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〜妙義の谷〜

1 名前: 名無し客 :2002/12/24(火) 12:59

カムヒア ダウンヒラー3!

2 名前:  (DC2oTwQs) :2002/12/24(火) 22:18

ただいま工事中‥
しかしなぜダイターンネタなんだ‥?

3 名前:神奈尾 ◆eU15oiqaNY:2003/03/19(水) 03:01

よし、このスレを新しい管理人スレにしよう。

4 名前:神奈尾 ◆eU15oiqaNY:2003/03/19(水) 03:06

雑談が盛りあがるのはよいことなんですが、
なかなか板全体に波及しないですな。
 
舵取りが難しい。

5 名前:神奈尾 ◆eU15oiqaNY:2003/03/19(水) 03:10

倉庫でバトルですか。よいですな。

6 名前:兜甲児(リアル):2003/03/31(月) 00:34

「何、機械獣が街を破壊しているだって!? ドクターヘル、懲りない奴だぜ!」
 
 俺はパイルダーに乗り込み、そして、マジンガーに向けて飛んだ。
 マッハを超えて、今、パイルダーオン! 
 
 ――――瞬間、凄まじい衝撃が俺を襲い、俺の視界が暗転……
 
 
『甲児君、甲児君、返事をしてくれ!
 ―――くっ、音速で合体した瞬間の衝撃でブラックアウト現象が起きて、
 脳震盪を起こしてしまったか……』

7 名前:兜甲児(リアル):2003/03/31(月) 00:39

「……ちっ、気絶しちまっていたか。
 けどよ、そうそう好きにさせねえぜ、マジンガーZ、行くぜ!」
 
 ――――――
 
 ―――
 
 ―
 
 マジンガーが街に駆けつけた時、機械獣は街を地獄絵図に変えていやがった。
 許せねえ、何の罪も無い皆を……
 
「これでも喰らえ、ロケットパーンチ!」
 
 轟音とともに繰り出される鋼鉄の巨腕。
 そして、その反動でマジンガーは後ろに吹き飛び、倒れ、地面にめりこんじまった!
 
 
『くっ、ロケットパンチの発射時の衝撃はマジンガー程度の質量じゃ耐えられないようだな』
 
 通信から聞える無常な博士の声がコックピットに響いた……

8 名前:兜甲児(リアル):2003/03/31(月) 00:48

 迫り来る機械獣!
 やべえ、このままじゃやられちまう!!
 ロケットパンチももどってこねえし、これしかねえ!!!
 
「こうなりゃ、とっておきだ! ブレストファイアー!!」
 
 これで奴を溶かしてやるぜ!
 赤い光線が奴に直撃し………
 
 ――――――
 
 ―――
 
 ―
 
 何事も無かったのごとく、奴の巨大な鋼鉄の魔腕はパイルダーを叩き潰した………
 
 
『むぅ、あの程度の放熱板では蝋燭を溶かす程度の温度しか発生できないのか……。
 甲児君、すまない、私の計算ミスだった』

9 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 21:58

 
 昏い……。
 何も見えない空間で響く声。
 
 私は何処に居る?
 ヴァイスの整備をしている時に声が聞えて異様な頭痛に襲われて、
 声の誘うがままにヴァイスで飛び出して、それから………
 
 ……声は語りかける。
 
  ―――問題あり。
 
  ―――在るべきは平穏な宇宙、静寂な宇宙。
 
  ―――全ての生命の根源の地、地球。
 
  ―――その命の種子、そのものに欠陥あり。
 
  ―――人は余りに未成熟、そして、未熟なまま、銀河へと飛び出し、災厄を広げていく。
 
  ―――求めるモノには程遠い。
 
 
                 ……再度、監査の必要あり――――――
 
 
 その声は重く、暗く、澱んでいた。
 何を言っているのか理解出来ない。
 ただ、感じるのは人という種への害意。
 
  ―――我等と同じ身体を持ちし者よ、その責を果たせ……
 
「私は………」
 
 同じ身体? 何を言っているのだろう?
 私は何の変哲も無い人間………
 
「……………」
 
 脳裏に鮮明に描き出される過去の映像。
 
   ――――爆発するシャトル
                      ……それは全く突然の出来事だった。
   ――――燃えていく人達
                      ……悲鳴を上げる間も無く、消えていく命
   ――――朽ちていく私の身体
                      ……私を庇って飛び込んでくる男性
 
「ワタシハ……」
 
  ―――我等と同じ身体を持ちし者よ、その責を果たせ……
 
「――――」

10 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 21:59

>>9
 
  それは唐突に赤い大地に舞い降りた。
  嘗て白く美しいフォルムを誇っていたそれは今では異形に変化。
 
  胸に赤く光る不気味なクリスタル。
  背中に生える6枚の禍々しい巨大な翼。
  背中に在る1つの砲身は不釣合いなまでに大きく、その存在を主張していた。
 
 
 
 目の前に広がる赤い荒野。
 此処は火星? 月の次に人類は踏み出した第3の――――
 
  ―――壊せ、壊せ、壊せ……
 
 頭の中で響く声。
 
  ―――全ては新しい生命の為に……
 
 そうだ、壊さないといけない。
 
「コワス………」
 
 レーダーに映る幾つかの赤い点。
 そう、これは壊すべき対照、消すべき対象。
 これが在る限り、争いの火種は………
 
 
 元々は槍と言う名だった。
 今では絶叫という名の、不気味なまでに巨大化したランチャーを堕天使は構える。
 私は引き金を引く、無数の赤い点に向かって、何度も何度も。
 
 轟音とともに吐き出される赤い光の本流。
 吐き出される度に赤い点が消えていく。
 
 ――――――
 ―――
 ―
 
「……………」
 
 残り1つ。
 それに向かって、何の躊躇も無く、私は引き金を引いた。
 
                                   ――――轟音…… 

11 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:03

>>9 >>10

 タルシアン、と後に呼称される異星生命体との遭遇から、私達人類の宇宙への旅立ちは
始まった。
 けれどどれは、およそ考えられるファーストコンタクトの中でも、最悪の部類だっただろう。

 タルシアンとの接触は、幾つかの事実を地球人に齎した。
 宇宙に居るものは我々だけではない、という事。
 我々よりも遥かに進んだ文明で、過去に太陽系まで来ていた事。
 そして―――決して人類に対して好意的ではなかったという事……。


 無人探査機によって火星に確認された、異星人に拠る物と思われる遺跡。
 そして有人探査の目的で向かった第1次火星調査隊のメンバーは――――

 突然現れたタルシアンに全滅させられた。
 そう、彼らは完全に撤退した訳ではなかったのだ。



 外敵の存在を確認しながらも身内で争っている程、地球人は愚かではなかった。
 否応無く団結した我々は共通の敵であるタルシアンと対抗する為に国連宇宙軍を創設し、
火星調査団を潰し何処かへと消え去ったタルシアンを追跡・殲滅する為の宇宙戦艦、機動
兵器の建造に乗り出した。
 タルシアンが残したものは『敵意』だけではなかった。
 その遺跡には恒星間航行すら可能な、 様々なオーバーテクノロジーが眠っていたのだ。



 ……幾年かの時が流れ。
 4隻の宇宙戦艦、リシテア、レダ、ヒマリア、エララを核とした第1次タルシアン調査団が
組織され、1,000名以上の選抜メンバーが組織された。

 そして、そのメンバーの中に。
 私、長峰美加子は居た――――

12 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:06

>>11

――――まるで空を飛んでるみたいだ……

 まるでも何も無い。
 実際に飛んでるんだけど、改めて思ったのはそんな他愛ない事だった。

 明日、私達の旗艦リシテア号を中心としたタルシアン調査団が、ここ火星から外宇宙へ
向けて出発する。
 今は、このトレーサーの最後の慣熟訓練。
 小隊が各個別々の方向から火星を一回りして、出発点へ戻って来る、というだけのもの。
 だから、もうすぐ―――そう、リシテア号から火星を挟んで丁度真裏辺りで、交錯するん
だろう。

 発進する前に教官が言っていた。
 実戦前の最後の息抜きだ、ピクニック気分で行ってこい、と。

 それを鵜呑みにした訳ではないけれど、最大加速でシートに押し付けられる事もないし、
ダミーターゲットを探してスクリーンを睨みつける必要もない。
 もしかしたら、このトレーサーの操縦訓練を始めてからこんな軽い気持ちになったのは
初めてかも知れない……



 トレーサーと呼ばれる、今私が搭乗し操っている人型機動兵器。
 それはタルシアンを索敵/追跡/撃滅する事を目的として建造されたものだ。
 そして、パイロットの動きをトレースし機体の動作に反映する事から、そう名付けられた
のだろう。

 そのコクピットは全周囲スクリーンになっていて、カヌーを半分に切った前部にシートが
挿入されたような形になっている。
 計器類も一切無くて全てスクリーンに表示されるので、シートブロックに収まっていると
本当に宙空に浮いている様な錯覚さえ感じるのだ。



 ――――そして私は、火星の空の中に居た。

 微かに湾曲した地平線。
 眼下に広がるのは赤茶けたクレーターだらけの地面。
 空は赤いような青いような、不思議な色。
 遥か上空は昏い宇宙に溶け込みそうで―――

 空と地の間を、高く、低く、たまにはクルリと一回転してみて。
 空が地面に、地面が空に。
 入れ替り、入れ替り、入れ替る……

 ……ああ、確かに私は飛んでるんだ――――

13 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:10

>>12

 集結点――交錯点――火星の裏側に近付いてきた。
 そろそろかな、と思うと同時に、スクリーンに一つピッという確認音と共にウィンドウが
現れる。
 レーダースクリーンだ。
 表示は一つの光点を示していた。
 同型機――トレーサー。
 ピッ、ピッ、と確認音と共にその光点が増える。

 ああ、みんな集まって来てるね。
 そろそろ肉眼でも視認出来るだろうか、と思うともなく思う。



 ――――その瞬間、『それ』は起こった。



     遠くで、
      赤くて、
       黄色くて、
        かがやく、
         花が――――咲いた。


 同時にレーダーの光点も掻き消すように消滅していたんだけど、私にはその二つを結び
付ける事が出来なかった。
 だけど。

 また、花が、咲いた。
 次々に、幾つも幾つも。
 その度に消えていく光点。

 幾つの花が咲いただろう、幾つの光点が消えただろう―――

 唐突に。
 それは現れた。
 先程の確認音ではない、明らかな異常を示す警告音。
 レーダーウィンドウがアラートと共に示すのは、未確認飛行物体。

 …未確認?
 それはトレーサーでもない、タルシアンでもない、という事だ。
 そんなモノが存在する?
 新種のタルシアンなのだろうか?

 考える間も有らばこそ。
 一番近くに居たらしいトレーサー、及びそれを示す光点。
 それに向かって、天上―――レーダーの示す『未確認飛行物体』の方向から、一筋の
赤い光が延びるのが見えた。
 一瞬の間。
 そして―――今までよりも大きな、光る、花。
 同時に消えるレーダーの光点。

 ……そこに至って、ようやく私は理解した。
 …レーダーの不調なんかじゃない。
 あれは。あれは、そう。
 仲間たちが消えてゆく光だ――――

「ぁ……あ……な…どう、して―――」

 殆んど無意識の動きだった。
 私はトレーサーに急制動をかけて、そのまま機体を右方向へ強引に押し進める。
 胸部バーニアと機体の左側面のバーニアが大きな噴射光を吐き出すのがスクリーンに
映る。

 その瞬間。
 それまでの軌道で進んでいた筈の予測未来位置に、赤い火柱が天から突き立った。
 それの余波で機体を取り囲んでいる不可視のシールドがパチパチと蒼い光を放つ。
 直撃を受ければ、私も……

 ―――許、せない。
      許せない、よ!

 ……気付けば、トレーサーを示す光点は全て消えていた。
 私は最大出力で、レーダーの示す未確認飛行物体へ加速した――――

14 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 22:13

>>11 >>12 >>13
 
「………………」
 
 最後の1つの点は消えなかった。
 消えないと言う事はまだ在るという事。
 仕留め損ねた………
 
 そして、向かってくる点。
 私を消そうとして向かってくる点。
 
  ――消えるのは向こう側。不完全な生命、消去、消去、消去……
 
 ……そう、不完全なら消さない、と。
 それが私の役目、―――役目……? 私は何を――――?
 
  ――消せ、壊せ、消せ、壊せ、消せ、壊せ…
 
 頭の中で響く声。
 疑問はその声にかき消され、1つの思考が私を支配する。
 
                    ――――消す、壊す、という単語のみが私を支配する
 
「……………」
 
 地平の彼方にぽつんと浮かぶ染み。
 それは次第に大きくなり、シルバーとダークグリーンの機動兵器の形を取る。
 確かな敵意を込めて、それは私に向かってくる。
 
  堕天使の4枚の翼が蠢き、一本の巨大な銃身を片手に赤い空を飛翔する。
  ただ、破壊と死を振りまく堕天使として、不毛の惑星を駆ける。
 
「……トラエタ」
 
 ハウリングランチャーをBモード―実弾で照準を目標にセット。
 後はトリガーを引くだけ。
 ……無駄なモノを消去するのにためらう必要は無い。
 
「オチロ………」
 
 ドン、ドン、ドンと爆音が響く。
 先に死の光を振りまいていた銃身は今度は赤熱する鉄塊を次々に吐き出す。
 私はその光景をただぼうっと見ている。
 見える世界はどこまでも無機質で、無感動だった。

15 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:17

>>14

 ぐん、と耐G/耐ショック/耐振動に優れている筈のコクピットブロックのシートに、背中
が押え付けられる。
 それは規定外の加速をしているから。
 私の感情の爆発のままに。
 他に何も考えられない。
 ただ、今まで共に苦労してきた仲間たちを一瞬の内に消し去ってしまった敵――そう、
それは敵だ――それを倒す事以外は。

 少しづつ見慣れ始めていた、赤く茶色の大地が、あっという間に後方に流れる。
 私を、トレーサーを包む大気はその色を暗く昏くし、密度を薄め。
 遥かに見える地平線はその弧を強め、意識の外で、火星の大気圏外に出た事を知る。


 眼下の赤が流れる。
 左右の赤から黒のグラデーションが流れる。
 頭上の深淵の闇が、散りばめられた星が流れる。
 そして。
 レーダーに映る、敵を示す光点が見る間に近付いて来る。

 やがて光学スコープに『敵』の姿が映す事が可能な距離にまで達すると、それは正面の
スクリーンに光点として。
 更にピッ、と別ウィンドウが開き表示される。
 最初はぼやけた画像。
 直ぐにワイヤーフレームとして描き換えられ、それに補正が掛かる。



 ――――なんて、
       それは、
       禍々しい形――――

 取り敢えず四肢は付いていて、ヒト型とは言えた。
 だけど。
 だけど、『ソレ』は余りにも凶悪すぎた。
 …身体中から付き出した、突起物。
 …ギラギラと光沢を放つ、幾つもの球状の付属物。
 …見る者に不安感、嫌悪感を催させる、ざわざわと蠢く背中の羽らしきモノ。
 …そしてソレが持つ、本体に比べても大きすぎる武器――――

 ぞわり、と背中に悪寒が走る。
 だけどそれが何だというのか。
 こいつが……
 こいつが、皆を殺したんだ。
 許さないっ!

 ウィンドウの中の敵影が手にした巨砲を構えるのが分る。
 私は自機を、右へ左へ、上へ下へと振る。
 同時に通過する、敵の実弾。
 ……実弾?
 …さっきはビーム状の攻撃だったけれど、切り替える事も出来るらしい。
 だけど、それが必殺の威力を持っている事は想像に難くない。

 敵もこちらに向かっているのだろう、瞬く間に彼我の距離が縮まる。

 次はこちらの番だ。
 トレーサーが右手に持っている、120o粒子ビームガン。
 それの射程に入っている事を確認し、私は攻撃の意思を右腕に乗せる。
 トレーサーは忠実に、その意思を具現する。

 敵に向かって、幾筋ものビームが迸った――――

16 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 22:20

>>15
 
「ハヤイ………」
 
 標的は予測以上の速度でヴァイスの狙撃を次々とかわした。
 ただのその動きは必要以上に荒々しくて………
 まるでパイロットの心情を表しているかのよう………
 
「―――――」
 
 ズキズキと頭が痛む。
 何か酷く間違った事を、やってはいけない事をしているかのような………
 
  ―――考えるな……
               ―――壊せ、壊せ、壊せ……
 
 再び、響く『声』。ズキリと更に増す頭痛。
 標的の右手から放たれる閃光。
 
「…………!」
 
 思考の乱れがそのまま動きの乱れに繋がり、標的の放ったビームが直撃。
 
 結果、ヴァイスに施された対ビームコーティングで、
 7割のビームが被弾直前に粒子を散らされ、霧散。
 残り3割がビームコートを貫き、機体がグラリと揺れる。
 
「ジョウキョウ……ショウハ………」
 
 機体の損傷度をチェック。
 20%…18%……12%………7%―――――
 フィルムが巻き戻されるかのように機体に穿たれた穴が、痕が塞がって行く。
 
「……………」
 
 常識では考えられない今のヴァイスを流石に違和感を覚える。
 微妙な違和感に囚われつつも、標的を撃墜する事を思考。
 ―――標的のとの相対速度を計算。
 距離200、180―――150……、この距離、ハウリングランチャーは向かない。
 ならば………
 
 ヴァイスのバックパックに装備されたミサイルポッドから小型のミサイルが次々に目標に殺到。
 同時に右手首の3連ビームキャノンが標的に向かって火を吹く。
 
                     ――――その一方で、更に加速する頭痛………

17 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:24

>>16

 ――――ビームの到達は一瞬。
 私の攻撃衝動が形となって、敵に突き刺さる。
 一発、二発、三発、四発……

「…えっ?」

 最初の一発は牽制。
 二発目からは回避行動を予測しての、その“先”への攻撃の筈――だった。
 だけど結果は、初弾が直撃。二発目以降が虚空に吸い込まれる。
 眩い光芒に包まれる敵影……

「やったの? ……ううん、まだだ」

 まだ敵はその姿を保っていた。
 映像をリプレイ。
 …ヒットした瞬間、ビーム粒子がその体表で拡散している。
 つまり、私のトレーサーと同じ様に耐ビームシールドを持っているという事だ。
 だけど全てが防がれた訳ではないようだ。確実にダメージは与えている。

 …当たる直前の奇妙な挙動、それはまるで迷っているような……
 ふと頭に過ぎる疑問。
 考えても結果は出ない、攻撃は効いている、ならば今がチャンス!
 更にビームを叩き込もうとして――――

「――――嘘、なんで…? ありえない、よ……」

 スクリーン内ウィンドウに映し出される、その光景。
 その余りの理不尽さに、私は一瞬全ての動きを止めてしまい、思考は真っ白になって
しまう。
 敵の機体――そう、それは確かに、トレーサーと同様の機動兵器だった。
 余りに禍々しい外見の為に一目では理解できなかったけれど、その引き裂かれた装甲、
そして破損部分から覗く内部構造は紛れも無く機械。何かが搭乗しているのかは分らない
けれど、確かに『造られたモノ』。その筈なのに―――

 ざわり、と。
 敵機の装甲表面がうねったように見え、その傷痕を塞いでゆく。
 まるで生物のように……
 けれど生物なんて範疇を越えた異常な速度で………

 気持ち、悪い。
 思わず吐き気を覚える。
 それが敵に修復――治癒?――の余裕を与えてしまう決定的な時間を無駄にしてしまう
と分っていても、私は直ぐに戦闘行動に移れなかった。

 ……ダメ、だよ……
 …駄目だよ、ミカコ、こんな所で立ち止まってちゃ。
 ミカコは選ばれたんだよ。撰ばれてタルシアン――人類の敵に対抗するものとして、ここ
まで来たんだよ?

 ぶるぶるっ、と何度も頭を振る。
 そうだ、アレが何であれ。
 タルシアンの新種だろうと第三種目の異星人であろうと関係ない。
 仲間のトレーサーを撃ち落して、今私を落とそうとしている、それだけが事実。

18 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:27

>>17

 意識の空白の間にも、敵機との距離は狭まっていた。
 再度照準、視線追尾センサーが私の見ているものと同調し、敵影をスコープ内に収める。
 だけど一手遅れた。
 スコープに収める直前、敵機の背中辺りからハリネズミのように、無数の何かが飛び出
すのが認められた。
 アラート。
 警告音がコクピット内に満ちる。
 分析は一瞬、ミサイルだ。
 ならばこちらも!

 思考は即行動に移す。
 それが今までの訓練の成果。
 設定はAMM――対ミサイル用ミサイル。
 即座に私のトレーサーの背中に装備されている二対のミサイルポッドからも、次々に迎
撃の為にミサイルが飛び出して行く。
 後は落とし損なったものをモーターカノンで個別撃破すれば―――

「うあぁっ!」

 閃光、同時にショック。
 スクリーンが――トレーサーの周囲が、蒼白い光に包まれる。
 シールドの力場の発光……
 しまった、ミサイルに気を取られていた。
 敵機のビーム攻撃。
 どうやら、あの巨大な砲からの攻撃では無かったらしい。
 そうでなければ今頃私はこうして存在していなかっただろうから。

 更に襲い来る閃光。
 もう油断はしない、一時も同じ場所に居ないよう常に機動を続け、AMMが撃ち漏らした敵
ミサイルを迎撃しつつ。

 …防がれはしたけれど、確かに私の粒子ビームガンは効いていた。
 だったら、修復出来ないほどの損傷、または再生するよりも早く破壊し尽くせば…
 それで倒せる、筈だ。

 もっと近くからビームで貫く。
 それか、両腕に内蔵されている実弾兵器――60oモーターカノンを叩き込む。
 あるいは、これも両腕に内蔵されている粒子ビームブレードで直接切り刻もう。

 私は粒子ビームガンを連射しつつ、更に敵機に迫る――――

19 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 22:29

>>17 >>18
 
「……………」
 
 こちらからの全てのミサイル、撃墜を確認。
 ビームが目標に直撃寸前で霧散。
 目標も対ビームコートを装備している模様。
 こちらの狙撃への回避、ミサイルの迎撃………
 相手のパイロットの反応はかなりのものらしい。
 
  ―――その力、望まれていないと何故、分からん……
 
 頭の中で響く声。
 
  ―――争いだけに費やされるその力、無意味なモノだと何故、分からん……
 
 声は明確な殲滅の意思を以って、私の意思をねじ伏せる。
 
  ―――壊せ、アレは宇宙に不要な存在
 
「―――リョウカイ」
 
 間違えている、抵抗しなければならない―――けど、
 私の身体は、思考は、私の意思にそぐわない。
 
「―――――」
 
 目標、高速接近中。
 取るべき選択は離脱してからの狙撃か、格闘武器で応戦か。
 
 前者――否定。
 離脱するにも間合いが詰まりすぎている。
 今、離脱すると大きな痛手を喰らう可能性が高い。
 
 ……ならば、後者。
 接近戦は不得手だか仕方ない。
 今のヴァイスのパワーは以前より格段に上がっている。
 
  ビームコートで散らされる目標のビームを目の当たりにしながら、
  ヴァイスはプラズマソードを左手に持つ。赤い光の剣が煌々と輝きを見せる。
 
「ゲイゲキカイシ………」
 
  バーニアを一気にブースト。
  通常では考えられないような加速で堕天使はトレイサーへと踊りかかる。
 
 ふと、脳裏に浮かぶ光景。
 赤色のPTがバーニアをフルブーストしつつ、一気に右手のステークで敵を撃ちぬく――――
 
 ああ、そういえばキョウスケはこういう戦法が18番だったっけ。
 全く、無茶な事しかしないんだから………
 
 ……キョウスケ? キョウスケ―――――?
 私は…………
 
  ……堕天使がトレイサーに右袈裟へと光剣を振り下ろされたその瞬間、
  堕天使の動きが一瞬だけ止まった――――

20 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:36

>>19

 ……駄目だ、効いてない。
 …敵の機動力はかなり高いらしい。
 恐らくは――ううん、間違いなくこっちのトレーサーよりもかなり上。
 巧妙にヒットポイントを変えて、完璧に直撃を防いでいる。
 空しく散らされる、私の意思――――

 だけど、こんな事で諦める訳にはいかない。
 もうすぐだ。
 もうすぐモーターカノンの射程にも入る。
 そうなればビームに実弾攻撃、それを叩き込めば多少は堪えるだろう。
 動きが鈍った所で全ての武装をぶつける、それで終わり。
 それでも終わらなければ……

 不安を感じちゃいけない。
 信じるんだ。
 そうでなければ……そうでなければ、なんだろう。

 もう一度頭を強く振る。
 そしてキッと前を、敵の姿を見詰め―――

「…えっ?」

 ―――消えた。

 そうとしか思えなかった。
 それほどに、それは速かった。

 けれどもトレーサーは確実に、その動きを追っていた。
 最大警告!
 アラートがコクピットに鳴り響く。
 なっ―――ゼロ距離?
 私は瞬き一つの間に周囲を見渡すが、居ない。
 が。
 次の瞬間にそれは視界に飛び込んで来た。
 真下から、地獄の劫火と思しき真っ赤に輝く刀身を振りかざし、私を、トレーサーを両断
する為に――――

 それは機械に有るまじき動き。
 まるで意思を――破壊衝動を持った、生物のような……

 だめだっ、間に合わないっ!
 完全に条件反射で、両腕で頭を庇うように――トレーサーがそれに倣い、両腕で頭部
センサーを庇うように動くが、それであのビーム状のソードが防げる訳も無いだろう。

 それでも。
 私は、見続けた。
 死神の刃を、終焉を齎すものを、最期の瞬間まで……

 ピクリ、と。
 極限まで緊張していた所為だろうか、世界がコマ落しのように流れる視線の先で。
 確かに、振り下ろされる敵の剣の動きが一瞬凍った――

 あるいは錯覚だったのかも知れない。
 だけど、それでもいい。
 もどかしい程にゆっくりしか動かない自分の身体を、腕を無理矢理操り、右腕のビーム
ガンを左腕に持ち替えると同時に、その右腕に内蔵されている粒子ビームブレードを起動
させる。

 それは確かに、敵の刃を受け止めた。
 赤と黄色に光る剣が、接触点から光芒を散らしながら拮抗する。

 今だ!
 右腕を固定しつつ、左腕に内蔵された60oモーターカノンを起動する。
 この距離からの実弾攻撃なら避けようが無いだろう。
 ズウゥゥゥン、と連続発射音がコクピットに響く。
 更にゼロ距離から、粒子ビームガンを発射する!

21 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 22:38

>>20
 
 ……一瞬の忘我。
 その瞬間を目標は見逃さなかった。
 渇いた音が響いたかと思うと、ヴァイスが大きくよろめく。
 間髪入れず、目の前に閃光が走る。
 警告音がコックピットに鳴り響く。
 
「―――チョクゲキ…?」
 
 右翼小破。
 左推進システム異常。
 右腹部大破。
 左腕部分作動不能etcetc………
 
 次々にモニターに現れる異常の数々。
 私はそれを無感動に見つめつつ、思う――――
 
 ……キョウスケはこういう分の悪い状況ほど、逆境ほど、強くなるのよね。
 何時も『一回大勝しても百回負けたら意味無い』って何時も私は言うんだけど……
 キョウスケは意に介せず、やっぱり自分を逆境に追い込んで、そして、勝つのよね。
 
  ―――まだ、完全ではないようだな、エクセレン=ブロウニング
 
 昏く、重く、低い、声が私の心を一瞬で塗り潰す。
 
  ―――余計な事は考えるな……
 
 考えてはいけない?
 どうして、私はただ………
  
  ―――始まりの地、そこから産まれるモノに欠陥があった。
      目の前のニンゲンも所詮は欠陥品。
      早急に排除せよ、排除せよ、破壊せよ、消去せよ―――
 
 排除する――――?
 破壊する――――?
 消去する――――?
 
 心は声に向かって疑問符を出しつづける。
 
 排除する。
 破壊する。
 消去する。
 
 身体は声の言う通りに行動を開始する。
 
「……………」
 
 右手に持ったハウリングランチャーを振り上げ、そのまま振り下ろす。
 本来の使用法とはかけ離れた使用法。
 
 ―――直後、ヴァイスに伝わる鈍い衝撃、よろめく相手。。
 そのまま、実弾モードで発射。
 無論、銃口も定まっても居ないので当たる訳もない。
 けれど、問題は無い、これでいい。
 
 ……ハウリングランチャーの反動で機体が大きく後退する。
 その反動を利用して、全てのバーニアをフルブースト。
 失った機動性はこの反動分で補う。
 
 一瞬で目標が小さくなり………そして、点へと………
 
「……コレデオシマイ」
 
 ハウリングランチャーをジャネレーターに直結し、Xモードへとセット。
 異形の銃身が更に禍々しく巨大化する。
 銃身は元の1、5倍は伸び、銃口は3つに分裂。
 
  堕天使の翼が不気味に赤く光る。
  直後、異形の銃身から放たれる巨大な閃光。
  絶叫と名づけられた銃身は名前通りに叫びを挙げる。
 
  赤い空に響く轟音。
  赤い大地を削りながら進む光。
  ただ一人の少女を葬る為に光は大地を抉り、突き進んでいく。
 
「サヨナラ……」
 
 意図せずして、私の口からそんな言葉が漏れた。

22 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:43

>>21

 …やった、直撃だ!
 敵の機体はあちこちに破壊痕を残す。
 それでも原形が崩れていないのは、驚嘆に値するんだけど……

 また、再生が始まる。
 けれども先程に比べれば、遥かに遅い。
 ならば復活する前に切り刻むのみ。

 拮抗していた筈の光の刃は、敵機の力が完全に抜けていた。
 状況を確認し。
 私は右腕のブレードはそのままに、左腕の粒子ビームブレードも起動する。
 このまま一気に―――

 ……私は自らの有利さに慢心していたのだろうか。
 …もう動かないと思っていた敵機の左腕がガクンと落ちる。
 瞬間それにつられて、私のトレーサーも軽く姿勢を崩す。
 それは隙とも言えない隙の筈だった。
 だから次の挙動にも即座に対応出来る、その筈だったのに……

 敵の機体が、その右腕に持った巨砲を振り上げる。
 なにを、照準の隙なんて与えない、そのまま砲ごと両断して……

 ―――ゴゥン、とコクピットに響く振動、大きく揺さぶられるトレーサー。

「…な、なんて…」

 なんて、馬鹿で無駄な攻撃。
 そんな単純な物理攻撃が効く訳もないのが分っているだろうに。
 更にそのまま、出鱈目な射撃。
 身を躱すまでも無い、けれど……
 やはり、意味はあったんだ。私がそれに気付かなかっただけ。

 それでも呆然とはしていられない。
 時間を与えれば、敵機はまた自己修復してしまうだろう。
 その前にアレを討たなければ。
 あっという間に有効視界から消えてしまったその機影に向かい、私も最大加速で向かう。
 その先は、赤き大地――――

23 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:45

>>22

 ……半壊していて、やっとトレーサーと同程度の機動力。
 …最初から全力で来られていたら、私は今頃こうして生きていられなかっただろう。
 だからこそ、今、撃墜しておかないと。
 少しづつ近付いて来る、敵機を示すレーダー上の光点。
 少々遠いが、最大望遠で光学スコープを向ける。

 ―――そして、
      わたしは、
      見てしまった、
      地獄の使者を――――

 ………その背中には、悪しき想念が凝縮して形となった、オーラの如き赤い羽…
 ……ただでさえ大きな砲身は、更に巨大さを増し、凶悪ささえも増し、グロテスク
    なんて言葉も霞む程の異様さ……
 …その先頭の暗き穴は何処までも墜ちて行きそうで………

 だけど、それも一瞬。
 その冥府の底から、全てを焼き尽くす炎の舌が――――

「い……いやだぁっ!」

 叫び。
 同時に方向転換、いや、それすらも考えられない、ただその光の渦から逃げる為に、
真横に機体をスライドさせる。
 それでも、逃げ切れなかった。

「うああぁぁぁっ!!」

 ドン、と最初に衝撃。
 ガクン、と大きく揺さぶられるコクピット、それ以上に翻弄されるトレーサー。
 耐ビームシールドが限界を超えて蒼く、白く発光し―――弾けた。
 直接灼かれる装甲、内部構造までも侵食し―――

 異常が次々にスクリーンに映し出される。
 簡略化されたトレーサーの姿、それが次々に赤く塗り替えられる。

『右腕全システム作動不能
 左腕肘関節ブロック異常、稼働率55%
 右脚各ブロック異常、稼働率17%
 左脚膝関節ブロック、足首ブロック異常、稼働率76%
 胴体部スラスター破損
 赤外線センサー、紫外線センサー、重力波センサー、各オーバーロード
 ………
 ……
 … 』

 ………私はそれらを最後まで読み取る事は出来なかった…
 ……光の余波で、トレーサーは嵐の中の木の葉のように……
 …ただ、なす術もなく、弾き飛ばされていたから…………………

 ダメ、だよ…
 …意識が、遠く、なる……
 ……わたしが、きえ――――

24 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 22:47

>>22 >>23
 
「……………」
 
 目標は――――まだ健在。
 全身創痍と言った感じだが、それでもまだ在る。
 
「シブトイ……」
 
 本当に粘り強い。
 一筋縄で行かない所がまるでキョウスケみたい………
 
「キョウスケ―――?」
 
 私は本当に何をしているのだろう……?
 得たいの知れない声が聞えて、その声のままに私の心に反して、私の身体は殺戮を続ける。
 その声は言う、始まりの地に欠陥があったと――――
 
  ―――その通り、だ
 
 何処からともなく聞える声。
 あなたは、いえ、あなたたちは一体、何を望んでいるの?
 
  ―――数十億年、見てきた、生命の進化を……
 
 進化? だからと言って、今の私の行為に意味があるの?
 
  ―――全ての生命の始まりの地、地球。そして、そこに住む者達………
 
      ニンゲンは一向に進化しない。
      ただ、殺し奪い、静寂で平穏な宇宙を乱していく。
 
      そして、更に新たな宇宙へと旅立とうとしている。
      未だ、未成熟であるというのに……
      このままでは新たな火種を、災厄を宇宙に撒き散らす―――
 
 だから、消去すると言うの?
 
  ―――その通り。全てをやり直す時が来た。
       今回はまだ始まりに過ぎない、もう少し時が経てば………
 
 ……何故、私なの?
 
  ―――お前は我々と同類だ、思い出せ、あの事故の時を……

25 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 22:48

>>24
  
 事故? まさか、あの時の?
 そこでようやく思い出す、私は、エクセレン=ブロウニングは………
 
                 ―――1度、既に死んでいた事を………
 
     ―――2年前のあの日、それは起こった。
          地球連邦軍本部ジャブロー基地へと降下するシャトル。

          それは突如、大気圏で爆発した。
          シャトルの中は一瞬で業火が駆け抜け、多くの人が断末魔さえ挙げる事なく、
          炎の中に消えていった……

          私も何が起こったか理解する前に炎に身体を包まれ、そして……
          最後の瞬間にキョウスケが私を庇おうとしたのは今際の光景として―――
 
  ―――そう、あの時、お前の身体はほぼ朽ちていた。
       地球人のサンプルを欲していた我々はお前に我々の細胞を移植し、
       蘇生させたのだ―――
 
 それで、私は同類という訳ね?
 
  ―――その通り、全ては再生と進化の為に……
       お前もその責を果たせ―――
 
 断るって言ったら?
 少なくとも、私はあなたたちみたいに絶望なんかしてないわ。
 キョウスケみたいに自分を省みずに命を投げ出せる人だっているしね。
 そんな人の住む世界を壊せって言われて壊すわけないでしょ。
 私は自分の居場所が気に入っているのよ、これでも?
 
  ―――お前の意思は関係ない……
       従わぬというなら、従わせるのみ―――
 
「――――――!!」
 
 再び、激しい頭痛。
 声の意思に従い、私の意思に従わない身体。
 
                    ―――動いて、動いて、私の身体……!
 
 再度、光出すヴァイスの翼。
 銃口はもう、ぼろぼろのあの機体に向けられて………

                    ―――私はこれ以上、断じて認めないわよ!
 
 ――――銃口から赤い光が溢れ出す――――その瞬間に………
 
「……ごめんね、顔も知らないそこのあなた、やるだけの事はやってみるからね」
 
 一瞬だけ、私に身体の主導権が戻る。
 操縦桿を思いっきり、手前に引く。
 
 ……耳をつんざく轟音、激しい閃光――――
 ハウリングランチャーから吐き出される光はあの機体のはるか右へと消えていった………

26 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:51

>>24 >>25

     ………雨上がりの、夏の空。
     ……そtろそろ夕焼け、青から赤に移り行く。
     …その空の中を、幾筋もの白い尾を引いて。
     最終調整段階に入ったトレーサーが、何処までも飛んでゆく――――

『…ねえ、ノボルくん…私ね……あれに、乗るんだ………』

     それを見上げる“私”が、
     目の前に居るノボルくんに、
     内緒話をするみたいに静かに語りかける。

『なに言ってるんだ、長峰。あれってブルーインパルスだろ?
 夢を見るのもいいけどさ、えらく確定形だけど、根拠があって言ってるのか?』
『え? …あれ? ……うん、ブルーインパルス、だよね…』
『どうしたんだよ、寝ぼけてるのか?』
『ゆめ? ―――そう、夢、見てたの、かな……。
 タルシアンなんて、異星人なんている訳ないのにね………』

     ―――ああ、そうだ、夢を見ている。
     過去を作り変えて、何も無かった事にしてる。
     私は、逃げている。辛い、痛い、悲しい現実から――――

『やけに具体的だな。長峰ってSF好きだったっけ? それともテレビかマンガか?』
『うーん……わかんない…』
『まあいいさ。もし異星人なんかが襲ってきたって、オレが長峰を守ってやるからさ』
『何を言ってるんだよ、剣道私よりも弱いくせにさ。守るんだったら、私の方だよー』
『言ったな、こいつ!』

     おどけて笑いあう二人。
     でもそれは、ありえなかった光景。
     私のココロが作り出した、幸せなマボロシ。

『……あ、陽が差してきたね…』

     雲間から、一筋、二筋。
     直ぐにまぶしい陽光が投げ掛けられる。
     周りには鳥の囀りが、喧しいくらいに満ちてくる。

『―――行かなきゃ…
     そうだ、私が、守らなきゃ―――』

    光が視界を満たす…………
   鳥の声が更に大きくなってくる…
  身体の感覚が戻って来る……………
 意識が、ゆっくりと、浮上してくる…………

27 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:54

>>26

 ……最初に感じたのは、目を閉じていても感じる程の光。
 …次に意識に上ったのは、耳障りなくらいに鳴り響く警告音。
 そして鮮明に思い起こされる、さっきまでの闘い………

 はっ、と目を見開く。
 光?
 さっきと同じ砲撃?
 どうして?
 私、どのくらい意識を失ってたの?
 混乱する思考。

 落ち着けミカコ、と自分を叱咤する。
 状況の整理、確認。

 気絶していたのは、1分にも満たない時間。
 敵機の砲撃は、何故かまるっきり明後日の方向へと伸びている。
 理由は分らない、けれど離れていてさえも感じる強い光。
 意識の底までも潜り込んでくるような――――

 ……そう、だ。
 …アレを野放しにする訳にはいかない。
 ここで、私が倒しておかなければ、どのくらいの被害を広げるか……
 考えただけで身震いがしてくる。

「守らなきゃ…地球を……ノボルくんを!」

 ―――後の事は考えない。
 全てを、目前の敵を倒す事のみに向ける。
 破損し使い物にならない、あるいは稼働率の下がった機体各部への動力供給停止。
 全エネルギーを背部のメインスラスターに集中。

 ドン! と加速するトレーサー。
 規定外の過負荷に悲鳴を上げる機体各部。
 …お願い、持って、アレを落とすまででいい…

 それでも、意識だけが先行して現実が着いてこない。
 ……もっと。
 …もっと早く。
 今すぐに、あの敵の元まで!

 そして、敵の機影が直接視認出来た。
 さっきまでの不安感、恐怖感はない。
 思いはただ、それを叩き潰す事のみ。

「――――!」

 敵機の下方――気絶している間に高度が落ちたのだろう――そこから、一瞬推力停止。
 両脚を振り姿勢を上向け、再びスラスター全開。
 一気にその正面へ―――

 右腕――動かない。
 ならば!
 今度は全エネルギーを左腕の粒子ビームブレードに直結、起動。
 リミッターが焼き切れた粒子ビーム発生基部から、黄色の――黄金の光が爆発する!
 それはトレーサーの全長を超え、さらに大きく長く、私の感情の昂ぶりを具現化したかの
ように、考えられない程のブレードを形成し――――

 メインスラスターの動力さえもブレードに回した為に、慣性のままに突き進むトレーサー。
 だけど、それでいい。
 後は……



 ――――斬! と――



 私の腕が――その延長のトレーサーの左腕が空間を切り裂く。
 その長大なビームブレードは。
 確かに、敵機を、両断した――――

28 名前:エクセレン=ブロウニング ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 22:56

>>26 >>27
 
  疾風と化して、向かってくる機体。
  その左腕から生える巨大な光の刃。
 
「……………」
 
 このタイミングではもう回避は無理。
 私の勝ちね。
 
  ―――馬鹿な、何故、此処までする……?
 
 勿論、私だって死にたくないわよ。
 まだ、未婚だし。
 キョウスケからプロポーズもしてもらってないし。
 
 それでも、女には退けない時ってあるのよ?
 何億年も生命を見てきて、それくらい分からない?
 流石に観察力が不足してるなって思っちゃったりするんだけど………
 
  ――――………
 
 ま、大袈裟に、声高に、地球を守るとか言うつもりはないけどね。
 間違っても、私の手は大量殺戮するためにトリガーを引くんじゃないの。
 ……もうリミットね、覚悟を決めましょ。
 
 
 迫り来る光の刃。
 それは一瞬でヴァイスを完膚なきまでに両断した。
 爆発に巻き込まれる私。
 炎の中で朽ちていく私。
 
 
 2回も同じシチュで死ぬなんて、在る意味凄い経験よね。
 ……けど、抜かったわね。
 こんな事なら、私のほうからキョウスケに―――――
 
                           ――――そこで私の視界は光に閉ざされた……

29 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 22:59

>>28

「…………終わっ…た…?」

 眼下で、二分割され爆発する敵機が見えた。

 ……うん、お終い。
 …ガックリと身体から力が抜ける。
 同じく力を出し尽した、殆んど残骸と化してしまったトレーサーからも力が抜ける。

 確かに残骸だ。
 全身の装甲は焼かれあちこち剥れ掛け、内部構造もかなりダメージを受けている。
 左腕は過大なエネルギーの供給の為に、肘関節ブロックから先が消損してしまっている。

 ―――それでも。
 私を、守ってくれた。
 最後まで闘ってくれた。
 知らず私の両目から涙が零れ落ちる―――



 機動力を失って落下を始めるトレーサー。
 その中で私は思う。
 …お終い…?
 何が終わったんだろう…。
 結局アレの正体は何も分らなかった。
 新種のタルシアンなのか、第三種目の異星人なのか、その機動兵器なのか……

 でも、いくら考えてもそれはどうしようもない事だろう。
 敵影はトレーサーに記録されいるだろうから、専門の人に判断して貰うしかない。
 だから。
 …だから、今は、少し休ませて……

 地上に激突寸前に、最後の制動を掛ける。
 そして二本の脚で、大地に降り立つ。
 もう、これ以上動けない―――――



 メイン動力源が停止し、サブに切り替る。
 同時にコクピットを包むスクリーンが明度を落とし、非常待機状態に移った事を示す。
 これで後は、救難信号を聞きつけた救助隊が来るのを待つしかなくなった……


 ………ねえ、ノボルくん。
 ……私、頑張ったんだよ。
 …ちゃんと、やれたかなぁ…?
 仲間が…たくさん落とされちゃった……
 私で、良かったのかな?
 …生き残ったのが…
 ……分らないよ、何も………

 …何だか、眠くなっちゃった…
 このまま、目が覚めたら、全てが夢だった、なんて……
 都合が良すぎる…よ……ね…………

     しん、と静まったコクピットの中で、
     私は自分の鼓動を聞きながら、
     しばしの休息に就いた―――――

30 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/04(金) 23:02

>>29
 
  赤い荒野に全身を鬼面で模った不気味な機体が舞い降りる。
  そして、中から聞えるのは機体とは余りに不釣合いな幼い少女の声。
 
「……本当に何が起こるか、分からないものですのね」
 
 半ば、原型を留めていないラインヴァイスを見ながら、そう、私は呟きましたの。
 本当に予想外でしたの。
 今のエクセレンとラインヴァイスなら、あれぐらいの相手を全滅させる事は容易いはずですの。
 
 ……理由は分かりきってますの。
 私達に侵食されながらも、なおも負けていないエクセレン自身の意思。
 そして、あちらで各坐している機体のパイロットの生きようとする意思。
 それらが産みだした結果ですの。
 
「……私はそんなあなたたちが羨ましいですの」
 
 ―――エクセレンの意思。
 キョウスケが好きだっていう気持ち。
 今の世界が、宇宙が大好きだっていう気持ち。
 
 ―――向こうのパイロットの意思。
 生きようとする気持ち。
 守ろうとする気持ち。
 
 
 これらは空っぽの何も無い私には無い気持ちですの。
 エクセレンのコピーである私には一体何が自分の気持ちかは分からない。
 キョウスケが気になるって気持ちは単純にエクセレンの思考のコピーかもしれませんの。
 
 私が私でありたいって思う事ですら、
 人という種をコピーしただけの私にとっては紛い物かもしれない気持ちですの。
 
「……エクセレン?」
 
 大破したラインヴァイスから覗く見覚えのある顔。
 私の機体―ペルゼイン・リヒカイトを側に寄せて、見下ろす。
 
「………」
 
 半ば肉体は炎で朽ちていますのね。
 けど、これなら、まだ間に合いますの。
 ペルゼインの細胞組織を移植さえすれば……
 
「エクセレン、もう一度、生き返ってもらいますの」
 
 誰の為でもない、他ならぬ私の為に………
 私のこの胸のもやもやした気持ち、オリジナルのあなたを見つづける事で、
 いずれはハッキリするはずですの。
 ペルゼインの手が大破したラインヴァイスの上半身部分とエクセレンを抱え上げて……
 
「……それでは、ごきげんよう」
 
  人格という名を冠した赤い機体はその言葉と共に空の彼方へと消えていった。
  揺れる心の錬金術師と共に………

31 名前:長峰美加子 ◆MIKAKOwk.I:2003/04/04(金) 23:11

 ……ロボット大殲、プロトタイプ。
 …どうだったかな?
 さあ、明日のエースパイロットは君かも知れないよ!?

エクセレン側導入
>>9 >10

長峰美加子側導入
>11 >12 >13

戦闘開始!
>14 >15 >16 >17 >18 >19 >20 >21
>22 >23 >24 >25 >26 >27 >28

終章
>29 >30

【END】

32 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/16(水) 19:34

 蒼白い炎の尾を引きずりながら、ふたつの人型が漆黒の闇を絡み合うように駆け抜ける。
 宇宙という空間にあってそのような動きがとれるものは、当然の事ながら人間ではない。
 それはモビルスーツと呼ばれる、人型戦術機動兵器だ。
 
 大きく肩が張り出した、全体としては蒼い印象の機体――Sガンダムと呼ばれるそれが、もう一機、白いMS、ネロ、に生まれた一瞬の隙をついて、滑るようにその背後へと回り込んでいた。
 Sガンダムは戦闘教範どおりの綺麗な挙動を見せると、攻撃位置を確保。レティクルの中央にネロの機体を捉えると、即座に手にしたマシンガンを連射していた。
 
「へっ! 背中が丸見えだぜ、オッサン! 今度こそもらったァっ!」

 Sガンダムのコクピットで、リョウ・ルーツ少尉が叫ぶ。
 彼は、このα任務部隊に配属されるにあたって、最新鋭MSであるSガンダムのパイロットに抜擢された新任のパイロットであるが――実のところ、それほど優秀だと言うわけでもない。
 むしろ、服務評定からすれば、彼は落ちこぼれ、と表される方がむしろ適当であることが判る。訓練学校時代は上官反抗6件、傷害事件2件、命令違反9件、規律違反14件という、これが彼の持つ、そうそうたる戦果の一部だ。
 非常にわかりやすいとさえ言える。
 
 詰まるところリョウ・ルーツというパイロットは、典型的な悪童という奴だった。
 
 勝った、そう思った直後、巧みなジグザグ機動を以てネロの機体はSガンダムの放った銃撃の、そのことごとくを見事に回避していた。
 またか、と、ルーツは奥歯を軋ませる。
 
 次瞬、ネロの白い機影が、ルーツの視界から消えた。
 何処だ、と思う間もなくコクピットに鳴り響く警告音。

 ―――攻撃照準波をキャッチ。回避せよ。
 
「何ィ!?」
 
 反射的に上を見る―――居た。
 宇宙の闇にぽっかりと浮かぶ白い機体。
 Sガンダムに比べれば、その機体形状はシンプル極まりないはずなのだが、今のルーツの目には、異常な力を宿した得体の知れない存在、そのもののように見える。
 それはつまり、その機体の中央、コクピットに収まる、パイロットに対する畏怖そのものだと言えた。
 
 だが、ルーツという人間がそれを認めるはずもない。
 罵り声をあげつつ、ルーツはSガンダムをネロの射撃軸線上から退避させようと機体を加速する。
 メイン・スラスター点火、ブレイク。
 ぐん、という圧力がパイロットスーツに包まれたルーツの身体に襲いかかり、彼は急激な加速に耐えるために反射的に腹に力を込めた。
 
 だが―――
 バババ、という電子合成音がヘルメットに響いた。
 直後、まるでそれが合図であったかのようにメイン・スラスターの出力が急速に低下する。
 力尽きたように暗くなる全周囲マルチモニタ。
 同時に、エバリューションモニタとも呼ばれる機体総合管制/制御システムが、正面にただ一言、冷酷に言葉を吐き出した。

―――被弾  損傷:背部メインスラスター動力部
         損害評価:レッド
    
    撃墜
    あなたは戦死しました
    あなたは戦死しました
  
    模擬戦闘訓練 完了

 模擬戦闘時における機体機動に関する評価はファイル0083030031を参照のこと 
 システム、通常機動モードに移行――――

33 名前:イートン・F・ヒースロウ:2003/04/16(水) 19:39

「Sガンダム、ネロ・トレーナーから訓練完了の信号を受信しました。帰投予定時刻は十分後、1425時」
 
 通信士官からの報告を受けて、ペガサスV艦長イートン・S・ヒースロウ少佐は軽く頷いてはいた。
 が、しかしまったく、その声を聞いてはいなかった。
 彼は憤っていた。そして同時に、訝ってもいた。
 自分たちがこの宙域にいる理由が、未だに納得いく物ではなかったからである。
 
 α任務部隊として急遽編成された彼らの任務は、ティターンズの動きに迎合し、地球連邦政府並びに連邦軍に対し宣戦を布告してきた一部教導団将兵、ニューディサイズと名乗る反乱分子の制圧にあった。
 しかし、当初彼らが本拠地としていた宇宙基地ペズンは彼ら自らがが爆破、連邦軍艦隊司令部にすら、未だその足取りはつかめていない。
 そこで、彼らの行動目的から月に向かった可能性が高いと判断したα任務部隊は、遅れること数日、ようやく月方面に向けて進路を取ったところだった。
 
 そこに、まったく唐突に艦隊司令部からの命令が届く。
 ペガサスVは現任務を一時凍結。即座に別任務遂行のため指定宙域に移動せよ―――
 
「……一刻も早くニューディサイズに追いつかなくてはならんと言うのに、司令部はいったい何を考えて居るんだ」
 
 この宙域には、一年戦争時代の残骸―――コロニーの破片をはじめとする、戦闘艦、MSなどの戦争によって発生した無数のゴミが、あたりを埋め尽くさんばかりに浮遊している。
 進路の邪魔になる物は低出力のメガ粒子砲で焼き払いながら、未だ新品同様の装甲をもつペガサスVは、与えられた任務を果たさんがために孤独な航海を続けていた。
 

34 名前:フレデリック=ブラウン:2003/04/16(水) 19:45

スペリオルガンダム/リョウ・ルーツ vs リック・ドムU/フレデリック=ブラウン 
>32 >33 
 
 死刑宣告ならもっとスマートに出して貰いたいものだ。スムーズに、スマートに、 
出来ることならジョークも交えて。だが俺たちあぶれ者への通達は、気難しい面を 
した艦長殿の嗄れた口から面白げもなく淡々と告げられた。 
「本艦の位置はここ……敵艦はここ、わかるな?」 
 広げられた紙へ無造作に置かれたマーカー。一つはネオジオン所属の輸送艦。もう 
一つは……所属不明の軍艦。おそらくは連邦の最新鋭。超望遠で見えたフォルムは 
数年来の記憶を喚起して止まないが幻だ。有り得ない。 
「連邦と遊んでいる暇など無いのだ」 
 そう仰る艦長殿の顔は赤らみ、酷く興奮なさっていた。 
 大儀に燃えているらしい。結構なことだ、面倒この上なくて。 
「幸い、我が補給艦隊にも護衛MSは存在する。わかっているな、フレデリック大尉」 
「心得ています」 
 短く答える。 
 お飾りのMSだと思っていたが、本気で戦闘をさせるつもりらしい。 
 Shit! 
 艦長殿の皺面がなければ、思い切り叫んでいる所だ。 
「貴君らは――」 
「は。MS二個小隊を用いて、敵艦の目を引きつけます。その間に補給艦艇は月へ」 
「うむ、諸君らにネオ・ジオンの未来は掛かっている。頼んだぞ」 
 その未来とやらを守るのが時代遅れの旧式「リック・ドムU」。 
 ジオンのお下がりを遣ってネオ・ジオンを守れと言うのか。 
 Shit! 
 隔壁を殴りつつ、今度は聞こえる様に言った。

35 名前:フレデリック=ブラウン:2003/04/16(水) 19:49

>34  
 
「聞けよ、クソども。今日が俺らの命日だ」 
 
 デッキに並ぶMSを見上げつつ、何度目かも知らぬ溜息を吐く。 
「俺らは今から、この骨董品で連邦の新型とやる。何、少々こっちより早くて、 
 装甲が厚くて、火力があるだけだ。要領よくやれば死にやしない」 
 揃いも揃ってパイロットどもは悲鳴じみた声をあげる。 
 当然だ。俺も許可があれば、いくらでも嘆いてやれる。 
「いいか、艦長殿は艦を守れと言った。俺らの生死は関係なくな……だが、 
 生き残る努力はするな、とも言わなかった。精々足掻け」
 見渡す。 
 どいつもこいつもベテランだ。 
 生き残るには苦労しない筈――例えガンダムが出てきても。 
 辺りは静まり返る。動揺はない、あっても押し殺せる。 
「よし、三〇分後に出撃だ。配置に付け!」 
 号令に合わせ、パイロットどもは甲板に散った。片端からMSが起動音を上げ、 
微弱なロケットの風を生んだ。この骨董品どもも、死に際に一花咲かすつもり 
なのだろうか。機嫌良く核熱ロケットも拭け上がる。 
「改修は予定通りだ。補給を怠るな。こっちの弾で落ちてくれる相手とは限らん!」 
 地獄。 
 散々舐め回してきたものがまた近づいてくる感触。 
 それを喉奥に押し込みながら、俺はドムのシートへ腰を埋めた。 

36 名前:フレデリック=ブラウン:2003/04/16(水) 19:49

>35 
 
 作戦はこうだ。 
 ダスト……戦艦やコロニーの残骸、小惑星の屑を掻き集め、それを囮に使う。 
幸い、この船の経路に塵山はあった。それに簡易推進器を取り付け、山程爆発物を 
詰め込む。後はこれを奴らに向けて放り投げればいい。 
 これで奴らの取れる行動は三つ。 
 やり過ごすか、砲撃で破壊するか、調査に来るか、だ。 
「掛かりますかね?」 
 パウロの声に頬を歪めながら、 
「神に祈れ」 
 俺は答える。俺たちに出来る事なんざ、片手に足りない。 
 
「……マイガッ!」
 EWAC-リック・ドムU――レドームを急造した有り合わせの偵察機――に乗る 
ターキンが悲鳴をあげた。「畜生、連邦の手が早い! 高速接近するMS機影1を確認」 
「相手は何だ?」 
 手早くEWACの副座に乗るノアが検索を掛ける。該当、ナシ。 
「データの照合に無し……新型です」 
「この宙域を彷徨ってる部隊には、ガンダムがあると聞きますが……」 
「そうか」
 Shit! 
 またその名前か! 
 一年戦争の頃からついて回る白い悪魔め。何年経っとうが影は消えないってのか。 
まったく、連邦の権威主義者どもが考えそうな事だ。良いだろうさ、悪魔め。 
今度こそ俺がその因縁を断ち切ってやる。 
 型遅れの旧式でも、だ。 
「なんとも……因果だな、連邦の豚野郎!」 
 
 ガンダム。 
 そのフレーズだけで脳裏が一杯になる。殺された戦友、落とされた上官、壊滅した 
前線に切り崩される補給線。大規模な戦い、作戦、敗戦……すべてに白い悪魔はいた。 
一年戦争の記憶は奴に出会ってから以降が灰色に染まる。 
 あの日俺が味わった地獄を。 
 あの日俺が感じた恐怖を。 
 あの日俺が失ったものを。 
 蹴りを付ける時が来たのかも知れぬ。 
 舌の先で唇を濡らすと、記憶に靄が掛かり代わりに現実のモニターがクリアになる。
EWACから送られてくるデータは逐次書き換えられ、一機のMSを捉え続けた。 
 
 漂流する塵の塊。 
 見逃せば進路を変え、激突する破壊の槌に成る。 
 調査に来られれば爆発物は露見し、砲撃すれば巨大な花火が上がる。 
 見つかったら、撃たれたらお終いなのだ。 
「奴は俺が引き離す。パウロ、ターキン、ノアは調整を続けろ。 
 マウア、メシェ、グロス。後は予定通りだ。派手に暴れろ」 
 接触回線を断つ。後はミノフスキーが海の様に漂う空間だ。 
 至近とて、回線は通じない。 
 その手を返して操縦桿を掴むと、指の感触を確かめた。大丈夫、こいつは 
馴染んでる。裏切らない保証もある。新型とて――それがガンダムでも―― 
運動性が良く装甲が厚くて火力が高いだけだ。乗り越えてやれば良い。 
 
「仕掛ける」 
 
 熱核ロケットを消す。今は熱反応ですら出したくはない。 
 塵や滓を蹴飛ばしながら、動き出したリック・ドムUを駆る。スラスターも 
最小に、音も出さず息もせず狙いを定める。有視界に白い悪魔を捉えるまで 
後10、9、8…… 
 
「Let's Fucking Tango!」 
 
 トリガー。 
 滑空するラテーケンバズの弾頭の先には、青と白の悪趣味な悪魔が佇んでいた。

37 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/18(金) 02:08

>>34>>35>>36
 
 昨日の模擬戦闘から一夜が明けたペガサスVのMSデッキに、整備を終えたSガンダムの機体が、再びその姿を現していた。
 そのコクピットに収まっているのは、当然の事ながらリョウ・ルーツだ。
 だが、出撃を前にしても彼の表情には欠片の緊張感もない。
 なぜなら、これは戦闘出撃ではなく、ただの哨戒出動――を兼ねた、事実上の訓練であるからだった。
 
 暗礁宙域に進入して約三日。
 異常は、何も見られない。
 
「ルーツ、気を抜くな。偵察とはいえ、これは正式な戦闘任務だ。万一の場合、真っ先にお前のようなのが殺られる事になるんだぞ」
 
 そのようなルーツの気分を察てか、艦橋からダイレクトの通信が入る。
 声を聞いて、ルーツはなにか苦いものを口にしたかのように顔をしかめた。
 ストール・マニングス。α任務部隊MS戦隊司令にして、昨日ルーツを完膚無きまでに叩きのめした、ネロ・トレーナーのパイロットだ。
 端的に言って、ルーツの嫌いな種類の人間、そのものである。
 
「判っております、大尉殿。誠心誠意、任務遂行に尽くす所存であります」
 
 口調にいちいち煩いことを抜かすなという意味を込めてルーツは言った。
 説教は聞き飽きたとばかりに、思い切り顔をしかめる。
 その心にもないルーツの台詞に、マニングスはフッ、と失笑を零した。
 
「まあいい。貴様は、先行するZプラス隊と編隊を組みつつ哨戒活動を実行。
 異常があれば即座にこちらに知らせろ。作戦予定時間はおよそ二時間。以上だ」
 
 マニングスの言葉が終わるとほぼ同時、ペガサスVの両舷カタパルトから、二機の宇宙戦闘機が射出さた。
 ペガサスV搭載のMS、Zプラス、そのウェーブライダー形態。
 高加速モードとも言えるその形態を取った二機は、瞬く間にその機影を宇宙の闇の中へと溶け込ませる。
 それに追従する形で、MSデッキのリニア・カタパルトが、艦載機の発射態勢に入った。
 モニタに小さくウインドウが開き、カウントダウン。

 −5・−4・−3・−2・−1……
 
 ―――0。

「Sガンダム、リョウ・ルーツ、行くぜェ!」

 ゼロカウントとともに、射出。
 リニア・カタパルトの加速に乗るように、メイン・スラスタが蒼白い炎を吹き上げる。
 Zプラスを追うようにさらに、Sガンダムの機体は、爆発的な加速で突進していった。

38 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/18(金) 02:13

>>37
 
 ペガサスVを発艦した三機のMSは、Sガンダムを頂点とする三角形の編隊を組んで、指定宙域の哨戒を着実にこなしていた。
 ルーツですらも当初、これに真面目に取り組んでいたのだが―――
 やがて何ら変化のないこの状況に飽きたのか、だんだんと口が軽くなってくる。
 それは、任務にはまったく関係のない無駄な雑談ではあった。
 だが、ほかの二名、Zプラスのパイロットも、それを咎めようとはしなかった。
 なにより、彼ら自身がこの退屈な時間にうんざりしていたし、少なくともあごを動かしていれば眠くなることもない。
 
 ふと、思い出したようにルーツが言った。
 
「……にしても、本気でなんにも無ェとこだな。こんな所に来て、上の連中は俺らに何をやらせようってんだ?」
「さあね。少なくとも、艦長や大尉にも、そこら辺のことはよくわかってないみたいだけど……」

 答えてきたのは、Zプラス一番機、テックス・ウェストだった。表情通りの温厚な声音が、無線越しにルーツの耳に届く。
 
「何もなければ無いで、そのまま本来の任務に復帰できるんだ。休暇代わりだと思っておけばいいんじゃないか?」
「へっ。休暇なら休暇でちゃんと休ませて欲しいもんだぜ。このところ訓練ばっかりでよ。こんなんじゃ、ニューディサイズの連中と戦う前にへばっちまう」
 
 そこに―――今まであまり会話には参加していなかったZプラス・二番機、シグマン・シェイドが割って入る。
 二人の会話を何とはなしに聞きながら各外部センサーからの情報を確認していた彼は、正面に、ここに来て始めて探知する、異常な物体を関知したのだ。
 
「……二人とも、9時方向、距離30000。なにか、大きな質量物を見知した。ゆっくりとだが、移動してる」
「質量物だぁ?」

 僅かに緊張をはらんだシグマンの声に、どこか馬鹿にしたような声音でルーツは言った。
 
「移動してる? ただ慣性で流れてるだけじゃねぇのか?」
「いや、ほかの漂流物の動きと、これだけはまったく異なってる。それに……ああ、違う」
 
 引き続き表示される戦術システムの情報評価を読み上げながら、シグマンは言葉を切った。続ける。

「これは、一個の固まりじゃない。なにか、複数の物体が集結してるんだ。この集まり方は、気のせいかもしれないが、なにか不自然だ」
「でもよぉ、たかだか石ッコロじゃねえか。そんなのでなぁ……」
「ルーツ。なにか異常があれば―――それがどんなに些細でも、調査して報告するのが僕らの任務だぞ」
 
 テックスの言葉に一瞬不機嫌になったルーツだが……流石にここで言い合いをしても仕方ないと悟ったのか、それ以上ごねるのを止めた。
 そもそも、コクピットでのこの会話は、フライトレコーダーに記録されているのだ。
 先のような雑談はともかく、下手をすればこれは抗命行為と受け取られかねない。
 瞬間的にそのような計算を働かせたルーツは、渋々ながらといった感じで、言葉を吐き出した。

「……わーったよ。ちょうど暇してたところだしな。……よーし、そうと決まりゃあ、あのデカブツの所まで競争だっ! 野郎ども、付いてこいッ!」
 
 言うが速いか、ルーツはSガンダムのスロットルを一気に最大レンジまで叩き込んだ。
 瞬時にメイン・スラスターが全力運転を開始。
 僅かな方向転換の後、機体は一気に巨大質量物に向かい吹っ飛んでいく。
 
「あ、そんな勝手に―――」
 
 止める暇もなく、すでにSガンダムの機体は小さな点のようにしか見えなかった。
 あわててその後を追う二機のZプラス。
 
 ……その時点で彼らが敵の存在を関知する術は、皆無であった。

39 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/18(金) 02:38

>>38
 
 ……其処に真っ先に辿り着いたルーツを向かえたものは、まず、黒い穴だった。
 鈍重そうな人影が抱える巨大な筒。そこから、巨大な鉄の固まりが発射されるのを、ルーツはしっかりと見ることが出来た。
 だが、ルーツはまだそれがなんなのかを理解することが出来ない。
 彼がそれがいったい何であるのかを正しく理解する前に―――
 
 Sガンダムの戦術システムが、ルーツの聴覚に警告音を叩き付けた。
 
 警告。つまりそれは、驚異であるということ。
 危険だと、そう言うことだ。
 
 しかし、ルーツがそれを正しく理解し、そして行動に移るには、その一瞬は明らかに遅すぎた。
 
 
 ――――直撃する。
 
 ルーツを、コクピットごと出鱈目な衝撃が襲いかかった。

40 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/18(金) 03:03

>>39
 
 漂流物の物陰に隠れていた”それ”の放った一撃は、ちょうど姿を現したSガンダムのコクピットを直撃する形で炸裂した。
 
 爆炎と爆塵と衝撃―――
 なすすべ無く吹き飛ばされていくSガンダムは、その光景から、一撃で撃破されたかに思われた。
 
 だが―――

 火球の向こう側から現れたSガンダムの姿は、控えめに言っても、戦闘不能にはなっていない。
 同体部に激しい損傷の後こそ見られるが、さりとてそれは、致命的な損傷ではない。
 旧式とはいえ、MS用バズーカの砲弾が直撃したにも関わらず、だ。

 その訳は、最新のガンダリウム・コンポジット―――
 すなわち、新開発のガンダリウムγ並びにセラミック素材の複合装甲にあった。

 対MS用砲弾頭の直撃に、耐えた。
 そこが、機体全体のうちでももっとも強靱に防御されているコクピット・ブロックだったからというのもあるかもしれない。
 
 不意打ちは見事に決まったものの、Sガンダムは未だ、その戦闘能力を保持している。そして、そのパイロットも……
 
「……な……なにが、起こったんだ……」
 
 その時のルーツに出来たことと言えば、自身の無事を確認することと、今何が起こったのか、それを把握することだった。
 しかし、その答えは思わぬ所から届く。テックス、そしてシグマンの声。
 
「ルーツ、無事か!?」
「敵だ、退避しろ。撤退するぞ!」
 
 ……敵。敵。敵だと?
 
 
 信じられない……リック・ドムUだって? 
 ジオンのMSが、何だってこんな所に―――ルーツ、聞こえるか。撤退だ。任務は終わった―――

 二人の戦友、仲間の声が頭の中を素通りする。
 見る。モニタに映る、うごめく影。
 見慣れない機影。いや、見たことはある。訓練学校時代、戦史の講義で。
 その鈍重そうなフォルムは、間違いなく旧ジオンのMSの―――
 
「フザケやがって……そんな機体で俺らと殺ろうってか? 上等だ、やってやろうじゃねえかッ!」
 
 未だ残る衝撃にふらつく頭を無理矢理に動かして、ルーツは骨が軋むほどに操縦桿を握りしめた。
 頭に血が上りきっている。殺されかけた、という怒りと恐怖が、彼の内側から、常識的な判断をことごとく撤回させている。
 
「ルーツ、何を言ってる。撤退だ。僕らの今の任務は戦う事じゃない!」
「ウルセェ、どのみちこいつらをペガサスVに近づける訳には行かねェだろうが! 報告ならお前らがやれ。連中をブッ殺す!」
「ルーツ、落ち着け。いくらSガンダムでも、一機で勝てるわけがないだろう―――」
「ウルセェっつってんだろうがっ! ガタガタ抜かさずにさっささと行けェッ!!」
 
 ―――吼えた。
 同時にIMPC(統合機動推進制御)の機動モードを巡航(クルーズ)から戦闘(ミリタリー)に切り替え。
 ジェネレーターの出力が速やかに上昇、FCS(火器管制システム)が主火器の選択を要求する。
 ルーツは迷わずSガンダムの主火器であるビームスマートガンを選択、マニュピレータに接続されたままのそれと一瞬にして認証、データリンク開始。
 正面モニタにレティクルが表示され、グリーンランプが点灯。すべての準備が整ったことを伝えてくる。
 戦闘準備よし。
 
「Sガンダム、エンゲージッ!」
 
 リョウ・ルーツは、ひとり交戦を宣言する。

41 名前:フレデリック=ブラウン:2003/04/18(金) 21:31

>>37 >>38 >>39 >>40  
 
 スペースブルーの宇宙。人為的に染色された世界は溢れる様ながらくたに埋まり、 
まばらにしかその暗い蒼を覗かせない。視界は最悪。手を伸ばした先すら、隕石の 
屑に充ちている。だが、そんな事は理由にならない。 
 瓦礫が流れた。 
 射線が通る。 
 ラテーケンバズが描く線とガンダムが直行した時、俺は見た。見つけた。 
「ノアめ、三機いたぞ!」 
 悪趣味なトリコロールには、戦闘機擬きが後二機、随伴していた。戦闘機――そんな 
ものが現代の宇宙に漂う筈もない。可変MSか。したくもない舌打ちが自然と零れる。 
 Shit! 
 最新のMSが群れを成すなんて、悪趣味なジョークも良い所だ。 
 無音の真空を切って、唸る対MS弾頭。悲しい程遅い弾だったが、 
察知はされていない。直撃コース。回避は……間に合わない。 
 Bingo! 
 反応剤が燃え、白煙と炎を上げる。衝撃と破片と圧力。 
 重なれば新型だろうが関係はない。 
 これで一機撃墜、残るは可変型が二機――
「クソッ」 
 白煙が晴れる、一瞬。 
 その一瞬へ映り込んだ現実を、徹底的に否定したかった。 
 無傷だった。 
 連邦の悪魔は依然と、その姿を保っている。 
 ラテーケンバズの直撃を受けても。 
「直撃で落ちないのか、連邦豚が!」 
 即座に破片を蹴って姿を漂流物の森へ潜める。 
 今は推進剤とて惜しい。センサーにどれ程の差があるかも知れない。 
 知らない、知れない。 
 何一つ相手の事などわからなかった。 
 
 常識的な判断をするなら。 
 今すぐダミーをばらまき、ミノフスキー粒子の濃い所を選んで逃げ帰る事だ。 
 奴の重装甲を撃ち抜くには準備が足りない。可能な限りの重火器を引っ張り出す必要がある。 
 そんな余裕があれば始めからやっている。 
 火器も時間もありはしない。 
 人手もMSも情報もだ。 
 
 敵MS、ガンダムが体勢を入れ替える。直撃の噴煙を上げたまま、長大なライフルを身構え 
策敵を始めた。残り二機の可変機は早々に視野から消える――拙い、ここで逃げられるか。 
 苦虫というのが居るなら、今、断末魔を上げている事だろう。 
 俺の口の中で、腸を零しながら這いずり回る。それを舌で押し潰し、奥歯で磨る。その苦みに 
顔をしかめながら、また舌打ち。Shit! 
 
「全機、作戦を開始だ。花火を上げろ」 
 
 腰にマウントされたクラッカーを引き抜き、放り投げた。刹那の間を置いて、炸裂。 
青白い光だけが辺りに広がった。信号弾。言葉通り、作戦開始を早める合図だった。 
猶予は消え去り、敵は仕掛けに気付き、ガンダムは健在。 
 幸運の女神め。 
 これで生き残れたら、一晩中可愛がってやる。 
 これでくたばったら、何としてもFuckしてやる。 
 クソッタレ。 
 
「Let's Dance Now……SoSo Insanity! TangoTangoTango!」 
 
 瓦礫を蹴り、ロケット点火。出力カット、蹴り。ロケット、スラスター。 
 有りっ丈のマニューバを駆使し、宇宙を翔るリック・ドムU。その姿は数世代前の骨董品を 
超えていた。超えていたが――それが白いMSへ、ガンダムへいくら近づけるか。 
 フレデリック=ブラウンにもそれだけはわからなかった。 

42 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:09

導入 
 
 炎の照り返しを受け、幾つもの巨大な影が揺らめく。
 極東の島国、日本。
 今、その一都市は戦火に晒されていた。
 月からの侵略者――ギガノス帝国の手によって。
 
「フン」
 
 燃え上がる街並みをモニター越しに見つめながら、一人の男が鼻を鳴らした。
 それは窮屈そうなシートに収まった、屈強な大男。
 禿げ上がった頭に、立派なアゴヒゲ。片目を潰すほどの傷痕。
 威圧感を演出する為だけの外見なのではないか、と思わずにはいられない容貌だ。
 
 それも、この人物の素性を知れば納得するだろう。
 彼は“ギガノスの汚物”とまで呼ばれる荒くれ者の傭兵部隊を指揮する隊長。
 グン・ジェム大佐、その人なのだから。
 
「随分と便利に使ってくれるじゃねぇか……」
 
 呟く間にも、巨大な影――人型兵器・MA(メタルアーマー)は破壊を続ける。
 四方八方にミサイルを撃ち出し。
 鋼鉄の腕に携えた銃器から、弾丸を撒き散らし。
 嬉々として建造物をただの瓦礫に変えてゆく。
 
「厄介者なら、最前線にでも送り出してくれりゃいいんだよ」
 
 歯噛みしつつ、グン・ジェムが呻いた。
 
 今回の出撃は極めて不本意だ。
 先日、彼は敵の精鋭部隊と戦い、心の底から信頼出来る部下を一人失った。
 
 あいつの弔い合戦を――。
 それだけを思い、彼は次回の出撃を心待ちにしていたのだ。
 
 しかし、彼等に命ぜられたのはギガノスと手を組んだ他勢力の手伝いだった。
 適当に陽動をしてくれ、という何とも適当な要請による。
 
「この街をぶっ潰せば、少しは気が晴れるかもな」
 
 不敵な笑みを湛え、グン・ジェムは自らの機体を前進させる。
 仇討ちを果たす。
 その為だけに持ち出した、新型のMAがゆっくりと動き出す。
 
「さぁて、今日はウサ晴らしだ! ここが焼け野原になるまで暴れるぞ!!」

43 名前:ガイガー:2003/04/20(日) 23:09

>>42 vsギルガザムネ/グン・ジェム 
 
 瞬間。 
 それがMAの鼻先を過ぎった。 
 黒く光るボディ、金に輝く切っ先……いや、ドリル。 
 二対のドリルを持つ大型特殊車両が、鎧武者の如き巨人の周りを乱舞する。 
 ドリルを回し、引き裂き、切り裂き、引き延ばす動きを繰り返しながら。 
 不意こそ打たれたが速度は鈍い。体を逸らし、逆に掴み落とそうとした時―― 
 
「グァァァァアアア!」 
 
 獣の咆吼が聞こえた。 
 今度は後から――目の錯覚か、悪い冗談か――巨大なライオンが飛び掛かってきた。 
 堪らず、背に衝撃を受けるMA。つぶされ、爪で抉られ、牙を立てられる。 
 ゴォン。 
 程なく轟音。 
 一機のMAが大破してようやく、グン・ジェム以下傭兵部隊はその男に気付いた。 
 居並ぶ高層ビル、その中でも一際背の高いビルの上に立つ青年の姿に。 
 
「そこまでだ!」 
 
 獅子王凱。 
 GGG(スリージー)機動部隊隊長にして、無敵のサイボーグその人である。 
 
「好き勝手暴れてくれたな……借りは返すぜ!」 
 
 跳躍。 
 数百メートルの高さから、青年は舞い降りる。 
 
「ギャレオン!」 
 
 ライオンのメカが絶叫に合わせ、飛び上がる。 
 顎を開き、その青年にかぶりつく様に。 
 
「フュージョン!」 
 
 口から凱はギャレオンの中へと飲み込まれる。 
 フュージョン。 
 Gストーンサイボーグ獅子王凱はメカノイドギャレオンとフュージョンすることにより…… 
 
 ライオンの首が胸へ。 
 爪は格納され、代わりに手首が。 
 足は伸び、獣のそれから人の足へ―――― 
 
「ガイガー!」 
 
 戦闘用メカノイド、ガイガーへと変形するのである。 
 ライオンメカは人型ロボへ、白亜の巨人へと姿を変え、その手を広げる。 
 胸のライオンヘッドは咆吼を上げ、威嚇するように牙を煌めかせた。 
 
「ギガノス――侵略行為など、このガイガーが許しはしない!」 
 
 ついに我々の望んだ救世主が誕生した。 
 その名はガイガー。 
 ここに、新たなる勇者の物語が紡がれようとしていた。

44 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:11

>>43 
 
 突然現れた、謎のロボット。その戦闘力にグン・ジェム隊は戦慄した。
 MAに匹敵する機動兵器は、地球上には存在しないはずだ。
 ごくごく一部の機体を、覗いては。
 
 浮き足立った彼等の隊列が、徐々に乱れて行く。
 
「―――ハン、面白れぇ!」
 
 だが、一人。
 獅子の力を目の当たりにしても、怯む事無く吼える男が居た。
 隊長、グン・ジェムだ。
 
「下がってろ! コイツはワシがやる!!」
『た、大佐!』
 
 部下の制止も聞かず、後方に控えていたグン・ジェムの機体が突出した。
 その速度は凄まじく、白の機体へと接近してゆくにつれ、機体が巨大化していくようにすら見える。
 
 ――いや、錯覚では無い。
 
 すれ違った一機のMAと比較しても、彼の乗る機体はその三倍はあろうかという巨大さだった。
 三日月を兜に飾り、金色の鎧武者を思わせるその外観。
 何の冗談か、腰には太刀まで佩いているではないか。
 
 圧倒的なパワーで全てを打ち砕く、新型MA“ギルガザムネ”。
 これこそが、ギガノスの提示した究極のMAの姿だ。
 
「いい度胸だな、小僧!」
 
 巨体に似合わぬ機敏な動きで、ギルガザムネが腰の刀を抜いた。
 グン・ジェム自身が剣の達人だからか、機械特有のぎこちなさは存在しない。
 
「そんなに死に急ぎたいなら、手伝ってやるぜぇ!」
 
 そして、突進の勢いもそのままに――刃を真っ向から叩き付ける。

45 名前:ガイガー:2003/04/20(日) 23:12

>>44 vsギルガザムネ/グン・ジェム 
 
「何!?」 
 
 MA、メタルアーマー。ギガノスがもつロボは、いわば兵器である。 
 数こそ揃っていたが柔軟性に欠け、こと運動性と追従性は、 
 現在、地球にある建築重機と大差がない程だった。 
 
 故に勇者は――超AIを搭載したメカノイドや凱は――戦いを有利に運んできた。 
 
 それが速い。人間と同じ程に。 
 
 拙いッ! 
 思った時には必中の間合いで斬撃が振りかざされた。 
 
「ぐあぁぁぁぁぁぁああ!」 
 
 咄嗟に腕を翳し、剣を防ぐ。 
 だが、衝撃と質量差は騙せない。突き抜ける様な痛みに凱は絶叫する。 
 速い、目で追うのがやっとだ。 
 今までのギガノスとは違う! 
 
「……くっ、そっちが刀なら……ドリルガオー!」 
 
 ライオンの口が開き、閃光が漏れる。 
 導きに従い、先程暴れ回ったドリルガオーが黒いボディを覗かせた。 
 分離、合体。 
 両腕にドッキングするドリルガオーを構え、ガイガーは吠える。 
 
「ドリルで勝負だぁ!」 
 
 ギュオオオオ! 
 金のドリルが大気を切り裂き、回転音をあげる。 
 大気すらも巻き込み、白い螺旋を描く中…… 
 ガイガーはドリルを構え、一気に駆け詰めた。

46 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:13

>>45

「ハッ、味な真似してくれるじゃねぇか!」
 
 刀を正眼に構え直し、ギルガザムネは打ちかかる。
 向かってくる二つの螺旋――唸りを上げるドリルへと。
 
 ギャイイイイン!!
 
 凄まじい破壊力が激突。
 金属同士のぶつかり合う、耳を劈く轟音が辺りを揺るがした。
 次にやって来たのは、互いを削り合う耳障りな異音。
 
「ほぉぅ、そんな細身でギルガザムネのパワーが受け止められるのか」
 
 感心したような口振りで言う。
 だが、その口調には、かなりの余裕が含まれていた。
 ギルガザムネのパワーは、まだまだ出し切られていない。
 
「だがなぁ、」
 
 刃とドリルが噛み合い、猛烈な火花を散らした。
 グン・ジェムは満足気に口の端を持ち上げ―――
 
 ギルガザムネの片手を、刀から離す。
 跳ね上げた腕は、そのまま拳を形作り、相手の顔面へ向けて送り出された。
 
「あめぇんだよッ!!」
 
 更に、篭手から滑り出したのは機関銃の砲門だ。
 至近距離からの銃撃が、白いロボットへと襲い掛かる!

47 名前:ガイガー:2003/04/20(日) 23:14

>>46 vsギルガザムネ/グン・ジェム 
 
「ガイガーの……パワーじゃ足りない!」 
 
 一見、状況は競っていた。 
 ドリルガオーのドリルは刀を削り、刀はドリルを削る。 
 鬩ぎ合い、火花を散らし、押し、引く。 
 刃とドリルの界面を押し合い、互いを牽制……しているのだと、凱は思っていた。 
 
 だが、違った。 
 相手は――あの鎧のMAは遊んでいたのだ。 
 
 伸びてきた手に打ちのめされ、ガイガーのバランスは大きく崩れた。 
 出力が違いすぎる! 
 さらに機銃。白亜の装甲に幾重にも幾重にも、鉛弾が打ち込まれた。 
 
「ぐ、あ……ぁぁぁぁあああ!」 
 
 衝撃が信号に、信号が痛覚に。 
 Gストーンを介したフィードバックが、脳を焼く。 
 全身を締め上げる様な感触、 
 嘔吐感、頭痛、脳に指を差し入れられる錯覚。 
 ありとあらゆる苦痛が、サイボーグガイに与えられる。 
 人機一体となったが故の重圧。 
 息が上がった。空気など必要としない機械の体に。 
 
 ――GSライド出力減少。 
 
 意志に応じる様に、ガイガーのパワーも下がる。 
 ダメだ。 
 ここで折れたら、俺は負ける。 
 負けては、負けたら、俺は何も救えないまま終わる! 
 
「……ダメだ、それだけは絶対に……」 
 
 黒煙の上がる体をガイガーは持ち上げる。 
 
「俺は、俺は……」 
 
 ヒビの入った腕を翳すと、胸のライオンが口を開いた。 
 再び、導く光を放って。 
 
「勇者だ!」

48 名前:GGG本部にて:2003/04/20(日) 23:15

 ・ 
 ・ 
 ・
 
「長官! ガイガーからファイナルフュージョン要請シグナルです」  
 
 日本。東京湾内に建造された《G・アイランドシティ》。 
 その地下に地球を守る勇者組織《GGG(ガッツィ・ジオイド・ガード)》の拠点はあった。 
 窮地に陥ったガイガーから、ある信号を受け取り、GGGの隊員たちは声をあげる。 
 すべては勇者に――新たな力を送る為に。  
 
「よし……ファイナルフュージョン、承認!」 
「了解! ファイナルフュージョン……プログラム、ドライブ!」 
 
 ディスプレイに躍る文字―――― 
 
 G A O G A I G A R 
 
 それは、ガイガーが真の力を発揮する為のキーワードだった。 
 
 ・ 
 ・ 
 ・

49 名前:GGG本部にて:2003/04/20(日) 23:15

>>46 vsギルガザムネ/グン・ジェム 
>>47 >>48 
 
「ファイナルフュージョン!」 
 
 緑の嵐が、吹いた。 
 電磁波の奔流がすべてを呑み込み、フィールドを形成。 
 ガイガーの要請に従い、ステルスガオー、ライナーガオー、ドリルガオーが招集。 
 可変開始。 
 ガオーマシン、各部にドッキング開始。 
 
 ライナーガオー胸部に固定。 
 ドリルガオー脚部にドッキング。固定。 
 ステルスガオー、背部と合体。パーフェクトロック。 
 稼動。腕部形成。胸部に増加装甲展開、固定。頭部増加装甲展開、固定。 
 Gストーン起動。 
 
「ガオ」 
 
 GSライド、出力安定。 
 
「ガイッ」 
 
 ウルテクエンジン駆動率98%。 
 
「ガー!」 
 
 ガイガーは三体のガオーマシンと《ファイナルフュージョン》することにより、 
 スーパーメカノイドへ新生するのである。 
 その名も、勇者王ガオガイガー。 
 
 緑の嵐が止む。 
 その向こう側に立っていたのは、黒き巨人であった。

50 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:17

>>47 >>48 >>49
 
「――っ! 何だ! 何が起こった!?」
 
 視界が緑色に染まり、凄まじい電磁波でモニター、レーダー等が沈黙する。
 
「畜生、奴め何を……」
 
 暫くして、視界が戻る。
 其処に悠然と立つ姿は――先刻までの白いロボットとは一変していた。
 今は、他のマシンと合体する事で強化された黒のロボット。
 詳細なスペックは分からないまでも、出力等が桁違いである事は明白だった。
 
「へへへ……」
 
 流石に、遊びながら戦う事は出来そうにない。
 全力で戦わなければならないだろう。
 グン・ジェムは、あるシステムの起動を決心した。

「さっきよりは手応えがありそうだな……」
 
 ギルガザムネを究極のMAたらしめているのは、その性能だけではない。
 試験的に搭載された操作システム――思考コントロールシステムが最大の要因なのだ。
 脳波を検出、機体に直接入力する事でMAを操作。
 操縦の際に入力のタイムラグを必要とせず、パイロットの思うがままに動く。
 
 人と機械の反応速度を等しくする、正に脅威のシステムである。
 
「そろそろ本気でやらせてもらうぞ!」
 
 雄叫びを上げ、システムを起動。
 グン・ジェムの頭に接続されたケーブルが、活動を開始する。
 
「おおぅ……っ!」
 
 思考コントロールシステムに、デメリットが全く無いなどという事は無い。
 パイロットの脳に直接接続する為、神経に多大な負担を与えるのだ。
 常人を超えたグン・ジェムの肉体をもってしても、限界は10分。
 
(へ、10分もありゃあ余裕だ!)
 
 背のスラスターを全開。
 起動前を遥かに上回る高機動で背後で回り込む。
 鎧の肩パーツを開き、100連ミサイルポッドをスタンバイ。
 
「吹っ飛んじまえい!!」
 
 空間を埋め尽くすミサイルの怒涛が、黒の機体へと殺到した。

51 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:18

>>51 vsギルガザムネ/グン・ジェム 
 
 それは雨だった。 
 悪意と殺意を顕わにした弾ける雨粒。 
 視界のすべてを覆い尽くす様なミサイルを避けられる程、ガオガイガーは俊敏ではない。 
 いかなスーパーメカノイドといえ、600tの鈍重な体を俊敏に捌けなかった。 
 
「プロテクトシェード!」 
 
 防御の左手《プロテクトシェード》。 
 GSライドのエネルギーで局所的なバリアを形成するシステムは、 
 幾重にも反攻勢フィールドを生みだし、ミサイルの軌道を断っていく。 
 その上で偏向、反射。推進ベクトルを反転させられたミサイルは誘爆し、 
 空に幾つも黒煙の雲を生み出した。破裂し、爆発し、ガオガイガーの手前は煉獄と化す。 
 
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!」 
 
 後には街がある。 
 逃げ遅れた人々がいる。 
 引けない、下がれない。 
 逃げてしまっては勇者じゃない! 
 
「俺は……勇者は……絶対に負けない!」 
 
 爆圧を押さえ込む様に、前へ前へ、ガオガイガーは歩く。 
 そして、右手を掲げた。 
 天を貫く様に、高々と。 
 
「ブロウクン……」 
 
 右腕が高速回転する。有りっ丈の攻撃エネルギーを喰らって。 
 
「マグナム!」 
 
 射出。 
 弾丸の加速を与えられた右腕《ブロウクンマグナム》が、風を切って翔る。 
 数多のミサイルが舞う空へ。 
 踊り狂う拳の弾丸は、一発また一発と悪意を食らいつくしていった。 
 
「く、くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!」 
 
 一歩。 
 また、一歩。 
 爆圧と爆炎、腕を引き千切る様な重さ、痛み。 
 それを噛み砕きながら、ガオガイガーは進む。 
 
「この程度で、終わると……」

52 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:19

>>50 >>51 vsギルガザムネ/グン・ジェム 
 
 一歩、二歩、三歩。 
 警告音。 
 
「……何?」 
 
 防御の左に、亀裂が走った。 
 プロテクトシェードが保たない! 
 思った瞬間――――弾けた。 
 
 力場が消失する。 
 左腕に亀裂が広がる。 
 肩が砕ける。 
 ヘルムが割れる。 
 
「ぐああああああ!」  
  
 警告音が乱れ飛ぶ中、ガオガイガーに無数のミサイルが牙を剥いた。 
 一発一発は致命傷に至らない、軽量のミサイル。だが、その数は圧倒的だ。 
 まず、10降り注ぐ。 
 半数は街路を焼き、街を焼き、ビルを崩したが、半数はガオガイガーを撃ち抜いた。 
 衝撃でギャレオンが狂った様に跳ねまわる。 
 次にもう10、襲い来る。 
「プラズマホールド!」 
 左手から放たれるエネルギー。半数は落とした。 
 半数は左足を撃ち抜き、ドリルを砕いた。 
 最後の10が訪れる。 
 
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」 
 
 ガオガイガーは、耐えた。 
 その体すべてにミサイルを受けて。  
 装甲を剥がし、構築材に損傷を負い、マスクを剥がしながら。 
 
「そんなものか……なら、今度はこっちから行くぞ!」 
 
 腕を掲げるガオガイガー。 
 赤く燃え上がる右手は、再び高速回転を始めた。 
 ガオガイガーに残された、僅かなエネルギーと共に。 
 
「ブロウクン……マグナム!」

53 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:22

>>51 >>52
 
 黒い機体は、どうやらバリアのような物を展開しているらしい。
 ミサイルが着弾前に次々と弾け飛んでゆく。
 後ろの市街地も考え、全て自分で受け止めるつもりか。
  
「バカが、全部防ぎ切れるとでも思ってやがったのか?」
  
 グン・ジェムがニィ、と獰猛な笑みを表す。
 その直後―――相手の防御壁が決壊した。
 開いた僅かな隙間へ、次々と後続のミサイルが雪崩れ込んでゆく。
  
 着弾、炸裂。着弾、炸裂。着弾、炸裂……。
 荒れ狂う爆発が、敵機の体を覆い尽くす。
  
「やったか?」
  
 視認が困難な為、センサーで探知をかける。
 爆炎と粉塵の向こうに反応。
 飛来してくるのは――あの黒いロボットの拳だ。
 
 未だ健在、という訳か。
  
「全く、しぶとい野郎だ! 今度こそトドメを刺してやらぁ!」
  
 飛来する鉄拳へと真っ直ぐに向かう。
 大型機ゆえの大推力での突進だ。
 
 直前まで赤熱する拳が迫った時、即座に脳波入力。
 素早い反応で、ギルガザムネの大刀を拳へと叩き付ける。
 凄まじい衝撃が機全体を揺らした。
 
「この……!」
 
 気迫がそのままコントロールへ直結。
 より強く、ギルガザムネは刃を押し込む。
 
「しゃらくせぇ!!」
 
 一喝と同時に、刀が拳を跳ね飛ばす。
 無茶をした為、刃にヒビが入ったようだが、些細な事だ。
 改めて突撃を敢行する。
 
 脳波で機体の操作と同時に、火器管制。
 胸部パーツが開放、その中に隠された内蔵火器――12連機関砲がその姿を現した。
 黒光りする12の眼は、全て敵を睨み据えている。
 
「楽になりな、小僧!!」 
 
 全ての機関砲が、一斉に火を噴いた。

54 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:23

>>53 vsギルガザムネ/グン・ジェム 
 
 間合いは必中、プロテクトシェードも今や沈黙。 
 ならば…… 
 
「正面から受け止めるまでだ!」 
 
 回避行動を取らず、手を交差させ銃弾に身を委ねる。 
 
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 
 
 装甲を削り取る音が凱の耳にも届く。呼応する様に、引き裂く痛みも。 
 ガオガイガーの体に幾つも幾つも鉛が撃ち込まれ、抉る。 
 それを凱は耐えた。 
 吠えて、叫んで、耐えた。 
 鉛の風雨に撃たれながら、ガオガイガーは走る。 
 右腕のブロウクンマグナムを高速で回転させながら。 
 
「この程度……火馬参謀の拳の方が、よっぽど堪えるぜ!」 
 
 ガァァァァ! 
 
 吠える。ガオガイガーが、ライオンの顔が。 
 
「ドリルニー!」 
 
 残った右膝のドリルが唸る。 
 突き上げる膝蹴りに合わせ、左の拳と右の拳が踊る。 
 
「プラズマホールド……ブロークンマグナム!」 
 
 抉り込むフックと同時に左手からエネルギーが迸る。 
 突き上げるアッパーとなって右手が飛び上がる。 
 弧を描く軌道に沿って、攻撃の手ブロークンマグナムは巨大な武者を打ち続けた。 
 
「まだだ、まだ止まれないんだ!」 
 
 手刀、膝、ドリル、踵、爪先、ブロークンマグナム。 
 ありとあらゆる技を繰り出し、ガオガイガーは傷ついた巨体を舞わせた。 
 現在、損耗率38% 
 GSライド駆動率43% 
 ガオガイガーに残された時間は少ない。 
 
 ここで挫けるのか、勇者王。 
 戦え、負けるな、ガオガイガー。 
 我々は君の勝利を信じている。

55 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:26

>>54
 
 銃弾の嵐の中を、愚直なまでに一直線に。
 黒の機体が突き進んで来る。
 圧倒的なパワーと火力を、物ともせず。
 
「いい根性してやがる!」
 
 胸部装甲を閉じて射撃を中断。
 気合を込め、ギルガザムネに刀をしっかりと握らせる。
 何度でも立ち向かってくるなら、何度でも叩き潰すまでだ。
 この、ギルガザムネで!
 
「だが、遅ぇっ!」
 
 下方からの膝を刀が打ち払った。
 勢いは止めず、そのまま刀身を一回転。
 続く拳の連撃を受け止めに行く。
 
 しかし、防げたのは左の拳のみ。
 撃ち出された右拳は防御をすり抜け、ギルガザムネの頭部を捉えた。
  
「……ちぃっ!」
 
 打撃がごっそりと右目――メインカメラの一方を奪い去る。
 砕け散った装甲が、肩の鎧で跳ねた。
 ノイズ混じりの画面と機体損傷によるシステムのエラーが警告を叫ぶ。
 
 一切を悉く無視。
 黒い機体との格闘戦だけに意識を集中させる。
 
「さっさと……諦めろってんだ!!」
 
 思考コントロールシステム発動から五分が経過。
 時折頭痛がするが、まだまだ行ける筈だ。
 脳波を送り、機体に直接コマンドを入力する。
 
「そらそら、そらそらそらそらぁ―――っ!!」
 
 生物じみた俊敏な動作で、ギルガザムネが刃を振るう。
 縦、横、斜め。
 およそ考え付く方向全てから、斬撃が繰り出された。

56 名前:GGG本部にて:2003/04/20(日) 23:26

>>55 vs ギルガザムネ/グン・ジェム 
 
「ガオガイガーの損傷率……40、41、42……」 
「GSライドの出力、38%までゲンショウ! まだ下がってマス」 
 
 牛山とスワンの声が悲鳴へと変わっていく。 
 ディスプレイに映し出されるガオガイガーのコンディション・モニターは、 
 刻一刻と赤へ赤へと転じていく。警告色。もはや動作限界にまで、 
 ガオガイガーの損耗は食い込んでいた。 
 
「長官! このままではガオガイガーは……」 
「凱、撤退だ。逃げるのもまた勇気――――」 
『ダメだッ!』 
 
 獅子王博士に促される長官だったが、その声を打ち消す叫び。 
 凱だった。 
 ガオガイガーの中で、凱は叫ぶ。砕けたバイザー、傷だらけの体で。 
 
『長官、ここで逃げるわけにはいかない……』 
「だが、このままでは――――」 
『逃げるなんて、勇者のする事じゃない!』 
 
 画面越しにガオガイガーは身構える。 
 両手を広げ、佇む様に。 
 
『俺にはまだ――これがある!』 
 
 ガオガイガー最大の切り札、ヘルアンドヘブン。 
 ガオガイガーの全攻撃エネルギーと防御エネルギーを合わせる事により、 
 生み出される超パワーの必殺技だ。 
 だが、それは凱に大きな選択を迫る。 
 
「いかん! ヘルアンドヘブンの成功率は20%以下じゃ!」 
『残り80%は勇気で補えばいい!』 
 
 獅子王博士の言葉を、凱は強い調子で押し戻す。 
 勇者は曲げられない。 
 戦う事を。 
 勝利する事を!
 
「例え成功しても、凱は……ガイは!」 
『大丈夫だ、命』 
 
 GSライド出力、35%まで減少。 
 もはや時間は残されていない。 
 
 勇者は決意した。 
 命の声も、博士の声も、参謀の声も、もはや届かない。

57 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:27

>>56 
 
 甲冑姿のMAは、姿通りの斬撃を矢継ぎ早に繰り出す。 
 出鱈目な様でそれぞれが連結し、右を良ければ左に、 
 左を良ければ下に、避けて飛び上がれば突きが。 
 捌ききれない! 
 ガオガイガーの装甲を意図も容易き切り裂き、肩が羽が砕ける。 
 
 それでも、ガオガイガーは下がらない。 
 傷だらけになり、四肢が破壊されようと、勇者王は進む。 
  
『ガイ――――――――――――ッ!』
 
 ミコトの声が遠い。 
 ああ、また俺は彼女に心配させている。泣かせている。 
 悪い奴だな。 
 だけど、ここで引き下がれないんだ。 
 例えこの命が尽きても、成さなきゃならない事がある。 
 
 機械の体、Gストーンの心臓……もう一度、与えられた命。 
 この命は勇者と成る為にだけある! 
 
「俺を――――信じろ!」 
 
 ミコト、俺に力をくれ! 
 
「ヘル……アンド、ヘブン!」 
 
 右手に攻撃のパワーが。 
 左手に防御のパワーが。 
 赤と緑の光となり、渦巻き、世界を包む。 
 
「ゲム・ギル・ガン・ゴー・グフォ……」 
 
 赤と緑の両手、それが組み合わさる。 
 突き出された拳は電磁嵐を呼び、天国と地獄の門を開いた。 
 
「今だぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」 
 
 背部スラスターが臨界の炎を吐き出した。 
 黒き巨体を加速させ、すべては必殺の一撃へ注がれる。 
 
 ゴォォォォォオ! 
 吠える。 
 ギャレオンが、ガオガイガーが、凱が。 
 勝利を掴む為に。 
 
「おおおおおおおおおおおおおおおおっ!」 
 
 乾坤一擲――――――――

58 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:30

>>56 >>57

「機体のコントロールが効かねぇ!?」
 
 黒いロボットが巻き起こした電磁波の嵐。
 その中に呑み込まれたギルガザムネの巨体は、力が一点に集中する場所に捕縛。
 身動き一つ取れない、無防備な状態を晒す事になった。
 
「くっ、動け、この野郎!」
 
 手動入力でも、脳波での入力でもギルガザムネは微動だにしない。
 目前へ迫るのは、一個の砲弾と化した敵の機体。
 
「ワシは負けんぞ……」
 
 内蔵火器は殆ど撃ち尽くした。
 残弾に余裕のある武器もあるが、敵を照準出来なければ意味はない。
 相変わらず、鎧武者の体は固定されたまま。
 
「負けんぞ……!」
 
 必死に足掻く。死が訪れる、その瞬間まで。
 出来る事は無いのか。何か打つ手は無いのか。
 部下の仇討ちも果たせず、こんな所で死ぬ訳には行かない!
 
 グン・ジェムの執念が、奇跡を呼び込んだ。
 
 使用可能な武器が一つだけ、ギルガザムネの内部に存在したのだ。
 脳波入力でロックを解除。
 ギガノスのマークを印した下腹部の装甲が、スライドして行く。
 
 その奥に潜んでいた脅威は――対艦用クラスの巡航ミサイル。
 相手の突撃にも匹敵する破壊力が、その身に秘められている。

「負けんぞぉぉぉぉぉぉ!!」
 
 どちらも攻撃を避け切れない、必殺の間合い。
 大気を震わす轟音と共に、巡航ミサイルが発射された―――

59 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:31

>>58 vs ギルガザムネ/グン・ジェム 
 
 まず、静寂だった。 
 
 今まで大気を打ち鳴らした嵐も、炎も、風も、凪いで漂う。 
 
 次に、噴煙が立ち込めていた。 
 
 炎の残滓か、砕けたビルの破片か、舞い上がる土か。 
 スクリーンを一杯に覆い尽くす薄い闇が、ただ存在した。 
 
 それだけがわかって、 
 それだけしかわからなくて、 
 何も出来ずに、何も起こらずに。 
 1分、2分、3分――――時が流れた。 
 
『ガイ!』 
 
 少女の声が聞こえる。 
 
『どうした、勇者! 立ち上がれ!』 
『凱、立て! 立たんか!』 
 
 男の声……ああ、長官と父さん…… 
 なら、さっきのはミコトか。 
 どうしたんだろう、俺は。気付くまでこんなに掛かるなんて。 
 
『ダメです、損傷率74%! 再起動不可!』 
『GSライドの出力、減少……現在22%。なおも低下中デス!』 
 
 損傷……? 
 出力……? 
 なんだ、何の事だ。 
 俺は、俺は一体―― 
 
 体を動かそうとした。腕を持ち上げ、膝を付き、立ち上がる。 
 頭で思い描いた当たり前の行為。それが、出来なかった。 
 腕は付こうとしても力はなく、左手は手首から先が消えていた。 
 足は膝が潰され、体を支える力もなく。 
 起こそうとした体躯は激痛を呼ぶだけの装置に成り下がっていた。 
 
「お、俺、は?」 
 
 周りは、瓦礫の群れ。 
 ビルの残骸、家の名残、道路の屑。 
 街を形成する破片が、あちらこちらに散っていた。 
 
「そうだ、俺は守る為……街を守る為に戦って……」 
 
 記憶が鮮明に戻ってくる。 
 あの時。 
 激突の瞬間、その時。 
 ガオガイガーの左腕がバーストしたのだ。 
 ダメージを負った左腕では、ヘルアンドヘブンの負荷に耐え切れず――バースト。 
 プロテクトシェードを形成するはずの”防御の腕”は、無惨に砕けていた。 
 手先はなく、腕にも無数の亀裂が入る。 
 
 そのヘルアンドヘブンで、ミサイルと衝突した。 
 ミサイルを分解、爆散させた所でガオガイガーのエネルギーは尽きて…… 
 
「まだ、だ……」 
 
 満身創痍。 
 既にヘルメットは半分砕け、両肩は破壊され、左手も機能不全に。 
 ステルスガオーの翼も半壊し、膝も足も砕かれていた。 
 だが、だ。 
 しかし、だ。 
 それだけだ。まだそれだけの事だ。 
 ガオガイガーは破壊されていない。 
 
「俺の勇気は――――死なない!」 
 
 再起動。 
 損傷率76%、GSライド出力20%。 
 いつ起動不全に陥ってもおかしくないレベルだった。 
 
『凱! 止め――――』 
『良くやった、ガオガイガー』  
 
 ミコトの悲鳴を断ち切る一言。 
 それは――紛れもなく長官の声だった。 
 今までとは打って変わった、自信に満ちた長官の台詞。 
 
『勇者よ、君は役目を果たした――――見ろ!』  
 
 軋む首を上げる。 
 蒼い蒼い空の向こう。ただ、その中で一点、黒い染みがあった。 
 それは見る間に大きく、大きくなる。 
 噴煙を上げるロケットと共に訪れた、巨大なタイヤ……いや、ホイール。 
 
『グランド・プレッシャー、発動……承認!』

60 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:34

>>59
 
 両者を包み込むほどの閃光と爆発。
 攻撃を仕掛けたのはこちらであっても、被害をゼロで済ませる事は不可能だ。
 
 吹き飛ばされたギルガザムネの巨体は、大地に倒れていた。
 炎に炙られた装甲は所々が溶解。
 爆風を受けた左腕は、肘の関節が半分外れかかっている。
 他にも損傷箇所を上げれば、キリが無い。
 
「ぐ、ぅ……」
 
 コックピットの中で、グン・ジェムは頭を振って意識を覚醒させた。
 生きている。まだ生きている。
 仇は直ぐに取ってやれるぞ。待っていろ……!
 鈍い動作に苛立ちを覚えつつ、機体を立ち上がらせる。
 
『大佐、大佐!』
 
 すると、何故か一機のMAが慌てて近づいて来た。
 通信越しに聞こえる声も、何処か焦っているようだ。
 
『もう直ぐ10分を過ぎます!
 早くその機体から降りて撤退を!』
 
 降りる? 撤退?
 何を馬鹿な事を言っている。
 奴はもう瀕死だ。あとはこの刀で叩き切るだけ。
 
『急いで下さい、大佐! 大佐!!』
 
 ゴチャゴチャと五月蝿い奴め。
 脳波入力で刀を一閃。目障りなMAを一刀両断にする。
 
『た、大佐……何を……!?』
 
 敵は――敵は何処だ。
 片側が死んだモニターでは視認が難しい。
 センサーを頼りに黒の機体へと接近してゆく。
 
(……そういえば、さっき斬ったのは誰だ?)
 
 そんな疑問が浮かぶが、一瞬で消える。
 此処には敵と自分しか居ない。自分以外は全部敵。
 シンプルで分かり易い。最高だ。
 
「へ、へへへ……」
 
 実際、既に限界である10分は越えていた。
 運動機能などに障害を起こしていないのは流石だと言える。
 しかし、神経、脳――ひいては、精神へのダメージは計り知れない。
 
 直前の、部下を重んじる男が、部下を殺す行動。
 何故こんな事をしたのか。それは脳へのダメージによる精神障害の為だ。
 
 もはやグン・ジェムに『敵を殺す』以外の思考は存在していないのだ。
 
「その首もらうぜ、黒い奴!」
 
 満身創痍としか表現しようのない敵の前に立ち、刀を高々と掲げる。
 鎧武者が、勝利の証として敵将の首を取る。
 数百年前の時代を思わせる光景を――
 
 今、機械の巨人二体が、再現しようとしていた。

61 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:36

>>60 vs ギルガザムネ/グン・ジェム 
 
 或いは、それはタイヤと呼べば良かったかも知れない。 
 この世に60メートルを超えるタイヤはあれば、だが。 
 黒い円形のボディにオレンジのエッジ。 
 それが白亜のロケットに吊されて、急速に近づいていた。 
 
 蒼い空を抜け、 
 白の雲を破り、 
 最終最強のGツール「グランド・プレッシャー」は飛ぶ。 
 
『ガオガイガー、受け取れ!』 
 
 無線で長官が吠える。 
 
「応ッ!」 
 
 凱は吠える。 
 
 上空でロケットが切り離され、巨大なホイールが放たれる。 
 砲弾と言うにも大きすぎるそれは、弧を描く様に落下し―――― 
 
『――しまった!』 
 
 ガオガイガーの背後にそびえる、ビルに突き刺さった。 
 
『軌道計算に誤差が……い、いや、ガオガイガーの損傷を計算に……』 
『長官! ビルが崩れます!』 
 
 鉄球に打たれるより無惨に、ビルが崩れる。 
 建材はコンクリ片と鉄骨屑に変わり、数多の礫となって降り注いだ。 
 それは鎧の巨人と、黒の巨人を覆い尽くし……いや、埋めた。 
 未だ機動力のある鎧のMAはかわせたが、 
 大破したガオガイガーに避ける手段は残っていなかった。 
 
『ガイ――――!』 
 
 だが。 
 
「ツール・コネクト!」 
 
 微かに、微かに。 
 その声は意識を打った。

62 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:38

>>61

「何だってんだ、今のは?」
 
 突如飛来した謎の物体。
 それがビルを打ち砕き、粉塵を辺りに巻き上げた。
 先程まで敵を捉えていたカメラもセンサーも、今はその機能を阻害されている。
 
「何処だ、何処に居やがる! 出て来いッ!!」
 
 篭手の機関銃で周囲を薙ぎ払い。刀で瓦礫を突き刺し。
 敵を求めて徘徊を続ける。
 
「何処だ、何処だ―――!」
『大佐、落ちつい……』
 
 群がってくるMAを、次々と斬り飛ばす。
 見覚えのある機体が多い気もする。
 だが、そんな事は関係ない。敵は敵だ。
 
 ただ、殺せばいい。
 
「出て来おぉぉぉい!!」
 
 血に飢えた鎧武者が、雄叫びを上げた。

63 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:38

>>62 vs ギルガザムネ/グン・ジェム 
 
 緑の光が、瓦礫から覗いた。 
 続いて、赤の双眸がギルガザムネを射抜く。 
 
「ポット――――」 
 
 噴煙を割って、黒の巨人が翔る。 
 手には巨大な巨大なタイヤ、グランド・プレッシャー。 
 
「オープン!」 
 
 それが左右に割れた。 
 地獄の釜は開かれ、二つの円盤は鎧武者に狙いを定め――閉じられる。 
 超重圧の釜は、左右から挟み込むとその圧をドンドンと高めた。 
 
 ツール・コネクトされた両腕が、グランド・プレッシャーの内部で開く。 
 回路は直結された。 
 後は、閉じこめ、粉砕するのみ! 
 
「ファースト・ロック!」

64 名前:GGG本部にて:2003/04/20(日) 23:39

>>63 
 
『ファースト・ロック!』 
 
 ガオガイガーから通信が入る。 
 従い、コンソールを操作する牛山、スワン、ミコト。 
 
「ファースト・ロック!」 
 
 グランド・プレッシャーがさらに加圧。 
 二つに分かれたボディが完全に閉じ、腹の中にMAを閉じこめる。 
 
『セカンド・ロック!』 
 
 ホイールの外径に取り付けられた突起が回転し、固定位置へ。 
 
「了解、セカンド・ロック!」 
 
 接続開始。 
 拘束具の挿入、固定ボルト定着、グランド・プレッシャー内部、 
 加圧端子露出。 
 
「グランド・プレッシャー、ファイナル・ロック……コンプリート!」 
 
 ミコトが最後のキーを押し込む。 
 それが必殺のGツール《グランド・プレッシャー》開始の合図だった。

65 名前:ガオガイガー:2003/04/20(日) 23:39

>>64  
 
「グランド・プレッシャー――――――――――――ッ!」 
 
 グランド・プレッシャー。 
 パルス磁場のインプルージョンにより引き起こされる超重圧は、 
 中性子星の中心核にも匹敵し、その超重圧をもって内部に 
 閉じこめた物を光子レベルに分解する驚天動地のハイパー・ツールである。 
 
 ディスクXの技術を転用し、固有の物質――ゾンダー核や人間、 
 コクピットボックスなど――に与えるダメージも最小限に抑える事が出来るのである。 
 
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」 
 
 ポットが再び開く。 
 残ったのは光になった鎧武者のメタルアーマーと一つのコクピット・ブロックだけだった。 
 
 
 
 
 ガオガイガー、残存エネルギーゼロ。 
 ダメージレベル限界突破。 
 機能停止。

66 名前:グン・ジェム@ギルガザムネ:2003/04/20(日) 23:43

>>65 
 
「な! 小僧め、今まで何処に!?」
 
 黒いロボットが手にした奇怪なマシン。
 化け物の顎のようなそれが、ギルガザムネの巨体を閉じ込める。
 この狭い空間では、逃れようとしても適わない。
 押し込められた釜の中で、一体何が起こるというのか―――
 
「ぐ、おぉぉぉぉぉぉ!!」
 
 超重力が機体を襲っている。
 理解するのに、時間はかからなかった。
 悲鳴のような軋みを上げ、破壊というには生温い暴威が、押し潰す。
 
「死んで、死んでたまるかぁぁっ!」
 
 消滅。
 そう言った方がしっくり来るほどの凄まじい力。
 力の真っ只中で、尚も、グン・ジェムは叫ぶ。
 
「このままじゃ死ねねぇ! 仇を討つまでは―――!」
 
 金色の鎧武者は、光にまで分解されてゆく。
 目映い光に目を焼かれ、思わず目蓋を閉じた―――

67 名前:グン・ジェム:2003/04/20(日) 23:44

>>66
 
「……へ、」
 
 ギルガザムネの名残である光が、宙へ流れていく。
 今一度の奇跡か。
 それとも、最初からこちらを殺すつもりは無かったのか。
 
 どっちでも構わない。
 
「頼むぜお前等。地獄から力を貸してくれよ……!」
 
 シートの傍らに置いた愛用の青竜刀を取り上げ、ハッチを斬りつけて外へ。
 刀を構え、黒いロボットへと歩み寄る。
 
「一人でも多く、そっちに送ってやるからよ」
 
 機体は失った。
 だが向こうも、機体の力を使い果たしたようだ。
 互いに退くのが正しい判断と言える。

「うちの奴等は、寂しがりだしな」 
 
 言葉を漏らし、抜き身の刀を強く握り締める。
 せめて乗り手だけでも、送ってやる。
 それが済んだら、本当の仇討ちだ。
 
 寂しいだろうが、待ってろよ。

68 名前:獅子王凱@サイボーグ・ガイ:2003/04/20(日) 23:44

>>66 >>67 vs ギルガザムネ/グン・ジェム 
 
「……くっ、フュージョンが……」 
 
 気付いたら、凱の体は瓦礫の上にあった。 
 振り返れば、Gプレッシャーを身構えたままのガオガイガー。 
 Gストーンの輝きはなく、機能は停止していた。 
 そのまま自分のGストーンさえ凍てつき、命も絶えると思っていたが…… 
 
「生きてるだけ、マシか」 
 
 手を開く。 
 感覚はある。IDスーツにもヒビは入っていたが、動けないレベルじゃない。 
 手持ちの武器はウィル・ナイフ一本きりだったが。 
 
「っと、そう言うわけだから……」 
 
 ナイフを抜き放ち、身構える凱。 
 
「アンタとやり合う事は出来そうだ」 
 
 イークイップ。 
 サイボーグの身体能力を120%向上。 
 戦闘モードに移行しつつ、凱は叫んだ。 
 
「俺は獅子王凱、勇者だ!」 
 
 叫ぶに合わせ、ナイフを翳す。 
 人間の速度を遙かに超えた打ち込みだが――不思議と、手応えは感じられない。 
 強い。 
 人間より、サイボーグより……下手すればゾンダーより! 
 
「逮捕させて貰う、ギガノス兵!」

69 名前:グン・ジェム:2003/04/20(日) 23:45

>>68 
 
「てめぇごときに、捕まるかよ!」
 
 ナイフの刃と、青竜刀の刃を打ち合わせる音に混じる怒号。
 人間を超えた身体能力を持つ者同士の戦闘が続く。
 グン・ジェムにはシステムの影響が残っているはずなのだが、全くそれを感じさせない。
 
「あいつ等が地獄に道連れを欲しがるんだよ!」
 
 返す刀で、更に追撃を送り出そうとした瞬間。
 上空から砲弾の雨が降り注いだ。
 
『ギルガザムネも失いました……大佐、ここは退きましょう!』
 
 空から現れたのは、グン・ジェム隊のMAだった。
 ギルガザムネが撃破されたのを見て取り、隊長の回収に来たのだ。
 思考コントロールシステムの暴走が止まるまでは、様子を見ていたらしい。
 
「分かってるが、こいつを仕留めてからだ」
『他の部隊も向かってきています、急いで下さい!』
「……チッ!」
 
 大きく舌打ちして、刀を牽制気味に振るう。
 銃撃の中、グン・ジェムはそのまま振り向いて駆け出した。
 
「小僧!」
 
 MAの掌に飛び乗って納刀。
 鞘に納まった剣を、凱と名乗ったサイボーグへと突き付ける。
 
「今度会う日が、お前の命日だ!」
 
 再度の銃撃と共に、MAは空へと舞い上がり、撤退して行く。
 
「秘密工場には、もう一機試作機があったな」
 
 後退しながら、部下に問う。
 
『……あの機体を、まだ使うおつもりですか』
「あれじゃなけりゃ、奴等は倒せねぇ。
 奴等――“ドラグナー”はな」
 
 次の戦場、部下の仇討ち合戦へと思いを馳せる。
 此処で作った心残りは、直ぐに忘れる事になるだろう。
 真に捧げるべき首を取る、その時までは。

70 名前:獅子王麗雄:2003/04/20(日) 23:51

 やれやれ、凱は傷だらけ。ガオガイガーは大破。 
 修理だけでも随分掛かるな……ギガノスの攻防も先が見えん中、 
 新たな武装を考えねばならないか…… 
 ガオーマシンは一から作り直した方が早そうだ。 
 これは、しばらく徹夜で作業だね。 
 
 なんだ、長官? 
 今回の報告書? 
 今提出する所だったよ……ほら、これ。 
 
 勇者王ガオガイガーvsギルガザムネ 
 《重力の釜》

 闘争まとめ 
 
 >>42 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48 >>49 >>50 >>51
 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61
 >>62 >>63 >>64 >>65 >>66 >>67 >>68 >>69 >>70
 
 
 
 
 
 
 ああ、大河長官。グランド・プレッシャーはお気に召したかな? 

71 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/21(月) 00:29

>>41
 警告音。異様に耳をつく甲高い音は、キレかけたルーツの意識をよりいっそう逆撫でしていた。
 同時に、戦術情報ウィンドウに先の攻撃による損害状況がリポート。
 それを見たルーツの表情が、はっきりと青ざめた。
 
 損害状況報告
  胸部装甲 被弾
  損耗率:42.34% 
  電子装備系統に一部障害発生 稼働率:98.47%
  コンディション:イエロー

  総合評価:グリーン 機体運用に問題なし
  戦闘続行の際に推測される被害オプションは以下のファイルの通り
  ……………

 端からは、ほぼ無傷のように見えているSガンダムだが、実際にはそこまでの幸運はルーツには与えられてはいなかった。
 完全に不意を打たれた一撃から、中枢コンピュータとコクピット、そしてパイロットを守りきった胸部装甲。
 MSの構成材質中もっとも強固なそれは、対価として与えられた性能の半分を喪失した。
 つまり、次はない―――とSガンダムは言っている。

 旧式とはいえ歴とした対MS弾頭の直撃を受けたのだ。
 生きているだけでも幸運、加えて未だ戦闘能力を維持しているこのSガンダムの状態は、まさに奇跡の範疇にはいる。
 だがルーツにとってそのような運命の女神の気まぐれなど問題ではない。
 口の中で、無数の罵りを上げながらルーツは見る。
 コンピュータによって3D補正を掛けられた宇宙空間に、はっきりと敵機の姿。
 
 確認するまでもなく、判る。
 ―――こちらに派手に一発見舞ってくれたのは、奴だ。
 
「やってくれたなァ、ジオン野郎……こいつはお返しだっ!」
 
 叫びながら、ルーツはSガンダム機体前部のバーニア・スラスター点火。
 一気に距離を取りながら、あからさまに鈍重そうなそのMSに対しロックオンを掛ける。
 ターゲット・アイコンがレッドからグリーンへ。
 
「行っけェェェェ!」
 
 攻撃、の表示がモニタに現れるのとほぼ同時。
 リック・ドムへと指向されたビーム・スマートガンの銃口から、高出力のメガ粒子ビームが発射される―――
 
 その、直前。
 目標機、リック・ドムの手から放たれた何かが、宇宙を焼く。
 閃光―――というほどではない。だが、遠くからも見通せそうな眩い青が、漂うように宇宙に浮かんだ。
 信号弾、とルーツがその光の正体に気づいたとき……
 
 ビーム・スマートガンからは、ルーツの攻撃命令に従い発射されたメガ粒子ビームが、あたりを漂う無数の塵を焼き払いながらリック・ドムへと駆け抜ける。
 
 Sガンダムのレーダーが、同時に、さらに三つの動体反応を検知したのは、ちょうどそのような瞬間である。
 そして、ルーツがその動きに気づいたのは、さらにもう一瞬という時間が必要だった。

72 名前:フレデリック=ブラウン:2003/04/21(月) 18:53

 >>71 
 
 ロックオン警報。 
 スクリーンが朱に染まり、砲撃の主を示していた。 
 来るのはメガ粒子の束、戦艦並みの一閃。 
 
「Shit!!」 
 
 そいつの行動は想像を越えていた。 
 数年来――下手をすれば、生き汚く蔓延るMS乗りの中でも最古参――の、 
知識にもない。一度、まんまと攻撃を受けた地点から逃げずに砲撃し返すなどと。 
 装甲への自信か。 
 強度を打ち崩されないのなら、棒立ちでの狙撃が一番恐ろしい。これがガンダム 
故の能力だというなら、ジオニックへ恨み事を列ねたくなった。前線兵どもが口に 
する様に。クソZIONICめ、奴らの10分の1の性能も寄越せ。奴らの棺桶は常に 
最新式で、デカデカと十字まで彫られていて、こっちの白木の箱とは大違いだ。 
燃えるは同じでも掛ける金はかけ離れている。 
「ガンダム野郎め、吠えていられると思うな」 
 スラスターに火を。 
 熱核ロケットの出力を臨界へ。 
 有りっ丈の推進剤をばらまいて、漆黒の機体は圧倒的な慣性力を得た。 
新兵坊主なら五回はくたばる軌道を描いて、瓦礫と残骸が漂う宙域を高速で飛ぶ。 
掠る岩を押し、絡むワイヤーを千切り、リック・ドムUの鈍重な機体が疾った。 
 
 光がついにリック・ドムUへ到達した。 
 ビームが薙ぎ払われる。戦艦か、それ程の熱量が脇を掠めていった。触れた岩塊は 
蒸発し、鉄片は沸騰し、高張力金の装甲は泡立ち熱に歪む。直撃を受けたら――後、 
数メートル近ければ、骨董品じみたMSは吹き飛ぶ。 
 大したハンデだ、嗤いが止まらない。 
 操縦桿を握る指が震え、ペダルを踏み込む足が霞む。 
 ああ、この感覚――俺はあの古い戦争を思い出していた。 
 日夜死に溢れ、ボロ屑の様に負け果てた戦を。 
「モーデル、親父さん……俺はまだ戦争をしてるぞ」 
 感傷に浸る暇も余力も、今はない。 
 ガンダム野郎を引きつけて、活路を開くしか生きる術など無いのだ。 
「今の今まで兵隊豚だ……お陰で、あんたらの元には行けそうもない」 
 残る武器はラテーケンバズの弾頭が7、シュツルム・ファウストが2、ヒートソード 
が一振り。クラッカーは信号で使い果たし、拡散メガ粒子砲も役には立つまい。 
「だから、な」 
 切り札はシュツルム・ファウスト。 
 対MS榴弾ならば、多少はマシな効果が得られるだろう。 
 駄目な時は……機体毎ぶつけるしかない、が。 
「死ぬわけにもいかなくてな!」 
 
 礫岩の一つを蹴り飛ばす。ガンダム野郎に岩が向かうのを見送る間もなく、 
反動で逆方向へ加速。スラスター駆動、アポジモーター作動、姿勢制御。 
同時にターゲットスコープにガンダムを収め、ロックオン。ラテーケンバズの
トリガーを引き絞ると、さらに加速した。 
 漂流物の海にリック・ドムUは消える。総合的な運動性の低さを反射神経だけで 
誤魔化しながら、間合いを詰める方向へ黒のMSは動き始めた。 
 
 遠から微かに届く、マウアたちの通信を。 
 動き出した作戦を意識の片隅で捉えながら。 

73 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/23(水) 00:54

>>72
 
 闇色の宇宙を奔るメガ粒子。
 ビームライフルとは桁違いの出力を誇るビームスマートガンの一撃は、射撃軸線上を横切るかつての戦争の残骸を塵へと還元させながら眼前に浮かぶ骨董品へと直進した。
 ピンク色の閃光が、リック・ドムの機影をかすめるように突き刺さる。
 
 ―――爆発。
 衝撃がSガンダムの機体とコクピットを揺らす。
 周囲の浮遊物を飲み込みながら膨張する火球。膨大な熱量により変質した無数の鉱物や金属の破片が、Sガンダムの装甲に跳ね返る。
 撃墜を確信して、ルーツはヘルメットの中でへっ、と声を上げた。
 だが、その笑いは一瞬で驚愕に変わる。戦術ディスプレイに表示。
 <Fail>―――攻撃失敗。

「……何ィ!?」
 
 次の瞬間、レーダーに動体反応。
 未だ存在を続ける火球の内側より、粉塵と熱核ロケットの蒼い炎の尾を引いてリック・ドムがその姿を現した。
 子細に見れば、その機体には無数の損傷が見られる、決して無傷ではない。
 しかし、何事も無かったかのように機動を続けるリック・ドムの姿は、ルーツにはなにか、異質なものに味方された死神のように見えた。

「クソッタレ―――こちとら”ガンダム”なんだよっ!」 
 振り払うようにルーツは叫ぶ。
 甲高く攻撃失敗を伝え続ける戦術情報システムの警告を、ルーツは殴りつけるように解除。
 間髪入れずにメイン・スラスター点火。スロットルを全開、Sガンダムを最大加速。
 残骸の中を逃げるように進むリック・ドムを追撃する。
「ぐ・う・う――――」
 加速Gに押しつぶされそうになるのを、歯を食いしばって、耐える。
 だが、その瞬間……
 
 リック・ドムが蹴り付けた礫岩が、加速を続けるSガンダムの機体へと及ぼうとしている。コクピットに衝突警報。
 冷静に見れば、岩自体の大きさは、さほどではない―――ついでに言えば、その接近速度も。
 だが、Sガンダム自らの高加速が、結果としてお互いの相対速度を絶望的なものにする。
 仮に直撃したならば―――その後のことは考えたくもなかった。
 
「ジオン野郎が……!」
 吐き捨てながらルーツはビームスマートガンを射撃。
 放たれたメガ粒子は、今度はなんの間違いもなく、迫り来る礫岩を一撃で蒸発させた。
 その膨大な熱量が残る空間を、Sガンダムは躊躇無く突き抜ける―――だが瞬間、残留熱量にやられたセンサーがブラックアウト。
 それはほんの僅かのことだったが、ルーツがリック・ドムの機影を完全に見失うには十分な時間だった。
 

74 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/23(水) 00:56

>>73
 
「あの野郎……何処に行きやがった!?」
 怒鳴りながら、ルーツは周辺宙域の索敵データをモニタに表示。
 Sガンダムの機体を瞬時に制動させると、即座に迎撃体制を取る。
 モニタには、奴―――こちらを攻撃してきたリック・ドムの姿はない。……が、しかし。
 まったく別の反応が、レーダーに、あった。
 
 距離―――およそ19,000。Sガンダムのセンサー有効半径ぎりぎりに、未確認機。
 7時方向、その数、三機。
 
 敵の別動部隊である可能性、大。
 要迎撃対象と判断―――
 
「このコースは……シグマンとテックスを追ってるのか?」
 つまり、ペガサスVに向かっている。
 と、言うことは。
 
「アイツは……囮かっ!」
 敵に完全に振り回されている事実に、ルーツは激しい怒りを覚えた。
 同時に、思う。奴らを行かせてはならない。
 ほとんど反射的なその思考を、ルーツは即座に実行に移した。
 機首を反転させ、再びスロットル全開。この宙域から抜け出そうとしている三機に向けて、猛烈な加速を掛ける。
 
「行かせるかよォォォォォッ!」
 ルーツの雄叫びが ヘルメットの内部で反響する。
 その自らの声を聞きながら、Sガンダムの攻撃モードを切り替えた。
 射撃精度、精密射撃・モードA。目標設定、最適攻撃対象に固定―――
 
 ウィンドウに表示、<FIRE>。ルーツは、Sガンダムを通じてビームスマートガンに攻撃命令を下す。
 遙か彼方の敵影に向かい、撃ち出されたメガ粒子の束が三度宇宙を切り裂いた。直撃コース……
 
 だが、ルーツがその結果を確認するよりも速く。
 Sガンダムの機体を、再び爆発の衝撃が襲っていた。
 
 粉塵の中で、ルーツは見る。
 振り向いたそにに、武器を構えてこちらを見据えるリック・ドムの、真っ赤なモノアイを。
 直撃ではない―――と、Sガンダムの中枢コンピュータは告げた。
 しかし、そんなことには関係なく―――

 リョウ・ルーツの意識は、音もなく爆発した。
 Sガンダムの機体は、リックドムに向け真っ直ぐに突進をする。

75 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:34

 
 眼下に見えるは1つの島、ですの。
 中央に巨大なビルがそびえる「Gアイランドシティ」とかいう名前ですの。
 
「……目標はαナンバーズ、ですのね」
 
 
  ――――私が作られた所は真っ暗な闇の中でしたの。
        目を凝らして、回りを見ると、そこは1つの小さな空間でしたの。

        私を創ったモノが命じますの。
                            ―――滅亡と進化をもたらす事を……
        私の中の何か求めていますの。
                            ―――1人の男性の事を……
 
 
 遠目に見える3つの船。
 あそこに地球の最強の矛と盾である人たちが詰まっていますの。
 彼らを排除すれば、事を成す事は容易いはずですの。
 全てを消去し、再生を始めるに当たって、彼らの力は脅威ですの。

  ――――私はその空間から出られませんでしたの。
        その空間―ペルゼイン・リヒカイトは私のゆりかごであり、
        私を束縛する鎖であり、私を閉じ込める牢獄でしたの。
 
        思い出しますの。
                   ―――紅蓮の炎の中で焼けていく女性の事を……
        気になりますの。
                   ―――朽ちていく女性をかばう男性の事が……
 
「ペルゼイン、お願いしますの」
 
 私の声とともにペルゼインの両肩の鬼面が蠢きますの。
 私の命を受けて2つの鬼面は翼を生やし、ペルゼインの前に出ますの。
 2つの鬼面が光りだしますの。
 
 
  ――――出られない理由は簡単でしたの。
        ペルゼインは私であり、私はペルゼインですの。
        ペルゼインのコアとなっている私はペルゼインから出る事は出来ませんでしたの。
 
        移植されましたの。
                    ―――ペルゼインの細胞が朽ちていく女性に……
        欲されましたの。
                    ―――サンプルとしての地球人が……
 
 
 2つの鬼の面が二筋の巨光が吐き出しますの。
 飲み込みましたの、3つの船を………
 
 
  ――――私はペルゼインの中に居る限り、傷つく事はありませんの。
        私はペルゼインの外に出ると、身体が崩れて消滅してしまいますの。
        私はペルゼインの中の世界しか実感で知る事は出来ませんの。
 
        生き返りましたの。
                     ―――その女性が……
        創られましたの。
                     ―――その女性のデータを元に私が……

76 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:35

>>75
「……壊れてない?」
 
 3つの船は所々破損しつつも、原型を保っていましたの。
 ……関係ないですの、ならば、壊れるまで攻撃しますの。
 
 
  ――――私には分かりませんの、私の気持ちが……
        私の考えている事は私のオリジナルである女性のものかもしれませんの。
        私の思考が、心が、アルフィミィという人格のモノである保証はどこにもないですの。。
 
        不安ですの。
                 ―――私という存在がハッキリしない事が……
        欲しいですの。
                 ―――私という存在を証明してくれるモノが……
 
 
「ペルゼイン、もう一度……」
 
 再度、命令を下しかけた時、白い機体が船から――――――

77 名前:アイビス・ダグラス ◆gUDjtt.k1E:2003/04/23(水) 01:38

>>75>>76
カタパルトから離脱後、テスラ・ドライブを全開。
最大戦速で鬼面を象った赤い機体に肉迫する。

「アイビス、油断しないで! あの機体、放射しているエネルギー量から考えても…」

コ・パイロット席のツグミが警告を発する。

「言われなくてもわかってるよ!」

大体、戦艦三隻への攻撃…そして、損傷具合。
あれだけで相手の力の程は十分すぎるほどわかる。

「でも、止められなきゃ、宇宙へは行けない!」

通信機が音を立てる。
…誰?
ダメ、ノイズが強くて音声しか届かない…

「…アルテリオン一機じゃ無理だ、戻れ…っ」

…確かに、無理かも知れない。
第一、アルテリオンの装備じゃ、あの敵に勝てるかどうか…

「今、動ける機体は他にないでしょう!? 私たちが敵をひきつけますから、その間に宇宙へ!」

一瞬、弱気になったあたしに返す間も与えず、ツグミが返信、そのまま通信をカットする。
そうだ、今動けるのはあたしたちだけ…アルテリオンだけなんだ。

操縦桿を握る手が汗ばむ。
鼓動が早くなる。
落ち着け、落ち着くんだアイビス。

「スロットルアップ、一気に行く!」

アルテリオンをCFモードのまま、全速で飛ばす。
鬼の面を象った赤い機体がこちらを認識…その瞬間にツグミがマニューバーパターンをロード。

一瞬、メインドライブが停止。それと同時に、側面の補助バーニアをフルブースト。
横殴りのGが全身にかかる…でも、それも一瞬。
ほんの数秒のバーニア機動で、アルテリオンは横滑りに移動した。

つまり、赤い機体の側面に。

「GGシステム・セット…ゴーッ!」

再度メインドライブをフル稼働させると共に、アルテリオンに搭載された90mmキャノンが火を噴いた。

78 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:41

>>77
 
「ペルゼイン、あの機体のデータ、分かりますの?」
 
 ――――――ペルゼインから、私にデータが流れ込んできますの。
 
 ―――シリーズ77α『アルテリオン』、DC製アーマードモジュール。
 ―――恒星間航行を目的として、開発させた機体。
 ―――現在では戦闘用に改修され、高速戦闘に特化した機体となっており……
 
 
「……右?」
 
 一瞬の思考の間にアルテリオンはペルゼインの右側面に………
 そして、爆音とともに揺れるペルゼイン。
 
「……少し、びっくりしましたの。けれど、この程度なら、問題ないですのね」
 
 ペルゼインならこのくらいの傷、すぐに治ってしまいますの。
 ほら、穿たれた穴がみるみるうちに塞がれていきますの。
 
「けど、データ通りなら、もっと早いはずですのね、あの機体は………」
 
 疑問に感じましたの。
 データ通りなら、さっきの隙に私は反応出来なかったはずですの。

79 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:42

>>78
「………ペルゼイン、あの機体のパイロットのデータ、お願いしますの」
 
 ―――アイビス・ダグラス
 ―――元DCのテストパイロット。
 ―――訓練中の墜落事故が精神的外傷となっており、それが元でDCを脱退。
 ―――以後もそれを引きずり、性能を発揮出来ない。
 ―――性能的にはαナンバーズでも劣位にある。
 
 興味がわきましたの。
 苦悩するという感情、彼女は持っていますの。
 
 私は空っぽ、何が自分なのか、分からない。
 思考する行為自体、オリジナルのものかもしれない。
 このもやもやする気持ちが何なのか、分からない。
 けど、彼女と接触すれば苦悩するって事が分かるかもしれませんの。
 
「ペルゼイン、お願いしますの」

 ペルゼインの左手から一本の刀が産みだされますの。
 それを右手に持ち、構えながら私は彼女へと声をかけましたの。
 
「……本当なら、その機体はもっと性能は上のはずですの」
 
 知りたい、ですの。
 苦しいって事がどういうことなのか。
 辛いって事がどういうことなのか。
 
「怖くないですの? 怯えていませんの? 堕ちる事に――――。
 逃げてしまわないんですの? 皆の足を引っ張っているのは明らかなのに」
 
 ペルゼインの右手がすっと上がり、振り下ろされますの。
 その瞬間に大気が引き裂かれ、真空の刃が作られ、彼女の機体へと飛来していきますの。

80 名前:アイビス・ダグラス ◆gUDjtt.k1E:2003/04/23(水) 01:44

>>78>>79
「再生…してる!?」

赤い機体に穿たれた穴がみるみるうちに塞がっていく。
自己再生…そんな能力まであるって言うの?

「ダメ、再生速度が速すぎる…GGキャノンじゃ効果ないわ」

ツグミがデータを分析して告げる。
その声も僅かに震えている。

「そんな…っ」

確かにGGキャノンはアルテリオンの武装の中で最も威力が低い。
とは言え、これが効果がないとなると相当に厳しい。

アルテリオンを尻目に赤い機体は刀を構える。
接近戦が得手…なの?

…次の瞬間、あたしたちは驚愕した。

「お、女の子の声?」

赤い機体から聞こえてきたのは女の子の声…それも声の調子からしてイルイと同年代の女の子の声だ。

『……本当なら、その機体はもっと性能は上のはずですの』

な…何で、この一瞬でそんなことがわかるの…

確かに今のアルテリオンにはリミッターが掛けられている。
今のあたしの腕では、アルテリオンを十全に扱えないから、とツグミが掛けたリミッター。
そのことを一瞬で看破するなんて…いったい、何者?

81 名前:アイビス・ダグラス ◆gUDjtt.k1E:2003/04/23(水) 01:45

>>80
『怖くないですの? 怯えていませんの? 堕ちる事に――――。
 逃げてしまわないんですの? 皆の足を引っ張っているのは明らかなのに』

今度こそ。
今度こそあたしは愕然とした。

「な、なんで…何でそのことを知ってる…の…?」

――――あの時の光景が浮かぶ。
        フレームの軋む音。
        今にも何処かへ飛んでいきそうな操縦桿。
        そして、激しすぎるGに朦朧とする意識――――


「アイビスっ!」


ツグミの叫びに一瞬飛んでいた意識が戻る。
目の前の赤い機体が右手の刀を振り下ろすのを認識…大丈夫、まだ距離はある。

「うわぁっ!」

だけど、身体が反応した。
テスラ・ドライブの力場を横方向に変位させ、刀の前から離れる。

「な、何…今、ぞくっとした」

だが、急な力場の変位が拙かったのか、一瞬テスラ・ドライブが停止する。
…墜ちる!?

「…っ!?」

必死に操縦桿を引きながら、テスラ・ドライブを再起動。
地面に接触する前に、何とか機体の制御を取り戻す。
…大丈夫、まだ飛べる。

82 名前:アイビス・ダグラス ◆gUDjtt.k1E:2003/04/23(水) 01:46

>>81
「アイビス、落ち着いて、相手に呑まれちゃ駄目よ!」

ツグミの声。
心配してくれてるのだろうけれど、今はそれが逆に疎ましく感じる。

「わかってるよ、少し黙って!」

言ってから後悔する、けどもう遅い。
いつだってこうだ、あたしは…

「…アイビス、07スタンバイ!」

一瞬、ツグミが黙った。
でも間髪を入れずに次の指示が来る。

「りょ、了解! モード切替、CTM…」

火器管制モードをCTMモードに切り替え、照準補正をツグミに回す。
ターゲットサイトを固定しながら、赤い機体と交錯する軌道を算出。
直前でターンを決めるようマニューバーパターンをセット。

…大丈夫、大丈夫。
アルテリオンはいい子だ、ちゃんとマニューバー通りの機動をしてくれる…

「行けーっ! プロミネンス、ファイヤ!」

サイトに映る鬼面を見据えながら、トリガーを引いた。
プロミネンスタイプの誘導ミサイルが二本、赤い機体目掛けて飛んだ。

83 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:49

>>80 >>81 >>82
 
「……………」
 
 ペルゼインから送られてきたデータを元にミサイルの弾道計算。
 距離、速度、角度――――今、ですの。
 刀を右に薙ぎ、一つ目が両断。
 返す刀でそのまま、二つ目のミサイルを叩き落しましたの。
 推力を失ったミサイルはそのまま、落下し爆発して、塵と消えましたの。
 
「……」
 
 けど、感じますの。
 その不安定な動きから――――あなたの震える気持ち、恐れる心。
 私はもっと、あなたの事を知りたいですの。
 私が私になる為に、気持ち、心というモノを教えて欲しいですの。
 
「ペルゼイン、彼女に関してのデータ、何でもいいから出して欲しいですの」
 
 ―――スレイ・ブレスティ
 ―――元DCのテストパイロット
 ―――アルテリオン開発者、フィリオ・ブレスティの妹
 ―――アルテリオンを事故で大破させ、逃げるように姿を眩ましたアイビスを追い続けている。
 ―――幾度かのアイビスとの交戦も確認されている。
 
 ……分からない、ですの。
 ……知りたい、ですの。
 このように人の恨み、を買ってまで、なおもパイロットであろうとする彼女が――――
 モノに執着するという気持ち、知りたいですの。
 
「それでは到底、私に当たりませんの。もっと、気を入れて欲しいですの」
 
 彼女の機体に向かって、再度、声をかけましたの。
 
  ――――気になりますの、あの人の事。
        あの人の事を考えると胸がもやもやしますの。
        でも、それはオリジナルの気持ちかもしれませんの。
        私の気持ちである保証は何処にも無いですの。
 
        でも、これを仮に執着と呼ぶのなら………

84 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:49

>>83
「教えて欲しいですの、アイビス。
 どうして、アルテリオンのパイロットに執着するんですの?
 そこに意味はあるんですの? 何か欲しいんですの?」
 
 ペルゼインの各所、顔、肩、腹、足―――の鬼面が光りだしますの。
 
  ――――執着というものを理解する事で、私があの人の事が気になる理由……
        それが分かるかもしれませんの。
        私の気持ちかどうか、分かりかもしれませんの。
 
        だから、それを私に教えて欲しいですの、アイビス。
        そんな不完全な性能で何故、そこまで出来るかを――――
 
「……スレイに恨まれて、怨念を買ってまで執着する意味はありますの?
 一体、何がそこまであなたを駆り立てるんですの?
 不完全な性能のあなたでは、アルテリオンを使えないですのに………」
 
 ………
 
 ………数瞬の間の後、ペルゼインの全身の鬼面から、無数の光の筋が産みだされますの。
 それらは周囲を白く塗り潰して、そして―――――――

85 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 01:51

>>83>>84
「くっ、ダメなの…」

赤い機体は、プロミネンスを二本とも刀で斬り落とした。
その流れるような動きから考えても、パイロットの技量はかなりのものなのは見て取れる。

もっと近づいて攻撃しなけりゃ…
でも、さっきのマニューバーパターン以上に近づけば、テスラ・ドライブの重力制御は無効になる。
人命を優先して組まれるマニューバーパターンでは、重力制御が無効になるような機動は出来ない…

「こんなの、どうしろって言うのよ…!」

弱音が口を吐いて出る。
近距離からのミサイルすら斬り落とすなんて、出鱈目だ。勝てっこないじゃない。

知らず、操縦桿を握る手が震える。
このまま続けていたら、またあたしは墜ちる。
最後に残った翼、傷付いた翼すらもぎ取られるって言うの…?

怖い、怖いよ…

「アイビス、落ち着いて…まだ終わってないわよ!」

ツグミの声が遠く聞こえる。
あは…ツグミも災難だよね、こんなあたしみたいなのに付き合ってさ…

俯くあたしに、またあの声が問いかける。

86 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 01:51

>>85
『教えて欲しいですの、アイビス。
 どうして、アルテリオンのパイロットに執着するんですの?
 そこに意味はあるんですの? 何か欲しいんですの?』

何で、だろう。
あたしは何で、アルテリオンに執着してるの…?
フィリオが最期に遺した機体だから?

――――赤い機体の各所に象られた鬼面が、ほの白い光を放ち出す。

『……スレイに恨まれて、怨念を買ってまで執着する意味はありますの?
 一体、何がそこまであなたを駆り立てるんですの?
 不完全な性能のあなたでは、アルテリオンを使えないですのに………』

スレイ。
そうだ、スレイ…彼女ならあたしよりも巧く、アルテリオンを使えるだろう。
そして、フィリオの夢を…銀河を飛ぶという夢を果たしてくれるはず。
なのに、なんであたしはそれを拒んだの?

「違う! アイビスなら、アイビスならきっと誰よりも巧くアルテリオンを使えるはずよ!」

…冗談。
それは買いかぶりすぎだよ、ツグミ。

あたしはこうやって恐怖に怯えてるのがお似合いな出来損ないなんだよ…
だからさ、あんたはスレイの所に行っておくべきだったんだ…あたしなんか放っておいて、さ。

――――鬼面の放つ光が、輝きを増す。

87 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 01:52

>>86
「銀河を翔る夢を誰よりも強く持ってるアイビスじゃなきゃ出来ないのよ!
 何も知らないあなたが、勝手なことを言わないで!」

…ツグミ…泣い、てるの?
…あたしなんかのために…泣いて、るって言うの?

――――そして、光が閃光となって視界を埋め尽くす。
        その光を反射して、あたしの胸のペンダントが光る。

「……!!」

意識が真っ白になる。
いつもの昏くなる感覚じゃなく、むしろ全てが光に包まれるような…

そして、アルテリオンのテスラ・ドライブが吠えた。

88 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:54

>>85 >>86 >>87
『違う! アイビスなら、アイビスならきっと誰よりも巧くアルテリオンを使えるはずよ!』
 
 返って来たのは彼女、アイビスの声ではありませんでしたの。
 
『席次なんかじゃない、銀河を翔る夢を誰よりも強く持ってるアイビスじゃなきゃ出来ないのよ!
 何も知らないあなたが、勝手なことを言わないで!』
 
 ―――そして、ペルゼインの放つ白い光に満たされる空間……
 
 ――――――
 
 ―――
 
 ―
 
「……驚きましたの」
 
 アルテリオンは無傷でしたの。
 四方八方に放つ『ライゴウエ』は極めて回避困難な代物ですのに………
 先ほどより、少し、動きが良くなっているんですの?
 何故、ですの?
 
「……ペルゼイン、もう一人のパイロットのデータ、出してくださいの」
 
 不思議ですの。
 あの声の後、アイビスの性能が上がっているみたいですの。
 どういう要素が絡んだんですの?
 
  ―――ツグミ・タカクラ
  ―――恒星間航行計画「プロジェクトTD」の元・技術者
  ―――アイビスのDC脱退後、彼女を追って、DCを脱退、行動を共にしている。
 
 ……気になりますの。
 どうして、そんなに信じる事が出来ますの?
 
 ……違いますの、信じるって事、どういう事ですの?
 教えて欲しいですの。
 ペルゼイン以外何も無い私にはまだ理解出来ない事ですの。
 
「……どうして、そんなにアイビスを信じる事が出来ますの?
 信じる事に意味はあるんですの?」
 
 彼女達に向かって話し掛けますの。
 
  ――――私のオリジナルの女性は何時も彼の事を思っていましたの。
        だから、私も彼の事が気になりますの。
        私の胸がもやもやしますの、けれど、この気持ちは何なのかが分からない。
 
        だから、あなたたちに答えてもらいますの。
        そうすれば、少しは分かるかもしれませんの

89 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 01:55

>>88
「出来る、出来ないの問題ではないですの。
 ただ、アイビスは失敗して、逃げた、それだけの問題ではないですの?
 どうして、それでも逃げたアイビスについていきましたの?」
 
 ペルゼインの両肩の鬼面に翼が生え、手足が生え、ペルゼインから分離しますの。
 
  ――――私の側には誰も居ませんの。
        アルフィミィとして存在を始めた時から、あるのはこの小さな空間だけですの。
        だから、私には何も分からないですの。
 
「答えて欲しいですの。
 ツグミは何か得るものがあるんですの?
 アイビスについていくことで………」
 
 2つの鬼面はゆらりゆらりと不規則な軌道でアルテリオンに向かっていきますの。
 捕獲してしまえば、その爪で装甲を引き裂く事ぐらい容易いですの。

90 名前:ツグミ・タカクラ ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 01:57

>>88>>89
「あなたは何も知らないのね。
 誰かを信じると言うことも、自分を信じると言うことも、きっと」

私は目の前の機体の主に向かって語りかける。
別に意味がある行動じゃない。けれど、アイビスが立ち直るまでの時間稼ぎにはもってこいだ。

無意識のうちに、DC時代の動きをしたとは言え、アイビスはまだ吹っ切れていない。
なら、その時間を稼ぐこともパートナーである私の役目だ。

「…ええ、確かにアイビスは心の傷に耐えかねてDCを去ったわ。そして、私はその後を追った。
 それは、フィリオ・プレスティが、そして何より私が望んだから」

そう…あの日、アイビスがDCを去る日にフィリオは私に言ったのだ。
『アイビスを頼む』
と。

でも、私はその言葉に従ったからではなく私自身の意思で、アイビスを追った。

「私は、アイビスのことが好きだから。
 何度も挫けそうになって、それでも夢を追うアイビスが好きだから」

DCにいた頃のアイビスはいつだって一生懸命だった。
ナンバー1だったスレイとの技術の差は誰の目にも明白だったのに、彼女はそれでも諦めなかった。

「…ねえ、アイビス、覚えている?
 あの日…一緒に星を見たのを」

あの日…あの事故の前日に私たちは星を見た。
なんと言うこともない星空。
でも、何よりも綺麗だった星空。

「あの時、あなたは言ったわよね。
 こんな星々の間を自由に駆けめぐりたい、って。
 理由なんかどうでもいい、そこに星があるから、行ってみたいんだって、言ったよね」

何の気負いもなく、ただ純粋に。
夢を追い続ける、純粋で一途な少女の姿を。

私は覚えている。
私は忘れない。

あの時のアイビスの瞳は、星よりも輝いていたこと。
アイビスの夢は、何よりも輝いていたこと。

91 名前:ツグミ・タカクラ ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 01:57

>>90
「だから私はアイビスを選んだ。
 暗く静かな銀河の間を翔るものは、夢を追い続けられるものでなければならないから。
 それでいて、夢を夢のままで終わらせない、強い意志の持ち主でなければならないから」

アイビスはなり得なかった私の欠片なのだ。
星を夢見て、でも諦めてしまった私が本当になりたかった私。

「だから…アイビス…」

私は信じる。
アイビスが夢を捨ててなんかいないことを。
忘れてなんかいないことを。

「…信じてるよ」

92 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 01:58

>>90>>91
寸断されていた意識がゆっくりと覚醒する。
それはほんの一瞬の、でも致命的なあたしの弱点。
恐怖が心を支配し、閉ざしてしまうが故のこと。

でも…それでも。
こんなあたしでも、ツグミは信じてくれている。

今、ようやくわかった。
信じると言うことは、信じられると言うこと。

ならあたしは、応えなきゃいけない。
ツグミの思いに。
そして、αナンバーズのみんなの思いに。

胸元のペンダントが、微かに揺れる。

「…負けられ…ないんだっ!」

迫る鬼面の間ギリギリの軌道を算出…
そのピーキーな軌道に、マニューバープログラムがアラートを発する。
アラートを無視して、スロットルアップ。
テスラ・ドライブが唸りを上げる。

こちらの動きを察知したのか、鬼面がゆらゆらとその間を狭める。
今にも交差しかねない軌道にアラートが盛大に鳴り響く。

それでも、スロットルは緩めない。
フラットアウトのまま、アルテリオンの姿勢を水平から九十度傾ける。
大気圏内飛行のため、ある程度空力特性も計算して作られたアルテリオンは、全幅よりも全高の方が短い。
そのうえ、尾翼代わりのフラップも閉じればその長さは半分以下にもなる。

つまり、この幅なら鬼面の間をすり抜けることだって出来る、と言うこと!

「…おまけだよっ!」

すり抜ける一瞬に、GGキャノンを発射。
鬼面に一撃を加えつつ、突破する。

そして、狙いはその後ろの赤い機体。

「弾体加速…Gドライバー・シュート!」

アルテリオンの両端…
飛行機で言えば翼に当たる部分から、テスラ・ドライブの重力制御によって加速された弾体――Gアクセルドライバーを二発放つ。

93 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:02

>>90 >>91 >>92
『あなたは何も知らないのね。
 誰かを信じると言うことも、自分を信じると言うことも、きっと』
 
 ……胸が痛みますの。
 私には信じるモノが側に無いですの。
 ただ、新しい人間のサンプルとして創られた私には………
 
 信じるべき自分もありませんの。
 アルフィミィという存在自体が空っぽですの。
 なにもないものは信じる事も出来ませんの。
 
 ―――そもそも、私には信じるという行為自体、分かりませんの。
 
『――私は、アイビスのことが好きだから。
 何度も挫けそうになって、それでも夢を追うアイビスが好きだから』
 
 好きって何ですの?
 信じると言う事と又、違いますの?
 好きだから助けられますの?
 
 分かりませんの……。
 好きになって気持ち、この胸のもやもやする気持ちと同じですの?
 
『だから…アイビス…』  『…信じてるよ』
 
 そして、呟かれる声。
 数瞬後、見違えるかのような動きで、
 2つの鬼面の間をすり抜けて来るアルテリオン。
 
「……………」
 
 私は……本当に何も無いんですのね。
 このようなに私に声をかけてくれる人があれば、私も自分自身を信じる事が―――――
 けど、空っぽな私には誰もいませんの。
 このもやもやする気持ちだけが………
 
  ――――爆音、そして大きく揺れるペルゼイン……
 
「……当たりましたの―――?」
 
 ペルゼインの腹部に大きな穴が開いていますの。
 私の意識の空白の間に、大きな痛手を貰ってしまいましたの………
 
「……………」
 
 右手に持った刀でアルテリオンに斬りかかりますの。
 けれど、見違えるようなアルテリオンの動きに対して、ペルゼインの動きはとても鈍かった、ですの。

94 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:04

>>93
アルテリオン目掛けて振り下ろされる刀。
でも、さっきまでの威圧感もスピードも感じない…これなら、いける。

「見切った!」

余裕を持って回避に成功。
そのまま、赤い機体の脇をすり抜ける。

次瞬、閃光と共にGアクセルドライバーが着弾。
でも…

「駄目…あれじゃすぐに再生してしまうわ」

戦闘データを分析しながら、ツグミが警告を発する。
やっぱり…そうか。
なら…

「グランエクス…」
「グランエクスってまさかマニューバーGRaMXs!?」

ツグミが驚いた声を上げる。
GRaMXs――重力制御応用の急加速突撃、ならびに攻撃対象との交差射撃による空間戦術――
それは…

「あなたがDC時代に事故を起こした最高級難度の空間戦術よ…!」

そう、あたしはこのマニューバーGRaMXsに失敗して…墜ちたのだ。

「あいつを倒すには相手の機動制御半径に飛び込んで、再生する間を与えずに攻撃を加えるしか…GRaMXsしかない…!」

「…………」

僅かな逡巡…
当然だろう、あたしが操縦桿を握っている以上、ツグミの生命もあたしの技量にかかっている…そう簡単に決断出来るものじゃ…ない。

「わかったわ、アイビス。あれをやるならアルテリオンの力を100%引き出す必要がある…テスラ・ドライブのリミッターをリリースするわ。
 リリース後、アルテリオンの機動力は未知の領域に入るわよ…」

…ありがとう、ツグミ。

「…準備はいい?」

ツグミがリリース手順を進めながら、聞いてくる。
準備…あ。

「ちょっと待って・・・」

ぎゅっ、と胸のペンダントを握りしめる。
挫けそうになるあたしを幾度も励ましてくれた、大切な…ペンダント。

「…そのペンダント、もしかして…?」

ペンダントを認めたツグミが問いかけてくる。
そのツグミに向かって、答える…

「そう…お守り代わりにもらったの…」

そう、これはお守り。
あたしが挫けずにいるための…
そして、あたしとみんなが繋がっていることを教えてくれる…大事なお守り

「じゃあ絶対に約束を果たさなくてはね」

微笑みながら、ツグミが言う。
そうだ…あたしは約束したんだ…もう一度宇宙に行くって。

「ああ…! アルテリオンが真の力で飛ぶように、あたしも昨日までのあたしじゃない!」

もう、過去は振り返らない。
忘れるんじゃなくて、乗り越える。
忘れていたあの時の気持ち…スレイに、みんなに負けまいとしていたDC時代の気持ちを思い出せ。
そうだ…あたしは…

「あたしは飛んでみせる…!」

95 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:05

>>94
「コードナンバーF−77X、テスラ・ドライブ稼動リミット解除!」

ツグミの宣言と共に、アルテリオンの挙動が変わる。
今まで何処か余裕のあった操縦桿が、ぐん、と重くなる。
これが…アルテリオンの真の力…

スロットルを全開状態で固定する。
封印していたマニューバーGRaMXsをロード。

テスラ・ドライブが吠える。
その重力制御の殆どを加速にのみ当てるため、コックピットの慣性緩衝はほとんど無い状態になる。
指を動かすだけで、ぎしぎしと身体が軋む。

「フィリオ…みんな! あたしに勇気を与えて!」

ツグミの算出した敵の予測軌道がサブディスプレイに表示される。
そのさらに内周に抉り込むような軌道で、アルテリオンを操縦。
このGの中では、僅かな距離・速度・角度のミスも許されない。

「ツ、ツグミ…07…タイミングお願い!」

この状態では火器管制はツグミに任せるしかない。
あたしの声に、頷くツグミ。

「カウント・スリー・ツー・ワン・ゼロ!」

プロミネンスを発射、だがそれよりも速い速度で敵に肉迫。
ローリングを繰り返しながら、GGキャノンを連射。
とは言え、ただの連射ではない。
敵の回避軌道すら予測した、まさにギリギリの予測射撃だ。

軌道交差0.5秒前。

ドライバーの弾体を、加速無しで射出する。
アルテリオンの加速度の高さのため、弾体は丁度アルテリオンの前方数メートルで静止したような状態になる。

軌道交差0.2秒前。

その弾体を核に、テスラ・ドライブの余剰エネルギーを重力フィールドとして放射。
丁度、槍のようなブレイクフィールドが形成される。
これで…!

軌道が、交差した。

「フィニーッシュ!」

96 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:07

>>94 >>95
「……………」
 
 再度、ペルゼインを襲う衝撃。
 けれど、実感が湧きませんの。
 もしかすると、やられるかもしれないというのに………
 
「どうして、そんな事が出来ますの……?」
 
 分かりませんの。
 
 先ほどとは段違いなアルテリオンの動き。
 一体、何が起こりましたの………?
 
 分かりませんの。
 
「……かわしきれませんの?」
 
 まるでペルゼインの行動を読んだかのように向かってくる火線、弾頭。
 ペルゼインの胸に穿たれる穴、衝撃で揺れるペルゼイン。
 
 教えて欲しい、ですの。
 どうしてこうも数分前とは違う動きが出来るのか……?
 
 瞬く間にペルゼインに肉薄するアルテリオン。
 耳をつんざく爆音ともにぐらりとよろめくペルゼイン。
  
「――――直撃、ですのね……」
 
 右腹部が完全に吹き飛びましたの。
 けれど、それがまるで別世界の出来事のようですの。
 実感が湧かない、沸くのは疑問のみ、ですの。
 
  ―――考えますの。
 
      ツグミの言葉の後、アイビスは見違えるように機体を操り始めましたの。
      ツグミは言っていましたの。
 
      『だから…アイビス…』  『…信じてるよ』
 
      そう、でしたの。
      これが信じるって事ですのね。
      そして、それが生み出す力ですのね。
 
      ……私が望んでも、手に入れる事の出来ないものですの。
      空っぽの私には決して届かないものですの。
      欲するという気持ちさえ、あやふやな私には―――
 
 
 ぐらりと揺れるペルゼインの体勢を立て直し、アルテリオンと距離を取りますの。
 そして、私は声をかけましたの。

97 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:08

>>96
「……羨ましいですの、アイビス、ツグミ。
 何も無い、存在すらあやふや私に無いモノをあなたたちは持っていますのね――――」
 
  ―――その一方で湧き上がるモノがありますの。
 
      そう、アイビスとツグミは私に無いモノを持っていますの。
      互いに信じあって、力を出して、そして……
 
      けれど、私にはそれを手に入れる事は出来ませんの。
      ペルゼインから出る事すら出来ない私には、決して………
      手に入れようもありませんの。
      『私』というものすら存在しない私には、『私』を持つモノを手に入れる事は決して……
 
      悔しい、ですの。
      何も手にする事の出来ない自分自身が……
 
      羨ましい、ですの。
      私に無いモノをまさに私の目の前で手に入れた2人が………
 

      ――――――、――――、――ようやく理解しましたの。
 
      憎むという感情はこういうことでしたの。
      今、私は私に手に入れられないモノを手に入れた2人に消えて欲しいと思っていますの。
      届かない幻像なら、それは目障りなだけですの。
 
      この2人を消せば、ちくちくする心がきっと治まってくれますの―――
 
「今、理解しましたの、私は貴方達に消えて欲しいと思っていますの。
 目の前にいることが我慢なりませんの。手に入らないモノなら消えてしまえばいいんですの」
 
 ペルゼインと完全に意識を同調させますの。
 360度全ての風景が頭の中に浮かんできますの。
 全てが私の視界の中に入りますの。
 
「……今から、貴方達2人を本気で破壊しますの。
 そうすれば、このちくちくする心も治まるはずですの」
 
 意識を集中させますの、アルテリオンの動きに。
 浮かんできますの、数瞬先のアルテリオンの動きが………
 
 ほんの少しだけ、私は未来を見る事が出来ますの。
 普段は使わない力ですけど、あの2人を消す為なら一切の躊躇はしませんの。
 
「……行きますの」
 
 ペルゼインに出来うる限りの加速をかけて、アルテリオンに接近しますの。
 アルテリオンの動きは……右―――――
 私はそのまま刀を右に薙ぎましたの。 

98 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:09

>>96>>97
鬼面の機体を貫き、アルテリオンは再度舞う。

「やった…やったよ!」
「やったのよ、アイビス! あなたは悪夢を振り切ったのよ!」

そうだ。
あたしはもう負け犬じゃない…負け犬なんて言わせるもんか。

サブディスプレイに映る鬼面の機体を確認。
ぐらり、と揺れながらも体勢を立て直し、距離を取る。
全身に穴が穿たれてはいるけれど、まだ活動を停止していない…

「…まだ…っ!?」
「敵損傷70%オーバー…再生を考えても、損傷率は50%を越えるはずよ…」

ツグミが分析結果を伝える。
通常、損傷が60%を越えれば、余程の安定性がなければ戦闘継続は困難なはず。
だけど、再生すら完全でないこの状態で動けるところを見ると、かなり機体安定度も高いようだ。

『……羨ましいですの、アイビス、ツグミ。
 何も無い、存在すらあやふや私に無いモノをあなたたちは持っていますのね――――』

鬼面が少女の声を発する。
羨ま、しいだって…?
こいつ、何を言ってる?

「この子、やっぱり…」

ツグミが何かに気付いたように呟く。
いったい何なのか、あたしがツグミに問いかける間もなく、鬼面が言葉を続ける。

『今、理解しましたの、私は貴方達に消えて欲しいと思っていますの。
 目の前にいることが我慢なりませんの。手に入らないモノなら消えてしまえばいいんですの』

な…そんな、理屈で…

「ふざけないで! 子供の癇癪じゃあるまいし、そんな理屈…」

『……今から、貴方達2人を本気で破壊しますの。
 そうすれば、このちくちくする心も治まるはずですの』

…本気で破壊、だって?
今までは手を抜いてたってでも言うの?
…なら、こっちだって容赦なんかしてやるものか。

99 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:10

>>98
「待って、アイビス!」

ツグミの制止の声も無視して、グランエクスのシークエンスを確認。
都合の良いことに、相手が距離を取ってくれた。
これなら、グランエクスに必要なだけの加速度を得るには充分だ。

「…グランエクスで行く!」

テスラ・ドライブをフル稼働。
常識外れのGが全身を苛む。
機体がローリングしながら、ミサイルとキャノンが絶妙のタイミングで飛ぶ…
だけど。

「…当たらない!?」

相手の軌道を読み、その上での予測射撃を加えていると言うのに、コンマ数秒で軌道を変更し致命打を避ける。
まるで逆にこちらの動きを読んでいるかのような鬼面の動き。

「くっ、ならもっと接近して…」

さらに加速をかけて接近しようと、一瞬、ほんの一瞬だけアルテリオンが静止する。
その瞬間に。

鬼面が目の前に迫った。

「え…?」

慌てて操縦桿を左に切るが、まるでそれを予期していたかのように、鬼面は刀を薙いだ。
ダメ…避けられ、ない…

100 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:11

>>99
「わあぁぁっ!!」

とっさにアルテリオンをCFモードからDFモードに変形、マニュピレーターで鬼面の刀から本体を守りながら後退する。
衝撃。

慣性緩衝が無い状態での衝撃に、あたしの身体は激しく揺れる。
シートベルトが食い込み、息が詰まる。

「か…はっ!」

口の中を切ったのか、血の味が口中に広がる。

「アルテリオンの右腕マニュピレーター大破! 補助バーニアの13から21まで作動不能!」

やられた。
アルテリオンは高速戦闘に特化している分、装甲か薄い。
あんな重い一撃を食らってはこうなることは見えていた…でも…

「なんで…グランエクスが破られた…?」

相手の軌道を読み、その軌道では回避不能なタイミングで攻撃を行う。
そのグランエクスをああも見事に破るなんて…
いったいどういうこと…?

「…まるでニュータイプみたいな先読みの速さね。軌道を見切ったこちらの機動が終わるほんの僅か前に、その軌道と違う軌道に変化している…
 確かにグランエクスにも機動と攻撃のあいだにコンマ単位でのズレがあるにせよ…なんて相手なの…」

ツグミの声が暗く沈む。
まだだ、まだ。まだ何かあるはずだ。

101 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:15

>>98 >>99 >>100
 右腕を失いつつもアルテリオンはペルゼインから、間合いを取ろうとして、
 離脱しようとしますの。
 
「……………」
 
 ただ1つだけ、貴女たちに感謝している事がありますの。
 貴女達を消したいというこの気持ち。
 きっと、これだけは嘘偽りの無い私の気持ちですの。
 オリジナルの気持ちではない、アルフィミィという存在の気持ちですの。
 
 けれど、私にはこれ以上は手に入らない。
 やっぱり、何も無いんですの。
 やっぱり、何も得られないんですの。
 
 だからこそ、貴女達が我慢なりませんの。
 どうして、私は何も手に入れる事が出来ないんですの?
 どうして、貴女達は手に入れる事が出来るんですの?
 
 ……答えは私には分りませんの。
 けど、構いませんの。
 このちくちくした心が、ずきずき痛む胸が治ってくれるのなら、
 私は貴女達を消去しますの。
 
「―――逃がしませんの!」
 
 離脱しようとするアルテリオンにペルゼインは斬りかかりますの。
 
  まずは右袈裟に刀を振り下ろしますの。
          ――頭に浮かぶ一瞬後のアルテリオンのビジョンは左前方
 
  ぴたりと刀を止めて、左へと斬り上げますの。
          ――次のビジョンは下方への急降下
 
  斬り上げから、今度は斬り下ろしへと………
          ――次のアルテリオンの動きは……
 
 
 何時までもかわしきれるものではありませんの。
 私にアルテリオンの崩れた姿勢が『見えた』瞬間………
 それがアイビス、ツグミ、貴女達の最後の瞬間ですの。
 
  アルテリオンの胴に向かって、右から刀を薙いで………
          ――次、アルテリオンは後方への離脱……
          ――急激な軌道変化に耐え切れず、姿勢制御を失するアルテリオン……
 
 ―――これで終わりですの。
 貴女達の結末はもう見えましたの。
 ペルゼインが突きを繰り出しますの。
 このままアルテリオンを串刺しにして抉って、完全に破壊しますの。
 これで胸のちくちくは取れてくれますの―――――

102 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:16

>>101
DFモードのまま、距離を取ろうと機動を繰り返す。
だけど…

「引き…離せない?」

こちらの動作の一歩先を行くように、鬼面は斬りかかってくる。

拙い…DFモードのアルテリオンはCFモードに比べ、運動性で僅かに劣る上、
マニュピレーターを持つため、空力特性は格段に劣る。
通常であれば、二基のテスラ・ドライブがそれを相殺するけど、ここまでギリギリの機動を余儀なくされた状態が続けば限界が来る。
すなわち…制御を失うと言うこと。

そして、その瞬間が来る…!

「駄目っ! テスラ・ドライブ重力制御フィールド、限界よ!」

ツグミが悲鳴混じりの警告を上げる。

その機を逃すことなく、鬼面が止めの突きを放つ。
…まだ…だっ!

「く…い、行けぇぇっ!」

墜ちる勢いを殺さず、姿勢制御用のバーニアで僅かにベクトルを変える。
丁度突きに対して仰け反るような体勢…そして、その状態のまま、無理矢理DFモードからCFモードに変形。
加速用補助バーニアを全開、一気に距離を取る。

「何とか…凌いだわね。でも、このままじゃいつかはやられるわ」

何か、手を考えないと…
でも、既にアルテリオンが持つ最大の攻撃であるグランエクスは破られている。
こちらの攻撃にはあれ以上の速度を持つものは…

103 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:17

>>102

そ、うだ…

「…ツグミ、グランエクス時の機動と攻撃の最大間隔は?」

「え、ええと…コンマ5秒、ね」

「それを、コンマ2秒以下に抑える…これなら読まれようと問題ないはずよ」

相手がこちらの動きを読みとっていても、避けられないスピードで攻撃すればいい。
実に単純な理屈だ。
だけど。

「ちょ、ちょっと待って! そんなギリギリの芸当、マニューバーパターンで出来るわけ…まさか!?」

ツグミが驚きの声を上げる。当然だ。
現在のコンマ5秒でさえ、最高難度と呼ばれる空間戦術だ。
それをさらに縮めるなんて言う無茶は、到底正気の沙汰とも思えないだろう。
その上、そこまでギリギリの機動をするにはマニューバーパターンは一切使えない。
プログラムでは、そこまで繊細、いや繊細すぎる芸当は不可能。
だから…

「オートパイロットを完全にカット、火器管制もあたしが全て行う」
「無茶よ、アイビス! そんなの出来っこないわ!」

そう、無茶な話だ。
だけど、あたしには勝算がある。

「…うん、だから火器管制はツグミに任せる」
「…アイビス…あなた」
「あたし一人で無理なら、二人でやればいい…よね?」
「うん…!」

あたしは一人じゃない。
ツグミがいて、みんながいて…あたしがいるんだ。
たった一人でしかないこいつには負けない。

104 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:17

>>103
「オートパイロット、オールオフ! 軌道計算および操縦系は全てパイロットに委譲!」
「火器管制、全権をコ・パイロットに委譲…」

もともと、パイロット側には操縦、コ・パイロットには火器管制と割り振られた制御系ではあるけど、最終的なトリガーは全てパイロットが握っている。
それを完全に分業する。
余程パイロット二人の呼吸が合っていなければ出来ない選択だ。

「…アイ・ハブ・コントロール!」
「アイ・ハブ・コントロール!」

…でも、あたしはツグミを信じてる。

「グランエクス・マニュアルモード、行くよ!」

宙空でアルテリオンが軌道を変える。
太陽を背に、再び鬼面に向かって。

そして、牽制のためにプロミネンスミサイルを発射。
間髪を入れずに機体を左にローリングさせながら、GGキャノンの斉射。

…さすがツグミだ…プロミネンスの塞いだ軌道に滑り込むようなキャノンの一斉射。
機体は上下左右、ありとあらゆる方向に動いているというのに、狙いは正確。

だが、これだけじゃ鬼面の防御は破れない。
だから…!
相手の軌道変更を確認する前に別軌道に乗せる、
このギリギリの感覚のなかでしかわからない予兆…来た!

その僅かな隙とも言えない隙にアルテリオンを変形させる。
こんな高速戦闘下での変形は想定されていないアルテリオンの機体が大きく揺れる。
大丈夫…元々アルテリオンは恒星間航行を想定して作られた機体…それだけにフレームにも相当の余裕がある。
行ける…いや…

「行けーっ!」

コンマ数秒で変形を完了、その瞬間にツグミがトリガー。
CTM−02スピキュール…拡散タイプのミサイルを散布する。
あとは…あたしの仕事だ!

105 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:18

>>104
DFモードに変形したアルテリオンを再度CFモードに。
テスラ・ドライブを全開にして突進する。

多分読まれる。
でも…迎撃の動作をした時が最後のチャンス!

来い…
来い……
来い………

来たっ!

「バーニア! 対ショックを!」
「了解!」

アルテリオンの機体後部に取り付けられた加速補助バーニアが一斉に火を噴く。
先程のミサイルの斉射で重量が大幅に軽量化したアルテリオンが、一瞬で音速の壁すら突破する。
同時に機体前面にブレイクフィールドを収束。
衝撃波を纏い、光の槍を携えたアルテリオンは流星となった。

「ブレーーーーーーーーーイクッ!!」

106 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:21

>>102 >>103 >>104 >>105
「……………」
 
 アルテリオンはカタチを変えて、下へ急加速して、ペルゼインの突きをいなしましたの。
 そのまま、アルテリオンはペルゼインと距離を置こうとして……
 
「2度目、ありません」
 
 間合いを詰めようとするペルゼインに、アルテリオンは右に、左に動きながら、
 火線が放ちますの。
 けれど、それがペルゼインを貫けない事はもう、証明済みですの。
 
 ……次はミサイルですのね。
 その後は最後の突撃―――――、その瞬間に一刀両断、ですの。
 『見えた』瞬間に今度こそ、全て終わりますの。
 
 そして、私の頭の中に浮かぶアルテリオンの突撃のイメージ―――――
 叩き落す為にペルゼインが刀を………
 
「……え――――」
 
 ペルゼインに伝わる衝撃。
 爆発で白く染まる視界。
 
 何故、ですの?
 見えた瞬間に、もう、突撃が―――――?
 一体、何をやったんですの……?
 
 分かりませんの。
 ただ、ペルゼインが落とされるという事実だけは分かりましたの………
 
「……………」
 
 視界が次第に色を取り戻して、そして、私の目に映ったモノは離脱していくアルテリオン。
 ペルゼインは……
 
「……ペルゼイン、もう動いてくれませんのね――――」
 
 私の呼びかけにペルゼインは答えてくれませんでしたの。
 空っぽな私にはペルゼインしかないというのに、ペルゼインは私の意思に従ってくれませんでしたの。
 ペルゼインは左上身及び右腕は完全に吹き飛んで、右足も膝から下は既にありませんでしたの。
 
 ……最早、ペルゼインは飛ぶ事さえ叶わず、地上へと落下していきましたの。

107 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:22

>>106
 
 ずんと重い音がして、ペルゼインは地上に落ちましたの。
 極度に破壊されたペルゼインはもう再生する事すら叶いませんでしたの。
 
「…………」
 
 半壊したペルゼインの中に風が流れ込んできますの。
 それはとても冷たくて、気持ちのよいものでしたの。
 私は初めて自分の肌で外の空気を感じましたの。
 
                       ――――もう……
 
「…………」
 
 上を見上げましたの。
 青い空が広がってましたの。
 私はペルゼインの目でなく、初めて自分の目で空を見ましたの。
 
                       ――――私は……
 
「…………」
 
 そして、空から降りてくる白い機体。
 私はそれをただぼうっと見つめ続けましたの。
 
                       ――――おしまい、ですのね……

108 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:23

>>106>>107
あたしは目を閉じなかった。
だから、全てを見届けた。

アルテリオンが鬼面を貫く瞬間を。
まだ着弾していなかったミサイルが鬼面に命中する瞬間を。
そして、鬼面のコックピットに少女の姿が見えたのも。

あたしは、見た。

「……!?」

鬼面がぐらり、と傾き、地上に墜ちる。
それを追うようにして機首を返し、DFモードに変形。
ゆっくりと鬼面の前に降り立つ。

完全に停止するのも待たず、あたしはコックピットから飛び出した。

もはや動くことも出来ないほど損壊した鬼面に近づく。
後ろからツグミの声が聞こえるけど、無視する。
…あれは、あの子は…

「…泣いてた」

訳もわからず、まるで泣き方も知らないように…鬼面の中にいた少女は泣いていた。
まるで…あの時のイルイみたいに。

鬼面の腹部…コックピットに当たる部分に辿り着く。
半壊した構造材を押しのけながら、あたしはコックピットを開いた。

「…な、何これ…」

そこにいたのは…確かに少女だった。
だが、その下半身はコックピットと直接繋がっていた。
その姿は、少女が整った容貌をしているだけに、余計にグロテスクで禍々しく感じられた。

「い、今出してあげるね…」
「無駄よ、アイビス」
「…ツグミ!?」

いつの間にか、あたしの後ろにツグミが追いついてきていた。

「無駄って、どういう…」
「その子は、その機体と一体化している。引き剥がせば死ぬだけよ…
 いえ、機体がこの状態ではすぐに死ぬでしょうね」

冷徹な事実。
わかって、いた…だって。この子の下半身は機械に埋もれてではなく、元々…ない。
でも…

「だからって…!」
「どうしようもないのよ、私たちには」

そう、あたしたちには、どうすることも出来ない…
出来ないとわかっていても…

109 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:24

>>108
あたしはゆっくりと少女を抱き上げる。
彼女自身も、機械も傷つけないようにゆっくりと。

「アイビス!」
「すぐ、助けてあげるよ…こんな狭っ苦しい中にずっといたんじゃ身体に悪いしね」

ツグミの制止も聞かない。
今だけは…好きにさせて。

「そんなだから、いきなりあたしたちに攻撃なんかしちゃうんだよ。
 でも、大丈夫。ちゃんと謝ればみんな許してくれるよ。
 そりゃ、口の悪いやつもいるけど心配ないって。そんなの、照れてるだけなんだしさ」

他愛ないこと。
今更どうしようもないってわかっていても、言葉は止まらない。

「それにさ、αナンバーズって軍人ばっかりかと思ったらそうでもないんだよ。
 子供もいっぱいいるし、そうだ、ちょうど歳が近い女の子もいるよ。
 ちょっと引っ込み思案だけど、いい子だからさ、すぐ友達になれるよ、うん」

言葉が止まらない。
幾ら言ったところで、この子の死は止まらない。
だって、この子の死はあたしの導いたこと。
後悔じゃない。
ただ、悲しい。

「…だからさ、一緒に行こう。
 今はまだ戦いは続くけど、絶対に終わらせるから。
 もう、こんな思いしたくないもんね…」

涙が溢れる。
少女の体温がどんどんと失われていく。
死が、少女の体を覆っていくのがわかる。

「…そうだ…名前、聞いてないよね。
 あたしは…アイビス…
 ねえ、名前、教えてくれないかな?」

あたしは、精一杯微笑んだ。
涙に濡れていても、精一杯。

110 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:25

>>108 >>109
 ペルゼインに穿たれた穴から、2人の女性が入ってきましたの。
 驚きの声を2人は挙げますの。
 
 ……当然ですのね。
 私はあくまでサンプルとして創られただけで、必要な機能以外、持たされていませんの。
 
『すぐ、助けてあげるよ…こんな狭っ苦しい中にずっといたんじゃ身体に悪いしね』
 
 ……私を助ける?
 私はあなた達を消そうとしたのに………
 
『そんなだから、いきなりあたしたちに攻撃なんかしちゃうんだよ―――――』
 
 ……私は―――――
 
『…だからさ、一緒に行こう。
 今はまだ戦いは続くけど、絶対に終わらせるから。
 もう、こんな思いしたくないもんね…』
 
 ……思う事すら、無かったんですのに……、でも――――
 
『…そうだ…名前、聞いてないよね。
 あたしは…アイビス…
 ねえ、名前、教えてくれないかな?』
 
 ペルゼインが崩壊して灰になっていくのが感じ取れましたの。
 もう残された時間は少ないですの、でも、最後の時間ぐらいは………
 
 泣き笑いの顔の女性―アイビスに私は静かに口を開きましたの。
 
「……宇宙は閉塞しはじめているんですの。
 宇宙に広がった様々な生命は長い長い年月の中で進化を間違えましたの。
 何時果てるとも知れず、争いを繰り返しつづける………
 今の地球の混乱、それが真実を語っていますの」
 
「だから、全てをやり直さないといけませんの。
 全てを消して、新しい世界を――――――――」
 
       ――――――けれど
 
「私には私を創ったモノの都合なんかはどうでも良かったんですの。
 ……私はあくまで人間を模して創られただけ。何も無い空っぽの存在ですの」
 
       ――――――だから、
 
「私という存在が確かめる事が出来ればそれで良かったんですの。
 私は私でありたかっただけ……」

111 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:26

>>110
  
       ――――――私の名前は……
 
「―――アルフィミィ。人間という種の、未完成の失敗作ですの」
 
 もうペルゼインは此処以外は残っていませんの。
 私も下の方から崩れて灰になるのが分かりますの。
 
「……1つだけ、教えて欲しいですの。
 私のこの今の気持ち―――胸が痛んで、ちくちくする気持ち」
 
       ――――――これは私の、アルフィミィという存在の、気持ちですの?
 
 
 アイビスが何か言いましたの。
 私はそれを聞き届けた後、アイビスに微笑んで――――――

112 名前:ツグミ・タカクラ ◆IBISu6AG36:2003/04/23(水) 02:28

>>110>>111
「アイビス…」

何もかもが灰に還った中、アイビスは一人佇んでいた。
その腕に、既に少女の姿はない。
灰と化していく彼女を、アイビスの腕が捉えられるはずはなかったのだ。
死の顎は、避け得ない末路。

それでも、アイビスはそれから彼女を救いたかった。
でも、それは叶わないこと…人が人であるが故の限界。

「…ツグミ、行こう。みんなが待ってる」

振り返ったアイビスの目はまだ涙に濡れていたけれど、それでも強い意志の光があった。
そう…この光だ。
フィリオがアイビスを選んだ理由、そして私がアイビスを追った理由。

「…うん…それは?」

アイビスが愛おしそうに手を見つめるのを見て、問いかける。
その手にあるのは、一握りの灰。
そう、か…

「これが、彼女…?」

問いかける私に、優しくそして寂しそうな微笑みを向け、アイビスが答える。

「うん…これが、これだけがあの子の全て…」

ちゃり、とアイビスがペンダントを開く。
そして、そこに灰をゆっくりと入れる。

「…一緒に、行こう。そして、世界を見よう。ね、アルフィミィ…」

もう、アイビスは二度と逃げないだろう。
彼女は自分の夢だけでなく、誰かの夢も背負っているから。
死んでいった人たち、そして共に戦う仲間たちの、守るべき人たちの夢を。

…さあ、羽ばたこう。
 みんなの夢を、叶えるために。

113 名前:アインスト=アルフィミィ ◆JyEinst/BI:2003/04/23(水) 02:33

レス番纏めですの。
 
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80
>>81 >>82 >>83 >>84 >>85 >>86
>>87 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92
>>93 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98
>>99 >>100 >>101 >>102 >>103 >>104
>>105 >>106 >>107 >>108 >>109 >>110
>>111 >>112

114 名前:フレデリック=ブラウン:2003/04/23(水) 20:01

>>73 >>74 vs スペリオルガンダム/リョウ=ルーツ 
 
 元を正せば、通り抜けたいネオ・ジオンの補給部隊と交戦する余力のない連邦の 
独立部隊が擦れ違っただけなのだ。お互い手を出さねば損耗も疲労もなく、終わった 
だろう。だが、そこに敵がいれば撃たれるのを恐れるのが人間だ。 
 事態はこじれ、銃を突き付け合い撃つ。 
 MSの時代に変わっても、人の心までは変わってくれない。 
 そんな世の中だから、 
 スクリーン越しの宇宙の中で、ジオンの亡霊と連邦の若造は対峙していた。 
 
「あいつ、動きが鈍い……」 
 こちらの射界から消えるでもなく、狙撃を繰り返す。岩石の気化ガスを 
喰らっては、センサーもレーダーも保ちはすまいが……それも問題にして 
いないのか、一射二射三射、こちらを大きく外して狙い撃つ。 
 けれど、それだけだ。 
 直撃コースの弾頭を避けようともしない。 
「……Bingo!」 
 ラテーケンバズの弾頭が飛ぶ。細い煙と慣性力とMS一機を吹き飛ばす炸薬を 
抱えて。岩が気化する熱波を拾い上げながら、睨んだ。揺らぐスクリーンの向こう 
で二度、直撃の噴煙が上がる――が、またもガンダムは健在らしい。 
 丈夫な事だ、どうしようもない程。 
「ハッ」 
 失笑。 
 笑わずにいられるか。 
 再び岩の影へ滑り込みながら状態を確認。 
 センサーが若干へたっているが、あとは正常、装甲の損傷も軽微だった。 
 それに比べガンダムはまた無傷に見えて……見えて。損傷は見受けられないが、 
あり得るのか? 直撃が通じない装甲など。耐久性が圧倒的と、思っていたが。 
 そうか。 
 ようやく思考が噛み合う。 
「そうか、まんまと……」 
 どうやら、連邦の考える以上に《ガンダム》の幻想は強いらしい。 
 古参兵一匹騙すには十分すぎる餌だった。 
 今の今まで、考えられる一つの要素を忘れさせていたのだから。 
 
「一杯食わせてくれたな――新人ッ!(ルーキー)」 
 
 その時、遠くで爆発があった。 
 宇宙の漆黒が朱に染まる。真空の宇宙に爆音が響き、鼓膜に届く。 
 誰か落とされたのか、あの狙撃で。 
 こちらを狙わずに彼奴らを狙えたというのか! 
「マウア、メシェ、グロス! 誰だ、誰が落とされた!」 
 戦闘濃度に散布されたミノフスキーの網は俺の声も掬い上げ、飛ばさない。 
 呻きはコクピットの中だけで反響し、俺の耳を打ち続けた。 
 わかるのは。わかるのはクソッタレなガンダム野郎がまだ健在で、 
 俺と踊りたがっている事だけだった。 
 
 警告音。 
 耳障りな音とサインが示すのは、側弦から特攻じみた加速をする悪魔野郎。 
 装甲と火力を傘に突撃か、性能差を全面に押し出して。 
「舐めてくれるな、ガンダム!」 
 加速。 
 再び推進剤を撒き散らし、真っ向から身構える。 
 二撃喰らっているのだ、アビオニクスに異常が出てもおかしくはない。 
精密射撃は不可と踏んでお望みのレンジに飛び込んだ。喜べよ素人小僧、 
お前の遊戯に付き合ってやる。付き合って舞い狂って、落としてやるさ。 
「Hey,FNG!」 
 拡散ビーム砲のトリガーを引く。 
 スクリーン一杯に閃光が満ち、草臥れたセンサーへトドメを刺した。 
 そのまま、ガンダムに平行してロール。 
 回転する宇宙の中で奴を見据え、シュツルム・ファウストの弾頭を叩き込んだ。 
「落ちろ――――ッ!」 
 爆音。 

115 名前:リョウ・ルーツ:2003/04/23(水) 22:56

>>114

 加速による加重は、不思議と感じなかった。
 ただ意識のすべてが眼前のリック・ドム、こちらに正対するように向き直った敵機に向けられる。
 ヘルメットを通り越してコクピット内部に、ルーツの雄叫びが爆ぜた。
 撃墜、の表示が広域レーダーから消失した敵アイコンに重なるように現れていた。
 が、もはやルーツにはそれすらも目に入っていない。
 ビームスマートガンを連射しつつ、適切な射撃位置を得るために、Sガンダムを操縦し続けていた。
 ターゲット・レティクルにリック・ドムの機影を捉える―――射撃。
 だが、当たらない。回避される。
 
 命中の、いや、捕捉から発射までのほんの僅かな間。
 それを利用して、リック・ドムは、骨董品とは思えないほどの巧みな機動を行って、あっさりとこちらの射線から逃れる。
 すっぽ抜けたメガ粒子はリック・ドムではなく、周囲に浮かぶ数々の障害物を砕き、溶かし、消し去る。
 視界こそ開けるが、蒸発し微細な粒となって周囲を漂う無数の金属片が、ますますSガンダムのセンサーの働きを狭めていく。
 ここに来て……初めて、ルーツの意識に、冷静な焦りが現れていた。
 
「ヤベェ……」
 敵が、リック・ドムが見えない。居ない。
 Sガンダムのセンサーにも、周囲に動くものを認めることが出来ない。
 索敵データを表示―――するが、大半がエラー表示。
 散布されたミノフスキー粒子に加え、自分自身でばらまいたチャフが、センサー精度を大幅に落としていた。
 だが、それでもルーツはデータを見る。
 ろくに実戦の経験が無い彼には、それ以外に敵を察知する手段がない。
 瞬間、そのような状態のレーダーに反応が現れた。

 12時方向より高速移動物体1、サイズ―――MS。
 
「―――正面だぁ!?」
 顔を上げる。同時に、目を焼くような閃光が突き刺さった。
 安全基準を大きく上回る光に自動で光量調整機能が作動した。
 一瞬にして光量が落ちたモニタの向こうには、こちらの側面を抜けるように疾るリック・ドムが居る。
 痛みに涙をこぼしながら、ルーツはかろうじてその光景を見る。
 そして、ようやく悟った。
 こちらを待ち受けていたような一撃、幾度として避けられたビームの奔流。
 そしていま、決定的な性能差を覆して、こちらを墜とそうとしている奴の動きに。
 
 ―――奴は、ベテランだ。
 マニングスと同じか、あるいは、それ以上の!

 
「ウワァァァァァァァァァァッ!?」
 警報は―――ルーツの耳には届かなかった。
 すり抜けたリック・ドムから、攻撃照準波が発せられている。
 発射、ゆっくりと宇宙を進む対MSロケット砲。だが、見えない。痛い、目が。
 ただ恐怖一色に染め上げられた絶叫が、ルーツ自身の耳をふさぐ。
 何も聞こえない。何も。何も聞こえない。
 
 何度目かの激しい、だが今までで一番強い衝撃に揺さぶられながら、リョウ・ルーツは思う。
 
 ―――死にたく、ない。
 
 意識が、暗転した。

116 名前:?????:2003/04/23(水) 22:57

>>115
 
…………敵…………
…………攻撃…………
……接近中…………
…………驚異度、大…………
…………回避……不可能…………
…………最適な行動…………
…………生存のための手段…………
 
 
 
 

――――迎撃を――――

117 名前:MSA-0011 S-GUNDAM:2003/04/23(水) 22:57

>>116
 
 着弾の直前、多数のセンサーと、そしてパイロットを潰されたはずのSガンダムが、突如として機動を再開した。
 しかし、その行動は回避ではない。もとより、この距離では回避など間に合わない。
 
 Sガンダムはバーニアを一瞬だけ点火。
 迫るシュツルム・ファウストに対し、左半身を盾にするように停止すると、瞬時に膝のウェポン・ラックからビーム・サーベルを射出する。
 左マニュピレータがサーベル基部をマウント、即座にユニットに対し起動命令。
 供給された電力が高エネルギー状態のミノフスキー粒子の発振を励起した。
 
 同時に展開されたIフィールドが、サーベルユニットから溢れ出したミノフスキー粒子を固定、光の剣……ビームサーベルを形成する。
 Sガンダムは展開を完了したビームサーベルを一閃。
 ふるわれたビームの太刀筋は、正確にシュツルム・ファウストの砲弾を切り裂いた。爆発。
 膨れあがる火球と、生み出される破滅的な衝撃がSガンダムの機影を容赦なく飲み込んでいく―――
 
 瞬間。Sガンダムのメイン・スラスターが雄叫びを上げる。
 グン、と機体に爆発的な慣性が加わる。と、同時、Sガンダムは両腕でコクピット部をかばうと、そのまま迷わず爆発の中に自らを飛び込ませた。
 そのまま、膨張する破壊の中を突き抜ける。さらに、増速―――
 
 次の瞬間、黒い宇宙の中に、Sガンダムの機体はあった。
 無傷ではない、無傷であるはずがない。
 機体を構成するムーバルフレームには無数のエラーが発生し、外部センサーは熱と衝撃にやられ、大半が使い物にならない。
 にも関わらず―――Sガンダムは、奇跡のようにその姿をとどめているビームスマートガンを構えると、改めて戦闘態勢を取った。
 銃身に接続されたディスク・レドームがゆっくりと稼働、未だその機能を喪失していないことを告げる。
 
 ガンダム、白い悪魔―――そのような異名を戴く機体の末裔は、鈍くその双眸に光をともす。
 自らの存在を、敵に誇示するかのごとく。
 
 ……Sガンダムのうちに存在するもう一つの意志が、静かに活動を開始した。

118 名前:フレデリック=ブラウン:2003/04/24(木) 21:48

>>115 >>116 >>117 vs MSA-001 S-GUNDAM 
 
 爆圧をビームサーベルの光が薙ぎ払う。黒の噴煙を切り裂き、散乱する鋼鉄の刃を 
蒸発させ、凶刃を切り分ける様に。光の名残を目に留めた時、俺は直撃を避けられた 
事に気が付いた。必中の間合い、必殺のタイミング、そして錬度の差。どれをとって 
も不回避の死であった筈だが。
「機敏になった? そりゃ、ヤケに素直な反応だが……」 
 やるじゃないか新人、今までのド素人臭い動きはどうした。 
 回避運動を忘れて狙撃する手際は。 
 照準に従ってトリガーを引き続ける幸せな思考は、何処へ行った! 
 思い切りの良さといい、兵装切り替えの速さといい、古参でもそこまでスムーズには 
行かない。まさか…… 
「ニュータイプ、か?」 
 一時、戦場に溢れた言葉だ。 
 敵方のエースが化物じみた活躍をするから、兵たちは理由を求めてこんな幻想を 
作った。それを真に受ける奴らも奴らだが、そうでも言わなけりゃ説明付かない事も 
確かにあった。 
 それが今だとでも言うのか? 
 納得できるか。 
 遮蔽物の影から影へ踊りながら、狙撃。 
 ラテーケンバズを放ち、放ち、放つ。 
 滑空する弾頭はそれぞれ別の方向からガンダムを狙った―― 
 
 爆発爆発爆発。 
 ほぼ同時に弾頭が一気に弾けた。 
 攻撃予測による回避が一、外れた弾頭は隕石に当たり四散した。 
 ライフルによる迎撃が一、ガンダム野郎の遙か手前で弾頭は炸裂した。 
 不明が一、恐らく肉眼では見えないゴミにでも当たったか。 
 全弾回避。
 すべて大外れだ。 
「いきなり熟練兵の動きなどと!」 
 叫びで一瞬、退避が遅れる。 
 弾頭の行方を目で追った瞬間、ガンダムからビームの矢が延びた。 
 的確に応射されたビーム光に回避し損ねた機体が溶解する。肩関節は固まり、腕は 
半分もがれる。左腕はこれで死んだ。鋼鉄の装甲ではビームの熱に耐えきれない。 
 Shit! 
 エネルギー伝達系を閉鎖、推進剤の供給も遮断。エラーを吐き出し続ける制御系を 
殴って黙らせると、警告を捻り潰した。機体チェックを片手で走らせる……概ね、 
良し。騙しながら動かすには十分すぎる数値だ。 
「どんな手品だ、連邦豚め!」 
 MSの機体差だとでも言うのか。 
 噛み締めながら俺は岩を蹴り、プロペラントを急速に吸い上げ、吐き出す。 
 帰路の燃料すらも忘れ推進剤を叩き込み、リック・ドムUは巨砲の弾となった。 
 
 手品だったら、種を明かしてもらわんとな。 
 
 その弾が蠢く。 
 ラテーケンバズのマガジンから弾頭を一つ抜き出し、ガンダムをサイトに収める。 
片手でバズーカを保持したまま、投擲。弾頭がくるくる円を描きながら進む中、 
照準器の真ん中に居座るトリコロールを狙い撃つ。 
 緩急を付けた砲撃。 
 もしかするなら、これで馬脚を現すやも知れぬ。 
 そう思い描きつつ、バズの切っ先を向けたままブーストを重ねた。 
 硝煙は濃い。 
 広がる鉄の香に顔をしかめながら、俺は戦場に在り続けた。 

119 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/08(木) 19:56

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
 
『ニンジャ・オーバー!』 
 
《導入》
 ヒューズ・ガウリは焦っていた。 
 
 立ち並ぶ凍てついた街並みは、ウルグスクよりもさらに寒々としていた。 
 それはここがドームポリスではない、”村”の姿をした”都市”だからなのだろう。
これほど巨大にもかかわらず、その姿は死した毛長ゾウの様だった。 
 乏しいな。 
 それが街を歩くガウリの感想だった。 
 これではエクソダスをする『ヤーパンの天井』の方がよほど活気がある。 
 
 偵察ついでの散策は、何一つ成果を得られないで終わる――と、思っていた。 
 その男に、黄色と黒の覆面を被った見るからに怪しげな男に出会うまでは。 
 
 ごくり、喉が鳴った。 
 思いの外、大きな音に内心の焦りはさらに募る。 
 今まで感じた事など無い、零下の汗が背を伝った。意志の外から訪れる 
その気配に圧倒され、ガウリはさらに、何度と無く繰り返し息を呑んだ。 
 こいつ、出来る……ただ者ではない! 
 外見も異常なら、発する気配はそれ以上に濃厚。 
 今まで決して考えられなかった”異質”を、全身の感性が拾い上げた。 
 ヤーパンニンジャとしての、オーバーセンスが。 
 
 背筋が泡立つ。 
 油断するな。 
 隙を見せれば、やられる。 
 目の奥の方がちりちりと痛んだ。 
 喉が焼け付き、きりきりと鳴った。  
 
 どうする、逃げるか。いや、逃がしてはくれまい。 
 そもそも何処の手のものだ? 
 シベ鉄か、セントレーガンか。 
 いや、どちらでも良い。 
 問題は、 
 奴が、 
 強い事だった。 
 
 先制を仕掛ける以外、勝機など無し! 
  
「我はヤーパンニンジャ――ヒューズ・ガウリ!
 いざ尋常に勝負ッ!」
 
 叫ぶなりガウリは、ガウリ隊制服を脱ぎ去り、ヤーパンニンジャの
フェイバリットたる、黄色の忍者衣装スタイルに生まれ変わった。 
 そのまま、すかさず、懐から八方手裏剣を抜き、放つ。 
 目の前に立つ、コートの覆面男目掛けて。 
 
「これぞヤーパンニンポー八方手裏剣、とくと見よ!」

120 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/08(木) 20:44

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>119
 
「フ……」
 
 赤と黄の覆面の奥で、微かな笑みが漏れた。
 唸りを上げる手裏剣へ向かい、男が顔を上げる。
 
「甘い! 甘いぞッ!!」
 
 一喝。
 ただの、一喝で。
 
 手裏剣は分厚い壁にでも弾かれたようにして、地に落ちた。
 未だ気合の余韻が、空気を振動させている。
 
「先手必勝とは周到な準備あって、初めて意味を成す言葉!
 焦りに任せて攻撃を仕掛けるようでは、まだまだだな!」
 
 言い放ち、男は宙へと舞い上がる。
 その両手に握るは、八つの十字手裏剣。
 
 そう、彼もまた忍者なのだ。
 だが―――只の忍者ではない!
 
「我が名はシュバルツ、シュバルツ・ブルーダー!
 ネオドイツ代表ガンダムファイターだ!」
 
 ガンダムファイター。
 それは超人的な身体能力を誇り。
 国家が持てる技術を全て注ぎ込んだMF(モビルファイター)に乗り込む者の名。
 
 人間として“最強”の代名詞とも言える存在だ。

「行くぞ! ゲルマン忍法―――」
 
 “最強”の所以たる、彼が編み出したドイツ流忍法。
 それが、ゲルマン忍法!
 
「手裏剣ッ、乱れ撃ちィィィィ!!」
 
 両手から飛ぶ手裏剣が、弧を描いてガウリを襲う。

121 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/08(木) 20:56

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
 
>120 
 
「ドイツ? ゲルマン? ええい、面妖なッ!」 
 
 口では言い返すが、男の言い分は正しい。 
 内心の焦りを見透かされ、さらに焦燥が募るガウリ。 
 だが、心がいくら乱れようと―――― 
 
「ヤーパンニンポー十手返しッ!」 
 
 袖口から金属製の棒……いや、十手を取り出し逆手に構える。 
 そのまま、飛び来る八方手裏剣を右へ左へ弾き飛ばす。 
 迫る殺気に対して柔軟に捌く。これぞヤーパンニンポーが極意、十手返し! 
 
 心に反して、体は冷静に手裏剣をかわした。 
 そうだ、体は覚えている。叩き込まれたヤーパンニンポーの数々を。 
 
「なるほど、同じニンジャという事か。だが、だが、だ!」 
 
 ギリ、と歯が鳴った。 
 強く強く噛み締める。 
 
「ゲルマンなどという偽りの看板を背負った忍術に、
 本家たるヤーパンが負けるわけにはいかんのだ!」 
 
 心がいくら急いても、焦っても。 
 技は何一つ変わるまい、ならば奮うまでだった。 
 
「ヤーパンニンポーカラテ、その身で味わえぃ!」 
 
 瞬時に体は空を舞い、円を描く。 
 常人離れした踏み込みと、タイミングと、バランス。 
 それが揃って初めて放てる奥義「カラテ」 
 技が一つ、ウシロマワシゲリをガウリは放つ。 
 
 裂帛の気合いと共に、ヤーパン伝統のワラジが空を駆けた。 

122 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/08(木) 21:11

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>121
 
「む、やるな!」
 
 手裏剣を凌ぎ切る技量。即座に攻撃に移る度胸。
 どれも中々のものだ。
 
「だが、私に格闘戦を挑んだのは失敗だな!」
 
 迫る蹴り足に足を乗せ、その勢いのまま跳躍する。
 落下という道理を捻じ伏せ、上昇という無理を押し通す。
 正にガンダムファイター―――いや、ゲルマン忍者の真骨頂。
 
「未熟、未熟ゥゥゥゥゥゥッ!!」
 
 頂点に達し、再度落下を始めたシュバルツが上方から蹴りを繰り出す。
 叩き付ける豪雨のような、猛烈な蹴りを。

123 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/08(木) 21:20

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>122 
 
 二〇の蹴りが黄の忍者装束を捉えた時―― 
 
 それは、既にガウリではなかった。  
 黄の外套が腹に杉の丸太を抱えて、地に転がる。 
 先程脱ぎ捨てたはずのガウリ隊制服、防寒着だった。 
 
「ヤーパンニンポー空蝉の術を見抜けないようではな!」 
 
 声は男の遙か後から聞こえた。 
 見上げるそこはビルの上、瞬時にガウリはそこまで登り詰めていた。 
 ヤーパンニンポー、壁走りの術である。 
  
「ゲルマン忍法など、ゲルマン忍者など、所詮は名ばかりか!」  
 
 再び、手裏剣。 
 だが抜き放つのは、さらに二方増えた十方手裏剣。 
 当然威力も二方増えた、ヤーパンの極意だ。 
 
「未熟と怒鳴るのは、尚早だったようだな!」 
 
 連続して投擲。 
 シベリアの空を裂いて、三つの手裏剣が男へ向かった。 
 極楽へ行け、という念を込められて。

124 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/08(木) 21:36

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>123
 
「―――出来るな!」
 
 丸太を蹴飛ばし、壁へ向かい跳ぶ。
 腰に差した忍者刀を、同時に抜き放って。
 
「はっ! せい!」
 
 壁を蹴っては別のビルの壁を蹴り。
 より上へ、上へとシュバルツは進んだ。
 余りの衝撃に、壁が崩れ、建物全体が揺らぐ。
 
 影が霞む程の速度で動き回る彼ですら、手裏剣は正確に狙った。
 
「ぬぅりゃあ!!」
 
 気迫と共に忍者刀を振る。
 剣圧に押され、触れていないはずの手裏剣までが打ち落とされた。
 
 直後、より強く壁を蹴る。
 
「ネオドイツ秘伝―――ゲルマン忍法を甘く見るな!」
 
 月光を背負い、更に空高く飛ぶ。
 光る刃を水平に構え。
 
「もらったぁっ!!」
 
 独楽のように回転して勢いを増し、斬撃を叩き付ける!

125 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/08(木) 21:50

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>124 
 
 一瞬、気に空白が生じた。 
 空中で回転する、いやそれは良い。 
 それならばヤーパンニンポーにも存在する。秘技、カラダなんとかとして。 
 だが、そいつは月光を背負っていた。 
 この白夜が続くシベリアの地で、かつ真っ昼間にもかかわらず。 
 
 ガウリの目が鮮やかな月の真円に目を奪われる。 
 その隙が致命的だった。 
 
「チッ!」 
 
 とっさにショットガンを抜いて発砲するが足を止める事敵わず、 
甲高い音を立てて散弾が弾かれる。ニンジャのフェイバリットを 
以てしても、その絶技は返しようがなかった。 
 
 舐めるなッ! 
 
 有りっ丈の息を吐き出すと、懐に仕込んだリモコンを操作する。 

「ヤーパンニンポー極意!」 
 
 レバーを引くと足下がばっと、翻った。 
 
「口寄せの術ッ!」 
 
 ビルの屋上にカモフラージュされていた『シルエットエンジン・パンサー』が 
ビニールのシートを剥がして立ち上がる。同時に手刀を振るい、旋風の一閃を 
巨大な腕で薙ぎ払い、止める。 
 
「見たか、これぞヤーパンニンポーの奥の手よ!」 
 
 すかさずハッチを開き、中に滑り込む。 
 この地で出会う男ならば、シルエットエンジンなりオーバーマンなりを持っている事だろう。 
 ならばっ! 
 
「ゲルマン忍者! そちらもマシンを呼べ、この身では忍術も保たぬ」 
 
 ビルの上で腕を組むパンサー。 
 姿こそ量産機と何ら変わらないが、雰囲気はオーバーマンすら圧倒していた。 
 何故なら、これもまたヤーパンニンポー。 
 ニンポーを前に、機体の性能などなんら関係ないのだ。

126 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/08(木) 22:08

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>125
 
 見事な隠行により潜んでいたマシン。
 その防御に、必殺の一刀は防がれた。

「……む!」
 
 この程度の機体であれば、生身で倒す事は容易い。
 だが。
 だが、しかし!
 
「こちらも全力でかからねば、無礼のようだな!」
 
 シュバルツ自身が巨大に見える程の気迫で、叫ぶ!
 
「来い! ガンダァァァァァァム!!」
 
 道路を打ち砕き、ビルを破砕し。
 ドイツ兵士を思わせるヘルメットの頭が、シュバルツの背後から現れる。
 下の顔は、見間違えようもない―――ガンダム。
 
 一国家が、全国家の頂点に立つ為の限定戦争“ガンダムファイト”。
 総じて使用されるMFは、かつての英雄を模したガンダムの形を取る。
 
 そして、これこそネオドイツ代表MFにして、シュバルツの愛機!
 ガンダムシュピーゲルだ!
 
「ガウリと言ったか―――」
 
 何時の間にか、コクピットに収容されたシュバルツがスピーカー越しに言う。
 姿も、パイロットの動きを完全にトレースするボディスーツに変わっていた。
 
「お前のような強敵に出会ったのは久しぶりだ!
 全身全霊で、相手をしよう!!」
 
 ガンダムシュピーゲルが、構えを取る。
 
「ガァァァンダム・ファイトォ!」
 
 膨れ上がる闘気と共に叫ばれるは、開戦の言葉。
 理屈も理由もどうでもいい。
 今、この戦いに全てを賭けるという宣言!
 
「レディィィィィ!」

127 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/08(木) 22:22

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>127 
 
「ゴォォォォォォォォォ!」 
 
 意味はわからない、わからないが、魂が欲求した。 
 叫べ、と。 
 ヤーパンの流儀に従い、ガウリは腹の奥底から叫んだ。 
 
「ふふふ、俺もお前のような男に出会えて心底嬉しいぞ!」 
 
 懐から今度は笛を取り出す。すぐさま口にくわえると、吹く。 
 音にならない音が街中に広がり、響き渡る。 
 ヤーパンの神秘、犬笛であった。 
 高周波の音波信号が凍った風に乗り、ガウリの切り札を呼ぶ。 
 それに呼応するように、あちこちのビルから立ち上がる姿があった。 
 
 シルエットエンジン・パンサーである。 
 
 ヒューズ・ガウリは自警団ガウリ隊隊長。 
 その彼が複数のパンサーを手足の如く使うのは、当然だった。 
 
「だが、少々その大きさは辛い。手数で勝負させて貰う!」 
 
 一斉に走り出すパンサー。 
 背中のバーニアをふかし、滑るように街路を駆け抜けた。 
 列を成す中、残像を刻むように動き回るガウリ。 
 
「ヤーパンニンポーを刻む前に、この銃撃! 避けられるかな」 
 
 高速機動を繰り返すパンサーたち。 
 その手にする銃が一斉に火を噴いた。 
 腕を組んで立つ、一機の巨人――シルエットエンジンとも、 
オーバーマンとも違う機体目掛け、機械しすぎている異形に向け。 
 射撃射撃射撃射撃! 
 六機の六〇ミリリペットガンが放たれる中、ヤーパンニンジャは 
さらにさらにと速度を上げ、街中を駆けめぐっていた。 
 複数の残滓残影を顕して。 

128 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/08(木) 22:56

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>127
 
「数が多い……が!」
 
 風よりも、銃弾よりも疾く。
 鉄の巨人は信じられない速度で銃撃を避け、街を馳せた。
 ガンダムを操縦するモビル・トレースシステムは、パイロットの動きを忠実に再現する。
 シュピーゲルは、常人を逸脱したシュバルツの動きですらもトレースしているのだ。
 
「動きを止めてしまえば良い事だ!」
 
 手首から糸――否、網が放たれる。
 それは鋼鉄で編まれたアイアン・ネット。
 一度捕らえられれば、逃れる事はほぼ不可能。
 
「ゲルマン忍法! 蜘蛛の巣絡み!!」
 
 超高速で動き回る、複数かつ、小型の標的。
 それらを全て、シュバルツはたった一度で見切った。
 広がる網が、正しく蜘蛛の巣の如くマシンを捕獲する!
 
「これぞ正しく、一網打尽ッ!」
 
 網の中の機体へ、瞬時に詰め寄った。
 忍者同士の戦いであれば、一瞬の気の緩みが命取りとなる。
 
「てぇぇぇぇぇい!!」
 
 隙を見逃さず―――シュピーゲルの拳が唸る。

129 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/08(木) 23:12

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>128 
 
 捕らえられたパンサーが一、二、三、……六。 
 現れ出でたシルエットエンジンはすべて、その網に捕らわれていた。 
 速い。 
 想像を越える程に速い……いや、疾い。 
 目にも止まらぬ速度で駆け抜ける黒の巨人は、拳を突き出した。 
 捉えられた、一体のパンサー目掛けて。 
 拳が装甲を撃ち抜き、変形させる――――が、 
 
「それはリモコンのパンサー! つまり、分身の術と言う奴だ!」 
 
 シュピーゲルの背後を駆け抜けるパンサーが一つ。 
 ガウリの乗機だった。 
 一人、網に捉えられることなく切り抜け、再び残影を引いて走る。 
 
「それに――ヤーパンニンポー縄抜けの術ッ!」 
 
 号令一閃! 
 ガウリの声に合わせ、分身のパンサーたちが飛び上がる。 
 既に網の呪縛は抜け、天高くに舞っていた。 
 
「私の分身ならば、忍術を使うが道理」 
 
 さらに空中でバーニア機動。 
 シルエットエンジンとは思えぬ運動性で空を飛び、リペットガン。 
 奇しくも、その足下に広がるはシベリア鉄道総帥の顔がレリーフ 
として飾られるキッズ・ビルであった。踏み台に、分身パンサーたちは 
黒の巨人目掛け銃を撃ち続ける。 
 
「これぞ我がヤーパンニンポ―――」 
 
 銃撃降り注ぐ中、ガウリは身構える。 
 自らも発砲しながらビルの壁面を駆け上った。 
 その先にあるのは……建築用、鋼材。 
 一本の鉄骨を手に、ガウリは吠える。 
 
「飛び苦無ッ!」 
 
 剣の鋭さを持って、ただの鉄骨は手裏剣へと変わった。 
 それも必殺の重みを持った飛び苦無に。 
 
「ゲルマン忍者、そっちの手はそれで終いか!」 
 
 分身するパンサーも手に鉄骨を構え、連続投擲。 
 凍える街の中、無数の苦無が飛来する。燕の速さと鋭さで。

130 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/08(木) 23:38

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>129
 
「そう来なくてはな!」
 
 ゲルマン忍法を破られながらも、むしろシュバルツは嬉しげであった。
 心と、技と、力の限りを尽くす。
 それこそが、ガンダムファイターとしての本懐なのだから。
 
「シュピーゲル・ブレードッ!」
 
 両の腕に装備された、トンファーのような剣が動き始める。
 
「おらららららららららァッ!!」
 
 襲い掛かる、無数の銃弾。
 人の目だけでなく、CPUさえも捉えられないであろうその数々を。
 素早い捌きと、シュピーゲルブレードの駆動だけで叩き落す。
 
 火花が舞っては人の目を灼き。
 弾丸が散っては辺りに破壊を撒き散らす。
 
 そして最後に迫る苦無を――――
 
「ゲルマン忍法!」
 
 二十四条の閃光が、切り裂いた。
 
「分け身の術!!」
 
 これは一体、如何なる技なのか。
 先刻まで一機だけだったはずのシュピーゲルが、
 
 十二機に、分身していた。
 
 シュピーゲルがトレースするのは、シュバルツの動きだけではない。
 なんと! シュバルツの忍法までもをトレースするのだ!
 
「そちらが六機に分身するのならば、
 こちらは十二機に分身するまでッ!!」
 
 十二機全てから、シュバルツの声が聞こえる。
 全機が一斉にバーニアを吹かし、高速機動。
 ヤーパン忍者の、六機のマシンへと向かう。
 
「ゲルマン分身殺法! その目に焼き付けるがいい!!」
 
 無数の剣光が躍る。
 分身したシュピーゲルが振るう、ブレードの軌跡が。

131 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/08(木) 23:52

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>130 
 
 六機のパンサー、それに群がる倍の巨人。 
 その動きも威力も大きさも、どれを取っても圧倒的だった。 
 差は歴然。 
 いくらヤーパンニンジャとはいえ、その性能差を埋めるには及ばない。 
 一機、また一機と切り裂かれ火を噴くパンサー。 
 
 だが、六機。 
 そう、六機しかシュピーゲルは捉えていなかった。 
 
「甘いなッ!」 
 
 音もなく、シュピーゲルが撃ち抜かれる。 
 一機、また一機。分身した影が消えていった。 
 切り裂かれた、筈のガウリが再び巨人たちの後へ移っていたのだ。 
 
「忍法すり足の術を使ってみた……いかがかな?」 
 
 破壊され、項垂れるパンサーたち。 
 その内に拳によって頭部を撃ち抜かれたのが混じっていたのは、 
見間違えではなかった。シルエット・エンジン。姿を駆動機とするマシンは、 
ダメージに恐ろしい程強い。頭を撃ち抜かれたぐらいでは、動く事に 
何の支障もなかった。 
 だから、それをゲルマン忍者は捉えた。 
 気配を消したガウリと違えて。 
 
「まだ、私の分身も解けてはいないぞ!」 
 
 切り裂かれた筈のパンサーが動き出す。 
 キッズのレリーフにリキュールを散らしながら、一斉射撃。 
 砕けるレリーフの破片に紛れながら、ガウリは空を駆けた。 
 
「往くぞ、ヤーパンニンポー忍び固めッ!」 

132 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/09(金) 00:13

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>131
 
「つくづく素晴らしいファイター……いや!」
 
 分身が破れ、単機となったシュピーゲル。
 銃弾の雨に身を晒しながら、ゆっくりと身を沈める。
 
「素晴らしい―――忍者だ!」
 
 装甲に穿たれる傷も、フィードバックされる痛みも意に介さず。
 機体ごとブレードを旋回させる。
 すると、質量すら備えた風が巻き起こった。
 回転するシュピーゲルが起こす、疾風だ。

「いざ、勝負ッ!!」 
 
 咆哮。
 シュピーゲルの回転がより一層強まり、一つの竜巻となる。
 
「シュトゥルムッ!」
 
 跳躍。
 空のガウリに押し寄せる機体と刃は、正に鋼鉄の怒涛。
 
「ウント!」
 
 疾風の刃と。
 鋼鉄の怒涛。
 これらが一体となった時、シュバルツの必殺技が炸裂する。
 その名も―――
 
「ドランクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」
 
 シュトゥルム・ウント・ドランク(疾風怒濤)!

133 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/09(金) 00:23

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>132 
 
「――――くっ、まさかこれほどとはな」 
 
 忍固め。 
 両手を開き、天高く飛び上がった上で体を反転させ相手を 
絡め取るヤーパンニンポー、体術にして最大の技。だったのだが、 
その両手は圧倒的な風と刃に届きそうもなかった。 
 
 パンサーの表面に無数の傷が生じる。 
 マッスル・エンジンが切断され、通電の数値が落ち、警告が響く。 
 手にしたリペットガンは無惨に割れ、手から落ちて弾ける。 
 
「まだだ、まだッ!」 
 
 風と共に回る、切っ先が腕に触れた。暴風に捕らえられたパンサーの 
左腕は、たちまちボロ雑巾より酷くなり、千切れ飛んだ。リキュールが 
溢れ、警告音は酷くなる。 
 
「まだまだ、ヤーパンの心意気……そう、根性! 
 根性で乗り切れ、パンサー!」 
 
 背のスラスターが一斉に火を噴く。 
 最後の加速を得て、パンサーは刃の巣へと降り立った。 
 
「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」 
 
 吠える。 
 有りっ丈の声を張り上げて、ニンジャは吠えた。 
 
「ヤーパンニンポー最終奥義!」 
 
 回転に逆らわず、体を合わせる。 
 千切れそうな程伸びる右腕と、絡み合わせようとして 
斬り飛ばされた左足を内に、さらに巻き込むように動き…… 
 シュピーゲルに、ガウリのパンサーは抱きついた。 
 忍固めでもニンポーでもなく、ただしがみつき―――― 
 
「微塵隠れの術ッ!」 
 
 爆発した。 

134 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/09(金) 00:48

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>133
 
 ―――荒れ狂う爆炎が、ビル全体を呑み込む。
 
 度重なる攻防の余波を受け、傷ついていたキッズ・ビルはそれがトドメとなったらしい。
 土台から崩壊を始め、瓦礫と炎の中に全ては消えた。
 
「グ……ッ!」
 
 粉々になった建材の下から、一機のマシンが這い出た。
 黒いガンダム、ガンダムシュピーゲルが。
 
「微塵隠れか」
 
 自爆、とも見えるがそれは違う。
 あれは忍法だ。ヤーパン忍者の奥の手。
 刃の下に心と書く、『忍』一字に恥じぬ奥義だった。
 
 だが、最終的に勝利を手にしたのは――――
 
「……恐れ入った」
 
 誰でもない。
 
 シュピーゲルが、がくり、と膝を突いた。
 シュバルツの息は荒く、傷も決して軽いものではない。
 
「良いファイトだった……」
 
 ハッチを開き、外に出る。
 だが、ガウリの姿は見えない。
 微塵隠れで、吹き飛んでしまったのだろうか。
 
 ―――いや、それは有り得ない。
 
 何故か確信して、シュバルツは待った。

135 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/09(金) 00:56

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>134 
 
「いや、参ったな……恐れ入るのはこっちの方だ」 
 
 声は、瓦礫の中からした。 
 キッズビルの残骸が渦巻く中、一つのコンクリート片がぼこりと動く。 
 中から這い出てきたのは、傷だらけになったガウリだった。 
 
「忍法微塵隠れ、俺にはまだ早すぎる術だったか」 
 
 爆発の瞬間、パンサーから抜け出したガウリだったが……如何せん、 
キッズビルが高すぎた。数十メートル級のビルディングである。 
 さすがのヤーパンニンポーも、これほどの高さを無傷で降ろしては 
くれなかった。そこにビルの崩壊も加わり……今のありさまだ。 
 
「ゲルマン忍者」 
 
 埃を払いながら立ち上がるガウリ。 
 その表情は何故か晴れ晴れとしていた。 
 
「良い戦いだった。俺も己の未熟さを今日程痛感した事はない」 
 
 遠雷のように響くビルの音。 
 燃焼する火に当てられながら、ガウリは笑みを浮かべていた。 
 
「悪かったな、ゲルマン忍法と無碍にして。 
 これでは俺のヤーパンニンポーの方がよほど拙い」 
 
 自然と、手を伸ばす。 
 それはお互いを認めた証だった。

136 名前:シュバルツ・ブルーダー:2003/05/09(金) 01:19

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>134
 
「やはり、生きていたか」
 
 覆面の上からでも分かるほど、喜びを顔に表した。
 そして、差し出された手を強く握り締める。
 
「そちらのヤーパン忍法も素晴らしい技だった。
 私もまだまだ、修行不足だな」
 
 死力を尽くし、闘い合った二人にはもう何の隔たりも無い。
 忍者としての誇りを、互いに感じたのだから。
 
「―――良いファイトだった」
 
 瞳を正面から見据える。
 後は、一言も必要無かった。
 熱い友情で結ばれた、この漢達には。
 
 名残惜しそうに握手を放し、シュバルツは黒のコートを羽織る。
 
「縁があれば、また会おう!
 ヤーパン忍者、ヒューズ・ガウリよ!」
 
 別れの言葉を告げ、懐から取り出した煙玉を足元に叩き付ける。
 風に煙が吹き払われた頃には―――
 
 シュバルツだけでなく、ガンダムの姿までもが消えていた。

137 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/05/09(金) 01:36

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 
>>136 
 
 最後まで忍者とは、まったく恐れ入る。 
 消えた男の姿に感心しながらふと、思う。 
 
「……持ってきたパンサー、全部駄目にしちまったぞ?」 
 
 ヤーパンの天井まで歩いて帰るには距離がありすぎる。 
 それに、なにより、だ。 
 
「あーっ、キッズ、キッズビルがぁ!」 
「あ、ああ、あれ! 兄貴、彼奴はいつぞやかのヤーパンニンジャ!」 
「ヤーパン野郎ッ! 貴様か、貴様がやったのか!」 
「拙い奴らに見つかったな……」 
 
 街の中心部でドンパチをやったのだ。シベリア鉄道も黙っては 
居ない。何処かで見たような二人組――ケジナンとエンゲだ―― 
が、めざとくガウリを見つけて声を荒げた。 
 あの二人は良い。 
 どうせ小物だ、手こずるわけもなく倒せるだろう。 
 だが、あの騒々しさは何だ。サイレンのように叫び回っては、 
あちこちの目をこちらに集めた。いずれ、シベリア鉄道警備隊も来るだろう。 
  
「ここでこうしているわけにもいくまい――――ならば」 
 
 幸か不幸か、ここはキッズ・ビル付近。鉄道のレールも間際だった。 
 手早くリモコンを操作する。 
 と、遙か遠方で爆発音がした。 
 
「な、なんだ!?」 
「お、おまえか、おまえがやったのか?」 
 
 震える指でガウリを指すケジナン。 
 マスクの奥で笑うと、ガウリは「無論」と返した。 
 
「ヤーパンニンポー火炎車では、肝を冷やすな!」 
 
 轟音。 
 一度や二度ではない、繰り返される烈火の音が近づく。 
 その正体は――――砲塔付きのトロッコ、忍法火炎車であった。  
 
「それじゃあな、シベ鉄! 行くぞ、火炎車!」 
 
 砲塔の上に跨ると、直接ケーブルを接続して砲撃。 
 砲塔が火線を開く反動で、トロッコは烈風の速度を持った。 
 
「ははははははははははははははは―――――――――っ!」 
 
 あとに残るのは高らかな笑い声。 
 それと、ビルの残骸と砲撃の跡とシルエットエンジンのパーツばかり。 
 
 冷え込むシベリア南部、ヤーパンへと続く道のりの入り口での事。 
 ニンジャ同士の戦いは、こうして幕を閉じたのだった。

138 名前:ケジナン&エンゲ:2003/05/09(金) 01:47

ヒューズ・ガウリ vs シュバルツ・ブルーダー 
『ニンジャ・オーバー!』 (纏め)
>>119 >>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126 >>127
>>128 >>129 >>130 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>136
>>137
 
エンゲ「ところで、ケジナンの兄貴?」
 
ケジナン「おう、どうしたエンゲ」
 
エンゲ「なんで俺たちがヤーパン野郎の纏めやってるんですか?」
 
ケジナン「…………」
 
エンゲ「…………」
 
ケジナン「……なんでだ?」
 
エンゲ「兄貴!?」

139 名前:ドクターウェスト:2003/05/10(土) 21:33

 『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
 
 吾輩の名は世紀の大・天・才!ドクター・ウェスト!!
 ちょっぴりお茶目な2X歳!
 神々ですらうらやむ嬉し恥ずかし才能余って、メビウスの輪もびっくりな大げさでもなんでもなく吾輩美しさを誇りつつも謙虚足りたいと思う今日この頃。。
 吾輩、現在ヌーベルトキオシティに来ているのだ。
 なぜかというと。
 ブラックロッジの兵器開発部門において少々(サイタマサイタマ)な出来事が起こったからである!
 まあ、その原因は吾輩の科学力に恐れをなした者の些細な失敗なのではあるが。
 
 まあ、それで少々キノコ雲と薬缶鶴が合体してぶんぶく茶釜を生成するに当たり、吾輩の生み出した魔力探知機『教えて!ダウジン君!』に反応があったため、
 
 
 (AA省略)
              
 と、まあそんなわけで現在魔力反応の最も高いこのファーストフード店に来ているのだが…。
 
 見事に燃えていた。
 吾輩の計算どおりなら…。
 
 む!発見せり吾輩ってやっぱすっごーい!
 
 燃え盛る獣が今まさに少女へとその牙を振り下ろそうとしている。
  
 あの獣は恐らく――――――
 
 「ヘーイ!乗ってるかーい?吾輩も混ぜて欲しいのであーる!」
  
 吾輩の声に獣が振り向く。
 標的を吾輩に定めたようだが遅いのである!
 
 「ようこそ吾輩のコンサートへ。
  レッツ プレイ」
    
 獣に吾輩のロケットランチャーが炸裂する。
 
 爆音。
 獣が苦痛に咽ぶ。そうすると獣は叫びを揚げながら壁を突き破って消えていった。 

 吾輩、感極まってギターをかき鳴らし『魔女の鉄槌』を演奏するが…。
 少女よ、なぜ吾輩を見て恐れるのであるか?

140 名前:吉永サリー:2003/05/10(土) 21:36

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』 
>>139
 
 脅えていた。
 震えていた。
 何事も無い、少し辛いけど、楽しいバイトの日々。
 そこに突然乱入して来た、非日常に。
 
「い、いや……」
 
 襲い掛かってきた炎の獣。
 まず、それが日常を粉々に砕いた。
 客が散り散りに逃げ出す中、
 足が竦んで逃げられない彼女――吉永サリーは祈る。
 
 ピンチの時には、いつも助けてくれる無敵のヒーロー。彼の到来を。
 
「舞人さぁぁぁん!」
 
 絶叫に答えるようにして、室内に人影が飛び込んだ。
 そして、即座に構えた火器で獣を追い払う。
 
 やっぱり。やっぱり来てくれた!
 喜色を浮かべて、煙の向こうの彼を見る。
 
「―――え?」
 
 其処に立っているのは、全く見覚えの無い姿。
 白衣で、ギターを持った、見るからに怪しい男だった。
 
「ま、舞人さぁぁぁぁん!?」
『サリーちゃん!』
 
 今度答えた声は、聞き覚えのある声だった。
 空の彼方、新幹線を模したジェット機から聞こえる声。
 ああ、彼は『嵐を呼ぶ旋風児』―――旋風寺舞人さん!

141 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/10(土) 21:38

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』 
>>140続き
 
 舞人が空から見た光景とは、一体なんだったか。
 
 悲鳴を上げる吉永サリー。
 悪人で無い、と言い訳する方が無理そうな白衣の男。
 重火器まで持っている―――恐らくは、あれで店を!
 
 怒りが湧き上がる。
 正義の心が、奴を許すなと吼えている!
 
「サリーちゃんから離れろ!」
 
 ジェット機、マイトウィングを自動操縦に切り替えてハッチを開放。
 座席から飛び降り、ウィンチを使ってロープにぶら下がる。
 そのまま振り子の要領で勢いを付けて―――
 
「この、悪党めっ!!」
 
 店内に突入。
 弾丸のような飛び蹴りを、男へと見舞う!

142 名前:ドクターウェスト:2003/05/10(土) 22:10

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>141
「ベグルウゥゥゥゥゥッ!?」
 ↑これ、吾輩の叫び。
吾輩は、ヒロインを救ったのであるよ?
吾輩、珍しくヒーローっぽいことをしたのに。
吾輩、ちょっとショック。
 
 今日、ちょっぴりショックなことがありましたの。
 レモンのようにちょっと甘酸っぱい出来事でしたの。
 ゆらゆらと燃える炎の中での出会い。
 こんなにもいい日だと言うのに私、キュートな顔が台無しだわ。
  
と思わずポエムをしたところで吾輩は正気に返った。
「ななななあぁぁぁんとするか!
 吾輩、少女の危機を救ったのに!」
  
と反論したところ、吾輩を蹴り飛ばした少年はあきれ返って
吾輩に指を突きつけた。
 
そう、ヘルメットを被りもう恥ずかしいったらありゃしないセンスの服装。
いわゆる『正義の味方やってます』な感じで指抜きグローブ。
もう種ぽ。
 
吾輩、何か悪い事でもしたのだろうか?
教えて、ミスタースカイ。

そして、一つ思い出した事があった。
ブラックロッジはアーカムシティでは世界的に有名だったが、
ヌーベルトキオシティの学会で昔、吾輩は…。
 
他にも何か問題があったはずだが問題ないことにする。
吾輩は実践派であるからして吾輩はむしろ感謝されるべきであると思ったところで衝撃が再び来る。
 
「ペペペログウゥゥゥッ!?」
 
轟音と爆音。
室内の空気がさらに加熱する。
そう、今ようやく思い出した。
 
「ここは火事であったあぁぁぁっ!」
 
周りを見るとさっきのヒーローもどきもいかにも薄幸そうな少女もまた居なかった。

143 名前:ドクターウェスト:2003/05/10(土) 22:11

>>143

そう、吾輩放置プレイ。
くーーーーーー!二股の挙句放置とはnakeru!
 
吾輩は思わずギターをかき鳴らすとそこで吾輩は一人ではない事に気づいた。
 
獣が居た。
そう、紅蓮の炎に燃える獣が。
 
獣は怯えていた。
 
             ?
              
「ん、んーどうしたんだい子猫ちゃん?」
吾輩の視線に気づいて獣は心底怯えた後、
咆哮とともにビルが崩れていった。
 
ああ、吾輩の運命やいかに!
括目して待て!
 
といいたくなるのをこらえつつ吾輩は威風堂々たる理論の結晶を呼ぶ!
 
そう!コイツに触れることは死を意味する!

『スーパーウェスト無敵ロボ28号改ドリル・エディション〜男の夢よ永遠に〜』
であ〜る! 

144 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/10(土) 22:42

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>142>>143
 
「五月蝿い! 悪人の人助けなど、下心無しにしている訳が無い!」
 
 指を突き付け、そう切って捨てる。
 見せ掛けだけで騙せるほど、旋風寺舞人は甘くない。
 血を噴いて倒れこむ男を無視して、サリーと共に外へ。
 
「サリーちゃん、ここは危険だ。早く安全な場所へ!」
「……は、はい!」
 
 その姿に見惚れていたサリーが、促されて駆け出す。
 胸に抱いた純情を、押し殺して。
 
 世界の鉄道事業を一手に担う、旋風寺コンツェルン若干16歳の総帥。
 それが舞人の表の顔だ。
 同時に―――世界の平和を守る『勇者特急隊』の隊長でもある。
 そんな立派な人に、毎日アルバイトをしてやっと暮らしている自分は、釣り合わない。
 
 また今日も、言い出せない言葉だけが胸に積もる。
 
「……サリーちゃん」
 
 舞人も、何処か寂しげな目で彼女を見送った。
 物思いにふける彼の思考を―――轟音が邪魔する。
 
「巨大ロボットだって!? こんな時に……!」
 
 勇者特急隊を構成する多くのロボットが、現在は修理中なのだ。
 マイトガイン、ガードダイバー、バトルボンバー、マイトガンナー。
 いずれも発進が不可能。残る選択肢は、一つしかない。
 
 辛い戦いになるだろう。
 だが、退く事は出来ない。負ける事は出来ない。
 勇者特急隊の、名に賭けて!
 
 腕のブレスレット―――ダイヤグラマーに向かって叫ぶ。
 
「ドリル特急! 緊急発進!!」
 
 間を置かずして、街中に張り巡らされた線路から車輪の音が響く。
 力を、存在を主張するように、異様な外観を見せ付けて。
 
「―――来たか!」
 
 真っ赤な先頭車両だけで、後は巨大なコンテナ。
 コンテナには1から5まで番号がふられたハッチ。
 更に、後部には翼が生えている。
 
 だが、真に異様なのは其処ではない。
 
 先頭車両の先端。
 それは銀の螺旋―――ドリルなのだ。
 車体の約半分を占めるほどの、巨大なドリルが備え付けられている。
 
「はっ!」
 
 高速で駆け抜ける列車に飛び乗り、舞人はコクピット部へ移動。
 線路沿いに、巨大ロボットに向けて突撃する。

145 名前:ドクターウェスト:2003/05/11(日) 00:16

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>143
「ド・リ・ル?ドリルだとおぉぉぉぉぉ?吾輩の許可もなく、
 ドリルマシンを使っていいと思ってるのであるか?
 吾輩、ド許せぬのである!」
 
吾輩の慈愛も空しく目の前に巨大な列車がきているのである。
ドリル。
 
ドォオオオリイィィィルウゥゥゥゥゥ!
 
それは男と科学の浪漫。
吾輩のスーパーウェスト28号(以下略)の主装備にして最強の破壊力!
絶大なる力の化身。
 
一切合財の理を破壊する不条理。
それを移動の為の電車に使うとは大理不尽!
 
吾輩、とってもマイッチング。

「ぬごぉぁああああああああああああああああああっ!
 見るが良いのである!
 食らえ!漢と科学の浪漫をのせて!
 必ぃぃぃぃぃぃ殺ぅぅぅぅっ!」
  
スーパーウェスト無敵ロボ(略)のドリルが唸る。
破壊と破壊と破壊のエネルギーを乗せ、吾輩のギターの唸りとともに
ドリルが唸る。
そう!
これが!!
ドリルの高速回転とともに大気を破壊し、赤熱させるエネルギー波。
 
「ドリル・トルネェェェェド・クラッシャアアアァァァァッ!!!!!」

146 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/11(日) 00:41

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>145
 
「悪の許しなど必要ない! 俺は俺の、正義を貫くだけだッ!!」
 
 エネルギー波が直撃する、寸前。
 舞人がダイヤグラマーのボタンを押し、指令を飛ばした!
 
「チェンジ・マイトカイザァァァァァァ!」
 
 1番から5番までのハッチが展開。
 内部に収容されていたマシン、カイザーマシンが順に発進する。
 ドリル特急の先頭車両は連結を解除して、空へ。
 
 ドリル特急が変形―――ドリル部を切り離し、胴体のパーツを形作る。
 
 小型ジェット機・カイザー1が腰部に。
 ドリル地底戦車・カイザー2が右腕に。
 強力クレーン車・カイザー3が左腕に。
 海底探査機・カイザー4が右足に。
 スーパーブルドーザー・カイザー5が左足に。
 
 変形していく全ての機体が、一機の人型ロボットを作り上げる。
 
「マイトカイザー、起動!!」
 
 コクピットの横に迫り出した、電車のマスコンに似た操縦桿を操作。
 頭部に位置したコクピットを、マスクが覆う。
 計六機の超電導モーターが唸りを上げ、直結。
 背の翼に漲るエネルギーを持て余すように、空中で一回転。
 
 青空に映える、その勇姿を映し出す。

「愛の翼に! 勇気を込めて! 回せ正義の大車輪!
 勇者特急マイトカイザー! ご期待通りに只今到着!!」
 
 これが噂の―――マイトカイザーだ!

147 名前:ドクターウェスト:2003/05/11(日) 01:31

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>145
レス番間違えでも気にしない吾輩ってやっぱりソープリティー。
電車の合体を見て、吾輩の偉大なるどどめ色の脳みそにピーンとくる。
 
ああ、合体。
合体
それはユートピアジョキャニーナガンエデンブラックシャンバラーにアッガルターな楽園で桃源郷なヘブンでパラダイス。
 
漢の浪漫。勇者の証。
燃える萌える燃える。
吾輩の顎の割れ目ちゃんにビンビン来やがってくる。
 
いや、吾輩顎の割れ目ないけど。
  
「合体キキキキタタタタタタタ━━━(((((゚(゚(゚(((゚゚∀∀゚゚)))゚)゚)゚)))))━━━!!!!!!」
 
思わず吾輩は歓喜に咽んだのである。
ああ、あのシステム使いたい吾輩の創作意欲がヴァリヴァリと刺激されまくるのである。

「ふっふっふひゃはははははははは!!
 よろしいよろしいぞマイトカイザーとやら!
 吾輩の名は世紀の大天才神をも恐れぬドクター・ウェスト!
 吾輩にドリルを向けたその勇気、湛えてやるのである!」
  
吾輩はスーパーウェスト2(略)の機体をギターの演奏でさらにさらに加速させる。
当然外部スピーカーは入れっぱなしである。
 
唸るドリルがマイトカイザーへ向けて放たれる!

148 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/11(日) 01:55

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>146
 
 腕を高々と天に突き上げ、ドリルの咆哮を真っ向から睨む。
 
「ドクター・ウェスト! 
 頭脳を悪用して、破壊の為のマシンを作り!
 人々を、平和を脅かす行為! このマイトカイザーが許さん!!」
 
 雲を突き破り、変形の際に外れたパーツ――ドリル特急の、ドリルが落下して来た。
 まるで、其処にあるべきだ、とドリルが主張するように。
 ドリルはマイトカイザーの右手で、しっかりと握られる。
 
「ドリルクラッシャァァァァァァ!」
 
 巨人の力の源である、モーターが駆動。
 回転が生む、更なる回転が鋼の螺旋に力を与える!
 
 高々度から超電導推進バーニアを全開、地上へ向かい突き進む。
 相手のドリルと、正面から打ち合う形になって。
 
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
 
 せめぎ合う螺旋と螺旋が、盛大な火花を上げる。
 時折弾け跳ぶ表面の鋼が、地表に落ちる度耳障りな音を上げた。
 
「くっ……パワー負けしている!?」
 
 重力、推力。様々な物を加味しての一撃だった。
 それでも、ドリル同士の勝負は徐々に押され始めている。
 
「ならば!」
 
 バーニアに回すエネルギーをカット。
 ドリルクラッシャー、ただ一点だけに、エネルギーを集中させる。
 
「回転で―――上回るっ!!」
 
 高速回転が、急激に勢いを増した!

149 名前:ドクターウェスト:2003/05/11(日) 02:27

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>148
今度こそレス番間違えしないのである。
吾輩のドリルにここまで応えるとはなかなかやるのである。
こう、ギューンギューンギューンギューン私の彼はパイローーっトときて周囲に大破壊をもたらしたりなんかしつつ吾輩のテンションはさらに高まる。
 
「轟oooooooooooooo!」

向こうが回転数を上げるのなら吾輩は五つのドリルを回す。
というか特に頭部のドリルがヒートアップ。
ああ、ドリルって素敵。それを扱う吾輩ってもっとス・テ・キ。
リリカルな気分で吾輩はさらにギターをかき鳴らす。
ブラックダイヤモンドでも歌っちゃおうかしらと思ったくらいに。
 
でも吾輩流行系はあまり押さえたくないと思うのではあるが、
世情というものにふと悩みつつドリルを突き上げ、
足元のペダルを踏み込む。
 
『ペダルを踏み込むんだ!』
とはかつてのドリルマシンの先人の居たチームの言葉。
ああ、古きを温ね、新しきを知るというわけである。
 
ドリルを突きこむ吾輩はエンジン出力を高めて、
「ぽちっとな」
 
とボタンを押す。
そう、これが吾輩のスーパーウェスト無敵ロボ(略)のプリティーアタック。
 
吾輩の機体が加速して空へ舞い上がる!

150 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/11(日) 02:54

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>149
 
「なんてパワーだ! まだ出力が上がるのか!?」
 
 回転数を増したドリルクラッシャーも、他のドリルと力に押されていた。
 マイトカイザーもパワーを全開にして螺旋を突き込むが、適わない。
 装甲を抉り取られるのは、時間の問題だ。
 
「……だが! 負ける訳にはいかない!」
 
 マイトカイザーの胸の動輪が、回り始める。
 
「正義の力を、見せてやる!!」
 
 相手が飛ぶ勢いで、ドリルクラッシャーが弾かれようとした時―――
 
「カイザーッ! ハリケーン!!」
 
 凄まじい動輪の回転により、高熱を持った旋風が生じた。
 旋風は、そのまま竜巻へと昇華。
 灼熱の竜巻が、敵を討つ!

151 名前:ドクターウェスト:2003/05/11(日) 03:24

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>150
吾輩の学習能力は○ン○ム以上であーる!
小癪にも胸の大車輪を回転させ、そのエネルギー波によって押し潰そうとしてくる!
 
「吾輩は負けんのである!ド・リ・ルフルパウワアァァァァァァァッ!!」
ドリルの勢いにさらに吾輩はエンジンを一瞬カット。
ニュートンの法則によって機体が地へと落下しかける。
そしてエネルギー波をやり過ごした後、ロケットダッシュを敢行する。
 
「エンジンカット、必殺竜鳥飛びであーる!」
 
声優がそれに近いから無理があるとか抜かすなと何処かの誰かに反論する吾輩は大出力でマイトカイザーへ突進するのである。

152 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/11(日) 03:41

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>151
 
 突進のベクトルを瞬時に変える発想。
 如何に天才的な頭脳を持つ舞人であっても、それは計算外だった。
 
「しまった……!?」
 
 攻撃で平衡を崩したマイトカイザーに、回避運動を取る余裕は無い。
 ドリルの直撃を受けて、機体を抉られる。
 
「ぐあぁぁぁぁぁっ!」

 上下左右に、激しくコクピットが揺さぶられた。
 
「まだ、まだ……!」

 打撲の痛みと、機体の損傷を押して、操縦桿を握る。
 
「カイザードリル!」
 
 右肩に収容されていた、カイザー2のドリルが外に出現。
 バーニアを吹かし、ショルダータックルの体勢で舞人は吶喊する。

153 名前:ドクターウェスト:2003/05/11(日) 04:15

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>152
アドレナリンが大量に分泌され、α波が増大する。
ゆえに吾輩ちょっぴりおねむになりそうなのであるがそこはそれ、
ギターを思うが侭にかき鳴らして気合を入れなおすのである。
 
「ん、んー?どうしたのであるか?
 吾輩の機体にろくすっぽダメージを与えられないのは出損であーる」 
機体の損傷率は10%今だ無視できる範囲内なのである。
吾輩としても先ほど取り逃がした魚…じゃなかった魔導書のページを入手せねばと思いながらも悲しいかな闘争狂の血が騒ぐのである。
 
吾輩は機首を立て直しながらギターをかき鳴らす。
 
衝撃
打撃。
突撃を受け機体の表面に大きく穴が開く。
 
スーパーウェスト無敵(略)の美顔に凹みと火器管制が悲鳴をあげる。
出力、15%ダウン。歩行系プログラムを修正の必要が出る。
吾輩の自信が一瞬崩れかける。
 
「否!否否否!!吾輩はけして敗れないのである!」
 
むしろこの距離は吾輩向けである。
ドリルをさらに加速。
 
「ドリル・トルネエェェェェド・クラッシャアァァァァッ!!」
 
エネルギー波を発し、マイトカイザーへと放つ!

154 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/11(日) 04:53

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>153
 
「―――よし!」
 
 カイザードリルが命中、一瞬だけ舞人に油断が生まれた。
 永劫に等しい、致命的な一瞬の油断が。
 
 其処につけ入るようにして、ドリルからの破壊が襲い掛かる。
 
「があ……っ!」
 
 装甲が無残に剥がれ落ち、コクピット内の各部回路がショート。
 機体の状態を表すモニタが、真っ赤に染まる。
 同時に、額から流れ出す血で、舞人自身の視界も。
 
「俺はもう駄目なのか! ここで負けてしまうのか!
 ガイン……!」
 
 共に戦う、超AIを搭載した無二の仲間の名を呼ぶ。
 だが、彼の声は返って来ない。今は一人で戦うしかないのだ。
 
『――舞人――』
「ガイン!?」
 
 通信が繋がったのか、とも思った。
 違う。通信用のモニターは、依然沈黙を守っている。
 
『諦めるな、舞人! お前は勇者特急隊の隊長だぞ!
 正義の魂を、お前が見せないで誰が見せるんだ!!』
「……ああ!」
 
 ヘルメットを脱ぎ、血を拭う。
 赤に染まる手袋も、張り付いた髪も気にならない。
 今のが幻聴であっても、何でもいい。
 こんなにも―――こんなにも、体が熱いのだから!
 
「今、この瞬間も俺は一人じゃない! 鋼の絆が、俺にはあるっ!!」
 
 胸の動輪が回る。正義と、熱い想いを乗せて。
 
「カイザーハリケェェェェン!」
 
 以前よりも強く、熱い竜巻が敵のロボット全体を呑み込む勢いで迫る。
 
(奴に勝つには、只のドリルじゃ駄目だ!)
 
 ドリルクラッシャーを構え、超電導モーターをフル稼働させる。
 あのドリルに勝つ為の、強烈な一撃、その準備の為に。
 
(もっと、もっと強い攻撃を叩き込むしかない!!)

155 名前:ドクターウェスト:2003/05/11(日) 21:17

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>154
損傷率30%おーばー!

オーバーマンでもびっくりのダメージである。
しかし、吾輩の傑作スーパーウェ(略)は男の子!
 
吾輩の天才具合がさらにアップ!
吾輩ってばおっとこまえ〜。ハートマークが山のように積み重なったりなんかして。
吾輩の美と威力の化身たるスーパーウェ(略)は無敵無敵無敵イイィィィィ!
 
ナチス軍人もびっくりの世界一さ加減で大奮闘の大逆転をこれから見せ付けてくれるのである。
 
「歩行、ならびに火器管制プログラム修正完了!
 吾輩のスピードは通常の超天才の3倍であーる!
 吾輩の恐ろしさ、今こそ括目するのであーる!」
  
エンジン出力を再調整し、全ての火器を一斉に放つ。
「これが!スーパーウェスト無敵ロボ(略)の絶技!
 魔乳婆愚乱獲玖珠〜ああ、ドリルよ永遠なれ!〜であーる!」
  
超電磁の波に吾輩の威力が押し勝とうとしたとき!
 
下から何か、熱いのが吾輩を貫いた。
いや、吾輩の純潔は守られてるが。
 
「なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?
 な、な、なな、なんであるか!?
 七人のナナであるのか!?」
  
犯人はすぐにわかったのである。
 
燃える獣。
そう、吾輩が捜し求めていた魔導書のページ。
ああ、敵が分かったとでもいうのか!?
 
そして、吾輩の機体が尋常ではないダメージを受け、
火器とドリルの過半数が沈黙する。
吾輩ぴーーーちん!大ぴちんである!

「よもや、これはーーーーーーーーーーーーーッ!」
負けパターンの予感?

156 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/11(日) 21:49

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>155
 
 急遽、編み出した必殺技だ。
 成功率は限りなく零に近い。
 反撃をもらえば、死は免れないだろう。
 
 それでも、諦めはしない。
 振り絞れ。
 有りっ丈の、勝利を信じる―――勇気を!
 
「行くぞ! カイザーッ!!」
 
 自らが巻き起こした、竜巻の中へ身を投じる。
 傷ついた機体が更に破壊され、左足が千切れ飛んだ。
 揺れるコクピットの中、舞人は全力で機体をコントロールする。
 
 この風を味方に付けて、マイトカイザー自身を回転させる為に。
 
「ぐ……ああっ!」
 
 暴れる操縦桿を押さえつけ、超電導推進の方向を調整。
 竜巻の流れに逆らわず。自らを、一つの螺旋として。
 カイザーが、回転する。
 
「……駄目か!?」
 
 舞人の目に入ったのは、一斉射撃を仕掛ける敵の姿。
 このまま飛び込めば、失敗――― 
 
 だが。
 奇跡の追い風が吹いた。
 突如現れた、炎の獣が敵に襲い掛かったのだ。
 
「―――今だぁっ!」
 
 好機を見逃さず、パワーを臨界まで上昇させる。
 突き出したドリルクラッシャーが、超高速順回転を開始。
 
「ハリケェェェェェェェン! ドリルッ!」
 
 一個の巨大なドリルと化したマイトカイザーが、突撃する。
 これこそ、強大な敵に打ち勝つ、新必殺技。
 ハリケーン・ドリルクラッシャーだ!
 
「クラッシャァァァァァァァァ!!」

157 名前:ケジナン・ダッド:2003/05/11(日) 21:55

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
 
>>一方地中で…… 
 
「させさせなされてしまった――――!」 
 
 ヤーパンの白いオーバーマンから逃げる事数時間。 
 アントリオンのオーバースキル”地面を掘る”は快調に進んでいた。 
 硬い岩壁も巨大な石も岩盤も、すべて透過してアントリオンは往く。 
 ”アントリオン”――四本足を持つ半オーバーマン、トンネル堀用の 
作業機械だった。それを、あの”カシマル・バーレ”が作戦に使うと言い出して、 
借り出されたのがケジナン&エンゲの元シベ鉄ヤッサバ隊隊員だったのだが―― 
 
「尻尾撒いて逃げるんだからなぁ。これじゃヤッサバの野郎と大差ねぇじゃねぇか。 
 くそう、これならエンゲの奴とジャボリにでも押しつけりゃ良かったぜ……」 
 
 負けた。そりゃもう徹底的に。 
 ついでに爆発でもした方がすっきりするんじゃないか、という程。 
 
「ここまでしっかり、させさせられちまって……あの、髪の毛のオーバーマンめ!」 
 
 とりあえず、恨むのはキングゲイナーとしておく。 
 精神衛生上、それが一番良い事ぐらい学んでいた。 
 と、不意にビーコンをロストする。遙かに先行していた――一人で真っ先に逃げ 
出した――カシマル機を見失ったのだ。続いてエンゲ機も。深い地中の中、 
ケジナンはあっという間に一人になってしまった。 
 
「ちょ、ちょっと待って! お、俺を一人にしないでくれぇ!」 
 
 慌てて速度を上げるが、消えた反応は返ってこない。 
 
「ま、まさか。俺だけ置いてけぼりにするつもりか!? 
 ま、待てって! 話せば、話せばわかる――運行部長ぅぅぅぅ〜!」 
 
 応えはなかった。 
 
 ・ 
 ・ 
 ・ 
 ・ 
 ・ 
 
 だから、こうして地上を目指しているのだ。 
 せめて明るい所に出れば、もう少しマシになるだろう。根拠はないが。 
 アントリオンがオーバースキルを奮い、穴を開けては走る。その速度は地中とは 
思えぬ程に速く、瞬く間に地表付近まで駆け上り…… 
 
「くは〜。よーやく地上に出てこれ――――――――」 
 
 
 
 そこはドリルの中心だった。 
 
 
 
 流れドリルに引っ掛かり、アントリオンは高速に回転。細長い四本の足をぐるぐる 
回した。扇風機のようにプロペラのようにヤーパン伝統のタケトンボのように。 
推力を得てしまったアントリオンは、一気に突き進んだ。 
 
「な、なんでこんな事になる……ぐげっ」 
 
 さらに回転の揚力が加わった。飛ぶには十分すぎる力が生じる。 
 
「おーたすけー――――――――――――」 
 
 力無い声が響く。 
 蒼い蒼い空にアントリオンは飲み込まれ、どかん、と気のない爆発をするのだった。 
 
「ま、また――――させさせられてしまったぁ〜!」 

158 名前:エンゲ・ガム:2003/05/13(火) 23:37

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
 
>>157 二人は魂の兄弟―――
 
「……あれぇ?」
 
 エンゲ・ガムは、そのような間抜けた声を上げた。
 右方やや前方を進んでいるはずのケジナン機が、何故か急速に速度を上げたからだ。
 思わず、あの忌々しい髪の毛のオーバーマン――それがキングゲイナーと呼ばれてい
 ることを、未だに彼は知らない――が追いかけてきたのかとギクリとしたが、見入るレー
 ダーには、自分たちのほかに反応はない。
 
 では何故? 疑問を解消するために、エンゲは当たり前の行動を取った。無線だ。

「兄貴、いったいどうしたんです? そんなに急がなくったって、連中別に追いかけてきや
 しませんぜ」
 
 待つこと一呼吸。すぐさま顔を真っ赤に染めた兄貴分のケジナンが、こちらに怒鳴り返
 してくることを予想していたのだが……しかし、応答はない。
 それどころか、地上へと浮上しつつある。それも、急速に。
 
「……まさか、故障か? 作業用ってのはこれだからなあー……。運行部長、ちょっくら
 向かえに行ってきやす」
 
 ぐだぐだと嫌みを言われる前に、エンゲは思いつきを即座に実行に移した。
 運がいい、とエンゲは思う。兄貴は災難だけれども。
 
「なんたって、あの運行部長と一時的にとはいえ離れられるんだからなぁ」
 
 氷の運行部長、カシマル・バーレ。
 何をさしおいても、列車のダイヤを守る男。惣、必要なら人命すらも捨て置いて。
 噂には聞いていたし、実際あうとなれば覚悟もした――が、やはり一般人の自分には、
 あの部長は荷が重すぎる。
 
 ――なによりも、あの奇抜なセンスが。

 モヒカンに尻顎。あげくに、身に纏っているのは変形全身タイツ。
 そんなものを身につけて威風堂々としているその様は、控えめに言って頭痛ものだ。
 
 おつむに何が入っているんだろうという疑問は墓まで持っていこうと心に誓って、エンゲ
 はケジナンを追いかける。二機のアントリオンは、追い掛け合うように地上を目指していた。
 
 やがて――――
 
 太陽の輝きがコクピットに広がる。日の光。暖かな陽光。
 そして、むしろこっちが本命だったりするのだが、ケジナンのアントリオン。
 ようやく捕まえた、と思った瞬間、安堵の息をこぼす暇もなく……ゲジナン機は宙を舞う。
 
  
 
 
 ドリルで。
 
 
 
 
「……どり!?」
 
 エンゲは声を詰まらせる。
 ドリル。
 何でこんな所にドリルが。
 自らの乗るアントリオンも一種のドリルであるはずなのに、そんなことは遙か遠くに置き去り
 にして、エンゲはただただそれを見た。
 
 蒼い空に、ぽっかりとひとつ、爆発の花が咲く。
 
「あ……兄貴ぃぃぃぃ!?」
 
 エンゲがそう叫びつつ自分のアントリオンをかっ飛ばしたのは、ひゅるりらと落下する、ぼろ
 ぼろの人影をモニタに認めてからだった。

159 名前:ドクターウェスト:2003/05/13(火) 23:42

『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>156>>157>>158
損傷率99%突破である!
吾輩、今回いいとこなしー!?
轟音爆音炸裂音怒号快音奇音烈音刃音暴音堕音絶音
 
吾輩を乗せたコックピットが危険でゴイスなデンジャーを察知。
緊急離脱装置が作動して吾輩の愛車。ハーレーダビッドソンごと射出。
 
へんしーんどっかーん!
といった感じに吾輩は空を飛ぶ。
 
地球は丸いんだね、ママン。
 
吾輩は着地と同時にスロットルを全開にして加速する。
 
「これで勝ったと思うなであーる!
 いつか、きっと吾輩の恐ろしさを見せつけてくれるのであーる!」
  
マッハロッドでブロロロロローブロロロロローな感じの加速を見せ付けて、
追撃から逃れた吾輩は厭な奴を見た。
 
全身をフード付きのローブで隠した道化師の面をつけた男。
吾輩が居るブラックロッジの大幹部。
 
大導師マスターテリオン様の僕、七つの頭アンチクロス。
 
全員が全員超☆魔術師であり、鬼械神を操る。
吾輩とは絶対的に蟲があわない。
 
「あらあら、ウェストちゃんってばオマヌケネェ〜★」
むかつく。
 
そんな事を歯牙にもかけず、奴は続ける。
 
「でも、ウェストちゃんのおかげで助かったわ〜♪
 貴方のお手柄ね♥
 アル・アジフのページ、簡単に手に入れられたわ。
 あの子達はアタシが可愛がったげる。
 今、あの子達に関わるのは大導師様がお許しになられないから」
 
やつめ、まだ騒いでいる。
吾輩は憮然としたまま本来の戦いの地、大混乱時代であり大暗黒時代にして大黄金時代。
混沌と秩序うずまくアーカムシティへと戻るのであった。
 
「あぁぁぁいぃるうううぅぅぅぅびいぃぃぃぃぃばあぁぁぁぁっく!!」
悔しいので、吾輩は夕日に向かって叫んだのでした まる 

160 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/14(水) 00:03

 『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
>>159
 
 装甲を抉り、砕き、貫き。
 行く手を阻む物を、全て蹴散らすドリルの一撃。
 その威力は敵機の内だけに留まらず、辺りの大地までも抉り取る。
 
 暴威の只中にあった敵は、木っ端微塵に砕け散って爆発。
 直後に、渦巻く炎と煙の中から、マイトカイザーが姿を現した。
 
「悪の栄えた試しは無いと言う事を、思い知ったか!」
 
 ドクター・ウェストの逃げ去る背中に言葉を叩き付け。
 胸の動輪を人々に誇示する。
 勝利の、証として。
 
「……まだまだ、悪は消えないか」
 
 コクピットの中で、舞人が呟く。
 
 急速な繁栄を遂げた、ヌーベルトキオシティに潜む悪は多い。
 海の向こう―――アーカムシティも同様だろう。
 他にも心当たりは無数だ。
 シベリア、ヨーロッパ……果てには宇宙まで。
 
 悪の気配は、至る所にある。
 
「だが、来るなら来い! 
 勇者特急隊が全て叩き潰してやる!!」
 
 しかし、正義の心は挫けない。
 たとえ自分の命が尽きるとしても。
 悪の消え去るその日まで。
 
 旋風寺舞人は―――勇者特急隊は、闘い続ける!

161 名前:旋風寺舞人 ◆7MIGHTfgao:2003/05/14(水) 00:15

 ふう……やれやれ。
 流石にガイン達抜きだと、厳しい戦いだったな。
 それでも、負けはしないさ! 正義は必ず勝つんだ!
 
 『ロマンシングストーリー〜全てはビッグ・ドリルのために〜〜』
 旋風寺舞人vsドクターウェスト(レス番纏め)
 >>139 >>140 >>141 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 
 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156
 >>159 >>160
 
 さて、次回も―――嵐を呼ぶぜ!



 ん? そういえば何か(>>157 >>158)ドリルに引っ掛けたような……。
 気のせいかな。

162 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/05/30(金) 20:38

 《青空町はギャグ日和!?》 
無限に広がりまくりやがりなさってる大宇宙。
ここ、ハラハラワールドにおいて妖神ゴブーリキの復活を成し遂げんとする、
ドン・ハルマゲ様の命令で守護騎士を一体でも多く手中に収めんと
俺様は天空を相棒のレスカと駆けていた。
俺様の名前はダ・サイダー!
 
世紀末を駆ける天空の貴公子!
 
「アンタ、何あほなモノローグをしてんのよ」
 
あ、レスカさん?俺様のモノローグに首を締めながら、
突っ込むのは余裕で死ねるので止めてくれ。
「なんだよレスカ。男にはモノローグが必要なんだよ!」
 
男の浪漫を分からない奴だなと思いながらも、
レスカと駄弁りながら旅を続ける俺たちだったが。
 
「何でか知らんが目の前にブラックホールがあるわけだ」
 
「何のんきな事言ってんのよ!」
 
ドバキッ!
 
「あせってもしょうがねぇだろうが!しかし…。
 よく見ると魔法陣っぽいぞ?」
  
「魔法陣?なんで、ドン・ハルマゲ様かしら…」
 
そうしながらも俺たちは魔法陣に飲み込まれようとしていた。
「しまった!魔法陣に入るのなら水筒を持ってるべきだった!」
「なんでよ?」
「魔法陣には魔法瓶だろうが!!」
<ダーリン最高ジャ〜〜ン!>

ドダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!

俺様は感極まって相棒のヘビメタ子と一緒にマシンガンを乱射する。 
レスカが感動の余り沈黙しているなか、俺たちは別世界にきていた。
 
外をマジマジと観察してみる。違った景色、違った空気、そして違った奴らがいた。
「こ、ここはマジマジワールドか・・・?」
「どういう根拠よ」
  
<ダーリン、変な奴が外でマジマジとこっちを見てるジャ〜ン!>
おおう、そう言われてみればハラハラワールドでも珍しそうなフラスコを被っちゃった奴が
こっちをマジマジと見ているのに目が合った。
 
「まさにここはマジマジワールド!!俺様って冴えてるゥゥッ!」
 
レスカが俺様に向けてハンマーを振り下ろそうとする。
そして、フラスコを被った奴が何かを言い始めていた。

163 名前:OPENING:2003/05/30(金) 20:41

>>162 ダ・サイダー vs ガンバーチーム 
 
 誰にも言えないけれど 大好きなものがあるよね
 ダイヤモンドや お金じゃない 君の胸に 輝く秘宝さ
 GANBARE!
 心に炎 燃やして 悲しみを ぶっ飛ばせ
 GANBARE!
 明日のヒーローさ 君は
 元気爆発ガンバルガー
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
              《青空町はギャグ日和!?》 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

164 名前:逆転ラーメン二階・力哉の部屋にて:2003/05/30(金) 20:41

>>162 >>163 
  
 ジリリリリリリリリ…… 
 煩いなぁ。 
 夢の世界に片足つっこんだまま、力哉は思う。 
 こっちは学校に出前に野球にガンバーチームで疲れてるんだ。 
 ちょっとぐらいの寝坊ぐらい大目に見ろよ。 
 ジリリリリリリリリ…… 
 煩いってば。 
 大体、今日は朝練ないんだ。もっと寝てていいんだ。 
 ならこんな小うるさい目覚まし時計は、止めるに限る。 
 力哉は布団から億劫な手を伸ばし、枕元の時計へそろそろと近づけ…… 
 
『目覚まし時計は、ほっとけい!』 
 
 凍った。 
 指先が、意識が、思念が。 
 思わず跳ね起きる力哉。 
 
『アザラシが寝るのは朝らしい!』 
『浅草は朝臭い!』 
『アサシンは朝死んだ!』 
 
 ギギギ、と妙に重い首を曲げる。 
 視線の先にあるのは、目覚まし時計。 
 凍り付く様な駄洒落をベル代わりに連発する、目覚まし時計だった。 
 
「なんなんだこれは――――――――――――ッ!」 

165 名前:風祭家リビングにて:2003/05/30(金) 20:42

>>162 >>163 >>164 
 
『次のニュースです。宮城県沖で発生した地震は……』 
 
 風祭家の朝は早い。 
 優等生たる鷹介にとって早寝早起きは当然だったし、 
 教育ママたる鷹介の母もそれを喜ばないはずはなかった。 
 七時には家族揃って食卓に着き、朝食を取る。 
 父は新聞を広げ、テレビはニュースを映し、母はそれを眺めた。
 慣れ親しんだ朝の光景。そんな中、鷹介が真っ先に気付いたのは―― 
 
『続いてスポーツです。いやー、昨日のナイターは観て泣いたーでしたねー』 
 
 違和感だった。 
 
『ここで、ライトはつらいと思います』 
 
「え、らいとはつらいと……って、えっ?」 
「ようちゃん、お行儀の悪い。どうしたの、そんな声出して」 
「なんだ、今日のキャスターは愉快だなぁ」 
 コーヒーを啜りながらにやける父の顔――きっとこのジョークに
 受けているのだ――にげっそりしながら、鷹介は不承不承に頷く。 
「そ、そう言う問題……なの、かなぁ」 
 
『星野監督に優勝して欲し〜の』 
『あいつはメジャーじゃあ駄目じゃー』 
 
 テレビの中でキャスターは、鷹介の心配を余所に寒々とした駄洒落を連発していた。 

166 名前:青空町〜青空小学校前/ガンバーチーム:2003/05/30(金) 20:43

>>162 >>163 >>164 >>165 
 
 虎太郎、力哉、鷹介の揃う通学路の途中で三人は円陣を組んでいた。 
 あの朝起こった”事件”についての相談だ。 
「だからってさぁ、こんな朝早くからガンバーチームが出動する事ないって」 
 青空小学校の三人組……霧隠虎太郎、風祭鷹介、流崎力哉。 
 彼らが青空町の平和を守ってる事は、秘密だった。 
 正体を知られてはいけない、秘密のヒーロー。 
 ガンバーチーム。 
 その結束は固く、正義の為には如何なる苦労も惜しまない――――筈、だった。 
「魔界獣の仕業かも知れないんだぞ! 何暢気な事言ってるんだ!」 
 今だ枕にしがみつき、だだをこねる虎太郎相手に今日も力哉は青筋を立てていた。 
 ヒーローだって、朝は眠いのである。 
「駄洒落ぐらいいいじゃねーか。そんなの、ウチのとーちゃんだって言ってるぞ?」 
「あのなぁ。面白ければ良いんだよ、面白ければ」 
 それもどうかと思う。 
 思ったが口に出せないのが鷹介であった。 
「凍り付く程寒い駄洒落を聞かされるのは、迷惑なんだよ!」 
 確かに迷惑だろう。あまりの寒さに力哉の父――ラーメン屋店主――は、
 朝の仕込みが手につかないで居る。それだけじゃない。これが午後まで続けば、 
 草野球の練習中にもこの駄洒落が響いて……想像もしたくない力哉だった。 
「……ウチのお父さんは喜んでたけどね」 
「だーっ! メンドクせぇ。お休みー」 
 力哉の心配も鷹介の不安も、虎太郎の眠気には劣ったらしい。 
 枕を頭に当ててそのままゴロリ。 
「寝るな、虎太郎!」
 路上でだらしなく寝っ転がる虎太郎を力哉が殴りつけた、その時。 
 
『青色に気持ちが高ブルー!』
 
 辺りを見渡す。 
 歩行者用信号の音楽が、駄洒落になっていた。 
「き、来た! あの駄洒落だ!」 
 思わずたじろぐ力哉。不安はおおよそ、的中しようとしている。 
「虎太郎君、ほら、起きてよ! 起きて変身しよう……虎太郎君?」 
 慌てて虎太郎を起こしにかかる鷹介だった、が。
「あ、青……青が高ブルーって……ぷっ、くくく」 
 受けていた。
 これでもかという程。 
「笑ってる場合かぁ!」 
「な、なんでこんなので受けるの!?」 
「ぶはははははははははっ!」 
 気付いたら大爆笑である。虎太郎の”ツボ”に嵌る駄洒落だった様だ。
「もう良い、鷹介! 変身だ!」 
「ま、待て。お、俺も行く……ぷっ」 
「勝手にしろ!」 
 ガンバーブレスへ手を伸ばす三人。 
 
『フラッシング!』

167 名前:ピエゾ=バイモルフ ◆VOn.4G9bRA:2003/05/30(金) 23:09

ピエゾ=バイモルフ@試型雷電vsラミア=ラヴレス@アンジュルグ


ピエゾ=バイモルフは困惑していた。
自分は彼女に対して誠心誠意を尽くしてきたつもりだし、
これまでも常に彼女の意向を尊重してきた筈だった。
しかし彼女はバイモルフの言動の一つ一つに激嵩し、遂には果たし状まで叩き付けてきたのだ。
一体自分が何故彼女をここまで怒らせたのか、まるで見当がつかないというのは実に気に入らない。
今回の騒ぎの直接の原因となったあの食堂での一件も、純粋な善意と奉仕の精神から行った事なのに!
 
そもそも彼女――ラミア=ラヴレスには人間関係、特に男女の仲の機微というものに対する理解が
少しばかり欠けているきらいがあった。
そんな彼女を放っておけなかったバイモルフは今日まで熱心に「指導」を行ってきたのだが、
どうやらその努力は明後日の方向へとその実を結んでしまったようだった。
そして今、その熟しきった怒りの葡萄は、演習の名を借りての決闘という形で自分の頭上に降り掛かってきた。

「まったく、決闘で白黒つけようだなんて、女の子の考える事じゃないよねえ。」
 
ぼやきつつも手早くパイロットスーツに袖を通し、ヘルメットをひっ掴んでロッカールームを後にする。
足早にシミュレーションルームに向かいつつも、いかにしてこの状況を最大限利用してやるか、
自称騎士道精神の徒は、あれこれと策謀を巡らせる。
 
「……閃いた!」
 
一瞬、バイモルフの瞳が小狡そうに輝く。
そそくさと通路の影に入ったバイモルフは懐から通信端末を取り出すと、とあるナンバーをプッシュ。
コールの間に周囲を見回して人影のない事を確認、丁度よいタイミングで電話口に出た相手に対して
話を切り出し始める。 
 
「……あ、鹿乃介? うん、僕だよ。実は折り入って頼みがあるんだけど……。
 …………うん、それでいいよ……いや、ちょっと待て、そいつは譲れないな……
 ああ!わかった!50:50で公平に行こう! ……じゃあ、手配の方はよろしく頼むよ。」
 
話をまとめるとバイモルフはシミュレータルームへと駆け足で向かっていった。
今頃ラミアはシートに着いて自分を待っている筈だ。
騎士道精神の徒たるもの、淑女をお待たせするわけにはいかない。
 

168 名前:ピエゾ=バイモルフ ◆VOn.4G9bRA:2003/05/30(金) 23:11

>>167


ラミアは既にシートに着席し、バイモルフの事を今か今かと待ちくたびれていたようだ。
つとめて明るく挨拶をする。
 
「……やあ、お待たせMSH(My Sweet Honey)!」

返事を返してこないところを見ると、相当に頭にきているらしい。
実によろしくない傾向だ。
これから決闘を行う相手とはいえ、レディを不愉快な気分のままにさせておくわけにはいかない。
仕方なく、バイモルフは敵に塩を送る事にした。
 
「ごめんごめん、急に電話が入っちゃってね。おかげで1分と18秒程遅れちゃったよ。
 埋め合わせとして、後で夕食をおごるよ。美味しいカレー屋を知ってるんだけど……」
 
彼女の返事はコンソールを思いきりひっぱたく音。何故かこの提案がお気に召さなかったようだ。
どうやらこれ以上話しても、ラミアの怒りの炎に油を注ぐだけになるらしい。
バイモルフは早々に話を切り上げて、自分のシートについた。
ラミアはまだ怒っているようだが仕方あるまい。
少なくとも自分は彼女をリラックスさせるべく努力はしたはずだ。
 
「さて、と。 それでは始めますか。」
 
慣れた動作でモニタと計器類を点検した後、ヘッドマウントディスプレイを装着。
M.S.B.S.を起動。視界いっぱいに起動メッセージが流れ始める。
 
 
>Wakeup M.S.B.S ver5.66S
>Onboard/Remort [O/R]
>?_O
>
>
>Onboard [Ok]
>connect Navigator
>XBV/DD-05/02 RAIDEN proto type
>Main/WRL>system check
>Main/WRL>system[Ok]
>Main/WRL>
>Main/WRL>
>Main/WRL>open connection
>Main/WRL>synchronize start
 
 
OK、異常無し。新型シミュレータ「M.A.R.Z.」は順調に稼動しているようだ。
操縦桿を握り、軽く深呼吸して画面に集中。
起動メッセージに続いて戦闘フィールドの俯瞰図とライデンとアンジュルグの機体データ、
戦闘開始時の彼我の機体の配置といった各種情報が画面を流れていく。
 
 
> Rentaria F-56
> "Flying Transporter"
>
. . .

戦場となるのは火星戦線の激戦地の一つ、旧火星開拓団によって設営された工業施設。
平坦な正方形のフィールドの中に長方形の建造物が立ち並ぶという構成。
ライデンとアンジュルグはそのフィールドの中央部にある広場状のスペースに相対する位置に置かれている。
戦闘開始時の距離は350。近距離とも遠距離とも言い難い、いわゆる中間距離というやつだ。
悪くない。いや、むしろ好条件だ。
公平を期して戦闘フィールドと機体位置はCPUに無作為に選出させる事になっていたのだが、
これならどちらが極端に有利という事もないだろう。
ラミアを納得させるのはもちろん、もう一つの用件の為にも実に都合のいい展開と言えた。
 
モニターの表示が切り替わり、眼前に火星の光景とラミアの機体―――アンジュルグが現出した。
流麗な曲線を主体とした女性型のシルエットは無機質な工業プラントの中では一際目立って見える。
こうやって絵になる風景を選択してくるとは、CPUもこれでなかなか気がきくようだ。

平坦な機械音声がシミュレーション開始のカウントダウンを開始。
戦闘開始まで、あと10秒。
 
「じゃ、レッスン開始といきますか。」
 
隣の席からまたコンソールを殴打する音が聞こえた。どうやら今の言葉が聞こえていたらしい。
通信パネルに目をやると回線がONになっている――――。
今から直している暇はない。そのまま放っておく。無機質な声はカウントダウンを続行する。 
 
 
 
3.2.1.――――――――――――Get Ready!

169 名前:ピエゾ=バイモルフ ◆VOn.4G9bRA:2003/05/30(金) 23:15

>>168

「さて、そっちにはビームコートがあるそうだけど、こいつはどうかな?」 
 
バイモルフは戦闘開始と同時に両肩のレーザーユニットを展開、いきなりレーザーを照射した。
狙いも何もなく、真正面に放たれる二本の雷槍。
本来は対艦用兵器であるこいつの直撃を受ければ防御に優れたアンジュルグといえども擱座は必至。
この状況でのラミアの選択肢は二つ、レーザーに灼かれて早々に敗北するか、命懸けで回避を試みるか。
ラミアの性格と能力、そして少々の常識を加味して考えるなら、彼女は後者を選択するだろうが、
バイモルフからしてみれば、そのどちらに転んでも損はない。
当たれば御の字、例え回避されてもレーザーの破壊力と射線を認識してもらえれば充分。
ついでにラミアの回避運動のパターンまで見せてもらえれば、
エネルギーのリロード時間というリスクなど支払ってもお釣が来る。
いわゆる安定して回収が見込める投資行動というわけだ。
 
「まずは相手の手の内を把握する。ついでにこっちのコワさを印象づける。これ基本だね。」
 
レーザー照射終了と同時に、バイモルフは機体を右斜め前方へとブースト。
アンジュルグの射線から逃れつつ、側面を取りに行く。
小手調べと手の内を見せない為の偽装の為、素直に教本通りの機動をとってやる。
この間、全センサーを動員してラミアの動きを注視しているのは言うまでもない。
レディのお相手をしているのに、よそ見などもっての他だ。

170 名前:ラミア・ラヴレス ◆W17FsRWnH2:2003/05/31(土) 10:09

>>167-169(ピエゾ=バイモルフ)
>冒頭部について
・・・・・・(お前の態度には誠心誠意は全然感じられなかったが・・・)
・・・まあ確かに私は人間関係の機微に疎い。それは認めるが、お前の
とった行動はいちいち私の神経を逆撫でするものだったからな。
>「まったく、決闘で白黒つけようだなんて、女の子の考える事じゃないよねえ。」
話し合いではとてもではないが解決しそうになかったからな。
(何か誰かと電話をしているようだったが・・・まあいい決闘の邪魔を
するようであればこちらにも考えはある)
>「ごめんごめん、急に電話が入っちゃってね。おかげで1分と18秒程遅れちゃったよ。
> 埋め合わせとして、後で夕食をおごるよ。美味しいカレー屋を知ってるんだけど……」
・・・結構ですわ。ある人に薬膳カレーを頂いたのでな。・・・それといくら
私が怒っているといってもコンソールを乱暴に扱ったりはしませんです。

さてシミュレータを起動・・・

171 名前:ラミア・ラヴレス ◆W17FsRWnH2:2003/05/31(土) 10:13

>>170
・・・
・・

(周りの風景を見渡して)・・・なるほどな。これなら実戦さながらの戦闘が
できる・・・たいした物だ。
>「さて、そっちにはビームコートがあるそうだけど、こいつはどうかな?」 
>バイモルフは戦闘開始と同時に両肩のレーザーユニットを展開、いきなりレーザーを照射した。
・・・く、いきなりか!これでは回避するわけにはいかんな。下手に回避して
無防備な姿を晒すのなら・・・仕方が無い。
(ここで切り札を出すわけにはいかんからな。あれは本当の非常事態の時に
使用せねばな。そう乱入者に対しての・・・な。)
(出力を最大にしてアンジュルグの周りにビームコートを展開)
・・・パシュッ・・・
「ビームキャンセラーオン・・・」
ふむなんとか耐えられたか。しかし・・・いくらビームコートがあったとは
いえあの出力のレーザーによく耐えられたものだ。普段ならビームコートを
貫通するほどだったのに・・・うん?なんだこの表示は?
(戦闘開始時の気力110・・・今の気力は115です。)
・・・なるほどな。道理で防御力が高くなっていたわけだ。となると原因は
・・・やはりあの薬膳カレーか。フフフッ持つべきものは仲間だな。
・・・さて今度はこちらの番だな。まずはこれから・・・
アンジュルグの両肘が突然開いた。そこから多数の槍状のエネルギー体が出現。
「シャドウランサー・・・シュート!」
掛け声が発せられると、槍状のエネルギー体が分散しながら試型雷電に向かって
飛んでいく。そしてこの気力ならば・・・
「イリュージョンアロー・・・セット」
その声を合図にアンジュルグの両手から弓が出現し、さらに腰から矢が出現
した。弓に矢をつがえる。矢は青白く光りながら放たれるのを待っている。
フフフッ自分の能力を最大限発揮させてもらいますです。このシミュレータ
なら私の強化人間技能も反映されるはず・・・
「・・・そこだ。もらった!」(ピキーン!)
・・・矢はもの凄い勢いで試型雷電に向かって飛んでいく。
この攻撃に対する行動が見物だな。さてその間にこちらは・・・

172 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/05/31(土) 14:08

《青空町はギャグ日和!?》
>>163>>164>>165>>166
 
俺様達を呼び込んだ男はヤミノリウス三世という魔導師だそうだ。
ジャークだかシャークだかよく分からないが何かの封印を解くために動いているらしい。
だが、そんな事はどうでもいい!
俺様は10年来の親友を得た。なんと言ってもヘビメタ子以外にも、
俺様のナイスなセンスを理解してくれる奴は心強いからだ!
 
≪ダージャレ〜〜≫
 
「うむうむ、ユーはユーモアの魂を象徴した最高の魔界獣だな!」
 
レスカはこのマジマジワールドの空気が合わないのか、大分グッタリしているようだ。
一刻も早くもとのハラハラワールドに戻る為にも俺様達は、
このマジマジワールドで駄洒落の伝道をする他ない!!
 
俺様の駄洒落を理解する素敵な魔界獣ダージャレーと共に、この世界幸せにしてやるのだ!!
 
<ダーリンのギャグはどの世界へ行っても最高ジャ〜〜ン!!>
 
「わーはは、まかしとけぇ!俺様が最高なのは当たり前だのクラッカー!
 世界中をわーるど言わせてやるぜ!!」
  
ダダダダダダダダダダダダッ!!
感極まった俺達はマシンガンを天へ向けてウーテイストに乱射する。
 
おや?同志ヤミノリウスの顔色が悪いがどうしたんだろうか?
 
「同志ヤミノリウス三世!どうしたんだ?具合が悪そうだが?」
 
フラスコの外から見える顔もやっぱり具合が悪そうに見える。
コイツは大変だ!もっと元気が出る駄洒落を言ってやらなくては!
 
「いや、その……」「ダ・サイダー!アンタは……!」
 
ドッゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

とレスカと同志が同時に言いかけたとき、俺様達の船に砲撃がかけられた。

「な、何者だ!ギャグがそんなに嫌いなのか!
 そんな悪い奴らはギャグンと言わせてやるぞ!!」

173 名前:ガンバーチーム:2003/05/31(土) 14:53

《青空町はギャグ日和!?》
>>172 
 
「出てこい、ヤミノリウス!」 
 深紅のスーツを身に纏った力哉は、一抱え……いや、頭の上に構えて 
 なお余りある巨岩を宙に浮かぶ”船の様なモノ”に投げつけていた。 
 一つ、また一つ。砲撃の様な投石は野球で培われた技術もあって、 
 的確に船モドキを捉える。 
「……聞こえる、ヤミノリウスの声だ!」 
 蒼いスーツの鷹介が耳を澄ませる。数万倍まで拡張された五感は、 
 厚い壁に阻まれた船の内側さえも感じ取っていた。 
 聞こえる、あの上擦った声が。 
 闇の魔法使いにしてゴクアークの手先、ヤミノリウス三世の声が! 
「でもさあ、なんで船なんだよ。魔界獣ぽくねーなー」 
 そう言って寝転がるのは黄色いスーツ。一人やる事がない虎太郎は、 
 寝転がりながらその船を眺めていた。 
 空飛ぶ船、ひょっとして…… 
「アレ、宇宙船だったりして」 
「宇宙船〜? 虎太郎、なんでヤミノリウスがそんなモノ出すんだ」 
「それにロケットとは全然形が違うよ。あれじゃ、漫画かアニメだよ」 
「ま、ヤミノリウスにそんな立派なモノ作れるわけねーか」 
「そうそう!」 
 さらに投石。 
 鈍い音がして、浮かぶ船がさらに傾いだ。奇妙な悲鳴と共に。 
 
 ガンバースーツを纏った三人。 
 イエローガンバー、霧隠虎太郎。 
 ブルーガンバー、風祭鷹介。 
 レッドガンバー、流崎力哉。 
 三人は光の戦士エルドランから超能力を与えられた正義のヒーロー。 
 この青空町を守る《ガンバーチーム》だった。 
 
「諦めてあの駄洒落を止めろ、ヤミノリウス!」 
「待って! 中に人がいるみたい……何か聞こえる」 
 鷹介はまた、聴覚を研ぎ澄ます。 
 済ましたからこそ、まともに聞いてしまったのだ。 
 それを。 
 あの駄洒落を。 
 
『ギャグがそんなに嫌いなのか! 
 そんな悪い奴らはギャグンと言わせてやるぞ!』 
 
 凍った。 
 鷹介といわず力哉といわず、辺り一帯がカチコチと。 
 ただ一人、声をあげて笑う虎太郎――イエローガンバーを除いて。 
「ぎゃ、ぎゃぐん! ギャグンだってよ! ぶははは……」 
 とりあえず、これは黙殺しておいて。 
「あ、あの中にいる人が原因みたい」 
「なら、あの船ごと叩き落とすっ!」 
 そう言って、レッドガンバーが引き抜いたのは――電柱。 
 ぶちりぶちりと電線を引き千切りながら、振りかぶった。 
「ピッチャー第三球……投げました!」 
 実に、球速150キロメートル。 
 小学野球界の記録を塗り替える速度で、電柱は飛んだ。

174 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/05/31(土) 18:27

《青空町はギャグ日和!?》
>>173
「おの〜れおのれ、ガンバーチーム!このヤミノリウス三世によくも歯向かってくれた!」
同志よ、どうして何気なく嬉しそうなんだ?
「ダ・サイダー、アンタわかってないの?」
レスカまで心なしか嬉しそうなのが気にかかる。
 
<ダーリン、気にすることないじゃん!それよりもウチたちの船が大ピンチじゃん!>
 
「おう!電柱なんてデーンと地面にチューさせてやるぜ!
 レスカ!対空!!」
「あいよ!」
レスカに声をかけるとレスカがいつもの調子を取り戻したか、船を操作する。
船からニョキッと生えたハンマーが電柱を粉砕する!
 
グワシィイイイイイイイン!!
 
驚愕している色とりどりの奴らの前に船から俺様が飛び降り、
心の友と書いて心友ダジャレーンと友に降り立つ!
 
「だーーーーーはっはっはっはっは!!お前らよく聞こうし!
 俺様の名は破壊の貴公子ダ・サイダー!!俺様のダジャレで笑えーーーー!!」
  
<ダーリン、カッコいいじゃん!!>
 
マシンガンを乱射しながら俺様はガンバーチームと同志が言っていた子供達を見下ろす。
ラムネスのようで俺様の怒りはパワー全開になってきている。
 
「魔界獣ダジャレーンよ!今力を与えるぞぉ〜」
微妙に間延びした同志ヤミノリウスの叫びと共に心友ダジャレーンの姿が変わる!
巨大化し、よりナイスなセンスを発揮できるようなスピーカーをつけた蛇の姿へと!!
 
≪ダーージャレーーーーン!!≫

「よーし、いい子だダジャレーン!俺様と一緒にダジャレの輪を広げるのだ!
 ダジャレの王ダジャレキングへゲインアップ!
 キーーーンゲイナー!」

175 名前:ガンバーチーム:2003/05/31(土) 21:34

《青空町はギャグ日和!?》
>>174  
  
 目の前で巨大化する魔界獣。 
 間違いない、ヤミノリウスが呼んだ魔界獣がこの事件の原因だった。 
「来たぞ! スクランブルだ……だから笑うな、虎太郎!」 
 ガンバーブレスにカードを押し込みつつ、力哉が笑い潰れる虎太郎を蹴飛ばす。 
 何処までいっても、緊張感とは無縁らしい。 
「だ、だってよ、可笑しいじゃねぇか! も、もう俺駄目――――」 
「もう、しょうがないな……」 
 呆れ果てた鷹介は自分のブレスと虎太郎のブレスを並べ、カードを取り出した。 
 それぞれのシンボルが刻まれたカード。 
 ガンバーチームの切り札、三体のマシンを呼び寄せるキーだった。 
 
『スクラーンブルッ!』 
 
 三人の声が重なる。 
 同時と押し込まれたカードが光を走ると――――青空町はゆっくりと動き始めた。 

176 名前:ゴウタイガー&マッハイーグル&キングエレファン:2003/05/31(土) 21:35

>>175 (発進) 
 
 地下が蠢く。下水の中に張り巡らされた、鋼のシステムが。 
 巨大なトレーを油圧とベルトで走らせ、運ぶ。 
 三匹の獣を。 
 ガンバーマシンを。 
 
 青空公園は今日も多くの親子連れで賑わっていた。母はベンチに腰掛け談笑し、 
 子はブランコでシーソーで遊ぶ。朝を多少過ぎた程度の刻限だったが、 
 それでも賑わうのは青空町に活気がある証拠だった。 
 その、証拠が割れる。 
 青空公園の真ん中が割れ、稼動し始めたのだった。 
 ジャングルジムがシーソーがブランコが、折り畳まれスライドしていく。 
 中央のスペースに巨大な穴が開くと、それは迫り上がってきた。 
 ゴウタイガー。 
 黄色いボディを持つ巨大な虎は、『スクランブル』に応じて街の中へ走り出した。 
 
 通勤ラッシュが過ぎた二丁目はそれでもなお、多くの車を湛えていた。 
 乗用車にワゴン、トラックとタンクローリー。種を問わず行き交う姿は、 
 最早日常的ですらあった。 
 交差点で車が止まる。それもよくある光景だ。 
 ただ、すべての信号は赤に染まったままだったが。 
 それを待ち受けたように、空白となった交差点の中央が下がった。 
 スライドし、開き、エレベーターとなる。巨獣を招く為に。 
 巨大な青き鷹、マッハイーグル。 
 その翼が大空へ舞うと、二丁目は何事もなかった様に喧噪へ戻った。 
 
 ビルが建ち並ぶ中心街。始業時間は遠に過ぎ、それぞれのオフィスは 
 今日も忙しなく動いていた。電話が鳴り、コピー機がPCが駆動音をあげ、 
 ビルが動く。 
 ビルが動いた。 
 高層ビルが二つに割れ、巨大な口を開く。 
 鋼の発射口が開くと弾け出る様に赤の巨獣が姿を現した。 
 キングエレファンは咆吼する。鼻を掲げ、牙を閃かし。 
 巨大な足が轟音を鳴らすと、一直線に走った。ガンバーチームの元へ。 

177 名前:ゴウタイガー&マッハイーグル&キングエレファン:2003/05/31(土) 21:36

>>175 >>176  
 
 ブレスのカードを差し替える。三匹の獣は人型となり、戦闘態勢を取った。 
 こうなれば、ガンバーチームに敵など無い。 
 エルドランより授かった三体のマシン、絶対に負けない。 
 
「一気にいくぞ、ガンバー忍法だ!」 
 ゴウタイガーのコクピットで、虎太郎がカードを抜く。 
 ガンバー忍法用カード。 
 コードは『ゴウフレイム・アタック』。 
「大丈夫なのか、虎太郎?」 
 思わず聞き返す力哉。あの笑いっぷりを見ていると、どうしてもまともに 
 戦えるとは思えなかった。だが、今は不思議と駄洒落が聞こえない―― 
 そうなれば、虎太郎は一端の戦士だ。 
 スクリーンの向こうで不敵に笑う虎太郎に、力哉と鷹介は頷いて答えた。 
「平気平気、決めるぜ!」 
 カードを挿入。 
 入力! 
「ゴウフレイム・アタック!」 
 ゴウタイガーが走る。 
 マッハイーグルがアニマルモードへ可変し、空を駆ける。 
 キングエレファンが待ち構える。 
 ガンバー忍法。ガンバー忍者であるガンバーチームが使う、必殺の技だ。 
 
『せりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』 
 
 ゴウタイガーがキングエレファンを踏み台に、大跳躍。 
 
「ゴウ!」 
 
 魔界獣の鼻先をマッハイーグルが掠めた隙に、ゴウタイガーは躍り掛かる。 
 
「フレイム!」 
 
 その身を獣に変え、口からは紅蓮の業火を吐きかけつつ。 
 
「アタ――――ック!」 
 
 炎と牙、爪の同時攻撃。 
 三人のコンビネーション、ガンバー忍法が魔界獣へ向かい突き進んだ。 
 
「これで終わりだ、駄洒落野郎!」 

178 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/06/01(日) 18:57

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁 
  
「ヤーパンニンポー火炎車ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」 
 
 ドゴンドゴンドゴンドゴン! 
 跨った大砲が立て続けに火を噴いた。シベ鉄のドゴッゾから 
拝借した75ミリ機関砲である。口径も威力も速射性も一線級とは 
言い難い代物だが、火炎車にはこれほど相応しい奴はない。 
 シルエット・エンジン「パンサー」が操る台車の推進力としては。 
 巨大なトロッコの上、括り付けられた上半身だけのドゴッゾの 
悲しげな視線を後目に――ヒューズ・ガウリの駆るパンサーは 
手綱を構え、”ヤーパンニンポー火炎車”を御していた。 
 
「待たれい待たれい、そこな列車――――ッ!」 
 
 時代がかった口調でガウリは叫ぶ。 
 扁平な4メートル程の巨大ロボ、パンサーも合わせるように見得を切る。 
首のない顔と赤い線一本の目ではどうしても決まらなかった。 
 
「このヤーパンニンジャから逃れられると思ったか、待たれよ!」 
 
 露出したケーブルを器用にパンサーは直結させる。 
 ドゴン。 
 泣きそうな顔でドゴッゾの上半身は砲を放った。 
 火線が伸びる、その反動でトロッコはまた速度を上げる。 
 凍えるシベリアの大地を走るのはシベ鉄のレール。上を走るのは食料を 
詰め込んだ貨物車でも旅行が禁じられた故に旅するのはセント・レーガン 
ばかりの客車でも、かのキッズ・ムント専用列車”チェルノボーグ”でも 
なく――緑の数珠が横たわった代物だった。車輪はあっるし現にレールを 
走っている――列車であるようだ。
 が、こんな歪な”物体”をガウリは知らなかった。
 不審な列車が村から出て、ヤーパンの天井方面へ向かっている。
 それに気付いた時、既に体は動いていた。ヤーパンニンジャとしての本能が、 
その姿に不穏さを感じ取っていたのだ。
 手近なドゴッゾを破壊し、手近なトロッコを拝借し、手近なレールに乗せ…… 
 
「ヤーパンニンポー火炎車ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」 
 
 追跡しているのだった。 
 ヤーパンニンポーの極意を駆使して。 
 火砲の音は澄みきったシベリアの空へ反響し、蒼を埋め尽くす。轟音の 
最中、どんどんとどんどんと、奇妙なる緑の数珠へ火炎車は忍び寄った。 
いや、数珠と言うよりも芋虫。巨大な頭を持った毒々しい虫に似ている。 
 
「毒虫列車、か。成る程成る程」 
 
 着慣れたガウリ隊制服、ではなく忍者装束に身を固めながらガウリは唸る。 
 毒虫ならば害を成すばかり。ヤーパンのエクソダスを守る為に戦うは 
ヤーパンニンジャの本懐とすれば、ここは一人で退治てみせるが男意気。 
 
「ニンジャの相手には相応しい!」 
 
 覆面の奥でニヤリ、とガウリは笑う。 
 
「毒虫の妖怪変化に挑むニンジャならば、オーバーマン相手よりも 
 よほど絵になるというもの!」 
 
 手元でケーブルを重ねる。通電し、火線が走った。 
 
「故に、待たれよ毒虫列車! 
 このヤーパンニンジャ”ヒューズ・ガウリ”と勝負せよ!」 
 
 繰り返し繰り返し火を噴く75ミリ砲。 
 その轟音さえも切り裂いて、ガウリの名乗りは列車へシベリアへ響き渡った。 

179 名前:Qボス:2003/06/01(日) 19:02

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁 
>178

「ええぃ、なんなんだあのロボットはぁっ!?」
 
 忌々しげに舌打ちをしながら、覆面の男――C級エージェントリーダーは後ろを
見やった。火砲を放った反動で走るなど、ばかばかしいにもほどがある。無論、彼
の人生において、こんなものの追撃を受けるのは初めての経験であった。
 
 覆面男は困惑する。なぜこんなことになったのか。
 今回彼が偉大なるビッグ・ファイアから与えられた任務は、北の同胞に次の作戦
のための物資をとどけるという、至極簡単なものだった。シベリア鉄道にも了解は
とってある。何の心配もなかったはずなのだ。
 
 そう、あの変なロボットがついてこなければ。
 
 国際警察機構のエキスパートか?
 いや、あんな妙ちきりんな奴がいるとは聞いたこともない――だが、今追われて
いることは疑いようもない事実。
 このままついてこられては、我らがBF団のアジトの場所が知れてしまう。それは
阻止しなければならない。
 
「何者かは知らんが……BF団に仇なす輩には死んでもらわねばならんな」
 
 覆面男は列車の上に立ったまま、足元の床を蹴った。
 バクン、とドーム状の部分が開くと、その中から台座がせりだしてくる。そこには
二本のレバーとコンソールが座っていた。
 覆面男はレバーを握る。
 
「行けぃ、エージェントたちよ!」
 
 ガコン、とレバーが引かれると、各車両の屋根が開いた。
 そこから出てくるのは、彼と同じく覆面をした男たち。――否、男達が乗った、軽
装のヘリコプターだ。ローターを旋回させ、次々と飛び立つ。
 
「各戦闘用ヘリ、発進完了! 目標の迎撃に移る!」
 
 十機以上の武装ヘリが、列車を追って来る変なロボット――シルエットエンジン・
パンサーを取り囲みながら、機銃のトリガーに指をかけた。

180 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/06/01(日) 19:43

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁/Qボス  
>>179 
 
「空を飛ぶ故オーバーマンかと思ったが、笑止!」 
 
 バン! 
 パンサーのハッチを跳ね開けると、凍てつく風の中でガウリは不敵に笑った。 
オレンジの頭巾越しに、太い眉を歪ませ。視線は空に浮かぶヘリコに注がれ、 
手には金属の円盤が握られていた。 
 
「シベリアの厳冬に、そんな旧式が何時までも保つと思うな!」 
 
 ヤーパン忍者がフェイバリット、八方手裏剣である。 
 必殺の刃を携え、パンサーより飛び出るガウリ。 
 鍛錬された足腰は、彼へ想像を絶する跳躍力を与えていた。 
 手裏剣を構えたまま、ヤーパン忍者はシベリアの空へ舞う。 
 
 エージェントたちの視線がガウリへ注ぎ込まれた。 
 空飛ぶ”ニンジャ”という、怪奇きわまりない生物へ。 
 
「八方手裏剣の威力、その身に刻めぃ!」 
 
 四方、八方。 
 連続して投げられた八つの刃を持つ暗殺具は、吹雪を切り裂いて舞った。 
 ローターの付け根、エンジンダクト、パイロットの腕…… 
 狙いは寸分違わず、男たちの急所を撃ち抜いていた。 
 機銃の掃射も間に合わず、次々と落とされるヘリコ。 
 
 それを後目にガウリは火炎車――いやドゴッゾに取り付き、ケーブルを握る。 
 
「さて、次は……こいつだ」 
 
 ケーブルを一本、直結させる。 
 75ミリ機関砲が空を仰いだ。 
 
「火炎車をただのトロッコと思うなよ……」 
 
 さらに直結――――発火、発砲。 
 雪原を裂く轟音が鳴り響くと、巨大な砲弾が空へと昇った。 
 
「これぞヤーパンニンポー、とくと見よ!」 
 
 何時の間に装填されたのか、空に開く榴弾の華。 
 散華する火砲に、エージェントたちはバラバラと散っていった。

181 名前:Qボス:2003/06/01(日) 21:04

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁/Qボス  
>>180
 
 エージェントたちはひとり、またひとりとニンジャの攻撃に散っていく。ある者は手
裏剣に討たれ、またある者は爆発に呑まれ。
 ひとり、またひとりと鈍い諦めを考える。こいつはやはり国際警察機構のエキス
パートなのではないか、いいやそうに違いない、そうでなければこんな動きができ
るわけがない――と。
 
「……だからどうしたッ!」
 
 あるひとりが叫んだ。
 シベリアの吹雪を切り裂いて、その声はエージェントたちの耳に届いた。
 
 そう、俺たちは誰だ?
 この寒中を、風防もないヘリに乗って、さながら火に向かう蛾のようにあの敵に
向かっていくのは、いったい何のためだ?
 死地に赴くは、誰のためなのだ?
 
 そう。
 何故なら、我らはBF団。
 偉大なる理想と信念のために、己のすべてを礎にして省みない、そういう絆で友
と結ばれた、誇り高き集団。
 たとえ力及ばずなれど、その理想のためならば背は向けぬ。屍となりても敵の
足首掴み取り、背を持って同胞の道と成す。
 そう、我らはBF団。
 すべては――
 
「我らがッ! ビッグ・ファイアのために!」
 
 全員が揃って右手を大きくかざし、敬礼した。
 一度は崩れた連携が、ふたたび堅牢なる確かさを取りもどす。
 
「シノビ風情が! 似たような曲芸は見飽きているわァァッ!」
 
 高機動ヘリならではの立体的な布陣が、パンサーを半球形に包囲する。
 すかさずばら撒かれる12.7mm弾が、銃身につもった雪を溶かして叩き込まれた。

182 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/06/01(日) 21:23

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁/Qボス  
>>181 
 
 一斉に吐き出される鉛の弾。 
 たかが12.7ミリの凶弾とは言え、パンサーの装甲は堅牢とは言い難い。 
 出来る事ならば、喰らわずにやり過ごしたい。 
 否。 
 ヤーパン忍者ならば、かいくぐるが道理。 
 
「ヤーパンニンポー!」 
 
 瞬時にパンサーへ滑り込み、システムを起動。 
 元より活性状態にあったマッスルエンジン――金属の人造筋肉――が、 
 淡い光を放ちつつ収斂した。次瞬、圧倒的な膂力がパンサーに生まれる。 
 膂力は腕を動かし、 
 腕は二門の75ミリ機関砲を掴み、 
 75ミリ機関砲は腕に押され砲身を下へ向けた。 
 真っ白な雪原、シベリアの大地へ。 
 
「雪原返しぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」 
 
 轟。 
 火砲が鉛を吐き出すと、榴弾は大きく雪原を抉った。 
 永久凍土を削りだし、無尽蔵な雪を吐き上げつつ。 
 爆発的に膨れあがる雪のヴェール。 
 それは幾重にも生まれ、ヘリコの銃弾を悉く阻んだ。 
 
 それだけじゃない。 
 舞い上がった雪は、無謀な露出型の操縦席にも襲いかかる。 
 大気はマイナスのシベリアだ。 
 瞬時にそれは、死を呼ぶ吹雪となって暴れ狂った。 
 
「ふん、やはりただの毒虫列車ではなかったか。 
 だが、何人たりともヤーパンのエクソダスは阻ません」 
 
 リペットガンを取り出し、吹雪の中狙撃を始めるパンサー。 
 既に、数の優位は消え失せていた。 
 残るのはシベリアの気候風土と、忍者が一人。 
 
「ヤーパン忍者の本懐、本義! 今ここに果たしてくれる!」 
 
 火炎車が走る。広大なるシベリア鉄道の路線を。 
 毒虫の如き列車と忍者のトレイン・チェイスは、いよいよ極限へ迫っていた。 

183 名前:Qボス:2003/06/01(日) 21:57

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁/Qボス  
>>182
 
「むうう、不甲斐ない奴らめ……」
 
 覆面男は唸りながら後ろを見やった。そこでは今まさに最後の一機が雪上に墜
ち、プロペラを折って転がっていくところだった。
 もはや男も認めていた。あの男が強敵だと。
 列車はこの間にもどんどん目的地に近づいている。もう一刻の猶予もないのだ。
 男は決断した。
 
「かくなる上は、此処でまずあのニンジャの息の根を確実に止める!」
 
 手元のレバーを引き、コンソールを操作する。
 ガコン、と重い音が凍土に響いた。
 
 すると、列車が激しく動き始めた。
 否、正確には変わり始めたのだ。
 ニンジャが毒虫と評じた丸い車両がぶるぶると震え、次の瞬間天井からトゲが
生えた。先頭車両の機関部と思われた膨らみはサイドにばくりと分かれ、それが
実は手だということをわからせる。
 そして、もっとも先端から、ドリルのついた頭が突き出される。変形は完了した。
 巨大な、まさに竜のごとき威容が、なんと線路から立ち上がる。
 
 これぞBF団がロボットのひとつ「維新竜・暁」也!
 
 巨大な機械仕掛けの竜が、ゆっくりと後ろを振り返る。
 
「押しつぶしてやるわぁッ!」
 
 高速で回転する車輪がついた前足が、むしろゆっくりとした速度と威圧感をもっ
て、今にも追いつこうとしていたパンサーに振り下ろされた。

184 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/06/01(日) 22:15

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁/Qボス  
>>183 
 
 流石のヤーパン忍者、ヒューズ・ガウリでさえ、その光景には息を呑んだ。 
 面妖なる毒虫の如き節くれ立った列車は、目の前で巨大なシルエット・マシンに 
 姿を変えてしまったのだ。イヤ、奴らの口ぶりや技術を見るに異質、だとは思うが。 
 シルエット・エンジンを用いない旧時代のロボット。 
 恐らくそんな所だろう。 
 だが、 
 何故それが、 
 列車に模して線路を走り、 
 今こうして獣の姿へ転じる必要があったのか。 
 
 わからない。 
 わからないが、悩む暇も考え込む猶予もなかった。 
 
「面妖も面妖、確かにおどろおどろしい風貌に巨大な姿は圧倒的だ。 
 だが、その程度のモノで――――!」 
 
 眼前に前足が迫る。 
 鋼の車輪は摩擦音を猛らせ、今や遅しとガウリのパンサーを狙っていた。 
 アレに触れたら一溜まりもないぞ。 
 ならば、さらに見せてくれるまで。 
 この、ヤーパンニンポーの極意の数々を。 
 
「成りが大きければ勝利と、思ってくれるな!」 
 
 再び、パンサーの両腕がドゴッゾの75ミリ機関砲を押さえた。 
 再び、砲身は下を向き弾薬が装填された。 
 だが、今回は真下を狙っていた。 
 
「ヤーパンニンポー!」 
 
 コードを直結。 
 火花が散り、装弾された弾が砲撃される。 
 巨大な砲弾は永久凍土に突き刺さり、粉塵を上げた。 
 想像を絶する反動と共に。 
 そう、反動。その反動で――――
 
「火炎車改め……飛燕車ッ!」 
 
 火炎車は、飛んだ。 
 パンサーを背負ったまま、トロッコの土台とドゴッゾは空へ飲み込まれる。 
 遙か上空へ跳び、火炎車とガウリは振り下ろされるべき腕をかわしていた。 
 
 滞空するガウリとパンサーとドゴッゾ。 
 その隙を逃さず、パンサーの持つリペットガンは火を噴いた。 
 狙うは眼下の巨竜。弾頭が外れる理由など無い。 
 
「どうした、所詮は大きさだけか!」  
 
 火線が通る。 
 そいつの皮膚に75ミリのナンバリングをしながら、更なるニンポーを心へ呼び起こし―― 
 ガウリはさらにさらにと火砲を打ち続けた。 

185 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/06/02(月) 19:39

>>175>>176>>177
なんってこったぁ!俺様の心友、ダジャレーンがあっという間にボロクズへと変えられてしまった。
これではハラハラワールドへは戻れないじゃないか!
「え、アンタ忘れてなかったの?」
レスカが驚いたかのように言う。
「おいおいレスカ。俺様がやる事を忘れるわけ無いだろうが!
 趣味と仕事を混同しないのが俺様だぜ!」
  
同志ヤミノリウスは放心したままで俺様の方針を余り聞いてなかった。
「別に構わないが、シャンとしなければシャンソンを歌う羽目になるぜ!
 俺達を元の世界に必ず帰してもらうぜ!」
  
感動しているレスカを横目に俺様はヘビメタ子が出した卵型のメカを取り出して天へ放り投げ叫ぶ!!
 
「出ろーっ!クイーンサイダロン!!」
 
卵があった場所を中心とする空間に魔法陣が刻まれ、漆黒の騎士の姿が浮かぶ。
これが俺様の愛機、クイーンサイダロン!
 
「やぁぁぁぁってやるぜ!」
<ダーリンダーリン格好いいじゃ〜〜ん!>
 
クイーンサイダロンに乗り込んだ俺様はギアをトップに入れ、
フルスロットルでハルバードを構えたままの体勢で、
ナイフをバルカンのように撃ちまくりながら虎型のメカへと突撃する!
 
ドゥインドゥインドゥインドゥインドゥイン!!
 
「いっけぇえええええええええええええええええええええええええッ!!」

186 名前:ガンバルガー:2003/06/02(月) 20:31

《青空町はギャグ日和!?》 ガンバルガー vs クイーンサイダロン 
>>185 
 
「どわぁ――――――――――――っ!」 
 撃ち出されたナイフの雨、雨、雨! 連べ打ちの銀糸が、 
 殺意の輝きを添えてゴウタイガーへと集中した。 
 前にナイフ、上にナイフ、下にナイフ。右も左にも至る所に―― 
「虎太郎!」 
「虎太郎君!」 
 力哉と鷹介が叫ぶ中、速度と数を増したナイフは虎の皮膚へ…… 
「もう、駄目だ……」 
 皮膚へ――――刺さらなかった。 
 
「……なーんちって」 
 
 軽く吠えると、巨大な虎は爪をアスファルトに立てた。 
 その、大きすぎる質量を弾丸と変える為に。 
「ゴウタイガーのスピードを舐めるなよ!」 
 咆吼一閃。 
 切り裂かれて宙を舞うアスファルトを残し、黄色の虎は消えた。 
 いや、圧倒的な加速を得てナイフの巣より逃げ出したのだ。 
 迫る礫を爪で弾き、牙で弾き、尾で弾き。 
 黒いロボットが長大な槍を振り下ろした時には、既にビルの上。 
「へん! ヤケにあっけない魔界獣だと思ったけど……そっちが本命かよ!」 
 ミラクルチェンジ。 
 虎の姿から人の形へ。戦う戦士のスタイルになりながら、虎太郎は言い放つ。 
 答えるヤミノリウスは居なかったが、ま、間違いないだろう。 
 そうだ、そうに違いない。 
 なら……こっちも本気を出す! 
 にっ、と笑う虎太郎。その顔を包む様に二つ、ウィンドウが開いた。 
 キングエレファンの力哉とマッハイーグルの鷹介だ。 
「大丈夫? 虎太郎君」 
「こいつ、心配させやがって!」 
「悪い悪い……合体するぞ!」 
『おう!』 

187 名前:ガンバルガー:2003/06/02(月) 20:31

>>186 
 
 ガンバーコマンダーとカードが飛び出す。 
 握り合う手の意匠が施された――合体用コマンド・カードだ! 
 虎太郎がそれをコマンダーへ挿入した時、三体のマシンは真の姿を取り戻す。 
 
『ガンバルガー、ミラクル合体!』 
 
 無敵の守護神、ガンバルガーを。 
 
 マッハイーグルは両腕と胸へ。 
 ゴウタイガーは腹と太股へ。 
 キングエレファンは足へ。 
 それぞれが変形し、合体する。 
 雲の中から虎のシンボルを取り出し、胸にドッキング。 
 さらにマッハイーグルの翼を広げ、完成した。 
 これがミラクル合体――――ガンバルガー! 
 
「黒いナイフ野郎、今度はこっちから行くぞ!」 
 コクピットに座した虎太郎がレバーを制御する。 
 即座にガンバルガーはその動きをトレースし、手を頭へ伸ばした。 
 ガンバルガーの頭部にある、とさか。 
 そこより生じた光を掴み、構える虎太郎とガンバルガー。 
「ガンバ・スラッガー!」 
 投射。 
 高速で回転するスラッガーは、大気を切り裂きながら黒いロボットへ馳せた。

188 名前:Qボス:2003/06/02(月) 21:01

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁/Qボス  
>>184
 
 ガコン、ガコンガコン! 連続して打突音が響きわたり、維新竜・暁の装甲に穴
が開く。
 傷だらけの装甲――その上に立ち、覆面の男は……
 
「フ、フフフフフ」
 
 ――笑って、いるのだ。
 
「フハハハハ! その程度の攻撃、我がBF団のロボットには屁でもないわ!
 伊達や酔狂でジャイアントロボと渡り合ってきたわけではないということを、その
目に焼きつけてくれる!」
 
 覆面男がレバーを力強く引き下ろした。
 その途端、維新竜の各装甲が開き、中からトゲのついたローラーがいくつも出て
きたのだ。
 ローラーは勢いよく回りだし、刃の暴風と化す。
 のみならず今度は、維新竜そのものがグルグルと回転しだし、さながら竜巻のよ
うにまわりのすべてを飲み込みはじめたのだ。
 
「貴様が忍法なら、こっちも忍法よ!
 BF忍法、竜巻地獄! とくと思い知れぃ!」
 
 全長数十メートルの巨体が、雪原を割り、吹雪を砕きながら、なおも勢いよく回
転を増す。
 鋼鉄の疾風は、そのまま凄まじい速度でガウリのパンサーを打ち砕くべく襲いか
かった。

189 名前:ゴン ◆GON.Ui.ncU:2003/06/02(月) 21:02

《青空町はギャグ日和!?》 
>>185 >>186 >>187 
(乱入) 
 
 ゴンザレスが目覚めた時、青空町は今日も異変まみれだった。 
「やれやれ、今日は朝からか……」 
 首に巻いたスカーフを正しながら、そんな事を呟くゴンザレス。 
「まったく……虎太郎たちはもう行ったのか?」 
 そう呟いた矢先、ごぉん、と遠雷の様な地響きが霧隠家庭先まで届いた。 
 紛れもない、巨大ロボットが飛び跳ねすっ転び走り回る音だ。 
 ここ数ヶ月ですっかり馴れた、ガンバルガーと魔界獣の戦闘光景…… 
「何、もうそこまで話が進んでおったか!」 
 これは拙い、とゴンザレスは思う。 
 このままでは出番に間に合わないどころではない、無くなってしまう。 
 そんな事になれば父の威厳は! 
 視聴者の人気は! 
 哀れな犬のみにやつした霧隠流忍術師範の立場は! 
「ま、待っておれ虎太郎、力哉、鷹介! 
 ワォーン。 
 ゴンザレス――いや、ゴンと呼ぼう――は吠えた。 
 犬小屋の上に立ち、混乱する街に向けて。 
「今、ワシが助けに往くぞ!」 
 そして走り出す、四本の足で。 
 霧隠藤兵衛、改めゴンザレス、改めゴン。 
 彼こそが犬にされた虎太郎の父にして、霧隠流忍者。 
 ガンバーチームの保護者にして最大の理解者だった。 
「とうっ!」 
 跳躍。 
 そして塀に立つゴン、もちろん二本足だ。 
 そのまま疾走し、駆け抜ける。 
 犬だが。 
 犬だが、それ以上に忍者であった。 
「ガンバルガーの主役……真打ち登場じゃ!」 
 屋根を器用に飛び跳ねながら、ゴンはガンバルガーの元へ――

190 名前:ヒューズ・ガウリ ◆YAPANrxq3g:2003/06/02(月) 21:21

パンサー/ヒューズ・ガウリ vs 維新竜・暁/Qボス  
>>188 
 
「何ぃ、そちらもニンポーだと!」 
 
 吹き荒ぶブリザードに煽られ、飛燕車のバランスが狂う。 
 元より火焔車ほど完成されたニンポーではない、飛燕車である。 
 予想外の反撃に、ドゴッゾを括り付けた台座は真っ先に落下していった。 
 しまった、火焔車が! 
 手に残るケーブルを離すと、改めてパンサーの推進器を点火する。 
 巨大なブースターが火を噴くと、落下自体はぴたりと止まる。 
 泣き別れするトロッコを下に見つつ。 
 
「くっ、この場で火焔車を失うとは……」 
 
 ビュオオオ。 
 鼓膜を打つ、マイク伝いの音。それが気付けば吹雪へと変わっていた。 
 龍擬きが放つ、ニンポーである。 
 鋼竜巻がパンサーへ恐ろしい程迫っていた。 
 手を伸ばせば、巻き込まれ捉えられる事は必然の距離。 
 
「あれに巻き込まれたら―――痛いぞ?」  
 
 むしろバラバラとなり、ヒューズ・ガウリここに散る、だ。 
 咄嗟に腕を引くも、氷の風は容赦なくパンサーの装甲を切り裂いた。 
 断裂するマッスルエンジン、こぼれ落ちるリキュール。 
 それを前にしてガウリは―――― 
 
「ふっ」 
 
 薄く笑った。 
 
「成る程、成る程。さすがはシベ鉄と組むだけはある。だが!」 
 
 手を伸ばす。 
 暴風はあっと言う間にガウリへ食らいついた。 
 
「この程度の威力でニンポーを騙るとは、笑止!」 
 
 スラスターに点火。 
 ブースターの起動を臨界に。 
 ヤーパンニンポーの心得、良し。 
 
「ヤーパンニンポー――――風車ぁぁぁぁぁ!」 
 
 両手を広げ、敢えて風に乗る。 
 刃に切り裂かれ、風に打たれ、氷に染みつかれながら、 
 ガウリのパンサーは空へなお高く登り詰めて行く。 
 さながら、風に舞う雪の結晶の如く。 
 
 そして、たどり着いたは竜の頂上。 
 竜巻の目に、ガウリは居た。 
 
「上を取らせるが、貴様の不覚よ!」 
 
 腰より取り出す散弾手榴弾。 
 出掛けにキングゲイナーより失敬してきた、分裂する爆弾だ。 
 それを竜巻の隙を縫って、投げつける。 
 ヤーパンニンポー影縫いの術。 
 名付けるならそんな所か。 
 
「果てよ、害なす魔物め!」 
 
 爆発は、連鎖する様に立て続けと起こった。 

191 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/06/03(火) 19:48

《青空町はギャグ日和!?》
>>186>>187(>>189
クソ!思ったよりも速い!クイーンシューターを虎型があっさりと回避して、
ハルバードの突撃を避けやがった!
 
「ヘッ!そうこなくっちゃな!燃えてきたぜ!」
<ダーリン、頑張るじゃぁ〜ん!>
ヘビメタ子の応援を横に俺様は、クイーンサイダロンの機体を巡らせて超心地回転。
高機動性が売りのクイーンサイダロンに速さで勝とうだなんてチャンチャラおかしいぜ!
 
そう言っていたのもつかの間、奴らの機体の虎、鷹、象の3体が集まってさらに変形する。
クイーンシューターを対生物モードから対物モードに切り替え、空飛ぶトサカへ迎撃。
 
≪ドガァアアアン!!≫
 
間一髪ビーム攻撃だったらしく、爆音とともにクイーンシューターが撃墜される。 
  
「合体ロボかよ!ちょっとばかりガッタイが良くなったからって、
 俺様にかかれば髪の毛一本で倒してやるぜ!一撃(毛き)!」
  
<ダーリンイカスじゃん!>  
気合を入れるために俺様はテンションを高める。
俺様のセンスに相手が飲まれればさらによし!だ。
 
「レスカ!手を出すんじゃねぇーぞ!ヘビメタ子!コントロールよこせ!
 まずは、反応速度を見る!」
  
レスカに援護射撃を要請すれば多少は楽になれるかもしれねー、
だが船にダメージがあれば元の世界に戻る時にキツイ。
そう思いながら俺様はギアを入れ替え、空中をダッシュ!
ハルバードで切りかかると見せて、飛び蹴りを決めようとする!

192 名前:ガンバルガー/ガンバーチーム:2003/06/04(水) 17:07

《青空町はギャグ日和!?》
>>191 
 
 眼下を過ぎる黒いロボット。スピードはなかなかだったが、 
 ミラクル合体したガンバルガーと虎太郎の反射速度には及ばない。 
 鼻で笑い飛ばしながら、虎太郎はさらに操縦桿を繰り続けた。 
「ヘン、なんだ。カッコばっかりで全然大したこと無いじゃないか」 
 操縦桿を一気に引く。 
 追従し、ガンバルガーも腕を構える。 
「一気に行くぞ、鷹介、力哉!」 
『応!』 
「ガンバー・フレア!」 
 必殺のガンバー・フレア。胸の虎から放たれる、超高熱の火炎弾だ。 
 かざした掌の中、瞬時に生まれた火球は徐々に大きくなり…… 
 
『合体ロボかよ!ちょっとばかりガッタイが良くなったからって――』 
 
「ぶっ!」 
 ドガン。 
 暴発した、ガンバー・フレアが。 
 上半身が黒こげになるガンバルガーとガンバー・チーム。 
 コクピットまできっちり焦げて、中で虎太郎達は煙を吐いた。 
「ばっ、ばばば……」 
 力哉が腕を伸ばす、虎太郎の襟へ。 
「バカ野郎ッ! 虎太郎、おまえ、俺たちを殺す気か!」 
「ば、バカな事言ってるんじゃねぇよ……ぷ、くくくくく……」 
 
『駄洒落に受けてる――――――――――――!』 
 
 笑いを噛み殺そうとする虎太郎を前に、凍てつく鷹介と力哉だった。 
「ちょ、ちょっと待てよ。今の、何が面白かったんだ?」 
「僕に言われても、ちょっと……それにほら、僕はお笑いとか疎いし」 
 あはは、と乾き切った笑いが力哉と鷹介の間で起こる。 
 出来る事なら、目を背けたい現実だったが―― 
「り、力哉君! 来たよ!」 
「くっそー……おい、虎太郎! 早く避けるんだ、早く!」 
「髪の毛一本で一毛き! いちげきだってよ、ぶわはははははっ!」 
 駄目だった。 
 なんかもう徹底的に。 

193 名前:ガンバルガー/ガンバーチーム:2003/06/04(水) 17:08

>>192 
 
「……しょうがない、鷹介」 
 こうなれば――軽く唇を噛む。 
 気合いは十分、あとはやってやるだけだ。 
「俺たちでガンバルガーを操縦するぞ!」 
 腹を決める力哉。 
「ええ!? で、出来るのかなあ……」 
 言ってる側から、黒いロボットはさらにスピードを上げて接近してくる。 
 あの棒で殴られたら、ガンバルガーでもただじゃ済まない。 
「ごちゃごちゃ言ってる暇はない、行くぞ!」 
 声を合図に力哉と鷹介はグイ、と操縦桿を引いた。 
 ガンバルガーの操作システムは、キングエレファンやマッハイーグルと同じ。 
 違和感なく操作できる――筈だった。 
 
 筈だった、が。
 力哉はレバーを思いっきり右に引いた。 
 鷹介はレバーを思いっきり左に引いた。 
 ガンバルガーは両手を広げ、じたばたしていた。 
 
『あっ!?』 
 
 重低音、腹の奥に響く轟音にコクピットは盛大に揺れた。 
 ガンバルガーのスクリーン一杯に迫った、黒いロボット。 
 その足が胸を蹴り飛ばしていた。 
 失速し、地面へ転がるガンバルガー。 
「な、何やってるんだよ、鷹介!」 
「そう言う力哉君だって!」 
「くっそー、俺たちじゃガンバルガーは上手く操縦できないのか?」 
 成り行きだけでメイン・パイロットになった虎太郎だったが、 
 こうして考えると相応しい人材だったのかも知れない。 
 認めたくないが、ガンバルガーは虎太郎が一番上手く使える。 
「だから、笑ってるな虎太郎! ピンチなんだぞ!」 
「そ、そうは言ってもよ。可笑しくて可笑しくて……」 
 バンバン、と音を鳴らして操縦桿を叩く虎太郎。 
 ガンバルガー、始まって以来最低のピンチだ。 
「駄洒落でピンチだなんて、俺は認めな――――いっ!」 
 力哉の咆吼も何処か虚しかった。

194 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/06/05(木) 22:00

《青空町はギャグ日和!?》
>>192>>193
ヤバイ、ガンバルガーと名乗ったこのロボットは思ったよりも速い。
元々のパワーを直結する事でさらに高めているようだ。
ヤリパンサーにならないと全力時にはついてゆけそうにないのをはっきりと確信した。
俺様がいつもダジャレばかり言うからってアホだと思ってる奴も居るかもしれないが、
人それぞれに集中できるやり方がある。俺様に一番合っているのはジョークだったというだけの話だ。
 
しかし、俺様のギャグに受けた奴を見るのは久しぶりだ。芸人の血が騒ぐぜ!
暴発し、ふらついて見えるガンバルガーへ俺様は畳み掛けるようにハルバードをたたきつける!
 
「メインパイロットが動けないからって、めいんってたら俺様には勝てないぜ!
 ソラソラソラソラ!」
 
クイーンシューターを連続で撃つ撃つ撃つ!

≪ドゥインドゥインドゥインドゥインドゥインドゥイン!!!≫
 
「撃って撃って撃ちまくる!」
 
爆音が次々に響く。デカイ分タフさにおいても向こうが上だろう。
だが、攻撃の手を緩めたらこっちがヤバイ!
 
そして、視界の片隅に起き上がろうとする心友、魔界獣ダジャレーンが見える。
健気にも立ち上がろうと血を吐きながら動く姿に俺様は心打たれた。
友よ!お前の心意気、受け取ったぞ!そして俺様は賭けに出る!
 
「気合を入れろ!アイッ!『ブラックボム』!!」
ブラックボム、こいつは守護騎士を悪の心に染める為にドン=ハルマゲ様が、
クイーンサイダロンに施した追加武装。
 
はっきり言って、人が乗っている機体には通じないだろう。
だが、ラムネスの野郎が時々こっちのメカを強化させている武装、
セイントボムと同等の効果を獲られる公算が高い。
 
そして、黒い波動が辺りを覆い尽くした時、俺様は賭けに勝った。
 
≪ダーーーーージャレーーーーン!!≫
スピーカーを付けた大蛇が息を吹き返し、その鎌首をもたげる。
心なしか、デザインが一新されて強そうにも見える!
 
「ようしダジャレーン!俺様達を乗せて突っ込むぞ!
 大蛇に乗ったチャレンジャー!」
 
レスカが船から叫ぶ。
「ダ・サイダー!あんたって人は…」
「おーのれおのれ!ガンバーチームめ私の力を侮りおってぇ〜〜〜!」
 
同志ヤミノリウスもどうやら復活したみたいだ。これから逆転を決めてやるぜ!
空を駆ける大蛇の背に飛び乗り、ハルバードと超音波の二段攻撃だ!! 

195 名前:ガンバルガー/ガンバーチーム:2003/06/06(金) 00:07

《青空町はギャグ日和!?》
>>194 
 
『うわあああああああ!』 
 
 衝撃と振動とがまぜこぜになって、ガンバルガーのコクピットを襲う。 
 今まで散々、攻撃は喰らってきたけど、今日程虚しいダメージはない。 
 操縦桿を握りしめたまま、力哉は唇を噛んだ。 
 チクショウ、良い様にやられるなんて! 
「力哉君、また来る!」 
 鷹介の声で我に返った時にまた、衝撃。連続するナイフの攻撃を捌ききれず、 
 体中に受け続けるガンバルガー。エネルギーも急速に下がっていた。 
「鷹介、何か手はないのか、何か!」 
「そんな事急に言われてもぉ!」 
 直撃! 
 ナイフが丁度、ガンバルガーの額に突き刺さっていた。コクピットがある頭部に。 
 今までの比では無い振動が上下左右に三人を揺さぶった。 
 さらに、さらにだ。間の悪い事にコマンダーからカードが零れる。 
 ガンバルガーの合体カードが。 
「あ、やべ」 
 虎太郎が呟くとほぼ同時、ガンバルガーは元の三体へ戻っていた。 
 
「く、くそっ、もう一度ミラクル合体だ!」 
「……駄目だと思うよ、ほら」 
 キングエレファンのコクピット、映り込んだウィンドウの鷹介が指さす先。 
 そこにいたのは腹を抱えて笑い、地面を叩くゴウタイガーだった。 
 
『メインパイロットが動けないからって、めいんってたら俺様には勝てないぜ!』
『ぶはっ、ぶわははははははは――』 
 
 だらしなく笑う虎太郎の顔を想像し、深い深い溜息を吐く力哉。
 駄目だと思ったけど、やっぱり駄目だった。 
 ……ならば! 
「しょうがない。虎太郎はほっといて、俺たち二人で戦うぞ!」 
「ええっ! そ、そんなのムリだよ……」 
「やるしかないだろ!」 
 モニターに黒い光が爆ぜる。 
 黒なのに光? 疑問に思う暇もなく、その結果は明白に現れた。 
 ゴウ・フレーム・アタックで爆散したはずの魔界獣が姿を変え、起きあがったのだ。 

196 名前:キングエレファン/力哉&マッハイーグル/鷹介:2003/06/06(金) 00:08

>>195  
 
 形成逆転。 
 こっちはコアメカ二機。 
 向こうは魔界獣に黒いロボ――これも魔界獣か。魔界獣二匹。 
 悩んでる暇はないぞ、一気に片づけないと! 
 拳を撃ち合わせる力哉。虎太郎なしでもやってみせる! 
「よし、ガンバー忍法『キングウェーブアタック』だ!」 
「虎太郎君なしで? 出来るのかな……」 
「やるしかないだろ、行くぞ!」 
 渋る鷹介を焚き付けて、キングエレファンを駆る。 
 キング・ウェーブ・アタック。 
 キングエレファンを踏み台に、ゴウタイガー、マッハイーグルが
 高速で跳び蹴りを入れ、出来たの隙にキングエレファンが大量の水流を叩き込み、 
 落下地点で殴り飛ばし、仕留める必殺技! だった。 
 ゴウタイガーがいなくても、なんとかなる、筈だ! 
 
「キング!」 
 
 マッハイーグルが飛び上がる。 
 腕を構えるキングエレファン向けて。 
 
「ウェーブ!」 
 
 苦い顔のまま、鷹介は単機、押し出され空を飛ぶ。 
 黄色い虎は未だ、地面を打って蠢いていた。 
 自然と溜息が出る。 
 
「アタァァァァァァァァァァァック!」 
 
 キングエレファンが名の通り、象の姿と転じた。 
 そのまま、圧倒的な水流を鼻から吹き出す。 
 狙うはただ一機、突撃してくる蛇の魔界獣! 

197 名前:レナ・ブッティリスカヤ:2003/06/07(土) 22:20

ロボット乗りが集うスレ、より。
―――― 一刻方面基地総合演習 ―――――――

 あまり知られていないことだが、一刻館からそれほど離れていない土地に、大射爆撃場がある。
 荒れ果てた土地にところどころ緑地が残り、しなびた外観をしていた。

 そしてそのところどころに、砲の炸裂した後や、爆撃の後を見て取ることができた。

 一部には仮ごしらえの観覧席が立ち、その傍らには大型の指揮車が駐車してあった。
 指揮車上部に立ち、ブッティリスカヤ准将は前を見据えている。

 基地から、異音が響いていた。
 何か巨大なものがズシン、ズシンと、大量に歩む音だと彼女は知っている。
 その威容が、多数の巨人達が隊列を組み、自分に向かってくるのを、准将はぴくりとも動かず、待ち受けていた。

198 名前:大十字九郎&アル・アジフ ◆TSMAgIUS4A:2003/06/07(土) 22:26

<・・・それは堂々と、威風堂々と大地を震わせ、何者をも恐れぬ、何者にも屈せぬと
宣言するかのごとく、大地を踏み歩む・・・純白の鬼械神、出来損ないにして最強の
“間を断つ剣”が・・・>


 ・・・さて、到着と。

<立ち止まり、腕を組んで仁王立ちする鬼械神。そのコクピットブロックが不意に
開き、長髪の青年と小柄な少女が姿を現す>

アル「指令殿。大十字九郎とアル・アジフ、そして鬼械神デモンベイン、ただいま到着した」

199 名前:大十字九郎&アル・アジフ ◆TSMAgIUS4A:2003/06/07(土) 22:26

>>198
 って、いきなり誤字かよ!?

アル「・・・先が思いやられるな(ため息)」

200 名前:アイビス・ダグラス&ツグミ・タカクラ ◆IBISu6AG36:2003/06/07(土) 22:31

晴れ渡った空に、銀色の光が走る。
 
天の一点から、目指すは大射爆場。
空を切り裂くようにして走るそれは流星のようで。
 
びりり、と衝撃に大地が揺れる。
流星が地に墜ちるかに見えたその瞬間、流星はその姿を変えた。
 
「クルーズフィギュアからの変形、異常なし」
「腕部マニュピレータ、問題なし。ランディングに入る…舌、噛まないでね、ツグミ」
 
銀色の機体は一瞬力学を無視して宙に静止、そしてゆっくりとブッティリスカヤ准将の前に着地した。
胸部が、がこん、と大きく開き、中から二人の女性が姿を見せる。
 
「アイビス・ダグラス及びツグミ・タカクラ、アルテリオンただいま到着しました」

201 名前:名も無きカメラ小僧:2003/06/07(土) 22:35

強大な力を以て世界の平和を守る、鋼の巨人。
大空というキャンパスに、純白を描く飛行機群。
それは、全ての少年の夢であると言っても過言ではないだろう。
夢を求めて、少年は駆ける。それが果てしない地平線の彼方にあろうとも。
蒼空を裂く鋼の翼を。超然と佇む巨人の姿を。その眼に焼き付けるために。

まあ、そんな理由で。
どこで聞いたのやら、演習の始まろうとしている基地を臨む草陰。
ロボットマニアな少年はやぶ蚊と戦いながらこっそりと身を潜めていた。

202 名前:ピエゾ=バイモルフ ◆VOn.4G9bRA:2003/06/07(土) 22:42

>Wakeup M.S.B.S ver5.66S
>Onboard/Remort [O/R]
>?_O
>
>
>Onboard [Ok]
>connect Navigator
>connectXBV/DD-05/02 RAIDEN proto type
>Main/WRL>system check
>Main/WRL>system[Ok]
>Main/WRL>
>Main/WRL>
>Main/WRL>open connection
>Main/WRL>synchronize start

 
砂嵐を巻き起こしながら疾駆してくる一機の白いVR。全身を包む金鶴模様が鮮やかに浮かび上がり、
あたかも北国の初春、朝霧沸き立つ湿原から一斉に飛び立つ水鳥の一群を思わせる風情だった。
とても戦闘用とは思えない風雅な趣。
ピエゾ=バイモルフが自ら製作に携わった新型ライデンの試作機、XBV/DD-05/02 RAIDEN proto type
である。
白と赤と金に彩られた機体はその姿に違わぬ優雅な機動で最前列に停止する。
 
「……やあ、お待たせしちゃったね。ピエゾ=バイモルフ。只今推参しました!」

203 名前:ガルド・ゴア・ボーマン:2003/06/07(土) 22:49

「――――イィィィィ・・・ヤッホォォォォォォォォッ!!」

一刻方面・総合軍事演習場付近空域。
眼下に爆撃や砲弾の弾痕、そして荒涼とした岩場をのぞむその場所で、男は快哉を叫んでいた。
「まったく・・・・・・叫ぶ時ぐらい通信機のスイッチぐらい切ったらどうなんだ、イサム!?」
青い戦闘機から、そのやや前方の純白の戦闘機に通信が飛ぶ。
『ああ・・・ワリィワリィ。スイッチ入ってた?』
「毎度のことだが、つき合わされる俺の身にもなれ。それに、演習前にエネルギーを無駄に使ってどうする?
 そろそろ到着だぞ」
『ああ・・・すまねぇ。もうそんな時間?』

眼下にはすでに、指揮者と訓練に参加する機体が、三々五々集まっているのが望めた。
「さて・・・降下開始だ!」
『おっしゃ!』

青と白の戦闘機は、滑走路もない地面に、見る見る近づいていく。
普通ならランディングなどできそうもない急角度。

その過程で、いきなり二機の戦闘機から、手と足が生えた。
四肢を得た二つの機体は、そのまま地面をすべるように滑空し――――しっかりと足から着陸を果たした。

――ガウォーク。
次期全領域可変式戦闘機「バルキリー」の姿勢制御によく用いられる形態である。
次瞬、この手足を生やした奇妙な形の、しかし流麗なフォルムの戦闘機の外部スピーカーから、2人の男の声が流れた。

『キャットコー、アルファ1よりHQへ。イサム・ダイソン中尉とYF−19、ただいま到着したぜ!』
『こちらオメガ1。ゼネラル・ギャラクシー社所属AVF、YF−21・・・到着した』

204 名前:キリコ&レッドショルダー:2003/06/07(土) 22:55

砂埃を上げて、鋼鉄の軍団が往く。
乾いた大地を踏み、一糸乱れぬ完璧な行軍。

128機、一個中隊の装甲騎兵の群れが往く。

先頭を往くのはグラントリードッグ。黒く塗られた新鋭の猟犬。
漆黒に塗られた機体が威嚇的な偉容を見せる。

中列に位置するのは名機スコープドッグ。扱いやすさが売りの標準機。
だが、ここに並ぶのはあまりのピーキーさに使われる事の少ないターボカスタムだ。
物々しく武装した戦闘犬が殺意すら放って進む。

後列を歩むはバーグラリードッグ。降下強襲に威力を発揮し火力支援すらこなす猛犬。
重装ながらその動きに鈍重さは無く、ただ黙々と往く。

128機。
その全てに共通するのは。
血のごとき暗く深い赤に塗られた右肩。

敵の血潮で濡れた肩、地獄の部隊と人の言う。
パルミスの高原、ミヨイテの宇宙に、
無敵と謳われた メルキア装甲特殊部隊。
情無用、命無用の鉄騎兵。

人呼んで、レッドショルダー

人を捨てた狂気の軍隊が、戦闘機械の集団が隊伍を組んで整列した。

「・・・こちら、第24メルキア方面軍戦略機甲兵団特殊任務班X-1」
「・・・キリコ・キュービィ以下128名、到着した」

205 名前:相良宗介 ◆URUZ7h3pLo:2003/06/07(土) 23:01

――――見えてきた。


指定された訓練施設・・・
いや、仮想とはいえ戦場には十分な広さと障害物を備えた領域・・・一刻演習場。
機体背後の緊急展開ブースターの爆音を聞きながら、その光景を見据える。

《軍曹殿。まもなく作戦地域に到着します》
「了解だ」

ほどなくして、一機の猛禽を思わせるアーム・スレイブがパラシュートを展開し、その地に降り立った。
純白の、美しさと獰猛さを同居させたようなフォルム。
ARX−7<アーバレスト>である。

『おせーぞ、もうみんな整列しちまってる。急ごうぜ』
「了解した。アル、パワーを<巡航>へ移行。急ぐぞ」
《ラジャー。パワーをクルーズへシフト》
一足先に着陸した僚機からの通信を受けつつ、機体を走らせた。

そして・・・俺たちも送ればせながら列に加わる。
リーダーのマオが、俺たちを代表して到着報告をした。

「ウルズ2,6,7、ただいま一刻演習場に到着しました!」

さて・・・そうそうたる面子である。どんな演習を行うことになるのだろうか?
俺はガラにもなく、ふとそう思っていた。

206 名前:キリコ&レッドショルダー:2003/06/07(土) 23:04

>>204追記
「・・・なお、今回の閲兵行進は俺が報告を担当する事になった・・・
 指揮はリーマン少佐だ。以上」

「なお、時系列に関する指摘は一切拒否する」

207 名前:ハスラー・ワン:2003/06/07(土) 23:08

………………作戦領域到達
 
戦闘用プログラム起動………

ジェネレータ出力98%
コンデンサ残量99・6%
装備弾薬消耗率0%
機体破損率2%
レーダー機能異常なし………ECCM正常に作動中
FCSシステムオールグリーン………照準システム誤差コンマ2

全システム異常なし………戦闘モード、起動

208 名前:ハスラー・ワン:2003/06/07(土) 23:09

ハスラー・ワン………現時刻をもって到着。

209 名前:レーダーからハスラーへ:2003/06/07(土) 23:12

>>207
お帰りハスラー

210 名前:赤い二連星:2003/06/07(土) 23:12

 
 2人の薄汚れた風貌の男が基地の入り口で兵士と押し問答をしていた。
 
「私たちを雇えないというのか?」
 
『当たり前だろうが。大体、いきなりやってきて雇えって言われて雇う軍隊が何処の世界にある?』
 
「……無知と恐ろしい―――――」
 
 男の1人が呟く。
 
「我々はこれでも前大戦では『赤い2連星』と呼ばれて敵味方に恐れられていたのだ」
 
「そう、かの『ニュータイプ』としてですね」
 
「おお、見える、この感じは―――――ぐわ――――――――――!」
 
 2人の側に演習で使われたグレネードの流れ弾が着弾した。
 爆風で吹き飛ぶ2人……
 
                              <赤い2連星 再起不能、リタイア>
                        

211 名前:ヴァイオラ・ギュネー ◆1oN6neith.:2003/06/07(土) 23:19


遠く、目標地点が見えた。
既に殆どの連中が到着済みらしい。

「……ちっ」

出る前の機体のチェックでトラブルが発見された事に文句を言っても始まらない。
乗っている最中にそれに見舞われるよりは何倍もマシだ。

重い空気の層を裂いて、深紅の、男性的な部分と女性的な部分の混在した機体が飛ぶ。
スピードを押さえる事無く、さながら彗星の様に落ち――もとい、着陸した。

「―――ヴァイオラ・ギュノー、到着した」

盛大に舞い上がった砂埃のカーテン越しに、短くそう告げる。

――少しは面白い事が起こると良いけどね……

ちらりと見まわした周囲には、大小様々なマシンが揃っている。
唇が、獰猛な笑みの形を作った。

212 名前:レナ・ブッティリスカヤ:2003/06/07(土) 23:23

 立ち並んだ機体を前に、准将はマイクのスイッチを入れ、語りだした。

「よく集まってくれた。
 諸君らは私の誇りとするところである」

 一端言葉を切り、立ち並んだ機体を見渡し、続ける。

「この威容が、我が連隊の力だ。
 私はこの力が正しく用いられるよう祈り、また可能な限り努力することをここに誓う。

 以上。これより、演習を開始する!」

213 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/07(土) 23:34

いよゥ!お前らはじめましてェ、ジェイソン・ベックだ。
記憶もへったくれも無い街、パラダイムシティの天才犯罪者だ。

今日は気分がいいから特別に教えてやる。
今回の素晴らしい俺様の犯罪は、とある演習場に集まった沢山のロボット達を
ごっそり頂いてごっそり売り飛ばすという完璧な内容だ。

あれまあ…さっそく二人ほど流れ弾で吹っ飛んじゃってるよ。
ま、俺様には全く関係の無いことだがね。

ベック「というわけでダヴ、Tボーン、準備はいいかァ?」
ダヴ「いつでもいいわよ〜ん」
Tボーン「OKですぜ、兄貴!」

ベック「ンフフフフ…そ〜れじゃあ、ベック・ザ・グレートRX3、
がァァァァッたいィィ!!」

ダヴ&Tボーン「イエッサー!」

そして…ロボットどもの前に現れたその勇姿!!
見よ!このきらめくボディー!!

「ベック・ザ・グレートRX3・見参!!」

よ〜し、これからやる事はただ一つ!
ベック「野郎ども、片っ端から蹴散らすぞ!!まずはあの隊長機からだ!!」
ダヴ&Tボーン「了解!!」

躊躇してる暇なんざねえ。
金になる事ならさっさとやる、それが俺様の美学よ!

214 名前:レナ・ブッティリスカヤ:2003/06/07(土) 23:42

>>213
(こちらで打ち合わせをしている。顔を出して欲しい
 http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1009200174/

215 名前:アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36:2003/06/07(土) 23:44

アルテリオンが地を蹴る。
爆音もなく、響くのは僅かな唸りのような音。
アルテリオンに搭載されたテスラ・ドライブは重力のくびきをいとも容易く振り払う。
 
「よしっ…行くよ、ツグミ」
「了解、速度と座標の微調整は任せて」
 
アルテリオンがくるり、と宙空で一回転。
人型のドールフィギュアから、巡航形態クルーズフィギュアへと姿を変える。
 
テスラ・ドライブが唸りを上げる。
余剰エネルギーが、まるで彗星の尾のような光となって、アルテリオンを彩る。
 
青い空に白の航跡を残して、銀の流星が駆ける。

216 名前:ハスラー・ワン:2003/06/07(土) 23:52

>>215
(頭部カメラがアルテリオンの動きを追跡している、逆探知を避けるため光学探知のみ)

………あれがプロジェクトTDの片割れか。
新型高出力テスラ・ドライブ装備………火器はやや貧弱だが、機動性は相当のものだな。
直線の加速力だけでなく運動性能もかなりのレベルであり、パイロット保護の対Gシステムも完備していると見える。


………クロームがデータを欲しがる訳だ。

217 名前:大十字九郎&アル・アジフ ◆TSMAgIUS4A:2003/06/07(土) 23:58

>>215
 ・・・はぁ、さすがに綺麗なもんだな。

アル「なにを見惚れておる。我らには我らの仕事があるぞ」

 ちっ、少しは情緒ってものを理解しようって気になろうぜ、魔導書。

アル「拗ねるな・・・それに、妾にもあのものたちの技巧が素晴らしいものであることは
   分かるよ、主」

 そうだな・・・さて

(デモンベインの前方に五芒星が光り、鬼械神よりも一回りか二回り小さい影が
現れる。蝙蝠の羽を生やした怪人のような姿は、「夜のゴーント」のものだ)

アル「あわせて六体、喚んだ。三機飛ぶなら、一機二体の計算だ。あのもの達の
   腕ならば、造作もないことであろう」

(召喚されたゴーントは、五芒星の前で待機。編隊飛行の終了を待って開放する)

218 名前:クルツ・ウェーバー ◆URUZ6oKCII:2003/06/08(日) 00:12

>>213
訓練の挨拶ッつー事で整列し、
直立不動をちょっと崩した格好で、俺は話を流し聞いていた。
レナ准将、せっかくの美人だってのにマデューカス中佐並みのガチガチさ加減・・・もったいねぇなぁ。
そんな事を考えていると――――

ふと、遠くで妙な気配が動くのを感じた。
正確に見えたわけじゃねえ。狙撃手のカンって奴だろうか?それもあまりよくない側の。

「―――ったくよ、しょうがねえな!」

俺は背後にマウントしていた76ミリライフル砲を目の前に振り下ろし、狙いをつけた。
とはいっても、いつもの様にどこを狙うというような精度はつけねえ。
とりあえず不届きモンにカマしてやる、その程度だ。どこに当たるかまでは知ったこっちゃない。
しっかしこいつら・・・

「いくらなんでも遠くからデバガメたぁ・・・悪趣味なんじゃねえの!?」

ずしんという反動と共に、銃口からAS用実弾兵器の中でもトップクラスの大口径弾が吐き出される。
目標は無論、少々遠くからの闖入者・・・その隊長機とおぼしき野郎だ。
これでちったあ反省しやがれ!

219 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 00:19

アル「さて、そろそろいいか」

<五芒星が掻き消え、ゴーント達が飛翔した機影に追いすがろうと飛んでいく>

 んじゃ・・・そろそろ俺達も始めますかね!

 断鎖術式壱号ティマイオス!二号クリティアス!

<白い鬼械神は組んでいた腕を放し、脚部シールドに組み込まれた術式の発生させる
歪曲空間の反動を利用して跳躍!>

220 名前:???:2003/06/08(日) 00:27

(VTOL型輸送機が2機飛んでくる)

(下部ペイロードハッチ解放、内部収容のコンテナ投下)

(コンテナはパラシュートを開き、自動減速しーーー)

(地表近くでコンテナが吹き飛び、中から白いクモのような怪物が現れる)


(現れたのは大型のセンチュリオンバグ×3、小型のウォリアー・バグ×12)

(なお、通常のFCSでは反応せず。生体センサー装備機でなければロックオン不可)

 

221 名前:frex-5:2003/06/08(日) 00:28

前方から土煙を挙げて迫り来る十数機のYR群。
RNAが誇る攻撃型陣型「frex-5」を構成するその戦闘団は効率的に機能した場合、数十秒で
同規模の部隊を殲滅し得るという。
前衛を勤めるのは超重装甲と大火力を誇る重戦闘VRドルドレイの一列横隊。
その後方には主打撃力として機能するアファームド系列の各機体群、両翼には遊撃/情報収集を行う
高速機動型VR、サイファーが展開している。
 

△          □           △     ▼=ドルドレイ
    ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■          □アファームド=ザ=コマンダー(指揮官機)
  △                  △       ■アファームド=ザ=バトラー
    ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼ ▼          △サイファー
 
 
 
前衛のドルドレイが牽制射撃を開始してきた――――

222 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 00:31

 ありゃ?

アル「?、どうした、九郎」

 いや、そっちの影でなんか動いた気がするんだが・・・別の奴が用意した攻撃目標か?

アル「分からんが、反応を見る限りターゲットのようだな。ついでに破壊しておけ」

 OK。それじゃ、狼煙代わりに派手に行きますか!

<鬼械神の右手に魔力が集中し、殺意の形状、鮮烈なる紅、業火の装飾を施した
自動拳銃『クトゥグァ』が顕現する>

<銃口が睨むは>>213 、轟音とともに灼熱の弾丸が空を焼いた>

223 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 00:31

>>218
今日の俺様絶好調!
自慢のベック・ザ・グレートRX3も絶好調!
流石はヨシフラ・ヤカモト、いい仕事してんなァ!

早速目標を捕捉、自慢の大型ブーメランで一刀両断だァ〜ッ!
ベック「OH!JOH!SAY!YEAH!!(往生せいやァ)」

Tボーン「…あの〜…兄貴?」
ベック「何だよ!!せっかく盛り上がって来てんのに!!」
Tボーン「俺たちいつの間にかロックオンされてますぜ?」

すぐさまレーダーで確認する俺様。…っておい、マジかよ!?

ベック「お、おい!!何か打つ手はねえのかよ!?
…そうだ!ダヴ、すぐに『マトリクース』システムの起動ボタンを押せ!」
ダヴ「へ?」
ベック「へ?じゃねえ!!弾幕回避システムだよ!!
スローモーションでどんな弾でも避けるんだよ!!さあ早くしろ!!」

被弾まであと300m…200m…

Tボーン「うわッ、迫ってくるよ兄貴〜!!」
ベック「あ〜もう何やってんだこのタコ!!ぐずぐずするな!!」
ダヴ「…兄貴…そんな便利な機能、コレには付いてなんか無いわよ…」

……………。

ベック・ザ・グレートRX3の主眼部分がスライドする。
<マ ジ で す か?>

着弾。大爆発。…黒焦げの俺達。

ベック「…くっそ〜…だがまだ行ける!すぐに体制を立て直せ!」
ダヴ&Tボーン「…無理。…絶対無理」

<ベックの愉快な戦歴>
0勝1敗

…続く

224 名前:ゼンガー・ゾンボルト ◆gSANGERfZk:2003/06/08(日) 00:33

≪大演習≫
機神が咆える、それは鋼の武神。
かつてアースクレイドルの防衛機として設計されながらも、運用されなかった鬼子。
その名は『ダイナミック・ゼネラル・ガーディアン』。
コードネーム『ダブルG』。
だが、その名も過去のものとなっていた。今の主、ゼンガー・ゾンボルトを得てからは。

機神の今の名は…。
「我が名はゼンガー・ゾンボルトッ!!悪を断つ剣なりィッ!!」
武人が咆える、己の魂を機体に、剣に込め。

「咆えろッ!ダイゼンガー!!」
身長52mの巨体がテスラ・ドライブによって天を駆ける。
打と意地を持って己を天地の記憶に刻み込む為に。
武神の刀が天を揺るがす。柄が開き、液体金属が溢れ巨大な刃となる。
 
これこそ、戦艦を断つ剣にして悪を断つ剣の由来となった太刀、斬艦刀。 
「舞え!斬艦刀!!大・車・りぃいいいいんッ!!」

巨大なククリ刀の形へ変わった斬艦刀が天を駆け、大気を切り裂く。
そして標的として大地にたたずむ標的を切り裂いた後、ダイゼンガーの手へ戻る。 
「次ッ!」
 
高速の踏み込みで次の標的を斬らんとしていたダイゼンガーのセンサーに小さな影が映った。
「民間人だと!?クッ!ダイゼンガーよ、地を駆けろッ!!」
テスラ・ドライブの出力を一瞬カットしてダイゼンガーは地を駆ける!
 
「間に合えッ!!」
砲火が舞う演習地内においてその人影の姿はあまりに無防備。
ゼンガーはただ加速し、歯を食いしばりながら目的地を目指し、地を蹴る。
 
特大の砲火。それは人体なぞ一瞬にして焼き尽くす猛火だっと言えよう。
それがダイゼンガーの機体によって遮られなければ。
 
「そこの民間人!無事か!無事ならばこの手に乗れい!」
ゼンガーは叫ぶ、かつて出会った少女の事を思い出しながら。
 
そして、ダイゼンガーはテスラドライブを再起動して一時、演習場から離脱した。

225 名前:イサム・ダイソン&ガルド・ゴア・ボーマン:2003/06/08(日) 00:33

>>215
俺たちの目の前で人型から巡航形態に変形し、
テスラ・ドライブの白い焔を吹きつつ、アルテリオンが離陸していく。

―――“銀の流星”、か。
確かにそう呼ばれても不思議じゃねえよな・・・

『イサム!何をボーっとしている!?』
「うっせーな、今出るトコだよ!てめぇこそ出遅れてんじゃねえぞ!?」
『減らず口を!』
「どっちが!」

くっだらねえ悪態を飛ばしつつ、俺の可愛い子ちゃん――YF−19と、ガルドのYF−21がブースターをふかす。
十歩かそこらの距離を走ると、二機のAVFは足をたたんで戦闘機のフォルムに戻り――――
それまでとは段違いの速度で、空へ突き進み始めた。

レーダーを覗く。
下でスタンバってた大十字のデモンベインが、ターゲットを開放したようだ。
俺は魔術に関しちゃ門外漢もいいとこだが、どうやらそっち方面で使われるターゲットドローンらしい。

『出たぞ!あれがメインターゲットらしい。へマするなよ!?』
「へっ!テメェじゃねえし、誰がんな真似するかよ!
 お前こそお嬢さんたちの恥かかねえように気ィつけんだな、ガルド!」

もはやお決まりとなった感のある悪態をぶつけつつ、ターゲットのバケモノに向け、俺は機首を返した。

226 名前:キリコ&レッドショルダー/ドッグシリーズ:2003/06/08(日) 00:34

>>220
駆ける。駆ける。
グライディングホィールが吼え、大地を無数の装甲騎兵が駆ける。
その一人一人が不死身と言われる狂戦士の群れ。
小刻みに方向転換をし、狙点を絞らせないランダムな機動。

それぞれが好き勝手な機動をしているように見えながらも、接触も転倒もしない。
アグレッサー(動目標)であるバグの群れに吶喊する。

畏れも躊躇も人間性と共に何所かで無くした戦闘機械。
不死身の兵士をさらに篩いにかけた妄執の部隊。

グラントリードッグが、
スコープドッグが、
バーグラリードッグが、

マシンガンが、
ガトリングガンが、
ロケットランチャーが、
フォールディングキャノンが、

火を吹く。
弾丸を吐き出す。
撃ち砕き、叩き潰し、完膚なきまでに蹂躪する。

味方が射線上にいようと、躊躇無く発砲する、
味方を破壊しようと歯牙にもかけぬ冷酷非常の戦闘スタイル。

レーダーによって補足できぬバグの群れだろうと、関係は無い。
元より彼らはロックオンでの射撃などしない。

227 名前:キリコ&レッドショルダー/ドッグシリーズ:2003/06/08(日) 00:36

>>223
その戦闘が殺戮の様相を呈し、
IFF(敵味方識別コード)に登録されていない機体を見付けた時、
そこで起きる事は容易に想像が付く。

機体のサイズすら、彼らには意味を持たない。
ベックの機体を無数のATが取り囲み、集中砲火。
地獄もかくやという砲弾の嵐が叩きのめす。
高速で接近し、持てる弾丸を全て叩き付け、高速で離脱。
80機を超える機体が牙を向く。

小型の猟犬たちが立ち去った後には、
味方同士で潰し合った無数の残骸が残された。

(レッドショルダー・撤退)

228 名前:名も無きカメラ小僧:2003/06/08(日) 00:37

「ああ、たまらねぇー……ウヘェ。ヒャハー」

輝く後光を背に並び立つ鋼の巨体。
冷たい金属の存在感も。力を持つ者の苦悩も。
それがもたらす戦火も。威圧も。恐怖も。何もかもが
それに守られる側からすれば、夢の世界を彩る装飾でしかない。
あまりの興奮に、口から漏れる奇怪な音を気にも留めず
彼は震える指でシャッターを叩き続けた。


アーマードモジュール・アルテリオン
ttp://www.hotline-web.com/2ji_alfa/image/04.gif

魔を断つ剣・デモンベイン
ttp://www.nitroplus.co.jp/pc/ranking/gunimage/demonbane.jpg

バーチャロイド・ライデン(ピエゾ=バイモルフ仕様)
ttp://specineff.com/02/cg/cg21/riden.jpg

バルキリー・YF-19 YF-21
ttp://www.hasegawa-model.co.jp/VF/YF19/YF19-2/images/1.jpg
ttp://www.hasegawa-model.co.jp/VF/YF21/P/images/YF21-1.jpg


目まぐるしく、彼はファインダーを振り回す。
その足が、だんだんと誘われるように踏み出してゆくのにも気づかずに。

229 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 00:38

 さぁて、アル、俺達はなにをすればいい?

アル「指示された目標は>>220だな。どうやら生体兵器らしいが」

 でかいのと小さいのか・・・なら、まずはチビから行くぜ!

<左手に魔力集中、現れたるは冴え渡った銀、冷たき殺意、白銀のリボルバー
『イタクァ』が顕現する>

 ティマイオス!クリティアス!

<歪曲空間の反動を垂直のエネルギーに変換。純白の鬼械神は空へと跳躍し、
上空から>>220のウォリアー・バグに向けて一気に六発の弾丸を吐き出した>

(『イタクァ』の弾丸は、九郎の念によって自在に弾道を変化させられる。
ただし、単発の攻撃力は低い)

230 名前:名も無きカメラ小僧:2003/06/08(日) 00:43

>>224
「……ほへ?」
気がつくと、目の前から光が消えていた。
激変した光量に目が追いつかない。慌てて少年は駆け出した。
夢が。このままだと遠くへ行ってしまう……!

少年の全身が、巨人の手に包まれたのは
それから間もなくのことであった。

(むぎゅ)

231 名前:ハスラー・ワン/ナインボール:2003/06/08(日) 00:44

>>221
突進してくる背の低いバーチャロイドの群れ。

「ドルトレイ………重装甲型か」

強固なVーアーマーというだけでなく、機体そのものの耐久度も高い。
恐らくナインボールの搭載火器では破壊に手間取るだろう。
小型ミサイルやパルスライフルはおろか、グレネードランチャーですらあの強固な装甲を破壊できるかどうか。

「…まあ良い、今回は私一人ではない………………」

ブースト点火、急加速。
人工知能「Hー1」の操る無人ACであるナインボールに、パイロット保護のための機能制限は無い。
凡そ人間の乗る機体とは思えぬ急激なードルトレイに劣らぬ速度で突進する。

232 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 00:47

<指定された目標・・・大型のセンチュリオンバグには、通常のレーダーによる
ロックオンが不可能。

 だが、彼らにそんなことは関係ない。邪神の眷属達よりは小さいとはいえ、
バグの大きさは視認するに十分だ。そして、断鎖術式の力によって宙を舞った
デモンベインは再度歪曲空間を蹴る。
 その姿は、知らぬものが見れば虚空を蹴って無理やり機体の方向を変えたように
見えただろう>

<歪曲空間を生む断鎖術式には、もう一つの力がある。歪曲空間の反動が生み出す
エネルギーを、機体の機動ではなく、衝撃へと変換するのだ。
 歪曲空間が修復する反動を脚部に乗せ、上空から流星のようにバグを蹴る白き
鬼械神。脚部シールドと断鎖術式が生む、この技こそ・・・>

九郎・アル
『アトランティス・ストラィィィィィィィック!!』

<閃光とともに鬼械神の脚が激突し、一体のセンチュリオン・バグを蹴り飛ばした>

233 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/08(日) 00:48

演習の始まるほんの少し前

ウ「今日は演習なるものが行われるのであるからして我輩の偉大な頭脳の結集たる
  デモンペインの凄まじさをみせつける絶好の機会である!」
エ「それはいいけどルルイエ異本をかってに連れ出してよかったロボ?」
コックピットにはエルザとウェスト以外にもう一人、オッドアイの少女がいた
ル「らら、、、いあ・いあ」
ウ「普段からフラフラしているので大丈夫であろう
  それにアウグストゥスは出張にいったのであるからして、いまや我輩の天下ですよ!」
エ「、、、それはいいとして、道に迷ったロボ」
ウ「なんですと!?いきなり我輩の完璧な計画が暗礁に乗り上げて沈没確定!?」
エ「あ、あそこにへんなロボットがいるロボ!」
ウ「これぞまさしく天の助け!エルザ、あのロボットに道を聞くのである!」


エ「変な三人組だったけど以外に親切な人だったロボ!」
ウ「まったくである、地図まで渡してくれるとは最近の若者も捨てたモンではないのであるな」
ル「らら・しんせつ・いあ」
エ「もうすぐロボ〜♪」
ウ「おおう!みなさんお待ちかねの世紀の大天才!!
  ドクタぁぁぁウエぇぇぇぇぇストっ!
  、、、ってなんであるか、わけのわかんない生き物とかいっぱいいるのであるが
  さらに遠くを見ると我輩の宿命のライバルたる大十字九朗のデモンベインがいるのである
  これはいったい何事?」

234 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 00:54

>>222
>>223からの続きで)

ふう、何とか持ちこたえたらしい。流石は俺様自慢のマシンだ。
ダヴ「…見事にボロボロだわよ」
ベック「うるせー!!俺が持ちこたえたと言ったら持ちこたえたんだ!!
分かったらさっさとロボ狩りやるぞ!!」

再び目標を捕捉。…だがその前に…。
ベック「さっき俺達に攻撃した奴に報復するぞ!!奴はどこだ!!」
ダヴ「見つけたわよ兄貴!あんなところに居たわ!!」
Tボーン「おのれ〜、よくもやってくれたな〜!兄貴、あいつからやっつけましょう!」
ベック「無論そのつもりだ!!」

目には目を、歯には歯を。見たか乗ったぞベック・ザ・グレートRX3!!
憎いあんちくしょうを自慢のブーメランで真っ二つだ!!
ベック「くらえ、今必殺のォ〜!大!切!断ッ!!」

だがしかし。
Tボーン「…あの〜…兄貴?」
ベック「またかよ!!今度は何だ!?」
Tボーン「…またですよ。俺達今度は別の奴に捕捉されてますぜ」

あ゛〜!!今度はすんげェ熱そうなのが!!
ベック「ダヴ!!すぐに●Tフィールド展開だ!!」
ダヴ「へ?」
ベック「だ〜か〜らァ〜、A●フィールドだよ●Tフィールド!!
心の力が壁を生むんだよ!!分かっちゃいねえなあ〜!!」
ダヴ「そ、それならあるかも…」

祈り始める俺達。神なんざこれっぽっちも信じちゃいねえが、
俺にとっちゃ絶対唯一の存在が金なのでそれもアリかと。

ベック「…おかしいな。これだけ念じて何故フィールドが展開しない?」
今度はTボーンが口を開く。

Tボーン「…兄貴…アレが出来るのは●ヴァだけですぜ…。
ベック・ザ・グレートRX3にゃそんな芸当出来ませんよ…」

……………。

ベック・ザ・グレートRX3の主眼部分がスライドする。
<俺たちが死んでも!! 代わりはいねえよ!!>

被弾。爆発炎上。…俺達ファンキーなアフロヘアー、そして黒焦げ。

ベック「…またかよ…ところでダヴ、前から気になってたんだがよ、
お前のそのアフロヘアー…すっごく怪しいぞ」
ダヴ「…兄貴だって…全然似合ってない…」
Tボーン「…似合わないのは皆一緒ですぜ…」

<ベックの愉快な戦歴>
0勝2敗

…フィーバー

235 名前:48JPjXjKFk:2003/06/08(日) 00:55

遠くで様子をうかがう一隻の艦。

「ほう、連中がロボット乗りか?」

魚類にも似た400m級の大型戦艦から様子を見る20mほどの巨人。

「いずれ手合わせることにもなるかもしれぬ。まあデータ収集はやっておくとしよう。」

巨人はそう言って演習をじっと見つめていた。

236 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 00:56

 どぉりゃぁぁぁぁぁぁ!

<再度バグを蹴り、その反動で宙返りのように離脱する鬼械神。その動きは、
50メートル級の機体とは思えぬほど軽やかで速い>

<同時に、レーダーが>>233の反応を察知>

アル「九郎!右だ!何かいるぞ!」

 上等!

<視線はバグを睨みながら、真紅と白銀の二丁拳銃を>>233へ向ける。そのまま、
目標が誰なのかも気付かず発砲>

>>233に向けて、イタクァ弾×6発とクトゥグァ弾×10発が容赦なく襲い掛かった>

237 名前:ハスラー・ワン/ナインボール:2003/06/08(日) 00:58

武器選択………WC−GN230

人工知能の制御システムが目標に合わせた武器選択を行い、左肩ハードポイントに電気信号を送る。
それに答えて、二つに折れていたグレネードランチャーの砲身が起き上がり、大きく肩から張り出す形で展開する。
通常のACではこのような高速機動中のバックウェポン使用は不可能ー展開するだけでもバランスを
崩す上に、発射時の衝撃に耐えるためには降着姿勢を取らねばならない。
だがーナインボールに与えられた特殊制御システムはそれを容易に行う。

目標捕捉………ターゲット・インサイト

レーダーが目標を捕らえーサイト内のレティクルが緑から赤へ。
ロックオンを示す表示。

ロックオンOK………ファイアリングロック解除

グレネードランチャーに砲弾が装填され、安全装置が解除されてーーー

………ランチャー、発射

破壊の意志を示す電子の信号が、放たれた。

238 名前:クルツ・ウェーバー@M9 ◆URUZ6oKCII:2003/06/08(日) 00:58

>>220>>226
まだ煙の上る銃口を下ろし、状況を再確認する。
どうやら、ターゲットの・・・バグ、だったか? それが投下されたらしい。
そちらに目をやると、すでにキリコ率いるドッグシリーズが攻撃を開始していた。

『ウルズ6、何ぼさっとしてんの!あたし達も行くよ、援護しな!』
僚機のM9―――マオの通信で我に返る。

「へいへい、そー急かしなさんなっての!」

いつものやり口の通りだ。
ソースケのアーバレストが突撃、姐さんが中間距離から援護、俺が後方支援。
さっそく、すでにソースケが切り込んでいる敵集団に向けて、ライフルを構えた。

239 名前:アイビス・ダグラス&ツグミ・タカクラ@アルテリオン ◆IBISu6AG36:2003/06/08(日) 01:01

>>219>>225
「さすが…ズレもしないで来てる」
 
レーダーを見ながらツグミが漏らす。
船外カメラで、アイビスにもそれは確認出来ている。
白と藍の機体が、急加速でアルテリオンにランデブー。
 
ちらり、と目をやるとガルドは微かに、イサムははっきりとこちらと視線を交わらせた。
そして左右に散る二機。
 
「後背から機影二! 思ったより大きいわね」
「アルの魔術、だっけ? 凄いね」
「暢気なこと言ってられないわよ。後ろ取られてるんだから…」
「わかってるっ」
 
スティックを軽く倒し、背面飛行。
ターゲットが追ってくるのを確認して、スティックを押し込む。
それと同時にスロットルを一気に開く。
 
「スロットル・アップ! 一気に行く!」
 
風を切り裂きながら、アルテリオンが奔った。
 
地上からは何が起こったかなどわかるまい。
わかるのは結果だけ。
そう、背後を取られていたはずのアルテリオンがいつの間にかターゲットの後ろにつき、猛スピードで駆け抜けたことだけ。
アルテリオンが走り抜けた一瞬後、ターゲットは爆散した。
 
「スライスターンで相手の後ろを取り返して、そのまま交差の瞬間にGGキャノン…口で言うだけなら大したこと無いけれどね」
 
溜息をつきながらツグミ。
 
「これぐらい派手な方がいいと思って、さ」
 
はにかみながらアイビスは答えた。

240 名前:アズラエル ◆Z3azraelx2:2003/06/08(日) 01:11

……演習所より少し離れた地点にて。

迷彩を施された少数のAEX(歩行戦車)が潜伏している。
一体ごとに肩武器と腕が異なっている量産型、MSW−16M「ゲイツ」、
巨砲を持つ体を支えるトレッズ(キャタピラ足)、TEX−66SH「ラッド」、
異様な機動を武器とする無人機、SVA−20L「ブルーワーカー」
折り畳まれたプロペラユニットを背中に付けた可変機、SVA−1000S「ヘリオン」。

あるパイロットは小型偵察機「スコープボール」から送られるデータを暗号化した後本拠地に転送し、
またあるパイロットは他に潜伏している者がいないかと警戒している。

そして……威圧的な雰囲気を放つ指揮官機、SVA−100M「ワーロック」。
その搭乗者「アズラエル」は次々に送られてくるデータに目を通し、
地球側戦力の強大さを改めて知った。

もしもこれだけの戦力が最前線に送られたなら戦力バランスは地球側へ大きく傾く。
その前に戦力増強を行い、そしてデータを元にした対抗策を練らねばならない。

241 名前:ハスラー・ワン/ナインボール:2003/06/08(日) 01:11

砲口が炎を吹き上げ、駐退機の唸る激しい衝撃音と共に空の薬きょうが排出される。

ランチャーから放たれたHE弾(りゅう弾)は直進弾道でドルトレイに向かいー直撃。
巨大な爆炎と衝撃波を巻き散らし、破壊の渦を生み出す。

しかしー

「………やはりな。ワンショットでは破壊し切れんか」

機体に炎を纏い、大きくバランスを崩しつつもなお灼熱のドームを
突き抜けて走るドルトレイ姿がはっきりと確認できる。

戦術判断………自機のみでの破壊は困難、僚機への援護要請の要を認む

人工知能が素早く判断を下す。即座に通信回線接続。

「………後続機へ。私では仕止めきれん………後は任す」

242 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 01:16

<デモンベインのコクピットでアルは>>239を見上げる>

アル「・・・ほう、さすがだな」

 って、おまえが余所見してんなよ。オイ。

アル「分かっている」

<視線を目標に戻せば、>>239のミスリルチームが突撃するのが見えた>

 ・・・さすが本職。あっちも三位一体って奴か。

<にやりと口元をゆがめ、ミスリルチームとは反対側を向いて大型バグに銃口を
向ける。真紅の自動拳銃『クトゥグァ』の内側に、それまでとは比較にならぬ
凄まじい「破壊」の気配が充満した>

 こいつはサービスだ。クトゥグァ神獣弾・・・ありがたく食らっとけぇっっ!

<トリガー。同時に銃口から飛び出したのは、弾丸ではなく燃え盛る炎の獣。
万物を焼く灼熱の神獣『クトゥグァ』の姿であった>

<生きた炎『クトゥグァ』はバグの一体を跡形も残さず消滅させ、そのまま
空へと突き抜ける・・・が、流れ弾となって>>235にも向かった>

 ありゃ・・・やば、ちょっと強すぎた、かな?

アル「・・・たわけ」

(クトゥグァ神獣弾・・・炎の神獣『クトゥグァ』を召喚し、撃ちだす弾丸。
デモンベインの装備の中でも一、二を争うほどの破壊力を持つ)

243 名前:ゼオラ・シュバイツァー@ビルドファルケン ◆l8FbvZEORA:2003/06/08(日) 01:17

風は穏やか空は晴天。
もっとも、獣に齧られた様に欠けた月が暗闇から顔を覗いている訳だが。
それでも演習には持って来いの天候であろう。

「各部異常なし。大丈夫ね」

木々もざわめく丑三つ時にその巨躯を撓らせ、我が物顔で歩く機体がある。
ゼオラ・シュバイツァー軍曹の駆る、ビルドファルケン。
20mにも及ぶ機体の体は手を上げれば夜空にも届く様に錯覚し、50tの重量が
歩くたびに地面を響かせ木から滴り落ちた露でぬかるんだ地盤に、深い足跡を残す。
移動するたびに響き渡る轟音に、休んでいた鳥達があわてて逃げ出す様をみて
苦笑しながら、胸の中で手を合わせた。

場所は聞かなければ誰も知る事のない退れた演習場。
森の中に不自然に作られたその場所は不意に海上に作られた埋立地を連想させる。
キャンプ地と思われし建物が沈黙し、幾体も並ぶ機体が静かに眠る。そして
此方を睨み続ける固定目標。
この場が何時作られたか、どのような理由で建設されたのかはさして問題ではなく、
ビルドファルケンがミッションを達成させる事が重要なのだ。今はそれだけを考えれば良い。

「確か、固定目標を撃破、だっけ?」

脚部のサスペンションを軋ませ、手に持ったオクスタンライフルを持ち上げる。
夜空には戦闘機に似た機体が轟音を唸らせ、周りでは無骨な機会音が鳴り響く。
爆発音、何かがぶつかり合う音、実弾、ビーム兵器の音。小さな頃から聞きなれて入るものの
ゼオラはこの不協和音が好きには馴れなかった。この音を聞くたびに、仲間達が消えてゆくのだから。

「さっさと終わらせて、帰ろう」

ゼオラは熱いシャワーと暖かいベッドに恋焦がれながら、ファルケンは目の前の目標を殲滅する事に餓えながら
それぞれの思惑が詰められた弾丸が込められているオクスタンライフルをファルケンの腕は持ち上げた。
冷たい銃身が目標に向かって豪と伸びる。鋼の左手は銃身を支え、鉄の右手は演習の開始を告げるトリガーを引いた。

「あーーーー!!早く家に帰りたーーーーい!!」

それは、心からの叫びだった。

244 名前:相良宗介@アーバレスト ◆URUZ7h3pLo:2003/06/08(日) 01:19

>>238

凄まじい速度で疾駆する、純白のすらりとした概観のAS。
口についている兵装マウントの形もあり、その姿はどこか忍者を連想させる機体。
兵器というより「世界一危険な美術品」とでも呼んだ方がしっくり来そうなそのASは
すでにバグの間合いを侵略し、牙を向かんとしていた。

《接近警報!左舷9時より二体!》
AI「アル」の機械音声に遅れず、腰の単分子カッターを引き抜き、神経系が集中していそうな場所に一閃。
大きくスパークを起こし、バグが動きを一瞬止め、のけぞる。

『ウルズ7、どきな!』

通信機の声に、とっさに機体を翻す。
背後からのAS用アサルトライフルの射線が傷付けられたバグに降り注ぎ、沈黙させる。
「マオか」
『マオか、じゃないでしょ?あたしも少しは働かないとね』
そういうとマオのM9は背中にマウントしてあったロケットランチャー<ジャベリン>を、沈黙したバグに叩き込んだ。
超音速のミサイルは寸分たがわず、動きを止めたバグに吸い込まれる。
ターゲットは残骸を撒き散らして爆発、四散した。

245 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/08(日) 01:21

>>236
デモンベインが中を華麗に舞う
ウ「さすが我輩の宿命のライバルたる大十字九朗である
  ケダモノの特性を利用してピョンピョンウサギのように跳ねているのであるな
  ウサギが走りたがっている、、、どころか全力疾走である!」
なんとなくその姿をぼ〜っと見つめるウェスト
ル「らら・いあ・いあ(警戒をうながしているらしい)」
エ「、、、こっちに銃口を向けたロボ」
ウ「ひょっとしてこの気に乗じて性犯罪の証言者たる我輩を消す気!?
  真実を闇に葬りあの男はまたその触手で若い女性に襲い掛かかる!?
  そんなことは許せませんよ警部!
  しかしそんな我輩の悲痛な叫びを無視し野獣の一撃が我輩に今!?」
エ「撃ってきたロボ〜〜〜!!」

イタクァ、クトゥグァの弾丸が迫る!!

エ「そう簡単にはいかないロボ!断鎖術式解放ロボ!!」

デモンペインに装備された断鎖術式が解放され常識はずれの加速を行う
一瞬後にはクトゥグァ弾がデモンペインがたっていた場所に着弾しクレータを作る

ウ「ななな!?弾丸が追っかけてくるのでありますよ!?
  神は我輩にピンチを与えてスーパーピンチクラッシャーを呼び出させる気であるか!?
  しかし我輩は一般人代表であって『我輩もアルターがーほしいよぉぉぉ!』
  という存在だったのであるからしてそれは酷である!」
エ「なんのぉぉぉぉ!デモンペインは男の子ロボ!!
  『我、埋葬にあたわず』発射!!」

デモンペインの右腕から閃光が迸しる!
さらに閃光は六つに分裂し正確にイタクァ弾を撃墜する

ウ「ナイスであるエルザ!さすが我輩の最高傑作!
  大十字九朗の邪悪な企みを見事粉砕したのである!!」
ル「いあ・エルザ・いあ(褒めているらしい)」
エ「照れるロボ〜♪」

246 名前:ゼンガー・ゾンボルトINダイゼンガー ◆gSANGERfZk:2003/06/08(日) 01:23

≪大演習≫
>>221
機神が天空を駆け、再び演習の地へと戻る。
「出遅れたかッ!だが、まだだッ!」
ドルドレイの砲火を避け、出力を絞る。
まだ、射程距離ではないとゼンガーは経験から推測する。
運用形態は砲撃戦ではあるが、機動性から鑑みて中心は近接打撃を主とするもの。
 
すなわち、条件は同じ。
 
武神と一体化し、ダイゼンガーは天空を駆ける。
 
「切り裂けッ!斬艦刀!電光石火!」
斬艦刀に電光が走る。それはダイゼンガーに漲る闘志。
闘志が剣を後押しして大気を、空間を軋ませる。
 
剣圧が大地を渡ってVRの一体を切り裂く。
「くっ!流石にVRの敏捷性は高いか!」
 
思考を研ぎ澄まし、二の足を入れ替え、方向を変える。
返す刀を一閃して近接距離にまできていたアファームドの一撃を食い止める。
 
「負けんッ!」
歯を食いしばり、ダイゼンガーの脚部が蹴りとなって近接しているアファームドヘ放たれた!

247 名前:48JPjXjKFk:2003/06/08(日) 01:26

>>242
クトゥグァが様子をうかがっていた所属不明艦に命中した。
艦のエンジン部分を中壊し、かなりの大損害をこうむっていた。

「ぐぐっ・・・何とだ?」
「グロテクターのエンジン損傷40%・・・。」
「なんだと・・・(これが地球人の戦力か・・・侮りがたし・・・。)。」

暗黒鳥人の報告を巨人は受けていた。巨人はその状況を悟り冷静に指示を下す。

「航行不能にはなってはおらぬがこのままでは誘爆の可能性があるな。・・・撤退する。
データは大体取れた・・・後は無人偵察機に任せればいい。無駄に交戦していても意味はあるまい。」
「了解・・これよりワープアウトに入ります。」

巨人・・・暗黒ホラー軍団四天王ダンケルは演習の続く谷を眺め呟いた。

「いずれ相手になるだろう。楽しみにしておこう。」

やがてダンケル乗艦のグロテクターはその場を離れた。

248 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 01:31

>>227、233
>>234の続きで)
ふ〜、ようやく体制が整ったぜ…頭はアフロのままだけど。

Tボーン「兄貴〜、今度は何か沢山来てるよ〜」
…またかよ。

てな事を考える暇も無く襲い掛かってくるATの群れ。
かわす事も出来ずに鳥葬さながらボコボコにされるベック・ザ・グレートRX3。
…鳥葬というよりは犬だな、こりゃ。
ダヴ「きゃ〜 こいつら容赦ないわ〜!!」
ベック「ちっくしょおぉ〜!!俺たちなんか喰っても腹壊すぞ〜!!」

あっさり集団攻撃、撃沈。
あ〜もう。見る影も無いし。でも何故か動けるし。
ゾンビかよ俺らは。

むき出しになったコクピットに、こっちからもあっちからも爆風が来る。
それに合わせて左へ右へとアフロもゆれる。

ベック「あ゛〜もう!!そこ!むやみやたらに爆発起こすな!!そこも!そこもだ!」

なんて事を叫んでたら…。
Tボーン「兄貴!変な学者から通信が入ってますぜ!」
ベック「で〜?なんだって〜?」
Tボーン「何か道に迷ってるみたいですぜ?どうしますか、兄貴?」
ベック「適当に教えとけ、どうせここはだだっ広いんだ」

なんて気だるそうにしながら、演習場の地図を懐から取り出す。
その瞬間、近くで起こった爆発から出た爆風が、
俺の地図をかっさらっていった。

ベック「ゲゲッ!?」

地図はふわりふわりと宙を舞い、あれよあれよと学者達の所へ…。

ダヴ「へ〜兄貴、結構気が利くのね。道を教える代わりに地図を渡すなんて」
ベック「馬鹿野郎!!あれは違…」
Tボーン「照れ隠しですか兄貴?ほら、向こうもあんなに喜んでる。
これぞまさしく鬼の目にも涙、ですねェ〜」
ベック「だ〜か〜ら〜、あれは違うんだよ!!早い所奴等から地図を…
ってもう居ねえし!!」

嗚呼、なんて不幸な俺様…。
でもめげない!いかなる時でもスマートに行くのが俺のポリシーだ!!

…でも頭はまだアフロ。

<ベックの愉快な戦歴>
0勝3敗

…だめぽ

249 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 01:34

>>248 おまけ
ベック「…ちなみにTボーン、その諺は微妙に違ってる」
Tボーン「…あれ?」
ベック「あれじゃねえ!!早い所体制を立て直せ!!ていうかお前ら修理だ!修理!!」

…先が思いやられる…。

250 名前:ヴァイオラ・ギュネー ◆1oN6neith.:2003/06/08(日) 01:36

>>221 >>231 >>237 >>246

アラート。
前方から接近する機体が複数有り。
コンソールを確認――編隊を組んだ無人VR。

「………これが的か」

微かに沸き起こる不満。ただのAIでは物足りない―――
が、無理なのだから仕方ない。
精々派手に破壊してやろう。少なくともストレス解消くらいにはなる。

「―――我慢してやろうじゃないか」

音を一切立てずに、ゆっくりと視界が上昇してゆく。
捉えた。
的の機動にはそれこそ気味が悪いほど乱れが無い。
人間がコントロールしているわけではないのだから当たり前なのだが。

「ネイト……行くよ」

前衛らしい重装甲の機体をロックオンするのと同時、地上から火線が走る。
着弾、爆炎。そしてそれを抜けて現れるVR。
なるほど、アレでは足りないのか。

笑みを浮かべながら、バーストモードへ移行。深紅のシルエットが陽炎の様に揺れる。
一機編隊に切り込んだようだが、構わない。巻き込まれる間抜けなら、早々にリタイアした方が良いだろう。
右手に収束したエネルギーが一つ、二つ、もう一つ。
半ば切り崩された前衛のVR群目掛けて放たれた。

251 名前:ガルド・ゴア・ボーマン@YF−21:2003/06/08(日) 01:39

(ガルド視点)
・・・やれやれ、お嬢さんの前で恥をかくな、だと?誰にものを言っているつもりだ、あいつは。
距離をとり、機種を返す。
流麗な機動で目標を攪乱するアルテリオン、そして破天荒な機動で敵を翻弄する19と一瞬だけアイコンタクトをかわし、
俺は手で印を組み、BDIのイメージに集中した。

機体から、敵の動き、障害、その他の状況が・・・擬似的にとは言え、まさに肌で感じ取れる。
「BDIの調子も良好らしいな・・・さて、行くぞっ!!」

敵の行動をBDIでトレースしつつ、照準・・・そして一斉発射。
放たれたハイマニューバミサイルは複雑な機動を描き、眼前の2体を飲み込み爆発、四散させた。

「ふん・・・他愛もない」

252 名前:ハスラー・ワン/ナインボール:2003/06/08(日) 01:51

>>250
背後の空から放たれた光が、ドルトレイを襲う。
さすがにたて続けの被弾には耐え切れなかったのか、装甲が融解し砕け散ってゆく。

「オービタルフレーム………あれも新型のようだな」

何を使って攻撃したのか、完全には解析し切れないが………それは帰投後に考える事だ。
今はーーー眼前の敵を撃ち砕くのみ。

十分に距離は詰めた。後はーーー

戦術判断………軽火器の集中射撃、グレネードは弾丸を温存

右腕のパルスライフルにエネルギーが供給される。
ライフル内のコンデンサ電圧値がみるみるうちに上昇。

本来連射速度は高いが弾速が遅く、やや命中精度に難がある武器だがーこれほど距離を詰めてしまえば関係ない。

………ジェネレータ内コンデンサ残存エネルギー量63%、射撃に問題無し

「さて………………死ぬがいい」

青白い光の火線ーーー文字通り、一繋がりの線と化した灼熱の光がドルトレイを襲った。

253 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 01:53

すまん、>>248修正だ。
こっちの方が皆のレスに合うと思うんでな。

―――――――――――――――――――――――――――
ふ〜、ようやく体制が整ったぜ…頭はアフロのままだけど。

Tボーン「兄貴〜、今度は何か沢山来てるよ〜」
…またかよ。

てな事を考える暇も無く襲い掛かってくるATの群れ。
かわす事も出来ずに鳥葬さながらボコボコにされるベック・ザ・グレートRX3。
…鳥葬というよりは犬だな、こりゃ。
ダヴ「きゃ〜 こいつら容赦ないわ〜!!」
ベック「ちっくしょおぉ〜!!俺たちなんか喰っても腹壊すぞ〜!!」

あっさり集団攻撃、撃沈。
あ〜もう。見る影も無いし。でも何故か動けるし。
ゾンビかよ俺らは。

むき出しになったコクピットに、こっちからもあっちからも爆風が来る。
それに合わせて左へ右へとアフロもゆれる。

ベック「あ゛〜もう!!そこ!むやみやたらに爆発起こすな!!そこも!そこもだ!
…仕方ねえ、ここは一旦隠れて体制を立て直すぞ!え〜と、地図は…と…
おい!!地図どこにやった!?」
ダヴ「それなら兄貴が演習前に奇妙な学者に渡しちゃったじゃない。
”たまには柄にも合わない事をやるのもいいな”って」

…そうだった。そういえばあの時、道を聞かれたもんだから…。
教えるのも面倒だし気分が良かったって事で地図を渡したんだっけ。

ベック「おい!今すぐ地図を取り返しに行くぞ!!早くしろ!!」
Tボーン「わ、分かったよ兄貴…」

体制を整えなおし演習場を駆け出すベック・ザ・グレートRX3。
だが。

突然すぐそばで爆発が起きる。
ダヴ「あ゛!!バランスが!!」

ベック・ザ・グレートRX3の主眼部分がスライドする。
<へのつっぱりは いらんですよ>


走る、転ぶ、見事にこけてまた爆発。
…俺達今度は真っ黒。

ベック「●っ黒ク●ス●出ておいでー、出ないと牛丼食らわすぞってか。
…駄目だこりゃ」

嗚呼、なんて不幸な俺様…。
でもめげない!いかなる時でもスマートに行くのが俺のポリシーだ!!

…でも頭はまだアフロ。

<ベックの愉快な戦歴>
0勝3敗

…次行ってみよう

254 名前:イサム・ダイソン@YF−19:2003/06/08(日) 01:57

>>239>>251
「――――――――イィィヤッホォォォォォォウ!!」

半ば遊び心も入れて、サーカスのような曲飛びを披露しつつ、ターゲットの周りを飛び回る。
何順目かしたところで、流石に飽きが来ちまった。そろそろとどめるか・・・
ふとお嬢さん達とガルドのほうに目をやる。
三機とも、ここで仕留めるって気持ちが一致したらしく、見事に俺たちの目は同じ色して合っていた。

さぁて・・・・行くぜっ!

「覚悟しなっ!!」


スロットルを上げ、加速。みるみるうちに距離が詰まる。
ぶつかるスレスレのところで一気に機首を上げ、そのすれ違い様にロックオン済みのミサイルを全弾発射。

次の瞬間、ターゲットはすでにミサイルの爆発に嘗め尽くされていた。

「これで一体!」

続いて背後からの一体。回頭などしている暇もねえ。
そのまま高度を上げると同時に相手の頭上でバトロイドに変形する。
両の拳を組み合わせ、ピンポイントバリアをその周りに展開させ・・・そのままエンジンをカット。
自由落下の勢いで目標の頭上から拳を叩きつけると、間髪いれずに蹴り飛ばして距離をとり、ガンポッドを乱射する。

「んで・・・コイツはオマケだ!とっときやがれ!」
ガンポッドの掃射を浴びて動きを止めているターゲットに、乱射姿勢のままミサイルをロックし・・・一斉発射。
二匹目のバケモノも、こいつにゃひとたまりもなかったらしい。
破片らしきものを撒き散らして、あっさりと吹き飛んだ。

「―――へっ、チョロいもんだぜ」
地上から飛び上がってファイター形態に変形しつつ、俺は言い捨てた。

255 名前:ハスラー・ワン/ナインボール:2003/06/08(日) 02:00

本来であれば、この程度の威力のビームなどVーアーマーが容易に阻むだろう。
実際、アリーナでもこのパルスライフルに補助用ウェポンとしてのもの以上の役割を
与えて使用しているものはいない。

だがー二度の猛射でほとんど装甲が砕かれたドルトレイであれば話は別だ。
容易に致命傷となるVーコンバータの部位にまでライフルの光弾が達する。それも大量に。

先ほどまでのタフネスぶりが嘘のようにあっけなく機体が地面に崩れ落ちる。

戦術判断………ターゲットの撃破を確認、次の目標へ

だが、次の目標に移るためには距離を詰めすぎている。
これではミサイルやグレネードを撃つための最低必要距離を割ってしまっている。

「………一度離脱する」

急速反転。180°ターンし、突進時と同じように一気に飛び去る。

だがー

「………なんだ?IFFを出していない機体………………?」

256 名前:frex-5:2003/06/08(日) 02:03

>>250
ドルドレイを殲滅していたネイトの側面から突如無数の光条が襲いかかる。
これまで上空で情報収集に当たっていた2機のサイファーが転身、攻撃をしかけてきたのだ。
光学兵器を主体としたその攻撃は、鋭利な刃となってネイトに迫る。

「くっ!」
 
大きく機体を捻って回避。しかしその直後、ヴァイオラの瞳には恐るべき光景が映っていた。
全身に光りを纏って突進してくる2機のサイファー。
一撃必殺の破壊力を持つS.L.C.(She Lost Control)ダイブの連続攻撃がネイトに迫っていた。

257 名前:クルツ・ウェーバー ◆URUZ6oKCII:2003/06/08(日) 02:19

>>244
ソースケと姐さんの連係プレイで、バグはあっという間に吹き飛んだ。
これなら手伝うことも―――――

・・・待てよ?ソースケが突っ込んだ先のバグは二体。
なら、あの爆炎の向こうの妙な影は・・・・・・なんだ?

まさか――――

そのやな予感にキッチリ応えて、三機めのバグがソースケめがけ、焔から飛び出す!
ヤバイ!姐さんもソースケも余所向いてやがる!このままじゃソースケが・・・

そこで、俺の思考はその次のことを考える前に中断された。
突進したバグがまるで見えない壁にでも当たったかのように、弾き飛ばされてやがったんだ。
・・・どうやらラムダ・ドライバで防御したらしい。
―――ったく、ヒヤヒヤさせやがる・・・!

心中で悪態を吐きつつ、空中にいるバグに向けてライフルを連射。
大口径の砲弾の雨をもろに浴び、着地することなくそいつは爆発した。

258 名前:frex-5:2003/06/08(日) 02:21

アファームドはその持てる能力を存分に揮ってゼンガーを襲う。
ある時は真正面から、またある時は側面に回り込みながら執拗に斬撃を加えてくる。
両腕に装備されたダイナミック=トンファーの破壊力は凄まじく、まともに喰らえばダイゼンガーと
いえども擱座は免れない。更に厄介なのはその圧倒的な機動性だ。
ダイゼンガーに比して二回りほどは小柄なその機体は実に俊敏な、舞うような動きで攻め立ててくる。
この相手には、大ぶりな斬艦刀はむしろ不利と言えた。
 
「くそっ!一旦距離をとるべきか……」
 
しかしアファームドはこちらの意図を察するかのような動きで巧妙に回りこんで来る
今しも右方向からの一薙ぎが―――――フェイク!?
アファームドは攻撃を中断、突如腰を沈め、真下から突き上げる形で白刃を振り上げて来た!

259 名前:ハスラー・ワン/ナインボール:2003/06/08(日) 02:27

>ベック ベックザグレードRX3
果たして、そのアンノウンはーーー

「………………………何だ?あれは?」

異様な光景に、一瞬制御システムのコンピュータラインが停止する。
ズタズタに破壊され、原型を止めぬ機体の中に何やら膨れあがった髪型の男たちが外から見える。
コクピットが剥き出しになっている?

だがーそれでもアンノウンはアンノウンである。

戦術判断………正体不明機。撃破せよ

そうなれば、判断は素早い。

………距離確認
 
………ミサイルランチャー適正距離
 
………武器選択 WMーS60/2

FCSがミサイルの弾頭部シーカーに目標所元を入力しー2発を同時発射。

右肩のランチャーポッドから2つの小型ミサイルが滑り出す。
その間にも絶え間なくシステムは動いている

戦術判断………連続攻撃の要あり

そのまま武器セレクターを左肩のグレネードランチャーへと変更。
砲身基部がせりあがり、折れた砲身の前半分と接続。
すでに砲身は十分に冷却され、使用には問題無い。
それを確認し、砲弾を装填。
文字通りのルーチンワークをこなしー発射。
これだけ撃ち込めば、それこそドルトレイやライデンでもない限り足りるはずだが

「………もう一撃だ」

システムはそう判断した。

左腕のレーザーブレード発振機にエネルギーが送られる。
だが、とても斬撃が届く距離ではない。

しかしーーー

「砕けろ」

ためらわずに大きく振り抜かれたレーザーブレード。

そして、そこから………光の刃が放たれた。
「プラス」ーーー強化人間のみが使える特殊戦術。

その威力は………最も低出力のレーザーブレードのものでもACの装甲を融解させるに足る。

260 名前:ゼンガー・ゾンボルトINダイゼンガー ◆gSANGERfZk:2003/06/08(日) 02:38

≪大演習≫
>>258frex-5
アファームド=バトラーは恐るべき敵であった。
至近距離のこの状態、ダイゼンガーにとって機体サイズの差は容易なものではなかった。
 
「くっ!だが!」
 
屈みこむ姿勢からギアシフト。パワーの伝達がカットされ、地へと沈まんとする。
敵にとっては予想外。そして好機。
 
「キョウスケではないが…」
一斉に振りかぶられる砲火、そして地に伏せた姿勢からの斬撃、
だがその姿勢からテスラドライブの最大出力。
ダイゼンガーが一気に天へと駆け上がる。
 
「賭けてみる価値があったようだな!」

被弾率が高い、だが各坐するほどではない。
 
一撃が決められればそれでよい。
 
「咆えろッ!ダイゼンガー!」
ダイゼンガーが出力を上げ、咆え立てる。
 
「届け!雲燿の速さまで!!」
 
斬艦刀が瞬時に巨大化する。
全出力を最大に高め、振り下ろすダイゼンガー最強の技、斬艦刀・雲燿の太刀。
三機のVRをもろともに両断せんと今、振り下ろされた。

261 名前:ゼオラ・シュバイツァー@ビルドファルケン ◆l8FbvZEORA:2003/06/08(日) 02:39

目標は全部で3つ、物言わぬ的はただ沈黙し、此方を睨み続ける。


黒い銃口から幾弾もの大口径の実弾が放たれる。
銃かけたたましいほどの爆音が鳴り響き、火柱が立ち上る。
放たれた弾丸は微妙かつ美しい放射線を描き、赤い枠で囲まれたロック
通りに目標へと唸りをあげる。

「とりあえず、目標を撃破しない事には終わらないしねっ!」

丸く年輪の様に円が描かれた的に実弾が命中する。
月を燃やしてしまうほどの赤い炎と闇夜に混じる黒煙を吹き上げながら固定目標は撃破される。
ファルケンの目に設置されたカメラを通して、肉眼で撃破したのを確認すると、次の目標に
攻撃を移す。バランスよく、各所の攻撃を確認すると言う意味でのこの演習。
実弾の破壊力と精度を確認したのならば必然的にビーム兵器の能力を確認する事となる。
ファルケンの主力兵器であるオクスタンライフルの特徴は実弾兵器とビーム兵器の両方を兼ね備えている事。

ゼオラは自分の育ったゆりかごとも言える無骨な鉄のコクピットを見回し、ビーム兵器に切り替えるスイッチを叩く。
すぐさま実弾に設定されていたオクスタンライフルの弾丸が、ビーム兵器の設定へと切り替わる。
鈍い発射音から鼓膜を打ち破るような高い発射音へと切り替わり、目標を次の的へと移す。
黒煙を上げた隣の的を前にしても、物言わぬ固定目標の表情は変わらない。

「絶対に当ててやるんだからっ!!」

何と言うことは無い、普段の口癖が出ただけ。
其処までして気合を入れる必要は無いのだが、負けず嫌いのゼオラは目標をミス無く
破壊する。なんだかんだ言った所で、ゼオラも根っからの軍人なのだから。

夜も深まり、月も先ほどよりも強く傾いている。
コクピット越しに見える風景が閉鎖されたこの場所からは風が冷たく見える。

赤いロックオン画面に映し出された固定目標に向かって放たれたビームは
目標をに有無も言わせず貫く。圧倒的な火力で放たれた攻撃は余計な破壊をしないと言うが
この場合は属性の問題だろう。
先ほどの黒煙とは打って変わって、白く細い煙が貫かれた的の穴から吹き上がる。
これで残るのは後一つ。機体わずかに移動させ、最後の目標に標準をあわせた。

262 名前:アイビス・ダグラス&ツグミ・タカクラ@アルテリオン ◆IBISu6AG36:2003/06/08(日) 02:47

>>256
ターゲットを二機撃破したアルテリオンは、機首を返して無人VRの群れに向かった。
 
「布陣の両翼に高機動型機体サイファーを確認! 交戦中だけど…拙いわね」
「サイファーか…どうしたの?」
「サイファーの周囲に高エネルギー反応…S.L.C.ダイブ!?」
 
エネルギーを機体全体に纏いそのまま突撃をかけると言う、荒っぽいが威力は絶大な攻撃。
それが今まさに僚機に襲いかかろうとしている。
 
「させ…ないっ!
 ブースト! 対ショックを!」
 
テスラ・ドライブの出力を全開、そして補助機関であるブースターも全点火。
異常なほどの加速でサイファーに迫る。
そして、交差の一瞬前にクルーズフィギュアからドールフィギュアに変形。
 
「ブレイクフィールド収束!」
 
両腕部のマニュピレーターから光が迸る。
 
「セイバー、ゴーッ!」
 
アルテリオンの両腕が一閃、サイファーを切り裂いた。
致命傷ではないが…動きを止めるのには充分だ。

263 名前:ヴァイオラ・ギュネー ◆1oN6neith.:2003/06/08(日) 02:57

>>256 >>262

耳に障る音がコックピット内に響いた刹那ブーストを解除、
機動を取り戻すと同時に身をかわしつつブーストを全開にする。

「……思ったより良い動きをするじゃないか」

至近を掠めていった光条――飛行タイプのVRからの攻撃だ。
そして、それだけで終わりではない。
だが―――

「―――綺麗すぎる。その程度で私のネイトが捉えられるか」

再度ブースト。対G機構で処理しきれない過重が身体をシートへと沈み込んだ。
殺到する2機の間隙に自ら飛び込んでゆく。
例え些細なミスでも、今犯せば致命的になりかねない。
その危険が精神を高揚させる。それを何処かで冷たく見ている私も居る。



―――そのネイトの動きより数瞬早く、銀の流星が2機と交差した。

飛行タイプのVRの内一機が紫電を吹き、ギリギリだった間隙が大きく開ける。
開いたそこを容易く抜け、急制動、機体を振り向かせた。

「あの機体―――アルテリオン、だったね」

こちらを上回るほどの機動。
歯噛みしつつも、戦意は敵を捉え続けている。
まともに動けなくなっている飛行タイプのVRに向けてごく細い火線が走り―――
その軌跡を追って走る爆炎は、確かに的を捉えた。

「4機目。……ふん、どちらが速いかはその内はっきりさせようじゃないか」


264 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 03:08

>>259
(>>253の続き)
よ〜し、何とか起き上がったぞ。流石だな俺様。
頼りの大型ブーメランも無事だし、
襲ってきた奴らに報復だけでも何とか行ける。

Tボーン「兄貴〜、また新手ですぜ〜」
…勘弁してくれ…。

ダヴ「な、何かミサイルが飛んできてるわよ!?どうするの兄貴!?」
ベック「決まってるだろ、ジャミングシステム発動!!」
ダヴ「…だから、そんなものないって…」

ベック・ザ・グレートRX3の主眼部分がスライドする。
<使 え ね 〜>

立て続けに被弾。バランスを大きく崩すベック・ザ・グレートRX3。
Tボーン「わ、わ、今度はレーザーブレードで斬り込むつもりだ!!」

ええい、何か一つぐらいこいつにも付いてるはずだ!

ベック「ダヴ!今度はビームシールドだ!!左腕から展開しろ!!」
ダヴ「…繰り返し言うようだけど、そんな機能は付いてないわ」

……………

ベック・ザ・グレートRX3の主眼部分がスライドする。
<やっぱり 使えね〜>

直撃。装甲が切り裂かれる。…あれ?爆発しねえ?

ベック「ラッキ〜!かろうじて爆発は免れたぜ!さっすが俺さ…」

大爆発。
…それでもかろうじて動けるベック・ザ・グレートRX3。お見事。

ベック「くっそ〜、何度も何度も爆発しやがって…ん?あれは!!」
…どうやらチャンスが訪れたらしい。

<ベックの愉快な戦歴>
0勝4敗

…次、行くでェ!(by李紅●)
ベック「誰だよアンタ!!」

265 名前:ピエゾ=バイモルフ@ライデン ◆VOn.4G9bRA:2003/06/08(日) 03:11

敵戦隊は前衛の味方機と接敵、交戦に入ったようだ。
後方にあたるこの位置でも時折激しい閃光があがるのが見える。
 
「へえ、さすがにやるなあ、皆。じゃ、僕もお仕事しますか。」
 
バイモルフは敵部隊の「眼」であるサイファーが撃墜されるのを確認すると、
激戦が繰り広げられている前方を尻目に機体を高速移動、密かに敵戦隊の側面にポジショニング。
うまい具合にこちらに気が付いていない敵の戦列を捕捉。
 
「まったく、裏方ってのは性にあわないんだけど……ま、しょうがないか。」
 
ライデンの肩ブロックが変型、通常のレーザー照射形態とは異なる甲殻類の爪のような奇妙な
シルエットがリバース=コンバートされる。
その構造体は内部に充填されたエネルギーによって明滅、スパークを起こしている。
一瞬後、十数本の細い光の束が射出。そのまま伸長して直列して進行する敵部隊をトンネル状に囲い込んだ。
敵部隊は慌てて脱出を試みるが、この電柵に接触するやいなや、痙攣するように硬直し、身動きがとれなく
なってしまったのだ。
特に指揮官機が捕われたのは部隊にとって致命的であった。
捕縛をまぬがれた数機の機体は適切な司令を受ける事ができずに右往左往している。
 
「皆さーん!ビームストリングに捕まった機体は身動きできませーん!
 さっさとやっつけちゃってくださいねー!」
 
言いながら自分の機体を立て直す。
 
「さて、これからが本番だ!」
 

266 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 03:24

>>265
ベック「あ゛〜ッ!!あいつは、俺達をこんがり焼いてアフロにしてくれやがった奴じゃねえか!!」

俺の目の前にはあのにっくきロボットが居た。
今こそ報復のチャンス!ていうか逆転の時!!
俺の方が強いんだって事を知らしめてやる!!

すぐに立ち上がり、相手を指差して構える(意味は無い)ベック・ザ・グレートRX3。
ベック「ダヴ!Tボーン!アレを使うぞ!!」
ダヴ&Tボーン「イエッサー!!」

ベック・ザ・グレートRX3の主眼部分がスライドする。
<極 悪>

そして大型ブーメランをかっこ良く構えて叫ぶ。

「俺のブーメランが真っ赤に燃える!
テメエをぶちのめせと輝き叫ぶ!!
極悪の輝きを受けて!!今!!必殺の!!
グゥ〜レィィ〜トッ・ブゥゥ〜メラァァ〜ン(技名は即興)!!」

アイ●ラッガーの要領で大型ブーメランをブン投げる。

フッフッフ、これをくらったものは跡形も無く消し去るのさ!
相手があのクソいまいましいメガデウスでもな!!

267 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 03:25

<その瞬間、デモンベインを通して広がる九郎の五感が、飛来する凶器の存在を
感じ取った>

 ッ!・・・バルザイの偃月刀!

<召喚された漆黒の刃が、デモンベインの手の中で重なり剣となる。まさしく
電光石火の速度で跳ね上げた刀身は、まるであらかじめ定められていたかのような
見事なタイミングで、飛来したブーメランを弾き返していた>

 アル!被害は!

アル「大丈夫だ。魔術回路が多少乱れた程度で、実害はない」

 ったく、ちょっと冷や冷やしたぜ。だから・・・

<瞬間、偃月刀がまるで幻のように掻き消え、代わりに白銀のリボルバーが再び
姿を現す>

 アル、イタクァ神獣弾装填!

アル「応!」

<白銀のリボルバーに神気が宿り、全てを凍らせる凍結の気配が充満する。
弾丸に宿るは「風に乗りて来るもの」イタクァ、風の神獣だ>

 こいつはお返しだぜッ!

268 名前:イサム・ダイソン@YF−19:2003/06/08(日) 03:28

>>262
大十字が用意したターゲットを全て破壊した直後。
ふいに俺たちより数瞬早く目標を撃破したアルテリオンが機首を返し、別の方向へ向かう。

・・・なんだ?一体どこへ―――
そんな俺の疑問は、彼女達の行き先を見ることで、口に出す間もなく氷解した。

VRの無人機部隊だ。
あの赤い機体は・・・可変式の高機動VR、サイファーか。
見ればすでに、アルテリオンはDF形態に変形し、交戦に入っている。
「出遅れるわけにゃいかねーな。行くぜガルドっ!」
『無論っ!!』


交戦中の空域に、フルスロットルで飛び込む。
ターゲットは・・・ちっ、定まんねぇか!
狙いをつけあぐね、減速しかけたその時――――背後からのガルドのビームガンポッドが、丁度手近な一機を捉えた。
横っ腹に被弾し、大きく体制を崩したそいつを目掛け―――――猛加速。

「いっただきぃっ!」

距離がみるみるうちに詰まる。
加速を極力殺さないようにバトロイドに変形し、片手でガンポッドを突き出すように乱射しながらさらに接近。
ガンポッドの銃口が機体にくっつきそうな位に距離が迫った、その瞬間――――

「でぇぇぇええええいっ!!」
反対側の、エネルギーを大きく蓄積して分厚いバリアを張った拳を突き出す!

もともと機動性のために装甲を犠牲にしているサイファーのこと。
サイファーはあっけないと思えるくらい簡単に、俺の可愛い子ちゃんの拳に殴り飛ばされ、一瞬空けて爆散した。

ガルドから通信が入る。
『これで貸し一つだな、イサム』
・・・ったく、いつもそう思ってるが、やっぱ嫌味な野郎だぜ。

「あーわかったわかった!そんな事よりテメェの獲物の心配でもしてやがれ!
 俺の手助けしたから獲物が少なかった、なんて泣き言は聞かねぇからな!?」

269 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/08(日) 03:29

ウ「それにしてもなんであるか!この世紀の天才たる我輩を待たずして演習を始めるとは!」
エ「無茶言うロボ、飛び入りで驚かせようって言ったのは博士ロボ!」
ウ「それは置いといて、、、」
エ「ごまかしたロボ」
ウ「うっ、、、」
ル「いあ・らら・いあ・いあ(退屈らしい)」
エ「あ、巨大な物体が接近中ロボ!、、、でもこれじゃあたんないロボ」

みると巨大なブーメランが凄まじい勢いで飛んでいくのが見えた

エ「予測攻撃目標は、、、デモンベインロボ!」
ウ「な、なんですと!?あの悪魔王に立ち向かう勇者はどこのどなた様であるか!?」
エ「攻撃したのは、、、さっきの親切な人ロボ!」
ル「いあ!いあ!(喜んでいるらしい)」
ウ「おお!これぞまさに運命!我輩とあの男達は運命の赤っぽい色で結ばれているのであるか!?
  しかも我が宿敵大十字九朗に敵対しているところを見るとひょっとして我輩たちの味方!?
  エルザ!あの親切なブラザー達と一緒になんとかこの状況を打破するのである!」
エ「らじゃ〜〜ロボ!」

巨体を揺らしデモンペインがベック・ザ・グレートRX3に近づきおもむろに抱きつく

ウ「嗚呼友よ!これぞ運命まるで嵐!!
  さあ!我輩たちとともにこののっぴきならない状態から脱出するのである!
  いざ自由というはてしない大海原へと旅立つのである!」
エ「またあえて嬉しいロボ〜〜♪」
ル「らら・しんせつ!いあ!(再会を喜んでいるらしい)」

270 名前:ゼンガー・ゾンボルトINダイゼンガー ◆gSANGERfZk:2003/06/08(日) 03:30

≪大演習≫
>>265ピエゾ=バイモルフ
雲燿の太刀で、アファームド三機は両断された。
しかし、いまだに残る機体からの砲撃は続いていた。
 
ドルドレイの火球、アファームドの砲撃、サイファーのバルカン。
この全てを食らえば、ダイゼンガーとて容易く撃墜されていただろう。
が、

光の網がVRを包む。砲火の射線がずれ、間一髪で致命打を避ける。
友軍からの通信。
『皆さーん!ビームストリングに捕まった機体は身動きできませーん!
 さっさとやっつけちゃってくださいねー!』

「かたじけない!」
ゼンガーは出力を調整する。
いまや、半分以下の状態で放てる最大の技。
斬艦刀の秘太刀を振るわんと、機体の反応をさらに引き締める。
ただ、斬ることに精神を特化させ、機体を、自らの魂を咆哮させる。
 
「我が一刀は雷のきらめき!」
 
テスラ・ドライブのリミッターを解除し、ダイゼンガーの機体をさらに上昇させ、
急速に落下寸前まで追いやる。
 
「斬艦刀・雷光斬りィイイイイイッ!」
 
巨大な刃が残っていたVRの内、一機を一瞬で粉砕する。

271 名前:アズラエル ◆Z3azraelx2:2003/06/08(日) 03:39

高速で空を飛ぶバルキリー、アルテリオン、ネイト。
大地を駆けずり回るVRとナインボール、ミスリルの機体達、ビルトファルケン。
AEXと比べればどの機体も大きいのだが、特に巨大なダイゼンガーとデモンベイン。
もしこれらの機体が戦場に現れたら勝つ事が出来るのか?
いや、その時は「勝つ事が出来るのか」ではなく「勝たねばならない」のだ。

都合よく2体の機体……「デモンぺイン」と「ベック・ザ・グレートRX3」
を無視しながら、そう考えるアズラエル。

「大尉!データの収集終わりました!」
その声に、彼の思考は中断された。

「では、撤退を行う前に全機で一斉に射撃を行う。あくまで敬意を示す為の一斉射撃だ。当てるな」
その命令を受け、
ゲイツ達は肩のレーザーキャノンやミサイルポッドを、
ラッドは背中に装備された巨大な砲台を、
ブルーワーカー達は盾に内蔵されたキャノンを、
ヘリオンは背中の大口径レーザーキャノンを、
ワーロックは両腕からバルカンを。
全てのAEXが斜め上に銃口を向ける。

「撃て!」

それらの武装はアズラエルの号令と共に一斉に火を噴く。
撃ち終わったAEX達は後ろを向き、ジャミングを発生させながら撤退していく。

我らの任務は終了した。さあ、潜入用の船に戻り星の海へ進もう。
母なるライア星が自分達の帰りを待っている。

272 名前:ハスラー・ワン/ナインボール:2003/06/08(日) 03:57

>電磁ネット

「これは………」
一定範囲内に放出され、接触した物体を拘束する電磁ネット。
凡そ見た事のない特殊兵装に大いに関心が涌くが………今は演習の最中である。
データを取るのみに済ませ、目標の排除に移る。

まだ残るアファームドを目標として定める。

………戦術判断ー接近戦は不利、射撃戦闘へ。グレネードランチャー・パルスライフル適正距離

………武器選択ーパルスライフル

コンデンサ残量54%、過度の連続射撃はチャージングの恐れあり

「チッ………長引かせるわけにはいかないようだな」

パルスライフルの狙いを定め、弾丸をバラ巻く。
先ほどの射撃で火が入ったままのライフルは存分に弾を吐き出してくれる。
光の球が帯状に巻き散らされ、アファームドがとっさに回避マニューバに入る。
自慢のダッシュ力を見せつけるように、滑らかな機動で光弾を回避。

だが………これはあくまで牽制。
本命は。

………武器切替ーグレネードランチャー
 
………弾丸装填、砲身接続ー砲身温度異常なし、射撃OK

そして狙い目は、ダッシュが終わり減速するまさにこのタイミング。

………目標ロックオンOKーーー射撃

どこまでも無機質な思考。
吐き出されたHE弾はまさに停止しようとするアファームドを襲う。
プログラム上の硬直タイミングを狙われ、何の対処すら出来ないままに直撃を受け灼熱の暴虐に押し潰されていく。
一瞬のうちに装甲が吹き飛び、腕がひしゃげてゆくアファームド。

………………撃破確認

だが………今度はそこに別の方向ー真横から火線が向かってくる。

………攻撃中断、緊急回避プログラムへ

緊急プログラムというにはあまりにもスムーズに回避する赤と黒の機体。
不意をついた真横からの攻撃であるにもかかわらず、何事も無かったかのように回避を終え、反撃へ。
しかし………

「チッ………死角からの攻撃か」

方角にして9時の方向。当然ながら死角だ。

「方向転換する間も惜しいか………」

恐らく、転換するより第二撃の方が先だろう。
となれば………

戦術判断………後退し、僚機の射線を確保せよ


「ナインボールからライデンへ。こちらは死角だ。反撃は不可能………後退する。後は任せる」

273 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 04:01

俺の華麗なる必殺技は…見事に弾かれた。

ベック「ゲゲッ!?」
驚いてる暇もなく、また新たな反応が…と思ったら…。

コクピットが衝撃で揺れる。
ダヴ「な、何なのよ一体!?」
Tボーン「あ、悪趣味なロボットが抱きついてきましたぜ兄貴!!」
ベック「ンだと!?回線をつなげ!!」

出てきたのは…地図をうっかり渡した例の科学者達。
ベック「あ゛〜!!この野郎!!地図を返しやがれ!!
それとベック・ザ・グレートRX3からはなれろ!!」

相手は興奮気味で何やら喜んでいる様子。
間髪入れずにまた新たな反応が…っておい。

Tボーン「兄貴!!沢山ミサイルが、ミサイルが飛んでくるよ!!」
ベック「慌てるな!!こういう時は落ち着いて対処するんだ!!」

2度目の衝撃。…ミサイルじゃない、この変なロボットだ。
ベック「放せこの野郎!!放しやがれ!!テメエも巻き込まれるぞ!!
ていうかここから逃げさせろ!!おい、何とか出力上がんねえのか!?」
ダヴ「無理だわよ〜!ボコボコにされてもう限界だわ〜!!」

こんなパニック状態にも関わらず、抱きついて来た科学者どもは
喜びの顔を浮かべている。

Tボーン「…あ…もう駄目だ」

着弾。続けて着弾。爆発。爆発。爆発。

…科学者達はともかく、俺らのベック・ザ・グレートRX3は
もはや骨組みだけだ。だが、直立はしている。

ベック「…っは!どうだ!ミサイルが当たっても大丈夫だろうが!!
こいつはイ●バ物置みてえに頑丈なん…」

衝撃。

…そう言えば…グレート・ブーメランが跳ね返されたんだっけ…。

頭部だけ残して体は崩れ落ち、最後にコクピットたる頭部も落ちた。
…ええい、こうなりゃ最後の手段だ!!

ベック「ダヴ!Tボーン!ここから逃げるぞ!
ドロンボー自転車用意!!」
ダヴ&Tボーン「イエッサー!!」

そうして、三人乗り自転車でえっさ、ほいさと逃げる俺達。
かっこ悪い…ああ、なんてかっこ悪いんだろう…。

命からがら演習場から逃げ出した俺達。
今回はこうなっちまったが、
次はベック・ビクトリー・デラックスで
必ずリベンジしてやる!!

…でも、”次”は無かった様で。

274 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 04:05

 ここまで来て出し惜しみはなしだ・・・思いっきり行くぜ!

<白銀の銃口に宿った熾烈な意志は、同時に鮮烈なる氷河の具現>

 イタクァ!神獣形態!

<銃口からほとばしる冷気・・・そして大十字九郎の、デモンベインの指が引き金を
引く!
 一瞬遅れて、周囲を氷河期へと変貌させつつ、風の神獣イタクァが空を駆けた>

275 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/08(日) 04:07

ウ「ななななんであるかこれは!?」

突如としてデモンペインとベック・ザ・グレートRX3が立つ場所に何者かの一斉射撃を加えられる

エ「断鎖術式解放ロボ!!」
ウ「友よぉぉぉぉ!!!」
ル「らら・しんせつ、、、(少し残念そう)」

デモンペインは断鎖術式による超加速で回避するがそのようなものはないベック・ザ・グレートRX3は一斉射撃の餌食となる

ウ「嗚呼、友よ。我輩は貴様達のことを一生忘れないのである。この悲しみを背負い我輩はまた一つ成長するのである、、、
  そして悪のケダモノ大王大十字九朗を必ずや倒して見せるのである
  しかし今の我輩にできるのはこのギターで鎮魂歌を奏でるのがせいいっぱいである!
  れっつぷれい!!!!!!!!」
ギターをかき鳴らすドクターウェスト
エ「博士、うるさいロボ。気が散るロボ。」
ル「らら・うぇすと・だまる」
ウ「ぬぉぉぉぉぉぉ!エルザだけでなくルルイエ異本まで!?」

泣き崩れるドクターウェストを無視しエルザが回避に専念する

エ「見える!ロボ!
  まだだ!まだおわらんよロボ!」
ル「らら・えるざ・いあ(頑張っている様だ)」

 断鎖術式を連続で解放し巨体に似あわぬ常識はずれの回避行動を行うデモンペイン
連続する魔力の供給に対してルルイエ異本も魔力を高める

エ「ありゃ、、、」

 唐突にエルザが微動だにしなくなる

ウ「どうしたのであるかエルザ!?」
ル「らら・エルザ?(少し心配そう)」

断鎖術式を連続して回避行動を行いすさまじいGを受けたはずだが当然のようにケロッとしている
ウェストがエルザの状態を確認する

ウ「なるほど!ルルイエ異本からの魔力の供給が一時的にエルザの限界を超えてショートしたのであるな
  これぐらいならすぐに直るのである」
ル「いあ・えるざ・いあ(安心したらしい)」
ウ「いやぁ、よかったよかったってぬおうわぁぁぁぁぁ!?」

デモンペインのコックピットが激しく揺れる。エルザが気絶(ショート)したということは、、、

ウ「つまり今このデモンペインを動かしているものはいないのであるからして回避運動など
  とれるわけないということであるな!
  つまりただの的!サンドバック!!かませ犬!!!もうどうしようもないということである
  良い子の皆はわかったかな?」
ル「いあ!ウェスト・いあ!(わかったと言いたいらしい)」
ウ「ノォォォォォォォォォ!!!!
  はやく!はやくエルザを直さなくては!我輩の少宇宙を高めて今光の速さで動けぇぇぇぇ!!」

276 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/08(日) 04:16

ウェストが必死になってエルザの修理を始める

ウ「さすがにデモンペインといえども何時まで持つのかわからないのであるからして
  我輩はこのようにあせりつつも慎重かつ大胆に、そしてときにジョークを交えながら
  完璧な修理おおおおおお!!!!!」
ル「いあ!うぇすと!いあ!」
ウ「なんであるかルルイエ異本!今我輩はお前と遊んでいる暇がないのであって」
ル「いあ!!」

無理やりウェストの顔をモニターに向ける
そこにウェストが見たものは風の竜、デモンベインから放たれた神の獣
旧支配者イタクァの化身であった

ウ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!何故にこのような不条理が我輩の身に!?
  これが神の与えて試練だとしたらでるとこでて逆転裁判を展開するぅぅぅ!!」


着弾
閃光
爆発

デモンペイン、完全無欠に破壊完了

277 名前:レナ・ブッティリスカヤ/鋼の巨人:2003/06/08(日) 04:19

「そろそろ時間だ。例のものを出せ」
 手元のマイクに囁いた准将に応じ、森の一部が持ち上がった。

 倒れていた巨人が、起き上がったのである。
 全高40m。小山のような巨体は、無骨に銀色に光っている。
 ただし、死んだ巨人だ。
 正確には、生を吹き込まれたことの無い巨人である。

 かつて作り上げられようとした陸戦兵器の開発において、
 テストベッドとして作成された機体である。
 具体的に言えば、震動や応力の実測値を得るために作られた、張りぼても同然のシロモノであった。

 各種センサを除けばアクチュエータと電源のみしか入っておらず、システムとしては神経が通っていない。
 事前のプログラムにしたがって直立し、やや前傾した姿勢をとる。

 モーター音ががらんどうの胸郭や四肢の内部を反響し、ウォオォン、という咆え声のような音響を響かせた。

「最後の破壊検査だ。派手に使ってやれ」
 呟きながら、准将はデモンベインの後姿を見送る。

278 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/08(日) 04:20

<そのとき、世界に一つの波紋が起こる>

<それは、混乱と静寂の入り混じったこの射撃場の中にあって、新たに動き出した
巨躯の気配であった>

 な、なんだ?

<九郎の五感がそれを察知し、デモンベインの巨体が振り返る。
戦場を舞う砂塵の、その向こうで、
立ち上がる>>277 が見えた>

アル「あの機体は・・・敵の識別信号を出している」

 らしいな。指令の、最後の攻撃目標ってことか。

<立ち上がる巨体・・・その、強大でありながらどこかがらんどうな姿に、九郎は
なぜか、哀愁にも似た痛みを胸に感じた>

 ・・・アル、ヒラニプラシステム、アクセス。

アル「使うのか?九郎」

 ああ・・・アレにとっての最後の見せ場だ。せめて、派手に飾ってやろうじゃねえか!

<瞬間、ナアカルコードの封印をとかれたデモンベインの背に、魔法陣にも似た
光の文様が浮かび上がる>

 ・・・はあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ・・・!

<背の文様を指でなぞり、デモンベインが右掌を突き出した。その中央に、光すら
飲み込む究極の闇が顕現する>

<ヒラニプラシステムの生み出す、ブラックホール・・・それは、無限熱量を生み出す、
“魔を断つ剣”デモンベインの奥義!>

 ・・・!
 渇かず、飢えず、無に還れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!

 レムリア!インパクトォォォォォォォォッ!

<常界を破り、世界を貫き、デモンベインは疾走する。その目標に向けて、
掌のブラックホールを叩きつける!>

アル「昇華!」

<次の瞬間、ブラックホールより発生した無限熱量が、一瞬にしてターゲットを
呑み込んだ>

279 名前:ピエゾ=バイモルフ ◆VOn.4G9bRA:2003/06/08(日) 04:28

>>272
バイモルフは全速力でビーム=ストリングスのチューブ内へと突進、
ビーム=ストリングスに捕らえられ、蜘蛛の巣にかかった虫のようにもがく
アファームドの間をすり抜けて突貫する。
と、前方に捕縛を免れたバトラーが出現。両腕のビームトンファーを展開し、
ライデンを真っ二つにするべく迫って来る。
 
「甘い甘い♪」
 
バイモルフは鼻歌混じりでその斬撃を難無く回避。
そのまま背後に回りこみ、V-コンバータにバズーカを叩き込んで黙らせる。
 
更に2機のバトラータイプが迫り来る。
いずれもトンファーを構え、左右から挟み撃ちの構えだ。
両脇から青白く光る刃がライデンを捕らえんとしたその時、突如バイモルフ機は仰向けに転倒。
そのままスライディングの要領で死の刃をかい潜ってしまう。
標的を外し、大きくたたらを踏む2機のアファームドに対し、手早く機体を立て直したライデンは
バズーカを一斉射。アファームドの頭部を吹き飛ばして擱座させる。
 
そこに入るハスラーからの通信。
 
『……ナインボールからライデンへ。こちらは死角だ。反撃は不可能………後退する。後は任せる』
 
「了解!お任せあれ!」
 
どうやら敵隊長機以下数機がビームストリングの呪縛から脱出、ナインボールを側面から襲ったようだ。
しかしその残存部隊は、まるで運命の女神のお仕着せでもあるかのように、こちらから絶好の射撃位置にいた。
 
「うーん、この強運、やはり日頃の行いがいいからだね。うん、きっとそうだ。」
 
手早くFCSを操作し、射撃モードを対VR設定から一般砲撃設定に変更。
エネルギーバイパスを切り替え、機体の全エネルギーを両肩のレーザーユニット、「バイナリーロータス」
へと廻す。
大量のエネルギーを供給されたレーザーユニットは青白い放電を伴いつつ展開、
ようやくこちらに気付いて回頭を始めた敵部隊に対し、怒濤のごとき光芒を放つ――――。
 
その奔流が吹き過ぎた後には、全身の装甲を融解させて擱座した隊長機以下敵残存部隊の骸が累々と
その屍を晒していた。
 
「ま、こんなところかな? もうちょっと暴れてもよかったんだけどねえ……」
 
周囲に敵機の姿のない事を確認すると、バイモルフは踵をかえすと撤収の準備に入った。
 
 

280 名前:ベックと愉快な仲間達 ◆fsBIGO.QBY:2003/06/08(日) 04:31

>>273

ベック「ふう、ここまで来れば大丈夫だろ…。
しかし、結局ベック・ザ・グレートRX3についてたのは
大型ブーメランとこの3人乗り自転車だけだったのかよ。
他にもドリルとか色々付いてたと思ったんだが…ありゃ飾りだったのか?
全く…ヨシフラ・ヤカモトの連中、何やってくれてんだか…」

無様な敗退だ。自滅なんて本当に俺に似合わない。
似合うのはせいぜいあのカラス野郎くらいだ…うわっと!?

ベック「おい!!二人とも足でブレーキ掛けてんじゃねえ!!」
ダヴ「あ、あ、兄貴…」
Tボーン「ま、ま、ま、前、前、前…」
ベック「前ェ?」

ロジャー「…いい気なものだな、ベック」

…ロ、ロ、ロジャー・スミスゥ!?

ロジャー「わざわざ演習場に乗り込んでってロボットを盗もうとして、
逆に返り討ちにされるとは、お前にはいい薬になっただろうな。
だが…あれは将来来るべき戦いに向けての大事な演習だ。
貴様如きが邪魔できるような代物じゃねえべ」
ベック「…ねえべ?」
ロジャー「よって私が制裁を加える!!
ビィッグ・オォ〜ウ…ショータァ〜イムッ!!…だべ」

例によってあのテーマが流れ、黒いメガデウスが地を割って現れる。

CAST IN THE NAME OF ドロンボ〜 ブタも おだてりゃ 木に登る
ロジャー「おしおきだべ〜」
ベック&ダヴ&Tボーン「スカポンタァ〜ン!!」

こうして…俺達は結局、
何故かドロンボ〜口調でしゃべるカラス野郎によって
再び監獄へとぶち込まれるのであった…トホホ…。

ベックと愉快な仲間〜飛び入り!乱入!そして自滅!〜
 + 激 し く 終 了 +

ロジャー「ベック!勝手にサブタイトルを付けるな!
もう一度制裁を受けないと気が済まないらしいな!?
そこまで懲りないのなら、もう一度おしおきだべ〜」
ベック「…それはもう止めろって…」

281 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/08(日) 21:17

ウ「ノオォォォォォォォォォォ!!!!」
ル「らら」
エ「・・・・」

脱出装置を発動させたものの正常に動作せずに空中に投げ出される一人と一機と一冊

ウ「いかんのであぁぁぁぁる!このままでは大地と仲良くごっつんこ!
  逆さまにささって犬神家の一族も真っ青な状態になることうけあい!
  お茶の間は爆笑の渦であるか!?」
ル「いあ・いあ(楽しいらしい)」
エ「・・・」

このような時でも意味不明なことを叫ぶウェストに、空を舞う黒い影が近づく

?『やれやれ、無様なものだなウェスト、、、』
ウ「おお!サンダルフォン何故にこのような場所に!?」

その影はブラックロッジが誇る改造人間、黒き天使『サンダルフォン』
体内の魔術回路によって空間中の魔力の素粒子、『アザトース』をとりこみ己の力と化す魔人
サンダルフォンは落下するルルイエ異本とウェスト、エルザを受け止める

サ『ルルイエ異本の回収、、、大導師の命令だ』
ウ「そうであったか!いやぁ、何はともかく助かったのである」

ある程度の高さまで降りるとサンダルフォンはウェストとエルザを離す
見事に顔面から地面に突っ込むウェスト

ウ「どぶぉ!何をするのであるかサンダルフォン!ってどこに行く気であるか!?」
サ『俺が命令されたのはルルイエ異本の回収のみだ。あとは自分で何とかするんだな』
ウ「な、、、わ、我輩はデモンペインが破壊されたうえ、エルザが気絶しておりさらに脱出装置の
  バイクもないのでここから帰るには楽しくウォーキングするしかないのであるが、、、
  できるなら最寄の駅までで良いのであるから送ってくれると嬉しいなぁ〜なんて」
サ『知らん』
ウ「あっさりと拒否された!?って志村!後ろ後ろ!!!」

サンダルフォンの後ろから突如偶然生き残っていたウォリアー・バグが現れ黒き天使に襲い掛かる

サ『フン、、、』

その攻撃をたやすくかわしルルイエ異本を抱えたまま突きの構えを取る
魔術回路がアザトースを吸収

サ『破ッ!!!!!』

一瞬の溜めの後に拳を繰り出す、拳からは衝撃破がほとばしりウォリアー・バグに突き刺さる

ウ「お見事である!
  しかし我輩の的確かつ正確な忠告があったのであった事を忘れてはいけないのである
  いわば我輩は命の恩人!?いやいや礼などいらぬのであるから我輩を送っていって」
サ『サービスだ、後は自分で何とかするんだな』
ウ「なんですとぉぉぉぉぉ!?」

ウェストを完全に無視して飛び去るサンダルフォン

ル「いあ・また・うぇすと・いあ(別れの言葉を言っているらしい)」
ウ「ああ、ルルイエ異本さようならなのである、、、ってサンダルフォォォォン!!
  貴様この哀れな子羊たる我輩を置いていくつもりなのであるか!?
  はっ!貴様さてはロリコンであるな!?ルルイエ異本にいかがわしいことをする
  ために我輩達を置いていこうと!?この変態!大十字九朗級のケダモノ!!
  ってどうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

サンダルフォンが放った衝撃破がウェストの近くで炸裂する

ウ「おおお、おにょれサンダルフォン、、、
  そもそも何が「サービスだ、後は自分で何とかするんだな」であるか!
  かっこつけおって!この恩知らず!!そもそも何がサービスで、、、ん?」

 なにやら背後に気配が生じたので振り返る、そこにはさきほどサンダルフォンの
一撃を受けたウォーリアー・バグが起き上がっていた

ウ「、、、つまり、サービスとはこの蜘蛛のオバケを弱らせておいたことであるか?」

雄たけびを上げウォリアー・バグがウェストに襲い掛かる

ウ「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!サービス不足でああああああある!!!
  直ちに消費者相談所に抗議をおおおお!!!!!!!」

エルザを背負い必死にウォリアー・バグから逃げるウェスト

ウ「おのれサンダルフォンに大十字九朗!この借り必ず返すのである!!
  それはさておき誰かたすけて〜〜〜!!!
  へぇぇぇぇぇぇぇるぷみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

すでに演習が終わった荒野にドクターウェストの叫びが何時果てるともなく響き渡ったそうな
めでたしめでたし

ウ「めでたくなんかないのでああああある!!!!」

282 名前:相良宗介@アーバレスト ◆URUZ7h3pLo:2003/06/08(日) 21:20

>>265>>279

残存していたバグを片付け、どうにか一息つく。

『――こちらの雑魚は、どうにか片付いたようだな』
『ええ。だけどまだ終わりじゃないわよ・・・あっちにVRの残存勢力がまだ残ってる』
クルツからの通信に、マオがそう応じた。

「――クルツ、マオ。それでは、最後の一仕事といかせてもらうぞ。援護を頼む」
『お、おい!?』
『ちょっと、ソースケ!?』

俺はそれだけ告げると、アーバレストを乱戦の中へ走らせた。

「アル、パワーを<戦闘>から<最大>へ!もう一仕事だ!」
《ラジャー。GPL、ミリタリーよりマックスへシフト。・・・最後の大掃除ですね、軍曹殿》
「やかましいッ!!」

減らず口を叩くアルを怒鳴りつけ、単分子カッターを抜く。
見ればバイモルフのライデンの放出した、レーザー状の電磁拘束力場が
うまい具合にVRの群れを拘束してくれている。実に好都合だ。
ASという極めて人に近い動きのできる機動兵器の中でも、忍者と見まごうほどの運動性を備えるアーバレスト。
その全速力を以て、俺とアーバレストはVRの群れの中へ飛び込んだ。


一跳び、がくがくと痙攣したような動きをするドルドレイの背後に回りこみ、そのVコンバータを切り裂く。
最後にひときわ大きくその身をビクつかせた後、巨躯のVRは完全沈黙した。

二跳び、トンファーを振り上げた形で固まっているアファームドの脇下に入り込み、
至近距離からショット・キャノンを叩きこむ。
虹色のきらめきを纏った徹甲弾は敵機体の上半身を吹き飛ばしながら貫通し、
そのすぐ後ろに迫っていたもう一機のアファームドを巻き込んで爆散した。

三跳び、上空からのサイファーのバルカンを回避する。空中で機体を翻しつつ、対戦車ダガーを投擲した。
投げられたダガーが、装甲に火花を散らしながら食い込む。
一瞬のタイムラグを経てダガー内部の火薬が炸裂し、赤いVRはその体から盛大な火の手を上げた。


――――――そして、着地の瞬間。
《警告、7時方向からの高エネルギー力場の接近を確認!》
「・・・なっ!?」

まさに地に足をつこうとするその一瞬、白い光の柱―――大口径レーザー(>>279)が、
こちらに向かって押し寄せてきていた。
まさか、深入りしすぎたか?回避できるタイミングではない!

《―――軍曹殿!!》
「――――くっ!!」
俺は自分の身を守らんと、瞬間的に強く念じる。間に合うか―――――――!?


  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 


「―――アル、状況は?」
《ラムダ・ドライバの防御力場が作動、レーザーを完全遮断しました。
 アーバレストは損傷率7%。問題のないレベルです》
「・・・敵VR群は?」
《――ご自分の目で確かめたほうが早いと思われますが》
「なんだと・・・?」

283 名前:相良宗介@アーバレスト ◆URUZ7h3pLo:2003/06/08(日) 21:25

>>282
 
アルの言葉に、改めて自分の周りを見渡す。
白い光が吹き抜けた後には、累々たるVRの残骸の山。
装甲を融解させた機体、ばらばらに吹き飛んだ装甲板、Vコンバータの残骸とおぼしき電子部品・・・・凄まじい威力だ。
 
どうにかラムダ・ドライバの防御力場が作動したからよかったものの、
一歩間違えれば俺もこうなっていたのかと思うと・・・背筋が寒くなった。
まったく、俺らしくもないケアレスミスをしたものだ。
 
 
『ソースケ!無事か!?』
そこへ、クルツからの通信が入る。
「ああ、なんとかな・・・敵兵力は、先ほどの大口径対艦レーザーで全機完全撃破。
 こちらも損傷はほとんどない。ラムダ・ドライバでどうにかしのいだ」
『マジか!?ラムダ・ドライバって・・・』
「肯定だ。――――敵はとりあえず、全滅したらしい」
 
『こちらウルズ2。ソースケの言う通りね・・・索敵モードでも敵の反応は感じられないわ。
 何にせよ、無事でよかったわ。問題がないようなら帰投するけど、いい?」
『あ、ああ・・・』
「・・・了解した」
 
クルツと共に、少々間の抜けた返事を返す。
自分らしからぬ失敗を犯したことに少々の苛立ちを覚えつつ、俺達は帰投準備を始めた。
 

284 名前:ヴァイオラ・ギュネー ◆1oN6neith.:2003/06/08(日) 22:39

戦況は留まらない。
ハイペリオンの事は即座に思考から駆逐し、残敵――サイファー2機の内一つを捕捉。
真っ直ぐに突っ込み接敵直前に九十度近い角度で左にそれ、
そこから下方に潜り込みサイファーの下を取る。触れられそうな距離だ。

――やっぱり温いな。

突き出したネイトの右手が空間を握り締めた。
ぎしり。展開された不可視の力場がサイファーを絡め取る。
これで、動けない。
彼我の位置を入れ替えざま、地面へとサイファーを投げ落とし――

「―――5」

向けた左腕から収束した光線が迸り、激突寸前の機体を撃ち抜く。
轟音が着弾音を圧して響き渡った。
最後のサイファーの反応をレーダーで捉え、映像がモニターの隅に表示される。
ナイフが中枢を貫いていた。ゆっくりと傾いて、墜ちる。
そして、光の怒涛が何もかも纏めて押し流してゆく。

「……ふん」

地上は、今しがた放たれたレーザーでけりが付いたらしい。
ならばもう用は無いだろう。

「ヴァイオラ・ギュネー、帰還する」

待て、まだ終わっていない、と喚く通信を切り、演習エリアを離脱した。

285 名前:ピエゾ=バイモルフ@ライデン ◆VOn.4G9bRA:2003/06/08(日) 23:14

演習という名の祭りは終了。
ほんの数分前までこの場を支配していた閃光と爆音と衝撃の合奏曲が嘘であったかのような静寂。
サイドコンソールが電子音とともに明滅し、帰投命令が発せられている事を告げてきた。
ふと見回すと、参加した機体が次々と撤収していく姿が見える。
バイモルフは機体を自動操縦に切り替えた。後は機体に任せておけば勝手に基地まで一直線だ。

「ふう……。まずは片付いたけど……。」
 
軽く伸びをした後再びシートに身を沈めると、手元のコンソールを操作。
あらかじめ設定しておいた秘匿回線のチャンネルを開き、何やらひそひそとやり始める。
 
「あ、プロンガー?聞こえる?……大丈夫、誰にも漏れちゃいない。」 

「……バイモルフか。こんな時に何の用だ?」 

「とぼけないでよ! あそこは隊長機と僕で大立ち回りやる予定だったじゃないか!」
 
「……何かと思えばそんな事か……。
 あれだけの強者揃いを相手にドローンを操作する俺の身にもなれ。
 それに、あの時レーザーでケリをつけなかったら隊長機の首はソースヶとかいう奴に
 持っていかれてたぞ。」
  
SHBVDで「仕事人」と異名をとる名パイロットにして、バイモルフの無二の悪友、
ダッシュ=プロンガーは苦笑しながらそう答える。

「……ちぇっ、わかったよ。今回はこれでよしとしておくよ。
 ところであっちの方はうまくいってるんだろうね?」
 
「ああ、問題ない。たった今、鹿乃助から交渉成立との知らせが入った。
 ……取り込み中だ、いったん切るぞ。」
 
一方的に切られる通信。
まあいいだろう、もう一つの「作戦」もどうやら上手くいったらしい。
演習場各地に仕掛けたアイボールとプロンガーが操作していた無人機のカメラが捉えた
今日の演習は一両日中にVNNで特番として放映、視聴率如何では大金が懐に転がり込んで来る筈だ。
 
「さあ、今夜はパーっと行きますか!」

帰ったら「協力者」の皆さんを誘って朝まで飲むとしよう。
全員におごってやってもお釣りは余るほどあるのだから。
そんな皮算用を立てながら、ライデンはまっすぐ基地へと向かっていく。

286 名前:アイビス・ダグラス&ツグミ・タカクラ@アルテリオン ◆IBISu6AG36:2003/06/08(日) 23:31

セイバーでの牽制。
一瞬だけのものでしかないそれは、だが歴戦のパイロットにとっては十分すぎる時間だった。
ヴァイオラの機体が必要最低限の火線で一機を屠り、イサムとガルドがもう一機を落とす。
 
DF状態のアルテリオンの腕部マニュピレーターをぶんと振り、慣性でターン。
その瞬間、足下を白い奔流が埋め尽くした。
 
「高出力のレーザービーム…バイモルフ曹長のライデンね」
「ウイングゼロのツインバスターライフル並かな…」
 
冷静に報告するツグミ、そして呆れたように返すアイビス
 
「状況は終了した、と見ていいわね。帰投準備に入りましょう」
「了解…けど、勝手に帰投しちゃって大丈夫かな…」
 
一瞬の沈黙。
そして、溜息と共にツグミが言葉を発した。
 
「アイビス…GGキャノンの弾数、見た?」
「え、ぇと…え、Empty…」
 
元々訓練用に弾数はさほど積んでいない上、CTMシリーズのミサイルは積んでいない。
つまり、弾切れだ。
 
「…気付かなかった…」
「セイバーで斬り込んだから、気付いてたと思ったけれど…気付いてなかったんだ、やっぱり」
「あ、あはははは…」
 
もう一度これみよがしな溜息を漏らすツグミと、照れ笑いで誤魔化すアイビス。
 
「と、とりあえず…YAM-008-02、帰投します」
「理由は弾切れ、と」
「ツグミぃっ!」
 
優美な姿で飛ぶ銀の流星の中で、全く優美でない言い合いが繰り広げられていたのを知るものは…
当の本人たちと、通信担当のオペレーターだけであった。
 
 
(アイビス・ダグラス&ツグミ・タカクラ 帰投)

287 名前:ハスラー・ワン:2003/06/08(日) 23:38

死々累々ーーーまさにその言葉が相応しい光景だった。
光の濁流が突き抜けた後には、何も残っていない。
黒く焦げ、螺子曲がった鋼鉄の棒が天を突くように転がるばかり。

「予測値以上の出力だな………。データの修正が必要か」

目前を流れたレーザー光から計測されたキャノンの出力は、事前の予測値を遥かに上回っている。
これはライデンの火力評価を見直さねばなるまい。

そして………………もう一つ。
レーザーにもろに呑まれ、しかし無傷で立っていた白い機体。

「"ミスリル"の新型………あれが"ラムダ・ドライバ"とやらか」

不可思議な力場によってライデンのレーザーを逸らしたその瞬間の映像を
機体内部で何度も再生してみるが………一体あれがなんなのか、およそ判別がつかない。

「………解析には………ネストのメインコンピュータのシステムが必要か」

あれは、1端末の電子頭脳が解析するには手に余る機能だ。
彼の人工頭脳はそう判断する。
となればーーー

「………任務を続行する」

………………レーダースキャン、残存敵性目標チェック

頭部レーダーが稼働。演習場にくまなく電波を照射し、残る標的を探す。

しかし………

………スキャン反応無しー目標の消滅を確認

戦術判断………任務完了、撤収せよ

「………こんなものか」

人工知能に過ぎないハスラーに、「興奮」「高揚」といった概念はない。
物足りなさを示す言葉とは裏腹に、彼のシステムは何の名残惜しさも見せず速やかに撤収準備を始めた。

………機体状況チェック
 
ジェネレータ出力71%
コンデンサ残量56%
機体破損率8%
弾薬消耗率28%

機体及び制御システム異常なし………自機での帰投可能、速やかに撤収せよ

「ハスラー・ワン、任務の完了を確認。撤退する」

>>285
ふと、撤収中のナインボールが奇妙な電波を傍受した。
暗号化されているが、人格の存在を偽装できるほどのナインボールの
高度なシステムであれば解読はそれほど難しくもない。

内容は………ライデンと何者かの通信。

「………なるほどな。裏でつまらぬ企みをしていたのは私だけでは無かったようだな」

だが………それだけの話だ。隠し事を傍受したからといって、こちらがどうこうせねばならぬ理由もない。
むしろデータ採取のためには、彼の行動は良い方向に働いたと言える。
特にラムダ・ドライバのデータを取得したのは予想外の獲物だった。

「依頼の報酬は……………特別追加分を用意せねばなるまいな」

それは人工知能の彼にとって、珍しく人間らしい感情………皮肉げな賞賛の意をこめた言葉だった。

288 名前:イサム・ダイソン@YF−19&ガルド・ゴア・ボーマン@YF−21:2003/06/09(月) 00:16

>>268
(ガルド視点)
 
「――――泣き言を言うな、だと?お前がそうならなければいいがな」
俺の援護射撃で動きを止めたサイファーを叩き落して勝ち誇るイサムに、俺はそう応じた。
 
しかし奴はその言葉を聞いてか聞かずか、バトロイドに変形して地上に降りていた。
奴のYF−19が走る先に見えたのは――――バイモルフのレーザーストリングで機能障害を起こした地上VRの群れ。
 
・・・まったく、動きを止めた相手しか落とせんのかあいつは?
そんな事を呟き、自分のいる空戦領域に意識を戻す。
残るサイファーは二機・・・手早く撃破して、地上に――――――
そんな事を考えている間にも、事態というやつはお構いなしで進行していてくれたようだ。
 
ギュネーの操るネイトとかいう機体が、地面に投げ落としたサイファーを撃ち抜いていた。
もう一機のサイファーは、ミスリルの相良が駆るASがジャンプの際に投げつけた
大型ナイフをもろに受け、炎上しながら落下していた。
 
「・・・ちっ、出遅れたか」
吐き捨て、地上に降下しようとしたその瞬間・・・21のBDIが高エネルギー反応を察知した。
これは・・・大型荷電粒子レーザー?
しかもその矛先は――――イサムが向かっている地上のVR集団。
・・・まずい。
 
「おい、イサムよく聞け!今からそこに大型レーザーが撃ち込まれる!
 死にたくなければさっさと上昇――――――――」
その一瞬。
最後まで言い切らせず、白い光の柱がライデンの肩から放たれた。
 
(イサム視点)
なんだぁ?
いきなり大型レーザーだと?あのバカ何を言って―――――――
 
俺の思考はそこで、物凄い悪寒に強制中断を強いられた。
レーダーの高エネルギー反応察知によるビープ音。
大気を震わせるような、妙な感覚。
そして何より、とびっきりの嫌な予感。
 
この三つのキーワードとガルドの言葉が結びつく刹那、俺はYF−19バトロイドを最大推力で飛び上がらせていた。
ジャンプの頂点で間髪いれずファイターに変形。全推力で上昇する。
 
ふと下を見下ろせば、ピエゾのライデンがぶっ放したレーザーが
さっきまで俺のいたあたりを嘗め尽くしていたところだった。
レーダーが通り抜けた後には、ガラクタ以下の代物に成り下がったVRがあちこちに散らかるのみ。
 
「・・・しかし、恐っそろしい威力だなオイ」
―――自然と、そんな感想が漏れた。
実際、最大出力のピンポイントバリアでも受けきれるかどうかは非常に怪しかったところだ。
 
『――――ほぅ、生きてたか』
そこへ、不意に通信が入る。・・・こんな物言いする奴は、俺の知る限り一人しかいねぇ。
 
「生きてちゃ悪ぃか。しっかし随分な言い方しやがる・・・
 マクロスシティの時みてぇに心配はしてくれねぇんだな、ガルドよ!?」
『あの時はお前はしっかり生き延びていただろう。アレで貴様のしぶとさはよく分かったからな』
「――けっ、あいかわらずヤな性格だよ、テメェは!」
相棒のイヤミな性格に悪態をつくと、俺は本部への回線を開いた。
 
「チーム“スーパーノヴァ”アルファ&オメガ、コンプリートミッション。RV(ランデヴー)ポイントを指定してくれ!」
『ステア、1−4−0』
「ラジャー。・・・さて、どっちが先に帰還するか、競争するか?」
本部への回線を閉じ、悪友に尋ねる。
『・・・何を懸ける?』
「今夜の晩メシ・・・で、どうだ?」
『――――のった。・・・それじゃあ競争開始だな。行くぞ!』
「こら待てガルドっ!テメェ、フライングしてんじゃねぇぞっ!!!」
 
 
 
かくして、世界一バカらしい理由で、二機の次世代AVFが空を猛スピードで疾走してゆく。
この勝負の行方は―――――また、別の話。

289 名前:大十字九郎&アル・アジフ@デモンベイン ◆demONBXYRc:2003/06/09(月) 00:16

<かくして演習は終了した。ある者は己の腕を、ある者は友との友情を、ある者は
己のHETAREた運命を再確認し、それぞれがそれぞれの帰路につく>

アル
「・・・・・・・」

<戦闘の余韻と静寂に包まれた演習場を見渡して、魔導書の精霊は静かに微笑む。
高揚を維持するもの、物足りなさを感じているもの、疲労に肩を落としているもの、
様々だ>

<さて・・・では、我らが知るお人よしの青年探偵は・・・>

九郎
「あ〜、さすがに疲れた」

アル
「情けないことをいうな。それでも我が主か」

九郎
「そうは言っても、マスター・オブ・ネクロノミコンだって働けば腹が減るって・・・ん?」

アル
「どうした?」

九郎
「いや、ピエゾから通信入ってる・・・終わったから飯でも食いに行こうってさ」

アル
「ほう、意外に気が利くではないか」

九郎
「変なところで律儀だからな、アイツも・・・ま、奢ってくれるってんなら断る
理由なし!今日一日消費したカロリー全部取り戻すぞ!アル!」

アル
「いや、だから人間は食いだめなどできぬと・・・」

<主の言葉に呆れながら、魔導書の精霊は苦笑する。いついかなるときも、九郎は
九郎らしくある。それでこそ主、それでこそ・・・戦友>

<凱旋とばかりに胸を張り、白い鬼械神は威風堂々と歩き出す。主が友と呼ぶ
者達の元へ>

<・・・かくして祭りは終わりを告げ、白い鬼械神は己の戦場へと帰還する。黄金時代に
して暗黒時代たる、あのアーカムの街の中へ>

(鬼械神デモンベイン、及び大十字九郎とアル・アジフ・・・戦闘終了)

290 名前:レナ・ブッティリスカヤ:2003/06/09(月) 01:23

「これにて、演習を終了する。全員、撤収せよ」
 演習の終了を宣言しながら、准将はある種の手応えを感じ取っていた。
 単なる戦力的なものだけではなく、それ以上の何か……
 もとより、彼女はそういったことに気を割くタイプではない。
 が、今はその満足感だけで十分であるとも言えた。

「あとの始末は任せる。全員に、24時間以内に報告書をあげるよう伝えておけ」
 副参謀役にそう伝え、准将は踵を返した。
 その口元を、わずかに緩ませながら。

―――― 一刻方面基地総合演習 終了―――――

>>197 開始
>>198->>212 閲兵式
>>213->>289 演習

(より細かい内容は、余裕があればあげる)

291 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/06/09(月) 20:40

《青空町はギャグ日和!?》
>>195>>196
賭けに勝った。だが俺様のハートが収まっていない。
何よりも熱く滾っているのに、物足りないと叫んでいる。
相手の戦意を殺ぐのは別段卑怯でもなんでもない。
メーターの血圧ゲージが落ち込んでいた。
 
だが、何かが足りない気がした。そう、数の差は埋める事が出来た。
黄色い虎の奴はまだ笑い転げている。
ネタが受けるのは俺様としても冥利に尽きる。これに嘘はない。
 
だが、これは違うだろう。せっかくの力があるのに笑いに気を取られていたら、
守れるものも守れないじゃないか。
 
俺様は、怠けるのが嫌いだ。だからヤバイと思ったら徹底的に鍛える。
孤児だった俺様はずっとそうして来た。そうでなかったら生き残れなかったからだ。
 
魔界獣の背に乗り、俺様は突撃する。
クイーンシューターのリロードをヘビメタ子に任せながらハルバードを構えなおす。
「やいやいやいやい!気合を入れなおせ、コンチクショウッ!!」
 
赤い象と青い鷹の機体が合体技を仕掛けてくる。
 
魔界獣ダジャレーンは超音波を発して迎撃しようとする。
形の無い音波は激流に遮られ威力を大幅に減ずる。
 
「ヤバイッ!だがなあッ!負けるかようッ!!ダジャレーン!!お前の好きなようにやれぇ!」
 
青い鷹の突撃をクイーンサイダロンのハルバードで受け止める。
重いッ!
 
≪グワッギイィィィィィィィィン!!≫
 
質量とスピードを伴った一撃を俺様は何とか凌ぎ、青い鷹を蹴って黄色い虎へと向かう!
「テメェもとっとと起きやがれッ!守れるもんも守れなくなるだろうがァッ!!」
 
黄色い虎へ蹴りを放ちながら俺様は柄にもなく叫ぶ。

292 名前:メタ子:2003/06/12(木) 17:15

ダーリン!かっっっこいいじゃん〜〜☆

293 名前:キングエレファン/力哉&マッハイーグル/鷹介:2003/06/14(土) 11:45

《青空町はギャグ日和!?》
>>291 >>292 
 
「うわぁ!」 
 肺の中が一気に空っぽになる。マッハイーグルのスピードをあっさり捉えて、 
 黒いロボットは長い棒で叩き付けてきた。突進力と重なって、脳まで揺さぶる 
 振動がコクピットと鷹介を襲った。失速したマッハイーグルが道路を滑り、 
 コンクリートとアスファルトの大地を剥がす。 
 大ダメージだった。 
 追撃を入れるはずの力哉の手が止まる程。 
「鷹介、平気か!」 
 駈け寄り、地面に突き刺さった蒼い鳥形ロボを引き抜くキングエレファン。 
「り、力哉君、やっぱり駄目だよ……!」 
「そんな事無い! もう一度だ、もう一度!」 
 口では言うものの、魔界獣とロボットのコンビネーション。 
 ゴウタイガーを欠いたガンバルガーでは、打ち崩す隙すら見つからなかった。 
 やっぱり、二人じゃ駄目なのか? 
 三人揃ってこそのガンバルガー、そりゃわかってるけど…… 
「虎太郎君!」 
「虎太郎!」 
 図らず、声が重なった。 
 
『いい加減、笑うのやめろ――――――――ッ!』 
 
 最悪の絵面は未だ、解決されていないのだった。 

294 名前:ゴウタイガー/虎太郎:2003/06/14(土) 11:46

>>293 
 
 蹴飛ばされ、転がり、叩き付けられる。 
 ゴウタイガーの巨体がビルにぶつかって、ようやく虎太郎は笑い止んだ。 
「げ、げほっ、な、なんだ。
 何が一体――――ゲッ」
 軽く舌を噛み、涙目になりながら見上げる。 
 ぎょ、っとする向こう側にいたのは……黒いロボット。 
 それが偉そうにしてるじゃないか。 
「な、なんだと……!」 
 カチンと来た。 
 正義のヒーローを説教する悪役なんて聞いたことねーぞ! 
 大体、最初に手を出したのはそっちじゃねーか! 
 ムカムカムカムカ。 
 カードを片手で入れ替え、ミラクルチェンジ。 
 アニマルモードからファイターモードへ、ゴウタイガーが変形する。 
「一方的に暴れておいて……今更、都合の良い事ばっか言ってんじゃねぇよ!」 
 逆手にゴウサーベルを構えると一気に振り抜いた。 
 金の残滓が尾を引いて空間に残る。
 その軌跡に……あの黒いロボットは居ない。 
「クソ、駄目か――――」 
 片膝をつくゴウタイガー。 
 思ったよりもさっきの蹴りが効いている! 
 このままじゃ、魔界獣もこいつも、やっつけられない。 
「バカにされたまんまで……いいのかよ、虎太郎!」 
 操縦桿を握りしめる。 
 小刻みな振動はゴウタイガーの呼吸音の様に低く唸り続けた。 

295 名前:ゴン ◆GON.Ui.ncU:2003/06/14(土) 11:46

>>293>>294  
 
「諦めるなっ、虎太郎!」 
 
 逞しき咆吼は随分低い所から聞こえた。 
 何処だ何処だと視線を彷徨わせると、さあ居た足下、我らが忍者犬! 
「と、とうちゃん!?」 
 忍犬ゴンザレス。 
 なれた手つき……いや足つきでゴウタイガーの足を駆け上っていく。 
 あれよあれよという間に頭部。目のハッチをこじ開けると、ゴウタイガーの 
 コクピットへ滑り込んできた。 
「やれやれ、まいったなどうも」 
 ポンポン、と埃を払うゴンザレス。 
「ええい情けない! ミラクル忍者イエローガンバーたる者が
 あの程度の駄洒落で!」 
 びしっ、と器用に前足を使い虎太郎を指さすゴン。 
 あまりにも前フリを無視した登場に、流石の虎太郎も少し怯む。 
「とうちゃんだって、駄洒落ならよく言ってるじゃねーか!」 
「ふん。あんな子供騙しな駄洒落と
 ワシのウィットに富んだジョークを一緒にするな、だワン!」 
 顔を突き合わせ、睨み合う忍者と犬。 
 先に動いたのはゴンザレスだった。 
 踵を返し、その大きな眼差しを黒のロボットに向ける。 
 口元に――器用にも――不敵な笑いを浮かべて。 
「ワシのジョーク、とくと受けてみよ!」 
 
『機械を壊す気かい?』 
『このワイヤー、弱いやー』 
『犬はここに居ぬワン! 』 
 
 空間が凍った。 
 精神までかっちりと、意識すべてを食らいつくして。
 
「これぞ霧隠流忍術! まだまだあるぞ、笑えい!」 
 
 後で虎太郎も凍り付く中――ゴンのテンションはヒートアップしていった。 

296 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:01

〜天才 ドクターウェストの科学的愛情 外伝 ウェストVSアジム、結晶大決戦〜 


 ここはアーカムの脅威、ブラックロッジ本拠『無幻心母』に存在する破壊ロボ研究室。
このやたらむやみに広い研究室の中央付近でギターをかき鳴らす男がいた。

「さて、今日は先日ピエゾ・バイモルフから預かりうけたこのサンプルを用いた実験を行うのである!」

 そう叫ぶ白衣の男こそブラックロッジ(いろんな意味で)最高の頭脳を持つ男
狂気の天才、ドクターウェストその人である!(以下発言の前にウと表記)

「ひゅ〜ひゅ〜ロボ!」

 このウェストをはやしたてる少女こそドクターウェストが作り出した人造人間エルザ(以下発言の前にエと表記)

「らぁ・らぁ」

 そしてその傍らでつぶやく金と紫のオッドアイの奇妙な服装の少女こそ狂気と禁断の知識の集積たる魔導書
『ルルイエ異本』の精霊である(以下発言の前にルと表記)
 ウェストの後ろにはそれぞれ赤、青、黄色の文様がかかれた覆面をかぶり、帽子をかぶった怪しさ満開な
ウェストの部下達が並んでいる(以下発言の前にそれぞれ赤、青、黄と表記)

赤「あの、ボス、、、なんでルルイエ異本がここに?」
ウ「なんか知らんがなつかれたのである」
赤「なつかれたって、、、」

 覆面の上からでよくわからないが微妙な表情をしてルルイエ異本を見る

ル「いあ!うぇすと!いあ!」

 いつもの如く何処を見ているのか判断し難い瞳で、同じく判断しがたい反応をしているルルイエ異本。
 青覆面が赤覆面の肩に手を置き首を振る。
 なんというかいろいろ諦めることはできた、すくなくとも深く考えるのはやめれそうだ。

297 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:02

青「それでボス、実験って何ですか?」
ウ「いぃぃぃぃぃぃい質問である!花丸!二学期の通信簿を好御期待!
 さて、前回までの解析結果により、このサンプルが外部からの刺激を受けることによって
 物体なりエネルギーなりを構成させるのはわかったのである!
 そこで今回はその構成をコントロールし、望むものを作り出そうという実験である
 とは言ってもさすがにいきなり複雑な設計を入力してはいろいろと問題なのである
 何事も順序が大事!交際の始まりはまず交換日記から!嗚呼、すばらしきかな恋、、、
 そういうわけで今日ここに集まった皆で粘土細工をつくり、3Dスキャナで取り込んでそれぞれの形を
 具現化させてデータを取るのである!良い子のみんなはわかったかな?」
エ「わかったロボ!」
ル「ら!ら!わか、、、る・うぇすと!」
黄「サー!イエス・サー!」

 元気よく答える三人(?)

ウ「元気でよろしいのであ〜る!」
 満足げなドクターとは裏腹に心配そうな顔をしてひそひそとしゃべる赤覆面と青覆面。
赤(なあ、最近黄の様子変じゃないか?)
青(ああ、、、あのサンプルがきてからどうにも様子がへんだ。ボスはああ言うがやはり悪影響があったのでは?)

 二人が『サンプル』を見る。

 サンプル、それは電脳暦なる暦を使う世界でVクリスタルと呼ばれるものの一部。
 そしてこのサンプルはその中でも人の精神を取り込み狂気の精神波動を放つ悪性のもの。
 常人ならそのサイコウェーブにより発狂しかねないほど危険なものである。
 しかしドクターウェストは狂気と外道の知識を繰る魔術師の目から見ても立派な狂人である、
 もはや酔狂の域に達しているその精神がいまさら多少の怨念ごときでどうにかなるようならアーカムの住人はおろか

      ブ ラ ッ ク ロ ッ ジ す ら 苦 労 は し て い な い 。

 では一般の信徒達は?
 ここは夢幻心母、狂気と外道の知識を操る邪悪な魔術師達が集う場所である。
 魔術の素養が無いとはいえ無幻心母を出入りするものにとって、サンプルの精神波動は力ある魔導書、強力な魔術師、
 魔術に関する数々の道具、そして夢幻心母そのものが放つ瘴気に比べて勝っているとは言い難い、、、はずである。
 
 
青(まあ、しばらくすれば治るだろう)
赤(だと良いが)
ウ「どうしたのであるか二人とも?」
赤&青『いえ、なんでもないです』
ウ「それでは制限時間は一時間!
  優勝者には豪華商品が与えられるような与えられないような感じであるので各々頑張るのである!
  それではみなさん!ガン○ムファイトォォォォ!レェディィィィィィィィGOOOOOO!!!!!」

298 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:03

赤「俺、昔から図工は苦手なんだけどなあ、、、」
エ「うわ!ルルイエ異本うまいロボ!」
ル「いあ♪いあ♪」
黄「る、ルルイエたんハァハァ、、、」
青「お前そんな趣味が、、、」


ウ「しゅう〜りょう〜〜〜〜!ではそれぞれ何ができたか発表するのである」

赤「馬」
黄「ゾウじゃなかったのか、、、」
赤「うるせえ!」

青「ドリル」
ウ「また男らしいであるな、グレイトである!!」
赤「お前もちょっとおかしくなってないか?」

黄「1/6ルルイエたん」
赤「うま!メチャうま!」
青「よくあれだけの時間でここまでのものを、、、」
ル「いあ!」
黄「ああ!?ルルイエたんなんてことを!?
  俺の大せつな1/6ルルイエたんが!しかしそれを破壊したのもルルイエたん!ボス、俺は一体どうしたら!?」
ウ「泣くが良いのである!我輩の胸で存分に泣くがいいのである!!!!
  男は涙の数だけ強くなるのである!カマン!!!」
黄「ボスぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!」
赤&青『・・・・・・』

エ「強○外骨○零ロボ!」
ウ「さすがエルザ!見事なできばえである!なにやら今すぐ因果を決められそうであるな!応報ですか?」
赤(なんというかまた)
青(コメントしずらいものを)
黄(さすがエルザさん、できる!)

ル「か、、、みさま・ねむる・まだ」
ウ「このユークリッド幾何学がまったく通用しない建物はルルイエの建物であるな、見事な一品である!」
エ「ルルイエ異本は手先が器用ロボね」
ル「いあ!いあ!(よろこんでいるらしい)」
青(建物にはとても見えん、、、)
赤(俺も、、、)
黄(ルルイエたんハァハァ)

299 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:04

ウ「さ〜て、では最初の勇気あるチャレンジャー号は誰であるか!?
  我輩の準備はもう万端!このまま打ち上げても爆発なんて事はないのである!」
青「ぼ、ボスあまり不吉なこ」
ル「ら!ら!」

 おもむろにルルイエ異本が3Dスキャナに近づきだす。

ウ「おお!ルルイエ異本からであるか!やる気があるのはいいことなのである
  さらに元気とか勇気とか愛とかあるとモアベター!!」
青「、、、なんか様子が変じゃないですか?」

 赤覆面が心配そうな顔をしている。
 たしかにルルイエ異本はどこか遠くを見つめるような眼差しで足元もおぼつかない、、、が

赤「別にいつものことだろ」
エ「ルルイエ異本、粘土細工を忘れてるロボ!」
 エルザが呼び止めるが反応はない。

ル「ふんぐるい むぐるうなふ く〜りとぉぉりとぉぉぉうがふなぐる うふたぐん」

 突如ルルイエ異本が異形の祝詞を詠いだす。同時にルルイエ異本から爆発的に噴出する神気と瘴気。

黄「ぼぼぼぼぼぉぉぉぉす!ルルイエたんがなんか大変なことに!?あと俺も!」
青「こ、、、これは!?」
赤「うぶっ!」

 いくらある程度の耐性があるからといっても普通の人間には耐えるのは難しい邪気に部下達が慌てる。

ウ「なななななんであるか!?これは一体何事!?やはりチャレンジャー号は撃墜の運命!?
  運命は変わられないなんて我輩認めませんよ!認めたくないものだな若さゆえの過ちと言うものは!」

 ウェストも慌てているとはいえその精神はいつものごとくに突っ走っていた。

エ「博士!サンプルの様子が変ロボ!?」
ウ「なんですと!?それは本当であるかキ○ヤシ!?」

 その場にいた全員がサンプルを見るとそれが光を発して、今まさに何かを構成しようとしている光景が見えた。
 その光はルルイエ異本が一歩近づくたびに明らかに輝きを増している。

300 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:06

青「ボス!これはいったい!?」
ウ「おそらくルルイエ異本の強力な瘴気にサンプルが反応したのである!」
赤「それってなんかやばくないですか!」
ル「くる・かみさま、、、、っ・いあ!いあ!」

 一際強い光がサンプルから発せられる。

ウ「今度はなんであるか!?」
  

  閃光


 そして光が収まった時、そこには全長50メートルほどの人の姿を模したような結晶状の物体が浮遊していた。

ウ「なんであるか?お客さん?しかし急なお客に対して出す茶菓子など用意してないのであるからして、どうしましょ?」
赤「いや、、、そんな事言われても。」
エ「さっきルルイエ異本がなんか言ってたロボ!きっとルルイエ異本が呼んだロボ!」

 全員が一斉にルルイエ異本を見る。ルルイエ異本は結晶体を見つめていたかと思うとかくん、と小首をかしげる。

ル「かみさま・ちがう・あなたはだぁれ?だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁれぇ?」

エ「どうやら知らない人みたいロボ。」
ウ「では別に茶菓子を出さなくてもいいであるな、良かった良かった。」
青「いや、そういう問題ではないのでわ?」
黄「ルルイエたんハァハア」

 なにやら微妙な困り方をしていると結晶体が、、、人間で言えば腕にあたる部分を掲げる。
 そしてそこから発射されるキューブ状の結晶。

ウ「ぬぉぉぉぉぉぉ!?撃った!?撃ちやがったのである!?」

 辺りの開発中の破壊ロボを攻撃する結晶体、いくら破壊ロボが並の通常兵器が効かないほどの装甲をもっているとはいえ
開発中である為に所々装甲が無く内部がむき出しになっている。
 それ故いとも簡単に破壊ロボは大破させられていく。

ウ「何をするのであるかこの半透明巨人は!そんなに茶菓子が無いのが怒り心頭であるか?
  まったくこれだから最近の若者はキレやすいとワイドショーで言われるのである!
  そんな悪い子にはもれなく我輩の熱い演奏を漏れなく先着一名様にプレゼンツ!」

 ギターケースを肩に担ぎ、仕込まれたロケットランチャーを放とうとするウェスト。しかしそれを止める声。

301 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:07

黄「ボス、ルルイエたんがあの半透明巨人の近くに!?」

 見ると確かにルルイエ異本は何時の間にか結晶体の足元に立っている。

ル「誰?誰?誰?誰?誰?誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰誰だぁれ?」

 何も答えない結晶体に変わらず問いかけ続ける少女。

ウ「いかんのであぁぁる!?ルルイエ異本、ちゃんと半年に一度の避難訓練の時と同じく冷静かつ慎重に
  そして時折大胆に避難しないと逃げ遅れて少女は野獣たちの餌食に!?」
エ「博士!あいつの顔にぶっ放すロボ!」
青「しかしルルイエ異本に何かあれば俺達は!?」
ウ「なんかよくわからんがわかったのである、我輩はただただエルザを信じる!それこそが愛!」
エ「いいから早くするロボ」
ウ「エぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇルザぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 泣きながらギターケースに仕込まれたロケットランチャーを発射する。それと同時に凄まじい速度で走り出すエルザ。

ウ「エルザ、いったいどこに行くのであるか?ちゃんと晩御飯までには帰ってくるのであるよ。」

 ウェストが声をかける間にロケットランチャーが結晶体の顔に当たる部分に着弾する。
 鳴り響く爆音。
 しかし煙が晴れて現れたのは特にダメージを受けた様子も無い結晶体。
 だが既にルルイエ異本はその足元にはいない。
 弾頭が結晶体に到達する前に、エルザがルルイエ異本の元に到達し抱え上げ離れたのである。

ウ「おお!ナイスファインプレーであるエルザ、今月のMVPはエルザで決まりであるな。」
赤「でもボス。あいつに攻撃したって事は。」
 結晶体が腕をウェスト達にむかって掲げる。
青「まあ、こうなるな。」
黄「、、、マジ?」

 結晶体の腕からウェスト達に向かって発射されるキューブ。

ウ&赤&青&黄『NOォォォォォォォォォォォォォ!!!!!』

302 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:08

必死に逃げるウェストに通信が入る。

ウ「誰であるかこんなときに!?我輩はただ今忙しいのである!
  例えるならわけのわからん半透明巨人の猛攻に逃げ回っているが如く!」
エ『博士〜〜〜〜〜♪』
ウ「おおう、エルザ!無事であったか、で今何処に?」
エ「南東の出口ロボ、出ようと思ったけど壊れて開かないロボ。他の出口も全部駄目だったロボ
  『我、埋葬にあたわず』は外だしこの研究室の壁は防御呪法が組み込まれているから手持ちの武器じゃ破壊不可能ロボ。」
赤&青&黄『なんですとぉぉぉぉぉぉ!?』

 それを聞いてかな〜り絶望的になる部下達。しかしウェストは何か思い当たったのか表情を変え、エルザに指示を出す。

ウ「エルザ!その近くに『押しちゃ駄目、君と僕との約束だ!』と書かれたボタンがあるから押すのである!」
エ『押すとどうなるロボ?』
ウ「開発中の魔導兵器がでてくるのである!それにルルイエ異本と一緒に乗って
  この憎いあんちくしょうの顔めがけ 叩け!叩け!叩けなのである!」


エ「らじゃ〜ロボ!」
黄『ぼぉぉぉぉぉぉす!憎いあんちくしょうが!?』
ウ『なななな!?貴様そんな巨大な物を!?それならそうと言ってくれないと我輩も心の準備というものが』
赤『きたぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』

 なんだか大変そうだ、早くしないと。そう思いエルザは辺りを見回す、あった。
 全長1メートルはあるやたら巨大なボタンが、、、とりあえず飛び乗る。
 すると手前の床が開き何かがせり出してくる、そこから出てきたのは、、、、

エ「なんでバイクがでてくるロボ?」

 そこから出てきたのはどう見てもサイドカーが付いたバイクだった。とても魔導兵器には見えない。

エ「こんなんでどうしろって言うロボ、、、ルルイエ異本?」

 今までエルザの傍に何も言わずに立っていたルルイエ異本がサイドカーに乗りエルザに顔を向ける。

ル「いあ!えるざ!いあ!」
エ「乗れって言うロボ?」

 こくん、と頷く。

エ「とりあえずルルイエ異本を信じてみるロボ。」

 とりあえずバイクにまたがりハンドルを取る、するとハンドルを通してエルザに情報が流れ込む。
 そして一瞬後、エルザとバイクが完全にリンクした。

エ「これは、、、、すごいロボ」

 おもわず感嘆の声をあげるエルザ。

エ「これならいけるロボ!」

 エンジンを入れ魔導兵器に命の火を灯す。

303 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:09

ウ「ぬぉぉぉぉ!!半透明ごときが調子にのるなである!
  貴様のごときゴミ袋野朗はエルザが颯爽と登場するまでせいぜい調子に乗るがいいである!
  、、、だから調子に乗るなとぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 一方ウェスト達は相変わらず逃げ回っていた。

赤「ボス、わざわざ挑発しなくても!」
青「というか挑発してもしなくても変わりは無いような気がするが!?」
黄「とりあえずエルザさんとルルイエたん早く来てぇぇぇぇぇ!!!」

 かな〜りテンパった状態で叫ぶウェスト達
その時、ウェスト達の耳に世界を切り裂く強烈なエグゾーストが届いた。

ウ「エルザァァァァァッ!!!」

 ウェストが感極まった声を出し音が聞こえたほうを見る。
 そこには魔導兵器を駆るエルザとルルイエ異本が結晶体に向かって突き進む!

青「ボス、あれは?」
ウ「あれこそが我輩が現在鋭意開発中の魔導兵器!
  魔導書の術式と魔力を利用し機械神(デウスマキナ)に匹敵する戦闘力を持つ
  その名も『ハンティングホラー』!!!!」
赤「機械神に匹敵!?」
黄「でも開発中って?ルルイエたんに危険はないんですか!?」
ウ「開発中といってもとりあえず戦闘可能なのである、それにもしものために安全装置はつけてあるのである!
  実験もしていない、、、しかも開発中の完璧でないものを実践投入するのは我輩の望むところではないが、
  背に腹は帰られないのである!」

 世界を切り裂きハンティングホラーが疾駆する、結晶体もその存在に気づき攻撃を加える。
 ハンティングホラーに迫るキューブ、しかし避けようとすらしない、それどころか速度をさらに上げる。
 
赤「ああ!?エルザさん!!!」

 悲痛な叫びを上げる部下達、だがウェストは不敵な笑みを浮かべ、叫ぶ。

ウ「見るがいいのである!我輩の天才的な頭脳が生み出した傑作が紡ぐ奇跡を!」

 奇跡、、、そう、まさしく奇跡であった。
 激突の瞬間ルルイエ異本から溢れ出した魔力がハンティングホラーを包む。
 そして20メートルはあろうかというキューブが比べるのもはばかられるほどの大きさのバイクに粉砕される! 
 そのまま前輪を上げウィリー、、、しない!

304 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:11

青「う、嘘だ、、、」

 部下達がそうつぶやくのも無理はなかった、ハンティングホラーはその前輪で中空を踏みしめ天を翔ける!
 結晶体が己に向かい突き進むハンティングホラーに攻撃を続ける、しかしその全てが無駄となった。
 しかしそれでも結晶体は攻撃をやめない

 何度も
  何度も
   何度も
    何度も
     何度も
      攻撃しつづける

 まるで
  あまりの恐怖にそうし続けねばいられないように、、、、

エ「ロボ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

 エルザの雄たけびと一段と高いエグゾーストが響き、すでに間近に迫った結晶体の胸を貫く!


 一瞬後、結晶体は現れた時と同じように強烈な光を発する。

 そしてそれっきりだった、光が収まると結晶体とサンプルは共に消えていた。

ウ「エェェェェェルザァァァァァァ!!!よくやったのである!」

 近くに着地したハンティングホラーに喜色満面で駆け寄るウェスト。

エ「ろ〜〜ぼ〜〜〜」

 しかしエルザはどこか元気がない。

ウ「どうしたのであるかエルザ?まさかハンティングホラーに不具合が!?」
エ「そうじゃないロボ、、、あまりにも強力すぎて今のエルザじゃ制御しきれないロボ、、、、」

 そう言うとぐったりしてハンティングホラーにもたれ掛かる。

305 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:14

ル「いあ!えるざ!いあ!」
エ「心配しなくても大丈夫ロボ、でもちょっとこのまま休むロボ、、、」
ウ「うむむ、、、エルザが操りきれないとは、、、これは最初から設計しなおす必要があるかもしれんのである。」
赤「それにしても、あれってなんだったんですかね?なんで攻撃してきたんでしょう?」

 赤覆面がふと、疑問を声に出す。

ウ「知らんのである、さすがの我輩も半透明の気持ちなんぞわからないのである。」

 それもそうだと全員が頷く。

青「まあ、それはともかく。」

 青覆面が全員に話しかける。

青「問題はこれをどう片付けるかですね、、、」

 辺りを見ると先ほどの戦闘のおかげで研究室が無茶苦茶である。

エ「エルザは疲れたから後はまかせるロボ。」
ウ「我輩は直ちに先ほどのデータを整理しなければいけないのである。」
ル「ら!ら!」
ウ「まあ、そういうわけであるから後は任せたのである。」
赤「やっぱり俺達がするのかよ、、、」
青「仕方あるまい、、、」
黄「じゃあとりあえず俺はルルイエたんにハァハァしてるな。」

赤&青『 お め え も 一 緒 に や る に き ま っ て ん だ ろ ! 』


    〜天才 ドクターウェストの科学的愛情 外伝 ウェストVSアジム 結晶大決戦  完〜 

306 名前:ドクターウェスト&エルザ:2003/06/18(水) 04:30

ウ「あ゛〜えらいめにあったのである
  というわけで以上
  >>296>>305 
  〜天才 ドクターウェストの科学的愛情 外伝 ウェストVSアジム 結晶大決戦〜
  である」
エ「えらいめにあったロボ」
ウ「事のいきさつは
  『ロボット乗りが集うスレII 〜静かにならない第二基地?〜』
  の レス番 557 604 653 684 732 745 を参照するのである」

307 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/06/27(金) 20:52

《青空町はギャグ日和!?》
>>292ヘビメタ子
「応!やぁってやるぜ!!」
こういう時に相棒からの声援を聞くとやる気が沸いてくる。
興奮が加速し、血液が熱く熱く燃え盛る。
 
ヘビメタ子の声援に応え、俺様は血圧をさらに高めていった。
 
>>293ガンバーチーム
魔界獣を下がらせ、牽制に回す。
数の上では不利も大分抑えられたが肝心のチームワークでは相手が絶対的に上だ。
今奴らが攻めに回ってくれたから、俺様はカウンターを狙えたが防御に入られたらこっちが不利だ。
 
歯軋りを無意識にしそうになって、気合を高めてゆく。

>>294ガンバーチーム
虎の奴が起き上がり、怒りを露にした。
「へっ!ようやく生き返ったらしいな!俺様も燃えてきたぜ!!」
 
奴の怒りを感じ取り、熱く燃え盛る魂が純粋に戦いの喜びを取り戻してきた。
頭上のゲージが上昇してくる。俺の魂をクイーンサイダロンが感じ取り、
それを力へ変えようとしている!
 
「俺様のギャグに受けてくれて感謝するぜ!」
 
掛け値なしにそう思いながら感謝の意をこめて機体を動かす。
燃え上がる逃走本能を沸き立たせ、虎の奴の剣を避ける。
今までの攻撃が効いてたようだ。
 
とは言っても、普段ならハルバードで受け止めて切り返すぐらい出来たが、
太刀筋が速すぎてバックせざるを得なかった。
 
やれやれ、こいつはヘビーだぜ。
 
「メタ子!クイーンサイダロンのエンジン出力はどうなってる?」
クイーンサイダロンの出力は俺様の気合と直結している。 
俺様の闘志が魂が高まれば高まるほどに強く、速くなれる。
 
<ダーリン、出力上昇中じゃん!>
 
「応!!気合上昇!暴走するまで行くぜ!!」
 
>>295ゴン
気合を高めていた俺様は目の前の敵に集中する。
ただ相手のみに集中して撃破する。 
 
――――――その時、メタ子が警戒の声を上げた。
 
<ダーリン!!変な犬がいるじゃん!>
 
メタ子が言うのならば本当に変なんだろう。
まさか奴らの援軍か――――――!?
 
そう思いながらガンバーチームへ迫っている犬にセンサーを傾けた。
本当に変わった犬だった。
俊敏な動きで虎野郎の機体に入り込み、
虎に乗っている奴に話し掛けるとこっちを向いて指差してきた。 
 
ハラハラワールドにも似たような亜人種はいたが、こいつはその上を行きそうだ。
 
こともあろうに俺様に挑戦するらしい。
「いいぜ!俺様をギャフンと言わせてみろ!」
 
そして奴は言った。
 
時が止まる。全てが凍る。
 
  ――――――喉が渇く。
   
――――――苦しい。
                 張り裂けそうだ――――――
                  
俺様は真の絶望を知った。
 
「クソッ!クソクソクソクソクソッ!!」
      
俺様は機体と一体化したように地に拳を叩きつけた。
 
「は、発想のスケールで負けた……」
俺様の魂は傷つき、敗れようとしていた。

308 名前:レスカ ◆CIDERsrYzw:2003/06/27(金) 20:54

>>307ダ・サイダー    
あたしはダ・サイダーの戦いを見守るしかなかった。
ダ・サイダーは普段はお茶らけているけど、強い。
それは彼の優しさから来るのだろう。
 
――――――異世界に飛ばされて不安がってたあたしを励ましてくれていた。
 
――――――幼い頃、笑わなかったあたしを笑わそうと懸命になっていた。
 
アイツがいるから、あたしは今生きていられる。
アイツがいるから、あたしはどんな時でもアイツと動ける。
 
あたしは今回、本当にできることは少ない。
上空から得た情報をサブパイロットのヘビメタ子に流す事とこの船を守り抜くこと。
せめて、アイツが戻るまでこの船を守り抜く、そう決めたんだ。
横でフラスコを被った奴がどう言おうとあたしはダ・サイダーを守る。
ダ・サイダーの帰ってくる所を。
 
「ダ・サイダー!!」
そう思っていた時、ダ・サイダーの機体が唐突に沈み込み、拳を地面に打ち付けていた。
何があったのか。思いもよらぬ攻撃を受けてしまったのか!?
あたしが戦いを忘れてぼうっとしている間にダ・サイダーを窮地に陥れてしまったのか!?
 
あたしは本当に役立たずだ――――――。
 
絶望に沈もうとした時、ダ・サイダーが叫んだ。
 
――――――おい
 
あたしはキレた。人を心配させて……!
 
「戦って死ねぇえええええええええええええっ!!」
船から小口径の砲門を開いてクイーンサイダロンの足元へ砲撃する。
 
煙幕弾も兼ねているから、気合を入れなさいよ!
そう思いながらセンサーに一瞬、
親指を上にあげるポーズのクイーンサイダロンを見てあたしの頬は緩んでいた。

309 名前:ガンバルガー/ガンバーチーム ◆GANBARtjV2:2003/06/29(日) 22:02

《青空町はギャグ日和!?》 
>>307 >>308
 
 さて、そんな挫折と復興とツッコミが交じった少年少女の物語を前に―― 
 中年忍者「霧隠藤兵衛」改め中年忍者犬「ゴンザレス」は、 
 絶好調だった。 
 
『五日に来るのはこいつか?』
『忍者は何人じゃ?』
『梅はうめえ』
 
「むむむ、だんだんのってきた〜って奴だワン!」 
 喉の調子も上々。 
 ネタは沸々と留まる所を知らない。 
 街は未だにあちこちで駄洒落が鳴り響き、人々の悲鳴が木霊する。 
 だが、だ。 
 しかし、だ。 
 確かにそれを喜んでいる存在も少数ながら存在していた。 
 中年。中年層に分類される親父どもである。 
 つまり……ゴンザレスの晴れ舞台であった。 
 
 遠くでまた一人、駄洒落の被害にあって倒れる。 
 泣いている子供が億劫そうに泣きやみ、欠伸を零す。 
 道を行くおばさんが隣のおばさんに駄洒落を説明され、あーあーと納得する。 
 大惨事だった。 
 笑いが概ね途絶えた街の中で、ゴウタイガーは佇む。頭を垂れる虎太郎と共に。 
「とうちゃん……」 
 その虎太郎が、意を決した様に顔を上げる。 
「それ、死ぬ程つまんねぇよ」 
 必殺の一言だった。 

310 名前:ゴウタイガー/虎太郎:2003/06/29(日) 22:03

>>309 
 
「な、なんじゃと――――――――――――――――!」 
 得意絶頂の舞台に水をぶっかけられ、顔の色を無くすゴンザレス。 
 犬の顔色など、わかりはしないが。 
「あ、ありえん。あんな青二才の駄洒落で笑った癖に、何故ワシの高尚な 
ユーモアを理解出来ぬのだ! 虎太郎、笑え。笑っていいのじゃぞ!」 
「笑えっか!」 
 既に虎太郎のツボは失せていた。 
 たった今、くだらない駄洒落で喜ぶ年代は終わったのだ。
 さらば少年の日よ。 
 今日は大人の日々。
 新たな境地へと拓けた虎太郎の視界に、世界は酷く小さく映った。 

『遊んでる場合か、虎太郎!』 
『魔界獣が来るよ! ここで一気に決めないと、ダメージが大きくて、もう……』 

 力哉の慟哭と鷹介の絶叫がゴウタイガーのコクピットに響き渡る。 
 スクリーンへ投影される画像も揺れ、間近に迫る魔界獣を克明に映し出していた。 
 口の裾が捲り上がる。 
 笑い……いや違う、笑みを浮かべて虎太郎は言った。 
「へっ、なら合体して一気に倒せばいいんだよ」 
 飛び掛かる魔界獣。 
 跳躍し、切り返すゴウタイガー。 
 交差は一瞬、結果は永劫。 
 地に伏せたのは――――魔界獣だった。 
 
「ガンバルガー、ミラクル合体ッ!」 

311 名前:ガンバルガー/ガンバーチーム ◆GANBARtjV2:2003/06/29(日) 22:04

>>310 
 
 再び三機のコアロボが飛び上がる。 
 縦に並び、変形し、合体する。 
 エルドランより与えられた力、ガンバルガーへ。 
 
 幾重もの光が直行し、爆ぜると、虎太郎達はガンバルガーのコクピットに居た。 
 各部異常なし、オールグリーン。 
 残存エネルギーの少なさ以外は、紛れもないガンバルガーの勇姿だった。 
 
「行くぞ!」 
『おうっ!』 
 
 虎太郎が叫び、力哉と鷹介が応える。 
 もう、止まらない。ガンバーチームの最高潮だ。 
 操縦桿を引き上げる。 
 合わせてガンバルガーが動き、吠えた。 
 
「こいつで――――とどめだ!」 
 
 掲げる左腕にキングエレファンの頭部、ガンバーシールドが出現する。 
 その二本の牙が輝いた時、すべての駒は揃った。 
 
「ガンバー・ソード!」

312 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/07/24(木) 20:15

《青空町はギャグ日和!?》
>>309ゴンザレス
俺様はクイーンサイダロンのデータ収集機構にこの犬の出すネタ全てを記録させようとしていた。
魂を揺るがすこの駄洒落の一言一句を聞き逃さないように。
 
かすかにクイーンサイダロンの拒絶が感じられたが、目の前の敵に反応して調子を取り戻す。
たとえ、自らの意志を取り戻してもこっちで一生を過ごす気はないのだけは共通している。
俺様は今、それに賭けるのみ。
 
    ――――――あいつらとの決着は必ずつけようぜ
 
俺様はクイーンサイダロンに心の中でそっと呼びかける。
 
「行ッくぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
ギアをシフト、ペダルを調整し、ヘビメタ子からコントロールを貰う。
俺様の意志、俺様の魂をクイーンサイダロンへと注ぎ込みつづける。
 
>>310ゴウタイガー>>311ガンバルガー 
魔界獣は二度大地に倒れる。しかし、もう起き上がるだけの力は残っていなかった。
安らかに眠れ、友よ。
 
奴らは再び三体が合体し出力を高めてゆくのが分かった。
ああ、俺様にも奴らにも後は無い。
 
――――――この一発で決めてやる。
 
「熱ッ!血圧ッ!!」
鼻を塞いで息を思い切り吸い込み血圧を高める。
俺様の中に流れる熱き血潮を魂のリズムへ押し上げる為に。
俺達の世界へ帰るために。
 
「やぁぁあああああってやるぜッ!ヤリパンサアァァァァァッ!!」
 
コックピットの内部、俺様の頭上にあるレバーを力いっぱい押す。押し尽くす。
クイーンサイダロンの形状が変わる。漆黒の騎士のボディが暗闇を駆ける黒豹の姿へ。
これがクイーンサイダロンの最終兵器にして最強の状態。
ヤリパンサーだ!
フルスロットルで全てのスピードを凌駕するかのごとく、空を、大地を駆け抜ける。
俺様の熱い魂がオーバーフローを起こして強力な力場を形成、
俺様とメタ子、クイーンサイダロンは一つの強大な弾丸となる。
レスカ、待ってろ。すぐに帰れるからな!
 
「行くぜガンバーチーム!俺様の魂ごとくれてやるぜ!」
 
奴が振りかぶる剣を前に俺様はクイーンサイダロンをさらに加速していった。

313 名前:ガンバルガー/ガンバーチーム ◆GANBARtjV2:2003/08/13(水) 21:59

《青空町はギャグ日和!?》 
>312 
 
 ロボが豹に。ゴウタイガーの逆へ変形した黒い騎士は、次瞬、砲弾と化していた。 
 ガンバルガーで追うのがやっとだったロボの速度、それを軽く上回り、砲弾は翔る。 
 一直線に。 
 ただ、ひたすらな光条を引いて。 
 
「虎太郎!」 
 力哉が叫ぶ。 
「任せろ!」 
 虎太郎が応じる。 
 操縦桿を勢いよく引き、ガンバルガーの”トリガー”へ指をかける。 
 準備は揃っている、エネルギーは残り少ない、覚悟は決めた。 

 あとは――――必殺技だ! 

 腕を引き絞る。 
 豹は疾った。大気を蹴り風を越え粒子の速度まで、己を槍へと変えて。 
 ガンバルガーが右手を掲げる。キングエレファンが吠えた。 
 距離が狭まる。 
 後、100メートル。輝くシールドを地面に突き立てた。 
 後、80メートル。黒き豹の爪が風を切って、雲を描いた。 
 後、60メートル。土が露わとなった大地へ罅が走る。 
 後、40メートル。掴み取った大地が割れ、中から剣の柄が生まれる。 
 後、20メートル。岩が割れ、内側から剣が姿を現す。燃え盛る炎と共に。 
 距離が狭まる。 
 牙の鋭さが捉えるまで、切っ先の熱さが切り裂くまで。 
 
『おおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉっ!』 
 
 咆吼が響き渡り、鼓膜を打ち合わせる。 
 誰の声か、何処の声か、それすらもわからない絶叫。 
 豹の爪が触れた。 
 象の盾が捉えた。 
 エネルギーの奔流を受け止め、ガンバーシールドに亀裂が走った。 
 亀裂は柄を越え、手先を越え、腕を越え、肩を越え、ガンバルガーを蝕む。 
 だが。 
 牙はまだ砕けていなかった。 
 
 ガンバーシールド。 
 それはキングエレファンの頭部から成る、ガンバルガーの武装の一つだ。 
 鼻にあたる尖端からミサイルを放つ他、重要な機能が備わっていた。 
 牙が輝く。 
 ガンバルガーのエネルギーを吸い上げて、二つの輪を作り出す為に。 
 二つの光輪。それに囚われた者は、魔物でもロボットでも抗うことは出来ない。 
 
 接触の瞬間、拘束する二つの輪は豹をその腹に抱え、空へと舞い上がっていた。 
 弾ける光子の中、凍り付く”クイーンサイダロン” 
 ガンバルガーが声のない叫びを上げる。 
 羽が大きく広がり、舞い上がった。 
 
「ガンバー・ファイナルアタック!」
 
 そして、燃え盛るガンバー・ソードは総てを断ち切った。 

314 名前:ガンバルガー/ガンバーチーム ◆GANBARtjV2:2003/08/13(水) 22:00

>313 
 
「元気爆発ガンバルガー!」 
 
 光が飛び散った。 
 その光が青空町を、魔界獣を、ヤミノリウスを、ロボットを、包み込むと―― 
 
 そこにもう、ガンバルガーの姿はなかった。 
 残るのは破壊の痕跡さえも消えた、元通りの青空町。 
 そう、魔界獣も宇宙船もロボットも存在しない青空町だった。
 
 
 
 
 

315 名前:虎太郎、鷹介、力哉 ◆GANBARtjV2:2003/08/13(水) 22:01

>313 >314 
 
 真っ赤な郵便ポストが、ガパリと口を開けた。 
 中から出てくるのは虎太郎、力哉、鷹介の三人。 
「今日はこんな所から出たな」 
「あー……よーやく目が覚めた。よっ、力哉、鷹介。おはよう」 
 妙に晴れ晴れとした表情で、虎太郎。 
 寝ぼけた顔は何処へやら、寝癖の髪もすっかり直っていた。 
「おはよう、虎太郎くん」 
 鷹介が思わず返したのを見て、力哉はいつも通りぷっつりと切れた。 
「おはようじゃないだろ、虎太郎! 今、何時だと思ってるんだ!」 
 今、何時? 
 言われてみて、力哉も鷹介も虎太郎も気付く。 
 恐る恐る、家から持ちだしていた目覚まし時計を眺める。 
「……九時三十五分――――九時!?」 
 遙か遠くでチャイムの音が聞こえた気がした。 
 もちろん、始業のベルじゃない。一時間目が終わった合図だ。 
 
『遅刻だぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!』 
 
 全力で走る、ガンバーチームの三人。 
 駄洒落との勝負は勝利を収めたが、時間との勝負はなかなか難しいらしい。 

316 名前:ゴン ◆GON.Ui.ncU:2003/08/13(水) 22:02

>313 >314 >315
 
「ええい、何故だ! 何故、あの魔界獣を倒してしまった、虎太郎!」 
 
 一方、その頃。 
 
「誰か、誰でも良い。ワシの、ワシの――――」 
 
 鉄塔の天辺に立ち、ゴンザレスは哭いていた。 
 男泣き。心の奥から湧き出す悲しみを抑えきれない、涙だった。 
 
「駄洒落を聞いて笑ってくれ、だわお――――――――――――――――ん!」 
 
 虚しい犬の吠え声は青空町の天高く昇って、散っていった。

317 名前:ダ・サイダー ◆CIDERsrYzw:2003/08/13(水) 22:17

《青空町はギャグ日和!?》
>>313>>314>>315
消える、消える、消える。
俺様の全てが、クイーンサイダロンが、レスカが――――――。
 
嫌だ、イヤダいやだ!俺は、俺様は――――――!
 
光の中に消えてゆこうとする中、船から飛び出す影があった。
光に飲まれることなく。それは闇へと還る。
 
『さらばだ!また何処かで会おう!異世界の朋友!』
 
おい、何を言っている――――――?
 
そして、気がついたら

「お前ら、何処に行っていた!?」
ドン・ハルマゲ様が驚いた顔をして俺達を見ている。
 
「いや、俺達も聞きたいぐらい…あの?もしかして?」
「当然であろう!無断で消えた事は断罪に値する!」
 
え、いや、えぇ――――――!?
お仕置きロボが俺とレスカの前に来て嬉しそうに笑う。
そして、あの台詞を言った
 
『お仕置きコーナー』
いや、ちょっと待てよ!俺様達は死闘を繰り広…
 
「ギャァァァァァァァァァァ!?」

318 名前:CIDERsrYzw:2003/08/13(水) 22:17

『本日のお仕置き』
「推理小説の途中で犯人バラシ」


皆は真似しないでね!

「フォオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


≪青空町はギャグ日和!?≫
ガンバーチームvsダ・サイダー
>162>163>164>165>166>173>174>175>176>177>185>186>187>189>191>192>193
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319 名前:CIDERsrYzw:2003/08/13(水) 22:26

『本当のお仕置き』
「レス番纏めミス」
 
皆は真似しないでね!
 
「フオォォォォォォォッ!?」
>162>163>164>165>166>173>174>175>176>177>185>186>187>189>191>192>193
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>316>317

320 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk:2003/08/28(木) 00:04

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
地球連合とギガノス=DC連合軍との戦争がはじまってから2ヶ月。
連合から新しい機動兵器が完成したとの報が伝えられ、
DC、ギガノス双方からの攻撃が激しくなっていた。

そんな、ある日。月から、揚陸艦が降りて来る。それはいくつもの戦いを潜り抜け、
そして生き残った艦。歴戦の兵らしく、今にもあちこちから火を噴きそうだ。
艦籍はギガノス帝国。月のプラントを制し、マスドライバーによる砲撃で地球に仇なす刃。
このギガノスの艦は連合のレーダー網の前において、風前の灯火であると言えた。
 
しかし、救うものは居た。
 
洋上を進む船、いや、艦が揚陸艦を収容しようとしていた。
だが、それは完全に救いの手とはならなかったようだ。
 
「ホ!ギガノス帝国の蒼き鷹もたいした事ないぜ。フラグ立てに失敗したんだから
 ゴチャゴチャ言わずにこっちの命令を聞くんだよ!」
  
太平洋洋上を浮遊する陸上戦艦ライノセラス艦内にて、巨漢は咆える。
咆えられた若き青年の顔に苦渋が浮かぶ。
しかし、強く出ることが出来ず、沈黙を保ちつづけている。
 
巨漢の背後に巨大な機体が見える。
それはテスラドライブを積み込み、分厚い装甲と巨大な砲門を背負わせた機体。
DC、ディバインクルセイダーズの開発した砲戦用機動兵器。
バレリオンである。
 
「こっちはアードラーのジジイの命令だ。
 そっちが補給と補修している間に追い詰めろとよ!」   
 
艦は進む。連邦の次期主力戦闘機、F‐32シュベールトを改装し、
戦闘用の補助アームと高機動用のテスラドライブを積み、
レールガンを装備した機動兵器、リオン。
現在の地球において、この機動兵器は物量戦を挑んでいる連邦の兵器に対し、
高機動によるヒットアンドアウェイによる拠点攻撃を繰り返す事で優位性を誇っていた。
そのリオンが数機、発艦準備を完了していた。
 
「さて、向こうはどうなっているやら。
 オレ様もそろそろ勝てるゲームをしたいもんだぜと!」
  
そして、巨漢ことこの部隊の指揮官であるテンザン・ナカジマは愛機、
バレリオンに乗り込むと、その巨大な砲を持った機体をテスラ・ドライブで浮遊させると、号令をかけて発艦する。
 
「ホ!発進だっての!」
 
部隊の目的は連合の空母。
そこに戦火を逃れた連合の新機動兵器、D兵器の奪取、もしくは殲滅。
 
そして、砲火は交えられようとしていた。

321 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk:2003/08/28(木) 00:10

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>320 
 
 悲鳴にも似た警報音が、空母内に木霊する。
 続いてスピーカーから流れ出すのはお決まりの『敵接近』の報。
 
「何度聞いても不愉快だよなぁ……この音」
  
 呑気に呟く、整った容姿の白人がライト・ニューマン。
 
「もっとこう、エイトビートでも刻んでくれりゃいいのにな」
 
 それを軽口で次ぐのが、逞しい黒人のタップ・オセアノ。
 
「……んな事はどうでもいいんだよ! 俺まだ飯食ってないんだぜ!?
 “新装備”の調整やらなんやらで働きっぱなしだったってのに!」
 
 パンを口の中に入れたまま喚くのは日本人、ケーン・ワカバ。
 三人は一様に連合軍制式のパイロットスーツと、准尉の階級章を身に纏っていた。
 しかし、彼等は志願兵だとしても若過ぎる―――いや、幼過ぎる。
 
 それもその筈だ。
 彼等が軍人となったのは、自らの意思によるものでは無い。
 三機の最新鋭MA(メタル・アーマー)を盗み出したが故の、強制的な入隊である。
 
 “D兵器”と呼ばれるそのMAは、一機一機が既存のMA一個中隊分の戦力だと言われる高性能。
 戦闘状態にある全ての陣営がD兵器を欲しているという噂もある程の物だ。
 
 だが、それに素人の―――しかも少年三人がパイロット登録されてしまった。
 上層部には、この報告を聞いた途端に卒倒した者も居たらしい。
 
「ま、ボヤかないボヤかない。苦労して調整したんだ。
 “新装備”の性能を敵さんに見せ付けてやるチャンスだと思えば良いだろ?」
「……なーんか納得いかねぇなぁ……」
「いやいや、ケーン。これは別の意味でもチャンスだぜ? リンダ女史にいい所を……」
 
 ライトがケーンを丸め込もうとするも、ケーンは未だに不服のようだ。
 仕方なく、とっておきの言葉を放とうとした次の瞬間―――
 
『ドラグナーパイロット! さっさと出撃準備に入らんか――――ッ!!』
 
 上官であるダグラス大尉の怒声が空母全体に響き渡った。
 
 すっかり警報を忘れていた三人にとっては、これ以上無い不意打ちだ。
 慌てたタップとライトが、傍らのヘルメットを手にして立ち上がる。
 
「ヤベ! ダグラス大尉、カンカンだぜ!?」
「急げ急げ! また帰ったら絞られるぞ!」
「あ、ちょっ、せめてこのパンだけでも!!」
 
 無理やり残りのパンを押し込み、ケーンも二人と共に駆け出す。
 自分の愛機となったD兵器1型、“D−1(ドラグナー・ワン)”の元へ。

322 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk:2003/08/28(木) 00:11

>>321続き
 
 ―――コクピットに入っても、まだダグラス大尉の怒号は止まなかった。
 
『まずD−1から出撃しろ! D−2、D−3も直ぐ出られるようにしておけよ!
 D−1はあくまで先行するだけだからな! 突出はするな!!』
「分かった、分かったってば! 怒鳴らなくたって聞こえてるって!」
 
 脳がシェイクされそうな大声を聞き流しつつ、コンソールのキーボードを叩く。
 ケーンがエンジンが始動させた頃には指示なのか、お小言なのか分からなくなって来ている。
 
 直ぐに説教を始めるのがダグラス大尉の悪い癖だ。
 聞き飽きた文句は気にも留めず、計器類に目を走らせて機体のチェックに集中。
 
 《電気系統、全て正常に動作中》
 《各部ジョイント、全て正常》
 《メインブースター及び姿勢制御用スラスター、共に異常無し》
 
 計器類から視線を上げると、AI「クララ」の報告が次々とモニターに映し出された。
 ドラグナー全機に搭載された、パイロットの補佐を的確に行い、対話すら可能な高性能AI。
 “彼女達”が存在しなければド素人の三人が生き延びる事は出来なかっただろう。
 
「クララちゃん、今日も宜しく頼むぜ!」
 
 メインCPUによる全機能の検査が終了。
 「クララ」は、返答の代わりに只一行の文字列を表示させた。
 
 《コンディション・オールグリーン》と。
 
『D−1、スタンバイ!』 
 
 管制官の指示に従い、脚部をMA用カタパルトに固定。
 シューターの合図を確認後、ブースターレバーを操作。
 それに応じてバーニア・ノズルから青白い炎が噴き上がる。
 
『発進(スタート)!』 
「行っくぜぇ!!」
  
 カタパルトが弾け、莫大な加速を得たD−1は中空へと躍り出た。
 如何に凄まじい推力があるといっても、ここは地上。
 重力に引かれ、鉄の巨体は海面に叩き付けられる筈だが―――
 
「さぁて、こっからが“新装備”の本領発揮だ!」
 
 ケーンは何の迷いも無く、操縦桿を力一杯引いた。
 するとD−1は落下する所か、逆にぐんぐんと高度を上げてゆく。
 
 D−1の背部に装備された追加バーニア、そして鋼鉄の翼。
 これこそがドラグナーに大気圏内の飛行能力を与える“新装備”フライト・ユニット!
 
「人の飯を邪魔しやがって……アホタレ共め! ぶっ潰してやるから覚悟しろよっ!!」
 
 食い物の恨みを叫び、ケーンは一直線に敵部隊へと向かって行った。

323 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk:2003/08/28(木) 00:50

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>321>>322
部隊を展開させ、グレネードやレールガン、実弾系の武装による弾幕が張られる。
空母の対空砲火に対し、ジャマーすら張られずに、機雷が次々に投下される。
コンソールを操作し、現在の状況を衛星上の軌道から確認する。
まだ、宇宙の通信網はDCとギガノス帝国が握っている。
だからこそできる芸当だ。
 
「ホ!地べたを這うだけじゃないってか!まあ、これはこれで楽しめるってもんだぜ!」
  
悪態をつきながらも部隊にコードを送信。部隊員の確認を取るまでもない。
第一、このバレリオンは近接戦にはあまり不向きなのだ。
テンザン・ナカジマはゲーム『バーニングPT』での優勝者としてスカウトされた身である。
それが故に、テンザンは自らの勝利が確信できる環境を作り出そうとする。
リオンの改装型、リオンV2機を護衛につけ、バレリオンは誘い出す。
 
D兵器を、完膚なきまでに打ち倒す為に。
 
「ホ!随分遅いお出ましだこと!よし、テメェらこれより七面鳥狩りの始まりだ!
 空母の対空砲火に気をつけつつ、奴らを罠に嵌めるぞ!
 足の遅い奴は放っておいて真っ先に突っ込んできた奴から仕留めっぞ!」
  
護衛機にレーザー発振による会話を行い、さらに逃げる。
無論、空母が補給かつ、応援に現れないようセッティングも整えているのだ。
 
「ホ!いい度胸の持ち主でよかったぜ!」
態々周波数を開いて声のみ弾幕を、部隊をくぐりぬけたD兵器に向かって聞かせる。
 
「ま、お前さんみたいなタイプは大好きだぜ。いいカモだからなぁ!」
 
本武装による砲撃ではなく、副装備のビームキャノンで応戦しながら、
テンザンはなおも挑発する。より、深い所まで追い詰める為に。

324 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk:2003/08/28(木) 01:27

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>323
 
「……この野郎! 舐めた口聞きやがって!!」 
 
 空きっ腹に堪える、嫌な声だ。顔を歪めながらケーンは思う。
 生憎と顔は見えないが、きっと見れば殴りたくなるような顔をしているのだろう。
 
 ―――いや、絶対にそうだ。
 
「ケーン、こりゃあ罠だ! 俺もライトも空母から離れられねぇ!!
 一旦引き返して―――」
 
 挑発されて頭に血の上ったケーンに、タップの冷静な言葉が届く筈も無い。
 
「ここまでバカにされて、引き下がれるかよ!
 見てろ! キッチリとアイツに落とし前付けさせてやる!!」
 
 フットペダルで小刻みに方向転換を行って旋廻。
 飛び交う火線を潜り抜け、白き鎧が翔ける。
 
「俺も、お前みたいなのは好きだぜ!」
 
 まずは操縦桿を引いてフラップ角度を調整。発射体勢を整える。
 武器選択、フライトユニット翼部・五連デュアルミサイルポッド。
 正面のメインモニターに浮かび上がる照準――その中央に敵機をロック。

「―――ぶっ飛ばした時に、スカッとするからな!!」
 
 ケーンはカバーで覆われた発射スイッチを指で弾き、気合と共に押し込んだ。
 ポッドに内蔵されていた計十個のミサイルが、一斉に解き放たれる!

325 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk:2003/08/28(木) 01:43

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>324
「ホ!やれるもんならやってみな!こちとら遊びじゃないんだよ!」
挑発に継ぐ挑発、スラスターを調整、小口径のビームキャノンを駆使し、
打ち放たれたミサイルを迎撃する。
 
それでも避けきれない至近爆発を持ち前の装甲で凌ぐ。
もともと、対異星人用に考案されたリオンシリーズの中でも特に装甲を重視したこの
バレリオンならではの芸当だ。
 
機動性を重視したリオンVはレールガンやM950マシンガンを使用し、
近接格闘戦を避け、牽制に徹する。
 
「(まだだ、まだもっと深くまで追い詰めてやるぜ…)」 
 
至近爆発によるバグで起こったレッドアラートを準備していたプログラムを起動させる事で騙しこむと、テンザンはレーザー発振で合図を送る。
 
「ホ!そろそろ仕掛けてゆくぜ!」
 
リオンVはその機動性を生かした突撃戦を行う。
しかし、その照準はあくまで牽制に過ぎない。
 
真の狙いは――――――
 
「ホ!ケツががら空きだぜ!」
  
白き鎧、D‐1に対し、バレリオンの固定装備としてある補助武装、
スパイダーネットを発射する。機動性を落とす為ではなく、移動力の低下を狙って。
 
そう、罠はまだまだ終っていないのだ。

326 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk:2003/08/28(木) 02:59

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>325
 
 送り出したミサイルは迎撃によって大半が無効化。
 命中した物も、分厚い装甲に阻まれて有効打とはならなかった。

「……言うだけあって、タフな奴だぜ!」
 
 焦りに追い立てられるようにして、更にD−1を加速させる。
 
 外見と性能から見て、相手は砲撃戦用の機体。
 白兵戦用のD−1で懐に飛び込めば、容易くケリを付けられると踏んだのだ。
 しかし―――
 
「この、ゴチャゴチャと……! うざってぇ!!」
 
 狙いの相手を囲む護衛機達の射撃によって、ケーンは回避行動を強要された。
 それに対しては、シールドから引き抜いた75mmハンドレールガンで応戦。
 弾幕を張り、自分の進路を切り開く。
 
「よし、道が開けた!」
 
 メインモニター、サブモニター。
 取り巻きを突破後、全てのモニターから砲台のような敵の姿が消えていた。
 
「見失ったってのか!? くそっ、レーダーには……」
 
 困惑の一瞬に、天秤は、大きく傾いた。
 
「しまった―――後ろかっ!!」
 
 『クララ』の警告も間に合わず、D−1の翼に粘着性の網が絡み付いた。
 フラップの動作については問題無いが、一部がバーニア・ノズルを塞いでいる。
 これでは、出力の低下は免れないだろう。
 
「畜生……ジワジワとやるつもりかよ! 気に入らねぇな!!」
 
 崩れた姿勢のまま、振り向いてハンドレールガンで銃撃。
 苦し紛れの一撃ではあるが―――やられっ放しはケーンの性に合わないのだ。

327 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk :2003/08/28 23:44

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>326
テンザンの駆るバレリオン、正式にはバレリオンの改装型バレリオンVの装甲は厚い。
とはいっても指揮、駆逐用フレームでできているわけではないので、
バレリオンに見られる欠点。
そう、装甲と火力重視の結果おざなり気味になっている機動性の改善は、
なかなか腕で補えるものではないのだ。

「ホ!いい腕してくれてるぜ!バーニングPTでやりあってみたかったっての!」
テンザンは純粋にそう感じながら被弾した部位の確認。
連装ミサイルランチャーの発射口が危険域となりかけている。
舌打ちしつつ、コンソールに一連のコマンドを入力、
ミサイルランチャーのパージに取り掛かる。

「ホ!やりあったとしても俺が勝つだろうけどな!
 せっかくだから、こいつでも受け取ってくれっての!」

ミサイルランチャーのコンテナを爆発ボルトで落とす。
そして、先んじて入力していたコマンドにより、自爆させる。

「ホ!せっかく弾頭を変えてたのに無駄になっちまったぜ!」

328 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk :2003/08/28 23:45

>>327
ミサイルランチャーに装填されていた弾頭はチャフグレネード。
本来ならば挑発としてさらに用いるはずであった。

「まあ、ピンチをチャンスにってな!」

爆発とともにあたり一面に散乱したチャフの粒子がレーダーを混乱させる。
護衛機のリオンVにも予想外であったのか、ホーミングミサイルが明後日の方向を彷徨い、
空中で爆発する。

「ホ!間抜けめ!いいからお前はD兵器に斬りかかれっての!」
レーザー発振が使えない状態で、信号弾を挙げるにはまだ、距離がある。
ならば、とテンザンは思考し、D兵器を目標空域に追い込む為の仕上げとして、
兵を使うと決めた。至近距離に居たリオンVにワイヤーガンによる接触通信を行い、
指示する。

リオンVは指示に従い、レールガンを軽く振ると友軍機に援護を依頼。
ハードポイントにM950マシンガンを預け、極めてナンセンスな装備。
相対速度によるエネルギーをそのまま、叩きつける武器。
海賊の時代から使われる武器、そう、剣。

アサルトブレードと称される剣をD-1へと振りかぶっていった。

329 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk :2003/08/29 00:34

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>327 >>328

 とっさの攻撃が、相手の武装を一つ潰した。
 思った通り、反応や機動性においてはD−1が遥かに上回っている。
 問題は、どうやってそこを突くかだ。

「こう敵が多くちゃ、切り込んでく事も出来ねぇ……!」

 大人数を相手にする時は、相手の頭を最初に叩く。
 ケーンなりの、ケンカの鉄則・その1である。

 それが出来ないというならば、最悪の場合を想定するしかないだろう。

「―――って事は、だ」

 ……だが、ケーンは最初から負けを考えるような男ではなかった。

 辺りに散らばるチャフグレネードで、射撃武器の精度が落ちたのだろう。
 直接攻撃に切り替えた護衛が迫って来る。

「嫌でもタイマンしたくなるようにすりゃいいんだ!!」

 スティックを引き絞り、自機を急上昇。
 敵の振るった剣は、何も無い空間を薙いだだけに終わる。

「そうと決まれば!」

 強烈なGに引っ張られ、薄れる意識を闘志で繋ぎ止め。
 ケーンは自分自身を鼓舞するように叫んだ。

「遠慮は―――しねぇっ!!」

 気迫は、コクピットの操作系を通して機体に反映される。
 D−1はそのまま縦に弧を描き―――眼下の敵頭部を蹴り飛ばしたのだ。
 予想外の攻撃にバランスを崩した隙を狙い、ハンドレールガンの集中射撃!

 装甲の破片とオイルをバラ撒き、回避も出来なかった残骸が海へと落下してゆく。

「誰でも相手になってやるぞ! 片っ端から来やがれっ!!」

 戦争だろうが何だろうが、ケンカはケンカだ。
 ならば、ケーンの持論は通用する。

 ケンカの鉄則その2―――『気合で負けてはいけない』。

330 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk :2003/08/29 01:23

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>328
爆音とともに、撃墜されたリオンVが墜落してゆく。
爆発の前に、安全装置が起動し、パイロットを乗せた脱出カプセルが戦域を離脱する。
運がよければ、あの中のパイロットは生きているかもしれない。
また、脱出カプセルの技術の安定によりこの戦争は長引いているのかもしれない。
そして、リオンVの機体の爆発の色は通常とは違っていた。

「ホ!なかなかやるっての!
 だが、もうテメェはズッポリ罠に引っかかってるんだっての!」

リオンVが撃墜されていてもテンザンの余裕は崩れない。
あえて、撃墜させたのだから余裕が崩れようもない。

「ホ!出番だっての!」

チャフによる通信の混乱も回復し、テンザンの顔の笑みは深くまさしく凶顔となる。
はるか、遠方に待機させていた母艦。
陸上戦艦ライノセラスによる砲撃の準備は既に終っていた。
ライノセラスの主砲の有効射程をはるかに上回る超長距離からの砲撃。
そう、機動兵器に対しての間接砲撃。
動き回るのならば位置を固定し、当てやすくすればいい。

これが、D兵器殲滅の鍵であった。
訓練を重ね、実地で把握し、そして地球は極東支部の切り札、ハガネとの死闘を経て
指揮官の人格に問題があろうとも、ライノセラスのクルーの士気は高かった。

艦内にてクルーの連絡が行き交う。
最大射程を誇る連装主砲の炸薬も装填され、砲身内の圧力も調整完了。
もはや、トリガーを引くばかりであった。
「ホ!罠にかかったんだから大人しく喰らっとけっての!」
連装ビームキャノンとバルカン砲による牽制射撃の後、バレリオン達は意外な行動に出た。
バレリオンも、リオンもまたテスラドライブをカット。
ドライブが復帰できるギリギリまでの急速降下。

同時期、ライノセラスの艦長は叫ぶ。
「砲撃準備良し!指揮官機の離脱も確認!撃てーーーーーーーーー!」

そして、砲撃は放たれた。 

331 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk :2003/08/30 00:21

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>330

 バカの一つ覚えのように繰り返される牽制射撃。
 D−1は持ち前の運動性能で避け続けるものの、包囲からは抜け出せない。
 そんな中、苛立ちで沸騰寸前のケーンは、ある疑念を抱く。

(……コイツ等は、何で牽制だけで終わらせる?)

 そう、敵の動きは余りにも消極的過ぎる。
 数で勝っているなら、包囲後に集中砲火を浴びせるだけでも済む筈だ。
 他に手段があるのならば、話は別だが―――

(まさか……まだ別に罠があるってのか!?)

 思い当たった直後、モニター上にに「クララ」からの警告が表示された。

 致命的かつ不可避。
 正に最悪の状況を表すメッセージが。

 《警告:熱源感知。索敵範囲外・敵戦艦からの砲撃と推測。
     接触まであと、コンマ03秒》

「んなっ!? コンマって避けられる訳ねぇだろ!?」

 ケーンは間に合わないと直感しながらも、操縦桿を引く。キーボードを叩く。
 足掻く為に。生き延びる為に。

 ―――それでも、カウントは無慈悲に進む。

 無敵を誇るMA・ドラグナーも今となっては罠に掛かった獲物。
 ただ、最期の時を待つばかり。

「ちっくしょぉぉぉぉ!!」

 砲弾は迫り、そして――――洋上に、大爆発が引き起こされた。

332 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk :2003/08/30 00:24

>>331続き

 しかし。
 渦巻く爆炎の中から、躍り出る影があった。

 意思を持たぬカメラ・アイの両眼に光を宿す純白の巨体。
 猛禽のクチバシを思わせる、真紅の頭部装甲。
 背にフライトユニットこそ無いものの―――それは確かにD−1だった。

「か、間一髪……」

 デタラメなケーンの操作の中、幸運を呼ぶコマンドが一つだけ存在した。
 “フライトユニットの分離”である。

 「クララ」はそれだけを拾い出し、通常では有り得ない速度の急降下を実現。
 見事、敵の砲撃を回避したのだ。

「愛してるぜ、クララちゃん!」
《パイロットの発言が意味不明です》
「へへ、分からなくたっていいんだよ!」

 敵は全員、自分を仕留めたと思い込んでいる。
 今が反撃のチャンスだ!

「あの野郎は……あそこか!」

 目的の機動砲台に向かい、D−1本体のバーニアを吹かして滑空。
 飛行が出来ない今、あそこに向かう方法は只一つ。

「でぇりゃあっ!!」

 途中に位置する敵機の頭を踏みつけ“足場”にして跳躍。
 踏んづけた後はショルダー・ボムを投げ付け、お役御免とばかりに撃ち落とす。

「―――ドラグナー八艘飛び、ってか!」

 いつか聞いた、海上の船をジャンプで乗り継ぎ、敵の旗艦に乗り込んだ源義経の逸話。
 まさか、自分がそれをやる事になるとは思わなかったが――――以外に爽快だ。

「こりゃ面白いや! このまま一気に行かせてもらうぜっ!!」

 ケーンの咆哮と共に、D−1は次の“足場”へと飛翔する。

333 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk :2003/08/30 03:14

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>331>>332
上空に爆発音。衝撃がバレリオンとリオンVの2機を襲う。
テスラ・ドライブのエンジンを再起動。
急速に掛かる下向きのGを持ち前の体格と訓練による操作でクリアする。

「ホ!罠に掛かった奴がくたばるのはいい気分だっての!」

テンザンが哄笑を上げるより早く、護衛機のリオンVに白い鎧が立っていた。

「クソッ!?」

バーニングPTの上位入賞者であるテンザンに関し、
不意の事態の判断力が高く、様々な戦況に対しての適応力があると、
DCのアードラー・コッホは言っていた。
そして、それは実証されている。

エンジンカット等による急速離脱は間に合わない、ならば――――――
「当てるだけだっての!」

ビッグヘッドレールガン。それはバレリオンシリーズの最大の固定兵装にして
特徴。D‐1のスラスターによる動きを演算プログラムに入れ、
連装ビームキャノンで動きを止めさせ、大口径レールガンで仕留めようとする。

「(ほぼ、確実に当たらない、だが“奥の手”はなるたけ取っておきたいんだよ)」

外れた連装ビームキャノンが踏みつけられ、
ショルダー・ボムを叩き付けられたリオンVにとどめを刺す形となってしまう。

「ホ!ジャマだっての!」
牽制に用いるミサイルは先の時点で撃ち止めだ。
大口径のレールガンは通常ならば、この距離ではほぼ当たらない。

そう、通常ならば――――――

「大口径ってのは色々小細工ができるから好きなんだよっての!」

ほぼ、目前に飛翔しているD‐1に対し、凶顔で笑う。
大口径レールガンが発射される、弾頭のシェルに亀裂が入り、その亀裂は弾ける。
ショットシェルタイプのレールガンが発射されたのだ。

334 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk :2003/08/30 23:08

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>333

 シールドはフライトユニット分離時に取り落とした。
 滑空しか出来ない現状では、回避など不可能。
 結果、D−1は弾丸の全てを、その身に受ける事となる。

 装甲は打ち砕かれ、中の駆動系やフレームもボロボロにされた。
 オイルは血液のように流れ出し、何時爆発するとも知れない状況だ。

 《損傷率68%……69%……》

 モニターを見る度、損傷率が面白いように跳ね上がって行く。
 心を挫き、足を止めさせるには最高の一撃だった。

「まだだ! 飛べっ!! アイツに届くまで止まるな、ドラグナーッ!!」

 だが、ケーンに止まる心算は、全く無い。
 全身に損傷を負ったドラグナーも同様だ。

 吠えるバーニアが、彼等を前へと押し進める。

「今まで、散々コケにしてくれたな……千倍にして、返してやるぜ!」

 戦闘モードを近接戦に切り替え、操縦桿の機能をマニピュレーター操作へ。
 D−1の腰からレーザーソードを二本抜き、グリップ部で接合。
 掌のコネクタを通じ、核融合炉が生んだ絶大なエネルギーを流し込む。

 ―――次瞬、空間に閃光が走った。

 合体したグリップを中心にして、双方へと伸びる超高熱のレーザーで形成された刃。
 これが、レーザーの威力を倍加させたD−1最強の近接兵器、レーザーナギナタだ!

「行けぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 輝く刃を構え、鋼の鎧は突き進む。
 一切の障害を打ち砕き、その剣を突き立てる為に!

335 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk :2003/08/31 23:16

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>334
迫る白刃、全てを切り裂かんとする清冽な刃。
もはや、テンザンには避ける術はない。

――――――無傷では。

「ホ!使いたくなかったけどよ!こうなりゃしかたないっての!」

機体を傾け、砲身を盾にする。
無論これでは防ぎきれず、機体の中枢を破壊するのは目に見えている。

コンソールの上で指先が踊る、致命的な打撃を避けるために。
勝利を掴む為に。まだだ、まだ本隊は勝っている。
最も危険なD‐3は機雷除去に集中し、
火力支援型のD‐2は空母の護衛で躍起になっているはずだ。

戦況を示すグラフも全く問題がない、即ち。
ここでD‐1に致命打さえ与えれば、自分の勝利なのだ。

「勝てばそれでいいんだよっての!」

両断される寸前、爆発ボルトがバレリオンVの砲身をD‐1へ向かって吹き飛ばす。

「喰らいやがれっての!」

テスラドライブの出力を高める。負荷が減った事での機体バランスの調整は後回しだ。
今は、D−1を叩き潰す、それだけだ。

本体にいまだ残る連装ビームキャノンが今、断ち切られ誘爆しようとしている、
レールガンの弾薬庫もろともD−1を撃ちぬこうとしていた。

336 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk :2003/09/01 00:56

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>335

「―――浅かったか!?」

 防御の事など考えない、正に捨て身の突撃だった。
 それだけに、仕留められなかった時のリスクは大きい。
 至近距離からの逆撃が、D−1を捉える一瞬前に。

 横合いから飛び出した一機が、D−1を掴んで大きく飛び退いた。

「随分とこっぴどくやられてるな、ケーン?」

 聞こえた声は、ライトの物だ。
 D−1を掴んでいるのは、頭部を丸々レドームとした、特異なフォルムの白い機体。
 電子戦用D兵器、D−3。

「やっぱ、俺達が居なきゃ駄目って事だな」

 更に、後方からやって来るのは、砲塔を背負った青黒い機体。
 砲撃戦用D兵器、D−2。

「タップ、それにライト!? お前等空母の防衛に回ってたんじゃ……」
「おいおい、俺達を舐めてもらっちゃ困るぜ?」
「向こうはとっくに片付いてるさ。
 ちょっと敵味方の区別をしてる余裕が無かっただけでね」

 電子戦用機たるD−3の本領は、情報の撹乱にある。
 ライトは防衛から離れた後も、誤った位置・交信の情報を流していたのだ。
 単機で駆逐艦並みの情報処理能力を持つ、D−3だからこそ可能な戦法である。

「……ま、そこのが嘘情報を信じ続けてたから、コッソリ近付けたんだけどな。
 大男、悪知恵だけは回っても、総身に知恵は回りかね……ってか?」
「ライトさんに座布団一枚っ!」

 タップとライトの漫才を聞き、焦っていたケーンに、いつもの雰囲気が戻って来る。

「良いダチを持って幸せだよ、俺は!
 さーて……Dチーム揃い踏みだ! このままフィニッシュと行こうぜ!!」
「「おう!!」」

 ケーンの叫びに応じ、D−3はD−1を掴んだまま急上昇。

「まずは……俺からだ!」

 後ろに回り込んだD−2が姿を見せた時―――
 既に50mm二連ガトリングガン、280mmレールキャノンの砲口は、敵に狙いをつけている。

「たっぷりと喰らいやがれっ!!」

 D−2の大火力が、一斉に火を噴いた。

337 名前:テンザン・ナカジマ ◆TeNZaNA7sk :03/09/04 00:31

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>336
――――――ハメられた、そう、ハメられたのだ。

自分が罠にハメ、ギリギリで叩き潰せると思ったら、実は自分がハメられていたのだ。
腹が立つ。だが、怒りに囚われる暇はない。

D−2の砲撃がバレリオンVであった機体を徹底的に撃ち貫く。
この屈辱、この怒りは何処へぶつけるべきか。

機体のコンソールに次々と浮かぶレッドアラート。
このままでは、怒りをぶつけるどころか逃げ場もなく死んでしまう。

性格は最悪であっても、テンザンは引き際を心得ていた。
向こうはこちらをぶちのめしたい。ならば、満足の行く結果を見せてやればいい。

キーボードの上を手が滑る。
コマンドの入力も終った。
最後に勝った奴が笑えばいい。この屈辱はきっと晴らす。

シートベルトのハーネスを締めなおす。自分の体格にきっちりと合わせて。
カウントダウンと砲撃が重なる。

「ホ!ケツに火が付きすぎだっての!今度勝つのは俺だっての!」

自爆スイッチが起動、機体が爆発する中、爆炎に紛れて脱出カプセルが戦線を離脱する。

――――――そして。

「貴公の尽力により、無事我がプラクティーズは補給と補修を終えました。
 では、我が部隊は引き続き、D兵器の奪取任務に戻ります。
 どうも、ありがとうございました!」

金髪の青年将校が部下を引き連れて敬礼する。
ライノセラスの艦長は自分の部隊の指揮官が今は医務室で尻の大火傷の治療中の為、
ここにいないことを天に感謝と苦笑を送り、
“ギガノスの蒼き鷹”マイヨ・プラート率いるプラクティーズの揚陸艦の発進を見送っていた。

338 名前:ケーン・ワカバ ◆D1/nM85lZk :03/09/04 02:01

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
>>337
【エピローグ】

「クソ……惜しかったよなぁ、あともう一息だったってのに」
「逃げ時を心得てるからこその悪役、だろ?」
「ま、そーいう事だな」

 DC部隊との一戦を終え、Dチームは空母へと帰還していた。
 最後までケーンは追撃をかける気だったらしく、帰って来ても愚痴を言い続けている。

 そして、食堂に差し掛かった時。
 ケーンの腹の虫が、盛大に鳴いた。

「……そういえばお前、飯抜きだったな」
「言うな、余計に腹が減るから……」

 だが、そこに差し伸べられる救いの手――もとい、救いのトレイがあった。

「はい。ケーン、ご飯途中だったから、こっそり取っておいたの」
「あ、ああ……! 神様仏様リンダ様ー!!」

 救いの主が、その端正な顔立ちに天使の微笑を湛える。
 彼女の名はリンダ・プラート。
 難民船で知り合って以後、親しくなった同年代の女性である。

 ちなみに、一目惚れしたケーンは何度もアプローチを試みているが―――
 未だに、明確な反応は、無い。

「いやぁ、ありがたい!
 リンダちゃんが取っておいてくれたなら、更に有難味が増すってもんだよ!」
「まぁ、ケーンったら。相変わらず口が上手ね?」
「へへ……そんじゃいっただっきま―――」

 焦げ目が何とも食欲をそそるハムエッグに手を伸ばす。
 行儀は悪いが、この空腹は一刻を争う。
 摘み上げ、いざ口に―――!

 すかっ。

「あ、あら?」
「報告にも来ず、何をしているかと思えば……!」

 擬音が聞こえそうな程、見事に空を切った手。
 その向こう側に、血管を浮かび上がらせたダグラス大尉がいる。
 食事の乗ったトレイも、ハムエッグさえも、何時の間にか取り上げられていた。

「フライトユニットを装備直後に失い、D−1に多大な損傷を与えた罰だ!
 これは没収! お前はさっさとD−1の修理に行って来ぉい!!」
「そ、そんなぁ……」

 へなへなと崩れ落ちるケーンの隣に、タップとライトの姿は無い。
 どうやら、とばっちりを受ける前に逃げ出したらしい。

「俺知ーらね」
「俺も」

 ―――この三人は、本当に仲が良いのか。

 そんな疑問を抱いてしまう場所。
 ここが戦場だと、誰が信じられるだろう?

339 名前:◆TeNZaNA7sk :03/09/04 02:10

ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
D兵器襲撃作戦DC被害報告。

全損
バレリオンV1機
リオンV2機

大破
リオンV2機

中破
リオンV1機
リオン 12機

負傷
テンザン・ナカジマ(臀部 軽度火傷 全治1週間)
特務兵A (肋骨骨折 全治1ヶ月)
特務兵B (左腕骨折 全治1ヶ月)

以上、以外の者は全て軽傷。

戦闘経歴

>320>321>322>323>324>325>326>327>328>329
>330>331>332>333>334>335>336>337


340 名前:◆TeNZaNA7sk :03/09/04 02:11

メモリーデータ破損につき、再度報告。
ケーン・ワカバvsテンザン・ナカジマ『襲撃!Dチーム!!』
D兵器襲撃作戦DC被害報告。

全損
バレリオンV1機
リオンV2機

大破
リオンV2機

中破
リオンV1機
リオン 12機

負傷
テンザン・ナカジマ(臀部 軽度火傷 全治1週間)
特務兵A (肋骨骨折 全治1ヶ月)
特務兵B (左腕骨折 全治1ヶ月)

以上、以外の者は全て軽傷。

戦闘経歴

>320>321>322>323>324>325>326>327>328>329
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341 名前:大十字九郎 ◆NFfR1rOk8k :03/09/21 02:51

 さて、いきなりで悪いがちょっとシミュレータのテストに使わせてもらうぜ。

挑戦者求む!
パイロット:大十字九郎
機体名:ジムスナイパーカスタム

 このトリップで勝負だ!


342 名前:アイビス・ダグラス ◆ExaSf7QMdw :03/09/21 02:53

>>341
パイロット:アイビス・ダグラス
機体名:メタス

当たれ当たれぇ!

343 名前:ピエゾ=バイモルフ ◆ecegNbNqok :03/09/21 02:57

じゃ、僕はこいつでエントリーしてみようかな。

パイロット:ピエゾ=バイモルフ
機体:MS-06R-2 ザクII高機動型
武装:ジャイアントバズ、ザクマシンガン、ヒートホーク

344 名前:クルツ・ウェーバー ◆iq3QjoT1ms :03/09/21 02:57

じゃ、俺も挑戦だ!かかって来い!
パイロット:クルツ・ウェーバー
機体:M6

さぁて・・・うまく当たるかな!?

345 名前:アイビス・ダグラス ◆ExaSf7QMdw :03/09/21 02:58

>>341>>342
すれ違いざまのビームガンが、
ジムの関節部を貫いた。
だが、メタスの方も機関部ギリギリに一撃を食らっていた。

「けっこう、危なかったかも」

(IBIS WIN!)



346 名前:大十字九郎 ◆ytxdessIxY :03/09/21 03:01

>>343
 敗者復活ってことで、今度はこれでどうだ!

パイロット:大十字九郎
機体名:ボール

 このトリップの・・・三番目で勝負!


347 名前:アズラエル ◆DT08VUwMk2 :03/09/21 03:03

>>344
勝負を決める要素は、機体だけではないのだぞ!
パイロット:アズラエル
機体:ゲイツLB

348 名前:ウォン・フェイフォン ◆tmK2hW1jB. :03/09/21 03:04

パイロット:ウォン・フェイフォン
機体名:ゾゴック

…さぁ来い!!

349 名前:クルツ・ウェーバー ◆iq3QjoT1ms :03/09/21 03:04

>>347
なっ・・・・・・!?うおぉぉっ!?
ヤベェ、脱出だっ!!

350 名前:祖父江守 ◆GNVM1aApoA :03/09/21 03:05

>>348 vsゾゴック
天に代わって成敗してくれるわっ!
この雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにも負けず、冬の寒さにも負けず、
女房の冷たい視線にも負けず、娘の氷点下の嫌味にも負けず、
突き出された離婚届にも負けず、どんどん減っていく退職金にも負けず―――――


――――作り上げたこのレイバーでなぁぁぁぁッ!


パイロット:祖父江守
機体:レイバーX(自作)






                   天        誅        ッ        !

351 名前:ピエゾ=バイモルフ ◆ecegNbNqok :03/09/21 03:07

>>343
>>346
ザクはボールのカノン砲弾を流麗な動作で躱しながら一気に肉迫。
そのまま勢いを利用して蹴り飛ばし、粉砕した。
「ハハハ、流石にこの組み合わせは無謀が過ぎたようだね、九郎。
 それじゃ、これで昼飯の話はナシってことで。」

勝者:バイモルフ

352 名前:祖父江守 ◆GNVM1aApoA :03/09/21 03:09

>>350 vsゾゴック t<Gで勝利!
ふは、ふはははははははは!
思い知ったか、我が積年の恨みを――――――ッ!

天運は我にありッ!
運命はこの祖父江守に味方しておるのだ、ぐははははは――――ッ!

353 名前:アズラエル ◆Z3azraelx2 :03/09/21 03:10

>>349
(ローラーダッシュ機構を止める)
まだ、未熟!


354 名前:クルツ・ウェーバー ◆dDNcQpkliQ :03/09/21 03:10

よっしゃ、こっちの機体で再挑戦っ!
さぁ、どッからでもかかってきやがれ!(え

パイロット:クルツ・ウェーバー
機体名:R−1

355 名前:ウォン・フェイフォン ◆tmK2hW1jB. :03/09/21 03:11

>>350
よくわからないが大爆発。

機体、バラバラ。
俺、真っ黒焦げ。
ああ、空が青いなぁ……

356 名前:フロスティ・フェイ ◆yvlkpQg6mA :03/09/21 03:14

では、相手をさせてもらう。
……勝負!

パイロット:フロスティ・フェイ
機体名:シャア専用アッガイ

357 名前:クルツ・ウェーバー ◆dDNcQpkliQ :03/09/21 03:17

「遅ぇっ!俺の狙いから、逃げられるものかっ!!


  ブ  ー  ス  テ  ッ  ド  ・  ラ  イ  ホ  ォ ! !」

発射されたブーステッドライフルの光条が、アッガイの制御系を貫き、沈黙させる。

「・・・命中。百年早いんだよ!」

358 名前:フロスティ・フェイ:03/09/21 03:18

>>354、>>356
くっ。所詮、黒歴史か。
……脱出する!

(あぼーん)

359 名前:企業戦士セガバンダイ:03/09/21 03:22

セガは倒れたままなのか――――!?

否!

セガに救世主があらわれたゾ!!

その名もバンダイ!

企業戦士セガバンダイの参上だッ!



                  合        体        !



                         __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   '
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................      .      ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙



――――――――――――――失敗……





<企業戦士セガバンダイ 完>

360 名前:名無し客:03/09/24 15:59

玉葱chのキャラネタ&なりきり板にも来てね。
2chと違って細かい規制も無いし、IPも取ってないよ。
もちろんかちゅ〜しゃ等の2chブラウザにも対応してるよ。

ttp://gungnir.versus.jp/charaneta/

361 名前:ゼンガー・ゾンボルト ◆gSANGERfZk :03/10/15 23:24

各員、このスレッドでの戦闘ならびに使用を中止し、直ちに以下のスレッドへ移動せよ。

『鋼鉄戦記』ロボット闘争・イベントスレッド
http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi?bbs=ikkoku&key=1066227747

362 名前:書けませんよ。。。:停止

真・スレッドストッパー。。。( ̄ー ̄)ニヤリッ

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