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バー”ILLUSION”

1 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 13:02

いらっしゃい。

ここは私が経営するバー”ILLUSION”。
いろんな闘いに疲れた挌闘家の憩いの場、といったところだね。

乱闘騒ぎ以外なら、どんな客でも歓迎するよ。
ワンポイントでも雑談しにでも、気軽に立ち寄ってもらうと嬉しいね。
ただし、飲み代はちゃんと払ってもらうよ。

それじゃ、ゆっくりしていっておくれ。

2 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 13:27

…さて、誰がくるのか。
楽しみだね。

3 名前： 名無し客 ：2002/02/22(金) 14:01

メニューを。

4 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 14:34

>>3
悪いねぇ、これから出掛けるところなのさ。

…ふぅん、アンタに店番を任せてみようか。
メニューなら店の奥にあるから、適当に頼むよ。

5 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 21:26

さて、開店休業しておこうか。

6 名前： トキ課長（6VqeIz0.） ：2002/02/22(金) 21:29

ふむ、今どき「龍虎の拳」スレッドか。古いな。

7 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 21:32

>>6
鳥風情じゃ、龍虎とカプエスの違いも判らないようだね。
ま、ＳＮＫがない今じゃあ、それも仕方がないことかもね。

注文は？

8 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 21:40

今日はわたしのおごりだ。

飲みたくないかも知れないけど、たくさんあまってるから好きなだけ飲みな。
ttp://www.seri.sakura.ne.jp/~tange/jarle/doku/doku/gaki.jpg

9 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 21:48

こんばんは、な、の。
ブラッディマリー頂戴、な。
本当、は、生き血の方が、お好みだけ、ど、我慢、なの。

10 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 21:52

…いらっしゃい。
はい、ブラッディマリー。

しかし、アンタも人間じゃないようだね。
わたしとしたことが、店を建てる場所を間違えたかな…

11 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 21:55

>>10
とりさんが、おいしそう…
がき水は、何味？

12 名前： トキ課長（6VqeIz0.） ：2002/02/22(金) 21:57

>>7
何？　カプエスだと！？
と、いうことは負けても服が破れんし、氷柱割りもビール瓶斬りもないということか。
　
……とりあえず、泡盛をロックで。くわ。

13 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 22:00

>>12
とりさんが食べるのは、どじょうだ、け？
蛇は、いか、が？

14 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 22:01

>>8
バーテンさんは、どこの王様な、の？

15 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:02

>>11
さてね。あまりモノだから、味の保証はできないよ。
鳥あたりにはちょうどいいんじゃないのかい。
くちばしの長さで味がわからなくなる、とかさ。
　
>>12
古い話はやめてほしいねえ。
それに、超必殺技伝授が抜けてるじゃないか。

泡盛？　ま、アンタも客だから、ホラ、ここにおいとくよ。

16 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:04

>>14
…この名前は通称だ。
ちょっとワケありなんでね。

17 名前： トキ課長（6VqeIz0.） ：2002/02/22(金) 22:06

>>10
キサマは知らんのだろうが、この板は僕を含め計３名の自作自演で成り立ってる板なのだ。
下手をすると、建築物が来るかもしれんぞ。
　
>>11
僕を食うなっ！
ってなんだ、（>>13）僕に食われたいのか？
よくわからんヤツだな、くわわ。

18 名前： 名無し客 ：2002/02/22(金) 22:06

突然の乱入失礼します。
ここって、２ｃｈのバーとは関係有りですか？
あれ、今は名前変わってたっけ…

19 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 22:07

>>16
　お尋ね者、で、苦労してるの、ね。
　す、て、き、だけど齧ると固そうな、の。

20 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:09

>>17
…建築物ねえ。
ビル・クリントンでもくるのかい？

まあ、そのうちにわたしの知ってる面子もくるだろうさ。
それまでは細々とやっていくよ。

21 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 22:10

>>17
　う、ふ、ふ…
　お互い食べ合うの、も、す、て、き…
　
>>18
　こんばん、は。
　蛇おねえさんは、お好、き？

22 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:11

>>18
ようやくお目当てのお客がきたようだね。
向こうにあった店とは別ものさ。

ほら、客層も明らかに違う。

元々、バー”イリュージョン”はわたしの店だからね。
ま、ゆっくりしていきなよ。

23 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 22:13

>>22
　蛇おねえさんは、お邪、魔？

24 名前： 名無し客 ：2002/02/22(金) 22:15

>>21
幾ら綺麗なお姉さんでも食べられるのは嫌いです（；´Д｀）
　
>>22
あ、そうだったのですか。
お目当て…でもキャラハンはできないっすよ（汗
格闘技だったら…ちょっと奇抜でもいいのかな、と言って見るテスト。

25 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 22:18

>>24
　ぎゅっと抱きしめられ、て、生きるか死ぬかのところ、が、気持ちいいの、よ。
　格闘技もそうじゃなく、て？

26 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:19

>>23
ここは、できれば挌闘家達の集まる場所にしたい。
他の一般人が入りづらくなるからさ。
すまないね。

今度は名無し客で来ておくれ。

27 名前： ラミアクィーン ：2002/02/22(金) 22:20

>>26
　はぁ、い。
　じゃ、また、ね。

28 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:21

>>24
ああ、構わないよ。
マーシャルアーツでもジークンドーの使い手でも
好きにするがいいさ。

29 名前： トキ課長（6VqeIz0.） ：2002/02/22(金) 22:25

ふむ、泡盛も飲んだことだし、帰るとするか。
　
>>26
ならば次は、佐渡島流カラリパヤット
を身に付けてから来るとしよう。くわ。

30 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:27

>>27
>>29
すまないね、お二人さん。
今度は喫茶店にでも差しいれさせてもらうよ。

31 名前： 名無し客 ：2002/02/22(金) 22:28

>>28
ちょっと邪どうすぎるかなーと思うからやめておくよ（；´Д｀）
漫画が原作でゲームになってるやつで行こうと思ったから…

所で、キングさんの出身ゲームは何ですか？
物知らずでごめんなさい…

32 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:31

>>31
とりあえず注文を聞こうか。
　
わたしは、龍虎の拳１，２の出身だよ。
今じゃカプコンVSＳＮＫのほうが有名のようだけどさ。

33 名前： 名無し客 ：2002/02/22(金) 22:32

>>32
　>>8のやつ、うちにも一つあるんですけど処分困るな、あれ（ｗ

注文、じゃぁレモンティーを下さい。

34 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/22(金) 22:35

>>33
レモンティー、お待ちどうさま。

っと、ちょっとばかり急用ができてしまったようだね。
小一時間ほど店を空けるから、好きに飲んでておくれ。

35 名前： 名無し客 ：2002/02/22(金) 22:55

>>34
ごちになりました！
行ってらっしゃいませ～！

所で、宣伝してはどうかな、なんて思ってみました。

36 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/23(土) 00:00

>>35
ま、ボチボチとね。
口コミで広がっていく程度がいいんだよ。

37 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/02/25(月) 00:49

うりゃ！ラルフ様の参上だ！

>キング
この前は俺んとこに来てくれてありがとよ、
早速だが、注文するぜ！
とりあえず生ビールを大ジョッキで頼むぜッ！！

38 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/25(月) 12:39

＞ラルフ
すまないね、バウンサーの集まりがあったのさ。
…今ごろジョッキを出しても仕方がないけど、出しておくよ。

あとでちゃんと支払いはしてもらうからね。

39 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/25(月) 14:21

ちょっと閉店するよ。また夜にでも開ける。
そうそう、店がしまっていても、勝手に飲んでてもらってかまわないよ。　

話題を振っておくか。
実は、ＫＯＦというか挌闘ゲームスレ専用の板の
設立を考えているのさ。

”闘いの場”が増える分には、みな大歓迎だと思うんだけどね。

40 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/25(月) 22:25

ひっそりと開店。

41 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/26(火) 01:04

うーん…、ヒマだね。

42 名前： 名無し客 ：2002/02/26(火) 09:23

ひっそりと開店しているからだと（ｗ

43 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/26(火) 09:37

飲みすぎて二日酔いだよ…

44 名前： 名無し客 ：2002/02/26(火) 10:14

>>43
昨日ずっと一人で飲んでたのですか？（ｗ

45 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/26(火) 11:31

…店の経営に頭を捻ってたのさ。

何か飲むかい？

46 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/26(火) 12:36

チッ、逃がしたか。

47 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/28(木) 18:36

>>39
格闘キャラ板を作ろうと思うのは、こんな理由だね。

キャラネタ板ではこれ以上単独質スレが立てられない
そもそも荒れ気味
総合スレでは、自キャラの活動が制限される
質問がネタ切れ→「格闘家への一般的な質問」スレで対応

48 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/28(木) 18:39

一応、その板は確保してあるんだよ。
http://jbbs.shitaraba.com/game/586/

49 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/02/28(木) 18:40

現状の総合スレに総合スレとしての役割を
持たせるなら、スレッドの>>2に何らかの
説明書きや、キャラネタ板にある格闘家達のリンク集
あたりも用意するほうがいいかも知れないね。

50 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/02(土) 23:45

キング、いるか？
ストレス溜まっちまって、飲まずにゃいられんぜ…。
なんか一杯飲みたいぜ。

51 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/02(土) 23:48

>>50
ああ、タイミングよくいたさ。
ビールでいいかい？

52 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/02(土) 23:49

今日＠｀久しぶりにアクセスしたのさ。

相変わらずＫＯＦ系は荒れ気味のようだね。

53 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/02(土) 23:51

>51
おう、たのむぜ！
大ジョッキでなッ！

54 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/02(土) 23:52

ほら、お待たせ。
ttp://www.otama.co.jp/stuben/Bigbeer.jpg

55 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/02(土) 23:54

>51
そうだな・・・。
レスが少なくて伸び悩んでいたんだが、
他の奴らんとこもそんなに多くなかったぜ・・・

56 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/02(土) 23:56

まあそうだろうね。

格闘家に質問するほうは、しょせんは素人。
そんなに質問を思い付くものじゃないだろう。

わたしもそろそろ総合のほうにレスしなくちゃいけないが、
やる気がなくなるレスがついててね…

57 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/02(土) 23:59

>54
おう、うまそうだなッ！
(ガブ、ガブ・・・・)
ッカー、うめぇぜッ！！！

58 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/03(日) 00:05

相変わらずいい飲みっぷりだね、フフ。

ああ＠｀そう言えばラルフに言っておくことがあったんだ。

59 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/03(日) 00:06

ほら、ここさ。

http://salad.2ch.net/charaneta/kako/996/996475283.html

60 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/03(日) 00:08

ふぅ・・・・・(酔いが回ってきた)

ここで格闘キャラ総合スレっていう案は、いいと思うぜ。
KOF以外の奴でも入れるってことだよな？

61 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/03(日) 00:12

ラルフ、随分と弱くなったねえ。
たかが一杯程度で終わりじゃ、こっちの商売上がったりだよ。
もちろん、もう一杯いくんだろ？

で、格ゲーキャラなら誰でも歓迎さ。
サムライの連中だろうが、魔族だろうがね。

問題は、わたし達よりも、観客が集まるかどうかだね。
今あそこを知ってるのは、わたしとアンタくらいだしさ。

62 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/03(日) 00:15

>59
強者だな、こいつ…
いきなりキャラ変えちまうし…

63 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/03(日) 00:17

>>62
あまり大きな声じゃ言えないんだけど、
実はここの管理人がやってたんだよ。

64 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/03(日) 00:21

>61
すまねぇ、今日はそろそろ帰るわ。
今度は今日の分までいつもの調子に戻ってバリバリ飲むぜッ！

そうだな、キャラ板やアケ板の格闘家や格闘家志望の奴らに
知ってもらうのが重要だよな。
とりあえず、地道にPRしていくか。

じゃあなッ！

65 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/03(日) 00:22

>63
そうかい…っつーことは、ここの管理人ってキングか？

66 名前： ラルフ・ジョーンズ（RALF5pUs） ：2002/03/03(日) 00:29

文章が変になっちまった。
管理人＝キング＝ラルフってことか？管理人は全く別の奴ってことか？

67 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/03(日) 00:31

>>65
また寄りな。地道に宣伝して、
アンタらしいレスを返していけばそのうち繁盛するさ。

あ、ここの管理人とは、ちょっとした腐れ縁さ。
新掲示板のアドバイスをもらったもんでね。

68 名前： 名無し客 ：2002/03/03(日) 02:00

ここのバーのおすすめメニューをお願いします。
何か名物はありますか？
　
ところで、こちらのバーは、ここの掲示板とこっそり繋がっている
「全ファミ。」のバーと同じ名前てのですが、何か関係あるのですか？
向こうのバーではキングさんのお名前はお見かけしませんが。

69 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/03(日) 02:04

>>68
いらっしゃい。
オススメの前に、ビールでも飲みな。

向こうとは、無関係だよ。

70 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/07(木) 15:18

ほんと、客がいないねぇ…。

71 名前： 名無し客 ：2002/03/07(木) 15:39

何事も地道＆宣伝が肝心！

72 名前： 山田十兵衛 ：2002/03/09(土) 02:41

たのもー！
…おや、キングの店かい。日本酒なんて置いてないだろうな？
うーむ、こんな洒落た店は、わしはちと居心地悪いぞー。
日本人の為に、座敷も作っておいてくれな！ぢゃっ。

73 名前： アンディ・ボガード ：2002/03/10(日) 02:24

こんばんは！キングさん。
打ち合わせスレの方でもお世話になっています。
おっと、ＢＡＲで持ち出す話題では無いですね。失礼（汗

ともあれ、遅くなりましたが挨拶を。
ゆっくりと飲みたい時に、また訪れさせてもらいます。
その時は、よろしく！

74 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/10(日) 16:33

>>71
いいんだよ、この店はひっそりと運営していくというのが
ウリなんだから。そうでないと、わたしが愚痴れないだろう？

75 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/10(日) 16:37

>>72
ん、餓狼のセンベエじいさんかい。
日本酒くらいはおいてあるよ。
なにせ>>8がおいてあるくらいだからね。
　　
座敷ねえ…。正座とか禅とかするところだろう？
足がしびれそうだからカンベンさせてもらうよ。

76 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/10(日) 16:55

>>73
アンディ、よく来たね。
　
向こうの話題も構わないよ。
むろん、アンタの愚痴でもＯＫさ、フフフ。

77 名前： ガロン ：2002/03/12(火) 16:24

格闘家専門バーか。いい感じだな、魔族でもサムライでもＯＫな所が。
悪いが、エールもらえねぇか？俺はイングランド出身だから。
愚痴じゃねえんだが、俺達の存在をカプコンはどうするんだろう？
セイヴァーで、まだ引っ張る雰囲気だったのによー！

じゃあ、また来るゼ。

78 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/12(火) 17:13

>>77
あら、珍しい客人だね、いらっしゃい。
ちょっと炭酸がキツめのエールだ。
ttp://www.okinawa-joho.net/joho/web/tokusyu/200108/img/sweet-w10.jpg
　
ああ、ここは誰でも歓迎だよ。魔族だろうがサムライだろうが、
ＧＧＸだろうが、ＶＧの連中だろうが金さえ落としてくれればね。
　
アンタなら体毛で済みそうだけど、ザベルは勘弁してほしいねえ。
あとあと掃除が大変そうだからね。

79 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/12(火) 17:23

魔族の連中は、アナカリスやモリガンみたいな
「特殊」あるいは「人型で人気あり」くらいしか
生き残れないのかもね。

80 名前： アンディ・ボガード ：2002/03/13(水) 03:35

キングさんこんばんは！
いきなり無粋な話しで申し訳無いですが、総合スレの
テンプレ案…というか、１の草案を例の場所に書きこんでおきました。
意見、修正案などありましたら、よろしくお願いします。

>２以降に関しては…ちょっとまとめる事が出来なかったので
よろしければある程度纏めた物を書きこんでもらえると助かります。
お願いばかりで申し訳ありませんが、よろしく。

81 名前： アンディ・ボガード ：2002/03/13(水) 03:42

しかし、ここの客層は広いですね…
十兵衛さんなら和室で飲みたいというのも、さもありなんと言った所ですが（笑
まあ、雰囲気を考えるならば今のままで良いのでしょうね。
…ギースのような怪しげな日本観が紛れ込んでも嫌ですし（汗

…僕にも日本酒を頂けますか？
久々に十兵衛さんとお師匠さまの話しをして来たいですからね。

82 名前： ピーチ（6peAchCU） ：2002/03/19(火) 02:41

ほーほほほ、しけた店ですこと。
主人がいない店など笑い話にもなりませんわよ。
　
キングさん、ピーチフィズをもらえるかしら。

83 名前： ガロン ：2002/03/19(火) 13:02

よう、また来たぜ！満月の夜以外は毛の心配はいらないぞ。
ああ注文だ。ビーフィーターでジンライムを作ってくれないか？
で、ピーチってだれだ？まさか…パラソル持ったお姫さんか？
まあ、格闘家の交流の場だからな…どこから来てもおかしくはないな。
じゃあな、また来るぜ。

84 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/20(水) 10:23

さてと、久しぶりに店にでも顔を出しておくとするか。

85 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/20(水) 18:26

>>80-81
久しぶりだねアンディ。
山田のじいさん達と飲み明かすなら『鬼殺し』でキマリだよ。
ttp://www.ny-takashimaya.com/images/NS3100_2.jpg
　　
鬼殺しは決まりにくい絞め技だっただけに、減りがすさまじかったねえ。

86 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/20(水) 18:45

>>82
…これは珍しい客だね。
ほら、ピーチフィズだよ。
ttp://www.ringo.sakura.ne.jp/~keiichi/cocktail/peachfiz.htm

お姫さんのビンタとかピーチボンバーあたりは、
ユリ・サカザキを連想させるねえ。
二人の対決は、一部の好事家には「夢の対決」になるのかもね。
　
まあゆっくりしていくといいさ。

87 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/20(水) 18:46

>>83
やあガロン、満月のときは避けてきておくれよ。
　
ビーフィーターか…、イギリスうまれのアンタらしいね。
ttp://www.inter-de.com/gif/ginr.gif

ところで、↓にちょっとしたスレがあるから、もしアンタが
アンタらしくありたいと思うなら、参加してみるのもいいかもね。
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=116&KEY=1016019755

88 名前： ガロン ：2002/03/22(金) 17:05

よう。今回は気分を変えて、ブルームーンもらおうか。
ちゃんと三日月もいれてくれよ。

総合スレの方を書き込んだが、あんなのでいいのか？
技のあたり…プレイヤーのやってること書いただけなんだがな。
じゃあな、また来るぜ。

89 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/03/27(水) 13:08

>>88
と、久しぶりだね。
　
「プレイヤーの」ってのは余計だったね。
ここじゃアンタはガロンなんだから。
　
…ガロンって聞くと、石油を連想するんだよ。
日本語だと「樽」だったかな、でも、機動力をウリにする
アンタのイメージとはあわないね。
その名前の由来は知りたいところだね。
　
ほら、ブルームーン。
ttp://www.foods.co.jp/bar/recipe/01_02/img/moon_img.jpg
　
ドライジンをキツめにしておいたよ。
ま、あのスレの答に対する、わたしの気持ちさ。
少し「辛口」だけど、期待の裏返しだと思ってほしいね。

90 名前： 藤堂香澄 ：2002/03/31(日) 16:11

こんにちは。御免なさい、来るのが
遅くなってしまいました。
いいお店ですね……って、キングさんは
お留守みたいですね。ジャンくん１人で
お店番？　それじゃあ…クリームソーダを一つ。
お財布はちゃんとありますから…。

（しばらく、ストローを動かしながら考え事をしている）
どうしようかな……。
……。

（飲み終わり、勘定を済ませ）ご馳走様でした。
ジャン君、キングさんによろしくね。
また……来ますね。

91 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/04/01(月) 13:29

さてと。

92 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/04/01(月) 13:37

>>90
おや、香澄じゃないか。よく来てくれたね。
今日は食い逃げしてくれなくて助かったよ、ふふふ。

…ジャンはいま青い石とやらに夢中でね。
昨日はたまたま帰ってきてたようだけど、
わたしとマリーでコンビを組ませたいとか何とか
ワケのわからないことを言って困りものなんだよ。
（いいねえ、4月1日ってのはさ）

で、何か話したいことがあったのかい？
お金のこと以外なら、いくらでも聞いてあげるよ。

それじゃ、またおいで。

93 名前： ガロン ：2002/04/01(月) 15:41

>>89
ありがとよ。そうか、余計だったよな。

キング、ここで仲間探すのはいいのかい？ＳＮＫの奴も知らないわけじゃないが、
できれば少しは気心の知れたやつにも来て欲しいぜ。
じゃあな、また来るぜ。

94 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/04/01(月) 16:38

>>93
わたしはもちろん構わないよ。宣伝なり常駐なり、好きにするがいいよ。
あとはそうだね、↓で募集してみるのもイイかもしれないね。
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1011088546/l50
　
↓はアンタのお仲間だね。顔でも出してみたらどうだい？
　　
ラブリンハンター・バレッタとお話しよっｖ☆その２
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1009295570/l50
　
リリスですｖ
http://salad.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1009326107/l50

95 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/06/04(火) 23:33

ふぅ、なんだかあっちのスレッドには顔を出しづらいねえ。

96 名前： 名無し客 ：2002/09/25(水) 22:05

日本の酒は置いてある？

97 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/09/25(水) 23:20

>>96
三ヶ月ぶりのお客さんだね。よくつぶれてなかったもんだよ・・・ハハ。

日本酒かい？　あるよ。


たしかこのあたりに・・・

あ、これこれ、アンディが置いてった「美少年」。
格闘好きには、この意味は判ってほしいもんだねえ。

お題は、>>100に来るお客さんのツケでいいよ。

98 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/09/25(水) 23:23

なんだい、お題ってのは・・・。
お代のことさね。

おっと、わたしが払うことになってしまいそうだよ。
それじゃ、あとは自由に飲ってっておくれ。フフ。

99 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/09/26(木) 10:35

ふぅ、ようやくトリップが出てきたねえ。

100 名前： レオナ（rZxMunls） ：2002/10/10(木) 21:27

どうも、こんばんは…
えっと、お使い頼まれてた飲み物です…

カルピスの原液に氷冷-4℃…
割るなり飲むなりお好きにどうぞ…

それでは…

101 名前： 96 ：2002/10/12(土) 02:38

>100
「美少年」のお代おながいします。

102 名前： レオナ（rZxMunls） ：2002/10/14(月) 22:56

>101
嫌です…
際し入れした上にお題なんて払えません…

103 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/15(火) 12:10

ふぅ、ちょっとはお客さんがきてくれるようになったねえ。
ただ、全然お金を落としていかないのが悩みの種だね…。

104 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/15(火) 12:13

今更、カプエス総合スレに顔を出すのも気が引けるね。
それにさ、ちょっと前には、若い私がいたんだよ！　龍虎２時代のさ。
レスなんかもハリがあって、あーヤダヤダ。

105 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/15(火) 12:14

文句ないだろ、昼間っから飲んでたってさ…

106 名前： 二階堂　紅丸 ：2002/10/16(水) 07:09

キミには似合わない酒だな・・・・
ちょっと意外な面が見れてよかったけど、なんて。

107 名前： 名無し客 ：2002/10/16(水) 13:14

なんか、ここのキングってシケてるよね。
もちっと元気にしたら？

108 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/16(水) 20:26

カプエス総合スレの私は旅に出たようだね。
若い自分を見るのは、気恥ずかしい感覚があったねえ。
男装の麗人、なんてチヤホヤされてたあの頃を思い出してさ。

もしここを見ているなら、一度くらいは顔を出してほしいもんだよ。

109 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/16(水) 20:31

>>102
…レオナ、その誤字は今の戦場での流行りかい？

ま、今回は私が立て替えといてあげるよ。
今度からはちゃんと下調べしてから来るんだよ。
いつ何時、どんな罠が張られているか判らないんだからね。

罠を仕掛けたのは私ということを差し置いてもね。

110 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/16(水) 20:33

>>106
ハン、たまには私だって飲みたい気分になるのさ。
毎日毎日戦闘モードでなんていられやしないよ。
それに、今の私は、格闘界からは半引退状態だからね。

111 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/16(水) 20:45

>>107
しゃきっとねえ。私もそうしたいさ。
自分の借りてた掲示板のパスワードを思い出せたらね。

112 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/16(水) 20:55

とりあえず店は開けておくから、勝手に飲んでてもらってかまわないよ。
そうそう、差し入れや美味しいネタはいつだって歓迎だからね。
それじゃ、適当にやっていっておくれ。

113 名前： キング（龍虎シリーズ） ：2002/10/17(木) 11:50

>108
おや、まさか呼ばれるとは思ってなかったよ。
フフッ、最初の頃からずっと見てたよ。
私があっちで引退宣言したのもあんたが戻りたがってたから、
なんて言ったら恩着せがましいかな？

こんな事を自分で言うのも野暮な話だが
私はあんたの若い頃ってのとはちょっと違ってね
まあ、KOFを正史と認められない懐古主義者ってところかね。

あんたの手前、打ち合わせ掲示板にも顔出しゃしなかったけど
呼ばれりゃいつでも出て来るから何かあったら声かけておくれよ。
おかしな話しかも知れないけどさ、私はあんたのこと好きだよ。
もっとじっくり話してみたいんだが、どう言って誘えばいいのか悩むね。（笑）

114 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/17(木) 12:44

>>113
若いとはいえ自分のことだからね、旅立ちの理由は何となく見当ついていたよ。
ただ、若い頃の私は、そんなに物分かりがよくなかったけどね。フフ。
完全な男社会に生きる女として、もっと我を通しつづけたものさ。

だいたい、私が悩んでいるのだって、集客用のポーズだよ。
証拠が>>113にあるだろう？(笑）

115 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/17(木) 12:56

私が店を出したのはね、一瞬でも知り合えた連中が、気楽に顔を出せる
場所を作りたかったからなんだよ。

思い出話を話すのもいいし、闘いについて話すのもやぶさかじゃない。
そう、交流の場とでもいうかも知れないね。
もちろん、生活資金を稼ぐための糧でもあるんだけどさ。

だから、ちょっと前にゴタゴタがあっていなくなったらしいアンディとか、
私に相談事があった香澄なんかもね、ちょっとでもいいから顔を出してくれれば嬉しいのさ。

116 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/17(木) 13:08

>>113
私達の業界（っていうの何だけどさ）は、“自分”との闘いだって日常茶飯事だよ。
だから、私達がここで話してたって、何一つおかしくないと思うねえ。
ま、どうしても気になるんだったら、鏡に向かって話してるとか、
自問自答の修行でもしてるつもりになることだね、フフ。

私はいつだって歓迎だよ。いつでも飲みに来ておくれ。
古きよき時代の話、楽しそうじゃないか。いくらでも相手になるよ。

そうそう、最後に言っておくと、私は向こうのスレッドに顔をだすつもりはないよ。
店が潰れない程度に、たまにくるお客の相手をしたり、愚痴ったりしてれば満足なのさ。
だから、あんたも充電したらさ、とっとと戻ってあげるんだよ（笑）

117 名前： キング（龍虎シリーズ） ：2002/10/17(木) 14:54

>1114-116
あんた結構饒舌なんだね。ちょっと意外だったな。
ま、あんたの考えはわかったけど
まだちょっと私を誤解しているようだから補足させてもらうよ。
厳密に言えば私は1957年生まれで今年45歳だ。
あんたは今年もきっと24歳のままだね。
私はその矛盾に目をつぶるなんて器用な真似は出来ない性分でね。
それが若さゆえとあんたは言うのだろうけど、私は違うと思うね。
その矛盾をどうにかしようってのがそもそも矛盾してるんだから
馬鹿らしいったらないんだけどさ。

少なくとも私はあんたとは別人だと思ってるよ。
今となっちゃ私よりあんたの方が馴染みもあって通りがいいだろうしね。

私もあのスレにゃ当分戻るつもりはないよ。
絶対戻らないとは言い切れないが…
他の場所でのんびりやってるさ。たまにはここに飲みに来るのもいい。
あそこはなんだか時間の流れが早すぎてねぇ。
……っと、年寄り臭い事言っちまったな。失礼。

118 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/17(木) 15:26

接客業をやっている以上、しゃべりの一つくらいはできないとね。
時代背景の話はさ、お互いの考えが判ったからね、
もうこれ以上は言わないでおくよ。

とりあえず、若い頃の当て身技なしギースは強かった、とでも言っておこうか。

それじゃ、またのご来店を待ってるよ。

119 名前： キング@鉄拳 ：2002/10/19(土) 10:54

ウォッカをロックでもらおうか。
ん？いや心配はいらん。マスクのままでも飲めるようにできてるんだ。

120 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/19(土) 11:34

ふぁぁ、どうも寝たりないね。
テレビと電気をつけっぱなしじゃ、仕方ないか。

>>119
…いらっしゃい。ウチはキング専門バーじゃないんだけどねえ。
ま、いいよ。昼間っからウォッカね。
ttp://www.ne.jp/asahi/sgmori/mitarashiya/cherish2.jpg

あんまり鉄拳にはくわしくないんだけどさ、
アリキックの神父さんだったけね。

121 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/19(土) 12:04

３Ｄ系格闘は、どうにも二択攻撃が苦手でね。
あと、ホラ、追い討ちとかってあるじゃないか。
あれは私の流儀に反するのさ。

「倒れた相手には攻撃しない」のがムエタイだからね。

122 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/19(土) 12:07

いっそのことキング専門バーにでも衣替えしようか。フフン

123 名前： ピーチ（6peAchCU） ：2002/10/19(土) 12:42

おほほ、キングじゃないけどよろしいかしら。
ピーチフィズを戴けますこと？

124 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/20(日) 01:44

>>123
悪いね、今日は貸切になりそうだ。
また来ておくれよ。

125 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/20(日) 02:01

一筋縄でいかない親子なのは、知っているけどね。

126 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/20(日) 02:24

しょうがない、一人で飲むとするかねぇ。

127 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/20(日) 03:05

…ちっとも美味しくないね。高い酒なのにさ。

128 名前： ビリー・カーン ：2002/10/21(月) 23:08

邪魔するぜ。
ヘェ、結構イイ店じゃねェか。うらぶれててよ…ﾋｯﾋｯ…
気ィ悪くしねェでくれよ。俺は流行ってて小洒落た店なんかじゃ居心地が悪いんでね。
マジでホメてるんだぜ。

俺はどうもこの辺疎くてしょうがねェんだが、たまたまオロチのアマッ子のトコを
見っけてな。アンタが呼び込みしてたんで、ちっと出向かせて貰ったぜ。
それとも、こんなガラの悪ィ客じゃイヤかい？
俺だって、カウンターに足乗っけて、足の指を掃除したりしない程度のお行儀は
心得てるつもりだがなァ…ﾋｯﾋｯﾋ…というか、ブーツ脱ぐの面倒なだけか知れねェけどな。

良けりゃ、何でもイイからバーボンくれ。ストレートで。

129 名前： ビリー・カーン ：2002/10/21(月) 23:20

そうだ、マスター、伝言頼めるかい？　もう１人のアンタにだ。

>キング（龍虎２）
ｷﾋﾋﾋ…アンタ、ひでェ女だぜ。さっさと行っちまうなんてよ。
アンタが居なくなったおかげで、サウスタウン出身はとうとう俺１人になっちまった。
他にその辺から出てくるヤツはあまり望めねェし、この俺だってちったァ人恋しいってモンだぜ。
世の中そう懐古趣味のヤツはいないらしくって、アンタが好きだって言ってた
あの四角くてデカくて黒いブツの場所もなくなっちまったしな。
もちろん、俺ァ今の他のメンツも気に入っちゃあいるし、不満はねェよ。
最近ちょっとスケジュールがキツめだが、楽しんでやらして貰ってるしな。
だが、アンタも、その気が出て来たらまた戻ってくるがいいさ。

130 名前： ビリー・カーン ：2002/10/21(月) 23:33

じゃあな、マスター、俺はそろそろ帰るとするぜ。
…本当なら、あまり出歩かねェタチでね。まァ今さらってカンジだが。
そういやァ、アンタとは初めてだったな。最後の挨拶になっちまったが、初めまして、だ。
俺ァ古参さん達とは接点がねェんでな、もしココが「イチゲンサンオコトワリ」だったら
許してくれ。

…あァ、そうそう。藤堂流の小娘は、俺のコトなんか気にしねェのがイイだろうぜ。
ガキ１人にガタガタ言うもんかよ。

邪魔したな。お代はココに置いとくぜ。…コッチはチップだ。アンタの家に居る小っこいのに、
何か買ってやんな。

131 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/22(火) 11:30

おや、珍しいお客が来てるじゃないか。
ちょっと時間がないからね、返事はまたあとにさせてもらうよ。

132 名前： じんぐうじさぶろう(8ﾋﾞｯﾄ)（YASUtlmA） ：2002/10/26(土) 02:01

おれは　あてもなく　まちを　さまよっていた
すると　めのまえに・・・いっけんの　バーがあらわれた
・・・どこからともなく・・・
　
おれは　けいかいしながらも　そのバーのドアをあけた
みせのなまえは・・・「バー　イリュージョン」・・・
イリュージョン・・・そのなのとおり　まるで・・・まぼろしのような・・・
　
・・・おれの　じむしょのちかくに　こんなしゃれたバーが　あるとは
しらなかった・・・
てんないには　うるわしい　スレンダーのマスターが　ひとり・・・
・・・おんな・・・だ・・・
　
おれは　いつものクセで　マスターをかんさつした・・・
ひとめで　なにかの　かくとうぎをする　にんげんだと　わかった・・・
カウンタのなかにいても　スキのない　たちまわり・・・
　
「マスター　ここは・・・きんえんのバーかね・・・」
・・・おれの　くちからでた　ことばは・・・こうだった・・・

133 名前： ジャン ：2002/10/30(水) 12:41

このまえうちの姉ちゃんがお代を忘れたんだって。
だから僕が届けにきたよ。
でもこっちのお姉ちゃんも同じだから変な感じ。えへへ。
それで僕の分もお小遣いもらったの。好きなもの頼んでいいんだって。
えーとね…メロンソーダ、ください。

あ、それと「ビリー」ってお兄ちゃんに伝言だよ。
「あんたとはもっと話してみたかったが、立場上そうも行かないだろうね。
　私は私で気楽にやってるから、あんたも元気でな。」
だって。

それじゃあ、ごちそうさまでした。こっちのお姉ちゃんも、またね！

134 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 01:30

からんころん。

135 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 01:35

暫く店を空けてた間に、随分とお客さんがきてるじゃないか。
今日の昼には、多分レスができるはず…。


気がついたんだけどね、この店、ドアがあったんだね。





――――自分の店の構造を今知った屈辱。

136 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 13:12

からんころん。

137 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 13:15

＞ビリー
ウチは誰でも歓迎だよ。かわいい妹さんとでも一緒にくればいいさ。

以前は格闘界関係者だけだったけど、さすがにこうお客さんがこないとね。
…あの鳥でも、呼んでやろうか。

138 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 13:16


ま、質問に答えるのが疲れたら、飲みにでもきておくれよ。


　　　　　ちょっと営業入りすぎかい。フフ

139 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 13:19

おっと、ビリーへのバーボンがまだだったね。
ま、ボトルはキープしておいたから、また飲みにおいでよ。


　　　―――今回、実は飲ませていない、ってのは内緒だよ。

140 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 13:21

＞ジャン

ん、かわいい子じゃないか。ウチんとこの弟に似てるしさ。
メロンソーダくらいおごってあげるよ。
そのかわり、お姉さんにトマトジュースをおごってくれるかい？

これで、おアイコだろ？

141 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/10/31(木) 13:32

>>132
（ふぅん、珍しい客がきたね）

私は、客に悟られないように、客の様子をうかがう。

格闘家…じゃないようだ。ただ、目つきが鋭い。
気を抜いているようでいて、しっかり辺りを観察しているようだ。

一瞬、目があった。視線と視線が、空中で絡み合う。

（フフン、私は、そう簡単に値踏みされるタマじゃないんだよ。
　…値踏み？　とりあえず、タダモノじゃないことは確かだね）


男が口を開いた。
「マスター　ここは…禁煙のバーかね・・・」

私は、なぜか、男に自分のタバコを差し出していた。

142 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/01(金) 03:05

ソンソンだよっ♪　ビリーをツケテいたらここにきたのだっ！

あれっ？　キングだ？　ちょっとマエにそ～ご～にいたキングとはちがうみたいだね～
ウワサにきくショダイさんかなっ？
ぷろふぃ～るスレとかいっつもつかわせてもらってありがたいのだ！
ん？　チューモン？　ショーチューちょ～だい♪ 　イモジョーチュー♪
オダイはビリーにつけといてほし～のだっ♪

143 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 10:03

からんころん。

144 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 10:03

すたすた。

145 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 10:07

きゅ

ジャー。

がらがらがらがら。

146 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 10:13

ぷしゅー

ささっ。

147 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 10:18

がちゃり

ばたん。

とん
　　　とん
　　　　　　とん。

148 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 11:00

ふぅ。

149 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 11:01

>>142
！

150 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 11:01

さらさらさら…

151 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 11:02

ぺたっ。

152 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 11:03



　　…ばたっ


　　　　　　　　　ＺＺｚｚｚｚ...

153 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/01(金) 11:22

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
｜ソンソンへ　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　今日は徹夜だったんだ。　　　　　　｜
｜　　　また明日遊んてあげるよ。　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜
｜　　　　　　　　　　　　　　　　キング　　　　｜
――――――――――――――――――

154 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/03(日) 02:47

あれれ？　キングがばたんきゅ～なのだ。
だいじょ～ぶかな～？
ま、い～や♪ 　じゃあ、かってにのんじゃおっと♪

ｶﾞｻｺﾞｿ ｶﾞｻｺﾞｿ

ぐびぐび～♪ 　ぐびぐび～♪　おいち～のだ～シアワセなのだ～♪

155 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 20:48

がば。

156 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 20:49

…二日も寝てたのかい。

157 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 21:03

>>154
ソンソンおはよう。

なかなか時間帯があわないんだけどね、
まあ適当に飲んでもらって構わないよ。


…今度は誰につけようかねえ。
悪の帝王か、その息子か、はたまた>>102以来全然こないレオナか…。

158 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 21:09

たまにはあげてみるかねえ。

向こうのサテンばっかり
繁盛してるのは悔しいじゃないか。

159 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 22:08

フフン…
ttp://www.sh.rim.or.jp/~gunji/rise/illust/garo.htm

望んとこにゃあ、こんなイラストはないだろう？

160 名前： 望＠名無しバイト店員 ：2002/11/03(日) 22:23

>>159
あ、かっこいいっ！
いいんだもーん、私は想像上の、生き物じゃない存在ですから（ｗ

って我ながら言ってる意味なぞ～（ｗ

あ、格闘かじゃないけど失礼しちゃってすみませーん♪

161 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 22:32

>>160
ん、構わないよ。今はどんなお客でも歓迎だからね。
ここにもさ、色々と呼びたいのはいるんだけどねえ。
なかなかガードが堅くて、近づいてこないんだよ。

ま、ウチの看板にも原因があったんだけどね。

それはそうと、望一族には絵が上手いの、いるんだろう？
なんかイメージ画でもいいから、描かせてみたらどうだい？

162 名前： 望＠名無しバイト店員 ：2002/11/03(日) 22:40

>>161
望一族…言われると、物凄い一族のようななんか変なというか絶対変です！（ｗ
きっといるんでしょうねぇ。
うーん、どうなんだろ？取りあえず私はお絵かきはした事ないからなぁ～。
美術は設計系だったし♪

そうだっ！
望専用武器とか設計してみるとか！格闘らしく！！
…って、なんか違う気がしますね（ｗ

163 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 22:46

>>162
おっと、注文を聞くのをすっかり忘れてたよ。
この間レオナが持ってきた、氷果のカルピス割りでいいね？

…ウチじゃ、私が勝手に決めるのを『注文』って言ってるのさ。

164 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 22:48

>>162
望専用武器ねえ。そもそも、生き物じゃないんだろう？

ゲテモノ系かイロモノ系か…
そういう格闘家もいることはいるから、まあいいかも知れないね。

165 名前： 望＠名無しバイト店員 ：2002/11/03(日) 22:58

>>163
氷果のカルピス割、美味しそうですね、いっただっきまーすっ♪
たまにはお客もいいですねぇ～（ｗ

>>164
って、ゲテモノって何ですか、ひっどぉ（ｗ
一応生き物じゃなくても乙女なんですからねー（ｗ

166 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:19

おっと、トップスタァのお出ましだよ。

望！　接客ビームを発射するよ！

167 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:24

ちっ。逃がしたかな？

168 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:27

トップスタァを知らない人は少ないと思うけど、↓のが彼女だよ。

帝国華撃団花組、神崎すみれですわ。
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=116&KEY=1026882619

169 名前： 望＠名無しバイト店員 ：2002/11/03(日) 23:33

やっぱりトップスタァなだけあって、一筋縄じゃいきませんねぇ（ｗ

所で接客ビームという響きから、むちゃくちゃ某ギャグ漫画を思い出しちゃいます♪

170 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:36

>>169
おっと、彼女がレスし終わったようだよ。
どうなるかねえ。

171 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/03(日) 23:39

烏龍茶を一杯くださいな。

172 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:42

>>171
いらっしゃい。ちょうど噂をしていたところだよ。

ttp://homepage3.nifty.com/fujibo/TC-B01W81.jpg

ホットのをどうぞ。

173 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:45

それにしても、神崎さんは流れるようなレスで、いつも感心してるんだよ。
あれはさ、けっこう時間がかかっているんだろう？

174 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/03(日) 23:46

まあ、わたくしはトップスタァですし
噂になるのも仕方ないですわ。
わたくしは個人的に越境はしない主義なのですが
今回は特別に来てあげましたの。
存分に感謝してくださいな。

175 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/03(日) 23:49

時間は全くかかっておりませんわ。
わたくしはその場ですぐにレスを作るのですわ。
確かにじっくり悩んでレスを作るのも一つのやり方ですけど
わたくしはその場その場の直感を大事にしているのですわ。

176 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:50

>>174
嬉しいことを言ってくれるね。
そちらにはお邪魔しないけどね、
ウチにはいくらでも寄ってもらえると嬉しいね。

177 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:52

>>175
感性であの文章を書いてるとは、流石は…
っていうところだねえ。感心するよ。

ほら、望、アンタもちゃんと同席して、場を盛り上げるんだよ！

178 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/03(日) 23:55

とまあ呼んだはいいけど、お茶を一杯出すだけじゃ盛りあがらないねえ。
神崎さんはさ、何でもナギナタのほうも随分強いらしいじゃないか。

179 名前： 望＠名無しバイト店員 ：2002/11/03(日) 23:58

他のサイトを回ってたらこんな展開に～
キングさんずるい（ｗ

すみれさんのご活躍は、実は友達が貸してくれたDVDしか知らないのですが、
やっぱりなんだか華やかですよね～
同じ女として羨ましいです！

180 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/03(日) 23:59

わたくしはお酒は強くないのでお茶を頂くだけで十分ですわ。
それに夜にお酒を飲むと太る元ですし。

それからわたくしはダンスも得意なのですが、
薙刀も免許皆伝の腕前なのですわ。
このわたくしの薙刀で沢山の降魔や
変態行為をする無礼者を倒してきたのですわ。
おーっほっほっほっほっほ。

181 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:03

おっと、望、ほら、
向こうにもお客さんが来てるようだよ。

182 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:08

ええ、グリシーヌさんを紹介しておきましたので
少しは盛りあがるんじゃありませんこと？
まあ、グリシーヌさんではわたくしほどの盛り上がりは期待できませんけど、
少しは客引きになると思いますわ。

183 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:09

>>180
柔も剛も極めている、といったところだね。うらやましいねえ。
私なんて、ムエタイくらいしか取り柄がないんだよ。
この店を持つ前なんてね、バウンサー…用心棒なんて商売を
やってたんだ。あんまり誇れる過去でないことは間違いないね。

184 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:12

人にはそれぞれいろんな過去がありますわ。
その過去を踏み越えて今の自分があるのですから
そう卑屈になる事はありませんわ。
大事なのは今を懸命に生きる事、
そして愛する人と共に未来を築くことなのですわ。

185 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:13

あんまり言っちゃいけないとは思うんだけどさ、
いいとこのご令嬢でトップスタァだろう？
正直、とっつきにくいと思ってたんだよ。

案外気さくなところがあったんだねえ。
烏龍茶でよければいくらでも…ってお酒、ホントに飲まないのかい？

186 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:17

まあ、それはよく言われますわね。
でも、体験してみると分かりますけどあまりいいものではありませんわよ。
影で色々と言われているのは分かってましたし、
たった一人の親友とお別れをしてしまいましたわ。
裕福であれば必ず幸せなのかといわれれば
必ずしもそうとは言えないのです。

それからお酒は遠慮しておきますわ。
中尉にご迷惑をかけてしまいますし、
それに夜も遅いので太る元になりますもの。

187 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:18

愛する人か…。そんな人も昔はいたね。
今は、弟のジャンが幸せであれば、それでいいのさ。

ちぇ、なんだか私が湿っぽくなってきたじゃないか。
悪いけど、一杯もらっておくよ。

188 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:21

過去について色々と詮索するのは野暮ですので止めておきますわ。
キングさんもまだお若いのですから、人生はこれからですわ。
弟さんのためにも頑張って生きていくのが一番ですものね。
わたくしに姉妹はおりませんのでそういう面ではキングさんが
羨ましくなってしまいますわ。

189 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:22

…健康管理、体型維持か。
トップスタァってのも大変だね。

私の場合は、朝夕に一時間のトレーニングは欠かさないんだよ。
夜にアルコールを摂るのは、軽い燃料みたいなモノさ。

190 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:24

ええ、トップスタァがぶくぶくと太るなんて
恥ずかしいにも程がありますわ。
ですから、しっかりとした体調管理が必要なのです。
まあ、花組の中には欲望のままに食べ歩くゴリラのような方がおりますの。
カンナさんというのですが、あの方は空手をやっておりますので
キングさんとは格闘技の話で盛りあがるかもしれませんわね。

191 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:34

兄弟…守る者がいる、ってことは幸せだよ。

私もさ、何度も生死の境をさまよう経験をしたけどね、
弟が、守らなければいけない弟がいたから、
生き残ることができたんだろうね。

でも、神崎さんには…、呼びにくいね、すみれ、と呼ばせてもらうよ。
すみれにだって、仲間がたくさんいるんだろう？
血の繋がらない相手でも、仲間がいるってことはいいことだね。

カンナ？　ああ、あの空手使いの女の子か。
そういえば、そっちのスレでたまに見かけてたね。
こっちにでも来てくれれば、なかなか面白いんだろうね。

…あの子がきたらさ、ウチの店に寄るように声をかけておくれよ。

192 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:35

そこのフカフカした動物！
まだいたらおいで。一杯おごってあげるよ。

193 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:36

ええ、皆さんと一緒にいるときは楽しいですし
これからも一緒にいたいですわ。

呼び方についてはまあそちらに任せますわ。
それとカンナさんをお呼びになるときは大量の食料が
必要かもしれませんわね。
何しろ本当によく食べますので。
全く、女性らしさの欠片のない方は困りますわね。

194 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:41

そう言ってもらえると嬉しいね。

こっちも商売でやっているからね、
いくら食べてくれても構わないよ。
お金さえちゃんと払ってもらえればね。

それに、体を動かす人間はね、
たくさん食べなくちゃいけないんだよ。
どうもカンナって子と折り合いが悪いみたいだけど、
ウチにはいいお客さんになりそうだよ。

195 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:45

まあ、お料理を出すお店としては
かなりいいお得意様になるかもしれませんけど・・・・・・、
でもおひつ3つ分のご飯を平気で食べ尽くす方ですし、
普段も3人前だとか6人前のご飯を食べてますから
かなり驚く事になると思いますけど。

196 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 00:50

…ウチは大食い料理専門店じゃないんだよ。
やっぱり、遠慮してもらおうかねえ。

さてと、私はちょっとヤボ用ができたんでね、
今日はこの辺で店をハネさせてもらうよ。

今日は楽しい話をさせてもらって、嬉しかったよ。
また気が向いたら、足を伸ばしておくれよ。
昼間ならさ、お酒もいけるんだろ？　フフ

197 名前： 神崎すみれ（cCSumiRE） ：2002/11/04(月) 00:53

では、わたくしもこの辺で失礼いたしますわ。
わたくしも忙しいのでそんなに暇があるわけではありませんけど
機会が出来たらまた寄る事もあるかもしれませんわね。
なかなか楽しい時間を過ごせましたわ。
それでは、失礼いたしますわ。
お酒は本当に弱いので昼間でも遠慮しておきますわ。
では、これで失礼いたしますわ。

198 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 17:03

からんころん。

199 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 17:05

…あの男は行ってしまったようだね。

神宮寺…、また会えるのかねえ。フフン

200 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 20:53

…人の気配がするね。

201 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 20:58

しゅぼ…

202 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 21:49

…随分とさがったね。

203 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 22:10

飲むかな…

204 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/04(月) 23:17

（ガバッ！！）
ハッ！！　ソンソンもねこんでしまったのだ～！！
あれっ？　ココどこだっけ？　はてはて？

205 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:21

>>204
…ここはウチの店の押し入れだよ。
そんなところで寝てたとは、気がつかなかったねえ。

206 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/04(月) 23:25

あれっ？？　キングだ？
ふむふむっ！　タブン、よっぱらってそのままバタンキューだったのだ！
ビックリしたのだ！

（ぐきゅるる～！）

オナカへったのだ・・・

207 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:28

じゃあ、ソンソンにはもらい物の栗ご飯をあげようか。

ttp://www.cecile.co.jp/sales/bk1/tsuji/image/kenko03-s.gif

ちゃんと噛んで食べるんだよ。
間違っても、レスの2行目くらいで「美味しかったのだ～」とか言うんじゃないよ。

208 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/04(月) 23:35

わ～い♪　アキのミカクっ、ミカクっ♪
おすいものもあるのだ～♪　わ～い♪

もぐ
もぐ
もぐ
もぐ

よくカンダのだ！　おいしかったのだ～♪

209 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:36

まだいるかな？

ねえ、ソンソンはいつからあのスレッドにいるんだい？
私が返事をしてたのは今年の2月くらいだからねえ。
随分前の話だよ。

210 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:36

…4回。

211 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:40

…喜んでもらえたから、まあいいかな。

ソンソンと私は直接同じ大会に出ていなかったね。
最近はその手の格闘大会からお声がかからなくてね、寂しいもんだよ。

212 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:47

…いっそがしい子だね。
またおいで。

213 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/04(月) 23:47

えっとね～、マエのすれっどの２００くらいかなっ？
だからハチガツくらいだねっ♪
アンディとイレチガイくらいだったのだ。

214 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/04(月) 23:50

>212
ちょっとオトイレいってたのだ～。
まだいるのだっ♪

>211
ソンソンもまぶかぷ２いらいデバンがないのだ・・・
とほほなのだ・・・

215 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:50

おっと、ゴメンゴメン。

そういえばアンディも、以前はここに来ていたんだよ。
久しぶりに顔を出してくれると嬉しいんだけどさ。

216 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/04(月) 23:53

ソンソンはアンディをチョクセツはなしたことないんだけどね。

そ～いや、ベニマルはケッコームカシからいたんだよねっ？
ソンソンもオセワにしてやってるのだっ♪
いつも、アタマさわろ～とするとイヤがるのだ？　なんでだろ？

217 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:54

>>214
私にはこの店があるからね。

…ソンソンは、普段は何をしてるんだい？

218 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/04(月) 23:57

ルビィとゆ～、オンナカイゾクのフネでタビをしてんの～♪
ボーケンボーケンっ！　またボーケンっ！のたのし～マイニチなのだ！
こんどはルビィもつれてくるねっ♪

219 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/04(月) 23:58

>>216
そうだね、シューティングの紅丸も、たまにこの店を見てるようだね。
今はどこほっつき歩いてるんだか。

頭？　雨の日に、髪の毛がペッタリしてるときなら大丈夫だよ。
今度試してごらん。

…私が言ったのはナイショだよ。
浪人生の京が言った、とか言っておくようにね。

220 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/05(火) 00:01

>>218
いいねえ、ぜひ連れてきておくれよ。
私もあの勇ましい女海賊さんとは、いっぺん話してみたいからね。

冒険の毎日、か。いいねえ。
今度さ、ウチの弟のジャンも連れてっておくれよ。
遊びたい盛りの年頃だからさ。

221 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/05(火) 00:04

>219
うんっ！　ためしてみるっ！
いつかあのアタマをイジリたおしてみたいのだ～！
とってもきになるのだ～！

さいきんシアイでイソガシーみたいで、あんまカオださないけどね～。
い～な～シンサクにでれて～

222 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/05(火) 00:08

>220
ふっふっふっ！　ぜひ、かしてくれるとい～のだ！
ジャンくんはソンソンがリッパなウミのオトコにそだててみせるのだ！

でも、い～よね～キングはキョーダイがいて。
マイニチたのしそ～なのだ～。
ソンソンもキョーダイほし～な～・・・

223 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/05(火) 00:12

>>222
海の男を育てる？　ソンソンが？

限りなく不安が募るけど、ビックベンから
飛び降りたつもりでお願いしておこうかな。

そっか、ソンソンは兄弟がいないのか。
…でもさ、トントンとかって仲間はいるんだろう？

224 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/11/05(火) 00:18

トントンはショダイソンソンのおじ～ちゃんのナカマなのだ♪
いまはルビィとサボテンオバケのアミンゴがカゾクみたいなもんだね～。

ハッ！　そろそろかえらないと、
ルビィがおっかないカオしておこってるとおもうのだ！
たのしかったよっ♪　こんど、またくるねっ♪　（ﾋﾟｭｰｯ!!

225 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/05(火) 00:19

私も楽しかったよ。またおいで。

226 名前： 二階堂　紅丸 ：2002/11/05(火) 03:14

眠る前によってみたら面白い話してたんだな。

＞ソンソン
・・・・普段下ろしてるときなら触ってもいいんだけどね、俺サマの髪。
逆立ててる時はダメね。絶対そっちが目当てだろうけど・・・・

＞そ～いや、ベニマルはケッコームカシからいたんだよねっ？
そういえば、自分でもいつから居たかちょっと覚えてないな・・・
確か最初のスレッドの後半あたりからだったような気がするけど。

＞ミス・キング
（ソンソンに変な入れ知恵したのは聞かなかったことにしとくか）
ソンソンに懐かれてるみたいだね。
彼女の分のお代は俺サマから払っておこうか？

227 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/05(火) 10:22

からんころん。

228 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/05(火) 10:23

おっと、紅丸じゃないか。
ちょっと開店準備で忙しいから、またあとで相手したげるよ。

229 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/05(火) 12:58

>>226
―――ゴールデンカードねえ。
これ、誰のクレジットカードだか知ってるかい？　フフン

ついでに“物干し竿”の分ももらっとこうか。
あいつ、最近全然寄りつきゃしないからね。

…そのくらいワケないだろ？
最近も色んなトコに出て賞金荒稼ぎらしいじゃないか。

ついでに>>171のウーロン茶代も貰っておくよ。
トップスタァと縁ができてよかったじゃないか、紅丸。

230 名前： 二階堂　紅丸 ：2002/11/06(水) 02:29

>>229　ミス・キング
ついで・・・か、まあいいけどね。金はあるから。
賞金ね、まあそれが目当てじゃないんだけど（なくても金に困らないし）。
まあ、またそのうちここで飲ませてもらうよ。今はアルコールをひかえてるんでまた今度ね。

231 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/06(水) 10:43

からんころん。

232 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/06(水) 10:47

フフ、随分と含みのある発言だね、紅丸。
そのあたり、後でじっくり聞かせてもらうよ。

ここは飲んだり騒いだり、一人で考えにふけったり、
私が愚痴ってみたりするところさ。好きに使ってくれて構わないよ。

233 名前： キャットマン（.pK/qpec） ：2002/11/06(水) 21:09

（からんころん）

外は寒いったらねぇな、猫にはキツイ季節だ。こういう時はやっぱバーだろ。
ヘイ！マスター・・・女？まぁいいや、スコッチくれるか？
あと煙草吸っていいかい？、外は風が強くてライター使えなくてな
吸えなかったんだ。（懐から「ラッキー・スター」という銘柄の煙草を取り出す）

234 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/07(木) 12:41

>>233
おや、ここにラッパーが来るなんてどういう風の吹き回しだろうね。
…あのプリンのＣＭ、今も覚えてるよ。

私はシタ噛んじゃってね、結局アンタの歌は歌えなかったよ。
タバコ？　もちろん構わないよ。

「SKI-BA-BOP-BA-DOP-BOP(141K)」
ttp://www.cybertheque.fr/perso/anita/stanley/skibabo2.au

235 名前： キャットマン（.pK/qpec） ：2002/11/07(木) 17:00

おお懐かしいね、プリンのＣＭ覚えてるのかい、ありがとう・・・・って
それは「スキャットマン」だろ。（手はビッ！とツッコミの形）
格好は似てるけどあんな早口できない････いや、今なら出来そうな気がする
アイム・ア・スキャットマン！シュビドゥビシュビダダ・・・・・痛っ！
舌噛んだ・・やっぱ無理だ。

自己紹介まだだったな、つい最近ここにスレ立てたばっかりの「キャットマン」だ（とりあえず握手）
ついでに俺はこんな奴だ→ttp://jp.shockwave.com/animations/catman/episodes.html
暇があったら見てくれ。

236 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/11/09(土) 01:18

からんころん。
　
奇妙な音を立てて、ＢＡＲの扉が開く。
扉に何か仕掛けがあるのか、死角に何か設置されているのか。
・・・まぁ、そんなことはどうでもいい。
　
　
俺は、某所でのしがらみを捨てる為に愛車のミニクーパーを走らせていた。
溢れるネオンの群れ。むせかえるような人の集団。
こんな・・・こんな場所では駄目だ・・・。
　
ふと、車外に目をやると、一件のＢＡＲの看板が見えた。
『ＩＬＬＵＳＩＯＮ』
・・・何処かで聞いた名だ・・・。
　
俺は適当な場所に車を止め、ＢＡＲに向かう。
記憶の隅に残る、ＢＡＲ　ＩＬＬＵＳＩＯＮに。
　
　
俺が此のＢＡＲに来たいと思っていたのか、そんな俺の心を察してＢＡＲが
出現したのか・・・。
・・・まぁ、そんなこともどうでもいい。

237 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/11/09(土) 01:20

　俺は店に入るなり、カウンタ席に腰をおろす。
　マルボロを一本取り出し、火をつける。
　
　ここ最近某所であったしがらみが、煙と共に流れ出るような錯覚を覚える。
　
　
　さりげなくメニューを探すが・・・見つからない。
　
　
「マスター。・・・この店にはカミュは置いているかい？
　あるのなら・・・そうだな・・・ロックで」
　
「そこの猫君も・・・一緒にどうかな・・・？」
　
　某所での出来事により、俺は多少のことでは驚かなくなっていた・・・。

238 名前： キャットマン（.pK/qpec） ：2002/11/09(土) 05:32

久しぶり（約数時間ぶり）の煙草を一本、口にくわえる。
ポケットから取り出したジッポライターを、手の中で起用に回しながら弾くように蓋を開く。
真鍮製のジッポライターが心地よい金属音を鳴らし、炎が灯る。

煙草に火をつけ、また手の中でジッポライターをカチャッと鳴らし蓋を閉じる。
ジッポトリック成功、と口の中で呟き満足げに煙を肺に満たして、そしてゆっくり吐き出す。

「そこの猫君も･･･一緒にどうかな･･･？」

機嫌良さ気にシッポを揺らして、スコッチをチビチビ飲んでいると
隣りのカウンターの男が話し掛けてきた。
落ち着いた物腰とハードボイルド（キャットマン談）な風貌は、自分的にかなりの好印象だ。

（いいね、こいつ。クールだ）

見た目と雰囲気が気に入ったので、キャットマンは男の誘いに乗る。

「それじゃ、お言葉に甘えて。」

話し相手も見つかったようだし、今日はいい酒が飲めそうだと薄く笑う。
キャットマンはすでにちょっと酒が入って、少し酔っていた・・・主に酒と自分に。

239 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/11(月) 11:14

からんころん。

240 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/11(月) 11:15

…いい酒が飲めてるようだね。

241 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/13(水) 12:50

からんころん。

242 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/13(水) 12:55

自分しかいない店ってのは寂しいねえ。

243 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/11/13(水) 23:34

マスターから、カミュのロックを受け取ると、隣の……猫氏……と
グラスを交わす。
　
チン。
　
グラスの心地よい音が、静かな店内に響く。
俺は、琥珀色に揺れるカミュにしばし見入っていた。
　
小さなグラスの中でたゆたう液体。
それは何故か、俺の住む新宿の街の雑踏を思い浮かばせた。
グラスが新宿の街ならば……俺は原子か分子か……。
……ふふ、何を考えているのだろう。
まだ口を付けたばかりというのに、今夜はもう酔っているのだろうか。
　
隣の猫氏は……ちびりちびりとスコッチを飲んでいた。
いい酒の飲み方だな……。
人間よりも”絵”になる飲みっぷりに、自然と笑みが浮かぶ。
　
今日は楽しい夜になりそうだ……。
俺は独り、そう呟くと、グラスの中の氷が溶ける音に耳を傾けた。

244 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/15(金) 13:30

>>237
…いつか見たあの客だ。相変わらず表情から何も読み取れない。
接客の基本は、客が何を求めているかを瞬時に判断することだ。
疲れを取りたいのか、ひとりで黙って飲みたいのか、陽気に発散したいのか…。
それが判らないということは、特殊な訓練を受けているのかも知れない。
あるいは…。

「マスター。・・・この店にはカミュは置いているかい？
　あるのなら・・・そうだな・・・ロックで」

私の思考は中断された。
一瞬、「ハワイアンカクテルを出してやろうか」という悪戯心が芽生える。

「相手の本音を知るには、まず怒らせることさ」

私はどこかで読んだ文章の一節を思い出していた。

…そうか。私は、この男――素性の判らない男が何者なのか知りたいんだろう。
面白い。こんな気分になったのは久しぶりだね。

「スペリアのロックだよ」

私は男の前にグラスを置いた。

245 名前： （KinG..Eo） ：2002/11/15(金) 14:26

～業務連絡～

バーの営業中は以下のスレで相手になるよ。
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=116&KEY=1037153440&LAST=10

246 名前： ジャニス＝ルチアーニ（7FI89xnI） ：2002/11/16(土) 18:10


カランコロン


おい姉ちゃん！
ズブロッカをジョッキにたっぷり……ん？何これ。

せっかくのサタデーナイトだってのに来てみりゃバーはブッ壊れてんのか。

もしかしてあたしにやられる前に半壊で済ましとこうって魂胆かい？ハッ！

247 名前： キャトマン（.pK/qpec） ：2002/11/17(日) 00:39

チン

隣りの男と交わしたグラスの音色。
ただのガラスの音色だが、俺にとって高く透明な響きは酒場の聖鐘に聞こえる。

教会はイエス・キリストの身体であり、人々は神に礼拝し神の恵みを授かる。
安息と至福で心を満たし、不安や悲しみを拭い去ってくれるのが聖地なら
俺にとってバーは充分聖地で、さしずめ神の恵みは酒ってところだな。
まぁ俺は神を信じてないから礼拝なんてしたことないけど。

そんなよくわからない事を一瞬だけ考え、すぐに頭から出してどこか遠くへ追っ払った。
その間にもチビチビ飲んでたスコッチは４分の３程減っていた。

男の方も依然として落ち着いた物腰で酒を飲む。その姿は見ていて不思議な、特異な雰囲気だ。
そこらへんのサラリーマンじゃこれはできねぇな。もしかしたらカタギじゃねぇかも。
相手の素性が読み取れないが、それが不快や不安には繋がらなかった。
上手く言えないがヤな奴ではない。それがわかればそれでいいやと思った。

男との会話は途中で途切れたり、話題の転々とした会話だったが、面白かった。
意外と話が合い。お互い口調は静かだが話しは盛り上っている。
楽しい夜になった。そう思いながら懐からもう一本タバコを取り出した。

248 名前： キャトマン（.pK/qpec） ：2002/11/17(日) 01:29

それはいい具合に酒が回ってきた頃だった。

「ああそうそう、レザボア・キャッツって映画知って・・・・・」

そこまで言ったところで俺の声は店の壊れる音でかき消された。
振り返り入り口を、いやかつて入り口があったハズの所を見ると馬鹿でかい男が突っ立ている。
顔に変な模様のあるオバチャン顔の男は「グヒヒッ！俺にはちょっと狭い店のようだぜっ」とか言っていた。
その人類として明らかに間違ってる大きさの男を、マスターは呆然と、隣りの男は無表情で見つめていた。

なるほど、最近のレスラーはパフォーマンスで店を壊すのか・・・などと思っていたら
また新たな客がやって来た。そいつはそいつで

「もしかしてあたしにやられる前に半壊で済ましとこうって魂胆かい？ハッ！」

と言っている。なるほど、最近の若いもんは店をこわすのか。
・・今日は楽しい夜になった。いや、なった・・・・か？。
楽しいと騒がしいってのは違うだろ。そんな事を考え俺は

「あ、マスターもう一杯。」

とりあえずスコッチをもう一杯。

249 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/18(月) 12:37

からんころん。

250 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/18(月) 12:44

>>246
ジャニスじゃないか、よく来たね。
…とりあえず店は半壊中だけど、営業はしてるんだよ。

ほら、ズブロッカのジョッキ。

…あんたの祖父さんの噂は、当然サウスタウンにも流れてきてたよ。
ただ、こっちにはあの男――ギース・ハワードがいたから、
抗争も起きやしなかったけどね。


――それはラッキー・ルチアーノだろ！


って、ちゃんとツッコミ入れるンだよ。
たまにボケをそのまま流すのがいてね、こっちの商売あがったりだよ。

251 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/18(月) 12:59

>>248
「あ、マスターもう一杯。」

私はキャットマンの前にグラスを置いた。

彼が、グラスを傾けて飲もうとしているのが見える。
だが、顔形が人間と違う分――つまるところ猫だから――、
明らかに飲みづらそうだった。

――ま、人間用のグラスだからねえ。

私は声を掛けた。

「お客さん、ストローか何か、いるかい？」

252 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/18(月) 13:06

　

　　―――従業員募集―――

バー”ILLUSION” では、客の相手をしてくれる従業員を募集しているよ。
簡単に言えば、お客さんの話し相手になれる人だね。
なにせ、私も常駐できる体じゃないからさ。

特に条件はないけど、格闘界方面か酒方面に強い人が嬉しいね。
よろしく頼むよ。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キング

253 名前： ファントム・ドライ（Cal3DreI） ：2002/11/19(火) 17:31

からんころん


――――って、あれ、ドアは？

254 名前： ファントム・ドライ（Cal3DreI） ：2002/11/19(火) 17:37

YO-HO!

お言葉通り、あたし直々に取り立てに来てやったぜ。


この時代、色々と物騒だよなあ？
特にバーなんて経営していると、連日連夜問題続きだろう。

警察は腰が重くて役に立たねえ。そんなときに頼れるのは自分だけ。
そいつはちぃっとばかし、寂しくはないかい？

でも安心しな。一刻館はインフェルノの末端組織だ。
あんた等堅気の連中が、何の心配もせずに商売できる環境を提供してやるよ。

その変わりに、だ。あー、なに、感謝の気持ちっていうの？
そういうのを、形にして見せてもらいたいんだよね。
インフェルノは別に、ボランティア集団じゃないんだからさ。

よろしく頼むぜ。キングさんよお。

255 名前： キャットマン（.pK/qpec） ：2002/11/21(木) 02:09

「お客さん、ストローか何か、いるかい？」

マスターが言う。どうやら俺がこの顔のせいでコップだと酒が
飲みづらいというのに気付いてくれたらしい。
よく見てくれてるな、いいマスターだ。

「いや、いらねぇよ。この飲み方には慣れてる、なんせ１０年以上これで酒飲んでるしな。」

折角だが断った。ストローってのはナシだろ、どこのバーにストローで酒飲む猫が居る？
いや、普通猫はバーで酒飲まないな・・・・ま、いいか。俺の世界じゃ当り前だし。

俺は続けて言った。

「それに――、ストローでちゅうちゅう酒吸ってちゃ気分出ねぇよ。
せっかく良いバーで酒飲んでんだ、格好ぐらいつけさせてくれ。」

256 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/11/21(木) 23:47

俺は二杯目のカミュのロックを飲んでいた。
頭が明瞭になり、今まで見えて来なかった世界の隅々まで見通せる気分になってくる。
　
──世界が俺を包むのでなく、俺が世界を包むかのような。
　
もちろん、これはアルコールの摂取による幻覚・錯覚なのだが。
分かっていながらも、今はその幻覚・錯覚に身を任せることにした。
　
隣ではかの猫氏がやや飲みにくそうにスコッチを啜っている。
麗しきマスターがそんな猫氏を見て……何かを言いたそうにしている。
ふふ。
またも笑みがこぼれる。
ああ、何て愉快なんだ。なんて愉快な夜なのだろうか。
　
──と、そのとき突然。凄まじい音を立ててバーの扉が崩れ落ちる。
もちろん、扉が勝手に崩れた訳ではない。
巨大な指がぬっ……と突き出される。そして、その後に、ことさら巨大な
身体が現れる。謎のメイクをしたスキンヘッドのプロレスラー風の男。
　
ははは。
俺は冷静を保ちながらも心は愉快でたまらなかった。
このバーは、次はどのような幻を見せてくれるのか。
どのような愉悦を俺にもたらしてくれるのか。

257 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/11/21(木) 23:48

＜♪チャラリ～　チャラリラリ～ラ～♪＞
　
突然携帯電話が鳴りだす。
「おっと……すまない」
慌てて上着の内ポケットから取り出すと、途端に音は鳴りやむ。
どうやらメールのようだ。
　
＜subject：依頼が来ました＞
　
洋子君からだろうか。そういえば……しばらく顔を見ていない。
心配させてないだろうか。
……？　知らないアドレスだ……。
　
メールの本文は以下のようなものであった。
　
＜『一刻館に住まうという「閑古鳥」の正体を探ってください。
っていう依頼が来たんだけど、何とかならない？』＞
　
……一体、どのような依頼を受け付けている所なのだろうか……。
いつもならこのような間違いメールは問答無用で削除するのだが、今夜は酒の影響か、
（それともこのバーの魔力──だろうか）好奇心が疼き出した。
　
一刻館に住まう閑古鳥、か。
俺なりに……調べてみるか……。

258 名前： キャットマン（.pK/qpec） ：2002/11/22(金) 22:56

＜♪チャラリ～　チャラリラリ～ラ～♪＞
　
突然男の携帯電話が鳴り出した。
「おっと……すまない」
男が言った。俺は「ああ」と短く返事をして、酒を飲みながら男の用事が済むのを待った。

男はカミュをまだ２杯しか飲んでいないが、俺は既に６杯以上の酒を飲んでいる。
スコッチを三杯飲み、ビールを二杯飲み、さらに調子に乗って一杯だけウォッカを飲んだ記憶も、おぼろげながらあった。
酒にはある程度強いので完全に酔っ払ってはいないが、気を抜くと意識が朦朧としてしまいそうだ。

だが、こんなに愉快な気分は、愉快な夜はめったにない。このまま寝てしまうなんて勿体無い。
バーがあって、酒が美味くて、いい話し相手にも合えた。しかも店が壊れるという滅多に無い瞬間に立ち会えた。
素晴らしく楽しい夜だ。俺はまだ“ココ”に居たい。

ふと隣りに目をやると、男はメールを見ていた。
真剣にメールを読んでると思ったら、すぐにその表情は軽い笑みへと変わった。
この男が初めて見せた気取った所の無いその笑みが、少しだけ俺の興味を引いた。

「・・・・・・女かい？」

他人にメール内容を聞くのは少し失礼な質問だと思うが、
メールの内容が少なかれ男の素性と関係有るんじゃないかと思うと酒のむしょうに質問したくなった。
まぁ酒の勢いというのも多少あったかもしれないが。

「それとも・・・仕事関係か？」

259 名前： キャットマン（.pK/qpec） ：2002/11/22(金) 23:08

(煙草ふかしながら）
・・・・・俺ってよくミスするよな。

「酒のむしょうに質問したくなった。」の「酒の」はいらねぇ。

260 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/24(日) 14:45

>>254
おや、お嬢ちゃん。よく来てくれたじゃないか。


ほら、約束のミルク。絞りたてらしいからね、ちゃんと噛んで飲むんだよ。
じゃないと、お嬢ちゃんのお腹が壊れちまうかもね。フフン

で、インフェルノが？　守る？　ここを？

ハン！　

私はね、あのギースやＭｒ．Ｂｉｇをさ、向こうにまわしてやりあってたんだよ。
しかも、あの時はバウンサーとして雇われ主の店を守る、キツイ立場だった。
支払いなんか全然よくなかったし、連中は鉄砲玉をいくらでも補充できたからね、
逃げたってよかったんだ。

――でも、私はそれでも逃げたりしなかったんだよ。
私には蹴り技があった。この店――ILLUSIONを開くために稼ぐ必要があった。
何よりも、負けたくなかったんだ。力を金儲けの手段にするような連中にね。

ここは私の店だよ。自分の店は自分で守る。
インフェルノの“世話”なんて、これっぽっちも必要ないね。

もちろん、お嬢ちゃんがお客さんで来てくれるのは、歓迎するよ。
また来られるならね。フフン。

261 名前： 名無し客 ：2002/11/24(日) 22:01

優勝賞金を狙うのは力を金儲けの手段にしてるとは言わないのか？

262 名前： 伽南 ：2002/11/25(月) 21:36

本来ならただの名無しなんですけど･･･お邪魔します。
もし駄目だってんなら素直に帰りますから･･･。

263 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/11/25(月) 23:40

一刻館に住まう閑古鳥、か。
さて、どこからあたるべき。
　
俺が携帯電話から目を離し、また酒へ向かおうとすると、隣の猫氏が
話しかけてくる。
　
「・・・・・・女かい？」
　
猫族の表情というものはよく分からないが……猫氏は明らかに口元に笑みを
たたえて、俺にそう言った。
　
かの不思議の国のアリスに登場するチェシャ猫でも、このくらい愉快な笑みを
するのだろうか。チェシャ猫は「アリスの不思議の国」の道案内人だが、
この猫氏は、「俺にとっての不思議の国」の道案内人かもしれないな……。
猫氏の笑みは……チェシャ猫に負けないくらいのとびきりの笑みだろう……。
　
俺は飲みかけのカミュの入ったグラスを指で弄ぶ。
そんな一瞬の間の後。
俺は言葉を口に出す。口元には、笑み。
　
「女……か。猫君は……そういう経験は……多いのだろう？」

264 名前： バイス（VICEvp5o） ：2002/11/28(木) 01:57

よう、キング。
久しぶりだねぇ。
飲みに行くって言ったのになかなか来れなかったよ。
さっそく注文しようか。
ブランデーだ。シングルでね。
一番良いのを頼むよ。

しかし、最近、連戦が激しくてね。
八神の奴、随分鼻息が荒いから、困ったもんだよ（笑
今回の大会にはお前は出場していないんだろ？
せっかく目の前であの舞とユリをボロボロにしてやろうと思ったんだけどねぇ。
ギャラリーがいないんじゃ気が乗らないよ。

……さぁて……ここにはいい男がいるかねぇ……（店内の男を物色）

265 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/28(木) 13:20

>>255
キャットマンは私の申し出を断った。それはそうだろう。
私だってストローで酒なんて飲めるはずがない。
誰にだって譲れない一線はあるものだ。

彼は、隣に座ったあの男と会話をはじめた。私はその場を離れる。


と、その時、店の奥で静かに飲んでいた客のつぶやきが聞こえた。
「優勝賞金を狙うのは力を金儲けの手段にしてるとは言わないのか？」

今日、始めて飲みに来た客だった。
スコッチのロックを一杯出しただけだから、酔った上でのつぶやきではないだろう。

私は、昔の自分を思い出していた。
力が全てだった、あの頃を。

266 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/29(金) 13:20

>>265
サウスタウン――暴力と恐怖が支配する街。
力の無い者は敗北が待っていた。
そして、死。

死はいつだって隣り合わせだった。
けれど、私は生き延びた。
自分の力を信じて。駆使して。

あの街から逃げ出そうと思ったことも数知れなかった。
でも、私には店を持つ夢があった。そして、守るべき者がいた。
だから、あの街にいるしかなかった――


ある時私は、キング・オブ・ファイターズの開催を知った。
何でもありの格闘技大会。
私の心は、激しい思いに突き動かされた。
新しい闘いへの興味だけではない。

自分の力を、生き残るため以外に使うことができる！


――私は参加をし、勝ち続けた。
賞金を得て、この店を持った。
そして、格闘界から身を引いた。


「私が力を利用したのは事実だよ。今だって利用してる。
　けどね、お客さんに美味しい酒を飲んでもらいたい、
　だたそれだけのためなのさ。

　おや、グラスが空じゃないか。
　もう一杯、飲むかい？　私のおごりだよ」

267 名前： ファントム・ドライ（Cal3DreI） ：2002/11/29(金) 18:40

>>260

　翡翠の瞳に写る、汗を浮かべたグラス。中には白い液体がなみなみと注がれている。
　
　口元に笑みを浮かべる。喉から嗤い声が漏れた。
　―――くく、面白い。面白いね、この女。
　この一刻館で、あたし相手にこんな真似をできるのは馬鹿しかいない。
　あたしのことを知らずに喧嘩を売る馬鹿か、あたしのことを知っていて喧嘩を売る馬鹿
だ。どちらも救い難き馬鹿だから、優劣は付けられない。
　
　―――さて、どうしてくれようか。
　考えた。この女に、自分が馬鹿だと気付かせる方法を。
　
　彼女とあたしはカウンター越しに対面している。お得意の足は、カウンターが邪魔で使
えないはずだ。
　頭の中でイメージ。尻のホルスターに右手を飛ばさせる。ハンドガンを引き抜き、彼女
の眉間にポイント。往復の二動作。ざっとゼロコンマ５秒……いや、３秒はかかるな。
　その間に彼女が出来ること。これも考える。あたしの死角に伏せるか……それとも、あ
たしのクイックドロウよりも早く、あたしの頬に拳を埋め込むか。
　
　―――こいつのパンチとあたしの早撃ち、どっちが速いんだろう。
　答えは分からないが、あんまり面白い結果にはならなさそうだ。
　
　頭を振る。こいつにヤキを入れるのはやめだ。顔を殴られるのはゴメンだからね。
　何か他に嫌がらせのネタは無いものかと思い、視線を店内にはわせた。
　色々なものが目に写る。
　
　くたびれた感じの男。―――いやな目つきだ。堅気にもヤクザ物にもなれない半端者の
目つき。気に入らない。視線を逸らす。
　スーツを着たネコ。―――悪い夢だ。視線を逸らす。
　酒瓶が所狭しと並べられた棚。―――特に目を惹く物は無い。視線を逸らす。
　貼り付けられた壁紙。―――従業員募集中(>>252)。だからどうした。視線を……
　
　
　　　　　　　　　　――――これだ！――――
　
　
　席を立ち、床を蹴って跳躍。カウンターを飛び越え、彼女の横に立った。
　酒棚からバーボンウィスキーのボトルを取り出すと、グラスに注ぐ。それを
彼女があたしのために用意してくれたミルクで割った。

「“カウボーイ”だ。あたしに相応しいカクテルだと思わないかい？」

　ニヤリ、と嗤って言って見せた。
　残念だったね、お客さんじゃなくてさ。

268 名前： ファントム・ドライ（Cal3DreI） ：2002/11/29(金) 18:43

うげ。やっぱ長い。
ま、まあ、あたしは別に気にしないよ。あはは

てことで夜露死苦。
世界最強の女を雇えるなんて、あんた幸せものだね。

269 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/29(金) 23:35

>>262
おや、いらっしゃい。

ウチは誰でも歓迎だよ。
ちゃんと支払いさえしてくれればね。
カードごと渡してくれても構わないよ。
私が無期限で預かってもいいくらいだね、フフ。

ただ、見ての通り、ここは静かに飲んでじっくり語り合うところ。
ワイワイとやりたいってなら、近所のサテンにでも行ったほうがいいね。
そうでないなら、いくらでも相手したげるよ。

――で、注文は何だい？

270 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/29(金) 23:37

>>264
久しぶりだね、バイス。
ブランデーのシングルね。了解。

アンタと会うのは、この間のミリオネアファイティング以来か。
私はね、当分格闘大会には出ないよ。この店があるからね…。
で、バイスはまだ庵とチーム組んでるのかい？　物好きだねえ。
あんなボウヤのドコがいいんだか。


――シングル、お待たせ。

そうだ、アンタにも言っておくよ。
ここはね、「ゆっくりと時間が流れる」店なんだよ。
一人でじっくり飲むのもいいし、アンタの“コレ”を連れてきて飲むのもいい。


…って、いきなり物色かい？　やれやれ。

271 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/11/30(土) 11:16

>>267
「“カウボーイ”だ。あたしに相応しいカクテルだと思わないかい？」
そう言って、少女はニヤリとした。

面白い。この私を出し抜くなんてね。

少女の瞳はイタズラっぽくキラキラと輝いている。
一見すると無邪気な少女だが、あの動きをみせるくらいだ。
噂に違わない相当な“仕事”をしてきたのだろう。


――少女の瞳に、既視感を覚える。誰かに似ているんだ。
…レオナ。そう、レオナだ。あの子の瞳にも悲しげな翳りがあった。
つまり、人を――。

それ以上考えるのはやめた。
聞いたところで、まともに答えやしないだろう。

「ＯＫ、採用だよ。この店も随分とお客さんが増えたからね。
　あ、ミルクはおごってあげるけど、バーボンの分はお嬢ちゃん持ち。
　ボトルのキープ代も払ってもらうよ」

しゃべりながら、ちょっとした変化球を思いつく。

「…店員がお嬢ちゃんってのもヘンだねえ。
　キャロライン、とでも呼ばせてもらおうか？」

フフン。ちゃんと返球できるかな。

272 名前： キャットマン（.pK/qpec） ：2002/12/01(日) 14:14

>>263
「女……か。猫君は……そういう経験は……多いのだろう？」

いや、俺はあんたに質問をした筈だったが・・・・うまく流されてしまった。
やはり侮れない男だ、人当たりの良い性格で、かといってそれが演技というわけじゃない、しかし肝心な所のガードは固い。
プライベートな事が外部に漏れたら厄介な仕事でもしてるのだろうか？・・・・スパイか？そんなわけ無いか。
結局何もわかならなかった。我ながらつくづく洞察力が無いと思う。

男の口元には笑み、先程までの気取ったとこの無い笑みとは少し違う。
楽しそうでいて、そして微かに「してやったり」な意味合いを込めた笑みだ
よく見ていればこの男も表情豊かだ、逆によく見なければわからないのだが。

ふと、自分が質問されていた事を思い出す。
考え事に耽って流してしまうとこだった。とても不自然に。

「そうだな・・・・・昔はそれなりに、最近はまぁ、少しくらいは。・・・・・で、今は一人だ。」

今は一人、そうだ俺は少し前まで一人じゃなかった。
知らない街であの女と始めた生活。そしてすぐに終った生活。

別に嫌いじゃなかった。女に何も非は無い。
いい生活だったと言っていいだろう、彼女と一緒にいると居心地がよかった。それに美人だった。
悪いのは俺だ、何もかも。―――――――もう思い出すのはよそう。

「独りのほうが何かと楽だ、想う気持ちも失う悲しみも味わなくて済む。
・・・・・・・・・マスター、もう一杯くれ。強いのを頼む。」

今の気分を紛らわす為、全て忘れる為に強い酒を頼んだ。
酒場は感傷に浸る場じゃない、それを忘れる為に酒を飲む場所だ。

そんな虚しい酒は飲みたくない。酒はもっと楽しく飲むもんだ。
俺は軽く口を吊り上げ笑う、そしてまるで自分の心のようにフラフラ揺れ動いている煙草の煙を眺め
――――灰皿でそれを磨り潰した。

273 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/12/03(火) 23:46

>>272
自分に向けられた、「女」の質問。
その矛先をかわしながらも、俺はある一人の女性を思い浮かべていた。
　
御苑洋子。
　
俺の事務所の助手。
そう―――――単なる、助手、だ。
　
知的で、母性的な優しさと美しさを持つ女性。
ただ、それだけだ。
そう、…………それだけ…………。
　
これも酒のせいか……、店のせいか……。
俺は洋子君についての考えを振り払う。
それを悟られないように、口元に笑み。
……いや、猫氏を見ていると自然と口元がほころぶ―――――。
　
「そうだな・・・・・昔はそれなりに、最近はまぁ、少しくらいは。・・・・・で、今は一人だ。」
　
猫氏の口からは、そんな言葉がこぼれる。
相変わらず、猫族の表情というものはよく分からない。
もう随分と飲んでいるようだが……顔色が変わらない猫氏が、酔っているのか
そうでないのかは判断出来ない。
しかし、ほんの僅かに変化する表情。
その一瞬の変化が……この猫氏を非常に魅力的な人物にしている……。

274 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/12/03(火) 23:48

>>272続き
酒場で酒を飲み、煙草をふかす猫氏。
一体、彼が何物で、何故このような酒場に居るのか……そんな詮索は意味の
無いことであろう。
酒場で相手の正体を探るのは……野暮ってものだ……。
特にこんな酒場では……な。
　
……しかし、いつもの癖で、猫氏の過去をあれこれ思索する俺が居た……。
猫の年齢というのも分からないものだが……この猫氏は相当いろんな事を
やって来たに違いない……。
もの思いに沈む猫氏の横顔……。
ふと、ニューヨーク時代の俺が重なる。
無茶ばかりしていたあの頃。
一人強がっているばかりだったあの頃。
……洋子君に出会ったのもあの頃だったな……。
　
猫氏は更に強い酒を注文する。
それにつられ、俺ももう一杯、とマスターに頼む。
……辺りは俄に賑やかになって来ている。
訪れる客は……何故か皆、一様に……女性。
　
「女ってのは……よく分からない……な……」
　
空になったグラスを見つめながら、俺はそんな独り言を呟いていた……。

275 名前： キャットマン（gCATMAN.） ：2002/12/10(火) 21:22

>>274
「女ってのは……よく分からない……な……」

隣りの男がポツリと呟いた。
おそらく無意識に言ってしまったのだろうが、俺にはしっかり聞こえてしまった。

「・・・・・・・・・・ハッ。」

"女ってのはよく分からない”・・・・か。あんたもそんな事を思うんだな。

この男にしては意外な発言に、思わず頬が緩み声が漏れた。
今まで見えなかったこの男の内側が少しだけ覗けた気がした。
何故そんな事を呟いたのかは知らない。過去にこの男に何があったのか見当もつかない。
だがこの言葉に俺は凄く共感できた。

"女ってのはよく分からない”・・・・そう言いたくなる気持ちはよく分かる。

「同感だな。そりゃあ女なんて簡単に分かるわけがない。」

男がふと俺の方へ顔を向ける。俺は「してやったり」な笑顔を見せながら煙草に火をつける。

「女心と秋の空とか言うだろ、あれなかなか言い得て妙な言葉だと思うんだ。

だから俺は"女"って苦手なんだよな。―――――扱い方がわからない。」

昔から女に関心がない事はなかったが、老けたエリザベス・テイラーを見て女に夢を持つことは無くなった。
今だって嫌いなわけじゃない、無声映画時代のグレタ・ガルポは好みだ。強いて言えばの話だが。

だが、やはり苦手だ。

「別に俺に限った事じゃないと思うぜ、男は女心を理解できないだろうし
女だって男心を理解は出来るかもしれないが、同感は出来ないだろう。
まぁ、これは完全に自分論なんだがな。

―――――でだ、あんたはどれくらい理解できると思う？女心ってやつを。」

別に質問に深い意味なんてない。だがこの男の返答が楽しみだったりする。

276 名前： 魔性の女 ：2002/12/13(金) 21:44

マスターに誘われてこの店に来た。雰囲気の良いバーだった。
「こんばんは。お誘いに乗ってきたわ」とマスターに挨拶する。
映画にでも出てきそうなバーと言えば、ムードは分かるかしら？

こういう場所で飲んでいると、ほぼ必ずだらしなく酔った男が
考えなしに絡んでくるのだけれど、幸いにもそんな予感はない。
静かに飲むにはいい店かもしれないわね――マスターの誘いが
なくても気に入ったわね。

私はカウンターに腰掛け、マスターに微笑みかけた。
「例のスレッド立ててみたわ。たまには来てみてね。
それから、お酒……カルーアミルク、お願い」

まだ来たばかりだ。他の客に話しかけるには早いわよね。
黙っていても男の方から寄ってくるし、今は静かに飲みたい……。

277 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2002/12/14(土) 01:03

（からんころん）「ソンソンだよっ♪」

キョーはヒサシブリにキングのオミセにやってきたのだっ♪
あれっ？キョーはおきゃくさんがいっぱいいるや～。
えっと～、なんかシブイおっちゃんと～、ネコさんと～、
きれ～なオネーサンがすわっているのだ。

サンニンともソンソンをキョーミブカソーにみたあと、
ナニゴトもなかったよ～に、そのままオサケをのみはじめちゃった～。
こんなにかわい～おサルさんがはいってきたんだから、
キョーミシンシンなのかなっ？

かうんた～のオクでぐらすをミガイテいるキングのカオもたのしそ～なのだっ♪

（ちょこんっ！）
「キョーはケッコーはやってるねっ♪」

278 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/12/16(月) 22:01

　　
　
　　―――従業員募集・再び―――
　
バー”ILLUSION” では、客の相手をしてくれる従業員を募集しているよ。
簡単に言えば、お客さんの話し相手になれる人だね。
なにせ、私も常駐できる体じゃないからさ。
　
特に条件はないけど、誰とでも話をあわせられる人がいいね。
よろしく頼むよ。
　
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　キング

279 名前： キング（KinG..Eo） ：2002/12/16(月) 22:06

美月、ソンソン、相手が出来なくてホントすまないね。
勝手にボトルあけてていいよ。ウチのキャロラインにツケとくからさ。

280 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/12/17(火) 00:35

>>275
「同感だな。そりゃあ女なんて簡単に分かるわけがない。」
　
猫氏が俺の方へ顔を向け、「してやったり」といった笑顔で（そう、猫の顔なのに
このときばかりは表情がしっかり判別出来たのだ！）煙草に火をつけた。
　
俺はふと、猫氏の方へと顔を向ける。
女……？
……俺の呟きが聞こえていたって訳か……。
　
しくじった……、とまではいかないが、正直この手の話題は……得意分野ではない。
酒がいよいよ回って来たのか、こんなことを他人に漏らしてしまうとは。
俺は内心の焦りを隠す為に煙草を取り出し火をつける。
……ニコチンがゆっくりと、その焦りを和らげていく……。
　
猫氏は言葉を続ける。
そして、その言葉のひとつひとつが……納得出来る。
　
そうだ。
　
この猫氏は……かなり「女」に関しても経験豊富なのだろう。
女心と秋の空……か。
俺は煙草から立ち昇る一筋の煙を見ながら、真っ青に晴れた秋空に浮かぶ、変幻自在な
真っ白い雲を思い浮かべていた。
……ふふ、まさに女心とは、この手先で弄んでいる煙草から発せられる、掴み所の無い
煙のようなものだろうな……。
俺も……そう……煙の扱い方は、分からない……。

281 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/12/17(火) 00:40

「―――――でだ、あんたはどれくらい理解できると思う？女心ってやつを。」
　
突然、猫氏は俺に話を振ってきた。
その瞳には、明らかに好奇の色。
……段々と、猫族の表情も読み取れるようになってきたのか。
────猫からの依頼なんて、一生来ないだろうが……。
　
そこへ、マスターが酒のお代わりを持って来た。
何故か慌てて煙草をもみ消す。
俺は軽く頭を下げると緩慢な動作でグラスを持ち、口へと持っていく。
それを嘗めるか嘗めないかくらいでちびり、と飲む。
酒を味わおうとしている訳でなく……少しでも猫氏の問いに考える時間を稼ぐ為だ……。
我ながら、何と情けない姿か……。
　
バーのマスターは多忙のようで、ひっきりなしに訪れる客の相手をしている。
────今入って来たのは、またも、女。
成年男子であったら100人中98人は振り返りたくなるような容姿。
俺はチラ、と女を一瞥し、また隣の猫氏に視線を戻す。
　
「昔は……全てを理解していた────つもりだった……。……たった一人の女を、
　ほんの少し、知っただけで……な……」
　
また、酒を嘗める。

282 名前： 神宮寺三郎(32bit)（YASUtlmA） ：2002/12/17(火) 00:46

今飲んでいる酒────先程と同じカミュなのだが────は、妙に苦い。
……酒は、こんなにも苦いものだったのか……？
　
俺は言葉を続ける。
　
「だが……俺は何も理解していないことを思い知らされたんだ……。だから……
　だから、俺は今でも独り身さ……ふふ……」
　
独りでに動く唇。
頭の片隅では、今まで事件で出会ってきた様々な女達が、ぼんやりと浮かんでは
消えていく。
　
その中で一向に消えない顔は…………いや、やめておこう……。
　
俺は、こんなにも面白い問いをしてくる猫氏に俄然興味がわいてきた。
猫族とはいえ……何故か俺と同じような「匂い」がする。
だから、つい、こんな事を聞いてしまう……。
　
「さて……猫君も……そういうクチかね……？」

283 名前： キャットマン（gCATMAN.） ：2002/12/28(土) 05:29

一人の女がカウンターの前までやって来た。
かなりの美人、いやこの容姿はモデルかそれ以上だ。
顔だけじゃない、この女は全てが魅力的で男を惹きつけるモノも持っている。
それに物腰からして相当男に馴れてる。こいつは『魔性の女』の類だな。
軟派な奴なら真っ先に声をかけてるだろう。

「こんばんは。お誘いに乗ってきたわ」

どうやらマスターの顔見知りらしい。
さっきまでカウンターを挟んで睨みあってた金髪の譲ちゃんといい
（おそらく男を物色してるのだろう）バーの中を見回してるショートの女といい
この女といい・・・・・もてるねぇ、マスター。

煙草の煙を肺まで流し込み、逆流させて口から空気中へ撒き散らす。
横に伸びる灰柱を揺らし灰皿へ落として、また男へ視線を戻す。

「昔は……全てを理解していた────つもりだった……。……たった一人の女を、
　ほんの少し、知っただけで……な……」
　
男はそこで一旦話を切り、カミュを飲み始めた。
少し顰めたその表情に、なんとも言えない苦さが伝わった。

「だが……俺は何も理解していないことを思い知らされたんだ……。だから……
　だから、俺は今でも独り身さ……ふふ……」
　
男は笑う。

「さて……猫君も……そういうクチかね……？」

興味が湧いたとでも言いたそうな目。それも分かる気がする。
この男は似てる、俺と同類の匂いがする。
女に無関心に見えて心のどこかで結構振り回される。
当たらずとも遠からず、か？

284 名前： キャットマン（gCATMAN.） ：2002/12/28(土) 05:31

「・・・・大体、同じかな？でも――――・・・・・・
少しでも理解した・・・・イヤ､理解しようとしただけあんたは偉いよ。」

少なくとも俺よりは。

「俺は・・・・・理解しようともしなかった。・・・・逃げてたよ。」

俺は臆病だった。差し伸ばされた手を握り返す事すら出来ない程に。

「なにかにとらわれるのが怖くて、全てから逃げてた。
で、今は・・・・・・・・まぁなんだ。」

そこで自分の身の上話を切る。言ってしまった時点で軽く後悔。
こんな事、普段の俺なら絶対に他人に話さない。羞恥心で軽く顔が赤くなったのが分かる。
酒の所為だろうか、それともこの男だからこそだろうか？
気を取り直して話を本題に移す。何一つ理解できなかったと思っているこの男への最後の問い。

「とにかくだ、あんたはちゃんと理解してたと思うぞ。でも全てを理解しても
あっという間にころころ変わっていくんだ。「女心は秋の空」だ。
だからまた理解しようとして、結果として振り回される。

でも、まっすぐで自分の色を変えない、そして捕まえてないと飛んでいきそうな女。
そんな女なら、かなわないとわかってても勝負したくなる。そんな考え方もある。」

・・・・・まるで年寄りの忠告みたいになっちまったな。いや、大して変わらないか。

「あんたは――――――どうよ、身を引く？勝負する？」

あんたの心の中に、消えない女がいたら――――――――どうする？

285 名前： マチュア（SHO7rL0Q） ：2003/01/02(木) 04:47

>キング
ごきげんよう。
バイスに教えてもらったの。貴女のお店。
いい所ね……
好きよ、こういう雰囲気。

…挨拶がまだだったわね。でも、自己紹介は不要でしょ？
「明けましておめでとう」。とりあえずこれでいいかしら？
ここにはいい男がたくさん来ると聞いていたわ。
私の理想の男性が、ここには現れるかしら……。
少しだけ、居させてもらうわね。
ねぇ、あなた（エリザベスを呼ぶ）
スコッチをいただけないかしら？　ええ、強いものをお願いするわ。

286 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2003/01/06(月) 01:53

「美月、ソンソン、相手が出来なくてホントすまないね。
勝手にボトルあけてていいよ。ウチのキャロラインにツケとくからさ。」

ありゃりゃ？　キングはよ～じができちゃったのかなっ？
みせのそとまででてったみたいなのだ～。

「うんっ♪　おさけもらうね～。　いってらっしゃ～い♪」

ミセのそとのキングにちゃんときこえたかなっ？
よしっ♪　さっそくかうんた～のおさけをブッショクなのだ!
（ごそごそ～）

だれかがケゲンソーなメでソンソンをみてたよ～なきがするけど、
まっ、きにしないのだっ♪（ごそごそ）

かうんた～のシタにあったか～いいぼとるをハッケン！

【あぶさん】

きょ～のおさけはこれでい～かな～？

「いっただっきま～す♪　ごくごく～♪
おいち～のだ～♪　シアワセなのだ～♪」

287 名前： キング（KinG..Eo） ：2003/01/10(金) 13:22

>>276
美月がやってきていた。
黒が基調のシックな服装。暖かそうなストール。カシミアだね、あれは。
耳元で輝くダイヤのピアス。…貢ぎ物かな。
　
この界隈では珍しい、身分・経歴が不詳の女。
とはいえ、客は客さ。
…最近はタダ酒飲みが多いけどね。
　
「お酒……カルーアミルク、お願い」
　
―――美月は、男と二人の時に何を飲むのだろうか。
ミルクと生クリームを用意しつつ、考えをめぐらせる。
年下の男相手なら、ワインの赤。グラスを転がすのと同じ調子で、男を転がし弄ぶ。
若い男は一発でＫＯだろう。
渋い中年相手なら、よく寝かせた高いスコッチ。
…ま、ウチはありがたいけど、支払う男は大変だろうね。
　
彼女の前にグラスを置き、話し掛ける。
「お待たせ。ウチに来てくれるのは始めてだね。
　どんな調子かい、“お仕事”のほうはさ」

288 名前： キング（KinG..Eo） ：2003/01/10(金) 13:38

ところでね、新しいバイトを雇ったんだよ。
ちょっと毛色が変わってるけど、色んな意味で“腕が立つ”コだからね、
常連も新規さんもお付き合いをよろしくお願いするよ。

289 名前： 閑馬永空 ：2003/01/10(金) 21:51

　――そう女主人に紹介され、儂は作業の手を止め、誰にともなく軽く会釈した。
　再び玻璃（ギヤマン）の西洋杯磨きに戻る。
　
　奇異の目線を感じるのは、ひょっとすると勝手な想像なのかもしれなかった。
　しかし当節、墨染めの衣を纏った陰気な中年男が酒場の一隅に在しているのは、これは
我が事ながら一奇であろう。寧ろ他に云い様が無いとも云える。
　まあ、儂は気に病まんから問題は無い。店主は困るやもしれんが。
　
　落ち着いた店内を見渡して見る。客は数名、それぞれ静かに酒を愉しんでいるようだ。
　例えば苦みばしった男と談笑する猫。――猫とな？
　思わず鬱陶しげな前髪を掻き分けて瞠目した。
　猫、だな。
　
　生類憐れみの令はまだ発布されていたのだろうか、などと心中だけで首を捻る。
　しかし煙草を吹かし、酒を前にしている訳で……詰まりは客だ。
　何、儂なぞ二百年掛けても人の上に立つ事叶わなんだ、云わば虫。
　虫と猫なら格は向こうが上。これに給仕するというのは、ごく理に叶っている事だ。
　軽く頷く。今度は実際に。
　
　猫と今一人の男は、如何やら酒の肴を女についての四方山話に求めたと見える。
　女か。
　人数は少ないが、此処にも生半では無い女がいる。――例えば儂を雇ったこの店の主人だ。
　立ち振る舞いの端々に、只事ではない滑らかさが伺える。何がしかの武技の達者なのだろう。
　幽かに苦笑する。殺気を感じた訳でもないのに、つい腰間に手を遣りかけていたのだ。
　腰の物は控え室に置いて来たと云うのに。
　
　美と武。
　相反するようでいて、その実近しいこの二つを併せ持つ女など、江戸の世でも逢った事が無い。

290 名前： 閑馬永空 ：2003/01/10(金) 22:04

>>289　続き
　
　その主人が相手をしているのも女人である。
　これまた佳い女だ。
　美しさでは最初に娶った我が妻に匹敵するだろう。――内面については、無論一瞥では判らんが。
　
　だから、あれは佳い女だ。――今は、それだけで良い。
　
　ふと、気付いた。
　何やら元気に溢れた娘が酒房の中に入り込んでいる。
　何処となく猿を思わせる、しかし愛らしい容貌だ。酒瓶を漁っているようだが。
　どうやら女主人の奢りであるらしい。ふむ、仕事か。
　
　つまみの用意に掛かる。“ぶるぅちぃず”とかいう、牛の乳を醗酵させた食い物だ。
　くさやか鮒鮨の如く末期的な臭さだが、あの酒精には合うだろう。切り分けた数片を
小皿に乗せ、美味そうに酒を煽る娘の脇にそっと置いた。
　
「賞味を邪魔して悪いが、席について呑む事を勧める」
　
　そこは仕事場なのでな、と言葉を掛けながら。

291 名前： ソンソン（SaruMnhM） ：2003/01/12(日) 02:50

「あぶさん」はなかなかうまいのだ～♪

ソンソンはけっこ～オサケにつよいはずなんだけど、
これはなかなかノーにくるオサケなのだ～♪　ひっく♪

「賞味を邪魔して悪いが、席について呑む事を勧める」

ふりむくと、オサムライさんみたいなカッコーのヒトがち～ずをもってたっているのだ。
かうんた～にいるってことは、あたらし～テンインさんかなっ？

オクをみるとキングもよ～じをすましてもどってきたみたいなのだ～。
このヒトをよびにいってたのかな～？

「へへ～っ♪　オギョーギわるかったかなっ♪」

ソンソンは、おいしそ～なち～ずを「ひょいっ♪」とひとつつまむと、
かるがるとかうんた～をとびこえ……ありゃりゃ？

ずでんっ！！

「いたいのだ～！　コケたのだ～！！」

292 名前： Kresnik（CROSS81o） ：2003/01/13(月) 16:10

　――第一印象は、柔らかい店。
　ドアを開けて、そう思った。
　壁や床が柔らかい訳でもなければ、扱っている商品がゼリーな訳でもない。
　漂う空気自体が、どこか軟性の質感を持っている。そんなイメージ。少なくとも、
ブルックリンのバーで30分過ごすよりは億倍マシだ。
　金額に物を言わせた上品さに包まれている訳でもなく、適度な会話のBGMは、南部
の街酒場を連想させる。
　まあ、つまり。……俺が、そんな雰囲気を好んでいるだけなのだけど。
　カウンター席に辿り着くまでに、頭は客の顔を全部読み込んでいた。半ば染み付い
たクセは直らなくて、直す訳にもいかないから尚更に嫌悪したくなる。マトモな休息
の取り方すら忘れてしまったと思うと、機械にでもなったような錯覚。
　カソックは脱いで、服装はフェイクレザーのコートと白のインナー。ＵＳＥＤで買
ったジーンズはワンサイズ大きいけど、自分のセンスの無さは今更だ。目立つコトも
無いだろうと、勝手に自己完結する。
　まあ、とりあえず。
　怪しげな顔はなく、この地域特有に人種は雑多。後は男と女の違いだけ――
　
　――猫。
　
　……いや、待て。
　今、猫が。
　猫。猫――ああ、着ぐるみか。近くでパレードでも有ったのだろう。
　それにしても精巧だ、と知らずに漏れた。
　
　昼間からこんな場所に来ているのには、大した理由があるワケでもない。
　NY、聖パトリック教会大司教の合同ミサの警護。現地警察と合流しての行動は、思
いの他神経を磨り減らす。無駄な人員を無駄に割き、行動にすら無駄が多い。ＳＰを
毛嫌いするＦＢＩの気持ちが何となく解った気がする。
　昼を回って、ジャックが言ったのは、『もう良い』――そんな一言。爆破テロ、狙
撃の可能性、その他危険人物の捜索を終えて、手持ち無沙汰の俺の前。
　だからと言って、急に振って湧いた休日の使い方は困るモノで――
　モーテルへ直行せずに此処に立ち寄ったのは、多分ほんの気紛れだった。
　そんな思考を断ち切るように、胸元で携帯の振動音。
　
「もしもし、こちら――」
『――こちらホーリー・ランス・ワン。アルファ・ワン、現在地は？
　速やかに補給任務、ビール三本とダイエットコーク２本を要求する』
「……アルファ・ワン。上層部からそんな命令は出ていない。
　命令を拒否する。この発言に不満がある場合、本部若しくはクラスＡ、
　警備担当主任及び作戦指揮官の許可を得て頂きたい、オーヴァー」
　
　はあ、と、電話の向こうで溜息。
　
『付き合い悪いね』
「ノリが悪いんだよ」

293 名前： Kresnik（CROSS81o） ：2003/01/13(月) 16:13

>>292
　
　電源を切るか切らないか迷うのに１秒、周囲を視線で軽く探って、"そのまま"の決
断を下したのは0.5秒。
　息を殺して、周囲を伺って――バカらしい、と首を振る。此処にはモサドの調法部
も居なければ、KKKの右派が紛れ込んでいる訳でもない。会話に気を使う必要はない。
　……最近、気を詰め過ぎてるのか。
　一ヶ月近くも住処を離れれば、神経も安穏から離れて行く。シスターや子供達の顔
を長らく見ていないのも原因かもしれない。
　ホントに馬鹿馬鹿しい。首を振っても、意味のないノイズは頭を冒したまま。
　多分、考える余裕が出来た所為だろう。忙殺の反動は思いの他大きいらしい。
　
『ひょっとして似てなかった？　ジャックの声マネ』
「……ミサは終わったんだろうな、勿論」
『あーあ、自信あったんだけど――ん？　あぁ、もう終わるよ。
　僕はモーテルに引き上げる所で……今、何処？』
「バー」
『え？　ウソ何処？　奢ってよ偶には、』
「――今、サウスブロンクス」
『げ』
「来れば奢ってやるよ。リミットは30分」
『ジャパンのピザデリバリーじゃないんだからさぁ……ちぇ、もう良いよ』
　
　またね、と、通信はそれで途絶えた。
　勢いで首を軽く回して、脇の会話が耳朶を叩く。さっきの着ぐるみと、この国にでも
充分以上に溶け込んだ日本人。
　――女心、ね。
　ふと、思う。
　ヒトはヒトの心を、何処まで、どれだけまで理解できるのか。
　それは、きっと意味のない思考だ。
　一度顔を合わせたまま、一期一会を体現した仲間の数はこの場の全員の指を足しても
遠く足りない。だから。――だから、理解は捨てていた。
　世界から消えてしまった者はけして戻らない。頭の片隅に残滓を刻んだまま、ゆっく
りと風化して薄れていく。……だったら、理解した分だけ辛くなるのは道理だ。
　
「……同姓の心も理解できてないんじゃ、な」
　
　俺なんかに理解出来るようになるには、幾霜の年月が必要なのだろうか。
　独りごちて、苦笑が浮いた。
　ああ、全く久しぶりにこんな事を考えている。
　関節の一つになった銃杷はホルスターで眠ったまま、今日は一度も触れる必要がな
い。偶には――偶には、こんな一日が有っても良いんじゃないだろうか。
　
「オレンジジュース、貰える？」
　
　動揺は、顔に出さなかったと思う。……どうして、虚無僧が。
　猫と虚無僧――成る程、パレードに関わっている店なのだろう。仮装大会めいた二
人の雰囲気は、それでも店全体のイメージと調和している。
　しかし、オレンジジュースは有るんだろうか。今更な問い掛け。
　
「……無ければストラミルかグレンファークラス」
　
　我ながらデタラメな選択だ、と思っても、酒豪の友人と違って酒の銘柄にすら疎い
俺には精一杯。出来るのは、精々酔わないようにする事と、財布の中身に気を付ける
コト位の物で――

294 名前： キャットマン（gCATMAN.） ：2003/01/14(火) 17:42

>>291
突然の出来事だった。
カウンターから女が飛び出して来たのだ。

なぜそんな所から出てくるんだ、と俺は
その不意を衝つ登場に突っ込みを入れつつ
カウンターを飛び越える様を口を半開きにしながら目で追っていた。

そのジャンプは空中で美しい弧を描く、その動きを追うように俺の首から上も弧を描く。
身軽な女だな、と感心しながら女が着地するのを見届けようとしたが

ずでんっ！！

「いたいのだ～！　コケたのだ～！！」

・・・着地は失敗、女は見事にすっ転び俺のすぐ隣りで座り込んで泣いていた。
よく見るとさっき店に入ってきた女だ、いつの間にあんな所に行ったのか・・・。
その女は見るからに天真爛漫そうで、さっきの身軽さもあってか俺の頭の中で
ふと猿が飛び跳ねる光景が浮かび上がってきた。・・・・・ちょっと笑えた。

そして――――

「・・・・・・・大丈夫か？」

それは意思的か無意識かわからない
俺は床に座り込んでいるその女にいつのまにか手を差し出していた。

295 名前： 閑馬永空 ：2003/01/16(木) 02:38

>>291>>292>>293
　
　娘は、いっそ美麗なまでに絶倒した。
　今様の語で云うならば、ズッコケた。
　
　やれやれ、騒々しい。
　手を出そうとしたが、隣りの猫殿の方が早かった。なら儂の心配すべき事は特になかろう。
　あるとすれば、娘が飲んでいた「あぶさん」を瓶ごと、杯を添えて卓上に並べる事ぐらいだ。
　勿論、「ちぃず」も。
　
　また一人、何時の間にか新たな客が来ていた。携帯とやらで何事か話している。
　これと云って珍しくもない若い男――否。
　訂正だ。
　血の香を感じさせる人間は、何処の世界でも只者とは決して呼べまい。
　
　何人、何十人、何百人分かは判別出来んが、見た所まだ若い癖に随分と殺ったものだな。
　それとも数える単位は“匹”か。
　まあ、揉め事を起こさねば客は客。そんな事態になれば、儂が出る事になろうが。
　
　注文の西洋蜜柑の絞り汁――こう云うと余り美味そうな気がせんのは如何にも不思議――と氷を
玻璃の杯に充たし、細い吸い飲み管を差して客の前に出す。
　
「今云われた酒精も無論ある。水で割るか、氷を入れるか。
　それとも生にするかな？」
　
　――しかし。
　注文の際、声と表情の奥底に動揺を感じたのは、今度は妄想ではあるまい。
　極々幽かなものだったが。このなりは想像以上に目立っているようだ。
　
　着替えるという選択肢について、少し考える。思考と決定にはそれぞれ一秒ばかり要った。
　このままで良い。
　少なくとも、今の所は。

296 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/01/28(火) 03:30

いったたた～！

かうんた～をとびこえるトキにあしのサキがひっかかったみたいなのだ！
おかげで、みごとにズッこけてしまったのだ。
いつもだったらかる～くとびこえられんのにな～。
「あぶさん」とゆ～オサケはおもったよりツヨイみたいなのだ。

「・・・・・・・大丈夫か？」

ふと、メセンをあげると。
ネコさんがこっちにテをさしのばしていたんだ～。
ソンソンをたすけおこそ～としてくれているみたい。
ふっふっふ～、カワイコちゃんはオトクなのだ～♪

ぶるぶるぶるっ！

あたまをふってみれば、ちょっとはヨイザマシになるのかな？

クビとセナカをバネにして、ひょいっ♪とおきあがったのだ。
ミガルでしょ～？

「うんっ♪　だいじょ～ぶ！
　　こ～みえてもソンソンはジョーブなのだっ♪　ありがとね～。」

ふとみると、ネコさんがてをのばしてる～。
そ～いえば、ソンソンをおこしてくれよ～としてたんだったな～。
ソンソンはごまかすためネコさんにアクシュしたのだっ♪

297 名前：東　丈：2003/01/31(金) 14:18

「・・・ふーい、やっぱ戦いの後は腹が減るぜ」

俺はそう呟くと、店のドアを開ける。
カランコロン、と涼やかな音を立てる、ドア上部のカウベル。

「いつも打ち上げはパオパオカフェでやるけど、たまにゃここで一人でやるってのも
いいかな。どうせ同じサウスタウンだし」
独りごちながら、店内に足を踏み入れる。
店内は相変わらず、結構な盛況ぶりだった。
数年前のＫＯＦの時、この店の店内で試合をした事もあったが、その時以上か？
そう思いながら店内を見回す。目に付いたのは―――

カウンターを飛び越え損ねて盛大にズッコケる、女の子。
その子に手を差し伸べる、ダンディな・・・ネコ男（！？）。
グラスをちびりちびりやっている、少々精神的に枯れた感のあるコートの男。
オレンジジュースを頼んでいる、俺と年は大して変わりなさそうだがどこか剣呑な感じのする男。
一度共闘したあの覇王丸を思い出させる、どこか枯れたサムライ。

見知った顔も、数人いた。
バイスとマチュアだ。あのいろんな意味でアブないねーちゃんズも飲みに来てたらしい。
・・・関わり合いになってせっかくの優勝打ち上げを邪魔されたくない。無視無視。

・・・相変わらず種々雑多な人間が集まるな、この店。
コレで雰囲気が悪くならないのは、ひとえに女主人――俺の顔見知り――の器量か？
そんな事を考えながら、バーカウンターへ向かう。

「よー、キング！飲みに来てやったぜ。今日はこっちで優勝祝いだ。
　とりあえずワニ唐揚げ山盛りと、特大ジョッキ頼まぁ！」

俺は女主人――キングに気さくに声をかけ、オーダーする。
そう、いつものようにガウン、ハチマキ、
――――――そして、　パ　　ン　　イ　　チ　で。

298 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/09(日) 23:35

>294>295>296>297
　
　視線だけを脇に投げて、立ち上がるのはソレで止めた。
　猫と女の子。どこで見た光景だな、と思って、直ぐに思い当たった。
　遊園地。パレードの１シーン。
　何とも、こんな場所でお目に掛かると言うのは予想だにしない。
　笑みを噛み殺して、視線はカウンターへ。
　
「……ああ、と。あるんだ？　オレンジジュース｣
　
　注文しようとして、思い留まる。
　虚無僧姿のバーテンに酒を勧められるなんてのは、そう有る物でもない。
　ちょっとだけ考る。どうステアするんだ？　面白そうだ。
　
「あ――いや、気が変わった。じゃあ、ケーブルグラム、頼むよ」
　
　テーブルに肘を置いて、店内をもう一度見回した。
　……随分、騒々しい。
　やっぱり、考える事は同じなのだろうか。何処か家めいた暖かい雰囲気は、座ってい
るだけでも悪い気はしない。
　
「……アンタ、随分日本語が上手いな」
　
　古めかしい口調。少し驚いて、少し笑えた。
　久しい母国語に、少々の寂寥感と安堵。ストローを咥えたまま、苦笑気味に呟いた。
　ジャケットの内側からＭ＆Ｍを引き摺り出して、数粒口に放り込む。前日渡された
レーションの中では、マトモに喰えるのはこれ位の物だろう。他の連中だってマック
かそこらのファーストフードで済ませているに決まっている（チームメイトの一人は
中華飯店でピータンを頼んでいた。喰えない、アレは）。
　
　――まあ、しかし。
　
　軽く溜息を吐く。
　騒々しい、とは思ったが――コレか。
　新たな珍客を一瞥。鉢巻にキックパンツ一つという、日本なら速攻でストリーキン
グ誤認から事情聴取のフルコースでも喰らい込みそうなファッション。
　
「あ――れ」
　
　何処かで、見た事があるような気がする。
　確か、アレは――そうだ。何回かＴＶで、後は数回、同僚の読んでいた雑誌で流し
見た。日本人のムエタイチャンプで、大規模な格闘大会の出場選手の筈だ。
　正直、格闘技に興味はなかったからどうとは思わなかったけれど、雑誌を読んでた
アイツ辺りを呼んでやれば泣いて喜ぶんじゃないだろうか。
　顔には出さずに笑って、グラスの氷をストローで沈めて掻き回した。
　……全く、ココは。
　コレで無害な連中ばかりなのだから、楽しくはあるのだろう。
　
　――まあ、とりあえず。
　この虚無僧の御手並拝見というワケで。

299 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng：2003/02/11(火) 02:55

　幻の名を冠した酒屋は、名前のわりにはしっかりした存在感を持っていた。
　……当たり前か。

　血の匂いが染み付いたまま帰る気にならず、アルコールでそれを洗い流したくてここにきた。
　あいにくと酔えない体質だが、酒を飲むこと自体は嫌いではない。
　ハん、人間ごっこはかくもおもしろけり、ってか。

　俺は何気なくカウンターに行こうとして――>298 止めた。
　銃口越しにしか会話のできないような手合いが先客だったのだ。
　そのまま店を出る気にもならず、目立たないボックス席に陣取る。

　バーテンを呼びながら、濁声――>297 のした方向へ目を向ける。
　―――――――まぁ、いいだろ。俺は静かに酒が飲めればそれでいい。

　バーテンを待ちながらふと目を落とすと、ガラスのテーブルに己の顔が映っている。
　ぼやけて映ったその頬に、拭い忘れた小さな赤い染みがついているのが目に入った。
　指でそれを擦り落し、そのまま頬を滑らせて口に含む。
　その、かすかな――背徳の味覚に、俺は頬を歪めた。

　ああ、今夜は――――――俺は思った。
　今夜は、酒が必要だ。たとえ、酔えなくても。

300 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/11(火) 22:40

>299
　
　ずず、とオレンジジュースを啜る。
　ツマミはチョコレートで、この間同僚に言われた事は結構ヒドい。
　『それ、合うのかよ？』何をバカな。オレンジジュースに合わないチョコが何
処に有るだろうか。
　チョコレートはカレーにでも合うし、オレンジジュースは納豆にでも合う。
　そういう物だ。
　
「しかし、良い加減騒々しいね、ココも――」
　
　そう、ココは。
　言った瞬間、吐き気が込み上げた。
　身体に裏切られるみたいな、違和感。
　
　――音が、消えた。
　
　世界から音色が消失した。視界が灰色に染まる。明度を失ったグラスが、訳の解ら
ないモノに変化する。
　頭が、痛い。曖昧になる。カウンターに手を付いて、少しだけ咽る。
　痛い。痛い痛い痛い痛い。黙れ、俺の身体。
　
　……どうでも良い事ではある、が。
　――俺は、気配と言うヤツを感じ取る事に馴れている。
　馴れ、と言うべきだろうか。煩わしく鬱陶しい程に鋭敏化した感覚は、主に人間
以外――普段の場所でこう言うと頭の中身を疑われそうだが、ともあれ、そういっ
たモノの存在を感知する。してしまう。生まれ付きなのだから、本当にどうしよう
もないコトで。
　
　――本当に、忌わしい事では、あるけれど。
　
「本当……馬鹿らしい」
　
　呟いて、オレンジジュースを飲み干した。甘さが感じられない。
　ロングコートの裾を開く。面白くも何ともないが、くく、あはは。
　……あぁ、コレは、くそ。頭が、焼ける。
　ジリジリと脳髄が焼け付く。髄液が沸騰する。はは、畜生。
　額を抑える。頭痛が止まらない。
　熱暴走する頭蓋の中は、まるでオーバークロックしたCPUみたいだ。
　バチン、と配線が途切れる。意識の歯車が、
　配線が、ズレる。
　ばち、バチ、バチバチバチ、バち、バ――
　世界が、琥珀に閉じ込められる。
　林立するモノリス.オレンジ色の世界/予定調和の解体手術：壊れた夜想に陵辱
される白い庭園__『黒い梟は飛び立った』....偽りの太陽光が胎児を積み上げる
予定された容器→永遠欠落の海の屍骸×モノクロームの穢r』窓は閉じられた．遮
断された逃走経路の中でデジタルな犬の複製達が喚き上げ
　
---(約定されたロジック)---（delete.
　月の獣欲が使者の喉笛を/away-cathdra...//――le.
　
　――は。
　ああ、いや、ふふ。
　何か、しようとしていた。俺は、何か。
　……ああ、思い出した。

301 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/11(火) 22:45

>>300
　
「……食事は済んだかい、チャイニーズ？」
　
　髪をかき上げて、呟いた。
　足は何時の間にかボックス席の前にあって――ああ、あれ？
　何時の間に。まあ良いか。
　良い。ああ、畜生、良いんだよ。
　大分、大分強い気配だ。殺せ、殺さなきゃ、今、今終わらせて、死なせて、
　本当に、はは。傑作だ。
　傑作。何処までも、何処までも何処までも馬鹿にしてくれる。
　この、匂い。嗅ぎ慣れたこの匂い。気付かないとでも、思ってるのか。
　こんな匂いをこびり付かせたままココに、俺の前に、くく。俺の前に出て来た
のか。オーライ、赤色の食事は済んでます、か？　はは、ＯＫだ、クソ野郎。
　
　しかし、ふふ。
　……さて、落ち着こう。
　解ってるだろ？　ＯＫ、俺は理解してる。静かに、速やかに。
　さあ、出来るだけはクールに行こう。　
　
「何の用って訳じゃないんだ。そう、特に理由はない。
　ただ、そうだな。その随分と赤い目が――大分気になってさ」
　
　後は、何を考えるでもない。
　0.1秒。振り出した右手のマテバで、バケモノの右目をポイント。
　席は奥まったボックス席。店内の死角。
　ギリギリと焼ける脳髄が、殺せ殺せと喚き立てる。
　
「ココのメニューには豚の血もないぜ、クソ野郎。
　なあ、正直に答えてくれ。お前はヴァンパイア？　YESかNOだ。
　本当のコト言わないと殺す。嘘吐いても殺す。嘘みたいなコト言っても殺す。
　今言ったコト忘れたら殺す。必死にならないとあの世行きだ。
　言ったコト解ったか？　解らなかったら殺す。
　さあ、答えろ。答えて――いや、やっぱり今殺す。
　お前はヴァンパイアだ。コレは確定だ。俺には解る。だから殺す。
　早速死んでくれ。俺に殺されて消えてくれ。目障りだから消えてくれ。
　比較的火急になるべく速やかにこの場からこの世から虚無の世界へ」
　
　クールかな？
　クールにやれてる。クールさ。
　冷静だ。そう、冷静にやろう。表に引き摺り出して、路地裏で、
　
　――いや、なんでそんな面倒な？
　ああ、もう煩わしい。いいや、殺そう。
　
「adios...freaks」
　
　トリガーに、指を掛けた。

302 名前：涼村暁 ◆fESabaEv6k：2003/02/11(火) 23:05

いや～、しっかし久しぶりの仕事は疲れたね～。
１０８人の煮込み野武士を探す仕事だもんな～。
とはいえそんな難しい仕事を立派に探す俺ってやっぱし最高？　みたいな？
　
ってなわけで早速俺は自分のお祝いをするためにバーに繰り出したってわけだ。
そしたら何だ？　何か変な神父さんが銃を突き付けちゃったりなんかしてるわけよ。
前衛芸術ってヤツかな～？　独特の雰囲気のある店だ、うん。
　
そっちの方にちょいと気を取られながらも俺は席について、早速注文する。
　
「あ、バナナパフェね～♪　大盛りで！」

303 名前：東　丈：2003/02/12(水) 12:48

旧知の格闘仲間である女主人にオーダーし、店の中央あたりのテーブルに付く。
試合会場からそのままの足で来た分、やっぱ空腹だ。
疲れもあり、椅子にだらりともたれかかる。
口中で噴水みてぇに湧き出すよだれを飲み下しつつ、注文した大好物・ワニの唐揚げ(山盛り)を待つ。

「早く来ねぇかな・・・」
そうこぼしつつ、所在無く店内を見回していると―――
俺の後から入ってきた赤いジャケットの筋肉質なおっさんに、さっきの
剣呑そうな面したオレンジジュースの男がなにやら食ってかかっている。しかもかなり険悪な雰囲気だ。
よく見たらおっさんの方からも、裏社会特有の妙に血腥い気配がしている。
このオッサンも、山崎みてぇな狂気をどっかに持っているって事だろうか？

そんな事を考えていると、何を思ったか若い方が男に、拳銃を突きつけていた。
それも殺気むき出しで、いつぶっ放してもおかしくねぇ。

――――何考えてんだ、ったく！
せっかくの優勝祝いの席で、しかもダチの店でこんな荒事起こしやがって！

心中でそう毒づく。
ある程度の喧嘩なら許容範囲だが、コレは命のやり取りになりかねない。
冗談じゃねぇ。殺し合いするにもＴＰＯぐらいわきまえろってんだ！

「おらァ！」
一声とともに、机に座ったまま拳を振り上げる。
席が離れている分、当然届くわけがない――――普通のアッパーカットなら。
しかし俺のアッパーは普通じゃねぇ・・・冗談でも誇張でも比喩でもなく、竜巻を起こせるぐらいに。

二人の間に見事に割って入る、超小型の竜巻。
俺のハリケーンアッパーは男の手から銃を弾き飛ばし、そこで掻き消えた。
手加減して撃った分、二人に怪我はないし、店内も散らからずに済んだ。

「斬ったはったは勝手だがよ、ここは客商売。しかも俺のダチの店だ。
大の大人二人が雁首そろえて、ＴＰＯもわきまえられねぇのか？」

あっけに取られるバカ２名のところへ歩いていき、俺はそう言ってやった。
・・・これをダシにして、キングにオゴリにしてもらおうなどと、不埒なことを考えながら。

304 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng：2003/02/12(水) 21:15

　頭のイカレた神父に因縁をつけられたのは何回目だ。My God！　ったく。
　ああ、そうだろうさ、これも神の思し召しとやらなんだろうさ。
　皮肉な想いに俺はわずかに肩を震わせ、次いで視線を若い神父に向ける。

　黙ってりゃマシな顔してるんだろうが、殺意と狂気が作った険が、その顔を醜悪に歪めていた。
　酷ぇ顔だな神父さんよ、その顔じゃ女子供は逃げ出すぜ？

「近寄りすぎだ、Kid」
　押し殺した声で告げる。
　俺の両腕はテーブルの上にあるが、その気になりゃコンマ1秒とかからずに、やつの腕の腱を残らず切り裂ける。
　そして、眼を撃ち抜いた所で俺は死にはしない。
　銃を突きつけられた状況で、しかし俺にしてみりゃ、五分五分かそれ以上といえた。
　俺は奴とにらみ合ったまま、声を張り上げた。

「おいおい、俺は酒を飲みに来ただけだぜ？
　わけのわからねー言いがかりは止めてもらいたいもんだな」
　店中から注目が集まる。俺は両手の平を掲げ、武器を持っていないことをアピールする一方で――
　奴にだけ見える俺の右頬は、歪にゆがんだ笑みを形作っていた。

　だが、緊張の高まった一瞬、奴の銃が弾けとんだ。続いて降ってくるダミ声 >303
「斬ったはったは勝手だがよ、ここは客商売。しかも俺のダチの店だ。
　大の大人二人が雁首そろえて、ＴＰＯもわきまえられねぇのか？」

――命知らずもいたもんだ。
「だそうだ。どうするよ、神父さん？」

305 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/12(水) 21:48

>>303>>304
　
　からり、と。酒場の床で、マテバは数回跳ねて転がった。
　逸した機会に、軽く舌打ち。
　原因を調べるよりも早く、言葉は口を吐いて滑り出る。
　
「――どうする、だって？」
　
　眼前のバケモノ。
　吊り上がった頬を見て、脳髄が沸騰した。
　
「Kid？　オーライ、俺は三十年も生きてない若造だけどな。
　殺したクズの年齢合わせれば、二十世紀はラクに遡れるぜ？
　言い掛かり。言い掛かり、言い掛かりか。言い掛かりときたか！
　――ハ、最高のジョークだな、中国人」
　
　――絶対、殺そう。
　
　脳の片隅が、小さく呟いた。
　今更見たいに、視界の端で意識は乱入者の気配を捕えている。
　奥から歩いてくる男は、例のムエタイチャンピオン。
　成る程、邪魔してくれたのはお節介なこの格闘家なのだろう。
　邪魔してくれなけりゃ、今頃このクソ野郎の腐った脳漿は辺りを派手にペイントし
てくれただろう。
　軽く、転がったマテバに視線を落とす。
　死んだアイツ等の形見で、身に付け続けた相棒で――
　一瞬――ほんの一瞬、だけど。
　殺してやろう、と思った。
　
「……ち」
　
　ダメだ、どうかしてる。
　首を振って、黒い意識の残滓を振り払う。
　それで、少し冷静になった。
　……落ち着けば、何の事は無い。目の前に居るのはやっぱり化物で、殺すしかない
クズで、どうあっても始末するしかないクソ野郎で。
　つまり、始末するのにはこのムエタイ青年が邪魔な訳だ。
　
「ＴＰＯ？
　コイツに限っては考慮する必要はない。
　……場所が多少悪いって事は認めるけどね。
　その点が気に入らないなら謝罪するよ。悪かった――けど｣
　
　呟いて、一動作。左袖からグロック33を引き抜いた。
　慣れ親しんだ感覚。相手が行動を起こす前に殺すのは定石。
　コンマ１秒で手の中に収めて、再度化物の頭部をポイント。
　
「アンタには分からないよ」
　
　――多分、永久に。
　言葉を飲み込んで、不慣れな説得の言葉を考える。
　事情を知らない人間に説明するのは果てしなく面倒だけど、このままこのクズを放
り出す訳には行かない。
　何事も、被害を増やす前に。
　言ってみれば、ネズミ退治と同じコト。
　このネズミは、矢鱈と頑丈で凶暴で、オマケにペストよりタチの悪い病気を持って
いる事を除けば、だけど。

306 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/12(水) 21:52

>>305
　
「邪魔はしない方が良いよ、ムエタイチャンプ。
　二度とケンカできない程度に怪我する羽目になる。
　俺はアンタと事を交えるつもりはないし、一般人を殺すつもりは微塵もない｣
　
　声のトーンが落ちてるな、と実感した。
　良くない兆候だ。苛付いている。
　考えた説得の言葉は、吐いてから気付いて何処までも陳腐。小学生の言い訳レベル
の内容に、我ながら頭が痛くなる。
　視線を脇に這わせれば、件のキックボクサー。成る程、悪くない身体付きをしてい
る。自己管理はどうか知らないが、プロらしくはしているのだろう。無駄な筋肉を付
けてはいないらしい。
　……ああ、思い出した。連勝を続けていた筈だ、確か。
　溜息を噛み殺す。どうにも面倒だ。
　手練れている分、殺さずに大人しくさせるのは骨だろう。
　素手でのクローズドコンバットは格闘家の領域。自己を高める為に戦う彼等と、殺
す為に力を磨く俺達とでは、根本的に戦う意味が違う。
　倒す事と斃す事。違いは小さくて、けれど永遠。
　自分を高めるだけに生きられるなら、それはきっと幸せな事なんだろう。
　考えて、少し自己嫌悪。即座に、下らない事だと羨望を握り潰す。
　
「……保障してあげるよ。
　見て見ぬフリをしても問題はない。
　警察が来る事もないし、誰にも迷惑は掛からない。
　ホラ、他のお客様の注目が集まる前に引き返したらどうだ？
　それで何もかも問題なく完了する｣
　
　事情を説明するのは果てしなく面倒――だけど。
　軽く肩を竦めて、一度だけ睨み据えた。気配は殺して、殺意は倍化させて、意識は
化物に向けたまま視線を当てる。
　
「結論から言ってやる。コイツはバケモノで、人間じゃない。
　理解出来たか？　アンタが誰だろうと興味はないんだ。
　繰り返して言うが、邪魔はするな。死にたくないならな｣
　
　それで、彼から興味は失せた。
　まだ邪魔するならどうしようもない。排除してからコイツを殺すだけ。
　
「さて、少々興冷めだが――
　外で死ぬか？　今死ぬか？　どっちにしろ殺す。
　店内での争いを好まない客人が多いみたいだから、お勧めは前者だがな。
　選ばせてやるよ、ブラッドサッカー。選択肢は絶対的に二択だ。
　さしあたって、あの世でヘカテーと飲茶するのを推奨してやるけど」

307 名前：ジョー・東：2003/02/13(木) 14:56

>>303->>306

　・・・甘かった、そうとしか言えなかった様だ。
　俺のハリケーンで銃を弾かれたアンチャンは、懲りもせずもう一丁の銃を引っ張り出して、男に再ポイントしやがった。
　銃を突きつけられたオッサンは、しかしそれでも俺のハリケーンにも男の銃にも動揺した様子はない。
　どうやらこの二人、どちらも相当な修羅場を踏んでいたらしい。
　眉毛一本動かさずに、オッサンが口を開く。

「だそうだ。どうするよ、神父さん？」
　口調こそ穏やかだが、わずかながらに赤いジャケットから殺気がにじんでいる。
　
　変わって、神父と呼ばれた――しかし今はとてもそんなイメージにはそぐいそうもない様相の男が、
なにやら言い訳を流している。しかも、殺気は全開のままで。
　
　・・・“神父サマ”の言い訳とやらを聞いているうちに、なんだかムカっ腹が立って来た。
　内容を要約すると・・・
『こいつはバケモノだ、ＴＰＯなんざ知ったことか、お前の出る幕じゃないから死にたくなきゃ邪魔すんな』
　とのたまっているらしい。
　

308 名前：ジョー・東：2003/02/13(木) 15:34

>>307　
　
　赤ジャケのオッサンも殺る気満々だし、“神父サマ”は今にもここで・・・といわんばかりだ。
　ヤローの言い訳を１秒反芻する。
　・・・その裏にくっついた狂気が印象的だった。あの山崎に勝るとも劣らない狂いっぷり。
　しかし・・・どこ取ってもバカにした発言だぜ。
　
　―――死にたくないなら？陳腐すぎるセリフだ。
　今までのギースとの戦いやＫＯＦなどで、そんなことには慣れっこだ。
　試合ではない、“殺死合”のような状況もいくつもあった。
　死ぬことが怖くてケンカができっか！

　―――バケモノ？・・・どういう因果か、俺はバケモノとも何度か戦りあっている。
　共闘したことも、殺し合ったこともあるサキュバスのねーちゃん。
　超能力者や、死んだはずのギースの亡霊。悪の秘密結社に生み出された改造人間。
　殺意の波動に飲み込まれた、神の名を冠した鬼。
　さらにはおそらく地球最大のバケモノ、オロチとその一派。
　いまさらどんな化け物が出て来たって驚きもしねぇよ。

　―――出る幕はない？このジョー･東様に言うセリフじゃねぇな。
　ケンカの匂いに我慢できるタチじゃねぇんだよ。

　だが、それ以上にトサカに来たのが―――
　もはや怒りゲージＭＡＸ。俺の体は、自然に深くしゃがみこんでいた。

「ＴＰＯを考慮する必要はないだぁ！？ＴとＯは不問にしてやってもいいが・・・
　Ｐ(Place)に関しちゃ大ありだっ！！！」

　俺の拳の周り―――すなわち二人の足元に、赤いつむじ風が巻く。
　―――このときの俺は、完全に血がアタマに逝ってたらしくて。はい。

「殺し合いなら仲良く二人で―――――外逝ってやれ！！！
　
　ダ　ブ　ル　・　サ　イ　ク　ロ　ン　！　！　！　！　」

　店内に巻き起こる、赤い二本の竜巻。
　それは、さっきのハリケーンなんか問題にならないくらい大きくて。
　後先のことなんか、考えもしなくて――――――

309 名前：通りすがりな人 ◆iN.TadAo.Y：2003/02/13(木) 21:01

>308　ジョー東　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　　

　
　
　　
　
　

　
　
　　　　　　　天　　　井　　　に　　　突　　　き　　　刺　　　さ　　　　り　　　ま　　　す　　　た　　　
　

　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　　
　
　

　　
　
　
　
　
　
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ぷらーん）

310 名前：通りがかった名も無きラスボス ◆v9BpDAGUBA：2003/02/13(木) 21:10

>308>309
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　　

　
　
　　
　
　

　
　
　　　　　　　何　　故　　か　　同　　じ　　く　　天　　井　　に　　。
　
　
　
　
　
　

311 名前：どっかのオーナーシェフ ◆SNAGITOv0E：2003/02/13(木) 21:13

>308>309>310
　
　
　
　
　

　　　　　そ　し　て　吊　ら　れ　た　影　が　三　つ　
　
　

312 名前：涼村暁 ◆fESabaEv6k：2003/02/13(木) 21:22

バナナパフェを待つ俺に、竜巻とともに吹き付ける物体がひとつ！
　
Σ＝＝＝＝＝>>((( ﾟ>
　
その青々と光る物体は間違いなく……「鯖」。
　
「って、サバじゃねぇ～～～～っ！！　俺が頼んだのはバナナパフェだっつーの！」
　
怒りと叫びとともに、俺は竜巻を起こした男向けて鯖を放り投げた。

313 名前：シエル ◆kcbhGUILTY：2003/02/13(木) 22:14

>>305 >>306 >>307 >>308

「ああ・・・完全に遅刻ですね―――」

小走りに向かう先・・・見えた。
バー”ILLUSION”それが待ち合わせの場所――と言っても、
それから遊びに行く訳でも無ければもちろんデートの筈も無く、只の任務。

―――ああ見えて時間には割と寛容ですけど・・・

待っている筈の人物の顔を思い浮かべる。
それは良い。
ただ、何となく。嫌な予感がした。

「トラブル良く起こすんですよね・・・」

ああ、なんか本当に不安になってきた。
化け物――特に吸血鬼を見ると押さえが効かないんですよね。
それ以外は良い人なんですけど。


ドアを開ける。
視界に飛び込んできたのは――店内の風景。
もっと詳しく言えば、開いたばかりのドアを一瞥もしない客達の視線。

―――猫？

客の中にスーツを着た猫が居た。
猫。猫猫猫。
まあ、世の中には吸血鬼が居るのだから、人狼もとい人猫くらい居るだろう。
いや、居る。そう思おう。
客達の視線を追う。
因みに嫌な予感はもう確信に変わっていた。
隅のボックス席。
座っている紅いジャケットの男。
しゃがみこむ様に上体を沈めるキックパンツ一枚の男。
そばに立つジーンズ姿の男。

314 名前：シエル ◆kcbhGUILTY：2003/02/13(木) 22:16

>>313

―――やっぱり。

などと溜息をつく暇も無く、突き上げられる拳と共に巻き上がる竜巻。
赤く、天井に届きそうな高さのそれが二つ。
こんな所でなんてモノを――

―――取り敢えず止めないと。

距離にして数歩。詰めるのは一瞬。
床を這うように走りざま、両手に黒鍵を二本ずつ生成。
それぞれ左右の竜巻に叩きつけて、即座に風葬式典を起動。
干渉し合いかき乱された風の渦は、幻のように消えた。

「――ふう。一体どうしたんですか？ お店の中になんで竜巻なんて――」

そこまで言って。
座っている男が、酷く濃い血の匂いを漂わせているコトに気づいた。
それでまあ、判ってしまったと言うか。

「まあ何でも良いですけど、とにかく物騒な真似は止めにして下さい」

ジーンズ姿の男――待ち合わせの相手、
に歩み寄り「騒ぎを大きくするのは良くありません。やるのなら後でです」と耳打ちする。

これで押さえられるかどうか、確信は持てなかった。

315 名前：シエル ◆kcbhGUILTY：2003/02/13(木) 22:17

>>309 >>310 >>311 >>312

３人ほど天井に頭から刺さったり、
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
-＋- -＋- -＋-
∧ ∧ ∧

何処からか㌧できた鯖が叫び声に共に宙を舞っていたりしたけれど。

( ﾟДﾟ)∩ <サバじゃねぇ～～～～っ！！　　　Σ＝＝＝＝＝>>((( ﾟ>


わたしには見えなかった。聞こえなかった。
断じて。
と言うか、それを認めたらとてつもなく恥ずかしい気がした。

316 名前：シエル ◆kcbhGUILTY：2003/02/13(木) 22:29

・・・ごめんなさい、訂正をさせてください。

>>309 >>310 >>311 >>312

３人ほど天井に頭から刺さったり、
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
　-＋-　 　-＋-　 　-＋-
　 ∧　　　　∧　　　　∧

何処からか㌧できた鯖が叫び声に共に宙を舞っていたりしたけれど。

( ﾟДﾟ)∩ <サバじゃねぇ～～～～っ！！　　　Σ＝＝＝＝＝>>((( ﾟ>


わたしには見えなかった。聞こえなかった。
断じて。
と言うか、それを認めたらとてつもなく恥ずかしい気がした。

317 名前：ジョー・東：2003/02/14(金) 01:23

>>309～>>316

俺が怒りのままにぶっ放したダブルサイクロンは、
赤いジャケットのバケモノ呼ばわりされてたオッサンとトチ狂った“神父サマ”を飲み込み、
そのまま天窓をブチ破って二人を屋根の上へ放逐―――――――しなかった。

俺の背後から飛んできた四本の剣。
それらが発生したサイクロンに吸い込まれたかと思うと、
紅い竜巻はいきなりグネグネと掻き乱されて――――本来よりもはるかに早く消えちまった。
・・・なにやら竜巻が引っ掻き回されてうねる中で、
捻じ曲げられたそれに巻き込まれたあわれな方々(>309・>310・>311)もいたが。

「――ふう。一体どうしたんですか？ お店の中になんで竜巻なんて――」
かけられた声に振り向くとそこには、かなりかわいい顔した修道服の女の子が一人。
まさかこの子があの剣を投げて、俺のサイクロンをかき消したって言うのか？
可愛い顔からは想像も出来なかったが、よく考えたら今までに戦った中でもこういうことは往々にしてあった。
そんな事を考えていると――――

「サバじゃねぇ～～～～っ！！　俺が頼んだのはバナナパフェだっつーの！」
べちっ！
何の脈絡もなしに、その声に続いて鯖が飛んできた。・・・なんで鯖？
顔に当たる鯖を拾い上げ、首をかしげる。

318 名前：ジョー・東：2003/02/14(金) 01:45

>>318

んで、振り上げられた拳の向こうには未だに無事な騒ぎの張本人―――アブナい“神父サマ”と、赤ジャケのマッチョマン。
・・・なんでぇ、結局無事だったのかよ。平然とそこにいる二人がいまいましく感じたが
サイクロンをぶっ放し、そしてかき消されたせいか・・・毒気はすっかり抜けちまってた。
・・・と、さっきのシスターが、なにやら男に耳打ちしている。
オッサンを狙う“神父サマ”とシスター…なーる、この３人は関係者ってワケか。

「まあ何でも良いですけど、とにかく物騒な真似は止めにして下さい」
女の子が声をかけてくる。ちょうどいい、こいつら引き取ってもらおう。
そう思い、事情を説明する。
「ああ、キミこのバカ約二名の関係者？
　ちょうどいいや、こいつら連れて帰って。実は―――――」
俺は、飲食店の中で場所柄をわきまえずにドンパチやろうとした連中の行状を、切々と聞かせてやった。
最後にパンツの中から取り出した色紙にサインして彼女に渡す(そこ、押し付けたってゆーな)と、俺は自分の席へ歩き始めた。

ふと天井を見上げる。
“不幸な事故”によって、そこに頭からめり込んでしまった方々が映った。

ジーパン・Ｇジャンの少年(>>309)。
上下とも白で統一した青年(>>310)。
たまたま騒ぎを聞いて厨房から出てきたのだろうか（違)、コックさん(>>311)。

３人に心中で合掌しつつ(コラ)、俺はテーブルに身を投げ出した。
「腹減った・・・」

319 名前：ジョー・東：2003/02/14(金) 01:48

上のレスは>317あてだ・・・スマソ。

320 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/14(金) 07:24

>>307-318
　
　殺気、と言う物は何にでも付き纏う。弾丸の軌跡、風の唸り、空気の匂い。
　解るから、生きてきた。生きられた。解るしかなかった。生きる為に。
　榴弾の飛び交う中を走ってきた。頭上を掠める弾丸の濁流の中を泳いできた。音
速の死の中で生きてきた。
　生きて、戦って、殺してきた。死と慟哭と亡骸だけが世界だった。
　死んだ連中はホントに英雄みたいなヤツばかり。俺みたいなヤツが生き残ったの
は、何かの間違いだったとしか思えない。
　生き残った理由は――それでも生きている理由は、だけど簡単だ。
　生存出来るだけの能力が在った。それだけの、明確な事実。
　現状を単純に言ってしまおう。
　
「――遅過ぎる」
　
　吐き捨てると、ボックス席を支点に螺旋を描いてステップ。マズルはヴァンパイ
アにポイントしたまま、悪寒から全身を翻す。
　殆ど、同時に。
　込み上げる頭痛を追うように、足元から竜巻が――文字通り、竜巻が湧いた。
　まあ、コレは随分と――場所を考えてないのは、この阿呆も同じだろう。TPOを
考えろ？　冗談は休み休み言え。まだ直接手を出してない分、俺の方がマシだ。
　心中で溜息を吐くのと同時に、良い加減――イラ付いた。
　
　"力"に身を任せるなり、義手でヘッドクラッシュしてやれば大人しくはなるだろ
う。それこそ永遠に。肉片と骨片の蟠りになるのは確定だが。
　前者を行った場合は生存者がいなくなる上、どの道人間相手にやれる事じゃない
のが欠点といえば欠点。結論としてNGだ。殺すのはクズ一匹で充分。
　しかし、黙らせるべきだろう。それも火急に。こう邪魔されるのは業腹だ。
　第一、言葉を繰るには些か飽きた。
　
「忠告はした筈だ、チャンプ。
　一般人の出る幕じゃないってコトだ。
　三度はない。――失せろ。これ以上邪魔されるのは我慢ならん。
　正当防衛で始末されたいのか？　俺は一向に構わんがな。
　……邪魔するならタダじゃ済まない、って――え？」
　
　苛立ったまま呟いて、視線は一ヶ所に強制的に固定される。
　忽然と、破壊を生み始めた渦が消失した。奇術めいていて馬鹿馬鹿しいまでに突
然に、何の前触れもなく溶けるように。
　その奥、朦々と舞い上がった埃の空間の向こう――その一点で、けれど視線は動
かせない。
　思わず、声が滑り出た。
　
「……シス、ター？」

321 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/14(金) 07:30

>>320
　
　多分、随分と間抜けた声だったろうと思う。
　空色の髪、空色の瞳。周囲よりも一段階明るい存在感を主張する色が、目に焼き付
いて離れない。場違いに、少しだけ放心した。
　そういうコトか、と納得。
　つまり、今のは彼女だったのだろう。相も変わらず大した技量。
　あの状況をゼロに戻す判断力と実力は、店舗にしてみれば恩人同然だろう。
　
　――『埋葬機関』のシエル。
　
　騎士団の繋がりが薄い組織とは言え、全組織から見てもフリーランス同然の俺から
見れば、まだそれなりに理解はしている教会のアンダーグラウンド。思い出すのも厭
になるような局長の下で働いている、年若い"司教"――勿論、正式な意味での司教と
は違うのだろうけど――それが彼女だ。
　言い訳をする間も、言葉を搾り出す間も無く、苦々しい表情で傍らにシスターが立
っていた。
　意識の空白。弁解できる状況じゃない事は解ってるけど、未だに煮え滾る脳髄が殺
せ殺せと喚き立てる。
　その通り、あのクズは死ななきゃならない。
　再起動する殺意。グリップを握り締める。
　
　不意――に。
　寄せられた息と声に、意識が乱れた。何処か甘やかな香で殺意が掠れる。
　僅かだけ落ち着いて、周囲に視線を巡らせた。
　ああ、確かに。
　確かに、コレは。
　……流石に、コトが大きくなり過ぎた、か。
　
「――ち」
　
　苛立ちを押し殺して、舌打ち。
　グロックを袖のホルスターに収めてマテバを拾い上げる。
　ヴァンパイアから距離を保つ形に彼女を押し離して、ゆっくり向き直って、　
　……今更思い出した。
　約束をしていた――んだったか。全く持って憶えていない。口に出してそこまで言
える訳もなくて、曖昧に苦笑して誤魔化す。
　誤魔化せた自信は薄い。構う物か。押し通せばＯＫだ。
　何時の間にか彼女の押し付けられていたらしいサインは取り合えず投げ捨ててやり
たい感情に駆られた物の、大丈夫、頭は冷静らしい。
　さて。今から考えるべき事柄が一つ。
　
　……オーケイ、どんな言い訳をしようか。

322 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng：2003/02/14(金) 22:45

>310らへん

　飛び退ったひょうしに竜巻に煽られ、俺はとなりのボックスに転がり込んだ。
　不幸中の幸いは隣に誰もいなかったことか。
　テーブルを叩き割り、一回転して起き上がった俺の目の前には、
　肉の塊が一つ、二つ、三つ――違った。
　――――

「――言ったろ、俺は酒を飲みに来ただけなんだよ」
　白けた雰囲気に終止符をうとうと、俺は言った。

323 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng：2003/02/14(金) 22:49

>>309-311
　ついでに、肉の塊（違　を引っ張る。
　荒っぽすぎる？　これで死んでるなら、頭から突っ込んだ時点で死んでるっての。
　一応、首を捻らないように気をつけはした、死んでても俺のせいじゃねー。

　――ったく。

「酒――――」
　俺は手近の席に腰を下ろし、バーテンを呼んだ。
　神父のほうはどうせ手一杯だろ、女の相手で。

324 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/17(月) 09:24

>>309-311
　
　苛々する。
　ワケの判らない状況。
　吸血鬼で、ムエタイで、竜巻で、シスターが来て、それで、それで――
　
　くそ、と天上を見上げる。
　
　―――――――――――――。
　
　目の錯覚だ。
　見なかった事にした。

325 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/17(月) 09:26

　視線を脇にやれば、ヴァンパイアの姿。のうのうと新しい席に座るのが視野に飛び
込んで来る。思わず舌打ち――
　
　――慌てて彼女へ引き戻して、もう一度苦笑する。
　
　頭が上手く回らない。言葉が出て来ない。
　タイミングはホントに最悪。怒りが頭の片隅に残った状態で、上手い言い分を考え
る方法なんてのは、至難の芸当に違いない。
　どうする。どうする？　ホントに忘れてた。何の用時だったかをまるで憶えていな
いし、どんな約束をしたのかも記憶にない。
　ホントにした？　したんだろう。でなければ彼女がココに居る説明が付かない。そ
れはいい。まあ、それはいい。忘れてるワケだからそれは仕方無い。
　問題は一つだけだ。
　
　――さて、どうする。
　
　"今日、何の用でしたっけ？"　　ダメだ、率直過ぎる。
　"シスター、今日も綺麗ですね？"　　何処の軽薄男だ、俺は。
　
　散逸した思考は、正常な答から剥離してしまっているらしい。
　軽い混乱。口が動かない。
　
「あー……と」
　
　視線を彷徨わせる。
　頭の中は不意にパニック。顔にはギリギリ出していないけど、思考は言葉の形を取
ろうとしない。意味不明のノイズに変わった言語は、乱れに乱れて呻き声を作るのが
やっとと言う有り様。
　勘弁してくれ、全く。毒付いても何も始まらない。誰の所為だ？　全面的にアイツ、
吸血鬼。ヤツが悪い。全部悪い。アイツが何もかも悪い。あのムエタイが割り込んで
来たのも埃が舞ってるのも、くそ、考えれば際限なく増える気がする。

326 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/02/17(月) 09:28

>>325
　
　ぎり。奥歯と唇を軽く噛んで、思い切り横目で奥の席のヤツを睨み付けた。兎に
角殺す。後で。絶対。追い詰めて追い掛けて絶対に。
　……ああくそ。
　まあ良い。アレは後回しだ。逃さないように見張って置けばそれで良い。
　思い出せ。何だった？
　シスターがここに来た理由。
　任務？　任務に決まっている。プライベートな会話はした事がない。何だ？　アメ
リカで片付ける事は終わらせたし、フィンランドの連中は全滅させたからミスもクソ
も有りはしない。中国。有り得ない。異端絡みの連中は全部殺してバラしたし、九龍
城跡から逃げた連中も消した。日本か？　確か彼女も日本に居た筈だ。いや、これも
ＮＧだ。狭いだけに地域も限られて、行動もはるかに楽なあそこでは、そんなに大規
模な問題は発生してない。じゃあ何だ。イタリアか？　ローマで何か有ったって言う
のか？　何処かから攻撃を受けた？　まさか。朝も連絡を受けた。ならなんだ。
　ああ――まさか。まさか、まさかまさか！？　執務室に置いておいたＣＤが司教か
誰かに見付かって、メタルは悪魔の音楽だとか言い出してひょっとしたらつまりシス
ターは刺客で俺を！？　……良いだろう。殺られるつもりはない。音楽は主の贈り物
だ。この考えは間違っちゃいない。ですよね、我が主よ。
　距離は２メートル、どちらにしても必殺の間あ――
　
　――阿呆か、俺は。
　
　視線をシスターに戻せば、やっぱり訝しげな表情が浮かんだまま。
　良い加減そのサインは捨てた方が良いんじゃないですか、シスター。色紙が何処か
ら出てきたか俺は一応見てた訳で。
　そうじゃない。そうじゃないだろう。訊く事がある筈だ。訊くべき事が。
　なるべくさり気無く、怪しまれないように、用事のみを。
　
　さあ、訊け。アドリブで、出来るだけ上手く早く――！
　
「――ああ、と」
　
　さあ。
　
「な、何か約束してましたっけ？」
　
　――最悪。

327 名前：シエル ◆kcbhGUILTY：2003/02/19(水) 21:23

>>318->>326

「いえ、関係あるのは一人だけですけど・・・」

一応、吸血鬼とも関係が無い事も無いけれど。
ともかく、話を聞けば概ね想像と同じで。
小さく溜息を一つ。

・・・そして、気が付けば手の中にはサインが一つ。

どうしたモノか、と思いつつ去って行く背中を見送っていると肩に触れる手の感触。
押されるままに歩く。

―――思っていたより大きいんですね、手。

その感触に、ふとそう思った。
立ち止まって向き直り、視線が合って。
唐突に曖昧な笑みを浮かべる彼。
何処と無く落ち付かない様子に見える。と言うか、困っているような焦っているような。

「・・・・・・・・・・・・」

掛ける言葉も無く待つ。
合っていた筈の視線はとうに外れ、彼の視線だけが店内を右往左往。
これでは表情が訝しげになるのもやむを得ないと思う。

―――まさか。

いや、これで違った方が驚きだ。
なんて言うか、判りやすい。とっても。
だからその問い掛けを聞いても別段驚きはしなかった。

328 名前：シエル ◆kcbhGUILTY：2003/02/19(水) 21:25

>>327

「・・・お仕事ですよ、もちろん。えーっとですね・・・」

苦笑交じりに答えて、懐を探る。

「――――それともデートか何かの方が良かったですか？」

少し意地悪だったかもしれない、と思っても、くすりと声が漏れてしまう。
笑いを噛み殺して、ソレ――封筒と小さな包みを取り出した。

「封筒の方にアレに関するデータが入ってます。
　で、こっちの方が例の弾丸で、「その数が限界だ」だそうです」

走った上に色々あったから、少し喉が乾いた。
何か飲もう、とカウンターへ向かった。


・・・生暖かいサイン色紙を、さり気なく脇のテーブルに置いて。

329 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng：2003/02/19(水) 21:31

>>326
　奴が睨んできたので、顎をしゃくって「彼女が怖い顔してるぞ」と教えてやった。
　まったく、女の扱いを知らないやつだ。……俺の言えた義理じゃないが。

　奴の視線が俺から離れたのを見、俺は席に収まってグラスを持ち上げた。
　ようやっと酒にありつけたわけだ、やれやれ。
　溜息をつき、俺はそのまま、琥珀色の液体に口をつけた。

330 名前：エクセレン＆アルフィミィ ◆GgEXeLleN2：2003/03/01(土) 08:53

　
　それは、アルフィミィとの買い物の帰りの出来事だったり――――
　
「ふむむ、喉が渇いたわね………」
　
　そういえば、此処、最近、全然、飲んでいない気がしたりしなかったり………
　とすると、身体が飲みたいという欲求を出すのも当然にして必然って奴？
　
『……エクセレン、何をしていますの？　急に立ち止ったりして』
「アルフィミィ、寄り道しない？　私の奢りでいいって事で……」
『突然、ですのね。別に構いませんけど、何処に行きますの？』
　
　そーいえば、キングお姉さまからお店にご招待されてたわねぇ………
　ボスに年末年始、拉致監禁調教されて、見事にアレから、２ヶ月経過しちゃったけど。
　
『エクセレン、一言じゃなかった一単語、多いですの』
「こらこら、人の心の中を読まないってば」
　
　よし、折角の機会だし、この際、行ってみましょうか。
　善は急げって奴よね。
　
『エクセレン、自スレのレスはどうしますの？』
「うぐ、アルフィミィ、ツッコミ、厳しいわねぇ………」
　
　
　　　　　　　　　　　　　　　ＮＯＷ　ＬＯＡＤＩＮＧ......
　　　　　　　　　　　（猿がお手玉中、ＡＡは略だったりとか）
　
　
　エクセレンが連れて行った所は、落ち着いた雰囲気の店でしたの。
　ええと、確か、此処は何ていう場所でした？
　
　―――――そうそう、酒場とかいう所でしたの。
　アルコール分を含み、人を酔わせる飲料を提供して、集まった人がそれを飲んで、
　騒ぎあい、親交暖める場所だったんですの。
　
『何か、随分、杓子定規っぽい説明ねぇ………』
「ほっといてください、ですの」
　
　からんころん、と小気味の良い音を立てて、ドアが開け、中へと―――――
　
　――――入る寸前に、私の足はピタリと止まりましたの。
　瞬間、私の脳裏に浮かぶのは嫌なイメージ。
　
「……………」
『ん、何かあったの？　いきなり、止まったりして』
「エクセレン、引き返しません？　碌な予感がしないですの」
『……もしかして、予知しちゃったり、とか？』
「……そんな感じですの」

331 名前：エクセレン＆アルフィミィ ◆GgEXeLleN2：2003/03/01(土) 08:54

>>330
　
　
　　　　　　　　　　　　　　　　ＮＯＷ　ＬＯＡＤＩＮＧ......
　　　　　　　　　　　（初期は皆、猿のお手玉だったのよねぇ……）
　
　
　さて、どうしたもんでしょ？
　アルフィミィの予知はキョウスケの賭けなんかよりはるかによく当たる。
　いや、キョウスケの賭けが駄目駄目ちゃんって言う話もあるんだけど……
　
「でも、ゲーム中では本当に嫌らしい能力なのよねぇ。脱力は必須って感じ？」
『……エクセレン、今は全然、関係ないですの』
　
　……まあ、それはさておき、お姉さんはお酒を飲みたい。
　でも、アルフィミィ曰く、危ないとか何とか………
　むむむむ、ま、何とかなるでしょ。
　
『エクセレン、面倒事は私はご免蒙りますの』
「キョウスケの３０分独占権をあげるわよん？」
『……さっさと行くですの。時は金也、ですの』
　
　よし、買収成功。
　ま、やばくなったら、その時はその時という事で………
　
　
　　　　　　　　　　　　　　　　ＮＯＷ　ＬＯＡＤＩＮＧ......
　　　　　　　　　　（Ｚの方は必ずしも高速読み込みにならなかったり……）
　
　
　店内に居るのは………
　妙に殺気だったカップル――きっと、地下室で熱々っぽい関係、ですの
　くたびれた探偵風味の人――きっと、大家さんに頭が上がらない、ですの
　ＳＡＭＵＲＡＩっぽい人――きっと、セーラ服大そてつ、ですの
　
『ＳＡＭＵＲＡＩって言うと、途端に某バトル漫画みたいに胡散臭くなるわよねぇ………』
「重力も突破しますの」
　
　……それはさておき、続きですの。
　二足歩行している猿っぽい女性――きっと、アレは２代目、ですの
　二足歩行している猫っぽい男性――きっと、銃で太陽を撃ち落したり、ですの
　後は鉢巻をした日本人な人――きっと、ＲＢで主人公格からその他に転落してしまった、ですの
　
『は～い、そこのおじさま、同席、いいかしらん？　あっ、そこの鉢巻クンも一緒に飲まない？』
　
　私が状況を確認している間に、エクセレンは探偵風味の人の所にすたすたと行ってしまいましたの。
　というか、アレはどう見ても人間に見えませんの。
　変な事にならないと良いのですけど………

332 名前：アインスト＝アルフィミィ ◆JyEinst/BI：2003/03/01(土) 08:57

……参考までに私とエクセレンの格好ですの。
　
・エクセレン
http://www5c.biglobe.ne.jp/~valalpa/gazou52.htm
・アルフィミィ
http://www5c.biglobe.ne.jp/~valalpa/gazou70.htm

333 名前：武内優香 ◆CfVG760hxo：2003/03/18(火) 15:48

どうも、「ハンナミラーズ」でーす！
ご注文の品お届けに参りましたー！
え？注文なんかしてないって？　ちゃんと注文を受けて料金も頂いてますよ？
「武内優香さん」から。

なーんてね。アハハ。お店に来てくれたお返し。
ここはバーだし、甘いものよりは軽食の方がいいかなーって思ってさ。
ほうれん草と自家製ベーコンのキッシュとキドニーパイを焼いてきたんだ。
レンジかオーブンで温めて食べてくださいね。それじゃ！

※キッシュ：
パイ生地の土台に卵とチーズを流してオーブンで焼いたもの。
※キドニーパイ：
牛の腎臓をデミグラスソースであえたものを具にしたパイ料理。
イギリスでは肉料理の付け合わせとしてよく使われる。

334 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/03/19(水) 13:34

>>328
　
「な」
　
　全くの不意打ち。
　全くの無防備で、全くのノーガード。
　言葉が、呆然とした頭を揺らす。
　
「な……え？　だ、で――え、あ？」
　
　何が、と続けようとして、口が空回りした。
　明瞭な発音が出て来ない所か、口に出そうとした言葉まで思考段階で霧散。
　軽く息を吸って、額に指を当てた。１秒で平静を取り戻す。
　……どうにも、良い様に遊ばれた気分だ。
　この国の人間との比較。童顔扱いされて、終いには女性に間違われるコトにも慣れ
た（痴漢には２５人会った。２５人半殺しにしたけど）。あまり良い気分ではないに
しろ、ガキっぽいコト位は自覚してる。
　だけど。
　それを差し引いても、彼女の物腰は――外見的には十代にしか見えないっていうの
に、俺と十も離れているとは到底思えないと錯覚する時がある。
　……姉にからかわれる弟ってのは、こんな感じなんだろうか。
　一人で笑って、バカな考えだと首を振る。
　俺が兄弟なんて、考えるのも愚かしい。そんなのは赦されない。
　
　包みを受け取ってから、漸く思い出した。組織間での情報交換――及び、特殊兵装
のサンプル開発。
　つまり、シスターの役目はお使い、というコトか。仮にも"司教"がこんな場所にま
で出てくるのは、相当な人員不足か信頼の問題か。ともあれ、知った人間が来てくれ
た方が嬉しくはあるのだけど。
　それじゃ、ご苦労様――言おうとして、口に出す前に止めた。
　視線の端で、ヴァンパイアが視線を向けてくる。……言われなくても解ってる。
　
「全く、あのヒトは」
　
　……確かに、まあ。
　一方的なのは、どうにも面白くない。
　
「デート……そうだな。貴女なら歓迎しますよ？
　日を改めて、今度は正式にでもお誘いする事にしようかな」
　
　少しだけ皮肉って、背中を追った。
　歩幅を広げて追い越して、先にカウンターに座った。サマになるかは別として、さ
さやかな報復を試みよう。
　軽く振り返って、隣の席を親指で指して、肩を小さく竦めてみせる。
　
「お疲れ様、一杯くらいならご馳走しますよ。
　それとも――ああ、アレかな。カレーの方が良かったですか？」
　
　カラにしたオレンジジュースのグラスを掻き混ぜて、少しだけ笑った。
　

335 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/03/21(金) 02:33

>>330-332　>>334
　
「おや、またお客さん――」
　
　子連れで酒場ってのも珍し……ああ――いや、姉妹だろうか。
　……どちらにしろ、珍しい。
　視界の端で視認する。
　モデルめいた体躯のブロンドは、どう見ても場違い――でも、ない。
　首を回せば、そんな事実が一瞬で具象する。
　
　店長に、奥まった席の女性に――あと、シスターも（ちなみに彼女は可愛い、の部
類だけど、ソレは戸棚の隅にでも置いておこう）見目が矢鱈と整ったのがこんな場所
にコレだけ多いのは、どうにも何かが間違っているとしか思えない。
　作り込んだギリシャ彫刻の群が表情を得たらこうなる、って見本みたいに並んだ席
の列は、ある種壮観と言っても過言じゃないだろう。
　
「――ち」
　
　意識するよりは多分早く、軽く舌打ちした。
　二人連れの片側、ブロンドの女性。脚の向いた先は――
　ヴァンパイア。アレに比べたらムエタイパンツの方が余程マシだ。声を張り上げよ
うとして、ギリギリで思い留まる。
　言えば信じるか？　「アレは吸血鬼です」このタイミングで揉め事は起こせない。
　
　さて……どうする。
　迷ったのはコンマ１秒。
　肩越しに吸血鬼に視線を投げる。思い切り睨んで、左手を向けた。
　指で作ったハンドガン。ポイントして――バン、と口でトリガーを引く。顔は覚えた。
絶対に逃がすつもりは無いにせよ、確かに場所が悪い。
　滅多な事はするモンじゃない、と意思表示してから視線を外した。
　
　やれやれ、と呟いて――底に溜まったオレンジジュースを喉に流し込む。
　……どうにも、ココには変り者が多過ぎる。
　

336 名前：シエル ◆kcbhGUILTY：2003/04/07(月) 01:14

>>334

―――可愛いなあ。

不覚にもそう思ってしまう。
そこまで慌ててくれると意地悪をした甲斐がある・・・いや、まあその。
わたしもデートの方が良かったかな、とか――――――



ほんのちょっとだけ。

「・・・へ？」

そこへ予想もしていなかったカウンターを入れられて、間の抜けた声が出てしまった。
えーっと―――・・・
つまり。
大部分は気紛れからからかっただけだったのにデートの誘いで返されたわけで。
わたしはデートに誘われているわけで。


・・・じゃなくて。
１、２、３、はい落ち着いた。落ち着いたったら落ち着いた。

「むっ。言ってくれますね。じゃあ何時にしましょうかそのデート」

―――う、言っちゃいました。

と言うか何を口走っているんでしょうわたしは。
ちっとも落ち着いてないじゃないですか。

カウンターに辿り着いて椅子に座り、手近にあったグラスを一気に空ける。

「――――――！」

空けて、グラスの中身がアルコール――それも喉が焼けたかと思うくらい強烈なモノ
だった事に気が付いた。

―――しま・・・った。

「格好悪い、ですね・・・」

カウンターに突っ伏しながら、意識が遠のいて行くのを感じた。

337 名前：sage：sage

sage

338 名前：sage：sage

sage

339 名前：ビリー・カーン：2003/04/07(月) 09:48

４月だってのに、この辺はまだハダ寒い。サウスタウンとはエラい違いだ。
真夜中もとっくに回っちまった頃、俺はシゴトをすませて、キングって女が
経営してるバーに足を向けた。女って呼ばれるれることを本人が喜ぶかどうかは
知ったこっちゃねェ。あの女が女に生まれたのは、俺のせいじゃねェからな。

カラカラン、と、ドアに掛けてあるベルが乾いた音を立てると、次の瞬間、俺は
バー”ILLUSION”の喧噪の中に呑み込まれていた。
……と言やァ、気取っていていかにも聞こえがイイが、実際はその店はそんな
結構な状態じゃなかった。

店の内部は、喧噪どころか無茶苦茶だった。修羅場は見慣れてるハズのこの俺ですら、
入るのをためらわれる……というか、中を一目見ただけで、俺は入るのを中止しちまった。
何でソコまでしたか、俺自身にも分からねェ。
前は閑古鳥が鳴いてたこの店が、急に満員御礼ってカンジになっててビックリしたって
だけなら、ナニも俺がココまで神経質になる必要はねェハズだ。
良く分からねェが、この店のバカ騒ぎの中にゃ、何か気に入らねェニオイがある。
そいつが、俺の勘に引っかかったらしい。

俺は、踏み出しかけた足を後ろに戻すと、ドアをそっと引き寄せ、細めに開けた隙間から
改めて中を覗き込んだ。
この動きはかなり素早く、慎重にやったんで、今度はドアのベルも音を立てちゃいねェ。
もっとも、最初のベルの音だって、あの騒ぎの中じゃ聞きつけたヤツァ少ねェだろう。

そうして身を隠しておいて、俺はじっくりとバーの中を観察した。
その店は、かなり悲惨と言っていい状態だった。イスやテーブルなんかの備品の
半分は壊れ、壁に掛かった絵や飾りは、日に焼けてない壁紙の色のシルエットを残して
傾くか、どっかに消し飛んでいる。観葉植物の鉢はなぎ倒されていた。
床ときたら、ずたずたになった敷物の上に、割れた皿だのこぼれた飲み物だのが
点々とばらまかれている。
とどめに、天井からは、イカれたオブジェが３つほど下がっていた。

どうやらさっきまでケンカをやらかしてたヤツらが居たようだが、ケンカというか、
コイツはまるで、ハリケーンでも通ったみてェな……

……ハリケーンだって？

340 名前：ビリー・カーン：2003/04/07(月) 09:48

…まァいい。
ともかく、店はヒドい有様だった。にもかかわらず、客は案外平気らしくって、めいめいが
当たり前に好き勝手なコトをやっているようなのが、この際異様に見えなくもねェ。

薄暗い照明が、漂うタバコの煙で一層くすんで見えている。何もかもが薄ぼんやりと、
あやふやに見える中、うごめいている客達の中から、俺はさっき感じたキナ臭さの元凶と、
それからキングの姿を探そうとした。
そう、俺は今日、キングに伝えてェコトがあってココに来たんだった。店の有様に
気を取られて、危うく忘れかけてたが。

しばらくキョロキョロして、やっとカウンターの中に揺れる明るい金髪を見つけた、
と思ったと同時に、視界の隅っこで、俺は世にも不快でアホらしいものを捉えていた。
イヤ、捉えちまってた。

それは、１人の男だった。男はこの季節、この場所で、なぜかあえて赤いパンツ一丁だった。
しかも、何のつもりか知らねェが、手には青魚を一匹握りしめている。
前からバカだバカだとは思っていたが、今夜はことさら利口とは思えねェ姿だった。
俺が反射的に飛んでってブン殴りてェ衝動をガマンしながら見ていると、その男…
…ジョー東は、話しかけてきた女を何かクドクドとかきくどいて、あろうことか
パンツの中から色紙を取り出し、その女に押しつけている。
やれやれ、あの女も気の毒に。
俺が警察だったら、ヤツを取り締まる法律をサッサと作っちまうトコロだ。

気が付くと、バカを目で追ってるうちに、俺はキングの姿を見失っていた。

……仕方ねェ、他の場所に回ってつかまえるか。

最初に感じた不穏な気配が気にはなったが、まァ、俺にゃ関係のねェハナシだ、多分。
それに、今夜の俺はワリと機嫌がイイ。何もあのバカの相手をして、せっかくの気分を
ブチ壊しにするコトもねェ。ヤツの命は、しばらく預けといてやるとするか。

俺は、静かに、ぴったりとドアを開けると、その奇妙なバーを後にした。

341 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 10:57

ふう…

342 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 10:59

トン
　
　　トン
　
　　　　トン。

343 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 10:59

キュッ。

344 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 10:59

バシャ　バシャ

345 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:00

…眠い。

346 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:04

ブォーンﾝﾝ

347 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:05

ササッ

348 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:06

（営業スマイルの練習はパス…）

349 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:09

（さて、出勤するか…）

350 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:09

ガチャ。

351 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:09

カランコロン

352 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:10

…
　
…………
　
！

353 名前：キング ◆kkKinG..Eo：2003/04/25(金) 11:11

（店で寝てたのかい…）

354 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/27(日) 20:33

…艦を降りて、あたしは一人酒場に来ていた。
バー”ILLUSION”、どうやらそれがここの名前らしい。
　
辛かった。
皆のいたわりの目が逆に痛い…
あたしなんかにどれほどの価値があるって言うんだろう…
だけど、死ぬことも出来ない。
…怖いのだ、死が。
情けない話だけど、あたしは生も死も怖いのだ。
生き続けることも、死ぬことも、どちらも怖いから…あたしはただこうやってここにいる。
　
ドアを開ける。
カウベルが乾いた音を立てる。
　
カウンターのスツールに腰掛け、ビールを注文する。
別に酒が飲みたいわけじゃないし、好きなわけでもない。
ただ…飲んで、何もかも忘れたかった。

355 名前：エクセレン＝ブロウニング ◆A/G.nK42I6：2003/04/27(日) 22:13

>>354
「ん……？」
　
　私の袖を引っ張るアルフィミィ。
　
「どうしたの、アルフィミィ？　こういう大人の場所はまだ馴染めない？」
『違いますの。エクセレン、あっちを見てくださいの』
「ん～？」
　
　ちらりと横目でアルフィミィの示した方向を見る。
　そこには彼女、アイビス・ダグラスが居た。
　
「若いわねぇ。ま、お酒で紛れるなら、まだ軽症よ。悩む事も若さの特権よ」
『エクセレン、声、かけなくていいですの？』
　
　アルフィミィが心配そうな顔で問い掛ける。
　なんだかんだで相当気になっているらしい。
　ま、この子も色々、多感な年頃だし、ね。
　
「ん、ほっときなさい。自分をああやって見つめなおすのも必要よ。
　下手に手出しするのは、逆効果」
『……そうですの？』
「そうそう。暖かく見守ってあげましょ。彼女は今、悩まないといけない時なの」
　
　私はそうアルフィミィに小声で呟いた後、目の前のおじさまに視線を戻し、声をかける。
　
「と、おじさま、何が好みかしらん？
　ビール？　ワイン？　カクテル？　それとも、わ・た・し、なんてね。
　それはともかくぱぁーっとやりましょ」
　
　……アイビスちゃん、誰だって弱いのよ？
　けれど、自分の弱さを認めた上でどうするかが人の強さだと思うの。
　逃げるのもいい、最後に立ち上がることができればね。
　今はただ、悩みなさい。
　その果てに答えはあるはずだから。

356 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/27(日) 22:26

>>355
アルコールが程良く回って、意識が胡乱になってくる。
視界がぐにゃり、と歪む感覚。
雑多な音が耳の中で反響し、訳のわからないものになって脳を刺激する。
でも、アルコールに爛れた脳はそれすらまともに感じない。
　
ふと、歪む視界の端に見知った顔。
　
そ 　の、視　線　 が　 。
　 ま　る　 　 　で　 、
あ　た　 　　 し　　 を　 射　抜　 く　 　　 か 　 　の　 よ　　う に　 。
　
あの、視線は…イヤだ。
見られるのは…イヤだ。
　
あたしは席を立った。
いや、立った、ではなく。
立つことも出来ず腰を浮かせて動いただけだった。
　
まるで、その視線から逃げ出すかのように。

357 名前：ウィーグラフ・フォルズ：2003/04/27(日) 22:52

やれやれ、ここを探すのに妙に手間取ってしまったな。
マスター、ブドウ酒を頼む。

>>356
(遠目から)
………倒れはせぬのか、あの娘？

敗北者、か。
惨めなものだな？たった一度の失敗であれほど自暴自棄になるとは。
まさにその姿こそ負け犬と呼ばれるモノだということに何故気づけぬ。
それが若さというものなのか？


尤も………自らの弱さに敗れ、悪魔に魂を売り渡す事を選んだ男が他人に言う台詞ではないがな。

358 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/28(月) 00:21

どれだけの量、酒を飲んだのか、もうわからない。
喉が、胃が、身体が灼けるように熱い。
この感覚が、酔いというものなのだろう。
　
それでも、酒を飲む。
酔いが覚めるのが怖いから、飲み続ける。
　
>>357
夢か現かはっきりしない意識の中、
誰かがあたしのことを言っている声だけが何故かはっきりと聞こえた。
　
「あたしは…負け犬じゃ…ない…」
　
反論にもならない。
でも、それを認めてしまっては、駄目だと、思ったから。
呟きにもならない声で否定した。

359 名前：ウィーグラフ・フォルズ：2003/04/28(月) 01:00

光を失ったわけでもなく

スロットルを握れなくなったわけでもなく

ペダルを踏めなくなったわけでもない


しかし、飛べない。飛ぼうとしない。
それでいながら夢を捨て切れない。

それが負け犬でなくて何だというのか。

………引き返せないところまで落ちた後に気がついてもどうしようもないのだぞ。
私やミルウーダのようになりたいのか？

360 名前：連邦軍兵士×３：2003/04/28(月) 01:22

「けっ、全く、苛々するぜ」
「ああ、全くだ」
「やってられるかよ、この野郎！」
　悪態をつきながら、３人の男が通りを闊歩する。
　
「くそ、酒だ。酒！」
「ああ、飲まなきゃ、やってられないな」
「あそこの酒場に入ろうぜ」
　男たちは『幻影』という名の酒場へと入って行く。
　
「おい、酒だ、酒を持って来い」
「おれ達は地球の平和を守る連邦兵様だぞ」
「さっさとしやがれ」
　男たちががなりたてる。
　その態度の悪さに店のウエイトレスや他の客も眉を潜める。
　
　……男たちが荒れているのには理由がある。
　彼らは元々、対異星人用組織ディバインクルセイダー（通称ＤＣ）の兵士であった。
　だが、総帥ビアン・ゾルダーク、そして極東支部長シュウ・シラカワの失踪により、
　組織は解体され、残った軍事力は連邦軍へと組み込まれた。
　
　そして、ビアンと連邦上層部の折り合いが元々、悪かったせいか、元ＤＣ兵士というだけで、
　彼等は連邦軍でも不遇を囲っていたのである。
　対地下勢力でも、一番の激戦区に送り込まれ捨て駒のように扱われる。
　加えて、配備される機体は旧式ばかり。
　不満が出るのは当たり前といえば当たり前の事ではあるが………
　
「あ………？」
「なんだ、何かあったのか？」
「けっ、こんなしけた酒場に何もある訳ないだろうが」
　
「ああ、いや、あの女、見覚えないか？」
「あの女？」
「あのテーブルで一人、酔いつぶれている女だよ」
　男の一人がアイビスを指差す。
　
「……誰だ、あいつ？」
「ん、いや、待て、アイツ、元プロジェクトＴＤにいたエリート様じゃねえのか？」
「そういわれればそんな気もするが……」
　
「いや、間違いねえ。あのいけすかねえエリート部隊にいた女だよ」
「ああ、異星人が攻めてくるっていうのに、呑気にも外宇宙航行とかほざいていた部隊か」
「そういわれればあのすかした面には見覚えがあるな」
　男たちの胸中にやり場の無い怒りが沸沸と湧き上がる。
　八つ当たりとしか言い様の無い理不尽な怒りではあったが、本人達の中ではそれは正当なものであった。
　
「けっ、こちとら命がけで闘っているって言うのにこんな所で酒ですかい、いいご身分だねえ」
「気にくわねえ、ああ、気にくわねえなあ」
「呑気に酔いつぶれていやがるぜ、おい」
　誰とはなしに男の一人が席を立った。
　他の２人もそれに呼応するかの如く、立ち上がる。
　
「おい、姉ちゃん、さぞかしいい気分だろうなあ」
「たまには俺たちにもサービスしてくれませんかねえ？」
「エリート様はそんなことも出来ないっていいますかい、それとも？」
　３人はアイビスに近づいていき、罵声を浴びせる。
　しかし、アイビスの反応は無い。
　
「おい、こら、何、無視決め込んでやがるんだ！」
「ちっ、エリート風吹かしやがって！」
「馬鹿にするなよ、このアマ！」
　男の一人がアイビスの髪の毛を乱暴に掴み、顔を自分達に向けさせる。
　酒場に不穏な空気が充満した………

361 名前：沢木哲也 ◆SNAGITOv0E：2003/04/28(月) 01:44

>>360
とりあえず、おれはたまたま居合わせていただけだった。
そう、たまたま。
　
どうしてそう思ったのかは分からない。
ただ、不愉快だった。
　
軍人は別に嫌いでもない。
よく、おれの店にもくるし、気もいい人もいる。
　
自負はあってしかるべきだ。
だが、傲慢であってはならない。
　
まあ、一片の下心もないというと嘘だけど。
　
「軍人さん。それで？」
　
要は、気がついたら思いっきり三人の中のリーダー格っぽいのを力いっぱい殴ってたわけで。
　
それでも、変身していないだけ自分に理性があったと思いたい。

362 名前：「最強魔獣」（リュクティの姿）：2003/04/28(月) 01:50

>355
>356
>357
……「それ」がそこにいたのは偶然だった。
「それ」が完全な姿を再び取り戻してから数ヶ月。
「それ」は時として「ポリモルフ」で人の姿と化して人間の町に潜り込むと言う事を行っていた。
意味など無い。だが、そうする事で己の寂しさが紛らわされる気がしたのだ。

そして今は「ティリー」の記憶の中に残っていた青年……リュクティの姿に変化している。
人間の作る酒に興味はあまり無い。
だが、こうしているだけでも「それ」は満足だった。
横で泥酔した女がいて、
さらにその横に親子……完全に人ではない……がいて、
別の所にはここの街では有名なハァハァ男がいて……
それらを見ているだけで「それ」は満足だった。

363 名前：ウィーグラフ・フォルズ：2003/04/28(月) 01:54

………そこまでにしておけ。
このような輩など、殴りつけるまでもない。
(腰の剣に手をかける)

我らが主に、その血………捧げてみるか？
(無双稲妻突きの構え)


ちなみに下心、というのであればやめておけ。
………そこの娘はとある幼女にお熱をあげているからな。
(本人には聞こえないように耳打ち)

364 名前：「最強魔獣」（リュクティの姿）：2003/04/28(月) 01:54

>>360
>>361
「……」
女に何か下卑た言葉を話し掛ける兵士達、
それになぐりかかる男……人にして人ならぬ何かを感じる……。
「それ」は干渉しようと言う訳でもなく、だが見てみぬ振りをしようと言う訳でもない。
それをじっと見ている。

365 名前：沢木哲也 ◆SNAGITOv0E：2003/04/28(月) 01:57

>>363
おれの思考が読まれた！？
「あ、あの…」
（地の文と声に出して言う台詞は違うのですよ（涙）

366 名前：連邦軍兵士×３＋hage：2003/04/28(月) 02:00

>361 >362 >363
　
「ぐわっ！ こ、こいつ強いぞ！」
　
「うおおおおっ！」
「こいつっ！」
「やってやる、やってやるぞ！」
　
「ぐあっ！ パ、パワーが違いすぎる！」
「ぐわぁ！ こ、これじゃあもたない！」
「つ、強い！ 強すぎる！」
　
「ぐあっ！ や、やられた！！」
「う、うわあああっ！」
「ぐわぁぁぁっ！！」
　
　
「フフフ……北條です。沢木君、キミの暴行罪、現行犯で捕らえましたよ？
　言い訳は署で聞きましょうか？
　何故、ここにいたかって？　それは野暮なツッコミですよ」
　
　ガチャリ！
　
「ああ、後、そこの神殿騎士さんに魔獣さん。
　もう少し、私のように何処でも知性ある振る舞いをお願いしたいですね。
　以上、北條でした」

367 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/28(月) 02:04

>>360
急に目の前が明るくなる。
いや、明るくはない。
閉じていた目を開いたからそう思うだけだ。
　
目の前には淡い明かりに照らされた三人の男の顔。
…誰だろう？
思い出そうとするが、アルコールに麻痺した脳はまともに働きやしない。
　
何かを言われている…でも、聞き取れない、わからない。
ただ、虚ろな目で見返すしかできない。
　
>>361
男の顔が一つ減った。
あれ？
数え間違えてる？
　
もう訳もわからず、あたしは床にへたり込んでいた。
　
>>363
何やら、格好を付けているのが一人いる。
…なんだろう？
　
>>366
そして、酒場は平穏を取り戻した。
　
あたしは何をするでもなく、床にへたり込んだまま。

368 名前：沢木哲也 ◆SNAGITOv0E：2003/04/28(月) 02:06

>>366連邦兵さん＆北條さん
おれは驚いた。
懐かしい人に出会った、というだけではなく。
　
そう、髪の毛が増えていることに。
「ほ、北條さん！ぞ･･･」
　
しかし、最後まで言えなかった。
人としてそれはさすがに酷だと思ったし。
　
「あーーーーーー、そのーーーーーー」
とりあえず、顔がボコボコに腫れた。
口もいくつか切ってるらしく。
やっぱりいう気にもなれず、素直に逮捕された。
　
（沢木哲也：逮捕）

>>367アイブスさん
あの女性の事は気になったけど･･････。
まあ、しかたないかな？
「じゃ、そゆことで」
顔が通常の三倍（当社比）に膨れ上がった状態では様にならないけど。
　
とりあえず、お節介したって証拠だけ。
「思い出せると、いいね」
　
どうにもこうにも謎めいた一言だけ言ってそのままパトカーに乗せられるおれでした。

369 名前：ウィーグラフ・フォルズ：2003/04/28(月) 02:08

私程の存在になれば、人の思考くらいは読める。
ルガヴィをあなどらぬ事だ。

まあ、それは良いとしても………この酔っ払い娘はどうしたものかな。

＞「魔獣」
いや、ハァハァ男とはなんだハァハァ男とは。無礼なッ。

370 名前：沢木哲也 ◆SNAGITOv0E：2003/04/28(月) 02:11

>>368自レス訂正
逮捕され、つれてゆかれる前に叫んだ。
「これ、何かの陰謀じゃよー！
　わし、アイビスさんって書いたはずなのにアイブスとかかいちゃっただよー！」
　
なぜだろう、『ファーザー』という言葉が脳裏から沸いて出た。
　
（沢木哲也：護送中、謎のＤＣ機動兵器に撃たれて３０分ほど死亡）
　
　
　
⊂⌒~⊃。Д。）⊃

371 名前：コーティリア・カナダ・キャス(M)：2003/04/28(月) 02:31

>367
　
「あの、そんなところで座ってると風邪、引くと思うけど……」
　　
いつの間にか少女が居た。
だんご鼻にそばかす、黄色の髪に気の強そうな緑の目。
15かそこらだろう。
　
別にいきなり現れた訳ではない。
単に皆が喧嘩に気を取られている間に入ってきただけ。
　
そんないかにも跳ねっ返りな感じの少女がアイビスに話しかけた。
　
「大丈夫？　話聞いてる？　取りあえず椅子に座らないとって……くぅ、重いよ」
　
力一杯持ち上げようとする少女。
持ち上げると言うよりも引きずる感じになってしまうのは仕方のない事か。
それでも何とか椅子に座らせる。
　
「……疲れたあ」
　
少女も横の椅子に座る。
そして、店員にホットミルクを一つ……いや、二つ。
　
「も一回聞くけど大丈夫？　頭とか打ってない？　取りあえずミルクのんだら？　
　もちろんあたしの奢りでいいわよ、今日は特別な日だから」
　
そんな風に大人ぶって言う少女。
奢る飲み物がミルクなのがまだまだ子供と言ったところか。
　
「あ、自己紹介忘れてた。あたしの名前はコーティリア・カナダ・キャス。
コーティーって呼んでいいよ。あ、これでも今日付けでスペースクーペの船長だからね。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　よろしくお姉さんっ！」
　　
聞いてるのか聞いてないのか分からないアイビスに向かって少女――コーティーは
矢継ぎ早にまくし立てた。

372 名前：謝静香(M)：2003/04/28(月) 04:12


紫煙の揺らめく店内の片隅からアコーディオンとヴァイオリン、コントラバス、
バンドネオンの調べが湧き起こった。
流れてきたリズムはこの、

混沌としている、
破綻した、
無秩序な、
退廃的な、

この世界の／この街の／この店の雰囲気にぴったりの、タンゴの調べ。
歯切れの良いリズムと、哀愁の漂うメロディ。
官能的でやるせない、それはアルゼンチン・タンゴの調べであった。

アコーディオンが哀哭を唄うと同時に、店内隅の暗がりがスポットライトに切り裂かれる。
その光条を浴びて、あざやかな紫色のドレスをまとった女性が浮かび上がった。

東洋系だろうか？ 長い黒髪と切れ長の黒瞳を持つ、艶かしい女だ。
いや、幽玄とでも称するべきか。確かにここに在ると言うのに、まるで霞の向こうにでもいるかの様な
現実感を消失させる、そんな美貌の持ち主である。
形の良いその唇が、今――――

開いた。


　　　アマラリック街13番地　　

　　　エレベーターで　無間地獄へ―――

373 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/28(月) 20:43

>>371
身体が揺さぶられる。
どうやら椅子に座らされたらしい。
…ああ、もう。放っておいてくれればいいのに。
　
顔を上げると、目の前に湯気を立てるミルク。
　
「…なんでミルクよ」
　
思わず呟く。
　
そんなあたしの様子には構わず、隣の少女は喋り続ける。
ああ、もう…鬱陶しい。
　
「…うるさいな、ほっと…」
　
言いかけて止まる。
スペースクーペの船長…こんな、小さい子が？
　
驚きにしばし固まる。
最初の驚きが去った後、酷く情けない気分になる。
　
…15歳の年若さで、この子はたったひとり宇宙に出ようとしているというのに、あたしは何をしているのだろう。
羨ましいという思いとちりちりした焦燥。
二つの感情がせめぎ合う。
　
気持ちも世界も揺れたまま、あたしはコーティーを見つめていた。

374 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/04/29(火) 01:22

>>336
　
　意識して、苦笑を噛み殺した。
　慌てた反応が、子供みたいで可愛い。
　
「……へえ？　そりゃ楽しみだ。オーケー、デートコースは徹夜で考えときますね」
　
　くすくすと笑って、カクテルを流し込む。
　酒の強さ――と言うのは、体質に依存すると訊くけれど、幸いな事に人並程度か、
それ以上には強いらしい。
　不思議と、アルコールが旨い。一人で啜るよりは誰かと飲んでた方が楽しいと言う
のは解らないでもないけど――……随分長い間、忘れていたみたいだ。
　　
「そういえば、シスター……――」
　
　振り向いた先に、顔はない。
　……正解は簡単。机に突っ伏した彼女の顔。
　すうすうと規則正しい息遣いが、店内の喧騒に混じって吐き出される。
　
「……寝ちゃったんだ」
　
　呟いて、笑みが漏れた。
　……無防備だな、全く。
　おーい、シスター？　軽く呼んでみても返事は無い。僅かに上下する頭を少しだけ
撫でて、受け取った封筒を引っ張り出す。直系３０ｃｍ弱、重さは一キロ未満。
　一見通常の外観の表面に刻印される印象が、その特異性を際立たせる。
　チーズ用のナイフで包みの口を切り取って、書類の束を引き出した。
　印刷された用紙の一ページ目。要項目次と譲渡に関する理書き。皮肉混じりな所が
如何にもらしくて結構だ。ヒマそうで。
　束は合計五ページ、用件は多種多様。埋葬機関の所有する情報、技術関連の譲渡。
　機関の頭同士が顔を合わせれば、ディベートにすらならないのは目に見えている。
結果、必要事項の遣り取りは機関員を通して行う事になる訳だ。
　なんて面倒。まあ、今更零しても始まらない事は解ってる。
　包みに手を突っ込んで、冷えた感触に触れた。金属質、直径数センチのソレは、手
に馴染んだ形状。
　掌に載せて、人差し指で突付いてみる。
　

375 名前：テレビ：2003/04/29(火) 01:28

いよいよ、世紀の一戦がはじまります！
ＷＢＡ世界タイトルマッチ『リカルド・マルチネスｖｓ伊達英二』。
２１連続防衛という怪物相手に伊達英二はどう立ち向かうのか？
　
……しかし、伊達も此処まで長かったですねえ。
１度、リカルドに敗れて引退してからの再起。
その中で家族の暖かい協力。
そして、後進の若きライバル達とのしのぎを削って、此処まで来たといいます。
そう、まさに皆の想いが、夢が、伊達を復活させたのです！
　
この夢が、想いが背負った伊達ならば、必ず、怪物リカルドを打倒してくれると、
私は信じています―――――！
日本人初の世界チャンピオンの誕生の瞬間まで後少しです！
　
遂にゴングが鳴りました！
世紀の一戦の始まりです！
　
　
　
　
　
ああ、リカルドの右ストレートが伊達の顔面に！
おお、伊達がインパクトの瞬間に首を捻って、ダメージを殺している。
そのままカウンターの左ボディがリカルドに炸裂！
　
……行けます、これなら、行けます！
皆さん、夢を今まさに掴もうとしている伊達に声援を―――――！！

376 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM：2003/04/29(火) 01:31

>>374
　
「へえ、コイツは――」軽く、息を飲んだ。「……確かに、凄いな」
　
　思わず、声が漏れた。
　吊り上がった口元に意識が回らない。一言で言ってしまおう。
　見事だった。
　銀に装飾された薬莢側面にはヘブライ文字と天使語がエングレービングされて、そ
れ自体が高度に洗練された芸術品を思わせ――いや、正しくその通りだ。殺傷という
行動の為に特化されたこの弾丸は、機能美を限界まで追求していると言って差し支え
ない。どんな生物でも立ち所に殺してくれる指先程度の塊は、現代のタスラムか異端
の魔弾か。
　何処か危うくて――何処か綺麗。ゲオルクが初めて手に取った時もこんな感覚だっ
たんだろうか？　ウェーバーに訊いてみたい物だ。生憎とオペラ鑑賞の趣味は無いが。
　数えられる程度の個数。包みに戻して、懐に仕舞い込んだ。極端な希少性は仕方な
い所。落ち度は向こう側には無い。
　書類を纏めて仕舞って、視線だけでシスターを追った。
　
　くたりと崩れ落ちたまま、彼女は規則正しい寝息を生んでいる。
　ここまで酒に弱いと言うのは予想外にしろ――やっぱり、何だか微笑ましい。相当
な熟睡状態。ここまで寝てるなら、誰かが少し触れた程度じゃ起きないだろう。
　触れた程度じゃ――……触れても、起きない？
　
「……おかしいな」
　　　
　……にしても、参った。
　歪んだ思考の原因は、どうにも考えるまでもないらしい。張本人はいい気なモノ。
　どんな夢を見てるのか、こっちの世界への帰還はまだ先のようで。
　しかし、まあ――……この人は。
　
「こんなに可愛かったっけ……」
　
　問いに答えるモノは無い。
　もし起きていたら、彼女はなんて反論したろうか。当然、とでも言ったか、子供み
たいに反論したのか――まあ、どっちでも面白い気がする。
　
「ホラ、風邪引きますよ、シスター」
　
　頬を軽く撫でてから、髪に触れた。
　指先で軽く押し曲がる質感。流れるみたいに柔らかい髪が、指先に心地良い。
　……ここまでやれば起きるだろう、なんて考えは甘かったらしい。
　
「……無防備ですよ、ホント」
　
　……参ったな。
　軽く呟いて、意識して視線を逸らした。
　店の騒々しさに気を向ければ、少しは気も紛れるだろうから。
　

377 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/29(火) 01:33

>>375
店内にボクシングの映像が流れる。
ああ、今日はタイトルマッチなんだ…へえ。
　
別に格闘技に興味はないけれど、挑戦者のことが気になった。
一度同じ相手に負けているのに、それでも再び挑む…どういう心境なんだろうか。
　
何故か心を惹かれて、あたしはそのテレビを見入っていた。

378 名前：テレビ：2003/04/29(火) 01:46

（しばらくして……）
　
　
……ああ、伊達が―――――！？
リカルドのフックが、ボディが、ストレートが突き刺さる！
伊達の顎は割れ、右拳も砕けています。
最早、打つ手無しなのか………
　
リカルド・マルチネス、まさに怪物――――――！
　
　
　ざわざわ……
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ざわざわ……
　　　　　　　　　ざわざわ……
　
　
じょ、場内も動揺を隠し切れません。
　
――――しかし、見てください！
伊達の目はまだ死んでいません！
負け犬の目ではありません！
起死回生の手があるのか、伊達英二！？
　
我々に出来る事はただ、信じる事のみです――――――！
　
ああ！？　伊達が踏み込んだ！
リカルドの左胸を狙ってのコークスクリューブロー！
心臓狙いの一撃だ―――――！

379 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/29(火) 02:24

>>378
…テレビでは挑戦者がボロボロになっていた。
　
その様から目を逸らせない。
一度敗北しながらも、再び戦いに挑むその姿に自分を重ねているのかも知れない。
　
…食い入るように、あたしはテレビを見続けていた。

380 名前：テレビ：2003/04/29(火) 02:29

　
――――効いていない！？
角度、スピード、タイミング共に申し分なかったはずなのに……
矢張り、砕けた拳ではもう駄目だったのか―――――！？
　
ああ、何も出来ない伊達にリカルドのパンチが――――――
　
　
伊達が糸が切れた人形のようにダウンしました………
皆の夢を背負い、想いを背負った伊達英二……
健闘空しく、怪物リカルドの前に屈しました……
　
リカルド・マルチネス、恐るべし――――――――

381 名前：ジョー・東：2003/04/29(火) 02:34

「・・・・・・んぁ！？」

とっさに身を跳ね起こす。そういえば俺、どうしてたんだっけ？

やけに寝覚めのいい頭を回転させ、事態を把握する。
――――どうやら眠ってしまっていたようだ。
試合直後の疲労と空腹をしょった状態で、あの神父とオッサンに喝を入れんとダブルサイクロンをぶっ放し、
更なる空腹感にあえぎながらワニ唐揚げを待っていたのだが・・・
ちなみに俺のテーブルには、唐揚げはおろか頼んだビール一杯来ていない。
おいおい、どーなってんだよキング・・・

文句を言おうと席を立とうとした時、手近にあったテーブルの上に、俺のサイン色紙が置かれているのを見つける。
ははーん、あのシスターの忘れ物か？俺様のサインだ、絶対忘れたとなると後悔するだろうよ。
色紙を引っつかむと、女主人のいるだろうカウンターへ向かう。
ちょうどそこにあの青髪のシスターが、例の血の気多すぎな神父と並んで座っていた。
様子を一瞥するに、どうやら彼女は酔いつぶれているらしい。…この野郎、なかなか美味しいシチュエーションにありついてるじゃねぇか。
シスターの手の下にサインを敷くと、俺は次に、隣の神父野郎に言ってやった。

「いいか？テメェとあのオッサンにどんな因縁があったか知らねぇが、ここは俺のダチの店だ。
ここはある程度の喧嘩なら許容範囲だが、コロシは駄目だ。テメェはともかく、まず俺のダチに迷惑がかかる。
殺したきゃ外でやれ外で。いいな？否定はさせねぇ。もしやったらテメェじゃねえが、俺がぶちのめす」

そう静かにまくし立て、さらに一言。
「彼女を酔いつぶすたぁ、なかなかずいぶんなやり口じゃねぇか。ま、せいぜいうまくやんな」
それだけ言った所で、俺の興味はそいつから別のものへ移った。
ついでに言うと、後ろで神父野郎が何か言っていた様な気がしたが、一切気にならない。

俺の興味を引いたのは・・・カウンターに置いてあるテレビだ。
いつの間にか新しく増えていた、赤味がかった髪の色の女の子（>>377）も、食い入るようにテレビを見つめている。
――ボクシングの世界フェザー級タイトルマッチをやっていた。カードは・・・伊達英二ＶＳリカルド・マルチネスか。
ムエタイとボクシング。畑違いではあるが、同じ日本人の格闘家として、やはりこういうのは目が行ってしまう。
・・・蛇足になるが、日本人世界チャンプとして、“後進”を応援する気持ちがあったのはこの際黙っておく。

無数の手数に圧され、あきらかに劣勢の伊達。しかしまだ、目は死んでいない。
「そーだ、それでこそ日本の漢だっ！！」
思わず口に出す。周りの視線が刺さった気がしたが、そんなことは問題じゃねぇ！
次の瞬間、伊達が今にも必殺のハートブレイクショットを放たんとしていた。

あ、そこのサムライのおっさん、この鯖塩焼きで頼む！
――――うっしゃあ、そこだっ！行けェッ！！」
持っていた鯖をサムライなおっさんに投げつけつつ、俺はまた声を上げていた。

382 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng：2003/04/29(火) 02:41

>355
　おじさま呼ばわりかよ……
　俺は溜息を一つつき、目の前の女を眺めた。
　若い盛りのなんとやら、翻って自分の若いころを思い出そうとしたが……
　無理だ。不毛な試みをとっとと諦め、俺は口を開いた。
　
「物好きだな、あんたも。さっきのやり取り、見てなかったわけじゃねーだろ？」
　サングラス越しに微笑みかけ、女の前にグラスを置いて、キツメのウィスキーを注いだ。
　いける口だと踏んだのだ。

「それとも――――危ないネタには目が無い性質か？」
　俺はちょいと気取った仕草でグラスを持ち上げた。
　後ろでなにやら騒ぎがあったが無視した。
　俺は目の前の女のほーがいい。

383 名前：アイビス・ダグラス ◆IBISu6AG36：2003/04/29(火) 02:48

>>380
何も…変わらなかった。
折れた翼では再び羽ばたくことは出来ない…と言うことなのだろう。
それが…現実。
　
「…は、はは」
　
乾いた笑いが口から漏れる。
　
――――そうだ、これが現実だ。
　 　 　 　 認めろ、アイビス・ダグラス。
　
　 　 　 　 一度地にまみれたものは、二度と立ち上がることは出来ないのだと。
　
「…違う…」
　
誰に言うのでもなく、消え入りそうな声で呟く。
理由もなく、ただ本能が抗う。だが、抗いきれない。
　
だから、あたしは逃げ出した。
辛い現実を見せつける、そこから。

384 名前：ジョー・東：2003/04/29(火) 02:50

>>380
次の瞬間、テレビの中、リング上で崩れ落ちていたのは、伊達のほうだった。
滅多打ちにされ、ボロボロになった体では力不足に過ぎたのだろうが・・・
そこまでやったその闘志は、同じ格闘家として敬意を払いたくなるものだった。
（ナイスファイトだったぜ・・・）
そうテレビの中の同郷の戦士に心中で声をかけると、俺はカウンターのナカノヒトに目を向けた。

そうだった、頼んだものが未だに来てねぇんで腹が減ってたんだった。
「おーい、俺が頼んだはずのワニの唐揚げとビール、まだかよ！？もう腹ペコなんだが・・・
鯖も早えとこ、頼むぜ！？それからキングはどこ行った！？」
さすがに空腹が一切満たされていないため、多分にトゲ混じりになった声で、俺は侍っぽいバーテンに催促をする。

俺の機嫌もどこ吹く風で、腹の虫が「ぐぅ～」と一声鳴いた。

385 名前：コーティリア・カナダ・キャス(M)：2003/04/29(火) 03:15

>380　
「……格好いいかも」
　
コーティーは呟く。
その目は勝者ではなく、血塗れになってリングに倒れる挑戦者に向けられていた。
　
もちろんボクシングの事なんか分かりはしない。
実際試合を見たのもこれが初めてだ。
名前すらも知らない。どんなボクサーなのかも。
　
でも、諦めなかった。
最後まで。
いや、最後になって気絶しても。
　
だったらそれは――　
　
「負けてなんかいないよ。あの人は」
　
大昔に星の海で活躍した偉人達、
見知らぬ世界に旅立っていった探検家達もきっとこんな人だったのだろう。
　
諦めない人達。たとえ上手くいかなくても、
たとえ命を落としても前に進もうとする人達。
　
コーティーは思う。
自分もそうなりたいと、いや、そうなるのだと。
　
でも、まず最初にやるべき事は……
　
「どうやってパパやママを誤魔化すかよね。辺境の未開宙域に行くなんて言っても許さないだろうし」
　
コーティー・キャス、
ただいま酒場にてミルク片手に作戦会議中。

386 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/09(金) 04:56

ふん…開いているのやら居ないのやら。
良さそうな店なんだが…

まあ良いさ…酒が有りゃあな…

387 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/11(日) 20:03

誰も居ない、か。
偶には静かに呑むのも良いモンだ…

388 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/13(火) 10:45

昨夜は呑みすぎたな…
あんな事言うつもりは無かったんだが（苦笑
酔った時の事を忘れちまえる奴が羨ましいよ。

389 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/15(木) 13:18

全く俺ときたら…
酒は控えた方が良さそうだ

390 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/17(土) 02:37

止めだ…呑まなくても同じだ、俺は。

391 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/18(日) 19:34

これが成功だって言うなら…短期にも程が有るってモンだ。

392 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/20(火) 04:58

ん？誰だ………？まあ良い。黙って居た方が面白そうだ。

393 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/24(土) 06:56

全く…救われねえ。

394 名前：◆PAPUAwDBt6：2003/05/28(水) 04:56

もう少し持つかと思ったがな…
堕ちるか？それとも…燃え尽きるが先か。

395 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/06/09(月) 00:36

はっ！　またねてこんでしまったよ～なのだ！！！
イカンのだ！！！　ミセのナカのカオブレもすっごくかわってるよ～なきがするのだ！
どんだけねてたんだろ～？　はてはて？

「リカルド・マルチネス、恐るべし―――――――― 」

ん？　ソンソンがふとウエをみてみるとてれびがついてたのだ！
あれっ？　ぼくしんぐ？

はっ！！！

きょ～はふぇざ～きゅ～たいとるまっちだったのか～！！！
みのがしてしまったのだ～！！！　ちゅ～か、ねすごしてしまったのだ～！！！
ソンソンがオーエンするよて～だったダテエージはザンネンながら
まけてしまったよ～なのだ！！　ぐっばいエージ・ダテなのだ！

396 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/06/09(月) 02:48

とりあえずおサケでものみなおすのだっ♪

「ムカエザケなのだ～♪」ごくごく～っ♪

397 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/06/10(火) 03:19

　
　───何故、私がここに居るのか、分からない。
　行き交う見慣れぬ人の群れ。滑走する巨大な鉄の塊。
　闇は明るく照らされ、真昼の陽のような灯火が街を照らし出す。
　私は無意識に逃げ場を求め、視線を彷徨わせる。
　
　目の前には一件の酒場。
　名前は「バー”ILLUSION”」。
　
　幻……。幻という名前の酒場。
　そう、私がここにこうして居ることも、幻。
　ならば───幻という店で過ごそう……。
　
　私は、酒場の扉を開いた。
　
　
　
　からんころん。
　
　雰囲気に合っているのか合っていないのか、扉に取り付けられたカウベルの乾いた、
そして何処か珍妙な音が店内に響きわたる。
　
　扉の感触が手に伝わる。　
　私は死んでいるはずなのに。私は死者のはずなのに。
　私の手からは全てが擦り抜けて行くはずなのに。
　剣も、食物も、飢える民の細い腕も───夢さえも。
　何もかもが私の手から逃れて行った。何も手に入れられなかった。───そして私を
受け入れてくれる場所もなかった。
　だけれども、この店は私を受け入れてくれる。
　この店も、夢だから？　幻だから？
　───それとも、私の見ている夢幻……？
　
　紫煙で煙る店内。
　スラム街で嗅いだ、あの饐えた匂いとは違う、頽廃の香り。
　それでも何故か、私はここを「懐かしい」と感じた。
　
　
　私はふらふらと何かに引き寄せられるようにカウンター席に腰掛ける。そして、
目の前でしなやかな指を巧みに使い、客に酒を振る舞う美貌のマスターを眺めた。
　
　───女だ。

398 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/06/10(火) 03:21

　
　「ムカエザケなのだ～♪」
　
　ふと横を見ると、頭に金の輪をはめた亜人が、歌うような、朗らかな調子で
マスターに話し掛けつつ酒を嗜んでいる。私の乏しい知識では到底どのような種族
なのかも分からないが、その衣服は遠い東国を思わせた。
　
　───これは本当に───幻？
　それとも、私はもう酔っているの───？
　
　
　安物のエール酒や、粗悪な合成酒しか飲んだことのなかった私は、品揃えに戸惑う。
一体何を頼めばいいのか。目の前に広がる棚に見栄え良く収められている種々の瓶を
見回した。美しい曲線を描く瓶の中にたゆたう色とりどりの輝く液体───
───透明、琥珀色、柘榴石色、プラム、チェリー、ターコイズ……。
　私はその瓶と中の液体の美しさに、しばし時を忘れ、真新しい玩具を手に入れた
子供のように見入っていた。
　
　「と……とりあえず、マスターのお勧めのお酒、いただけるかしら？」
　
　酒の名前を全く分からない、という事を悟られぬよう、平静を装って話し掛ける。
　───今まで私が飲んできた酒は……一体何だったのだろう……。
　
　
　やがてマスターから酒の入ったが差し出される。
　そっ……と、指先でグラスを触ってみる。
　───大丈夫。触る事が出来る。
　これも、夢だから？　幻だから───？
　
「うふふ、ふ、ふ……、私……本当は死人なのよ？」
　
　グラスを手に持ち、マスターに、少し寂しく微笑み掛けた。
　ふふ、誰がこんな事を本気にするというのかしら。
　誰が聞いても戯事だと思うような事を。
　
　私は美しい透明のグラスを店の明かりに翳した。紫煙で薄くけぶる灯が、グラスと
その中の琥珀色の液体の向こうにゆるゆると揺らめいて見えた。　
　
「──綺麗……」
　
　知らずに感嘆の吐息が漏れる。
　こんな美しい飲み物を、こんな美しい液体を、私は見たことがなかった。
　手の中で絶えず形を変えゆく液体を、私は吸い込まれるように見つめていた。
　液体の表面に映る私の顔。長く伸ばしたブロンドの髪が、液体の中で琥珀色に染まる。
　
「はぁ……」

　息を漏らす。液体の向こうに居る琥珀色の私と共に。
　深く染まった榛色の瞳が……私を見つめる。私を見ている。それは、私。私自身。
　
　私の瞳。
　
　私の瞳の奥───。

399 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/06/11(水) 01:41

ありゃ？　「あぶさん」のビンのナカがカラッポになってしまったのだ？

ぶんっ！！　ぶんっ！！

サカサにしてもでてこないな～？
あ、そ～だ♪　キングにおかわりもらおっと♪

「ね～、キング～！　おかわりおかわり～♪」

いそがし～のか、
キングがムゴンでかうんた～のウエにおいてくれたおサケを
ありがたくチョーダイしたのだ。

いただきます～♪　ぐびぐび～♪

400 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/06/11(水) 01:45

「はぁ……」

ん？　かうんた～をみると
「じっ！」とぐらすをみつめているオネーサンがいるのだ？

なにしてんのかな～？　おもしろいのかな～？

てってけて～♪

ソンソンはまんとをふまないよ～、ウシロからちかづいて、
いっしょになってぐらすをみつめてみたのだ。


　じ　い　～　～　～　っ

401 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/06/15(日) 03:56

　
　グラスを揺らすと、液体に映る私の顔も揺れる。
　
　それは、歪み、捻れ、光と共に、砕け、散る。
　
　グラスの中の私は───琥珀色をした私は、酒と混じり合い、ひとつに成り、
溶けて、消えて………そしてまた、現れて。
　形を変え続ける液体に見入る。
　
　───どれくらいの間、グラスを見つめていたのだろうか。
　酒に口も付けず、穴を穿つようにじっ……とグラスを見つめ続ける女なんて、
周りの人の目にはどんなに奇異に映るのだろう。
　………私は、ただただ、グラスの中で小さく揺らめく液体に見入っていた。


　───ふ、と我に返る。
　グラスに───私以外の顔が映っている。
　
（誰ッ！？）
　
　反射的に振り返る。
　そこには、先程朗らかに女マスターに話し掛けていた亜人の姿。
　
　───全く気配を感じなかった───。
　どれ程の力を持っている者なのだろう。
　………それとも、私の勘が鈍っているの───？
　
　まだ、酒に口も付けていないのに、何だか頭がくらくらする。
　久々の酒の臭いに、いえ、この店の雰囲気に酔ったとでも言うかしら───。
　ふ、と自嘲し、平静を努め、亜人に向き直る。
　
「楽しそうね………。亜人さん？」
　
　グラスを手に持ち、微笑み掛ける。
　今ここで出来る精一杯の笑み。
　───どんなに笑おうと思っても、何処かで寂しさが出てしまうけれど。
　だから、今は。
　
「独りで………寂しいのよ。一緒に───いかがかしら」

402 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/06/17(火) 02:15

じ　い　～　～　～　っ

きれ～にみがかれたぐらすに、
ソンソンのカオをおね～さんのカオがうつってるや～♪
うんっ♪　チョットゆがんでみえるけど、
キョーもソンソンのカオはナカナカのぷりち～っぷりなのだっ♪
いぇいいぇいっ♪　ぴ～すぴ～すっ♪

！！

ありゃっ！？　トツゼンおね～さんがガバッ！！とふりむいたのだっ！！
ビックリしたのだ～！！　ドキドキなのだ～！！

おね～さんはしばらくソンソンのカオをみつめて、なんだかボーッとしてるや？

「楽しそうね………。亜人さん？」

「独りで………寂しいのよ。一緒に───いかがかしら」

おね～さんがわらってはなしかけてきたよ。
なんかゲンキがないみたいだけど、
ど～やら、ソンソンとイッショのおサケをさそってるみたいなのだ。

「い～よっ♪　イッショにのものもっ♪
　たのしくのんだほ～が、おサケはおいし～のだ～。
　それからソンソンはアジンではなくってソンソンなのだっ♪
　セーテンタイセーのぷりち～おサルさんなのだっ♪」

　に　へ　っ　♪

403 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/06/22(日) 03:48

　
　声を掛けてしばらくして───今日の私は奇怪しいと思った。
　
　───何故、誰とも知らぬ亜人に、声なんて掛けてしまったのだろう。
　本当は、孤独に身を置き、独りで酒を───寂の酒を飲もうとしていたのに。
　
　私は何時だって独りではなかった。
　私は何時だって独りにはならなかった。
　何時だって必ず横に仲間が居た。
　何時だって必ず横に仲間が居てくれた。
　酒を飲む時も勿論───仲間が居た。
　仲間と笑い、歌い、踊り、そして勝利の美酒を味わった。
　今考えればそれは恐ろしく粗悪な代物だったけれど───私たちにとっては
最高の酒だった。
　
　今、目の前に在るのは、極上の品質の酒。
　───独りで飲む極上の酒。
　こんなにも美しく芳しい酒が目の前にあるのに………仲間は何処にも居ない。
　何処にも、居ない。
　仲間は───皆───死んでしまった。
　───あの戦いで。
　
　───死んだ？
　
　───死んだのよ、目の前で。私の目の前で。
　朱に染まる身体、小さくなる心臓の音、何度も何度もお願い逝かないでと
身体を揺らし揺らし、己の手と身体をも朱に染めて、むせ返るような血の匂いと
共に朱を浴びて───そして、私に向かう紅の凶刃。
　全て見聞きした事物。全て───体験した事物。
　
　───仲間は、死んだ。
　そして、私も死んだ。
　
　なのに、どうして私は此処にいる？
　どうして私は此処に──────

404 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/06/22(日) 03:49

　
「い～よっ♪　イッショにのものもっ♪
　たのしくのんだほ～が、おサケはおいし～のだ～」
　
　歌うような、朗らかな声に、ふと我に返る。
　
　先程のは───玉響の、幻。
　この店の見せる───幻。
　───私がそう思い込んでいるだけなのかもしれない。
　私はもう、夢も現実も幻も、区別がつかなくなっているだけなのかもしれない。
　
　目を瞑る。
　───一瞬。
　目を開く。
　
　直ぐ目の前には、亜人の顔。
　その瞳には好奇の色、口は───只でさえ大きい口は───の諧謔に富んだ
笑いと共に、左右に大きく引き伸ばされている。
　
　ふ、と自然に笑いが込み上げてきた。
　抑えようとしても、口元が歪む。
　
「それからソンソンはアジンではなくってソンソンなのだっ♪
　セーテンタイセーのぷりち～おサルさんなのだっ♪」
　
　───ソンソン………セーテンタイセー………ぷりち～………おサル………。
　私の知らない単語が次々と亜人の口から溢れ出す。
　どうやら私の目の前で酒を持ち、満面の笑みを浮かべている亜人は───
ソンソン、という名前の者らしい。
　そして………セーテン………という体制の下に暮らしているという。
　………異国の種族や社会情勢は分からない───。
　己の知識の浅さに喟然とする。
　
「そう………よね。酒は………大勢で飲んだ方が楽しいわ………」
　
　脳裏に浮かぶ、笑みを浮かべた仲間の顔、顔、顔───。
　───今夜は、あなたたちも共に飲みましょう───。
　そう、己に言い聞かせる。
　この素敵な店で。極上の酒を共に。あなたたちとは、一度たりとも味わう事の
出来なかった、極上の酒を───。
　
　グラスを持ち、ソンソンへ向けて軽く傾ける。
　指先は顫動し、液体は共にたゆたう。
　
「───私の名前を言ってなかったわね。私は………ミルウーダ。
　こういう場でどのような事を言えばいいのか分からないけれども───
　───此処であなたと一緒に酒を飲める事───嬉しく思うわ。
　………ソンソン、楽しく飲みましょう………ね」

405 名前：名無し客：2003/06/22(日) 10:32

酒飲んで、テンション高くなる。！！

406 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/06/22(日) 23:52

　
「酒飲んで、テンション高くなる！！」
　
　店の何処かから、酔っ払いの声が響く。
　様々な衣服に身を包んだ、様々な出自の者。
　彼らは何を想い、何を考え、何を抱えてこの店に来ているのだろう。
　そして、彼らは一体何者なのだろう。
　
　私には分からない。いや、分かろうともしなかった。
　一言、声を掛ければいいだけの事。
　少しだけ、彼らを見続ければいいだけの事。
　
　だけれど───それが、出来なかった。
　独りになりたかった。独りで居たかった。独りという殻に籠もりたかった。
　孤独の中に身を浸していたかった。
　孤独という寄辺に身を浸して、己の記憶に───過ぎ去り、決して戻って
来やしない仲間たちの思い出に───揺曳しようとしていた。
　
　だけれど、今は───。
　
　からん。
　
　手に持ったグラスの中で、美しい音色を奏でながら氷が溶け始める。
　店の灯が反射して、氷は美しい虹色に耀く。
　
　───虹、か。
　私は、私たちは───虹を追う者だったのだろうか。ありもしない
虹脚埋宝伝説を求めて歩き廻る、愚かな空想家の放浪者だったのだろうか。
　
　───そんなはずはない。そんなはずはないんだ。
　例え愚かであっても───あれは決して、空想などではない。
　理想と空想は違う。私たちは決して手に入れる事の出来ないものを求めて
いたのじゃない。そんな馬鹿なことなんてしてない。
　理想は空想じゃないんだ。空想じゃない。空想なんかじゃないんだ………。
　空想なんかじゃ───
　
　───酔っ払いの声がまた聞こえて来る………。
　
　酒は、大勢で飲んだ方が、楽しい………。
　先程の、己の言葉を反芻する。
　
　そう、今は、目の前に素敵な笑顔の亜人が居る。
　周りには、何者かも分からない雑多な人が居る。
　カウンター越しには、バーのマスターが。
　私の胸の内には───共に闘った仲間たちが。
　
　そうだ。
　私は今、此処で独り酒を飲むのではない。
　私は孤独なんかじゃ───ないんだ………。

407 名前：佐伯四郎：2003/06/24(火) 01:46

ふぅ～、アチィアチィ！
ジムで一汗かいた後の外の空気は、涼しくて快適なモンだが、
１０分もすれば、充分太陽の熱が暑さを伝えてくる。

「冷たいビールでも飲みたい気分だなこりゃ……」

俺の目は渇いた喉を潤す為、手ごろな店を探し始めた。

あン？　こんな店前からあったっけ？

「バー”ILLUSION”」。
その店はまるで昔から存在していた様に立っていた。
いや、本当に昔からあったのに俺が気づかなかっただけかもしれない。

まーいいや、ここにする！　ここに決めた！

からんころん

「ウィ～っ！！」

特にアピールするつもりは無かった。
だが俺はなぜか小指と人差し指を立てた右手を天につき出し、
スタンハンセンが得意とするポーズをとっていた……

408 名前：名無し客：2003/06/24(火) 01:48

お酒のおいしさって何だろう～

409 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/07/05(土) 00:51

「───私の名前を言ってなかったわね。私は………ミルウーダ。
　こういう場でどのような事を言えばいいのか分からないけれども───
　───此処であなたと一緒に酒を飲める事───嬉しく思うわ。
　………ソンソン、楽しく飲みましょう………ね」


ふむふむっ！　おね～さんのナマエはミルウーダとゆ～のか。
ミルウーダがおサケをついでくれたんで、
そんそんはよこのイスにぴょこんととびのってみたのだ。

「酒飲んで、テンション高くなる！！」

そ～なのだ！　おサケのんではっぴ～になるのだっ♪
おサケはカイワのジュンカツユなのだっ♪
ごくごく～っ♪　ぷはっ！　おいし～のだ～♪


「ウィ～っ！！」

ふりむくと、ミセにおもしろそ～なおっちゃんがはいってきて、
ヘンなポーズをとっているのだ！
あれは、たしか「ぐわしっ！！」ってヤツだっけかなっ？
ソンソンもおっちゃんにむかって「ぐわしっ！！」した右手をあげてみたのだっ♪

410 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/07/05(土) 01:03

「う～ぃ～っ！！！！！」

ソンソンはつづいてカケゴエもあげてみたのだ。
う～っ！　もえるのだ～！！！　ば～にんぐなのだ～！！！
なんだかホワホワしてきたのだ～！！！！

ごくごくごくごく～♪
ミルウーダからついでもらったおサケと、ヒダリテのサカビンをこ～ごにのんでると、
ちかくのオキャクサンがこっちをみて、

「お酒のおいしさって何だろう～」

とゆってきたのだ。

おサケはたしかにおいし～けど、なんでこんなにおいし～んだろ？
ソンソンもかんがえてしまったのだ。う～ん・・・・・

はっ！！！

そ～なのだ！
おサケはたのし～からおいし～のだ！
カラダがポッポして、たのし～キブンになるのだっ！
たのしくなって、うたいたくなるのだっ♪　おどりたくなるのだっ♪

「おさけはたのし～から、おいし～んだよっ♪
　ソデスリアウモタショーのエンなのだ～♪　いっしょにのもっ♪」

411 名前：佐伯四郎：2003/07/06(日) 01:47

………

なんでこんなポーズをとってしまったのか？
マキの友達のサキヤマなんとかじゃあるまいし……
ヘンな影響でもうけたのかな、オレ。

「う～ぃ～っ！！！！！」

うおっ！
誰か、リアクションを返してきやがった！

ふとカウンターの場所に目線を飛ばしてみると、
そこには昔なつかし「ぐわし！」のポーズを決めているおかしな格好をした少女がいた。

　ち　が　う　だ　ろ　！

どうやら少女は、俺のとったハンセンのアピールを
「ぐわし！」のポーズと勘違いして返してくれたらしい。

ノリといい、風体といい、目の前の少女を見ていると、
なんとなくマキの友人のみおりとか言う娘を思い出す。
しかも彼女の格好は、なんとなく西遊記にでてくる孫悟空の姿を思わせる。
今はやっているコスプレとかいうヤツか？
よく周りを見回してみたら、見慣れない格好をしている客ばかりだし……

入る店間違っちまったかな、こりゃ……

412 名前：佐伯四郎：2003/07/08(火) 02:49

まあいい。
確か看板には”バー”って書いてあったハズだ。
酒を出す店には変わりないだろう。

俺は酒宴で賑わう客達の横を避けるように歩いてゆき、
カウンターの開いている椅子に腰掛けた。

マスターは金髪の美少年……いや、女か。
クールな風貌で男装に極めて近い格好をしているが、
胸のふくらみが性別を告げていた。
しかも、どこかで見たことのあるような？

……まあいい。

「マスター。
　大ジョッキとチョリソーをもらえるかな？
　マスタード多めで頼む。」

注文を告げると、突然陽気ではじける様な声が耳の中に届いてきた。

「おさけはたのし～から、おいし～んだよっ♪」

ふと、横に目線を飛ばすと、
先ほどの少女が酔っ払い客を「一緒に呑まないか？」と誘っているらしい。
少女の横には、物憂げな表情を浮かべたベッピンさんが腰をおろしている。
随分とおかしな組みあわせだな。まあいいか……

……ん！？　待てよ！？　少女だと？

俺は衝動的に椅子から立ち上がり、
少女をビシッと指差しながら、こう言い放った。

「おいおい！　未成年がこういう店に入ったらイカンだろ！？」

413 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/07/09(水) 02:59

うきうきしてきたのだ～♪　たのしくなってきたのだ～♪

うずうずっ！！
よしっ！　おどるのだ～！！！！！！！！

「おいおい！　未成年がこういう店に入ったらイカンだろ！？」

ズデッ！！

ソンソンは「ずるんっ！」とおもいっきしこけてしまったのだ！

「いたいのだ～！！　こけたのだ～！！！　デアシをくじかれたのだ～！！！！」

いたたたたっ！　アタマをうってしまったのだ！！
ありゃ？　さっきのへんなぽ～ずのおっちゃんだ？
このおっちゃんがさけんでたのか～！！！　むむむ～っ！！！

「ソンソンはミセーネンではないのだ！　おサルさんなのだっ！！
　おサルだからおサケのんでもい～んだよ～！！！」

414 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/07/13(日) 03:06

　
「乾杯」
　
　ソンソンとグラスを軽く打ち合わせる。
　ちん、という涼やかな玻璃の音色が、静かに鳴り響く。
　
　手に持ったグラスを、くい、と傾け口を付ける。　
　舌に触れる、その柔らかな液体。今まで味わった事などない液体。
　芳醇な香りは鼻孔を抜け、身体の隅々まで駆けめぐる。
　液体と共に身体に広がるその香りは、私という自我まで蕩けさせる。
　
　───ああ。
　
　ほんの瞬きをする間。
　私の意識は、
　宙を漂う───。
　
　雨水と泥水を啜った、あの幼き日々。
　口に入れる物があれば良かった。口に入れる物さえ無い日があった。
　飢えていた。
　ただ飢えていたあの頃。
　飢餓感しか覚えていないあの頃。
　何時も食べ物の事しか考えていなかったあの頃。
　幼い私は手を引かれ、何時も何時も食べ物を探し求め、歩いていた。
　───食べ物が欲しい、食べ物が欲しい、何か食べる物が欲しい。
　───雨水や泥水よりもましな飲み物が欲しい。
　視線を宙に漂わせ、いつも、いつも、歩いていた。
　
　───そんな私が。
　今。
　この酒を───。
　
　仲間の顔が、共に杯を交わしたあの夜の事が、粗悪な酒で吐くほどに酔った
あの時が、とりとめもなく脳裏に浮かんでくる。
　
　───彼らは、居ない。
　帰って、来ない。
　もう二度と。
　
　───私、だけ。
　今。
　この酒を───この酒を飲んでいるのは。
　私、だけ。
　
　仲間と共に飲みたかった。
　共に闘ったあの仲間と。共に笑ったあの仲間と。共にあの時酒を呷った仲間と。
　
　……気づくと私は両手でグラスを抱えていた。
　手が、微かに震えている。
　そして、グラスの中の液体も、ざわざわと、小さく蠢くように震えていた。
　
　かたん。
　半分程飲みかけたグラスをカウンターに置いた。
　何だか───目頭が熱い。
　そっ……と片手を眦にやる。目を閉じる。
　
　嫌……ね。
　こんな所で──────

415 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/07/13(日) 03:08

　
　気づくと目の前にはソンソンの、にへっ……という朗らかな笑い。
　片手には酒瓶、片手にはグラス。
　そのグラスは既に───空。
　私は内心驚きつつも、微笑んで酒を注いだ。
　
　───こんな、素敵な酒の相手が居るのだから───。
　───泣いてなんて、いられない───。
　
　
　からんころん。
　
　店内にカウベルの乾いた音が鳴り響く。
　反射的に振り向くと、そこには右手の小指と人差し指を天に向けて突きたてた、
がたいの良い男性の姿があった。
　引き締まった体躯、服の下で微かに隆起する胸。
　一目で常日頃体を鍛えている者だと分かる。
　例え私の手に得物があろうとも、勝ち目は無い───何故だか、そんな気がした。
　剣士としての勘か。
　それとも───酒の力が私を弱くしているのか。
　わからない。
　
　臆する事無く、スツールに腰掛けた男性に近づいてゆくソンソンと対象に───
　
　───私は、縮こまって身を固くする事しか出来なかった───。
　
　
　ソンソンと男性とのやりとりを見つつ、ゆっくりと酒を口に運ぶ。
　突然、男性がソンソンを指さし大きな声を出した。
　
「おいおい！　未成年がこういう店に入ったらイカンだろ！？」
　
　ふ……、と私は笑ってしまった。
　───亜人はその見た目通りの年齢であることは、滅多に無い───。
　そんなこと、常識なのに。
　私の笑いに呼応してか、ソンソンは綺麗に───こけた。
　踊ろうとしていたのか。何かのポーズを取ろうとしていたのか。
　妙な格好で綺麗に───こけた。
　
　その姿があまりにも奇怪しくて。
　───私は大きな声を立てて笑っていた。

416 名前：佐伯四郎：2003/07/14(月) 00:57

少女は……こけた。

それもかなり見事に。

俺の指先がから銃弾が跳び出したんじゃないかと錯覚するほどに。


　　　　ドンガラガッシャーン！！！！


少女はおでこをさすりながら起き上がると、
俺に目線を向けた後、睨みつけこう言い放った


「ソンソンはミセーネンではないのだ！　おサルさんなのだっ！！
　おサルだからおサケのんでもい～んだよ～！！！」

猿？

猿ってのはアレだよな。動物園の岩山なんかにいる
「ウッキーーーーッ！！」ってヤツ。

目の前にいる少女には、
頭髪意外は毛深くもないし、ちゃんと人間の言葉を話している。
ただ……その尻の部分には、「尻尾」が揺れている以外は。

俺は目を左腕でゴシゴシこすると、もう一度少女に目を戻した。

どうみても作りモンじゃなさそーだよな。
昼間のトレーニングで、サンパギータ・カイの「スカイツイスタープレス」を真似て、
頭をリングに打ち付けたショックがまだ響いてンのか？　こりゃ？

こともあろうに、
（>412）でレンゲちゃんと自分の娘の名前を間違えてしまう程だもんな。（フォロー）
それ程ダメージを受けたつもりは無いんだが……


女の笑い声が、俺の思考を現実の世界に引き戻した。
カウンターに目を向けると、おサル少女と同伴していた女性が笑っている。
どうやら、見事なこけ方を彼女を目にしたのが原因らしい。


ほう。いい笑顔だ。

それからの俺の行動は実に素早かったに違いない。
体感スピードは、坂本ジュリエッタの蹴りの速度を上回ったと思われる。

気づくと、俺はすでに彼女の横のカウンターに腰をかけていた。

「ラブラブショーなんじゃないかなぁ。人生って。」

417 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/07/14(月) 02:15

「む～っ！　わかったのかなのだ～！！」

ありゃ？　おっちゃんがいないのだ？
どこにいったのだ？

はっ！！　>416
スバヤイのだ～！！！　ハヤワザなのだ～！！！

418 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/07/14(月) 02:30

　
　
　鏡の中の己をじっと見据え、間違いが無いかを再確認した。
　間違いは確かに無いが、着物に着られている。この歳になってと苦笑せざるを得ない。
　是非も無いと云えばそうだ。西洋酒場の給仕の服など、古い人間が着るべきものでもあるまい。
　
　急に着替える気になったのは何故、と問われれば答えは持っていない。
　気紛れだ、この店に雇われた時のような。
　
　
　アラマリック街十三番地
　エレベーターで　無間地獄へ
　門番もいなけりゃ　お隣りさんもいない
　
　
　退廃的とすら云える歌姫の調べ（>>372）が、扉の隙間から洩れ聞こえて来る。
　蝶ねくたい、とやらを締め直す。仕事に戻らねばなるまい。
　暫時の休憩の筈だが――ひどく永い時間、酒房を空けていた気がするのは恐らく気の所為だろう。
　多分。
　何故か深く念じるようにして、儂は控え室から店内への扉をくぐる。
　先ず歌声が出迎えた。甘く、また狂おしい空気の震え。
　
　
　扉を開くと　待っている
　お前を燃やす炎　喉を抉る匕首
　ピストル　柩　割れた鏡
　黙っている電話
　泣きじゃくる骸骨
　一晩中続くのは　タンゴ！
　
　
　扉の向こうで待っていたのはどれでもなかった。
　酒と、男と女と――要するに酒場にあり、人の世に数多あるものに過ぎなかった。

419 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/07/14(月) 02:35

>>418　続き
　
　最前、半裸の男（>>381）が投げ付けて来た鯖の塩焼きも、着替えの間に好い加減になっていた。
　火から下ろし、手早く盛り付け大根おろしを添えて客の前に置く。冷えた麦酒も。
　この男、あの女主人の知り合いだけあって相当使う。戯けているのは成りだけのようだ。
　
「鰐の唐揚げは今暫し待て。活きの良いのを捌く所からするので、時間を貰わねばならん。
　店主は知らんな。あの仁、中々に忙しい」
　
　静かに答える。別段喧嘩を吹っかける気は毛頭ないが、客に対する言葉遣いではないなと思う。
　まあどうせ、儂に出来るのは人殺しだけだ。明るい無料の笑顔など求められても困る。
　
　そうそう、着替えに引っ込んでいる間に忘れていた。血腥い男の注文（>>298）に取りかかる。
　「あめりかん・うぃすきー」「檸檬の絞り汁」「粉砂糖」を“しぇいく”。
　たんぶらーに注ぎ入れ、氷と共に「じんじゃー・えーる」は心持ち多めに。
　――こやつ、甘党だ。同類は不思議と判る。
　
「遅くなった分際で何だが――騒ぎは困る。控えて貰う事だ」
　
　杯を出しながら、低い声と目線で釘だけは差しておいた（>>376）。
　遅きに失したきらい、ひしひしとするものの、一応。
　ほう、今度は酔い潰した女に手を出そうと。――ふむ、どちらの手も早い、と。

420 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/07/14(月) 02:41

>>419
　
　はてさて、どうもこの店は、何がしかの武芸に秀でた輩が集まる事甚だしいようだ。
　女店主の人徳――か何か知らんが、それに惹かれるのだろうか。
　
　店に入って来た脳天気な男（>>407）は、同じような声で注文を告げた。
　明日が祝言だとでも、或いは三行半を叩きつけるのだとでも云うような素振りだ。
　どちらにせよ、同じ事ではあろう。
　儂は注文の品（>>412）を作りにかかる。暇なようでいて、割と忙しい。
　
　肉を軽く炒める途中ふと、先ほど静かに酒を眺め入っていた女（>>406）を見遣る。
　憂いのある女など珍しくもない。
　だが憂いだけで構成されている貌は、あまり見ない。
　本人には悪いが――それはそれで絵になる図だ。
　
　見惚れていた訳ではない。が、肉に西洋辛子をふる手先がちと狂った。
　いや、自己欺瞞も時と場合によりけりだろう。
　大分――正直、滅茶糞に狂った。
　
　空咳を一つ二つ、する。
　まあ注文は“多め”なのだ。問題はない。大体喰うのは当人だ。知った事ではない。
　客の眼を出来る限り見ないようにしつつ、なみなみと注いだ麦酒を出来るだけ前面に出し、そっと
品を卓に置いた。
　
　神仏に祈るのは、随分久し振りの事だ。或いは初めてだったかもしれん。
　
　南無三。

421 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/07/14(月) 02:45

>>420　続き
　
　その時、明るげな声がした（>>415）。
　女が笑っている。
　「ぶるぅちぃず」と「あぶさん」を出した猿娘のおどけ振りにか、可笑しそうに。
　まだ、笑えるらしい。歳相応な笑い方も出来るらしい。
　
　憂い顔も、絵図としてひと時愛でるは良い。
　だがそれだけ、と云うのもちと淋しいものではある。
　佳い女は特に――などと思う程、また目の醒めるような速さで口説く体勢に入った男（>>416）程、
色気は残ってはいないが。
　只、問わず語りに女へと呟く。
　
「屈託を肴に飲む酒など、美味くもなかろう。だからと云って喧騒を欲するか如何かは、これは
各々の趣向だろうがな」
　
　猿娘(>>417)へ「あぶさん」のお替わりを出しながら、女の方へ「主も飲るか」と訊いてみた。

422 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/07/15(火) 02:25

ふっふっふ～♪　ばかめ～♪

おっちゃんがすわってたかうんた～には、
おいしそ～なそ～せ～じがのっかっているのだっ♪
まさに、ソンソンに「たべてくれ！」といわんばかりに～！

きら～ん♪

おっちゃんがミルウーダとはなしこんでるうちに、
そろ～りと、おっちゃんのすわってたセキにちかづくしかないのだっ！

　ぢゃんっ♪　ぢゃん♪　ぢゃっぢゃ♪
　　　ぢゃんっ♪　ぢゃん♪　ぢゃっぢゃ♪
（スパイ大作戦のテーマのつもり）

ふっふっふ～♪　おっちゃんはミルウーダにかかりっきりで、
ぜんぜんきづいてないよ～なのだ。

では、そ～せ～じをつまみあげてっと～

　いったっだっきま～す♪
　　　　　　　　　　　　　　ぱくっ♪

ん～、カワがやぶれてナカミのニクジューがじゅ～し～にひろがるのだ～♪
そしてっ、この「つ～ん」とくるますた～どの・・・・・・

　ツーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン！！！！！

「からいのだ～！！！！！！！
　ハナからイッキにつきぬけたのだ～！！！！！！！！！！！！」

423 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/07/18(金) 04:54

　
　笑った。心から笑った。腹を抱えて笑った。
　随分と、笑っていなかったような気がした。
　何時から？　何時から、私は笑っていなかったのだろう。
　
　
「ラブラブショーなんじゃないかなぁ。人生って。」
　
　突然の陽気な声に振り向く。
　誰も居ない筈の隣のスツールに、ソンソンと戯れ合っていた男性が腰掛けていた。
　いつの間に。
　全く動きを察知出来なかった。一介の剣士であった、この私が。
　正直───悔しかった。
　
　目の前の男は何者なのか。
　軽薄そうにも見える面差し。薄く嗤う口元。厚い胸板。
　やや身なりがだらしないような気もするが、悪い人間には見えない。
　───私の勘が狂っていなければ、の話だが。
　
「ラブラブ……ショウ……？　人生が……？」
　
　男の視線を受けながら、呟くように喋る。
　この得体の知れぬ男を前にして、私は僅かに体を強張らせた。
　恐怖───というものも感じたのだろう。
　次に継ぐ言葉を思案しながら、片手で忙しなくグラスを弄ぶ。
　店の奥でゆらり、と揺れる紫煙にしばし見とれる───。
　ラブ───恋───か。
　
「……縁がなかったから……」
　
　───嘘だ。
　
「私は……そういうものとは、縁がなかったから……」
　
　私は、嘘をついた。
　過ぎ去り日々に秘めたる想い。
　心の奥底に押しやって、理想の二文字で塗り固めた想い。
　あれは何時の事だっただろうか。あの想いは、何時のものだっただろうか。
　気のせいか、心臓が早鐘を打ち始める。
　───気のせい。気のせいよ。これはきっと───酒のせい。
　
「……私は」
　
　男に向けて言葉を継ごうとするが、何も、出て来ない。
　
「私は……」
　
　己の唇からこぼれるのは、譫言のような言葉だけ。
　私は男の目に耐えきれなくなって……僅かに目を伏せ、カウンターに並ぶ
玻璃の瓶に視線を彷徨わせた。

424 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/07/18(金) 04:55

　
　ふと、一人の給仕が視界に入る。
　何時からそこに居たのか。
　私が気づかなかっただけなのか。
　美貌のマスターの影となっていただけなのか。
　それとも。
　
　ひどく奇妙な雰囲気の給仕だった。
　奇妙と云えば、この店の客全員がそうとも云えなくもない。……私を含めて。
　
　───しかし、この給仕はそれとはまた違う次元の奇妙、だった。
　東の国独特の面持ち。低いがすらりと通った鼻。濡れたような黒髪。
　そして、細く黒い眼。
　その瞳には、長い時を歩んできたかのような、老成した色と光があった。
　───東の国の人間の歳は分かりづらい。以前、仲間の誰かが言った言葉を思い出す。
　
　慣れているのかいないのか、注文の品を次々と作り上げていくその手を盗み見る。
　よく分かりはしないが、このような仕事をする手ではない。
　いや、それよりも、私と同じ、剣を握る者の手。血塗られた、手。
　───それすらも、酒の見せた幻かもしれないけれど。
　
　給仕が何かを呟くのが───微かに聞こえた。
　
「屈託を肴に飲む酒など、美味くもなかろう。だからと云って喧騒を欲するか如何かは、
これは各々の趣向だろうがな」
　
　───私に向けての言葉なのだろうか。
　屈託を肴になんて、してない……。そう、呟く。私の口の中だけで。
　目の前に居る、給仕にも聞こえないくらいの声で。
　
　氷だけになったグラスに視線を落とす。
　───からん。
　氷が溶けて、独りでに揺れた。ゆるりと動く氷を、しばらく見つめていた。
　
「主も飲るか」
　
　その言葉に、顔を上げる。
　目の前の給仕が、私に酒をすすめていた。
　ソンソンが頼んだ透明の酒。名前も分からない、澄んだ酒。
　そういえば、と横を見ると───ソンソンは男の注文した品を狙って動いていた。
　ふ、と微笑み給仕に話し掛ける。
　
「一杯もらうわ。……それと、何か一品、見繕って欲しいの」

425 名前：佐伯四郎：2003/07/19(土) 02:32

俺は目の前の女性の目を見つめながらこう言い放った。

フッ……決まったな。

少々おかしな格好をしている様だがそんなことはどうでもいい。
今さっき見せた、ビューチホーな笑顔。
それが俺のハートに炎を灯してくれたのだから。

それにおかしな格好の連中なら腐るほど見ている。
プロレスのマスクを被って街を練り歩く男や、
ゲームキャラ「アキオ」に扮した八極拳の使い手、
ゴーグルやプロテクターを身につけた「忍者」。
奴等に比べたら、彼女の格好なんて全然おとなしいモンだ。

さて、と。

彼女は一言二言つぶやき、そしてそっと目を伏せた。
酔いもわずかに回っているのか、頬の紅潮が目に取れる。

「……私は」

よし！　描いたシナリオ通りだ！（ホントか？）
俺はあえて次の言葉を口に出さず、しばらく彼女の反応を見てみることにした。

その時、

　ゾ　ク　ッ　！

背筋に熱い震えが走った。
いつも誰かと闘り合う時に感じる肉体の打ち震えと突き刺す様な空気。
それも、生半可なものではない、
普段より数段強烈なヤツだ。

首を上げた。

視界に入る着物の男。
なぜか、その風体は時代劇にでも出てきそうな剣客を思わせる。
そして、今は身を潜めているが、斬れるような目の奥の光は隠しようが無い。
肉食獣。それも間違いなく「喰う方」だろう。

ほんの一瞬だっただろうが、俺の顔は”狂暴な喜び”の表情を浮かべていた違いない。

426 名前：佐伯四郎：2003/07/19(土) 02:50

しかし、男の滲むような雰囲気とは逆に、
その口から放つ声色と、彼女に酒を進めるセリフは似つかわしくない穏やかな物だった。

バーテン……か。
横に座る彼女のグラスに注ぐ酒瓶を見て、肉体の興奮が少しやわらぐ。

しかし、おっとろしいバーテンもいたもんだ。
少しこの店で飲むのが楽しくなってきた。

さて、俺も……、

そこで、さっきまで座っていた席にジョッキとつまみを置き忘れてきたことに気がついた。

「からいのだ～！！！！！！！
　ハナからイッキにつきぬけたのだ～！！！！！！！！！！！！」

キーン！！

甲高い叫び声が俺の鼓膜を通過した。
あれは……俺の座っていた席からか！？

振り向くと、
こともあろうかさっきのお猿娘（？）が、俺のチョリソーを涙を滲ませながら頬張っている。
そのままほうっておけば、ジョッキまで飲み干されそうなイヤな予感がした。

あれは俺のだ！　俺の喰いモンだ！
ピリ辛いチョリソーを放り込んだら、冷たいビールで流し込む！
その楽しみを奪われてなるものか！

「こら！　そこのお猿娘！
　この佐伯四郎様の食いモンを奪い取ろうとはふてーヤツだ！」

そう口に出しながらも、
俺はダッシュで元の席へと駆け出した。

427 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/07/21(月) 01:57

う～っ！　からいのだ～！　ナミダがちょちょぎれるのだ～！！！

「こら！　そこのお猿娘！
　この佐伯四郎様の食いモンを奪い取ろうとはふてーヤツだ！」

はっ！！　マズイのだ！！　ばれてしまったよ～なのだ！！
おっちゃんがすごいスピードでこっちへくるのだっ！！
こっそりたべよ～とおもってたのに、
あまりのカラさに、ついコエをだしてしまったのだ！

ん～、でもこのツーンとくるカンジがなんとなくアトをひくのだ～。
ど～せバレたのだ。もいっぽんもらっちゃお～かなっ？

ぽいっ♪　もぐもぐっ♪

「カライのだ～！　やっぱしツーンときたのだ～！
　でもうまいのだ～！！　クセになるのだ～！！！！」

（残りのチョリソー：あと４本）

428 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/07/21(月) 02:08

　
　猿娘が噴き上げた絶叫（>>422）に、それ云わん事ではないと思いかけ、そもそも云っておらん
どころか我から隠蔽工作を図っていた事実に思い到る。
　
　あの辛子塗れの肉、魔神の祭壇に捧げられる食物のような味であろう。口の卑しさから出た自得
とは云え、種を蒔いたはこちらの仕業だ。
　少し、気が咎めないでもない。
　なので檸檬水と氷をたっぷり入れた大きな水差しを、そっと娘の前に置く。
　
　――と、珍しく仏心を出してはみたが。
　この喰いっぷりを見るにつけ、全くの杞憂だったと云える（>>427）。
　フフ、所詮似合わぬ真似だった事だ。
　
　その間にも、女の注文に軽く頷いて答える（>>424）。
　新しい瓶を開けた。香りだけは甘い。
　が、味はそうではない。
　数多の芸術家がこれに狂い、淫したと伝えられる。先ず、魔酒と云っていい代物だ。
　
「女に勧める酒では、或いはないかもしれんが……」
　
　ラッパ呑みしていた猿娘と違い、真逆瓶ごと出す訳にはいかない。
　杯に緑の酒精を注いだ。その上に匙を、更に角砂糖を乗せる。
　匙はこれ専用に穴の空いた代物だ。
　冷水を静かに注ぎ入れた。
　まるで日が没し、また昇るように――黄緑色だった酒が白濁していく。水で割った所為だ。
　
「匙に残った砂糖は退けるも良し、混ぜ込むも良し。これは、ひどく苦いのだよ」
　
　つまみとして、生はむの盛り合わせも出しつつ、云う。
　
「主の過ぎ越し星霜といずれが上か――と云う位には、な」

429 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/07/21(月) 02:12

　
　その時――煮える程熱く、同時に凍える程冷たい風が幽かに首筋を撫ぜた。
　ほんの一瞬だけの事だったが、嘗て慣れ親しんだ気配を見誤る事は無い。
　笑みの形を取った――殺気（>>425）。
　
　覚られぬよう気息を整える。剣呑な機はやり過ごせたようだ。
　もっとも、向うも本気ではなかった。
　いかんな。此処は荒事の場ではないと云うのに。
　如何もこう周りが手練ればかりだと、我からおかしな気が洩れてしまうようだ。
　ウフ、フ。
　
　や、よく見れば、これは注文の料理を少し、そう少しばかりしくじった客ではないか。
　すわ、辛子を利かせ過ぎたのを看破されたかと焦ったが、どうもそうではないらしい。
　八幡、天の助けと頷こうとしたのも束の間、奇声を上げて問題の品へ吶喊する様（>>426）に
眼を覆いたくなる。
　否、実際に瞑目した。
　開ける時までに三千世界悉く焼尽すべしと願ってみたが、儚い逃避に過ぎなかった。
　
　取り敢えず、檸檬水は前以って用意しておいたが吉か。たっぷりと。

430 名前：佐伯四郎：2003/07/23(水) 02:14

なっ！　な～っ！　また手を伸ばしてやがる！
まさか、もう一本食べようとしてるのか！？

あっ！　あ～っ！！！


……遅かった。
お猿娘の指につままれた我が愛しのチョリソーちゃんは、
その「あんぐり」と開けた大きなくちの中に無慈悲に落下していった。

「カライのだ～！　やっぱしツーンときたのだ～！
　でもうまいのだ～！！　クセになるのだ～！！！！」

　ガーーーーーン！！！


俺のだって言ってるのに！
俺のだって言ってるのに！！
俺のだって言ってるのに！！！

聞いてねぇのか、この娘は！？

何？　子供相手に大人気ないだと！？　ほっとけ！？
毎日のトレーニングで体を痛めつけて、タップリと汗を流した後、
チョリソーのジューシーな肉汁と歯ごたえを楽しんだ後、それを冷たいビールで流し込む。
この楽しみが奪われる気持ちが理解できるか？

ニャロー！！　子供でも許さねぇぞ！　とっつかまえてお尻ペンペンしてやる！
……と、その前に何としてでも残りのチョリソーを小娘の手から奪わなければ！

俺はダッシュのスピードを緩めることなく猿娘に一気に接近した。

431 名前：佐伯四郎：2003/07/23(水) 02:42

ぶつかる！！　誰もがそう思ったに違いない。

だが、その瞬間俺の体は宙に浮いていた。

「ムーンサルト」と言ってみれば解るだろうか？
新体操などでよく見かける、空中を二回転半しつつの華麗なジャンプ。
さらに俺のは、少々体にひねりを加えてある。

ズサッ！！

着地も完璧だ。決まったな。フフッ……
もっとも、「エアマスター」の異名を持つ娘のマキなら少し優雅に決めることができたかもしれんが。

そして俺の手には、チョリソーの皿が乗っていた。
しかもそのうち一本は、すでに（空中で）口に咥えてある。
どうだ、驚いたか猿娘！！

俺は、咥えたチョリソーにかみちぎると……

………………


ツーーーーーーーーーーーン！！

か、かれりゃるりぇりゃからーーーーーーーーーっ！！！！（心の叫び）

舌が爆発した！　……かの様に思えた。
あの侍バーテン野郎！　どれだけマスタードを仕込みやがったんだ？
イカン！　変な汗が吹き出てくる。

俺はみっともない姿はさらすまいと、最大限の努力をしつつ小娘に向き直った。

「おりふぁまのひょりほぉをぬふみぐいひよぉたあふへえやふだ！！」

イカン……言葉になってない。
おまけに涙と鼻水まで滲んできた……

432 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/07/28(月) 02:52

　
「からいのだ～！！！！！！！
　ハナからイッキにつきぬけたのだ～！！！！！！！！！！！！」
　
　ソンソンの悲鳴がバーの店内を突き抜ける。
　はっと、振り向こうとする私の視線の上を、
　
　ふわり、人が宙を舞った。
　
　先程まで私の隣のスツールに腰掛けていた男性。ともすれば軽薄そうに見えた
あの男性が。バーの天井の落ち着いた灯に、その逞しい体躯が影絵の様に映し
出される。彼の全身の筋肉の激しい躍動が、息遣いが、興奮が、バーの濃密な
空気を通して伝わって来るような気がした。
　見ているこちらの、胸も昂る。
　
　そして、着地。
　その顔には、得意そうな、まるで子供のような、まぁるい笑み。
　
　己の気持ちを沈め───よく天井に頭をぶつけなかったものだ、等と妙な感心を
していると、男性はいつの間にやらソーセージを口に咥えている。
　信じ難い程の技術と早業。
　私が遅れを取るはずだ……と自嘲しているのも束の間、今度はソンソンに代わり
男性の方が涙目になり、呂律も廻らぬ口で何かを捲し立てる。あまりの必死さに、
男性の全身から汗が滴り落ちるのが確認出来る。
　そしてその顔に、鼻水が垂れてきているのは……見なかった事にしよう。
　
　あ、───垂れた。
　
　私は必死に笑いを堪えながら、小さく拍手を送っていた。
　いや、堪えられなかったかもしれない。
　ああ、可笑しい。
　何て可笑しい夜───。

433 名前：ミルウーダ・フォルズ ◆MUKuroTvQE：2003/07/28(月) 02:54

　
　指を、見ていた。
　目の前で動く、給仕の手を。
　酒を注ぎ、包丁を取り、肉を焼く、給仕の手を。
　
　仲間の誰とも似付かない指をしていた。
　若く、瑞々しい指に見える。けれども、長い年月が刻み込まれた、年老いた人の
ものにも見える。不思議で……蠱惑的な表情を見せる指。
　私は血の匂いを微かに漂わせた、この東国の人間の指に魅了される。
　───それさえも、酒に住まう魔力のせいなのかもしれないけれど。
　
「女に勧める酒では、或いはないかもしれんが……」
　
　給仕は新しい酒瓶を開ける。甘く身を蕩す様な香りが此処まで漂う。
　給仕の一つ一つの動作に見入る。いや、そのしなやかな指先に。
　端正ではない。艶かしくもない。だけれども、惹かれる。何故。
　
　やがて差し出される、グラスに注がれた白濁した酒。
　その上には穴の空いたスプーンと砂糖。
　───何て贅沢な。何て綺麗な。
　給仕の言葉に従い砂糖を全て溶かす。全くの未知の液体。
　正直、どのようにして飲んだら良いのかも分からない。しばらくグラスを見つめて
いたが、意を決し、共に出されたハムをつまみつつ、くい、と呷る。
　
　───くらり。
　頭の芯が痺れる。
　───苦い。砂糖は全て混ぜたのに。
　ああ、本当に、ひどく、苦い。何て苦いの。
　
　声が、聞こえる。
　
「主の過ぎ越し星霜といずれが上か――と云う位には、な」
　
　何故。何故そんな事をあなたが分かる、の。
　あなたに何が分かると言う───の。
　じんじんと痺れる頭を振り、きっ、と前を見据えた。
　
　───後ろで男と女の意地を賭けた、壮絶なソーセージ争奪戦が行なわれている
事など、知る由も無い。

434 名前：名無し客：2003/07/28(月) 10:04

酒は飲んでも、飲まれるな。

435 名前：閑馬永空：2003/08/04(月) 00:11

　
　鳶の軽さと隼の鋭さを以って、男は虚空に舞い、そして降り立つ（>>430>>431）。
　常軌を逸した敏捷さだ。室内の狭隘など、端から笑ってのけている。
　
　嘗て、大陸を旅した事がある。
　唐土の武術家の精妙を実地に見聞きし、また己の五体と一剣にて試したものだ。
　数知れぬその死合いの相手を辿っても、これほどの身のこなしを誇った者は、名を上げるのが
少々難しい。
　
　とは云え真に驚いたのはその後だ。
　彼奴が口に咥える肉を、また手にした皿を見た時だ。
　不覚にもあの飛び様の最中、何時スリとったか見分けられなかった。
　
「――見事」
　
　知らず動いた口が嘆ずるも、嗚呼。彼奴の顔面は崩壊していく。
　哀れ。それほどまでに辛いのか。
　彼奴にもそっと出す。大瓶の水差しと、冷たいおしぼりを。
　何を云っているのかはよく判らないが、何を云いたいのかは判ったのでこう付け加える。
　
「食うか喋るか、どちらかにしろ」

436 名前：閑馬永空：2003/08/04(月) 00:16

　
　と、睨まれた（>>433）。
　少しく笑う。当然ではある。
　己の生き方を、台状で肴と一緒くたにされて喜ぶ人間は余りいない。
　
「そう怒るな。主の人生が事など、儂は何一つ判らんよ」
　
　別の客の杯など洗い、拭きながら呟いた。
　
「只、主が心中で凝らす存念を汲んだだけの事だ――」
　
　死に遅れたを嘆くかのようだった面を見れば、大方は察せられる事だった。
　
　
　そして誰が知ろう。
　その後ろで繰り広げられつつある食物を巡る諍いが、二つの国と民族を崩壊に導く最終戦役の
引き金になろうなどと。
　
　
　
　
　いや、まかり間違ってそうなったら恐るべしと、ふと思っただけだが。

437 名前：閑馬永空：2003/08/04(月) 00:18

　
　潰れそうな女の様に対してか、何所かで酔漢の声がした（>>434）。
　先ず、その云い通りだ。
　酒場に雇われる者としては、酒は飲め飲め飲むならばとでも云うのが筋かもしれないが、此処は
それほど野卑な雰囲気の店ではない。
　
　また別の客の杯など洗い、拭きながら付け加える。
　
「――飲んだら飲むな」
　
　
　飲ませておいて、と云うな。

438 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM：2003/08/08(金) 01:02

う～ん、おいし～のだっ♪
かめばかむほどニクジューがとびでて、しかもこのすぱいし～なからさとあいまって
ゼツミョーなおいしさがゼンシンをつきぬけるのだ～♪

んじゃ、も～イッコ♪　いっただっきま～す♪


ガチッ！！

？？？
ないのだ！？　そ～せ～じがないのだっ！！！
さっきまでソンソンがもってたハズなのに～！！
いったいドコにいってしまったのだ！？

はっ！？　ウエ！？

ソンソンがカゲにきづいて、ウエをみると、おっちゃんがソラをとんでいたのだ。
そして、そのクチとテにはソンソンからうばいとったそ～せ～じが！！

このソンソンちゃんをだしぬくとは、このおっちゃんタダモノではないのだ！

ふっふふふ～♪　おもしろくなってきたのだっ♪
こ～なったらイジでもそ～せ～じはソンソンがいただくのだっ♪

ぶちっ！

ソンソンはアタマのカミノケをちょっとだけひっこぬくと、
「ふ～っ！」とイキをふきかけたのだっ♪

「ぶんし～ん♪」

カミノケはみるみるウチにサンタイのちっこいソンソンのスガタにかわって、
おっちゃんめがけてとびたっていった。

「いっくのだ～♪　みごとおっちゃんのそ～せ～じをうばいとってくるのだっ♪」

「らじゃっ！！」
「らじゃっ！！」
「らじゃっ！！」

439 名前：榊　美佳：2003/08/13(水) 19:11

　
　吸血鬼は、気紛れを愛する。
　
　全ての人間は、臓器を基準に動くものだ。心臓の熱さを感情と心得て、脳への刺激を思
考と見なす。それには何らの間違いもない。
　だが、吸血鬼は皆等しく死んでいる。心臓は腐った血しか打ち出さず、脳に至っては豆
腐と取り替えても仔細ない。
　つまるところ、吸血鬼に脳はない。だから、吸血鬼は思考しない。
　それでも視界の端の長い牙が、動いて喋っている様子を見たならば。
　それは人間だった時の思考の残骸が、未だ打ち捨てられる時も覚えられずに巡り続けて
いるからに違いない。
　
　でも、思考とは異物だ。長い牙を持つ獣で、喋るものどもは吸血鬼だけ。
　全ての生物は内在する非効率を嫌い、生きていない吸血鬼ですら思考の促進を援助など
しない。
　酷く、ゆっくりと――あるいは巧妙に、吸血鬼の思考回路は硬化していく。生前の習慣
に狂的に固執し、発想力は鈍磨し、時にはひどく感情的になる。
　硬化だ。一滴の水も身体に触れず、荒野の真中で干からびるような。
　時が進むにつれ、全ては単純なものになっていく。動くか動かないか、見るか見ないか
知るか知らないか。思うか思わないか、吸うか吸わないか。
　行き着く先は――闇色の血だけを噴き出す、ただ濁った何かだ。
　その状態を“祝杯”と呼ぶ者もいる。皮肉ではないのだろう。
　
　ただ、私は嫌だった。だから、吸血鬼は――少なくとも、私は気紛れを好む。
　自分自身に血以外の潤いを与える、そういう行為を好む。
　
　私は吸血鬼だ――吸血鬼の中でも、多少特殊な血筋を持つ一種だ。
　人間から、私の血筋になった者は、例外なく、即座に、あるひとつの形容詞を得る。
　
　――「醜い」。
　
　私は女だ。吸血鬼になる直前には、１５歳だった。
　それには、今や何の証拠もない。

440 名前：榊　美佳：2003/08/13(水) 19:12

　あなたは自らの頭部の皮下で、頭蓋が変形していく痛みを感じた事は有るだろうか？
　自らの豊かな髪が抜け落ちていき、艶を持っていた皮膚が干からびる様を、萎びた眼球
と鏡を通して見た事は有るだろうか――？
　もげた鼻を通して匂いをかぎ、耳たぶのない耳でもって音を聞き、色の失せた目から世
界を見た事は有るだろうか――？
　萎びた乳房は包丁で落とし、太い血管を剃刀で削ぎ、叫びと共に自らの肉を刻んで変え
ようとした事は有るだろうか――？
　
　何の疑いもなく、私は醜い。まともな人間が素顔を目にすれば、初見でまず悲鳴をあげ
る――最近火気の取り締まりもおざなりになってきたこの界隈、悲鳴に銃声が加わらなけ
れば、運が良かったと言える方だろう。
　フルフェイス・ヘルメットから始まって厚手のブーツに終わる、夏の街ではとても正気
と言えない姿ですら、歩く通りを選べばさして人目は浴びずに済む。
　
　しかし、その格好のまま、ふと目についたバーの扉を開けてしまったのは――これは本
当に、気紛れの沙汰としか言いようがない。
　
　最初に、自分はいつの間にか大通りに入ってしまったのかと思った。
　上品な内装――いや、これは上品以上のものだ。
　客を竦ませるような高嶺の感は無く、ただ、薄くかかる音楽と相まって、人の心を落ち
着かせる。
　そこまで考えて、勿論私はすぐに出て行こうとした。この格好でこの建物の中は、普通
に気を回して強盗犯としか思えない。
　
（「すみません、間違えました」――いや、それとも――）　
　
　何と言おうかと思ったが、すぐに何と言っても胡乱としか見られない事に気づく。
　黙って踵を返すだけでいい。もし警察に連絡されても、注視から逸れる術は心得ている。
　
　もし、１人の男と４人の女の子が、ソーセージの奪い合いをしている光景を目にしてい
なければ、本当に私はすぐさまその店を出ていただろう。
　
　男の方は、格闘技でもやっているのだろうか？　身体の方はよく引き締まり、冷たい
ビールをたたえたジョッキが似合いそうな体躯だ。
　そして、女の子達の方は――その、奇怪。
　顔立ちは可愛らしい方なのかもしれないが、４人の中の３人は、中の１人よ身体がり小
さい以外は瓜二つとしか見えないのはどういう事なのだろう。
　それに、これも共通して飛び出た猿のような尻尾――もしかして、生粋の獣人――？
　
　どこかの可笑しな漫画のような、そんな風景。
　いつの間にか、私の足は前に出ていた。
　
　店内の光景に一切動じず、カウンターの中にいる――バーテンなのだろう、しかしそれ
にしては暗い眼光の男と、彼をじっと見ているどこか物憂げ雰囲気のな女性。
　２人に近づくと、もう引き返す訳にもいかない。
　
『只、主が心中で凝らす存念を汲んだだけの事だ――』
　
　バーテンの声が、少し漏れ聞こえる。
　私に店の扉を開けさせたものが気紛れだとすれば、そこから先に足を進めた理由は――
　
　そう。多分、私は寂しいんだ。
　人間だった頃に寂しさと名付けた塊を、未だ私は持ち続けている。
　きっと、そんな愚か者にしてみれば、同族としか触れ合うことのできない身体は寂しい
ものなのだろう。
　
　先ほどの声が、私に向けたものである訳はない。
　だが――ああ、そうかもしれない。私に凝った寂しさを感じて、この店は魔法のように
現れたのかもしれない。
　
「あの……」
　
　私の声だけは、少し低めなだけのただの女性の声と言って十分に通る。
　その事に最大級と言える感謝を捧げて、私は続けた。
　
「何か、ジュースは……ありませんか？」
　
　落ち着きなく腰を下ろす――考えてみれば初めて座るスツールに、ぎこちない言葉。怪
しげな格好。血は頬の辺りに過剰に通っていたかもしれない。
　
　干からびた頬でも、ヘルメットの外から揉みほぐせないのは不便だった。

441 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/08/23(土) 23:15

　
　低い声で、新たな客が注文をつけて来た（>>440）。
　そもそもあれを出せ、これを寄越せと云う立場を取って常とする客に非ざる、逆に何所かすがる
ような、頼りなげと云って良い声音だった。
　とは云え、なりの異常さの前では一奇とするにも当たるまい。
　
　女だ。それは声からして相違ない。
　まだ娘なのかもしれない。が、肌身を一つだに見せまいとするこの衣装では、性別程度しか見て
取れなかった。
　躯の隅々までが、他人事ながら暑気にあたるのではと眉宇をひそめかねぬ程に覆われているのだ。
　極めつけは頭部にすっぽり被った兜――ではない、あれはからくり荷車を操る者が、風を切って
馳駆する際に付ける品だろう。
　
　上古の衣通姫（そとおりひめ）の美しさは、纏った衣を透き通らせて輝いたと云うが、現代の娘は
妙な絹越しに妙な気配を送るものだ。
　一瞥してふと、暑苦しい格好とは裏腹の寒気を覚えたのは如何にも不思議――。
　ひそめ加減の声か、妖しい風体か。
　それとも全てひっくるめた、この娘の存在それ自体が主張するのか。
　
　はたまた受け手側が、問われぬ内から察するが故か。異種の異種たるを。
　
　まあ、只人ならざるは、この新たな客ばかりではない。
　分け身の術など揮って暴れ散らしている猿娘（>>438）を想起するまでもなく、如何もこの
店はまともとは云い難い客層に受けが良いとみえる。
　尤も、そこで給仕を相勤める人間崩れの云う事ではない。ふ、ふ。

442 名前：閑馬永空＠バーテン：2003/08/23(土) 23:23

>>441　続き
　
　埒も無い想念を脳裏で遊ばせる間にも、手には注文通りの仕事をこなさせていた。
　氷と真紅の液体が杯に充ちる。
　嘗て小塚ッ原の刑場では、斬首された死体の血は最後の一滴まで溜め穴に捨てるのが習しだった。
　その噴き出し続ける血汐によく似た赤だ。
　
　当然だが、血溜めの穴から掬い取って来た訳では無い。
　これは蔓苔桃の一種を絞った代物である。めりけんでは確か、そう、
　
「“くらむべりぃ”――の果汁だ」
　
　酸い。が、そこが美味いのだそうな。
　同じ赤でも、斬殺の際に浴びる血煙りの甘酸っぱさには到底及ぶまいが。――などと考えるのは
儂と同種の人でなしだけだろう。
　
　杯を紙製のごく小さな盆――“こーすたー”とか云う語を最近覚えた――に乗せ、控えめながら
客の趣味に疑義を呈してみた。
　
「押し込み強盗の心算で無いならば、被り物は取った方が良いな。
　第一、そのなりではよく飲めまい？」

443 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM ：2003/08/31 04:04

>>419

　置かれたグラスに手を付けた。
　氷に冷やされ始めたグラスは汗を掻き始め、乾いた掌に心地好い。
　舌を軽く浸して、一気に煽る。抜ける酸味と炭酸が喉を冷やして降りていく。呑み方を知
らない、と良く言われるが、つまりは喉を通す事さえできれば問題ないのだろう。憂さを晴
らす為に呑むとは言わないが、煩悶を抱えて煽ったのでは、百薬なる酒精の効果も薄れ
るというモノだ。
　ケーブルグラム、グラス一杯。
　口当たりが良い分、俺が注文するモノと言えばこの辺りに限られる。ウォッカやスピリタ
スを一息で呑れるような酒呑みでもないし、ジャック・ダニエルからＩ・Ｗ・ハーパーに始ま
り、店中のアーリー・タイムズをコーラを開ける如くに飲み尽くす様な知り合い――ちなみ
に、名前をジャック＝クロウというが、この際それは置いておこう――とは、酒客としての
次元が違う（上がりたくない次元だが。呑んだ後クダを巻いて夜の街（特にロス）を徘徊す
るのは御免願う）。
　スクリュードライバー辺りなら、それこそ丁度俺向きなのだろう。それでもまあ、限度を
無視して飲み過ぎれば、気付いた時には見知らぬ空と床――なんて事にもなりかねない
らしいが。
　まあ……丁度、この人のように。>>336

「こんな所で寝てると、誰かに――」

　――全く、と肩を竦めて、

　髪に触れる手を、止めた。
　今更にマナーが悪いと思って――いいや、違う。そんな理由でこの静寂を壊したいと思
う程俺は馬鹿じゃないし、何より勿体無い。
　つまり。
　無意識に従うクセ、習性。
　盲従せざるを得ない習慣は、きっと永久に修正なんて出来ない。
　ニオイが――漂う。>>439
　腐敗の匂い。怠惰の臭い――虚偽で覆った命のニオイ。生きる事に倦み疲れた命を、
俺は生命と呼称する事に反感以外の感情を憶えない。
　嫌悪。
　誰かにこの感情を説明しようとするのは非常に難しいかつ、非常に無益だ。何故と言え
ば単純で、『この林檎は美味しい』――例えば隣の（今は可愛らしく寝ているが、アルコー
ルに弱かったのは意外だ。チェックしておこう）シスターに勧めるのは簡単だ――が、十人
に勧めて十人がそれを"美味い"と認識するかと言えば、それは有り得ない定義だろう。
　以前、同僚とこんな話をした事がある。

『昨日ビデオ見たんだけどさ……あぁ、Ｂ級もいいトコだけどな。で、だ。狼男ってさ、ど
う思うよ。こう、がーって襲い掛かって来んの。二本足で立って。どーよ、フリークスハンタ
ー？　見たりするのか、こーいうの。見ねえだろうけど』
『銀弾撃ち込んで殺せ』
『即答、ご苦労様』
　呆れた、と言われた。呆れてろ。その反応は正しい。

　――人ではなく、世に定義された存在でもない。

　修羅畜生鬼道を下り、居着く現世は街の闇。人の姿を借り、言葉を模し、知を持って血
を襲い、故に畜生にすら劣る外道。撒かれた腐敗の種を刈り取るには、ならば外道の力
を超越して望む他ないだろう。
　自ら、修羅道に堕ちて。
　そうして、双方は確定した対立を見る。
　俺がこの臭いを嫌うのは。俺が人外を厭わしく思うのは、そういう事。
　沖縄に出向いた時に見付けた"ゴーヤジュース"の存在に違和感を（アレは本当に飲み
物なのか）持つ――その程度の結論。単純にして明快、そして絶対の結果で集結。"嫌い
で嫌いで仕方がない"なら――なあ、どうしようもないだろう？
　そこに双方の理解は存在しない。導き出される結論はただただ否定。否定の定義は崩
れ去り、残されるのは燻る苛立ちと殺意だけ。
　殺意。
　生命活動を――"連中"の既に停止して久しいその活動を、完膚なきまでに確実に、確
定させるまで殺害を繰り返す意思。
　死を厭い、否定したモノにも。正しく等しく、何処までも平等に滅びは与えられる。
　何故なら、"殺せる"からだ。
　殺虫剤に耐性を持ったゴキブリなら、丸めた新聞紙で叩き殺せばいい。
　実に明瞭。実に明快。実に快案。実に名案。妄想に盲従し、失敗から失楽した人として
の失格者／意味亡きイキモノへの解答に対する回答。
　

444 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM ：2003/08/31 04:05

>>443

　――どうして生きる？

　――死にたくないからさ。

　――なら、死ぬといい。

　――そんな理由は、認めない。
　家族が居て、兄弟が居て、妻が居て子が居て護る者が存在し――しかし。突然の介入
者／人の理から外れた"モノ"によってその平穏を打ち砕かれ嘆き慟哭し護るべき者を護
る事も尊厳を留める事も出来ず精神を肉体を蹂躙され破壊され滅壊され悲壮と悲劇の中
で朽ちて行く事を強要される無力な人間――ならば。
　ならば、そんなモノを。
　そんな加害者を世界が許容して良い筈が、ない。

　アレは、何時だったか。

『子供が居るの』
『知ってる』
『……見逃して』
『今日までお疲れさま』

　母を失った子／失わせた俺。
　感染者／被害者は加害者となり、被害者は倍倍ゲームで加害者に変わる。外道の輪廻。
止めなければならない。罪を持って罪を贖うのだとしても。
　――俺が、俺で在る為に。
　肉親を噛まれた子／子を噛もうとした肉親／肉親を撃ち殺した俺――罪は如何に。罪は
何処に。滔々と流れる時間は流転を繰り返し、真理と真実は膨大な時の流れに糊塗されて
は跡形もなく――無情。現実。事実。諾々と流され流れ。
　真摯な瞳。無垢な問い掛け。
『お母さんは、いつ帰ってくるのかな』
『……いつか、ずっと――遠い、いつか。きっと』――馬鹿め。馬鹿な、俺。
　お前／俺はリーインカーネーションでも肯定するのか？　馬鹿め。輪廻転生、生命流転、
人は巡り巡って人に還る――それは"お前だけだ"。２０年足らずを生きただけの肉。気が遠
くなる年月を巡った"意味"。破壊不能のクラインの壺。捻れ続けるメビウスの輪。極大の相
互矛盾。有限と無限の同居。俺の意味。
『ありがとう、お兄ちゃん』
　――その笑顔と礼が。
『気にしなくて良いよ。あ……伯父さんの家で、元気でね』
　――瑕を、刻む。
『うん、頑張るから……お母さんが帰って来たら、教えてね』
『勿論さ』
　――嘘を、吐くな。
『元気でね』
『そっちこそ』
『……ねえ』
『何？』
『お母さんが何処に行ったか、知ってる？』

　――ああ。

『ええと』

　――それは。勿論。



『解らないな、ごめん』



　――お前は人間か？

　――如何にも。

　俺への罰は。
　主よ、俺への罰は。
　罪を拭って下さい。
　罪を砕いて下さい。
　赦されないのなら――贖罪を。
　罪を罪で拭って生きて。罰を罰で踏み躙り。
　俺は、今、生きている。死に死を重ね、積み重ね。されどこの身に死は遠く。
　

445 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM ：2003/08/31 04:07

>>444

　罪を。
　罰を。
　拭わなければ。

『力を望んだのは』

　――がち。

『俺』

　苛立ちで噛み締めた氷を、奥歯と奥歯で磨り潰す。頭の奥から沸いてくる激情は起因も
状況にも取り留めなく唐突で、なのにメトロノームのように正確に周期的。
　バーテンの訝しげな目付きへ、曖昧模糊なアタマのまま、胡乱な笑みで返す。

「と……どうかしたのかな？　ああっと……この人？　別におかしな事してる訳じゃなくて、
知り合いだよ、ホントに。アルコールに弱いなんて知らなかったから――」

　口元で笑みを浮かべる。ポーカーフェイス、表には出ない。出さない。上手く行っている
かは別として。
　指先が震えた。
　動機が震えた。
　脳髄が狂奔し、髄液が狂乱し、シナプスが狂騒し――カウンターの下、膝の上で握り締
めた拳は限界間際。
　やるじゃないか。自制が効いてる。けど、ハジキたいだろう？　横殴りに。いいアイディア
じゃないか。どうして実行しない？　シスターは眠っている。眠り姫はそう簡単には起きや
しない。口実を考えてるのか？　知ってるぜ、お前は今ＬＡＰＤの知り合いの事を考えてた。
面倒な事後処理の一切を担当してくれる人間――ヴァンパイア・カラミティの被害者。喜
んで死体の始末も面倒な手続きもこなしてくれる友人。そうさ、友人だ。
　何をしようとやろうと行おうと、明日のエクスプレスには何も載る事はないだろう。排除／
排他＝俺達が交わした正義。
　殺意に翻弄される。落ち着けず。この臭いをどうにかしろ――吸血鬼の臭い／４１番スト
リートの変死体――２週間前の記憶／警察は一件を猟奇殺人と断定／正体不明のシリ
アルキラー／１週間前のタブロイド紙／ユースホテルから出た家族連れ――目標／母親
がそうだ――アレは人間とは"違う"＝認識／ユーズドショップに入る男・少女／恐らくは三
人"だった"家族――定義は一つ。『母が人間であった頃までは』／後ろから声を掛けた／
「今晩は」――途惑いがちな会釈／「少し宜しいですか？」――拒絶の顔色。肩に手を置く。
振り返る女。瞳の色。赤。乾いた笑み。手で口を塞いだ／ユーズドショップの裏手。引き摺
り込んだ。殴打。"成り立て"の暴力は恐れるに足らない。マテバを抜く／嘆願の瞳／無視
した――刹那の灯火／硝煙／終焉。
『任務完了』『諒解』――事務員と機械同然の会話。処理班が動き出す。夜は更けていく。
花屋の与太話にも劣るブラック・ジョーク＝現実。イカレたタンゴの終焉。
　マテバをホルスターに突っ込んで、一般人の顔をして雑踏に紛れ込む。僅かな休息。奪
われた休日の代価――半日のオフ。
　ユーズドショップの真正面、バーガー･キングのガラス傍。ボックス籍から覗く光景――父
と子。母を欠いた事に気付かない、まだ暫くは気付かない親子――ポテトを齧った。塩が足
らない。添付された塩を掛ける。掛けた。掛けた。掛けた。塩辛い。ジンジャーエールを手に
取る。氷を噛み砕く。出来損ないのポテトをゴミ箱に投げ捨てる。観光客向け、５ドルのサン
グラスを掛けて店を出る――見上げた空には月が。
　月は――咎めるでもなく、蒼かった。

　地上を嘲うブラッド・ムーン。

　――嗚呼。

「ブラック・ルシアン」吐き捨てるように、言葉を継ぐ。「……貰えるかな。オン・ザ・ロックで」

　アル中さながら、グラスを持つ手が震えた。
　握り潰してしまわないか。力を抜く。限界まで――手の中を滑り落ちるグラス。毀れた氷は
テーブルを滑り、足元に。踏み砕く足。上下する膝を抑える。踵が何度も何度も床を躙る。
　殺した。
　後悔はない。
　これからも殺すのだろう。血に刻まれた誓い。
　血塗られた誓約者。失われた過去との盟約。
　命を軽んずるつもりはない。
　殺人淫楽者とは違う。
　それでも。
　

446 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM ：2003/08/31 04:09

>>445

　膝が笑い肘が笑い手が笑い――口元が引き攣った。
　僅かに回り始めた酒精が理性をカクテルし始めている――アシッド・バス。不意に浮かん
だ単語は、そのままにアタマの中身。この場で連中のマヌケ面を剥ぎ取って酸の浴槽に投
げ捨ててやりたくなる。
　首を振った。カウンターに押し付けた拳で板面を幾度も擦る。木目。目。渦は中心へと収
束して行く歪な螺旋。歪。壊れた、歪んだ、崩壊した、

　――空間。

　……殺して、良い？　ねえ、と無言で突っ伏す彼女に唇で問い掛ける。返事はない。寝息。
馬鹿な問だと自覚する。つい先に怒られたばかりだろう。即座に繰り返すなんてのは、俺の
学習能力が低いと思われる事になるワケで――いやいや待て待て。どうして問題があるの
か考えてからでも遅くはない。そもそもどうして殺してはいけないかだこの人だって蚊が飛
んでたら叩いて殺す筈だし害虫を見付けたらやっぱり殺す筈でそれは自衛の為の防衛の
為の引いては生存の為の理由であって誰しも誰も否定してはならないする必要のない絶対
理念であり奴等は害虫イクォール排除対象で第一君は寝てるんだから関係無いだろう問題
無いだろう起きないし起きてって言っても起きないし髪触ってて起きないってそれは微妙に問
題あるけれど寝るなら状況考えて寝て欲しいって言うか微妙に目のやり場に困るのは良いと
して迷惑は掛けないし起きた時に不快な気分にさせるつもりもないしああこの後送っていくか
らチャラにして欲しいんだホントにゴメン今回だけは許して埋め合わせはするしお願いだから
俺は、

　フォークを右手で握って、

「･…………ッ！」

　左の手の甲に、突き立てた。

　主要な血管を避ける形に突き立つ三叉は垂直に、人差し指と中指、薬指。骨と骨の間隔を
縫って鉄串の半分程。銀色のフォークは俺の手へと埋没する。
　銀の茎を伝って、諾々と生まれては消える赤い泡がテーブルに零れた。
　赤――目の醒めるような深紅。
　数限りない犠牲者も、数限りない加害者も。全てに共通して内在する１６色が１つ。視覚的
な"赤"――引いてはそこから連想される"死"と"痛み"に呼応して、痛覚が自己主張を開始。
苛立ちへと一声抗議し始めた。
　フォークを引き抜いて、赤々と濡れ光る手で顔面を覆う。僅かに返った冷静が、漸くにして
周囲の状況を把握開始。じくじくと痛む傷は、抑えきれない苛立ちに比べれば億倍マシだ。
意識してヴァンパイアたちからは目を逸らして、店の中を眺め回す。
　喧騒に押し流されて、意識もしなかった歌声>>372――走り回る喧騒の当事者。>>413変わ
らない手付きのバーテンはカウンターの客へとグラスを、

　……きゃく、と、声に出して呟いた。

　同じカウンターに着いていて、気付かなかったのか。
　セミロング、色素の薄いブロンド――物憂げにグラスを唇で食む姿は、否応なく視線を惹い
た。>>433
　――それでも、気付いていなかったワケか。
　欠落した注意力に歯噛みする。調子が狂う。
　何時もならこうじゃない。違う、筈だ。
　連中のコトもそうだ。その場で取り逃がしたと思わせ、泳がせ、追跡し、塒を叩いて親族纏
めて殺して焼くのは俺達の上等策。牙を向いて吼え掛かり、何度も同じ事を繰り返すような
愚行なんて在り得ない――なのに。
　何だ、この気分は。
　何で、抑えが利かない。
　酷くさんざめく血が、殺せ殺せと喚き立てる。まるでガキの時分。扱い慣れたナイフと漸く
手にしたハンドガンを友人に、辺り構わず後を着けては殺し回ってたあの頃。
　無計画な過去のガキを内心で笑う。喉が無性に酒精を欲しているのに気付く。グラスを握
ったまま眠り続ける隣の客人からグラスを拝借、僅かに残った中身を煽る――足りない。
　鈍く鳴り始めた軽い頭痛の中、喧騒の店内に視線を向ける。

　狂ってしまいそうな意識を抑えるには、狂ったような喧騒が欲しかった。
　

447 名前：榊　美佳：2003/09/01 04:22

　言いつつも、手はジャケットのポケットに突っ込む。
　手袋の分肥大した手と大きくもないポケットに苦戦しつつも、小銭くらいは入っている
ことを祈り――
　――運が良かった。コインではなく紙幣の手応え、これで不足という事は無いだろう。
　カウンターに紙幣を置き、それからもう一度グラスを見て――

　――店とはどういうものか、こんな店ではいつ代金を支払うべきかすら忘れている自分
に、その時には気付いていた。
　それは人間の生き方を、その真似すらも私は出来ないのだと、そういう事実だ。


　今更の感慨に沈んでいる暇は、それほどなかった。

　『押し込み強盗の心算で無いならば、被り物は取った方が良いな。
　第一、そのなりではよく飲めまい？』

　高くはないが、よく通るバーテンの声。古風な口調には戸惑うが、とても道理にかなっ
た発言だと思う。
　道理にかなっていないのは、私の方だ。

　（すみませんが私は醜い化物ですので、肌を見せるわけにはいきません。このジュース
は飲みたいというより血以外のものは飲めば吐き出しますので、ただ眺めて楽しみたいだ
けです。
　外見は確かに強盗にしか見えませんが、代金は払いますし飽きるまで座った後には帰り
ますのでご心配なく。もっとも保障は何もありませんが――）

　逆効果にしかならない返答の草案をゴミ箱に落としつつも、何かを言わなければとは思
う。ヘルメットの奥の口が、あいまいに動いて、

「……すみません。だめ、なんです」

　――勝手に漏れ出た言葉の出来は、草案以下。一体何が駄目なのだと、間抜けな姿の口
を割らせたくなる。

「あの……それがまずそうな訳ではなくて、その……」

　口はまだ、勝手に動いていた。内容はまだ許すとしても、この気味の悪い口調は何なの
だろう。いくら不慣れな状況といっても、私はこれほど気が弱かったのか――

「……ごめんなさい」

　ようやく考え付いた言葉を発することが出来ても、それはあまりに稚拙な、言葉を打ち
切るための言葉だった。

　――はあ。

448 名前：榊　美佳：2003/09/01 04:22

>>442

　眼前に置かれたグラスの中身の、あまりの赤さに、それを一瞬血と誤認した。
　もっとも、血液ならば――もっと、もっと甘い匂いがするのだが。

「ありがとう――ございます」

　言いつつも、手はジャケットのポケットに突っ込む。
　手袋の分肥大した手と大きくもないポケットに苦戦しつつも、小銭くらいは入っている
ことを祈り――
　――運が良かった。コインではなく紙幣の手応え、これで不足という事は無いだろう。
　カウンターに紙幣を置き、それからもう一度グラスを見て――

　――店とはどういうものか、こんな店ではいつ代金を支払うべきかすら忘れている自分
に、その時には気付いていた。
　それは人間の生き方を、その真似すらも私は出来ないのだと、そういう事実だ。


　今更の感慨に沈んでいる暇は、それほどなかった。

　『押し込み強盗の心算で無いならば、被り物は取った方が良いな。
　第一、そのなりではよく飲めまい？』

　高くはないが、よく通るバーテンの声。古風な口調には戸惑うが、とても道理にかなっ
た発言だと思う。
　道理にかなっていないのは、私の方だ。

　（すみませんが私は醜い化物ですので、肌を見せるわけにはいきません。このジュース
は飲みたいというより血以外のものは飲めば吐き出しますので、ただ眺めて楽しみたいだ
けです。
　外見は確かに強盗にしか見えませんが、代金は払いますし飽きるまで座った後には帰り
ますのでご心配なく。もっとも保障は何もありませんが――）

　逆効果にしかならない返答の草案をゴミ箱に落としつつも、何かを言わなければとは思
う。ヘルメットの奥の口が、あいまいに動いて、

「……すみません。だめ、なんです」

　――勝手に漏れ出た言葉の出来は、草案以下。一体何が駄目なのだと、間抜けな姿の口
を割らせたくなる。

「あの……それがまずそうな訳ではなくて、その……」

　口はまだ、勝手に動いていた。内容はまだ許すとしても、この気味の悪い口調は何なの
だろう。いくら不慣れな状況といっても、私はこれほど気が弱かったのか――

「……ごめんなさい」

　ようやく考え付いた言葉を発することが出来ても、それはあまりに稚拙な、言葉を打ち
切るための言葉だった。

　――はあ。
　

449 名前：榊　美佳：2003/09/01 05:17

>>443-446

　涼しげな赤い雫を惜しみつつも、長居は無用かと思い始めたその頃。
　なんとはなしに店内に首を巡らし、一人の男に視線を向けて――

　――私は、その男に殺された。

　いや、私の干からびた身体はここにあり、未だ温かくもない血を巡らせている。
　その男は酒を少し飲み、隣の美しい女性の髪を撫で、それから歯をきしらせる音を立て
手を震わせ酒を頼み自分で頼んだグラスを自分で落として何度も何度も踏み砕き全身を震
わせ握ったフォークを手の甲に突き立てただけだ。

　――現実では、ただ“それだけ”だ。
　だが、私自身の妄想の中で、私は一瞬の間に五度殺された。

　男は座ったまま、私に視線すら向けず、聖別された弾丸を私に十発ほど撃ち込む。腐っ
た臓物が灼かれて飛び散り、上品な店内は一転してＣ級のスプラッタに。これで一度。
　男は更に両刃の剣を抜き出し、私の首を跳ねる、二度。三度目の死は叩き潰すように裂
かれた頭蓋が知らせ、放り込まれた手榴弾が四度目の死を彩った。
　そしてそれでも、未だ痙攣を続ける心臓に、男が白木の杭を吸い込ませる。完全な停止、
五度目の死。
　一瞬で五回。

　――現実は、私の想像に、ただ少し遅れているだけかもしれない。

　あまりにも強すぎる殺気に、私はそう思うしかなかった。人の殺意には限界がある、そ
の筈だった。
　あらゆる感情は脳の送り出す薬品の効果によるものであり、その薬品を司るものは、つ
きつめれば記憶だ――何を殺すべきか、なぜ殺すべきか、それは記憶に頼るしかない。
　両者にも、人間ならば限界がある。人間の肉体ならば。人間の寿命ならば。

　だが、ならば――この殺意の主は、何者なのだろう。

　がちがち、がたがた。妙な音がする。
　あの男はまだ震えているのだろうか、と思って、それから私が恐怖のあまりに震えてい
るだけだと言う事に気付いた。

　――殺される。
　命乞いすれば殺されるし、しなくても殺されるだろう。何か喋りかければ殺され、近寄
れば殺され、動けば殺され、存在すれば殺される。

　何かしなければ、と思った。何もしてはいけない、と思った。
　現実には、その中間――震える事以外には、動かないことすらできはしないのに。

　男の横顔から、視線を逸らす事すらできない。なんていう目なんだろう。

　――本当に、人間なの？

450 名前：榊　美佳：2003/09/01 06:19

>>449

　男のフォークに傷つけられた手の甲からは、当然血が染み出している。
　血の匂いを嗅ぎ取ることは、全ての吸血鬼の能力だ。だが、その匂いを、私はどうして
も甘いと思うことが――

　――何故、この男は、自分を傷つけるようなことをしたのだろう？

　自傷趣味ならもっと人目に触れない場所でやる。狂っているからという答えを出すに、
ためらわれる程度にはその表情は理性的だ。
　あるいは――私を殺したいのを、我慢してのことだろうか？

　思考が仮説を仮説のままで進ませる。ではなぜ、男は我慢などをしているのだろう――
　そして。
　私が存在するせいで、男が我慢をしたとすれば？

　だとしたら、私の行うべき行為は？


　身体の震えを、全霊を込めて押し留める――それで止められるほどの震えに、いつのま
にか恐怖は薄まっていた。

　赤い液体の注がれたグラスを手に取り、カウンターを離れる。手はまだ震えずに動く。
グラスを落とさずとも、済む。

　男の座る席の近く、声の十分届く範囲へ――近づく。
　手が震えた。でも、大丈夫、まだ大丈夫。

「――あの」

　声をかけて注意を引く必要が、有ったかどうかは分からない。
　ともかく、その直後に一礼をする。
　ヘルメットを脱いで。これ以上なく醜い、私の顔を見せて。

「私は、あなたに謝らなければいけません」

　それだけをくぐもらない声で言って、私は再びヘルメットを被った。
　この顔は、彼にとっては殺意を激増させる役しか果たさないだろうから。

「何故かは分かりません。
　ですが、私のせいで痛い思いをさせてしまって、本当に申し訳ありません。

　それと――まだ殺さないでいてくれて、ありがとうございます」

　人間が馬鹿をやるとすれば、私はその時人間を真似た馬鹿の極みだった。
　声をかけてどうする。存在するだけで殺意を刺激する奴が、刺激を重ねてどうする。
　謝ってどうする――何が起きる。私の心が満たされないなら、自己満足ですらない。

　だが、それでも。

「これ、飲めないから眺めるだけのつもりでしたが、それも失礼ですよね――」

　よければ、と付け加えて、彼の席にグラスを置く。
　中の液体を、一滴もこぼしていない事こそが奇跡だった。

　一瞬後にはグラスごと頭蓋を砕かれていたとしても、私にはこうする必要があった。
　あの思考の結果に従わなければ、化物でいる事すら出来ないから。


451 名前：佐伯四郎：03/09/05 01:01


　”分身の術”実在する！


確か、マキから聞いた言葉だったような気がする。

愛娘の言葉によると、忍者の末裔であるという（ホントかよ！？）深道ランカーが
こともあろうか彼女とのストリートファイトで使ってきたらしい。

マキの話は、少々（かなり）判り辛かったが、
自分なりに解釈してみると、
・”音”で三半規管を平行感覚を揺らす。
・埃を舞わせて視界を奪う。
・足を振動させた、距離感をつかませない奇妙な移動。
この三要素を組み合わせたことにより、脳内に”発生させた”分身であったと思う。

「いっくのだ～♪　みごとおっちゃんのそ～せ～じをうばいとってくるのだっ♪」


だが、眼前に繰り広げられている光景は、そんなシロモンじゃねぇ。
カラクリはよう分からんが、ちゃんと実態伴なった３体の猿娘が、愛らしくも危険なスピードで俺に迫ってくる。

”うずっ”

”血”が騒いだ。格闘家としての”血”が、このとんでもない状況を楽しもうとしている。

まいったねこりゃ。
遊びたくなってきちまったよ。本格的に。

「らじゃっ！！」
「らじゃっ！！」
「らじゃっ！！」

おいおい……しかも何だか、喋ってるんですけど……。

452 名前：佐伯四郎：03/09/05 01:50

彼女たちの狙いは、この手に持った皿だろう。
相手が狙っているポイントさえ解るなら、対処はそんな難しいものじゃねえ。

このまま、残ったチョリソーを口に運ぶだけなら簡単だが、
こんな楽しい時間をあっという間に終わらせてしまうのはもったいない。

「ほいっ！　と」

俺は迷わず。皿を空へと放り上げた。
白い皿と3本のチョリソーと、天井との距離がみるみるうちに縮まってゆく。
それを追う、３人（？）の少女。

投げたと同時に、すぐさま俺は次の行動へと移っていた。
身が大きく屈ませる。
皿を追って上空へと飛び立つ為の屈伸だ。

腕の振り子で勢いをつけ、スプリングと化した足が”爆発”した。
体は一気に宙へと跳び上がる。

俺の描いたシナリオはこうだった。
皿へと一直線と向かう少女たちの元へ跳び上がり、そして、彼女たちの首筋に手刀を叩き込む。
少々、荒っぽいような気はするが、彼女たちなら大丈夫だろう。
なんとなくだがそんな気がした。

　「！」

突然、緊張の糸が切れた。

いや、その対象が背後へと向かったのだ。

殺気！？
それは、俺に向けられたものではない。
だが恐ろしく強烈なヤツが背中を一瞬にして焼いたのだ。

（ミスったか！？）

一瞬とはいえ、気をそらしてしまったのは、大きなミスだったのかもしれない。
俺は、再び前方へ意識を向け直した。

皿とチョリソーの上昇は頂点に達し。
やがて、下降へと移ろうとしていた……。

453 名前：ナレーション：03/09/09 17:43

白熱した戦いが繰り広げられるバーで、我関せずという表情で酒を飲みながら
とある男は語り始めた。
バーの客は誰も彼の声に耳を傾けようとはしていない。
しかしその男は、そこにはいない誰かが自分の声を聞いているのを分かっているような、
そんな感じだったとかそうでもないとか・・・・

ttp://www.fides.dti.ne.jp/~casino/catmanx.html

454 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM ：03/09/13 19:14

>>450

　――ヤバい、な。

　馬鹿、か。
　馬鹿なのか、コイツ――は。
　何を考えて――どうして立ち上がる。どうして、近付く。
　空気が、粘性を帯びる。
　一歩。女が歩き――爪先を上げ、踵を上げ、爪先を接地し、踵が落ち、引き延ばされた
時間の中を、ゆっくりと。主観の中で伸び縮みする時間という概念は、水飴のように限界
まで引き伸ばされ、一瞬の苦痛を一年の苦悶へと変えてくれた。
　失せろ、と口に出す事さえ遅い。
　認識だけが高速回転して、全ての行動は身体と一緒に時間の中に取り残されていく。
　喧騒がスローで再生される。店内で展開される行動が、音律が、全てが主観から取り
残されて蜘蛛の巣に掛かったように遅延していく。
　そして。
　女はそれでも――ゆっくりと。
　ゆっくりと近付いて来て、
　だから、俺は。
　震えた、腕を。
　奇跡を奇跡と称すなら、俺がトリガーを引かなかった事は――反射的に女の顔面、バイ
ザー越しの眉間部分へとポイントしたグロックのトリガーを押し込んでいないと言う事実は、
エリコの喇叭に匹敵する奇跡だろう。
　脊椎反射で振り出された腕は、思考に先んじて女を睨み据えている。

「死――ってのはな。不可逆だ。誰もがその先を見る事は出来ない……その概念が意味
する所は終焉で、存在するのは常に未来だ。人は誰しも、目の前に死を掲げて生きてい
る。意識しなくても――故意に意識から外しても、それは確実なモノとして目の前にブラ下
がっている。不可避にして不可視、絶対の概念としてこれは揺るがない。そして、傲然と全
ての存在に、非存在にすら立ち塞がる壁、それが」

　時間。
　暴力によって――外部からの干渉以外で成される破滅が有るとするのなら、それは間違
いなく老衰、劣化、時流に削り取られた生命の磨耗だ。
　時間。
　それは。
　或いは、壁と言うよりは――そう。

「――理、か」

　或いは、それが一番近い表現だと思う。万物に叩き付ける時流の波こそ、逃れ得ない法
には違いあるまい。ノルンが紡ぐ糸車は、容赦無く世界を絡めて巻いて行く。
　自分で口にして、それは確認の意味を含んでいる事に気付いた。
　ならば。時こそは――

「……今、俺がこうして座っている間、お前がそうして立っている間――何を成していても、
時の鎌は容赦無く万物を薙いでいく。成長と荒廃、誕生と死を世界中に与えている。創造
と破壊さ。流転の理って奴だ。何者もこの生体の輪から抜け出せはしない」

　グロックを降ろす。
　親指に人差し指を重ねて。人差し指に力を込めて。
　ぶつりと、皮膚を突き破った。乾き始めた手の甲から垂れる鮮血と混じり在って、人差し
指の先で血液が珠を作って滴り落ちる。
　そのまま――差し出されたグラスへと、指先を落とした。

「……お前は、何故"生きる"？」
　

455 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM ：03/09/13 19:20

>>454

　赤い珠がグラスの縁を辿って、薄赤の液体に鈍いマーブルを混ぜる。
　濃厚な血の芳香。テーブルを滑らせ、グラスを突き返す。口の端で笑って、飲まないの
か、と嘲弄した。

「この問いは正確じゃないが、儀礼的にこう問わせて貰おうか」つ――と。銃口の代わりに、
メットで隠された面前へ指先を突き付ける。「どうして在り続けようとする？　お前は――お
前達は既に終わった存在だ。現世の履歴は鬼籍へ入り、後は知己の記憶の中、ただ残滓
として存在するだけ――本来はそこで終焉するのが正しい在り方だ。俺達は」

　"俺達"――それは、違う。
　それは、人間に対する冒涜だ。俺が――生命を、死の概念を、ヒトと同列に語る事は赦
されまい。人間としての死を経験し、輪廻を巡って記憶し続けているこの血は、もはや常態
とは言えないモノと化している。

「……ヒトは」言い直すのが少々無様で――自分で嗤った。「……ヒトは、死を記憶する。
家族の死を、他人の死を、目に移った死を記憶という形で保存し、補完する。それこそが
"死"だ。死を記録して帰って来る事が出来ない以上、"死"とは第三者、観測者の記憶に
よってこそ成立するモノに違いない。これは純然たるルールだ」

　観測者／第三者――それは。
　仲間。
　家族。
　死によって刻まれた瑕を、俺は記憶する。
　喪われたモノが刻んだ、痕跡。時が過去へと追い遣っていく、疵。
『だから、お願い。最後まで――生きて、ね』……アリー。『だーかーら、勝手に死ぬんじゃ
ねぇぞ、クソガキ。お前は、まだ……何も知らないまま、世界も見ないまま、まだ死ぬな。
足掻き続けろ』――トニー。『……もっと気楽に生きてみろ。俺の代わりに』――アンソニー。

　――ああ。

　消えない傷。消せない疵。消してはならない傷痕――狂ってしまいそうな悲しさと、壊れて
しまいそうな後悔と、潰れてしまいそうな悔恨と。
　そして。
　世界を殺してしまいたくなるほどの憎悪と。
　――数限りない記憶を、人間は。
　――俺は。
　俺は、疵を積み重ねて生きている。
　生と死のルールが敷かれたルールの上で、人は生命という過程を営んでいる。

「だがな」

　だが。
　例外は。
　例外は存在するんだ。
　例えば、そう――此処に。

「ヴァンパイア――……俺の祖国では、"吸血鬼"って漢字を充てるんだ。血を吸う鬼、吸血
鬼。世界への認知で言えば、レ＝ファニュがカーミラを記し、ブラム＝ストーカーはドラキュ
ラを生み出した。ヴァンパイア、ヴァムピール――」視線は向けないまま、ただ、其処に確か
な存在を確信して――俺はこう宣言する。「そう、お前達だ」

　店内の気配。喧騒。一切は空間から取り残され、右手側にだけ、存在という存在――本来
は排除すべき対象を意識する。
　ただ、言葉を向けるべきはその一点。意識を投げるべきはその一箇所。喧しく騒ぎ立てる
血は後から後から狂気を急いて、だから。抑え付ける理性で、言葉を繋いだ。
　

456 名前：Kresnik ◆fFCROSSQsM ：03/09/13 19:22

>>455

「吸血鬼は永遠を生きる――確実な正解じゃないが、概ね事実に近い、とだけは言えるだろ
うさ。代謝がないから停滞を続ける。成長が無いから衰えは無い。長く生きれば生きるほど力
を蓄え、月の光を浴びて魔を行使して生き続ける……中には魔王扱いされるバケモノだって
居たさ」殺したがね、と付け加えて。「吸血鬼は死を否定する。時間の概念を無視して、ただ在
り続ける。六道輪廻を回りて生命は巡る、とは仏教思想だったな。俺達キリスト教に於いては、
魂は審判の日まで裁きを待ち続ける――……お前達は違う。お前達はこれを無視する。生命
の根底で否定する。
　魂持ちて魄は成り、これ即ち人である――儒学じゃこうだったか？　だが、コイツは魔術的な
面でも大した違いはない。肉体、魂、霊――便宜的にアストラル体とでも呼んでおこうか。そう
……貴様等には、それすらも欠けている。魂も霊も、故に持つべき情も愛も。致命的なまでに
――肉体だけが妄執と妄念に支配され、妄想を思念と拠所にして動いているに過ぎないんだ
よ。獣に魂がない、とは良く言ったモノだ。貴様等は正しく本能に基いて生きている。アレが欲
しいアレが殺したいアレを犯したいアレを壊したい、したい、したい、したい、したい――フザけ
るなよ、カスが！
　けして死の向こう側を知る訳でなく、認識する訳でも悟る訳でもなく、だが貴様等は肉体の
"死"を持ってしてまで、尚も現世に留まり続ける――忌々しい事に、放って置けば絶える存在
じゃない……――本当に、忌々しい事に」

　誤謬はなく、無謬もなく。吸血鬼とは、メルヘンでもファンタジーでもなく、確固たる"現実"
として世界に圧し掛かるモノだ。
　ならば。
　けど――呟いて、指を弾く。
　人差し指と中指。爪先から第一関節、第二関節まで。
　ぽつんと、赤い炎に――指先は緩い紅の明りに包まれ、同刻に共鳴して生まれたのは、
グラスを煌々と染めた灯り。発火の起因は問うまでもない。俺の血液、数滴分。
　俺とヴァンパイア。テーブルにして一席分を隔てるグラスは、今や松明の輝きを宿して境界
線を引く。血液混じりに濁ったクラムベリーの赤は煌々と輝く焔へと変じ、透明な硝子表面で
乱反射を始めた。
　これは境界線――或いは死線。これ以上一歩でも進み出るなら、俺の理性が破綻するの
は自分ですら瞼の裏に見えている。

「……だがな、人間にも例外は存在する。俺もその一要素だよ、ヴァンパイア。百千万億の死
と死を巡り、生に生を手繰り寄せ、殺意に殺意を束ねて生きてきた。俺が何歳に見える？　そ
の通り、俺自身は正にガキだ。――だがな、俺は識っていた。生れ落ちた時から、ここにこう
して至るまで――最初から、死を認識して生きてきた。ナイフは頚動脈を斬り裂くモノだと生
れ付きに知っていたし、白木の杭をその腐った心臓に叩き付けて鎚を振り下ろす術も心得て
いた。死霊の怨嗟を子守唄に、断末の呪詛を耳元に、末期の生を最始から知覚していた。
解るか？　俺は、俺の破滅すら認識して生きてきた。生と死の境界線、無限に輪廻する紅の
輪――何年生きたかは知らんが、ハンターに狙われた事が一度でも有るなら知っているかも
しれないな」

　意識だけを向けて、言葉を次ぐ。ふらふらと揺れる視界、揺れる意識。殺しもしない相手に
昔語りをした事があったか？　愛しい相手でもないのに内側を曝け出してどうする？
　どうしようもない愚かさは酒精に勾引かされた所為だと決め付けて、苛立ちをそのまま言葉
に変えた。

「クルースニク、と言う」狂騒する理性で、「地域によっては呼び名も違うが、そんなモノは瑣
末な問題でしかない。俺がクレスニクだろうがタルボスだろうが、俺が俺であると言う真理だ
けは微塵も動かない――俺はな」

　ぱちん、と指を弾いて。

「お前達を殺す為に生まれてきた」

　グラスの上半分が、炎の圧力に負けて弾け飛ぶ。

「クドラク、というイキモノが存在した。イキモノ……これを『生物』と充てるなら、これにも聊か
の語弊がある事を否定出来ん。何故なら奴らは死体――お前達の御同輩、バルカンを主流
に伝えられるヴァンパイアだからだ。血を吸い魔術を行使し、人と言う人の世に災厄を振り撒
く事を生業にする、最低最悪のクソ野郎だよ。特徴は絶悪にして絶対の魔力と魔術。人間の
想像の及ぶモノになら、何だろうと想像とヤバさの八割増しで変身してくれるぜ？ 　……そう
だな、ドラゴンを想像してみなよ。連中は竜の姿すら模して顕現する。一般に連中を何と呼ぶ
かと言えば――」

　悪魔って言うのさ。
　誰に言うでもなく――ただ口にして。座ったままに、女へと拳を突き出した。

「奴等は黒。俺は白。奴等はバケモノ、俺は人間。口碑伝承に伝えられる通り、俺達が相容
れる事はない。連中を殺す為に創られた人間――それが俺。貴様が連中より強いか弱いか
なんて事実はどうでも良い。不変の真理は別の場所に存在する。つまり、俺は白を生業に
背負った――」

　拳を開く。掌を鉤に。
　五指へと生まれた赤炎は、徐々にスペクトルを推移する。水晶の破片を思わせて乱れ散
ったグラスの破片が降る中で、俺はただ一言を宣告した。

「死神だよ」

　掌。今や立ち昇る火炎は、天井付近に達して轟々と。
　手首までを覆った白い白い焔――これこそは万魔を灼き、万象を焦がし祓う死色の紅蓮。
俺を縛し続ける輪廻の宿世。双方を分ける境界線のグラスは、下半分を土台とした白炎の
篝火となって白の壁を構成する。
　……そうして、俺は。

「だから、もう一度訊く」眼前を白焔の軌跡で薙いで――「何故生きる？」

　バイザーの奥の瞳へ、視線を据える。

「血を喰らい人に寄生し、貴様等壁蝨は――どうして生きようとする」

　普段の刃を言霊に替えて。
　アルコールに突き動かされたまま、ただ問い掛けた。

「精々面白い返事を訊かせろ。"殺さないで置いた"ワケじゃない。俺はあの時点で殺意を抑
え――貴様はそれを解き放った。返答如何では、もう一度だけ抑えてやる」
　

457 名前：榊　美佳：03/09/20 16:54

>>454-456

　クルースニクと名乗る男の話が終わった時には、私はスツールに座る――いや、へたり込
む事しか出来なかった。
　銃口を突きつけられた記憶。それに今も、目の前では太陽のように白い炎が燃えている。
　いや増すばかりの殺意は、今や明確に人の領域を越えた。

　そして――今度こそ、二度目の死は目前にある。

『何故生きる？』

　確かに死神は、死人にそう聞いた。

『精々面白い返事を訊かせろ。"殺さないで置いた"ワケじゃない。俺はあの時点で殺意を抑
え――貴様はそれを解き放った。返答如何では、もう一度だけ抑えてやる』

「私は……わたし、は――」

　震える事すらろくに出来ずに、ただただ無様に無意味に言葉が漏れる。
　浮かぶものは、私以外の誰かの生き様ばかりだ。

　同僚には天才がいた。５０年も生きずに吸血鬼の異能という異能をその手で極め、しかし
鉤のように曲がった口で更なる段階を切望していた。
　私の“父”たる女性は、目に映る人間の容貌を破壊しては悦に入り、それでも私に吸血鬼
としての知識を忍耐強く教えてくれた。
　そしてハンターの襲撃に住処を追われ、半ば自棄になって飛び込んだ見知らぬ人間の家。
事情も聞かずに私をその場に留めてくれた家族と、私は１ヶ月近くも共に過ごした。

　――みんな、死んだ。

　同僚は変化術の暴走で、全身から骨を噴いて狂い果てた。
　“父”は連続猟奇殺人犯の噂が街中に上る頃には、もうハンターに串刺しにされていた。
　そして。あの家族、は――

　　　ひどく血に飢えて、小柄な身体を常にどこかで働かせていた母親を貫いた。
　　　気弱そうな顔だった父親は、椅子で手足を折り砕いてから吸い尽くした。
　　　ピアノを聞かせてくれた姉が、銃を持っていたので奪って撃った。
　　　いつも来訪者の服装を珍しがっていた弟を、最後に組み敷いた。その後に殺した。
　　　私が。

　――延々と続く破壊と汚濁。私の闇の生に、本当に救いはない。

　ああ。ほんとうに。
　本当に、なぜ生きる――

458 名前：榊　美佳：03/09/20 16:54

>>457

　揺れる炎はとっくに手を焦がしているはずなのに、クルースニクは炎の陰で涼しい顔を―
―いや、炎よりも灼けた表情で、私を見据えている。
　なんて顔だ、なんて男だ。そんなに私を殺したいのか――殺したいに決まっている。吸血
鬼が血の海か産まれ出るように、彼が人外への怒りから産まれた生き物ならば、吸血鬼など
は殺したくなるに決まっている。

　私は。私は、彼に――

　――殺されるべきだ、と思った。

　私の生に――私が動いていることに理由など、価値など無いと、ずっと分かっていた。
　ただ、臆病だっただけだ。苦痛を避け吸血の快楽を求めるだけの、私だって獣だった。
　さあ、口を開こう。「理由なんてありません」と言おう。
　きっとそうすれば、あっと言う間に死神が私を呑み込んでくれるから。

「――私、は」

　そう考えて、口は予想よりは早く動いた。
　階段を登りきるまで、あと数秒。階段の先は知らないけど。

「……私が、何故生きるか」

　ああ、回りくどい。私は最期まで臆病だ。
　そう――最期なのに。

「私が、生きる理由は――」

　真白い火の粉の群れ、ほんの一瞬だけ新雪と錯覚する。
　篝火の薪になったクルースニクの手は、少し柔らかそうにも見えた。

　――出る筈だった言葉を、その手こそが変えてしまった。



「人間に、なるためです」

459 名前：榊　美佳：03/09/20 16:57

>>458

　私の目の中で、バイザー越しの薄闇で、世界はゆっくりと回っていた。
　ただ、私の干からびた唇が、青褪めた舌だけが、歯車を仕掛けたように動き続ける。

「私は吸血鬼となった翌日に、黒い髪の女の子を一人吸って殺しました。
　その後野良猫と鼠の血だけをすすってちょうど一年経った時に、今度はお婆さんを殺しま
した。その後もぽつぽつと言い訳をしながら、私はたまに殺しています。

　必要があれば、私はものを盗みます。強盗の真似事をやったことも、一回ではありません。
血と属する組織を基準にものを考え、時に心底で人間を見下します。美しい女性を、どうし
ようもなく妬みます。

　私は――あなたの言う通りに、人として終わっています。
　人間だった吸血鬼が、いつか人間でなくなるのは、砂時計の砂が尽きるのと似た理です」

　窓の向こうには、痩せた月が。
　月だけが、誰も傷つけようとしない。

「――けれど、終わっているならば、二度目の始まりはありえませんか？

　自分の事を好きでいてくれる方のために、人間であり続けようとする方と私は出会いまし
た。私の事を好きになってくれる方は、いそうにありません。
　私は――
　私は、私と出会った全てのために、砂時計を繰り返す道を模索します」

　不可能だ。
　知っている。

「――どんな方法をとるにしろ、難しい事だとは思います。
　ですが、何度でも魔術書を漁り、異能の教えを受け――
　あるいは、神の慈悲を乞う、私にはそれをする理由があります。

　私が殺した全ての人間の、野良猫の、鼠のために、彼らの命を無駄にしないために。
　私が殺さなかった人間のために――彼らともう一度会えたら、顔を見せて話をするために。
　未だ苦しんでいる吸血鬼に、道を叫んで示すために。
　もう苦しまない吸血鬼を――彼らを、見返してやるために。

　……それ、と。

　あなたに、頭を撫でてもらいたくなったから、そのために」

　――その言葉で、終わった。

　私の回答が終わり、世界は早くも遅くもなく、ただ普通の巡りを取り戻した。

　男と女の子の間の、ソーセージの奪い合い（>>451-452）は未だ続いている――あ、跳んだ。
　人間の肉体も用法次第というのは知っていたが、凄い脚力だ。
　――なんだか、気が抜けてしまった。

「殺さないで、頂けるなら――私からも、質問をさせてください」

　震えが止まっている事に気付く。少し遅かっただろうか。

「……好きな人は、いますか？」

　その質問に他意はなかった、と思う。
　ただ、夜族の血と肉の泥海を歩む生と、逃げ隠れる者を追い殺す生業に、彼はおそらくま
みれている。

　――ひとを好きにならなければ、それは辛すぎる気がした。

460 名前：いきのねをとめられました：いきのねをとめられました

いきのねをとめられました

461 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM ：03/09/27 02:12

>>452

「いっくのだ～♪　ブンシンたちよ～！」

ソンソンのブンシンたちがオサラにとびかかろ～としたとき、
そ～せ～じのオサラが「ぴょ～ん」ってウエにとんでったのだ！

けどね～

そんなことぐらいじゃブンシンたちはとまらないのだっ♪
ヨクボーのオモムクママにイッキにそ～せ～じにれっつご～なのだっ♪

「いっただっきま～す♪」
「いっただっきま～す♪」
「いっただっきま～す♪」

げげっ！！　まずったのだ！！
よくみるとおっちゃんがしゃがんでいるのだ！
きっと、クーチューでブンシンたちをゲキタイするつもりなのだ！
ヤバイのだっ！！　タイヘンなのだっ！！

・・・あっ、おっちゃんがとんだ。
ちょっとだけ、きれ～でかっくい～な～

でも、ちょっとだけ「たいみんぐ」がおくれたかなっ？
ど～やら、なんかにきをとられたよ～なのだ。
ソンソンもちっとだけ、「ぴりっ」としたけど、
そんなもん、メノマエのおいしそ～なそ～せ～じのミリョクにくらべたら
ど～でもいいのだっ♪

「ぱくっ♪」

ふっふっふっ♪
おっちゃんのハンノーがおくれたせ～か、
みごとブンシンがそ～せ～じをげっとしたのだっ♪
ミゴトなのだっ♪

ん？　んんんん～！！！！


が～ん！！！！！
しまったのだ！　ブンシンがたべてもソンソンはおいしくないのだ！

このサクセンジタイまちがってたのだ～！！！！！

462 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM ：03/09/27 02:26


「ぱくっ♪」

さらにツギのブンシンがそ～せ～じをげっとしてしまったのだ！
しかも、あんなおいしそ～なカオして～！！　むむむ～っ！！

「ずるいのだ～！　それはソンソンのなのだ～！！」

うかうかしてらんないのだっ！
のこるそ～せ～じはイッポンだけなのだっ！
こ～なったら、ブンシンごとおっちゃんをけちらして、
のこったそ～せ～じはソンソンがいただくのだ～！

「ソンソンろけっとずつき～♪　どっか～ん☆」

めざすは、そ～せ～じのオサラなのだっ♪
とびこんで、けちらして、「ぱくっ♪」とするのだっ♪

ん？　かうんた～のネコさんがなんかいってる？
「イチゴダイフク？」（>>453）

じゅるる～♪ イチゴダイフクもおいしそ～なのだ～♪
ネコさん、イチゴダイフクがど～かしたのかな～？

はっ！？

そ～せ～じのコトをイッシュンわすれてしまったのだっ！
これじゃ～、さっきのおっちゃんとイッショなのだ～！！！

ごっち～ん☆

あわわわっ！
ヨソミしてたから、ソンソンはそ～せ～じのオサラにズツキしてしまったのだ！

そ～せ～じを、かうんた～にいるフタリのオキャクサン（>>454-459）
のほ～にとばしてしまったのだ～！！！

「ありゃりゃりゃ～！！！！」

463 名前：ジョー･東：03/09/30 21:47

･･･････空腹のあまり、意識も朦朧としていたのかもしれねぇ。
そういえばアレから何分経っていたのか自分でも判然としなかった事実に驚き、ハッと目を剥く。


　　　　　　―――ぐぎゅうぅぅうぅぅぅ･･･････

―――うぅ。腹減った……。
さっきから時間感覚を喪失させるほど声高に自己主張を繰り返す腹に泣きを入れていたところ―――

>>419
ことん、と言う音とともに、俺が、俺の体が渇望していた、鼻腔をくすぐる好ましい空気。
そう、これは――――


　　　　　　メ　　シ　　だ　　！　　！


紅丸の居合い蹴りすら凌駕しそうなスピードで視線を首ごとカウンターに戻す。
目の前には、これだけで俺を悩殺しそうな魅力的なかほりを醸し出す鯖の塩焼き（しかも御丁寧におろしつき！）。
まだ汗をかき始めといった具合の、なみなみと大ジョッキに注がれたビール。

そして、それらを俺に差し出す、あの侍っぽいバーテン。
よく見ると、服装が着物からバーテンダーそのものの服装に変わっていた。俺が忘我しているうちに着替えたのか？

―――だが、そんなものはどうでもよかったらしい。少なくともその直後の一瞬は。
自分でも意識しないうちに、鯖の塩焼きと大根おろしは、綺麗に皿の上から骨も残さず消滅していたから。
そういえば口の中に、脂のそれなりに乗った魚介類の好ましいあと口が残っていた。ん、ＯＫＯＫ♪

464 名前：ジョー･東：03/09/30 22:49

>>463(続き)
とりあえず腹に物が入ったおかげで腹の虫もちょっとだけ大人しくなり、ようやく一息つけた。
ビールのジョッキに手をかけてぐびぐびやり始めながら、改めてバーテンに目を向ける。

衣装が着物からバーテンに変わったとはいえ、その身から感じる気配が変わるわけじゃねぇ。
いかにもな武人肌の物腰。
どっか枯れたワビサビ感はあるものの、その内からわずかに滲み出すような闘気。
――さながら、鞘にしまわれた刀？そんな事をイメージした。
くたびれた容姿こそしているが、
いっぺん抜き放たれたら大立ち回りも朝飯前なんじゃないだろうか、このオッサン。

―――侍、か。
一度共闘もしたし純粋に死合いもした、あの酒好きで剛毅で人好きがして
そのくせ何よりも真剣勝負が好きな剛剣使いを思い出した。
このオッサンが鞘にしまわれた刀なら、さしずめあいつは抜き身の―――
そのわりには刀身に一切の曇りもねぇ刀かな。元気でやってりゃいいが……

そんな俺のつまらねぇ物思いを中断したのは、バーテンのオッサンのかけてきた声だった。
「鰐の唐揚げは今暫し待て。活きの良いのを捌く所からするので、時間を貰わねばならん。
　店主は知らんな。あの仁、中々に忙しい」

聞いたところだと、あの騒ぎ（>>297-329）の間に、キングは出払ってしまっていたらしい。
それから、俺のメインディッシュたるワニの唐揚げはもう少しかかるとも･･････ちっ。
あんなに前に注文したってのにもっと早くできねぇのかとクレームをつけたいところだが、
ちょっと前にダブルサイクロンアッパーで
ちびっとばかし店を散らかしちまった手前、大きな口を叩くのにも気がひけたので、なんとか悪態を飲み下す。

「ああ、ワニ捌く段階だってなら手間がかかるかんな。気長に待つよ」
･･････正直、もう十分気長に待っているんだが。

さっき感じたようなあの侍じみた闘気に、時代がかったぶっきらぼうな物言い。
タイプこそ違うが、このオッサンもやっぱしあいつと同類だって感じられた。
もしかしたら･････
カラになったジョッキを掲げておかわりを催促しつつ、俺はオッサンに尋ねる。

「なぁ、あんた……覇王丸って侍、知らねぇか？」

…無論、ダメ元だ。ふいに気になったので訊いた程度のこと。その程度の無意味な質問だった。
ま、知らないなら別に知らないでもいいんだけどな。期待はしてねーし。

>>461-462
――――――その時だった。

　　　　　　「ありゃりゃりゃ～！！！！」

ごちんだのがしゃんだのとやかましい音に振り返った俺の目に映ったのは･･･････

一本の、

宙を舞う、

チョリソー・ソーセージだった。


瞬間、視点がその一本のソーセージに固定され、集中され、次いで凝縮される。
一度は黙った腹の虫が、胃袋周辺で蠢きだし、俺の脳裏にむけて声高に叫ぶ。

　“　ア　レ　を　食　わ　せ　ろ　”、と。

抗いがたい欲求――もはや衝動と呼んでもいい――に忠実に突き動かされ、
刹那で俺の全身のバネは力を蓄え、解放に備える。
次の瞬間、バーテンも隣で飲んでた金髪の静かな姉ちゃんも突っ伏して寝てる青髪の嬢ちゃんも
妙なフルフェイスの女（注：聞こえた声から推測）も女と険悪問答してたあの神父も全て視界から放逐された。
目に映るはただ、空中に舞う一本のソーセージのみ。

「―――スラッシュ…キィィィィィィック！！」

咆哮とともに、俺は一本の槍と化す。
空気を切り裂き、体に当たる障害物を跳ね除け、ただ真っ直ぐに目標の元へ。そして―――――

　　　　　ぱ　　く　　。

空いていた口が閉じる。目的としていた念願の物体を、その中に納めて。
辛くも腹三分の身には心地よい歯ごたえと舌触りが、俺にでっかい恍惚をもたらした。

「う･･････うめぇ･･･････！！」

不覚にも目から熱いものが吹きこぼれるのを感じつつ、俺はそう言葉を漏らした。

465 名前：ソンソン ◆KdSaruMnhM ：03/10/04 05:09

>>492
「―――スラッシュ…キィィィィィィック！！」


わわわっ！！　ビックリしたのだ！！
いったいなんなのだ！？

トツゼン、そ～せ～じめがけてなにかがイッチョクセンにとんできたのだ。
とおもったヤサキに・・・


　　　　ぱ　　く


！！！！？

『う･･････うめぇ･･･････！！』

な、なんなのだ～！！！

めのまえで、ジョーハンシンハダカの「ぱんつまん」が
ソンソンのそ～せ～じをおいしそ～にたべてるのだ！
しかもナミダなんかながしてる～！！！　うき～～～っ！！！

「ソンソンのそ～せ～じになんてことするのだ～っ！！！
　ヒトもモノをかってにたべたらドロボーなのだっ！！！
　アクギャクヒド～なのだ！！　　ヒトのカザカミにもおけないのだ～！！！！」

466 名前：佐伯四郎：03/10/09 01:22

トレーニング帰りに入ったバーで、
俺は生ビールと、チョリソーを注文した。

汗をたんまり流した、俺自身への報酬として当然の楽しみだ。
誰にも邪魔される権利など無いはずだった。

しかし！

グイグイと俺の喉を潤すはずだった、生ビールはもはや冷えているとは言いがたく、
チョリソーにいたっては、自分の口に入ったのは一本のみで、
ほどんどが、なんとなく猿を思わせる、謎の少女の口の中へと消えていった。

「―――スラッシュ…キィィィィィィック！！」

しかも、最後に残った一本も……

　　　　　ぱ　　く　　。

今、乱入してきたトランクス姿の男の空腹を満たしてしまったらしい……

ああ、あれ俺ンだよな。

そんな事を思いながら、呆然とその光景を見つめる。
何故か、涙を流しつつ「俺の」チョリソーを頬張ってる男はどこかで見た顔だった。
俺は、ざっと脳内を検索する。

”ハリケーンアッパーのジョー・東”

ムエタイの世界チャンプだよな？
最近じゃ、総合格闘技の大会にもちょくちょく顔を出してるらしいが。

だが、ソイツが、なぜこんな所にいる？
そして……

　何故、俺　の　チ　ョ　リ　ソ　ー　を　頬　張　っ　て　い　る　？

そんな俺の考えを打ち消すかのように、カン高い声が店内に響いた。

「ソンソンのそ～せ～じになんてことするのだ～っ！！！
　ヒトもモノをかってにたべたらドロボーなのだっ！！！
　アクギャクヒド～なのだ！！　　ヒトのカザカミにもおけないのだ～！！！！」


　俺んだっつ～に……


467 名前：名無し客：03/10/11 16:43

あげます

468 名前：橘　右京 （37度9分） ◆IAI/xoAgsI ：04/01/11 05:02




「木枯らしや――――――　」



詠う唇の上に一片の雪が落ちてすぐに溶けた。
寒い。
それとも、身内の熱さが外気をことさらに低く感じさせているだけだろうか。
また、少し熱が上がったようである。



「木、枯らし、や――――――　」



壊れたからくりのように同じ上五を繰り返しながら、右京は何処ともつかぬ山道を
ただ道なりにのろのろと歩んでいた。
足元が覚束無いのは、闇夜のせいばかりではない。


闇夜。


そう、闇夜である。
月の無い夜で、辺りに人の気配などは更に無く、ただ闇と、右京を取り巻く
木々のざわめきばかりが在る。

だが、いつの間に夜になったのだろうか。
右京が覚えているのは、夕方、日の暮れる前に次の宿に着こうと中山道を
急いでいたことだけである。

それから今まで、熱に浮かされてでもいたのか……
それとも、知らぬ間に既に魔界へと足を踏み入れてでもいるのか。



「こがらし――――――　」



まるで酩酊しているものでもあるかのように、右京は歩みを続けた。
此処が何処であろうと、何時であろうと構わない。
ただ、前に進むべき理由が彼にはあった。



「こ……　」



ぬかるみがあったらしい。
足元を取られて、右京はばさり、とくたびれた袋のように地面に倒れ伏す。



「………………！　」



その衝撃で、急激な咳の発作が右京の身に襲い掛かった。
右京は、身体を二つに折るようにして、無意識に土を掴み、しばしの間
為す術も無くただ激しく咳き込み続ける。
咳の一つ一つごとに、自分の余命を吐き出す感覚が右京にはあった。


469 名前：橘　右京 （38度） ◆IAI/xoAgsI ：04/01/11 05:04

ややあって、ようやく発作の嵐が通り過ぎると、右京は思うようにならぬ我が身を
大儀げに引き起こした。
と、ぬかるみに映り込んだ我が顔に目が止まる。
その顔は、病の洗礼を受けて蒼白だった。結うこともなくなって久しい髪が乱れて
頬や額に落ちかかり、さながら幽鬼のごとき有様である。
しかし――――



「…………美しい……　」



右京は呟いた。
自惚れではない。単なる事実である。
病魔に冒されながら、その顔かたちは尚も秀麗さを留めていた。
留めているばかりか、一種の凄惨さが優れた造形に更に鮮烈な印象を付け加えている。



「……ふ……ふ…………　」



右京には、その我が容貌がひどく滑稽なものに思えた。
皮膚一枚……
ほんの上っ面の、皮一枚だけが美しいのだ。
その下の肉は、病み朽ちて、醜く腐れ果てているというのに。
右京は笑った。
笑って、また咳の発作による蹂躙に身を委ねた。






しばらくして――――
地に伏して肩で息をしていた右京は、ふと、この暗い夜にぬかるみの上の自分の顔が
見えるということの異常さに気が付いた。
顔を上げる。
すると、目の前ににわかに瀟洒な西洋風の建物が出現していることに気が付いた。

或いは、右京の混濁した意識が今の今までその存在を無視していただけのことだろうか。
ともかく、その入り口には暖かげな灯が掲げられており、いかにも人を誘うような風情である。
このような寒くて暗い夜には、なおさらであった。



「………………　」



右京は、暫し苦心した後でようよう立ち上がると、その灯りに吸い寄せられるように歩いていった。
今の自分の加減がいつも以上に悪いことは右京としても認めざるを得ない。
今夜は、これ以上の旅は無理である。
かといって、野宿などすれば只でさえ残り期限の怪しい寿命を更に縮めかねなかった。



「…………まだ……圭どの……　」



ここで野垂れ死ぬわけにはいかない。
であれば、せめてこの家の土間の隅――――この建物にそのようなものがあるかどうかは甚だ
心許なかったが――――にでも一夜の宿を求めよう、と右京は考えた。



『ＢＡＲ　”ILLUSION”　』



右京には蘭語の心得が無い。
だから看板の横文字を見ても、この建物が建築様式からも想像できるように、やはり南蛮人の
持ち物らしいと見当を付けるくらいのことしか出来ない。
だがそのことに不安を感じる余力は、もはや右京に無かった。

右京は、身体を預けるようにして、その建物の重い扉を開いた。


470 名前：橘　右京 （38度2分） ◆IAI/xoAgsI ：04/01/11 05:06




カランカラン……



不思議な音を立てて扉が内側に開くと、右京は思わずよろめいて中に倒れこみそうになった。
セピア色の暖かい光と、ざわめきが一瞬にして右京の凍えた身体を包み込む。
右京は、ドアに縋るようにして身を支えると、何とか扉を閉めて、そこを背に寄りかかった。
急に明るい室内に入り、目が眩んだような感じがしていた。

目が慣れてくると、やや茫然としている右京にも、内部の様子が見て取れた。
建物の内部は思ったより広く、幾つもの卓が並べられており、幾人もの男女が思い思いに
喋り、笑いさんざめき、食べては杯を傾けている。
部屋の調度も人々のなりも異風だが、どうやらここは酒を呑ませる店らしいということは
何となく理解できた。



「………………　」



更によくよく店内を見渡すと、壁際に食器や瓶の並ぶ飯台のようなものがある。
中に男が1人立っているのは、この店のおやじだろうか。
見れば、有難いことに、おやじは南蛮風に装っているものの、顔つきや物腰からしてどうやら
異人ではなさそうである。

右京は、人目につかぬよう静かに、ゆっくりと飯台の方へと歩き出した。
息をする度に、胸や喉が軋みを上げる。
周囲のざわめきが、質量をもつ物のように右京の身体にのしかかってくる。

吐く息が、炎のように熱い。
そして、さらに熱い塊が、身体の奥からせり上げてきそうな感覚があった。



（…………い…かん……　）



右京は自らの胸倉を両手で締め付けるようにして、その衝動に耐えた。
己の病の忌まわしさを、右京は知り過ぎるほど知っている。
人に悟られてはならない。
このような、賑やかな場所では特に。

一歩一歩、足を引き摺るようにして、右京は壁際をじりじりと進んだ。
やがて、人を避けて飯台の一番端にたどり着くと、そこにあったやけに背の高い
一本足の椅子に硬張った身体を投げ出す。


「…………………っ　」


途端に、周囲の景色が白く爆ぜた。
周りから、音が消える。
床が抜ける。
椅子に掛けたまま、身体が回る。
回りながら、どこまでも落ちていく。
落ちる。
落ちる。
落ちる。
落ちながら、上昇している。
そして、回る。
回りつづける――――――



……花。



花が揺れている。
美しい花。
右京に笑いかける。
その花の色。
抜けるように白く、また、薄紅に染まっている。

花が言う。



『…右京様も、花がお好きですか？　』



その目。
その吐息。
喉元。
指先。
唇――――

右京が触れたことのない、そして、この先も決して手の届かぬところにある花。



（……探さなくては…………花…………　）




471 名前：橘　右京 （38度3分） ◆IAI/xoAgsI ：04/01/11 05:07


どこかで、かすかな物音がした。
びくっ、と身を震わせ、右京が頭をもたげる。
どうやら飯台に突っ伏していたようだ。
周囲の音と色彩が、一瞬にしてどっと戻って来る。

いつの間にか、おやじが目の前に来ていて、右京を見下ろしていた。
おやじ、とは言うものの、さほどの年齢とは見えない。
むしろまだ若いと言える。右京より幾つか上、といったところであろうか。
物静かな雰囲気の男だが、どこか剽悍さがある。
いうなれば、殺しても死なぬ、といった風情である。



（…………こやつ……　）



侍か、と右京は思った。
熱に浮かされながら右京は、男の身が漂わせている幽かな剣気とも言うべきものを
感じ取っている。



「………………　」



しばし無言で、右京とおやじは視線を交わしていた。
おやじの手には、切子細工のような透明に輝く器がある。
先ほど夢現のうちに聞いた物音は、どうやらこのおやじが器を取り上げた音だったらしい。
やがて右京は、おやじの視線の物問いたげなことに気が付いた。
おやじは、商売をするものが当然そうするように、右京に注文を促しているのである。



「……あ……　」



右京はややうろたえた。
この店で何を扱っているのかすら、右京には分からない。
何か言おうと考えると、またくらりと眩暈がした。



「…………花を………いや…………　」



飯台にしがみつくようにして、右京は呼吸を整えた。
喉の奥から、しわがれた声を絞り出す。
その声に、ところどころ隙間風のような音が混じった。



「……白湯を、くれ…………　」







※注：　飯台→カウンター　　　　おやじ→バーテン


472 名前：『MELTY BLOOD JACKET』：04/01/21 01:33

此処とは違う何処か…
世界中に散らばる、幻影の一つ……
幻影の実像とする器として、暫しの『時』と『場』をお借りします。

――――――万感の想いを込めて。

その幻影の根元をケイオス・ヘキサ。

幻影の舞台で踊るのは影の名は…

――――――『錬金術師』　シオン・エルトナム・アトラシア

　　　　　　　　　　――――――『ロング・ファング』　ビリー・龍

http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1037976136/341

473 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:34

　過去に『ロング・ファング』の捕獲を試みた吸血鬼学者Ｗ・ヘルシング教授は、対吸血鬼用の
特殊武装に身を固めた呪装戦術隊三個小隊、大口径の太陽光照射装置などの大戦力を投入し
通常警察まで使って対象の封殺を試み――――――惨敗した。

　己の存在を脅かす大戦力を前に『ロング・ファング』は躊躇い無く牙を剥く、そこに世界の
抑止力などと言う都合の良いものは無く、純粋な災厄と変わるだけだ。

―――――それは私の望む結末ではない。

　私に課せられた条件はその時より遥かに悪く、使える戦力は私個人に限られる。
　だが、それで良い。
　その条件だからこそ万に一つの可能性が見えてくる。

　『ロング・ファング』は現時点で現状の維持を望んでいる可能性が高い。
　それは、街の現状とナオミ・ジェニー・ジェニスンの記憶より推測できる
　彼女はビリー・龍を名乗る『ロング・ファング』に好意すら持っていだから。

――――――希望は其処にあり、つけ入る隙も其処にある。

　それ以前に、私の目的を果たす為の絶対条件としてケイオス・ヘキサの既存勢力を敵に回さ
ない事が絶対に必要である。
　『ロング・ファング』が一切の偽装を捨てて吸血鬼をしての本性を剥き出しにすれば、
そこから予測される被害と二次的な汚染が必ず公安や降魔局の目に止まる。

　それは私にとっても致命的な終わりを意味する。

　誰も殺さず、誰も殺させず、誰にも悟らせない。
　その不可能を全てクリア出来て初めて勝利と呼べる状況に辿り着ける。


　強力な吸血鬼との戦闘を望むわけではない。
　もし交渉で妥協点を探る事が出来るならそれを採用すべきだろう。
　だけど……………交渉成功の確率は極めて低く、直接的な戦闘になれば確実に敗北する。

　私の見つけた唯一つの回答は、私が私に許容できる限度一杯のものだ、一歩でも間違えば
無関係の人間に害が及ぶのは間違いない。
　二律背反――――――だけど退路は既にない。

――――――道は既に決まっている。

　交渉の成功を望む、だけど失敗の可能性に対する準備は忘れない。

――――――必要なのは覚悟、死ではなく全ての結末を受け入れる覚悟。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　私はもう退けない。

474 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:38

　その酒場は、人通りの多い路地から裏に入った場所にあった。
　地元の通だけが知っているような、そういう店だ。
　あまり目立つとは言えない看板の下に、黒く塗られたガラス張りのドアが口を開けていた。

　ここが待ち合わせ場所だった。入ったことは無い。
　趣味はそう悪くは無い店と思えた。客の柄まではわからないが。
　俺はドアチャイムを鳴らしながら、ことさらにゆっくりと店に入り、
　何食わぬ顔で店内を見渡し―――途中で視線を止めた。

　その相手が手紙の主であろうことは一目でわかった。
　相手が、酒場の中で異彩を放っていたからだ。
　店内でもフードを被ったままだった。
　この店にいるべき人間ではない、そういう印象だ。
　周りの客のぶしつけな視線を、いいように無視していた。
　フードに隠れて顔は見えなかったが、華奢な体つきから、女だろうと思った。

　俺は表情を殺したまま、さりげない足取りでそのテーブルに歩み寄った。

475 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:39

「ここか…」

　自分で導いた答えだけど、いざ入るとなると少し躊躇われる。
　罪悪感…、確かに其れもある、何しろ無関係な人間を利用するのだから。
　けど、それ以上に…

「……………盛り場か、初めて…入る」

　もちろん知識としては知っている。
　この店の内部構造も、扱っているお酒の種類だって既に知っている。
　一般的にどんな目的で入るのかも、普通どんな相手と待ち合わせるのかも知っている………

　考えないようにしていた事柄だけど…、私もいつか誰かと待ち合わせる可能性だってあるはずだ。

「………カット、今為すべき事は別だ」

　ドアをくぐり、店内を確認する。
　思った以上に穏やかな店の雰囲気、そして予想以上に険悪な視線に晒される。
　私の目的を知れば、問答無用で排除されても文句は言えない…

　けど、店に入っただけでこの歓迎は…、それほど私はこの場で浮いているんだろうか？
　………少し不愉快だ。

　不機嫌そうに注文を聞いてくるマスターに、ミルクと答え…
　その後の未来予測など必要ないほど決まりきった反応を、問答無用で脳に接続した
エーテルライトで押さえ込む。

　予定通りの行動だ、一言も喋らせなかったのは私の服装を見る眼つきと表情が不愉快
だったからではなく、他の客への牽制と、マスターが所有している武器の確保が目的だ。
――――不愉快だった事は否定しないのだけど。

　他の客へ、遠隔操作でエーテルライトを接続し支配下に置く。
　本来ならば許されない行為だ、だけど今だけは敢えて禁を冒す。
　吸血鬼との戦闘に巻き込んで誰も死なずに済ます方法は他に見付からなかったのだから…


　それ以上の事は今は必要ない、むしろ不自然な状態はロング・ファングの警戒心を
喚起するだけで利は無い。

476 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:39

　緩やかに流れるBGM、心地よい雰囲気と険悪な視線が入り混じる空間に………
　この場に相応しく、そして私以上に異質な存在であるはずの『彼』が来た。

　ほんの一瞬視線を交錯させただけで全てを理解したのだろう。
　何も言わず対面に座った『彼』へと呼びかける。

「始めまして、ウイリアム・龍…、ロングファングとお呼びした方が正確でしょうか？」

　最初の呼び掛けに一つフィルターを仕掛けた。
　名を持たぬ『彼』がどちらの名前を重視するのか？

――――現在の維持を望むのか、『彼』の現在はだたの手段なのか？

「呼び名には興味は無いがね。――――その名で呼ばれるのは迷惑だが」

　理性を持って現状維持を望む者が相手なら交渉の余地はある。
　『ロング・ファング』の名を迷惑だと認識するなら、それは…

「なるほど貴方は理性的だ、では率直に話しましょう」
「私は吸血鬼のサンプルを求めている、それも『祖』にあたる強力な吸血鬼を…」

　同時に、現状維持を望むなら私の存在は無条件で邪魔になる。
　その場合、『彼』にとって最も確実、最も単純な回避手段は、一つだ。

「理性的ってのは誉め言葉か？　ま、率直なのはこっちとしてもありがたいがね」
「吸血鬼が欲しい、それは分かった。で、それで？」

　『彼』が返したのは剥き出しの敵意ではなく、とぼけた様な鈍い態度。
　何の為の態度か？
　おそらく私と同じ――――『彼』も私の反応を見ている。

　問題は『彼』が私から読み取ろうとしているモノが何を前提にしたものなのか？
　交渉？　それとも――――――殲滅？
　今は素直に手持ちカードを切るべき時だ。
　そして同時に『準備』を進める時でもある……目的を果たす為の全ての準備を。

477 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:40

「私の望みは吸血鬼化の治療です、その為の最良のサンプルが貴方な
のです」
　俺はサングラス越しに女を見返した。
　女のフードは取り除けられ、今は素顔が晒されている。
　まだ、少女といっていい相手は、熱心に話を続けた。

「貴方自身、過去に何度も人間に協力して吸血鬼渦を収めているはず…、私も貴方に協力を要請します」

「はン、協力、か……」
　こうして対峙し、相手が一人であると察せられる以上、
　不意をついて殺してしまえばそれで終わりだ。

　それをしないのに、ご大層な理由があるわけじゃ無い。
　別に、その正体が小娘だったからといって毒気を抜かれた、というわけでもない。
　殺意を向けてくる相手には殺意を返し、対話を望まれれば応じる。
　そのスタイルは、昔からさして変わってはいない。

　それに……
　男も知らないような小娘が、どれだけのリスクを覚悟して俺に会おうというのだ？
　好奇心が無かったといえば、それは嘘になる。

「俺が人間に手を貸すのは、俺の気分の問題でね。いつもいつも手助けしてるわけじゃない」
　俺はそこで勿体をつけた。

「あんた、俺に何をさせたい？」

478 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:42

「貴方に興味を持った理由は二つ…」

間違っても友好的とは言えない反応―――当たり前ではある。
ある意味、彼自身の存在を否定する協力をしろと言っているのだから。

「吸血鬼化の治療の為に現存する最古の吸血鬼の………、神の呪いを持つ貴方を解析する必要がある事…」

祖に血を吸われ吸血鬼と化した者、吸血鬼に血を吸われた者…、この一方通行に手を加えるには
どうしても大本である『呪詛』の解析が必要なのだから。

そう、私自を侵している呪いの解呪には、『ロング・ファング』と言うサンプルか不可欠だ。

「そして、貴方自身が人に紛れて暮らせる理由、貴方の脳髄に宿る『マクスウェルの悪魔』の解析です」

次善の策ではある、決して解決策にはならない…
だが、それがもたらす物は、私にとって何よりも価値がある。
この忌まわしい吸血衝動を抑えられるなら、吸血鬼と化していくこの身体を止められるなら…
この危険を冒す価値はある！

「この二つを兼ね揃え、人に好意的な貴方の積極的な協力が欲しい」

私には時間が無く、手段が無く、余力も無い――――――だが道は見えている。
すぐ其処に、目の前に、確かな証拠として存在している。

残されているのは、少しづつ侵されていくこの身体…、そして自らが弾き出した残り一年余りの
タイムリミット。

『彼』は私の欲しているモノを全て持っている。
私から全てを奪った吸血鬼―――『タタリ』
私の望むものを全て持っている吸血鬼―――『ロング・ファング』

彼等の全てを使い、私の全てを取り戻す―――引く理由は何一つ無い。

479 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:43

　店内の、静かな喧騒をバックに少女の演説は続き、
　俺はそれを、表情を動かさずに聞いた。

――率直で結構。
　それで目的が見えた。どうやら”俺”自身らしい。
　吸血鬼の研究は進んでいない。いや、それどころかこのヘキサでは研究者自体すでに過去のものとなっていた。
　野心的過ぎるのは確かだが、魔術師の研究の対象としてはわからないでもない。
　だが……

「吸血鬼の研究、か。
　なぜ今更吸血鬼なんぞ研究しようってのか、聞いていいかね？」

　どうにも眼前の相手と、俺を使ってまで吸血鬼を研究するという目的とが繋がらないのだった。
　無論、そんなことを俺が知る必要は無く、結局のところ――好奇心がそんな台詞を吐かせた。

　正体が知れる脅威に対する本能的な警戒心が、ピリピリとした危険信号を出している。
　それを脳裏に感じながら、俺は返答を待つ。

「人として吸血鬼と化した人間を救いたいと思うのは当然の事です。
　他に理由が必要だと言うのですか？」
――そんなのは、俺の期待した答えじゃない。
　それが本音だという奴は、昔ならいざ知らず、今は滅多にいない。
　別に、衆生を救うってのが目的ならそれでもいい。
　俺が聞きたいのは、彼女自身が何故それを求めるか、
　何が切っ掛けでそんなことを始めたのか、その根本だ。

「ボランティア精神でここまで来たってのか？」
　だから、俺は質問を続けた。

「この研究が成功すれば、私の利益にもなります…、偽善ではなく実利に基づく行動です」
　言いたくない、ってのか？
　俺は相手の表情に注目しながら、さらに続ける。

「つまり、あんたは自分の利益のために俺を利用したいと？」

480 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:44

　予想外の質問だった。
　相手が人間であるなら、予想して当然の質問であるが…
　『彼』が特別なのは知っていた、私に興味を示す可能性も予測していた…が、
何故この時点で、そこに興味を持つのか？
　私が吸血鬼化している事実を感じ取ったのか？

「この世に、真の意味での利他的行動など有り得ません、だからこそ…」

　この世の全ての生物の行動は利己的な本能によって決定されている。
　同時に、利己的であるが故に、結果的に利他的な行動を選択する、だからこそ世界は維持される。

「お互いの利益の確保、それを探る為に今この場に居るのではありませんか？」

　人であるなら、人に近いレベルの知能を有しているなら、別の意味でも自己の利益を求めない人間は
不自然だろう。
　協力を欲しているのは事実、妥協点を探っているのも事実、必要なら相手に利益を誘導するのも覚悟の上…
　ならば何故、私は相手の質問に答えない？

「あんたにとっての利益ってのはなんだ？　金か？　名誉か？
　あんたが何故それを求めるのか、俺に協力を求めるというなら、俺にも知る権利はあるだろう？」

私が吸血鬼化の治療手段を求める理由は一つしかない。

金の為に？―――否。
名誉の為に？――――否。
では、誰かの為に？―――否

「権利を主張するという事は、協力の意志ありと見なして宜しいのですね」

協力を求めるなら、その理由を教える事は不利益ではない。
『彼』の主張は決して理不尽ではない――――――なのに何故？

「俺が協力するだけの価値があるのか無いのか、それを確かめるために聞いてる」

そうか…

　　　　　私が――――――

　　　　　　　吸血鬼などに――――――

　　　　　　　　　私から全てを奪った者に――――――

　　　　　　　　　　　　他者から奪う事しか出来ない者に――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　……そんな卑しい存在に、自らの罪を告白せねばならないのか？

「私の目的次第で貴方が協力する価値を計ると？　それが貴方が人に協力する為のルールなのですか？」

私の行動は理性的では無いかもしれない。
『エルトナム』の名に有るまじき行為――――だが、『私』が其れを許せない。

481 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:45

　余程その部分に踏み込まれたくないらしい。
　少女の切り返しに俺は若干、口の端を歪め、
「さあて、ね。気分の問題だといっただろう？」
　と答えた。

　別段嘘でもない。
　俺の協力など、手前の起した尻拭いを除けば、
　せいぜいが個人的な付き合いでの手助けぐらいのものだ。

　それにしても、と俺は思った。
　なかなか本音を覗かせない娘だ。少々、おもしろくない。
　それでつい、少しばかり揺さぶってやろうと悪戯心が湧いた。

「俺の聞きたいのは結局、あんたが誰を治療しようとしてるのかってことさ。
　恋人でも、雌吸血鬼に寝取られた、か？」

482 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:47

「………私が誰を治療しようと、貴方には関係ないはずです…」

　嘲りの声、それが不意に――――――

　　　　　　　　　　　“なに、同類相哀れむというヤツだ”

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――――――共通点など何も無いのに


　　　　　　　　　――――　あの夜のタタリの言葉が甦る　――――


　コレとタタリには何の関連も無い…
　だた、同じ血を吸う存在というけで――――

　　　　　　　　　　　「私が誰の為に何をしようと、貴方には関係ない！」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――――この上なく目の前の存在が不愉快だった。

「私が目的が何であろうと、為すべき事は変わらない！！」

　私に生き残れと叫び、自らの命を賭けて私を生かした盾の騎士。
　タタリに血を一滴まで飲み尽くされた筈の彼女に治療？
　余りにも愚かな妄想だ。
　私が救いたいのは、私自身……………他の誰でも無い。

「下らない勘繰りは不愉快だ―――貴様にそんな権利など無い！！！」

　だから、許せない。
　私に哀れみをかけた奴を、
　見逃され、生かされた私も、
　そして、奴と同じ吸血鬼であるコイツも、

　許してなど―――――――――――
　――――――――――――
　――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　カット――――――止まれ！


　止まれ、止まれ、止まれ、まだ早い…
　今はまだは早い。
　最後のカードがまだ残っている、それを確かめるまでは感情に流されるわけにはいかない。

　　　　だから、今だけは…、

　　　　　　　　　　　　　　　　　後一度だけ……、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　後一つだけ確かめなければ………

483 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:48

　俺は曖昧に、笑みを浮かべた。
　相手の気勢を削ぐために笑ったのだが、ひょっとしたら皮肉げに見えたかもしれない。
　落ち着けよ、とでも言いたげに、軽く肩をすくめて見せた。

「……まあ、言いたく無いならいいさ」
　余程、知られたくないらしい。
　誰にも知られたくないのか、それとも俺には知られたくないのか、
　あるいは化け物には知られたくないのか――――
　そんな余計なことがちらと脳裏をよぎった。

　それで、口が滑ったのかもしれない。

「だが俺は、あいにくと今の生活が気に入ってるんでね。
　聞くが、俺が協力する代償に、あんたは何を差し出すつもりだ？」

　無益な問いだ。
　俺の欲するものを、目の前の小娘が用意できるわけが無い。
　それでも――――
　俺はふと、平板なはずの自分の声音に、物欲しげな、
　浅ましい響きを感じ取った気がし、サングラスの奥でかすかに顔をしかめた。

　しかめたまま、しかし少女から視線を外さず、俺は答えを待った。

484 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:49

「………これからも時が満毎に繰り返される、吸血鬼渦の速やかな終結」

　全ての吸血鬼の『祖』は、世界が生み出したシステムの一部だという。
　個体として見れば、吸血衝動に従い暴走するだけの化け物に過ぎない。
　だが全体としてみれば話しは違う、増えすぎた人類に対する世界の抑止力、或いは神の呪いか…
　そういった考え方が存在する。

　理論的に見て間違いではない。
　過去のデータがそれを裏付けている、それを感情で否定するのは理論的ではない。

　だけど、現実の吸血鬼を知っている者にとって、それは――――空論に過ぎないのではないか？

　NO、――――少なくとも彼は理性を持っている、他の吸血鬼とは一線を画す。
　　　　　　　それは自ら確認した筈。

　本当に吸血鬼渦の発生と終息が世界のシステムであるなら―――彼は、ただ本能に従っているだけではないか？

　NO、――――彼は過去に自らの手で、吸血鬼渦を終息させた記録がある。
　　　　　　　そして今、自らの意思で現状維持を望んでいる。
　　　　　　　それは自ら確認した筈。

　では、何故に『コレ』は『タタリ』を――――エルトラムの成れの果てを思い起こさせる？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　コレは既に意思の無い現象ではないのか？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　コレは交渉と言えるのか？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　私は――――――

　…………………………
　私に支払えるものなど何も無い――――――ならば何故、交渉などを？

　私がこの交渉で得たかったモノ――――――『ロング・ファング』の積極的な協力？

　私がこの交渉で得たモノ――――――私という器を満たす怒りの感情。


　ああ…、そうか……
　私が欲しかったのは……
　吸血鬼から得られるモノなど何も無いという真実。
　例外など何処にも無いという事実。
　交渉など無意味だという現実。

　コレがだた奪うだけしか出来ないモノ――――その確信こそが欲しかった。
　ナオミは最初から何も持っていなかった。
　コレは彼女に何も与えていない。
　私は彼女から何も奪わない。

　私は、私に必要なサンプルを手に入れるだけ―――――ただ其れだけの事。

「貴方が世界のシステムの一部なら――――無意味ではない筈です、これでは足りませんか？」

　最後にそれを確認しよう。

485 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:51

　俺はフンと、鼻で笑ってやった。
　教師なら30点をつけて落第させるところだ。
　俺のことを、そんなお題目をありがたがるような殊勝なタマだと思ったのか、この娘は。

「勘違いしてるな、あんたは。俺は、そんなもののために生きたことは無い」
　いや、違う。
　この娘は、その言葉の薄っぺらさに気が付いていない。
　俺のことを、現象としか見ていない。
　間違っちゃいない。虚ろな存在には虚ろな言葉ってわけだ。

「自らの意志で行動しているなら――」
　黙れ。
　もう、十分だ。
　俺は右手をあげて、女の言葉を押し留めようとした。

「――――自らが撒き散らした病魔に対し責任を取る事こそ生きる者の責務の筈…」
「――――黙れ」

　一瞬、生じた沈黙に、俺はゆっくりと口の端を吊り上げた。
　嘲弄の表情だ。

「もう一つ断る理由をあげてやろうか？」
　頭の悪いあんたにも理解しやすいように、な。

「俺があんたのところにいったら、俺に恨みのある連中が大挙してやってくるぜ？
　どうも恨みを買いやすくてな」
　芝居がかった動作で、軽く肩をすくめてやった。

「あんたがそれに対処できるとはとても思えんがね」
　吐き捨てた最後の言葉に、相手の顔が紅潮する。
　くだらない満足感とともに、俺はそれを見返した。

486 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:52

　最後の問いは断ち切られ、返されたのは侮辱の言葉、嘲りの表情。

　だけど、不思議なほど怒りはわかなかった。
　恐らく私は間違えている…
　相手を間違えたのか、方法を間違えたのか、そもそも正解はあったのか…

　何処で間違えたのか解からない――――けど、解かる必要は既に無い。



　何故なら既に……………交渉は終わり戦いが始まっているのだから。

「……勝算もなくこのような提案をするとでも？」

　魔術師は、特にアトラスの錬金術師は特に理性を重んじる、
　　　　　　否――――――重視するのは其れだけだと言って良い。

　　　　　　『いかなる禁忌をも許すが、創造の解放を禁じる』

　これこそが、唯一の戒律。
　このサンプルを手に入れられたなら、アトラスを説伏せる事は難しく無い。
　アトラスは、決して世に開放されることの無い力を望んでいる。

　アトラスを、コレを、全てを利用し私は未来を取り戻す。
　ただそれだけの事。

「アトラスの錬金術師にとって、勝負とはただ勝つ為のもの、負ける勝負など挑みはしない」

　そして、アトラシアの名を持つ者に、求められるモノは一つ。

　　　　　　　　　『不可能とされることを可能とする』

　これこそが、私の存在意義。
　『祖』が不可侵ならば、侵して見せよう。
　解呪が不可能とされるならば、解析して見せよう。

　その為に用意は終わっている。
　コレにとってこの街は庭のようなもの、私にとっては敵地に等しい。
　だから簡単に召還に応じた、わずかな武器だけを携えて。
　そして、私を理屈だけの小娘と軽んじている。

　全て事実。
　ただし、私がエルトナムの人間でなければ…
　私が半ば吸血鬼と化していなければ…



　それでは始めよう、次の言葉が最初の一手。
　終わりの始まり、始まりの終わり――――――

「生者の責務すら果たさぬ死者如きが―――私を語るな！！」

　わざと声を荒げる、私の声に反応して無関心を装っていた店にいた人間が動く。
　珍しい事ではない、厄介事に無関心を装うのも、目障りな人間に不快の意を表すのも…

　――――だた、それが私の制御下にあるだけで。
　――――だた、それが私の用意した罠であるだけで。
　――――だた、それが既に交渉ではなく戦闘であるだけで。

　全ては私のシュミレーションの通りに進んでいる。

487 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:54

「本音が出たな。死人にモノを考える権利は無いってか?」
　もう終わりだ。俺は幕引きの言葉を、わずかの間、選んだ。

「俺はあんたに協力する気は無い。する理由が無い。
　あんたのしようとしてることは結構だが、俺に話を持ってくるのはお門違いだ」

　すでに興味は失せていた。
　殺すつもりもなかった。
　目の前の相手が異邦人であり、都市にとっては異物であることを直感的に悟っていたからだ。
　公安と相容れる目的でもなく、降魔局と結託できる性質でもない。
　そうとなれば、もはや、彼女に打つ手はない。

　そして、腹いせにそれらいずれかに俺の素性を密告することは無いと踏んだ。
　その点だけは目の前の相手を信用したといってもいい。

「寝ぐらに帰るんだな、ひ弱な錬金術師。そのほうが、お宅にゃお似合いだ」
　それは皮肉だったが、俺にとっては八割方、本音だった。
　俺がお宅に望むことは、二度と顔を見せるな、それだけだ。







―――――そして、一つだけ俺は失念していた。
　別に、外見や、その誠実な物言いに騙されたつもりはない。が、侮りがあったんだろう。
　目の前の小娘が、俺を武力で抑え付けることができると考えるはずが無い、と。

488 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:55

　ああそうか、交渉など成立する筈が無い…
　此処に至り、唐突に間違いの一つが理解できた。

「……貴方に協力を求めた私が愚かだったのでしょう」

　私は名乗ってもいなかった、コレも私の名前を知ろうとなど考えもしなかったに違いない。

「――――抵抗するのならどうぞ」

　だけど、最後に名乗るとしよう。
　少なくとも私はコレの字名を知っている。

「私の名はシオン・エルトナム・アトラシア。

　　　　　　　　　　　　　　　　　此処で貴方より自由を奪い、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　自らに取り戻す者です」

　紛れも無い宣戦布告。
　対等な敵への最初で最後の儀式。
　無意味な交渉の終わり、有益な闘争の始まりを告げる。

――――――これより戦闘行動を開始します。


　目深に被ったフード握り締め真正面に叩きつける。

　それは迷彩、物理的な迷彩。
　対象に一瞬の盲目を与える手段、吸血鬼から見れば児戯。

　それは迷彩、心理的な迷彩。
　自らの行動と支配下の駒の行動の同期を隠す手段、私から見れば児戯。



　　　　　　　　『全思考回路――――――開放』

――――――エーテルライト、対象吸血鬼に物理接続を確認。

　　　　　　　　　　　　　　　　――――――敵対象の行動エミュレート開始。

　　　　　――――――現支配下の全対象の行動を掌握。

　　　　　　　　　――――――選択可能事象より最大効果選択肢を現実に導入。


　同時にその場から真後ろに跳躍する――――純粋に距離を取るだけの回避行動。


　『ロング・ファング』からの反撃は考慮しない、その必要は無い。
　奴は私の物理的な戦力を完璧に読み取った。
　状況から私に援助者が居ないことを正確に推測した。
　其れ等から導かれる戦力が、自らの対応可能範囲内にある事を確信している。

　その上でなお警戒を解かないのは理性持つ吸血鬼としての経験ゆえか？

――――――だが、それは完璧であり正確であるが故に――――全ては私の計算の内に在る。

　『ロング・ファング』がこの時点で犯したミスは唯一つ。
　自らの経験が導いた確信を疑わなかった事。

　それは証明するのに必要な時間は、宣戦布告から0.5秒。
　私は全てを読み切った。

489 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 01:56

　店の奥まった席を選んだこと。
　それは、『ロング・ファング』の回避経路を狭める一手。

　私が錬金術師だと語ったこと。
　私の肉体的な能力が一般人にも劣ると思わせる一手。

　私がアトラスの人間だと教えたこと。
　私に援助を得られなく、他の戦力を使えないと思わせる一手。

　敢えて放った叫び。
　それは、客が此方に注意をむける不自然さを消す一手。

　宣戦布告。
　それは、私に注意を集中させ、油断を誘う最初の一手。

――――――全てはこの時の為に。

　私がシュミレートした未来を現実が追随する。
　この光景は私が既に見たもの、私は私の予測に従い跳躍する。

　違っていたのは爆音と閃光。
　シュミレートでは情報に過ぎなかった其れらは現実の重さを伴って眼前に展開する。


　『ロング・ファング』より見て８時の方向に三人、９時の方向に二人、１０時の方向より四人、
計九名の私の駒。
　１２時の方向に居る私には跳弾を考慮しても当らない。

　そして叩き付けたフードが最後の一手。
　『ロング・ファング』の意識を集中させ、同時に壁を作る。
　退路はだた一つ、背後だけ――――――だけどもう遅い!

　ハッキングによる制御で文字通り一糸乱れぬ完璧な連携で各々の銃弾を叩き込む。
　彼らが狙っているのは『ロング・ファング』の実像ではなく、私が予測した未来の虚像。
　人を超える反射速度を持つ吸血鬼に打ち勝つ為の私の回答。

　弾丸を撃ち込むのではない、打ち込んだ座標に対象を存在させるのだ。
　それが私にとっての戦闘の在り方。

――――――私はアトラスの錬金術師、脳髄に宿りしラプラスの魔を操り情報と戦う者だ。

　銃声と閃光に新たな音と色と匂いが混ざる。

　其れは、肉を砕く音――――――

　　　　　壁にぶちまけられた血のモザイク――――――

　　　　　　　　　　　　　　　　むせ返るほどに濃い硝煙の煙――――――

　衝撃に逆らえずに崩れ落ちる身体、それすらも予測の内にある。
　銃弾は一発たりとも外れない、『ロング・ファング』の腕を撃ち、肩を撃ち、足を砕き、喉を貫いた。

――――――返せ！
　これは誰の声？

――――――取り返せ！！
　これは私の内側から湧く声。

――――――奪い取れ！！！
　その想いはそのまま駒に流れ込み、銃弾と共に撒き散らされた。




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　全ては予測通り。

490 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:59

　それはほぼ、完璧な不意打ちとなって俺を襲った。

　店内に注意を払っていなかったわけではない。
　だが、巧妙に隠された銃器に注意を払うものは誰一人いなかった。
　直前まで、俺に兆候の一つさえ悟らせず、彼らは当たり前に談笑していたのだ。

　彼らは一斉に立ち上がると同時に、マシンのように同期をとった動作で銃器を構え――――


　銃声は、重なり合ってほとんど一発に聞こえた。
　目の前に投じられた目隠しに、その向こうの少女の行動に一瞬気を取られ、
　俺にできたのは、両腕で、頭と心臓をかばうことだけだった。

　直後、めり込んだ十数発の弾丸に俺の体は吹き飛ばされ、
　血糊と共に、湿った音を立てて壁に叩き付けられる。

――――――――シオン・エルトナム・アトラシア。
　少女はそう名乗った。
　俺を、どうすると？

　自由を奪う、と。そう――――
　刹那の思考、それを引き千切る銃声。
　叩き付けられた壁、転げ落ちる俺の体を、火線がさらに追う。

　床に這いつくばり、目方の増えた身体を引きずり、俺は猛射から逃れようとあがいた。

「マクスウェル――――」
　その呟きも、気管を半ばまで撃ち抜かれては、抜けるような小さな声にしかならず、
　退路――窓へと、中腰に立ち上がりかけた俺の足を弾丸が撃ち抜き、
　俺は自分の血糊に足を滑らせた。

　バランスを崩し、宙に浮きかけた身体に、さらに数丁のショットガンの散弾が叩き込まれ、
　再度、俺の身体は宙を舞う。
　ついていたと言うべきだろう、窓ガラスを突き破り、路上に放り出される。

491 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 01:59

　弾丸に腐るほど抉られた身体を右手で起こした。
　銀でこそないが、撃ち込まれた弾丸は身体機能を大幅に低下させている。
　今、まともに動くのは右腕一本というところか。

　だが、俺は、窓から飛び出してくる少女を見上げた。

　シオン・エルトナム・アトラシア――
　声が出ない。喉元に詰まっていた弾丸を素手で抉り出し、気管を再生させて言う。

「シオン・エルトナム・アトラシア。
　俺の自由を奪う、そう言ったな――――」

　俺は笑みを浮かべた。唇端を吊り上げ、牙を剥き出し――

「――――やってみろ。やれるものなら、な！」
　同時、俺はほとんど右腕一本で、逆方向に跳躍していた。

　この状況で、しかし俺は笑っていた。

　己の生命を掛けたやり取り。俺の血をざわめかせる唯一のもの。
　それは、俺が吸血鬼であることの証であり――――
　そうだ。俺は、それから決して、逃れられないのだ。

492 名前：シオン・ＴＹＰＥ-Ｂ ◆SION/BgiR. ：04/01/21 02:01

　そして自らの中に生まれた、目の前の吸血鬼への黒い感情。
　奪われたものを奪い返すだけ。
　其処に疑問の余地などない。


――――それが私の最も嫌悪するモノと同じであり、エルトナムの業なのだと気づく事は無かった。





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　To be Continued　next Stage

493 名前：ビリー・龍 ◆OClOnGFAng ：04/01/21 02:23

『MELTY BLOOD JACKET』Chapter 1 End

>>472
>473>474>475>476>477>478>479>480>481>482
>483>484>485>486>487>488>489>490>491>492


生きるか死ぬか、いつものことさ。
俺が得るか、彼女が得るか、ゲームの結果は乞うご期待（肩をすくめて）

（『MELTY BLOOD JACKET』Chapter.2へ続く……）

494 名前：緋雨閑丸 ◆LvTz6LR5BY ：04/01/24 01:15

雨が……降っている。この時期には珍しく、強く速い雨脚だ。
そんな雨の中を小柄な影が走っている。
小柄な体には不釣合いなほどの大きな番傘を差してはいるが、この気温とこの雨量では流石に心もとない。
雨を避けるため、この時間でも灯りの灯っている一軒の軒先に飛び込む。
一息入れ、見上げた先に掲げられた看板には、バー”ILLUSION”の文字が躍っていた。

窓越しに覗いた店内では、なにやら演舞が一幕演じられているようであった。
その演舞を目にした途端、少年の体は雷に撃たれたが如く硬直した。

演目は、血を吸う鬼とその鬼を追う少女。

「あ……ああ…………」

その姿に少年は、自らを重ね合わせていた。
鬼を追うあまり、鬼としてしまった自らの姿を……

「駄…目……駄目………です………」

考えるより先に、手が荒々しく扉を開けていた。
閉じらに付けられていた鈴が騒がしい音を上げる。
店内の視線が一斉に向けられているのを感じながらも、少年の意識は全て演目に注がれたままだった。
あの少女（とは言っても、少年よりはるかに年上ではあるが）に教えてあげなくては。
たとえ鬼であろうと、ココに存在しようという意思がある限り、必ずソレを認めてくれる人が居るということを。
そして、そんな認められた存在を殺すことは、自らを鬼に堕とす第一手であると言う事を。


495 名前：名無し客：04/02/19 22:50

>494
> 考えるより先に、手が荒々しく扉を開けていた。
> 閉じらに付けられていた鈴が騒がしい音を上げる。

しかし、一杯に開かれた閉じら、もとい、扉の後ろから酔っぱらいが現われて
少年のうしろ襟をつかんだ。
「こっちだ！」
そのまま雨の中へ引き摺っていった。

１ブロックほど離れたあたりで、ようやく少年の襟を離し、荒い呼吸を整えな
がら語りかける。
「手荒な事をして悪かった。だが理由が二つある。頼むから聞いてくれ。
　第一に、今あのバーで起こっている事は、どこか別の世界で綿密に練り上げら
れたフィルムの影なんだよ。タイムスタンプでわかるだろ？　割り込める代物
じゃないのさ。特に、考えるより先に手が動く少年にはね。
　――いいや、ごまかしたってだめだ。『灯りの灯っている一軒の軒先』なんて、
よほどあわててなきゃ飛び込めないよ？」酔っぱらいはやさしく微笑みながら
少年の肩を抱いて起こした。

「二番目はね、君やら私やらが店のまわりでうろうろしてる限り、たぶん第二章
は上映されない。他の観客さんに迷惑だし、私も第二章が観たいんだ。君も観たい
だろ？　よし、きまり！　どこか暖かい店に行こう。牛丼でも焼肉でもおごるさ。
それにしてもずいぶんおしゃれな傘だね……」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（退場）



496 名前：キング ◆kkKinG..Eo ：04/02/20 10:24

…ふぅ。

497 名前：キング ◆kkKinG..Eo ：04/02/20 10:38

そろそろ始めようか。酒飲み大殲をさ。

498 名前：(有)ドラゴンプロ：04/03/21 03:13

山崎「ここでは始めてだが…とりあえず、長さんとドリフターズに乾杯」

499 名前：キング ◆kkKinG..Eo ：04/04/22 14:51

社長、ここじゃ初めてだね。

ここは深く飲るトコロだから、よければ↓の店にきてもらえるかい？
歓迎するよ。

ラウンジ“ILLUSION”
http://appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1076342187/

500 名前：(有)ドラゴンプロ社長 ◆u6MfYJFkDM ：04/04/23 22:38

そうだったのか、そいつぁすまねえ
お愛想、おねがいするわ。

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