んで早く休みたい」
ヨウラン「同感……うわぁもう部品が磨耗しかかってる。
 結構無茶な使い方してるなぁ…。」

メカニック2人の奮闘は続く…。
イザーク達もシミュレーターで更に機体のクセ等を自分達のものとし、
機体の受領手続き等を終え、プラントに戻っていった。

まだヨウランたちはシンがジュピトリアンにいる事を知らない…。


***レウルーラ艦内・談話ルーム***

ライデン、マツナガ、シーマが会話している。
1年戦争時は3人ともジオン軍だったし、
知り合いだったので中々会話は弾んでいた。

シーマ「…やっぱりここにきてよかったよ。
 あんた達がいるなら私達も心強いよ」
ライデン「…大したことできないかもしれないぜ?」

シーマは、シャアと新生キマイラ隊メンバーには、
黄泉がえってからファクトリーで参戦するまでの簡単な経緯を説明していた。

シーマ「それでも知ってる人がいるほうがいいと思わないか?」
マツナガ「確かに、それにシーマ殿達はすでに我等の同志。
 もし貴殿らに対する嫌がらせが起こすような輩がいるなら
 そいつはもはや同志ではない。」
シーマ「…不安が飛んでったよ。完全にはまだ無理だけどね」

その時、シローが入ってくる。…難しい顔をしている。

シロー「あんたが…」
シーマ「…?? 何かアタシに言いたそうだね」
シロー「サイド2関係者と言えば分かるか?」
シーマ「――!!?? あ、あれは…」
シロー「わかってる。わかっちゃいるんだ。けど…。」

一年戦争中、シローは08小隊を率いる前はサイド2にいたのだ。
奇しくもシーマ達が(そうとは知らず)毒ガスを注入してしまった
コロニーこそ、そのサイド2だった。

シロー「……今度あの時の犠牲者の墓に参ってやってくれ」
シーマ「あ、ああ…。」

無言で退室するシロー。シーマとしては殴られるくらいの覚悟はしていた。
しかし、真相を知っている今となってはシローも大きく出れなかったのだ。
それにシローとしては、もしその事件が無ければ
アイナと出会っていなかったかもしれないのだから…。


***同艦内・格納庫***

バーニィ「よし、これだけ戦闘ができればいいだろう…。
 問題はいつロンド・ベルに合流しよう…。」

アイナ「ノリス、いいのですか?」
ノリス「構いません。アイナ様にお使いするのが私の使命。
 それにギニアス様を止めるという大任務もできました。
 (あとはシロー殿を鍛え上げることも)」
アイナ「…そうですね。お兄様は私たちで止めないといけない。
 ノリス、力を貸してください。」
ノリス「はっ、必ずやギニアス様を止めましょう、3人で。」

それぞれ思うところはあるようだ…。
こうしてファクトリーを巡る攻防は終わりを告げた…。

660 名前:新章/ポイントゼロ:2006/06/24(土) 22:15:43

***無幻城・ブレインルーム***

ブレイン「ほう…あのシーマ・ガラハウが、まさかな…」
ガトー「………」

シーマ・ガラハウたちがシャア派ネオジオンに加わったという情報は、
ここDショッカー地球総本部・無幻城にも届いていた。

ブレイン「どうも黄泉還り現象と時空クレバス現象が起こり始めてから、
 世界の動きは私の計算能力をも上回る流れを見せているようだ…。
 それにしても実に惜しい。血に汚れたあの女ならば、我がDショッカー
 においてこそ本領を発揮する存在だと思ったのだが…」

正直、意外な展開との心境を吐露する巨人頭脳ブレイン。

ガトー「お言葉ですがミスターブレイン。
 あの女狐に何を期待していたかは存じませぬが、
 我ら誇りあるMS&獣型戦闘獣軍団に、
 あのような薄汚い輩は不要!」
ブレイン「フフフ…そうムキになるな、ガトー少佐。
 勿論私は君たちの働きにも大いに期待をかけている」
ガルマ「…で、例の交渉の方はどうなっております?」
ブレイン「村上君もよくやってくれている。
 ほぼ九分九厘はまとまったようだ。奴らも主力をジャブローに
 押し込められ、何ら有効打もなく困っていたといったところだろう。
 まもなく作戦は開始される!」
ガトー「しかし奴らは本来真っ先に粛清すべき対象であるはず!
 なぜそのような奴らと手を組まねばならぬのか…」
ブレイン「心配は要らないガトー少佐。
 同盟はあくまで一時的なものに過ぎない。小の虫を殺して大の虫を生かすと共に、
 地球上から互いに共通の障害を残らず消去するためのな…!」

661 名前:新章:2006/06/24(土) 22:17:59

○ノリス・パッカード→ファクトリーで黄泉がえり、
 アイナに仕える形でネオジオン軍入り。
△シーマ・ガラハウ、デトローフ・コッセル、他ジオン海兵隊員→
 マフティーに集められ自分達の意思でネオジオン入りを希望。
○シロー・アマダ→シーマとは過去のことで微妙な関係。
○イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマン、シホ・ハーネンフース→
 量産型ジャスティス、量産型フリーダム(350mmガンランチャーと
 94mm高エネルギー収束火線ライフル装備)、ストライクIWSPに乗り換え。
△マフティー・ナビーユ・エリン→自分達の同士になってくれる人材を探している。
 しかし、今回の行動を見るにヒーロー側に近い中立な立場か?
●木星軍、ヤザン隊→ファクトリー攻略計画失敗。
●レコア・ロンド、サラ・ザビアロフ→Gレイヤーに乗り換え。
●ギニアス・サハリン→黄泉がえり、木星軍に拾われ
 シロッコと共にMS、MAを開発(計画中のものもあり。)
 それとは別にグロムリンの更なる強化も企んでいる模様…。
●シーマ隊、シャア派ネオジオン参加との報は、
 Dショッカー地球本部にも届く。

【機体補足】
Gレイヤー・・・GP03Dの量産型。MS形態ステイメンへの分離機能はない。
 木星軍が全部で何機作っているかは不明だが、現在、レコア&サラの専用機
 (2人乗り)が確認されている。基本装備はGP03Dと同じだが、
 この2人の専用機のみファンネルが搭載されている。普通のファンネルの他、
 シロッコがνガンダムのフィンファンネル使用のIフィールドを研究、解析し、
 改良を加えた防御専用ファンネル、通称ディフェンスファンネルが搭載されて
 いる。作中でも使ったが、このファンネルが張るバリアは射撃武器なら
 ビ−ム、実弾問わず防ぐ厄介なもの。

【今回の新規登場】
○ノリス・パッカード大佐(機動戦士ガンダム 第08MS小隊)
 サハリン家に仕えるベテランパイロットで、
 アイナの腹心であり親代わり(アイナ談)。
 たった1機で08小隊全機を相手に奮闘した猛者。
○ヴィーノ・デュプレ(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 元ミネルバのメカニック。同じメカニックであるヨウランとつるむ事が多く、
 パイロットのシンとも年齢が近い為か仲が良い。
○ヨウラン・ケント(機動戦士ガンダムSEED DESTINY)
 元ミネルバのメカニック。同じメカニックであるヴィーノとつるむ事が多く、
 パイロットのシンとも年齢が近い為か仲が良い。
△ナナイ・ミゲル(機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
 ネオジオン旗艦レウルーラの艦長兼ネオジオン軍NT研究所の所長。
 シャア派ネオジオン軍のナンバー2と言っても過言ではない人物。
●ギニアス・サハリン少将(機動戦士ガンダム 第08MS小隊)
 ジオンの没落貴族サハリン家の長男。12歳の頃宇宙線を浴び
 以後病魔と闘いながらサハリン家再興を目指しアプサラスシリーズを作る。
●アナベル・ガトー少佐(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
 一年戦争時には「ソロモンの悪夢」という異名で名を馳せた
 元ジオン公国軍のエースで、デラーズ・フリートの一員。
 AMA-X2(AMA-002) ノイエ・ジールのパイロット。
 現在はDショッカー地下帝国軍・MS&獣型戦闘獣軍団幹部として、
 ガルマ・ザビに仕える。

662 名前:新章/ファム発覚篇:2006/06/30(金) 17:32:32


   東京  とある遊園地

 そこは、大人気のネズミやアヒルがいる遊園地とはまた違う、
数々の絶叫マシンやヒーローショーなどで賑わう、子供たちにも大人気の遊園地。

 親子連れだけではなく、カップルにも人気が高いその遊園地の中、
無数に存在するカップルの内の、もっとも元気な一組。

 それは

城戸「あっれ?」
 いや、城戸真司なる青年が、今の所一人。

 そう、かつてミラーワールドなる異世界で死闘を繰り広げた一人の男、
仮面ライダー龍騎こと城戸真司である。

 そんな彼が、今は何をしているのかというと・・・
普通に青年らしいちょっとだけオシャレな格好をして、両手に
ソフトクリームを持って辺りを見渡している。

 どこから誰がどう見ても、デート相手にソフト購入を命じられ、
戻って来てみたら彼女がいない、という様子である。

城戸「・・・? 霧島の奴、人をソフト買いに行かせといてどこ行ったんだ?」
 なんともベタなことに、実際その通りだった。

 怪訝な顔でキョロキョロと辺りを見渡していると

美穂「シ──ンジっ♪」

    (ドンッ!!)

 後ろで待ち構えていた彼女らしき人物が、城戸の名前を呼びつつ
ドンと背中を押した。

城戸「うわわっ!!?」
 完全に意表を突かれた城戸は、思わず2本のソフトを手放す。

 このままでは、狩ったばかりのソフトは大地に激突し蟻の餌確実と思われた。

 しかし

城戸「おっととととっ!!!」
 すぐさま城戸は、軽くパニックになりつつも、2度、3度4度と
手を伸ばし

   (パシッ!!)

 5度目で、やっと無事にソフト2本を掴む事に成功した。

城戸「・・・は〜〜〜〜っ・・・・・・」
 ソフト救出には成功したものの、気が抜けた城戸は力なく座り込む。

城戸「何すんだよ。霧島・・・」
 そして、その張本人たるイタズラっ子にジト目を向けた。

美穂「だってぇ、ソフト2本買ってくるのに遅いんだもの。
 ちょっとしたイジワルくらいしたくなるじゃない?」

  霧島美穂。彼女もまた、ミラーワールドで戦いを繰り広げた
ライダーの一人にして、ミラーワールドライダーの内、唯一の
女性ライダー、仮面ライダーファム。

 かつては殺しあう運命の間柄だった二人の戦士が、今こうして遊園地で
2度目のデートというのは、実に奇妙とも言える。

城戸「いやさ、買いに行く途中で風船を木に引っ掛けた子供が泣いててさ」
 ソフトの片方を霧島に渡しながら、遅れた理由を話す城戸。

美穂「・・・ふ〜ん。シンジらしい理由よね。さすが『正義の味方』」
 霧島は笑顔だが、言い方は皮肉的だ。

城戸「いや、だってほっとけないし・・・」
美穂「で、正義の味方さんは子供を泣かせるのは苦手で、
女の子を待たせるのは平気なんだ?」
 ぐいと顔を近づけ、不満を向ける霧島。

城戸「いや、あの・・・ ごめん」
美穂「まあ、いいけどね」
 ソフトにかぶりつきながら、くる、と振り向く。

美穂「今日はと・こ・と・ん・シンジに付き合ってもらうつもりだから、
覚悟しなさいよ?」
城戸「いや、もう今日は絶叫マシン乗りすぎだと思うんだけど・・・」

美穂「何言ってるのよ」
 シンジの左腕を掴み、強引に立ち上がらせる霧島。

美穂「一日中付き合えって言ったでしょ?
 神崎の最後の力でチャラになったとはいえ、私を殺した責任・・・
ちゃんと取ってもらうんだから」

 そう言って、霧島は周りに見せ付けるように、城戸の右腕に
自分の左腕を絡める。

城戸「いや、それは・・・
 って、なんかどっかで聞いたような台詞だなぁ」

霧島「フフッ♪」
 霧島にいいように操られてはいるものの、
二人の姿は実にお似合いのカップルだった。

 戦いから離れ、束の間の急速を楽しむ二人。

 しかし

??「フン・・・ 見せ付けてくれますね」
 離れた位置から、同じ様にソフトを舐めながらその様子を観察する、
一人の男。

??「しかし・・・ それも今の内。すぐに・・・ 地獄へと案内してあげましょう」

     (ジュウウウウ・・・ッ)

 忽ち、男が手に持っていたソフトクリームは、コーンの部分ごとブクブクと
泡に包まれ、溶けてなくなる。

??「憎き、城戸真司め」
 黒い影は、既に近くに迫っていた。

663 名前:新章/ファム発覚篇:2006/06/30(金) 18:00:24

○城戸真司→霧島美穂に強引に誘われ、デートのやり直し。
ソフトは買いに行かされるわイタズラはされるわ、さっそく
オモチャにされている。
○霧島美穂→分身であるリュウガに『殺された』ことを理由に、
城戸に丸一日言う事を聞かせる様にし、早速好き勝手。

【今回の新規登場】
○城戸真司=仮面ライダー龍騎(仮面ライダー龍騎)
OREジャーナルの記者。正義感が強く、決断力は弱め。
○霧島美穂=仮面ライダーファム・サバイブ(仮面ライダーEPISODE FINAL)
元結婚詐欺師。ミラーワールドライダー中の紅一点。PUライダーエンジェルの一員。
幻の【光輝】のサバイブカードにより強化。水木涼子・霧子姉妹の魂と
繫がっている。現在は詐欺から足を洗い真っ当な職に。
【リセット】により、生き返った姉と現在は共同生活。


664 名前:新章/ファム発覚篇:2006/06/30(金) 23:12:07


    遊園地  おみやげショップ

美穂「あははははっ! ねえシンジ、コレ見て?」
 数あるお土産の中、その内の一つを見て爆笑する霧島。

城戸「え? 何? ・・・あ」
 既に多めの荷物を持たされている城戸が振り向くと、そこには・・・

城戸「・・・俺の、ドラグバイザー?」
 さすがに材質こそ違うものの、自分のドラグバイザーそっくりのものが
そこにあった。

美穂「何か、TVヒーローのオモチャみたい」

城戸「・・・ひょっとして、神崎の【リセット】で変な影響でも残ったのか?」

美穂「う〜ん・・・。どっちかというと、私達ミラーワールドライダーの内の
誰かが、私達を架空の設定に焼き直して商品化したんじゃないかしら」

 オモチャのドラグバイザーを面白そうに眺めながら、自分の推理を
展開する霧島。

城戸「だとしたら・・・ 誰だ? ・・・北岡はやりそうだけど、弁護士
だしなぁ・・・ 芝浦? 佐野? ・・・あ、高見沢? いや、それとも・・・」
 頭を捻る中、ふいに霧島が目に入る。

美穂「・・・何で私を見るわけ?」
城戸「いやぁ〜・・・(すっげぇ、やりそう)」

美穂「何だか、すごく失礼な事を考えてない?
 あのねえ、今の私はただの検事なんだから、こんなもの作るお金も暇も
無いわよ」
 むぅ、とした顔で無実を訴える霧島。

城戸「え? 霧島って・・・ 検事になったの!?」
 その中に意外な単語を聞き取った真司は、驚いた。

美穂「あら? 言ってなかったっけ?」
 霧島は霧島で、きょとんとしつつ聞き返す。

城戸「いや、初耳・・・ お姉さんが生き返ったのは聞いたけど」
 そう、浅倉に殺された霧島の、お姉さん。

 【リセット】により霧島美穂が生き残った瞬間。
 霧島は、とある場所でその意識を覚醒させた。
 やがて意識がはっきりしてくると、そこはかつて、姉と共に暮らしていた
マンションの一室である事に気が付いた。

 そして、更に己の目を疑う光景。
 死んだ筈の美穂の姉は、いつものように隣の台所に、本当に当然の様に
そこにいたのである。

 その時は、真司や蓮と同じ様に、霧島美穂も戦いの記憶は失っており、
姉が殺されたという記録も、事実も消えていた。
 なのに、美穂はその時、訳も分からずにその場で、姉を力の限り抱きしめ
子供のように泣いたという。

 ・・・で、そんな感動話を俺が聞いたのは、俺たち殆ど全員の記憶が戻って
すぐ。霧島からかかってきた電話で3回。その後直接再会した居酒屋で・・・
 そっちの方は、10回から先は覚えてない。

 とまあそういうわけで、神崎の奴も最後に粋な事をしたなぁと、その時は
俺も思ったわけだ。

城戸「でも、検事は聞いてないぞ?」

美穂「うん。私もね。突然だったからすごく驚いた」
 目を閉じて腕を組み、ウンウンと頷いている霧島。

美穂「でも、よく考えてみたら検事として勉強した記憶もあったし、
バッジも証明証も、検事としての初仕事とか、上司が鞭を振り回す変な人
だったりとか、そこまで記憶も記録もあるのよ。・・・実感は無いんだけど」

城戸「俺の場合は全然変わってないんだよな。OREジャーナルの安月給
の記者のまんまで・・・ 優衣もいるし」

美穂「私の考えだと、世界がリセットされた時に、一番【自然な形】に
世界が繋げられたのかもしれないわね。そういう意味では、私の【検事】
っていう今の職業はピッタリだと思う」

城戸「何で?」
美穂「だって、検事っていったら弁護士の天敵だもの。
 あのスケベエセ弁護士に吠え面かかせてやれるじゃない!」

  グッ! と、拳を握って強く語る霧島。

城戸「あ〜〜・・・(北岡か・・・ なるほど)」


北岡「・・・はっくしゅ!!!
 その時、どこか遠くから、どこかで聞いた様な声のくしゃみが聞こえた。


城戸「ん?」
美穂「え?」

 城戸と霧島は、同時に辺りを見渡すものの、特にそれに該当する人物は
見当たらなかった。


城戸「・・・え、と。 じゃあ、目標は【打倒。北岡】?」

美穂「それだけじゃないわよ。浅倉がまた警察に捕まったら、絶対私が
検事を担当してやるの。例え駐車違反でも死刑を求刑してやるわ」

 霧島の目は後ろ向きではないものの、夜叉の如く情念の炎が宿っている。

城戸「・・・は、はは、は・・・」
 この目は本気だな。うん・・・ 本気だ。


665 名前:新章/ファム発覚篇:2006/06/30(金) 23:16:58

○城戸真司→霧島が検事になっていた事を聞かされ驚き、宣言に少しびびる。
○霧島美穂→リセット後の職は検事だった事が判明。真司に自論と宣言を
ぶちまける。
○北岡秀一→何故か、クシャミが聞こえるほど付近にいる模様。

【今回の新規登場】
○北岡秀一=仮面ライダーゾルダ(仮面ライダー龍騎)
日本有数の敏腕弁護士にしてミラーワールドライダーの一人。
仮面ライダーゾルダのカード所持者。リセットによって不治の病は完治。


666 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/01(土) 04:21:52


美穂「まっ・・・ たく失礼しちゃうわよね!
 ナイトや北岡や浅倉からタイガまであるのに、私だけ無いなんて!」

  オモチャの中に、ファムのグッズらしきものがなかったことに、軽く
怒りを露にしている霧島は、実に不機嫌そうな顔で城戸の前を歩いている。

城戸「・・・で、結局買ったわけ?」
美穂「うん。まあ・・・ なんとなく」

 霧島の手には、買ったばかりの小さいドラグバイザーが握られていた。

オモチャ『ファイナルベントッ。 ファイナルベントッ。アドベント』
 霧島が附属のカードをプシュプシュ挿入するそのたびに、オモチャの
ドラグバイザーは律儀にそっくりな起動音を放つ。

美穂「アハハハッ! 声までそっくり。
 でもこんなにファイナルベントが連発できたらもう無敵よね」

  ついさっきまで立腹かと思ったら、今度は子供のように笑い、
はしゃいでいる。

城戸「こんな連発したら、ドラグレッダーが過労死しそうだけどな」
 と、城戸は増えた荷物を抱えながら正直な感想を洩らした.

美穂「・・・・・・・・・ ププッ」
 城戸のそんな発言は、どうやら霧島のちょっとしたツボに入ったらしい。

美穂「過労死!? あのドラゴンが息を切らしてグッタリ?
 あっはははは! おかし〜〜! 想像できない〜〜〜!!!」

  いや、何も腹抱えて笑わなくてもいいんじゃないかな。

城戸「・・・・・・・・・」
 そうは想いつつも、城戸もつい霧島の言うとおりに、妄想し始めた。

 カードを差し込んでも何の反応も無く、「おや?」と後ろを振り向いて
みると、ドラグレッターが陸に上がったウナギの様に地面にへたり込んで
ゼェゼェと息切れしながら舌を出してる姿でいたりなんかしたら・・・・・・

城戸「ブフッ・・・」
 それを頭の中で思い浮かべると、つい城戸も吹いてしまった。

 ・・・しかし、霧島ってこんな明るく笑うやつだったっけ?
 人をおちょくるのは前からだけど、それでも昔はもっと、こう・・・

城戸「(やっぱ、お姉さんが生き返ったからかな・・・?)」
 そう、城戸は自分の中で結論付けた。

 しかし城戸は、肝心な事が分かっていなかった。
 霧島美穂を、何の殻も被らず明るさを自然に出せる風にしたのは、
間違いなく城戸自身が大きなそのファクターであるということを。

美穂「ねえシンジ。今度はアレに乗らない?」
城戸「え〜〜!? もうフリーフォールやコースターの連チャンは勘弁して
くれよ〜〜・・・ ソフトが逆流しちまうって」
 本気で嫌そうな顔で弱音を吐く城戸。

美穂「だ〜か〜ら。ひとまずはアレでいいってば」
城戸「??」

 霧島の指差す方向に目をやると、その先には・・・

城戸「【親子で冒険! トロッココースター】?」
 と書いてある、ポップなキャラ付きの看板。

 ・・・ああ、これはアレだ。
 普通のジェットコースターには乗れない子供でも親と一緒に乗れるのが
売りの、いわゆるちょっとかわいい、ゆるめのミニジェットコースター。

美穂「これなら、口からソフトも出ないでしょ?」
 なんて台詞を言いながら、霧島は城戸の腕を掴んだ。

城戸「いやまあ、それならいいけどさ・・・」
 親子ならともかく、大人二人で乗るのは恥ずかしくない? とか・・・

美穂「じゃあ、決まりっ! ホラホラ、さっさと行きましょう?」
城戸「おっとととと・・・」

 有無を言わさない霧島の行動力に実際物理的にも引っ張られる形で、
トロッココースターへと向かわされる城戸だった。


  ◇    ◇


  トロッココースター内


係員「はーい。次の方、トロッコに乗って下さ〜〜い」
 あまり順番待ちに時間を使わないまま、城戸と霧島の順番がやって来た。

 荷物を係員が指定する置き場に預け、城戸が先に乗り込むことで、
2人乗りのトロッコに、城戸が左、霧島が右に乗る形になる。

       (カッ・・・シャン)

 乗客の安全を保障するための安全バーが、降りた。

城戸「なぁ、これってさ・・・」
 そこで、思いついたように城戸が霧島に話しかける。

美穂「何?」
城戸「好み動きできない状況で、改造人間にでも襲われたら、終わりだな〜
 ・・・って」

美穂「ちょっと・・・ 不吉なこと言わないでよ。怖くなるじゃない」
 霧島は、少しだけ眉をひそめた。

城戸「ま、よりによってこんな日にこんな場所でいきなり現れたりは
しね−と思うけどさ」
 ハハハ、と。能天気に城戸は笑うが

係員?「そうでもないですよ」

城戸&美穂「「・・・っ!!?」」
 係員の聞いた事のある声に、城戸は驚き振り向いた。

      (カチャリ・・・)

美穂「わっ・・・」
 そして、係員は拳銃を取り出し、霧島の頭にそれを突きつける。

城戸「お前・・・ 誰だ!!」
 自体の重大さに気づき、声を上げる城戸。
 そして、周りの乗客たちもそれぞれにザワザワと騒ぎ始めた。

係員?「おやおや・・・ もうお忘れとは淋しいですねえ」
 そう言いながら係員は、帽子を外し、素顔を現す。

城戸「なっ・・・!?」
 その顔に、城戸は驚かざるを得なかった。

城戸「お前・・・ 須藤ッ!!」
 忘れる事も出来ない。ミラーワールドライダーの全ての決着となった、
最後のライダーバトル。
 その最初の死者にして、城戸と連に卑劣な罠を仕掛けてきた男。須藤雅史。

美穂「須藤・・・!? あの、卑怯な真似して自滅したっていう!?」
 しかし霧島にとっては、その程度の情報しかない人間である。

須藤「ぐっ・・・」
 その身も蓋も無い一言に、一瞬だけ須藤は苦虫を噛み潰す顔になった。

城戸「何でお前が・・・ それに、何で霧島に銃を向けるんだよっ!?」

須藤「私の新しい主はこう仰ったんです。
 【組織に邪魔なものは、それが芽であれ種であれ、全て始末せよ】とね」

城戸「新しい・・・ 主?」
須藤「そのターゲットには、もちろん君達も入っていますよ。城戸真司君。
 そして・・・ 仮面ライダーファム、霧島美穂」

美穂「(私の事まで知ってる・・・?)」
 霧島が驚くのも無理はない。

 霧島美穂の戦いは【リセット】されているのだ。
 無かった事になっている闘いの記録なんてものが残っている筈も無ければ、
外部の存在が知る手段など存在しない。
 第一mシザースとファムは戦った事はおろか、出会ってすらいない。

 知っている人間は、神埼兄妹。城戸、連、浅倉といったわずかな当事者
のみなのだ。
 それがどうやれば、ファムという名を知る事が出来るというのか。

 ・・・これは、厄介な組織に狙われたものね、と。
 霧島は心の中で呟いた。

須藤「君達を殺すのは私の役目。・・・何せ、君には恨みがある。
 しかし、笑えますねぇ。まさか自分から隙だらけになってくれるなんて。
 おかげで、変身するまでもなく楽に殺せますよ。 君達は他のライダーと
比べて、変身しなければ自分でこのバーも外せないし、拳銃の一発でも
死んでしまう。全くのひ弱なただの人間なんですから」

 まるで自分は違うとでも言いたいかのような言葉と共に、
 カチリ・・・ と、リボルバーのナンブ拳銃の激鉄が引かれる。

城戸「ならっ! 俺を撃てばいいだろ!! 何で霧島なんだよ!!」
 身動きが全く取れないにも関わらず、城戸は怯まずに吼えた。

須藤「あっさり君を撃って終わりじゃ、私の気が済まない。
 まずは・・・ 君の彼女の脳漿が飛び散る姿を見て、君がどんな悲鳴を放つか、
それが聞きたくて、しょうがないんですよ」

 ニヤリと、厭らしく笑う、須藤。

城戸「こっの・・・!!!」
 【彼女】と言われた事への訂正も忘れ、激昂して暴れまわる。
 しかし、乗客の安全を完璧に守る安全バーは、全くビクともしない。

美穂「・・・さっきから微動だにせず突っ立ってる所を見ると、他の係員も
あなたの仲間みたいね。・・・本当の係員の人達はどうしたのかしら?」

 城戸とは対照的に、銃を向けられている本人である霧島は、
冷静にそんな質問をぶつけた。

須藤「・・・さあねぇ? 今頃どこかで泡にでもなってるんじゃないですか?」
美穂「・・・・・・・・・」
 泡の意味は良く分からないが、【殺した】という意味と取って間違いない
だろう。

須藤「さて・・・ そろそろあなたの方には死んでもらいましょうか」
美穂「くっ・・・!」
 そして、引かれる・・・ 引き金。

城戸「・・・っ! 霧島────────っっ!!!!」
 城戸の叫び声も虚しく

     (パァンッ・・・!)

 銃弾の乾いた炸裂音が、アトラクション内に響き渡った。

667 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/01(土) 16:18:10

○城戸真司→現れた須藤に驚愕し、霧島を撃とうとする時には激昂。
いざ撃たれるという時には必死に叫んだ。
○霧島美穂→須藤の拳銃の一発により、死亡?
●須藤雅史→人間の姿で城戸たちの前へ、霧島を射殺?

【今回の新規登場】
●須藤雅史=ガザミスナイパー(仮面ライダー龍騎)
元悪徳刑事にして、元仮面ライダーシザースのカード所持者。
現在はDショッカーの怪人、ガザミスナイパー

668 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/02(日) 14:56:32


美穂「っ・・・・・・・・・ ?」
 撃たれたはずなのに、何の痛みも無い。
 それに疑問を感じ、目を開けてみると

   (カラカラカラカラッ・・・・ッ)

須藤「ぐっ・・・!!」
 須藤は、右手首を左手で押さえ、激しい痛みを表情に露にしている。
 手に握っていたはずの拳銃は、床を滑り外へと落ちた。

城戸「えっ・・・!? な、いったい・・・」
 目を瞑ってしまっていた霧島にはわからなかったが、
城戸と須藤には見えていた。

 須藤の拳銃のものと思われていた炸裂音と共に、須藤の銃は、城戸達の
おそらく後方から飛んだ弾丸によって、弾き飛ばされたのだ。

須藤「だ・・・ 誰だっ!!」
 慌てながらもその方向へ振り向くと、そこには


マリーメイア「お見事です。父上」
 パチパチと、力一杯の拍手をするマリーメイア・クシュリナーダと

トレーズ「ふむ・・・ 上々。どうやら射撃の腕は落ちていないらしい」
 お忍び用であろうサングラスと帽子を外し、その正体を現わす、
元OZ元帥。

城戸「え゛ぇ!? と、トレーズ・・・ さん!!?」
 なんとか後ろを振り向いた城戸は、顎を外しかねんほどに驚いた。

美穂「え・・・ なんで、こんな所に・・・?」
 霧島の疑問も無理はない。
 OZの元総帥が、こんな普通の遊園地に普通に来ているという状況に
?マークを浮かべない人間の方がおかしい。

トレーズ「何でと聞かれても、娘と一緒に遊園地へ遊びに来ただけだよ」
マリーメイア「そうです」
 そう強調するマリーメイアの格好は、なんとシャツから髪飾りに至るまで
この遊園地のキャラクターグッズで固められている。

 いつかの軍服とはまるで逆の、これでもかというほど【女の子】を主張
したキュートなコーディネイトは

美穂「やだ・・・ すごくかわいい・・・」
 と、霧島も思わず呟いてしまうほど。

須藤「トレーズ、だと・・・? ・・・・・・・・・・・・・・
 は、ははは、ははははははっっ!!!」

  須藤は、それまでの苦々しい表情から、いきなり笑い始めた。

須藤「すごい! これは幸運だ!! OZの総帥まで始末できるとなれば、
私の組織内での昇格は約束されたようなものですよ!!!」
 まるで、宝籤に当たったかのような危機とした表情を浮かべる、須藤。

マリーメイア「・・・ひどい俗物(バカ)ですね。父上」
 それを、マリーメイアは本当にゴミを見る目で一刀両断した。

トレーズ「マリーメイアも将来、自分の力で人の上に立つなら覚えておくと
いい。彼の様に低俗で無能な人間ほど、【捨て駒】としては実に使い勝手
がいい。・・・Dショッカーもそのつもりで彼を使ったんだろう」

 そんなマリーメイアの天然毒発言に対し、トレーズはそれ以上の身も蓋も
ない現実的な正論を述べる。

城戸「(うわ・・・)」
 それにはさすがに、須藤が大嫌いな城戸も引いた。
 そして須藤本人に至っては、プルプルと震えている。

須藤「・・・ふ、ふふ、ふ・・・ 言ってくれますね。
 しかし状況が分かっているんですか? トレーズ元総帥。
 あなただって、身動きが取れない状況に変わりは無いでしょう!」

トレーズ「・・・・・・・・・」

美穂「あ・・・」
 そうだ。

 トレーズも、マリーメイアも、しっかりと安全バーで体を固定されて
しまっている。

城戸「・・・ひょっとして、状況変わってない?」

トレーズ「いや、そうでもないよ」
 腰から拳銃を引き抜き、トリガーの残り弾数を確認しながら、自然体に
そう宣言した。

須藤「・・・ひょっとして、そんなオモチャで私を殺せるとでも?」
 須藤は、ハン と、侮蔑の笑いをトレーズに向ける。

美穂「そうよ。コイツ多分もう人間じゃないわ。拳銃なんかじゃ・・・」
 霧島もトレーズに無謀を促すが

トレーズ「いやいや、無駄かどうかは試してみてから決めようじゃないか」
 本人は、撃つのをやめる気は全く無いようだ。

須藤「ハハッ。要するに悪足掻きしか出来ないという訳ですか!
 元OZ総帥ともあろう人物が、無様ですねぇ!!」

マリーメイア「黙れ俗物! 貴様などに父上が・・・」
 父を笑う須藤に対し、怒りを向けるマリーメイア。
 しかし、それをトレーズは、自分の口に人差し指を当て、制した。

マリーメイア「父上・・・?」
 トレーズの目は、【まあ、任せておきなさい】と語っていた。

トレーズ「さて・・・ 見せて貰おうかな。Dショッカーの改造人間の、
頑丈さと生命力を」
 いつもの微笑で、トレーズはオートマチックの拳銃を須藤に向ける。

須藤「・・・いいでしょう。冥土の土産に、私がどれだけ無敵で素晴らしい
生命へと進化できたか、見せて差し上げますよ」

 拳銃を向けられているというのに、須藤は自分から両手を広げ、自ら
撃たれ易いポーズを作る。

トレーズ「では・・・」

     (パァンッ! パァンッ! パァンッ!)

           (バスッ! ビスッ! ガシャンッ!!)



 肉に弾丸が突き刺さる音。ガラスが割れ、砕け散る音。
 いくつかの弾丸が命中せずに通り過ぎたものの、そのほとんどは
須藤の胴体、胸部や額といった急所に命中した。

須藤「・・・・・・・・・ ふふ、ふふふ・・・」
 人間であるならば、完全に何回も死んでいる状態。
 しかし須藤は、それだけの弾丸を体に受け、それでも・・・
 立ったまま笑っていた。

城戸「・・・ウソだろ? あんた、本当に人間やめたのかよ・・・」
 城戸は、憎みあう敵である須藤を、もはや憐憫の目で見るしか
出来なかった。

トレーズ「ほう・・・ さすがだね」
 元々予測の範囲だったのだろう。撃った本人であるトレーズは、
眉一つ動かしていない。

須藤「フッフフフ。これでわかったでしょう? 今や私は人間を超越した。
 ・・・それに、お粗末ですね元総帥。二発も外れていましたよ」

  勝ち誇った顔で、知というのは毒々しい、緑色の体液を流しながら笑う
須藤。その体液が流れると共に、須藤の衣服は焼ける様に溶けていった。

トレーズ「いや、無駄な弾丸など無いよ。ただの一発たりともね」
 しかし、当のトレーズ本人は、涼しい顔を崩さずそう言う。

須藤「何・・・?」
 須藤が眉をひそめた、その時。

       (ガコ・・・ン! ウィー・・・ン)

城戸「あ・・・」
美穂「え・・・?」
 独りでに、城戸達を拘束していた安全バーが、上がった。

須藤「・・・・・・っ!!!?」
 もちろん、それに一番仰天したのは須藤だ。
 そして、安全バーを操作する機械室の方へと振り向く。

須藤「・・・・・・ 馬鹿なっ───!!!?」
 その光景に、須藤は言葉を失った。

 ガラスが割れた小さな機械室の中では、係員に扮した戦闘員が、トレーズ
の放ったものであろう銃弾を頭部に受け死体となっており
 安全バーを操作する為の操作バーのクリップが、降りている・・・!

トレーズ「言っただろう? 無駄な弾丸など一発も撃っていないと。
 私は倹約家なんだ」
 そう言ってトレーズは、マリーメイアと共に悠々とコースターから降り

マリーメイア「さあ! 皆さん逃げてください!!
 これは残念ながらショーでもアトラクションでもありません!!」

     (ワァァァァ・・・・・・・・・!!!!)

 マリーメイアのその一言と共に、他の一般客達は我先にと逃げ出した。

 後に残るは、城戸、霧島、トレーズ、マリーメイア、須藤と、数体の
雑魚怪人のみ。

須藤「・・・やってくれましたね。さすが元OZ総帥だ・・・・・・」
 そう言う須藤の顔は、丁寧な台詞とは裏腹に、今にも血管がブチ切れ
そうになっている。

 なんと、とんでもない話。
 トレーズにとっては最初から、須藤自身を撃つ事などついでの話且つ、
本当の標的である機械室の操作バーに目を向かせない為のカモフラージュ
にしか過ぎなかった。

 まずは、操作バーを再び戻されないように、そこに立つ戦闘員の頭を
撃ち抜き、その次の弾丸で、操作バーの微妙な位置に弾丸を当てる。
 それにより、【弾丸によるバーの操作】という人間離れした神業を、
更に須藤という遮蔽物を縫うようにしてやって見せた。

 それもたった一発ずつ、合計2発の弾丸で、である。

城戸「すっげぇ・・・」
 コレには城戸も、素直に驚嘆するしかない。
 霧島と共にトロッコを降りつつ、トレーズの近くへと移動した。

マリーメイア「当然でしょう。父上を誰だと思っているんです」
 ふふん。と。 いつの間にか城戸の側にいたマリーメイアが、自慢げに
腕を組んでいる。

トレーズ「しかし・・・ 君達は油断が多いね。
 もう少し、戦士としての自覚を持って欲しい所だが」

  トレーズの言葉は口調こそ優雅且つ柔和だが、その内容は城戸達を
戦士として認めた上での、厳しい叱責の言葉である。

城戸「えっと・・・ すいません」
美穂「おかげで助かりました。ええと・・・ 閣下」
 多少おたつきながらも、霧島は礼儀正しく礼を述べた。

トレーズ「“トレーズ”でいいよ、ミス霧島」
 軽く会釈をするトレーズは、当然城戸とは正反対に高貴且つ礼儀正しい。

美穂「・・・・・・」
 そんなトレーズの紳士ぶりに、霧島は少しだけ顔を赤くした。

城戸「それにしても、何でこんな所に?」

トレーズ「本当にただの家族サービスで、ただの休暇だよ。
 しかし偶然とはいえ、君達とは縁があるらしいね。
 ・・・いや、偶然ではなく、必然かもしれない。君達は、幸運の女神か、
もしくはそれに近いものに愛されているのかもしれないね。

 さて・・・ 私達の出番はここまでだ。あとは君達に任せるよ。
 さあ、行こうか。マリーメイア」

マリーメイア「はい、父上」
 元気の良い返事と共に、父親のあとをついて行くマリーメイア。
 だが、その途中でふと立ち止まり

マリーメイア「キドさんでしたっけ? 僭越ですが、デートはもう少し
上手に女性をエスコートして下さい。見ていられなかったですよ」

城戸「なっ・・・!!?」
 その衝撃的な一言で、自分達がずっとみられていた事を知り、赤面する。

マリーメイア「それでは、また」
 そうしてクシュリナーダ親子は、あっけなく去って行った。


美穂「さぁ、て・・・」
城戸「俺たちは、俺たちの戦いを、か・・・」
 残された一人の男を見る、城戸と霧島。

須藤「・・・・・・」
 機械室の方を向いたまま、沈黙している須藤だ。

城戸「・・・須藤。決着を付けよう」
 須藤を正面に見据え、城戸は、言葉による果たし状を叩きつける。

美穂「私も、デートの邪魔をさえた上に銃向けられたお返ししなくちゃね」
 霧島もまた、その瞳に戦士の気概を込め、須藤を睨む。

須藤「脆弱な人間風情が・・・
 骨の欠片も残さず、ドロドロに溶かしてやるっ────!!!!

  須藤の変身が、始まった──


669 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/02(日) 15:31:34

○城戸真司&霧島美穂→絶体絶命の所をトレーズに助けられ、改めて
須藤との戦いへ
○マリーメイア・クシュリナーダ→父と共に人生初の遊園地を満喫。
 血の成せる業としか思えない物言いを光らせ、退散。
○トレーズ・クシュリナーダ→須藤との核の差を見せ付け、完全にコケに。
素晴らしい射撃技術で城戸、霧島を救い、退場。
●須藤雅史→トレーズに完全に裏をかかれ、ブチギレつつ変身。

【今回の新規登場】
○マリーメイア・クシュリナーダ(新起動戦記ガンダムW Endless Waltz)
 トレーズの正統なる後継者。娘だが割れ眉が完全に遺伝。
 銃による傷も完治し、現在はリリーナに保護されている。

670 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/02(日) 21:47:01


 ブクブクという音と共に、須藤の肉体は、自身の体内から生じた白泡に
よって包まれ、見えなくなった。
 地面に接触した泡は、コンクリートの床をまるで熱せられた氷のように
簡単に溶解していく。

美穂「(強酸性の泡・・・!? それも、濃硫酸なんかよりずっと強力・・・
 これは・・・ 厄介ね)」

  と、霧島は心の内で呟いた。

城戸「・・・・・・(須藤・・・)」
 それに対し城戸は、何とも言えない悲しい目でそれを見ていた。

 かつて自分を殺そうとし、卑怯な手を使ってきた相手。
 にも関わらず、それでも知っている人間が人間でなくなったという
その事実は、ショッキングであり、悲しいこと。

美穂「シンジ!」

    (カッ──!)

 そんな城戸の手を、霧島は手に取り、走り出した。

美穂「ここから移動するわよ!!」
城戸「え!? 須藤は・・・!?」

 城戸がそう聞く頃には、既にアトラクションの外に連れ出されていた。

美穂「あのね、あんな所で戦う気!?
 あんな何でも溶かす奴が相手で、物がゴチャゴチャした場所で戦うなんて
自殺行為もいい所よ。相手に警戒してる時に天井から泡でも降ってきたら、
戦いにくくてしょうがないじゃない。
 それに、アトラクションをドロドロにされるわけにもいかないでしょ?」

城戸「あ・・・ そうか」
 霧島の説明で、城戸はようやく納得する。

城戸「じゃあ、どうするんだ?」
美穂「あいつはシンジが目的なんだから、どこに移動しようがまっすぐ
追いかけてくると思う。・・・言い方からして、自分の力に相等自信がある
みたいだったし・・・」

城戸「ということは・・・」
美穂「できるだけ広くて、見通しもいい場所・・・ となると」

城戸「あ・・・! 中央広場!!」
 この遊園地で一番見通しのいい場所は、そこだ。

美穂「決まりね」
 二人は、中央広場へと向かった。


671 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/02(日) 23:23:00


   遊園地内  中央広場


 其処は普段なら、何のアトラクションも設置されていない代わりに、
その広いスペースを使い、遊園地のマスコットキャラクターや、野外
サーカス、特撮ヒーローショーなどといった役割に使われる場所。

 何も無い時でもこの中央広場は、全てのアトラクションと道が直線で
繫がっているので、誰もが必ず通るようになっている。

 だから、次のアトラクションに乗る前のちょっとした休憩として、
この中央広場に点在するベンチなどを利用する親子ズレや、語らいに利用
するカップルなどが多い。

 しかし、怪人の出現がアナウンスで伝えられた今では、その中央広場に
人の気配も、姿も全く存在しなかった。
 ・・・まるで、魔法で人を一瞬で消し去ってしまったかのような、そんな
感覚を漂わせた。


城戸「・・・俺、こんな中央広場、見たくなかったな」
 なんだか残酷ささえ感じる光景に、城戸は思わずそう呟いた。

美穂「なら、あの外道刑事をさっさと倒・・・」
 霧島がそう言いかけた、その時


ガザミスナイパー『残念ながら、それは無理ですよ


城戸「っ!!」
美穂「っ!!」

 須藤の声質でありながら、人間の声質では通常ありえない、反響した声。

     (ヒュッ─── ドゥンッ!!!)


 何かが飛んでくるような音がしたと思った途端。
 巨大な何かが、二人の目の前に落下してきた。

 大きくめり込み、放射線を描いて罅割れるコンクリートの大地。
 その中央に、完全に怪人へと変身した・・・ 須藤がいた。

 身の丈は2メートルを超える、巨大な黄金の甲羅という鎧に体覆われた、
両手に凶々しく鋭い蟹の鋏を持つ2足の怪物。

城戸「・・・・・・・・」
 城戸は、その怪物の姿に見覚えがあった。
 仮面ライダーシザースの契約モンスター、ボルキャンサーだ。

 しかし、目の前にいる怪人は、ほぼ全身がボルキャンサーと同じ姿であり
ながら、決定的な違いも持っていた。
 おぞましい事に、本来ボルキャンサーの頭部があったその場所には、
ボルキャンサーの首の代わりに、シザースの首が存在している。

 ・・・まるで、両者が交じり合い融合したかのように。

 spそて、本来ボルキャンサーの眼の部分であった場所には、ロケット砲
に酷似した、二門の砲身が埋め込まれていた。

美穂「(強酸の泡・・・ ハサミ、砲弾・・・ 厄介なんてもんじゃないわね)」
 霧島は冷静に戦士としての視点で敵の出してくるであろう攻撃を予想し、
すぐに嫌な気分になる。

 近、中、遠距離と攻撃手段が揃っている敵には、距離が取りにくい。
 それだけでも、すごい面倒な相手だ。

城戸「(須藤・・・)」
 対して城戸は、まったくそんな眼は出来ていない。
 本当に【化け物】に変わり果てた須藤の姿に、ショックが隠しきれなかった。

ガザミスナイパー『須藤ぉ? ハハハハ。嫌ですねえ。そんな脆弱な
人間の名前で呼ばれるのは。今の私はDショッカーの崇高な技術により、
人間などという下等種とは比べ物にもならない、完全完璧なる生命へと
生まれ変わった・・・
 ガザミスナイパーという名があるんですからねぇ!!!』

 シュシュシュシュシュ・・・ と。
 ギチギチという音と共に、首を有り得ない方向にまで回しながら、
呼吸音か笑い声かもわからない音が、閑散とした中央広場の中で木霊す。


城戸「・・・・・・・・・」
美穂「・・・シンジ。諦めた方がいいと思うわ。
 あいつは、もうとっくに人間なんかじゃない。ただの怪人よ」

城戸「・・・・・・ 本当に、もう人間じゃ、ないんだな・・・」
 そのぽつりと出た言葉は、誰に向けたものだったのか。

美穂「それでもシンジがあいつに同情するなら、せめて私達の手で引導を
渡しましょう。あいつに殺された、この遊園地の従業員達の人達の為にも」

城戸「・・・・・・ ああ」
 霧島の言葉に、城戸も覚悟を決める。

美穂「はいっ」
城戸「えぅ!? おっとと!!」
 パシッ! と、霧島から投げられた何かをキャッチする。

 それは・・・ 100円ショップにあるような、小さな手鏡。

美穂「こういうのは、レディーファーストでいいわよね」
 ニカ、と笑い、ファムのデッキを取り出す。

 そして

美穂「変身!!


672 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/02(日) 23:32:09

○城戸真司→人間を捨て変わり果てた須藤に憐憫を抱く
○霧島美穂→敵の攻撃パターンを推理。城戸を諭し、一足先に変身。
●須藤雅史→怪人ガザミスナイパーに変身。そのおぞましい姿と共に、
心身ともに人間でなくなったことを見せ付ける。


673 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 05:47:29


霧島は、城戸の持つ手鏡の前でファムに変身するための“スイッチ”、
変身フォームを構えた。

 それと共に、霧島の体が輝き、デッキを映す鏡から反射される光が、
霧島の両隣にファムの光像を作り出す。
 そして、2つのファムの光像と霧島が重なり合うと同時に、
霧島美穂は、仮面ライダーファムへの変身を完了した。


ファム「シンジ。早く鏡」
 ファムは、久しぶりの変身への余韻を一切見せず、チョイチョイと手鏡の
催促をする。

城戸「あ、ああ。わかった」
 自分も変身する為に、城戸は同じ様にファムに手鏡を軽く投げ、
ファムはそれを受け取る為に手を伸ばそうとする。

 しかし

ファム「!? 危ないっ!!」
城戸「うわっ!!?」
 突然の飛来物に、城戸とファムは互いに別の方向へと跳び、逃げる。

     (ジュッ───・・・・・・)

 飛来物は、ガザミスナイパーが口から放った白泡だった。
 白泡は、空中で手鏡を包み込むと、一瞬でその手鏡を消し去る。

 ・・・いや、一瞬で消滅したのではない。
 一瞬と思うほどの速度で、手鏡は溶解したのだ。

     (ジュウウウウウウウ・・・・・・・)

 そして、飛来した泡が着弾したコンクリートの大地も、驚くべき早さで
溶解され、陥没していく。

ファム「・・・何するのよっ!!」
 ガザミスナイパーの突然の攻撃に対し、啖呵を飛ばすファム。

ガザミスナイパー『ギシュシュシュ・・・ ヒーローショーじゃあるまいし、
そうそう変身が終わるまで待ってくれるとでも思ったんですか?
 城戸真司だけではなく、その彼女まで甘さは一緒みたいですねぇ』

  須藤・・・ いや、ガザミスナイパーはいやらしく笑った。

ファム「あら? 私はあなたをぶっ殺す気満々よ。シンジほど甘いと
思ったら、痛い目じゃ済まないんだから」
 気付かなかったのか、それともワザとか、“彼女”という部分は一切
否定しなかった。

ファム「(シンジ)」
 すかさず、ファムは首の向きを変えないまま、小声で城戸に話しかける。

ファム「(とりあえず、あの派手な蟹の相手は私がするから、シンジは
ダッシュでミラーハウスに行って来て)」
 と、ガザミスナイパーにはわからないように、城戸に命令した。

城戸「え、でもそれじゃ・・・」
 ファム一人を残すという選択に、城戸は難色を示すも

ファム「(でももクソもないでしょ! そのままじゃ役に立たないんだから
さっさと変身して1分以内に帰って来なさいっ!!)」

     (ドガッ!!)

城戸「痛てっ!?」
 ファムに蹴り飛ばされ、城戸は焦りながら走ってミラーハウスに向かう。


ファム「・・・・・・ さて、と・・・」
 レイピアを構え、ガザミスナイパーの方へと向き直る。

ガザミスナイパー『いいんですか?たったお一人で』
 シザースの兜が頭部であるが故に、表情は分かるはずもないのだが、
それでもファムは、その言い方から相手がニヤついていると感じとった。

ファム「白々しいわね。私の変身だけ待ったのはワザとでしょうが」
ガザミスナイパー『・・・ほう? 城戸真司と比べて、頭は良い様ですね』
 ガザミスナイパーは、白々しく感心するフリをする。

ファム「二人とも倒せる自信はあるけど、ただ倒すだけじゃ気が済まない。
 だから、シンジの変身だけとことん邪魔して、その間に私をボロボロに、
そうして私を捕まえたあと、人質にでもしてシンジをゆっくり痛めつけて、
最終的にはシンジの目の前で私をじっくり溶かすとか・・・」

ガザミスナイパー『・・・・・・』
 そのものズバリだったのだろう。
 ガザミスナイパーは、黙ってしまった。

ファム「それにどーせ、付近の鏡がある所にも何かの罠や戦闘員の一つや
二つ配置してるんでしょ? 卑怯な雑魚怪人が考えそうな事よね」
 と、ファムは短い時間で、ガザミスナイパーをとことんこき下ろす。

ガザミスナイパー『・・・・・・・・ たかが、人間風情が・・・』
 どうやら、けっこうガザミスナイパーのトサカにきたらしい。

ファム「二言目にはそれよね、たかが金色のカニ風情が、人間に一々
ちょっかい出さないでくれる?
 さっさと帰って海の底で鋏でも鳴らしてれば? でないと茹でるわよ」

  だが、ファムは容赦なく、とどめとも言える決定打を放つ。

ガザミスナイパー『・・・殺す!!』
 ついに堪忍袋の緒が切れたのか、ガザミスナイパーは鋏を大きく振り上げ、
戦闘態勢に入った。

     (ダッ──!!)

 それと同時に、ファムもガザミスナイパーの側面の方へと駆け出す。

     (ビシュッ! ビシュッ! ビシュッ!)

 ガザミスナイパーの口から次々と発射される、酸の泡。

ファム「はっ!」
 しかしファムは、ミラーワールドライダーの中でも1,2を争う敏捷性
と反射神経で、次々と泡を避わしながら、ガザミスナイパーの方へと
距離を詰めていき・・・

       (ギャンッ────!!!)

 疾走の勢いを乗せ、モンスターも一撃で貫く鋭利なレイピア、ブラン
バイザーの一撃を、ガザミスナイパーの脇腹に与えた。

 しかし

ガザミスナイパー『んん? 今・・・ 何かしましたかねぇ?』
 その黄金色の甲羅鎧には、掠り傷一つ付いていない。
 ガザミスナイパーは余裕の嘲笑で、微動だにしなかった。

ファム「(嘘・・・!? ある程度は予測してたけど、何この堅さ!?)」
 手ごたえはまるで、鉄の塊に爪楊枝を突き刺したような・・・
 いや、それ以下・・・

ガザミスナイパー『ギシュシュシュ・・・』
ファム「こっのぉっ────!!!」

    (ギン! カン! ガンガンキンガンキンッ────!!!!)

 息も付かせぬ怒涛の突きの連撃。
 しかしそれでも、ガザミスナイパーの甲羅はビクともしない。

ガザミスナイパー『ハハハハハ!! 効きませんねェ!!!』

   (ブンッ───!!)

ファム「っっ!!」
 その巨体には似合わぬ疾さで、ガザミスナイパーは振り向き様に
左手の鋏を、ファムの首めがけ振るい───

   (バキィィッ───!!)

 なんとか後ろに反り返る事で、首を飛ばされるのは免れたが

ファム「レイピアが・・・───!!?」
 自慢のレイピアの刃は、鋏の直撃を受け、見事半分に折れてしまった。

ガザミスナイパー『ハァッハハハハ!!!』

    (ブンッ──!!)

 そこに続けて襲い来る巨大な鋏。

ファム「くっ───!」
 その場で捻りを加えながら後ろへ回転ジャンプをすることで
なんとか避わすと、ブランバイザーを腰のホルダーに装着し、
デッキから取り出した新たなカードを

 セットする───

ブランバイザー『SWORD VENT
 ソードベントのセットにより、ファムのもう一つの武器、
頭尾両方に薙刀上の刃が存在する武器、ウイングスラッシャーが、
ファムの左手に握られる形で出現した。

ファム「っ・・・と!」
 空中での短かな回転を終え、華麗に着地するファム。

ファム「はあぁっ───────!!!!」
 そしてファムは、怯む事無く再びガザミスナイパーへと突進した。


674 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 05:52:00

○仮面ライダーファム→ガザミスナイパーの堅い甲羅に苦戦するも、怯まず
猛攻。
○城戸真司→手鏡が溶かされたので、ミラーハウスへ向かった。
●ガザミスナイパー→己の肉体の堅固さに胡坐をかきつつ、遊ぶように
ファムへ攻撃し続ける


675 名前:sinnsyou:2006/07/03(月) 17:12:15


    一方  ミラーハウス前

城戸「お邪魔しま────っす!!」
 係員さえも全て避難した事で無人と化していたミラーハウスに、城戸は
走った勢いのまま突入した。

 入ってから5歩もしない内に、城戸の目の前には、全ての映るものを
反射する鏡の迷宮が広がった。
 その迷宮の中で、既に城戸の姿は十にも二十にも映りこみ、ミラーハウス
独特のミステリアスな雰囲気を醸し出すが、城戸にはそれに浸っている暇は
ない。

 それでも、城戸にとって今ほど鏡の存在が有り難く映った事はなかった。

城戸「よし・・・」
 ポケットから龍騎のデッキを取り出し
 変身フォームを取ろうとしたその瞬間

城戸「っ!!?」
 無数の鏡の映像越しに、自分の真後ろに映る怪人の姿。
 しかもそれが、自分の頭を目掛けて、想いっきり腕を振りかぶり・・・

城戸「うおっ!?」

    (ガシャアアンッ!!)

 間一髪、横に跳ぶこおによって事無きを得、
城戸の頭を空ぶった怪人の一撃は、鏡を壁ごと粉々に砕いた。

ジャガーマン「ギィィィイィィ・・・・・・」

 城戸は知る良しもないが、この怪人は、ジャガーマン。
 ショッカーという組織が存在していた頃の怪人の一体である。

 しかし・・・

ジャガーマン「ギィィィアアアッ!!!」
城戸「うわわっ!!?」

 ジャガーマンは、かつての知能を持たず、狂い叫び、涎を撒き散らし
ながら敵へ襲い掛かる狂戦士として、城戸を追いながら無差別な攻撃で
鏡や壁を破壊していく。

 そんな攻撃を、城戸は狭い中を転がりながら避わす。

城戸「なっ・・・ これが再生怪人ってヤツなのか!?」
 そう、かつてライダー達によって葬られた怪人達を、知能も魂も存在
しない兵として生み出す、悪魔の技術。再生怪人。

ジャガーマン「ギィィッ!!」
城戸「こっっ・・・ の!!」

 しかし、城戸も伊達にミラーワールドでの死闘を繰り広げてきた
訳ではない。

   (ドカッ!!)

ジャガーマン「ギゥッ!?」
 寝転がった姿勢から、ジャガーマンの脛に蹴りを見舞い、転倒させ

城戸「よしっ・・・!」
 今の内に・・・

城戸「へん・・・」
 変身フォームを構えようとする城戸だったが

シオマネキング「アビィィィィッッ!!!!」
城戸「え・・・!?」

 なんと、入り口の方からも新しい再生怪人がやってきたのだ。

城戸「(嘘だろ・・・? 挟み撃ち・・・!?)」

 変身してもいない状況で、再生怪人に挟まれるなんて、絶体絶命もいい
所だ。
 自分に真っ直ぐ突っ込んで来るシオマネキングと、今正に起き上が
らんとしているジャガーマン。

 正に、万事休す。
 さすがにこの時は、城戸にも脳裏に“死”という単語が掠めた

 その時

シオマネキング「アビィィィアッ!?」

   (ガシャアンッ!!)

 シオマネキングの背後からやって来た何者かが、その腕を掴み、そのまま
入り口の方まで投げ飛ばした。

城戸「・・・!?」
 いきなりの展開に、目を凝らす城戸。
 すると、その何者かは、けっこう見知った人物だった。

城戸「・・・由良さん!?」
由良「はい」
 そう、北岡秀一のボディーガードにして、空手の達人。由良吾郎。

城戸「何でこんな所・・・」
 と、言い終わる前に、
 由良は城戸の方へと、空手の型を構えたまま俊足で突進してきて───

城戸「えっ!?」
 城戸は、思わず身構えた。
 しかし由良は、城戸の横を通り過ぎ・・・

   (バキィィィッ!!!)

ジャガーマン「ギィィアァッ!!」
 完全に起き上がろうとしていたジャガーマンの顎に、渾身の膝蹴りを
見舞い、弾き飛ばした。

城戸「わ・・・」
 その身のこなしの無駄のなさ、疾さには、同じ男として惚れ惚れして
しまう。自分なんかより由良さんの方がよっぽどライダー向きだと、
改めて思った。

城戸「・・・でも、何で由良さんが・・・?」
 当然、城戸は疑問を浮かべる。

由良「城戸君。そんな事より今の内に変身を。
 俺の空手なんて、いつまでも通用しませんから」

 と、由良は冷静に城戸に変身を促し、更に親切な事に、割れた鏡の中でも
大きいものを拾い、城戸の顔を映させる。

ジャガーマン「ギィィ・・・」
シオマネキング「アビィィ・・・」

 突然の事に後れを取った再生怪人達の目には、もう油断は見当たらない。
 ・・・変身するのは、今しかない。

    (バッ──!!)

 右手を斜め空へと振りかぶり

城戸「変身!!!


676 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 17:24:19

○城戸真司→再生怪人に襲われたものの、由良の助けによりやっと変身。
○由良吾郎→城戸のピンチに得意の空手で突破口を開く。
●ジャガーマン(再生)→ミラーハウスの中で城戸を待ち構えていた。
ショッカー時代の知性はなく、再生怪人らしいバーサーカー状態。
●シオマネキング(再生)→ジャガーマンとは逆に、入り口からの挟み撃ち
のために配置されていた。こっちも知能は失われている。

【今回の新規登場】
○由良吾郎(仮面ライダー龍騎)
北岡秀一の秘書兼ボディガードで料理が得意。空手の達人でもある。
昔、傷害事件に巻き込まれた際に助けられた事から、北岡を心から尊敬。
●ジャガーマン(仮面ライダー)
ショッカーの中でもパワーに秀でていたが、ライダーヘッドクラッシャー
で倒された。ジャガーの怪人。
●シオマネキング(仮面ライダー)
ゲルショッカー怪人。基地建設の企みをダブルライダーに阻止され死亡。

677 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 18:17:39


    (ドォンッ!!!)

 そんな爆発音と共に、ミラーハウスの壁は崩壊した。
 パラパラと鏡や壁剤の破片散る中、それを踏み砕き現れる、一人の戦士。

龍騎「ふ〜・・・」
 ミラーワールド最強と言われた戦士、龍騎である。

龍騎「由良さん、大丈夫ですか?」
 振り返り、由良の心配をする。

由良「はい。・・・ちょっとケムいスけどね」
 龍騎の後ろから続く由良は、自身の宣言通り、怪我一つない。

龍騎「由良さん。ここからは危険です。どこかへ避難を・・・」
 と、龍騎は避難を促すが

由良「じゃ、あとはがんばって」
 由良は、言われるまでも無いという感じで、親指を立てると
そのまま走り去っていった。

龍騎「・・・・・・」
 由良が走り去っていくのを確認すると、龍騎は近隣に存在する気配に対し
身構える。

シオマネキング「アビ、アビィィ・・・!」
ジャガーマン「グゥゥゥ・・・!」
 ミラーハウスの中から出てくる、シオマネキングとジャガーマン。

モスキラス「ブヨ、ブヨォォン・・・!」
ウニドグマ「・・・・・・・・・(ザバァッ!)」
 そして、ミラーハウスの屋根からモスキラスが飛来し、
 ウォーターコースターの水の底から、ウニドグマが出現した。


龍騎「・・・悪いけど、お前達に構っている時間は・・・ 無いんだ!!」
 ドラグバイザーに、新しいカードをセットする。

ドラグバイザー『SARVIVE

 時間はかけていられない。
 龍騎は短時間での決着の為に、サバイブを選択した。

 光り輝く龍騎の肉体。そして、龍騎は、龍騎サバイブへと進化変身を
完了した。

シオマネキング「アビィィィィッ!!!」
ジャガーマン「グォォォォウッ!!!」

 襲い掛かる、再生怪人達。

龍騎サバイブ「ハッ!」

      (ドカァッ!!)

              (バキィィッ!!)


ジャガーマン「ギゥッ!」
シオマネキング「アビッ!」

 蹴りを、肘打ちを、襲い掛かる再生怪人達に炸裂させる。
 しかしその間を縫うようにモスキラスが、ウニドグマが追撃を加えようと
跳びかかってくる。

ドラグバイザーツバイ『SWORD VENT

龍騎サバイブ「でぇやぁっ!!!」

    (ザシュウッ!!)

 しかし龍騎は、僅かな時間の隙に、ソードベントのカードを差し込み、
ドラグブレードを出現させるや否や
 ウニドグマを袈裟に斬り裂き、モスキラスの胸を貫いた。

モスキラス「ブヨォォォッ────!!!」
 ドラグブレードにより貫かれたモスキラスの肉体は、烈火の火炎の力に
より、あっという間に炎上し

    (ドオォォォオンッ!!!!)


 ドラグブレードが抜かれると同時に、モスキラスは再び、爆発し滅した。


678 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 18:27:27

○仮面ライダー龍騎→4体もの再生怪人との戦い。サバイブに進化変身し、
まずはモスキラスを撃破。
○由良吾郎→早々に自主退場。
●モスキラス(再生)→一番最初に龍騎サバイブに倒される。
●ウニドグマ(再生)→龍騎サバイブにドラグブレードで斬られるが、
致命傷ではない様子。
●ジャガーマン&シオマネキング→肘打ちと蹴りをそれぞれ喰らう。
一応彼らの名誉の為に言うと、別に彼らが弱すぎるわけではない。

【今回の新規登場】
●モスキラス(仮面ライダー)
ゲルショッカー怪人。南米からわざわざ日本に来た帰国子女怪人。
海底基地建設計画を阻止され死亡。
●ウニドグマ(仮面ライダー)
海辺の村を占領し、仲間を増やそうとしていたが、1号の棒術に敗れ去る。

679 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 20:48:23


龍騎サバイブ「ハッ! だぁっ!!」

     (バキィッ!!)

             (ドカァッ!!)


 次々と襲い来る再生怪人達を、ドラグブレードの斬撃や、渾身の蹴りを
以って蹴散らしていく龍騎サバイブ。
 唸りをあげて襲い掛かってくるジャガーマンに対し、カウンターの飛び
蹴りを食らわし、その反動を使って、3体の再生怪人から大きく距離を
とって着地する。

ドラブブレード『ADVENT

 そして、差し込まれるアドベントカード。

ドラグランザー『グォォォォ────ン・・・・・・!!』
 そして虚空から、龍騎の契約モンスター、ドラグランザーが出現した。

    (カッ──!!)

 感情も魂も持たぬ筈の再生怪人達が、自分とは核の違うモンスターである
ドラグランザーに畏怖を感じるより前に、3体の怪人それぞれに、
ドラグランザーは何者をも焼き尽くす紅蓮の火球を吐いた。

ウニドグマ「・・・・・・・・・ッ────!!!」
 他の2体は、それをなんとか避わし切ったものの
 刀傷を受けていたウニドグマは、ドラグランザーの火球を正面から浴び、
紅蓮の炎に包まれた。

ドラグブレード『SHOOT VENT

       (ドゥッ!!)

 (ドゥッ!!)        (ドウッ!!!)



シオマネキング「アビッ────!!?」
 ジャガーの俊足で大地を走り避けたジャガーマンと違い、空中に飛んで
逃げたシオマネキングは、龍騎サバイブの放った二つ目の火球、メテオ
バレットによる集中砲火を避けることが出来ず───


    ((ド、ドォゥゥンッ!!!))


 ウニドグマとほぼ同時に、爆砕し散った。


ジャガーマン「グ・・・ ギ・・・」
 ただ一体残ったジャガーマンは低く吼えながらも、その足は既に後退
し始めていた。

 そして

       (ダッ───!!)


龍騎「あっ!?」

 ジャガーマンは、脱兎の如く逃げ出した。
 知能を持たず、恐れを知らないはずの再生怪人が。
 ジャガーマンを逃亡させたのは、その肉体に刻まれた動物の
因子、本能が所以である。

 このままジャガーの速度で走り去れば、逃げ切るのは容易。

 そしてジャガーマン達は、須藤により単純な刷り込みを受けていた。
 もし戦いで叶わないようであれば、女子供を人質に取れ。
 そうすれば、城戸真司はてだしが出来なくなると。

 その意味と理由すら、知能の無い今のジャガーマンには分からない。
 ただ分かるのは、龍騎というライダーに勝つ手段がそれしか残っていない
というたった一つの事実のみ。

 そうすれば、勝てる。
 今度こそ、『仮面ライダー』を殺せる──

 既に失われた筈の記憶と、憎悪のほんの欠片がそんな思考をよぎらせた

 その時


    (ブォォォン────!!!!)


ジャガーマン「ギッ・・・!?」
 後ろから追いかけてくる、バイクの走行音。爆音。
 そう、龍騎サバイブのファイナルベント、ドラゴンライダーストームだ。

龍騎サバイブ「行っけぇぇぇえええ!!!!!

 ジャガーマンは、確かに疾かった。

 しかし、そんなジャガーマンの脚でさえ、最高時速760キロの
ドラグランザーバイクフォームの前では、止まっているようなもの。

     (ドッ・・・!!)

ジャガーマン「ギャウウッ────!!?」
 そして、烈火を纏った流星となったドラグランザーは、ジャガーマンに
追いついた。
 その炎に包まれるよりも疾く、ジャガーマンの胴体はバイクフォームの
ドラグランザーの大きく開いた口に噛み千切られ、上半身と下半身を別け、
それぞれに転がりながら発火し──

 そのまま、全てを焼き尽くすドラゴンファイヤーストームの灼熱に包まれ、
音も無く焼滅していった。


      (シュウ───・・・・・・)

 最後の再生怪人を倒すと共に、ドラグランザーは消え、結城サバイブの
サバイブ状態が解除され、通常の龍騎へと戻った。

龍騎「ふう・・・」
 全ての再生怪人を倒したが、やはりこういう戦いはいい気分はしない。
 ・・・浅倉のような、敵を倒す事に悦びを得るなんていうのは、やはり
自分には、無理だ。


龍騎「・・・あ! 霧島・・・!!」
 最も重要なことを思い出した龍騎は、急いでファムの元へと向かった。


680 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 20:52:25

○龍騎サバイブ→【守る】という信念の元。本来の強さを如何なく発揮。
再生怪人を全滅させ、龍騎に戻りファムの元へと向かう。
●ジャガーマン&シオマネキング&ウニドグマ→アドベント、シュートベント、
ファイナルベントのコンボで全員死亡。

681 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 22:11:54

 龍騎が戦いを繰り広げている頃、その一方では

ファム「はっ────!!!!」

 ファムは、ウイングスラッシャーによる攻撃を、何度も何度も繰り返して
いた。

 しかし

ガザミスナイパー『ギシュシュ・・・ッ!! そんな攻撃は効かないと、
何度言ったら分かるんですかねぇっ!!』

    (バキィィッ!!!)

ファム「ぐっ────!!?」
 襲い来る鋏を、ウイングシールドで払い流そうとするが

 ガザミスナイパーの鋏は、ウイングシールドをも、いとも容易く真二つに
切り裂き、その勢いのままファムの兜部分を大きく抉る。

ファム「あっ、く・・・!」
 ガザミスナイパーから一時的に距離を取るため、泡が飛んでこない
ギリギリの距離にまで後方に飛ぶ。

ファム「あっ・・・」
 だが、兜のダメージが響いているのか、その場で足をふらつかせた。


 既にファムの装甲は、酷い状況だった。
 白と銀の色調で彩られし、ミラーワールドライダーの中でも最も美しい
ファムの鎧は、各所が兜部分と同じく鋏により抉られ、マントは焦げ、
ボロボロに近い状態であった。

ファム「ハァッ・・・ ハァッ・・・・・・」
 息も切れ始め、本格的にヤバい状況になってきている。

ガザミスナイパー『ギシュシュシュ・・・ どうしましたぁ?
 まさか、もう終わりだなんて言いませんよねぇ・・・?』

  実に楽しそうに、厭らしく哂うガザミスナイパー。

ファム「・・・はぁっ。そんなわけ、ないでしょ・・・!(もう・・・ シンジっ
たら、何モタモタやってるのよ!)」

ガザミスナイパー『ええ、そうでしょうとも。
 私だってまだ・・・ これを使っていませんからねぇ!!』

    (ガシャンッ!!)

 ガザミスナイパーは、ボルキャンサーの目の部分に装着されている
巨大な二門の砲身を、ファムへと向けた。

ファム「・・・・・・っ!!」
 いけない。アレは・・・ 危険──


    (ビュゥ──────────ム!!!)


 ファムは、戦士の本能に従うまま、斜め後ろに全力で跳んだ。
 そして、ファムの足が大地から離れるのと、熱線がその大地を横薙ぎに
焼き払ったのは、ほぼ同時だった。

     (ジュアアアアァァァァ・・・・・・・・・)

 さっきまでファムが立っていた場所を含む、コンクリートの大地。
 それが、ガザミスナイパーを軸として、弧を描く形で・・・ 消滅していた。

 泡による陥没などとは、比べ物にならない。
 斜めに開いた巨大な穴は、ファムの視点からは暗くて底が分からない。

 それは例えるなら、まるで・・・
 水に塗らした巨大な砂場に、巨人が手を突っ込んだ跡。

ファム「完全に、避けた・・・ 筈だった、のに・・・!」
 レーザー砲とも言うべき熱線は、完全に避け切った。
 しかし、その先、ほんの余熱に触れただけで、ジュウ、とブーツが
熱にやられた音を出し、その左足を鈍痛が襲う。

 ファムでなく、生身の霧島だったら・・・
 今頃、自分の左足は無くなっていただろう。


ガザミスナイパー『ギシュシュ・・・避けて下さって嬉しいですよ。
 一瞬で終わってしまっては、面白くない』

ファム「・・・・・・・・・」
 須藤・・・ ガザミスナイパーは、自分の力に胡坐をかいて、自分の状況に
全く気付いていない。

 ファムは、ずっとガザミスナイパーの装甲。甲羅の一番薄いであろう脇腹
部分を、ミリ単位の正確さで、その一点を攻撃し続けてきたのだ。

 銅の針でも、執拗に削り続ければ鉄板を貫く事は出来る。
 ファムのウイングスラッシャーは、何十何百という斬撃により、
ようやく・・・

 ガザミスナイパーの脇腹の一点に、決して小さくない皹を入れることが
出来たのだ。
 そして、党のガザミスナイパーは、それに気付いてもいない。
 自分の肉体が、かくも神話のアキレスやジークフリードの様に、不死身で
あると信じて疑っていないのだろう。

 ・・・なら、唯一の弱点は、あの皹だ。
 ジークフリードが、唯一背中に付いた葉の部分だけは刃を通す弱点で
あった様に、あそこを通す事が出来れば・・・

 ・・・しかし、今の満身創痍の状況で、そしてミスティークラッシュで、
あそこから・・・ 貫けるか?

 答えは・・・ NO。

 なら、使うべきアイテムは、一つ。
 神崎士郎から譲り受けた、サバイブカードを使うしかない。
 ただ、目の前の黄金蟹は、いくらなんでも其処までの隙は、与えてくれまい。

ファム「(・・・もう一つの武器を、使うしかないか・・・)」
 

682 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 22:20:42

○仮面ライダーファム→活路を見出すものの、満身創痍。
元詐欺師ならではの【もう一つの武器】に全てを賭ける。
●ガザミスナイパー→調子に乗ってファムをいたぶり、そして甲羅の皹に
全く気が付かない。


683 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 23:25:53


    (シュウウウウ・・・・・)

 高出量のレーザーを放った砲身は、その高熱のせいか、煙を放っていた。

ガザミスナイパー『・・・いけませんねえ。まだこの肉体に慣れてないのか。
 一回撃つと、チャージに時間がかかるらしい。これは帰った後は再改造の
予知がありそうです』

 満身創痍のファムを前にして、ガザミスナイパーは余裕綽々だ。

ガザミスナイパー『ああ、ご心配なく。私はコレであなたを殺すつもりは
毛頭ありません。一瞬で蒸発なんて、終劇としてはつまらなすぎる。
 ・・・やはりあなたを殺すには、少しずつこの鋏で切り刻んでいくか・・・』

 右手の鋏を、ガシュガシュと、開いては閉じるというアクションを
わざわざ見せつけ

ガザミスナイパー『威力を薄めた泡で、ジワジワと表皮から溶かして
いってこそ、私の城戸真司への復讐、その第一弾が完璧なものとなるの
ですから・・・』

 ギシュシュシュシュ・・・ と、木霊すおぞましい笑い声。

 それに対し、ファムは

ファム「・・・フフッ。 ・・・あっはははははは!!!!」
 声高らかに、笑い出した。

ガザミスナイパー『・・・・? 何がおかしいんです?
 まさか、もうおかしくなりましたか?』

ファム「まさか、あなたのその短絡思考がおかしいだけよ」

ガザミスナイパー『・・・・・・・・・ 何?』

ファム「私がただ何の勝因も計画性も無いまま、あなたの作戦に乗って
あげたとでも思ってるの? ・・・やめてよね。私はシンジほど猪突猛進でも
なければ、命だって惜しいわ」

 そう言うと、ファムはバックルと鎧の隙間から、実に薄い携帯を取り出し
わざわざガザミスナイパーに見えるように見せびらかす。

ガザミスナイパー『・・・・・・?』

ファム「私はね、変身中でも携帯は持ち歩いてるの。
 ・・・で、この携帯を使ったのは、30分ほど前。あなたがアトラクション
に姿を現わした時よ。あの時、携帯を弄る程度の自由は利いたものね」

ガザミスナイパー『・・・それで?』

ファム「仲間外れのあなたは知らないかもしれないけど、主な当時の
ライダー同志は、お互い連絡が取れるようにしてるのよ。あなたみたいなの
に襲われても対応できるようにね。
 ・・・緊急信号をメールで送ったから、そろそろライアやナイトが駆けつけて
きてくれる頃ね」

 ファムの言い口は、何らひとつの演技性も見られない。
 それこそ、ハッタリではなく本当ではないかと、相手に思わせてしまい
そうなほどに。

ガザミスナイパー『・・・嘗めて貰っては困りますね。
 時間稼ぎをしたいのか知りませんが、あなたが元詐欺師という事ぐらい、
私はちゃんと知っている。・・・それに、これでも私は元刑事です。
 詐欺師のペテンに一々騙されたりはしない』

ファム「・・・・・・・・・ ふうん。これでも同じライダーのよしみだと思って
忠告してあげたんだけど・・・ それだけ頭が悪いんじゃしょうがないか。
 ライア。ナイト。やっちゃって」

  ファムは、本様に自然な様子で、ガザミスナイパーの後ろにいる誰かに
話しかける動きを見せた。

ガザミスナイパー『・・・・・・・・・』
 後ろに、誰かの気配は無い。
 それは改造人間としての研ぎ澄まされた五感も、そう判断している。

 ・・・しかし、あの女のあの余裕は何だ?
 死の狭間にいる人間の立ち振る舞いではない。まるで、本当に命の危険が
まるで存在しないかのような・・・

 まさか・・・ 本当に?
 ガザミスナイパーは、不安に支配され始めていた。

 自分の甲羅鎧は不死身だ。だがそれでも、背後から、頭部にでも目掛けて
複数のライダーがファイナルベントでも仕掛けてくれば、ちょっとした
ダメージでは・・・ 済みようがない。


???『FINAL VENT

???『FINAL VENT


ガザミスナイパー『・・・!!? ヒッ!!!?』
 背後から、有り得ない音声が二つ。
 ガザミスナイパーは、それが聞こえた次の瞬間、後ろを向くと共に
両手の鋏で頭部をガードした。

ガザミスナイパー『・・・・・・・・ ・・・・・・??』
 しかし、後ろには誰もおらず、
 何かあるかといえば、この遊園地で無料で配られる、大型で丈夫な買い物
袋ぐらいなもの。

ガザミスナイパー『(バカな・・・ 確かに今、ファイナルベントの起動音が・・・)』


ファム「馬〜〜〜〜〜っ鹿」

ブランバイザー『SARVIVE

 ガザミスナイパーが、自分のやってしまったミスに気付き振り返るのと、
ブランバイザーがサバイブの起動音を響かせたのは、ほぼ同時だった。

 サバイブカード【光輝】をセットすると同時に、ファムの全身は、幻想的
な白銀の光に包まれた。

ガザミスナイパー『グッ───!!?』
 そのあまりにも眩しい光に、ガザミスナイパーは目が眩む。


 白銀の光の粒子に包まれ、進化変身していくファムの鎧。
 ナイトや龍騎のサバイブと同じ様に、ファムの白と銀の鎧は、肩当て、
胸当て、兜、具足部分に至るまで、ありとあらゆる部分が勇ましく、
そして優雅な美しさを魅せつつも、より戦闘に特化した形へと進化していく。

 ウイングスラッシャーが消えると同時に、折れたはずのブランバイザーは、
神話最強の剣を思わせる白銀の騎士剣へと変わり、主と共に戦うコトを誓うかの
様に、キラリとその刀身を輝かせた。

 ウイングシールドも、より翼の様に広大な形へと変わり復活した。

 そして、マントは・・・

ファム「え・・・?」
 その変化には、ファム自身が驚いた。

 ファムの背中に付加されたものは、マントではなく、
 なんとも見事な、天使を思わせる純白の翼だった。

ファム「・・・・・・・・・」
 翼は、まるで腕を動かすのと同じ様に、自分の意志通りにバサ、バサと
動いてくれた。大きく翼を羽ばたせる事により舞い落ちる数本の純白の羽根
が、何とも幻想的な光景ですらある。

ファム「(私なんかに、こんな翼は似合わないのにな・・・)」
 そんな思考を一瞬よぎらせて、進化変身を終えたファムは、
ガザミスナイパーへと向き直った。

ガザミスナイパー『天使・・・? いや、お前は・・・』
 あまりにも現実離れした美しさを魅せるサバイブ体に、ガザミスナイパー
はつい、そんな問いを口走った。

ファム「私は・・・」
 白銀の騎士剣を握り直し

ファムサバイブ「仮面ライダー、ファムサバイブ・・・!」




684 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/03(月) 23:29:27

○仮面ライダーファムサバイブ→詐欺師として培った騙しのテクニックで
まんまとガザミスナイパーを騙し、サバイブカード【光輝】で進化変身。
●ガザミスナイパー→まんまとファムに騙され、変身の隙を与えてしまう


685 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 01:28:15


ガザミスナイパー『・・・・・・バカな』
 ガザミスナイパーは、思わずそう呟いた。

ガザミスナイパー『・・・確かに、確かに【ファイナルベント】と聞こえた。
 あれが幻聴なわけが・・・ 貴様、何を・・・!!』

ファムサバイブ「・・・ああ、それはね、もちろんコレよ」
 再び携帯を取り出すファムサバイブ。

???『ファイナルベントッ』
 再び背後から聞こえる起動音。

ガザミスナイパー『・・・? ・・・・・・・・・』
 ガザミスナイパーは、ファムサバイブへの警戒を怠らぬように注意しな
がら、後ろへと下がった。

???『ファイナルベントッ』
 ・・・音は、明らかに買い物袋の中から聞こえる。
 ガザミスナイパーは、鋏でジャキジャキと袋を切り裂いた。

 すると

携帯電話『ファイナルベントッ。ファイナルベントッ』
 中にあったのは、小さく震える携帯電話。
 それが、バイブレーションと共にファイナルベントを連呼している。

ガザミスナイパー『こ、これは・・・!?』

ファムサバイブ「私はね、携帯電話は常に二機以上持ち歩いてるの。
 昔の職業柄、用心深さは抜けてなくて」
  ファムサバイブの持っている方の携帯電話は、他の携帯を呼び出して
おり、そして震えているほうの携帯の液晶には、【私】と表示されている」

ファムサバイブ「この遊園地で私達のバイザーそっくりのオモチャを見つけ
た時に思いついたの。録音式着ボイスをコレにしたら面白いな、ってね。
 まさかこんなすぐイタズラに使えるとは思わなかったけど、
【備えあえば〜】っていうのは本当よね。バカが素直に引っかかったわ」

 ふふん、と。
 ファムサバイブは、かなり挑発的にガザミスナイパーを嘲笑した。

ガザミスナイパー『下等な人間の域を遥かに超越した、この私が・・・
 こんな、こんな、子供騙しに・・・・・・ッ!!?』

  ガザミスナイパーは、信じられないとばかりに憤慨している。

ファムサバイブ「みてくればっかりとっかえひっかえしても、中身がダメ
なんじゃ救いがないわね。こんな子供騙しに引っかかるんだもの」
 何の衣容赦も無い言葉の棘。

ガザミスナイパー『こぉっっ・・・の・・・! 詐欺師がぁぁっ・・・!!!』
 これまでになく、怒り心頭に達しているガザミスナイパー。

ファムサバイブ「今は検事よ。
 ・・・あ〜あ。頭真っ赤にしちゃって、茹で蟹?」

ガザミスナイパー『ぐうううぅぅぅあアアァァァアア!!!!!!
 怒りに絶叫する、ガザミスナイパー。

ファムサバイブ「・・・・・・」
 ここからが、肝心だ。

 ファムサバイブは、ブラウカリバーを改めて握り直した。

686 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 02:01:14

○仮面ライダーファムサバイブ→小手先のトリックのネタをバラし、
ガザミスナイパーを挑発。
●ガザミスナイパー→完全にコケにされたことで、怒り狂う

687 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 03:57:18


ガザミスナイパー『カッ!!!』
 ガザミスナイパーの頭部の下にある、ボルキャンサーの口部から放たれる
強酸性の泡。

ファムサバイブ「・・・・・・・・・」

 しかし、ファムサバイブは、敢えて避けない。

 そして

      (バサッ・・・!!)

 はためく純白の翼、それが数回大きく空を漕ぐと、ファムに真っ直ぐ
向かって行った泡の全てはその勢いを失い、風に舞い、両者の間に中途半端
に落ち、コンクリートの床を溶かした。

ガザミスナイパー『なっ・・・!!?』

ファムサバイブ「何を驚いているの? 泡なんだから、強風には逆らえない
ぐらい、ちょっと考えたら分かりそうなものじゃない。
 ・・・とことん馬鹿ねあなた。これじゃせっかくの能力もブタに真珠だわ」

 ファムサバイブの言い方は本気だ。
 本気で、目の前の怪人を救えない馬鹿だと思っている。

ガザミスナイパー『ぐううぅぅぅぅっ・・・!!!』
 【須藤雅史】という人生の中で、ここまで馬鹿にされたのは初めてだろう

ファムサバイブ「そろそろ、こっちから行くわよ」
 翼を羽ばたかせ、ファムサバイブは、飛んだ。
 それは、先程までのファムとは比べ物にならないほど疾く──

ガザミスナイパー『くっ───!!?』

     (ブンッ───!!!)

 反射的に鋏を振るうも
 ファムサバイブは、それを最小限の動きで避わし

    (ギャンッ───!!!)

 脇腹の皹に、ブラウカリバーの渾身の一撃を加える。

     (ピキ・・・ ピキ、ピキ・・・)

 遂に、皹は大きく放射線状に広がった。

ファムサバイブ「(出来た・・・! 突破口が!!)」
 あとは、この一点を狙えばいい。
 硬いものほど、一旦決定的な皹が生じてしまえば脆いもの。

 自分に出来る最強の一撃。新しいファイナルベント
【ミスティーテンペスト】を。
 そうすれば、こいつは・・・ 終わる!

ガザミスナイパー『キィィサマアアァァアア!!!!!』

 ファムの狙い通り、度重なる挑発によって、ガザミスナイパーは自分の
状況を確認も出来ず、ただ激情に任せ、鋏を振るうだけ。

ファム「ハッ!」
 しかし、今となってはそんな直情的な攻撃が、翼を得、身軽な体を得た
ファムサバイブに当たるわけがない。

 今のファムサバイブは、水を得た魚。いや、翼を得た戦天使なのだ。
 元々が疾風の如くの疾さを得意としていたライダーであるファムが、
それを上回る疾さを得て、それを追い切れる存在などいる訳がなかった。

 更に、ファムサバイブがその翼を羽ばたかせるたび、空中には羽根が
舞い、それがガザミスナイパーを撹乱させ、苛立たせる。


ガザミスナイパー『チイィィィッ!! ならァァァアアアッ!!!!』

     (ガシャンッ!!!)

 ガザミスナイパーは、再び背中の二門の砲身をファムに・・・ いや

ファムサバイブ「・・・・・・!?」

 真上。空に向けた。

ガザミスナイパー『ギシュシュシュシュ・・・・・・』
 それまで怒りに我を忘れていた筈のガザミスナイパーは、またあの
おかしな哂い方をやりだした。

ファムサバイブ「・・・・・・ いきなりどうしたの? おかしくなった?」

ガザミスナイパー『いぃえぇ、むしろ最高に冷静ですよ・・・
 コレは、組織にも禁止された、スナイパーキャノンの最凶最悪の砲撃
タイプ・・・ いや、これはちゃんとした砲撃ですらない・・・』

ファムサバイブ「・・・?」

ガザミスナイパー『スナイパーキャノンの全てのパワーを暴走させ、天空に
向かって放つ・・・すると、空中で別れ、数百・・・ いや、数千のレーザーの
流星となり、半径10キロ四方の大地を・・・ 焦土に変えるのです』

ファムサバイブ「な・・・ なんですって!? 正気なの!!?」

ガザミスナイパー『私の装甲でも耐え切れるかどうかは危ういですが・・・
 だからこそ、素早いからといって逃げ切れるものでも無ければあなた程度
の装甲では、耐え切れるはずも無い。 ・・・ギシュシュシュ・・・!』

ファムサバイブ「・・・・・・・っ」
 なんてことだ。刺激しすぎた。
 こいつ・・・ 頭に来すぎて後先を考えなくなってる・・・!

ガザミスナイパー『人間が造った、堕落と不敗の街・・・ そう!
 これは、ソドムとゴモラの街を焼き払う神の粛清の炎・・・
 メギドフレイム(メギドの火)!!!

 さあ!! 恐怖に恐れ戦き、そして焼かれるがいい!!
 これが、罪深き愚かな下等種。人間どもを粛清する神の裁きだ!!!」

   (ギュオオオオオオンン・・・・・・)

 その砲身に、破滅の光を宿し始める、スナイパーキャノン。

ファムサバイブ「・・・・・・っ させないっ────!!!

 そんなこと、許さない。
 お前みたいなヤツに、シンジや、私のお姉さんを消されて・・・

ファム「たまるかぁ───────っっ!!!!!
 雄叫びを上げながら、走った。
 がむしゃらに、走った。

ガザミスナイパー『ギッシュシュ!! 何のつもりか知りませんが、遅・・・』

 その時

???『FINAL VENT

 どこからか聞こえる、ファイナルベントの起動音。

ファムサバイブ「────っ!!?」

ガザミスナイパー『・・・? ハッハハハ!! 悪足掻きをっ!! 同じ手が
二度も通じると思って───』

 大きく笑うガザミスナイパーと、その場で横に飛んだファムサバイブ。
 それが、決定的な明暗を分けた。

688 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 04:31:58

○仮面ライダーファムサバイブ→サバイブの戦闘能力を見せ付け、スナイパ
ーキャノンのメギドフレイムを、命懸けで止めようとした。が、突如聞こえ
たファイナルベントに、全力で回避。
●ガザミスナイパー→怒り心頭に達し、ヤケクソに、禁じられているメギド
フレイムを発射しようとする。今回はファイナルベントの音に逃げず。

689 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 05:19:58


     (ヒュッ────・・・・・・)

 空を斬り、何かが高速で近づく音。

ガザミスナイパー『っ───!!?』
 それに気付き、ふりむいたときには、もう遅すぎた。

 目の前を覆う、大小様々な砲弾の雨。
 それが一直線に、或いは、蛇のように唸りながら、スナイパーキャノン
へと───


    (ヒュドドドドドドドドッ────ン!!!!!)


ガザミスナイパー『グガァァアアアアアアアアッッ!!!!!???

 砲弾の豪雨は、あっという間にガザミスナイパーを爆炎で包み、忽ち
その姿を見えなくさせた。。
 炸裂する爆裂音。そして、エネルギーを充填していたスナイパーキャノン
が中途半端に暴発したのだろう。爆炎と煙の中、更にもう一度爆発が起こる。


ファムサバイブ「これは・・・ ゾルダの、エンドオブワールド・・・!?」
 忘れようが無い、憎き北岡秀一ことゾルダのファイナルベント。

ファムサバイブ「北岡のヤツ・・・ 近くにいるの!?」
 辺りを見渡すファムサバイブだが、どこにもゾルダらしき影は・・・



  ◇    ◇



   一方  遊園地管理ビル  屋上


ゾルダ「ふ───・・・・・・」
 やれやれとばかりに、ため息を吐きながら、バックルからカードデッキを
外す、ミラーワールドライダーの重火器戦士、仮面ライダーゾルダ。

 そしてゾルダは、変身を解き、北岡秀一の姿へと戻る。


由良「お疲れ様です」
 側に控えていた由良が、冷えた缶ジュースを北岡に手渡した。

北岡「ありがと。吾郎ちゃん」
 プシッ、といい音をさせて、ゴクゴクと冷たいジュースで喉を潤す北岡。

北岡「でもさぁ、いい大人にジュースって・・・ ビールとかなかったの?」
由良「ハイ。この遊園地、アルコールは置かないみたいっス」

北岡「あ〜・・・ それもそうか。
 それにしても、病気は治ってもライダーやるのって結構しんどいよね
やっぱり。・・・吾郎ちゃん、一度やったんだからさ、ゾルダ代わって
くんない? デッキあげるから」

 そう言って、本当に何気なくカードデッキを左手でプラプラと差し出す。

由良「・・・いえ、俺には似合わないですよ。
 それは、北岡サンが持ってこそかと・・・」

北岡「・・・ま、そう言うと思ってたけどさ」
 空になったジュース缶を由良に預けると、踵を返し屋上の入り口へと
歩いていく。

由良「帰るんスか?」

北岡「俺、別に『正義の味方ちゃん』になった覚えないし。
 それに、せっかく助けに行って恨み言いわれるのも嫌だしねぇ。
 あの子、まだ俺の事恨んでるでしょ? 女の子の平手打ちって結構
ダメージいくんだよ、知ってる?」

由良「いえ・・・」

北岡「これであとは充分勝てるっしょ。彼女もライダーなんだし。
 神埼に貰ったこれの分の働きには・・・ じゅーぶん、じゅーぶん」

  左手だけで器用にデッキから一枚のカードを取り出し、由良に見せる。
 それは、ゾルダのサバイブカード、【覇射】(はしゃ)。

北岡「ん〜〜♪ 強そうだよねぇ。いつ使えるかなぁ」
 新しいオモチャを手に入れた子供のような目で覇射のカードを見つめ
ながら、北岡は階段を降りていく。
 【疲れる】と言っておきながら、その実楽しそうである。

由良「・・・・・・」
 由良は、そんな北岡に苦笑しながら、一緒に階段を降りていった。


北岡「(それにしても・・・ こういう戦闘(オマツリ)は一番好きそうな
もんなのに、アイツどこで何やってんだろうねぇ・・・?)」

 ふと北岡は、自身のライバルである年中暴走男の事を思い出した。
 彼なら、こういった恰好の場所には独特の鼻を利かせ、必ず乱入してくる
ものだった筈だが・・・

北岡「(・・・ま、そのうち出てくるでしょ)」
 そう結論付けて、北岡はその場を後にした。

690 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 05:25:15

○仮面ライダーファムサバイブ→北岡を見渡し探すも、見つけられず
○北岡秀一(仮面ライダーゾルダ)→神崎にサバイブカード【覇射】を
貰い、あくまでギブアンドテイクでガザミスナイパーを攻撃。そして
あっさり退場。
●ガザミスナイパー→エンドオブワールドを喰らい、スナイパーキャノン
が暴発。

691 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 17:55:38


ガザミスナイパー『グ、グウウゥゥゥゥ・・・・・・』

 黒煙が晴れ、再びその姿を晒すガザミスナイパー。

ファムサバイブ「・・・・・・ あ〜あ」
 ファムサバイブの予想通り、その姿は最初に見た時と比べ無残なもの。

 黄金の甲羅は、煤だらけで所々に傷が出来、もはや輝きは皆無。
 そしてスナイパーキャノンは、内側からの暴発のせいでわずかに砲身下部
を残すのみで、あとは綺麗さっぱりに吹っ飛び、大砲の面影も無い。

 メギドフレイムはおろか、もちろん砲撃の一発も撃てまい。
 しかし、エンドオブワールドの直撃を受けても傷だけで済むあたりは
確かに自慢の装甲だ。

ファムサバイブ「最硬の肉体っていうのも考え物よね。さすがにあんな攻撃
受けたら、さっさと死にたいと思わない?」

ガザミスナイパー『キ、サ、マ、ラァァ・・・!!
 ふ、ザケるナ・・・ 私は、ワタシは・・・ 人間を超越シタ、最強の・・・
ガザ、ミ・・・ スナ、イ、パー・・・』

 ギチギチと鈍い動きと音をさせながら、壊れたテープレコーダーのように
そんな事を言い続けるガザミスナイパー。

ファムサバイブ「・・・・・・ ああ、そう。
 でも私はそんなうわ言に一々付き合ってられないの。
 ・・・さっさと、ケリを付けさせてもらうわよ」

  もはや同情も哀れみも無く、ファムサバイブは決着を付けるため、
最後のカードをブラウカリバーの中にセットした。

ブラウカリバー『FINAL VENT

 響き渡る、ファイナルベントの起動音。
 そして、大空に現れる白鳥の契約モンスター、ブランエルファー。

    (バサッ、バサッ───!!)

 ブランエルファーが大きく、そして激しく羽ばたくと、その場でとてつも
ない強風が吹き荒れ、周囲にあるベンチや、落ちた雑貨など、様々なものが
吹き飛ばされ、渦を巻き、一箇所に集まっていく。

ガザミスナイパー『・・・・・・っ!・』
 そう、ガザミスナイパーの立っているその場所に。

     (ビュゥゥゥウウウウウ────!!!!)

 忽ちその一帯は暴風に包まれ、旋風を巻き───

ガザミスナイパー『グッ、ギ、ア、ア────!?』
 巨大な竜巻により、天高く忠に舞い上がっていった。

ガザミスナイパー『ガ、グッ───!!』
 手足をバタつかせるが、そんな事で竜巻から逃げられる筈も無い。
 相手が風では、泡を吐こうが自分が浴びるだけで、意味もないだろう。

 ガザミスナイパーは、完全に風の牢獄の中に囚われた。

 そして

     (ザシュッ───!!)


ガザミスナイパー『・・・っ!?』
 兜の頬の部分を、何かが掠リ抉る。

 慌て、竜巻の中を見渡すと、竜巻の中を漂う様々な物の中に、キラリと
輝く何かを見つけた。
 それは、大きな金属の、羽根。
 竜巻の中に漂うブランエルファーの羽根は、誘い込まれた者を切り刻む
刃となっていた。

   (ザクッ─── ザクッ───!!)

ガザミスナイパー『グッ───!!』
 しかも、一つや二つではない。
 軽く十を超える無数の羽根刃が、ベンチを、看板を粉微塵に砕き、

 そして───

    (ザクザクザクザクザクッ────!!!!!)


ガザミスナイパー『ギアアアアッ────────!!!??』

 それはもはや、鎌鼬などというものですらも無い。
 言うなれば、巨大なミキサーだ。

 堅固なるガザミスナイパーの装甲も、散々ダメージを受けた上で、そんな
中に放り込まれてはさすがに耐え切れなかったか。
 ピキピキと、皹はどんどん大きく広がり、全身に広がっていく。


ファムサバイブ「よし・・・」
 ファムサバイブは、己が相棒、ブランエルファーへと向かい合う。

 ブランエルファーは、翼を翻しその姿を変化させていった。
 翼を機翼に、頭部を機首に、腹部をコクピットに───

 そうしてブランエルファーは、優雅に美しくも、猛禽類をも超えた
雄々しさをも備えた、白銀の戦闘機へとその姿を進化させた。

 それは、正に
 戦天使こそが脳に早々強い、最強の翼である。


ファムサバイブ「ハッ!!」

    (タッ────!!)

 ファムサバイブは、その場でブランエルファーの上へと飛び乗った。

692 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 17:57:56

○ファムサバイブ→ファイナルベント、ミスティーテンペストを発動。
●ガザミスナイパー→鎌鼬の結界に封じられる

693 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 21:32:30

 ハッチが閉まると動じに、ファムサバイブが操縦巻を握る。
 すると、脚部が進化した噴射口から強大なエネルギーが噴出され、
凄まじい疾さでブランエルファーは発進した。

    (ゴッ──────!!!!)

 短時間でマッハに到達出来るブランエルファーの発進は、あっという
間に遊園地の端にまで到達し、そこから弧を描くように白銀の鳥は旋回する。
 それと共にブランエルファーの機体は、サファイヤブルーの光に包まれ
ていった。

 飛行、旋回を行う事で生じる衝撃波を、エネルギーとして蓄える。
 それが、戦闘機フォームのブランエルファーが持つ、力。

 そして・・・

      (ピ───ッ!)

 たった数秒で遊園地の周りを一周すると同時に、コクピットの中央に
【MISTY TEMPEST】と書かれたランプが点灯した。

ファムサバイブ「よし・・・!」
 操縦巻を大きく横へ傾けることで、
 ブランエルファーは竜巻の方向へと一直線に向かって行く。


 一方、ガザミスナイパーを封じ込めていた竜巻は、段々とその威力を
失い、晴れ始めていた。

 それにより、ガザミスナイパーにも竜巻の外の景色が明らかに──

ガザミスナイパー『───ッ!!?』

    (ギュィィィィイイインッ───────!!!!)

 ガザミスナイパーに向かって急接近してくる、戦闘機ブランエルファー。
 だがそれに気付いた所で、今のガザミスナイパーに回避手段など無い。


ファムサバイブ「発射!!!」
 点灯ランプの下にあるスイッチを思い切り叩きつける。
 その合図として光り輝く、ブランエルファーの瞳。

     (ギュルルルルッ────!!!!)

 そして次の瞬間には、唸りを上げ、凄まじい速度で水平回転を始めた。


ガザミスナイパー『(何が来る───!!?)』
 1秒にも満たない僅かな時間で、攻撃のパターンを考えうる限り考える。

 可能性が高いのは・・・ 機体ごとの、体当たり。
 それ自身が巨大な槍の様に変化している機首の嘴で貫く攻撃に、違い
あるまい。

 なら───

 アレあ突撃してくるその瞬間に
 この鋏で、機首をしたから全力で弾けば軌道は外れ、この
ファイナルベントは失敗する───

 いける。 上手くいけば、そのまま二の撃でコクピットをもう片方の爪で
叩き潰す事も出来るではないか。

 ファムは、実によく健闘した。
 まさかこの最硬の甲羅がここまで皹割られるとは思わなかったが、

 それでも、最後に笑うのは、この私だ!!

 もう、人質だのジワジワだの、どうでもいい。
 自分の勝利を確信した恍惚のままに、ミンチとなって死ねばいい。

 もう少し、もう少し───

ガザミスナイパー『(今だ!!)』

    (ブンッ───!!!)

 すぐ近くにまで接近してきた機首を目掛け、右手の鋏を全力で振りかぶる。


    (ゴゥッ────────!!!!)


ガザミスナイパー『───────っ!!?』

 しかし、突然。
 エネルギーの逆噴射により、ブランエルファーの軌道は斜めに逸れ、
ガザミスナイパーの爪は完全に届かぬ位置へと──

 計算違いに驚嘆するより前に、ガザミスナイパーの眼前には、あるものが
映った。

 それは、大地に水平な、円形の青色光。

 ブランエルファーの機体を包む光が、急カーブと共に離れ、
 それは巨大な回転ノコギリの形となってガザミスナイパーへと──


   やばい  ヤバイ  ヤバイ───!!!

 ガザミスナイパーの中で警告音が幾重にも鳴り響く。
 全ての動きが、何十分の一倍速かというほどのスローになる。

 だがもはや、防御や回避など、間に合わない


     (スパ───)


 今のガザミスナイパーにとって、ゆっくりと迫る光輪は、最初に
振りかぶった右手の鋏に接触し、通り過ぎた。
 光の刃が完全に通過すると同時に、ズル・・・と。
 まるで空間ごと斬られたかのように、自慢の鋏は斜めにズレていく。

ガザミスナイパー『────っ!!!?』

 防げ・・・ ない。

 それを、理解してしまった。
 心の中でガザミスナイパーが最終的に出した命令は、ただの原始的な
悲鳴だった。

 彼自身が人間を捨てたと同時に、二度と出す筈が無かった本能的な命令。
 しかし、もはや彼に残されたものは、悲鳴を上げ、再び自分の眼前に迫り
来た【死】の恐怖に狂う。それだけしか・・・ いや

 悲鳴さえ上げる間もなく、青の光輪はチクイとした痛みと共に、左肩部
から右胸部にかけて、袈裟に通り過ぎていった。


ガザミスナイパー『(私ハ・・・ 不死身、ノ・・・ ガ、ザ・・・ ス・・・』

 最後の思考の叫びすら終わる間もなく、致命的なダメージにより
 肉体がメルトダウンを開始し、内側から眩く光り───


    (ドォォォォォオオオオン!!!!)


 天空に打ち上げられた盛大な花火として爆ぜる事で、自身が【怪人】
であることを、証明した・・・

694 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/04(火) 21:45:31

○ファムサバイブ→ファイナルベントを命中させ、ガザミスナイパー打倒
●ガザミスナイパー→ファイナルベントを喰らい爆発。死亡?

695 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/05(水) 02:12:38


     (フワッ・・・)

 役目を終えたブランエルファーは、ゆっくりと霞に消え
 ファムサバイブは背中の翼を羽ばたかせ、まるで自分が羽根であるかの
ような軽やかさで、柔らかに着地した。

    (シュウ・・・ ン)

 そしてサバイブ状態も解け、純白の翼はマントへと、ファムも通常の
ファムへと姿を戻した。

ファム「・・・・・・ ふう」
 ため息をつき、肩を落とす形で疲れを見せる。

    (ドンッ!)

ファム「っ!!?(ビクッ!)」
 その時急に背後から聞こえた【何かが落下した音】に驚き振り向くと

   (ゴロ、ゴロゴロゴロ、ゴロ・・・・・・)

 近くに落ちたそれは・・・ ガザミスナイパーの首だった。


ファム「・・・・・・・・・」
 いくあ下げず無べきゲスな奴だろうと、こう無残な姿になってしまえば
やはり気分が悪い。


   (タッタッタッタッタッ──────────)


 そして聞こえてくる、予想のつく急いだ足音。

龍騎「霧島────────っ!!!」

 ・・・やっぱりね。

龍騎「大丈・・・」
ファム「遅い!!!

 龍騎が近くまで寄って、両手を合わせて謝るよりも前に、ファムは
思いっきり龍騎を怒鳴った。

龍騎「・・・・・・・・・ ゴメン」
 言い訳はたくさんあるだろうに、龍騎は深く頭を下げて謝る。

ファム「随分遅かったわね。そんなに敵がたくさんいたの?」

龍騎「ああ・・・ 最初に再生怪人が4体出てきて、それを倒して走ったら、
今度はそこかしこから・・・【戦闘員】だっけ? どこに隠れてたんだって
ぐらい何十も出てきて、次から次から・・・ いや、すっげぇ大変だった」

 よく見てみれば、よほどの障害物レースだったのだろう。動悸の心配を
してしまいそうな程に、仮面の内側からゼェハァゼェハァと呼吸を洩らし
ながら、肩を激しく上下させていた。

 再生怪人に戦闘員の大群・・・ なるほど。それならこれだけ遅れて来るの
も納得・・・というか。かなり頑張った方だと思う。私じゃもっと手こずる。

ファム「もう。いざっていう時に頼りにならない正義の味方よね」
 なんて言いながら、人差し指で龍騎の仮面を小突く。

龍騎「・・・・・・ 返す言葉もない」
ファム「これじゃあ、次の次もオゴリ決定かな〜」
 くるっと踵を返し、意地悪な口調でファムは悪魔的な宣言をした。

龍騎「ええぇえ!? 俺、まだ給料日前・・・」
ファム「はい、知ったことじゃありませ〜ん。ペナルティは素直に受ける」

龍騎「あああ・・・ 今月はパン耳か・・・」
 龍騎は、魂が折れたかのようにガックリと項垂れる。

ファム「・・・・・・」
 心の中では、それでも充分龍騎を評価していながら理不尽な話だが、
まあ要するには、次の次まで義務でもデートを約束させたいという・・・

 女心である。



龍騎「・・・! あれ・・・」
 転がっている、ガザミスナイパーの首に気が付く。

ファム「・・・ごめん。決着を付けるべきだったのはシンジなのは、
わかってたんだけど・・・」

龍騎「いや、それも含めて俺が霧島の分も戦うべきだったんだ・・・
 ごめんな、嫌な思いさせて」

  ポン、と。ファムの肩に龍騎は優しく手を置いた。

ファム「シンジ・・・」
 ああもう。何でこいつは、こんなに優しいのかな・・・

 ファムが俯き仮面の下で顔を赤くしていた

 その時───


???『ギ・・・ シュ・・・ シュ・・・』


龍騎「っ!!?」
ファム「っ!!!?」

 突如聞こえた有り得ない笑い声に驚き、その方向を見る二人。

ガザミスナイパー(首)『ギシュ・・・ シュ・・・』

 笑い声の主は、ガザミスナイパーの首だった。

ファム「う、嘘っ──・・・!!?」
龍騎「生きてたのか!?」

 あまりにも現実と人間から離れた光景に、二人は驚愕する。

ガザミスナイパー(首)『ギシュシュ・・・ 私は、こんな、ところで、死には、
しな、い・・・』

 火花と血を散らしながら、カタカタと人形のように首を揺らす
ガザミスナイパー。
 その光景は、ホラー映画を超えて、実におぞましい。

龍騎「・・・須藤、もう止せよ。
 Dショッカーだか何だか知らないけど、いいかげん降参してくれ」

ガザミスナイパー(首)『フフ・・・ 甘いですねぇ城戸真司。
 あなた達の見通しは、甘すぎる。Dショッカーの脅威は、そして力は、
これまでの全ての組織に遠く及ばないのですよ。いくらあなた達が力を
結集しようと、最終的にあなたたちは滅びるしかないのです』

ファム「なんですって・・・!?」

ガザミスナイパー(首)『・・・私を倒した事を讃え・・・一つ、いい話をして
差し上げましょう。
 かつてスマートブレイン社が造った、外部装置型によるライダー製造
計画、そしてそれにより造られた多くの【ギア】・・・』

龍騎「・・・・・・???」

ファム「【ファイズギア】、【カイザギア】、【デルタギア】・・・
 あと、【サイガ】、【オーガ】、そして【ライオトルーパー】?」

ガザミスナイパー(首)『良くご存知で・・・ さすがは現検事だ。
 しかし、そこから【先】は、ご存じないでしょう?』

ファム「先・・・? ・・・・・・・・・まさか!!?」

ガザミスナイパー(首)『そう・・・ ギア製造計画は、Dショッカーを以って
新たな製造が行われているのです。 これまでのギアライダーとは、
比べ物にならない・・・ それこそ、【最強にして最凶のライダー】を造る
という崇高な目的の為に、最高の技術と最高の科学者の頭脳を用いてね』

龍騎「【最強にして・・・ 最凶のライダー・・・?】」

ガザミスナイパー(首)『そう・・・ 私も全貌までは知りませんが、
造られしギアは二つ・・・ 全知全能たる神のギア、【シグマギア】と、
世界を滅ぼす悪魔の胎児と呼ばれし、【ラムダ(666)ギア】・・・
 この二つのギアに適合する戦士が選ばれ、Dショッカーの英雄として
立ち上がりしその時、この地上・・・ いや、全宇宙全未来は、【D】に染まる
でしょうねえ・・・
 そして、私から確実に言えるのは・・・ その世界に、Dに組せぬ者達の
いる場所は、存在し得ないということです』

龍騎「そんな・・・!」
 龍騎は、その話に戦慄した。

 せっかく世界が平和になったって言うのに、そんな・・・
 そんなこと、許せるわけが無い。

ファム「・・・その話が、本当だって証拠は?」
 ファムは、内心は龍騎と同じ様に戦慄しているだろうが、平静を装い、
目の前の首に真偽を問う。
 内心では、自分自身この話しが嘘である可能性をほとんど否定している
のに、だ。

ガザミスナイパー(首)『私はあなたほど器用じゃない。こんな状況でその場
限りの嘘など思いつきはしませんよ。・・・今の私に出来ることは、私自身の
保身の為に、出来る限り有益且つ、あなた方が足を止めてくれる情報を
提示するだけです』

ファム「・・・・・・」
 話が嘘である可能性を求めたが、答えはファムの予想通り。

 そして、Dショッカーの各地での活動や組織力、様々な奇怪なる現象の
報告などから考え、そしてDがこれまで全ての悪の組織の結集であること、
全てのライダーや怪人の技術の園であることを考慮すれば・・・

全てのライダーよりも強いかどうかは別にしても、それが人間達にとって充分
過ぎるほどの脅威になりえるのは間違いが無い。

ファム「・・・それで、その計画とやらはどこまで行ってるわけ?」
 表向きは無関心を装い、肝心なことを続き尋ねた。

ガザミスナイパー(首)『ああ、わかりますよ。計画がまだ途中であるのなら、
まだ止められる可能性がある・・・ そう思っているんでしょう?』

ファム「・・・・・・」
 ファムは、無言でレイピアの柄を握る。

ガザミスナイパー(首)『おおっと・・・ わかりました。喋りますよ。
 残念ながら、既にシグマの方はスマートブレインの社長が装着者として
選ばれており、そして既に彼は変身実験をクリアしています。

 しかし・・・ ラムダギアの方は、まだです。
 装着者は決まっており、ギアも完成していますが・・・ 肝心の装着者が
未だ覚醒していないのです』

ファム「その装着者って、誰?」
ガザミスナイパー(首)『・・・・・・・・・ 木村、沙耶』
 生首は、遂にその名を語った。

龍騎「キムラ・・・ サヤ?」
 龍騎は、その名前を知らないが

ファム「木村・・・沙耶!? そんな・・・!!」
 彼女は、死んだ人間の筈だ。

ファム「っ・・・!? まさか、黄泉還り・・・!?」
 いや・・・ あれは、最も近しい人、最も想う者の前に現れる筈だ。
 だが、木村沙耶が黄泉還ったなどという話は聞いていない。

ガザミスナイパー(首)『勿論、黄泉還りではありません。
 組織も最初は困惑したようですよ。せっかく判明した適合者が死者だった
のですから。・・・しかし、木村沙耶を超えるラムダギアの適合者は、
 しかし・・・ 一人いたのですよ。死者を蘇生させ、その魂を呼び戻し現世に
定着する事が出来る人物がね。それは、第三の月の長、めい・・・』


???「それ以上は、喋るな」

 突如付近から聞こえる。第三者の声。

龍騎・ファム「「っ────!!?」」

696 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/05(水) 02:22:32

○仮面ライダー龍騎→やっと登場。再生怪人戦後も個人奮闘していた事が
判明。ファムに怒られしょげ、ガザミスナイパーの生首発声と、組織の計画
判明に驚き、新たな声に戦慄。
○仮面ライダーファム→龍騎に表面的に怒る。龍騎と同じ様に驚く。
 ガザミスナイパーより二つのギア計画を聞き出す。
●ガザミスナイパー→生首状態になっても死なず、ペラペラと組織の重要な
計画を自分の保身の為に喋りまくる。

697 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/05(水) 05:52:17


 龍騎達が振り向いた先には、一人の青年が立っていた。

 全体に白を基調とする、現代技術が結集された理想的バランスの戦闘服。
 腰に差された、前後両刃式の光剣サイファー。
 そして、白と赤の違いはあれど、全く同じ生地素材を使用したマントと、
腰に巻かれた金属のベルトリング。

 龍騎、ファムの二人は知る良しも無いが、その二つは、あの飛竜とあまり
にも酷似した特徴だった。

 前髪が残る程度の所から、一本の紐でシンプルに括られたポニーテール。
 その髪質は艶やかで、腰まで届きそうな長さと容貌は、一瞬女性と
見間違えそうになるほど美麗に整っている。

 それでも目の前の青年を健全な男と正式に認識させたのは、彼自身の
全身から発せられる静かな闘気と、雄々しさにあった。

 それはまるで、静かに佇む虎の如し。
 何の構えすら見せていないにも関わらず、龍騎とファムは、その突然の
来訪者に対し、心身両面において身構えざるを得なかった。


ファム「・・・誰なの?」
 先に口を開いたのは、ファム。

飛燕「特A級ストライダー・・・ ストライダー飛燕」
 それに対し、飛燕は短く自身の正体を告げた。

ファム「・・・・・・!!」
 その言葉に、ファムは驚いたが

龍騎「ストライダー・・・? 仮面ライダーの仲間?」
 片や龍騎は、そんな単語は聞いたことがないとばかりにファムに尋ねる。

ファム「ちょっ・・・! シンジ、本気で言ってる!?
 ストライダーと仮面ライダーじゃ、全然種類が違うわよっ!!」
  緊迫した空気の中、間の抜けた事を言われ、ファムは逆に驚くやら
呆れるやら。

飛燕「そうだ。一緒にされては困る。
 ストライダーは、あくまで人間の肉体で厳しい訓練を潜り抜け、己の
心技体を最に高めた、最強の諜報戦闘員だ。
 ・・・デッキだのベルトだの、そんなオモチャに頼らなければ満足に戦う
事も出来ないインスタントヒーローと、比べて欲しくは無いな。
 ストライダーに対する、侮辱だ」

  甘いマスクをしていながら、飛竜の返答は実に辛辣だった。

龍騎「なっ・・・!?」
ファム「何でってぇ!? い、インスタント!!?」

 驚く両者。憤慨するファム。

 しかし飛燕は実際に、こんな近くにやって来るまで、龍騎達に気配の欠片
も感じさせなかった。
 それが、飛燕の実力が口だけではない事を証明している。

ガザミスナイパー(首)『おお・・・ ストライダー・・・』
 一方、生首のガザミスナイパーは、天の助けとばかりに嬉々とした声で、
飛燕をストライダーと呼ぶ。

ガザミスナイパー(首)『ギシュ・・・ ありがたい・・・ 組織があなたを、
よこして、くれたわけですか・・・』

飛燕「・・・勘違いするな。お前の【組織】の命令だから動くわけじゃない。
 あくまで俺達の主たる【冥王】様のご命令によって、だ。
 ・・・貴様にはまだ利・・・ 【価値】があるというDショッカーの判断に際し、
冥王様が【同盟の士として手を貸そう】と仰ったからこその事・・・」

 利用価値・・・ と言い掛けた所で口を噤み、言い直す。
 表情も言葉も、ほぼ雑用と言えるこの任務に対する強い不満が伺える。

ガザミスナイパー(首)『それはそれは・・・ しかし、ありがたい・・・』
 そんな飛燕のイントネーションの含みに気付かず、首を揺らし笑う
ガザミスナイパー。

飛燕「ふん・・・」
 不機嫌ながらも、ガザミスナイパーの生首に近づいていく飛燕。

ファム「待ちなさい」
 そこに、ファムはブランバイザーを抜き、制止を呼びかけた。

飛燕「・・・・・・」
 飛燕は、無言のまま横目でファムを見る。

飛燕「止めておいた方が良い。俺の任務はそこの生首の回収だけだ」

ファム「・・・だから?」

飛燕「お前達の破壊は任務に入っていない。傍観者には手出しはしない。
 だが・・・ ストライダーは、降りかかる火の粉は払う」

龍騎「お前・・・ 本気で俺達相手に勝てるつもりなのか?」
 生身の人間がライダーと勝負なんて、常識では考えられない。

飛燕「お前達こそ調子に乗るな。さっきまでのサバイブとやらならともかく、
全力も出せない状態で特A級ストライダーに戦いを挑むつもりか?
 ・・・ふざけるな。気配一つ察知も出来ない民間人が、いくらそんなものを
着込もうと、敵う相手とそうでない相手がいるということを知れ」

 飛燕の言葉には、少々の怒気さえ感じられる。

ファム「そっちこそ、コレだけ被害を出しておいて【お持ち帰りで】で
済むと思ってるの? そいつには大量の殺人と破壊の罪状がある。
 検事として逮捕拘留し、刑に服させる義務が私にはあるわ。
 ・・・例え、首だけでもね」

飛燕「拘置所にでも入れる気か? コイツを」
 フッ、と。苦笑する飛燕。

ファム「心配後無用。人間用じゃなく、SPDの凶悪犯専用檻に入れるわ。
 そこなら、耐強酸措置も充分されているしね」

龍騎「・・・SPD?」
ファム「シンジ・・・ ストライダーといい、本当に知らないのね・・・」
 ファムは、ガクリと項垂れた。

飛燕「・・・・・・ 仕方が無いな」
 ふぅ、と溜息を吐き、飛燕は光剣サイファーを抜いた。

698 名前:新章/ファム発覚篇:2006/07/05(水) 06:03:30

○仮面ライダー龍騎→ストライダーもSPDも知らず、ファムに呆れられる。
○仮面ライダーファム→検事として飛燕を阻止しようとする。
●ガザミスナイパー→組織内では【利用価値】のみという事が判明。
●ストライダー飛燕→登場からライダー二人を戦慄させる。

【今回の新規登場】
●ストライダー飛燕(ストライダー飛竜シリーズ)
飛竜のかつての親友にして、元、数少ない特A級ストライダーの一人。
ある事件以来、他多くのストライダーと共にグランドマスターの配下となる。
 元“チーム飛竜”。かつて飛竜が【五界混沌事件】で倒した飛燕は偽物。

699 名前:新章/ファム発覚編:2006/07/05(水) 19:59:44


ファム「上等じゃな・・・ !?」
 飛燕との戦いに望まんと一歩踏み出した所で、それを

龍騎「俺がやる。霧島は休んでいてくれ」
 龍騎が、片手で制した。

ファム「ちょ、ちょっと・・・ 私だって」
 不満を述べようとするファムだったが

龍騎「疲れてるだろ?」
ファム「え・・・?」

龍騎「相手は一人だし、改造人間でも何でもない。
 何も二人でやる事はないさ、男1対1で戦わせてくれよ」

ファム「・・・でも、疲れてるのはシンジだってそうでしょ? 再生怪人に
戦闘員の群れに・・・」

龍騎「俺は、漢だからさ」
 ファムの肩をポンと叩き、親指をグッと立てて元気をアピールする。

ファム「・・・・・・・・・」
 そうされると、ファムも言葉を返せない。
 普段は何かと人に流されるくせに、一度こういう事を言い出すと聞かない
上に絶対曲げようとしないというのは充分わかっているし。

 ・・・あとの言い返せない理由は、惚れた弱みと言うやつだろう。


ファム「まったくもう・・・ 大甘ちゃんの上に頑固なんだから。
 ・・・いいわ。でも、逃がしちゃダメよ。怒るからね」

龍騎「わかったわかった」

ドラグバイザー『SWORD VENT

 龍騎は、飛燕の方へと向かうその僅かなアクションの間にソードベントを
起動させ、虚空に現れたドラグセイバーを握った。


龍騎「・・・お待たせ」
飛燕「本気で俺と1対1でやる気か?」

龍騎「なんだよ。悪いか」
飛燕「いや・・・」

 チャキ。
 という音をさせ、光剣サイファーを握り直す飛燕。

飛燕「嫌いじゃない」

 その日最後の、龍騎のバトルが始まった。


  ◇    ◇


   (キンッ! ガンッ!!)

            (ギャンッ────!!)


 龍騎のドラグセイバーと、飛燕の武器G(ジオメトリカル)サイファー
が、ぶつかり合い火花を散らす。

飛燕「・・・ なかなかの太刀筋だな」
 龍騎との剣戟を重ねがら、飛燕は想像以上の龍騎の剣捌きに関心を
見せた。

龍騎「そりゃ・・・ どうもっ!!」
 話しながらも飛んでくる横薙ぎの剣戟を払い流しながら、そう答える。

飛燕「・・・君らの戦士としての活動時期はほんの1年少しだった筈だが・・・」
 激しい剣戟を繰り広げながら、先程とは少し違った顔に合う柔和さを
醸し出し始めていた。

 おそらく、これが本来の飛燕の口調なのだろう。

龍騎「ああ、そうだ・・・ よっ!!」
 上段から振りかぶるGサイファーを、ドラグセイバーで横に向ける。

飛燕「その割にはよく反応してる」

   (ガチ、ガチガチ・・・)

 二つの刃による鍔迫り合い。

龍騎「だから?」
飛燕「才能・・・ は、そんなにあるようにも見えないな。かといって、俺達
よりも密度の濃い死線を潜り抜けたようにも見えない」

龍騎「失礼なヤツだなぁ・・・っ」
飛燕「タネは何なんだ?」

龍騎「・・・・・・・・・ 根性と、信念っ!!!」

    (ギィィィンッ!!!)


 少しだけ悩んだ上で、龍騎はそれを答えとし、思い切り力を込めて、
サイファーごと飛燕を弾き飛ばした。


飛燕「・・・・・・なるほど」

    (クルクルクル・・・ シュタッ───)

 勢いのまま空中を舞いながら、何事も無かったかのような顔で、簡単に
着地する飛燕。

飛燕「しかし」

     (ビュンッ───!!!)

龍騎「っ!?」

 超人的な瞬発力。
 ほぼ一瞬で飛燕は、龍騎の目の前にまで移動し

    (バキィッ───!!!)

龍騎「グッ───!!?」
 無知の様に撓りを付けた回転ハイキックが、龍騎の側頭部にヒットした。
 疾く正確な上に、仮面の上からでさえ重い一撃───


飛燕「それでも、特A級を相手にするには隙が多すぎる」

龍騎「くっ・・・」
 よろけ、膝を付きながらも、宣言通りに根性で立ち上がる。

飛燕「何を躊躇っている?」
龍騎「・・・何?」

飛燕「今まで怪人やモンスター相手ばかりで、生身の人間には本気を出した
事が無い。・・・だから、必殺技を出すのに躊躇いがある。
 【人間】は、直接殺したことが無いから。 そうだろう?」

龍騎「・・・・・・ああ。正直、怖いよ。でも・・・」
 何で分かるのか、そう聞こうとした。

飛燕「・・・ 俺もそうだった」
 ポツリと、飛燕はそう呟いた。

龍騎「え・・・?」

飛燕「さあ・・・ 俺もそう時間はかけていられない。
 ・・・全力で、ベストを出せ。そうでなければ薙ぎ払うだけだ」

   (バチバチバチバチッ・・・・・・!!!!)

 飛燕のGサイファーが、最高レベルにまでプラズマ磁電流を解放する。
 稲妻にも近いプラズマ電光が、夕方に差し掛かっていた空を、昼の様に
眩しく照らした。

龍騎「・・・わかった。後悔するなよ」
 飛燕の本気の目に、龍騎も覚悟を決める。

 他の出会い方をしていたなら、言い友達になれたかもしれないと、
飛燕の目を見てなんとなくそう想いながら

ドラグバイザー『FINAL VENT

 ファイナルベントを、起動させた。


700 名前:新章/ファム発覚編:2006/07/06(木) 01:35:42

○仮面ライダー龍騎→飛燕との剣戟、そしてファイナルベントを起動。
●ストライダー飛燕→戦いながら城戸の甘い所に自身を重ねているらしい。

701 名前:新章/ファム発覚編:2006/07/06(木) 04:00:36


   (グオオオォォ────ンン・・・・・・)

 ファイナルベントの起動と共に、龍騎の契約モンスター、ドラグレッダー
が咆哮を上げ、その姿を見せる。

飛燕「・・・それが君の力か」
 嘲笑ではなく、戦士として微笑む飛燕。

   (ゴァッ────!!!)

龍騎「ハッ────!!!」

 烈火の竜、ドラグレッダーが大きく口を開くと同時に、龍騎は空高く
跳び上がった。

 吐かれる灼熱の火炎に乗り、
 これまで多くの敵を屠ってきた必殺の蹴り。
 ドラゴンライダーキックを放つ。

 烈火の光陰矢が向かう先は、飛燕。
 龍騎は、生身の人間にこれを放った事は当然一度も無かった。
 怪物でさえ一撃で屠る最強の必殺技を、人間が受け切れる訳がない。

 しかし飛燕は、龍騎を正面に見つめ、動かなかった。

飛燕「X(エクス)・・・
 前後両刃型のGサイファーの中央に、手をかける。

    (ガキンッ・・・!)

 すると、一本だった筈のGサイファーはその場で2本の短剣型サイファー
へと姿を変え、飛燕は構えを一刀から二刀流へと変えた。

 合計3つの型に変化出来る、Gサイファーの一の型、【双虎】(そうこ)。

 そして

飛燕「カリバ───────ッ!!!!

  (カッ────!!!!)


 X(エクス)カリバー。
 その必殺の名の通り、二つのサイファーの光の曲線が、X(クロス)を
描く形で放たれた。

 それは、龍騎のドラゴンライダーキックと激突し、その強大なエネルギー
同士の反発から、目も眩むばかりに激しいプラズマ磁電流が光る。

龍騎「なっ──!?」
飛燕「(クッ──・・・)」

 6000APという破壊力を持つドラゴンライダーキックは、飛燕の、伝説の
剣の名を持つ必殺技とぶつかり合い、完全に止められていた。

龍騎「(ウソだろ────・・・!?)」

 やがて、互いの必殺の力は相殺され消えていく。
 龍騎の纏う烈火は燻り消え、飛燕のGサイファーのプラズマもまた輝きを
失った。

龍騎「・・・・・・っ」
 龍騎は反動で後ろに跳び、低く着地する。

   (カキンッ───)

 飛燕もまた、Gサイファーを元の三の型【龍爪(りゅうそう)】へと戻し


    (ガッ───!)

 そのまま、殆ど放って置かれていたガザミスナイパーの首を躊躇無く
掴み上げる。

ガザミスナイパー(首)『やれやれ、やっとですか・・・』
飛燕「黙れ」

ファム「あっ───!! 待っ・・・」
 それまで沈黙を守り、両者の戦いを見守っていたファムが、声を上げる。

飛燕「また会おう」
 それだけ言うと、飛燕は蜜柑大のボールを取り出し

    (ガシャンッ)

      (カッ───!!!!)


 その途端、目も開けられないほどの眩い光が、辺りを包んだ。

龍騎「うわっ────!!?」
ファム「しまっ───・・・・・」

 閃光手榴弾の類だったのか
 どちらにせよ、もはや後の祭り。

 ギシュシュシュ・・・ という、去り際のガザミスナイパーの声も、遥か
遠く絵と消え去っていった───



  ◇    ◇



 煙と光が晴れた後には、当然ネズミ一匹存在しなかった。

美穂「逃げられちゃった、か・・・」
城戸「・・・ゴメン」

 変身状態から、元に戻った二人。
 城戸は、正直に霧島に頭を差し出す。

美穂「・・・何してるの?」
城戸「こんなつまらない首でよければ・・・」

美穂「プッ・・・」
 霧島は、思わず少しだけ吹いた。

美穂「もう、別にいいわよ。
 あんな化け物相手に戦って無傷ですんだんだから、充分」

城戸「・・・いいのか?」
美穂「今回は、カニのバイキンマンを吹っ飛ばして、再生怪人を倒した。
 それでよしとしましょう」

城戸「・・・・・・ そう、だな」
美穂「あ、でも。
 デートのやり直しとオゴリは取り消さないから」

城戸「う゛・・・・・・(ガク」


 そんな夫婦(めおと)漫才を繰り広げている時。


???「ガンガンガンガラガンガ・・・」
 どこからか、とっても妙ちきりんな歌が聞こえてきた。

城戸「???」
美穂「???」

 二人が振り向くと、そこには・・・

がんがんじい「ガンガガンガガ────ンッ!!!
 【日本一がんがんじい】と書かれたおのぼりをブッ刺した、えらく旧式の
スクーターに乗った
 とびきり変な鉄製の鎧を着た不審者が立っていた。

702 名前:新章/ファム発覚編:2006/07/06(木) 04:09:29

○城戸真司→ファイナルベントを相殺され、飛燕に逃げられる。
○霧島美穂→真司の功績を讃えるも、デートとオゴリはチャラにせず。
●ストライダー飛燕→龍騎のファイナルベントを止め、ストライダー特製の
閃光球で撤収。
●ガザミスナイパー→笑って消える

【今回の新規登場】
○がんがんじい/矢田勘次(スカイライダー)
日本一のヒーローを目指し、武者修業をしている怪人物・・・ もとい
快人物。その鎧は中々でガンガン頭突きで怪人にダメージを与えた事も。

703 名前:新章/ファム発覚編:2006/07/07(金) 01:21:13


城戸「・・・・・・誰?」
美穂「さあ・・・」

 さすがの霧島も、がんがんじいまでは知らない。

がんがんじい「【誰】やと!? お前ら日本一の英雄(ヒーロー)を知らん
のか!? ワイは、その名も高きがんがんじい様や!!」


   (し〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・)


がんがんじい「あれ? えらい静か・・・
 なあ、ひょっとして・・・ もう戦闘終わってしもうたんかいな?」

城戸「ええ、まあ・・・」
美穂「とっくに・・・」

がんがんじい「え────!? 何やてぇ〜〜!!?
 来る前に解決しとるやなんて、芸人・・・ やないわ、ヒーロー殺しも
ええとこやがな───!!!」

 闘う機満々だったらしいがんがんじいは、駄々をこねる様に地団太を踏む


美穂「だから、誰なのよ・・・」
 と、霧島がムカつき始めたところで

マリーメイア「【がんがんじい】。本名矢田勘次。8人目の仮面ライダー
【スカイライダー】と共に、ネオショッカー壊滅に尽力したとされる謎の
人物」

 そこに解説をしながら現れたのは、マリーメイアだった。
 どこでどう購入したのか、右手には3段アイスを持っている。

がんがんじい「おお! さすが今日びのお子さんは勤勉やな〜〜!!」
 マリーメイアの事も良く知らず頭を撫でようとするがんがんじいだが、
マリーメイアの方は、見事なムーンウォークでそれを避わす。

がんがんじい「おろ?」

城戸「マリーメイア・・・ ちゃん?」
 いつの間に、と。城戸は驚いた。

トレーズ「そのがんがんじい君は、どういった用件かな?」
 そして当然と言うべきか、
 やはりトレーズもまた、颯爽と現れる。

がんがんじい「あっ! そやそや。ここで仮面ライダーの後輩が闘うとるっ
ちゅうんで、佐久間はんに頼まれてな? ・・・よいしょっ」

 がんがんじいは、スクーターのカゴから、メロンサイズのハロを取り
出し、ワンタッチで開いた。

   (ブンッ・・・)

 ハロの中の液晶画面に電源が入り、その中に一人の人物が映し出される。

佐久間(通信ハロ)『こんにちワ。ミラーワールドライダーのお二人。
 城戸真司クンに、霧島美穂サン。お会い出来テ光栄デスよ』

城戸「・・・あんたは?」

佐久間(通信ハロ)『ワタシは、インターポールの佐久間ケンです。
 現在、憚りながら全仮面ライダーのサポートチームの、チーフを任されて
いマス』

 そう、モニターに現れた人物は、佐久間ケンである。

城戸「佐久間・・・?」
 どうやら城戸は知らないようだが

美穂「佐久間・・・!? あの!?」
 霧島の方は知っているようだ。

佐久間(通信ハロ)『そして、トレーズ閣下とマリーメイアサンも。
 初めまシテ。お会いできて光栄デスよ』

  社交的に微笑む佐久間。

トレーズ「私も、ヒーローである仮面ライダーを影から支える名士に出会
えるとは、嬉しい限りだよ」

 互いに微笑を交わす、雰囲気の似た二人。



  ◇    ◇



城戸「え・・・ じゃあ、俺達が須藤や飛燕と戦う事になるの、わかってたん
すか!?」
 城戸は、佐久間の衝撃的な告白に驚いた。

佐久間(通信ハロ)『ハイ。黙っていてスイマセン』
 素直に謝っているが、その顔は食えない。

美穂「でも・・・ どうやって?」

佐久間(通信ハロ)『それハ・・・』
手塚(通信ハロ)『俺が占った』
 急に、映像の中、佐久間の横から現れる男。

城戸「て・・・ 手塚っ!!?」
 それは、城戸にとっては懐かしい顔だった。

手塚(通信ハロ)『今はここで、佐久間本部長のガードをしている。
 そっちに行けなかったのは、悪かった』

城戸「いや、それはいいけど・・・」

美穂「手塚・・・? シンジの言ってた、ライア?」
手塚(通信ハロ)『“初めまして”かな。ファムこと、霧島美穂さん』

美穂「え、あ・・・ よろしく。でも占いって・・・」
 霧島は、占いで諸々の事が分かっていたという事実に対し困惑している。

手塚(通信ハロ)『俺の占いは当たる』
城戸「出たっ、名文句」

美穂「・・・・・・」
 仲の良さそうな二人に、霧島はなんだか疎外感を受けた。

手塚『俺の占いの結果では、蟹と忍者は、竜、白鳥、猛牛がいれば
乗り切れると出ていたからな。・・・俺の方も、先刻本部長を狙う怪人を
なんとか倒してきたところだ』

佐久間(通信ハロ)『その節は助かりマシタ』
手塚(通信ハロ)『ガード役としては当然だ』

城戸「え・・・ ってことは、北岡も佐久間・・・ さんが?」
佐久間(通信ハロ)『残念デスが・・・ 彼は我々の同盟には加入してくれま
せんデシタ』

手塚(通信ハロ)『ゾルダを戦場に向かわせてくれたのは神崎だ。サバイブ
カードを報酬としてな』

佐久間(通信ハロ)『彼みたいなタイプは、明確な報酬が無ければ我々に
協力はしてくれないでしょうねえ』

美穂「・・・え゛!? あいつもサバイブカード持ってるの!?」
 次に闘えば完全にブチのめせると思っていた霧島は、驚きつつ落胆する。

手塚(通信ハロ)『ついでに、俺も貰った』
 手塚もデッキから、サバイブカード【紫電】を見せた。

城戸「うわ、手塚も!? すっげー!」

手塚(通信ハロ)『ああ。これがなかったら先刻の戦いも負けていたかも
しれない。・・・少々癪ではあるが、そういう意味では、神崎には感謝しなく
てはいけないな。尤も、【佐久間本部長を守れ】という交換条件付きだが』

 自分の事のように、手塚のサバイブカードに喜んでいた城戸に、手塚は
その経緯を簡単に語る。

美穂「神崎が・・・?」

佐久間(通信ハロ)『彼も、大分丸くなられた様ですね。この世界の窮地に、
出来る限り協力するのだそうデス』

城戸「神崎が、かぁ・・・」
美穂「神崎が、ねぇ・・・」

トレーズ「それで本部長。彼らへの用件というのは?」
 黙して様子を見ていたトレーズが、佐久間に尋ねた。

佐久間(通信ハロ)「ああ、そうでした。用と言うのは・・・」

マリーメイア「城戸さんと霧島さんに、同盟に参加して欲しい・・・
 じゃないですか?」

  既に3段アイスの2段目を攻略しているマリーメイアが、先口した。

佐久間(通信ハロ)『ハイ。地球圏を始めとシテ、混迷している現状況の中、
他の戦士達の皆サンと同じ様に、我々の【友人】になって頂けると有難い』

城戸「・・・・・・・・・」

 本物のヒーロー、元祖の仮面ライダーとの協力。
 正直、そんな雲の上の人達に対して、自分がどこまでやれるか自身は
ないけれど・・・

 須藤をもう一度止めるのは、自分がやらなくちゃいけない。
 その為には、答えはもう出てる。

城戸「俺は、参加する」
 けど・・・

 城戸は、チラリと霧島を見た。

美穂「私もいいわよ?」
 しかし霧島は、城戸の予想とは違う答えを出す。

城戸「え・・・?」

美穂「だって、今度こそあの蟹倒さないと悔しいじゃない。
 それに、私だって今の世界の現状が分からないわけじゃないわよ。
 私は、北岡みたいな金の亡者とは違うの」

  フフン、と。腕を組む霧島。



  ◇    ◇



   (北岡の車、車内)

北岡「はぁっくしゅ!! ぶはっくしゅ!!!
 後部座席で、盛大にクシャミを放つ北岡。

由良「風邪ですか?」

北岡「いや、これは・・・ 美人が噂してるんだよ。モテて参っちゃうね」
由良「でも、クシャミ二つは悪口の噂って聞いてますよ」

北岡「・・・・・・ マジで? じゃ、アイツかな・・・」



  ◇    ◇



城戸「で、俺たちと手塚だけなのか?」
手塚(通信ハロ)『既に、蓮は加入している』

城戸「蓮も・・・!?」

佐久間(通信ハロ)『東條クンも、ほんの少し前に加入してくれました』

城戸「東條!?」
 城戸は仰天した。

美穂「残りは?」
手塚(通信ハロ)『ダメだな。皆断るか音信普通のどちらかだ』

佐久間(通信ハロ)『佐野クンだけは、資金提供のみ行ってくれるソウです』
城戸「うわ、あいつらし・・・」

手塚(通信ハロ)『浅倉も音信不通だが・・・ まあ、あいつは無理だろうな』

城戸「だよな〜〜・・・ 浅倉はダメだよなぁ」
 と、内輪ネタで盛り上がっていた所で

美穂「シンジ。・・・私、ほとんど蚊帳の外なんだけど」
 と、霧島が不満を洩らした。

城戸「あ・・・ 悪い」



  ◇    ◇


佐久間(通信ハロ)『なるほど・・・ ラムダギアに、シグマギア・・・
 そして、木村沙耶サンですか・・・
 わかりマシタ。555チームの方々には、私達の方から連絡してみマス』

城戸「よろしく、お願いします」

佐久間(通信ハロ)『お任せ下サイ』

城戸「それじゃあ・・・」
手塚(通信ハロ)『待った』
 お別れの言葉を言い終わる前に、手塚が割って入ってきた。

城戸「手塚・・・?」
手塚(通信ハロ)『俺の占いを聞いていけ』

美穂「・・・何かあるの?」
手塚(通信ハロ)『ああ、二人に言っておかねばならない重要な事が
一つだけある』

城戸「重要な、こと・・・?」
美穂「何なの・・・?」

手塚(通信ハロ)『それは・・・』

 3者の間に、緊張の空気が生まれる。

手塚(通信ハロ)『二人の恋愛運、結婚運における相性は完璧だ。
 そして次のデートのラッキーカラーは、白』

城戸&美穂「「なっ・・・!!!?」」

手塚(通信ハロ)『またな(プツンッ)』
 それだけ言うと、手塚は一方的に通信を切った。

城戸「・・・・・・・・/////
美穂「・・・・・・・・/////

 その後は、二人ともまともに目を合わせられず、互いにチラチラ見つつ
顔を赤らめていた。



  ◇    ◇



    (日本某所  ライダー同盟本部 本部長室)


佐久間「良かったんですか? あんな悪戯をシテ」
 回転椅子をくるりと回し、横目で手塚を見つめる佐久間。

手塚「悪戯? 失礼だな。俺は占いで嘘はつかない。
 ・・・占い師として、親友にアドバイスをしただけだ。
 ああでもしないと、城戸は恋愛において前進しない。そして親友の
アドバイスによって恋愛運が好転するのも、俺の占いの通りだ」

佐久間「ふふふ・・・ なるほど。
 ・・・では、あなたの恋愛運はどうなのデスカ?」
  微笑みながら、佐久間はそんな問いを手塚にぶつけてみる。

手塚「・・・ノーコメント」
 と言うと、手塚は、本部長室から出て行った。



  ◇    ◇



がんがんじい「まあ、ちゅうワケや。ともかく続々お仲間さんが入って
くれてワイも嬉しい限り。よろしくやで新人さん!!」

 通信ハロを片付け、城戸と霧島にそれぞれ元気よく握手するがんがんじい。

城戸「はぁ・・・」
美穂「・・・・・・」

 それぞれ、微妙に困惑した顔をする二人。

がんがんじい「ま、心配あらへん。洋はん達がおれば大丈夫やって!
 ラムネかクマか銀杏か知らんけど、そんなもん仮面ライダーにかかったら
噛み砕いて終いや!!」

美穂「銀杏・・・」
 派手な間違え方に、霧島は閉口する。

がんがんじい「その内、あんさんらも洋はん達と一緒に戦う時が来ると
思うわ。そん時はよろしゅう頼んまっせ〜!! ほな!!!」」

 がんがんじいは、高いテンションのままスクーターに乗り込み、
そのままガンガン歌いながら、時速30キロでその場をあとにした。


城戸「・・・ええっと。 その・・・ ラーメンでも、食いに行く?」
美穂「え? あ、あ〜・・・ そうね。
 ・・・それにしても、こんなに密度の濃い日は初めてね・・・
 ホント、今日限りで勘弁して欲しいわ」

トレーズ「いや・・・ 残念だが、これから君達の戦いは激しさを増していく
だろう。 それが、闘いを選んだ戦士達に付いて回る宿命というものだよ」

城戸「(この人が言うと、重みがあるなあ・・・)」

美穂「今日はありがとうございました。トレーズ・・・ さん」
トレーズ「いやいや、礼には及ばないよ」

マリーメイア「父上、そろそろ行きましょう」
 と、父に左腕の腕時計の進んだ針を見せるマリーメイア。
 アイスは、すっかりコーンの部分まで食べ終わっていた。

トレーズ「ふむ、確かにもう時間か・・・」
 高貴そうな金の手持ち時計を開き時間を確認すると

トレーズ「では、また会うことを楽しみにしているよ」
 そうして、クシュリナーダ親子は城戸達と別れ、遊園地を後にした。



  ◇    ◇



トレーズ「(ストライダー飛燕、冥王のDショッカーとの同盟・・・
 そして悪魔の発明、シグマギアとラムダギアか・・・
 なるほど。思ったよりも厄介な事になりそうだ)」

  ライダー同盟だけでは、冥王とDショッカーはさすがに難航であろう。
 そうなると、重要なのは・・・ 我々だ。

トレーズ「(飛竜君には、思ったよりも早い内に動いてもらった方がいい
かもしれないな・・・)」

 マリーメイアの手を引きながら、トレーズは表情に出さぬ思考の底で、
不敵に微笑んでいた。

704 名前:新章/ファム発覚編:2006/07/07(金) 01:46:07

○がんがんじい→お使い任務が終わると、城戸達を能天気に激励。
○城戸真司→霧島と共にライダー同盟に参入。ラムダギアの事を報告。
疲れ体で霧島とラーメン屋へ。
○佐久間ケン→今回の有事に合わせライダー同盟を設立。様々な他ライダー
を既に勧誘していた。
○手塚海之→佐久間本部長のガード役&専属占い師に。神崎にサバイブ
カード【紫電】を貰っていた。パワーアップした占いで今回の事を予見。
城戸と霧島を恋愛運でからかったように見えたが、本人は実に真面目。
○トレーズ・クシュリナーダ→危険がなくなると共にひょこっと現れた。
 マリーメイアと共に帰る際、これから先を黙考し、微笑む。

【今回の新規東條】
○手塚海之/仮面ライダーライア・サバイブ(仮面ライダー龍騎)
24歳、占い師。占いの的中率はほぼ100%で、もはや予知能力に近い。
かつて親友を救えなかった悔恨から、ライダーバトルを止める為に奔走した。
芝浦死亡の次の占いで城戸の死を占うも、「運命は変えられる」と言い残し、
真司を王蛇から庇い死亡。しかしリセットにより、他ライダーと同じく生き返る。

○佐久間ケン(仮面ライダーV3/仮面ライダーSPIRITS)
かつて人間の身でV3と共に闘った元デストロンハンター。
現在はICPOに在籍しているらしいが、本部長と呼ばれる以外は謎。
ライダー同盟を立ち上げ、全ライダーをサポート。

705 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/14(金) 17:11:47


   ザ・サードムーン:ロシア基地  研究棟 廊下



飛燕「(やれやれ・・・)」
 心の中で愚痴をこぼしながら、自分が所属する組織が誇る基地の一つ、
研究施設や装備に秀でたロシア基地の廊下を、飛燕は歩いていた。

 飛燕が不機嫌なのは無理もない。
 彼からしてみれば本当に子供のお使いのような、愚鈍な怪人の首の回収
を終わらせて帰って来たと思ったら、その次には【再改造の為の科学者を
選び、担当させよ】という、更に雑用中の雑用。

 飛燕は、自分が特A級ストライダーである事を鼻に掛けるような性格では
ないが、それでもこの続け様の雑用任務は・・・

飛燕「まったく・・・ いったい何だって言うんだ・・・」
 括った髪を触りながら、珍しく飛燕が不満を口にしたところで

??「それは、Dショッカーが冥王様の心中を探りたいが為。
 そして冥王様は我々とDショッカーを同時にお試しになっているのだ」

  横から凛とした、それでいて威風のある声が聞こえる。

飛燕「・・・東風(トンプー)か」
 飛燕は、振り向かぬままそう語りかけた。

 壁にもたれかかり、腕を組んでいる一人の少女。
 黄緑色の、素早い動きに特化した作りであるノンスリーブの中華風格闘服
と、白色のズボン。そして民族色の出る特徴的な、爪先が斜めに尖った靴。
 髪型は、二つのシニヨン(お団子)で邪魔にならないよう纏められており、
そこは中国の有名な格闘家、春麗にも似た特徴である。

 服装や髪型など、全体から出身国が丸分かりである彼女は、ストライダー
ともかつて同盟を組んでいた、中原屈指の殺し屋【風(フー)三姉妹】の次女
東風(トンプー)である。


東風「それにしても、お前はそうとう下らん任務を言い渡されたようだな、
温和なお前がよくもまあそんなに不機嫌になるものだ」

 見た目は年頃の少女だというのに、口調はまるで男である。

飛燕「そういうそっちはどうなんだ?」
東風「私達はこのロシア基地の警護役だ。おかげで西風(シャープー)が
暇だ暇だと騒いで五月蝿い。・・・そうだ。お前が遊んでやればちょうど
いい。 ・・・どうせ次の任務は言い遣っていないのだろう?」

 まるで相手を見透かしたような東風の発言。

飛燕「・・・・・・考えておく。
 ところで、科学者達はどこにいるか知らないか?」

東風「それなら、向こうの実験棟にほぼ全員集まっているぞ」
飛燕「そうか・・・ すまないな」
 飛燕は礼もそこそこに、実験棟へと早足で進んだ。


東風「・・・・・・(sorry、か・・・ 飛燕の奴、やはりジャパニーズか?)」
 飛燕の何気ない台詞に、つい出身国を邪推してみる東風だったが、

東風「・・・・・・・・・下らん」
 と、自分からその邪推自身を却下した。

 殺し屋に過去や出身など、不要な代物。
 それが、個を捨て任に徹するストライダーであれば尚更の事。
 口減らしに売られた子であろうが、ポートチルドレンであろうが、そんな
事はどうでもいいことだ。



  ◇    ◇



    実験棟  廊下


飛燕「・・・・・・?」
 実験室の前まで歩いてきた所で、その入り口の扉にある人物を見つけた。

ドクターHY「あら、飛燕クン」
 カルテボードを片手に持った、ショートカットの白衣女性。

 特徴は、青色がかった髪色と、その髪によって常に片目が隠れるという
ミステリアスさである。
 彼女は、若いでありながら、ザ・サードムーンの中でも最高の科学者と
自他共に認める、その名もドクターHY(ハイ)。

 かなりの美人ではあるが、同時にこの女を越える【悪の科学者】らしい
性格の女もまた存在しないだろう。

 ・・・そしてもう一つ。彼女の左肩に乗っている・・・

シュヴァルツ「ウヒャヒャヒャヒャ!! ワーッヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
ヒャヒャ・・・・・・ うっ、ゲホッゲホッ!」
 シュールな様相の、小さな金属製の・・・ 喋る機械人形。

ドクターHY「シュヴァルツ。勝手に笑い出すのはやめなさい」
シュヴァルツ「は〜〜い。つんまっつぇ〜〜ん」
肩に乗っていること自体は、HYにとって何の問題もないらしい。

 このヌイグルミ大のHYの助手は名をシュヴァルツといい、HY本人に
よれば、軌道衛星上の有人探査に参加した際、たまたま見つけた機会の首
が、拾ってみれば元ジャマールの科学者、シュヴァルツだったとのこと。

 そしてHYが気まぐれで作った新しい肉体・・・ いや、機体と言うべきか
それによる現在のシュヴァルツのサイズは、元の1/5のヌイグルミ大で、
今はHYの研究のパートナーとなっている・・・ と、聞いている。


ドクターHY「それで、何の用かしら?」
飛燕「Dショッカーによる要請で、ガザミスナイパーの再改造を科学者の
誰か一人に担当させろと言われて来ました。 ドクターHY、あなたでは」

ドクターHY「そう・・・ でも、興味ないわね。
 あんな無粋なタイプの改造は私の趣味じゃないわ」

シュヴァルツ「我輩も、ま〜〜〜ったく興味がな〜〜〜い!!!
 機械と生臭い肉の組み合わせなど、機械への冒涜であ〜〜〜る!!!」

飛燕「・・・・・・・・」
 こうまであっさりとNOを言われると、逆に清々しい。

ドクターHY「というわけで、他を当たりなさい。私は今、これまでの自分
の研究史の中でも、最大最高の研究が最終段階を迎えて忙しいのよ」

飛燕「・・・いったい、何を・・・?」
 この人の研究と言うからには、ロクでもないものには違いないだろうが

ドクターHY「そうね・・・ せっかくだから見学していくといいわ」
飛燕「いや、俺はまだ何も・・・」
 飛燕のツッコミは、既に遅かった。

シュヴァルツ「では、開けゴマぁ〜〜〜〜!!」

   (ガ───ッ)

 シュヴァルツが手を翳すことで、実験室への自動ドアが上下に開き、
その中へと、ドクターHYとシュヴァルツ

飛燕「・・・・・・」
 そして飛燕が、しぶしぶ続いて中に入っていった。


706 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/14(金) 18:39:50

●ストライダー飛燕→ガザミスナイパー担当科学者を探せとの命令を受け、
紆余曲折を経てドクターHYの最大の研究を見学する事に
●東風→他の二姉妹と共にロシア基地の警護中。
●ドクターHY→飛燕を見学に誘う
●シュヴァルツ→ドクターHYに拾われていたことが判明

【今回の新規登場】
●東風=トンプー(ストライダー飛竜シリーズ)
中国最強の殺し屋【風(フー)三姉妹】の次女。次女だが三姉妹のリーダー。
体術は人間のそれを凌駕しており、しなやかな動きから繰り出す蹴りは
空中にサイファーと同じプラズマ旋風を巻き起こす。
●ドクターHY(?????????)
世界制服ロボの発明など、学生時代からマッドサイエンティストとしての
天才振りを発揮していた。高校卒業後、一流科学名門大学を超短期でパスし
現在は最高の頭脳を持つ科学者としてザ・サードムーンに在籍しているが、
その真意は不明。そして過去もほとんど不明。
●シュヴァルツ(重鋼ビーファイター)
元ジャマールの戦闘ロボット軍団隊長。ジャマールのコンピューターに
取り付いたウイルスが増殖し誕生した電子生命体。最期は首だけになって
あらゆる物に取り付きビーファイターと闘ったが、宇宙に飛ばされ、
【機械は死なない、死ねないんだ──!!】と叫びながら宇宙空間を
グルグル回っていた。
その後ドクターHYに拾われ、パートナーとしてマスコットのような
姿で定着している。頭脳はまだどこかおかしい。


707 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/14(金) 19:04:24


    ロシア基地 最重要実験室への通路

飛燕「それで、見せたい実験と言うのは?」
ドクターHY「飛燕クンも聞いてるでしょう? 世界を掌握する二つの
ギアの生産計画」

飛燕「ええ」
ドクターHY「その内の一つ、ラムダギアは私の担当よ」
飛燕「そうなんですか」

ドクターHY「・・・驚かないわね」
飛燕「あなたなら意外じゃない」
 そう、この人なら何を作っていようと今更驚きはしない。

ドクターHY「そう。褒め言葉として受け取っておくわ」

飛燕「それで、その研究の成果というのは?」
ドクターHY「これよ」

 ドクターHYは、白衣のポケットから、一つの携帯電話を取り出した。
 薄く、軽く、シンプル且つ近代的なデザインが成された黒を基調とする
それは、どことなく“悪魔”をイメージさせる。

飛燕「・・・? 携帯電話? それが・・・」

シュヴァルツ「それが素人のアッサハッカサ〜〜〜!!
 甘すぎるぞ若者よ! 甘すぎて虫歯になってしまうのであ〜〜〜る!!」

  ゲラゲラと、HYの肩の上で笑うシュヴァルツ。

ドクターHY「この携帯電話こそが、ラムダギアなのよ」
飛燕「・・・本当ですか!?」
 さしもの飛燕も驚かされた。

ドクターHY「少なくとも私の科学技術において、【質量】なんてものは
何の意味も無いわ。兵器に重要なのは形態性と便利性。そして普段日常的に
存在するものとしていかにカモフラージュできるか。
 そういう面で一番優れているのは、この携帯電話のみの形なのよ」

シュヴァルツ「従来のギアシステムは、不便せいがあまりにも目立っタ!
 一々重い金属性のベルトを腰に巻きつけ、更に番号を入力し装着という
ナ〜ン段階にも渡る上に秒数もかかりすぎるデメリットありまくりの助!」

ドクターHY「実際、今回の装着者として選ばれた木村沙耶という人物は、
敵側の不意打ちの際、変身の途中で殺されているわ。
 けれど、私の作ったこの子にはそのデメリットは無い。そして私が作る
からには、最強にして最凶よ」

 そこで、ドクターHYはニヤリと悪辣に微笑んだ。

ドクターHY「・・・ふふふ、これまでの人生の中で、これほど私のアドレナ
リンを刺激する研究はなかったわ。もうすぐその結果が得られると思うと、
脳内マスイの過剰分泌で死んでしまうかもしれないわね」

 ゾクゾクと肩を震わせ、それを両手で抱きとめるドクターHY。

シュヴァルツ「我輩も興奮しちゃってネジ飛んじゃいそ〜〜〜!!!」

飛燕「・・・・・・」
 二人の紙一重な天才(いや、一人は完全な向こう側だろうと思うが)の
特殊な感覚と世界に、飛燕は付いていけない。


708 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/14(金) 19:08:37

●ドクターHY→ラムダギアについて説明、研究者としての恍惚に身を
奮わせる。
●シュヴァルツ→HYとは気が合うらしい
●ストライダー飛燕→二人のテンポに巻き込まれ気味

709 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/14(金) 21:10:15


    ロシア基地  最重要実験室


ドクターHY「ここよ」

    (ピピッ)

 白衣の左ポケットから研究員の証明カードを取り出し、扉の横にある
カードリーダーにスライドさせる事で

         (ガ───ッ)

 万全なセキュリティに守られた堅固な扉は、電子音と共に上下に開いた。


飛燕「ここが・・・」
 その広い空間の中には、全世界の技術を結集しても集まり切らないで
あろう様々な研究機器が置かれていた。

飛燕「これはすご・・・・・・ ・・・っ!!?」
 しかし、その中で飛燕を驚かせたものは、別のものにあった。

 実験室の中央にある、実験対象を乗せる為の台。
 その上に、四肢を機械で固定された状態で仰向けに横たわっている
一人の女性に・・・

飛燕「まさか・・・!!?」
 死んだ肉親に再会したような驚き様で、慌てその女性に近寄る飛燕。
 女性の目は閉じており、指先一つピクリとも動かない。

 まさか・・・ いや、あの人に似ているが、あの人の髪は銀色に近い白
だった。しかし、目の前の女性は日本人特有の艶ある黒髪・・・。

ドクターHY「彼女が、私の分析で選ばれた装着者。木村沙耶よ」
 そこにドクターHYが、眠り姫の名を飛燕に教えた。

飛燕「・・・死んでいるの・・・ ですか?」
ドクターHY「昨日まではね」

飛燕「昨日・・・?」

ドクターHY「そう、昨日まで彼女は死人だった。
 ・・・分析結果には当時の私も驚いたわ。何せ、とっくの昔に灰になっている
人間だものね。とある人物が所有していた遺灰から、遺伝子情報を読み
取って肉体を復活させたまではいいけど・・・
 幾ら私の科学力でも、死人の魂のサルベージまではまだ不可能よ」

  表情には出さないものの、言葉の端々からは【不可能】という言葉を
自分の口から出す事への苛立ちが感じられる。
 【まだ】という所からも、ドクターHYの【不可】とされる事象に対する
挑戦心が、飛燕にも感じられた。

シュヴァルツ「いわゆる“ゴースト”ォ? 機械生命である我輩には、
むぅあったく理解しガタ〜〜イ!!!」
 シュヴァルツは、頭から蒸気を噴出しながらそう言った。

ドクターHY「ただし、それに届く人が、私達の組織には一人だけ・・・」
 そんなシュヴァルツを無視し、ドクターHYは話を進めた。

飛燕「・・・冥王、グランドマスター様」

シュヴァルツ「ピッタンコカンカン〜〜〜!!! 大正解〜〜!!」
 パチパチとおちゃらけた拍手をし、クラッカーを鳴らすシュヴァルツ。

ドクターHY「そう、冥王サマの力によって、木村沙耶は再びこの世界に
生を受けたのよ」

飛燕「じゃあ、今は・・・」

ドクターHY「ただの睡眠状態。それもおこなっていたのは数時間前まで、
そして今のは、私達が扉を開けた瞬間に行った・・・狸寝入りといった所
かしら。私達の会話を聞いて、少しでも状況をより把握するために。

 温和で少しヌケた人間だって聞いてたけど、その機転は大したものだわ。
 けれど騙そうとする相手が悪かったわね。私に寝たフリは通用しない・・・
さっさと起きなさい。木村沙耶

沙耶「・・・・・・(パチッ)」
 すると、まるで死んだように静かに目を閉じていた沙耶は、嘘のように
パチリと目を開けた。

飛燕「(へえ・・・)」
 彼女が生きているか死んでいるかも一瞬分からなかった飛燕は、
ドクターHYの慧眼に素直に感心する。

ドクターHY「おはよう・・・ と言うべきかしら? 沙耶」
 沙耶の顔を覗き込むようにして、まるで主人の様な言い方で沙耶の名を
呼ぶドクターHY。

沙耶「・・・おはよう。あなたは、どう呼んだらいいの?」
 対する沙耶はドクターHYに対し、敵意を向けるでもなくそう聞いた。

ドクターHY「・・・・・・」
 そんな沙耶の落ち着いた平常ぶりに、逆にHYが呆気にでも取られたか、
数秒沈黙するが

ドクターHY「ドクターでもHYでも、好きな様に呼べばいいわ」
沙耶「本名は?」

ドクターHY「・・・・・・・・・(チラリ)」
 ドクターHYは、横目で背後の飛燕を一瞬だけ見たあと

ドクターHY「教えない」
 と、短く拒絶した。

沙耶「じゃあ・・・ どうして私の寝たフリ、わかったの?
 昔から誰にも見破られた事が無いのが自慢だったのに」

飛燕「ああ、それは俺も気になってましたよ。
 ・・・よければ、教えて下さいますか?」

  ストライダーズは、戦闘のプロ。
 そうであるが故に、相手が寝ているか寝ていないか、死んでいるかそうで
ないかを見極める目には優れている。
 しかし、それでも飛燕は遠目ではあったものの、彼女が寝ていると信じ
込んでしまっていた。

 だからこそ、その見極めのコツに、ストライダーとして興味を持ったのだ。

ドクターHY「・・・色々あるわ。けれど一番の決め手は眼球運動よ。
 本当に寝ているなら、私の観測記録からすると今はレム睡眠の周期の筈。
 ・・・でも、あなたの眼球は三角運動をしていなかった。
 眼球の三角運動は、私ほどになると瞼の小さく振動するような動きだけで
わかるのよ」

 と、ドクターHYは得意そうに微笑むが

沙耶「・・・?」
飛燕「・・・?」

 二人とも、眉を八の字に寄せている。

ドクターHY「仕方ないわね。・・・シュヴァルツ」
 初めてシュヴァルツに自分から話しかけるHY。

シュヴァルツ「説明シヨウ! レム睡眠とは、末梢神経が休息する代わり
脳が激しく活動スル眠りであり、逆のノンレム睡眠と約90分のサイクルで
繰り返サレル!! ちなみにその“REM”とは“Rapid Eye Movement”
(急速眼球運動)の略。
 人間はそのレム睡眠の間、眼球を三角を描くようにグルグル回るので、
それにつられる瞼の振動するような動きから。レム睡眠かそうでないのかを
判別することも可能なのでア〜〜〜〜ル!!」

 と、まるで紐を引っ張ると喋る人形のようにペラペラとレム睡眠の薀蓄
を喋りきったシュヴァルツ。

ドクターHY「・・・と、いうことよ」
飛燕「なるほど・・・」
 と、飛燕はそれで充分に納得できたようだが

沙耶「・・・ごめん。難しすぎて分からない」
 沙耶の方は、より眉を深い八の字にするのみだった。

ドクターHY「・・・(この子、天然ね)」


710 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/14(金) 21:23:56

○木村沙耶→復活。反射的に寝たフリをしていたが見破られる。
●ドクターHY→沙耶の寝たフリを見破る。
●シュヴァルツ→レム睡眠について説明。なぜかクラッカーを持っていた。
●ストライダー飛燕→沙耶を誰かと間違えたようだ。

【今回の新規登場】
○木村沙耶(仮面ライダー555)
18歳。温厚だが芯の強い性格。元流星塾生でデルタギアの最初の適合者。
その戦闘力は他のデルタギア装着者を圧倒するものがあった。デルタギア
を乾に託そうとするも、スパイダーオルフェノクと化した澤田亜希に、ギア
ライダー共通の弱点であるベルト装着の隙を突かれ殺された。
死亡時に青い光を発していた事からオルフェノクに覚醒していた可能性も
ある。ラムダギアの装着者として選ばれ、冥王の力により完全に復活した。

711 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/15(土) 00:05:56



 その後も沙耶の幾つかの質問を、ドクターHYは的確且つ簡潔に
沙耶の現状把握を手伝った。

沙耶「ふうん・・・ Dショッカーに冥王かぁ・・・ なんだか、浦島太郎に
なった気分」
 と、現状を把握しての沙耶の第一声は、何とも暢気なものだった。

ドクターHY「抵抗しないのね、大概のモルモットはここで暴れるのに」
シュヴァルツ「【ヤメロー!Dショッカー!! ぶっ飛ばすゾ──!!】
 という台詞を期待していただけに、非常に残念極まりな〜〜い」

沙耶「さっきしたんだけど、ビクともしなかったから」

ドクターHY「利口な判断ね、そういう子は好きよ」
 ニコリと微笑む顔が、逆に怖い。

沙耶「悪の科学者に好かれても嬉しくないなぁ」
ドクターHY「でしょうね。さて・・・」

 ここでようやくドクターHYは、ラムダギア・・・ 黒色の携帯電話を
取り出した。

沙耶「・・・ それが・・・」
ドクターHY「そう、これがラムダギアよ。あなたが装着する最強のギア。
 かつてあなたが装着していたデルタギアなんかとは、まるで比べ物に
ならないわ。番号は、666。その数字の通り、この子は悪魔の赤子。
 装着者・・・ いわゆる母であるあなたと共に成長し、いずれは世界を
滅ぼすことも出来る最凶の悪魔となるのよ。 ・・・フフフフ」

シュヴァルツ「デァ────ッハッハッハッハ!!!!!!」

 含み笑う女科学者と、馬鹿笑いする機械科学者。

ドクターHY「・・・一つ、笑い話にもならない話を教えてあげる。
 Dショッカーは、死者であるあなたの名前を出した私の分析を信じず、
更には私の忠告までも無視して勝手に、命知らずの怪人達を使ってギア
の起動実験を行ったの」

シュヴァルツ「結局灰になっちゃったケドね〜〜〜っ!!
 HYの作ったものを試して灰になっちゃったワケだ!!!
 デァ───ッハハハハ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

  よっぽど自分でツボに来たのか、悪趣味にゲラゲラ笑うシュヴァルツ。

ドクターHY「・・・・・・・・・・・」
 自分の名でダジャられたHYは、少しだけ煩わしそうに眉を顰めたが、
それも一瞬。すぐにいつもの唯我独尊な顔に戻り

ドクターHY「そして今ここに存在する正式な装着者は、かつて灰になった
人間だっていうんだから、面白い皮肉ね」

沙耶「正式って言われても、私は悪の組織の下で戦う気なんてないわよ」
 と、沙耶はキッパリと言い放つ。

ドクターHY「あなたの意志は意味が無いわ。洗脳でも脳改造でも、いくら
でも手段はある」

シュヴァルツ「いっそ全身を機械にした方がイーかもしれんぞぅ?」
ドクターHY「・・・シュヴァルツ。今回はあなたの趣味は我慢なさい」

シュヴァルツ「ア〜〜〜イ・・・」
 空気が抜けて萎んだように項垂れるシュヴァルツ。


ドクターHY「さて・・・」
 ドクターHYは、何の予告も無く、ラムダギアを沙耶のヘソの下、丹田
の部分にそっと横向きに置いた。


     (ギャルッ────!!!)


 その途端、小さな携帯電話から蛇の様にベルトが出現し、ほぼ一瞬で沙耶
の腰に巻きついた。

沙耶「わっ・・・!?」
 思わず沙耶は、小さく驚きの声を上げる。

ドクターHY「本来は、ここから666をプッシュするだけ。もしくは予め
番号を押しておいて、こうして下腹部分に付けさえすれば0.3秒以下で変身
が可能よ。これで変身の隙を突かれる事も無いわ。よかったわね」

沙耶「・・・嫌な事を思い出させないで欲しいな」
 よりによって、自分が死んだ時の記憶をほじるなんて悪趣味に過ぎる。

ドクターHY「なら、私に感謝しなさい。私がいなければ、あなたはこう
して再びこの世界に復活する事も無かったのだから」

沙耶「ここから今すぐ出してくれたら素直にありがとうって言ってもいい」

ドクターHY「却下」
 そう言うとドクターHYは、慣れた手つきでカチカチと、まるでパソコン
のタイプのように、右手の指全部を使い、高速で何かを打ち込んだ。

沙耶「わ、わ? ちょっ・・・ く、くすぐった・・・」
 お腹の上での小さな振動に、つい顔を緩めながら文句を言おうとするが


ラムダギア『START UP TEST
沙耶「・・・・・!?」

 ラムダギアの、その起動音声と共に


   (バチバチバチバチ────ッ!!!!)


沙耶「あぐっ───────────!!!!!?」

飛燕「っ!?」

 途端、ラムダギアを中心として強烈な電光と火花が散り、沙耶は身体が
押し潰されるかのような苦痛と共に仰け反り、悲鳴を上げた。

 その様子に、それまで部屋の隅で様子を見ていた飛燕も驚く。

飛燕「なっ・・・!? 大丈夫なの・・・ ですか?」

ドクターHY「心配しなくていいわ。ただの起動実験よ。
 一瞬苦しいでしょうけど、すぐに終わるわ」


   (バチ、バチ、バチ・・・・・・・ シュウウ・・・)


 ドクターHYの言葉どおり、一分と経たずして電光は徐々に弱まり、
消えていった。


沙耶「・・・・・・・・・ ぜ──・・・ は──・・・ ぜ──・・・・・・」
 まるで徒競走を終えた後のように、沙耶は荒い呼吸を繰り返す。

ドクターHY「起動実験は成功ね。あなたがラムダギアに選ばれたという
事がようやく証明されたわ。・・・本当に変身されると困るからこういう方法
を試させてもらったけれど、気分はどう?」

沙耶「(ゼェ)し・・・ 死ぬかと、(ハァ)思った・・・」
 全ての力を吸い取られたかのように、沙耶の声には元気が無い。

ドクターHY「オーバーね。たかだかグラウンド7週分の疲労が一気に
来ただけよ。ちなみに、この疲労現象はこの一回だけだから安心しなさい」
 ドクターHYは、あっさりとそう答えた。

沙耶「(・・・出られたら、絶対仕返ししてやる・・・)」


712 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/15(土) 00:14:22

○木村沙耶→ラムダギアの起動実験をクリア。ドクターHYへの仕返しを
心に誓う。
●ドクターHY→唯我独尊なマッドぶりを発揮。

713 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/15(土) 02:11:00


    実験棟  休憩室


 木村沙耶による起動実験を終えたドクターHYは、飛燕と共に休憩室に
まで移動し、休憩に入っていた。

飛燕「・・・あの起動実験は、どういうものだったんですか?」
 と、飛燕は烏龍茶を飲みながら尋ねる。

ドクターHY「あの子・・・ ラムダギアは、意志を持っているの。
 そうね・・・ 生まれたばかりだから、今は何も知らない赤子ね」

  対するドクターHYが飲んでいるのは、グレープジュースだ。

飛燕「意思・・・? 兵器が、意志を・・・?」

 だから、“あの子”と言っていたのか・・・

ドクターHY「あの子は、自分の意志で木村沙耶を【検閲】したの。
 手を持たないあの子は、自身から発する電流を使って、表皮から内臓、
骨、DNAに至るまで【凝視】したというワケよ。
 つまり、木村沙耶という装着者が自分と相性が合うか、自分と一緒に
闘っていけるか、後は単純に・・・ 木村沙耶を気に入ったか否かをね」

飛燕「・・・・・・」
 飛燕は内心驚いていた。

 自分で意志を持ち、装着者を選定する兵器・・・ しかも、赤子の精神?
 よくもそんな物騒な、そしてどんな恐ろしい方向にも進みそうなものを
作ったものだ。

シュヴァルツ「我輩も意志を持った機械で兵器ダヨ〜〜ン?」
ドクターHY「そうね」
 と、ドクターHYは慣れた感じでシュヴァルツをあしらう。

飛燕「ただの検査のようなもので、あんな電撃を?」

ドクターHY「まだあの子は、【痛み】を知らない。だから手加減を知ら
ないのよ。あの子にとってはあの程度の電流は【手探り】に過ぎない。
 そして、鞘は選ばれた・・・ やはり私の分析に間違いは無かったわ。
 可愛いあの子は、木村沙耶と共に戦うことで、より最強の最凶へと育っ
ていく・・・ フフ、フフフフ・・・・・・」

 ドクターHYは、笑いが止まらない。

飛燕「・・・・・・・・・」
 善悪の死相など元からどこぞに置き去っているのか、今のドクターHYの
全ての興味は、自らが創造したラムダギアのみに向いている様だった。

 ・・・味方である内は頼もしいが、この人が敵であったとしたらと思うと、
ゾッとする。

飛燕「・・・彼女より前に試した怪人というのは、何故灰に?
 正直、いくらなんでもDの怪人達があの程度の電撃でやられるとは・・・」

  と、飛燕は先程から思っていた疑問を口にした。

ドクターHY「もちろん、“あの程度”の電撃ではそうね」
飛燕「じゃあ・・・?」

ドクターHY「灰になった怪人達が浴びたのは、アレの何万倍もの電流よ」
飛燕「何故?」

ドクターHY「さっきの電流はあくまで凝視。でも、それは装着者があの子
に認められなかったら、あの子は装着者を【邪魔】と判断し、【排除】に
かかるの」

飛燕「排除・・・?」

ドクターHY「排除といっても、あの子にとっては赤子が邪魔なものを手で
払い除ける行為と変わらないわ。・・・ただ、加減が利かないだけ。
 今、赤子であるあの子の【払い除け】程度がDの怪人を灰にしてしまう
のだから、闘いを経て成長したあの子の力がどれほどまでになるか・・・
 楽しみだわ、とてもね」

シュヴァルツ「すぅんばらスィ────!!!!
 正に究極の科学の結晶!! 機械生命の新たなる可能性!!
 我輩は今、猛〜〜〜烈に感動しているっ!!!!」

飛燕「・・・(恐ろしい人だ)」
 そう、飛燕は感じざるを得なかった。



  ◇    ◇



飛燕「では、俺は仕事に戻ります」
 飛燕は空の烏龍茶缶をゴミ箱に入れ、立ち去ろうとする。

ドクターHY「まあ、待ちなさい」
 そこでHYは、飛燕を呼び止めた。

飛燕「・・・・・・?」

ドクターHY「確か、ガザミスナイパーの再改造を引き受けてくれる科学者
探しだったかしら?」

飛燕「そうですが・・・ 心当たりでも?」
ドクターHY「そうね・・・ 無いでもないわ」
 そう言うと、ドクターHYはラムダギアを開き、通常の携帯と同じ様に
番号をプッシュし、通話ボタンを押す。

ドクターHY「シュヴァルツ。あなたが話し出すと話が拗れるから、
少し我慢していなさい」

シュヴァルツ「ヒャッヒャッヒャー。シッケーな。我輩はレディーの電話に
割り込むほど無粋ではなぁ〜〜〜い!!」

ドクターHY「そう・・・ なら安心ね」


   (プルルルルル・・・・

       プルルルルル・・・・・・)

      (ガチャ)

香川(電話)『はい、香川です』
 と、低音の男の声。
 そう、清明院大学の教授、香川英行である。

ドクターHY「香川教授、お久しぶりね。【世界科学者友の会】の
パーティー以来かしら?」

香川(電話)『・・・その尊大な口の利き方は変わりませんね』
ドクターHY「それで、そちらの調子はどう?」

香川(電話)『局所襲撃による実験素体誘拐の件ですか・・・ あれなら、残念
ながら元教え子に邪魔されましてね。失敗です』

ドクターHY「私も報告書を読ませてもらったわ。タイガサバイブこと、
東條悟だったしら」

香川(電話)『ええ、まさか彼が自主的に英雄として戦うようになり、更に
私が担当する計画を邪魔しようとするとは思っていませんでした』

ドクターHY「その割には、嬉しそうな声ね」
 HYは、香川の口調のほんの端に、どこか嬉々としたものを感じた。

香川(電話)『・・・ご冗談を。
  それで、私に何か御用ですか? ドクターHY』

ドクターHY「それは・・・」



  ◇    ◇



香川(電話)『なるほど・・・ 元シザースの再改造を、ね・・・』
ドクターHY「元、同じミラーワールドライダー繋がりでしょう?
 教授なら適任だと思ったのだけど」

香川(電話)『正確には、彼らは神崎士郎の造ったシステムによるライダーで
私はオルタナティブですがね・・・ そういえば、報告書によれば彼を倒した
のは、ファムのサバイブだとか?』

飛燕「そうです」
 HYが携帯を飛燕の目の前に押し付け、飛燕が答える。

香川(電話)『・・・・・・・・・・・・』
 香川は、電話の向こうで黙考しているようだ。

 そして

香川(電話)『・・・いいでしょう。私が担当しますよ。
 しかし私はここを離れられないので、こちらの基地まで郵送して下さい』

飛燕「わかりました」
香川(電話)『では、私はここで(プツンッ──)』

   (ツー・・・ ツー・・・ ツー・・・)

ドクターHY「これでOKかしら?」
飛燕「あ・・・ どうも、ありがとうございました」
 予想もしていない人物からの、予想していない親切に、飛燕は戸惑い
ながらも礼を述べた。

ドクターHY「香川教授は神崎士郎にライバル心を持っているから、
受けてくれると思ったわ」

飛燕「なるほど・・・」
ドクターHY「それより、あなたもいつまでもここでのんびりしていられ
ないでしょう?」

飛燕「あ、はい、それでは・・・」
ドクターHY「あ・・・ ちょっと」

 去ろうとした所で、また引き止められる。

飛燕「え・・・ まだ何か?」
ドクターHY「あなた・・・ 沙耶を見た時、一瞬驚いてたわね」

飛燕「・・・・・・・・」
 その瞬間、飛燕は表情を無くした。

ドクターHY「別に詳しく聞く気は無いわ。ちょっと気になっただけ」
飛燕「・・・・・・」

ドクターHY「・・・好きだった人?」
 真面目な顔で、互い後ろを向いたまま尋ねるHYに

飛燕「・・・・・・ かも、しれません」
 背中を向け表情を見せぬまま、飛燕はその言葉を最後に、音も無く・・・
消えた。



ドクターHY「・・・・・・」
 一人になった事を確認すると、ドクターHYは再び携帯を開き、とある
番号をプッシュする。

   (プルルルルル・・・・・・

         プルルルルル・・・・・)



  ◇    ◇



    OZ管理ビル  22階


トレーズ「ふむ・・・ ふむ・・・ なるほど。ロシア基地か・・・
 座標は? ふむ・・・ ありがとう。君のお陰で助かった。
 では、引き続き・・・ わかった。それは任せておいてくれたまえ(プッ)」

  そしてトレーズは携帯の通話を切り、続けて通信ハロを取り出すと

       (パカッ)

 とある人物への通信を入れた。

飛竜(通信ハロ)『・・・なんだ?』
 画面に出て来たのは、トレーズと契約したストライダー、飛竜だ。

トレーズ「飛竜君。さっそくで悪いが・・・ 冥王の基地の一つ、ロシア基地
の座標が分かった。準備が出来次第向かってくれ。任務は、ロシア基地の
殲滅と・・・ ラムダギアの奪取、そして木村沙耶の救出

飛竜(通信ハロ)『了解。今から向かう』

トレーズ「今から? ・・・そうか」
 さしものトレーズも、さすがに【今から】という言葉には少々驚いたが、
目の前の人物の事、そして先日の言動を考えれば、そう無茶な話でもない。

トレーズ「ラムダギアなどに関する資料は通信ハロに直接送る。
 尚、ロシア基地にはストライダー飛燕と風三姉妹がいるようだ。
 充分に注意してくれたまえ」

飛竜(通信ハロ)『・・・・・・(ピクッ)』
トレーズ「・・・・・・・」

 飛燕、という部分に差し掛かった時、一瞬だけ飛竜がそれに反応するの
を、トレーズは見逃さなかった。

トレーズ「もし増援が必要なら・・・」
飛竜(通信ハロ)『要らん。邪魔だ』
 飛竜は、本当に増援が邪魔であることを語気から明らかにさせる。

飛竜(通信ハロ)『他には?』
トレーズ「いや、以上だ。通信を切ってくれて構わない」

飛竜(通信ハロ)『・・・・・・了解(プツンッ──)』
 用件を聞くだけ聞くと、飛竜はあっさりと通信を切った。


トレーズ「さて・・・ 上手く行ってくれるといいが・・・」
 軽く伸びをし、たった一人の空間で、トレーズはそう呟いた。

714 名前:新章/沙耶復活篇:2006/07/15(土) 02:35:48

○ストライダー飛竜→新任務、ラムダギアの奪取と木村沙耶の救出を受ける
飛燕の名に一瞬反応。
○トレーズ・クシュリナーダ→誰かと裏で通じているらしい。
●ドクターHY→ラムダギアの説明の後、悪の科学者繫がりで香川教授
へ話しをつける。そしてまた誰かと通じているようだが・・・
●ストライダー飛燕→任務、一応完了。一応HYに礼を述べる。
沙耶に似た誰かには深い思い入れがある模様。
●香川英行→どこかのDショッカー関連基地にいるらしい。ガザミ
スナイパーの再改造を引き受ける。東條とどこかで何かあった模様。
●シュヴァルツ→うるさい

【今回の新規登場】
●香川英行/オルタナティブ・ゼロ(仮面ライダー龍騎)
清明院大学教授。一度見たものは忘れないという特殊記憶能力を持つ。
兼ねてより昔から神崎士郎にはライバル心が強かった。
【多くの命を助ける為に少数を犠牲にする】べきという信条の元、優衣の
命を狙うが、最後は東條によって倒され、ミラーワールドで消滅した。
リセットで復活。現在は悪の組織へ、その目的は不明。

715 名前:新章/太正桜に浪漫の嵐:2006/08/03(木) 17:09:46

鈴の音。
天狗の面。
金魚鉢。

…耳や目にうっすらとそれらが入ってくる中、俺は目を覚ました。
ふと気がつくと、俺は誰かに耳掻きをされている。だが、まだ頭がぼんやりしていて顔まではわからない。
「駄目ですよ、じっとなさって居て」
…この声は誰だ?
一度…いや何度か、俺はこの声を聞いている。
しかしどこで聞いたのだろう?全く思い出せぬ。
「そら、もう起きて下さいな。明日も早いのでしょう?」
…その声に、俺は何か答えた。だが、何と言ったのかまでは覚えていない。
「…そんなことおっしゃらないで。そら、一度起きて下さらないと…明日遅れますわよ」

…そうだ、起きなければ…

微睡みから覚めかけた俺は、壁にかけてあった古い掛け時計に目をやる。
天城「しまった…寝過ごした!」
俺は慌てて目を覚ますと、取るものも取らず部屋を後にした。

俺の名前は天城茎太郎。腐れ縁とも言える仲間の駒形に頼まれ、とある調査をしている。
あれは確か三日程前の事だった…
あいつが俺の前に一枚の写真を見せた所から、全ては始まったのだ。

天城「葛城…楓?」
駒形「知らんか」
天城「知らんな」
駒形「その女の本名が知りたい。行動を逐一調べて、報告して欲しい」
天城「…待て、今名前を言ったではないか。葛城…楓と」
駒形「その名前は本名ではない」
天城「では…偽名か?」
駒形「偽名ではない…芸名だ」


駒形に示された場所に足を運ぶと…銀座のど真ん中に煉瓦造りの洋風の建物が見えた。
天城「ここか…」
大帝国劇場。
帝都一、いや東洋一ともいえる歌劇団、帝国歌劇団の専属劇場。
辺りの者は皆、英吉利の仕立屋に作らせたような服や、天鵞絨のように艶やかな着物を着て歩いている。
そんな中にあって、如何にも書生という感じの俺は、何だか場違いな気がした。
天城「…何が女優だ。お高く止まりやがって」
つい愚痴をこぼすが、どうせ誰も聞いてはいない。
足取りも重いまま、俺は扉を開け、ロビーへと足を運んでいった。


716 名前:新章/太正桜に浪漫の嵐:2006/08/03(木) 17:10:53

大神「あっ…いらっしゃいませ!大帝国劇場へようこそ!!」
ロビーへ入るなり、モギリの男がにこやかに声をかける。
芝居小屋になど入った事のない俺にとって、彼の対応はいささか戸惑うものがあった。
天城「は、はぁ…こんにちは…」
どうして良いか分からず途方に暮れていると、売店から若い娘の声がした。
椿「あっ、大神さん…お客様ですか?」
大神「やあ、椿ちゃんか。ご苦労様」
椿「大神さんこそ、ご苦労様です♪」
椿と名乗る売店の売り子は、大神というモギリの青年に元気に声をかける。
椿「いらっしゃいませ!私、高村椿って言います!
  売店でブロマイドや各種商品を取り扱ってますから、是非買いにきて下さい!」
大神「ははは、椿ちゃんは相変わらず商売上手だな」
椿「えへへ…ところでお客様は、誰のファンなんですか?」
天城「お、俺ですか?」
しまった…俺はこの劇場に来るのも初めてなら、団員の名前も知らない…
唯一知っているのは、駒形にもらったブロマイドに書いてある名前だけだ…

天城「あの…自分は、楓さんを見に…」

その名前を出した瞬間、二人の目が丸くなった。

大神「ええっ!かえでさんのファンもいるんだ…珍しいな」
椿「でも、わかります…かえでさん綺麗ですもんね。副支配人なのに、すっごく若いですし…」
天城「えっ…副支配人?」

どういうことだ…駒形の話だとまるで女優のような言い方だったが…
そんな俺の困惑を知ってか知らずか、椿が意外な一言を放った。

椿「でもかえでさん、今新人さんのお迎えに行ってるんですよ…」
天城「留守…ですか…」
椿「はい。ごめんなさい…」
天城「いえ、たまたま来た時間が悪かっただけです。気になさらずに」
椿「でも…あ、そうだ!」

俺の問いに困っていた椿が、何かを思いついたように手を叩く。

椿「じゃあかえでさんが帰って来るまで、大神さんに帝劇を案内してもらいましょうよ」
天城「えっ…いいんですか?」

これは願ってもない好機だ。ある程度の情報収集が出来る。

椿「いいですよね、大神さん?」
大神「よし、引き受けた!お客様、えっと…すいません、お名前は?」
天城「…ああ…天城と言います。天井の天に城と書いて、天城」
大神「なるほど。それでは天城さん、俺についてきて下さい」
天城「はあ…」
やや不安な俺をよそに、大神は一人楽しげに歩いて行く。

717 名前:新章/太正桜に浪漫の嵐:2006/08/03(木) 17:11:48

大神「さてと…まずはどこからはじめようかな…」

大神が少し考えながら、廊下を歩いていく。
すると、食堂の方から何やら言い争う声が聞こえてきた。

カンナ「むぐ、はぐ…んんっ…ぷはぁ〜!!やっぱり鍛錬の後の食事はうめーぜ!」
すみれ「まったく…お食事くらい静かに食べられませんの?
    これだから単細胞のゴリラ娘は困りますわ…」
カンナ「なんだとぉ?うまいメシをたらふく食うのが悪いのかよ!」

天城「あ、あの…」
あっけにとられる俺をよそに、大神が励ます。
大神「ああ、心配しないでいいよ…カンナとすみれくんは、いつもあの調子なんだ…」
天城「はぁ…」

そんな俺たちの会話に気づいたのか、紫の着物の女性…すみれが俺たちに声をかけてきた。

すみれ「あら、中尉…そちらの方はどなたですの?」
天城「あ、天城と言います…楓さんに会いに来ました」
カンナ「おっ、かえでさんのファンたぁお目が高いねぇ♪」

長身の女性…カンナが相槌を打つ。
「は、はぁ…」などと曖昧な返事しか出来ない自分が、少しもどかしい。

すみれ「まあ、確かにかえでさんは美人ですけれども…
    帝劇のトップスタァであるこの私を忘れてしまっては困りますわよ?」

帝劇のトップスタァ、と言われても。
俺はこの劇場の事は何一つ知らないのだ。
知っているのは駒形に聞いた「桂木 楓」の名だけ。
しかもその女は女優ではなく、副支配人ではないか。
そんな事を考えているのを知ってか知らずか、すみれがいらついた様子で問いなおす。

すみれ「聞いているんですの!?天見さん!!」
天城「あ、ああ…すいません…自分は、あまり興味がなくて…」

言い放った後、俺はそんな事を口走った事を後悔した。
すみれがまるで火のような勢いで癇癪を起こしたのだ。

すみれ「ぬうわぁんでぅってぇ!こ、この帝劇のトップスタァである私を、
    興味がない…それはつまり、私だけではなく、帝劇全体、
    いえ日本の劇場どころか全世界の劇場を侮辱するということですわよ!!
    わかっていますの!?天見さん!!」
天城「は、はぁ…」

天城です、と答える間もなく、すみれが捲し立てる。

すみれ「第一、貴方はご存じないかもしれませんけれども、私は全世界の劇場からスカウトの声がかかり、
    舞台に立てば劇場はいつも満員、中でも『椿姫の夕』では各誌に賞賛の嵐を頂いたほどですのに…」

呆然としている俺を横目に、カンナが可笑しそうに言う。

カンナ「ま、おめぇもまだまだ半人前ってこったな。
    天城さん…だったかな?気にするこたぁねえぜ」
天城「は、はい…」

そんな事を話しているうちに、外で一台の車の音がした。

大神「あっ、あの音は…」
すみれ「かえでさんが帰って来たみたいですわね」
天城「えっ!?」
カンナ「おっ、早速興味津々みてぇだな。
    そうだ、せっかくだから天城さんも新人さんの出迎えに行ってみねぇか?」
天城「ええ…俺は別にかまいませんが…いいのでしょうか?」
大神「心配しないでください、俺が保証しますから」
天城「はぁ…」

ただのモギリが何の保証をするのかはわからないが、俺と大神、すみれ、
そしてカンナの四人は玄関へ戻っていった。

718 名前:新章/太正桜に浪漫の嵐:2006/08/03(木) 17:13:31

玄関にはいつの間にか、先ほど会った椿という女と、
赤い帽子がモダンな女、着物姿の事務と思われる女、
それに劇団員らしき女たちが集まっていた。

天城「(女ばかりだな…まあ、それも当然か)」

俺の独り言をよそに、車の扉が開き、中から洋装に身を包んだ女性が出てくる。
その後ろから出てきた女を見て、俺はまるで心臓が凍りつくかのような思いにかられた。

天城「(あの女だ…)」

椿「うわぁ…綺麗な人…」
由里「さすが銀幕のスタァよねぇ…惚れ惚れするわ」
かすみ「こら、二人とも…あの人が今日から帝劇に入る新人さんなんだから、
    ちゃんと見てないとダメよ」

そんな周りの声などほとんど耳に入っていないかのように、
俺は楓をじっと見続けた。

楓「桂木 楓です。よろしくお願い致します」

深々と頭を下げる楓。その姿は凛としており、一瞬の隙も見せない。
楓の姿に好感を持ったのか、他の女優達も声をかけ出す。

さくら「よろしくお願いします、楓さん!
    私、真宮寺さくらです!一緒に頑張りましょう!」
楓「さくらさん…ええ、良い作品を作りましょうね」
紅蘭「よろしゅう、うちは李 紅蘭って言います。
   紅蘭って気軽に呼んでくれると嬉しおます!」
楓「紅蘭…うふふ、何だか妹みたいだわ」
紅蘭「まあ、帝劇全体が家族みたいなもんやしな。
   楓はんは、ご家族とかはおるの?」
楓「それは…」

楓の表情が曇る。触れられたくない話題のようだ。
それを察したのか、紅蘭があわてて取り繕う。

紅蘭「あ、あの…話したくない内容やったら、無理せんでもええですよ?」
楓「ごめんなさい…えっと、貴女たちは…」
マリア「マリア・タチバナです…貴女の活動作品は、いくつか拝見させて頂きました。
    活動と舞台は色々と違うかもしれませんが、貴女の活躍を楽しみにしています」
織姫「チャオ、ソレッタ・織姫デース!!イタリアの劇場で活躍してまーした!
   まあ、銀幕女優だか何だか知りませんけどー、舞台は一味違うって感じでーす!」
楓「そうなんですか…楽しみですわ」
すみれ「オーッホッホッホ!私は帝劇のトップスタァ…神崎すみれですわ!」
楓「まあ、すみれさん…お母様はもしかして、神崎ヒナさんかしら?」
すみれ「ええ…しかし、私を母と一緒にしないで下さいませ。
    私は、あくまで私です。自分の実力でここまで来たということを、
    覚えておいてくださるかしら?」
楓「ええ、勿論です。気を悪くなさったら御免なさいね?」
レニ「レニ・ミルヒシュトラーセ…よろしく」
楓「レニさん…ええっと、どうお呼びすればいいのかしら?」
レニ「…何でもいい。呼称については、誰が聞いてもボクだと分かれば問題はない」

レニと呼ばれる団員の機械的な答えに、楓が少し戸惑う。

楓「は、はぁ…」
カンナ「あ、レニはいつもこうなんだ。気にしないでくれよ」
楓「そうなんですの…私、また変なことを言ったかと思って…」
カンナ「いいっていいって。あ、あたいは桐島カンナってんだ。
    そんでこっちがアイリス。…おいアイリス、新人さんだぞ?」
アイリス「うん…」

アイリスという少女は、カンナの後ろに隠れている。
どうやら、楓に怯えているようだが…流石に理由までは分からなかった。

楓「アイリスちゃん、よろしくね」
さくら「どうしたんでしょう?普段のアイリスなら『ヤッホー!アイリスでーす!』
    とか言うはずなのに」
大神「うーん…分からないなぁ。とにかく、これで全員だね」
カンナ「よっしゃぁ!そうと決まれば打ち上げだぁ!!」
全員「おーっ!!!」
大神「天城さんも、よろしければ一緒にどうですか?せっかく楓さんに会えたんだし」
天城「はい…宜しくお願いします!」

楓の素性を知るいい機会だ。俺は有無を言わず、歓迎会に参加することにした。

719 名前:新章/太正桜に浪漫の嵐:2006/08/03(木) 17:34:07

○帝国華撃団(大神一郎、真宮寺さくら、神崎すみれ、マリア・タチバナ、
アイリス、李紅蘭、桐島カンナ、ソレッタ・織姫、レニ・ミルヒシュトラーセ、
藤枝かえで、高村椿、榊原由里、藤井かすみ)、桂木楓、天城茎太郎→楓の歓迎会を開く。

【新規登場キャラ】
○大神一郎 登場作品:サクラ大戦シリーズ
海軍中野学校を主席で卒業後、帝国華撃団に入隊、花組隊長となる。
男性で珍しく光武の搭乗を可能としており、他の隊員達における触媒的存在となっている。
普段は劇場でモギリなどの雑用係であり、子守や料理の手伝い、照明の手伝いや廊下掃除、
果てはアイリスの服選びと様々な仕事をこなしている。

○真宮寺さくら 登場作品:サクラ大戦シリーズ
北辰一刀流の継承者にして、破邪の血を引く数少ない少女。
普段は帝国歌劇団の一員として、「愛ゆえに」のクレモンティーヌ役や
「西遊記」の猪八戒など多彩な役を演じている。
純粋でまっすぐな心の持ち主だが、やきもち焼きなのが玉にキズ。

○神崎すみれ 登場作品:サクラ大戦シリーズ
神崎重工の社長と銀幕女優の間に生まれた、生まれながらのスタァ。
だが、両親とは仲が悪く半ば家出同然である。
プライドの高さから他の隊員とよくケンカをするが、大変な努力家でもある。
長刀と社交ダンスの腕は超一流。

○マリア・タチバナ 登場作品:サクラ大戦シリーズ
幼少のころにロシア革命に参加し、将来を誓い合った隊長を失った後、
ニューヨークで殺し屋家業に身を投じるも、
初代帝国華撃団副指令・藤枝あやめの手により帝劇にやってくる。
自分にも他人にも厳しく、いつも冷静さを欠かさないが、
女性らしい恥じらいを見せる事も。愛銃は改造したエンフィールド。

○アイリス 登場作品:サクラ大戦シリーズ
フランス・シャンパーニュ地方の名家・シャトーブリアン家の一人娘。
花組一霊力が高いが、まだ幼いためにコントロールしきれていないのが難点。
帝劇最年少のため、周りに子ども扱いされる事が多いが、本人は一人前のレディだと思っている。
大神に好意を寄せており、「お兄ちゃん」と呼んでいる。

○李紅蘭 登場作品:サクラ大戦シリーズ
北京生まれの中国人。辛亥革命で家族を亡くし、神戸に預けられた後に帝劇へ。
関西で育ったためかノリがよく、よく周りにギャグを飛ばしている。
またメカニックに強く、様々な発明品を作っては爆発させているが、
とりわけ光武には強い愛着を持っている。

○桐島カンナ 登場作品:サクラ大戦シリーズ
マリア・アイリスとともに花組創設当時から籍を置く、琉球空手・桐島流の継承者。
大柄な体のとおり姉御肌であり、そのさっぱりした性格から子供たちに愛されている。
いかなる時もトレーニングを欠かさず、鍛練室で体を鍛えていることが多い。
すみれとは犬猿の仲だが、心の底ではお互いを認め合っている。

720 名前:新章/太正桜に浪漫の嵐:2006/08/03(木) 17:42:34

○ソレッタ・織姫 登場作品:サクラ大戦シリーズ
イタリアの貴族・ソレッタ家の母親と放浪の日本人画家を父に持つハーフ。
家を離れた父を憎んでおり、当初は日本の男性を毛嫌いしていたが、
後に父の真意を知り、和解している。
レニとともに欧州星組に所属しており、戦闘能力は抜群。日本語がかなり特徴的。

○レニ・ミルヒシュトラーセ 登場作品:サクラ大戦
ドイツで行われたヴァックストゥーム計画により生み出された戦闘のプロ。
当初は感情をあらわにせず他の隊員達を困惑させるが、次第に心を開いていく。
年の近いアイリスとは仲がよく、いつも一緒に行動する。
バレエの腕前は天才的で、見る者を魅了している。

○高村椿 登場作品:サクラ大戦シリーズ
大帝国劇場の売店を勤める売り子の少女。実家はおせんべい屋さん。
普段はブロマイドの販売などを行っているが、戦闘時には帝国華撃団・風組として
華組のサポートに回っている。

○藤枝かすみ 登場作品:サクラ大戦シリーズ
大帝国劇場の事務を取り仕切る女性。椿、由里とともに行動することが多い。
三人の中では一番の年上だからか、普段から落ち着いた雰囲気を漂わせている。
戦闘では轟雷号や翔鯨丸などで花組をサポート。

○榊原由里 登場作品:サクラ大戦シリーズ
来賓用玄関で受付を勤める女性。椿、かすみとともに行動することが多い。
無類の噂好きで、話題の中心にはいつも彼女がいると言っても過言ではない。
戦闘では風組に所属しており、花組の輸送や事前・事後処理を担当している。

721 名前:新章/太正桜に浪漫の嵐:2006/08/03(木) 17:50:07

○天城茎太郎 登場作品:短編キネマ百色眼鏡、LENS
小説家志望の売れない書生。知り合いの駒形刑事に頼まれ、
葛城楓の身元を洗う任務を引き受ける。
性格は物静かな印象だが、百色眼鏡のエピソード0的作品である
舞台作品「LENS」では冷やかしの得意な好青年という面もみられる。
説明が苦手で、途中を端折ってしまうために周りの人間を混乱させがちだが、
観察力は駒形も一目置くほどである。
なお、読み方は「あまぎ けいたろう」。

○駒形蓮司 登場作品:短編キネマ百色眼鏡、LENS
超常現象を担当する、警視庁捜査課第三係の刑事。
英国留学経験を持ち、超常現象についても博識が深いが、
ものすごい怖がりという致命的な弱点を持つ。
桂木楓と超常現象の接点は現時点では不明。

○葛城楓 登場作品:短編キネマ百色眼鏡
銀幕で人気を博している女優。生年や本名、全てが謎に包まれている。
性格は落ち着いておりどんなときも平静であるが、本人が自負するとおり
「まるで、お人形さんのよう」な冷静さである。

※サクラ大戦の世界観について
帝都・巴里・紐育を初めとする世界は全てTOKYO JUPITERのように閉鎖された空間であり、
外部とは時の流れが異なっている。(外部によって干渉を受けてきたことはないが、
現在の混沌とした世界ではいつ崩壊を起こしてもおかしくない。その場合、
花組は我々と同じ現代世界で戦うことになる。
また、サクラ大戦の世界についてはゲームでいう3と4の間であり、
故に大神の肩書きは「中尉」である。
紐育華撃団はまだ結成されていないが、ラチェットを初めとする紐育側の動き次第では、
帝都・巴里双方との共闘も考えられる。

722 名前:帝都・作者:2006/08/03(木) 19:02:19

すいません、これも追加です…

○藤枝かえで 登場作品:サクラ大戦シリーズ
初代帝国華撃団副指令・藤枝あやめの双子の妹。現在の帝国華撃団の副指令でもある。
姉を戦いで亡くしているため、自己犠牲の思想を極端に嫌っており、隊員の安全を優先的に考えている。
和装中心だった姉と違い、洋装でいることが多い。
普段は副支配人として帝劇を支えているが、まれに舞台に立つこともある。

723 名前:新章/タイガ新生篇:2006/09/28(木) 06:05:43


 東京  トアルデパート  屋上


デパートの屋上というのは、大概はヒーローショーや100円で乗る機械など
を置き、綿菓子などを売っていたりするというのが定番であり、このトアル
デパートもまた、その類に漏れなかった。

遊園地などとは違い、存在する人影のほとんどが親子連れ。そしてたまに
生活に疲れたリストラサラリーマンのような、無気力人間がベンチにもたれ
かかっている姿などもたまに見られる。

東條「・・・・・・・・」
 そして、そんな無気力にベンチにもたれかかる少数の中に、やけに平均
年齢を下げる、少年が一人。

 ミラーワールドライダーの一人。仮面ライダータイガこと東條悟である。

東條「・・・・・・・・・・」
 東條は、ぼんやりとただ周りの景色や、中途半端な晴れ模様の空などを
見ながら無気力に呆けているだけで、何もしようとしない。

東條「・・・・・・(チラリ)」
 そしてたまに、手に持っているものをじっと見つめる。その繰り返し。

東條「・・・(これから、どうしたらいいんだろう・・・)」
 孤独な殺戮者でもあり、同時に英雄として散った奇なる死を迎えた東條
も、他の戦士と同じ様に【リセット】により生き返った。

 しかし東條は、ミラーワールドの閉じた世界に蘇生したその後、全く自身
の方向を見出せないでいたのだ。

 どうすればいいのか、わからない。
 かつてその指針を教えてくれた香川教授。
 彼には、会える筈も無い。
 ・・・だって、生き返ったとはいえ・・・ 自分が殺したのだから。

 いや・・・ 自分が会うのが怖かったのだ。
 当然、他のライダーにも、東條は会う気は起こらなかった。

 東條悟は、独りだった・・・



  ◇    ◇


    (回想)


神崎「俺に何を尋ねたい?」
 それは、夢か幻だったのか
 何も存在しない闇の空間の中、登場は神崎と相対していた。

東條「・・・僕は、【生き返らせてくれ】なんて頼んでない」
 神崎を睨みつけ、東條がそう言うと

神崎「なら、自分で死を選べばいい」
東條「・・・・・・・・・!!」

 神崎のサラリとした返しの言葉に、東條は言葉を失う。

東條「勝手だ!! 僕にこんなものを渡しておいて!!」
 東條はタイガのデッキを見せながら、無責任と神崎を叱責する。

神崎「・・・ 俺は、常に【選択】を与えたに過ぎない。
 タイガデッキの所有者となることも、他のライダーと殺しあう事も、
 そして、その果ての死も・・・ お前が決めた結果だ」

東條「う・・・」
 東條は、もう何も言い返せなくなっていた。

神崎「多くの戦士達は、デッキの所有を捨てず、それぞれの理念に生き、
闘っている。そして、佐野満は自らの意思でインペラーデッキの所有権を
放棄した。いずれも、己が決めた結果だ」

東條「じゃあ・・・」
神崎「お前も放棄するか? タイガを」

東條「・・・・・・・・・・」
 その時、東條には喉から出かかった言葉が出なかった。
 東條には、タイガデッキを持ち続ける理由も無ければ、捨てる理由も
無かったのだから。

神崎「・・・・・・ どうやら、決断を聞くにはしばらく時間がかかるらしいな」

 踵を返し、神崎は闇の中を歩き去っていく。

東條「あ・・・ 待って・・・!!」
 それを東條は呼び止めるが、その明確な理由さえ
 見つけることが、出来ない・・・・

神崎「・・・・・・・・」
 その様子を神崎は、横目で見ながら

神崎「お前が決断したその時は、俺は再びお前の前に現れる。
 ・・・例え、それがどんな結論であろうとな」

  それだけ語ると、神崎は
 いや、その闇の世界は、消滅した───



  ◇    ◇



東條「(あれから、何日経ったかな・・・)」
 今も、結論は・・・ 出ない。

 そもそも、自分は今ここで何をやっているんだろう。
 飛び降り自殺でもするなら、もっと人のいないビルに行けばいいのに。


東條「・・・ああ、そうか」
 ふらふらと町を歩いていた時に、デパートの入り口にあったヒーロー
ショーの広告を見て、本当に何となく、気付いたら屋上にいたんだ・・・

 それで、今やっているショーといえば・・・

ライダー1号?「トオッ! ヤアッ! トオッ!(バキッ! ドカッ!)」
戦闘員?「イ────ッ!!!(ドカーン!!)」

 という、いかにもな【屋上ショー】だ。


東條「・・・・・・・・・・・ バカみたい」
 そう、東條が呟いたところで

?「あん? 何でぇ、バカみたいって」
 誰かが、喋りかけてきた。

東條「だって、あんなヒーローも悪者も、都合が良すぎるよ」
?「ま、屋上ショーだからなぁ。でも俺は好きだぜ?」
 誰かは、ずうずうしく話しかけてくる。

東條「バカみたいだよ。あんなヒーロー、実際にいるわけ無いのにさ」
?「・・・そりゃまた、どういうココロで?」

東條「誰かを犠牲にしなきゃ、人は英雄になれない。
 誰も彼も救えるなんて、そんな現実を無視した御伽話・・・ 僕は嫌いだ」

?「・・・・・ なぁるほどねえ」
 どこで買ってきたのか、男はラムネの瓶を取り出し、コクコクと音をさせ
て飲む。

 そして

?「お前も飲む?」
 お、もう一つ冷えたラムネを取り出し、東條に勧めた。

東條「・・・いらない」
?「あ〜ん? 俺様のラムネが飲めねえってかあ?」
 男は酔っ払いの一人コントをしながら、飲め飲めとラムネを押し付けて
くる。・・・ウザイ。

東條「・・・飲むけどさ。急に酔っ払いにならないでくれる?」
 不機嫌にラムネを受け取り、附属の球落としを乗せ、拳でポンッと叩き
ちびちびと飲み始める。

?「お、やっと出たな」
 男は、急に嬉しそうな顔で東條を見る。

東條「・・・何が?」
?「表情。イライラの表情が最初ってのはちょっとアレだけどな」

東條「・・・・・・・・」
 呆れた。
 そんなものを見ようと、さっきから話しかけてたのか・・・

東條「・・・オジサン。さっきから図々しいけど、誰?」
 東條のぶっきらぼうな質問返しに、ブッ! とラムネを噴く男。

?「ゲホゲホッ・・・!! お、オジサン!? おいおい、俺はまだなあ、
オニーサンで通用する年だ・・・ ぜ、・・・多分」
 最後のほうは、妙に自信がなさげだった。

東條「・・・・・・・・・(じい〜〜〜〜)」
 ジト目で、自称【オニーサン】を見つめる。
 【いいから名前言え】という目だ。

滝「ああ、俺はな・・・ 滝和也。今日は占い師のオススメどおり休養の日
なんだけどな、普段は正義の味方やってるんだよ。これでも」

 ニカッ と。

 本日の、雲に隠れた太陽よりもずっとにこやかで眩しい、歯を見せた笑顔
を滝は浮かべる。

東條「・・・なんだ。屋上ショーの人?」
滝「ああ、そりゃハズレ」

東條「ケーサツ?」
滝「おっ! いいねえ。今のはかなりいいとこ突いたぜボウズ!!
 ・・・っと、そういや、名前は?」

東條「・・・東條、悟だけど」
滝「へえー、いい名前じゃんか。 それじゃ、ヨロシクってコトで」
 そう言って、滝は片手を差し出した。

東條「・・・・・何? ラムネ代?」
滝「は・・・・・!? ・・・・か〜〜〜っ、今時のお子様はどういう育ち方
してんだ!? あのなあ、これは【ヨロシクの握手】しようって手だよ」

東條「よろしくの、握手・・・?」
滝「おう。初対面同士がダチになるための儀式っつーか何つーか・・・
 ま、とにかくだ」

     (ガシッ!!)

 滝は、半ば強引に東條の手を引っ張り出し、強引に握手をした。

滝「ここで会って話をしたのも何かの縁ってヤツだ。ヨロシクいこうぜ」
東條「・・・・・・・・」

 何なんだろう、この人は・・・?
 正直、すごくうざくて暑苦しいけど。その・・・ なんていうか。

 その時握られた手は、すごく力強くて

 なんだか、暖かかった・・・


724 名前:新章/タイガ新生篇:2006/09/28(木) 18:00:13

○東條悟→トアルデパートの屋上で呆けている所を、滝と遭遇。
○滝和也→何故か休暇にデパートの屋上にいる

【今回の新規登場】
○東條悟=仮面ライダータイガ(仮面ライダー龍騎)
25歳。清明院大学生にして香川研究室の一員。そして仮面ライダータイガ
のデッキ所持者。“英雄”になることを目指しライダーとなり、その為に
仲間の仲村や恩師香川などを次々と殺害。最後はトラックに撥ねられそうに
なった親子を咄嗟に助けようとして自らがトラックに撥ねられ命を落す。
リセット後、自身の存在意義を見失う。
○滝和也=滝ライダー(仮面ライダー/仮面ライダーSPIRITS)
本郷のライバルにあたるオートレーサー。自分の結婚式がショッカーに
襲われた事を機に戦いに参加。しかし彼の正体はショッカーを追っていた
FBIの秘密捜査官で、結婚式も偽装。改造人間ではないが戦闘員と互角に
渡り合う実力者で、生身でありながら唯一ライダーと呼ばれる男でもある。
少年仮面ライダー隊結成後はその隊長を務め、子供達の善き兄貴分となって
いた。ショッカー、ゲルショッカー壊滅後、FBIの窓際を経て、
【SPIRITS】部隊隊長となる。


725 名前:新章/タイガ新生篇:2006/09/28(木) 23:41:13

滝「だからな? ライダーってのは本当に理屈抜きでだな、人助けの為に
命懸けてる連中なんだよ。それで、ライダーパンチってのは・・・

 滝は、見知らぬ東條に対し、延々とライダーの話を熱く語り続けていた。

東條「あのさ・・・」
滝「ん?」

東條「そもそも、何で僕に話しかけたの?」
滝「あー、それな。 ・・・敢えて言うなら、気になったからかね」

東條「・・・・・・それだけ?」

滝「・・・前にな。今のお前と同じよーなヤツがいたんだよ。
 そいつもお前と同じぐらい無表情っつーか、ツンケンしてたっつーか、
それでいて【自分はどうすりゃいいんだ】って感じでクヨクヨ悩んで
やがってなあ・・・ まるで自分にゃ何もないみてーな、淋しい目だよ」

 遠い目をして、かつて共に戦った戦士を思い返す滝。

東條「・・・・・・悪かったね」
 歯に絹を着せない滝の言い様に、少しムッとした。

滝「で、ここでブラブラしてたら、ほとんど同じ目をしたヤツがいるだろ?
 なんか気になっちまってさあ、つい声をかけちまったっつーわけだ。
 ・・・んーで、何悩んでんだ?」

東條「・・・・・・・・」
 どこまでも図々しいのに、何故かそれがあまり嫌に感じない。
 なんだか、元々自分に兄がいたかと錯覚するような、奇妙な感覚。


東條「・・・・・・英雄にさ、なりたかったんだ」
 だから、だろうか。

 心の中で、まったくバカバカしいと思いながらも
 つい、自分の悩みを口にし、吐露してしまったのは。



  ◇    ◇



 そうして東條は、例え話という形で話し始めた。

 英雄を目指して、その為に一生懸命に闘ったこと
 その為に、恩師も含めた色々な人を傷つけたこと

 自分はその世界で夢を叶える事は出来ず、挫折して
 最後には、脱落してしまったことを


滝「は──・・・・・ なるほどな」
 そんな抽象的な話を、滝は真剣に聞いていた。

滝「それで、どうすりゃいいかわからなくなって、ボーッとしてた訳か」
東條「・・・・・・・・・・・・・」

滝「今はどうなんだよ? その、英雄どうこうっての。
 よくわかんねーけど、英雄ってのはヒーローの事だよな?
 ・・・で、まだなりてーとか思ってんのか?」

東條「わからない・・・」
滝「わからねーって、お前・・・」

東條「何がしたかったのか・・・ これからどうしたいのか・・・
 もう・・・わからないよ。もう・・・ 何も考えたくない・・・
 いっそ、ずっと目が覚めななったらいいのに・・・・・・」

  興奮するでもなく、泣くでもなく
 ただ、俯き無感情に、空っぽの自分を蔑んでいた。

滝「・・・・・・(こいつ、暗いもん中に溜め込むタイプだな・・・
 あ〜〜〜・・・ 自暴自棄で暴れてた村雨の方がまだマシだったんだなぁ、
やりにくいったらねえぜ)」

 これまで経験に無い、妙に重苦しい空気に滝は困り果て、後頭を掻く。

 そして

滝「ま・・・ でも、英雄になれなかったのはよかったんじゃねえか?」
 と、とんでもないことを口にした。

東條「・・・・・・なんだって?」
 東條は、その言葉に当然怒りを覚える。

滝「だってそうだろ? ヒーローになんてなっちまった日には大変だし、
最悪だ。 俺だったら、まず遠慮するな」

東條「なんで?」

滝「そうだなあ。なんつったらいいか・・・ え〜〜・・・・・・」
 説明と言われるものが苦手な滝は、あちらこちらに視線を動かし

滝「・・・お! ホレ、あれ見てみろ」
 何かを見つけると、その方向に指を指す。

東條「え・・・?」
 滝に言われる通りに、指の先を見てみると


女の子「きゃ〜〜〜〜っ♪」
 ウルトラマンの100円マシンに乗り、こっちの方向から見ればパンツ
丸見えの状態ではしゃいでいる、小さな女の子・・・


東條「・・・・・・・・・ 変態?」

滝「え・・・・? あっ!?
 い、いや、違う!! あっちじゃねえ、その奥!!」

  あらぬ疑いに混乱しながら、指先の方向を調整し直す。
 その先にいたのは・・・

掃除の爺さん「・・・・・・・・・・(サッ、サッ、サッ・・・)」

 空気に溶け込むように存在感を持たず、寡黙に塵取りと箒で、サッサと
屋上を掃除している、50は過ぎていそうな白髪のお爺さん。

東條「・・・・・掃除のお爺さんがどうかしたの?」
滝「本物のヒーローってのはな、あの掃除の爺さんみてーなモンなんだよ」

東條「・・・・・え? あんなしょぼくれたお爺さんが?」
 東條の疑問の声は当然である。

 だが

滝「本物のヒーローってのはな、俺の知る限り、あそこのショーみてーに
人にチヤホヤされたり感謝されたりなんてほとんどしねえ。
 あそこの掃除のじーさんみてえに、ふっつーに生きてる奴らは見もしねえ
様な酷ぇ塵やカス相手に、毎日手ぇ汚して、ダラダラ汗流して、時には
煙や塵を吸い込んじまって寿命縮めることもある。

 あーゆーじーさんがいるからそこは綺麗になるんだってのに、それを誰も
知らねえモンだから、誰にも感謝されねえ。それどころか、邪魔者扱いで
ぶつかっても大概謝りゃしねえし、逆にコノヤロウな目で睨んできたり
してきやがる」

東條「・・・・・・・・・」

滝「・・・それでも、あいつらは掃除をやめやしねー。誰に頼まれたわけでも
ねえのによ。それでいつもボッロボロになって、何度も何度も死にそうに
なっても、知らねえ奴の笑顔を見て【よかった】なんて言うんだぜ?」

東條「・・・・・・・・・・」

 滝の話は、途中から掃除のお爺さんのものではなく、誰か・・・
 遠い所に居る、友人の話になっていた。

 そしてそれを、東條は何となく察する。

滝「おまけに愛想は悪りぃわ、人の言う事はまず聞かねえわ、一人でムチャ
して人に迷惑や心配ばっかさせるわ、人より後に来て先に行っちまうような
嫌なヤローだしな。ったく・・・」

 と、途中からほとんど愚痴になっていたが


滝「・・・と、ゆーわけで、だ。ヒーローなんてなるもんじゃねえぜ。
 なっちまってもロクなことがねーよ。お前は若けーんだから、バイトでも
やりながらやりてーことをじっくり見つけりゃいいさ」

 滝は笑顔で、東條の背中をバンバン叩きながら、最終的にそう諭した。

東條「・・・ おじ・・・ お兄さんって、何者?」
 と、東條はつい、滝にそう尋ねる。
 警察みたいなものと聞いていたが、何故か、そう質問したくなった。

滝「俺? あー・・・ そうだな。
 掃除屋やってるでっけぇガキの・・・ 保護者?」

  滝の答えは、実にとんちんかんなもの。

東條「・・・・・ プッ・・・ 何それ!? アハハハハッ」

 東條はその時
 随分久しぶりに、笑うことが出来た。


726 名前:新章/タイガ新生篇:2006/09/28(木) 23:48:20

○東條悟→例え話として自分の事を語り、滝の話に久しぶりに笑う。
○滝和也→掃除屋でライダーの例え話を開始、ただし後半は愚痴。

727 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/01(日) 03:49:31


 そうして、少々の時間が流れた後

滝「・・・おやぁ?」
 滝は、屋上にいる様々な人達の群れの中に、違和感を見つけた。

 ほんの少し前、やかましいぐらい元気な子供を連れていた筈の美人の
奥さんが、一人で不安そうな顔をして、キョロキョロと辺りを見渡して
何かを探しているのが目に入った。

滝「・・・よっ、と」
 それを見た滝は、ベンチから勢いをつけて立ち上がる。

東條「?」

 そして滝は、その奥さんの方へと近寄り

滝「どしたんスか?」
 と、フレンドリーな感じで尋ねる。

奥さん「あ、その・・・ さっきまで息子と一緒だったんですけど、いつの
間にかいないんです・・・ 元気な子だけど、私に何も言わずに居なくなるだ
なんて・・・」

 奥さんはよほど不安が強かったのか、滝に話しかけられると、自分から
聞いてもいないことまでも喋り始めた。

滝「・・・そっか、しかしそりゃおかしいな。
 俺、入り口はずっと眼に入ってたけどそのガキ・・・ いや、お子さんの
降りる姿は見てないんですけどねぇ」

奥さん「え、でも・・・ 隠れられそうな所はもう全部・・・」
 実際かなり探したのだろう。奥さんの上品なスカートには、植え込みの
ものであろう葉っぱが付いている。

 ・・・と、いうことは。
 一般客にとって唯一の出口であるその場所ではない所から、その子供は
消えたということになる。

滝「(神隠し? ・・・まさか、ねえ)」
 滝は、こういうパターンを良く知っている。
 呆れるほどに、何度も何度も経験したパターンだ。

滝「・・・・・・・・」

 勿論頭の中では、どうかそのパターンであっていないで欲しいと願うの
だが、幾多の戦いを経験してきた滝ライダーとしての勘は、今回が紛れも
なくそのパターンであると、これでもかと告げてくる。

滝「よし・・・ いっちょガキ探しと行くか! お〜〜い!!」
 滝はブンブン腕を振りながら、東條へと呼びかけた。

東條「・・・え?」
 勿論、ボー・・・ッとしていただけの東條は、きょとんとするだけ。

滝「え? じゃねえよ。どうせヒマだろ? ガキ探し手伝え」
 そうして滝は、返事を聞くより前に、東條の腕を引っ張った。

東條「え、えっ? いや、ちょっと・・・」
 突然手を引かれて、おたおたとしながら東條は無理矢理滝に付き合わ
されることとなった。


728 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/01(日) 03:53:57

○滝和也→独断で子供探しを開始。東條を巻き込む
○東條悟→滝に強引に、子供探しに参加させられる

729 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/01(日) 04:42:57


滝「まあ、つまり・・・ だ。
 どこを探してもいねー上に、普通の出入り口を使ってねえってことは、
これ単純明快。それ以外の出入り口を使ったっつー事にゃ間違いねえから」

東條「・・・だから、この用務員さん用の出入り口だっていうの?」

滝「おーよ。俺の推理が正しいなら、この扉は内側から鍵が・・・」
 と、そう言いながら、鍵がかかっていることを証明せんと、ドアノブを
掴み、体重をかけながら回す

    (ガチャッ・・・)

東條「あ・・・」
滝「へ・・・?」

 推理に反して、ドアは鍵がかかっておらず、しかもよりによって・・・
 内開きだった。

 スローモーションで、取っ手を掴んだ体全体が、東條から見て部屋に
吸い込まれるように、斜めに倒れこんでいき・・・

      (ドベシャアッ!!)


 そして、響く鈍い音。

東條「・・・・・・・・・ 大丈夫?」
 心配というよりは社交辞令的に、膝から下しか見えない滝に話しかける。

滝「・・・その優しさが今は痛ぇかな」
 

730 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/01(日) 04:45:08

○滝和也→お約束
○東條悟→やはり流されるタイプのようだ

731 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/01(日) 21:31:52


    一方  スタッフルームから大型倉庫までの連絡階段


 そこは、屋上での様々な施設やイベントなどに合わせ、トアルデパート
のスタッフが準備や休憩を行う為のスタッフルームと、大道具から小道具
まで保管してある大型倉庫を繋ぐ、踊り場の付いた階段。

 そこを

    (カツン・・・ カツン・・・ カツン・・・)

 Dショッカーの戦闘員が、あるものを小脇に抱え、階段を下っていた。
 脇に抱えているのは、意識を失い眠っている、攫われた子供である。

      (ガチャ・・・)

 階段を降りきった戦闘員は、大型倉庫のドアに鍵を差し込み、ノブを
回して扉を開けた。

 その中には、その子供と同じく、何人もの幼児、少年が同じ様に縛られ、
意識を失った状態で置かれていた。直接的な外傷は無いようだが、いたいけ
な少年少女が眠らされ、薄暗い場所に監禁されているという光景は実に
痛々しいものがある。

 その一端である戦闘員が脇に抱える少年も、同じ様に乱雑な形で、物の
ようにドサリと置かれ、戦闘員はそのまま無感情に、少年たちを隠す為に
扉を閉めようと・・・

?????「なるほど。用務員を洗脳し戦闘員にして、それに子供を誘拐
させて、倉庫に一時保管っていうわけですね」

戦闘員「ディッ・・・!?」
 突如後ろから聞こえた声に、戦闘員が反射的に振り向くや否や

     (ドスッ───!!)

戦闘員「ギッ──・・・・ !?(ドシャッ・・・)」
 鳩尾に鉄棒の強力な一撃を喰らい、戦闘員はその場に崩れ落ちた。


ウェイ・ペイ「・・・・・・ よし」
 戦闘員を一撃でKOしたのは、SPIRITS第十分隊に所属する棒術の使い手
の少年。ウェイ・ペイ。

 ウェイ・ペイの恰好はSPIRITS部隊のタクティカルスーツではなく、
そこらへんの少年が着ていそうな黒色のTシャツと、薄灰色の長ズボン。
 手に持っている物騒な鉄の棒さえなければ、本当に普通の少年に見える。

ウェイ・ペイ「よい、しょっ・・・と」
 そのままウェイ・ペイは、棒の先を巧みに操り、戦闘員の側に落ちている
鍵を自分の右手にポンと投げ、これまた器用にキャッチした。

 やることは色々あるが、まずは・・・

ウェイ・ペイ「(子供達を助けないと・・・)」
 そうして、手に入れた鍵を倉庫のドアの鍵穴へ差し込んだ

 その時

     (カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・・)

東條「あのさ、鍵が開いたんならここは違うんじゃ・・・」
滝「うっせ。俺の感がこっちだっつってんだから、こっちだ」

 二つの足音と声が聞こえてきた。

ウェイ・ペイ「(この声は・・・?)」
 どこかで聞いたような声に、階段の上を振り向くウェイ・ペイ。
 そこにいたのは

ウェイ・ペイ「・・・・・あ」
滝「あ? ・・・・・・あっ!?」

 階段の上と下で、ウェイ・ペイと滝の視線が重なった。

732 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/01(日) 21:47:25

○ウェイ・ペイ→何故か滝達より先に現場へ。戦闘員を倒し、鍵を手に入れ
たところで滝達と遭遇。
○滝和也→ウェイ・ペイと遭遇。

【今回の新規登場】
○ウェイ・ペイ(仮面ライダーSPIRITS)
SPIRITS第十分隊に所属する少年。棒術の使い手で、クセ者揃いの
SPIRITSの中では割と温和で明るい性格(ただしキレるとかなり怖い)
村雨良を戦士として認め、滝和也を尊敬できる隊長として命を預けている。

733 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/09(月) 04:34:21


 そして、滝とウェイ・ペイの間で、簡潔な情報交換が行われた。

滝「・・・ってーことは、お前も佐久間に言われてここに来たってワケか?」

ウェイ・ペイ「はい。【ここにDショッカーが潜伏している可能性がある】
というので」

滝「それで、お前だけ?」
ウェイ・ペイ「はい。僕だけです。・・・隊長は、何故ここに?」

滝「いや、俺は佐久間に【会わせたい方がいますので】とか言われて・・・
 あっ! あのヤロォ・・・ 騙しやがったな」

  椅子に座った佐久間の陰謀スマイル顔を思い浮かべながら、滝は苦虫
を噛み潰したような顔をする。

ウェイ・ペイ「・・・みたいですね。僕もまさか隊長がここにいるだなんて
知りませんでしたから」

 対してウェイ・ペイは、眉一つ動かさずに冷静なもの。

滝「他の奴はどーしてんだよ?」

ウェイ・ペイ「あまり僕も把握していないんですけど、ベイカーさんは城繁
さんと、ゲーレンさんは神敬介さんと、ゴードンさんは・・・ 良さんと
組んで任務についているとか」

滝「良と・・・ ゴードォン!!?」
 あまりにもあまりな組み合わせに、滝は絶句する。

ウェイ・ペイ「ゴードンさん、ブツブツ文句言ってました」
滝「だろうな。・・・まー、あいつも最初と比べりゃ随分マシになってるし、
大丈夫だろうとは思うけどな」

ウェイ・ペイ「ですねー」

 と、二人がナイナイの話題で和気藹々の雰囲気をもたらすほどに盛り
上がっていたところで


東條「・・・あの、隊長って?」
 そんな空気から一人取り残されていた東條が、滝に問う。

ウェイ・ペイ「・・・隊長。この人は?」
滝「屋上にいた、悩める若者」

 とはいっても、見た目からすると明らかにウェイ・ペイの方が若いが

ウェイ・ペイ「・・・一般の人を連れてきたんですか?」
 思わずウェイ・ペイは、不満そうに眉をくねらせ、そう尋ねる。
 その様子は傍からから見れば、上司と部下というよりはむしろ夫の行動を
注意する妻に近い。

滝「あくまでガキ探しだけだ。危険なマネはさせねーよ。・・・それに、
何となくほっとけなかったからさ」

ウェイ・ペイ「やれやれ、隊長らしいですねー・・・」
 溜息と共に肩を落とすその様は、呆れたというよりは、【まあ隊長はこう
でないと】という肯定の笑みも含まれている。


東條「・・・・・・ それで、結局アンタは誰なの?」
 東條の口調には、少し苛立ちが含まれている。

ウェイ・ペイ「この人は、仮面ライダー支援組織【SPIRITS】の隊長ですよ」
 それに対し簡潔に答えたのは、ウェイ・ペイ。

東條「SPIRITS(魂)・・・?」

ウェイ・ペイ「元は対バダンの組織ですが、現在はDショッカー打倒の為に
闘っているんですよ」

東條「じゃあ・・・」
 この人達、本物の英雄なんだ・・・

滝「だーもう。そんな話後だ後。それより中のガキ助けるのが先決だろ」
 そういうと滝はさっさと倉庫の中に入り、意識を失っている子供達の
拘束をテキパキと解いていく。

 ウェイ・ペイと東條も、滝に続いて子供達の救出作業を始めた。



  ◇    ◇



 そうして、捕らわれていた全ての子供達の戒めを解き、意識を取り戻
させた滝達3人。

ウェイ・ペイ「これで全員ですね。・・・しかし、よくもこう・・・」
 子供の数は、大小集め、なんと合計14人もいた。

滝「ったく。ガキばっか攫うなんざ、こすっからいマネしやがって」
 滝の表情は、勿論ギラギラとした怒りに満ちている。
 こういうやり口は、滝が最も嫌悪する類だ。

東條「・・・・・・・・・」
 東條もまた、この状況を作り出した存在に対して何か消化の悪い感情を
感じていた。

 人が最初から持っている感情。
 どうして子供を相手にこんなことが出来るのか、こんな事をして一体
何になるのか。

 自分も、数え切れないほど間違ったことをしてきた。
 それでも、それは、英雄になれれば世界を、少しでも善い方向に変え
られると思ったから・・・

 だけど、こんな事・・・

東條「子供の誘拐なんて・・・ そんなことをして何になるの?」
 自然と、口からついて出ていた。

ウェイ・ペイ「実験素体・・・ でしょうね。子供の精神は大人よりも洗脳が
簡単ですし、肉体は機械で構成すればいい。そして非力な子供は、こう
やって誘拐するのも、組織内で拘留する事も簡単ですから」

 真顔のまま、抑揚の無い声で、ウェイ・ペイは冷静に答える。

東條「〜〜・・・・・・・・っ」
 あまりにもおぞましい答えに、東條は吐き気を覚える。
 こんな身近な所で、平和の裏では・・・


東條「・・・・・・それで、これからどうするの?」
 意識を取り戻した子供の一人に、ズボンの裾を引っ張られている東條は、
これからの事を尋ねる。

ウェイ・ペイ「僕達は、これからDの隠し拠点が付近に無いか探します」
東條「じゃあ、まずはどこから・・・」
 と、辺りを見渡すが

滝「なに言ってんだ。お前はガキ連れてさっさと戻れ」
 滝は、それを拒絶した。

東條「え・・・?」
 滝の言葉に、東條は面食らう。

東條「何で・・・!?」
滝「当たり前だろ、ガキは見つかったんだから。
 このガキどもを親御さんに送り届けるってのも、ヒーローとしての大事な
使命の一つだぜ?」

東條「そんな・・・! ここまで来て、それだけなの!?」
 滝という人間に、突然裏切られたような感覚に陥った東條は、つい声を
荒げてしまった。

滝「・・・・・・」
 滝は一度溜息を吐くと、ニカ と笑い、東條の肩にポンと手を置いた。

東條「何・・・?」

滝「いいか? 何もヒーローってのはな、悪人をパンチやキックで吹っ飛ば
しゃいいってわけじゃねえ。ゴミ拾いでも何でも、重要なのは【困ってる
奴を助ける】ってことだ。
 誰が何て言おうと、てめーはここまで来て、ガキが縛られてたロープを
解いて助けた。そりゃホントの事だろ?」

東條「・・・でも、それは僕じゃなくても・・・」
 誰でも出来たことじゃないか。

滝「ああ、【その気になりゃ誰でも出来たこと】だぜ?
 けどな・・・ あのベンチにボーっと座ってただけの奴には、それも出来や
しねーんだぜ?」

東條「・・・・・・!」

滝「男はどうすりゃいーこうすりゃいーなんて、うだうだ考えるもんじゃ
ねーんだ。そんな暇があったらとりあえず行動すりゃーいい。そしたら、
どんな形であれ答えはそのうち出てくるもんだ」

東條「・・・ならここから先も手伝わせてよ。ここまで連れ回しておいて
無責任じゃないか! 僕だって・・・」
 自分でも何故ここまで食い下がるのかもわからないまま、東條は滝に
詰め寄り

滝「ていっ」

    (☆ボコッ!☆)

 東條のドタマに、軽〜いチョップが炸裂する。

東條「たっ・・・!?」
滝「聞き分けが悪い」

東條「だって・・・」

滝「だってもクソもねーだろ・・・」
 滝は面倒臭そうに後ろ頭を掻いた。

ウェイ・ペイ「ここから先は僕たちの専門です。ここから先に進む資格が
あるのは、それだけの強さと覚悟がある人間だけですよ」

東條「・・・それって、僕に力が無いってこと?」

ウェイ・ペイ「それもあります。東條君は僕から見ても隙だらけで、今すぐ
殺せそうですから」

東條「・・・・・・・っ」
 その瞬間のウェイ・ペイの声には、東條は一時心臓が止まってしまい
そうになった。それほど、ウェイ・ペイ瞳の奥から覗かせた気迫には圧が
あり、恐ろしいものがあったのだ。

ウェイ・ペイ「それより重要な【資格】は、【戦士】であるかどうか」
東條「戦士・・・?」
 東條には、ウェイ・ペイの言う言葉の意味が分からない。

ウェイ・ペイ「“戦士とは、その心に揺ぎ無き鋭利なる牙を持ち、同じく
して何者にも貫かれる事の無い堅固たる盾を有す者”」

東條「矛と・・・ 盾?」

ウェイ・ペイ「滝隊長。ライダーの皆さん。ゴードンさん達・・・ 僕の知る
戦士達は、誰もが強く美しい矛と盾を持っています。けれど東條君は・・・」

 ウェイ・ペイは、そのクリンとした瞳で再び東條を見つめ

ウェイ・ペイ「そうですね。歪な形をした矛こそあれど、盾が見えない。
 目の奥にはどこか危うい攻撃性を感じる一方で、酷く脆い印象ですか。
 きつい言い方かもしれませんけど、自分というものさえも見つけられずに
迷っているんじゃないですか?」

東條「う・・・・・・」
 東條は、何も言い返せなかった。

 そして、言葉にこそ出さないが、ウェイ・ペイの目は
【そんな状態のあなたを戦士としては認められない】と、暗に語っていた。

 反発するのは簡単だが、既に東條は、ウェイ・ペイに畏怖を覚えて
しまっている。

 自分より幾つも年下に見えるのに、一体どうすれば、どんな人生を生きて
くればこんな目が出来るというのか。

 まるで、自分とは違う生き物のようにすら感じてしまうほどだ。
 目の前のウェイ・ペイという少年に対する畏怖が、自分との大きすぎる
差を悲しいほどに認識させてしまう。

滝「・・・お前なぁ、言葉選べよ」
ウェイ・ペイ「すいません。つい」
滝のあ〜あ、という感じの顔を見て、ウェイ・ペイは後頭に手を当てて
謝った。

東條「・・・・・・(僕は・・・ 僕は・・・)」
 ポケットに入っている。タイガデッキ。
 それを、強く握る。

 しかし、それをいくら強く握っても、それはポケットに張り付いて
しまったかのように、そこから引き抜くことが出来ないほど重く感じた。

 タイガの力があれば、この人達と同じ様に闘える・・・ そう、さっきまで
は思っていたのに、自分の中でもわかっていなかった心の中を、ウェイ・
ペイという目の前の少年に指摘されて、わかってしまった。

 東條悟は、今はこの力が・・・ 怖い。

 僕は、持ってはいけない力を持ってしまったんじゃないのか。
 恩師さえも手にかけてしまったその力を、目の前の二人みたいに、二人が
尊敬する人達の様に使うような資格なんてないんじゃないのか。


 また、間違いを犯してしまうんじゃ、ないのか

 僕に、【戦士】になる資格なんて・・・

東條「今の・・・ 僕には・・・」
 そう、東條が視線を落とし呟いた

 その時


??「やれやれ。また迷っているんですか

東條「・・・・・・・っ!!!?」
 東條にとって、あまりにも良く知る声が、アナウンスで響いてきた。


734 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/09(月) 04:42:29

○東條悟→滝に優しく諭されるも引き下がらず、今度はウェイ・ペイに核心
を突かれ、最大の迷いに突入する。
○滝和也→東條に対して優しく諭す
○ウェイ・ペイ→きつい言い方で、東條という人物の核心を突く

735 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/09(月) 05:08:36

滝「んだ? このすましたヤローの声は・・・」
ウェイ・ペイ「・・・・・・・・・」
 当然、声の主を知らない二人。そして

東條「せ、先生・・・!?」
 そう、忘れようも無い。
 両親のいない東條にとって、数え切れないほどの恩がある師。
 力を与え、指針を示してくれた人。そして・・・

 この手で、殺した人。

香川『東條君。君の悪い癖ですね。幼くして両親を失ったが故に明確な
【自己】を形成できず、それが故に他者への依存心が強い。そして依存の
先に、劣等感の対象に対する反発、疑問、猜疑を抑えられなくなり、
最終的には・・・


 廊下内に響く香川の声には、憎しみも怒りも込められてはない。
 ただ冷徹に、東條悟という人間を科学者の視点で分析した結果なのか。

東條「先生・・・」
 東條の脳内に、かつての恩師を手に書けた瞬間がフラッシュバックする。

ウェイ・ペイ「・・・どうやら、親玉さんに気付かれたようですね」
滝「あー、いけ好かねー声だぜ」

東條「なんで、なんで先生が・・・!?」
 東條は、自分でも気付かない内に震えていた。

ウェイ・ペイ「(知り合い・・・?)」
 そんな東條を、ウェイ・ペイは不審に見つめる。

滝「おいコラ! 機械越しに喚いてねぇで、さっさと出て来い!!」
 そして、声の主に早速啖呵を飛ばす滝。

香川『私と直接対話を望むのなら、屋上に来ることですね(プツッ
 機械音と共に、切られる音声。

ウェイ・ペイ「屋上・・・? しまった・・・!」
滝「チックショウ! ここは囮かよ!!」

 滝、ウェイ・ペイ。
 そして子供達を連れた東條は、階段を駆け上がった。




736 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/10(火) 02:49:55

○東條悟→香川の声に固まり、震える。
○ウェイ・ペイ→声の主と東條の関係に疑念。
○滝和也→香川の声を聞いて気に入らないタイプと判断。
●香川英行→東條の本質を語り、屋上へ誘う。

737 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/10(火) 23:07:15


   トアルデパート  屋上


       (バァンッ!!!)

 最初に勢い良くドアを蹴破り屋上に到達したのは、滝とウェイ・ペイ。
 そしてその後から、子供達をスタッフルームに隠した東條が、そろりと
伺うようにして出て来た。

香川「来ましたか」
 そして、屋上の中央には、香川がいた。
 東條の記憶のままの、几帳面なまでに皺一つ無い白衣の姿で。

東條「せんせ・・・」
滝「おいコラ。眼鏡のオッサン。ガキ達攫わせたのはテメェの指図か?」

 東條が先生の名を呼ぶより早く、滝が啖呵を切った。

香川「・・・・・・・・・」
 無言で、三人を値踏みするように見つめる香川。

東條「(先生・・・)」
 東條は、香川の正義感の強さを知っている。
 だからこそ、香川教授の口から、否定の言葉が出るのを待っていた。

 しかし

香川「現場の担当者達はどうにも単細胞で困ります。確かに実験素体は
若い方が助かるとは言いましたが、まさか、こんな、ねぇ・・・」

 香川は、明らかな嘲笑のアクセントで、笑わぬ目のまま口の端を引き
つらせた。

 つまりは・・・ 自分の指示だと、認めたということ・・・

東條「そんな・・・ 先生・・・!!」
 思わず東條は、声を荒げた。

滝「お、おい・・・」

東條「何で・・・ 何でDショッカーなんかにいるんですか!?
 先生は、いつでも自分の理想の正義の為に努力して、戦ってきたじゃ
ないですか!! こんなの・・・ こんなの、おかしいですよ!!!」

 自分が理想としてきた恩師が、それと真逆の立ち位置で、真逆の行為を
行っているのだ。それで冷静でいられるはずが無い。

香川「・・・・・・・・・」
 香川は一度、クイ と眼鏡を持ち上げると

香川「何もおかしな事はありませんよ。
 私は常に【多数の為に少数を犠牲にする】事を正義としてきた。そして
それは今回も変わらない」

ウェイ・ペイ「・・・どういうことです?」

香川「ショッカー、ゲルショッカー、デストロン、GOD、ガランダー帝国、
デルザー軍団、ネオショッカー、ジン・ドグマ、BADAN、ゴルゴム・・・
 これまでこの世界を様々な悪の組織が襲い、その度に、あなた達SPIRITS
と関わり深い仮面ライダー達によって世界は守られてきた」

滝「良く知ってるじゃねえか」

香川「そしてそれだけではなく、この世界では様々なヒーロー達が存在し、
それと同時にそれを上回る悪の組織が存在する。
 しかし・・・ 今回の【悪】は、規模においてもその実力においても、これ
までの組織達の比ではない。世界中の死者を蘇らせ、時空変異を巻き起こし
てしまうほどの力を持つ敵、復活した各組織。そして姿を現わした、冥王。

 ・・・貴方達の足掻きは、全て無駄なのですよ。
 どう考えても、敵う筈が無い。少しでも【勝てる】と思っているのなら、
それは愚かな考えであるとしか言い様がありませんね。
 古来より人間の歴史は圧倒的な戦力差の前には敗北するのは必定であり、
その侵略、征服の先に新たな歴史が誕生する。そしてその侵略を前に、最も
被害を最小に留める方法は・・・」

滝「・・・・・・・・・?」
 滝には、その答えは分からなかったが

ウェイ・ペイ「侵略される側の戦力を掃討する事・・・ ですね?」
 その代わりとして、ウェイ・ペイがその答えを口にした。

香川「正解です」
東條「・・・・・・!! そんな・・・」
 あまりにも血も涙も無い香川の信念に、東條は身を震わせた。

滝「っっざけてんじゃねえぞ・・・!!」
 だが、滝は逆に怒りを露わにする。

滝「勢力だ? 実力だ? こちとらんな事一々考えてケンカなんざしねぇ!
 第一・・・ ガキを攫って改造しようなんてクソな事を考える奴らが・・・
 【正義】なんて語ってんじゃねえ!!!」

  滝は拳を振り上げ、一直線に香川へ殴りかかりに行く。

 そこへ

     (バッ───!!)

滝「っ!?」
ウェイ・ペイ「!!」

 何かが飛び込んで、滝に襲い掛かってきた。

    (ガッ──!!)

 滝を捉え、紙一重で首を飛ばすか否かという状態だった刃物。
 それを止めたのは、ウェイ・ペイの鉄棒によるガードだった。

ウェイ・ペイ「隊長。猪突猛進は、勘弁してください」
 先程までの顔とは打って変わった戦士の表情で、乱入者と鍔迫り合いを
行いながら、隊長をたしなめるウェイ。

滝「うっせ。これぐらい避わせたっつの」
 本当か虚勢か、ショットメリケンを拳に装備しながらそう返す滝。

 そして、その乱入者は・・・

東條「オルタナ、ティブ・・・!!?」

 そう、香川英行が開発した、オルタナティブシステムの集大成の一つ、
ミラーワールドライダーと同じ戦闘能力を持つ、オルタナティブ。

 それが、スラッシュダガーを手に、ウェイ・ペイと鍔迫り合いを繰り広げ
ているのだ。

香川「この一体だけではありませんよ」
 パチンと香川が指を鳴らすと

   (バッ!!) (バッ!!) (バッ!!)

  (バッ!!)  (バッ!!)  (バッ!!) (バッ!!)


 すると、屋上の各所から、十数体ものオルタナティブが一斉に姿を
現わした。

 そして

    (ポ────・・・・・・・・ ン)

 香川はポケットから取り出したデッキを空中に放り投げ、それをキャッチ
すると

香川「変身・・・!」
 側にいるオルタナティブの一人、その仮面の複眼部分を鏡とし、変身
フォームを取った。

 その瞬間、香川の体は光り輝き、あっという間に、オルタナティブ・ゼロ
へと・・・

東條「あれは・・・」
 いや、違う。
 あの姿は、東條の知るオルタナティブ・ゼロではない。

ゼロワン「私が新たに開発した、ライダーを超えるオルタナティブですよ。
 開発ナンバー、01(ゼロワン)。そして・・・ 私の作り上げた最強の対
ライダー部隊。量産型オルタナティブ。

 さて・・・残念ですが、組織の対抗勢力であるあなた方。特にSPIRITS部隊の
重要隊員であるウェイ・ペイ君と、その隊長であり様々なライダーにとって
重要な存在である滝和也・・・ あなたは特に抹殺の要となっています」

ウェイ・ペイ「・・・・・・・・」
滝「チッ・・・ 好き勝手言ってくれるぜ」
 二者二様の敵意を向ける二人。

ゼロワン「そして・・・ 君もですよ。東條君」
東條「・・・・・・・・!?」

ゼロワン「君もまた、Dにとって障害になる可能性があると判断されてい
ます。このままではいずれ、君はDによって【粛清】されるでしょう。
 私がわざわざここへ来たのは、君を迎えに来たという理由もあるんです」

東條「・・・・・・!」

ゼロワン「・・・さあ、選びなさい。私と共にDの民として生きるか、
それとも・・・ いつかの様に、私を敵と判断し、不意打ちで殺しますか?

東條「っ───!!」
 足が、ガクガクと震える。
 呼吸が、おぼつかない。

 どうしていいのかわらなくて、一歩も動けなかった。

滝「・・・何ワケのわかんねぇこと、ゴチャゴチャ言ってやがんだ!!」

    (バァンッ!! バァンッ!!)

 滝が上着の下に隠し持っていた拳銃、デザートイーグルが、ゼロワンに
向かって火を吹いた。

    (カァンッ!! カァンッ!!)

 着弾こそすれ、鉄板すら貫通する45口径は、オルタナティブ・ゼロワンの
装甲の前には、まるで小石の様に弾かれるだけであった。

      (((ワァァァアアア・・・・・!!!)))

 それまで訝しげに一行の様子を見ていた一般人達も、さすがに拳銃の轟音
で理解したのだろう。我先にとわめき叫びながら逃げ出す。

ゼロワン「ほう・・・ 一般人を退避させる為にわざと無駄弾を撃ちましたか。
 後先を考えずに行動するだけの男という票もありましたが、どうやら
それは間違いのようですね」

ウェイ・ペイ「そうでもないですよ。行き当たりばったりも多くて実際
困ってますから」

滝「ふんっ!(ボコッ!)」
ウェイ・ペイ「いたっ!?」
 滝の愛の鞭(ゲンコツ)が、ウェイの頭にヒットする。

滝「てめえらなんざなぁ! 本郷達の手間かけさせるまでもねぇんだよ!!」
ウェイ・ペイ「(さすがにキツいと思いますけど・・・)」

 それぞれに戦闘の構えを取る滝とウェイ・ペイ。
 そして、ドアの側で動くことが出来ない東條。

 万事休すのバトルが、始まった。


738 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/10(火) 23:15:35

○滝和也→万事休すの中、無謀にもやる気満々
○ウェイ・ペイ→量産型オルタナティブのスラッシュダガーを鉄棒で防ぐ
○東條悟→究極の板ばさみに直面し、直立不動
●香川英行→冷徹な正義論を述べ、東條に選択を迫る

739 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/11(水) 03:45:39


 滝とウェイ・ペイは、無謀にも数十ものオルタナティブ部隊を相手に、
退かず戦いを挑み、繰り広げていた。

ウェイ・ペイ「はっ!!!」

   (ガ、ガ、ガッ───!!)

 ウェイ・ペイは、息も尽かせぬ鉄棒の連撃を目の前のオルタナティブ兵の
一体に打ち込む。

 オルタナティブ兵の装甲は、鉄棒の攻撃程度では多少の衝撃はあっても
ダメージの蓄積は絶望的だろう。
 しかしその打ち込みのあまりの疾さと、人が動く支点となる関節部分を
狙った、介者剣法の極意を習得しているであろうと確信できるほどの正確な
ピンポイント攻撃により、オルタナティブ兵はまともな反撃が出来ない。

滝「オラァッ!!」

    (ボォンッ!!)

 一方の滝は、最初からショットメリケンの一撃を、眼前に立ち塞がるもう
一体のオルタナティブ兵に喰らわせた。

滝「(やったか・・・!?)」
 煙に包まれているオルタナティブ兵の頭部。
 モノがザコ怪人の頭部であれば、一撃で吹き飛ばせる威力だ。

オルタナティブ「・・・・・・・・・・・」

    (ガッ──!!)

滝「うおっ!?」
 しかし眼前のオルタナティブ兵の兜は、煤の汚れとほんの少しの焼け跡
以外にはまるで破損がなく、そのまま滝の襟に掴みかかった。

滝「気安く触ってんじゃ、ねえっ!!」
 だが滝も負けてはいない。オルタナティブ兵の腕を掴み取り

滝「どりゃあああああっ!!!」

   (ブンッ───)

 流れるような動きの一本背負いで、オルタナティブ兵を簡単に投げ飛ばし

   (ゴッシャアア!!)

 ゴミ箱の中にホールインワンさせた。


ゼロワン「ほう・・・ さすがはSPIRITS部隊の精鋭とその隊長といったところ
ですか・・・ これでも、オルタナティブ部隊には鍛えられた人間が選ばれて
いるのですが、ね」

 ゼロワンは全く余裕の姿勢を崩さない。
 それもそうだろう。ゼロワンは敢えて数十ものオルタナティブ部隊を一度
に襲わせるのではなく、その中の数体を襲わせるのみに終始しているのだ。

ウェイ・ペイ「つまり、僕ら相手にオルタナティブ兵の稼動テストですか」
滝「ったく、嘗めやがって・・・!」

 かといって、たった数体のオルタナティブ兵に苦戦している二人に、奥の
方でゼロワンを囲う形で物々しく立っている数十体のオルタナティブ兵の
相手は自殺行為であるのも事実である。


東條「・・・・・・・・」
 そしてそれは、スタッフルームの扉の前で、子供達を匿う形で立っている
東條にも分かりきっていた。

 今、ポケットの中にあるタイガデッキを使えば 変身すれば
 あの人たちを助けられるかもしれない

 だが同時に 再びタイガに変身する事が、怖くてしようがなかった。
 また 大事なものを壊してしまうのではないか
 大切な人を 殺してしまうのではないか

 そう思うと 恐怖で体が動かない
 まして 目の前にいる人は かつて殺してしまった恩師なのだ

 でも・・・


??「ねえ」
 その時、東條のズボンを引っ張る誰かの声。

東條「え・・・?」
 その声に振り向くと、そこには・・・ 攫われた少年の一人がいた。

東條「ど・・・ どうしたの?」
 自分を真っ直ぐに見つめる少年に東條は尋ねる。
 すると少年は

少年「あの黒い人達・・・ 悪い奴だよね?」
 そんな質問を返してきた。

東條「え? ・・・ああ、その・・・ うん」
 先生がやっていることは、間違いなく【悪いこと】だろう。
 それは・・・ 間違いの無いことだ。

少年「じゃあ、じゃあさ・・・ ライダーは来ないの?」
東條「え・・・・!?」
 東條は驚いた。

少年A「僕、さっき見てたんだ。
 悪い奴らが出てきて、ピンチになったら必ずライダーが来てくれるって」

少年B「そうだよ! ライダーが来てくれるよ!!」
少年C「そうだ! そうだ!!」

 いつの間にやら、その場にいた多くの子供達が、【ライダー】という
ヒーローを待ち望み、団結していた。

 子供たちが言っているのは、さっきのヒーローショーのライダーだろう。
 それでも、目の前の子供達は、そのヒーローの存在を絶対と信じていた。
 仮面ライダーは正義の味方で、必ず悪を倒し、自分達を助けてくれると

東條「(僕は・・・)」
 少年達が言うライダーは、自分の事じゃない。
 しかし、自分がかつて憧れたヒーローは、あのぼんやりと見ていた
ヒーローショーに出て来たような、あんなヒーローじゃなかったのか。

 この力を得ようとしたのは、何の為だった・・・?



  ◇    ◇



    (ガッシャァァァアアン!!!!)

滝「グッ・・・ ゲ・・・ ホ・・・!!」

 一体を投げ飛ばしてもすぐに次が現れ、何度でも起き上がってくる。
 疲弊し始めていた滝は、遂にその一体の一撃を受け、金網まで吹き飛ば
された。

ウェイ・ペイ「隊長・・・!!」
 金網が九の字に折れ曲がる程に叩きつけられた滝に一瞬気をやるウェイ。

    (バキィィッ!!)

ウェイ・ペイ「ぐっ───!?」
 その一瞬の隙を突かれ、鉄棒の防御の隙間から蹴り上げられたウェイは、
鉄棒ごと飛ばされ、東條のすぐ近くまで転がる。


東條「あ・・・ あ・・・」
 いけない。このままじゃ・・・


ゼロワン「さて・・・ そう時間を裂いてもいられません。
 お遊びはこれまでとして、あなた方には消えて頂きましょう」

  ゼロワンが手を挙げ合図をすると共に、全てのオルタナティブ兵が
スラッシュダガーを掲げ、滝とウェイ・ペイに狙いを定め、襲い掛かった。


   (ドクン、ドクン、ドクン・・・!!)


 東條の心臓は激しく鳴り響き、アドレナリンが脳を駆け巡る。
 自分の心臓の音が、ひどくゆっくりに聞こえる。



    私は君なら 望む英雄になれると思っているのですよ

       重要な資格は 戦士であるかどうか

     重要なのは、【困ってる奴を助ける】ってことだ

      ピンチの時は ライダーが助けに来てくれるって



東條「やめろ───────っっ!!!!

 肺の奥から搾り出すような絶叫。
 その声にゼロワンもオルタナティブ兵も、一瞬だけ動きを停止し、
東條へと向いた。

    (バッ──!)

 東條は、ついにポケットからタイガデッキを取り出し

 扉の窓の前に立つ

 そして───

東條「変身!!!

740 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/11(水) 03:50:24

○滝和也&ウェイ・ペイ→多勢に無勢でさすがにピンチに
○東條悟→様々な感情を乗り越え、変身

741 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/11(水) 23:00:21


   (バッ───!)

 タイガデッキを窓ガラスに映し、変身フォームを構える。

    (カッ───!!)

 東條の体は忽ち光に包まれ、複数の鏡像が重なり合うと共に、その姿は
仮面ライダータイガへと変身した。


ウェイ・ペイ「・・・・・・・」
 その姿を倒れ伏したまま無言で見つめるウェイと

滝「んな・・・!? アイツ、ライダーだったのか!?」
 顎を外し兼ねん勢いで驚く滝。

ゼロワン「(復活しましたか・・・)」
 そしてゼロワンは、無言でタイガを指差し、手信号でターゲットの変更
をオルタナティブ兵に指揮する。

    (ザッ───!!)

 次の瞬間には、黒き兵隊達は統制の取れた動きでタイガに向かっていく。

タイガ「ハッ!!」

    (ギィンッ!! ガシュァッ──!!)

 次々と襲い掛かるオルタナティブ兵達に、タイガは青色の戦斧、デスト
バイザーを振るう。

 野獣の如き剛力で振るわれる、鋭利且つ重厚な戦斧のスイングに巻き
込まれた黒き兵隊達は、まるでテニスボールの様に吹き飛び、植え込みや
壁、金網といった着地点に次々と没していった。

ゼロワン「・・・・・・・・」
 Dの協力を得て作り上げたオルタナティブ兵達が吹き飛ばされていく
その様を見つめていたゼロワンは、冷静だった。

 量産型オルタナティブ兵は、既存のオルタナティブやミラーワールド
ライダーほどの戦闘能力は備わってはいない。しかしそれでも、モンスター
よりはずっと高い能力、強い力を保持している筈。

 それをああも簡単に吹き飛ばすということは、それは登場悟自身の変化
だろう。おそらくは、一緒にいたらしい滝和也の影響か。

 どちらにせよ、迷いを経て、新たな戦いの理由を得、成長した彼がまさか
ここまでの強さを発揮するとは・・・

ゼロワン「(予想以上、ですね・・・)」
 その場にいた誰にも分かることはなかったが

 その時、ゼロワンの仮面の下の香川の顔は、笑っていた。


ゼロワン「しかし、ここでオルタナティブ兵を全滅させるわけにもいきま
せんか・・・」

     (タッ──・・・)

 ゼロワンは、スラッシュダガーの進化武器であるスラッシュブレイド
を手に、タイガへと──

タイガ「っ!!?」

     (ギィィィンッ!!)

 斬りかかった。

 ゼロワンの接近を察知したタイガは、反射的にデストバイザーを振るい、
スラッシュブレイドを目と鼻の先で食い止めた。

ゼロワン「中々の反射神経ですね。あの戦いの中で、君自身の感覚も鍛え
られたというわけだ」

タイガ「せ、先生・・・」
 ギチギチと、巨大な肉食動物の歯軋りを連想させる鍔迫りの音。

ゼロワン「しかし今回は、不意打ちは不可能ですね」
タイガ「・・・・・っ!!」
 抑揚の無い、それが故に心の中に直接的に突き刺さり、抉る言(げん)。

    (ガッ───!!)

タイガ「っ───!!?」
 その次の瞬間、ゼロワンの左の拳の一撃が、タイガの頬を捉える。

    (バキィィッ!!!)

タイガ「ぐっ───!!」
 続け様に叩き込まれる上段回し蹴りに飛ばされ、勢い良く地面を転がる。

    (STRIKE VENT)

 しかしタイガは、受け身の勢いでそのまま跳び上がり、同時に空中で
ストライクベントのカードをセットし、起動させた。

 光の粒子が集まり凝固し、タイガの両腕に、何者をも斬り裂く爪、
デストクローが装着される。

タイガ「・・・・ ハァッ!!」
 鋭利な爪を掲げ、タイガは再びゼロワンへと突進を開始した。


742 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/12(木) 03:49:22


    (ガ、ガ、ガ、ガッ────!!!)

 合計10本の鋭利な爪が幾重もの曲線を描き、ゼロワンの手繰るスラッシュ
ブレイドと激しい剣戟を繰り広げる。

 立ち回る二人の間に入る障害物。
 植え込みの木も、鉄柱も、ありとあらゆるものが二人の間には紙の砦以下
のものでしかなく、次々と綺麗な切断面を作り、切り倒されていく。



  ◇    ◇



滝「すげぇ・・・」
 やっと金網から脱出した滝は、二人の戦いを見て、思わずそうもらした。

 ついさっきまでオドオドしていただけの奴が、まるで自分が知っている
戦士達のように闘っている。


ウェイ・ペイ「・・・・・・」
 一方のウェイ・ペイも、起き上がり、子供達を背にする形で、肩の埃を
払いながら二人の闘いを見つめていた。

ウェイ・ペイ「(確かにすごいけど・・・ でも、これは・・・)」



  ◇    ◇



ゼロワン「しかし、無駄ですね」
タイガ「え・・・?」

    (ザシュウッ!!!)

タイガ「っ──!?」

 その次の一瞬には、防げていた筈のスラッシュブレイドの斬撃が、
タイガの防御を見切った様にすり抜け、その装甲を袈裟に斬った。

    (ザシュッ!!)

               (ザシュッ!!!)



タイガ「うああっ───!!」

 まるで自分の動きが全て読まれているかのような、ゼロワンの斬撃の
ラッシュに、タイガはその場で崩れ、片膝を落とす。

タイガ「ぐっ・・・ な・・・」

 なんで・・・

ゼロワン「私の特技を忘れましたか?」
 急に流れが変わった戦局。それに疑問を隠し切れないタイガの問いに、
ゼロワンは短くそう答えた。

タイガ「・・・・・・・・・・ ・・・っ! まさか・・・」
 タイガの知る記憶の中で、一つそれに該当するものがあった。

ゼロワン「そう。私は一度この目に見たものは忘れない。
 そしてそれは、応用さえすれば戦闘においても多大な効果を発揮する」

  そうだった。
 それが、先生の戦闘における強さでもあった。

ゼロワン「少しでも私と打ち合えば、その相手は敵ではなくなります。
 特に・・・ かつて一緒に戦っていた君であれば尚更のこと。私を倒すので
あれば、短時間による短期決着か、もしくは・・・ あの時の君の様に、不意
打ちなどのイレギュラー要素を使うか、その二つしか無いでしょうね」

タイガ「でも・・・ 僕は・・・」
 いや、今は迷っている時じゃない。
 今は・・・

 チラリと、後ろを見る。
 ウェイ・ペイと、その後ろにいる、子供達。

 今は、あの子達を守らないと・・・

ゼロワン「今になって、まだ迷っているんですか? 自分の英雄への道を」
タイガ「いいえ、先生・・・ 僕は今、決断しました」

ゼロワン「それは、どういう?」
タイガ「守りたい物の為に・・・ あなたを倒します。先生!!」

   (FINAL VENT)

 タイガは、デストバイザーにカードを差し込み、ファイナルベントを機動
させた。

ゼロワン「むっ・・・!?」

   (ガッ───!!)

ゼロワン「ぐっ──!」
 ゼロワンが身構えるよりも前に、真横から跳びかかってきたデスト
ワイルダーが、ゼロワンの胸に爪を食い込ませ

    (ガガガガガガ───────ッ!!!)

ゼロワン「グアッ! グッ──!!」
 凄まじい怪力を以ってそのままコンクリートの地面に倒し、その勢いで
コンクリートとの盛大な摩擦音を立てながら引きずっていく。

 タイガのファイナルベント、クリスタルブレイクである。
 本来ならこのまま、デストワイルダーが高速で引き摺って来る敵へ
向かって、デストクローによるとどめの一撃を与える技。

 しかし・・・

タイガ「(そこまでする必要は、もう無いんだ・・・)」

 狙うべき場所は、一箇所。
 ライダーとオルタナティブ、共通の特徴。デッキがあるベルト部分。

 それさえ破壊すれば・・・ 先生は、オルタナティブでなくなる。
 そうすれば、この戦いは終わりだ。

タイガ「ハァァアア・・・!!」
 タイガは身を構え、必殺の構えを取る。

 力の加減を間違う事無く、一撃で、ベルトだけを粉砕するんだ。
 やれる。 いや、やらなくちゃいけない。
 先生は、二度と・・・ 二度と、死なせない・・・!!


 強き意志を炎の如く燃え上がらせ、構えるタイガだったが──


     (AD VENT)


タイガ「え・・・」
 そこに、自分のものではない、アドベントの機動音が響いた。

    (ドガァッ!!!)

 タイガの元へ向かってUターンを始めていたデストワイルダーは、アド
ベントによって呼び出された乱入者によって弾かれ、壁に激突する。

???『シィィィ・・・・・』
 それはオルタナティブの契約モンスター、サイコローグに良く似ていた。
 しかし、タイガの記憶に残るサイコローグとは微妙にその姿が違う。

 その筋肉は肥大しており、体格全体はもはやデストワイルダーよりも
大きい。


ゼロワン「これが、パワーアップした私の相棒・・・ サイコオーガですよ」
 さっきまで地面を引きずられていたゼロワンは、のそりと立ち上がり
ながら、説明を始めた。

ゼロワン「学習してませんね東條君。君のファイナルベント、クリスタル
ブレイクは他のライダーのファイナルベントに比べ、とどめの一撃に至る
までに隙が多いという弱点があるということを。
 実際にゾルダを初めとして看破されているというのに、その欠点を補う
こともせず・・・ 愚かですね」

 タイガとゼロワンが向かい合うその向こうで、サイコオーガとデスト
ワイルダーが、激しく乱闘を繰り広げている。
 しかし、怪力が自慢の筈のデストワイルダーは、既にそのパワーにおいて
劣勢に陥っており、サイコオーガの攻撃を浴び続けていた。

タイガ「う・・・・」
 ダメだ。
 正攻法で、正面から挑む戦闘で、先生に敵うかもしれないなんて・・・
 甘かった。

 本来のこの人は、こんなにも強かったんだ。
 頭脳、技術、応用力・・・ 全てにおいて、差がありすぎる。

 でも・・・

タイガ「うわああああっ!!!!

 それでも、諦めるわけにはいかない。
 タイガは奮い立ち、咆哮と共にデストクローを振りかぶる。

 だが

ゼロワン「・・・無駄な」

      (ザシュウッ!!)

               (ザシュッ!!)

                        (ザシュッ!!)


タイガ「あっ!! ぐっ!! あぐぁあっ!!!」

 その奮起も虚しく、タイガはゼロワンの斬撃の雨に斬り刻まれ、装甲は
抉れ、血の様に火花を散らす。


タイガ「あ・・・ ぐ・・・」

    (ズシャ・・・・・・)

 やがて、ボロボロの状態になったタイガは、その場に力なく崩れ落ちた。

 その向こうでも、サイコオーガの両手に頭部を挟まれたデストワイルダー
は、サイコオーガの両手を外そうとするもそれを動かせず、メキメキと
頭が割れる音を響かせ、早くも外装甲の部分には皹が入り始めている。

ゼロワン「終わりです。貴方がDの民となることを拒否するというのなら」

    (チャキ・・・)

 スラッシュブレイドの刃が、タイガの喉元にあてがわれた。

ゼロワン「せめてもの情けとして、痛みを伴わない死を」

 それは正に、絶体絶命。

 そこに

     (ガァンッ!! ガァンッ!!)

 突如響く銃声。
 その弾丸が、スラッシュブレイドを弾く。

ゼロワン「・・・下らない茶々を入れてくれますね」
 突然の事に対して動揺もせず、ゼロワンはその方向を見る。

滝「・・・・・・」
 そこにあったのは、擦り傷だらけの状態で立ち上がり、特殊弾頭入りの
45口径銃を手に、真っ直ぐゼロワンを狙っている滝の姿。

ゼロワン「そんな時間稼ぎをしようと、貴方達が死ぬ事に変わりは・・・」
滝「うるせえ」

 滝は、ゼロワンの話を一言で遮った。

滝「おい東條・・・ いつまで寝てやがる。さっさと起きやがれ」
 そして、未だボロボロの状態で倒れているタイガに、そう語りかける。

ゼロワン「根性論ですか? 無茶を言いますね。彼はもう戦闘不能です。
 それだけのダメージを与えましたからね」

滝「うるせえっつってんだろ!! テメエは黙ってろ!!!」
 ゼロワンの言葉は紛れも無い事実だったが、滝はそれを怒鳴り返した。

滝「それだけのケガで再起不能だ? 甘えてんじゃねえ!!
 少なくとも、俺の知ってる奴らはそれぐれぇの傷は何度も何度も負って、
それでも平気な顔して戦い続けたんだ!!!

 テメェもライダーなら、根性見せやがれ!!!!


 滝はそう叫びながら、再びショットメリケンを装備し、無謀にも生身の
まま、ゼロワンに突っ込んでいった。

ウェイ・ペイ「はっ!!」
 ウェイ・ペイもまた、滝の横につき、突進する。


タイガ「・・・・・・・・」
 薄れきった意識の向こうで、みんなが戦っているのが聞こえる。
 立たないと、闘わないといけないと心は叫ぶのに、身体は動かない。

タイガ「(どうして・・・ 僕は・・・)」
 大事な時に、何も守れないんだろう。
 やっと、一番大事なことを思い出したっていうのに

 こんな中途半端な所で、僕は再び死ぬのか
 滝さん達も、子供達も守れないまま・・・

 そんなこと、許せない。
 力の無い自分が 許せない


 そして もう一度


タイガ「(動けっ─────!!!!)

 心の中で、タイガが魂の限りにそう叫んだ

 その瞬間


         『ならば、選べ


 その、深く頭の中に響く声と共に
 自分の周りの全ての音が、消失した───


743 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/12(木) 03:59:39

○仮面ライダータイガ→新たな信念の元、変身し戦うも、ゼロワンの強さ
の前に戦闘不能へ、立ち上がろうと心の中で叫んだ所で、誰かの声を聞く。
○滝和也→東條がライダーだった事に驚く。タイガのピンチに傷だらけに
も関わらず立ち上がり、タイガに喝を入れ、ウェイ・ペイと共に突撃
●オルタナティブ・ゼロワン→一度見たものを記憶する能力をいかんなく
発揮し、タイガを追い詰める。

744 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/13(金) 00:10:20


タイガ「・・・・・・・・・?」

 その声に驚き、タイガが再び目を開けると
 目に映る世界は、明らかに・・・

タイガ「え・・・・?」

 止まっていた。
 拳を振りかぶっている滝さんも、スラッシュブレイドを鉄棒で受け流し
ているウェイ・ペイも
 全ての人間は、流れる動きのまま制止しており、空を流れる雲も、鳥も、
全てが灰色になって、止まっている。
 何もかもが灰色で、まるで一時停止した白黒テレビの世界に入り込んで
しまったかのような・・・


東條「ここは・・・?」
 いつの間にやら変身が解け、普通に立っている自分。
 全てが、不思議な・・・

??『少しの間だけ、時間に干渉した』
 突如、背後から聞こえる、重厚のある声。

東條「っ!?」
 反射的に、振り向くと・・・

東條「神崎・・・士郎・・・!?」
 そう、目の前にいたのは、かつて東條にタイガのデッキを手渡し、そして
戦いの選択を与えた男。そして、ミラーワールドライダーを作った男。

東條「何で・・・」
 なんで・・・ あんたが・・・

神崎『間違うな。俺をここに呼んだのはお前だ』
 東條が疑問を口にするよりも早く、神崎はそれに答える。

東條「え・・・?」

神崎『お前の渇望の声が、ミラーワールドを通じ、俺に届いた。
 だから俺は再びここにいる。求める声に応える為に。
 そして・・・ いつかの選択の答えを聞く為に』

東條「助けて・・・ くれるの?」
 そうだ。オーディンの力なら、この状況だって・・・

神崎「・・・ミラーワールドが閉じられた今、俺に出来ることは少ない。
 こうして時間に少しだけ干渉する事は出来る。しかし、この世界で再び
オーディンとしての力は振るえない。そうすれば再びあの惨劇が起こる』

 神崎は静かに、そう答えた。

東條「なんだよそれ・・・ じゃあ、何のために・・・!!」

神崎『俺の役目は、選ばれた戦士に選択を与える事。
 俺は俺の【役目】を果たす。 ・・・さて、訊くぞ東條悟。
 お前の、タイガの資格を有する者としての答えを』

東條「・・・・・・」

 ・・・答え。
 闘いを、戦士であることを、ライダーであることを放棄し、普通の大学
院生、東條悟に戻るか

 いつ死ぬかも分からない戦いの中に、敢えて身を投じるのか

 特に今、このまま時が動き出せば・・・ 待っているのは、確実な死。

 死にたくなんか、ない。

 でも、でも・・・


神崎『答えを訊かせて貰うぞ。放棄か、継続か・・・』

    (ゴゴゴゴゴ・・・・・・!!!)

 神崎の問いの言葉と共に、東條の背後に巨大な鏡が現れる。

東條「これは・・・?」

神崎『この鏡を潜れば、ここから消え、完全な【始まりの場所】に戻れる。
 その代わり、タイガデッキの資格は永久に失うが・・・ モンスターに食わ
れる事もなければ、お前をライダーとして狙う者もいないだろう。
 ・・・望むなら、ライダーに関する全ての記憶を鏡が奪ってくれる』

東條「・・・くぐらなかったら?」
神崎『時が動き出す。それだけだ』

 時が動けば、間違いなく死が待っている。
 しかし、この鏡を潜るのは・・・ 間違いなく【逃げる】ことだ。

東條「僕は・・・」

 滝さんに、話を聞いて。
 巻き込まれる形で子供達を助けに行って

 先生と、正面から戦う事になって

 そこで、ようやく・・・
 自分が守りたかったものが何なのか
 自分が目指したかった【英雄】が何なのか

 ようやく見つけたんだ
 今更 逃げたくなんか無い

 逃げるくらいなら・・・


東條「放棄はしない。死んでも、デッキは捨てない」
 神崎の目を見て、きっぱりと言い放つ東條。

神崎『では、継続を選ぶのか』

東條「違う」
神崎『・・・・・・?』

東條「継続って、変わらず続ける事でしょ?
 それじゃあ、先生に勝てない。滝さん達も、子供達も助けられない」

神崎『では、何を望む?』
東條「・・・・・・・・・」
 東條は、黙り、考え込む。

東條「・・・・・・・・ 進化。 そう、僕は・・・もっと強くならないといけない。
 守る為に力がいる。先生を倒す為の、力が・・・」

神崎『・・・それで、どうする?』

東條「・・・・・わからない。でも、何とかする。
 ・・・何とかしなくちゃいけないんだ。僕が・・・!」

  こんな言葉、先生なら笑うだろう。
 自分でも言っている言葉が支離滅裂だなと、つくづく思う。
 でも、それが・・・ 今の、僕の正直な気持ちだったんだ。

神崎『放棄も継続もしない。進化、か・・・ フ』
 唇の端を歪め、皮肉的な笑みを一瞬顔に浮かべる。

東條「・・・・・・・」
 笑われても仕方が無い。東條はそう思った。
 でも、目の前でそういう反応をされると、やはり良い気分はしない。

 少し前までの自分なら、同じ様に笑っていたろうし
 こんな台詞、まるで・・・

神崎『まさか、お前まであの男と同じような事を言うとはな』
東條「え・・・?」

 神埼もまた、頭の中に同じ男を思い浮かべていたらしい。
 青臭い理想を最後まで貫いて、遂にはミラーワールドを救う楔となった、
あの甘ちゃんライダーの事を。


東條「じゃあ、もう帰っていいよ。
 あとは、僕が何とかするから」

神崎『無謀だな』
東條「・・・・・・」

神崎『だが・・・』
 神埼は、何も持っていない手を、いかにも何かを握っているかのように
構え

 そして

     (ヒュッ・・・)

 まるで、フリスビーを投げるかのような動作で、それは投げられた。

 確かに聞こえる。空を切る音。

東條「な、えっ、あ・・・」
 東條は、反射的に手を下に伸ばし

    (パシッ──)

 その何かを、キャッチした。

東條「・・・・・・?」
 その何かを、目の前に近づけてみると・・・

東條「これ・・・ サバイブカード・・・!?」
 そう、それは確かに、サバイブのカードだった。

 それも、カードの色、そして描かれている形は・・・

神崎『それはお前のサバイブカードだ』
東條「え・・・・!!?」
 唐突な事実に、東條は戸惑い、耳を疑う。

神崎『俺に出来る干渉はこの程度。
 答えは聞いた。あとは・・・ 好きなようにやればいい』

  そうして神崎は背中を向け
 同時に、灰色の世界は、急速に光に包まれ───

東條「眩し・・・・」



  ◇    ◇



    (ドカッ・・・! バキッ・・・!!)

                (ドゴッ!! ベキャッ・・・!!)
 


タイガ「・・・・・・・・」
 まるで夢から覚めるように、まどろみから意識が覚醒していく。
 それと共に、段々周りの音がはっきりと聞こえてきた。

タイガ「(夢・・・・・?)」
 意識を失った僅かな時間の間に、見た夢だったのか?
 じゃあ、サバイブカードは・・・

タイガ「・・・?」
 その時、確か何も持っていなかった筈の右手に、何かが握られている
感触に気が付く。

 まさかと思いつつ、何とか手を持ち上げ、目の前に持っていくと

タイガ「(・・・サバイブ、カードだ・・・!!)」
 夢じゃ、なかった・・・

 なら・・・!


 痛みに震える手に何とか言うことを聞かせ、
 腰にあるデストバイザーに懸命に手を伸ばし、そのカードを・・・

    (カシャ・・・)

 差し込んだ。


    (SURVIVE)



745 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/14(土) 01:47:59

○東條悟→夢現の世界で神崎と対面。選択の結果、サバイブカードを
手に入れ、進化変身
○神崎士郎→東條に選択を与え、サバイブカードを与え、消える

【今回の新規登場】
○神崎士郎(仮面ライダー龍騎)
25歳。清明院大学江島研究室に所属していた元大学院生。
人を仮面ライダーに変身させる技術を開発し、妹の運命を変える目的の為に
ライダー同士の殺し合いを仕組んだ。そうして何度もの【やり直し】を
繰り返しライダーを戦わせた末、最後のライダー戦では、城戸達の戦い様、
そして死に様といったものを見て改心したのか、最後の【リセット】では
全ての戦士達を蘇らせ、世界を平和に戻し、妹と共優衣と共にミラー
ワールドへと帰っていった。
その後、世界の混乱と共に、再び妹と一緒に戻ってきた

746 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/14(土) 01:59:28


 サバイブ、その機動音と共に、大地に倒れ伏していたタイガの体は
大きく光り輝いた。

ウェイ・ペイ「え・・・──?」
滝「なんだ・・・──!?」

 その光に驚く、滝とウェイ・ペイ

ゼロワン「っ────!!?」
 しかし、最も驚きを露わにしたのは、ゼロワンである。

ゼロワン「サバイブ・・・!? バカな・・・!!?」

 タイガには、サバイブは無い筈。
 元から彼には、他ライダーのサバイブ体とも渡り合えるポテンシャルが
あるが、サバイブカードは所有していなかったというのに。

 ゼロワンが僅かな混乱を脳内で繰り広げている内に、目が眩みそうだった
発光は収まり・・・
 そこにあったのは、新たなるタイガの立ち上がった姿だった。


 白銀と青の色を基調にする以前のタイガの姿は、獣の特徴はあれど、その
全体は人に近い形だった。
 しかし今そこに存在しているタイガサバイブの姿は、それとは全く違う。
 所々に以前のタイガに共通する特徴は残ってはいるものの、その全身の
装甲は、より攻撃的に、そして大きく肥大した姿になっており、まるで
触れただけでバラバラに斬り裂かれてしまいそうな、そんな危機感さえ感じ
てしまうほど。

 ショルダーの牙も、より大きく。鋭く。
 戦斧の召喚機デストバイザーは、戦闘に特化した巨大なハルバード型、
その名もデストバイザードへと進化した。

 特に、より仮面よりも【兜】という言葉が似合う形に進化したその頭部
には、獣耳か、角か、にわかにはわからない、雄々しく鋭い突起が、より
野性を強調している。

 その姿、正に獰猛たる獣、幻想の白虎。

 それと同じくして、サイコオーガによって押さえ込まれていたデスト
ワイルダーの体も眩い光を放ち、進化変身を完了する。

 タイガサバイブに呼応し、より巨躯に、より攻撃的な猛虎の姿へと進化
したその者。デストワイラント。

    (ドゥッ───!!!)

サイコオーガ『っ────!!?』

   (ドゴォンッ!!!)

 デストワイラントの渾身の反撃に、サイコオーガは弾き飛ばされ、壁に
その身を大きくめり込ませた。


ゼロワン「・・・・・なるほど。神崎四郎ですか。
 忌々しいですね。またしても私の前に立ち塞がりますか・・・」

  細かな事情はわからずとも、大まかには把握したらしい。

タイガサバイブ「・・・・・・」
ゼロワン「しかし、中身が同一人物である限り、私の敵では・・・」

 そう、いくらサバイブになろうと、基本となる動きのパターンは中の人間
に左右される。そしてそうである限り、ゼロワンは無敵なのだ。

 しかし

デストバイザード『BERSERK VENT

 そんなゼロワンの余裕的思考を打ち砕いたのは、聞いた事の無いカード
の起動音だった。

ゼロワン「っ!!?」

 タイガサバイブの仮面の奥の瞳が、赤く光る。
 そして、次の瞬間

     (ガッ───!!)

ゼロワン「ぐっ───!!?」
 立っていたその場所から一瞬で消えたかと思うと、瞬く間に間合いを
取られ、攻撃を受けていた。

     (ザンッ──!!)

            (ザンッ──!!)

                   (ザンッ───!!!)


 その事実を把握しきるよりも疾く、目でも追いきれぬ獣のような動きで、
タイガサバイブは次々と、凶々しく進化したデストクローで斬撃を加えて
いく。

ゼロワン「(あ、ありえない!! なんだ、この疾さは──!!?)」
 人間の動きの範疇を超えた、正に猛獣の如き俊敏。

 それは、ゼロワンの記憶しているタイガの戦闘パターンとはまるで当て
嵌まらず新たに記憶しようにも、目で追いきれないスピードの記憶など
出来るはずもない。

 ゼロワンは、初めて戦闘において焦りきっていた。
 スラッシュブレイドによる苦し紛れの反撃は全て空振り、その間にも
次々とタイガザバイブの爪はゼロワンを捉え、装甲を抉っていく。



  ◇    ◇



    一方

   雑居ビル  屋上


 トアルデパートの屋上からは、道路を挟んだ向かいに存在する雑居ビル。
 その屋上の、なんとも驚く事に、縁(ヘリ)の上に、一人の女が立って
いた。

 僅か数センチしかない、少しでもバランスを崩せばすぐさま落下し、
トマトを叩き潰した様になってしまうであろうほどの高さであるビルの縁の
上で、まるで大地の上にいるかのように安定した様子で立っている女は、
道路の向こうのライダー達の激闘を静観している。

 身長は、成人男性の平均的な身長に近いだろうか。
 スーパーモデルのような完成された体型と、すらりと伸びた足。
 その脚線美をより引き立たせるのが、彼女の出身を明らかにする真紅の
チャイナ服。

 現実の存在であるかすらも疑いたくなる美貌の主でありながら、彼女を
纏うものは、死の香り。

??「まったく、あれだけ余裕だの何だのと言っておきながら、苦戦してる
じゃあないか。あの無愛想男」

 女は、香川の劣勢に悪態をついている。

 女の正体は、組織の命令によって遣わされた、今回の任に限っての香川の
監視係だった。
 今回の任務が失敗しないように置かれた万が一の伏兵でもあり、同時に
香川が裏切りのそぶりを見せた時は、その場で始末する任も受けている。
 それに彼女が選ばれたのは、彼女が生粋の殺し屋である所以。

??「さて、加勢に行ってやるか・・・」
 そう言って彼女は、その場で大きく屈んだ。
 あろうことか、彼女はそのまま向かいのビルまで跳ぼうとしているのだ。

 しかし

????「そうはいかない」

??「・・・・!」
 背後から響く声に、さっと後ろを睨む。

キャミィ「冥王配下の中国の殺し屋、風(フー)三姉妹の一人、長女の
北風(ペイフー)だな?」

 そこに現れたのは、今では英国特殊部隊『デルタレッド』に所属する、
元シャドルーの少女、キャミィ・ホワイトだ。

北風「へぇ・・・ インターポールがあたし達を追いかけてるって言うから、
てっきりあの春麗かと思ったけど・・・ 裏切り者の方とはね」

キャミィ「・・・・・春麗の代わりに、お前を逮捕する。聞きたい事もある」
 戦闘の構えをとるキャミィ。

北風「ふぅん・・・ それって、あの男かい?」
キャミィ「っ!!」

 北風の問い返しに、キャミィは目を見開いて驚く。

北風「図星みたいだね」
キャミィ「やはり・・・ 黄泉還ったのか・・・!? ベガ様は・・・!」

北風「バカだね。教えると思うかい?」
キャミィ「なら、お前を倒して聞き出す!!」

北風「ハハッ! そりゃ面白いね。・・・やってみな!!!」

   (ゴウッ───!!!)

 途端に、屋上を暴風雨のような風が舞う。

キャミィ「っ───!?」

北風「私は風三姉妹の長(ちょう)、北風・・・全てを吹き飛ばす暴君の風さ!
 裏切り者の悪い子は、私の風でぺちゃんこに潰してやるよ!!」

  体内の気を駆使し、プラズマ旋風を巻き起こすという、風三姉妹の特殊
能力。その中でも最も始末に負えない、強大な風を巻き起こすのが北風
なのだ。

キャミィ「くっ・・・・・!」
 少しでも気を抜けば、吹き飛ばされ、何十メートルも下の地面に叩き
落とされそうなほどの強烈な風。


 二つのビルで、戦士達の熱き攻防は続く・・・

747 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/14(土) 02:13:12

○タイガサバイブ→サバイブに進化変身。新たなカード【バーサーク
ベント】を使い、ゼロワンを押し始める。
○キャミィ・ホワイト→春麗との協力で、北風を逮捕しようとする。
●ゼロワン→タイガサバイブのバーサークの前に、得意の完全記憶も通じず
●北風→キャミィと戦闘開始

【今回の新規登場】
○キャミィ・ホワイト(ストリートファイターズ)
元シャドルーの構成員、コードネーム【キラービー】。
そしてベガのDNAを元に作られた強化クローン人間。通常の人間には無い
超回復力を持ち、骨折は大体一週間あれば完治するなど、通常の人間とは
相違点がある。マインドコントロールによってベガに盲従していたが、
春麗により助けられ、以後行動を共にする。
現在は英国特殊部隊【デルタレッド】に所属。

●北風(ストライダー飛竜シリーズ)
中国最強と謳われる殺し屋、風(フー)三姉妹の長女。三姉妹中最もパワーの
ある風を操る。長女なのにリーダーで無いのは、性格が豪放磊落である
からという説が濃厚。【五界混沌事件】で登場した北風は東風そっくり
だったため、これは名前だけの東風の何らかのコピー説が濃厚。

748 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:16:57

※このストーリーは全編が基本的にギャグであり、
本編のシリアスな流れとは一切関係ございません。

***ヒーロー星***

ここは地球から100万光年離れたところにあるヒーロー星である。
そしてそこにはひときわデカイ建物がそびえ建っている。
これぞ全宇宙ヒーロー協会の本部なのである。

                  ∧  iニニiニiiニニiニi
          †_____| ̄|_____/;:;:'i,....|  |;;| |  |;;|iニニiニi               iニ::iニi
     †  'i.|.i' /;i 'i.|.i'   'i.|.i';:;: ;,;'†iニ 'i.|.i' 'i.|.i' .'i.|.i'.ー†、,______________| |::|
    ∧ ,i鬻i、; i ,'i鬻i`、 /鬻i、;;;;;;∧ /i鬻i,/i鬻i/i鬻i、::∧ :.::.:__::.::.:.__:::.:.:..__:.::.:.__: \!_|
   |/ 'i,_iニニニ.、iニニニニヽiニニニ.、:/  'i, ニニ'i,,,ニニ'i,,ニニ,/  'i,::/∧:::/∧:::./∧.::/∧:::/∧
  ,,,/i''"``i:|i--i|;:;||i_i i_i |;:;|:|i--i|;:;|i''"``l|i--i|;;|i--i||i--i;i''"``i:| i:ロ|::| i:ロ|::| i:ロ|::| i:ロ|::| i:ロ|\
 | / i''"``i;|i_ii_i|;:;||i_i i_i |;:;|:|i_ii_i|;:;|i;ロ;: ||i_ii_i|:,|i_ii_i||i_ii_i;|;;   |ニニニニニニニニニニニニニニニニニニi
, ;|/__i'ニニi'ニニニニニニニニニニニニニニ;:iニニニ|ニニニニニニニニニ;iニニニ|:全宇宙ヒーロー協会本部  |
;;`|∩| ::::l |i--i|; __|ロロ|_,,|i--i|;;:;|   | |i_i| |.|i--i| |i_i| |;;   | | ̄| | ̄| | ̄| | ̄| | ̄| |
; |:! !|コ :::i |i_ii_i|; iLiLiLiLiL||i_ii_i|;;:;i;ロ;: | |i_i| |.|i_ii_i| |i_i| |;;   | |_i_i| |_i_i| |_i_i| |_i_i| |_i_i| |
;!;:|:!_!i'ニニiニニニニ `ー--- "ニニニニ;:iニニニ|lニニニニニニニニニiニニニ|ニニニニニニニニニニニニニニニニニニi
; |  | ;;::i|i--i|;| ;;i:, '⌒`、| ;;i|i--i|:;|   | |i_i|;, '⌒`、:|i_i|;;|;;   | ..!;;:∩|''⌒ 、 !;;:∩| |i_i| :|i_i| |
; |  | ;;:;i|i_ii_i|;| ;;i:|   || ;;i|i_ii_i|:;i;ロ;: | |i_i|;|   |:|i_i|;;|;;   | ::!::::! !|::...  i !::::! !| |i_i| :|i_i| |
:';:;'':':`::';:;============ニニニニニ;:iニニニ|ニニニ]ニニニ]ニニ:iニニニ|;;| ̄ ̄|:ニニニ| ̄ ̄|ニニニニニニi
-ー''"’~| ,,.:;:、。,., ,.;:::.,、。、|;;;;.  ,.,,,':';::':';:;'':'`::';:::ニニニi,,':';::':';:;'':'`::';::':';::':ニニニi:;'':'`::';::':';:;'':'`::';::
:';:;'':'`:';:;'':'`::';::;::':';:::;;:':';:::;::':';::':';::;;::;;'':'`::';::;;:`:;ニニニi,,':';::':';:;'':'`:':';::':':';::'::';:::';:;'':'`::';::

そのヒーロー協会会長の執務室では、
今日も会長が大量の書類の決裁に追われていた。

秘書「では次はこちらの処理をお願いします」
会長「うむ。…む、何だこの莫大な額の請求書は?
 これは先月分か?」

会長が目にしたのは、並みの国家予算を軽く超える
損害賠償請求書である。

秘書「……先週分です。あの二人…
 …デルタ銀河評議会から地球に派遣されている連邦警察査察官
 ……例の建造物破壊及び都市半壊の常習犯の仕業です!!」
会長「ああ…あの彼女達の事かね」

湯飲みの茶を一口飲んだ会長は、
落ち着き払って言う。

会長「しかし彼女達はあのデスアント帝国を
 壊滅に追い込んだ実績もある訳だし、
 その功績に免じて多少の件はチャラにしてやっても…」
秘書「だとしても彼女達の行動は常軌を逸しております!
 現に同じ地球在住の他のヒーロー達からも、
 こうしてたくさんの苦情が…」
会長「えーコホン。ねえ君、彼女達もまだ若いのだよ。
 人生には若さゆえの過ちというものもある。
 ならば我々はそのような若者達をサポートしつつ
 正しき道へと導けるように――」
秘書「――ところで会長、こちらの政治資金収支報告書によると
 貴方の銀行口座にデルタ銀河評議会から多額の寄付金が
 振り込まれているとか…?」

会長「関係ない関係ない


秘書「やはり次回の会長選挙絡みですか…?」



会長「関係ない関係ない

749 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:17:57

舞台は代わってここ、
太陽系第三惑星・地球である。

***日本 東京・新宿***

::::::::::::::::::::::::......   ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
           γ ⌒ ⌒ `ヘ
          イ ""  ⌒  ヾ ヾ    ドガァァァァァァァァン.....
        / (   ⌒    ヽ  )ヽ
        (      、 ,     ヾ )
 ................... .......ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ........... ........
 :::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....|  |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
  _ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''!  i;;;〜−ヽ_ii_i=n_ [l h__
  /==H=ロロ-.γ ,〜ー'''l ! |'''ーヾ  ヾ 「!=FH=ロロ
  ¶:::-幵-冂::( (    |l  |    )  )=HロΠ=_Π
  Π=_Π「Uヾ、 ⌒〜"""''''''⌒〜'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
 Д日lTl,,..:''''"   ""'''ー-┬ーr--〜''""   :::Д日lT::::
 FH=n.:::::'            |   |         :::FL日l」:::::
 ロΠ=:::::.:.        ノ 从 ゝ        .::田:/==Д::
 口=Π田:::.                   .::::Γ| ‡∩:::::
 Γ| ‡∩Π::....                ...:::Eヨ::日lTlロ::::
 Д日lTlロ_Π::::.......            ...::::::::田:凵Π_=H:::
 =Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl

夜の新宿繁華街。
四越デパート及びその近隣周辺のビル群が
大勢の通行人を巻き込んで崩壊した瞬間である。

万引き男「………はぁ…はぁ」

瓦礫の中から高級下着に塗れた一人の中年男が
命からがら必死に這い上がってきた。

???「逃がさないわよ!」
万引き男「――!!」

男の前に立ちはだかる、
青と桃のパワードスーツに身を包んだ
謎の美少女?二人組。

万引き男「…い、いったいお前らは何者なんだああ!??
 (((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク」
???「私達は正義の味方!」
???「絶対正義!ラブフェロモン!」
万引き男「いくらなんでもやりすぎだぞ!!
 たかがデパートから下着を万引きしたくらいで、
 俺を殺す気かああ〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!!!!」
???「絶対悪は許さない!
 正義のためなら何をしてもいいのだ!!」

万引き男「んな訳あるかあああ〜〜〜〜っっっ!!!」
???「問答無用!!
???「外道成敗!!

万引き男「ぎゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

断末魔の悲鳴…。
こうして今日もまた、一つの悪が正義の刃の前に滅び去った。

そして、その光景を遠くの物陰からじっと見つめている、
年の頃なら二十歳過ぎ、長い銀髪の美人で、異国風の貫頭衣を来た
怪しげな雰囲気の一人の女が……。

???「…こ、これだわ! 思えば時空のゆらぎを通って
 この世界に迷い込んでは来たけれど、きっとこれこそ神のお導き!
 ああ…赤の竜神スィーフィードよ! 感謝いたします!」

果たしてこの女の正体は?
そして正義の美名の下に次々と街を壊しまくって行く
謎のパワードスーツ美少女コンビは何者か!?
詳細は次回を待て!!

750 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:18:59

○ヒーロー協会会長→ラブフェロモンに対する苦情を握りつぶす。
△謎の女→悪事の限りを尽くす正義の味方ラブフェロモンを
 どこか憧れの眼差しで見つめている。

【今回の新規登場】
○超ウルトラ必殺スペシャルマン(とっても!ラッキーマン)
 全宇宙の正義の味方の頂点に立つ全宇宙ヒーロー協会の会長。
 目、鼻、口が「エ、ラ、イ」の文字で構成された顔をしている。
 ちなみにウルトラマンにヒーロー認定証を授与したり、
 セーラームーンを命名したりしたのも彼だそうである。
○佐嶋薫子(あかほり外道アワーらぶげ 絶対正義ラブフェロモン)
 泣かず飛ばずの若手お笑いコンビ「らぶふぇろもん」のツッコミ担当だが、
 それは世を忍ぶ仮の姿。実はデルタ銀河評議会から派遣された
 正義のヒロイン「ラブフェロモン」の一人で、メカの天才でもある。
 暴走する相方の愛美をいつも必死に抑えようとする常識人。
 メカフェチでショタコン萌えの趣味がある。
○良澄愛美(あかほり外道アワーらぶげ 絶対正義ラブフェロモン)
 お笑いコンビ「らぶふぇろもん」のボケ担当。
 勿論その実体は薫子と同じく正義のヒロイン「ラブフェロモン」の一人。
 表稼業の芸人としての知名度も上げるため、正義の味方として
 悪人に対して鉄槌をくだすが、ついでに暴れ放題で街も破壊していってしまう…。
△???(スレイヤーズすぺしゃる/スレイヤーズN・EX)
 その素性は次回にて詳しく解説。

751 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:19:57

***正義荘***

ここは多くの正義のヒーロー達が下宿している
アパート『正義荘』である。このアパートの一室に住む
若手お笑いコンビ『らぶふぇろもん』の二人、
佐嶋薫子と良澄愛美は、マネージャーの関智一から
衝撃的な事実を告げられていた。

薫子「入っていた仕事が全てキャンセル〜!?」
愛美「どーゆーことよ説明しなさい!!!」

関マネージャーの首をぐいぐいと締め上げて
問い詰める愛美。

関「…く、苦しい! その手を放してください!!」
薫子「あ、愛美落ち着いて!!」

薫子になだめられ、ようやく手を放す愛美。
咳き込みながら薫子に差し出されたコップ一杯の水を口にして、
ある新聞記事の切れ端を差し出す。

関「まずはこれを読んでみてください」
薫子「…えーなになに……なにこれ新興宗教絡みの
 トラブルの記事じゃない?」

その記事には、強引な勧誘や霊感商法などで
社会問題となっている、ある新興宗教のニュースが書かれてあった。

愛美「それとアタシたちと何の関係があるってゆーのよ?」

…と言いつつ愛美は、冷蔵庫から取り出したアップルジュースをひと口。

関「その新興宗教って言うのがですね〜、
 都内の郊外にある一区画の土地を勝手に不法占拠した上で
 無断で掘っ立て小屋をおっ建てて、
 ラブフェロモン神教なんて看板を……」

愛美「ばぶぴゅるいっ!!!!!!!!!

思わず愛美が吹き出してしまったジュースが
薫子を直撃する。

薫子「…ちょっと、やだ汚いじゃない愛美!!」
愛美「ご、ごめ〜ん(汗。…ちなみに今何と??」
関「だからラブフェロモン神教ですよ。
 何でも街をぶっ壊しまくってるヒーローの『ラブフェロモン』を
 崇め奉る宗教だとか。…そんな訳でウチのコンビ名の『らぶふぇろもん』と
 名前が似てるせいもあって、この問題に絡んでどこのテレビ局も敬遠してる次第でして…」

ヒーローとしての自分達の名前を勝手に怪しい宗教の名前に
利用されていると知り、激怒する愛美と薫子。

愛美「おにょれ許せん!!」
薫子「教えてもらいましょうか。その掘っ立て小屋の場所とやらを!?」

752 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:20:46

***ラブフェロモン神教本部***

都内の外れに位置する、その建物のまん前で
やって来た薫子と愛美は茫然と佇んでいた。

薫子「………(汗」
愛美「………(汗」

関マネージャーからは掘っ立て小屋と聞いていたものの、
なかなかどうして、小さいながらもちゃんとしたつくりの建物である。
そして玄関先にはデカデカとラブフェロモン神教の看板がかかっていたりする…。

いつもなら萌着・萌射した後、
問答無用で必殺技をぶちかまし、跡形もなく消し去るところだが、
かと言ってこんな看板を出されている以上、
事の真相を確かめておきたい気もするし……
そうやって二人が悩んでいると――

???「あのー?」

後ろから声がした。
薫子と愛美の二人が振り向いてみれば、
買い物帰りの食料品の詰まったビニール袋を片手に
こちらを見つめて佇む一人の女性。

???「ひょっとして入信希望者の方ですか?」
薫子「入信希望者云々…って事は貴女ここの関係者?」
???「はい。わたくし、ウィレーネと申しまして、
 このラブフェロモン神教の教祖をしております」

ウィレーネと名乗ったその女……
見た目には怪しい宗教団体の関係者には見えないが…。

愛美「教祖だああっ!??? じゃあアンタが〜!!!」
薫子「まあ落ち着いて薫子。ウィレーネさん…でしたっけ?
 まずは詳しく話を聞かせてもらえます?」
ウィレーネ「わかりました。立ち話も何ですので、
 まずは中にお入りください」

753 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:21:21

礼拝堂へと通された薫子と愛美を
さらなる衝撃が襲う!

薫子「――!?」
愛美「――!?」

正面の祭壇には角が三本、腕が六本、
おまけに背中にはコウモリみたいな羽まで生えた
怪しさ大爆発の石像が二つ。

薫子「あ、あれって…もしかして?(汗」
ウィレーネ「ええ、わがラブフェロモン神教の御神体、
 絶対正義ラブフェロモン像です♪」
愛美「うああああっ! やっぱしぃぃぃっっ!!!」

自分達そっくりの御神体の像を前にして混乱しまくる二人を前に、
ウィレーネは自分の宗教観を熱く語り始めた。
このウィレーネ、実は元々地球の人間ではなく、
時空クレバスを通って異世界からやって来た漂流者だという。

ウィレーネ「実は私、時空のゆらぎに巻き込まれて
 偶然この世界に迷い込む前は、赤の竜神スィーフィードに
 仕える巫女をしていたんです」
愛美「シーフード? ずいぶんと美味しそうな神様ね」
薫子「スィーフィード!!」

愛美のボケに薫子がすかさずツッコミを入れる。

ウィレーネ「…ですが、教義を深く研究すればするほど、
 そのうちに含まれる矛盾に気づいてしまって、
 それで巫女を辞めて、他のいろいろな宗派についても
 詳しく調べてみたんですけど、結局どれもどこかに矛盾を含んでいたんです」
愛美「ま、宗教なんて所詮どこもそんなよーなもんよね」
ウィレーネ「そこで私は思ったんです。
 完全な教えがないのなら、私の手でそれを作ろうと!
 真理とは矛盾しない事…それこそまさしく破壊神信仰!!」
薫子「…ちょっと待って」
ウィレーネ「下手に誰かに救いを与えようとするから
 理論に矛盾が出るわけで、見境なく壊しまくるなら、
 そこには何の矛盾もなし!」
薫子「おいおい…」
ウィレーネ「見境無しに壊しまくるといえば、
 世間で噂のラブフェロモン! そこで御神体は破壊神ラブフェロモンに決定!
 ……という事で、皆さんも是非入信してみませんか?」
薫子「するかぁぁぁぁぁぁぁっ!」

754 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:22:08

薫子「だいいち目的と手段が入れ替わってるでしょーが!
 人や世の中を救うのが目的の宗教なのに、見境なく破壊してどーするか!!」
ウィレーネ「それはさておき」
薫子「さておかないで! 愛美、アンタからも何か言ってやんなさいよ!!
 この人が変な宗教始めたせいで、アタシたちの芸人としての
 仕事が来なくなっちゃったのよ!!」
ウィレーネ「あら、貴女…」

突如ウィレーネの視線が愛美に向いた。

愛美「え、アタシ?」
ウィレーネ「貴女、あの人によく似ているわね」
愛美「あの人??」
ウィレーネ「実はラブフェロモン以前に
 破壊神のモデルになってもらいたい女の人がいたんですけど
 その人には断られちゃって…」

「――いたのか!? 自分達以前にも
破壊神として担がれそうになった、もの珍しい人間が…」
と聞いていて呆気にとられる薫子。

愛美「あら〜そんなにその女の人って私に似てたの?
 よっぽど美人で可憐な人だったのね♪」
ウィレーネ「えーそうですわ。特にその貧乳のあたりが…」
愛美「――!!」

この時、愛美のブロックワードが作動した!

ぼごもわぁぁぁん!!!!!!!!

突然巻き起こる大爆発! 周囲の煙が晴れた後で、
いつものお立ち台ロボット『ペガセ』の上に勇ましく立つ、
パワードスーツに身を包んだ正義の味方ラブフェロモン!

愛美「愛あるところに香り立つ!」
薫子「絶対正義の華が咲く!」
愛美「この世の悪をぶった切り!」
薫子「無くしてみせましょ邪の心!」

絶対正義ラブフェロモン!
正義と笑いの究極コラボ!

ウィレーネ「まあ、貴女達がラブフェロモンだったんですね!
 感激ですぅ〜〜!!」

ラブフェロモンの正体にようやく気づくウィレーネ。

愛美「正義の申し子ラブフェロモンを破壊神に仕立て上げ、
 陥れようとする行為はまさしく悪!」
薫子「怪しげな宗教に勝手に人の名前を使わないでほしいわね!」
ウィレーネ「えっ? それじゃあ破壊神になるつもりはないんですか?」
薫子「当然でしょ!!」
ウィレーネ「そ、そんなぁ〜。この世界に来てやっと理想の
 信仰の対象に巡り会ったと思ったのにぃぃ〜〜!!
 もう信者だっているんですから、今更そんなわがまま言われても困ります!!」

「こんな宗教に信者がもういたのか…!?」と正直呆れつつも……

薫子「困ってるのはこっちだっつーの!!」
愛美「とにかくっ! アンタが破壊神を拝もうが何しようが
 勝手だけど、ラブフェロモンの名前を使うのだけはやめてもらうわよ!!
 使うなら他のにしなさいよ!!」
ウィレーネ「ダメです! 何でも貴女達は
 一度はこの地球すらも滅ぼした事があるそーじゃないですか!?
 これ以上の適任者が他にどこにいるんです!?」

デスアント帝国との決戦の時、
愛美は怒りに任せて敵の地球破壊兵器を起爆させ、
確かに一度は地球を滅亡させた事があった。
(尤も、その後すぐに復興したのはお約束だが…)

薫子「くっ…この女、知りすぎている!」
愛美「口は塞がねば!」

外道成敗!!

755 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:22:49

ウィレーネ「ぎゃああああああああ!!!!!!!!!


                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
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              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´

――かくて。
『ラブフェロモン神教』の本部は、
絶対正義ラブフェロモンの必殺技によって
ウィレーネの野望と共に消え去った………はずなのだが??

ところで外道乙女隊の出番はまだなのか!?

次回、『ラブフェロモン破壊神化計画大作戦!』に続く!

756 名前:番外編/破壊神はつらいよラブフェロモン!:2006/10/14(土) 23:24:17

△ウィレーネ→ラブフェロモンを破壊神として崇拝する新興宗教を興す。
○ラブフェロモン→ラブフェロモン神教の本部破壊に成功!

【今回の新規登場】
○関智一=セキーマン(あかほり外道アワーらぶげ 絶対正義ラブフェロモン)
 お笑いコンビ『らぶふぇろもん』のマネージャー。
 その実体は正義のヒーロー、セキーマンである。実家は超大金持ち。
 尚、同姓同名の某声優との関係は不明。
△ウィレーネ(スレイヤーズすぺしゃる/スレイヤーズN・EX)
 元は赤の竜神スィーフィードに仕えていた巫女だったが、
 教義に矛盾を感じて破壊神信仰へと走る。以前にリナ・インバースを
 破壊神に仕立て上げようとしたが失敗した。

757 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/14(土) 23:28:25

ラブフェロモン神教の一件から2〜3日経った、
ここは某劇場の楽屋である。

???「らぶふぇろもんの皆さんですね?」
薫子「……そうだけぶぅぅぅぅっ!

横からかけられた女性の声に振り向いて答えた途端、
薫子は盛大に口の中のお茶を噴出す。
お茶を吹きかけられたその女性は、
某番組制作会社のプロデューサーを名乗り、
デカい帽子を目深に被り、サングラスも着用、
口元もマフラーなんぞで隠しているが、
正体はもろバレである。

???「実はらぶふぇろもんのお二人を見込んで
 お願いしたいバラエティー関連のお仕事があるんです」
薫子「バラエティー…?(汗」
???「ええ。渋谷か六本木辺りで、とりあえず名乗りを上げてから
 高層ビル街の半分ほどを吹き飛ばしていただければ…」
薫子「するかあああああっっ!!

目の前のちゃぶ台を勢いよくひっくり返す薫子。

薫子「あのねーウィレーネさん。
 まだあのアホな計画を諦めてないとは
 往生際が悪いわよ」
愛美「え! この人ウィレーネさんだったんだ」
薫子「気づけよオイ!」

一瞬硬直するも、変装を脱ぎ捨て
指をぴしぃっ!とさし返すウィレーネ。

ウィレーネ「さすがですねラブフェロモン!
 番組出演の依頼と見せかけ、さりげなく破壊活動をさせ、
 破壊神として目覚めさせようとした、この私の緻密な計画を
 いともあっさりと見破るとは!」
愛美「オーッホッホッホ!
 貴女の計画なんか最初からお見通しよ!」
薫子「オイオイ…(汗」
ウィレーネ「ともかく…結局お二人は頑張って一人前の
 破壊神になろうという気はないんですね?」
愛美「よくよく考えてみたら、それもそれで面白そうな気もするけど」
薫子「やめんか!!」
ウィレーネ「ふっ…なら仕方ありませんわね…」

ウィレーネは突然指笛を吹いた。

薫子「何のつもりよ!?」
ウィレーネ「たった今ラブフェロモン破壊神化計画が発動したのです!」
愛美「ラブフェロモン破壊神化計画??」
ウィレーネ「ラブフェロモン破壊神化計画が発動した以上、
 貴方達お二人は、もはやご自分の意思に関わりなく
 立派な破壊神へとなるのです!
 ……さあお待たせしました。出番ですわ、皆さん!!

楽屋の中にずかずかと数人の人影が入ってくる。

???「うふっ…ふふふふふふ」
???「フッフッフッフッ………」
???「フフ…フフフフフ……」

薫子「あ、あんたたちは…!(汗」

758 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/14(土) 23:29:20

薫子「もしかして音子ちゃん?」
音子「お久しぶりです、薫子さん」

北華五姉妹――またの名を外道乙女隊。
北華家の五人姉妹は、早くに両親を亡くしてビンボーな生活だが、
それでも純真さを忘れずケナゲに明るく毎日を暮らしていた。
そう。五人には大いなる夢があった……。

それは――『立派な悪』になること。

北華家は代々、悪の組織に所属し、戦闘員として働いてきた家系!
死の間際、父が残した『お父さんとお母さんがなれなかった怪人になってくれ……
お前たちは立派な悪になってくれ』との遺言を胸に深く刻み込み、
今日も彼女達は『純粋な心』で『立派な悪』を目指す!

愛美「うそーっ!! A・N・G・E・Lの鷲崎飛翔くんと
 鷹城電光くん!?」
飛翔「あ、どうもご無沙汰してます」
電光「アホッ! 挨拶してどないすんねん!
 ワイらA・N・G・E・Lとザ・ハーツのジョイントライブ、
 前座で漫才やっとったこいつらに会場を爆破されて
 めちゃめちゃにされた恨みを忘れたんか!?」
飛翔「あ、いや…それはそうだけど…(汗」
電光「しかもこいつらは疾風やハーツの藤丸をも
 毒牙にかけおったんやで!!」
薫子「あのー、ところで疾風くんと藤丸くんは…?」
電光「連れてくるかーボケー!!」
薫子「チッ…残念」

人類誕生以前の太古の宇宙で宇宙の運命をかけて
邪悪な超魔一族と争う正義の戦士――超者ライディーン。
彼らの表の顔は、今をときめく人気アイドルグループ『A・N・G・E・L』である。
実は数日前、あるライブ会場にて
A・N・G・E・Lの前座としてステージの上に立ったらぶふぇろもんが
漫才のオチに爆薬を使用。会場は壊滅し、ライブは急遽中止となった経緯がある(笑)。

竹之内「おい…俺たちの関係者が誰もいないようだが?
 ひょっとしてさりげなく無視されてないか…?」
ゴリ「ご安心をボス。すでに手は打ってあります」
竹之内「そ、そうなのか…(汗」

竹之内豊 16歳。
一件老けて見えるが、こう見えて高校一年生で、
三年生からも一目置かれるクロ高のウラ番。
しかし彼には“ものすごく乗り物酔いしやすい”という恐るべき弱点があった。
電車やバスをクリアする前に飛行機に搭乗、それが彼の悲劇の入り口。
宇宙猿人ゴリに拉致され、現在はゴリ一味のボスに担ぎ上げられているが
破壊神に仕立てたらラブフェロモンに体よくボスの座を押し付け、
自由の身になろうと企んでいる。

ウィレーネ「こちらの信者さんたちが各地でラブフェロモンを名乗り、
 破壊活動を行なうのですわ!!」
薫子「な、なんですってえええっっ!!?」

ラブフェロモンの評判を貶め(今でも充分評判は低いが…)
破壊神に追い込もうとする陰謀!
これ以上悪評が広まれば、今度こそヒーロー協会からも
除名されかねない!

薫子「そうはさせないわよっ!
 あんたのそのくだんない野望!
 何としてでも止めてみせる!」
ウィレーネ「出来るかしら?
 さあ皆さん、レッツゴーです!」

ウィレーネの号令の下、後ろに控えた連中は一斉に外へとダッシュ!!

飛翔&電光「超者降臨!!

ゴリ「ラーよ! 攻撃の時は来た!」
ラー「ウホッ…ウホホッ」

音子「じゃあ、わたしたちも行くわよ♪」
妹香&翼&可菜子&詩乃「オーッ♪」

薫子「あーちょっと待ってたらあああっっ!!!」

ついに発動した、ウィレーネのラブフェロモン破壊神化計画
果たして我らの絶対正義ラブフェロモンは、
ウィレーネのこの計画を阻止することが出来るのか!?
それともこのまま破壊神としての道を突き進んでしまうのか!?
(もう初回から突き進んどるが……)

次回へと続く!

759 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/14(土) 23:33:13

△ウィレーネ→新たな信者を使い、ラブフェロモン破壊神化計画を発動。

【今回の新規登場】
●北華音子(あかほり外道アワーらぶげ それゆけ!外道乙女隊)
 既に壊滅済の悪の組織ゾルゲナーの戦闘員28号の娘で
 北華五姉妹の長女。魔法少女・外道乙女隊として「水」の魔法を扱うが、
 その優しい心根が災いしてか、いつも人助けばかりしてしまう。
●北華妹香(あかほり外道アワーらぶげ それゆけ!外道乙女隊)
 北華五姉妹の次女で、マリオン学院高等部に通う16歳。
 幼児体形でメガネっ娘。魔法少女・外道乙女隊として「火」の魔法を使う。
●北華 翼(あかほり外道アワーらぶげ それゆけ!外道乙女隊)
 北華五姉妹の三女で、マリオン学院中等部に通うボクっ娘。
 バナナが大好物。魔法少女・外道乙女隊として「土」の魔法を操る。
●北華可菜子(あかほり外道アワーらぶげ それゆけ!外道乙女隊)
 北華五姉妹の四女。小学生でありながら、姉妹では音子の次にスタイル抜群の巨乳。
 魔法少女・外道乙女隊として「木」の魔法を使う。
●北華詩乃(あかほり外道アワーらぶげ それゆけ!外道乙女隊)
 北華五姉妹の五女。保育園に通う空想大好き少女。
 魔法少女・外道乙女隊として「光」の魔法を使う。
○鷲崎飛翔=ライディーンイーグル(超者ライディーン)
 人気アイドルグループ『A・N・G・E・L』のリーダー。
 その実体は悪の超魔と戦う翼の戦士ライディーンの一人。
○鷹城電光=ライディーンホーク(超者ライディーン)
 人気アイドルグループ『A・N・G・E・L』のメンバー。
 その実体は悪の超魔と戦う翼の戦士ライディーンの一人。
 普段は関西弁を話すが、実は関西出身ではない。
 飛翔とは「イカちゃんヒーちゃん」なる漫才コンビを勝手に結成している。
△竹之内豊(魁!!クロマティ高校 THEMOVIE)
 全日本のワルが集結するというクロマティ高校の一年の頭。
 乗り物にとにかく弱い。偏差値は60以上あったが、
 クロ高が一番家に近いため車酔いを避けるために入学した。
●宇宙猿人ゴリ(宇宙猿人ゴリ/宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン/
 スペクトルマン/魁!!クロマティ高校 THEMOVIE)
 惑星Eから追放された天才科学者。IQ300で万能椅子に座って様々な開発を行なう。
●ラー(宇宙猿人ゴリ/宇宙猿人ゴリ対スペクトルマン/
 スペクトルマン/魁!!クロマティ高校 THEMOVIE)
 ゴリの忠実な部下。軍人で気が荒く、はっきり言ってバカ。
 しばしばヘマをしてゴリに叱られている。
 でもゴリのたった一人の部下なので、その絆は強い。

760 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/14(土) 23:34:47

ラブフェロモンを破壊神として世に広めようと目論む
ウィレーネの号令の下、大都会の人ごみの中へと消えた
ラブフェロモン神教エージェントたちを追う、我らの絶対正義ラブフェロモン!

薫子「…ったく…」

小さくため息をつき、そばの壁に目を見やる薫子と愛美。
そこにはでかでかと――

ラブフェロモン三上!!

――とだけ、ペンキで大きく落書きされてあったのだ。

愛美「三上って誰よ!?」
薫子「違うわよ!! これ参上って書いてあるのよ!!」

このままだと破壊神だのと言われる以前に
ラブフェロモンはロクに漢字も書けないとのレッテルを貼られてしまうぞ!
どうするラブフェロモン!!

薫子「……ともかくっ! ペンキの乾きが遅いところからすると、
 これを書いた奴はまだそう遠くへは行ってないわね。
 (以下、心の声:もし、これを書いたのが音子ちゃんだとしたら…)」

薫子は一計を案じると、突然大声で叫び始めた。

薫子「あーっ! あんなところに大盛り激辛カレーライス10杯完食
 30分以内タダの看板がああっ!!!」

その時、向こうの物陰から微かに人の気の乱れが!?

薫子「そこだ!! ミサイル全弾発射!!」

::::::::::::::::::::::::......   ........::::::::::::::::::::::::::: ;;;;;;;::::::::::::::::::
           γ ⌒ ⌒ `ヘ
          イ ""  ⌒  ヾ ヾ    ドガァァァァァァァァン.....
        / (   ⌒    ヽ  )ヽ
        (      、 ,     ヾ )
 ................... .......ゞ (.    .  ノ. .ノ .ノ........... ........
 :::::::::::::::::::::::::::::::::ゝ、、ゝ.....|  |..., , ノソ::::::::::::::.......::::::
  _ _i=n_ ._ [l_ .._....,,. .-ー;''!  i;;;〜−ヽ_ii_i=n_ [l h__
  /==H=ロロ-.γ ,〜ー'''l ! |'''ーヾ  ヾ 「!=FH=ロロ
  ¶:::-幵-冂::( (    |l  |    )  )=HロΠ=_Π
  Π=_Π「Uヾ、 ⌒〜"""''''''⌒〜'"´ ノ;;'':::日lTΠl:::....
 Д日lTl,,..:''''"   ""'''ー-┬ーr--〜''""   :::Д日lT::::
 FH=n.:::::'            |   |         :::FL日l」:::::
 ロΠ=:::::.:.        ノ 从 ゝ        .::田:/==Д::
 口=Π田:::.                   .::::Γ| ‡∩:::::
 Γ| ‡∩Π::....                ...:::Eヨ::日lTlロ::::
 Д日lTlロ_Π::::.......            ...::::::::田:凵Π_=H:::
 =Hロ凵Π=_Πロ=HロΠ:::.................:::::::::::口ロロH「l.FFl

音子たち「きゃあああ〜〜!!!!!」

悲鳴を上げながら爆風と共に吹き飛ばされてくる外道乙女隊。

可菜子「てへへ……」
翼「ちぇっ、もう見つかっちゃった」

愛美「てへへ…じゃないっつーの!
 よくも漢字の書き間違いなんて姑息な手で
 あたしたちを陥れようとしてくれたわね!」

音子「すっご〜い♪ あの漢字の間違い、
 愛美さんにも解ったんですね!」

愛美「…な、なんですって(怒

761 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/14(土) 23:35:58

外道乙女隊の身柄を確保したラブフェロモンは
続いて超者ライディーンの鷲崎飛翔と鷹城電光を追うべく
新宿駅前の●ミネ●しもとに来ていた。

電光「イカちゃ〜ん!!」
飛翔「ヒーちゃ〜ん!!」
電光「あのラブフェロモンがまた街中でミサイルを発射しおったそうやな!」
飛翔「ほんに物騒な連中やな!」
電光「しかも今度は都庁に向けて7発も!」
飛翔「そうなんか!正義の味方の風上にもおけん奴らや!」
電光「でもラブフェロモンは、こんな事ばっかりやってたらアカン!」
飛翔「そや!その通りや!」
電光「胸がもったいないからや!」

薫子「何言ってるのおお〜〜〜っっ!!!!

すかさずステージ上めがけてバズーカを発射する薫子。
その過程で観客も何人か巻き込まれた模様(笑)。
身につけていたステージ衣装もボロボロになりながら
瓦礫の中に埋もれている飛翔と電光。

電光「…さ、さすがやラブフェロモン。
 噂に聞いとっただけあって…ツッコミだけは一流やな……」

愛美「一体何やってたのよアンタたち!?」

電光「フン…言わずと知れたこと…。
 おまいらのような副業で漫才師やっとるような…三流のヒーローに…
 ……真のお笑いっちゅうんを…教えてやろう思うとったが……
 どうやら教えられたんはワイらの方やったみたいやな……ガクッ!!」
飛翔「……いや、電光、副業でお笑いやってるのは……
 ……俺…たち…も……同じ…だか………ら…ガクッ!!」

気を失う飛翔と電光。

薫子「これで二組目も片付いたわね。
 なんかあっさりし過ぎてるけど…」

???「いや、まだだ! まだ終わってはいないぞ!
 今度は俺が相手だ!!」

声のした方向へと振り返ると、
そこには漆黒の鳥人戦士の姿が天空から降り立つ!?

愛美「誰!?」

クロウ「俺の名はライディーンクロウ!」

薫子「ライディーンクロウ!?」

クロウ「こんなこともあろうかと思って来てみれば、
 情けないぞ鷲崎飛翔!」

飛翔(気絶中)「……(以下、心の声:だからフルネームで呼ぶなって…)(汗」

愛美「そのライディーンクロウが何の用よ!?」

クロウ「そこの二人と同じだ!
 正義の味方の名を騙るお前たちの破壊神としての
 本性を、今度は俺が暴いてやる!!」

愛美「へぇ〜あたしたちとやろうっての?」

愛美は挑発的に問う。

クロウ「フッ、いっておくが俺はイーグルたちのように甘くはない!
 そう言えば以前はウチの藤丸が随分と世話になってくれたな。
 その仇、討たせてもらうぞ!!」

クロウソードを構えるライディーンクロウ!

薫子「……こいつ…できる!」
愛美「どこからでもかかってらっしゃい!!
 返り討ちにしてやるんだから〜!!」

762 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/14(土) 23:36:39

○ラブフェロモン→外道乙女隊と鷲崎飛翔、鷹城電光の身柄を確保。
 続いて唐突に現れたライディーンクロウと対決。

【今回の新規登場】
○南條一夜=ライディーンクロウ(超者ライディーン)
 人気アイドルグループ「ザ・ハーツ」のリーダー。
 戦いの際には犠牲もいとわぬ冷徹な性格。

763 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/15(日) 17:19:04


    (シュウウウウウ・・・・・)

 バーサークベントの効力が切れ、タイガサバイブは、バーサークモード
から通常のサバイブ体へと戻った。

ゼロワン「ぐ・・・・・」
 狂戦士の猛攻を受けたゼロワンは、正に満身創痍。

タイガサバイブ「・・・・・・・」
 しかしそれでもゼロワンなら、通常状態のタイガサバイブを相手にでも
得意の先読みで逆転することも出来るはず。

 だから、これを使う。

 確実に、先生に勝つ為の・・・ 最後のカードを

     (FINAL VENT)

 発動させる。


ゼロワン「っ───」

 スラッシュブレイドを手に、身構えるゼロワン。

    (ガッ───!!)

 しかし、それすらも遅かった。
 ほぼ一瞬に近い動きで、デストワイラントはゼロワンの肩を掴み──

     (ズドォン! ! ! !)

ゼロワン「ぐっ───!!?」
 そのまま、とてつもない怪力で、コンクリートの床にゼロワンの体を叩き
つけた。

 あまりのパワーに、ゼロワンの背中のコンクリートが罅割れ、めり込んだ
かと思うと

    (バゴッ!! バゴッ!! バゴッ!!)

ゼロワン「ぐっ!? ぐぁっ!? がっ───!!!」

 続けて、息も尽かせぬデストワイラントの掌底が打ち込まれ、ゼロワンの
体をどんどんコンクリートの中に埋め込ませていく。

ゼロワン「(こんな・・・───)」
 こんなデタラメが、タイガサバイブのファイナルベントだというのか。

 力任せの超スピード、超パワーによる肉体攻撃でしかないというのに、
それによって完全に四肢の動きが封じられてしまっている。
 なんという凶暴な、正に野生の獣が操るタイラント(暴君)。
 これでは、先のファイナルベントのような逃げ道など・・・

デストワイラント『グォォォォオオオオオオオオオ!!!!!』
 その日初めて咆哮を上げたデストワイラントは、コンクリートの床に
巨大な爪を突き刺し、ゼロワンごと、コンクリートの床を力任せに大きく
剥がし

    (ブゥゥンッ───!!!)

ゼロワン「っ───!!!」

 空に向かって、力いっぱいに投げ飛ばした。

 凄まじい力で空に飛ばされながら、ゼロワンの目は、同じく空を飛んで
いる一つの影を視界に捉える。

 それは───

タイガサバイブ「ハァァッ───!!!」

 投げ飛ばされたゼロワンよりも疾く、そして高く空へ跳んでいたタイガ
サバイブの、必殺の爪の一撃を構える姿。
 そして、空中で回転を加えた勢いを以って、白き猛虎の爪は、狙いを
洩らす事無く

     (ザンッ───!!)

 ゼロワンの、ベルト・・・ カードデッキと
 ゼロワンの自由を奪うコンクリートの塊だけを、バラバラに引き裂いた。



  ◇    ◇



    一方

   雑居ビル  屋上


 タイガサバイブが戦いの決定打を打っていた時、その一方で北風は、
その強大無二たる風の力でキャミィを追い詰めていた。

北風「はっ。キラービーとやらも大した事無いね。
 なんだいその様は? ボロボロじゃないのさ」

  暴風のバトルフィールドとなっていた屋上は、キャミィを追い詰める
地獄の空間となっていた。

 自由に強風を操れる北風の能力により、キャミィの技や反撃は全て強烈
な向かい風、横風に阻まれまともな威力が出せず、逆に北風はその風を
手足の様に利用し、技の威力を2倍にも3倍にも跳ね上げているのだ。

 おまけに暴風は、巨大な看板や割れたガラス片といった様々なものを
飛ばし、それは風のコントロールによってまるで生きているようにキャミィ
を襲う。

 これこそが、風三姉妹の長女、北風がありとあらゆる強者を屠ってきた
強さと、最強の殺し屋の風評の証し。
 いかに鍛えられた格闘家でも、自然の大いなる風の力の前には無力なもの
 それも、その全てが敵として襲い掛かってくるともなれば、まともな戦い
など出来る道理は無い。

 正に、全てを奪い取る北風の如し。

 更に北風自身、最強クラスの暗殺者であり格闘家なのだ。
 万が一にも負ける事はありえない。だからこその余裕。


キャミィ「はっ・・・ はっ・・・」
 風に体力を奪われ、飛んで来る凶器に切り傷を作り、そして北風自身の
強力な攻撃を幾つも喰らっている。

 そんな状況でも、キャミィは瞳の色一つ変えず、冷静に周囲に気を配り
ながらも、北風を睨んでいた。
 キャミィもまた、数々の戦闘を切り抜けた戦士である。
 いかに不利な状況においても臆せず、諦めず、目の前の敵を倒す。

 それがシャドルーで学んだ、彼女をキラービーたらしめた基礎であり、
そしてそれを機械ではなく純粋な戦士の信念として行えるようになった
のは・・・

北風「頑張るねぇ。何もない筈のあんたが何をそんなに──」
キャミィ「ある」

 北風の言葉を、キャミィはたった一言で遮る。

キャミィ「私はもう・・・人形じゃない。そして、私を友達だと言って
くれる、仲間だと言ってくれる奴がいる。だから私は戦うんだ。
 私と同じ道を歩めなかった、ユーリとユーニの為にも!!」

北風「友達・・・? 春麗の事か・・・ まったく、甘っちょろい理由だね」
 キャミィの信念を、北風は簡単に吐き捨てた。

キャミィ「お前に理解されたいとは思わない。それに・・・」
北風「それに?」

キャミィ「キラービィ(殺人バチ)は、狙った敵は逃がさない」

北風「・・・・・・クッ。ハハハハハッ!! 満身創痍で何を言ってるんだか!
 ・・・もういいよ。どうせ動けないだろうけど、ついでに死んどきな!!」

     (ゴウッ────)

 キャミィの死を運ぶ、一際強い風が吹き荒れ始める、その時

    (ピピピッ───)

北風「っ───?」
 北風の腰に巻きつけてある最新型の通信機から、点滅信号が発せられた。

北風「(これは、計画失敗の・・・? っあのバカ教授が・・・ッ!!」

 その時北風は、自分の意識がキャミィから一瞬外れてしまった事に気付く

 いや、風三姉妹は油断などしない。
 通信機に気をやったのは、もはやキャミィが脅威ではなく、そこから
生じた余裕の筈。

 なのに、暗殺者、格闘家の両方の勘が、キャミィを見ろと、急いで見ろ
と騒ぎ立てる。
 そして、その感覚に従い振り向くと・・・

北風「(いない・・・!?)」
 つい一瞬前までキャミィが蹲っていたその場所には、その欠片さえ
見当たらず、同時に気が付いたのは、自分の陰と重なるように映る、もう
一つの、影・・・

北風「(太陽・・・!?)」
 素早く角度を読み、太陽の方向を見上げると
 そこには、華麗に、空中高く跳び上がっているキャミィの姿があった。

北風「・・・最後の一跳びかい? 小賢しいんだよ!!」
 北風は、キャミィに向かって構え直す。

北風「蜂は蜂らしく、叩き潰されちまいな!! あたしの風でね!!!」

       (ゴウッ────!!!)

 ハリケーンをも超える風が、キャミィを襲う。

キャミィ「その風、見切った───!!!」
 しかしキャミィはその場で風に舞い上がる看板の一つを蹴ると、
そのまま自身の体を一つの弾丸とするかのように、螺旋を描き回転しながら
凄まじい速度で北風へと──

北風「(な・・・!? 風を・・・ 切り裂いた!!?)」
 その弾丸は、北風が繰り出し操る全ての風を受け流し、逆に自身の回転
の勢いの助けにしながら


    スピンドライブスマッシャー!!!

北風「っ───!!」

    (バキィィ────ッ!!!)

北風「ぐぁっ────!!?」
 スパイラルアローを超える、キャノンスパイクへ繫がる強力攻撃。
 強力な連続攻撃は北風に全て叩き込まれ、空に巻き上げられた。

キャミィ「風の力は見せてもらった。今度は・・・ 蜂の力を見せてやる」
 大きく屈むキャミィ。そして・・・


    キラービィ・アサルト!!!!


 キャミィを【キラービィ】と言わしめた、最大の技が繰り出される。

 自身の体をバネに、床、金網、空を舞う看板といった、全ての足場となる
場所をスプリングに使うことで、一撃一撃が命を奪う猛毒の針と同意である
必殺の蹴りを、目にも止まらぬ疾さで突き刺すように浴びせていく。

北風「うああああああっ────────!!!!!!」
 自身の土俵である筈の空中で、不可避の攻撃。
 それは正に、殺人蜂の群れの中に取り残されたかの如く。


     (ドシャッ・・・)


 やがて、徐々に収まっていく風の中、キャミィが柔らかく地面に降り立つ
のと、北風が力なく堕ちるのとは、ほぼ同時だった。

北風「か、ふっ・・・」
 仰向けに倒れたまま、口から血を吐く北風。
 戦闘不能・・・ そんな単語が、客観的に頭に浮かぶ。

    (カツ、カツ、カツ・・・)

 そんな北風に近づく、ブーツの音。

キャミィ「話せるか?」
 などと、真剣ながらもどこか間の抜けた質問。

北風「・・・なんとか、ね」
キャミィ「なら、教えろ」

北風「・・・・・・ そうだね。約束だ。教えてやるよ」
キャミィ「ベガ様は、黄泉還ったのか?」
北風「ああ」

キャミィ「!!!」
北風「なに驚いてるだい・・・ 薄々感づいてたんだろ。
 まあ・・・ 例の現象で黄泉還ったのか、それとも冥王様のお力かは
知らないけどね・・・ とにかく今は、ベガとそのおもだった部下は黄泉
還って、冥王様と協力して色々やってる、みたいだよ・・・ 尤も、冥王様
ベガも駒の一つでしか、ないんだろうけど、ね・・・」

キャミィ「お前たちは、何を企んでる? 何をしようとしてる?」
北風「・・・冥王様は、ベガみたいなプッツンとは違う・・・
 冥王様が望まれるは、世界の浄化・・・ このクソまみれの世界を、綺麗な
元の状態に戻すこと・・・」

キャミィ「・・・・・・! まさか、コロニー落とし・・・!?」
北風「ハッ・・・ あんな馬鹿でかいものを落として地球を焼くなんて、馬鹿
のやることさ。冥王様がお考えなのは、もっと、ずっと・・・」

キャミィ「それはなんだ!!」
 キャミィの怒鳴る声に対し、北風はニヤと笑い

北風「・・・・・・ ああ、そういえば・・・
 ベガの側には、あんたと似た恰好の女もいたね」

キャミィ「・・・・・!!(ユーリ、ユーニ・・・!!?)」
 その言葉にキャミィが大きく驚いた、その瞬間


    (ビュウッ───────!!!!)


 突如、屋上に突風が吹き荒れた。

キャミィ「くっ───!?」
 目を開けていられない嵐に、思わず怯み、目を閉じるキャミィ。

 しまった──!

 そう思う頃には、既に嵐は消え

 北風も、完全に姿を消していた・・・



キャミィ「・・・・・・・(プッ、プッ、プッ)」
 悔しさを表情に宿しながら、携帯を取り出し、短縮番号をプッシュする。

    (プルルルル・・・
         プルルルル・・・ ガチャ☆)

??『もしもし、キャミィ?』
キャミィ「春麗? すまない。・・・逃げられた」

春麗『そう・・・』
キャミィ「すまない・・・ せっかく任されたのに」
 視線を落とし、しゅんと落ち込むキャミィ。

春麗『気を落とさないで。そんな事より、あなたが無事ならそれで一番よ』
 そんなキャミィの心情を察したのか、春麗は優しくキャミィを慰める。

春麗『収穫はあった?』
キャミィ「ああ、色々・・・ 春麗」
春麗『なに?』

キャミィ「ベガ様が・・・ 復活したらしい」
春麗『・・・・・・・・・』
 春麗は、無言だった。
 受話器の向こうで何を考えているのか、何を思うのか、察して余る。

春麗『わかったわ。詳しい話は直接会ってしましょう。
 とりあえず、戻ってきて』
キャミィ「わかった」

    (プツッ───・・・)

 携帯電話を仕舞うと、キャミィはそこから跳び、ビル街の影に消えた。


764 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/15(日) 21:06:16

○タイガサバイブ→新ファイナルベント【プラネットブレイク】により、
ゼロワンを殺す事無く撃破。
○キャミィ・ホワイト→苦戦していたが、北風をスピンドライブスマッシャ
ーからキラービィ・アサルトへのコンボで撃退。しかし情報もそこそこに
逃げられ、電話で春麗に慰められる。ユーリ、ユーニの事が気になっている
○春麗→ベガの復活を知る
●北風→キャミィに逆転されるが、隙を見て逃亡
●オルタナティブ・ゼロワン→隙の無いタイガサバイブのファイナルベント
に撃沈

【今回の新規登場】
○春麗(ストリートファイターシリーズ)
フルネーム不明。中国代表の格闘家。インターポールの麻薬捜査官で、
シャドルー専任捜査官。謎の失踪を遂げた父を今でも探している。
シャドウー壊滅後は一時戦いから退いたものの、他のファイター同様、
戦いの宿命は彼女を話してくれなかったらしい。
五界混沌事件後、成り行きでキャミィの仮の身元引受人になり、私生活、
仕事と一緒に仕事共に一緒にいる機会が多い。親友というよりは懐かれて
いる印象


765 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/16(月) 02:52:48


   トアルデパート  屋上


 女達の戦いが終わった一方で、タイガとゼロワンの戦いもまた、終わりを
告げていた。カードデッキをベルトごと切断されたゼロワンは香川教授の
姿へと戻り、今は地べたに座り込んでいる。

それを囲んでいるのは、タイガの変身を解いた東條、そして滝とウェイ。

香川「やれやれ・・・ まさか、正面を切ってあなたに負ける日が来るとは・・・
 ほぼサバイブカードのお陰ではありますが、それでも褒めておきますよ」

東條「先生・・・」

滝「師弟の感動場面に水を差して悪いけどな、答えて貰うぜ教授さん。
 Dショッカーや他の組織について知ってる事をな」

ウェイ・ペイ「弁護士を呼ぶ権利はありますよ」

香川「・・・別に要りませんよ」
 そういうと、香川は白衣のポケットから、ピルケースを取り出す。

 そして、いくつか手に乗せ・・・

滝「なっ!? おい、まさか・・・」
 睡眠薬か、青酸化合物の類か。
 瞬間的にそういったものを連想した滝はあせるが

香川「・・・心配しなくても、自殺なんてしませんよ」

東條「じゃあ、それは・・・?」
香川「ラムネです」

滝「ラムネェ!?」
 こんな数式とフラスコで生きてるような奴が、ラムネ!?

香川「疲れた時はこれを食べないと元気が出ないのですよ」
 香川は錠剤・・・ に見えていたラムネを口の中に放り、ポリポリと音を
させて租借する。

東條「先生、何故・・・」
香川「・・・・・・」
 東條の問いに、香川はチラと辺りのビル群を見渡しながら

香川「(監視役は消えましたか・・・ しかし、油断は禁物ですね」
 と、自身で結論をつけ

香川「東條君。君が守りたいものを見つけたように、私にも守るべきものが
あります。そして私がそれを守るには、Dの為に働くしかないのです」

東條「どういうこと、ですか・・・?」
香川「私の口から言えるのは、とりあえずここまでです」
 香川はそれだけ言うと、口を閉じた。

ウェイ・ペイ「滝隊長。早い内に逮捕しましょう。詳しい話は刑務所内で
聞けば・・・」
 滝に香川の連行を促すウェイ。

滝「あ? おお・・・」
 ペースを乱されていた滝だが、ようやくポケットから手錠を取り出し・・・

香川「そんなに焦らなくても、変身も出来ないただの大学教授にこの状態で
逃走など難しいと思いますが・・・ ああ、そういえば、今何時ですか?」

 左手に巻かれた、年代物らしき腕時計を見ながら香川は尋ねる。

ウェイ・ペイ「午後4時29分ですが」
香川「・・・おやおや。また私の時計は針が遅れているようだ。
 まったく・・・ そろそろダメですかね。この時計も」

  そんな自然な言い方と動作で、時計の操作ネジをクリクリと回しつつ、
観念したのか立ち上がろうとする香川だったが・・・

   (カッ────!!!!)

東條「うわっ!!?」
滝「うをっ!!?」
ウェイ・ペイ「っ!! しまっ──・・・」

 突如、目が眩むどころか、目が燃えてしまいそうに思うほどの眩しい光が
腕時計から発せられ、3人全員がそれに引っかかった。



 やがて光が消えると、そこには香川教授の姿はなく、代わりに・・・

東條「・・・・・・」
 ラムネの入ったピルケースだけが残されていた。

滝「あんのヤロー・・・ コケにしやがって」
 滝は拳をプルプル震わせるほどに悔しがり

ウェイ・ペイ「あんな古典的な方法に引っかかるだなんて・・・」
 ウェイはウェイで、自己反省をしているらしい。

東條「先生・・・」
 そして、喪失感に苛まれたまま、東條は香川のピルケースを拾う。

     (カサッ・・・・)

東條「・・・・・?」
 持ち上げた際、中でラムネが転がる音に紛れ、ピルケースの中から
聞こえる音としては不自然な、紙の擦れる音が聞こえた。

東條「何が・・・?」
 蓋を開いてみる。
 すると、中には十数個のラムネと一緒に、折りたたんだ小さな紙が中に
入っていた。

東條「これは・・・」
滝「なんだ?」
 いつの間にか、滝がすぐ隣にいる。

東條「ちょっと待って、これは・・・
 あ・・・っ。これ、先生の字です」

  でも、なんで・・・?

ウェイ・ペイ「ともかく、手がかりになりそうですね」
滝「なんて書いてあるんだ?」

東條「ええと・・・」
 小さな小さな字を、目を凝らして見てみると、そこには組織についての
香川の視点から見た手記が、要点を抜き出して書かれていた。

 そして、そんな小さな文字の中、ただ一つ強調された太い文字・・・

東條「スター・・・ ダスト・・・ サードムーン・・・?」


766 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/16(月) 08:38:03

>>762の続き

愛美「ぎしっぎしぃーっと…よしっ!
 これで大丈夫ね」
音子「…あのー、何もわたしたちまで縄で縛らなくても…?」

厳重に縄でぐるぐる巻きにされている北華五姉妹は、
まるで哀願するような眼差しで愛美と薫子を見つめている。

愛美「こうしとかないとあんたたち逃げ出す気でしょうが」
翼「だってこれくらいしないと、ちっともボクたちを
 立派な悪になるための弟子にしてくれないじゃないか!!」
愛美「だからー! あたしたちは正義の味方で
 悪なんかじゃないつーの! 何度言えばわかるかなー」
薫子「ごめんね音子ちゃん。暫くの間だけ我慢しててね」
音子「………」

そして、同じく捕まって縛られているもう一組。

電光「…で、一夜。どうしてお前までもう捕まっとんねん?」
一夜「ふ、不覚を取った…。まさか戦闘中に
 あ〜んなことこ〜んなことを仕掛けてくるとは…。
 卑怯な奴らだ…!!」
愛美「お黙り! 正義は何をしても許されるのだ!!
 オ〜ホッホッホッ!!」
一夜「クッ…! 無念だ」
飛翔「ところで何だよ? あ〜んなことこ〜んなことって…?」
一夜「フッ…(///)。お見せできないのが残念だ」
電光「見せたかったんか!?

薫子「これで残るはあの奇妙なゴリラの三人…いや、三匹組か…」

注)正確には三人の内一人は、いくらゴリラに似ていても
 正真正銘の人間です。念の為…(笑)。

愛美「それにしてもこう走り回ってたら
 喉が渇いてきちゃったわね〜」
薫子「そうねえ…」

そんな時、道路を挟んで向かい側の店に、
「新発売の無料健康ドリンク、無料試供中!」の看板が!!

愛美「ラッキ〜♪ さっそく行ってみましょ!」
薫子「あ、こら、待ちなさいよ薫子!!」

767 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/16(月) 08:39:17

…で、その向かい側の店舗では…。

ゴリ「さあいらっしゃいませ。只今売り出し中の
 ラブフェロモンドリンクでございます」

ゴリたちが客の接待をしていた…(笑)。

竹之内「おい…これって前にも一度、
 クロ高を占領したときにも似たような手を使わなかったか?」
ゴリ「ご安心をボス。今回は作戦に打ってつけのスペシャルゲストを
 用意しております」
竹之内「スペシャルゲストだと?」
ゴリ「はい。ラーよ、お連れしろ!」

ラーに連れられて入って来たのは二人。
まず一人は青い髪をしたショートカットの髪型の少女。
そしてもう一人はテニスのジャージを着て、
目の透けないくらい分厚い眼鏡をかけた謎の男だった。

竹之内「誰だこいつらは?」
クスハ「はじめまして、わたしクスハ・ミズハと言います。
 よろしくお願いします」
謎の男「そして私は…訳あって本名はご容赦願いたい。そうだな…。
 データテニスの得意なお兄さんとでも名乗っておこうか」
竹之内「お兄さん? その割には少し老けて見えるな」
謎の男「…失敬な。少なくとも貴方には言われたくない。
 こう見えても私はまだ中学生だ」
クスハ「えーっ!? それじゃあわたしよりも年下なんですね」
竹之内「そのでかい背で中学生!?」
謎の男「ウチの学校ではこれで平均レベルだ」
竹之内「いったいどーゆー学校だ??」

その時に、店に向かってミサイルやら
バズーカの弾頭やらの雨が容赦なく降り注ぐ!!

ゴリ「フフフ…来たかラブフェロモン」

店の前で突然巻き起こる大爆発! 周囲の煙が晴れた後で、
いつものお立ち台ロボット『ペガセ』の上に勇ましく立つ、
パワードスーツに身を包んだ正義の味方ラブフェロモン!

愛美「愛あるところに香り立つ!」
薫子「絶対正義の華が咲く!」
愛美「この世の悪をぶった切り!」
薫子「無くしてみせましょ邪の心!」

絶対正義ラブフェロモン!
正義と笑いの究極コラボ!

768 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/16(月) 08:39:53

愛美「街中で公然と怪しげな飲料水を売りさばくとは、
 これはすなわち悪!」

薫子「何を企んでいるかどうかは知らないけど
 覚悟なさい!」


謎の男「待っていたよラブフェロモン。
 さ、これを飲んでもらおうか?」
愛美「何よこれ?」
謎の男「僕とクスハ君が共同研究の結果開発した、
 スーパースペシャルリミックス・ラブフェロモンドリンクだ。
 …安心しろ。別に毒など入っていない」
愛美「わかったわよ! 飲んだろうじゃない!」

しかし、カップを手にして飲んだ途端、
愛美は豪快に飲み物を吹き出して失神してしまった!!

薫子「愛美! 愛美! しっかりしなさい愛美!
 信じられない! 青酸カリすら胃袋の中で平気で消化してしまう
 愛美をここまで…!! いったい愛美に何をしたの!?」


ゴリ「見たか! このラブフェロモンドリンクの破壊的な味を!
 これを日本中に売り出し、ラブフェロモンの破壊神としての知名度を
 飛躍的に高めるのだ!!」

薫子「なんですってえええ!」

クスハ「だって、これくらいしないと、
 最近はハガネのクルーやαナンバーズのみんなも
 警戒して誰も飲んでくれないんですもの…」
謎の男「これだけのラブフェロモンドリンクが日本中に出回れば、
 次なるドリンクの試作に向けて充分なデータを集められそうだ…フフフ」

薫子「そんなことさせるもんですか!
 必ずそのくだらない野望を止めてみせる!」


ゴリ「黙れえ! お前一人で何が出来る!
 ラーよ、さあ今の内に残り一人を片付けてしまえ!」
ラー「ウォーッ!!」

宇宙猿人ゴリの恐るべき計略により、
愛美を倒されてしまったラブフェロモン!!
果たして勝機はあるのか!!
次回へと続く!!

769 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/16(月) 08:40:33

○南條一夜→前回の続きの戦闘シーンは省略され、
 もう他の連中と一緒に捕まっている。
 あ〜んなことこ〜んなことをされたらしい。
○クスハ・ミズハ→なぜかゴリ一味に協力。
○データテニスの得意なお兄さん→訳あって本名は名乗れないそうである。
●宇宙猿人ゴリ、竹之内豊→体の健康によいのは確かなのだが、
 爆発的な不味さのラブフェロモンドリンクを売り出す。
○良澄愛美→ラブフェロモンドリンクを飲んで気絶してしまう。

【今回の新規登場】
○クスハ・ミズハ少尉(バンブレストオリジナル)
 地球連邦軍ATXチームのメンバー。恋人のブリットと同様
 すぐれた念動力の持ち主。時折作るクスハ汁は
 その恐るべき味から、常に周囲に恐れられている。

【特別出演】
○乾●治(テ●スの王子様)
 青●学園男子テニス部三年。データ分析が得意な頭脳派タイプ。
 部活のランニングで遅かったものには自作の怪しげな栄養ドリンクである
 乾汁を飲ませる事で、こちらも周囲から恐れられている。

770 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/16(月) 08:41:36

アクマコ「お〜い! 助けに来たで〜!」
可菜子「あ! アクマコ!」
アクマコ「今ロープ解いたるさかいな。ちょっと待っとき!」

向こうから小さい妖精…じゃなくて小悪魔が一匹
宙を舞いながら近づいて来て、音子たちを縛っていた縄を解く。

アクマコ「ふ〜っ、このままウチの出番ないまま
 シナリオ終わるかとホンマに心配したで…」
音子「アクマコ! 薫子さんたちは!?」
アクマコ「あー、そういえばさっきの店の中に入ってったきり
 まったく出てきーへんな」
音子「大変! みんな、行くわよ!」

全員揃ってラブフェロモンドリンク試飲会場へと
一直線に走る北華五姉妹!

電光「おーいちょっと待てえ!
 ワイらの縄も一緒に解いていかんか〜い!!」

***さっきの店***

そして、先程の店内では、
いよいよ薫子がラーに追い詰められようとしていた!

薫子「くっ…これまでなの!」

ゴリ「ハハハハハ、いよいよ最後のようだな!
 やれラー! 止めを刺せ!」
ラー「ウォーッ!!」

音子「火のエレメンタル!!

突如巻き起こる火炎がラーの動きを遮る!

ラー「ウォーッ!?」
ゴリ「むっ…何者だ!?」

音子たち「わたしたち、外道乙女隊、推参!!

薫子を庇うようにして、ゴリたちの前に敢然と立ちはだかる
黒い魔女っこルックの外道乙女隊!

薫子「音子ちゃん!」
音子「もう大丈夫よ薫子さん!」
翼「しっかりして」
薫子「あ…ありがとう」

翼と可菜子に抱きかかえられて立ち上がる薫子。

ゴリ「――むっ、貴様ら裏切るつもりか!!」
音子「お黙りなさい! ラブフェロモンさんは
 わたしたち外道乙女隊にとって大事な悪の師なんです!
 その師のピンチを弟子として放ってはおけないわ!」
薫子「いや…だから悪じゃないってば(汗」
ゴリ「問答無用! ラーよ、やってしまえ!」
ラー「ウォーッ!!」

だがここで自称:データテニスの得意なお兄さんが
間に割って入る。

謎の男「待て」
ゴリ「なぜ邪魔をする?」
謎の男「力押しだけが勝負ではない。
 彼女達にもこのスーパースペシャルリミックス・
 ラブフェロモンドリンクを是非飲んでもらおう…」
音子「え…?」
ゴリ「なるほど、それは良い考えだな」
音子「わかりました。何だかよく知らないけど、飲みます!」
薫子「無茶よ音子ちゃん! あの愛美ですらそれを飲んだら
 一瞬で倒されてしまったのよ!!」

妹香「とても……危険な予感がする……」

ラブフェロモンドリンクを飲み干せという
敵からの挑戦を受けて立とうとする音子を必死に止める
薫子と妹香たち。

音子「………」
謎の男「どうした? 今になって怖気づいたのか?」
音子「いいえ! 飲ませていただきます!
 いえ、飲んで見せるわ!」
クスハ「では、どうぞ。フフフフ…」

音子はクスハからコップ一杯を渡され、
その中の不気味な紫色に煮えたぎる液体を
一気に飲み干した!!

音子「……うっ!!
薫子「音子ちゃん!!」
翼「音姉ぇ!!」
詩乃「音子お姉ちゃん!!」

なんと音子は、一瞬気を失いかけながらも
懸命に自我を保ち、立ち続けている!!

音子「…だ、だいじょう…ぶよ。なんの…これしき……!!」
謎の男「なんだと! 馬鹿な!!」
ゴリ「貴様化け物か!?」

説明しよう! 北華音子も良澄愛美に勝るとも劣らぬ
大食い消化能力の持ち主なのだ!!
そしてその時――!!

愛美「あ〜あ、よく寝たぁ〜!!」

景気よく気持ちよさそうに欠伸をしながら
愛美が起き上がった。

薫子「愛美!? あんた大丈夫なの!」
愛美「う〜ん、アレを飲んだらなんつーか
 一気に肉体中の疲れがとれたっていうか…とにかく絶好調なのよ!」

薫子「…( ゚д゚)ポカーン」
愛美「それじゃあ行ってみますか!!」
薫子「え…?」

771 名前:番外編/ラブフェロモン破壊神化計画大作戦:2006/10/16(月) 08:43:05

愛美「外道成敗!!

                               ヽ`
                              ´
                               ´.
                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´

音子「そんな…もう終わりなの?」

772 名前:番外編/黒幕登場。でも最終回(笑)。:2006/10/16(月) 08:52:31

***???***

ここはどこから見ても見るからに怪しそうな雰囲気の
悪の秘密アジトの薄暗い司令室である。
そこではあのウィレーネが眼前の何者かに跪いて
事の顛末を報告している。

ウィレーネ「もうしわけございません…」
???「作戦は失敗したようだなモォ」
???「役に立たん奴め…。
 どうやら我らの見込み違いだったようだな…」
ウィレーネ「何卒、何卒今一度のチャンスを〜!!
 Dr.マシリト様! ドクター・モオ様!」

ご覧の諸君は>>446での出来事を覚えておられるだろうか?
実はウィレーネを背後で操っていた今回の騒動の黒幕こそ、
ペンギン村の則巻千兵衛博士の宿敵Dr.マシリトと、
悪の組織ブラック・チューシャ・グンダン(略してBCG)の総統
ドクター・モオだったのである!

モオ「馴れ馴れしく我が名を呼ぶでないモ!!」
マシリト「消えろ。ポチッとな…」

マシリトが何やら手元のボタンを操作すると、
ウィレーネの立っていた床が真っ二つに開き……

ウィレーネ「ああああ〜〜れれれれれれれれれぇぇぇ〜〜〜!!!!!!!!!

哀れ彼女はそのまま落とし穴へと真っ逆さま……。

マシリト「フフフ…哀れな女よ。失敗する者には死あるのみ!
 さて…次なる手を考えるか…」
モオ「しかしマシリトよ、あのラブフェロモンの片割れの中に
 外道破壊神Zが眠っているという話は本当なのかモ?」
マシリト「間違いない。デスアント帝国の残党からの
 確かな筋の情報だ。外道破壊神Zさえ手に入れれば、
 今度こそあの則巻アラレを倒すのも夢ではない!
 場合によってはDショッカーやロゴス、ジュピトリアンをも
 十把一絡げにして支配できる! フハハハハ!!」
モオ「しかし残念だがマシリトよ。このシナリオは今回で最終回だそうだモ」
マシリト「なぬ!?」


        〈 ̄ヽ
  ,、____|  |____,、
 〈  _________ ヽ,
  | |             | |
  ヽ'  〈^ー―――^ 〉   |/
     ,、二二二二二_、
    〈__  _  __〉
       |  |  |  |
      / /  |  |    |\
  ___/ /  |  |___| ヽ
  \__/   ヽ_____)


マシリト「お〜い! ちょっと待て! 勝手にENDマークなんかつけてんじゃねーよ!!
 ようやくこれからわしらの出番じゃん!!
 これからいろいろ目立とうと思ってたのに、
 ねえちょっと…ねえってば……」

――強制終了。

773 名前:番外編/黒幕登場。でも最終回(笑)。:2006/10/16(月) 08:53:15

●外道乙女隊→最後はラブフェロモン神教を裏切り、
 ラブフェロモンに味方する。
○良澄愛美→目覚めた途端、絶好調に今回も街を破壊してEND。
△ウィレーネ→マシリトとドクター・モオに計画失敗の責任を問われて処刑される。
 でもギャグストーリーだから、たぶんまだ生きてる(笑)。
●Dr.マシリト、ドクター・モオ→実はウィレーネを裏から操っていた黒幕だったが、
 本格的に表舞台に出る前にシナリオが終わってしまい、その事を愚痴る。

【今回の新規登場】
●アクマコ2(あかほり外道アワーらぶげ それゆけ!外道乙女隊)
 北華家に代々伝わる18禁の壷に封印されていた第一級使い魔。
 北華五姉妹を正しい悪の道へと導こうとする。

774 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/18(水) 02:13:24


アンリ「随分派手にやったわね・・・」

 屋上に広がるコンクリートの破片や破壊跡を見ながら、溜息をつく女性。
 インターポール捜査官にして、SPIRITS部隊の副隊長格。アンリエッタ・
バーキンである。

滝「るせーな、これでも命懸けだったんだよ」
 そんなアンリの一言に対し、ふてくされた印象で、滝はぶつくさ呟く。

アンリ「それは見れば分かるわ。いつにも増してボロボロだものね」
 実際、今回も滝は擦り傷やら打ち身やらだらけで、まるで漫画に描いた
かのようなボコボコぶりだった。

 アンリ、そして他のSPIRITS隊員がトアルデパートの屋上に到着したのは
香川逃亡から僅か数分後。
 抜け目無いウェイ・ペイの通信により、短時間で駆けつけられたのだが・・・
それでも重要参考人に既に逃げられていたという状態に、先程からアンリは
無言で静かに滝を叱責している。

アンリ「それで、報告にあった新しいライダーは?」
滝「ああ、あいつ」
 親指でビッと後ろを指す。

 そこには・・・



  ◇    ◇



東條「・・・・・・・・・・」
 東條はじっと、最初に腰掛けていたベンチにまた座っていた。

 しかしあのときのように無気力というのではなく、ただじっと、手に件の
ピルケースを握って見つめている。

 先生の行動が分からない。
 あんなことをする人じゃなかったし、こんな事、やっぱり先生の主義じゃ
ない。

 何のために・・・? 先生に、何があったんだろう。
 それは、もしかしたら自分の所為もあるかもしれない。

 そんな風に、頭の中をグルグルさせていると・・・


子供「・・・・・・・・・・のお兄ちゃん」
東條「え・・・・?」

 背後からの声に振り向くと

子供「ライダーのお兄ちゃん」
 後ろに、子供が一人立っていた。


東條「君は・・・」
 倉庫から助け出した少年の一人で、東條のズボンを掴んでいた子である。

東條「ど、どうしたの・・・?」
子供「お兄ちゃん、ライダーだったんだね!! すっげ───!!!」
 子供は大きな声ではしゃいでいる。

東條「え・・・!? あ・・・」
 そういえばこの子は、ライダーショーを熱心に見ていた子だった。

少年「助けてくれてありがとう!! やっぱりライダーってピンチには
助けてくれるんだね。カッコイ──!!! あの技、なんてゆーの?
お兄ちゃんは仮面ライダー何?」
 リアルでライダーを間近に見て興奮しているのだろう。さっそく東條を
質問攻めにする。

東條「僕は・・・ その・・・ ・・・・・・・タイガ」
 最初は【僕は君が思うような仮面ライダーじゃ・・・】と言いたかったが、
子供の自分に対しての憧れを宿した、キラキラとした目を見ると・・・

少年「仮面ライダータイガ? ふんふん、タイガーのライダーかぁ」
 ウンウンと、一人で頷く子供。



  ◇    ◇



 それからも色々と質問をされたりして、そうする内に少年もSPIRITS
隊員によってメディカルチェックに連れて行かれる事になった。

子供「バイバ──イ!! 悪い奴に負けないでね────!!!」
 最後まで元気なまま、ブンブンと手を振りながら、少年はSPIRITS隊員に
抱えられ階段を降りていった。

東條「・・・・・・・・・」
 急に告げられた感謝の言葉や憧れに、東條はポカンとしている。

 そこに

滝「どーよ? 書きに感謝されるヒーローってのも悪くねーだろ?」
 と、ニヤニヤした顔で滝が歩み寄ってくる。

東條「・・・こんなの、ヒーローショーの中だけだと思ってたのに」

滝「そうでもねーぜ? 正義の味方やってると、色んな嫌なことがある中で
たま〜にこういう気持ちのいい事もあるんだ」

東條「気持ちの、いい事・・・?」
滝「おう、気持ちよかったろ? 【ありがとう】って言葉は」

東條「僕は・・・ 結局、先生を逃がしちゃったのに・・・」
滝「オイオイ、何言ってんだ。拉致られたガキは全員助けたし、悪人も
追い払ったんだ、上等だろ?」

      (キュッ──)

 そう言って滝は、東條の首に軽くチョークを掛けてきた。

東條「うっ!!? う、ぐ、ぐっ・・・!」
 それでも滝のホールドには充分な力があり、東條はジタバタ暴れている。

滝「ったくコノヤロウ。変身できるなら早くそう言えっての」
東條「・・・・・・・・っっ!!(パフッ、パフ、パフッ!)」

 滝の体育会系なスキンシップに、東條は苦しみもがきながら、本気で
タップをしている。

滝「おらおらぁ〜。こんぐれえ外せねーと【仮面ライダー】とは認めねえぞ
こんのヤロ〜!!」

ウェイ・ペイ「またまた・・・ 隊長、どうせ自分の中ではもうとっくに東條
さんは合格にしてるんでしょ?」

 そこに、手足に絆創膏を張りつつ、両手でおしるこの缶を握ってくつろい
でいるウェイ・ペイがツッコミを入れてきた。


アンリ「やれやれ・・・」
 そんな様子を、勤務に勤しみながら遠目に見、呆れ気味に溜息を吐いて
いるアンリ。

アンリ「・・・・・・(ともあれ、本部長の思い通りに事は運んだみたいね)」

 元々、仮面ライダータイガこと東條悟については、既に手塚海之による
占いによって、無気力な生ける屍になっていること。そして同時に、D
ショッカーの手先になるという結果も出ていた。

 勿論、この日、この場所に来ることも。

 そこで策を持ち出したのが、本部長佐久間ケン。
 佐久間は、タイガこと東條悟をこちら側に誘導する為、滝和也を派遣し、
鉢合わせることを考えた。ただし、何も知らない状態で。

 これまで、多くのライダー達の心を救い、共に戦い、ライダーの親友で
あり戦友であれた彼なら、東條悟という若いライダーの心をも救ってくれる
だろうと、確信してのことである。

 それなら貴方も同じ経験者だろう。と手塚は佐久間に尋ねたそうだが、
それに対して佐久間は

     『今のワタシは、彼ほど純粋じゃアリマセンから』

 と答えたそうだ。

アンリ「底の見えない人だわ、ホントに・・・」
 そうして実際、手塚海之の提示した運命は変わってしまった。

 実際に運命を捻じ曲げたのは、滝の何の打算も無い行動だが・・・
 今回の結果は、佐久間ケンという男が、頭が切れるだけではなく、人の
心や、どうすればどう動くのか、どんな人間がどんな人間の心を動かせる
のかをいかに心得ているかという照明でもある。


ウェイ・ペイ「隊長・・・ 東條さん、動かなくなりましたけど・・・」
東條「・・・・・・・・・・・・・(死〜ん)」

滝「え? ・・・あっ!!?」


アンリ「(真相を教えたら怒りそうね。黙っておくか・・・)」


 そうして、トアルデパートにおける事件は終わりを告げ
 仮面ライダータイガの新たなる戦いが、幕を開け・・・

滝「おーい! 冗談だろ? 起きろ! 起きろって!」

    (ペチン! ペチン! ペチン!)

ウェイ・ペイ「隊長、ゆすったらダメですよ〜」


 ・・・・・・ないかもしれない。


775 名前:新章/タイガ新生篇:2006/10/18(水) 02:32:28

○東條悟→助けた少年の純粋な感謝の言葉に嬉しさを隠せなかった。しかし
滝にチョークされオチる。
○滝和也→いつも本郷達にやっていたスキンシップは東條にはキツかった
模様。
○ウェイ・ペイ→何故かおしるこ缶を飲む
○アンリエッタ・バーキン→真相を胸に仕舞い、事後処理へ

【今回の新規登場】
○アンリエッタ・バーキン(仮面ライダーSPIRITS)
通称「アンリ」。年齢不明。元デストロンハンターのインターポール捜査官
で、デストロンに家族を殺された過去を持つ。また、「X」の水城姉妹の
直属の上司だった事など、【組織】との因縁が深い。現在は荒くれ者揃いの
SPIRITSの実質的な副隊長格。かつて結城丈二に憎しみの心を向け追って
いたが、結城の記憶喪失や一時的な擬似夫婦生活。復活したヨロイ元帥との
戦いなどといった様々な事を経て和解。今は結城に対して密に想いを寄せて
いる節が見られる。

776 名前:旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/11(月) 11:54:400

***竜の騎士の世界 パプニカ城下町***

アスラン「……いいだろう。
このギャンブル……俺が引き受けてやる。」
トビア「アスランさん!?」
ダービー「ほう……臆する事無く即行か。
その迷いの無さは、中々尊敬に値する……いいだろう。
それで、どんなギャンブルで私に挑もうというのだね?」

アスランは迷う事無く、真っ先にダービーへと勝負を挑んだ。
まさか即決してくるとは思わず、これにはダービーも驚かされていた。
どうやら、カガリが倒された事が相当きているらしい。
そんな彼の様子に、他の者達は危機感を覚えた。
この勝負……アスランが負けるかもしれないと。
ギャンブルとは、駆け引きがものを言う勝負……冷静さを欠いていては、そのキレは確実に鈍る。
このままでは、みすみすアスランの敗北を見送るようなものである。
しかし……このまま止めに入っても、今の彼が素直に勝負を止めようとは思えない。
意地でも、ダービーとの勝負に臨もうとするに違いない。

洸(けど、ああやって勝負を挑んだ以上は……どんなギャンブルをするかも、もう考えている筈だ。
もしかすると、その内容次第では勝ち目があるかもしれない。
一体アスランさんは、何で奴に……)
アスラン「まずその前に、二つだけ質問をしておきたい。
まず一つ目だが……こうやって勝負を挑んできた以上、それなりの準備は出来ているんだろうな?」
ダービー「……勿論。
トランプにサイコロ、麻雀にルーレット……考えられる限りの物を、用意してあります。」
アスラン「一通り、何があるかを見せてくれ。
もしも俺の希望している通りの物があれば、それで勝負だ。」

ダービーは持っていた鞄を机の上に置き、開いて中身を見せた。
彼の言うとおり、その中にはギャンブル用の道具が一通り揃っていた。
アスランにとって、これは賭けだった。
それもその筈……もしも相手が、自分の望むものを持っていなかった場合。
その瞬間に、勝負は終わる……しかし。
奇跡的なことに、ダービーは持ち合わせていたのだ。
アスランが望んでいた武器を。

ジュドー「ジェンガ……?」
アスラン「これで勝負だ……構わないな?」
ダービー「……成る程、面白い物を出してきたな。
そいつは極めて単純だが……恐ろしく奥が深いギャンブルだ。
いいだろう……それで、もう一つの質問とは?」
アスラン「俺が勝った時……お前が解放すると言う保障があるんだろうな?」
ダービー「私にも、博打打ちとしてのプライドがある。
DIO様からの命令といえど、負けを反故にする様な真似をするつもりはない。
証拠が無い以上、信じてもらうには難しいが……」
アスラン「……その言葉を信じよう。
お前がカガリを解放する保障は確かにないが……解放されないと言う保障もまた、どこにもない。
確かに、罠の可能性はあるが……それにおびえて、希望の芽を摘むつもりはない。
賭けよう……この魂を!!」
ダービー「Good!!」

アスランが選んだギャンブル。
それは、極めて単純なゲーム……ジェンガだった。
早速ダービーは、その組み立てにかかった。
直方体のパーツを三つ並べ、一つの正方形を作る。
その上に、交差するよう三つのパーツを並べて、二段目を作る。
こうした作業を繰り返し、二十段目に到達した時。
ダービーは作業を終える……机の上には、見事なタワーが出来上がっていた。

アスラン「分かっているとは思うが、一応ルールの説明をしておくぞ。
お互いに一本ずつ、交互にパーツを抜いていき、それを一番上の段に重ねていく。
使っていいのは片手だけで、一度触れたパーツは、何があっても必ず抜かなければならない。
そして……崩した方が負けだ。」
ダービー「OK……それじゃあ、始めましょうか。
先攻は君に譲るとしよう。」

ジェンガ……この勝負は確かに運の要素がいるが、それ以上にモノを言うのは、プレイヤーの技術である。
どの辺りのパーツを引き抜けば、何も問題が起こらないか。
どの辺りのパーツを引き抜けば、タワーを崩してしまうのか……鋭い観察眼が必要なのである。
そう……この勝負は、コーディネイターであるアスランが有利に事を運べるのだ。
完全な運否天賦、もしくは心理戦での勝負は、ダービーの土俵である。
そこで戦ったとしても、十中八九勝ち目は無い……そう判断して、アスランはジェンガを挑んだのだ。
己の利を最大限に生かせる勝負……それ以外に、ダービーを倒せるものは無い。
アスランは一度目から、早速勝負に出た。
タワーの一番下……土台のパーツをいきなり、引き抜きにかかったのだ。
しかも真ん中ではなく、左側のパーツを。
そんな事をすれば……重みは全て、左側にかかってしまう。
バランスが大幅に狂うのだ……自滅する可能性は極めて高い。
だが、アスランは臆する事無くその暴挙をやった。
何とか崩す事無くパーツを無事抜き取ると、それを一番上の段に乗せる。

真吾(こいつ、何てことやりやがる……一発目から一段目の、しかも片側を抜きやがった。
一歩間違えたら、即自滅だってのに……)
アスラン「よし……お前の番だ。」
ダービー「いきなり、とんでもない事をしてくれる……私は、安全にいかせてもらうよ。」

ダービーは比較的上方のパーツを取り、積み上げる。
バランスを崩さない事に徹底した、極めて安全な方法である。
アスランがいきなり大勝負に出てきた以上……こういう方法に移るのも、無理は無いだろう。
すると、今度はそれにあわせるかのように、アスランも安全な部位のパーツを抜き取ったのだ。
二度連続での大勝負は、流石に無謀だと判断したのだろう。
それから数回程の間、二人は安全策を繰り返し取っていた。
ダービーは、敵を確実に倒せる時を……勝負時が来るのを待っていた。
アスランもまた同様なのだろうと、彼は考えていた。
だが……十六巡目。
ダービーが八回目の引き抜きに差し掛かった時。
パーツを抜き取り、それを積み重ねた時だった。

ダービー「何っ……!?」

何と……パーツを置いた瞬間に、大きくタワーが揺れたのだ。
今までは、これといった問題も無く、安全に事を運べたと言うのに……ここでダービーに、初めて焦りの色が表れた。
パーツこそ無事に置けたが……一歩間違えれば、死んでいた。

ポップ(変化が急すぎる……まさか、アスラン?)
アスラン「俺の番だな……いくぞ。」

パーツを引き抜き、即座に積み上げていく。
先程、ダービーが積み上げた時と同様……大幅にタワーが揺れる。
崩れこそしなかったが……かなり危なかった。

アスラン「流石に、今のは危なかったな……お前の番だぞ?」
ダービー「っ……」

不安の色を隠せないでいるダービーを見て、アスランは笑みを浮かべた。
このままいけば、アスランの勝ちが確定するからだ。
あろうことか彼は……ダービーを相手に、とんでもない芸当をしでかしたのだ。
徐々に、ダービーがその変化に気付けない程度に……パーツを引き抜く際に、その隣にあるパーツを微妙に叩いていた。
僅かずつ……バランスを、崩しにかかっていたのだ。
その効果が、今になって実ったのである。
最初に見せた暴挙……あれは、ここまでの行動を隠す為のカモフラージュだった。
あんな真似をした後となれば、安全な打ち方に出るのに何の不思議も無い。
アスランが勝負に出ないのにも、ダービーは不思議がらない……見事な隠蔽が出来上がる。
絶妙なバランス崩し……手先の器用なアスランだからこそ出来る、必殺の芸当。

アスラン(恐らく、向こうも仕掛けに気付いただろうが……こいつはイカサマじゃない。
ギリギリ、ルールの範囲内だからな……後二回だ。
一回目は凌げたとしても、その次はまず不可能だ。
奴が二回目を置いた時に、タワーは倒れる……奴を倒せる。)
ダービー「っ……!!」

ダービーは焦りと不安をぶつけるかのように、鞄から取り出した板チョコを、乱雑にかじる。
下手をすれば、次のパーツで敗れるかもしれないからだ。
彼は今、アスランを甘く見ていた事を後悔していた。
カガリを倒した事で、頭に血が上っていると思っていた。
冷静な勝負には、望めないだろうと思っていた……しかし。
カガリを守る為ならば、どんな真似だろうとする……それこそがアスランだったのだ。

ダービー「……」

もはや、引き抜くだけでも危険な状態であった。
ここで負けるわけにはいかない……手の震えを押さえ、ダービーはパーツを積み重ねた。
タワーは辛うじて、無事を保っている……もはや限界寸前である。
アスランはいよいよ、最後の仕掛けにかかった。
次に中心のパーツを一つ抜けば、タワーを崩壊寸前まで追い詰められる。
ダービーをそれで倒せる……引き抜く事は辛うじて出来たとしても、置くのは絶対に不可能。
少しでも左右のバランスが崩れれば、それでアウト……勝負が着く。
アスランは己の勝利を確信し……抜いたパーツを積み重ねた。

アスラン「……ギリギリセーフだな。
さあ、ダービー……お前の番だぞ。」
ダービー「……」

無言のまま、ダービーはパーツに手を伸ばす。
手の震えを極力抑えこみ、慎重に引き抜く。
この時点では、何とか崩壊を防げたが……積み上げは無理に違いない。
アスランの勝ちは確実……それはアスランだけではなく、勝負を見ていたポップ達も同感であった。
恐ろしい相手だったが、何とか勝つことが出来た。
そう誰もが思いこんでいた……その時だった。

ダービー「私が、このパーツを置く事は出来ない……そう思っているだろ?」
アスラン「えっ……?」
ダービー「違うんだな……これが。」

ダービーは、そっとタワーにパーツを積み上げた。
すると……バランスをギリギリの所で崩さず、タワーは成り立ったのだ。
確実に崩壊するという、アスランの読みは……外れてしまった。

アスラン「ば……馬鹿な!?」
ダービー「一体、何をそんなに驚いている……?
さあ君の番だ、アスラン。」
アスラン(何で……なんで崩れなかった!?
あのバランスじゃ、崩壊は確実だった筈だったのに……)

信じられない。
まさにそう言わんばかりの表情で、アスランはパーツを引き抜きにかかった。
そして、指先がタワーに触れた……その瞬間。
勢いよく、タワーは音を立てて崩れ去ったのだ。

アスラン「そんな……」
ダービー「はははっ……私の勝ちだ。
それじゃあ、支払ってもらおうか……魂を!!」

ダービーのスタンド、オシリス神が出現する。
オシリス神はアスランの肉体から、魂を抜き取り……それを手で圧縮し、チップへと変換した。
ダービーの手の中へと、チップが……アスランの魂が零れ落ちる。
カガリに続き、アスランまでもが魂を奪われてしまった。
この事態に、誰もが不安と恐怖を抱かずに入られなかった。

ポップ(でも、どうしてさっきので崩れなかったんだ……?)

ポップは、何故ダービーが難を逃れられたのか……それが気になって仕方なかった。
アスランの仕掛けた策は、完璧だった筈。
ならば何故……その原因を探るべく、崩れたパーツに視線を向ける。
すると……あまりにも呆気ない形で、その原因が発覚してしまった。
パーツの一つに……隅の部分に、茶色い塊がついていた物があった。
すぐさまそれを手に取り、その塊を触ってみる。
その塊の正体は……

ポップ「チョコレート……まさか!?」
ダービー「ふふっ……やっと気付いたか。
そうだ……さっきそれを、パーツを抜いた時に着けさせてもらったんだよ。
肉眼では気付けないレベルの、微量な量をね。」
トビア「……嘘だろ。」

ダービーは、先程パーツを乗せた時……食べていたチョコレートを、その裏に塗っていたのだ。
そうする事によって、凹凸を作り……左右のバランスを、ギリギリの所で偏らせたのだ。
後一回分……ギリギリ、自分がパーツを乗せられる程度に。
アスランはその変化に気付かないまま、パーツを動かしてしまっていた。
結果、敗北に繋がった。

ダービー「危なかった……今のは流石に、負けるかと思ったよ。
こんなに緊張したのは、久々だった……さあ、どうする?
このまますぐに仇討ちをするか……それとも私に、休む間を与えるか。」


○アスラン→ダービーにギャンブルを挑むが、策を逆手に取られて敗北。
 魂を奪われてしまう。
●ダービー→アスランとのギャンブルに勝利し、彼の魂を手に入れる。

777 名前:旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/11(月) 11:55:400

ダービー「さっきから、延々と黙り込んだままで……勝負をする気があるのか?」

ダービーは余裕の表情をして、相手の出方を窺っていた。
ポップ達は今、一体どういう策を取ればいいのかと、大いに迷っていた。
アスランとカガリの魂を奪われた事……それが大きすぎたのだ。
相手はイカサマの達人……下手なギャンブルを挑む事は出来ない。
イカサマを仕掛ける余地が無いギャンブルを。
勝つか負けるか、全てが運次第の勝負を挑むしかない。
熟考した後……いよいよ、一人が重い口を開いた。

ジュドー「分かった、俺がやる……魂を賭けてやるよ!!」
巧(ジュドー……こいつ相手に下手な勝負を挑めないのは、もう分かっている筈だ。
勝算が高いギャンブル……少なくとも、イカサマが仕掛ける余地の無いギャンブルで挑むしかない。
一体、何を……)
ダービー「Good……どうやら、面白い勝負になりそうだ。
ニュータイプを相手にするのは、初めてだからな……直感的な部分では、恐らく私より上だろう。
しかしそれでこそ、倒し甲斐がある……勝負の内容は?」
ジュドー「インディアンポーカーだ。
先に三回取った方が勝ちだ。」
ダービー「降りていい回数は?」
ジュドー「それも三回だ。
全部使い切ったら、否応でも勝負に乗ってもらうぜ。」
ダービー「いいだろう……初めようか。」

インディアンポーカー。
お互いに山から一枚ずつカードを引き、それを相手に見えるよう、額に掲げる。
この状況では当然ながら、相手のカードは見えるが、自分のカードは分からない。
そして、勝負の合図と同時にカードを下ろし、数字の大きい方が勝ちという、単純なゲームである。
(ただしエースは、キングとジョーカーの間に位置する、高位カードとみなす。)
一見運否天賦の勝負だが、実はそうではない。
このゲームは、勝負宣言を交互にしていくのがルールである。
例えば、AとBの二人が勝負に臨んだとする。
一回目の勝負で、Aが相手の手札を確認した後、勝負するか降りるかを決める。
そして勝負すると聞いた時、Bはそれを受けるか降りるか……それを決める。
これを交互に行っていくのだが……実はこれが、相当厄介な縛りになる。
自分のカードが分からないという状況下において……相手の勝負宣言は、かなりの脅威になりうる。
何故なら、自分のカードが弱いと知らされているようなものなのだ。
もしもここで、相手のカードが2や3といった弱いカードならば兎も角。
6や7……少しでも、相手に勝ちの目があるような物だったならば……勝負に踏み込めなくなる。
降りざるをえなくなるのだ。
例え、自分のカードが実は……最強のキングだったとしても。
いかにして、相手に恐れを植え付けるか……それが勝負の鍵になる。

ジュドー「お前にカードを切らせると、どんな事をされるか分からないからな。
無関係の奴に切ってもらうとするぜ。」
ダービー「いいだろう。」

ジュドーは近くのテーブルにいた男を呼び、トランプを切らせた。
お互い、カードがしっかりと混ざったのを確認すると……いよいよ、勝負が始まった。
まずはジュドーの先攻である……二人とも、カードを引く。
一回戦が開始されたが……この時、勝負を見ていた者達の表情がいきなり凍りついた。
それもその筈……危険極まりないカードが、いきなり配られたからだ。
ジュドーのカードもジョーカー。
そして……ダービーのカードもジョーカー。
今、ジュドーは焦りを隠しきれないでいた。
よりにもよって、初っ端から最強のカードを引かれてしまったなんて。
幾らなんでもこの勝負……降りざるを得ない。
相手にプレッシャーを与え、何とか降ろしてみるか……そうも考えたが、踏み切れなかった。
敵が脅しに屈せず、勝負を挑んできた時……状況は最悪になるからだ。

ダービー「さあ、どうするんだね?」
ジュドー「……一回戦は降りさせてもらうぜ。
幾らなんでも……やばすぎるからな。」
ダービー「ほう……それでいいのかね?
そんなカードなのに……」

降りようとするジュドーへと、余裕の笑みを浮かべながら、ダービーが揺さぶりにかかった。
狙いは明らか……彼を降りさせない為である。
これがジュドーに、尚更降りる決心をさせた。
こんな揺さぶりをかけてきた以上……自分のカードは強くはないのだ。
元々、勝負に乗るつもりはなかった。
ここは、素直に応じるのが得策……ジュドーは勝負を降りた。
はっきり「降りる」と断言したのを聞き、ダービーは己のカードを降ろした。
同時にジュドーも、カードを降ろすわけだが……ようやく彼は、己の犯した過ちに気付かされた。

ジュドー「なっ……俺もジョーカー!?」
ダービー「残念だったな……あのまま降りずに勝負していれば、引き分けですんだのに。
これでそっちは、後二回しか降りられなくなったな。」
ジュドー「っ……」

貴重な逃亡手段を、一つ失ってしまった。
あの状況下では、仕方が無いとはいえ……無念の思いだった。
しかし、それと同時に……ある疑問が浮かんできた。
ダービーはジュドーが降りると宣言した時、この機を逃すまいと、揺さぶりにかかってきた。
ジョーカーと言う最強の敵が、自ら逃亡するという契機……それを確実なものにしたかったのだろう。
だが……一つだけ、引っかかる点があった。
あの時のダービーの様子が……あまりにも、余裕過ぎた。
最強のジョーカーが相手だというのに……脅えた様子がないというのが、腑に落ちなかったのだ。
万が一揺さぶりに失敗した場合、敗北は確実だというのに。
自分を、確実に陥れる為の演技なのだろうか。
それとも、まさか……

ジュドー(……こいつ、俺が確実に降りるって分かってたのか?
自分のカードがジョーカーだって……知っててやりやがったのか?)

ダービーは、自分が持っているカードが何なのか……分かっていたのではなかろうか。
もしもそうだとするとこの勝負、勝ち目は恐ろしく薄くなる。
しかし……こんなイカサマを、一体どうやって仕掛けてきたのか。
ジュドーはダービーが持っていたジョーカーを、満遍なく触ってみる。
傷による凹凸はない……手触りでカードを判別できるとは思えない。

ジュドー(じゃあ、一体どうやって……それとも、本当に演技なのか?
くそ……どうなってやがんだよ!!)

ジュドーの中に、とうとう迷いが生まれてしまった。
心理戦においてそれは、命取りに他ならない。
ダービーは果たして、演技であの場を誤魔化したのか。
それとも……自分のカードが、本当に分かっていたのか。
あらゆる迷いが今、ジュドーに降りかかっていた。
一回戦……結果は引き分けながらも、ダービーは勝負の流れを掴んだ。


778 名前:旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/11(月) 11:56:210

ジュドー(……このゲームで相手のカードを知る事が出来るとしたら、その方法は限られる。
問題は……こいつがその内の、どれを使ってるかだ。)

疑問を抱えたまま、ジュドーはインディアンポーカーを続けていた。
このゲームでダービーにイカサマが出来るとしたら、その方法は限られる。
まずは、先程真っ先にジュドーが確認した、カードへの細工。
手触りでカードを判別するという、単純なイカサマだが……これは相当リスクが高い。
というのも、細工をしたカードが相手に渡れば、その時点でアウトだからである。
少しでもカードに違和感を覚えられてしまったら最後、イカサマがばれてしまう。
普通に考えてダービーほどの男が取るような手段ではないし、実際にこれは違った。
ならば……残る手段は三つしかない。
まず一つ目は、カードの配布。
シャッフルの際に、自分へと強いカードが来るよう、山札の順番を操作するのだ。
しかし、この可能性もまずありえない。
最初、ジュドーが無関係の者にシャッフルを頼んだのは、これを恐れたからだ。
自分は無造作に、シャッフルする者を選んだ……イカサマを仕掛ける余地が無い。
第二の方法は、反射を利用するイカサマ。
グラスでも皿でも、兎に角鏡の様に自分の姿を映せる物があれば何でもいい。
しかし、これも不可能だろう。
余計な真似をされないよう、机の上は一切合財片付けたからだ。
ならば……もはや残る手段は一つしかない。
この店の何処かに、ダービーの協力者がいる。
その者から、何らかの方法でカードを教えてもらっているのだ。
恐らく、この可能性は極めて高い。
店の中には、様々な客がいる……この中の一人に仲間が紛れ込んでいたとしても、おかしくはない。
これをされると、協力者の発見は極めて難しい。
どんな仕草でサインを送っているかが分かれば、まだ話は別だが……

ジュドー(……店の客を全員、外に追っ払っちまうか?
確かに、それが手っ取り早い手段だが……駄目だ、方法が思いつかねぇ。)
ダービー(あの表情……薄々、私のイカサマに気付いたみたいだな。
恐らく、私に協力者がいると考えているのだろうが……甘いな。)

ダービーはジュドーの様子から、彼が何を考えているかを見抜いていた。
協力者からサインを送ってもらっている。
彼がそう思っている事に、気付いていたのだ。
それは正解でもあり、そして間違いでもあった。
ダービーが仕掛けたイカサマは……ジュドーの発想のレベルを超えていた。
最初にジュドーは、手触りでカードを判別する事は不可能だと、見切りをつけていたが……これが大きな過ちだった。
ダービーは、カードを「指」で覚える事が出来るのだ。
常人では気付かないような、ミリ単位の違い……それをダービーは、全て判別する事が出来る。
まさかこんな特技があるなんて、予想できるわけが無い。
この時点で既に、ジュドーの勝ちの芽は積まれていたわけだが……ダービーは、これでは終わらなかった。
さらなるイカサマで、トドメを刺しにきたのだ。
その手段は、あまりにも大胆極まりない。
ダービーは、己の目で己のカードを見ていたのだ。
己のスタンド……オシリス神を介して。
スタンドはスタンド使いにしか見る事は出来ない。
この場に、ダービー以外のスタンド使いは誰もいない……彼のスタンドは誰も見えない。
イカサマを見抜く事は、絶対不可能。
カードを指で覚えると言う悪魔染みた特技に、不可視のスタンド。
最初からこの勝負、ジュドーに勝ち目はなかったのだ。

ジュドー「……勝負だ。」
ダービー「受けましょう。」

二人が同時にカードを下ろす。
ジュドーのカードはキング……ダービーのカードはエース。
勝者はダービー……これでジュドーは二連敗。
後がなくなってしまった。

ジュドー(くそ……もう駄目なのか……?)
ダービー(無駄だ……どう足掻こうが、私にこのゲームで勝てはしない。
私のイカサマを見抜く事は、絶対不可能なのだからな……)

ジュドーは、ダービーの強さに心底恐怖を覚えていた。
あまりにも……レベルが違いすぎる。
このままでは、アスラン達同様に魂をチップにされてしまうかもしれない。
その恐怖から、顔に焦りの色を浮かべつつ……ジュドーは次の勝負に臨んだ。
もはやジュドーの敗北は、決定的。
誰もがそう思っていたが……実はただ一人、この状況を好機と見ていた者がいた。

ポップ(……やれるかもしれねぇ。
ジュドーには悪いけどよ……このインディアンポーカーで、奴のイカサマを完全に見抜けた。
確実とは言えねぇが……五割以上はある。
次の勝負……こいつを倒せる!!)


779 名前:旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/11(月) 11:56:520

ダービー「それでは、最後の勝負に参るとしようか。
そちらが先にカードを引く……」
ポップ「待ってくれ。」
ジュドー「ポップ……?」
ダービー「……何かね?」

今まさに、最終戦が始まろうとしていた時だった。
突然、ポップが待ったをかけてきたのだ。
このタイミングで勝負を止める理由といえば、一つしかない。
物言い……ダービーの仕掛けたイカサマについてである。
もしかすると、自分が指でカードを識別できていることに、気付かれたかもしれない。
一瞬、焦りを覚えるが……すぐに冷静さが戻ってくる。
残されたもう一つの武器……スタンドの存在は、まだ破られていないからだ。
ならば、ポップが何を言ってこようが怖くは無い。
恐れることなど……何も無い。

ポップ「次の勝負はもしかしたら、ジュドーにとって最後になるかもしれないんだ。
だから……出来る事なら、万全の体制で勝負に挑ませたい。」
ダービー「ほう……具体的には、どうすればいいのだね?」
ポップ「少し待っていてくれないか?
ここから歩いて五分もかからない場所に、道具屋があるんだ。
新品のトランプを、そこで買ってきてやるよ。」
ダービー「私の用意したトランプは、やはり信用できないという事か?」
ポップ「はっきり言うが、信用できないな。
アスランもカガリも、お前の仕掛けたイカサマで沈んでるんだぜ……?」
ダービー「……いいだろう。
新しいカードを、買ってくるんだな。」

ダービーからの許しを貰うと、ポップはすぐに店を出た。
この行動は、ダービーにとって完全に予測範囲内だった。
カードを取り替えさえすれば、自分のイカサマを封じられる。
そう思っているに違いないと……ポップの行動を、余裕の笑みを浮かべながら、哀れに思っていた。
だが……この時ダービーは、知る由も無かった。
この後、ポップがあまりにも残酷としか言いようが無い……ダービーの予想をはるかに超えた、とんでもない暴挙に出る事を。


それから数分後。
ポップはトランプを購入し、店へと帰って来た。
封は切られていない、紛れも無い新品である。
当然ではあるが、これではポップもダービーも、イカサマの仕掛けようが無い。
ポップはその新品のトランプを適当な店員に手渡すと、その場でシャッフルをしてもらう。
勝負の流れは以前、ダービーのまま……無駄な足掻きなのではないかと、誰もが思っていた。
だが……この直後。
ダービーにあった筈の流れは全て……ひっくり返される事になる。
二人がカードを引いた。
ジュドーのカードは、3……最悪としか言いようが無いレベルのカード。
一方ダービーのカードは、エース……最強から二番目のカード。
降りる事が出来ないジュドーには、勝負に乗るしか道はなかった。
自ら、死に赴くしか道はなかった……全て終わった。
誰もがそう思い、最期の瞬間を待っていたのだが……その直後。
あまりにも信じ難い、理不尽な事態が起こった。
二人のカードが下ろされる。
その瞬間……ダービーが声を荒げた。

ダービー「なっ……馬鹿な!?」
ジュドー「え……か、勝った?」

ダービーのカードはエース。
それは本人含め、誰もが確認をしていた。
だが……今、彼の手の内にあるカードは、エースではなかったのだ。
なんと、ダービーのカードが……ジュドーの3に劣る、最弱の2に入れ替わっていたのだ。
結果、ジュドーは初の勝利を飾る事になるのだが……誰もが、開いた口を塞げなかった。
何が何だか、全くもって理解できなかったからである……しかし、分かっている事は一つだけある。
このカードの入れ替わりは……間違いなく、ポップが仕掛けた事だと。

ダービー(こいつ……何を……一体、何をした!?
私がオシリス神で見たカードは、間違いなくエースだった……だが、結果はこの様……何故だ。
何故、こんなことが……何故だ!?)

780 名前:旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/11(月) 11:57:410

ダービー(こちらのカードは9。
そして向こうは7……間違いなく、此方の勝ちだ。
だが……もしもこいつが、またすり替えをしてきては……)

次戦。
ダービーはポップのしかけた罠によって、相当の困惑状態に陥っていた。
何故、自分の持っていたカードが急にすり替わったのか。
何故、自分が敗北を喫してしまったのか。
そのトリックが、未だに分からないでいたのだ。
こんな暴挙をされてしまっては、己のカードが分かっていようがいまいが、もはや関係はない。
ダービー封じの特効薬としてはまさしく、最強の攻撃力を持っていた。

ダービー(どうすればいいんだ……くそ、おちつけ!!
このままでは、奴の思う壺に嵌るぞ……カードをすり替えられるのは、私が下ろした瞬間だ。
ほんの数秒ほどしか、奴に隙は与えていないが……あのポップとかいう男から、目を離すな。
勝負の瞬間には、間違いなく奴に何らかの動きがある……それさえ掴めれば……)

己の敵は、今勝負をしているジュドーではない。
イカサマを仕掛けたであろう、張本人のポップである。
彼から目を離してはいけない……カードを下ろす瞬間に、間違いなく彼は動く筈。
その見極めの為にも、この勝負……降りるわけにはいかない。
ダービーははっきりと、勝負宣言をした。
それとほぼ同時に、彼は視線をポップに向けた。
何としてでも、イカサマを見破ってみせる……限界まで目を見開き、彼を凝視する。
そして……二人のカードが下ろされた。
ジュドーのカードは変わらず7。
しかし、ダービーのカードは……またも、すり替わっていた。
7に勝る9ではなく……7に劣る5に。
だが……ダービーにはそれが、信じられなかった。
それもその筈……ポップは、一切動いていなかった。
イカサマを……仕掛けられるはずがなかったからだ。

ダービー(ばっ……馬鹿な!?
身動き一つ……していないだと!?
じゃ、じゃあ何でカードが……私のカードが、すり替えられるんだ!?)

ダービーは、イカサマを見抜くことが出来なかった。
ポップが何をしたのか、全く分からなかったのだ。
この瞬間……ダービーの敗北が、決定してしまった。
次はジュドーの番……降りる事が出来ない彼は、勝負するしかない。
そして次でも、確実にすり替えは行われる。
己の敗北が……全て確定してしまった。
圧倒的に優位だった状態から、一瞬にして突き落とされた。
そのショックは、あまりにも大きすぎた。
信じられない。
そう一言呟いた後……ダービーは、机に突っ伏した。
その瞬間だった。
机に置かれていた、アスランとカガリのチップが消失し……そして。
横たわっていたアスランとカガリが、起き上がったのだ。

カガリ「っ……一体、これは?」
アスラン「体が元に……カガリ!!
じゃあ、まさか……」
ポップ「ああ、こっちが奴との勝負に勝ったんだよ。
その御蔭で、お前達も解放されたのさ。」
ダービー「何故だ……何故だ……何故だぁぁぁぁ!!!!???
貴様、一体カードに何をした!?
何故……何故、私の持っていたカードがすり替えられるんだ!?
何故……私が負けたんだ!?」

ダービーはポップに掴みかかり、質問攻めにした。
何故、勝負の瞬間にカードがすり替わっていたのか。
そのトリックが全く分からなかったからだ。
イカサマを見抜けずに敗北するなど、ダービーにとって余りにも屈辱的すぎることだった。
すると、無様な彼を見るに見かねたのか、ポップは種明かしをし始めた。
あまりにも、単純明快な……とんでもない手法を。

ポップ「お前さ……マヌーサって魔法をしってるか?」
ダービー「え?」
ポップ「この世界にある、簡単な魔法だよ。
『かけた相手に、幻を見せる』……ここまで言えば、もう分かるだろ?」
トビア「幻って……じゃあまさか、ここにいる俺達全員に……?」
ポップ「ああ……悪いけど、こっそりかけさせてもらったぜ。
カードは最初から、すり替わってなんかいなかったんだ。
ただ、お前達が見間違えてただけなんだよ。」
ダービー「……じゃあ、新しいカードを買ってくるといいだしたのは……」
ポップ「カードに細工をしてある可能性を見越してだ。
幻を賭けても、感触までは変えられねぇからな。
ジュドーはさっき、細工はないって思ってたけどよ……お前はプロのギャンブラーだろ?
こっちが分からないような手段で細工をしてる可能性は、十分に考えられるんだよ。」

ポップが仕掛けたのは、イカサマとかもはやそんなレベルの仕掛けではなかった。
魔法をかけて妨害するなんて、そんな荒業普通は考えられない。
ダービーは悔しさのあまり、机を強く叩いたが……その直後。
すぐに己の置かれている状況を理解すると、店から飛び出ようとした。
しかし……すでに入り口は、ジローや一也達によって塞がれている。
逃げ道は全て、潰されてしまった。

ポップ「……それじゃあ、色々と喋ってもらうか。
例えば、お前の上にいるっていう奴の事についてとかな。」
ダービー「っ……」

そんな事、出来るわけが無い。
DIOを裏切るなんて馬鹿な真似は、ダービーには間違っても出来なかった。
だが……この状況下では、拒否権などあるわけがなかった。
もはやここまでか……そう諦めかけた……その時だった。

???「ったく……だらしねぇな。」
イチロー「っ!?」
アスラン「何だ!?」

突然、入り口を塞いでいた者達の背後から、強烈な炎が襲いかかってきた。
彼等はそれをとっさに避けたのだが……結果、封鎖は解かれてしまった。
その一瞬の隙を逃さず、ダービーは一目散に走り出た。
やられた……すぐにその後を追い、ポップ達が店の外に出る。
するとそこには……その拳に炎を宿す、学ランを着た一人の男がいた。
その姿を見て、ポップ達この世界の住人を除く者達は、驚きを隠せないでいた。
それもその筈。
この男……ダービーを助けた炎の使い手は、彼等の世界では有名人だったからだ。

ジュドー「え……草薙京!?」
レオナ「知ってるの?」
巧「ああ……俺達の世界で開かれている、KOFっていう格闘技大会に出てる、有名な格闘家だ。
けど、何でこいつがダービーを……?」
アスラン「……まさかお前達、ネスツの人間か?」
洸「ネスツ……え?
それって、あのKOFの裏側で暗躍してたって言うあの……?」
アスラン「そうだ……俺は以前に一度、ネスツに関する資料を見させてもらった。
ネスツは一時期、ある格闘家に目をつけて、その格闘家を自分達の手駒として使えないかと企んでいたらしい。
そしてKOFを利用して、奴等は上手くその格闘家を奪取し……その格闘家の、大量のクローンを作り上げたそうだ。」
クローン京「よく調べてるじゃねぇか……正解だ。
俺はネスツによって作られた、草薙京のクローンだよ。」
ダービー「……クローン。
私を助けてくれたという事は……?」
クローン京「お前は奴等の始末に失敗した。
本来なら、デーボ同様殺しておくとこだが……DIOは、お前にはまだ利用価値があると見てる。
アスラン・ザラとカガリ・ユラ・アスハを、一時とはいえ己の手中にしたんだ。
まだまだ十分扱えるから、生かしておくってよ。
この先に逃げ道は確保してある……こいつらは俺に任せて、さっさと逃げとけ。」
ダービー「……分かった、礼を言うぞ。」

ダービーはすぐさま、その場から走り去った。
その後を追いかけようと、とっさにアスラン達も飛び出そうとするが……しかし。
その行く手は、紅蓮の炎によって塞がれた。

クローン京「おっと……お前達の相手は、あいつじゃなくて俺だろ?」
カガリ「こいつ……」
クロコダイン「どうやら、黙って通してはくれなさそうだな……いいだろう。
ならば、貴様を倒してから先に行かせてもらうとするぞ!!」

いきおいよく、クロコダインの拳が繰り出された。
その豪腕の一撃をまともに受ければ、一溜まりも無いだろう。
しかし……クローンとはいえ、相手はKOF最強の実力者の一人。
この程度の攻撃は、全く問題ではなかった。
クローン京は最小限の動きでその一撃を避けると、急激にクロコダインとの間合いを詰めてきた。

クロコダイン「何……こいつ、速い!!」
クローン京「ボディが……甘い!!」

百拾四式・荒咬み。
炎を纏った拳が、その胴体にぶち当たる。
その一撃はとてつもなく重たく、2mを越える巨躯を持つクロコダインすらも、怯ませるほどだった。
さらに……クローン京の追撃が繰り出される。
すかさず、もう片方の手でクロコダインの首を掴み……そして。

クローン京「燃えろぉ!!」

強烈な爆発が、クロコダインの身を包んだ。
弐百拾弐式・琴月 陽。
相手に掴みかかっての、零距離爆破。
その破壊力は高く……クロコダインは、地面に倒れこんだ。
格闘戦においては優れた力を持つクロコダインが……一瞬の内に敗れ去った。

クローン京「ふぅ……燃えたろ?」
ポップ(……マジかよ。
おっさんをあっという間にやりやがった……マァムやヒムのレベルを、超えてるかもしれねぇ。
こいつ……滅茶苦茶強ぇぞ。)


○ジュドー→ポップのマヌーサにより、ダービーに勝利。
 アスランとカガリを解放する。
○ポップ→マヌーサをかけるという荒業により、ダービーに勝利。
 アスランとカガリを解放する。
○クロコダイン→クローン京に挑むも、一瞬の内に倒されてしまう。
●ダービー→ポップのマヌーサに惑わされ、敗北。
 アスランとカガリを手放すが、クローン京の手によって逃げ延びる。
●クローン京→ダービーを逃す為、この世界へと現れる。
 一瞬にしてクロコダインを打ち倒す。


【今回の新規登場】
●クローン京(THE KING OF FIGHTERS 99)
ネスツが草薙京のデータを元に作り上げた、京のクローン。
京を元にして作られただけあり、その強さは半端なレベルではない。


781 名前:旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/11(月) 11:58:120

クローン京「ボディが……がら空きだぜぇ!!」
シャイダー「ぐぅっ!?」

次々に叩き込まれていく、炎の拳の連撃。
それは、変身した巧やジロー達にさえも、とんでもないダメージを与えていた。
数多くの格闘家達の頂点に立ち、そして地球意思であるオロチすらも封じた、草薙の拳。
例えクローンと言えど……その力は、まさしく本物であった。

ポップ「接近戦じゃ駄目だ……なら!!」

近距離戦では、クローン京相手に勝ち目は薄い。
そう判断したポップは、己の得意とする遠距離戦で片を着ける事にした。
その意図を理解したのか、格闘戦を挑んでいた者達が、一斉に離れる。
そして……すかさずポップは、一撃を叩き込んだ。

ポップ「イオラ!!」

勢いよく、ポップの掌から爆球が放たれる。
しかしイオラ程度の威力では、クローン京相手にはさほど通用しないだろう。
クロコダインを回復させつつ、レオナはそう思っていたが……それは一発辺りの話。
数が集まれば……話は別。

ポップ「反撃の隙は与えねぇぜ!!」

イオラの乱れ打ち。
次々に襲い掛かる爆球を、クローン京は何とか拳で裁いていた。
しかし、何分数が多すぎる……やがて迎撃が追いつかなくなり、クローン京は完全に防戦一方へと追い込まれ始めた。
それを契機と見て、全員が一斉に動いた。
動きを完全に封じ込めた……今ならやれる。
それぞれが、懇親の力を込めた一撃を叩きつけようとした……まさにその瞬間だった。

クローン京「ちっ……まだだぁ!!」
スーパー1「なっ!?」

直後。
クローン京の掌から、とてつもない勢いで炎が噴出した。
今まで拳に纏われていた炎とは、比べ物にならない火力。
草薙京の十八番……草薙流古武術の、必殺奥義。
クローン京は大きく腕を振るい……今、その一撃を放った。


クローン京「喰らいやがれぇぇぇぇ!!!」

裏百八式・大蛇薙。
灼熱の炎はクローン京を中心にして、扇状に広がっていった。
彼に攻撃を加えようと、飛び掛った者達は……その直撃をまともに受けてしまった。
炎に身を焼かれ、そして爆風に吹き飛ばされる。
ポップの放っていた無数の爆球も全て、この一撃によって掻き消されてしまった。

クローン京「今のはちょっと焦ったな……危なかったぜ。」
ファイズ(強い……これが、KOF優勝者の実力か……)
キカイダー01(……我々全員で挑んで、これ程とは…。
世界一の座に立っただけの事はある……隙が見当たらない…!)


●クローン京→たった一人にも関わらず、ポップ達全員と互角に渡り合う。

782 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/16(土) 18:39:000


     4000年後の未来

   エルザ下階  KOS-MOS調整室



シオン「おはようKOS-MOS、調子はどう?」
 未来型の液晶カルテボードを片手に、KOS-MOSに尋ねるシオン。

KOS-MOS「モニタリングの値が通常値よりも0.022低い数値を示しており
ますが、許容範囲内の誤差です。各部関節の稼働率も良好。特に問題は
ありません」

 シオンの問いに対し、KOS-MOSはいつものように無機質且つ的確に返す。

シオン「そう。なら大丈夫ね。擬似感情プログラムも正常に作用してる
みたいだし、よかった。
 この前みたいに猫を追い回してエルザを壊して回ったりしないでね?」

  シオンは苦笑しながら、【この前】のことをKOS-MOSに注意するでも
なく、ただお願いをしているようだった。

KOS-MOS「・・・シオン。シオンの言う【この前】に当たる事態は、私自身の
トラブルではなく、アレンによる外的要因です。破壊行為の実行者は私
ですが、この場合はその言葉はアレンに対し話すのが正しいと思われます」

シオン「・・・ そうね、ごめんなさい」
 クスッと笑いつつ、両手を合わせて謝るシオン。

  そこへ

      (シュインッ──)

 センサー感知式のドアの開く音に、シオンとKOS-MOS両方が入り口に注目
する。

Jr「よっ! シオン、KOS-MOS!」
 元気一杯に手をふりふりと振って現れたのは、デュランダルの主、
Jr(ジュニア)。

シオン「Jr君」
KOS-MOS「Jr。何か御用ですか?」

Jr「ああ、ハカセが皆に見せたいモンがあるっつっててさ」

シオン「・・・ハカセ?」
 シオンは、途端に怪訝な顔をする。

シオン「大丈夫なの? 爆発しない?」

KOS-MOS「私もハカセの発明には、99.999%の割合で好ましくない
事態を経験しています。あまり関わり合いになりたくありません」

 それまでがそれまでとはいえ、二人の評価はあんまりである。

Jr「だからさ、いざって時の為に見張りは多い方がいいだろ?
 それにさ、面白そーじゃん」

  Jrの口調から見て、彼自身の動機が後者にあることは明白だった。

シオン「・・・そうね。仕方ない。放っといて何か悪い事が起きても困るし、
見るだけ見に行きましょうか・・・」

 ふう、と溜息を吐くシオンに

KOS-MOS「シオンの身の安全を守るのが私の務めです。シオンが行くのなら
私も同行します」

 と、KOS-MOSもシオンの後ろをついていく形になった。

Jr「お前ら本人がいねーからって好きな事言ってんなー・・・」



  ◇    ◇



    エルザ下階  廊下



Jr「そういえばお前ら、前にパッと消えちまったことあったよな」
 キャビンに向かう途中で、Jrはそんな話題を振る。

シオン「え? ああ・・・ あの時ね」
 Jrが言うのは、例の【五界混沌事件】に、シオン、KOS-MOS、MOMOの
三人が巻き込まれた時のことである。

Jr「ずっりーよなぁ。お前らだけ面白そーな事しちまっててさー」
 Jrは本気で、羨ましそうに呟いている。

シオン「ずるいって・・・ 私達は私達で大変だったのよ? 時代に合わない
ロボットはたくさん出てくるし、変な生き物はわんさかやってくるし、仲間
はもっとわけがわからない人達だったり・・・」

 シオンがぐちぐちと呟いていると

ケイオス「Jrは、あの時モモちゃんがいなくなって本気で心配してた
からね」

 どこからともなく、褐色肌の美少年、ケイオスが現れる。

Jr「うわっ!!?」
シオン「ケイオス君。いつの間に・・・!?」

 ケイオスはシオンたちの後ろで、天使のような笑顔でニコニコしている。

Jr「ケイオスぅ。それ言うなって言ってたろー?」
 Jrは少し怒った風で、ケイオスに詰め寄る。

ケイオス「あはは。ごめんごめん」
 そんなJrに対し、ケイオスは両手を胸の前で広げて謝っていた。

Jr「あー・・・ でもマジ俺も行きたかったなー。その時代、俺の大好きな
トカレフやスミスのゲンブツがゴロゴロあるんだろ?」

 Jrの趣味である、前時代の小銃コレクションにとって、現代の地球は
最高に宝の山である。

ケイオス「やきもきしなくても、そのうちみんなで一緒に行けるよ」
 と、ケイオスはいつもの如く、意味深な言葉を告げた。

Jr「だったらいいけどな」
シオン「(私はもうこりごりなんだけどなー・・・)」


783 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/16(土) 18:41:170

○シオン・ウヅキ→KOS-MOSの調整から、Jrに誘われキャビンへ。
シオンの言う【この前】の猫事件は、ゼノサーガフリークスを参照
○KOS-MOS→シオンを守るという名目で、シオンと共にキャビンへ
○Jr→シオンとKOS-MOSをキャビンに誘う。五界混沌事件では消えたモモ
を心配していたことが判明。
○ケイオス→どこからともなく現れ、これからの事を見透かしたような
発言をする。

【今回の新規登場】
○シオン・ウヅキ(ゼノサーガシリーズ)
ゼノサーガシリーズの一応の主人公。元ヴェクター・インダストリー第一
開発計画総合オペレーションシステム主任で、現在は退社。兄、ジン・
ウヅキとの人間関係にギクシャクしている。眼鏡っ娘だったがアレンが
割ってしまって以来コンタクトに。乗機はE・Sディナ。

○KOS-MOS(ゼノサーガシリーズ)
ヴェクターに開発された女性型戦闘用アンドロイド、【秩序】の名を持つ
主人公であるシオンを食うほどの、ゼノサーガの最重要且つ最上人気
キャラクター。シオンを護る事を最重要事項にしている。乗機はE・S
ディナ。しかし生身でも充分すぎるほど強い。

○Jr(ゼノサーガシリーズ)
ガイナン・クーカイ・Jr.(ジュニア)。正式名称はU.R.T.V.固体666
レッドドラゴン。愛称ルベド。アルベドと背部が癒着している状態で
生まれた癒着双生児。古銃集めが趣味で、モモにホの字。乗機はE.S
アシェル。

○ケイオス(ゼノサーガシリーズ)
名前以外、一切の経歴が謎に包まれている。透き通った瞳と銀髪が特徴の
美少年。【混沌】の名を持つ。マシューズ達と出会って以来、エルザクルー
として彼らと行動を共にしている。腕一つでグノーシスを消したり、時折
何もかも見通したような発言をする。乗機はE.Sアシェル。

784 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/16(土) 18:45:290


    エルザ居住区  キャビン



 キャビンにやってきた、シオン、Jr、KOS-MOS、ケイオスの四人。

シオン「わぁ・・・」
 シオンは着くなり少し驚いた声を出す。

 既にキャビンには、当事者であるハカセとスコットクンの他に、モモ、
ジギー、カナン、兄のジン・ウヅキ、アレン君といった、舟の操縦に関係
のない、いわゆる暇な面々が顔を出していた。

シオン「(この船の中、よっぽど他に娯楽がないのかしら・・・)」
 と、心の中でシオンが呟くと

モモ「あ・・・ シオンさん! Jrさん!」
 いち早くシオン達に気付いたモモが、元気に声をかけてきた。

シオン「モモちゃんも来てたのね」
モモ「はい。Jrさんが【たぶん面白いから】って」

シオン「ふうん・・・」
 横のJrをチラ見するシオン。

Jr「・・・な、なんだよ」
シオン「ううん、別に」
 というやりとりが行われる一方で

ケイオス「やあ、ジギー」
ジギー「なんだ、お前たちも来たのか」
 ケイオスはジギーに話しかけていた。

ケイオス「今度はどういう発明か、聞いてる?」
ジギー「いや、俺もモモに誘われて来たばかりだ。もうすぐ発表らしいが」

 キャビンの中央には、カタカタ体を揺らしていて、いつもより興奮して
いる様子のハカセと、スコットクン。その隣には、大掛かりな機械らしき物
が、風呂敷を繋ぎ合わせたようなボロい布をかけられていた。

 見たところ、洗濯機6台分ぐらいの大きさだろうか? どうやって
キャビンに持ち込んだかが甚だ疑問である。

ケイオス「カナンは?」
カナン「俺は元々ここにいたんだが・・・」
 どうやら、キャビンで一人でいたところ、知らない間にこれだけ集まって
きたらしい。

ジン「おや、どうやら始まるようですよ」



  ◇    ◇



ハカセ「あー、ウォッホン!」
 キャビンの中央で、咳払いをするハカセ。

ハカセ「機動戦艦エルデクルーの皆の衆、ワシの大発明発表の場にやって
来てくれたこと、まことに感謝する。・・・それでは、ワシの今世紀最大の
発明を発表するぞい。スコットクン!!」

スコットクン「はいっ! ハカセ!!」
 スコットクンは、ハカセの号令と共に、勢いよく布を剥がす。

 ジャジャーン!! という効果音と共に姿を現す、その機械は・・・

シオン「・・・・・・え?」
 ハカセの研究所にあったわけのわからない機械の塊が、更にわけの分から
ない形に変形したかのような、とても変な形の機械だった。

アレン「・・・あの、何の機械ですか? それ」
 ざわざわとなるキャビンの中で、最初に疑問を口にしたのはアレン
だった。

ハカセ「よく質問をしてくれた、さすがは助手2号じゃ!!
 この機械(メカ)はズバリ!! 次元連結ゲート発生装置、【ジゲンゲー
ター3号】じゃ!!」

 拳をグッと握り、力説するハカセ。

シオン「あのー・・・ それって、どういう?」

ハカセ「この前聞いたシオン君達の次元を超えた別の世界への旅の話を
聞いて、ワシの頭に新たな発明意欲がわいた!! それはここではない他の
世界へのゲートを開く、それをワシの科学で成し得ることであーるっ!!」

スコットクン「さすがハカセ! カッコイイですっ!!!」
 パチパチと盛大な拍手をするスコットクン。

シオン「はあ・・・」
 シオンはすっかり呆れた様子。
 向こうの世界ですら、神様と呼ばれる存在の力でやっと帰ってこれたと
いうのに、ハカセ一人がどうこうしたって同じ様なことが起こせるわけが
ない。しかもそんなスケールが大きな話の割りに、機械が小さすぎる。

スコットクン「あれー? シオンさん、ひょっとして今、【機械が小さす
ぎるでしょ】っておもいませんでした?」

シオン「え!? い、いえ、そんなー。あははは・・・」
 本心を言い当てられて、シオンは少し慌てる。

スコットクン「心配しなくても、いきなり人の転送や大きなゲートを開く
なんてしませんよ。今回の実験で開けるゲートはテニスボール大程度ですし
向こうの世界を覗いてデータを取るだけです」

アレン「でもさ、大丈夫なの? 僕たち全員異次元の向こうに飲まれたり
しない?」

ハカセ「なーんじゃ、相変わらず気が小さいのぅ助手2号君は。
 心配せんでも今回はデータもバッチリじゃ。見とれい!!」

  そう言って、ハカセは大きく手を上げると

ハカセ「スイッチオ────ンッ!!!」

   (ペシーンッ!!!)

 赤色のスイッチを、思いっきり叩いた。

ハカセ「・・・・・・・・・・」
一同「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


      (し〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・)


ハカセ「・・・ おや?」
スコットクン「動きませんね・・・ やっぱり中古の機械を使ったのはまず
かったでしょうか?」

 などと、内輪からえらく物騒な話が聞こえてくる。

Jr「なーんだ。今回はえらくつまんねえ失敗だなぁ」
 と、Jrが心底ガッカリした顔で呟くと

ハカセ「いやいや! これはボタンの接触が悪いだけじゃ!!
 ・・・すまんが、誰か強くボタンを押してくれんかのう? 出来れば一番
力の強い奴がいんじゃが・・・」

 ハカセは粘っているが、集まっている面々はぞろぞろ帰りだしている。


シオン「ふう・・・ まあ、今回は何もなくてよかったわねーコスモ・・・」
 シオンも帰ろうと、隣にいるKOS-MOSに話しかけようとするが
 隣にKOS-MOSはいなかった。

シオン「え・・・? KOS-MOS・・・?」
 慌ててKOS-MOSを探し、辺りを見渡すシオン。

 すると


KOS-MOS「このボタンを叩けばよいのですか?」
 あろうことかKOS-MOSは、ハカセとスコットクンの間、機械の前にいた。

ハカセ「うむ、助手3号君。やってくれたまえ!」
スコットクン「思いっきり叩いちゃってください!!!」

KOS-MOS「了解。おもいっきり叩きます」


シオン「え? え? ええええええええ〜〜〜〜〜〜!!!??
 心臓が止まりそうなほど、シオンは仰天する。

シオン「ちょ、ちょっとダメよKOS-MOS!! あなたの力で“おもいっきり
叩く】なんてしたら・・・」

     (バァァァアンッ!!!!)

 シオンの制止の声も遅く、轟音と共に【ジゲンゲーター3号】は、その
フォルムを大きく湾曲させる。

ハカセ「ぬ、ぬおおおぉぉぉお!!? わ、ワシのジゲンゲーター3号
がぁぁっ!!!」

シオン「あちゃ〜〜〜・・・・・・」
 がっくりと項垂れるシオン。

 ともかく、ハカセの発明品が壊れてしまったのなら、これでもう余計な
トラブルは・・・


           (バチバチ、バチバチ・・・)


 しかし、シオンの僅かな安堵は裏切られる。


785 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/16(土) 18:48:140

○シオン→ハラハラしたり安堵したりと大忙し。
○KOS-MOS→【ジゲンゲーター3号】を破壊。
○ハカセ→メカを破壊されびっくり

【今回の新規登場】
○MOMO(ゼノサーガシリーズ)
百式汎観測レアリエンのプロトタイプ。ミズラヒ夫妻の亡き娘、サクラの
姿を模して作られた。故ヨアキム・ミズラヒが彼女の真相意識の中にY資料
と呼ばれるゾハルに関する研究資料を封印。劇中では語られないが、通常
のレアリエンとはまったく別次元の存在であり、幼態偽装期間が過ぎると
普通の人間と同じ様に成長し、場合によっては将来子供を宿すことも可能
であるとか。乗機はESゼブルン。

○ジギー(ゼノサーガシリーズ)
接触小委員会所属の戦闘用サイボーグ。ジギーと言う名前はジグラット8
(エイト)というサイボーグとしての型番から。元は人間だが、死後ライフ
リサイクル法でサイボーグとして復職。生前(?)の名前はジャン・
ザウアー。乗機はESゼブルン。

○ジン・ウヅキ(ゼノサーガシリーズ)
シオンの兄。元星団連邦特殊作戦軍情報部大尉。ミルチア紛争時に
ケイオス達と知己を得た。ES戦闘では唯一の一人乗りだが、それを思わせ
ない強さを発揮し、生身でも刀一本で敵のA.G.W.S.を斬り裂くという
達人を通り越して化け物ぶり。ミルチアが滅びる際、父スオウからの連絡
を受けてシオンを救出した。シオンから拒絶されることを恐れている。

○アレン・リッジリー
KOS-MOS開発計画統合オペレーションシステム開発副主任。シオン退社後は
主任になる(しかしシオンを主任と呼ぶクセが治っていない)年齢はシオン
より2歳年上だが、シオンが飛び級の為一年後輩に当たる。シオンに片思い
しているが、なかなかそれを気付いてもらえない。

○カナン(ゼノサーガシリーズ)
ヴェクターから第二ミルチアへと貸与された特殊記憶素子搭載型
レアリエン。ジギー、ヴォイジャーとはジギーがジャン・ザウアーだった頃
よりの因縁がある。カナンとは搭載されている特殊プログラムの名前であり
本来の名前はラクティス。

○ハカセ(ゼノサーガシリーズ)
最強レベルのスーパーロボット、エルデカイザーシリーズの開発者。
本名ハクシーヌ・ホワイト。ボロメオ大学を主席で卒業する程の天才だが、
彼を獲得しようとしたヴェクター・インダストリー、ハイアムズ重工業等の
オファーを全て断り、卒業後はいずこかに姿をくらませる。その後いつの
まにかクーカイ・ファウンデーションに住み着いてロボット・アカデミーを
開いていたが、世間からは変人扱いされていた(あながち間違ってないが)
そこでシオンに出会い、彼女の協力で長年の夢であった巨大ロボ、エルデ
カイザーを完成させる。エピソード2ではエルザの改修をスコットクンと
共に行い、ロボット・アカデミーもそこに移してしまった。

○スコットクン(ゼノサーガシリーズ)
ハカセの助手を務める青年。本名不詳。クーカイ・ファウンデーション時代
のロボット・アカデミーでハカセに出会い、あっさりと理想と夢に共鳴。
ハカセを影に日向に支え続け、エルデカイザーの開発を行ってきた。ちなみ
に、かなりの酒豪で泣き上戸。


786 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/16(土) 18:56:330


Jr「あ〜あ、ひっでえなこりゃ」
 湾曲した機械を見ながら、Jrはそう感想を洩らす。

シオン「でも、KOS-MOSがもし全力を出してたら、今頃キャビンの底が
抜けてたと思うわ」
 シオンの方は、機械の破損具合から冷静に分析している。

KOS-MOS「シオンに日頃から、【日常動作では出力をセーブしろ】と言われ
ていましたので、出力を10%以下にしてみました」

 と、KOS-MOSは壊した機械の隣でしゃあしゃあとそう答えた。

シオン「・・・すごい! ちゃんと考えて手加減したのね?
 今まで命令に対して単一視点で動いてトラブルを起こしちゃってたけど、
複数の事情を考えて動くなんて・・・ 嬉しいなー。偉いわっ KOS-MOS!」

 テストで久しぶりに100点をとった子供に感動する母親のような表情
で、シオンはKOS-MOSの顔と頭を撫でる。

Jr「・・・(わあ、親バカ・・・)」
 と、隣でJrに思われているとも知らずに。

ジン「まあ、とにかく【被害】が無くて済んだのは僥倖でしたね」
 ジンもまた、涼しい顔で機械を眺めながらあっさりと言い放つ。


ハカセ「よくないわいっ!!!

 それに異を唱えたのは、やはりハカセだった。

ハカセ「おぬしら、わしがこの【ジゲンゲーター3号】にどれだけ心血を
注いだと思っておるんじゃあ!!! この3号に至るまでには・・・」

 と、ハカセの開発ヒストリーが展開するかと思った

 その時


      (バチバチバチバチッ!!)

                 (バチバチバチバチッ!!!)



一同「っっ!!?」

 電気のスパーク音がけたたましく響き渡ったかと思うと


      (────────────────────)


 続いて、どんな風にも現せにくい共鳴音と、振動。そして衝撃が全員を
襲う。

Jr「ぐぁっ・・・!?」
シオン「な、何っ・・・!?」
 その重力にすら感じるほどの重みある衝撃に、そこにいた一同の半数が
膝を落とす。

カナン「これは・・・」
ジン「この拡大のスピード、キャビンだけではないようですね」
 空間の重みの中、表情を変えぬまま、ジンとカナンは状況を確認し

ジギー「大丈夫か、モモ」
 ジギーはいち早く、モモの方へと駆け寄り、大きなサイボーグ体を傘に
匿う。

モモ「大丈夫です・・・ これでも結構、丈夫ですから・・・
 それよりこの、空間異変・・・ 大変です。エルザ全域と・・・ デュランダル
にも・・・」

Jr「なんだって・・・!? ママが・・・!!?」
 現象がエルザを飛び越え、デュランダルにまで拡大しているという報に、
驚きを隠せないJr。

シオン「ほ、本当なの・・・? KOS-MOS・・・」

KOS-MOS「はい。この部屋を覆っているアンノウン現象は、音速に近い
スピードで放射状に広がり、エルザとデュランダルを完全に包みました。
 約1.5倍の重圧、不快感を肉体に感じる意外は、空調その他の変化は
無い模様。人体、レアリエン体、機体共に無害と思われますが、現象の
範囲内である空間からは、通常では考えられない変異を起こしています」

 床に膝を着いているシオンの一方で、隣のKOS-MOSはやはり平気らしく、
不動のまま冷静に情報を分析する。

ケイオス「(始まった、みたいだね・・・)」
 健常な者や、体が機械で構成された者が共通して立っている状態の中で、
唯一、大して力の無さそうなケイオスが、通常と同じ様に自然体に立った
まま、心の中で呟いていた。



  ◇    ◇



    エルザ  デッキ内


マシューズ「おい! どうなってやがるんだ!!!」
 エルザのデッキ内で、マシューズの怒号が飛ぶ。

トニー「俺に言われてもわかんねーよ! とにかく舵が効かねーんだ!!」
 舵と格闘しながらイライラを隠せない状況のトニーと

ハマー「こっちもダメっす!! 計器類から何から何まで全部デタラメで
アクセスのしようがないッスよ!!!」

マシューズ「んだとぉ!!? おい冗談じゃねえぞ! 死ぬ気で何とか
しろぉ!!!」

トニー「あーうるせぇな!! ならあんたが外に出てエルザ押せよ!!」
マシューズ「バカ野郎!! 自動車じゃねえんだよ!!!」
トニー「んなこたぁわかってんだよ!!!」

ハマー「ピンチッス──! 死んじゃうッス──−!!! 宇宙の終わり
ッス────!!! うわぁぁああ!!!!」

 アンノウンの非常事態の中、エルザクルーの一行はパニックに陥っていた



  ◇    ◇



       一方

    デュランダル  マザーフレームデッキ



メリィ「一体何やねんこれは───っっ!!!」
 デュランダルデッキにも一人、髪をクシャクシャにしながらパニックに
陥っている人間が一人。

シェリィ「メリィ。落ち着きなさい! 百式。解析状況の報告を!!」
 一方のシェリィは、非常事態ながらも冷静に事態の収拾に当たろうとして
いる。

百式A「アンノウン放射線の分布状況確認。エルザキャビンを中心に、
デュランダル周囲1キロ宙域を完全に包囲!!」

百式B「現在は拡大を停止。しかし同時にデュランダルの航行システムは
100%完全停止。非常用の脱出装置も沈黙中!! 理由は不明です!!」

百式C「アンノウン現象空間内の空間湾曲、尚も増大中!!
 123の対抗措置、全て効果ありません!!」

 ハッキングなど、様々な状況に対して、鉄壁の防御を司る百式レアリエン
達。しかしその彼女達から報告される状況は全て絶望的なものばかり。

メリィ「嘘やろ・・・!? これだけの百式が揃うとんのに、何も出来へんや
なんて・・・」

シェリィ「メリィ、今がどんな状況であれ、私達は弱気にならないで全力を
尽くすべきです。違いますか?」
 弱気になりかけていたメリィを、シェリィが諭す。

メリィ「う・・・ そやね・・・ ゴメン」

シェリィ「ガイナン様」
 シェリィは振り向き、主に判断を問う。

ガイナン「・・・・・・・・」
 リーダーであるガイナンは、少しだけ考え込んだあと

ガイナン「総員、焦る事無く現状打破に努めてくれ。俺も出来る限りの事を
する」
 これ以上なくストレートな、それでいて厳がある言葉で、クルー全員に
語りかける。

シェリィ「はい!」
メリィ「よーし! 湾曲現象がなんぼのもんや〜〜〜!!!」

 ガイナンの一言で総員が息を吹き返し、懸命に事に当たるクルー達。

 そして・・・


787 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/16(土) 18:57:160

○KOS-MOS→突如起こった現象を分析
○ケイオス→やはり何かわかっているらしい
○ガイナン・クーカイ→一言でディランダルクルーの心を纏める
○メリィ、シェリィ、百式→それぞれに現状打破に努める。
○マシューズ達→てんやわんや

【今回の新規登場】
○マシューズ(ゼノサーガシリーズ)
航宙貨客船エルザの船長。元星団連邦政府軍海兵隊所属。ジャンク屋として
クーカイ・ファウンデーションの仕事を請け負う。人類の存亡をかけた重要
な場面において、常にJrらのサポート的な立場で活躍する人材である。
莫大な借金を抱えており、Tの後にようやく返却できたが、Uではどさくさ
で今度はハカセの借金を背負ってしまうハメに

○トニー(ゼノサーガシリーズ)
エルザの操舵手。普段は優男風だが、操縦桿を握るとスピード狂になる。
ハマーとは幼馴染で、10年以上の付き合いがあると考えられる。

○ハマー(ゼノサーガシリーズ)
エルザのナビゲーターにして元天才ハッカー。語尾に「〜っス」と付ける
口調とホウキ頭が特徴。ハッカー時代にその関連で某犯罪組織に命を狙われ
ていた所をマシューズに助けられて以来行動を共にしている。

○メリィ・ゴドウィン&シェリィ・ゴドウィン(ゼノサーガシリーズ)
二人共にライフリサイクルによって産まれた変異体。一部テレパスが可能。
ある製薬会社に非合法に実験体として所有されていたが、ミルチア紛争後
ガイナンらに保護されて以来、クーカイ・ファウンデーションに身を寄せて
いる。現在はガイナンとJrのサポート的な立場として、ファウンデー
ションに欠かす事の出来ない存在。メリィは陽気なムードメーカーで、漫才
コンビを常に探しているが見つからない。そして彼女の関西弁は微妙に
間違っていることがある。片方シェリィは知的な雰囲気が漂うとても有能な
女性。正反対の姉妹だが、互いに欠かせない存在。

○ガイナン・クーカイ(ゼノサーガシリーズ)
星団連邦ミルチア自治州に属する特殊財団、“クーカイ・ファウンデー
ション”代表理事。正式名称はU.R.T.V.固体669エクスキューショ
ナー(処刑人)。愛称はニグレド。Jrを監視する役割を持っていたが、その
事を知りディミトリ・ユーリエフに反発し彼を殺した際に人格の一部を
乗っ取られ、断続的にユーリエフの人格と入れ替わるようになったりした。
Jrと念話で遠くでも意思の疎通が可能


788 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/16(土) 23:57:160


      現代

   日本近辺  太平洋上



          (バチッ! バチバチバチ・・・!!!)


 太陽が海を照らし、波打つ水面が光の反射でサファイヤブルーに揺れて
いる太平洋の蒼の世界。

 その真上の何も無いはずの空間が、バチバチと、静かな無人の海を騒ぎ
立て、その景色を大きく湾曲させている。
 遥か4000年後の未来で起きている空間湾曲と同じ現象が、ここ太平洋
の上でも発生しているのだ。

 激しく波立つ海。空の一部は何かの騙し絵のようにぐにゃぐにゃに曲がり
きり、そして──

     (───────────────────)

 耳を劈くような共鳴音と共に、時空の扉が大きく口を開ける。


     (バリバリバリ、バリバリバリッ────!!!!)


 その時点で、ゲートはかなりの大きさを持っていた。ちょっとした戦闘機
や船なら、軽々と飲み込んでしまっただろう。
 しかしそのゲートから出現し始めた【船】はそんな常識的な大きさでは
なく、ゲートを更に軋ませ、強引に広げ裂いていきながら、かなりの
スピードで、現代の空の上に、その巨大な船体を、姿を現していく。


      (バッシャアアアアアアン!!!!!)


 遥か未来、4000年後の世界の航宙貨客船エルザは、現代の地球の
海の上に着水した。



  ◇    ◇



      一方


    太平洋上  ドーリアン輸送艦上


 エルザ出現位置から大きく離れた海洋上に位置する、ドーリアン家所有の
輸送艦。その上に、二人の少女の姿がある。

??「おー、来おったみたいじゃな」
 双眼鏡で、エルザの着水の瞬間を見るチョッキとチャイナの黄髪の少女。
 秘密退魔組織、森羅のエージェント、小牢。

????「すぐに迎えに行きましょう」
 そして、この輸送艦の所有者である、リリーナ・ドーリアン。

小牢「いやーすまんなー、こんな大きな船貸してもらって」
リリーナ「いえ、これは私達にとっても大事なことですから」
 リリーナも望遠鏡でエルザを見つつ、そう返事をする。

小牢「私達っちゅうんはプリペンダー? それともPU?」
 横目で尋ねる小牢

リリーナ「両方ですね。それと私自身、外務次官の娘リリーナ・ドーリアン
として。そして・・・」

小牢「そして?」
リリーナ「一人のリリーナとして、です」

小牢「ほお〜〜・・・ 若いのにシャンとしておるなぁ」
リリーナ「はぁ・・・」
 700歳とは聞いているものの、自分より年下に見える相手に言われると
複雑な気分だろう。

小牢「(零児もこのぐらいしっかりしておったらなー・・・ 部屋は汚いし
態度は悪いし・・・ ひょっとしてわし、育て方間違えた?)」

 一人でブルーになる小牢。
 しかし自分でそれに気付くと、いかんいかんと首を振って

小牢「え〜〜っと・・・ それにしても今回は面目ない。
 せっかく護衛としてわしらを指名してくれたのに、わしらだけで
というのは失礼じゃろうなーとは思ったんじゃが・・・
 森羅は秘密組織じゃからなぁー、こういう時大っぴらに行動できんのが
ネックというか・・・ しかし、貸してもらっておいて何じゃが、こんな戦力
ゼロの輸送艦で大丈夫か?」

 と、他の話に持っていく事にした。

リリーナ「気にしないで下さい。お忙しいあなた方に無理に付き合う
形で割り入ったのは私ですから。どのみち私の知り合いは今、
Sタイラント戦にかり出されていますからこちらとしてもちょうど。
 ・・・それに、【知人の知人を迎えに行く】のに、武装なんておかし
な話です。それに武装してしまうからこそ相手が身構えてしまう
こともあります。武器を持てば相手も持つ、心の平和は、武器を
捨てることにあると私は思っています」

  小牢の問いかけに対し、リリーナは憮然と完全平和主義を述べる。

小牢「む〜〜・・・(まあ、向こうにはKOS-MOSがおるから、大丈夫か)」


789 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 00:01:420

○リリーナ・ドーリアン→輸送艦を用意し待機していた。完全平和主義も
健在で、戦艦ゼフィルスではなくただの輸送艦を持ってきた。
○小牢→ドーリアン家所有の輸送艦に同乗、【知人を迎えに行く】らしい

【今回の新規登場】
○リリーナ・ドーリアン(新世紀ガンダムW/Endless Waltz)
地球連邦外務次官。先代ドーリアン外務次官の養女。サンクキングダムの
元王女でもある。現在はPU中枢メンバーの一人にして、戦艦ゼフィルス
の艦長。


○小牢(シャオムゥ):(ナムコ×カプコン)
仙狐(せんこ/中国の狐の妖怪)。765(なむこ)歳と高齢だが、仙狐は1000
歳からが成体として扱われる為、仙狐として見れば若娘。マイナーな
コミック・ゲーム作品やプロレスラーの名言・迷言などを髣髴とさせる発言
が多く、かなりのオタクと見られる。現在は有栖零児とコンビで、恋仲。
かつては零児の父親とコンビだった。森羅エージェントの中でも古株なので
発言力も高いと思われる


790 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 02:42:460


     (プシュ・・・ ガコ────ン・・・・・・)

 自動で開くエルザのハッチ。
 宇宙との気圧の変化により、炭酸飲料の缶のプルタブを開けた時の様な
空気の漏れる音が出る。

 そして、そこから出て来たのは・・・

シオン「・・・・・・ ここって・・・」
 シオンである。

 辺り一面に広がる海に、シオンは目を白黒させて驚いていた。
 ここは一体どこなのか、そしていつなのか。
 混乱を残した頭で考えていると

KOS-MOS「この場所から視認が可能である光景。気温、太陽や雲などの位置
条件から推察、分析した結果。98.223%の確率で、数千年前のミルチア。
当時名称、【地球】。宇宙名称【テラ】と思われます」

 それに無機質に答えたのは、シオンの後ろについてきていたKOS-MOSだ。

シオン「・・・本当? 私達、また時代を超えてきちゃったの?
 そんな・・・ ハカセの発明品にそんな力があるなんて・・・」

  人間焦った時には本音が出るものだが、あんまりな言い方である。

KOS-MOS「先程は言いそびれましたが、例の場所より多数のエネルギー反応
がありました」

シオン「え・・・・!!? うそ・・・」
 まさか、ゾハルが・・・!?

KOS-MOS「はい。理由は不明ですが、ハカセの発明品が何らかの理由で
ゾハルと共鳴し、今回の現象が起きたのではないかと思われます」

シオン「ゾハルのエネルギーで、タイムワープ現象が起きた・・・じゃあ、
もしかしてゾハルに触れて消えた6人の人達も・・・?」

KOS-MOS「推測の域を出ませんが、可能性はあると思われます」
シオン「そう・・・」

 シオンはホッと胸をなでおろし

シオン「それにしても、ここは何年なのかしら・・・」
 広大な海を見つつ、再び考え出すシオンに

ケイオス「たぶん、前にシオンやKOS-MOS、モモちゃんが来たのと同じ時代
なんじゃないかな」

 そこに現れたのは、シオン達と同じハッチから出て来たケイオス。

アレン「しゅに〜〜〜〜〜んっ!!! 大丈夫ですかっ!!?」
 そして、アレン。

シオン「前と・・・ 同じ、時代・・・?」
 しかしシオンはアレンに反応するより前に、科学者特有の考え込むモード
に入っており、アレンに反応しない。

 思い出される。お祭りの様な、悪夢の様な、大変だったり楽しかったり
したあの長いようで短かった日々。

シオン「みんな、元気かなぁ・・・」
 と、ノスタルジーに浸り始めた所で

アレン「・・・・・・・・・あ!? ちょっと待って、デュランダルは!?」
 そこで唐突に、もう一つの艦のことを思い出すアレン。

ケイオス「あ・・・」
シオン「え・・・!!?」

 ケイオスもシオンも、同時に思い出す。
 そういえば、前後左右、どこにも見当たらない。

アレン「もしかして、デュランダルはあの変なのに巻き込まれなかったん
でしょうか・・・?」

Jr「いや、ママも湾曲現象には完全に巻き込まれてた。ガイナンがそう
伝えてきてたから間違いねえよ」
 Jrもまたハッチから現れ、訂正する。

シオン「じゃあ、もしかして・・・」

アレン「僕たちとは、別の時代、別の場所に・・・!? え────!!?
 ど、ど、ど、どうするんですか!? デュランダルもなしに武装ゼロの
貨客船のエルザだけで知らない時代の知らない場所に放り出されるなんて
じょ──だんじゃないですよ!!? 原住民が襲い掛かってきたり恐竜が
襲い掛かってきたりなんかしたら!!!」

 旧時代に対して無知なアレンは、この時代の人間が槍と斧を持っており、
恐竜が跋扈していると思っているらしい。

シオン「お、落ち着いてアレン君。まずは現状把握に努めて・・・」
 パニくる弟とそれを諌める姉のような構図が繰り広げられている中

KOS-MOS「付近の空間に時空湾曲を探知。高質量の物体、出現します!」
 KOS-MOSの振り向いた方向、海の方へその場の全員が振り向く。



    (バッシャアアアアアアアアンッッ!!!!)



 それと同時に、見覚えのある赤い大型航宙艦が海に着水し、盛大な音と
共に波飛沫が飛んだ。

Jr「うわっ!?」
シオン「きゃっ!!?」
アレン「主任、危ないっ!!」
マシューズ「なんだなんだぁ!?一体何がどうなっ・・・ おわーっ!!?」


       (ザッパァ────ン!!!)


 海水の瞬間豪雨により、Jr、KOS-MOS、シオンを庇ったアレンと、
タイミング悪く出て来たマシューズがびしょびしょに濡れる。

シオン「あ、アレン君・・・ 大丈夫?」
 アレンのその身をシオンの傘にするという、尊い犠牲によってあまり
濡れる事のなかったシオンは、かわりにビショビショ状態のアレンに
恐る恐る声をかける。

アレン「しゅ、主任が無事なら、ぼ、ぼく。ボクは・・・
 は、は、は・・・ はぁっくしょ!!!

Jr「うわっ! この海水冷てぇっ!!」
マシューズ「ギャ──!! 凍えちまう───!!!」

 様々に阿鼻叫喚を唱え出す、生身の者達。

マシューズ「ちっくしょう! 借金はいつまで経っても減らねーわ、知ら
ねえ場所に飛ばされるわ水浸しになるわ・・・
 は、は・・・ ぶへっくしょ────い!!

  愚痴と共に、オヤジらしき豪快なクシャミを飛ばすマシューズ。

ケイオス「災難だったね」
 そう言うケイオスの方はといえば、同じ様な位置にいたはずなのに、
まったく濡れていなかった。

シオン「KOS-MOSー! 大丈夫?」
 ビショビショのまま直立不動のKOS-MOSに、シオンは駆け寄る。

KOS-MOS「ルックス5%低下。シオン、洗浄して下さい」
 真顔のまま、シオンに洗浄をお願いするKOS-MOS。

シオン「はいはい」
 シオンは苦笑しつつ、KOS-MOS洗浄用のきめ細かいタオルを取り出し、
キュッキュとKOS-MOSの顔を拭き始める。

Jr「・・・・・・ シオンは姉と妹って言ってるけど、あの光景はもう母ちゃん
と小さい娘だよなぁ」

 と、ボソボソアレンに話しかける、上着を脱いだJrだったが

アレン「いいなぁKOS-MOS・・・ 主任、僕も拭いてくれないかなぁ・・・」
 と、アレンは鬱々モードに入っていた。

Jr「お前なぁ・・・ KOS-MOSに妬くなよ」
 そんなやり取りが繰り広げられている中

      (プシュ・・・ ガコーン・・・・!!)

 デュランダルの方のハッチが開き、中から

メリィ「・・・・・あ!! ちび様〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」
 ブンブンと手を振り、対岸(?)のJrに大声で呼びかけるメリィ。

Jr「メリィ? そっちは無事か────!!!?」
 それに気付いたJrも、大声で問いかける。

メリィ「大丈夫です────!! シェリィもガイナン様も、百式達も
無事やし、マザーフレームも問題ありませんわ───────!!!」

 と、Jrとメリィの間で大声交信が繰り広げられる中

マシューズ「おい!!! そっちがど派手に着水したお陰で俺と船はビショ
ビショじゃねえか!!! もっと考えろコンチクショ────!!!」
 怒り心頭のマシューズが、がーっ と吼える。

メリィ「はぁ!? そんなんウチが知るかいな!!! んなもん張本人の
ハカセに言うたらええやんけ、八つ当たりすんな借金オッサン!!!」

 しかしメリィは、マシューズの言葉のボールをホームランで打ち返す。

マシューズ「ん、が・・・!!」
Jr「口でメリィに勝てるわけねーだろ、ったく」
 固まるマシューズの隣で、Jrはやれやれと溜息を吐いた。



  ◇    ◇



    一方

  エルザ  操縦デッキ



トニー「なあ、ハマー」
ハマー「何っすかー?」
 さっきまでのパニックが嘘のように、両名はリラックスしている。

トニー「操縦のオレはともかくさぁ、お前船長と一緒に外の様子見に行か
なくてよかったのかよ? データ異常はねえんだろ?」
 椅子で伸びをしながら、ハマーに問うと

ハマー「わかってないっすねー。こういう何か起こった時はむやみやたらに
動かずにじっとして、ほっといても動く人達に任せるのが一番っス。余計な
トラブルに巻き込まれないコツってもんっすよ」

トニー「そんなもんかねー」
ハマー「そうっす。きっとヒマ人の船長は今頃ビショビショになったり
怒鳴ってヤブヘビ呼び込んだりしてるっすね、お約束っスよ」



  ◇    ◇



   エルザ  船上


モモ「どうですか、みなさ・・・ あ、海・・・」
 エルザのハッチから、新たにモモが出てくる。

シオン「モモちゃん」
Jr「モモ」

モモ「あれ? 皆さんビショビショでどうしたんですか? 泳いだらカゼ
引いちゃいますよ?」

シオン「いやあの、これは・・・」
Jr「強制水浴び、かな」

モモ「・・・・・・?」



  ◇    ◇



モモ「前に来た時代と同じで、間違いないと思います」
 デュランダルがしっかりとエルザに横付けされ、それぞれ落ち着いた所で
モモが発言する。

シオン「どうして?」

モモ「モモ、観測してみたんですけど・・・ 二酸化炭素とか、放射性元素
とか・・・ 小牢さんや零児さん、リュウさん達がいた時代とピッタリ一致
するんです。たぶん、私達みたいに2年も経ってないと思います」

シオン「私だけ老けてるのかぁ・・・ やだなぁ・・・」
 がっくり項垂れるシオン。

ジン「ふーむ・・・ 4000年前のミルチアですか。ロマンですねぇ」
 片や兄の方は、年甲斐もなくワクワクしているらしい。

Jr「とにかく、まずはその事情を知ってる森羅って組織と、小牢と零児
ってのを探さなきゃな。当時の連邦だのジオンだのに捕まったら色々面倒
なことになる」

 と、Jrが提案した所で

KOS-MOS「こちらに接近してくる大型船を感知。船上に熱源2つ。
 真っ直ぐこっちに向かってきています」

シオン「え・・・!!?」
 KOS-MOSの振り向く方向に、全員が注目する。
 その先には、一つの船が視界に小さく映る程度の遠くの位置にいた。

シオン「まさか・・・ 当時の連邦?」
Jr「だったらまずいな・・・ でも、それなら大軍で来るだろ?」

KOS-MOS「船舶上に武装の類は確認できません。背格好から判断し、
おそらく船上の人物の一人は・・・」


小牢「ぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!


 と、どこかで聞いた事のある元気有り余りな声が聞こえてくる。

 そして、数分後

シオン「あ・・・」
モモ「あ・・・」
KOS-MOS「・・・・・・・・・」

 見覚えのある顔が、3人にもはっきり目視できるようになってきた。

小牢「ウェ〜〜〜〜ルカ〜〜〜〜〜ム!!!! ようこそ〜〜〜!!!」
 こっちが恥ずかしくなるほどのテンションで、【シオン御一行様】と
書かれたツアコンの旗みたいなものをフリフリしたり、クラッカーを鳴らし
たりしている小牢。

リリーナ「・・・・・・・・・・」
 隣にいたはずのリリーナは、他人のフリがしたいのか、さっきまでと
比べ、小牢から大分離れていた。


シオン「うわあ・・・」
モモ「またこっちに来ちゃった、って感じですね・・・」
 2年ぶりの再会がこんなので、嬉しいやらどっと疲れたやら。

 顔を見合わせ、苦笑し合うシオン、モモ。
 そして無表情でじっと小牢を見るKOS-MOSだった。



791 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 02:44:370

○シオン・ウヅキ→またもや天然にアレンをないがしろ
○KOS-MOS→サーチ能力を活用。シオンに洗浄してもらう
○モモ→これまたレアリエンの観測能力を活用
○アレン・リッジリー→シオンを庇って水浸しになるも、成果無し
○Jr→水浸し
○マシューズ→水浸しだわ怒鳴り返されるわ、泣きっ面に蜂
○メリィ・ゴドウィン→デュランダルの方は無事と報告。マシューズに
怒鳴り返す
○小牢→少々過激且つユニークな歓迎
○リリーナ・ドーリアン→地味に他人のフリ


792 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 02:51:180


小牢「おっはよ──ぅございま──す! 髪切った────?」
 などと、サングラスをかけてマイクを取り出し、何かのモノマネと思われ
る行動を取る小牢の姿がよく見えるほど、二人の乗る輸送艦はエルザに
近づいた。

零児「そのモノマネが未来から来たシオン達にわかるわけないだろ」
 そこで、新たにシオン達の視界に映る、懐かしき顔。


シオン「あ・・・」
モモ「零児さんですよ、シオンさん!」


小牢「いやー・・・ こういうのは向こうがわかるわからんに関わらずやって
しまうというのが、芸人としての性っちゅーか本能っちゅーか」

 シオンとモモが驚く一方で、小牢は後ろ頭を掻きながら言い訳をする

零児「・・・誰が芸人だって?」

小牢「またまたぁ。お主とていつもわしと阿吽の呼吸でツッコミしておる
ではないかぁ。・・・今度M-1一緒にやらないか?」

零児「や・ら・ん」
 小牢の誘いを零児は一刀両断する。


シオン「・・・向こうも、変わってないみたいね」
モモ「むしろ、パワーアップしてるような・・・」

Jr「・・・・・・お〜い、メリィ。お前漫才の相方探してたよな?」
 と、始めて見る小牢に対し呆気に取られながらも、小牢を指差しながら
メリィに話しかけるJr。

メリィ「いや〜・・・ ウチもボケやし、あれはちょっとなぁ〜」
 メリィの方は、難色を示している。

Jr「じゃあ、隣の兄ちゃんは?」
メリィ「わかってへんなぁちび様。人のモン欲しがってもしゃあないや
ないですか」
 ダメダメと手を横に振るメリィ。

 これは別に小牢と零児の二人の恋仲どうこうというのではなく、漫才の
コンビとして二人が完成されているという意味である。

Jr「ふ〜ん・・・」
 わかったのかわからなかったのか、濡れ髪をバスタオルでゴシゴシ拭き
ながらホットミルクを飲んでいる。


シオン「それにしても、何で私達がここに来ちゃったことが・・・」
小牢「ぬふふ、森羅の抜け目の無さをなめるでないぞ。
 オカルト専門組織なだけに、予知能力(ブレコダ)の能力者から占い師
までパーフェクトハーモニーじゃからな。これぐらいはお茶の子・・・」

 腕を組んで得意そうにふんぞりかえる小牢だったが

零児「・・・素直に女神イシターが教えてくれたと言え」
小牢「・・・・・・うぐ」
 と、隣の零児があっさりとネタをばらし、小牢はコケる。

モモ「女神様が、ですか・・・?」
零児「ああ、だからさっそくですまないが、皆には・・・」
 零児が説明に入ったところで

リリーナ「ここから先は、私が」
 それまで控えていたリリーナが、品良く零児を制し、前へ出てくる。

リリーナ「未来から来訪された皆さん、初めまして。現代人を代表して
皆さんを歓迎します。私はリリーナ・ドーリアン。地球連邦の外務次官を
やっています。今回は森羅の要請により、皆さんを安全に森羅東京本部まで
お送りする為に来ました。短い間ですが、よろしくお願いします」

 ゴツゴツとした輸送艦の上だというのに、それが豪華な客船に錯覚する
ほどの、リリーナの嫌味の無い上品な言と立ち振る舞い。
 さっきまで漫才ムードだった船上は、あっという間にがらりと雰囲気が
変わり、Jrとジンは一瞬表情を変える。


Jr「リリーナ・・・? あのリリーナ・ドーリアン!?
 (おいおい、マジかよ・・・ いきなり教本の人間が出て来やがった)」

アレン「え? そんなに有名な人なの?」
 一人きょとんとした顔で、Jrに尋ねるアレン。

Jr「・・・お前なぁ。科学知識だけじゃなくて旧史もちゃんと勉強しろよ」
アレン「いや、旧ミルチア史は必修じゃないし・・・」

ジン「まあ、無理もないですね。実はうちの愚妹も、旧史はまるでダメ
なんですよ」
 ハッハッハと、ジンは爽やかに笑う。
 着物姿と刀持ちのジンの旧ミルチア史への知識は聞くまでも無いだろう。

シオン「ちょっ・・・ 兄さん!!」
 兄の暴露に憤慨するシオンだったが・・・

リリーナ「・・・ゴホンっ」
 それをリリーナの、多少不機嫌そうな咳払いが止める。

シオン「あ、ああっ、ごめんなさいっ! ええと・・・」
ガイナン「私達を輸送してくれるそうですね」
 シオンが焦っている間に、いつの間にハッチから出て来たのか、
ガイナンが入ってきた。

リリーナ「はい」
ガイナン「しかしそのサイズの輸送艦では、デュランダルどころかエルザ
さえ苦しいように見えますが・・・ どういう算段を?」

 リリーナに負けず、紳士のオーラを醸し出しながら尋ねるガイナン。
 相対する雰囲気はまるで、首脳会談のようですらある。

リリーナ「それは・・・」
小牢「ああ、それはな、これ」
 しかしそんな空気を、小牢は一瞬でブチ壊した。

 小牢の手には、それぞれ錠剤程度のサイズのカプセルらしきものと、
水筒サイズのものを取り出した。

シオン「・・・・・・ なんですか? それ」
小牢「ありゃ? お主らPP(ポイポイ)カプセル知らんのか?
 おっかしーのー、そっちの方が未来なのに」

シオン「ポイポイ・・・」
モモ「カプセル・・・?」
 首を傾げる、シオンとモモだった。


793 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 02:52:510

○小牢→しょっぱなからボケの連続
○有栖零児→冷静ツッコミ役は健在
○リリーナ・ドーリアン→今回のマジメ要因として話を進める
○Jr&ジン・ウヅキ→旧ミルチア史でリリーナを知っている

【今回の新規登場】
○有栖零児(ナムコ×カプコン)
父の代から続く森羅エージェントにして、悪鬼羅刹を封じる有栖の血を
持つ青年。相棒の小牢は師匠にして親代わりにして現在は恋仲。小牢の
ギャグ発言に呆れながらもそれに合わせたツッコミは唯一無二。ガン=カタ
に似た銃刀両用の戦闘スタイルと、必殺技【銃の型】はアクションも
格好よい。10年前父を失った戦いで額に負った傷は今でも残っている。
実は【小牢が父親を殺してしまった】事実は知っていたが、それでも零児に
とって小牢は大切な存在で、彼女を赦していた。


794 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 02:59:190


小牢「・・・まぁつまり、要するにはそこの二つの戦艦では目立つので、ポイ
ポイカプセルに入れて皆には輸送艦に入って欲しいわけ」

 小牢による簡単な説明が終わる。

シオン「このカプセルの中にたくさんの要領の物を入れられる・・・ って
ことは、圧縮した異次元・・・ 4次元か何かの空間を作り出して、その空間
の中に保管してるってこと・・・? いや、でも4000年前の技術でそんな
・・・(ブツブツブツ)」

 科学者であるシオンは、ポイポイカプセルの小さい方を眺めながら、
しきりに考え込んでいる。一種の職業病か

アレン「へえー・・・ 便利なものがあるもんですねー」
 それにしては、現主任であるはずのアレンは、ただ隣で素直に感心する
だけだったが・・・

KOS-MOS「シオン」
 そんなシオンに話しかけるKOS-MOS。

シオン「(ブツブツブツ・・・)」
 しかしシオンは、まるで周囲の声が耳に入っていない。

KOS-MOS「シオン」
 そんなシオンに対し、KOS-MOSは軽くシオンの肩を揺すっている。

シオン「え? 何? KOS-MOS、今は考え事してるから、あんまり話しかけ
られると・・・」

KOS-MOS「申し訳ありませんシオン。多数の戦艦の接近を感知しましたので
お知らせした方がいいかと」

シオン「そう、戦艦が・・・ って、ええぇええ!!?」
 KOS-MOSの告げる言葉に、驚くシオンと他の面々。

リリーナ「戦艦・・・!? まさか、この事は誰にも漏れてはいない筈・・・」
 そう言いつつも、望遠鏡で周りを見渡すリリーナ。

リリーナ「・・・・・・!!」
 すると、望遠レンズを通して見る光景の先には、最新型の海洋戦艦が、
まるで数珠つなぎのような形で、輸送艦、エルザ、デュランダルの周りを
囲いつつ、どんどん近づき、範囲を狭めてくる。

リリーナ「しまった・・・」
 完全に囲まれている。

小牢「あちゃー・・・ まー・・・ 輸送艦のソナーではわからんでもしょうが
ないのう。お、あのマークはティターンズか。ちゅうことはマークが無い
のはロゴスか?」

零児「向こうの意図がまだ分からない。下手にこちらから挑発しない方が
いいな」

 緊張に包まれるリリーナと比べ、小牢と零児は落ち着いたものだ。

Jr「あーあー、マジかよ。着くなりとんだ歓迎だぜ」
 Jrは溜息をつき

アレン「せ、せ、戦艦!? ぼ、僕たち4000年前の千間に囲まれてるん
ですか!!? どど、どうしましょう!? きっと捕まったら丸焼きに
されて食べられちゃうんですよー!!!」

 アレンはかなり間違った認識を爆発させる。


シオン「・・・・・・KOS-MOS。私がいいって言うまで、手を出しちゃダメよ」
KOS-MOS「了解」

 エルザ、デュランダル、輸送艦の全てが、緊張に包まれた

795 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 03:00:340

○リリーナ・ドーリアン→さっそく輸送艦で来たことがたたる。
○小牢&有栖零児→冷静。
○シオン・ウヅキ→PPカプセルの構造に悩む。KOS-MOSに慎重に動くように
命令
○アレン・リッジリー→現代を原始扱いしているらしい

796 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 03:02:250


 やがて、ティターンズ、ロゴス共同軍の戦艦が完全に海上を包囲する
まで、そう時間はかからなかった。

 緊張と静寂に包まれるメンバー達。
 そうすると、最も大きな戦艦がこちらに近づき、その先頭に、誰かが姿を
現す。

小牢「・・・あの頭の悪そうなヒゲ、なんかどっかで見たことあるのぅ」
 肉眼でその顔を確認できる小牢は、何ともいえない怪訝な顔をする。

リリーナ「えっ? ・・・・・・あ」
 続いて望遠鏡でその姿を確認したリリーナも、その瞬間処分に困るお歳暮
が届いた直後のような顔になった。

 船が近づいてくるごとに、その男の風貌も動作もわかってくる様になる。
 中年男は拡声器を片手に、ゴホンと咳払いをし

三輪「3つの艦にいる総員に告ぐ。わしはティターンズの宇宙外交担当長官
となった、三輪防人である!!」

 耳障りな声と、嫌な内容がやかましいぐらいに響き、リリーナはその場で
溜息をついた。

リリーナ「あの人は・・・」
 何度も粗相する犬を相手にしても、このトーンの声にはならないだろう。
 それほど厄介で面倒臭く、それゆえに手に負えない人物。三輪防人。

 紆余曲折を経て、首相からクビを言い渡されたとは聞いていたが・・・

リリーナ「(よりによって、ティターンズに鞍替えですか・・・)」
 あまりにも情けないを通り越していて、言葉も無い。

小牢「ほい、マイク」
 輸送艦のスピーカーに直結するマイクを小牢から手渡されるリリーナ。

リリーナ「・・・地球連邦外務次官のリリーナ・ドーリアンです」
 その自己紹介で、こちら側の責任者がリリーナであることが示される。

小牢「ん〜〜・・・」
 向こうの甲板上の兵士たちは、リリーナ・ドーリアンという名前に少な
からず驚きを示しているらしい。
 小牢の目からは、兵士の一瞬目を見開く様や、隣同士でザワザワゴソゴソ
話している様子まで見て取れて、面白い光景だ。

 しかしまあ、その驚きは『地球連邦外務次官』のリリーナの方ではなく、
PU(プリンセス・ユニオン)の方に対してだろうが。

リリーナ「・・・何の用ですか? 私達はただクルージングをしていただけ
ですが」
 駄目元だろうが、一応誤魔化しを言ってみる。

三輪「ほう・・・? PU(プリンセスユニオン)の一角である方が随分と
稚拙な言い訳をなさるのですなあ。こっちは、その見慣れない二つの戦艦
の主達が、かなりの未来からやって来た奴らだということは存じています
し、そこな奴等が何もない空間に穴を開けてやってきたその瞬間もしっかり
見ているのですぞ?」

 一応リリーナに対して敬語を使ってはいるが、かなりの慇懃無礼。
 しかも、シオン達を奴等奴等と言っている所からも、かなり差別、侮蔑
を感じる。敵視しているのは明らかだった。

小牢「やっぱりダメか〜、まあそこまでアホではないわなあ」
 暢気にカラカラ笑う小牢。

リリーナ「別に嘘ではありませんよ。【これからクルージング】です。
 彼らとはお友達ですからね。・・・よろしければ、通せんぼを開けて欲しい
のですが」

三輪「いくら貴方の言葉でもそうは参りませんなぁ」
リリーナ「どうしたいのです?」

三輪「彼らをこちらに渡して貰いたい」
リリーナ「何故です? 彼らはあなたが異常なまでに嫌う宇宙人ではありま
せんよ」
 子叔母の裏にさりげなく皮肉を込めるリリーナ。

三輪「ヌ・・・っ ・・・フン。私が憂うのはあくまで現代の地球人です。
 遠い未来から来た奴等も、今の地球を脅かす存在には変わり有りません。
 おまけに、そんな巨大で物騒な未来の戦艦まで持ってくる奴等ともなれば
尚更放って置く訳にはいきません。その戦艦、ならびに武装を全て没収し、
船員達は全員収監するのが・・・ わしの使命ですからな!!」

 拳をグッと握り、三輪はエゴまみれの主張をぶつける。

小牢「うっわ〜〜・・・ 超ありえな〜い」
零児「一昔前のコギャル口調はやめろ。
 しかし・・・ 厄介だな。三輪という奴、聞きしに勝るエゴイストらしい。
 この分じゃ外務次官のリリーナごと沈めかねない」

Jr「・・・へー、おもしれー。ママ・・・ デュランダルとESとKOS-MOS相手
に骨董品の海洋戦艦がやる気かよ。逆にまとめて粗大ゴミにしてやるぜ」

 さっきから奴等だの何だのと言われて気が立っているのか、Jrは唇の
橋を釣り上がらせ、不敵に笑っている。

小牢「あほーう。それで勝ってもこの輸送艦は沈むじゃろうが」

ケイオス「戦艦じゃないエルザも、あれだけの数の戦艦から一斉射撃を
まともに受けたら沈んじゃうかもしれないね」

KOS-MOS「輸送艦の撃墜確率88.07%。エルザの撃墜確率50.00%」

リリーナ「私もそれには反対します。ここで貴方方が力を示してしまっては
多くの現代の人達が貴方たちを恐れてしまう。それでは意味がありません」

 Jrの短気に対し、周囲の人間から飛ぶバッシング。

Jr「いや、その・・・ あーもう、わかったよ。でもどーすんだ? あの
オッサン、引き下がりそうに無いぜ」

リリーナ「・・・地球連邦外務次官の名に懸けて、私が何とか交渉して見せ
ます」
 強い信念を内包した、リリーナの言葉。

Jr「(歴史上じゃあんたの交渉って全部失敗してんだけどなぁ)」
 と、Jrが心の中で呟いた

 その時


          (ゴポッ・・・ ゴポ、ゴポ・・・)


 エルザとデュランダルの隙間の海面に、不自然な波が立った。


797 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 03:04:250

○リリーナ・ドーリアン→三輪と文字通り対岸の会話による交渉
○Jr→交戦も構わぬという姿勢を見せたが、直後皆にたしなめられる
○小牢→余裕の姿勢でリアクション係
●三輪防人→相変わらずのエゴイストぶりを見せ付ける

【今回の新規登場】
●三輪防人(闘将ダイモス)
45歳。ティターンズ派の軍人。紆余曲折の末、連邦からは辞任になったが
ティターンズに完全に鞍替えした。自称宇宙外交担当長官だが、実質名前
だけだということを知らないのはティターンズでも本人だけ。


798 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 03:38:520

 海上に発生する、不自然な泡。
 サファイアブルーに輝く海の中に、幾つかの黒い影。

KOS-MOS「・・・・・・!!」
 それの接近に、最初に気が付いたのは、KOS-MOSだった。

KOS-MOS「シオン!!」
シオン「えっ・・・?」

       (ドンッ!!)

シオン「きゃっ!!?」
 出力をギリギリまで抑えたKOS-MOSの突き飛ばしを肩に受けて、シオンは
不恰好なステップを数歩ほど進め

ジギー「む・・・」
 進行方向の先にいたジギーにガシリと受け止められる形で、ようやく
止まることが出来た。

シオン「も・・・ ・・・・・・!!?」
 もう、KOS-MOSいきなり何するのよ!!
 と、当然の不満を言おうとした口は、振り向いた瞬間に制止した。


             (ザバン!!)

     (ザバン!!)         (ザパァンッ!!!)


 KOS-MOSの後ろの海から、一斉に
 シオン達が見たことも無い、人と動物が融合したような巨躯の怪物が
波飛沫と共に姿を現し、ついさっきまでシオンがいた場所・・・ 自分を突き
飛ばしたKOS-MOSの立つ場所へと狙いを定め・・・

小牢「(ツノザメ怪人に、トゲウオ怪人に、イカ怪人・・・!? ゴルゴムの
怪人ではないか・・・!!?)」

 その僅かな瞬きほどの瞬間で、唯一その怪人の正体を判別できたのは
小牢だけだった。

 しかし、わかったからといって、リリーナの護衛役でもある小牢と零時
がリリーナの側を離れるわけにもいかず、そして隣の輸送艦の小牢では、
物理的にエルザのKOS-MOSの立つ場所まで移動し、怪人に攻撃を加えること
は実質不可能だった。

 そしてそれは、完全に不意を突かれた他のメンバーにも同じ事が言える。
 もしくは、【KOS-MOSなら】という思考が、判断をいくらか遅らせたかも
しれない。

 だが

イカ怪人「ビィィィイイイッッ!!!」
 イカ怪人の触手が、KOS-MOSの両手両足に鞭の様に絡みつき、凄まじい力
で締め上げているのであろうギリギリという音を出していた。

トゲウオ怪人「ギャァアアウウウゥッ!!!!」
ツノザメ怪人「シャァオオオォォォウウゥッ!!!」
 かつての知能を失っているのか、獣を越える狂戦士の形相と、叫び。


       ((バッキィィイイィィッ!!!!))


 あろうことか、トゲウオ怪人の風を切る様な一撃と、怪力自慢のツノザメ
怪人の拳の一撃を、KOS-MOSは正面から頬と腹の部分に受けてしまう。

同時にエルザの甲板。KOS-MOSが足をつけている場所がズシンとめり込んだ
事が、ゴルゴム怪人2体分の渾身の一撃の、常識を外れた威力の凄まじさを
証明していた。

KOS-MOS「・・・・・・・・・」
 顔を殴られた勢いで真横を向いたまま動きを見せないKOS-MOS。
 機能停止をしてしまったのか、そう思ってしまった者もいただろう。

 それは時間にして数秒にも満たなかったろうが、そこにいた面々に
とっては、数十分にも感じられるほどの静寂だった・・・



  ◇    ◇



 一方、ティターンズ戦艦上にいる三輪達も、突然の事態に少なからず
驚き戸惑っていた。

ティターンズ兵「・・・三輪長官」
 隣に控えていたティターンズ兵が、望遠鏡でその様子を見ていた三輪に
おずおずとながら尋ねようとする。

三輪「・・・Dめ、一体何の真似だというのだ? 余計な事を・・・」
 三輪は、この事を全く知らない。Dの完全なフライングだろうか。

三輪「まあよいわ。両方とも地球を脅かす輩ども、潰し合うなら潰し合え。
 どちらが残るにせよ、未来の戦艦と技術持ちさえ手に入ればそれでこっち
は万々歳よ」

 にやりと笑い、望遠鏡を降ろすと

ティターンズ兵「長官。ご指示は」

三輪「全艦、全兵士、怪人の攻撃の可能性に備え臨戦態勢に入れ!!
 わしがよしと言った時は、怪人未来人構わず全員蜂の巣にせよ!!!」

ティターンズ兵「はっ・・・ しかし、リリーナ外務次官は・・・」
 ティターンズ兵の自身の無い声も無理はない。
 リリーナは、未来人ではないし、地球連邦外務次官でPUでもある。

 一般の兵が良心の呵責か小心かに駆られるのも当然だろう。

三輪「ふん・・・ 小心者の小僧め。よいか?
 リリーナ外務次官は・・・ ご不幸にも怪人に襲われ故人になら
れたのだ!! 意味は分かるな!!!」

ティターンズ兵「は、し、しかし・・・」
 いくらなんでも滅茶苦茶であることは、兵にもわかりそうなものだ。

三輪「分かったら早く通達せんかぁ!!!」
ティターンズ兵「は、はっ!!」
 耳元で大声で怒鳴られた兵は、慌てて走っていく。

三輪「ふん・・・ わしの崇高なる使命を理解せん愚か者どもは皆死ね」
 そう呟きつつ、三輪は再び望遠鏡でエルザの方を覗いた。



  ◇    ◇



     エルザ  甲板



シオン「こ、KOS-MOS・・・?」
 困惑しながらKOS-MOSの名を呼ぶシオン。

 KOS-MOSの開発者であり、保護者のようなものでもあるシオンにとって、
今の事態はとてつもない驚きである。
 KOS-MOSの反射速度なら、私を突き飛ばした後でも、あのぐらいの速度の
攻撃なら、充分迎撃できるはずなのに、KOS-MOSはまともに受けた。

 何故・・・?

シオン「あ・・・!!」
 シオンはしまったとばかりに、手を口にやる。

シオン「(KOS-MOS・・・ まさか、“私がいいって言うまで手を出しちゃダメ
よ”って言ったのを・・・!?)」

 と、シオンが心当たりに気付いたと同時に

KOS-MOS「シオン」
 KOS-MOSが、イカの触手に絡まれた状態の横目のまま、シオンの名を
呼んだ。

 その目の尋ねたいことは、言われなくても分かる。

シオン「ええ、KOS-MOS・・・ そいつら、ギッタンギッタンにしちゃいな
さい!!」
 ビシッ、と音がしそうなほどに気持ちのいい動きで、怪人を指差す。

KOS-MOS「了解。ギッタンギッタンにします」

       (バキッ!!!)

ツノザメ怪人「シャ・・・ッ!!?」
トゲウオ怪人「ギッ・・・!!?」

 シオンのその命令を聞くや否や、KOS-MOSはイカ怪人の触手が絡まった
ままの両拳を振るい、ツノザメとトゲウオの両怪人を殴り飛ばした。

 自分たちの一撃以上の威力のパンチに、二体の怪人はよろめく。

      (ガシッ・・・!!)

 KOS-MOSはそれに目もくれず、今度は自分からイカ怪人の触手を掴み

イカ怪人「ビ・・・!?」
 大胆にも、KOS-MOSは怪人を相手に力だけでこの綱引きを制しようとして
いる。しかも・・・

イカ怪人「ビ・・・ ビ・・・」
 徐々に出力を増していくKOS-MOSの力で、イカ怪人は徐々に引きずられ
始めていた。

       (ブンッ・・・)

イカ怪人「ビィッ!!?」
 そしてついにイカ怪人の体は力で競り負け、宙を舞った。

    (バシィンッ!!)    (バシィンッ!!)

イカ怪人「ビッ・・・!! ビッ・・・!! ビィイイイッッ!!」
 ゴルゴムが誇る怪人の一体である筈のイカ怪人は、未来の人型兵器である
KOS-MOSによって、面白いようにエルザの甲板の上に叩き付けられ、その
スイングにはトゲウオ怪人やツノザメ怪人までも巻き込まれ弾き飛ばされて
いる。

      (ブチ、ブチ、ブチ・・・ッ!)

 そうしていきながら、KOS-MOSは邪魔なイカ怪人の触手を次々と素手で、
餅を千切るかのように簡単に引き裂いていく。
 だが、両手に持つ触手だけは手から離さず、イカ怪人の叩き付けを止め
ようとは決してしない。

 そして

         (ブゥゥンッ!!!)

イカ怪人「ビィッ──」
 KOS-MOSから真っ直ぐ上に投げられるイカ怪人。

KOS-MOS「R・BLADE(アール・ブレイド)」
 それを待ち構えるKOS-MOSは、右手の先を瞬時に、全てを斬り裂く高周波
ブレードに変換し、小さく屈むと、弾丸のような疾さで跳び上がった。

       (ザンッ────!!!)

 R・BLADEによる幾重もの曲線が、イカ怪人を捉える。
 最後にKOS-MOSが軽くイカ怪人の体に触れると、イカ怪人は空中でバラ
バラのサイコロ状の肉片へと変じた。

KOS-MOS「R・CANNON(アール・キャノン)!」
 落下を待たずして、KOS-MOSは今度はその右手をブレードアームから
ビームアームへと瞬間変更させ、立ち上がったばかりのトゲウオ怪人を
狙い


         (ビュウ────ム!!!!)


 弾丸状のビームを、乱射と言っていいほどの連射で撃ちまくる。

トゲウオ怪人「ギィィィイイアアアァァアア!!!!」
 ビームは着弾するや、次々とトゲウオ怪人の体に巻き付くような衝撃を
発生させていく。原子配列から対象を分解するビーム兵器の連射を浴びた
トゲウオ怪人は、その場でボロボロに体を崩らせ、消滅していった。

       (スタッ・・・)

 早くも2体目を倒し、エルザの甲板上に、軽やかに着地するKOS-MOS。
 同時に甲板に落下したイカ怪人の肉片は、ボールの如く甲板上を跳ね、
辺りに無残に転がっていった。

KOS-MOS「・・・・・・」
 立ち上がったKOS-MOSが正面に見据えるは、最後の標的、ツノザメ怪人。
 怒りでも哀れみでもなく、ただ怪人の体液を頬に浴び、無表情に怪人を
見据えるKOS-MOSは、正に最恐の戦闘兵器である。

 その迫力を前にしては、理性を失った筈のツノザメ怪人でさえも、恐怖を
覚えるのだろうか。どことなく全体的な様子から、その姿には似合わぬ
畏怖の感情が見られた。

 しかし、同時に今のツノザメ怪人には、逃走や降伏という選択肢もその
脳には無い。尖兵には魂も知性も持たされない。ただ敵を倒すだけ。

ツノザメ怪人「シャァオオオォォウゥッ!!!!」
 KOS-MOSに真っ直ぐ突っ込んでくる、狂いし巨体。
 人には有り得ぬ太さの腕が、KOS-MOSの頭を握りつぶさんと振るわれる。

 一方のKOS-MOSは、それをただ無感情に見据えながら

KOS-MOS「・・・・・・ R・DRILL(アール・ドリル)!」

  (キュイイイイィィィィィイインッ────!!!!)

 次はその両手を、巨大且つ鋭利なドリルへと変換し、ツノザメ怪人の腕
と同じ様に・・・ 突き出した。

 ガリガリという不快な抉り削る音と共に、ツノザメ怪人の両手に穴が開き
骨ごと粉砕され、それはあっという間にツノザメ怪人の胴体へと到達する。

 ツノザメ怪人が断末魔の悲鳴を上げる間もなく、ドリルは怪人の体を肉塊
へと変じさせ、飛び跳ねる血とも体液ともつかぬ液体が、人形の様に美しい
KOS-MOSの体や、美貌の顔に飛び、塗らした。

        (グシャッ・・・・)

 そうしてツノザメ怪人が完全にただの肉塊へと変わると、KOS-MOSは
踵を返し、まっすぐシオンの元へ歩き寄っていく。

Jr「やっぱ、すっげえ・・・ 出番が無かったぜ」
 彼女の先頭の迫力を前に、他の面々はほとんどが入れなかった。
 その圧倒的な強さ、そして美しさは、船上の女神のようであり、同時に
悪魔のようでもある。

シオン「KOS-MOS・・・」
 そんなKOS-MOSの姿が、シオンには時に酷く痛々しく映る。
 たしかに・・・ 確かにKOS-MOSは、人型戦闘兵器として作られた。しかし
その開発者、創造者であるシオンは、こんな姿を望んで彼女を作ったのでは
ないのだから。

 しかもそれが、自分を守る為だということが、更にシオンの胸を苦しく
させる。

KOS-MOS「シオン」
 シオンの目の前にまで戻ってきたKOS-MOSは、その名を呼んだ。

シオン「な、なに? KOS-MOS」
KOS-MOS「ルックスがかなり低下しました。至急洗浄して下さい」

シオン「え? あ・・・」
 確かに、怪人との戦闘で、KOS-MOSは相手の体液やら何やらでかなり
汚れてしまっている。女の子としてはかなり不快に思う状態だ。

シオン「(もう、KOS-MOSったら・・・ 最初の発言がそれだなんて)」
 でも、曲がりなりにも最初にルックスを気にするのは、実に女の子らしい
とも言える。
 シオンの心の中で渦巻いていたものが消え、クスッと笑ってしまいそう
になるほどの安堵に包まれた。

シオン「ありがとう。KOS-MOS」
 感謝の言葉を述べながら、シオンはいつものようにタオルで顔を中心に
KOS-MOSの汚れを拭き取る。

 怪人の体液はそれなりの嫌な匂いを放ち、肉片の欠片まで着いている
状態ともなれば視覚上も生理的にきついものがあるが、それでもシオンは
熱心にKOS-MOSを拭き、KOS-MOSはKOS-MOSで、瞳を閉じたまま無抵抗に
シオンに体を預けているその姿は、どことなく主人にタオルで拭かれる愛犬
をイメージさせた。

モモ「ああいう時のKOS-MOSさんの姿って、なんだか可愛いですね」
Jr「ほーんと、ゾクッとさせたりああだったり、わかんねー奴」
 戦闘の直後だというのに、なんとなく暖かな空気に包まれるエルザ・
デュランダルチーム。


小牢「・・・・・・・・(ジー・・・)」
 輸送艦の上の小牢は、どこから取り出したのかビデオカメラでその様子を

零児「・・・何をやってる」
小牢「いや、売れるかなーと」

零児「・・・・・・・・・ まったく下らんことを。・・・没収だ」
 一度溜息をつくと、小牢から最新のDVDビデオカメラを奪い取る。

小牢「ああんっ。せっかくの萌えシーンがー。戦闘も含めてかなり売れる
のにーっ」
 どこまでギャグでどこまで本気なのか、ジタバタと零児からビデオカメラ
を奪い返そうとする小牢。しかし身長差のせいで、零児の腕に阻まれ、吉本
のギャグみたいになっている。

零児「戦闘の時から撮ってたのか。モラルを考えろ」
小牢「モラルなぞ財布の足しになるかー! ただでさえ予定してたDVD
もゲームも結局買えずじまい・・・ ちゅうかいい加減・・・ わしのへそくり、
返せ────────!!!


799 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 03:43:410

○KOS-MOS→一人でゴルゴム再生怪人3体を撃破。その後はやはりシオンに
洗浄してもらう
○シオン・ウヅキ→KOS-MOSに突き飛ばされたり心痛めたり癒されたり
○小牢→ゴルゴム怪人を唯一ちゃんと知っていた。KOS-MOSをビデオ(DVD
ビデオカメラ)に撮るが、零児に没収される。
●三輪防人→非道にも漁夫の利とどさくさのリリーナ殺害を考える
●イカ、ツノザメ、トゲウオ怪人→さすがにKOS-MOSは相手が悪かった

【今回の新規登場】
●ツノザメ怪人(仮面ライダーBLACK劇場版第2作「恐怖!悪魔峠の怪人館)
サメの怪人。BLACKに倒された。
●イカ怪人(仮面ライダーBLACK)
破壊光線や煙幕を使うイカの怪人。滝竜介との協力で倒された。
●トゲウオ怪人(仮面ライダーBLACK)
トゲウオの怪人。クジラ怪人に救われたBLACKに倒される。

800 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 03:52:040


ジン「しかし、何だったんでしょうね、あのモンスターは」
小牢「あー、あれは怪人っちゅーてな。人間を遥かに超えた力を持つ改造
人間・・・ の筈、なんじゃが・・・」

 全員KOS-MOSにほぼ瞬殺されている光景を直に見ていると、どうにも
自信がなくなってしまう。

ケイオス「向こうの人たちとは関係が無いみたいだけど・・・ この三人で
全員じゃないかもしれないね」
ジギー「いつ攻撃が来てもいいように、備えておかなければな」

小牢「よーし、ならお主ら、ユニット組め」
モモ「え・・・ また、ですか?」
 シオン、モモは、前回五界混沌事件の折、二人でユニットを組んで闘って
いたのだった。

シオン「ということは、私は・・・」
 まだKOS-MOSを拭いていたシオンは、モモの方を見るが

Jr「お────っと。今回シオンにゃ別を当たってもらうぜ」
 すかさずJrがその間に入り、今度は俺がモモとコンビだと示している。

Jr「今回は俺とでいいよな? モモ」
モモ「え? あ、はい」
 さっそく、新たなユニットが一つ出来上がる。

ケイオス「ボクは・・・ そうだね、体力無いから、ジギーと組みたいかな」
ジギー「俺は、かまわんが・・・」
 二つ目。

シオン「え・・・? それじゃあ私、えっと・・・」
 あぶれてしまい、シオンはちょっとだけ焦る。

アレン「じゃ、じゃあボクが・・・」
 おずおずながらも挙手するアレン。

シオン「じゃあ、KOS-MOS・・・」
 しかしシオンの耳には入らなかったらしく、KOS-MOSを誘った。

KOS-MOS「私は一人ユニットの方が実力を発揮できます。シオンが私と
ユニットを組んだ場合、戦闘効率が約50%低下します」
 真顔できつい事を言うKOS-MOS。

シオン「足手まといってワケね・・・」
 なんとなく、娘に「お母さんお弁当マズイからいらなーい」と言われた
気分である。

アレン「主任! 主任!! じゃあボクがパートナーになりま・・・」
シオン「あ、遠慮しとくわ。アレン君弱いから」
 しかしシオンもまた、KOS-MOSと同じくきっぱりとNOと告げた。

アレン「のはっ─────・・・・・・!!?」
 ショックのあまりひきつけを起こすアレン。

 さすが作り主。変な所で似てるというか、爽やかな笑顔で語られる分
よっぽどタチが悪い。

シオン「結局私、今回は一人ユニットか〜・・・」
 ふぅ、と溜息をつこうとしたところで

ジン「天然ですかねぇ、それともわざと忘れてました?」
 シオンの肩をポンと叩く、兄の声。

シオン「あ゛・・・」
 冷や汗をかきつつ、ゆっくりと後ろを振り返る。
 後ろには、百万ドルの笑顔でグッと親指をたてる兄、ジン・ウヅキの姿
があった。

小牢「は〜い、シオンチームユニットけって〜〜〜〜い」
シオン「ウソぉ・・・・・・」
 最も苦手な人物とのユニットに、陰々鬱々となるシオンだった。


リリーナ「(しかし、怪人がこれで終わりだとしても・・・)」
 三輪のいる戦艦の方を、厳しい目で見つめる。

 だが

リリーナ「・・・・・・・・!? あれは・・・」
 その視線の先にリリーナは、何かを見つけた。



  ◇    ◇



    一方

    ティターンズ戦艦上  船首近く



三輪「・・・・・・・・・・ 何じゃ、ありゃ・・・」
 KOS-MOSの怪物じみた奮闘を望遠鏡越しに見ていた三輪は、あんぐりと
口を開けて驚愕していた。

ティターンズ兵「どういたしますか?」

三輪「・・・ええい! こっちには数十の最新型戦艦とモビルドールがある
んじゃ!!! いくら未来のアンドロイドとはいえ人型の大きさでの出力
では限度もある!!! ・・・心配することなど、何も無いわ」

 三輪は知らない。KOS-MOSの最高出力のX-BUSTER(エックス・バスター)
が、数千ものグノーシスを一瞬で消滅させたことを。そしてシオン達が
ほぼ全員。ESというガンダムを超える性能を持つ機体のパイロットでも
あるという事を。

 しかしそうすれば、KOS-MOSを含め、シオン達を危険な存在としてティタ
ーンズや他の敵対勢力に知られてしまう。それはリリーナにとってもシオン
達にとっても非常に厄介なことだった。

 何かしらの血路が見出せればとリリーナが想い、三輪は今にも3つの艦
への総攻撃を指示しようとしていた、その時・・・


     (ドオオオォォォォオオオンッッ───!!!!)


三輪「ぬおおっ──!!!?」
 突然、三輪の立っている戦艦が、爆音と共に大きく揺れた。

 あまりにも大きな揺れに三輪は思わず膝を落とし、望遠鏡がカラカラと
甲板の上を滑るように転がっていく。

三輪「な、何だ!! 何が起こったぁ!!!」
 何とか手摺につかまり、身を起こす三輪。
 戦艦内部との通信用のマイクを手に取り、怒鳴るように尋ねる。

ティターンズ兵『も、申し上げます!! 本艦は攻撃を受けました!!
 攻撃機は不明(アンノウン)!! 包囲しているリリーナ艦とは正反対
の位置からの攻撃です!!』

ティターンズ兵『今の一撃で本艦は航行に必要な部位をほぼ失いました!!
航行は完全に不能!! 脱出用のゴムボートへ避難を!!!』

三輪「な、ぬぁ・・・ なんだとぉぉぉおおおっ!!!?」
 素っ頓狂な声を上げながら、三輪は空を見上げる。
 そこにいた機体は・・・



  ◇    ◇



リリーナ「ウイングガンダムゼロ・・・!? いえ、違う・・・」
 逆光で一瞬見間違えたが、良く見てみれば大きく違う。

 ウイングガンダムと同じ、ビーム粒子ではない物質による翼をそのガン
ダムは持っていた。しかし、そのガンダムの持つ翼は、ウイングガンダム
のような、白鳥を思わせる動物的な翼とは全く違い、全身の色と同じく、
白銀の、機械で構成された翼を持っていた。

 白銀色の機体で、機械の翼を持つガンダム。
 しかも、そのボディーはガンダムの常識から外れたスマートなもので、
どことなく女性をイメージさせる。

 一体、どこから来たガンダムで、何者が乗っているのか。
 そんな事よりも、まず、その場にいた全員が、そのガンダムの美しさに
一瞬見惚れてしまう。



  ◇    ◇


三輪「バカな・・・!」
 せっかく、リリーナの護衛の虫であるヒイロどもがSタイラントとの戦闘
に駆り出された今こそ絶好のチャンスと思っていたのに、ここに来て同じ
ように翼を持つガンダムが邪魔をしに現れるとは・・・

三輪「・・・・・・(ハッ!) 何をやっておるかぁ!! 撃て!! 撃てぇ!!
 モビルドールも全部出せ!! 乱入者を撃ち落とせぇ!!!」

  大声で他の艦全てに命令を出す、三輪。
 すると、数十のティターンズ艦の砲門の全てが白銀天使のガンダムに向き
次々とティターンズ仕様のガンダムMark-Uや、リック・ディアス。マラサイ
といったモビルドール機体が次々と現れる。

三輪「どこのどいつか知らんが、これだけのモビルドール機体と戦艦を
相手には出来まい!! わはははは!!!」

ティターンズ兵「長官!! 早くご避難を〜!!!」
 笑いながら兵の一人に手を引かれていく三輪。



  ◇    ◇


   S(シルバー)ヴァルキリーガンダム  コクピット内



ノエル『敵機、多数。全機モビルドールです』
 コクピットのメインカメラ画像の端に、オペレーターのノエル・アンダー
ソンの顔が表示され、爽やかな声で語られる。

謎の女「オーケー。遠慮はいらないってワケね」
 白銀の天使のガンダムのパイロットである女は、落ち着いた様子で、
すう・・・ と大きく息を吸い、そして吐く。

 女性でありながらも、ノーマルスーツに身を包むその姿は、短めの髪と
華奢に見える体格と、どことなく彼女が乗るガンダムに似ている。

 アムロ・レイよりもぐっと若く見える彼女は、深呼吸を一度すると、
カッと目を見開き

ライアス「・・・ライアス・バル。戦闘開始します!!」

  Sヴァルキリーガンダムのスラスターが吼え、騎士剣の形を模した
ビームソードを手に、白銀の戦乙女は、モビルドールの群れに突っ込んで
いった───


801 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 03:55:430

○シオン・ウヅキ→新戦闘ユニットのパートナー探しの末、一番苦手な兄
と組むことに
○ジン・ウヅキ→妹シオンとコンビが組めて嬉しそう
○アレン・リッジリー→ユニットとしてもフラれる。
○Jr→半ば強引にモモとユニットを組む
○ケイオス→バランスを考慮してジギーとコンビを組む
○ノエル・アンダーソン→さわやかなオペレーターぶりは健在
○ライアス・バル→深呼吸を一度、そして戦闘開始
●三輪防人→KOS-MOSの鬼人ぶりに驚き、見慣れぬガンダムに仰天するも、
乱入者に対する攻撃を指示

【今回の新規登場】
○ライアス・バル(ガンダムバトルロワイヤル/半オリジナル)
アムロ・レイと大体同年代。かなり高い能力を持つニュータイプ。一年戦争
時最初は連邦軍の一兵士だったが、その高い能力を見初められ、戦争の裏で
活動する工作部隊に配属され、同時に表面上は軍曹の階級のままヨーロッパ
戦線で死亡した事にされ記録上の死人になる。その後連邦を勝利に導く様々
な戦功を裏で果たすが、自分達部隊の事を知るレビル他一握りの上層部が
ソーラ・レイにより消滅してしまい、事実上完全に存在が消えてしまった。
その後も地下組織として自分の存在を隠したまま戦争の裏で闘い続けた、
言わば裏のアムロ・レイである。
一年戦争後も秘密裏にティターンズ壊滅へと動き、ティターンズ壊滅後の
その多数の残党とたった一機で戦いを繰り広げた(このミッションは
【重力からの解放】と名付けられている)の後は消息が完全に消えるが、
現在の世界の混乱に再び姿を現した。


○ノエル・アンダーソン(ガンダムバトルロワイヤル/他ガンダムゲーム)
年齢不明。元連邦軍のオペレーター。ライアスとは一新兵の初ミッションの
頃からの付き合いで、一年戦争後に一度別れたがティターンズとの戦いで
エゥーゴのオペレーターになっていた彼女はライアスと再会。その後も
【重力からの解放】までライアスをオペレイトで、そして精神的に支えた。
その後もやはりライアスとはコンビを継続していたらしい。

【オリジナル機体説明】
『S(シルバー)ヴァルキリーガンダム』
ライアス・バルを搭乗者として設計された高性能のガンダム。
白銀色のコーティングはビーム兵器によるダメージを無効にし、機体の構造
は驚異的な機動性を誇り、背中の羽は【フェザーファンネル】という、一つ
一つが高い威力を誇るファンネルでもある。その性能はνガンダムを上回る
とも。


802 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:08:170


     (ビュゥッ・・・ ────!!!)

 空を翔ける、白銀の天使。
 それに群がろうとする命無き機械人形達は、ただ一つの例外も無くその
全てが一刀で両断され、海原に没していく。

       (ズァッ──!!)

 そんな中、マラサイの一体がSVガンダムの背後を取る事に成功し、
そのままビームナギナタで乱入者を両断せんと突撃をかけた。

三輪「よーし、いいぞ! そのままなますにしろ───!!」

 拳をグッと握る三輪。

        (ゴッ──・・・!!!)

 あろうことか、そのガンダムはマラサイに背を向けたまま、スラスター
の微妙な角度による噴射により、バックで突っ込んで来た。

      (ブォンッ────!!)

 そして振り向きざま、居合いと呼べそうな速度で放たれた斬撃により

       (ザシュァッ───!!)

マラサイは振りかぶったビームナギナタごと、その機体を両断され、
爆砕しながら海へと降り注いでいく。


小牢「驚き桃の木じゃな。後ろ向きに飛んで斬りおったぞ、あやつ」
リリーナ「ニュータイプ・・・ それも、とんでもない感知能力ですね」
零児「あそこまでいくと心眼の境地に近い・・・ いったい」



三輪「何者だ・・・!?」



  ◇    ◇


 遠巻きに位置するモビルドール達は、たった一体の標的を狙い、一斉に
バルカンを、ビームキャノンを、追尾ミサイルを発射するが、それらの攻撃
は白銀の天使の機体に掠る事すら許されない。

 通常のガンダムの常識からは考えられない、人間の如く滑らかな動きと、
天空は我が物と主張するかの如く。自在に、目では追いきれないぐらいの
疾さで華麗に飛び廻る脅威の機動性は、ミサイルやビームに如何に囲まれ
ようと、その僅かな隙間を縫うように避わしていった。


リリーナ「なんて機動性・・・」
小牢「まるで野性のトビじゃなぁ」
 その姿に素直に感心する輸送艦の面々と


三輪「フン・・・ 所詮は逃げ回るだけか。見た所近接攻撃用の武器しか
持ち合わせておらんようだし、どこのバカかは知らんが・・・」

 他のティターンズ兵と共に、チャプチャプ揺れる非常時用小型ボートに
乗っている三輪。

 確かに、乱入者であるガンダムの全身を見た所、確認できる武装といえる
武装は両手に持つビームソードのみ。
 いかに回避能力、機動性に優れていようと、パイロットとして優れて
いようと、戦闘のバランスを全く考慮しない装備で戦闘に望むなど愚の
骨頂。

三輪「これなら時間のもんだ・・・」
 と、言い掛けたところで


ノエル『ウエポンの使用方法を確認しますか?』
ライアス「ちゃんと覚えてるってば。 ・・・せーの」

 ビームソードを握るSVガンダム両手がグリップ部分を捻る。
 ガチリ という音と共に、ビームソードは大きくそのビーム刀身を光らせ
独特の唸りの音を出した。

ライアス「ハッ!!!」

      (シュァッ────!!!)

 多数のモビルドールが密集する場所を目掛け、一閃。
 それと共に、ソードからはビームが放射され、弧月の形を描き

    (シュカッ・・・ ──!!!)

 一直線に飛んだビームの刃は、大きさはSVガンダムの持つビームソード
の長さとさして変わらないものだったが、所詮はデータで動くモビルドール
は、【ただの剣戟の空振り】から【未知のビーム攻撃】に認識を変える前に
その機体を、数機纏めて切断され──

     (ボォ・・・ ───ッン!!!!)

 爆発する。


三輪「ぬなっ・・・・・・!!?」
 顎を外さんばかりに驚く三輪。
 ビームソードからビームを放つなど、見たことも聞いたことも無い。


      (ボォンッ!!)     (ボォンッ!!)

 (ボォンッ!!)    (ボォンッ!!)   (ボォンッ!!)


 その間にも、遠近のモビルドール達は次々と斬撃により両断され、
爆散していく。


三輪「いったい誰なのだ奴は!! アムロ・レイか!? カミーユ・ビダン
か!!?」
 隣のティターンズ兵の首を絞めながら激昂する三輪。

ティターンズ兵「し、識別反応、戦闘パターン、その、他、すべ、て。
 一致する、データ、ないとの、こと、で・・・ ぐぅええぇ・・・」

  オチたのか、ぶらんと力なく崩れ落ちるティターンズ兵。

三輪「こうなれば人海戦術だ!! 残りのモビルドールどもで逃げ出す隙間
も与えんままドールごと全戦艦の一成掃射!!!」

ティターンズ兵「そ、そんな無茶な・・・」
 気絶した兵の隣にいた兵がそう言うと

三輪「ええい黙れ!! 無茶だろうとここで手持ちのモビルドールを使い
切ろうと、せめてあの乱入者一機ぐらいは堕とさねば、わしは笑いの種に
なる!! ・・・そんなことがあってたまるか。わしは三輪防人だ!!!」

 兵に拳銃を突きつけ、三輪は吼える。


803 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:09:030

○ライアス・バル→超人的な戦闘能力とニュータイプ能力を発揮。
○ノエル・アンダーソン→あまり余計な事を話さないあたり、付き合いの
長さ故の阿吽の呼吸が見て取れる。
●三輪防人→半ばヤケになっている


804 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:13:420


ライアス「うわっ・・・ 一気に来た!」
 遠近の敵を次々斬り伏せ沈めていたライアスだが、だんだんと視界が
狭くなるほどにウジャウジャと沸いてこられてはたまらない。

ノエル『敵は物量の差を利用した包囲作戦に出たようです』
 さわやかに状況を推理、説明するノエル。

ライアス「わあ、頭の悪い作戦ですこと」
 ライアスは肩を竦め、ストレートな感想を洩らした。

ノエル『それでも、さすがにライアス中尉でも厳しいんじゃないですか?』

ライアス「・・・ちょっと。一年戦争時代の階級で呼ぶのは止めてくれる?
 しかも中尉って、ヨーロッパ戦線で死んだ時の二階級特進じゃない」

  怪訝な顔で不満を述べるライアス。
 わざとか、それとも長年勤めた軍オペレーターの癖か、ノエルは人の名前
の後ろに階級を付けて呼ぶ。

ノエル『記録上ですけどね』
ライアス「死人は死人よ。ただ心臓が動いてるかそうでないか」
 こうしたモニターを通しての会話を続けながらも、ライアスは順調に
敵機の数を減らしていた。

 拙い作戦ながらも、ライアスを潰す為の包囲が段々と出来上がっていると
いうのに、誰にも見ることが出来ないコックピットの中は、客観的に見て
あまりにも余裕がある。


三輪「よーし! 囲め囲め!! 潰せぇぇ!!!」
ティターンズ兵「ちょ、長官。あまり揺らすと転覆・・・」

 出来上がっていく包囲網に、三輪は興奮に身を揺らした。

 しかし

ライアス「・・・ノエル。いける?」
ノエル『・・・各部チェック完了。ここまでの戦闘においての動作異常・・・
 ゼロ。スペシャルアタック発動に問題ありません』

ライアス「オーケー。初めてだから緊張するけど、試してみるわ」
 すっと、目を閉じる。

 すると、カシュンという機械音と共に操作盤の中央が開き、中から水晶
のような球体が現れ、翡翠色に輝きだした。
 それは、とある科学者が作り出した、オリジナルのサイコフレーム。
 ニュータイプの能力を増幅させ、ファンネルのコントロールに際しては
絶対的な効力を誇るシロモノである。

 その光が最高潮に高まった時、ライアスはカッと目を見開き

ライアス「この攻撃なら・・・ 舞え!! フェザーファンネル!!!


805 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:14:180

○ライアス・バル→ノエルと話をしながらもMDを蹴散らし、包囲
作戦に対してフェザーファンネルを発動。
○ノエル・アンダーソン→連邦軍オペレーター時代の癖が抜けず

806 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:25:030


    (バシュ バシュ バシュ バシュンッ・・・!!)

 ライアスの叫びと共に、SVガンダムの白銀の翼から、無数の金属の
羽根が分離し、SVガンダムの周空を泳ぎ始める。

 銀の羽根はそれぞれが太陽の光を反射し、それは遠くからもチカチカと
した眩しさを覚えさせ、同時にガンダムを狙うMD達の射撃にも、乱れが
生じ始めていた。


三輪「何だアレは・・・!? チャフか?」
 三輪の甘い見通しは、当然裏切られる。


   (ガシュンッ・・・!!)

                 (ボゥ・・・ ンッ!!)

 驚くべき事に、金属羽根は空中で勝手にドリルのような螺旋状に形状変化
をしたかと思うと、そのままスパイラル回転を加え、MDの機体を抉り抜き
貫通した。そして当然、中央に風穴を開けられたMDは、その場で爆砕し
海に降り注ぐ。

  (ボゥ、ンッ!!)  (ドゥンッ!!)  (ボゥンッ!!)

         (ボゥンッ!!)    (ボゥ・・・ ンッ!!!)


 銀の羽根達は次々と、それぞれが統制された、しかし不規則な動きで
MD達を翻弄し消していく。ドリルによる貫通や極細レーザーといった
ウエポンによって、瞬く間にMD達の垣根がバラバラに散っているのだ。

 見た目は美しい天使の羽根、しかしその実は、エジプトの伝承にある、
死を運ぶ呪いの羽根をも凌駕する存在。

 しかしそれは、明確な意志を持った動きで、決して人を殺さぬように、
敵戦艦の武装と、動力だけを純粋に奪うように攻撃をしている。



  ◇    ◇



リリーナ「アムロさんやヒイロの他に、あんな・・・」
 あんな事が出来るパイロットが存在していたなんて、信じられない。

小牢「しかも不殺とはなんちゅーかキザな奴じゃなぁ。・・・もしかして、
ホホに十字傷あったりして?」

零児「わけがわからん」

小牢「おー、すごいのぅ。もう最後の一体も潰れたぞ」
 小牢の言葉どおり、その瞬間、最後のMDが、複数のFファンネルの連携
によって形成される極細レーザーによって、スパリと綺麗に切断された。



  ◇    ◇



三輪「ば・・・ バカな・・・」
 顎を外しかねんほどに、驚きで思考を停止させる三輪。
 MDは何十体もいた。戦艦も・・・

 なのに、辺りを見渡せば、ワケの分からん羽根で全てが煙を上げ、あとは
海の上を漂っているか、沈んでいるかだ。



  ◇    ◇



SVガンダム「・・・・・・・(パシッ)」
 搭乗者の何の気まぐれか、SVガンダムの手は落ちてくるMDの一部を
掴んだ。・・・マラサイの頭部である。

ノエル『誰かへのお土産ですか?』
ライアス「んー? そうじゃないけど。・・・ただ、何となくね」

 敵を圧倒した事による充足感も、勝利の嬉しさも、何も無い。
 ライアスは戦闘の直後になると、必ずどこかアンニュイな表情をする。

 色々と思い出してしまうのか、それとも戦闘そのものが好きではないのか
は、自分でも分からない。

ライアス「アムロ・レイも、こんな気持ちなのかしら・・・」
ノエル『裏の一年戦争の英雄としては、表の英雄に会ってみたい・・・
 そういうことですか?』

ライアス「そうね・・・ 生で顔は見てみたいかな」
 そんな、緊張感の無い会話を繰り広げている一方で



  ◇    ◇



三輪「ぬ、うぅぅうううぅ・・・・・・」
 額に複数の青筋を立て、ガンダムを睨み続ける三輪。
 距離にして、100mちょいの斜め上空といったところか

三輪「貴っ様ぁぁぁああああ!!!!!
 何を思ったか、突然ゴムボートの中心で立ち上がり、ナンブの拳銃を
白銀のガンダムに向け

   (パァンッ!! パァンッ!! パァンッ!!)

 ひたすら撃ち続けた。

 ティターンズ兵は見ていて憐れに思うほどのパニックに陥っている。
 せっかく向こうが見逃してくれそうなのに、こちらから指揮官が、しかも
巨人相手に豆鉄砲以下の片手拳銃という自殺行為。

 止めなくてはという声から、そうすると自分が撃たれそうだとかまで、
人間のリアルな混乱やあたふたぶりの集大成である。



  ◇    ◇



ライアス「・・・・・・・・・」
 そんな様子を、ライアスは横目でメインカメラ越しにチラ見していた。

ノエル『ライアス中尉。そろそろ帰還時刻です』
ライアス「オーケー」

 帰る事に決めたライアスは、スラスターを噴出させると共に
 ポイッ と。 ある方向にマラサイの頭部を捨てる。

 その場所は・・・



  ◇    ◇



        (バッシャ────────ン!!!!!!)


 ゴムボートの付近だった。

三輪「ぎゃああああああああっっ!!!!??」

      (ボッチャ────ン!!!!)


 マラサイの頭のポイ捨てによって乱れた波はゴムボートを大きく揺らす。
訓練がされたティターンズ兵達は咄嗟により強くゴムボートにしがみ付いた
が、立っていた三輪はそのまま豪快に海に落ちた・・・。


807 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:26:310

○ライアス・バル→敵を戦闘不能にし、帰還
○ノエル・アンダーソン→ライアスに帰還を促す
●三輪防人→無茶をした挙句、海へボチャン。


808 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:28:500

Jr「よくわかんねーけどさ、今のうちに退散しとこうぜ」
 最初にその言葉を言い出したのは、Jrだった。

 艦隊が沈黙し、謎のガンダムも消え、向こう側の乗組員に死傷者もいない
ともなれば、もはやここに留まっている理由は無い。

リリーナ「・・・そうですね。特に救助の必要もないようですし・・・」

小牢「よーし。言われなくてもスタコラさっさじゃぜー!!」
零児「・・・逃げるみたいな言い方だな」



  ◇    ◇



 かくして、リリーナ、シオン達一行は、無人にしたデュランダルとエルザ
をPPカプセルに入れ、主な戦闘チームユニットを残して輸送艦の中に
乗り込んだ。

 戦闘チームを輸送艦の甲板に残したのは、港に着くまで次の怪人の襲撃が
無いとも限らないという判断から。しかし念の為、船内にはリリーナの
護衛役としてKOS-MOSも置いておいたのはシオンとJrの案。

 シオンは、先刻複数の怪人を相手に一人で頑張ってくれた分、今度は自分
が頑張りたいという想いで。JrはJrで、せっかくモモとユニットを
組めたのだから、これ以上見せ場を奪われたくないというのが本音である。

 甲板の4隅には、シオン&ジン。Jr&モモ。ケイオス&ジギー。
そして零児と小牢が待機している。

Jr「いざ戦闘って時は俺が前衛になっから、モモは援護な」
 Jrはリボルバーをカチャカチャと弄りながら、嬉しそうな顔でニヤけ
つつ、モモに男らしく前衛を宣言する。

モモ「はいっ」
 それに応えるモモも、笑顔である。


ケイオス「じゃあ、サポートは任せて」
ジギー「ああ」
 こっちの二人は静かなもので

シオン「・・・・・・・・・・・・・・」
ジン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 最後の二人は静かを通り越して、険悪な空気が小牢と零児の所まで
漂ってくる。

 ジンの方は話しかけたいようなのだが、シオンの方が一向に兄の顔を
見ないで海を見つめているので話し辛い事この上ない。
 兄と妹という事で一応ジンが前衛に決まったが、そこまでに意地の
ぶつかり合いがあった。

 ジンは当然兄で男なので前衛を望んだが、それに対してシオンは無意味な
反抗心が生まれてしまったのだろう、【私は前の時も前衛だったから今更
後衛なんて考えられない】なんて言い出し、ジンも兄として厳格に譲らない
姿勢で正面からぶつかったものだから、互いに(というか主にシオンが)
ヒートしてしまった。

 その結果が、あの無言状態である。


小牢「・・・・・・なあ零児ぃ。ひょっとしてわし、作戦間違えた?」
 それを横目でチラチラ見ていた小牢は、小声で零児に話しかけた。

零児「少なくとも俺が知る限り、はりきった時のお前の作戦がまともに
功を奏した試しは無いな。ほとんどヤブヘビだ」

小牢「うぐ・・・ お主なぁ、レディーが困って相談持ちかけとるのにそんな
対応は無いんと違うか!?」

零児「誰がレディーだ。モリガンより年上だろ」

小牢「うぬぬぬ・・・ ええわい! こうなったら意地でもお節介を成功させ
てみせるから目ぇかっぽじっとれよ!」
 ビシッ、と零児を指差し、初志貫徹を宣言する小牢。

零児「・・・そいつは重畳(ちょうじょう)」
 それに対して零児は、フッと笑いつつ、いつもの口癖を出した。


809 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:29:380

○シオン&ジン・ウヅキ→また兄妹ゲンカ
○Jr→モモに男アピール中
○小牢→お節介継続宣言
○零児→口癖フレーズをようやく

810 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:30:570


ケイオス「それにしても、ティターンズっていう人達も、怪人っていう人達
にしても・・・ まるで僕達の来ることを知ってるみたいだったね」

 目的地へ後半分といった所まで船が進んだ所で、ケイオスが思い出した
ように口にする。

Jr「ああそれな、俺も気になってたよ」
モモ「小牢さん達が来てくれたのは、イシターさんのおかげでしたよね?」

零児「ああ。だが・・・ 怪人やティターンズの方がどういうソースで
今回の事を嗅ぎ付けたのかがわからん。俺達の情報が漏れたとも思えんし、
尾けられていない」

シオン「じゃあ、誰がどうやって・・・?」
 それぞれが首を傾げる中

小牢「ゴルゴム・・・」
 小牢が、呟くように口にした単語。

零児「ゴルゴム・・・? さっきの怪人か?」

小牢「確かゴルゴムには、右の目で未来を、左の目で過去を見ることが
出来る女預言者がいたはず・・・ 確か、大神官ビシュム。
 奴が生きておったか、もしくは例の如く黄泉還ったのなら・・・
 予言という形でわしらの行動やシオン達の出現を知り、ティターンズを
そそのかし、怪人を差し向けることも・・・」

零児「或いは可能・・・ ということか。
 まったく・・・ とんでもなさなら前回以上だな」

  やれやれといった様子で前髪を触る零児。
 彼が言う“前回"とは、勿論【五界混沌事件】の事である。

小牢「では今回は、【第二次五界混沌事件】?」
零児「スケールが違いすぎるな、さしずめ【空想大戦】ってところじゃ
ないか? ・・・そんな事より、その推理があっているとしたら」

小牢「そうじゃなぁ・・・ 最初に送った怪人とティターンズの両方がダメ
じゃったと知れば、すぐさま第二弾を・・・ あ」
 自分で言って、ハトが豆鉄砲を食らったような顔をした、その時

    (ビュウウッ────!!!!)


 突然、甲板の上に強い風が吹き、それが甲板の中央に集まっていく。

??「【預言者】の一人まで言い当てるとはな」

 風が消えると同時に、甲板の上に現れる一人の少女。

 その姿は・・・

北風「さすがは森羅、といったところか」

零児「北風・・・!!?」
 その姿に、零児、小牢、シオン、モモ・・・
 前回の戦いに参加していた面々は、驚きを隠せなかった。


811 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:31:570

○小牢→ゴルゴム怪人から、大神官ビシュムを思い浮かべる
●北風→登場


812 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:34:580


零児「何故、生きている」
 零児が鋭い眼光で、東風にその問いをぶつける。

東風「何故、だと?」

零児「お前は飛竜の手で死んだ筈だ。何故生きている。
 黄泉還りか? それとも、冥王の力か?」

  森羅は、冥王が未だ存在し続けていることを察知はしていた。
 しかし、こうして死んだ筈のその配下を目の当たりにすると、問わずには
いられなかった。

東風「間違ってはいない。私と貴様らは実際初対面だ。・・・尤も私の方は、
が残してくれたデータで、お前達の顔も名前も、戦闘データも
得ているがな」

零児「なに・・・!?」
小牢「なるほどのぅ。そういうことか」
 零児が小さく驚く傍らで、小牢がアゴに手をあてる。

シオン「どういうことなんですか・・・!?」

小牢「どうもこうもない。わしらはまんまと冥王の用意した偽物の操り人形
を本物と思い込んで闘っておったんじゃ。・・・おそらく、冥王の本当の野望
と計画を邪魔されんように作り上げたカモフラージュ・・・ そしてデコイ。
 そしてわしらが冥王のオママゴトに付き合っておる間、本物は着々と
裏で好きなことをやっておった・・・と」

 東風の顔色を伺う小牢。

東風「・・・フン」
 冷ややかな嘲笑。

東風「貴様らがマヌケなお陰で、いよいよ冥王様が本格的にお動きになられ
る為の時は充分に取れた。・・・あとは、邪魔者を潰しておくだけ。
 そしてそれは冥王様の配下である我ら風三姉妹の役目だ」

Jr「・・・へぇ。たった一人でかよ?」
 銃に手をかけながら、Jrはピリピリとした殺気を東風に向ける。

東風「ふっ・・・ まさか」
 東風が右手を翳すと、すぐさま上空に木枯らしが吹き荒れる。

 すると雲の上から、忽ちそれぞれに翼や羽根を持つ、数十ものモンスター
の群れが姿を現し、その全てが獲物を狙い定めるかのように輸送艦の周り
を旋回する。

Jr「なんっだ、ありゃ・・・?」
シオン「キュービィに・・・ レッドアリーマー・・・!?」
 かつての五界混沌事件において何度も闘った、死を恐れぬ魔界の兵達。

小牢「それだけではないな。エイドクガーに、蝙蝠男に・・・
 おお、あれはニューヨークで暴れた量産型蝙蝠怪人かぁ。こりゃあ
オンパレードじゃなぁ」

零児「・・・なるほど、さっきのゴルゴム怪人といい、今回はDとも同盟か」
小牢「やーれやれ、わしら妖魔妖怪専門じゃっちゅーに、管轄外のもん
ばっか増えてくるのう」

 溜息を吐く小牢。そして零児と共に、それぞれ刀、錫杖と銃を構える。
 シオン達一行もまた、一人一人が武器を、そして構えを取った。

Jr「おらおらぁっ!!」
モモ「えいっ!! やぁっ!!」
シオン「このっ・・・!!」

 Jrのエーテル銃、モモのアーチェリー、シオンのM.W.Sビーム
ランチャーが、空から襲い掛かる軍勢を撃ち落とし、同時に牽制する。

ケイオス「波っ!!」
ジギー「ぬんっ!!」
ジン「・・・・・・・・(シッ!)」
 その攻撃を潜り抜け、陸上へ降り立とうとする決して僅かではない敵達
は、接近戦を得意とするメンバーが担当した。


東風「(サイボーグの中年男、刀使いの着物男、体術使いの優男に、銃使い
のガキ・・・ 強いな。少なくとも、シオン、モモと同様か・・・)」

  チッ・・・ と。小さく舌打ちをする東風。
 【新たな戦力の確認】。【敵戦力の沈黙】。それが今回の東風の任務。
 しかし、噛ませ犬として送った怪人三体の結果がそれに暗雲を見せた。

 偽物から得たデータよりも、デタラメに上回るKOS-MOSのパワー。
 そして、今繰り広げられている新参の戦力。

 船内のリリーナ・ドーリアン以下全船員の警護となれば、厄介なKOS-MOS
は船から出るという判断をしまいと考えたが故に、船上のメンバーを皆殺し
にする為にこうして姿を現したというのに・・・

東風「(それも、私次第か・・・)」
 一人も抹殺できないまま帰還という恥を晒すか、せめて何人かは刻む
ことができるか、雑魚の数と戦力から考えればそこが最大の重点となる。

東風「(預言者どもめ・・・! この数で充分すぎるという言葉は虚言か!!
 この冥王様が配下、東風を噛ませ犬にするとは・・・・・・っっ!!!)」

  ギリギリと鳴る、刃の軋む音。
 その一方で


零児「小牢。お前はシオン達の方に加われ。あの女は俺が・・・」
小牢「まあ、待て待て」
 零児の言葉を、小牢は錫杖を翳し、制する。

小牢「ここは女同士、ピザマンでいーじゃろ」
零児「それはタイマン・・・ いや、ちょっと待て、お前一人でやる気か?」

小牢「お主にばっかりオイシイ所を持っていかれるのも癪じゃからなー、
 お主の戦闘の師匠としても、ここはいっちょやっとかんと」

  無言で、互いの目を見る二人。

零児「・・・・・・・・・ 仕方ないな。油断するなよ」
小牢「零児モナー。油断してたら後ろからバッサリじゃぜー!!」

 両手銃に持ち替え、その場から離れる零児と、それを見送る小牢。
 後に残る二人の女の視線が、交わる。

東風「・・・甘く見られたものだ。私も」
 不機嫌な声で呟く東風に対し

小牢「お主なぁ、そりゃわしに対して失礼じゃろ」
 風を切る音をさせて錫杖を振るいながら軽口を放つ小牢。


    ───戦闘、開始───


813 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 04:35:330

○シオン・ウヅキ&モモ&Jr→射撃で迎え撃つ
○ジン・ウヅキ&ケイオス&ジギー→近接攻撃で撃破
○小牢→東風とタイマン宣言
●東風→預言者にいきり立ちつつも、抹殺へ


814 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 05:07:570

小牢「ふっ!!」

    (ガァン!! ガァン!! ガァン!!!)

 初手から放たれる、小牢の片手拳銃の連射。
 東風という相手を一応の事知っているが故の、何の遠慮も加減も無い
ノズルフラッシュと炸裂音。

    (チュイン!! チュイン!! チュイン!!)

 しかし、常人なら避けきれず体のどこかを撃ち抜かれ倒れ付しているで
あろう不可避の銃撃を、東風は流れる風のような動きで、小牢を軸に円を
描きながらミリで避わしながら、あっという間に距離を詰めていく。

東風「破っ!!」
 風を切る音と共に襲い掛かる、東風の刃物のような回し蹴り。

小牢「おわっ!!?」

       (ガキィィンッ!!)

 予想よりもずっと疾いその蹴りを、小牢はギリギリで錫杖の腹でガード
した。が・・・

     (パク・・・)

 なんとか止めることが出来た蹴りを受けた反動はブルブルと体に痺れと
して伝わり、蹴りに最も近い位置にあった部分の服がぱっくりと切れて
しまっている。

小牢「(ゲェェ───っ!!? あん時の偽物とは強さがダンチ!?)」
 偽物はさっきの銃撃で充分牽制できたのに、今目の前にいる方はまるで
動きが違う。

 小牢は、早くも零児と交代したことを後悔し始めていたが、そんなことを
言ってもどうしようもない。

小牢「(とりあず、距離をっ・・・!)」
 接近戦は自殺行為と判断した小牢は、錫杖に力を込め、東風の脚を押し
のけ払うと同時に

    (ガァン! ガァン! ガァン!)

 至近距離で銃撃を見舞う。
 しかし東風はそれすらも跳び上がって避わし、バク転と側転でそれを
避わしていった。

小牢「こんのっ・・・!!」
 拳銃を再び両手に持ち替えた小牢は、自らも東風から距離を離しながら
正確な連射を撃ち込み続ける。

東風「チッ・・・」
 さすが狐だ。逃げ足が速い。
 撃ってきては輸送艦の凹凸の陰に隠れる戦法は、卑怯臭くはあるが、
銃使いが拳法家と闘う上では基本とも言える。

 しかし・・・

東風「逃げ場をなくしてやる」
 もちろん東風は、通常の拳法家ではない。

東風「私は東風(トンプー)・・・ 全てを斬り裂く、刃の風だ!!」

    (ビュオッ───!!!)

 東風はその場で大きく、撓る鞭のような動きで空蹴りの動作をする。
 すると忽ち、横凪の風が巻き起こり・・・

     (シパッ───!!)

小牢「うひゃっ!!?」
 コンテナの影でマガジンの弾込めをやっていた小牢は、通り過ぎる風に
驚き咄嗟に身を屈めた。

     (ズズ・・・ ズシン!!

 真後ろで、何か重いものがずれ落ちる音。

小牢「・・・・・・ うそ〜〜ん・・・」
 鉄で出来たコンテナが、まるで元からそうであったかのような綺麗な
切り口で、すっぱりと途中まで袈裟に切れてしまって、残りが自重で崩れ
落ちたのである。

 風三姉妹はその全員が、体内の気をプラズマ旋風に変換し武器とする。
 その圧倒的な気のパワーを暴風として使う長女北風も厄介だが、逆に次女
である東風は、その肉体だけで、強大な威力を持つプラズマ旋風を刃の形に
作り上げ、それを自在に操るという、最も厄介な能力を有しているのだ。


    (シュパァン!! シュパァン!!)

小牢「わっ!? わわっ!!?」
 東風の風の刃に隠れ場所を次々と破壊され、小牢はキャーキャー言い
ながら逃げ続けていた。

815 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:01:490

○小牢→はりきったはいいものの、単独戦となると意外に役に立たず
逃げまくり
●東風→冥王配下、風三姉妹のリーダーとしての力を見せ付ける。


816 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:12:570


小牢「(じょ、冗談でないぞー!? 斬鉄剣みたくスパスパ斬れるもんを
じゃんじゃん飛ばしてくるなぞ、ハメもいい所ではないかー!)」

   (スパァンッ!!!)

小牢「どぅわっ!!?」
 またしてもバリケードにしていたものが切断され、小牢は転がり出る。

小牢「わたたっ・・・!!」
 そしてそこに飛んでくる風の刃を間一髪で避わし、また隠れるのだった。

東風「ちょこまかと・・・ さっさと死ね」

小牢「なめるでないぞ! こっの────!!!」

   (ガァン! ガァン! ガァン!!)

 小牢はコンテナから横に飛び出しながら、思いきり銃弾を撃ちまくった。
 コンテナの狭い隙間では逃げにくいという計算の上での、詰めの銃撃

 ・・・の、筈だったのだが

    (チッ──・・・!!)

 あろうことか、東風はその場で腕を振るい、発生させた小さな風の刃で
銃弾を斬り落としたらしい。

      (カラン、カラ、カラ・・・)

東風「ふん・・・」
 銃弾の破片が床に落ちる音と、東風の何の焦りも無い顔。

小牢「・・・・・・うわお」
 片や小牢の方は、もう唖然とするしかない。

東風「・・・(ニヤリ)」
小牢「え〜っと・・・ 逃げろ!!(ダッ──!)

 東風の風の刃から再び逃げの一手を取る小牢。
 その僅か後ろでは風が通り過ぎ、スパンスパンと物が切れる音が聞こえ


小牢「ギャーっ!! だだ、誰かヘルプミー!! タオル! タオル!!」
 必死に逃げ纏いながら、助けを求める小牢。
 そこに

????「タッチでもいい?」
 と、柔らかな少年の声と、手。

小牢「おお! ありがたい! ・・・任せた!!」
 それが誰か確認もしないまま、小牢はパシーンと気持ちのいい音をさせて
その人物と右手同士でタッチした。

小牢「あり? おぬしは・・・」
 そこで小牢は、タッチの相手が誰かをようやく確認する。

ケイオス「こんにちは」
 船上と化している輸送艦の中では逆に異彩を放つほどの爽やかな笑顔を
見せる少年、ケイオス。

ケイオス「じゃあ、小牢さんはシオン達の方へ行って下さい。数が多くて
大変みたいですから。 ・・・どうやら、僕の方があの子と相性がいいみたい
だし」

小牢「いやー、すまんなー・・・ それじゃ!!」
 小牢はそれだけ言うと、スタコラサッサと素早く消えてしまった。


ケイオス「・・・・・ というわけで、選手交代なんだけど、いいかな?」
東風「・・・・・・・・・」

 崩れるコンテナから姿を現す東風を相手に、ケイオスは涼しい顔のまま
尋ねる。

東風「ふん。二人がかりで挑めばいいものを・・・」
 まあ、どちらにせよ・・・ 殺すことには変わりないが。

ケイオス「いやあ・・・ それはさすがに・・・ね。女の子相手に二人なんて
気分が悪いから」
 ケイオスの言葉には一切他意はない。純粋にそう思っただけ。

東風「キサマ・・・」
 しかし少女である前に殺し屋である東風にとっては、それは侮辱である。
 それは、彼女の立ち構えが微妙に変化したことからも見て取れた。

ケイオス「・・・・・(スッ・・・)」
 ケイオスもまた、独特の拳法のような構えを取る。

 それが、第二戦の開幕となった


817 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:14:010

○小牢→ケイオスとタッチ交代。シオン達の方へ
○ケイオス→小牢とタッチ交代。東風と対決
●東風→ケイオスに敵意


818 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:17:010


東風「死ねっ!!」

    (シュオッ───!!!)

 東風が振るう脚から襲い掛かってくる、風の刃。
 対しケイオスは、逃げようとしない。

ケイオス「斬気掌!!」
 ケイオスが振るう手刀。そこから放たれる気が刃の形となり、東風の
風の刃とぶつかり、相殺する。

東風「・・・・・・っ!」
 東風は当然驚いた。
 まるで、自分の風の刃が一瞬の内に模されたかと思うほど、同じ様な
攻撃を使われたから。

東風「私の風を・・・ 消した・・・!?」

ケイオス「さっきから見てたよ。
 君も【気】を使って闘うタイプみたいだね」

  虫も殺さないような笑顔のまま、まるで友人にするような気軽さで
ケイオスは東風に話しかける。

ケイオス「こっちの世界にも僕と似た戦闘スタイルの人がいるっていうのは
面白いね。いきなり飛ばされた時はびっくりしたけど、こういう発見がある
なら、ちょっと観光してみるのもそう悪くないかもね」

 渦中にいる本人達の一人だというのに、あまりにも暢気に語るケイオス。

ケイオス「(このお祭りが、誰の筋書きかは知らないけど・・・)」
 心の中で、そう付け足して。

東風「・・・・・・」

ケイオス「でも、状況が状況だからね。シオン達の方も大変だし。君の相手
はあまり長くできないと思う」

東風「なんだと・・・!?」

ケイオス「だから、早く終わらせるよ」

東風「・・・・・・っ 嘗めるなぁっ!!」

    (ビュオッ──!!)

 ケイオスの言葉に憤慨した東風は、一跳びで距離を詰め、
風の刃を纏った右脚蹴りを放った。

 しかしケイオスは右手の気掌でそれを風の刃ごと受け止めると、そのまま
脚を軸に体を回転させ、その勢いのまま左手の裏拳を繰り出す。

東風「(くっ・・・!)」
 東風はその動きに格闘家の反射神経で気付き、防御を危険と見るや
地に付けている左足を浮かせ、重力で体を落下させることで避わし

     (シュバッ──)

 すぐさま大地に手を着いて、脚払いに転じる。

ケイオス「おっ・・・ と」
 ケイオスはケイオスで、脚払いに完全にバランスを崩される前に華麗な
バック転でそれをやりすごし

ケイオス「二連発気!!」

      (ゴゥッ──!!)

 再び地面に到達するまでの瞬きほどの間に、銃弾並の速度を持つ気の
砲弾、発気の二連攻撃を見舞った。

東風「・・・はぁっ!!」

    (ビュオッ──!!)

 東風はクロスを描く形で両腕を振るい、従事の風の刃でケイオスの発気
を潰す。

東風「・・・・・・ なっ!?」
 ぶつかり合い炸裂した気が消失した時、そこにいた筈のケイオスの姿は
なかった。

東風「(どこだ・・・? どこだっ!!)」
 心に強い焦りを積もらせながら、前後左右を見渡しケイオスを探す。

東風「・・・・・っ!?」
 そうして見つかったのは、晴天の筈の空で、自分を日光から覆い隠す
不自然な影。
 東風が顔を上げると

東風「何、だと・・・!?」
 そこにある光景は、信じられないものだった。

819 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:18:160

○ケイオス→余裕の姿勢のまま東風に善戦。
●東風→ケイオスという最も謎の多い相手に苦戦。何かに仰天する

820 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:27:030


 東風は一瞬、自分の目が信じられなかった。
 それほどまでにありえない、常軌を逸した光景が、上に在る。

 ケイオス・・・ 確かそういう名の男だった。

 見様によっては女と間違えそうになるぐらい、【綺麗】という言葉が
似合いそうな華奢な見た目の褐色肌の少年は、その見た目に反し、しなやか
な動きと疾さ、そして打撃力を以って東風を驚かせ、そして思わぬ苦戦を
強いられ・・・

 だというのに、この光景は、更に・・・

ケイオス「やあ」
 何も無い空中に、ケイオスはいた。
 なんとも信じられないことに、その背中に純白にきらめく翼を装して。

 戦場と化している貨物船の上で、本人の元々の穢れ無き美麗さも相まり、
まるで空想の天使を描いた名画から、そのまま天使が抜け出てきたかの
ような場違いな雰囲気を魅せている。


ケイオス「僕の背中のコレが不思議かい?」
 言葉を失っている東風に対し、ケイオスは子供の様な笑顔で問いかける。

ケイオス「実はね、これも【発気】の一つなんだ。
 練り方とコツさえわかれば、こういう風に羽根を作り出すことも出来る」

東風「な・・・」

 そんな気の使い方など、聞いた事が無い。
 ・・・羽根の形に固定し、生物のように動かす?
 そんなもの、デタラメもいいところだ。

ケイオス「東風さん、だっけ? その若さでそこまで錬度の高い風の刃を
作り出して、攻撃手段として確立してるのはすごいね。かなりの才能と
努力がないと出来ない。
 でも・・・ それじゃあ、僕には勝てないよ」

東風「・・・・・・っ 戯言を!!」
 ケイオスの言葉に憤った東風は、その場からケイオスへと一直線に
跳ぼうとした。

 しかし

     (ジャララッ───・・・!!)

東風「グッ───!!?」
 途端に、東風の体は、何か無機質なものに引っ張られる感覚に襲われ、
反動でその場に後ろ向きに崩れ落ちた。

東風「なっ・・・!? く、ゲホッ・・・」
 体に、何か・・・ 目には見えない鎖のようなものが巻きついている。
 そしてそれは、目を凝らせばより鎖としてのその姿を克明に現し始めた。

東風「(まさか、これも・・・!!?)」

ケイオス「そう、気の鎖。実はさっき闘ってる時に、空中に作っておいた
んだ。時間差で一番近い所にいる人に巻きついて動けなくするようにね」

 ケイオスの右手が、光り輝く。
 動けない東風に、止めを刺そうというのだろう。

東風「っっ・・・ させるかぁぁっ!!!

     (ビュオオオオッ────!!!)

 東風の叫びと共に、その周りには無数の風の刃が発生しはじめた。
 至近距離で生み出したその刃は、気の鎖だけではなく、東風の服や肌
までをも幾つかの切れ跡や切り傷を生み出していく。

東風「ぐっ・・・」
 そうして、気の鎖をほぼすべて斬り砕き、残りをてで引き裂いたものの、
東風の中華服はあちこちが切れ、柔肌からは一文字の赤い筋がいくつも。

 しかしその双眸は強い殺気を携えたまま、上空のケイオスを睨む。

ケイオス「仕方ないね・・・」
 ケイオスもまた、東風の尋常ではない勝利への執念に、相手を気遣う
という余裕を持つのは間違いと考えたのか

 一気にその腕から、新しい技を繰り出さんとし

ケイオス「菩薩掌!!」

       (ゴゥッ────!!!)

 ケイオスの腕から放たれる、輝く白光。

東風「・・・はっ!!」
 それを東風は軽やかに避わし、一気にケイオスの所にまで跳び上がる。

ケイオス「っ・・・」

東風「終わりだっ!! 死ねぇ──っ!!」
 風の刃を纏った、渾身の蹴りを、技を放ったことで隙が生じたケイオス
に叩き込もうとした

 その時


          (カッ───!!!)


 空振りに終わった筈の白光が、着弾先である甲板の床から眩く燃え上がり
 それは幾本もの光の柱として放出される。

東風「っっ────!!!?」
 そしてその光の柱のすべてが、死角となっていた東風の背に命中した。

 これが、ケイオスの気功技の一つ、菩薩掌。

 ケイオスが大地に特殊な気を放出すると、その気は敵をすり抜け地面に
着弾し、地中のエネルギーと融合することで光の柱の束となる。そして
その光の束は、地面を突き破って放出されることで、敵を死角から貫く
技なのだ。

 その光景が、地面を菩薩観音の掌に見立て、後光が溢れ出しているかの
ように見えるのが、菩薩掌の名の由来。


東風「かっ・・・ ぐ・・・」
 菩薩掌の直撃を喰らった東風は、力なくコンテナから散らばった積荷の
上に落ちていった。

ケイオス「(やりすぎたかな・・・?)」
 さすがにそう思ったケイオスは、翼をはためかせ、落ちる東風を受け止め
ようと降下する。

         (ビュウウゥッ────・・・!!)

ケイオス「っ・・・!?」
 途端に大きな風の嵐が発生し、コンテナの積荷の中身が浮き上がり、
それはあっという間に小さな竜巻のようになった。


 そして、数秒。


ケイオス「・・・・・・・・ あ」
 東風は、いなかった。

ケイオス「逃げられちゃったかぁ・・・」
 参ったな、という表情で、苦笑しながら顔を掻くケイオス。

ケイオス「・・・まあ、仕方ないかな。
 今は・・・ みんなの所に急がないと」
 そして謎多き少年は、仲間のいる方へと走っていった。

821 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:28:310

○ケイオス→計算しつくした騙しと罠の戦法で、短時間で東風に勝利。
しかし逃げられる
●東風→ケイオスに敗北、逃走


822 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:32:280


   その一方


    (ガァンッ!! ガァンッ!! ガァンッ!!)

ジギー「せえええぇあっ!!!」

         (ドガァァッ!!!)

 怪人やアリーマー達を片っ端から撃ち落とす零児達と、その隙間を縫って
輸送艦に降り立とうとするのを直接吹き飛ばすジギー達。

零児「半分ぐらいはやったか・・・?」
Jr「ふー・・・ けど、こんな風にチマチマやってちゃキリがねーぞ」

モモ「モモ、指が疲れてきました・・・」
Jr「レージさんよ。疲れちまう前に大技で一気にやっちまわねえか?」

  そう提案するJrに対し

零児「待て。今の状態で大技をやれば、その直後の隙を残りの奴等に突か
れる。・・・やるなら、奴等全員を確実に倒せる確信ができてからだ。

Jr「・・・つまり、小牢だっけか? がこっちに来るまで待てと」
 そう、その為に、ケイオスが小牢とタッチ交代をしに行ったのだ。
 しかし、それから何分も既に経過している。

Jr「ったく、ケイオスの奴、何やってんだ? このままじゃ弾も体力も
なくなっちまう・・・」

 そう、Jrが呟いた所で


小牢「お───い! 零児ぃ────!!!」
 能天気な声と共に、現れる逃げギツネさんがやってきた。

零児「遅いぞ小牢! 何をやってた?」
小牢「え、いやそのー・・・
 途中でコンテナの中身が雪崩れてきて、潰されそうに・・・」

  そう言いつつ体をパムパムはたいている小牢の衣服の隙間からは、
ポロポロと綿やらなにやらが落ちている。どうやら本当らしい。

零児「・・・まあいい。やるぞ。準備はいいな?」
小牢「あたぼうよー!!」

 お揃いの銃を取り出し、駆ける零児と小牢。


零児「中央に踏み込めれば・・・! 銃の型でいくっ!!」
小牟「フォローはしようかの〜♪」

レッドアリーマー「シギャアアッ!!!」
 輸送艦の中央に立った零児と小牢に狙いをつけた怪物達が、いっせいに
おそいかかる。

    (ガァンッ!! ガァンッ!! ガァンッ!!)

 それと同時に、零児と小牢の二人は、踊りの様な軽快な動きを繰り広げ
ながら、4丁の銃による豪快なデュエット、【銃の型】を繰り広げる。

零児「仕掛ける!」

    (ガァンッ!! ガァンッ!! ガァンッ!!)

小牟「とっておきじゃ!」

    (ガァンッ!! ガァンッ!! ガァンッ!!)

 二人の完璧なコンビネーションによる動きは凄まじい効果を発揮し、
まるでシューティングゲームのように次々とアリーマーや再生怪人達の
急所を撃ちぬき、撃墜していく。


Jr「(うっへ〜〜・・・ すげぇ!
 この時代のガンマンも捨てたもんじゃねえなー)」

  いきなり放り出された時代での思わぬ発見に、思わずニヤけるJr。

モモ「Jrさんっ」
 それを、隣のモモが引き戻した。

Jr「おっとと・・・ それじゃ、俺達もいくか!
 打ち合わせ通りに行くぜ!! モモ!!」

モモ「はい! Jrさんっ!」

 互いに笑顔を見合わせ、息を吸い込む二人。

 そして

Jr&モモ「「LET'S SHUTHING PALTY!!!!」」

823 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:33:350

○小牢→ケイオスとのタッチ交代の後、真っ直ぐ駆けつけようとしたは
いいものの、雪崩れてきたコンテナの中身の下敷きになっていたらしい。
○有栖零児→小牢と共に、MA技『銃の型』を放つ。
○Jr&モモ→新ユニット結成と同時にMA技を打ち合わせ決めていた
らしく、射撃祭と名付けたMA技の名を発表


824 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:36:070

Jr「行くぜ!!!」
 指でトリガーを軸に銃を回転させながらホルダーにしまいこむと、すぐ
さまJrはポケットに手を突っ込んだ。

Jr「ストーム・・・(嵐の・・・)
モモ「スターライト・・・」

 モモもまた、どこからともなくファンシーな形をしたステッキを取り出し
クルクルと回しながら、流れる動きでポーズを組み

Jr「ワルツ(円舞曲)!!!
モモ「メイク、ア───ップ!!!」

 Jrは天空に向かい、大きく握り拳を振りかぶり、綺麗に輝く無数の金貨
を投げつけ。
 モモは、スターライトの力で魔法少女のドレス姿に変身した。

Jr「ひゃっほう!!!」

     (バァン バァン バァン バァン バァン バァン!!!)


 Jrが空のコインに向かって、少年とは思えない早撃ちでありったけの
銃弾を打ち込む。すると、放たれた銃弾の全てが、例外なく空中のコインに
命中し、ワンクッション、ツークッション・・・

 中には数え切れないほどの反発を繰り返していく内に、弾丸が纏う
エーテルは増大していき、そしてそのいずれもが、予測不能な死角から、
空中の怪物達を撃ち抜いていった。


モモ「モモも、新技見せちゃいますよー!」
 モモはステッキを片手に、Jrの周りを円を描く形で回りながら、
ステッキで何も無い空間にサラサラと、エーテルによる光のフレームで構成
されたネオンのような絵を描き上げていく。

 ラブリー・レイの進化技により描かれたもの。
 それは、漫画風にデフォルメされた複数のモモ達だった。

モモ「上手に描けました〜っ♪」
 スケートのようにくるくると回りながら、Jrの背中に背中を合わせる
形で止まるモモ。

        (ポンッ!!)


 バトンの要領でクルンとステッキを一回転させると、ステッキは一瞬で
指揮棒程度の大きさになり

モモ「さん、ハイッ♪」
 モモがタクトを振るうことで、6体ものエーテルフレームのモモ達が
動き出し、それぞれに弓を弾(ひ)き始める。

モモ「エンジェル・アロー・ケストラ(天使の管弦楽団)!!!
 無数の光の矢で複数の敵を射るモモの技、エンジェルアロー。
 それを、6人のモモが続け様に放つともなれば、それは万の軍勢が放つ
矢に匹敵するだろう。
 見た目は可憐で純粋な天使達の合奏のようだというのに、その威力は
言葉に言い表せられない。


シオン「うわぁ・・・」
 シオンは横目で見えるその光景に、ただただ驚くばかり。

 ここ2年で、モモちゃんの強さは格段に上がった気がする。
 もっとも、2年もすれば少女も成長するものだが、それにしてもあそこ
まで活躍されては

ジン「益々、株が奪われそうですか?」
 嫌な所で、兄のとどめ。

シオン「うっ・・・」
 とまあ、こんな無駄口が出せるようになったのも、零児と小牢。そして
特にJrとモモの新ユニットによってだいぶ余裕の状況になってきたから
なのだが。

ジギー「モモもやるものだ。この分なら・・・」
ケイオス「4人に任せれば、終わりそうだね」

 ジギーの台詞の途中で、ケイオスが入ってきた。

ジギー「無事だったか」
ケイオス「何とかね」
 苦戦を強いられたようなケイオスの口ぶりだが、その実本人の顔は、
いつもの如くニコニコとしたもの。

ジギー「・・・そうは見えないな」

ケイオス「そう? でもホラ」
 ケイオスが服のそれぞれの部分を指で抓むと、普段開くはずの無い部分が
ピラリとまくれ、浅黒の肌が露になる。
 それにより初めて、東風との戦いにより、服のあちこちがスパリと切れて
いたことが明らかになった。

 それでも肌の方には傷一つ無いというのが、実にケイオスらしい。



  ◇    ◇



  そして

零児「これで・・・ 終わりだ!」

          (ガ、ガァンッ!!)


 背後から襲いかかろうとした最後のレッドアリーマーを、零児は後ろを
むいたまま脳天を撃ちぬいた。

零児「フー・・・・・・」
 銃を森羅独特のホルダーに仕舞うと、零児は目を閉じ深呼吸をする。

小牟「ほとんど大道芸じゃの〜」
 それを、パチパチと拍手しながら小牢が讃える。

Jr「うっし。これで全部だな」
 Jrの言葉どおり、4人のMA技により、あれだけ大勢いた怪物達は
全てが海の藻屑と消えていた。

小牟「興奮醒めあらぬ感じじゃなぁ〜」
 東風相手の戦術的撤退から一転の大金星に、うっとり顔の小牢。

零児「調子に乗りすぎるなよ」
 そんな小牢に対し、零児は無感動に、いつもの台詞をかけた。

モモ「ふう・・・ モモ、ちょっとくたくたです」
シオン「そうね・・・ 私もシャワー浴びたいわ」
 それぞれに、疲れを訴える役半数のシオンチーム。

小牢「わしも今回はちょい疲れたわ。
 おい零児。小遣いやるから肩揉んでくれい」

零児「急に婆さんになるな」

モモ「くすっ・・・ お二人も相変わらずですね」
小牢「む。そういやお主、背ぇ伸びたんと違うか?」
 手でモモの背を自分基準で測る小牢。

 その手では自分の身長が勝っている事を無言で誇示しているものの、
小牢が履いているのはハイヒールなので実際のところはわからない。

零児「・・・そうだな。もうこれ以上敵の追撃もないはずだ。
 Dもティターンズも手勢を失ったんだ、目的の場所に着くまでは一休み
できるだろう」

小牢「とかいって、急におでこの傷跡が痛いとか言うでないぞ?」
零児「人を警報機みたいに言うな。
 ・・・あの女は死んだんだ。二度とこの傷が痛むことは無い」

シオン「あ・・・・・」
 そっか・・・
 零児さんたちにとっては、あの事件からそんなに経ってないんだ。


シオン「・・・・・・また、この世界に何か起こってるみたいですね」
零児「ああ。場合によっては・・・ 五界混沌事件のアレが再び起こりかねん」

シオン「・・・・・・・・・」
ケイオス「とにかく、詳しい話は船から降りて、落ち着いてからだね」
Jr「そーだな」

 少なからず道先に暗雲を感じながらも、一行を乗せた輸送艦は、
ゆっくりと確実に進んでいく。

 今の世界を包む、事件と陰謀の先へと


825 名前:新章/ゼノ・シークレットサーガ編:2006/12/17(日) 16:37:180

○小牢→ケイオスとのタッチ交代の後、真っ直ぐ駆けつけようとしたは
いいものの、雪崩れてきたコンテナの中身の下敷きになっていたらしい。
○有栖零児→小牢と共に、MA技『銃の型』を放つ。
○Jr&モモ→新ユニット結成と同時にMA技を打ち合わせ決めていた
らしく、射撃祭と名付けたMA技の名を発表

826 名前:SSテスト 旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/25(月) 03:50:590

ポップ(動きは早いし、攻撃力はあるし……厄介すぎるぜ。
遠距離からの攻撃も、あの炎があるんじゃ生半可なのは通用しねぇ……けど、接近戦は自殺行為だ。
なら……やるっきゃねぇか?)

圧倒的な実力を誇るクローン京。
この強敵を打ち倒すには、生半可な攻めは通用しない。
ならば……強力無比な一撃を叩き込み、一瞬で決めるしかないだろう。
ポップはここで、ある魔法を発動させる決意をした。
この魔法は、街中で発動させるには余りにも危険だが……使うしかないだろう。
あらゆる敵を消滅させる、極大消滅呪文……メドローアを。

クローン京「うらぁっ!!」

炎を脚に宿し、勢いよく蹴りかかる。
それは、目の前にいたキカイダー01の頭部目掛けて繰り出されていた。
とっさにキカイダー01は防御を固め、腕でその一撃を受け止める。
しかし、打撃のダメージこそ軽減できたが……炎はそのまま、その腕を焼く。
ダメージに顔をしかめ、思わず後ろに下がってしまう。
その瞬間を狙い、クローン京はキカイダー01に掴みかかった。
それは、先程クロコダインを撃破した時とは違い……片手ではなく、両手での掴みかかり。
これを見たキカイダー01は、否が応でも、これから襲い掛かる技の恐怖を理解せざるをえなかった。

キカイダー01「しまった……!!」
クローン京「遊びは終わりだ!!」

伍百弐拾四式・神塵。
琴月とは比べ物にならないレベルの零距離爆破を、しかも連続で叩き込む。
最終決戦奥義『無式』に並ぶ、草薙京の最強の奥義。
キカイダー01は爆発の勢いで宙を舞い、そして地面に叩きつけられる。

トビア「イチローさん!!」

すぐにトビアはキカイダー01に駆け寄り、抱え起こす。
彼が受けたダメージは、あまりにも深刻であった。
辛うじて、息はあるようだが……このままでは危険すぎる。
すぐにレオナが駆け寄り、べホマを試みようとする。
だが……それをさせまいと、クローン京は襲い掛かってきた。

クローン京「余所見をしてる場合じゃねぇぜ!!」
シャイダー「くっ……彼の回復を、急いでくれ!!」

レーザーブレードを抜き、シャイダーがクローン京に斬りかかる。
流石に素手でこれを相手するのは危険と判断したのか、クローン京は攻撃を避けると、そのまま後ろに下がって間合いを取った。
そして、遠距離用の攻撃へとすぐさま切り替える。
百八式・闇払い。
炎の波が地を這い、シャイダーへと迫る。
しかしシャイダーはそれをレーザーブレードで切り払うと、そのまま徐々に間合いをつめてきた。
先程、クローン京が間合いを離してきたのを見て、勝機を見出したのだ。
素手での戦闘ならば楽勝だろうが、レーザーブレード相手ではそうもいかない。
クローン京の考えていることは、シャイダーに丸分かりだった。
この反撃が、契機となった。
ここまで終始優勢を進めてきたクローン京が見せた、初めての引き。
倒すチャンスは今しかない……一斉に、皆が攻撃を仕掛けた。

ファイズ「うおおおおおお!!」

ファイズは側面から一気に間合いを詰め、そして必殺の蹴りをクローン京へと叩き込んだ。
クローン京はそれをとっさに防御するも……ファイズの必殺の一撃は、彼の想像を超えていた。
防御を突き破って、クローン京を吹っ飛ばしたのだ。
勢いよく、背中から壁に叩きつけられる。

ポップ「今だ!!」

クローン京の動きが止まった……彼を倒す、これ以上ないチャンス。
迷うことなく、ポップは両手に魔力を集中させた。
右手には炎、左手には冷気。
そして二つが合わさり……あらゆる敵を消滅させる、必殺の矢をなす。
クローン京はそれに気づき、すぐさま起き上がり避けようとする。
だが……ポップの一撃は、それよりも早く放たれた。

ポップ「極大消滅呪文!!メドローア


827 名前:SSテスト 旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/25(月) 03:53:590

ゴウッ……!!

クローン京「ギャアアアアァァァァァァッ!!!??

とっさに回避行動を取るも、間に合わない。
放たれたメドローアは……クローン京の、右半身を抉り取った。
襲い来る激痛に叫びを上げ、クローン京は膝をつく。
抉り取られた断面からは、夥しい量の血が流れ出ている。
もはや勝負はあった……皆は武器を収めると、クローン京の周囲を取り囲む。

クローン京「てめぇら……くそっ……!!」
アスラン「……知っている限りでいい。
ネスツの目的を、今すぐ教えてもらおうか……助けてやらないこともないぞ?」

ネスツは前KOF大会終了後、その優勝者であるK´達によって滅ぼされた。
この時、ネスツの総裁イグニスが企んでいたのは……全ての人類の頂点に立ち、神の座につくことである。
神に等しい存在である、地球の自由意志オロチ。
そのオロチを打ち倒したKOFの参加者達を、自らの手で屠り……最強の座につく。
それこそが、イグニスが考えていた、神の座につく方法である。
恐らくは今も……その目的は変わっていない筈。
しかも、世界は今、かつてのKOFが開かれた時よりも……遥かに大きな混沌に包まれている。
オロチをも超える何者かが、存在しているかもしれない。
そんな混沌において……イグニスは尚も、最強の座を手に入れようとしている。
だが、ネスツ単体の力にも限界はあるだろう。
だから……

シャイダー「お前達がこの世界に来たのは、あのダービーとか言う男を助ける以外にも……他に目的があった筈だ。
ネスツの戦力を、大幅に拡大させる為に。」
クローン京「……全部、お見通しか。
ああ、その通りだ……ダービーの回収は、あくまでついでだ。」
トビア「じゃあお前達は、一体何を……」
クローン京「……知った所で、どうしようもねぇよ。
もう、本命はとっくに、本部に持っていかれてるからな……ぐっ!?」

クローン京の口から、血が吐き出される。
まだ、肝心な事を聞き出していない……ここで死なれるわけにはいかない。
すぐにアスランが、クローン京へベホマを試みるように言った。
だが……回復呪文は、ある程度の生命力が残っている肉体にしか、効果を成さない。
今のクローン京には……かけても、意味がないのだ。
その事実を告げられると、クローン京は自らを嘲るかのような微笑を浮かべた。
そして、残された最後の力を使い……残酷な真実を告げ、深い絶望を与える為に、その口を開いた。

クローン京「この世界にいたっていう……大魔王バーン。
そいつは勇者に、自慢の腕を切り落とされたらしいな……?」
ポップ「っ!?
そういえば、お前は……まさか!!」
クローン京「ああ、そうだ……ネスツの目的は、大魔王バーンの左腕だ。
大魔王のクローン……大量生産が完了すれば、とんでもないだろうぜ……?」

大魔王バーン。
かつて、この世界を滅ぼそうとした……ポップ達にとって、最大最強だった敵。
その左腕は、最終決戦において、勇者ダイによって斬り落とされていた。
その後、その腕がどうなったかは、誰にも全く分からなかったし、気にも止められないでいたが……

クロコダイン「あのバーンを……兵として使うつもりだというのか!?」
クローン京「ああ……ネスツにとっちゃ、この上ない戦力になるぜ。
それに、バーンだけじゃねぇ……ネスツはもう、相当数の細胞サンプルを手に入れてる。
ナチュラルとコーディネイターとの戦争を、泥沼化させた元凶……ラウ=ル=クルーゼ。
地球で、最も永きに渡って戦い続けたウルトラマン……ウルトラセブン。
強い心を持って、世界を守り抜いた光の巨人……ウルトラマンティガ。
ネスツの力を以てすれば……例え誰が相手でも、クローンを作り上げられるぜ。
ははっ……俺達の世界どころか、異世界中の戦力が相手でも……ゴハァッ!?」

直後、クローン京は先ほどよりもさらに大量の血を吐いた。
もはや自分はここまで。
しかし……目の前の者達に、大いなる絶望を残すことはできた。
クローン京は、最後に軽く笑い……そして、絶命した。
この時、皆が呆然として、その場に立ち尽くしていた。
ネスツは、自分達の想像を絶した、恐ろしい戦力を秘めている。
その事実が与えた衝撃は、あまりにも大きかった。

アスラン「……俺達は、ネスツを甘く見ていた。
一度は壊滅した組織だからと、何処かで思っていたが……考えている事が、とんでもなさすぎる。」
ジュドー「……どうすんだ、これから?」
カガリ「……一度、私達の世界に戻らないか?
現れた敵は、ネスツだけでもない……あのダービーとかいう男の後ろにも、何者かがいるんだ。
それも、相当厄介なのが……ここは、戻って皆と一度相談をする方が。」
ポップ「俺も、そうした方がいいと思うぜ。
戦った事があるから、バーンの怖さは分かってる……あいつは危険だ。
ネスツがバーンのクローンを作るのに成功しちまったら、どうしようもなくなっちまうぜ。」

皆の意見は、大方一致していた。
一度、元の世界に戻り……今後の対策を考える必要がある。
自分達の敵は……あまりにも、強大なのだから。

828 名前:SSテスト 旧章/竜の騎士の世界/そして扉は開かれる:2006/12/25(月) 03:55:370

***ネスツ宇宙要塞***

イグニス「……DIOの部下を、救出したのか。」
クリザリット「はい……あの男の能力を考えれば、まだ利用価値があります。
ですから……」
イグニス「分かっている……よくやってくれた。
あの男に、そんな義理があるかどうかは別にしても……恩を売っておいて、損は無い。」

地球からやや離れた位置に存在する、巨大な宇宙要塞。
そこが、世界の支配を目論む大組織……ネスツの本拠地であった。
その支配者であるイグニスは、クリザリットからの報告を受け、今後の事を考えていた。
ダービーの救出は、DIOに恩を売った形とはなるが……然程効果はないだろう。
彼がネスツを駒としてしか見てないという事は、百も承知である……それはネスツとて、同じであるのだから。

クリザリット「それと……例の者達ですが、ようやく足取りがつかめました。
K´並びにマキシマ、アンチK´は、三人共にハイデルンの元で動いています。
どうやら……奴等は、此方の存在に気付いているようです。」
イグニス「だろうな……ハイデルンに知られているとあらば、我等の存在は既に知られているだろう。」

ハイデルン。
世界でも指折りの戦力を持つ、ハイデルン傭兵部隊の隊長。
彼は地球軍からも依頼を度々受けており、その影響からか軍内部でも相当の地位を持っている。
かつて、ネスツがその野望を打ち砕かれたのも……彼の部隊の活躍が大きかった。
恐らく今現在も、自分達やグランショッカーといった、世界の脅威を倒す為に前線で動いているに違いない。
だが、そのハイデルンよりも更に恐ろしいのは……その下にいると判明した三人。
K´、マキシマ、アンチK´ことクーラ・ダイアモンド。
かつてイグニスが戦いを挑み、そして敗れ去った……凄腕の格闘家達である。
最も警戒すべき相手と言っても、過言ではないだろう。

イグニス「だが、今の我等はかつてとは違う……こちらには、新たな駒があるのだからな。
いずれ、全てが整えば……何者であろうと、我がネスツに打ち勝つことは出来ぬ。
さて……残る最大の敵は、あの二人だな。
草薙京と八神庵の足取りは、補足出来たか?」
クリザリット「それが……二人とも、神楽ちづると行動を共にしていると。」
イグニス「何だと……?
草薙、八尺瓊、神楽の三種の神器が一同に……まさか?」
クリザリット「はい……オロチの封印が、解かれた可能性があります。」


***DIOの館***

ダービー「DIO様……申し訳ありませんでした。」
DIO「そう頭を下げるな、ダービー。
失敗こそしたが、それでもお前は奴等を後一歩まで追い詰めたんだ……お前の力は、やはり素晴らしいよ。
今回の件で、改めて確信できた……また今後も、よろしく頼むぞ。」
ダービー「はっ……!!」

同時刻。
帰還したダービーから全てを知らされたDIOは、ネスツの動向について推理をしていた。
ダービーの力は、確かに強力……利用価値は十分にある。
だが、それだけの為にネスツが兵を送り込んだというのは、やはり考えにくい。
何かしらの目的が、必ずある筈である。
まあ、考えていてもあまり意味は無いだろう……すぐに答えは分かるのだから。
そして数分後、一人の男が、部屋に入ってきた。
DIOの忠実なる僕、ヴァニラ=アイス……その手には、何か手紙のような物が握られている。

DIO「きたか……早かったな。」
ヴァニラ「ネスツの下に送り込んでいた屍生人から、報告がありました。
奴等の目的が……はっきりとわかったそうです。」

DIOは既に、策を打っていた。
ネスツの元へと、己の部下を送り込んでいたのだ。
そしてそれは、ネスツだけには留まらず……あらゆる組織の元へと、DIOの手の者は送り込まれている。
ハイデルン達が恐れていた、DIOの能力……それをDIOは、彼等の予想通りに、思う存分扱っていた。
DIOの毒は今や……あらゆる組織を、侵食しつつあったのである。

DIO「大魔王のクローンか……面白い事を考える。
そして、地球の自由意志の復活……中々大変だな、これは。」
ヴァニラ=アイス「ネスツに関しては、保留するにしても……オロチ一族は、どうします?」
DIO「まあ、奴等とて復活してすぐだ……それ程の恐怖は無い。
放っておいてもかまわない……それにだ。
奴等が牙をむいてくれば……叩き潰せばいいだけだろう?
安心しろ、ヴァニラ=アイス……私はもう、何者にも負けぬ。
この世界は、この帝王DIOのもの……頂点に立つのは、このDIOだ!!」


動き出す、巨大な闇。
世界に襲い来る、未曾有の事態。
更なる混沌へ向けて、全ては加速してゆく。



今……新たなる扉が、開かれようとしていた。


○クサナギ組→元の世界に一度戻り、ネスツと、ダービーの背後にいるであろう存在について、対策を練る
○竜の騎士の世界組→クサナギ組が元の世界に戻り対策を立てる間、自分達にも出来る事を考える。
●イグニス→大魔王バーンの左腕を手に入れる。
 これを機に、クローン兵の本格的な作成に取り掛かる。
●DIO→ネスツの動向やオロチ一族の復活について、情報を入手する。
 そして尚も余裕の態度を見せ、己が敵は全て叩き潰す覚悟を固める。
●クローン京→メドローアを受けて絶命する。
 しかし、大魔王バーンの腕を手に入れることには成功していた為、任務は達成できた


【今回の新規登場】
●イグニス(THE KING OF FIGHTERS 2001)
世界支配を目論む大組織「ネスツ」の支配者。
圧倒的な戦闘能力を誇り、人類最強を自負している。

829 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 22:50:460

  木星宙域 衛星ガニメデ:TPCガニメデ基地

 ここは、地球平和連合、TPCのガニメデ基地。
 その一室、大きな窓のある部屋に、一人の男が立っていた。
 彼の名は石室章雄。対根源破滅地球防衛連合、G.U.A.R.D.の精鋭チーム、XIGに
所属するコマンダーである。
 石室は、部屋の窓からその下を見下ろしている。その視線の先には、左右に円盤
状の装置がつけられた特殊マシン、シグアドベンチャーが鎮座しており、その周り
を10人ほどの人間が動き回っていた。

 さて、なぜ、TPCの基地にXIGの人間がいるのか?
 それは、つい最近起きた、大変革のたまものである。
 これまで、地球連邦軍内の一セクションだった対怪獣用地球防衛組織、Mフォース
が解散し、ICPOのW.I.N.R.や科学特捜隊、世界科学連邦のSRCなども傘下とする独立
した怪獣災害防止機関、略称MDPO(Monster Disaster Prevention Organization)
が組織されたのだ。
 それに伴い、Mフォースの幹部は一度解散、新たに各組織トップから幹部が一人
ずつ選ばれ、情報の共有、及びこれまでMフォース内でもほとんど個々で活動してい
た各組織間の協力の為にホットラインが敷かれ、絶えず情報交換が行なわれ始めた。
 その総本部として、MDPOを始めに提案したTPCの総合本部グランドームが選ばれ、
MDPO幹部達は、平時は各組織の基地にいるが、非常時、及び1ヶ月に1度の幹部会議
の際にはTPC総合本部へ集まることになっている。
 そのMDPO合同の初任務として、時空間移動装置、シグアドベンチャーの改造が木星
ガニメデのTPC基地で行われることになったのである。

???「石室コマンダー!」
 いつのまにか石室の後ろに、ヒビキ・ゴウスケスーパーGUTS隊長が立っていた。
石室「ヒビキ隊長。なにか?」
ヒビキ「いえいえ、基地周辺、及びガニメデ周辺に異常は皆無です!」
 そう言うと、ヒビキは石室の隣に立ち、シグアドベンチャーを見下ろした。
ヒビキ「・・・・・そういえば」
石室「?」
ヒビキ「XIGにも、ウルトラマンである青年がいたそうですな?」
石室「ええ。スーパーGUTSにもいたのでは?」
 石室が、シグアドベンチャーの前でコンピューターをいじっている青年から目を
離さずに言った。
ヒビキ「ええ・・・・・。あいつは、どこか彼方に消えてしまいましたがね」
石室「・・・・・」
ヒビキ「・・・・・」
 2人は沈黙した。その視線は、それぞれシグアドベンチャーに向いている。
 そのシグアドベンチャーの周りでは、数人が小躍りし始めている。どうやら、シグ
アドベンチャーの調整などが終了したようだ。
 その中には、さきほど石室が見ていた青年以外に、スーパーGUTS所属のナカジマ・
ツトム隊員や、もとGUTSのホリイ・マサミ、人類最強クラスのスーパーキャノン、
ネオマキシマ砲(その威力は、ダイナ必殺のソルジェント光線に耐えられる怪獣を
倒せるほど)を造ったキサラギ・ルイ博士、科学調査サークル、SRCのメカ開発者で
ある木本研作博士、SRC所属のサワグチヤスエ女史、科学特捜隊の岩本博士の姿が
ある。
 と、沈黙を破る様に、
石室「彼だ」
 と言って、さっきコンピューターをいじっていた、今は放心した様に天井を見つめて
いる青年を指差す。
ヒビキ「?」
石室「彼が、ウルトラマンガイアなんだ」
ヒビキ「・・・・! あんな青年が?」
石室「ええ。私はいろいろな組織の隊長から話を聞いている。ウルトラマンはその
ほとんどが怪獣対策組織に所属していた。その組織の隊長達は、口をそろえて予想
だにしない人物がウルトラマンだった、と言っていたよ」
 そういうと苦笑し、
石室「さて、彼らの様子を見るに、シグアドベンチャーの微調整が終了した様だ、
ヒビキ隊長にもそろそろ任務に戻っていただきたい」
ヒビキ「了解しました!」
 ヒビキは1度敬礼すると、部屋を出て行った。


830 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 22:54:380


○石室→ガニメデ基地にて、シグアドベンチャーの改良を見守る。
○ヒビキ→ガニメデ基地周辺の状況報告に来る。その後、石室の横でシグアドベン
チャーの改良を見守る。
○我夢、ナカジマ、ホリイ、キサラギ博士、木本博士、ヤスエ女史、岩本博士→
シグアドベンチャーの改良を終わらせる。


【今回の新規登場】
○石室章雄(ウルトラマンガイア)
対根源破滅地球防衛連合G.U.A.R.D.の精鋭チーム、 XIGのコマンダー。
46歳(ガクゾム戦時・推定)。
エリアルベース(現在はエリアルベースU)の艦長でもある。
常に冷静沈着、鋭い洞察力を持ち、指揮官としては理想的な人物。

○ヒビキ・ゴウスケ(ウルトラマンダイナ)
地球平和連合、TPCのスーパーGUTS隊長。46歳。
豪胆で大雑把な性格の熱血漢。その指導者としての実力・手腕は本物で、あらゆる
武道に精通し、かつては「TPCの荒鷲」という異名を持っていた他、ガッツイーグル
等のライドメカの操縦もこなす。
スーパーGUTSの部下には、ほぼ無条件に厚い信頼を寄せる。

○高山 我夢=ウルトラマンガイア(ウルトラマンガイア)
対根源破滅地球防衛連合G.U.A.R.D.の精鋭チーム、 XIGのアナライズ担当。
21歳(ガクゾム戦時・推定)。アルケミースターズ日本代表も務める。根源的破滅
招来体の尖兵、C.O.V.(コッヴ)襲来時、地球を守る力を願い、ガイアの光を手
に入れた。根源破滅天使ゾグとの戦いの後、一度はガイアの光を失うものの、その
1年後の根源破滅海神ガクゾム戦時にガイアの光を取り戻す。

○ナカジマ・ツトム(ウルトラマンダイナ)
スーパーGUTS隊員。29歳。
スーパーGUTSの隊員の中でもっともメカニックに精通した隊員。スーパーGUTSが
遭遇・対処すべき事象の調査・分析は主に彼の仕事になっている。
必要に迫られればどんなメカでもすぐに開発・発明し、対処することができる能力
と閃きを有する。

○ホリイ・マサミ(ウルトラマンティガ・ダイナ)
35歳(ウルトラマンダイナ時・推定)。GUTSでは科学者で、ムードメーカーだった。
ウルトラマンダイナ劇中では、民間企業に出向(もしくは転勤)して、コスモネット
計画(太陽系の惑星を人工衛星の巨大ネットワークで結ぶという計画)を進めていた。
大阪弁の特徴的口調で喋る。

○キサラギ・ルイ博士(ウルトラマンダイナ)
TPCの女性科学者で、『人類最強の兵器』ネオマキシマ砲を作り上げた。ただし、
そのとき人類滅亡を企てるモネラ星人に操られていた。
モネラ星人事件後はガニメデ基地に転任、そこで対グランスフィア戦に赴くクラー
コフへのネオマキシマ砲搭載を指揮。

○木本研作博士(ウルトラマンコスモス)
科学調査サークルSRCの母体となった水無月工業技術研究所(「MITI」)の創始者
の一人で、SRCのメカの開発者。
SRC初期メンバーと共に“SRCオリジナルセブン”と呼ばれる。

○サワグチ ヤスエ女史(ウルトラマンコスモス)
SRC創成期にヘッドハンティングされた天才科学者で、SRC用通信モバイル「ラウン
ダーグリップ」など、数多くのメカを発明し、その多くがSRCの基本装備として使用
されている。

○岩本博士(ウルトラマン)
国際科学警察機構極東支部、科学特捜隊の科学者で、科特隊のブレーンとも呼ばれる。
ジェットビートル、小型ビートルや、ウルトラマンを倒した宇宙恐竜ゼットンを倒す
ほどの威力を持つ新兵器、無重力弾(ペンシル爆弾とも)などを開発し、科特隊の
活躍に貢献した。



831 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 22:57:110


 30分後。
  ガニメデ基地:シグアドベンチャー実験ドック

石室『我夢、準備はいいか?』
 シグアドベンチャー内のモニターに映った石室が、コクピットに座っている青年、
高山我夢に尋ねる。
我夢「はい、機動実験はいつでも開始できます!」
 石室は、司令室のオペレーター、それにシグアドベンチャーを完成させた博士
たちを見まわす。
 その場の全員が、頷いた。
石室「・・・・・実験開始!」
 我夢はその両側にあるレバーについた赤いスイッチを押しこむ。
 それと同時に、シグアドベンチャー両側の円盤が回転を始め、シグアドベンチャー
の機体が放電し始め、その目前に時空の穴が現れた。

 この改良型シグアドベンチャーは、単独での時空間移動だけでなく、友軍との
時空間移動も目的としている為、改良前は、時空の穴を開けずに移動していたの
が、改良後は、時空の穴を開けて移動を行なうシステムに改造されている。

石室「第1段階は成功だな。我夢! 停止しろ」
 と、スクリーンに映っていた我夢の表情が硬くなった。
我夢『て、停止しません!』
???「そんな、システムは完璧だったはずです」
 キサラギ・ルイ博士が呟き、そばのコンピューターのキーボードをうち始めた。
 その間に、別のスクリーンに映っていた空間の穴、時空トンネルがドンドン大
きくなっていく。
???「まさか、暴走か?」
 岩本博士が呟く。
???「緊急停止システム、作動します。」
 一番大きなコンピューターの前に座っていた青年、もとGUTSのヤズミ・ジュンが
キーボードを高速で操作しつつ言った。

 我夢は、どうにかシグアドベンチャーを停止しようと悪戦苦闘していた。
我夢「・・・・ん?」
 ふと、眼前の肥大化した時空トンネルを見ると、そこから2人の人影が飛び出して
きた。片方は、床をシグアドベンチャーの、コクピットの真下辺りへ滑っていって
我夢の視界から消え、もう片方はゴロゴロと床を転がって行き、一人目と同じよう
に視界から消えた。
我夢「な・・・・?」
 と、シグアドベンチャー両側の円盤状装置が回転を停止した。
我夢「と、止まった・・・・!?」
 我夢は急いでベルトを外し、外に出る。
 そこに、石室とナカジマ、ホリイ、それに、スーパーGUTSの女性隊員でオペレー
ター、ミドリカワ・マイ、それにガニメデ基地の警備隊員10人が入ってきて、
そのうち五人がさきほど時空トンネルから飛び出してきた二人のうちの一人に銃を
向け、残りの五人はシグアドベンチャーの後ろに駆けていった。
石室「あなたは何者だ?」
 石室が口を開く。
???「私はアスカ・カズマ。」
マイ「アスカ・カズマ・・・アスカのお父さん!?」
 マイが尋ねる。
カズマ「そうだ・・・・アスカを知っているのか?」
ナカジマ「・・・・もと、同僚でした」
 そこに警備隊員の一人がシグアドベンチャーの後ろ側からやってきて、敬礼する。
そして、
警備隊員A「石室コマンダー!」
石室「どうした?」
警備隊員A「向こうにもう一人侵入者がいます、意識がありませんが」
石室「すぐ行こう」
 石室、ナカジマ、マイ、ホリイが警備隊員に案内され、シグアドベンチャーの
後部へ。
 そこには、うつぶせに一人の青年が倒れていた。
ホリイ「スーパーGUTSの戦闘服着とるで?」
 ホリイ・マサミが呆気に取られたように言う。
 確かにその青年は、マイとナカジマが着ているスーパーGUTSの戦闘服を着ている。
マイ「そんな・・・・・!!」
 さっきのとは別の隊員が彼を仰向けにする。

 その青年はかつて、グランスフィア戦で光の彼方へ消えた、スーパーGUTSの勇敢
な隊員で、ウルトラマンダイナである青年、アスカ・シンだった。


832 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 22:58:130


○ 我夢→シグアドベンチャー機動実験パイロットとして、シグアドベンチャーを
起動させる。
○ 石室→シグアドベンチャー機動実験を指揮。その後、シグアドベンチャー実験
ドックへ入り、そこでアスカ・カズマとアスカ・シンを発見。
○ キサラギ博士以下、シグアドベンチャーを完成させた五名→シグアドベンチャー
機動を見守り、キサラギ博士は暴走を止めようとする。
○ ヤズミ→シグアドベンチャー緊急停止システムを作動させる。
○ マイ、ナカジマ、ホリイ→石室とともにカズマとアスカを発見。
○ アスカ・カズマ→暴走の際の時空トンネルから飛び出し、自分の名を名乗る。
○ アスカ・シン→カズマとともに現れるも、意識不明。


【今回の新規登場】
○ ヤズミ・ジュン(ウルトラマンティガ・ダイナ)
19歳(ウルトラマンダイナ時・推定)。元GUTS隊員で、オペレーターをしていた。
GUTSが解散した後は、ガニメデ基地へ転任、そこでオペレーターとなる。グラン
スフィア戦時、キサラギ博士とともにクラーコフへのネオマキシマ砲搭載を指揮。

○ ミドリカワ・マイ(ウルトラマンダイナ)
スーパーGUTS隊員、18歳。コンピューターのエキスパートで、情報管理・通信が
主な任務。作戦中においての仕事の確かさは、スーパーGUTSの全員に信頼されて
いる。とても無邪気で明るく振る舞い、いつもスーパーGUTSを和ませる。
実戦経験の無さを気にしていたが、南極で起きたクラーコフ占拠事件で、その壁を
乗り越えた。

○アスカ・カズマ(ウルトラマンダイナ)
アスカ・シンの父親。かつて、宇宙を光速で移動する機体の実験計画、ゼロドライブ
計画の実験中、冥王星付近に実験機、プラズマ百式を残して光に消え、行方不明に
なった。

○ アスカ・シン=ウルトラマンダイナ(ウルトラマンダイナ)
スーパーGUTSの隊員、22歳。入隊試験時にスフィアに襲われ、撃墜された際、光に
遭遇、生還した後の初任務で、ウルトラマンダイナへと変身する。その性格は熱血
で、がむしゃらに前に進み、なにからも逃げないことを信条としている。
グランスフィア戦でスーパーGUTSとの協力により、グランスフィア消滅に成功する
も、その際の重力崩壊で光の中に消えてしまう。



833 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:00:280


  衛星ガニメデ:ガニメデ基地周辺空域

 TPC基地上空にスーパーGUTSの所持する戦力、分離可能な主力戦闘機、ガッツ
イーグルが待機していた。
 そしてその周囲には、ガニメデ基地のコスモアタッカー部隊の攻撃用戦闘艇が
同じように待機している。
???「このまま、なにも起こらないといいんですが」
 ガッツイーグルの船首部、赤色のアルファ号コクピットで、スーパーGUTS隊員
の一人、カリヤ・コウヘイが呟く。
???「そうだな」
 ガッツイーグルの主翼部、青色のベータ号コクピットで、スーパーGUTS副隊長、
コウダ・トシユキがそれを聞いて言う。
 と、ガッツイーグル全コクピットの小型スクリーンに、マイの姿が映った。
???「どうしたの、マイ?」
 ガッツイーグル後部、黄色のガンマ号コクピットで、スーパーGUTSのもう一人
の女性隊員、ユミムラ・リョウが尋ねる。
マイ『石室コマンダーから、帰還命令が出ました。ガッツイーグルは一度帰還し
てください!』
ヒビキ「何か、あったのか?」
 コウダの横に座っていたヒビキが尋ねる。
マイ『詳しくは帰還後に!』
 そして、通信が切れた。
ヒビキ「・・・・なんだかわからんが、とにかく帰還するぞ!」
 ガッツイーグルは降下を始めた。

リョウ「マイ、なにがあったの?」
 ガッツイーグルを降り、ガニメデ基地内を歩いているリョウが、横を歩くマイ
に尋ねる。
マイ「・・・・」
 と、マイが立ち止まる。そこは、ガニメデ基地のメディカルセンター。
リョウ「メディカルセンター・・・・?」
 リョウは、自動ドアを通って中にはいる。
 そこに、一人の女性と、彼女のそばのベッドに横たわって眠る誰かがいた。
リョウ「アス・・・・カ・・・・!!」
 “誰か”、それはアスカだった。
???「知り合い?」
 アスカのそばの女性が尋ねる。
リョウ「え、ええ。あなたは?」
???「私は友里アンヌ。ここでの実験で事故が起きた時のために、地球防衛軍
から、ここのメディカルセンターに特別招聘されたの」
 彼女、アンヌはそういうと、
アンヌ「彼の容態について聞きたいでしょ? こちらへ」
 と言ってその奥へ歩いていく。リョウはその後を黙ってついて歩く。
そして、奥にあったデスクの椅子に座り、デスク上のパソコンを操作してMRI画像
を表示した。
リョウ「どうして、そもそもなんでアスカがここに?」
 リョウがきつめの口調で尋ねる。
アンヌ「私もよくは知らないけど、さっきあった新型機のテストのときに時空
トンネルから飛び出してきたらしいわ。」
 アンヌが言いながら、画像がリョウに見えるようにパソコンの向きを変える。
アンヌ「容態は上々、脳の損傷は一切ないわ。でも・・・・」
リョウ「でも?」
アンヌ「一度、目を醒ましたとき、自分のことを何一つ覚えてない様だったわ。
一般常識はわかるみたいだけど」
 リョウは顔をパソコンからアンヌに向けた。
リョウ「記憶・・・・喪失・・・・?」
 リョウが尋ねる。
アンヌ「ええ、そうよ。おそらくショック性のね。今の彼は、何一つ覚えていない
わ。自分が誰で、どんな組織に所属していたか。そして・・・・・何になれるか、
もね」
リョウ「そんな・・・・! なんとかならないの!?」
アンヌ「この手の記憶喪失は治るには治るけど、具体的な治療法は確立してない
の。でも、何かの拍子に思い出す、何て例もあるわ。一番いいのは、記憶を失う
前の生活を行うことよ」
 アンヌが淡々と言う。
リョウ「もっと手っ取り早い方法は無いの!?」
アンヌ「無いわ。さっきも言ったけど具体的な治療法は確立してないの」
 リョウの言葉にアンヌは即答した。
アンヌ「彼と一緒に現れた彼のお父さんと、ここで作業をしていた同僚さん二人に
はもう伝えてあるわ。他に知りたい人はいるかしら?」
リョウ「同僚が・・・・いるわ。」
アンヌ「その人達を連れてきて。」
リョウ「・・・・・わかったわ。」
 リョウは、重い足取りでメディカルセンターを出た。
ヒビキ「おう、どうしたリョウ?」
 少し歩いたところに、ヒビキ、カリヤ、コウダが立っていた。
リョウ「メディカルセンターに・・・・」
ヒビキ「ん、メディカルセンター?」
カリヤ「何かあるのか?」
リョウ「行けば・・・・わかるわ」
ヒビキ「・・・・・わかった。カリヤ、コウダ、行くぜ」
 そして、ヒビキ達三人は歩いてメディカルセンターに向かっていった。



834 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:03:560


○ ヒビキ、コウダ、カリヤ、リョウ→ガニメデを警備中、マイの通信でガニメデ
基地に帰還。リョウはその後、メディカルセンターでアスカと対面、アンヌから
状況を聞く。
○マイ→ガッツイーグルを帰還させ、リョウをアスカのいるメディカルセンターへ。
○アスカ→記憶喪失である事が判明。
○アンヌ→リョウにアスカの容態を伝える。


【今回の新規登場】
○コウダ・トシユキ(ウルトラマンダイナ)
スーパーGUTS副隊長、32歳。
あらゆる戦術データを記憶している作戦家。任務に対しては忠実かつ冷静であり、
夜中の司令室に残って戦術シミュレーションを精根詰めて考えるあまり、居眠りを
するなど、生真面目な一面もある。
ヒビキ隊長に「俺の片腕だ」と言わしめるほどの厚い信頼を受けており、最前線で
作戦指揮をとる事も多い。劇中、初めでは副隊長ではなかったが、後に昇進して
いる。

○カリヤ・コウヘイ(ウルトラマンダイナ)
スーパーGUTS隊員、28歳。
考古学者で射撃のエキスパート、さらにライドメカも乗りこなす、スーパーGUTSの
主力隊員。任務中はスイッチが入ると外部の事を一切シャットアウトできる集中力
の持ち主で、物事を冷静に分析・処理し、自分に危険が迫っても取り乱したりしな
い性格である。

○ユミムラ・リョウ(ウルトラマンダイナ)
スーパーGUTS隊員、27歳。
腕利きのエースパイロットとしてTPC内では有名人。パイロット技術だけでなく、
格闘術や射撃の腕もなかなかのものである。良くも悪くも勝気でかなりキレやす
く、口より先に手が出る事もしばしばだが、任務に関係する事象には冷静に対処
できるほどの判断力や洞察力、実行力をもっている。さらに、品行方正で堅物で
真面目で、光に消えた、愛するアスカが帰ってくる事を信じられる強い心ももって
いる。

○友里アンヌ(ウルトラセブン)
ウルトラ警備隊隊員、20歳。
普段はメディカルセンターで隊員の健康管理を担当するウルトラ警備隊の紅一点。
モロボシ・ダン=ウルトラセブンと行動する事が多く、恋心を抱いていた。
シグアドベンチャー機動実験事故に備え、TPCガニメデ基地
に特別招聘中。



835 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:07:450


  同刻。ガニメデ基地司令室

石室「破壊工作?」
???「はい、間違いありません。コクピットの、停止スイッチに繋がるコードが
切断されていました」
 司令室の中央にあるスクリーン前で、眼鏡をかけた女性、サワグチ ヤスエ女史が
石室に答える。
石室「自然に切れた、とは考えられないのか?」
岩本「ありえません。切り口が刃物か何かで切られたようになっています。こんな
切り口が自然にできるわけがありません」
 ヤスエ女史の横にいた岩本博士が言う。
石室「そうか・・・・。ガニメデ基地の全警備隊員に連絡、警戒レベルの引き上げ、
それと、シグアドベンチャー実験ドックには、関係者以外は誰も入れないようにと
伝えてくれ」
???「了解!」
 司令室のコンピューター前に座っているXIGのオペレーター、佐々木敦子が、
手もとのマイクで命令を放送する。
石室「これ以上、何も起こらないといいが・・・・」
 と、呟いたとたん、敦子の横に座っていたマイが、
マイ「石室コマンダー、TPC本部より通信が入っています!」
石室「何だ・・・・? 繋いでくれ」
 石室が言うと同時に、スクリーンにTPC二代目総監、フカミ総監が映った。
フカミ『石室コマンダー、緊急事態だ。スーパーGUTSの出動を要請したい』
石室「なにがあったのですか? フカミ総監」
フカミ『コスモネット監視衛星が、海王星に向かう謎の怪獣を捉えたのだ。なお、
コスモアタッカー部隊はすでに火星の別部隊が向かっており、ガニメデのコスモ
アタッカー部隊は出撃させなくても心配ない』
石室「了解しました。すぐにスーパーGUTSを出撃させます」
フカミ『申し訳ない』
 そして通信は切れた。
石室「マイ隊員、ヒビキ隊長たちに、すぐにガッツイーグルで出撃する様にと連絡
してくれ。それとナカジマ隊員、君も行くんだ」
ナカジマ「ラジャ!」
 ホリイと一緒にコンピューターを操作していたナカジマが石室に敬礼し、司令室
を出ていった。

 10分後。ガニメデ基地からガッツイーグルが飛び立った。
ヒビキ「コスモアタッカー部隊はこの隊形を維持したまま待機しろ!」
 ヒビキがコスモアタッカー部隊の隊長に命令し、通信を切る。
ヒビキ「これより、俺達は海王星に向かう!」
リョウ『海王星?』
カリヤ『なにがあったんです?』
ヒビキ「怪獣が出現したらしい。フカミ総監の命令で、俺達も向かう事になった」
 ヒビキはそう伝えると、コウダに、
ヒビキ「発進だ!」
コウダ「ラジャ! ネオマキシマエンジン始動!」
 コウダが告げると同時に、ガッツイーグルは超音速のネオマキシマ航法により
船体が引き伸ばされたようになり、ガニメデ宙域から消えた。



836 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:09:040


○ 石室→シグアドベンチャーに破壊工作があったと報告を受け、警備を厳重にする
よう命令する。
○ ヤスエ女史、岩本博士→石室にシグアドベンチャー調査報告を行なう。
○ 敦子→ガニメデ基地警備隊員に石室の命令を伝える。
○ フカミ総監→海王星の怪獣にスーパーGUTSを向かわせるよう要請する。
○ ヒビキ、コウダ、カリヤ、ナカジマ、リョウ→ガッツイーグルで海王星系へ。


【今回の新規登場】
○ 佐々木敦子(ウルトラマンガイア)
エリアルベース(エリアルベースU)司令室勤務、XIGオペレーター、21歳。
任務時は極めて冷静かつ、的確に情報把握、及び伝達を前線の隊員達に行なう。
我夢に気がある模様。

○ フカミ・コウキ総監(ウルトラマンダイナ)
TPC2代目総監。前総監サワイが健康上の理由で退任した事により着任した。
温和な人物。



837 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:10:190


  海王星宙域

 虚空から、ガッツイーグルが現れた。
ヒビキ「敵は!?」
コウダ「索敵・・・・・前方です!」
 ガッツイーグル内の全員が前方を見る。そこには、無数の残骸の中に浮いている
一体の怪獣の姿があった。
カリヤ「馬鹿な・・・・・! コスモアタッカー部隊が、たった一体の怪獣に・・・・
壊滅させられたのか!?」
ヒビキ「おいナカジマ、あの怪獣のデータはないか、データベースで調べろ!
スキャンもだ、急げ!」
ナカジマ「ラジャ!」
 と、怪獣の口から赤い光線が放たれた。
ヒビキ「分離して攻撃!」
 同時に、ガッツイーグルはアルファ号、ベータ号、ガンマ号に分離して光線を
避ける。と、ガッツイーグル三機の後ろで、光線が分散した。
ナカジマ「拡散光線!」
ヒビキ「やっかいな物使いやがるな!」
 そして、三機は一列に並んでレーザーを放つが、それは怪獣の前方に出現した
バリアによって弾かれた。
コウダ「亜空間バリア!?」
カリヤ「まさか・・・・スフィア合成獣!? スフィアの生き残りがいたのか!?」
ナカジマ「それだけじゃありません、検索の結果、あの怪獣は、かつてウルトラ
6兄弟のうち、エースまでを倒した強力な怪獣、タイラントです!」
リョウ「でも、確かタイラントは倒されたはずよ!?」
 リョウがナカジマに向けて言うと、
ナカジマ「確かにそうです、しかしあのタイラントは前のタイラントじゃありま
せん! スフィアが合体し、スキャンの結果目と手足が半機械化されていると思わ
れます!」
ヒビキ「亜空間バリアなら同時に全方向はカバーできない、三方向から同時攻撃を
かますぞ!」
リョウ、カリヤ、コウダ「ラジャ!!」
 アルファ号、ベータ号、ガンマ号は巧みにタイラントの拡散光線をかわしつつ、
三方向から同時にレーザーを放った。

バチバチッ!

 しかし、タイラントの周りに水晶の結晶型バリアが出現、レーザーを弾き返す。
ヒビキ「なに!?」
 さらに、タイラントの右腕、鋭い刃から、赤い光線がベータ号に放たれた。
コウダ「く!!」
 ベータ号は素早く旋回してビームを避けようとするが、光線はベータ号を追尾
している。
リョウ「ネオガイガレードの追尾光線!?」
 リョウのガンマ号のレーザーが、追尾光線を打ち消す。
ヒビキ「ナカジマ、何か奴に弱点は!?」
ナカジマ「ダメです! あのタイラントの攻撃力・防御力は今までの怪獣とはけた
違い、奴は・・・・・化け物です!」
 ナカジマが、暗い顔をして報告した。
コウダ「・・・・・くそ!」
ナカジマ「ここは、一度撤退を!!」
ヒビキ「・・・・・わかった。リョウ、カリヤ! 撤退するぞ!」
リョウ「・・・・・ッ!」
カリヤ「かたきは、必ずとってやる!」
 ガッツイーグルは合体し、その最大の武器であるトルネードサンダーを発射して、
タイラントを牽制するとネオマキシマ航法で海王星系を離脱した。



838 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:11:060


○ヒビキ、コウダ、カリヤ、ナカジマ、リョウ→海王星の怪獣と交戦、力の差を
さとって撤退。
●謎の怪獣(タイラント)→コスモアタッカー部隊を全滅、さらにガッツイーグル
と交戦し、その力の差を見せつける。


【今回の新規登場】
●暴君怪獣タイラント(ウルトラマンタロウ)
かつて、ウルトラ6兄弟のゾフィーからエースまでを倒した怪獣。
ウルトラマン達に倒された怪獣や宇宙人の怨念が合体した物。
スフィアの生き残りが寄生して、さらに改造が施されている模様。


839 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:12:500


  ガニメデ基地司令室

 そこに、石室、アスカを除く、ヒビキ以下スーパーGUTS全員、敦子、我夢以下、
シグアドベンチャー関係者7名が集まっていた。

石室「コスモアタッカー部隊が全滅!?」
ヒビキ「ええ。ナカジマ、説明しろ」
 ヒビキが、そばにいたナカジマに言う。
ナカジマ「まずはこれを見てください。」
 正面の窓がスクリーンに変わり、そこに、海王星にいたタイラントが映った。
ナカジマ「これは、今回海王星にいたタイラントです。そしてこれが」
 と、スクリーンのタイラントの映像の横に、そのタイラントとそっくりな怪獣
の映像が現れた。
ナカジマ「かつて現れた、ウルトラ五兄弟を倒したタイラントです」
岩本「形が違うな」
ナカジマ「どうやら、このタイラントは改造を受けている様です」
石室「改造?」
 石室が怪訝そうに尋ねる。
ナカジマ「このタイラントは、スフィアが寄生し、さらに右腕が、かつてグラン
スフィア戦で戦ったネオガイガレードの刃になっています。そして、この右目は
メカに改造され、背中にはバーニアらしきものも見られます。手足にも、おそらく
メカゴジラを作ったブラックホール第三惑星人による機械化改造がほどこされて
おり、おそらくかつてのタイラントとは、強さに天と地ほどの差があると思われ
ます。
口からは、前に地球を壊滅しかけた、X星人のサイボーグ怪獣、ガイガンの〈拡散
光線ギガリューム・クラスター〉を発射でき、さらに・・・・」
石室「まだあるのか!?」
ナカジマ「はい・・・・・このタイラントは二種類の防御バリアを持っています。
片方は、今までのスフィア合成獣とは、比べ物にならないほど強力な亜空間バリア、
もう一つは、ウルトラマンマックスを苦しめたゼットン星人の生体兵器、ゼットン
最強の防御バリア、『ゼットンシャッター』です。これは全方位を防御できる非常
に厄介なバリアです」
石室「弱点は?」
ナカジマ「頭部に、コントロール用機械らしきものが埋め込まれている様なので、
接近してそれを破壊すれば、なんとかなるかと。もっとも、そう簡単に接近させて
くれるとは思えませんが」
 と、突然スクリーンの映像が砂嵐に変わり、その一瞬後、卵のような頭にオウム
に似た顔のガッツ星人が映しだされた。
ガッツ星人『私は宇宙連合の使者、ガッツ星人だ。これより、太陽系の全人類へ
通告する。これより1日後までに、降伏の意思を示し、全武装を解除せぬ場合、
即座に怪獣、スーパータイラントを侵攻させ、全惑星の人類を殲滅する』
 司令室がざわめいた。
ヒビキ「ヤツが、あのタイラントを!」
 ヒビキは唸るように呟く。
石室「マイ隊員、これはどこから放送されているんだ?」
マイ「・・・・不明ですが、コスモネットから太陽系の全惑星へ流されている模様
です!」
ガッツ星人『なお、降伏時には、地球に潜む全てのウルトラマンを、我らに引き渡す
こと』
我夢「なんだって!?」
ガッツ星人『以上、通告を終了する。良い返答を待っているぞ』
 そして、映像は途切れた。
ヒビキ「あの野郎、ふざけたことを・・・・・!」
石室「我々は断じて降伏なんてしない!」
 ヒビキ、石室が口々に言い、
石室「ナカジマ隊員、キサラギ博士たちと協力して、すぐにスーパータイラントの
バリアを何とかする方法を考えてくれ」
ナカジマ「ラジャ!」
 ナカジマは、すぐにホリイ、キサラギ博士、木本博士、ヤスエ女史、岩本博士を
集め、別の部屋へ向かう。
我夢「・・・・・・」
 我夢は、黙って唇を噛んでいる。
石室「我夢」
 石室が我夢に話しかける。
我夢「・・・・・・コマンダー」
石室「我々は、宇宙連合などには屈服などしないし、ウルトラマンを引き渡す気も
ない。・・・・・・お前は、いや、ウルトラマンたちは皆。我々の仲間だ」
我夢「・・・・・ありがとうございます」
石室「別にいい。それより、ナカジマ隊員たちを手伝ってくれ」
我夢「わかりました」
 我夢は答えると、小走りで司令室を出ていく。

石室「・・・・・コスモアタッカー部隊、スーパーGUTS、及びガッツウイング隊に
連絡、すぐに機体を整備、敵の襲来に備えるよう伝えてくれ」
敦子、マイ「了解!」
石室「・・・・・・我々は、必ず勝ってみせる!」



840 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:14:370


○ナカジマ→石室達にタイラントの改造された部分を説明。ガッツ星人の通告に
驚く。その後、石室の命令でシグアドベンチャー関係者6名とスーパータイラント
の弱点を探す為、話し合いに行く。
○石室→ナカジマの説明を聞き、さらにガッツ星人の通告を聞いて戦う意思を固
め、ガッツ星人の言葉を気にしていた我夢を元気付ける。
○ヒビキらスーパーGUTS隊員→石室と同じくナカジマの説明を聞き、ガッツ星人
の通告に闘志を燃やす。
○シグアドベンチャー関係者5名(我夢、ナカジマ除く)→石室の命令でスーパー
タイラントの弱点を探す為、話し合いに行く。
○マイ→石室にどこから通信が来ているか伝える。
○我夢→ガッツ星人の言葉に驚愕、石室に元気付けられ、スーパータイラントの弱
点を探す為、話し合いに行く。
●ガッツ星人→地球人類に降伏を通告、スーパータイラントを操っている模様。
●スーパータイラント→解析により、さまざまな宇宙人のさまざまな改造が施され
ていると判明。


【今回の新規登場】
●ガッツ星人(ウルトラセブン)
地球人の希望の拠り所となっているウルトラセブンを倒し、地球人の戦意を喪失
させ、一気に地球征服を図ろうとした宇宙人。一度はセブンを磔にするも、ウル
トラ警備隊の活躍により復活したセブンに、宇宙船もろとも破壊された。



841 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:17:470


  12時間後。ガニメデ基地

 リョウは、ガニメデ基地であてがわれた自室のベッドに寝転がっていた。
リョウ「・・・・・」
 なにもせずに、ただただ天井を睨んでいる。
マイ『緊急連絡、リョウ隊員は、すぐにメディカルセンターに来て下さい』
リョウ「!!」
 リョウは跳ね起きると、スーパーGUTSの戦闘服を着ながら部屋を出て、メディカル
センターへ駆けた。

  ガニメデ基地:メディカルセンター

 自動ドアが開き、リョウが駆けこんで来ると、声を荒げ、
リョウ「どうしたの、アンヌさん!」
アンヌ「アスカさんが目を醒ましました」
 アンヌが静かに言う。
リョウ「!」
 リョウの目が奥のベッドに向けられた。そこには、リョウの見知ったアスカ・シン
が上半身を起こし、ぼーっとした表情で座っている。
リョウ「アスカ・・・・!」
 リョウはアスカに駆け寄る。
アスカ「・・・・・・悪いんだけど、おれの知り合いかよ?」
リョウ「っ!? ・・・・ええ、そうよ。私はユミムラ・リョウ。あなたの、同僚よ」
アスカ「おれが、アスカでいいんだよな?」
 アスカが不安そうに尋ねる。
リョウ「そうよ。あなたはアスカ・シン。私と同じスーパーGUTSの隊員よ」
アスカ「そうか・・・・・わかった。ところでさ、これ何? なんか、とても大切
だった気がすんだけど」
 そう言ってアスカが差し出したのは、ダイナへ変身するためのアイテム、リーフ
ラッシャーである。
リョウ「これは・・・・・・・お守りよ。いつもアスカが持ってたわ」
アスカ「へぇ・・・・・お守りか!」
 アスカは納得した様に頷く。
アスカ「あ〜、すっきりしたぜ」
 そんな能天気なアスカを見て、リョウは微笑む。
リョウ「アスカ、調子、どう?」
アスカ「ん〜・・・・・別に悪くないなぁ。どっか痛いってわけでもないし」
 アスカが軽く首を回しながら言う。
リョウ「・・・・・それを聞いて安心したわ」
アスカ「おい、どこ行くんだよ?」
リョウ「ここに怪獣がやってくるから、忙しいのよ」
 リョウはそっけなく言うと、手を振ってメディカルセンターを出た。

さらに二時間後。
  ガニメデ基地司令室

敦子「コマンダー、本部から連絡が入っています。フカミ総監です」
石室「わかった」
 と、前方のスクリーンにフカミ総監が映った。
フカミ『コマンダー、あなたにMDPOの決定を伝える。我々は、宇宙人の卑劣な脅迫
に決して屈しない。よって、これよりガニメデ基地の全戦力を以ってスーパータイ
ラントを撃滅せよ。なお、敵の宣告した時間までに、増援とコマンダーたちの迎え
を送る予定だが、もし来なければ、現在の戦力のみで迎撃していただきたい』
石室「了解しました!」
 そして、通信は切れた。
石室「襲来まであと8時間か・・・・・全員に整備を急がせてくれ」
マイ「了解!」

  ガニメデ基地:格納庫

そこに、ヒビキ、カリヤ、コウダの姿があった。
ヒビキ「まさか、キリヤマ隊長に託されたこのライトンR30爆弾に、伊吹隊長から
託されたサターンZミサイルをを使う事になるとはな」
 ヒビキの苦々しげな視線の先には、大型の爆弾とミサイル一発ずつを装填する
ガッツイーグルがあった。
 爆弾はライトンR30爆弾。かつて、ウルトラセブンが苦戦した戦闘ロボット、
キングジョーを大破させた強力な爆弾で、ミサイルの方は、タバコの箱ほどの量で
富士山を吹き飛ばせ、ニトログリセリンの6千倍の威力があり放射能も無い、MATの
ミサイル用液化火薬、サターンZを使用したミサイルである。
コウダ「あの怪物に効きますかね?」
ヒビキ「さあな」
 そういうとヒビキは振り向き、
ヒビキ「だが、奴を、ここから先に行かせるわけにはいかねぇ!」
 コウダ、そしてカリヤが頷いた。

  ガニメデ基地:シグアドベンチャー実験ドック

 そこで、岩本博士が、シグアドベンチャー起動実験用のスパコンを移動させるの
を指揮していた。
岩本「急いでくれ、スーパータイラントが来るまでに脱出できる様にしなければ
ならないんだ。おっと君、そのハードウェアは慎重に扱ってくれ」
隊員1「了解!」
 隊員達はスパコンを手際よく分解、コンテナに詰めて運んでいく。
岩本「間に合うだろうか・・・・・」
 岩本は呟き、シグアドベンチャーを見上げた。



842 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:18:590


○リョウ→自室でゴロゴロしていたが、マイの放送でメディカルセンターに直行。
そこでアスカと話をする。
○マイ→リョウにメディカルセンターへ向かうよう放送する。
○アンヌ→リョウにアスカが目覚めたのを知らせる。
○アスカ→目を醒ますも、やはり記憶がない様で、リョウに「誰だ」と尋ねる。
その後、リョウが変身アイテム、リーフラッシャーを「お守り」と言うのを信じて
能天気に笑う。
○石室→フカミからMDPOの決定を聞き、ガニメデでのスーパータイラント迎撃の為
の準備を各員に急がせる。
○フカミ総監→MDPOの決定を石室に伝える。
○ヒビキ、カリヤ、コウダ→ガッツイーグルへの、ウルトラ警備隊のキリヤマとMAT
の伊吹から託されたライトンR30爆弾とサターンZミサイル搭載を見守る。
○岩本→シグアドベンチャー起動用スパコンの移動を指揮。


843 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:22:110


7時間後。スーパータイラント襲来まで、後一時間をきった。

  ガニメデ基地司令室

石室「出撃する全機に回線を開いてくれ」
マイ、敦子「了解!」
 数秒後、二人が石室へ頷いた。石室は口を開く。

石室「コスモアタッカー部隊、ガッツウイング隊、スーパーGUTS全隊員へ。
これより、我々は人類を破滅させようとする敵との戦いに臨む。
我々の故郷、地球の運命は、我々全員の双肩にかかっていることを決して忘れるな。
何があろうと、諦めずに戦いぬけ!
“GET GLORY”!!」

石室「ガッツイーグルへ通信を繋いでくれ」
 と、正面のスクリーンにヒビキが映し出された。
ヒビキ『どうも、石室コマンダー。いい演説でした!』
石室「・・・・・ヒビキ隊長、申し訳ない。本来なら私が直々に行くべきなのに」
ヒビキ『そんなことはありませんよ! こう言うのはなんですが、もともと石室
コマンダーは前線で指揮するよりも、基地でどっしり構えているほうが合っている
と思いますからね。』
 ヒビキがカラカラと笑いながら言う。
石室「そうですか。」
 石室は苦笑しながら答えた。
ヒビキ『とにかく、こちらの指揮は任せてください! 必ずガッツ星人とスーパー
タイラントをここで止めて見せます!』
石室「ええ。期待しています。」
 石室は、安心したように一言、そう答えた。

ヒビキ「TPC迎撃部隊、全機出撃!!」
 ヒビキの号令と共に、ガニメデ基地から、合計60機もの戦闘機が飛び立った。
その約三分の二はコスモアタッカー部隊の戦闘艇、残りの三分の一はTPCのかつて
の主力機、ガッツウイング1号のバリエーション機である、スピード特化型のブルー
トルネードに、攻撃特化型のクリムゾンドラゴンである。そして、それらTPC迎撃
部隊の先頭を、ガッツイーグルが飛行していた。
ヒビキ「全機、攻撃準備!」
 ヒビキが号令を出した。
コスモアタッカー部隊隊長「ファイナルメガランチャー、セットオン!」
 同時に、コスモアタッカー部隊の戦闘艇に搭乗している隊員達はコクピット内の
スイッチの数個を押していく。
ガッツウイング部隊隊長「クリムゾンドラゴンは全機、攻撃モードへ移行せよ!!」
 ガッツウイング部隊の隊長の号令と同時に、クリムゾンドラゴンのウイングが先端
のキャノン砲を前方に向けるように可変した。

  ガニメデ基地司令室

岩本「・・・・・増援は、間に合うだろうか・・・・」
 岩本が呟く。
ホリイ「大丈夫やて、絶対来る。それにアレだけの武装をした部隊や、そう簡単には
やられへん。」
石室「だといいが・・・・・」
 ホリイの言葉を聞いて、飛び去っていくTPC迎撃部隊をスクリーンで見送りながら
石室は呟いた。

 地球の命運をかけた戦いが、今、始まろうとしていた。



844 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:23:030


○石室→出撃するTPC迎撃部隊全員を激励し、その後、ヒビキと話をする。
○ヒビキ→石室の激励をほめ、自信たっぷりにスーパータイラントとガッツ星人を
止めると石室に伝える。その後出撃、ガッツイーグルでTPC迎撃部隊を指揮。
○岩本、ホリイ→司令室で少し会話をする。


845 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:24:210


スーパータイラント来襲まで、あと30分。

ヒビキ「できれば、ライトン爆弾とサターンミサイルは使わずに始末したいもん
だな」
 ヒビキが深刻そうな表情で呟く。
カリヤ『下手をすれば味方も巻き込みかねませんからね』
コウダ「でも、さすがのスーパータイラントも、ファイナルメガランチャー40門
にトルネードサンダー、ガッツウイングの一斉攻撃には敵いませんよ」
 コウダが言うが、それは、どちらかというと自分に言い聞かせているように
見えた。
ヒビキ「だといいが・・・・」
 そして、ヒビキが前方を見つめた。
 と、その時。

ギュオオオオ―――ンッ!!!

 スーパータイラントがその巨体に似合わぬスピードで飛来してきた!
コウダ「なに!?」
 コウダが目をむいて叫んだ。
 と、スーパータイラントはガバリと口を開いた。
ヒビキ「っ! 全機、回避―――ッ!!」
 ヒビキが通信で叫び、同時にガッツイーグルほか、ほとんどの機体が旋回した、
その瞬間。

ビチュン! ・・・・バチバチバチッ!!

スーパータイラントの口からG(ギガリューム)・クラスターが放たれ、旋回しな
かった数機がその拡散光線の直撃を食らい、爆散した。
ヒビキ「くそ!」
コウダ「バカな、まだ、侵攻には時間があるはず!」
 コウダがスーパータイラントを横目に見ながら叫ぶ。
カリヤ『まさか、こちらが戦力を集結させたのを知って!?』
リョウ『私達を叩き潰しに来たって訳ね! 上等、私達人間をあまりなめないで
もらいたいわね!』
ヒビキ「そのとおりだぜ! 全機、攻撃開始!!!」
 号令と同時に、ファイナルメガランチャー、レーザー、キャノン砲、トルネード
サンダーが一斉にスーパータイラントへ飛んだ。

 バチバチバチバチ!!

 しかし、それらは全て亜空間バリアによって防がれる。
コウダ「野郎、なんて強力なバリアだ!」
ヒビキ「ブルートルネード隊は散開して“ヒットアンドアウェイ”だ!」
ブルートルネード隊隊員「ラジャ!!」
 同時に、ガッツウイングブルートルネード10機が瞬時に散開、高速で飛び、S
(スーパー)タイラントへ前後からレーザーを撃ちこむ。
ヒビキ「こちらは援護に回る! 攻撃開始!」
 ヒビキの号令でファイナルメガランチャー、レーザー、キャノン砲、ミサイルが
Sタイラントへ飛んだが、もちろん亜空間バリアにより防がれた。
 しかし、後ろからのブルートルネード隊のレーザー攻撃が直撃した。
Sタイラント「ギシィィィッ!!」

ドゴォン!

 Sタイラントは振り向きざまに右腕の刃を振る。その瞬間、ブルートルネードが
一機爆発した。
ヒビキ「攻撃を続けろ!!」
 ファイナルメガランチャーとトルネードサンダー、レーザー、キャノン砲がSタイ
ラントのゼットンシャッターに防がれる。
ヒビキ「ゼットンシャッターか!」
 と、Sタイラントがゼットンシャッターを消した瞬間、口からG・クラスターが連射
され、戦闘艇7機が光線を食らい爆発。さらに。

ピチュンッ!
チュドォンッ!!

 Sタイラントから少し離れた空間からレーザーが放たれ、ブルートルネード1機がそれ
の直撃を食らって爆散した。
ヒビキ「! コウダ、今の見たか!」
コウダ「はい!」
 同時に、ガッツイーグルからレーザーが二本飛んだが、何にも当たらずに虚空へ
消えた。
コウダ「くそ、今のはガッツ星人の宇宙船のはず!」
ナカジマ「ステルスが解除できれば!」
 ナカジマが嘆く様に呟いた。



846 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:26:220


○ヒビキ→予定時間よりも早いSタイラント来襲に驚くが、すぐに迎撃命令を出す。
○コウダ、ナカジマ、カリヤ、リョウ→ヒビキと同様一瞬驚くがすぐに迎撃を開始。
●スーパータイラント→予定時間より早くガニメデに来襲、迎撃部隊へ攻撃を開始。
●ガッツ星人→ステルスを施した円盤で迎撃部隊に攻撃をかけてくる。



847 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:30:100


ヒビキ「全機、スーパータイラントへ集中砲火!!」
 同時に、何回目かの、ファイナルメガランチャー、レーザー、キャノン砲、トル
ネードサンダーの一斉射撃がスーパータイラントへ飛ぶ。が、

バチバチバチバチッ!!!

 全て亜空間バリアで受けとめられてしまった。
ヒビキ「くそ・・・・・ん? なんだあれは」
 ヒビキは、怪訝そうな声を上げた。

シュンシュンシュンシュン・・・・

 よく見ると、攻撃は全てバリアに吸収されているようなのだ。
ヒビキ「? ・・・・!! 野郎・・・まさか!!」
コウダ「?」
ヒビキ「全機、攻撃を中止して散開しろ!! 急げ!!」
コウダ「ど、どういう」
ヒビキ「いいから急げっ!」
 コウダは鬼気迫った物を感じ、素早くトルネードサンダーを止め、旋回した。
 ほかの戦闘艇も次々攻撃を停止、旋回していく。
 と、Sタイラントの前に張りっぱなしになっていたバリアから、先ほどTPC迎撃
部隊が放った攻撃が拡散しながら飛び出してきた。

バシュシュシュシュッ!!
チュドチュドチュドチュドンッ!!!!

 その射線上にいた機体は全て爆散、部隊の約半数が、消滅したか、大きなダメージ
を受けて、基地へ帰還せざるを得ない状態になった。
カリヤ『な・・・・・!! 一気に部隊の半数が消滅!?』
ヒビキ「化け物か!! 一斉射撃は得策じゃない、全方位からの攻撃もゼットンシャ
ッターで防がれる、一体どうすればいい!! この状態じゃライトン爆弾もサターン
ミサイルも通用しねえ!」
ナカジマ「あの特殊亜空間バリアを破壊するには、少なくとも先ほどの一斉射撃の
四倍の攻撃力が必要と思われます!」
コウダ「ネオマキシマ砲! あれなら!」
リョウ『でも、あれを運用するにはクラーコフクラスの宇宙船がないと!』
ヒビキ「何か、打つ手はないのか・・・・!」
 ヒビキが苦々しげに呟いた。
 同時に、スーパータイラントはまた、口からG・クラスターを放った。

  ガニメデ基地司令室

石室「まさか、あれがコスモアタッカー部隊を全滅させた攻撃か?」
 石室が、スクリーンに映し出された、スーパータイラントのリフレクト攻撃を見て
呟いた。
岩本「こんな・・・・・! 圧倒的過ぎる!」
ホリイ「援軍はまだ来いへんのか!? なにやっとるんや!」
石室「せめて・・・・・援軍が来るまでだ。それまで、持ちこたえてくれ・・・・!」
 石室は、祈る様に呟いた。

ヒビキ「くそ、ガッツ星人の宇宙船は探知できないのか!?」
ナカジマ「駄目です!! 奴は非常に高度なステルス迷彩を使用しています!!」
 ヒビキの言葉に、ナカジマが叫ぶ。
 この時点でのTPC迎撃部隊の数は、出撃時の三分の一近くになっていた。
Sタイラント「ギシィィィ!」

ピチュンッ!

 と、生き残ってSタイラントを翻弄していたブルートルネード隊最後の一機が虚空
からの攻撃を食らい、翼が爆発した。
ブルートルネード隊隊員「うおおおおお!!!!」
 ブルートルネードは、一直線にSタイラントへ突撃した。
ヒビキ「! 特攻する気か!?」
ブルートルネード隊隊員「くたばりやがれぇ―――っ!!!」
Sタイラント「ギシィィィッ!!!」

チュドンッ!!

 しかし、隊員の特攻も亜空間バリアに阻まれ、ついにブルートルネード隊は全滅
した。
コウダ「くそ、ジオモスに使った反ネオマキシマエネルギーでの亜空間バリア破壊
はできないのか!?」
ナカジマ「ガニメデ基地でシュミレートしたときは、全機体による反ネオマキシマ
エネルギー砲撃は充分通用という結果でした。しかし部隊が半数以下になったうえ
に、あのリフレクトバリアを張られたら意味がありません!」
 ナカジマが悔しげに、コウダに向かって答える。

 反ネオマキシマエネルギーによる砲撃、それは、ネオマキシマエネルギーを使用
している亜空間バリアを破壊することが可能な、唯一の手段である。

カリヤ『このまま負けるのか・・・・?』
ヒビキ「まだだ!! 弱音を吐くんじゃねえ、俺達はまだ戦えるんだ!」
コウダ「その通りだ! まだ、まだ打つ手はあるはずだ!」
 カリヤの言葉に、ヒビキとコウダが叫んだ。



848 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:30:450


○ヒビキ→Sタイラントへ集中砲火の命令を出し、バリアの変化にいち早く気づいて
部隊に回避命令を出す。その後、弱音を吐いたカリヤを叱咤する。
○コウダ→ヒビキの命令を混乱しつつも実行。その後、ヒビキと共にカリヤを叱咤。
○ナカジマ→ヒビキやコウダにいろいろと説明。
○カリヤ→Sタイラントの攻撃力に圧倒され、弱音を吐く。
○石室、ホリイ、岩本→Sタイラントのリフレクトバリアを見て驚愕。
●スーパータイラント→TPC迎撃部隊の一斉射撃を特殊な亜空間バリア、リフレクト
バリアによって反射、部隊の約半数を一瞬にして消滅させる。



849 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:33:530


ヒビキ「残存する全機体へ!! もう一度、奴に集中攻撃! ただし、今回は分散隊形
で行なうぞ!!」
 ヒビキが、何か思い付いたらしく、残った機体全てにそう連絡した。
 そして、トルネードサンダー、ファイナルメガランチャー、レーザー、キャノン
砲が一斉にスーパータイラントへ飛んだ。

シュンシュンシュンシュン・・・・・
バシュシュシュシュ!!

 が、それらはまたリフレクトバリアに吸収され、はね返された。
ヒビキ「あれが、奴の弱点か!!」
コウダ「? どういうことです?」
ヒビキ「奴がリフレクトバリアを張る時、バリアは前方にしか張る事ができねえ!
その間、後ろは完全にお留守になる!! そこに、攻撃をぶち込むんだ!!」
カリヤ『ライトン爆弾とサターンミサイルを!!』
リョウ『使うんですね!』
ヒビキ「その通りだ!! だが、念の為ライトン爆弾だけを使う! ・・・・全機へ!
奴に5連続で、集中攻撃を行なえ!」
 ヒビキが、残存機全てに命令する。
 そして、ガッツイーグルは旋回し始めた。

  ガッツ星人のステルス円盤

ガッツ星人「ふはははは!!! そうだ、スーパータイラント! 我らの道をさえぎる
敵は全て抹殺するのだ!!」
 ガッツ星人が高笑いしながら叫んだ。
ガッツ星人「しかし、人間どもはいつまで抵抗するつもりだ? もう力の差が分かっ
ても良いはず・・・・・バカなのか?」
 ガッツ星人は、スクリーンに映る、スーパータイラントへの一斉砲撃を見ながら
高慢ちきに言った。
ガッツ星人「まあいい、さっさと地球へ向かわなければ」
 ガッツ星人はTPC迎撃部隊へビーム攻撃を開始した。

 ガッツイーグルは、一斉砲撃をリフレクトしようとするSタイラントの後ろに停止
した。
ヒビキ「よし、奴の注意は完全に前に向いてる! 今だ!!」
コウダ「ライトン爆弾、発射!!」
 同時に、ガッツイーグルからライトンR30爆弾が発射された。

チュドゴォンッ!!!

 爆弾はSタイラントの背中に直撃し、バーニアが爆散、さらにリフレクトバリア
が消え、一斉射撃が直撃した。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!!!」
リョウ「やった!」
 しかし、Sタイラントは爆散しなかった。
ヒビキ「!!」
コウダ「なに!?」
カリヤ「バカな、直撃したぞ!?」
 ガッツイーグルがSタイラントの横へ飛び、そこから放たれつづける一斉射撃が
Sタイラントの腹の、ベムスターのエネルギー吸収口から吸収されているのを見た。
ヒビキ「野郎、あれだけぶちこんでもまだ倒せねえのか!?」
 と、一斉射撃が消えた瞬間、Sタイラントは両腕を斜め横に開き、さらに口を開く。
すると、開いた両腕と口から放電が起き始めた。
ヒビキ「!?」

ビュィィィイイ―――ッ!!!

 その瞬間、Sタイラントの口から青白い閃光が走り、残存していた部隊のうちの
戦闘艇5機、ガッツウイングクリムゾンドラゴン4機が一瞬にして消し飛んだ。
コウダ「な、なんだあれは!?」
ヒビキ「ナカジマ! 照合急げ!」
ナカジマ「ラ、ラジャ!」
 ナカジマがコンピューターを操作。数秒後。
ナカジマ「出ました! あれは、かつてガメラが対戦した宇宙怪獣レギオンの必殺
攻撃、極超短波を収束し発射するマイクロ波シェルです! レギオンのマイクロ波
シェルは、外殻で超極短波を収束していましたが、あれは両腕を外殻代わりに利用
しているものと思われます!」
カリヤ「ガッツ星人め、なんでも混ぜればいいってもんじゃないぞ!」
 カリヤが忌々しげに言う。
ヒビキ「このままじゃジリ貧で全滅しちまう! くそ、援軍はまだなのか!?」
 ヒビキがSタイラントを睨みつけながら呟いた。



850 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:35:390


○ヒビキ→Sタイラントがリフレクトバリア発動中には、後ろに隙ができることを
見抜き、一斉射撃で隙ができたSタイラントにライトンR30爆弾を撃ちこませる。
○コウダ→ヒビキの号令でライトン爆弾をSタイラントの背中に撃ちこむ。
○ナカジマ→Sタイラントが放った反撃を特定する。
○カリヤ、リョウ→ヒビキの計画を聞き、喜ぶ。
●ガッツ星人→Sタイラントの戦闘を監視しつつTPC部隊へ攻撃。
●スーパータイラント→TPC部隊の一斉攻撃を反射していたが、ライトン爆弾が背中
に直撃、リフレクトバリアが消失。しかし、腹部のエネルギー吸収口で一斉射撃を
吸収、さらにマイクロ波シェルを放って反撃してくる。



851 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:39:340


  ガニメデ基地司令室

岩本「援軍はなにをやってるんだ! TPC部隊だけじゃ歯が立たないぞ!!」
 岩本が珍しく激昂して叫ぶ。
ホリイ「ワイの機体があれば、ワイも手伝いに行けるっちゅーのに!」
 ホリイもそれに同調して言う。
石室「岩本博士、ホリイ博士、落ち着いてください。・・・・援軍はきっと来てくれ
ます。充分な、戦力を連れて」
 石室が岩本をいさめ、そしてスクリーンを見つめた。
 と、岩本がいきなり近くのコンピューターの前に座り、キーボードを操作し始めた。
石室「岩本博士、何を?」
岩本「今までのスーパータイラントの戦闘データを調べます! 何か奴の弱点を見つけ
られるかもしれません!」
ホリイ「ワイも手伝うで!」
 ホリイもその横のコンピューターの前に座り、データを表示させた。

ヒビキ「全機後退! 体勢を立て直す!」
 ヒビキの命令と同時に、TPC迎撃部隊の残存機は旋回し、スーパータイラントから
距離を取った。
リョウ「援軍はいつになったら来るの!? 早く来ないとここは壊滅だわ!」
 リョウが叫ぶ。
ヒビキ「もう少しだ! もう少しで、必ず来る! それまで、持ちこたえるぞ!! 全機、
ここを、最後の防衛線と考えろ!」
 そして、隊列を組みなおしたTPC迎撃部隊は、スーパータイラントへ再攻撃を開始
した。
ヒビキ「全機、散開してスーパータイラントを囲め! 全方位攻撃だ!」
 同時に、隊列は散開、虚空からのレーザーも、G・クラスターもかわしきって、S
タイラントを囲むと一斉砲撃を放った。

バチバチバチッ!

 しかし、その攻撃はゼットンシャッターにより防御された。
コウダ「くそ!」
Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」

ギュルルルル・・・・・・

 と、突然Sタイラントが高速回転を始めた。
ナカジマ「??」
ヒビキ「なんだ、あれは!?」

ビュィィィイイイイイ―――ッ!!!
ビチュチュチュンッ!! ・・・・バチバチバチバチバチッ!!!

 と、回転しているSタイラントから、G・クラスターとマイクロ波シェルが乱射
され、光線が全方位へ飛んだ。
コウダ「うおおおお!!!」
 ガッツイーグルはコウダの操縦で、からくも拡散光線とマイクロ波シェルをかわし、
どうにか無事だったが、この時点でTPC迎撃部隊はほぼ全滅、残っているのは傷ついた
戦闘艇3機に、同じく傷ついたクリムゾンドラゴン2機だけ、無傷なのはガッツイーグル
だけだった。
ヒビキ「ちくしょうっ・・・・!!」
 ヒビキはうめくように呟いた。

  ガニメデ基地司令室

石室「なんという・・・・!!」
ホリイ「力の差がありすぎや、こんなん・・・・!」
 スクリーンに映った光線回転乱射攻撃を見て、二人は呟く。
岩本「弱点はないのか、奴には!?」
 岩本が机に腕を叩きつけ、絶望した様に叫ぶ。
我夢「コマンダー! 僕が、僕が出ます!」
 司令室にいる全員が一斉に我夢を見た。
我夢「もう、僕にしかここを、地球を守れないんです! やらせてください!」
石室「・・・・・いいのか?」
 我夢が答えようと口を開いた、その時。
マイ「コマンダー! 残存機後方に巨大質量物体が出現しました! 数は3!」
 マイが叫んだ。
石室「来たか、照合を!」
マイ「識別確認・・・・・TPC所属、クラーコフNF3000及びアートデッセイ号、
それに・・・・・ピースミリオン級宇宙戦艦、ピースミリオンです!!」
ホリイ「やっと来よった! 遅刻しすぎやで!」
 マイの言葉に、ホリイが安心した様に言った。

コウダ「後方に巨大質量を確認! 数3!」
ヒビキ「来たか! 援軍が!」
 ヒビキが呟き、レーダーを見た。
コウダ「援軍艦の1隻から小型質量3が発進、こちらに向かっています!」
 と、ガッツイーグルコクピットの小型モニターに少年が写った。
???『こちら、戦艦ピースミリオン所属、ウイングガンダムゼロパイロット、
ヒイロ・ユイ』
???『同じく、ガンダムデスサイズヘルパイロット、デュオ・マックスウェル!』
???『同じく、ガンダムヘビーアームズパイロット。トロワ・バートン』
 モニターの映像がスライドする様にかわるがわる変わり、3人が名を名乗る。
ヒイロ『これより、ピースミリオン及びガンダム三機、MDPO防衛部隊の指揮下に入る』
 と、さらに映像が変わり、そこに一人の男が写った。
???『こちら、MDPO増援部隊指揮官、ウルトラ警備隊のキリヤマ。これより、
ピースミリオンと共にMDPO防衛部隊に合流します』
 同時に、クラーコフが動き始めた。ガニメデ基地へと降下していく。
 さらに、アートデッセイ号の船首部が左右に開き、そこから黒色のガッツウイング
1号バリエーション機、ガッツシャドー10機にコスモアタッカー戦闘艇30機、改造
され、ファイナルメガランチャーが搭載された地球防衛軍のステーションホーク1号、
2号各20機、TACの大型主力戦闘機、タックファルコンに、三機の宇宙船が合体した
形の、TEAM EYESの宇宙用大型艇、テックブースターが発進した。
???『こちらTAC隊長、竜 五郎。これよりTPC迎撃部隊に合流する。』
???『こちらTEAM EYES隊長、フブキ ケイスケ。これよりTPC迎撃部隊に合流
します!』
 タックファルコンコクピット、及びテックブースターメインコクピット内で、各
チーム隊長がガッツイーグルに報告した。
ヒビキ「来ていただき、感謝します!」
 ヒビキは、通信回線を開いてそう伝えた。



852 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/03(土) 23:44:440


○岩本、ホリイ→Sタイラントの猛攻を見て、増援はいつ来るのかと怒る。その後、
司令室のコンピューターでSタイラントの弱点を調べる。そして、Sタイラントの
光線乱射を見て驚愕。
○石室→岩本とホリイをいさめる。その後、Sタイラントの光線乱射を見て驚愕。
○ヒビキ→残存機に後退を指示、その後、全方向攻撃を指示するが、Sタイラントの
激烈な反撃を食らう。
○リョウ→増援がいつ来るのかとヒビキにくってかかる。
○我夢→Sタイラントの光線乱射を見て、「自分が行く」と志願。
○マイ→増援部隊到着を報告。
○ヒイロ、デュオ、トロワ→増援部隊、ピースミリオンとともにTPC迎撃部隊の指揮
下に入る。
○キリヤマ隊長、竜隊長、フブキ隊長→増援部隊と共にTPC迎撃部隊と合流。
● Sタイラント→全方位攻撃を防御、回転しての光線乱射攻撃、“カラミティヘル
スピン”を放つ。


【今回の新規登場】
○ヒイロ・ユイ(新機動戦記ガンダムW/Endless waltz)
L1コロニーのエージェントで、XXXG-01Wウイングガンダム/
XXXG-00W0ウイングガンダムゼロ(カスタム)パイロット。
亡きコロニー指導者の名前を受け継いでいる。本名は不明。
その性格は冷静沈着。隠密行動、肉体戦闘、MS操縦、コンピューター操作等、何でも
こなし、任務の為なら自分の命も投げ出す傾向があったが、リリーナとの出会いで
徐々に人間性を取り戻す。

○トロワ・バートン(新機動戦記ガンダムW/Endless waltz)
L3コロニーのエージェントで、XXXG-01Hガンダムヘビーアームズ/
XXXG-01H2ガンダムヘビーアームズ改(カスタム)パイロット。
普段の職業はサーカスのピエロ。名前は偽名であり、本名は不明。
クールで物静かな性格で、どんな状況でも冷静な判断をすることができる。

○キリヤマ・カオル隊長(ウルトラセブン)
ウルトラ警備隊隊長、38歳。謹厳実直な人物で、部下や上層部からの信頼も厚い。
頭脳明晰な作戦家だが、時々独断で行動する事も。(詳しい事は「ノンマルトの
使者」のエピソード等を参照)しかし人情家でもある。
戦闘時には、自らウルトラホーク1号に乗り、攻撃に参加する。

○竜 五郎隊長(ウルトラマンエース)
TAC極東支部隊長、35歳。冷静沈着で、なによりも任務優先という厳格な性格だが、
部下思いで、その真骨頂はウルトラマンエース=北斗 星司に「強力ミサイルに
乗り、ウルトラ兄弟の磔にされているゴルゴダ星に突っ込め」と命令した司令官を
ぶん殴ったエピソードだろう。

○フブキ ケイスケ隊長(ウルトラマンコスモス・劇場版第1作を除く)
新生TEAM EYES隊長。27歳(劇場版第三作時・推定)。
本編の始めでは攻撃的な性格だったが、劇場版第三作では、ムサシのように「夢を
信じる心」と「TEAM EYESスピリッツ」を胸に新生TEAM EYESを指揮する。
クールな二枚目で、初代TEAM EYESでもその判断力は一目置かれていた。



853 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS :2007/02/04(日) 21:42:180


  ガニメデ基地司令室

TPC隊員A「クラーコフNF3000が到着しました!」
 TPCの隊員が報告に来た。
石室「よし・・・・・マイ隊員、敦子、基地に撤収命令を発令しろ!」
マイ「ラジャ!」
敦子「了解!」

マイ、敦子『ガニメデ基地の全TPC隊員へ。退避命令が発令されました。総員、直ち
に退避してください。繰り返します・・・・・』
 ガニメデ基地にマイと敦子の放送が響く。
 ガニメデ基地の隊員たちが通路をいそいそと駆けていく。その中に、通路を進む
アスカとアンヌの姿があった。
アスカ「すんません・・・・アンヌさん」
アンヌ「いいんですよ。私の仕事ですもの」
 そして、2人は通路を進んでいった。

我夢「シグアドベンチャー発進します!」
 同時に、スパコンが運び出されてガラガラになったシグアドベンチャードックの
天井が開き、シグアドベンチャーが浮き上がって、飛んでいく。
ホリイ「ワイらも、はよ行くで!」
 ホリイの声に司令室の、岩本を始めとするシグアドベンチャー関係者、敦子とマイ、
ヤズミら全員が頷き、
石室「我々も退避する!」
 石室の号令で、全員がすぐに司令室から退避していく。
石室「・・・・・」
 石室は、感慨深げに司令室を見まわし、そして司令室から出ていった。

 そして、シグアドベンチャーはクラーコフの格納庫に着艦し、石室たちが乗艦した
後、クラーコフが飛び立った。

  クラーコフ艦内:とある通路

アスカ「ん・・・・・?」
 アスカがある通路で立ち止まった。
アンヌ「? どうしました、アスカさん」
アスカ「なんかここ・・・・見覚えが・・・・」

“オレは・・・・オレだから”

 突然、アスカの頭の中に、誰か男の声が響いた。
アスカ「っ!?」
 アスカは顔を歪め、頭を押さえた。
アンヌ「アスカさん!? どうしました?」
 そのただならぬ様子に、アンヌが声をかける。

“君だけを守りたいなんて、正義の味方の言うセリフじゃないわよ。”

 混乱しているアスカの頭の中に、次は聞き覚えのある女性の声が響いた。
アスカ「あ・・・頭がっ・・・・! だ、 誰の声・・・・なん・・・・だ・・・・?」
 そしてアスカは、ドサッと床に倒れ込んだ。
アンヌ「アスカさん!? アスカさん、しっかりしてください!」
 アンヌがアスカの肩を叩くが、完全に反応が無い。
「こちら、特別医務官、友里アンヌ! メディカルルーム応答を! 28番通路に急患
です! 至急担架を持ってきて!」
 アンヌが手首に巻いたビデオシーバーを通して、メディカルルームへと緊急連絡を
入れた。
メディカルルーム要員『了解しました! すぐに向かいます!』

 ウルトラ警備隊専用のビデオシーバーがTPCのクラーコフ内で使える理由、それは、
MDPO結成時、各チームが障害無く意思疎通などを行なう為にMDPO加盟の全機関の通信
用電波などをほとんど一つにまとめた為である。

 アスカが倒れ込んだそこ、その通路は、かつてグランスフィア戦でガニメデ基地を
脱出したダイナ=アスカとリョウが、ネオマキシマ航法で移動中のクラーコフに到着
したとき、会話をした通路だった・・・・・。



854 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 21:47:590


○ 石室、ホリイらシグアドベンチャー関係者5名、敦子、マイ、ヤズミ→ガニメデ
基地より撤退。クラーコフへ乗艦。
○我夢→シグアドベンチャーを操縦し、クラーコフへ移動させる。
○アンヌ→アスカをクラーコフへ乗艦するのを手伝う。その後、倒れたアスカを介抱
するためメディカルルームへ連絡する。
○アスカ→クラーコフへ乗艦、ある通路で頭の中から響く声を聞き、倒れる。



855 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 21:49:390


デュオ「全く、あんなモンほんとに相手にすることになるとは思わなかったぜ!
怪獣だぜ、怪獣!」
 デュオがガンダムデスサイズヘルのコクピットでため息をつきながら言う。
トロワ「どんなものだろうと、地球やコロニーを破壊しようとする物を見逃すわけ
にはいかない」
 トロワがガンダムヘビーアームズのコクピットから感情を込めずに言う。
ヒイロ「・・・・・何にしろ俺達はただ任務を果たすだけだ。」
デュオ「そんな風に割りきれるお前らがうらやましいぜ!」
 そう言うヒイロとトロワに、デュオは呆れたようにそう言った。

  タックファルコンコクピット

竜「攻撃準備!」
???「・・・・攻撃準備完了しました!」
 同乗していたTACの女性隊員の一人、美川 のり子が報告した。
???「しかし、見たところ部隊はほぼ全滅状態だな」
 コクピット内にいた4人のTAC隊員の一人、山中 一郎が様子を見ながら呟く。
???「それだけタイラントが強いんですよ。改造されてるし」
 同じく同乗していた少し太っちょなTACの隊員、今野 勉が言った。
???「俺達で倒せますかね」
 同じく同乗していたTAC隊員、吉村 公三が言う。
竜「弱音を吐くな。ここで我々が全滅すれば、地球が危険に陥る。例え、全滅しよう
と奴をここで止めなければならない」
 竜が厳しい顔をしてそう答え、Sタイラントを睨んだ。

 テックブースターメインコクピット

フブキ「攻撃準備!」
???「攻撃準備、完了!」
 フブキとメインコクピット内に同乗しているTEAM EYESの紅一点、クラモト ナ
ツキが報告した。
???「モジュールファイターR、攻撃準備完了です!」
 合体している3機のうちの右側の機体、モジュールファイターRコクピット内で、
TEAM EYES副隊長(リーダー)、カシマ エイイチが報告した。
???「モジュールファイターL、攻撃準備完了!」
 3機のうちの左の機体、モジュールファイターLコクピット内から、TEAM EYES
隊員、ショウダ リョウジロウが同じく報告した。
フブキ「ショウダ、緊張してるな?」
ショウダ『す、すみません』
フブキ「そう謝る事でもないさ。相手が相手だ。だが、オレ達に地球の未来がかかっ
てるのはわかってるな?」
ショウダ『はい!』
フブキ「さいわいここにはガンダムもいてくれる。オレ達が協力すれば、奴も必ず
倒せるはずだ。希望は決して捨てるな!」
ショウダ、ナツキ、カシマ「了解!」
 3人が同時に答えた。



856 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 21:53:400


○デュオ、トロワ、ヒイロ→通信で会話をし、デュオはぼやく。
○竜、美川、山中、今野、吉村→攻撃準備を完了させ、タックファルコンコクピット
内で会話をする。
○フブキ、ナツキ、カシマ、ショウダ→同じく攻撃準備を完了させ、テックブースター
各モジュールのコクピット内で会話をする。

【今回の新規登場】

○美川 のり子(ウルトラマンエース)
TACの紅一点(南 夕子がTACを脱退したため)、20歳。
主に通信を担当するが、爆発物のスペシャリストでもあり、常に小型の爆弾を携帯
している。冷静で落ち着いた印象の美人という言葉がしっくり合う女性。

○山中 一郎(ウルトラマンエース)
TACの隊員で副隊長格、25歳。
TACの標準武装、タックガンを2丁同時に扱う腕前の持ち主。感情的になり後輩達に
檄を飛ばすこともあるが、人情家でもある。非現実的な出来事は見なければ信じない、
堅物な人物。

○今野 勉(ウルトラマンエース)
TACの隊員でロケット工学の権威(この設定は生かされていない)、24歳。
怪力の持ち主で、TACのギャグメーカー。親が住職であるため、その影響か「南無
阿弥陀仏」が口癖で、鼻をこする癖もある。

○吉村 公三(ウルトラマンエース)
TACの隊員で宇宙生物の権威、20歳。
素早く超獣や怪獣の名前、生態などを見抜くことができる。
16話では、帰省の途中知り合った青年の面倒を、困惑しながらもしっかり見ている
事からその甲斐性を垣間見ることもできる。

○クラモト ナツキ(ウルトラマンコスモス・劇場版第三作)
新生TEAM EYESの紅一点。
冷静で知性派の女性オペレーター。常に希望を胸に秘めて任務を遂行する。

○カシマ エイイチ(ウルトラマンコスモス・劇場版第三作)
新生TEAM EYES副隊長(リーダー)。
地球を守るためには自分たちの持てる力の限りを尽くそうとする熱血漢。

○ショウダ リョウジロウ(ウルトラマンコスモス・劇場版第三作)
新生TEAM EYES隊員。
TEAM EYESの主力機であるテックライガーの優秀なパイロット。勝気で実行力が
あり、レーダー解析などもこなす。



857 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:09:010


ヒビキ「ガンダムデスサイズ、ウイングゼロは近距離で奴を攻撃、残りは彼らを援護
する!」
 ヒビキが号令したと同時に、黒い翼のようなアクティブクロークを持つデスサイズ
ヘルと、天使のような翼を持ったウイングゼロが高速でSタイラントへ飛び、ビーム
シザース、ビームサーベルで斬りつけるが、それらは亜空間バリアで受けとめられた。
デュオ「なんだこりゃ!?」
ヒイロ「・・・・・報告にあった、バリアだろう」
 同時に、ヒイロはウイングゼロを旋回させ、Sタイラントから距離を取らせる。
ヒイロ「・・・・・ターゲット、ロックオン」
 ウイングゼロが、ツインバスターライフルをSタイラントへ向けた。
デュオ「おっと!!」
 デュオは慌ててデスサイズヘルをSタイラントから離れさせる。その瞬間、ツイン
バスターライフルから、光の帯がSタイラントへ飛んだ。

バヂバヂバヂバヂバヂ!!

TPC迎撃部隊の一斉射撃の時より異様な音が響いたが、それでも亜空間バリアは崩壊
しなかった。
デュオ「オイオイマジかよ! あれくらってまだ壊れねえってどうなってんだ!」
 それを見たデュオが叫ぶ。
ヒビキ「全機、奴に集中攻撃をかける! ただし分散隊形だ!」
 ヒビキが通信で命令すると同時に、アートデッセイ号を含む全ての機体から攻撃が
始まった。
 アートデッセイ号に装備されたレーザー砲や、主砲・デラック砲、それに、各機体
のファイナルメガランチャー、キャノン砲、レーザー、トルネードサンダー、ツイン
バスターライフル、ヘビーアームズのミサイルやガトリングガンからの砲弾が一斉に
Sタイラントへ飛ぶ。

シュンシュンシュンシュン・・・・

 しかし、それらはリフレクトバリアによって吸収されていく。
ヒビキ「今だっ!!!」
 ヒビキが叫んだ瞬間、Sタイラントにデスサイズヘルが飛びかかる。
デュオ「らああああっ!!!」

バチチッ!!

 が、右腕の刃が赤い光を帯び、振り下ろされたデスサイズヘルのビームシザース
を受けとめた。
デュオ「お!?」

バヂバヂバヂバヂバヂ!!!

 同時に、バリアから響いていた音が変わった。
ヒビキ「なんだ!?」
 ヒビキが驚いて叫ぶ。

ビチュン! ・・・・バチバチバチ!!

 と、デスサイズヘルが間合いを開いた瞬間、Sタイラントが口からG・クラスター
を放った。
デュオ「うおっとぉ!!」
 デスサイズヘルはかろうじて拡散光線をかわす。それと同時に、一斉射撃が終息
した。
ヒビキ「くそ、あれでもだめか!」
 ヒビキは苦々しげに呟いた。

  ガニメデ軌道上、クラーコフ司令室

石室「ガンダムが来てくれているのか・・・・・」
 スクリーンに映っているガンダムWチームを見ながら石室が呟く。
ホリイ「TACとTEAM EYESも来とるで!」
岩本「奴を充分追い詰めている!」
我夢「これなら、タイラントも倒せる・・・・!」
 我夢が呟いた。



858 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:15:380


○ヒビキ→ヒイロ、デュオへ攻撃を指令。さらに部隊へ一斉射撃命令を出し、デュオ
に攻撃させるも失敗。
○ヒイロ→亜空間バリアへツインバスターライフルを放つも防御される。
○デュオ→ツインバスターライフルを受けとめたSタイラントを見て驚愕、その後、
Sタイラントがリフレクトバリアを使ったところへ攻撃を加えるも、後一歩のところ
で失敗。
○石室、ホリイ、岩本、我夢→援軍の到着とその戦闘を見てやっと安心。
●Sタイラント→ツインバスターライフルを受けとめ、さらにMDPO迎撃部隊の一斉
射撃も防御するが、その隙をデスサイズに突かれ、とっさにバリアを変換して反撃。



859 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:21:380


ヒビキ「ブラックバスター隊、攻撃をかけろ!!」
 ヒビキが言うと同時に、ガッツシャドーの部隊である、ブラックバスター隊の
機体が一斉に消えた。
 その数秒後、突然虚空からビームが放たれ、無防備だったSタイラントに直撃。
Sタイラント「ギシィィィ!?」
ヒビキ「デスサイズとウイングゼロも攻撃しろ! やつに砲撃の隙を与えるな!」
デュオ『了解っ!』
ヒイロ『任務了解』
 同時に、ウイングゼロがビームサーベルを抜いて、デスサイズヘルがビーム
シザースを振り上げて、それぞれ突撃した。
Sタイラント「ギシィィィッ!!」
 ウイングゼロとデスサイズヘルのビームサーベルとビームシザースを、両手の
刃とトゲ鉄球に赤い光を纏わせ、受けとめるが、そこに虚空からのビームが直撃
する。

ビチュチュンッ!・・・・バチバチバチバチ!!

 Sタイラントの口からG・クラスターが飛ぶが、それをうまくかわすウイングゼロ
とデスサイズヘル。
トロワ「ヒイロ、デュオ、ブラックバスター隊。下がれ」
 いつのまにか、ピースミリオンの正面に浮かび、後部に妙に大きなエネルギー
パックを装備したバズーカ砲をSタイラントへ向けたヘビーアームズコクピット内
で、トロワが言った。
デュオ「お、“アレ”の準備ができたのか!」
 同時に、ヒイロとデュオは各々の搭乗機をSタイラントから離れさせる。
ヒイロ「ヒビキ隊長、ブラックバスター隊を退避させろ。危険だ」
ヒビキ『? ・・・・・わかった! ブラックバスター隊、後退しろ!』
 ヒビキが命令すると、ガッツシャドーが光学迷彩を解除し、クラーコフの近く
まで後退した。
トロワ「・・・・・・」
 と、ヘビーアームズのコクピット正面スクリーンに、照準マークが浮かび、
2、3秒ふらふらと動いたかと思うと、Sタイラントに照準を合わせ、その下に、

TARGET LOCK ON

 と表示されて、同時に、

キキキキキキキ――――――

 光の針のようなものが少しずつ、バズーカの発射口の中へ吸収されていく。
トロワ「ターゲット・ロックオン、ネオマキシマエネルギー、臨界。」
 トロワが確認する様に言った。

ヒビキ「あれは・・・・・・?」
 ヒビキが、ヘビーアームズを見つめながら呟く。
ナカジマ「あの発射口、それにあの光・・・・まさかネオマキシマ砲?」
コウダ「何!?」
ヒビキ「どういうことだ、なぜ彼らが?」
 ヒビキが誰に言うでも無く、呟いた。

トロワ「ネオマキシマ・バズーカ、発射」

キュィィィィィンッ!!!!

 同時に、ヘビーアームズの持つバズーカ砲、ネオマキシマ・バズーカ内部でエネ
ルギーが臨界に達し、光の奔流がSタイラントへ一直線に飛んだ。
Sタイラント「ギシィィィッ!!!」
 Sタイラントの前面に亜空間バリアが現れ、光の奔流を受けとめた。

バヂバリバヂバヂバリバヂチッ!!

 亜空間バリアが、異様な音を立てた。
Sタイラント「ギシィィィィッ!?」

バシ、バシバシバシッ!

 バリアに、ヒビが入っていく。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!」
 その瞬間、Sタイラントは真上へ飛んだ。

パリィィィン!!

 亜空間バリアは消し飛び、一瞬前までSタイラントの体があった所を光の奔流が
通過した。

コウダ「やった!」
ヒビキ「やはり、ネオマキシマ砲は止められなかったか!」
 コウダが快哉を叫び、さらにヒビキが呟いた。

ヒイロ「デュオ、行くぞ」
デュオ『おう!』
 ヒイロが言うと同時に、ウイングゼロとデスサイズヘルはSタイラントへ飛び、
さらにガッツシャドーも光学迷彩で消え、Sタイラントへ攻撃を再開した。
Sタイラント「ギシィィィィィッ!」
 ウイングゼロ、デスサイズヘル、そしてブラックバスター隊の攻撃を受け、S
タイラントは悲鳴のような鳴き声をあげた。
 Sタイラントは、どうにかガンダム2機の攻撃をかわしているが、虚空からの
攻撃は全て食らってしまっていた。
デュオ「TPCの部隊を壊滅させたとか言ってたが、この程度じゃなぁ!」
 デュオが笑みを浮かべながら言った。



860 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:31:570


○ヒビキ→ブラックバスター隊、及びウイングゼロ、デスサイズヘルへ攻撃命令を
出す。その後、ネオマキシマ・バズーカの発射を目にし、少々驚く。
○ヒイロ、デュオ→ヒビキの命令でSタイラントを攻撃、トロワの言葉を聞き、
素早く退避、ヒビキに忠告。そして、ネオマキシマ・バズーカ発射後、再度ブラック
バスター隊と共同で攻撃をかける。
○トロワ→ネオマキシマ・バズーカをSタイラントへ向け、発射。
●Sタイラント→ウイングゼロ、デスサイズヘル、ブラックバスター隊に翻弄され、
さらに、ネオマキシマ・バズーカを真正面から受けとめ、バリアが破壊される寸前
に上に逃げる。その後、再度攻撃を受け、悲鳴をあげる。

【オリジナル兵器説明】
ネオマキシマ・バズーカ
 TPC兵器部が開発した、キサラギ博士が造り上げたネオマキシマ砲を小型化、
ガッツイーグルのような戦闘艇サイズの機体に装備できるよう改造した『スモール
ネオマキシマ砲』をピースミリオンの技術者達が改造、モビルスーツも使用できる
ようにしたバズーカ砲である。後部の巨大バッテリーはネオマキシマコンバーター
で、そこからネオマキシマエネルギーを取りだし、発射口から撃ち出すシステムだ
が、1回放つごとにバッテリーを交換する必要がある。



861 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:40:090


  ガッツ星人ステルス円盤

 ガッツ星人は焦っていた。
ガッツ星人「く、あのステルス戦闘機を始末すべきだな・・・・・タイラントよ、
お前のセンサーアイで熱を探知し、ステルス戦闘機を破壊せよ!!」
 ガッツ星人が命令を出した。

Sタイラント「ギシィィィ!!!」
 突然、Sタイラントの機械化された右目が赤く輝き始めた。
トロワ「なんだ、あれは」
 ピースミリオンのそばで、ネオマキシマ・バズーカのバッテリーパックを交換
しようとしていたトロワが呟いた。

ビチュチュチュン! ・・・・バチバチバチバチ!!!

 その瞬間、Sタイラントが虚空に向かってGクラスターを五連射し、それが拡散
した途端、その5地点にガッツシャドーが現れ、うち2機が爆散した。
ヒイロ「・・・・・ヒビキ隊長、奴には光学迷彩が見えているぞ」
 ヒイロがヒビキに伝える。
ヒビキ『そんな馬鹿な!』
ナカジマ『もしかすると・・・・・奴の右目に探知機能が? それなら、光学迷彩
をかけたガッツシャドーを感知する事も可能です!』
 ナカジマがヒビキに伝える。
ヒビキ『ブラックバスター隊全機、一度後退しろ! ウイングゼロはツインバスター
ライフルで攻撃、デスサイズヘルはその後攻撃をかけろ!』
 ヒビキの命令と同時に、攻撃を受けた3機以外にガッツシャドー5機が姿を現し、
MDPO部隊のもとへ後退した。そして、ウイングゼロがツインバスターライフルを
撃ちこみ、続けてデスサイズヘルが攻撃をかける。
竜「我々も援護するぞ!」
 同時に、Sタイラントのちょうど真後ろにいたタックファルコン機首からレーザー
が放たれ、Sタイラントの頭に直撃した。

 クラーコフ司令室

石室「まだ押されているのか・・・・・」
 石室がスクリーンに映った、ステルスを使用していたガッツシャドー5機を発見
した、現在攻撃を受けているSタイラントを見つめながら呟く。
キサラギ「しかし、撃破は時間の問題でしょう、噂に聞くウイングガンダムゼロの
ツインバスターライフルはコロニーを墜とせるそうですから」
 キサラギがいうと、ホリイが頷いて、
ホリイ「それにTPC部隊の一斉射撃も加えたら最強やで!」
 と言ってスクリーンを見た。
 そこに映っていたのは、Sタイラントが一直線にクラーコフへ向け飛翔している
姿だった。
石室「!!!」
ホリイ「な、なんやて!?」
 司令室の中に緊張が走った。

  その直前、ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「あまり調子に乗るなよ・・・・人間どもめ! タイラントよ!
攻撃目標を指定する!
目標は・・・・あの大型宇宙船だ!」
 ガッツ星人が指定した宇宙船、それは・・・・クラーコフ。

Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」
 Sタイラントは突然咆哮すると、クラーコフへ向かって全速で飛び始めた。
 そのスピードは戦闘開始時よりは遅いものの、それでもかなりの高速である。
ヒビキ「! 動き出した!? ナカジマ、奴の進行方向には何がある!?」
ナカジマ「ステーションホーク部隊の一部と・・・・く、クラーコフです!」
コウダ「なんだと!?」
 コウダが驚愕して、ナカジマに尋ね返す。
ヒビキ「MDPO迎撃部隊全機へ! 敵はクラーコフを狙っている!! クラーコフを
墜とさせるなっ!!」
 ヒビキが命令すると同時に、MDPO部隊の全てが一斉に動き出し、タイラントへ
攻撃を加えるが、ゼットンシャッターによって弾かれ、逆にG・クラスターで攻撃
を食らう始末。
ヒビキ「くそ、間に合わない!!」
 ヒビキが叫んだ。



862 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:48:460


○ヒビキ→Sタイラントがブラックバスター隊の光学迷彩を視認していることに
驚愕、一度彼らを下がらせる。その後、ウイングゼロとデスサイズヘルに攻撃を
指令、さらにクラーコフを狙うSタイラントを攻撃させる。
○ナカジマ→ヒビキにSタイラントの標的を伝える。
○ヒイロ→ヒビキにSタイラントがブラックバスター隊の光学迷彩を視認している
可能性を示唆。
○トロワ→ネオマキシマ・バズーカのエネルギーパックを交換する模様。
○ 石室、キサラギ博士、ホリイ→司令室で楽観的な会話をするが、突然のSタイ
ラント接近に色めき立つ。
● ガッツ星人→Sタイラントにセンサーアイでガッツシャドーを探知し、破壊する
よう指令、その後、標的をクラーコフに設定。
●Sタイラント→光学迷彩を使用したガッツシャドー5機を撃ち落とす。さらに、
クラーコフへ一直線に飛ぶ。



863 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:51:070


  クラーコフ司令室

石室「タイラントがこちらに向かっているぞ!! 緊急回避!!」
ヤズミ「駄目です、このスピードでは間に合いません!!」
 石室の命令に、クラーコフの管制をしているヤズミが叫ぶ。
我夢「っ!」
 我夢が真顔になり、突然、司令室を出ていった。
石室「我夢・・・・!」
ヤズミ「! タイラント、マイクロ波シェルを撃とうとしています!!」
石室「!!!」

ビュィィィイイ―――ッ!!

 ヤズミが叫ぶと同時に、タイラントの口からマイクロ波シェルが放たれた。

  クラーコフ通路

我夢「みんなを、死なせるわけにはいかないんだ!」
 我夢は懐からV字状のガイアへの変身アイテム、エスプレンダーを取り出し、拳に
装着した。
我夢「ガイア――――ッ!!!」
 そして、我夢がかざしたエスプレンダーから光エネルギーが解放され、我夢を
包みこんだ。

Sタイラント「ギシィィィッ!!」
 Sタイラントが両腕を斜め前に開き、ゆっくりと口を開いた。そして、両腕の
間に放電が起きはじめる。

ビュィィィイイ―――ッ!!

ヒビキ「!!」
 発射されたマイクロ波シェルが、あわや、クラーコフへと直撃しようとした、
そのとき。

ビシュシュシュシュ―――――ッ!!

 突然光が輝き、マイクロ波シェルを受けとめた。
ヒビキ「! これは・・・・・!?」
 光がうすまると、そこには、バリアを張ってマイクロ波シェルを受けとめる一体
の“光の巨人”ウルトラマンが浮かんでいた。
ヒビキ「ウルトラマン・・・・・ガイア! 我夢くんか!」
 ヒビキが、その勇敢な姿を見つめ、呟いた。

  クラーコフ司令室

マイ「ウルトラマン・・・・・ガイア!?」
 司令室がSタイラントの突撃とガイアの出現でざわめく中、マイがスクリーンに
映るガイアを驚いて見つめながら呟いた。
敦子「・・・・・・我夢」
石室「我夢・・・・・死ぬなよ。」
 石室と敦子が、呟いた。



864 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:51:370


○石室→Sタイラントから緊急回避を命令、司令室から出ていった我夢を一瞬
見つめる。その後、ガイアを見つめて一言。
○ヤズミ→クラーコフの管制を担当、Sタイラントの攻撃を報告。
○マイ、敦子→ガイアの出現に驚く。
○ヒビキ→ガイアの出現に驚き、「我夢くんか!」と呟く。
○我夢→ウルトラマンガイアに変身、マイクロ波シェルをバリアで受けとめる。
●Sタイラント→クラーコフへマイクロ波シェルを放つも、ガイアに受けとめられる。



865 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:53:140


ガイア「デュアッ!!」
 ガイアがバリアをSタイラントに向かって押し飛ばした。それは、マイクロ波
シェルを受けとめたままSタイラントへ飛ぶ。

チュガァン!

Sタイラント「ギシィィィィッ!!」
 Sタイラントはバリアに激突され、吹っ飛んだ。
 しかし、Sタイラントは何回か回転した後体勢を立て直し、ガイアを睨み付ける。

デュオ「へぇ〜! あれがウルトラマンか! 実物ははじめて見るぜ!」
ヒイロ『俺達の味方の様だな』
トロワ『当然だろう、ガッツ星人は人類降伏時にウルトラマンを引き渡すよう、声明
を出している。ウルトラマンが向こうの味方なわけがない』
 トロワが、ヒイロに続いて口を開く。
デュオ「・・・・テレビなんかで見るよか、かっこいいじゃねえの!」
 デュオが誰に言うでもなく呟いた。

  ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「来たか、ウルトラマンめ!」
 ガッツ星人が憎しみを込めて呟く。そして、
ガッツ星人「スーパータイラントよ!! まずは、あのウルトラマンを血祭りにあげる
のだ!! 我々の力を、とくと見せてやれぇ!!!」
 と叫んだ。

Sタイラント「ギシィィィィィッ!!!!」
 突然Sタイラントの両目が輝き、ガイアを睨み付けると咆哮して、ガイアへと飛翔
した。
ガイアは腕をSタイラントへ向け、手裏剣状のガイアスラッシュを5連射する。
Sタイラント「ギシィィィッ!」

ビチュン!・・・・バチバチバチ!!

 だが、手裏剣光線はG・クラスターに相殺された。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!」

ビュィィィイイ―――ッ!!

 Sタイラントはマイクロ波シェルを放ってきた。
ガイア「デアッ!」
 ガイアはそれを上に飛んでかわす。が、
Sタイラント「ギシィィィッ!!!」
 その隙を突いて、Sタイラントが高速でガイアの至近距離へ飛翔してきていた。
ガイア「デュア!?」
 ガイアが驚いて、一瞬隙ができたその瞬間。

ビチュチュン!・・・・バチバチバチ!!!

 G・クラスターが3連射され、ガイアに直撃。
ガイア「デュアアッ!!」
 さらに、Sタイラントが強烈な頭突きを食らわし、ガイアをはねとばす。
ガイア「デュア―――ッ!!」
 と、そのガイアを突然現れた黒い影のような物が受けとめた。
デュオ「おっと、大丈夫か? ウルトラマン!」
 それは、デュオの駆るデスサイズヘルだった。
ヒイロ「俺達が援護する。デュオ、ウルトラマンガイア。行け!」
 ヒイロが言い、同時にウイングゼロがツインバスターライフルを構え、Sタイラント
へぶっ放す。
デュオ「おうよ!」
ガイア「デュアッ!」
 デュオが言うと同時にガイアも頷き、右腕を振る。すると、手の先から青い、光の
刃が現れた。ガイアがウルトラマンアグルから受け継いだ、アグルブレードである。
 そして一機と一体は、ツインバスターライフルを亜空間バリアで受けとめているS
タイラントへ向かって飛ぶ。
デュオ「おらぁっ!!!」
 ツインバスターライフルが終息すると同時に、デスサイズヘルのビームシザースが
振り下ろされた。

バチバチッ!

 が、それはSタイラントの刃で受け止められる。
ガイア「デュア!!」
 と、ガイアがデスサイズヘルの後ろから飛び出し、アグルブレードで斬りつけた。

ズシャァッ!!

Sタイラント「ギシィィィッ!!」
 アグルブレードをもろに食らったSタイラントは悲鳴をあげ、左腕のバラバ鉄球を、
斬りつけた後にSタイラントと距離を取ったガイアに向けた。

バシュッ!

 と、鉄球から鞭が飛び出し、ガイアの首に巻きついた。
ガイア「デュアッ!?」
Sタイラント「ギシィィィィィッ!!!」

バババババッ!

 鞭に電撃が流れ、それがガイアに伝わる。
ガイア「デュアアッ!!」
 電撃が、ガイアにダメージを与えていく。
デュオ「おらよっ!!」
 デスサイズヘルのビームシザースが素早く鞭を叩き切る。
トロワ「・・・・・」
 ヘビーアームズの両腕の2連ガトリング砲から弾丸が乱射され、鞭を斬られて
ひるんでいたSタイラントの体表で弾ける。
Sタイラント「ギシィィィ!!」

ビチュチュン! ・・・・バチバチバチ!!

 Sタイラントは近くのガイアとデスサイズヘルへG・クラスターを放つ。しかし
それは、上から降りてきたレーザーのバリアにより防がれた。
デュオ「ん?」
 そのレーザーのバリア、“ミラーズシールド”は、テックブースターから放たれ
ていた。
フブキ『デスサイズ、ガイア! 援護する!』
デュオ「了解っ!」
ガイア「デュアッ!」
 同時に、デスサイズヘルとガイアは攻撃を再開した。



866 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:53:550


○ヒイロ、トロワ、デュオ→現れたガイアを見つつ少々会話。その後、デュオは
ガイアと共に攻撃を加え、ヒイロ、トロワは彼らを援護。
○フブキ→ガイアとデュオの戦闘を援護。
○ガイア→マイクロ波シェルをSタイラントへ向けて押し戻し、ダメージを与える。
その後、攻撃を食らうもデスサイズに受けとめられ、ガンダムWチームと協力して
攻撃開始。
●ガッツ星人→Sタイラントにガイアの攻撃を指示。
●Sタイラント→マイクロ波シェルをはね返された後、ガイアに突撃してうまく
攻撃。その後、ガイアに鉄球からのバラバ鞭で電撃攻撃を与える。



867 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:56:060


ヒビキ「ブラックバスター隊、ステルスモードでスーパータイラントの反撃に注意
しつつ、ガイアとデスサイズを援護っ!! 残りも彼らを援護しろ!」
 ヒビキの命令と同時に、ガッツシャドーがまた全て消失。デスサイズとガイアの
攻撃を食らっているSタイラントを虚空からのレーザーが次々襲った。そして、残り
のMDPO部隊の各機が、デスサイズとガイアが攻撃する隙間を縫って次々攻撃を加え
ていく。

  クラーコフ司令室。
ホリイ「ガイアのおかげでタイラントがだんだん圧されてきとるで!」
岩本「ガイアとデスサイズの協力でここまでやれるとは」
 ホリイ、岩本がスクリーンに映る戦闘を見ながら、感嘆したように言う。
石室「これなら、タイラントを倒せるな・・・・・」
 石室が、わずかに安心した様に呟いた。

デュオ「ガイア、もうちょっと奴から離れようぜっ!」
 ガイア、デスサイズ、ブラックバスター隊がしばらく攻撃を加えた後、デュオが
陽気に言い、デスサイズヘルをクラーコフの元へ移動させた。
 ガイアはもう一度ガイアスラッシュを放ち、Sタイラントをひるませてから、S
タイラントから離れた。

ヒビキ「全機、スーパータイラントへ一斉射撃!!」
 ヒビキの号令と同時に、いつの間にかSタイラントの360度全方位に布陣していた
MDPO部隊のうち、後方に布陣していたステーションホーク1、2号隊及び、コスモ
アタッカー部隊戦闘艇のファイナルメガランチャー、右方、左方に布陣していた
ブラックバスター隊などのレーザーとキャノン砲にミサイル、タックファルコンの
レーザーとミサイルに、テックブースターのレーザー、前方に布陣していたアート
デッセイ号のデラック砲を始めとする全火器の砲撃、ガッツイーグルのトルネード
サンダーに、ツインバスターライフル、ヘビーアームズのネオマキシマ・バズーカ
を除く全火器の一斉射撃が、Sタイラントへと飛んだ。
Sタイラント「ギシィィィッ!!!」

バヂバヂバヂバヂ!!!

 Sタイラントはゼットンシャッターを張り、それらを全て受けとめる。
ガイア「デュアァッ!!!」

 そこに、ガイア必殺の、額に手を当て、上半身を後ろに反らした後、頭を前に突き
だして放つフォトンエッジが発射された。

ビシ、ビシビシビシビシッ!!!

 ゼットンシャッターに、ヒビが入っていく。
ヒビキ「やったか!?」
 と、ヒビキを始めとする全員が思ったその瞬間、
Sタイラント「ギシィィィィィッ!!!!」
 Sタイラントの目が獰猛に赤く輝き、みるみるうちにゼットンシャッターが修復
された。

  ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「スーパータイラントよ、この攻撃の終了と同時に反撃しろ! 我らに歯
向かう愚かな人間どもを・・・・」

ビーッビーッビーッ!

 突然スクリーンが赤くなり、Sタイラントの体の輪切りが表示され、首の小さな
機械部分が赤く点滅しはじめた。そして人間には判別不可能な、しかしガッツ星人
には読める宇宙文字で、
『ゼットンシャッターへの過負荷により、神経強化活動回路に異常発生。スーパー
タイラント行動不能』
 と表示された。
ガッツ星人「なんだと!?」
 ガッツ星人は驚愕の叫び声を上げた。

ヒビキ「なんて奴だ!! あれでも駄目なのか!?」
 そして、TPC迎撃部隊&ガンダムWチーム+ウルトラマンガイア協力の一斉砲撃は、
ゼットンシャッターを破れないまま終息した。
ヒビキ「全機、反撃に気をつけろ!」
 ヒビキが命令したが、Sタイラントに反撃する様子は無く、ゼットンシャッターを
張りつづけている。
ヒビキ「なんだ・・・・・? なにを企んでる」
 ヒビキはその様子を見ながら呟いた。

  ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「おのれ・・・・・! 忌々しい人間ども、それにウルトラマンめ! この
借りは、必ず返すぞ!!」
 ガッツ星人が、心底忌々しそうに言い、スクリーン前のコンソールを操作した。

 突然、ゼットンシャッターを張りっぱなしのSタイラントの頭上に円盤が現れ、
その下部からの光がSタイラントを消失させた。
コウダ「なんだ!?」
カリヤ「まさか、逃げるのか!?」
 コウダとカリヤが驚いたその瞬間、ガッツ星人の円盤はステルスを使い、見えなく
なった。
ヒビキ「コウダ、なにやってる! 攻撃っ!」
コウダ「ら、ラジャ!!」
 同時に、ガッツイーグルのレーザーが放たれたが、それはむなしく空を切った。
ヒビキ「逃げられたか・・・・! だが、・・・・・俺達の勝ちだ!」
 ヒビキが呟いた。



868 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/04(日) 22:58:050


○ヒビキ→ブラックバスター隊などMDPO部隊へガイアとデュオの援護を命令。
その後、全部隊へ全包囲からの一斉射撃を命令、その後、逃げるガッツ星人の宇宙
船への攻撃を指示する。
○コウダ、カリヤ→ガッツ星人が逃げようとしているのに驚き、ヒビキからの指示
に、コウダが我に返ってレーザーを撃つが、ガッツ星人に逃げられる。
○石室、ホリイ、岩本→ガイアとデュオの協力プレーに感嘆。
○デュオ→ガイアと共にしばらく攻撃を加え、その後ガイアに後退を指示。
○ガイア→デュオと共にしばらく攻撃を加え、その後デュオの指示に従い後退、
そして、Sタイラントに向けフォトンエッジを放つ。
●Sタイラント→ガイア、デスサイズヘル、ブラックバスター隊などの猛攻を受け
徐々に圧されはじめ、最終的にTPC迎撃部隊&ガンダムWチーム+ガイア協力の一斉
砲撃を辛うじて受けとめきるも、回路に異常が発生し、撤退を余儀なくされる。
●ガッツ星人→Sタイラントに一斉砲撃終了後に攻撃を加える様指示しようとするが、
回路に異常が発生したことに驚愕、Sタイラントと共に撤退。



869 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:24:130


  1時間後、ガニメデ宙域、クラーコフ司令室

 クラーコフ司令室に、キリヤマ、竜、フブキ、ガンダムパイロット3人と、サン
グラスをした一人の老人、そして石室、ヒビキ、ナカジマ、ホリイ、マイ、敦子、
ヤズミ、それに我夢がいた。
石室「キリヤマ隊長、竜隊長、フブキ隊長、ご協力を感謝します。」
 石室が、キリヤマら増援部隊の3人に言った。
石室「それにピースミリオンのみなさんも、来ていただき、ありがとうございます。」
???「いいんじゃよ、コロニーと地球を破滅させない為だ。」
 サングラスの老人、ピースミリオン最高責任者のハワードが言う。
ヒビキ「地球の状況はどうです?」
キリヤマ「現在、地球連邦、地球防衛軍を始めとする地球上の全組織がSタイラント
降下に備えて攻撃準備を進めており、各宇宙軍も続々と月などの基地へ上がってきて
います。プラントやコロニーもザフト軍などを出撃させ、いつでもSタイラントへの
攻撃が行なえる様に、着々と準備を進めているようです。その関係で、コスモネット
に協力要請が来ており、先ほどの戦いもおそらく地球へ放送されていたはず」
石室「そうですか・・・・・」
竜「それから、世界各地で地球怪獣達が次々に出現している。暴れる様子が無いので、
まだ様子見という状況だが」
 同時に、クラーコフのスクリーンに、さまざまな怪獣が映し出される。

 根源破滅天使ゾグ戦において、ガイアとアグルに“光”を与えた地球怪獣のギール、
ゴメノス、シャザック、ゾンネル、ティグリスや、ウルトラマンコスモスと戦った、
エリガル、テールダスなどの怪獣達と同種の怪獣。そして、地球の守護獣モスラ。

キリヤマ「他にもスペースビーストやギャオスの活動が活発化しており、現在MDPO
と、地球防衛軍のダグラス・ゴードン大佐艦長の新轟天号を始めとする空中戦艦の
一部、それに自衛隊のGフォースなどがTLTなどの協力で殲滅にあたっている所です。
ビーストはどうやら人間だけでなく、怪獣も狙っているらしく、各地の地球怪獣へ
攻撃をしているという情報が入っています」

 同時に、スクリーンが切り替わりティグリスに襲いかかる巨大な人型イモムシの
ような怪物、ぺドレオン・グロースが映し出される。それは、ティグリスの口から
吐かれた火球を食らい、爆発を起こす。そして、そこに飛来してきた、船首にドリル
を装備した空中戦艦、新轟天号から放たれた冷凍メーサーを食らい氷の彫刻と化し、
仕上げにティグリスの体当たりを食らって粉々に粉砕された。
 その後、映像がスライドして、飛行しているギャオス・ハイパーの5体編隊が、
アメリカに配備された地球防衛軍の空中戦艦、ランブリングのプロトンミサイルで
次々に叩き落とされるのが映しだされる。

キリヤマ「他にも、α−ナンバーズ、スーパー戦隊の方々にもビースト殲滅に協力
していただいています」

 スクリーンが切り替わり、狼顔の三つ首ビースト、ガルベロスに超電磁スピンを
食らわせ、風穴をあけて爆散させたコン・バトラーVが、さらにはクモに似た外見の
ビースト、バンピーラを、ガオレンジャーの乗るガオキングがガオジュラフを“百獣
武装”した形態、ガオキングスピアー必殺の、“悪鬼貫徹ネックスラスト”が貫通し、
爆散するのが、そして、“科学忍法火の鳥”を使用して、空中飛行形態のペドレオン・
フリーゲンを貫き、爆散させた科学忍者隊ガッチャマンのゴッドフェニックスが、
続けて映し出された。

石室「地球に戻ったら彼らにも礼を言っておかなければいけないな」
 石室が呟く。
キリヤマ「それと、ウルトラマンたちも各地でビースト殲滅を行なっています」

 さらにスクリーンが切り替わり、ウルトラマンジャックが花のような形態をした
ビースト、ラフレイアにウルトラブレスレットを変形させたウルトラスパークを投げ、
ぶつ切りにする映像が、さらに、ウルトラマンアグル(V2)が右腕に創り出した光の
剣、アグルセイバーでぺドレオンを真っ二つに叩き切る映像が、そして、巻貝のよう
なメガフラシが、ウルトラマングレートとウルトラマンレオにタッグで攻撃をうけ、
レオの必殺技、レオキックを叩きこまれて大ダメージを食らったところに、続けて
グレートの必殺技、両腕を上下に開いて発生させたエネルギー球を、敵にぶつける
“バーニングプラズマ”を撃ちこまれて爆散する姿が映し出された。

我夢「藤宮・・・・・郷さん・・・・・ジャックさんにゲンさんも・・・・・」
 我夢が、かつて協力して戦った2体の巨人と、自らと同じウルトラマンを見て呟く。
ヒビキ「そういえば、アートデッセイ号とピースミリオンはネオマキシマエンジンを
装備していなかったと思うのですが? そもそもピースミリオンはホワイトファング
との戦いで戦艦リーブラと共に破壊されたと記憶しています。」
 ヒビキがハワードに向き直り、尋ねる。
ハワード「こんな時の為に建造していたんじゃ。」
デュオ「ちょうどあの宇宙人が声明を出したとき、迅速に出撃可能で自由なMS運用
宇宙戦艦は完成したばっかのピースミリオンしかなかったんだよ。他のMS運用艦は
どれも軍に所属してて自由に動けないか、地球に居てすぐには宇宙まで上がれなかっ
たしなぁ。」
 ハワードの言葉に、デュオが付け加える。
トロワ「そしてTPCの月基地に連絡をとり、そこでネオマキシマエンジンを搭載した」
 最後にトロワがそう言った。
竜「アートデッセイ号の方はもともとTPCの戦闘母艦だ。なのですぐにネオマキシマ
エンジンを搭載し、クラーコフと共に出撃は可能だった。遅れたのは、部隊の乗艦と
物資の積み込み、ピースミリオンへのネオマキシマエンジン搭載が遅れてしまって。
申し訳ないと思っている」
 竜が続けて言い、頭を下げた。
石室「そんな、来ていただいただけでも充分です。」
 石室が言う。
我夢「そうだ、ヒイロくんはたしかリリーナ外務次官の護衛をしているんじゃ?」
 我夢が唐突に尋ねた。
ヒイロ「ああ。だが今回の任務はリリーナの許可も受けている。護衛の方はリリーナ
が“信頼できる友人”というのに依頼したと言っていた」
我夢「信頼できる友人?」
ヒイロ「ああ。名前は確か小牢(シャオムゥ)と零児、と」
ヒビキ「その名前、どこかで聞き覚えが」
 ヒビキが、ヒイロの言葉に首を傾げる。
石室「たしか、超常現象に対処する政府機関、『森羅』のエージェントだったはず」
ヒビキ「おお、そうでした! 確か、MDPOが近く協力を呼びかける組織のリストに
載っていましたな。しかし、構成員まで覚えているとはさすがですな」
 ヒビキが大仰に頷いて言った。
石室「いえ、森羅は名前にしてもその活動にしても少々印象深い。だから偶然覚えて
いただけです。それより、あのネオマキシマ砲は?」
 石室が答え、さらにトロワに尋ねる。
トロワ「あれはピースミリオンの技術者達が造った特製のバズーカ砲だ。」
ヒビキ「よく短時間であんな物が造れましたな。」
 ヒビキが言うと、
ハワード「あれはネオマキシマコンバーターの関係で五つしか造れなくてな・・・・」
 ハワードが少し残念そうに答える。
石室「五つでも十分戦力になります」
 石室がハワードに言う。と、そこに、マイが報告を入れる。
マイ「コマンダー、フカミ総監から連絡が入っています」
石室「スクリーンに回してくれ」
 石室が言うと同時に、クラーコフ司令室の前面の大スクリーンにフカミ総監が映し
出される。
フカミ『石室コマンダー。首尾よくやってくれた様で』
石室「いえ、命令を出していたのはヒビキ隊長です」
ヒビキ「しかし、私はTPCの迎撃部隊をほぼ全滅させてしまいました」
 石室の言葉に、ヒビキが悲しそうな顔をして言う。
フカミ『それでも十分やってくれたよ、君達は。・・・・・コマンダー、敵円盤は
天王星の衛星チタニアへの着陸が確認された。まだ地球への攻撃を諦めていない
可能性がある。君には敵円盤の撤退が確認されるまでは、ガニメデ基地にて、MDPO
迎撃部隊の指揮をしてもらいたい』
石室「了解しました!」
フカミ『それと、コスモアタッカー部隊が25機、ステーションホーク隊が20機、
ブラックバスター隊10機、ガッツウイングクリムゾンドラゴン15機が増援として
向かう。・・・・・彼らと合流して、スーパータイラントを倒してくれ。
・・・・・・幸運を祈る。』
 そして、通信は切れた。
ヒビキ「コマンダー」
石室「わかっています。マイ隊員、敦子、これより、MDPO迎撃部隊の旗艦はこの
クラーコフとし、私が指揮官に、ヒビキ隊長はコスモアタッカー部隊の、竜隊長は
これから来るクリムゾンドラゴン部隊の、フブキ隊長はブラックバスター隊の、
それにキリヤマ隊長はステーションホーク部隊の小隊長となることを伝えてくれ。
それと、機体の整備も怠らない様に、と。」
マイ、敦子「了解!」
 2人は通信回線を開き、アートデッセイ号、それにクラーコフ艦内の全ての戦闘
艇、ガッツウイング隊等に石室の指令を伝えた。
石室「キリヤマ隊長、竜隊長、ヒビキ隊長、フブキ隊長、それにハワードさん、
あなた方には苦労をかけるかもしれないが、よろしく頼む。」
 石室はそう言い、軽く頭を下げた。



870 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:25:570


○石室→ヒビキと共にキリヤマ、フブキ、竜から地球の近況を聞く。そして、小牢
と零児は『森羅』のエージェントであるとヒビキに教える。
○ヒビキ→石室と共にキリヤマ、フブキ、竜から地球の近況を聞く。そして、ヒイロ
から小牢と零児の名前を聞き、聞き覚えがあると首を傾げる。
○我夢→地球でビーストを倒していく仲間のウルトラマン達を見つめる。その後、
ヒイロにリリーナの護衛任務はどうしたのか尋ねる。どうやらウルトラマンの変身
者たちの名前は知っている模様。
○キリヤマ、フブキ、竜→地球の近況を石室たちに報告。
○ヒイロ→我夢たちにリリーナは小牢と零児に任せてきたと説明。
○デュオ、トロワ、ハワード→なぜ自分達が来たかを石室たちに説明。


【今回の新規登場】
○ハワード(新機動戦記ガンダムW)
戦艦ピースミリオン最高責任者。その前は、地球でサルページ船に乗っていて、
デュオをサポートしていた。



871 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:28:580


  クラーコフ:司令室外の通路。

我夢「待ってくれ!」
 我夢が、ピースミリオンへ戻ろうとしていたヒイロ、デュオ、トロワを引きとめた。
ヒイロ「なんだ?」
我夢「さっきは助けてくれてありがとう。特にデュオ君、助かったよ」
デュオ「? オレ、あんたを助けた覚えがまるで無いぜ?」
トロワ「ウルトラマン、ガイアか?」
 トロワが尋ねた。
我夢「ああ、そうだよ。僕は高山 我夢。ウルトラマンガイアだ。」
デュオ「うえっ? マジで!?」
 デュオが驚いて言うと、我夢が苦笑しながら頷いた。
我夢「それより、聞きたい事があるんだ。・・・・・ガッツ星人は、また来ると思う
かい?」
 我夢が真剣な顔をして3人に尋ねた。
ヒイロ「おそらく、来るのは間違いないと思っていいだろう」
トロワ「話で聞いただけだが、奴に限定せず、宇宙人というものは執念深いと聞く。
すぐに、とは言わないが、スーパータイラントを修理したらすぐに来るのは間違い
無い」
 ヒイロ、トロワが口々に言った。
我夢「君達もそう思うのか・・・・・」
デュオ「ま、オレ達にあんたが協力したら絶対勝てるさ!」
 デュオが、つとめて明るく言った。

  クラーコフ司令室

石室「スーパータイラントの戦闘データはどうなっている?」
 石室が、司令室でデータを調べていたホリイ、岩本、ナカジマに尋ねる。
ナカジマ「これを」
 スクリーンに、MDPO迎撃部隊の一斉射撃を受けとめているスーパータイラントが、
飛びかかって来たデスサイズヘルのビームシザースを受けとめ、反撃する映像が
映しだされた。
岩本「これは、リフレクトバリア発生中には敵が反撃できないことを示していると
思われます。でなければ、リフレクトバリアをわざわざ亜空間バリアに変換すると
は思えません」
石室「なるほど・・・・・他に、何かわかったことは?」
ナカジマ「ガッツイーグルの定時スキャンデータ結果を表示します」
 同時に、スクリーンにSタイラントが縦に輪切りにされた映像が映し出され、5秒
ごとに、首筋部分にある点がだんだん赤くなっていく。
石室「あの赤いのは何なんだ?」
岩本「あれは、その部分が高温であるというサインです」
石室「?」
 石室には、まだどういうことか理解できていない。そうしている間にも、光点は
赤くなっていき、最後には紅色になった。
ナカジマ「これが、敵撤退直前のスキャン結果です。」
石室「真っ赤だな。それだけ熱を帯びているということか?」
岩本「ええ。スーパータイラントが撤退した理由は、おそらくこれです」
ホリイ「この部分は推測やけど十中八九、タイラントの行動をつかさどる装置や。
これに過負荷がかかって異常に発熱しとる。つまり、それによって行動不能に追い
こまれたんやな。」
 ホリイが岩本の言葉を受けて説明した。
石室「そうか・・・・・ヒビキ隊長達の奮闘は、無駄ではなかった、という事か」
 石室が言うと、3人は頷いて、
岩本「これで、スーパータイラントへの攻撃方法が決まりました。」
ホリイ「奴に何十回も一斉攻撃ぶち込めばいいんや。ガイアとも協力して」
 と答えた。
ナカジマ「ただ、敵の改造後もここが熱を帯びるかどうか・・・・・」
 だが、ナカジマが心配そうにぼそっと呟いた。

  クラーコフ:メディカルルーム

リョウ「アスカッ!!」
 部屋に駆けこんできたリョウが叫んだ。
アンヌ「リョウさん」
リョウ「アスカの容態は!?」
アンヌ「大丈夫、気絶して倒れただけよ」
 不安そうなリョウの様子を見て、アンヌが優しく言う。
リョウ「どうして、アスカは倒れたの?」
 2、3度深呼吸をして、どうにか落ち着いたリョウが尋ねる。
アンヌ「私にも分からないわ。ただ、倒れる時に『誰の声なんだ』って言ってたわ」
リョウ「・・・・・倒れた通路は?」
 リョウが尋ねた。
アンヌ「28番通路よ。」
リョウ「28番・・・・・? 確か、グランスフィアから逃げた時に着いた通路だわ!」
アンヌ「そう・・・・・。もしかすると、その場所に行ったことで封じこめられた
記憶が呼び起こされたのかもしれないわ。」
 アンヌが言い、2人はいまだベッドで寝ているアスカを見つめた。


872 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:31:040


○我夢→ヒイロたち3人を引きとめ、礼を言う。さらに、ガッツ星人が再来すると
思っているかどうか尋ねる。
○ヒイロ、トロワ→我夢にガッツ星人が、間違いなく再来するという自分の考えを
話す。
○デュオ→ガイアが我夢であるという事を知り、少々大げさに驚く。
○ホリイ、ナカジマ、岩本→Sタイラントの戦闘データを調べ、石室に報告。
○石室→ホリイら3人からSタイラントの戦闘データに関し、報告を受ける。
○リョウ→アスカが倒れた事を知って、メディカルルームに駆けこんでくる。
○アンヌ→リョウをなだめ、アスカが倒れた時の状況を話す。
○アスカ→気絶中。


873 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:34:120


1時間後。
 MDPO第二次増援部隊がガニメデ宙域に到着、続々とアートデッセイ号とクラーコフ
へ収容されていく。
石室「第二次増援隊の機体の整備も急がせてくれ。それと、コスモネットからの連絡
を絶えず確認しておくように。」
 石室が、クラーコフ司令室に残ったヤズミ、マイ、敦子に言う。
ヤズミ「了解しました。・・・・・コマンダーはもう休んでください。ここは僕たち
が詰めていますから」
石室「しかし」
ヤズミ「あまり疲れを溜めすぎると、いざというとき判断力が鈍ります。」
 ヤズミが少し呆れたように言う。
石室「・・・・・わかった。何かあったら、すぐに連絡を頼む。君たちも疲れたら
休めよ」
 ヤズミたち3人は黙って頷く。
 そして、石室は司令室を出た。

  クラーコフ:格納庫

 MDPOのさまざまな機体が燃料や弾薬の補充を受けている格納庫の管制室にヒビキ
が入って来た。
ヒビキ「竜隊長、ここで何を? てっきり、休んでいるものと思っていましたが」
 ヒビキが、少々驚きつつ、先に室内にいた竜に尋ねる。
竜「ん、ヒビキ隊長。各部隊への弾薬の積み込みの指揮をしているんだ。その後で
休もうと思っている」
 竜がそう言いながら、各部隊の1番先頭に鎮座しているガッツイーグル、タック
ファルコン、テックブースターの3機を指差した。
竜「君は何を?」
ヒビキ「いえ、今の状況を訊きに。」
 ヒビキが答えると、
竜「そうか。第1次MDPO部隊の機体は整備完了、後は燃料を補給するだけだ」
ヒビキ「そうですか・・・・・・ん、あのミサイルは?」
 ヒビキが、部隊先頭の3機に3発ずつ搭載されていく、黒銀色のミサイルと、先端
に3本の爪のような物が装着されたミサイルに気付いて言った。
竜「あれは、自衛隊からいただいた対ゴジラ用特殊金属徹甲ミサイル、フルメタル・
ミサイルとGフォースからいただいたスパイラルグレネード・ミサイルだ。両方とも
中にはサターンZが詰めてあり、着弾後数秒で爆発する。何か使えないかと思って」
 竜が答え、さらに、
竜「ガッツイーグル、タックファルコン、テックブースターにはサターンZミサイル、
ライトンR30爆弾を二発ずつ搭載しておく。」
ヒビキ「感謝します!」
 ヒビキが、頭を下げて礼を言った。
竜「・・・・・・Sタイラントは、ここで止めたいものだな」
ヒビキ「ええ。」
 竜がそう呟き、ヒビキは一言、そう答えた。



874 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:35:040


○石室→第二次MDPO増援部隊の収容後、燃料補給を指示。その後、ヤズミの進言で
休憩に行く。
○ヤズミ→石室に休憩することを進言。
○ヒビキ→格納庫の管制室に補給・整備の状況を聞きに来る。
○竜→ヒビキに補給・整備の状況を説明。


875 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:41:020


 増援部隊到着から1日後。
  クラーコフ:居住室の一つ

石室「・・・・・・・」
 石室は、ベッドに横になっていた。

ピピッ、ピピッ

 と、石室の休んでいる居住室備え付けのスクリーンからピープ音がした。
石室「・・・・・こちら石室。どうした?」
 石室がベッドから起き、スクリーンに近づいて通話スイッチを押し、尋ねる。
 スクリーンにはヤズミが映し出され、
ヤズミ『コスモネット監視衛星より緊急連絡。敵宇宙船がチタニア地表より離陸、
高速でガニメデ方面へと飛翔を開始しました!」
石室「わかった、全機体へ発進を通達! 私もすぐ行く!」
 石室はそう言って通信を切ると、部屋を出た。

クラーコフ、及びアートデッセイ号より、コスモアタッカー部隊戦闘艇55、改造
ステーションホーク1号、2号部隊各30、GW(ガッツウイング)クリムゾンドラゴン
部隊15、ブラックバスター隊20、タックファルコン、テックブースター、ガッツ
イーグルが、ピースミリオンからはガンダムウイングゼロ、デスサイズヘル、ネオ
マキシマ・バズーカを装備したヘビーアームズが発進。さらに、アートデッセイ号
からはウルトラ警備隊の主力戦闘機、ウルトラホーク1号も飛び立った。

  ウルトラホーク1号コクピット

地球防衛軍隊員A「攻撃準備完了、いつでも命令をどうぞ!」
 ウルトラホーク1号に乗りこんでいる地球防衛軍の隊員Aが言った。

 今回、MDPO増援部隊として来たウルトラ警備隊の隊員は、隊長のキリヤマともう
一人、フルハシ・シゲルだけである。そのため、出撃したウルトラホーク1号には、
ウルトラ警備隊の2人以外に、地球防衛軍の一般隊員2人が乗りこんでいる。

フルハシ「怪物め、前は出れなかったが、今度は倒してやるぞ!」
キリヤマ「それに、前は戦力が十分ではなかったが、今回は違う。奴を必ず、ここ
で止めるぞ!」
 キリヤマが言い、コクピット内の他の3人が頷いた。

  テックブースターメインコクピット

フブキ「カシマ、ショウダ、ナツキ、よく聞け! 恐らく敵は前より強くなってる
はずだ! 油断するなよ!」
カシマ、ショウダ、ナツキ「了解!
 フブキが言い、モニターに映ったカシマとショウダ、フブキと同乗している
ナツキが同時に答えた。

  タックファルコンコクピット

竜「ガッツ星人による改造で、スーパータイラントの戦闘力は格段に上がっている
可能性が高い。しかし、我々はここで降伏するつもりもない。我々の故郷、地球は、
我々地球人全ての物なのだからな。Sタイラントは、ここで殲滅する!」
美川、山中、今野、吉村「了解!!
 竜の言葉に、タックファルコンに同乗していた美川、山中、今野、吉村ら4人は、
力強く答えた。

  ガッツイーグルコクピット

ヒビキ「ガッツ星人の改造でスーパータイラントがどうなったはわからねえ! だが、
確実に強化されてるのは間違いない! 地球を守るためにも、気を引き締めていけ!」
コウダ、ナカジマ、カリヤ、リョウ「ラジャ!
 ヒビキの激励に、コウダら4人が答えた。



876 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/05(月) 22:41:570


○ 石室→ヤズミからの連絡を受け、司令室へ。
○ ヤズミ→石室にガッツ星人の円盤が離陸した事を伝える。
○ キリヤマ、フルハシ→ウルトラホーク1号で出撃。
○フブキ、カシマ、ショウダ、ナツキ→テックブースターで出撃。
○ 竜、美川、山中、今野、吉村→タックファルコンで出撃。
○ ヒビキ、コウダ、ナカジマ、カリヤ、リョウ→ガッツイーグルで出撃。


【今回の新規登場】
○ フルハシ・シゲル(ウルトラセブン)
ウルトラ警備隊隊員、29歳。実質上の副隊長格で、地球防衛軍きっての怪力の持ち
主。猪突猛進型の性格で、物事をあまり深く考えない。任務時は、主にウルトラ
ホーク1号を操縦する。


877 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 22:39:350


 MDPO全部隊の布陣が完了し、15分後。
 ガッツ星人の円盤が飛来、MDPO部隊の正面で停止した。
石室「・・・・・」
 石室は黙って円盤を睨む。円盤に動きは無い。
マイ「コマンダー! 敵円盤より全回線で声明が出ています!」
石室「スクリーンに!」
 と、スクリーンにガッツ星人が映し出された。
ガッツ星人『地球人よ、なぜ我々の邪魔をする。お前達では地球を滅ぼす事しか
できない。だが、我々ならまだ地球を救えるのだ。地球がどうなってもいいのか?』
石室「・・・・・こちらから、向こうへ話せるか?」
 石室がマイと敦子に尋ねる。
マイ「・・・・・回線を開きました!」
石室「よく聞け、ガッツ星人。我々人間は、もう過去のあやまちに気づいている。
今、地球のほとんどの人間は、地球を救おうと力を尽くしている!」
ガッツ星人『だが、気づくのがもう遅過ぎた。』
 ガッツ星人が侮蔑を込めて言う。
石室「我々はそうは思わないし、地球もそう思っていないと信じている! 地球は
我々に、“光”を託し、“宇宙正義”デラシオンも我々に猶予をくれたのだから」
ガッツ星人『・・・・・では、我々はお前達を殲滅せざるを得ない』
石室「我々はそう簡単には倒せないし、倒されるつもりも無い。」
 ガッツ星人は黙ったまま、通信を切った。
石室「MDPO部隊、攻撃開始!!」
 同時に、ガッツ星人の円盤からSタイラントが現れ、円盤は光学迷彩を使用し、
消えた。

 Sタイラントは、外見に変化はほとんどない。唯一の変化点は、ベムスターの
エネルギー吸収口の真上に妙な器官がある点である。

 Sタイラントが獰猛な目つきでMDPO部隊を見まわした。
 と、そのとき。

ビシュシュシュシュ―――――ッ!!

 クラーコフから光が飛びだし、ウルトラマンガイアへと変身した。

 地球の全人類の注目が集まった、後に“ガニメデ宙域防衛戦”と呼ばれる戦いが
今、始まろうとしていた。



878 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 22:57:480

○石室→ガッツ星人の妄言を冷静な口調で論破する。。
○マイ→石室にガッツ星人が声明を出している事を報告。
○我夢→ガイアに変身。
● ガッツ星人→MDPO部隊に向け声明を出すが、石室に論破され、Sタイラント
を召喚。
●Sタイラント→獰猛な目つきでMDPO部隊を見まわす。


879 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:07:510


Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」

ビチュチュン! ・・・・バチバチバチ!!!

 始まりの攻撃は、SタイラントのG・クラスターだった。
 SタイラントはG・クラスターを3連射、それは、前のG・クラスターでは届かない
はずの距離を飛び、それに当たりかけたステーションホーク部隊の数機が拡散光線を
ギリギリかわした。
ヒビキ「前より飛距離が上がっている!」
竜『これでは、マイクロ波シェルの射程も上がっていると思った方がいいな』
 竜が通信してきた。
ヒビキ「そうですな」
 ヒビキがそう言い、厳しい顔でSタイラントを睨んだ。

石室「フブキ隊長、ブラックバスター隊に攻撃命令を! 敵は見えている可能性も
ある、油断はするな!」
フブキ『了解! ブラックバスター隊は攻撃開始! 見えている可能性もある、油断
するなよ!』
 同時に、ブラックバスター隊は戦列を離れ、次々光学迷彩を使用しながらSタイラ
ントへ飛んだ。
石室「ウイングゼロ、デスサイズヘルも攻撃! 敵に攻撃の暇を与えるな!」
ヒイロ『了解』
デュオ『あいよっ!』
 ウイングゼロ、デスサイズヘルがビームサーベルとビームシザースを構え、Sタイ
ラントへ向かって駆けた。
 さらに、ガイアもSタイラントに向かって飛び、手からガイアスラッシュを放つ
が、それは亜空間バリアで弾かれ、ウイングゼロとデスサイズヘルの斬り込みも両
腕で受けとめられた。
石室「ヘビーアームズは、ネオマキシマ・バズーカを準備、いつでも発射可能状態
にしておいてくれ!」
トロワ『了解した』
 ピースミリオンの正面に浮かんでいるヘビーアームズは、ネオマキシマ・バズーカ
をSタイラントへ向け、ロックオンした。
石室「残りの機体は援護に!」
 コスモアタッカー部隊、ガッツウイング・クリムゾンドラゴン部隊の一部、合わ
せて24機がSタイラントの後ろに回りこみ、ファイナルメガランチャーやビームで
攻撃、ステーションホーク部隊の15機が、Sタイラントの両横からファイナルメガ
ランチャーで攻撃、そしてテックブースターはミラーズシールドを使用し、ウイング
ゼロとデスサイズヘル、それにガイアの援護に回る。
石室「全機、合図と同時に全速でSタイラントから離れてくれ」
 最後に石室が通信し、戦いを見つめた。

Sタイラント「ギシィィィッ!!!」
 Sタイラントは腕を広げる。すると、胸の器官の真上から2枚のディスクカッター
が飛び出した。
ヒビキ「っ、回避!」
 同時に、その軌道上のほぼ全ての機体が回避行動を取り、いくつかの機体を除き、
ディスクカッターを回避した。それを回避できなかった数機も、すぐに撤退して各々
の母艦へ帰投する。
ナカジマ「今のはガイガンのブラデット・スライサーです! 後ろから戻ってくるの
で注意してください!」
 ナカジマが報告し、ヒビキはその旨を通信で流す。それにより、戻ってくるブラ
デット・スライサーは全ての機体が回避でき、うち一枚はガイアが掴み取った。
カリヤ『やはり改造されている!』
ヒビキ「まだ隠し玉がある可能性もある、気をつけろ!」
 ヒビキが言い、同時にトルネードサンダーがSタイラントへ飛んだ。



880 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:09:220


○石室→MDPO部隊に命令を出す。
○ヒビキ、竜→G・クラスターとマイクロ波シェルの射程について会話。その後、
ナカジマの警告を通信で流す。
○フブキ→石室の命令でブラックバスター隊に攻撃命令。
○ヒイロ、デュオ→石室の命令で攻撃開始。
○トロワ→ネオマキシマ・バズーカを準備。
○ガイア→Sタイラントに牽制攻撃。ブラデット・スライサーを掴み取る。
○ナカジマ→ヒビキの命令を受け、Sタイラントが発射した円盤カッターについて
解析、ブラデット・スライサーと特定。
●Sタイラント→G・クラスターを放って先制攻撃、MDPO部隊の攻撃をうまくよけ、
ブラデット・スライサーを放つ。



881 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:13:050


Sタイラント「ギシィィィィッ!!」
 Sタイラントは次々とMDPO部隊の攻撃をかわし、防御し、相殺していく。
山中「前より強くなってやがる!」
 タックファルコンコクピット内で、山中が忌々しそうに呟く。
竜「クリムゾンドラゴン隊散開、味方に気を付けて攻撃!」
 竜が命令すると同時に、GW・クリムゾンドラゴンが次々と散開して飛び、Sタイラ
ントへキャノン砲を放つが、それは他の部隊の攻撃と共に、ゼットンシャッターで
受けとめられた。

  クラーコフ司令室

石室「今だ、全機退避!!」
 石室が、回線を開き、命令を叫んだ。
 同時に、ガイアと全ての機体が180度旋回、包囲隊形になりつつ全速でSタイラント
の周囲から離脱、ガッツシャドー全機もステルスを解除、Sタイラントを包囲しつつ
退避した。
石室「ネオマキシマ・バズーカ発射!!!」

キュィィィィィンッ!!!!

 石室が続けて叫ぶと同時に、ヘビーアームズの持つネオマキシマ・バズーカから光
の奔流がゼットンシャッターを張るSタイラントへ飛んだ。
Sタイラント「ギシィィィィィッ!!!!」

ヴン・・・・・

 と、Sタイラントはゼットンシャッターを解除、前方にバリアを発生させた。
ショウダ「無駄だ!」
 ショウダが呟いたが、その瞬間、Sタイラントは腕を開き、放電を起こし始めた。
石室「なにをする気だ?」
 石室が怪訝そうに呟く。

ビュィィィイイ―――ッ!!

 Sタイラントはマイクロ波シェルを放った。バリアに向けて。そして、その収束超
極短波はバリアに吸いこまれた。
ヒビキ「!?」
 すると、一瞬の間の後、バリアと同じ直径にまで増幅されたマイクロ波シェルが、
バリアから発射された。
トロワ「っ!?」
 その増幅されたマイクロ波シェル、ハイパーマイクロ波シェルは、ネオマキシマ・
バズーカから放たれている光の奔流を受けとめた。
キリヤマ「そんな馬鹿な、小型化されているとはいえネオマキシマ砲を・・・・・・
受けとめた!?」
ナカジマ「スキャンの結果、あのバリアらしきものは、エネルギー増幅フィールド
のようです! あれにより、マイクロ波シェルの攻撃力が倍以上になっています!」
 さらに、ハイパーマイクロ波シェルは、徐々に徐々に、光の奔流を押し戻していく。
石室「く、何という怪物だ! ウイングゼロ、ツインバスターライフルでヘビーアー
ムズを援護しろ!」
ヒイロ『了解』
 同時に、ウイングゼロがヘビーアームズへ向かって飛び、その真上に停止すると、
ツインバスターライフルを押し戻されつつある光の奔流へ向けた。
ヒイロ「ターゲット、ロックオン」
 そして、ツインバスターライフルから閃光が放たれ、ネオマキシマ・バズーカから
光の奔流に合体した。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!」
 だが、それでもまだ押し戻されかかっている。
ガイア「デュアッ!」
 と、そこにガイアが飛んできた。そして、額に手を当て、上半身を後ろに反らした
後、頭を前に突きだし、フォトンエッジを放つ。
 それにより、ハイパーマイクロ波シェルは徐々にSタイラントへ押し戻されていく。
Sタイラント「ギシィィィィ!?」
 耐えきれなくなったのか、Sタイラントは真上に向かって飛んだ。
 受け止める物が無くなったネオマキシマ・バズーカ+ツインバスターライフル+
フォトンエッジの合成光線が、標的がいなくなった空間を突きぬけ、虚空へ消えた。

  クラーコフ:メディカルルーム

アスカ「・・・・・・」
 戦闘開始直前に目を醒ましたアスカは、アンヌに頼み、スクリーンで戦闘の様子を
見ていた。
アスカ「今の、なんか見覚えが・・・・・」

“お前はなんだ? 何故私の邪魔をする。消えろ!!”

アスカ「っ!!?」
 頭の中に機械音声のような冷たい女の声が響きわたり、アスカの頭を、激しい痛み
が襲った。

“オレはオレだ! ウルトラマンダイナだっ!!!”

 それに続いて、どこか聞き覚えがある男の声が響いた。
アスカ「くそ・・・・・ウルトラマン・・・・・? 何なんだよ・・・・・・!」
 アスカは頭を押さえて呟いた。

   ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「馬鹿め、包囲したのが命取りだ!! タイラントよ、“カラミティヘル
スピン・ネオ”で殲滅しろ!!」
 ガッツ星人が叫んだ。

Sタイラント「ギシャァァァッ!!!」
 Sタイラントは一声叫ぶ様に鳴くと、

ギュルルルルルル・・・・・・

 回転しはじめた。
石室「!!」
フブキ「なんだ?」
ヒビキ「まずい、MDPO全部隊へ!!! スーパータイラントから全速で離脱!!」
 ヒビキが通信で叫ぶと、デスサイズヘル、ガッツイーグル、テックブースター、
ウルトラホーク1号、タックファルコンが旋回して離脱、続いて他の部隊も次々と
離脱しようとした。

ビュィィィイイイイイ―――ッ!!!
ビチュチュチュンッ!! ・・・・バチバチバチバチバチッ!!!
ギュァァァァァ!!!

 と、回転しているSタイラントから強化されたG・クラスター、マイクロ波シェル、
そして、もう一つ、ぐにゃぐにゃと曲がるビームが次々と放たれ、包囲隊形だったMD
PO部隊の機体を襲った。
キリヤマ「なんだ、あれは!?」
 いち早く避難できたウルトラホーク1号コクピット内でキリヤマが叫んだ。
 その光線の竜巻、“カラミティヘルスピン・ネオ”により、MDPO部隊の半数が大
きな被害を受け、辛うじて爆散しなかった機体が命からがら、アートデッセイ号や
クラーコフに帰還した。
ヒビキ「ナカジマ! 今の曲がるビームをデータベースで照合しろ!」
ナカジマ「ラジャ、照合開始!」
 数秒後。
ナカジマ「出ました! あれは、ゴジラ細胞と結晶生物の合体した宇宙怪獣、スペー
スゴジラが口から放っていた光線、“コロナ・ビーム”! 重力制御で自由に曲げる
事が可能な為、軌道の予測ができない厄介な光線です!」
ヒビキ「ガッツ星人め、なんて面倒な物を装備させやがる!」
 ヒビキが悪態をつき、それから全部隊に通信回線を繋いで、ナカジマの言葉を報告
した。



882 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:17:070


○竜→クリムゾンドラゴン隊に散開攻撃を命令。
○石室→Sタイラントがゼットンシャッターを張った瞬間、全部隊へ退避を指令し、
続いてネオマキシマ・バズーカ発射を指令。さらに、ヒイロにトロワの援護を指令。
○トロワ→ネオマキシマ・バズーカを発射するも、ハイパーマイクロ波シェルで
受けとめられ、少々焦る。
○ヒイロ→押し戻されかけたネオマキシマ・バズーカにツインバスターライフルを
放つ。
○ガイア→押し戻されかけたネオマキシマ・バズーカにフォトンエッジを放つ。
○アスカ→ネオマキシマ・バズーカの閃光を見てわずかに記憶を取り戻す。
○フブキ→Sタイラントが回転するのを見て不思議がる。
○ヒビキ→MDPO全部隊へ通信をつなぎ、退避を促す。そして、カラミティヘルスピン・
ネオ回避後、ナカジマに“曲がるビーム”の解析を命令。
○キリヤマ→カラミティへルスピン・ネオを見て驚愕。
○ナカジマ→Sタイラントの新攻撃、“曲がるビーム”をスペースゴジラの“コロナ・
ビーム”と特定。
●Sタイラント→MDPO部隊の攻撃をゼットンシャッターで防御、ネオマキシマ・
バズーカをハイパーマイクロ波シェルで受けとめるも、ヒイロとガイアの援護で
敵わない事を悟り素早く脱出、カラミティへルスピン・ネオを放つ。
●ガッツ星人→カラミティへルスピン・ネオの発射を指令。



883 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:24:440


Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」

ギュァァァァッ!!!

 Sタイラントの口からコロナ・ビームが、特徴的な音を立ててガイアに向かって
放たれた。
ガイア「デュアッ!」
 ガイアは光線をかわそうと右側に飛ぶが、コロナ・ビームは右に曲がり、ガイア
に直撃した。
ガイア「デュアアッ!?」
Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」
 と、Sタイラントは腕を開き、放電を発生させ、ガイアに向けマイクロ波シェルを
放つ。
ガイア「デュア!!」
 ガイアはバリアを発生させ、マイクロ波シェルを受けとめる。
ガイア「デュ・・・・・デュアアッ!!!」
 数秒間ガイアはマイクロ波シェルを受けとめていたが、マイクロ波シェルはバリア
を突き破り、ガイアに直撃。ガイアはふっとんだ。
石室「やはりマイクロ波シェルも強力になっているのか!」
 ふっとんだガイアを見て石室が呟く。
岩本「にしても妙ですね、彼の動きには、他のウルトラマンに比べ隙が多い。」
 岩本がガイアの動きを見ながら呟く。
ホリイ「ほんまや。さっきのコロナ・ビームにしてももっと右に飛べばいいっちゅー
のに」
 ホリイも岩本に同調して言う。
石室「・・・・・! まさか」
 石室が低く呟いた。

ヒビキ「・・・・・・ガイアの動きが、妙だな」
 石室が低く呟いた頃、ヒビキも怪訝そうに呟いていた。
コウダ「え?」
ナカジマ「ええ。他のウルトラマンと比べても、まるで宇宙での戦闘経験が少ない
ような動きです。」
ヒビキ「・・・・・・しまった、まずいぞ! 『まるで少ないようだ』じゃなく、
『事実少ない』んだ!!」
 ヒビキが叫んだ。
コウダ「そ、そんな馬鹿な!」
ナカジマ「いえ、確かに・・・・・それは事実です! ガイアはもともと“地球の光”。
つまり、基本的に宇宙戦闘向きじゃありません!」
 ナカジマが言う。
ヒビキ「ちょっと待て。それが事実なら、もしかするとエネルギーの消耗も」
ナカジマ「早い確率が非常に高いです!」
ヒビキ「・・・・・・」
 ヒビキが、苦虫を噛み潰したような顔で、デスサイズヘルに受けとめられるガイア
を見つめた。

デュオ「おおい、ガイア。あんまり飛ばされんなよ? 毎回毎回受けとめるわけにも
いかないんだぜ?」
 デスサイズヘルでガイアを受けとめたデュオが軽口を叩いた。
 ガイアは一つ頷くと、体勢を立て直して、MDPO部隊の連続攻撃を受けとめている
Sタイラントへ飛んだ。
ガイア「デュアッ!!」
 ガイアが赤く光り輝き、からだの模様が変化、スプリームヴァージョンへと変化
した。
 そして、腕をL字に組んで放つクァンタムストリームを放つ。さらに、ヒイロの
ウイングゼロがツインバスターライフルを放つが、それも亜空間バリアで受けとめ
られた。
Sタイラント「ギシィィィッ!!」
 と、Sタイラントはガイアに、バラバ鉄球を向けた。

バシュッ!!

 鉄球からは鞭が飛び出し、ガイアへ飛ぶ。
ガイア「デュアッ!」
 ガイアはそれをかわそうと、左横へ飛んだ。
Sタイラント「ギシィィィッ!!」
 Sタイラントが一声鳴くと、鞭の先が赤く光り、ガイアを追尾してカーブした。
ガイア「デュア!?」
 飛んでいるガイアが、後ろを見て驚いている。そのガイアの首に鞭がしっかりと
巻きついた。
ガイア「デュ、デュアッ!!」
 ガイアはアグルブレードを発生させ、鞭を斬ろうとするが、アグルブレードを
振り下ろし、それが鞭に触れた瞬間、

ブン・・・・・・

 音を立ててアグルブレードは消滅した。
デュオ「なんだぁ?」
 デュオが怪訝そうな声を上げた。

コウダ「アグルブレードが消滅した?」
ヒビキ「どういうことだ・・・・・? ナカジマ! スキャンしろ」
 ヒビキがナカジマに命令した。
ナカジマ「ラジャ! スキャンします」
 そして、ナカジマが機械を操作して数秒後。
ナカジマ「スキャン完了! ・・・・・・こ、これは・・・・・!!」
 ナカジマが驚愕の声を上げた。
コウダ「どうしたんだ?」
ナカジマ「あ、あの鞭は、おそらく接触している物のエネルギーを吸収するシステム
を備えていると思われます!!」
 コウダの問いに、ナカジマが叫ぶ。
ヒビキ「おい、もしそうなら・・・・!」
 ヒビキは、呟きつつガイアを見つめた。

ガイア「デュ、デュア!?」
 ガイアはアグルブレードが消滅したのに驚き、今度は鞭を力任せに引き千切ろう
とした。

ギチ、ギチギチッ

 鞭はわずかに音を立てただけで変化は全くない。
デュオ「ほらよっ!!」
 デスサイズヘルのビームシザースが鞭に振り下ろされる。

ブン・・・・・・

 が、ビームシザースのビームの刃は鞭に触れた瞬間、消失した。
デュオ「あぁ!?」
 消失したビームシザースの刃を見て、デュオが素っ頓狂な声を上げた。
 数秒で元に戻ったものの、ビームシザースが消失した事は、デュオを混乱させる
には十分だった。
ヒビキ『あの鞭にはレーザー兵器は通用しないぞ! あれは、エネルギー体なら、
なんでも吸収してしまうシステムを内蔵してる!』
デュオ「ちっくしょう、なんてこった!」
 デュオが、Sタイラントを見つめながら呟いた。

  クラーコフ司令室

石室「MDPO各部隊、ガイアの援護にまわれ! これより、部隊の半数はタイラントに、
もう半数はあの鞭に攻撃を加えろ!」
 石室が、ヒビキ、フブキ、竜、キリヤマに指令を出した。

ヒビキ「コスモアタッカー部隊、攻撃開始!!」
フブキ「ブラックバスター隊、攻撃開始!」
竜「クリムゾンドラゴン部隊攻撃開始!」
キリヤマ「ステーションホーク部隊、攻撃開始!」
 部隊隊長の4人が叫ぶと同時に、全部隊の内の半数がSタイラントへ向け一斉射撃、
もう半数がバラバ鉄球からの鞭に一斉射撃した。さらに、鞭の方には、コンバーター
換装を終了したネオマキシマ・バズーカと、ツインバスターライフルも放たれた。

Sタイラント「ギシィィィィッ!!」
 Sタイラントへの一斉射撃は亜空間バリアで受けとめられ、鞭の方への攻撃は全て
吸収されてしまった。
トロワ「ネオマキシマ・バズーカも吸収したか」
 ヘビーアームズコクピットで、トロワが呟き、ピースミリオンへ、ネオマキシマ
コンバーターユニットの交換に向かった。

 ガイアは、どうにか鞭をちぎろうとしていた。と、

ピコン、ピコン、ピコン

 胸のライフゲージがゆっくりと点滅し始めた。
ガイア「デュ、デュア!?」
我夢(どうして・・・・? まだエネルギーは残っているはずなのに)
 ガイア=我夢は、愕然とした。

  クラーコフ司令室

石室「このままでは、ガイアが・・・・!」
 石室が低く呟いた。と、そこにヒビキからの連絡が入った。
ヒビキ『石室コマンダー、私に考えがあります!』
石室「考え?」
ヒビキ『はい、竜隊長がいただいてきたミサイルを使い、攻撃を加えます!』
石室「すぐにかかってくれ、他の機体も援護に回す!」
 石室が言うと同時に、通信は切れた。

ヒビキ「コウダ、スパイラルグレネード・ミサイルおよびフルメタル・ミサイル、
発射準備!」
コウダ「ラジャ!」
 コウダの座っている席の正面の小さなモニターに、鞭が映し出され、照準マーク
がそれをロックした。
コウダ「ロック完了!」
ヒビキ「よし」
 と、MDPO部隊が動き始め、次々にSタイラントへ攻撃を加え始めた。
ヒビキ「石室コマンダーが命令したようだな・・・・・。よし、発射しろ!!」
コウダ「スパイラルグレネード・ミサイル、フルメタル・ミサイル発射!!」
 同時に、ガッツイーグルからミサイルが2発放たれ、その一方、スパイラルグレ
ネード・ミサイルが先端部を回転させながらSタイラントの鞭に着弾、フルメタル・
ミサイルも、スパイラルグレネード・ミサイルが着弾したのとは別の場所に当たり、
数秒して2発とも大爆発を起こし、爆炎が鞭を覆った。
石室「やったか・・・・・?」
 爆炎が消えると、そこには、未だ健在の鞭があった。
ヒビキ「くそ、まだ駄目か! コウダ、同じ所にもう一発ずつ撃ちこめ!」
コウダ「ラジャ、発射します!」
 先ほどと同様にスパイラルグレネード・ミサイルとフルメタル・ミサイルが発射
され、先ほどと同じ所に着弾しようとした。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」
 と、Sタイラントが突然腕を引き、ミサイル2発の着弾点をずらす。
ヒビキ「くそ!」
コウダ「どうしたら、あの鞭を切れるんだ!」
 コウダが悔しそうに呟いた。



884 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:27:130


○ガイア→コロナ・ビームをかわそうとするが、ビームの湾曲で直撃を食らう。
その後、マイクロ波シェルで弾き飛ばされるも、デスサイズヘルに受けとめられ、
スプリームヴァージョンに変身、Sタイラントに攻撃するも防御され、バラバ鞭に
捕まる。そして、鞭をアグルブレードで斬ろうとするも失敗、なんとか千切ろうと
しているうちにライフゲージが点滅し始める。
○石室→ガイアの宇宙戦闘経験が無いのにいち早く気づく。その後、MDPO部隊に
バラバ鞭に攻撃を指示。
○岩本、ホリイ→ガイアの動きの隙の多さに疑問を呈す。
○ヒビキ→ガイアの隙の多さに疑問を抱き、ガイアの宇宙戦闘経験の無さに気づく。
その後、ナカジマにガイアを捕らえたバラバ鞭の解析を命令、デュオにその能力を
伝え、石室にフルメタル・ミサイル及びスパイラル・グレネードミサイルを使用して
の作戦を提案、実行するも失敗。
○デュオ→コロナ・ビームで吹っ飛んだガイアを受けとめ、ガイアを捕らえたバラバ
鞭を斬ろうとするも失敗。
○ナカジマ→ガイアを捕らえたバラバ鞭の解析をし、エネルギー吸収システムを
内蔵していることを報告。
○コウダ→フルメタル・ミサイル及びスパイラル・グレネードミサイルをエネルギー
吸収バラバ鞭に2連射。
○竜、フブキ、キリヤマ→石室の命令でバラバ鞭とSタイラントに攻撃。
●Sタイラント→ガイアにコロナ・ビーム、マイクロ波シェルを続けざまに発射、
その後、エネルギー吸収バラバ鞭でガイアを捕らえ、ヒビキ発案の攻撃も、微妙な
タイミングで回避する。



885 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:31:490



ガイア「デュ、デュア!」
 ガイアは、Sタイラントへクァンタムストリームを放つが、それは簡単に亜空間
バリアで受けとめられた。

ピコンピコンピコン

 すでに、ライフゲージの点滅スピードは始めの2倍以上になっていた。

ヒビキ「待てよ・・・・・そうだ!!」
 ヒビキが何か思い付いた様だ。
ヒビキ「鞭を千切ろうとするからだめなんだ!」
ナカジマ「ではどうするんです?」
ヒビキ「鞭がだめなら・・・・・その根元を狙えばいい!!」
 ヒビキは言いきった。

  クラーコフ司令室

石室「何か考えが?」
ヒビキ『ええ! これから、全部隊に一斉射撃をかけさせて下さい!』
石室「・・・・・・・わかった、任せろ」
 そして、通信が切れると同時に、全部隊に通信を繋ぎ、
石室「全部隊、一斉射撃をかけろ!!」
 と命令した。
 同時に、ステーションホーク部隊及び、コスモアタッカー部隊戦闘艇のファイナル
メガランチャー、ブラックバスター隊やクリムゾンドラゴン隊のレーザーとキャノン
砲にミサイル、タックファルコンのレーザーとミサイルに、テックブースターのレー
ザー砲、アートデッセイ号のデラック砲を始めとする全火器の砲撃、ウイングゼロの
ツインバスターライフル、ヘビーアームズのネオマキシマ・バズーカを除く全火器の
一斉射撃が、Sタイラントに放たれた。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」
 と、Sタイラントの正面に、前の戦闘で張っていた亜空間バリアの2倍はありそう
な大きさと厚さのバリアが現れ、一斉射撃を完全に受けとめる。

バチバリバチバチバリバチチィッ!!

 亜空間バリアから異様な音が響くが、ヒビすら入らない。
フルハシ「化け物め!」
 フルハシが忌々しそうに呟いた。

ヒビキ「今だ!! 発射しろ!!!」
コウダ「発射します!!!」
 同時に、ガッツイーグルから、フルメタル・ミサイルとスパイラルグレネード・
ミサイルが発射され、それは一直線に左腕のバラバ鉄球に飛び、フルメタル・ミサ
イルは二の腕部分を抉り、スパイラルグレネード・ミサイルは、鉄球に穴を開けて、
その内側に潜りこんだ。

チュドォンッ!!!

 2発のミサイルは同時に爆発、Sタイラント左腕の鉄球は完全に弾け飛び、左腕に
も大ダメージを与えた。そして、鞭はその効力を失った。
ガイア「デュァァッ!!!」
 鞭から解放されたガイアは、顔の前に左手をかざし、左手の下に右手を付け、体
の正面に両手を揃えた後、重ねた両手の平を上下にスライドさせて放つ必殺光線、
フォトン・ストリームを発射した。
 が、それは、一直線にSタイラントへ飛び、その胸の器官に吸い込まれて行く。
ガイア「!?」
石室「あれは・・・・まさかガクゾムの攻撃吸収反射器官か!?」
 石室が呟く。

 それはかつて、“光”を失った我夢とウルトラマンアグル――藤宮博也が“光”
を取り戻すきっかけとなった怪獣、根源破滅海神ガクゾムの胸部にあった器官で、
その能力は、敵の攻撃を受けとめ、はね返すことである。

Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」
 Sタイラントが胸の器官を突き出すと、そこからエネルギーの奔流がガイアに向け
て放たれた。その悪意の光の奔流は一直線にガイアへ飛ぶ。
フブキ「まずい!!」
 フブキはとっさに機器を操作、ミラーズシールドでその光線を止めようとした。

パリィィンッ!!

 が、ガラスの割れるような音と共にミラーズシールドは貫かれ、光線は威力を十分
に維持したままガイアへ飛んだ。
石室「!!!」
ヒビキ「ガイア!!」
 ガイアがやられる。誰もがそう思った、その時。

ビビビビビ―――!!!

 突然、ガイアの右上辺りから光線が飛来、光線を相殺した。
ガイア「デュア!?」
 ガイアがそちらを見上げると、そこには、赤色の光球が浮遊していた。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!?」
 と、Sタイラントが悲鳴をあげる。ガイアが光球からSタイラントに目を移すと、
そこには、別の赤い光球から突撃を食らい、翻弄されるSタイラントの姿があった。

石室「なんだ、あれは?」
 石室は驚きと困惑が半分ずつこもった声で呟く。
ヤズミ「まさか、別のウルトラマン?」
岩本「ウルトラマンの増援・・・・・?」
 ヤズミと岩本が言った。

 ガイアを守った方の光球はすぐにガイアのそばに降り、Sタイラントを翻弄した光
球も、ガイアの前に飛来してきた。
???(大丈夫か、ガム)
 Sタイラントを翻弄していた方の光球から、そんな思念がガイアの、我夢の頭の中
に響いてきた。
我夢(その声は・・・・・ケンイチさん!?)
 我夢は驚いてその思念に問う。同時に、二つの光球の光が薄れていく。
 そして、そこに二体のウルトラマンが姿を現した。
 一方のウルトラマンは、初代ウルトラマンとそっくりで、その胸と二の腕部分に
“スターマーク”がある、ウルトラ警備隊隊長、ゾフィー。
 もう一方のウルトラマンは、MDPO加盟組織、アメリカの超常現象対策チーム、
W.I.N.R.の隊員、ケンイチ・カイが変身する、目が青色で、腕にひれのような形状
のパワードスタビライザーがある光の巨人、ウルトラマンパワードだった。
ゾフィー(ガイア、よく今まで戦ってくれた。これからは我々も共に戦うぞ)
 ゾフィーがガイアに思念を送ってきた。そして、右腕を胸に当てる。その腕には、
等間隔に4つの突起が、十字になるように付いた、腕輪のような機械が装備されて
いる。
ゾフィー(受け取れ、ウルトラコンバーターだ!)
 ゾフィーは右腕をガイアに突き出し、ガイアはその腕に自身の右腕を当てる。
 すると、ウルトラコンバーターは光り輝いたかと思うと、一瞬にしてゾフィーの
腕からガイアの腕に移動した。
我夢(これは!)
 そのとたん、高速で点滅していたライフゲージが点滅をやめ、青色に戻った。

コウダ「ガイアのライフゲージが点滅を止めた!?」
ヒビキ「あれが、噂に名高いウルトラ警備隊隊長ゾフィーか!」
 ヒビキは笑みを浮かべて呟いた。
フブキ「きたぜ・・・・・!! とびっきりの奇跡がっ!!」
 フブキが低く、しかし喜びをこめて言った。


886 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:33:020


○ガイア→クァンタムストリームを放つが防御される。その後、ヒビキの機転に
より解放され、フォトン・ストリームを撃つもはね返され、あわや直撃のところを
赤い光球の光線で救われる。
○ヒビキ→エネルギー吸収バラバ鞭の根元、バラバ鉄球の攻撃を指令。
○石室→ヒビキの要請でMDPO全部隊に攻撃を命令。その後、Sタイラント胸部の器官
をガクゾムの器官と気付く。さらに、二つの赤い光球を見て驚く。
○フルハシ→MDPO部隊の攻撃を受けとめたSタイラントに罵声をあげる。
○フブキ→はね返されたフォトン・ストリームをミラーズシールドで受けとめよう
とするが、失敗。その後、ゾフィーとパワードの出現を“奇跡がきた”と表現。
○ゾフィー→赤い光球となってSタイラントが反射したフォトン・ストリームをM87
光線で受けとめる。その後、ガイアの元へ行き、ウルトラコンバーターを託す。
○パワード→赤い光球となってSタイラントを翻弄、その後、ガイアの元へ。
○岩本、ヤズミ→ゾフィーとパワードの光球を見て援軍のウルトラマンと推測。
●Sタイラント→クァンタムストリーム、MDPOの一斉射撃を同時に受けとめるが、
その隙をヒビキに突かれてバラバ鉄球を破壊され、ガイアにフォトン・ストリーム
を撃たれるがはね返す。その後、パワードの光球に翻弄される。


【今回の新規登場】
○ゾフィー(ウルトラマン/ウルトラマンA/ウルトラマンタロウ/ウルトラマンレオ)
ウルトラ警備隊隊長であり、ウルトラ兄弟の長兄。
初めてその姿を人間の前に現したのは、初代ウルトラマンがゼットンに倒された時
(赤い光球として)で、ウルトラマンエースVS超獣アリブンタ&ギロン星人の戦闘
の際にもエースのピンチに現れ、その後も地球にやってきたウルトラマンがピンチに
なるたび、その窮地を救いにやってきた。
その最大の武器はM87光線で、その威力はウルトラ戦士の中でも最高クラスと称され
ている。

○ウルトラマンパワード=ケンイチ・カイ(ウルトラマンパワード)
バルタン星人を追ってアメリカに現れたウルトラマン。M78星雲からやってきたが
ウルトラ兄弟との関連は不明。
通常、目は真っ青だが、怒りなどの感情の高ぶりによって赤くなる。
その必殺技は初代ウルトラマンと酷似したメガ・スペシウム光線。



887 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:37:500


  クラーコフ司令室。

石室「あれは・・・・・ウルトラ警備隊隊長ゾフィーにウルトラマンパワード!」
 石室がスクリーンに映った二人のウルトラマンを見て呟く。
ヤズミ「ウルトラマンが三人も・・・・・!!」
岩本「これなら、もしかすると・・・・・!!!」
 ヤズミと岩本が言った。

  ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「ば、馬鹿な、ウルトラマンがさらに2体だと!?」
 ガッツ星人は突然出現した二人のウルトラマンを見て、明らかに狼狽した。
ガッツ星人「しかも片方はあのウルトラ警備隊隊長ゾフィーか!! タイラントよ、
人間の攻撃など無視して、全力でゾフィーを叩くのだ!!」
 ガッツ星人はそう命令すると、自身はSタイラント援護のため、MDPO部隊に攻撃を
開始した。

Sタイラント「ギシィィィッ!!!」

ビュィィィイイイイイ―――ッ!!!

 Sタイラントはゾフィーを睨み付けると、その目の前にエネルギー増幅フィールド
を発生させ、ハイパーマイクロ波シェルを放つ。
石室「全機回避っ!!」
 石室が叫ぶと、射線上のMDPO部隊は即座に旋回、射線上から離脱する。
 しかし、ステルス円盤のレーザーがその内の数機を捉え、破壊した。
 放たれたH(ハイパー)マイクロ波シェルは一直線にゾフィー達三体のウルトラマン
に飛ぶが、それは当然の様にかわされる。
ゾフィー「デアッ!!」
パワード「ヘァッ!!」
ガイア「デュアッ!!」
 と、ウルトラマンたちは全速でSタイラントに飛び、ゾフィー&パワードはダブル
キックを決め、ガイアは続けてクァンタムストリームを顔に直撃させた。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」
 Sタイラントは悲鳴をあげた。

石室「MDPO部隊、ウルトラマンたちを援護しろ!!」
 石室が命令すると同時に、MDPO部隊が動き始めた。

竜「フルメタル・ミサイル全弾発射!!」
 うまくSタイラント後方についたタックファルコンから、黒銀色のフルメタル・
ミサイルが三発発射された。

ピチュンッ!

 が、突然虚空からビームが放たれ、フルメタル・ミサイル二発を破壊する。しかし
三発目のフルメタル・ミサイルがバーニアをつきぬけて背中に突き刺さり、数秒後、
バーニアごと爆発した。
Sタイラント「ギ、ギシィィィィッ!!!」
 Sタイラントが叫び声を上げると同時に、虚空からのビームが幾筋もタックファル
コンを襲う。
山中「くそ、ガッツ星人め、姿を現せよ!」
 山中が悪態をついた。

ヒイロ「ターゲット、ロックオン」
 ヒイロはタックファルコンを攻撃したビームの発射源周辺に向け、ツインバスター
ライフルを放つが、それは何にも当たらず虚空へ消える。

  ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「む、あの人型戦闘機か・・・・・!」
 ツインバスターライフルをかわしたガッツ星人がウイングゼロを睨む。
ガッツ星人「あの火力に機動力は後々障害になりそうだな・・・・今のうちに破壊
しておくか」
 ガッツ星人は呟いた。

 しかし、それが自身の破滅を導く事になろうとは、ガッツ星人は露ほども想像して
いなかった。



888 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:39:140


○石室→パワードとゾフィーの出現に驚愕、その後MDPO全部隊にHマイクロ波シェル
回避命令を出し、さらにウルトラマンの援護を命令。
○岩本、ヤズミ→ウルトラマン三人がつどったことで希望を得る。
○ガイア、ゾフィー、パワード→Hマイクロ波シェルを回避し、パワードとゾフィー
はダブルキックを決め、ガイアは続けてクァンタムストリームを撃ちこむ。
○竜、山中→Sタイラントにミサイルを撃ちこみ、バーニアを破壊。それによりガッツ
星人に攻撃を受ける。
○ヒイロ→タックファルコンを狙ったビームの発射源にツインバスターライフル発射。
●ガッツ星人→ゾフィーとパワードの出現に狼狽、ゾフィーへの集中攻撃を指令、
その後、Sタイラントを攻撃したタックファルコンへビーム攻撃を加え、ウイングゼロ
のツインバスターライフルをかわして、ウイングゼロへの攻撃を決意。
●Sタイラント→ガッツ星人の命令で、ウルトラマントリオにHマイクロ波シェルを
放つが、かわされて強烈な反撃を食らう。さらに、タックファルコンの援護によって
バーニアをまたも破壊される。



889 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:40:560


ヒイロ「・・・・・はずしたか」
 ガッツ星人の円盤への攻撃が失敗したヒイロは、そのままツインバスターライフル
をSタイラントへ向けようとした。

ピチュン、ピチュン、ピチュンッ!!

 が、虚空から放たれたビームが次々とウイングゼロに襲いかかる。
フブキ「させるか!!」
 と、ウイングゼロの目の前にテックブースターから放たれたミラーズシールドが
現れ、そのビームを受けとめる。
ヒイロ「そこか」
 ヒイロはまたビームの発射源にツインバスターライフルを放つが、それもまた、
虚空へ消える。
 そして、別の方向からビームがウイングゼロに飛ぶが、それもミラーズシールド
で受け止められる。
 それと同時に、ウイングゼロに内蔵されたゼロシステムが、ヒイロにガッツ星人
の円盤のおおむねの位置を伝えてきた。
ヒイロ「ターゲット、ロックオン・・・・・」
 ツインバスターライフルから、光の柱が飛ぶ。それはなにもない虚空へ消えると
思われたが、途中でその光の柱は何かに受けとめられ、そこにガッツ星人の円盤が
姿を現した。

  ガッツ星人ステルス円盤

ガッツ星人「ぐわっ!!」

バチバチバチバチバチィ!!!

 円盤のバリアがツインバスターライフルの直撃を食らい、コンソールから火花が
飛び散る。
ガッツ星人「くそ・・・・・!! どうやってこの円盤の位置を!?」
 同時に、スクリーンに宇宙文字が表示される。
『バリアへの過負荷により、バリア出力60%低下。ステルスシステム及びエンジン
80%損傷』
ガッツ星人「な、なんだと!?」
 そのスクリーンに、ウイングゼロとヘビーアームズが各々の必殺砲を構えるのが
映し出された。

ヒイロ「ターゲット、ロックオン」
トロワ「ネオマキシマエネルギー臨界。ネオマキシマ・バズーカ、発射」
 同時に、ツインバスターライフルとネオマキシマ・バズーカが同時に放たれ、一つ
にまとまると一直線に円盤へ飛んだ。
 円盤はかわそうとしたが、80%が損傷したそのエンジンでは間に合わず、合体光線
が円盤のバリアを突きぬけ、円盤の左舷を消しとばした。

ガッツ星人「ぐおぁっ!!!」
 小さな爆発が次々と起こり、円盤の操縦室のいたるところから火花が散る。
ガッツ星人「ぐ・・・・! 人間どもめ、よくも!」
 と、火花を散らすスクリーンに宇宙文字が表示された。
『バリア発生装置完全に破損、左舷消滅。航行不能、直ちに脱出せよ』
ガッツ星人「っ!! もはや、これまでか・・・・・・!!!」
 ガッツ星人は呟くとコンソールを叩き、
ガッツ星人「タイラントよ!! 最後の指令だ。その全力を持って、お前の前に立ち
ふさがる敵を殲滅せよ!!」
 ガッツ星人は、高らかに叫んだ。

美川「ガッツ星人の円盤のステルスが!」
竜「よし、スパイラルグレネード・ミサイル全弾発射!!」
 竜が命令するとほぼ同時に、タックファルコンからスパイラルグレネード・ミサイル
がガッツ星人の円盤に向け三発、射出された。
フブキ「フルメタル・ミサイル、スパイラルグレネード・ミサイル発射!」
 続けてフブキが命令すると、テックブースターからフルメタル・ミサイルとスパイ
ラルグレネード・ミサイルが各一発ずつ射出された。
 それらは、あっけなくガッツ星人円盤を貫き、その内部で停止して数秒、大爆発を
起こし――――ガッツ星人の円盤は、宇宙のチリと化した。



890 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/06(火) 23:42:110


○ヒイロ→Sタイラントに攻撃を加えようとするが阻まれ、光線の発射源に攻撃する
もはずれる。しかし、ゼロシステムによりガッツ星人の円盤に激しいダメージを与え、
円盤のステルスシステムを使用不能に追いこむと、トロワとの協力攻撃により円盤の
バリア破壊に成功。
○フブキ→ウイングゼロへの攻撃を、ミラーズシールドで防御。その後、バリアと
ステルスが破壊されたガッツ星人円盤に向け、フルメタル・ミサイルとスパイラル
グレネード・ミサイルを叩きこむ。
○トロワ→ヒイロと共にガッツ星人の円盤にネオマキシマ・バズーカで攻撃。
○竜→バリアとステルスが破壊されたガッツ星人円盤に、フルメタル・ミサイルと
スパイラルグレネード・ミサイルを叩きこみ、円盤破壊に成功。
●ガッツ星人→自分の最期を潔く受け入れ、Sタイラントへ「立ちはだかる敵の殲滅」
を命令し、タックファルコンとテックブースターのミサイル攻撃で爆散。



891 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/07(水) 15:56:240


石室「やったか・・・・! ガッツ星人の円盤を破壊した!」
ホリイ「これで、後はスーパータイラントだけやな!」
 ホリイが安心した様に小さく言った。

Sタイラント「ギシィィィィィィッ!!!」
 Sタイラントは突如目を赤く光らせて絶叫し、正面のウルトラマンたちを睨んだ。
ゾフィー「ヘアッ!?」

ギャルルルルル・・・・・・・

 と、Sタイラントが回転し始めた。

ビュィィィイイイイイ―――ッ!!!
ビチュチュチュンッ!! ・・・・バチバチバチバチバチッ!!!
ギュァァァァァ!!!

 Sタイラントはカラミティへルスピン・ネオを放ったが、ゾフィーたちはそれを
余裕でかわし、ゾフィーは稲妻状のZ光線を、パワードは白い光弾状のエナジーナッ
クルを、ガイアはガイアスラッシュを放ち、Sタイラントをひるませて光の竜巻を強
制的に停止させた。
デュオ「らぁ!!!」
 と、いつのまにかSタイラントとの真後ろにいたデスサイズヘルがビームシザース
を振り、傷ついていたタイラントの左腕を完全に切り落とした。
Sタイラント「ギ、ギシィィィィッ!!!!」
 と、Sタイラントは振り向きざまに右腕の刃を振る。
デュオ「うわぁっ!!」
 デスサイズヘルはその攻撃をもろにくらって弾き飛ばされた。
ガイア「デュアッ!」
 ガイアがとっさに飛びだし、弾き飛ばされたデスサイズヘルを受けとめる。
デュオ「わりい、ガイア! ・・・・・これでイーブンだよな?」
 ガイアが頷いた。

Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」

ヴン・・・・・
ビュィィイイ―――ッ!!

 Sタイラントは前方にエネルギー増幅フィールドを発生させ、Hマイクロ波シェル
を放ったが、その威力は、レギオンの外殻の代わりである左腕が健在だった時ほどで
はなくなっている。
ゾフィー「デアッ!!!」
パワード「ヘヤァッ!!!」

ビビビビビ―――!!!
ピィィィィ―――ッ!!!

 と、ゾフィーが右腕を突き出し、左腕を胸に当てた格好で放つ、ウルトラ兄弟の
必殺技の中でも最強を誇る、M87光線を、パワードが初代ウルトラマンと同様に腕を
十字に組んで、メガ・スペシウム光線を放った。

バリバリバリバリバリッ!!

 轟音が響き、威力弱めのHマイクロ波シェルと、M87光線とメガ・スペシウム光線
の合体光線が相殺した。
フブキ「今だ、タイラントの右腕に、フルメタル・ミサイルとスパイラルグレネード・
ミサイルを全弾発射しろ!!」
 フブキが叫ぶと同時に、ミサイル四発が、隙ができたSタイラント右腕の根元辺りに
直撃、その部分を抉りに抉って爆発した。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!!」

ギュァァァァァッ!!!

 Sタイラントは大きく鳴き声を上げ、テックブースターにコロナ・ビームを放つ。
ガイア「デュアッ!!」
 が、ガイアがその直線状に飛び出し、両手から発射する光のブーメラン状の光線、
シャイニングブレードを放ってコロナ・ビームを曲がる前に相殺する。
パワード「デァッ!!」
 と、パワードが、パワードスラッシュを二連発する。それはSタイラントに飛び、
寸分の狂いも無く右腕を切り落とすと、さらにそれを二分割した。
Sタイラント「ギ、ギシィィィィッ!!!」
 Sタイラントが悲鳴をあげると同時にその前方にエネルギー増幅フィールドが現れ、
次はそこにコロナ・ビームを放つ。

ギュァァァァァッ!!!

 エネルギー増幅フィールドと同じ太さになったハイパーコロナ・ビームが、パワード
に向け放たれる。
ガイア「デュアッ!!」
 ガイアのフォトンエッジが、そのコロナ・ビームを受けとめる。
ヒビキ「トルネードサンダー、発射!!」
 そこにガッツイーグルのトルネードサンダーが発射され、
ヒイロ「・・・・・これで十分だろう」
 さらにウイングゼロのツインバスターライフルを分離したバスターライフルの光条
が加わる。
 そして、それらにより徐々にハイパーコロナ・ビームが押し戻されていく。
Sタイラント「ギ、ギシィィィッ!」
 Sタイラントはまた耐えられなくなったのか、上に飛び、

ビチュチュチュチュン! ・・・・バチバチバチバチバチ!!

 G・クラスターを次々に連射、MDPO部隊&ウルトラマン三体にあびせた。
ヒビキ、竜、フブキ、キリヤマ「全機、回避しろ!!」
 ヒビキたち四人の小隊長が同時に叫び、各部隊の機体は次々と降り注いでくるG・
クラスターをかわしていく。
ガイア「デュアッ!!!」
ゾフィー「ヘイッ!!!」
パワード「ヘヤッ!!!」
 と、ガイア、ゾフィー、パワードが横一列に並び、一斉に必殺技であるフォトン・
ストリーム、M87光線、メガ・スペシウム光線を放つ。
Sタイラント「ギシィィィィィッ!!!」
 が、Sタイラントの強化された亜空間バリアがそれらを受け止めきる。
ガイア「!!」
我夢(な、なんて強力なバリアだ!)
 ガイア=我夢が驚くと同時に、ゾフィーとパワードが体の向きを変え、ガイアの後
ろの方へ飛んでいく。
ゾフィー(ガイア、“フォーメーション・トリプルブラスト”だ!!)
 その思念と同時に、ゾフィーとパワードは飛ぶのをやめ、ゾフィーが右に、パワード
が左に並び、
ゾフィー「デヤッ!!!」
パワード「ヘヤッ!!!」
 ゾフィーの右腕とパワードの左腕を交差し、その腕を孤を描く様に動かして胸に手
を当てた後、ゾフィーは右腕を突き出してM87光線を、パワードはメガ・スペシウム
光線を、共にガイアに向けて放った。



892 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/07(水) 15:59:470


○石室、ホリイ→ガッツ星人の円盤が破壊されたのを見て喜ぶ。
○ゾフィー→カラミティへルスピン・ネオを放とうとするSタイラントをガイアや
パワードと共に妨害、さらにパワードと共にハイパーマイクロ波シェルを受けとめ、
G・クラスターを乱射してきたSタイラントにM87光線を放つが、亜空間バリアで受け
とめられ、“フォーメーション・トリプルブラスト”を使用、なぜかガイアに向け、
M87光線を発射。
○ガイア→カラミティへルスピン・ネオを放とうとするSタイラントをゾフィー、
パワードと共に妨害、弾き飛ばされたデスサイズヘルを受けとめ、さらに、テック
ブースターをかばった後、ハイパーコロナ・ビームを相殺、G・クラスターを乱射し
てきたSタイラントにフォトン・ストリームを放つが、亜空間バリアで受けとめられ
て驚愕。
○パワード→カラミティへルスピン・ネオを放とうとするSタイラントをゾフィー、
ガイアと共に妨害、さらに、ゾフィーと共にハイパーマイクロ波シェルを受けとめ、
テックブースターの攻撃でSタイラントがひるんだ隙に、パワードスラッシュで、S
タイラントの右腕を切り落とす。その後、Sタイラントにメガ・スペシウム光線を
受けとめられ、“フォーメーション・トリプルブラスト”を使用、なぜかガイアに
向けメガ・スペシウム光線を発射。
○デュオ→カラミティへルスピン・ネオが妨害された隙にSタイラントの左腕を切断
するも弾き飛ばされ、ガイアに受けとめられる。
○フブキ→ハイパーマイクロ波シェルとメガ・スペシウム光線&M87光線が相殺した
隙を突き、Sタイラントの右腕付け根にミサイルをぶち込む。その後、乱射されたG・
クラスターの回避命令を出す。
○ヒビキ→ハイパーコロナ・ビームを受けとめたフォトンエッジの援護をし、その
後、乱射されたG・クラスターの回避命令を出す。
○ヒイロ→ハイパーコロナ・ビームを受けとめたフォトンエッジの援護をする。
○竜、キリヤマ→フブキ、ヒビキと共に自らが指揮する部隊に乱射されたG・クラス
ターの回避命令を出す。
●Sタイラント→ガッツ星人の最期の命令を受け、まずカラミティへルスピン・ネオ
を放つが、ウルトラマン三体の攻撃で強制停止させられ、デスサイズヘルのビーム
シザースで左腕を切り落とされる。その後、デスサイズヘルを弾き飛ばしてハイパー
マイクロ波シェルを放つもゾフィーとパワードにより相殺、その一瞬の隙にテック
ブースターのミサイルで左腕を抉られ、さらにはパワードスラッシュで腕を切断され、
ハイパーコロナ・ビームを放つがまた受けとめられ、G・クラスターを乱れ撃ちし、
反撃に放たれた、ウルトラマン三体の各必殺技を亜空間バリアで受けとめる。



893 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/07(水) 16:03:450


石室「!? な、何を!?」
 ガイアに向かって放たれたウルトラマン二体の必殺光線をみて、みるみるうちに
司令室内に驚きが浸透し、石室が声をあげた瞬間、ウルトラマン二体の必殺光線が
ガイアの後ろで合わさり、だんだん膨れ上がっていく。
ガイア「デュアァ! ァァ―――ッ、デュア!!」
 と、ガイアが両腕を顔の前で交差し、集中した。すると、ガイアの体が光の粒子
となって合成された光線に吸い込まれていく。
石室「あれは・・・・・!?」
ホリイ「なんや、あれ!?」
フブキ「今のはまさか・・・・・クロスパーフェクション!?」
 フブキが驚いて呟く。

 クロスパーフェクション、それはかつて、“宇宙正義”デラシオンが地球の全て
の生命を消去しようとした“ギガエンドラ事件”の際、ウルトラマンコスモスと
ウルトラマンジャスティスが見せた連携技である。

岩本「いや、あれはクロスパーフェクションじゃない・・・・! 言うなれば、
“トリプルフォトン・パーフェクション”だ。」
 フブキの言葉を聞いていた岩本が言った。
マイ「トリプルフォトン・パーフェクション・・・・・」
 マイが呟く。
石室「・・・・・デュオくん、光線発射と同時にタイラントに攻撃を加えろ!」
デュオ『了解っ!』
 石室が命令すると同時に、デスサイズヘルがSタイラントに向かって飛翔した。
ゾフィー「ッ―――、へアァ!!」
パワード「ァ―――、デァッ!!」
 ゾフィーとパワードが力を込めると、ガイアが融合した合体光線がSタイラントに
向かって放たれた。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!」

ヒュィィィンッ!

 バリアが変化し、リフレクトバリアになった、その瞬間。
デュオ「おらぁぁぁ―――っ!!!」
 デスサイズヘルがSタイラントに飛びかかった。
Sタイラント「ギシィィィィッ!!」

ブンッ・・・・・
ビチュン! ・・・・バチバチバチッ!!

 バリアから音がして、バリアが亜空間バリアに切り替わり、それと同時に、S
タイラントが口から、G・クラスターを放つ。
デュオ「おっと!!」
 デュオはG・クラスターをかわす。同時に、亜空間バリアにゾフィー&パワード
タッグのクロスパーフェクション+ガイアが変化した光子の合成光線、トリプル
フォトン・パーフェクションが、光線の先端を、まばゆく光るガイアに変化させ
ながら飛んだ。
Sタイラント「ギ、ギシィィィィ!!?」
 Sタイラントの強化された亜空間バリアは数瞬の間それを受けとめたが、すぐに
耐えられないと悟ったのか、Sタイラントは上に飛んで逃げる。
 トリプルフォトン・パーフェクションは数秒虚空へ飛んだ後、光子が収束し、
ガイアに戻った。

  クラーコフ艦内:メディカルルーム

アスカ「すげえ・・・・・!」
 アスカが、トリプルフォトン・パーフェクションを見て呟く。
アスカ「が・・・・・っ!!」
 が、その次の瞬間、アスカは激しい痛みを感じ、頭を押さえた。

“うお―――っ!!!”

 アスカの頭の中に、すでに聞きなじんだ男の声が響き渡る。

“やめて×××! 死ぬ気なの!?”

 女の声が響くが、名前を言っているらしい一部分だけは聞こえない。

“その卑怯者をぶちのめすまで死にはしねぇっ!!! それに、オレは・・・・・”

“オレは今、君だけを守りたい!!!”

 アスカは、その声を聞きながら、激しい頭痛を感じる意識を手放した。

ヒビキ「くそ、ちょこまかと!」
 ヒビキがイライラと呟く。と、そこに、四人の小隊長機に石室から連絡が入った。
石室『ヒビキ隊長、竜隊長、フブキ隊長、キリヤマ隊長。これから、ウルトラマン
たちがもう一度タイラントへ攻撃を敢行するはずです。その時、Sタイラントを包囲
して攻撃を加えてもらいたいのですが』
ヒビキ「了解しました!」
 ヒビキは答えると、コスモアタッカー部隊残存の全機に通信を繋ぐ。
ヒビキ「コスモアタッカー部隊全機へ! これより、我々はウルトラマンの援護を
行なう! Sタイラントを包囲し、全火力をもって攻撃をかけろ!!」
 ヒビキが命令すると同時に、コスモアタッカー部隊が次々に高速で飛翔、見る間に
Sタイラントを包囲してファイナルメガランチャーをSタイラントめがけ撃ち始めた。
 それに続くように、フブキ率いるブラックバスター隊、竜率いるGW・クリムゾン
ドラゴン隊、キリヤマ率いるステーションホーク部隊がSタイラントを完全に包囲、
そのもてる全ての火器で攻撃を開始した。
Sタイラント「ギィィィィッ!!」
 Sタイラントは、それをゼットンシャッターを張って受けとめた。



894 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/07(水) 16:05:470


○石室→ガイアに向けて放たれたウルトラマン二体の攻撃を見て驚愕。その後、
デュオにSタイラント攻撃を指令。さらに、ヒビキ達四人の部隊長へ攻撃を指示。
○ガイア→肉体を光子に変化してゾフィーとパワードのクロスパーフェクションに
融合、トリプルフォトン・パーフェクションとなってSタイラントへ飛翔。
○フブキ→ゾフィーとパワードの攻撃がクロスパーフェクションだと気付く。
○岩本→フブキの呟きを聞き、ウルトラマン三体の攻撃を、“トリプルフォトン・
パーフェクション”と名づける。
○デュオ→石室の指令を受け、リフレクトバリアを張ったSタイラントを攻撃、
リフレクトバリアを亜空間バリアに変換させる。
○ゾフィー、パワード→トリプルフォトン・パーフェクションを放つ。
○アスカ→トリプルフォトン・パーフェクションを見て、記憶の断片を取り戻すが
気絶。
○ヒビキ→石室から攻撃命令を受け、他の部隊長と共にSタイラントへ攻撃を加える。
●Sタイラント→トリプルフォトン・パーフェクションを反射しようとするが、デュオ
の妨害により失敗、脱出。そこをMDPO部隊に囲まれて砲撃を受ける。



895 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/07(水) 16:08:270


カイ(ガム! もう一度いくぞ!!)
 パワード=カイがガイアに向けて思念を放つと同時に、もう一度ゾフィーの右腕
とパワードの左腕が交差され、その腕が孤を描く様に動かされ、胸に手を当てられた
後、ゾフィーは右腕を突き出してM87光線を、パワードはメガ・スペシウム光線を、
ガイアの真後ろに向けて放つ。
 ゾフィーとパワードのクロスパーフェクションは、再びガイアの後ろで停止し、
巨大化していく。
 と、そこに、ウイングゼロとネオマキシマ・バズーカを持ったヘビーアームズが
飛来してきた。
ヒイロ「・・・・・ツインバスターライフルの全エネルギーをお前達に託す」
トロワ「ネオマキシマ・バズーカ、発射」
 そして、ツインバスターライフルとネオマキシマ・バズーカが同時に放たれ、
ゾフィーとパワードのクロスパーフェクションに合体、光球をさらに巨大化させる。
ガイア「デュアァ! ァァ――――、デュア!!!」
 ガイアが先ほどよりも集中、体を再び光子に変換し、光球と融合した。

Sタイラント「ギシィィィィッ!!」
 Sタイラントはゼットンシャッターの前側と亜空間バリアだけ消すと、胸部から、
ブラデット・スライサーをゾフィーとパワードへ向けて放つ。
デュオ「させるかよっ!!」
 デスサイズヘルが高速回転しながら飛来してくるブラデット・スライサーの前に
飛びだし、ビームシザースを素早く一閃、ブラデット・スライサーを真っ二つに。
ヒビキ「コウダ! ライトンR30爆弾、サターンZミサイルを全弾発射っ!! 奴に
これ以上攻撃させるな!!」
コウダ「ラジャ! 全弾発射します!!」
 同時に、ガッツイーグルからミサイルと爆弾が二発ずつ発射され、ゼットンシャ
ッターに直撃。さらに、テックブースター、タックファルコン、ウルトラホーク1号
からも一斉に、ライトンR30爆弾二発とサターンZミサイル二発が放たれ、ほとんど
同時にゼットンシャッターに叩きこまれて、Sタイラントの周囲で大爆発を起こした。
Sタイラント「ギ、ギィィッ!!?」
ヒビキ「今だ! 行け、ガイアッ!!!」
 ヒビキが叫んだ。
 同時に、亜空間バリアがエネルギー増幅フィールドに変わり、さらにゼットンシャ
ッターの前方だけバリアが解除、そこからコロナ・ビームが放たれ、エネルギー増幅
フィールドによりハイパーコロナ・ビームに増幅されて、光球へ飛んだ。
 が、それと同じタイミングでゾフィー、パワード、ウイングゼロ、ヘビーアームズ、
そしてガイアの連携した“合体神技”トリプルフォトン・パーフェクションが発射さ
れ、先端にガイアを形作りながら飛翔、ハイパーコロナ・ビームを押し戻しながらS
タイラントへ飛翔する。
 と、エネルギー増幅フィールドが消え、強化亜空間バリアが現れたが、トリプル
フォトン・パーフェクションは強化亜空間バリアとゼットンシャッターの両方を一瞬
で貫き、さらにはSタイラントの体をも、貫通した。
Sタイラント「ギ・・・・・ィィ・・・・・」

チュドチュドチュドチュドォォンッ!!

 次の瞬間、Sタイラントは大爆発を起こし、完全に消滅した。
 そして、ガイアが、光子から元に戻って、その姿を現す。
石室「やったな、我夢!」
 石室が呟くと同時に、ガイア、ゾフィー、パワード、ウイングゼロ、デスサイズ
ヘル、ヘビーアームズ、そして、ガッツイーグルを先頭にコスモアタッカー部隊、
テックブースターを先頭にブラックバスター隊、タックファルコンを先頭にGW・
クリムゾンドラゴン隊、ウルトラホーク1号を先頭にステーションホーク部隊が、
一斉にアートデッセイ号及びクラーコフ、ピースミリオンへ向かって飛んだ。
ガイア「デュア!」
ゾフィー「ヘアッ!」
パワード「デアッ!」
 ガイア、ゾフィー、パワードは、周囲のMDPO部隊に向け、軽く額に手を当てて
敬礼する。
 各部隊の全員がコクピットから、協力してくれた光の巨人達に敬礼を返した。
ゾフィー(ガイア。)
我夢(はい!)
 我夢=ガイアは、腕のウルトラコンバーターをゾフィーに返却した。
ゾフィー(ガイア、パワード。よく協力してくれた。感謝する!)
 ゾフィーが最後に思念を放ち、そして、赤い光球へ変化すると、高速で飛び去って
いった。
 そして、ガイアとパワードは光の粒子となってクラーコフへ飛び込んでいき、司令
室に粒子が収束し、我夢ともう一人、日系アメリカ人、ケンイチ・カイに戻った。
ホリイ「よーやったな、二人とも! ウルトラマン三人とガンダムの協力は、まさに
圧巻やったで!」
 ホリイが、我夢とカイに向けて言う。
我夢「ど、どうも」
カイ「ありがとう」
 我夢とカイが同時に答えた。
石室「二人とも、よくやってくれた。感謝してもしきれない」
 石室も、ホリイに続けて言う。
 と、そこに、ヒビキ、コウダ、カリヤ、ナカジマらスーパーGUTSの面々が入って
来た。
ヒビキ「我夢くん、宇宙での戦いの経験もほとんど無いのに、よくここまで頑張って
くれた! 君は、ウルトラマンパワードか? 君にも礼を言わなければな! おかげで
地球は救われた!」
我夢「そんな、ヒビキ隊長たちMDPO部隊やヒイロくんたちの協力のおかげですよ!」
 我夢が驚いた様に手を振って言う。
カリヤ「何にしろ、これで一件落着ですね!」
 カリヤが言うと、石室は真顔になって、
石室「本当に、全て解決したのだろうか?」
 と呟く。周りの一同は驚き、ヒビキはその呟きを受けて、
ヒビキ「まだ、終わっていないとお思いですか?」
 と尋ねる。
石室「ええ。まだ、シグアドベンチャーに破壊工作を行なった工作員は行方不明です。
宇宙連合の工作員が、そんな事をする意味もありませんし」
ヒビキ「なるほど・・・・・事件はまだ、終わっていないのか・・・・?」
 石室とヒビキは真顔で呟き、司令室の全員が考え込んだ。
ヤズミ「コマンダー、クラーコフ、アートデッセイ号、ピースミリオン、発進します。」
 そこにヤズミが報告を入れ、数秒後、三隻はガニメデ宙域から消失した。

 三隻はガニメデでの戦闘を追え、地球へ進路を向けて、帰還する。
 陰謀渦巻く、蒼い星へと。


896 名前:新章/ダイナ帰還・ガニメデ編SS:2007/02/07(水) 16:12:350


○ パワード→トリプルフォトン・パーフェクション発射。Sタイラントを倒すと、
クラーコフ司令室でケンイチ・カイに戻る。
○ ゾフィー→トリプルフォトン・パーフェクション発射。Sタイラントを倒すと、
赤い光球になって飛び去る。
○ ヒイロ→トリプルフォトン・パーフェクションへツインバスターライフルを放つ。
○ トロワ→トリプルフォトン・パーフェクションへネオマキシマ・バズーカを放つ。
○ ガイア→トリプルフォトン・パーフェクションに融合しSタイラントを倒すと、
クラーコフ司令室で我夢に戻る。
○ デュオ→パワードとゾフィーに放たれたブラデット・スライサーを真っ二つに。
○ ヒビキ→Sタイラントへ攻撃命令を出す。Sタイラントが倒された後、クラーコフ
へ帰還、我夢とカイを賞賛する。
○ コウダ→ヒビキの命令でライトンR30爆弾、サターンZミサイルを全弾発射。
○ 石室→事件はまだ終わっていないと自分の意見を話す。
○ カリヤ→事件が全て解決したと発言。
○ ヤズミ→石室にMDPO部隊の発進を報告。
● Sタイラント→トリプルフォトン・パーフェクション妨害の為に、ブラデット・
スライサーを放つもデスサイズヘルに防がれる。その後、最後の足掻きとばかりに
ハイパーコロナ・ビームを放つもトリプルフォトン・パーフェクションに押し戻さ
れ、すぐ亜空間バリアとゼットンシャッターを張るが一瞬で貫通されて、ウルトラ
マン三体&ガンダム二機の協力による“合体神技”の直撃をくらって爆散。


897 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 02:53:300


       早朝

    ホテル・トアール  403号室


 日本、東京のある所に存在するホテル。トアール。

 空が間もなく昇る朝日を出迎え、白く淡き光で霞む早朝6時台。
 その4階、403号室では、一人の女性が既に起きていた。

シオン「・・・・・・ ん〜〜・・・・・・」
 寝ぼけ眼を擦り、実家以来の布団から起き上がると、パジャマ姿の
シオンはいつもの癖で辺りの床をまさぐる。

 これは眼鏡をかける人間にしか分からない、【朝起きたら最初に眼鏡を
探す】という、脳に刷り込まれた習性なのだ。

シオン「・・・(あ、そうか・・・ メガネ、ないんだっけ)」
 だが急速に意識が覚醒していくとともに、シオンは自分の眼鏡が今は無い
事に気が付く。

シオン「ええと・・・」
 確か、昨日は・・・

 いきなりエルザとデュランダルが、ハカセの発明で起こった時空震で、
4000年前にまた戻ってきて・・・ そのあと小牢さん達が現れて、怪人
とか、ガンダムとかいうのが出て・・・ そのあと東風が・・・

シオン「(そのあとは・・・?)」

 ・・・・・・・・・ ああ、そう。
 一旦森羅の支部に到着して、ガイナンさんと森羅の人とで話し合いに
なった後、エルザやデュランダルを出すのはまずいということで・・・

 このホテルに、私達は男女それぞれ別の、幾つかの部屋に別れて3〜4人
で一時的にそこを住居にする事になり、様々な事件の連続で疲れていた
シオンと他の皆は、食事を終え布団に入るなり・・・

シオン「・・・・・・」
 辺りを見渡すと、隣にある布団では、モモちゃんが静かな吐息を立てて
おり

 後ろでは、KOS-MOSが部屋に持ち込まれた調整槽の中で目を閉じている。
 おもいきり和室作りの部屋の中で、4000年後の世界の科学を象徴した
調整槽は、おもいきり異彩を放っていた。

シオン「・・・・・・ 顔洗お」
 未だに残っている眠気を覚ます為、洗面所に向かう事にしたシオンは、
ゆっくりと立ち上がった。



898 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 02:55:000

○シオン・ウヅキ→事件と戦闘の翌日、東京はホテル・トアールにて起床


899 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 03:07:380


     (パシャ、パシャパシャ・・・)

 洗面台の前に屈んで、流水を手にすくい顔を洗っているシオン。
 前にも(強制的に)来た時代ということもあり、旧時代の生活にも慣れた
ものであった。

シオン「(・・・でも、最初に思ったほどこの時代って、私達の時代と比べて
不便さが無いのよね・・・)」
 考えてみれば、旧時代は一度滅びているとはいえ、この時代で見るロスト
テクノロジーの数々は、中には私達の時代にすらないものさえある。

 ・・・やはりここは平行過去なのか、それとも・・・


      (ガチャ、ガチャガチャ・・・ カチ)

 そうシオンがはっきりと、冷水で完全に覚めた頭で考えあぐねていたその
時、洗面台のすぐ近くにあるドアの鍵が開く音がした。

シオン「・・・・・・?」
 普通ならホラーの如く恐怖を感じなければいけないシチュエーション
だが、シオンは何となく、不審者ではなくとある人物の顔を頭に浮かべた。

         (カチャ・・・ キー・・・・)

 ゆっくり開いていく扉。
 そして

小牢「今、扉を開けましたー・・・ 閉めました」
 内緒話のような小声で何か実況のような口調。
 右手にカメラ、左手にマイクを握りつつ、小牢が入ってきた。

小牢「おじょーさん達は昨日の戦闘の疲れでグッスリと眠っているはず。
 さあ、未来から来た天使の寝顔はどんなもので・・・」

シオン「・・・・・・小牢さん?」
小牢「っ────!!? ケホッ! ケホ、ケホッ!!」

 シオンの半ば呆れ気味の呼びかけに、小牢は驚き、その拍子に息を吸い
すぎたらしい。
 全身で咳き込んでいるが、それでもボリュームをかなり抑えたセキに
留めている辺り、さすがの芸人根性というか・・・

シオン「こんな早朝からなにやってるんですか?」
小牢「いやー・・・ せっかくじゃから寝起きドッキリごっこでも、と」

零児「ごっこじゃなくて、本当の寝起きドッキリだろ」
 ドアの方から聞こえる声に振り向く二人。

 ドアは閉まったままで、その向こうから零児の声がする。
 断りなしに女性だけの部屋には入るまいという、零児なりの紳士的な
気遣いだろうか。

シオン「あの・・・ 入っていいですよ?」
零児「それは重畳」
 シオンの許可にいつもの言葉で答えた零児は、見事なまでに音を立てず
自然な動作で部屋の中に入ってきた。

零児「すまんな。うちのアホ狐がいらんちょっかいを」
 そう言うと、零児は小牢の服の襟を掴み、ひょいと持ち上げる。

小牢「うにゃ!?」
 変な声を上げながら、零児の胸元に宙ぶらりんで持ち上げられている
小牢の恰好は、本当に捕獲された狐に見えた。

零児「こいつにはきつく灸を据えておくから、ゆっくり寝てくれ」
 じたばた暴れる小牢のパンチやキックを慣れた様子で避わしながら、
その場を立ち去ろうとする零児。

シオン「あのー・・・」
 それをシオンは呼び止める。

零児「・・・なんだ?」
シオン「私、自分で目が覚めちゃって・・・ 今からフトンに入っても眠れ
そうにないですし、せっかくだからホテルの中を散策したいなって・・・
 それで、あの・・・ 自販機どこですか?」

零児「・・・・・・」
 シオンのお願いに、小牢を持ったまま何かしら考えている様子の零児。

 そして

零児「そうだな・・・ 俺はこれから他の用事があるし・・・ 小牢」
小牢「ほえ?」

零児「下らんことをしたお詫び代わりだ。シオンを案内しろ」
小牢「え〜〜? わしには帰りを待っておるPSPが・・・」
 小牢の言葉に、零児はフッと笑い

零児「ちゃんと案内しないなら、こいつはこの前の任務での借金のカタだ」
小牢「あ────!!? わ、わしの命(PSP)が───っ!!?」

 零児の手には、裏にキツネのシールが張ってある携帯ゲーム機が握られ
ていた。

小牢「な、なんという非道な真似を───!! わしはお前をそんな風に
育てた覚えはないぞ零児ィ────ッッ!!?」

零児「ああ、おかげで金のやりくりには苦労させてもらってるな。
 仕事の失敗で公共物をやたら壊して借金は作る、勝手にへそくりは作る。
赤字でもこういうものは勝手に買う・・・」

小牢「う・・・ いやその、それでもPS3は家計を考えて諦めたぞ?」

零児「うそつけ。・・・そもそも、PS3は諦めたんじゃなくて予約ミス
で、しかも360もウィーも買おうとしただろう? うん?」

小牢「え、え〜〜と・・・ ・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・ 喜んで、案内させていただきます・・・」

  冷や汗を流しつつ、すっかり観念した表情で承諾した小牢。
 その姿は心なしか縮まっているように見える。


シオン「・・・・・(わあ・・・ 本当に天然で漫才コンビねー・・・)」
 そんな二人の様子を見つつ、シオンは笑いを堪えているのだった。



900 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 03:11:230

○シオン・ウヅキ→小牢に呆れ、コンビの夫婦漫才の面白さに感心
○小牢→寝起きドッキリに失敗、零児に弱みを握られ、シオンの案内役へ
○有栖零児→小牢をひっとらえ、案内役に任命。



901 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 03:19:570


 そんなこんなで、シオンはいつもと同じ服に着替え、小牢と共にホテル
内のぶらり散策に出る事となったのであった。

シオン「何だかすいません。気まぐれの思いつきに小牢さんを巻き添えに
しちゃって・・・」
 ホテルの廊下をスリッパで歩きながら、苦笑するシオン。

小牢「まー、こういうのもワシらの仕事じゃし、これはこれでの。
 ところで・・・」

  シオンの前を歩いていた小牢は、くるりと振り返り

小牢「お主、メガネはどうした?」
シオン「え・・・ あ、その・・・ 割っちゃったんです」
 正確には、割ったのはアレン君だが

小牢「そりゃイカンなぁ。すぐに新しいメガネを買わんと」
シオン「いえ、私本当は裸眼でも大丈夫ですから・・・」

小牢「い〜〜〜かぁ〜〜〜〜〜〜 んっ!!!!
シオン「わっ!?」

 小牢の大声一歩手前の迫力に、後ずさるシオン。

小牢「メガネっ娘がメガネを外すなど、ラーメンからスープをなくすような
モンじゃぞ!? メガネはたまに外すからよいんじゃ。外したままなど
言語道断横断歩道!!!」

シオン「は、はあ・・・」
 シオンは既にたじたじである。

小牢「・・・となると、さっそく新しいメガネを買わんとなぁ」

 と、小牢が顎に手を当てながら勝手に考えだしたところで

シルフィー「それでは、こちらなどいかがですか?」
 急に横から、聞いた事のある声。

シオン「え・・・!? シルフィーさん!?」

 ホテルの部屋部屋のドアが並び立つ中で、一つだけ異彩を放つその空間。
 まるで部屋をくり抜いて店を入れたとしか思えないような広い入り口の
中心には、全く変わらないシルフィーのスマイルがあった。

小牢「おー、シルフィー」
シルフィー「こちら、通常のメガネからサングラス、サーマルスコープまで
一通り揃っております」

小牢「メガネはどんなのがあるんかの?」
シルフィー「円形、四角、フォックスからユニークタイプまで、リム付き、
ハーフリム、リムなし全種類・・・ オススメは、こちらの【いいんちょの
メガネ】でございます」

小牢「おおー、これもまた捨て難いのー」
シオン「あの・・・ 小牢さん?」
 よくわからない単語が出てきたりと、途中から完全に自分が置いてかれて
いることに気付いた時にはもう手遅れだった。

小牢「しかし、シオンならやっぱしこれと違うか?」
シルフィー「さすが小牢様。私もそう思いますわ」

 シオンがあっけに取られているうちに、結論が出たらしい。

小牢「おーいシオン、顔、顔」
 ちょいちょいと、小牢は手招きで顔をこっちに寄せろと示す。

シオン「・・・・・・・・」
 仕方なく、膝を曲げて小牢に顔の位置を合わせるシオン。

小牢「グラ────ス オ────ン♪」
 すると小牢は、シルフィーから受け取ったばかりのメガネを、変な掛け声
と共にスチャリと掛けた。

シルフィー「いかがですか?」
 どこから出したのか、シルフィーが鏡をシオンの顔の前に出す。

シオン「あ・・・」
 シルフィーの鏡越しに自分の顔を見たシオンは、軽く驚いた。

 自分が長年掛けていたメガネと、そっくり瓜二つだったから。

シルフィー「シオン様と小牢様ですから、サービス価格の半額でいかがで
しょう?」
小牢「おお、太っ腹!
 ・・・では、これはわしからの迷惑のお詫びっちゅうことで」

シオン「え!? いやそんな、悪いですよぉ!」

 シオンは当然遠慮するが、小牢とシルフィーの押しの方が強い。
 そうしてシオンは、眼鏡っ娘に復帰することとなったのであった。


小牢「・・・しっかし、よくあんなそっくりなメガネがあったのう。ん?」
 小牢がシルフィーに耳打ちで尋ねると

シルフィー「実は、【シオン(様)の眼鏡】として売り出そうかと思って
いたところでございました」
小牢「あー、なるほど。じゃからシオンがメガネをかけとらんと困るから
待ち構えとったっちゅうわけか。おぬしも悪よの〜」

シルフィー「いえいえ、お代官様こそ♪」

シオン「・・・・・・・・・?」
 知らぬは本人ばかりなり・・・



902 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 03:21:420

○シオン・ウヅキ→シルフィーの陰謀により、眼鏡ッ娘に復帰。
○小牢→シオンに眼鏡をプレゼント
○シルフィー→眼鏡を売ることに成功

【今回の新規登場】
○シルフィー(ロストワールド)
総てが謎に包まれた、美しき謎の女商人。
常に天使のような笑顔で客に接するが、その実かなりの商売主義を思わせる
部分など、腹黒さも伺える。ロストワールドで1P、2Pを商品で支えた
人物。その品揃えは鉛筆から兵器まで常識を超えた品揃えのよさで、
店も自分も含めて神出鬼没。そして彼女自身も強く、統一性の無い
トリッキーな闘い方をする。


903 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 03:31:130


 シルフィーと別れたシオンと小牢は、改めて向こうの自動販売機置き場
へと歩んでいた。

シオン「あの・・・ 小牢さん」
 その途中で、シオンはふと小牢に尋ね始める。

小牢「んー?」

シオン「シルフィーさんがいたって事は、もしかして・・・」
小牢「なんじゃ、今頃気付いたんか?」

 シオンの疑問を、小牢はそんな一言で答えきってしまった。

シオン「じゃあ・・・」
小牢「うむ。この時代の物質界の住人以外は、あん時のメンバーほぼ全員が
このホテルに泊まっとるよ」

シオン「・・・・・・・」
 あの時の全員が、この時代の、この世界に来ている・・・!?

シオン「(どういうこと・・・? そんなこと、偶然では絶対・・・)」
 歩きながら考え込むシオン。

 やはり今回の事態には、何かがあるのだろうか・・・?
 人智を超えた、私の常識では考えもつかないような、何かが・・・

小牢「それに・・・」
シオン「それに・・・?」
 小牢の含みのありそうな言葉に、シオンが顔を上げた、その時


    (ガシャン、ガシャ、ガシャン・・・)

シオン「・・・? 何の音・・・?」
 自分達の進行方向である方向、その角の向こうから、何か鉄の塊が
擦れ、軽くぶつかるような音が聞こえてくる。

 しかもそれは、自分達の方へどんどん近づいて来ていた。


?????「まったく・・・! 貴公を信じた私が馬鹿だった!!!」
???「あ、アグリアスさん! そんな大声出しちゃ・・・」

 同時に、なんだか女の怒声と宥める男の声も聞こえる。

 そして声の主達は角を曲がり、こっちに姿を現した。

アグリアス「何が【あの鉄の箱は話しかけると飲み物を出してくれる】だ!
 お陰でえんえんと話しかけていた私はいい笑いものだ!! ・・・こんな、
こんな辱め・・・ 私は今まで、生きて来て初めてだ!!!」

 角を曲がって現れたのは、凛々しい顔立ちをした女騎士。
 本来は美しい顔立ちなのだろうが、今の彼女は、それがわからないほどに
羞恥で真っ赤に染まり、怒り心頭の涙目という、誰もが近寄るに近寄れ
なさそうな形相だった。

 先程の鉄の音を発していたのはこれだろうとハッキリ分かるほどの、
彼女の体を覆い守っている堅固且つ神聖なイメージを与えられる甲冑。

それはこの時代から考えてもかなり時代違いな代物で、シオンは思わず
あんぐりと口をあけてぽかんとしてしまっていた。

ラムザ「いや、それを言ったのはムスタディオで・・・ あ、ちょっと
アグリアスさぁん、待ってくださいよ〜〜っ!」

 それを追いかける少年の姿は、また逆に意表を突かれた。

 見方によっては女性と間違えそうな、まるで覇気や男臭さを感じない、
言うなれば【可愛らしい】と言っても良さそうな少年は、デフォルメされた
動物のプリントがされたTシャツと、だぼっとしたズボンという、女騎士
の方とは一転した、文句の無いほど現代的な服装をしていた。

 ・・・ついでに、頭髪の真ん中には、大きなアホ毛。

アグリアス「もう話もしたくない!!」
 ちょっとした鬼人の様な迫力で、壁に張り付く形で避難したシオンと
小牢の間をズンズンと通り過ぎていくアグリアス。

ラムザ「参ったなぁ・・・」
 片やラムザは、ぺこぺことシオン、小牢に頭を下げながらアグリアスを
追いかけていった。


シオン「・・・・・・・・・」
小牢「・・・・・・・・・」
 二人が通り過ぎた後は、嘘のようにホテルの廊下は静寂が戻る。

シオン「・・・あの二人って」
小牢「・・・うん、時空震でこっちの時代にやって来た面々の一つじゃな。
 確か・・・ 幻想界のイヴァリースっちゅうとこの、反乱軍のリーダーと
その護衛騎士じゃったと思うが・・・」

シオン「ああ、あの女の人がリーダーで、男の子が護衛騎士」
 納得したとばかりに、ポンと右手で左手を「なるほど」の形で叩くシオン
だったが

小牢「いや、逆、逆。リーダーが男で護衛騎士は女の方じゃぞ」
 それを小牢はさらりと訂正した。

シオン「・・・・・・・ ええぇぇえ?」
 なんとも意外な事実に、シオンはおもいっきりハテナマークを浮かべる。

 先程のやり取りや見た目からすれば、小牢の方が間違っているとしか
思えない。それほどあの少年は【普通】に見えたから。
 むしろ、正直な初見の感想としては、アレン君と同じようなイメージを
抱いてしまったぐらいである。

小牢「さて、行くぞー」
シオン「あ、はい」
 切り替えの早い小牢に、慌てて付いて行きながら

シオン「(・・・こっちの世界に来ると、色んな常識が崩れていくなぁ・・・)」
 シオンは心の中で、溜息を吐くのであった。



904 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 03:34:100

○小牢→ラムザとアグリアスの喧騒にも普段の職業から慣れたもの
○シオン・ウヅキ→色んな常識を壊されっぱなし
○ラムザ・ベルオブ→怒ったアグリアスをなんとかなだめようと努力
○アグリアス・オークス→ムスタディオの悪戯心で大恥をかき、憤慨

【今回の新規登場】
○ラムザ・ベルオブ(ファイナルファンタジータクティクス)
ラーグ公に仕える名門貴族ベルオブ家の末弟。男にしては珍しいアホ毛持ち
の永遠の19歳。 長兄、次兄とは腹違いの妾の子で、優秀な兄達に対して
コンプレックスがあった。貴族でありながら、貴族が世の中を支配しその
都合で平民が死んでいく事に疑問を感じつつも家の為に戦っていたが、その
最中に起こった親友の妹の理不尽な死から家を捨て、様々な戦場を己の信念
に従い駆け抜けていき、最後には戦争の裏に存在する闇の存在を倒し、
獅子戦争を終わらせた裏の英雄にまでなった。かなり強い筈なのだが、専用
ジョブはいつまでも【見習い戦士】。ちなみに酒が飲めず、酒場ではミルク
を注文する。

○アグリアス・オークス(ファイナルファンタジータクティクス)
元、王都ルザリア近衛騎士団所属の女騎士。永遠の21歳。
オヴェリア王女の護衛としてオーボンヌ修道院に派遣され、成り行きから
ラムザと共にオヴェリア救出の為に戦う事になるが、その目的は結局果た
されることは無かった。後にラムザの素性を知る事になるが、それでも
「私はお前を信じる」と公言し、その後も信頼すべき仲間として最後まで
戦い続けた。基本は男口調で凛々しく勇猛だが、時折「人の夢と書いて
【儚い】・・・ なんだか物悲しいわね」としおらしい一面も見せる。ラムザ
と実は恋仲ではないかとの噂。



905 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 04:00:520


      同じく早朝

    ホテル・トアール  504号室


 同じホテルは一階下の、403号室でシオンが起きるよりも少し前。
 ここ504号室でも、一人の男が僅かな朝日の光に目を覚ました。

ゴードン「ん〜〜・・・・・・」
 シオンとはうって変わり、起き抜けから元気に起き上がりストレッチを
始めるその男の名は、ゴードン。

 知る人ぞ知る。世界の平和を守る地球勇者である(棒読み

        (シャー・・・ッ)

 カーテンを開いていくと、眩しいぐらいの朝日の光がゴードンを迎えて
くれた。
 それを全身に受けながら、ゴードンはゆっくりと深呼吸をし

ゴードン「いやぁ〜 いい朝じゃないか。
 うむ、今日も地球の朝日は美しく光り輝いて・・・」

  と、朝一番からいい言葉を放とうとしたゴードン。だが・・・

ラハール「・・・ええい! やかましい!!」

        (ゴスッ!!)

ゴードン「ホゥ゛ッ!!?」
 何の予告も容赦も無く、後ろから裏膝に入れられた蹴りに、ゴードンは
喉のどこら辺から出したのかも分からない奇声を上げた。

ゴードン「うぬおぉぉおお・・・ な、何をするんだラハール君・・・
 その部位への攻撃はかなりデンジャラスだぞ・・・ いたた」

  ゴードンは何とかキックの主に抗議をしながら、地球勇者の威厳の
欠片も無く右足を押さえて蹲っている。

ラハール「知るか! まったく・・・ こんな早朝から騒ぎおって!!
 ニワトリか貴様は!!! だいたい、家来の分際で地球が大変だから
助けてほしいだの何のと言って連れてくるわ、あげく超魔王の俺様がムサ
苦しいお前達と同室だわ・・・ このダメ家来め!!」

  ゴードンの能天気な大きい声にすっかり目を覚ましてしまったらしい
ラハールは、触覚(?)をピンと伸ばしながら怒鳴り続けた。

 今回ラハールは、現在の地球圏の混乱を危惧したゴードン達の、やや強引
な【お願い】によって連れて来られたのである。勿論、フロンやエトナ達も

 そうして連れて来られた上、着いて早々Dだの何だのとわけのわからない
奴らの相手をする事になり(当然、軽々と吹き飛ばしたが)
 おまけに通された部屋は超魔王の待遇としてはそぐわぬ3〜4人様の
ホテルの一室で、しかもその同室の人間が、ミスターむさ苦しい男王者の
ゴードンと・・・

ゼニスキー「んががが・・・zzz」
マデラス「・・・・・・・・・」
 狭い部屋の中でかなりのスペースをとり、大イビキをかいて眠るゼニ
スキーと、部屋の片隅で立てられた棺の中で寝息一つ立てないマデラス。

 あとは、押入れの中にプリニーカーチス。

 こんな貧乏な学校の修学旅行のような狭苦しい部屋割りにされては、
ラハールが機嫌が悪いのは当然である。

ゴードン「し、仕方が無いだろう? 突然のこれまでにない大規模な
時空震で、いつもなら空き部屋に溢れている筈のホテルがほぼ満室になって
しまったのだから・・・ ・・・・・・ ん? ちょ、ちょっと待ってくれたまえ!
 ひょっとして・・・ 私はまだ君の中では家来継続中なのかね!?」

  激の間々に飛び交う【家来】という単語に、ゴードンは思わず弁明の
途中で尋ねる。

ラハール「ああん? 当たり前であろうが。
 貴様は俺様に負けて家来になったのだぞ? それはつまり、だ」

ゴードン「つまり・・・?」

ラハール「俺様に勝てない内は、貴様は一生俺様の家来だ!!」
ゴードン「なっ!!?(ガガーン!!)」

 顎が外れそうなほどに仰天するゴードン。

ラハール「というわけで、早速何か飲み物を買って来い」
ゴードン「の、・・・飲み物?」

ラハール「貴様のせいですっかり起きてしまったからな。
 ふむ、さっぱりする炭酸系あたりがいいか」

  つまり、ラハールは地球勇者に対してパシリを命じているわけだ。

ゴードン「いや、そうではなくてだな。ここには冷蔵庫の中にドリンクも
常備されているし、5階には自販機が無くて4階まで降りなくては・・・」

ラハール「知らん。冷蔵庫には無いものを買って来い」
ゴードン「いや、しかしだね・・・ そういうことは私でなくてもプリニー君
達ではダメなのかね? 地球勇者がパシリなど、もしこっちの子供に見ら
れると私の地球勇者としてのイメージが・・・」

 せめて地球では、地球勇者としてのモラルを保ちたいし、何より子供の
夢を壊す事になってはいけない。
 ゴードンは何とかラハールに思い留まってくれる様、頼もうとしたが・・・

ラハール「いいから行って来い!!(ドガッ!!)」
ゴードン「あべしっっ!!?

 今度は尻を蹴られ、ゴードンは転がり出るようにして部屋を追い出された
のであった。



906 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 04:06:550

○ゴードン→地球でも望まずラハールの家来続行。早速パシリ扱い
○ラハール→ゴードンをパシリにするのは相変わらずだが、頼まれて助っ人
になってしまう辺りはだいぶ丸くなった証明。

【今回の新規登場】
○ゴードン(魔界戦記ディスガイア)
第37代目、現役の地球勇者。底抜けの陽気さと能天気さで基本のノリは
アメリカンヒーロー。だがパワーでも頭脳でも相方のジェニファーに劣る。
魔王討伐の為魔界に向かったが宇宙船がいきなり故障し、ラハールとの
勝負で敗北、その後はラハールの家来としてプリニー以下の雑用係にされ
たり称号を【魔界勇者】にされそうになったりと散々だった。地球に戻って
からはジェニファーと結婚し、娘ジェーンを設けた。

○ラハール(魔界戦記ディスガイアシリーズ)
魔王クリチェフスコイと魔女見習いとして魔界に来ていた人間の母親の間に
生まれた人間と悪魔のハーフ。1313歳。愛関連の言葉やムチムチした
女が大の苦手。その実力は強大で、魔界に侵攻してきた地球軍宇宙大艦隊
200万をたった一人でなるべく死人が出ないよう手加減しながら壊滅させ
、更には様々な別次元の魔界において魔王プリエ、マージョリー、そして
絶大な力を誇る超魔王バールまでも倒し、【超魔王ラハール】となる。
最初は悪魔らしく非情さ、自分勝手さが目立ったが、見習い天使フロンとの
出会いから、段々と王としての度量と優しさ、愛に目覚めていった。
どうもフロンに恋心を抱いているようだが、本人が自覚しているかは不明。

○ゼニスキー(魔界戦記ディスガイア)
猪と牛の合いの子の様な、ムキムキ巨漢の金好き悪魔。元は魔王クリ
チェフスコイの配下だったが、クリチェフスコイの死と共に城の宝を持ち
出し自分のものにした。そして作った成金城で軍資金を蓄えていたら
ラハールが強襲。コテンパンに倒され死を覚悟したが、息子に庇われその姿
を見たラハールが思い留まり見逃す事にしたことで感服、今度はラハールに
絶対的な忠誠を誓う事に。

○マデラス(魔界戦記ディスガイア)
吸血鬼タイプの悪魔で、見た目もドラキュラのイメージの凝縮に見える。
ゼニスキー同様クリチェフスコイの配下だったがその死後、自らが魔王に
君臨する為、ラハール暗殺を企て弱点を調べ、エトナの弱みを握り利用する
など悪魔的な策士ぶりを発揮したが結果は敗北。怒るエトナによって身も
凍る恐怖を味わい、ラハール(というかエトナ)に絶対服従を誓った。



907 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 04:11:460


 そういうわけで、ラハールに部屋を追い出されたゴードンは、渋々炭酸
を買いに、一階下の自販へと向かう事になったのであった。

ゴードン「むぅ。仕方ない。ちょっとした朝の散歩だと思って・・・」
カーチス「フッ、ざまあないな。ゴードン」
 その時足元の方から聞こえる、良く知る声。

ゴードン「・・・? カーチス!?」
 ゴードンの足元には、緑色のプリニーの姿を持つ、プリニーカーチスが
堂々と立っていた。

カーチス「朝からパシリとは、地球勇者の名が泣くぜ」
 プリニーの姿には似合わないニヒルさで、キザに笑うカーチス。

ゴードン「むぅ・・・ しかし、君がどうして・・・
 おお! もしかして、私の事を心配してくれたのか!?」

  感激に身を震わすゴードンだが

カーチス「フッ・・・ バカぬかせ!!」
ゴードン「へ・・・?」

カーチス「何事かと起きて押入れから出てみたら、
転がる貴様に巻き込まれて一緒に追い出されたんだ!!!」

 対してカーチスは、憤慨と怒鳴り声で返してきた。

ゴードン「そ、それはスマン・・・」
カーチス「・・・・・今更それを言っても仕方があるまい。今必要なのは、俺達
が部屋に戻れる手段を確保することだ。そのためには・・・」

ゴードン「むう・・・ 自販機で炭酸を買うしかない、というわけか・・・」
カーチス「いくぞ! ゴードン」
 その場で大きく跳び、ゴードンの肩に乗るカーチス。

ゴードン「うむ! いざ、4階の自販機コーナーへ!!」

 周囲に人がいたなら確実にポカンとさせたであろうアホくさいノリで、
二人の地球勇者は4階へと向かった。



  ◇    ◇



    4階  自販機エリア前


ゴードン「やれやれ、思ったより広いな、このホテルは」
カーチス「何故エレベーターを使わない? 近道だろう」

ゴードン「HAHAHAHAー。何を言ってるんだカーチス。
 地球勇者たるもの、常に己の足で歩き、己を鍛えるべしだよ」

カーチス「・・・・・・・・・」
 ゴードンの能天気な体育会系ぶりに、カーチスが呆れていると


アグリアス「100%オレンジを頼む。上から二段目の右から3番」
 自販機エリアの中から、誰か女性の声が聞こえてくる。

ゴードン「驚いたな。こんな朝早く、私達以外にも自販機に飲み物を買いに
来る人物がいたとは」

カーチス「それも、誰かと話してるみたいだが・・・」
ゴードン「おかしいな、気配は一つだけだぞ?」
 普段はバカをやっている天然とツッコミのコンビになっている二人だが、
その実、鍛えられた戦士でもある。

 声が聞こえる範囲の人間の数を気配で察知する程度は、簡単だった。

ゴードン「ふむ・・・」
 とりあえず、無言で頷き合い、二人はとりあえず近寄る事にした。



  ◇    ◇



自販機音声「オ好キナ飲ミ物ヲ オ選ビ下サイ」
 今となっては多少古めかしい、自動音声付きの自販機。

アグリアス「いや、だから・・・ この100%オレンジが欲しいって何度も
言ってるじゃないか。この上から二段目の、右から三番目にある・・・
 ひょっとして意地悪をしているのか? 私はただ・・・」

  それに向かって、ひたすら語りかけている一人の女性。
 多数の自販機が置かれている自販機エリアの前ではまったくもって
異彩を放つ、大層な鎧。
 それを身に纏っていることで、近寄り難さはより倍増している。

自販機音声「オ好キナ飲ミ物ヲ オ選ビ下サイ」
アグリアス「だから・・・ オレンジだと言ってるじゃないか!!
 オー・レー・ンー・ジ!!!」

  遂に堪りかねたのか、アグリアスは機会音声の聞こえるマイクに
向かって、耳の遠い老人に話しかけるかのごとく大声でオレンジの単語を
叫び始めた。

カーチス「(・・・なんだ? アレは?)」
 当然カーチスも、何とも言えないその光景に閉口していた。
 それも当然、普通の人間ならこれは絶対に近寄りたくはない。

 しかし

ゴードン「やあーお嬢さん。お困りですかな?」
 この人物は、至って普通に話しかけていった。

アグリアス「いや、それが・・・ 友人に【ジハンキという機械は話しかける
と飲み物をくれる】というのでやってみたんだが、この【ジハンキ】は
耳が遠いのか何度も同じ事しか言わないので困っていた所で」

 どうやら目の前の女性は頭がかわいそうとか酒を飲んだとかいう事では
なく、本当に自販機というものを知らない上で意地悪をされたらしい。

ゴードン「いやー、残念ですが・・・ これ(自販機)はボタンを押さねば
飲み物は出てこない仕組みなのですよ、お嬢さん」

アグリアス「・・・・・・・・・・ え?」
 鳩がマメ鉄砲を喰らったような顔になるアグリアス。

アグリアス「・・・・・・・・・・・」
 そして、おそるおそる、オレンジの真下のボタンを確かめるように触り、
ゆっくりと力を入れていくと・・・

        (ガコンッ!!)

自販機音声「アリガトウ、ゴザイマシタ」

 缶の落ちる音、そして機械音声の感情の無い声。

アグリアス「・・・・・・・・・・・・」
 呆けたように取り出し口にある缶を見ていたアグリアスの顔が、どんどん
面白いように赤くなっていき、プルプルと震えているのが、ゴードン達にも
見て取れた。

    (タッタッタッタッタッ・・・・)

 そこに聞こえてくる、靴の音。

ラムザ「アグリアスさん! 実はムスタディオの言ったのは・・・」
 最高に間が悪い事に、ラムザである。

アグリアス「ラ・・・ ラ・・・
 ラァァムザあああああああっっ!!!!

ラムザ「え? あ・・・ うわああああっ!!?」
 鬼人の如き形相で真っ直ぐ向かってくるアグリアスの迫力に、思わず
悲鳴を上げながら走って逃げてしまったラムザ。

アグリアス「逃げるな卑怯者────っっ!!!」
 対してアグリアスは、剣の柄に手をかけながら、ガシャガシャという
鎧の音を響かせながらそれを追いかけていった。


ゴードン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
カーチス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 後に残ったのは地球勇者二人と、100%のオレンジだけだった・・・



908 名前:新章/ホテル・トアール篇:2007/05/24(木) 04:13:350

○ゴードン→自販機に話しかけるアグリアスにふつーに話しかける大物
ぶりを発揮。
○カーチス→ゴードンの巻き添えで炭酸ジュース購入に同行する事に。
ゴードンとは違い話しかける勇気はもてなかった。
○アグリアス・オークス→ムスタディオの悪戯からとんだ恥をさらし、怒り
心頭のままラムザを追いかける
○ラムザ・ベルオブ→慌ててアグリアスを追いかけたが、最悪のタイミング
だった。アグリアスの怒りの迫力に思わず逃げる。

【今回の新規登場】
○プリニーカーチス(魔界戦記ディスガイア)
ゴードンをリーダーとした地球勇者チームの一員にして、ゴードン永遠の
ライバル。かつて、妻と娘を失ったとある事件から、ゴードンの信じる
正義の形を否定するようになり一時敵対していたが、ゴードンとの戦いの
中で自分の過ちに気付く。その後、操られたジェニファーの命を助ける為、
自爆装置と共に飛び降り命を落とす。しかしそれでも彼の罪は許され
なかったらしく、プリニーとして転生。今も贖罪の為、初のプリニー地球
勇者として戦っている。


909 名前:新章/純然なりえぬチェスの駒篇:2007/05/24(木) 17:34:430


     ティターンズ戦艦  シロッコ専用室


 様々な異世界のヒーロー達がホテル・トアールに揃う中、ティターンズの
所有する戦艦の中にある一室には、一人の人物がいた。

           (カチャ・・・)

 チェス盤の上のポーンを動かしたその男は、ティターンズ総督、
パプティマス・シロッコ。
 無駄に豪華過ぎる事も無く、純粋に部屋としての機能性に優れた一室の
中で、彼は机の上のチェス盤だけを相手にしているようだった。
 チェス駒を置く小さな音以外は、部屋はまったくの静寂に包まれている。

         (コン、コン)

 そこに響く、ノックの音。

シロッコ「・・・・・・・・・・」
 シロッコは返事をしない。

 ノックの音が分からないほどチェスに没頭しているわけでは勿論無い。
 ただ、返事の必要がないと判断しただけ。

デキム「入ります」
 という言葉と共にドアを静かに空け入ってきたノックの主は、デキム・
バートン。

 何もそう不思議なことではない。
 黄泉還り現象によってデキム・バートンが黄泉還ったとすれば、その保身
の為に行くであろう場所は限られている。
 その選択として選んだのがティターンズだった、というだけの事なのだ。

シロッコ「用件は?」
 その時、初めてシロッコが自ら口を開いた。

デキム「はっ。昨日昼間の洋上における【異邦人】との戦闘の事で・・・」
シロッコ「あの茶番についての報告と資料なら既に目を通したが」

 またチェス駒を動かしながら、短くシロッコは答える。

シロッコ「なかなか興味深い内容だった。白銀の天使のようなガンダム・・・
 見た事の無いファンネル。是非一度設計を見てみたいものだ」

デキム「それについてなのですが・・・ 作戦の責任者が、今回の作戦失敗に
ついて、是非総督に直接お会い願いたいと言ってこの艦に・・・
 勿論追い返すつもりですが、一応ご報告をと」

シロッコ「責任者・・・ ああ、あの三輪防人とかいう男か」
 一週間前の夕食よりどうでもいいものを思い出すかのように、三輪の
名前を口に出すシロッコ。

 そこで

ティターンズ兵「おい! 待て! 止まれ!!」
三輪「ええいどかんか!! わしは総督にお会いせねばいかんのだぁ!!」

 と、壁の向こうから、その日一番やかましい音が近づいてくる。
 そして

        (バァンッ!!)

 その勢いのまま、けたたましく扉が開かれ、雪崩れ込むようにして三輪と
その三輪の服を掴んでいる数名のティターンズ兵が入ってきた。

シロッコ「・・・・・・」
 それをシロッコは、いささか冷ややかな目で見ている。

三輪「おお総督!! 聞いて頂きたい!! 今回の失敗は・・・」
 そんな空気も読めないほど切羽詰っているのか、三輪はシロッコの顔を
見るやいきなり言い訳をし始めた。

デキム「何をしておる! つまみ出さんか!!」
 男一人満足に制止できない兵の失態ぶりに、声を荒げるデキム。
 兵達は慌て、三輪をぎゅうと抑えつけて引っ張り出そうとする。

三輪「そ、総督!! この三輪防人にもう一度機を!!
 チャンスさえ頂ければ、今度こそは・・・」

  兵にズルズルと引きずられながらも、なお諦めない三輪。

デキム「ええい。俗物めが見苦しい!!」
 確かに醜態の中の醜態。デキムでなくとも三輪の姿は不快であろう。

シロッコ「チャンスが欲しいのなら与えてやってもいい」
 その後ろで、シロッコは意外な台詞を放つ。

デキム「総督・・・?」
三輪「おお! 本当ですか!!?」

シロッコ「ちょうど港に着くまでは暇でね。一人チェスにも飽きた所だ」
デキム「はあ・・・?」

 シロッコが何を言っているのか、デキムはいまいち掴めない。

シロッコ「チェスは出来るかね?」
 そんな中、シロッコは三輪に語りかける。

三輪「チェス・・・? い、いえ・・・ やったことは・・・ 将棋ならば」
 思いがけない質問に、三輪はしどろもどろながら答えた。

デキム「・・・・・・・」
 そんな三輪を、デキムは心の中で呆れ笑う。
 これで総督がわざわざ気まぐれに差し出したチャンスさえ、この男は
フイにしたわけだ。

シロッコ「そうか。ならショウギでいい」
 しかしシロッコの答えは、そんなデキムの予想に全く反していた。

デキム「(なっ・・・!?)」
 これにはデキムも驚いた。

シロッコ「やったことはないが、それぐらいのハンデぐらいがちょうどいい
だろう。駒の動きは君が教えてくれればいい」

三輪「は、はあ・・・」
シロッコ「確か遊戯室にショウギの盤と駒があったな」
 そう言うと、シロッコは無言でデキムの目を見る。

デキム「・・・・はっ。 おい、将棋の盤と駒を持って来い。 至急だ!!」
 シロッコの要望を把握すると、すぐさま兵の一人に命令をする。

ティターンズ兵「は、はっ!!」
 兵は返事と共に、慌て遊戯室の方へと走っていった。



910 名前:新章/純然なりえぬチェスの駒篇:2007/05/24(木) 17:38:500

●パプティマス・シロッコ→戦艦で移動しながら一人チェス。から気まぐれに
三輪と将棋をすることに
●デキム・バートン→ティターンズに鞍替え。三輪より扱いはずっといい
●三輪防人→シロッコへの見苦しい直訴から一転将棋勝負へ

【今回の新規登場】
●デキム・バートン(新機動戦記ガンダムW Endless Waltz)
バートン財団総帥で、マリーメイアの祖父・・・ の筈なのだが、彼自身の
台詞である「彼女の代わりはいくらでも作れる」という言葉やその後の
「その娘もわしが…」という続きの台詞からかなり怪しい。かつては
指導者ヒイロ・ユイやカーンズの同士として、コロニー独立運動を行って
いた。真のオペレーション・メテオを考案した張本人であり、マリーメイア
軍の指揮を執った。しかしヒイロの活躍により窮地に陥るとリリーナを
撃とうとし、それを庇ったマリーメイアを撃つ。最期は一兵に撃たれ死亡。
黄泉還り現象で黄泉還り、ティターンズへ


911 名前:新章/純然なりえぬチェスの駒篇:2007/05/24(木) 18:05:030



        一方

    中国上空  OZ所有航空機内


 シロッコが戦艦で移動をしているのとほぼ同時刻。
 トレーズ・クシュリナーダは僅かな側近と共に、専用の航空機で日本を
脱出していた。

 エアフォースワンをもう少し小型にしたようなもの、といえば簡単
だろうか。最新設備を持った航空機の中、トレーズ達がいる一室は、機の
中とは思えぬほど上品な作りで、固定された椅子やテーブルはそう高級では
ないにしても、そこそこの値がつくアンティークであろうことは素人目にも
見て取れる。
 更に驚くべきは、奥に設置されているバーカウンターと、完璧に固定
されているとはいえ、機内だというのにズラリと壁に設置された棚に並んだ
ワインやブランデーなどの瓶の数々だろう。

 そんな異空間とも言える雲の上の一部屋の中、存在する人物は4人。
 一人は、もちろんトレーズ・クシュリナーダ。
 残りの3人は、娘のマリーメイアと、レディ・アン。そして・・・

キャル「ふあ〜〜・・・」
 トレーズとマリーメイアのいる位置から少し離れた位置にある椅子に
座りつつ欠伸をしているは、ドライこと、キャル・ディヴェンス。

 かつてアメリカで猛威を振るっていたマフィア、インフェルノの【三番目
のファントム】は、何故か今この場所で当然のように、豪快に足を組んで
ぶ厚い雑誌を熟読している。
 どうやら、日本のコミック月刊誌らしい。

 上流階級のオーラ溢れる空間の中で、彼女の座っている場所だけが妙に
ワイルドな雰囲気を出していて、まるで異次元である。

 一方のトレーズとマリーメイアは、椅子の上で向かい合いチェス盤を
見つめ、そんな二人の様子をレディ・アンはカウンターに店員の立ち位置で
一人立ちつつ静観していた。

キャル「なー大将。あと何時間でイタリアに着くんだ?」
 視線を雑誌に向けたまま、キャルは無礼講にトレーズに尋ねる。

トレーズ「天候が通常なら、あと3時間と19分だよ」
 対してトレーズは懐中時計を取り出し、律儀に答えた。

トレーズ「そういえば、玲二君とエレン君は」
キャル「あー・・・ あいつらは別ルート。色々必要なもん揃えて向こうで
合流するってさ」

 そういうキャルの語気には多少の不機嫌が混ざっている。
 トレーズ達は知る由もないが、玲二と二人きりという状況を、武器調達
なら武器知識が一番強いエレンが適任という理由で取られてしまったのが
まだ尾を引いているようだった。


マリーメイア「・・・・・・・・・・」
 そんな二人の短かな会話の内容は、トレーズの正面に座っているマリー
メイアの頭には入っていないだろう。

 チェス盤を見ていなくとも、どちらが劣勢かはマリーメイアの表情を
見ていればわかる。
 トレーズがいつもと全く変わらぬ涼やかな表情でいるのに対し、マリー
メイアは時折低く唸りながら、苦虫を噛み潰したような表情で、しっかり
眉の間に皺を寄せてしまっていた。

マリーメイア「・・・・・・・・・・(カチ)」
 熟考の末、マリーメイアはクイーンを手に取り、移動させるが

トレーズ「おっと、その退路は失敗だね」
 そう言うや否や、トレーズはナイトの駒でマリーメイアのクイーンを
完全に討ち取れる位置に置いた。
 その思考時間は、ほぼゼロである。

マリーメイア「あ、ああっ!!?」
 予測もしていなかったのだろう。悩むに悩んだ末の退路を一瞬で破られ、
マリーメイアは実にその年頃の少女らしい悲鳴を上げる。

トレーズ「さて、次は?」
マリーメイア「え、ええと・・・」
 うろたえながらも考え込むマリーメイア。

 数分の思考を経て、恐る恐る駒を動かすマリーメイアに対し、トレーズは
そのパターンを予め読んでいたかの如く早さで一手を打つ。

 そして・・・・・・


トレーズ「チェック」
マリーメイア「・・・・・・・・っっ!!!!」
 勝負の決着は、あまりにもあっさりとついた。

 マリーメイアは目を見開いて、声にならない驚きを全身で現していた。
 ハトが豆鉄砲を喰らったどころか、ツインバスターライフルを喰らった
ような顔である。


マリーメイア「・・・・・・・今回で、何敗目ですか?」
 敗北の悔しさか、小さくふるふる体を震わせ、尋ねるマリーメイア。

トレーズ「知りたいかね? 今日のこの勝負までで私の476勝目だよ」
 そんなマリーメイアに対し、トレーズはどこかで聞いた様な言い口で
正確な戦績を告げた。

マリーメイア「うう・・・」
 泣きこそはしないが、それでもかなり悔しそうにしている。

 この476回の勝負。マリーメイアは全て同じように敗北している。

 どれだけ慎重に守りを固めて打とうと必ず防御の隙を突かれて突破され、
逆に攻撃に力を入れても片っ端から絡め取られてしまう。更には隙を見つけ
たかと思ったら、それは周到且つ致命的な罠だったりと・・・

 小さなチェス盤の世界と数種類程度の駒だというのに、トレーズはその
組み合わせで、少なくとも476回の勝負全て、全く同じ打ち方をせず
千変させた戦法で驚くべき策を毎回魅せてきた。

 トレーズのチェス打ちは、実に芸術と言えるまでのレベルと言っていい。
 そんなトレーズが相手なのだから、マリーメイアの476敗0勝という
結果は当然といえる。

 それでもその敗北一つ一つを悔しがり、そしてそれでも挑むことをやめ
ないマリーメイアの気骨は幼ながらに微笑ましく、同時に大したものだ。
 尤も、マリーメイアが476回も挑み続けているのは、ただ負けず嫌いが
昂じてではない。

 完膚なきまでの敗北を悔しいと思うと同時に、トレーズの予想も出来ない
様々な、見事という言葉ではとても足りない打ち方や手の数々を目にする
のが楽しくてしょうがなかった。
 次はどんな打ち方が見れるのだろう、どんな予測のつかない見事な罠が
待っているのだろうと思うと、ワクワクしてきてどうしようもなくなる。

最初はルールを覚えるだけでも手一杯だったというのに、いつかしらマリー
メイアにとっては、父とのチェスは最も楽しい時間の一つになっていた。

キャル「なあ大将。まだ嬢ちゃんは8だろ? 少しは加減しろよ」
 雑誌のページをめくりつつ、キャルはおおよそOZ総帥に対しては誰も
使わないであろう言葉遣いで、ぶっきらぼう且つストレートな物言い。

 初対面の時に他ならぬトレーズ自身がキャルの自然体で無礼講な言い口を
あっさり【構わないよ】と許可をしたからこそなのだが

レディ・アン「・・・・・・・・・・・」
 それでもカウンターにいるレディ・アンは、おもいきり不快な眼差しを
向けている。

 通常の人間なら思わず謝ってしまうほどのプレッシャーを与えるほどの
ジト目なのだが、そもそもキャルは人生の密度が違う。
 気付いていながら遭えて無視しているのか、それとも本気で気付いて
いないのか、その表情にもページをめくる速度にも、まったく変化の欠片も
見られなかった。


トレーズ「チェスに年齢は関係ないよ、キャル君」
 そしてそんなキャルの進言に対し、トレーズはさらりと答える。

トレーズ「それにマリーメイアは賢いからね。私が加減をすればそれこそ
怒って勝負を中断してしまう」

マリーメイア「当然です!!」
 強い語気でトレースの言葉を肯定するマリーメイア。
 幼ながらにそういった誇り高い所はさすが、トレーズの娘と言うべきか。

マリーメイア「はあ・・・ でも、この分では父上に勝つのは千年後ですね」

トレーズ「そう残念がる必要はないよ、マリーメイア。
 私とやっている内はわかりにくいかもしれないが、着実に力をつけて
いるからね」

 実際、トレーズの言葉どおりだった。
 この476回の真剣勝負で、マリーメイアは最初と比べかなりの上達ぶり
を見せている。

 トレーズが見せた布陣や罠、それを一度味わっただけで完全に自分の
ものにし、更にはそれらを組み合わせた上で自分のオリジナルを混ぜ、
独特の攻め方や守り、そして時には大胆にもトレーズに対して、考案した
ばかりの罠を仕掛けようとするなどの大胆ささえ見せる。

 幼ながらに、その飲み込みの早さや工夫の巧さ、成長の早さにトレーズは
軽く驚かされ、そして同時に喜びも感じていた。
 才能に恵まれているだけではない。彼女には間違いなく、人の上に立ち
善き方向に導く為に必要な【才】以外のものをも備えている。

 チェスは人生の縮図。その指し手一つ、攻め方や駒の動かし方一つで
その人物というものが分かる。
 攻めに転じるべき時には攻め、守りを固めねばならない時は守り、
そして尚且つ、駒の役割が分かっている上で、キングからポーンに至る
までの全ての駒を貴賎なく大切に扱う。

 モビルスーツ戦争における軍指揮に置き換えるなら、まだ未熟さは強い
ものの、実に理想的な形。


トレーズ「この分なら・・・ いずれそう遠くない未来、マリーメイアは私を
後継してOZを、そしてこれからの地球圏を正しい方向へ導いてくれる
だろう」

 その呟きに近い言葉は、トレーズの心の底からのものだった。

マリーメイア「父上・・・ 本当ですか!?」
 それまで影を落としていたマリーメイアの表情が、パッと驚きと明るさに
満ちる。

トレーズ「私は世辞は言わないよ。・・・勿論、そう在る日の為の努力は
必要だが」

マリーメイア「が、頑張ります!! 頑張って、父上の様な総帥を目指し
ます!!」
 目をキラキラ輝かせ、両拳を胸の前でグッと握りながら、マリーメイアは
父の前で力いっぱいに己の目標を誓う。

トレーズ「期待しているよ」
 そんなマリーメイアの頭を、トレーズは優しく撫でて微笑む。
 トレーズとマリーメイア。通常のそれとは何かとかけ離れた父子だが、
その姿と笑顔は、疑うべくもない自然な父子の姿だった。


キャル「・・・・・・・・・」
 そんな二人の様子を、キャルは頬杖をつきつつじっと見ていた。

 笑顔がある、温かな家庭。
 かつて幼い頃のキャルが望んでやまなかった、そして父とはついに叶う事
のなかった光景。

 【家庭】とさえ満足に言えるかも定かではないキャルの記憶には、痛み
と恐怖を自分に与える存在としての父しかいない。
 だからこそこういった光景をつい見入ってしまうのかと、自分を客観的
に分析する自分がいるのに気付き、ついキャルは失笑してしまった。

 何が三人目のファントム(亡霊)か、一皮剥いて中を覗いてみれば、
玲二と出合った時の、背伸びをしたセンチで愛情に飢えた淋しがりのガキが
しっかり居座ってるじゃあないか、と。

 人殺しをする必要がなくなってから、随分甘くなったと思う。
 リズィ姉。玲二。エレン。

 いつの間にか出来上がった、まるで擬似家族のような繫がり。
 そんな【おままごと】にしたって、誰より楽しんでいるのは実は自分なの
だろう。

 そして今、自分は再び銃を手に取った。
 OZ元帥、トレーズ・クシュリナーダの護衛。それを決意した玲二を、
絶対に死なせない為に。
 血に濡れた手を、更に紅く血に染める殺し合いの世界に戻ってきたんだ。

 ・・・果たして、今の自分はファントムに、ドライに戻れるだろうか?
 笑って殺して、撃ち合いを、命のやり取りを楽しんだ殺人鬼(ドライ)に。


 窓から覗く数千フィートの夜空はどんよりと暗く、何も見えはしない。
 まるで・・・



912 名前:新章/純然なりえぬチェスの駒篇:2007/05/24(木) 18:08:040

○キャル・ディヴェンス→一人でトレーズの護衛に不満、そして退屈。
自分がにドライに戻れるかどうか一抹の不安を抱く。
○トレーズ・クシュリナーダ→日本からイタリアへ、チェスでマリーメイア
を洞察し、マリーメイアにOZの新しい総帥の可能性を見る。
○マリーメイア・クシュリナーダ→チェスで476回目の負け。しかし父に
最高の褒め言葉を貰い、大喜び。
○レディ・アン→キャルとは相性が悪いらしい。

【今回の新規登場】
○キャル・ディヴェンス(PHANTOM OF INFERNO)
スラム生まれのアメリカ人。正確な年齢は不明。幼少期に父から虐待を
受けており、その心の傷から逆上すると自分の暴力性を抑えられなくなり
他者に暴力を振るってしまう時がある。天涯孤独の身になった直後に玲二に
拾われ共同生活をしていたが、アパートの爆破で生き別れる。その後は
サイスマスターに拾われ殺し屋としての教育と薬品投与を受け、三人目の
ファントム、ドライとなった。玲二は自分を捨てたと吹き込まれ、玲二への
憎しみと異常なまでの執着をもって命を狙うが、想いの全てを弾丸と共に
正面から受け止めてくれた玲二の姿によって己の愚かさを知り、和解。
しばらくはリズィと共に人殺しとは無縁の世界で暮らしていたが、玲二に
ついていく形で再び戦いに身を投じる。



913 名前:新章/純然なりえぬチェスの駒篇:2007/05/24(木) 18:24:050



    海洋上  戦艦司令室



 それは、何とも奇妙で、珍妙な光景だった。
 ティターンズ総督パプティマス・シロッコと、三輪防人。この二人が
テーブルを挟んで将棋を指すなどという取り合わせを、誰が想像しえたか。

シロッコ「ふむ・・・・・」
 顎を触り、将棋版の上を見下ろすシロッコ。

 三輪の口から、大まかな将棋のルールと、全ての駒の動かし方を一通り
聞いてからというもの、ガンガン駒を攻撃の為に進めて行く三輪に対し、
シロッコは攻めるでもなく防御を固めるでもなく、様々な駒を前後左右に
動かしているだけだった。

 それは、三輪はおろか、傍から見ているデキムにとっても不可解で、
ちぐはぐな動きにしか思えない。

三輪「(ふふん・・・)」
 三輪の口元に、自然に笑みが浮かぶ。
 いくら天才といわれていようと、素人の初手などこんなものだ。

シロッコ「・・・・・・・・・」

    (パチン)

 そう考えていると、シロッコは打ち方を変えてきた。
 驚くべき事に、今更歩を直進させてきたのだ。

三輪「はっはっはっ! それは早計ですなぁ!」
 早速三輪は、自分の駒を進め、数手でその歩を一つ取る。

シロッコ「おや、取られてしまったか」
 それに対し、シロッコは表情一つ変えずにそうもらした。

三輪「まあ、最初はそんなものですな。ハッハ」
 明らかに調子に乗り始める三輪は、段々と態度も大きくなり始める。

シロッコ「・・・・・・ フッ」
 その時点で、シロッコの小さな笑みの意味にさえ気付いていれば、
もう少しましな結末になっていたものを・・・



  ◇    ◇


       一方

     夜   小型航空機内


 夜はより深まり、窓から見える地上の光も減り始めている。

キャル「・・・・・・・・・・」
 そんな夜景の変化を、窓際のキャルがぼうっと片肘ついて眺めていた時

   (ガチャ・・・・)

 寝室と繫がるドアを開け、レディ・アンが部屋へと戻ってきた。

トレーズ「マリーメイアはちゃんと眠れたかね?」
 ワイングラスを口に傾けながら、レディ・アンに尋ねるトレーズ。

レディ「はい、ぐっすりと。よくお休みでいられます」
 レディ・アンの語気の中には、少なからず嬉々としたものがある。
 マリーメイアの可愛い寝顔を見て、すっかり魅惑されてしまったのだろ
うか。

トレーズ「それはよかった」
 トレーズの方はいつも通りの自然体だが、心なしか微笑の度合いが僅か
ながら・・・

キャル「・・・そんで? どーしていきなりイタリアに高飛びなんてする気に
なったんだ? 大将」

 キャルは、部屋の中が自分の苦手な空気に染まりきる前に、この航空機
に乗る時から抱えていた疑問をトレーズにぶつけてみた。

トレーズ「・・・・・・・ふむ」
 少しだけ考え込むような仕草をするトレーズ。

トレーズ「簡潔に言うと、私の所在がある所から割れてしまったようなの
でね。考える所あって、しばらくイタリアで拠を構えようと思った訳だ」

キャル「ある所・・・?」

トレーズ「・・・さる地下組織にとても優秀なMS乗りがいてね。
彼女とは協力関係にある。彼女にはティターンズを見張らせていたんだが」

 その後のトレーズの話によれば、彼女はティターンズの動向を密に
探り見張っていたらしく、その折たまたま【異邦からの客人】を襲う三輪
の一軍に行き当たり、勢いのまま蹴散らしたそうだ。

 しかし・・・



  ◇    ◇



    同時刻  海洋上  戦艦司令室


 勝負は、自分にとって圧倒的に有利なはずだった。
 いくらティターンズの総督とはいえ、相手は将棋を一度も指した事のない
超が付くほどのど素人。
 対し自分は、曲がりなりにも若き日から将棋を嗜み、それなりの華やか
しい成績も自負している。

 なのに・・・ だというのに・・・

シロッコ「・・・・・・・・・」
三輪「・・・・・・・・・ バカ、な・・・っ」

 これは一体どういう事なのか。
 そのド素人が・・・

シロッコ「チェック。いや・・・ オウテ。というのだったかな?」
三輪「かっ・・・・ ・・・・・・・・!!?」

 最初の一局で、しかも、驚くべき早さでついた勝敗。
 シロッコがこの一局で失った駒はと言えば、たった3つの歩だけ。

 三輪は気付きさえしないだろうが、それすらもシロッコがわざと取らせた
撒餌に過ぎない。三輪にとっては素人のデタラメ指しに見えたであろう、
シロッコが最初に行った駒の動きは周到な、それでいてまったく無駄のない
罠の作成だった。そして、一見無謀なだけに見えた歩の前進は、まんまと
三輪を調子に乗らせ、その罠に誘い込む役割を純然と果たしたのである。


シロッコ「・・・・・・ ひどいものだ」
三輪「・・・・・・・っ!?」

 三輪が茫然自失としている中、シロッコは対局中はほとんど開かなかった
口を初めて開いた。

三輪「は・・・・・?」

シロッコ「己の駒を考えなしに突撃させ、あげくに【ヒシャ】までも無駄
死にをさせる。そのクセ王(じしん)は少しでも危険を感じると逃げ回る
・・・ まったくもって醜悪だ」

 シロッコの冷ややかな目線を、さすがに三輪も感じ取る。

三輪「ぬ・・・ ぐ・・・っ」
 三輪は、目に見えて萎縮してしまっている。
 冷や汗を流し、瞳を動かしまくり、今にも押し潰されそうなほど。

シロッコ「君に対する噂は聞いていたが、この【ショウギ】でよく把握
することが出来た。・・・君は、歩兵一つにしても上手く扱えんらしい」

三輪「グッ・・・」
 もはや、三輪の将棋におけるプライドや自負は、ズタズタだった。

シロッコ「ボードゲームは戦場における戦略の簡略化された基礎だという
ことは、兵を駒として動かす立場になれば当然誰に教わるまでもなく判り
えることだ。ならば、キングは兵という駒の能力を把握し、駒として純然
と扱い、相応しい役割を与える・・・ そうであるべきではないのかね?」

 シロッコの氷の様な視線が、三輪を射抜く。

三輪「う・・・ う・・・」

 シロッコは、その気になれば歩さえも消費せずに勝てたろう。
 しかしシロッコは、歩に【罠へ誘導する撒餌】という役割を与えたこと
で、時間をほとんどかけずに勝利したのである。

 どこまでも冷酷で冷静、兵を文字通り【駒】としてそれを最大限に利用
するシロッコの人間性がよく現れている。


シロッコ「君のせいで多くのMSを失った。己の能力すらも把握しきれぬ
キングほど無用の長物はない。ましてや・・・」

      (チャッ)

 シロッコは、腰の拳銃を右手に取り、そのまま三輪につきつけた。

三輪「なっ・・・!!?」
 突然すぎるシロッコの行動、そして己の危機に、三輪は狼狽する。

シロッコ「現実の戦争において、チェックメイトは死。
 ましてや・・・ 【次のチャンス】など軽々しく言うものではないな」

  シロッコの指が、ゆっくりと引き金を引いていく。

三輪「ま、待っ・・・!!!」
シロッコ「チェックメイトだ」

         (カチ・・・)

 そしてシロッコの指が、引き金を引いた。
 だが・・・


三輪「・・・・・・・・・・ ・・・へ?」
 いつまで経っても、炸裂音は響かず、三輪もゆっくりと目を開ける。

 シロッコは拳銃の方を見て

シロッコ「・・・・・・・ああ、安全装置をかけたままだったか」
 実にわざとらしくそういって、安全装置を外すシロッコ。


三輪「・・・・・ぬぅぅぎゃあああああっっ────────!!!!!」
 あまりの屈辱、恐怖に気が触れたのか、三輪はゾウキンを裂いたような
悲鳴を上げながら、ドタバタと騒がしく退散していった・・・



シロッコ「・・・・・・・・」
 やかましい男がいなくなったことで、シロッコは拳銃をしまい、イスに
腰掛けなおすと

シロッコ「ふっ、ふふふふ・・・」
 まるで下品なコメディーを見たかのような、くぐもった形で笑う。

デキム「・・・・・・お人が悪いですな」
 それまで沈黙を守り、対局を見守っていたデキムがそう言うと

シロッコ「しかし、あそこまで無能な人間というのも珍しいものだ」

デキム「結局、最後までいいように使われていたことを自覚できなかった
ようですな」

シロッコ「ああいったいてもいないてもいい人材こそ、【捨て駒】には
最適だ。彼と廃棄予定の古い機体のおかげで、【一年戦争の幽霊】を見つ
けることが出来たのだから好成績だろう」

 シオン達を襲撃した三輪の前に突然現れた、白銀のガンダム。
 それによって、三輪率いる艦隊は完膚なきまでに粉砕された。

 しかしそれこそが、シロッコが用意した壮大な罠だった。
 彼女・・・ ライアス・バルの撃破した機体の中には、爆発と同時に無数の
超小型発信機を爆散させ、周囲の機体・・・ つまり、撃破したMSに張り付
き、その機体の帰還ポイントを発見させる仕掛けがあったのだ。

 あとは、帰還ポイントから、それに繫がる黒幕を見つけ出せばいい。

 尤も相手もそう馬鹿ではない。ライアス・バル本人と、そのサポート役
であるノエル・アンダーソンは、そのポイント襲撃に乗り込む際には、既に
MSで脱出していた。
 短い時間で重要なデータもほぼ破棄していたのは敵ながら見事なもの、
おそらくはノエル・アンダーソンの仕業だろうが・・・

 それでも完全ではなく、残ったデータや生の記録から、一人の人物に
辿り着くことが出来た。

シロッコ「・・・・・OZ総帥。トレーズ・クシュリナーダ」

 己の部隊OZだけでなく、そのカリスマ性から様々な人脈のパイプを
持ち、それを死して尚保持する、そして黄泉還りを果たしてからも、この
地球圏の混乱の中、各所において動いている男。

 欠点の無いもう一人の【天才】。それは、認めざるを得まい。

シロッコ「・・・だが、この世に支配者となる天才は二人と要らん」

 アムロ・レイ。シャア・アズナブル。ハマーン・カーン。
 ・・・そして、カミーユ・ビダン。

 倒さねばならない存在は多くいるが、まず倒すべきは厄介なこの男。



  ◇    ◇



レディ「・・・閣下」
 通信機のイヤホンを耳に当てていたレディ・アンが、浮かぬ顔でトレーズ
を呼んだ。

トレーズ「何かな」
レディ・アン「私達がいた日本のOZ社ビルが、爆破されました」

キャル「・・・っ!」
 驚くキャル。

トレーズ「・・・パプティマス・シロッコか。本気になったようだね」
 だがトレーズは、最初から予期していたかのように落ち着いている。

キャル「OZ総帥vsティターンズ総督、か・・・ 派手な事になりそーだぜ」

トレーズ「彼と戦うには日本は狭すぎる。戦うにはまず拠を構えてからだ」
キャル「そんな悠長なコトで大丈夫かい? 大将」

トレーズ「心配は要らない」
 キャルの問いに、微笑むトレーズ。

トレーズ「勝つのは・・・」
 テーブルの上のチェスボード。その白のキングを手に取り・・・



  ◇    ◇



シロッコ「勝者は・・・」
 将棋板の自分の飛車を取り



  ◇    ◇



シロッコ&トレーズ「「わたしだ」」
 シロッコが王を取り、トレーズがキングをチェックする。

 二人の天才の激突は、既に始まっていた。



914 名前:新章/純然なりえぬチェスの駒篇:2007/05/24(木) 18:24:490

○トレーズ・クシュリナーダ→ライアス達と繫がっていた事が判明。
シロッコとの激突に対し自分が勝つと宣言
○レディ・アン→日本のOZビル爆破の報を伝える。
○キャル・ディヴェンス→ティターンズ戦に昔の血を騒がせる。
●パプティマス・シロッコ→三輪をさんざんからかった後、実は三輪を
噛ませ犬として使っていた事が判明。トレーズを倒すことを宣言。
●デキム・バートン→シロッコに対し少し恐ろしさを覚える
●三輪防人→さんざんこきおろされおちょくられ、やかましく退場


915 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/26(木) 22:54:02


 MDPOがガニメデにて、宇宙連合の使者・ガッツ星人のコントロールするスーパー
タイラントをウルトラマン、ガンダムと共に倒し、1週間が経過した。

  ポイントゼロ 無幻城:ゴルゴム玉座の間

???「報告します。TPCガニメデ基地にて工作中、ウルトラマンダイナの変身者、
アスカ・シンが現れるのを確認しました。どうやら、アスカ・シンは記憶を失って
いる模様です」
 白いフードつきマントに身を包んだ3人の男女の前で、背広を着た謎の男が報告
した。
???「それは本当か、バッファロー怪人」
 その内の一人、緑色の顔をした、ゴルゴム大神官、バラオムが尋ねる。
バッファロー怪人・人間体「事実です。この男は、現在MDPO総合医療センターに
入院しております。捕らえて洗脳し、我々の手駒とすれば、Dショッカー内部での
ゴルゴムの発言力も高まるかと!」
???「ふむ・・・・・! よいだろう、バッファロー怪人。お前に全権を委任する。
その者を捕らえてくるのだ! せっかく改造してやったのだ、必ず捕らえて来い」
バッファロー怪人・人間体「はっ!!!」
 3人の内の一人、真っ白い顔のゴルゴム大神官、ダロムが命じ、怪人が答えた。

 1時間後。

   夢幻城:薔薇邪将の間

??? 「珍しい事だな、ここに私を呼び出すとは。それで、どういう用件かな?」
 その場に座っている男の片方、人類基盤史研究所BOARDの元理事長、天王路博史が、
もう一人の男、スマートブレイン社社長の村上峡児に尋ねる。
村上「ええ、ゴルゴムがシャドームーンだけではなく、ウルトラマンまで抱き込もう
としているようなんですよ」
天王路「ほう・・・・・。それは本当か?」
村上「先ほど、ウルトラマンダイナをゴルゴムが洗脳しようとしているという情報が
入って来ましてね」
天王路「ウルトラマンを洗脳・・・・・? そんなことが可能なのか?」
 天王路が、疑わしげに尋ねる。
村上「普通なら無理でしょうね・・・・・。しかし、記憶が無ければ話は別です」
天王路「記憶が無い?」
村上「彼らが狙っているのは、先のガニメデ宙域防衛戦の直前に現れた、アスカ・
シンという青年です。今は記憶を無くしていますが、彼がウルトラマンダイナらしい
のですよ」
 村上が微笑みながら言う。
天王路「なるほど・・・・・。シャドームーンのうえにウルトラマンまで手に入れ
られては、我々の立場はさらに悪くなるな」
村上「そこで、私もウルトラマンダイナを手に入れるために動こうと思っているの
です」
???「おもしろい。その話、我々も加えてもらおう」
 突然声が響き、村上と天王路が驚いてそちらを見ると、そこにはツタンカーメン
の兜に似た大きな兜を被った男と、額にバラのタトゥが描かれた女が居た。
村上「これはこれは・・・・・地獄大使殿にバルバ殿。何のご用ですか?」
 村上が、男、地獄大使と女、ラ・バルバ・デに尋ねる。
地獄大使「お前の計画に、我々も加えてもらおうと思ってなぁ。」
村上「ほう・・・・・何故ですか?」
地獄大使「先ほど天王路博士が言っていただろう? これ以上ゴルゴム優位にさせる
わけにはいかん」
村上「ふむ・・・・・それで、どうして頂けます?」
 村上が、少々考え込んだ後、尋ねる。
地獄大使「ショッカーの戦斗員を、お前に貸そう。そう多くは貸せぬが、50体まで
ならなんとかなろう」
バルバ「グロンギからも何人か出す」
 淡白なバルバの言葉を聞いて、村上は意外そうな顔をすると、
村上「バルバ殿、グロンギは次期世紀王の座にあまり興味をもっていないと思って
いましたが・・・・・」
バルバ「確かに次期世紀王には興味はほとんどない」
 バルバが言いきった。が、村上が口を挟む前に続けて、
バルバ「だが、スマートレディと結んだ“戦果協定”がある。それを使えば、いくら
でも協力させることはできる」

  過去  Dショッカー創立直後。

  無幻城:Dショッカー特別幹部の間

 ここに、ラ・バルバ・デと、スマートレディが座っていた。
バルバ「何の用だ?」
スマートレディ「バルバ、至高邪神様が、『グロンギの戦果が他の組織と比べ、
少ない様に思える』とおっしゃられたのだけど?」
バルバ「しょうがない、グロンギの連中は、ゲゲルにしか興味が無いに等しい」
 バルバが言うと、スマートレディは少し顔をしかめて、
スマートレディ「それじゃあ困るわ。」
バルバ「・・・・・では、どうしろと?」
スマートレディ「グロンギのメンバーも、Dのために働いてもらいたいの♪」
バルバ「ならば、無償で協力というわけにはいかないだろう。何か条件がなければ」
 バルバが無表情に言うと、
スマートレディ「そうね・・・・・。じゃあ、私が至高邪神様に掛け合って、貴女
達が何か戦果を上げたら、その怪人を強化改造してもらうように頼んでみるわ♪」
バルバ「・・・・・少しは期待するとしよう」
 バルバが、少しもそんな様子は見せずに言った。

  現在

村上「確か、グロンギ族は、Dショッカーのために戦果を上げた場合、改造手術を
受けられる、という協定でしたか?」
バルバ「ああ」
 バルバが頷いた。
バルバ「すでに、数人が戦果を上げて、手術も受けている」
村上「何人ほど、出していただけるのです?」
バルバ「二人ほどだ。相手の抵抗も考えられるからな、あまり多くは出したくない」
 バルバが当然の様に言うのを聞き、村上は苦笑して、
村上「それで十分です。」
 と一言言った。
地獄大使「さて、お前の計画を聞かせてもらおう」
村上「いいでしょう。貴方たちがいればそれだけ楽だ・・・・・」
 村上はそう言い置いて、口を開いた。

  “どこでもあってどこでもない”場所

???「・・・・ウルトラマンダイナが帰ってきた、か」
 そこにあった大きな円卓に座っている四人の男の一人が言う。
???「はい。・・・・・彼を、誘いますか? ハヤタさん」
 四人のうちの一人、高山 我夢が始めに口を開いた男――ハヤタ・シンに尋ねた。
ハヤタ「いや、今は控えよう。」
???「どうしてです?」
 四人のうちの一人、おおとりゲンがハヤタに尋ねる。
ハヤタ「彼はまだ自分がウルトラマンだと思い出していないんだ。そんな彼を強引
に我々“宇宙警備隊地球支部”に入れるわけにはいかない」
 ハヤタが毅然とした口調で言い、残りの一人、オーストラリアのUMAに所属する
ジャック・シンドーが、
ジャック「僕も、それがいいと思うな」
 とハヤタに賛成した。
ハヤタ「では、他の皆には私から伝えておこう。」
 他の三人はそれぞれ頷いた。



916 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/26(木) 22:56:51


●バッファロー怪人→ゴルゴム3神官にアスカ・シンの帰還を報告、その捕獲を進言。
●ゴルゴム3神官→バッファロー怪人にアスカの捕獲についての全権を委任する。
●天王路 博史→村上に呼ばれて薔薇邪将の間へ。
●村上 峡児→天王路を薔薇邪将の間に招き、ゴルゴムの企みを話し、計画があると言った
ところで、地獄大使とバルバが現れ、驚く。
●地獄大使→バルバと共に薔薇邪将の間に現れ、自分達も混ぜろと命令。
●ラ・バルバ・デ→地獄大使と共に薔薇邪将の間に現れ、グロンギから二人ほど
協力させると伝える。どうやら、スマートレディとの間に、“戦果協定”という
協定がある模様。
○高山 我夢→ハヤタにアスカ・シンの帰還を報告。
○ハヤタ・シン→謎の空間で、アスカに“宇宙警備隊地球支部”への勧誘をまだ
しないと言う。どうやら宇宙警備隊地球支部の議長役をしている模様。
○おおとりゲン→ハヤタに質問する。
○ジャック・シンドー→ハヤタの言葉に賛成する。


【今回の新規登場】
● バッファロー怪人(仮面ライダーBLACK)
ゴルゴムの怪人。人間に憑依する能力を持っている。この能力を利用して少女に
憑依、仮面ライダーブラックを追い詰めたが、少女の勇気によって追い出され、
怒り心頭のブラックのライダーキックを食らって爆死した。

●地獄大使(仮面ライダー/仮面ライダーV3)
ショッカー東南アジア支部から日本に着任した。アメリカ出身だが数奇な人生を
たどり、東南アジアにて新興国家のゲリラ活動を指揮していたのをショッカーに
スカウトされた。
ショッカー首領に異常なほどの忠誠心を持っており、宿敵仮面ライダーとの最後
の戦いでは、怪人ガラガランダに変身しライダー1号に挑み、「ショッカー万歳」
と叫びながら爆死していった。

●ラ・バルバ・デ(仮面ライダークウガ)
額にバラのタトゥがあり、殺人ゲーム、ゲゲルの進行を取りしきる謎の怪人。
未確認生命体B1号。劇中、怪人体にはならなかったが、腕から太い蔓を伸ばして
の攻撃を行なったこともある。おそらくバラ種怪人だったのだろうが、怪人体を
一度も見せることなく、最後は一条の神経断裂弾を受けて海中に没した。

○ハヤタ・シン=ウルトラマン(ウルトラマン)
科学特捜隊隊員、25歳。科学特捜隊養成学校を主席で卒業したエリート。科特
隊では副隊長的なポストに就いていて、対怪獣戦の作戦立案や 現場での実行動
なども行っている。
第1話にて命を落としウルトラマンと命を共有するが、第39話でゾフィーから
命を与えられウルトラマンと分離した。
その後の作品でも何度かウルトラマンの人間体として特別出演している。

○おおとりゲン=ウルトラマンレオ(ウルトラマンレオ)
獅子座L77星出身の宇宙人であるウルトラマンレオが地球人に変身した姿。
明るい好青年で面倒見や人当たりも良く、地球を“第二の故郷”として愛して
いる。
変身時には、赤い宝石“獅子の瞳”が嵌めこまれたレオリングを使って変身する。

○ジャック・シンドー=ウルトラマングレート(ウルトラマンG)
アストロノーツだったが、火星調査中にゴーデスと遭遇、その後、グレートと
一体化して地球に帰還。その後Universal Multipurpose Agency(略称UMA)
に入隊した。非常に優れた操縦技術を持つ。
変身時にはグレートのカラータイマーを模した三角形のペンダント、デルタ
プラズマーで変身する。



917 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/26(木) 23:00:53


  地上、とある広場

 大きな木が立っていて、そのそばにバスケットゴールがあるその広場に、二人の
男女がいた。
 片方は男で、不思議そうな顔で、手に持った野球ボールを見つめていて、もう片
方は女だった。
女「アスカ、それをあの木に投げてみて。」
男「あの木にか?」
 女、ユミムラ・リョウが言い、男、アスカ・シンは不思議そうな顔をして聞き
返す。
リョウ「そう。いいから!」
アスカ「お、おう」
 アスカは、その言葉を受けて投球体勢に入り、

カコォン!

 見事な投球フォームでその木に、野球ボールをぶち当てた。
 と、野球ボールが木に当たる小気味いい音が響いた瞬間、アスカの頭を、またも
頭痛が襲い、

“見たかよ、親父。届いたぜ。”

“せっかくの休暇中に草野球の練習?”

“×××・・・・”

 アスカの頭の中に二人の人間の声が響いた。
アスカ「うぐっあ!」
 アスカは膝を突き、頭を押さえる。
リョウ「アスカ!」
 リョウが慌ててアスカを支えた。
リョウ「まだ、思い出すのは早いのかしら」
 リョウが暗い顔をして呟く。
アスカ「いや・・・・・そんなことねぇよ。オレは、自分が誰か早く知りたいんだ!
その為なら、こんな頭痛くらい、どってことないね!」
 アスカが気丈に言った。
リョウ「とにかく、MDPO総合医療センターに行きましょ!」

 MDPO総合医療センターとは、MDPOの結成後、MDPO加盟組織全てが協力し、作戦中
の事故などで重傷・危篤状態に陥った隊員達に医療処置や看護する為に建造された
施設で、その設備は世界中で比べても最新かつ最高、スタッフも常に医療技術習得
の為の学習は絶やさず、月に1回はMDPO加盟組織から医療に携わる人間――例に挙
げると、地球防衛軍の友里アンヌや、SRCのカワヤ ノボルなど――が短期出向で
訪れる。
 その建物は地上4階地下4階立てで、壁には直径3cmの鉄の棒が埋め込まれてお
り、敷地外側には同様に3cmの鉄棒が埋め込まれた二つの塀に、TEAM EYESの
テックブースターに装備されたミラーズシールドを応用した、防御バリア発生装置と
自動式防御機関砲も設置され、万一の外部からの攻撃などの時には時間稼ぎとなり、
その際、地下部分がシェルターの役割を果たす。
 さらに、MDPO加盟組織への定期飛行便があるため、その裏手にはエアポート、
入院患者の気晴らしの為に各種ゲーム機やビリヤード台、卓球台などが完備された
レクリエーション室、施設から少し離れたところには、最大250台が入れる巨大な
地下駐車場も完備されている。
 MDPOの隊員以外に、外部・一般の人間にも診察などを行なう事もあるが、その
際にはMDPOの隊員などは払わなくてもよい診察料などを払う必要がある。

アスカ「ああ、そうするぜ・・・・リョウ、あんま心配すんなよな。一人で歩ける
から」
 そして、アスカはよろめきながらも、ここへ乗ってきた車に向かって歩き出した。
 と、その時。突然アスカの目の前に十人のガスマスク男が現れた。その姿から、
どうやらショッカーの新型戦闘員のようだ。
リョウ「ショッカーの戦斗員!?」
アスカ「なんだ、こいつら!?」
戦斗員「ヒ――ッ!!」
 戦斗員は特徴的な掛け声を上げつつアスカににじり寄る。
アスカ「オレを狙ってるのか!?」
 リョウが、アスカの前に飛びだして戦斗員達を牽制する。
リョウ(こんなことなら、ガッツブラスターを持って来るべきだったわ!)
 リョウが、いつでも戦斗員を殴れる様に身構えながら、苦々しげに思った、その時。
???「はぁ!!」
 突然、バイクが1台リョウ達と戦斗員の間に割り込み、さらにもう1台来たバイク
から、乗っていた青年が降り立ち、丸に縦の線が入ったボタンを押すと、彼が乗って
いたバイクが一瞬にして、人型のロボットに変形する。
???「逃げて!」
 バイクに乗っている方の青年が叫んだ。


918 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/26(木) 23:02:04


○アスカ・シン→とある広場にて、リョウに促されてボールを木に投げ、またわずか
に記憶を取り戻す。そして、車に戻ろうとしてショッカー戦斗員に襲われる。
○ユミムラ・リョウ→とある広場にて、アスカに木へボールを投げるよう促す。その
後、アスカと共にMDPO総合医療センターに戻ろうとしてショッカー戦斗員に襲われ、
アスカをかばうために立ちふさがる。
●ショッカー戦斗員10名→突如出現、アスカににじり寄ってくる。アスカを狙って
いる模様。
○謎の青年二人→ショッカー戦斗員とアスカたちの間に割り込み、アスカたちに
逃げるよう促す。



919 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/26(木) 23:03:21


  同じ頃。赤道上空、空中母艦基地エリアル・ベースU:司令室。

敦子「コマンダー! コマンダーへの通信らしきものを受信しました!」
コマンダー「何だ・・・・? 見せてくれ」
 同時に、司令室のスクリーンに一人の青年の顔が現れた。
???『XIGの石室コマンダーか?』
石室「君は・・・・・藤宮くん!?」
 石室が驚いた様に言う。
 それもそのはず、スクリーンに映っていたのはかつてガイアと共に根源破滅天使
ゾグ戦や根源破滅海神ガクゾム戦で戦った、ウルトラマンアグルである青年、藤宮
博也とそっくりだったのだ。
???『藤宮? 俺の名前は手塚 海之だが。』
 その青年、手塚が言った。
石室「手塚? ・・・・・すまない、どうやら他人の空似というやつらしい」
手塚『そのようだな。』
石室「それで・・・・・何故私に連絡してきたんだ? XIGのコマンダーを、名指し
で連絡してくるからには、よほどの事態なのか?」
 石室が厳しい面持ちで尋ねる。
手塚『ああ。俺は、ライダー同盟最高責任者、佐久間ケンの代理として、最近、我々
が入手した、Dショッカーの内部情報を伝える為に貴方に連絡した』
石室「Dショッカーの・・・・・?」
手塚『ああ。スーパーGUTSのアスカ・シン隊員がDに狙われている』
 石室は耳を疑った。
石室「なぜだ!?」
手塚『不明だ。だが、最近Dの動きが活発になってきている。内部で何か変革が
あった可能性が高い。』
 石室は、クラーコフで見た、アスカを思い出した。記憶はないが、光の巨人で
ある、勇敢な青年を。
手塚『すでに、ライダー同盟の仲間に呼びかけ、現在2名がその護衛として任務に
就いているが、MDPOの協力も必要だということで連絡した。』
石室「わかった、すぐにTPCに伝えておく!」
 石室が言うと、手塚は一礼して通信を切った。
石室「敦子! グランドームへ連絡を入れるんだ! 急げ!」
 石室は敦子に命令した。

  TPC総合本部“グランドーム”:スーパーGUTS司令室。

 そこで、アスカとリョウ以外のスーパーGUTS隊員が勤務に就いていた。
???「失礼する!」
 と、そこに、蒼いTPC参謀服を纏った男が入って来た。
ヒビキ「ゴンドウ参謀!? 何かあったのですか?」
 ヒビキがその男、TPC警務局参謀、ゴンドウ・キハチに尋ねる。
ゴンドウ「先ほど、XIGの石室コマンダーから連絡があった。アスカ・シン隊員を
Dショッカーが狙っているらしい。至急、彼らを呼び戻せ!」
ヒビキ「Dショッカーが!? マイ! リョウとアスカに至急連絡!」
マイ「はい! リョウ先輩、応答してください! リョウ先輩!」



920 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/26(木) 23:05:00


○ 石室コマンダー→手塚から、Dショッカーがアスカを狙っている事を知らされ、
グランドームへ連絡を命令。
○手塚 海之→石室にD ショッカーがアスカを狙っている事を知らせる。その際、
ウルトラマンアグル=藤宮 博也に間違えられる。
○ゴンドウ参謀→石室からの通信を受け、アスカらを呼び戻すよう命令。
○ヒビキ隊長→マイに、リョウとアスカへの連絡を命令。

【今回の新規登場】
○ゴンドウ・キハチ参謀(ウルトラマンダイナ)
TPCの警務局を担当する参謀で、タカ派TPC幹部の代表格。
最終回直前ではTPCの、ひいては人類の為、人工ウルトラマンを造ろうとしたが失敗
し、スフィア合成ウルトラマン、ゼルガノイドを造り出してしまった。
最期はダイナを救う為、自らの生命エネルギーをダイナに与え、「人類に未来あれ!!」
と叫びながら爆死した。



921 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:18:53


 戦斗員は青年たちに飛びかかろうとしたが、それはバイクが変形したロボット、
オートバジンに止められ、何人かは投げ飛ばされた。
リョウ「アスカ、逃げるわよ!」
アスカ「お、おう!」
 リョウとアスカは、自分たちが乗ってきた車に走り、急いで乗りこむと全速力で
その場から離脱した。
???「変身!」
 青年が臍の辺りに手を当てて言うと、彼の腰にベルトが現れた。
戦斗員「!!」
 青年、五代 雄介はさらに右腕を突き出しスライドさせ、その腕を腰の左側に当て
ると、最後に両腕を広げた。
 同時に、全身が装甲に包まれ、銀色に紫の縁取りの装甲を纏った仮面ライダー
クウガ・タイタンフォームに変身した。
 そして、もう一人の青年、乾 巧が、手に持った携帯に、“555”さらにEnterを
入力する。

『Standing by』

 そして、携帯を畳むと、腰に巻いていたベルトに差しこみ、左に倒す。
???「変身」

『Complete』

 それとともに巧の全身に光るラインが現れ、一瞬にして巧は仮面ライダーファイズ
に変身し、右手首を軽くスナップした。
 同時に、クウガは乗ってきたバイク、ビートチェイサー2000のグリップを抜く。
すると、それは一瞬にして大剣、タイタンソードに変形した。
ファイズ「雄介先輩」
クウガ「なに?」
 クウガが聞くと、ファイズはオートバジンの右肩のハンドル部を引き抜き、それ
が変形した剣、ファイズエッジを無造作に投げた。
ファイズ「これも使ってくれ」
クウガ「いいの?」
 クウガが尋ねた。
ファイズ「使わないからな」
クウガ「わかった!」
 同時にクウガの手足を電流が走り、一瞬にして、紫色の装甲のライジングタイタン
フォームへ変化した。それと共に、タイタンソードとファイズエッジが変形し、金色
の延長刀身が装備された、ダブルライジングタイタンソードになった。
クウガ「巧くん、半分は任せるよ!」
ファイズ「・・・・・・」(首肯)
 そして、クウガはダブルライジングタイタンソードを振りかぶり、戦斗員めがけて
突撃した。
 ほぼ同時に、ファイズも襲ってくる五人の戦斗員の攻撃を次々かわし、カウンター
を打ち込んでいく。
ファイズ「時間がない。さっさと済ますぞ」
 ファイズは呟くと、ベルトにセットされたチップ、ミッションメモリーを外し、
ベルトから円筒状のファイズポインターを外してミッションメモリーをセット、
足に装備した後、腕につけた腕時計型の装置、ファイズアクセルにセットされた
チップ、アクセルメモリーをベルトにセットする。

『Complete』

 その途端、ファイズの胸部装甲が開き、全体が黒色、瞳は赤のアクセルフォーム
に変化した。
 そして、ファイズは素早くファイズアクセルのスイッチを押す。
 同時に、ファイズの姿が影のようになり、円錐状の光・ロックオンマーカーが次々
に戦斗員の真正面に現れ、避ける間もなくロックオンマーカーにファイズらしき影が
飛びこむ。次の瞬間、ファイズは戦斗員達の後ろに現れ、

『Three、Two、One。Time out』

 機械音声が響き、ファイズの紋章が浮かんだ戦斗員達は、倒れこむと同時に次々
溶けてしまった。

『Reformation』

 そして、機械音声と同時に、ファイズは通常フォームに戻った。

クウガ「はぁっ!!」
戦斗員1「ヒ――ッ!?」
戦斗員2「ギィ――ッ!!」
 そのすぐそばで、クウガはダブルライジングタイタンソードを振りまわし、次々と
戦斗員を斬り捨てていた。斬られた戦斗員たちは、ファイズの必殺技を食らった戦斗
員と同じように次々溶けさっていく。

 クウガとファイズにより、アスカを襲おうとした戦斗員は全て倒された。
雄介「ふ〜。」
巧「あいつら、無事に戻ってたらいいんだが・・・・・」
 二人は変身を解き、巧はそう呟いて、雄介も心配そうに頷いた。


922 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:20:37


○アスカ・シン→リョウと一緒にショッカー戦斗員から逃げる。
○ユミムラ・リョウ→アスカと一緒にショッカー戦斗員から逃げる。
○五代 雄介→仮面ライダークウガ・タイタンフォームから、ライジングタイタン
フォームへ超変身、ダブルライジングカラミティタイタンで5体の戦斗員を倒す。
○乾 巧→仮面ライダーファイズに変身、戦斗員を牽制すると、アクセルフォームに
変身し、必殺のアクセルクリムゾンスマッシュで戦斗員を瞬殺。
●ショッカー戦斗員→クウガのダブルライジングカラミティタイタンと、ファイズ
のアクセルクリムゾンスマッシュを食らって全滅。


【今回の新規登場】
○五代 雄介=仮面ライダークウガ(仮面ライダークウガ)
25歳。世界を旅する冒険家で、笑顔とサムズアップがトレードマーク。飄々とした
性格で、少々変わり者のところもあるが、強い意志と深い優しさをその内に秘める。
クウガとして人を守るためとはいえ、拳を振るう事を「いい気持ちはしない」と嫌う。

○乾 巧=ウルフオルフェノク=仮面ライダーファイズ(仮面ライダー555)
18歳。根は思いやりがあり人の良い性格だが、表面上は無愛想で一匹狼のような態度
を取り、他人との交流を避け続けていた。しかし、園田真理や菊池啓太郎と出会い、
次第に仲間との関わりを居心地のいいものと感じていく様になった。
ウルフオルフェノクでもあるが、人間の心は全く失っていない。


923 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:26:31


  グランドーム:スーパーGUTS司令室。

リョウ「ユミムラ・リョウ、帰還しました!」
 マイの呼びかけを聞いたリョウとアスカが、グランドームへ帰還してきたのだ。
ヒビキ「大丈夫か!?」
リョウ「はい、戦斗員に襲われましたが、仮面ライダーが助けてくれました」
ヒビキ「そうか! よかった!」
 と、リョウはゴンドウ参謀がいるのに気づき、眉をひそめる。
カリヤ「それで、詳しい事を説明してもらえますか? ゴンドウ参謀」
ゴンドウ「ああ。先ほど、XIGの石室コマンダーから連絡があったのはもう話したな。
彼の話ではライダー同盟の総責任者代理から連絡があり、アスカ隊員がDショッカー
に狙われていると話したそうだ」
リョウ「Dショッカーに!?」
 リョウが驚きの声をあげる。
ナカジマ「そうか・・・・・今のアスカには記憶がない! 記憶が無ければ、記憶が
ある人間よりも楽に洗脳する事が可能です!」
リョウ「そんなことをアスカにさせるもんですか!!」
 リョウがいきり立って叫んだ。
ゴンドウ「その通りだ。警務局に連絡し、すぐにアスカ隊員の身辺警護を命令しよう」
 ゴンドウのその言葉に、リョウが不審そうな顔でゴンドウを見つめる。その意味
を悟ったゴンドウが、自嘲するように笑いながら、
ゴンドウ「そう身構えないでもらえるか・・・・アスカ隊員が我々人類の希望の1つ
だということは、理解しているつもりだ。」
 ゴンドウはそう言うと、体を翻して司令室を出た。
リョウ「・・・・・・」
ヒビキ「リョウ、気持ちはわかるが、ここは参謀を信用するべきだ」
 ヒビキが諭すように言う。
リョウ「でも、ゴンドウ参謀はアスカをっ!」
ヒビキ「確かにな。だが、参謀が二度も同じ失敗を繰り返すような馬鹿だと思うの
か? そんな男が参謀になれるとでも? それに、あの行動はあくまで地球を守る為
の行動だ。その行動理由は、“それだけは”、理解できる」
リョウ「それは・・・・・そうですが」
 リョウが不満そうに呟く。
ヒビキ「それに、黄泉還ってもとの地位に戻ったとはいえ、その権威はかなり下がっ
てしまっている。もう前のような馬鹿なマネはしないさ」
リョウ「・・・・・そうですね」
 リョウが、しばらく考えた後、答えた。
ヒビキ「じゃ、リョウ。お前はアスカに張り付いて警護しろ。通常任務は、まあ、
俺達でなんとかする」
リョウ「隊長・・・・・ありがとうございます!」
 リョウは礼を言うと、司令室を後にした。

  同じ頃、MDPO総合医療センター:二重壁のさらに外

警備員A「ったく、なにが起きるんだよ、こんな辺鄙なとこで」
 センターの警備員が、愚痴をこぼしながら、壁のそばを歩いている。

ガサガサッ!

警備員A「っ!?」
 警備員は腰のホルスターから警棒を引き抜き、振り上げつつ音がした茂みの方に
そっと近づいていく。
警備員A「誰か・・・・・いるのか?」
 警備員が声をかけると、茂みがさらに揺れ、
バッファロー怪人「ブォォォッ!!!」
 ゴルゴムのバッファロー怪人が飛び出してきた!
警備員A「う、うわぁぁ!!」
 警備員は情けない声を上げ、へたり込む。
バッファロー怪人「ブォォォ」
 と、バッファロー怪人は緑色の光になって、警備員の口に吸いこまれた。
警備員A「ふっふっふ・・・・・!!!」
 バッファロー怪人に乗り移られた警備員は、不気味な笑い声を上げつつ立ちあがる
と、まるで何事も無かったかのように歩き始めた・・・・・・!!


924 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:28:43


○ユミムラ・リョウ→スーパーGUTS司令室に出頭、Dショッカーがアスカを狙って
いる事を聞いて憤慨、そして、ゴンドウ参謀に疑念を示すが、ヒビキに諭される。
その後、アスカ警護の任を任される。
○ゴンドウ参謀→石室からの連絡をスーパーGUTSに伝え、リョウのトゲトゲした態
度に、自嘲するような表情で退出。
○ヒビキ・ゴウスケ→ゴンドウ参謀への怒りを露わにするリョウをなだめ、アスカ
警護の任務を与える。
●バッファロー怪人→活動を開始、MDPO総合医療センターを警備する警備員に乗り
移る。


925 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:36:33


  翌日 とある山中、MDPO総合医療センター:正門

???「ここがMDPO総合医療センターか?」
 医療センターの正門前に立っている三人の少年少女のうちの一人、黄緑色の髪の
少年、スティング・オークレーが呟く。
???「にしてもさぁ、なんでこんな山奥にあるんだろ? 来るのにも一苦労だよ」
 三人のうちの一人、水色の髪の少年、アウル・ニーダがため息をついて言う。
???「・・・・・」
 三人のうちの最後の一人、金髪の少女、ステラ・ルーシェは黙ってその建物を
見つめた。

 彼らは、これまで入院していた病院から、より設備の洗練されている病院、MDPO
総合医療センターに移ったのである。しかし、エクステンデッドとしての後遺症が
酷いからというわけでは無く、より設備のいい病院の方が効率よく治療が進められる
ということで転院してきたのだ。さらに、宇宙警察S.P.D.の地球署署長、ドギー・
クルーガー直々の嘆願により、MDPO隊員以外の人間は、よほどの重傷患者以外使用
できない特殊な検査装置などの使用も許可されている。

センター正門警備隊員「身分証と用件をどうぞ」
スティング「身分証は無いんだけど、これはだめか?」
アウル「今日、こっちに転院してきたんだけど」
 スティングはドギー・クルーガーからの紹介状を見せ、アウルが少し退屈そうに
言う。
センター正門警備員「・・・・・はい、よろしいです。これをどうぞ」
 警備員は、3枚のカードを出した。それは名札らしく、スティングたち三人の名前
が書いてあり、顔写真も張られていた。
アウル「で、僕達はどこにいけばいいんだっけ?」
 名札を受け取ったアウルが言う。
スティング「まずは“総合受付所”だよ」
 そして、三人はセンターの中に入った。

  MDPO総合医療センター裏:エアポート

 エアポートに、スーパーGUTSのガッツイーグルアルファ・スペリオルが着陸した。
リョウ「後は任せたわね」
TPC警務局隊員「ラジャ!」
 リョウが同乗していたTPC警務局の隊員に言った。
 そして、リョウとアスカはエアポートに降り立つ。
アスカ「やっぱ自然の中の空気はきれいだな!」
 アスカが笑いながらリョウに言う。
リョウ「そうね。だからこそ、ここが選ばれたんでしょ、多分ね」
 二人は会話しつつ施設の内部へ入っていった。

  数分後。MDPO総合医療センター:脳神経外科・待合室。

アスカ「あ〜、待つのって退屈だぜ〜」
 アスカが一人、椅子に座って呟く。
アウル「全くだね!」
 横に座っていたアウルが言う。その横にはスティングが座っていて、さらにその
横ではステラが眠っている。
アスカ「あ、お前もそう思う?」
アウル「もち! 退屈極まりないね!」
 アウルが笑いながら答える。
アウル「あんた、名前は?」
アスカ「アスカ・シン・・・・・らしいんだけどさ、記憶喪失でわからないんだよ。」
スティング「シン・アスカ・・・・・!?」
 隣りで聞いていたスティングが立ちあがりかけながら尋ねる。
アスカ「違う違う、アスカ・シンだよ。アスカ・シン。」
スティング「アスカ・シン? シン・アスカじゃないのか?」
アスカ「名字と名前の位置が逆だし、違うだろ?」
 スティングが冷静になり、腰を下ろす。
アスカ「で、そっちは?」
アウル「僕はアウル・ニーダ。こっちはスティング・オークレー。で、そこで寝てる
のはステラ・ルーシェって名前。今日ここに転院してきたんだ」
アスカ「アウルに、スティングに、ステラか。よろしく!」
 アスカがそう言ったところで、ステラの頭がカクッとなり、ステラは顔をあげた。
ステラ「ん・・・・・?」
 ステラは頭を振り、眠気を払う。
アスカ「で、アウル達はなんでここに?」
アウル「僕ら、もと地球連合の“エクステンデッド”・・・・・強化人間なんだ」
 アウルが少し沈んだ声で言った。
アスカ「へえ・・・・・見た限り、とてもそんなには思えないけどな。」
アウル「もっとも、今は治療を受けてるんだけど」
アスカ「だからここに?」
 アスカが尋ねる。
アウル「そゆことだね」
看護士「アスカ・シン様! どうぞ!」
アスカ「あい! んじゃな」
アウル「おう!」
 看護士に呼ばれたアスカは立ちあがり、診察室に入っていく。
ステラ「シン・・・・・!?」
 ステラが驚いたように呟き、立ちあがる。
スティング「・・・・・ステラ?」
ステラ「シ―――ン!!」
 ステラは声をあげると、ステラは走ってどこかへ行ってしまった。
スティング「おいおい、マジか!? アウル、お前はここで待ってろ!」
アウル「え、僕も」
スティング「お前は看護士に、俺達の診察、後に回せって伝えといてくれ!」
アウル「・・・・・りょーかい」
 スティングはすぐに立ちあがり、走って行った。

 30分後、アスカは待合室を通りかかった。
アスカ「あれ、他の二人はどこ行った?」
アウル「あ、それがさぁ、ステラがあんたの名前聞いた途端にどっか行っちゃって。
スティングは探しにいっちゃったよ」
 アウルは肩をすくめて言った。
アスカ「は? なんで?」
アウル「簡単に言うとね・・・・・」
 アウルはシン・アスカとステラの関係について簡単に説明する。
アスカ「なるほど、あの子がそのシン・アスカって奴が好きで、それに似てるオレ
の名前を聞いて、どっか行っちまったってこと?」
アウル「そゆこと。なあ、あんたも探してきてくんない?」
 アウルの言葉に、アスカがしばらく考え込み、
アスカ「もとはといえばオレの名前のせいでもあるし、いいぜ」
アウル「うん! 頼むよ」
 アスカは待合室を駆け出た。

  数分後、MDPO総合医療センター:中庭。

 そこにある大きな木の下にあるベンチに、ステラが座りこんでいた。
ステラ「シン・・・・・どこ・・・・・?」
 ステラがうつむいて呟く。
アスカ「あ! ここにいたか」
 アスカが呟くと、ステラにゆっくりと歩み寄る。
アスカ「どうしたんだ? そんな暗い顔してよ」
 アスカが尋ねると、ステラは顔をあげる。
ステラ「シンがいないの・・・・・」
アスカ「俺の名前は、アスカ・シンだけど」
ステラ「え?」
 ステラは驚いたように顔を上げ、まじまじとその顔を見つめる。
アスカ「名前違いだと思うぜ」
ステラ「シン・・・・いないの・・・・・?」
アスカ「“シン・アスカ”はここにはいないな。わりぃけど」
 アスカが言うと、ステラは沈んだ顔になってうつむいた。
アスカ「にしても、うらやましいやつだな、そのシンって奴。」
ステラ「え?」
 突然のアスカの言葉に、ステラが顔を上げる。
アスカ「君みたいな子にそんなに一途に思われててさ。オレにもそんな奴がいるの
かねぇ」
 後半は自分自身に尋ねるように呟いた。
ステラ「・・・・・?」
アスカ「ま、元気出せよな! 君が一途に思ってれば、いつかまた会えるさ!」
 アスカはそう言ってステラの肩を軽く叩く。
ステラ「・・・・・・うん!」
 ステラは元気を取り戻して立ちあがった。と、
スティング「ステラ―――!! どこだ―――っ!!」
 スティングの叫び声が聞こえた。
ステラ「スティング!」
 ステラは声を上げると走って行こうとし、ふと思い出した様に立ち止まる。
ステラ「・・・・・・ありがとう!」
 ステラが振り向き、笑顔で言うと、声のする方へ走っていった。

アスカ「・・・・・・」
 アスカは黙って、帰って行くステラを見つめた。
リョウ「アスカ!」
 と、そこに、巧と雄介を連れたリョウが駆けてきた。
アスカ「リョウ! どうしたよ」
リョウ「もう、探したわよ!? なんで待合室の外にいないのよ!」
アスカ「わりいわりい、人捜し手伝っててさ。」
 アスカは、笑いながらリョウに言う。
リョウ「全くもう・・・・・! Dショッカーに狙われてるのよ!?」
アスカ「ああ、わかってるって」
 そう言うと、アスカは立ちあがった。
アスカ「さて、じゃ、部屋に戻るか」
リョウ「あ、そうそう。アスカの病室、変わったわよ」
 リョウが言うと、アスカはけげんそうに、
アスカ「へ? なんで?」
 と尋ねた。
リョウ「アスカを警護するためよ」
アスカ「へぇ・・・・・。なんでそんなしてくれるんだろ?」
リョウ「え!? さ、さぁ」
 リョウは少々狼狽しながら答える。
アスカ「ま、いいや。ちゃんと連れてってくれよ?」
リョウ「もちろんよ!」
 リョウはそう言うと、アスカたち三人を先導して歩き出した。



926 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:43:04


○アウル・ニーダ→スティング、ステラと共にMDPO総合医療センターへ転院してく
る。そして、診察を待つ間にアスカと仲良くなり、診察が終わったアスカに、どこ
かへ行ってしまったステラを捜すよう頼む。
○ステラ・ルーシェ→アウル、スティングと共にMDPO総合医療センターへ転院して
くる。そして、アスカの名前を聞き、シン・アスカと勘違いしてどこかへ行ってしま
うが、アスカに慰められ、元気を取り戻し、スティングのもとへ。
○スティング・オークレー→アウル、ステラと共にMDPO総合医療センターへ転院して
くる。そして、どこかへ行ってしまったステラを捜しに行く。
○アスカ・シン→アウルと知り合い、彼の頼みでステラを捜しに行く。そして彼女を
見つけだし、声をかけ、元気を出せと慰める。その後、リョウに新しい病室へ案内し
てもらう。
○ユミムラ・リョウ→診察後ステラを捜しに行ったアスカをやっと見つけだし、軽く
叱ると、アスカを新しい病室へ案内する。


927 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:48:25


  同刻。TPC総合本部・グランドーム内:会議室。

 そこに、MDPO全加盟組織の実働部隊隊長が勢ぞろいしていた。
???「それで、なぜ急に我々を召集したのです?」
 MAT隊長、伊吹 竜が尋ねる。
???「まずは、これを見てください」
 部屋の大スクリーンの前に座っている女性、イルマ・メグミTPC情報局参謀が、
パソコンを操作すると、回転していたスクリーンのTPCのエンブレムが三分割され
て開き、画像が表示された。
 それには、ウルトラセブンがオーブの空母を撃沈し、飛来してきたムラサメ隊を
ワイドショットで撃ち落とす映像が鮮明に映っていた。
キリヤマ「馬鹿な、なぜセブンがオーブの空母を!?」
 キリヤマが立ちあがり、イルマに向かって叫ぶように尋ねる。
イルマ「このウルトラセブンは、本物のウルトラセブンではありません」
ヒビキ「本物でない? では、ニセモノですか?」
 ヒビキが尋ねると、イルマは首を振って、
イルマ「いえ、ニセモノでもありません」
竜「本物でもニセモノでもない? ではこれはいったい・・・・・?」
 竜が呟くと、
イルマ「とある情報筋からの情報によると、このウルトラセブンは、“ネスツ”と
いう秘密結社により作られたクローン、だそうです。」
 イルマの言葉に、部屋に居た全員が息をのんだ。
ヒビキ「馬鹿なっ・・・・・! 人造ウルトラマン、ですか!?」
イルマ「そういうことに、なります」
 イルマも沈んだ顔で言う。
???「F計画がまた、秘密裏に進められていたということか?」
 ZAT隊長、朝比奈 勇太郎隊長が尋ねる。
イルマ「いえ、今回の件はほとんどF計画とは無関係のはずです。」

 F計画、それは、TPC内の一部の幹部がかつて秘密裏に進めていた、“ティガの地”
にあったのと同様の石像を利用して、人間が自由に操ることができるウルトラマンを
造りあげる、という計画である。
 しかし、それは成功したかに見えたものの、その人造ウルトラマン第1号、テラノ
イドはすぐにエネルギーを失ってスフィアに吸収され、スフィア合成ウルトラマン、
ゼルガノイドを生む結果となってしまったのだ。

???「それで、我々はどうすれば?」
 地球防衛連合UDF所属、対怪獣防衛チーム・DASHの隊長、ヒジカタ・シゲル隊長が
尋ねる。
イルマ「これから、おそらくウルトラマン“らしきもの”が破壊活動を行なう事件が
起きることはもはや疑えません。よって、みなさんには、例えウルトラマンでも、
破壊活動を行なっていればためらわず・・・・・攻撃を加えてください」
 イルマが、わずかにためらった後、その場の全員に言った。
 その場の全隊長が、厳しい顔で頷いた。

   MDPO総合医療センター:4階特別患者室

リョウ「ここが新しい、アスカの部屋よ。」
 リョウは広い部屋にアスカを案内する。
アスカ「へえ・・・・・! 前の部屋より広くないか?」
リョウ「広いわよ。それに、外から侵入者が無いように、窓とドアにセンサーが
付けられてるの。それから、部屋の外には、私とTPC警務局の隊員が二人、それに
雄介さんと巧さんが居る予定になってるわ。」
 リョウが言うと、アスカは少し顔をしかめて、
アスカ「なんか、妙に物々しいな?」
リョウ「そうでもないと思うわよ?」
 リョウが平然と言った。
アスカ「ま、別にいいけどな。でも、ずーっとここにカンヅメじゃ退屈だな〜!」
 アスカが愚痴ると、
リョウ「誰がずっとカンヅメなんて言ったの?」
 リョウが不思議そうな口調を装って尋ねる。
アスカ「え? 違うのかよ?」
リョウ「隊長が、ずっと病院にカンヅメよりは一週間に1回くらいは外出させたほう
がいいだろうって、MDPOにかけあってくれたわ。ついでに私がパトロールもするんだ
けどね。」
アスカ「・・・・・まあ、カンヅメで退屈よかマシか。」
 アスカは少し考え込んだ後言った。
アスカ「で、いつから始めるんだ?」
リョウ「まずは明日。1時半くらいからよ。」
 リョウが言い、アスカをじっと見て言う。
アスカ「わかった。」
 アスカが答えると、ふと気づいたように雄介に向き直り、
アスカ「ところで、五代 雄介だったっけ?」
雄介「はい!」
アスカ「なんで、この間助けてくれたんだ?」
 アスカが尋ねると、
雄介「俺、ライダー同盟に入ってるんですけど、その総責任者の佐久間さんって人
に、巧さんとDショッカーからアスカさんを守ってくれって頼まれたんです。
巧さんとは、何度か協力してDショッカーと戦ったこともありますしね」

  回想

クウガ「うっ、ぐわ!!」
 タイタンフォームのクウガは、頭に巨大な二本角、両腕に巨大な竜頭を模した装甲
を持つドラゴンオルフェノク・魔人態の猛攻を受け、防戦一方だった。
ドラゴンオルフェノク『どうしたの? 攻撃しないと倒せないよ?』
 同時に、凄まじい腕の一撃により、クウガは吹っ飛ばされ、地面を転がった。
クウガ「く・・・・! 強い!」
ドラゴンオルフェノク『さっさと死んでもらおうかな。早く仕事を終わらせないと、
村上さんに怒られちゃうからね』
 ドラゴンオルフェノクが、どうにか立ちあがったクウガに、とどめをさそうとした
その時。
???「らぁっ!!」
 と、突然横から現れたファイズが、その顔面に渾身の一撃を叩きこむ。
ドラゴンオルフェノク『うわっ!』
 ドラゴンオルフェノクがよろめいた隙に、クウガは素早く起きあがると、ドラゴン
オルフェノクから離れる。
ファイズ「大丈夫か?」
クウガ「ああ。ごめん、えーと」
ファイズ「乾 巧だ」
クウガ「どうも、巧くん! でも、どうしてここに?」
 クウガが尋ねると、ファイズは、
ファイズ「手塚って奴から頼まれたんだ」
 と簡潔に答える。
 同時に、ドラゴンオルフェノクがファイズとクウガを睨む。
ドラゴンオルフェノク『まったく・・・・・邪魔をしないで、欲しいなぁっ!!』
 同時に、ドラゴンオルフェノクは腕から破壊光弾を放ち、それが着弾、爆炎と煙が
クウガとファイズを覆った。
ドラゴンオルフェノク『・・・・・・もう死んじゃったかな?』
 ドラゴンオルフェノクが呟いた、その瞬間。

『Ready』

『Exceed Charge』

ドゴォッ!!

ドラゴンオルフェノク『!!』
 その瞬間、ドラゴンフォームとなったクウガが、煙の中から上空へと飛び出して
いき、一瞬晴れた煙の中から、ファイズが、右腕にファイズショットを装備して、
上空に向け、振りぬいた状態で静止しているのが見えた。
 ファイズの、ファイズショットを使用した必殺技、グランインパクトで打ち上げら
れたと思われるクウガは、最上点で静止した瞬間、
クウガ「超変身!!!」
 放電と共にライジングタイタンフォームへ超変身、飛ぶ前からすでに握っていた
トライアクセラーが変形したライジングタイタンソードを振りかぶった。
 猛スピードで降下してきたクウガの、剣の重さ+全体重+重力の乗った大剣は、
受け止めようとしたドラゴンオルフェノクの腕を切り落とし、その胸から腹にかけ、
浅からぬ傷をつくりだした。
ドラゴンオルフェノク『がぁぁ!!?』
 さらに、クウガが一跳びでドラゴンオルフェノクから離れると、追い打ちをかける
ように、

『Exceed Charge』

 機械音声と同時に、ドラゴンオルフェノク正面にロックオンマーカーが出現、そこ
にファイズが飛びこんだ。
ドラゴンオルフェノク『ぐあぁぁぁ!!』
 そして、その後ろにファイズが出現、ドラゴンオルフェノクの体の周りにファイズ
の紋章が浮かんだ。
ドラゴンオルフェノク『うああああっ!!!』
 が、ドラゴンオルフェノクはその紋章を叩き壊し、超高速移動形態、龍人態に変化
して、その場を脱出した。
 それを見届けたクウガとファイズは、変身を解除した。
雄介「巧くん、助かったよ!」
巧「礼なんかいい。でも、あいつから何も聞き出せなかった」
雄介「うん・・・・・残念だね」

  回想終了

雄介「あの後から、俺と巧くんは時たま一緒に戦うことが多くなったんです」
アスカ「へぇ〜。・・・・・っつーか、雄介さんって仮面ライダーなのか?」
雄介「そうですよ。」
 雄介はあっけらかんと言う。
アスカ「知らなかったぜ。それなら心強いな! これからもよろしく頼むぜ!」
雄介「はい!」
 雄介は、にこにこ微笑みながら答えた。



928 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/27(金) 23:54:06


○MDPO実働部隊隊長達→イルマの要請でグランドームに集合。話を聞く。
○イルマ・メグミ→MDPO実働部隊隊長達を召集、ネスツによるクローンウルトラ
セブンの騒動を説明、クローンウルトラマンが出現した場合、すぐに攻撃を加える
ように伝える。
○ユミムラ・リョウ→アスカを新しい病室に連れていき、そこで今後の事について
話す。
○アスカ・シン→リョウに今後の事を聞き、さらに雄介に仮面ライダーである事を
聞く。
○五代 雄介→アスカに聞かれ、仮面ライダーである事を話す。
○乾 巧→雄介の回想で、雄介と共に、ドラゴンオルフェノクに大ダメージを与える。
●ドラゴンオルフェノク→雄介の回想で、クウガとファイズを相手に戦闘し、クウガ
の“落下式”ライジングカラミティタイタンとクリムゾンスマッシュを連続で食らい、
大きなダメージを負ってその場を脱出した。


【今回の新規登場】
○伊吹 竜(帰って来たウルトラマン)
MAT日本支部隊長、46歳。加藤隊長の後任にMATニューヨーク本部からやってきた、
MAT日本支部の二代目隊長。
見かけはクールで鬼隊長と呼ばれているが、物分りも良く、人の良い面もある。
 感情をストレートに発露する事が多く、しばしば隊員たちを叱咤する事もあるが、
統率力、分析力、洞察力も高い上に操縦技術も抜群な人物。

○イルマ・メグミ(ウルトラマンティガ/ダイナ)
43歳(ウルトラマンダイナ時・推定)。もとGUTS隊長で、ダイナ劇中では情報局の
シイナ参謀の下で働いている。マドカ・ダイゴ=ウルトラマンティガと同じように、
超古代人の遺伝子を受け継いでおり、それゆえ、直感的に“光”と“闇”の関係に
気付いている。

○朝比奈 勇太郎(ウルトラマンT)
ZAT隊長、42歳。普段は大らかな性格で、厳格に隊を統制することはせず、隊員の個
性を尊重している理想的な隊長。鋭い洞察力を持っており、様々な怪獣の特性に合わ
せて臨機応変に作戦を立案、実行した。基地でのデスクワークが多忙なためか、現場
に直接赴くことは少なく、陣頭指揮は荒垣副隊長に任せ、本部から指示を出すことが
多い。
前夜に何を食べたかで出動メンバーを決める等、ユニークさを見せることもある。

○ヒジカタ・シゲル(ウルトラマンマックス)
いつも冷静沈着で頼りになる、DASHの隊長。主にベースタイタンで隊員の指揮を執る。
厳格で規律に厳しい一方、妙にお茶目な一面もある。部下からはたまに呆れられつつ
も、慕われているよき隊長である。

●ドラゴンオルフェノク=北崎(仮面ライダー555)
ラッキークローバー最強と目されるオルフェノク。魔人態と龍人態の2形態をもち、
魔人態時の頭の巨大な二本角は1万ボルトの雷を呼び、空を自在に飛び回る事が出
来る。巨大な竜頭を模した腕の豪腕は強力で、敵を完膚なきまで叩き伏せる攻撃を
得意とし、また腕の竜頭装甲は分離可能で武器として使用可能。
龍人態時には、魔人態の外殻を脱ぎ捨て軽量化を図る事により、ファイズのアクセル
フォームをも凌ぐほどのスピードでの俊敏な動きが可能。超高速の肉弾攻撃は雷を呼
び、雷撃で敵を粉砕する。


929 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:08:12


 翌日。アスカとリョウは、スーパーGUTS専用パトロール車両、ゼレットに乗り、
MDPO総合医療センターと、グランドームのちょうど中間くらいの位置にある街で、
パトロールを兼ねた気晴らしのドライブに出かけていた。
アスカ「空気の澄んだ山の中もいいけど、やっぱ街もいいな!」
 アスカの言葉に、リョウも微笑む。
アスカ「・・・・・・あれ、何だ?」
 しばらく走った後、アスカがリョウに言う。リョウが前を見ると、前から人が息
せき切って駆けて来て、停車したゼレットの運転席にいるリョウに、
通行人「た、大変なんです!」
 と叫んだ。
リョウ「どうしました?」
通行人「わ、ワームが! ワームがこの向こうに!」
 それを聞いたリョウは、
リョウ「ワーム!?」
 話についていけないアスカが、
アスカ「ワーム? なんだそれ?」
 と尋ねる。リョウは、
リョウ「人を襲ってその被害者に擬態する宇宙生物よ! ZECTという組織にほとんど
駆逐されたけど、黄泉還りでまた、復活したって話を聞いたわ。」
 と簡潔に答えた。
アスカ「人を襲う? ならやばいじゃねえか!」
リョウ「そのとおりよ。わかりました。すぐ向かいます!」
 リョウは通行人に言うと、素早く車をスタートさせた。

 数分して、ゼレットが走っていると、突然、目の前の曲がり角から緑色のサナギ体
ワーム7体が現れた。
リョウ「!!」
 リョウはゼレットを停車し、素早く降りると、ホルスターからガッツブラスターを
抜く。そして、
リョウ「アスカ! そのブレイクシューター、使える?」
 リョウが尋ねると、アスカは後部座席から大型ビーム銃、ブレイクシューターを
取って、
アスカ「もちろんだぜ! 引き金引くだけだろ?」
 と言うとブレイクシューターをゆっくり近づいてくるワームヘ向けた。
アスカ「おらぁ!」
 アスカがブレイクシューターの銃口からディスク状のビームを放ち、次々と連射
してワームに浴びせていく。
 その直撃を10発ほど浴びたワーム2体が爆発し、3、4発食らっただけのワーム達
は慌てた様に後ろに下がる。
リョウ「これでも食らいなさい!」
 リョウは、ガッツブラスターを連射する。それによって、さらに1体のワームが
爆散した。
 ワーム4体は、素早く二人から離れ、攻撃を受けないようにする。
アスカ「離れたけど逃げねえな・・・・・?」
リョウ「なに企んでるのかしら・・・・・?」
 と、リョウが呟いたその瞬間。
???「ギギギギギ!」
 青色の体色、右腕に巨大なハンマー状のカギ爪を持ったエビ型ワーム、キャマラス
ワームが、左横側から、アスカに向かって飛びかかった!
アスカ「!!!」
 アスカが気付いた時には、既に避ける事も、ブレイクシューターを向ける事もでき
ない。
リョウ「アスカッ!!!」
 リョウが悲鳴をあげた。が、あわやアスカがカギ爪で撲殺されようとした、その
時、横から白っぽい何かが高速で襲いかかり、キャマラスワームを弾き飛ばした!
アスカ「なっ!?」
 その“白っぽい何か”が、アスカのすぐ横に着地する。それは、真っ白な体色、
右腕に巨大なハサミを持つ、シオマネキ型のワーム、ウカワームだった。


930 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:09:24


○アスカ・シン→リョウとのパトロール中にワームの出現を知り、急行。
○ユミムラ・リョウ→アスカとのパトロール中にワームの出現を知り、急行。
●サナギ体ワーム7体→3体はリョウとアスカに倒され、残りはあわてて二人の射程
圏外に離れる。
●キャマラスワーム→アスカの隙を突いて攻撃をかけようとする。
△ウカワーム→アスカをキャマラスワームから救う。その意図は?


【今回の新規登場】
●キャマラスワーム(仮面ライダーカブト)
エビに似た成虫体ワームで、長い触覚で暗闇でも敵を察知でき、右腕のハンマー状の
カギ爪で敵を叩き殺す攻撃や深海底での戦闘を得意としている。その戦闘力はかなり
のもので、異なる時間軸とはいえ、ガタック=加賀美を殺したほどである(ハイパー
カブトが時間を巻き戻したため、加賀美は助かった)。

△ウカワーム=間宮 麗奈(仮面ライダーカブト)
シオマネキに似た成虫体ワームで、成虫体でありながらサナギ体以上の防御力を持つ
甲殻に、盾に変化する左腕、鋼鉄をも切り裂く巨大バサミの右腕を持つ。その戦闘能
力は高く、ガタック・キックホッパー以外のライダーを退けたほど。
39話において、カブトとの戦闘でハイパースティングを受けたことにより、一時的に
ワームとしての記憶を失うが、すぐにワームとしての記憶を取り戻し、最期は自分が
人間として愛したドレイク=風間との戦闘でダブルライダーシューティングを受け、
倒された。


931 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:12:37


アスカ「うお!?」
 アスカがウカワームにブレイクシューターを向けるが、当のウカワームは、アスカ
に一瞥をくれただけでキャマラスワームに向き直り、腕を振りかぶると、キャマラス
ワームへ駆けた。
 その瞬間、ウカワームとキャマラスワームはアスカ達に見えないほどの超高速で
動き、その場には、何かと何かが打ち合わされる音だけが響いた。
 数秒して、打ち合わされる音が無くなり、ウカワームとキャマラスワームは立ち
位置を変え、向かい合った状態で現れた。
アスカ「なんだ、今の!?」
 アスカが驚いて言う。
リョウ「クロックアップ・・・・・!」
アスカ「クロックアップ!? 何だそれ?」
 アスカが尋ねた。
リョウ「ワームの成虫の特殊能力よ。動く姿が見えなくなるくらい早く動くことが
できるの」
アスカ「にしても・・・・・何でワームがオレを助けてくれたんだろ?」
 アスカは、不思議そうに呟いた。

ウカワーム「ギシュッ!」
キャマラスワーム「ギギギギギッ!」
 ウカワームとキャマラスワームは、何度も打ち合うが、互いに最後の一手に欠けて
いるようだった。
 と、サナギ体ワーム2体が後ろからウカワームを羽交い締めにする。
ウカワーム「!」
 その瞬間、キャマラスワームがハンマーカギ爪にエネルギーを収束させ、ウカワー
ムにそれを叩きこもうと跳んだ。
アスカ「おらぁ!!」
 が、キャマラスワームはブレイクシューターからのディスクレーザーの直撃を、
無防備な横っ腹に次々食らって吹っ飛び、カギ爪のエネルギーは消滅、キャマラス
ワームは地面を転がった。
キャマラスワーム「ギギギギギッ!?」
 さらに、ブレイクシューターのレーザーはサナギ体ワーム2体を捕らえ、何発も
直撃を食らったサナギワーム達は、次々に爆発した。
 残ったサナギ体ワーム2体は、アスカ達に近づこうとしたが、ちょうどそばに居た
ウカワームのハサミを次々叩き付けられ、あえなく爆発。
キャマラスワーム「ギギギギギッ!!!」
 と、キャマラスワームがエネルギーの収束したハンマーカギ爪を構えつつ、アスカ
へ向かって駆けた。
アスカ「うわ!!」
ウカワーム「シュォォォォッ!」
 しかし、キャマラスワームはアスカの目前で、横からさえぎる様に飛び出してきた
ウカワームのハサミをその胸部に叩きこまれ、吹っ飛んで壁に叩きつけられると、
地面にずり落ちた。
キャマラスワーム「ギギ・・・・・ギギィ・・・・」
 キャマラスワームはよろよろと立ちあがると、顔の部分から女の顔が浮き上がり、
キャマラスワーム・女の顔『馬鹿な・・・・なぜ人間と、間宮 麗奈が、協力など!』
 そしてキャマラスワームは倒れこみ、爆発した。
アスカ「お前・・・・・」
 アスカは、わずかに喜びをこめてウカワームを見つめた。


932 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:14:18


○アスカ・シン→ウカワームにブレイクシューターを向けるが、攻撃はせず。
そして、ウカワームがクロックアップしたのに驚き、ウカワームが自分を助けてくれ
たことを疑問に思う。その後、ウカワームを援護してキャマラスワームを攻撃。
○ウカワーム→助けたアスカを一瞥すると、キャマラスワームと戦闘。途中でサナギ
体ワームに羽交い締めにされるも、アスカに助けられ、その後アスカに襲いかかった
キャマラスワームを倒す。どうやら人間の味方である模様。
○ユミムラ・リョウ→アスカにクロックアップについて説明。
●サナギ体ワーム4体→アスカ、リョウ、ウカワームによって全滅。
●キャマラスワーム→ウカワームと戦闘、サナギ体ワーム2体に羽交い締めにされた
ウカワームを倒そうとしたがアスカの妨害で失敗、次はアスカを襲おうとするが、
ウカワームに倒される。


933 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:20:16


リョウ「さて、あとは、そこの奴だけね」
 リョウはそう言うと、アスカの目の前のウカワームにガッツブラスターを向けた。
アスカ「おい、やめろよ!」
 アスカがリョウに駆けより、その腕を押し下げる。
リョウ「なんでよ!?」
アスカ「こいつはオレを助けてくれたんだぜ!? 人間じゃねえけど恩人だ!」
 アスカが声を荒げ、力説する。
リョウ「・・・・・まあ、いいわ」
 リョウは、一つため息をつくとそう言って、ガッツブラスターをホルスターに戻す。
アスカ「よし。じゃ、逃げろ」
 アスカがいきなり言い、リョウは呆気に取られ、ウカワームは、
ウカワーム「・・・・・・」
 わずかに首を傾げる。
アスカ「見逃してやるから、さっさと行ってくれよ。」
 アスカがもう一度言うと、ウカワームは黙って歩き出し、それから少し振り向いた
かと思うと、クロックアップし、その場から消えた。アスカには、振り向いたウカ
ワームが頭を下げたように、見えた。
リョウ「今・・・・・頭下げなかった?」
 リョウが怪訝そうに尋ねる。
アスカ「オレにも、そんな風に見えた・・・・・」
 アスカも、呆然とした様に呟いた。

 同じ頃。 無幻城:グロンギの間

バルバ「・・・・・・」
 バルバは椅子に足を組んで座り、何かを待っていた。
???「何の用だ?」
???「来てやったぞ〜?」
 そこに、金ぴかの服を着て上腕部にベルトを三重に巻き付け、右手の甲にハチの
タトゥをした男と、脱色した髪に軽薄そうな顔、左上腕部にカメレオンのタトゥを
した男がやって来て言った。
バルバ「バチス、ガルメ。Dショッカーの仕事だ。今回は他の怪人と協力でな」
ガルメ「Dショッカァ? 何で俺が?」
バチス「成功すれば、俺のように改造してもらえるぞ」
 同時に、ハチタトゥ男、バチスがハチ種怪人メ・バチス・バに変身し、その右腕
を突き出す。
ガルメ「・・・・・なんだぁ?」
 その手首の毒針を発射する部分が、まるごと機械になっていた。
バチス「リデソ」
   (訳:見てろ)
 バチスは壁に右腕を向けた。その瞬間、機械の部分から針が次々飛び出し、壁に
突き刺さる。
ガルメ「へぇ・・・・・連射できるようになったのかぁ?」
バチス「ゴセザ・ベジャ・バギゾ」
   (訳:それだけじゃないぞ)
 バチスが言った瞬間、機械の部分からさらに針が発射された。
ガルメ「再生がすぐできるのかよ?」
バチス「ああ」
 そして、バチスは人間体に戻った。
バルバ「成功すれば、お前の望む部分を改造してやろう」
ガルメ「ギギベゲ・・・・・。バビゾ・グセマギギ?」
    (訳:いいねえ・・・・・。何をすればいい?)
バルバ「このリントを生きたまま捕らえて来い。いいか。“生きて”だぞ」
 バルバが、1枚の写真を見せて言う。それには、アスカが映っている。
ガルメ「あ〜い」
 ガルメがやる気の無い返事をし、それを受け取った。
バルバ「では、薔薇邪将の間に行って来い」
バチス「なぜだ?」
 バチスがわずかに眉をひそめて尋ねる。
バルバ「今回の仕事の協力者がそこにいる。そいつらと協力して仕事を済ませろ」
バチス「・・・・・わかった」
 そして、二人はそこを出ていった。
バルバ「・・・・・・」
 バルバは、それを見送ると、目を閉じ、背もたれに寄りかかった。
???「・・・・・バルバ」
 と、そこに一人の男が現れて、バルバに声をかけた。
バルバ「・・・・・ガドルか」
ガドル「・・・・・なにを考えている?」
バルバ「・・・・・リントの事を、な」
 バルバが男、ガドルに向かってそう答える。
ガドル「リントの事だと?」
バルバ「ああ。・・・・・今のリントは、我々に近づいてきている」
ガドル「わかっている。リントの戦士の銃の威力は、互いに食らってわかっている
はずだ。それに、リントの銃は、簡単にドルドを倒したと聞いた」
 ガドルは、自分が受けた対グロンギ用神経断裂弾の威力と、黄泉還った後に聞いた、
グロンギの「ラ」の怪人、コンドル種怪人ラ・ドルド・グと自分の目の前に座ってい
るラ・バルバ・デが、警視庁の刑事によって射殺された、という話を思い出しつつ
言った。
バルバ「今のリントは・・・・・この先、どこへ向かう?」
ガドル「それは、我々グロンギにはわからない問題だ」
 ガドルが簡潔に答えると、バルバは微笑んだ。
ガドル「・・・・・・その笑み。まるで、リントのようだな」
バルバ「フ・・・・・そんなことがありえない事は知っているだろう?
私は、今のリントに関心を持っているだけだ。我々に匹敵する力を、一部は我々すら
凌駕する力を持つであろう、今のリントにな」
 バルバは、そう言い放つと、目を閉じた。

  数分後、薔薇邪将の間

ガルメ「おぉい?」
 部屋に入ったガルメが声を上げると、村上が現れ、
村上「あなたがたが、グロンギからの協力者ですね?」
バチス「そうだ」
 バチスが答えると、
村上「では、この緑川と協力して仕事を成功させてください。」
 そういう村上の後ろから、一人の知的そうな男、緑川が現れる。
バチス「いいだろう」
ガルメ「足手まといになるなよぉ?」
 その言葉を聞いた緑川は、わずかに顔をしかめた。
村上「ところで、これを使う気はありませんか?」
 村上がガルメに、オルフェノクの体色に似た鎧のようなものを見せつつ言う。
ガルメ「なんだこりゃ?」
村上「これは、オルフェノクの体表をベースにして開発した、クウガのキックによる
封印エネルギーやファイズのクリムゾンスマッシュなどの攻撃を受けとめる事ができ
る特殊防御鎧です。」
ガルメ「ヘェ〜」
 ガルメはそれを取ると、カメレオン種怪人メ・ガルメ・レに変身、それを身につ
けた。
ガルメ「なかなかいいじゃん・・・・・。もらうよ、コレ」
村上「どうぞ」
 そして、人間体に戻ったガルメ、バチス、それに緑川は部屋を出ていった。

   MDPO総合医療センター

雄介「こんちは!」
 ゼレットを地下駐車場に停めて、地下通路でMDPO総合医療センター地下まで戻って
きたアスカとリョウを、雄介が出迎えた。
アスカ「どーも! すんません、オレのために」
雄介「そんなこと。好きでやってるんですから」
 そして、アスカとリョウに雄介を加えた三人は歩き始めた。
アウル「あ、アスカじゃん!」
  そこに、缶ジュースを3本持ったアウルが通りかかった。
アスカ「アウル! 元気か?」
アウル「もち! 今、ゲーセンに戻るとこさ。」
アスカ「ゲーセン?」
 アスカが、不思議そうな顔で尋ねる。
リョウ「レクリエーション室のこと?」
アウル「うん、それだよ」
アスカ「へぇ・・・・・。オレも行ってみようかな」
 と言いつつアスカはリョウを見る。
リョウ「別にいいわよ。ただ、私もついていくから」
雄介「俺も行きます!」
 二人の言葉を聞いたアスカは笑みを浮かべると、
アスカ「よし! じゃ、アウル! 連れてってくれよ」
アウル「ああ!」
 そして、アウルを先頭に、アスカ、リョウ、雄介の順で歩き出した。

 そこには、まだ。平和な世界が、存在していた。



934 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:21:46


○ユミムラ・リョウ→ウカワームにガッツブラスターを向けるが、アスカに制され
る。その後、MDPO総合医療センターに戻ってアウル、アスカ、雄介とレクリエーシ
ョン室へ向かう。
○アスカ・シン→ウカワームにガッツブラスターを向けたリョウを制止し、ウカワ
ームを逃がす。その後、MDPO総合医療センターに戻ってアウルに会い、彼とリョウ、
雄介と一緒にレクリエーション室へ向かう。
○ウカワーム→アスカに逃がしてもらい、一礼するとクロックアップしてどこかへ。
○五代 雄介→MDPO総合医療センターに戻ってきたアスカとリョウを出迎え、アウル、
アスカ、リョウとレクリエーション室へ。
○アウル・ニーダ→アスカとリョウがちょうど戻ってきたところに鉢合わせ、アスカ
をレクリエーション室に誘う。
●ラ・バルバ・デ→バチスとガルメに指令を与え、その後、ガドルと会話する。
●メ・バチス・バ→バルバに呼びだされ、指令を与えられて村上のもとへ。
●メ・ガルメ・レ→バルバに呼び出され指令を与えられ、始めは嫌そうにしていたが、
バチスの改造を見て心変わり、村上のもとへ。そして、そこで特殊防御鎧をもらう。
●ゴ・ガドル・バ→バルバと会話する。
●村上 峡児→バチスとガルメに、緑川と協力してアスカ誘拐作戦をするよう要請。
その後、ガルメに特殊防御鎧を与える。
●緑川→村上にバチス、ガルメと協力してアスカ誘拐作戦をするよう要請され、
ガルメの揶揄にしかめ面になる。


【今回の新規登場】
●メ・バチス・バ(仮面ライダークウガ)
ハチの能力を持つグロンギの怪人。ゲゲルや戦闘時には、右腕から発射する毒針を
使う。しかし、この毒針は、発射後に15分インターバルが必要で、劇中ではその間
に、ブラストペガサスで射殺された。
高度数千メートルの高空から人間を見分ける事ができる視力を持つ。
毒針の発射器官に改造を受けている模様。

●メ・ガルメ・レ(仮面ライダークウガ)
カメレオンの能力を持つグロンギ怪人。当然光学迷彩めいた能力も持つが、それは
スタングレネードなどの強い光を浴びると五分間使用できなくなってしまう。武器
は先端が吸盤状になった舌で、それを使用し、獲物の首をへし折って殺す。

●ゴ・ガドル・バ(仮面ライダークウガ)
グロンギ・ゴ集団最強のカブトムシ種怪人。人間体でも怪人体でも非常に貫禄を持
っている。
武器はクウガと同じく剣、ロッド、ボウガンを使い、必殺技はライジングマイティ
キックに似た回転電撃キック「ゼンゲギビブブ」。最期は、アメイジングマイティ
フォームに変身したクウガのアメイジングマイティキックを食らい、夜空を赤く
照らすほどの巨大な火柱を立ちのぼらせて大爆発した。

●緑川=マンティスオルフェノク(仮面ライダー555)
カマキリの能力を持つオルフェノク。劇中では仲間二人と共にファイズドライバー
を奪取せよという命令を受け行動。チームのリーダー格で、スマートレディの口調
に嫌悪感を見せていたり、むやみに民間人を殺傷するチームの一人、赤井をなじる
など見かけによらず真面目な性格だが、それが災いして自分勝手な性格の赤井に疎
まれ、ファイズドライバーを手に入れた赤井に倒されてしまう。



935 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:24:37


 アスカたちが、ウカワームと共闘して4日間は、何事も起きずに経過した。

  4日後。MDPO総合医療センター:正門前。

???「ここが、MDPO総合医療センターか・・・・」
 センター正門に、二つの人影があった。一つは、ベレー帽をかぶり、手にはギター
ケースを持った長身の男、もう1つは8、9歳ほどの少女のようだ。
???「大介〜。何しにここに来たの?」
 少女が大介と呼ばれた長身の男、風間 大介に尋ねる。
風間「プライベートな用事さ。別にお前は来なくてもいいんだぞ、ゴン。」
 風間は、少女、ゴンに言う。
ゴン「私は大介のマネージャーだもん。付いていく義務があるの。」
 ゴンは、むっとしたように言い返した。
風間「わかったよ。」
 風間は、苦笑して言い、
風間「行くぞ。」
 風間とゴンは、正門の警備員詰め所へ向かった。

  MDPO総合医療センター:アスカの病室

アスカ「あぁ〜・・・・・なんかねぇかな〜」
 アスカは、白いTシャツとスーパーGUTSの制服ズボン姿でベッドに寝転びつつ、備
え付けられたテレビのリモコンをいじって、チャンネルを次々と変えていく。
リョウ「・・・・・・」
 リョウは、ベッドのそばに座り、黙って何か雑誌を読んでいる。雑誌の表紙には、
『週間美人』と書いてあり、リョウは雑誌の始めの方、『今大人気のメークアップ
アーティスト』と大見出しがついたページに目を注いでいた。
アスカ「っ!」
 と、突然ベッドから起きあがり、テレビに目を注いだ。
リョウ「?」
 リョウがテレビの画面を見ると、
タイトル『ウルトラマンは何故地球にやってきたのか!』
 という番組をやっていた。
リョウ「どうしたの、アスカ?」
 リョウが尋ねると、
アスカ「いや・・・・・なんでもねぇ」
 と言いつつも、画面に釘づけになっているアスカ。
ナレーター『宇宙の侵略者や怪獣から、地球を、人類を守ってくれたウルトラマン達。
なぜ、彼らは我々を助けてくれるのでしょうか。』
 と、突然リョウの腰の、小型通信機W.I.T.が音を立てた。
リョウ「こちらユミムラ・リョウ。どうしたの?」
TPC警務局隊員『ワームと交戦したスーパーGUTSの隊員と話をしたいという人物が
正門に来てます。どうしますか?』
リョウ「そうね・・・・・・。中に入れて、総合受付所で待ってるように伝えて。」
TPC警務局隊員『ラジャ!』
 そして、通信は切れた。
アスカ「どうしたよ?」
リョウ「ワームと戦ったスーパーGUTS隊員、つまり私達と話したいって人物が来た
らしいわ。」
 アスカの問いに、リョウはわかりやすく答える。
アスカ「へぇ・・・・・。行ってみようぜ」
リョウ「ええ」
 そういうと、リョウは雑誌を閉じて立ちあがり、部屋を出た。
 アスカも、テレビを消し、スーパーGUTSの制服上着を着てすぐに出ようとして、
ふと枕もとにおいてあるリーフラッシャーに目を注いだ。
リョウ「アスカ?」
 と、リョウの怪訝そうな声が響き、アスカは素早くリーフラッシャーを掴むと腰の
ポケットに突っ込み、
アスカ「今行く!」
 と答えて部屋を出た。



936 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:25:50


○風間 大介→“プライベートな用事”で、MDPO総合医療センターを訪れる。
○ゴン→風間についてMDPO総合医療センターへ。
○アスカ・シン→テレビを見ていて、「ウルトラマンは何故地球にやってきたのか!」
という番組に釘づけになる。その後、「ワームと戦ったスーパーGUTSと会いたい人物」
に会いに行く為、スーパーGUTSの戦闘服を着、リーフラッシャーも持っていく。
○ユミムラ・リョウ→雑誌「週間美人」を読んでいたが、「ワームと戦ったスーパー
GUTSと会いたい人物」に会いに行く為、アスカより先に部屋を出る。


【今回の新規登場】
○風間 大介=仮面ライダードレイク(仮面ライダーカブト)
仮面ライダードレイクの資格者。22歳。相棒に「ゴン」という名前の少女を連れて
いる。「風間流」という独自のメイク術を持つメイクアップアーティストで、いつも
持ち歩いているギターケース内には、大量のメイク道具が詰めこんでいる。筋金入り
のフェミニストで、自らを「花から花へと渡る風」と称し、世の全ての女性を守る事
を信条にしている。
数多くの常連を持つ売れっ子だが、キザな台詞回しを好む割にボキャブラリーが少な
いというウィークポイントを持つ。劇中ではせっかくのキメ台詞で決めようとしたら
途中で言いよどむことが多々あり、ゴンに常にキメ台詞をフォローしてもらっている。

○ゴン(仮面ライダーカブト)
本名は高山 百合子。8歳。幼いながらもしっかり者で、風間のフォローやアシスタ
ントを的確にこなし、良き助手として深い信頼で結ばれていた。しかし、あるワーム
の襲来により、過去の記憶を取り戻した代わりに風間の記憶一切を失い、しばらくは
もとの「高山 百合子」として暮らしていた。だが、ひょんなことから記憶を取り戻し、
風間を探し出すと、またその相棒となった。
その観察眼は非常に優れており、ワームが擬態した風間と本物の風間を瞬時に見分け
るほどである。



937 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:27:52


  MDPO総合医療センター:2階・総合受付所

 センターへ入るのを許された風間とゴンは、2階の総合受付所にいくつかある
ソファーの1つに座っていた。
 と、そんな風間の目に、特徴的なスーパーGUTSの戦闘服が目に入った。
風間「ゴン、ここで待っていてくれ」
 風間はゴンに言い放ちざま立ちあがると、戦闘服を着た男女の方に向かって歩き
始めた。
風間「ワームと交戦したっていうスーパーGUTSの方ですか?」
 その男女、アスカとリョウに風間は尋ねる。
リョウ「そうですけど・・・・・。あ! あなた、風間 大介さんですよね?」
 リョウが尋ね返す。
風間「はい。」
アスカ「知ってんのか?」
 アスカが尋ねると、
リョウ「TPC内でも結構有名なメークアップアーティストよ。会えてうれしいです!」
 リョウが飛びあがらんばかりに喜びつつ言う。
風間「どうも。」
アスカ「それで、話って?」
 アスカが少しつっけんどんに尋ねる。
風間「お二人は、ワームに襲われた時、白いカニ形のワームに助けられたと聞きま
した。本当ですか?」
リョウ「ええ、ZECTにも報告しておきましたが、そのワームは私達を襲わないで、
仲間のはずのワームを攻撃してました。でも、どこから聞いたんですか?」
風間「ZECTに友人がいるので、その人から聞きました」
アスカ「あ。そういえば、やられた方のワームが変なこと言ってたな」
 アスカが、ふと思い出した様に言うと、
風間「変なこと?」
 風間はすぐさま聞き返す。
アスカ「ああ。確か、“なぜ、人間と、間宮麗奈が、協力など”とかなんとか」
 その言葉を聞き、風間は、
風間「麗奈さん・・・・・やっぱり」
 と呟いた。
アスカ「で、あんたはなんでそんな話聞きにこんなとこに来たんだ?」
 アスカが尋ねると、風間は、
風間「・・・・・あの人のことが、忘れられないんですよ」
 とだけ言った。
アスカ「・・・・・何があったか知らないけど、オレ達はあのワームの居場所まで
は知らないぜ?」
風間「わかってますよ。麗奈さんが黄泉還っていることがわかっただけでも、十分」
センター女看護士A「きゃー!! メークアップアーティストの風間さんだわ!!」
センター女看護士B「ホントだわ!! メイクしてくださ〜い!!!」
 と、風間が言おうとしたところに、センター勤務の女性看護士たちが一斉に殺到
し、風間の周りはあっという間に人垣ができて、メイクを要求する声があちこちから
あふれた。
風間「す、すみません、ちょっとメイク道具を取りに・・・・・」
ゴン「大介〜! 持ってきたよ〜」
 ちょうどゴンが、ギターケースを持ってきた。
風間「ゴン、助かった。」
 風間はそう言うと、ギターケースを開けて中からメイク道具を取り出した。

アスカ「うっわぁ、すげえな。」
 風間を囲んだ人垣を見つつ呟くアスカ。
リョウ「今1番人気のメークアップアーティストよ? 当然じゃない」
アスカ「ふーん・・・・・。」
 アスカは黙ってそれを見つめた。
リョウ「なに?・・・・・もしかして妬いてる?」
 リョウがニヤニヤしながら尋ねる。
アスカ「は、はぁ? なに言ってんだ、そんなわけ無いだろ!?」
 とは言いつつも、アスカはリョウから目を背け、
アスカ「ちょっと外で空気吸ってくる!」
 と言って、そそくさとその場を離れた。

   同じ頃。東京都内・とあるマンション

 そこで、一人の青年が椅子に座って何か考え込んでいた。

ブブブブ、ブブブブブ

 と、すぐそばの机の上にある携帯電話が震え始めた。
???「誰だろう」
 青年は電話に出た。
???『木場 勇治か?』
木場「ああ。」
 青年、木場 勇治が答えると、
???『俺は手塚 海之。ライダー同盟総責任者の代理だ。いきなり済まないが、
頼みたい事がある』
木場「頼みたい事?」
手塚『ああ。乾 巧と協力して、Dショッカーの手から守って欲しい人間が居る』
 手塚は淡々と、木場に向かって告げた。



938 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:28:39


○風間 大介→アスカとリョウにウカワームについて尋ねる。その後、ファンに囲ま
れてメイクを頼まれる。
○ゴン→ファンに囲まれた風間にメイク道具の入ったギターケースを持っていく。
○アスカ・シン→風間にウカワームについて話し、キャマラスワームが言っていた
ことを風間に教える。その後、リョウにからかわれて外に出る。
○ユミムラ・リョウ→風間に会えたことに喜び、ウカワームについて話をする。
その後アスカをからかう。
○木場 勇治→手塚に巧の応援に行くよう要請を受ける。
○手塚 海之→木場に巧の応援に行くよう要請する。



939 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:30:11


  MDPO総合医療センター:中庭

アスカ「・・・・・」
 アスカは、前にステラを見つけたベンチに座っていた。
アスカ(オレは・・・・・・なんで妬いてたんだ? 別に妬く理由なんてないのに)
 アスカは、少し悩んでいた。
アスカ(なんでだ・・・・・? なんで)
 と、そこに一人の警備員が現れた。
警備員A「すみません、アスカ・シンさん」
アスカ「え? ああ、なにか?」
警備員A「ちょっと来ていただきたいのですが」
 アスカは怪訝そうな顔で、
アスカ「どこに?」
 と尋ねた。
警備員A「もちろん・・・・・・Dショッカーにです」
アスカ「っ!?」
 アスカは驚いてその男から離れると、男の口から緑色の光が飛び出し、それは
バッファローの姿をした怪人になった。
バッファロー怪人「ブォォォ」
 バッファロー怪人は、アスカにゆっくりと近づいていく。
リョウ「アスカッ!!」
 と、そこにリョウが割りこみ、さらに、雄介と巧がバッファロー怪人の前に立ち
ふさがると、巧は手に持った変身ツール、ファイズフォンに“555”さらにEnterを
入力した。

『Standing by』

雄介「変身っ!!」
巧「変身!」

『Complete』

 雄介と巧は同時に変身、仮面ライダークウガ・マイティフォームと、仮面ライダー
ファイズになった。
バッファロー怪人「出たな、仮面ライダーめ!」
 バッファロー怪人がそう言うと、ファイズが手首をスナップしつつ、
ファイズ「お前らの好きにさせるか」
 と一言。同時に、二人はバッファロー怪人に向かって駆けた。

リョウ「アスカ、今のうちに逃げるわよ!」
アスカ「あ、ああ!」
 アスカはリョウに促され、建物の中に避難しようとした。その時、
戦斗員「ヒ――ッ!」
 どこからともなく、警棒らしきものを握った戦斗員10人が現れ、アスカたちの前
に立ちはだかった。
リョウ「戦斗員! こんなときに・・・・!!」
 リョウが呟くと同時に、大音量の警報が響き渡った。



940 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:31:12


○アスカ・シン→嫉妬した理由に悩んでいると、バッファロー怪人に襲われる。
○ユミムラ・リョウ→バッファロー怪人の前に飛び出し、アスカを逃がそうとする。
○五代 雄介→アスカを捕らえようとしたバッファロー怪人の前に立ちふさがると、
変身。
○乾 巧→アスカを捕らえようとしたバッファロー怪人の前に立ちふさがると、変身。
●バッファロー怪人→アスカの前に出現、襲いかかるが、仮面ライダー二人と戦う
派目に。
●戦斗員10名→逃げようとしたアスカとリョウの前に立ちふさがる。



941 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:35:58


  MDPO総合医療センター:レクリエーション室

ビーッ! ビーッ! ビーッ!

 10人ほどの患者がさまざまなゲームを楽しんでいたそこに、突然大音量の警報が
響くと、
『中庭に侵入者あり。警備要員1から5は侵入者の排除に、6から15は患者の避難に
あたれ。繰り返す・・・・・』
 という放送が響き渡った。
アウル「なんだぁ?」
 スティングとカーレースのゲームをしていたアウルが怪訝そうに言い、すぐに
運転席を模したゲーム機から立ちあがると、
スティング「アウル? お前なにやってんだ!」
 と、対戦相手のスティングが罵声を浴びせる。
アウル「なんかあったみたいだけど」
スティング「・・・・・それで、行く気じゃねえだろうな?」
アウル「もちろん行く気だよ?」
 スティングの問いに、アウルはしらっと答え、スティングはげんなりした様に、
スティング「しかたねぇな・・・・・」
 と言うと、ゲーム機の座席から立ちあがった。
アウル「ステラ、一緒に来る?」
 アウルが、すぐそばで観戦していたステラに尋ねる。
ステラ「・・・・・ステラも行く!」
アウル「オッケー、じゃ、行こうぜ!」
 そして、三人は走ってレクリエーション室を出た。

 三人が、地下1階のレクリエーション室から地上1階に上がってくると、ちょうど
そこに、二人の警備員が駆けて来た。
アウル「おい、おっさんたち!」
警備員B「なんですか、今は忙しいんです、早く避難を!」
スティング「なにがあったんだ?」
 スティングが尋ねると、もう一人の警備員が、
警備員C「Dショッカーが攻めてきて、今中庭で交戦中なんだ! さ、早く」
アウル「Dショッカー!?」
 アウルが驚いて尋ね返す。
スティング「なんでそんな奴らがここに!?」
警備員B「確か、アスカ・シンというスーパーGUTS隊員を狙っているとか」
アウル「アスカを・・・・・!?」
ステラ「アスカ・・・・!!」
 と、スティングが二人の警備員の顔をまっすぐ見つめて、
スティング「俺達にも、戦わせてくれ!」
 スティングの言葉に、二人は顔を見合わせ、それからもう一度三人の顔を見まわし、
警備員B「・・・・・俺達も馬鹿だね」
警備員C「全くだ。武器を取りに行くぞ、ついて来い!」
 警備員二人は階段を下りていき、スティングたち三人も後に続いた。



942 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:36:37


○アウル・ニーダ→レクリエーション室でスティング相手にゲームをしていたが、
警報を聞いて興味をそそられたのか、非常事態の起きている現場に行くことにする。
そして、二人のセンター警備員に出くわし、アスカが狙われている事を知る。
○スティング・オークレー→レクリエーション室でアウル相手にゲームをしていた
が、警報を聞いたアウルが非常事態の起きている現場に行くと言うのを聞いて、げん
なりしつつも一緒に行くことに。その後、二人の警備員に出くわし、自分たちも戦わ
せて欲しいと頼む。
○ステラ・ルーシェ→アウルに誘われ、非常事態の起きている現場に行くことにする。
そして、二人のセンター警備員に出くわし、アスカが狙われている事を知る。
○MDPO総合医療センター警備員二名→アウル、スティング、ステラの頼みに応じ、
三人と一緒に武器を取りに行く。



943 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:40:59


  MDPO総合医療センター:中庭

 クウガとファイズが、バッファロー怪人と戦っていた。
戦斗員「ヒィ!」
 と、そこに戦斗員が現れ、クウガとファイズに警棒らしきもので攻撃してきた。
クウガ「わっ!」
ファイズ「チッ!」
 二人はそれぞれその攻撃をかわしていく。
バッファロー怪人「ブォォッ!!」
 突然バッファロー怪人が叫び声を上げたので、二人はそちらを見た。そこには、
戦斗員に殴られるバッファロー怪人がいた。
クウガ「!?」
ファイズ「仲間割れか!?」
 と、クウガが、リョウとアスカが戦斗員に襲われているのを見て、
クウガ「巧くん、こっちは任せるから!」
 と叫びざまに二人の方へ走っていく。
 クウガはたちまちリョウとアスカのところにたどり着くと、アスカを連れて行こうと
する戦斗員を次々殴り飛ばし、二人を戦斗員から引き離す。
アスカ「助かった!」
 が、まだ戦斗員はアスカを狙っているらしく、三人ほどがクウガの注意を引きつけて
いる隙に、残りの七人がアスカとリョウに襲いかかった。
リョウ「くっ!」
 リョウは、アスカをかばう様に立ち、戦斗員二人と徒手空拳で戦っているが、それ
でも他の5人がアスカに向かっていく。
戦斗員「ヒ――ッ!」
 が、身構えていたアスカの目前で、戦斗員達はアスカの後ろの方からビーム攻撃を
食らい、悲鳴をあげて全員溶けてしまった。
アスカ「!」
 アスカが驚いて振り向くと、そこにはガッツブラスターと同型のビーム銃を持って
いる二人のセンター警備員に三人のTPC警務局隊員、それに、スティング、アウル、
ステラの姿があった。
アスカ「アウル!?」
アウル「アスカ、大丈夫?」
 アウルがそう言いつつアスカに駆けより、尋ねる。
アスカ「ああ。でもお前ら、なんで」
アウル「なに言ってんの? 僕達、友達でしょ?」
 アウルがさも当然の様に言い、アウルに続いてやってきたスティングとステラも、
一様に頷く。
戦斗員「ヒ――ッ!」
 と、そこにまた戦斗員10体が現れ、アスカ、スティング、ステラ、アウルに襲い
かかった。
スティング「おらぁ!」
アウル「邪魔だよっ!」
ステラ「えいっ!」
 が、スティング達三人はそれぞれ3、4体の戦斗員を相手に、見事、ほぼ互角の立ち
まわりを演じていた。

  MDPO総合医療センター:屋上
???「・・・・・・」
 MDPO総合医療センターの屋上に、その女はいた。
 その女は、喪服に身を包み、黙って下で繰り広げられる、戦いに目を向けていた。
???「・・・・・私も、丸くなったものだ」
 女はそう呟くと、屋上から飛び降りた。



944 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:41:50


○仮面ライダークウガ→ファイズと共にバッファロー怪人と戦闘中、戦斗員に襲わ
れる。そして、アスカとリョウが襲われているのを見てそちらへ行く。
○仮面ライダーファイズ→クウガと共にバッファロー怪人と戦闘中、戦斗員に襲わ
れる。
○ユミムラ・リョウ→アスカを狙う戦斗員を相手に戦う。
○アスカ・シン→戦斗員に迫られるが、寸前でアウルやセンター警備員たちの銃撃
に助けられる。
○センター警備員二人&TPC警務局隊員三人→戦斗員を銃撃。
○アウル・ニーダ→アスカに迫る戦斗員を銃撃、アスカに「自分達は友達だ」と言う。
その後、スティング、ステラと共に戦斗員3、4人を相手に戦う。
○スティング・オークレー→アスカに迫る戦斗員を銃撃、アウルがアスカに言った
セリフを首肯し、その後アウル、ステラと共に戦斗員3、4人を相手に戦う。
○ステラ・ルーシェ→アスカに迫る戦斗員を銃撃、アウルがアスカに言ったセリフ
を首肯し、その後、アウル、スティングと共に戦斗員3、4人を相手に戦う。
△謎の女→MDPO総合医療センター屋上で、「自分も丸くなった」と意味深な言葉を
呟くと、屋上から飛び降りる。
●バッファロー怪人→ファイズ、クウガと戦闘中、戦斗員に襲われる。
●戦斗員×たくさん→アスカ、リョウ、ファイズ、クウガ、バッファロー怪人に襲
いかかり、何人かは遅れてきたセンター警備員やエクステンデッド3人組、TPC警務
局隊員に倒される。


945 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:48:22


戦斗員「ヒィ!!」
 戦斗員はどこからともなくわらわら現れ、合計20人近くがアスカの周りでリョウ、
スティング、アウル、ステラ、それにセンター警備員、後続で来たのも加えて計5人
に、3人のTPC警務局隊員と大乱戦を繰り広げていた。
 センター警備員は、各々の警棒――ただの警棒ではなく、電気が流れている特殊な
警棒スタン・ロッド――で、戦斗員たちの警棒を受けとめ、受け流し、打ち込んで、
それなりに強いところを見せる。
 TPC警務局隊員たちも、ふりおろされ、打ち込まれる警棒を避け、叩き落とし、
奪い取ると、センター警備員にも引けを取らない太刀裁きで、戦斗員たちに攻撃を
加えていく。
スティング「おらぁ!」
 スティングは、倒した戦斗員から奪った警棒で、自分の相手する三体の戦斗員の
攻撃をいなしつつ蹴りを入れ、さらに反対の手に握っていたガッツブラスターで
次々撃っていく。
アウル「おっと!」
 アウルは、正面にいた戦斗員の警棒を伏せつつ懐に入ってかわすと、そのまま足
払いをかけて蹴倒し、その顔面に踵落としを見舞う。
ステラ「やぁっ!」
 ステラは、正面にいる戦斗員にガッツブラスターのビームを浴びせると、倒れこ
んだその戦斗員を踏み台に跳び上がり、両脇にいた二体の戦斗員の警棒を避ける。
戦斗員「ヒ――ッ!」
 だが、ステラが着地した一瞬の隙に、すぐそばにいた戦斗員の一体が警棒をステラ
に振り下ろそうとした。
スティング「!」
アウル「ステラ!!」
ステラ「っ――!!」
 が、しかし。
戦斗員「ヒッ!?」
 戦斗員の腕は、途中で止まった。否、後ろから掴まれ、止められたのだ。
???「私の前で、こんな少女を傷つけようとは、中々いい度胸だな?」
 その声に戦斗員が驚いて振り向く。そこには、さきほど屋上にいた喪服姿の女が、
冷めた目で、その戦斗員を睨んでいた。
戦斗員「ヒッ!?」
 その瞬間、女は白い外骨格に覆われたシオマネキ型のウカワームに変身、戦斗員を
腕のハサミで思いっきり吹き飛ばした。
戦斗員「ギィィ――ッ!!?」
 戦斗員は外壁まで吹っ飛ばされ、そのまま叩きつけられると、地面にボロ雑巾の
ように落ち、数瞬けいれんして、溶けてしまう。
 そして、ウカワームは喪服の女、間宮 麗奈の姿に戻ると、
麗奈「大丈夫か?」
 とステラに尋ねる。
ステラ「う、うん」
 ステラが少しどもりながら答える。
麗奈「なら下がっていろ。怪我をするぞ」
 同時に、麗奈は右手を顔にかざす。するとだんだんと体が甲殻に覆われ、ウカワーム
に変身、戦斗員に向かってゆっくりと歩み始めた。

スティング「ワーム!?」
 ステラを助けたウカワームを見て、戦斗員にヘッドバットをかましたスティング
が驚きの声をあげる。
アウル「何でワームが、僕たちの味方してるんだ!?」
 アウルも、襲ってきた戦斗員の顔面に蹴りこみながら叫んだ。

アスカ「あいつ・・・・・!」
 アスカが、襲いかかる戦斗員を次々薙ぎ払うウカワームを見つめながら呟く。
クウガ「アスカさん、あのワームを知ってるんですか!?」
 クウガが、アスカを狙う戦斗員を殴りながら尋ねる。
アスカ「ああ、あいつは、この間オレとリョウを助けてくれたワームだよ!」
 アスカは、飛びかかってきた戦斗員をかわし、足払いをかけながら言う。
クウガ「味方ですか?」
アスカ「たぶんな!」
 クウガの再度の問いに、アスカは即答した。

   MDPO総合医療センター:地下駐車場

 そこに、一台の車が止まり、中からは、木場が降り立った。そして、彼はすぐに
詰め所に向かって走っていく。
警備員D「た、助けて、助け・・・・・・!」

ザァァァ――ッ!

木場「こ、これは・・・・・!!」
 木場の目の前で、警備員二人が、灰化して消えてしまった。
木場「オルフェノクの仕業・・・・・!? もう、Dショッカーが!?」
 そして、木場は緊張した面持ちで、連絡通路を走って行った。

 アスカを守る為に、14人と1体が戦斗員数十体、及びバッファロー怪人と戦って
いるそこに、さらに三人の乱入者が現れた。
???「戻れ!」
 その内の一人、緑川が叫ぶと、15体程度に減った戦斗員たちは次々と戦闘を止め、
彼らの周りに集まった。
 それを見たバッファロー怪人が、
バッファロー怪人「ショッカーにグロンギ・・・・!! 貴様ら、邪魔をするな!」
 と声を上げる。
???「アスカ・シン。抵抗せずに来れば、周りのリントには危害を加えずにいて
やろう」
 もう一人、金ぴかの服を着て上腕部にベルトを三重に巻き付け、右手の甲にハチ
のタトゥをしたメ・バチス・バ人間体がバッファロー怪人を無視して言った。
リョウ「アスカ、騙されないでよ! ショッカーは昔から、こういう約束を破るの
で有名なんだから!」
 リョウがアスカに言い、
クウガ「アスカさんを連れて行かせないぞ!」
 とクウガも続けて言った。
 それを聞き、脱色した髪に軽薄そうな顔、左上腕部にカメレオンのタトゥをした
メ・ガルメ・レ人間体が、
ガルメ人間体「じゃぁ、しょうがねぇなぁ〜。実力行使で行くぜ〜?」
 同時に、緑川はマンティスオルフェノクに、ガルメ、バチスはそれぞれ怪人体に
変身した。
リョウ「戦斗員たくさんに怪人が一人居るのに、さらに三人も!」
 リョウが苦々しげに呟いた。
マンティスオルフェノク『行け!!』
 マンティスオルフェノクが叫ぶと同時に、戦斗員たちは、再度アスカたち、及び
バッファロー怪人にむかって襲いかかった。さらに、どこからともなく戦斗員が補
充されて30体に増え、大乱戦が、再開された。



946 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/28(土) 11:50:09


○センター警備員五人→アスカを狙う戦斗員にスタン・ロッドで応戦。
○TPC警務局隊員三人→アスカを狙う戦斗員と徒手空拳で応戦。
○スティング・オークレー→アスカを狙う戦斗員三体と戦闘。ウカワームがステラ
を助けた事に驚愕。
○アウル・ニーダ→アスカを狙う戦斗員と戦闘。スティングと同様、ウカワームが
ステラを助けた事に驚愕。
○ステラ・ルーシェ→アスカを狙う戦斗員三体と戦闘、攻撃を避けたところに攻撃
されかかるが、ウカワームに助けてもらう。
○ウカワーム→ステラを攻撃しようとした戦斗員を阻止すると、他の戦斗員を攻撃
し始める。
○アスカ・シン→戦斗員と戦闘。クウガに、ウカワームは味方であると断言する。
○仮面ライダークウガ→アスカに、ウカワームが味方かどうか尋ねる。
○木場 勇治→センターの駐車場に到着、警備員二名がオルフェノクにより灰化され
たのを発見、急いで中へ。
○ユミムラ・リョウ→アスカに、Dショッカーの言うことを信じないように言う。
●戦斗員×たくさん→アスカやライダー二名、ウカワームなどを攻撃。
●緑川→バチス、ガルメと共に出現、戦斗員を指揮している模様。
●バッファロー怪人→緑川達に邪魔をするなとくってかかる。
●メ・バチス・バ→アスカに向かって、Dショッカーに来れば他の人間に危害は加え
ないと言う。
●メ・ガルメ・レ→実力行使でアスカを奪う事を宣言。



947 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/29(日) 22:59:17


戦斗員「ヒィ――!」
 戦斗員は、アスカに向かって殺到するが、それは周囲を囲むリョウやスティング
たちにさえぎられる。
 と、バチスが突然飛びあがり、高空に上昇していくと、すぐさまアスカめがけて
急降下してきた!
アスカ「うおっ!!」
 アスカはとっさに転がってかわす。が、ちょうどそこにはバッファロー怪人が!
バッファロー怪人「ブォォォッ!」
 バッファロー怪人はアスカの首根っこを掴むと、引きずって行こうとした。
アスカ「放せよ、この毛むくじゃら!」
 アスカが蹴り込むが、バッファロー怪人はそ知らぬ顔で進もうとする。しかし、
戦斗員三体がバッファロー怪人を囲んでボコり始めた。
バッファロー怪人「ブォォォ!!」
 バッファロー怪人が戦斗員を排除しようとした隙に、アスカは素早く逃げる。
ガルメ「待てよ」
 そこに、ガルメが現れた。
アスカ「げっ!」
 ガルメはアスカを捕まえようとしたが、そこに突然、一人の青年が割りこんできた。
ガルメ「なんだお前? 邪魔だぞ、どけ」
 ガルメが言った瞬間、青年、木場 勇治は馬型のオルフェノク、ホースオルフェノク
に変化した。
ガルメ「!?」
アスカ「な、何だ!?」
ホースオルフェノク『君は逃げろ!』
 同時に、ホースオルフェノクはガルメに殴りかかった。

ファイズ「木場!?」
 ホースオルフェノクを見て、ファイズが驚いた様に呟く。そして、周囲の戦斗員を
次々蹴り飛ばすと、ホースオルフェノクに駆けより、さらにガルメを殴って怯ませる。
ホースオルフェノク『乾君!』
ファイズ「木場、なんでお前がここに!?」
 ファイズがホースオルフェノクに尋ねると、
ホースオルフェノク『手塚って人に頼まれたんだ! ここにいる、アスカ・シンって
人をDショッカーから守ってくれってね』
ファイズ「オーガベルトはどうしたんだ?」
ホースオルフェノク『ガニメデ防衛戦のときに活発化した、人間大のビーストをせん
滅するときにちょっと油断して、ダメージを受けたんだ。今、ライダー同盟の方に
修理に回してる』
 ファイズのさらなる問いに、ホースオルフェノクが答えた。
ファイズ「そうか、何にしろ助かったぜ」
 ファイズはそう言うと、戦斗員とガルメに攻撃を再開した。

  同刻。MDPO総合医療センター内部:二階から一階への階段・踊り場

センター警備員「早く避難してください、こっちです!」
 センター警備員が叫び、患者達がざわざわしつつ、次々避難していく。その中に、
風間とゴンの姿もあった。
風間「一体何が起きているんです?」
 風間が警備員に尋ねる。
センター警備員「見た方が早いです! そこから見えると思いますよ!」
 警備員はそう言って窓を示す。
風間「全く、なにが・・・・・っ!!」
 風間は、眼下で繰り広げられている光景を見て息をのんだ。
 戦闘員がたくさんに仮面ライダーが二人、普通の人間が13人、そして、怪人が6体。
その怪人の中に、ウカワームの姿があったのだ。
風間「ゴン! 先に避難してろ!!」
 風間は叫びざまにギターケースをゴンに押し付けると、階段を駆け下りていく。
ゴン「大介!?」
 ゴンの困惑した声は、虚しく喧騒に消えた。


948 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/29(日) 23:00:23


○アスカ・シン→急降下してきたバチスをかわし、バッファロー怪人に捕まるが、
隙を見て脱出、さらにガルメに捕まりかかるが、木場に助けられる。
○木場 勇治→アスカをガルメから守り、ファイズに手塚に頼まれて来たと言う。
ガニメデ防衛戦時の混乱の際、ビースト相手にオーガとして戦った模様。
○仮面ライダーファイズ→突然現れた木場に話を聞き、礼を言う。
○風間 大介→中庭で戦闘しているウカワームを発見、ゴンを置いて下へ。
○ゴン→風間の突然の行動に驚く。
●戦斗員→アスカに向かって殺到、三体は、アスカを連れ去ろうとしたバッファロー
怪人を攻撃。
●メ・バチス・バ→急降下してアスカを連れ去ろうとするが失敗。
●バッファロー怪人→バチスを避けたアスカを連れ去ろうとするが、戦斗員に妨害
され失敗。
●メ・ガルメ・レ→バッファロー怪人から逃げ出したアスカの前に立ちふさがるが、
木場に妨害される。


949 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/29(日) 23:06:37


 大乱闘は一進一退、戦斗員やバッファロー怪人がアスカを捕まえても、必ず誰か
に邪魔され、アスカに逃げられるという状態が続いていた。
戦斗員「ヒ――ッ!」
 戦斗員は特徴的な奇声をあげながら、アスカ、クウガ、ファイズ、ウカワーム、
それにバッファロー怪人に襲いかかっている。

 一方、ホースオルフェノクは、ガルメと戦っていた。
ホースオルフェノク『はぁっ!』
 ホースオルフェノクは魔剣を出して、ガルメを相手に斬りかかる。
ガルメ「チッ!」
 ガルメは素早くそれをかわすと、口から舌を伸ばし、ホースオルフェノクの手首
に巻き付けた。
ホースオルフェノク『くっ!!』
 ガルメの舌とホースオルフェノクの腕力の戦いが始まった。

マンティスオルフェノク『死ねぇ!!』
 ガルメとホースオルフェノクのそばでは、マンティスオルフェノクが戦斗員三体
と共にファイズを相手にして手鎌を振り回す。しかし、ファイズはそれをかわして、
カウンターを打ちこむと、周囲の戦斗員も次々殴り、蹴っていく。
 と、そこに、一人のセンター警備員のガッツブラスターから放たれたビームが撃
ちこまれ、直撃をうけた戦斗員1体は溶けさり、ビームを避けきる事ができた二体
は、その警備員に襲いかかった。
ファイズ「これで対等に戦えるな!」
 ファイズが手鎌を避けつつ呟いた。

戦斗員「ヒィ――!」
 ウカワーム、ステラ、アウル、スティングは、リョウと共に戦斗員をアスカから
遠ざけていた。ウカワームは5体の戦斗員を、他の四人はそれぞれ2、3体を相手に
していた。
ウカワーム「ギシィィィ!」
 ウカワームは、戦斗員たちの執拗な一撃離脱攻撃に苦戦していた。

 ウカワームが相手をしている戦斗員達の警棒は、どうやらただの警棒ではなく、
グリップ部のスイッチを押すとエネルギーが収束し、その状態での一撃は、MDPOが
開発した強固な建築素材“超硬化樹脂混合型強化コンクリート”で造られた床面を
一撃で粉々に粉砕するほどである。
 この警棒を持っているのはウカワームを相手している戦斗員だけでなく、二人の
ライダーやバッファロー怪人を相手に戦っている戦斗員も同様の警棒を持っている
ようだ。

 ウカワームの外骨格は、どうにかその警棒、エネルギー・ロッドの攻撃には耐えて
いるが、いつ耐えきれなくなっても不思議ではなかった。
戦斗員「ヒ――ッ!!!」
 と、2体の戦斗員が後ろからウカワームに駆けよると、エネルギーを収束させた
ロッドを振り上げて、叩き込もうとした。

 風間は、建物の中から外に出てきていた。その目に、ウカワームが殴られそうに
なっているのが映し出された。
風間「麗奈さん!」
 風間は持っていた、黒と青色の彩色がされたグリップ状の物を取り出すと、前方に
突き出す。
 それと同時にどこからともなく、トンボ型の飛行物体、ドレイクゼクターNEOが
飛来、風間の持つグリップ、ドレイクグリップに合体した。
風間「変身!!」

『HENSIN』

 同時に、グリップを握っている風間の右腕から、だんだんと装甲に包まれていき、
水色の装甲に包まれた、左右非対称のフォルムを持つ仮面ライダードレイク・マスク
ドフォームに変貌を遂げ、
ドレイク「はっ!!」
 素早くウカワームを襲おうとしていた戦斗員2体に駆けよると、ドレイクゼクター
を振る。そのゼクターの羽に切り裂かれた戦斗員2体は悲鳴をあげ、溶けて消える。
ウカワーム「!!」
 と、ウカワームとドレイクの周囲に、さらに5体の戦斗員が増員された。
 ドレイクは、ドレイクゼクター尾部のレバー〈ヒッチスロットル〉を引くと、
ドレイク「キャストオフ」
 呟きつつ、ゼクターの引き金を引く。

『Cast Off』

 その途端、ウカワームはクロックアップ、同時にドレイクのアーマーが弾き飛ばさ
れ、周囲の戦斗員に叩きつけられる。

『Change Dragonfly』

 そして、ドレイクは握っているゼクターを戦斗員に向けると、次々引き金を引いて
いく。
戦斗員1「ヒ――ッ!!」
戦斗員2「ギイッ!!」
 ドレイクゼクターから連射されたイオン弾は次々に戦斗員に命中、直撃を胴体や
頭に食らった戦斗員は次々に溶け、手足に食らっただけの戦斗員は、ウカワームと
ドレイクに襲いかかった。
ウカワーム・麗奈の顔『風間 大介、ライダーシューティングだ!』
 ウカワームが、顔から麗奈の顔を浮かび上がらせ、叫ぶ。ドレイクは、応じるよう
に頷くと、ドレイクゼクターの羽、ゼクターウイングを折り畳み、ヒッチスロットル
をつまむと、
「ライダーシューティング・トリプルブラスト」
 と音声入力、ヒッチスロットルを引いた。

『Rider Shooting Triple Blast』

 機械音声が告げると同時に、銃口のところに、かつてのライダーシューティングの
三倍のタキオン粒子光球が出現。一瞬の間の後、ドレイクは引き金を引いた。
 その瞬間、タキオン粒子光球は一瞬にして三分割されると、それぞれ独立して飛翔、
5体の戦斗員と戦っているウカワームへ飛ぶ。
ウカワーム「シュォォォォ」
 同時に、ウカワームはクロックアップしてライダーシューティング三発をかわし、
光弾は戦斗員3体に次々直撃、それらの戦斗員は悲鳴をあげつつ吹っ飛ぶと、地面を
転がり、溶けて消える。残り2体がひるんだ瞬間、クロックアップしたウカワームが
飛びかかり、その2体は一瞬にして切り裂かれる。
戦闘員「ヒィィ〜!!」
 切り裂かれた2体は悲鳴をあげつつ倒れこむと、そのまま溶けてなくなった。



950 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/29(日) 23:10:30


○ホースオルフェノク→ガルメと戦闘。
○仮面ライダーファイズ→マンティスオルフェノク、戦斗員三体と戦闘。
○センター警備員一人→ファイズと戦っていた戦斗員を自分のほうへ引き付ける。
○ウカワーム→戦斗員と戦闘、その攻撃を受ける寸前、風間の変身したドレイクに
救われ、協力して戦斗員を倒す。
○風間 大介→仮面ライダードレイクに変身、戦斗員2体を斬撃で倒し、キャストオフ
すると、残りの何体かを射殺、“ライダーシューティング・トリプルブラスト”で
残り三体を射殺する。
●メ・ガルメ・レ→ホースオルフェノクと戦闘。
●マンティスオルフェノク→戦斗員と共にファイズと戦闘。
●戦斗員→アスカ、クウガ、ファイズ、ウカワーム、バッファロー怪人に襲いかかる。
その後、ウカワームに襲いかかっていた奴らは、ドレイクとウカワームに倒される。


【オリジナル兵器説明】
「ドレイクゼクターNEO」
本編最終回にて、パーフェクトゼクターと共に破壊されたドレイクゼクターの代わり
に開発された、強化型のドレイクゼクター。ゼクターとドレイクグリップ、それに変
身後のマスクド/ライダーフォームの姿は前とほぼ変化ないが、全体的にスペックが
向上している。
決め技は『ライダーシューティング改』及び『ハイパーシューティング』。

『ライダーシューティング改』
この技はかつてのライダーシューティングと違い、一度に最大5発まで発射が可能で、
その発射シークエンスは旧ドレイクゼクターとほぼ同じだが、〈ライダーシューティ
ングモード〉に変形させたドレイクゼクターNEOのヒッチスロットルを引く直前に、
「シングル〜マキシマムブラスト」と音声入力する事で「Rider Shooting Single
〜Maximum Blast」の電子音声が発声され、1〜5発同時発射が可能となる。シングル
ブラストの場合はかつてのライダーシューティングと同サイズのタキオン粒子光弾だ
が、ダブル〜マキシマムブラストの場合はそれぞれ、前のライダーシューティングの
2〜5倍サイズのタキオン粒子光弾になり、発射と同時に前のライダーシューティング
と同サイズに2〜5分割されて飛翔する。その軌道はある程度、ドレイク変身者の意の
ままであり、敵一体への集中攻撃や、複数の敵に当てる事、さらにはホーミング攻撃
も可能である。

『ハイパーシューティング』
ドレイクグリップ側面にある蒼いスイッチを押すことにより、〈ハイパーシューティ
ングモード〉が発動、収束赤色イオン光弾を放つことができるようになる。
カブトのハイパーシューティングと同様の高い威力を誇り、分散して敵を自動追尾
する性質も持ち合わせている。
ただし、ハイパーシューティングモードは、一定時間が経過すると自動で解除され、
さらには強制的にプットオン状態になってしまい、3時間はライダーフォームへの
変身はできなくなる、諸刃の剣でもある。



951 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/29(日) 23:15:23


 MDPO総合医療センター中庭では、乱戦が続いていた。
リョウ「このぉッ!!」
 リョウの背負い投げが見事戦斗員に決まり、戦斗員はカエルが潰されたような声を
あげて転げまわる。

ブブブブブ!

 ふと、リョウの耳にそんな耳障りな音が響いてきた。
リョウ「?」
 リョウが音のしている上の方を見ると、そこにはメ・バチス・バがアスカに向けて
降下しているのが見えた。
リョウ「!!」
 リョウは、わずかに息をのんだ。

アスカ「うおっ!」
 アスカは、飛来してきたバチスを素早くかわす。しかし、かわした先には戦斗員
2体がいた。
戦斗員「ヒィ!」
 戦斗員は奇声を上げつつアスカの腕を掴んで捕まえる。
バッファロー怪人「ブォォォッ!!」
 が、そこにバッファロー怪人が突っ込んできて、戦斗員を撥ね飛ばす。
 そして、アスカに掴みかかった。
アスカ「おらぁ!」
 アスカはとっさに顔面めがけ蹴りを入れるが、バッファロー怪人はその足を掴んで
投げた。
アスカ「うおぁ!!」
 投げ飛ばされたアスカは地面に体を打ちつけ、呻き声を上げつつ起きあがる。その
際、バッファロー怪人がアスカに近寄ろうとして、ウカワームにさえぎられている
のが見えた。
 と、

カランッ

 軽い音がし、ポケットから、リーフラッシャーが落ちた。
アスカ「ッ!」
 アスカは反射的にそれを取り上げた。
アスカ(? 何でオレ、慌ててこれを取ったんだ・・・・?)
 一瞬考えたアスカの耳に、ガッツブラスターの発射音が響く。
アスカ「!?」
 アスカが立ちあがりざまに振り向くと、そこには、上空のバチスめがけ、ガッツ
ブラスターを放つリョウがいた。
アスカ「リョウ!」
 アスカは呟いた。

 リョウのガッツブラスターを受けたバチスは一瞬ひるんだ後、リョウを睨みつけ、
バチス「リントン・ヅンザギゼ・ゴセゾ・グヅドザ・ギギゾギョグザ!」
  (訳:リントの分際で、俺を撃つとはいい度胸だ!)
 バチスはそう言うと、右腕を眼下のリョウに向けた。

バシュ! バシュ! バシュ! バシュ!

 その途端、リョウめがけ、何本もの毒針が飛来する。
リョウ「っ!!」
 リョウは素早く身を投げて毒針をかわすと、またもガッツブラスターを連射する。
バチス「グ! ・・・・・・ガッガドギベ!!」
      (訳:さっさと死ね!!)
 バチスは叫び、さらに毒針をリョウへめがけて射る。
リョウ「うっ!!」
 リョウは必死に毒針をかわすが、多数のうちの一本が、リョウの右足を撃ちぬいた。
バチス「ボセゼ・ドゾレザ」
 (訳:これで、とどめだ)
 バチスは、右腕をリョウに向け、毒針を連射した。
アスカ「!!!」
 それを目の当たりにしたその瞬間、アスカは訳もわからず、リョウにむかって
駆けていた。
アスカ「やめろ―――ッ!!!!」
 アスカは絶叫し、無意識の内に、リーフラッシャーを、天に掲げた。

キュィィィ――――ンッ!!

 リーフラッシャーの中央部分が上に撥ね上がり、クリスタルが露わになった途端、
閃光がアスカを包み、それは戦斗員をはねとばしつつ、一直線にリョウへ向かって
疾ると、バチスの毒針を全て弾き飛ばした!
バチス「!?」
リョウ「これ・・・・は・・・・・!」
 まばゆい光が消えると、そこには。銀色の体色に赤と青のラインがある、人間大の
ウルトラマンダイナ・フラッシュタイプが、右腕を上に突き上げ、左腕は曲げて肩の
上で拳を握った、特徴的なポーズをとって、その勇姿をさらしていた。

 今、ここに。ウルトラマンダイナが、復活した。



952 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/29(日) 23:16:29


○ユミムラ・リョウ→戦斗員一体を背負い投げた後、アスカを襲おうとしたバチスに
向かってガッツブラスターを撃ち、その反撃を受け、右足に被弾。あわやバチスの毒
針を食らいかかった所を、アスカが変身したダイナに救われる。
○アスカ・シン→急降下してきたバチスをかわし、その後戦斗員に捕まるが、皮肉に
もバッファロー怪人に救われる。しかし、バッファロー怪人に投げとばされ、落とし
たリーフラッシャーをとっさに取り上げる。そして、ピンチになったリョウを見て、
リーフラッシャーを天に掲げつつ駆け、ダイナに変身を遂げる。
●メ・バチス・バ→アスカを捕らえようとするが失敗、リョウの攻撃を受け、反撃。
リョウの右足に被弾させ、とどめを刺そうとするが、ダイナに変身したアスカに阻
まれる。
●戦斗員2体→アスカを捕らえるも、バッファロー怪人に撥ね飛ばされる。
●バッファロー怪人→アスカを捕らえるが、抵抗を受け、軽く投げ飛ばす。



953 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 21:48:34


アスカ(なんだこれ・・・・・!?)
 ダイナ=アスカは、銀色に変化した自分の腕を見つめ、撫でまわす。
バッファロー怪人「バカな・・・・・!!」
マンティスオルフェノク『ここで、ウルトラマンとして覚醒するとは!』
 変身できないアスカを捕らえるつもりであったバッファロー怪人、マンティスオル
フェノク、バチス、ガルメはみな驚愕した。
スティング「マジかよ・・・・!?」
アウル「アスカが、ウルトラマンにぃ!?」
ステラ「すごい・・・・・・!」
ウカワーム「!!」
 アスカがウルトラマンだと知らなかったステラ達も、皆驚愕する。
 視線が集まる中、ダイナは、リョウに歩み寄る。
アスカ(大丈夫か、リョウ!)
 そして、ダイナは足の傷に手をかざす。すると、光が輝いて、足の傷が消滅した。
リョウ「アスカ・・・・・ありがと」
 リョウが、呟く様に礼を言った。
マンティスオルフェノク『まだだ・・・・・! 今捕らえれば、連れていける!!
やれ、戦斗員!』
 マンティスオルフェノクが叫ぶと同時に、ライダーやバッファロー怪人などを相手
していた戦斗員たちが、一斉にダイナに向かって襲いかかる。
ダイナ「デヤッ!!」
 ダイナは、襲いかかってくる戦斗員を次々かわし、次々殴り、蹴り、チョップを
決めていく。
アスカ(何でオレ、こんなことできるんだ!?)
 ダイナは襲ってきた戦斗員を次々殴り飛ばすが、戦斗員は振り払っても振り払って
も次々捕らえようと襲ってくる。
ダイナ「ジュ、ジュアッ・・・・・!」
 そしてダイナは戦斗員に捕まり、覆い被さられ、周囲から見えなくなってしまった。
リョウ「アスカッ!!!」
 リョウが叫んだ、その瞬間。

チュイィ―――ンッ!!

戦斗員「ヒ――ッ!?」
 赤い閃光と共に、戦闘員は吹き飛ばされ、その後に、赤地に銀の体色に、隆々と
盛りあがった筋肉を持つ、ウルトラマンダイナ・ストロングタイプの勇姿が現れた。
ダイナ「ジュア・・・・・!?」
アスカ(体の色が・・・・・変わった!?)
 アスカが驚くと同時に、その驚きを理解したリョウが、
リョウ「アスカ! そのタイプはストロングタイプ! 力が強化されてるタイプよ!」
 と叫ぶ。
ダイナ「デアッ!」
 それを聞いて、ダイナは一つ頷いた。
バッファロー怪人「ブォォォォッ!!!」
 と、バッファロー怪人が、ダイナに向かって頭の角を突き出しつつ突進してきた。
ダイナ「デュワッ!!」
 ダイナはその角を両腕でつかんでバッファロー怪人の突進を簡単に止めた。
バッファロー怪人「ブ、ブォォッ!?」
ダイナ「デアァッ!!」
 ダイナはその腹に蹴りを叩きこむ。叩き込まれたバッファロー怪人は、
バッファロー怪人「ブォォォッ!!!」
 吹っ飛ばされ、地面を転がる。
マンティスオルフェノク『戦斗員、ダイナを捕らえろ!!』
 マンティスオルフェノクが命令し、戦斗員たちは奇声を上げつつダイナを囲む。
ダイナ「デュワァ!!」
 だが、ダイナは簡単に戦斗員たちを殴り飛ばすと、手を強く握り、指令を出して
いるマンティスオルフェノクへ向かって、力強く駆けた。
マンティスオルフェノク『せ、戦斗員!』
戦斗員「ヒ――ッ!」
 戦斗員は、奇声を上げつつダイナを迎え撃とうとエネルギー・ロッドを構えた。
ダイナ「デヤァ――ッ!」
 ダイナは、その戦斗員の間を駆けぬけた。戦斗員達にラリアットをかけて
次々薙ぎ倒しつつ。
マンティスオルフェノク『く、くそ!』
 マンティスオルフェノクは、至近距離に近づいたダイナに、手鎌で斬りかかる。
ダイナ「デュワッ!」
 が、ダイナは平然とその腕を掴むと、簡単にひねる。
マンティスオルフェノク『バ、バカな! 俺は、俺はオルフェノクだぞ!』
ダイナ「デヤッ! デュワッ! デヤァッ!!」
 ダイナは体を反転させて肘打ち、膝蹴り、顔面への全力パンチを連続で叩きこむ。
マンティスオルフェノク『がばぁ!!』
 マンティスオルフェノクは吹っ飛ぶと、延長上の壁に激突し、壁をぶち抜いて、
その向こう側に消えた。


954 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 21:52:27


○ウルトラマンダイナ→変身したこと、戦斗員と対等に戦えることに混乱。リョウ
の足の傷を治した後、戦斗員多数に捕まるが、ストロングタイプになって戦斗員を
ふっ飛ばし、リョウのレクチャーを聞いて、襲ってきたバッファロー怪人を蹴りつ
け、戦斗員を薙ぎ倒しつつ、マンティスオルフェノクへ駆け、殴りまわす。
○エクステンデッド3人組、ウカワームなど→アスカの変身に驚愕。
○ユミムラ・リョウ→ダイナに足の傷を治してもらう。その後、ストロングタイプに
変身したダイナにその能力を簡単にレクチャーする。
●バッファロー怪人→アスカの変身に驚愕、ストロングタイプに変身したダイナに
角を向けて突進するが、ダイナに止められ、さらに蹴りとばされる。
●マンティスオルフェノク→戦斗員にダイナの捕縛を命令、さらに自分に向かって
駆けてきたダイナを止める様に命令するが、全ての戦斗員が薙ぎ倒され、自らダイナ
に攻撃するも簡単に止められた上、反撃を食らい、センターの壁を突き破ってその
向こうへ消える。
●戦斗員→マンティスオルフェノクの命令でダイナを捕らえようとするがダイナは
ストロングタイプに変身し、吹き飛ばされる。その後、マンティスオルフェノクを
守って再度ダイナを捕らえようとするも止められず、ラリアットを食らって全員が
薙ぎ倒される。



955 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:00:37


戦斗員「ヒ――ッ!!」
 ラリアットのダメージから回復した戦斗員が、一斉にダイナに襲いかかった。
クウガ「おりゃぁ!!」
ファイズ「らぁっ!」
ウカワーム「シュォォォッ!!」
ホースオルフェノク『はぁっ!!』
 が、そこでクウガ、ファイズ、ウカワーム、ホースオルフェノク、ドレイク、それ
にスティングら三人とリョウ、センター警備員、TPC警務局隊員たちが一斉に戦闘員
を攻撃し、ダイナを援護する。
ダイナ「デァッ!!」
 ダイナも負けじと、戦斗員を殴り、蹴り、腕を掴んで投げ飛ばしていく。
 と、そこに、

バシュ! バシュ! バシュ! バシュ!

ダイナ「ッ、デ、デアッ!?」
 突然ダイナの胸や腕になにかが高速で撃ちつけられ、ダイナはよろめくと、空を
見上げる。そこには、バチスが飛びまわっていた。
 ダイナは、すぐに手を上に突き出すと、そのまま飛びあがった。
バチス「ボソギ!」
  (訳:のろい!)
 バチスは、その飛んできたダイナを素早くかわすと、すぐに毒針をダイナめがけて
放つ。その毒針は、ダイナに直撃する。
ダイナ「デュワァッ!?」
アスカ(くそ・・・・・! どうすりゃいいんだ!)
 アスカが思考した瞬間、

ゥ――、デュアッ!!

チュイィ―――ンッ!!

 その脳裏に、ストロングタイプのダイナが腕を顔の前で組み、それを広げると、
身体が一瞬光り輝いた後、フラッシュタイプに変化するのが見えた。

アスカ(これは・・・・!?)
 同時に、アスカ=ダイナが腕を顔の前で組み、広げる。その途端、ダイナの身体
が光り輝き、ストロングタイプからフラッシュタイプに変身した。
ダイナ「デュア!!」
 そして、ダイナは、ストロングタイプ時とは格段に上がったスピードで、バチス
めがけて飛翔した。
バチス「!!」
 バチスは、ダイナに右腕を向け、毒針を連射した。

 その瞬間、アスカの脳裏に、両腕をクロスしてその指先からビームを放ち、正面
にあったたくさんの青白く光る怪獣の影を全てせん滅する映像が見えた。

ダイナ「デュワッ!!」

ビシュンッ!!

 ダイナは、脳裏の映像のとおりに腕をクロスした。それと同時に、両腕から三日月
状のビームが放たれ、毒針を全て相殺した。
バチス「!?」
ダイナ「デュワッ!」
 ダイナはバチスに組み付くと、顔面を思いっきり殴り飛ばす。
バチス「グオッ!!」
 が、バチスもすぐに右腕をダイナの胸に向け、毒針を連射する。
ダイナ「デァッ!?」
 ダイナはその直撃を食らい、バチスを放した。
バチス「ギベ!!」
 (訳:死ね!!)
 バチスは、ダイナに向かってさらに毒針を連射する。
ダイナ「デヤッ!」
 ダイナは、それを素早くかわすと、再度バチスへ飛ぶ。バチスは、素早くその突撃
を回避、毒針をダイナに向かって乱射した。



956 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:03:52


○ウルトラマンダイナ→リョウたち「ダイナの味方組」の援護を受け、戦斗員と戦う
が、バチスの毒針をくらう。その後、バチスに向かって飛ぶも簡単にかわされ、攻撃
を受ける。が、タイプチェンジの仕方を思い出し、すぐさまフラッシュタイプに変身
してバチスの毒針を“フラッシュサイクラー”で相殺、バチスに組み付くと拳を見舞
って対等に戦い始める。
●戦斗員→ダイナに襲いかかろうとするも、ダイナの味方組の総攻撃を受ける。
●メ・バチス・バ→ダイナを狙撃、飛んできたダイナに攻撃するが、フラッシュタイ
プに変身したダイナに攻撃を受ける。


957 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:09:12


戦斗員「ヒ――ッ!!」
 Dショッカー組は、少数の敵に対し、圧倒的な劣勢に立たされていた。
 その大多数が戦斗員で、三体の怪人がいるとはいえ、敵はライダー三人にエクス
テンデッド三人、ウカワームにホースオルフェノク、そして、特殊な訓練を受けた
TPC警務局隊員三人にMDPO総合医療センター警備員五人、さらにスーパーGUTS隊員
が一人いるためだ。
 さらには、怪人の内の一体、バッファロー怪人とは協力しない為、ダイナの味方
組に加え、バッファロー怪人とも敵として戦わなければならないこともその一因と
なっていた。

ファイズ「埒があかねえ!」
 ホースオルフェノクと背中合わせに立っているファイズが、次々襲ってくる戦斗
員を攻撃しながら呟く。
ドレイク「全くです!」
 ドレイクが目の前の戦斗員を叩き切ると、
ドレイク「クロックアップ」
 と呟きつつベルトのバックル部分に軽く触れる。

『Clock Up』

 それと同時に、ドレイクは完全に見えなくなった。

『Clock Over』

 機械音声と同時にドレイクが再び姿を現したその瞬間、戦斗員十体が倒れこみ、
溶け去った。
 その時点で、戦斗員は総勢15体ほどに減ってしまっていた。
ホースオルフェノク『はぁぁぁっ!!!』
 ホースオルフェノクが魔剣を振りまわして、残った戦斗員の間を駆けぬける。その
剣を受けた戦斗員達は、残らず灰になって消えた。
ガルメ「チィッ!!」
 ガルメがいまいましそうに舌打ちする。同時に、ファイズとホースオルフェノク
が駆けて来た。
ガルメ「!!」
ファイズ「はぁっ!!」
ホースオルフェノク『おおおっ!!!』
ガルメ「ガアッ!!」
 そして、ファイズがガルメを一撃殴り飛ばし、ホースオルフェノクがそのガルメ
を魔剣で斬りつけた。

ダイナ「デュワァ!!」
 突き出されたダイナの右腕から放たれた手裏剣状の光弾、ビームスライサーが、
バチスの毒針を相殺する。
バチス「チ!」
 バチスは、さらに毒針を放とうとした。が、その瞬間、背中に激痛が走り、驚いて
真下を見る。
アウル「ハチの化け物が、生意気に!」
スティング「ハチはおとなしく蜜でも吸ってろ!」
 アウル、スティング、ステラが、ガッツブラスターで撃ってきていたのだ。
バチス「ガビン・ヅンザギゼッ!!」
 (訳:ガキの分際でっ!!)
 バチスは、三人に向かって右腕を向けた。
ダイナ「デュワッ!!」
 が、ダイナはその腕を掴むと、無理やり上に向ける。同時に、毒針が空に向かって
放たれた。
バチス「ジャラゾ・グスバ・ウルトラマン!!」
 (訳:邪魔をするな、ウルトラマン!)
 バチスは腕をダイナに向け、毒針を撃ちこもうとするが、ダイナにそらされている
為、放たれた毒針は全て空へ消える。
ダイナ「デュワ!」
 ダイナが、スティング達三人に向かって頷く。
 スティング達も、答える様に頷くと、ガッツブラスターを、ダイナによって降下
してきたバチスの背中に向けて連射する。ダイナに押さえつけられているバチスは、
避ける事もできず、それの直撃を食らう。
バチス「グウッ!!」
 4枚ある羽の内の、小さい1枚が根元から焼き切れ、ひらりと落ちる。
バチス「ジョブロ!!」
 (訳:よくも!!)
 バチスは掴まれている腕を振り払うと、スティング達の方へ降下する。
バチス「ギョグビザ・ガパバギグ・ダダビゴドギデ・ボゾグデジャス!」
 (訳:性には合わないが、叩き落として殺してやる!)
 バチスは叫ぶと、1番弱そうなステラに狙いを定め、急降下した。
 ―――が。

ガキィン!

 その手は、硬質のハサミによって受けとめられる。ウカワームだ。
バチス「ビガラ・・・・・! バゼ・リントゾ・ラログ!?」
 (訳:貴様・・・・・! 何故リントを守る!?)
ウカワーム・麗奈の顔『答える義務など、ない』
 ウカワームが即答すると同時に、バチスは、背中の大きな羽二枚を掴まれている
のに気付いた。
バチス「ッ!!」
アスカ(アウル! スティング! ステラ! それに・・・・・間宮麗奈だっけ? そこ
から離れろ!)
 アスカが三人と1体に思念を送る。それを受けたスティング達とウカワームは、素
早く移動する。
バチス「グッ!!」
ダイナ「ゥ――、デュアッ!!」

チュイィ―――ンッ!!

 ダイナの額のダイナクリスタルが赤く輝き、ダイナは再びストロングタイプに変身
した。
ダイナ「デュワァッ!!」
 そして、ダイナは腕に力を込めると、バチスの背中に両足を乗せ、思いっきり
バチスの羽を引き千切った。
バチス「グオッ!!」
 バチスはすぐに墜落、ダイナは上空に飛びあがると、バチスへ向かって一直線に
降下、右足で、強力な急降下キック、ストロングボムを叩きこもうとした。
バチス「ブサグバ!」
 (訳:食らうか!)
 しかし、バチスはそれを転がってかわし、その場には、ダイナの凄まじい蹴りで
地面が割れ、埃による煙幕が発生した。
バチス「ボゾグ・・・・・ボゾグゾ・ウルトラマン!!」
 バチスが声を上げた、その瞬間。

『Exceed Charge』

 後ろから、機械音声が響いた。
バチス「!!」
 バチスが驚いて振り向くと同時に、円錐の先端がちょうどグロンギのベルトの
バックルの真上に来るようにロックオンマーカーが出現し―――、
ファイズ「どりゃぁ!!」
 ファイズがそこに飛びこんだ。
バチス「グガァァッ!!!」
 そして、ファイズがバチスの後ろに実体化する。
バチス「ダ・ダババ・・・・・ゴセパ・ゴセパ・・・・・!!」
 (訳:ば、ばかな・・・・・俺は、俺は・・・・・!!)
 その瞬間、バチスのバックルに、細かい光るヒビが現れ、バチスは、絶叫と共に
爆滅した。

アウル「やったぜ!」
 アウルが、爆発を見つつ、呟いた。


958 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:12:16


○仮面ライダーファイズ→戦斗員と戦い、その人数に悪態をつく。その後、ダイナの
ストロングボムで発生した埃で目隠しされたバチスに向け、クリムゾンスマッシュを
放ち、バチスのバックルを破壊、倒すのに成功する。
○仮面ライダードレイク→ファイズの悪態に同意すると、クロックアップして戦斗員
十体を倒す。
○ホースオルフェノク→残った戦斗員全員を斬殺。
○ウルトラマンダイナ→バチスの攻撃を相殺、その後、アウル達に向けられたバチス
の右腕を強引に上に向け、バチスを無理やり降下させる。そして、バチスがステラに
襲いかかるのに失敗した隙に羽を掴み、ストロングタイプになって羽を引き千切り、
さらにストロングボムを叩きこもうとして、失敗。
○アウル・ニーダ→バチスの羽に攻撃。その後、バチスが倒された際の爆発を見て、
「やったぜ」と呟く。
○スティング・オークレー→バチスの羽に攻撃。
○ステラ・ルーシェ→バチスの羽に攻撃。その後、バチスに狙われるが、再びウカ
ワームに守られる。
○ウカワーム→ステラを吊り上げ、高空から落として殺そうとしたバチスの腕を受け
止める。
●戦斗員→ドレイクとホースオルフェノクにより全滅させられる。
●メ・バチス・バ→ダイナに攻撃するが相殺、そこをエクステンデッド三人組に攻撃
を受け、毒針を撃とうとするがダイナに妨害され、羽を1枚焼き切られて三人を殺そ
うと急降下、ステラを標的にするが、ウカワームの妨害で失敗。その隙にダイナに羽
をひきちぎられ墜落、ストロングボムをかわし、ダイナを殺すと叫ぶが、そこにファ
イズのクリムゾンスマッシュをベルトのバックルに決められ、倒される。



959 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:18:31


マンティスオルフェノク『く・・・・!!』
 壁の向こうまで殴り飛ばされたマンティスオルフェノクがゆるゆると起きあがり、
首を振る。それと同時に、バチスが爆発した。
マンティスオルフェノク『チ・・・・・! もうやられたか』
 そして、マンティスオルフェノクは手鎌を取り出すと、戦いの舞台へ向かって再び
駆けた。

ウカワーム「シュォォォッ!」
 ウカワームは、襲いかかってきたマンティスオルフェノクの手鎌を腕のハサミで
受けとめ、弾き返す。
マンティスオルフェノク『チィ、流石はワームか!』
 呟くと同時に、マンティスオルフェノクの腕のスピードが上がる。
 だが、ウカワームの腕のスピードも上がり、2体の戦闘は、早くもこう着しようとして
いた。
ドレイク「麗奈さん!」
 が、そこにドレイクが乱入、ドレイクゼクターを連射し、その直撃を受けたマン
ティスオルフェノクはひるんで、ウカワームから離れる。
ドレイク「流石、オルフェノクですね。ワームの成虫体と同じくらいの抵抗力はある」
 そして次は、ドレイクとマンティスオルフェノクが、切り結び始めた。

 一方地上に戻ったダイナは、ガルメと戦っていた。
ガルメ「ガッ!」
 ガルメは、フラッシュタイプのダイナに顔面を殴り飛ばされる。
ガルメ「グゥゥ・・・・・! ガグガ・パウルトラマンザ!」
           (訳:流石はウルトラマンだ!)
 ガルメはそう言いつつ、鎧の胸にある赤いスイッチを押した。
ガルメ「ダドスロロゾ」
 (訳:バトルモード)
  その途端、頭と手足が、鎧でつつまれた。
ダイナ「!?」
クウガ「はぁ!!」
 同時に、ファイズ、ホースオルフェノクと一緒にバッファロー怪人と戦っていた
クウガが、そのガルメめがけ跳び上がり、ガルメの胸に、クウガの右足が命中した。
ガルメ「グッ!」
 ガルメの胸、鎧にクウガの紋章が浮かぶ。
ガルメ「・・・・・フフン、ログ・ゴンバロボ・パビ・ババギゼ」
          (訳:もうこんなものはきかないぜ)
 ガルメが、鎧の蹴りを受けた部分をさすりながら言う。すると、紋章は消えてし
まった。
クウガ「キックが効かない!?」
ファイズ「!?」
 それを見ていた、バッファロー怪人と戦闘中のファイズが驚く。
 クウガはもう一度構えると、ガルメに向かって駆け、次は回転を加えた蹴りを叩き
付けた。
ガルメ「グ!」
 だが・・・・・。
ガルメ「ゴセゼ・パバッダバ?」
 (訳:これでわかったか?)
 ガルメは、小ばかにした様にそう言い、胸のクウガの紋章は消滅した。
クウガ「あの、鎧のせいか!?」
 クウガが悔しそうに呟く。
ファイズ「雄介先輩、木場、こっちを!」
 ファイズが叫びざまにバッファロー怪人の前から離れ、ファイズポインターをベ
ルトから外し、それにミッションメモリーをセットすると、ファイズポインターを
足に装備し、ファイズフォンを開いて操作しつつ、一直線にガルメに疾ると、

『Exceed Charge』

ファイズ「はぁぁぁ―――ッ!!!」
 そのまま飛び、ロックオンマーカーを発生させた。
ガルメ「フンッ!!」
 が、ガルメが声を上げると、ロックオンマーカーは掻き消えてしまった!
ファイズ「!! なんだと!?」
 ファイズは吹き飛ばされ、着地しつつ呟く。
ガルメ「ヘェ〜。これが“クリムゾンスマッシュ”か。」
 ガルメが言った。
ダイナ「デュワ!?」
 と、突然ダイナが頭を軽く押さえる。

“届け――――ッ!!!”

 その瞬間、男の声と共に、ダイナが正面の巨大な闇に向かって、腕を十字に組んで
ビームを放つのが、アスカの脳裏に浮かんだ。

ダイナ「デュワッ!!」
 ダイナは、そのとおりに腕を組む。すると、ダイナ・フラッシュタイプ必殺の
ソルジェント光線が放たれ、ガルメに命中した。
ガルメ「ガッ!」
 ガルメが声を上げる。かなりの効果があったようだ。
ガルメ「チィッ!!」
 その途端、ガルメが突然、消失した。
ダイナ「デュワ!?」
 ダイナが、慌てて周囲を見まわすが、何もいない。と、いきなりダイナの胸から
火花が散る。
ダイナ「デアッ!?」
 次々火花が散り、ダイナは1歩1歩後退していく。
アスカ(くそ、何なんだ、コレ!?)
 アスカは混乱していた。

 一方。
マンティスオルフェノク『死ねぇ! 仮面ライダー!』
 マンティスオルフェノクは、手鎌でドレイクを斬ろうとしていたが、ドレイクは
それをドレイクゼクターのゼクターウイングで次々受けとめる。
ウカワーム「シュォォォッ!!」
 そこに、ウカワームがクロックアップして近寄ると、ウカワームのハサミによる
強烈な一撃がマンティスオルフェノクの腹を打ち、吹き飛ばす。
マンティスオルフェノク『ガァァ―――ッ!』
 吹っ飛ばされたマンティスオルフェノクは地面をゴロゴロと転がる。
 そして、ドレイクは、
ドレイク「ライダーシューティング・マキシマムブラスト」

『Rider Shooting Maximum Blast』

 ドレイクゼクターに音声入力、ヒッチスロットルを引き、それをマンティスオル
フェノクへ向けた。同時に、銃口部にかつてのライダーシューティングの5倍の大き
さのタキオン光球が発生。引き金を引くと同時に5分割され、その全てがやっとの
ことで立ちあがったマンティスオルフェノクへ飛翔、直撃すると、弾き飛ばした。
マンティスオルフェノク『ギャァァ―――ッ!!』
 攻撃はまだ終わらない・・・・・。飛んだ先にはウカワームが待ち構えていた!
ウカワーム「シュォォォォッ!!!」
 ウカワームは跳び上がり、エネルギーが収束したハサミでマンティスオルフェノク
を一閃!
マンティスオルフェノク『ギャ・・・・・!!』
 直撃を食らったマンティスオルフェノクは地面ヘ落ち、力無くよろよろと立ちあ
がった瞬間、灰になって崩れ、消えた。



960 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:20:35


○ウカワーム→マンティスオルフェノクと戦闘。その後、マンティスオルフェノク
がドレイクに気を取られている隙に一撃食らわせ、さらにドレイクとのコンビネー
ションでマンティスオルフェノクを倒す。
○仮面ライダードレイク→ウカワームをかばってマンティスオルフェノクと戦闘、
ウカワームがマンティスオルフェノクを殴り飛ばした隙に、ライダーシューティン
グ・マキシマムブラストをマンティスオルフェノクにぶち込む。
○ウルトラマンダイナ→バチスを倒した後、地上に戻りガルメと戦闘。クウガと
ファイズの必殺技がガルメに効かないのを見て、ソルジェント光線の記憶を思い
出し、ソルジェント光線で攻撃、しかし透明になったガルメに苦戦。
○仮面ライダークウガ→バトルモードに変形した特殊防御鎧を装備するガルメに
マイティキック及び強化マイティキックを放つが、効果無し。
○仮面ライダーファイズ→バトルモードに変形した特殊防御鎧を装備するガルメに
クリムゾンスマッシュを放つが、弾き飛ばされる。
●マンティスオルフェノク→ウカワームに続けてドレイクと戦闘。ドレイクに気を
取られている隙にウカワームの一撃をもろに食らって吹っ飛ばされ、ドレイク必殺
のライダーシューティング・マキシマムブラストの直撃を食らってさらに吹っ飛び、
そこにウカワームのエネルギー収束ハサミの一閃を食らい、死亡。
●メ・ガルメ・レ→ダイナの攻撃を食らい、特殊防御鎧のバトルモードを起動、それ
を使用しクウガのマイティキックと強化マイティキック、それにファイズのクリムゾ
ンスマッシュを受けとめる。しかし、ダイナのソルジェント光線を食らい透明化し、
ダイナに襲いかかる。



961 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:24:21


バッファロー怪人「全員動くな!!」
 突然、バッファロー怪人の叫び声が響いた。
 その場の全員が、そちらを向くと、そこには・・・・・、
ゴン「大介・・・・・」
ドレイク「ゴン!?」
 そこには、バッファロー怪人に捕まったゴンの姿があった。
バッファロー怪人「1歩でも動けば、このガキの命は無い!」
 バッファロー怪人が叫んだ。すぐに、その場の全員の動きが止まる。
クウガ「く・・・・・! 卑怯な!」
 クウガが呟く。
 が、ダイナは見えなくなったガルメの攻撃を受けつづけていて、それどころでは
なかった。
ガルメ「ハハ、その程度か? ウルトラマン!」
 ガルメは、見えないのをいい事にダイナを殴り、爪で斬りつけ、舌を叩き付ける。
ガルメ「てこずらせてくれたなぁ。自分が誰かも知らない癖に!」
 その言葉を聞いた瞬間、ダイナ―――アスカの中で、何かが千切れた音がした。
ダイナ「デュワッ!」
 ダイナは、自分を殴ってきた見えない手をしっかりと握る。
ガルメ「ッ!? ―――ガハッ!?」
 その瞬間、ガルメは思いっきり殴りつけられた。腕を捕まれたまま。
ダイナ「ゥ――、デュアッ!!」

チュイィ―――ンッ!!

 そして、ダイナはストロングタイプになると、見えない手を握ったまま、見えない
ガルメの顔面部であろう場所を、何度も何度も殴りつける。
ガルメ「ガッ! ギャッ!」
 その度に、そこから悲鳴が上がる。
ダイナ「デュワァッ!!!」
 最後の、そして渾身の一撃が、見えないガルメをふっ飛ばし、ガルメも壁を突き
破ってその向こうに消えた。
バッファロー怪人「動くなと言っているだろうが!!」
 バッファロー怪人が叫ぶ。
ダイナ「デュワ!?」
 ダイナはそこで初めて、ゴンがバッファロー怪人に捕まっているのに気付いた。
バッファロー怪人「こっちへ来い、ウルトラマンダイナ!」
 バッファロー怪人の命令を聞き、ダイナがゆっくりと、怪人の方へ歩き始める。
ダイナ「・・・・・・」
 その目は、ウカワームを見ていた。
ウカワーム「・・・・・・」
 ウカワームは、一見わからないくらいわずかにだが、頷いた。
 そして、ダイナはバッファロー怪人から5mほど離れた所で立ち止まる。
バッファロー怪人「それでいい・・・・・」
 と、突然ダイナが手を前に突き出した。
バッファロー怪人「!?」
 が、そのまま何もしない。
バッファロー怪人「貴様、何のつも」
 その瞬間、ウカワームが動いた。
ウカワーム「シュォォォォ」
 ウカワームはいつのまにか、バッファロー怪人の目の前に立っていたのだ!
バッファロー怪人「な、なにっ!?」
 バッファロー怪人が驚きの声を上げた瞬間、ウカワームのハサミがゴンを拘束し
ている腕を叩き落としてゴンを解放、そのままハサミが怪人の顔面に叩きつけられ、
バッファロー怪人は声も上げずに吹っ飛び、地面を転がった。
ウカワーム・麗奈の顔『大丈夫か?』
 ウカワームの顔から浮き出した、麗奈の顔が尋ねる。
ゴン「う、うん」
 ゴンは、少し怯えつつ答える。
ウカワーム・麗奈の顔『それはよかった』
 麗奈の顔が、微笑みつつ答えた。
バッファロー怪人「ぐうう・・・・・! よくもやってくれたな!!」
 バッファロー怪人がそう言いざまに、毒々しい緑色の光となると、一瞬にしてゴン
の口の中に吸いこまれる。
ウカワーム「!?」
 と、突然ゴンがウカワームを突き飛ばす。突き飛ばされたウカワームは壁の所まで
吹っ飛んだ。
ゴン「この体は頂いたぞ!!」
 ゴンの口から、ゴンとは思えない野太い声が発せられる。
ダイナ「!?」
ドレイク「な、ゴン!?」
 ドレイクがゴンに近寄るが、一瞬にしてゴンに投げ飛ばされ、地面に転がる。
ゴン「ふん、ウルトラマンダイナよ、この体を返して欲しくば、俺と共に」
 が、ダイナはそれをさえぎって、
アスカ(ざけんじゃねぇ、この卑怯者が―――ッ!!!)
 と強烈な怒りの思念を放ち、両腕をゴンに向かって突き出す。すると、その腕から
閃光がゴンに飛び、それがゴンの体に吸いこまれる。
 その途端、ゴンの体から緑色の光が飛び出し、ゴンは意識を失って倒れこみ、光が
バッファロー怪人になって地面を転がると、よろよろと起きあがる。
ダイナ「デュワッ!」
 ダイナは倒れたゴンを抱き上げ、すぐにそこから離れさせる。ウカワームもそれ
に続いてその場を離れた。
ホースオルフェノク『はぁぁぁぁっ!!!』
 同時に、ホースオルフェノクが魔剣を構えつつ、バッファロー怪人へ駆ける。

ドカカッ、ドカカッ、ドカカッ!

 走っていたホースオルフェノクは、見る間にケンタウロスのような疾走態に変化、
両手で魔剣を握って、風のように駆けた。
バッファロー怪人「な、な―――」
 ホースオルフェノク疾走態は、魔剣を振りぬきつつ一瞬でバッファロー怪人の横
を駆け抜け―――
バッファロー怪人「――に」
 魔剣で斬られたバッファロー怪人は、灰のようになって、消滅した。



962 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:26:34


○ゴン→バッファロー怪人に捕まり、体を乗っ取られるが、ダイナ、ウカワーム、
ホースオルフェノクの協力作戦により救われる。
○仮面ライダードレイク→ゴンが捕まっているのを見て驚がく。
○ウルトラマンダイナ→ガルメの嘲りで堪忍袋の緒がブチ切れ、ガルメをボコボコ
に殴り飛ばすが、そこでゴンがバッファロー怪人に捕まっていることに気付き、そ
の要求にしたがって、ウカワームに目配せしつつ怪人に近寄り、その目を引き付け
て、ウカワーム攻撃の隙を作る。その後、バッファロー怪人に乗り移られたゴンを
光線で解放。
○ウカワーム→ダイナの意図に気付き、ダイナがバッファロー怪人に隙を作った所
でクロックアップし攻撃、ゴンを解放。だが、怪人が乗り移ったゴンに吹き飛ばさ
れる。
○ホースオルフェノク→ゴンが解放された後、疾走態に変化しつつ駆け、バッファ
ロー怪人を斬殺。
●バッファロー怪人→ゴンを人質に取り、ダイナを連れていこうとするが、ダイナ
の行動に気を取られている隙にウカワームに攻撃を受け、ゴンに乗り移り、優位を
得ようとするも、怒ったダイナによる分離光線で形勢逆転、ホースオルフェノクの
魔剣を食らって灰化し死亡。
●メ・ガルメ・レ→透明化してダイナを攻撃、さらにダイナを嘲るが、それがダイナ
の逆鱗に触れ、ボコボコにされる。



963 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:45:24


アスカ(あとは、あのカメレオン野郎だけか!)
 戻ってくるホースオルフェノクを見つつ、アスカが考えた瞬間、いきなりダイナは
弾き飛ばされ、すぐそばに寝かされていたゴンが何かに持ち上げられた。
ダイナ「デュワッ!!」
 とっさにダイナが拳を振ると、怪人の悲鳴と共にゴンは地面に落ちる。
ドレイク「ゴン!!」
 ドレイクがゴンを抱きとめ、すぐにその場から脱出する。
アスカ(くそ、せめて見えるようになれば!)
 アスカが思った瞬間、
クウガ「アスカさん! そいつ・・・・・・第31号は強い光を浴びると、姿を消せな
くなります!!」
 クウガが叫んだ。
ダイナ「デュワ! ァ―――デヤッ!!」
 ダイナはそれを聞いて頷くと、フラッシュタイプに変身、胸で手を組み、それを
広げた。

カッ――――!!

 その瞬間、凄まじい光がダイナのカラータイマーからはなたれ、周囲を閃光が包
んだ。そして、光が消えると、そこにはガルメが見えるようになって、立っていた。
ガルメ「!?」
 ガルメが驚いて自分の身体を見た。
アスカ(やっと見えるようになったか! 覚悟しろよ!!)
 ダイナは、再びストロングタイプになると、ガルメの顔面を思いっきり殴り、さら
に倒れこんだガルメの頭をつかんで強引に起きあがらせると、その場でラリアットを
決め、ふっ飛ばす。
ガルメ「ガァッ!!」
 ガルメはKOされて倒れこんだ。
 そして、ダイナはその両足を脇に挟んでジャイアントスイングする。
ダイナ「・・・・・デュワ!」
 ダイナが頷くと、ファイズ、クウガ、ウカワーム、ドレイク、ホースオルフェノク
も答える様に頷き、すぐにその場を離れていく。
ダイナ「デュァ―――、デヤッ!!!」
 ダイナは超高速で回転すると、いきなりガルメの足を放した。
ガルメ「グォォォ―――!!!」
 ガルメはまっすぐ吹っ飛ばされ、その先には―――。

『Ready』

『Exceed Charge』

 ミッションメモリーをセットしたファイズショットを右手拳に装備し、ファイズ
のベルトに装着したファイズフォンを操作して、エクシードチャージを完了した、
ファイズが立っていた。
ファイズ「おらぁっ!!!」
 ファイズの“グランインパクト”が、飛んできたガルメの鎧の腹を直撃し、ガルメ
は飛ぶ方向を変えて吹っ飛んだ。
 だが、まだ攻撃は終わらない――――。
ホースオルフェノク『おおおおっ!!!』
 ガルメがグランインパクトで殴られて吹っ飛んだ先には、魔剣を握ったホース
オルフェノクが立っていて、ホースオルフェノクの全力で振られた魔剣が鎧に叩き
つけられ、またもガルメの飛ぶ方向を変える。
 さらに――――。
ドレイク「ハイパーシューティング」
 ドレイクは、ゼクターウイングをたたんで〈ライダーシューティングモード〉に
変形させたドレイクゼクターグリップ部側面の蒼いスイッチを押す。

『Hyper Shooting』

 機械音声と共に、ドレイクゼクターの〈ツインパレル〉に巨大な赤い光球が収束、
一瞬の間の後、ドレイクが引き金を引くと同時に光球は発射され、それはガルメの
鎧を直撃して、再度ガルメの飛ぶ方向を変える。
 その上――――。
ウカワーム「シュォォォッ!!!」
 飛んでいくガルメにウカワームが跳びかかり、そのハサミにエネルギーが収束、
それがガルメの鎧に叩きこまれ、再再度、ガルメの飛ぶ方向を変えた。
 そして――――。
クウガ「はぁぁぁ」
 クウガが、飛んで来るガルメに向かって、腕を広げ、右足を後ろに下げた状態で
待機していた。と、そのクウガの全身に電気が走り、クウガの身体は、赤に金色の
縁取りがされ、右足に強化装備、金色の足甲“マイティアンクレット”が装備された
ライジングマイティフォームへ変化を遂げた。
クウガ「リョウさん!」
 クウガが、後方にいたリョウへ叫ぶ。
クウガ「俺が蹴ったら、ここのバリアを一時的に解除する様に伝えてください!」
 そして、答えを待たずに飛んで来るガルメに向かって駆け―――
クウガ「うぉりゃぁ!!」
 燃える右足による必殺の、ライジングマイティキックが見事ガルメの顔面に決まり、
それと同時に――――。

ビキ、ビキビキビキッ!

バキィン!!

 仮面ライダー3人、ホースオルフェノク、ウカワームの必殺技コンボ――名づける
なら“ジャッジメント・コンボ”――を食らったガルメの特殊防御鎧が音を立てて
砕け、ガルメの顔面に、封印の紋章が現れた。
ガルメ「ガァァァ―――ッ!!」
 ガルメは、悲鳴をあげながら、飛んでいった。

 その直前。
リョウ「こちら、ユミムラ・リョウ。総合警備室、応答して!」
 リョウが、W.I.T.に呼びかけていた。
センター警備隊長『こちら、MDPO総合医療センター総合警備室! どうしました!?』
リョウ「今から、この周囲のバリアを解除して!」
センター警備隊長『は・・・・・?』
リョウ「いいから、早く!」
センター警備隊長『りょ、了解しました!』
 そして、通信が切れて数秒後、センターを半球状に覆っていた透明なバリアが、
青い光と共に消失した。

ガルメ「グォォォ――――!!」
 ガルメは、一直線に飛びつづけていた。その直線上には、ダイナが立っている。
ダイナ「ゥ――、デュアッ!!」

チュイィ―――ンッ!!

 ダイナは、再びフラッシュタイプに変身する。
ダイナ「・・・・・・」

てこずらせてくれたな。自分が誰かも知らない癖に!

 ガルメの嘲り声と共に、さまざまな記憶がアスカの頭の中を駆けぬけた。

 夕焼けの中での、父カズマとの最後の約束。

 ヒビキ、コウダ、カリヤ、ナカジマ、マイ―――そして、愛する女性、リョウ。

 ダイナとしての戦いの記憶。

 火星での、“先輩”マドカ・ダイゴとの短い会話。

 アスカの今までの人生全てが、一瞬で、アスカの脳裏を駆けぬけたのだ。

アスカ(オレは――――)
 その思念は、その場にいる全ての人間の脳裏に響き渡る。
アスカ(オレは、オレだ! アスカ・シン・・・・・ウルトラマンダイナだッ!!
 そして、ダイナは上を向き、再び腕を十字に組んだ。
アスカ(消えろ――――ッ!!!)
 組まれた腕から、まばゆい光芒が放たれ、それが、ちょうど真上に来たガルメを
捉えた。
ガルメ「アアアア―――ッ!!!」
 ガルメは、ソルジェント光線を受け、みるみるうちに上空へ飛ばされていく。
ガルメは、MDPO総合医療センターの建物の倍はあろう高さまで飛ばされ、

ガルメ「グァァァ―――ッ!!!」

チュドォォォンッ!!!

そこで大爆発を起こした。が、その頃には、リョウの命令で再びバリアが張られて
いて、爆風はセンターに何の被害も及ぼす事は無かった。

 そして、ウルトラマン・仮面ライダー・エクステンデッド・正義の怪人連合チーム
は、勝利を掴み取った。



964 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/30(月) 22:47:50


○ウルトラマンダイナ→ゴンをさらおうとした透明ガルメを殴り、クウガの言葉をき
いてカラータイマーから閃光を放ち、ガルメを見えるようにすると、格闘技で完全に
KOし、両足を掴んでジャイアントスイング、投げ飛ばし、仮面ライダー3人、ホース
オルフェノク、ウカワームの必殺技コンボを食らって戻ってきたところで全ての記憶
を取り戻し、ソルジェント光線でガルメを上空に飛ばす。
○ゴン→ガルメに捕まりかけるが、ダイナに助けられ、ドレイクにそこから連れ出
される。
○仮面ライダードレイク→ゴンを戦闘の場から脱出させる。その後“ジャッジメント・
コンボ”の3番手として、ハイパーシューティングでガルメを砲撃する。
○仮面ライダークウガ→ダイナにガルメの弱点を教える。その後、“ジャッジメント・
コンボ”の5番手として、ライジングマイティキックを決めガルメの鎧を破壊、封印
の紋章をガルメの顔面に刻み込む。
○仮面ライダーファイズ→“ジャッジメント・コンボ”の1番手として、まずグラン
インパクトをガルメに決める。
○ホースオルフェノク→“ジャッジメント・コンボ”2番手としてガルメに魔剣を
思いっきり叩き付ける。
○ウカワーム→“ジャッジメント・コンボ”4番手として、エネルギーが収束した右
腕のハサミでガルメを殴り飛ばす。
○ユミムラ・リョウ→クウガに言われ、MDPO総合医療センターのバリアを一時的に
解除させる。
●メ・ガルメ・レ→ゴンを捕らえようとするが失敗、ダイナに光学迷彩を使えない
ようにされてボコられ、さらにジャイアントスイングで投げられて“ジャッジメント・
コンボ”を決められると、最後に記憶を取り戻したダイナ渾身のソルジェント光線
で上空に飛ばされ、爆散する。


965 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 18:45:05


ダイナ「・・・・・」
 空を見上げて立っているダイナに、クウガ、ファイズが歩み寄る。
ファイズ「・・・・・やったな」
クウガ「・・・・・(サムズアップ)」
 ファイズが一言言い、クウガは黙ってサムズアップした。
 そして、ドレイク、ファイズ、クウガは変身を解き、ホースオルフェノクは人間
態に戻る。
風間「麗奈さん・・・・・」
 風間は、ウカワームへと歩み寄る。ウカワームは、擬態した姿である間宮麗奈の
姿に戻った。
麗奈「久しぶりだな・・・・・風間 大介」
風間「ええ・・・・・」
 そして、二人は見つめ合う。
 と、そこに、ステラとゴンがやってきた。
ステラ「・・・・・助けてくれて、ありがとう」
ゴン「ありがとう!」
 二人が口々に言うと、麗奈はまるで普通の人間であるかのように微笑み、
麗奈「私のような者にはもったいない言葉だ」
 麗奈は、そう呟いた。

  同じ頃。MDPO総合医療センターからさほど離れていない森の中

???「へぇ、Dショッカーが襲撃するってのは本当だったのか?」
 そこにいる三人の内の一人、学ランを来た男―――草薙京が、感心した様に呟く。
 もちろん、この草薙京は本物ではない―――が、完全なニセモノとも言えない。
そう、この京は、秘密結社ネスツによってクローニングされた、クローン京の一人
なのである。
クローン京「まぁいい、Dもやられたみたいだな・・・・・今日は、お前の力を見せ
てもらうぞ?」
 クローン京は、後ろに控えている二人の内の一人に声をかける。
???「・・・・・はい」
 その青年は、無表情に答え、持っていた、トーチ型の物を天に掲げる。
 すると――――

キュォォォ―――ッ!!

 その上部が開き、その中に格納されていた円形の装置がスパークした。

  MDPO総合医療センター:中庭

 巧、雄介、リョウ、アウルたちは、戦いが終わった事で気が抜けていた。

キュォォォ―――ッ!!

 と、突然の閃光と共に、そこに、一体のウルトラマンが出現した。
リョウ「!? ・・・・・あれは、ウルトラマンティガ?」
 リョウが呟く。そう、そのウルトラマンは、アスカ=ダイナの前に、地球を“闇”
から守りきった超古代の光の巨人、ウルトラマンティガ・マルチタイプだったのだ。
 ティガは、ゆっくりとMDPO総合医療センターに近づくと、
ティガ?「シャッ!!」
 両腕を前方で交差させた後、左右に大きく広げエネルギーを収束させ、腕をL字に
組んで、必殺のゼペリオン光線を放った!

バリバリバリバリバリッ!!!

 センターに張られたミラーズシールドの応用型バリア、“スフィアシールド”は、
辛うじてそれを受けとめた。
アウル「え!?」
リョウ「な、なんでティガがここを!?」
 アウル、リョウが驚がくの声を上げる。
アスカ(ちくしょう! オレが行くしか!!)
ダイナ「デュワァ!!」
 ダイナは額で腕を組み、精神を集中する。その途端、ダイナは光球に変化、スフィ
アシールドを通過すると、巨大化したダイナとなって現れた。
ダイナ「デュワッ!!」
ティガ?「ジャッ!!」
 そして、ティガとダイナ―――かつて共に戦った光の巨人2体が、対峙した。



966 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 18:46:05


○ウルトラマンダイナ→突如現れたティガの攻撃を見て、巨大化、ティガと対峙する。
○仮面ライダーファイズ→ダイナの労をねぎらい、変身を解除。
○仮面ライダークウガ→ダイナにサムズアップし、変身を解除。
○仮面ライダードレイク→変身を解除。麗奈と見つめ合う。
○ウカワーム→間宮 麗奈の姿に戻り、ステラとゴンの礼に微笑む。
○ステラ・ルーシェ→ゴンと一緒に麗奈に礼を言う。
○ゴン→ステラと一緒に麗奈に礼を言う。
○ユミムラ・リョウ→突然現れたティガが攻撃してきたことに驚がく。
○アウル・ニーダ→突然現れたティガが攻撃してきたことに驚がく。
●クローン京→クローンウルトラマンティガの戦闘力を測る為、MDPO総合医療セン
ターそばの森に現れ、クローンダイゴに変身を命令。
●謎の青年=クローンマドカ・ダイゴ→クローン京の命令でティガに変身、MDPO
総合医療センターを攻撃、巨大化したダイナと対峙。


967 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 18:49:28


クローン京「! ほぉ・・・・・ありゃぁ、ウルトラマンダイナか?」
 クローン京が呟くと、
クローン京「念の為だ、お前も行けるようにしとけ」
 ともう一人の男に声をかける。
???「はい」
 そこにいたもう一人の男が、ポケットからゴーグル状の物を取り出した。

C(クローン)ティガ「ジャッ!」
 Cティガが、ストレートキックをダイナの胴に見舞うが、ダイナはそれを腕で止め、
ダイナ「デュワッ!」
 その足を掴むと回転させ、ティガのバランスを崩した所で、続けてパンチを撃ち
こむ。
 それを受けたCティガは素早くダイナから離れ、手裏剣状のハンドスラッシュを放つ
が、ダイナもビームスライサーでそれを相殺、その一瞬の隙に両手を胸の前で合わせ
突きだして放つフラッシュ光弾をCティガに放ち、命中させる。
Cティガ「ジュアッ!」
 すると、Cティガがダイナのように額で手を組み、紫色のボディーカラーのスカイ
タイプに変身、素早くダイナの目の前に駆け寄ると、パンチとキックを高速で次々と
打ち込んでいく。
ダイナ「デアッ!」
 が、ダイナも一瞬でストロングタイプに変身、その手を掴むと逆にパンチ、キック
を打ち込み始める。
Cティガ「シュアッ!」
 素早い攻撃が得意ではあるがウエイトが軽いCティガ・スカイタイプと、鈍重では
あるが一撃一撃が重いダイナ・ストロングタイプ。
 その戦闘は、簡単には終わりそうに無かった。

クローン京「へぇ・・・・・ダイナはグランスフィアに吸い込まれて消えた、って
聞いたけどな・・・・・ちゃんといる上に中々強いじゃねえか。おい、お前も行け」
???「・・・・・・ジュワッ!!」
 クローン京の言葉を受けて、謎の男は、ゴーグル状の物を目に当てた。

デュォォォォンッ!!

 その途端、男は頭部から段階的に変身していき、特徴的な胸のプロテクターと赤
い体色、銀色のとさかのようなアイスラッガーを頭につけたウルトラセブンに変身
した。

   MDPO総合医療センター:中庭

リョウ「アスカ・・・・・・」
 リョウは、心配そうにダイナを見守っていた。と、

デュォォォォンッ!!

 突然、ウルトラセブンが現れ、マルチタイプに戻ったティガの隣りに並んだ。
木場「あれは・・・・・ウルトラセブン!?」
巧「なんでウルトラセブンとウルトラマンティガが、ダイナと戦わなきゃならない
んだよ!?」
 巧が苦々しげに呟いた。

ダイナ「デュ、デュワ!?」
 ダイナは混乱していた。かつて、ともに超巨大植物獣クイーンモネラと戦った
ウルトラマンティガに加え、ウルトラセブンまでも、自らの敵として現れたのだ。
 が、その混乱を無視して、再度Cティガが蹴りかかってきた。
ダイナ「デュアッ!」
 フラッシュタイプに戻っていたダイナはすばやくそれをかわす。
C(クローン)セブン「デャァッ!」
 しかし、その隙にCセブンが近づいてきていて、ダイナの腕を掴むと下にひねり、
投げ飛ばす。そしてCセブンはダイナが倒れたところに踵落としを撃ちこもうとする
が、それをダイナは転がってかわし、起きあがりざま、ダイナスラッシュをCティガ
とCセブンにむかって放った。
 CティガとCセブンは怯んだが、負けじとCセブンが、手の先から発射する、くさび
形の光弾・ウェッジ光線を、Cティガがハンドスラッシュを放った。
ダイナ「デヤッ!!」
 ダイナはそれを飛んでかわすと、ストロングタイプに変身、高空からCセブンに蹴り
をお見舞いする。
 Cセブンはそれをかわしたが、その一瞬の隙に、裏拳を食らって吹っ飛ぶ。さらに
ダイナは回し蹴りをCティガに打ちこんだ。

 戦闘は、まだ始まったばかりだった。



968 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 18:50:27


○ユミムラ・リョウ→心配そうにダイナを見守る。
○木場 勇治→ウルトラセブンの出現に驚愕。
○乾 巧→セブンの登場を見て苦々しげに一言呟く。
○ウルトラマンダイナ→クローンティガ相手に戦闘開始、途中でクローンセブンと
クローンティガを同時に相手にしなければならなくなる。
●クローン京→クローンダンに変身を命令。
●謎の男=クローンモロボシ・ダン→クローン京の命令でセブンに変身、戦闘開始。
●Cウルトラマンティガ→戦闘開始。途中でクローンウルトラセブンと共闘して戦い
始める。



969 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 18:53:36


   MDPO総合医療センター:中庭

 先ほどまでDショッカーと戦闘していた雄介、巧、アウル達は、無力感にさいなま
れていた。
雄介「見てることしかできないなんて・・・・・!」
アウル「僕もあんな風になれれば、せめてMSがあれば、アスカと一緒に戦えるのに!」
 雄介、アウルが悔しそうに言う。
リョウ「・・・・・・」
 リョウは、心配そうにダイナを見つめた。

 続けられている戦闘は、Cティガ、Cセブン側有利に進んでいた。
 ただでさえダイナはDショッカーと戦闘し疲弊しているのに、ウルトラマン2体を
相手しなければならないのである。
Cティガ「シュァッ!」
 パワータイプに変身したCティガの蹴りがフラッシュタイプに戻ったダイナを弾き
飛ばす。
Cセブン「デャァッ!!」
 さらに、アイスラッガーを外して手に持ったCセブンが弾き飛ばされた先に立って
いて、それでダイナを斬りつけた。
ダイナ「デュァアッ!」
 ダイナは、倒れこむが、すぐに立ちあがる。

ピコン、ピコン、ピコン

 しかし、無情にもカラータイマーが点滅し始めた。
 だが、CセブンとCティガはダブルパンチ、ダブルキックを連続で決め、追い打ちを
かける。
ダイナ「デュワッ!!」
 だが、ダイナも飛びあがって右手を突き出し、青い光線、フラッシュバスターを、
腕を振りつつ放つ。
Cセブン「デャッ!!」
Cティガ「ジャァッ!?」
 Cセブンはそれをギリギリでかわしたが、Cティガはもろに食らって膝をつく。ダイナ
は続けて、円盤カッター状のダイナスラッシュを二連射、Cティガに更なるダメージを
与える。
 と、いきなりCセブンが、持っていたアイスラッガーを投げつけてきた。ダイナは
素早くそれをかわし、再度フラッシュバスターを撃とうとした。
 その瞬間、戻ってきたアイスラッガーがダイナの背中に直撃、ダイナは墜落して
しまう。
 ダイナが起きあがると、Cティガが腕にエネルギーをためた後、飛びかかってきて、
一発腹を殴る。その途端、殴られた部分が爆発し、ダイナは吹き飛ばされる。
Cティガ「セアッ!!」
 さらにCティガの連発された蹴りやパンチがダイナを捉えると、そのたびに爆発が
起き、ダイナはダメージを受けて吹き飛ばされる。
 そして最後に打ちこまれたCティガの強力な蹴りが、ダイナを弾き飛ばした。
ダイナ「デュ、デュワ・・・・・!」
 ダイナは2、3回地面を転がった後、よろよろと起きあがった。
 すると、Cティガが両腕を前方で交差させた後、左右に大きく広げエネルギーを収束
させた。
Cティガ「デアァッ!!」
Cセブン「デヤッ!!」
 CセブンとCティガは、同時に腕をL字に組んだ。

ビシュウゥ―――ッ!!!

ピィィィ―――ッ!!!

 Cティガの腕からゼペリオン光線が、Cセブンの腕からワイドショットが放たれる。
ダイナ「デュワッ!!」
 ダイナも腕を十字に組み、ソルジェント光線を放つが、ウルトラマン2体の必殺
光線を1体の必殺光線で受けとめることなどできるはずもなく、みるみるうちに、
ソルジェント光線は押し戻されていった。

   MDPO総合医療センター:中庭

リョウ「!!」
 リョウが押し戻されて行くソルジェント光線を見て、息をのんだその瞬間、突然の
ビームの雨が、CセブンとCティガに降り注いだ。
Cティガ「ジャァッ!?」
Cセブン「デヤッ!?」
 ティガとセブンは怯んで光線を止める。
 中庭にいた全員が、ビームの発射源を仰ぎ見た。

 そこには、6機の戦闘機と2機の大型指揮用輸送機が一列に並んで滞空していた。



970 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 18:54:34


○五代 雄介→無力感にさいなまれる。
○アウル・ニーダ→無力感にさいなまれる。
○ユミムラ・リョウ→戦闘を心配そうに見守る。
○ウルトラマンダイナ→ウルトラマン2体相手に善戦するも、ついに追い詰められる。
●Cウルトラマンティガ→ダイナを追い詰め、必殺光線を撃ちこもうとするが、謎の
戦闘機群に妨害される。
●Cウルトラセブン→ダイナを追い詰め、必殺光線を撃ちこもうとするが、謎の戦闘
機群に妨害される。



971 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 22:17:51


 6機の戦闘機の内、3機はXIGが保有する機体で、うち2機は白に赤色の塗装がされ
たXIGファイターGT、1機は白に青色の塗装がされたXIGファイターST、残り3機の内
の2機は地球防衛連合(UNITED DEFENSE FEDERATION)UDF・JAPAN所属の精鋭部隊、
チームDASHの保有する機体で、1機は銀地に赤色の塗装がされた、スマートな形状の
ダッシュバード1、もう1機は銀地に青色の塗装がされたダッシュバード2である。
残りの1機はスーパーGUTSの保有するガッツイーグルであり、2機の大型指揮用輸送
機の片方はXIGのピースキャリー、もう片方はチームDASHのダッシュマザーであった。

   ピースキャリーコクピット

???「危ないところでしたね」
 操縦席に座っているサングラスをつけた男、神山 篤志が、横にいる男に言う。
???「ああ、間に合ってよかった」
 その男、堤 誠一郎チーフが少し安心した様に呟いた。

   XIGファイターSTコクピット

???「一人相手に二人がかりは卑怯だぜ!」
 XIGの空軍チーム、チーム・ライトニングリーダー、梶尾 克美が呟く。
???『でも、ガイアと同じウルトラマンを攻撃するのは、少し気が引けますね』
 少し大柄な男、チーム・ライトニング隊員の大河原 聡志が言う。
???『我夢と比べるな、“あれ”は、俺達の敵だ』
 チーム・ライトニング残りの一人、北田 靖が叱責する様に言った。

   ガッツイーグル各機コクピット

カリヤ「あれは・・・・・まさかアスカ!?」
 カリヤが、ガッツイーグルαのコクピットでダイナを見て驚がくの声を上げる。
コウダ「記憶を取り戻したのか・・・・・!?」
 ガッツイーグルγに乗るコウダが、カリヤと同じようにダイナを見つつ呟く。
ヒビキ「とにかく、今はダイナの援護が最優先だ、行くぞ!」
 ヒビキが、ガッツイーグルβコクピットで命令した。

   ダッシュマザーコクピット

ヒジカタ「何とか無事か・・・・・」
 ダッシュマザーのコクピットに一人座る、ヒジカタ・シゲル隊長が呟くと、
ヒジカタ「全員、ダイナを援護する!」
 と、ダッシュバード1、2に指令した。

   ダッシュバード2コクピット
???「ネスツ、だったか? ウルトラマンをクローンしたのは」
???「Yes、maybe」
 後部座席に座っている外国人男性、ショーン・ホワイトが、前の座席に座っている
コバ・ケンジロウに向かって答える。
コバ「ふざけた事しやがって・・・・! ウルトラマンは、戦闘兵器じゃねぇぞ!!」
 コバが、怒り心頭といった表情で声を荒げた。

   ダッシュバード1コクピット
???「ミズキ、俺、行ってくるよ」
 コクピット内で、チームDASHに所属する青年、トウマ・カイトが、同乗している
チームDASHの女性隊員、コイシカワ・ミズキに言う。
ミズキ「・・・・・気をつけなさいよ」
 ミズキは、ただそれだけを口にした。
 そして、カイト―――ウルトラマンマックスに変身する青年は変身アイテム、
マックススパークを振り上げると、そのまま左腕に装着した。

キュィイインッ!!

 閃光と共に、ダッシュバード1号から光球が飛び出し、それはウルトラマンの姿に
なった。
アスカ(だ、誰だ!?)
 アスカが思念を送ると、
カイト(俺はトウマ・カイト。ウルトラマンマックスです)
 と返事が来た。
アスカ(オレと同じ、ウルトラマンか!?)
カイト(そうです。)
 そして、マックスはCティガとCセブンに向き直ると、
マックス「シュァ!」
 クローンウルトラマン2体に向かって駆けた。



972 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/07/31(火) 22:49:13


○神山 篤志、堤 誠一郎→ピースキャリーに搭乗。
○梶尾 克美、大河原 聡志、北田 靖→XIGファイター3機に搭乗。
○カリヤ・コウヘイ、コウダ・トシユキ、ヒビキ・ゴウスケ→ガッツイーグルに搭
乗、クローンセブンたちと戦っているダイナを見て驚く。
○ヒジカタ・シゲル→チームDASHにダイナ援護を命令。
○コバ・ケンジロウ、ショーン・ホワイト→ダッシュバード2内で会話。
○トウマ・カイト→ミズキにことわり、ウルトラマンマックスへ変身。
○コイシカワ・ミズキ→カイトのことわりに返答。
○ウルトラマンダイナ→突然現れたマックスに問い掛ける。


【今回の新規登場】
○神山 篤志(ウルトラマンガイア)
28歳。XIGのレスキュー担当チーム、チーム・シーガルのリーダーで、大型指揮用
輸送機ピースキャリーのパイロットも兼任。
16歳からレスキュー活動をしていたレスキューのプロフェッショナル。

○堤 誠一郎(ウルトラマンガイア)
33歳。XIGの行動隊長(チーフ)。かつては航空防衛隊に所属していた。チームが
出動する際には、必ずと言っていいほど、部下と顔を合わせて出動させるため、各
チームの隊員からの信頼も厚い。

○梶尾 克美(ウルトラマンガイア)
24歳。XIG、チームライトニングのリーダー。
高いプライドと、戦闘機操縦への自信を持っており、当初は我夢を目の敵にしていた
が、次第に打ち解けていった。クールに見えて、仲間のボケにすぐさまツッコミを入
れたり、自分も結構大ボケをかます一面も。射撃は下手だったが、第34話時点までに
はかなり上達している。

○大河原 聡志(ウルトラマンガイア)
チームライトニングのメンバー、25歳。細かいところはあまり気にしない性格で、
ファイターの操縦も力でするタイプ。それゆえ被弾率は高いため、ガイアに助けら
れた事があり、誰よりも先に「ガイアは仲間だ」と言った。ただし、そのためにガ
イアに化けた敵に撃墜されかかったこともある。

○北田 靖(ウルトラマンガイア)
チームライトニングのメンバー、23歳。学究タイプの華奢な体格だが、肉体と精神
は見かけよりも鍛えられている。戦術面で梶尾に助言することもある。

○コバ・ケンジロウ(ウルトラマンマックス)
2丁拳銃を自在に扱う射撃の名手で、見た目通りの体育会系の熱血漢。戦闘時には
少々攻撃的になる。ショーンとは良いコンビであり、出動時にはたいていコンビで
出動する。

○ショーン・ホワイト(ウルトラマンマックス)
日本DASH唯一の外国人隊員。英語と日本語が入り混じった妙な言葉を喋る。主に
メカニック・装備開発を担当しており、糸のこぎりとハンマーで戦闘機を修理する
脅威の腕を持つ(らしい)。性格は明るく、チームのムードメーカー的な存在。コバ
とは良きコンビであり、出動時にはたいていコンビで出動する。

○トウマ・カイト=ウルトラマンマックス(ウルトラマンマックス)
DASHの新米隊員。無鉄砲な所もあるが、心優しく真面目な青年で、養護施設の子供
達にも慕われている。出動時にはミズキとコンビを組むことが多く、最終話でつい
に相思相愛になり、後に結婚する。(このSS内ではまだ結婚前という設定です)
マックススパークを用いてウルトラマンマックスに変身する。

○コイシカワ・ミズキ(ウルトラマンマックス)
DASHの紅一点。禁煙と定められている場所で、シガータブレットをわざとらしく
食べるなど、悪戯っぽい様子も多少見られる。シリーズ後半では、しばしばコンビ
を組むカイトのことを、仲間を超えた異性として意識しはじめ、最終話では相思相
愛になり、後には結婚する。



973 名前:新章/格闘家達の集い:2007/08/02(木) 21:04:17

***後楽園 東京ドーム地下闘技場***

後楽園東京ドームの地下に位置する、日の目を浴びない闘技場。
この地下闘技場が生まれたのは、徳川幕府の三代目……徳川家光の時代である。
彼は、戦国時代終結に伴って『戦い』と言う自己表現を失った武芸者達への為の、救済措置を考えていた。
考えた末に、家光はこの様な行動に出た。
己が腹心徳川頼房の子、徳川光圀に命じて、後楽園に闘技場を造らせたのだ。
その試みは成功し、武芸者達は闘技場において、己が腕を競い合った。
しかし……時は流れて明治二十二年。
文明開化の影響で、決闘罪が制定されてしまったのだ。
闘技場も、これで終わりかと思われたが、この法律に満足出来ない者も当然いた。
その筆頭である、光成の父光信は、治安維持を理由に法を黙認させた。
よって、闘技場は廃止される事無く……現代まで受け継がれてきた。
そう……この地下闘技場は、その後継である。
今、大勢の観客達が見守る中……二人の格闘家が、全力を尽くし闘っていた。

格闘技の祭典「KING OF FIGHTERS」の最多優勝チームの一人にして、草薙流古武術の使い手。
地球の自由意志オロチを封印し、秘密結社ネスツにも立ち向かった格闘家……草薙京。

秘密結社シャドルーに戦いを挑み、その総統ベガを打ち倒した男。
そして、かの『五界混沌事件』を解決させた功労者の一人でもある格闘家……リュウ。

リュウ「昇龍拳!!」
京「ウオラァァッ!!」

昇龍拳に、百式 鬼焼き。
空中で両者の拳は激突しあい、そして弾ける。
そして、着地と共に……間髪入れず、二人が同時に仕掛けた。

京「燃えろぉっ!!」
リュウ「波動拳!!」

百八式 闇払いと、波動拳。
二人の放った飛び道具は、ぶつかり合い、そして相殺。
技の威力は、全くの互角であった。
二人は相手の出方を伺いながら、攻撃のチャンスを待つ。
正しく、一進一退という言葉が似合う勝負であった。

リュウ「しばらく見ない間に、腕を上げたじゃないか。」
京「あんたもな……あの時よりも、大分強いじゃねぇか。」

この二人は、以前にも何度か拳を交えたことがあった。
世界中の格闘家達が集い、その腕を競った大会。
その大舞台で、彼等は幾度と名勝負を繰り広げてきたのである。
今日のこの戦いは、正しくその再現。
闘技場の熱気は、止まる所を知らずに上昇し続けている。

光成「やはり、あの二人は流石というべきじゃな。
まさかこれ程の物になろうとは……のう、刃牙?」
刃牙「そうっすね……テレビで見てた時も思ったけど、本当に強い。」

観客席の最前列で、一人の老人と青年が、この名勝負を目にして、興奮を抑えきれずにいた。
この闘技場を作り上げた徳川光圀の子孫であり、徳川家十三代目当主。
地下闘技場の現オーナーである、徳川光成。
そして……この地下闘技場にチャンピオンとして君臨する、若きグラップラー。
『地上最強の生物』と謳われ恐れられている『範馬勇次郎』の血を、受け継ぐ者……範馬刃牙。
彼等の横にも、幾人かの高名な格闘家達が座っていた。
リュウの無二の親友にして、彼と互角の力を持つであろう男。
全米チャンプにして、マスターズ財団の御曹司……ケン=マスターズ。
日本全国に600の支部を持つ、神心館空手の前館長。
『虎殺し』『武神』『人喰い愚地』と、様々な異名で恐れられている格闘家……愚地独歩。
その息子であり、『空手を終わらせた男』の異名を持つ、神心館空手の現館長……愚地克己。
日本最強と称されている極道『花山組』の若き二代目にして、屈指の喧嘩士……花山薫。
中国拳法最高峰の称号「海王」を与えられ、『魔拳』の異名で恐れられる拳法家……烈海王。
格闘家としては最高峰のレベルに達していると言えるであろう彼等が、今こうして一同に集結している。
京とリュウとの試合は、そんな彼等が認める程の代物。
とてつもなく、見る価値がある試合なのだ。

リュウ「ハアァァァァァァッ!!」
京「うおおおおおっ!!」

雄たけびを上げ、リュウが怒涛の連撃を仕掛ける。
京もそれに合わせるかのように、拳の連打を繰り出した。
二人の拳はお互いの胴体を捕らえ、ダメージを与えていく。
またも互角の打ち合い……かと思われた、その時だった。
京が突然、握っていた拳を開き……リュウの胴着を掴んだのだ。

リュウ「これは……!!」
京「燃えろぉっ!!」

弐百拾弐式 琴月・陽。
京必殺の零距離爆破が、ここで炸裂した。
ここにきて、京がとうとうリュウに決定打を与えた。
これで勝負の流れは傾いた。
そう、多くの観客達は思っていたが……しかし。
その予想は、大きく裏切られる結果となった。

京「なっ……!?」
リュウ「もらった!!」

琴月のダメージにも怯まず……リュウは、京の手首を掴んでいた。
そして、もう一方の手で胸元を掴み……そのまま、一本背負いの要領で投げ落とした。
とっさに京は体を捻り、何とか足から着地に成功する。
しかしこの時……リュウは既に、追撃の準備を終えていた。
京の体から、その手が離されると同時に……彼の体が、回転した。

リュウ「竜巻旋風脚!!」
京「くっ!!」

正しく竜巻の如きリュウの回転蹴りが、京の左肩に炸裂した。
とっさに京は間合いを離し、構えを取り直す。
リュウには琴月のダメージが、京には竜巻旋風脚のダメージが。
これで、勝負はまだ分からなくなってきた。

強い。

その二文字が、今の二人の心境をずばり表していた。
会場中から、歓声が上がる。
この時、二人の顔は笑っていた。
強い者との戦い……それは、格闘家として純粋に嬉しかったのだ。


しかし……そんな二人の戦いは、ここで脆くも崩れ去ってしまった。


京「っ!?」
リュウ「これは……!!」

二人が同時に飛び出そうとした、その瞬間であった。
突然……会場全体を、何か異様な気配が包み込んだのだ。
観客達の顔に浮かぶは、恐怖の色。
全身を襲った寒気に、その体は振るえだす。
流石に格闘家達は、そこまではいかないが……それでも、驚きを隠せずにいる。
彼等はとっさに身構え、周囲を警戒し始める。
この、冷たくそして恐ろしい気は……とてもじゃないが、人間の放てる代物とは思えない。
一体どんな人物が、これ程までの威圧感を放っているのか、誰にも予想がつかなかった。
ただし……三人の例外を除いて。

ケン「この感じ……まさか!?」
京「間違いねぇ、こりゃ……!!」
リュウ「……豪鬼!!」

とっさにケンは客席から舞台に降り、そして舞台の入り口へとその身を向けた。
そこから現れたのは、やはり三人が予想した通りの人物であった。
これまで、何度も大会の最中に乱入をし、多くの格闘家達を屠ってきた鬼。
五世混沌騒動においても、リュウ達の前に何度も立ちふさがってきた、殺意の波動の使い手……豪鬼。
彼は三人を前にし、ゆっくりと口を開いた。

豪鬼「リュウ、ケン、それに草薙京……久しいな。」
リュウ「豪鬼!!
一体、今度は何のつもりだ!!」
ケン「あの時と同じで、また何か企んでるのか?」
豪鬼「……時が来た。」
京「時だって?」
豪鬼「そうだ……五界にて繰り広げられたあの戦いが、再び起ころうとしている。」
リュウ「何だと……!?」

豪鬼の口から出た言葉に、リュウとケンは驚きを隠せずにいた。
あの戦いが、また起ころうとしている。
再び、五つの世界で騒乱が起ころうとしているというのだ。
驚くなという方が、無理かもしれないが……一体どういう事なのか、二人はさらに問い詰めた。

ケン「まさか、黄泉返りって奴の性で、ベガや沙夜達が復活したってのか?」
リュウ「それとも、別の誰かが何かをしようとしているのか……答えろ、豪鬼!!」
豪鬼「……いずれ分かる。
お前達はまた、戦いの中に身を置く事になるだろうからな。
……草薙京。」
京「……俺にも、何かあるのか?」
豪鬼「地球の自由意志が復活したことは、もう知っているな?」
京「なっ!?
てめぇ……どうしてその事を知ってんだ!!」
豪鬼「オロチ一族は、かつての時とは比べ物にならぬ脅威になる。
天から降りし災厄……奴等はそれを以てして、人を滅ぼす。」
京「天から降りし災厄……どういう意味だ!!」
豪鬼「いずれ、分かる事だ……」
リュウ「待て、豪鬼!!」

直後。
豪鬼は、残像を生み出すほどの急速度で移動し……その場から姿を消した。
彼の移動術……阿修羅閃空である。
豪鬼が去ったことにより、闘技場を包んでいた気は消え去った。
だが……リュウ達の心中には今、深い疑心の闇が宿っていた。

ケン「あいつ……一体、どういう事なんだよ……?」
京「ふざけた真似しやがって……言いたい事があるなら、はっきり言いやがれよ!!」
光成「ふむ……何やら、大変な事になってるみたいじゃの。」

舞台へと、光成が降りてきていた。
事の一部始終は聞かせてもらったが、何やら恐ろしい事が起ころうとしている。
五界混沌事件に関しては、彼も聞いてはいたが……

光成「……どうじゃ、三人とも。
ここは一旦、考えを纏めては……ワシの家を、使っても構わんぞ?」
京「じいさん……いいのか?」
光成「気にするでない。
それにオロチ一族に関しては、神楽ちゃんから話を聞いておるしの。
五界混沌事件に関しても、前々から興味があったんじゃ。」
ケン「なら、お言葉に甘えさせてもらうとするか?
とにかく、ここでじっとしてたんじゃ何も始まらねぇよ。」
リュウ「ああ……」
光成「決まりじゃな……っと、いかんいかん。
お前達も、興味があるんじゃろ?」
克己「ああ……あんなのの後で放っておかれたんじゃ、たまらねぇぜ。」
独歩「同感だな……駄目とは言わねぇよな?」
刃牙「俺達も、連れてってもらうぜ?」
光成「勿論、大丈夫じゃよ……構わんな?」
京「俺はいいぜ。」
リュウ「俺達もだ……人が多いに越したことは、なさそうだしな。」

事の一部始終を見ていた刃牙達も、この件に絡みたがっていた。
事態が事態なだけに、リュウ達は彼等の同行を許可した。
人手は、なるべく多いほうがいい。


今、新たなる戦いの幕開けに向けて……格闘家達が、その意思を一つにしていた。


○格闘家達→豪鬼から告げられた謎の事態について、光成邸で相談する事にする
○光成→格闘家達を自宅に招き、今後について意見を纏めようとする
◎豪鬼→リュウ達に謎めいた言葉を残し、その場から去る。

【今回の新規登場】
○草薙京(くさなぎ きょう)(THE KING OF FIGHTERSシリーズ)
KOFの参加者の一人にして、草薙流古武術の使い手。
地球の自由意志オロチを封印した、三種の神器の末裔の一人。
かつて開かれたKOF大会において、オロチ復活を企むオロチ一族と死闘を繰り広げる。
そして、オロチ四天王の一人であるクリスをよりしろにして復活したオロチを、再度封印する事に成功した。
しかしその直後、秘密結社ネスツによって捉えられてしまい、大量のクローンを生み出されてしまう。
この際に力の一部を失ってしまい、その落とし前をつける為にもと、ネスツに単身戦いを挑んだ。
ネスツがK´達によって壊滅させられた後、その力は徐々に回復していった模様。
リュウやケン達とは、CAPCOMvsSNKシリーズで出会い、激闘を繰り広げた。

○リュウ(ストリートファイターシリーズ)
「真の格闘家」を目指して強い奴と戦うため修行の旅を続けている、凄腕の格闘家。
秘密結社シャドルーの総統ベガを打ち倒して、その野望を阻止した。
ケンとは同じ師を持つ、ライバルにして唯一無二の親友同士。
その内に「殺意の波動」と呼ばれるエネルギーが眠っており、力が抑えきれず、殺意の波動に心身とも支配されてしまう事がある。
以前に殺意の波動に目覚めた時は、ケン達の助力によって支配から逃れることに成功した。
今は、殺意の波動を克服すべく、日々努力を重ねている。
様々な大会で優勝を果たしており、ファイトマネーも結構入っている筈なのだが、なぜか『貧乏』というイメージがある。
CAPCOMvsSNKシリーズにおいて京と出会い、そして激闘を繰り広げた。

○ケン=マスターズ(ストリートファイターシリーズ)
全米最大の財力を持つとされるマスターズ家の御曹司で、全米での格闘技チャンピオン。
リュウとは同じ師を持つ、ライバルにして唯一無二の親友同士。
彼と共に秘密結社シャドルーに立ち向かい、総統ベガを打ち倒してその野望を阻止した。
リュウが殺意の波動に目覚めた時は、彼に命がけで立ち向かい、その支配から彼を解き放った。
CAPCOMvsSNKシリーズにおいて京と出会い、そして激闘を繰り広げた。

○範馬刃牙(はんま ばき)(グラップラー刃牙)
若干17歳にして地下闘技場のチャンピオンに君臨する高校生。
地上最強の生物と称される父「範馬勇次郎」を超える為に、日々努力を重ねている。
その実力は凄まじく、勇次郎曰く「地上最強の一人に数えられる」との事。
しかしながら、13歳の時に、勇次郎に圧倒的な差を見せ付けられて敗北している。
この時、刃牙を庇った彼の母「朱沢江珠」を、勇次郎に殺害される。
最初はその憎しみを勇次郎に向けていたが、時が経つに連れて徐々に薄れ、今では一格闘家として、父を超えることを目標にしている。
あらゆる格闘技を総合した「トータル・ファイティング」スタイルで闘う。

○徳川 光成(とくがわ みつなり) (グラップラー刃牙)
地下闘技場トーナメントの主催者。
世界中の格闘技者の情報量はもちろん、金の方も世界トップクラスを誇る日本最後の大物。
後楽園に闘技場を開設した徳川光圀の子孫であり、徳川家十三代目当主である。
闘技場での猛者達の試合を楽しみにしており、闘技場の格闘家達を心から信じている。

○花山 薫(はなやま かおる) (グラップラー刃牙)
日本最強の極道とも噂されている、「花山組」の二代目組長。
19歳という実年齢からは想像もできないほどの風体で、その顔には幾つかの疵跡がある。
五百円硬貨を指でひん曲げ、重ねたトランプの一部だけを千切るほどの超握力を誇る。
非武装・非鍛錬の美学を持っておりステゴロ(素手=ステ、喧嘩=ゴロ)の天才。
花山家代々“漢(おとこ)の鑑”として言い伝えられている、名も無き博徒を描いた入墨作品「侠客立ち(おとこだち)」が背にある。
その絵柄は斬り傷痕だらけになっている。
(「傷のない侠客立ちは侠客立ちではない」という信念から、自ら抗争相手の組に単身で乗り込み傷をつけさせたもの。)
無口であまり喋らないのだが、優しく、面倒見の良い性格。

○烈海王(れつかいおう) (グラップラー刃牙)
中国拳法の最高峰「海王」の称号を与えられ、そして「魔拳」の異名で呼ばれている拳法家。
その実力は凄まじく、花山と死闘を繰り広げた克己を、たったの一撃で下し、刃牙とも凄まじい死闘を繰り広げた。
中国拳法4000年の歴史を背負い戦っている為、当初は他の格闘技をやや馬鹿にした態度をとっていた。
しかしその考えも、刃牙との戦いを終えた後に改めた。

○愚地 独歩(おろち どっぽ)(グラップラー刃牙)
全国に600の支部を持つ「神心道空手」の前館長。
50年もの間、その人生の全てを空手に捧げてきた。
その実力から、「虎殺し」「人喰い愚地」「武神」と呼ばれ恐れられている。
かつて勇次郎と戦い、そして右目を失ってしまった。
これに加えて、克己が烈海王に敗れ去ってしまった事を切欠に、神心館の看板を下ろそうとする。
しかし「俺達の空手が中国拳法に及ばないのなら、そこからぱくればいい」という克己の前向きな意見を受け、彼に館長の座を譲った。

○愚地 克己(おろち かつみ)(グラップラー刃牙)
独歩の養子で、「空手を終わらせた男」の異名を持つ凄腕の空手家。
日本人離れした体格を持っており、格闘技をする為に生まれてきたようなものとまで言われている。
独歩すらも認める才能の持ち主で、彼がなしえなかった必殺の正拳「音速拳」を扱える。
しかしながら、経験の差等ではまだまだ独歩には遠く及ばず、勝てる気がしないと思っている。
烈海王にやぶれた後は、中国拳法の技術を取り入れて空手を更に強くするという前向きな考えをし、館長の座を独歩から引き継いだ。

◎豪鬼(ごうき) (ストリートファイターシリーズ)
殺意の波動を極めた、恐ろしいまでの実力を持つ格闘家。
リュウ達が苦戦を強いられたベガを、一瞬の元に打ち倒すほどの力を秘めている。
リュウとケンの師匠であるゴウケンの弟で、彼を殺めた張本人。
謎の多い人物で、リュウやケン達の前に幾度と立ち塞がり、拳を交えている。
CAPCOMvsSNKシリーズにおいても、大会中に乱入を果たし、京と一戦交えている。

974 名前:新章/格闘家達の集い:2007/08/02(木) 21:09:45

光成「ふむ……大体の事情は、これで分かったかの?」
独歩「まあ、大体の事はな。」

豪鬼の乱入から、およそ一時間が経過した後。
光成邸へと集まった刃牙達は、リュウとケンからは五界混沌事件について。
京からは、オロチ一族についての説明を受けていた。
どちらの話も、やはり俄かには信じられない代物ではあった。
しかし、全ては事実……受け入れるしかない。
とりあえず、一度自分達に関しての情報は整理できた。
次は、豪鬼が残した謎の言葉……その意味を紐解かねばならない。
まずは、リュウとケンへと伝えられた、新たな五界混沌事件について。
これは豪鬼の言葉通り、異世界を巻き込んでの騒動が再び起ころうとしているということで、問題はないだろう。
問題は、それを誰が為そうとしているかである。
黄泉返りの影響によって蘇った、かつての強敵か……それとも、新たに別の敵が現れたのか。
それを知るのには、いささか情報が少なすぎる。

烈海王「しかし、以前と同じ事件が再び起こるというのなら……その、森羅という組織の元に行くべきではないか?
事の真相を知るには、恐らくそれが一番だと思うんだが……」
ケン「そうだよな……やっぱり、零児と小牟に会いに行くのが一番か。」
リュウ「ああ……だが、その前にもう一つの問題も考えないとな。」

豪鬼の残していった、もう一つの謎。
オロチ一族の復活によって齎されるという、天から降り注ぐ災厄。
こっちの方は、謎を解く鍵すら見つからない。
ヒントがヒントだけに、漠然としすぎているからだ。
この条件に当てはまるものは、幾らでも存在している。

克己「隕石、衛星兵器……さっき聞いた、神の目っていう破壊兵器もありだよな。」
刃牙「降ってきたら人間が死ぬなんて、探せば幾らでもあるぜ?
もうちょっと何かヒントがないと、こんなの解けねぇよ。」
京「ああ……全く、検討がつかねぇ。
ただ、オロチは殆ど神みたいな存在だからな……何をされてもおかしくねぇよ。」

正直な話、自分はよくあのオロチを封じれたと思う。
あの時は復活して間もなかったから、オロチの力が弱まっていたというのも、恐らくあるのだろう。
地球の自由意志……全人類の抹殺を目論む、神にも等しき存在。
もしも、再び目覚める事になれば……もう一度は、封印できないかもしれない。
何せあの戦いは、自分は勿論の事、残る三種の神器……八神庵と神楽千鶴がその命を賭す事によって、辛うじて勝利を納められたのだ。
ここにいる、全員が戦いを挑んだとしても……勝負は分からないだろう。

花山「……オロチ一族ってのは、全員復活してるのか?」
京「そいつは分からねぇが……復活したって断言できるのは、今の所は一人だけだ。」
リュウ「あの男……ゲーニッツか。」
京「ああ……」

復活したオロチ一族の内一人とは、リュウとケンも面識があった。
かつて、自分達が参加していた大会に乱入を果たし、圧倒的な力で多くの参加者を屠った牧師。
オロチ一族最強の戦士……吹き荒ぶ風のゲーニッツ。
京すらもその力の前に、一度は敗れ去ったほどの強敵である。
ゲーニッツは、リュウ達と苦戦を繰り広げた後、風と共に其の姿を消した。
あの時は、ゲーニッツが何の目的で現れたのか、全く分からず終いだったが……

ケン「……もしもまた現れたら、とっ捕まえて無理矢理聞き出しでもしねぇとな。
このままじゃどうしようも……!?」

その時だった。
何者かが忍び寄ってくる気配を感じ、光成を除く全員が立ち上がり、構えを取った。
この気配は、この屋敷の者のそれではない……明らかな敵意が感じられるからだ。
自分達以外の何者かが、侵入を果たしている。
そしてその何者かは、間違いなく自分達の敵。
警戒心を漲らせ、皆が周囲を見回す。
敵は一体、何処から仕掛けてくるか……それに逸早く気付いたのは、刃牙であった。

刃牙「……上か!!」

刃牙が天井を見上げた、その瞬間。
天井をぶち破って、何者かが現れたのだ。
全身を青い体毛で包まれた、胴体に第二の顔を持つ巨人。
その全身から溢れ出す、凶悪な威圧感……現れたのは、五界混沌事件において、リュウとケンが戦った一人の敵。
白銀の騎士によって打ち倒された、かつての魔界の大魔王。

リュウ「こいつは……アスタロト!?」
ケン「何で、こんな奴がここにいやがんだよ!?」

その乱入者は、リュウ達にとって余りにも予想外すぎた。
超魔王ネビロスの傀儡に成り下がったとはいえ、かつては魔界を納めていた大魔王である。
それが今……自分達のいるこの世界へと、こうして姿を現した。
しかも、こんな奇襲紛いの現れ方とあっては……誰もが足を止め、アスタロトの出方を窺う。

アスタロト「見つけたぞ……!!」
リュウ「アスタロト……一体、何が目的なんだ!!」
アスタロト「決まっている……お前等の始末よ!!」
ケン「まあ、そんなこったろうと思ったぜ……けど、これではっきりしたな。
アスタロトが出てきたって事は……少なくとも、魔界村の連中は復活してるぜ。」

アスタロトが復活したという事は、彼の長である超魔王ネビロスと……その居城である魔界村が、復活を果たしたという事である。
そしてアスタロトは、恐らくはネビロスからの命を受け、自分達の抹殺に赴いているのだろう。
しかし、尖兵のレッドアーリマーを寄越さず、直接アスタロトを送り込んでくるとは……よほど本気らしい。
今回の事件が、ネビロスによるものなのか、それともネビロスの更に上にいる何者かによるものなのかは、まだ分からない。
だが、前事件の功労者達を警戒しているのは、確実である。
アスタロトの胴体の口が、大きく開かれる。
火炎による攻撃を放つつもりである……リュウとケンは、すぐさま波動拳の構えを取り、相殺しようと試みる。
しかし……それよりも早く。
一人の男が、アスタロトに一撃を見舞った。


ドゴォン!!


アスタロト「ガハッ……!?」
花山「……」
ケン「花山……」

アスタロトに一撃を叩き込んだのは、花山であった。
全身を大きく捻り、ただ全力でぶん殴るという、極めてシンプルな攻撃。
しかし極めて強力なその一撃は……極めて強固な防御力を持つアスタロトを、一発で怯ませたのだ。
リュウもケンも、その光景には驚きを隠せなかった。
花山の体格を見る限り、確かに彼には、相当な力があるように見えるが……これは想像以上である。
自分達でも、アスタロトの撃破には梃子摺ったというのに……

ケン「とんでもねぇな……ザンギのおっさんや、ハガー市長以上のパワーじゃねぇか。」
リュウ「ああ……だが、幾らなんでも一人ってわけじゃ……」
花山「問題ねぇよ……下がってろ。」

アスタロトは、自分一人で相手をする。
そう呟くと、花山は眼鏡を取り、上着を脱いだ。
あのアスタロトを相手にタイマンというのは、流石に無茶ではないだろうか。
リュウとケンは、まずそう思ったが……しかし、花山の非武装の美学は徹底している。
大人数を相手に一人で戦うなど、彼のプライドが許さないだろう。
だから、この戦いは……リュウとケンは、ギリギリまで手出しを出すつもりはなかった。

アスタロト「うおおおおお!!」

アスタロトが拳を握り締め、花山に殴りかかる。
その一撃は、花山のボディへとまともに叩き込まれた。
しかし……花山は、その攻撃を防御できなかったわけでも、かわせなかったわけでもない。
単純に、攻撃を避けなかっただけなのだ。
基本的に花山は、戦いにおいて……防御を取らない。
彼自身のタフネスが、桁外れに高いから……防御を取る必要がないのだ。
自分の一撃を受け、それでも平然としている花山の姿に、アスタロトは驚きを隠せなかった。
そんな彼へと……必殺の一撃が叩き込まれる。
花山は、強く拳を握り……そして、全力で繰り出した。






握力

×

体重

×

スピード








ドゴォォッ!!!


アスタロト「ガハァァァァッ!!!??




破壊力!!!




刃牙「相変わらず、すっごいなぁ……」
克己「ああ……よく、あんなのに勝てたもんだぜ。」

花山の一撃を受けたアスタロトは、部屋の障子をぶち破り、そのまま庭へと吹っ飛ばされた。
その胴体の顔面は、歯が数本ぶち折られており、醜い姿を晒している。
アスタロトは、心底驚きを隠しきれないでいた。
この男……花山薫は、何もかもが規格外である。

○花山薫→襲撃を仕掛けてきたアスタロトに、タイマンを仕掛ける。
 一見無謀な行為に思われたが、その圧倒的なパワーとタフネスで、アスタロトを圧倒。
 リュウ達の度肝を抜く。
●アスタロト→何者かからの命を受け、リュウとケンの命を狙いに現れる。
 しかし、花山の規格外の身体能力に圧倒され、相当なダメージを負わされてしまう。

【今回の新規登場】
●大魔王アスタロト (魔界村シリーズ)
かつて、魔界村を治めていた大魔王。
白銀の騎士アーサーと、凄まじい死闘を繰り広げた。
今は超魔王ネビロスの部下に成り下がってはいるものの、その戦闘能力は極めて高い。


975 名前:新章/格闘家達の集い:2007/08/02(木) 21:16:19

アスタロト「ぐっ……がっ……!?」
花山「まだ、やるかい?」

花山は、倒れこむアスタロトを見下ろしながら、アスタロトに戦意があるかどうかを尋ねた。
このまま大人しく引き下がるというならば、これ以上やるつもりはない。
しかし……アスタロトとて、かつては大魔王と呼ばれた身。
こんな屈辱的な真似をされて、堪えられる訳が無かった。
それに、たったの二撃で負けを認めるなど、冗談にも程がある。
アスタロトはすぐさま起き上がり、花山に仕掛けようとする。
だが……不幸にもその行動は、更なる悲劇の引き金となってしまった。
アスタロトが反応する隙も与えず……花山の拳は、真正面から顔面に叩き込まれたのだ。
派手に吹っ飛ばされ、松の木に頭からぶち当たる。
花山はそのまま、アスタロトの胸元を掴み、彼を無理矢理引っ張り起こした。
そして……再度同じ言葉を呟く。

花山「まだ、やるかい?」
アスタロト「ぐっ……!!」

このままでは、確実に殺される。
しかし敗北を認めるなど、もっての外……果たして己がどうすべきか、アスタロトには答えを見出せないでいた。
これまでの花山の攻撃から、彼の戦闘能力は粗方把握できた。
恐らく……まともに戦いあっても、花山に勝てる可能性は低い。
ならば、その外から……奇襲でいくしかないだろう。
となれば……これしかない。

アスタロト「わ、分かった……ワシの負けだ。」

演技で欺くしかない。
アスタロトはここで、わざと敗北を認めたのだ。
花山が敗者を必要以上に甚振らない事も、彼には見抜けていたからだ。
そしてこの策は、見事成功した。
胸元を掴む、花山の手が緩む……その瞬間、アスタロトの口が大きく開かれた。
しかしそれは、顔面ではなく腹部の口……零距離から、強烈な火炎が放たれた。
花山の身が、一瞬で炎に包まれた。
見ていた刃牙達も、その光景には驚愕せざるをえない。
助けた方がいいのではないか……そう思い、飛び出そうとする。
だが、そんな彼等へ向けて、花山は掌を向けた……『来るな』という意を込めて。
直後……花山は強く、足元を殴りつけた。


ボフゥッ!!


地面が抉れ、土煙が巻き起こる。
そして、花山の身へと土砂が降り注ぎ……その身に着いた炎を、一気に消し去った。
全ての土砂が舞い落ち、土煙が晴れた時……全身を焼かれたにも関わらず、しっかりと、花山は立っていた。
花山の受けたダメージは、決して小さい物では無い……しかし。
まだ、その闘志は……いささかも消えていない。

花山「まだ……やるかい……?
アスタロト「ひっ……!?」



ガボオオォッ!!



アスタロトは、とっさに右手で顔面を防御してはいたが……花山の打撃の前に、防御は無意味。
拳は防御を貫通し……アスタロトの顔面にめり込んだ。
アスタロトは、悲鳴を上げながら吹き飛び……数メートル先に倒れこんだ。
起き上がる気配はない……完全に、決着は着いた。
刃牙達は花山へと駆け寄っていく。
花山の受けたダメージも、かなりの物が有る……なるべく早急に、治療をした方がいい。
しかし、アスタロトを相手に一対一で勝つとは、思っても見なかった。
リュウとケンは、その事実に感心していたのだが……直後。
起こってしまった……予期せぬ事態が。


アスタロト「ガアアァァァァァァッッ!!

花山「っ!?」
リュウ「アスタロト!?」

アスタロトが、復活した。
完全に、撃破仕切れたと思っていたのだが……甘かった。
ここまで、散々な目に合わされてきたが……アスタロトにも、大魔王としての意地がある。
花山に背後から襲い掛かり、全力での裸絞めを仕掛けたのだ。
完全に決まった裸絞めからは、逃れる術は無い。
このままでは、花山が殺されてしまう。
もはや限界と見て、リュウ達は飛び出そうとするが……まだ花山には、奥の手が隠されていた。
花山は、アスタロトの右腕を両手で掴み……握り締めた。


パアアアァァァン!!


克己「あ……握撃……!!」
光成「でよった!!」

アスタロトの右腕が、爆ぜた。
ここまで、ずっと温存してきた技……握撃
相手の腕や足を掴み、その強靭な握力によって筋肉を挟み込むように圧縮し、逃げ場を失った血液によって破裂させる。
五百円硬貨を指でひん曲げ、重ねたトランプの一部だけを千切るほどの超握力を誇る花山だからこそ、可能な芸当である。
かつて花山と対決した刃牙や克己にとっては、決して忘れる事の出来ない、恐るべき一撃。
予想だにしていなかった、このとんでもない一撃に、アスタロトはたまらず腕の力を緩めてしまう。
しかし、まだ花山は終わらない……こんどはその左腕を摘み、そして捻ったのだ。
花山の超握力で抓るのだから、流石のアスタロトも堪らない。
遅い繰る激痛に悲鳴を上げて、アスタロトは花山を離した。
直後……花山は、アスタロトの首を握り締めた。
そして、全力を込め……握り潰す。


ボキャアァァァァッ!!


アスタロト「っ……!?

肉が断たれ、首の骨が砕けた。
今度こそ、正真正銘の完全決着である。
伝説の喧嘩師と、かつての大魔王。
勝利を掴み取ったのは……花山薫であった。


○花山薫→全身に火傷を負うも、そのダメージを諸共せず、アスタロトを圧倒。
 最後はその超握力により、文字通りアスタロトを粉砕した。
●アスタロト→花山に必殺の火炎を浴びせるも、全く通じず。
 決死の覚悟で裸絞めを仕掛けるも、花山の超握力に敗れ去ってしまった。
 最後は花山に喉を握り潰され、絶命する。


976 名前:新章/格闘家達の集い:2007/08/02(木) 21:18:52

花山「すまねぇな……」
光成「なに、気にするでない。
こっちこそ、おかげでいい戦いを見させてもらったわい。」

アスタロトとの死合を終えた花山は、光成の手配した医師によって治療されていた。
元々花山は、銃弾を体中に撃ち込まれても少々は平気な程のタフネスを持っている。
アスタロトに負わされた全身火傷も、然程意に介してはいなかった。
花山の持つ、規格外の戦闘能力。
それを初めて目の当たりにしたリュウ達は、驚きを隠せないでいた。
それは、花山自身の強さに対する驚きだけではなく……
この場にいる、ほぼ全員に対してでもあった。
何せ……この花山を相手にして、刃牙達は勝利を収めている。
自分達で、果たして勝てるだろうか……全く検討がつかない。

京「しかし、これでヤクザに対する見方が、また変わっちまったな。
お前やアルバ達、それに山崎みたいに、その辺のチンピラじゃ歯が立たねぇ奴も中にはいるしよ。」
花山「……アルバ=メイラに山崎竜二か。」
京「ん、知ってんのか?」
花山「少しな。」
光成「さて……とりあえず、これからどうするかじゃな。
まずリュウとケンは、森羅に行くのが決定しておる。
京は、神楽ちゃんの所に行き、オロチ対策を練る。
となれば……」
刃牙「俺達が、これからどうするか……か。」

残る刃牙達は、これからどうすべきかを考えていた。
リュウ達もしくは京についていくか。
それとも、独自の路線を探してみるか。
しばし間を置いた後、まず最初に克巳が口を開いた。

克巳「俺達は、全国の支部に根回ししてみるぜ。
何か、分かるかもしれねぇしな。」
独歩「相手が異世界でもない限りは、こっちでも何とか出来そうだな。」

全国に七百を越える支部を持つ、神心会空手。
サラリーマンにタクシードライバー。
医師に弁護士、警察に消防。
更には政治家や暴力団まで門下に納めている、日本最大の武闘家集団。
その情報網は凄まじい広さを誇り、警察が総力を上げても発見出来なかった死刑囚を、たった数日で見つけだす程である。
この上ないバックアップと言えるだろう。
克巳に独歩、特別コーチである烈の、神心会組の役割はこれで決まった。

残るは、刃牙と花山である。
ここは、着いていく方がやはり無難か。
二人とも、そう考えた……その時だった。


???「いや……悪いが、二人にはやってもらいたい事がある。」

突然、部屋の戸を開き、一人の男が入ってきた。
軍服に身を包み、眼帯で片目を隠した長身の男。
その余りの隙の無さから察するに、かなりの使い手……すぐに全員が身構える。
新たな敵か……そう誰もが最初は思った。
しかし、少しした後に、それが間違いであることに気づく。
何故なら、この男は……この場にいる全員が知っている、有名人なのだから。

京「お前……ハイデルン!!」
ハイデルン「久しぶりだな、京。」

怒チーム。
KOFの常連にして、毎回優勝候補に上がる実力派チーム。
そして、KOFの裏で暗躍する悪と戦い続ける、特殊部隊でもある。
その怒チーム最強の男が……隊長、ハイデルンその人である。
彼は今も、混沌としたこの世界の為に、戦いを続けている。
この以外な来訪者には、流石に皆が驚きを隠せない。

花山「……俺達に、何の用だ?」
ハイデルン「お前達の事は、ストライダムから聞いている。
その実力を見込んで、頼みがある。」
刃牙「ストライダムのおっさん絡みかよ……で、何なんだ?」
ハイデルン「ディバインショッカー、ネスツ、DIO=ブランドー……
この世界を脅かす多くの敵達と、共に戦ってほしい。
力を貸してもらえるか?」
京「ネスツだって……?
奴ら、とうとう動き出したのか?」

京にとっては、オロチ一族以上に忘れられない、因縁の敵……ネスツ。
彼等の復活に関しては、既に聞いていたが……いよいよ、本格的に動き出したのか。

京は、ハイデルンに事の真相を尋ねる。
すると……彼は、一枚の写真を取り出した。
そこに写されえいたのは……信じられない光景であった。
克巳「嘘だろ、おい……ウルトラセブンじゃねぇか、これ!?」

誰もが知る、光の国の勇敢な戦士……ウルトラセブン。
そのセブンが、何と空母を破壊しているのだ。
しかもそれは……中立国家である、オーブの空母。
悪党相手なら兎も角、これはウルトラマンにあるまじき諸行である。
そして、当然……セブンがそんな真似をする筈がない。

ハイデルン「以前、我々の仲間がネスツの者と接触したが……そこで、セブンのクローンが作られている事が分かった。
このセブンは……ネスツとみて、間違いないだろう」
ハイデルン「これは、ネスツに手駒が揃いつつあるということだ。
幸いにもこのセブンは、ロンド家とサーペンテールの助力もあって、撃破出来たが……」
花山「……次の攻撃は、近いってことか。」
ハイデルン「ああ……幸いなのは、ネスツのアジトを一つ特定出来ている事だ。
戦力が整い次第、襲撃をかける……上手くいけば、ネスツの本丸がどこか、分かるかもしれない。」
刃牙「で、戦力を集める為に、俺達に協力を仰いでるわけか……俺はいいぜ。
やらなきゃやばいんだろ?」
花山「問題ねぇ……大丈夫だ」

刃牙と花山は、ハイデルンの頼みを承諾。
ネスツ並びにDIO一味との戦いに、身を投じる事を決意した。
オーガの息子に、伝説の喧嘩士。
戦力としては、申し分ない……心強い事この上ない味方である。

ハイデルン「すまないな、二人とも……京。
オロチの事だが……」
京「分かってる。
何かあり次第、連絡は入れる……あんたにとっても、オロチは他人事じゃねぇからな。」
ハイデルン「すまない。
後は……リュウにケンだったな。
お前達二人にも、話がある」
リュウ「俺達に?」
ハイデルン「ああ……ちょっとした伝言だ。
実はこちらは今、森羅とも連携を取れる様に、仲間を一人、森羅の元に送りこんでいる。
伝言は、そいつからお前達へだ……『会えるのを、楽しみにしている』だそうだ。」
リュウ「何だって?
一体、誰が……」
ケン「オッサン達の仲間で、俺達の……あ!!」
ハイデルン「気付いたみたいだな……そうだ。
森羅の元に向かった、我々の仲間は……君達もよく知っている、ガイルだ。」

○京→オロチ一族対策の為に、神楽の元を訪ねようと考える
○リュウ&ケン→森羅行きを決定。
ハイデルンから、ガイルが既に森羅の元に向かっているのを聞かされる
○刃牙&花山→ハイデルンの頼みを引き受け、ネスツの拠点制圧作戦に乗る
○独歩&克巳&烈海王→全国の神心会支部に連絡し、情報を集める。
○ハイデルン→刃牙と花山をスカウト。
ネスツ支部襲撃作戦の準備を進める


977 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/08/04(土) 01:29:29

>>972の続き

 MDPO総合医療センター:中庭

 その場の全員が、新しいウルトラマンの登場に驚いた。
リョウ「あれは・・・・・ウルトラマンマックス!?」
スティング「まさか、敵じゃねえだろうな!?」
 リョウが声を上げ、スティングが叫ぶ。
 だが、ウルトラマンマックスがCセブンとCティガに向かって駆けるのを見て、全
員が、どうやら味方のようであるという結論に至る。
リョウ「ウルトラマンにXIGとチームDASH・・・・・ガッツイーグルも」
 リョウが、安心した様に、CセブンとCティガにビームやミサイルを撃ちこむXIG
ファイターやガッツイーグル、ダッシュバードを見つめた。

 マックスは、CティガとCセブンのパンチやキックをかわすと、超高速でパンチを
連射する技、“アシュラマックス”を打ちこむ。CティガとCセブンは防御しきれず、
パンチの約半数を食らって後退する。
Cセブン「デャ――ッ!」
 と、Cセブンがアイスラッガーを両手で挟み、素早く頭から分離させ飛ばす。だが
マックスも頭の角飾りからアイスラッガーに似たブーメラン状の、マクシウムソード
を発射し、アイスラッガーとマクシウムソードは互いに弾き返された。
 そこに、三角形のフォーメーションを取ったXIGファイターST、GT2機に続いて、
直線状のフォーメーションを取ったダッシュバード1、2、さらにガッツイーグルが
上空から降下してきて、ビームやミサイルをクローンセブンやティガに浴びせ掛け
たかと思うと、すぐさま上昇してそこを離脱する。
 そして、マックスが残像が見えるほどの高速で移動し、一瞬で距離を詰めると、
Cティガに飛び蹴りを食らわし、続けてCセブンに回し蹴りを食らわせて撥ね飛ばす。
撥ね飛ばされたセブンはダイナに蹴りを食らい、さらにマックスは、
マックス「シュアァ!!」
 右腕を空に突き出し、虹色の光線を放つ。すると鳥の形をした装備、マックス
ギャラクシーが飛来、右下腕部に装着され、マックスギャラクシーのクリスタル
部を撫ぜることで出力する、ギャラクシーソードでCティガを切りつけていく。
 しばらく戦った後、マックスとダイナはCティガとCセブンを拘束しつつ向かいあっ
て立ち、そのまま駆けると、思いっきり互いの敵をぶつけ合う。
 CセブンとCティガは膝を折った様に見えたが、立ちあがりざま、エメリウム光線と
ゼペリオン光線を右から左に流し撃ちした。
ダイナ「デュアッ!?」
マックス「グァァッ!?」
 ダイナは辛うじてかわしたものの、その直撃を食らったマックスは大ダメージを
受け、膝をついてしまった。

巧「直撃食らったぞ!!」
 巧が焦りを込めた声を上げる。
リョウ「このままじゃ、アスカとマックスが・・・・・!!」
 リョウも焦った様に呟くと同時に、W.I.T.に連絡が入った。
リョウ「こちら、ユミムラ・リョウ」
ヒビキ『リョウ、よく聞けよ! あのクローンウルトラマン2体は、おそらくその
戦闘能力を試すために出現したと思われる! 近くに、戦闘を監視している人間が
いるはずだ、そいつを探し出せ!』
 ヒビキの命令にリョウは頷いて、
リョウ「ラジャ!」
 と答え、通信を切った。そして、リョウがふと気付くと、その場の全員が、自分
を見ている。
アウル「僕たちも一緒に探すよ。人探しなら人数が多い方がいいし」
スティング「ああ」
雄介「俺達も探します!」
巧「ダイナも、マックスも頑張ってるしな」
麗奈「私も、まだこの間の恩を返しきっていない」
 リョウは一つ頷くと、
リョウ「みんな、ここの警備員からトランシーバーと、照明弾をもらったら、すぐ
に行って。もし監視者を見つけたら、照明弾で位置を知らせて。」
 と全員に言う。その全員が、真面目な顔で頷いた。



978 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/08/04(土) 01:32:41


○ユミムラ・リョウ→突然のマックス出現に驚愕。その後、ヒビキの命令でクローン
ウルトラマンたちを操っている人間を捜索に向かう。
○スティング・オークレー→新しく出現したマックスが新手の敵かと叫ぶ。その後、
リョウたちと共にクローンウルトラマンたちを操っている人間を捜索へ。
○ウルトラマンマックス→アシュラマックス、マクシウムソード、召喚したマックス
ギャラクシーによるギャラクシーソードで攻撃後、ダイナとのコンビネーション攻撃
をかけるが、クローンウルトラマンたちの反撃が直撃。
○ウルトラマンダイナ→マックスと協力してクローンウルトラマンたちを攻撃。
○ヒビキ・ゴウスケ→リョウにクローンウルトラマンたちを操っている人間を捜索す
るよう命令する。
○アウル・ニーダ→リョウにクローンウルトラマンたちを操っている人間を一緒に捜
索することを表明。
○五代 雄介→リョウにクローンウルトラマンたちを操っている人間を一緒に捜索す
ることを表明。
○間宮 麗奈→リョウにクローンウルトラマンたちを操っている人間を一緒に捜索す
ることを表明。
●Cウルトラセブン→マックスにアイスラッガーを放つがマクシウムソードで弾かれ、
その隙にMDPO部隊の一斉射撃を食らう。さらに、マックスとダイナのコンビネーショ
ン攻撃を受けるが、反撃をマックスに直撃させる。
●Cウルトラマンティガ→セブンとMDPO部隊の一斉射撃を食らう。さらに、マックス
とダイナのコンビネーション攻撃を受けるが、反撃をマックスに直撃させる。


979 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/08/04(土) 22:43:54


 CセブンとCティガは、すっかり形勢逆転し、マックスとダイナを追い詰めていた。
Cティガ「ハァッ!」
 ティガが、ハンドスラッシュをマックスに向かって連射するが、マックスはバック
転をしてそれらをかわしきり、
マックス「ハァッ!」
 再びマクシウムソードを放つ。するとそれは空中で停止、多数に分裂すると、一斉
にCティガとCセブンに向かって飛翔した。
Cティガ「へァッ!!」
 CセブンとCティガはその内のいくつかをウェッジ光線とハンドスラッシュで撃ち落
とすが、全ては落とせず、直撃を食らう。さらにガッツイーグルやダッシュマザー、
ダッシュバードのレーザーやミサイルが飛来、それらのダメージも受けた。
マックス「シュアッ!」
 その隙にマックスは、左手を天に向かって掲げる。その瞬間、手から白い光線が
発射され、空に消えると、謎の白い幾何学模様が浮かんだ。
ダイナ「!?」
 ダイナは驚いてマックスを見たが、すぐ気を取り直してCティガにソルジェント光
線を放つ。
Cティガ「ダァッ!?」
 ダイナと同様驚いていたCティガは、ソルジェント光線をもろに食らって吹っ飛ぶ。
Cセブン「デァッ!?」
 ふっとんだCティガに驚いて隙ができたCセブンに、マックスがタックルをかける。
セブンはそれをくらって弾き飛ばされ、地面を転がる。
 そして、マックスとダイナは互いを見て頷くと、マックスは左腕を振り上げ、光
エネルギーをそこに収束、腕を逆L字に組み、必殺光線“マクシウムカノン”を
マックススパークから発射し、同時にダイナもソルジェント光線を発射、それは
CティガとCセブンを爆炎に包んだ。

 ダイナ達の戦闘が見えるどこか

クローン京「あぁ? なんだ今のは」
 クローン京が、マックスが腕から放った謎の光線についてわずかに考えたが、次
の瞬間にCセブンとCティガが攻撃を受けたため、そちらに気を取られ、
クローン京「バカが、油断しやがって」
 わずかに毒づいたが、マックスとダイナの必殺技による爆炎の中から飛び出して、
マックスとダイナに猛攻を始めたCセブンとCティガを見て、にやりと笑みを浮かべた。

 マックスが放った光線、それは、仲間のウルトラマンに危急を伝える宇宙文字、
“ウルトラサイン”だったのだ。

“クローンウルトラセブンとクローンウルトラマンティガと戦闘中! 救援を!”

 ウルトラサインには、そのように描かれていた。
 地球周辺に駐留するウルトラマンたちは、それを見て、危機を知る。

 マックスとダイナは、セブンとティガの猛攻を受け、徐々に後退していた。
アスカ(くそ・・・・・! このままじゃ!)
 MDPOの各機体もレーザーやミサイルで攻撃していたが、クローンセブン達は1番の
脅威であるウルトラマンたちに狙いを定めているのか、毛ほども気にしない。
ヒジカタ「あくまでウルトラマン達を先に潰すというわけか!」
 ヒジカタが苦々しげに呟く。
 そして、Cセブンはマックスを殴り飛ばし、Cティガはダイナを蹴り飛ばした。
ダイナ「デュワァッ!!」
マックス「グワァッ!!」
 2体は吹っ飛ばされ、並ぶ様に倒れこむ。
 そこに、CセブンとCティガはハンドスラッシュとウェッジ光線を雨あられの様に放
った後、再び腕をL時に組み、必殺光線を放った。
 が、その瞬間、ダイナとマックスの頭上から光線が降り注ぎ、2体の目前で光の壁
を創り出すと、CティガとCセブンの光線を受けとめる。
???「ィヤァ――ッ!!!」
 そこに、赤いウルトラマンが急降下してきて、一瞬で、CセブンとCティガの目の
前に着地すると、2体に回し蹴りをくらわせる。
 同時に、マックスとダイナの前に、青いウルトラマンが着地する。
アスカ(あんたたちは・・・・・?)
???(僕は春野 ムサシ。ウルトラマンコスモスです)
???(おおとり ゲン、ウルトラマンレオだ。君達を助けに来た)
 青い体色のウルトラマンコスモス・ルナモードと、赤い体色、特徴的な頭部の形状
をしたウルトラマンレオが、そこにいた。



980 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/08/04(土) 22:47:28


○ウルトラマンマックス→マクシウムソード「分身シュート」を使用してクローン
セブンとティガをひるませた隙にウルトラサインでSOSを発信。その後、クローン
ウルトラマンたちに攻撃を加えるが、反撃を食らって追い詰められるが、コスモス
のバリアに救われる。
○ウルトラマンダイナ→クローンセブンとティガがマックスのウルトラサインに気
を取られている隙に攻撃を食らわせるが、反撃を食らい、追い詰められる。そして、
コスモスのバリアに救われる。
○ウルトラマンコスモス→ダイナとマックスの目前にバリアを作り、窮地を救う。
○ウルトラマンレオ→クローンウルトラマンたちのそばに着地、2体を弾き飛ばす。
●Cウルトラセブン→マクシウムソード・分身シュートを受けてひるみ、さらにマッ
クスが放ったウルトラサインに気を取られている隙に、攻撃を受けるが、反撃して
マックスとダイナを後一歩まで追い詰めるが、コスモスとレオに妨害される。
●Cウルトラマンティガ→マクシウムソード・分身シュートを受けてひるみ、さらに
マックスが放ったウルトラサインに気を取られている隙に攻撃を受けるが、反撃し
てマックスとダイナを後一歩まで追い詰める。が、コスモスとレオに妨害される。
●クローン京→マックスとダイナの必殺光線を受けたクローンウルトラマンたちを
見て毒づく。


【今回の新規登場】
○春野 ムサシ=ウルトラマンコスモス(ウルトラマンコスモス全作品)
25歳(劇場版第3作時)。TV版ではTEAM EYES隊員だったが、劇場版第2作ではアス
トロノーツとなり、劇場版第3作でアストロノーツとして、「地球の怪獣たちを遊星
ジュランに運び、そこでその生態系に極力人間が関わらず、怪獣たちとの共生の方
法を構築する」という壮大な計画、「ネオユートピア計画」を実現させ、ジュランへ
と旅だった。幼年時にウルトラマンコスモスと出会ったことがあり、コスモプラック
または幼年時にコスモスから貰った神秘の石「輝石」によってコスモスに変身した。



981 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/08/04(土) 22:50:07


   MDPO総合医療センター周囲の山中

アウル「全く、どこにいるのさ・・・・・?」
 アウルが、汗を拭いながら呟く。その視線の先には、4体のウルトラマンが戦って
いるのが見えていた。
 と、その内の2体、ダイナとマックスが吹き飛ばされ、さらにその相手、Cセブン
とCティガが必殺光線を放った。
アウル「アスカ!」
 アウルが声を上げた瞬間、上空から光線が降り注ぎ、バリアを形成して光線を受け
とめると、さらに赤い影が飛来、CセブンとCティガの前に着地し、2体へ回し蹴りを
食らわせる。
アウル「すごい、ウルトラマンが二人も援軍に・・・・・!」
 アウルは、うれしそうに呟いた。

クローン京「バカな、ウルトラマンの援軍だと!? そうか、さっきの光線が!」
 クローン京が驚がくして呟く。
???「見つけたぞ、監視者」
 と、そこに冷たい女の声が響いた。
クローン京「あぁ!?」
 クローン京が振り向くと、そこには麗奈が立っていた。
クローン京「なんだ、お前は」
 そう問うと、麗奈は右手に持っていたピストル状のものを上に向け、引き金を引
いた。その途端、そのピストル、シグナルシューターから弾丸が撃ち出され、高空
へ飛ぶと、轟音を響かせて爆発した。

梶尾「食らえ!!」
 XIGファイター3機、ガッツイーグル、ダッシュバード2機が、飛びまわりつつ、
ビームとミサイルをCセブンとCティガめがけばら撒き、撹乱する。
 その間にコスモスが、疲弊したマックスとダイナに両腕を向ける。すると、腕から
光のシャワーが放たれ、マックスとダイナの身体に吸い込まれていく。
 光のシャワー、“コスモフォース”がダイナとマックスの身体に吸収されきると、
ダイナのカラータイマーのかなり高速だった点滅が止まり、青の光が点った。
ムサシ(これで、もう大丈夫)
アスカ(助かったぜ!)
 そして、ダイナ、マックス、コスモス、レオが、クローンセブン、クローンティガ
と対峙する。

ボォォ―――ンッ!

 そこに、閃光と共に爆音が、戦闘の始まりを告げるゴングの様に鳴り響いた。

クローン京「お前・・・・・何をしやがった?」
麗奈「素直に言う義理も理由も無い」
 シグナルシューターを放った麗奈は即答する。
クローン京「ほぉ・・・・・なら無理にでも言わせてやるか」
 同時に、クローン京が一瞬で麗奈に駆けより、その腕を振りかぶった。

バシィッ!!

 が、凄まじいスピードと力を込めて振りぬかれたその腕は、麗奈の細腕で簡単に
止められた。
クローン京「なっ・・・・・なんだと?」
麗奈「残念だが、人間の攻撃を受ける義理は、ワームにはない」
 途端、麗奈はクローン京の拳を掴んでいる腕から白い甲殻に包まれ、ウカワームに
変貌した。
クローン京「ワームか!!」
 クローン京はウカワームの手を振り払ってバックステップ、ウカワームのハサミ
をかわす。
 ウカワームの時間稼ぎが始まった。



982 名前:新章/ダイナ帰還・地球編:2007/08/04(土) 22:51:34


○アウル・ニーダ→ウルトラマンの援軍を見て喜ぶ。
○間宮 麗奈→クローン京を発見、シグナルシューターを撃ってから戦闘開始。
○ウルトラマンコスモス→エネルギーを与える特殊技“コスモフォース”をダイナと
マックスに浴びせ、回復させる。
●クローン京→ウルトラマンの援軍出現を見て驚がく。その後、麗奈と戦闘を開始。



983 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/05(日) 21:27:33


 正義側のウルトラマンが4体になったことにより、形勢は一気にダイナ側に傾いた。
Cセブンの相手はレオ、マックスが、Cティガの相手はコスモス、ダイナである。

レオ「ハァッ!!」
 レオは、Cセブンのパンチを受けとめると、素早く背負い投げで投げ飛ばし、さら
に起きあがったCセブンのボディにキックを決める。
 続けて、マックスの左腕での超強力アッパーが見事なほどにCセブンの顎を捕らえ、
そこにレオがスクリューパンチをボディに叩きこみ、Cセブンは宙を舞った。
 が、Cセブンもすぐに体勢を立て直して、目からビームを放つアイビームで攻撃し
てくるが、レオの前にマックスが飛び出すと、マックススパークからのエネルギーで
創り出した円形の光のバリア、スパークシールドでそれを受けとめる。
 そして、レオは素早く飛びあがると、すれ違いざまCセブンにパンチを打ち込んだ。

コスモス「テァッ!」
 Cティガの蹴りを、コスモスが受け流し、そのバランスを崩させると、素早くその
足を掴み、ジャイアントスイングで投げ飛ばし、そこにダイナがパンチを決める。
 続けてコスモスがパンチ、キック、チョップを次々に放ち、全てがCティガの無防
備なボディに直撃、Cティガはよろめく。
 さらに、ダイナが顔面パンチ、ボディへの膝蹴りを打ち込んだ後ダイナスラッシュ
を放ち、Cティガにダメージを与え、最後に、コスモスとダイナが左右からクロスす
る様に回し蹴りを打ち込んだ。

 ウルトラマン四体の猛攻を受けたCティガとCセブンはたまらずダイナたちから離
れ、ワイドショットとゼペリオン光線を放つが、コスモスが飛び出し、両腕で2つの
光の壁を創り出して、2体の必殺光線を受けとめる。
コスモス「ハァッ!」
 コスモスがそのバリア、ムーンリバースパイクをCセブンとCティガに押しとばす。
すると、バリアは光線を受けとめつつ2体へ飛び、ムーンリバースパイクはCセブン
とCティガを包み込んでしまった。
 そこで、コスモスはコロナモードに変身、さらにエクリプスモードへと変身し、
コスモス「セヤァッ!!!」
 コスモス・エクリプスモードの、邪悪のみを滅する万能光線、コズミューム光線を、
Cティガに直撃させ、続けてCセブンにも当てようとした。
Cセブン「デャッ!!」
 が、Cセブンはその寸前、ムーンリバースパイクを破壊し、コズミューム光線から
逃れる。そのCセブンにはレオが飛びかかった。

 コズミューム光線が当たってから、Cティガから一気に敵意が消え失せたような印
象をレオ、ダイナ、コスモス、マックスは感じていた。
Cダイゴ(おれは、こんなこと・・・・・したくない)
 と、突然ウルトラマン達の頭の中に、クローンダイゴの声が響いた。
Cダイゴ(おれは、道具じゃない)
 Cダイゴは、コズミューム光線によって洗脳の呪縛から脱することができたのだ!
 そのダイゴの思念と同時に、ダイナ達の脳裏に、Cダイゴの記憶が流れこむ。

クローン京『お前らは道具だ。わかるか? 俺達の命令にしたがって、俺達が望む
事をしてりゃあいいんだ。それが、創られたお前らの幸せなんだよ』

 クローン京が、合わせて100人近くはいるだろう、クローンダイゴとクローンダン
にそう演説していた。

アスカ(こんな、冗談だろ・・・・!?)
カイト(ひどい、こんな・・・・・俺達は物じゃない、道具じゃない!!)
ムサシ(許せない・・・・・こんなの!!)
ゲン(ふざけた、マネを・・・・・!!)
 その場のレオ、ダイナ、コスモス、マックスの心を、怒りが包んだ。
Cダイゴ(頼む、もう戦いたくないんだ、一思いに、やってくれ)
 そして、Cダイゴの悲壮な思念が、四体の正義のウルトラマンの脳裏に響いた。

 コスモスが、Cセブンに向かって駆けより、パンチやキックを放って、その注意を
そらす。その間に―――。

ダイナ「ゥ――、デュアッ!!」

チュイィ―――ンッ!!

 ダイナはストロングタイプに変身、レオとマックスに向かって頷く。
レオ「ハァッ!」
マックス「シュアッ!」
 そして、マックスがダイナの前で手を合わせ、片膝を突く。準備が完了したのを
みてとったレオは、マックスに向かって駆けると、マックスの腕を踏み台に軽く跳
びあがり、さらにダイナのアッパーパンチによって、高空へ打ち上げられる。
レオ「ィヤァ―――ッッ!!」
 そして、超高空に跳んだレオは、そのまま右足にエネルギーが集中赤く発光させ
ながら、一直線に無抵抗のCティガへ落下した。

ズドゴォンッ!!!

 強化レオキックがCティガに直撃、ものすごい轟音を立てる。
Cダイゴ(・・・・・・ありがとう、これで、もう、おれは・・・・・)
 くらったCティガは、力が抜けたように倒れこみ、光の粒子になって、消滅した。
ゲン(・・・・・安らかに、眠ってくれ。)
 ゲンは悲しみを押さえこんで、ただその言葉だけを、戦うための道具にされてし
まった哀れなクローンウルトラマンに、おくった。



984 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/05(日) 21:33:49


○ウルトラマンコスモス→ダイナと共にティガ相手に戦闘。そして、2体の必殺光線
をムーンリバースパイクではね返して、2体のクローンを拘束し、コズミューム光線
をCティガに当てる事に成功。その後、クローン京のCウルトラマン達への演説を知り
憤慨。
○ウルトラマンレオ→マックスと共にセブン相手に戦闘。クローン京のCウルトラ
マン達への演説を知り憤慨。そしてCダイゴの願いを聞き、強化型レオキックをC
ティガに命中させ、倒す。
○ウルトラマンマックス→レオと共にセブン相手に戦闘。クローン京のCウルトラ
マン達への演説を知り憤慨。その後、強化レオキックの為にレオを高空へ飛ばす第
1段になる。
○ウルトラマンダイナ→コスモスと共にティガ相手に戦闘。クローン京のCウルトラ
マン達への演説を知り憤慨。その後、強化レオキックの為にレオを高空に飛ばす第2
段になる。
●Cウルトラセブン→ウルトラマン四体と戦闘を開始するも、圧倒的に劣勢。ワイド
ショットを放つもコスモスのムーンリバースパイクではね返される。
●Cウルトラマンティガ→ウルトラマン四体と戦闘を開始するも、圧倒的に劣勢。
ゼペリオン光線を放つもコスモスのムーンリバースパイクではね返され、そこに
コズミューム光線を当てられて洗脳から脱し、抵抗せずに倒される。



985 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/05(日) 21:40:58


クローン京「な、なんだと!?」
 クローン京は、轟音と共にクローンティガが倒されたのを見て、驚愕した。
ウカワーム『余所見をするな』
クローン京「っ!!」
 そのクローン京の一瞬の隙に、ウカワームのハサミがその胴に叩きつけられ、
クローン京「ぐはぁっ!!」
 クローン京はそれをもろに食らってふっとび、地面を転がる。
クローン京「てめぇ・・・・・! やってくれやがったな!!」
 そう叫びながら立ちあがったクローン京は、その目の前の光景を目にして、目を
見開く。
クウガ「時間稼ぎしてくれて、ありがとうございます」
ファイズ「さてと、お前は既に包囲されてる。おとなしく捕まって欲しいぜ」
 クローン京が周囲を見まわすと、そこには、クウガとファイズ以外に、ドレイク
ゼクターを持ったドレイクにステラ、スティング、アウル、魔剣を持ったホースオ
ルフェノク、それにスタン・ロッドとエネルギー・ロッドを握ったセンター警備員
にTPC警務局隊員がクローン京を包囲していた。
クローン京「チィ・・・・・」
ウカワーム・麗奈の顔『お前の負けだ』
 ウカワームが冷徹に告げると、
クローン京「それは・・・・・・どうかなっ!?」
 クローン京が立ちあがると同時にその右腕が燃えあがり、クローン京は身体を
ひねって自らの右腕を後ろに引きつつ、ウカワームに駆けた。
ファイズ「!?」
ドレイク「麗奈さん!!」
 その瞬間、ウカワームはクロックアップ、のろのろになったクローン京に歩みよる
と、燃えているその右腕をハサミで叩き折った。
クローン京「あ?」
 クローン京は、突然目の前のウカワームが消え、さらに右腕があらぬ方向に折れ
曲がっているのを見て、声を上げた。
ウカワーム「シュォォォッ!」
 そのまま、ウカワームはクローン京を叩き伏せた。

 Cセブンは、ダイナ、マックス、レオのさらなる猛攻にさらされていた。
 レオとマックスのダブルキックが、ダイナのパンチが、次々とCセブンに決まり、
Cセブンはだんだん疲弊していく。
 その仕上げとばかりに、レオはCセブンを投げ飛ばす。投げ飛ばされたCセブンは、
2、3度地面を転がり、それからよろよろと起きあがる。
 と、今まで戦闘に参加しなかったコスモスが、コズミューム光線をCセブンに放つ。
Cダン(う・・・・・!!)
 直撃を食らったCセブンは、先ほどコズミューム光線を食らったCティガと同様の
状態になった。
Cダン(僕は、洗脳されていたのか・・・・・! 君達はレオ、ダイナ、コスモスに
マックスだね・・・・・・頼む、僕を・・・・・・倒してくれ。)
 Cセブンは、無抵抗でXIG、スーパーGUTS、チームDASHの総攻撃を受ける。
 四体のウルトラマン達は、数秒逡巡したものの、すぐに心を決め、
ゲン(ダイナ、僕の腕を掴んでスイングしろ!)
アスカ(あ、ああ。)
 そして、ダイナはレオの両腕を握り、ぐるぐると超高速で回転し始めた。
ダイナ「デュアッ!!!」
 ダイナは腕を放し、レオをCセブンに向かって投げた。
レオ「エイヤァ!!」
 レオは、セブンに向かって飛翔し、赤熱した右足を、Cセブンに叩きこむ。
マックス「シュアァッ!!」
 さらに、マックスが右腕を突き出すと、マックスギャラクシーから凄まじい光線、
ギャラクシーカノンが放たれ、それはCセブンに命中する。
アスカ(これで、終わりだ!!)
ダイナ「デュアァッ!!!」
 仕上げに、ダイナのソルジェント光線が、クローンセブンに命中。
Cダン(こんな役を押し付けて、すまない・・・・・)
 クローンセブンは倒れこみ、そのまま光の粒子となって1点に収束し、クローン
ダンに戻った。
アスカ(・・・・・謝るのは、こっちの方だぜ・・・・・)
 アスカが、苦々しげに、思念を放った。

ヒビキ「アスカ達が、正義のウルトラマンが勝ったか!」
 ヒビキが呟く。
コウダ『隊長、センターに降りましょう!』
カリヤ『アスカの記憶が戻ったのか確かめないと!』
 ヒビキは二人の言葉に数秒考え込み、
ヒビキ「・・・・よし。総合医療センターエアポートに向かうぞ!」
 そう命令した。

ヒジカタ「クローンウルトラマンか・・・・・宇宙連合にDショッカーもいるという
のに、また面倒な組織が増えた」
 ヒジカタが、ダッシュマザー内で、苦々しげにひとりごちた。

堤「なんとか、終わったか・・・・・・」
 ピースキャリーの堤が、安堵して一言、そう言った。

 正義のウルトラマン4体は、クローンを倒し、ついに戦闘に勝利した。



986 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/05(日) 21:43:31


○ウカワーム→隙ができたクローン京を叩きのめし、さらに不意打ちで攻撃してきた
クローン京を地面に叩きふせる。
○仮面ライダークウガ→クローン京を取り囲み、ウカワームに礼を言う。
○仮面ライダーファイズ→クローン京を取り囲み、降伏するようさとす。
○仮面ライダードレイク→クローン京が襲いかかろうとしたウカワームに声をかける。
○ウルトラマンレオ→Cセブンに攻撃を加え、ダイナとのコンビネーションキックを
食らわせる。
○ウルトラマンマックス→Cセブンに攻撃を加え、ギャラクシーカノンを食らわせる。
○ウルトラマンダイナ→Cセブンに攻撃を加え、ソルジェント光線を食らわせる。
その後、謝ってきたCダンに「謝るのはこっちだ」と思念を放つ。
○ウルトラマンコスモス→Cセブンにコズミューム光線を当てる。
○MDPO実働部隊隊員達→ウルトラマンの勝利に安堵、しかしCウルトラマンの出現
に、その心境は複雑。
●クローン京→Cティガが倒されて驚いた隙に攻撃をもろにくらい、そこをクウガ、
ファイズ達に囲まれ、ウカワームに攻撃を加えようとするが、クロックアップした
ウカワームによって叩きふせられる。
●Cウルトラセブン→マックス、ダイナ、レオに攻撃を受け、その隙にコズミューム
光線を照射され洗脳から脱し、自分を倒すようウルトラマン達に頼み、謝りながら、
無抵抗で倒される。



987 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/05(日) 22:24:57


クローン京「ぐぉ・・・・・」
 クローン京は、倒れ伏し、呻き声を上げる。
ウカワーム『これ以上抵抗するようなら、もう片方も折ることになる』
 ウカワームが、あくまで淡々と言う。
クローン京「・・・・・チッ」
 クローン京が舌打ちした、次の瞬間。
クローン京「ガリッ! ・・・・・がはぁっ!!!」
 クローン京は突然、口から大量の血を吐いて倒れた。
ウカワーム『!?』
ファイズ「なっ!?」
 慌てて全員が駆けより、ファイズが調べるが、
ファイズ「・・・・・ダメだ、死んでる」
アウル「そんな、なんでだよ!?」
 TPC警務局隊員の一人が、ファイズの横にひざまずきクローン京の死体を調べる。
TPC警務局隊員A「おそらく、毒ですね」
 TPC警務局隊員が呟く。
TPC警務局隊員A「任務に失敗し、捕まりそうになった為、口の中・・・・・おそらく
歯にでしょう、そこに仕込んだ毒薬のカプセルを噛み割り、自殺したと思われます」
ファイズ「これで、こいつらの基地がどこにあるのか、わからなくなったな」
 ファイズが、変身を解きつつ、悔しそうに言う。
雄介「でも、まだクローンセブンの変身者が残ってる」
 同じく変身を解いた雄介が言う。
リョウ「その通りよ。いま、警備員を捜索に向かわせたわ」
 W.I.T.で会話していたリョウが、通信を終わって言う。
リョウ「私達は、戻りましょう。」
 その場の全員が頷いて、歩き出した。

 戦闘を終了した4体のウルトラマンは、互いを見た。
アスカ(助けに来てくれて、助かったぜ)
 アスカが、他の3体に思念を送る。
カイト(礼なんかいいですよ、俺達は同じウルトラマンなんですから)
 カイトが、それに応じ、さらに、レオ、コスモスが頷く。
ムサシ(じゃあ、これで失礼します。また今度、会いましょう)
 ムサシが思念を送り、レオ、コスモスは、飛び立っていく。そしてマックスも、
マックス「シュアッ!」
 一礼すると、光の玉となって、ダッシュバード1に吸いこまれた。
ダイナ「・・・・デュワッ!」
 ダイナが体を光の粒子に変え、MDPO総合医療センター中庭に収束、アスカに戻る。
アスカ「・・・・・・」
 アスカは、飛び去っていく、チームDASHとXIGの機体を見つめた。
リョウ「アスカ」
 アスカが振り向くと、そこにはリョウ、雄介、アウル、麗奈らが立っていた。
アスカ「リョウ! ・・・・・ただいま」
 リョウは、その言葉に、わずかに目を見開くと、
リョウ「・・・・・・おかえりなさい」
 目から涙を流しながら笑うという、器用な表情を作ってみせた。
ヒビキ「アスカ、リョウ!」
 と、そこに、ヒビキ、コウダ、カリヤが駆けて来た。
リョウ「隊長」
アスカ「機体はいいんすか?」
 アスカが尋ねる。
カリヤ「エアポートに着陸させたんだ」
ヒビキ「アスカ、やっぱりお前、記憶が・・・・・」
 ヒビキがアスカに言うと、
アスカ「アスカ・シン、ただいま帰還しました!」
 アスカが、笑いながらそう言った。
 それを聞いて、カリヤとコウダが微笑みながらアスカの背中をバシバシと叩く。
ヒビキ「よく戻ってきた、アスカ!」
 ヒビキが、頷きながら呟いた。

 その様子を、アウル、ステラ、スティング、雄介、巧、大介、ゴン、木場、麗奈が
見守っていた。
麗奈「・・・・・さて」
 麗奈は、そう呟くと踵を返す。
大介「麗奈さん?」
 大介が麗奈を見る。他の皆も、それに気付いて2人を交互に見た。
麗奈「アスカ・シンへの借りはもう返した。これ以上ここに用も無い・・・・・」
 そう言いながら麗奈は立ち止まり、振り返ると、
麗奈「また会おう、風間大介」
 そして彼女はウカワームに変化、クロックアップし、そこから消えた。
大介「麗奈さん・・・・・また、いつか。」
 大介は、そう呟いた。

 こうして、記憶喪失になったアスカをめぐる一連の事件は、幕を閉じた。



988 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/05(日) 22:27:44


○ウカワーム→叩きのめしたクローン京を脅す。そして、MDPO総合医療センター中
庭にて記憶を取り戻したアスカとリョウ、それにヒビキ達の和気あいあいとした姿
を見届け、いずこともなく姿を消す。
○仮面ライダーファイズ→吐血して倒れたクローン京に駆けよって調べ、情報が得
られなくなったと悔しそうに言う。
○アウル・ニーダ→クローン京が死んだのを知って驚がく。
○TPC警務局隊員→クローン京の遺体を簡単に調べ、死因を推測。
○仮面ライダークウガ→変身を解いた巧を慰める。
○ユミムラ・リョウ→変身を解いた巧を慰める。その後、MDPO総合医療センター中
庭にてアスカに「ただいま」と言われ、泣きながら笑う。
○ウルトラマンダイナ→助けに来てくれたウルトラマン達に礼を言い、彼らを見送る
とアスカに戻り、リョウに「ただいま」と言って笑う。そして、やってきたスーパー
GUTSメンバーに帰還報告をする。
○ウルトラマンマックス→ダイナに別れを告げ、ダッシュバード1号へ戻る。
○ウルトラマンコスモス→ダイナに別れを告げ、去る。
○ウルトラマンレオ→ダイナに別れを告げ、去る。
○ヒビキ・ゴウスケ、コウダ・トシユキ、カリヤ・コウヘイ→MDPO総合医療センター
中庭に来て、アスカの記憶回復を喜ぶ。
○風間 大介→去っていく麗奈を見送る。
●クローン京→作戦失敗を確信、毒で自殺。



989 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/07(火) 22:29:27


 MDPO総合医療センター襲撃事件から四日が過ぎた。
 アスカは、まだ休養が必要ということを口実に、リョウと街にくりだしていた。
ちなみに“休養”の発案者はリョウである。
アスカ「どこ行く気だ?」
リョウ「まずはカラオケね。」
 リョウがアスカに笑いかけながら言う。
アスカ「カラオケも久しぶりだぜ」
リョウ「アスカの場合、なんでも久しぶりでしょ?」
アスカ「ま、そうだけどな」
 アスカがニッと笑いながら答え、2人は笑いあいつつ、街の中に消えていった。

 さらに半日が経過し、リョウとアスカは満足そうな顔で街を歩いていた。
アスカ「あ〜、こんなに遊んだの、ほんっと久しぶりだぜ!」
 アスカが、心の底から満足げに呟く。
???(―――ナ。―――ダイナ。ウルトラマンダイナ。聞こえるか?)
 と、突然、アスカの頭の中に、思念が流れ込んできた。
アスカ「!?」
リョウ「? どうしたの、アスカ」
 リョウが、顔をこわばらせたアスカに向かって、不思議そうに尋ねる。
アスカ(誰だ!?)
???(君と同じ存在だよ)
アスカ(オレと同じ・・・・・? ウルトラマンか?)
???(そうだよ。ああ、今君を見つけた)
 それと同時に、アスカは自分たちの方へ歩んでくる5人の男に気付いた。
リョウ「? 何なの、知り合い?」
アスカ「わかんねぇ」
 アスカとリョウがそんな会話を小声でした間に、彼ら5人は2人の前に立っていた。
???「やあ、ダイナ。いや、アスカ・シンというべきかな。私はハヤタ・シン。
ウルトラマンだ」
 リーダー格らしき男、ハヤタが言う。
アスカ「・・・・・証拠は?」
 アスカが尋ねると、
ハヤタ「これでいいかな?」
 ハヤタは懐から、先端が透明な円筒形の懐中電灯のような装置、ベーターカプセル
をそっと取り出して見せる。
 アスカが、他の四人も見まわすと、一人を除いて、赤い宝石の嵌めこまれた指輪、
真ん中に緑色のクリスタルが嵌めこまれたカプセル、Vの字型の装置をそっと見せた。
アスカ「・・・・? あんたは?」
 アスカが、唯一何も出していない男に尋ねる。
ハヤタ「ああ、郷か、彼は」
???「僕は道具を使わないで変身するんだ」
 その男、郷 秀樹が言った。
リョウ「・・・・・あなた達がクローンでない証拠はあるの?」
ハヤタ「正直な話、全くない。信じてもらうしかないんだ、こればかりは」
 疑わしげなリョウの言葉に、ハヤタが顔をしかめて言う。アスカは、そんなハヤタ
達を見つめた後、
アスカ「あんた達はクローンじゃないな、多分」
 アスカは断定して言った。
リョウ「アスカ、何でそんな事言えるのよ?」
 リョウがアスカを睨んで尋ねる。
アスカ「なんていうか・・・・・ウルトラマンとしてのカンかな。この間のクローン
とは、何だろ、雰囲気が違うって言うのか、そんな感じがする。」
 アスカの言葉を聞いて、リョウが、
リョウ「・・・・・アスカがそこまで言うんなら、私も信じるわ。」
アスカ「サンキュ。で、なんで、ウルトラマンが5人も?」
ハヤタ「うん、君をあるところに連れていこうと思ってね。」
アスカ「あるところ?」
 アスカが怪訝そうに言う。
ハヤタ「ああ。君を他のウルトラマン達に紹介しようと思っているんだ」
アスカ「オレはいいけど・・・・・」
 アスカは言いつつリョウを見る。
リョウ「行って来なさいよ。私は待ってるから」
???「すまない、彼氏さんはすぐに返すよ」
 赤い宝石の指輪、レオリングをつけたおおとりゲンが言うと、アスカが唖然とした
後、リョウを見て、
アスカ「オレが彼氏だってよ。」
 言われたリョウは真っ赤になってアスカの後頭部を軽くはたく。
アスカ「ってぇ!」
 その様子を見たハヤタたち5人は、顔を見合わせて苦笑した。
我夢「じゃ、行きましょう」
 5人の一人、我夢が言った。
アスカ「そうだ、どこに他のウルトラマン達がいるんだ?」
 アスカが尋ねる。
郷「“どこでもあってどこでもない場所”さ」
 そういうと郷はいきなり、カプセル型の変身装置を持っていた青年、ケンイチ・
カイと一緒にアスカの肩を掴むと、一気に前に押し出す。その途端にアスカ、カイ、
郷は消えた。
リョウ「!?」
我夢「それじゃあ、すぐにアスカさんはこちらにつれて帰りますから。」
 我夢がそう言って一礼し、その場から消えた。



990 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/07(火) 22:38:47


○アスカ・シン→リョウと共に街へ。そこで、ハヤタをはじめとするウルトラマン
達5人に出会い、“どこでもあってどこでもない場所”へ。
○ユミムラ・リョウ→アスカと共に街へ。そこで、ハヤタをはじめとするウルトラ
マンの変身者達に出会う。
○ハヤタ・シン→アスカに思念波で呼びかけ、アスカに接触、自らがウルトラマン
である事を証明し、他のウルトラマン達にアスカを紹介したいと言う。
○郷 秀樹→ハヤタに同行、アスカに、自分は道具を使わずウルトラマンに変身する
事を説明。そして、カイと一緒にアスカを“どこでもあってどこでもない場所”へ。
○高山 我夢→ハヤタに同行。
○おおとり ゲン→ハヤタに同行、リョウに、恋人=アスカをすぐに返すと言う。
○ケンイチ・カイ→ハヤタに同行、郷と一緒にアスカを“どこでもあってどこでも
ない場所”へ。


【今回の新規登場】
○郷 秀樹=ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)
加藤隊長のスカウトで民間から登用されたMAT新入隊員。レーサーを目指しながら、
坂田自動車修理工場で働いていた。タッコングが出現したとき子供と子犬を救って
死亡、その勇気に感動したウルトラマンジャックが一体化することにより蘇生した。
基本的には落ち着いた優しい性格で、若者らしい明るさも備えているが、しばしば
悩む事も。女性の気持ちには鈍感で、恋人だったアキをやきもきさせている。いざ
という時の行動力には目を見張るものがあり、一旦出した自分の意見は絶対に引っ
込めない頑固さも持ち合わせる。
歴代ウルトラマンの中で、唯一何の道具も使わずにウルトラマンに変身する。



991 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/08(水) 23:39:19


 ふと気付くとアスカは、天は七色に輝き、周囲に金色の山、そして正面に円卓の
ある、謎の空間に立っていた。
アスカ「ここは・・・・・?」
ハヤタ「ここは〈聖域(サンクチュアリ)〉。我々“宇宙警備隊地球支部”が、誰
にも邪魔されずに合議する為の会議場さ」
 ハヤタがアスカの呟きに答える。
アスカ「宇宙警備隊地球支部?」
我夢「そうです。地球に来た事のあるウルトラマンや今も地球を守るウルトラマン
達が、宇宙連合タカ派の宇宙人や怪獣から地球を協力して防衛する為に創設した、
ウルトラマンによる同盟のようなものです。」
 我夢がアスカに説明する。
アスカ「へぇ・・・・・。で、この変な世界はどこなんだ?」
カイ「ここは、通常時空間から切り放された特殊時空間なんだ。だから、“どこでも
あってどこでもない所”とも呼んでる」
 カイの言葉に、アスカが感心して、
アスカ「すげえな・・・・・どうやって創られてるんだ?」
 と尋ねる。
我夢「もともと、この空間はウルトラマンネクサスの“メタフィールド”を、僕たち
の光エネルギーによって強化改造した、特殊メタフィールドなんです。」
アスカ「ウルトラマンネクサス? 誰だ、それ?」
ハヤタ「君が知らないのも無理は無い、彼は君の後輩の一人さ」
 そして、ハヤタは円卓に近づき、その手を円卓の上に乗せる。すると円卓が輝き、
光が光線となって天に消えた。
アスカ「な、何したんだ!?」
郷「ウルトラサインで地球周辺の全ウルトラマンを召集したんだ」
 郷が言うと同時に、円卓の周囲の空間が光り輝き、次々に男や女が現れた。
 そして、ハヤタが、立っている場所の円卓の上に手を当てると、台のような物が
22個出現した。その全てに、何かを嵌めこむ穴のようなものが開いている。
アスカ「? 何だ、あれ?」
 アスカが尋ねると、我夢が、
我夢「こちらへどうぞ」
 と言って、アスカを導く。アスカは、一つの台の前に立っていた。
アスカ「で、なにをどうするんだ?」
 再びアスカが尋ねると、横にいた青年が、
???「この台座に、君の変身道具を嵌めこむんだ」
 と助言、その顔を見たアスカは驚愕する。
アスカ「ダイゴさん!」
 そう、それは、火星にいるはずの、“本物の”マドカ・ダイゴだったのだ。
ダイゴ「久しぶり。大変だったね。」
 ダイゴは、全てを知っているようだった。
アスカ「はい」
 アスカが頷いて答える。ダイゴは、微笑みながら、持っていたトーチ型の装置、
スパークレンスを、円卓の穴に嵌めこむ。すると、その上の部分が開いて光が輝き、
ダイゴの後ろに石の椅子が現れる。
アスカ「!?」
 周囲を見ると、さまざまな男女が、変身装置を円卓の台座に嵌めこんでいた。
 一例に、ブレスレット状の装置・アグレイター、短剣状の装置・エボルトラスター、
スティック状のコスモプラックやブライトスティック、アルファベットのAに似た装飾
がされたペアリング状のウルトラリング、バッジ状のウルトラバッジ、それにマックス
スパークなど、さまざまな装置が円卓の台座に嵌めこまれ、そのたびに光が輝き、石の
椅子が出現する。
 そして、いくつか空席を残して、その場の全員が円卓に座る。
 アスカも、自分の変身アイテム、リーフラッシャーを台座に嵌めこむ。途端に、
リーフラッシャー上部のクリスタルが撥ね上がり、光を放って石の椅子を出現させた。
 アスカがそこに座るのを見計らって、ハヤタが口を開く。
ハヤタ「皆、今日は、急な召集にもかかわらず、来てくれて感謝する。」
 すると、そのとなりに座っている厳格そうな男が、
???「どうしてこんな急に呼び出したんだ?」
 と尋ねる。
ハヤタ「いくつか理由があるんだ、ダン。一つはウルトラマンダイナの紹介の為さ。」
 ダンと呼ばれた男、“本物の”モロボシ・ダンに答えるハヤタ。その席から4つ横
の席に座っている青年が、
???「それだけじゃあないんでしょう?」
 さらに尋ねる。
ハヤタ「その通りだよ、光太郎。」
 その青年、東 光太郎に答えたハヤタが目配せしたのを見て、その意図を理解した
アスカは、立ちあがると、
アスカ「えーと、アスカ・シンです。よろしく」
 と簡潔な自己紹介をする。
ハヤタ「彼はグランスフィアとの戦いの重力崩壊で、異空間に放り込まれてしまった
あのウルトラマンダイナだ。その彼が先日、ガニメデ宙域戦直前に、MDPOの新型機の
実験中帰還したんだ。その際は記憶を失っていたけれど」
 ハヤタがそう紹介し、アスカは席に座る。
ハヤタ「では、次は皆の紹介をしてもらおう。まずは私から。もうしたけど、私は
ハヤタ・シン。ウルトラマンだ」
 ハヤタが立ちあがって名乗る。ハヤタが座ると、隣に座るダンが立つ。
ダン「モロボシ・ダン。ウルトラセブンだ。よろしく、新入り君」
 さらに、自己紹介は続いていく。
郷「僕は郷 秀樹。ウルトラマンジャックだ。よろしく」
???「俺は北斗 星司、ウルトラマンエース。よろしくな。」
光太郎「東 光太郎、ウルトラマンタロウ。会えてうれしいよ!」
ゲン「おおとり ゲン。ウルトラマンレオだ。」
 まだまだ、自己紹介は続く。
???「僕は矢的 猛、ウルトラマンエイティ。よろしく、アスカくん。」
???「私は星 涼子。ウルトラの星の王女、ユリアンよ」
ジャック「僕はジャック・シンドー。ウルトラマングレートだよ」
カイ「ケンイチ・カイ。ウルトラマンパワード。よろしく。」
???「カグラ・ゲンキ。ウルトラマンネオスです。」
???「朝日 勝人、ウルトラマンゼアスです!」
 そして、アスカのすぐ右横、ダイゴが立ちあがる。
ダイゴ「マドカ・ダイゴ、ウルトラマンティガだよ、よろしく」
 ダイゴが座ると、次はアスカの左横、我夢が立ちあがり、
我夢「高山 我夢、ウルトラマンガイアです。よろしくお願いします」
???「藤宮 博也。ウルトラマンアグルだ」
ムサシ「春野 ムサシ。ウルトラマンコスモスです。」
???「僕は孤門 一輝、ウルトラマンネクサスです。」
カイト「トウマ・カイト。ウルトラマンマックスです。」
 最後の一人、カイトが名乗り終わり、席に座る。と、アスカが、
アスカ「いくつか開いてる席があるけど、誰か来てないのか?」
 と尋ねる。
ハヤタ「ああ、私の隣りはウルトラ警備隊隊長ゾフィーの席で、レオ・・・・・ゲン
の隣りは彼の弟アストラの、コスモス・・・・・ムサシの隣りはジュリ、ウルトラ
マンジャスティスの席だ。」
 ハヤタが、その問いに答え、
ハヤタ「もう、質問は無いかな? では、合議を始めたいと思う」
 アスカの意思を確認した後、そう宣言した。



992 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/08(水) 23:43:39


○アスカ・シン→サンクチュアリに到着、そこで説明を聞き、ウルトラマン達が
そろったところでハヤタに促され、自己紹介。
○ハヤタ・シン→サンクチュアリに到着、ウルトラマン達を召集。合議を始める。
○高山 我夢→サンクチュアリに到着、アスカにサンクチュアリについて説明。
○ケンイチ・カイ→サンクチュアリに到着、アスカにサンクチュアリについて説明。
○マドカ・ダイゴ(本物)→アスカに円卓上の台座の使い方を説明。
○ウルトラマンの変身者達→各々アスカに自己紹介。


【今回の新規登場】
○モロボシ・ダン=ウルトラセブン(ウルトラセブン)
ウルトラセブンの仮の姿、元ウルトラ警備隊隊員にして、元MAC隊長。
ウルトラ警備隊時代の性格は温厚かつ誠実で天真爛漫な性格だったが、MAC時代には
うってかわって厳格な指導者としての面が非常に目立った。反面、レオ=ゲンの身を
案じてもいて、彼の勝利を一番に喜び、そして彼の人間的成長を我が事の様に思って
いる様子も見られた。
レオ劇中で変身アイテム・ウルトラアイが破壊され、そのままセブンとしての姿を
見せる事無くMACの壊滅と共に姿を消してしまった。
しかし、実はこの時にウルトラの母に救われていて、その後再びウルトラセブンと
してDショッカーや地球教の暗躍する地球へ帰還した。

○北斗 星司=ウルトラマンエース(ウルトラマンA)
元TAC隊員。元はパン屋の運転手。超獣ベロクロンの出現によって命を落とすが、
南夕子と共にウルトラマンAに命を与えられ復活、変身能力を与えられる。その後、
夕子と一緒に故郷を後にTACに入隊するが、血気盛んで猪突猛進型の性格のため、
他の隊員と対立することが多く、謹慎処分をたびたび受けた。
28話までは南夕子とウルトラタッチで変身していたが、夕子が月星人の生き残りと
共に去った28話以降は星司一人が2つのウルトラリングを使い変身する。

○東 光太郎=ウルトラマンタロウ(ウルトラマンT)
いきなり予測不可能な行動をしたりする、しかし明るく情に厚く、気配りも細やか
な好青年。オイルドリンカーを退け、さらにアストロモンスを追い払った勇気と行動
力をZATの朝日奈隊長に見込まれ、ZATの隊員となる。初出動でアストロモンスの攻撃
を受け瀕死の重傷を負ったが、ウルトラマンタロウと合体して復活した。
変身アイテム・ウルトラバッジを使ってタロウに変身する。

○矢的 猛=ウルトラマンエイティ(ウルトラマン80)
ウルトラマンエイティが地球人に変身した仮の姿。
人間の悪の心が怪獣を生むという考えから教職を志し、1話で新任の理科教師として
桜ヶ岡中学校に赴任する。その際、直前まで各地の異常現象を調査し怪獣出現を予想
していた実績と危機意識を買われ、オオヤマキャップのスカウトで教師とUGM隊員を
兼務することになった。ウルトラマンではあるが、非常に人間臭い思考をする。
変身アイテム・ブライトスティックでエイティに変身する。

○星 涼子=ユリアン(ウルトラマン80)
ユリアンが地球人に変身した仮の姿。ガルタン大王に狙われて地球に逃亡してきた。
星涼子の名前は、宇宙船を破壊されて墜落した時のショックで記憶をなくしていた
ときに、オオヤマキャップによって名づけられた名前である。その後、矢的をかば
ってガルタン大王に殺された城野隊員の遺言により、UGMの準隊員となって地球に
居付いた。地球人としての生活に慣れないため、テレパシーなどの特殊能力を平然
と使い、矢的にたしなめられる事が多い。また矢的の恋人気取りな様子もあり、矢
的が他の女性と親しそうにしていると焼きもちを焼くかわいい一面も。
変身アイテム・ブライトブレスレットでユリアンに変身する。

○朝日 勝人=ウルトラマンゼアス(ウルトラマンゼアス1及び2)
ウルトラマンゼアスの地球での仮の姿、超宇宙防衛機構(Mysterious Yonder
Defence Organization)通商Mydo隊員、25歳(第2作時)。
第1作時は過剰な潔癖性が原因で見習い隊員としていつも基地で留守番していた。
子供のように純粋な性格で、近所の子供たちから「勝人兄ちゃん」と慕われている。
後に潔癖性を克服、晴れてMydo正隊員になるが、ウルトラマンシャドーにより戦いに
対する恐怖心を植え付けられ、またも現場に出られなくなり、その間、正道会館にて
心を鍛える修行をし、見事恐怖心を克服、シャドーを倒す事に成功した。
変身アイテム・ピカリブラッシャー2でゼアスに変身する。

○カグラ・ゲンキ=ウルトラマンネオス(ウルトラマンネオス)
HEARTの隊員、22歳。かつて宇宙でダークマターの調査に行った際に、仲間を救う為
に宇宙空間に投げ出され、そこをゾフィーに救われてネオスと一心同体に。
名前の通り元気いっぱいの明るい青年で、子供っぽく、常に前向きな性格。見た目は
頼りなさそうだが、意外に強引な一面もある。
変身アイテム・エストレーラーでネオスに変身する。

○マドカ・ダイゴ=ウルトラマンティガ(ウルトラマンティガ)
もとGUTS隊員、30歳。(ウルトラマンダイナ時・推定)かつてはTPC輸送部に所属
していたが、異星人に拉致されかかったサワイ総監を救出した勇敢さを買われ、GUT
Sに配属された。超古代人の遺伝子を持つ「光であり、人である」存在だった為に、
「ティガのピラミッド」でウルトラマンティガに変身する能力を得た。当初は光と
なることに戸惑うこともあったが、戦いの日々の中で「自分にできること」として、
それの意味を見出した。
邪神ガタノゾーアとの戦いの後、変身能力を失うが、ルルイエで復活した闇の巨人と
「闇」との戦いの際ブラックスパークレンスでティガダークに変身、さらに闇の力を
光に変え、光の巨人に戻ることに成功、さらに超古代の巨人達の光を受けグリッター
ティガへも変身した。
ルルイエ事件の後、恋人のレナと結婚、火星に移住、バイオパークを運営している。
変身アイテム・スパークレンスでティガに変身する。(映画版劇中でスパークレンス
が消滅した描写などがない為、スパークレンスは存在するものとしています)

○藤宮 博也=ウルトラマンアグル(ウルトラマンガイア)
元アルケミースターズの一員。22歳。
劇中初めでは、地球を守るのに人間を犠牲にするという思想を持っていた為、我夢と
対立。だが、藤宮の心が変わっていったことに加え、クリシスの予測した答えが根源
的破滅招来体の改ざんを受けていたことを知り、自身の考え方が間違っていた理解し
た為、我夢にアグルの力を与え、姿を消す。
一時は頭が白髪混じりになるほど気の抜けた姿となったが、我夢が捕獲され、ガイア
に変身できなくなった際、「もう一度地球を守るために戦いたい」という藤宮の思い
に「海の光」が答え、ウルトラマンアグルV2となり、ガイアと共闘するようになった。
周りに厳しいと同時に自らにも厳しい徹底主義者的性格。しかし、吉井玲子と接した
ことで、その性格も少し丸くなった。
我夢と同様、一度は「海の光」を失うものの、根源破滅海神ガクゾム戦時に再び光
を取り戻した。変身アイテム・アグレイターでアグルに変身する。

○孤門 一輝=ウルトラマンネクサス=ウルトラマンノア(ウルトラマンネクサス)
24歳。元は警視庁のレスキュー隊員で、第1話にて特殊防衛機関TLTのエリート部隊
であるナイトレイダーに配属される。
「ナイトレイダーとして人知れずスペースビーストと戦う」という特殊な職務の中、
時に傷つき、悩み、大切な物を失いながらもウルトラマン=姫矢 准、千樹 憐と接す
ることで自らの心の闇を払い除け、戦いの中で成長を遂げていった。
最終話にて5人目にして真のデュナミストとして光を継ぎ、ウルトラマンネクサス・
アンファンス→ジュネッス(赤)→ジュネッスブルー→ノアへの4連続フォームチェ
ンジにより、ネクサスの真の姿にして究極最終形態・ウルトラマンノアに変身、全て
の元凶であるダークザギを葬り去った。
変身アイテム・エボルトラスターで変身する。



993 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/08(水) 23:58:28


ハヤタ「合議とは言っても、話を聞くだけなんだが・・・・・」
 と、ハヤタが口篭もる。
カイト「? どうしたんです?」
ハヤタ「話をする人物がここに来ていないんだ」
 ハヤタが困った様に言う。
ムサシ「ゾフィーさんは違うでしょうから・・・・ジュリ、ですか?」
 ムサシが尋ねる。
ハヤタ「そうだ。何かは知らないけれど、準備に時間がかかると言っていたよ」
 ハヤタがそう言った所で、
???「すまない、遅れた」
 光と共に、黒ずくめの服装をした女性が現れた。
ハヤタ「やあ、ジュリ。ちょうど君の話をしていたところだよ。」
 その女性、ジュリは、自らの変身装置、ジャストランサーを台座に嵌めこむ。
光が放たれ、椅子が出現、即座に座るジュリ。
ムサシ「大丈夫かい、ジュリ。疲れてるみたいだけど」
ジュリ「このくらいはどうってことはない。それに私の情報を待ってくれていた皆
をこれ以上待たせるのは気がひける」
 そう言うと、ジュリがハヤタに向かって頷く。
ハヤタ「さて、ジュリ。まず、ダイゴと我夢の間の彼を紹介するよ」
 ハヤタが言い、アスカが慌てて立ちあがると、
アスカ「アスカ・シン、ウルトラマンダイナだぜ!」
 と自己紹介。
ジュリ「私はウルトラマンジャスティス・・・・・ジュリだ。よろしく」
 ジュリがそれに答える。
ハヤタ「それで、君が手に入れたという情報は、何なんだ?」
ジュリ「ああ・・・・・これを見てくれ」
 ジュリが、手を台座のジャストランサーの上に乗せる。すると、円卓中央から光
が放たれ、それが立体映像を成す。
我夢「こ、これは・・・・!?」
 その映像を見て、我夢が驚きのあまり立ちあがる。

 映像には、謎の工場のようなものが映っていて、そこに、ウルトラマン3体と
ガンダム3体、それにMDPOの大部隊の協力でようやく倒す事に成功した、
あのスーパータイラントが10体以上も創られていたのだ!

カイ「これは・・・・いったい!?」
ジュリ「宇宙連合タカ派の所有する秘密惑星にて発見した、スーパータイラントの
製造工場だ。
 ジュリが冷静に言うと、カイトが、
カイト「スーパータイラントが・・・・・10体も!?」
 と叫ぶ。ジュリは頷き、
ジュリ「それだけじゃない」
 続けて映し出された映像には、謎の機械が創られているのが映っていた。
北斗「・・・・・これは?」
ジュリ「創っている連中は“インペライザー”と呼んでいたな・・・・・・平行宇宙
の、それも「相対未来」からの同盟者からもらった設計図で創った、“ウルトラマン
すら圧倒する、無双鉄神”ということだ。主兵装はこの頭部の三連ガトリングガンと
両肩のビーム砲、全身の金属鎧は強固なだけでなく、自己修復機能をそなえ、さらに
テレポーテーションも使えるという厄介な機械兵だ。」
 そして彼女はため息をつくと、
ジュリ「これまでは宇宙連合のハト派が押さえていてくれたのだが、タカ派が台頭し
てしまったせいで、このような物を製造することも容認されるようになってしまった。」
 ジュリの言葉に、ゲンが眉をひそめて、
ゲン「ウルトラマンすら圧倒する・・・・・!?」
ジュリ「ああ。これを見ればわかるだろう」
 そう言いつつジュリが手を動かすと、画像が変わり、そこには、インペライザーと
ウルトラマンエースに似た物が向かい合っていた。
北斗「エースロボット!?」

 そのエースロボットは、インペライザーに向けて連続でさまざまな光線を撃ちこん
でインペライザーの体を削っていく。だが、インペライザーはすぐにそれを修復し、
反撃を開始。大量の光線を発射したせいでエネルギーを消耗したエースロボットめ
がけ、頭部のガトリングガンと両肩の砲門からの連続一斉射撃が雨あられのごとく
放たれ、エースロボットはそれらを全てまともに浴びて倒れこみ、爆散してしまった。

 それを見て、その場の皆が動揺する。
ジュリ「これでわかってもらえたと思う」
ゲンキ「十分過ぎるくらい・・・・・・わかりました」
 ゲンキがつとめて冷静に答える。
ジュリ「そうか。それで、このインペライザーとスーパータイラントの工場だが、
しばらくは出現の心配をしなくてもいいはずだ。スーパータイラント製造機は工場
ごと完全に破壊したし、インペライザーの試作品の方もブラックホールに投げこん
でおいた。工場再建には時間がかかるだろう。」
 その場の全員がわずかに安堵した表情を見せる。だが、
ジュリ「とはいえ、当然インペライザーの設計図はまだ残っているだろうし、スーパー
タイラントも工場の破壊直前に5体ほど脱出したのを確認した。それらが地球に攻め
てくる可能性もある。それが同時となったらかなり厄介だろうな」
 ジュリがあくまで淡々と言った。
ダイゴ「スーパータイラントが、同時に五体・・・・・」
 ダイゴがその場面を想像したのか、顔色が少し青くなった。
ダン「その首謀者はわからないのか?」
ジュリ「わかっている」
 ジュリが再びジャストランサーの上で手を動かすと、画像が消え、

???「インペライザーの方はどうなっている?」
 聞いた者の心に戦慄を呼ぶ冷酷な声が響いた。
???「既に完成しており、この後、機動試験を始める予定です、エンペラ星人様」
???「よい結果を待っているぞ、メフィラス星人よ」

 そこで、音声は途切れた。
ジュリ「唯一これだけが、盗み聞けた内容だ」
郷「これは・・・・・!」
北斗「エンペラ星人! やはり、奴が黒幕だったのか!」
 と、そこでハヤタが、
ハヤタ「皆、地球への脅威はこれだけじゃあない」
藤宮「どういうことだ?」
 藤宮が尋ねると、
ハヤタ「世界には、地球には、ネスツという秘密結社がある。このネスツは、今やD
ショッカー並の戦力を所有している。というのは、奴らが我々ウルトラマンの数人を
クローニングしたからだ。皆は、ここにいるダンではないウルトラマンが、オーブで
暴れ、倒された事はすでに知っているはず。」
 その場の全員が、その言葉に頷く。
ハヤタ「それと、先日のMDPO総合医療センター襲撃事件から考えて、クローンの
ウルトラマンは、少なくともクローンセブンとクローンティガが創り出された事は
間違い無い。」
アスカ「ネスツの奴ら、クローンティガとセブンを合わせて100人は作ってやがるぜ!
クローンティガの記憶で見たんだ。」
 アスカの言葉に、ゲン、カイト、ムサシが頷く。
猛「100人・・・・・!?」
涼子「そんなに!?」
 その場の全員がアスカの言葉に動揺する。
ハヤタ「・・・・他にも、ネスツが何をクローニングしているかわかったものじゃ
ない。」
 ハヤタはそう言うと、一息置いて、

ハヤタ「だから、私は今ここにいる全てのウルトラマンに注意を喚起する。これから、
もしかしたらセブンとティガが、ここにいるダンやダイゴのように友好的に近づいて
くるかもしれない。だが、それが確実に本物だと判断できるまでは、気を許しては
いけない。もしそれがニセモノだったら、後ろから倒される事もありうる。」

 その言葉を聞いて、その場の全員が顔をしかめる。
ハヤタ「皆の気持ちはよくわかる、私だって、できれば疑いたくは無い。しかし、
クローンウルトラマンがいる限りは、疑わざるを得ないんだ。わかって欲しい」
 ハヤタが、心底苦々しげに言う。その顔を見て、その場の全員が頷いた。
ハヤタ「・・・・そうだ、ジュリ。君が持ちかえった記録をデータにしてくれ。」
 と、数秒黙っていたハヤタが突然、何か思い付いたようにジュリに向かって言う。
ジュリ「どうしてだ?」
ハヤタ「MDPO、ひいては世界中の全ての国にも、この事を警告する為だよ。」
 ハヤタの言葉を聞き、ジュリは得心して、
ジュリ「わかった。なら、ついでにこれも持って行かせるといい」
 と言うと、ジュリは纏っていた黒いコートのポケットから、拳大の金属の塊を取り
だし、円卓の上に置く。それは、一瞬でハヤタの前にテレポートする。
ハヤタ「? これは?」
ジュリ「オリジナルのインペライザーの装甲片だ。工場を破壊する前に回収した」
 ジュリはそう言うと、手をジャストランサーの上で動かし始めた。
ハヤタ「アスカ」
 ハヤタは、さらにアスカにも声をかける。
アスカ「?」
ハヤタ「君には、このデータとインペライザーの破片をTPC上層部・・・・・MDPO
最高議会へ届けて欲しい。」
アスカ「OK!」
 そして、完成したデータを保存しているメモリーディスクを、ジュリがアスカに
投げる。アスカは、簡単にそれを受け取り、胸ポケットに収め、インペライザーの
破片をズボンのポケットの中にしっかりと詰める。
ハヤタ「さて・・・・・」
 最後に、ハヤタが立ちあがって、その場の全員を見た。

ハヤタ「これから、地球周辺は前より忙しくなるだろう。外の敵、宇宙連合タカ派
だけではなく、内の敵、Dショッカーやネスツ、その他大小の組織に、暴れる怪獣の
全てを相手しなければならないから。しかし、それでも我々ウルトラマンは、戦わ
なければならない。この美しい星を平和にする為に。その為に、我々は今、ここに
いる。ここにいる全員に、より一層の頑張りを期待する。」

 ハヤタのその言葉に、全員が頷き、
アスカ「もちろんだぜ!」
藤宮「当然だな」
カイト「地球はこの星に住むみんなの星です、それを悪の勢力なんかに支配なんて
させません!」
 と、口々に言った。
ハヤタ「ありがとう、みんな。それではまた、天に召集のウルトラサインが輝いた
時に、会おう。」
 唇をほころばせながら、ハヤタが閉会を告げた。全員が立ちあがると、自らの変身
装置を台座から外し、何人かは光と共に消え、他の何人かは談笑し始めた。そんな中、
困惑するアスカのそばにハヤタ、それに一輝がやってきた。
アスカ「えっと・・・・ここの出かたはどうすりゃ?」
ハヤタ「一輝に教えてもらってくれ。頼む、一輝。ついでにウルトラサインの描き方
も教えてあげて欲しい」
一輝「はい!」
 そして、ハヤタも光と共に消えた。
一輝「じゃあ、簡単にレクチャーします、アスカさん」
アスカ「お、おう」
 アスカが、少々不安そうにだが、頷いた。



994 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/08(水) 23:59:45


○ハヤタ・シン→今回の合議がジュリの報告を聞くだけであると話す。そして、彼女
の報告を聞いた後、地球の脅威が宇宙連合だけではないことを話し、宇宙警備隊地球
支部全ウルトラマンに注意を喚起、ジュリに宇宙連合の情報をデータにするように、
アスカにはそのデータをMDPOに渡すよう頼み、その場の全員を激励。それから、
アスカにサンクチュアリの出入の仕方とウルトラサインの描き方を教えるよう一輝に
頼み、サンクチュアリを出る。
○ジュリ→少し遅れてサンクチュアリへ。そしてアスカに自己紹介した後、その場の
全員に自分の見てきたことを報告する。その後、ハヤタの頼みで情報をデータに変え、
インペライザーの破片と一緒にアスカに渡す。
○アスカ・シン→ジュリに自己紹介した後、ハヤタの頼みを聞き、ジュリのデータを
MDPOに渡すことを了承、その後サンクチュアリの出入の仕方とウルトラサインの描き
方を一輝から習うことに。
○孤門 一輝→ハヤタの頼みでアスカにサンクチュアリの出入の仕方とウルトラサイン
の描き方を教えることになる。


【今回の新規登場】
○ジュリ=ウルトラマンジャスティス(ウルトラマンコスモス劇場版第2、第3作)
ウルトラマンジャスティスが人間に変身した姿。劇場版第3作で初めて登場。
劇中初めでは、「宇宙正義」に基づき、地球の全生命をリセットする邪魔となった
コスモスを倒してしまったが、TEAM EYESのキャップとなったフブキ、自分の身の
危険をかえりみずペットの子犬を救おうとした少女、絶対的な戦力差のある機械兵
“グローカー”を相手に、地球を守ろうと戦う地球怪獣達に心を動かされ、地球を
守るためにグローカーと戦った。
変身アイテム・ジャストランサーでジャスティスに変身する。



995 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/09(木) 17:33:47


 アスカが消えてから、すでに1時間が経とうとしていた。
リョウ「なにやってんのよ・・・・・」
 リョウがイライラしながら呟く。と、
アスカ「わりぃ、リョウ!」
 光と共に現れたアスカがリョウに謝る。
リョウ「あまり待たせないでよね!」
 リョウが怒りを露わにして、現れたアスカにくってかかる。
アスカ「この埋め合わせはそのうちするから。な?」
リョウ「まったくもう・・・・・」
 そう言いつつも、リョウの機嫌はもう直ったようだ。
アスカ「じゃあリョウ、グランドームに帰ろうぜ。」
リョウ「・・・・・そうね。今日は疲れたし。」
 アスカの提案に、リョウが同意する。
アスカ「急ぐぜ、ちょっと隊長達に見せたいものがあるし」
リョウ「見せたいもの?」
 アスカの発言に、リョウがオウムがえしに尋ねる。
アスカ「ああ、これだよ」
 アスカは、胸ポケットから、メモリーディスクをわずかに取り出してみせる。
リョウ「? なにそれ?」
アスカ「詳しくは基地でってことで」
 真顔でそう言うアスカ。
リョウ「・・・・・そ。」
 リョウはそれだけを言った。

  1時間後、TPC総合本部“グランドーム”:スーパーGUTS司令室。

コウダ「何だ、このディスクは?」
 コウダが、ヒビキがアスカから渡されたディスクを見つめて尋ねる。
アスカ「とにかく、見てくださいよ」
ヒビキ「・・・・・マイ。これをスクリーンに」
 アスカの言葉に、数秒考え込んだヒビキが、マイに命じる。マイはそのディスク
を受け取ると、すぐにコンピューターに挿入した。
 そして、司令室のスクリーンに、スーパータイラント製造工場が映され、そこに、
スーパータイラントが10体以上も創られているのが映し出される。
 息を飲む、ヒビキたちスーパーGUTSメンバー。
カリヤ「こ、これは・・・・・!!」
ヒビキ「アスカ、どこからこれを!?」
 カリヤは絶句し、ヒビキはアスカに尋ねる。
アスカ「ウルトラマンジャスティスが、宇宙連合に潜入してきたときのデータだと
言ってました」
 さらに映し出されたインペライザーを見て、ナカジマが怪訝そうに、
ナカジマ「このロボットは?」
 と尋ねる。
アスカ「えーっと、“ウルトラマンすら圧倒する、無双鉄神”とかいうロボットって、
ジャスティスが。インペライザーって名前とか言ってました」
ヒビキ「ウルトラマンすら・・・・・」
リョウ「圧倒する?」
 アスカの言葉を聞いたヒビキとリョウが、オウムがえしに言い、アスカが首肯した
その瞬間、画像がエースロボットと対峙するインペライザーに変わり、その攻撃によ
りエースロボットが粉砕されるのが映し出された。
コウダ「なっ・・・・・!?」
アスカ「インペライザーは、主兵装に頭部の三連ガトリングガンと両肩のビーム砲、
全身の金属鎧は硬いだけじゃなく、自己修復機能を持ってて、さらにテレポーテー
ションまで使えるとか」
 それを聞いたナカジマはしかめっ面になる。
 と、突然画像が消え、エンペラ星人とメフィラス星人の会話が流れた。
コウダ「これは・・・・・?」
アスカ「このスーパータイラント量産の首謀者の会話っす。」
 アスカはそう答える。
ヒビキ「とにかく、こいつを総監に届ければいいのか?」
アスカ「コレと一緒にMDPO最高幹部会に届けて欲しいって、ウルトラマンが。」
 オリジナルインペライザーの破片をだしたアスカの言葉に、ヒビキが頷いて、
ヒビキ「わかった。他に何か情報はあるか?」
 と尋ねる。
アスカ「えーと・・・・・このディスクの工場は既に破壊されてて、インペライザー
試作機も破壊したってことですけど、インペライザーの設計図とスーパータイラント
5体がまだ残ってるって報告でした」
ヒビキ「そうか、わかった!」
 ヒビキはディスクをコンピューターから取り出し、オリジナルインペライザーの
破片を持って、司令室を出ていった。



996 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/09(木) 17:34:49


○アスカ・シン→サンクチュアリから帰還、グランドームに戻ると、スーパーGUTS
の面々に宇宙連合のデータを見せ、それをMDPO最高議会に持って行くようヒビキに
言う。
○ユミムラ・リョウ→サンクチュアリから帰って来たアスカとグランドームへ帰還。
○ヒビキ・ゴウスケ→アスカが持ってきた宇宙連合のデータを見、さらにアスカの
言葉を聞いてデータとインペライザーの破片をMDPO最高幹部会へ持っていく。



997 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/13(月) 00:10:57


  それから1日後。
  グランドーム内:会議室

 そこで、アスカが持ちかえったメモリーディスクが、MDPO実働部隊隊長達の前で
大スクリーンに再生されていた。
竜「これは・・・・・!?」
石室「バカな、スーパータイラントが・・・・・10体以上も?」
キリヤマ「い、いったいこれは!?」
 スーパータイラントが10体以上も作られている映像を見た隊長達が、動揺して口々
に声をあげた。
ゴンドウ「これは、ウルトラマンジャスティスが我々に提供してくれた宇宙連合タカ
派の秘密工場だ。」
フブキ「ジャスティスが?」
 フブキが驚いて、ゴンドウに尋ねた。
ゴンドウ「ああ、彼女に接触したある人物が、そう言っていたらしい」
 そして画像が変わり、インペライザーが映し出される。
ヒジカタ「これは?」
 ヒジカタが、怪訝そうに尋ねる。
ゴンドウ「“ウルトラマンすら圧倒する”ロボットだそうだ。名はインペライザー」
 その言葉に、その場がどよめく。
???「ウルトラマンすら圧倒するとは一体・・・・!?」
 地球防衛軍UNDA (United Nations Defence Army)所属の怪獣・怪奇現象専門
チーム、“Utility Goverment Members”UGMのオオヤマ一樹隊長が尋ねると、
ヒビキ「このロボットは主兵装にこの頭部の三連ガトリングガンと両肩のビーム砲を
装備。この全身の金属鎧は強固なだけでなく、自己修復機能を備えており、さらに
テレポーテーションも使えるということです!」
 と答える。
 それと同時に、インペライザーとエースロボットの戦闘が映し出され、擬似された
ロボットとはいえウルトラマンを倒すインペライザーに、場がどよめく。
ゴンドウ「このスーパータイラント製造工場は破壊され、インペライザー試作機も
ジャスティスが破壊したという事だが、まだその設計図も残っていて、スーパー
タイラントも5体ほど残っているというのが、ジャスティスからの報告だ」
 ゴンドウがそう言った所で、画像が消え、メフィラス星人とエンペラ星人の会話が
流された。
オオヤマ「これは・・・・!?」
ゴンドウ「これが、スーパータイラントとインペライザーを造っている首謀者の会話
らしい。唯一、この会話だけを盗み聞くことができたそうだ」
 ゴンドウはそう言うと一拍おいて、
ゴンドウ「半日前、これを視聴したMDPO最高幹部議会は、ただちに世界中のMDPO全
組織に、太陽系防衛のための計画を構想・遂行するように、との通達をした」
 場がわずかにどよめく。
ゴンドウ「さらに、地球連邦政府を始めとする地球上の全政府や組織、及びコロニー
やプラント他、太陽系圏内の全勢力、おそらく奴らが真っ先に襲ってくると思われる
ここ日本のレスキューポリス、宇宙警察S.P.D.にブレイブポリスなど、防衛に協力し
てくれるであろう各組織にも、宇宙連合やネスツに関する全ての情報を秘密裏に提供
しておいた」
???「なぜ提供を秘密裏に?」
 TLT実働部隊の代表としてここに来ている、ナイトレイダーAユニット隊長、和倉
英輔の質問に、
ゴンドウ「こんな情報が世間に知れたら、大混乱が起きる事は必至だ! この件に関
して奮闘している我々を非難する者も出てくることも否定できん」
 ゴンドウが、口調にわずかの怒気を含ませて言う。
朝比奈「なるほど・・・・・」
 朝比奈が得心して2、3度頷く。
ゴンドウ「さらに、この資料を視聴した、世界科学連邦の科学者達が快く協力を申し
出てくれた。そこに我々MDPO最高の科学者を投入すれば、太陽系の防衛プランなど
あっという間にできるはずだ。それゆえ、ここにいる全員に、協力を要請する」
 ゴンドウがそう言い、その場の全員が、頷いた。
???「ところで、ウルトラマンといえば、先日MDPO総合医療センターに現れた
クローンウルトラマンはどうなったのです?」
 和倉と同様、科学特捜隊の実働部隊代表としてここに来ている、科学特捜隊・ムラ
マツ班隊長、ムラマツ・トシオキャップが尋ねると、
ゴンドウ「警備員の捜索で、クローンセブンの変身者は発見されたが、重傷で、現在
も意識不明の状態だ。S.P.D.地球署のサイコメトラーを招聘して調べてもらったが、
対超能力者用のプロテクトらしきものがかけられているようだ、ということだ」
伊吹「クローンセブンからの情報は得られないと考えた方がよさそうですな」
 伊吹の言葉に、ゴンドウが苦々しげに頷く。そして、
ゴンドウ「これから地球周辺は、より一層騒がしくなるはずだ。宇宙連合の大攻勢
がある可能性が高いからな。だから、私はここにいる全員に、より一層奮闘して
くれるよう、頼ませてもらう」
 そう言うと、なんとあのゴンドウが頭を下げ、
ゴンドウ「頼むぞ、地球の未来は、君達にかかっている!」
 そして、ゴンドウは、頭を上げてそのまま会議室を出て言った。
石室「ゴンドウ参謀も変わったものだ」
 石室が、本当にボソリと呟く。
ヒビキ「あのゴンドウ参謀が、頭を下げるなんて思いもしませんでしたな」
 ヒビキもそれに呼応して言う。その声には、「ゴンドウ参謀を見直した」という
言外の気持ちがたっぷり篭っていた。
キリヤマ「何にしても、これからは忙しくなるだろう。もし迎撃に失敗すれば、地球
は宇宙連合の宇宙人達により、破滅させられる事もありえる・・・・・それだけは、
是が非でも避けたい事だ。」
 キリヤマの言葉に、全員が頷く。そして、彼らは立ちあがると、会議室を退出、
エアポートで自分達が乗ってきた機体に乗りこみ、各チームの隊員達にその情報を
伝えるべく、各々の基地へ戻っていった。



998 名前:新章/ダイナ帰還・地球編SS:2007/08/13(月) 00:13:02


○ゴンドウ・キハチ→MDPO全実働部隊隊長にジャスティスの宇宙連合データを見せ、
MDPO最高幹部会の命令を伝え、さらに協力してくれるよう、頭を下げる。
○ヒビキ・ゴウスケ→ジャスティスの宇宙連合データについて補足説明。その後、
ゴンドウが頭を下げたのを見て非常に驚く。
○MDPO実働部隊隊長達→ジャスティスの回収した宇宙連合データを視聴。


【今回の新規登場】
○オオヤマ 一樹(ウルトラマン80)
UGMの隊長。劇中初期のUGM極東エリア支部所属隊員の中で唯一怪獣との実戦経験を
持ち、過去5年間現れなかった怪獣の活動と見られる現象が起きたことに警戒、独自
に調査を進めていた。ジャックナイフ・フライトやマッハ2での垂直降下など、難度
の高い操縦も難なくこなすエースパイロット。イトウチーフ着任後は本部で総指揮を
行う事が基本となる。また、最終回において矢的と星が80とユリアンであることを
いち早く見抜くなど、並はずれた洞察力も持っている。

○和倉 英輔(ウルトラマンネクサス)
ナイトレイダーAユニットの隊長。強い責任感と冷静な判断力を併せ持ち、任務に際
しての状況判断能力などにも秀で、任務を忠実に遂行する。だが、任務に対する忠実
さだけでなく、苦悩する孤門を厳しくも温かく見守る優しさを持つ、部下からの信頼
も厚い、優秀なリーダー。

○ムラマツ・トシオ(ウルトラマン)
科学特捜隊隊長(キャップ)。科特隊創設時に着任したベテラン。任務では誠実に任
務を遂行し、隊員からもキャップと慕われている。ユーモラスな一面もあり、厳しさ
と優しさを兼ね合わせた人情味あふれる良き隊長。ヘビースモーカーでもある。



999 名前:■超クロスオーバー空想大戦・公式EDテーマ:2007/08/15(水) 02:34:45

    『僕らは、そこに』

作詞:石八堂川荻 竜忍富肇一
作曲:菊羽平冬管下馬鈴 亜公宙岳之昭広泰雄
歌:堀江何時子&少年少女合唱団ためいけ

1.出会いがあるなら 別れも必ず来るけど
  あとにきっと ひと回り 大きくなったキミがいるはず
  それでも つらい雨…悲しい夢 続いたらそっと
  ノックしてごらんよ 心の奥の部屋を

 ☆扉が開けば そこに「僕らは」「私たちは」
  今でも いるから 勇気出して 肩を組んで
  さあ 進んで行こう

  ララララ ラララララ ララララ ララララ…


2.春から冬へと 移ろう季節の中から
  いつかきっと 旅立ちの 時を迎えるキミがいるはず
  さすらい つまずきや…向かい風に 道を見失い

  途方にくれる前に 瞳の奥の地図を
  無限に広がる そこに「僕らは」「俺たちは」
  みちびく 光を 照らし出して 待ってるから
  ほら また歩きだせよ

 ☆(くりかえし)

  ララララ ラララララ ララララ ララララ…


1000 名前:次回予告 そして新しき空想大戦へ・・・:2007/08/15(水) 02:41:17

【次回予告】
『ホテル・トアールにて、ライダーは尤も因縁の深い存在、アテナ=城戸沙織と出会う。
 辰巳徳丸が倒されたことで、張り詰めるトアールの空気・・・』


『ホテル・トアールに姿なき侵入者、カメレオロイドが来襲。
 目的は、プリンセス・ユニオンと、ミスマル・ユリカ達重要人物の暗殺。
 しかしそれを予知していた一人の男が居た・・・』


『そして、パタリロ。佐久間といった面々の口から、遂に判明する冥王の計画。
 地上洗浄の手段、【スターダスト・オブ・サードムーン】の真相とは!?』


『ザ・サードムーンのロシア基地へと潜入した飛竜は、そこでかつての親友、飛燕と出会う。
 特A級ストライダー同士がぶつかり、遂に発揮される飛竜の真の力。
 木村沙耶の脱出ロに立ち塞がる、謎の女ドクターHY。果たしてその真意は・・・!?』


『遂に対面する、飛竜と木村沙耶。
 飛竜は、ありえない存在にあまりにも酷似した彼女に始めて戸惑いの表情を見せた。
 そして始まる、奇妙な二人組による戦いと、共同生活・・・!?』


『アマゾン基地壊滅作戦に、遂に集結するチーム・飛竜。
 仮面ライダーアマゾン、レジーナ、ブルース、アヤ・ブレアを加え、
 飛竜達はアマゾネス部族隊。裏切り者のストライダー達。そしてその裏に居る【企業体】
 を打倒する為に、密林の中へ降り立つ。
 ネオ・ミトコンドリア・クリーチャー。そして白亜紀のラプトル達。
 次々と現れる在り得ない敵。そして、飛竜は己の師、マティック副長官と対峙する』


『セイバーたちの前に再び立ち塞がるは、魔王ゾウナの力によって復活した言峰綺麗。
 左手に宿る新たな令呪を見せ、言峰は語る。
「セイバー、貴様の相手は、貴様の国と因縁深き聖処女、ジャンヌ・ダルクだ」』


『謎の男、【大提督(ピョートル)の代弁者】の命令により、ホテル・モスクワは
 東京神室町へ、ドラゴンハント(桐生狩り)へ向かう。
 ぶつかる、桐生一馬とレヴィ。遙を守る冴羽遼と、それを狙う者達。
 クレイジーなマフィアとクレイジーなヤクザ、クレイジーな警官が入り乱れ、神室町は再び戦場へ。
 一方でロックは、かつて救えなかった少女と、夢と現実の狭間で再会をするのだった』


『かつての戦いから、なぎさとほのかは平穏なる日々を普通の学生として過ごしていた。
 しかしそんな平和は、タイガーロイドとアメンバロイドの来襲によって破壊される。
 新たなる脅威は、彼女達に新たなプリキュアとしての戦いの場をもたらすのか』


『オヴェリアを守りきれなかった自責の念から、酒場に居る時間が多くなるアグリアス。
 そんなアグリアスを心配するラムザ。二人の関係の行方は・・・?
 そして追加イベントすらなかった影の薄い傭兵、ラッドは、パーティーに忘れられそうになる危機へ』



『かつて地球に駐留していたウルトラマンや、現在地球に駐留しているウルトラマン
 が所属する宇宙警備隊地球支部により明らかとなる宇宙連合の脅威。

 それに対抗する為、怪獣災害防止機関MDPOは、宇宙連合に関するデータを太陽系内の
 全政府、全組織に秘密裏に提供、さらにMDPO加盟組織や世界科学連邦の科学者に太陽
 系防衛計画の立案、それに関する兵器などの製作を要請する。

 今、地球に大いなる危機が迫っていた・・・・・・!』



『ついに始動することとなった子供達の、子供達による、子供達のための活動団体。
 スクランブル・フォース。だが、そこにDショッカーの魔の手が迫る!
 そして、少年少女達の健気な意志が伝説の男たちを動かした!

 戦士として覚醒するためにギンガの森で修行を行う魔法騎士の光、海、風の三人。
 だが、ギンガの森を滅ぼそうと、宇宙海賊バルバンとDショッカー地下帝国軍の同盟が、襲い掛かる。

 今、伝説に新たな一ページが刻まれる』


次回・【超クロスオーバー空想大戦2】にご期待あれ!!!

≪超クロスオーバー空想大戦2≫
http://charaneta.sakura.ne.jp/test/read.cgi/ikkoku/1187112684/

1001 名前:1001:Over 1001 Thread

このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。


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