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工場群

1 名前:名無し客:03/12/29 19:15

スレタイトルなどは>>2以降で

2 名前:??? ◆WJjHbrbOa6 :04/01/06 17:15

このスレは我々が頂く…。

スレタイは…「工場群」と名づける。


3 名前:? ◆WJjHbrbOa6 :04/01/07 00:02

ルール

リレーSSスレ。
基本はsage進行。

参加者常時募集中(オリキャラも歓迎)
ただし、可能な限り他の闘争・大殲スレと被らない作品の参加を望む。

戦うもしくは会話する相手には必ず選択の余地を残す。

4 名前:? ◆WJjHbrbOa6 :04/01/10 23:42

ドブ。

それがこの川を見たものが口にする決まり文句だった。
高度経済成長と共に急速に発展し、無数の煙突が林立する大工業地帯。
そんな中を一本の川が流れて居る。コンクリートに無機質に固められた
両岸を見て、誰がかつてこの川には緑と生命が溢れ、美しい水が流れていた
などと信じるだろう。

工場から排出される廃液。あちこちから流れてくる大小のごみ。
川底には長年に渡り川底に沈殿したヘドロ。異臭を放つ水。

それら全てが行き来するものに不愉快な想いを植え付けている…。

5 名前:? ◆WJjHbrbOa6 :04/01/11 16:44

そのドブ川の行き着く先は海。

その海もかつての美しい姿を留めてはいなかった。

大きな川とは別に海岸線に存在するいくつもの小さな小川。
そこを流れるのは水ではなかった。

赤、緑、黒、黄色、オレンジ。
様々な色を持つ工場の廃液。
それがなんの処理を施される事も無く、海に流れ込んでいる。

砂浜の波打ち際では不気味なまでに泡が発生し。
子供達さえも寄せ付けない異臭があたりも支配する。

浜の上に存在する丘の草木は枯れ、付近に点在するとっくの昔に
閉店した売店が一層不気味な雰囲気を醸し出す。

そんな人も殆ど近寄らない所から、この物語は始まる。

6 名前:? ◆WJjHbrbOa6 :04/01/11 16:56

海岸の一角で一際大きな気泡が発生している。

平日の午後、初夏の太陽に照らされる海岸のごみ、ヘドロ、廃液は
ある種魔術的な美を秘めているかのようだ。

付近では海岸に存在する工場で動く作業機械の騒音が支配する。
その騒音に遮られて、今気泡の中で後に人類全体を脅かす生物が
誕生しようとしているなど誰が知ろうか。

気泡はまだ発生していた。
周囲のゴム、ヘドロ、化学物質を吸収しながら。

7 名前:? ◆WJjHbrbOa6 :04/01/12 23:32

発生していた大量の泡が納まり、海岸はいつものヘドロとゴミと化学物質にまみれた
ただの汚い海岸に戻った。

あたりに人の気配はなく。付近を支配するのは岸に打ち付ける波とそれに
伴い発生する化学物質の泡。


ゴボゴボゴボゴボゴボ。

ヘドロが大きく泡立つ。お湯のように沸き立つ。


”それ”は誕生した。
まだ小さいけどその生き物は確かにこの瞬間。ここで生まれたのだ。

8 名前:◆WJjHbrbOa6 :04/01/16 16:37

(>>7の続き)

市街地。

汚れた無人の海岸で、未知なる恐怖が生まれようとしていた頃、
街はそんな事など知る由も無く、平和な一日を終えようとしていた。

夕日に赤く染まる街。
大通りは、人々で溢れている。

学校や職場から帰宅の途につくサラリーマン、学生。
夕食の買い物にゆく女性達。
これから遊びに出かけようとする子供。

様々な人々がそれぞれの目的に歩いてゆく。

今日も一日平和だった。
そして誰もが明日も明後日も、それ以降も、この平和が続いてゆく事になんの
疑いも持たなかった。

9 名前:土方ヤヒチ ◆WJjHbrbOa6 :04/01/20 19:21

>>8
川原が夕焼けに染まる。
俺は一人、川原の土手を歩いていた。川原のグランドでは地元の少年野球らしい集団が、
練習に明け暮れていて、元気な掛け声が聞こえてくる。

俺の名前は土方ヤヒチ。
この川原の土手をしばらく行ったところにある地元の高校に通ってる。
どこにでも居るふつーの学生さ。

先日から行われていた定期テストが、今日終わった。
そして明日は学校は休みだ。

ヤヒチの前後を同じように帰宅の途につく生徒達は、テストどうだった?、などと
言った話をしている。今回のテストは自分でもがんばったつもりだが少し心配な
科目もあった。

帰ったら何をしようか。明日何をしようか。

他の生徒と同様。紺のブレザーに身を包み、学生鞄をぶら下げる俺は
ぼんやりといろんな事を考えながら帰宅の道を行く。

俺はまだこの時。知らなかった。
俺たちの日常が、変わってしまうなんて。

10 名前:??? ◆WJjHbrbOa6 :04/02/08 14:25

>>9
一隻の船が港の中へ入港してくる。大きさから言って貨物船である。
貨物船は、港の脇にある石油化学コンビナートの橋場に向かい、今日も
中東から運ばれてきた原油を、コンビナートの石油タンクに入れるための
作業を開始する。
 船の甲板で作業をしていた一人の作業員が、何かを目撃したのはその時だった。
―――――なんだあれは?
作業員は作業を手放して、しばしその”物体”を見た。全体的に緑色で
周囲の汚れきった海の色に同化して殆ど見分けが付かなかったけど、確かに
それは居た。
 巨大な、おたまじゃくしを思わせる物体―――明らかに生物だ―――が
泳いでいる。

「お…おい。あれ…」

 そこまできてようやく他の作業員も気付き始めたのか、物体の見える方向を
指差しながら口々にあの物体に関して話す。
 その物体は暫くすると、ゆっくりとヘドロの沈殿する湾の底に沈んで行く。
沈んで行く時、何か紅い物が中央に光ったのに気付いたのは数人だけだった。

11 名前:土方ヤヒチ ◆WJjHbrbOa6 :04/02/16 18:24

>>10
夕日が山の向こうに沈む頃、ヤヒチは自分の家に帰り着いた。
私服に着替え、鞄を自分の部屋に置き、冷蔵庫からジュースを取り出し、ソファに
座って一休みする。
 ジュースを見ながら暫く休んだ後、なんとなくテレビを付けた。

『……現在、○×港は物凄い煙に包まれています…あ!今爆発しました!
 何かかが爆発しました!』

なんだ?
ヤヒチは顔をしかめ、テレビの音量を上げた。

『……繰り返し、お伝えします。先ほど午後3時50分頃、XX県の○○港で
 原因不明の火災が発生。炎は停泊していたタンカーにも引火。現在も炎上中の
 模様…』

聞く限り、どうやら火事らしい。それも他の県での話。
普通なら、特に気にする事もないのだが、この時、ヤヒチは何か漠然とした
嫌な物を感じた。

だが、それを打ち消しヤヒチは日常に戻る。
自分には関係ない。そう思ってた。まだ、この時は。

12 名前:土方ヤヒチ ◆WJjHbrbOa6 :04/02/27 01:16

>>11
その日の夜。
明日が休日なのをいい事にヤヒチは夜中に自分の部屋でパソコンに向かっていた。

勿論、インターネットだ。

 この沢山の情報が飛び交い、渦巻く電子の世界の片隅で、ヤヒチがお気に入りの
場所を見つけたのは、つい数ヶ月前の事。とあるサイトのとある掲示板。
気軽に、まるで友達と話しているかのような感覚で書き込めるのがヤヒチの
気に入った部分の一つであった。

 ヤヒチは夕方のニュースで感じた、得たいの知れない”嫌な物”をすっかり忘れ
掲示板で、夜中に繰り広げられる会話に夢中になっていた。

だが――――唐突に画面の向こうの友人が出した話題はヤヒチを現実に
引き戻した。

501 :kujira :15/05/3 1:13
なぁなぁ。皆、XX県の○○港での爆発事故でのニュース見たか?



13 名前:土方ヤヒチ ◆WJjHbrbOa6 :04/02/27 01:25

>>12
ヤヒチは思い出す。昼間感じた、あの得体の知れない”嫌な物”の感触を。
キーボードを打つ手が停まった。

その間にも会話は続いていた。

501 :kujira :15/05/3 1:13
なぁなぁ。皆、XX県の○○港での爆発事故でのニュース見たか?

502 :nono :15/05/3 1:15
>>501
知ってるけど。それがどうしたの?

503 :kujira :15/05/3 1:17
>>502
実はさ〜。俺そこの近くに住んでんだよ〜。
凄かったぜ。タンクとかがボンボン爆発しててさ。
ついさっきまでマスコミと消防でごったがえしてたぜ?
火も一応消えたみたいだけどな。








14 名前:土方ヤヒチ ◆WJjHbrbOa6 :04/02/27 01:39

>>13
さらに会話は続く。まるで流れるかのように。
ヤヒチはただそれを見ている事しか出来ない。

友人達の話す内容は何時もと同じように野次馬的で、たわいも無い会話だった。
だがその中で、一つ目に止まる文章があった。

505 :kujira :15/05/3 1:23
それでさ、家族や近所の奴とかが皆噂してんだけどさ、
生き残った作業員の中でタンクが爆発する直前に変な物を見たっていう
話があるんだよ。
まあ、でまかせだろうがな(笑)。



――――――――!?

ヤヒチの中の、あの嫌な感触が一層形を持つものへと変わった。
ヤヒチはインターネットを終了し、パソコンを終了させた。

今日はもう寝てしまおう。それがいい。

部屋の明かりを消して急いでベッドの中へ入る。
今日はもしかしたら悪夢を見るかもしれない。

あの嫌な感触が離れない。どうしたんだ俺は。

ヤヒチは全ての考えを打ち消し、眠りに落ちる。


この時、もしかしたら自分は判っていたのかも知れない。

この後に、自分達を、この国を、そして世界を襲う本物の”悪夢”の事が。

15 名前:土方ヤヒチ ◆WJjHbrbOa6 :04/02/29 16:06

>>14
――――――次の日の朝。

現場となったXX県の○○港では警察による現場検証が行われ、新聞、TVなどの
報道関係者等が詰め掛けていた。
 ヤヒチは夜更かしのため、10時頃までベットの中にいた。
私服に着替えて自分の部屋のある二階から居間のある一回へと降りてくる。
正直。まだ眠かった。
 新聞を読んでみると昨日のXX県の○○港で発生した火災の話が一面を飾っていた。
その新聞の記事によると、事故の原因は人偽的なミスが原因と見られているようだ。
ヤヒチはその記事を読むとテレビのスイッチを入れたが、もうニュースの時間は終わって
いるらしく、どの局を見ても再放送の時代劇だとか、バラエティー番組が放送
されているだけでなんら新しい情報は得られなかった。
 外に目を向けてみる。今日は昨日と同じく良く晴れた快晴で、暖かい一日に
なりそうだった。

―――――――今日はちょっと出かけてみるか。

ヤヒチは遅めの朝食である、昨日のカレーの残りを食べながら、そんな事を考えていた。

16 名前:土方ヤヒチ ◆WJjHbrbOa6 :04/03/01 00:22

>>15
朝食を済ませたヤヒチはそのまま、歯を磨いて顔を洗い、髪をとかして
家を出た。鞄を背負い、財布をポケットに入れ自転車に乗り、市街地へ行く。

どこへ行くかは考えては居なかった。
まあ、なるようになるだろう。

ヤヒチの乗る自転車は、住宅地の中を通り、やがて土手に上がり
いつも高校に行く方向は逆の方向―――市街地に向け走り出す。

穏やかな午後の日差しが照りつけ、暖かい風が顔に吹き付ける。
時折、土手の上を行く人や、自転車とすれ違いながら、ヤヒチは自転車を
市街地に向け走らせる。

――――――何時もと変わらない。平和な休日だった。

17 名前:? ◆WJjHbrbOa6 :04/03/02 00:08


>>16
(>>16の続き)

―――――――――XX県○○港付近。

 この日、事件の発生した港では、警察による現場検証が行われていた。
その光景を港に集まった各方面のマスコミが取材している。
アナウンサーがマイクを持ってテレビカメラに向き合い、事件の詳細と
現在の現場検証の様子について、説明している。その映像はブラウン管を
通して、全国のお茶の間に伝えられているのだろう。
 また別の場所では新聞記者と思われる人々がカメラのシャッターを切り
警察関係者の発表に耳を傾けてメモを取っていた。

 その、港の付近では、どこか他の県からやってきたのTV局の取材クルーが
付近に住む地元住民にインタビューを行っていた。
と行ってもスタッフは数人で、ヘドロに汚れきった海を背景に地元に住む初老の男性がマイク
で喋っている。
 この爆発事故が起こる前後から、付近の住民達の間では一つの奇妙な噂が広まっていた。
それはこの付近の海辺で、度々奇妙な物体が目撃されているという物で、この港で事故当時
勤務していた生存者の中にも同じような事を言う者が居たという。
 初老の男性はマイクに向けゆっくりとした口調で話し続ける。

「…つい二日ばか前に…この道を真っ直ぐ行ったとこにある入り江で…妙なモンが
 動いてるのを見たんだよ…大きい…一つ目の…おたまじゃくしみたいなのが、ヘドロの
 中に浮かんでたんだよ」

 スタッフ達は話の内容を気にする様子もなく、淡々と取材を続けていた。
この類の話は、別に珍しい物でもなんでもない。どこにでもありふれた話だ。
ネッシーとかの類の話は目撃例は沢山あるし、映像(本物かどうかは、別にして)で
撮影された物も中にはある。未だに地方のマスコミでは未知の生物に関する話題が
一面を飾る事もある。
 だが、そんな物、普通の人間ならばまず信じないだろう。このスタッフ達も
それは同じであった。

―――――――――だが。

18 名前:? ◆WJjHbrbOa6 :04/03/02 00:09

(メール欄訂正)

19 名前:◆WJjHbrbOa6 :04/03/02 00:46

(>>17の続き)

 それはほんの一瞬の出来事だった。カメラマンの目線。カメラから捕らえられた、
ほんの僅かな”異形”の姿。

 異形の物体が、ヘドロの中、ゆっくりと立ち上がって(?)いる。
その異形の物体はすぐにヘドロの中へ沈んでいった。

カメラの前に立つ男性にピントが向けられていたため、それはほんの一瞬で、
ほんの僅かな部分しか移ってはいなかったのだが。
 それは確かにそこに移っていた。

「な……!」

カメラマンの声が聞こえたのを前後としてその場のスタッフ全員が凍りついた。


 その日、この港の外れで撮影された映像は、午後のワイドショーを一時中断し
20秒たらずではあったが、流された。
 だが、この映像が正面の男性にピントがあっていた事と、すぐに物体が
沈んでしまった事、そして何よりも映像が不鮮明である事などが災いして
殆どの人々は信用しなかった。

――――――結局。一時的な話題で終わってしまったのだ。

 もし、この時。人々が後少しでもこの映像を信頼できるものと思ってくれたならば。
この後に起こる災厄による被害が少しでも減ったかもしれない。しかし、それは
あまりにも遅すぎた。

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