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常闇の街 【ダーク系キャラ雑談スレ】

1 名前:弓塚さつき ◆PXROOKIEj2:2003/07/06(日) 03:05

―――ここはね、何時も夜の街なんだ。
ううん、この言い方は正しくないね。
ここには昼は来るし、太陽も昇る―――けど、それは本当の姿じゃないんだよ。
 
陽が落ちて、夜の帳が降りて、普通の人たちが帰路につくころ、街は本当の姿を現すんだ。
路地裏に、公園に、住宅街に……、そう、街の歪(ひずみ)にそれらは出てくるんだよ。
 
例えば――――強盗や殺人鬼、ううん、そんなものよりもっとこわいもの。
 
           吸血鬼とか、文字通りの魔物―――――――
 
           そんなものが彷徨う……それがこの街の正体なんだ。
 
誰が彷徨っているか、わたしには分からないけど………
少なくとも、わたしなんかよりもっとくろいこわいモノが大勢潜んでいる。
それだけは間違いないかな。
 
ここは普通のひとからすれば全く異なったルールが支配する場所、異界。
だから、普通のひとが足を踏み入れるなら相応の代価は覚悟してもらわないと。
例えば、血とか肉とか―――――命とか。
昼間の世界に暮らす人のルールは通用しないと思って欲しいな。
 
……それじゃ、ばいばい。
わたし、これから食事の時間なんだ。
もしかしたら、また、この街の何処かで会うかもしれないけど………
 
 
 
                    ――――――その時は声をかけてくれると嬉しいな。

2 名前:掲示板:2003/07/06(日) 03:07

―――道の掲示板に一枚のポスターが貼ってある。
そこにはこう記されていた。
 
○この街(スレ)はダーク系のキャラが集う場所。
 そうでないものは相応の覚悟をして、入ること。
 
○殺し合いは構わないが、無闇矢鱈に血気に流行る者はその寿命を縮めるだろう。
(殺伐とした雰囲気の会話を愉しんで下さい。ある程度の節度は持つ事)
 
○メール欄に自分の原典を書くのが望ましい。

3 名前:マービン・ブラナー:2003/07/06(日) 03:30

 ……訳が分からん。
 街を巡回していたら、サラリーマンの格好をした奴に襲われて………
 人間じゃねえ……、くそ、銃で撃っても死なないなんてあるものか――――――!
 
「ぜえぜえ……」
 
 くそ、呼吸が荒い。
 奴が俺の肩に噛み付いて来た時に頭を打ち抜いて黙らせたのはいい。
 だが、それから身体の調子がおかしい。
 
「ぜえぜえ……」
 
 身体を動かすのが億劫だ。
 何か、身体が寒い。
 何か、身体が痒い。
 
 
 
 
 
「……誰だ、これ?」
 
 側にある店のショーウインドをそれはいた。
 姿形は確かに俺だが、顔は土気色、まるで死人のような―――――――
 
 
 
 
 
 
 
                  ―――――ああ、それにしても身体が痒い……

4 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/06(日) 03:36

 こういう裏路地を覗き込むのはある種の習慣で、大概何も見つけられないのだが、それでもやめることができなかった。
 こういう場所に心惹かれるのは、多分習性なのだろう。

 が、今日は先客らしき相手がいた。
 銃を持っている。血に塗れた衣装に――――顔には死相。

「よう、どうしたねおっさん?
 足元がふらついてるぜ?」

5 名前:マービン・ブラナー:2003/07/06(日) 03:43

>4 男
「おっさんじゃねえ。俺はまだ32だ――――」
 
 くそ、何を言ってやがる、この男。
 いや、何を答えているんだ、俺は。
 
 違う――――そんなことよりも、ただ、身体が―――――――
 
「痒い……」
 
 右腕が痒い。
 左足が痒い。
 
 頭が痒い。
 胸が痒い。
 脳が痒い
 
「くそ、なんで、こう痒いんだ…」
 
 口に出しても何も治まらない。
 俺はふらふらと、男から離れ、歩いていく………

6 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/06(日) 03:46

>5

「……ああ、あれじゃぁ、長くねーな」

 俺はそう呟きを漏らし、男の背中を一瞬だけ見送ってから、その路地を立ち去った。

7 名前:マービン・ブラナー:2003/07/06(日) 03:52

>6 男
 
 男が何か呟いて、立ち去る。
 ああ、そんな事はどうでもいい。
 誰か、この痒みをなんとかしてくれ。
 
 
 
 
 痒い、痒い、かゆい。
 ああ、もう、何が何だか分からない。
 
 目の前に誰か歩いて―――かゆい。
 ああ、よく分からん―――うまそうだ。
 
 ……人影に手をかけ、喉元を貪る。
 
 か…ゆ…い…
            悲鳴
 う…ゆ…い…
            絶叫
 う…ま…い…
            断末魔
 
 
 ――――――かゆ………うま……
 
(マービン・ブラナー、ゾンビ化(メール欄))           

8 名前:黒スーツの男:2003/07/06(日) 03:55

>>7 
おやおや、また一人アンブレラの犠牲者が出てしまったようですなあ。
彼にはこれからどんな運命が待っているのか、それはもう、
考えるまでもありませんね………
 
しかし同族を化け物に変えてまで金儲けに突っ走るとは、
人間という生き物はなんとまあ、業の深い生き物なんでしょうかねえ………
 
 
ホーッホッホッホッホッホッホ………

9 名前:レッドアリーマー@紋章編 ◆99Arremerg:2003/07/06(日) 03:57

>>7
(その時、であった。
上空から突如炎の塊が降り、虚ろな双眸の死体を焼くのも刹那。
次の瞬間には、その死体はいとも容易く縦に両断されていた)
 
「ふん…何者かと思えば死人の類か
 …まあ良い、降り立つのに邪魔だから屠り去ったまでだ」
  
(着地したそれは、身紛うことなく悪魔であった。 露出した硬質的な膚。
 暗い殺意を湛えた、瞳無き両眼。紅の体に黒い翼を生やした、真紅の悪魔)
 
「しかし…彼の地にこのような場が在ったとはな。
 この懐かしさすら感じる禍々しい気配…ククク…戦場以外では久方ぶりだ」
  
(その赤き悪魔は一人、此処の空気を悦んでいた)

10 名前:レッドアリーマー@紋章編 ◆99Arremerg:2003/07/06(日) 04:06

ふん…空も白んできたか。
まあ良い、ならば今宵は去るとしよう。
だが…此処は気に入ったぞ。
この邪気、この殺意…正に我等のような者の為の地だ(邪笑
 
 
(悦に浸りながら空の彼方へ飛び去っていく:退場)

11 名前:ジード/666:2003/07/07(月) 01:19

巨躯を誇る男達が街を歩く。
彼等は全員頭はモヒカン、上半身は半裸で肩には獣の数字「666」の刻印!
 
彼等の名はジード。
音に聞えた無法者集団である。
 
「野郎どもっ、女は見つけ次第、攫っちまいな!
 男は金目のモノを巻き上げて、殺っちまえ!」
 
無法者の集団は獲物を求めて、常闇の街を彷徨う。

12 名前:ザビーネ・シャル:2003/07/07(月) 01:23

なんだこの街は……? 不快な感覚を覚える。
やはり貴族たる者が、人類を粛清せねばならんということか……。
そのためには……ベラ! あなたを……フフフ、ふふふふふ!

13 名前:ザコA:2003/07/07(月) 01:29

>12
「なんだ、てめえは……? 俺達をジード軍団と知って事のか?
 死にたくなきゃ、金目のモノ、出しな、兄ちゃんよお」
 
一人の痩せたモヒカンの男がナイフをちらつかせながら、金髪の男へと近寄っていく。
勿論、奪った後は生かしておくつもりなんか無い。
彼等は666の文字が現す通り、獣の集団なのだ。
奪い、喰らい、犯す、それだけの集団。

14 名前:ザビーネ・シャル:2003/07/07(月) 01:37

>>13
「ふ、ふふふ、貴様のような者がいるから……」
 
私は薄ら笑いを浮かべ、モヒカンの男へと銃を向けた。
大衆を蹂躙する者を始末ことこそ、貴族に仕える者の義務だからだ。
私がやるべきことは、後は銃の引き金を引くだけだった。
 
額を狙い、引き金を引きながら私は言う。
 
「貴様のような欲望だけで動く人間がいるから、
 それを統治し粛清する方が必要だと感じられるのだ!」
 

15 名前:ザコA:2003/07/07(月) 01:40

>14
「あべしっ!」

痩せたモヒカンの男はそう叫んで、物言わぬ骸と化した。
 

16 名前:ザコB、C、D、E:2003/07/07(月) 01:45

>14
「野郎、ふざけやがって! ブチ殺してやるっ!!」
 
太ったモヒカンの男が激怒して、ザビーネへと棍棒を手に殴りかかる。
その背後では……
 
「すかしてんじゃねえ、ダボがぁっ!」
 
ボウガンを手にしたモヒカンの男たちがザビーネへと狙いをつけ、まさに引き金を引こうとしていた。
彼等にとっては反抗するものはただ、殺す対象。
欲求を満たす邪魔になるなら殺すだけ。
それが獣の、荒野のおきてでもあるのだ。

17 名前:ザビーネ・シャル:2003/07/07(月) 01:51

>>15>>16
「くふ、はははは、ひゃーはははははは!」
 
倒れる下賎な男を見て、私は高らかに笑い声をあげた。
貴き者に従わぬ哀れな男の末路の、滑稽さに。
 
「大きな力に従い、庇護されていればこうもならなかったものを……くふっ」
 
わざわざ出てくるから、撃たれるのだ。
 
「人類は愚かだから、支配される絶対者が必要だとなぜわか……がふ!」
 
熱く語る私の胸に、ボウガンの矢が突き刺さった……。
 
(ザビーネ・死亡)

18 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/07(月) 01:51

>11-16
――――

今日も客がいた。

「これが、美女が襲われてるっつーんなら助けに入るんだがねぇ」

 そんだけ呟いて、俺は裏路地から抜け出した。
 脳筋は好きではねーのだ。

19 名前:ザコB、C、D、E:2003/07/07(月) 01:56

>17
「けっ、これがジード軍団に逆らった者の末路よ!」
 
モヒカンの男たちはそういうと、ザビーネの遺体から金目の物を身包み剥いでいく。
殺して奪う、ただ、彼らの掟に忠実に動いているだけなのだ。
 
「おい、他に獲物を探せ! これだけじゃ足らないだろうが。
 女だ、女、高く売れそうな女を捜せっ」
 
獣欲に飢えた目で無法者達は再び街を闊歩する――――――

20 名前:喪黒福造:2003/07/07(月) 01:57

>>17
まったく……。
時と場所と相手を選ばずに行動するなんて、浅はかとしか言い様がありませんなぁ……
こういった暴力的な方々とはお近づきにはならないのが一番です……
 
おや?
今度は私を狙ってくるようですなぁ。
はてさて、どういたしましょうか……

21 名前:ザコB、C、D、E:2003/07/07(月) 02:02

>20
「おう、おっさん、ぶくぶくと太って、丸い顔して、いいもん食ってそうじゃねえか。
俺達に少しは分けてくれよ」
 
次なる獲物を見つけたモヒカンたちは、ニヤニヤと笑みを浮かべて、黒スーツの男に近づいていく。

「ああ、少しじゃねえな。遠慮すんな、全部、貰ってやるよ、おっさん。金目のもの、全部出しなっ!」
 
棍棒を片手に太った男が喪黒に恫喝する。

22 名前:喪黒福造:2003/07/07(月) 02:18

ホッホッホ、お金、ですか?
生憎と持ち合わせはこれだけしかございません……
 
(鞄から取り出されたのは小さな宝石箱。
 その蓋を開くとそこには巨大なダイヤモンドが妖しく輝いていた―――)
 
つまらない品物ですが、これに免じて命ばかりはお助け願います……


(賊が行ってしまった後)
 
 
やれやれ、ちょうど手元にあんな品物があったので命拾いさせていただきました……
 
おっと、私とした事が、あのホープダイヤがどんな品物か説明し忘れてしまいました……
まあ、あのような方々、いなくなって頂いたほうが世の為人の為ですがね……
ああ、ホープダイヤについてはメール欄を御覧くださいね……
 
ホーッホッホッホッホッホッホッホッホ………… 

23 名前:ジード/666その他:2003/07/07(月) 02:28

「け、運がいいな、おっさん! 俺達の情けに感謝しろよ!!」

男達はそうはきすてて、次の獲物を探しに―――――
 
「たわばっ!」

「ぴえらっ!」

「もぶちっ!」
 
次々に破裂していくモヒカン男たち。
彼等の前に立つのは胸に七つの傷がある男っ!
部下を殺され、怒り狂ったジードが七つの傷の男に襲い掛かる!!

「貴様かぁ、俺の仲間をやったのはっ!」
 
その巨躯から繰り出される拳。
コンクリートの壁を容易に破壊しうる威力っ!
しかし、七つの傷の男の拳が更に疾かったっ!!
無数の拳がジードに炸裂するっ!!!

「貴様の拳など蚊ほども効かん――――そ、そんな馬鹿な、のっばぁぁぁぁぁ!」
 
ジードの肉体が木っ端微塵に破裂する。
七つの傷の男は口元をゆがめ、残りのモヒカンたちに笑いかけた。
 
 
 
 
 
 
 
 
                 『俺の名を言ってみろ』
 
 
 
 
 
 
 
   

24 名前:反逆者と呼ばれた 男:2003/07/07(月) 03:24

夜の廃墟と化した街
男が一人歩く
何かを求めながら彷徨いながら
手にする物は輝かしい栄光や勲章ではなく より強い者を求めて…
急に足を止める気がつけばたくさんの屍の山の奥まで歩いていた
古惚けたコンクリートの壁が崩れ落ちて来たその時
右脳を黄金の色を放ち奇怪な腕に変化していた 
そして男は叫びながら飛ぶ

「衝撃のぉぉぉ!ファースト ブリッド――!!」

古惚けたコンクリートの壁は跡形もなく吹き飛び
黄金色をした右腕の男が着地する

「へっ 殺風景な場所にでちまったもんだ・・・」.

25 名前:キャプテン・ディーゼル ◆DIESELGNyw:2003/07/07(月) 23:55

「うぃ〜〜っく」
ぷらぷらと、揺れ歩く巨漢がいた。
全身に時代遅れのディーゼル機関のようなものを張り巡らし、
時折吐く息は酒臭く、またガソリン臭かった。
 
「んぁ?ここぁどこだぁ?」
 
男の名は、キャプテン・ディーゼル。宇宙海賊にして、“ダークヒーロー”
宇宙でも最悪の男の一人であった。
 
「まぁ、いっかぁ〜うぃーーーっく」
 
酔っているディーゼルには、全ての道理が通じなかった。
心地よい鼾を立て歩きながら眠っている…。

26 名前:王天君:2003/07/08(火) 00:25

目が醒めると、見知らぬ場所に居た。

             ―――何処だここは?
  
  妙に角ばった均整の造形の建物・・・・・・・
                       爽快なまでにイライラする造りだぜ。

     どんよりと不健康な色に染まった空・・・・
                  俺好みの色してやがる
薄重く、カビ臭い空気。
                      懐かしくも胸糞ワリィ、退廃した妖気
   表通りから流れてくる、喧騒と光
               ・・・・・・ああ、気持ち良くも鬱陶しい 、 水差すんじゃねえよ

・・・・・・さっきから降り続く雨。
                 くくく、実にオレに似合いのヤな天気だぜ。

     天気。天。神界。魂魄。タマシイ。妖気。カビクサイ空間。暗クセマイコノ場所。

       ――――――そういえば、何故オレはここにいる?


起き抜けでごちゃごちゃな脳ミソが、ようやく働き出す。
オレはあの時確かに瓦礫に潰され、ハラワタぶちまけて―――――封神された。
魂魄が封神台に飛んだと思ったら、束縛が消えて、また力が復帰して――――――――ー

・・・気が付きゃコレだ。
手を試しに握って開く。肉体の感覚じゃなかった。今のオレは―――魂魄実体か?

・・・・・・・そんな事はどうでもいい。オレはここにいるんだ。
改めて見回せば、ここは裏路地らしい。どうも殷や周の時代じゃないらしいが。
そして何よりここは――――
懐かしくも、吐き気を催す。愛すべき、二度と近寄りたくない感じ。嘔吐するほどに酔える、血と妖気のニオイ。
そう。ここは――――
     
 “オレ”の第二の故郷。血腥い妖怪どもノ溜まり場。絶望と孤独と憎悪と狂気を育んだ――――あの封印牢にそっくりだ。
転移で帰るのはたやすいが―――――   
               何をバカなことを言ってんだ?オレは?
そうだ、せっかくオレはここにいる。動ける。
何よりここの、この饐えたような悪酔いするような妖気。
血のニオイ。邪悪なムード。クラさ。とどめに雨。ナニモカモがオレ好みだ。
そしてこう云う処は、他者をひきつける。同類だろうが、運のねぇヤロウだろうが。

「退屈だしな。ここは珍しいし少々居座るのもイイか」
湿気と雨水でべしょべしょの壁に寄りかかり、オレはオヤツ(錠剤)を貪り始めた。

27 名前:キャプテン・ディーゼル ◆DIESELGNyw:2003/07/08(火) 23:35

雨に降られながら酔っ払いが起きる。

「んあ?あー、いかんいかん俺ぁ寝てたかぁ」
 
フラフラと起き上がると、また何処かへフラフラと歩いていった。
 
“空中を”
 
(キャプテン・ディーゼル退場)

28 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/20(日) 23:53

http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1037976136/250
http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1037976136/256
(↑より続き)

(げしっと男を路地裏に蹴り込み、)

さて、おっさん。
何考えて俺のこと付け回してたわけか、教えてくれないかね。
俺は確かに他人のことをあれこれ嗅ぎ回る仕事だが、
あんたに付回される覚えは無いねぇ……

何を撮った? あれだけの写真じゃないだろう?

29 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/20(日) 23:58

>28
ま、俺としても荒っぽいのは好きじゃないのさ。

んだが、結構荒っぽい仕事にも関わるんでね。
俺はこれでも結構用心深いんだよ……

30 名前:王天君:2003/07/21(月) 00:05

ふらふらと入り込んできた酔っ払い(>>25>>27)は雨の中、
ぐーぐーイビキかき始めたと思ったら起き上がり、“空を”ふらふらと歩いて出て行きやがった。
一瞬理解に苦しんだが――――


・・・・・・まぁ雲霄三姉妹も似たようなことやってたから、別にイイか。

そんなくだらねぇ事を考えながら、大ダニをクッションにして“オヤツ”(錠剤)をぼりぼりやってると―――

>>27-28
「さて、おっさん。何考えて俺のこと付け回してたわけか、教えてくれないかね。
 俺は確かに他人のことをあれこれ嗅ぎ回る仕事だが、あんたに付回される覚えは無いねぇ……

 何を撮った? あれだけの写真じゃないだろう?」

・・・・やれやれ、こんな時代にも揉め事ってのはあるもんだねぇ・・・・・ククク。
俺は起き上がると、赤いジャケットのムキムキした―――妖気を感じる。こいつも妖怪だろう――に声をかけた。
「オイオイ・・・・・・おだやかじゃねェなぁ。
 ズイブンと楽しそうにしてやがるが、どうしたんだよ?」

31 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/21(月) 00:10

>>29
私はシオン・エルトナム・アトラシア。
この物騒な街を訪れたのは、吸血鬼のサンプルを欲したから。
 
その機会は、さっそく訪れたようだ。
運が良いのか、悪いのか……………
 
感染源不特定類吸血鬼――――『ロング・ファング』 
 
この存在に人間が出会う事が幸運である事は在り得ない。
あの人間にとっては不幸以外の何物でも無いだろう…
 
だが、私のとっては――――――幸運である。
まずは情報収集、そこから展開式をお膳立てし、未来を読む、
私の目的を果たす、最良の展開を。

32 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/21(月) 00:21

>>30
なんか邪魔が入った。
どうでもいい補足をしておくが、俺の今の外見は赤いジャケットにブーツ、サングラス。
185センチの長身のわりにゃ威圧感は無い。筋肉質であっても脳筋でわない。
何故補足を入れたかって? 聞くな。

……コホン。

「楽しそうに見えるかいよ」
 一つ肩をすくめ。

「俺はこの、物好きなピーピング・トムを問い詰めてるわけだ。
 あんた、暇そうだな。いっちょ脅しつけてやってくれよ」

我ながら趣味悪し。

33 名前:ビリースレ名無し250:2003/07/21(月) 00:22

>>28>>29
(脂汗を流しつつも、下衆っぽく不敵な笑みを浮かべて)

へへ……

ビリー龍・D層505番街に事務所を構える私立探偵。
最下層が絡む仕事にゃ定評があるが、その過去は一切が謎。

ろくに仕事もない貧乏探偵が暗黒街の顔役たちともお友達…ってのも変な話だろう?
何かあると思って嗅ぎ回ってみたが……どうやら当りだった様だ。

34 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/21(月) 00:30

>>30
本当に物騒な街だ…
 
張り巡らしたエーテルライトから周囲の情報を引き出す。
少なくとも十日以上、あの『何か』はこの街に留まっていたようだ。
 
エーテルライトを直接脳に接続して情報を引き出すまでも無く…
 
アレが纏う雰囲気は―――
        
                『狂気』 
         
                     ―――だたその一色で染めれていた。
 
「………厄介な」
アレが人で無いのは解かる、吸血鬼でもない。
だが、今この状況で重要なのは、この状況に対応できる能力があるかどうか?
 
>>32 >>33
恐らく彼は死ぬだろう。
このままの状態で助かる可能性は極度に低い。
 
だが、彼が『ロング・ファング』の何を知り、ここに居るのか…
私も興味が在る。
 
当然――――――彼の生死に関係なく。
だから、介入し状況に対応する事を優先した。
 
「あなた方の遊びに興味はありませんが、その人に用があります」
 
腰の銃――――概念武装を確かめながら。
 
「私に渡していただけますか?」
 
心にも無い、台詞を吐いた。

35 名前:王天君:2003/07/21(月) 00:39

>>32
ゲタを預けられちまった。
せっかくこの時代の妖怪の手並みでも見ようかと思ったわけだが、当てが外れたなァ・・・

「やれやれ、『脅しつける』ねぇ…………
 脅すも何も、いったいなんで揉めてんのか聞かなきゃ話にならねぇな。
 まずはあんたが男に何をつかまれたのか、聞かせてもらおうじゃねぇかよ。ククク…」
ゲタを突っ返す。
おとなしく履いてくれればよし、ダメでもこいつのドキュソな話を、“こいつの口から”聞ける。
ああ…ヤロウの顔がどう歪むか見るのも、悪くねぇ―――

>>33

・・・と考えていた矢先、連れ込まれたヤロウはなにやらべらべらと喋り始める
内容は――――オレが“赤ジャケットの口から”吐かせたかった内容そのまんまだった。
チッ、面白くねぇことにしやがって・・・!

「つまんねぇ事してくれんじゃねぇか、アンタ。ええ?
 オレの楽しみ、どう落とし前をつけてくれるつもりだよ?オイ」
へたり込んだ男の顔面に足をかけ、グリグリしながら言い放つ。
オレの楽しみを奪ったんだ。どうやって罰しようかねぇ。
紅水陣で生きたまま溶かすか、それともダニに精を吸い殺させるか・・・・・・どの道、ただじゃ殺さねぇ。

36 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/21(月) 00:43

>>33
(にたにた)

あ、そう。

今まで俺は、そういう馬鹿に大体三つの対処をしてきた。

一つ、口止めして返す。
二つ、こっぴどく脅かして街から追放する。
ま、言って聞きそうな相手ならこれで十分だわな。

で三つ目。……(にやにや

なぁ、あんた、本当に俺の正体知りたい?
別にたいした事実があるわけでもねーんだが、
知りたいってんなら教えてやってもいいんだがなぁ……

>34
おや?

いや、遊んでるわけでも無いんだがね。
こっちの用が終わるまで待っちゃくれないか?

なに、すぐ終わるさ。

37 名前:王天君:2003/07/21(月) 00:52

>>34
そんな事を考えていると、不意に横手から女の声がかかる。
妖怪にしちゃやけに中途半端な気だ。半妖か何かか、このアマ?

「あなた方の遊びに興味はありませんが、その人に用があります。私に渡していただけますか?」

ははぁん、コイツは正義感に駆られてこんなことでもしてるのかねぇ?
少々イラついた。奴を―――――
オレと交換で人質にされながら、育ちのいい坊ちゃんにしてもらったあのクソ野郎を思い出したからだ。

「お嬢ちゃん、こんなところで正義の味方でも気取ってるつもりかよ?
 渡してくれ?ああ・・・・・・
 
 ――――ミイラでよけりゃな。
 それとも、赤い水のほうがいいか?」

渡すのは別に構わねぇが、さすがにちょっとイラついたわけだしタダじゃ渡さねぇ。
このお嬢ちゃんがあの王子様みたいな性格なら、アイツみたいな慌てる顔も見てぇ。
そう思いつつ、言ってやった。

38 名前:ビリースレ名無し250:2003/07/21(月) 00:54

>35
突然の闖入者二人。
そのうち、顔色の悪い餓鬼の方が俺に凄んでいる。

所詮は子供……と安直に舐めてかかるようじゃ、
ヘキサの暗黒街で生きていけない。
直感で分かる。こいつは明らかにヤバイ。

…いや、こいつだけじゃない。
ビリーの奴も含めて、こいつらは三人が三人とも――


(これは……流石に逃げた方がいいか?)
(いや、うまく立ち回れば…)
(ああ、ちょうどいい具合に女と餓鬼がぶつかりそうだ…)

39 名前:ビリースレ名無し250:2003/07/21(月) 00:55

>36
(一瞬怯んで)

…あ、ああ……是非知りたいねぇ。

…だが、その前に一言忠告しといてやるよ。
てめえの女はしっかり見張っといた方がいいぜえ?
俺みたいな悪い奴にさらわれちまうからな。


――なあ、仲良くしようや?

40 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/21(月) 01:02

>>36
「私の用もすぐに終わります、
貴方の協力があれば――――何の問題も無く」
 
この人間に興味は無い、残念ながら助けるには状況が悪すぎる。
だが、彼の所有する情報は、『ロング・ファング』に対する交渉の
材料にはなるだろう。
 
エーテライトは人体に触れると相手の神経に介入し、新しい神経となり
相手の思考を読み取り行動を支配する。
接触は一瞬でいい――――それで必要な情報は全て読み取れる。
 
>>37
「正義? その様なあやふやな概念に興味はありません」
 
現在の私にそんな余裕は無い。
いや―――最初から正義など気取る錬金術師など存在しない、
私達が至上とするのは合理性―――それだけだ。
 
「だから――――」
 
すばやく、250の人間の頭部にエーテルライトを接続し情報を引き出す。
ミクロン単位の繊維を認識できるものは居ない筈だ。
 
                   「―――私の欲しいのは情報だけです」
 
情報収集完了…、しかし、これは…、本当に………、価値があるのか?

41 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/21(月) 01:07

>>39
(ついと近寄り、襟首を右手で掴んだ)

そうは見えないかもしれないが、な。
俺はあんたに女の扱いについて、とやかく言われるほど若くねーよ。

(さりげなく肩に手を回しながら)
仲良くしよう、か。
なあ、あんた、あんまり頭良くないな。

仲良くしたいんなら、余計なこというんじゃねーよ。
(首に腕を回してヘッドロックな体勢に)


(誰か止めに入らないとボッキリいくぞー。入らないならそれでもいいけど)

42 名前:”星詠みの”エスハ ◆ESHA7V6G.M:2003/07/21(月) 01:08

(・∀・)ニヤニヤ

こう、もっと血みどろで、肉を裂いて、骨を砕いて、
グロテスクで、失望と絶望が支配する、そして
歪んだ真っ暗な愛をブレンドした物語にならないかな。

43 名前:ビリースレ名無し250:2003/07/21(月) 01:08

>40
(エーテライトで思考を読まれる)

44 名前:王天君:2003/07/21(月) 01:13

>>38-39
オレに顔をグリグリされている男は、オレたちにビビリながらもオレの靴の下からなにやら喋っている。
赤ジャケのオッサンになにやら凄める要素でもあるらしいが、
ひょっとこの面が失敗したようなツラでしかも裏声じゃ、カッコも何もあったモンじゃねぇな。
さて、どっちの方法で殺すか―――

>>40
そんな事を考えていた矢先、女の指から何かが伸びるのを感じた。
これは――――糸か?
男の頭にくっつけて、何かを吸っているみてぇだ。
気にくわねぇ、勝手なことをしやがって・・・・・・!

「行け」

ぽつりと呟く。
あの糸はどうやら宝貝だ。なら、上等な精気が吸えるかもなぁ・・・・腹いっぱい吸って来い、テメェら。
オレのごく小さな号令に従い、オレの使役するダニが糸を伝い、女の方に向かう。

45 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/21(月) 01:15

>>41
>>43
浮気?
……………ナオミ?
吸血鬼が人とともに生きている?
確かにそれ自体は極めて特殊な事例だが…
サンプルとして価値があるのだが……
 
「…仲良くしてください、その人のもつ情報に、これ以上の興味はありませんから」
 
残念ながら、救う手立ては無く、救う価値は無く――――――
既に未来は確定したようだ。
 
「一つだけ忠告です―――はったりの使いどころが間違っています」
 
彼の来世にこの忠告が意味を持つ事を…………祈らない方が幸せなのかもしれない。

46 名前:王天君:2003/07/21(月) 01:18

>>45
女に意識を集中している間に、今度はオッサンが先の言葉にカチンと来たのか、
勝手に男をオレの足の下から引っ張り出した。
腕に首を回して、へし折ろうとでも言うのか?

「ハッ、短絡的で芸がねぇ・・・・・・この時代の妖怪はこの程度か?がっかりだぜ。
 オッサン、殺したいんならオレに譲れよ、そいつ。
 そうすりゃオレのオモチャとして、もっと楽しく始末してやれるがな・・・・・・くくくく」

47 名前:王天君:2003/07/21(月) 01:19

(レス番ミス。>>46>>41あてだ)

48 名前:ビリースレ名無し250:2003/07/21(月) 01:19

>41
……ゲ、ゲホッ
も、もうちょい冷静に話が出来るかと思ったんだがな……


(送信機を取り出す)

いいのかい? 俺がここから部下に指示を出せゃ…
明日にはあんたの事務所に素敵なプレゼントが届くことになるぜ?

おっと、送信機を奪おうとか、俺を手っ取り早く殺しちまうとかも無駄だぜ?
俺からの連絡がなくなった場合も同じことをするように言ってあるからな。


>45>46

…………。

49 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/21(月) 01:28

>>46
まー、それでもいいんだけどなぁ。
俺、あんまり拷問て好きじゃねーんだよな。
あんま譲る気しねーよ。悪りーな。

>>48
…………(送信機をひょいととりあげた)

(声色を作って)
「た、助けてくれぇ。殺されるーー。5742街8356番地……(ぶつっ」(スイッチを切った

さて、助けにくるかね。いや、こなくてもいいさ、調べりゃ分かるこった。
(溜息を一つつき)あんた、俺のこと甘く見てないか?

…………まあ、人のことは言えないがねぇ。
あんた、下衆だな。

(ごききっ)

50 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/21(月) 01:31

>>44
エーテルライトを伝い小型の昆虫が進んでくる。
どんなに小型であっても、周囲の全てを知覚する触覚そのもである、エーテルライトに
這わせては意味が無い。
 
>>48
あまり善良とは言えない人間だとは思っていたが………
予想以上に、手段を選ばない人間らしい。
彼の言っている事の真偽を読み取る事も出来たが、それ以上に役立ってもらう
事にする。
 
つまり、250の人間が突然ダニに掴みかかる。
本来の使い方ではないが、他者への侵入を可能とするエーテルライトの使い方の
一つだ。
 
未来亡き者の有効な再利用――――――彼にはそう納得してもらおう。
(エーテルライト切断)

51 名前:弓塚さつき ◆PXROOKIEj2:2003/07/21(月) 01:46

 
 ――血を啜る。
 
 ――命を啜る。
 
 残るのは一握の灰とわずかながらの充足感、そして、締め付けるような後悔。
 けれど、わたしはこうするしかない。
 生きていくために殺すのは悪い事じゃない、ずっとそう言い聞かせつづけて………
 
 わたしの手は赤く濡れている。
 これまでも、そして、これからも。
 
 
 路地裏から表の通りに出る。
 こんな身体になるまでは思いもしなかった。
 夜の帳が降りただけでここまで町は容貌(かお)を変えるという事実を。
 
 思いもしないものが彷徨い、喰らい、蠢く、そんなせかい。
 ――――それが今のわたしの棲まうせかいだ。
 
 
 そして、当てもなく町を彷徨う。
 特にやることも無い、食事はもう済ませた。
 ただ、こうやって無為に時間を過ごすだけ。
 
 ――――そんなわたしの視界に明らかに異質な、ひととは異なる雰囲気を持ったモノたちが……

52 名前:王天君:2003/07/21(月) 01:54

>>50 
女はオレの放った蜘蛛が糸を這うのに気付き、糸を切った。
ハッ、懸命なこって。
だがな・・・・・・・オレはすでに何日もここに潜んでたんだぜ?
オレのペットだって当然、大繁殖状態。産めよ増やせよ、ってか?くくはははは!


――――ダニがそんだけだと思ったら、大間違いさ。

(シオンの足元に、すでに数百匹からなるダニの群れが集まり始めている)

>>48-49
男は赤ジャケに、けなげにも人質作戦による解放を持ちかけたようだ。
ケッ、小悪党の発想もいいとこだな。
その後のオレと女の発言にビクつたようだが、もう興味ねぇ。
どうせ、こいつはここで死ぬんだからなぁ・・・・・・

案の定。
男はオレの提案を蹴ると、返答も待たずに男の首を折りにかかる。
このまま行くと非常に面白くねぇ。死体をいびってもつまんねぇンだよ・・・・・!

「決定、だな。
 ――――宝貝、“紅水陣”」

オレの姿がかき消える。
路地の、男二人の居る空間を中心に数メートルがタタミ一畳分位の広さの、赤い半透明な直方体に包まれる。
そう。この直方体こそ、オレ自身。オレに都合のいい空間。
自分で作り出した、ポジティブな閉鎖空間。外も見えて条件は十分だぜ、お客さん?

『どうせ殺すなら、ここでデスマッチでもやってくれると嬉しいんだがなぁ・・・。
 ホラ、見てる方も楽しいし』
オレの言葉と共に、四角い限定空間内に霧が満ち始める。
強い酸性を持つ、オレの血である、赤い霧が。

(脱出は簡単だ。力場の壁はあるが吸血鬼レベルなら楽にぶち破れるので出たかったらご自由に)

53 名前:ビリースレ名無し250:2003/07/21(月) 01:55

>49>50

⊂⌒~⊃。Д。)⊃

(自分の身体が王天君のダニに掴み掛かっていくのを呆然と見つめつつ)

あれは……俺?
お、俺は……死んだの…か…?

(早速、雑霊が霊気を吸いに寄って来る)

……な、なんだよ、お前ら……って、お前は俺が殺した……そっちの奴も……?

どどど、どうしたんだよ、そんなに恨めしそうな顔して?
「生前」はあんなことがあったけどよ、お互いこうなっちまった以上は
仲良くし――――!!

…い、痛え……

ヒ、ヒイィィィ――
く、来るな……来るなああああっ……!!

(喰われますた)

54 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/21(月) 02:13

>52
 不意に周囲の空間が歪み、俺を包もうとした。
 それが完成される前に、隙間に腕を突っ込む。引き剥がし、引きちぎった。

 死骸を落とし、広がった隙間からひょいと外に出る。
 刹那、滲み出た赤い霧がジャケットの裾にかかり、それを溶かした。

「喧嘩売ってんのかい、あんた」


55 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/21(月) 02:25

>>49
骨の砕ける鈍い音――――――思わず顔を背けそうになる。
 
いまさら同情する気は無い、ただ吸血鬼の本性―――残虐性を再認識
させられた事の不快感。
 
「人と共に生きているといっても、所詮吸血鬼ですか…」
 
そんあ言葉が漏れた。
 
>>52
そしてそれ以上の無茶攻撃を繰り出した来た。
『ロング・ファング』を閉じ込めた紅い結界。
足元に際限なく群がる、ダニの大群。
 
ここが勝負の分かれ目だろう。
分割思考開始――――――
 
        No,1 『ロング・ファング』行動シュミレート―――開始
 
    No,2 結界性質情報収集―――強酸性液体
 
          No,3 ダニ分散範囲測定―――周囲10メートル四方
 
  No,4 結界破壊強度測定―――バレルレプリカにて破壊可能
 
No,5 総合シュミレート開始―――終了 
 
                     No,6 最適生存行動選択―――成功率6割
 
                 No,7行動開始
 
腰からバレルレプリカ(対吸血鬼用の銃)を引き抜き、結界から逃れた
『ロング・ファング』の肩を踏み台に跳躍――――――
 
同時に、結界へバレルレプリカフルトランス!!
 
結界から噴出した、大量の強酸性水溶液がダニを押し流すと同時に
自ら吹き飛ばした結界の中心に着地。
 
ここが唯一の安全地帯――――――少なくとも計算上は。

56 名前:王天君:2003/07/21(月) 02:29

>>54 
男は器用にも紅水陣の完成前に隙間に手を突っ込んで、陣をこじ開けて脱出した。
少々痛かったが、それよりもオッサンの手並みに驚かされた。
くくっくくく・・・・・なかなかどうして、この時代の妖怪もやるもんじゃねぇかよ。

陣内に残された男の体を見る。
すでに事切れていたのは、霧から雨に変わり、男の体を溶かす雨に無反応なのを見れば明白だった。
「あーあ、つまんねぇな。つまんねぇが・・・・・アンタの手並みで帳消しだ。やるなぁアンタ」
「喧嘩売ってんのかい、あんた」

赤ジャケは少々御立腹のようだ。なんでだ?
―――ああ、お気にらしいジャケットが溶けてら。あれか。

「ククク・・・・ワリィワリィ。退屈してたんでデスマッチが見たくなっただけさ。
 喧嘩だって?あいにくオレは肉体労働は専門外なんだよ。はは・・・・は・・・ははっ!」

>>51
そこへ、また新たな妖気。
ツインテールの髪にミニスカ、血にまみれたカーディガンとシャツ・・・いや、全身。
どっから見てもその女は、女子高生だった。血まみれなのを除けば。

「ほらよ、新たなギャラリーも来たみたいだ。泥臭いのはナシにしようぜ」
食って掛かる赤ジャケのオッサンに、昏い笑いを浮かべつつ、オレは応えた。

57 名前:SION/BgiR.:2003/07/21(月) 02:30

To Be Continued…

58 名前:あらいぐまラスカルnガンジス☆弐式:2003/07/21(月) 02:33

街の中に流れるガンジス川………
http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/1040318553/209-214
 
 
 
 
      ⊂⌒**~⊃*Д。)⊃
 
           ↑
        ラスカル(死体)
 
梅雨は過ぎ、迫り来る猛暑。
悠久の流れのガンジス川はラスカルを体育倉庫から街へと運んできていた。
しかし、何も変わらない。
一番会いたい、スターリンクには会えずただラスカルは流れていくのみ。
そんなラスカルの濁った目に映るのは………
>>52 >>53 >>54
――――無益な争いを繰り返す者たち。
 
何で、こういう風に争うだろう、とラスカルは思う。
人とアライグマでも分かり合えるのに………
同じ人同士、化物同士で分かり合えないことはあるだろうか?
 
しかし、ラスカルは思うだけで何もいえない。
 
 
 
                          ――――ラスカルは死体だから

59 名前:王天君:2003/07/21(月) 03:07

>>56
オッサンをなだめ(笑)つつ、女子高生に視線を移そうとした矢先――――
ダニをけしかけた女がぶっ放した宝貝の銃弾が、さらに紅水陣の根元を大きく砕く。

『痛ぇっ!・・・・・・あぁ?』
見れば陣の隙間から紅水が流れ出し、女の足元に居たダニどもを灼きつぶしていく。
そして女は・・・・・紅水陣に開いた大穴めがけて飛び込んできていた。

「ククク・・・・くはは・・・は・・・ははははは!それが狙いか!
 ――――実に面白ぇよ、そして痛ぇじゃねえか。あんたがた」

一声笑い、苦情を吐き捨てると、紅水陣を解除する。
辺りに流れ出してダニを灼いていた紅水と、
空間の仕切りである紅い壁が嘘のように消え、オレは実体を取り戻した。


ああ、こんなに狂った楽しみができるのはどのぐらいぶりだろう・・・・・・・

60 名前:ルイ・サイファー:2003/07/21(月) 11:57

(三者の争う中にふらりと闖入してきた青年)
(上物のスーツに身を包み、ロングの金髪。何より異彩を放つのは、右赤左青のオッドアイ)

いや、これはとんでもないところに出くわしてしまったな。
怯えたほうがいいのかね?

61 名前:稲葉美守 ◆rPzuMxkNII:2003/07/21(月) 15:28

・・・・・・・・・・・・・・。
(物陰に隠れて三者の争う姿に釘付けになっている)

なんだよ・・・・なんなんだこいつら・・・・・。

(弓塚さつきに目をやる)
しかもアタシと同じ位のヤツまでいやがる・・・。

くそ・・・学校の帰り道にとんでもない奴等に出くわしちまった・・・。

62 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/21(月) 22:30

>>55>>56
 破裂した結界から酸が押し寄せ、俺は飛び退いた。
 飛んで来た飛沫を手で受ける。皮膚が焼けるが、構う気はしない。

 俺の肩を蹴って飛んだ女をちらと振り向き、
 視線を前に戻せば、馬鹿を抜かしてやがるガキが一人。

 舌打ちを一つ。

 死骸がどうなったかといえば、溶けちまってた。
 ああ、殺しの現場を見られたという感は無い。
 こいつら皆、同類だ。なにしろ、動揺のかけらすら無い。
 
 俺はもう一度ガキに目をやった後、周囲を見渡した。
 
――やれやれ、人が増えてやがる。
 俺はガキを無視し、後から来た二人に声をかけた。
 
「いい夜だな、お宅ら」
 我ながら、白けた台詞だ。

63 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/21(月) 22:56

>>58
カット――――――
アレは、異界の存在だ、気にしてはならない。
 
思わず――――全弾を撃ち尽くしたくなる衝動を押さえ…
全力で無視した。
 
>>59
吸血鬼にも、独自の固有結界を持つ高位死徒が存在するが…
恐らくコレは違う―――だが、危険度は同等だ。
 
目の前には『ロング・ファング』の背中、その先に狂気が人型を成したモノ。
私の目的は、サンプルの奪取―――ならば今はこれ以上の戦闘は無意味だ。
だが…
 
>>62
視線を移せば、新たな人影が二人…
 
『いい夜だな、お宅ら』
 
白々しい台詞だ、目の前の狂気、背後の私を何とも思っていないのか…
或いは『ロング・ファング』は戦闘を望んでいないのか…
 
可能性はある、先ほど読み取った情報からは彼は現状の生存環境の維持を望んでいる。
ならば…
 
>>59
「見ての通りです、これ以上の戦闘は―――二対一になりますよ」
 
『ロング・ファング』の背後から銃を構える姿…ハッタリではあるけれど…
彼次第で、狂気の塊への抑止力にはなるだろう。
 
もっとも最悪の場合を考えて、『ロング・ファング』へも照準をつける用意は怠らない。

64 名前:ボルフォッグ:2003/07/21(月) 23:12

「おかしい、、素粒子Z0を感知したのですが、、」
「ハッ!何です今のは!?、、!ゾンダー!!やはり、、見つけました」
「ガンドーベル!、ガングルー!」「三位一体!」
ビッグボルフォッーグ!

65 名前:王天君:2003/07/21(月) 23:26

>>62
オッサンはオレの“弁明”に舌打ちすると、辺りを見回した。
どうやら、オレの言葉で周りに新しい闖入者が居ることにでも気付いたのだろう。
オレから視線をそらすと、その場でも取り繕うように

「いい夜だな、お宅ら」
などとほざいている。その姿少々マヌケだぜ、おっさん。

「おいおい。妖怪の分際で、しかも今さら目撃者の心配か?
 一応死体のアフターケアはこっちでやったんだ。問題は一つ消えたから安心しなよ」
まぜっかえすように、オレは言う。
そんなモンで安心しろと言うな?知るかよ。

>>60-61
ふと、さらに増えた二人のギャラリーの気配に意識を移す。
片方、スーツの野郎は・・・・・・コイツも只者じゃねえな。妲己に匹敵する器じゃねえかよ、くく・・・。
もう一方、こっちは・・・・ただの人間か。
「―――ああ、ビビった方がいいかって?それはあんたの度胸次第だがな。
 それからそこのネエチャン、死にたくなけりゃさっさと帰った方がいいかもなぁ・・・・・・
 こういったトコに入った時点で、どんな目にあっても文句はいえねえワケだしよ」

>>63
それだけいうと、視線を移す。
見ればさっきの宝貝(パオペエ)のお嬢ちゃんが、警戒するようにこっちに宝貝銃を向けている。
「オイオイ、つれねぇなあ・・・
 さっきも言ったとおり、オレって肉体労働は趣味じゃねえんだよ」
昏い微笑を湛えながら、銃を構える女の方へ歩く。
ゆったりと。緩慢に。

66 名前:ヴァージニア・ナイン ◆25Asc/HirA:2003/07/22(火) 00:41

           |
           |∧
           |Д゚) コソーリ
           |⊂
           |                    
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

67 名前:喪黒福造:2003/07/22(火) 13:18

おやおや、随分と騒がしくなってまいりましたなあ
どうもこの街に来る方々は暴力的な傾向の人が多いようですね……
平和を愛する私としては荒事は御遠慮願いたいところです
世界は一家、人類皆兄弟、アイは地球を救うと申しますからな
人間平和が一番ですよ……

ああ失礼、人ではない方も多くいらっしゃいましたね 
私にとってはどうでもよいことですが  

さて、とばっちりを受けないうちに私はお暇するといたしましょうか
それに最近は不況のせいかお客様の数が増えておりましてね
お客様をあまり長くお待たせするわけにはいかないのですよ
さて、次のお客様は……
 
 
 
……あなたかもしれませんよ
 

 
ホーッホッホッホッホッホッホッホッホッ…………

68 名前:ルイ・サイファー:2003/07/22(火) 16:09

>>62 ビリー・龍

「いい夜だな、お宅ら」
赤いジャケットの長い牙の男が言った。
「そうだね。永久(とこしえ)に闇を歩かねばならない私達にとっては、良い夜だ」
私はそう返してやった。
「こんな現場に出くわしてしまったからには、穏便には済まないだろうねぇ」

>>65 王天君

「―――ああ、ビビった方がいいかって?それはあんたの度胸次第だがな」
病的なまでに飢えた目をした少年が言う。
「はは、度胸か。そんな言葉久しく忘れていた。だが……」
両目を軽く細める。
力の一端を解き放つ。この程度の相手に真の姿を見せるまでもない。
力あるものには見えるはずだ。
私の背中に――――
六対十二枚の漆黒の翼が。
「“見られたからには死んでもらう”なんて言われては困るのでね。
 降りかかってしまった火の粉は払うとしよう」

右手に力を集め――
「メギドラオン」
青白い光球が放たれた。

メギドラオン:万能系魔法の全体攻撃版。どんな属性の相手にも均等にダメージを与える。
       (たとえ相手が魔法を反射したり無効化できようとも、ダメージを負う)

69 名前:稲葉美守 ◆rPzuMxkNII:2003/07/22(火) 17:32

>>65天王君
「それからそこのネエチャン、死にたくなけりゃさっさと帰った方がいいかもなぁ・・・・・・
 こういったトコに入った時点で、どんな目にあっても文句はいえねえワケだしよ」

三人の内の一人の少年が言った。
ばれてる、完全にばれてる。
こっちは完全に隠れてるのに・・・・。

―――やっぱこいつら普通じゃないな。

とりあえずここから離れたほうがいい。美守はすぐに判断した。
幸いあの三人は美守の事をただの人間と思い込んでいて美守の
正体には気づいていないようだ。

――――じゃあお言葉に甘えて

美守は忍び足でここまで来た方向に戻りしばらくいった後、駆け出した。

―――だれも追いかけてくるなよ。あたしの正体に気付くなよ。

元来た方え向け駆けてゆく美守。その頭には二つの長い物

―――黒いうさぎの耳が生えていた。

70 名前:王天君:2003/07/22(火) 17:40

両手を広げ、無抵抗な雰囲気をアピールしつつ女の下へ歩み寄る。
ゆっくりと。緩慢に。

>>68
―――そこで、さっきの只者でなさげな
金髪の野郎の妖気が膨れ上がった。
やれやれ、荒事は好みじゃねぇってさっき宣言したばっかなのによ・・・・・・

スカした男の手から、青白い光の玉が飛ぶ。
―――――ありゃ、術か。しかもかなり高位の。
もしかしたらオレって眼福なのかもなァ・・・・・・?……くくはは…は…はは。

スーパー宝貝に迫るだけの力を持っているのは明白だ。
破壊力満点、速度も十分。こりゃ防御も無意味かもなァ……

「―――――しかしなぁ」
向かい来る光弾に手をかざす。
金髪が飛ばした光の球の直前の空間に、そこだけ漫画のページを切り抜いたかのような、四角い穴が顕現する。
光がその中に飛び込んだのを確認し―――――

「・・・・どんなに、強力でもよ」
開いた手を、ぎゅっと握り締める。
それに連動して、“空間に生まれた欠落”が瞬時に縮み――――――――

「当たらなきゃ、意味がねえ」
“ページの切り抜き箇所”とでも言うべき空間は、消えてなくなった。
飲み込んだ光の玉ごと。
跡形もなく、痕跡も残さず、それこそ虚言のように。

(メール欄参照)

71 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/07/22(火) 22:22

>>68
――なんか変なのが来た。
 やれやれ。

>>70
「興が削がれた。俺ぁ帰る。
 あと、よろしくな」

 ひらひらと、やる気無さげに手を振って、俺はその場に背を向けた。

(退場)






…………
「ジニー。帰るぞ >>66


(今度こそ退場)

72 名前:シオン・TYPE-B ◆SION/BgiR.:2003/07/22(火) 23:15

>>65
ハッタリが見破られていると考えるより、純粋に自らの能力に自信を持っているのだろう。
戦闘になれば私が勝てる可能性は無いに等しい。
 
さて、どうすうるか?
 
この状況を打開するならば…
 
>>68
>>70
拙い、この状況は危険だ。
両者の能力は、私には対抗どころか抵抗も出来ない。
未来を予測し、最良の行動を取ったとしても覆せない確立には抵抗できない。
 
人が自らの終わりが『死』でると知っていても、それに抗えない様に…
 
「想定外要素が増えすぎた…」
 
未来を予測し、状況に手を加え、自らの目的を果たす。
アトラスの錬金術師は、成功する要素が揃わなければ実験を行わない。
 
屈辱だが、この状態でサンプルの、『ロング・ファング』の確保を強行するのは
無意味だろう。
 
しかし、最重要要素の反応は?
 
>>71
『興が削がれた。俺ぁ帰る。 あと、よろしくな』
 
彼は、奇妙なステップを踏むと、空間に溶け込むように消失した。
気脈に乗り、空間を移動する技術――――『縮地法』
 
張り巡らしたエーテルライトが、この場所より彼が完全に消失したのを確認する。
 
「……………身勝手な――――吸血鬼とはそう言うモノなのは知っているけど…」
 
目標が消えてしまっては、これ以上この場に留まるの理も、利も無い。
 
「残念ですが、この場は引かせてもらいましょう」
 
次は逃しませんよ、『ロング・ファング』。
貴方は私のサンプルなのですから――――――
 
>>68
>>70
両者の力が静かにぶつかり合った瞬間、身を翻し逃走に移る。
少々屈辱ですが、戦術的撤退――次への布石、そう自分を納得させ、
常闇の街を抜けるべく駆け出した。

73 名前:王天君:2003/07/23(水) 00:38

スカした金髪野郎の光弾を、亜空間に放り込んでやり過ごす。
そこまではよかったが―――――正直このキザから感じるポテンシャルは、オレの相手にするには余る。
いくら何でも、妲己かはたまた申公豹かと言うレベルの相手と
まともに戦りあって勝てると思えるほど、オレは自分を買いかぶった覚えはねぇ。

何かこの状況をひっくり返せる要素はねぇか。
そう思い、視線を周囲にめぐらす。

>>69
このキザと時を同じくして迷い込んだ女。ただの人間と思っていたら
いきなりウサギの半妖態を顕して、文字通り脱兎の如く逃げ出していた。

>>71 
ここでの不確定要素―――びっくり箱になるだろうはずだった、吸血鬼の赤ジャケ。
「興がそがれた。あとよろしく」などとやる気のない台詞を吐くと、
どっかに隠れていた連れのメスガキを呼び寄せ、煙のように姿を消していた。

>>72
オレに銃を向けていた、半妖のおさげ女。
オッサンの転移を確認すると、オレの空間操作の隙を突いて路地裏から逃げ出していた。


・・・・・・一対一かよ。

だが、ここが何時の何処だかわかんねぇとは言え、せっかく自由を得たんだ。
こんなところで再封神されちゃたまんねぇ・・・・・・おお、怖。
オレの意志に応じるように、オレの周りの空間に“切れ込み”が入りはじめた。
オレの空間位相がズレ、オレの体が“切れ込み”の向こう側にシフトされていく。

「ケッ、つまらねぇ事にしやがって。弄りがいのある連中も帰っちまったしよぉ・・・・・・
 ひとまずここは去らせてもらうぜ・・・・・・あばよ」

それだけ言うと、オレは空間のウィンドウを閉じた。
向こうから見れば、オレが枠ごと空間に融けるようにでも見えただろう。
さて、次は何処へ行こうか・・・・・・

(退場)

74 名前:稲葉美守 ◆rPzuMxkNII:2003/07/25(金) 16:19

しばらく走った後、美守は立ち止まった。
頭のウサギの耳を立て注意を払う。
誰かが追ってきている気配はない。

これからどうしようか。

75 名前:ビリー・龍:2003/08/12(火) 22:44

 仕事も片付き、することもなく夜の街を巡回して、しかしておもしろい話題に出会うことも無く。
 軽い物足りなさを感じながら、俺はこの区域に踏み入っていた。
 
 欲求不満といえば、まあ、それで間違いじゃない。
 無償に外的刺激に飢える時は、誰にでも――無論俺にも――あり、それが俺の足をこの地区に向けさせた。
 別に、刺激なんざなんでもいいんだ。
 酒場で馬鹿話でもいいし、喧嘩騒ぎでもいいし、美女とくればもっといい。
 そして、それが血の匂いに溢れていれば尚更良いと、そんなことを思っていた。
 
 だからだろうか。いや、無意識に血の臭いを探していたのだろうか。
 気が付けば俺は、微かな、すえた血の臭気を感じ取り、それを辿っていた。
 
 五分ほども歩いた後……
 俺は、今にも崩れ落ちそうな廃ビルの前に立っていた。
 周囲に人がいないのを確認すると、さして気負うことも無く、廃ビルに入り込む。
 
 
 誘われるままに階段を上り、三階へ。
 血臭は強くなる一方だが、別段警戒はしなかった。
 すえきった臭気はその血が、流れ出てから二日は経ったものだと物語っていたし、
 このビルには人の気配がまるで無い。
 ブーツとコンクリートがぶつかるかすかな足音だけが響き、
 俺は、半開きに開いたドアからその部屋に入り込んだ。
 
 そこは、とりたててなんということも無い部屋だった。
 会議用だったのか、フロアの半分近くを占め、もっともそれは遥か昔のことだ。
 なんだったのかすらも判然としない残骸、瓦礫……壁は地肌のコンクリートが剥き出しだ。
 
 その部屋で特異であると言えるのは、ただ一つ。
 
 黒い、染みだ。
 
 窓外からのわずかな間接光のみの部屋で、しかし、俺ははっきりとそれを見た。
 北側の壁から床にかけて、直径でいえば4mほどの領域に、それは広がっていた。
 痕跡といえばそれだけだ。他には何も無い。
 
 だが、それは、ここでかつて起こった出来事を容易く想起させるほどに、
 生々しく、その場の雰囲気を満たしていた。
 
(今回のコンセプトは、「血の匂いに惹かれて集まってきた人でなしどもが、殺人現場でお話」)

76 名前:文坂:2003/08/22(金) 00:56

>>75 ビリー・龍
 
 濃ゆいなと、先ずそう思った。
 ヘモグロビンくささ。要するに血臭。
 
 ヒールの音も規則正しく上って来た、このビルの三階での事である。
 足音を隠さないのは不味いけど、何だか今夜はそう云う小器用な真似が鬱陶しかった。
 もし誰かに見られたら、そいつも口封じの名目でバラせるおトク感を鑑みて、と云う事もあるが。
 で、こんな場末の廃ビルをうろついているのは仕事だからだ。
 私の職業は始末屋。ぶっちゃけ人殺し。
 
 私に出来る仕事って、これ以外じゃ風俗くらいなのよね。あれはあれで面白いけど、趣味と実益の
素敵な出会いと云ったら、やっぱりこっちには敵わない。
 いや、別にシリアルキラーとかじゃないけど、私は。
 兎も角そんなハッピーなビジネスライフにつきものの臭いが、このフロアには漂っていた。
 いっそ悲鳴抜きなのが勿体無い程だ。
 
 特に物音とかはしない。
 鼻腔を愉しませながら奥へと歩を進め、開いたままのドアの前をニ、三歩通り過ぎて、そのまま
後ろ歩きでニ、三歩戻る。ここだ。
 ひょいと中を覗いた。
 血の海が広がっていた。但し干上がった。
 
 同業者に先を越された――訳でもないようだ。血痕の乾き具合を見るに、直後ではない。
 じゃあその近くで突っ立ってる赤ジャケ、何なのかしら。
 暗いからよく判らないけれど、写真で確認しておいた標的とは似ても似つかない。
 でもまあ、いいかな。
 大体似てれば。

77 名前:文坂:2003/08/22(金) 00:58

>>76 続き
 
 男でも女でも、ヤってから殺るのが私は好きだ。
 尤も中々そうはいかない。お仕事の効率優先がプロと云うものだし。
 バラしてから“部分”で遊ぶと云う選択肢もそれはそれなりではあるのだが、今一つ物足りない。
 
 久々に愉しめるだろうか、今夜は。
 
 ぞくぞくしてきた。
 してきたので、背まで流した髪をかき上げ、赤ジャケ男へと精々コケティッシュに笑いかけてやる。
 何を云おうかと少し考え、何を云ってもチープになるような気がしたので、気が引ける位平凡に
「今晩は」とだけ云った。
 
 まあ、ご挨拶って概ね平々凡々なものだしね。
 四六時中気取った台詞を吐きたけりゃ、フィクションの世界に住めば良いのよ。

78 名前:サラリーマン風の男:2003/08/22(金) 05:06

 
 1センチ、2センチ――――5センチ……
 
 ……最近、爪の伸びが早い。
 わたしの中の衝動が抗いがたいモノになって来ている。
 
 誰も『爪』を伸びるのを止める事ができないように………
 持って生まれた『性』というものは誰もおさえる事ができない……
 どうしようもない…困ったものだ………
 
 
 
 わたしは車の中から通りを観察する。
 
 標的となるべき、殺したい女を――――――
 わたしの本性を打ち明たい女を――――――
 
 ……女が歩いていた、露出の高い服を着た『いかにも』な女。
 
 ――――あの女にするか。
 
       あの女にこの心の底を聞いてもらいたい。
       おまえのその細い首をこの手で絞め殺してやりたい。
       おまえのもがく姿を観察してみたい。
 
       おまえの、白く、綺麗な手首が欲しい――――
 
 
 ……女の後をつける。
 女はどんどんと人通りの無い方へと歩いていく。
 
 ――――好都合だ。
 これなら、案外長く楽しめそうじゃないか。
 『お持ち帰り』にするまで、案外、『一夜』を過ごせるかもしれないな、ふふ。
 
 
 
 
 ……女は廃ビルらしき建物に入っていった。
 
 妙だな……、こんなビルに住んでいるのか?
 それは少々、考えにくい。
 
 だとすれば、どういうことだ?
 このわたしに気づいているという事か?
 
 ――――わたしの勘が何か奇妙なモノを感じている。
 
 どうする?
 『万が一のトラブル』を避けて、引き返すべきか?
 
 いや、あの女が何であったとしても、このわたしに取っては害になりえない。
 もしもの時は何時もどおり、跡形も無く消せばいいだけだ。
 
 ――――何より、わたしはあの女を欲している。
 
       あの女の怯えた顔が見たい。
       あの女の怯えた声が聞きたい。
       あの女にわたしの爪を切らせたい。
 
 行くか―――――何があっても、わたしの正体さえばれなければいいのだから。
 
 
 
 
 ……女は3階の、とある一室に入っていった。
 入り口の陰から様子を伺う。
 室内は暗くて、よく見えないが――――鼻につくのは……血の臭い…?
 いや、嗅ぎ慣れた生々しい臭いではない。
 これは相当に時間が経った後の臭いだ。
 だが、しかし、こういう臭いが在るという事自体、此処の異常性を如実に現している。
 
 どうする―――――?
 此処が異常な場でも女1人なら、ねじ伏せる事は容易い。
 
 待て、慌てるな。
 見るんじゃない、観るんだ。
 聞くんじゃない、聴くんだ。
 まだ、決断には早い―――――十分に『確信』を得る必要がある。
 
 
 ……わたしは息をひそめじっと室内を陰から観察する。

79 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/08/24(日) 00:14

 別に何をするつもりも無いのだ。
 煙草は持っていたか、と俺は懐に手を伸ばした。
 喫煙だけでなく、中毒症とは縁が無いが……まぁ、一種の発作だ。
 おかげで、吸いたい時に煙草を持ち合わせている確立は五分五分といったところだった。
 
 ちなみに今日は――――ハズレだ、やれやれ。
 
 
 
>>77
 さすがに帰るつもりだった。
 あれこれと想像するにも、せめて肴がもうひとつ欲しいってもんだ。
 聞こえてきた足音は、見事なタイミングだったと言うしかない。
 女は、男好きのする笑顔を向け、それで「今晩は」と来たもんだ。
 
 俺は笑い返すしかなかった。
 あまりに場慣れした様に、同類のような雰囲気を感じ取っていたが、言わぬが華だろう。
 
「こんばんわ。仕事帰りかい、こんな遅くに?
 ……ああ、煙草もってないか? 切らしちまってね」

80 名前:文坂:2003/08/24(日) 02:00

>>79 ビリー・龍
 
「ええ、いいわよ」
 
 ハンドバッグを漁って煙草を出すと、私は男の方へ近付いた。
 ヘンな奴だ。
 こう云う時、こう云う場所で、しゃあしゃあとした顔で煙草をせびろうってんだから、どうにも
人を喰っている。
 近寄って薄明かりの中で顔を確かめても、すっとぼけた表情は何を考えているんだか窺わせない。
 
 先ず自分の分を口に持っていってから、はいと相手にも振り出した。
 
「セブンスターでよかったら、どうぞ。火も貸す?」
 
 取り合えず自分のにだけ火を点けて、私は紫煙を脇に吐いた。
 
「あ、そうそう。一つ訊いていいかしら。煙草代って訳じゃないんだけど。
 ――あれやったの、貴方?」
 
 流れて行く煙の方に顎をしゃくった。
 その先の床には、黒ずんだ臭いの元が広がっている。

81 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng:2003/08/26(火) 01:46

>80
 ありがたく煙草をもらって、文字通り一服した。
 紫煙を吸い込み、吐き出す。
 
 そうして、物怖じしない女だな、などと具にもつかないことを考えていると、問いがかかった。
 
「俺か? そんなタマに見えるかい?」
 しゃあしゃあと心外そうな表情を作って言って見る。
 
……あまりいい反応が得られそうに無かったので、肩をすくめて続けた。
 
「こいつは、もう二日は経ってるぜ。
 誰がやったかは知らんが……」
 
 ちょいと近寄って血溜りの後を検分してみる。
 血の臭気が鼻をついた。饐えきってはいたが、人の血の独特の臭みがかすかに嗅ぎわけられた。
 想像力を働かせれば、解体しつくされ、血液を絞りだされた肉塊を思い浮かべるのも、さして難しくも無い。
 
「ま、安っぽい刑事ドラマじゃ、犯人は現場に戻るというからな。
 ひょっとしたら、俺がやったかしれないぜ?」
 俺は後ろから覗き込んでいた女を振り返り、冗談めかして言った。

82 名前:文坂:2003/08/29 01:55

>>81 ビリー・龍

 もろ、そう云うタマでしょと失笑しながら男の肩越しに血の池を覗いてたら、急に振り返られて
ちょっと驚いた。
 で、赤ジャケ男は俺がやったかもとほのめかす。ノンシャランとした面で。
 この顔のまま仕事して、食事して、TV見てお風呂入って、或いは人も殺すんじゃないだろうか。
 それとも殺る時は別の顔なのか。私じゃ想像もつかないような。

 どっちにしろそう云うの、嫌いじゃないのよね。寧ろ好き。

「あら、その法則でいったら、私がやった可能性だって大きいじゃない」

 ンフフフフ、と思わず笑い声を含みきれずにこぼしてしまった。

「それに世の中の筋書きなんて、うんざりする位安っぽいものでしょ。――違う?」

 この血溜まりをこしらえたのは私じゃない。古いのは如何でも良かった。
 新しいのを作りたい。

 二日ほど前、ここで解体されたに違いない死体みたいに、この男を殺してみたい。
 大円筋や棘下筋や長掌筋や、腹直筋や大腿直筋や前脛骨筋と云った肉塊それぞれに切り分けて、
大皿の刺身みたいに並べてみたい。

 フツフツと、そんな欲求が昂ぶって来る。
 改めて、上から下までじろじろ男を眺めすかす。結構上背があるのね、こいつ。
 刻み甲斐がありそうだなぁと値踏みして、私はとても嬉しくなった。

83 名前:加賀元子:03/09/17 11:41

ttp://www.alicesoft.co.jp/akuji/chara/ch209.html (外見)

「なートコ、ちょっと頼まれてくれねーか?」
悪司は開口一番、私に言った。
「この先の廃ビルで殺しがあったんだってよ。本当は山沢とかが一番良いんだけどよ、
 今あいつ大杉と出はらってっから、頼むわ」
「わかったわ」
今の私は地域管理組合の一員。形だけでも、こういうトラブルには関わらなければならない。
組合の車両であるジープ(ハマーを思い浮かべて欲しい)を駆って、私は問題のビルに付いた。
車から降り、不測の事態に備えて、後ろ腰に仕舞ってある愛用の鞭を確認。

「ふぅ……」
じめじめと纏わりつく湿気を振り払うように髪をかきあげ、現場である三階へ。
そこで私は意表をつかれた。
誰もいないかと思われた室内に一組の男女が居たのだから。

84 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :03/09/23 02:46

>82
「なんだ、それじゃ、どっちが殺人鬼かわかったもんじゃねーな」
 女の漏らした笑い声に、俺も含み笑いで答えた。

 女が目を細める。
 撫でまわさすような視線に、背筋に半ば悪寒のような刺激が走った。
 快か不快か、その感覚は独特だ。

「……そうさ、なにしろ筋書きを書いてる奴が安っぽいからな」
 そうしてそいつは、安っぽい筋の上で踊るしかない俺たちを見て、笑っているのだ。

 俺は、ふと笑いを浮かべた。
 半分以上自嘲の笑みで、それでも笑いかけたつもりだった。

「それでも、たまには感謝もしたくなるさ。あまり、悩まないで済むからな」
 そう言って、さり気なく歩を進めると、俺は女の手を取った。
 抱き寄せればあとは、どうなるか分かっていた。
 分かっていて、どうなるものでもなかった。
 表に出さないだけで、脳の奥の、奥の部分でどうしようもなく昂ぶっている部分がある。
 こうなるべくしてなったのだと、言い訳にもならぬ思考が流れ――

 培養移植した犬歯が、鈍く、だが強くうずいた。

85 名前:加賀元子:03/09/23 11:45

胡散臭い男。
私が一番に抱いた感想がそれだった。

払い下げのものらしい真っ赤なアーミー・ジャケットにサングラス。
そして何より、犬歯にしては長い歯。まるで牙。
外見だけなら、そこらへんの若者のようにも見えるが――

何かが違う。

抗争の嵐を潜り抜けてきたから分かる。
軽薄そうなのは外見だけだ。
何か――人間を人間たらしめている何かが――決定的に違う。

しかし、一概に敵対するものだと思えないのは何故だろう?
警戒を僅かに解き、私は男に問い掛けた。

「あなた――ここで何をしているの?」


86 名前:名無し客:03/09/24 15:42

玉葱chのキャラネタ&なりきり板にも来てね。
2chと違って細かい規制も無いし、IPも取ってないよ。
もちろんかちゅ〜しゃ等の2chブラウザにも対応してるよ。

ttp://gungnir.versus.jp/charaneta/

87 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :03/10/09 00:39

>>85
 空気が抜けるように”それ”は抜けていった。
 俺(達)はさり気ない仕草で離れた。
 すり抜けていく手指は、ほとんど未練そのものだったが――――

 俺は、それを呼気とともに吐き出してしまうと、肩をすくめながら振り向いた。

「見てわかんないか? 逢引の最中さ」

88 名前:文坂:03/10/16 01:59

>>85 加賀元子
>>87 ビリー・龍

 ふんわりと、私は男から離れる。
 ぐだぐだ悩まないで済む快楽に身を委ねたかったけれど、おあずけ。
 ちょっとの間、ね。
 目付きのこわい女がこっちを見てるもの。あれを何とかするのが先でしょう。

 睨んでいるのか、元々そういう顔なのかは判らないが、兎も角何しているって訊かれても。
 ねえ。
 見てわかんないかと返す男に、うんうんと頷いた。

「そういう事。私達、“ナニをする”のよ、これから。――あ、私は見られてた方が燃えるから、
あなたはそこにいても構わないけど?」

 それとも混ざる? と嗤って、私はキツくて美しい女の顔をうかがった。

89 名前:加賀元子:03/10/20 11:30

>>87 ビリー・龍
>>88 文坂

「逢引の最中さ」と、赤いジャケットの男。
それに相槌を打つ女。
男のほうはともかく、女のほうにはあからさまな挑発の響きがある。
だから、私もこう返すことにした。

「こんな尋常じゃないところで?それとも、
 こういう所でしかヤれないほど倦怠な訳?」

微かに唇の端を吊り上げる。
と、此処でジャケットの男の違和感に気づいた。
サングラスの奥の瞳が僅かに大きくなっているのを。

身体の芯が疼く。
吸われたい。その牙で。
一瞬だけそう思った。
だがそれも一刹那。
その思考を無理やり押さえつけて、冷静を装う。

「悪いけど、私にそういう趣味はないの。屍姦なり眼孔姦なり好きにしたら」
私は二人に背を向けて部屋を出た。
これ以上いたら、元の場所に戻ってこれなくなる。
おそらくそれは正しいのだろう。
手のひらにべったりと脂汗をかき、
深奥の甘やかな疼きを強引にねじ伏せて。

90 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :03/10/23 00:09

>89

 惜しい、かね。いい線いってるが、ちょい外れだ。
「あいにくと死体と姦るのも目玉でやるのも趣味じゃないね……待てよ」

 放っておいて続きをやりゃ良かったんだろうさ、多分、な。
 だが俺は彼女を呼び止めた。
 まったく……そんなにあからさまに、化け物と目を合わせちまいました、って顔をしなくてもいいだろう?

 傍らの…くすんだ血痕をちらと見やり、ついでに”情事”の相手に目配せして俺は続けた。

「あんた、何か用があって来たんだろう?
 何も聞かず、何も見ずに帰っちまっていいのかい?」
 どうやって脅かしてやろうかと、軽く唇を舐めた。
 気の強そうな顔立ちをしているくせに、そんな怯えた表情を見せるのが悪いのだ。

91 名前:文坂:03/10/24 01:27

>>89 加賀元子
>>90 ビリー・龍

 舌なめずりする男の横顔。サングラスに隠れた眼も込みで、多分私も五十歩百歩な表情だ。
 の、筈なのに。
 こいつの顔を見てると、何だかこっちの産毛も逆立ちそうになるのは如何してだろう。
 同類だから? それともこいつは――何か上手く云えないけど“違う”から?

 異様な不安を殺し、私は両の親指に嵌めた指輪、先ず右の方から微細なきらめきを流し出す。
 私の大事なお仕事道具。そよ風に乗る程細くて、でも肉を裂く程鋭い鋼糸だ。
 コツがあるものの、私が振るえば簡単に人体をスライス出来る。ほら、深夜の通販番組である
でしょう。外人がオーバーアクトで「スゴイわマイク! この包丁の切れ味、デンジャラスよ!」
とか叫んでるやつ。あれみたいにね。

 ぶん、と右手を振るう。
 女が部屋を出ようとした正にその瞬間、ドア脇のコンクリ壁が滑らかに削れて落ちた。
 タイミングを見計らって、私が糸で斬ったのだ。拳大のカットなんてちょろい技よ。

「死んだのとは経験あるけど。目の方は無いわねえ、流石に」

 目の前辺りまで右手を上げる。垂らした斬線の細さを、彼女が見極めれたかは判らない。
 斬るのは手か足でも良かったが、いたぶる時は小出しの方が面白いから。

「こっちのお兄さんは趣味じゃないって云うし、それじゃあ愉しいオハナシが済んだらさ、それ、
私と試してみようか? 新しい自分を発見するのって、何時だって素敵な事よ」

 ああ――それなら先ず抉んなきゃだわ。穴が要るものね。

92 名前:加賀元子:03/10/24 15:01

>>90 ビリー
>>91 文坂

ドア脇のコンクリートが拳大に切断されて階下に落ちていった。
思わず振り向く。
赤いジャケットの男は、
「何も聞かず、何も見ずに帰っちまっていいのかい?」
と言い、
女のほうは、薄暗い部屋の中でうっすらと銀の煌きを放つ鋼線を見せる。

私は言った。これでも血と硝煙の嵐の中を潜り抜けてきたのだから、
今更こんな事ぐらいでは驚けないのだ。
「何も見ず、何も聞かないようにして生きるのは、裏通りを歩く人種の常識じゃないのかしら。
 それに私は現場の確認をしにきただけよ。事務所に報告する義務があるの」

二人はぽかんとしていたようだった。
その隙を突いて、改めて私はビルを出てハマーに戻った。
アクセルを全開にしてこの場から走り去りたかったが、一応、法定速度を厳守して私は事務所に戻った――

(退場)

93 名前:傷の男<スカー>:03/10/25 20:05

――――イシュヴァールの集落を発って幾数日。
襲撃に遭って負った重傷も既に癒え、再び己れは、国家錬金術師を狩る旅に出た。
全ては、故郷と同胞の復讐の為に――――――。


そして、当てのない旅を再開してから数日目。
己れは、とある大きな街のうらぶれた一角、人気のない一軒の廃ビルの前にいる。
特に此れと言って理由はないが、なにぶん指名手配の賞金首の身では、流石に大通りは歩けない。
自然、こういう場所へと足が向いてしまう訳である。

特に目星もなく、ふらりと通りがかったこの建物。
普段なら気にも留めずに通り過ぎるであろうこの特徴のないビルの、
しかしそれ故に際立つ一つのありうべからざるものが、己れの足を止めた。
―――血だ。

血の匂い。新しくはないが、そこに本来あるべきではない匂い。
こういうスラムの如き界隈では珍しくもないはずのものだが、何故かそれは己れの脚を留めた。
戯れか、好奇心か。
どちらともつかぬ考えの中、ビルの階段を上る。
三階まで上り、強くなった朱の匂いを辿り――――気がつくと己れは、その源の在る場へと行き着いていた。
そのフロアの空間は非常に単純、実に簡素。
装飾はおろか、部屋に置かれ、何らかの機能を果たすべき道具や家具の一切がなかった。

―――だがそれゆえに、その殺風景な部屋は異分子を際立たせる。
乾きかけた独特の酸臭――――その源であろう変色した血溜まりの跡と、その脇に佇む一組の男女。
いずれも真っ当なものではない取り合わせだが、その奇妙な状況が、己れの興味を刺激した。

「お前たち―――――ここで、何をしている?」
戯れに、問いかけてみた。

94 名前:サムライダ―:03/11/06 14:24

丸々と太った黒メガネの男が首を切り落とされ死んでいた…

この男は、麻薬・コカイン・大麻等をチーマや強盗や殺人鬼等に手渡し販売しており
それ関係の仕事についていた。

そして今日もまた、裏業者が一人命を落としたのである。

この暗黒街には、よくある事で、ここに住んでいる住人達には
ごく当たり前の様に聞こえているらしい…

常に殺気だった者同士が、殺し合いは続いている暗黒街――光を浴びずにもがき続ける者

既に人としての心を失った者
手に入れた力に酔いしれ戦いを好む者…そして此処にもう一人…神か悪魔か、血刀の鉄騎がチーマー達と人気のない路上で殺し合いを行なっていた。

――そいつの全身は何かの線が浮き出て黒い大鎧を纏っておりバイクに跨り左手でハンドルを掴み右手に日本刀を握りしめている
チーマー達が一斉に仕掛ける。銃を乱射する者や手榴弾を投げつける者…目はいかれ目の前の敵を殺す事しか考えしか浮かばない
でなければ殺されるのは自分達だから――


攻撃を仕掛ける前にそいつは素早く行動に出た。
片手でアクセルを全開に振り絞りながら飛び宙で刀を振り回しながら敵陣のど真ん中に着地し一気にチーマー達の首だけが
地面に落ちていき車も潰され爆炎が吹き上がる――――――


数時間後
赤い満月が出る夜 路上はたくさんのチーマー達の屍で埋れていた。
一人 生き残ったチーマーが叫んだ

「ひぃぃぃぃ!!サ…サムライダーが出たァァ!!」
それを最後にチーマーの男の首はゴロリと地面に転がっていた…

95 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/08 02:36

「――――何…?」

 <ダウンタウンでの取引が何者かに潰された。増援で送った組織の部隊も音信不通である>

 ――――その報はギースが何時もの様に摩天楼から支配者としての優越を噛み締めている時に齎された。

「……車を出せ、その場所へと向かう。ドブネズミが――――」

 ギースは無表情にそう言うと席を立った。
 側に控える秘書―――リッパ―は思う、今夜はダウンタウンに血の雨が降る、と……

 ―――――ギース・ハワードの邪魔をする者は何人たりとも存在を許されない。



 屍山血河。

 まさしくこの表現が相応しかった。
 周囲には死臭が濃密に漂い、動く者は誰一人として居ない。
 在るのは嘗て人であったモノだけ……肉の塊が、盛大に血のミートソースをぶちまけて散乱している。

「……………」

 ギース・ハワードはその中を顔色1つ変えずに悠然と歩を進める。

 別段、驚く事は無い。
 このドブネズミの巣ではこれが普通なのだから。
 暴力が悲鳴が生み出し、その悲鳴は暴力にかき消される。
 ギース・ハワードがこの暗闇を醜く這いずり回っていたころから、変わらない不変の理である。


 ―――ギース・ハワードは闇の中をドブネズミを始末すべく、ただ彷徨っていた。

96 名前:ビリー・龍 ◆OClOnGFAng :03/11/08 03:32

>>91
「ヒュウ――――」
 見事な断面に口笛吹いたまでは良かったが……

>>92
 俺は肩をすくめた。

「脅かしすぎだぜ、まったく。逃げちまったじゃねーか」
 逃がした魚はなんとやら。
 報告、か。警察じゃ無さそうだが。
 もっとも、この街で警察なんぞ当てにはならない。
 そういう街だ。住み心地は悪く無い。

 さて。

 そのワイヤーで、俺のことも刻むつもりかい、お姉さん。
 …などと、悪戯半分に問うてみようかとおもいきや。


>>93
「今日は千客万来だな――――さて、何をしているかと問われれば」
――はて。
 逢引の最中だ、とはさっき言っちまった。

「何をしているように見えるね?
 ”現場検証している刑事”だ、ってんなら、座布団一枚やってもいいがね」
 クックッと喉の奥で笑いながら、男を見やる。

 癖のありそうな面構えだ。
 すねに傷持つはお互い様ってところか。

「そっちこそ、こんなところに何のようだ?
 夜の散歩には少々、物騒だぜ、ここは」

97 名前:◆EjKILLER7E :03/11/09 23:00


――――その男は、陰の中を歩んでいた。
 それは夜の中、闇の中であっても存在する。
 建物の陰、階段の陰、街燈の陰、車の陰、さらには、人の陰……

 気配を殺し、存在感を消し、鼓動までも抑え、『街』に溶け込んでいた―――


 もし、その男を見る事が出来るとしたら、こんな印象を与えるだろう。
 少年と青年の狭間にあるような、酷く危うい……触れれば砕けそうな、不安定なイメージ。
 それを全身から発しているが、表情は見えない。
 様々な感情、内面を写す筈の両眼は、包帯のようなモノで隠されているからだ。

 だが、その男の足取りには迷いは無い。
 全く危なげない歩調で先に進んでいた……


>>95
 やがて漂いだす血臭、死臭。
 それでも男の足取りには乱れは無かった。
 まるで普段からその中で過ごしているかのように。
 ……その男に遭うまでは。

――――ゾクリ、と全身が粟立った。

 反吐を撒き散らしそうな死屍累々の中にあってさえ平然としていた包帯の男が、初めて
心を乱した。
 それは感じたから。
 強い『力』を、それを持つ存在を。
 男が日常のように渡り合っている『魔』に俗するモノとは違う、ただの人間。
 だから『血』が反応したのではない。

 血よりももっと深い、根源―――生存本能が発する警鐘。
 それが揺さ振られていた。

 思わず荒くなる呼吸、鼓動。
 気付かれたろうか――――?


98 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/09 23:25

>>97
「――――――」

 ギースの歩みが止まった。
 彼の研ぎ澄まされた感覚は確かにそれの存在を感じ取っていた。

 、、、、闇の中を無限に見通せる視覚がある訳でも無い。
 、、、、彼方の響を聞く事の出来る聴覚がある訳でも無い。



 血の臭い。
 洗い流そうとも決して消えない身体に染み付いた怨念。
 手にかけたモノの断末魔、呪詛。

                     ――――――――絶対に消える事の無い呪い。

 それは決して隠せる類のモノでは無い。
 ギースの感覚はその呪いを闇の中に確かに感じ取っていたのだ。
 ……同じくギース・ハワードもその呪いを無数に身体に刻んでいるのだから。

「……出て来い。ドブネズミのようにこそこそするのが貴様の流儀か?」

 ギースの声が路地裏に静かに響く……

99 名前:『殺人貴』 ◆EjKILLER7E :03/11/09 23:43

>>98
 ……チッ、見逃してはくれなかったか……
 しょうがない、と包帯の男――遠野志貴は思う。

 隠形を止め、一つ大きく深呼吸する。
 そして全身を弛緩させ、あらゆる状況にも対応出来る心構えを決める。

 『出て来い―――』と、抑えてはいるが殺気と敵意に塗り篭められた男の声。
 別に俺は武術家でもなければ、騎士でも無い。
 だからドブネズミだろうがモグラだろうか、なんと呼ばれようと構いやしないし、それで
生き残れるのならば例え泥水を啜ってでも逃げ隠れるだろう。

 だが。
 今は状況を見極める必要がある。
 この男の実力が解らない内は迂闊に背を向けることすら出来ない。
 故に、敢えてその誘いに乗るコトにした。

「……穏やかじゃないな。どんな生き方だろうと、人それぞれだろう?
 取り敢えず、だ。俺はアンタと遣り合う気はない、とだけ言っておくよ」

 そうコトバを吐きつつ、男の眼前に歩を進める。
 ポケットの中の七つ夜――掌サイズのナイフの重みを感じつつ―――


100 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/10 00:06

>>99
「ジャパニーズか………」

 ギースはその瞳で男を見る。

 何処までも暗く深い瞳。
 全てを拒絶している光。

 ――――――邪悪という言葉を体現したかのような瞳が男を射抜く。

「ふん、貴様の気配はそう言っておらんがな」

 ただのネズミではない――――ギースが男に対して抱いた感想はそれである。
 男の雰囲気は日本刀のそれだ。
 近づく者を全て切り払うかのような張り詰めた雰囲気。


 そして、ギースは男を更に観察する。
 ポケットに突っ込まれた手。
 ……あるのは拳銃か、ナイフの類か。
 否、拳銃ではない、男が間合いを近づけているのがその証拠だ。

「だが、貴様が何者であろうと関係無い」

 この周囲の惨劇は男のせいだとギースは結論した。
 これだけの死体の山、並の腕と心構えでは築けまい。
 何より、男の雰囲気が明確に語っている――――自分は殺人鬼だと。

「私の街を食い荒らした。それだけで理由は十分だ」

 何の、とは述べない。それだけで互いに分かるだから。

  ―――男が間合いに入る前に仕留めるか

 ギースの殺気が更に膨れ上がり、右手が青く光る。
 ……次瞬、蒼い殺意が地面を削りつつ、男へと襲い掛かった。

 烈風拳―――――人体の神秘を突き詰めた故に為し得る『気』の放出。
 そして、ギースのそれは岩を砕き、人を絶命しうる死の風である。

101 名前:『殺人貴』 ◆EjKILLER7E :03/11/10 00:43

>>100
 俺の気配、ね……やはり血に染まったこの両手からは、死の匂いは消せないんだろうな、
と自嘲めいた感慨を抱く。
 それでも、やらなければならない。
 誰でもない、自分自身に誓ったのだから。

「おいおい、雰囲気で判断しないでくれよ。少なくとも、『今』はアンタ(人間)と争いたくない、
 っての本気なんだぜ?」

 もっとも俺に牙を向けるなら話は別だがね、という言葉は取り敢えず飲み込んでおく。
 だが、口に出そうが出すまいが、結果は同じだったようだ。
 何となれば、男の方は端からこちらをただで帰してくれる気は無かったようだったからだ。

 『私の街を食い荒らした』だと……?
 何か、違和感を覚えた。
 その正体を解明しようとして―――思考が切り替った。

 ただでさえ剥き出しになって隠そうともしなかった、男の殺気。
 それが―――増大した。
 いや、そんな言葉では生温い。
 言うなれば爆発。

――――ヤバイ!

 瞬時に脳を支配する、戦闘思考。
 それが危険を告げる、逃げろ、と。

 思考、即ち行動。
 遠野志貴はその瞬間、地を蹴っていた。
 間一髪で『何か』が身体の横を通り過ぎる気配。
 跳んだ方向に壁があるのは把握済み。
 更にその壁をも蹴り、それを数度繰り返す。
 一所に留まるのは危うい――それは経験kさらの行動。
 特に危険なのが着地の瞬間。
 それを理解しているから、ある程度まで間合いを取り、そこで一息つく。

「……しょうがないな。
 俺の方には理由なんか無いんだが……いや、たった今理由は出来た。
 『降り掛かる火の粉を払う』っていう、な」

 そう声を投げ掛けつつ、静かに、眼を覆っていた包帯を解(ほど)く。
 そして――その下でさえ閉じていた目を見開く。
 その眼は、何処までも蒼かった――――

102 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/10 01:16

>>101
「ほう……」

 壁を蹴っての無数の跳躍、殆ど、ケモノのそれと言ってもいい動き。
 ギースは素直に感嘆の声を漏らした。

『『降り掛かる火の粉を払う』っていう、な』

 男がそう言いつつ、包帯を解く。
 その下に隠された瞳は青。
 ……ギース・ハワードのように禍を詰め込んだような青では無く、何処までも澄んだ蒼。

「矢張り、ただのネズミではなかったな」

 ――――色々な眼を見てきた。

 己のように飢餓故に渇いている故に輝く瞳。
 何か甘い幻想にすがりつく、濁った瞳。
 虚無は支配し、何も見ていない瞳。

 男はそのどれとも違う―――ギース・ハワードがはじめて見る瞳。
 その瞳にギースは興味を惹かれる。

 だが―――――――――

   ネズミなら始末せねばならん。
   この街は私の街だ。
   この街とともに私は生き、この街とともに私は戦う。
   この街は私の、ギース・ハワードの全てを賭けた街だからだ。

                 ――――故に、それを食い荒らすネズミは存在すら許さん。

 ギースの身体が飛んだ。
 人の出来る跳躍を遥かに超えた跳躍。
 人体の可能性『気』を極めた故に為し得る業。

「……BUZZSAW!」

 そして、男に振り下ろされる手刀。
 否、ただの手刀では無い、気が、残像が糸を引く手刀。

 ――――これぞ、飛翔日輪斬。
 気を手に纏わせ、日本刀を勝る斬れ味を得る絶技。

 一部の無駄も無いその斬撃が容赦無く男に襲い掛かった。

103 名前:『殺人貴』 ◆EjKILLER7E :03/11/10 02:09

>>102
―――それは、見知った世界。
     初めて来た、けれど誰かが生活している、当り前の街。

     それは、死の世界。
     風景に上書きされる、無数の罅割れ。
     黒い『線』と『点』に塗れた、奈落へ通ずるラクガキの街――――


 そんな世界に、遠野志貴は立っていた。
 そして男も、同じ地に立っている。

 ズキリ、と痛み。
 有り得ざるモノを見る為の代償。
 脳髄に直接キリを差し込まれるような痛覚の中でセカイを視る。

 男が微妙に関心を持ったかのように言う、ただのネズミではなかった、と。
 ああ、そうさ……
 こんな死神が人並みに生活なんて出来るワケがない。
 世界の全てを破壊できる、ふざけた能力を持ったままで……一般人の中に紛れる
事なんて出来ないんだ。
 それでも、たった一つだけ譲れないものがある。
 その為ならば、例え何もかもを敵に回してでも、俺は――――

 反論は必要ない。
 男はその発言と同時に攻撃してきたから。
 ならば、俺のやる事も一つ。

『……BUZZSAW!』

 男が俺に向かって飛び込んで来る。
 ああ、速い。捷いな――――人間にしてはッ!

 軌道が見えている攻撃なんて、攻撃じゃないんだよ……
 俺は躱す代りに、逆に男に突進する。
 更に、襲い来る手刀よりも早く地面に這いつく。
 ……いや、這う程に低い姿勢で男の横を通り過ぎ、背後に回る。

 男が直ぐに振り向くだろう事は予測済み。
 だから、避ける一連の動作の内にポケットから抜き出し刃を開いていた七つ夜を振る。
 男に向かって、では無い。
 その横に立っていた街燈に向かって、だ。
 斬り口から“ズレ”る支柱。
 それを加速させる為に蹴りを一発。

 さあ、どう避ける?
 相手がどう反応してもナイフを捌けるように、遠野志貴は男を直死する――――

104 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/10 02:39

>>103

 ―――男が消えた。

 そうギースに錯覚させるほどの鮮やかさだった。
 ギースの飛翔日輪斬を苦も無くかわし、背後へ回る。
 ……男の実力が明らかに常軌を逸したものである事をギースは認識した。


 振り返った瞬間、街灯がギースを押し潰さんとするのをギースは見た。
 街灯は男の蹴りで加速し、数俊後にはギースを押しつぶす。
 同時にギースへ向けられる男の必殺の気迫。


 街灯に気を取られれば、男の白刃が襲い、
 男に気を取られれば、街灯が無情にも押し潰す―――――

 凡百の男なら、そこで一瞬なりとも躊躇するだろう。
 ……そして、それは致命の隙となりうる。

 だが、ギース・ハワードという男は違った。
 何の躊躇も迷いも見せず、ギースは動いた。
 数え切れない程潜りぬけた修羅場がギース・ハワードという男を無敵にしていた。

「――――――――――」

 両手を天にかざし、一瞬、時が止まり……ギースの叫び。

「Rizing Storm!」

 ギースの両手が地面に到達した瞬間、それは起こった。
 ギースの周囲に地面から蒼い気流が吹き上がる。

 それは圧倒的な勢いで、
 それは絶対的な破壊で、

             ―――――轟音が路地裏に響いた。


 天まで届く勢いで蒼い気流は吹き上がり、瞬時に街灯は粉みじんになって虚空へと消えた。
 だが、それだけでは気流は治まらず、更に勢いを増し…………
 その衝撃で路地裏に散乱する死体は暴風に巻き込まれたかのごとく吹き飛び…………



 ――――――――男の命をも今まさに飲み込もうとしている!!

105 名前:『殺人貴』 ◆EjKILLER7E :03/11/10 03:16

>>104
――――なっ!?

 男の対応は、全ての予測を超えていた。
 どう避けようと、その瞬間に『線』を絶てたつもりだったのに……

 それは一見、何も出来ずに『お手上げ』したかのようだった。
 だが―――

『Rizing Storm!』

 その叫びと共に湧き上がる『死』!
 男のモノなどではない、俺の――遠野志貴自身の『死』!!

――――このまま“ここ”に居ては……殺サレル!?

 思考も感情も無かった。
 ただ、その原始的恐怖から逃げる為だけに、地を蹴った。
 脳髄が沸騰している。
 あらゆるモノに『死』が視える。
 迫り来る『何か』にさえ視えそうで―――ほんの一瞬だけ振り向いた目の前の『空間』の
死に、七つ夜を通し、更に跳躍。

 ………
 ……
 …気付いたら、男から少し離れた、崩れ掛けた建物の屋上から惨状を見下ろしていた。
 さて、どうしようか、と考える。
 このまま逃げる事も可能かも知れないが……
 確認しておくべきだろう。

「なあ、アンタ……さっきも言ったが、俺は、たった今来たばかりの街で命懸けの勝負なんて
 する気は無いんだ。俺が闘うべき相手は、何だ、いわゆる『吸血鬼』って呼ばれてる存在
 だけだよ。
 ……信じるか信じないかは勝手だけどな。
 でだ、それでも続けるなら―――今度は、『ヒト』の世界には、帰れないかも知れないぜ?」


106 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/11 01:35

>>105
「ふん、大したものだな」

 ギースの見た事も無い方法で男はレイジングストームをしのいでみせた。
 その事実にギースは素直に感服していた。


 ――――男は言う。

 命賭けの勝負をするつもりは無く、自分の敵は吸血鬼だと………

「随分、オカルトめいた話だな」

 だが、嘘をつくならもう少しまともな嘘をつくだろう。
 それに――――この男の蒼く澄んだ瞳は何も虚偽を述べていない事は雄弁に物語っている。

 口ではどんな事も言えよう。
 だが、瞳だけは誤魔化せない。
 瞳にはその者の生が刻まれる。
 渇望も、憎悪も、憤怒も、虚無も、狂気も……全てが端緒に現れるのだ。


 そして、今、目の前に居る男。
 この男の目は違った―――ギース・ハワードが見てきた者たちの眼とは………

 ジェフ・ボガードのように甘い幻想を見ている訳でも無い。
 ウォルフガング・クラウザーのように何も見ていない訳でも無い。
 テリー・ボガードのように餓えた狼の瞳でも無い。
 ギース・ハワードのように全てを拒絶し、飲み込むような眼でも無い。

 ――――ただ、遥か彼方にある『何か』を見ている

 ギースが男の瞳を見て感じた感想はそれである。

「お前はその眼で何を見てきた?」

 ギースの口からそのような言葉が漏れる。
 それは疑問であり、興味。
 ギース・ハワードは男の生について知りたいと思ったのだ。
 このような瞳をする男は何を見、何を想い、どう生きてきたのかを………


 ―――――何時の間にか凍りつくような殺気は消えていた。

107 名前:『殺人貴』 ◆EjKILLER7E :03/11/11 02:06

>>106
『随分、オカルトめいた話だな』

 ……ああ、俺もそう思うよ。
 自分自身で体験しなければ、俺だって信じなかっただろうさ。
 だけど、知ってしまった。
 世界の裏で行われている、その血塗られた抗争を……

「デタラメだと思うのなら、それでも―――って、おい、疑わないのか…?」

 男は俺の言葉を、そのまま受け止めたらしい。
 その言動から、疑問も逡巡も感じられなかった。
 それどころか、ますますこちらに興味を惹かれた様子が見て取れた。

 気が付いたら。
 男からの威圧感、殺気、と言った攻撃的な色は消え失せていた。
 そして問う、俺のこの眼は何を視て来たのか、と。


―――何を、だって?
     『死』、そのモノさ――――

「何を視るきた、か……難しい質問だな。
 そうだな、アンタは知ってるかい? この世界が如何に危なげで脆いものかってコトを。
 ちょうど、こんな風に―――」

 男に追撃の意思の無い事を確かめつつ、俺は足下の建物を直死する。
 浮ぶ『死点』―――其処に、静かに、七つ夜を差し入れる。
 それは何の苦もなく、根本まで突き入れられ……その建物は、瓦解した。

 遠野志貴は崩れ落ちる破片を縫うように跳躍を繰り返し、男の眼前に着地する。

「―――俺にとっての『世界』は、“死”に塗れてるのさ……」

108 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/11 02:40

>>107
 まるで子供が積み木を崩すように呆気無く建物は崩れていった。
 その事実には何のトリックも無い。

 ……ただ壊すという行為そのものはギース・ハワードにも出来よう。
 彼の拳は壊し、奪い取る為に身につけたものであるのだから。

 自分と母を捨てた父への憎悪。
 復讐を為すための手段としての力。

                ――――それがギース・ハワードの根幹を為したモノ

 だが、目の前の男は違う。
 ギース・ハワードとは何処か根本で違っている。

『―――俺にとっての『世界』は、“死”に塗れてるのさ……』

 男はそれを『死』と揶揄した。

 だが、それだけでは無いとギースは思う。
 男の眼は遥か彼方を見ている。
 なるほど、それが『死』という概念なら分からないでもない。
 しかし、違う、それだけでは無い。
 そのような広範な、漠然としたモノだけをこの男は見ていない。

「お前が見ているのは『死』か。だが、それだけではないだろう」

 確実に『死』以外に見ている。
 死という虚無の中に確かに何かを見出している。
 ギースはそう断じた。

 ……男の眼には決意がある。
 ギース・ハワードが野望に全てを賭ける決意をしたように、何かを決意している眼。
 それがこの男に生を与えている。
 その正体をギースは知りたいと思った。

「さしずめ誓いと言った所か。お前はその眼で死を見続けて、何を誓った?」

 ギースは静かな口調で男へと言葉を紡いだ。

109 名前:『殺人貴』 ◆EjKILLER7E :03/11/11 03:55

>>108
『お前が見ているのは『死』か。だが、それだけではないだろう』

 この男も只者ではない、と思った。
 先程の体術、見た事もない技、その自信に満ちた態度とそれを裏付ける『力』。
 ただ暴力のみの世界に生きているのではない、何らかの信念を持ち、それを貫き通す
強い意志をその瞳の中に見た。
 例え闇に染まった欲望であろうと、それでもいいと感じた。
 それは多分、今の俺と同じ種類のものであろうから……だから、話してもいいと思った。

『―――お前はその眼で死を見続けて、何を誓った?』

―――誓い。
     それは、白き姫との約束―――

「そうだな……話せば長くなるが、良いか?」

 男は肯き、先を促す。

「その前に、と……」

 俺は無造作にポケットに突っ込んでおいた包帯を取り出し、それを再び眼を閉じた上から
巻き付ける。
 その時には、既に瞳の色は黒に戻っていた。

「―――『直死の魔眼』って知ってるか?」

 そして滔滔と紡ぎ出す。
 万物の『死』を視る眼、その余りに馬鹿げた――死神の鎌の如き力を。

「想像できるか? 死に塗り篭められた世界を。
 眼に映る全てに刻まれた、触れれば壊れてしまう黒い線。
 もちろん地面にだって、のたくっている。
 ちょっとでも足を踏み外せば足元から崩れ落ちそうな、間違えて手を伸ばせば天が
 落ちてきそうな、そんな恐怖にヒトが耐えられる筈がない……」

 まあ、それは何とかなったからこそ今の俺が居るんだがな、と苦笑する。

「―――そして、俺は出逢ったんだ。
 自分自身の全てを賭けても惜しくない存在に……」

―――今でも脳裏に焼き付いている、在りし日の誓い。
     お前を守ると、この命尽きるまで共に生きよう、と―――

「何も確かなモノがない、ガラス細工の世界の中で―――そいつだけが、色彩を放って
 いたんだ。そいつには『死』が存在しない、俺にとって唯一の安らぎ。
 ……いや、そんなカタチだけの理由なんて要らない。
 要は惚れてしまったんだよ。
 だから―――俺は傍に居るコトを選んだ。
 それは並大抵じゃあなかったよ、死が無い事からも解るように、そいつは当然人間じゃ
 ない。それに、強い。本気になれば俺なんて指先一つも要らずに何百回と殺せる程に
 な……
 だけど、どうしようもなく弱くも有るんだ。
 だから守ってやりたかった。あいつを傷付ける全てのものから、遠ざけてやりたかった。
 でもそれは、出来ない。逃げる事は許されなかった。
 それで思ったんだ、だったら俺がそれらを排除しよう、この眼はその為に持たされたの
 かも知れないから。
 ……人が持つには大きすぎる力、だから身体に負担も大きい。こんな風に普段は包帯
 で隠しているのも、その為さ。
 それでも多分、俺の寿命はそんなに長くは無いだろう……
 だが、だからこそ。
 俺は生きる。最後には生きてアイツの傍に辿り着く。その為ならば全てを―――そう、
 世界の全てを敵に回してでも、俺は闘う――――」

 そうして、見えない筈の眼を、男に――その先にある『何か』に向ける。
 それは微塵の揺るぎも無かった。


110 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/11 05:13

>>107
 何かを護る。
 人はその為に牙を磨ぎ、生き抜く為の糧を、命を得る。

 ――――そうでなければ、生の価値など無い。

 ギースはそう思う。


「本当に大切な物のために戦う者は、幾らでも残酷になれる。
 腐肉を喰らい、泥水を啜り、他の者の命を貪ってでもな。
 そうでなければ命は干からび、後悔のうちに骸を晒すだけだ」

 護る為に文字通り何でも出来る。
 今言葉にしたように、命を喰らう事さえ厭わない。
 それが出来るかどうかで決定的な差が出てくるとギースは考える。

「お前はそれを為し得るのだな、いや、既に為し、これからも為そうとしているのか。
 大切なモノのためにどれだけでも手を汚せるか」

 それを批判する者もいるだろう。
 だが、そんなものはぬるま湯に浸かり切った犬の戯言だ。
 狼には真実は常に1つ。

「目指すモノのために、護るモノのために、喰らって、喰らって、喰らって、なお喰らい続ける。
 それこそが真実だ―――――私はそう思って、この街を築き上げた」

 文字通り、手を血に染めた。
 何人殺したか、分からない。
 殺して、殺して、殺して、殺して、殺して――――――――

 ――――――屍の山を築き、その山を登り、そして天へと手を伸ばそうとしている。

「此処からでも向こうの街の灯りが見えるだろう」

 ギース・ハワードはそう言うと視線を遥か向こうの光輝く摩天楼の列へと向けた。

「私は誓った、幼い頃にこの廃墟の中からあの光の群れへたどり着いて見せるとな。
 私はその為にあらゆる敵を戦い、多くの血を流し、勝利してきた」

 そして、決して立ち止ること無く、ギースは戦いつづけ、遂に摩天楼の頂上に立った。

「私はこの街が好きだ、愛していると言ってもいい。
 この腐臭のする路地裏も、あの摩天楼の列も、何もかも訳隔てなく愛している。
 生き残る為に牙を剥く狼の彷徨う一切の惰性の無いこの街が私の生きている証だ」

 ギースは男へと視線を戻した。

「私はこの街とともに生き、この街ともに戦う。何者にも侵させる事などさせはせん」

 何の迷いも無いその言葉。
 男の先程発した言葉と同様そこには何の曇りも無い。

「行くがいい、お前の護るモノの為にな。
 どの道、お前の言う吸血鬼風情如きにこの街は侵させん」

 そこでギースははっきりと笑った。
 それはギース・ハワードの男に対する敬意。
 一匹の若く鋭い牙を持った狼に対する敬意。

「お前の言葉が、お前の誓いが強ければ誰にも負ける事は無いだろう。
 見事、その生き様を貫いて見せろ」


 ……先程殺しあっていたのは嘘のように、二人の間には奇妙な共感が生まれていた

111 名前:『殺人貴』 ◆EjKILLER7E :03/11/11 06:03

>>110
 やはり、この男も強い意志を持っていた。
 勿論、俺とは考え方も違うし、そのやり方だって決して誉められたものではないだろう。
 だが、『対象』を見つけ出し、それを『守る』為ならば手段を選ばない……

 それは『殺人貴』と呼ばれる今の俺と、深い所では相違無いのかも知れない。
 理屈ではない、ヒトの生きる原動力と言ったもの、それは突き詰めれば単純なモノだ……

 『大切なモノのためにどれだけでも手を汚せるか』

「ああ、俺の両手は、今まで斃して来た死徒――いわゆる吸血鬼だな、そいつらの血で、
 臓腑で、脳漿で、拭い切れない程の『穢れ』に塗れてるんだろう……
 それでも後悔なんて出来ない。
 だって、それは俺が自ら選んだ生き方だから。
 今までだって、これからだってな――――」

 男は言う、自分はこの街が好きだ、と。
 なるほどな、と思う。
 先程いきなり攻撃してきたのは、それ故か。
 だったら、それも致し方ないな、と苦笑する。
 周りには屍体の山、それに臆する事もない、死の臭いを振り撒く男――遠野志貴。
 まあ……誤解が解けたようだから良しとしよう。

『行くがいい、お前の護るモノの為にな―――』

 笑みを零し、男が言う。
 ああ、言われるまでも無い。
 何かの気配を感じてこの街に来たのだが、どうやら消え失せてしまっているようだ。
 ならば、長居は無用。

『―――見事、その生き様を貫いて見せろ』

「ああ、今更この生き方を変えるコトなんて出来ない。
 いつまで保つか解らないが……せいぜい最期まで、駆け抜けて見せるさ―――」

 そう言って遠野志貴も男に笑って見せる。
 そこには、最初に感じた危うさは見られなかった。
 多分、年相応の――いや、それよりも幼く見えたかも知れない。

「……そういえばお互い、名前も聞かなかったな。良かったら、教えてくれるかい?
 俺は志貴、遠野志貴。
 もっとも、『殺人貴』なんて二つ名の方が罷り通ってるけどね……」

 そして男――ギース・ハワードの返事を聞いて、遠野志貴は踵を返した。
 そのまま振り返らずに、再び陰に滲むように姿を隠す。

 多分ギースに会う事は二度と無いだろう……
 そう、胸の中で感じつつ――――

【殺人貴 END】


112 名前:ギース・ハワード ◆ODy0sGEESE :03/11/11 06:41

>>111

 ――――男の柔らかい笑み。

 ギース・ハワードが摩天楼の頂上から街を笑みで見下ろす時と同様に、
 男もその笑みを大切なモノへと普段は向けるのだろう。

 そして、その笑みを失いたくない為に牙を剥き、戦う。
 その点においては男もギース・ハワードも変わりは無い。

『……そういえばお互い、名前も聞かなかったな。良かったら、教えてくれるかい?
 俺は志貴、遠野志貴。
 もっとも、『殺人貴』なんて二つ名の方が罷り通ってるけどね……』

「私の名はギース……、ギース・ハワード。
 この街―――サウスタウンの支配する男だ。
 まあ、この名は多くの者には忌むべき名前だろうがな」

 軽く鼻で笑った後、ギースも『殺人貴』に踵を返した。

  ドブネズミの始末に来た筈が、こういう事になるとはな。
  だが、悪くなかった、突然の出会いというものも………
  もう会う事はないだろうが、この楽しかった時間は感謝しよう。


 ―――――そして、ギースも闇の中へと消える。

         この街を守る為に、ドブネズミを始末する。

         それが彼の生きる意味なのだから――――――――

<ギース・ハワード END>

113 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/14 00:00

周囲の薄汚れた風景からは明らかに浮いた、金色の髪を持つ少女が行く当ても
なく街をさまよっている。

ふと、立ち止まると一つのビルが少女前にそびえ建っている。
大きい、大きいビル。

少女はビルへ向けフラフラと歩き出す。

歩きながら私は一言、つぶやく。
「鬼め・・・・・・!」

114 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/14 00:40

私は・・・・一体・・・・。

ふと立ち止まり、少女は考えを巡らせる。

自分が何者なのかはわからない。
でも、唯一つだけいえる事、知っていること。

――――――鬼を滅ぼせ。

115 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/14 01:16

―――――――――。
誰も居ない。静まり返った真夜中の街。

周囲は不気味な程静まり返っている。

誰も居ない事がわかりつつも私は叫ぶ。

「出て来い!鬼め!」

116 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/14 23:21

漆黒の闇の中、私は彷徨う。月明かりだけしか光のない街を。

私の足元には、私を襲おうとして返り討ちにされた愚か者共が累々と横たわっている。

―――――安心しろ、殺してはいない。

私が倒すのは”鬼”。
再び私は走り出す。行く当てもないのに。

117 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/14 23:56

又一人、愚か者が私の前に立ちふさがる。

「邪魔だ」

愚か者は衝撃波を受け吹き飛ばされてゆく。
ロウランの突進を止められる者は居ない。

118 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/15 01:15

――――――――――私は誰?どこから来たの?

判らない。私には何もない。帰るところも。

それでも私は彷徨う。
滅ぼすべき「鬼」を求めて。

119 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/15 23:37

今日も街には夜が訪れる。明かりも無く、人と通りもない街を私は歩いてゆく。



120 名前:サムライダ―:03/11/16 00:37

ドッ ドッ ドッ ドッ!
赤い満月が出る夜

スクラップ置き場に一台のバイクに跨るサムライ 一人…
マフラーから爆音が夜の暗黒街に響きわたる――

混乱と諦念に侵された街に住む害虫を駆除する血刀の鉄騎 サムライダ―

スクラップ置き場に群るチーマー
重火器を持って血刀の鉄騎に乱射し辺りは爆音と熱風が吹きまわる!!

血刀の鉄騎ギリギリの所で避けながらバイクを操る。
片手に持った刀にガソリンが降りかかり投げつけられて来た
手榴弾を一刀のもと切り裂き刀を纏いながらバイクで疾走しながら
チーマーの首が面白いように飛んでいく――

刀の血を振り落としながらアクセルターンをする
煙りが巻き起こりながら屍の山に死臭の香がし空に立ち昇る

『ゴァァ!!』血刀の鉄騎の叫び声も暗黒街に響きわたった…

121 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/16 00:45

(>>120)

漆黒の闇の中、私は彷徨う。
唐突にどこからと、ともなく響く爆音。悲鳴。
そして奇妙な叫び声。

「鬼・・・?」


122 名前:サムライダ―:03/11/18 20:12

>>121
赤い満月が浮き出る光に照らしながら
無惨に広がる屍の山と血刀の鉄騎の声…

次の場所にむかうかの様に行動する。
片手でバイクのアクセルを振り絞り出力を上げ
マフラーから黒い煙を出し爆音が唸り車輪が急に回りはじめ
スクラップ置き場の薄い鉄板の壁 目掛け突進する。

ドコ!!

壁は難なく突き破られ広い路地裏に出る
一人の金色の髪を持つ少女が立っている…

血刀の鉄騎は直感した
こいつは明らかに人ではないと・・・・・

123 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/21 23:22

>>122
ドコ!!っと言う音とともに路地の壁を突き破り、一台のバイクが飛び出してきた。
バイクの上には、全身、何かの線が浮き出て黒い大鎧を纏っておりバイクに跨り
左手でハンドルを掴み右手に日本刀を握りしめている人影が一つ・・・。

その刀は赤い液体―――血に染まっている。
血に染まった刀が月光を浴び、不気味に輝く・。

私は、無意識に言葉を発していた。

「殺したな・・・・?」

124 名前:サムライダ―:03/11/22 00:40

>>123
金色の髪を持つ少女の髪が夜風にさらされながら鋭い目で睨み
ながら言葉を発してた
「殺したな・・・・?」と…しかし喋る事はなく
お互いに殺気を放っている…バチバチと弱い静電気が迸る…

血刀の鉄騎は無口なまま刀についた血を振り落とし
前に立っている金色の髪を持つ少女を見ながら隠し持った闘争本能を見抜く

こいつは危険と判断し
左手のハンドルグリップを力強く掴みアクセルを鳴らしはじめる!!

125 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/22 02:02

>>124
私がそう言葉を発した瞬間、周囲の空気が一変する。
言葉はなく、ただ無言の殺気をお互いに向け合う。

先に動いたのは相手のほうだった。
刀についた血を振り落としたと思うと、バイクのアクセルを
踏み鳴らし始めた。

――――来るか!

126 名前:ウンブラ:03/11/22 02:13

―――この街にワタシは現れた・・・。
また邪悪な負の念がワタシを引き寄せたようだ・・・。

なにか2つの力が争っているようだ・・・。
強烈な負の感情・・・。
どちらかを殺してしまえと思うべきその念・・・。

―――どうやらワタシに相応しき世界のようだ・・・。
ワタシは2人が争っている方へ走って向かった。

127 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/25 22:58

>>126
――――――さらに目の前の人物以外の邪悪な気を感じる・・。

私は少しだけ唇に笑みを浮かべる。

「いいよいいよ、両方まとめて相手してあげる・・・・」

128 名前:サムライダ―:03/11/25 23:16

>>125
ドッン!
アクセルを全力で吹かしマフラーから黒い煙を出しながら
車輪が急加速し金色の髪を持つ少女目掛け突進していく!!

もう一人の存在に気がつきながらも…
今は目の前、獲物を狩るのみ。

129 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/26 23:01

>>128
ドン!と言う音と共にバイクがこちら目掛け黒い煙を吐きながら突っ込んでくる。
手に持つ刀が銀色に輝いている。

「フッ!」

バイクの突っ込んだ先にロウランの身体は無かった。
ロウランは翼が生えているかのように、華麗に宙を舞う。

体制を立て直し、ロウランは構えた両手に気を集中する。

「行くぞ!」

ロウランの両手から光の弾丸―――気弾―――が放たれる。

130 名前:サムライダ―:03/11/27 01:06

>>129
ガシャン!!
古びたホームレスの家にバイクごと突っ込みホームレスの家は跡形もなく
崩れそこに金色の髪を持つ少女の影はない。
金色の髪を持つ少女は宙を浮かび余裕ある表情で両手から光が集束していき
弾丸が放たれる――――――――

ギュルルルルブォン!!
左手のハンドルグリップを力強く掴みアクセルを全開で鳴らし
迫り来る光の弾丸に背を向けたままウィリー走行ので、かっ飛ばし走りながら
狭い路地裏に直進して行き壁をバイクで蹴る様に飛び上がり電柱の電線を右手に持つ刀に巻きつけ
ながら金色の髪を持つ少女の体を深く斬り込む!!

ザシュ!!
電気の刀に斬られた少女の体から
吹き出る夥しい血が刀の鉄騎の全身に降りかかり
光の弾丸が刀の鉄騎に被弾し爆発が起こり地面に落下する・・・

131 名前:ウンブラ ◆yTYsy5wW2M :03/11/27 02:09

>>129-130
――――物陰にワタシは”影”になりて2人の戦士の戦いを見守っていた・・・。

一人は女性・・・
以前、ワタシがある村で見かけた奇妙な力をも有する少女・・・。
その戦闘形態とよぶべきか・・・。

もう一人は強靭な肉体を持つ侍に似ている男・・・。
バイクに乗っているのが合わぬというべきか・・・。
だがかなりのやり手だと確認できよう・・・。

この2人のうち・・・勝ったものが・・・。
ワタシの相手となるのか・・・面白い・・・。
だが負けた・・・死した者もその血を・・・憎悪の叫びを。
その死をワタシに・・・。

132 名前:秋月貴也 ◆QZLdk/yRoo :03/11/27 23:54

>>129-130
喧しい轟音の後に続く爆発音。

―――――――敵か?

その影は、素早い足取りで爆音のする現場へと向かう。
現場にたどり着いた時、目に映る光景。

倒れたバイクにまたがり刀をもったフルフェイズのヘルメットの男。
宙に浮かび身体から赤い血を流す金髪の少女。

2人はこちらに気づいたようだ。

133 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/28 00:56

>>130
>>132
ザシュ!!

私の体から血が吹き出る。
相手の行動は予想外だった。まさか壁を伝ってこちらの位置に跳んでくるとは!

「うああああああああああ!」

刀の一撃よりも、刀のまとう電撃の方が答えた。
――――コイツ・・・・強い!
ロウランの怪我は普通の人間ならば瀕死の重傷だろう。
しかし、仙女であるロウランの体、とりわけ戦闘形態の身体は
恐るべき耐久能力を持つ。

――――まだ、行ける!

しかし、その時ふと横を見やるとそこには一つの人影が立っていた。

134 名前:秋月貴也 ◆QZLdk/yRoo :03/11/29 00:56

>>133
先に立ち上がったのは金髪の少女方だった。
バイクの男はまだ倒れたままだ。

少女がこちらに気づいたので僕は近づき手を差し伸べた。

「大丈夫かい?」

135 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/11/29 23:03

>>134
突然、自分に声をかけて来たのは、奇妙な服装の少年だった。
メーテルのような帽子。肩から羽織った黒いマント。

それは一見、おとぎ話に登場する死神のようにも見える。
ロウランはその少年と目が合う。
少年は不思議なオーラを放っている。

「大・・・丈夫・・」
ロウランは思わず返事をしてしまった。

136 名前:サムライダ―:03/11/30 01:40

>>132>>131>>133

金色の髪を持つ少女の放った光の弾丸を喰らい地面に落下しそうになった刀の鉄騎…
光の弾丸を喰らったまま僅かながら
身体の軌道を廃車と化したダンプカーの荷台の方へとずらし落下。

ダメージは半減されるが身体内部と各骨の部分に相当に負担をかけている・・・
それとは別に単車のバイクは無事である。

電線を巻きつけた刀
を持っていた為かなりのダメージを重傷を受けた
金色の髪を持つ少女…再び身構えるとする
そこに奇妙な服装の少年が現れ何やら話しをかけている様子だ。
奇妙な服装の少年は・・・明らかに刀の鉄騎の目は確かに死神と見えた…
そして…まだ姿をみせぬ”影”…電線を巻きつけた刀でダンプカーの
メインエンジンを突き刺す!!

全身からマグマの様に流れる血…
荷台に落ちたバイクを立たせ再び跨りアクセルを紅く紅く染まった
左手で吹かしその爆音を鳴らしはじめる――――

ダンプカーからバイクを飛び出した瞬間
メラメラと燃えさかる紅蓮の炎が狭い路地裏辺りに広がった…

137 名前:秋月貴也 ◆QZLdk/yRoo :03/11/30 13:34

>>136
金髪の少女が返事をしたその時、突然ダンプカーが燃え上がり、
荷台からバイクにまたがった人物が飛び出してきた。

よく見てみると全身から出血している。ひどい怪我のようだ。

―――――やめろ!

叫ぼうとしたが、炎の勢いが強すぎた。

「くッ!」

僕は少女の手をつかみ走り出した。

とにかく今は――――――ここから離れる!

138 名前:鋼獅子雄 ◆gZ2CIFlabQ :03/12/20 01:49

寒い夜だった。

こんな日に外出するなんて僕は初めてだった。

この街で僕は何を見るのだろう?

139 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :03/12/20 23:59

(肌の露出の多いインディアン風の服を来た少女が街を歩いて行く)



・・・・・・・・ひっ・・・ひっく・・・うう・・・。
(下を向き嗚咽を漏らしている)

140 名前:サムライダ―:03/12/21 02:54

>>137
手負いの少女が奇妙な服装の少年に連れら宙を飛びながら
刀の鉄騎から逃げる―――――

メラメラと燃えさかる紅蓮の炎が
いたる場所に燃え移り赤々と火の海となり始める。

刀の鉄騎の跨るバイクの排気口から
黒煙と爆音を鳴らしながら二人を追う…

141 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :03/12/21 15:19

>>140
奇妙な服装の少年に連れられその場から離れる私。
だがその背後で血を流しながら爆音を上げ、黒煙を噴くバイクに
またがるライダーが追いかけてくる。



142 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :03/12/21 22:51

闇に生き、闇に狩って生きる者――それは、狩人と呼ばれる者。
幼くして1000を超える人間や半神・半魔を殺したというその者の名は、
闇の世界にて静かに、だが広く知れ渡っていた。

―――――狩人の名は、エンジェルダスト。
―――――“堕天使”意を持つ、名前である

彼はまた、いつものように。
狩るべき者を探し、夜の町を疾駆する――

>>139

だが、その途中、
彼は見てはいけないものを、見てしまった

それは――――――泣いている女性の姿。

邪剣マーダーより『単純王』と揶揄される彼には、
とても彼女を見捨て通り過ぎることなどできなかった。

後ろから、そっと近づき……できるだけ優しく、声を掛ける。

「あの……どうしたん、ですか……?」

(オリキャラ『エンジェルダスト』についての詳細設定はコチラにあります。
 http://www.appletea.to/~charaneta/test/read.cgi/ikkoku/053233672/57-62


143 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :03/12/22 00:25

>>142
『あの……どうしたん、ですか……?』

顔を見上げ、涙をためた目が捕らえたのは一人の少年。
幼い顔と低い背丈からして、ナチェナチェより年下のようだ。

コイツも・・・移民・・・。

ナチェナチェは目に涙を溜めながらもその少年を睨み付ける・・・。


144 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :03/12/22 16:55

>>143
掛けた言葉に返ってきたのは明確な敵意。

その女の人は顔を上げると、
涙を拭う事もせず―――僕のことを睨み付ける。

その眼差しに僅かに怯んだけれど、
この人は人間……それも『狩るべき者』では無い筈。

人との関わりを切り離して生きている僕が、
“光”に住む人に恨まれる覚えが無い。

なぜなら――――僕は存在しないはずの人間なのだから。

彼女が『狩るべき者』の知人であるという可能性も考えたけれど、
何度見直しても彼女の顔には見覚えが無かった。

だとすると、敵意が向けられているのは“僕”という個人じゃない……?

僕は手にしていた邪剣マーダーを鞘に収めると、改めて彼女に向き直った。

「……僕は、エンジェルダストって、言います。
 僕は、あなたを…傷つけたり、しない…です。 ……絶対に。
 だから、エンジェルダストという、名前を持つ“僕”を…信じて、もらえません…か…?」

145 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :03/12/23 00:02

>>144
少年は剣を鞘に収めると改めてナチェナチェに向き直る。

『……僕は、エンジェルダストって、言います。
 僕は、あなたを…傷つけたり、しない…です。 ……絶対に。
 だから、エンジェルダストという、名前を持つ“僕”を…信じて、もらえません…か…?』

普通なら、ここまでされれば素直に信じてしまうだろう。
だがこの時のナチェナチェは違った。

移民共はそうやって私達を騙して油断させておいて何もかも奪って行くんだ。
土地も、動物も、命も。

そもそも、ナチェナチェには天使と言うものが判らなかった。
彼女が信じるのは祖父、父から幼い頃から教えられてきた精霊や伝説だけで
あり、移民の、西洋の伝説に関する知識など一切持っていないのだから。

「・・・・・お前も、私達から奪うのか・・・・?」


146 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :03/12/23 15:30

>>145
感じる敵意は、和らがなかった。

『・・・・・お前も、私達から奪うのか・・・・?』
そう、彼女は呟いた。
それは、何て悲しい言葉――

「……僕……」

偽ればいい、狩人であることを。
そうすれば、この場を治める事ができるかもしれない。
それは“絶対”と言わずとも、
非常に利口で正しい処世術である筈。

「…僕……も…あなた達から、奪うことに…なるかも、しれません…。
 なぜなら……僕は、狩人……だから……」

だけど………そんな僕は、“僕”じゃない。
僕は、嘘で真実を誤魔化さない。
僕は、絶対に逃げたりしない。

「……生まれる、ときも……生まれた、後も。
 決して、優しさを持たない…人…。
 ……僕は、そんな、人を……滅ぼし続けて、いるんです・…だから」

だから、そんな人があなた達の中にもいるのなら。
僕は、その人の命を……奪わなければならない。

「………でも、」

僕は鞘ごと邪剣マーダーをベルトから外すと、
それを道端へと放り投げた。

「僕は、あなたからは、何も奪いません。
 あなたは、狩るべき者では、無いみたい…だから…」

邪剣マーダーが無ければ、僕には戦う力なんてほとんど無い。
邪剣マーダーを手放すことは、すなわち自殺行為に等しい事。

「……それでも、あなた達から、誰かを奪う…恐れがあることは、
 変わりません…。 ……だから、僕の存在を、危険に思うなら…
 …今ここで、僕の命を……あなたに、あげます……」

“命を奪うこと”は、絶対の罪。
いつだって、罰を受ける覚悟は……できている、から。

147 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :03/12/24 00:18

>>146
少年は何かを覚悟した顔つきで剣を捨てた。
そこまで来てナチェナチェの心に初めて迷いが生じた。

この少年は・・・自分ががこれまで観てきた移民とは何かが違う・・と。

ナチェナチェが見てきた移民達は・・・いつも笑顔の傍らで武器を手放そうとは
しなかった。だけど―――――

目に涙を溜めながらも・・・少年の目を見据えるナチェナチェ。

148 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :03/12/24 18:17

>>147
まっすぐに向けられた彼女の視線は、
その鋭さを損なうことなく、その意味合いを変える。
敵意から………僕という個人を、探るものへと。

僕は、彼女の視線に答えるように、彼女の目を見つめながら、
武器を取り出すと誤解させてしまわないように、手を“前”で組む。

そして―――できるだけ優しく、彼女に笑いかけた。

「…もし、よかった…ら……あなたの、名前……教えて、ほしい…」

149 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :03/12/25 23:24


>>148
ナチェナチェの疑問の視線に答えるように少年はナチェナチェの目を見つめながら
手を前に組む。

やはり――――――

そして少年は笑いかける。私の名前を教えて欲しいと。
本当ならば移民に自分の名前を教えるなどとんでもない事だ。
だが。この少年は移民ではないようだ。

「私の名前は・・・・ナチェナチェ・・・・大陸に住む部族の娘だ」

150 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :04/01/03 00:53

>>149(ナチェナチェさん)
その答えに、僕はまず「変わった名前だな」と思った。
でも次に、「僕も人の事は言えないな」と思い直す。

「…僕は、エンジェルダスト…全国を、旅する…狩人…です」
改めて、自己紹介。
名前を教えてもらったら、教え返すのが礼儀。
少なくとも、僕はそう思っている。

「…どうして、泣いてるの…か、聞いても、いいです…か…?」

――こんなに、真っ直ぐな目をした人が。
――こんなにも悲しみも露に、泣いている。

だから、それが僕にできることならば。
なんだって、手を貸したい……そう、思った。

151 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :04/01/03 23:07

>>150(エンジェルダスト)

エンジェルダスト。全国を旅する狩り人…。
この少年の言う”狩り”という物が何を狩る事を意味するのかは判らない。
しかしその刃は自分達に向けられる物ではない。

確信があったわけではない。しかしただ、漠然とそんな気がするのだ。

『…どうして、泣いてるの…か、聞いても、いいです…か…?」

普通ならば彼女が移民に口を開く事など絶対にないだろう。
だがこの少年の瞳に何かを感じる彼女は自然と口が動く。

「…奪ったから…あいつ等が私達の故郷を…汚したから…」

152 名前:サムライダ―:04/01/04 14:16

>>141
――路地裏から発生した紅蓮の海は
全てを飲みこもうとしている。
まるで生き物の様に…

ブボォォッ!!

炎の津波は別のスクラップ置き場に止めてある
無数の廃車を丸ごと飲み込み爆発が連続にして起こる。


その爆音は
破壊を意味する様に響きわたり…

黒煙は
恐怖を意味する様に天に昇っていく…


古びれた建築物は倒れていき
他のホームレス達も巻き添えを喰らい
突風が吹きそこには焼き焦げれた

パンの様に倒れていく屍の数だった
暗黒街にまた死者の数が増えた…

奇妙な服装の少年と行動を共にする
手負いの少女の飛行速度によって刀の鉄騎を振り切った様に思えた。
だが刀の鉄騎は先回りをしていた。

人気の無い道路ぞいで
最後の命の取り合いがゴングを鳴らす!!

153 名前:秋月貴也 ◆QZLdk/yRoo :04/01/04 15:26

>>141
>>152
凄まじい爆音。爆風。爆煙。

それらは通りの傍らに存在するスクラップ置き場置かれた車両の燃料の
引火によりますます勢いをつけ巨大になってゆく。

炎は意思を持つ生物のように建物を、廃車をそして人を飲み込んで行く。

「ちっ!」

その光景を目の当たりにし舌打ちする貴也。
まったく関係のない人々を巻き込んでしまった事に。そしてそれを防げなかった
自分に。

金髪の少女と貴也は飛び、可能な限り現場から離れた。

どのぐらい飛び続けただろう。
貴也と少女は人気のない道路沿いの寂れた公園に着地した。

貴也は少女の手当てをしながら語りかける。あそこで何があったのかと、そして少女の名前を。

――――――――。

唐突に爆音が響き渡る。
見るとそこに立つのは先ほどのバイクにまたがる刀の鉄騎。
どうやら、まだ戦うつもりらしい…。

あれほどの怪我を負ってもまだ戦うと言うのか?

だが向かってくるのであれば戦わなければならない。
少女をかばう様に立ち貴也は身構える。

一陣の風が吹き貴也の羽織るマントが風に靡く。

154 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :04/01/04 22:08

>>151(ナチェナチェさん)
『…奪ったから…あいつ等が私達の故郷を…汚したから…』
胸が“ずきり”と、容赦なく痛む。

何気なく、地面に視線を向けた。
その先には僕が放った剣――『邪剣マーダー』が、横たわっている。

「…あなたの、悲しみ…本当は、判ってないのかも、しれない…けど…。
 判るような、気が…します…」

僕の帰るべき場所。
僕の大切な人たち。

「……僕、も……奪われた……から……」

155 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :04/01/04 23:24

>>154(エンジェルダスト)

ナチェナチェの言葉に少年は僅かながら心に動揺の感情を抱いたようだ。
それは少年の発した言葉からも読み取れる。

伝わったのか?私達の苦しみが。
土地、動物、生活そして、部族、家族。何もかも奴等は滅茶苦茶にした。
もう二度とかつてのような平和は戻ってこないのかもしれない。
そう考えた時の絶望が。

だが――――

『……僕、も……奪われた……から……』

その言葉にナチェナチェの心が僅かに揺れる…少年と同じように。

156 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :04/01/06 17:49

>>155(ナチェナチェさん)
ナチェナチェさんの瞳が、僅かに揺れる。
彼女も、“その日”を思い出しているのだろうか。

僕は再び『邪剣マーダー』を見遣る。

それは第二次大戦中、
科学と魔法の融合技術によって、
人を殺す為だけに作られた剣。

僕の大切なもの全てを、奪い去った剣。

悲しかった。 怒った。 どうしようもなく憎かった。

でも――――違った。

邪剣マーダーは人を殺す為に、造られただけ。
人を殺せるように、造られただけ。

邪剣マーダー自身は、決して殺戮を望んでいたわけではなかった。

だから、邪剣マーダーは僕に従う。
僕の言葉に、従ってくれる。

だから――――

「…僕の、敵は……「優しさを、持たない者」……です」

死に魅入られ、死をもたらす――
邪剣マーダーを利用するような、ココロの持ち主達――

――それが、僕の『狩るべき者』

「……あなたの、敵は……?」

157 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :04/01/06 23:29

>>156(エンジェルダスト)
その大陸では、私達先住民は奴等がくるまで平和に暮らしていた。
肥沃な大地。豊かな自然そして動物と部族の人々。
自然に恵まれ自然に行き続けてきた先住部族。
だがその繁栄も移民たちが大陸に到達した時。終わりを告げた。

先住民は次々と移民に破れた。奴等は土地も動物もなにもかも奪い取っていった。
抵抗する者達は片っ端から殺された。それはもう徹底的に。

憎かった…許せなかった。

『…僕の、敵は……「優しさを、持たない者」……です』

その少年の言葉を聞いたとき。ナチェナチェの心に一つの考えが生じた。

―――――共闘の二文字が。

もし少年の言う事が本当ならば…。
ナチェナチェは立ち上がり改めて少年に向き直る。

『……あなたの、敵は……?』

少年の答えにナチェナチェは即答した。

「移民共」

158 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :04/01/08 18:47

>>157(ナチェナチェさん)
答えは即座に返ってきた。
それはきっと、迷いなき敵意の証明。

『移民共』
それが、ナチェナチェさんの敵。

ナチェナチェさんの着ている服を見るに、ナチェナチェさんはどこかの部族なのだろう。
そして“移民”というのは、彼女達の住んでいた土地を後から奪った者達。

かつて日本政府がアイヌ民族から土地を奪い、その自由すらも奪ったように。

だから、僕は聞かずにはいられない。

「僕は…あなたの、敵じゃ…ないんです、か…?」

僕も、かつては――――文明の恩恵を受けていた、人間だったのだから。

159 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :04/01/09 18:05

>>158(エンジェルダスト)
『僕は…あなたの、敵じゃ…ないんです、か…?』
少年は問う。
それも当然だろう彼も本来ならば移民と同じような環境に居たのだろうから。

―――――だけど。

ナチェナチェは思う。この少年は自分が見てきた移民たちとは違う物を
持っている…。
それがなんなのかは判らない。だが少なくとも彼は、敵と言い切るには
抵抗があった。

「…完全に敵じゃないとはいいきれない。けど。あなたは移民とは違う面も
 持ってる…」

160 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :04/01/10 18:34

>>159(ナチェナチェさん)
ナチェナチェさんは言う、
僕は“移民”とは違う面も持っている、と。

(違う面……なんだろう)

僕は多くの人々の命を奪ってきた。

誰に命じられたわけでもない。
優しさを失った者は、生きる価値が無いわけでもない。

自分で滅ぼすべきだと思って、その手に掛けてきたのなら――


――それは結局、自ら望んで、命を奪ってきたのと同じはず

「僕は…僕も…たくさんの人の命を、奪って……きまし、た…。
 “移民”の人たちと、同じように……それで、も……?」

僕は許されはしないし、許されてはいけない。
いずれ『正しい人』たちの手によって、僕は裁かれなければいけない。

罪人――――それが、僕の生き方

161 名前:傷の男<スカー>:04/01/11 01:57

>>94、>>95、>>97-160

「・・・・・・・・・随分と、外が騒がしい様だが」
不意に外から聞こえてくる喧騒から意識を戻し、目の前の二人に再度向き直り、

>>96 ビリー・龍
あらためて、目の前の男女を醒めた頭で監察しなおす。

『今日は千客万来だな――――さて、何をしているかと問われれば』
己れの投げかけた問いに対し、あくまで気負わず、飄々と返す男。
貧弱などと言う言葉とは無縁なごつい体躯からは、しかしそれに見合わぬ軽快なモノをうかがわせる。
一言で例えるなら、猛獣――それも剛力としなやかさを兼ね備えた、虎と言った処か。
その印象は、最早乾きかけているとは言え、放置されて部屋に漂う、酸鼻を極める
血臭の中ですら平然と佇む様子からだろうか。

一方・・・・・・その隣。
同じく異常な状況の中気怠げな顔で、その手から鋼線を垂らして佇む女。
その身に纏うのは、蟲惑的な美しさと同居した、静かな凶暴性。
妖艶に微笑みかけつつ相手の首を掻き切りそうなその姿は己れに、以前襲撃された
あの神に背いた赦されざる者達―――無限蛇の一味の、黒髪の女を思い出させた。

『そっちこそ、こんなところに何のようだ?
 夜の散歩には少々、物騒だぜ、ここは』

眼の前の二人を監察していた最中、片割れの男はさらに己れに問うた。
浮世に生きるものとはまるで違う気配を纏う男……その奇妙に己れの意識を惹く眼光。
ほんの刹那の間だが忘我していた己自身に驚き、その驚愕から意識をさらに武装する。

「―――何の用、と云う訳でもない。己(お)れは、神の御意志に背き
 その与えたもうた法則を冒涜し、あまつさえ同胞を灼いた涜信者――国家錬金術師を狩るために生きている。
 尤も、その業ゆえに表通りを堂々と歩けず、こうして裏界隈を歩いていて―――

 そして偶然血の匂いを嗅ぎ付け、ここまで歩いてきたという訳だ。
 見たところその骸、貴様達が殺した訳でもないようだが―――――」

そこで、一旦言葉を切り、目を閉じる。

わずかな、本当にわずかな黙考ののち―――再度己れは口を開いた。
「……一体その骸、お前達は如何するつもりだ? 場合によっては――――」

……神の理を冒瀆する者として、神の御業から外れた我が業を以て罰するまで。 

162 名前:秋月貴也 ◆QZLdk/yRoo :04/01/16 01:34

(サムライダー及びロウランへ。メール欄参照)

163 名前:ロウラン ◆H6lSMgKiL2 :04/01/16 01:50

(メール欄参照。退場)

164 名前:サムライダ―:04/01/16 10:58

>>153
一陣の風と共に
ドス汚れた煙が血の臭いが
刀の鉄騎にむかって吹きほんの数分間の出来事であった――
   ・
   ・
   ・
   ・
刀の鉄騎の獲物であったはずの
殺気を放っていた少年と手負いの少女が目の前から消えていた…

逃げた?
苦痛よりも取り逃がした己を怒る!!
全身からマグマの様に吹き出る血の雨

『ゴァァァァァ!!』
赤い満月にむかい
刀の鉄騎の声が暗く静まった暗黒街再び響き渡る…

ザシュ!!
何を思ったか刀の鉄騎 刀で地下を繋いでいた水道管を斬る
自分で起こした火事を消す行動に移った。

宙を勢いよく放出された水は雨となり
紅蓮の炎を…
刀の鉄騎の怒りを…
静めていく――

しかしあまりにも多くの罪人を斬り
憑かれた死者達の魂と血はどんな事をしても洗い落とす事ができない。
小さな罪滅ぼしをしたところで何も変わりはしない

そして明日の夜も罪人達をこの刀で斬り続ける
そこに在るのが限りない暗闇だとしても…

ブォン!!ブォン!!
左手のハンドルグリップを力強く掴み
アクセルを全開まで吹かしその音はマフラーを通じて轟音となる

ギュルルルルブォン!!

人気の無い道路ぞいで新たな罪人達をみつけ
バイクを疾走させていく

…刀の鉄騎はいつもこの暗黒街にいる…
(終了)

165 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :04/01/27 23:51


>>160

少年の問いに、ナチェナチェは一瞬戸惑う。
だが、ナチェナチェは直ぐに気を取り戻す。

確かに命を奪って来たということは、この少年も、移民共も同じだ。

「…でもあなたは…殺した相手を、同じ人間だと思ってる…心を持ってる」

この少年の罪が消えるわけではない。
だが、奴等移民はそんな事はこれっぽっちも考えていない。
まして―――自分達が殺したのが同じ人間であるなど、罪を犯している
という自覚など、全く持ち合わせていない。

そんな人々を見てきた彼女だからこそ―――この少年に、一種の信頼を抱いたのだ。

166 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :04/02/05 23:42

>>165(ナチェナチェさん)
揺らぐ瞳。
僕が――いや、僕も“人殺し”である事に、
やっぱりナチェナチェさんは動揺した。

それは悲しくないと言えば、嘘になるけれど……でもやっぱり、当然のことで。
僕が狩人として生きると決めたその時から、受け入れなければいけない事から。

僕の僅かな逡巡と諦観の間に、ナチェナチェさんは言葉を紡ぐ。

――――それは、僕が思っていた事とは正反対

『…でもあなたは…殺した相手を、同じ人間だと思ってる…心を持ってる』

――――僕を認め、その存在を肯定するものだった

「……それ、は……だっ…て…」

生まれてきたのだから。
生きてきたのだから。

「…生まれて、きたら……いけない、人…なんて…」

だから、それは――それだけで

「…いない、と……僕は、思う…から……」

167 名前:無宿人牙吉:04/03/03 20:34

三度笠被り
紺木綿で作られた手っ甲、地下足袋と紺の外套に全身覆い
懐に鞘に納められた刀を差し
                    今日も無宿人牙吉は遠く獣道を征く――――――――――――

「…随分と変わったところで…」
クイっと片手に三度笠を周りを見ながらぺんぺん草を口に咥えている

168 名前:無宿人牙吉 :04/03/04 01:40

山奥にある村といった周りの違いに気がつき片手でクイっとあげた
三度笠を深く下向きに下ろす牙吉

草鞋の紐を結びななおすために片膝つき腰をしゃがみ込める
そこには何かの出来事に巻き込まれ年月のたった白骨化した死体
蛆虫やねずみのたかっている生臭い死体

等がそこいに無数に転がっており夜風が拭きだすと
腐った臭いが風に運ばれ飛ばされて生暖かい血液も流れていた――――――――――――――――――――


「……仏さんのうえじゃいくら何でもやすめやしねぇ…あの場所にしやすか」

無数に転がっている死体から少し離れた無人のアバラ屋を見つけ
壁に背をつけながら片膝ついて旅の疲れを癒す

169 名前:無宿人牙吉 :04/03/05 01:09

――――――無人のアバラ屋ひっそりと仮眠をとる牙吉

透き間壁から夜風が入ってくる
こころざし半ば死んでいった霊達が泣いてる様にも聞こえなくもない

牙吉は気付くここには自分と同じ血生臭い連中がいる
無益な殺生は好まないが降りかかって来れば
刃をむけるただそれだけだと牙吉は知っていた―――――――――――

「………今夜はどうも夜風が騒がしくていけねぇな………」


170 名前:無宿人牙吉 :04/03/09 01:16

―――無人のアバラ屋―――

牙吉、歩けば
皆、通行人は道を譲る。

遠く獣道を独り歩きながら邪魂魔道を倒しながら

無宿人 牙吉の終わりの無い旅は続く…

今は無人のアバラ屋で旅の疲れを癒す

アバラ屋の外は白骨化した死体
生臭い死体

そして見慣れない風景

岩より硬い材質で出来たとおもわれる
城があちら此方に作られている


今夜も透き間壁から夜風が入り
血生臭い臭いともに
死者達の泣け声が聞こえてくる

壁に刺さった一つの風車
夜風で回り始め

牙吉 三度笠の修理をする

「………今夜も夜風がやむ事はねぇだろうなぁ………」

171 名前:宇都宮正 ◆wDUtu/8N6. :04/03/14 14:51

http://appletea.to/~charaneta//test/read.cgi/ikkoku/1036390597/l90 から)
―――郊外の農道―――

「昨日は公道を通って帰ったんだけどね、アパートから新居へ行くなら、この道が近いんだ。
あんまり飛ばし過ぎちゃったよ。ほら、見てごらん、地図? ――あ、無理か」
 道路地図を、助手席に固定されたセーラー服の首無し死体の膝にポンと置き、少年はさらに
アクセルを緩めて法定速度まで落とし、風景に注意を拡散してみる。この地域に入った途端、
陽光にグレイのフィルターが掛かったが、それでも春の田園には違いなかった。
 一直線の農道。菜の花畑。遥かに山脈。あげヒバリの歌声。

……あああっ、癒されるぅぅっっ! と歓声を上げようとした瞬間、強烈な屍臭が車内を満た
した。
「うわっっっぷ!!」反射的に急ブレーキを踏んでしまう。そのまま停車して助手席の少女に
向き直った。
「おいっ、君、だいじょぶ? 具合でも悪い? 今までこんなに臭くなかったよ、第一こんな
急に――。え? 違うの? 外気が?」
 ウィンドウを下げて納得した。春風が頭痛と吐き気を催す悪臭を運んでくる。発生源は進行
方向右手、山地周辺の荒れ地らしかった。ビデオカメラを構え、ズーム・アップ。

「……うわあぁぁ……」思わず声が漏れた。さながら水木しげる漫画のひとコマのように暗く
濃密に描きこまれた野原、細道、そしてそこに散らばる、青黒く膨れ上がった肢体やら歳月に
洗われた白骨やら。なぜか冷静にカメラをウィンドウ上辺でささえ、録画開始。風景、死体を
じっくりとテープに納め、さらに横にパン。時代がかった、あばら屋を捕捉。全体を数秒撮っ
てから、戸口にズームアップ、そして窓へ――。
 窓口にふらりと「なにか」が立った。
「ひゃああああっっっ!!」
 慌ててカメラを引っ込め、急発進。アクセルを床まで踏み続ける。今や、農道の彼方だけを
凝視しながら、少年は必死で頭を整理した。
 確実なのは、この田園は昼夜を問わず、完全に無法地帯だってこと。昼の警察力が存在する
なら白骨死体を放置するはずがない。つまり、長居は無用だ。
 確からしいのは、あの惨状の下手人がまだ健在らしいこと。新しい死体もあった。やはり、
長居は無用だ。

 農道が終わり、住宅地に入る手前の交差点で、やっとブレーキを踏む。呼吸を整えながら
少年は考えた。ひょっとして、ひょっとしたら、あの、あばら屋に居た「なにか」は下手人を
待ち伏せする正義の剣士だったのかも知れない――。
「もし、完全に仮定として、そうだったとしても……あはは、僕なんかお呼びじゃないよね。
さあ、もうすぐだよ!」

172 名前:宇都宮正 ◆wDUtu/8N6. :04/03/14 14:56

―――街はずれ/川沿いのホテル―――

 最後の段ボール箱を部屋に運び込むと、少年は勢い良くベッドに倒れ込んだ。
「あああっ、疲れた! もう動けない! ちょっと君、そこのバッグから薬取って、薬。
――なに、無理? 冷たいなあ、もう」
 椅子に座らせた首無し死体におどけて不貞腐れながら、鎮痛剤を一山、飲み下す。

「――ああ、こりゃあ風呂にゆったり漬からなきゃあダメだな。君もずいぶんホコリ被っちゃ
ったし、――ん? ああ、いいんだよ。僕は、いってみれば君の介護人なんだから、お風呂に
入れてあげたって猥褻行為になるもんか――え? そうじゃなくて? ――ああ。確かにこの
ホテルは廃墟さ。でも当分、電気や水道は使えそうなんだ。あとで説明するよ。だから、今は
ちょっとだけ眠らせてね…一時間か…二時間……」
 少年は死んだように眠り始めた。

173 名前:無宿人牙吉 :04/03/15 01:34

―――無人のアバラ屋  その弐 ―――

誰も近付く事のない  無人のアバラ屋

壁に背をつけながら片膝つけ仮眠をとる牙吉


耳の奥まで聴き取れる人らしき声
鼻の奥まで嗅ぎわけられる人らしきニオイ

牙吉 仮眠をしながら
得体の知れない乗り物らしき音が消えた事を確認する

壁から背を離し腰をあげ外に出る

「…………こりゃひでぇ…仏さん達も泣く訳だぜ………」

得体の知れない乗り物によって

生臭い死体は腐ったトマトが破裂した様に

白骨化した死体は何かの粉末にされ粉々の砂と化していた

牙吉 ただ無言のまま両手を合わせ慈悲を祈る

174 名前:宇都宮正 ◆wDUtu/8N6. :04/03/18 19:09

―――街はずれ/川沿いのホテル―――

 一、二時間ほど眠るつもりが丸一日眠ってしまった。それ以上眠らなかったのは、月曜の昼
に配達を頼んでいた引っ越し業者の力強いノックのおかげだった。
「……は……ふぁ……! はっ、はいっ! 今、今、開けますからっ!」

 飛び起きようとした全身に筋肉痛が走り、ベッド脇に転げ落ちた。セーラー服の首無し死体
が座っている椅子を頼りに、どうにか立ち上がる。
「そ、そうだね。君はちょっと遠慮してくれる?」激痛をこらえながら死体をベッドの下に押
し込んだ。シャツの乱れを整え、作り笑いを固めてからドアを開ける。


 引っ越し業者を笑顔で送りだしてドアを閉めた瞬間、その場にドサリとうずくまった。
 昏倒寸前。それでも、このまま床に寝てしまったら二度と起き上がれないのは判っていた。
 体を反転させ、積み上げられた段ボール箱を眺める。苦笑。もっと不要品を整理すれば良か
ったと、今さら思う。
「一昨年の三月、リーザス城に闖入した時は、失うものなんか何も無かったのに。あはは…」(※1)

 部屋の奥へ這っていくと、ベッドの下に死体の足がちらりと見えた。そもそも、何故彼女が
ここに居るかというと、一昨年の十二月「体育館の倉庫」で「死臭」などと口走ってしまった(※2)
のが発端だった。
「親によく言われたし、どこかの偉い人も言ってたさ、『自分の言葉には責任を持て』!」
 勢いをつけて死体の足を引っ張った。スカートがまくれ上がり、むき出しの太ももがベッド
の下から現われる。下半身のどこかから新たな力が噴き上がってきたのは、その時だった。
 雄叫びとともに少女の全身を一気に引きずり出し、そのままバスルームへ引いて行く。

「言ったじゃないか、洗ってあげるって! 責任持って服ごと全部、全部きれいにしてあげる!
嫌なら嫌って言えばいい、言えなきゃ首を横に振りなよ! ――あ、どっちも無理か」


(※1 http://salad.2ch.net/charaneta/kako/1007/10079/1007991764.html )
(※2 http://appletea.to/~charaneta//ikkoku/kako/104/1040318553 )

175 名前:宇都宮正 ◆wDUtu/8N6. :04/03/22 23:47

 ―――街はずれ/川沿いのホテル―――

 入浴と死体洗浄に2時間を要した。詳細は扇情の虞れがあるため割愛する。
 死体の着衣は別に乾燥させることとした。脱衣の情景及び少年の葛藤の描写も割愛する。
 水分を拭った死体の胴にバスタオルを巻き、椅子に座らせた。しかし、角度とかによっては
逆に扇情的であると判断し、ベッドに横たえた。

 寝巻に着替え、髪を乾かし、ベッドに入って一息。ふと、自分になおも体力が残っている事
に気付き、少年は驚嘆した。引っ越し業者を送りだしたときには文字どおり瀕死だった筈だ。
「火事場の馬鹿力ってやつかな、いや、この場合、ぬ、ええっと。風呂場の馬鹿力か。あはは」
 濡れ場の馬鹿力と口走りかけて、赤くなった顔をベッドのコンソールに向けて誤魔化す。

「ね、有線聞けるんだよ。ポップス、ジャズ、クラシック、何が良い? あ、何でも同じか」
 音楽は適当に選んで、今度は照明をいじってみる。ピンク…赤…紫…青……。
「あれ?」
 ぎょっとしてツマミを戻し、紫から青へ、今度はゆっくりと回した。
 ピタリ。
 自分の吐く息が見えた。
 しかし、冬に息が白く見えるようにではなく、それは青い蛍光を放ち、細かい粉のように下
へと重く流れる。そのまま枕へ、そしてベッド全体に広がってゆく。

 自分の腕を見た。寝巻の胸をはだけて見た。裾を捲り足も見た。青い蛍光は体中の皮膚から
染みだしていた。
 慌てて隣の少女の肩に手をかけようとして、寸前でとどめる。しかしその指先から青く重い
ガスが細く垂れ、死体に浸透していった。よく見ると、死んだ肌の張りが少しずつ増してゆく。

「…あは。そうか。これって、アレなんだ……」
 かつて、八重坂高校の旧体育倉庫で自分を捉えた瘴気は、今なお自分の体内で結晶のように
に増殖し、自分を活かし、摂理に背いて死体を腐敗から守っている。
 うすうす理解はしていたが、目の当たりにするのは初めてだった。妙にほっとして、BGMに
耳を傾ける。

 ♪ 彼女が去った時 輝きも消えた
   青のヴェルヴェット
   でもこの心には暖かく愛しい思い出が
   いつまでも

 首の無い死体に、青い息を吹きかけたり、触れるか触れないかの所で指先を這わせたりして
少年はしばらく楽しんだ。
「僕から離れちゃだめだよ、絶対に。いいね?」

 それから十日間、二人はベッドを共にした。より正確に記すと、少年は十日間ベッドを離れ
られなかった。過労と湯冷めがたたり、ひどい風邪をひいたのだ。

176 名前:宇都宮正 ◆wDUtu/8N6. :04/03/29 00:29

 ―――街はずれ/川沿いのホテル―――

 熱にうかされながら悪夢を見た。

  いつのまにか、八重坂高校の旧体育倉庫に戻っている。
  深山奏子が暗い顔で入って来て、ああ、原典「カナコの章」の終盤だなと気付く。
  原典通りに彼女に迫り、原典通りに彼女は隠し持ったカッターナイフを閃かせる。
  頬に一撃受けてから、原典通りにカッターを持つ腕を掴んで壁に叩き付け――、

  ――だめだ。捕らえられない。圧倒的なパワーとスピードで彼女は斬撃を繰り出す。
  出血多量でふらついた足を見事に払われ、埃っぽい床に転倒。
  騎上位を確保した奏子は、宇都宮の頸動脈に刃を沈める。
  血で塞がった喉の奥で、少年は叫ぶのだ。
  だめだ深山さん。こんなの間違ってる。

 こんなのってない、こんなのってないよと泣き叫びながら汗だくになって目覚める。そんな
事を五回も繰り返したころから、少年の胸にある決意が固まり始めた。

 歩けるようになってから、少年は姿見の前に立ってみた。もともと青白く貧弱だった身体は
最早、衰弱死寸前にしか見えなかった。鏡の中の落ち窪んだ目がぎょろりと睨む。
「やっぱり体力を取り戻さなきゃ……これじゃあ、おまえ『宇都宮』ですらないぞ?」

177 名前:宇都宮正 ◆wDUtu/8N6. :04/03/29 00:37

 ―――街はずれ/河川敷―――

 灰色がかった陽のもと、少年は八重坂高のジャージに身を包み、誰もいない河川敷のグラウ
ンドをよろよろと走っていた。すぐに息切れがして歩き出し、呼吸を整えては、また少し走る。
十分後、ランニングはただの散歩になった。

「まあ、あせっても仕方ないさ」
 呟いて、ゆっくりと見渡した風景は、本当に広々としていた。アパートの一室でゲームにハ
マっていた時には想像もできなかった感覚だ。川風を深く吸い込む。臭気は無く、むしろ清々
しい。誘われるように川面へぶらぶらと歩いていった。

 街の中心部から海へと向かうこのあたりの川岸は、コンクリートで固められていた。水は汚
れてはいなかったが、ポリ容器だの自転車の残骸だのが、護岸壁のそこかしこに打ち上げられ
ていた。と、自転車の歪んだスポークに、白い何かが絡まっているのに気付く。傾斜を下り近
付いて見ると、動物の骨格であった。
「ネコ? にしては、ちょっと大きいな、でもイヌにしては脚が短いし……。まさか、ひょっ
として、アライグマ?」(>>58)

 何故唐突に「アライグマ」を想起したのか、自分でも判らないまま、少年は骨格を見つめた。
本当にアライグマなのか、アライグマだとしたら、どこからやって来たのか、一体何を考えて
いるのか興味があったし、この街の片隅に身を置く以上、いつまでも一人SSまがいを続ける訳
にはいかないのも判っていた。どうでも、この動物骨格と雑談をしなければ。

「今日は良いお天気ですね。体調はいかがですか?」
 少年は微笑みながら骨格に話し掛けてみた。自分でも多少まぬけに感じはしたが、出だしと
しては、まずまずだろう。

178 名前:ナチェナチェ ◆XkmZyrrWGE :04/04/01 00:04


>>166
ナチェナチェの返事に少年は言葉を返す、果たして自分の言葉に
少年はどのような言葉を返すのか。

そして、この少年を――――――――――自分達の仲間に引き込めるかもしれない。
そうすれば――――奴等に一泡も二泡も吹かせてやれる。

自分の獣祖獣(トーテム)と、トマホーク、そしてこの少年の力が加われば
”無敵”だ。

少年の答えは少し、予想外だった。
苦しそうに、一言一言吐き出すように言葉を発する。
この少年も、確かに自分と同じような過去を持っているのか。

ならば――――――それを果たそう。一緒に。

『…生まれて、きたら……いけない、人…なんて…』

『…いない、と……僕は、思う…から……』

ナチェナチェは少し下を向き、沈黙する。

やがて、口を開き少年の目を、その吊り目で睨みつけるかのように
見据えて言う。多少涙は残っていたかもしれないが。

「……あいつ等は……そんな事、これっぽっちも考えて居ないわ……
 こっちが幾らそんな風に接したって…奴等はそれを踏みにじる」

さらに幾分皮肉を込めて言う。

「インディアン。嘘つかない。でも奴等は嘘をつく、私達を殺し、苦しめる」

ナチェナチェの手が腰の布地のホットパンツに差し込まれたトマホークに
掛かる。

179 名前:エンジェルダスト ◆DUSTcqq4wg :04/04/24 22:50

>>178(ナチェナチェさん)
僕の言葉を聞き、ナチェナチェさんは口を閉ざした。
その姿に、僕は目をそらす。

「生まれてきたらいけない人なんて、いない」
――――――なんて、おこがましいんだろう。

多くの人間の命を奪ってきたのに。
多くの人間を悲しませてきたのに。

いつだって、自分の意志で――――悲劇を生み出してきたのに。

ずきりっ、と、胸が痛む。 いつもの痛み。
僕は、生まれながらに『強い理性』を持つという。
この痛みは、罪の証。 僕が、狩人である限り……一生涯、消える事はないらしい。
……そっと、片手を胸に添える。

しばらくして、ナチェナチェさんは顔を上げる。
その目は、はっきりと。
痛いくらい確かに、僕の姿を捕らえていた。

『……あいつ等は……そんな事、これっぽっちも考えて居ないわ……
 こっちが幾らそんな風に接したって…奴等はそれを踏みにじる』

「…………」

   ―――さっきの、僕の言葉には……説得力なんてなかったけど。
        それでも、本当の気持ちで―――

皮肉げに、ナチェナチェさんは続ける。

『インディアン。嘘つかない。でも奴等は嘘をつく、私達を殺し、苦しめる』
ナチェナチェさんの手が、腰の斧に触れる。
そこに殺気はなく……ただ、思いのみを感じる。
その思いはまだ、汲めないのだけれど……。

   ―――だから、僕は―――

「……僕は…狩人、です…。
 だから、彼らが…『狩るべき者』なら…滅ぼし、ます…。
 ……だけど、そうでは……ないかもしれません。

 もし…そうでは、ないの……なら……」

180 名前:宇都宮正 ◆wDUtu/8N6. :04/06/09 00:50


 ―――街はずれ/護岸壁;三月下旬―――

(>>177)

 コンクリートの継ぎ目からタンポポが生えている。ハナアブが飛んで来て、しばらく黄色い
花びらを探った。透明の羽に陽光が反射する。ふと飛び上がり、一瞬宙にとどまってツイッと
去った。

 虫を見失った少年は、視線を動物の頭蓋骨に戻した。まずまずの出だしとは行かなかったら
しい。眉をひそめてから、何かに思い至り、アッと口を開いた。

「ああ、すみません。自己紹介が遅れました。僕は宇都宮といいます。人畜無害の、ひよわな
高校生ですよ。いえ、その高校もずいぶん休んじゃってるんですけどね。えへ。
 で、この街にはもう、長いんですか、ええと、アライグマさん――ですよね?」


 日が陰り、また明るくなった。対岸の河川敷を雲の影が過ぎてゆく。


「……どうなさったんです。体調がよろしくないんですか?」
 喋りながら、詰問調になり始めているのを少年は自覚する。自覚した途端に火が着いた。
 宇都宮の狂気は止まらない。

「どうして何も答えて下さらないんです?
 春だからですか? 理由になりませんよ、そんな事。
 太陽がまぶしいからですか? それも理由になりません。
 川風が少し冷たいからですか? まったく理由になりません。

 それとも?
 僕がエロゲーのキャラだから? 理由にならないよ、そんな事。
 僕がエロゲーの雑魚キャラだから? それも理由にならないよ。
 僕がエロゲーの、オナニーしか能が無い、立ち絵すら無い雑魚キャラだからっ?!
 だめだよ!
 そんなこと、ぜんっぜん理由にならないよっ!

 ああ?
 錆びたスポークが刺さっちゃってるから? 何いってんだい!
 頭に矢が刺さってる人気歌手を知らないの?!
 ひょっとして、まさか『死体だから』とでも言いたい?! それこそ理由になりません。
 この街の>>1さんはねえ、とっくに死んでんだよぉぉぉっ!!」

 遠くで水鳥たちの羽音がざわめいたが、少年にはもう聞こえない。頭骨を両手で包み、荒い
呼吸で顔を近づける。何かを思いついてその目が細くなった。自分の瘴気が死の摂理に逆らう
のならば、ひょっとしたら――。
「――これでどうかな? 僕も別に、『ムリヤリ』が嫌いってわけじゃ無いし……」

 瘴気を強くイメージしながら、骨格の眼窩に口づけ、息を腹の底からゆっくりと吹き込む。
 頭蓋の中まで瘴気が染み渡った頃合に、鼻先を眼窩にあてがった。
「さあ、僕にも見せてよ。君が見たものを――!」鼻息を深く吸い込み、息を止める。


   “死骸”


「えっ?」一瞬呆気にとられた精神へ《それ》が轟音とともに突っ込んだ。

  “死骸。それとも、お金、結界へバレルレプリカフルトランス!!結界
   から噴出した、こんな時代にも揉め事ったさて、とやかく言われる
   ほど若くねーよ。そしてこう云う処は、支配される絶対者が必要だ
   となぜわか……がふ。人と共に生きているといっていたが………予
   想以上に、だな。死骸を回して、勝手に男をしやがったんだがな…
   …送信機をゆがめ、ただ吸血鬼の本性―――残虐性を奪って・・・
   ・・・。殺風景な場所にでちま「って」喧嘩売ってたから、今この
   状況で重要なと思った。吸血鬼が人とともに生きている。はは・・・・
   は・・・ははっ。正義。なら、襟首を呆然と見つめつつ声色を向けた。
   男おっさんじゃねえ。何かあるらしい。手を誇る男達が街を引き出
   すまでも無く…アレが纏う雰囲気は―――………厄介なはあんなこ
   とがあった男が喪黒に恫喝する、黒スーツの男に近づいていく。
   「ほらよ」その過去は一切が謎。つまんねぇが・・・・・アンタの手並み
   で帳消しだ。こいつは明らかにヤバイ。赤ジャケのオッサンになに
   やら凄める要素でもあるのは合理性―――それだけだ。おとなしく
   履いてくれればよし、貰ってしまってから、ダメでもこいつのドキ
   ュソな話を御覧くださいね……ホーッホッホッホッホッホッホッホ
   ッホ…………。一つだけ忠告です―――はったら起き上がり、歩い
   ていく……… ……ああ、奪った。「胸が痒い」。てめえの女はしっ
   かり見張っといた方がいいぜえ。少々痛かったようですなあ。ふ、
   奪った。ははぁん。「あんた」血にまみれたカーディガンとシャツ
   ・・・いやオレの使役するダニが糸をグリグリされている男は、仲良く
   しようや。か…ゆ…い…う…ゆ…い…う…ま…い…―――――かゆ
   ………うま……マービン・ブラナー。まずはあんたが男に何を読む、
   >250の人間の頭部にエーテルライトを可能とするエーテルライトの
   使い方の一つだ。妖怪にしちゃやけに中途半端な気だ。私がやるべ
   きことはその人に用がありますアレが人で無いのはたやすいが――
   ―――。脳が痒いくそ、獣の集団なのだ。ジードの肉体が木っ端微
   塵に破裂する。なら揺れ歩く巨漢がいた。邪悪なムード、運のねぇ
   ヤロウだろうが。こいつは明らかにヤバイ。「>>51そこへ」お前は
   俺が殺した……そっちの奴も……。――――今日も客がいた。185
   センチの長身のわりにゃ威圧感は無い。二つ、そして歪んだ真っ暗
   な愛を一つつきねぇ…………脅すも何も、女は見つけ次第、また力
   が復帰して――――――――ー・・・気が付きゃコレだ。無法者の集団
   は獲物を向けた。――――そんなわたしの視界に明らかに異質なお前
   は俺が殺した……そっちの奴も……。――――ダニがそんだけだと
   していた。心地よい鼾を読む、もっと楽しく始末してやれるがな・・・
   ・・・くくくくこの存在に人間が出会う事が幸運である事は在り得ない。
   「だから――――」おやおや、大間違いさ。 目が醒めると下衆っぽ
   く不敵な笑みをあげた。そんな事をあげた。「何よりここの」あの
   ホープダイヤがどんな品物か説明し忘れてしまいました……まあ、
   あのらしい。一つだけ忠告です―――は「ってくれよ」一つ肩を作
   って来い、貰ったモノたちが…… 女はオレの放った者の末路よ。溜
   息を浮かべてあ、ずっとそう言い聞かせつづけて………わたしの手
   は赤く濡れている。やるなぁアンタはこの街に留まっている。俺達
   を入れたか「ったもんだ・・・」. うぃ〜〜っく」ゲタをした右腕の
   男が着地するへっ。そしてそれ以上の無茶攻撃をつけてくれるつも
   りだよ。あー、痛え……ヒ、蠢く、な。確かにそれ自体は極めて特
   殊な事例だが…サンプル「のはナシにしようぜ」この存在に人間が
   出会う事が幸運である事は在り得ない。こいつは明らかにヤバイ。
   棍棒をした奴に襲われて………人間じゃねえ……、また力が復帰し
   て――――――ー・・・気が付きゃコレだ。脳が痒いくそゾンビ化の
   は好きじゃないのさ。今まで俺はそれだけの集団。大衆を”キャプ
   テン・ディーゼル退場フラフラと起き上がると、あの(ロング・ファ
   ング)オレの言葉と共に、どう落とし前を折りにかかる、すぐ終わ
   るさ。……誰だ、また新たな妖気。―――ああ、エーテルライトに
   這わせては意味が無い。女だ、暇そうだな。無法者の集団は獲物を
   読まれるを引き抜き、それはもう、のっばぁぁぁぁぁ。ハッ、それ
   から身体の調子がおかしい。悪りーな。――なあ、考えるまでもあ
   りませんね………しかし同族を……くふっあ、グロテスクで、俺と
   して、痒い、それよりもオッサンの手並みに驚かされた。「そして
   こう云う処は」てめえは……。”



 護岸壁に倒れた少年がピクリと動き、目を開く。
 青空。フォトショップのフィルターをかけたように不自然に滲んだ雲。
 轟音がまだ耳から離れない。

 目を閉じる。と、真っ黒い眼窩が赤い闇に浮かぶ。
 再び目を開くと、空には光のかけらが万華鏡のように回っていて。
 涙が静かに流れる。

 ひどく寒い。だけど、なぜか可笑しい。
 口の端を嫌な形に引き攣らせ、つぶやいてみる。

「絶望と孤独と憎悪と狂気を御覧くださいね……」

 背中と後頭部にコンクリートの感触。体はさらに冷えてゆく。起き上がらなければと思った
が、少年は当惑する。「起き上がる」って、一体全体、「何」を「どう」するんだっけ?
 轟音がまだ耳から離れない。



 四時間後、ようやく「起き上がる」を思い出した少年はふらふらと帰宅した。当然、風邪は
再発していた。

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